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杉原一雄君
沖繩経済の特色は、現在考えた場合、いまの相前後した話、お互いのやりとりの中に明確に出てきていると思いますが、考えてみますと、やはり対外収支構造が異様な
状態になっている。つまり輸入が多くて輸出が少ない、だから赤字が多い。こういうことが非常に大きな問題であると思います。そのことが、結果的には
米軍関係から受け取るお金をもってとにかく
沖繩経済が何とかやりくりされてきている。そのことを私
たちは
基地経済と言っておるわけですが、こうした今日までの経済の姿を大きく変革していくということがやはり山中構想の中で言われようとしておることだと思いますが、もう一度そのことを念には念を入れて私のほうからも要望しておきたいと思います。だから
産業構造にしましても、やっぱり大きく第一次、第二次、第三次というこの
産業の構成比によりますと、第一次が一〇・九、第二次が一九・一、そして第三次が七〇・〇%、七〇・〇%の中に女性の問題、口では言いかねる
問題等もあるわけでして、こうしたいびつな
状態を大きく変えていくということが今後の
開発の大切な事柄だと思われます。なお、よく山中農林大臣代理が亜熱帯
地方だからというので、何かすばらしい夢の国のような印象づけをさせられてまいったのでありますけれ
ども、いろいろ調べてみると、そうばかりは言えないような気がいたします。豊かな太陽エネルギーがある、それはけっこうでしょう。だが、平均湿度が八〇%もあって、
本土が七一%であるということ等から比較して、営農上大きな問題がある。あるいはトマトの色づきが悪いとか、干し草をサイロから出せば三日でかびつくとか、家畜には
——家畜というのは大体四〇%から七五%ですから、湿度がかなり不適当である。農機具はさびつくといったような問題とか、雨の
問題等、いろいろありますが、こうしたマイナス面の
問題等は農林省当局では十分御検討なさっていることだと思いますが、今後の
沖繩農業をどうするかということで、
本土農業自体もたいへんな危機にあるわけですから、相当の計画性と情熱を持ってやらなければ問題の本質の解決にはならぬのではないか。牛がよく育つ、それはそうでしょう。だが一頭の生牛が
本土に参る場合に百ドルの運賃が要るんだと、こういうことになりますと、これは商品としてたいへん扱いにくい問題になります。こうした
問題等いろいろ整理をしながら
沖繩経済、商工並びに農、各種
産業のあり方について、それこそ
本土のあやまちを繰り返すことなく、やはり
沖繩の今後の
経済開発に全力を傾けていただきたいことを特に希望しておきたいと思います。
最後に、だからそういう
開発を進める場合に、やはり手だてが必要であります。それが今度の立法のねらいだと思いますが、この立法にも多くの問題点があります。
屋良さんが指摘しているのでは、第一条のところに「
沖繩の特殊事情にかんがみ、」云々とあるところに、「
地方自治を尊重しながら、平和で豊かな
沖繩をつくるため」と、こういうことを挿入していただきたいという意見が提起されているわけです。私は、もっともだと思うし、また
政府当局は入れなくてもわかっているじゃないかと、こうおっしゃると思いますが、やはりこの点はきちんと
規定しておったほうが
沖繩県民も安心もするだろうし、
政府はごまかしと、そうは言いませんが、きょう木島君が、六カ月たったらごまかされどうしだと言われたが、やはりそういう不安感は
沖繩県民にもあるわけですから、正しくその点を述べられたらいいんじゃないかというふうに思います。
これは私、修正案などというのではありません。いまここで挿入をしろと言ったって、これは修正条項になりますから、手続上容易ではないけれ
ども、私は、その点、
精神的に今後の運営の面でも、この委員会を通じて確認をしていただきたいと実は思います。第三条のところで、第一項に「土地の利用に関する事項」とあるわけですが、このところで(イ)、(ロ)、(ハ)ということで
問題提起をしております。(イ)は「
軍事基地の跡地利用」、(ロ)は「軌道」、(ハ)は「都市の整備
開発」、こういうことを入れてほしいということを言っておりますし、第四条では、第四条の二項の終わりのところに「関係行政機関の長に協議し……振興
開発計画を決定する。」と、ここに「
沖繩県知事の同意を得て」云々と挿入していただきたいという
建議書の意見でございます。それから第七条の六項のところで、これは「全額を国が負担する」ということを入れてほしい、こういう要望等、まだその他あるわけですが、省略いたしますけれ
ども、こうした要望は、私から見て、きわめて妥当な要望であると実は思います。その点、長官のほうの
所信があれば明確に出していただきたいと思いますが、同時に、えてしてこうした
開発特別措置法、こういうものによって
——本土におきましてもたくさんのそうした立法があり、すでに審議会等が行なわれていろいろ計画が進められ、総合点検が行なわれつつあるということは事実でありますけれ
ども、ただ、ことしの予算編成期を目ざしてさまざまな
地方開発審議会が行なわれ、ほぼ終わったと思います。その終わった段階で、これは一つの新聞だけでありません、幾つもの新聞が
——表現をすれば、こういう表現が一番妥当かと思いますが、飾りだけの
地方開発審議会
——もっと要約して、飾りだけの
地方開発審という表現を用いてあるわけです。こうしたことは、私も、
内閣総理大臣佐藤榮作という名義の辞令をもらったのは今度が初めてですが、ある
地方開発審議会の委員をしております。この間ありましたので、いろいろ私も意見を述べました。ほかの人も述べました。私の隣におったある大学の教授は一言半句も述べませんでした。で、
あとで教授に「あなたはいつ意見を述べるのですか」、「いや、きょう述べることができなかったので、またあるでしょう」と、「それはだめですよ、これは年に一回しかない」、「ああ、そうですか」と言ってびっくりして帰っていかれました。事ほどさように、そういったような審議会が形式化しているわけであります。でありますから、いま
屋良さんが「県知事の同意を得て、」ということばの挿入を要求された気持ちも、それらの不安をあらわしているのじゃないだろうか。えてして、こうした
開発審が結果的には中央で
総理大臣の諮問機関として存置され、そうしていろいろなことがここで論議されるわけであります。そういうことでありますから、これは先ほど
総理も明らかに、
地方自治の原則、
県民の心を心としてと明確におっしゃっているわけですから、いわゆる審議会の運営、計画の樹立、そういったこと等について、いまこの場を通じてやはり
総理のお約束をもう一度確認していただきたいと同時に、先ほど各条章について若干、
屋良さんの修正的な要望意見を申し述べた点については山中長官から御回答をいただきたいと思います。
これで私の質問を終わります。