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1971-12-26 第67回国会 参議院 沖縄及び北方問題に関する特別委員会、大蔵委員会、社会労働委員会、商工委員会、運輸委員会連合審査会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年十二月二十六日(日曜日)    午前九時六分開会     —————————————   出席者は左のとおり。    沖繩及び北方問題に関する特別委員会     委員長         長谷川 仁君     理 事                 鬼丸 勝之君                 楠  正俊君                 剱木 亨弘君                 丸茂 重貞君                 松井  誠君                 森中 守義君                 矢追 秀彦君                 高山 恒雄君                 岩間 正男君     委 員                 稲嶺 一郎君                 今泉 正二君                 長田 裕二君                 梶木 又三君                 片山 正英君                 亀井 善彰君                 古賀雷四郎君                 柴立 芳文君                 鈴木 省吾君                 園田 清充君                 竹内 藤男君                 西村 尚治君                 初村瀧一郎君                 宮崎 正雄君                 山内 一郎君                 若林 正武君                 占部 秀男君                 大橋 和孝君                 川村 清一君                 田中寿美子君                 田中  一君                 宮之原貞光君                 村田 秀三君                 森  勝治君                 上林繁次郎君                 黒柳  明君                 原田  立君                 栗林 卓司君                 渡辺  武君                 喜屋武眞榮君    大蔵委員会     委員長         前田佳都男君     理 事                 柴田  栄君                 嶋崎  均君                 成瀬 幡治君                 多田 省吾君     委 員                 青木 一男君                 伊藤 五郎君                 大竹平八郎君                 棚辺 四郎君                 津島 文治君                 西田 信一君                 桧垣徳太郎君                 小谷  守君                 竹田 四郎君                 戸田 菊雄君                 鈴木 一弘君    社会労働委員会     委員長         中村 英男君     理 事                 高田 浩運君                 小平 芳平君     委 員                 石本  茂君                 川野辺 静君                 玉置 和郎君                 徳永 正利君                 中山 太郎君                 山下 春江君                 須原 昭二君                 杉山善太郎君                 和田 静夫君                 柏原 ヤス君                 星野  力君    商工委員会     委員長         大森 久司君     理 事                 川上 為治君                 竹田 現照君                 藤井 恒男君     委 員                 赤間 文三君                 植木 光教君                 矢野  登君                 阿具根 登君                 林  虎雄君                 中尾 辰義君                 向井 長年君                 須藤 五郎君    運輸委員会     委員長         木村 睦男君     理 事                 山崎 竜男君     委 員                 岩本 政一君                 江藤  智君                 岡本  悟君                 菅野 儀作君                 小柳  勇君                 瀬谷 英行君                 藤田  進君                 塩出 啓典君                 田渕 哲也君    国務大臣        内閣総理大臣   佐藤 榮作君        法 務 大 臣  前尾繁三郎君        外 務 大 臣  福田 赳夫君        大 蔵 大 臣  水田三喜男君        文 部 大 臣  高見 三郎君        厚 生 大 臣  斎藤  昇君        通商産業大臣   田中 角榮君        運 輸 大 臣  丹羽喬四郎君        労 働 大 臣  原 健三郎君        国 務 大 臣  江崎 真澄君        国 務 大 臣  大石 武一君        国 務 大 臣  山中 貞則君    政府委員        内閣法制局長官  高辻 正巳君        内閣法制局沖繩        法制参事官    系  光家君        内閣法制局第二        部長       林  信一君        内閣法制局第三        部長       茂串  俊君        内閣法制局第四        部長       角田礼次郎君        総理府総務副長        官        砂田 重民君        防衛庁参事官   鶴崎  敏君        防衛庁長官官房        長        宍戸 基男君        防衛庁防衛局長  久保 卓也君        防衛庁衛生局長  鈴木 一男君        防衛施設庁長官  島田  豊君        防衛施設庁総務        部長       長坂  強君        防衛施設庁総務        部調停官     銅崎 富司君        防衛施設庁労務        部長       安斉 正邦君        環境庁水質保全        局長       岡安  誠君        沖繩北方対策        庁長官      岡部 秀一君        沖繩北方対策        庁総務部長    岡田 純夫君        沖繩北方対策        庁調整部長    田辺 博通君        法務省刑事局長  辻 辰三郎君        外務省アジア局        長        須之部量三君        外務省アメリカ        局長       吉野 文六君        外務省条約局長  井川 克一君        大蔵大臣官房審        議官       前田多良夫君        大蔵大臣官房審        議官       中橋敬次郎君        大蔵省主計局次        長        平井 廸郎君        大蔵省関税局長  赤羽  桂君        大蔵省理財局次        長        小幡 琢也君        文部省大学学術        局審議官     安養寺重夫君        文化庁次長    安達 健二君        厚生省公衆衛生        局長       滝沢  正君        厚生省環境衛生        局長       浦田 純一君        厚生省薬務局長  武藤き一郎君        厚生省年金局長  北川 力夫君        農林省農政局長  内村 良英君        通商産業省企業        局長       本田 早苗君        通商産業省鉱山        石炭局長     莊   清君        通商産業省公益        事業局長     三宅 幸夫君        中小企業庁次長  進   淳君        運輸大臣官房審        議官       見坊 力男君        運輸大臣官房観        光部長      住田 俊一君        運輸省海運局長  鈴木 珊吉君        運輸省鉄道監督        局長       山口 真弘君        運輸省自動車局        長        野村 一彦君        運輸省航空局長  内村 信行君        労働省労政局長  石黒 拓爾君        労働省労働基準        局長       岡部 實夫君        労働省婦人少年        局長       高橋 展子君        労働省職業安定        局長       住  榮作君    事務局側        常任委員会専門        員        相原 桂次君        常任委員会専門        員        鈴木  武君        常任委員会専門        員        坂入長太郎君        常任委員会専門        員        中原 武夫君        常任委員会専門        員        菊地  拓君        常任委員会専門        員        吉田善次郎君     —————————————   本日の会議に付した案件沖繩復帰に伴う特別措置に関する法律案(内  閣提出衆議院送付) ○沖繩復帰に伴う関係法令改廃に関する法律  案(内閣提出衆議院送付) ○沖繩振興開発特別措置法案内閣提出衆議院  送付) ○沖繩における公用地等暫定使用に関する法律  案(内閣提出衆議院送付) ○国家公務員法第十三条第五項および地方自治法  第百五十六条第六項の規定に基づき、人事院の  地方事務所設置に関し承認を求めるの件(内  閣提出衆議院送付) ○沖繩平和開発基本法案衆議院送付予備審  査) ○沖繩における雇用促進に関する特別措置法案  (衆議院送付予備審査)     —————————————
  2. 長谷川仁

    委員長長谷川仁君) ただいまから沖繩及び北方問題に関する特別委員会大蔵委員会社会労働委員会商工委員会運輸委員会連合審査会を開会いたします。  沖繩復帰に伴う特別措置に関する法律案沖繩復帰に伴う関係法令改廃に関する法律案沖繩振興開発特別措置法案沖繩における公用地等暫定使用に関する法律案国家公務員法第十三条第五項および地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、人事院地方事務所設置に関し承認を求めるの件、沖繩平和開発基本法案沖繩における雇用促進に関する特別措置法案  以上の各案件を一括して議題といたします。  これより前回に引き続き質疑を行ないます。質疑のある方は順次御発言を願います。戸田菊雄君。
  3. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 私はきょう、主として大蔵関係通貨、税制、専売、生命保険関係等の問題について質問してまいりたいと思います。  最初に、この八月十六日にニクソン経済緊急対策が発表されました。自来、二十人目、日本では変動相場制に変更し、今回、十二月の二十日以降でありますけれども、三百八円で再度また固定相場制に返った、こういった一連の、円の切り上げないし世界的な経済変動等に伴って、たいへんな不安と動揺を沖繩県民に与えております。まともに沖繩県民はそれらの影響をこうむっておると思うんでありますが、それらの不安解消と今後の対策について、まず総理からお答えを願いたいと思います。
  4. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 後ほど詳しくは外務大臣あるいは総務長官から対策等について補足してもらいますが、私は、ただいまの為替相場固定化について一番影響を受けたのは、何といっても沖繩の同胞だと思います。私どもは円の中で生活をし、ドル交換をする場合において初めて問題を身近に感じますけれども、その交換のない円の生活を続けている限りにおいては、問題を身近に感じない、しかし、沖繩住民諸君はやがて、いましばらくすれば祖国復帰する、その際にはドル通貨圏から円の通貨圏に変わるわけでございますから、これは何といっても身近に感ずるのは沖繩住民だと、かように思います。したがって、われわれの受けとめ方と県民の受けとめ方、そこにはそれぞれの相違がございます。すでに変動相場制に移行しただけでたいへんなショックを受けた。今度は固定相場になって、いままで三百六十円で交換レートがきまっていたものが今度は三百八円だ、その差損は一体どうなるだろうと、こういうたいへんな心配があるだろうと思います。一応、変動相場制に移行した際に、その際の持ちドルについて、これを一応確認する方法はとりました。しかし、またその後の移動はございますし、また最近さらに固定相場になると、この点がはっきりしてまいりました。はっきりしたことは一応不安解消にはなりましたが、そのはっきりしたことに対する対策が十分でないと、これはまたたいへんな心配だと思います。したがいまして、あらゆる機会に、祖国復帰して自分たちの財産は一体どうなるのか、われわれのふところはどうなるのか、そのことから日常物価に至るまで、ただいまの頭にはそのことばかりで一ぱいだろうと思います。したがいまして、最も影響をこうむるであろうと考えられるただいまの日本で勉学をしておる諸君、あるいはまた長期療養者等に対する従来どおりの三百六十円の交換、これはまずひとつやっておき、さらにまた一応確認されておるものについては、これは将来交換する際に三百六十円レートと、こういうことでございます。もう一つは、何といいましても沖繩日常生活、その八割が本土の製品に依存しておると、そういう実情でございますから、その貿易損と申しますか、そういうものについての補償をしてやる、まあこれらについては一通りは手当てをいたしております。しかし、事柄事柄でございますから、十分実態について絶えざる把握をしていかなければならないと、かように考えております。もちろん現在は布令のもとにおいて通貨がきまっておりますから、ただいま直ちにというわけにもいかないかと思いますが、できるだけ祖国復帰時における混乱を防ぐような処置を、いまからいかにしたらいいか、これは十分対策を立てると、こういうことで取り組んでおるような次第でございます。その点はもうすでに戸田君などは大蔵委員会等でも発言されたことだろうと思いますが、もう政府の考え方はただいま申し上げることで一応基本的な方針は御了承がいただけたかと思います。ありがとうございました。
  5. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 そこで、いま総理が言われましたように、基本的な方向はわかるんでありますが、その具体的な対策が私は問題だろうと思う。で、この対策について九月三日、政府閣議を開きまして、沖繩ドル緊急対策費貿易決済費として約十億円、それから留学生送金差損として約一億円、これを当面の補償、救済として実行するということを決定をいたしました。これははたして実行されているのかどうか。あるいはまた、そのほか今回のこの一連円切り上げ等に伴っての沖繩県民の受けた損害、たとえば貿易収支でどのくらい損害があるのか、あるいはまた預金関係でどのくらいあるのか、あるいはまた年金関係者でどのくらい一体損失を見るのか、あるいは留学生関係でどのくらい一体損失を見るのか、そういった具体的な統計も含めて、山中長官からひとつ答弁をしていただきたいと思う。
  6. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 当初十一億円を予備費から支出いたしました際には、変動相場制に移行したための措置をとったわけでありますから、当時の変動実質幅計算前提といたしておりましたし、品目も主として生活必需物資に限ったわけであります。しかしながら、その後、現地に私参りまして、実際の市町村の公共事業等の発注まで基礎資材等についての手当てがなされなければ非常な混乱を来たし、応札する業者がなくなる、あるいは入札した業者も実行を渋るというような事態を発見いたしました。したがって、四百四十品目のこれはブラッセル関税表に基づく大分類でありますが、こまかくは三万点六千種類というようなこまかな品目にまで琉政との検討の上、それを前提としてさらに十億をすでに追加いたしたところでありますが、今回またさらに一六・八八に及ぶ切り上げになりましたので、これはまあ固定相場でございますから、若干の、上下二・二五%の幅の今度は逆に下限への動きがあるにしましても、やはり現在手当てをしておるものでは足りませんし、したがって、留学生のほうは十二月末の清算ということで、一応いまの一億ですぐにやらなければならないということはございませんでしたが、それをカバーするためのいままでの二十億円というもの、これはちょっと金額が不足をいたすと思われますので、現在着手いたしております作業が、琉球政府の中でも初めてこのような仕事に着手するわけでございますから、その準備や手続等が少しおくれたようであります。したがって、全面的にこれが動き出しているように見えませんので、きのうも私、琉球政府の当事者と、副主席初め相談をいたしまして、事前に、入荷した場合について、その金額に対して相場の幅についての手当て——二週間以内で大体回転しておりますから——その手当てをした後において、その先払いと申しますか、直ちに払って、そのあとにおいて、もし物価に対して、それを自分たちの利ざやと申しますか、ポケットに入れているような価格構成のままでその物価が推移するならば、そのときに事後を停止するか、もしくは追徴するかというような手段を講ずればできるはずだというようなことで、私、専門外でございますが、助言をいたしまして、すみやかにこれが回転をするようにしたいということでありました。現在までのところは、その手続煩瑣等理由もあげているようでありますが、そのような小口のものを一々持っていくよりも、小売り価格に転嫁してもやっていけるんだからという、やや政策と背馳するようないわゆる商売上の理由からこの制度を利用しようとしないという人たちも見られておりますので、これはやはり琉球政府モニター制度その他の監視、確認制度等を活用してもらって、不足する財源は復帰まで沖繩側に約束したとおり引き続き追加支出をしていくよう、大蔵と内々の約束をいたしているところでございます。
  7. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 時間が四十分でありますから、答弁は要点を具体的に簡単にひとつお願いしたいと思うんです。  いまの山中長官答弁では、一体八月の十九日以降、ニクソンショック以来、どの程度沖繩県民がこのドルショックやあるいは円切り上げ変動相場制、こういったことによって損害をこうむったか、その額がわからぬですね。私はその額の内容もあわせて説明をしてくれと、こういうことを言っているんですが、これは大蔵大臣どうですか、その損害の見積もり。具体的に聞きますけれども、一つ貿易収支関係でどのくらい損害をこうむったのか、あるいは試算の面でどのくらい、ことに企業法人、なかんずく中小零細法人、こういうものでどのくらい一体損害をこうむっているのか、それから留学生でどのくらい損害をこうむったか、こういった具体的な内容について、その詳細の損害についてひとつ説明をしていただきたいと思います。
  8. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) それらは一応損害と見ますか、それとも手当てを何もしなかった場合においては、復帰時においてドルチェック後の資産伸びというものが見られていないというような点を差し引く計算をいたしますか、あるいは法人手当てしなかったことによって、復帰した時点においては成長率との関係においてどう見ますか、それらの点については、いろいろの計算のしかたもあろうと思いますが、少なくともいま私が申しましたような品目あるいは留学生長期療養者、そういうものについての損失というもののないようにはしたいと考えます。
  9. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 数字がわからぬですか。
  10. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) どういう計算数字のことでありますか、ちょっとよくわからないものでありますから。
  11. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 たとえばこの八月の二十八日以降、変動相場制に移行しましたですね、そういうことになりますると、そこに上下変動、ワイダー・バンドは〇・七五だ、こういうことになるのですね。その差損は、たとえばかりに沖繩県民全体のこうむった損害が十億だということになれば、七千五百万ドルですか、これだけ損するということになっていくのじゃないですか、そういう計算の方式で幾ら結果的に損をするということはわかりませんか。あるいはまた今度の十二月二十日以降三百八円に円レートが変わったということになりますね、そういうことになりますと、従来は三百六十円レートできているのですから、その差額切り上げ分だけ損するということになりませんか。そういうことで沖繩県民のそういった貿易収支なり、あるいは各企業法人いろいろ商売をやっているこういったものの損失とか、あるいは資産評価に基づくところの減額の問題、こういうものが一つ一つ出てくるのじゃないでしょうか、その辺はどうですか。
  12. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) その場合においてそのような損失の出ないように、本土政府のほうにおいて、一般会計予備費から支出をいたして手当てをしております。したがって、それらのものが完全に消費者に還元をされておれば、損をするという意味計算上のマイナスは立たないことに、仕組みとしてはしておるわけでありますが、それのおくれたことによって業者が損をしておるかといえば、それは私はしていないだろうと思うのです。したがって、卸・小売りを通じて、消費者の方々が本来安く買えるものを、完全にそれが実施されておらなければ、その分だけ高く買うという意味における国民所得としての、県民所得としての若干の実質成長伸びが鈍るであろう、その点は私もわかりますが、数字でどれについて幾らということを、私のほうでいまのところ答弁できない状態であります。
  13. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 その数字が出なければ、九月三日の閣議決定のさしあたって貿易決済について十億円を出した、あるいは留学生について一億円を出した、この根拠はどういうことに基づいて、しからば出しているのですか。これはまさかつかみ金でやっているわけじゃないでしょう。あるいはまたいま三百八円レートに変わったということになれば、それだけまた賃金も変わってくるわけでしょう。じゃ、あなたがいま説明されるように、その賃金の分が変わったというなら、今後見通してどのくらい一体ダウンされるか、そういう内容について具体的にひとつ説明してください。
  14. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 私は賃金が変わったと思っておりません。沖繩においては同じ賃金でやはり支給をされ、そしてまたそれで生活をしておられるわけであります。したがって、切り上げ幅によってそれだけ本土に依存する物資が高くなりますから、それを高くならないようにするための予算措置を引き続き行なっていくということを申し上げているわけでありますので、したがって、計算のしかたが、ある人は切り上げ幅の三百八円というものをもとにして計算をし直してみると、沖繩経済全体、あるいは個人所得に振りかえて何%が損をするという計算をしている人もありますが、それはそのとおりに見るべきでないものであって、変動相場制に移ったら、その幅だけ沖繩の人々の所得は低下したということは、実はドル圏の中において持っておるドルの価値において変わりがないということでありますから、本土の物資に依存するときにおいて発生するものを、私たちはいま埋めようということで一生懸命やっておるわけでありますので、明確なそういう意味のお答えはできかねます。
  15. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 今回の十億円、一億円というのは、私の調査内容でいきますると、大体生活必需品に限定して出したと私は思うんですね。しかし、これはあくまでも軍用消費財——生活必需品等にからまる救済措置でなかったんですか。建設業関係の資材その他については一切救済からはずしている、こういう補償のしかたじゃないんですか。だから、ほんとうに厳密にそういうものの全体を調査をすれば、もっと私は十億円よりふえていくんじゃないかと思う。だから、その辺はどうなんですか、それははっきりしてください。
  16. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) こまかくは琉政でやっておりますけれども、逆にアメリカ軍の購入する、調達する物資についてはこれは除外しております。それからガルフ、エッソ等の大きな米系資本が直接購入する物資も除外しております。したがって、沖繩県民生活のために必要とするものは、建設業の資材も含めて、実際は八月十六日以前よりもダンピングによって値下がりしておると思われる鉄筋等も、品目に含めて全部措置をいたしております。
  17. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 その具体的な内容を資料で提出いただけますか。
  18. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) いますぐにはできませんが、承知いたしました。
  19. 森中守義

    ○森中守義君 関連。質疑者がそれじゃ承知できないと言っているんだから、またという機会ないんですからね。この時間をちょっとカットしておいて、出るまで待たしてください。
  20. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) おかしいですよ、急に言われるのは。
  21. 森中守義

    ○森中守義君 質疑の通告が出ているんだから用意しておくべきですよ。
  22. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) すぐ出ますから。
  23. 森中守義

    ○森中守義君 用意もしないで待たせるなんて、そんなことないですよ。政府質疑の通告受けているんだから、出しなさい。
  24. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 持ってきました。
  25. 長谷川仁

    委員長長谷川仁君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  26. 長谷川仁

    委員長長谷川仁君) 速記を起こして。
  27. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 山中長官、夕べ私は十二時半ごろ電話でおこされたんですよ。質問通告あした何かというので、宿舎で。寝ないで一応筋道を話してやりました。それで、決して質問通告をいっていないわけじゃないですから。  それじゃ時間がありませんから先へ急ぎますが、貿易決済の為替差損金ですね、これは中央銀行に為替差損救済基金勘定、こういうものを設けて為替銀行を通じて個々の取引についての総差額負担、こういうものを調査をすると同時に、その補償政府は全部やるべきだと思うんですが、その辺の考えはどうですか。
  28. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) ここらにまでなりますと、通貨問題の大蔵省の問題になるんですけれども、しかし、私も担当大臣として必死にあらゆる努力をやってみたつもりでありますから、そういう構想も考えてみました。しかしながら、目的は沖繩県民消費者の方々に、そのような変動があっても影響の及ばないようにすることが目的であります。銀行に、たとえばその当時の勘定で七十億置けばいいということでありましたけれども、それをやった場合にはLCを開設をして、それぞれ業者が輸入をしたものについて数量、品目を届ければ、それだけでもって金額掛けるパーセントというもので自動的に金が渡されるわけであります。ドル払いでけっこうだということになるわけであります。ですから、その業者がはたして沖繩の流通の過程を経て、沖繩県民に約束どおり安く提供したかどうか、この確認を為替銀行にさせることはとてもできません。したがって、やはり沖繩政府にもたいへん御迷惑なことですけれども、一役買っていただいて御協力をいただいて、私どもの手の及ばない沖繩の中でございますので、その意味において現在の仕組みしか考え得なかったということでございます。
  29. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 大蔵大臣どうでしょう、いまの見解。
  30. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 貿易決済の為替差損対策としましては、本土のほうでも同じでございますが、税制面その他において政府はできるだけのことを講じたいと、いまいろいろ考えておるところでございますが、為替レートの変更による損益というものは、業界により、また企業によって非常に違いがございますので、これは、そのうちの損失のみを政府が負担するというような不公平な措置もできませんので、私は、いまおっしゃられるような方法の為替差損対策というものは、これは困難であるというふうに考えます。
  31. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 この政府対策要綱の問題点の中で、ドルから円への交換について——これは対策要綱の一次分でございますが、公定交換比率を基準にするということになっているんですね。非常に抽象的なんです。私は、その内容について具体的にお伺いをしたいと思うんですけれども、一つは、一ドル三百六十円レート交換するというのか、あるいはその通貨調整後の二十日以降三百八円のレートで具体的に交換をするというのか、この辺の交換比率の額の問題についてひとつ質問したい。  もう一つは、この対策要綱の時点の公定交換比率が明らかじゃないですね。一体、時点はいつからやるのかですね。さらに実行するその実施期日、こういうものがいつまでの幅で、具体的に今後処理しようとしているのか、こういう政府対策の具体的な内容についてお答えを願いたいと思います。
  32. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 復帰対策第一次要綱を定めました際には、これは当然三百六十円レートでございましたので——ただし〇・七五%幅を日本は採用しておりましたから、その幅の中の変動の実勢はあり得るというつもりで、そのときは当然三百六十円が前提となっていたわけであります。しかしながら、現在はその固定相場が変わりまして、そして、さらにまた変動上下幅も変わっておりますから、ことばで言えば、復帰の「日前における外国為替の売買相場の動向を勘案し、内閣の承認を得て大蔵大臣が定める交換比率」という表現になっておりまして、それを、いまのところ三百六十円のもとのレートであるという表現をとれない環境になっておると思うわけであります。  詳しくは大蔵大臣のほうからお願いします。
  33. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 どっちでいきますか、大蔵大臣
  34. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) それは実勢レートでいくというふうに協定になっておりますので、大体、基準レートに二・二五の幅の中で相場の動向を勘案して変更比率を定めるというふうに規定しておりますので、そのときの実勢によってこれを評価する。たてまえはそういうことになっております。
  35. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 時期はどうですか。
  36. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) まあ復帰日の大体前日というような相場交換の比率になるのではないかと思います。
  37. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 さらに、九月三日の閣議決定の際に、沖繩資産の調査を行なうということを言明しているんですね。資産調査の結果、その円切りかえに伴う資産額ですね、これはどのくらいあるのか。そういうものの負担というのは政府がやるのか、日銀がやるのか、これはどういうふうに考えておられますか。
  38. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 何の調査ですか。
  39. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 九月三日の閣議の際に、沖繩県の資産の調査をやりますと、こういうことを言明された。その資産の調査をやった結果についてお知らせを願いたい、これが一つ。  で、その負担をする場合には、政府がやるのか、日銀がやるのかと、こういうことです。
  40. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) この交付金の支給は、政府の責任でございますので、日銀が差額の補償をするというような性質のものではございません。
  41. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) それはちょっと十一億の際じゃなくて、一ドルチェックの際じゃないでしょうか。ドルチェックのときには、一応、全部銀行閉鎖をして、そういうチェックをいたしました。しかし、資産といわれますと、私どもとしては通貨並びに通貨性質資産についてチェックをいたしたのでありまして、それについては、最終的には、まだ人別の名寄せをいたしておりますから、最終的な金額の確定はいたしておりませんが、その対象からは法人を一応除外しておりますので、その意味において資産というものの全体の調査をしたということにはならないと思います。
  42. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 何かわからないということですね。
  43. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) その調査をしておりません。
  44. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 いまの水田大蔵大臣答弁ですと、政府で負担をするということですね。それは外為会計で無理なんじゃないでしょうか、どうでしょうか。
  45. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) これは旧レート交換するというたてまえをとるのではございませんで、沖繩県民の長い労苦に対してお報いするという給付金を支給する。その給付金はいまの通貨交換において一切損をされないような額という意味でございますので、これは給付金でございますから、したがって、この支出は外為関係とか、そういうものとは無関係で、政府の一般会計の支出ということでございます。
  46. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 その政府の別途支出ということになると、給付という名目ですけれども、どこから出てくるんですか。
  47. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 政府の一般会計で、沖繩への給付金として来年度の予算に計上してあるところでございます。
  48. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 おおむね、来年度予算というと、どの程度になっておりましょうか。見積もりでけっこうですが、わかりましょうか。
  49. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 一応、来年度の予算要求は三百十五円見当での概算でしておりましたので、金額が二百三十九億円となっておりましたが、今度は三百八円の概算でかりに予算を編成しておきますというと、二百七十六億円余の金になるだろうと思います。
  50. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 今回のドルショックを初めとして、私は、たいへんな国の差損というものが出ていると思うんですね。これは日銀の十二月二十日の政策委員会決定内容を見ますると、おおむね海外資産で五千五百億円見当、円切り上げ前ですから、十二月の十八日現在で海外資産総額五兆四千億円、それが四兆八千五百億円程度に減っているわけですね。それから、そのほかに外国為替資産の特別会計、これまで含めると、約七千億円見当損をしている、こういう決算報告が出ております。それに加えて日銀の納付金一千二百億円見当、四十六年。こういうものも没になってしまうわけですから、結果的にすべて税金でまかなっていくということになりますね。ですから、いま四十七年度予算で計上した給付金の内容についても、これにプラスをされていくわけですから、国としてはたいへんな損害、結果的に国民の税金で全部負担をさしていく、こういう結果になりやしないかと思いますが、その辺の見解はどうですか、大蔵大臣
  51. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) それは先般参議院の本会議でも申し上げましたように、円の切り上げによって損する資産もございますし、それによって一般の円資産そのものは対外的に購買力を増す、切り上げによって価値を増すことでございますので、この損益というものは国民経済的にこれは簡単に計算のできないものであると考えます。また、小さい、国の予算の範囲内における損得というものを考えましても、たとえばいまのような問題はこれは予定よりも大きい経費の支出になりますが、しかし、いままで対外的に支出しなければならぬことになっておったドルで表示されておった支出金額は、それだけ今度は非常に少なく済むというようなことで、予算上における金額の差し引きというものは、円の切り上げによってこれもまた計算が両建てになりますので、実際にやってみますというと、その点の増減はほとんどこれは偶然でしょうが、ないような結果になるというようなことで、この損益というのをそういう立場から論ずることは私はこれはできないだろうと思います。
  52. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 山中長官に、時間がないですから要点を答えてくださいね、私も端的に聞きますから。  通貨交換準備はどこまで一体進んでいきますか。それから、ドルと円切りかえはどのように作業が進んでいるか。それから、具体的に切りかえはどうなっていく状況にございますか。この三点について。
  53. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) これは沖繩側において復帰前に直ちに円に切りかえろという御要求を毎日のように受けております。したがって、検討はいたしております。しかし、私がいまここで言える立場でもございませんし、(「大臣が言えなくてだれが言えるのだ」と呼ぶ者あり)言えるとすれば大蔵大臣でしょう。しかしながら、私としては沖繩の御要望というものをどのようにして施政権下の布令第十四号に定められた制限というものに対して突破できるかについて技術的な検討はいたしております。
  54. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 皆さんが安心していただくために、あの当時における最善の策を一応とってこの方法を確定してあることは事実でございますが、その後いろいろ御要望もございますし、まだ復帰時に時間もございますので、いい方法があるならばということで、いまでも十分これは検討を続けておるところでございます。これはもう御承知のとおり、非常にむずかしい問題であるということはしばしば申しましたが、外交交渉もからむ問題でございますので、したがって、いまそういう問題について研究しておるということ以外には申し上げられません。非常にむずかしい問題でございます。(「それじゃだめだよ、わかっている範囲だけでも言いなさいよ。だめだ。そういうことをきわめるのが委員会だ」と呼ぶ者あり)
  55. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 答弁になっていない。
  56. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) かりに——わかってほしいのですが、大蔵委員の御質問ですから——かりにやるとしても、やるということを言ったらできなくなるということはおわかりだろうと思うのです、この種のことは。だから、研究をしておるということ以外には言えないということであります。
  57. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 総理にお伺いしますけれども、私は非常にアメリカに気がねしているのじゃないかと思うのですね、その辺になると。これは八月の三十日、アメリカ大使館にマイヤー大使を訪れて、沖繩の立法院の代表が当面のドル通貨の円切りかえの問題について一つ要請した。もう一つは、同じアメリカの、米施政下にあって輸入課徴金がかけられているから、これは不都合じゃないかという撤廃を要求した。その際にマイヤー大使は、復帰前の切りかえは不可能ではない、交換比率補償日本政府にかかっているとはっきり言っているのですね、マイヤー大使が。そういう一連の状況を判断しますと、何かいまのこの交換作業というものはアメリカに気がねして、やっていないのじゃないかというような大蔵大臣答弁に聞こえるのですけれども、それでは私はきわめて不満です。なぜ一体、こういうときにこそ、潜在主権があると、こういままで首相も言ってきたのですから、潜在主権を発揮して、そうして沖繩県民が困っているこういう救済に対して具体的に旺盛に私は救済の手続、作業、具体的な補償、こういうものをやっていくべきだと思うのです。それをなぜ一体やらないのですか、この内容について。
  58. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 決してアメリカに遠慮しているわけじゃございません。いまやりとりがありましたように、まだ実体的な準備が整わない、こういうことでございます。実体的な準備が整いますれば私がアメリカ政府と話し合いをいたします。しかし、実体的準備が、先ほど来やりとりがありますように、非常にいろいろ複雑な問題があるわけであります。つまり、資産の問題、また通商の問題、また給与体系というようなむずかしい問題、それらの問題もありますので、そう簡単にまだ結論が出かねておるというのが実態じゃあるまいか、そういうふうに思います。そういろ準備が整いますれば、これはどういう反響がアメリカ政府としてありますか、施政権者でありますから。しかし、私は、熱意をもって話し合う、私は沖繩県民の心情はよく心得えておるつもりでございます。
  59. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 外務大臣の今後の努力の方向については了承いたしますけれども、さしあたって沖繩は非常に経済上困っておる、そういうものに対する交換の具体的な作業というものは早期に私は進めていかなければいけないだろう、こういうように考えるのですけれども、大蔵大臣答弁によりますると非常にむずかしい問題である、いま言明のさたではないという答弁なんですね、それで私は不満なんです。  それからもう一つ山中長官もたいへん意味ありげな答弁をやったわけですけれども、私はやっぱりいま潜在主権等の問題、若干話をしたのですけれども、これはやっぱり旺盛にそういうものに対応策を対策庁としては当然とっていくべきじゃないか、こういうように考えるのですけれども、そういう点についてひとつ具体的に説明してください。でないと、私はいまの答弁についてはどうしても了承しかねます。  それから、もう一つは、この資料要求ですが、これは公報に出たやつですね。これは九月三日以降の資産調査の対象事項の、私が要求した資料じゃないのです。いまちょっと見ましたが、こんなものは前もって公報で明らかなんですからわかるのです。私の言っているのはそうではなくて、たとえば変動相場制を二十八日以降やった、そういう〇・七五なら〇・七五のワイダー・バンドのその幅によって受けた損害、そういうものに対する一体貿易収支関係でどの程度の損害があるのか、あるいはまた資産の評価によってどのくらいの損害があるのか、あるいは留学生についてどうなのか、こういうものを詳細出してくれということであって、これは今後も具体的に解決策には乗り出していかなくちゃならないわけですから、そういう重要な内容を含んでいるわけですから、そういう意味合いで私は要請をしているのであって、こういうふうな公報掲載の資料まる写しのやつは私は見ています。そういう意味合いにおいて、この点について再度また山中長官大蔵大臣答弁を要請をいたします。
  60. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) これはどういう計算をしたものを出すべきかについて、やはり御相談を願ってから資料をつくらないと、琉球政府の側においては、学者の発表とかいろいろありますけれども、それはまた私どもの見方と少し見解の違う計算もしておられますので、その前提を一致さした計算方式ならばできると思います。さらに前からの質問としての、私の、担当大臣が言明しないのはけしからぬという話でありますけれども、これは外務大臣がいま具体的な根回しが済んだら自分も熱意を込めてやるとおっしゃっていただいておりますから、その方向でやれるような検討をいましておるわけでありますけれども、しかし、具体的な問題としてきわめて困難な多くの問題を、その障害を——時間を短くしろということでありますから述べませんが、それを一つ一つ解決できる道を全部検討を終えてからでないとむずかしい。しかも瞬間的にイエスをとらなければ、投機ドルの問題にぶつかるということが問題であります。
  61. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) もう御要望は十分わかっておりますので、引き続きこれは研究させていただきます。
  62. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 委員長のほうにも要請をしておきますが、ただいまの資料提出、それから私から要請した山中長官に対する調査内容ですね、こういったものを、あとで理事と協議の上、善処していただきたいと思うのです。  時間ですから、これで終わります。
  63. 長谷川仁

    委員長長谷川仁君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  64. 長谷川仁

    委員長長谷川仁君) 速記を起こして。     —————————————
  65. 長谷川仁

    委員長長谷川仁君) 小平芳平君。
  66. 小平芳平

    ○小平芳平君 私は、沖繩県民の一番身近な問題としまして、環境汚染あるいは社会保障等の問題について若干の質問をいたしたいと思います。  初めに、沖繩でペンタ・クロロ・フェノール——PCPですが、この問題についてお尋ねをいたします。PCPは、わが国では農薬として使われているのであって、農薬としてならわが国でも珍しいわけではありませんが、アメリカ軍が大量にPCPを沖繩へ持ち込んだ、そして沖繩の沖プライ商事に払い下げた。沖プライ商事は住民に数多くの迷惑をかげながら、具体的にその点については指摘いたしますが、これを処分していった。この点につきまして、初めに政府から米軍が沖プライ商事にPCPを払い下げるにあたって、琉球政府は立ち会ったのかどうか、あるいはその払い下げを受けた沖プライ商事は政府に対してどのような通知をし、報告をしていたのか、これらの点について、そしてまたどれだけの分量を実際に沖プライ商事が払い下げを受けたのか、そのような点について御答弁をお願いいたしたい。
  67. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) まず初めの問題は、その会社は琉球政府に届け出もあるいは相談もしないで払い下げを受けておりますし、琉球政府も南部四カ町村の一部事務組合の水道の給水車が異状を訴え始めて、初めて調査した結果、上流の精糖工場のバカス捨て場にそれが置いてあるために、水道にしみ通っていったものであることを突きとめて、初めて琉球政府として動き始めたというような経過のようでございます。その数量については沖プライ商事株式会社が約百トン、これはPCPの油剤として払い下げを受けておるようでございます。
  68. 小平芳平

    ○小平芳平君 その百トンというのは、私の手元にある資料によりますと、五ガロン入りドラムかん四万一千六百二十三本、ガロンにして二十万八千百十五ガロン、これと一致いたしますか。
  69. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 琉球政府はそこまで詳しく報告をしてくれていませんが、連絡と言ったほうがよろしいかもしれませんが、確かに私も新聞紙上等において確認したところは、ただいま言われたような形状のものとして、ほぼその数量であると思います。
  70. 小平芳平

    ○小平芳平君 そこで、法務省にお尋ねいたしますが、わが国の毒物及び劇物取締法によりますと、そういうようなPCPは劇物に指定されておりますが、そうした劇物を輸入という名目で大量にそうした民間会社が持っていること、そのこと自体についてはいかがでしょうか、法律的には。とともに、また沖繩法律にはどのようになりますか。
  71. 斎藤昇

    国務大臣(斎藤昇君) 沖繩におきましては本と同様、毒物及び劇物取締法に違反をいたしております。したがいまして、この沖プライ商事はただいま検挙をされ、そして起訴をされているという現状でございます。
  72. 小平芳平

    ○小平芳平君 次に、最初の段階で毒物及び劇物取締法に違反したということ、それから次にこの津嘉山というところに野積みをしておりましたが、七〇年六月に穴を掘って埋めた、それが国場川を汚染して、たちまち大量の魚が死んだということ、これは法律の何に違反いたしますか。
  73. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) 国内でありましたら、廃棄で、その廃棄の規定に違反すれば、やはり犯罪として成立するわけであります。沖繩の場合については、軍には適用ないんですが、民間の場合にはおそらく適用があるんではないかと思います。
  74. 小平芳平

    ○小平芳平君 そういたしますと、廃棄物によって環境が汚染されて魚が死んだ、この場合は刑法に反するわけでしょう。
  75. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) 魚に対する危害ということになりますと、刑法じゃないと思いますが。
  76. 小平芳平

    ○小平芳平君 それでは魚が死ねばこれは公害罪も関係するでしょう。廃棄物処理法も関係するわけでしょう。その辺はちょっと時間がたちますので、次に、七一年五月には北谷村というところの埋め立て地に埋めてしまった。これはドラムかん百本埋めたけれども、このときはわからなかった。次に、同じく七一年五月十九日、具志頭村仲座の第一精糖のバカス捨て揚に投棄した。これが総務長官が指摘された点であります。法務大臣、このときは第一精糖のバカスに捨てたところが、三日後にはたちまち小学校の子供が数人、はき気がし、下痢を訴えた、そして三万人の水源が汚染されて、三万人の人が飲み水がなくなってしまったということで、単なるひでりの水ききんとは別に、こうしたPCPを捨てたがゆえに三万人の水源が断たれた。こういう大事故が起きておりますが、これは法務大臣、何法違反になりますか。
  77. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) それによって人間が危害を受けたというと、毒物及び劇物取締法の罰則の適用を受けるわけでございます。さらにまた、保管者が必要な注意を怠たったということになりますと、おそらく業務上の過失致死罪が成立するんじゃないかと思います。
  78. 小平芳平

    ○小平芳平君 まだ法律的にはいろいろ疑問がありますが、私も専門家ではありませんので、そういうような被害が起きたということ。そこで、先ほど山中長官のおっしゃったような経過で琉球政府が察知した。それからがまた悪い。それからというものはどこかでこれは燃やす以外にないということになって、牧港発電所で燃やした。いつの間にかこっそり知らないうちに燃やしたわけですが、五日でもってこれは燃やし終えたと、このようなことを談話で発表しておりますが、実は計算したらどう計算しても五日では燃やし切れるものじゃないと、こういうふうに言われております。しかも完全燃焼すれば、千度で完全燃焼すれば塩素ガスが出るだけで、だいじょうぶなんだと、こういうふうな説明をしておるそうですが、専門家に言わせますと、千度で燃焼といっても初めから千度になっていない、炉の中は。しかも、その炉の中のどの部分ではかって千度なのか。あるいは初めのうちは黒い煙がもうもうと出る。これこそPCPの毒性そのものを持ったものが大気へ吹き出しているのじゃないか、このように言われます。そうした数々の疑惑を残してこのPCPの燃焼が終わったらしい、いまは現物がないところを見ると。そういうような点についてどのように報告を受けられていらっしゃるか、また御見解をお尋ねしたい。
  79. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) まあ一番困った水道の受給者については、水道公社と協議をして、そして給水をし、また永続的にはパイプを、これは一部事務組合の水道でありますから、公社のパイプに接続するような作業を開始したという報告は聞いておりますが、そのあとの牧港発電所の炉で燃やしたという話は私実は報告を受けておりませんので、いまおっしゃるようなことがありましたら、やはり大気中にそれが拡散したという可能性があるのではないかという心配をいたしております。
  80. 小平芳平

    ○小平芳平君 大気中に拡散したとしますと、PCPの毒性は奇形児が生まれる——黒い子供が生まれたとか、奇形児が生まれたとか、あるいはいろいろな肝臓障害その他、こうした毒性のあるものを大気に拡散したとなりますと、この地域住民にとっては今後もなおかつ長期にわたる大問題であります。そういう点について地元のあるお医者さんが、この地域の方々に、あの発電所で変なものを燃やしたから、奇形児が生まれるかもしれないから健康診断をしましょうなんて、とてもかわいそうで言えないと、このようにおっしゃっていらっしゃるのが実情なんです。そういう点、政府としてどのように今後取り組まれますか。
  81. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) いま御指摘になりました事実は、お医者さん等の話も入っておりますから、私のほうで琉球政府にもう少しそれについての実情を連絡していただくようにして、それから対策を環境庁と相談いたします。
  82. 小平芳平

    ○小平芳平君 そこで私がこの問題で一番問題だと思いますのは、安保体制下で米軍は日本の国内へ何でも持ち込めるのかどうかということなんです。これは防衛庁長官がお答えくださるか、どなたがお答えくださるか。米軍は一体何のためにこのような大量の除草剤に使われているPCPを沖繩へ持ち込んだのか。これが一つ。  それから安保体制下においては日本のどこへでもこういうものを持ち込むことができるのかどうか。それができるならば、いまずっと述べられたような重大事故が次から次へ発生する可能性が沖繩にも本土にも残されているということになるのですが、いかがでしょう。
  83. 江崎真澄

    国務大臣(江崎真澄君) 御指摘のPCPは、そういう人体に障害を与えることは私どももよく承知をいたしておりまするが、これは毒ガスとか、そういうものではない、要するに医学的に説明しましても、防腐剤であったり、防錆剤——さびどめであったり、防虫、それからいま御指摘の除草、そして、米軍もこれはやはり主として除草に使ったというふうにわれわれのほうでは承知をいたしております。
  84. 小平芳平

    ○小平芳平君 どこの草を取りに使ったんですか。
  85. 江崎真澄

    国務大臣(江崎真澄君) 主としてやはり基地内、御承知のとおり、弾薬庫等がありますから、草が、亜熱帯地方で、おい茂りますと、したがって火の用心も悪いというようなことで、除草剤として多量に用いたというふうに承知しております。
  86. 小平芳平

    ○小平芳平君 それは長官、除草剤に使ったものが害が発生したわけじゃないのですよ。除草剤に使う前の段階で、先ほどの百トンですが、百トンものPCPを何で余って民間へ渡したんですか。除草剤ならなお必要でしょう。必要じゃないですか、いま今日現在。
  87. 江崎真澄

    国務大臣(江崎真澄君) 私どもに関係した場面ではそういう説明に聞いておるわけですが、なお他にもちろん使ったことだろうと思います。たとえば木材等の防腐用にも使ったということも聞いております。
  88. 小平芳平

    ○小平芳平君 それは、防衛庁長官はどこから説明を受けたんですか。
  89. 大石武一

    国務大臣(大石武一君) これはどうも詳しいことはアメリカの方針でございますからわかりませんが、これは油剤として輸入されて持ち込まれたようでございまして、それが木材の防腐等に使われたらしいというのが大体の見当でございますが、それが余ったものの処理がこのような問題を引き起こしたのだと考えております。
  90. 小平芳平

    ○小平芳平君 国民の迷惑がひど過ぎませんか、環境庁長官。今後復帰する沖繩においても、あるいは日本本土においても、そういうことが米軍の御都合ですと。で、防衛庁長官は、お聞きしたところによればと言うが、説明を聞いてないじゃないですか、何も。そうでしょう。そういう出まかせじゃ困るじゃないですか。ですから、私が先ほど質問した点は、なぜこんな大量の、しかも住民に被害を与えるこういう劇物毒物を持ち込んだのか、将来とも持ち込むのか。それも除草や防腐剤に使う、その除草や防腐剤に使う範囲ならともかく、百トンも現に余っている。それほど、じゃ基地が縮小されましたか。それを何も知らない民間に渡して、民間企業も迷惑な話だ。それを受け取ったはいいけれども、かんが腐って流れ出す、被害が発生する、そんなことが今後日本の基地のどこででも行なわれる可能性があるんですか、ないんですか。
  91. 江崎真澄

    国務大臣(江崎真澄君) そういう不注意は、これはきわめて困ることでありますから、絶対あっちゃなりませんし、よくこちら側としては安保条約に基づいて、そういうことはやはり注意を喚起するなり十分善処をしてもらうように、今後注意をしていきたいと思います。
  92. 小平芳平

    ○小平芳平君 じゃ、総理、そういうわけですが、外務大臣おられませんですが、こうした安保条約があるから、安保体制下だからといって、総理がよくそう言われますけれども、こういうことは困るじゃないですか、こういうことは。それは核兵器はもちろん困るし、毒ガスも困りますが、現にPCPの場合は、沖繩で、もうこれから、はかり知れない被害、あとどれだけ被害が発生するか見当もつかないようなことを巻き起こしているわけです。将来これに対する沖繩県民はもとより、日本の国全体としてのあり方についてお尋ねしたい。(「枯れ葉作戦用としてベトナムで使っておるのだよ、ベトナムで」と呼ぶ者あり)
  93. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) どうもわからないというか、民間に払い下げた、軍自身が使いこなせるというものでない、だから民間に払い下げた、民間でも処分のしようがないから焼いたとか、あるいは埋めたとか、こういうことですね。いわゆる役立つものなら、もっとその効用に使えるはずなんです。その効用に使うものより以上のものが輸入された、そういうところに問題があると思います。しかも、それが私はただいまのように不測の状態と言っていいだろうと思いますが、上水道の汚染を来たすとか、また大気を汚染する、そういうような予測しないような事態まで起こした。しかも、これがただのものじゃないのですね。どのくらいの金目のものか知りませんが、そういうものをわざわざ持ってきて、そうして沖繩でよけいなものだったからといって民間に払い下げた、そうして民間でもその用途に困ってただいまのような処置をした、こういうことはもうこれからあってはならないことだと私は思います。   〔委員長退席、沖繩及び北方問題に関する特  別委員会理事剱木亨弘君着席〕 私は米軍がどういうような処置をするかは別として、ただいまのようなよけいなものを持ってきて、そうして問題を起こしてもらっちゃ困りますね。こういうことは十分注意を喚起するだけではなく、基本的なあり方として、やはり同盟国なら同盟国らしく、不信を買わないように米軍自身もつとめるのが当然だと私は思いまするが、こういうことが平素から日米間においても事前協議、あるいはまたそれぞれの随時協議が行なわれておりますから、そういう際にもっと連繋が緊密にあってしかるべきだと、かように思います。  ただいまの問題は、施政権下にある沖繩で起きたことではございますが、しかし同時に、さようなことが本土内で起きても困りますから、施政権が日本に返ってきた後は、ただいまのような状態は解消される。私はもちろん平素、常時連絡を緊密にすることによって、かような事態はなくなると、かように確信いたしておりますが、また、それをなくさなければいかぬ、かように思っております。そういう意味で、この問題は返還後、また本土における米軍基地のあり方等について、われわれいい注意を受けたと、かように私は思いまして、これは他山の石として、十分効果をあげるように、これからも、何のための平素の協議だと、かように言いたいと思っております。
  94. 小平芳平

    ○小平芳平君 総理、それは最低限のお話で、なぜ米軍が沖繩に要りもしないものを大量に持ち込んだか。これは防衛庁長官が、聞くところによるとと言って、でたらめなことを言っただけで、そんなことじゃないとしか思えないじゃないですか、そんな除草剤だ、あるいは木材の防腐剤だという程度なら、そんなに余るものをわざわざ海を渡って沖繩まで何のために持ってくるかですよ。そういうことは、われわれが被害が発生をしてからわかったというようなことになるわけですよ、いつも。ですから、もっと平素の協議は何のためか、総理、そうおっしゃるだけじゃなくて、核兵器はもとより、そうした事前協議のいろいろなあれがありますが、こうした大量の毒物、劇物が余って困ったからどうするとか、まあ除草剤を持ち込むぐらいは協議の対象じゃないでしょうけれども、こういうように具体的に上水道、三万人が水を飲めなくなるとか、これからはかりしれない被害が発生する、それの研究すらまだわかっていないとか、そういう場合は当然協議すべきであるということを総理としてはっきり打ち出していただきたいと思います。
  95. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) いま小平君の御指摘になりましたような、いわゆる原子力兵器、これはもうもちろんつくらず、持たず、持ち込みも許さない、かように申しておりますが、同時に毒ガス並びにこれに類似する劇薬等の使用も国内ではそんなものは厳禁しておるはずでございますから、そういう点についての誤解を生ずるような行為があってはならないと、かように私は思います。したがって、そういうことはおそらくなくなるだろうと思いますが、まあ先ほど不規則発言ではありますが、「枯葉用だ」とか、「枯葉作戦用だ」とか、こういうような声もいたしておりましたが、しかし、いずれにしても、米軍自身が使いこなせないものを民間に払い下げた、民間でも使用できなくてそういうものが焼かれ、あるいは地下に埋設されて廃棄処分を受けた、私はこれはいくらアメリカが金があるといっても、そんなむだな使い方はしないだろうと思いますし、私は基本的な問題が間違っておると、かようなことが次々に起こるだろうと、かように思いますので、先ほど申したのはことばが足りませんが、そういう意味で平素の協議ということが密接に行なわれる、そういうことによりましてお互いにやはりとめるものがあるはずです。そういうことが守られないと——お互いに信用してこそ初めて同盟条約というものは有効だ、不信を買うような行為があったらこれはもう存続の意義がなくなりますから、そういう点においては忌憚のない意見を当方からも言うが、これに対する応答も十分納得のいくようにしてもらわなければならないと、私はかように思います。ただいま小平君のお尋ねもそういう意味においてたいへん建設的な御意見だと思ってお礼を申し上げますが、もっとわれわれがこの米軍と取り組む態度がどうも国民から見まして日本は弱いじゃないかと、こういう点を御指摘だろうと思いますので、そういう点については一そうわれわれも当然要求すべきことは要求する、また納得をすればその範囲において私どももしんぼうすべきものはしんぼういたしますけれども、しかし、いまのような点はどの点から考えましても理解に苦しむものでございます。
  96. 小平芳平

    ○小平芳平君 したがいまして、総理がいまの御答弁の冒頭に述べられた毒ガス、それからこれに類するような毒物劇物については当然協議すべきであるというふうにアメリカに要求しますということでよろしゅうございますか。
  97. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) そのとおりであります。
  98. 小平芳平

    ○小平芳平君 次に、PCPの毒性その他についてはまだたくさん問題点がございますが、時間の都合で、次に私は今度はPCBのほうについていたします。  このPCBのほうは環境庁長官に対して公明党として申し入れを行ないましたが、富士市の産業廃棄物の中から、私たちが愛媛大学の立川助教授に依頼して分析をいたしましたところ、四千七百PPMというPCBが検出をされました。そこで環境庁に対しまして、これはたいへんな問題である、PCBは地球全体に蓄積をする、生物、魚や鳥に濃縮して人間に蓄積をする、地球上にたまる一方である、しかも化学薬品による分解もないし、熱による分解もできない、生物の体内からも排泄をしない、こういうような点について——沖繩についてお聞きいたしますから、総務長官、これらの点について、私たちはまず富士市の産業廃棄物、特に中小企業、古い紙を使ってちり紙などを再生している、こうした工場からは四千七百PPMというようなPCBが検出をされた。この産業廃棄物はそのまま海へ流れて地球自体を汚染しているという事実がございます。したがって、沖繩におきましても同じことが言えるではないか。やはり古い紙を使っての製紙工場が現在でも六工場あるように私は聞いておりますが、まだあるかもしれませんが、そういう点についてどのように把握をしていらっしゃるか。
  99. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 沖繩の古紙による原料としての製紙は非常に小規模零細企業でございまして、本土においての大企業、あるいはまた、集団的ではありますが、一応近代的な操業を続けておる他の規模の工場に比べて、それらの問題点については意識的にも現実的にも非常に対策がおくれておるように私としては見ておりますので、いまのところ琉球政府のほうと相談をする以外に手はありませんが、そのような汚染の開始される、あるいはすでに検査をすれば汚染は当然起こっておると思いますけれども、   〔委員長代理剱木亨弘君退席、委員長着席〕 それらの問題についてやはり今後融資その他の面で、零細企業でございますから、それが立ち行くような公害防止施設のめんどう見てあげなければならないというふうに考えておるわけでございます。
  100. 小平芳平

    ○小平芳平君 この沖繩においての環境汚染調査ですね、これは環境庁長官にはこの前、全国のPCB——ポリ塩化ビフェニールによる環境汚染調査を申し入れいたしましたが、環境庁長官から沖繩も含めての御意見を承りたい。
  101. 大石武一

    国務大臣(大石武一君) 先日、公明党の方々、小平公害対策部長にお出でいただきまして、PCBに対するいろいろな御注意を賜りましたこと、まことに恐縮でございます。われわれもそれはごもっともでございますので、それをできるだけ早く調査検討いたしましてその対策を立てるべく決意をいたしております。  このPCBは、御承知のように、いま残念ながらこの本体がほとんどわかっておりません。汚染の実態、汚染の経路並びに測定の分析方法までまだ確立いたしておりませんので、はなはだ心もとない話でございますが、いまのところ、ほとんど手が着いておらないような現状でございます。幸いにPCBの分析の方法について大体確立の方向に進んでまいりまして、いま厚生省が中心となって努力しておりますが、おそらく年度内にはその分析の方法が確立、確定いたすことになる段階に来ております。これができ上がりますれば、直ちにわれわれはそれによって汚染の径路なり、汚染の実態、あるいは人体に対する影響というものを十分に早く手配をいたしまして、これにつきましてはできるだけ早い機会に環境基準を決定いたしまして対策を立ててまいりたいと考えておる次第でございます。  しかし何にせよ、いま申しましたようにPCBそのものが実態がわからないにせよ、相当の毒性があることは確かでございます。あのカネミ油症のカネミ事件の問題につきましても、人体に影響のあることは確かでございますので、何としてもできるだけこれをいまむちゃくちゃな使い方をさせないようにすることが大事でございます。そういう意味で、ことに通産省がいま一生懸命に努力いたしまして、たとえば電気器具とか、熱媒体に使うようないわゆる閉鎖系のPCBにつきましては、その廃液をこれはよそへ出さないでその生産者に十分にこれを処理させるように、専焼炉で焼却して分解させるような指導をいたしておりますし、また塗料とか、その他に使いますような、いわゆる開放系のPCBにつきましては、できるだけこれを使わないようにということを指導いたしておるわけでございますが、さらに今月の十六日には、通産省がいま日本ではメーカーが二つだけでございますけれども、そのメーカーに対して、自主的な厳重な規制をするように申し入れがしてございます。そのようなことで、そのような方向でできるだけよそに散らばらないように、汚染が広がらないように努力いたしておりますが、これをさらに早く分析方法を確立いたしまして、できるだけきびしい基準をきめまして、その汚染の防止をしてまいりたいと考えておる次第でございます。
  102. 小平芳平

    ○小平芳平君 環境庁長官沖繩のことを私は申し上げておるのであって、沖繩のきわめて零細メーカーというふうに言われましたが、零細メーカーが、富士のちり紙製造の経過から説明いたしましたように、そこに問題があるという点、その辺の調査をお願いしたいということがこれでございます。  それから次に、結局私は、総理にごみ戦争ということについての、特に住民がごみ焼却場を設置するといっても反対をするという、こういう点についての総理のお考えをお伺いしたいわけなんですが、それにはまずごみ焼却場をつくります。で、結局いま私が指摘しているところのPCBによる汚染も、これは製紙会社のスラッジ、製紙会社から出てくるところの廃棄物、この処理のしようがないんです、現実問題。将来、高温度の炉をつくって焼く以外にないじゃないかといわれているのです。ということは、沖繩においても全く同じことが言われると思うのです。しかし、高温度の炉をつくって、その製紙会社のスラッジを焼却しようとしても、毒物がそのまま出られたのでは全く付近住民が迷惑する、付近住民が反対するのも当然というような結果になります。したがって、このゴミ戦争について総理は基本的にどのようなお考えを持っていらっしゃるか。私は政府のごみ処理、ごみ焼却施設に対する補助にも問題があると思うのです。といいますのは、ごみ処理施設設の中から粉じんが出てくるわけです、この粉じんを分析しましたところが、その粉じんからは重金属が出ておりますよ。これは川崎で分析をしたものですが、その粉じんからはカドミウム、亜鉛、鉛、銅、こういうものがばい煙の中から出てくるわけです。そういうようなことでは、焼却施設設をつくるといわれると、その反対運動が起きるのも無理ないようなのが現状じゃないでしょうか。
  103. 大石武一

    国務大臣(大石武一君) このいわゆる浮遊粉じんがいろいろと大気汚染の一つの大きな原因であることは確かであります。そういうことで、われわれは大気汚染をさせないように排出基準なり、環境基準をきびしくいたしたいと考えておる次第でございますが、御承知のように、今月の二十二日に閣議におきまして、浮遊粒子物質の処理につきまして政令をきめました。それで十ミクロン以下の浮遊粒子物質につきましては、これを全部押えるように、そのような集じん機をつけることを企業に義務づけることにいたしたわけでございます。ただし、この場合にも大きさだけが問題でございまして、金属その他の種類につきしまてはまだ規制はいたしておりませんが、とりあえず、それだけでも一応の効果はあると思います。さらに、いろいろな臭気その他の物質につきましても、これを規制し得るように努力してまいる考えでございます。
  104. 小平芳平

    ○小平芳平君 そこで問題なのは、企業に対する浮遊粉じんの規制はいたしますと言うのですが、それが市町村のやっているごみ焼却揚から重金属の粉じんが出ている。そこに私は問題がある。したがって、政府の補助率、補助単価についても問題があると言っているわけです。総理からはひとつ最後に包括的にお答えいただくとして、厚生大臣、いかがですか。
  105. 斎藤昇

    国務大臣(斎藤昇君) ただいま環境庁長官がお答えいたしましたが、環境庁長官の、環境庁できめましたそういった大気汚染の規制は、これは市町村で行ないまする焼却場からの煙にも事実上適用するようにいたさなければならぬと考えております。  また、先ほど仰せになりましたように、高温度処理を要する事態がますます高まってまいります。したがって、焼却炉の改善もいたしてまいらなければなりません。現にもういたしつつあるわけでありますが、これは費用もたくさんかかりますので、したがって、補助金も増額をいたしたい、補助率も今後上げるように努力をしてまいりたいと、かように考えております。
  106. 小平芳平

    ○小平芳平君 総理、いま厚生大臣、環境庁長官がお答えのようだと、まことにごみ戦争が起きるわけないのですが、現実には起きているというのはどういうわけでしょうか。
  107. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) このごみ戦争、まことに私たいへんだと思います。美濃部都知事も、他のことはうまくいってもこれはなかなかうまくいかない。これはいま科学的にいわゆる焼却炉の設備、設置、また能力等もよほど変わってきて、これは科学的に克服できるといいますか、りっぱな炉ができる。いま言われる浮遊粉じんの問題にいたしましても、重金属だろうが何だろうが、とにかく収集装置、集じん装置、これはりっぱなものができると私は思います。しかし問題は、この地域住民の理解を得ること。これはまあ地域住民から見ると全体のために自分たちだけが犠牲になるのか、こういうことがどうしても割り切れないのが一つと、もう一つは、やはりごみを集めるという、集めてそこまで運ぶという、これはまたたいへんな問題だと思いますね。したがって、炉はできても、地域住民の納得、協力を得ること、またそこまで持ってくるごみの集め方、ここに問題があるのじゃないだろうかと、かように思っております。私は、こういう事柄について、やはり公共の施設でありますから、いま言われるような国家補助が不足だと、こういうこともそれは一つでございましょうけれど、もっと積極的にこういう問題についての地域住民の理解を得ないと、これはできることじゃないと思います。私は、今日これが取り上げられ、しかも過去のようなごみじゃないのですから、ただいまのごみというものはたいへんな、工場からも出てくるごみ、また家庭においてもたたきこわせないようなごみ、焼けないような、焼却もできないようなごみ、そういうものが次々にいわゆるごみとして廃棄される、そういうものの処理が在来のような形ではこれはできない。そのもとをなすものは、ただいま申し上げる三点が私は問題だろう。りっぱな焼却炉をつくること、それは科学的に可能だと、かように思います。それからもう一つは、それを集めるこの集め方ですね、これがまた一つの問題だ。臭気を発散する、あるいは交通的にごみを運ぶトラックが一カ所にばかり集まってくる、これはたいへんな問題だ。さらにまた、その焼却炉を設置するその地域だけは一体どうなるのか。そういうことを考えると、地域住民の理解を得なければならない。むずかしい問題ですが、適当な場所を見つけて、そういうものを処理する所を考える以外には方法はないと思います。
  108. 小平芳平

    ○小平芳平君 まあ総理のお答えは、常識的にこうなればいいということでありますが、実際問題、私がいまここで指摘しますように、厚生省が、それではごみ焼却場から重金属が現に出ているという事実、それはごみ焼却場にも非常に精度のいいのとそれから相当古いのとあるわけですから、そういう点、ただ浮遊紛じんの環境基準はきめた、だからそれに沿ってやっていくんだというだけじゃなしに、もう一つ進んだ、総理がいま言われたそうしたことを実現する意味においても力を入れていかなくちゃならないと思います。  で、私はもう時間がありませんので、最後に沖繩企業を誘致いたしまして、そして多くの企業が免許を受けた。そうして公害のない、公害がないといいますか、要するに、日本のいまの本土ではもう各地に公害が発生して、これならばだいじょうぶだろうと思って、鹿島とか、その他の新しい工業地帯に行って見てもやはりもうすでに公害が発生している。そういう意味で特に沖繩にはアルミ工場、あるいは石油産業、そうした公害企業が相当目をつけておるような面もあるようですが、こういうような点についてひとつ本土の二の舞いをしないような姿勢を要請し、また御意見を承って終わりといたします。
  109. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 沖繩においては、御承知のとおり島でございますので、絶えず季節風その他の風がございます。したがって、大気汚染はよほど周辺部門の降下紛じん等でない限りは本土よりも処理しやすいと思いますが、しかし問題は、本土よりも美しい海というものが、公害型企業の臨海進出によってすでにその憂慮すべき状態があらわれつつございます。その点は非常に心配をいたしておりまして、現在でも琉政とも相談をいたしておりますが、復帰後の本土法のきびしい規制というものが、すでに進出を終えて合法的に操業しておる企業であっても、なおかつその規制のもとに従って沖繩の海を汚染しないように努力をするつもりでございます。     —————————————
  110. 長谷川仁

    委員長長谷川仁君) 竹田現照君。
  111. 竹田現照

    竹田現照君 私は沖繩の経済、民生の安定の問題についてお尋ねをいたしたいと思います。  最初に、沖繩本土復帰がほんとうの意味本土との一体化、これは沖繩の経済が自立でき得ることによって初めて言えることであります。私が指摘するまでもなく、沖繩の経済は極端にまで基地経済に依存しております。それが復帰によって基地が縮少すれば当然沖繩経済が成り立たなくなってくる。この点が沖繩県民本土復帰を期待すると同時に、一方、不安を持っている点でないかと思います。そこで、政府沖繩経済を新全総の中でどのように位置づけ、どのような沖繩振興計画を樹立して沖繩経済を自立させるお考えか、まず総理にお伺いをいたします。
  112. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 全国総合開発計画、これはもうすでに始まっておりますが、その現在までのところで本土においてもこれについて見直していかなければならない点があります。それとは別に今度は沖繩、これが本土復帰されると、そうすると、やはり地域的に見まして長い列島でありますから、これを新全総の一つの範囲、その区域に取り上げて、そうして全体としての調和をはかっていくと、こういうことにならなければならないと、かように考えております。まあその場合に新しい区域というだけでなく、この開発計画がいままでなめておるにがい経験、そういうものをこの海洋の美しい沖繩にいかにこれを取り入れて、そうして産業開発ができるか、そういうことをいませっかく検討中でございます。  また、沖繩自身の新しい知事ができまして、その知事の具申によって開発計画を進めてまいるつもりでございますが、それがいましばらく時期的におくれておると、こういう状況であります。しかし、もちろん来年度から、復帰直後から全体の総合計画は進めてまいるつもりでございますので、それが第一年、初年度がうまく地域的な開発計画と地域住民の意向とはたして総合できるかどうか、そこらに問題があろうかと思っておりますから十分注意するつもりでございます。
  113. 竹田現照

    竹田現照君 現在の沖繩の主たる産業は、砂糖とパイン、これもしかし政府の手厚い保護のもとでかろうじて成り立っているのが現状ですけれども、この現状を脱却して沖繩県民の所得を向上させるためには、どうしても第二次産業を立地させる必要がある。しかし、この沖繩の工業立地条件というものは決して恵まれているとは言えない。工業用水にしても飲料用水にしてもこと欠く現状です。また電力料金等も本土に比べて割り高となっている。こういう状態の中で沖繩振興開発特別措置法案に盛られた特別措置程度では、どの業種も沖繩に進出をするということについてちゅうちょをしているのが現状でありますけれども、総理は、沖繩経済が完全に自立でき得るのは大体いつと考えておられるのか、お尋ねいたしたい。
  114. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 私から一応。今回の振興開発計画は、一応十年といたしておりますので、国が補助負担等の特例等を他に例のない姿勢をもって臨む、さらに、それの裏づけとしての振興開発金融公庫融資についても同じく利子返済条件その他について最も重点的な施行をしながら裏づけをいたしていくわけでありますが、したがって、一応は十年後においていわゆる本土との格差とよく言われております基礎的な条件の改善を終わりたい。なかんずく教育とか社会福祉とか、そういう施設等については五年間で終わりたい。基礎条件を整備したいと考えておりますが、十年後において一応沖繩本土政府——まあ残るとは思いますけれども、いまのような特別な援助を受けなくともやっていけるような財政、税制上の県になれるような素地をつくりたいと考えます。そのためには、いま言われましたように、沖繩の産業構造というものが、三次産業が七三のウエートがありましたものが、ことしの最近の調査では七四まで逆に上がっていっております。これはまあ基地の縮小等もあるにもかかわらず上がっているということは、やはり今後も沖繩においては三次産業形態というものもやはり無視できない、あるいはそれが基地依存に密着しておるとすれば、それを平和産業に変えていかなければならない、こういうことを示しておると思います。さらに、また、沖繩の経済成長伸びには本土政府の援助並びに民間設備投資というものが二次産業を中心に大きなウエートを占めておりますが、復帰後は、これも先ほど申しました政府の直接、間接援助に負うところが大きくなければ、おそらく沖繩には出て行かないだろう。ドルショックで川崎重工が造船所の計画をやめましたし、一応中止いたしましたが、アルミ等についても、いま金利等の条件で私どもは五%の金利ということで考えておりますが、もし沖繩復帰前であったならば、輸銀の四%の金利が適用になったはずであるというような意見等もございまして、これらは予算編成の段階で最終的に通産省と大蔵とよく相談をして、やはり企業というものが沖繩においては二次産業の形態というものがもっと大きなウエートを占めないと、どうしても産業構造の順調な変革ができていけないという点はおっしゃるとおりであると思います。
  115. 竹田現照

    竹田現照君 端的にお尋ねいたしますが、沖繩のたとえば県民所得、これは本土の鹿児島県と匹敵して、四十六位中、同点最下位だ、こういうことになっていますけれども、これが今度の通貨調整で復帰の時点では一四、五%さらに下がるのではないか、そういうことが言われているのですね。そういう状態の中で、この県民所得一つをとっても、本土府県の何といいますか、民力といいますか、いろいろな経済力その他を含めてどの程度のランクにまで引き上げをはかろうと考えておられるのか、お尋ねいたします。
  116. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 振興開発法の第一条で、実は本土各県との格差の是正という意味の表現が当初原案にございました。しかし、私としては、沖繩というものを格差の是正と言えば、よく類似県といって人口とか、面積とか、その他の規模で数県あげておりますけれども、そういうところに沖繩をすることだけで、私たちはそれでいいのだろうかという疑問を持ちまして、私はやはりそうではない。沖繩はむしろ、先ほど総理が答えられたように、なぜ新全総の一ブロックにするのか、格差是正であったら私は九州ブロックの沖繩県でもいいと思うのですけれども、そうではなくて、沖繩日本列島に持っておる大きな付加価値というものを積極的に掘り起こして、そして、沖繩の持つ有利性を沖繩がすぐれた条件として今後設計をして、新全総の中で特別のブロックの位置を与えて、その設計をして、それに従って政府が直接、間接の援助をしていくならば、沖繩はいまの、あるいはまた想像しておるような姿よりももっと新しい形態のすばらしい県になるのではないかということを考えておりましたので、格差是正ということばも使わないということにいたしましたが、そういうつもりで、われわれとしては沖繩が持っておる価値というものをもっともっと見直していくという姿勢から出発してまいるつもりでございます。したがって、本土類似県との、よく交付税算定その他では、これはとらざるを得ませんけれども、それ以外にはあまり類似県ということを念頭に置いておりません。すなわち沖繩がいま鹿児島と県民所得を比べたらほぼ同じであるという点は、これはむしろ沖繩のほうはもっと将来県民所得においては大きなランクのところに上がる可能性があるということを私どもは考えているわけでございます。
  117. 竹田現照

    竹田現照君 いま沖繩の問題を論議しておりますから、そういうお答えにもなろうかと思いますが、実際に復帰をして四、五年たつと、それが忘れられてしまうというようなことが実際問題として心配されますから、いまのお答えが具体的に実現でき得るように最善の努力を要望いたしたいと思います。  次に、あの沖繩経済開発の起爆剤として、政府は昭和五十年に海洋博覧会を計画をしておりますけれども、この海洋博の効果というものを大体どういうふうにお考えになっているのか。まだ海洋博の基本構想というものができておらないようでありますが、これから関連公共事業等についてもマスタープランを作成をする必要があろうかと思います。しかし、大阪の万博が、大阪府なりあるいは大阪市なり、関西全体が取り組んだのと違って、この沖繩県に地元の財政負担能力なんというものはほとんどないといったほうがいいと思うのですけれども、この点も十分留意をして、この海洋博の問題については配慮をすべきだと思いますけれども、この点についてはどうですか。
  118. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 基本的姿勢はそのとおりでなければできないと思います。また、これは国際博覧会条約における特別博覧会としての一応理事会の承認を得て、競合国のないことを願いつつ、いまその期間を待っておるわけでありますから、これは日本が加盟国に対して国際的に責任を負って主催する国際海洋博でございますので、それに対してはまず国が一義的に姿勢として責任を負わなければならない。しかしながら、いま当面予算編成等の問題としては、沖繩側もさしあたりやはり土地の取得というものをしておかれないと、それを目当てに買い占められたりしたら困るので、琉球政府としては位置の決定と、並びにその位置がきまったならば、先行取得として、とりあえずは起債等において処理をしてほしいという要望がございます。これはそのとおり受けとめることに努力をいたしまして、結果的には沖繩県の犠牲において国際博が行なわれたということのないように、そしてまた、その付帯する効果というものも、公共投資から始まって、あらゆる設備が後々残りまして、そうして、いわゆる大阪の場合のように、あとは公園になったというだけでなくて、沖繩の持つ海洋県という意味から、観光の拠点にそれが残るように、そうして、願わくば、将来、学術文化として全世界の国民が取り組んでおる民族的な海洋開発の拠点等にもそれがなればしあわせであるというようなことをいま構想として考えておるわけでございます。
  119. 竹田現照

    竹田現照君 総務長官も、これからお答えいただく通産大臣も答弁が長いほうですから、たくさんありますから、端的にお答えいただきたいと思います。  次に、通産大臣にお伺いいたしますが、いまの沖繩の電力公社の用地の広さ約百五十万坪とも言われておりますけれども、正確にはどれくらいあって、その所有区分はどうなっているのか。それから、また用地が電力公社に使用されるに至った経緯を簡単にお答えいただきたいと思います。
  120. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) こまかい数字的な問題は政府委員をして答えさせます。
  121. 三宅幸夫

    政府委員(三宅幸夫君) お答えいたします。  公社の四十六年七月一日現在の使用土地は五百二十一万六千平米でございます。その所有区分は公社が買い取りました土地が四十二万二千、沖繩の民法契約によります借地が百四十七万二千、国または琉球政府の所有地の借地が五十三万九千平米、米民政布令二十号による借地が二百七十八万三千平米でございます。お尋ねの米軍布令二十号との関係でございますが、われわれが承知しております限りでは、大半が電力公社設立、これは昭和二十九年でございますが、その際、米国がその所有しておりました発電設備を出資した際に、あわせて当該施設にかかわる二十号の借地権を公社に引き継がせたものが大半でございます。若干そのほかに基地内の土地がございますが、これは米軍から転貸しを受けているものでございます。
  122. 竹田現照

    竹田現照君 この沖繩電力の新しい会社のために、土地使用の方法としてなぜ土地収用法ではだめなのか。沖繩の現地の意向も土地収用法の適用をむしろ望んでいると思いますけれども、土地収用法を適用することによってどういう弊害があるのか、このいまの暫定措置法でなければならないのか、この点お伺いいたします。
  123. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 御承知のとおり、電力はいっときでも送電を中止することはできないわけでございます。引き継ぎを行ないました時点において、直ちにいっときでも送電が中断をしないようにということをまず前提に考えております。そして、これは五年間そのまま使用できるようにということは、これは収用法その他地主と話し合いをするという姿勢を回避してあるものではありませんが、制度上の問題として、その時点においてどのような人たちと話をつけなければならないか、また住所不明の人もございますので、そういう事態を考えまして、そういうことによってごたごたしないようにということを前提にして、今度の制度をきめたわけでございます。
  124. 竹田現照

    竹田現照君 この暫定法案によりますと、政府沖繩電力株式会社に使用させようとしている土地は、「琉球電力公社が電気事業法による電気工作物に相当する工作物の用に供している土地」、こういうことになっています。ところで、この電気事業法に言う「電気工作物」というのは、通産省の解釈によりますと、「発電、変電、送電若しくは配電又は電気の使用のために」直接必要なものをさし、営業所、社宅等、これに直接関係のないものは含まないと、こういうことになっていますが、そこでお尋ねいたしたいのは、いまの琉球電力公社の現在使用中の土地は、すべて電気工作物の用に供している土地であるかどうか、この点をひとつ明らかにしていただきたい。
  125. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 本土の電力会社が行なっておると同じようなものでございまして、電力のために直接関係のあるものだけ、それから社宅やその他事務所の類というようなものは本土と同じように地主と話し合いをして、地主の承諾を得て、契約のもとに行なっておりますので、本土と何ら変わらない状態でございます。
  126. 竹田現照

    竹田現照君 念を押しますが、もし電力公社の用地の中で、私がいまあげました電気工作物の用に供している土地でないもの、先ほど申し上げたようなもの、それがあるとすれば、この公用地使用法案の適用の対象外であり、そういうものは当然本来の所有者に返還されるものであると、このことを確認してよろしいですね、もしいまあるとすれば。
  127. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) この法律の対象にならないもの、しておらないものは当事者同士契約に基づいてやっておりますから、契約に基づくものはそのまま本人との協議がなっておるわけでございます。引き続きそうなります。ですから、そのときに期限が来て条件を変える、その他いろいろな問題はあるにしても、いままで引き続いて使用したいというものに対しては契約ができるということであって、地主の意思に反して、しかも、この法律の対象の外のもので、そのまま強制的に使用するというような該当物件はないはずであります。
  128. 竹田現照

    竹田現照君 ないはずと言いますけれども、いまの電力公社ができた経緯からいけば、社宅や営業所というものは間々そういうものに含まれる心配がありますから、念を押してその点をお尋ねしておいたわけであります。今後問題の起きないように措置をしていただきたいと思います。  次に、沖繩の電灯料金等についてお尋ねいたしますが、この沖繩の電力料金というのは、電灯料金の場合は本土よりも安い。しかし、配電会社の電力料金は本土よりも高い。こういうふうになっているようであります。そこで、この電灯料金の安い理由として、電灯需用の中にアメリカの軍人軍属の住宅用の需用の占める割合が非常に大きい、かなり高いために料金を低位に置くことの要請が強いということがあげられていますが、沖繩の米軍関係の基地としての性格に変化がないとすれば、米軍の住宅の電灯需用は依然として多いと見なければならないと思います。そこで、沖繩の電気事業について販売単価を安くしている理由として、たとえば火力発電の燃料用重油の価格が本土の八〇%であるとか、あるいは琉球電力公社に対していろいろな援助措置がとられている。それが大きな原因でありますけれども、この沖繩電力株式会社になることによって、そういういまアメリカ側がとられているいろいろな援助措置というものがなくなるわけでありますけれども、料金水準を現行を保つということになれば、それに匹敵する措置が当然とられなければならないと思うわけですけれども、そういう点はどうお考えになっていますか。
  129. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 沖繩における電力料金、御指摘のように電灯料金は本土九配電よりも多少安いということでございますし、工業用電力その他は多少高いということでございますが、いずれにしても、復帰後はいままで米軍が与えておった特典等がなくなりますので、その意味では高くなるという方向にあることは事実でございます。それからなお、これから相当大きな発電所の建設をやっておるわけでございますが、新しい発電投資が行なわれればコストアップになりますので、その意味でも上がる方向にありますが、これは返還が行なわれる、電力料金が上がるというようなことではもうどうにもなりませんので、あらゆる施策を加えることによって現行料金を維持したいということを考えております。これは具体的にもいろいろな手段を考えております。
  130. 竹田現照

    竹田現照君 具体的にいろいろな手段といっていますけれども、四十七年度の資金計画によりますと、たとえば産投会計からの出資十五億、あるいは開発金融公庫からの融資、いろいろなものを言っていますけれども、いまのお答えでは、それで十分でないというふうに受け取られますけれども、いま考えられている四十七年度のいろいろな施策というものは、内容的に現在アメリカが行なっているものと同等のものとみなしてよろしいですか。もしそうでないとすれば、さらに別途の方法があわせて考えられているのかどうか、お答えいただきたい。
  131. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 現在、琉球電力公社の受けております特別措置は御承知のとおり租税——公租公課が免除されておりますし、米財務省からの長期低利の資金、平均年率四・一二五%で貸し付け期間三十年の融資を受けております。また、米民政府の一般資金から出資を受けておるとか、燃料価格が安いとか、借地料が安いとか、償却負担が少ないとかということで、低廉な電力が確保されておるわけでございますが、まあ、これからは御承知の沖繩振興開発金融公庫から長期低利、十五年償還、融資比率八〇%、利率五%というもので三十三億円を要求いたしておりますし、なお、五配電会社に対する沖繩振興開発金融公庫からの長期低利、十五年償還、融資比率八〇%、年利率五%、九億円の要求をいたしております。なお、国税関係では原油関税の免除約累計十七億円ぐらいになると思いますが、そういう問題。なお、登録免許税の免除、これを約一億円を見込んでおりますし、なお、そのほか沖繩電力株式会社に対する政府及び琉球政府が設立当初出資金及び政府が追加出資をする増加資本金額に対する課税を免除するとか、また、電力設備の特別償却をいたすとか、なお地方関係としては事業税の税率の特例とか、不動産取得税の免除とか、固定資産税の税率の特例とか、御承知のとおり法律案提案のときに申し述べましたような具体的な措置を積み重ねておるわけでございます。
  132. 竹田現照

    竹田現照君 端的にお聞きしますが、前段の説明と後段の説明、これからいま本土政府がやろうとするものとは内容的に同じものかと、こう聞いておるのです。
  133. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 例示を申し上げたものでございまして、項目的には別のものでございますが、電力料金にはね返る政策としては同じ方向を求めるための政策であります。
  134. 竹田現照

    竹田現照君 それがやられるとすれば、この復帰後の電気料金というものは上がらないことになるわけですけれども、先ほど上がる傾向にあるとすれば、やはり内容的にはとんとんではないというふうにもとれますから、上がらない方向の措置というものを具体的にとっていただきたいと思います。  そこで、電力事業の将来についてですけれども、いろいろと沖繩の電力経営者というものは複雑な要件を持っているようですけれども、離島の電力会社は新しくできる会社に引き取りが進行しているようですが、この配電五社、これを一体今後どうしようとなさるのか。それから、今度の沖繩電力株式会社は本土の九電力、電源開発、こういうものとあわせて同一の取り扱いをなさるおつもりなのか。特にこの離島の電気料金というものは本土においてもいろいろと問題があり、なかなか電力会社がこれを引き取る事情にないので、本土の住民でもなお未解決のものがたくさんありますけれども、沖繩の場合はなおさらそういう問題が今後大きく住民の要求として出てくると思いますが、こういうことについてどう対処なさろうとしているのか。それから、この電力会社を五年ないし七年後には民間法人に移管しよう。そういう方向にありますけれども、その点もあわせてお尋ねいたします。
  135. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 復帰を機会に電力公社から電力株式会社に引き継がれるわけでございますが、しかし、この中には本土と違いまして、本土は御承知のとおり日本発送電と配電会社が一緒になって九電力に再編成をされたわけでございますが、どうも沖繩は、四十七県のうちの一つではございますが、どうも九州電力の中に入るような状況にはないということでございます。そういうわけで、単独な、九電力以外のものとして沖繩電力株式会社に引き継ぐということにいたしました。その中で合理化を行なうのは、配電会社のうち離島の部分、非常にコストが高いために電力料金も高いというところの配電会社は全部統合するつもりでございます。吸収いたします。これは全部話がついておりますから、おおむねそういう方向で、離島はその意味で非常に本島並みの電力になるわけでありますから、これは引き下げられるということでございます。  ただ、あと残っている五つの配電会社というのは、これは民営の配電会社でございますから、法律をもって合併をするということでなければ、まあ時の推移の中でどういうふうに解決するかということを見る以外にはないと思うのです。実際、九電力以外に一つ沖繩電力株式会社に移すということは、それなりに離島とかいろいろな問題がありまして、本上のように、しかく簡単ではないということでございますし、沖繩県民そのものが沖繩電力に移行することを望んだために、政府はそれを受けたわけでございますから、先ほどからるるあなたが御指摘しておられるように、電力料金を上げない、しかも、これからの沖繩の産業体制が変わってまいりますと、電力というものは確かに需要は大きくなる。大きくなってもなお豊富、低廉、良質な電力を供給するための組織でございますから、民間に移行できるというような状態にいまないことは事実でございます。完全に九電力並みにはならない。だから、これから時の推移を待ちながら、沖繩県民の皆さんと株主と政府と十分話し合いをしながら、しかるべき方向を見出していくということ以外にはないと思います。
  136. 竹田現照

    竹田現照君 いまの段階では、はっきりした見通しが立たないと理解したほうがいいんじゃないかと思います。  次に、石油の問題についてお尋ねをいたしますが、沖繩の現在の石油製品の流通経路というものが復帰後どういうふうに変わってくるのか。さらにまた沖繩復帰対策要綱によりますと、復帰と同時に石油業法が適用されますが、沖繩の石油製品流通秩序が混乱を来たさないように所要の措置をとる、こう書いてあります、要綱には。具体的にはどういう措置をとられようとなさっているのか、この点お聞きいたします。  それと、石油の行政権が日本に返ることによって、石油税というものが私の推定では約六十二億、これが国税として入ってきます。私は、この金額をある一定期間、沖繩の交通機関整備等のために使用さしてみてはどうか、こういうことも考えておりますが、そういう点はお考えになりませんか。
  137. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) もう御承知のことでございますから、簡単に申し上げますが、ただ沖繩の石油というのは、本土と違いまして沖繩の米国民政府が一括して、これをエッソから買い上げて、そしてこれを元請にずっと流しておる、こういうことでございます。これが返還後には、いま日石を中心にした精製会社、それからガルフ、エッソという三つのものがこれから精製を始めたり、設備をしておりますが、これらは国内法で十分調整ができますように、事前にこれらの業者との話し合いはいたしておりますし、一札も取っておるわけでございますから、本土との間には混淆するような状態はないと思います。ただ、制度上、いまの税の問題その他がございます。これは三万バーレルくらいの沖繩でもって使用するものに比べて、二十一万に近い能力を持つものでございますから、本土との間の調整はいま申し上げたように十分できるはずでございますし、それから電力の問題、原油の関税その他の問題もございますし、そういう意味で、いま御指摘になられたような問題については、これからも新しい政策として当然考えていかなきゃならない問題の一つとして考究いたしてまいりたいと思います。
  138. 竹田現照

    竹田現照君 いま沖繩の石油会社は一〇〇%ですけれども、これが復帰に伴って、いま日本本土においてはこの石油業法、外資法によって一〇〇%外資は認めないという方針を政府は堅持していますけれども、この一〇〇%の沖繩石油外資の存在、これは本土の外資規制を破ることになるんではないかと思いますけれども、これはどういうふうにお考えになっているのか。とりわけ、この二、三年の間に一〇〇%の外資が出てきているわけですね。エッソ、ガルフにしても六七年から六九年にわたっての進出なんです。当然に日本本土に対する外資の進出というものを前提として進出してきたというふうに理解していいと思うんですけれども、この関係をどういうふうにとられるんですか。
  139. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 先ほども申し上げましたが、本土復帰のときに混乱を起こさないように事前に協定をいたしてございます。いま灯油、石油精製、すなわち日石を中心にしたものでございますが、これは現在の琉球石油が六四・四%、日本石油精製が三五・六七%、復帰後はこれが三分の一と三分の二に逆転をいたしますので、これは石油業法の範囲内で十分調整ができるわけでございます。なおガルフにつきましては、ガルフ側四五%、当方、出光側四五%、三菱化成一〇%の予定で、もうすでに調整が行なわれております。なおエッソに関しましても、エッソ五〇%、ゼネラル石油が二五%、住友化学が二五%、これは本土復帰前提としまして、石油業法の範囲内で調整が内容的にはついておるわけでございまして、法律上の問題は起こさないようにしております。
  140. 竹田現照

    竹田現照君 これは時間がありませんから、最後に中小企業の問題についてお尋ねいたしますが、沖繩の中小企業の現状についていろいろと申し上げることを省略をして、端的に沖繩の中小企業をどういうふうに位置づけをし、どんなビジョンを抱いて中小企業を振興させようとしているのか、この点についてお伺いをいたします。
  141. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 何回か申し上げておるわけでございますが、沖繩の四十四年度の所得比率と人口比率で申し上げますと、沖繩は人口比率で申し上げて、一次産業は三八・九%、この所得比率は八・八%でございます。本土の一七.四が所得比率の一〇・五をあげていることを考えると、沖繩の一次産業所得は非常に低いと言うよりも、異常にということが言えるぐらい低いわけでございます。二次産業比率一四・六が所得比率で見ますと一七・八%でございますから、二次産業は本土に比べて多少低いということでございます。三次産業比率につきましては本土よりも高いのであります。本土は四七・三の人口比率にして五一・六の収入比率をあげておるわけでございますが、沖繩では四六・五、本土の四七・三に対比する数字は四六・五でありまして、所得比率の五一・六に対応する数字は七三・三でありますから、これは基地経済であるということがやはり言えると思うのです。そういう意味ではまあきっと、私もよく内容的にはこまかくは指摘できませんが、やはり三次産業などでも、散髪一つやるにしても、本土よりも外人相手のほうが単価が高いと、こういうことでございましょう。三次産業比率の収入比率は高いわけでございます。まあ総じて考えると、やはり沖繩の中小企業対策本土の中小企業対策プラス沖繩の特殊性ということで行なうべきだと思います。そういう意味で、中小企業の、特に二次産業の比率を高める過程における中小企業というものを育成するために、金融、財政、税制上いろいろな施策を講じてまいりたいと、こう考えております。
  142. 竹田現照

    竹田現照君 時間になりましたけれども、いまのお答えでは具体的に中小企業振興策なり、あるいは近代化なり、こうこうこうするというものは何もないのですね。これでは大半をささえておる沖繩の中小企業の問題について私は納得しません。したがって、もう少し具体的な問題をいろいろとデータを添えてお答えをいただくようにしないと、中小企業対策について私は納得がいかないまま、これで質問を終わらざるを得ないことを申し上げまして終わりたいと思います。     —————————————
  143. 長谷川仁

    委員長長谷川仁君) 小柳勇君。
  144. 小柳勇

    ○小柳勇君 私は運輸関係を中心に質問いたします。  審議すれば審議するだけ問題が非常に深いし、矛盾が出てまいります。したがって、総理に質問いたしますが、特にこの公用地収用あるいは基地縮小、VOAの撤去などですね、さまざま問題があっておりますが、運輸関係でもこれから各所、アメリカと交渉してもらいたい点がたくさんあります。だから、正月、サンクレメンテに行かれ、交渉される、ニクソンと再び会われるが、この今国会に出されておる法案を審議未了にして、この背景で、国民がたいへんきびしい、国会もたいへんである、こういうこの国民世論を背景にして再交渉するのがこれからの沖繩のしあわせであるし、日本のしあわせであると考えますが、総理の見解をお聞きいたします。
  145. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 率直に申して、小柳君、そう言わないで、いま出している法案をさっそく御審議をいただいて、やっぱりこちらへ早く施政権を返してもらう、そうして、ただいまも竹田君からも話しされておりましたが、交通の問題にしても、中小企業の問題にしても、産業の育成強化にしても、そのいわゆる基盤をなすところの社会資本の投資が非常におくれておりますから、こういう問題と基本的に取り組む、交通を整備するとか、あるいは農業にいたしましても、かんがい用排水を整備するとか、あるいは漁港の整備だとか、あるいは中小企業の場合におきましても、規模の小さなところはしかたがないにいたしましても、これが協業の方向に組み立てることができるかとか、等々の基本的な問題がこの際ございますから、こういうことは一日も早く日本復帰すること、それが必要ではないだろうか。かように私は思いますので、どうかひとつよろしくお願いします。
  146. 小柳勇

    ○小柳勇君 私どもの気持ちはいまも率直に申し上げましたので、このような国民の気持ちを体して今後処理していただきます。  そこで、関係の質問に入りますが、時間が少ないので、私は昭和五十年に予定をされておる海洋博覧会を中心に、陸海空の足の確保を具体的に質問していきたいと思います。  さっき、山中長官には竹田委員が質問いたしました。担当大臣である通産大臣から海洋博に対する構想を伺います。
  147. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 沖繩の海洋博は条約に基づくものでございますので、これは大阪の万国博覧会と同じものである、ただ規模が大阪の博覧会に比べては小さいということでございます。海洋博覧会というものは世界において初めて行なわれる第一回目のものである。これが行なわれると、この次にはアメリカが行なうような予定のようでございます。まあ祖国復帰の記念事業でもございますので、これも万国博覧会ということだけではなく、この博覧会を計画する過程においていままでいろいろ議論をしていただきましたように、新しい沖繩の姿というもの、理想的な姿をやっぱり研究して、それにふさわしいテーマというものを題材にするということが一つだと思います。もう一つは対外的に見ても国内的に見ても、沖繩というものをよく見ていただきたいということも一つございます。それで、なお、この万博というものが沖繩の将来計画というものにもマッチする一つのスタートであるというふうにしたいと思います。で、まあ、大阪でやりましたように、財団法人をつくりますために、その前段である懇談会でいまいろいろなことを詰めております。それで、沖繩でもって資金は地元の方々に負担をかけないように全国民的なものにしたいということで、次期国会には三公社——鉄道、それから電電、専売等が中心になりまして法律等も出したい。で、切手とか、それからはがきとか、そういうものも法律でもって御審議をいただいて、そして沖繩万博の金を集めるという全国民的な立場でもって拠出をいただこうというふうにいろいろな計画をやっております。まあ四百億ともいい、五百億ともいい、やるならばもっとというような希望もございますが、これからひとつこれは国民的課題として皆さんの盛り上がりを待ってやりたい、こういうことで意欲的に考えておるわけでございます。
  148. 小柳勇

    ○小柳勇君 私がこれを中心にしますのは、沖繩復帰いたしますと各県とのバランスがありますから、いまこの論議の過程では、沖繩に優先的に物をあるいは金をつぎ込むように言いますけれども、やはり各県とのバランスもありますから、私は三年先に開かれるこの海洋博にどのように国民的に取り組むかということが、沖繩百年の今後の開発の基礎だと考える。したがってこれを中心に、したがってそれが一つの物の動き、人の流れのピークだと考えますから、これにどのように交通機関なり施設がマッチするか、それを確かめておきたいわけです。  そこで山中長官にもひとつ、さっきのでは私はまだ不満足です、竹田君に対する答弁では非常に抽象的でありますから。いま通産大臣から少し具体的にありましたけれども、もう少し積極的に、しかも時間が制限されておりますから端的に、具体的に御説明を願います。
  149. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 具体的に申しますと、まず敷地をきめなければなりません。そのことについて、いま琉球政府と昨日も打ち合わせをしておりますが、十分に地元の希望される、そして本土政府が将来にわたって、いま言われましたように、復帰したあと沖繩県がどうなるかという問題を念頭に置きながら、合意を見るような努力をして、それから具体的に通産省のほうで主導権を持ってやっていただきたいと思っております。
  150. 小柳勇

    ○小柳勇君 そこで空の問題でありますが、那覇の空港が完全に返還をされる。たいへんこれは期待されるところであります。ところが、これは自衛隊が共用する、同居するということです。これから三年後にこの海洋博が開かれます。で、先般の衆議院の江崎長官の答弁では、「民間との共用におきましても、民間機が一日に大体三便程度というような状況下ならば、これは共用は当然可能である。だから私は、将来四年ぐらい先になった時点では、これは当然考慮されなければならぬというふうに思うのでありまするが、現時点ではまあまあ共用はスムーズにいく」と、こういう答弁があります。で、このような発想では共用すべきでない。特に私どもは、自衛隊と民間航空との、特に国際航空との共用は反対です。特に、このような長官の発想では絶対やるべきでない。いま申し上げますように、すぐもうこの海洋博の準備もしなければならぬでしょう。それから半年なり一年、一切自衛隊の共用はなりませんね、こういう発想では。したがってこの際、この沖繩は、那覇空港が返還されるときに、同時に自衛隊の訓練飛行場を別に持つべきだと私はそう確信いたします。長官の答弁を弁めます。
  151. 江崎真澄

    国務大臣(江崎真澄君) 御指摘の点は、いまお話のように衆議院でも問題になったところでございます。で、自衛隊としましては、施政権が戻ればやはりとりあえず局地防衛の責務に任ずるわけであります。そこで、どうしても島内くまなく自衛隊としても調査をしておりまするが、やはりこの段階では那覇空港を民間航空と共用をしなければならぬ。まあ本土でも共用をしておりまするのは数カ所あるわけでありまするが、運輸省の航空管制のもとで民航の安全第一主義をとりながらやっていこう。現段階では三便程度というのは、私、国内線をさして言いましたので、ノースウエストだとか、あるいは離島間をつないでおりまする南西航空とかがありまするから、もっと民航全体としては多いわけでありまするが、まあ現時点では、共用は他の本土の共用空港に比べまして不安はないと、こう認めておるわけであります。しかし、あのときもたしか申し上げたつもりでありまするが、いよいよ万博の時点になりますると、空からの観覧客といいますか沖繩訪問客というものが急激にふえます。まあその数をどれだけに推定するかということは非常に重要な問題になってまいりまするが、まあその時点で急速にふえましたときに航空管制上一体どういうことになるのか、このあたりは運輸省と十分打ち合わせをしながら、あくまで民航の安全を期して自衛隊との共用という形で進めてまいりたいと思っております。
  152. 小柳勇

    ○小柳勇君 長官、もう一問です。あなたは、万博の人数も前にちゃんと自分で推量しておられるわけです、百五十万ぐらいはおり立つであろうと。しかもはっきり四年先には当然考えなければならぬとおっしゃっておるが、四年先に別に基地を求めるならば、いまかからなければ間に合いませんね。大臣であるから、いまはこれだけ言って言いのがれても、この国会を言いのがれでは通りませんよ。もう一回決意を聞きます。
  153. 江崎真澄

    国務大臣(江崎真澄君) 全く御指摘のとおりでありまして、まあ空から百五十万と申されましたのは、私はそんなには申さなかったように思いますが、いや、しかしいずれにしろ、五十万人が来るとしても、これは百五十人乗りで、まあそうジャンボばかりがくるわけではないでしょうから、百五十人乗りで大体二十機ぐらいは毎日おりたり、同時に飛び上がるというようなことになるわけですね。それに、もっとその離島間の短距離航空機の頻度も多くなるというようなことも考えながら、これは運輸省と十分打ち合わせをしてまいりたいと思います。ただ現時点では困ったことに、ここ以外にないわけであります。したがいまして、将来の問題としては、施政権が戻りましてから十分ひとつ、この万博にいかに備えるかというあたりを加味しながら考慮を払っていきたいと思います。
  154. 小柳勇

    ○小柳勇君 衆議院でも種々論議されております。ただいまの長官の答弁には不満でありますが、次の問題に移ります。この問題は保留にして別の機会にまた論議いたします。  次は、外務大臣でありますが、現在、那覇空港に中華航空が入っております。これは航空協定でなくて交換公文で入っておりますが、どうして交換公文で入るようになったのか、そのいきさつを御説明願います。
  155. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 日華平和条約を締結いたしました、その第八条に、航空協定をなるべくすみやかに結ぶことということになっておりますが、航空協定締結につきましては話がまだまとまっておりません。そこで国内法に基づきまして一年ごとに交換公文でやっておると、そういういきさつになっております。
  156. 小柳勇

    ○小柳勇君 これは初めに交換公文をつくったときになぜ協定ができなかったか——航空協定ができなかったか、このいきさつを聞いておるわけです。
  157. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) わがほうといたしましては、早く協定を結びたいという要請をしたんです。しかし向こうは、これは交換公文でいいじゃないか、国内法令でいいじゃないかと、こういう主張がありまして、そこで、別にそれでも支障がありませんというので交換公文方式になっておると、こういうのが実情でございます。
  158. 小柳勇

    ○小柳勇君 今度沖繩本土復帰いたしますと、この内容を変えなきゃなりません。したがって、交換公文の内容も当然変わらなければなりませんが、その場合には、航空協定に切りかえられるかどうか。いま国連から台湾が脱退して中国が加盟いたしております。もちろん国際情勢もわかっておりまするが、でき得れば航空協定に切りかえるべきである。しかも、沖繩日本本土になるのでありますから、外国でないのでありますから、当然書きかえるべきだと思いまするが、いかがですか。
  159. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 交換公文の内容については変化があるわけであります。つまり沖繩は今度は本土になります。アメリカが介入しない。こういうことになります。そういう変化はありまするけれども、この方式は、いま日中関係も機微の際でありまするから、これを協定にするというよりは、従来どおり交換公文方式のほうがよかろうかと、こういうふうに考えております。
  160. 小柳勇

    ○小柳勇君 いままで外国であった沖繩が今度日本になるのですから、このままでいきますと中華航空のほうが一点かせぐわけですね。したがって、平等の原則でいくならば、この際に中華航空のほうに日本からもう一点かせぐのが当然じゃないかと思う。  同時に、質問いたしますが、アメリカのほうは四社、五年間無条件に現状を押し通された。われわれはシカゴ乗り入れを前から主張いたしております。なぜこの際にこの交渉をしなかったか、沖繩を一点加えるんですから、当然日本としてはシカゴに一点ちゃんと乗り入れさせろと、こういう交渉をなぜやらなかったのか、この二点質問いたします。
  161. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 一点加えるというお話ですが、一点マイナスになるんです。つまり、いままではアメリカの施政権下でありまするものですから、台北それからアメリカであるところのハワイと、それから大阪または東京と、こういうことになっておるが、今度はハワイが日本の施政権下に入るわけですから……(「沖繩だ」と呼ぶ者あり)沖繩が……そこで沖繩と大阪または東京の間のいわゆるカボタージュ、これが認められないことになる、認めない方針でございます。そこで、一点こちらのほうはマイナスになると、こういう状態でございます。
  162. 小柳勇

    ○小柳勇君 外務大臣、この台湾との関係はこちらのほうが一点貸すことになるわけですね。それからアメリカのほうにもそうでしょう。アメリカはいままで沖繩の基地が自分の施政権下にあったんだから、それが今度日本本土になります。これはこのまま五年間使うでしょう。したがって、そのかわりには、ちゃんとシカゴを、日本から一点乗り入れをかせぐべきであると思います。あなたは理解していないから、もう一回答弁し直してください。
  163. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) いままでは、アメリカが沖繩を航空基地として使える状態であったわけです。それが使えない状態になるのですから、これは向こうのマイナスになる。それから台湾側から見ましても、これはいままでアメリカ、日本と、こういう航空路を持っておったわけです。それが台湾−大阪または東京と、こういうふうに制限をされるわけでありまするから、向こうのマイナスである、こういうことになるわけであります。わがほうが一点かせいだと、こういうふうにはなりませんでしょう。
  164. 小柳勇

    ○小柳勇君 外務大臣、いま速記録でいきましたら大きなあなたは失言をしております。沖繩はいままでアメリカの施政権下にあるのだから、アメリカが使っておった。今後も使うのですよ、あなた。運輸大臣から答弁をもらいましょう、速記録を見てごらん、大きな失言ですよ、それは。
  165. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) 私から御答弁申し上げますが、ただいま小柳委員から御質問がございましたように、わが国に返還になりました場合におきましては、沖繩日本の国内に入る次第でございますので、いままで沖繩またあるいは大阪というふうに基地がございましたのが、今度は日本の国内に入りますから、これは台湾あるいはまたアメリカが一点プラスになるわけでございます。間違いございません。
  166. 小柳勇

    ○小柳勇君 これはちょっと速記録を……。
  167. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 私はアメリカのことを言ったのじゃないのですよ。国府のことを言ったわけであります。国府に対しましては、われわれといたしましては、これは一点かせいだと、こういうふうに言っておるわけであります。
  168. 小柳勇

    ○小柳勇君 外務大臣、頭が疲れていますよ、もっとちゃんとしなさいよ。
  169. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 国府のほうが、とにかく……
  170. 小柳勇

    ○小柳勇君 もうかったんだ一点。
  171. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 沖繩はわが国のものとなるが、それが使えると、こういう状態になった。
  172. 小柳勇

    ○小柳勇君 国府もアメリカも一点ずつもうかっているのですよ。
  173. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) アメリカのことに私は言及しなかったので……
  174. 小柳勇

    ○小柳勇君 二つを問題にしているから、はっきりしてくださいよ、はっきり。(「質問者はアメリカと国府と両方言っているのだよ」と呼ぶ者あり)そういうことじゃ困りますよ。これから交渉しなければならぬでしょう。交換公文の改定もありましょう。私は改定を要求しているわけです。改定するとたいへんだということで、いまあなた逃げおるかもしれぬけれども、そんな——よく了解してから答弁しなければ困ります。もう一ぺん答弁し直しなさい。
  175. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) どうも、一点かせいだ、かせがないと、こういう問題でありますが、国府は、いままで、沖繩にもとまれる、大阪、東京にもとまれる、こういうのが、今度は、沖繩がわが国の施政権下になった、そういう意味においては一点かせいだと、こういうふうに申し上げておるわけであります。
  176. 小柳勇

    ○小柳勇君 アメリカのやつも……。
  177. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) アメリカのやつは運輸大臣からお答え申し上げます。
  178. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) ただいまの外務大臣から答弁がございましたのは、実際上の問題で、カボタージュによりまして十数便実際上の運航が減る、その実際上の問題を言ったと思う次第でありまして、条約上といたしましては、ただいま御指摘のとおり、中華民国も、またアメリカも、一点向こうが得をしたということは間違いございません。
  179. 小柳勇

    ○小柳勇君 ほんとうを言うなら、これは委員会の審議をストップして、十分福田大蔵大臣の頭を整理してから論議しないと、(「外務大臣」と呼ぶ者あり)論議にならぬのですよ。外務大臣だ、外務大臣。私も取り消します。外務大臣、大事な問題ですから、すぐこれは問題にしなければならぬ問題ですよ。交換公文で飛んでいるのですからね。しかも沖繩本土復帰してくるのだから、したがって当然、たとえば台北、高雄、あるいはもう一点とか、あるいはアメリカ航路はシカゴとか、ちゃんとあなた方、腹をきめて交渉しなければならぬ問題でしょう。理解もせぬで、前もって通告をしておるのですから、理解してもらわなければ困る。ちゃんと頭を整理して答弁してくださいよ。したがって、交換公文をこれからどうするかという問題と、いま言ったかせぐ、かせがぬは外交上の問題はありましょうが、国民の要望はシカゴをどうしても入れてくれといっておるから、今後外務大臣としてはどうしますか、お答えを願います。
  180. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 従来とも交換公文方式でやっておりまするから、その方式でまいります。その場合において、その内容はカボタージュ、これは認めない、こういう方式をとります。それからアメリカに対する関係は強力に将来要求をしたいと、かように考えます。
  181. 小柳勇

    ○小柳勇君 中国国連加盟の問題もあります。われわれはでき得ればすぐ北京までも正式の協定で飛んでもらいたいわけです。だから外務大臣も運輸大臣も積極的に少し勉強してもらって、積極的に交渉してください。この問題もこれは運輸委員会のほうに譲りまして、次の問題に入ってまいりましょう。  次は、電力事情については、さっき竹田委員の質問で、通産大臣がお答えになりました。もう一回、私具体的に聞きますがね、現在の電力は米軍基地が半分使っておるわけです。これが復帰いたしましてなお増設の計画がございます。で、そのあとになお、水力がエネルギーになりませんから、やはりうんと安い電力を発電しなければ、沖繩の開発はむずかしいと思う。その電力開発についてはさっきちょっとお話がありましたけれども、米軍基地がなくなりましたあとの電力をどう使うかを頭の中に描いておられるかということと、増設する電力及びこれからなお電力を増設して発電力を増大する構想があるのかないのか、お聞きをいたします。
  182. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 沖繩の電力は、いま予備電力が一四%ばかりございます。で、本土に比べては多少予備電力が多いわけでございます。来年は三、四%、再来年も三、四%ということでございますが、しかしいま八万五千キロ、十二万五千キロという二つの発電を計画し、進めておりますので、これが四十九年、これから二年ぐらいしますと、また予備電力が八%ぐらいにはなると思います。まあそういう意味で電力の需給に関しては問題はないということ、いまの計画ではそのとおりでございます。
  183. 小柳勇

    ○小柳勇君 各大臣とも少し疲れておるし、連絡が不十分のようであります。もう少しやはり——われわれ前もって通告しておりますから、ちゃんと問題を理解をして、的確に答弁しないと無意味です、この委員会は。  で、私が質問しておるのは、米軍基地が縮小されますと、いまの電力が半分くらい余りますよ、これは一体さっそくどういうところに使いますかと、これも通産省としては構想がなきゃ困るでしょう。それから、いま、さらに増設の計画があるわけです。  それから、私が申し上げますのはこれからですけれども、安い電力を供給するためには電力を使う企業を誘致しなければならない。それにはいまの自動車だけでは沖繩の開発にはなりません。だから電気高速鉄道の建設について、次に運輸大臣に質問するのですから——電力の計画、現在の電力から米軍基地が縮小された場合のその供給、それからあと今度は増設する電力の消費計画、それから安い電力を供給するためにはさらに電力をふやしていく必要がある。それには企業を誘致しなければならぬでしょう。そういうような計画はございますかと、こういう質問をしておるわけです。
  184. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) ちょっと理解できないのでありますが、いま返還になっても、沖繩の基地の主要電力量がぐっと減るというような計画ではないわけでございます。これはしかし、これから日米間で話し合いをしながら、どういう計画でもって沖繩の米軍が漸減していくのかという問題、これは漸減傾向にあるわけでございますが、そうするとその辺に、充足するためには、また自衛隊も増強されるということでございまして、いま沖繩の軍関係の電力の需要が減るということは考えておらないわけです。ただ沖繩のこれからの海洋博一つ考えてみても、非常に電力の需要量が大きくなるわけでございますし、なお海洋博は五十年であっても、これから五年、十年の間には二次産業比率を急速に上げなければならないと思います。私はラウンドの数字で端的に申し上げると、十年、十五年の間は別にしても、いまの二次産業比率というものは倍以上にならなければいかぬということだと思います。そうすると電力の需要は、大口電力というものが非常に多量に消費をするわけでございます。まだこまかいバランスはできておりません。できておりまんんが、これから二年、三年の間の電力の需給というものはどうなるかということになりますと、先ほど申し上げましたように、八万五千キロに及び十二万五千キロの二カ所の発電を行なうことによって、電力の需給のバランスは十分とれます。それはいま一四%である予備電力の数量が、三、四%に二カ年間は下がりますが、三年後にはまた八%に上がる予定でございます。そういうことであります。これは計算の根拠がございますから、必要があれば申し上げます。あとに残るのは、電力料金が上がらないようにという措置が問題でございます。良質、低廉ということで、電力料金を上げないで済むような具体的ないま政策も煮詰めているわけでございます。
  185. 小柳勇

    ○小柳勇君 そういうところにこの沖繩返還の大きな問題があると思うのです。いま通産大臣の計画の中にも、米軍基地がすぐ電力をそんなに余すはずはないという見解です。ここに私、これは内閣から取った表がありますが、十五億キロワットアワーの消費電力の中で、半分の六億一千万キロワットアワーは米軍基地が使っているわけですよ。ちょうど半分ですよ。この米軍基地が減るならば、半分になるなら半分になるべきですよ、電力も。そんなのが通産大臣の頭に全然入っていないんでしょう。そこに沖繩返還というもの、沖繩の基地の皆さんが、米軍基地はあまり減らぬのだと、そのままでおれたちが米軍基地を受け継いでいかなければならないという危惧があるでしょう。私は、ほんとうにそういう米軍が半分になる計画があれば、電力も半分になるはず。ゼロになれば、これは全部民間が消費しなければならないでしょう。しかもなお、この計画の中には二カ年間で——四十九年には十二万五千キロワットの発電増設の計画がある。こんな電力をどこが消費するのか、さらに私は、安い電力をつくるために、電気高速鉄道の計画をこれから質問するわけですけれども、そういうふうに具体的に質問しているわけです。通産大臣にはそういう面はちゃんと把握しておいてもらわなければならない。だから私が通産大臣の答弁を誤解しているなら、もう一ぺん答弁してください。
  186. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) あなたが要求しておられるものはよく理解できますが、いまこの段階でございますが、アメリカ軍がどのように減るのかということに対しては、私がさだかに申し上げられるような状態にないということだけは事実でございます。これは外務大臣、また防衛庁長官等は数字があるかもわかりませんが、電力の状況に対しては、いままでそのような年次的に米国軍人の消費量が減るというような、人数がどれだけ減っていきますというものは提示はされておらない。おりませんが、私のほうでは、それはそれとして、これから沖繩の二次産業比率を高めたり、万博を行なったり、また沖繩住民生活レベルがレベルアップされれば、当然電力の消費量も多くなるわけでございますので、そういうものを中心にして考えますと、想定する七一年の予備電力は一四%、それが七二年には三%、七三年には六%に減りますが、四十八年四月には八万五千キロの発電が完成をいたしますし、四十九年六月には十二万五千キロワットの電力が新設をされますので、予備電力は二五%になります。これは、先ほどちょっと言った数字は非常に高いのでございますが、二五%という、本土よりも非常に高いものが見込まれる。しかし、これはもっと研究してまいりますと、二次産業比率の高いものとか、それから沖繩に出ていくアルミなどの問題がもっと早くなれば、電力の消費量ももっと急速に増大するわけですから、そういう場合のバランスを考えながら電力の供給計画を立てておりますということを申し述べておる。
  187. 小柳勇

    ○小柳勇君 総理に質問いたします、大事な問題ですから。  いま申し上げましたように、この電力の消費部面から見ますと、米軍基地の消費量が半分です。この半分の消費計画、この減少計画というものは通産省にはない。だから、米軍基地は、一体どのくらい人員が縮少されて、電力を使わないようになるのか、総理大臣の見解を聞いておきたいと思います。
  188. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ただいまの段階では、米軍撤退の年次計画を立てて皆さま方に御説明するような、そういう段階ではございません。
  189. 小柳勇

    ○小柳勇君 そういうところにこの国会の混乱の原因があるということを私は申し上げておきたいんですよ。  それから、運輸大臣、この鉄道建設の問題です。これは前から衆議院でもちょっと出ているようですけれども、私は衆議院で問題にしたような立場ではなくて、いまの電力の供給の問題——まあ返還、本土復帰いたしましたプロジェクトとして、ほんとうに国が精魂を打ち込んで、沖繩の失業者を総動員をして、あるいは、国民的な課題としてやるには、いまは自動車はありますけれども、道路が悪い。しかも、それは軍用道路ですね。だから、通勤、通学も困難です。だから、町づくりには、これは学者、評論家もそういう意見を出しておりますけれども、高速電気鉄道の建設が一番いいんではないかと、あるいは那覇市内に地下鉄の建設、こういうものがいいんではないかという提案がありますが、いかがでしょうか。
  190. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) 沖繩の高速鉄道を将来建設するという御意見につきましては、先般も、衆議院でも御質問がございまして、その際、総理からも検討するという御答弁もあった次第でございますが、ただいま、御承知のとおり、沖繩では大量輸送機関はバスがその任に当たっている次第でございます。本島に五社、離島を合わせますと十七社ございまして、御承知のとおり、本島におきましては、南部、中部におきましては非常に路線も競合しておりますし、非常に多いというような状況でございまして、ただいまのところは、その路線の競合を整理統合いたしまして、そうして地盤を強化するということが一番あれであるというので、琉球政府もすでにその勧奨をやっておりまして、私どももそれを引き受けまして、そうして地盤の強化をいたしますとともに、老朽車両を改廃いたしまして、やってまいりたいという考えでただいまのところはおる次第でございます。  いま御指摘がございました高速鉄道につきましては、将来の利用者の利用動向、また、経済性というようなものを十分勘案いたしまして検討してまいりたい、こう思っている次第でございます。
  191. 小柳勇

    ○小柳勇君 大事な問題がたくさんありますのに、質問しないことを答弁されますと時間のむだになりますから、質問したことだけ答弁してください。  総理大臣、鉄道の専門屋でありますし——昔、軽便電車がありまして、いまこの高速鉄道、特に電気を使う高速鉄道、いまの新幹線の幅で縦貫鉄道をつくったら、非常なこれは国家百年の大計、沖繩百年の大計に背骨を入れると思いますが、いかがですか。
  192. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 簡単に申し上げますが、軽便鉄道時代、中央政府が補助しており、ずいぶん私もその鉄道には困りました。なかなかもうからない。今度幹線電気鉄道をつくったらこれが役立つんではないか、こういう御指摘でございますが、そういう点を先ほど来申し上げますように、その要否から考えてかからないと、十分の結論は出てこない。いまとにかく自動車の時代になっておりますから、それがはたして要るか要らないか、十分の利用価値があるか、産業の興隆に役立つか、こういうような点を十分考えて結論を出すべきだと、かように思います。小柳君もそのほうの御専門ですから、よろしくお願いいたします。
  193. 小柳勇

    ○小柳勇君 御専門ですからいま意見を出しておるわけですよ。  山中長官に質問しますが、いま那覇から石川まで、いまの金で四百六十億くらいで、大体できるだろう。四国架橋一つであれは二千億かかりますからね、四国は。本土とそのバランスをとるとか、あるいは特に沖繩を開発するといいますけれども、いまのような、総理のような考えでは決して沖繩はよくなりませんですよ。だから私はいま海洋博を中心にして、これが一番物の動き、人の動きが大きいでしょうから、これに合わせてひとつ、陸海空の足を合わせてくれよと言っているわけですよ。総理のような見解で、実はもうかるか、もうからぬとか、いま必要があるかないかでは、私は沖繩は、ほんとうにこの法律が通った瞬間に見離されるような気がしてならぬのですよ。山中長官の見解を聞きましょう。
  194. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 私も鉄道については、おまえはポンポン花火を上げるばかりだと批評されるのですが、鉄道については花火は上げておりません。というのは、沖繩本島にまず限定されます。そして本島の中で縦貫鉄道しか考えられません。その場合には、おそらく終点は、南はある程度延ばせるとしても、北は名護までだろうと思っています。その場合に、通勤等については輸送手段として貢献することは私は否定いたしませんが、物資その他の通勤以外の利用ということを考えますと、現在は一応高速自動車道ということの設計を進めておりますので、その点をやってみて、なおかつ沖繩に対する私も建設のための投資効果というものが大きいことは認めます。しかしそのあと、はたしてそのような効果というものが期待できるかどうか、いわゆる鉄道の建設されたことによる効果、これはもう少し検討さしてほしいと思います。
  195. 小柳勇

    ○小柳勇君 検討してもらいましょう。  次は自動車ですが、自動車が古いこともいま運輸大臣がおっしゃった。それから日本と反対なんです。反対通行です。これを日本のように自動車の通行方向を変えなければならぬでしょう。これはスウェーデンの例——昭和四十二年の九月に実施いたしておりますが、スウェーデンでは左から右に変えるだけでも四百二十億の金を使っております、PRからあとの標識変更など。したがって、いま運輸省が考えている一億何千万の金じゃとてもできませんですよ。わが党は三十億を要求しておりますが、四百二十億かかったというスウェーデンの例、これを見て、どういう決意でやろうとしておられるか、あと大蔵大臣からそれに対する金を出すか出さぬかお聞きいたします。
  196. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) 先ほどおしかりがございました。簡単にお答えをいたします。  あと三年先の話でございます。私どもそれに間に合うように今日から計画を立てて、そして大蔵省に予算要求するつもりでございまして、全部ハンドルの切りかえ、また乗降口の切りかえ、その他につきましては十分な財政援助もするように、私ども大蔵省に要求する運びになっております。
  197. 小柳勇

    ○小柳勇君 ちょっと委員長大蔵大臣にまとめてひとつあとで聞きましょうかね。  次に、海の足の話ですけれども、これはやはり海洋博を——船旅も一つの大きな楽しみですね。したがって船のほう、海運のほうをどういう整備をするか。いま日本と相当違いますね。しかも古い船が多い。海運新造船などについて一体運輸省はどのくらいの決意があるか。特にフェリーボートなど、新しい試みがあれば御報告を願います。
  198. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) 海上運送につきましては、御指摘のとおり沖繩で一番大切な輸送機関でございます。御承知のとおり、本土−本島間におきましては、三社の六隻が運航をしております。離島間におきましては、すでに地方団体を合わせますと五十二社にものぼると、こういうふうな状況でございます。本土−本島間におきましては極力その点で船腹の改造その他をやりまして、そうして航行の増大、安全をはかってまいりたい。  ただいまお話のカーフェリーにつきましては、大体現在のところ、地元で御要求がございますれば、七千五百トン級のものを二隻、四十七年中に長期、低金利の財政融資を行ないまして、そうしてこの本土沖繩間の航行の便利をはかりたい、こう思っておる次第でございます。  また、離島間につきましても、できるだけ整備統合いたしまして強化するとともに、そうしてまた集約航路、一般航路につきましては離島並みの最高、それからまた集約されないものにつきましても、特殊の事情でございますので、相当のやはり補助を出しまして、そうして経営の安定をはからせてまいりたい、こう思っておる次第でございます。
  199. 小柳勇

    ○小柳勇君 最後でありますが、大蔵大臣にいまの海洋博の問題、それから自動車を右から左に変える問題などに金がたくさんかかりますし、これが復帰いたしますと、やはり本土の都道府県との関連がありましてなかなかたいへんだろうと思います。したがって、この際にほんとうに飛躍的な財政投資あるいは金融措置が必要だと思いまするが、いままでをひっくるめて大蔵大臣の御決意を聞いておきたいと思います。
  200. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 海洋博の問題は、まだ規模、内容等、構想が固まっておりませんので、とりあえず通産省からは開催の準備費、それから政府の出品出展委託費として約八億円の予算要求が出ております。これは当然必要な経費は計上するつもりでございます。  また、いまの左側通行の問題は、これは実現が三年先という計画になっておりますので、来年、再来年三年計画でこれを行なうということになりますので、来年はその初年度としての予算は見なければなりませんし、また、いま御審議を願っているこの法案にのっとって高率補助をして、本土との格差を急速になくするという方向でございますので、これはもう遺憾のないように十分予算措置をするつもりでございます。
  201. 小柳勇

    ○小柳勇君 質問を終わります。
  202. 長谷川仁

    委員長長谷川仁君) 午前中の質疑はこの程度にいたします。  午後は一時から再開することとし、暫時休憩いたします。    午後零時二十三分休憩      —————・—————    午後一時六分開会
  203. 長谷川仁

    委員長長谷川仁君) ただいまから本連合審査会を再開いたします。  休憩前に引き続き質疑を行ないます。鈴木一弘君。
  204. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 最初に、ドルの問題でお伺いしたいんですが、今回の特別措置法の四十九条の中で、「外国為替の売買相場の動向を勘案し、内閣の承認を得て大蔵大臣が定める交換比率により、同日から政令で定める日までの間に、本邦通貨交換しなければならない。」と、こういうふうにあります。そのレートの問題なんですが、この交換レートというのはドルと円とのいわゆる交換補償した分、これについては先ほど質疑がございました。交換補償がいままでなかった分については、これは一体三百六十円でいくというような方針なのか、ここのところを「売買相場の動向を勘案し」ということになると、実勢レートになるのか、あるいは標準レートである三百八円という固定レートなのか、そういうところの三つしかとりようがないわけでありますけれども、私どもとしては、やはり沖繩県民の実際の声からすれば、三百六十円を堅持しなければいけない、こういうふうに考えられるわけでありますけれども、その点について、どういうふうにお考えになっておりますか。
  205. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) これは実勢レートということになっております。そこで、さっき戸田さんの御質問に、私が前日の為替相場ということを言いましたが、これはちょっと間違えまして、復帰前の為替相場の動向を勘案してということでございますので、復帰前何日かの大体為替相場を基準にしてこういうレートをきめるということになるわけでございますが、その前日の為替相場そのものにきめるというわけではございませんで、これはさっきのお答えは訂正させていただきたいと思います。三百六十円と、今度は最後の為替相場はその復帰前の何日かの為替相場を基準にして、その差額を支給金として交付するということになろうと思います。
  206. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 そこで伺いたいのは、いま支給金として交付する、その対象外になっているものがあるわけですね。いわゆる十月九日のドル・円の交換補償になったものとならないものと出てくる、そのならないものについてはどういうふうにする予定ですか。
  207. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) これは当時の沖繩政府関係者とも十分了解のとれておる事項でございますが、その後の変動というものは、これは一々これを把握して計算するというわけにはまいりませんので、この確認された日現在の額で、もし復帰の日にそのとき所持しておったドル——お持ちにならぬ方でも、そのとき登録されてある方はそのときの所持されておったドルとの差額を支給するかわりに、その後所持がふえたドルについては、それは別に差額は補給しないという了解のもとにきめた措置でございます。
  208. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 そこで、私はいまのお話の中で大事なのは——いまいわゆる個人の話を大臣はしていると思うんです。個人のいわゆる円交換補償を十月九日にしたと、その分については三百六十円ということ、ないし先ほどあったように、そのときの〇・七五%のいわゆる相場もありますけれども、そのどこかできめるということはわかるんですけれども、実際それ以後個人が持ったものについても私はやはり見るべきだろう。そうでないと、一つ物価の問題の理由もあります。そういうことからそうするべきじゃないか。  もう一つは、対象外になっていた法人とか企業とか、こういうものについてはどういうふうにする方針ですか。
  209. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 法人はこの対象からはずすということにしましたが、その理由は、いま沖繩法人はほとんど自己資本が非常に少なくて外部資本が多いという、資本構成がそうなっておりますので、外部負債はこの円の切り上げによって得するほうでございまして、自己資金は損に回るほうでございますから、そういうことを考えますと、この沖繩法人においてはこれを除外しても要するに御迷惑をかけないという趣旨からの措置でございますので、そういう点から申しましたら、法人が、除外されてもこれは円の切り上げによってむしろ利益が出るというほうが考えられますし、また、差損そのほか税制に関する問題でございましたら、損が出た場合には当然税制においてこれは見られるということになりますので、この際は法人を除外したということでございます。
  210. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 いま大臣、質問に漏れたやつがあります。先ほどは十月九日のいわゆる交換補償、そのワク内だけは三百六十円というレートでいくけれども、それ以後の個人の所得については——増加分についてはそのときの実勢相場という法律のとおりでいきたいということなんですけれども、現地の声はそうじゃないわけなんです。そこを何か考える方法がないかどうかということが大きな問題だと思うんですけれども、これは総務長官、どんなふうな感覚ですか。
  211. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) ニクソンドルショック並びに本土政府変動相場制採用に伴って、私どもは沖繩ドル圏における本土物資に依存する割合を考えて、生活そのもの、あるいはまた行政運用に至るまで影響が出ることを心配して、本土復帰前に、円交換にかわるものとしてのチェックをいたしました。その措置については、交付金等についてたびたび答弁しているとおりであります。これは変動相場幅が大きくなって固定相場に移りましたために相当予算金額もふやさなければなりませんが、それは義務的経費として約束どおり支払う予定でございます。しかしながら、そのあとの収入並びに支出については先ほど大蔵大臣もちょっと触れてはおられましたけれども、減る方もあり、ふえる方もあります。しかし、全体的にはやはり国家経済の成長という形における沖繩県の経済の成長、そして個人所得の伸びというものがございます。その後の新規のまた典型的なものとしては、軍労務者等のもっぱら琉球政府内に流通していない、アメリカからのドルを交付されるための収入増もございます。こういう点の問題点は確かにあると思うわけであります。しかしながら、その後、日本固定相場の三百八円レートにはっきりと国際的になりましたので、これはやはり何らかの手段を講じなければこの混乱というものは復帰まで続くであろう、そのことに沖繩県民の人々は心理的にも生活的にも耐えられないであろうということはよくわかりますので、外交折衝を要することでありますから、これ以上は申し上げませんが、いかなる手段があり得るかという問題について検討を開始したということでございます。
  212. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 そこで今度は別になりますが、いわゆる債権債務の問題が五十二条に載っております。四十九条できめたレートによって債権債務についても表示がえをするということになりますけれども、これは債権者と債務者ではだいぶ利害が相反してくるわけです。そこでやはり為替差損の出るところもある。先ほどのように利益のあるところもある。損をしたところは税制面で補えばいいではないかというような言い方でありますけれども、個人についてそこまで補償して、十月九日でもって補償をつけたのがあるわけですから、ある程度私は給付金のようなかっこうで差損というものを埋めるというのが正当な筋じゃないか、こういうように思うんですけれども、この点はどうですか。
  213. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 本土におきましても同じような問題がございますが、いわゆる為替差損についての補償ということはいたしません。これは税制その他において考えるという措置をとっておりますので、この点についてはやはり将来沖繩においても同じような措置がとられればいいんではないかと思っております。
  214. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 時間がないので簡単にやりますけれども、すでに沖繩の経済は、この二八・八八%ですね、円が引き上げになったために海上運賃も上がるということになり、そのほかもうありとあらゆる物価にすでに影響していると、二〇%高になっているということが現地からも——私はきのう問い合わせたんですけれども、生活費の高騰はかなわないという声で、すみやかに円の交換をしてほしいと、三百六十円でやってほしいということになってきておりますが、そういうような物価の問題等、まあこれは別に対策費が出ております。増加するというような話を聞いておりますから、この点については触れなくてもいいんですけれども、やはりそういう点ではこれはもう早急に交換ということをしなきゃいけないんじゃないかということが切実に感じられるわけですすが、この点は一番大きな問題になりますので、ひとつ総理から御答弁をいただきたいと思います。
  215. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 何かいい方法はないかと、こういうことでいろいろくふうしていると、これは先ほど総務長官が申したのでございますが、それより以上にこの問題が投機的に利用されることも心配でございますから、それより以上は申しませんが、何かいい案があればそれをぜひとも採用したいという政府の考え方でございます。
  216. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 これはちょっと蛇足になりますけれども、非居住者——沖繩にいる非居住者、いわゆる外国人のドルの問題も出ております。この点についてはどういう考え方をお持ちでしょうか、ちょっと伺っておきたいんです。
  217. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 先般のドルをチェックいたしました際も非居住者は対象外といたしております。また、復帰後、沖繩においては本土と異なり特殊な形態にございますから、非居住者が使うドルについては、それを使うことについては認める制度を残しますので、したがって、かりにこれが、復帰前の問題は別として、復帰の時点の交換にあたりましても非居住者の所得ドルというものは対象外になるということでございます。
  218. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 時間がないからまとめて労働大臣と通産大臣にお伺いしたいんですが、労働大臣にお伺いしたいのは、一つは、実際に円が三百六十円から三百八円——まあそういうようにワイダ一バンドがついておりますが——になりました。ここで賃金が確定されますというと、実質には三百六十円のときのレートでいけばいいと思いますけれど、三百八円になったということは事実上の値下がりという、賃下げということになるわけであります。これはかなり大きなものになるということ、百ドルの人が三万六千円もらったのが三万八百円になるということでありますから、これは相当大きな金額になるわけです。一体これはどういうふうに政府としては指導するのか、あるいはその賃金について何か政府として考えを持って、そういう差額についていわゆる時間をかけてといいますか、漸進的にというか、そういう方法をとられるのか、その点についてひとつ伺いたい。実際には賃金が下がる、しかも物価はいま申し上げたように、もう上昇している。一体どうしたらいいのだ。それじゃ沖繩県民生活することもできない。いまの過疎問題以上にひどくなるというおそれがあるわけでありますが、その点について伺いたいと思います。  それから通産大臣には、これは沖繩アルミの件であります。これは法人として認可をされ、本土のアルミ会社五社が共同出資をした。しかし、政府のいままでの決定されたといいますか、認めたのでは、一トンについて二万円ほど、現在は赤字が出るという見込みです。政府のほうから、それに対して一万円程度は出すということなんですけれども、これではアルミ会社はつぶれるだろう。今回一六・八八%引き上がったことで、もうすでに太刀打ちができない状態になっている。そうなると公害をまき散らす上に、立ち行かないところのものが沖繩に進出するのか、こんなものを受け取ったら県民のほうも非常に不満でしょう。はっきり申し上げれば、沖繩にアメリカのいわゆるアルコアが出る。こういうことからできたものだと思いますけれども、アルコアが進出をやめた。この時点では、これは政府としても本気になって考えなきゃならないのじゃないか。もしあそこに公害企業かもしれないけれども、それを持っていくんだったらば、これは採算のきちっととれるような方法を考えなければ、沖繩の産業を復興することにはならないし、また、逆に採算点を割って内地の本土全体の——日本全体のアルミの地金の価格が上がってくるようでは、これでは物価対策としてはゼロだということになる。この点は本気になって考えてもらいたいし、私はむしろそんなものはやめてしまったほうがいいのじゃないかということを強く感じるわけであります。その点について伺いたいと思います。
  219. 原健三郎

    国務大臣(原健三郎君) お答え申し上げます。  これは一般的に申し上げますと、債権債務については、大蔵大臣が定められる通貨についての交換比率によって交換されることになろうと考えます。しかし、お尋ねのように、民間における賃金につきましては、これは労使間においてそういう急激な変化のないように、よく話し合いをするように琉球政府に連絡もとりたいと思うし、そして双方において十分相談の上に善処されるように、政府とも連絡をとってやりたいと思っております。
  220. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 沖繩アルミにつきましては、これも日軽金、住友化学、昭和電工、三菱化成、三井アルミの五社均等の株主構成ということで、会社は四十五年の末につくられたわけであります。これはもうアルミ会社も進出するという意思がありますし、地元でも投資額が全部でもって九百三十一億円、約千億になる企業でございますから、どうしても出てもらいたいということであったわけでございます。そういう意味で、通産省としては公害を起こしてはならないという問題が一つありますので、公害調整というものを十分考えながら、こういう基礎産業的なものでもって出る初めてのものでございますから、そういう意味では、ひとつ何かうまく出したいということで、現地とも相談をしながらやっておったわけでございます。ところがその後、市況が非常に悪いということが一つあります。それから御指摘にありますように、二万円ばかり違いますので、これは一体長期的に原油価格その他どうなるのかという問題もございます。電力の質的な——電力供給というものは長期安定的でなければならない、その見通しがつかない場合も困るということで、いまボーリング等をやっておりますが、実質的には足踏み状態ということもあります。半年ないし九ケ月、いよいよの場合一年間くらい延びるかもしらぬということで、琉球政府との間にはいま連絡をしておるわけでございます。いまその二万円を一体どうして引き下げるんだという問題では、二万円を引き下げられるためには、金利を低下せしめて五%として四千二百円とか、投資損失準備金三百九十円とか、地方税の免除が千五十円、重油価格の低減で七千円とかいうことで数字は合っております。合ってはおりますが、千億の投資をするということになって、しかも内地よりもきれいな海、金武湾の一角でございますから、そういう意味では公害というものに対して万全の対策前提であるということになると、やはりコストはどうしても上がりかげんであるということで、企業そのものも本土政府、これが投資に対する十分な保障ということがなければ、なかなか推進ができない問題でございますし、これは本土まあ通産省も中に入って、それから琉球政府とも、現地とも、またこの沖繩アルミの構成会社の皆さんとも十分話し合いをしながら、これは一番初め出る千億の企業がやめになったということは、これまた沖繩のためにも問題があるんです。ですから、非常にむずかしい問題でございますので、いまの状態を直視をしながら、合理的な結論を出していくということでございます。ですから方向としてはいままでどおり、少し延びておるということだけであって、これを取りやめるというような状態ではないということだけは、結論的に申し上げておきます。しかし、現実問題としていろいろ通産省側でも、また地元でも、また沖繩アルミそのものも確認をしなければならない問題がありますので、ボーリングを進める過程において、並行的に合理化というものに対する具体策を進めておるというのが状態でございます。
  221. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 労働大臣、先ほどの答弁では非常に不満です。私は実質的な賃金の格差ができちゃう、引き下げになる、一体どうするんだということについて、労使間で話し合えというだけのことです。じゃ、資本のほうにてこ入れするのか、あるいはそうでなければ何か一方のほうへ、賃金についてはここまでの線でやりなさいということを指導するのか、そういうところがはっきりしなければ、これは不安は除かれないわけです。ただ話し合うように指導するだけでございますということじゃ——話し合うのはさまっていますよ、それは。ちょっと私はそれが不満なんです。その点だけもう一ぺんお願いしたいと思います。
  222. 原健三郎

    国務大臣(原健三郎君) お答え申し上げます。労働大臣としては、やはり御指摘のように、沖繩の労働者が円関係生活に不安がないように、労働者の生活に重点を置いて、琉球政府とも労使の間でよく話し合いをして、そういう観点に進むべきように指導申し上げたいと思っております。
  223. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 総理にちょっと一つ、最後にいまの賃金問題について伺いたいんですが、見解をお願いします。
  224. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 賃金問題はただいま公務員のほうについては、比較的はっきりした態度がとられております。したがって、民間もやはりその公務員の例にならって右へならえで、それが労使双方で話し合った上でおそらくそれが例になる、かようにきまるだろう。私どもこの関係においてタッチすることはいかがかと思いますけれども、基本的方針は先ほど労働大臣が申しましたように、十分労働者の立場が理解される、こういう立場で臨みたいと思います。     —————————————
  225. 長谷川仁

    委員長長谷川仁君) 向井長年君。
  226. 向井長年

    ○向井長年君 山中総務長官、そして通産大臣並びに大蔵大臣——いま、おられないんですが、その関係もあると思うんですが、私は沖繩の電力の今後のあり方について質問をいたしたいと思います。  特に、この国会に出されました中で、いま沖繩の電力問題は御承知のごとく、アメリカが持っておる公社、これが発送電を担当して、配電は別の会社に、私企業になっておるわけでありますが、この点についていま、現状を今後どうするんだ、こういう問題について、ひとつまずお聞きいたしたいと思います。と申しますのは、公社の場合は特殊法人沖繩電力をつくるということ、これはわかりました。ところが配電は、いまそれぞれ小っぽけな配電が五社あるわけですよ。こういう問題を合わせて沖繩の電力というものをどういうかっこうに将来持っていくかと、こういう問題についてまずお聞きいたしたい。
  227. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 先ほども申し述べましたように、復帰と同時に沖繩電力株式会社にすべてを引き継ぐわけでございますが、これは内地におきまして九電力ができますときのようにすっきりはいたしておりません。おりませんのは、離島には幾多の群小配電会社がございますし、その他沖繩本島等を含めて五つの大きなもの、まあ大きなものというよりも中級なものがあるわけでございます。この、営業としてペイしないというような小規模の配電会社、それからもう一つは、高い電力料金で、その島単位でやっておっては電力料金はどうしても引き下げることができない。そのためには、復帰のメリットがないというようなものはどうしても統合しなければならないわけでありますので、離島の配電会社はおおむね統合するように話を進めておりますし、おおむね話はついております。ですから、離島は本島並みに料金は下がります。ところが五つの配電会社というのがございまして、これは純民間の企業でございますので、法律をもって補償をするというようなことで統合を強制する場合は、もちろん沖繩電力会社に統合することはできます。できますが、まあそれはやはり現地の電力会社の希望もあることでございますので、やっぱりかすに時をもってしなければならないと思うんです。これはやっぱり沖繩の電力料金は絶対に上げられない。場合によっては下げなければいけないというような状態でありますから、必ずしも配電会社は妙味のある仕事ではないわけです。そういう意味で、ある時期には私は統合の方向にいくと思います。沖繩電力株式会社そのものが九州電力では引き取りたくもないというぐらいにあまりいい仕事ではありませんから、妙味のある仕事でないということで、政府がじかにやらなければならないという種のものでありますので、将来的には統合の方向にいくというふうに考えていただいていいと思います。しかし、いますぐ法律をもって強制的に統合するという事情にないということだけは事実でございます。
  228. 向井長年

    ○向井長年君 将来やはり電力再編——二十六年五月にやりました九ブロック、九つの配電と、こういう形に持っていきたいと、こういう政府のものの考え方であると、しかしいま直ちにはそれは困難であるし、あまり引き受ける電力会社もプラスにならぬから、何とか別方向をとれということで、暫定的にまずこういう形をとらざるを得ないんだと、こういうように理解していいんですか。
  229. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 九電力プラス一電力というふうに考えていただければいいと思います。
  230. 向井長年

    ○向井長年君 そこで、そういう基本的な問題になるとするならば、まず沖繩自体の中でいま発送電を受け持っているのが、今度できる沖繩特殊法人である——配電五社というものがありますね、それぞれ私企業で。これも早急にやはり統合、一本化しようという考え方があるのか、ないのかですね。
  231. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 先ほどからるる申し述べておりますように、離島等の配電会社は統合をいたします。これは統合をするように了解を得ておりますし、下話は済んでおりますから、これはおおむねうまくいくと思う。しかし、そのあと本島関係等で残っておる五配電会社は、これは民間のものであり、現にあるのでございます。ですから、これを統合するには法律をつくって統合しなきゃならない。九電力をやったときと同じような電気事業の再編成を沖繩においてやらなければいかぬわけです。そんなことをする必要はいまはないということで——これはやはり民間企業でありますから、これが沖繩の電力業者の上に非常に大きな障害になっておれば、これは当然統一をするようになりますが——いま、さしたる障害にはなっておらない、制度上は純民間の企業であるということになれば、事態の推移によっておのずから解決の道が出てくるのであって、まあ本土が九電力で一本化しておりますから、沖繩沖繩一つの会社が配電まで統一的にやれることが望ましいということが、これは制度上学問的に言えるかもしれませんが、現実の上では必ずしも強制的に吸収統合しなければならないという状態にはないわけです。ですから、いますぐこれを、方向を明示するよりも、自然のうちに五配電と沖繩電力株式会社の間に話し合いが進むであろうし、また、その必要があれば通産省もそのような行政指導をするということでいいと思います。
  232. 向井長年

    ○向井長年君 この沖繩復帰に伴う特別措置に関する法律案の中で、こういう問題が盛られておるわけですが、その中で、特に「電気の安定的かつ適正な供給」ということをいっているんですね。現状の五配電会社が「安定的かつ適正な供給」ができ得るかという問題なんですよ。私たちか見た場合におきましては、これはこのままでは不可能である、こういう感じを持っておるんです。しかもあの小さい沖繩県において、幾ら離島があるといたしましても、しかも五つの配電があるということは、これはまことに不自然ですよ。それと同時に、いまの配電の実態を通産大臣御存じですか。私は、おそらく知らぬと思います。私は知っておりますよ。これは電気事業は、私企業だ私企業だと言うけれども、これはやはり少なくとも公益事業なんですよね。公益性を強く持たなければならぬという事業でしょう。そういう中で、いまの沖繩の五社の経営者なるものはまるきり私企業の鉄工所を経営しておるか、運送会社を経営しているか、これと同じものの考え方を持っておる。こんなことで安定かつ適正な電気供給ができるかという私は疑問を持つんですよ。だから、法律をつくらなければならぬなら法律をつくったらいいと思うんだ。ちょうど二月に供給認可のこれは更改の日時になりますよ、来年二月に。私は、そういうときに、いま少なくともこの法にいうように、安定的でかつ供給が十分ならしめようとするならば、一日も早くあれは一本化しなければ効率があがらない。あるいはまた適正な電力は送れない。こういう事態がある。それははっきり申しまして経営者、あの経営者ではだめ、私が見た範囲においては、これは失礼だけど。なぜだめかと言うと、感覚が違うんです。いろんな業種を兼ねて経営しておるんですよ。そんなものじゃないでしょう、電力は。配電統合の中では、電力はいまできておるでしょう、いい悪いは別として。そこであなた、運送会社もやっているわ、何々もやっているわ、それで電気もこれは経営しているんだと。こんなものの考え方、実際の経営ではいわゆる公益事業を担当した経営者と言えないと思うんですよ。これは政府ね、私企業であるからやむを得ぬのだというものの考え方は、これはおかしいと思うんですよ。この点いかがですか。
  233. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 電力供給事業が公益事業であることは御指摘をまつまでもないことでございまして、あなたの御発言になっている趣旨は十分理解しておるんです。その意味で九配電会社も本土においてできたわけでございますし、そういう意味ではよく理解できるんですが、しかし、現実問題として、まず統合までの間には電力供給公社を沖繩電力株式会社に組織がえをいたします。そのときには、いまいろいろな形態にある複雑多岐になっておるところの中で、直ちに困るところはあります。それは電力料金を引き下げなければいかぬというところ、それは離島である。そういうものはいまの小さな——小さな中のまた小さな離島本位の、そういう配電会社でもって電力料金を引き下げるわけにはまいりませんから、これは吸収いたします。これは吸収に反対するなら、いまのままでもいいから電力料金を引き下げなさい。こう言えば、引き下げられないんですから、これはもう統合する以外にはないということで、統合はいたします。話はついております。円満に引き継ぎます、こう言っておるわけです。そうすると、残るのは五つの配電公社が残っておるわけです。この配電会社が、究極には、沖繩電力会社もまたある時期には全く民間的な株を放出するとか、いろんなことも考えられるでしょうが、これもやはり本土の電力会社のように、沖繩電力会社に統合することが望ましい。合理化ということになれば当然そうなんです。これから電力が値上がりする方向にあるというときに、いまの電力料金で押え、それよりも下げなきゃいかぬ企業努力を必要とすれば、合理化の方向においては統合するということになりますが、まあそこまでいかなくとも、せめて配電五社が一つになっちゃどうかという御指摘、まあそれはそのとおりだと思うんです。そのとおりですが、まあ沖繩復帰というときに、何でもかんでも一挙にみな現状打破をしてしまうということも、まあ伝統のよさといいますか、電灯でございますから、伝統を引き継ぎながら、徐々に改善をするというのがやっぱり政治だと思うんですね。そういう意味で、いまのままでもってやっておったら、いまよりも電力料金が上がるというなら、それはやります。しかし、それは政府のいろいろな政策的な協力によってやらなきゃならぬ問題もたくさんあるんですから、まず離島の分だけを吸収して、それから、その次の問題として、方向としてはあなたが言われるように、まず五社が一つになること。そして、将来は電力会社と一緒に——電力会社の処分もまた考えなければいかぬことですから、そのときぐらいまでには、その配電会社の配電業務及び電力がどういう姿になるのかを、あなたも専門家でございますから、そういうことでお互いが検討しながら、最善の道をできるだけ早くつくっていくということ以外にはないんじゃないかと思っております。
  234. 向井長年

    ○向井長年君 通産大臣の現状の説明はよくわかるんですがね、まあ何はともあれ沖繩振興という形になれば、まずエネルギーにいたしましても、国民生活にいたしましても、最も基礎になるものである——そういう中から、いまのではアメリカ依存です。料金問題も燃料問題もアメリカ依存であります。ところが、これについては、一応政府が買い受けて、一つの特殊会社をつくるということですから、これは本来、高い構想としては本土と一緒になって一本化するのが一番いい方法。これは直ちにはできない。しからば公社をつくろう、公社を特殊法人にして会社をつくる。まあ少なくともそのときに沖繩配電も一本になって、一つの会社にするのが一番いいんですよ。これも直ちにはいかない。だから、暫定的であるが特殊法人で発電、送電をそれで受け持とう。配電はまあしかたがないから、このままでいこうでは、これは促進しないと思うんですよ。少なくとも配電は一本化して、効率的に料金問題も施設の問題も改善しなきゃならぬ。ここに私は焦点を持っていかなきゃいかぬと思うんですね。いま組合はね、電力の全部の組合は一本化しておるんですよ、よろしいか。沖繩の配電であろうが、公社であろうが、離島であろうが、全部一本化して、そしてそれを進めようとしているんだ、組合のほうは。一歩進んでいますよね。ところが、経営者側がそれをなかなか受け入れようとしないんですよ。受け入れようとしない理由は何であるか、その受け入れようとしない理由は、先ほど言ったお山の大将で、自分の私企業として、自分の事業として、運送会社の事業、鉄鋼業者の事業と同じように考えて、らち内から出ようとしない。私は現地へ行って、それを調べてきた。そこで、そういうことであるならば、政府は、場合によれば統合という立場から、二月の認可という問題があるから、この中で認可しないぞと、供給認可しないぞと、早くやれと、こういう促進があれば、またこれは促進になるわけですよ。それをやろうとしないところに問題があるから、ちょっと通産大臣、そんななまやさしく思ったらだめですよ、これは。ほうっておいて、統合しなさいと言ったってできません。こっちからてこ入れして、基本的な形でこれを解決しなきゃできない、こういうことを私は言いたいんですよ。総務長官、よく知っておられるね、実情を調査されたし、私たちも意見を申し上げましたから。この点を、通産大臣、やっぱり考えなきゃだめ。だから、いま言うように、あちらでやりなさい、やりなさい、自主的にやりなさいでは、これはできませんし、いま不満は、先ほど言うように、効率化だけの問題でなくて、たとえば一つの事故が起きるとした場合に、それに対する復旧の能力か何かないのか知らぬけれども、一週間ぐらいは停電してほうっておくところがたくさんあるんですよ。こんな状態、内地で許されますか、日本で。それでも私企業だからあたりまだと、金がかかるからやらんでええというような、こんなことは許されるもんじゃないと思う。この点を私はいま力説しておるので、政府がやっぱり力を入れて、早く一本化すると、期間ぐらいきめたらいいと思うんだ。二月に認可があるから、認可にひっかけたらいいと思うんだ。どうですか、これ。
  235. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) いま民営企業でございますから、二月にひっかけるというような、そういうことではなく、やはり公益事業でございますから、沖繩県民の盛り上がる気持ちというものは直ちに出てくるわけでございます。しかも、政府もこの電力料金を据え置き、もしくはこれから発電設備の投資に対していろいろな政策を必要といたしますし、また、いままでは相当な決算をしておったものもみなこれから食いつぶさなければならないような状態。そうして電力の供給はするが、電力料金の値上げはできない、これは下げなければならないような方向にある。こういうことであれば、そんなに私企業として妙味のない——公益企業でございますから、妙味があっちゃまた悪いんです。そういうことで、まあ二月でなくとも、私は、復帰後、通産省もそういう気持ちでだんだんと指導してまいりますから、これは私企業がほんとうに公益企業という性格のものに転化していく過程のわずかの時間だと思いますから、これは私が自然にそういうほうに指導してまいるということで御理解をしていただきたい。
  236. 向井長年

    ○向井長年君 理解はしますがね、大臣の言われることを理解しますけれども、過去において、おそらく、公社がこういう形になってくるならば、公社とともに合併しろというような機運が総務長官のほうへ何となしにいままで出ておったんですよ。その機運がだいぶ熟しておった。ところで、政府のほうで、それがもうそう積極的にやらぬでも、まず暫定的にこうやるんだとなれば、これはあなたあと戻りしちゃって、いまその機運をなくしつつあるんですよ。そういうことであるから、私は通産当局で積極的にやはり一本化の方向、これをやはり進めれば、そうなってくると思うんですよ。それをあとずさりしちゃいかぬと思うんですね。その点を私はまず申し上げておきたいと思うんです。
  237. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 公益事業の性格に徴して、一本化のために努力をいたします。
  238. 向井長年

    ○向井長年君 長官、どうですか。
  239. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) これは、向井議員の言われるとおり、私どもとしては、沖繩の公共電力のあるべき姿ということを前提にして、本年七月一日に五社合併するという約束を取りつけて作業を進めてきたわけであります。しかしながら、内容については申しませんが、対人関係、その他意識の違い等がございまして、復帰までにとっても合併できそうにありませんし、かりに合併をしたとしても四社にとどまるだろうという観測を持っております。したがって、その途中で、私としては、それならば、国が全部責任を持つために、沖繩電力公社というものにして、私企業というものの存在を認めない形でいこうかという決意もいたしたわけでありますが、しかし、通産省の電力事情に対する基本姿勢としては、やはり一応、特殊法人の株式会社にしておいてくださいと、そうしてやはり民営五社が一社になってだんだんその能力が出てきたならば、国もその援助等をしつつ、それに逐次株を開放していって、本土の電源開発会社みたいなふうに将来はしていきたいという気持ちが実務官庁としてございましたので、私もやむなく一歩後退いたしておりますが、現在までの過程で振り返ってみますと、はなはだ約束違反であり、その公営企業に対する姿勢に遺憾な点がございます。この点は、通産大臣も実情は具体的には御存じありませんので、またお話を申し上げて一それは事実行為については御存じありませんから、私のほうから具体的に申し上げて、そうして公営事業のあり方について、ぴしっとした方針を打ち出してもらうつもりであります。
  240. 向井長年

    ○向井長年君 そういうことで、ひとつ通産大臣、実情を十分知っていただいて、長官からも十分話をされて、過去の経緯から、そうして促進していただくということにしていただきたいと思います。  そこで、公社の現況をこれからの問題でちょっとお伺いしたいんですが、今度、特殊法人ができますけれども、アメリカ財産を日本政府が一応買い上げるわけですね。買い上げるんでしょう。買い上げて、現物出資をするわけですね。現物出資だけですか、政府は。それとも、そこへきて、今後の問題として、資金的な問題もあわせてやるんですか。この点いかがです。
  241. 三宅幸夫

    政府委員(三宅幸夫君) 今後の電源開発並びに設備の更新に要します資金は相当の量に達します。かつ、その資金コストをできるだけ薄める必要がございますので、来年度の予算要求におきましては、現物出資以外に、現金支出十五億並びに新しくできます沖繩開発金融公庫の特別の有利な条件の融資を要求中でございます。
  242. 向井長年

    ○向井長年君 一般の株の公募についてはどう考えておられますか。一般の政府出資以外の株の公募はどうなんですか。
  243. 三宅幸夫

    政府委員(三宅幸夫君) とりあえず政府の現物出資、それから予算が通りますれば現金出資並びに若干沖繩県に株を持ってもらうことにしてありまして、民間株の導入は、現在のところ考えておりません。
  244. 向井長年

    ○向井長年君 将来の一本化の構想を考えるとするならば、いま電力会社は各社ありますが、こういうところにはわずかでも株を公募する考えはあるんですか。
  245. 三宅幸夫

    政府委員(三宅幸夫君) この開発法の附則にもありますとおり、この新しい会社の将来のあり方、位置づけ、あるいは将来最も効率的な発送配電の一貫体制への移りかわりの手段、手だて等につきましては、附則で十年以内の限時法の中で適当な時期に十分検討いたしたい、こういう趣旨でございます。また、そういう趣旨が附則に書いてございます。
  246. 向井長年

    ○向井長年君 これからこの特殊法人でできる沖繩電力は、やはりいままでは、言うならばこれはアメリカの経営でございましたね。したがって、燃料の問題にいたしましても、あるいは料金の問題にいたしましても、非常にこれは安く供給されていますね。今後そういう料金問題が必ずくると思うんですね。そういう場合に、やはりある程度充実した会社にしなければ、直ちに一般国民が——県民が犠牲を払うことになるわけですよ。その点について、その会社の設立に対する、言うならば充実、そのために株の問題、資金の問題、出資の問題、これは政府資金で全部まかなえるのか、あるいは沖繩県で若干持つと言われましたが、一般民間のそういうところに要請しないのか、この点、どうなんですか。たとえば電発はいま政府出資でありますけれども、各社が株を持っていますね。そうでしょう。一般も持っているでしょう。そういう特殊法人になっていくのか。それとも、政府出資と沖繩県だけで大体いこうとするのか、このどっちかということを……。
  247. 三宅幸夫

    政府委員(三宅幸夫君) 返還の過渡期におきましては、十分な審議の余裕がございませんので、とりあえず政府の現物出資及び現金出資、若干の沖繩県の出資をもってこの法人をスタートさせたいと考えております。将来これがどういう姿になるかということは、もう少し現地の条件がいろいろ変動いたしますので、それが固まっにときに十分検討いたしたい、かように考えております。とりあえず、従来約二割前後の売り上げ高、利益率がございましたけれども、そういう利幅は、米軍がとっておりました特殊な措置によって生まれてきたものでございまして、返還と同時にそういう条件が少し悪くなってまいりますので、先ほど申し上げましたように、とりあえず電源開発に要する資金コストを薄めるために、資金コストを低くするために、政府の現金出資並びに沖繩開発金融公庫から低利長期の有利な融資を手当てしたいと、かように考えておるわけであります。
  248. 向井長年

    ○向井長年君 これは、とりあえずそういう形をとることはわかりますよ、とりあえずとることは。しかしながらこれは、たとえばいま答弁がありましたように、コストが高くなりますよ。現に、燃料はどうなんですか。燃料がアメリカのような形で入ってこないでしょう、上がるでしょう。まず第一に、そうでしょう。そういう形になるということになれば、この点についてはコストは上がらざるを得ない。そうして、いま言うように、政府は現物出資はわかるけれども、現物出資じゃこれはならぬので、政府出資というものがあると、そうして沖繩県出資があると、これでそういうものがまかなっていけるのかどうかということですね。とりあえずというけれども、それをまかなっていけるのかどうか。今後の見通しはどうなるんだと。せっかくつくった以上は、健全な形の運営にしなければならぬでしょう、資金的に。そういう問題がそういう形でまかなっていけるのかどうかという問題。やはり燃料その他の全部を通して——施設とか、これから開発もあるはずだ、未点灯の開発をしなければならぬでしょう。そういう問題もあるから、いまの配電会社ではこれはできませんよ、少なくとも。そうすると、今度の特殊法人がみんな受け持たなければならぬ。こういうことがそういうことでできますかというんです。とりあえずはわかるけれども、できますか。
  249. 三宅幸夫

    政府委員(三宅幸夫君) 建設勘定にかかわるコストの上昇要因につきましては、ただいま申し上げました政府の産投会計からの出資並びに開発金融公庫による特別の有利な条件によって極力安い電力コストに押えてまいりたいと考えておりま了。一方、経常経費的な面につきましては、従来公租公課がかかっていない、あるいは重油価格が比較的安いあるいは地代が安いとかいうような有利な条件がありましたために、公社は約二割の売り上げ高利益率を持っておったわけでございますか、こういった経常経費に対する経理の悪化要因は、復帰と同時に生ずるわけでございます。そのために、重油につきましては、極力行政指導によりまして、あまり大幅な引き上げにならないように、また関税につきましても、とりあえず五年間は関税を免除するという措置をとっております。また、財務諸表に関していろいろ問題のございます耐用年数の問題でございますが、耐用年数の短縮に伴いまして、やはりコストの上昇要因がございますので、これは今後前向きな資金対策において吸収をしてまいりたいと、かように考えております。
  250. 向井長年

    ○向井長年君 そうすると、大臣、これは当座は民間には依存しないということですね、民間に依存した形をとらないと。たとえば株の問題、出資の問題にしましても、もうその範囲内でやろうと、当分は。そういうことに了解してよろしいですか。
  251. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 電力供給会社から株式会社になるわけでございます。株式会社の内容日本政府がほとんど持つという、こういうことでありますので、この法律をいま御審議をいただいておりますが、十カ年間というものは、やはり政府が中心になってやらなければ、いま御指摘になったように、アメリカ軍がやっておったので、無税の重油が入っておったり、いろいろな問題があるんです。アメリカ政府が金を長期低利で貸したり、いろいろなことでもって安い電力を安定的に供給しているわけですから、これにかわる政策を全部国内的にやってどうするというものもあります。しかし、それをやるとすれば、本土でもって電力に対してやっているものを、まず沖繩電力にやるということが一番簡単にできるわけでございますが、沖繩の電力料金は、いま言ったように、いろいろの特殊な要因があって、安定的な電力が供給されておったわけですから、まずいま復帰でもって引き継ぐという場合は、とても理想的な姿にはなりませんから、十年間という暫定的なものとして、政府が中心になって、いまの沖繩の、アメリカが中心になっておったものを、日本政府が中心のものに切りかえる。十年のうちにはどうするかという問題は、これは株をどうするかいいろいろあなたの御指摘になったように、琉球電力はだれが持つのか、また近くの九州電力が幾らか持ちたいとかという問題は、また別にその間に考えていけばいい問題であります。それで、電力料金は上げられないということでありますから、これから先ほど申し上げたように、八万五千キロ、十二万五千キロの二カ所の発電設備をいまやっているんですから、そういうものに対しては資金上、税制上の優遇をすればいいし、また今度の電力会社ができる過程における援助は、先ほどもるる申し述べたように、いろいろの政策を行なっております。そうして、いままでは特殊な状態で無税でしたから、二〇%余の利益を上げておりますが、政府が持っている電力会社が利益を上げることはない。ないというよりも、電力料金を安定化するのが本旨でありますから、そうすると、先ほど申し上げたように、その利益勘定に出ているものが食いつぶしをされて、電力料金の安定化がはかられていく。それでなお足らなければ別の政策を加えなければならないということになります。これはどうしても政府の責任でもってやらなければならないようでしたら、民間に幾ら移したくても、民間では引き受け手がなくなりますから、どうしても政府が主体で続けることになりますし、そうでなければ、特殊会社にして法律でもって恩典のある半官半民になるでしょうし、そうでなく、制度が定着をして、民間企業としてやっていけるようになれば、民間に放出できるということは、十年の間に結論を出せばいいと、こういうことであります。
  252. 向井長年

    ○向井長年君 そうすると、政府のいまの考え方としては、料金は現在のままで据え置いていく、卸し売りですね、まあいわば配電に対する卸し売り、これは上げない。いま沖繩の料金は安いのですよね、内地より安い。このままで据え置いていくのだ、それに対するカバーは政府が見ていくのだ、特殊会社に対して見ていくのだ、政府はカバーする、したがって、料金は上げない、こういうことは明確に言えるのですね。
  253. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) おおむねそういう考えでございます。
  254. 向井長年

    ○向井長年君 そのために、それを上げないために特別の合理化といいますか、人員の削減とか、いろんな問題に対して何らか指導し、示唆するつもりはありますか。
  255. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) これは絶対的に上げないということではないのです。さっきから申し上げているように、計算をしていきますと、上がる要因ばかりたくさんありますが、上げては困るので、政府主体の電力株式会社をつくったのですと、こう言っておるのですし、しかも、上げないためには、また内地からこれからどんどんと企業が進出したり、発電設備に対しても投資をしなければなりませんから、そういうものに対しては政策的に救済をしてまいりまして電力料金を上げないように努力をいたします、こう言っておるわけでございます。ですから法律で電力料金を上げない、こういうものではありませんが、上げないことを前提にして政策をやっている、またお答えをしておるということは事実でございますから、では、上げないのですなと、こういうふうに見られるのは、これは当然だと思いますし、私も法律で上げませんと書いてないのですから、おおむねそうでございますと、こう申し上げておるわけでございます。そして、そうするためにはお互いに譲り合わなければいけないから、すぐ人員の整理、合理化などを行なわないかということですが、それはそういうことをいま全然日程的には考えておりません。これは合理化が進むならばまあ統合とか、いろいろな過程において自然に整理をされていくということであって、この沖繩の電力をそのまま電力料金を据え置くために一〇%の人はいつまでにやめてもらわなければいかぬ、そういう四角定木なことは全く考えておらぬということを申し上げておきます。
  256. 向井長年

    ○向井長年君 特に政府が出資をして政府がやはり相当な発言力を持つのですよ。そういう中では料金問題を押えようとするならば、ある程度正しい合理化をやらなければいかぬと思いますよ、われわれも。したがって、そういう意味において非常に押しつけが——資金を持っているのだから、こっちが。そういう中でやはり押しつけというものがその会社に出てくる可能性もあるから、その問題を特に私は念を押したわけです。やはり適正な合理化というか、近代化というものは今後ますます進めなければならぬということは前提ですけれども、そういう中で、一番問題になるのは、今度新しくできるところは、やはりいままでのアメリカが持っておった中で、公社の総裁とか、人事問題があるわけですが、これはほんとうの雇われ管理職ですよ、権限があるようでない。今度はそうはいきませんわね。したがって、この人事問題については今後どういう構想でもっていこうとするのか、なかなかこれはたいへんですよ、大臣。それは必ずしも——この問題は安易に考えれば、さっきの配電公社と同じことだと思う。これは私は十分な、むずかしい段階であるから、将来また統合を考えての中であるから、この問題についてはどう対処されるのか、現状のままでいこうとするのか、現状、まあ総裁、副総裁とおりますけれども、あるいはまたそれに対してある程度の適任者を選んでいこうとするのか、その点、これは大臣から答えなければいかぬので、そういう問題ちょっとお聞きしたいと思います。
  257. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 政府実質的には選任をするわけでございますから、いま議論がございましたように、沖繩電力株式会社の持つ公的な使命は非常に重大でございます。これが安定的に質のいい電力、低廉な電力を供給できるかできないかによって、千億の投資力を持つ沖繩アルミも、先ほど申し上げたように、それがきまらなければ投資をはっきりいたしませんと、こう言っておるのでありまして、沖繩のこれからの発展計画の基をなすような問題でありますので、そういう公的な会社の使命というものが完全に遂行できるような適格者を選ぶということだけは基本的に申し上げておきます。
  258. 向井長年

    ○向井長年君 もう時間ですからこれで終わりますが、他の中小企業問題をやれなくなりまして申しわけないのですが、特に、未点灯がだいぶあるのですよ。開発をしなければならぬというところ、これは新しく電源の開発だけではなくて、配電の未点灯に対する供給という問題が残されておると思うのです。これはいままでは、五社配電のほうは能力がないからやらない、これはほんとうは五社がやらなければならぬ問題です。いま公社がやるべき問題じゃないと思うのです。こんな特殊会社がやるべき問題ではないと思うのです。こういう問題について現状のような配電五社ではこれまた不可能、こういう点を特殊会社が手をつけようとするのか、ほうっておかれませんからね。これはそういう問題を今後どういうふうに推移されるのか、この点をひとつお聞きいたしたいと思います。
  259. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 沖繩県の電力問題は通産省が直接責任を負うわけでございますから、これはひとつ徹底的に調査をいたします。そして、私もこの間から聞いておりますと、まだカラーテレビが入るというのには、わかりますが、テレビが入るのには何年後だとか、いろいろな問題があります。そういう中に御指摘になったように、台風でもって架線が切れるとそのまま送電がとまることが何週間とか、いろいろな問題もあるようですし、まだ電力の問題では相当問題があることもわかりますので、これは通産省が責任を持って何年間で移行いたします。その事業体はどういたしますというようなものは、ひとつ復帰が実現すれば通産省が責任を負います。負ってまいるように努力をいたします。
  260. 向井長年

    ○向井長年君 時間がまいりましたのでこれで終わりますが、通産大臣、その意欲けっこうですし、大いにひとつがんばっていただきたい。ところが、まだ十分詳細に通産大臣はわからぬと思うのです。山中長官はよく知っておりますからね、はっきり言うならば、配電の中でそんな施設といいますか、施設、配電線、こんなものはめちゃめちゃですよ、これを整備するのは金も要りますよ、そういう問題を彼らにまかしてはできない、これを十分ひとつ調査されて、ここに書いてあるように適正な、円滑な、豊富な電力供給のために、これは産業の、国民生活の基盤でございますから、これを推進していただくようにひとつ強く要望しまして、私の質問を終わります。総理、御苦労さまでした。
  261. 長谷川仁

    委員長長谷川仁君) 星野力君。
  262. 星野力

    ○星野力君 私は、まず沖繩の基地労働者の問題についてお尋ねしたいのですが返還に伴って米軍基地労働者の雇用関係が変化すると思いますが、その具体的な手続について、ごく簡単でよろしゅうございますから御説明願いたいと思います。
  263. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) いわゆる直接雇用から間接雇用に変わるのであります。
  264. 星野力

    ○星野力君 その変わる場合の手続ですね、それをお聞きしておきます。
  265. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 今度は日本政府と軍労務者の間で労務契約を結ぶ、こういうことになります。
  266. 星野力

    ○星野力君 おそらくアメリカ側からいま働いておる人たちのリストとか何か出ると思うのでありますが、アメリカ側が日本側に労働者の名前を知らせて事実上それを引き続いて雇用する、そういうことですか。
  267. 島田豊

    政府委員(島田豊君) 現在米軍あるいは米軍の中にあります諸機関に雇用されております従業員を引き続き米側が雇用いたします場合には、先ほど外務大臣から御答弁がありましたように、わが国が雇用主となりまして米側がそれを雇用するという、いわゆる間接雇用形態になりますが、この手続につきましては現在給与その他の労働条件等につきまして日米間で協議中でございまして、この協議がととのいました段階におきまして、組合側とも十分お話し合いを申し上げ、さらに米側とも折衝することになろうと思います。  そこで、いま御指摘のように、引き続き雇用されるという者につきましては、わが国のいま本土にあります各種の契約、つまり基本労務契約なり、あるいは諸機関労務協約なり、こういう契約に基づきまして引き続き雇用が行なわれる、こういうことになるわけです。
  268. 星野力

    ○星野力君 現在働いておる人がそっくりそのまま引き継がれるということならいいんですが、その間に人数なんかの問題ですね、変化が考えられるのですか。
  269. 島田豊

    政府委員(島田豊君) 米軍の基地の縮小に伴いまして、それからやはり若干の解雇者というものが出てくることが予想されます。私どもとしては、一挙に大量解雇が出ることがないように、十分米側とも折衝いたしたいと思いますが、若干の解雇者が出ることは避けられないというふうに考えております。
  270. 星野力

    ○星野力君 その場合、いわば選別が行なわれるわけだが、その選別に対して日本側も相談に乗るのですか、どうですか。
  271. 島田豊

    政府委員(島田豊君) 具体的な人につきまして一々相談に乗るということはないと思いますが、本土の場合でございますと、一つの職場がなくなりまして、それに伴いまして解雇が行なわれる場合には、大体従来の慣行からしますれば、若年者のほうから解雇されると、こういうことになっておりますので、大体そういう原則がとられるかと思いますけれども、個々の人についての相談は受けないと思います。
  272. 星野力

    ○星野力君 私たち心配しますのは、その際に、米軍にとって好ましくない人物をリストに載せない、引き継がないというようなことが起こることであります。そういうことが起きますと、これは不当労働行為を構成するわけでありますが、政府日本人労働者の権利を守るためにそういうことのやられないようにする責任があると思いますが、それについてどうお考えになりますか。
  273. 島田豊

    政府委員(島田豊君) 原則的には、先ほど申しましたように、比較的若年のほうから解雇されるということでございまして、具体的にどういう人を解雇するかということにつきましては、やはりそれぞれの職場の変更によりまして、ある一定の職種がなくなるというふうな形においてその該当職種の者が解雇されると、こういうことになるわけでございまして、その間にいわゆる不当労働行為的なものは、本土の場合にありましても、最近はそういうことはございません。
  274. 星野力

    ○星野力君 政府説明をこれまでお聞きしますと、日米安保条約及びその関連取りきめというものが変更なく沖繩に適用されるということでありますが、本土並みに沖繩に適用される安保関連取りきめの中には、当然、地位協定が含まれると思いますが、そうですか。
  275. 島田豊

    政府委員(島田豊君) 現在の地位協定の十条四項で、「現地の労務に対する合衆国軍隊及び第十五条に定める諸機関の需要は、日本国の当局の援助を得て充足される。」ということがございますし、その他の条項がございますので、この地位協定がそのまま適用されると、こういうことになるわけでございます。
  276. 星野力

    ○星野力君 沖繩協定第七条の三億二千万ドルの対米支払いの問題ですが、あの理由の第三のところにあげられておる事項ですね、「アメリカ合衆国政府復帰後に雇用の分野等において余分の費用を負担することとなる」云々とありますが、これは何を意味することでありますか。
  277. 島田豊

    政府委員(島田豊君) 今度の返還協定第七条にございます「アメリカ合衆国政府復帰後に雇用の分野等において余分の費用を負担することとなること等を考慮し、」と、これはこの七条関係の合意議事録がございまして、ここで、沖繩における「合衆国軍隊の日本国民である被用者について復帰後に行なわれるべき退職手当の計算及び支払に関し、」……。
  278. 星野力

    ○星野力君 わかりました。
  279. 島田豊

    政府委員(島田豊君) この条項でございます。
  280. 星野力

    ○星野力君 それに該当する金額が七千五百万ドルということでございましたね。この七千五百万ドルの根拠はどこにあるか。退職金の差額にしては一見多過ぎるように思われるのですが、どうしてそういう数字になったか、簡単に御説明願いたいと思います。
  281. 前田多良夫

    政府委員前田多良夫君) お答えいたします。  これは、ただいま御答弁がありましたように、復帰なかりせば米軍が負担したであろうところの退職金と、復帰によりまして本土の退職金の計算方式を復帰前にさかのぼりまして、つまり雇用期間を通算いたしまして支給することになることとの差額でございます。その場合に、復帰時におきますところの人員でございますが、これは、昨年十二月初めの人員から過去の変動率等を勘案いたしまして、約二万一千人と仮定したわけでございます。また給与は、昨年十二月初めの給与から過去の上昇率、これは年率約一〇%ということでこれを考えたわけでございます。それから復帰前にそれでは大体どの程度の勤続年数があったかと、これは過去の計数でいきますと、平均十年ということでございまして、十年というふうに仮定いたしました。それから復帰後は十五年間で全員が退職する、これが本土の実績でございますので、そういう仮定をとったわけでございます。それらを前提といたしましてこれらの計算をいたしますと、約一億ドル程度になるのでございますが、これは五年間で先払いするようなかっこうになる部分がございますので、その分は金利分として差し引きまして、約七千五百万ドル、こういうふうな計算をいたした次第でございます。
  282. 星野力

    ○星野力君 いま言われた二万人というのは何でございますか。
  283. 前田多良夫

    政府委員前田多良夫君) 約二万一千人でございますが、これは来年四月一日に復帰するという前提で、四月一日現在におきますところの一種二種の雇用員でございます。
  284. 星野力

    ○星野力君 そうすると、毎年の退職者を平均してどういうふうに見ておられますか。
  285. 前田多良夫

    政府委員前田多良夫君) これは復帰後十五年間に平均いたしまして均等に退職する、こういう仮定をとっております。
  286. 星野力

    ○星野力君 均等に退職するというと、一年間二千人ということですか。もっと少なくなるかな。十二月十一日の衆議院の本委員会で、やはり前田政府委員から上原委員の質問に対する答えの中で、毎年平均二万人がやめるというような答弁がありますが、そのとおりなんですか。
  287. 前田多良夫

    政府委員前田多良夫君) そういう答弁はした覚えがございませんのですが、ただいま申しましたように、十年間の勤続の方々が復帰後十五年間に全部退職する、そして一応、毎年均等退職という前提をとった次第でございます。
  288. 星野力

    ○星野力君 この議事録にはあなたの発言として、「復帰後十五年間に毎年平均して約二万人の方々がやめていかれる、」と、こう書いてあるわけですが、それはいいとしまして、いまの御説明でもわかりますように、これは基地労働者の退職金の一部を事実上日本側が負担することでありますから、明確に地位協定に違反しておると思うわけであります。地位協定の二十四条一項には、「日本国に合衆国軍隊を維持することに伴うすべての経費は、2に規定するところにより日本国が負担すべきものを除くほか、この協定の存続期間中日本国に負担をかけないで合衆国が負担することが合意される。」と、こうありまして、二項には、この施設・区域の提供費、つまり土地代その他を言っておるだけでありまして、こういう軍隊の維持費ということは書かれておらない。米軍基地に雇用される労働者の人件費、労務管理費、そういうものをはじめ、米軍の駐留費はすべて米軍が負担するということがはっきり書かれておりますが、これはきわめて明白な規定であります。それにもかかわらず、協定第七条のさっきあげた個所は、この地位協定二十四条の第一項、この規定にはっきり違反しておるのではないかと思います。違反しておると思いますが。
  289. 井川克一

    政府委員(井川克一君) 先ほど前田議官が申し上げましたとおりに、この七条の合意議事録によりまして、一九五二年四月にさかのぼりまして、しかも日本内地で行なわれておりまする間接雇用の労務基本契約というものをさかのぼりまして適用するわけでございます。そして、その差額を見ようというわけでございまするから、これは別段、もともと復帰なかりせば、アメリカ軍が払うものではございません。たいへんな労務者の上積みになるわけでございます。これは沖繩における軍労その他の強い御要望によりまして、私どもいろいろ考えまして、そして労務者のためにも、また日本政府とアメリカ政府との間の、公正妥当な解決をはかるためにも、これが一番いい方法であるということを考えたわけでございまして、二十四条はその退職金ももちろんアメリカ側が負担いたしますが、ここの場合における退職金と申しますものは、普通の状態においてアメリカが負担すべき退職金である。この場合はその上に上増しが積んである、こういうことでございます。
  290. 星野力

    ○星野力君 説明を聞くと、なかなかむずかしい問題のようでありますが、先ほどは返還がなかったらアメリカが負担する必要のない費用だという意味のことを申されましたが、どうもそういうことは絶対に言いわけにはならぬように思うわけでありますが、返還後、この安保条約や関連取りきめが沖繩に適用されるということ、また退職金制度本土並みになることはアメリカ側も承知の上での取りきめが行なわれておる。地位協定の規定からしても、問題の費用が、アメリカ軍隊を維持することに伴う経費の中に入らないということは、どうしてもこれは解釈できないんですが、そういうふうに解釈できるとしたら、それはそのほうがおかしいんじゃないかと思う。私は明らかなこれは地位協定の違反だと思いますが、したがって、この責任をどうするかという問題があると思うんですが、もう一度その辺についてお答え願いたいと思います。
  291. 井川克一

    政府委員(井川克一君) 地位協定は復帰と同時に適用になるものでございます。間接雇用労務基本契約も復帰と同時に適用になるものでございます。それ以降のものにつきましては、これはアメリカ軍が払うということは当然でございます。しかし、先ほど来申し上げておりますように、一九五二年四月に基本労務契約をさかのぼって適用して、その上積みの分を日本が支払うというわけでございまするから、地位協定二十四条と全く違反しないわけでございます。
  292. 星野力

    ○星野力君 先ほどの前田政府委員の御説明によりますと、返還後における賃金ベースのアップ、それも退職金の支払いの中に基準として織り込まれていくようでございますが、そうしますと、これはやはりアメリカの責任においてやられることだと、そこからも考えられるんじゃないですか。
  293. 前田多良夫

    政府委員前田多良夫君) 先ほど申しましたのは、退職金の計算の場合には、退職時における給与が幾らかと、こういうことが基本になりますので、退職時における給与というものが毎年一〇%ずつ上昇すると、こういう前提計算いたしましたと、こういうことでございます。
  294. 星野力

    ○星野力君 どうもわからないんですが、実際には返還時に前の退職金は払われないでそのままずっと引き続いておる。そうしてこれが実際に退職して支払われるときには、その後の賃金アップも計算して基準にして支払われると、こうなりますと、どうしてもこれはアメリカのやるべきこと、地位協定からしまして。しかも返還十五年後も見通して日本政府がいろいろめんどうを見なければならぬというのはどうも理解しにくいんですが、ちょっと。そこで、十五年後ということを言われましたが、政府は一体いつまで沖繩に米軍基地の存続を許しておくつもりなんですか。これは総理が一番いいと思うんですがね。総務長官、この間、十年でもって首をかしげてしまったので。
  295. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) ただいまの、何年後までということが言えないんです。これ以上ふえるということはありません。しかしながら、これからどういうテンポで減っていくか、これは国際緊張がどうなるか、極東情勢がどういう変化を来たすか、これに従うことでありまして、いま予見はできませんでございます。
  296. 星野力

    ○星野力君 どうも金の問題というのはわけがわからないんですが、返還金、賃金も退職金も日本政府の手を経て支払われるのでしょう。それなら退職金の差額を日本政府から退職者に払えばいいわけで、それを先にアメリカ側に渡すという根拠は一体何ですか。どういう必要からそういうことが起こっておるのですか。これは大臣だろうな。
  297. 井川克一

    政府委員(井川克一君) 現在地位協定のもとにおきまして、間接雇用になっております基本労務契約が適用され、それに従いまして退職金も一つ手続によって支払われているわけでございます。アメリカ軍が全部支払っているわけでございます。この制度——先ほど来申し上げておりますことによりまして、日本側が負担いたしまして上積み分を別々に個々の労働者に支払うということもなかなかむずかしい問題でございます。それよりも日本内地で行なわれておりますように、基本労務契約をきっちりやりまして、それによりましてアメリカ側が一括して支払う。しかし上積みの分がある。それは先ほど申しておりますような計算方法に従いまして、一括してこの三億二千万ドルの中で支払って、そして現在内地で行なわれておりまする方法と同じようにやるのが一番便宜だと、こう考えた次第でございます。
  298. 星野力

    ○星野力君 どうも答えになっておらないじゃないですか。実際には日本政府の手を経て払われるんでしょう。それなら日本政府が払うとき、何も一度にみんなやめるわけじゃありませんから、そのつど払っていったらいいわけだ、日本政府が。なぜそんなアメリカに先にまとめて渡してしまうのか、こういうことを聞いておるんですよ。
  299. 島田豊

    政府委員(島田豊君) 本土におきます退職金の支給率と沖繩における退職金の支給率が異なっております。たとえば勤続年数十五年ということを見ますると、人員整理の場合におきまして本土が一〇〇といたしますと沖繩は七〇・八、それから同じ勤続年数で自己退職をいたしました場合の退職率は、退職金を比較してみますと、本土が一〇〇の場合に六二・三と、こういうことでございまして、まあアメリカ側としましては、沖繩の退職金をずうっと今後延ばしていくというその場合の退職金の支給率と、それから本土にまいりまして、本土並みの退職金の支給率というものを支給する場合と、そこに差額が出てまいるわけでございます。したがいまして、その差額を一九五二年から起算いたしまして、この場合に、本土で、本土といいますか、日本政府が支払うと、こういう趣旨がこの中にあるわけでございます。
  300. 星野力

    ○星野力君 幾ら聞いてもそれはわからないんですが、なぜこんなやり方をするのでしょうね。とにかくおかしい。そして私は地位協定違反だと思います。それから積算の根拠にしても何か十五年先の賃金ベースまで考えてやっておられる、何か実際的ではないと思うんです。この問題は何かの理由をつけて日本政府としてできるだけたくさんの金をアメリカに渡す、そのために理屈をつけた退職金の格差を口実にしたと、そうとしか受け取られない。そういうことが一体許されていいものかどうか、もちろんよくないわけでありますが、そうじゃないんですか。一体どうしてこういう支払い方がやられたか。これは外務大臣ひとつ聞かしてください。
  301. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 今度の支払い交渉におきまして、まず資産小計、これが一億七千五百万ドル、それからいまお話しの労務費の負担分が七千五百万ドル、それから、さらに七千万ドルの上積みをした、との上積みに対しましては、アメリカからかなり多額な要求があったんです。しかしながら、そうそう支払うわけにもいかぬ、こういうので、ずいぶん多額な要請でございましたけれども、まあ値切ったというと語弊があるかもしれませんけれども、われわれといたしましては、ただいまの二億五千万ドルと、それから、これから米軍が引き揚げていく、その際に相当多額の資産をただで置いていく、それから核問題がある、あるいは特殊部隊の撤去問題がある、そういうようなことを考慮いたしまして、総計三億二千万ドルと、こういうふうにしたと、こういうことでございます。
  302. 星野力

    ○星野力君 実際はこの七千五百万ドルとか、七千万ドルとかということじゃない、ごっちゃにして三億二千万ドルと、こういうことですね。沖繩の基地労働者の待遇を返還後に改善していかなきゃならぬ、これは当然でありますが、どうもそれに名をかりたところの、いまの七千五百万ドルというのは、それに名をかりたアメリカに渡すほんとうのつかみ金、まあ別のことばで言えば施政権買い取りの資金の一部というふうな性格のものではないかと思われるわけです。どうもいままでの説明だけでは、地位協定と別の問題だと言われますけれども、こういう金を出した法律的根拠、あるいは政治的な判断の根拠というのは何ですか。
  303. 井川克一

    政府委員(井川克一君) このための法律的根拠というものは別にないわけでございまして、先ほど来申し上げておりまするように、日本側がこういう措置をしてくれということによりまして、アメリカ側に上積みを払うということでございますので、これが非常にすべての人のために公正妥当なる措置である、こういうことでございまして、たとえば、ことしの四月の沖繩全軍労からの要請書にも、退職金をアメリカが払わないで、それを一応日本政府が保管してくれというふうな要請書があったわけでございまするけれども、また皆さま方の御意見も聞きまして、またアメリカ政府と打ち合わせまして、このように公正妥当なあれをとったわけでございまして、全軍労の方々もこれで御満足を得ていると、私どもは思うわけでございます。
  304. 星野力

    ○星野力君 外務大臣、いまの答弁のとおりでよろしゅうございますか。
  305. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) ただいまの答弁のとおりでございます。
  306. 星野力

    ○星野力君 まあ外務大臣、これまでこの問題について高度の政治的判断に基づくというようなことも言われて、きょうはまあ言われないですけれども、高度の政治的判断、それから先ほどの御説明、要するに、これは世間のことばで言えばつかみ金、その性質から言えばこれは政治的なやみ取引と言ってもいいのだと思うのですが、こんな金を払う必要が一体あるのでしょうか。アメリカ側は、協定の審議をやった上院の外交委員会でも、御承知のように、ロジャース国務長官をはじめいろいろ説明しておりますように、沖繩の施政権返還によってアメリカは多額の金を節約できるのである、そう言っておる。その上にさらにこんな金を追い払いする必要があるものかどうか。まるで沖繩返還を金で取引しておるようなものでありますが、私はいろいろ言われたけれども、これは地位協定二十四条一項に対する違反だと思っております。私は高度であろうが低度であろうが、政府の政治判断によってこういう国際取りきめや法律に対する違反が許されてはいけない。そういう立場からこの問題の責任を問おうと思っているのですが、どうですか。協定違反じゃございませんか。外務大臣自身ひとつ。
  307. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) これは協定違反であるどころか、もしこの取りきめをしておきませんと、わが国の軍労務者に対する支払いが軽減をされる、米軍労務者として勤務した期間の米軍のペイ、それに対する評価がこれは減少する、こういうことになる。これは私は軍労務者のために非常にいいことをやったと、こういうふうに考えております。
  308. 星野力

    ○星野力君 私が言っているのは、これはアメリカに払わせなきゃならぬと、そういうことを言っているのです。しかも日本政府は、ある面では二十四条一項に対しては非常に厳格にやっておる点もあるのですね。一昨年七月八日の衆議院の内閣委員会で、米軍基地に働く国家・地方公務員、防衛施設庁の労務部の職員とか、県の渉外労務関係の職員とか、この給与がアメリカから支払われている問題、これは当時新聞でも大きく取り上げられた問題です。毎日新聞は一面のトップで「米軍給与の〃雇われ公務員〃」と大見出しでこのことを報道しておりますが、この問題について当時の山上防衛施設庁長官はこう言っておりますよ。これは安保条約に基づく地位協定第二十四条が根拠でございます、その第一項に云々と、いわゆる施設・区域を提供するための経費、これは日本政府が負担すべきであるが、それ以外の経費はすべて米軍が負担することになっておりますと、私はどうしてもやはりこれに該当する経費だと思いますが、そうじゃないでしょうか。
  309. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) まさに返還日までの給与につきましては米軍が一切の責任を負います。これは一応普通にやれば返還日に解雇になる、そして新しくわが国が雇用をする、こういうことになるわけです。その返還日におきましては、米軍労務者に対して少ない額のアメリカ基準の額が支給される、こういうことになる、それを防止しよう、こういう趣旨でさような協定を結んだと、こういうことでありまして、地位協定の違反とは考えておりません。
  310. 星野力

    ○星野力君 私は返還後にこの退職金を返還以前の分にさかのぼって払うということなら、これはやっぱり米軍の維持のために必要な経費として米軍が支払うべきものだ、その返還のその時点において払ってしまった、そこで始末がついているなら別問題ですけれども、アメリカも支払わないで延ばすことを利益としてこういう取りきめをやっているからには、これはアメリカが支払うべきものだ。それが地位協定からしても当然なアメリカの義務になると、そう考えます。もう時間がないんで、あんまり言い合っておるわけにもまいりませんが、私は大体、この問題だけじゃありませんけれども、日本政府の態度が弱過ぎる、卑屈であると思います。二十三日のあの記者会見で、ロジャース国務長官が言っておるじゃないですか。日本はアジアにおけるアメリカの安全のためのキーストーンだ、またアメリカと日本が相互信頼を保つことが決定的に重要なんだと、こう言っておるでしょう。日本がアメリカにとって大事なんですよ。この沖繩協定や関連諸法案、それらに示されておるようなこういう態度ではなしに、こんな態度はアメリカに対してとる必要はない。もっと日本が胸を張って、アメリカと交渉できる立場に日本はあるんだと、こう思うんであります。もうすぐ総理、サンクレメンテの交渉の場におもむかれるわけですが、どうですか、日本はもっと胸を張っていろいろな問題を取りきめなきゃいけない。いままでのこの協定やその他においてやったことでも、悪いことはもうやめていかなきゃならぬと思うんですが、総理、いかがですか。
  311. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) せっかくの星野君の御意見ですが、私はいままでアメリカと交渉した外務当局、ことに外務大臣、これは胸を張って、ときにはなかなかアメリカの高い鼻も折り曲げて交渉したと、かように私考えておりますので、政府は皆さん方の鞭撻を受けて、その線に沿って十二分に国民の利益、それを守る立場で交渉したと、かように思っております。
  312. 星野力

    ○星野力君 これでやめましょう。     —————————————
  313. 長谷川仁

  314. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 私、初めに通貨切りかえの問題について質問いたします。  まず、総理にお尋ねいたします。沖繩通貨切りかえの問題につきましては、非常に深刻などたんばまで追い詰められていることは御承知かと思います。立法院の決議によりますと、沖繩経済は壊滅的な危機に直面しておると、こう結んでおるのであります。その実情に対して、結論的には一ドル対三百六十、そして直ちに切りかえてほしい、こう一貫して訴えておるのであります。それに対して総理はどうお答えになるでありましょうか。
  315. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 円が強くドルが弱い、これがドル圏の生活をしておられる沖繩県民にとりましては、これはたいへんな問題だと、かように思っております。近く祖国復帰すると、その場合にわれわれがかせいだドルは一体どうなるのか、これはほんとうにたいへんな思いだろうと思います。でありますからこそ、この前、変動制に移行した際に一応の処置はとりました。そうして、最も目に見えて不当な扱いを受けられる、あるいは損害をこうむられると、かように考えられる学生、長期療養者、また内地の物資等の移入に生活物資が八〇%も依存しておるのだから、そういうことで、物価の値上がりに対する対策は一応とったはずであります。また、その際に一応三百六十円で換算すべき金額等の登録も済ましたわけであります。しかしながら、今日固定相場になった。三百八円、これがきまった。まあ、従来のような、将来一体どこにいくだろうかというような不安は一応なくなった。しかし、今度は現実の問題で三百六十円と三百八円、五十二円の差、これは一体どういうようにしてもらえるだろうか。これが沖繩県民のひとしく不安に思っておられることだと思います。これらの点については、大蔵大臣あるいは総務長官、これなどが現地の皆さん方とたびたび交渉もし、十二分に御意見も伺い、それに対して何らかうまい処置ができるならこれもいたしたいと、かように考えながら、大蔵大臣外務大臣山中総務長官など、この問題と取り組んでおるようです。しかし、ただいまの状況のもとにおきましては、いわゆる底の抜けた円・ドル交換というわけにもいかない、こういうことでずいぶん苦心している最中だと思っております。何か意味を持たしたような答弁をすれば、必ず投機的な要素もそこに加味されると、かように思いますので、私はこれより以上のことを申し上げない、申し上げることもできませんが、われわれは一応最も緊急を要するものについては対策がとれたと、かように実は考えておりますので、なお詳細についてはそれぞれの大臣からお聞き取りをいただきたいと思います。
  316. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 円切り上げに関する政府声明の中から受けとめられることは、一つは、復帰後すみやかに決定どおり実施する、二つは、本土からの輸入物資に対する措置を引き続き実施する、三つは、復帰後の沖繩経済の振興開発に当たっては一そう積極的に推進すると、この三つが政府声明の中に円切り上げに関連してうたわれておるのであります。これでは、沖繩復帰以前における、いま起こりつつある問題に対する対処、これをいま切実な要求として訴えておるわけであります。復帰後にどうするということにつきましてはね。そうして、またこの第二の柱にいたしましても、いろいろな問題を含んでおります。いわゆる消費者大衆が毎日毎日追い詰められておるこの苦しみ、不安、これをどう一体考えてくれるのだ、ここに追い詰められた立場があるわけなんであります。これに対して、もっと大蔵大臣、どうこれに対して考えておられるか、ひとつお答え願いたい。
  317. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 復帰後の問題については、いま御審議願っておるいろいろの諸法案によって措置するということによって、沖繩の復興開発について私どもは十分骨折ることができると存じますが、問題は、復帰前の対策ということにいたしますと、いま総理府で心配されておったような形で、沖繩の内地から輸入する生活物資の値上がりに対する補償というようなものを、さらに実情に応じて強化するということがやはり当面一番有効であり、かつ可能な方法であると存じます。そういたしますというと、ここで円とドル交換比率もはっきりしたことでございますので、したがって、いまできておるようなこの安定基金に対する政府の補助というようなものも大体計算がつきますし、沖繩政府にしましてもこの運用を本格的にこれからやれることになるだろうと思いますので、そういう形によって復帰までのいろいろな起こり得る不便に対して対処することが一番賢明であるというふうに私は考えております。
  318. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 この二、三日来、沖繩の代表が上京しまして各関係大臣にも政党にも強い要望があることは御承知だと思います。一貫してそこから受けとめられる姿勢と申しますか、答弁は、沖繩混乱して困っておることはよく存じておる、よく知っておる、しかし、相手があることなので非常に問題は困難であると、こういう形でその回答がなされているのですね。それじゃ困難であるからがまんしようというのであるか、一体、沖繩県民はどうすればいいのであるかということにいま迷うておる、また政府に対して求めておることであります。それに対して担当大臣として山中大臣ひとつお答えを願いたいと思います。
  319. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 復帰前の円・ドル交換、しかも三百六十円という問題が県民全体の御要望として、固定相場が定まりました後、あらためて盛り上がって連日御上京なさっていることは私も胸を痛めてよく承知いたしておるつもりであります。しかしながら、それに対してかりにまあ外交問題でもあるから、あるいは施政権下の布令の問題でもあるからということで折衝をして、だめであった場合、あるいはそれが思うとおりにならなかった場合にそれをどうするかという問題になりますと、これは生活物資に対する措置が一体どの程度県民生活の面に貢献をし得たのか、そして足らなかった点のマイナス面は幾らになるのか、あるいはドルチェックをいたしました後に補償された以外の付加価値あるいは国民総生産の伸び県民所得伸び、中には逆に減る人もあるわけでありますが、そういうもの等を復帰までの間にどのような措置本土政府が国家としてとろうとするのか、これらについては現在のところは復帰前に円・ドル交換ができるかどうかの問題とあわせ検討しなければならない問題と考えております。
  320. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 政府が今日まで行なった差損補償については、たとえば差損額の十億円あるいはそれに追加と、こういうことは一応了承しております。ところが、それがなぜそのような施策を、手を打たれても、現地は依然としてますます不安と混乱におちいっておるかということに問題がある。これはただ金をやったからそれで解決できるものじゃない、現実に消費者大衆の毎日の生活あるいは中小企業といった立場の大衆がますます窮地に追い込まれている、破綻状態に追い込まれておるというそのことと照らし合わして十分配慮してもらわなければいけない、このことを強く私はあらためて、重ねて申し上げて、それに対する対処をしてもらわぬ限り、現地はそのままではとにかくがまんしない。絶対に黙っておらない。このことを強く申し上げ、さらに今日まで国会を通じて総理はじめ大臣が述べられた沖繩にいかなることがあっても不利益を与えぬとか、あたたかく迎えるとか、あるいは豊かな沖繩、平和な沖繩と、こういうことをおっしゃったところで、現実の実情はこういう状態、ますますそこからはね返ってくるのは冷たさであり、何を言うか、何を言うかと、こういう反撥しか起こってこないことはこれはきわめて当然である。このことを強く私申し上げまして、とにかく黙ってはおれない、もう追い詰められたこの県民の立場をどうそれにこたえてやるか、それが復帰後に備えるまた配慮であると、こういうことを強く申し上げ、それに対する総理の御見解をもう一ぺんひとつお願いいたしたい。
  321. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) いま大綱については私申し上げましたし、おそらく大綱は、大筋は、これは沖繩県民もわかってくださると思います。私はアメリカの施政権下において円・ドル交換、旧レートでこれを取りかえることができるか、あるいは今度の固定相場制に変らざるを得ないか、ここらにもなお検討を要するものがあるように思います。しかし、私はいまの状態ではアメリカの布令、それから見まして、施政権下にある沖繩、ここに通用する通貨、これはドルに限られている、そうしてドルだけの範囲で流通しているなら、これはそう影響もないはずでありますけれども、とにかくドルが円に変わるという、復帰したら円に変わるのだと、そこに問題がある。それがただいま申し上げるように、この前の流動制の為替から今度は固定制に変わったと、こういうところで一部の不安は除かれたと、かように思いますけれども、今度は現実の問題として、固定相場に変わった五十二円の差額、それはたいへんな損失じゃないかと、こういう評価損がどうも計算されがちだ。ことにそういうものが一般的に何らか政府として援助する方法があるか、それが消費者物価にはね返ると、こういう段階なら、それに対して手が打てますけれども、どうもそれ以外のことはなかなか打てないと、こういうのがいまの現状ではないだろうかと思います。しかし、私は一番大事なことは、いま本土でとろうとしておること、また本土でいまとってきておること、これを正しく理解していただくように十分もっとPRをする必要があるのじゃないだろうか、かように思いますので、それらの点についてなおわれわれも努力をいたします。いま喜屋武君の言われるように、この状態でも何か政府にはやれることがあるのじゃないかと、こういうことを言われたいのだろうと思いますし、早急にドル・円の交換を実施しろと、このことが具体的に言われるのだろうと思いますが、まあそういうような点をも含めて、全般的にさらにわれわれはもっと問題を掘り下げてみる、こういう努力をしなければならないように思います。
  322. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 この問題、大蔵大臣に三百申し上げておきます。大臣は、切り上がった円、すなわち強くなった円に返るのであるからいいのではないかといった、こういった態度でおっしゃっておられることに対して、沖繩県民代表が非常な反撥があるということを知っていただきたい、以上申し上げておきます。それに対して。
  323. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 為替相場の変更ということは、本来もし円が切り上がったという場合には、切り下がった通貨交換じゃなくて、切り上がった、価値の出た通貨交換ということはそれ自身損ではないのだ、しかし、約束があったために三百六十円との差額はこの切り上がった円でまたその差額を埋めるということをすれば、この為替変更による損というものは現実にはないのだという説明をしたので、それはそのとおりだと思います。  それから、すぐに円とドルをかえろということでございましたが、これは、いま持っておるものをかえるということは簡単なようでございますが、いま総理答弁されましたように、円とドルを即時交換しろということは、沖繩の地域を円通貨の地域に即時切りかえろということでございますので、これに関する問題はそう簡単ではなくて、施政権の問題もございますし、いろいろ研究すべき問題がありますから、これは少し研究させてくださいということを言っておるので、そういう問題と離れてやれば、すぐあしたにでもできるのじゃないかという感覚を持って非常に言われることに対して、私が御説明したということでございまして、決して私は間違ったことを申した覚えはございません。
  324. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 次に、公用地法案に関連してお尋ねしたいと思いますが、時間もありませんので、まあ法的立場からしますと、専門家でもありませんので、そういったしろうとの立場から見ましても、見れば見るほど、聞けば聞くほど、あの公用地法案には幾多の疑問、疑惑があるということはいまさら申し上げるまでもありません。私なりに取り上げた問題点についてお尋ねしたかったのでありますが、時間がありませんので、私一つ二つこの機会に明らかにしておきたいのでありますが、私は前の質問の中で、日米共同声明以後沖繩における全軍労の諸君の解雇が非常に波状的に激しくなってきておる、ところが、それに対しての基地の縮小撤去がそれに伴っておらない、こういうかみ合わない形での解雇があるがということをお尋ねしたわけでありますが、去る十月二十八日のアメリカ上院外交委員会の公聴会でパッカード国防次官は、日本自衛隊の沖繩防衛の肩がわりで引き揚げる云々という証言の中で、二千七百名ぐらい引き揚げるということを証言しておられることは御承知かと思いますが、そういう中で、そのかわり自衛隊が六千八百名配備されると、そうすると差し引き四千名ふえるということになりますが、これは一体どういうわけかということを伺います。
  325. 江崎真澄

    国務大臣(江崎真澄君) 二千七百名が引き揚げますが、まあとりあえず、わがほうとしましては六カ月以内に三千二百名と、こういうわけでございます。そして、まあ二年ぐらい期間を見まして、その間に六千八百名というわけでありまして、とりあえずは三千二百名程度を考えておるわけであります。
  326. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 重ねてお尋ねしますが、その六千八百名の肩がわり配備によって、沖繩の基地労働者が解雇される等の関連において、いわゆる沖繩の基地労働者を解雇して自衛隊に今度は肩がわりさせるという、こういう心配はありませんか、どうか。
  327. 江崎真澄

    国務大臣(江崎真澄君) そういうことはございません。
  328. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 あえてそれをお聞きしますのは、その肩がわりによって、いわゆる基地の安上がり維持をしようという意図があるのではないかという見方もあるわけなんです。それがいまお答えのとおりであればいいとしまして、そういうことは絶対にあり得ないと、こうおっしゃるんですね。
  329. 江崎真澄

    国務大臣(江崎真澄君) そういうことのないように今後配慮してまいります。したくないと思っております。
  330. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 それじゃ重ねてお聞きしますが、沖繩の軍用基地がどのような形で戦後接収されたかということについては、防衛庁長官御存じでありましょうね。お答え願います。
  331. 江崎真澄

    国務大臣(江崎真澄君) よく知っておるつもりでございます。
  332. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 あえて私がそれを念を押しますのは、私も沖繩戦の生き残りの一人であります。だから戦後の沖繩の基地がどのような足あとをたどって接収されたかということはこの目で、私、証言人であります。すなわち、生き残った沖繩の人々が山から、壕からおりてみたら、すでに二四%という基地が接収されて基地化されている。そこから沖繩の戦後が始まった。そうしてそれだけではない。さらにその後の接収がアメリカの銃剣のもとに、ブルドーザーのもとに、こうして銃剣とブルドーザーのもとに県民はおののきながら接収されてきたというのが、戦後の沖繩の基地なんです。そして、今日までもたびたび私が質問の中で言いましたあのゴルフ場、泡瀬ゴルフ場、その泡瀬ゴルフ場もすでに確保されて、そこに立て札がありました。そこに、「無断で通る者射殺することあるべし」と、そこを通る者は射殺するぞという立て札があったのです。こういう無謀な状態の中で、沖繩の戦後の軍用地というものは接収されてきたわけです。それが合法化されまして、さらにそれを合法化しようとするのがあの軍用地法案ということになるわけでありますが、私はそういう、ことに沖繩県民が戦後どのような状況の中であの軍用地を奪われてきたか、そうしてそれが銃剣とブルドーザーのもとで強引に捺印させられた契約というものも、あれは合意の上の契約ではないのです、実情は。こういう状態の中で、戦後の軍用地が始まってきたわけなんです。それにさらに、それを是として公用地法案なるものがさらに米軍に提供される、あるいは自衛隊に提供される、こういう形であるわけなんですが、それにはいろいろの立場からの疑問、疑惑、違憲性もあるということが国会論争の中であったことは御承知のとおりであります。私はこういう実情をよく知っておればこそ、そういった面からもあの特別措置法の三十一条によって私は裏づけられていくのではないか。あえて公用地法案をあらためて立法して、それによってさらに合法化していくということは要らぬのではないかと、こういう見解を持っておるものでありますが、いかがでありましょう。
  333. 江崎真澄

    国務大臣(江崎真澄君) これはここでしばしば申し上げてまいったわけでありまするが、敗戦という冷厳な場面で勝者がいかに横暴にふるまったか、これは想像にかたくありません。いまおっしゃった話は私は全部真実だと思います。ところが、これは施政権返還というまことに例外の、寸時も空白をおくことのできない場面で基地を提供したり、また解除された所へ自衛隊が主権の存するところを配置されるというわけであります。そこで十分話し合いができなかった土地所有者とは、これは今度はそれこそ安保条約の適用ばかりでなくて、あらゆるものが本土並みになるわけでございますから、そこでわれわれはいかにも本土の真心といったようなものを十分示すことによって、所有者との間に妥当な話し合いをつけていきたい。話し合いのつかない場面で米側に提供されたりいろいろする土地も中にはこれをきっとありましょう。ありましょうが、そのことによって折衝、交渉は終わるわけではないわけであります。あくまで念入りに、粘り強く、しかも地主の不当な損にならないように、適正妥当な価格に是正をして、政府側の真心といったようなものを披瀝してまいりたいと思っておりまするので、どうぞ御協力を願いたいと思います。
  334. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 もう時間がまいりましたので……。
  335. 長谷川仁

    委員長長谷川仁君) よろしゅうございますかか、喜屋武君——それでは以上をもちまして本連合審査会を終了いにします。  これにて沖繩及び北方問題に関する特別委員会大蔵委員会社会労働委員会商工委員会運輸委員会連合審査会を散会いたします。    午後三時十一分散会