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1971-12-20 第67回国会 参議院 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年十二月二十日(月曜日)    午前十時九分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         長谷川 仁君     理 事                 鬼丸 勝之君                 楠  正俊君                 剱木 亨弘君                 丸茂 重貞君                 松井  誠君                 森中 守義君                 矢追 秀彦君                 高山 恒雄君                 岩間 正男君     委 員                 今泉 正二君                 長田 裕二君                 梶木 又三君                 片山 正英君                 亀井 善彰君                 古賀雷四郎君                 柴立 芳文君                 鈴木 省吾君                 園田 清充君                 竹内 藤男君                 西村 尚治君                 初村瀧一郎君                 宮崎 正雄君                 山内 一郎君                 若林 正武君                 占部 秀男君                 大橋 和孝君                 川村 清一君                 田中寿美子君                 田中  一君                 宮之原貞光君                 村田 秀三君                 森  勝治君                 上林繁次郎君                 原田  立君                 藤原 房雄君                 栗林 卓司君                 渡辺  武君                 喜屋武眞榮君    国務大臣        内閣総理大臣   佐藤 榮作君        法 務 大 臣  前尾繁三郎君        外 務 大 臣  福田 赳夫君        大蔵大臣臨時代        理        田中 角榮君        文 部 大 臣  高見 三郎君        厚 生 大 臣  斎藤  昇君        運 輸 大 臣  丹羽喬四郎君        郵 政 大 臣  廣瀬 正雄君        労 働 大 臣  原 健三郎君        建 設 大 臣  西村 英一君        自 治 大 臣  渡海元三郎君        国 務 大 臣  江崎 真澄君        国 務 大 臣  大石 武一君        国 務 大 臣  木内 四郎君        国 務 大 臣  木村 俊夫君        国 務 大 臣  竹下  登君        国 務 大 臣  中村 寅太君        国 務 大 臣  山中 貞則君    政府委員        内閣法制局長官  高辻 正巳君        内閣法制局沖繩        法制参事官    系  光家君        内閣法制局第二        部長       林  信一君        人事院総裁    佐藤 達夫君        人事院事務総局        管理局長     茨木  広君        総理府総務副長        官        砂田 重民君        防衛庁参事官   鶴崎  敏君        防衛庁防衛局長  久保 卓也君        防衛施設庁長官  島田  豊君        防衛施設庁総務        部調停官     銅崎 富司君        沖繩北方対策        庁長官      岡部 秀一君        沖繩北方対策        庁総務部長    岡田 純夫君        沖繩北方対策        庁調整部長    田辺 博通君        外務省アメリカ        局長       吉野 文六君        外務省条約局長  井川 克一君        大蔵大臣官房審        議官       前田多良夫君        大蔵省主計局次        長        大倉 眞隆君        文部省大学学術        局審議官     安養寺重夫君        文部省管理局長  安嶋  彌君        建設省河川局長  川崎 精一君        自治省行政局長  宮澤  弘君        自治省財政局長  鎌田 要人君    事務局側        常任委員会専門        員        相原 桂次君        常任委員会専門        員        鈴木  武君        常任委員会専門        員        宮出 秀雄君        常任委員会専門        員        竹森 秋夫君     —————————————   本日の会議に付した案件沖繩復帰に伴う特別措置に関する法律案(内  閣提出衆議院送付) ○沖繩復帰に伴う関係法令改廃に関する法律  案(内閣提出衆議院送付) ○沖繩振興開発特別措置法案内閣提出衆議院  送付) ○沖繩における公用地等暫定使用に関する法律  案(内閣提出衆議院送付) ○国家公務員法第十三条第五項および地方自治法  第百五十六条第六項の規定に基づき、人事院の  地方事務所設置に関し承認を求めるの件(内  閣提出衆議院送付) ○沖繩平和開発基本法案衆議院送付予備審  査) ○沖繩における雇用促進に関する特別措置法案  (衆議院送付予備審査)     —————————————
  2. 長谷川仁

    委員長長谷川仁君) ただいまから沖繩及び北方問題に関する特別委員会を開会いたします。  沖繩復帰に伴う特別措置に関する法律案沖繩復帰に伴う関係法令改廃に関する法律案沖繩振興開発特別措置法案沖繩における公用地等暫定使用に関する法律案国家公務員法第十三条第五項および地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、人事院地方事務所設置に関し承認を求めるの件、沖繩平和開発基本法案沖繩における雇用促進に関する特別措置法案  以上の各案件を一括して議題とし、前回に引き続き、質疑を行ないます。岩間正男君。
  3. 岩間正男

    岩間正男君 本題に入るに先立って、緊急問題について佐藤総理に簡単に質問します。  政府は、今回、円を一六・八八%という大幅な率で切り上げることを決定しました。このような大幅な円切り上げ日本経済に深刻な打撃を与えることは明らかなことです。私は、政府アメリカ要求に従って、このような大幅切り上げを行なったことに厳重に抗議したいと思います。  さらに、これに対する対策を時間の関係から簡単に述べてほしいのですが、赤字公債の発行や大企業に対する特別減税など、こういう措置ではなくて、あくまでも国民生活の安定、中小企業農業保護を中心とする立場から、このような対策がとられるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
  4. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ただいま円のドルに対する切り上げ、これが行なわれ、しかも、この幅が予想以上に大きかった。こういうことで各方面に多大の影響を与えておることは、政府ももちろん見のがすことはできません。御承知のように、今回はドル切り下げは行なえないだろう、金に対する切り下げは行なえないだろう。かように言われていたのが、これも行ないましたし、また、各国間の通貨調整の問題でありますから、日本の国だけが対米為替を変更したと、こういうものではございませんし、多国間において話し合いがまとまった。こういうことで、これまたやむを得なかったことだと私は思います。いずれにいたしましても、近く大蔵大臣が帰ってまいります。今夜にも帰ってまいりますから、明日になれば、さらにその間の折衝の模様も明らかになるだろうと思います。国民皆さん方に対しましては、こういう大変動に対して十分対処する心がまえもできているだろうと思います。  私は、何よりも皆さん方に申し上げたいのは、このことが日本の持つ国力の繁栄のしからしむるところであり、十分こういう変化に対しても、国民は英知を持って対処し得るものだ、かように私は確信をしておりますので、ただいま大幅、大幅といわれますが、そういうことについての対策も、もちろん政府十分意を尽くすつもりでございます。ことに、いま岩間君が御指摘になりましたような諸点について、私どもも、この赤字公債を発行するとか、あるいはまた大企業に偏した取り扱い方をするとか、そういうことでなしに、この影響をこうむる中小企業その他第一次産業等について、われわれは十分に味方であり、またそれらに手厚い対策を立てる。こういうことをこの機会に申し上げ、これはいずれ来年度予算の編成も間近でございますから、十分その際に、さような点について意を尽くす、十分の留意を払う、こういうことをお約束いたしておきます。
  5. 岩間正男

    岩間正男君 まだ対策が十分に具体的にされていないようだし、各党からも、またこれに対する質問もあることと思いますし、大蔵大臣もまだ戻っておりませんから、私はいまの答弁では不満足ですが、次に進みます。  その中で、特にこの大幅な円切り上げ沖繩県民に与える打撃は最も深刻であり、考えるだに胸の痛むことであります。  最近、琉球銀行が計算したところによれば、ここにございますが、円が一・五%切り上げられた場合、沖繩県民の受ける損失は、復帰までに六百二十二億八千万円になると見られています。今回の大幅切り上げによって、この損失は、おそらく八百億円から九百億円になるでしょう。しかも、注意しなければならないことは、琉球銀行のこの計算は、政府が去る十月の確認措置によって補償することにしている個人手持ち現金などを除いた補償漏れの部分であります。このことは、政府対策が全く不十分、不徹底なものであったことを示しています。  政府は、今回の大幅な円切り上げに伴う沖繩県民打撃に対して、どんな解決をするつもりかお伺いしたいと思います。
  6. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ドル圏生活しておる沖繩の方々にとりましては、今回の円の切り上げ、またドル切り下げ、これはたいへんな影響があると思っております。しかし、私は、近く祖国復帰するその際に、ドル圏から円圏に変わるその場合の処置暫定処置は一応とってございますから、それらの詳細については山中君から説明いたさせます。
  7. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) これは祖国復帰を目の前にしながら、八月以来のニクソン・ショック、あるいはまた八月末の変動相場制への移行、そして今回の大幅切り上げというようなことで、沖繩総理の言われましたドル圏生活であって、対本土八〇%の生活物資の貿易に依存している沖繩県民にとって、国際情勢下のもたらしたものとはいえ、まことに申しわけのないことだと思っております。したがって、政府としてはすでに手持ちドル通貨並びに通貨性資産についてのチェックは一応個人について行なっておりますので、これは復帰時点において一六・八八%の幅で推移いたしました場合に、その時点において、大蔵大臣内閣承認を得て行なう、定められたレートによって、約束どおりその金は支払うことになるわけでありますから、したがって、現在要求いたしております積算の根拠は、予算としては一二・五%の場合を想定しておりますので、当然にこの交付金の金額はそれだけふえるものと考えられます。  さらに、復帰までに至る間において、生活のための悪影響を断つために、私どもとしては、四百四十品目を琉政と合意の上、すでに二十億支出を決定をいたしましたし、さらに学生不足分——学生に対する手当の不足分並びに長期療養者に対する今回の一千二百万、それら等の措置を講じておりますものの、それぞれいずれも積算前提が大きく違ってまいるわけでありますから、この措置を引き続き復帰までに行なうとともに、それに対する今回の幅の上積み分については、さらに追加の予算要求をして、少なくとも生活に対する本土物資影響というものに対しては、全面的に復帰までこれをカバーする努力を続けてまいりたいと存ずる次第でございます。
  8. 岩間正男

    岩間正男君 いま、こもごも述べられましたが、そんな措置解決にならないことは、何よりも先ほど示しました琉銀の調査がはっきり示していると思うんです。しかも、県民の受ける打撃は、以上の数字の範囲にとどまるものではありません。八月中旬以来の輸入価格物価の騰貴は、依然として引き続いているし、賃金の切りかえレートをめぐる労使間の紛争や貸借関係の混乱、資本逃避、輸出困難など、打撃は深まる一方であります。政府は、県民のこの窮状を見殺しにするつもりなのか。このような苦しみを解決するためには、復帰前に一日も早く沖繩ドルを円に切りかえる以外にないではないですか。  ところで、福田外相は、十七日、屋良主席に対し、この円切りかえの問題について、復帰前の交換が技術的に可能かどうか大蔵省に検討してもらう、もし可能なら対米交渉を始めてもよいと語ったといわれていますが、そのとおりですか。
  9. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) そのとおりでございます。
  10. 岩間正男

    岩間正男君 これは、その結論を早く出していただきたい。  復帰前の切りかえの最大の技術問題は、為替投機をどう防ぐかという点にあると思います。これは次のような措置をとれば、さして困難なことではないと思うのです。  すなわち、まず第一に、個人手持ち現金預貯金は、ともに確認されたものは即時円に切りかえるとともに、確認日の十月九日以降の増加分についても、琉球政府が適切な機関をつくって検討して、投機的な増加とみなされないものはすべて三百六十円のレートで即時切りかえをする。  さらに、第二として、法人各種団体預貯金についても、確認日の現在高は、政府投機的なものはないと言明しているので、即時切りかえ、それ以降の増加分も右の機関で検討して、投機的な増加と見られるものを除いて切りかえる。また、法人各種団体手持ち現金も、現地の実情に照らして適切な基準をつくり、それ以下のものは即時切りかえ、基準以上のものは右の機関で検討して、投機的なもの以外はこれを切りかえる。  以上の措置をとれば、投機を防いで、県民要求にこたえることができると思います。問題は、政府誠意にかかっている問題です。アメリカと直ちに交渉に入るべきだと思いますが、総理の御決意をお伺いしたいと思います。
  11. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ただいま外務大臣が答えたとおりでございます。これは、実際問題としては、ただいまお読み上げになりましたとおり、投機的でないものだ、こういうことで抽象的にはわかりますけれども、技術的には非常にむずかしい。その見分けをすること、その区別をすること、それが非常に困難なんだ、こういうことをよく御了承の上、ただいまの点で政府誠意をもってこれと対処している、こういうように御理解をいただきます。
  12. 岩間正男

    岩間正男君 これは先にも述べたように、やる気があるかどうか、熱意の問題です。そのような機関をつくり、そうして即時切りかえをする、これが重大だ。あの当時、即時切りかえをやっていれば、この犠牲は今日まででも相当これは食いとめることができた。延びれば延びるほどこれはぐあいが悪い問題ですから、この問題について、私は、急速に対策を確立すべきだと思います。しかし、この問題は、いずれ大きな問題になると思いますから、私は、これぐらいで前提条件を終えまして、次の問題に入りたいと思います。  第二にお聞きしたいのは、公用地暫定使用法案についてであります。  愛知外務大臣は、協定調印前の国会で、「日本政府施設、区域を提供するという場合に、これが民有地であれば、地主承諾納得ということがなければできないのがこれまた通常の考えである」、これは衆議院のわが党の松本委員に対してこう答弁をしています。私は、またそのあとにこの問題を引き続いて質問をした。——参議院予算委員会の私の質問に対しましては、サンフランシスコ条約発効後九十日までに合意に達しない場合には、そのまま米軍に継続使用させることをきめたあの岡崎・ラスク交換公文のようなものはどうか、こういうふうに追及しましたのに対して、「つくらないようにするのが本筋である」という答弁をされております。地主承認を得るのが本筋とまで言った政府が、なぜ一体、今度寸時の空白も許されないということで強制収用に踏み切ったのでしょう。この点を明らかにしてもらいたいと思います。
  13. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) お尋ねの点でありますが、私どもも、地主の了解、地主との話し合い、あくまでこれを粘り強く続けよう、この席でも申し上げましたように、いよいよこれで協定が成立をいたしますれば、最も早い機会に百二十五名程度の施設庁関係職員現地に派遣いたしまして、琉球政府協力を仰ぐことはもとよりでありまするが、地主話し合いに入るわけでありまするから、愛知外務大臣がお答えをいたしました点とは何ら変わらないわけであります。  ただ、これもしばしば繰り返しておりまするように、地主の数が非常に多くなりまするので、三万数千名という数でありまして、その中には行くえ不明者もやはり相当多数おります。そればかりか、海外に移住した人もあるというようなことなどを考えあわせまして、この法案を御審議願っておるわけであります。しかし、法案法案といたしまして、運用面では十分地主の意向を尊重して今後とも努力をしてまいりたい、このように考えております。
  14. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 愛知外務大臣があなたの御質問に対しましてお答えしたのは、そのとおりです。ただ、愛知外務大臣は、地主承諾を得られない場合においては何らかの措置が必要であるということを常につけ加えていることも申し添えます。
  15. 岩間正男

    岩間正男君 地主承諾を得られない場合は、あくまでも努力をするというのが当時の答弁であったと思います。  それから、今度の法案の一条で努力をするということをうたっておる、こういうことを言っておる。しかし、結局はどうですか、承諾しなければ取り上げるという、いわばあいくちを擬するようなやり方で、相談というのは——協議というのは成り立ちますか。協議というものは、相手がイエスの場合もノーの場合もある。その自由があって初めて協議というのは成り立つのです。あれは協議じゃないですよ。こういうことは全くうたい文句にすぎないので、こういうことはおやめにならなければならない。問題は、このようなやり方で、この法案は、もう衆議院での論議、また当委員会での論戦を通じて、米軍基地の継続、固定化など自衛隊沖繩配備の強行をはかるものであり、そうして、そのために、これがどうしても前提条件になっておりますから、憲法第九条の戦力を持たないという問題、あるいは第十四条の法のもとの平等の条項、さらに第二十九条の国民財産権保障条項、第三十二条の裁判を受ける権利、第九十五条の地方自治特別法についての住民投票、これらの国民権利、当然こういうものを乱暴に踏みにじるものです。そうして違憲的な差別立法だということが委員から強く指摘されたことは御承知のとおりだと思います。これに対して政府は筋の通った納得のいく答弁をほとんど何一つされていないのが現状じゃないですか。しかも、この法案は、「暫定」という名に値しない五年間もの長期のワクをはめ、さらに米軍占領下沖繩での布令、布告による土地強奪や、戦時中の国家総動員法でさえもなし得なかった、関係者へ何らの事前通告なしに国民土地を取り上げるという、戦前戦中を通じて類例のない悪法だということがはっきりしたではありませんか。こんな悪法政府はなぜゴリ押して通そうとしているのか、この点を、その理由をはっきりお示しを願いたいと思うのであります。
  16. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) ゴリ押しは決してしておらぬつもりです。そればかりか、従来でも契約の上に立ってこの土地が確保されておったわけでありまするが、だんだん物価高騰等から見ましても、基地賃貸料もきわめて低くなっておるというわけで、地元地主連合会等要求を受け入れまして、地元側では二百十五億と言っておりますが、これは自民党政調会等々が前面に出ての話し合いの段階では、それを全部受けてもいいではないかというくらいの固い、しかも、広い決意を持ちまして話し合いを続けていこうとしておるわけです。  なぜ、しからばそういう強制的に、ときに土地を借り上げるというような措置をとったのかという点でありまするが、これもしばしばこの委員会を通じて申し上げておりまするように、施政権返還という歴史の上にもきわめて類例のない例外場面、しかも、日米安保条約に基づきまして米軍基地は提供しなければなりませんし、自衛隊は、沖繩に主権が行きとどけば当然国土の防衛のために、また民生協力のために、これは派遣しなければならぬ、一日も空白を置くことができない。そこで、先ほども申し上げまするように、海外移住者とか、行くえ不明者とか、あるいはまた、ごく例外として、ときに話が不調ということもありましょうが、しかし、もうそういうことよりも、むしろこの法律は、行くえのわからない人人、こういった人々を対象にして、さてこの空白を置くことのできない特別の——特例中の特例ということば法制局長官はしばしば使っておりますが、その場面措置にどうこたえていくかということを、政府として考えた上でつくった法案でありまするので、この点はひとつ御理解をいただきたいのであります。
  17. 岩間正男

    岩間正男君 そんなことでは答弁にならないと思うんです。施政権返還とか、民生安定だとか、こういうことをうたっております。しかし、この返還はどういうことかということは、沖繩百万県民がだれよりもこれは知っているんです。基地はそのまま残る、戦略体制は残る、そういうところに自衛隊も派遣される、そういうことでしょう。その問題は隠しておいて、いまの民生安定とか、施政権返還とか、さわりのいい、耳ざわりのいいことだけあげてやっている。だから、ここのところを明確にしなければならない。  私は、お聞きしたいのです。日米共同声明で、沖繩基地重要性を確認しましたね。そうして引き続き、その基地使用米側約束した。これが大前提になっているんでしょう。この結果、いまのような全く憲法をじゅうりんするような、民主主義を否定するような、そういう非常手段戦時立法にも通ずるような、こういうやり方でなければ取り上げることができない。沖繩県民の中で、補償の問題で、それに賛成している人もあるかもしれません。しかし、反対している人もたくさんいるんだということを、あなたは忘れておられるんじゃないですか。私は、これが前提条件になっている、だから、このような政府のすでにもう国民を無視した約束の上に立っている、米上院論議を聞いてみればはっきりしていると思う。たとえばロジャーズ国務長官発言、パッカード国防次官発言、それから何よりもウェストモーランド、この陸軍参謀長発言、これは時間の関係から詳細はあげませんけれども、この点は安心して、あの協定審議上院聴聞会で述べているじゃありませんか。たとえばパッカード国防次官は何と言っているか。「われわれは沖繩に展開している軍隊の使命を果たすのに必須の施設はすべて維持する」、こういうことは、一体返還のこれを約束した者が言えることばでしょうか。これはもうはっきり前提条件がきまっていることを意味している。だから、これでゆがめられているんですね。今回の沖繩協定は、沖繩基地米軍のために確保することが全く至上命令になっている、眼目になっている。そのためにこの強制収用が必要なのではないか、全くそのとおりだと思いますが、総理の御答弁をいただきたいと思います。
  18. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) どうも基本になる点で、原点が違っておると私は思うんですが、われわれは、日米安全保障条約、これを肯定し、これが必要だと考えております。また、自衛隊もわが国には絶対に必要だと、かように考えております。共産党の方は、自衛隊は否定はなさらないだろうと思いますが、安全保障条約については、私は、まっこうから反対ではないのかと、かように思っております。安全保障条約が必要だという、そういう原点に立つと、アメリカ沖繩に持つ基地、それはやっぱり安全保障条約の範囲内で行動はとどまるとしても、その基地を全部なくすると、こういうことにはならないわけであります。私は、ここらにいまの議論の相違点、分かれ目があるように思います。その米軍基地、これは全部はなくならないけれども、しかし、米軍が自由発進をいままでしていた、あるいは自由使用していたその基地のあり方は、今度は安全保障条約の範囲内にとどまる。こういうことでワクははめられる。かように考えますので、いままでとは変わってくる。したがって、おそらくこの核撤去等の約束もありますように、戦略的な方向におきましても非常な変化を来たすものではないかと、これを期待するのであります。  アメリカ国会等においていろんな論議がかわされたと、こういうことを例証にあげられますが、私は、どういう議論があったか、それは別といたしまして、わが国に施政権が返ってきた以上、これが米軍の自由使用のできる基地でないこと、また、そこに核兵器のないこと、これなどは確認してしかるべきだと思いますし、われわれは、そういう意味で、今回も、その安全保障条約に基づく基地区域の施設提供、これをやっぱり約束しておる、かように御了承をいただきたいと思います。そのために必要な暫定法案でございます。
  19. 岩間正男

    岩間正男君 第一に総理に、ただいまの御答弁のうち、訂正を求めたいことがあります。共産党は自衛隊が必要だと、こういうようなことを言われましたが、この安保体制下のこんな事態の中での自衛隊には反対です、はっきり言って。むろん共産党は、自衛権は、これははっきり持つべきだということを言っています。ですから、民主連合政府ができた場合に、そういうときに、国民の世論によって必要なら、そういうような国を守る組織というものは、これはあってもいいんじゃないか、こういうことを言っておるんで、そこのところを混同されて、いかにも自民党と同じような、あんた、いつでも言うけれども、これはいけませんよね。こんな非合理的な答弁はいけません。これははっきり取り消してもらいたい。  もう一つは、安保条約で必要なら何をやってもいいということなんですね、そうでしょう。こんな戦時立法みたいな、土地を強奪することも合理化される、こういうことは、一体、これは正しいと言えますか。これは話になりません。もう一ぺん御答弁願いたい。
  20. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 私の早計で、自衛権を否認されない共産党の方は自衛隊も御承認だと思ったのですが、それは私の早計だと、かように御否定でございますから、それはとにかく共産党の考え方、これは私どもも別に共産党の考え方を無理やりに私どもと同一意見だ、かようにするつもりはございませんから、これはもう独自の政党の考え方である、かように思いますので、私の考えが間違っておれば、それは訂正するにやぶさかでございません。また、共産党の独自性を私も認めざるを得ないというか、どこまでも尊重するのでございますから、その辺はひとつ御了承をいただきます。  ところで、ただいまの安全保障条約を承認しておる日本としては、いまの基地を縮小することについて、これはまた衆議院の段階ですでに決議がありまして、私も、これについて厳粛に政府の所信を表明をいたしました。これを整理縮小することにやぶさかではございません。また、そういう意味の交渉は持つと、こういうことは申しましたが、私どもは、安全保障条約のたてまえ上、米軍施設、区域の提供をすると、これは私どもの当然の義務だと、かように考えております。  そういうことを考えると、現在ある米軍基地、それがやはり継続して存続するということを認めざるを得ないと、そういう立場から土地等の暫定使用に関する法律、これは必要でございます。そういう意味で御審議を願っておると、こういう段階でございます。
  21. 岩間正男

    岩間正男君 衆議院の決議もあり、基地の縮小に努力すると、こうやすやすと言っていられるわけです。私は、そのことは悪いと言っているんじゃない。しかし、たとえばウェストモーランド、どう言っていますか。沖繩のあの基地というものは、出撃の基地であり、兵たん基地であり、アジア前線に対する補給基地であり、そうして、アジアをつなぐところの通信基地だと、これは死活を制すると言っているんですよ。極東戦略の中で死活を制する、だからこれはもう永続する必要があるんだと、はっきり言っているんですね。こういうことから考えるというと、何かここのところで、法案を通すためにうまいことばでつづって国民を欺くということでは、これはまずいと思う。ほんとうにその問題、いまの戦略体制の最も根幹をなす基地に対して撤去を迫ることができますか。東京の横田一つ、これに手をつけられないのがいまの政府の姿じゃないですか。だから、そういうような、いかにも耳ざわりだけはいいけれども、腹の底では考えているかどうかわからないような、そういう御答弁でこの国会論議を軽率にしちゃいかぬと、こういうふうに思います。  そこで、聞きますが、本土米軍基地のうち——本土米軍基地ですよ、よくお聞きいただきたい。民有地の賃貸契約は、来年で満二十年を迎えることになるんですが、その件数、面積は一体どれくらいあるんですか。これは施設庁に資料提供を要求してからもう一カ月近くなるんだが、いまだにこれは出てないんです。出しますか。これをはっきり出してください。
  22. 島田豊

    政府委員(島田豊君) お尋ねの件でございますが、駐留軍関係本土におきます契約関係の中で、民有地が二千九百九十五万五千平方メートル、公有地が八千百八十七万七千平方メートルでございます。
  23. 岩間正男

    岩間正男君 その資料は、要求されたら出すべきですよ、これがもう長引くので……。あなた、ここで計算をしてというようなことにはいかぬわけですから。たとえば、そのうちで北富士演習場の場合、これはどれぐらいあるんですか。
  24. 島田豊

    政府委員(島田豊君) 北富士演習場の場合の民、公有地は、面積が五百八十四万八千平方メートルでございます。
  25. 岩間正男

    岩間正男君 そうしますとね、とにかくここではどうですか、これは長い間米軍基地に反対して農民が戦っていると思いますね。御存じでしょう。そういう中で、沖繩のこの暫定使用法案が通る、そういうことになりますというと、返還後、はっきりこれは日本領土の沖繩で適用されるその法案が今度はこっちに、本土でも適用されるという一体この心配はないのかどうか、どうですか。なぜ一体そんなに急いでこの法案を通すのかと聞きましたら、寸時の空白も許されない、だからこういうことをするんだと。本土の場合は、寸時の空白も許されるんですか。これは同じ条件になるだろう。これに対して、どういう一体措置をするつもりですか。
  26. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) これはたいへん違うんです。それは、本土の場合は持ち主がはっきりわかっておるわけですね。しかも、いま二十年契約で、話し合いに基づいて契約が締結されておるわけです。したがいまして、私どもは、この暫定使用法を本土に適用しようなんということは、これは夢にも考えておりません。どうぞ御安心ください。当然、従来の契約を更新するという形で話し合いをしていけば、話し合いには応じていただけるものと、もちろんいろいろその間困難性もありましょう。いろいろ事情のある方もありましょう。しかし、それはあくまで話し合いでいくと、こういうつもりでおります。どうぞ重ねて申し上げますが、この暫定使用法を本土に用いるなんということは絶対ありませんから、これは言明いたしておきます。
  27. 岩間正男

    岩間正男君 その点は、あなたはここでまあ確認されたわけですけれども、しかし、この法案戦時非常時的立法、そういう性格を持ってるんです。憲法に基づく法体系をこれは完全にじゅうりんする、これはたいへんな問題ですよ。この論議だけやったとしても、もうほんとうに三時間ぐらい時間が要る重大な民主主義にかかわる問題ですよ。しかも、これは民法の六百四条ですか、二十年契約更新、こういうものに対して、ほんとうにこれを尊重する考えがあるのかどうか。ことに忍草の農民たちは、これはどんな気持ちでこの反対運動を展開されておるか、御存じですか。
  28. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) よく尊重してまいりたいと思います。それから忍草の農民は、ちょうどいまから思いますと、私、前に防衛庁長官をいたしておりましたときに、米軍の演習に対抗して、富士のあの山ろくの洞穴ですか、中へ入って、これとあわや大激突というような場面がありましたときに、私が間に割って入って解決をしたことをいま思い出しました。忍草農民の要望というものは、私は、ある程度わかっておるつもりであります。こういった状況等も踏まえまして、手落ちのないように、よくひとつ折衝をしてまいりたいと思っております。
  29. 岩間正男

    岩間正男君 とにかく、あそこで団結小屋をつくって長い間がんばっておりました。米軍があの団結小屋を焼いたのですよ。しかし、その中で婦人が何人か、なおかつがんばるという、そういうことで、私は、四年前のこの連中に会っておりますから、ですから、こういうやり方沖繩でやられれば、これは本土に適用される、そういう心配について考えるのはあたりまえですよ。だから、民法六百四条というやつは、これをほんとうに尊重されるか。これはどうか、一言でいいですから。
  30. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) 当然、現存の厳粛なその法律の条文については尊重をしてまいります。
  31. 岩間正男

    岩間正男君 次に、私は、自衛隊沖繩配備の問題について質問したいと思います。  まず、総理にお聞きしたいのですが、久保・カーチス取りきめによって沖繩自衛隊を配備することをきめたわけですね、一体、この根拠はどういうことでしょうか。これは言うまでもなく、佐藤・ニクソン共同声明の第六項に基づくものだというふうに考えられますけれども、これは確認してよろしいですか。
  32. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) いずれ後ほど防衛庁長官から補足するかわかりませんが、沖繩祖国復帰すれば祖国の自衛の範囲に入ることは、これは当然でございます。そういう意味で、私どもは、現在の自衛力をそこに配置すると、こういう考え方に立っておるわけであります。これによって特に定員をふやすとかどうこうという問題ではございません。
  33. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) 現在アメリカ基地を持って沖繩の施政権をつかさどっておるわけですが、これがこっちに戻ってくれば、当然、自衛隊沖繩県の局地防衛に任ずるわけであります。したがいまして、アメリカが従来やっておったものの自衛隊が引き受けられる範囲、これは当然主権の存する国家として執行に移さなければなりません。そこで、その局地防衛の任務分担、それから、米軍のおるところに自衛隊が入っていくのでありまするから、これは手順よく配置をいたしませんというと、いろいろな無益の混乱や摩擦が生じたりしたら、これはもうたいへんでありますので、それをきわめて技術的にスムーズに展開のできるように、防衛の任務分担をはじめ、その時期、その設備、施設、そういったものを事務的に取りきめたのがこの久保・カーチス取りきめであります。
  34. 岩間正男

    岩間正男君 これは時間の関係もありますから、答弁は的を射た御答弁を願いたい。あっちこっち言い回って、実際の焦点をお答えにならない。これは日米共同声明の第六項が根拠になっておるかどうかと聞いておるわけです。それはもういいですね、そのとおりですね。これは当然だれが見たってそうだと思う。  ところが、同じ共同声明の第六項、これを見ますというと、そのすぐあとにこういうことが書いてあるんですね。これは米軍への地位協定による基地提供、安保条約による協定のことをうたっておるわけですが、そのあとの部分——基地提供の部分は、はっきりこれは沖繩協定に明文化されている。ところが、自衛隊の配備のその前の部分というやつは、全然これは協定から省かれておりますね。そうして別個の、こういうような取りきめをやっておるわけです。これはどういうわけなんですか。
  35. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) これは、いま申し上げたように、事務的、技術的にこういうふうにいたしましょうと、こういう取りきめですから、協定本文になくても一向差しつかえはないわけです。任務分担をスムーズにはかどらせるために技術的に話し合いをしたものと、こう御理解いただきとうございます。
  36. 岩間正男

    岩間正男君 これは、事務的とか技術的とかという答弁をやっていますけれども、これが公然化することはどうもぐあいが悪い、そうとしか取れないですよ。こういうやり方自衛隊配備とは、何か釈然としないものを国民は持っておるわけです。ここにこの性格があります、自衛隊配備の基本的な性格が。協定で堂々とうたったらいいじゃないか、必要だっていうなら。なぜ協定でうたわなかったか。それをうたうことができないで、事務的にこうだから、ああだからということでこういうことをやっておる。国会にもこれは当然出して、ここで審議してもらって、そうしてはっきりすべきだ、もしあなたたちに確信があるんなら。そうすべきなのに、そういうことをこれはしてない。私は、むろん、しろということじゃないですよ、こんなものは全部これは取りやめるべきだという基本的な立場に立っています。しかし、あなたたちの立場からいったってそうじゃないですか。どうなんですか。
  37. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) 主権が日本に返ってくれば、そこに自衛隊が配備されるということは、これはもう当然なことだと考えます。  それから、いまの取りきめについては、ここへ重要な付属文書という形で配付をいたしまして、そして御審議をいただいておるわけでありまするから、御了承を願いたいと思います。
  38. 岩間正男

    岩間正男君 何回も責められて、やむを得ないようなかっこうで出す資料というもの、そういうことじゃまずいんです。これはアメリカ上院の審議にも出されたと聞いておりますけれども、向こうは早く出ておる、こっちはなかなか出さぬ、こういうかっこうじゃまずいんです。何かこれは陰性だ、暗い影がある。こういうことじゃまずい。  そこで、防衛庁長官にお伺いしますが、自衛隊一体何を守るんですか。沖繩自衛隊が行って一体何を守るんですか。まず、その任務を明らかにしてほしいと思います。
  39. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) 国土の防衛であります。これが第一です。そして新しい自衛隊の任務である民生協力、また、災害常襲県という、きわめて不しあわせな地理的環境にある沖繩県の災害等については果敢な救助活動をする、これらの任務につくわけであります。
  40. 岩間正男

    岩間正男君 まるでこれは国民欺瞞の答弁になりますよ。あなたは防衛庁長官でしょう。当然、これは自衛隊法をお読みになったと思う。自衛隊法のもとに運用されていかなければならない。いま、あなたは、国土の防衛だということを言われた。しかし、国土を一体だれが侵略するのだ。攻撃されるというのは、アメリカ基地があるから攻撃されるのでしょう、これは。アメリカ基地がなかったら、だれが一体沖繩を攻撃しますか。いままでの歴史が証明するところだ、一つは。第二には、何か言うと、あなたは、災害出動だと、救援だと、もうこの議場で何回——これは時間にしたら、そうですね、延べにしたら二時間ぐらい、あなたはやっているわけですよ。ところが、自衛隊法の最も主要な任務は何なんです。これは防衛庁長官に聞いてどうもぐあいが悪いんですけれども、お聞きしたい。
  41. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) ただいまの答弁でも、第一は国土の防衛でありますと、これはまっ先に強調したとおりでありまして、これが本務中の本務であることは言うまでもありませんが、しかし、新しい自衛隊は災害救助活動等には非常に活発です。私は、伊勢湾台風を経験した地元民ですから、あの当時の果敢な自衛隊の活動というものがいまでも思い出されるし、目に浮かぶんです。だから、ひょっとすると、私がそのことを強調し過ぎるのは、伊勢湾台風のときに実に自衛隊の活動がみごとだった、その思い出が強く印象づけられておることによるからだと思います。
  42. 岩間正男

    岩間正男君 私たちも、いままで自衛隊を見学しました。どこへ行っても、師団長、何を一体説明するかというと、災害救助ですね。一番先に言うのは、災害でこういう救助をしましたと、これがまるで自衛隊の本務のようなことを言っている。しかし、本務は明らかにこれは一つは防衛出動でしょう。もう一つは治安出動でしょう。これは明白でしょう。どうも、いま答弁された、国土の防衛でありますというような抽象的なことを言われたが、その国土についても、沖繩の場合、具体的にだれが一体それなら侵略をするのか。米軍基地があるから侵略されるのだということを私は言ったわけです。そういう点から言いますと、災害復旧といいますが、災害復旧だったら、国土のそういう破損をほんとに救援できるような部隊でも別につくればいいんです中数千億の金を使って、今度の四次防が発足すれば五兆以上の金だ。そうしてやっているこの自衛隊の救助、こういうことをこの議場を通じて宣伝をしておりますが、これは明らかに一種のカムフラージュと言わざるを得ない。国土防衛、国土防衛と言っていますけれども、明らかにこれは米軍を守る任務を持っているんじゃないですか、沖繩配備自衛隊というのは。どうなんです。
  43. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) 米軍沖繩を守る任務を持っておると、そういう意味ですか——。これは日米安全保障条約に基づいてアメリカ側もそれを持っておるわけです。しかし、アメリカ基地があり、アメリカの軍隊がおるから自衛隊はなくていい、そういう理論こそ私は通らないと思います。日本日本アメリカアメリカ、のみならず、これは国会の決議に基づいて、また佐藤総理も、この基地は、米軍基地は今後とも旺盛に交渉をしてだんだん縮小してもらうんだと、確かに日本でも平和条約発効のときには二千七百カ所もあったものがいまや百カ所程度に減ってきた。これも本土においてもっと減らしていこうという姿勢にあることは言うまでもありませんが、そのテンポでどんどん減らしていきたい。これはやはり核抜き本土並み、これでいけということを強く共産党等からも要請がありました。あるいは無条件即時返還ですか、しかし、核抜き本土並みということはしきりに言われたことを佐藤総理をはじめ自民党政府努力をして、とにもかくにも核抜き本土並みというところへ持っていったんですから、この功績はひとつ買ってもらいたいものです。そうして、施政権が日本に戻ってくれば、その上でひとつこれは日米安全保障条約を適用する本土並みでなしに、本土並みに基地の数も減らしていきたい、こういうふうにしきりに思っております。
  44. 岩間正男

    岩間正男君 核抜きも本土並みも、どんなこれが宣伝であるかということは、いままでの論議の中で何百回も繰り返されているわけですね。どうですか、いまの公用地暫定使用法案一つ見たって本土並みじゃないでしょう。そういう事実を踏まえながら、しゃあしゃあと核抜き本土並みでございますからこれを買ってくださいなどと言う。まあ、あなたは就任されてまだ日が短いようだけれども、しかし、そんなことじゃいけませんよね。もっとやはり姿勢を正して御答弁を願いたいと思う。真剣な論議をしておる。  米軍を守るのは、それは安保条約があるから、それでそういう米軍基地防衛する任務もあるんだ、そのことは私たちもわかっている。しかし、具体的に、あなたたちは沖繩防衛のために、ことに沖繩の民生安定のためにとかいって自衛隊をこれは配備しようとしている、その中でたくさんな金をかけて、たとえばナイキ、ホークのようなものを米軍から買って、そうしてここに自衛隊を駐留させようとしているでしょう。このナイキ、ホークは何を守るか、具体的に見てください。これは沖繩の住民を、県民を守るんですか。この守備地域というものを私たち詳細に調べましたが、嘉手納をはじめ牧港その他瑞慶覧、こういうアメリカの核戦略体制の最も中枢地帯、これを守るためこのような配置が米軍の肩がわりになって今度はナイキ部隊、ホーク部隊というものがあることは明らかじゃないですか。そんなことばであなたたちはごまかしちゃいけません。そんなことは私がここで言うよりも、沖繩県民は朝に夕にはだをもって感じている問題でしょう。国会の論議というものは、そういうところから離れて、そうしてほんとうにいまのような宣伝で、浮わついたそういう宣伝で終始されてはいけないと思うんです。  次に、私はお聞きしたい。総理、コザ事件というのがございましたね、昨年のきょうですよ。コザ事件は、思い起こせば、はしなくもきょうなんです。この事件のあったとき、あるいは何回もの基地労働者のこれは生活権擁護の闘争がありました。そういう場合に、必ずこれは米軍が、たとえばグリーンベレーですよ、グリーンベレーがよく出る。これが出動する。御存じですか。あるいは出動待機をやっている。この米軍の肩がわりをやるのが今度は自衛隊じゃないですか。これは治安出動であります、明らかに。治安出動草案は、十数年前、参議院の予算委員会で問題になった。しかし、あなたたちは教範をいまだにつくらないと言っているが、実際はどんどん行なわれている。訓練は何倍にもこれは拡大されています。訓練時間だけ言っても、もう五倍にも六倍にもなっていることは明らかだ。こういう形で自衛隊が乗り出していけば、これらの当然民主主義を守り、生活を守る沖繩県民を実際は治安出動によってこれを威圧する、そういうねらいがあることは、はっきりしているんじゃないですか。この任務はないと言うんですか。これはお答え願いたい。
  45. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) 治安出動は、自衛隊のやはり重要な任務であります。しかし、御承知のとおり、国内においてもこのことをまだ実行に移したことはございません。だから、重要な任務であるが、そういう出動をしないことをもって最良とする。また、自衛隊ができましてから局地戦も幸いなことに勃発しないで済んできたわけです。このことを私どもは厳粛に考えるのです。やはり自衛隊というものが存在することによって、局地戦もこれが抑止力になって回避することができた、治安出動もしなくて済むように今後ともいきたいものだということを思います。
  46. 岩間正男

    岩間正男君 いままでの本委員会答弁で、あなたは当然この隠された任務についてはっきりこの議場で表現されたことがありますか。この質問をされるまで治安出動の問題には何一つ触れてなかった。こういうことでは、私は、防衛庁長官答弁としてはいただきかねるのです。いまのようなことを言ったけれども、治安出動がはっきりやはり一つの任務だと、しかし、これは使わない、そうすれば必ず沖繩では治安出動はしないのだという、そういう約束はできますか。
  47. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) 当然これはできます。そういう形に持っていかないように、政治的な配慮をしていくことはもちろんでありまするし、そういう望ましくない出動などは絶対したくない、こう思っております。
  48. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) だんだん話がこじれてきたのは、さっき米軍を守る自衛隊と、こういう発言をされましたが、自衛隊にはさような任務はございません。米軍米軍自衛隊自衛隊、その自衛隊米軍を守るという、そんなことはございません。それだけははっきり観念を区別してください。
  49. 岩間正男

    岩間正男君 一つは、治安出動は沖繩ではしないということを確認したいと思います。  それから米軍を守る云々ということを言っていますけれども、これは事態をはっきり今度の配備の例をあげて私は申したのであります。  次にお伺いいたしますが、自衛隊の守備範囲というものは、どういうふうになるのですか。今度はずっと広がるのだろうと思うのです。御説明願いたい。
  50. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) 沖繩の領土、領空、領海それであります。詳しくは防衛局長がおりますから答弁をさせます。
  51. 久保卓也

    政府委員(久保卓也君) いま、長官は領空、領海と申されましたが、これはちょっと誤解がございまして、領空、領海を中心にしながら周辺の海域、周辺の空域を含めて防衛の範囲と考えております。
  52. 岩間正男

    岩間正男君 いままでの歴史的な経過を御存じなかったでしょうが、二次までは領海、領空、三次防になると少しはずれかけた、四次防では公海、公空、これは御存じないかもしれませんが、そうなってくるんですよ、だんだん延びて行っているのだ。だからどこに広がるんです、これは。今度の防衛の何をずっと、防空識別圏についても話してください。
  53. 久保卓也

    政府委員(久保卓也君) 防空識別圏のほうから申しますと、現在の米軍が設定しているものは資料として差し上げているとおりでありまして、おおよそはそれを継続使用してはどうだろうか、若干修正すべきであるかどうか、目下検討しているところであります。それから全般的な広がりと申すものは、周辺の海域、周辺の空域でありますから、必ずしも特定はできておりませんけれども、四次防の策定にあたって、中曾根元長官のころから申し上げておりますのは、海上自衛隊の行動範囲は南鳥島、沖ノ鳥島、南西諸島、その範囲について潜水艦等に対する哨戒を行なうということでありますが、主とした防衛の周密な範囲というものは、やはり日本周辺の数百マイルということが常識的であろうと思います。
  54. 岩間正男

    岩間正男君 とにかく沖繩返還によって防衛の守備範囲は非常にこれは広がるのです。これは中国沿岸すれすれ。朝鮮半島はどうなるんです、入るのですか、入らぬのですか。海域はどこまで——これは正確にほんとうに出してもらいたい。
  55. 久保卓也

    政府委員(久保卓也君) 防衛の範囲というのは、どこの国でも何マイルまでは必ず守ると、それ以外は何もないという種類のものではございません。いま御質問の点、おそらく防空識別圏のことであろうと思いますが、この点は中国に非常に近いとおっしゃいますが、北のほうを見ますると、樺太とかシベリアあるいは千島列島、そういった地域については非常にこれは地理的にやむを得ず近くなっておりますが、しかし、その辺も、ある程度やはり外国領土との関連も考慮いたして非常に制約をしている面もございます。  そういう意味で、防空識別圏について、中国関係のものはある程度検討する必要があるのではなかろうかというふうな考えを持っております。
  56. 岩間正男

    岩間正男君 中曾根元防衛庁長官は、四次防のねらいとして公海、公空出撃ということを言っております。制海、制空権のこれは制圧を意味するのだと思いますが、こういうことですから、いまの御答弁で識別圏の問題についても、これははっきりしてもらいたいと思うのでありますけれども、この地帯というのはどういうふうになるかというと、この海空域というのはアメリカの第七艦隊、第五空軍の同時活動地域でもあります。したがって、これは哨戒とか救難ということを沖繩配備自衛隊の任務の一つとしておるようでありますが、これをほんとうに果たそうということになると、当然ここでは米軍との共同行動というものが出てくるのじゃないか。また、非常にこの守備範囲が広がった、そういうことのためにたとえばF4のような足の長い攻撃的なそういう装備にこれは変わりつつある、これは現実だと思います。  私は、こういう現実の上に立ってお聞きしたいのでありますけれども、こういう場合に、一体防衛の限界ということを明確にしておく必要があるのじゃないか。それでお聞きするわけですが、自衛隊は、公海、公空上のアメリカの艦船やあるいはアメリカの航空機、これを護衛したり、あるいは米艦が攻撃された場合出動する、そういうことが一体できるのかできないのか、これは本議場を通じて明確にされる必要があると思います。いかがですか。
  57. 久保卓也

    政府委員(久保卓也君) 自衛隊の任務は、わが国に対する直接及び間接の侵略に対してわが国を防衛するということでありますから、米軍そのものについてはわが国が関知するところではありません。
  58. 岩間正男

    岩間正男君 関知するところではありませんというのは、これはできないということですか。
  59. 久保卓也

    政府委員(久保卓也君) 御質問の趣旨は、おそらく海洋等を航行しているアメリカの艦船が攻撃された場合、わが国が能力があった場合にそれを援護するかということであろうと思いますけれども、そういうことはできません。
  60. 岩間正男

    岩間正男君 それもはっきり確認しておきます。  そうすると、日米共同行動あるいは房総沖の今年五月行なわれた合同演習、ハワイ沖におけるところの演習、ことに房総沖においてはアメリカの原潜を攻撃対象として行なわれているはずであります。これはどう説明するのですか。
  61. 久保卓也

    政府委員(久保卓也君) ハワイも、それから房総沖の場合も同じでありますが、共同演習ということでありませんで、目標艦として設定してもらった。つまり、わが国は原子力潜水艦を持っておりませんので、しかも、わが艦艇が対象にする非常に大きな難敵は原子力潜水艦である、そういうことで、対潜哨戒の訓練のために目標艦を提供してもらったということであります。
  62. 岩間正男

    岩間正男君 そういうことばでみなやっておるのです。私は、東富士演習場の実態も見ました。一つの目標だ、同時訓練です。しかし、これは自衛隊自衛隊の独自の立場でございます、海兵隊は海兵隊の独自の立場ですと、いつの間にか偶然に暗合か何かこれは一致するような、そういう形で行なわれるのは、これはことばのあやなんです。共同演習でしょう。こういうことをやっていますから、前言をこれはひるがえすことになると思うのですがね、これでいいのですか。そういう何というか、ここだけの国会の答弁で何とかはぐらかせばいいのだという論議では、これは間に合わないわけです。こんなことを国民は聞いていないのですよ。この点を明確に防衛庁長官から答えてもらいたい。
  63. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) 日本に不正の侵略者があった場合に、日米安全保障条約のもと、どうするのか、そういう共同演習とか、そういうことはあって差しつかえないと思いまするが、何となく日本アメリカに加担をして他に脅威を与えるような、そういう演習はする必要もありませんし、また、それは今後とも考えておりません。
  64. 岩間正男

    岩間正男君 現実に行なわれていることについてお聞きしているのです。あなたの希望をお聞きしているのじゃありませんよ。ことに、房総沖のあの演習はフリーダムボールトの一環として行なわれた、こういうことがはっきり言われておる。もう一つは、公海、公空の出撃というと四次防の対象になりますか、なりませんか。これは中曾根前防衛庁長官の言った、こういうものをあなたは支持されるのかどうか。——これはちょっと防衛庁長官答弁でしょう。
  65. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) 中曾根君にただしたことはありませんが、わが国がにわかに不正の軍隊によって攻撃を受ける、そのときには公海上においてこれを撃ち取るということは、これはやはり当然の事態として考えられると思います。そのことをおそらく中曾根君も指摘したものじゃないでしょうか。
  66. 岩間正男

    岩間正男君 これはそういうことじゃないですよ。はっきりもう公海、公空の出撃をしなければ日本の真の防衛は成り立たない、そうして、一方では専守防衛、自主防衛ということを言っております。しかし、そういうものとの関係が非常にこれはあぶない問題になってきている。ですから、その点はあなたの立場として、これは総理にお聞きします。公海、公空の出撃ということを考えていない、こうはっきり御答弁願えますか。
  67. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) 攻撃を受けた場合には、これはやはり出動することもあり得ると思うのです。しかし、今後とも、私どもは、そういう事態のないように、これは政治的に特に総理大臣、外務大臣とも努力をするわけですし、防衛庁長官としても、そういう事態がないことを望むものであります。しかも、専守防衛ということばも、あれも中曾根君時代に言われたことばでありまするが、私は、やはり守りに徹する自衛隊というものは、日本があの大きな敗戦の犠牲によってかちとった一つのやはり軍隊的な性格を持つものとしては一次元上の自衛隊、一次元上の存在だというふうに考えております。
  68. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 防衛庁長官のただいまの説明につけ加えるものはないようですが、ただ、私、スクランブルというようなことがございますね、これは直ちにこれをもって防御行為と、かようには考えなくてもいいのですが、このスクランブルをやるという、それもやっぱり領空が侵犯される危険な個所を外国の飛行機が飛ぶ、そういう場合にやっぱりスクランブルをやる、これだけの権利が当然あるのだと、かように私は思っております。また、公海上において日本の商船が不明国から攻撃を受けた、こういう場合に出動すると申しましても、なかなか出動のしようがないのじゃないかと、かように私は思いますので、そこらの具体的な事例についてはもっと詳細に、どういうことを予定しておられるのか、ちょっと私はそういう場合があるかなと考えながらただいま立ち上がったのでございます。スクランブルの場合は、これはしばしば行なわれておりますから、そういうことはある、こういうことを申し上げておきます。
  69. 岩間正男

    岩間正男君 まあ、とにかく侵略がある場合ということですが、だれが一体侵略するのかということですね、そんな情勢がアジアの中にあるというのですか。だから、そういう想定のもとに結局どんどんどんどん軍備は拡張されていく。今度のやつも防衛の範囲は非常に広がってくる。日米共同の体制、いわば軍事複合体というようなものは、これはホイラー統合参謀議長があの佐藤・ジョンソン共同声明をつくる一カ月前に日本にやってきたんです。日米共同声明の最も具体的なものとして、日米軍事複合体、ミリタリーコンプレックスというものをこれは推進する、そういう要望がなされたはずなんです。そういう体制の中で、当然これは沖繩返還して自衛隊沖繩配備——こういうことは当然四次防をよんでいるわけです。四次防というのはこういう必然の中から必要となってきているというふうに考えるのです。  そこでお聞きしますが、四次防計画はどうなっているんですか。今月十九日の防衛庁長官大蔵大臣とそれから官房長官ですか、この三者の会見で、来年度から四次防実施をするということがきめられた、こういうふうに伝えられておりますが、その構想、内容、これに伴う予算、そういうようなものがわかっておったらお知らせを願いたい。
  70. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) これは三者の間におきまして、来年度から実行に移すことを目途に事務折衝に入ろうということをきめたわけでありまして、まだ詳細については、これからきめていこう、これからの目途は本年度のうち、すなわち三月までにこの五カ年計画を策定しようという方向を話し合ったわけでありまするが、経済的にいま非常に変動の時期でありますだけに、先行きを見きわめながら慎重に手続を進めてまいりたいと思っております。
  71. 岩間正男

    岩間正男君 国防会議議長としての総理にお伺いしますが、この四次防は手直しをされるんですか。そういうことを考えておられるんですか、どうなんです、これは経済の事情で。ことに円の切り上げ問題がさらに深刻にわれわれの頭上にのしかかっているんですね。こういう体制の中でどうお考えになりますか。
  72. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ただいま防衛庁長官が申しますように、年度内に成案を得たい、かように申しております。年度内と申せば三月末までと、かようなことでございますから、その前に来年度予算は成立するだろう、かように思います。したがって、いわゆる四次防の成立、その中身等々はまだ国防会議の議題にもなっておりません。そういうことをお含みおき願いたいと思います。  また、私どもは、先ほど来、ちょっと岩間君のお尋ねを聞いていて問題に思っておるのは、仮想敵国は絶対に持たない、こういうことを何度も繰り返し申しておりますので、その辺は誤解はよもやあろうとは思いませんが、仮想敵国は日本は持たない、こういうことでございますから、その上で日本が侵略を受けた際、あるいは局地防衛、どういう処置をとるか、そういうことを考えればいいのでございまして、仮想敵国があって、何かそのもとで自衛隊がいかにあるべきか、かように考えているわけではございませんから、そこらの誤解のないようにお願いいたします。
  73. 岩間正男

    岩間正男君 これは経済事情でいかようにも修正する、あるいは来年度の発足を見合わせるというようなことが盛んにPRされている。しかし実際はなかなかそうじゃない。たとえば、まあ一部修正があったとしても、いま申した根幹はこれは変わりないだろう。このことを非常に国民も心配しているわけですね。現に朝永さんたちをはじめとする七人委員会が、この四次防の発足は中止すべきだという、そういう声明を発しております。御存じでしょう。そうして、このことは国民のやっぱりだれでもがそういうことを願っているんじゃないかと思うんです。これに対する見解を簡単でいいですからお聞かせ願いたい。
  74. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) 知っております。相当な人たちの御意見ですから、よく参酌したいと思っております。
  75. 岩間正男

    岩間正男君 相当な人たちと言っているけれども、これは日本の平和を代表するような人が大部分でしょう。これは世界平和、そういうもう日本で知名な、しかも、そういう功績のある人、そういう人がこういうことを言い出すのはよくよくのことなんですからね。  次に、松前・バーンズ協定の問題これに関連してお聞きしたいと思いますが、最初におききしますが、佐藤総理総理は、これまで繰り返して、復帰後の沖繩には安保条約とその関連取りきめを変更することなくこれを適用すると申されましたが、これはいまでも変わりございませんか。
  76. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 変わりません。
  77. 岩間正男

    岩間正男君 この関連取りきめというのはどういうことになりますか。これは地位協定もその一つだと思います。それから日米合同委員会合意書というのは、全部で約二万ページにわたっている。その一つを十年ほど前に私は予算委員会で問題にしたことがありますけれども、当時、基本労務契約という暗黒なスパイ協定の問題でありますが、こういうものを含めてたくさんあるわけです。それから、このほかにまたいろいろな協定があるわけですね、これは全部関連取りきめということになるわけですね、そう解釈してよろしゅうございますね。
  78. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) いろいろな協定があるわけですが、お尋ねの松前・バーンズ取りきめの経緯といいますか、これは領空侵犯に対する処置は、岡崎・マーフィー往復書簡に基づいて、もっぱら米空軍に依存しておりましたのを、昭和二十九年航空自衛隊が発足しましたので、そこで、昭和三十三年の四月から航空自衛隊も同じように領空侵犯に備えて警戒体制を開始したと、六月には、それまで米軍が管理していたレーダーサイトの航空自衛隊への移管が開始されたわけであります。そこで、松前・バーンズ取りきめは、このレーダーサイトの移管を機会防衛庁長官から領空侵犯に対する措置をとることを命ぜられる航空総隊司令官が、長官の承認を得て、岡崎・マーフィー往復書簡によって同様の措置をとることとされている米第五空軍司令官との間で、これまた昭和三十四年九月二日、レーダーサイト移管後の両者の領空侵犯に対する措置、実施上の細目事項を調整するために締結したもの、こういう経過になっておるというふうに承知しております。
  79. 岩間正男

    岩間正男君 どうも、質問をよくお聞きになって御答弁いただきたいんでありますが、私は、これは関連取りきめですね、安保条約の関連取りきめの中に、いまのような合同委員会合意書、そういうものが入るのかどうか、こう聞いておる。外務大臣からこれは答弁願いたい。
  80. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) ただいま防衛庁長官からお答え申し上げました松前・バーンズ協定でありますとか、岡崎・ラスク書簡でありますとか、そういうものは、これは今日なお有効である、こういうふうに思います。  なお、合同委員会でいろいろいきさつがあった二百と称せられる案件ですね、その問題につきましては、私は、詳細に承知いたしておりませんから、これは政府委員のほうからお答え申し上げます。
  81. 井川克一

    政府委員(井川克一君) 岩間先生の御質問は、第二条にございます安保条約及びこれに関連する取りきめとは何かという御質問だと思います。これに関連する取りきめとは、安保条約の締結に際し、条約とともに国会の承認を得た条約第六条の実施に関する交換公文、吉田・アチソン交換公文等に関する交換公文、相互防衛援助協定に関する交換公文及びいわゆる地位協定、これをさしております。
  82. 岩間正男

    岩間正男君 それはおかしいじゃないですか。関連取りきめというのは、結局、その結果、実施のためにつくられたのは日米合同委員会合意書でしょう。このために各省庁と米軍との間に分科委員会が持たれて、たくさんの合意書がつくられている。そうして、ここでいう関連取りきめというのは、実はそれが実態なんですよ。地位協定よりももっと具体的なんです。この問題はすっぽらかすと言うんですか。当然、それは日米合同委員会合意書は入らざるを得ない。それから、そのような協定は入らざるを得ない。入らなかったら、それは実体のない、形だけのものになる、そういうことになりますよ。関連諸取りきめというのは、はっきり、そうでしょう。どうなんですか。
  83. 井川克一

    政府委員(井川克一君) 第二条に申します関連取りきめは、ただいま私が申し上げたとおりでございます。つまり、条約として日本国国会の承認を得たものを意味するという了解のもとにあの第二条がつくってあるわけでございます。  これをちょっと経緯から申し上げますと、佐藤・ニクソン共同声明にも、いわゆる本土並み、変更なしに安保条約及び関連取りきめが適用されるということばがございます。この際、佐藤・ニクソン共同声明が出ましたときに、愛知外務大臣は、そのときの説明におきまして、そのときから、私がただいま申し上げた諸条約がここにいう関連取りきめであるということを言われております。そして、今度の条約になりまして、第二条に書かれてあるのも、まさしく私が申し上げたとおりでございます。そして、私、岩間先生に一度申し上げたかと思いまするけれども、その他のこれに基づくものは、これを具体的によく洗いまして、はたしてそれが沖繩における技術的その他の事情によりまして完全に適用ができるかどうかということ、これは行政府限りでできることでございますので、それをよく洗ってみたいということを申し上げました。そして、現在もずっとその作業を続けておりまして、ほとんど大部分のものがそのまま適用できるという段階に達しております。
  84. 岩間正男

    岩間正男君 それの論議は、時間の関係から、これはこまかくやりませんけれども、地位協定も荒っぽいんです、まだ。地位協定を具体化するために合同委員会がつくられた。合同委員会で具体的な実施がきめられているというのが実態です。ここできめられた合意書というものが適用されなければ、かたわになるわけですよ。ですから、当然これが適用されると、こう考えてもいいと思う。  そこで、具体的にお聞きいたしますが、松前・バーンズ協定は適用されるんですか、適用されないんですか、返還後の沖繩に。
  85. 久保卓也

    政府委員(久保卓也君) 適用されます。
  86. 岩間正男

    岩間正男君 はっきりしたわけですがね。そうすると、松前・バーンズ協定について先ほど御説明がありました。これは、日米両国の航空部隊は「自国の部隊としての本来の姿を保持させつつ、且つ一つの団結した防空組織として運用するのを容易にする」という目的によって、アメリカ第五空軍と自衛隊航空総隊の間に取り結ばれたものであることは明らかだと思いますね。ところで、これを沖繩に適用するとしたらどうなる。いままで嘉手納空軍基地や知花の弾薬庫、牧港第二兵站軍団、あるいは瑞慶覧にあるあの数々のいろいろな米軍のそういう施設基地、こういうものを、いわば米軍の中枢基地防衛する任務を自衛隊が引き継ぐとしても、一つの団結した防空組織として運用するということになれば、指揮を別々にとるなどということは、全くこれはナンセンスになるのじゃないか。攻撃があった、これに対応しなければならぬ、そのとき指揮が米軍から出される、あるいは日本の航空自衛隊から出される、こういうことでは間に合わなくなってきますね。結局は米軍の支配のもとに置かれるという、そういう体制になることは、これは明らかですよ。いままでの経験でもはっきりしている。これはどうですか。
  87. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) 平時においてはそういう心配はないわけで、これはいざというときにという問題ですから、日米安全保障条約によって、日本の安全のために日本自衛隊米軍協力する、そのことは、当然これはあると思うのです。しかし、先ほどから御質問中にもおっしゃるように、幸いなことに、極東においてはそういう切迫した事態が起こる可能性はないわけでありまするので、しかし、ないからといって放置するわけにはまいりませんので、この話し合いによって、方針としては取りきめをしておる、こういうことであります。
  88. 岩間正男

    岩間正男君 第五空軍の実態を見ればいいのです。昨年の「よど」号事件で、いまさらながら国民はこの実態を見たわけです。そうでしょう、佐藤さん。日本政府でも空白のあった時間がある。二十時間くらい空白だったのです。だれが一体これを支配しておったか、君臨するものはだれかということははっきりした。アメリカ第五空軍というものは、言うまでもなく、これは日本、韓国、沖繩などですね。台湾、そういうところ、極東の空を支配しています。そうして、自衛隊航空総隊との間に、これは共同の作戦指揮所を持っておる。これは府中にあります。そうして防空の指揮に当たっている形になっておる。しかし、あの「よど」号の事件がはっきり示しておるように、この一切の情報網というものは、彼らが握っておるのです。だから、日本政府は二十時間空白のもとに置かれてわからなかったのです。情報網を握っておるものは、同時に指揮権を握っておるものでありますよ。松前・バーンズ協定には、指揮権の問題についてまで書いておりません。情報はあくまで第五空軍の司令官の権利に所属するものだということは、これは明記されておるでしょう。そういうことになれば、私は、松前・バーンズ協定復帰後の沖繩に適用される、そうすれば、それがはっきり生きるわけですから、空の支配権は依然としてアメリカ空軍が握る、こうならざるを得ない、こういうことになるわけです。ですから、先ほど米軍を守るとか、守るのは任務で当然だとかなんとか言っていますその守り方です。肩がわりをして、自衛隊沖繩に配備をされて、そうして米軍のいままで担当しておったこれらの防衛の任務を引き継ぐのだということになる。これはしかし形なんだ。形はそうなんだ。しかし、実際はどうかというと、依然として支配されておる。これは単に空軍だけの問題ではないのであります。こう考えますというと、このバーンズ協定をこのまま適用するということは、実は日本の主権の問題とも関連して、非常に重大な課題になってくる。それとも、このバーンズ協定やめますか。関連諸取りきめを変更することなく、安保条約とともに適用するということを言われました。バーンズ協定はこのまま生きるのだ。第五空軍は沖繩を含めた極東の空を依然として支配し、君臨するのです。こういう体制の中で入っていく自衛隊の姿というものはどういうものですか。この姿をはっきり見てください。陸・海・空三軍の姿を見てください。これははっきり御答弁願いたいですね。
  89. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) 自衛隊の任務は、言うまでもなく、沖繩の平和確保のために局地防衛に任ずる、これであります。  それから松前・バーンズ取りきめにつきましては、これは今後とも守っていきたいと思います。その指揮、命令等の執行のしかたについては、防衛局長から念のために補足説明をいたさせます。
  90. 久保卓也

    政府委員(久保卓也君) 実態をお話し申し上げれば御理解いただけると思います。  領空侵犯措置に対する行動は、返還後六カ月間は米軍にゆだねるようになっております。その間はレーダーサイトの米側の指揮官が要撃に対して指揮をする。それから六カ月後になりますと、領空侵犯はわがほうがやりますから、レーダーサイトに配置されておる自衛隊の連絡員からコントロールすることになります。その態様というものは、ちょうど三十年代の初期にわが自衛隊本土自衛隊がそうであったのと同じであります。  なお、防空については四十八年の四月一日以降日本側が完全に引き継ぎますけれども、その場合には、レーダーサイトは完全にわがほうの指揮下にありますから、わがほうの指揮によって防空任務が遂行されます。
  91. 岩間正男

    岩間正男君 喜屋武さんが質問をされますから、私は時間を守りたいと思います。  最後に、だから総理にお聞きしたいのです。いまのような論議を通じて、自衛隊というのはどういうものだということは、いろいろな点からこれは明らかになったと思うんです。だから、沖繩の人たちはこれの配備に対してほんとうに反対しているんです。これは、いろいろな世論調査も示すところであります。  第一に、沖繩には戦前軍隊がいなかった。その次には本土防衛の前線基地としてあの二十万の犠牲をこうむった。私は、那覇に参りまして、あすこの住民の人たちと一晩懇談会をさしていただいた。ところが、敗戦のあのときの姿はどうだった。ものすごい敵の爆撃で防空壕を必要とした。最後には、あのお墓を使った。お墓を使ったけれども、このお墓を銃剣をつけた日本の軍隊がやってきて、これを追い出した。これはおまえらのいるところじゃないと言って、これを防空壕に使った。こういうようなやり方までした。そうして、私たちは摩文仁ケ丘のあそこに参りました。あの土地の中からいまだに白骨が出てくる、こういう姿。そうして、そのあとに、どうですか、今度は米軍の二十六年の間のまさに軍事的な支配があったわけです。こういう中で、自衛隊がまた乗り込もうとしている。私は、県民の声を佐藤総理は率直に聞いてほしいのです。こういうことですよ。自分たちのこの基地、ここから飛び立った爆撃機、そういうものが飛び立つたびに、アジアの人たちが何十人、何百人と殺される。これを長い長い間見てきた。もうがまんできるだろうか。これが現地の人の声じゃないですか。ところが、今度の返還協定というものは、この状態は何一つ変わらない。むしろ戦力は増強されるところがある。そうして自衛隊はここに配備される。この自衛隊は、いまの松前・バーンズ協定の適用、これ一つとってみましても、大体どういう隷属軍隊であるかということは明らかだと思う。こういう中で、一体、この配備に賛成するわけがないでしょうか。  私は、最後に、佐藤総理沖繩の人たちの声に対してどういうふうに感じておられるか、この一点をお聞きしたいと思う。こういうような自衛隊の配備をやめる、そして土地強制収用なんということはやめる、そうして、ほんとうに沖繩の無条件全面返還の方向に全力をあげて国策を変える、こういうことを私は要求したいと思う。佐藤総理の御意見をお伺いします。
  92. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 岩間君の御要求は、それなりに私も受けとめております。また、沖繩同胞の自衛隊についての拒否反応と申しますか、それも私はわからないではございません。ただ、いま言われたように、戦前、戦中、戦後、それを通じて、やはりその間にできたものだと思います。  ただ、私は、この際に申し上げたいのは、かっての陸軍、海軍、空軍というものではなくて、今回の自衛隊は平和に徹した、いわゆる防衛、専守防衛のものでございます。それらの点に十分御理解をいただくなら、いままでの感じとは違ったやはり感じを生み出されるのではないかと思っております。  そこで、私、何よりも申し上げたいのは、ただいまの状態において祖国復帰をほんとうに心から希望しておられる、その祖国復帰が完全な平和なものじゃない、あるいはまた基地のない祖国復帰を願ったが、どうもそういうものがある、こういうような不満、また、自分たちの土地は取り上げられたとかいうような不平等々がございますが、それらのものは、過度的な状況のもとにおいては、何よりもやはり復帰することだ、そのもとにおいて、ただいまのような不平不満、また不都合なもの、これらのものを解消してもらいたい、こういうことがやはり同胞の考え方ではないだろうかと思います。私は、そういう意味において、今回の行政協定——返還協定もいたしましたが、まず祖国復帰の第一歩を踏み出したばかりだ、いま踏み出そうとしておると、かように私どもこれを受けとめて、今後の沖繩県づくり、これに邁進すべきではないだろうかと、かように私は思うのでございまして、ただいまのような点についても、さらにさらに理解を深めていただきたいと、かように思います。  どうも理解なくしてわれわれが自衛隊を配備いたしましても、これは十分な効果はあがるとは思いませんから、十分理解していただくことが何よりも大事なことだろう、かように思います。
  93. 岩間正男

    岩間正男君 一言だけ。  まるで、方法はあべこべだと思うのです。しかし、ここはもう時間が来ておりますし、喜屋武さんの質問も近づいてきていますから、これで終わります。     —————————————
  94. 長谷川仁

  95. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 私は、二十五年ぶりに沖繩から参議院議員として国政に参加した一人であります。私たちの任務は、復帰に向けて沖繩問題を国政に反映させるという、こういう重大な任務を持っております。そこで、参加以来、私は自分に直接かかわる会議、委員会はもちろんのこと、衆参両院を含めて、あらゆる機会に傍聴いたしまして、沖繩問題を国の問題としてつなぎとめて傍聴いたしております。特に、今国会は沖繩国会と言われておりますとおり、わけても私の関心は、朝な夕な、そのことで一ぱいでございます。  そういう中で、私は、今日までの国会を通じて私なりに受けとめておりますことは、佐藤総理をはじめ、政府の閣僚のお答えの中から一貫して受け取れることは、復帰後は、復帰したあとにどうするという、こういう姿勢と答弁が多いけれども復帰までに起こるもろもろの問題に対して前向きでどう取り組んでいくかということについてはあまり見られない、聞かれない、こういうことに非常に不満を持っております。また、直接沖繩にかかわる沖繩協定の問題にいたしましても、二つの立場から、すなわち、国会において審議されていく過程の中で言われております議会制民主主義を踏みにじった暴挙であると、こう言われるわけですが、そういう中で沖繩問題が審議されていく、しかも、内容の上からもなお幾多の問題を残しておる。すれ違いのままで、問題が解明されないままに今日に至っておる。こういう中で私がいま質問に立っておるわけですけれども、私に与えられた時間もごくわずかであります。そういう状態の中で、審議を尽くしたということでこれが処理されていくとするならば、一体どうなるであろうか、こういった懸念も、もういまから持たれてしようがありません。  そういう心配がないように、こういうことを私願いながら最初に佐藤総理にお尋ねしたいことは、沖繩問題の本質は、一つには、四半世紀にわたる米国の布令政治から抜け出して、すなわち、軍事優先のアメリカ支配からの脱却をするということがまず一つ、二つには、明治以来の日本政府による差別からの脱却、これも説明を要すると思いますが、一応集約いたします。三つには、沖繩問題の処理は、単に沖繩県民の問題だけでなく、日本全体の問題としてとらえる、こういうことが沖繩問題の本質であると私は理解しております。ところが、政府沖繩施策は、すべて、基地固定化基地の強化を前提としておる、こう言わなければならないと私は受けとめております。たとえば、復帰前の——あとで私さらに詳しく質問もいたしたいと思いますが、いま沖繩に起こっておるドル・ショックの問題、さらに、きのうの円切り上げと関連いたしまして、さらにたいへんな大混乱を起こしつつありますその通貨切りかえに対しては、即時に、直ちに一ドル三百六十で切りかえろという強い県民的要望があるにもかかわらず、そのことについては拒否されたまま今日に至っておる。のみならず、県民をあげて、国民をあげて、いま今国会の中で問題の焦点となって反対されつつあるところの土地強制使用の問題に関する告示は、文句を言わさず復帰前にやる。こういう切実な要求に対しては前向きでいれられない。ところが、拒否反応を示すことに対しては、強引に、文句を言わさずに押し切っていこうといったような、こういう、まあこれは単なる一例でありますが、こういう事例からしましても、私は、沖繩問題が抜本的に解決されていくことには希望が持てない、こういうことをいま身にしみて感じておるわけです。それに対する総理の御見解を求めたいのでありますが、午前中の持ち時間が制限されておりますので、一応締めくくって答えていただきたい、こう思うのであります。  そこで、私は、総理にいま申し上げた問題に対する所見と基本態度を確認いたしたい、こう思うのでありまするが、一つは、明るく豊かで平和な沖繩県づくりということが一貫して述べられております。そのことは、まず第一には、二十六年にわたるしいられた犠牲、これは物心両面からの犠牲を埋め尽くしていくという、いわゆる戦後処理を余すところなくやっていくという、このことが、まず大前提でなければいけない。第二点は、さらにその上に立って開発をしていくということでなければいけない。しかも、その開発は、戦争の不安、戦争の危険のない、こういう沖繩にしていくという、こう私は思うのであります。現実に起こる不安が、もろもろの不安が一ぱいある、これを一つ一つ片づけることなくしては、復帰後にどうなるという、もうそれまでは待てない問題がいま一ぱい山積みしておるわけであります。そういう情勢の中で、いま申し上げたことに対する総理の御所見を賜わりたいと思います。
  96. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 施政権下にありましても、この沖繩の施政権復帰、それを急いで、また、皆さん方のぜひ国政への参加を願って、そうしてこの復帰について万遺漏なきを期しようというのが政府の考え方でもあり、本土皆さん方の考え方でもあったと、かように私は思います。したがって、ただいま言われるように、喜屋武君はじめ、皆さん方が、やはり沖繩代表として、この国会に、大事な施政権返還の問題についても取り組むことができたと、かように私は思っております。また、喜屋武君自身が、復帰協、これ、長い間みずから主宰し、また、その先頭に立って戦ってこられただけに、私は感無量なものがあるだろう、かように思います。そうして、ただいま最初に述べられましたように、沖繩施政権返還、これはどうも軍事優先になるのじゃないかと、また、軍事優先、ほんとうに日本自身もこの軍事優先から脱却する、そうして差別的な待遇をせず、全国民があたたかく迎える、ほんとうにその気持ちになっているのか、こういうような疑問を投げかけられたように思いますけれども、私は、この際に、はっきり申し上げますが、日本全土は沖繩をあたたかく迎える、そういうことで胸一ぱいでございます。したがいまして、ただいままで戦ってこられた、そういう点からも、ほんとうに今後の処置について、復帰後の処置について、たいへん私は複雑な心境でもあり、また、ほんとうに明るく豊かな平和な沖繩県づくりに協力してくれるかどうか、それをたいへん御心配にもなっていらっしゃることだと思います。ことに、最近のドルから円へ変わる、これがたいへんいま生活を支配しておる一番大きな問題だと、そうして、しかも、円に変わる、その大きな変化があるが、それにもまして、軍基地については何らの変わりがない、こういうところに、たいへんな御心配があるのではないかと思います。私は、それらのことをも考えながら、ただいま御意見をまじえて述べられたこと、この点は私にもわからないではございませんから、私は、皆さん方とともどもに、沖繩百万の同胞とともどもに、あたたかくこれを迎え、長い間の、戦中戦後の労苦に報いる、そういうあたたかい措置が、本土全体もあげて、これがとられなければならないと思いますし、まず、そのためには、しばらく時間はかしていただきたい、かように思いますが、さっき来、これからお尋ねになろうとする明るく豊かな沖繩県づくりに具体的に邁進すべきではないだろうか。そのためには、どうもただいまの米軍優先、土地収奪、そういうような点がやはり思い起こされる、こういうことについても、いろいろ考えがあるのではないだろうかと思います。それが、よし、移り変わりの過渡的な措置にしろ、暫定使用にしろ、あの法案についてのいろいろの論議をかわしたいと、かように思っておられるだろうと私は思うのでございまして、最初に、きわめて簡単な感想だけを申し上げてお答えにいたします。
  97. 長谷川仁

    委員長長谷川仁君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時から再開することとし、暫時休憩いたします。    午前十一時五十八分休憩      —————・—————    午後一時九分開会
  98. 長谷川仁

    委員長長谷川仁君) ただいまから本特別委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、質疑を行ないます。喜屋武眞榮君。
  99. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 沖繩の置かれておる立場から、あまりにも問題が多過ぎまして、そして予期しない問題が次々と、こう、続出いたしております。これをまず解決し、消していくのでなければ、復帰後の豊かな沖繩ということは、これも絵にかいたもちにしか過ぎません。そういう意味で、私は、まず当面の問題として、いま振りかかっておる問題、具体的な問題を最初にお尋ねしまして、そうして、それについても、現状をなるべく詳しく説明申し上げたほうがいいわけでありますけれども、そういういとまがありませんので、結論を求める、確認する、こういう意味でお尋ねをいたしたいと思います。  まず第一点は、例の円切り上げに伴ういわゆるドル・ショックであります。前の変動相場制に伴って、ドル圏にある沖繩がたいへんな混乱を起こした、ショックを受けたということは御承知のとおりであります。その傷もまだいえない、解決もしないままに、また次のショックが振りかかってきたのが、きのうのあの問題でございます。円切り上げに関する問題でございます。  その前の実情、問題点を、要点だけ申し上げますと、いま沖繩で起こっておる困難な問題として、一つは、通貨交換時の給与換算問題に対する労使間の紛争、二つが、貨幣資産の価値下落の思惑によるところの資本投資の顕在化、三つが、個人間の貸借金換算額の不確定による不安、四つは、貿易差損発生による物価の上昇、五つが、貿易取引の停滞、六つが、輸出産業の為替差損の発生、七つが、本土旅行者の携帯ドル並びに本土滞在者への送金の為替差損、こういった形で、ますます混乱が累加しつつあるわけです。  そういうところへ、今度また追い打ちをかけるようにあらわれてきた。いち早く、きのうの反響が、きょうのまた現地からの情報によりますと、たいへんなことになるということを予告いたしておるのでありますが、現地琉球銀行の、琉銀の推定によりますと、本土復帰までの輸入代金面が約二百億をこえる。これは円の大幅切り上げによる被害の損失の総括であります。で、対外債権企業の現金、預貯金、これの、例の十月九日の通貨確認によって一ドル対三百六十円の保証を受ける個人の現金、預貯金以外の面で、あの条件を別にいたしまして、合計約七百億円にのぼるんだ、こう打ち出しておるのであります。このうち、輸入依存度の、本土輸入が八〇%以上を占めておる、こういう特殊性から、為替差損の増大は本土政府の強力な施策がない限り消費者物価高となって県民生活をさらに圧迫する、このように警告を発しているわけであります。  こういうことも考えてみますと、結局、好んでドル通貨使用した県民ではなく、これも押しつけられた、強いられたドル使用である。しかも、みずからの意思によって異民族の支配を受けておるのでもない。それは日米両政府の一方的な決定によるものである。こういうことがいずれの場合にも大前提になるわけでありますが、この問題を解決するきめ手は、従来から一貫して、沖繩の業者、あるいは立法院、行政府、あるいは民主団体と、波状的に陳情しましたのは、一ドル対が三百六十で、そしてすみやかに切りかえよ、すみやかに切りかえる以外にこれを抜本的に解決する方法がない。これがもう一貫した要望であることは御承知だと思います。いま、あらためてこのことをお聞きするわけであります。もうその他の糊塗策では、幾ら、県民に不利益を与えないのだと、こう言ってみたところで、現実にそれをおおうべくもない。具体的に、もう広がり高まるだけである。その犠牲は積み重なってくるだけである。こう思いまして、重ねてお聞きしたいことは、すみやかに円に切りかえる、これ以外に解決の方法はない、こう思いますが、それに対する政府の御見解を求めます。
  100. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 沖繩ドルを早期に円に切りかえるようにという強い要請があることは事実でございまして、政府も苦慮しておるのでございますが、たてまえだけではなく、現実的な問題を考えてみますと、すでに対策を行ないました為替差損——本土との交易に対する安定資金については、すでにもう九月−十二月にわたって二十一億円の支出を行なっておるわけでございますが、手持ちのドルを円にかえるということは、なかなかむずかしいのでございます。これは制度上からもむずかしいし、もう一つは、現実問題としてもむずかしいという困難な事情がございます。それは、施政権下、施政権がアメリカにございますから、これはもう、流通する通貨をきめることはアメリカであることは言うを待ちません。しかし、しゃくし定木に言っているのではなく、それは日米間で話し合いをすればいいじゃないかということばになるわけでございますが、ところが、話し合いをしても、これは解決の道がないわけでございます。なぜかといいますと、三百六十円で交換をいたしますと言わなくても、何らかの処置をするのではないかといって、投機的資金が沖繩に流入をしないという保証はないわけでございます。ですから、そういう意味で、いまの状態において、何月何日付をもって三百六十円で計算をすると、もし——これは全く仮定の問題でありますが、そう決定したとすると、米国の軍人の持っておるドルまで、みな三百六十円で交換しなければならない。その区別はつかないわけでございます。でございますので、これはもう本土政府に対する要求はよくわかるのです。私たちも、ほんとうに苦慮しておるのです。総理が、きのう、円レートの改定に対して一番困るのは沖繩住民である、政府はその対策に一番腐心をしておるのだ、最大の問題はここにあると、こう述べられたのは、そこにあるわけでございます。ですから、いま現時点において、制度上も現実の上からも、復帰前にきのうまでのレート三百六十円で交換することは全く難い、こう申し上げる以外にはないわけでございます。
  101. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 まあ、むずかしい問題、困難な問題、こういうことで片づけられると、相当犠牲を忍べということにしかなりませんが、それでいいとおっしゃるのですか。
  102. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) いいなどとは、夢考えておりません。ですから、総理大臣も、最大の問題はここにあるのだと、こう指摘をせられておるわけでございます。まあ、円平価が切り上げられたときに私もそう思いました。沖繩返還がなし遂げられた後であったならばよかったなあということを、ほんとうに考えたわけでございますが、現実の問題としては避けがたい事実でございます。でございますから、制度の上から、また現実的に考えてみても、本土との交易のために安定資金を二十一億支出したような便宜法さえもないということを現実的に申し上げたわけでございます。それ以上に高度の政治でどう考えるかという問題は当然起こってくる問題でございますが、それは私は復帰後の国民的な課題だろうと、こう思うわけでございます。国民的な課題として、かかる問題が議論せられるべきものだろうと思います。いまの制度の中で、私がいま言ったように、では三百六十円でかえます、こう言っても、この前に証紙を張るとか、スタンプを押すとかというときには、それなりの措置がとれたわけでございます。ここまで問題が現実的に動いてきておる中で、三百六十円でやりますというときに、投機資金が入らないという保証がないというだけではなく、これはもう入るにきまっておるんです、ひとの施政権下でございますから、どんなに協定が行なわれても入るということであります。軍人が持っておるものとの区別がつかない、アメリカ人が持っておるものとの区別もつかないという事実でございますから、これは私は、高い政治的な問題として、民族的な問題として、私がいま答弁をしているぐらいの簡単な問題とは思っておりません。思っておりませんが、いますぐここで具体的な結論を求められても、求められれば、いまのような答えにしかならない。これが私のただいまの時点における本件に対する公式な御答弁ということでございます。
  103. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 おっしゃる気持ちもよくわかるんですが、ところが、現実にも、ひしひしと振りかかってくるこの沖繩の犠牲というものは、どんなことがあっても、県民に不利益を与えぬだとか、あるいはよく気持ちはわかるとか、そのようなことではがまんならない、そういうところまで追い込められ、追い詰められておるということを、ひとつ理解していただいて、そして、やってやろうというこの姿勢、配慮があるならば、私は、沖繩問題は不可能ということはあり得ぬ、また、あらしめてはいかぬ、こう思うのであります。どうかひとつ、総理は、一月にニクソン大統領とも会談なさいますので、その中でもひとつ最高の配慮をしていただいて、これが何とかその解決のめどがつきますように、県民の要望がいれられますように、それを期待いたすものでありますが、御所見、いかがでありましょう。
  104. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) この問題は、たいへんむずかしい、また複雑な問題でございますが、ただいま言われるように、変動為替制をとりました際に、もうすでにこのものが起こっております。当時は、三百二十円になるだろうか、あるいは三百十五円だろうか、よほどなにしても三百十円だろうと、かように言ってたのが、今度固定相場で三百八円と、これがきまる。そうして、さらに変動幅も大体きまっている、こういうことでございますから、ここらで何か対策が打ち出されてしかるべきじゃないか、かように言われることも、これはわからないではございません。ただ施政権がアメリカにあるからというだけで、れわわれも手をこまぬいてはおられない。変動為替制になった際に、沖繩の方が一番お困りだろうと思うところの、本土で勉学される学生諸君、これらについての特別措置をとられていることは、すでに御承知のとおりでありますし、これは今後も続けていくでございましょう。さらにまた、沖繩の消費される物資の本土依存率八〇%と、かように言われておる。そういうところで、やはり正月用の関係、これがやはり年の瀬がうまく越せるかどうかという、そこらにたいへんな物価高で悩むようなことがあってはならないということで、これにも一応の対策を立てたつもりでございます。  まだまだ、もっとこういう点もやれとか、ああいう点も考えろとか、こういうようなお話もあろうかと思いますが、私は、基本的な問題として——当座の問題は、ただいまのようなことが考えられた。しかし、最初にあげられた、労使双方で支払い時においていろいろ問題が起こる、その他の七項目か八項目、それらをあげられましたが、それらについて、それぞれ、やはり本土政府としても対策を立てなければならない、そこに来ているんじゃないだろうか。これは、ドルを円に交換するという前に、解決の方法、めどをつけることが必要なことで、そういうことこそ今日われわれがなし得ることだと。それがどこまで取り組み得るか、これは山中君から、あとで補足説明をしてもらいたいと思いますが、先ほど申しましたように、緊急な、これだけは少なくともやらなければならないというものは一応やったように思っております。また、ただいま申しましたように、固定の金額がはっきりきまったのでございますから、その点についての貿易差損——これは貿易というよりも、本土からの移入、そういう差損についての問題は、私ども取り組み得る状態でありますし、物価を上げないような、そういう処置はぜひともとらなければならないと、かように思っておりますから、もっと緊密に皆さん方と連係をとりまして、そうして実情に沿うような解決方法をとるべきだと、かように思っております。ただ、何か、そんなめんどうくさいことをやらないで、一発で全部片づくような処置をとれと言われましても、それはなかなか技術上むずかしい問題だと、けさほど岩間君にお答えしたように、本土の外務省といたしましても、そういう方向でありたい、かように考えておりますが、技術的な面でなかなかむずかしい点がある。これだけは御了承願って、ただいま緊急に処置すべきもの、ぜひともこれだけは少なくともやってくださいと、こういうものがおありだろうと思いますので、そういう点をもさらに分析する必要があるんじゃないか、かように思っております。
  105. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 では、そのことにつきましては、復帰までは待てない、こういう深刻なものがあるということを、さらに知っていただいて、それでは、その間に、いままで政府が述べられた、県民にいささかも不利益を与えない、そういうことは一体どういうことなのか、その具体的なことについて、ひとつ真剣に考えて対処していただきたい。そのことについて、もし具体的にお答えが願えるなら、できたらお答え願い、また、お答え願えぬのでしたなら、具体的に検討していただいて、目にもの見せていただきたい、こういうことを強く要望いたします。県民は、きのうの情報によりますと、もう大ショックで、きょう、また県民大会を持って、これに対する強い要望を打ち上げる、こういうことが報ぜられておるのであります。  以上、このことについて申し上げて、もしございましたら御答弁をお願いします。
  106. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) もし、夏以来の、ドルのショック以来の一連の国際金融市場におけるごたごたがなかったら、私も、どれだけ沖繩についてやりやすかっただろうと、たびたび思うほどであります。しかしながら、現実は、ただいま喜屋武さんからるる述べられたような事実の中に沖繩が置かれておるわけでありますので、ただいままでとりました措置、それから直ちに、変動相場から固定相場という、切り上げになって固定相場に移行したことに伴う当然の財政措置もいたしてまいりたいと思います。その他の問題を数多く並べられておりますが、それを基本的に解決するためには、どういう手を打っても、まずやはり、復帰前の円・ドル即時交換という、こういう問題は、私もそのとおりだと考えるわけであります。大蔵大臣の立場からの御説明もございましたが、そのような道があるならば、もうすでにとっていたはずであります。しかしながら、きわめて困難であるために、次善の策としての、緊急な、日琉両政府だけでなし得る措置として精一ぱいの、アメリカ側の抗議もございましたけれどもドルチェック、確認による差額交付という措置をとったわけであります。  しかしながら、いま施政権下にあるということと同時に、布令第十四号で、琉球列島及び大東諸島に関する唯一の通貨アメリカ合衆国ドルであると、こう書いてでございますので、どうしても布令の改定ということを前提にしなければなりません。したがって、対米折衝いたします際に、その点の秘密を保って、アメリカ側もごく一連の関係した人たちだけでいけるものかどうか、きわめて困難がございますが、これは外務大臣ともいま相談をいたしております。しかし、かりに、すべての障害を克服して沖繩において本土と同じ円圏にし得たと、こう仮定をいたしますと、現在為替管理法に匹敵する制度がございませんから、当然布令第十四号を……。沖繩においては日本円を使うことを認めるということをアメリカがオーケーを出したとしても、その際においては、アメリカの将兵その他の家族、居住者を含めて、これを対象からはずすことは、交渉の過程においておそらくできないことだろうと思うのですけれども、かりにそれらの手段で円・ドル交換した後において——復帰と一緒であれば円圏になっているわけでありますから問題はありませんが、その間一カ月でも二カ月でも三カ月でも、沖繩が施政権下の中にあって、そうして円通貨の通用ということになりますと、そこに、円と幾らでも交換できる、チェックのされない市場というものが一つぽっかりと穴をあけるわけでありますから、その際——沖繩という場所は小そうございますが、世界のユーロダラーだけで四百六十億ドルといわれておりますけれども、そういうものも含めて、恣意的に沖繩の市場において、復帰までの間に、操作されるであろう姿を考えますと、やはりそれらの点を十分に、法律上も、琉球政府の中の法律としても、制度を詰めておいてからでないと、むずかしいということを考えておりますが、いずれにしても、県民の願望の帰するところは一つであると思いますので、その点は、今後大蔵、外務大臣とともに、よく相談をしてまいりたいと存じます。
  107. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 次に、やっぱり困った問題がいまあるわけであります。それをぜひ確認をいたしたいと、こう思う問題がございます。それは、琉球政府も、この復帰に向けて、過去の累積したいろいろな問題を点検しながら、洗いざらい立て直しに励んでおる最中でありますが、その中で、財政面から、従来国家的な、府県的な、そういう荷を負わされた、沖繩が四半世紀も積み重なって歩んできたわけですが、そういう中から、いろいろの問題がいま起こされつつあるわけですが、その中で、復帰時点でその累積債務は日本政府が引き継いでもらうと、こういう強い要望があることは御承知のとおりであります。また、そのことについては、それはそのとおりやると、こう述べられておるということも間接にはお聞きしておりますが、それが間違いないだろうかどうか、こういうことをお尋ねしておるわけです。
  108. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 前にも申し上げましたとおり、沖繩県は、琉球政府として国の事務も行なっていただいております。したがって、本来の県よりもよけいな人員をかかえ、よけいな事務を執行し、事業を行なっていただいておるわけでありますから、それらに対して、当然本土政府が——昨年ようやく起債というものを認めたわけでありますけれども、起債市場もなく、一般の市中銀行から借りたり、あるいは財投の金を、自分の足を食うような形で使ったり、いろいろと苦労してこられましたので、これらの点について、若干の本年度起こした起債等については、これは本土の府県と同じでありますから、これらの若干の金額は別にいたしまして、概略六千五百万ドルぐらいに達すると思われますが、そのような累積赤字については、国の事務をやっていただいておったと、しかも、また、国はそれに対して、琉球政府というものに対するそのような事務の見返りの起債その他について長らくめんどうが見れないということの堆積でもございますから、それらは一応本土政府の責任においてたな上げをして、きれいさっぱりした県として財政上も出発をしていただき、その償還は本土政府予算において償還していくということにいたしまして、来年度はその初年度の償還に匹敵するであろうと思われる金額を予算要求いたしております。
  109. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 いまの点に、さらに関連して確かめておきたいことは、いま琉球政府直接の累積債務ということでお尋ねしたのですが、それに関連して、琉球政府の借り入れ金以外の債務、たとえば観光開発事業団の民法法人移行に伴うところの債務、これも含んでおるでしょうか。
  110. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) これは、公益法人に観光開発事業団が移ってまいりますので、その際において、やはり琉球政府の持っております観光開発事業団の赤字という、現在の立場とは違って、まず公益法人の立場を獲得する上においてもこれは整理されなければならないものであると思います。しかしながら、それは今後のまた観光開発事業団の収支の見通しの問題等とも関連がございますので、その問題を、ずばり全額、それは琉球政府の赤字であると断定するところまで、まだ作業は進んでおりませんけれども、方向としては、それも含めて処理せざるを得ないのではないかという感じで、いまのところ、おります。
  111. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 いまの点は、ぜひひとつ特別な配慮で、あるいは筋書きどおりということになると問題がある場合もあるかもしれませんが、沖繩の特殊事情という立場から、ぜひひとつ大幅に配慮してもらわなければいけない、こう思っておりますので、強く申し入れておきます。  次に、これも沖繩の特殊事情から来る問題でありますが、公務員の年休の問題であります。年休買い上げということに沖繩はなっておりますが、それが復帰時点でそのまま既得権としてぜひ認めてほしいという強い要望があるわけなんですが、それに対して政府としてどうお考えか、ぜひひとつ、その現地の要望にこたえていただきたいということを申し入れて、御見解をお聞きしたいと思います。
  112. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 確かに、長年、琉球政府の公務員の方々は、年休の買い上げ制度、したがって、それを積み立てて買い上げてもらう権利というものを持ってやってこられたことは私も承知いたしております。したがって、その権利は、復帰の際に退職される方にはその権利のままで退職されるわけでありますから、これは当然、国のほうも財政措置その他において琉球政府に御援助申し上げなければならない点は、いろいろと、退職債その他であると思います。しかしながら、復帰後は、沖繩琉球政府に現在つとめておられる職員の方で国家公務員として出先の機関の中に入っていかれる方々もおりましょうし、本土に来られる方々もおると思います。それらの方々について、一般の公務員と違う休暇のとり方というもの、あるいはまた買い上げ制度というものが存在することは、この点は原則的にどうしても消化することができませんでした。したがって、人事院規則において現在まで権利として積み立てられた人々は、有給のまま、その休暇を行使することを認める、すなわち、本土の公務員法、人事院規則によって定められた休暇の年当たりの日数というものを、沖繩県並びに地方公務員について、現在の制度下でつとめておられた経歴の方々については、有給休暇の行使権というものを特別ワクで消化していただくことを認めようということに、いま、しておるわけでありますが、しかしながら、この点は、琉球政府の御要望に完全に沿っていないという点は認めざるを得ない次第であります。
  113. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 この点についても、まあ政府の御態度はわかりましたが、現地の強い要望としては、どうしても買い上げてほしいと、 このことで、いま実は団交の中でもそれが非常に問題として交渉中であるようでありますが、その点、いろいろせんさくすればあると思いますが、ぜひひとつ、戦後処理、こういう考え方に立って要望をいれてほしいことを強く私要望いたしまして、御検討をお願いしたいと思います。  次に、同じく政府職員の給料、いわゆる復帰時点ドル圏円圏になるわけでありますので、その給料をどう乗っかけていくか、こういうことは、まあ一般労働者の問題とも関係があるわけでありますが、このことにつきまして、どのように考えておられるか、お尋ねします。
  114. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 公務員については、これは単純に一ドル三百六十円で換算した俸給という計算にはなりません。すなわち、本土の号俸相当の地位、経歴を持つ方は、そのまま本土公務員と同じ処遇の職責と給料を受けるわけでありますから、本土俸給号俸に当てはめてみますと、おおむね琉球政府の職員の三十歳以上ぐらいの方々は本土の国家公務員の給与体系に乗っかったほうがプラスになります。したがって、そのまま三百六十円よりもよけい、換算で言えば、なることになると思いますが、一方、初任給から始まって三十歳ぐらいまでのところが、沖繩のほうが高くなっております。これらの点は、やはりこれは基本給でありますから、それについての既得権というものは認めなければならないわけでありますので、それについては手当を支給することによって加算をしていこう、それはしかし、三十過ぎに達しますと、本土号俸にそのまま入っていってマイナスになることなく一体化できるわけでありますので、その手段を続けることによって無理なくやっていけると思いますし、また、地方公務員たるべき方々については、国家公務員に準じたそのような処理が、たとえば教職員等については本土の県と同じ本土の円でもって計算された二分の一の負担額というものが行なわれますし、警察官等についても同じでございますから、地方公務員については、そのような支給に要する経費は、また自治省においても当然必要経費として交付税その他の算定の基礎に入るわけでございますので、公務員については一ドル三百六十円という計算だと少なくなる人も出てまいりますが、そのようなことは前提を抜きにしまして、実際の相当すべき号俸の支給を受けるということになるということを申し上げたいと思います。
  115. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 このことにつきましては、まず、いかなることがあっても不利になることがないように、そうして既得権を尊重してもらうように、こういう考え方に立って処理していただくよう要望いたしておきます。  次に、水道問題について建設大臣にお尋ねします。水道料金は、軍、民との両面あるわけですが、その軍、民の水道料金はどのように考えておられるか、お尋ねします。
  116. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) これは返還協定にございますけれども、しかしながら、現実においては、本土において米軍が受けている処遇と同じことになります。すなわち、八〇%ぐらいは、ほとんどが本土においては一般の市民の払うべき対価としての水道料金というものと同じものを支払っておるわけでありますので、沖繩においても同じ条件で支払われることになるかと思いますが、しかしながら、現在公益水道より公社に卸として出しております金、これは今度は、もう沖繩県が一括して琉球水道公社で処理するわけでありますから、その金額というものがそのまま米軍の支払う水道料金になっております。しかし、ひるがえって本土のほうは、一般市民の支払うべき水道料金とほぼ同じ料金のものをずっと大体やっておりますから、沖繩においても、現実においては、県営水道の場合と、市町村でやりたいという、直接給水したいという場合で、ちょっと態様も違ってくるかと思いますが、原則として、何ら一般の県民の支払う料金と変わりのない料金を米側が支払うということになるかと思います。
  117. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 いま、ほぼ同じとおっしゃいましたが、これをいろいろお尋ねする時間もありませんので、あとでひとつ、資料をいただきたいと思います。本土における民間、軍との水道料金、それから、なお、このことにつきまして、いま石川以南の——沖繩の場会ですね。石川以南の補助が十分の十できないと、こう聞いておりますが、その理由は何であるか、これが第一点。  次に、軍用地内の立ち入り調査について、いま四カ月前からそれを申請しておるけれども、いまだに回答がなくて非常に困っておる。金武と石川間の間における軍用地内の立ち入り調査がはばまれて、実際の工事調査ができぬで困っておる、こういうことを聞いておりますが、それは御存じでしょうか。また、そのことについてどういう手を打っておられるか、お聞きしたいと思います。
  118. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 初めの、まず、ダム、すなわち福地ダムの完全なる送水開始までの予算並びにその他の北部の東部の安波川、普久川等のダム建設に対する予算等は、来年度予算要求をいたしております。これは十分の十でございます。そして、石川浄水場までも、これも全額国費ということにいたしておりますが、この石川浄水場についても、そこまでの輸送水管については——やはりダムは全額国費であっても、利用料金というものを伴うための送水である、見返りの収入があるということでいろいろ議論はあるわけでありますけれども、少なくとも石川浄水場まではきちんと十分の十で届けなければいかぬだろうということを、コストその他の面から考えておりますが、さて石川浄水場から、今度は、いよいよ水道公社の供水ということになりますと、これは工業用水も計算の上に入ってまいりますし、一般の水道も、いまでも料金は、給水される方は払っておられるわけでありますから、これを全く石川以南の工業用水まで含めて全額国の補助ということは、私自身も、これはきわめて困難であると考えますので、いまのところは、精一ぱい四分の三補助というつもりで、石川以南については工事をやるつもりでございます。  さらに、現在の予定された路線の調査費、これについて、いま基地内の立ち入りの調査ができないという話については、私も正確にその点を把握いたしておりませんが、本土政府の調査団の調査ができないのであるのか、あるいは沖繩の県の調査の段階であるのか、そこらのところを承ってから、また御答弁いたしたいと存じます。
  119. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 この立ち入り調査ができぬで非常にはばまれておるから困っておる、こういうことを聞いておりますので、これはひとつ早急に調査してもらって、打つべき手を打っていただき、その予定の工事がスムーズにいくように御協力を願いたい、取り計らってもらいたい、こういうことを要望いたします。  次に、核の問題について外務大臣にお尋ねいたします。まあ国会論議の中では、復帰時点で、なくなると、こういうことは、もう一貫して確認されておると思いますが、それで、あえてまた蒸し返したくはありませんが、結論だけ。  その復帰時点で、なくなるという場合に、県民がそれだけでは納得いかぬ、不安に思うことは、復帰時点でなくなるためには、やっぱりその事前の作業がなければいかぬはずです。そうすると、いつから、コースはどうなのか、方法はどうなのか、安全対策はどうなのか、こういうことを知らない限り、幾ら安心しろと言ったって、それは安心できるはずはない。このことについてお聞きしたい。これが第一点。  次に、七千万ドル、七千万ドルというのは、核撤去のすべての費用であるか、まずこのことについて、簡単に結論だけでようございますから……。
  120. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) まず、七千万ドルでございますが、これは、核撤去の費用も考慮し、というのでありまして、全部ではございませんでございます。  それから、核は返還時にはなくなる、これは御納得のようでございますが、それまでの県民の不安、これは、いつ、どういう手順で撤去せられるであろうか、こういうことでございます。私もその点には思いを及ぼしておるのですが、しかし、この核というものの性格上、非常にむずかしい問題です。つまり、今日でも正式には、アメリカは核が存在するということを言っていないんです。しかし、私どもは、これは核はあるというふうににらみおり、また、そう信じておる。そういう状態のもとにおける核撤去の問題。そこで皆さんからも話がありますので、米政府とも話し合うんでございますが、どうしてもこれをわれわれにまかしてもらいたい、われわれは責任を持って県民の安全というものを保障します、こう言っておる。私ども政府といたしましても、責任を持ったこのアメリカ政府の態度を確認を得た以上は、責任を持って県民には不安なからしめたい、こういうふうに考えておりますので、そのとおりに御了承願いたい、かように存じます。
  121. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 いま外務大臣納得しているようだがとおっしゃいましたが、納得はしておりませんから、その点はひとつ。納得はいたしておりません。ただ、政府が一貫して、復帰時点ではなくなるということをおっしゃっておりますがということでありまして、そのようにひとつ理解していただきたい。  それじゃ、その核撤去という場合のその内容は、核弾頭も、核本体も、核格納庫も、核部隊も含んだ意味の核撤去ということであるか、そのことを、まずお聞きしたい。
  122. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 核並びに核基地、こういうことでございます。核、それに関連する基地一帯を含んでと、こういう趣旨でございます。
  123. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 次に、核撤去した後における点検につきまして、その点検はどのように行なわれるのであるか。そうして、それに関連しまして、たとえば放射能という場合には放射能点検のガイガー器があるわけですね。核点検をするところの何か装備があるかないか、ひとつお尋ねします。
  124. 久保卓也

    政府委員(久保卓也君) 通常問題になっておりますのは、核の弾頭についたミサイルであるとか、爆弾であるとか、魚雷であるとか、そういったようなものでありますが、格別、ガイガー計数器のようなものは必要でない。それぞれのたまに名称その他が付着していると思いますので、私は、目で見れば確認はできるものと、方法論としてはそう思います。
  125. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 もう一つ、撤去の点検の方法をお尋ねしたわけです。
  126. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 点検というのは、法律上、条約上われわれ日本国の権利としての査察というような意味合いでありとすれば、これは不可能でございます。しかし、核が撤去されるという、また、その時点においては核撤去されておる、そういう事実の確認につきましては、くふうをこらしてみたい、かように考えております。
  127. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 あえて聞きますのは、とにかく、毒ガス撤去についても、あれだけ沖繩じゅうが騒動になって悩んだ問題であります。核の問題も、それ以上の危険な問題、困難な問題であることは承知であります。そこで、これが撤去されるということが納得のいく、こういう理解がない限り、いろいろと疑惑がわくわけであります。そういう意味で私はあえてお尋ねしたわけでありますが、どうか、その不安が皆無である、こういう前提に立って納得をしていくあらゆる方法をひとつ検討していただきたい。そうでなければ、いままでの論争の中では、その不安は決してぬぐい去れない、こういうことを強く申し上げる次第であります。  時間もわずかしかありませんので、次に、防衛庁長官にお尋ねしたいことは、防衛予算費目の中に、基地周辺整備費という項目がございますね。これはどういう面に使われるのであるか、それはどのようにして使うのであるか、そのことについてお伺いしたい。
  128. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) これは、現在、本土でも毎年増加を見まして、基地周辺のいわゆる騒音対策であるとか、基地公害という新しいことばが出てまいりましたが、そういうものを防止するために使っておるわけであります。そこで、沖繩基地そのものは現在アメリカ施政権下にあるものですから、とりあえずは今度概算要求で五千万余を大蔵省にわれわれ要望いたしまして、詳密にひとつ調査を展開しよう、このことが根本的に一つ。それから、すでにもう見た目で、これは基地周辺の学校であって勉学上騒音に耐えられないというようなところ、あるいは河川がはんらんして、それが民家にまで及ぶ、あるいは基地周辺の道路で、しばしばこの審議でも問題になりましたように、危険と考えられるような道路、そういう緊急対策につきましては十数億円の概算要求をして、施政権が移り次第直ちに来年度に措置をしたい、こういうことで、いま手配をいたしております。
  129. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 その予算を流される場合に、それは直接防衛庁が、たとえば村であれば村、学校であれば学校にすぐ直接流されるわけですか、どうですか。
  130. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) 市町村に流すわけであります。そうして、沖繩県の場合は、県財政の事情等を勘案いたしまして、沖繩県も含む、こういう形で対処いたしております。詳細は施設庁長官に補足させます。
  131. 島田豊

    政府委員(島田豊君) 周辺対策事業につきまして補助金を交付いたします場合には、防衛施設庁から直接市町村に交付するという手続でございます。
  132. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 いまそれを私が取り上げましたのは、御承知のとおり、沖繩は戦争で地上物件が九六%も壊滅した、学校施設は一〇〇%壊滅した、こういう状態の中で、沖繩にプラスになるものはそれは喜んで受け入れる、こういう基本態度は持っております、あらゆる面で。ところが、その場合に、それがあめ玉式に流すんです。筋を通して沖繩の復興に協力してもらうというならわかりますけれども、そういった、ないものに対して、そうして先陣争いといいますか、ほしい者は来いとか、あるいは下さいと言えばすぐストレートにやるといったような、こういうことでやられますというと、沖繩は大混乱が起こる、悪く言うと、これが壊柔策に利用される、こういうことにもなりかねない。その一つが、防衛庁費で体育館をということが現地の新聞で出ましたが、ある学校のPTA会長が防衛庁とどういういきさつがあったか、これはまだ私も調査をしておりませんが、これはたいへんなことだと、筋の通らぬようなことをしてもらって沖繩の教育界を、これは教育のみではなく、混乱をさしてもらっちゃたいへんなことになるがと、こういうことを憂えておるわけであります。そのことについて御存じでしょうかどうか。
  133. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) 体育館等は、すでにこれはもう本土では実行に移しておる。それは、騒音が非常にきびしい場合、激しい場合には、たとえば体操教師の号令も徹底いたしません。したがいまして、屋内体操場をつくって、しかも防音装置を施して、そこの中で十分体を練磨することもできれば、ときには競技をすることもできるというわけで、本土でもこれはやっておることですから、何も安保条約の適用だけが本土並みではありませんので、そういった面においても、従来明文のなかった基地周辺の整備ということにはひとつ意欲的にやっていきたい。それを、あめ玉などというようなことは、これはあくまで誤解でありますから、御理解を願いとうございます。
  134. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 あえてそれを申し上げますのは、いま基地のつながりにおける——沖繩全体が基地被害者でありますが、直ちに防音装置をしなければいけないという学校が六十八校もあるわけです、六十八校も。それが、いま細々ながら、防音装置の施設も十分ではないけれども三、四校しかまだない。そういう状態の中で、個人的にこうして結びついて、それが、あめ玉式にやられたんでは沖繩の教育を混乱させる。筋を通してやってもらいたい。学校関係ならば、ちゃんと教育委員会がある。文教局がある。この筋を通してやってもらわねばたいへんなことになる。沖繩のためにやってもらうことはありがたいが、筋道を通してもらいたいということを要望します。
  135. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) これは、喜屋武議員は教育関係者であられますが、そういう私情とか情実によって厚薄があるというようなことは、かりそめにも、沖繩に限らず、本土においても許されることではありませんので、十分公平を期し、重要度に従って実現をするようにしていきたいと思います。
  136. 長谷川仁

    委員長長谷川仁君) 速記をちょっととめて。   〔速記中止〕
  137. 長谷川仁

    委員長長谷川仁君) 速記を始めて。
  138. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 そういう状態に追い詰められております。私もまだ質問したいことが一ぱいございますが、時間の関係で、御迷惑をかけてはいけませんので、私は保留いたします。
  139. 長谷川仁

    委員長長谷川仁君) 本日の質疑はこの程度にいたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後二時四分散会