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喜屋武眞榮君 私は、二十五年ぶりに
沖繩から参議院議員として国政に参加した一人であります。私たちの任務は、
復帰に向けて
沖繩問題を国政に反映させるという、こういう重大な任務を持っております。そこで、参加以来、私は自分に直接かかわる会議、
委員会はもちろんのこと、衆参両院を含めて、あらゆる
機会に傍聴いたしまして、
沖繩問題を国の問題としてつなぎとめて傍聴いたしております。特に、今国会は
沖繩国会と言われておりますとおり、わけても私の関心は、朝な夕な、そのことで一ぱいでございます。
そういう中で、私は、今日までの国会を通じて私なりに受けとめておりますことは、
佐藤総理をはじめ、
政府の閣僚のお答えの中から一貫して受け取れることは、
復帰後は、
復帰したあとにどうするという、こういう姿勢と
答弁が多いけれ
ども、
復帰までに起こるもろもろの問題に対して前向きでどう取り組んでいくかということについてはあまり見られない、聞かれない、こういうことに非常に不満を持っております。また、直接
沖繩にかかわる
沖繩協定の問題にいたしましても、二つの立場から、すなわち、国会において審議されていく過程の中で言われております議会制
民主主義を踏みにじった暴挙であると、こう言われるわけですが、そういう中で
沖繩問題が審議されていく、しかも、内容の上からもなお幾多の問題を残しておる。すれ違いのままで、問題が解明されないままに今日に至っておる。こういう中で私がいま
質問に立っておるわけですけれ
ども、私に与えられた時間もごくわずかであります。そういう状態の中で、審議を尽くしたということでこれが処理されていくとするならば、
一体どうなるであろうか、こういった懸念も、もういまから持たれてしようがありません。
そういう心配がないように、こういうことを私願いながら最初に
佐藤総理にお尋ねしたいことは、
沖繩問題の本質は、一つには、四半世紀にわたる米国の布令政治から抜け出して、すなわち、軍事優先の
アメリカ支配からの脱却をするということがまず一つ、二つには、明治以来の
日本政府による差別からの脱却、これも説明を要すると思いますが、一応集約いたします。三つには、
沖繩問題の処理は、単に
沖繩県民の問題だけでなく、
日本全体の問題としてとらえる、こういうことが
沖繩問題の本質であると私は
理解しております。ところが、
政府の
沖繩施策は、すべて、
基地の
固定化、
基地の強化を
前提としておる、こう言わなければならないと私は受けとめております。たとえば、
復帰前の——あとで私さらに詳しく
質問もいたしたいと思いますが、いま
沖繩に起こっておる
ドル・ショックの問題、さらに、きのうの
円切り上げと関連いたしまして、さらにたいへんな大混乱を起こしつつありますその
通貨切りかえに対しては、即時に、直ちに一
ドル三百六十で切りかえろという強い
県民的要望があるにもかかわらず、そのことについては拒否されたまま今日に至っておる。のみならず、
県民をあげて、
国民をあげて、いま今国会の中で問題の焦点となって反対されつつあるところの
土地強制
使用の問題に関する告示は、文句を言わさず
復帰前にやる。こういう切実な
要求に対しては前向きでいれられない。ところが、拒否反応を示すことに対しては、強引に、文句を言わさずに押し切っていこうといったような、こういう、まあこれは単なる一例でありますが、こういう事例からしましても、私は、
沖繩問題が抜本的に
解決されていくことには希望が持てない、こういうことをいま身にしみて感じておるわけです。それに対する
総理の御見解を求めたいのでありますが、午前中の持ち時間が制限されておりますので、一応締めくくって答えていただきたい、こう思うのであります。
そこで、私は、
総理にいま申し上げた問題に対する所見と基本態度を確認いたしたい、こう思うのでありまするが、一つは、明るく豊かで平和な
沖繩県づくりということが一貫して述べられております。そのことは、まず第一には、二十六年にわたるしいられた犠牲、これは物心両面からの犠牲を埋め尽くしていくという、いわゆる戦後処理を余すところなくやっていくという、このことが、まず大
前提でなければいけない。第二点は、さらにその上に立って開発をしていくということでなければいけない。しかも、その開発は、戦争の不安、戦争の危険のない、こういう
沖繩にしていくという、こう私は思うのであります。現実に起こる不安が、もろもろの不安が一ぱいある、これを一つ一つ片づけることなくしては、
復帰後にどうなるという、もうそれまでは待てない問題がいま一ぱい山積みしておるわけであります。そういう情勢の中で、いま申し上げたことに対する
総理の御所見を賜わりたいと思います。