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1971-12-15 第67回国会 参議院 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年十二月十五日(水曜日)    午後三時十四分開会     —————————————    委員異動  十二月八日     辞任         補欠選任      中村喜四郎君     古賀雷四郎君      村田 秀三君     中村 波男君  十二月九日     辞任         補欠選任      中村 波男君     村田 秀三君      藤田  進君     田中寿美子君  十二月十日     辞任         補欠選任      多田 省吾君     上林繁次郎君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         長谷川 仁君     理 事                 鬼丸 勝之君                 楠  正俊君                 剱木 亨弘君                 丸茂 重貞君                 松井  誠君                 森中 守義君                 矢追 秀彦君                 高山 恒雄君                 岩間 正男君     委 員                 稲嶺 一郎君                 今泉 正二君                 長田 裕二君                 梶木 又三君                 片山 正英君                 亀井 善彰君                 古賀雷四郎君                 柴立 芳文君                 鈴木 省吾君                 園田 清充君                 竹内 藤男君                 西村 尚治君                 初村瀧一郎君                 宮崎 正雄君                 山内 一郎君                 若林 正武君                 占部 秀男君                 大橋 和孝君                 川村 清一君                 田中寿美子君                 田中  一君                 宮之原貞光君                 村田 秀三君                 森  勝治君                 内田 善利君                 上林繁次郎君                 原田  立君                 栗林 卓司君                 渡辺  武君                 喜屋武真榮君    衆議院議員        発  議  者  細谷 治嘉君        発  議  者  川俣健二郎君    国務大臣        内閣総理大臣   佐藤 榮作君        法 務 大 臣  前尾繁三郎君        外 務 大 臣  福田 赳夫君        大蔵大臣臨時代        理        通商産業大臣   田中 角榮君        文 部 大 臣  高見 三郎君        厚 生 大 臣  斎藤  昇君        農林大臣臨時代        理        山中 貞則君        運 輸 大 臣  丹羽喬四郎君        郵 政 大 臣  廣瀬 正雄君        労 働 大 臣  原 健三郎君        建 設 大 臣  西村 英一君        自 治 大 臣  渡海元三郎君        国 務 大 臣  江崎 真澄君        国 務 大 臣  大石 武一君        国 務 大 臣  木内 四郎君        国 務 大 臣  木村 俊夫君        国 務 大 臣  竹下  登君        国 務 大 臣  中村 寅太君    政府委員        人事院総裁    佐藤 達夫君        人事院事務総局        管理局長     茨木  広君        総理府総務副長        官        砂田 重民君        防衛施設庁長官  島田  豊君        防衛施設庁総務        部調停官     銅崎 富司君        沖繩北方対策        庁長官      岡部 秀一君        沖繩北方対策        庁総務部長    岡田 純夫君        外務省アメリカ        局長       吉野 文六君        外務省条約局長  井川 克一君    事務局側        常任委員会専門        員        相原 桂次君        常任委員会専門        員        鈴木  武君        常任委員会専門        員        小倉  満君        常任委員会専門        員        渡辺  猛君        常任委員会専門        員        吉田善次郎君        常任委員会専門        員        中島  博君     —————————————   本日の会議に付した案件沖繩復帰に伴う特別措置に関する法律案(内  閣提出衆議院送付) ○沖繩復帰に伴う関係法令改廃に関する法律  案(内閣提出衆議院送付) ○沖繩振興開発特別措置法案内閣提出衆議院  送付) ○沖繩における公用地等暫定使用に関する法律  案(内閣提出衆議院送付) ○国家公務員法第十三条第五項および地方自治法  第百五十六条第六項の規定に基づき、人事院の  地方事務所設置に関し承認を求めるの件(内  閣提出衆議院送付) ○沖繩平和開発基本法案衆議院送付予備審  査) ○沖繩における雇用促進に関する特別措置法案  (衆議院送付予備審査) ○公聴会開会承認要求に関する件     —————————————
  2. 長谷川仁

    委員長長谷川仁君) ただいまから沖繩及び北方問題に関する特別委員会開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る十二月八日、中村喜四郎君が委員辞任され、その補欠として古賀雷四郎君が、十二月九日、 藤田進君が委員辞任され、その補欠として田中寿美子君が、十二月十日、多田省吾君が委員辞任され、その補欠として上林繁次郎君がそれぞれ選任されました。     —————————————
  3. 長谷川仁

    委員長長谷川仁君) 沖繩復帰に伴う特別措置に関する法律案沖繩復帰に伴う関係法令改廃に関する法律案沖繩振興開発特別措置法案沖繩における公用地等暫定使用に関する法律案国家公務員法第十三条第五項および地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、人事院地方事務所設置に関し承認を求めるの件  以上衆議院送付の五案件及び沖繩平和開発基本法案及び沖繩における雇用促進に関する特別措置法案(いずれも衆議院議員提出)の二案件を、便宜一括して議題といたします。  まず、政府より趣旨説明を聴取いたします。  政府側趣旨説明は、総理府、防衛庁、人事院の順序でお願いいたします。  山中総理府総務長官
  4. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) ただいま議題となりました沖繩復帰に伴う特別措置に関する法律案沖繩復帰に伴う関係法令改廃に関する法律案及び沖繩振興開発特別措置法案について、その提案理由及び概要を御説明いたします。  わが国民多年の悲願である沖繩祖国復帰がいよいよ明年に実現する運びとなったことは、国をあげての喜びであります。沖繩は、さきの大戦において最大激戦地となり、全島ほとんど焦土と化し、沖繩県民十余万のとうとい犠牲者を出したばかりか、戦後引き続き二十六年余の長期間にわたりわが国施政権の外に置かれ、その間沖繩百万県民はひたすらに祖国復帰を叫び続けて今日に至ってまいりました。祖国復帰が現実のものとなったいま、われわれ日本国民及び政府は、この多年にわたる忍耐と苦難の中で生き抜いてこられた沖繩県民方々の心情に深く思いをいたし、県民への償いの心をもって事に当たるべきであると考えます。祖国復帰という、この歴史的大事業の達成にあたっては、各般の復帰施策をすみやかに樹立し、かつ、沖繩県の将来についての長期的な展望を明らかにして、県民方々が喜んで復帰の日を迎え得るような体制を早急に整えることこそ政府に課せられた最大の責務であります。  このような観点から、沖繩祖国復帰の円滑な実現と明るく豊かで平和な沖繩県建設こそ沖繩復帰の基本的な目標でなければならないと存じます。  このためには、まず第一に、沖繩復帰に際し、県民生活に不安、動揺を来たさないよう最大配慮を加えつつ、米国施政権下の諸制度からわが国の諸制度への円滑な移行をはかるため、必要な暫定特例措置を講ずることが肝要であります。第二に、沖繩が戦争で甚大な被害をこうむり、かつ、長期間米国施政権下にあった事情に加え、本土から遠隔の地にあり、多数の離島から構成される等各種の不利な条件をになっていることに深く思いをいたし、まず、その基礎条件整備することが喫緊の課題であり、進んでは、沖繩わが国の東南アジアの玄関口であるという地理的条件亜熱帯地方特有気候風土を生かし、その豊かな労働力を活用して産業の均衡ある振興開発をはかることが必要であると考えます。  政府は、このような見地から、従来より関係機関の総力を結集して復帰対策に取り組み、同時に沖繩各界各層方々の意見を取り入れ、琉球政府と十分な調整を行ない復帰対策要綱を決定し、この要綱基礎として関係法律案の立案を進め、ここに成案を得て国会の御審議をいただく運びとなった次第であります。  以上が、これらの法案提案した理由であります。     —————————————  次に、これらの法律案概要につきまして御説明いたします。  まず初めに、沖繩復帰に伴う特別措置に関する法律案について、その概要を御説明いたします。  この法律案は、沖繩復帰に伴い、県民生活の安定に配慮しつつ、従前沖繩の諸制度から本邦の諸制度への円滑な移行をはかるために必要な特別措置を定めたものであります。  その第一は、従前沖繩県は、当然に地方自治法に定める県として存続すること、また、沖繩県市町村地方自治法規定による市町村となるものとするほか、沖繩県及び市町村発足に際しての必要な措置を定め、第二に裁判効力承継等に関し、民事関係では事件手続承継等刑事関係では罰則に関する経過措置手続、執行の承継等についての措置を定め、第三に琉球政府並びに琉球水道公社琉球電信電話公社沖繩放送協会等沖繩法令に基づく特殊法人権利義務承継等についての措置を定め、第四に、通貨交換とそれに伴い必要とされる印紙切手類交換等についての措置を定めております。  第五は、その他法令適用に関する特別措置を定めた規定でありますが、まず、沖繩法令による免許等効力承継等通則規定をおいた上、各省所管法令について、たとえば、交通方法等に関する経過措置外国人弁護士に関する特例、直接税、間接税及び関税に関する特例沖繩学校その他の教育機関に関する経過措置介輔歯科介輔についての特別措置小作地所有制限食糧管理法等に関する特例特許法等に関する特例自動車検査に関する特例及び自動車損害賠償責任保険契約等に関する経過措置電話設備料に関する公衆電気通信法特例労働者災害補償保険失業保険等に関する経過措置土地区画整理に関する経過措置地方税法に関する経過措置等を定めており、また、この法律に定めるもののほか、沖繩復帰に伴い必要とされる事項について、政令、最高裁判所規則等に委任するための規定を設けております。  次に、沖繩復帰に伴う関係法令改廃に関する法律案について、その概要を御説明いたします。  この法律案は、第一に沖繩復帰に伴い、従来沖繩わが国施政権の外に置かれていたために必要とされていた法律廃止または特別に必要とされていた規定の削除もしくは改正、第二に個別に置かれる国の出先機関設置管轄区域追加等のため必要とされる各省設置法改正その他沖繩復帰に伴い必要となる規定整備等をその内容とするものであります。  最後に、沖繩振興開発特別措置法案についてその概要を御説明いたします。  この法律案は、沖繩復帰に伴い、総合的な沖繩振興開発計画を策定し、これに基づく事業を推進する等特別の措置を講ずることにより、その基礎条件改善並びに地理的及び自然的な特性に即した沖繩振興開発をはかり、もって県民生活及び職業の安定並びに福祉の向上に資することを目的とするものであります。つまり、この法律案は、本土において従来の地域立法でとられている振興開発の手法を総合的に駆使するとともに、沖繩の実情に合った産業振興開発の方策を講じ、それらを計画的な沖繩県づくりに役立てようとするものであり、他方、こうした施策がとられても、制度の変更、米国軍隊の縮小、撤退等に伴う失業等の避けがたい事態も予想され、これに対処するため職業の安定をはかるための特別の措置を講ずることにしております。  この法律案においては、まず第一に、土地の利用、産業振興開発等十三項目にわたる十カ年を目途とした総合的な沖繩振興開発計画を策定することにし、その策定については、沖繩自治を尊重するたてまえから沖繩県知事が原案を作成し、内閣総理大臣沖繩振興開発審議会の議を経て決定することにいたしております。また、振興開発計画に基づく事業のうち、土地改良道路港湾等この法律案の別表に掲げる事業について、同表に掲げる率の範囲内で国の高率の負担または補助の特例を設けることができることにいたしております。さらに、振興開発計画に基づいて行なう県道または市町村道の新設または改築、二級河川改良工事、維持または修繕及び港湾工事について、県・市町村等からの申請に基づき国が直轄で行なえる道を開いたほか、二級河川に設けられるダムについて特定多目的ダム法適用して国が直轄建設または管理を行なうことができることにいたしております。  第二に、産業振興開発のための特別措置として、工業開発地区指定制度を設け、農用地等譲渡にかかる所得税の軽減、事業用資産の買いかえの場合の課税特例減価償却特例地方税課税免除または不均一課税に伴う措置特定事業所の設定の制度の創設とそれに伴う税制上の優遇措置工場用地道路港湾施設等整備及び農地法等による処分についての配慮につき規定整備をはかっております。また、沖繩中小企業については、沖繩経済振興のために特に必要と認められる業種について近代化基本計画を定めて近代化促進するとともに、これらの業種のうち、さらに必要なものについては、構造改善計画承認を行なって、緊急に構造改善をはかることにし、これらの業種に属する中小企業者に対し、金融上、税制上特段の優遇措置を講ずることにしております。  第三に、沖繩における企業の立地を促進するとともに貿易振興に資するために必要な地域自由貿易地域として指定することができることにし、自由貿易地域内における事業の認定を受けた法人について税制上の優遇措置を認めるとともに、国において必要があると認めるときは、別に法律で定めるところにより、自由貿易地域内の土地及び施設に関する事業を行なうことを目的とする特別の法人を設けることにいたしております。  第四に、電気の安定的かつ適正な供給をはかるため、沖繩電気事業について資金上、税制上必要な助成を行なうとともに、米国民政府布令で設立され、沖繩における発送電中核的機関である琉球電力公社業務を引き継いで実施させるため、新たに特殊法人として沖繩電力株式会社を設立することにいたしております。  第五に、沖繩労働者雇用促進し、その職業の安定をはかるため、職業紹介職業訓練就業機会の増大のための事業等に関する計画を作成し、必要な措置を講ずるとともに、沖繩振興開発計画に基づく事業等への失業者の就労を促進し、さらに一定の事由による失業者に対しては、就職活動を容易にし生活の安定をはかるため、有効期間三年の求職手帳の発給、手当支給その他早期再就職のための各種援護措置を講ずることにいたしております。  以上のほか、無医地区における医療確保等その他離島及び過疎地域について必要な定めをするとともに、国有財産譲与等特例地方債についての配慮沖繩振興開発審議会等に関して必要な規定を設けております。  なお、以上三法案施行期日については、原則として琉球諸島及び大東諸島に関する日本国アメリカ合衆国との間の協定の効力発生の日から施行することにし、また、これらの法律内容について沖繩県民周知徹底をはかるため、内閣総理大臣琉球政府行政主席に通知することにいたしております。  以上が三法案提案理由及びその概要でありますが、これらの法律案は、いずれも沖繩県自治権最大限に尊重しつつ、新しい沖繩県の伸長、発展に取り組む政府基本姿勢を明確にするためのものであることを申し添えておきます。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛同あらんことをお願いいたします。
  5. 長谷川仁

    委員長長谷川仁君) 続いて補足説明を聴取いたします。岡部対策庁長官
  6. 岡部秀一

    政府委員岡部秀一君) ただいま総務長官から提案理由の御説明を申し上げました三法律案につきまして、補足して説明させていただきます。  初めに、沖繩復帰に伴う特別措置に関する法律案について御説明いたします。  この法律案は本則九章百五十七条及び附則からなっております。  第一章は総則であり、本法律案沖繩復帰に伴い、本邦の諸制度沖繩県区域における円滑な実施をはかるために必要な特別措置を定める旨の趣旨及び若干の定義を定めております。  第二章及び第三章は、沖繩県及び市町村に関する規定であります。まず沖繩県の地位については、従前沖繩県は、当然に、地方自治法に定める県として存続するものとするという規定を設けております。  また、沖繩県の発足にあたり、県政の機能が琉球政府から沖繩県へ空白を生じないよう円滑に引き継がれるための措置として、第一に条例相当沖繩法令沖繩県条例としての効力を与えること、第二に沖繩県の議会の議員及び知事については、五十日以内に選挙を行なうこと、また、それまでの間は琉球政府立法院議員または行政主席を県議会の議員または知事とみなすこと等を定めております。  市町村については、現在の沖繩法規定による市町村がそのまま地方自治法規定による市町村となるものとし、市町村条例効力も維持されること等を定めております。  第四章は裁判効力承継等に関する規定であります。  まず民事関係でありますが、復帰の際琉球政府裁判所に係属中の事件の裁判権は、原則として当該事件が係属している裁判所に対応して設置される本邦裁判所が引き継ぐものとし、米国民政府裁判所裁判についても琉球政府裁判所と同様に引き継ぐことにしております。その他公序良俗に反する裁判の無効、訴訟関係法令についての経過措置、過料に関する承継等を定めております。次に刑事関係については、第一に罰則については、沖繩法令による罰則復帰前の行為について原則として効力を有するものとし、第二に裁判権の分配については、民事と同様に相当審級、相当管轄の裁判所へ分配することとし、米国民政府裁判所刑事裁判権については、地方裁判所へ引き継ぐこととしております。その他刑事関係手続等承継恩赦等について定めております。なお、平和条約発効前に確定した刑事裁判等効力は、これを引き継がないことを明らかにしております。  第五章及び第六章は琉球政府等及び各種法人権利義務承継等に関する規定であります。琉球政府が有している権利及び義務は、琉球政府事務または事業承継する国または沖繩県その他の法人が、その承継する事務または事業の目的または性格その他の事情に応じて承継することとしており、琉球政府職員についても、国、沖繩県沖繩県市町村またはその他の公共的団体職員となるものとしております。  また、沖繩各種法人は、必要な経過措置を講じた上、琉球水道公社沖繩県に、琉球電信電話公社日本電信電話公社及び国際電信電話株式会社に、沖繩放送協会日本放送協会にというように、それぞれその承継先を定めております。  第七章は通貨交換等に関する規定であります。通貨交換については、沖繩区域内にある居住者当該区域において保有するアメリカ合衆国通貨を、内閣の承認を得て大蔵大臣が定める交換比率により、一定期間内に本邦通貨交換しなければならないことを定めております。  印紙切手類交換についても、通貨交換同一比率により日本円に換算した金額に相当する額の印紙切手類と、それぞれ交換する等の措置をとることとしております。  第八章は、法令適用に関する特別措置に関する規定でありまして、この章は、これまでに述べたもののほか、各種法令適用に関する特別措置を通則及び各省所管別に十三節に分けて定めております。  通則は、沖繩法令による免許、許可等効力承継する規定、及び、沖繩では制限なくできた業務や職業本土では法令によって制限されているものについて、引き続き従事できるようにする規定を定めております。  総理府関係では、琉球政府職員一般職国家公務員となった者の給与を考慮して、必要な場合に特別の手当を支給すること、また、復帰前の公務災害についても補償すること、交通方法について三年間は現状どおり、車両は右側、歩行者左側通行とすること、国の行政機関の定員に関する暫定措置等について定めております。  法務省関係では、裁判所職員の定員、特別の手当及び公務災害に関する措置外国人弁護士に関する特例取得時効及び政府賠償に関する経過措置を定めております。  大蔵省関係では、まず、国税については、国税相当分琉球政府税承継所得税法人税相続税等に関する経過措置内国消費税、関税の減免等特例措置を定め、次に、たばこ、塩専売について廃止業者への交付金の交付、税関貨物取り扱い人等への給付金の支給、その他国有財産の貸し付け、譲渡に関する特例等を定めております。  文部省関係では、沖繩学校その他教育機関に関する経過措置卒業者資格等承継私立学校教職員共済組合法に関する組合員期間特例等著作権法に関する経過措置を定めております。  厚生省関係では、沖繩の医療の実態を考慮しての介輔歯科介輔、準看護婦の業務の継続等に関する措置社会福祉事業法等に関する特例厚生年金保険法国民年金法に関する期間の承継等について定めております。  農林省関係では、農地法小作地所有制限に関する特例食糧管理法の米麦の政府買い入れ及び米穀の配給統制等に関する規定適用延期、米麦の政府売り渡し価格特例及び沖繩の農協に対する米穀の買い入れ売り渡しにかかる補給金の交付に関する規定等を定め、そのほか、農林漁業団体職員共済組合法農業者年金基金法に関する特例等について定めております。  通商産業省関係では、工業所有権制度の実施に伴う特許法実用新案法意匠法商標法についての特例を定めております。  運輸省関係では、自動車の検査に関する特例自動車損害賠償責任保険契約等に関する経過措置琉球政府海難審判庁のした裁決の引き継ぎ及びこれに対する訴え等に関する経過措置を定めております。  郵政省関係では、公衆電気通信法電話設備料に関する特例、VOA及び高等弁務官免許にかかる無線局に関する電波法の特例日本放送協会の受信料に関する特例等放送法の特例を定めております。  労働省関係では、解雇手当、年次有給休暇等、労働条件に関する経過措置労働者災害補償保険法、失業保険法に関する経過措置、軍関係離職者、緊急失業対策法の効力等に関する経過措置を定めております。  建設省関係では、土地区画整理に関する経過措置、違反建築物等の取り扱い及び地代家賃統制令の適用除外について定めております。  自治関係では、沖繩の合併市町村等に関する財政援助その他の措置琉球政府職員沖繩県市町村職員となる者の給与、公務災害についての経過措置、公職選挙法に関する経過措置琉球政府税のうち県税相当分の沖繩県への承継地方税法に関する経過措置を定めております。  第九章は雑則でありまして、この法律規定するもののほか、本土法令沖繩への適用についての経過措置等沖繩復帰に伴い必要とされる事項について、及び、この法律の成立後に沖繩において法令の制定、改廃が行なわれたことにより、この法律適用に支障を生じた場合において、政令または最高裁判所規則、人事院規則等に必要な規定を設けることができること等を定めております。  最後に、附則では、この法律を返還協定の効力発生の日から施行すること、及び、この法律の内容を内閣総理大臣から琉球政府行政主席に通知しなければならないことを定めております。     —————————————  次に、沖繩復帰に伴う関係法令改廃に関する法律案について御説明いたします。  この法律案は、沖繩復帰に伴い必要とされる法令改廃をまとめたものであり、各省所管のものごとに区分された本則十三章百十条及び附則からなっております。  その内容は、大別して次の三点に分かれております。  第一点は、沖繩住民の国政参加特別措置法の廃止あるいは旅券法の一部改正のように、沖繩復帰に伴い、いままで沖繩本土施政権の外に置かれていたために必要とされていた法律の廃止または特別に必要とされていた規定の削除もしくは改正であります。  第二点は、法務省設置法の一部改正等、個別に置かれる国の出先機関の設置、管轄区域追加等のため必要とされる各省設置法の改正であります。  第三点は、国家公務員共済組合法の長期給付に関する施行法の一部改正等、沖繩復帰に伴い必要となる規定の整備その他経過措置であります。  なお、附則において、この法律の施行日及び琉球政府行政主席への通知について沖繩復帰に伴う特別措置に関する法律案と同様のことを定めております。  最後に、沖繩振興開発特別措置法案について御説明いたします。  第一章は、総則であり、住民の生活及び職業の安定並びに福祉の向上に資する旨の目的並びに沖繩、離島及び中小企業者についての定義を定めております。  第二章は、振興開発計画及び振興開発事業についての規定であります。  沖繩振興開発計画は、土地の利用、産業振興開発中小企業振興、交通施設及び通信施設の整備、水資源及びエネルギー資源の開発、住宅、生活環境施設、保健衛生施設及び社会福祉施設の整備並びに医療の確保、職業の安定、教育及び文化の振興、防災及び国土の保全にかかる施設の整備、観光の開発、離島の振興、自然環境の保護及び公害の防止、その他沖繩振興開発に関し必要な事項をその内容とし、その策定については、沖繩自治を尊重するたてまえから沖繩県知事が原案を作成し、内閣総理大臣沖繩振興開発審議会の議を経て決定することといたしております。また、振興開発計画に基づく事業のうち、土地改良、道路、港湾等のこの法律案の別表に掲げる事業については、奄美群島が本土復帰した際にとられた措置及び北海道が開発計画に基づいて事業を実施する際にとられた措置のほか、日本政府琉球政府に対してとっている財政措置の場合等をも考慮の上、高率の負担または補助を行なうこととしております。さらに、道路、河川、ダム、港湾についての国の直轄工事の特例規定のほか、国有財産譲与等及び地方債についての配慮について必要な定めをいたしております。  第三章は、産業振興のための特別措置についての規定であります。  まず、沖繩県知事の申請に基づき、沖繩振興開発審議会の議を経て、工業の開発をはかるため必要とされる要件を備えている地区を工業開発地区として沖繩開発庁長官が指定することができる制度が設けられており、当該工業開発地区に関し、従来の地域立法で認められている企業誘致のための措置である農用地等の譲渡にかかる所得税の軽減、事業用資産の買いかえの場合の課税の特例減価償却特例及び地方税課税免除または不均一課税に伴う措置規定するほか、工業開発地区内において製造の事業を営む事業所で沖繩の工業開発に著しく寄与するものについて関係行政機関の長がその旨を認定する制度を設け、当該事業所について税制上の優遇措置を定めております。また、沖繩中小企業については、企業規模が零細なものが多く、生産性、技術水準において本土中小企業との間に大きな格差があるのが実情でありますが、沖繩経済振興のために特に必要と認められる業種についてその実態を調査し、その実態に即した業種別の近代化基本計画を定めて近代化を促進するとともに、これらの業種のうち、さらに必要なものについては、構造改善計画承認を行なって、緊急に構造改善をはかることとし、これらの業種に属する中小企業者に対し、金融上、税制上特段の優遇措置を講ずることを定めております。  なお、施設の整備等農地法等による処分についての配慮及び資金の確保等について必要な定めをいたしております。  第四章は、自由貿易地域についての規定であります。  沖繩県知事の申請に基づき、沖繩振興開発審議会の議を経て、沖繩における企業の立地を促進するとともに、貿易振興に資するために必要な地域沖繩開発庁長官自由貿易地域として指定することができる制度を設けており、自由貿易地域内の国または地方公共団体が所有し、または管理する土地または建設物その他の施設を指定保税地域とみなす旨の規定が設けられております。また、自由貿易地域内で事業を行なおうとする者について当該事業を当該地域内で行なうことが適当である旨の沖繩開発庁長官による認定制度を設け、当該認定を受けた者に対して保税制度の活用により税関手続上の簡易迅速な処理をはかるほか、自由貿易地域投資損失準備金等の税制上の優遇措置を講ずることを定めております。  第五章は、電気事業振興のための特別措置についての規定であります。  電気事業が民生の安定及び産業振興に果たす重要な役割りにかんがみ、その必要とする設備の整備につき必要な資金の確保、税制上の優遇措置を行なうこととしております。また、琉球電力公社の財産を政府が現物出資すること等をして、新たに特殊法人として沖繩電力株式会社を設立し、同公社の業務を引き継がせるとともに、この会社に対し事業計画の認可等所要の監督を行ない、沖繩における電気の安定的かつ適正な供給を確保することとしております。  第六章は、職業の安定のための特別措置についての規定であります。  沖繩労働者職業の安定をはかるため、職業指導、職業紹介及び職業訓練の実施、就業機会の増大をはかるための事業の実施等に関する計画を作成し、総合的な雇用対策を推進することとしております。また、失業者の就労の促進をはかるため、振興開発計画等に基づく公共事業について失業者の吸収率を定めることとするとともに、国及び地方公共団体は、復帰等に伴う転業者や自立しようとする失業者に対し、資金の確保等につとめることとしております。さらに、沖繩復帰に伴う事業活動に関する制度的変更、輸入の制限または禁止に関する法令の失効、米軍基地の縮小等による失業者に対しては、特に手厚い就業援護措置を講ずることとし、その就職活動を容易にし、生活の安定をはかるため、有効期間三年の特別の手帳を発給し、就職促進手当を支給しつつ、きめのこまかい就職指導を行なうほか、雇用促進事業団において職業訓練手当、日常支度金、雇用奨励金の支給等の各種援護措置を講ずることを定めております。  第七章は、その他の特別措置についての規定でありまして、沖繩過疎地域における基幹的な市町村道市町村管理する基幹的な農道、林道及び漁港関連道の新設または改築について、沖繩県市町村にかわって行なえることにし、また、無医地区における医療の確保、交通の確保、離島及び過疎地域での畜産業、水産業または薪炭製造業を行なう個人についての事業税の課税免除または不均一課税に伴う地方交付税による補てん措置について定めております。  第八章は、沖繩振興開発審議会についての規定でありまして、沖繩振興開発に関する重要事項を調査審議するため、沖繩開発庁に沖繩振興開発審議会を置くこととしております。  第九章は、雑則でありまして、土地の利用についての配慮規定、他の法律適用除外及び政令への委任についての規定を設けております。  第十章は、罰則でありまして、沖繩電力株式会社の役員等の違法行為等に関し所要の罰則を整備することにしております。  附則におきましては、琉球政府行政主席への通知、経過措置関係法律の整備、沖繩電力株式会社の設立等の規定を設けております。  以上、三法律案の内容を補足して御説明申し上げました。  なお、沖繩振興開発特別措置法案について、衆議院において、沖繩振興開発計画の内容として「都市の整備」を加え、雇用促進事業団による援護業務として「手帳所持者が公共職業安定所の紹介により移転して就職することを容易にするため宿舎の貸与その他宿舎の確保に関し必要な援助を行なうこと。」を加え、沖繩振興開発審議会委員二十五人以内を三十人以内、それに伴い、学識経験のある者六人以内を十一人以内に改めること等の修正が行なわれました。
  7. 長谷川仁

    委員長長谷川仁君) 江崎防衛庁長官
  8. 江崎真澄

    国務大臣(江崎真澄君) 沖繩における公用地等暫定使用に関する法律案提案理由内容概要について御説明いたします。  この法律案は、沖繩復帰に伴い、沖繩における公用地等のために必要な土地または工作物に関する暫定使用について特別な措置を定めるものであります。  いわゆる沖繩返還協定の効力発生の日から沖繩わが国復帰することとなり、わが国はこの地域に対する施政の権能と責任を持つこととなりますが、アメリカ合衆国が現在施政権者として公の目的のために使用している土地または工作物のうちには、国等がそのまま引き続き公用地等として使用することを必要とするものがあります。  これらのものを大別すると、第一に、現に米軍が使用している土地等のうち、沖繩復帰後も引き続き自衛隊の部隊の用に供するものであります。これは、復帰後の沖繩の防衛責任は、わが国が負うこととなるので、本土と同様に、自衛隊による局地防衛、民生協力、災害救難等を実施することが政府の当然の責務となり、そのため、所要の部隊を復帰時またはできるだけこれに近い時期に配備することが必要であるからであります。  第二に、現に米軍の用に供されている土地等のうち、沖繩復帰後も引き続き駐留米軍の用に供するものであります。これは、日米安全保障条約及びこれに関連する取りきめに従い、米軍の駐留をわが国及びわが国を含む極東における国際の平和と安全のために、わが国が必要と認めているからであります。  第三に、現に水道、電気、飛行場、航空保安施設等、航路標識及び道路の用に供されている土地で、沖繩復帰後も引き続きこれらの用に供されるものであります。これは、住民の日常の生活福祉に密接な関係を持つ施設等であるので、復帰の日以後もその機能をとめることのないよう保障しておく必要があるからであります。  国等がこれらの公用地等を引き続き使用するにあたっては、できる限り、従来これらの公用地等を提供していた所有者その他の権利者との円満なる契約によるべきことは申すまでもありません。しかしながら、現在沖繩では、三万数千人に及ぶ多数の所有者及びその他の権利者が数えられ、しかも、そのうちには相当数の所在不明者、海外移住者等が含まれている状況でありますので、わが国施政権の外に置かれている沖繩において、これらの人々とあらかじめ話し合いをし、復帰日までにそのすべてについて契約の締結に至ることは容易ではないのであります。また、復帰日以降、国等がこれらの公用地等米国にかわって引き続いて暫定的に使用する場合でも、従来の使用関係の範囲にとどまるのであります。したがって、これらの事情を勘案すると、経過措置として暫定的に一定期間これらの土地等の使用権を設定して、その間に契約その他必要な措置をとることとすることはやむを得ないことであると存じます。もとより、この法律による使用の開始後であっても、使用者たる国等は、土地等の所有者等との合意によりこれを使用するよう、できる限りつとめるべきであり、このことは、法律案の第一条において明確に規定されております。  次に、この法律案規定しております土地等の暫定使用内容の概略を申し上げます。  第一に、この法律の施行の際沖繩において米軍の用に供されている土地等のうち、引き続き自衛隊の部隊の用に供するもの、引き続き駐留米軍の用に供するもの、またはこの法律の施行の日から一年以内に米国から返還され、引き続き自衛隊の部隊の用に供するもの  第二に、この法律の施行の際琉球水道公社または琉球電力公社が水道事業施設電気工作物等の用に供している土地で、引き続きこれらの用に供するもの  第三に、この法律の施行の際沖繩にある飛行場、航空保安施設、航空通信用電気通信設備または航路標識の用に供されている土地で、引き続きこれらの用に供するもの、またはこの法律の施行の日から一年以内に米国から返還され、引き続き航空保安施設の用に供するもの  第四に、この法律の施行の際沖繩において一般交通の用に供されている米軍の築造にかかる道路の敷地で、引き続き道路法上の道路の敷地となる土地については、国等がこの法律の施行の日からこれらの土地等について権原を取得するまでの間使用することができるというものであります。ただし、この暫定使用期間は、この法律の施行の日から五年をこえない範囲内で土地等の種類等を考慮して政令で定める期間に限っております。  以上のほか、この法律案では、土地等を使用する場合の手続に関する事項として、使用する土地等及び使用の方法の告示並びに所有者等に対する通知等について規定し、あわせて、土地等の使用に伴う損失の補償並びに使用をやめた場合の返還及び原状回復の義務について定めております。また、この法律は、一部の規定を除き、沖繩返還協定の効力発生の日から施行することとしております。  以上、法律案提案理由及び内容概要を御説明申し上げましたが、何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御賛成くださいますようお願いいたします。
  9. 長谷川仁

    委員長長谷川仁君) 続いて補足説明を聴取いたします。島田施設庁長官
  10. 島田豊

    政府委員(島田豊君) 沖繩における公用地等暫定使用に関する法律案につきまして、ただいま国務大臣から説明がありましたが、なお細部にわたりまして、補足して御説明いたしたいと思います。  第一条は、この法律案趣旨等を定め、第二条は、暫定使用する土地または工作物の対象範囲、暫定使用期間及び暫定使用手続について定めております。この暫定使用期間につきましては、法律の施行の日からこの法律案による土地等について賃貸借契約等により権原を取得するまでの間使用することができることとしております。ただし、その暫定使用期間は、五年をこえない範囲内で、土地または工作物の種類等を考慮して政令で定めることとし、その内容としては、現在、アメリカ合衆国の軍隊が一定期間を限って使用する土地及び航路標識の用に供する土地並びに工作物にあっては三年、その他の土地にあっては五年の暫定使用期間を考えております。また、この法律案により暫定使用の対象となる土地等の関係行政機関の長は、この法律案による使用に先立ち、あらかじめ、この法律案暫定使用の対象となる土地等の区域及び使用方法について告示し、土地所有者または関係人が自己の権利にかかる土地等がその使用の対象範囲に含まれるかどうかを知ることができるよう明示することとし、この法律案による使用開始後は、使用者たる国等は、遅滞なく、所有者または関係人にその使用の内容を通知する等の手続を定めております。  第三条は、土地等の使用に伴う損失の補償について定めております。国等は、この法律案に基づき土地等を使用する際には、その所有者または関係人が通常受ける損失を補償しなければならないこととしております。この場合の損失補償は、原則として各会計年度ごとに支払うこととし、その算定は各会計年度当初の価格、すなわちその土地等及び近傍類地等の地代、借賃等を考慮して算定した価格に基づき国等と所有者または関係人とが協議して補償額を定めることとしております。また、この場合、その協議が成立しないときには、沖繩県設置されることとなっている収用委員会に申請して補償額の裁決を受けることとしております。なお、所有者または関係人の請求があったときには、使用者たる国等は、自己の見積もった額をとりあえず支払うこととすることとして、所有者または関係人に対する便宜をはかることとしております。  第四条は、土地等の返還及び原状回復について定めております。国等は、この法律案に定める暫定使用期間が経過した場合または暫定使用期間満了前において使用の必要がなくなった場合には、遅滞なく、土地等を所有者に返還するとともに、使用期間中の形質変更については、原状に回復しなければならないこと等を定めております。  第五条は、政令委任に関する規定で、この法律案による土地等の使用に関し必要な事項を政令にゆだねております。  附則第二項の規定においては、内閣総理大臣がこの法律内容琉球政府行政主席に通知しなければならないことを定めております。これにより、琉球政府を通じ、この法律内容の周知をはかり、その円滑な実施を目ざしているものであります。  なお、この法律案は、一部の規定を除き、沖繩返還協定の効力発生の日から施行することとしております。  以上をもちまして、沖繩における公用地等暫定使用に関する法律案につきましての補足説明を終わります。
  11. 長谷川仁

  12. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) ただいま議題となりました「国家公務員法第十三条第五項および地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、人事院地方事務所設置に関し承認を求めるの件」の提案理由につきまして御説明申し上げます。  この案件は、沖繩復帰に伴い、当分の間、人事院沖繩事務所を那覇市に置くことについて国会の御承認を求めようとするものであります。  申すまでもなく、沖繩復帰に伴いまして、数千名にのぼる琉球政府職員が一挙に一般職国家公務員に身分を切りかえられ、これらの職員に対し、国家公務員法一般職職員の給与に関する法律国家公務員災害補償法等の諸法律及びこれらに基づくもろもろの制度が新規に適用されることになるわけであります。  沖繩地域における国の人事行政が公正に確保され、これら国家公務員の利益が保護されるよう、これらの諸制度をすみやかに各官署の人事事務担当者、各職員団体等に浸透させるとともに、人事院業務全般を積極的に展開する必要があるものと考えておりますが、沖繩の地理的事情等にかんがみますとき、少なくとも当分の間は、現地に人事院地方事務所を設置する必要があるものと考えます。  以上の理由によりまして、国家公務員法第十三条第五項及び地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、人事院地方事務所設置に関し、国会の御承認を求める次第であります。  何とぞよろしくお願い申し上げます。
  13. 長谷川仁

    委員長長谷川仁君) 次に、衆議院議員提出の二法案趣旨説明を聴取いたします。衆議院議員細谷治嘉君。
  14. 細谷治嘉

    衆議院議員(細谷治嘉君) ただいま議題となりました、日本社会党、公明党、民社党、三党共同提案にかかる沖繩平和開発基本法案提案理由と、その要旨を御説明申し上げます。  沖繩本土より分離せられ、アメリカの軍事優先支配に組み込まれて以来、すでに二十五年余の年月が経過しております。過ぐる太平洋戦争により、本土の防波堤として、約二十万人にものぼる民間人の犠牲と国土の荒廃を余儀なくされた沖繩とその県民にとって、その傷のいえぬまま、二十五年余の長きにわたってアメリカの異民族支配に放置せられたことは、何としても納得のいかぬことであります。しかも、この間、朝鮮戦争を契機として、アメリカ軍によって沖繩の戦略的機能は太平洋のキーストーンとして、著しく強化されてきました。  この結果、面積わずか二千三百八十八平方キロメートルしかない沖繩で、その一二・五%もの広大な土地が軍事基地として占有され、人口が一番密集している沖繩本島では二二%以上となっており、いかに軍事基地の占める割合が高いかがわかります。しかも、これらの基地は、沖繩全島の平たん部を占有しており、経済的に開発可能な地域はすべてアメリカ軍が握っていると言っても過言ではありません。  こうして、開発可能な土地をアメリカ軍の手によって奪われ、生活の基盤を失った県民は、好むと好まざるとに関係なく、生きるために、年とともに巨大化するアメリカ軍基地に基地労働者となって働かねばなりませんでした。基幹部門たる第一次、第二次産業の停滞と、第三次産業の異常な発展は、すべて巨大なアメリカ軍基地の存在によるものであり、これが基地依存経済と言われる沖繩経済の根源であります。  しかも、この基地依存経済のもとで暮らす沖繩百万同胞の生活はきわめて不安定であるとともに、本土における国民所得の七割にも満たぬ所得水準は、必然的に、福祉医療、社会保障等、県民生活のあらゆる部面においても低水準の状態を余儀なくされております。こうした沖繩県民生活を向上させ、基地依存経済からの脱却による平和経済への転換は、日本政府本土国民に課された義務であります。そのためには、アメリカの軍事基地の全面撤去がはかられなければなりません。政府が去る六月に調印した沖繩返還協定によるアメリカ軍基地の全面的存続のもとでは沖繩経済の平和的発展は全く不可能であります。沖繩を戦争の恐怖とアメリカの軍事的重圧から解放するばかりか、さらに沖繩の平和的開発を推進し、沖繩百万県民生活を物心両面にわたって豊かなものとすることは、国民総生産第二位を誇る日本経済にとっては可能なことであります。  したがいまして、ここに提案しました沖繩平和開発基本法案は、沖繩の経済、社会を平和的に開発するため、開発の目的、主体、手続、開発計画内容及び開発行政機構の基本を定め、もって国の責任を明らかにしたものであります。  次に、その内容の概略について御説明申し上げます。  まず、第一章におきまして、沖繩を戦争の恐怖と他国の軍事的重圧から解放し、進んで日本の沖繩として平和開発をはかるため、軍事基地の全面的撤去がその基本であることを明らかにいたしております。  さらに、沖繩の平和開発は、本土との格差をすみやかに解消するばかでなく、同時に、東南アジア諸国の平和開発に寄与することを基本方針としております。そして、政府は、沖繩自治権地方自治の本旨に沿って尊重しつつ、必要な法制上、財政上及び金融上の措置を講ずべきことを明らかにいたしております。  第二章におきましては、沖繩総合開発計画内容と、その策定、手続を明らかにいたしております。すなわち、沖繩総合開発計画は、アメリカ軍基地のあと地その他の土地の平和利用に関する事項、産業基盤整備に関する事項、生産条件沖繩に適する農畜産物の振興・流通機構の整備及び価格安定に関する事項、林業の振興と利用に関する事項、遠洋漁業及び沿岸漁業の育成に関する事項、製造加工業の育成及び輸出増進に関する事項、中小企業の共同化、近代化に関する事項、観光資源の開発及び旅行関係施設整備に関する事項、社会福祉医療施設整備及び医師、看護婦の確保に関する事項、生活基盤整備に関する事項、僻地を含む学校教育施設整備及び社会教育施設整備に関する事項、離職者の技術再教育及び職業紹介の推進に関する事項、公害防止と環境保全に関する事項、その他沖繩の開発に関し必要な事項を定めることとし、長期計画及び年度計画とすることを明らかにしております。そして、この沖繩総合開発計画は、沖繩離島の開発について十分考慮を払うと同時に、東南アジア諸国との経済的、文化的交流に特に配慮すべきことをうたっております。次に、沖繩総合開発計画策定の手続につきましては、沖繩県は、関係市町村の意見を聞いて沖繩総合開発計画案を作成し、政府は、沖繩県計画案に基づき、沖繩開発審議会の議を経るとともに、国会の承認を受けなければならないこととしております。また、国は、沖繩において、沖繩自治権の確保と東南アジア諸国との交流をはかるため、水道事業、電力事業を県営化するための必要な措置及び亜熱帯農業調査研究機関の設立に必要な措置を講ずることといたしております。  第三章におきましては、沖繩の平和開発を推進するために必要な行政機関設置について明らかにしております。すなわち、沖繩の平和開発に関する施策を総合的かつ積極的に推進するため計画の調整機関としての沖繩開発庁と、その付属機関として委員三十三名以内からなる沖繩開発審議会の設置をするとともに、沖繩の平和開発に必要な資金を調達融資するため、沖繩開発金融公庫を設置することを規定いたしております。  なお、念のため申し上げますと、本法案に基づいて、沖繩県及び市町村の財政力を充実強化し、戦後の格差解消と行政水準の向上をはかるため、各種補助率の大幅引き上げ、地方交付税の強化、特例交付金の支出等を内容とする復帰に伴う沖繩の財政特例法案、及び、計画の調整推進と事業執行の沖繩県への委任を内容とする沖繩開発庁設置法案、及び、沖繩にある琉球開発金融公社、大衆金融公庫及び琉球政府各種特別会計を一本化し、それに政府資金の出資による沖繩開発金融公庫を設立し、その監理、運営について沖繩県の意思を反映させる等を内容といたします沖繩開発金融公庫法案の三法案提案する予定でございます。  以上が本法律案提案する理由並びにその要旨であります。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
  15. 長谷川仁

  16. 川俣健二郎

    衆議院議員川俣健二郎君) 日本社会党、公明党、民社党を代表いたしまして、ただいま議題となりました沖繩における雇用促進に関する特別措置法案について、提案理由と、その要旨を説明いたします。  太平洋戦争の惨禍から戦後期を経て今日に至る年月は、日本国民にとって、ひとしく苦悩の道でありました。国民は、大小の差はあれ、戦争が残した傷あとを背負いながら、日々の生活にいそしんできたのであります。その努力と願いにもかかわらず、日本社会は決して国民の平和と福祉を達成できているとは言えません。しかし、顧みまして、わずかに幸いであったのは、占領時代を短く終え、戦後期から早く脱却できたことでありしょう。  ただ、沖繩県民については、全く事情が異っていることは御承知のとおりであります。  過ぐる大戦において、沖繩本土の防波堤として直接戦場となり、老若男女を問わず、二十万人余の民間人が戦死し、戦争終結とともに、死をまぬがれた人々も米軍キャンプに押し込められたのであります。  米軍キャンプから解放された人々が郷里に帰ったときには、家も田も畑も、金網と銃剣に囲まれ、基地と化していたのであります。  沖繩の戦後はここから始まり、二十五年余の今日まで続いてきたということを忘れてはなりません。  沖繩は平野部のほとんどを米軍基地に奪われたために、県民生活基盤を失い、やむなく基地に依存して働かなければなりませんでした。  巨大な基地の存在は産業の正常な発展も阻害し、第一次、第二次産業は停滞して、第三次産業のみが肥大するという、いびつな産業構造をつくり上げてしまったのであります。  今日の沖繩の社会構造を見ると、基地労働者、米軍人軍属に使用される者、基地関連産業の零細企業従業員、さらに中小零細な企業、商店、過密人口をかかえた零細農家、これらすべて不安定な営みを続けていると一口に表現できると思います。  沖繩復帰が実現した場合、沖繩の経済環境が一変することは疑問の余地はありません。その原因が、一定の基地縮小、ドル防衛政策による基地経費の削減、本土企業製品の流入、農業の不安定化などの点にあることは広く指摘されているところであります。沖繩が独自にかかえているこのような条件に加えて、今日、ドル・ショック、円切り上げによる日本経済の不況がさらに大きな圧迫を加えようとしていることも指摘しておかなければなりません。したがいまして、基地労働者のみでなく、中小企業、農業など広範な産業分野から多数の失業者が発生すると見なければなりません。しかも、復帰と同時に職を失う者、経済環境の変化に従って、時日を経てからあらわれる失業者など、その態様はさまざまでありましょう。  これらの人々に安定した職を確保し、基地経済から脱却して平和経済を建設するためにあらゆる協力を行なうことは、政府本土国民に課された義務と言わなければなりません。二十五年余にわたる沖繩県民の苦悩、今日の沖繩の姿は、すべて、政府の方針によって沖繩本土から切り離した結果に負うものであって、沖繩県民に何らの責任を帰すことはできないことを、あらためて思い起こしていただきたいと思うのであります。  本法案の主要な点は次のとおりであります。  第一に、沖繩において職を失った者には、すべて、新たな職につく手助けを政府が行なうことといたしました。  第二に、新たに職につくまでの間、就職促進手当職業訓練手当などを支給し、その間の生活を保障することといたしました。  第三に、労働大臣の諮問機関として、沖繩雇用審議会を置き、専門に雇用促進をはかることといたしました。  以上のように特別の措置を行なうことといたしましたのは、単に沖繩県民への同情とか、あるいは政府本土国民義務を強調するあまりにということではありません。それは、現在の雇用対策法、職業安定法、職業訓練法、失業保険法等々で構成されております現状の雇用促進制度だけでは、沖繩における大量の失業者の発生に対して何らの有効な対応をもなし得ないと判断されるからであります。  何とぞ慎重審議の上、すみやかに御可決され、沖繩県民の願いにこたえてくださるようお願いいたします。
  17. 長谷川仁

    委員長長谷川仁君) 以上で各案件に対する趣旨説明の聴取は終了いたしました。     —————————————
  18. 長谷川仁

    委員長長谷川仁君) 次に、公聴会開会承認要求に関する件についておはかりいたします。  沖繩復帰に伴う特別措置に関する法律案沖繩復帰に伴う関係法令改廃に関する法律案沖繩振興開発特別措置法案沖繩における公用地等暫定使用に関する法律案国家公務員法第十三条第五項および地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、人事院地方事務所設置に関し承認を求めるの件、沖繩平和開発基本法案沖繩における雇用促進に関する特別措置法案、以上の各案件審査のため、公聴会を開会いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  19. 長谷川仁

    委員長長谷川仁君) 御異議ないと認めます。  つきましては、公聴会開会の日時、問題並びに公述人の数及び選定は、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  20. 長谷川仁

    委員長長谷川仁君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時十一分散会     —————————————