○
政府委員(
内村信行君) ただいま先生御指摘のように、これからの航空というものは非常に大きな勢いをもって伸びていくだろうというふうに予想されます。そこで、その場合に一番重要なことは、やはり空の安全というものをいかにして担保していくかということが一番重要な問題であるというふうに思います。その
ためにどうすればいいかということを
考えますと、これはやっぱり二つの問題、
一つは保安施設あるいは管制施設といった機器の自動化なり機械化なりそういった問題、もう
一つはそれを扱う人間のトレーニング、どういうふうにしてそれを充足していくかというこの二つの問題がやはり基本にならざるを得ないというふうに
考えます。そこで、その中でも最も重要なのは私は人ではないかというふうに
考えます。と申しますのは、ある
程度施設というものは金があればこれはできていくわけです。それで私
ども、本年度からいわゆる
空港整備特会というものをつくりまして、それは受益者負担制度でいこうというふうなことで踏み切りましたので、その財源というものは幸いにしてある
程度は得られるのじゃないかというふうに
考えます。したがいまして、その財源を用いてまいります場合に、保安施設の整備というようなことはある
程度はできると思います。しかし問題は、それを運用しあるいは整備していく人の問題、これが一番大事でございまして、これはやはり一朝一夕に訓練してできるものではございません。したがいまして、管制官にいたしましても、相当なれてある
程度のレーティングをとるまでにはやはり数年というものはかからざるを得ない、こういうことでございますので、一方におきまして、航空路監視レーダー等を大体
昭和四十九年度中につくり上げるというふうなことにいたしまして、全国の航空路をレーダー網でカバーしようというふうに
考えておりますが、一方それを運用する人間、これをやっぱりつくっていかなければならない、そういうことになりますと、やはりこれにつきましても約千数百人以上という人間がこの五カ年計画の中に必要であるということが実情でございます。したがいまして、そういう人のトレーニングをする
ために、従来は大体年間百名
程度のコントローラー、いわゆる航空管制官というものを養成しておりましたけれ
ども、よりその規模を増しまして百五十名、来年度以降はさらに年々百六十名
程度の人間というものを養成してまいる。それによって管制官を補っていく。そのほかに、管制官のみならず管制通信官でありますとか、あるいは無線施設を
運転してまいる、あるいは運用してまいる無線
技術者、そういったものも必要でございますので、そういったような人もやはり養成してまいるというふうなことでございます。
そこで、そういうふうな人の養成というものが、
一つには定員の問題がございます。これは行政機構でございますので、定員というものをふやすのは非常にある
意味では困難でございますが、これは何とかして皆さまのお力を拝借いたしましてこの定員を確保してまいりたいということ。それから定員を確保した上で実在員を確保していく、増員の問題、こういったことでそこを充足していこう。その中でもやはり重要なのが待遇の問題でございます。これはやはりどうしてもいまの行政官庁の役人の、公務員のベースというものは
民間に比べて低からざるを得ない。特に
技術者の場合におきましては、やはり待遇というものが
民間と比べてやや見劣りするのではないかというのが率直に感じた私
どもの感じでございます。そこで、やはり
航空交通管制官あるいはその他の保安要員、交代要員、こういったものにつきましては、さらに手当を上げるというふうな方向で
考えておりまして、今後とも、人事院その他につきましても、現在の
航空交通管制官につきましては手当を三倍ぐらいにしてくれという要求をしておりますし、それから手当を支給する
範囲につきましても、さらにいままでよりも以上に広げて全国の管制官について手当をつけてもらいたい、こういうふうなことをやっております。それから交代勤務者につきましても、従来なかったことについてやるということを要求しております。以上申し上げましたように、いまの管制官ないし保安要員につきましては、そういったような角度で充足をはかってまいりたいと思います。
もう
一つ御質問がございました航空乗員の問題でございます。航空乗員につきましては、やはり相当な人数がこれからの航空情勢を見ますと要るわけでございます。現在
日本人が約千九百名ぐらい乗員がおります。これはパイロットそれから航空機関士あるいは航空士、これを含めた数でございます。約千九百名の
日本人がおり、そのほかに約三百人ちょっとの外国人が雇用されております。そこで、
昭和五十年ごろには、いまから予想いたしますと、大体三千人くらい、それから五十五年には四千八百人くらいのやはりこういった航空乗員というものが必要ではないかというふうに見込まれておるわけでございます。そこで、そういうふうな乗員を充足する
ためには、毎年大体パイロットだけでも六百名くらいのパイロットを養成していかなければならないというふうなことが大体私
どもの
考え方でございます。そこで、従来のパイロットにつきましては
運輸省の中に航空大学というのがございます。この航空大学校というのがございまして、そこでもって乗員を養成すると同時に、あるいは防衛庁に委託するのでありますとか、あるいは防衛庁の割愛を受ける、あるいは航空
会社が、それぞれの
会社が自社で養成する、こういうふうな方法をとってまいりましたけれ
ども、やはり今後もこういったような方向で、いろいろな手段がございますけれ
ども、そのいろいろの手段を活用しながら全体として統一のある養成をはかってまいりたいというふうなことによって、大体年々六百名くらいの操縦士というものを養成してまいるということによって将来の航空乗員の業務をまかなうというのが大体の私
どもの
考え方でございます。