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田代富士男君 私は、いま
質問した趣旨は、大臣そのことを含んでお答えになったと思いますが、私は、イギリス海峡のものにつきましては、
中和剤を使わなくて、爆発さした。サンフランシスコの場合は、こういう薬剤を使わずに、環境保全ということを主体にしてやった。だから今回も、環境保全という
立場でやるならば、それは
オイルフェンスを使うのは当然です。そういう薬剤等を使わずに、これは何とかできないか。しかし、おそらくそれもできなかっただろうという、さっきの
委員会のあれで承知しておりますけれ
ども、そういう四千何百トンというオイルの
流出で
新潟のその一帯がたいへんなことでしょうけれ
ども、それ以上の第二次
被害といいますか、公害を考えた場合の
被害が大きいのじゃないかと思うのです。それを心配するわけなんです。だから、一時的な処理とすれば、
中和剤とかそういうもので処理できるかわかりませんが、それは一時的なものです。長期的にみた場合の影響ということを考えて、私は申し上げたわけなんですけれ
ども。
まあ、そういうわけで、石油の影響というものは、重油か、あるいは原油か、あるいは燃料油か、そういう種類によりまして、いろいろ異なると思いますが、今回の
リベリア・
タンカーの「
ジュリアナ」号の場合は、海洋生物に有毒な芳香族の成分をたくさん含んでいる。この成分というものでそういう海中におりますところの微生物というものは、二、三日で壊滅的な打撃を受けてしまうんだ。まして、これが沿岸から遠く離れた沖合いであるならば、まだしも沿岸に生息するそういう微生物というものは、プランクトンをはじめとした微生物は幾分か免れるけれ
ども、い
かんせん近くで起きた。これはもう総なめでそういう打撃を受けてしまう。
その心配が
一つと、また、私が申し上げるまでもなく、こういうような芳香族成分を含んだものは揮発しやすいわけなんです。揮発しました
あとの成分ですね、化学成分が変化をいたしまして、油と水がまじり合うようになった場合には、油が水玉状になるものと、今度は油の中にあんこのような水分が入りまして、ねばねばしたものになる。これがいろいろな漂流物を囲んで廃油ボール
——ちょうど私は
海上保安庁からの「海上保安の現況」というのを前に読みました折りに、こういうことがあるんだなということで、タール状油塊漂着
事件、これは鹿児島県の指宿市の沿岸に廃油ボールと呼ばれる多量のタール状油塊が漂着した
事件、それから茨城県、伊豆諸島にもこういうものが多く発生している。八丈島におきましては、サッカーボール大というような、そういうものもきている。これが始末におえないわけなんです。これに対してどうするか、
海上保安庁でもお困りなんです。だから、ここでそういうような
中和剤をやった
あとの問題、これに対して、もうそこで解決したらそれで終わり、
運輸省としての
責任はそれで終わるのか。
また、これはサンタバーバラ沖の原油噴出
事件のときに、そういう海鳥にどれだけの
被害が起きたか。これはカリフォルニアの狩猟局の調べでは、六九年四月までに三千五百羽以上のカイツブリあるいはペリカンが死んでいるわけなんですね。それから、哺乳動物への影響もあらわれている。イルカ、アザラシが十数頭死んでいる。また、カリフォルニアのコクジラ、そういうようなものも死んだということが確認されているわけなんです。今度は、いまも申し上げました「トリー・キャニオン」
号事件がありましたときも、英国の自然保護協会の
調査では、二万五千羽以上の海鳥が死んでいる。救い出された七千八百四十九羽の中に、二カ月後にはたった四百五十羽しか残らなかった。また、そういうような原油が近くの港に入り込んでしまい、魚類、フジツボ、イソギンチャク、こういうものが全部だめになってしまった。
だから、問題は目に見える
被害だけじゃないのです。大きな
被害は、海の中というものは生命の発祥地といわれるものです。そういうようなさまざまな微生物が、変形しました化学物質、原油の流れによりまして、これが全滅してしまう。ましてプランクトンは海の牧草といわれております。それは、プランクトンは、一PPMによっても全部やられてしまうともいわれております。こういうような
被害をどうするか。昨年の九月、
東京で開かれました生物地球化学国際
会議におきましては、英国のトッド博士がもう
一つ危険な点を言っておりますね。魚というものは、においをかいでえさをさがしたり、あるいは敵から逃げたりしているけれ
ども、重油や廃油、そういうようなものによごれると、石油の成分のにおいによりまして、いわゆる魚の臭覚を鈍らしてしまう、麻痺させてしまう、そういうようなことを言われております。いま私の前に
質問された
委員から、魚はどうするのだということがありましたが、こうなったらどうなるか。私はこれを心配している。だから私は、こういう
意味から、今回の
事故に対しまして
中和剤を使った。これに対して、一時的に解決できるけれ
ども、これは与える影響、環境汚染、生命の発祥地ともいうべき
新潟一帯が全滅してしまう。ここで私は大いに考えなくちゃなりません。
そういう
意味からいまさっきの
質問もしたわけなんですが、そこでいま、
対策といたしましてはおおむね議論されたと思いますが、やはり第一番目には、
オイルフェンスを使ってその拡大を防ぐという、これは
一つの行き方でしょう。また、「トリー.キャニオン」のときには焼却したでしょう。これも行き方でしょう。また三番目には、
回収をする、その
流出したものを
回収をするという、これも
一つの行き方でしょう。化学処理をするという、これも
一つの行き方でありますけれ
ども、しかしこれ以上の
被害が残る。しかし、いま申し上げました四つのこと、さんざんきょう議論されたから、私これを省略しますけれ
ども、第一番の
オイルフェンスの問題に対しましても、これは今回の波浪では
使用できなかった。一メートルではだめだ。現在二メートルのものを開発中である、これはおぼつかない。また二番目の問題、焼却をすることはできない。あまりにも岸に近いために。三番目の、
回収するといいますか、スイーパーという、これは現在
海上保安庁では一隻開発中であるとか、いま長官が申していらっしゃいました。出光興産にあるきりです。これで
対策する、これはたいへんじゃないかと思う。出光興産から一々借りてくる。太平洋沿岸におりますのを、
日本海に行くのにどれだけ日時がかかるか。こういう
意味で、このスイーパーの問題につきましても、私は読んでおりまして、
タンカー事故の災害防止に対しては、消火の面だけの、船舶に対しては力が入れてある。が、そういう油田の廃液を収集する船等に対しましては、それがされてないのです。そういう点につきましては、今回のような大きい
事故はたびたびあってはなりませんけれ
ども、小規模の
事故であったならば十二分な効果を発揮すると思います。今回まだ予算の面におきまして検討できるならば、そういうスイーパーも検討してもらいたいと思うわけです。これは私は大臣にお願いしたいわけなんです。それから化学処理につきましても、これは金額もいろいろありましょうが、一トン十万円ぐらいかかる。こういうことを考えますと、今回とられた処置というものにつきましては、私は一時的な処置でありまして、環境保全というものに対して、環境破壊というものに対する罪償い、これは
現地の漁民の人々に対しましては金銭的な
補償ということについてもやられるでしょう。これも一時的な問題。だから、この環境を破壊した
責任というものに対して、
運輸大臣はどのように思っていらっしゃるのでしょうか。いま、私はまとめて申し上げましたけれ
ども、いかがでございましょうか。