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二見委員 いまの
答弁で了解いたしました。これは必ずそのとおりやっていただきたいと思います。
時間がありませんので、最後にまとめて御見解を承りたいと思います。
公害の問題です。景気刺激、景気刺激でもって、ともすれば公害対策というのはないがしろになりそうなものですから、私はあえてお尋ねするわけでありますが、具体的な例で申しますと、現在茨城県に鹿島に公害が起こっておりまして、地元では大問題になっております。私もこれは現地へ何回か行きましたし、調査も行ないましたけれ
ども、実はこういう被害者がいるのです。
たとえばこれは岩井武夫さん、二十九歳ですけれ
ども、十月五日の午後十一時に、担架に乗せられて銚子の島田病院にかつぎ込まれた。そのときの状況というのは、医者の診断では急性の気管支ぜんそくで、高度の呼吸困難で重症だという。酸素テントに三日間、並行して副じん皮質ホルモンによる加療をしたそうです。医者の話によると、これは通常のぜんそくでは用いないということです。こういう被害者がおります。この岩井さんの話によると、この人は、九月十四日から十月一日まで三陸沖に魚をとりに行っていた。一日に鹿島へ帰ってきて、鹿島の港近くになったときに
気持ちが悪くなって、五日に入院をしたのです。
もう一人、江波戸成千さんという四十六歳の方がおりまして、八月二十八日にやはり同じ症状、高度の呼吸困難で地元の病院に入院をいたしました。やはり急性の重症の気管支、ぜん息で、三日間酸素吸入をしております。この人はいままでぜんそくにがかったことはありません。病院の話によると、六月の下旬にこの人は胸の間接撮影をやった。そのときには胸は非常にきれいだったけれ
ども、入院してかつぎ込まれたときには胸は非常によごれていた。二カ月前には何の異常も見られなかったけれ
ども、八月に入院したときにはたいへんな重症であった。
この二人のこうした例があるわけですけれ
ども、
一つ共通しているのは、非常に症状が重症であるということと、病気が急激にきているということが私は
一つの特徴じゃないかと考えます。
私は、この問題について、これは
一つの例として取り上げたわけでありますけれ
ども、まず第一点、これは
環境庁長官にお願いいたしますけれ
ども、この原因の究明を大至急やっていただきたいのです。現地では、シアンが出たという話もある。粉じんの中にシアンがあったという話もあります。シアンが原因しているのかどうか、これはわかりません。したがって、この原因究明を直ちにやっていただきたい。これを第一点、
環境庁長官にお願いいたします。
それからもう
一つ、これは鹿島が当てはまるかどうかわかりません。川崎でも公害でこの間死者が出ている。こうしたことを考えると、ただ単に、亜硫酸ガスだとか、シアンだとか、重金属だとか、こういうものが単独に作用しているというよりも、これからは、それがいわゆる複合したものが人体にものすごい影響を持ってきているのじゃないか。この複合汚染対策というものを、環境庁は光化学スモッグでもってやっていられるようですけれ
ども、複合汚染対策というものを私は本腰を入れてやっていただきたい。
それから第三点は、これはやはり環境庁
——むしろ通産省になりますかね。去年の公害国会でもって公害対策の権限は県に移りましたね。ところが、自治体というのは企業にあまり強くない例がかなりあるのです。自分の県がよくなるために企業を引っぱってきた。そのために県としてはあまり強く言えないというケースがかなり出てくるのではないか、これからの問題としても。鹿島も同じことが言えます。これは環境庁としても、こうした県に対する行政指導というのはこれからも厳重にやっていただきたいのです。
通産
大臣、ここで通産省にお願いしたいのですけれ
ども、たとえばこの鹿島の問題、これは今後行なわれるであろう拠点開発の
一つの例として私は言うわけですけれ
ども、開発はいま三分の一です。ところが、三分の一しか開発してない段階で、処理場の放流水の中に海水の五十倍もの重金属が入っているとか、粉じんの中にシアンが入っているとか、いろいろな問題が起こってきているのですね。こういう段階の中で、公害騒ぎをしているまつ最中に、鹿島では第二高炉の建設をやっているのです。これは住民の感情をさかなでするようなことだろうと思います。これに対して、私は、通産
大臣に要求したいことは、建設に着工した第三高炉の公害対策という面から安全性を確認をしてもらいたい。そうして、安全性に不安があり、問題がある場合には、建設の中止もやっていただきたい。そこまでの強い決断を今後とるかどうか、これもお願いしたいと思います。
それから第四点は環境庁ですけれ
ども、いままでの公害対策というのはPPMというやつですね。濃度規制です。しかし、重金属が大量に出てくるという時代になってくれば、濃度規制だけではもうこれからはいけないのじゃないか。公害対策というのは、これからは、希釈されて心配ないものはともかくとして、沈でんしていくような物質、そういうものについては、濃度規制ではなくて量規制ということをこれからはやらなければ、公害対策としてはもう片手落ちになるのではないか。この点についてはどういうふうに考えているか。これは環境庁の見解をお尋ねをしたい。
最後に
総理大臣、こうしたことを一括して、今後の公害に対する基本的なお考えをお尋ねしたいのですけれ
ども、私は、鹿島の問題は単なる一地域の問題として考えていただきたくないのです。いままで行なわれてきた開発の見直しもしなければならないと同時に、これからも全国各地で開発が行なわれていくでありましょう。その場合に、もう一度公害対策という面から新全総を検討してみる必要があるんじゃないだろうか。と同時に、工場の立地規制ということも今度はもう一度真剣に考え直してみる必要があるんじゃないだろうか。いままでもこれはだいぶ
議論があったことです。この点について
総理大臣の基本的な見解を最後にお伺いをしたいと思います。
以上、よろしくお願いいたします。