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1971-12-01 第67回国会 衆議院 法務委員会 第4号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
四十六年十二月一日(水曜日) 午前十時三十分
開議
出席委員
委員長
松澤
雄藏君
理事
小島 徹三君
理事
高橋 英吉君
理事
羽田野忠文
君
理事
福永 健司君
理事
畑 和君
理事
沖本 泰幸君
理事
岡沢 完治君 石井 桂君 大竹 太郎君 鍛冶 良作君 千葉 三郎君 村上 勇君 黒田 寿男君 日野 吉夫君 三宅 正一君 林
孝矩
君 青柳 盛雄君
出席政府委員
公安調査庁長官
川口光太郎
君
委員外
の
出席者
最高裁判所事務
総局人事局長
矢口
洪一君
法務委員会調査
室長 松本
卓矣君
————————————— 本日の
会議
に付した案件
連合審査会開会申し入れ
に関する件
法務行政
に関する件 ————◇—————
松澤雄藏
1
○
松澤委員長
これより
会議
を開きます。
法務行政
に関する件について
調査
を進めます。 本日、
最高裁判所矢口人事局長
から
出席説明
の要求がありますので、これを承認するに御
異議
ありませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
松澤雄藏
2
○
松澤委員長
御
異議
なしと認めます。よって、さよう決しました。
質疑
の申し出がありますので、これを許します。
畑和
君。
畑和
3
○
畑委員
私は本日、主として
公安調査庁
のほうにお伺いをし、また同時にあわせて、
最高裁
からも
人事局長
がお見えになっておりますから、
最高裁
の
考え方等
も承りたいと思います。 というのは、ついこの間でありましたが、十一月十九日の
朝日新聞
の
報道
するところによりますと、その前の十月の二日に開かれました
司法
の
独立
を話し合うつどい、こういう
裁判官
のつどいがございました。二百八人ほどが集まりまして、
司法
の
独立
について
裁判官
がいろいろ話し合いました。そのときに、講師として
横田正俊
前
最高裁長官
や
我妻先生
が
講演
をその席でされ、それに
質疑応答
もあって、さらにまた集まった二百八人の
裁判官
の
人たち
が、いろいろ
司法
の
独立
の問題、
司法
の
危機
の問題、こういった問題について真摯な話し合いをした
会合
が開かれたということ、これはすでに
新聞紙上
でも、各紙でも
報道
されました非常な
注目
を集めた
会合
でありました。この
会合
の
模様
を聞こうというので、この十一月十九日の
朝日
の
報道
に書いてあります
中部公安調査局
の
職員古市調査官
という人が、
名古屋
の地・
家裁
の
川上孝子判事補
、この方とちょっと
知り合い
だというような
関係
で、この
判事補
に対していろいろしつこく
会合
の
模様
を尋ねたというようなことで、この
川上孝子判事補
は、その
古市
さんの
ことば
、そういったことから
判断
をして、これは一般的にこうした
集会
に対して、
出席
をした
人たち
から、いろいろそのときの
模様
、
発言
をした人の
名前
や人数といったようなことを、相当広く
調査
をしておるのではないかというような心配から、これが表へ出たということであります。 私も、実はこの
新聞
の
報道
を見まして
ショック
を受けた一人です。たまたま現在
司法
の
独立
をめぐって、いわゆる
司法
の
危機
だといわれるような事態がいろいろこの二年ぐらい続いておりますが、そういった問題をまじめな
裁判官たち
が集まって話し合った
会合
、しかもその
会合
が、そういった
意味
合いの問題にならないような
会合
であったということ、そういうふうにわれわれも
印象
を受けておる。ところが、それにすら
調査
の手を差し伸べておるのかということで、私
たち
も非常に
ショック
だったわけであります。 この
新聞
の
報道
するところによりますと、
古市調査官
が
川上判事補
と
金沢大学
の
先輩
、
後輩
の
関係
にあるということで、すでに一応の
知り合い
の
間柄
ではあった。その
古市調査官
が一度会いたいということで、しかもまた重ねて
裁判官室
にも
電話
があって、急ぐ用事があるという
電話
だったので、近くの
喫茶店
を指定してそこで会った。そこで
古市調査官
が言うには、十月初めに
裁判官集会
があったでしょう、何でもいいから聞かしてほしい、
裁判官全員
に参加の呼びかけがあったのか、それとも特定の人だけに呼びかけがあったのかというような
質問
。また同
調査官
から、
会議
の
内容
や
出席者
などは一応
東京
の
公安調査庁
でわかっているということ、各地の
公安調査局
からさらに実情を
報告
することになっていること、
名古屋
で
司法関係
を
担当
しているのは
自分
一人である、
東京担当者
は
大学
の
先輩
から聞けるが、
自分
はそうしたルートがなくて困っていることなどの
説明
があったと
新聞
では
報道
されている。いいかげんな
資料
で
判断
されるより確実なものがあったほうがいいだろう、あるいはまた、
裁判官
はだれかが大きな声で言うとみんなそれに引っぱられていくのかなどとも尋ねた。また
名古屋
から何人くらい
集会
に行ったのか、何か一つ教えてほしい、
集会
のあったことは
全員
に知らされていたのかというような
質問
を繰り返した。結局
最後
には、何も聞けなかった、気が変わったら、私のポストにでも紙に書いて投げ込んでおいてくれ、こういうことで別れた、こう
川上判事補
が言っているようであります。 このことが
報道
され、同時にまた、そのときの
新聞
によりますと、
中部公安調査局
の
担当
の
直属上司
である第一部第一
課長
が談を発表いたしております。この
談話
によると、こういうことが書いてある。「
裁判官
であっても
神聖不可侵
ではない。
裁判官
の中に
共産党員
がいれば
調査
するのが
破防法
に基づく当然の
職務
で、
古市調査官
が
情報提供
を求めたのも当然である」こう言った上に、「
日本共産党
の
組織
のあるところはすべて
調査
の
対象
である。とくに大企業、官公庁は国の基幹であり、そこにおける
党活動
には重大な関心がある。
司法部門
も当然その一部であり、青法協問題が表面化してからにわかに
調査
を始めたわけではない。
古市調査官
が十月二十九日、
川上判事補
に会って
裁判官集会
について
情報提供
を求めたことは
報告
を受けている。
司法関係
も
調査対象
の一部にせよという
職務
上の
指示
にもとづいて、
本人
が
知人関係
を頼りに
情報提供
を求めたわけだ。」ほかにもありますが、そういったような
談話
を発表いたしておるわけであります。これが事実といたしますと、相当これは問題だと思います。 ところで、同じその
あと
の談に、お
たく
の
次長
の冨田さんが、それをある程度否定したような談を言うております。「
司法問題担当
のセクションを設けているというようなことは絶対にないし、十月二日の
裁判官集会
について
特別調査
を
指示
、命令したこともない。
公安調査庁
は
破防法関係
の
調査
が
仕事
であり、
裁判官
の
行動
を一般的に
調査対象
にすることはいっさいない。
古市
君のことは
事情
をきいていないので何ともいえないが、
裁判官
のほうで
誤解
をされたのではないだろうか。」こういうような
次長談
が出ておるわけであります。これは
現場
のほうの
中部公安調査局課長
の
談話
を大部分は否定をしておる、こういうふうに考えられる。 ところで、ほかのその後の
新聞
によると、
公安調査庁
のほうでは、やはり若干
行き過ぎ
であるというようなことを認めたような
談話
を
中央
で発表しておるようなふうに見受けられます。このことについて、事実
関係
をさっき私、申しました。そしてその両方の
談話
を、
新聞
に出ている限りのことを読み上げてみたわけですが、これについて
公安調査庁
は、事実
関係
についてはどうなのか、さらにまた、
公安調査庁
としては、
新聞
にも出ているようでありますけれ
ども
、
公安調査局
が謝罪をしたようなことも、何か
名古屋
の
司法反動化
に反対する愛知県
連絡会議
という
団体
からの抗議に対して、それに返答をしたということの
内容等
について、また第一線の、先ほど私が申し上げましたことを若干否定するようなことも載っております。その辺、全部一応申し上げたのですが、
公安調査庁長官
としてどういうふうに事実を把握しておるか、またどういうふうな考えを持っておられるか、この点をまず承りたい。
川口光太郎
4
○
川口政府委員
お答えいたします。
朝日新聞
の
記事
が出ました当日、あれは十九日と思いますが、私のほうでもそれまではそういう事実があることを知りませんでした。それで
朝日新聞
の
記事
によりますと、
名古屋地
・
家裁
の
川上判事補
の言い分を一方的に取材して
報道
されたような
記事
の
内容
でございましたので、まず事実
関係
を確認する必要があると思いまして、私のほうの
調査
一部四
課長
を、当日、十九日の午後であったかと思いますが、さっそく
名古屋
へ派遣いたしまして、
古市調査官
、それからその
上司
の
金矢一課長
、
松田公安調査局長
、この三人から詳しい
事情
を聞かせまして、その翌々日ですか、帰庁したところで詳しく
報告
を聞きました。 それによりますと、私
ども
のほうの事実
調査
によりますと、大体
古市調査官
が十月二十九日、
名古屋
の地方
裁判所
近くの「ゆき」という
喫茶店
で
川上判事補
に会って、二、三十分
談話
をしたそうでございます。その間に、御
指摘
の十月二日の
裁判官懇話会
と申しますか、そのことを聞こうとしたという事実は確かにあったということがわかりました。ただその
発言
が、
川上判事補
の受け取り方と、
古市調査官
の言ったのと、
ことば
が若干ニュアンスの相違と申しますか、たとえば先ほど御
指摘
の、
公安調査庁
の
本庁
では何でもわかっているというように
川上判事補
は言っているのですが、
古市
君はわかっているはずだ、こういうふうに言ったと申しております。それは一例でございますが、大体そういうことです。それから
司法担当
は
自分
一人だと言ったのも、これも何か
司法担当
というものが
全国
の
調査局
にあるように
川上判事補
は受け取られたようですけれ
ども
、これはこの
古市調査官
が
名古屋
の
公安調査局
、大体七十名ぐらい
職員
がおりますが、その中で、
大学
の法科を出て一応
司法試験
の
勉強
をしていたわけでございますが、
司法関係
について詳しいのは
自分
くらいだと言って、
後輩
の前でいばっていたのだ、こういうように申して、そこに非常に違いがあります。 それから
金矢課長
でございますが、これはちょうど
古市調査官
から直接取材しようと思って、
朝日
の小栗という
記者
が参ったそうでございますが、
古市調査官
が出張不在中だったのでその
上司
の
金矢課長
が会って、大体午後五時ごろから一時間ぐらい、十一月十八日ですか、
談話
したそうでございます。
古市調査官
はどこの所属だというので、一課だ。では、一課というのはどういう
仕事
をしているのですかというその
記者
の
質問
に対して、一般的に、一課というのは
日本共産党担当
である、
日本共産党
は
調査
の
対象団体
になっている。では、どういう
方法
で
調査
するのかと言うので、いろいろ
方法
があるが、中には
個人
的な
知り合い
をたどっていろいろ断片的な
情報
を集め、それを総合して何らかの
判断
に到達するというようなこともやるのだ。
裁判官
でも調べるのかという
質問
があったので、一般的に、
共産党
の
活動
が
裁判官
に及んでいるという場合は、それも
対象
になるのだ、こういうふうに、一般的な問題として申し上げたわけでございます。それをこの
裁判官集会そのもの
に結びつけて、途中がちょっと飛ばされたような形で
談話
が載っているので、ああいう
印象
を与える
記事
になった、このように私
ども
判断
しております。 それから
松田局長
が十一月二十二日に
名古屋高裁
の
内藤長官
のところへ参りまして、この
裁判官集会
を
調査
したような
誤解
を与えるような
記事
になって、
裁判官
の方に御迷惑をかけたことは申しわけない、こういう
意味
の陳謝をしたというように伺っております。 以上でございますが、よろしゅうございますか。
畑和
5
○
畑委員
いまの
公安調査庁長官
の
お話
によると、
中部公安調査局
の第一
課長
の
談話
、これは一般的な
調査権限
の話をしただけであるというような
お話
のようでありますけれ
ども
、そのときは、当然
古市調査官
がそういった
調査
の
意図
を持って
川上判事補
に会ったということはわかっているはずであります。 そこで、私、先ほど読み上げなかったのですが、その
最後
に、「ただ、そのとき
川上判事補
に断られて引きさがっており、
情報提供
を強要したということは全くない。」こういう
談話
にも明らかなように、おそらく
情報提供
を強要したということをポイントに考えて、強要したのじゃないかということが問題になっているのじゃないかということを考えたのじゃないか。したがって、その前段のほうのことについては、
長官
のおっしゃるような一般的なことというふうに限ったわけではないような
感じ
が私はするのです。「
裁判官
であっても
神聖不可侵
ではない。
裁判官
の中に
共産党員
がいれば
調査
するのが
破防法
に基づく当然の
職務
で、
古市調査官
が
情報提供
を求めたのも当然である」そのほかに、「
司法部門
も当然その一部であり、青法協問題が表面化してからにわかに
調査
を始めたわけではない。
古市調査官
が十月二十九日、
川上判事補
に会って
裁判官集会
について
情報提供
を求めたことは
報告
を受けている。」こういうことになっておるのです。またさらに、「
司法関係
も
調査対象
の一部にせよという
職務
上の
指示
にもとづいて、
本人
が
知人関係
を頼りに」
云々
、こう言っておるから、やはり
指示
をしたのではないかと私は思うのです。そういう点で、あなた方のほうの
考え方
と
現場
のほうの
考え方
が、理解のしかたが事実相当食い違っておるのじゃないか、私はそういう
感じ
がいたします。まあこうして問題になりましたから、
中央
のほうでは頭の整理もしてこの
談話
を発表しているのでしょうが、突然のことであったせいか、ある程度正直なことを
中部公安調査局
の第一
課長
は言ったのではないかと思う。その点が私はやはり問題だと思うのです。これはよほど注意してもらわぬといけないと思う。 大体、
共産党
がなるほど
破防法
にいう
団体
であって、それを
調査
するというのは
破防法
に基づく
仕事
とされておるような話ですが、私も最近の
共産党
のああした変わりようというか、それが本質かどうかわかりませんけれ
ども
、そういうことからいたしましても、どうも
共産党
だからといってすぐ
調査
の
対象
にするということもいかがかと思うのです。まあしかし、そういうあれはまだ変更してないようでありますから、それは
職務
上当然だといえば当然かもしらぬのでありますけれ
ども
、この間の場合は、
新聞
でも
報道
されているように、また私もちょっと
資料
を読んでみたのですが、「
判例時報
」にもあのときの
会合
の
模様
は相当こまかく載っております。最初に、
集会
を催した世話人の代表の
森田宗一判事
が
あいさつ
をしておる。その
あいさつ
を見ましても、まことに、これはもうほんとうに、何と言うか、あんまり
意図
的なものじゃない。ただ
司法
の
危機
ということを心配しての上の、ひとつみんな対話をかわそうじゃないかというようなことでの集まりのようであります。それに
横田
さんも
講演
をしておられるし、また
我妻
さんも
講演
をされて、それに対する
質疑等
も、
名前
はあげてありませんが、ABCということで、相当こまかく
質疑
の
内容
、それに対する答弁というような要旨が載っております。
最後
に、「
意見交換
と感想」というような欄も設けて、
横浜地裁
、
大阪地裁等
の各
裁判官
の
人たち
の
報告
な
ども
載っておる。これを見ましても、そんな
公安調査庁
で心配するような
会合
ではないはずです。 そこで私は、結局これが未遂に終わったけれ
ども
、単に
古市
さんだけの
勇み足
というか、それだけではないのじゃないかというような
感じ
がいたすのです。それだからこそ一応こうして
報道
もされ、また同時に世間の
注目
を引いたことなんでありますけれ
ども
、この点いかがでしょうか、お
たく
のほうでは
裁判官
に対して特別に
調査
をするということはいたしておらないのでしょうね。その点をはっきり承りたい。また
個々
の
裁判官
に
共産党員
がおるとしたならば、あるいはその
疑い
があるとしたならば、それも
調査
するというのか、その点も承りたい。
川口光太郎
6
○
川口政府委員
お答えいたします。 御
指摘
のように、
日本共産党
を
破防法
による
調査
の
対象団体
に指定したのは
昭和
二十七年ごろでございまして、初代の
藤井長官
が指定され、それ以後ずっと
調査
を続けているわけでございます。その後、御
指摘
のように
共産党
は戦術を変えましたけれど、過去において
暴力主義的破壊行為
をやったという事実はございますし、現在はやっておりませんけれど、情勢の変化によっては、また将来そういう
行動
に出る危険があるのではないかという
疑い
をもって、引き続き
調査
を行なっているわけでございます。それで、その
日本共産党
の
活動
が
裁判所
の中に及んでいる
疑い
がありますれば、当然それも
調査
の
対象
になります。私
ども
、各
公安調査局
あるいは
全国
各府県にもございますが、
本庁
で
長官
がこういう
団体
、こういう
団体
を
調査
するように——これは無制限にやらせますと、先ほど御
指摘
の
破防法
三条の精神に違反するようなおそれがありますので、一応いろいろな状況から考えまして、この
団体
は
調査
する必要があるというように
長官
がきめまして、これを
指示
いたします。そうすると、各
公安調査局
あるいは
地方公安調査局
では、その指定された
団体
についてだけ、
組織
とか
活動
とかあるいは他の
団体
に対する
働きかけ
とか、そういうことを
調査
するわけでございまして、その具体的な
調査
の
方法
は、結局
最後
には各
調査官
の創意くふうと申しますか、これにまかされるわけであります。 今度の十月二日の
裁判官懇話会
、私
ども
はこれは
新聞
で承知した程度でございますし、呼びかけ人の
森田判事
あるいは環
判事等
も
個人
的にも知っておりますし、全然これを
調査
の
対象
にするということは考えてみたこともございません。もちろん、これは
調査
せよというような
指示
もいたしておりません。これは
新聞
にも
報道
されたとおりでございまして、
金矢課長
の
発言
がそれと非常に違うではないかという御
指摘
でございますが、これは先ほど申しましたように、
一般論
として、
日本共産党
の
活動
を
調査
する過程で
裁判官
も
調査
することがあるのだというように申し上げたことが、話の前後で
裁判官懇話会
に結びついて、いかにも一般的に
裁判官
が
調査対象
になっているように
誤解
を与えた。こういう
誤解
を与えるような話し方をしたという点については、私、これは遺憾であると考えております。しかし、
古市調査官自体
の
行為
はこれは
勇み足
ではない、こういうように考えております。
畑和
7
○
畑委員
今度の場合の
古市調査官
の
調査活動
ですか、それは
勇み足
ではない。正しいと言うのですか、そういう
意味
じゃなくての
勇み足
ではないということですか、どっちですか。
川口光太郎
8
○
川口政府委員
これはやはりある根拠に基づいて
調査
をしようとしたことでありまして、その目的とした
調査
のところまで話がいかないうちに、相手方の
川上判事補
が口をつぐんで全然応じてくれなかったもので、それでいかにも
裁判官集会
を調べておるような
誤解
を与えた。そういう点でちょっと
措辞適切
を欠いたと申しますか、しかし
調査官
としての
職権乱用
とか、あるいは
行き過ぎ
とか、そういうことは言えないのじゃないか。今後よく注意するようにと口頭で注意はしてあります。
畑和
9
○
畑委員
そうするとますます問題ですね。そうすると
職務
上の
行為
ですね。当然やるべき
行為
ですね。
個人
的な
行為
ではないのですね。
新聞
によると
個人
的な
行為
だというようなことを言っていたようなところもあったと思いますね。そうすると当然のことなんだということで、一体そういうことでいいのでしょうか。あなたも、
情報
を集める必要がある、一般的に
裁判官
というものを
調査
の
対象
にはしていないけれ
ども
、
個々
の
裁判官
の中に
共産党員
あるいは
共産党員
の
疑い
があるような人がおると推定された場合には、これを探るということは当然だというようなあなたのおっしゃり方だと思う。またそういう理屈だと思うのですが、ただ、そうするとあれですか、何かやはりそれに
関係
した
裁判官
で
共産党員
の人がおるのですか。何か
川上
さんに
関係
をした人でそういうような人がおるのでしょうか。さもなければやはりちょっと
勇み足
だと私は言ったのだ。
指示
に基づくものではなくて、若干
個人
的な、
自分
での、あれによると
功名心
とかなんとか書いてありましたね。誇大にあれして、考えてやったことだというような談もあったような気もしますが、そういう
意味
なんじゃない、やはり
職務
上の当然の
行為
だということ、それがただ
誤解
を受けたんだということだと、どうもはっきりしないのですが、その辺もう少しはっきり、明確におっしゃっていただけないですか。
川口光太郎
10
○
川口政府委員
お答えいたします。
裁判所
のことですから、われわれが申し上げないほうがいいかと思っていままで遠慮していたのですが、実はことしの夏ごろ、ある
日本共産党員
から、
名古屋高裁管内
の
裁判官
の
グループ
に対して、ある種の
働きかけ
があったという
情報
を
古市調査官
は得まして、何とかしてそれを
裏づけ
るような
資料
を得たいと苦心しておったわけでございます。ところがそういうチャンスがない。たまたま
古市調査官
は、
金沢大学
の法文学部で
川上判事補
の四年
先輩
でございますし、それから、卒業後
金沢
の
弁護士事務所
に五年くらい勤務しまして、
司法試験
の
受験勉強
をしていたそのときの同じ
勉強仲間
が
川上判事補
で、四年
後輩
でございますが、
一緒
に
勉強
して昔からの親しい仲であった。そういう
関係
で、
川上判事補
が九州のほうから、昨年でしたかことしでしたか忘れましたが、
名古屋
へ転勤してきた。
古市調査官
も、一昨年
金沢
の
公安調査局
から
名古屋
の
公安調査局
へ転勤してきた。
金沢大学
の同窓会でばったり会いまして、そうしてまた旧交があたたまって、
一緒
に食事したり話をしたりするという
間柄
にあったわけです。 そういう
個人関係
で、たまたま十月二日の
裁判官集会
のことがいろいろな
新聞
に出まして、それから、たしか十月五日の
朝日
だったと思いますが、
会議
は、
我妻
さんと
横田
さんの話の
あと
、
非公開
になった
云々
という
記事
があります。こういうことを思い出しまして、
非公開
の中でいろいろどういう討論がなされたのだろうか、
働きかけ
を受けたという
裁判官
も
出席
して、その非公式の席で何か
発言
しているのではないだろうか、そういうことをひとつ
川上判事補
がこの
集会
に
出席
していたならば聞いて、その
情報
の
裏づけ
をとりたい、このように考えて、あの
懇話会
のことをちょっと話に出したら、
川上判事補
が固くなってしまって、全然話が進まないというので、その
川上判事補
の態度をほぐすために、いろいろな雑談といいますかをしたんだ、これがどうも事実
関係
のようでございます。そういう点で、やはりこれは基本的には
職務関係
であるというふうに私
たち
は認定したわけでございます。
畑和
11
○
畑委員
そうすると、この
集会
の全部の
模様
というんじゃなくて、
古市調査官
がかねて
調査
をしようと思っておった、いま言った、要するにある
共産党
の
グループ
から
名古屋
の地・
家裁
の
判事
のだれかに
働きかけ
があったというような
情報
をさらに確認をして、その
働きかけ
たといわれるような
判事
が、はたしてどういう言動をこの
集会
でやっただろうかということの
裏づけ
というか、そういうものをとりたいというような
意図
だったというふうに、いまの
長官
の
お話
では承りました。 そうすると、あなた方のほうの
調査対象
というのは
共産党
であって、
共産党
から
働きかけ
を受けたとなると、それは
共産党
に入ってくれというのかどうか、あるいはこういうことを言ってくれと言われたことがあったということだったのか、どういうのかよくわからぬけれ
ども
、やはり
裁判官
が
調査
の
対象
になる、こういうことになると思う。その
裁判官
が
共産党員
ならばともかくも、そうでない人にそういうことで
調査
をされるということになると、これはなかなか
司法権
の
独立
との
関係
が出てくるというふうに私は思うのです。一般的に
調査
することはない、ただ個別にはあると言われる。しかも今度の場合が、
共産党
の
グループ
からある
判事
の
グループ
か
個人
か、一人か複数か知らぬけれ
ども
、
働きかけ
を受けたような節というか、そういうことがあったから、さらにそういう
関係
を詳しく調べよう、こういうことだったと思いますけれ
ども
、そうなりますると、うっかり
共産党員
とも話もできないというようなことにもなってまいりますですな。これはやはり
司法
の
独立
に対する相当な介入になるような
感じ
が私はするのですが、その点はどうでしょうか。
川口光太郎
12
○
川口政府委員
非常に微妙な問題と思いますが、私
ども
常々、破壊
活動
防止法による
調査
が、同法の三条に書いてありますように、
個人
の人権あるいは労働組合の
活動
に対して影響を及ぼすことがあるから慎重にやれという趣旨がございますので、絶えず
会議
とか研修とかのつど、もうそれは
職員
に徹底させております。 それで、いま御
指摘
のように、
裁判官
一般を
調査
の
対象
にするということになれば、確かにその
裁判官
に対して不当な影響を与えるかもしれませんが、そういうことは決して
指示
はしておりませんし、本件は、たまたま
先輩
後輩
という
個人
の非常に親しい
間柄
ということでやられたものであって、そういう裁判権の侵害とかあるいは
司法権
の
独立
を害するとか、そういうことには当たらないのではないかと考えますが……。
畑和
13
○
畑委員
どうも私はそれは承服できない。もっともあなた方はそういうふうにさせなければ、これは
職務
外だったなんと言ったらみんな士気がふるわないから、やはりかばうという気持ちになると思うのでありますけれ
ども
、これははっきりさせておかぬといかぬのじゃないでしょうか。これをしも、やはり
個人
的な
関係
で
知り合い
だったというようなことを
長官
も言われるけれ
ども
、しかし、それとしてもやはり
職務
上の
行為
である、こういうことになる。こういうことだと、
破防法
三条のあの制限、これに触れるわけだと思う。それじゃ
裁判官
は安心して裁判ができないということになりはせぬか。やはり一般の
裁判官
としてこれは非常に
ショック
だったに違いない、私はそう思うのです。これはよほど考えてもらわにゃいかぬと思う。 そこでお聞きしますが、一体あなたの
調査
で、日本の
裁判官
の中に
共産党員
がおりますかおりませんか。これはなかなか言えないかどうかわからぬけれ
ども
、わかっていたらひとつ話してください。
川口光太郎
14
○
川口政府委員
現在、まだはっきりしたことを申し上げる段階ではございません。
高橋英吉
15
○高橋(英)委員 ちょっと関連して。はっきりさせなければいかぬのですが、
長官
の言われようとするところは、
裁判官
だろうが、代議士だろうが皇族の方だろうがだれだろうが、
破防法
の
対象
になるような
団体
に
関係
しているかどうかということについて、多少でも
疑い
があればそれは捜査をするというふうなこと、たとえば高橋英吉が、自民党ではあるけれ
ども
、実はそれがカモフラージュだった、
共産党
と
関係
を持っているとか
疑い
があれば、高橋英吉を調べる。調べる
方法
は、いろいろの
方法
でやらなければいかぬし、慎重にやらなければいかぬ。制限も厳守しなければならない。だから今回の場合には、われわれは五分間人と話をすれば、大体その人の性格や気持ちがわかるのだが、長い間つき合っておって、そうしてそのときも相当長い間話をしておるわけです。そのときはすぐわからなかったということは、技術上まずかったということになるかもしれない、捜査の遂行上ですね。これは、とにかく
破防法
の
対象
になるような
疑い
のあるものに対しては、神聖な
職務
の遂行として、あらゆる
方法
で法律に基づいた
職務
行為
をしなければならないというふうなことです。それは
裁判官
だろうと検事だろうと弁護士だろうと代議士だろうと皇族だろうと、少しも差しつかえないというふうなことの基本的なものをはっきり答弁しておいて、いただければ、自然ほかのところは解決すると思うのです。
川口光太郎
16
○
川口政府委員
いま高橋先生の言われたように、
行き過ぎ
てはいけませんが、法律の範囲内で
共産党
の実態と申しますか、これを徹底して
調査
する。特に
共産党
の方針といたしまして、重要経営とか官公庁の中に奥深く党の
組織
を確立しなければいかぬというようなことが、これは従来の
日本共産党
の
会議
で何度も
発言
されておりますし、これに応じまして、私
ども
もそういう方面に対する
日本共産党
の
活動
を特に重く見て、あらゆる手段と申しますか、力を尽くしてやっております。非常に不十分でございますが、その点に努力しておるということを申し上げていいと思います。
畑和
17
○
畑委員
いま
長官
は、
裁判官
の中に
共産党員
がいるかいないかという私の
質問
に対して、どうもはっきりしない、こういうような
ことば
だったと思います。言えないというのではない、はっきりしないということですか。
川口光太郎
18
○
川口政府委員
いるともいないとも申し上げられない、申し上げる段階ではないというわけです。たとえば学生時代に党員で、その後
裁判官
になったというような人がおるとします。ところが、御承知のように
共産党
では党員全部を発表しませんので、現在党員かどうか、昔は党員だったようだが現在はどうかということが、わからない者もいるわけでございます。そういう
意味
で、いるともいないとも申し上げられない段階である、こういうように申し上げておきます。
畑和
19
○
畑委員
結局は、あなたのほうでいるということを握っておっても言えないというわけではない。いま言ったように、かつて
共産党員
であったような人がいることはいる。しかし、それがいま
共産党
に入っているか入っていないかはっきりしない、そこまではっきりさせるような段階にはまだ達していない、こういうことに承りました。 そこで、もう一つ伺いたいのですが、青法協ですね。あれは
調査
の
対象
にしておるわけですか。
川口光太郎
20
○
川口政府委員
青法協そのものは、
調査対象
団体
ではございません。
畑和
21
○
畑委員
そうすると、青法協の中に
共産党員
がいるということ、これは想像される。私
たち
もそれは否定しません。特に弁護士の場合などは、
共産党員
の人は相当入っておられるというふうに私は思っております。
裁判官
にはおそらくないだろう、私
個人
の考えですが。これだってあなた方のほうが専門です。専門の方はよくわかっているわけだが、これもしかし先ほどのような御答弁で、私はそうありたいと思っていますが、これはあくまで
個人
だけの話だと思います。
団体
としては青法協そのものも
対象
にはなっていない。ただ、その構成分子の中で
共産党員
がいるかいないかということで、その点についてだけの
調査
ということだと承知いたします。 それでは、大体
調査
庁のほうからの御答弁はそれまでにいたしまして、今度は、
最高裁
のほうの
矢口
人事局長
がお見えになっております。いまいろいろこの問題につきまして
公安調査庁
のほうからお聞きをいたしたのですが、
最高裁
では、
新聞
の
報道
するところによりますと、やはりこの問題を重視して、
談話
を発表されておると思います。その
談話
をめぐって、
最高裁
としてこの
調査
問題に対してどうお考えになっていらっしゃるか、その点を承りたい。
矢口洪一
22
○
矢口
最高
裁判所
長官
代理者 私の
名前
で
談話
を発表いたしますが、
新聞
に掲載されたとおりでございます。そこにもございますように、十月二日の
裁判官
の懇談会というものは、これに参加いたしました
裁判官
の数、あるいは講師として
横田
前
長官
、
我妻
教授がお出になっておるといったようなことを総合いたしますと、私
ども
といたしましては、
破防法
が
調査
をすることを命じておる
調査対象
団体
、そういったものからはほど遠い性格のものであると思わざるを得ないということが第一段にあるわけでございます。この
団体
と申しますか、懇談会は、その後法律雑誌にその
会議
の
内容等
について
報告
がございましたが、私
ども
その当時の段階においては、中でどういうことが行なわれたかというようなことの詳細につきまして、承知いたしておりませんでしたので、そういった外形から見るよりほかしかたがないというふうには思いましたけれ
ども
、それにいたしましても、
破防法
による
調査対象
団体
というものからほど遠いものであると見るのが相当であるというふうに考えたわけでございます。 にもかかわらず、現職の
裁判官
に聞きまして、その懇談会に関する
調査
を行なおうとされることは、どう考えてみましても
破防法
の
調査
ということの範囲を逸脱したものであるというふうに考えられます。そのことは、やはり現職の
裁判官
についての
調査
であるという点を考えてみますと、
司法
の
独立
という観点からきわめて遺憾であるということを考え、あのような
談話
を発表したわけでございます。
畑和
23
○
畑委員
最高裁
としては当然そうあるべきだと私は思います。それでなくても最近
司法
の
独立
の問題については、いろいろな批判も
最高裁
に向けられておるわけでありますから、こういう点はき然としてはっきりさせる、こういう態度が望ましいのでありまして、この点は私は
最高裁
の態度を支持するわけです。そうすると、
破防法
第三条の制限規定に違反するというふうな
最高裁
の態度だと思います。 ところで、
公安調査庁
のほうは、先ほどはそこまで言っていない。結局
職務
上の
行為
だというふうに言っておられるが、いかがですか。逸脱した
行為
かどうかということです。逸脱していないとおっしゃるのですか、それとも逸脱しておるというふうに考えられますか、
公安調査庁長官
、いかがですか。
川口光太郎
24
○
川口政府委員
先ほどお答えしましたように、私のほうは逸脱していない。
畑和
25
○
畑委員
これははしなくも
最高裁
のほうと
公安調査庁
のほうで見解が違うということになったわけです。
調査
庁は
調査
庁での
職務
というものがあるからでありましょうけれ
ども
、しかし、
裁判官
一般の
調査
はしていないと一応言われるけれ
ども
、個別的にでもそういうふうなことを
調査
しようとして、
裁判官
の思想、信条の自由を脅かすような結果になっておると思う。
裁判官
としては非常に不安を拘くだろうと思っておる。したがって
調査
については、この間の
調査
しようとしたこと自身が私は非常に遺憾であると思うのです。両方とも明確な食い違いがあるのですから、これ以上追及することはやめますけれ
ども
、裁判が治外法権でないとおっしゃる。確かに治外法権でないかもしれぬけれ
ども
、裁判の
独立
ということで当然特別に考えるべきですよ。 そういうことで、以上で私の
質問
は終わります。また青柳君のほうからこってりやられると思いますから。
松澤雄藏
26
○
松澤委員長
関連して、岡沢君。
岡沢完治
27
○岡沢委員 私は、三権の分立あるいは
司法権
の
独立
に関連することでございますので、もう一度確認をいたしたいと思いますけれ
ども
、川口
長官
は、
古市調査官
の今回の
行動
は、
調査官
としての権限を逸脱していない、
調査
の権限を逸脱してない、
勇み足
でないという解釈を確認されますか。
川口光太郎
28
○
川口政府委員
御
指摘
のとおりでございます。
岡沢完治
29
○岡沢委員 川口
長官
ももちろん法曹界のわれわれの
先輩
でございますので、ここで論議をちょうちょうすることは避けたいと思いますけれ
ども
、
司法権
の
独立
が日本国憲法の基本的な精神の一つであること、また憲法七十八条はそれに関連して、
裁判官
の身分保障を特に規定いたしておりまして、「
裁判官
は、裁判により、心身の故障のために
職務
を執ることができないと決定された場合を除いては、公の弾劾によらなければ罷免されない。
裁判官
の懲戒處分は、行政機關がこれを行ふことはできない。」という明文がございます。
公安調査庁
が行政機関の一つであることは、これは明らかであります。もちろん懲戒処分もなかったという
意味
ではありませんけれ
ども
、この七十八条の
裁判官
の身分保障は、やはり私は、三権分立の精神から、
司法権
の
独立
の基本的なたてまえからこの規定が織り込まれたと思うわけであります。 先ほど
長官
の答弁にもございましたように、
破防法
の三条のきびしい制限がございます。「この法律による規制及び規制のための
調査
は、第一条に規定する目的を達成するために必要な最小限度においてのみ行うべきであつて、いやしくも権限を逸脱して、思想、信教、
集会
、結社、表現及び学問の自由並びに勤労者の団結し、及び
団体
行動
をする権利その他日本国憲法の保障する国民の自由と権利を、不当に制限するようなことがあってはならない。」第二項に、「この法律による規制及び規制のための
調査
については、いやしくもこれを濫用し、労働組合その他の
団体
の正当な
活動
を制限し、又はこれに介入するようなことがあってはならない。」この規定は、人権侵害になってはならないということと、特に労働組合の団結権等をあげてはおりますけれ
ども
、その以前の問題として、
裁判官
の
独立
というようなことを侵すことがあってはならないということは、私は条文以前の常識でもあるし、また条文が予想もしなかった形だと思うのです。私は、
長官
の
職務
熱心のあまりかもしれませんが、たとえがいいとは思いませんが、木を見て森を見ない、ほんとうに憲法の精神、三権分立の精神、
司法
の
独立
の立場からして、あの
古市調査官
の
行動
は
調査
権の範囲を逸脱していない、
勇み足
でないという
考え方
には、どうしても納得できないわけでございますけれ
ども
、私がこう申し上げても、
長官
としては先ほどの答弁に間違いございませんか。
川口光太郎
30
○
川口政府委員
お答えいたします。 先ほど来るる申し上げましたように、
古市調査官
は
個人
の友人
関係
を利用して
調査
をしようとした、その際の
発言
内容
に
措辞適切
を欠いた点がある、これで
川上判事補
に不安を与えたということは、私
ども
としても残念に思います。やり方がまずいなということは考えます。しかし、これを
調査
権を逸脱したものだと言ってとがめるということはできません。もちろん、裁判の
独立
の重要なことは私よく承知しておりますし、先ほど申し上げましたように、
職員
にも
行動
その他を慎重にするようにということは常々申しております。
岡沢完治
31
○岡沢委員 見解の相違とおっしゃればそれまでではありますけれ
ども
、しかし、現職の
裁判官
に与える心理的な影響、それは当該
裁判官
だけではございません。
裁判官
一般に与える心理的な影響、不安あるいは国民に与える
司法権
独立
についての不安、これは先ほど来申し上げておりますように、
公安調査庁
が……(
発言
する者あり)黙りなさい。
質問
中じゃないですか。失礼じゃないですか。
質問
している最中じゃないですか。(高橋(英)委員「興奮しなさるな。そのくらいで一々おこりなさるな」と呼ぶ)
質問
の最中にじゃましなくてもいいじゃないですか。事は大きな問題じゃありませんか。
司法権
の
独立
に関する問題じゃないですか。(高橋(英)委員「君よりも
先輩
なんだ」と呼ぶ)
質問
をやめます。あまりにも失礼じゃないですか。議員として何も
先輩
、
後輩
は必要ないですよ。礼を尽くすのは国民に……。
松澤雄藏
32
○
松澤委員長
不規則
発言
は遠慮願います。 速記をやめて。 〔速記中止〕
松澤雄藏
33
○
松澤委員長
速記開始。
岡沢完治
34
○岡沢委員 私は、高橋議員がわれわれ議員の
先輩
であることはもちろん認めます。しかし、議員としての資格、委員会委員としての資格というものは、国民の代表として私は
自分
に課せられた責任だと思います。その
発言
中に妨害的な不規則
発言
というものは、私は許されないと思う。 重ねて
長官
にお尋ねいたしますが、この
古市調査官
に対しては処分は考えていない、口頭による注意はしたけれ
ども
処分は考えていないということでありますか。
川口光太郎
35
○
川口政府委員
そのとおりでございます。
岡沢完治
36
○岡沢委員 先ほどの
畑委員
の
質問
に対して、
裁判官
一般を
調査
の
対象
にしない。逆に言いますと、
個々
の
裁判官
については
調査
の
対象
にすることがあるというように解してよろしゅうございますね。
川口光太郎
37
○
川口政府委員
そのとおりでございます。
岡沢完治
38
○岡沢委員 ここで
最高裁
の
人事局長
にお尋ねいたします。
最高裁
の御見解は、先ほど
畑委員
の
質問
でお答えになりましたが、局長の
談話
によっても明らかではございますが、ただいまの
公安調査庁
川口
長官
の御
発言
、どのようにお考えですか。
裁判官
の
独立
を守る
最高裁
の
人事局長
のお立場から、私はこの際三権分立——ここには期せずして、立法府と
司法
府の最高
裁判所
とそして行政官庁の
公安調査庁
の
長官
とが意見の食い違いを見せるわけでございますが、
最高裁
の立場からこの際明らかにしてもらいたいと思います。
矢口洪一
39
○
矢口
最高
裁判所
長官
代理者
裁判官
は、やはり法律と良心に従って
独立
して
職務
を遂行いたすわけでございます。
職務
遂行に関します限りにおきましては、これは何人にも制肘される筋合いのものではない。そこに
司法
の本質というものがあるということにつきましては、私
ども
は
最後
までこれを守っていくというかたい決意を持っておるわけでございます。 そういう決意の表明の中に、具体的な問題として十月二日の
集会
の
調査
ということが取り上げられ、それを現職の
裁判官
について
調査
するという事態が起こったわけでございまして、私
ども
は黙視し得ないものとして遺憾の意を表明したわけでございます。以上で、私
ども
の決意というものは尽きておるのではないかというように考えます。
岡沢完治
40
○岡沢委員 そうすると、確認いたしますと、
古市調査官
に代表される
公安調査庁
の今回の
調査
というのは、
司法権
の
独立
、あるいは憲法の
裁判官
の身分保障、あるいは
裁判官
の
職務
権限行使についての当然の性格等からして、権限逸脱といいますか、迷惑だというふうに解しておられると解してよろしゅうございますか。
矢口洪一
41
○
矢口
最高
裁判所
長官
代理者 十月二日の懇談会の
調査
に関連いたします現職
裁判官
たる
川上判事補
に対する
調査
というものにつきましては、きわめて遺憾であると考えております。
岡沢完治
42
○岡沢委員 ちょっと角度を変えまして、この十月二日の
司法
の
独立
を話し合うつどい、これは
最高裁
にお尋ねしたいわけでございますが、私
たち
もこれがいわゆる
破防法
の
対象
として
調査
の
対象
になるというようなことは全く考えませんが、逆に積極的に、いわゆる
裁判官
が閉鎖社会であったりあるいは
裁判官
の断絶、古い
裁判官
と若い
裁判官
の断絶ということが、ここ数年来
指摘
もされ問題にもされました。そういう
関係
からいたしますと、むしろこのように
全国
の
裁判官
が、有志だけではありましても一堂に会し、
先輩
、
後輩
、特に講師であります
横田
前
長官
、
我妻先生
は法曹界の大
先輩
でありますから、こういう方々とひざを交えて話し合う機会は、むしろ積極的に評価してもいいのではないか。どうしても
裁判官
が主観的に偏向的な
判断
をされるということが、
裁判官
として好ましくないという面を考えました場合、むしろこういう開かれた場所で
先輩
、
後輩
あるいは法曹の方々を交えた
集会
というものは、積極的に価値あるものと評価していいと思うのでございます。この
集会
に対する
最高裁
の御見解をお聞きいたします。
矢口洪一
43
○
矢口
最高
裁判所
長官
代理者 実は、このような
集会
が開かれるということは、私
ども
もそれとなく承知していないではございませんでした。この
集会
を開くという、こういういわば内外に恥じない
集会
であるならば、もう少し
集会
を開く
方法
とかいうようなものについて考えていかなければいけない面があったのではないか。結果的には、こういうふうに法律雑誌等にもその
内容
を詳細に御発表になりましたので、もしそういうものであるならば、いわば俗に申しますとオーブンにやっていくということもできたのではないかというふうに考えております。 したがいまして、この
集会
そのものをあらゆる角度から見てりっぱなものである、一点非の打ちどころのないものであるというふうには、私
ども
は考えておりません。しかし、
司法
行政の重要な問題について
裁判官
が十分の関心を持って、何とかこれに真剣に取り組んでいきたいというふうに考えておる、そしてそういうものの発露であるという観点から、これを私
ども
もまた、こういったものが行なわれたこと及びそこで行なわれた討議の
内容
みたいなものを、今後の
司法
行政の中に十分取り入れて生かしていきたいというふうには考えております。
岡沢完治
44
○岡沢委員 川口
長官
にお尋ねいたします。 先ほどの
畑委員
の
質問
に対する答弁で、
共産党
はいわゆる
公安調査庁
の
調査対象
の
組織
であるという
お話
でございました。
共産党員
ももちろん
調査対象
になるわけでありますね。
共産党員
の
疑い
のある人物は
調査
の
対象
になりますか。
川口光太郎
45
○
川口政府委員
その党員であるかどうかを確定するという作業がやっぱり必要でございますから、お説のとおりになります。
岡沢完治
46
○岡沢委員 そうすると、先ほどの答弁で、もう一回確認いたしますが、
裁判所
にもあるいは
裁判官
にも
共産党員
がおった場合、先ほど
畑委員
に対する答弁では、たしか
共産党
の
組織
のあるところはすべて
調査
の
対象
になるという御答弁がございましたね。そうしますと、
裁判所
も一つの
組織
でございますから、もし
共産党員
あるいは
共産党員
の
疑い
がある
裁判官
がおられたら、書記官、
調査官
、事務官がいるというような場合には、
調査
の
対象
になりますか。
川口光太郎
47
○
川口政府委員
その判明している党員の
活動
状況を
調査
するという範囲で
調査
するわけでございまして、その属している
裁判所
とか、いわゆる労働組合という
団体
そのものを
対象
にするわけではございません。やはりそこは区別しております。
岡沢完治
48
○岡沢委員 もう一回だけ確認してこれで終わりますが、
共産党員
である
裁判官
ということがはっきりした場合、
共産党員
であるかどうか疑わしい
裁判官
がおられる場合、これは
調査
の
対象
になると解してよろしゅうございますか。
川口光太郎
49
○
川口政府委員
そのとおりでございます。
岡沢完治
50
○岡沢委員 終わります。
小島徹三
51
○小島委員 関連して。先ほどから
質疑応答
を承っておったのですが、
長官
の言われるのは、何か
新聞
か何かに
共産党
が——
共産党
を
破防法
の
対象
にすることについて文句があるかもしれませんが、それはそれとして、
共産党
が
名古屋
の
裁判官
に
働きかけ
ていたというようなことが
新聞
か何かに出ていた。その事実を確かめようとして
古市
という
調査官
が調べようとした。その調べ方が、たまたま
川上
さんという
判事補
に親しかったものであるから話しかけて聞こうとしたということであって、
裁判官
自体を調べようとした目的ではなかったように思うのです。ただしかし、それがたまたま
裁判所
の立場からいうと、そういうことについてよほど慎重にやってもらわないと、
裁判官
に与える影響というものが非常に大きいから注意してほしいということだろうと思う。それでおそらく、そういうことはすでにもう
新聞
なんかで問題になるくらいだから、
裁判所
としては、遺憾の意を表したものだと私は思うのです。あくまでも
裁判官
を
対象
として調べようとしたのではなくて、たまたま
知り合い
の
裁判官
だったから、それで
共産党
が
働きかけ
たという事実について、何かの
発言
があったかなかったかということについて確かめようとしたのではないかと思うのですが、その
働きかけ
があったかなかったかを確かめようということは、当然公安
調査官
としては調べることだと思う。その調べ方として、多少やり方がまずかったというか、
裁判官
に対する影響というものが大きいということがあるから、注意をよほどしなければならぬということだと思うのですが、一体その点はどうなんでしょう。
川口光太郎
52
○
川口政府委員
ただいま小島先生の
指摘
されたとおりでございます。
小島徹三
53
○小島委員
裁判所
はどうでしょう。
矢口洪一
54
○
矢口
最高
裁判所
長官
代理者
裁判所
といたしましては、現地からも
報告
を受けたわけでございますけれ
ども
、いろいろ御
質問
が
調査官
からありまして、あっただけで、それを門口で答えておりませんので、どういう
意図
であったかというようなことは私
ども
のほうとしては何もわからないわけでございます。しかし、外形として出ておりますものは、これはやはり十月二日の懇談会を
川上判事補
について
調査
しようとしたという外形でございますので、そういう点から、私名義の
談話
というものを出したわけでございます。
小島徹三
55
○小島委員
裁判所
の立場としては、そういうお考えでああいう
発言
をされることも無理もなかったと思うのですけれ
ども
、
古市調査官
の立場からいうとそれほど重大な
考え方
でなかったのであって、ただ
働きかけ
たという事実があるかないかということについて確かめようとしたのだろうと私は思うのですがね。それは結果としては、いろいろな波紋があったから注意しなければならぬと思うのだけれ
ども
、それがために
古市調査官
が処罰されなければならぬというようなことは、私としては少し
行き過ぎ
じゃないかと思う。むしろ
調査官
としてはもう少し慎重にやり方を考えなければいかぬぞ、そういうことを確かめるなら確かめる
方法
については、もう少し慎重にしろということでいいのじゃないか。
裁判所
のほうは非常に神経質になられることは無理もないと思うけれ
ども
、外形の上では何だかその懇談会を調べたようになりますから、形の上では確かにそうだけれ
ども
、
古市調査官
の気持ちからいえば、懇談会自体を調べようとしたのではなかったと思うのです。たまたまそういう
働きかけ
があったという事実について、何か出てきはしないかと思って簡単に考えたのだろうと私は思うのですが、その取り調べ方については、私は慎重にしなければ、
裁判官
に対する心証というものは非常に悪いということは言えると思うけれ
ども
、それほど目くじら立ててここで議論しなければならぬほどのことはないのじゃないか。もっとも、
共産党
を
破防法
の
対象
にしたということがけしからぬということであるならば、これは別問題といたしまして……。
高橋英吉
56
○高橋(英)委員 関連して。
人事局長
にちょっとお伺いしたいのですが、裁判権の
独立
、
司法権
の
独立
というふうなことで、いろいろ外部からの介入らしきものがある場合に、その
独立
を侵すというふうなことで好ましくないという
発言
がしばしばあって、今度の場合もそうなっているのですが、大体いま小島委員が言ったように、
破防法
の
対象
に
共産党
をしておることがいいか悪いかという根本問題は別として、法律できちんとそういうふうにきめておる以上は、そういうことも
調査
の
対象
になるかと思うのです。最も国民から信頼され、
最後
の国のとりでというふうにも思われており、その最も国民から尊厳を信じられておった
裁判官
に、いまや
司法
の
危機
ということが叫ばれておる。これは左のほうからも、御承知のようにそういう声も盛んではあるけれ
ども
、また違う面からいって、従来の
裁判官
のイメージからいって、
司法
の
危機
ではないかと言われておるのですが、いやしくもそういうふうな
破防法
の
対象
になるような
団体
に属しておるとか、属して
活動
しておるのではないかというふうに疑われるような今日の
裁判官
の一部の存在、
司法
の
危機
と称せられるものに対して、これはもう絶対に、そういう点について
裁判所
のほうとしては、
裁判官
としては遺憾だというふうな
考え方
があるのかないのか。いまの姿でいいというふうにお考えになっているかどうか。 それからまた、思想は自由であるから、
共産党
属しようとどうしようと——
共産党
は一応表面上は暴力革命を否定しているが、まあ実際は否定もしてない肯定もしてないということだから、かりにはっきりと暴力
団体
でないということであるならば、
破防法
の
対象
からははずしてしまう、除外するというふうなことが適当であるというお考えがあるかないか、その二点についてちょっと……。
矢口洪一
57
○
矢口
最高
裁判所
長官
代理者 裁判は公正でなければいけませんし、また公正らしさというものも必要であることは、あらゆる機会に私
ども
が強調してまいったところでございます。政治的な色彩を帯びた
団体
に
裁判官
が加入すべきでないという、
裁判官
のモラルというものをはっきりと打ち出しておりますのも、その趣旨にほかならないわけでございます。 そういったところで、私
ども
といたしましては、現段階、現下の国民の政治的な意識と申しますか、そういった段階におきましては、やはり
裁判官
は政治
団体
あるいは政治的な色彩を帯びた
団体
には属さないほうがいいということは、現在でも確信を持っておるわけでございます。したがいまして、お答えになるかどうかわかりませんが、そういった考えの中に
裁判所
の、私
ども
の
意図
を十分おくみ取りいただけるのではないかというふうに考えております。
松澤雄藏
58
○
松澤委員長
青柳盛雄君。
青柳盛雄
59
○青柳委員 同じ問題についてお尋ねをするわけであります。 最初に川口
長官
にお尋ねするのですけれ
ども
、これは十一月二十日ごろの
新聞
報道
によりますと、川口
長官
は
談話
を発表しているようです。先ほど引用されたかもしれませんけれ
ども
、正確を期するために一応読んでみます。
川口光太郎
公安調査庁長官
談話
として、「一応の
事情
は聞いたが、さらに実情を
調査
してみる。
古市調査官
は四年目で経験が浅く、
自分
の
職務
を誇大に考えすぎ、
指摘
されたような
行為
をとったと思われる。「
裁判官
の集い」については
調査対象
にもなっていないし、
調査
を
指示
したこともない。青法協に関しては
共産党員
についての
調査
という点で
調査対象
にはしている。
川上判事補
の方にも
誤解
があるのではないか。」、これは十一月二十日の
朝日新聞
の
報道
です。この
談話
は正確ですか。
川口光太郎
60
○
川口政府委員
お答えいたします。 私、特に
談話
を発表したわけではございません。十一月十九日の午後三時ごろだったと思いますが、最高
裁判所
の中にあります
司法
記者
クラブの幹事の毎日
新聞
の
記者
から、
人事局長
からこういう遺憾の意の発表があったがどうですかという照会があったわけであります。それに対して
電話
で応答した結果が、こういうふうにまとめられて
記事
になったものでございまして、私、そういう
新聞
に
報道
されるなどということは考えたこともございません。 で、同じ日の毎日
新聞
にはこのように載っております。私の
談話
といたしまして、「
破防法
上の
調査対象
でもない
集会
について、
公安調査庁
が実情
調査
を
指示
するはずがない。青法協会員のうち、
共産党員
については
調査
しているが、経験の浅い
古市調査官
が
自分
の
職務
を誇大に考えすぎ、勝手に
調査活動
をしたのではないか。二、三日中に
調査官
を
名古屋
へ派遣して
調査
するつもりだ。」大体このほうが正確に当時の私の
電話
の応答を伝えているように思います。
青柳盛雄
61
○青柳委員 私がその中で特に聞きたいのは、
古市調査官
が四年ぐらいで経験が浅いので、
職務
を大きく考え過ぎてあのようなことをやったのではないかという点は、どうも
朝日
の
報道
あるいは時事通信の
報道
、いまの毎日
新聞
の
報道
の中にも共通してあるわけですね。だから、これはやはり
行き過ぎ
といいますか、先ほど
調査官
のやったことは別に誤りはないのだと言ってがんばっておられたのだけれ
ども
、当時はやはりちょっとまずい点があるということを認められたように聞こえるのだが、その点はどうなんですか。
川口光太郎
62
○
川口政府委員
お答えいたします。 この
談話
をした時点におきましては、まだ当庁の実情
調査
をしていなかった段階でございまして、
朝日新聞
の
報道
だけをもとにこういう答えが出たわけでございます。すなわち、私
ども
のほうでは
裁判官懇話会
というものを全然
調査
指示
したこともございませんし、何も思い当たらなかったわけでございます。それでまあ
新聞
にもすでに相当詳しく
報道
されましたし、そんなことについては
報告
を求める気もございませんでした。それに、
古市調査官
が何か
自分
の手柄でも立てようということでやったのではないか、こう考えたものですからこのように申したのでございますが、その後実情
調査
の結果、先ほど畑先生の御
質問
にもお答えしましたような
事情
が判明しまして、
職務
範囲であるというふうに認定をしたわけでございます。
青柳盛雄
63
○青柳委員 だから、十一月二十日の
新聞
記者
からの
質問
に対する
談話
は、実情がよくわからないから正確でない、その後の
調査
では、別に
古市調査官
のやったことは
行き過ぎ
でも何でもない、こういうふうに確認したというように理解するわけです。 そこで問題にされているのは、十月二日の
裁判官
の懇談会の
内容
を
調査
したという。これは
司法
の
独立
に大きな妨害になる、こういうことだと思うのですね。先ほど
矢口
最高裁
の
人事局長
は、持ち方が悪かったというようなことを言われて、どういう点が持ち方が悪いと言うのか、どうもその後雑誌に発表されたからわかったのだけれ
ども
、秘密会、
非公開
にした部分があるということがよくないというふうにもとれるわけですけれ
ども
、その点、まさに
公安調査庁
の川口
長官
は先ほど、
横田
元
最高裁長官
や
我妻
元東大教授の
お話
のときは公開だったけれ
ども
、その後の何か話し合いが
非公開
になったので、その中で何がやられたか知る必要があったということを、何か合理化する一つの根拠にしているようであります。それだけではなしに、何かその前に
情報
が入って、
名古屋
の
裁判官
に対して
共産党
側から何かの
働きかけ
があって、その
働きかけ
を受けた者か何かがその
集会
へ出ていって、そうして
非公開
になったところで何かやったのじゃないかということを知りたかったのだ、こういうふうに持って回ったようなことを言っているわけですが、もちろん具体的にどういう人がどういう
働きかけ
を受けて、そうしてその日に
出席
したかしないかというようなことについて、おそらくここで答弁はできないのだろうと思うのですね。そういうような理屈をつけて、結局はこの
裁判官
の懇談会の
模様
を、
出席
したと思われる
名古屋
の女性
裁判官
から聞き取ろう、そういうことではないか、こういうふうに思われるのですが、その点はどうですか。
川口光太郎
64
○
川口政府委員
この
裁判官
の
集会
につきましては、すでに
新聞
に相当詳しく当時
報道
されておりました。呼びかけ人の
名前
な
ども
ちゃんと載っておりますし、私
たち
個人
的にも、先ほど申し上げましたように存じ上げている穏健、中正、そういう方ばかりでございますし、私
たち
これについて、何かの
疑い
など全然持っていませんでした。 ただ、この
古市調査官
が、たまたまそういう
情報
があったので、その
働きかけ
を受けたという
裁判官
がそこに行ったかどうか、行ったとすれば、その
会合
でどんな
発言
をしているのかということを知り
たく
て、親しさのあまり
川上判事補
にそれをただした。入り口で断わられたので、結局目的としたところまで到達しない。そのために、非常に
川上判事補
その他
裁判官
一般に御迷惑をかけた、こういうように理解をしているわけです。
青柳盛雄
65
○青柳委員 ですから、そこを私がお尋ねしたいのですよ。
共産党員
の言動についてつぶさに知りたい、また知る必要があるという
公安調査庁
の要求ですか、気持ち、それはそれなりに、あなた方はそれでめしを食っているわけですからやむを得ない。これは私は反対ですけれ
ども
、そのことで議論をしていると時間がたつから……。それから、だれが
共産党員
であるかということも知りたいという。これもおそらく
公安調査庁
の要求だろうと思うのですね。 そこで、
非公開
になった
会合
で、一体
共産党員
と思われる人間がどういう
発言
をしたか、また何か
情報
が入ったという人間が、はたして
共産党員
かどうかというようなことを知る一つの
資料
も得られるとか、こういうことでなければ、そういう具体的なきっかけがなければ、ただぼんやりと
川上判事補
にその場の
模様
を聞くということはないと思う。これはその
会合
自体をつぶさに知ろう、こういうことになってこの
集会
の
調査活動
をやった、いわゆる
調査対象
にしたということにならざるを得ないわけですね。口実は
共産党員
の言動、
共産党員
の有無を調べるのだ、幾らこう言ってみても、具体的なものが何もそこになければ……。あるならばあるで、何がそうなんだ、それを言っていただきたいのです。
川口光太郎
66
○
川口政府委員
古市調査官
が、結局目的としたところまで到達しないで、その入り口で門前払いを食ったような形になったために、先ほどから問題になっていますように、
裁判官
を
調査
しようとしたのじゃないかという
誤解
を与えた、その点で残念であるというように申しているわけでございます。
青柳盛雄
67
○青柳委員
裁判官
が
共産党員
であるかどうかを調べるということも、非常にこれは大問題なんですね。
共産党
が重要企業だとかあるいは官庁等の
組織
を伸ばそうとしているから、どうしてもそういう点も探らなければいけないのだと先ほどおっしゃいました。大体
裁判官
も官庁を構成するメンバーですから、もちろんその中に
共産党
がいたらまずいというような
考え方
が前提にあるのでしょう。そのことについては、もちろん私は
あと
で
最高裁
にも聞きたいと思っているのですけれ
ども
、それは一応
あと
回しにいたします。 本件の場合、
新聞
の論調などを見ましても、たとえば一つですが、十一月二十日の
朝日新聞
の夕刊では、「
裁判官
の言動
調査
」という「今日の問題」という欄で、そういう題名で扱っているのですけれ
ども
、「
裁判官
といえ
ども
神聖不可侵
ではない。
共産党員
がいれば
調査
するのが、
破防法
にもとづく当然の義務だ」ということを
名古屋
の
公安調査局
の第一部第一
課長
が言ったというのをとらえて、こういう言い分で、こういう論法でこの
集会
を調べるというのは、裁判の
独立
にも悪い影響を与えるという趣旨のことを言っているわけですね。だから、赤といえば何でもできるのだ、
共産党
のにおいがすれば何でもできるのだ、そういう口実でどんな
集会
であろうと、どんな
団体
であろうと、どんな
個人
であろうと、それの関連の有無を調べるのだ、その
疑い
の有無を明確にするのだ、こういうようなことになっていくと、際限もなく言論、思想の自由というものに侵入していってしまう。これはおそろしいのじゃないですか。だからその点を一般の世論も非常に重視している。ことに裁判の
独立
などにもそれが悪影響を及ぼす。いわゆるマッカーシー旋風のようなものが
裁判所
の中に吹き荒れたら、裁判などはもう良心に従って真実の法のあり方を明確にすることもできにくくなってくる。いわゆる裁判の
独立
が奪われるということになるということなんで、いま本件で問題にしているのは、この
集会
を
調査対象
にしたというところに非常に重要な問題点があるわけです。これを川口
長官
は、それをしたのじゃないのだと言い張るのか、それをしたということになろうとしても、入り口で失敗しちゃったのだからもういいじゃないかということでおしまいにしようというのか、そこをはっきりさせていただきたい。
川口光太郎
68
○
川口政府委員
朝日新聞
の夕刊の「今日の問題」というところに、そういう
記事
が載っているということは私も承知しております。私
ども
一応、先ほど来何度も申し上げましたように、
調査
の上におきまして、
破防法
の三条に基準というものが設けられておりますが、これだけではなしに、公務員としてもいろいろ義務がございますが、あくまで慎重に、人の権利とかあるいは
団体
の権利というものを害しないように注意してやるようにということは、常々
職員
に徹底さしております。 たまたま
古市調査官
の今度の
行為
が、まあ
ことば
はいろいろなことを言っておりますが、その
ことば
づかいがまずくて、
裁判官
あるいは
裁判所
に御迷惑をかけたという点で申しわけないこと、残念だというようには考えておりますが、しかし、これは
行き過ぎ
た
職権乱用
の
行為
であるというようには考えられないわけでございます。
青柳盛雄
69
○青柳委員
職権乱用
になれば、これは当然破壊
活動
防止法による罰則によっても処罰されますし、また一般刑事上の責任を問われることになるわけですが、最初のあなたの
印象
でも、ちょっとこれはおかしいぞと思ったが、その後調べてみたら別にどうということはないんだ、言ってみれば、
最高裁
のほうから遺憾の意を表されることもどうも筋違いではないか、世論が何かこれをとやかく言うのも筋違いだといったように、すべて
自分
たち
のやったこと、
自分
の部下のやったことは間違いなかったのだ、要するに事は
共産党
にかかわることなんだから、
共産党
にかかわるということがありさえすれば、何をやったって文句を言われる筋はないんだと、こう言わぬばかりの開き直りに聞こえるのですよ。 そこで私はお尋ねいたしますけれ
ども
、この問題について先ほど
畑委員
からも引用されたと思うのですが、
名古屋
の地元の
司法反動化
に反対する愛知県
連絡会議
の人々が、
中部公安調査局
の
松田局長
に面会をいたしまして、その
古市調査官
のやったことの非違を糾弾した、抗議をしたところが、それに対する
松田局長
の答弁は、
朝日新聞
の十一月二十一日付によりますと、「「
古市調査官
が
川上判事補
と会ったのは
職務
上ではなく、
個人
的なもの。
調査
するようなにおいをさせたのはまずく、申しわけない」と、あやまった。」それから、「
古市調査官
や局長自身の進退問題を
本庁
と相談する」ということ、それから、「
名古屋
家・地裁なり
名古屋高裁
へ実
情報
告と謝罪のために行くことなどを認めた。」こういう
記事
があるわけですね。地元の
現場
の局長も申しわけないと言い、しかも進退を
本庁
と相談をする、それから
名古屋地
・
家裁
なり
名古屋高裁
なりへ実
情報
告を兼ねて謝罪に行くと言った。これは非常に公務員としては率直な態度だと私は思うのですよ。それをやるかやらないか、ただその場のがれのごまかしであればこれは問題ですけれ
ども
、それをやるということであればね。これに対して
長官
のほうではどういう
指示
を与えたのか。たとえば
本庁
に相談するといったような進退問題ですね、それから
裁判所
のほうへ
報告
がてら謝罪に行くといったようなことに対してどういうふうに措置をとったのか。また現在どう思っておられるのか。
川口光太郎
70
○
川口政府委員
お答えいたします。 この
司法反動化
に反対する愛知県
連絡会議
というものが、二十日の午前中に
松田局長
のところへ抗議に行ったという
記事
を
報道
しているのは、
朝日新聞
と翌日の「赤旗」の二紙だけでございますが、
松田局長
が二十五日に上京いたしまして
本人
から詳しく
事情
を聞きましたところ、やはり若干
報道
と
本人
の
意図
が違うようでございます。
本人
は、
裁判所
には、先ほど申しましたように、
裁判官
の
集会
を
調査
したものではないかというような
誤解
を与えて御迷惑をかけた、その点をあやまりに行く。それから
本庁
に対して、処分問題を含めて進退を伺うということは、これは
本庁
は
指示
もしていないのに、全部調べてわかっているはずだというようなことを
古市調査官
が
川上判事補
に申しまして、そういう点で
新聞
に大きく出て、
本庁
に対してもいろいろ御迷惑をかけた、こういう点で
本庁
に進退伺いを出したい、そういう気持ちで、抗議団の抗議に答えるために言ったのである、こういうように申しております。それで、その前後の
事情
を聞きまして、
松田局長
の態度にもやむを得ない点があったというように認めております。別に処分する気はございません。
青柳盛雄
71
○青柳委員
松田局長
が、その抗議に対してとった態度は別に間違いではない。それで処分する必要はないという、そういうようなお答えですけれ
ども
、しかし、先ほどからも繰り返し述べて私のほうで
質問
しておりますけれ
ども
、この
古市調査官
のやったことというのは偶然ではないと思うのです。要するに、破壊
活動
防止法に
関係
する
調査
の
対象
にするような
団体
、本件で言えば
共産党
だそうですが、
共産党
の
活動
を
調査
するためには、平常自主的に部下の
人たち
が、一々
指示
がなくとも、創意を発揮していろいろ
調査活動
をやりなさい——もちろん三条の制限はありますけれ
ども
、それを越えてやれという
意味
じゃありませんが、やれと言っていたのが、結局こういう
行為
になってあらわれてくると思うのです。だから、
共産党
に
関係
あるということであれば何でも調べられるという立場をとっているのかどうなのか、その点をひとつお尋ねしておきたいと思います。
川口光太郎
72
○
川口政府委員
お答えいたします。 それは先ほどから何度も申し上げますように、一定の限度というものがございまして、それは先ほど来申しましたような
破防法
の三条が基本でございますが、そのほかに、公務員としての義務あるいは一般の人間としての教養とかいろいろな
意味
の、やはりそこに一定の制約というものがございます。それに従って間違いのないようにやるようにということを、絶えず
職員
に徹底さしておる次第でございます。
青柳盛雄
73
○青柳委員 そんな一般的なことを私は聞いているのじゃなくて、
共産党員
がいるかもしれないような
団体
は、どうしても秘密の部分があったら調べてくるのだ、それから
集会
も同様だ、こういうことは許されるものと考えているのかどうかですね。たとえば労働組合その他一般の民主
団体
でもいいですけれ
ども
、その役員構成などがどうなっているか、別に一々公表してない場合に、
共産党員
がいるかもしれないし、いるとなれば、これは
調査
しておかなければいかぬということでいろいろと
情報
の収集をやるということになれば、幾ら理屈は何と言おうと、その
団体
の
内容
を調べることになるわけですね。
集会
の場合でもそのとおりです。だからそういうことは、もう事は
共産党員
の有無あるいは
行動
を調べるのだから、それに
関係
ありと公安
調査官
のほうで考えた場合、疑った場合には幾らでもできるのだ、こういうことなのかどうかですよ。それは
指示
しているいないにかかわりなく、そういうことはあなたのほうでは別に問題じゃないのだ、今度の場合だって、それだから問題ないのだ、こう言いたいのかどうかですね。
川口光太郎
74
○
川口政府委員
単なる
疑い
だけで
調査
するというようなことはしてはおりません。相当な
資料
その他の根拠がありまして、
共産党員
の
活動
があるというような場合だけ
調査
するわけでございます。たとえば、先ほど御
指摘
の労働組合について言いますと、幹部、執行部の大部分が
共産党員
であるというような場合、その党員の
活動
を調べることがその労働組合の
活動
そのものを調べるに近いようなていさいを呈することもございますが、あくまでも私
ども
は、
調査
の
対象
として指定した
団体
員の
活動
を調べるということでやっておりますので、やはりそこに一定の限界というものがございますので、何でもかんでも調べるというわけではございません。
青柳盛雄
75
○青柳委員 そこで本件に戻りますが、本件の
集会
、
非公開
になっているところで何が行なわれたかを知りたかったのだということを先ほどから言われております。そこで、ただ抽象的に何でも知りたいというのではないのだ、やはり何か根拠があるからだと言う。そうすると。どういう根拠があったのですか。この
会合
の中に
共産党員
とおぼしき者が入っておって、そしてどんな
活動
をするかということが知りたかった、それだったら具体的にそれを言ってもらいたい。それがないというのであれば、幾らあなたが一般的にそんな
疑い
のないものまで、何でもやるんだということではありませんと答弁されても、だれも信用できません。
川口光太郎
76
○
川口政府委員
お答えいたします。 先ほど畑先生の御
質問
のときにお答えしましたように、
古市調査官
がある方面から、
共産党員
が
名古屋高裁管内
の
裁判官
の
グループ
に
働きかけ
をしたという
情報
を得ていましたので、その
働きかけ
を受けた
裁判官
が本件の
会合
に参加したかどうか、参加したとしたならば、その
会合
の席上でどういう言動があったか、すなわち
共産党員
からの
働きかけ
に応じた
活動
があったかどうか、これを入党とか、その他の
資料
とあわせて
判断
の
資料
にするわけでございますが、そういう目的で
調査
をした、こういうのが事実のようでございます。
青柳盛雄
77
○青柳委員 どういうふうにそれを理解するかということについて、時間がありませんから詳しく言いませんけれ
ども
、いまの御答弁の中に、この懇談会において
共産党
が何をやったかということを調べるのだ、あるいは
共産党員
かどうかを調べるのだという形で、この前提に、すでにこの会というものが、何か思想的に
共産党
に共通するものがあるのじゃなかろうかという
疑い
を持っていたことを
意味
しますね。そうでなければ、その会における言動を調べることによって
共産党員
であるかどうかを調べるなどということは考えられないわけですね。ほかの、「赤旗」を読んでいるかどうかとか、「前衛」という雑誌を読んでいるかどうかというようなことを調べるというなら、これはもうそのものずばりで、なるほど
共産党員
と近いらしい、あるいは入ったらしいということも一つの徴憑として知ることもできるでしょうけれ
ども
、
集会
にいたかどうか、
集会
で
発言
したかどうかということを一つの
資料
にするということは、その
集会
が
共産党
と何か
関係
があるというようなことが前提でなければ、そういう論理は出てこないわけですね。だから、結局この
集会
を調べたというところに世論がわき立つ根拠があるわけですね。
最高裁
が抗議をする根拠がある。その点について、少しも反省するところがないというのは一体どういうことなのか、もう一ぺんあなたのほうの言い分を聞いてみたいと思う。
川口光太郎
78
○
川口政府委員
たびたびお答えいたしますように、そういう
誤解
を招くような言動があったことは非常に残念である。今後全
職員
にそういう
行為
のないように注意したいと思っております。
青柳盛雄
79
○青柳委員
最高裁
、せっかくお越しになっておりますから、
矢口
人事局長
にお尋ねいたしますけれ
ども
、
最高裁
とすると、本件の問題についての意思表示はもうすでに明らかにされておりますから、それについてとやかく言うわけではありませんが、
最高裁
のほうの理解として、
破防法
の
調査対象
の
集会
とか
団体
とかいうようなものは、どういうものだというふうに理解しておられるのか。本件がそうでないと言うなら、そうすると
対象
になるものはどういうものだというふうに理解しているのか、それをお尋ねしたいと思います。
矢口洪一
80
○
矢口
最高
裁判所
長官
代理者
一般論
として、
破防法
の
対象
になる
団体
というのは、この第一条以下に規定があるとおりであろうかと思います。具体的にどういう
団体
が当たるかということは、これは私
ども
のほうから、この解釈、運用ということについてとやかく申し上げる筋のものではないというふうに考えておるわけでございます。あくまで、具体的な十月二日の懇談会というものをとらえてみた場合に、それは公的なものではございませんけれ
ども
、
裁判官
が集まった任意の私的な
団体
であるという点をとらえまして、それは少なくとも
破防法
が
対象
としておる
団体
には当たらないであろうということを申し上げておるわけでございます。
青柳盛雄
81
○青柳委員 何か
調査
庁のほうでは、
共産党
が
調査対象
だ。それは別に変える必要はないみたいに言っておるし、また、さらには
共産党
が
関係
するような
集会
も
調査対象
だというようなことも言っているようです。その点で、
最高裁
とすれば、
共産党
を
調査対象
に
公安調査庁
でするのは妥当だと思っておられるのかどうかですね。それから
共産党
が
関係
しているような
集会
は、
調査対象
にされてもやむを得ないというふうに考えておるかどうか、この点はいかがですか。
矢口洪一
82
○
矢口
最高
裁判所
長官
代理者
共産党
は現在合法政党でございます。それ以上のことにつきましては、私
ども
専門に
調査
等いたしておるわけではございませんので、その点につきましてはお答えをいたしかねるわけでございます。
青柳盛雄
83
○青柳委員 先ほど私、留保して、
最高裁
にもお尋ねしようと思っておったことなんですが、
矢口
人事局長
は先ほどの御答弁にも、
裁判官
は政党などとは
関係
のないほうが、公正な
判断
もできるし、また公正らしさも保てる、これは道義的な問題であるというようなことでございましょうが、大体これが
最高裁
の公式の統一見解みたいにいまなっているようです。そこで、考えていただきたいのですけれ
ども
、
裁判官
を罷免するかしないかというようなことをきめる国会の
裁判官
弾該
裁判所
ですね、訴追委員会もそうですけれ
ども
、これは各政党所属の議員が構成メンバーになっている。政党政治の時世ですから、無所属というような者もあるでしょうけれ
ども
、大体この割り振り、選任の
方法
などを見ましても、政党に所属する議員の数で割り振って、したがって、現在
共産党
は衆議院十四名ですから、どうもいままでの慣例からいって、弾劾
裁判所
の裁判員には選ばれていませんけれ
ども
、いずれにしても、最も裁判の公正を保つための最高の機関ともいうべき弾劾
裁判所
の裁判員が政党所属員であるというこの事実と考え合わせてみた場合に、
裁判官
が政党に所属しておったら公正が保てないということは自殺論法になりませんか。憲法が保障する弾劾
裁判所
の構成というものがおかしいんだ、政党に所属しているような者は公正なことができっこないんだ、だから一般の
裁判所
の場合でも当然、らしさを保持する上からいっても、またモラルの上からいっても、政党員であってはいかぬのだというようなことが言えるのかどうか、その点考えたことはありますか。
矢口洪一
84
○
矢口
最高
裁判所
長官
代理者 弾劾
裁判所
が
裁判官
の身分上の問題として、身分保障に対するチェック的な機関として存在するということは御
指摘
のとおりでございます。しかしそのことと、現在
全国
に二千六百名おります
裁判官
が、
全国
に散らばって
個々
の具体的な国民の争訟というものを
判断
しておるということとは、これは別個に考えられるべき問題であるというふうに考えております。現段階、すなわち国民の政治意識に関する現段階におきましては、やはり
裁判官
のモラルとしては、政党に加入することあるいは政治的色彩を帯びた
団体
に加入することは好ましくないということは、変わらない信念でございます。
青柳盛雄
85
○青柳委員 弾劾
裁判所
の構成について、現在の国民の意識はどうだというふうに考えられるのかよくわかりませんけれ
ども
、弾劾
裁判所
のほうはチェックするだけのもので大したことないんだ、国民の感情もそれをおかしいと思っていないし、かまわないのだけれ
ども
、一般の
裁判所
の場合はそうではないんだというような議論のように聞こえるのですが、そもそも思想、信条の自由がすべての国民に保障されていて、
裁判官
もその例外ではないということが、憲法の動かしがたい大原則なんですね。そのときに、何か政党に所属するのはいかぬと
一般論
を言って、自民党だってだめだし社会党でもだめだ、
共産党
はなおだめだ、こういったような議論というのは、一見もっともらしく聞こえながら、結局は思想的に差別待遇をするということになってしまうのじゃないか。反共は戦争の前夜であるというあの有名な蜷川さんの
ことば
がありますけれ
ども
、とにかく、反共と言えば泣く子も黙るといいますか、要するに、
共産党
だと言ったらすべてが合理化できるんだ、そうして戦争も何もできるようになっていくんだという、そのことを言おうとしていると思うのですね。 だから私は、
裁判所
がみずから厳正に憲法を守るべき立場を捨てるような形、いわゆる
共産党員
は特定の政党だから好ましくないといったような、あの石田
長官
談話
の中にもありましたけれ
ども
、これではたしていいのかどうか、それを貫くことに何か確信を持っているのかどうか、これだけお聞きしておしまいにしたいと思います。
高橋英吉
86
○高橋(英)委員 ちょっと関連して。ちょっと問題だと思うのですが、いまの弾劾
裁判所
の問題、これは政党政派の問題ではなくして、国会を代表しているというか、憲法に基づいて国会でつくられたところの制度ですね。国会というものはもう申すまでもなく国の最高機関でありますし、それから国
会議
員はそれぞれ
全国
民の代表ということになっておるので、政党政派を代表してやっているのではなしに、ことにまた、制度としては三分の二以上なければ決定ができないというふうないろいろなあれがあるんだから、いまの政党員、政党に
関係
する者が
裁判官
として好ましくないということと、国の最高機関である国会の憲法上の機関であり、超党派、
全国
民の代表の機関が
裁判官
の問題に介入するということとは別の問題だと思いますが、そういうことの認識をはっきりしてもらいたい。 それからもう一つ、それに
関係
しますが、あなたの答弁に対して青柳君はこう解釈しているのです。ある
団体
、
共産党
というか、そこに
破防法
の
対象
になるような人がおったならば、その人の
活動
ぶりを
調査
するのは当然のことだが、その属している
団体
も
調査
するというようなことにあなたが答弁されたようにとっておられるが、私はそう聞かなかったのだが、
個人
的な
活動
だけに対して
調査
するというように言われたと思うのですが、そこの点を明確にしてもらいたい。
矢口洪一
87
○
矢口
最高
裁判所
長官
代理者 高橋委員からの弾劾
裁判所
の点でございますが、弾劾
裁判所
の制度というものは、やはり
司法
と立法との間のチェック・アンド・バランスの
関係
に立っているものであろうというふうに考えております。したがいまして、御
指摘
のとおり国
会議
員でもって構成される弾劾
裁判所
が、
裁判官
の身分というものをチェックするという観点からできておるものでございます。その
対象
になる者は
裁判官
に限られておるというものであるわけでございます。そのことと、広く一般国民、その国民の中には政党員もおりますでしょうが、しかし現下の段階におきましては、正式の政党員ということでいわれておりますのは、
共産党
から自民党まで全部合わせましても百万前後の数しかないわけでございます。一億の国民の中で政党に属しておる方が百万前後しかないという状態における国民の政治意識、そういった広い国民を
対象
として裁判を行なうという場合の
裁判官
というものとは、おのずと変わってくるのではないかというふうに考えるわけでございます。 そういう観点に立ちまして、現段階におきましては
裁判官
はやはり、それは自民党でございましょうとも、社会党でございましょうとも、
共産党
でございましょうとも、そういった政党に属すること、あるいは政治的色彩が非常に強い
団体
に所属するということは、裁判の公正らしさという観点からは好ましくないというふうに考えておるわけでございます。
川口光太郎
88
○
川口政府委員
私がお答えしたのは、ある
団体
の中にいる
共産党員
の
活動
を
調査
するので、
団体
の
活動
自体を
対象
にはしていない、そこには明らかに区別があります、こういうふうに申し上げたので、別に青柳先生
誤解
されたのではないと思いますが……。 ————◇—————
松澤雄藏
89
○
松澤委員長
この際、
連合審査会開会申し入れ
の件についておはかりいたします。 沖繩及び北方問題に関する特別委員会において審査中の案件について、沖繩及び北方問題に関する特別委員会に連合審査会の開会を申し入れたいと存じますが、御
異議
ありませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
松澤雄藏
90
○
松澤委員長
御
異議
なしと認めます。よって、さよう決しました。 なお、連合審査会の開会日時につきましては、
委員長
間において協議の上決定いたしますが、来たる四日午前十時より開会の予定でありますから、さよう御了承願います。 本委員会の次回は、明後三日午前十時
理事
会、十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後零時二十九分散会