○有島
委員 お聞きのような御
認識らしいのですよ。ところで、それじゃわれわれは、いままで
学校で植物について何が大切なのか、そういうところを教わってきたかと思うのです。そういうところを問題にしたいと思うのですよ。どう教えているか。
建設省の方もやはり小
学校から教わってきて、あんなふうにしか知らないと思うのです。御専門でも知らないわけだ。どんな生物にしろ水が一番大切なんだということをどこかに書いてあるのかと思ったのですけれ
ども、教科書をずいぶん拝借して調べました。それがなかなか見当たらないのです。「生物体をつくりあげている基礎物質は、たんぱく質・核酸などの高分子物質である。」そうかもしれない。どんな生物にしろ水が半分以上ですよ。それから、水について、「ハスのように水中で生活する植物は維管束や機械組織などの発達がわるい。」この
程度のことが書いてある。それから、「水分も特に雨量の多少などにより動植物の季節性の要因となっている。」季節によってそういうことになっている。
一つだけ、これは高校の生物の教科書の中に、「土がかわいて、土が水をすう力が約十五atm以上になると、土にはまだ水が残っていても、植物は吸水できずにしおれてしまう。」このようなことが書かれておりますけれ
ども、だからどうだということは全然わかりません。それで
建設省に——私、
建設省に一ぺんこの問題でお話しに行ったことがあるのです。どうして
日本の木が、特に都市の街路樹が育たないのか。結論から申しますと水です。このまわりにイチョウの木が植わっておりますね。太いですね。あの根はどのくらい張っているかという問題です。その根に匹敵するだけの水がどこから流れ込むか、全部コンクリートでまわりが固められているでしょう。根に水が行かないわけだ。大体、木の根元というところは雨宿りするところなんですから、水はみな葉でもって遠くにはじかれるわけですね。そして舗装が進んでまいりますと、昔植えた木はまだいいですけれ
ども、いま植えている木は、あれはもう五年ももちはしないよと言いながら植木屋さんが植えているわけなんです。いま剪定の話をされました。何で剪定するのか。聞けばあらしだ。台風が来るからだと言いますけれ
ども、じゃ公園の木は剪定するか、しませんよ。倒れませんよ。同じ木です。根が張らなければ、あらしが来なくたって倒れるのですよ。根がどうして張っていくのか、それは水分を求めて張っていくのですよ。
日本の国は雨量は
世界でも多いのでしょう。それで、都市づくりは従来水をどのように排除するか、どのように早く下水に流し込んでしまうかというのが下水をつくっていく基本になっていた。それは大昔の話でございまして、このように全部コンクリートべったりになってしまう、そのときには、それはそれなりの
方法をお考えにならなければならないのじゃないか、そういうような教え方が植物についての教え方、動物についての教え方で、きょうは植物に限って申しますけれ
ども、目に見えないところに注意を向けて、そこを——根の部分ですね。そういった
教育がなされていないということは、これは植物に限らず、ほかの面においても、目に見えないところはばかにしておるというような傾向が全般的にあるのじゃないかと私は憂えるわけです。受験勉強なんというのも同じで、そういうわけですね。これはずいぶん論理が飛躍するかもしれませんけれ
ども、根を張らしていくというよりも、何かかっこうだけよくしていく、そういうような
教育のしかたそのものがあっちにもこっちにもあらわれているのじゃないか。
建設省、ひとつ水がたっぷり行くようなふうにしていただきたい。御承知のように、水は足りないのでしょう。それで、いま大気汚染の関係にもよると言われましたけれ
ども、その一番PPMの高い交差点に参りましても、そのそばに銀行なんかがありまして、そこに植わっている木は青々としているんですよ。水道で水をやっているのです。水道の水が足りなくて、地下水を水道のもう五倍も六倍もくんで、いま地盤沈下があるのに、くんじゃいけないといってもくまざるを得ないような状態でいるんでしょう。
それからもう
一つ、下水の問題にしても、私の聞いておるところでは、私は専門家じゃないからよくわかりませんけれ
ども、下水は大体雨が三十ミリ
程度までならばもつことになっているはずなんでしょう。それがどうですか、この間の台風二十五号のときなんか、たった十四・五ミリです。まあ、たったとは言えないけれ
ども、相当降りました。降っても、あれは十四・五ミリの雨量だと発表されております。そして下水が都内だけでも百二十六カ所ですか、何カ所かはんらんしておりますよ。しかもそれは山の手のほうです。地盤の低いところじゃないんですよ。コンクリートでもってべったり敷いてしまったために、全部下水へ入っていく。そして水が大切だ大切だと言いながら、われわれは高い料金を払って水を使いながら、おそらく天水の九〇%以上は流しているでしょう。カリフォルニアなんかに参りましても——おそらく皆さん方もあっちこっち見ていらっしゃるのじゃないかと思いますが、あすこは非常に雨量の少ないところでございますけれ
ども、並み木が非常に豊かになっているんですね。どういうふうになっているかというと、道があって、こうみぞになっているんですね。そのまん中に木が植わっているわけなんです。みぞには水は流れておりませんけれ
ども、少なくとも低くなっています。パリに行っても、ロンドンに行っても、街路樹の植わっているところは路面よりか低いところに地面があるのです。中央分離帯なんかわざわざ高くして、その上に芝生なんかを植えておいても、夏になれば枯れるのはわかっているんです。あれは見てくれだけですね。とにかくきれいに見せればいいだろうというような
発想から出ているのじゃないか。人間の健康を守り、あるいは脳みそを守り、あるいはさっきもどなたかおっしゃったけれ
ども、緑のたくさんあるところに行くと、運転が非常に楽な気持ちになる、そういうことを運転手さんも言っていらっしゃいますね。環境庁のほうには、そんなことを科学的にさらに深めていこうという姿勢を見せていただかなければならないし、今度はどうしたら緑がほんとうに育つような環境をつくることができるかということをもう
一つくふうしていただかなければならない、いかがでしょうか。