運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1971-11-17 第67回国会 衆議院 物価問題等に関する特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年十一月十七日(水曜日)     午前十時三十七分開議  出席委員    委員長 小林  進君    理事 青木 正久君 理事 佐藤 文正君    理事 竹内 黎一君 理事 武藤 嘉文君    理事 山口シヅエ君 理事 武部  文君    理事 有島 重武君 理事 和田 耕作君       石井  一君    江藤 隆美君       木村武千代君    小坂徳三郎君       中川 一郎君    向山 一人君       村田敬次郎君    森  美秀君       田中 恒利君    松浦 利尚君       渡部 通子君    谷口善太郎君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      木村 俊夫君  出席政府委員         公正取引委員会         委員長     谷村  裕君         経済企画政務次         官       木部 佳昭君         経済企画庁国民         生活局長    宮崎  仁君         大蔵大臣官房日         本専売公社監理         官       福間  威君         農林大臣官房参         事官     大河原太一郎君         水産庁長官   太田 康二君         通商産業省鉱山         石炭局長    莊   清君  委員外出席者         農林省農林経済         局企業流通部長 下浦 静平君         農林省蚕糸園芸         局野菜花き課長 関谷 俊作君         水産庁漁政部長 田中 慶二君         会計検査院事務         総長      石川 達郎君         日本専売公社副         総裁      泉 美之松君     ――――――――――――― 委員の異動 十一月十七日  辞任         補欠選任   坂村 吉正君     村田敬次郎君   角屋堅次郎君     阿部 助哉君 同日  辞任         補欠選任   村田敬次郎君     坂村 吉正君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  物価問題等に関する件  物価安定に関する件      ――――◇―――――
  2. 小林進

    小林委員長 これより会議を開きます。  物価問題等に関する件について調査を進めます。  この際、物価安定に関する件について、山口シヅエ君より発言を求められております。これを許します。山口シヅエ君。
  3. 山口シヅエ

    山口(シ)委員 私は、自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党を代表して、物価安定に関する件について決議すべしとの動議を提出いたします。  趣旨説明にかえ、案文を朗読いたします。    物価安定に関する件(案)  物価の安定は、政府の最重点課題一つであり、本委員会もまた国民の世論を背景に諸物価値上り防止のため連合審査会の開催や現地調査等あらゆる努力を重ね、政府にこの具体的施策の実行を強く要望してきたところであるが、残念ながら消費者物価は依然として値上りをつづけていることは遺憾である。特に最近の生鮮食料品の急騰は国民生活の安定にとってまことに憂慮すべきものがある。  かかる事態に対処して政府は、速やかに有効適切な施策を講ずべきである。  右決議する。 以上であります。  何とぞ各位の御賛同をお願いいたします次第でございます。
  4. 小林進

    小林委員長 ただいまの山口シヅエ君の動議について採決いたします。  本動議のとおり決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 小林進

    小林委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。(拍手)  なお、本決議関係方面への参考送付等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 小林進

    小林委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう取り計らいます。  この際、ただいまの決議に対しまして、政府から発言を求められておりますので、これを許します。木村経済企画庁長官
  7. 木村俊夫

    木村国務大臣 ただいま当委員会において御決議がありましたとおり、物価の安定は政府の最重要課題一つであり、政府といたしましては従来も物価対策努力をいたしてまいったところでありますが、最近の消費者物価の上昇は国民生活にとってまことに憂慮すべきものがあり、このような事態に対処いたしまして、政府はこの際、行政各般のあり方について一そうの改善を行ないますとともに、旧来の諸制度にも根本的再検討を加え、すみやかに有効適切な措置を講ずることにより、御決議趣旨に沿いたいと存じます。      ――――◇―――――
  8. 小林進

    小林委員長 引き続いて、質疑の通告がありますので、順次これを許します。武部文君。
  9. 武部文

    武部委員 去る九月十日に、私は本委員会で、ガソリンあるいは灯油値上げの問題について政府見解をただしました。その際に通産省から、原油問題等をひっくるめて、いまいろいろうわさされておるガソリンなり灯油値段の問題についての答弁がありました。特に、ドルショック関係で、石油業界は労せずして多額の収益を上げることはもう一目りょう然である、こういうときに、むしろその利益消費者に還元すべきではないか、こういうことを私のほうから申し上げまして、それぞれお答えがございました。  当時の議事録を見ますと、通産省のほうから、「値上げが行なわれるようなことについては極力抑制するように指導してまいりたい」、さらに、ガソリン灯油、そうした消費関連物資については、特に極力値上げはとどめたい、こういう話がございました。続いて経済企画庁のほうも、この点について、ぜひ価格の安定のために努力をしたいし、このために通産省にもいろいろお願いをいたしたい、こういう答弁があったのであります。  ごらんになったと思いますが、きのうからけさにかけて一斉に各新聞が、この灯油値上げの実情を報道いたしております。また、数日来総理府統計局が、この灯油などの全国的な値上がりの実態について、数字をあげて発表をいたしております。  ところが、けさ新聞を見ますと、内容はいろいろございますが、まず日石が一〇%卸値で上げた。この灯油値上げについて、「「通産省のご指導」に従いました」というたいへんな見出しで報道をされておるのであります。一体この間の、二月足らず前にここであれだけいろいろやりとりをして、通産省なりあるいは企画庁も同様に、この値上げ抑制には極力努力をする――特に消費者に直接関係の深い灯油ガソリンについては、ここで時間をかけて論議をいたしたところであります。一体通産省指導に従がったというような、そういうことはどのような内容に基づくものなのか。いろいろこの中にも報道されておりますが、私どもとしては断じて納得できないのでありまして、その経過は一体どのようになったのか、これを最初にお伺いいたしたいと思います。
  10. 莊清

    莊政府委員 灯油価格は、御案内のように下期に需要期がまいりますので、例年上期よりも下期は値上がりをするということが、毎年の状況でございます。それから、OPEC原油値上げということがございましたので、通産省といたしましては、ことしの冬におきます灯油価格適正化を期するという見地から、OPEC値上げ前におきます本年二、三月の精製業者卸価格水準以上には、絶対にことしの冬におきますメーカー卸価格を上げないということを基本方針にいたしまして、この線に沿いまして関係業界通達をいたしておったわけでございます。本年も、七、八月は不需要期でございまして、二、三月の水準よりは当然下がっておりましたですが、いよいよ需要期に入りまして卸値が上がってくる、こういう状況でございます。私どもは、OPEC値上げ前の本年二、三月の水準というものをそれぞれのメーカーが上回らないように措置するということを基本方針にして、指導してまいっておるわけでございます。
  11. 武部文

    武部委員 ここに「灯油価格安定化対策について」という、通産省の四十六年十月十二日付の文書がございますが、ここに「元売仕切り価格については、次の措置を講ずる。」こういうようなことがいろいろ書いてありまして、前回私とここでやりとりいたしました問題について、「極力その値上げ抑制を図るため次の措置を講ずる。」こういう文章がありますね。「極力その値上げ抑制を図るため」というような、まことに抽象的な、そしてあのときのお話と違って――あのときは、少なくともガソリンは一六%値上げをしておる。さらに灯油についても他の重油その他よりも値上げ幅が高い。これはおかしいじゃないか。したがって、消費者に一番影響のあるそうした問題については、むしろ利益を還元するたてまえからいうならば下げるべきじゃないか、そういう点を私は強く主張したつもりであります。それを、この通達を見ると極力値上げ抑制するというような、そういう姿勢ではこれは問題にならぬ、私はそういうように思うのです。  同時に、それならばお聞きいたしますが、これは新聞報道で、この中には書いてありませんが、一応のめどとしてキロリットル当たり一万二千八十一円という数字を付記したというようなことが報道されておるわけですが、それはまずかったと思うというような通産省説明新聞には載っておるわけであります。一体このキロリットル当たり一万二千八十一円という金額を付記した根拠、及びこれはどういう理由でこういうことを書かれたのか。むしろ業界はこれを逆手にとって、ここまで上げてもいいというようなことになってしまったのじゃないか。これは一体どういう理由でそういうことを付記されたのか、これをひとつお伺いしておきます。
  12. 莊清

    莊政府委員 御指摘のございました一万二千八十一円という価格は、今年三月におきます精製各社卸価格加重平均価格でございます。これは、石油業法に基づく通産大臣報告徴収権に基づきまして毎月価格報告を求めておりますので、それに基づく数字であります。今回の通達の際に、一万二千八十一円という数字は、もちろん付記はいたしておりません。ただ、この数字は、私ども関係業界指導いたしました際に、加重平均でこの数字である、この数字が出てくることについては、各社それぞれの三月時点におけるOPEC値上げ前の価格というものがあって構成されているのであるから、各社はその価格をことしの冬も上回ることがあってはならないということを申しておるわけでございます。通達には特に書いておりません。
  13. 武部文

    武部委員 メーカーの中には、あなたがいまお述べになった、私が述べた一万二千八十一円という平均価格よりも低い価格で売っておるというところがあるはずですが、そのように理解してよろしゅうございますか。
  14. 莊清

    莊政府委員 本年三月時点では、まさに仰せのとおり、平均価格よりも低いところも当然あるわけでございます。
  15. 武部文

    武部委員 一万二千八十一円というのは、どういう方法メーカーに知らしたわけですか。この通達には全然載っておりません。ところが、現実にあなたはいま、一万二千八十一円という数字を示したとおっしゃっておりますが、どういう方法でいつごろお示しになったのか。
  16. 莊清

    莊政府委員 本年の灯油価格の適正安定を期するために、その通達が出ます以前から、経済企画庁物価安定政策会議あるいは通産省消費物価懇談会というふうな公の席を通じまして、通産省といたしましては各方面の御意見も伺い、また、考え方についての御批判を受けつつ業界指導をやってまいったわけでございます。その間、私ども関係業界と数次にわたって、ことしの灯油価格の問題について通産省考え方説明をし、趣旨の徹底をはかってまいっております。その際に関係業界には、過去の実績、数字というものは役所からそういう席で示しております。
  17. 武部文

    武部委員 それはいつごろですか。日時を言ってください。一万二千八十一円という平均価格業界に示したという日時はいつごろですか。
  18. 莊清

    莊政府委員 正確な日時は記憶いたしておりませんが、この灯油の問題を、通産省が本格的に取り上げまして業界指導に入りましたのは九月以降でございますから、それ以降であると考えております。
  19. 武部文

    武部委員 九月の十日に当委員会でやったあとですよ、これは。九月の十日の当委員会皆さんといろいろやりとりしたあとで、こういう数字をあなた方はメーカーに示しておるわけです。それだから、きょうの新聞にあったように、通産省の御指導に従いました、こういうことをメーカーがぬけぬけと言っておる。通産大臣消費者代表に対して、少なくとも灯油値上げについては認めない、こういう約束消費者団体としておることは、もう皆さん御承知のとおり。これも報道されておるわけです。通産大臣約束を破った。通産省はこういうような指導を、われわれとのこの国会でのやりとりあとメーカーに示しておる。したがって、平均よりも安いところはここまで上げてもいいじゃないか。四十二年に牛乳指導価格の問題でやりとりしたときに、その指導価格を取りはずせば当然上がるじゃないかというやりとりをしたときに、そんなことはございません、競争があるのだから下がりますと言った。そういう農林省の思惑とは全く逆に、あのときは、価格指導制を撤廃したために上がったのです。われわれは当時、そういうことについて警告をしておった。今回同じようなことじゃありませんか。いままでのあなた方の国会における答弁通産大臣約束はどうなるのですか。これは明らかにメーカーが、皆さん指導された金額に近づけるために、逆手にこれを利用して上げたということになるのですよ。  企画庁長官おられますが、企画庁もさっき私が読み上げたように、この問題については通産省とよく相談をする、極力値上げはやらせない、こういうことを御答弁になりました。結果は、きのうからきょうにかけて具体的にこういうことが報道されておる。一体消費者はこれについてどう思うでしょうか。通産省がやはりそういう値上げ指導的な役割りを果たした、大臣約束を破った、このようにとるのは私は当然だと思う。きょうは、私の都合で時間がなくてたいへん申しわけありませんが、これは明らかにしてもらわなければ困る、こう思います。
  20. 木村俊夫

    木村国務大臣 ただいま通産省からいろいろと御答弁を承りまして、私も実は意外に思っておるわけでございます。  今回報道されております元売り価格と申しますか卸売り価格値上げが、消費者価格にまで及ぼせば、私はこれはほうっておけないと思います。ただ、聞くところによりますと、これは大手薪炭業者の一部に対する特別価格あるいは業者同士転売価格であるということをきょう実は聞いたわけでありますが、一般特約店に対する卸売り価格影響がなければ、当然小売り価格にも影響が出てこないわけでございます。その点をもう少し私、きょうにでも通産省とよく詰めまして、その結果によって、強力な行政指導をあらためて通産省お願いするということを考えておる次第でございます。
  21. 莊清

    莊政府委員 ただいま長官から御答弁ございましたが、最初に私お答えいたしましたとおり、ことしの二、三月、つまりOPEC値上げ前であることしの二、三月のそれぞれの精製業者卸売り価格というものがあるわけでございます。個々の精製業者はその価格を上回って、ことしの冬から来年の春にかけて値上げをさせないというのが基本姿勢でございますし、そういう趣旨を私ども精製各社に実は十分伝えたつもりでございます。新聞報道されますようなことが、平均価格までは当然上げてもいいんだというふうなことが、もし一部でも誤解がかりにあったといたしますれば、これは遺憾なことでございます。私どもは直ちにそういう点を十分調査をいたしまして、基本的な方針に沿って、適正な価格において安定するように善処いたしたいと考えて、ただいま調査をいたしております。
  22. 武部文

    武部委員 業者通達をそのように受け取ったならば遺憾だというようなことをおっしゃっておるが、遺憾であるというようなことでは済まない問題であります。いま企画庁長官は、この問題が消費者価格にはね返ることのないようにしたい、こういうふうにおっしゃっておる。私は、こういうやり方消費者価格にはね返るという非常に大きな危惧を持っておるから、この問題を皆さんに申し上げておるわけであります。他の例から見ても、いままで当然起きることが起きておるのです。したがって、少なくともこういうような通達逆手にとってメーカーは一斉に値上げをする、その線にまで近づける、その結果は下がるべきものは下げないで、そうして上げぬでもいいものまでが上げてくる、こういう結果にこれが結びつくことは当然だと私は思う。したがって、いま企画庁長官がお約束になったわけですから、通産省十分協議をして、少なくともこの問題が消費者価格に絶対にはね返ることがない――むしろドル問題からいえば、私が冒頭言うように、当然下げるべきだ、こういう見解を持っておるわけであります。したがって、いま長官が言われた、この問題を消費者価格に絶対に転嫁することのないように、十分ひとつ相談なり指導をしてもらわなければ困る。この点よろしゅうございましょうか。
  23. 木村俊夫

    木村国務大臣 そのとおりにいたしたいと思います。
  24. 武部文

    武部委員 この問題は、同僚委員からも質問があるようでございますから、私は時間の関係で、いま一つ資料要求をいたしたいと思います。  これまた当委員会で、牛乳の中に混入されておる異種脂肪の点について、相当な時間をかけてここで論議が行なわれました。去年のことですが、公正取引委員会国立衛生試験所に分析を依頼をした、そういうところから発した問題でありますが、先般公正取引委員会業界に対して、この最終決定をするについて厳重に注意を要望するというような内容要望書を提出されたということを、私どもは聞いておるのであります。このやり方は、私どもから見ると、まことに不明朗かつ不公平なやり方じゃないかと思います。なるほど現時点において、その後調査したところによっては白であったかもしれないけれども、あの調査した時点では黒であったことはもう明らかであります。そういうものが、いま調査をしてみれば白だったから、こういうことでこの問題をいいかげんなことで済まそうということは、私は許されないと思う。少なくとも、あの際、公正取引委員会は具体的に内容を知っておったはずであります。したがって、去年の検査の結果は黒であった。その黒であったものが一体どのメーカーであったということについてもここで答弁がなかった。何か番号を打ってあって、どのメーカーであるかわからぬというような答弁がございました。しかし、現実新聞報道によると、メーカー名前がはっきりと出ておるのであります。大メーカー、小メーカー、中メーカー、いずれもメーカー名前が載っておりました。本来番号でもって検査依頼をしたならば、公正取引委員会はこの内容を知っておるはずもないし、また、検査をする人も番号検査をするならば、それが大メーカーなのか、中小メーカーなのかわかるはずがない。それが明らかに大メーカー名前をあげて発表されておったわけであります。そういう点に私はたいへん問題があると思っておりました。  今度の公取がお出しになった要望書、さっき申し上げるように、まことにこれは、やり方として私は間違いだと思う。少なくともこの問題で消費者は、牛乳の中に本来の脂肪でないヤシ油が入っておる、そういうことについて、非常に消費者から不信の声が出たことは当然であります。いまのような公正取引委員会最終決定を見るならば、少なくとも消費者選択の自由という権利を行使できない。ましてや、近ごろの報道によると、牛乳消費量というものはぐんと減っておる。この減っておる理由にはいろいろあるでしょう。これは乳価の問題もあるでしょう。あるいは末端価格値上がりしたということについての消費者のこれに対する抵抗もあるでしょう。しかし、牛乳の中に本来の成分である脂肪に取ってかわってヤシ油なるものが入っておる、こういうような報道がなされたとたんに、消費はあの翌々日から減っておったのです。こういう問題について、私は今回の措置は明らかに消費者選択権利というものを行使させることができないのではないか、このように思うのであります。  また、当時メーカー名前が載っておりました。そのメーカーが、私は雑誌やその他の――ここに第二十二回牛乳製品懇話会速記録というのがございます。これをずっと読んでみますと、指摘をされたメーカーが、どのメーカーだとは言いませんが、これは明らかに無実であると訴えております。こういうことを訴えておる記事がここに載っております。  そういうような点で、私は今回公正取引委員会がおとりになった措置というものは、さっきから言うように、不公平じゃないか。むしろこの問題についてはもっとき然たる態度をとって、かりに過去において黒であったならば黒は黒、現在は白は白、そのようにはっきりと明らかにすべきではないか、私はそのように思うのです。したがって、いまここでやりとりできませんから、ここで資料要求いたします。  さらに、私はこの機会に申し上げておきますが、いま牛乳メーカーに対して異種脂肪、いわゆるヤシ油を売り歩くメーカーがあるということを聞いておるのであります。そういう点もここで明らかにしなければなりませんから、資料要求いたします。  過去三年間にさかのぼって、牛乳脂肪に取ってかわったヤシ油、こういうものを販売をしておるところの販売先の名簿及びその年間の数量。これはすぐにはできないと思います。若干の日時はかかると思いますが、そういうようなヤシ油がどういうところに販売されておるのか、そうしてその数量はどの程度あるのか、これを過去三年にさかのぼって資料として御提出いただきますように、委員長からお取り計らいをいただきたいと思います。
  25. 小林進

    小林委員長 武部委員要求は、委員長において善処いたしたいと思います。
  26. 武部文

    武部委員 私はこれで終わります。
  27. 小林進

    小林委員長 この際、委員長から、通産省鉱山石炭局長の莊君に一つお尋ねないし資料要求しておきましょうか。  あなたは先ほどから、OPEC値上げの前の値段を標準にしておられるようですが、最近のドルショック後における輸入燃料価格動勢がどうなっておるのか、これをひとつ資料にして提供してください。これは委員長からお願いをいたしておきます。  有島重武君。
  28. 有島重武

    有島委員 私も、いま武部委員からお話のございました灯油の問題について、二、三の質問をさせていただきたいと思っております。  先ほどお話に出ておりましたけれども、九月三十日に田中通産大臣消費者代表に対して、私の責任で灯油価格は絶対に値上げをさせない、こういうふうに言われ、次いで本年十月七日の参議院の物価等対策特別委員会におきまして、わが党の田代議員質問に答えて木村企画庁長官が、灯油についてはこれを引き上げないということは通産大臣との間に約束ができております、こういうふうに言われたというふうに議事録で承知しているわけであります。  この灯油価格推移を見ますと、これは総理府小売り物価統計資料によっているのですけれども、これは東京の値段で、十八リットルです。三十五年に五百四十九円、三十六年には四百三十七円、三十七年には四百二十円、三十八年には四百二十円、それから三十九年に四百二円になった。ところが、四十年になりますとこれが四百五円、四十一年には四百六円、四十二年には三百七十五円、四十三年には三百六十九円、それから四十四年には三百五十三円、ところがこれが四十五年になりまして三百六十九円に、四十六年には四百三円、これは八月ですが、こういう推移をたどっておるわけであります。特に四十年、四十一年にかけてと、それから四十五年、四十六年にかけて上がっているわけであります。  また、日銀の物価指数年報の調べの灯油卸売り価格のほうですが、この単位はキロリットルです。三十九年の年平均が一万一千百十九円、四十年が一万二千三百十七円、四十一年が一万一千四十五円、四十二年が一万一千五十一円、四十三年が一万七百八十九円、それから四十四年が一万六百円と、ちょっと下がった。ところが、四十五年になりますと一万一千九百八十二円、本年度は九月でもって一万三千六百三十三円、そういう状況です。  本日はまた、日石の一〇%値上げということがあった。一体これはどういうわけなんだ。消費者は、経済企画庁長官また通産大臣がこれほどはっきりと言っておられるのに事実はこんなふうだ、一体これはどうなっておるのだ、非常に不信感に満ちておるわけであります。  この際企画庁長官から、この点の事情と、それから今後どうなさるのか、お約束をどのように果たしてくださるのか、その点を承っておきたい。
  29. 木村俊夫

    木村国務大臣 参議院の物価特別委員会でお答えしましたとおり、通産大臣との間には、今冬における灯油消費者価格は上げない、そのために強力な行政指導をしていただくことに約束はいたしました。いま御指摘の卸売り灯油価格の問題について、先ほど実は御答弁申し上げましたとおり、私自身もまだ昨日承りましたばかりで、たいへん意外に思っておるわけでございます。ただ、これはまだ確かな事実を確認したわけではございませんが、いま御指摘卸売り価格は、一般消費者に直接関係ある、すなわち一般の特約店に対する卸売り価格の引き上げは含まれていない、こういうふうに現時点で私は承知しておりますが、もし、これが一般特約店にまで及ぼす卸売り価格の改定であれば、これはおそらく小売り店では、それに籍口いたしまして、灯油消費者価格も上げるであろうということは相当可能性があると思います。  そういうことになれば、私と通産大臣とのお約束がほごになっていく。そういう面で、今明日中にでも私は通産省とこの面について少し実情を突きとめた上で、またしかるべき通産大臣に対する私の御要請を申し上げたい、こう考えております。
  30. 有島重武

    有島委員 通産省で重油を買っているわけです。それで、昭和四十四年と昭和四十五年と二つの資料があるわけですけれども、A重油一種一号、これを株式会社S商会が一キロリットル当たり一万一千二百円で落札しております。これは四十四年十一月八日付です。それから四十五年になりますと、同じA重油一種一号でございますが、同じ会社が落札、一万二千五百円で買っておる。また厚生省にも伺ったのですけれども、厚生省は灯油を買っておりまして、たとえば四十四年のときには十八リットル当たり二百八十八円で買っていたものが――これはN石油です。それが四十五年になりますと一躍三百二十四円で買っておる。  こうしたように、先日の新聞報道でもって談合価格というような問題が出ておりましたけれども、官庁みずからがこうした値上げに協力をしておる、こういうようなことについて通産省、特にきょうは、来ていらっしゃるのは鉱山石炭局長さんですか、十月七日のやはり参議院の物特の委員会でもって、エッソ、モービル上社の値上げに関連して、「石油精製企業の卸価格というものはいささかも変更あるべき筋合いのものではないと判断いたしております。」そんなふうに言っておられるわけですね。さきにあげたのは購入価格でございまして、こっちは卸売りの問題ですけれども、こうした、官庁みずからが価格を安定さしていこうという姿勢を堅持しないということは、はなはだこれはけしからぬことだ、そう思うわけであります。この点について通産省いかがですか。
  31. 莊清

    莊政府委員 官庁の入札につきましては、私専門外でございますけれども、各省庁とも、通常の物品でございますから、指名競争入札という形で、一番価格の安いものから購入するということで当然行なわれておると存じておりますが、私ども通産省といたしまして、これは官庁向けであるとないとを問わず、先ほど来申し上げておりますとおり、灯油価格につきましては、値上げ前の二、三月の価格水準を、それぞれの精製企業がそれ以上の水準には上げてはならないという方針をきめまして、指導いたしておるわけでございます。  官庁入札の問題につきましては、まだ私ども実情について十分承知いたしておりませんので、現在調査をしておる段階でございます。
  32. 有島重武

    有島委員 どうするのだといったら、いま調査中だという話なんです。私の伺っているのは、どういう調査をされるにしても、姿勢そのものがかえって値上げに協力するような姿勢がいかぬ、そういうことを申し上げたのです。  それで、いまも、この間の十五日に談合価格でもって手入れを受けた、その中でもって元売りとそれから代理店との関係というものが、これは新聞報道ですけれども、日石は内外商運株式会社、ゼネラルが三洋物産KK、それから共同石油はアサヒ物産株式会社、三菱石油は株式会社杉浦商会、出光興産は株式会社南悠商社、それから丸善石油が北日本石油株式会社、こういうわけで、官公庁が高い値段で買い求めて、それでこれは、官公庁が入札で買うのだからしようがないといえばそういうだけでありますけれども、ここでもって価格についてそういった大口の消費者、いわば大口の消費者なんですね、それを押えるということをしないということと、もう一つは、それを買うのは国民の税金から買うわけであります。もし万が一にもそういうことがあれば、これは血税を浪費したということになるわけでありますし、また、代理店の間で順番がきまっておりまして、安く供給できない、自由競争が阻害されておる。三番目には、ドルショックでもってほんとうは値下がりして当然の価格なんですが、硬直したままである。そういった点が、これは私、聞くところによりますと、電話でもって公正取引委員会にそういった通報があったというような話を私は仄聞したのでございますけれども、その経過について公正取引委員長からお話し願います。
  33. 谷村裕

    ○谷村政府委員 有島委員が求められました件は、十五日の日に私どものほうで臨検検査いたしましたいわゆる官庁向けについての石油の納入について、何らかの独禁法に被疑事件があるのではないかという問題でございます。  端緒といたしましては、だれということはわかりません。匿名でそういう申告がございました。申告の内容は大体新聞で発表いたしましたようなことでございますが、石油連盟東京支部が官公庁向けの石油製品の納入価格あるいは納入業者といったようなもののいわばリストをつくり、今度はこれをチャンピオンにしよう、ほかの人は辞退してくれというような式の一種の順番制みたいな形をとり、そしてお互いがそのルールを――ルールというとおかしいのですが、そういう決定を守り、そして、たとえば入札価格も大体この辺が一番下というふうなことをやって、それのとおりにやらない、また違う業者が出てくるというふうな俗にいわれる談合破りというふうなことがあって、安値落札をしたような業者が出てきたときには、それに対してたとえばペナルティーをかけるとか、あるいは元売りのほうからそういう特約店に対して品物の供給について圧迫を加えるとか、そういうようなことがあるからおかしいではないか、こういうのが大体申告の内容であったわけでございます。いま言われたような特別の名前を御指摘になっておりましたが、そういうところがやはり私どもの臨検検査先になっております。そういう状況をとりあえず申し上げておきます。
  34. 有島重武

    有島委員 もう少し詳しくお聞きしたいのですけれども、いまペナルティーの話が出ました。相当多額の違反金を取った。この違反金というのは、大体やみ協定をつくって談合をやって、それを破ったペナルティーなわけですね。それが百三十万円であった。  それから、やはり今回の談合破りでもって出荷停止を受けたり違反金を強要されたそのメーカーはどこなんですか。それからこの事件の直接の端緒をつくった官庁はどこの官庁なんでしょうか。もうちょっと詳しくお話しいただけますか。
  35. 谷村裕

    ○谷村政府委員 ただいま事件として審査中でありますので、事実として申し上げられる範囲において申し上げられることを担当の審査長のほうから御説明させてよろしゅうございましょうか――では私がやります。  私が聞いております範囲でございますが、申告によれば、たとえば大蔵省とかいう名前があったことを私は記憶いたしております。しかし、私どもがいま押収してまいっております書類によって、目下どういうときにどういうことであったかという事実を調査しているところでございますので、具体的にどの官庁に対していつどういうことであったということは、いままだ調査の段階でございます。ただ、私が聞いておりますところでは、大蔵省もというような、あの大蔵省もひっかかっているというような意味においてだったと思いますが、そういうふうなことを耳にいたしたこともございます。  それから、ペナルティーの金額は、たしかそのぐらいであったかと思いますが、私は詳しいこと記憶ございません。  もう一つ、いかなる業者がそういうことになったかということは、その業者の立場等もございましょうから、事件がある程度の段階にまでまいりましたときに私が申し上げるほうが適当ではないかと思います。  それからなお、具体的にどういうやり方をやっているかというふうな点につきましては、実は同じく石油連盟の東京支部が昭和四十四年の十二月に私どもから勧告を受けた事件がございまして、当時東京都財務局、これは非常に大手のガソリンあるいは灯油等あるいは重油等も入りますが、そういうものの買い付け先であるところであり、かつ東京都財務局の納入の値段がいろいろそれを左右するということで、ただいま有島委員指摘になりました事件のようなやり方をやった例がございまして、私どもが勧告審決いたしている事件がございます。それによりますと、いろいろとそのときのこまかいやり方、ペナルティーのかけ方等等のことがございますので、それをもし御必要であれば、過去の例になりますけれども申し上げてもよいと思いますが、これはすでに表にちゃんとした勧告審決として出ておりますので、一つの確定した事実として申し上げることができると思います。
  36. 有島重武

    有島委員 木村長官、いかがでございますか。いまお話を聞いていらっしゃって、企画庁長官としてはどうなさいますか。
  37. 木村俊夫

    木村国務大臣 いまお話のある具体的問題は公取委員会で、いま厳正に調査中でございます。しかしながら、一般的に申しまして私は二つの問題があると思います。  まず、やはり官庁の講買態度をもう少しきびしくすべきではないかということ。それから納入する業者自体の談合問題。これはもう当然独占禁止法に違反する問題でございますから、公正取引委員会で厳正に審決すべきでございますが、ただ、よけいなことになりますが、いま私ども資料によりますと、この公取で審決がありました――これは昨年度ですが、総数四十四件のうちで石油業界が審決を受けた件数が十七件と非常に多い。これは石油業界のそういう弊風が審決件数にあらわれておるのではないかと思いますので、はなはだ私はこの点については遺憾だと思います。  また、こういうようなカルテルムードがそういう石油業界にありますと、えてして小売り段階におけるカルテル行為もこれに伴うということもございますので、この点については経企庁といたしましては、物価対策公正取引委員会に厳正なかつ迅速な調査お願いしたい、こう考えております。
  38. 有島重武

    有島委員 会計検査院の方来ていらっしゃいますか。――いま企画庁長官からのお話ごさいましたけれども、会計検査院としてはどうなさるか。相手が諸官庁ですね。大どころも入っているらしいのですが、これに対してどうなさいますか。
  39. 石川達郎

    ○石川会計検査説明員 石油、灯油の購入につきましても、これは一般物件の購入でございますので、会計法規の規定に従って契約なりあるいは予定価格の立て方等をすべきことは当然でございます。したがいまして、従来からも随時これらの物件等につきましても、契約のあり方あるいは単価の点等につきまして十分検討はいたしてまいったわけであります。ただ、従来の検査の実績から申しますと、特に会計法規に違反するというような事態は、私の承知する限りにおきましてはなかったようでございますが、なおお話もございますので、四十六年度の実態につきまして十分配慮して検査をしてまいりたい、かように考えております。
  40. 有島重武

    有島委員 会計検査院の検査のしかたに私注文をつける筋合いはないわけでございますけれども、こういう手続になっておるから手続上はこれでよろしいのだという――形式上には間違いはないかもしれないけれども、いまお話がここでございましたけれども、そうした物価安定の方向にという一つの方向性をやはりお考えになって今後お仕事をしていただきたい、そういうふうに要望したいと思うわけであります。お答えはよろしゅうございます。  ただいま木村大臣から、審決四十四件のうち十七件が石油関係であった、そういうお話があったわけでございますけれども、こういうふうになりますと、石油のメーカーの方々、勧告を受けても、どうせ言われついでだ、やり得だ、そういうふうな態度がもしあるとするならば、これは非常に問題であると思いますけれども、そういった点についてはいかがでいらっしゃいますか、企画庁長官
  41. 木村俊夫

    木村国務大臣 そういう一つの悪い意味のなれと申しますか、それは厳に戒めなければならぬと思っておりますが、これは、購買側の態度も当然でございますが、やはり公取委員会の厳然たる調査態度というものを、政府としても強く要望したいと思っております。
  42. 有島重武

    有島委員 公正取引委員長、いかがでいらっしゃいますか。
  43. 谷村裕

    ○谷村政府委員 御指摘のように、一昨年くらいから非常に石油の、特に小売りの関係でそういった事件がふえてまいりました。非常に末端において競争が激しく、しかもなおかつ一種の系列販売という形になっておりますために元売りに対しては力が弱いという、末端業者の立場としても非常につらい点があることは、私ども一応わかる点もございますけれども、しかしながら、そこはやはり法の定めたところに、秩序に従ってきちんとやっていただかなければならないということで、事件が起こりますたびに私どもとしては厳重な注意を、そういう順法精神についての申し入れをいたしてもおり、また監督官庁である通産省のほうにもそれを申し上げてきたのでございますが、最近におきましても、重ねて全国石油商業組合連合会でございますか、そちらのほうに、たしか九月の末だったと思いますが、いま御指摘のような、やって見つからなければよかった、見つかればもともとだというような、そういういいかげんなことでは困るというきつい警告を申しております。そして、いま木村大臣が言われましたように、私どもとしては、今回のような事件が重ねて起こるというふうなことでは、私どもの法律を守っていく立場もございませんので、事実を調べてみなければこれはまだ何ともわかりませんけれども、その上では私どもにおけるいろいろな処理のしかたがあるわけでございますから、そういうことまで含めまして、ひとつ厳重に問題の処理を始末をつげさせていただくようにしたい、かように考えております。
  44. 有島重武

    有島委員 その傾向の問題でございますけれども、ここ二、三年の間、先ほど企画庁長官からは四十四件中十七件、こう言われましたけれども、四十四年度、四十五年度などは、全審決の中でもって石油業界の占める違反はどのくらいの割合であったのですか。
  45. 谷村裕

    ○谷村政府委員 四十六年度におきましては、すなわち十月までのことでございますが、全体の勧告件数二十七件のうち七件、すなわち約四分の一、二六%くらいのものをすでにやっております。  それから、現在また、これは石油だけではございませんで、石油とかあるいはLPG、プロパンガスなどもございますが、現在手がけているというとおかしいのですが、現に事件として審査中のものもございます。
  46. 有島重武

    有島委員 私の伺いましたのは、四十四年、四十五年の逐年的にわかりますかということです。
  47. 谷村裕

    ○谷村政府委員 申しわけございませんが、四十四年のはちょっといま資料として持ってきておりませんので、すぐに調べてまた御報告するようにいたします。いま電話で聞かせます。
  48. 有島重武

    有島委員 こうした傾向は大体わかっているということになりますと、今度はこれに対しての公正取引委員会姿勢として、独占禁止法の八条一項一号の解釈、運用につきまして、大体申し合わせをやって値上げの行動に移った、それで実行の行為が証拠としてあって後に初めて行動に移す、いわば常に後手に回って行動されておるんじゃないか、公取委員長として幾ら審決を下してみても、協定を破棄させるということにしても、そのことによって、それじゃ値段が下がるかというんですね。いままで値段が下がった例がございますか。
  49. 谷村裕

    ○谷村政府委員 有島委員の御指摘のような問題は、私も、公正取引委員会に参りまして、まず自分ながらいかにこういう問題を考えたらいいかということで問題にした点でございます。結論だけ先に申し上げますと、値段の下がった例が全くないというわけではございません。たとえば昨年度でございましたが、やはり官庁向けでございましたが、タイヤの納入につきまして関係業者が協定を結んでおったのを破棄を命じましたところ、その後において、たしか修理用タイヤでございましたが、値段は下がったという例を私は知っております。しかしながら、大部分のものは、破棄すればそれでいいんでしょうという程度で、結局上がったものはもとに戻らない。要するに公取は、物価関係の官庁の一部ではございますが、物価を直接云々する立場でなく、競争条件というものを確保するという立場において協定等のカルテルをやめろということを言うわけでありますが、実体としては、そのが果が、一たん上がったものがもとに戻るという例が非常に少ないということは、御指摘のとおりでございます。競争を制限するということ、そして、それが行政処分としての勧告なり何なりの対象になるかならぬかという問題、これは法の適用の問題として非常に微妙でございますが、たとえば幾ら話し合ってみましても、結局実行できないような話し合いをしていたという例もいままでの事件の中ではずいぶんつかまえて、結局それは処分にはしていないという問題がございますけれども、どこまでがみんなを拘束するような話し合いであるか、どこまでがお互いの意見交換であるかというふうな実体については、いつかも御指摘を受けましたが、法の適用の問題としてはたいへんむずかしい実体を持っていると存じます。
  50. 有島重武

    有島委員 長官、法の適用の問題が出ましたので、これは政治的判断ということがここに入ってくるのじゃないかと思うのですよ。たとえば憲法第九条の、戦力は持たない、だけど自衛隊は戦力でないといういわば拡大解釈というようなこともございますね。これはそうした運用がなされているわけです。このよい悪いという問題は、内閣委員じゃないですから、ここでもってやりませんけれども、この独占禁止法の八条一項、これは「一定の取引分野における競争を実質的に制限すること。」こうした行為をしてはならないということでございますけれども、これはいまお聞きになったように、従来は後手後手に回るような仕組みに解釈、適用されていたわけであります。こうしたいまの情勢におきまして、もう少しこれを前向きに運用して、話し合い、申し合わせあるいは決定、いわゆる談合に着手したと判断せられるその段階で、具体的に申しますと、ビラだとかチラシだとかを配布したり、それから組合から組合員に通知を出したり、あるいは電話での連絡なんかもあるようでありますけれども、こうした実質的にまだネタはあがっておらないが、業者の間でも心理的影響が確認できるようなそういう段階で審査をするということ、これは当然じゃないか。その段階で勧告すべきようにするほうが、むしろ法の精神といいますか、あるいは、物価安定のためには全力をふるって努力を措しまないと言っておられるいまの政府の御判断の上から、この点についての御所見を承っておきたいと思いますが、いかがですか。
  51. 木村俊夫

    木村国務大臣 一般法と違いまして、独占禁止法でございますから、やはりこれの解釈、適用は、一に公正取引委員会におまかせするのが私は妥当と思います。ただ、独占禁止法自体の解釈、運用に足らざるところがあれば、当然、政府あるいは国会における御審議の過程を通じてこれを改正することも必要ではないかと思います。ただ、いま御指摘のきわめてデリケートな、何ら事前の連絡なしにそういう暗黙の談合が行なわれたかどうかということになりますと、御承知のプライスリーダー制の点もございまして、なかなか規制の対象になりがたいというのがその盲点でございます。しかしながら、これは同時に独占禁止法の解釈、運用の問題にもつながりますので、政府といたしましてはそれについてとかくの批判は差し控えたい、こう考えております。
  52. 有島重武

    有島委員 この点、公正取引委員長の御意見いかがですか。
  53. 谷村裕

    ○谷村政府委員 私どもの現在の立場では、実質的に競争を制限するという一つの実体があったときに、法の手続に従って、たとえば必要な勧告をとり、またさらに、それでいけなければ審判まで持ち込んで処理をする、かようなことになっているのが一つでございます。  しかし、その予備的な行為と申しますか、競争制限する意思が一つの協定の中に見られ、また、そういうことで何とかやっていこうとするきざしがあるというときに手を打たなくちゃだめじゃないかということも、内部で議論いたしております。そのことは法の適用とは別に、法を犯すおそれがあるような行為があるときにいかなることを公取としては言い得るか、これはいわば一般的な法律上の権限ということでなくて、四十八条に基づく勧告あるいは審判によって争うというふうなものでなしに、たとえばいわゆる警告とか注意とか、そういう形における事実上の行為として何らかできないことかということも、実は議論をいたしております。  そういうふうなことを含めまして考えなければならないのでありますが、実は公正取引委員会あるいは独占禁止法ができましてから今日まで、罰則の問題というのが一つも実効上は動いていないわけでございますが、罰則のほうにおきましては、その予備的なことをやっただけでも罰金刑が科され得る、そういうこともあり、あるいはまた、いまのような組合のほうによる組合員の競争制限のような場合には、その組合の役員等がそういうことを知っておってなおかつそれをとめなかったというのも、また科罰の対象ということになっております。しかし、罰則による問題というものは、これは今日までの経緯、それから独禁法というものの実体の運用として、ただいままでは、いわゆる一度勧告で処理したものがまたさらに犯したというふうな場合、いわば累犯をやったような場合、犯を重ねたような場合にやった例がございます以外には、実はまだないわけでございまして、その辺の問題については、私どもとしてはやはり非常に慎重に考えざるを得ないわけでございますが、先ほど申し上げましたような意味で、いまだ罰せざるを打つということでなければ法目的を達しないじゃないかという点については、まさに御指摘のとおり考えて、どういうふうな処置をとったらいいかということを、さっきお答え申し上げたような意味で検討しているところでございます。
  54. 有島重武

    有島委員 これは大いに前向きでもって検討していただきたいわけでございます。  それから、いま累犯があった場合はというお話がありましたけれども、さっきもお話が出ておりましたが、これは昭和四十四年の(勧)第二十三号、石油連盟東京支部に対する件、これは第八条第一項一号ですか、私も見ましたけれども、今度はそれに類似したような問題が起こっているわけであります。これは内容と規模におきましてはだいぶ違いがあるようでありまして、こうした同一業者に、先ほどおっしゃったような傾向が確かにある。そういった場合に限っては、こうした法の運用は、むしろいままでの法解釈どおりにしてがまんして待っていて、そのことによって消費者に対して、あるいはまた、ほかの物価に対しても波及効果を及ぼすというようなことが判断できた場合には、むしろ進んでそういうことをしてもらうことが好ましいことじゃないでしょうか。それはいかがでしょうか。
  55. 木村俊夫

    木村国務大臣 いま公取委員長からいろいろ前向きの御発言がありました。私どもも、物価対策の面から申しまして、当然法の解釈、運用が許される限界において、そのように積極的な解釈、運用をしていただきたい、こう考えます。
  56. 有島重武

    有島委員 今度は、談合をやったということになりますと、刑法の九十六条ノ三、談合罪の成立という、これに該当してまいりますでしょう、委員長
  57. 谷村裕

    ○谷村政府委員 まだ実体がよくわかりませんが、かりに実体のいかんによっては、御指摘のようなこともあり得ると存じます。
  58. 有島重武

    有島委員 会計検査院のほうにお願いしたいのですけれども、各官庁に対して一斉検査をしてもいいような問題じゃないかと思いますけれども、こうした指導監督の立場におられまして、先ほどの問題の答えも含めて御答弁いただきたいと思います。
  59. 石川達郎

    ○石川会計検査説明員 先ほども申し上げましたように、この問題につきましては、随時検査を従来もしてまいったわけでございますが、ただ、たとえば防衛庁につきましては装備部品であるとか、建設省につきましては道路とか河川に関する工事とか、やはり重要項目というものがございますので、従来、御指摘の点につきましては随時検査をしてきたような次第でございますが、どの程度できますか、それは人員とか能力の関係がございますので、役所によりまして程度の差はあると思いますが、御趣旨をくみまして、各省庁につきまして十分配慮して検査してまいりたい、かように考えます。
  60. 小林進

    小林委員長 石川事務総長に申し上げますが、質問者は一斉検査ができるかどうかと言っているのでありますから、その点をお答えいただきたいと思います。  それから、もう少し皆さんに聞こえるように答えてください。
  61. 石川達郎

    ○石川会計検査説明員 一斉検査という意味でございますが、各省庁につきましての検査、これは時期的に多少のズレはございますが、そういう趣旨で従来も検査はいたしてまいりましたし、今後もそういう検査をいたしてまいりたい、かように考えております。
  62. 谷村裕

    ○谷村政府委員 ちょっと別な話になりますが、先ほど質問がありました件数について、ただいま取り寄せましたので、申し上げます。  石油、プロパン関係は、四十四年に全勧告件数二十七件のうち七件、それから四十五年が全勧告件数四十四件のうち二十一件、それから四十六年が、十月までで全勧告件数二十七件のうち、ちょうど四十四年と同じ数字になりますが、七件、かような数字でございます。
  63. 有島重武

    有島委員 会計検査院にお願いしますけれども、談合という事実があれば、検察庁のほうに告発するようになるわけですか。
  64. 石川達郎

    ○石川会計検査説明員 検査の結果談合の事実がありますれば、これは会計検査院法によりまして検察庁に通告するということになっております。ただ、談合の事実というものの有無、御承知と思いますが、われわれの検査というものは各省庁について行なわれますので、業者のサイドの事情というものがなかなかわかりかねるということは、ひとつ御了承願いたいと存じます。
  65. 有島重武

    有島委員 むずかしい仕事を法に従ってまじめにやっていらっしゃるのではあろうと思いますけれども、もう少ししっかりやっていただきたいという印象を、いまのお答えを聞いたら国民は受けるだろうと思いますね。  これで終わりますが、最後に経済企画庁長官から、全般にわたって御所見をひとつまとめて言っていただきたいと思います。
  66. 木村俊夫

    木村国務大臣 いろいろお話がございましたが、要するにこの灯油の問題に関しましては、輸入の自由化また為替変動相場制への移行、これに従って当然下げるべき石油価格が下げられていないということが、まず第一点であろうと思います。しかしながら、通産省が御説明いたしましたとおり、石油業者の側からいえば、OPECの決定に従って値上がりすべきものをことしの二、三月のころの価格に据え置いておるということが、実質的には実は値下げをしておるんだという言い分もあると思います。しかしながら、為替差益というものが非常に大きいのではないか、また事実、大きいと思いますけれども、そういう国民感情からいいましても、石油価格は私は当然、これは値下げされてしかるべきものかと思います。特に、それが消費者に直接渡る小売り価格値上げにつながるようでは、経済企画庁としてもこれに対してはほうっておくわけにはまいりませんので、先般申し上げましたとおり、通産大臣とそういう話し合いも行なったところでございますが、昨日あたりからいろいろ報道されておりますようなことがかりに事実として――私はかりにと申しますのは、一般特約店に対する卸売り価格にまでそれが及んで、それがひいては灯油消費者価格影響するような事態になれば、私どもとしては、先ほど申し上げましたとおり、もう一度通産大臣と話し合いをして、その点についてしかとした言質をとりたい、こう考えておる次第であります。
  67. 有島重武

    有島委員 終わります。
  68. 小林進

  69. 田中恒利

    田中(恒)委員 灯油の問題につきまして御質問をいたしたいと思っておりましたが、先ほど武部委員有島委員のほうから相当詳しく御質問がありましたので、なお若干関連をいたしましてこの際お尋ねをしておきますが、十月の十二日に通産省が出しました「灯油価格安定化対策について」という通達ですね。この通達は、元売り仕切り価格についての処置と小売り価格についての処置と、大体二つに分かれておるわけですけれども、これを見ますと、小売り価格についても極力値上げ抑制をはかるために次のような処置をすべきだ、こういうことでありまして、小売りの価格を上げないんだという積極的な意味の通達ではない、こういうことが言えると思います。さらに、元売り仕切り価格につきましても、これを読んでみますと、「灯油元売仕切り価格は今冬は価上げを行なわず、前需要期(本年二月~三月)の価格水準に据置くよう元売各社指導する。なお、現在既にこの水準を上廻つている地域については引き下げるよう指導する。」こういうふうになっているわけですね。  そこで、この解釈がメーカーに言わすと、通産省が示したといわれる一万二千八十一円の水準を上回らなければよろしいんだ、こういう理解に立ってこの水準以下のところは今回引き上げたんだ、こういう姿勢になっておるわけですね。これはもう御丁寧に、この水準を上回っている地域については引き下げるんだ、こういうことを書いておるわけですから、この水準に達してないところは引き上げてもよろしのか、こういう理解をしたというところに今度の問題の一つの焦点があるわけですね。  私は、こういう通達のあいまいさに今度の灯油問題の発端があると思うのですよ。こういうような姿勢通産省は臨んでおるのですね。経企庁長官通産大臣約束をして、上げないんだ、はっきり相談ができておるということですけれども、実際に下へおりていくと、こういうあいまいさが出ているわけですね。この点がこの問題の根本なわけなんですよ。経企庁長官は、この間の本委員会で、物価問題の重要性に基づいて第一にお考えになっておられるのが、円の変動相場制移行に関連して、輸入物資を消費者に還元する、こういうことを言われているわけですね。これは最重点事項です。灯油については、これは目玉商品です。変動為替相場制によって安くなる、こういうふうに国民は理解している。これの取り扱いをこういうようなあいまいな形で通産当局がやっておったということに、私は問題の核心があると思うのです。この点を、今後いろいろ問題がたくさん出てくると思うわけですけれども、私はぜひ明快に、下部の関係各省庁に対して長官のほうからもはっきりさせるようにしていただきたいと思います。  そこで、これは御要望でありますが、この通達の第一項の第一の「この水準を上廻っている地域については引き下げるよう指導する。」といっておるのですが、一体引き下げたところはあるのですか。
  70. 小林進

    小林委員長 鉱山局長に言いますが、あなた、先ほどから、委員諸君への答弁は正確に答えておられません。いま少しきちっと答えて、同時にあなたの声も、委員の各位から聞こえないということが出ておるわけでありますから、委員の各位にみな聞こえるように、ちゃんとした大きな声でやってください。
  71. 莊清

    莊政府委員 通達では念のためにそういうふうに表示してございますけれども、実際にはそれに該当して上回っておるというところはなかったわけでございます。
  72. 田中恒利

    田中(恒)委員 ないのに、なぜ「引き下げるよう指導する。」と書くんですか。それなら、その水準に達しておるところはないわけですから、全部引き上げるということに逆になるわけでしょう。一体どうしたことですか。
  73. 莊清

    莊政府委員 元売り価格につきましては、現在、今年の二、三月の水準を上回っておる地域はなかったわけでございます。
  74. 田中恒利

    田中(恒)委員 ないのに、なぜ上回ったところは指導するんだと書くんですか。意味ないことを書いているんでしょう。値上げするということになるじゃないですか。そこですよ、問題は。通産省石油業界とが一緒になって、わざわざ値上げの根拠を示すような通達を示したと理解されますよ。そういうことになりませんか。ないところへわざわざ指導するんだというようなことを書いて、現実は何もない。裏から返していけば、それならその水準まで達せぬところは上げてもよろしいのかということになっているわけでしょう。メーカーはそういうふうに言っているわけですから。それで、あなたのところの指導したという一万二千八十一円に達するまではかまわぬということ、あなたのほうの指導はそうじゃないですか。各社ごとに二、三月の水準を上回ってはいけないのだということをいま言っているわけだけれども現実各社の理解のしかたはそういうことじゃないということになっているわけでしょう。こういう通達を出すからですよ。何もないものを、わざわざ一体どういう調査をしているのですか。一万二千八十一円というのは加重平均だと言われたでしょう。加重平均なら上があるわけでしょう。一万二千八十一円という価格はどういう形で出ているわけですか。加重平均価格じゃないんですか。
  75. 莊清

    莊政府委員 お説のとおり加重平均でございます。それで、私どもは本年二、三月のOPEC値上げ前におきます各精製会社の卸価格、これは個別にあるわけでございますが、各企業が、それぞれの二、三月における価格というものを石油業法に基づく報告ということで通産省報告をいたしております。これは精製企業も報告者として当然承知いたしておりますし、私どもも毎月把握をしております。各会社はことしの二、三月の、つまりOPEC値上げ前の二、三月におけるそれぞれの企業別の値段を上回ってはならないというのが趣旨でございまして、そういうように指導いたしておりました。  それで通達の面では、価格水準というふうな御指摘がいま先生からございましたけれども、今回の事件で確かに反省いたしております。あいまいなと言われれば、確かに価格水準ということばは、それぞれの企業別という明確な表示ではございません。しかし、私どもの考えておりましたこと、それから今後続けようとしておることは、いま申し上げましたとおり、個々の企業ごとにそれぞれの本年二、三月における価格、これより上回ってはならないという趣旨でございますので、今後その点をさらに徹底するように十分善処いたしたいと考えております。
  76. 田中恒利

    田中(恒)委員 ちょっとわからないのですが、加重平均価格であれば、下と上とあってそのまん中でしょう。そうすると、平均より上があるわけでしょう。それがないというのでしょう。ないということはどういうことですか。
  77. 莊清

    莊政府委員 私の答弁、少しことば不足であったと思いますので、訂正させていただきます。  本年二、三月におきます個々の企業の価格というのはあったわけでございます。それと現在の価格と比べてみた場合に、それを個々の企業ごとに二、三月よりもさらに高くしておる。七、八月は毎年不需要期でございますから、各企業とも下がるわけでございます。それよりは上がりますけれども、二、三月における水準以上にすでに上回って上げておる個別の企業というものはなかったということを御答弁申し上げたわけでございます。
  78. 田中恒利

    田中(恒)委員 そういう形の加重平均というのはわからぬこともないわけです。しかし、どうもいまの説明を聞いただけでは、わざわざ後段の文章を入れる必要はない、こういう感じがいたします。そういう意味で、どうも通産省のこういう業界に対する行政指導なるものの正体が非常にはっきりしないのですけれども、きょう、経済企画庁長官も、今日の時点では、この値上げについては大手薪炭問屋に対して約一割程度の値上げがあると聞いておると言われたが、通産当局はいつこれを知ったのですか。この値上げの動きというものをいつ知りましたか。
  79. 莊清

    莊政府委員 事前には承知をいたしておりません。昨日こういう事実を承知いたしたわけでございます。
  80. 田中恒利

    田中(恒)委員 そこが問題なんです。灯油の問題については、先ほど来各委員の方からお話があったように、特にいま最大の問題であります円の問題とからんで、しかも物価問題の中で、ある意味では国民が最も焦点を置いておる問題でありまして、この委員会においてももうすでに何回となく議論をせられた問題、そのことについて行政指導の衝に当たらなければいけない通産省値上げの動きをきのう知った。新聞はいつから書いておりますか。もう二、三日前から書いておるのですよ。通産省がきのう知って、大体そういう内容を、きょうこういう委員会があって質問があるから問い合わしたといったようなことじゃないかと思いますがね。そういう程度であるから、こういう問題は次から次へ起きてくるのじゃないですか。  いま、一般の特約店はそのままで薪炭の問屋だけだ、こういうふうにおっしゃられますけれども、それも私は、きのう業界から皆さんお聞きになって言われておるのであって、この新聞報道に見る限りにおいては、完全にこれは一般特約店値上げの指令を全国に出しておるということになっておるわけですね。私はこの報道にも間違いはないと思う。むしろいまの話を聞くと、通産省のほうがそういう状況を完全に把握してないと思うのですよ。そういうことで、どうしてこの問題の対応策が出てくるか。いま長官は重ねて実態を調べて、通産大臣とも話をして適正な処置をとると言われておりますけれども、なかなかいまのようなそういう取り組み方では、私どもが期待するような方向に向くのかどうかたいへん疑問に思っておるのです。この点につきましては重ねて企画庁長官のほうから、この問題についての取り扱いについての確たる御所信をお尋ねしておきたいと思うのです。
  81. 木村俊夫

    木村国務大臣 通産省通産省として立場もございましょうが、しかし、現在の一つの政策的方向としまして、やはり輸入自由化あるいは為替相場の変動制移行に伴って当然輸入品が安くなる、その効果を消費者に還元するというのは、これは一通産省だけでなしに政府全体の姿勢であるべきだと思います。そういう意味におきまして、その大きな傾向に反するようなことは、たとえそれが生産力あるいは供給確保のために必要であろうとも、そういう大きな流れに反した政策はとってもらいたくない、こういう立場から、いまいろいろ聞いておりますと、通産省の実態把握にもまだ足りない点があるように私承っております。そういう面で、今明日中に通産省とよく連絡いたしまして、実態を把握した上で、私どもとしましては責任ある申し入れを通産大臣にいたしたい、こう考えております。
  82. 田中恒利

    田中(恒)委員 私は、どうも通産省石油業界のことをたいへん心配し過ぎておると思うのですね。だから、原油値上げがたいへんたくさんあって、二千六百億くらいあって、製品転嫁の分が千何ぼしかまだできていないから、差益金が一千億か近くあってもまだまだなんです、こういうような業界側の意向、あるいは業界との接触の過程でそういうものが強くて、この問題に対して、灯油は下がらねばならない、下がるはずだ、こういうふうに期待をしておる国民の声、そしてこの問題を契機として物価、特に輸入差益金、円の問題、こういう重要な日本の経済問題の中の一つ物価対策の突破口にしたいというわれわれの要求、そういうものとは違った観点で通産省というのはやっておると思うのです。だから、企画庁は、これは野菜の問題もそうですけれども、私はよほど腰を据えてかからないと、なかなかいま通産と長官の二人の大臣が話をしたくらいのことで済むようなものでない側面を、いま私は申し上げたと思うのです。特にこういう通達の今後の取り扱いですけれども、これは経済企画庁とあらかじめ連絡して出した通達ですか。
  83. 宮崎仁

    ○宮崎(仁)政府委員 御承知のように灯油の問題につきましては、九月二十八日に、物価安定政策会議の特別部会において、厳に値上げ抑制すべきことについて御意見をいただきました。この意見に基づきまして、通産省にもこの趣旨をお伝えをしたわけであります。そして九月三十日に通産大臣の御指導方針が発表されたわけであります。具体的に、いまお話があった十月十二日の通達ということで出されたわけでございますが、その通達につきましては、事後に私どものほうとして、こういう趣旨で出したということで連絡を受けたわけでございます。
  84. 田中恒利

    田中(恒)委員 こういう問題は、通産省は、経済企画庁関係のある事項ですから、当然経済企画庁相談をして、そして、この物価問題に関する観点から出ておるわけですから、私は出すべきだと思うのですが、今後こういう形のものについては、特に物価問題については、企画庁との相談の上に通達等についても出していただく、こういう処置をしていただきたいと思うのですが、いかがですか。
  85. 莊清

    莊政府委員 そういう方針で善処いたしたいと思います。  なお、元売りの価格を本年二、三月の水準で据え置き、それ以上の値上げはさせないということを基本方針にしたいという点につきましては、あらかじめ経済企画庁と十分お打ち合わせをし御了承を得て、私ども業界に臨んだわけでございます。
  86. 田中恒利

    田中(恒)委員 これはもう当然関係官庁と相談をして出すというたてまえでしょうから、できれば両方の名前をつけて出していただくところまで突っ込んでもらわないと、私どもはどうも納得がいかないし、そういうところから混乱の一つの原因が出てきておるということを申し上げて、次の質問に移りたいと思います。  私は、野菜の問題につきまして、従来からいろいろ本委員会におきましても議論をしたわけでありまして、すでに議論は出尽くした観があるわけでありますけれども、なお最近、いろいろ野菜問題についての各関係機関の提言、意見等が次から次に出てまいっておりますので、これらと関連をいたしまして若干御質問をしてみたいと思います。  まず長官にお伺いをいたしますが、企画庁長官は御就任以来、物価安定上の見地から野菜問題については特に重視をしておられるようでありまして、すでにこの委員会でも、あるいは新聞記者との対話等におきましても、野菜問題については政府が直接市場に介入することの必要性を指摘をせられておるわけです。実は私どもも、この点については同感であるわけでありますが、政府が市場に直接介入をするしかた、あるいはその強度、強弱、こういうものがあろうかと思うのです。したがって、私はこの点について、もしそれ以降長官のほうで、政府が市場に対して野菜問題で介入するにあたって、どういうような考え方で介入すべきだという考えになっておるのか、この点を、もし御意見ございましたら、この際お聞きをしておきたいと思うのです。
  87. 木村俊夫

    木村国務大臣 まあ野菜の価格安定、非常にむずかしい問題ではございます。いま自由経済と申しますか、市場経済のメカニズムの中で野菜価格の安定をはかるというような基本をとっております。従来そのように政策を実行してまいったのでございますが、なかなかそれが御承知のように思うとおりいってない。しかも、主食は別といたしまして、国民の生活水準が上がるにつれて、食生活の上に野菜というものが非常にウエートが大きくなってきた。こういうような一つの転換期でございますので、この野菜行政というものを、政府、まあ農林省の中で、いままでのようなそういう――これは私のことばでございませんが、行政監理委員会指摘したような片手間的な行政であってはならない、もう少しこれを政府全体としても重く取り上げ、大きく取り上げてやるべきではないかという基本的な考えのもとに、私は先般の予算委員会で、あえて政府自身が直接介入もすべきではないかという意見を申し上げました。  まあその方法は、いま申し上げたとおり、今までの市場経済というメカニズムの中でどの程度一体政府が介入してよいか。また、そのためにどのような政策効果をあげられるかということについては、実は私まだ、正直なところ確信を持っておりません。しかしながら、やるべきことであるという前提のもとに、先般も農林省の当局者に私のところに来てもらいまして、その具体的な内容について、大いにひとつ農林省にも私のほうから要望申し上げ、また私自身の考えも率直にお話をしたところでございます。しょせんこれは予算を伴う面もあり、予算を伴わないで実行可能な点もございます。そういう面を振り分けまして、これは一日も逡巡を許さないことでございますので、この秋、もう去りましたが、冬野菜の安定確保という面について、ひとつ思い切った考え方で進もうではないかという、いまちょうど気合いを入れたところでございます。その具体的な内容については、農林省が非常に真剣に考えております。  また、これもよけいなことですが、農林省の片手間云々と申しましたが、最近農林省の野菜行政に対する真剣な態度というものは非常に評価してしかるべきだと思います。かつてある新聞に、農林省の荒勝局長が半狂乱で宮崎へ飛んで行ったという話が載っております。これは一つのゴシップにすぎませんが、そのような一つの行動に出るという真剣さというものが、農林省の野菜行政の中へあらわれてきたということは、政府全体としても大いに私は評価してしかるべきだと思います。そういう面で、今後はその具体的な野菜行政のあり方について、皆さんの御批判、御意見を十分参考にしながら取り組みたい、こう考えております。
  88. 田中恒利

    田中(恒)委員 そこで、これは農林省経済企画庁にお聞きしなければいけないわけでありますが、従来農林省が、この種市場介入の方式としては事業団方式というものが、畜産振興事業団、蚕糸事業団ですね、そういう形で持たれておるわけでありますが、今回野菜価格安定事業団と称せられるものが野菜買い入れ、保管、調整、こういうものをやる、こういう形で検討せられておる、こういうふうに聞いて上るわけでありますが、経済企画庁としては、この問題についてどのようなお考えを持っておられるのか。  それから、農林省のほうでは、この価格安定事業団構想なるものが今日どの程度検討せられておるのか、この機会に明らかにしていただきたいと思うのです。
  89. 木村俊夫

    木村国務大臣 いまお話のありました事業団構想でございますが、私自身、まだそれについて、正直申し上げますと確信が持てないという段階でございます。と申しますのは、これも一つ悪口になりますが、畜産振興事業団、これの結果を見ますと、私、内閣におりまして、そういう法人の整理を担当したことがございます。どうも必ずしも感心できる面だけではないということから申しまして、はたして、肉類すらできなかったそういう事業団が、きわめてむずかしい生鮮食料品に対して、一体どういうような効果をあげ得るような仕事ができるかという点がまず第一、そういう面からいきますと、いままでの事業団に対する相当な再検討、やり方に対する再検討、あるいはある意味では反省がないと、私はこの事業団構想に賛成はできないと思います。  しかしながら、先ほど申し上げましたとおり、野菜行政がどうしても何らかの政府の直接介入を必要とする段階であれば、事業団のそういう欠点を反省しながら、事業団の構想を取り入れることが必要ではないかということも実は考えられますので、この事業団の構想という一つの名目にとらわれずに、事業団あるいは事業団と同じような機能を果たし得るようなほかの構想がないかということも、あわせて考えるべきでございましょうし、また事業団といいましても、あるいはキャベツあるいは白菜のようなものは、なかなか取り扱いにくい。貯蔵に適するようなジャガイモとかあるいはタマネギのようなものが考えられる品目でございます。そういう面につきまして、私自身、実はしろうとでございますし、農林省の意見もいま十分勉強しながら、農林省十分協議しながら、この構想についてどういう結論を出すべきかということを、実は私自身苦慮中でございます。
  90. 大河原太一郎

    ○大河原政府委員 お答え申し上げます。  野菜対策の画期的な強化とそれに即応した体制の整備、そういう関連におきまして、公的な機関が必要かどうかというようなことについて、ただいま検討中でございまして、もうしばらく結論が出るまで御猶予を願いたいわけでございますが、考えられる基本的な考え方といたしましては、申すまでもなく、野菜の恒常的な需給を欠くというような問題が、秋冬の大衆野菜等に見られるというような現状を踏んまえまして、価格保障の充実強化を通じまして生産の安定的拡大をはかるという点と、第二は、需給調整について可能な限り施策を施すという点と、第三点といたしましては、これとあわせまして、流通のパイプというものについても、流通機構等につきまして検討いたしまして、野菜の価格安定について政策を樹立するというような点で、ただいま鋭意検討中でございます。  おことばがございました事業団につきましては、本格的な対策が先でございまして、それを受けてどの程度の公的機関が必要かどうかというようなことについて結論を出したいというふうに現在考えておるわけでございまして、ただいま企画庁長官お話ございましたように、先に機構とか体制とかがあるのではなくて、政府の、これからわれわれがやろうとしております施策の中身によりまして所要の機関等も整備いたしたいというような基本的態度で、ただいま検討中でございます。  具体的な御報告ができないのははなはだ残念でございますが、こういう緊急の課題でございますので、農林省といたしましても、ただいま早急に結論を得るべく、本格的に検討中でございます。
  91. 田中恒利

    田中(恒)委員 私も、この野菜の価格安定事業団については、内容がわからないからどうこうは言えないわけでありますけれども、従来の事業団の果たしてきた役割り等も見、特に野菜という特殊な生鮮食料品の取り扱いで、はたしてこれがやれるかどうか。特にこの間の委員会で、畜産事業団の問題につきまして、松浦委員のほうから、食肉輸入をめぐってのいわゆる事業団商法なるものの正体が出たわけでありますけれども、お役所商法で今日の複雑多岐にわたる市場の価格操作が可能かどうか、そういう不安を持っております。ただ、いま聞きますと、多少、農林省企画庁との間には、この問題について完全なる意見の一致をまだ見ていないようなニュアンスがあるわけでありますので、まだ検討中ということだろうと思います。  そこで、私はこの際一、二提案をしながら質問をいたしたいわけですが、野菜の問題については、もうすでにこの調査、それから問題点、提言、意見、こういうものが次から次に出て、国会においても、委員会でいろいろな議論がなされて、大体出るべきものは出尽くした感があるわけです。問題は、最近マスコミ等がいっておりますように、あるいは今度の予算委員会でも議論になりましたように、政府一体何をやるかというところが明確になっていないわけです。もちろん、この野菜の問題は非常に複雑で、品目も多種にわたるし、まことに多様でありますから、それぞれ関連を持っておりますだけに、何からやるかというところが、それは確かにむずかしい面があるわけです。ありますけれども、ここまで参ってきたら、何か一つか二つ、具体的にその問題を解決していくというものを明らかにしなければいけないと思うのです。いわゆる重点的に、この問題についてはこういう処置をして、これについては国として必要な予算が相当要れば、相当思い切ってやっていく、こういうものが明確にならないところに、この野菜問題の今日の重要な問題点があると思うのです。  そういう意味で、すでに出尽くしてきた意見でありますけれども、行政監理委員会の提案あるいは今度出されました物価安定政策会議の「野菜の価格安定に関する緊急提言」、こういうものの中に一貫して貫いておるものは、何らかの形で市場形成価格あるいはもっとおりて消費価格、この段階に政府が関与していく。政府の表示価格なり標準価格なりあるいは予想価格というのですか、そういったようなものが貫かれるような筋道をこの際明確にすべきだという内容が、あの提案や意見の中には出てきておると思うのです。この点いままで、たとえば公設小売市場において標準価格制度がありますけれども、全然用をなしていないわけですね。単なる表示価格に終わっているわけです。こういうものではなくて、これにもう少し肉打ちをした処置をすべきだと思うのです。そのためには政府が今日の野菜の価格安定基金を中心とした制度を軸にして、責任をもって生産から消費消費者の手元に渡るまでの間は、責任の体制はやはり確立をしなければいけぬと思うわけです。こういう趣旨の提案が過般の一、二の野菜問題についての公的機関の問題提起の中に出てきておると思うのです。そのことで長官としてはどういうようにお考えになっておるか。  特に行監の提案の中には、小売り価格を公共的に誘導する処置をするために公設小売市場を五千くらいつくれ、こういうことをいっておるのです。私も市場をつくっていくということが一つのポイントだと思うのです。したがって、中央卸売市場という問題もあるわけですけれども、公設小売磁場というものを本格的に配置をして、そしてこの小売り価格というものは政府が規制をしていく、こういう形にすることが一番根っこを押えていくことじゃないかと思うのです。こういう点についてどういうふうにお考えになっておるか。これは行監の提言の中にもあるわけでありますけれども、なおこの際お聞きをしておきたいと思います。
  92. 木村俊夫

    木村国務大臣 いまのお話、私も全く同感でございます。東京と大阪を比べるのはどうかと思いますが、大阪における新聞等のルポによりますれば、大阪の野菜行政は非常にうまくいっておる。特に公設小売市場における標準価格というものがたいへんうまく運用されておるという点が、東京と大阪における野菜価格に非常にあらわれてきております。これは事実そのとおりでございます。したがって、行政監理委員会が提言しました、全国に五千程度の小売市場を増設すべきだということは、全く私も同意見でございまして、そのために、最初からなかなか五千とかそういう数は無理といたしましても、来年度の予算の中に――これはしかし御承知のとおり地方公共団体が原則として営造するものでございますから、その意味においてはむしろ政府の地方公共団体に対する補助、助成の一還としてそういうものを増設してもらうというような方針でいかざるを得ないと思いますが、それと同時に、小売市場のみならず卸売市場が非常に手狭でかつ少ないという点も流通段階で非常に障害になっておりますので、あわせて卸売市場の増設もぜひ予算の中で実現していきたい。これはもちろん地方公共団体がやるべき仕事でございますが、そういう面から地方に対する価格行政面における補助、助成を強化するという点で実行してまいりたい、こう考えておる次第であります。
  93. 田中恒利

    田中(恒)委員 そこで、これは農林省にお尋ねをいたしますが、卸売市場法がことしの四月に成立をいたしたわけですけれども、従来政府のほうの野菜対策というのは卸売市場法の成立に期待する部面が一つと、あと価格補てん事業を強化する、こういう形で進められてきたわけでありますが、卸売市場法制定以降、中央卸売市場の開設、運営をめぐって、法改正の趣旨に基づいた市場の運営なり必要な業務規程の整備等がどの程度なされて、どういう状態に今日市場の変化が示されてきているのか、この機会に御報告をしていただきたいと思います。
  94. 下浦静平

    ○下浦説明員 お答えをいたします。  御承知のとおり、新卸売市場法につきましては本年の七月一日から施行になったわけでございますが、その後法改正の趣旨等につきまして全国的にブロック会議をもちまして、説明会等をやってまいったわけでございます。  九月の初めに都道府県卸売市場条例の作成につきまして一つ、それから中央卸売市場業務規程の作成につきましてもう一つ、それぞれ指導通達を各関係のところに出しまして、今後の準備に備えるという手を打っております。  それから、九月の下旬、卸売市場の整備計画策定に関する打ち合わせ会を開催いたしまして、準備作業を急ぐように指示をいたしたわけであります。  それから、並行いたしまして、七月から十月にかけまして各中央卸売市場の開設者から業務規程の改正についてのヒヤリングを行ないまして、十月十九日東京都中央卸売市場条例が成立を見ております。それから、大阪市につきましては十月の二十六日でございますが、大阪市中央卸売市場業務条例が成立を見たところでございます。なお、京都市につきまして本十一月二日でございますが、同じく条例の成立を見ております。そこで現在、これらの残りました各中央卸売市場につきましての業務規程等の作成を強力に指導をいたしまして、着々と準備を整えまして、一刻も早く新法、卸売市場法によります市場運営ができますようにいたしたいと存じておりますが、現在の制度の活用によりましても市場運営の適正化ということができる部面も多うございますので、これらにつきましても開設者会議等を通じまして十分指導をいたしておるところでございます。
  95. 田中恒利

    田中(恒)委員 四月に法律ができて七月一日に施行があって、現在まだ新法に基づく業務運営が市場でなされていないわけでしょう。できておるのは東京ですか、中央卸売市場は二十八ありますが、ほとんどこれはなされていない。これはいつからやるのですか。
  96. 下浦静平

    ○下浦説明員 各地方公共団体の議会等の関係もございますことと存じますけれども、できるだけ年末までには準備を整えまして、年末年始取引には間に合わしたいと考えております。
  97. 田中恒利

    田中(恒)委員 大体来年の一月一日からということだと思いますが、そこですよ。一年まではたたないけれども、約一年かかるわけですね。物価問題というのは、そういう形で、そのうち局面が変わってきて、何だか野菜が高くなったり下がったり、そういうときになってくるとばあっと言うのですが、あとは何か途切れてしまう。そういうことがいつの間にか物価に対する国民の不満を何か蓄積させてしまっておるわけです。私は、いまこの間改正になった中央卸売市場法そのものが今日の物価問題にすみやかに対応するような条件になっているとは思いませんよ、多少前進でしょうけれども。しかし、それにしても八カ月以上かからなければ市場が動かぬというようなことじゃ、これはもうどうにもならないわけですよ。こういう点をもっと敏速にやっていただかなければいけない。  それから、卸売市場法に基づく――いま長官も言われましたが、問題は、適正な市場配置というものをやっていくということがあの法改正の一つの大きな柱になっておるわけですね。中央卸売市場をどれだけ置いて卸売市場の整備をどうする、こういうことについてのいわゆる基本的な計画を立てなければいけないことになっているのですが、これはどういう程度進んでおりますか。
  98. 下浦静平

    ○下浦説明員 前段の御指摘でございますが、全く御指摘のとおりと存じておりますので、できるだけ私どももそのつもりでやっておりますので、早い機会に新しい体制に入れるように努力いたしたいと思います。  それから、後段の御質問でございますけれども、新市場法に基づきまして、卸売市場整備基本方針というものを策定をいたすという段階が一つございます。この基本方針に基づきまして、中央卸売市場の整備計画というようなものをつくってまいるということになるわけでございますので、これもただいま作業を急いでおるところでございます。  それから、地方卸売市場につきましては、都道府県条例に基づきまして、各都道府県が農林省と密接な連絡をとりつつ、ただいま申し上げました中央卸売市場との配置との関係等もございますので、鋭意作成中でございます。これらにつきましても、適切な処理につきまして指導をしてまいりたいと存じております。
  99. 田中恒利

    田中(恒)委員 いま問題になっております公設小売市場の問題については、農林省の市場配置計画の中にどのような位置づげになって、この問題については、いま野菜問題でいろいろ検討せられておるようでありますけれども、どの程度この位置づけなりこの役割りを評価しようとしておるのか、この点をちょっとお聞きしてみたいと思います。
  100. 下浦静平

    ○下浦説明員 公設小売市場につきましては、本年から人口二十万人以上の都市に拡大をいたすということにいたしております。それから、本年から公設ばかりでございませんで、民営の市場につきましても助成をいたすということにいたしておりますが、公設小売市場につきましては、消費者に対する利便の提供あるいは適正な競争条件の実現、経営の合理化等による消費者物価の安定という見地もございますし、ただいま御指摘のように、あわせて物的流通の合理化に資するという面もございますので、中央卸売市場の配置との関連につきましても、十分その点の連携といいますか、そういう点は考えてまいりたいと思います。
  101. 田中恒利

    田中(恒)委員 これもさっきの通産省と同じような感触を持つわけですけれども、私なんか前から、市場流通についてはいまの卸売市場流通、中央卸売市場を中心とした流通、この体系にはなかなか根の深いものがあって、もちろん変えるべきことは変えなければいけないけれども、そう簡単にいかない。生鮮食料品行政だって、この卸売市場との関係が長い間積み重ねられておる。だから、むしろ卸売市場なり中央卸売市場を改革するためには、市場外流通というものを思い切って新しく打ち出すべきだ、こういう主張をしてきた一人であります。その面については、最近やっとその重要性を認めて多少顔を見せ始めてきておりますけれども、市場流通も、この際小売市場といったようなものについても本格的に農林省は取り組んでみる必要があるし、それから市場外流通としての産地直結の問題、生協の育成ですね、こういう新しい問題に取り組んで、そういう側面から中央卸売市場の改革をやっていく、こういう形のほうが勝負は早いのじゃないか、こういう気がしておるわけです。そういう点についてもう少し前進的な姿勢を示すべきだ思うのですが、そういう検討は、野菜問題を中心にしてなされておるかどうか、重ねて担当の方から聞きたいと思うのです。
  102. 大河原太一郎

    ○大河原政府委員 お答え申し上げます。  先生のお話のとおりでございまして、生鮮食料品の特性なり、わが国の生産なり消費の体系から申しまして、中央卸売市場が生鮮食料品のメーンルートであるということは当面否定できないわけでございまして、それなりの改善、合理化という点については必要かと思うわけでございますが、一方におきましては、やはり一つのルートでございますといろいろ硬直化して、これが物価問題その他について非常な問題を起こすという面もございますので、流通の領域にできるだけ競争原理を導入いたしまして、それによって全体の流通の体系が合理化できるというような前向きの方向で考えなければならないというふうに、基本的には思っておるわけでございます。   〔委員長退席、武部委員長代理着席〕  特に今回、先生、先ほど行政の介入程度いかんというようなことについて御指摘がございましたが、生鮮食料品のうちで最もむずかしい野菜について需給調整の目的を達しながら、しかも実効をあげるためにはどうであるかという点について、ただいまその介入の方式なり程度というものについて鋭意検討中でございますが、国がある程度の施策を持ちました野菜の特定のもの等については、その流通におきましても、単純な市場の商業機能にだけまかせるわけではなくて、従来のもろもろの、消費者物価安定の視点からの価格形成なり物の流れが必要であるんじゃないかというように考えておるわけでございます。その意味におきまして、お話がございました各種の直結的なものについても、これはもちろん直結に伴ういろいろな問題があります。恒常的に、しかも多品目について実際の消費者の利便に恒常的にかなうような産地直結取引については、今後もいろいろむずかしい問題がございますけれども、やはりこれについては積極的な評価をいたしまして、野菜等に対する行政の強化というものと表裏した対策についてつとめてまいりたいというふうに考えております。
  103. 田中恒利

    田中(恒)委員 そこで、従来生産の段階では、指定産地、それから価格補てん事業、こういうものが、形だけですけれどもあるわけです。多少これを充実しようとせられておるわけですけれども、こういうものを根幹に置いて、こういうものを中心にして、これらの野菜についての流通の流れ、消費者のところまで届く流れは、一貫して、さっき話にちょっと出ておりました、たとえば公設小売市場といったようなところへそれを流して、その支持価格といったようなもので取引をさせて、最低価格、そしてそういうものについての価格差補給金というものを変動のひどい場合にはやっていく、こういう一貫した野菜の生産体制を基盤に置いて、流通と消費の段階まで食い込ませていく。十数品目の指定産地を持っておりますね、こういうものをそういう形で整理をしていくという方向に立っておるかどうか。それともこま切れで、生産、流通、消費、それぞればらばらでこの野菜対策というのは考えられておるのか、この点はどうですか。
  104. 大河原太一郎

    ○大河原政府委員 まだ具体的な結論が出ておりませんので、具体的にお答えできぬのは残念でございますが、特に重要な秋冬期の野菜等につきましては、四十一年以来積み上げてまいりました指定産地制度を一そう強化して、生産の段階からまた需給調整上国が施策を施し、そこで生産されました野菜等につきましては一定の、ただいま先生から一つの御提言がございましたが、とにかく安定した価格消費者に渡るというような点につきまして、その方式その他につきましてただいま検討中でございまして、単にそれぞれの部分的な施策ということにとらわれず、生産、流通、消費を通ずる一貫した流れの中で施策を充実いたしたいというふうに考えております。
  105. 田中恒利

    田中(恒)委員 そのことについて関連してちょっとお聞きしておきますけれども、いま野菜生産出荷安定法に基づいて指定産地をやって、十三品目の品目については、指定市場に対する出荷の需給計画というのを農林省のほうで指導しておつくりになっておりますね。こういう需給操作の対策というのは、今日具体的にどういうことをやっておるのですか。
  106. 関谷俊作

    ○関谷説明員 いまの指定産地の制度のねらいは、先生のお話がございましたように、指定消費地域への供給を安定的に確保するということでございまして、ただいまお尋ねのございました需給の調整の問題につきましては、指定産地の段階とそれから都道府県の段階それから各消費地域ごとの段階、三段階ございますけれども、生産出荷協議会というものを設置してございまして、この協議会で、各指定消費地域ごとに、指定産地から時期ごとにどれだけの出荷量を確保し得るかという、生産とつながりました出荷計画を策定いたしまして、その出荷計画に従った出荷を確保するということで、需給の調整をはかっております。  また、価格補てん事業につきましては、この出荷計画に乗りまして、計画に従って出荷をしたものについて、価格の補てんの上におきましても特別な扱いをするということを、今年度から始めたわけでございます。
  107. 田中恒利

    田中(恒)委員 生産出荷協議会、これは一年のうち何回開かれておるのですか。
  108. 関谷俊作

    ○関谷説明員 品目ごとにいろいろ数はございますけれども考え方としましては作付前に一回、それから出荷の期間中に一回、それから大体出荷が終わります時期に一回という、三回をたてまえにして実施しておりますけれども、品目ごとに秋冬期の野菜あるいは夏野菜と重複をいたしますので、各品目につきましては、一回の範囲で各品目をまとめて計画を立てる、あるいは作付計画を協議するということを実施しております。
  109. 田中恒利

    田中(恒)委員 だから、この生産出荷協議会というのは大体年に二回、多いので三回開かれておるということですね。そして、これは開かれっぱなしであって、それの実績はどういうふうになったのか、その辺の検討はいままで全然なされていないですね。だから、各県で指定野菜の出荷を月々に計画をする、これは相当いろいろな作業がありますが、それを相当積み上げて、そして集約した会合を持ち、これだけの物が東京の神田なら神田に行きますよということを農林省は言っておるが、それがほとんど合わないのですね。大体二割か三割いつも違っておるわけですね。あとそれがどういう結果になったかという実績検討というものも全然なされていないのですね。そういうところにやはりこの野菜の生産、出荷の需給調整というものがきわめて不完全だ、こういう問題が私はあると思うのですね。だから、この生産の段階でもそういう状態ですからね、流通なり消費なりというところまで突き進んで、一貫した体制を持つべきだとわれわれは言っておるのですが、いまの農林省のこの体制では、これもきわめて不十分な状態にあると思うのですね。だから、よほどこの野菜問題については、まあやかましく言うことはいつも言っておるわけですけれども、実態はほとんどいままで動いていないということのようです。最近たいへん熱心に夜おそくまでいろいろ検討をやっておられるようですけれども、そういうことで追いつくような程度であるかどうか。私どもは、なおこれらの問題についてちゃんとしてもらわなければいけないと思うのですね。あるいは指定産地というのもありますが、指定産地なんかも、行管の指摘を見ると、たいへん実情に合わないものがたくさん出ておるわけですね。こういうものの取り扱いを今後どうするわけですか。
  110. 関谷俊作

    ○関谷説明員 お尋ねのございました第一点の出荷計画と実績との関係でございますが、これにつきましては、いままでは作付の状況なりその後の生育状況の変動によりまして、計画と実績との違いが残念ながら非常に大きいという事態もかなりございまして、こういう事態を解決するということで、今年の秋冬期の大根、白菜、キャベツという三品目につきましては、出荷計画と実績との具体的な突合をやろうということにいたしまして、出荷計画と実績との差が比較的大きくならざるを得ない野菜のことでございますので、われわれの考えでは、一〇%程度の範囲内で計画と実績との差がおさまった、こういうような生産者団体につきましては、価格補てん事業の面で補てん割合を、従来八割ということになっておりましたのを九割に高めるというようなことを通じまして、出荷計画をつくりっぱなしにしないように、こういうことを実施しておるわけでございます。まあ、今後ともこういう形で出荷計画と実績との突合をやりまして、また、この次の作付の時期から一そう出荷の計画化を進めるというような方向で対策を検討しておるわけでございます。  それから、第二点の指定産地の実態と申しますか、指定産地の要件の問題でございまして、これにつきましては、本年五月に行政管理庁から、要件を具備していない産地が非常に多いという勧告がございまして、実はその後その対策を検討いたしまして、本年十月に指定産地の総合的点検の調査をするという実施要領を県及び産地に通達をして、その調査を実施しております。  そのやり方につきましては、指定産地現在六百四十ございますが、その中で一応生産出荷近代化事業の完了しました三百産地につきまして、まずその指定産地としての要件を具備しておるかどうか、また具備していないとすればその対策はどう考えるべきかという調査をいたしまして、私どもの目途としましては、今年度中来年三月までに、この三百産地につきましてはこの要件を洗い直し、これに伴いまして、とうてい指定産地としては今後発展の見込みがないというものはやむを得ず解除というような措置もいたさなければなりませんし、また、その結果を通じまして、たとえば集荷、出荷施設の整備なり生産過程の強化ということで、指定産地としていわば立ち直れるというものについては、四十七年度予算以降で一種のてこ入れをやるための育成事業を計画いたしておるわけでございます。
  111. 田中恒利

    田中(恒)委員 私は、この生産の問題はたくさんありますけれども、いずれまた別な機会にこまかいことは御質問いたしますが、ともかくこの条件が整えば、いまのような指定産地をこさえられたけれども実際は有名無実で、補助金だけもらって多少何か施設等が、機械ができたということで終わってしまっておるところが相当ある、こういうものはなくなると思うのです。おくれておる分野が、放置をされておる分野があるからこういうことになるわけでありますから、その辺もっと力を入れていただかなければいけないと思うのです。  なお、いま一つ、この物価安定政策会議の提言の中に、卸売り業者に需給調整機能を持たせる、こういう新しい考え方が出ておるわけですが、これは市場そのものに需給調整機能をどう持たすかということをさらに一歩を進めて、卸売り業者に需給調整機能を持たせるということが出ておるわけでありますが、この問題についてのお考え、特にこの市場手数料の問題、これは最近、生鮮食料品を中心にして物価が上がって、消費者はたいへん困っておりますけれども、市場のほうは逆に取り扱い高がふえて、むしろ荷受け会社の収益というのが増大をしておるわけであります。何だかこの辺は非常に矛盾なわけでございますが、この定率手数料を重ねて再検討をしてみる必要があると私は思うのでありますが、その内容についてはいろいろ意見がありますけれども、これらのことについて内部的に御相談が進んでおるかどうか。これは進めなければいけないと思うのですが、どうでしょうか。
  112. 下浦静平

    ○下浦説明員 前段の御質問でございますが、市場におきますところの需給調整機能の問題でございます。これはいろいろ考え方が段階に応じましてあろうかと存じますが、一つは、さきに野菜課長のほうから答弁がございました生産出荷協議会でございますが、これにも市場の卸売り人が参加をいたしておるという現状でございますけれども、この参加のしかた等につきましては、なおもう少し入荷計画等に即したものにしてみたらどうかというような意見もございますので、その点は十分今後とも検討をいたしてまいりたいというふうに思います。  それから、市場の中での問題でございますけれども、これは先般改正を見ました新市場法によりまして、予約相対販売買い付け等の問題がルール化されたというようなことでございまして、そういったような新しいあり方等によりましてもこの日々の価格変動を防止するといいますか、安定をせしめるというふうなファクターともなし得るというようなことでございますので、なおその辺につきましても適切な指導をいたしてまいりたいと考えております。なお、卸売り人の段階で純粋な意味の需給調整と申しますか、ストックポイント等を消費地に持ったらどうかというような御意見もあるようでございますが、その辺につきましても今後十分検討をいたしてまいりたいというふうに思います。  それから、後段の手数料の問題でございますが、これは先生よく御承知のとおりでございまして、これは出荷者側からの販売委託によりまして、その取引によって形成されました卸売り価格から所定の卸売り手数料を差し引いたものを生産者に払うということになっておるわけであります。したがいまして、この限りにおきましては、卸売り価格は卸売り手数料を控除する以前で形成されることになりますので、手数料の法定につきましては、卸売り業者と生産者との間におきまする販売費用の分配の問題ということになりまして、直接卸売市場価格消費者物価影響するものではないということになるわけでございます。しかしながら、卸売り手数料の仕組みの改定の問題につきましては、ただいま御指摘がございましたように、卸売市場におきまする計画的な集荷あるいは安定的な取引の推進等の促進にもなるというぐあいにも考えられますので、出荷奨励金等も含めまして卸売り業者の収益動向、出荷奨励金制度の効果等を勘案の上、総合的に検討を進めてまいりたいと思います。
  113. 田中恒利

    田中(恒)委員 私は、手数料が消費者物価影響がないと言われたわけですけれども、これは必ずしも金額が八・五%で、全体の流通経費の中で手数料が占めている比重というのはそれほど大きくないから影響がないんだというようなことでなくて、手数料を中心として荷受け会社なるものが需給調整の機能を果たしていく。たくさん集めたり少なくしたり、少なくすれば高く値が上がっていく、そういう機能が心配をされていくから、今度の物価安定政策会議で手数料という問題について相当重視した見解を出しておるわけですね。その点が一つと、それからさらに、実際に手数料というのは法定手数料のほかに産地歩戻し金であるとか出荷奨励金であるとか、いろいろなプラスアルファが市場の中でついておるわけですね。   〔武部委員長代理退席、委員長着席〕 こういうものを洗い出していくと、最も合理的な手数料の料率なり仕組みというもの、特に需給調整というものを、もし荷受け会社というものにある程度機能させるとすれば、手数料の上げ下げでもって需給調整ができるという考えは一つの考えだと思うのです。これにはいろいろ問題がありますよ。ありますけれども、そういう意味も含めて私どもは卸売市場法改正のときに手数料の問題は相当議論したのですが、変えなかったのですけれども、私はやはり消費者物価の安定という観点に立っても、この中央卸売市場の手数料というものについてはもう一ぺん洗ってみる必要があると思うのです。私はこまかく、この問題についてみっちり一ぺんやってみたいと思っておりますけれども、そういう意味で意見を申し上げたわけでございますので、その観点でひとつまた検討していただきたいと思うのです。  時間が参りましたので、最後に長官にお尋ねをしておきますが、特に物価安定政策会議が当面経済企画庁としては所管をしなければいけないわけでありますが、御承知のように、緊急提言事項をやりましたが、これらはもう数度にわたってなされておるわけであります。そこで、特に今回は緊急提言という形で幾つかの項目が出されておるわけでありますが、これらのそれぞれの項目については、いずれも今日当面しております野菜価格安定のためのとるべき措置であると思うのであります。しかし、一斉にとるかどうかいろいろ問題があると思うのですが、この中から何かとっていただきたいと思うのです。私は、特に年末年始の野菜の価格対策というものを早急に確立をしておかなければいけない。この提言には明確に載っておりませんけれども、伝え聞くところによると、たとえば遠隔地の蔬菜の輸送費といったようなものについては本年度予算の予備費の中から流用して一部補助をやるべきだ、こういうことがこの検討の中では内部的に一致した見解として出されておる、こういうことも聞いておるわけでありますが、こういう問題は、これは野菜問題に取り組むにあたって、特に経済企画庁長官の政策判断として具体的に明確に打ち出していただきますと、そのこと一つで野菜問題に対する政府姿勢というものが出てくるわけですよ。だから、せっかくこういうものが出たのですから、全部やれといってもなかなかできないと思います。できないと思いますけれども、この中でできることを二つ、三つまずやっていただく。  私なんかは当面年末年始の野菜対策、特に野菜の輸送費の補助という問題は、これからの野菜の生産対策、流通対策を考える場合に、当然政策的に考えて出てくる問題だと思うのです。御承知のように、産地の再編成というか振興産地をつくらないでいまのように重点的にやったら、災害等で一発でやられる。そこでばっと上がってくるということになりますから、しかも労働力等の問題で、だんだん遠隔地へずっと野菜地帯はいっておるわけでありますから、そういうことからコストがかかってくる。その分だけ消費者にかかるわけであります。この分だけでもせめて持つ、こういう姿勢になれば、それが一つのきっかけになると思うのです。この点については特に御要望申し上げておきたいと思いますが、なお、この緊急提言についてできることから、まず当面の年末年始の野菜対策の一つ、二つをものにしていく、こういう気持ちで当たっていただきたいと思います。そのことについての長官の御決意をこの際お聞きをいたして、私の質問を終わりたいと思います。
  114. 木村俊夫

    木村国務大臣 緊急提言の中で、必ずしもすぐできないものもございます。特に年末年始を控えまして、まず一つは、先ほどちょっとお話がありましたとおり、卸売市場法の改正に伴いまして、またどうも府県で、これは都道府県でやるわけでございますが、地方議会でまだ業務規程をやっていないところもあります。東京都は十月十九日ですか、もうすでにそれの規程ができましたが、その他の府県ではまだできていない、これをひとつ農林省行政指導を強めていただく、早くやっていただく。そうしますと、その中にあります年末年始の取引というものができますから、それによって年末年始の野菜価格にもある効果を与えるのではないか。  第二は、いま御指摘のような年末年始に際して何か緊急措置をとるということが、野菜の価格に対する非常に速急的な効果がある、こういう面、私も同感でございます。したがいまして、緊急提言にあるような遠隔地からの野菜供給に対する輸送費の補助、これはぜひひとつ農林省とよく話を詰めまして、大蔵大臣にも話を持っていきたいと考えておるところでございます。
  115. 小林進

    小林委員長 渡部通子君。
  116. 渡部通子

    ○渡部(通)委員 ただいま野菜の問題がだいぶ出ましたけれども、私も生鮮食料品のことについて、時節がら値上げのときでございますので、若干質問をしたいと思います。  とにかく、最近物価値上がりというものは御承知のとおりでございまして、私なども物価委員会にいるということを皆さんお話しするのが恥ずかしいくらいで、この何ら国会がやってくれないということが政治不信、そっちへつながっていくような大問題であるという認識に立たなければならないと思います。いつも政府生鮮食料品値上がりというものが物価高の主犯であるというような見解をお持ちのようでございますけれども、主犯なら主犯らしい対策も立ててもらわなくてはならないのじゃなかろうか。いまだいぶ議論も承りましたけれども、確かに、一つでも二つでもいいから実行してほしい、これが切なる願いでございます。むしろ怒りに似たものでございます。そういう国民の要望にこたえて、一つでも二つでもいいから、当面の問題についてこういうことをやりたい、あるいは見通し等について答えてほしいというのが、私の質問の意図でございます。別に新しいことでも何でもなくして、もうすでに言い尽くされた議論でございます。そういう中から一つでも二つでも実行してほしいというのが質問趣旨であるということを、最初に申し上げたいと思います。  この間、一昨日かの新聞にも出ておりましたけれども、野菜がデパートの目玉商品になるというような御時世でございます。ただでさえ、投機商品に台所の食品が使われるということは、もってのほかだと思うのです。こういうことに行政介入をやらないなら、やらないほうがおかしいのではないか、こういう気がいたします。先月の十七日の朝日新聞でございますが、これにイカの買い占めの記事が出ておりました。イカ成金が続出しておるという記事でございましたが、春まで待てば三倍になるというこの事実について、農林当局はどういうふうに承知をしておられるか、この点をまず伺っておきます。
  117. 田中慶二

    田中説明員 イカの問題でございますが、イカはここ最近非常に不漁でございまして、四十三年におきましては七十七万トン程度とれたわけでございますけれども、四十五年、昨年では五十一万トン程度でございます。これが本年はさらにこれよりも下回るのではないかというふうなことで、イカの価格は非常に上昇をいたしておりまして、四十三年当時で産地におきます価格がキロあたり五十四円が四十五年百十二円というようになっておりまして、最近におきましては二、三百円というふうな状況になっておるわけでございます。  そういうように不漁でございまして、単に生鮮食料のみならず、加工用でございますとかあるいはまた飼料用、これはマグロのはえなわ漁業をやる場合のえさでございますが、そういう飼料用等とともに確保にいろいろ苦労いたしておりまして、そのために最近非常に価格値上がりしております。したがいまして、最近におきましては産地における価格が、そういうほかの加工用ないしは飼料用の用途等の関係もございまして、消費地の価格と大体同じくらいな価格、浜においてそういう価格が出てくるというふうなこと等もございます。  しかも一方におきまして、イカは大体五〇%程度が、水揚げ地で冷凍向けに回されるということになっております。そういうことでございますので、生産地におきまして水揚げ量の半量程度が直ちに冷蔵庫に入るということになりますが、それを一がいに今後の価格値上がりを見通して貯蔵をするというふうにきめつけるわけにはまいらぬのではないかというふうに、私どもとしては考えておるわけでございます。
  118. 渡部通子

    ○渡部(通)委員 ただいまの御答弁ですと、冷凍庫のほうにたくさん入るから、それが必ずしも投機に使われるものではない、イカというものは五割以上貯蔵すべき性質のものなんだという御答弁でございました。そうすると、新聞報道にあがっているような、そういう事実は考えられないというような御見解でございますか。
  119. 小林進

    小林委員長 質問に明確に答えてください。
  120. 田中慶二

    田中説明員 ただいまも申し上げましたように、イカにつきましては、産地におきまして大体五〇%程度冷凍用に回るということになっておりますが、従来イカは方々でとれたわけでございます。八戸あたりが中心でございましたのが、最近におきましては日本海のほうで、大和堆あたりを中心にしてイカがとれておる。境港の場合におきましては、そういう大和堆付近でとれましたイカを扱っておるわけでございます。それで、境港におきましてもかなりの冷凍品があるということは、私どもとしても承知をいたしておりますが、その量がどの程度でありますかは、現在のところ私どもとしてははっきり存じておらないところでございますが、かなりのものが冷凍されておる。しかもイカは、最近におきましていわゆる盛漁時を過ぎかかりつつあるところでございます。そういうために、最近におきましてはかなりのものが冷凍庫に回されるというふうなことでございます。
  121. 渡部通子

    ○渡部(通)委員 質問に答えてくださってないのです。そういう投機商品として冷凍庫に入るということは考えられない、水産庁はそういう御見解ですかということを聞いているのです。
  122. 小林進

    小林委員長 どこに魚があるかということを聞いているのではないのですから、質問にきちっと答えてください。
  123. 田中慶二

    田中説明員 ただいまの御質問でございますが、通常の形でそういう冷凍に回るということは、これは先ほども申し上げましたように、イカが水揚げされますとかなりのものが冷凍庫で保管をされるということになっておりますので、それが投機目当てであるかどうかということは、なかなか判断がむずかしいわけでございます。と申しますのは、いまいわゆる盛漁時を過ぎました。今後のたとえば加工用でございますとかえさ用でございますとか、そういうものは一年を通じて原料なりえさとして必要なわけでございまして、これは冷凍として保管をしていかなければならないということでございますから、これが先高を見通して保管をしたのか、今後安定的な供給をするということで保管をしているのか、そこのところは一がいになかなかきめつけるということは申し上げにくいところであるということを申し上げたのでございます。
  124. 渡部通子

    ○渡部(通)委員 そういう御認識でいらっしゃるから物価行政なんかできないんですよ。  これは新聞報道ですけれど、新聞が先走って書いたといってしまえばそれまでですけれども新聞記者の人に聞いていただければわかるのですけれども、「春まで待てば三倍さ」それで、もうけるのは商人のつとめじゃけん、あたりまえでしょう、こういうような記事が出ているわけです。そして、国民としては全くうなづける話なんですね。最近輸入で安くなるだろうというものも、やはり流通段階で吸収をされてしまう、あるいはいろいろな意味で買い占め業者が動いていることは、むしろ国民感覚のほうがよくわかっているわけです。だから、こういう新聞記事でもなるほどと受け入れているわけです。それが庶民の物価に対するいまの感じです。それに対して担当のお役所はいつまでもそういう――一体、どっち側に立ってこの消費者行政というものにあたって施策を少しでもやろうとしてくだすっているのかどうか、その点、いまの御答弁の突っ張りを見てみますと、私ははなからこれじゃどうしようもならぬ、こういう感じを受けるのです。  企画庁長官がいらっしゃるので伺いたいのですが、いまのやりとりをお聞きくだすっておりまして、この朝日新聞の記事でございますけれども国民が流通段階で最も不信を抱いているこういうもの、それに対する担当官庁の認識、それについて企画庁長官の御所見を伺いたい。
  125. 木村俊夫

    木村国務大臣 ただいま水産庁の漁政部長が非常に慎重な言い方をしておったようでございます。したがって、いまの加工用に回すもの、あるいは将来供給不足になったときにそれを売り出すというような善意の目的であれば、確かにそれはうなづけると思いますが、その記事に関する限りは、どうも善意の目的じゃないようです。必ずこれは騰貴をするであろうということが相当にあらわれております。  そういう面から見ますと、いまの魚介類に対する生鮮食料行政というもののあり方も問題になってくると思いますが、ただ、いまの自由市場経済の仕組みの中では、水産庁自身がそれを強制的に売らせる権限を持っておりません。したがいまして、その投機の目的をくじくためには、やはり供給というものを増加させなければならない。これはどういう方法かといいますと、水産庁自身がみずから漁獲をするわけにもまいりませんから、やはり輸入その他によってそういう投機の意図を挫折せしめるという行政指導がどうしても必要になってくる。その点について、私は実はまだ確信がございませんが、水産庁がそこまでやれるような行政の仕組みになっておるのか、あるいはまたそれをやったときにどの程度の効果があるのか、これは水産庁自身が一番よくわかっていることと思います。  とにかく経済企画庁としては、そういう面からいって、国民感情もございますから、そういう面でもう少し積極的にそういう問題と取り組むような姿勢をとっていただきたい、こういう感じを率直に申し上げておきます。
  126. 渡部通子

    ○渡部(通)委員 私、いま買い占め業者の問題を出しましたのは、流通段階で少しでも安くならないかということを希望したからなんです。先ほどお話にもありましたように、確かにいまとれなくなっているから非常に値上がりをするのだ、それはよくわかります。それに対しての努力を払っていただいていることもわかるのですけれども、必ずしもそれだけではない。むしろ国民は、とれないから高くなったというのならそれはがまんをすると思うのです。ですけれども、それが流通段階でわからないというところ、そこで高くなっているのではないかという不信、そういったものについて一つでも明らかにしたいと思うわけです。  そこで、農林省からいただきました資料で、たとえばサバによって調べてみたのですけれども、大体産地のお値段から消費小売り価格になるときにどのくらいの価格になるかということを若干調べてみました。ことしの七月を例にとりますと、サバについては決してとれないという理由はないと思うのですが、産地価格が安いということでは、七月が百グラム大体二円八十銭になっているようです。それが小売り価格になりますと二十一円二十銭です。これは総理府の東京の平均でございます。こうなってみますと、やはり流通段階で約七倍になっているということが言えるわけですね。そうすると、サバに限ってはとれないから高いという理由は成り立たないと思うのです。  もう一つ例をとってみますと、アジです。アジも農林省のいただいた資料によりますと、五月、六月、七月と、八十三の漁港における値段平均ですから大体日本の平均だと思うのですが、産地で百グラムが五月が五円六十銭、六月が六円三十銭、七月が若干上がって八円六十銭、こうなっております。ところが、東京の小売り値段平均になりますと、百グラム当たり五月が四十三円五十銭、六月が五十二円八十銭、七月が六十七円五十銭、こういう計算になってくるのです。そういたしますと、やはりアジについても八倍、七月等は八倍強ですね。それが流通段階で小売りになるまでに上がっているという計算になります。  だから、必ずしも魚がとれなくなってきたから高いのだということだけでは片づけられないのではないかと思うのですが、その点、この七、八倍に上がる大衆魚に対する流通経費というものをどう認識され、また対策をお立てになっていらっしゃるかどうか。何とか安くなる方法が若干でも見出せるものなのか、それを伺いたいと思うのです。
  127. 田中慶二

    田中説明員 サバのお話でございますが、先ほどお話のございましたような価格になっておるわけでございますが、これにつきましては、サバは現在量は非常にたくさんとれておるわけでございます。しかしながら、問題は、サバの魚体組成といいますか、大中小の割合が四十三年から非常に変わってまいりまして、たとえば四十三年でございますと、これは八戸外産地十四港の調査でございますが、いわゆる大という五百グラム以上のものが九月では七七%、十月では九七%というような割合を占めておったわけでございますが、四十六年、ことしの九月を見ますと、大きいのが三%、それから十月では八%というふうなことになっておるわけでございます。  したがいまして、産地におきまして大きいもの、小さいもの、これを水揚げして込みでせり落としをされるわけであります。そして、それを買いましたいわゆる産地仲買い人あるいは加工業者等がそれを選別いたしまして、わりあい型のそろった大中というようなものを東京その他消費地の市場へ出してまいるということでございまして、小さいほうの魚はいわゆるえさ用、あるいはその中で少し型がよくて何とかできるものはかん詰め等の加工原料用というほうに振り向けられまして、いわゆる産地の価格はその込みの価格でございますが、それが産地において大きいもの、また型のそろったものと小さいものというふうに分けられまして、その大中というようなものが消費地に行って、消費地ではそういうふうな形の魚で値段がつく。その点で、消費地の市場におきます価格と産地におきます価格とにかなりの差がございますのは、どうしても魚が選別前の価格でせり落とされておるというようなことが原因になっているわけでございます。
  128. 渡部通子

    ○渡部(通)委員 それは、原因を伺わせてくださった。私、それを何とかもう少し引き下げる方向の対応策はないか、この点をお伺いします。
  129. 田中慶二

    田中説明員 なかなか魚は、いわゆる生鮮ものということをいわれておりまして、生産の流通経路というものに改善を加えるという点に非常にむずかしい面があるわけでございますけれども、私どもといたしましても、何とかその辺のところを改善をしていきたいということで、一つの試みといたしまして、全漁連を中心といたします生産者団体に補助をいたしまして、豊漁のときにサバ等のそういうわりあい安くなっている魚を買い上げまして、それを冷凍して保管をしまして、魚の漁の薄いときにそれを放出をするという、流通改善事業というのを現在、昨年から実施をいたしております。そしてまた今後も、そういう点につきましても、従来の流通経路を別にして国民全体に及ぼしていくことはなかなかむずかしいのでありますけれども、私どもといたしましては、できるだけそういうものを拡大していくというふうなことで考えております。  そのほかまた、昨年はサバでございましたが、ことしはさらにふやしまして、マグロ等につきましても、生産者があれを冷凍のままでたんざく形のブロックにいたしまして、それをコンシューマーパックいたしまして、これが団地等の生協等で直接に売れないかというようなことで、いまその事業が実行の段階にかかっておりまして、一部にはそういう点で売ったところもございますが、今後もそういうものをだんだん広げてやってみるというふうなことを進めてまいりたい、来年度におきましてはさらにその量をふやしていきたいというふうなことを考えておるわけでございます。
  130. 渡部通子

    ○渡部(通)委員 どうも私、産地から消費者に渡るときに七、八倍にもなる、それは選別前のせりだからいたしかたないんだという御理由でございました。それならば、私たち買う主婦の気持ちとしてみれば、小さい魚がまじったってちっともかまわないと思います。消費者の立場に立てば、それが高級魚として一流のところで使うのは別として、ほんとうに毎日夕食に使うというような場合のものは、産地のまま、まじっていてもかまわない、それでも安ければいいよというのが主婦の気持ちだと思うのです。ですから、それを唯一の理由におあげになるんでしたらば、これは全くしろうと考えだけれども、小さいのがまじったものでも安いのならありがたいよという消費者の側に立って、そういう面の改革の方途は出ないものか。この七、八倍を何とか五、六倍にでも薄める道はないのか。いま流通機構の改善というお話がございましたけれども、これはもう何回も聞き飽きた議論でございまして、いま私が言いたいのは、早急に、一つでも具体的にこういった点を改革して、多少なりともこの幅を狭めますという御回答、見通しはないか。なければないでけっこうです。
  131. 小林進

    小林委員長 なお、委員長からもお尋ねしますけれども、大きなものから選別して、大きなものばかりだから高いとおっしゃるけれども、小さいものも、こちらに来た場合に高くなっているじゃありませんか。お答えください。
  132. 田中慶二

    田中説明員 小さな魚は、これは産地でも安いわけでございますが、そういう点で、私どもといたしましては関係の方々等に、そういう安いものが何とか東京等消費地のほうに流れるようにということを要請をいたしておるわけでございますが、しかし、これもいろいろ実情を聞いてまいりますと、その荷受けのほうにおいては、これは仲買いさんがなかなかそれほど引き取ってくれない、引っぱってきてもなかなか引き取ってくれない。仲買いのほうは、それは小売りが引き取ってくれないんだ、買ってくれないんだ。小売りのほうになりますと、これは消費者になかなかお買い上げいただけないということを言っておるわけでございます。そしてまた、先ほどの生産者団体がサバを冷凍にしましてそれを安く放出をしておるわけでございますけれども、これ等も、先月に各小売り業者に直接お願いをしまして、一日でございましたけれども、そういうのを原価で売っていただいたわけでございますけれども、小売り業者お話によりますと、それがやはり売れ残るという話をされてくるわけでございます。そして、小売り業者お話なんかを聞きますと、むしろ高いほうの魚から売れていくんだというふうなことを申されるわけであります。私どもは何もそれのみを信用をするわけではございませんけれども、そういうふうな事情もあるいはあるのではないかということを考えるわけでございます。ただ、私どもといたしましては、そういうふうに比較的小さな魚は安いんだから、安いものをひとつ消費者の方々に提供するように、絶えず関係の皆さまにお願いをしておるわけでございますけれども、やはりどうしても小さなものの入荷量はそうふえないというのが実態でございます。  そういうことでございますので、私どもとしては、従来の流通経路のほかに、できれば産地直結というふうな試みもいたしまして、先ほども申し上げましたような、生産者団体によって直接小売り店あるいはまた生協のそういう売店というものを通じて売っていくというふうなことの試みも、今後増大をしていきたいというふうに考えているわけでございます。
  133. 渡部通子

    ○渡部(通)委員 いろいろ伺っていると、漁業組合の代表か何かがお話ししているような始末です。やっぱり流通機構は、確かに私たちが行ってもそうなんです。小売りに聞けば、小売りはもうかっておらぬと言うし、生産者に聞けば、おれたちじゃないと言うし、物価高に主犯がないといわれる、これですね。だから、それを一々聞いて回っているのではお役所の仕事にはならぬと思うのです。  それで、長官が、行政介入をやると、思い切ってやると、先ほどもここでおっしゃったばかりです。そういう問題に対してほんとうに思い切って行政介入を消費者の側に立ってやるという、そういう一つ姿勢ができなければ、これはいつまでたっても堂々めぐりで、いつも消費者は泣かされっぱなしです。購買態度が悪いからというところへツケが回されたのでは、私は、これは日本のお役所の一番悪い点だと思います。これを言われちゃったのではかわいそ過ぎると思うのですよ。泣きっつらにハチだということだと思うのです。結局、高い魚が売れるというのは、そのほうが手間賃がいいからなんです。私は、その辺にも市場のメカニズムがあると思います。  その点は次のことにいたしまして、冷凍庫をどんどんつくっていこうという御方針だと思うのですが、この冷凍庫の計画ですね、それに対する補助の問題、それを現状はどういうふうにやっておりましょうか。
  134. 田中慶二

    田中説明員 冷凍庫の設置につきまして国が補助をいたしましたのは、産地における冷蔵庫ということで昭和三十六年度から四十五年度まで、水産物産地流通加工施設建設事業等というふうな項目でもって補助をしておりますが、それの補助対象は漁業協同組合、それと水産物加工組合、いわゆる水産業協同組合の系統に対してだけでございます。そして、それはむしろ生産者側、そういう零細な産地の加工業者の方々が、いわゆる漁況の変動に対処しまして安定的に原料を確保し、あるいは平均的に販売をできるというふうなことをやれるように目ざしてやったものでございます。それから、四十六年度におきましてはこの事業を発展的に解消いたしまして、現在のところは水産物産地流通加工センター形成事業というふうにいたしまして、単に冷蔵庫のみならず、そのほかのいろいろの加工施設を集中いたしまして、合理的な産地の水揚げ水産物の処理センターをつくっていくというふうなことにいたしたわけでございます。
  135. 渡部通子

    ○渡部(通)委員 私、冷凍庫をつくっていくという御計画はたいへんけっこうだと思うのですけれども、これが非常に両刃のやいば的なものになる。先ほど冒頭に申し上げましたように、やはり投機商品として、むしろ値上げの方向へ使われないとも限らないです。そういうものに対する歯どめとか対策とかいうものはお考えになっていらっしゃいますか。
  136. 田中慶二

    田中説明員 お話のとおり、水産物につきましては、私どもとしては、ああいう腐敗しやすいものでございますから、最近発達しました冷凍技術を利用いたしまして、できるだけ安定的な供給ができるようなことを願いまして、先ほど申し上げましたような補助事業を行なっているわけでございます。そしてその対象は、先ほどお話し申し上げましたような水産業協同組合でございますから、そういうような投機を目当てにということにはならないというように考えております。  ただ、そのほかの一般のいわゆる民間で行なっておりますものにつきましては、これはお話のとおり両刃の剣というようなことになる面もあろうかと思いますけれども、魚につきましては一つは生産がコントロールできないということがございます。いろいろ漁況の変動等によりまして、とれないと思うものが急にとれるようになりましたり、あるいはとれると思っていた時期にさっぱりいなくなるというふうなことがございます。そういうふうなことのために、これで投機をするというのは非常にむずかしい話でございます。これからはとれないと思って買い込んでおきましても、別の海域においてその魚がとれるということになれば、これは非常に安くなるわけでございまして、投機に、それは短期的にはそういう目当てを考えている、あるいはそういうことに使う向きもないとは申し上げられませんけれども、これがかなりの期間になりますと非常にむずかしいものではないかというふうに考えております。
  137. 渡部通子

    ○渡部(通)委員 私は、何か歯どめ対策を考えているかと伺ったんです。投機の対象に考えるようなことはないと思うという御認識ですけれども、それは少し甘過ぎると思うんです。いま国が補助した冷凍庫についてはない、民間業者ではあるかもしれない、ここは特に区別はないと思うんですよ。そういうことになれば商売ですからね。どういうことになだれ現象を起こさないとも限りません。そういう意味で冷凍庫をつくるのはたいへんけっこうなんですけれども、そういう面まで考えての対策をお立てかどうか。なければないと言っていただきたいんです。簡単な御答弁でけっこうです。
  138. 田中慶二

    田中説明員 私どもといたしましては、先ほど申し上げましたように、水産物の性格からいたしまして、そういう投機的な対象には非常になりがたいものだというふうに考えておりまして、特にそういうふうな歯どめということについては、従来は手を打っておらないわけでございます。
  139. 渡部通子

    ○渡部(通)委員 現在は全然投機的な冷凍庫の使用は行なわれていないという裏づけをしっかりとお持ちなわけですね。
  140. 田中慶二

    田中説明員 これは、全部がそういうものがないとはちょっと申し上げられないと思います。やはり一部はあると思います。先般の境港のそういう話が出ましたときも、たまたま県の水産担当者を集めまして会議をしておりましたのでございますが、県を通じまして、そういうふうな投機的な扱いというのは現在望ましくないから、そういうものについて十分指導をするようにということを申したわけでございます。今後も投機であるかないかというその見きわめが非常にむずかしいわけでありますけれども、いずれにいたしましても、円滑な供給が行なわれるように、そういうふうな指導を何とか進めてまいりたいというふうに考えております。
  141. 渡部通子

    ○渡部(通)委員 別に歯どめ対策はないということ、なるべくそういうことがないように行政指導を行なっていくという御意見でございますので、私のほうから提案いたしますけれども、もしもそういう投機的なストックが行なわれたような場合ですね、これは実態を調べるのが困難だとおっしゃるかもしれませんけれども最初に申し上げたように、ほんとうの物価対策に取り組むという姿勢ができれば、私はできないことはないと思う。そういう冷蔵庫の使い方があった場合には、当然補助金の返還をさせるべきだ、あるいは出荷命令を出す、あるいはそういう投機的な扱いをした業者の氏名を公表する、こういうような提案については考えられませんか。
  142. 田中慶二

    田中説明員 先ほどからも繰り返しておりますように、投機であるかどうかという見きわめが非常にむずかしい問題でございます。どういうことで明確にそういうことが言えるのかどうかという点も、十分検討してまいらなければならぬと思いますけれども、その点は非常にむずかしい問題でございます。私どももなお検討いたしまして、ただいまのお話のような点も、現在ではこの自由な流通の中におきましてなかなか行政介入ができにくい面もございますが、どういうふうな手段を用いて指導を強化をしていくことができるか、なお検討いたしたいと思います。
  143. 渡部通子

    ○渡部(通)委員 自由経済であるから行政介入ができないというのが、間々かってなときに使われると思うんです。やはり台所商品が、庶民に一番必要な生鮮食料品などが投機商品に使われるかもしれないという御時世です。こういう時世になった以上は、企画庁長官は行政介入を積極的にやると言われておる。自由経済だからやれないというんでは――不況カルテルだって何だって結ばせているんですから、それならばこういう問題も、やはりここにこそ行政介入としての力を発揮していいんではないか、こう思います。それが思い切った方法ではなかろうか。こうでなければほんとうに物価を下げるなんということはできないんじゃないか。そのくらい思い切った姿勢をとらなければ、幾らここで御答弁をなすっても、これは利にさとい商人に日本国じゅう荒し回されてしまう、そういうことになるのじゃないかという気がします。検討してみるという御答弁ですから、それ以上のことは申しません。  野菜についても私、同じようなことがちょっとあるように思います。これもやはり十月三十一日の朝日でございました。「産地に巣食う投機師たち」ということで大きな見出しで記事が出ました。こういったことがやはり庶民にとっては一番怒りの種になっておりますが、その野菜の問題は、いま田中委員のほうから詳しくありましたので、これは若干触れるにとどめますけれども、指定産地の問題ですね。指定産地の問題で、行管から出ましたいろんな勧告が先ほどの御答弁にもございましたけれども、実情に合わない指定産地、先ほど要件を満たさないもので三百三十地区洗い直す、それについて解除も考えていく、そういう御答弁農林省からございましたね。それについて、指定産地の要件ということについて少し伺いたいのです。  行管の勧告を見ますと、甘く見ても四割、それからきびしく見れば六割が要件を満たしていない、こういうお話でございました。要件の中で五十ヘクタール以上という要件がありますね。当然三分の二以上の共同出荷、あるいは出荷量の二分の一を消費地へ出す、こういったことが守られていないという。要件を満たさないというのもあるでしょうけれども、五十ヘクタール以上という指定がはなはだ実情に沿わないということが、この前鳥取へ視察に参りましたときにも出てまいりました。その五十ヘクタール以上という要件についての検討はございますでしょうか。
  144. 関谷俊作

    ○関谷説明員 お答えいたします。  指定産地の要件につきましては、私どものほうでも、四十四年度までに近代化事業を実施しました産地につきまして、一部事例的に調査をしたものがございますが、それによりますと、対象産地百七十一を調べてみたわけでございますけれども、その中で、いまお尋ねのございました作付面積を欠いておる産地が約二十六ございます。五十ヘクタールと申しますのは、実はこれは非常にこまかいことで恐縮でございますが、東京など大消費地に出します場合のキャベツその他の大体露地野菜系統について五十ヘクタールという要件を指定してございまして、同じ露地野菜でも、札幌、仙台という地方都市に指定する場合には二十五ヘクタール、それから施設もの、キュウリ、ナス、トマト、こういうものになりますと、大消費地であるかないかによりまして、たとえばキュウリ等につきましては二十五ヘクタール、十ヘクタール、施設園芸につきましては若干面積が低いわけでございます。この作付面積の考え方につきましては、これは経験的な問題でございますけれども、露地野菜の場合には、五十ヘクタールということになりますと大体十アール当たり四、五トンぐらいの収穫がございますので、それと見合わせますと一つの出荷単位になるということを考えて要件を設定したわけでございます。  しかし、その後指定のときにおきましては、これは法律の要件でございますけれども、現に作付面積がその基準に達しておるかあるいは達する見込みが確実である、こういうことで指定をいたすわけでございますけれども、その後の都市化の進展、労力の流出等によりまして実情に合わず、指定産地としては今後もはや機能しがたいというものが出てまいります場合には、先ほど説明申し上げました三百産地につきまして実施しております今年度の総合的点検の結果によりまして、解除というものも出てまいろうかというふうに考えております。
  145. 渡部通子

    ○渡部(通)委員 私、五十ヘクタール以上というその要件を満たさない指定産地ということが考えられるかということを申し上げたのです。というのは、この前島根、鳥取の視察へ参りましたときに、向こうで指定産地にしてもらえる見込みがないというのです、五十ヘクタールなんて大きな面積では。もう少しそれを下げてもらえないかという要望があったわけです。そういうことを考えていただけそうかという点が一つ。  それからもう一つ、ついでですから指定産地のことでお願いしたいのですが、価格保障の場合に三カ月平均価格になりますね。それが農民にとっては非常に不満な点があるわけです。去年の八月の群馬県の嬬恋村のキャベツの例ですけれども、八月に暴落をしたわけですね。嬬恋村の場合には九月、十月と上がったので、それが三カ月平均価格保障にはならなかったわけです。ですけれども、その当時長野県の高原キャベツなどというものは、八、九、十とずっと暴落のしっ放しで価格保障に達したと思うのですよ。嬬恋村の人たちは、八月には出荷の値段があまりにも安いので、ほんとうに泣いていましたね。そのまま一カ月単位で価格保障をきめてくれれば補償されたわけですけれども、九月、十月が上がったために、三カ月平均で補償はされないという、こういう実情でございました。その点、三カ月平均というこの保障制度のあり方、その点の御検討はなさっていらっしゃるのかどうか。その二点を簡単でけっこうです、こまかいことですから。
  146. 関谷俊作

    ○関谷説明員 第一点の作付面積の問題でございます。先生の御調査になりました島根等の北陸地域でございます。これにつきましては、先ほど申し上げました五十ヘクタールというのが大消費地域の基準として設定してありますので、島根等の場合には地方産地、地方市場への出荷がおもであれば、二十五ヘクタールというのは現状でも適用になるわけでございます。  ただ、将来の問題としましては、私どもいまこれは法律制度の問題として検討しておるわけでございますけれども、地方都市、地方の比較的小さい産地の場合には、指定野菜一品目だけではなくて、ある程度二、三品目も合わせた総合産地として要件を考えたらどうか。これは実は法律の改正の問題にもなりますので、地方の産地もできるだけ拾っていくという意味合いで、これは将来の問題として検討しておるわけでございます。  それから、第二点の価格補てんの市場価格の計算につきましては、御質問にございましたように、加州キャベツにつきましては七月の二十一日から十月三十一日まで約百日間、プール計算で市場価格を計算しております。したがいまして、今年度のような場合には、七月末から八月末にかけて低落がありましても九、十月に高い、全体平均して補てんがない、こういうことになるわけであります。加州キャベツの場合には、まだ市場価格の計算を完全に終わっておりませんけれども、こういう問題がございまして、産地のほうでも、御質問にございました月ごとの計算をやってくれとという希望が、実は年来非常に強いわけでございます。  実は、これは経過の問題で恐縮でございますけれども、昨年度予算また来年度予算におきまして、月別計算問題をぜひ実施したいということで、農林省としては、価格補てんをきめこまかくする意味合いにおきまして、財政当局と月別計算制度の適用について折衝をいつも重ねておるわけでございます。
  147. 渡部通子

    ○渡部(通)委員 次に事業団のことを伺いたかったのですが、それは先ほどの御質問にございましたので省きまして、行政監理委員会が提案した流通庁の新設ですか流通局ですか、そういう構想が進んでいるのかどうか、その点を伺っておきたいと思います。
  148. 大河原太一郎

    ○大河原政府委員 お答え申し上げます。  先ほど田中委員の御質問にお答え申し上げましたとおり、緊急を要します野菜対策の強化、その他ただいまいろいろ御指摘ございました生鮮食料品の流通改善問題、あるいは当委員会においても問題になっております消費者保護行政の強化の問題、各種の点を踏んまえまして行政体制を整備いたすということは、やはり大きな課題であるというように農林省としては考えまして、ただいま検討中でございます。その場合に、行政監理委員会等において一つ考え方が出されておりますし、また行政需要に即応した方面に機構なり定員を振り向けるべきだといういろいろな御示唆もございますので、それらを踏んまえまして、今日の事情に即応した体制を整備いたしたいということでございますが、先ほどもお答え申し上げましたように、ただいま検討の途中でございまして、機構の内部組織なりあるいは従来の行政機構等の再編成というような問題について、具体的にお答えできぬのが残念でございますが、早急に結論を得ていろいろ御審議願うように努力中でございます。
  149. 渡部通子

    ○渡部(通)委員 結論になりますけれども、やはり最近農林省でも水産庁でも、本格的に生鮮食料品の問題についてはおくればせながら取り組み始めたという、そういう評価はいたしますけれども、やはり国民の目から見ますと、もう少し本腰になってやってもらいたいというのが実際です。結果が出ませんからね。そういう意味で、やはり東京都の消費者物価が一〇・三%対前年度比で上がる、ぱあっと騒がれて、それがたまたま十月ころになって六・七%に下がると、また物価対策というものがしりつぼみになるんじゃないか、これが実際私たちの持っている実感でございます。もう少し長期的に本腰に、ほんとうに行政介入をやるならやるらしくやって、国民一つでもいいから、ああ政府がやっているな、ここまでやはり結論を出していただきませんと、いかさま前向きに努力していただいても何もならないわけだと思うのです。そういう意味で一そうの努力お願いしたいと思うのです。  水産庁長官お見えになったので、一言最後に伺っておきたいと思うのですが、先ほど私、魚が投機商品として使われているおそれがある、そういう御認識を伺いましたけれども、たいへんに甘くて、大体そういうことはあり得ないというような御答弁ばかりをちょうだいいたしました。そういう意味で、冷凍庫をつくるのもけっこうだけれども、むしろそれは投機を促進させて、投機業者にもうけさせてしまうというような結果にもなりかねない、こういう危惧を持たないかと伺ったのですが、その危険性もあまりお持ちにならない。その認識については、私は国民の側に立って、非常に腹立たしい感じがいたしました。もしもそういったものが投機に使われた場合、台所の必需品が投機に使われるというような場合には、強力な行政介入があっていいのではないか。むしろこれはもう国が補助を出した冷凍庫だけではなくて、民間業者の場合でも、これは物価安定という立場から強力な何らかの行政指導というもの、介入というものを考えるべきじゃないか。こういうことを、いままで自由経済だ自由経済だという名にかりて、やらなかったから、土地だってこんなような始末になったので、生鮮食料品だってそうならないとも限らない。それだけ手を打つべきが私はお役所の仕事だと思うのですけれども、それに対してあまり積極的な御答弁はいただけませんでしたので、最後に長官のほうからその点の御答弁をいただきたいと思います。
  150. 小林進

    小林委員長 太田水産庁長官に申し上げますが、あなたは沖特に行っておられるというので、私どもは残念ながら沖特に優先を与えて、漁政部長などの答弁を聞いていたのでありますけれども、もう沖特も済んだのじゃないかと思って、私どものほうで沖特をのぞきに行ったら、あなたはおいでにならないという。あらゆる機会を活用して、行政官というものは、委員会を通じて国民の前に行政のあり方を積極的に知らせるというそういう姿勢が必要です。以後、そういうことのないようにひとつ御注意をしていただきたいと思います。
  151. 太田康二

    ○太田(康)政府委員 私の不注意のためにたいへん御迷惑をかけたことにつきましては、おわびを申し上げたいと思います。  ただいま先生が御指摘になりましたところの行政介入の問題でございますが、御承知のとおり、われわれが持ち得る手段といたしましては、法律、制度に基づく法的措置あるいは予算に基づく予算的措置、それにいわゆる行政指導と申しますか、そういった手段があろうかと思います。  産地におきますところの冷蔵庫の問題につきましては、従来どちらかと申しますと、大量にとれましたときに魚価が下がるというようなことを心配いたしまして、むしろ生産者の対策として産地冷蔵庫の助成というようなことを、漁業協同組合等に助成をいたしましてやってまいったような次第でございます。先般問題になりましたところの境港の思惑買いによる、先高を見越しての冷蔵保管という問題につきましては、私、先般松浦先生からの御質問のときにもお答え申し上げたのでございますが、確かにそういうことはあろうかと思います。特に、最近のごとく情報が非常に発達した時代におきまして、漁獲高が極端に不足しておるというようなものにつきましては、特にスルメイカ等のごとく需要が相当に旺盛なものにつきまして、当然そういったことが一部の業者によって行なわれるということは考えられるわけでございます。しかし、その実態がどうであるかというようなことにつきましては、実はわれわれも確かに現地に人をやりましていろいろなことを探ったのでございますが、必ずしも実態は明らかでございません。しかし、そういったことが問題になっておりますので、われわれといたしましては、都道府県の関係者の流通改善の会議がございましたから、その席を通じまして、実は県のお役人の方ですが、これらを通じてそういったことがないようにというような指導を申し上げております。と申しますのは、まあ魚のことでございますから、漁獲高というものが必ずしも明らかではございませんが、また、現在のような高い値段でいつまでも推移するかどうかわからないということも考えられるわけでございまして、また、そのときには逆にそういった思惑買いによりますところの思わざるところの不慮の損失というようなことも出てくるわけでございまして、このことはひいては流通上のいたずらなる混乱を招くということもございますので、そういったことを申し上げて指導お願いいたしておるような次第でございます。  しかし、いずれにいたしましても、そういった面での行政の取り組み方というものが、そう言いますと、いかにも弁解がましく聞こえますが、人員の関係あるいは予算等の関係で確かに不備であった点は、われわれ率直に反省しなければならぬと思っております。先ほどお尋ねの流通局の機構の問題ともからめまして、将来われわれといたしましては、末端における指導組織等につきましても真剣に考えていかなければならないということで、現在その問題にも実は取り組んでおるような次第でございまして、今後そういった面におきまする行政がとかく従来は十分でなかったということを反省いたしまして、的確な、時宜に適した措置を講じてまいる姿勢で取り組んでまいらなければならないというふうに反省をいたしております。
  152. 渡部通子

    ○渡部(通)委員 時間が経過しましたのでこれでとどめますけれども、やはり従来は生産者保護であったということを、いまの御答弁を聞いていてもよくわかります。だから、その姿勢を画期的に変えていただかないと物価安定はできないと思います。ここをひとつ頭の切りかえをお願いしたいと思うのです。指導でございます。お願いでございます、こういう態度で業者に当たっている限り絶対下がらぬですね。だから、不当な買い占め等をやった場合は業者名前を公表するぞ、そういう態度で臨まなければ、これは絶対にだめですよ。そこの発想の転換というか姿勢の転換を何としてもお願いをしたい。そうでなければ生産者保護のまま、だらだらといってしまう。これが私のお願いでなくて、強い要望です。そういう態度でほんとうに下げてもらいたいと思うのです。水産庁がこういう発言をしたからこういう悪徳業者名前がわかった、こういう実態が明るみに出た、そのおかげで若干でも下がった、こういう新聞報道一つでもいいからなされれば、そこに国民はささやかな生活の希望を見出すわけですよ。それをやってあげることがいま一番大事なことじゃないか。具体的に、わずかでいいですから、やってくださいよ。それを強く要望いたします。  たいへんおそくなりましたけれども、たばこの問題、ちょっと伺いたいのです。  十月の十二日ですか、消費者保護会議で、たばこのタール、ニコチンの表示を四十七年度中に実施することにきまった、こういう新聞報道がございました。消費者保護会議というものはこれは権威のある会議ですし、そこで一番具体的な見出しに取り上げられたのが、たばこのタール、ニコチンの表示ということです。この会議の決定を、専売公社のほうではどうお受けとめになりましたでしょうか。
  153. 泉美之松

    ○泉説明員 お答えいたします。  たばこの包裏にニコチン及びタールの数量表示をする点につきましては、御承知だと思いますけれども、ことしの春、大蔵大臣の諮問機関でございます専売事業審議会におきましてそういう御答申がございました。さらに、いま渡部委員からの御質問のとおり、十月に消費者保護会議におきまして、やはりニコチン及びタールの数量表示をすべきであるといったような趣旨決議がございました。  私どもといたしましては、すでに専売事業審議会の御答申がありましたときから、こういう方向で解決、処理をいたしたいと思って考えておりましたのでございます。これは、先ほど申し上げましたように、大蔵大臣の諮問機関でございまして、大蔵大臣に御答申があったのであります。その答申がありましたのち、私どもとしましては、そういう趣旨でできるだけ早く結論を出したい、目下大蔵当局と打ち合わせをいたしておる状況にございます。
  154. 渡部通子

    ○渡部(通)委員 そういう方向で結論を出したいということで大蔵省と折衝中だそうですから、大蔵省の御見解をお伺いいたします。
  155. 福間威

    ○福間政府委員 ただいまお話のありました十月の消費者保護会議の要請もございましたし、いま専売公社の副総裁のほうから申し上げましたように、公社のほうからも協議に来ております。私どもといたしましては、できるだけ早い時期に、この問題につきまして何らかの措置をとるようにしたいというふうに思っております。
  156. 渡部通子

    ○渡部(通)委員 できるだけ早い時期というのは、大体どのくらいのめどですか。
  157. 福間威

    ○福間政府委員 できるだけ早くいたしたいと思っております。いましばらく御容赦いただきたいと思っております。
  158. 小林進

    小林委員長 福間君、答弁になっていないな。いま一回、これはやりなさい。
  159. 福間威

    ○福間政府委員 先ほど言及されました消費者保議会議の文章も、たしかすみやかにというふうになっていたかと存じます。私ども、そのことばを受けまして、とにかくできるだけ早く措置したいと考えております。
  160. 渡部通子

    ○渡部(通)委員 いまの御答弁では、結局何も考えていないということだと、私は承知をさせていただきたいと思うのです。やはり若干なりとも、具体的に見通しというものを持っていらっしゃるならば、ここで御答弁いただけるのではなかったかと思うのですけれども、いまの御答弁では、何も考えておいでではない。消費者保護会議の提案といいますか、決定というものを具体的に実行する御意思がないと承るしかないのです。  私、一番申し上げたいのは、こうしてこの保護会議できまったというのが新聞に出ますと、これがどうなるだろうかと国民は期待しております。それを、はたしてお役所がやるか、やらないか、これが一番聞きたいのですよ。専売公社のほうでも、大蔵大臣が表示しろと言えば、やるんです。大蔵大臣にそう決意させるのは、事務当局である。そちらの検討になってくるわけですね。ですから、そこでやっていただかなければ、事は進まないわけです。そこで見通しが立たないというのは、いまやっていないということになりますね。
  161. 福間威

    ○福間政府委員 大蔵大臣のほうからも、なるべく早く結論を出すようにという指示を受けております。私ども、それを踏まえまして、何らかの措置を早急にとるというつもりでおります。決して、いま先生おっしゃいましたように、何もするつもりはないということではございませんので、その点、御了承いただければ幸いに思います。
  162. 渡部通子

    ○渡部(通)委員 それ以上は言いません。  厚生省が、やはり同じような文書を出したのが三十九年です。昭和三十九年の二月に、厚生省はすでに米国の報告等を受けて、「若年層の喫煙、成人の長期多量の喫煙が健康に悪影響を及ぼすことは明らかであり、国民保健の立場からその害に関する啓蒙の措置をとる必要がある。」こういう警告をして、たばこと肺ガンについて、別添資料で出しております。もうそれが出たのは三十九年です。  アメリカがその表示をしましたのは、一九六六年の一月ですね。紙巻きたばこは肺ガンその他の生命にかかわる病気の原因となり、健康に有害であるということで、たばこの害毒について、「あなたの健康に障害があるかもしれません。」という表示をなすったのですね。一九七〇年になりますと、アメリカでは非常に進みまして、さらに表示が改められましたね。「公衆衛生総監は、紙巻たばこの喫煙は健康に危険があると決めています。」こういう表示をするまでに至っているわけです。  ですから、これはいまさら始まった問題じゃなくて、何年となくこうして積み重ねられて議論をされてまいりました。私は決して、たばこがきらいだから、有害表示をしろなんと言うつもりはないのです。私も好きです、吸います。ですけれども、やはり健康優先ということを考えた場合に――これから吸おうと思っている人もいます。それから、いまは中学生、高校生の中で喫煙者が出ているということが問題になっております。あるいは女性が吸うからといって、妊婦の危険がたいへん警告されております。そういう御時世ですから、この問題についてはもっと積極的に取り組んでいいのではないかと思うのですけれども、この厚生省の勧告あるいはアメリカの表示、こういったことについて、わが国の行政はおくれているとお思いになりませんか。
  163. 泉美之松

    ○泉説明員 御指摘のように、アメリカにおきまして有害表示のやり方が、一九六六年と七〇年とで変わってきております。それから、イギリスの王立委員会におきまして、やはりそういう趣旨での喫煙と健康の問題についての答申が出まして、イギリスにおきましても表示が行なわれております。ただ、わが国におきましては、先ほど申し上げました専売事業審議会におきましていろいろ論議がございました。私、医学のことはよく存じていないのでございますけれども、疫学の立場から申し上げますと、喫煙と健康、特に肺ガンについていろいろ影響が多いという指摘がされておりますが、病理学あるいは臨床医学のほうでは必ずしも見解が一致いたしておらない状況にあるわけでございます。そういった医学の状況からいたしまして、専売事業審議会におきましては、有害表示をするよりも、ニコチン及びタールの数量表示をして、そういうニコチン及びタールの少ないたばこを吸ってもらうようにしたほうがいいんではないかという趣旨の御答申があったわけでございます。  公社といたしましては、先ほど申し上げたような趣旨で、大蔵省と連絡いたしまして、そういう表示をするような方向で考えておりますが、同時に、たばこ自体につきましても、できるだけ低ニコチン、低タールの製品をつくるという方向に努力してまいりたい。それには、葉たばこ自体が含んでおりますニコチンの量を減らす、それから、葉たばこをたばこに加工する段階におきまして、できるだけ創意くふうをこらしましてニコチン、タールを減らしていく、そういった努力をしてまいりたい、このように考えておる次第でございます。
  164. 渡部通子

    ○渡部(通)委員 これは、一酸化炭素の害毒についてはどうお考えでございますか。
  165. 泉美之松

    ○泉説明員 先ほど申し上げましたように、私、医学のことはよく存じませんけれども、一酸化炭素についても害があるというような指摘が疫学の立場からなされておるようでございます。
  166. 渡部通子

    ○渡部(通)委員 いま、タール、ニコチンの表示だけをおくればせながら検討しようという段階ですけれども、あわせて私は、一酸化炭素の有害についてもここで表示等をすべきだと思うのです。そういう意味からいきますと、タール、ニコチンだけではなくて、やはり有害表示まで一歩進めて御検討いただきませんと、特に最近は大気汚染等で、ただでも私たちの生命はあっちこっちでむしばまれております、相乗作用で。たばこの一酸化炭素の有害性というものは自動車の排気ガスどころではないというような話もあるわけでございますね。そういった意味でニコチン、タールだけを検討にあげるのではなくて、あわせて一酸化炭素もあげて、一歩進んで有害表示というところまで検討してほしいと思いますけれども、その点の御見解いかがですか。
  167. 泉美之松

    ○泉説明員 その点につきましては、先ほど申し上げましたように、疫学の立場と病理学あるいは臨床医学の立場とで必ずしも見解が一致いたしておらないのが現状でございます。そこで私どもといたしましては、専売事業審議会の答申もございますし、また消費者保護会議の御決定もございますので、とにかくニコチン、タールの数量表示を急いで行ないたい。そのあと有害表示をすべきか、あるいはそういう有害表示については、医学の専門的な見解がまだ統一されておりませんので、たとえばたばこの吸い方について、あまり深く、きつく吸うと害が多いわけですが、ゆっくりと軽く吸えば害が少ない、そういったように表示をするかどうか、そういったいろんな問題がございます。そろいう点も、そういうニコチン、タールの数量表示を行なったあと検討してまいりたい、このような考えを持っておる次第でございます。
  168. 渡部通子

    ○渡部(通)委員 疫学的な云々、病理学的な因果関係なんというのは出っこないのですよ。それを待ってなんということをおっしゃっていると、これはいつになってもできない。いまスモン病だって、キノホルム一つだって、因果関係を結びつけるのにどれほど苦労しているか。世の中が騒がなければ、そういう因果関係なんというのは出っこありません、いままでの日本の行政から見ても。そういう意味でやはり少しでも害がある――たばこのように日常みんな使っているものは、それはメリットも十分ございますけれども、減らせば減らせる人だってたくさんいるわけですね。ですから、そういったことに対して積極的に取り組んでいただかないと、やはり日本の行政というものは国民の健康よりもそれによる税金、財政収入のほうが優先しているんじゃないか、こう言われてもいたし方ないわけでございます。やはり生命を守る、健康第一というこの絶対的な見地に立脚してもらえば、もう少し国民の側に立った表示というものもやってもらえるのじゃないか、これが私たちの見通しでございます。そういった意味で表示をやるべきである、私はこう思います。それはたばこを買ったときに、健康に害があるかもしれませんと書いてあったら、いい気持ちはしませんよ。ですけれども、それによって若干でもセーブできて、それが健康に役立つなら、そのほうが私はよほど大事なことではなかろうかと思うのです。  たばこに関する研究が大蔵省か専売公社でやられていると思うのですが、これを厚生省にやらせるというような意見はないのですか。そういうことは考えられませんか。と申しますのは、そちらでやっていらっしゃると、ちょうど製薬会社が研究しても副作用が発表できないのと同じように、専売公社の関係で研究して、自分たちが売るものに対して有害表示はできないというのはやはり人情だと思うのです。だから、そういった点で、研究機関をぜひとも別途の所管にするというようなお考えはありませんか。
  169. 泉美之松

    ○泉説明員 喫煙と健康問題につきまして、公社といたしましては年約五千万円の予算をもちまして、それぞれ民間の機関に委託いたしておるのでありまして、公社だけでやっておるわけではございません。そういう意味では、公社からそういう委託を受けたからそういう答申を曲げるというようなことは毛頭ないはずでございますし、またその研究の委託につきましては、厚生省とも十分連絡をとっていたしております。
  170. 渡部通子

    ○渡部(通)委員 この問題はこれで終わりにいたしますが、きょう大蔵大臣がお見えでないので、やはり大蔵省にお願いをしておかなければならないと思うのです。公社のほうとしては、大蔵省がやれといわれればやるという姿勢でございます。私は健康ということを考えたときに、小さな問題かもしれませんけれども、そういうところからやはり国民の一番手近なところへ国家の配慮というものがしみ渡っていくのだと思うのです。そういう意味で有害表示をやれと言った大蔵大臣は、庶民に一つ画期的ないいことをした大蔵大臣になると思うのです。そういう意味でたばこの有害表示、消費者保護会議の決定をどう具体的に受けるか、すみやかに受けて実践に移すか、こういう見地からひとつ大蔵省にしっかりやっていただきたいし、大蔵大臣に、表示した大蔵大臣ということでたいへんいいことだということをひとつお伝えいただきたいと思います。  以上で、私の質問は終わります。
  171. 小林進

    小林委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。    午後二時二十六分散会