○
大出委員 いまの
総裁の
答弁には議論のあるところでございますが、ただそれは、いままでだいぶ言ってきましたし、主張してきた結果を私は申し上げているので、私の申し上げていることがおわかりの上で言っておられるように思いますから、ぜひひとつ職場の中に、そういった旧来私が申し上げておるようないろいろの議論を、ある
意味の混乱を起こさないように、どこかでけじめはやはりつけておいていただきませんと困る。もし
拡大傾向を持つならば、それなりの全体的の御考慮がないと、職場の中でいろいろな問題が起こる。これは業務の面でも好ましいことではない、こう思いますので、そういう
意味で念のために申し上げておるのであります。
ところで、
砂田さんがお見えになっておりますから承りたいのですが、この間、私ちょっと専従者の三年を五年に延ばす件で提起をしたのですが、「企業における労働者代表に与えられる保護と便宜に関する
勧告」というのが、ILOで一九七一年六月、つまり本年六月二十三日に採択をされておる。このILOの
勧告というのは、提起がありまして二年間留保して置いておきまして、国際的視野でILO
関係各省、労働省労働局等が精力的に
検討した結果、意見を持ち寄った。その結果、日本は反対をいたしましたが、かつILOがこれを採択をした。これがいま私が申し上げました一九七一年六月二十三日に採択をされたILOの
勧告でございます。もう一ぺん言いますが、「企業における労働者代表に与えられる保護と便宜に関する
勧告」、こういうのであります。
この背景になっておりますのは、日本の場合には、いわゆる企業組合形態の組織状態が長く続いてきた。中産別ないし大産別の組織の形態をとっておらないと思います。太田議長、岩井事務
局長時代に、私が筆頭副議長
時代に、総評が産別組織の再編、拡大をはかった
時代がある。長続きいたしませんで、当時私はこれに反対した一人ですが、当時の私の主張のように、一年たったらもとへ戻ってしまった。企業内でもっと詰めなければならぬたくさんの問題がある、にもかかわらず、いきなり企業を飛び越えて中産別なり大産別なりというのは、組織にはおのずから長い
歴史があるからそうはいかない。もっと企業内で一生懸命やって、
ほんとうの壁にぶつかるまでやるべきだということになった。そういう
歴史がある。だから日本の場合には、欧州、特に西ドイツに比べれば、企業別組合という形態が長く続いている。ところが、産別形態の組織をとった欧州等が、逆にそこから企業内に帰ってきているという
傾向が非常に強くなってきている。この
勧告の背景というのは、そういうところから出てきた
問題意識なんです。だからこそここに、四の10というところですが、「企業における労働者代表は、企業におけるその代表任務を遂行するために、賃金又は社会的及び付加的給付を喪失することなく必要な休暇を与えられるべきである」、つまり
公務員で言うならば、職務専念の義務が一方にありますけれ
ども、その義務を解除する、そして専従休暇という形。三年が今度五年になりましたが、そういうかっこうになっている。
民間の企業で言うならば、企業離籍の形で労働組合の専従役
職員をやる。その中に、ここで言っておりますのは、「企業におけるその代表的任務を遂行するために」、労働組合の代表なんだけれ
ども、もう
一つの
性格は、労働組合の
委員長というのは企業の代表という
性格を持っている、そういう認識なんです。そのほうが、企業そのものの側から見ても、企業は社会性を持ちますだけにいいという観念なんです。だから「社会的及び付加的な給付を喪失することなく」
——確かに、付加的な給付が減るということと喪失とは違います。だから、喪失はしていない、減っているのだという認識な
どもあります。ありますが、これは基本的な
問題意識としてそういうふうに動いている。
これを実はこの間、在籍専従三年が五年に延びるときに私は提起いたしまして労働大臣の御意見を承った。
総裁の御意見も承った。労働大臣も、そういう動きが欧州等には表に出てきた、そういう認識に立ちます、だから日本は反対をしたけれ
ども、日本の労働組合の現状をどうとらえるかというものとからむから、前向きで
検討したい、そういう重要な
課題です、こういうふうにお答えになった。
人事院の
総裁も、今日のたとえば公平審査その他にあらわれる労使
関係というものをながめてみて、もう少しこれは考える必要がありはせぬか、そういうところは確かに
検討に値する問題だということをお答えになっている。似たような見方に
砂田さんはお立ちになるかどうか、一般論としてそこらをちょっと承っておきたい。