運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1971-11-30 第67回国会 衆議院 内閣委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年十一月三十日(火曜日)     午前十時五十七分開議  出席委員    委員長 伊能繁次郎君    理事 坂村 吉正君 理事 塩谷 一夫君    理事 山口 敏夫君 理事 木原  実君    理事 伊藤惣助丸君 理事 和田 耕作君       天野 公義君    笠岡  喬君       鯨岡 兵輔君    辻  寛一君       中山 利生君    葉梨 信行君       大出  俊君    華山 親義君       鬼木 勝利君    受田 新吉君       東中 光雄君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      木内 四郎君  出席政府委員         首都圏整備委員         会事務局長   川島  博君         科学技術庁長官         官房長     井上  保君         科学技術庁計画         局長      楢林 愛朗君         科学技術庁振興         局長      田中 好雄君         文部省大学学術         局審議官    犬丸  直君         気象庁長官   高橋浩一郎君  委員外出席者         内閣総理大臣官         房参事官    高橋 盛雄君         科学技術庁研究         調整局長    千葉  博君         科学技術庁研究         調整局宇宙開発         参事官     市瀬 輝雄君         建設省都市局都         市再開発課長  重元 良夫君         建設省道路局企         画課長     井上  孝君         建設省住宅局建         築指導課長   救仁郷 斉君         建設省国土地理         院参事官    檀原  毅君         内閣委員会調査         室長      本田 敬信君     ————————————— 十一月十八日  国家公務員給与改善に関する請願東中光雄  君紹介)(第一五八四号)  労働省設置法の一部を改正する法律案反対に関  する請願東中光雄紹介)(第一五八五号)  国家行政組織法改正反対等に関する請願東中  光雄紹介)(第一六〇四号)  元満州拓殖公社員恩給等通算に関する請願  (中川俊思君紹介)(第一七二一号)  傷病恩給改善に関する請願赤城宗徳紹介)  (第一七二二号)  茨城県立御前山自然公園地内の環境保全に関す  る請願赤城宗徳紹介)(第一七二三号) 同月二十二日  国家公務員労働基本権回復に関する請願(東  中光雄紹介)(第一八〇九号)  狩猟者団体法制定に関する請願外二件(川端文  夫君紹介)(第一八七七号)  国家公務員給与改善に関する請願上原康助  君紹介)(第一八七八号)  同(大出俊紹介)(第一八七九号)  同(川崎寛治紹介)(第一八八〇号)  同(木原実紹介)(第一八八一号)  同(佐々木更三君紹介)(第一八八二号)  同(横路孝弘紹介)(第一八八三号)  台湾残置私有財産の補償に関する請願(佐々木  良作君紹介)(第一九一三号)  恩給法等に基づく年金等裁定促進に関する請  願(倉石忠雄紹介)(第一九五六号) 同月二十六日  恩給法等に基づく年金等裁定促進に関する請  願(小川平二紹介)(第二〇五八号)  同(中澤茂一紹介)(第二〇五九号)  同(羽田孜紹介)(第二〇六〇号)  同(増田甲子七君紹介)(第二〇六一号)  同(原茂紹介)(第二〇六二号)  同(松平忠久紹介)(第二〇六三号)  同(井出一太郎紹介)(第二二四三号)  同(唐沢俊二郎紹介)(第二二四四号)  国家公務員給与改善に関する請願大出俊君  紹介)(第二一五四号)  同(鬼木勝利紹介)(第二一五五号)  同(広瀬秀吉紹介)(第二一五六号)  同(東中光雄紹介)(第二一五七号) 同月二十九日  恩給法等に基づく年金等裁定促進に関する請  願(向山一人紹介)(第二三七一号)  同(小坂善太郎紹介)(第二五五六号)  同(下平正一紹介)(第二五五七号)  国家公務員給与改善に関する請願横路孝弘  君紹介)(第二四五四号)  狩猟者団体法制定に関する請願根本龍太郎君  紹介)(第二四五五号)  米軍池子弾薬庫全面返還及び跡地利用に関する  請願大出俊紹介)(第二四五六号)  同(中嶋英夫君紹介)(第二四五七号)  同(平林剛紹介)(第二四五八号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  科学技術庁設置法の一部を改正する法律案(内  閣提出第八号)      ————◇—————
  2. 伊能繁次郎

    伊能委員長 これより会議を開きます。  科学技術庁設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  会議に入りますにあたって、科学技術庁長官から発言を求められておりますので、これを許します。科学技術庁長官
  3. 木内四郎

    木内国務大臣 このたび科学技術庁長官を拝命いたしました。はなはだ至らない者でございますけれども、どうぞ委員各位の格別の御支援をお願い申し上げます。
  4. 伊能繁次郎

    伊能委員長 質疑の申し出がありますので、これを許します。受田新吉君。
  5. 受田新吉

    受田委員 新長官御苦労さまですが、しっかり職務御精励を願って、御健康でがんばっていただきたいと思います。  長官は、再度にわたる御就任で、科学技術行政について一応確たる信念をお持ちだと思いますので、御経験を加えた上の御信念を加えながら御答弁をいただきたいと思います。  わが国科学技術行政というものが、大臣のお役所がスタートがおくれただけに、国民の中にも十分理解、浸透の度合いが薄いという問題があると思うのです。先般の川崎における科学技術庁の山くずれ実験の失敗というような問題を一つ取り上げてみましても、科学技術行政の中にどこか抜けているところがあるのではないか。技術者研究者行政面との間に結びつきが欠けているのではないか。総合的な統合行政能力科学技術庁に欠けているのではないか。研究者個々の勉強、個々実験の成果というものに行政統括能力が十分働きかけていないのではないかという懸念を私感じているわけです。お役所歴史が新しいという点と、そしてもう一つは、科学技術庁は、特に研究官の場合に例をとってみますると、各省からの寄り合い世帯だ。そういうようなところで、科学技術庁行政主体というものが、各省から集まった人的統合の、いわゆる総合的統合体というものの実質は、もう一度寄り合い世帯的な性格が出て、しんのある科学技術庁の筋金の入った行政統合能力というものに欠けているのではないかという懸念を感じているのですが、この点、再度にわたる長官としての経験をこれからまた新しく踏み出される先生に御答弁願いたいと思います。
  6. 木内四郎

    木内国務大臣 受田委員におかれましては、かねがね科学技術行政に対して非常に深い関心を持っておられまして、従来からわれわれ当局者に対していろいろ御注意を賜わっておりまして、その点は深く感謝を申し上げている次第でございます。  いまお話しになったような点は、私どもも常々深く反省し、何とかしてこれは乗り越えていかなければならぬ、かようにいま思っておるものでございます。わが国科学技術は、御案内のように明治の初年においては、わが国固有の文化はもちろんありましたけれども近代的科学技術の面においては非常に立ちおくれておった。これは否定することのできない事実だと思いますが、にもかかわらず今日までどうやら国民努力によってここまでやってきたのであります。しかし、近来におきましては、科学技術は非常に急速に進歩してまいりますと同時に、細分化し、また専門化してまいりました。そこで、いろいろな問題がここに出てくるのでありますが、あるいはまた、大型化したり総合化するというような傾向になってきた。そこで、科学技術の一そうの発展をはかるためには科学技術行政を総合的に考えていかなければならぬということは、これはお話のとおりであります。いつも御注意を受けているのでありますが、私もさように考えておるわけであります。このために、科学技術庁におきましても、科学技術振興に関する施策の指針たる基本計画の策定について調査をもちろん進めておるのでありますが、それとともに、たとえば科学技術関係の経費を見積もる場合におきましても、調整特別研究促進費配分等の方法によりまして、研究基盤整備及び試験研究総合的推進に重点を置いておるわけであります。そして関係省庁科学技術総合調整に、十分ではありませんけれども努力をしてまいっておるのであります。  それから、科学技術行政一元化、特にいま御指摘になりました点ですが、その一元化をはかるためには、設置法改正いたしまして、科学技術行政について科学技術庁が各省庁に対して指示するようなふうにしたらどうかという考えもあるのでありますが、これはなかなかむずかしい点もあるのでありまして、科学技術振興のために特に必要あると認めるときは、現在におきましても、関係行政機関に所要の事項について勧告するというような権限は持っておるのであります。そして、科学技術庁設置法の第十一条に規定する権限を活用して、不十分ではありますけれどもこれに対処しておる。各省庁に対して勧告する、そして勧告があまり聞かれないような場合には、これをさらに総理大臣のほうに進言して、総理指揮権によってこれを処理するというふうにやっておるのでありまするけれども、実際問題としては、いまお話しのとおり、各省庁行政の間にどうも十分なあれがないのじゃないか、まことにごもっともでありまして、私ども深くこれを反省して、その改善努力をいたしておるようなわけでありますが、今後におきましてもその点に力をいたしてまいりたい、かように思っておるわけであります。
  7. 受田新吉

    受田委員 御答弁が私の質問にさらに進んでお答えをいただいた節が一つあるのですけれども、私、いま御答弁の中にあった、総合的科学技術行政の一環として各省ににらみをきかせる勧告権行使、これでにらみを具体的にきかしておるのだということでございますが、その科学技術庁設置法第十一条による関係行政機関に対する勧告権行使をされた事例が何回あるのか、あるいは報告を求めた事例が何回あるのか、御答弁をいただきたい。
  8. 木内四郎

    木内国務大臣 私はこまかなことは記憶しておりませんけれども、いろいろ資料を求めているようなことはたびたびあるようでありますが、勧告をしたことは一回あったというふうに記憶しております。こまかなことは事務当局のほうから御説明させたいと思います。
  9. 井上保

    井上政府委員 従来、事実上各省庁からそれぞれ報告をとっておる例は多数ございますけれども、十一条に基づきましてとりました例は、はっきり覚えていませんが、一件だけ資源調査所関係資料をとったことがございます。それから勧告いたしました例は、さっき長官から御答弁ございましたように、一件ございます。発動した件数は非常に少のうございますけれども、実態的には、その前におきまして、勧告に至らず事務的に処置していくということでございます。
  10. 受田新吉

    受田委員 勧告をした事例及びその実績、その後における、科学技術庁勧告した事例の処理に対する、引き続くこれの行政的な連絡調整というものはどうやっているかを具体的に御説明願いたい。
  11. 木内四郎

    木内国務大臣 いま官房長からも御説明いたしましたように、あの十一条によりまして、各省庁からいろいろな科学技術行政に対する資料を提出してもらって、それを見て、それに基づいて各省庁と話をして、大体の問題はそれで解決している。そこで解決し得なかった場合に、多少議論があったりした場合に、一件、いま官房長からも御説明申し上げましたように、勧告をしている、こういうようなわけでありまして、資料を求めているのはもう数多くて、ちょっといま私ども記憶しておりませんが、事務当局においても、おそらくいまはすぐにその資料を申し上げるというわけにはいかぬと思うのですが、これはまあ数知れず多くある、かように思っております。
  12. 井上保

    井上政府委員 勧告の例でございますが、昭和三十六年の三月に、科学技術者養成に関しまして、大学理工学部系統学生の数を増加するように勧告をいたしたことがございまして、その勧告に基づきまして、それ以後、理工学部関係学生の数が相当増加して採用されておる面があるということでございます。この例が指摘されます。
  13. 受田新吉

    受田委員 この科学技術庁設置法第十一条の二項、三項にある長官関係行政機関に対する勧告権行使した事例は、大学理工学部学生技術者養成に対する勧告という形——当時はこの規定が少し変わっておりまして、「大学研究を除く」という規定があったわけです。その条項がいま変わっておるのですけれども、これが一つあって、その後においてその技術者養成がどの程度満たされたかという具体的な数字をいまお願いしたのですけれども、その勧告した数字が実践されたかどうか、お答え願いたいと思います。
  14. 井上保

    井上政府委員 ただいまはっきりした数字を持っておりませんが、大体二万人程度これをふやしたのではなかったかと思いますが、後ほど正確な数字を調べまして御提出いたしたいと思います。
  15. 受田新吉

    受田委員 昭和三十六年当時、大学理工学部技術者養成方針というものが、国立大学において定数が限られておった、したがって、私立大学にその何割かを担当してもらうということがあって、私立大学が定員をはみ出る学生を募集したという事例がある。そういうことは、国立大学がその技術者養成を怠っているから私立大学におおいかぶさっているのであるという意味で、私が昭和三十六年にここで質問したわけなんです。このことについて、文部省はそういう定数の増員になかなか踏み切らないという形をわれわれ十分見ておったものですから、当時の科学技術庁長官に、せっかくある勧告権行使してはどうかという質問をしたわけです。そうしたら、その翌日直ちに勧告をしてもらったということで、質問に対する反応がきわめて明白に即時できたという事例が一件しかいまない。私が質問したものに対する処置以外は全然ないということになるので、長官からいま、勧告等も相当回数やっているような印象答弁があったものですから、私はその後もずいぶんやったのかと思ったら、たった一つやったのが鬼の首でもとったようなかっこうになっているんだとすると、これは科学技術行政上の威力を発揮するのにはなはだ弱いと思うのです。せっかくある規定はもっと生かしていく。特に科学技術庁は、各省のエキスパートを吸収して、人的構成においては知能がすぐられておるはずです。同時に各省に対して、科学技術行政を執行する上における強大な協力を求める。科学技術庁が目ざしている方針協力が足らぬ場合には、伝家の宝刀をびしびし抜いてもいい。これぐらいの威力を発揮せぬと、性格の軟弱な科学技術行政しかできないと私は懸念するのです。  特に、この間の研究学園都市の視察もさせていただいた印象から見ると、これは首都圏整備委員会仕事として、その計画各省と協議決定して、その実施に対して勧告権を持つという要素があるわけですけれども、これが首都圏整備委員会の権能としての実施上の勧告権である。科学技術庁はもっとスケールの大きい立場の勧告権を持っておる。研究学園というような限られたものでない、総合的な勧告権を持っているという点において、そのスケールの大きさは首都圏整備委員会の比でないのでございますから、この勧告権行使しなくても済むような体制を十分平素から努力されると同時に、思うにまかせぬときには、ある程度ぴしぴしとそれを実行に移すというぐらいの威力を発揮していただきたい。さわらぬ神にたたりなしが行政上の大きな欠陥だと思うのです。  それで、当時の科学技術庁長官池田さんであったわけですが、事務当局のある程度の抵抗を押し切って勧告をやってくれたという事例もある。つまり、大臣権威十分——池田さんなりに特色ある長官であったわけであります。その後においても特色ある政治家としてがんばっている。そういう意味で、長官御自身がリーダーシップを十分発揮されて、国務大臣としての権威を保つために、再度にわたる長官御勤務中に科学技術庁行政の本道をりっぱにつとめていただきたいことを要望しておきます。
  16. 木内四郎

    木内国務大臣 受田委員におかれては、先ほども申し上げましたように、従来から科学技術行政一元化に対して非常に強力な御支援を賜わっておりまして、私ども常に深く感謝申し上げているのですが、私が何かたびたび勧告をしたような印象を与える説明をしたというようなお話でありましたけれども、実は私はそういう意味で申し上げたのではありません。そういう権限があるということを申し上げたのでありますが、もちろん、いまお話しになったように、どうしてもしかたない場合には、科学技術庁長官として十一条によって勧告をする。もしそれが聞かれない場合には総理に訴えて、総理指揮権による、これが第十一条の精神でありますが、その前に、第十一条によりましては、各省庁から資料を要求する、そうして詳細な報告を聞くということになっておりまして、そうしてそれに基づいて、一体どういうことをやっているかということも聞くことができる。そこで話し合いをすることができる。できれば、勧告あるいは総理指揮権までいかないで、その資料を集めて説明を聞く、そして両方で話し合いをしてその目的を達するようにできればけっこうでありますが、もしそれができない場合には、もちろん技術庁長官として、必要な場合には勧告をすることを決して辞するものではありません。そして、受田委員の言われるように、何とかして科学技術行政一元化の実を、かりに法律改正をすることが困難であるとしても、現行の法制のもとにおいてできるだけの努力をいたしたいということをこの機会に申し上げておきたいと思います。
  17. 受田新吉

    受田委員 私はあえて勧告権を乱用せよと申し上げているわけではなくして、科学技術庁昭和三十一年発足以来十五年にわたって、いま申し上げた技術者養成に対する勧告が一つあっただけだというようなことでは、何か場当たり的な、なまぬるい行政がそのまま見のがされているような印象を受けるのです。こういうものは、行管などが勧告をやるように、ぴしぴしやっていいことなんですね。それをちゅうちょしてはいけない。これは、なるべくならやらぬほうがいいのではなくて、やったほうがいいのです。行政の運用の妙を発揮するには、勧告をやったほうがいいのです。そしてその報告を求めて、さらにまた再勧告をしてもいいわけですから、そういうものをぴしぴしやったほうが活気ある行政ができるのですね。  そこで私は、ちょっとポイントをずらしますが、そういった科学技術行政の根幹に学術会議という機関があって、そこから学術会議会員の知恵を借りておる。そして科学技術会議というのが、さらに総理を中心とした組織としてある。こういうかっこうのものでございますが、科学技術会議のスタートする前の学術会議と今日の学術会議というものは、一体どういうほうに性格が変わっていっておるのか。現時点における学術会議というものは、一体、科学技術行政上どういう権威を持っているのか、御答弁を願いたいのです。
  18. 木内四郎

    木内国務大臣 もちろん、学術会議学術会議としての機能を果たしておられますし、また同時に、科学技術会議のほうは、総理の直接の諮問機関として、科学技術行政全般に関して高いレベルからいろいろな答申をしておられまして、勧告もしておられますので、それに基づきまして、私どものほうの行政指針として進んでおられるわけであります。違った意味ではありますけれども、ともども機能を果たしておる、かように考えております。
  19. 受田新吉

    受田委員 学術会議のほうがもともと古い組織体でありまして、科学技術会議のほうがあとから総理諮問機関として生まれた、こういう歴史があるわけですけれども学術会議はどの役所が担当しているのでございますか。
  20. 楢林愛朗

    楢林政府委員 総理府が担当しております。
  21. 受田新吉

    受田委員 総理府はどなたかきょう来ておられますか。——それでは、国務大臣として答弁いただきますかね。  学術会議科学技術庁と無縁のものでございますか、有縁のものでございますか。
  22. 楢林愛朗

    楢林政府委員 科学技術庁学術会議との関係は、科学技術庁は、学術会議勧告等につきまして、その窓口的業務を行なっております。これは勧告につきまして、各省庁関係するものがございますので、当庁で受け取りまして、それを関係省庁にすぐ送付するという仕事科学技術庁は行なっております。学術会議の点につきましては、私ども計画局がその事務を行なっております。
  23. 受田新吉

    受田委員 そうすると、学術会議諮問をなさる機関はどこになりますか。科学技術庁学術会議諮問することがあるか。そして今度は、諮問に応じた答申または勧告、こういうもので科学技術庁窓口として受け持っている件数等がどの程度あるか。こういうものを一緒に御答弁願います。
  24. 楢林愛朗

    楢林政府委員 お答えいたします。  学術会議に対する諮問につきましては、関係省庁からその案件を通じて諮問してございます。御質問の当庁の関係諮問につきましては、現在、諮問の形式を学術会議はとってきてございません。実績はございません。
  25. 受田新吉

    受田委員 科学技術庁勧告をされた、学術会議科学技術庁に関する部分はどういうものがございますか。科学技術庁に関するのでけっこうです。
  26. 楢林愛朗

    楢林政府委員 手元にいま資料を用意してございませんが、科学技術庁といたしましては、各省に対する事務総合調整的な権限もございますので、そういう観点から、各省庁勧告を送付するとともに、それについての推進あるいはアフターケア等については科学技術庁で行なっております。ただ、大きな科学技術に関連いたしますのは、研究所設置等が一番具体的な問題でございますけれども学術会議からの勧告によります研究所設置は、おおむね大学文部省に対する勧告が多うございますので、そのことにつきましては、文部省のほうで重力努力して設置を行なっておる。当庁は、全体の調整というような意味で総合的にそれを推進するというような役割りを果たしております。
  27. 受田新吉

    受田委員 それは総理府文部省にも御縁が深いのですが、科学技術庁窓口をしているわけですね。その意味では科学技術庁が一番大事な学術会議窓口、こういうことになりますね。  そこでひとつお尋ねしたいのですが、沖繩が今度わが国に返ってくる。これについて、沖繩の人を会員として選挙できるような学術会議構成を、そういう沖繩を含む——もうすでに沖繩返還協定そのものが衆議院を通っておる。参議院でいま審議されておる。関係法案が審議されているというときに、科学技術庁窓口を承っている学術会議構成員沖繩出身者を含むという改正案というのは、当然一緒に出しておくべきだと思うのですが、これはどういうことになっておりますでしょうか。
  28. 楢林愛朗

    楢林政府委員 いまの御質問の点につきましては、これはやはり所管であります総理府に聞いていただかなければ、われわれの範囲ではちょっとお答えいたしかねるのじゃないかと思います。
  29. 受田新吉

    受田委員 やはり窓口を承っておるということになるのは、学術会議科学技術庁窓口にして各省に御連絡を賜わっておるという一番大事な役所だけに、責任官庁ということが言えると思うのです。窓口を承っておるというのは、学術会議と最も御縁の深い官庁である。その官庁が、一般的に沖繩返還協定が成功しておる段階で、関係法案がそれぞれ審議されておる段階で、学術会議構成員の選出について沖繩の人を含むという大事な問題を忘れておるということは、これはたいへん片手落ちであると思うのですが、木内先生どうですか。
  30. 井上保

    井上政府委員 学術会議総理府の所管でございまして、学術会議事務局というのが別途ございまして、そこが事実上のそういう役目を果たしておるわけでございます。私のほうの窓口と申しますのは、各省に対する勧告を一応取り次ぐ窓口でございまして、そういう学術会議構成その他の内容に関するような案件につきましては、全く取り扱っていないということでございます。
  31. 受田新吉

    受田委員 これはいま国務大臣として木内先生にお聞きしておるわけで、木内先生はそういう国務全般を担当される一方では、科学技術庁長官国務大臣をもって充てるという機構上の問題がある。つまり科学技術というワクにとらわれない国務全般をいまお聞きしているのですから、事務当局は黙っておられたほうが賢明だと思うのです。  私は、科学技術庁長官国務大臣として、科学技術庁窓口にしているこうした大事な学術会議構成員に、沖繩が返ってくるのに沖繩の選出者を入れないという、こういう古いタイプを改めて、直ちに沖繩の人が入ってこれるような、そういう学術会議構成改正される必要があると思うのです。これはだれが見ても異議のない問題だと思うのですが、国務大臣として御答弁を願っておるわけです。
  32. 木内四郎

    木内国務大臣 いまの御意見、ごもっともの点もあるのでありますけれども、私どもは、窓口であるという意味は、いま先生のお話しになっていることとちょっと違うわけですね。科学技術に関するいろいろな報告などが来たときには、それの連絡調整はやるということは、これはありますけれども学術会議に対する窓口というものは実は科学技術庁じゃないのですよ。ですから、窓口窓口といっても、科学技術庁窓口ではない。その点はひとつ誤解のないように願いたい。ですからそういう点は、私は国務大臣でありますが、他の国務大臣の所管に属しておることを私がいま責任を持って直ちにお答えするということは、これは適当なことじゃないんじゃないか、かように思っている次第であります。所管の国務大臣からお答えすることにしていただきたいと思います。
  33. 受田新吉

    受田委員 国務大臣としては、国務全般を見通して、これは正しいことである、わけて科学技術庁窓口としている仕事であるならば、担当は他の国務大臣であっても、科学技術庁長官たる国務大臣が、科学技術庁窓口としておる学術会議構成についてはこういう見解を持っているということを述べるのは、これは国務大臣として決しておかしいことではなくして、各省とも、そういう国務大臣としての発言は、他省にまたがっておっても、自分の省に深い関係のある問題については、科学技術庁の立場から見れば、沖繩の選出者を省いた学術会議というものは片手落ちだというぐらいのことは、普通の良識ある国務大臣ならばすぐ答弁ができるわけですね。国務大臣ですから、先生は。つまり、他省のことは言わぬというなら、科学技術庁たる行政長官にすぎぬのである、先生は。単なる行政長官であってはならないと思うのです。もうすでに再度の御任をされておる。私たち木内先生に非常に御期待しておる。その先生がすかっとした答弁をされて、沖繩の選出者を学術会議に包含してもらうことは、ほんとうにわれわれとしては、沖繩が祖国に返った意味において、学術も沖繩が祖国に返ったということになる。この見解は、私は筋が通ると思うのですがね。
  34. 木内四郎

    木内国務大臣 御趣旨の点、また私を鞭撻していただくことは非常にありがたいのですけれども、そこはやはり非常にむずかしいところだと思うのです。私が国務大臣だからといって、他の国務大臣のことを、自分が責任をもってそのことを処理するような態度でお答えするということは、やはりいろいろ行政組織あるいは秩序を乱すことになりますので、それは差し控えたいと思います。  いま御趣旨の点は十分了解できるのであります。そういうふうに御了解を願いたいと思います。
  35. 受田新吉

    受田委員 これは木内先生、たとえば給与に例をとりましても、労働大臣などがまっ先に勧告時期の提案をして、五月完全実施を叫んで、給与担当国務大臣のほうがしぶっておるときに、労働大臣は一方でつかつかと提案して、それが最終的にはすかっとまとまってくるという事例がたくさんあるわけなんです。むしろこの点は、国務をリードされる立場で、沖繩の人を含むこの学術会議構成を、ほんとうに学術も沖繩が帰った、こういうところへ大臣としてすかっと踏み切っていただいて、気持ちの上では、私も大臣はそれに賛成しておられると思うが、口では言いにくいということであれば、気持ちはそのとおりだということを表明されただけでもけっこうです。気持ちはわかりますか。
  36. 木内四郎

    木内国務大臣 先ほどもお答えしておるように、御趣旨の点はよく了解するのですよ。ただしかし、行政組織内部における秩序とかそういうことから見ますと、相談する場合には、私ども国務大臣として、内輪において十分な発言をしたり相談することはできるのですけれども、外部に対しておのおのかってなことを言ったんじゃめちゃめちゃになってしまいますから、そういうことは差し控えたほうがいい、さように思っておるわけです。
  37. 受田新吉

    受田委員 これはやはり学術振興の基本に関する問題ですから、タブーであっては私はならないと思うのです。やはりそこは行政の責任者であると同時に国務大臣でいらっしゃるという両面の態度として、私の趣旨は非常にわかるといまおっしゃいましたから、趣旨は御共鳴いただいておると私は思います。その意味で趣旨を理解していただく方向で閣議をリードしていただくように、それでは御要望申し上げておくことでとどめましょう。  私、こうした祖国に返った沖繩、そして沖繩の英知も科学技術に反映しなければならないという願いを込めていま質問をさせていただいておるのですが、それは一応終わりまして質問を続行いたします。  科学技術会議答申をしており、科学技術白書も出ておるのを見ますと、どうも日本の科学技術は人間尊重という面に事が欠けておるのではないか。技術革新にあまりにも進み過ぎて人間尊重の面に欠けておるのではないか。また国民所得の現に一・何%か程度の研究開発費が出ておるようだが、これをもっとより大きく、国民所得の三%程度まで引き上げるべきではないかという要請も出ておる。さらに研究開発費の中で、国費は三〇%程度で七〇%は民間投資ということになっておるが、国費の比重を高めてはどうかという意見が民間の各所から出ておる。  こういうものを総合的に見たときに、科学技術庁長官わが国科学技術行政のあり方を深く反省して、新しい転機に立つ科学行政の未来像というものに一つの目標が出てくると思うのです。人間を大事にする。現に、アメリカの例の超音速旅客機のSSTの製作を、米国会では四月から六月まで予算を否決した。つまり騒音を起こす開発には国会が否決するというような、人間尊重の科学技術の新しい方向が出ておるのです。わが国科学技術行政のあり方の中に、そうした公害対策その他を含んだ、科学技術行政の従来のあり方に反省すべき面がないかを、技術庁の長として、あるいは担当局長として、お考えいただいているところを率直に申していただきたいと思うのです。
  38. 木内四郎

    木内国務大臣 いまお話しの点は、まことにごもっともな点でありまして、私どもも最近におきましては、特に人間尊重、生命尊重、こういう方面に非常に力を入れて、いま、微力ではありますけれども科学技術行政を進めてまいろう、かように思っているわけです。科学技術会議におきましてもこの点に着目されまして、すでに七〇年代におけるところの科学技術行政のあり方というものについて答申をされ、また現に引き続いて研究をされておるようであります。私どももその点については、まさしくいまお話にあったとおりに考えなければならぬ、かように考えておりますので、その線に沿って、微力ではありまするけれども、庁をあげて努力をしてまいりたい、かように思っております。
  39. 受田新吉

    受田委員 具体的にこれからお聞きしたいと思うのです。  その新しい夢を追う科学技術庁として、原子力あるいは宇宙開発、こういうものへいまばかに力を入れておられるわけです。科学技術庁及び庁外の経費を含めた科学技術庁関係の予算の配分をちょっとお示し願いたい。昭和四十六年、私が調査しておる分と同じであると思うのですけれども、念のために、そうした重点施策と他との比率を含めたもの、それから今度新しく昭和四十七年度の要求として掲げてある科学技術庁関係費の、いま申し上げたような部位の比率を含めた御答弁を願いたい。
  40. 井上保

    井上政府委員 ただいま御質問の点でございますが、四十六年、四十七年の予算の金額の数字をただいま手元に持っておりませんので、直ちに取り寄せまして御答弁申し上げたいと思います。
  41. 受田新吉

    受田委員 私いま、予算に関する質問の通告がしてなかったのをすまぬと思うのですけれども、大体これをやるうちに、これをちょっとお聞きしておかぬといけぬようになった。ポイントがどこにあるかを伺ってから細部に御質問しようと思ったわけですが、じゃあとから伺うことにして、私がいま予算書で調べたところでは、原子力にかけている予算が最高で、それに続く宇宙開発というかっこうになっている。そしてそれらが科学技術庁の全体の八割以上を占めている。こういうような比率であると思うのですけれども、それにいたしましても、いまからお尋ねをしたいのは、大臣科学技術庁がスタートした当時、この委員会で私も長い間経験があるのですが、宇宙問題というようなものは、いまから十五年前に、ソ連の人工衛生の打ち上げ当時からやっと芽をふいた程度で、科学技術庁は本気でやる気はなかったわけです。三十五、六年ごろからどうやらそれに力を入れ始めて、おくれたものを取り返すという意味でがんばっていただいて宇宙開発推進本部というようなものが生まれてきた。そして今度宇宙開発委員会、おととしから宇宙開発事業団、こういうようなものが生まれて、いよいよ本物になった。東大のロケットの打ち上げも成功したというところへ来て、どうやら、宇宙開発につきましては、飛び抜けた米ソに次ぐイギリス、西ドイツ、フランス等にやや近いところまで来たと私は思っておるわけですが、それだけに、科学技術庁の予算の配分、原子力に引き続き宇宙開発に力点を置かれることはよくわかるのです。  ただ、お願いしたいことは、宇宙開発についてきょうは例示したいのですけれども、それが国民生活に貢献する形でやるべきであり、これが戦争利用などということにかりそめにもなるということなく、完全平和利用という形で行なわなければならないという基本線を十分考えていくという意味で、防衛庁などがこれを利用するというような形に全然しないというはっきりしたワクを持っておられるのかどうか。防衛庁は、この宇宙開発、原子力等について、平和利用的な意味でこれを利用していこうとしておられるか。戦時利用ということはやらないと思いますから、これはわかっているのですが、防衛庁が、科学技術庁研究されるこの宇宙開発、原子力を何とか利用しようとしておられるかどうか。御答弁できればお答え願いたい。
  42. 木内四郎

    木内国務大臣 防衛庁長官でありませんから、防衛庁の意見というのは私はわかりませんけれどもわが国全体として、原子力また宇宙開発、これは平和利用に限っておることは、私から申し上げて差しつかえないと思います。したがいまして、防衛庁もこれを軍事目的に使おうというようなことは、私はもちろん考えておらないことと思うのであります。  いまお話がありましたように、私どもは、先端的のビッグサイエンス、原子力、宇宙開発あるいは海洋開発、これは先導的の科学でありまして、これを進めることによって、ただ単に原子力、宇宙開発あるいは海洋開発だけでなく、この波及効果がわが国科学技術のレベルアップに非常に役立つものと思いまして、これに少なからぬ資金を投入しているわけです。これは私は、さっきお認め願ったように、正しいことであると思うし、さればといって、ビッグサイエンスだけやっておって一般の国民生活に密着した面をやらないかというと、そうではありません。その方面もできるだけの努力はしておるつもりです。予算の面からいうと少ないことを御指摘になりました。この点は多々ますます弁ず、これから先も大いにふやしていきたいと思うのですが、そういう方面にも今後十分に力を入れていきたい、そのように思っておる次第であります。
  43. 受田新吉

    受田委員 そうした宇宙開発その他を含めた科学技術の振興という問題、それはビッグサイエンスだということだけでなくて、ソフトサイエンス、ライフサイエンスという、環境問題等を含めた方向の重要性がいま加わってきておるわけですから、それにこれが利用されていかなければならないということなんでありますが、私がいま防衛庁を例にとりましたのは、航空航跡を調べるための航行衛星というようなものができた場合に、これは当然防衛庁もこれを利用してみたくなる。いま宇宙開発事業団として計画されておる中に、まず通信衛星、気象衛星、航行衛星、こういうようなものの御研究を順次されることになっておるわけです。そういうものがだんだんと成功する過程で、これを軍事利用という形に転化される危険が多分にあると思う。たとえば航行衛星の場合は、自衛隊がこれをどうしても利用してみたいものですね。つまり航跡を追及するためには非常にこれは大事なことです。そういうときに、科学技術庁というものは、これを軍事利用と見て断わるのか。あるいは自衛のための、防御のための航跡追及ということであるならば研究したものを提供しようということになるのかという、むずかしいことにぶつかるわけです。それは政治的判断としてなかなか骨の折れる問題で、高度の政治性というものがそのとき出てくるわけです。非常にむずかしい問題になる可能性がある。  それから通信衛星、これはインテルサットが宇宙にある。そうしてインド洋の通信衛星を通じてヨーロッパの衛星通信をわが国が利用している。こういうようなときに、わが国が通信衛星を持ちたいという気持ちは、みんな持っているわけですね。それを早く前進したい。そこでちょっと予算的に御答弁ができればお願いしたいのですが、衛星を研究される科学技術庁として、現にインド洋の通信衛星、太平洋の通信衛星等を、国際電電あるいは放送局等が利用されるために、それに支払っている金は一体どのくらいあるのか。科学技術庁は調べてはおられると思うのですね。これは所管外ではあっても、通信衛星の問題ですから、常にそういう資料をつかまえておられると思うのですが、現にどのくらいそれに使用料を使っているのか。今度通信衛星が日本でできるようになったならば、その分は救われる。また、一ぺんにそこまでいかなくとも、小型から始まっても救われてくるということでありますので、そうした経費負担の面でも、宇宙開発が非常に国民生活に貢献するということを常に研究しておられるかどうか。  そういうものはNHKがやる、国際電電がやるわけだから、科学技術庁仕事でないとほっておられたとしたならば、勧告権を発動してすぐこれらに対する要求をされるべきです。科学技術庁のお役人さんは聡明でいらっしゃるけれども、御遠慮の方が多いのじゃないかと私は思うのです。非常に清潔な人柄、まじめでりっぱな方がそろっていても、そうした各官庁に対して、科学技術行政推進するのに資料がほしいというのに、言を左右にしてやらないというときに、大石環境庁長官が通産省の資料を断固しぼり取ったように、木内長官がそういうものを勧告権を発動せずしていけばなおいい。太陽の光のように輝く、時にはきびしい剣をふるうというくらいにびしびしやってもらいたい。科学技術行政推進するために、いま申し上げた諸点を御答弁願いたいと思います。
  44. 木内四郎

    木内国務大臣 受田委員におかれては、非常に該博な知識を持たれて、科学技術全般に対していろいろ御注意いただいております。私ども非常に感謝しておりますが、いまお話がありました通信衛星、これもわが国で打ち上げたい。これも、わが国においてひとつ宇宙開発を事業団を設けて進めていくという、大きなねらいの一つであると私は思っております。  そこで、このごろインテルサットの協定もできまして、さしあたりはいまインテルサットによって通信衛星を三個打ち上げてやっておりますが、わが国でまたやるという場合になりますと、それだけの技術がなくてはなりません。そうして技術があって、しかもそれに経済的にたえていくだけの力がなければならぬと思います。これは一個打ち上げたからいいわけではありません。やはり少なくとも三個くらいのものを打ち上げなくてはならぬということになりますので、そういう意味において、私ども、宇宙開発事業団をして、いまの宇宙開発事業の推進に全力を尽くしてやってまいりたい、かように思っているのですが、それは計算上どういう損得の計算になるか、いまここに持ち合わせておればあれですけれども、ここで持ち合わせておりませんでしたら、さっそく国際電電あるいはNHKその他に通じまして提出をするようにいたしたいと思います。
  45. 受田新吉

    受田委員 衛星関係の問題で、気象衛星、これはわが国のように台風の襲来をしばしば受ける国では、何よりも急いで研究していただかなければならない。気象庁が運輸省の所管に置かれて、台風が襲ってくる直前からの台風の方向などはわかるけれども、そうしてその台風が来る場合に、それに対する事後の措置を講ぜよというためには、テレビ、ラジオを通じて非常に貢献しておる。たまには気象庁は間違った放送をしておこられることもございますけれども、大体一生懸命やっておいでになる。しかし、気象衛生ができるということになると、これは気象革命でございますからね、台風襲来国日本はたいへん救われると思うのです。科学技術庁の、そういう気象衛星、それから科学技術の新しい研究の成果として、台風を変じてあたたかい風に変えたり、雨がほしいというときにはすぐ雲を呼んで雨を降らすぐらいの科学技術の振興を、私はやってもらいたいのです。つまり、雨ごいというようなことを旧式に願う、天候の奇跡を信ずるということでなくして、そういうところまで科学技術はいかなければいかぬ。そういう研究を気象衛星を通じて今日されているか。  太平洋では、しばしば台風のために船舶が沈没している。沈没の数はものすごい数です。それに失われるとうとい人命。しかし気象庁は、きょうおられたら御答弁願いたいのですが、気象庁は、太平洋の中でたつまきが起こって、そのたつまきによって船が沈没していたのを知らないでおられる。つまり、太平洋上の気象観測について、前線に船も派遣できない、あるいはブイ等によるところの気象把握の措置もできないというようなことで、第一線で苦労している、船舶から発信する通信もできないようなところで動いている皆さんの遭難というものの実態を把握できない悲劇があっているのを私は聞いておるのです。そういう意味からも、科学技術庁が気象衛星をりっぱにつくり上げて、そういう海難その他をなくする。台風の被害をなくする。雨の必要なところへ雨を降らせる。さらに、科学技術の人間尊重の問題と、人間の資質を変える、頭脳明晰な人間をつくり不健康な人をなくするための科学技術研究、医学の勉強、食生活の向上等によるところの人間の素質を変える科学技術の振興はないのか。私はそこまでいくべきだと思うのです。人間を変える、不良な人間をなくして優秀な人間をつくる科学技術の振興策はないか。医学の上で、食生活の上で、そういうものを含めた科学技術の振興策を考えておられるのかどうかをお答え願いたいのです。
  46. 木内四郎

    木内国務大臣 ただいま非常に遠大な理想をお述べになりました。まさしく私の考えていることと一致しておるのです。私はかつて科学技術庁長官のときに、地球の管理ということを局長に言いまして、その問題についてひとつ考えるようにということを言ったのですが、いまお話にありましたように、人間がお月さんまで行くような時代になりました。お月さんに置いてきた機械を、ここでボタン一つ押せばコントロールできるような時代になってきたのですが、われわれの住んでおる地球を今日のような荒廃のままにしておいてはいかぬと私は常に考えておるのです。  そこで、さっきお話にありましたように、あるいはちょっと違うかもしれませんが、私は雨は大体晩に降らしたらいい、こう思っておるのです。そして日本で雨が多い。集中豪雨なんて、雨がよけいある。アフリカじゃ雨がなくて動物まで死ぬというようなことなら、日本の雨をとめて向こうで降らせるようにしたらいい。台風も、沖繩とか向こうの鹿児島県あたりまで、いつも先兵になって受けとめてもらっておるのですが、台風が来たら、あそこまで来る前に、ボタンを一つ押して大洋のほうに回ってもらう、そのくらいなことを——これは一つの夢でありますけれども、夢と必ずしも笑っておられぬ。私どもはお月さんを子供のとき山の中で見たときに、あそこまで行けたらどうかな、行きたいものだなという夢を持っていました。それが、私はいま人生七十五歳ですけれども、今日すでに実現している。  私は、いま申し上げましたような科学の夢、先ほど受田先生のお話しになったような遠大な理想ですな。これは必ず徐々にでも実現されていく時期が来るんじゃないか、かように思っておるのでありまして、そういう意味において私は、いま先生のお話しになったことは全面的に賛成です。そういう意味で、科学技術国民生活に密着して、国民生活の向上、内容の充実また安全の確保、そういう方面に向かって、ひとつ今後その開拓に全力を尽くしていきたいと考えておりますので、どうか先生の格別の御激励をこの上ともお願いいたしたいと思います。
  47. 受田新吉

    受田委員 大臣、第一回の大臣就任以来の夢をいま語っていただきました。全く夢が一致したというわけです。その点で、人間の体質の改善までも進めていくという意味で、先生御自身も百二十五まで生きられるための科学技術の振興の影響が先生に及んで御長命あらんことを願います。そういう研究も、人間を長生きをさせる、寿命を保たす研究、医学の研究は、すなわち科学技術の一翼でございますから、そういうことをひとつ進めてまいりたいと思います。  それから、お話がえらい横へそれたようですけれども、私は具体的な問題をとらえて、最初申し上げた科学技術行政の強大なる統一というマネージメント、マネージメントによる科学技術の振興ということ。つまりマネージメントというのは、統制という意味じゃないのです。それぞれの分野における専門能力を最高にまとめて生かすマネージメントを科学技術庁はやってもらいたいのです。それはいま非常に大事なことです。そうした人間の能力の最高のものをまとめて生かす力を科学技術庁が持つ、その行政をやっていただきたい。いま、先生御自身が夢であった月へも行けるようになった、そういう述懐をされましたけれども、そういう時代に、マネージメントの悪さからくる川崎の山くずれなどという事件が科学技術庁の主催でできたということは、あまりにも悲劇だと私思うのですね。それほどの大きな夢を持って科学技術の振興をやろうとするときに、予測される状態のきりきりまでを警戒してやるべき筋のものが、研究官の考え一つによって、危険な状態が防止できなかった。こういうようなことになったのでは、これは科学技術庁としてはほんとうにお粗末な現象だと思うのです。したがって、その夢を実現させるために、陰でマイナスをかせがぬようにしてもらいたいのです。科学技術庁に対する信頼を失う要素を削除してもらいたい。その点、私が申し上げたのは、科学技術の振興のために人間を犠牲にするようなことをしてはならない。人は大事です。人命ほどとうといものはない。それを終始念頭に置いて科学技術の振興をはかっていただきたい。  私は、その意味のマネージメントの具体策として、いまから具体的にいまの気象の問題をちょっと触れていきますが、科学技術庁は気象庁とどういう連絡を終始されて、気象衛星の研究開発に当たられるのか。それから、その他の各省にまたがる機関文部省あるいは国立大学研究所——私は国立大学研究所などを見ておると、ずいぶんたくさんのものがある。いま気象に例をとりましたけれども、これからお尋ねする地震の問題の地震研究所が東大にある。それから宇宙線観測所、宇宙航空研究所、物性研究所というものもある。東京工大に行くと精密工学研究所があり、原子炉工学研究所がある。京都大学に行くと、防災研究所、食糧科学研究所、ウイルス研究所、基礎物理学研究所——これは私は、基礎学というものを十分やっていかなければだめだと思うのです。その基礎学を国民に浸透させるということは、すべての問題の解決に非常に貢献すると思うのですけれども、そういうものがここにある。こういう数え切れないほど国立大学研究所を持っておる。また民間の大学でも最近いろいろの研究所ができておる。こういうものを科学技術庁はどの程度生かしておるのか。そこの職員をどの程度に生かしておるのか。  私はきのう無機材質研究所へ行きまして、かつて東京工業大学の学長をしておった山内先生が、老躯をひっさげて精励確勤しておられるのを見て感激したのでありますが、先生御自身の述懐からも、研究官の数がもっとふえていくことを期待しておりました。そういう意味では、比較的あそこは、国立大学その他の公務員の研究官、民間からも英知をすぐっておるということでありまして、やや典型的なのが一つ拝見できた。その他のものでもう少し民間の知能、関係各省の人材を吸収して、そしてもう一ぺんこっちへ出向してきた人は、もうこちらが把握しなければいかぬ。本家のほうを考えさせてはいけません。おれは通産省から来たのだ、運輸省から来たのだ、農林省から来たのだからというように、どうせそっちへ帰っていくのだから科学技術庁は腰かけだという考えを公務員に持たしてはいけない。六割はよそから輸入した公務員で占められておるのが科学技術庁なんだ。もともと四割しか科学技術庁は本来の人はおらぬ。輸入したほうが多い役所ですから、本家のほうを考えぬで、いま来たほうを一生懸命に考えるような公務員の勤務にさせなきゃいかぬと思う。長官御存じのように、外務省で在外公館は各省から出向の外交官がたくさんありますね。運輸省から来たり通産省から来たりして、外交官のキャリアのほかにいろいろな方々が来ておるけれども、全部外務大臣の統括のもとに外交官の任務を果たしておる。ぴりっとした外交官のそういうかっこうで、防衛庁から行っている自衛官でさえも外交官として、本家の自衛官の身分、給与というようなものはもうなくなって、自衛官の名前が残っておるだけで、あとは全部書記官としてやっておるという状況。これにあやかって、科学技術庁は、各省あるいは私立大学から、民間企業の英才をすぐって、ひとつその能力を、いま言ったマネージメント方式でその専門分野の力を最高に生かす力を出してもらいたい。そして総力をあげてやってもらいたい。よろしゅうございますか。
  48. 木内四郎

    木内国務大臣 いまお話しになった点も、まことに貴重な御意見でありまして、私ども常にそう考えております。ただ遺憾ながら科学技術庁はまだ創立間もない。したがって、子飼いの者が、下から上がってきた者がわりあいに少ない。いろいろ問題があるでしょうけれども、一たび科学技術庁へ参りましたら、どこの役所の出だとか、そういうことにはこだわらないで、全能力を発揮してもらうようにいたしたい、私はかように考えております。
  49. 受田新吉

    受田委員 いまおっしゃいました大臣の見解に基づいて、地震研究、気象研究、こういうようなものを科学技術庁におけるマネージメント方式による統括能力は持っておられるのかどうか、お答え願いたいと思います。
  50. 千葉博

    ○千葉説明員 地震と気象につきましてお答え申し上げますと、気象につきまして、特に宇宙関係の気象の御質問がありました。これにつきましては、宇宙開発委員会、これに宇宙開発に関する経費の見積もりに関する権限がございます。その権限行使いたしまして、関係の各省庁の実際のやり方につきまして、経費の見積もりという観点からヒヤリングをいたしまして、十分にそのポリシーを宇宙開発の計画の中に盛り込むということでやっております。  具体的に申し上げますと、たとえば気象庁の衛星に関する研究、こういったものは、まず研究の分野は気象庁、それから開発、ロツットでの打ち上げ、こういったような分野は科学技術庁の宇宙開発事業団で行なうというように分野を分けまして、その計画の詳細、実施のやり方、こういったようなものにつきましては宇宙開発委員会で決定をいたすというようなやり方をやっておるわけでございます。  それから地震に関しましては、こういったような宇宙ほどの強いと申しますか、総合的な推進は行なっておりません。ですが、この地震の分野の中で特に各省関係がございまして、総合的に推進をする必要があるような分野におきましては、この特別研究促進調整費を使用いたしましてこれを推進する。それからさらに科学技術庁にございます国立防災科学技術センターが受け持って、各省実験の共同施設を持つなどのことをいたしておりますが、こういった点からして、センターがこれを行なうというようなものにつきましては、各省に来ていただいてその研究推進しておるというようなことに相なっております。それから、全般に各省庁がやる地震の研究につきましては、科学技術庁が持っております見積もり方針調整権限によりまして、毎年、予算の見積もりの方針を細部にわたってヒヤリングして調整をいたしておるということでございます。
  51. 受田新吉

    受田委員 何だかごたごたしている感じの御答弁ですけれども、誠意をもって御答弁いただいたのですが、私、疑義があるのは、いまの地震、気象、それから宇宙開発衛星。いま衛星の話も出たのですが、たとえば人工衛星打ち上げでも東大が成功した。今度は種子島に科学技術庁が基地を持っておる。それからいまの研究学園都市にそのセンターが一つある。こういうようなものを、東大に名をなさしめるとか、科学技術庁に名をなさしめないとかいう議論ではなくて、もう東大の研究には科学技術庁一緒になって協力してやる、科学技術庁が種子島で今度やるときには東大も一緒になっていくというような、セクト主義でなくて、その英知を統合的にマネージメント方式で生かしたらもっとりっぱなものができないか。それを私はいまお尋ねしておるのですが、そのお答えを願いたいのです。
  52. 木内四郎

    木内国務大臣 いまの点、まことにごもっともな点があるのですが、ただしかし、東大におきましては科学衛星をみずから研究してやっておる、こういうことでありまして、それは私はけっこうなことだと思うのですが、私はこの前、在任中に宇宙開発事業団をつくることに内閣の同意を得てつくってもらったのですが、その際に、宇宙開発事業団と東大とは一体どういうあれだ、統合してしまったらいいのではないかという意見もずいぶんありました。しかし、科学衛星を東大のほうで研究している際に——非常に熱心に自力で解決しようとして努力もしているのですね。その努力がある程度まで来ているのに、それをやめてこっちへ全部移す、こういうことでは私はよくないというので、文部大臣と協議をしまして、科学衛星の研究がある程度の段階までいったら、そのときはそれをやめて宇宙開発事業団のほうに持ってこようじゃないか、こういうことになっておるわけなんです。  そこで、東大が自力によって、「おおすみ」とか「しんかい」、ああいうものを打ち上げるまでになってきたということは非常に喜ばしいことですが、とにかくわが国の宇宙開発の事業は非常におくれているのですよ。さっきは、大体一般のレベルまで来たじゃないかというお話もちょっとあったようでありますけれども、そうじゃないのですよ。たいへんなおくれなんです。そこで、そのおくれを取り戻すためには、ねじりはち巻きで自力でやるからといってがんばっていたって、それではますますおくれるのです。それはそれとして、学者がそういう研究をしてもらうことはけっこうだが、それと並行して、こっちはそのおくれを取り戻すためにも、外国の技術をどんどん導入していこう、そのところまでいったら、今度はそれをさらに消化して開発を進めていくというのをわれわれの力でやっていったらどうか、こういうふうに考えて、文部大臣とも相談しまして、ある段階まで行くまでは、Mロケットの成功するまではひとつ東大のほうで自力でやってもらおう、そして一方は、おくれを取り戻すために、外国の技術を導入して事業団のほうでどんどんやっていく、こういうふうにしたわけなんです。  その間にいろいろありまするけれども、そこで、おととしの夏、米国ともいろいろ相談しまして、米国はソー・デルタのシステムまではひとつ日本に出そう、こういうことになりました。日本では機密保持の問題その他いろいろありますけれども、ソー・デルタのところまで——ソー・デルタといいますと、この前の日本のオリンピックのときに、ヨーロッパへ放送した衛星というものはソー・デルタなんですよ。すでに今日どうですか。来年はミュンヘンオリンピックを迎えようというので、この間にもう七、八年のあれがあるわけです。そこにさえも日本がまだ行っていないということは、日本がどれだけおくれているかわからない。それを今度は自力でねじりはち巻きでやるといっても——ある程度まではひとつ自力で研究する、これはいいことですが、一方は、どんどん外国の技術を導入してでもおくれているところを取り戻して追いつこう、こういう努力をしておるわけですから、その点はひとつ御理解を願いたいと思うのです。
  53. 受田新吉

    受田委員 大臣、非常に熱意のあるところを述べられた。おくれを取り戻そうというところに来ておる。私もそうあらねばいかぬと思うのですが、飛び抜けて米ソがひいでておる。それにイギリス、フランス、ドイツと続いておる。日本はそのあとを追っかけているというところまでは大体来ておるということで、つまり、経済的には世界で第二位だけれども、宇宙開発では一応先進諸国の中のビリにおるわけだ。中国はどれだけ進んでおるか、これはインタロゲーションマークだからわからない。われわれよりも優秀であることは見当がつく。  ところが、いま、せっかく長官の御意思だけれども、実用衛星打ち上げのロケットというものに対して、この技術援助をアメリカからやってもらうというのに、五十億の予算をそのほうで節約しておるのですね。あれはどういうわけで節約したのですか。自力でやる能力はなかったのですか。五十億を節約したのですが、この間、米国から実用衛星打ち上げのロケットの技術を導入するための経費として五十億程度節約されたものがあるのかないのか。今度の衛星関係の宇宙開発の経費というものは、ことしの分は、結局五十億という金は使わないでおるのじゃないですか。予算上の措置でちょっと言うてください、宇宙開発費の中身を。
  54. 木内四郎

    木内国務大臣 いまのお話、私は初めて伺うのですけれども、とにかく宇宙開発の計画は、四十四年に宇宙開発の委員会ができました際に——その前もありましたけれども、四十四年に宇宙開発委員会の承認を得たのですが、そのときに、年々これをレビューして、再検討して、そうして改むべきは改めるということで、去年の十月に宇宙開発の計画を改定したことは御案内のとおりだと思うのです。そこでその際には、ひとつこういう形でやろう——こまかなことは、必要があれば事務当局から御説明しますが、こういう計画でひとつやろう、ここはひとつ外国の技術をそのまま導入しよう、あるいはこれは部分的に導入しよう、その他のことをいろいろ計画を立てましたので、その計画に従っておるので、五十億の金を出し渋ったとかなんとか、そんなことは私は毛頭ないと思うのです。その計画に従って全力を尽くしてやっている、かように私は了解いたしておるのです。
  55. 受田新吉

    受田委員 予算上の問題、宇宙開発費の説明をしてください。
  56. 千葉博

    ○千葉説明員 その五十億でございますが、たぶんそのようなものだろうと思うのですが、昨年計画を大幅に改定いたしました。いま大臣から答弁がありましたように、大いに外国の技術を入れてきてそれでやろうという大幅な改定を昨年の十月にいたしましたので、昨年の予算約五十億程度を使わぬで繰り越した、その点じゃないかと思うのでございます。そういうことで、要するに計画を、従来は自己がすべてを開発するという方針でいたのを、昨年の十月大幅に改定したというところで予算が使われなくなってきたということでございます。
  57. 受田新吉

    受田委員 つまり五十億ほど使い残したのですか。
  58. 木内四郎

    木内国務大臣 それはたいへんなお考え違いで、その予算の計画を変更して、より有効な方法によって宇宙開発事業を進めるという場合に、その計画に従うとむだなところへ使う金が残ったということであって、これは、使い切れなかったとか、そういうことじゃないのですから、その点はよく御了解願いたいと思うのです。予算を別にちびったわけでもない。やりそこなったわけでもない。計画を大幅に変更して、より有効により早くこの宇宙開発を進めようという計画を立てて、それには国内で、さっき申しましたように、ねじりはち巻きで必死になって、徹夜してでも何でもやって、いろいろなことをやろうという考えでおったのですけれども、これはほんの一例をあげたのですが、それよりも、これは新たにもっとより大きな計画でひとつ予算をとって進めたほうが全体として早くいくだろう、こういうことなんですから、その点は誤解ないように願いたいと思います。
  59. 受田新吉

    受田委員 いや誤解はしていない。私の言うのと同じ結論です。それを計画変更したわけです。だからその五十億の分をことし使うことにしたのだ、それを私申し上げておる。つまり計画変更せざるを得ないような状態の研究不足というのがあるわけですね。そういうことで、与えられた予算は、ことしに回さなくて去年十分使っていい金であった。何かもっと、アメリカから援助してもらうのじゃなくて、国内でそれを使ってもらいたい。それをことしに繰り越さなくてもいいのですよ。どんどんそういう予算を使って、科学技術の経費は惜しみなく使ってもらいたいというのがわれわれの願いなんだから。
  60. 木内四郎

    木内国務大臣 それは私は、せっかくの御意見ですけれども、ちょっと意見が違うのです。使わないでもいい金を惜しげもなくまくというわけには予算の執行上ちょっといかないのでありまして、計画を変更してより大きな金を使うことになったのですから、要らなくなった金は要らなくなった金として、要らないものは大いに節約すべきだし、要るところには五十億も何倍でも使うべしというのが私どもの考え方です。そこをちょっと間違えないようにしていただきたいと思います。
  61. 受田新吉

    受田委員 それでは、予算の数字に触れることになりましたので、宇宙開発費の昨年の予算、それからいま五十億を残してことしへプラスされてふえた比率はどうか。原子力のふえた比率はどうか。原子力と宇宙開発と両方の予算の伸びの比較をひとつ示してもらいたい。
  62. 市瀬輝雄

    ○市瀬説明員 ただいまの約五十億の繰り越しにつきましては、大蔵省から、計画変更の時点からそれを新しい計画に振り向けてもよろしいという許可が出まして、実質上は十五カ月予算というようなことで本年度の実施を期しておりますので、国損五十億というような形、あるいは五十億を全く使用しなかったという形ではございませんので、ちょっと説明をつけ加えさしていただきます。  それでことしの予算は、宇宙開発事業団におきましては百四億でございます。しかし、先ほど御指摘のございました約五十億を入れますと、実際の事業予算といたしましては百五、六十億の数字になっておりますのが実態でございます。
  63. 受田新吉

    受田委員 今度の要求は……。
  64. 市瀬輝雄

    ○市瀬説明員 ことしの要求は、事業団では二百七十八億でございます。
  65. 受田新吉

    受田委員 原子力は……。
  66. 市瀬輝雄

    ○市瀬説明員 原子力は所管でございませんので……。
  67. 千葉博

    ○千葉説明員 四十六年度は原子力関係の予算は四百七十二億、それから四十七年度の要求は六百七億、以上でございます。
  68. 受田新吉

    受田委員 そうしますと、四十五年と四十六年の比較をもう一度していただきたい、原子力と宇宙開発。要求をいま言われたのですが、四十五年から四十六年の伸びですね。
  69. 千葉博

    ○千葉説明員 四十五年が三百八十六億でございます。
  70. 受田新吉

    受田委員 宇宙開発。
  71. 千葉博

    ○千葉説明員 四十五年度が百一億でございますが、四十六年度が百四億でございます。
  72. 受田新吉

    受田委員 この百四億の中に五十億はどうなっておるのですか。
  73. 千葉博

    ○千葉説明員 その額が上積みになっております。
  74. 受田新吉

    受田委員 百一億が百四億というのは非常に伸びが悪いのです。つまり四十五年が百一億で四十六年が百四億というような、三億しかふえないような宇宙開発の伸びというのはおかしいじゃないですか。
  75. 千葉博

    ○千葉説明員 その百四億に五十億が上積みされておりますので、全部で百五十四億ということになっております。
  76. 受田新吉

    受田委員 それは十五カ月予算で翌年回しですから、年度から見たら、四十五年と四十六年の伸びはわずかに三億です。宇宙開発はこういうようなものであってはならない。もっと伸びを多くすべきだ、こう思うのです。つまり、大幅におくれている宇宙開発に追いつく、そのための通信衛星とかあるいは気象衛星というものが宇宙開発の研究には入るのです。そういう国民生活に密着するきわめて高度の科学技術ですから、惜しみなく予算を使って、国民はそれで科学技術庁に、ありがとう、御苦労さん、こういうふうにやってもらわなければいかぬのです。  時間が延びてしまいました。思いがけない時間がたってしまったので、私、結論に入ります。  最後にひとつ伺いたい。地震ですが、地震研究は、各大学あるいは民間等、あるいはこの間行った防災科学技術センター、そういうところで全国的にどういう研究をされておるのがあって、それをどういうふうにマネージメント方式で協力を得て智恵を集めておるか伺いたい。もういつ地震があるかわからない。
  77. 千葉博

    ○千葉説明員 全般につきましては、総理府に中央防災会議があって、そこでいろいろの話し合いが行なわれ、ここで成果その他につきまして意見の交換その他ございますが、地震の研究につきましては、科学技術庁におきましても国立防災科学技術センターがございますし、そのほか気象庁の気象研究所、各大学研究機関などにおきまして研究されております。  それで、マネージメントにつきましては、先ほど申し上げたように、国立試験研究機関に関するものは、科学技術庁研究調整局におきまして、見積もり方針調整によりまして各年度の予算を調整いたしまして、各研究機関におきましてその研究を実行しているということになっております。そのほか、総合的な研究といたしましては、国立防災科学技術センターにおきまして、首都圏南部における地震活動に関する研究というような大きな研究、さらには都市の震災対策につきましての大震時における都市防災に関する総合的な研究というようなものを総合的に取り上げておるという現況であります。
  78. 受田新吉

    受田委員 わかりました。中央防災会議というのは、私、この大都市震災対策推進要綱をいただいたが、これが五月に出たばかりで、これが出て以後は国会の論議はされておらないようですが、この中央防災会議という総理のもとにある機関、ここが地震の総括的な役所と判断してよろしいのでございますか。
  79. 高橋盛雄

    高橋説明員 お答え申し上げます。  中央防災会議は、地震を含めて自然災害、台風、洪水、その他大規模な災害に対する、災害対策基本法に基づいて設けられたものでございます。この災害対策基本法で、災害の未然防止、それから災害が起こった場合の災害の応急措置等を規定しているわけでございますが、この中で、中央防災会議におきまして、その防災に関する基本的な防災基本計画を策定いたしまして、これに基づきまして実際の具体化のためには、各省、それから地方公共団体の業務計画、あるいは地域防災計画等においてその具体化の推進を行なうということで、いわばこの防災基本計画は防災の基本となるべき計画でございます。たまたま最近におきまして地震の問題、特に本年二月九日ロスに地震が起こりまして、これは政府からも調査団を派遣いたしましてつぶさに調査いたしたわけでございますが、その調査の結果をもとにいたしまして、各省調整を見た上で、大都市震災対策推進要綱を作成したわけでございます。この推進対策要綱はいわば基本計画のより具体化措置という位置づけになろうかと思います。全般のことを申し上げます。
  80. 受田新吉

    受田委員 わかりました。そこで高橋参事官、あなたのところがいわゆる地震その他の災害に対する防止センター、こういう機能を持っておられるという判断をさせていただいた上で質問ですけれども、こういう防災の対策を立てるのには、地震がいつあるかという予知が前提に当然なければいかぬ。予知なくして防災はあり得ない。その地震の予知、いつ地震があると判断されますか。これは大事なことですからひとつ。
  81. 犬丸直

    ○犬丸政府委員 地震予知の関係文部省の所管になろうかと思いますので、ちょっと御参考までに申し上げます。  地震予知につきましては、これは学問的にまだまだ非常に未分化な、確定しておらない面がございます。わが国は世界でも進んでおる分野でございますが、主として大学等が中心になりまして、各種の研究施設を持ちまして研究いたしております。そして地震予知につきましては、昭和四十三年に「地震予知の推進について」という閣議了解がありまして、国として地震予知の方法を推進していこう、こういう体制が確立しております。それに基づきまして文部省に測地学審議会という審議会がございます。これは地震の問題だけでなくて、標準時間の問題とか、そういったいろいろな地球物理に関係した基礎的な観測等を推進する、あるいは研究の基礎となるようなデータの収集を推進する、そのための審議会でございますが、そこから「地震予知の推進に関する計画実施について」という建議を内閣総理大臣、文部大臣、通産大臣、運輸大臣、建設大臣等に出しております。そしてそれに基づきまして、かなり詳細な五カ年間の地震予知に関する計画ができております。それに基づきまして、いまこれは各省関係でそれぞれの分野を担当しながら、総合的にいろいろなデータを集めて、地震予知の研究推進しておる、そういう状況でございます。  たとえば文部省関係だけで申しますと、今年度、四十六年度予算におきましても、大学関係で約六億くらいの金をそれに注いでおります。たとえば名古屋大学理学部の三河地殻変動観測所の新設、あるいは京都大学の防災研究所鳥取微小地震研究所に極微小地震移動観測班をつくるとか、名古屋大学の理学部の犬山地震観測所あるいは高知大学の高知地震観測所の整備、それから名古屋大学の工学部に土圧研究施設をつくる、そういったようなことで、いろいろな形でこれはかなり長期的に総合的に推進しなければならないということで、そういう体制を固めております。
  82. 受田新吉

    受田委員 それで、大体結論として、最も早い時期に地震が起こる可能性があるという判断をされたところがあるのじゃないですか。つまり、周期的にあすにでも地震が来たというときに、わが国は手の施しようがない。全面的な訓練がしてないのです。局部的にはしているところがあるけれども、全面的な訓練がしてないから、こういう地震が起きたときに、まず高層建築は一体どれくらいになるのか、空地がない、あれはどうなるのか、建設省に御答弁願いたい。地震が起きたら気象庁は一体どういう任務を持つのか、これは気象庁から御答弁を願いたい。それから総合的な防災対策は一体どうするのか。それに対して避難訓練その他の総合訓練はどこがやるか、高速道路を走る自動車はどうなってくるのかというものを含めた総合対策はどこがやるのか。それぞれの立場で、あすにでも地震が起こったという場合におけるそれぞれの地震対策を、ひとつごく端的に短い時間で御答弁を仰ぎたいと思うのです。そして私、犬丸先生にお伺いしたいのは、地震を予知している学者で、一番近い時点を文部省の知能をすぐってやっているのはどこかということもあわせて。それから地震の予知に対して、いまのところ文部省やら中央防災会議のほうが専門であって、科学技術庁はつんぼさじきのようなかっこうになっておるが、地震に関しては例の防災科学センターでやっておる程度で、文部省やら中央防災会議のほうへお株を譲って、ただ地震研究所をささやかに持っているのにすぎないのが科学技術庁か。これを一つ御答弁願いたい。なぜ私がこれを質問するのかというのは、そういう地震対策に対するマネージメントの方式をどうするか。重大事態のときにセクト主義でやられたなら日本は大惨害になると思う。後ほどそのときの最後の問題を提起するために、いまそれぞれの分野で御答弁を仰ぎたいと思うのです。
  83. 高橋浩一郎

    高橋(浩)政府委員 先ほどの地震の予知の問題でございますけれども、現在、残念ながらいつどこでどれくらいの地震が起こるかという技術はまだ確立しておりません。ただ、従来の過去の統計をとりますと、これから何年かの間くらいにはこの程度の地震が起こる確率が非常に大きい、こういうような統計的なことはある程度見当はつけて……。
  84. 受田新吉

    受田委員 見当をつけていただきたい。
  85. 高橋浩一郎

    高橋(浩)政府委員 河角先生がお述べになりましたのは、東京付近におきましては、たしか六十九年周期でございましたか、過去の記録を調べてみるとその程度の周期があるようである。そういうことを勘案しますと、これからあと十年後におきましては起こる確率が非常に大きい、こういうことでございます。しかしこのことは、たとえばすぐ来年全然起こらない、そういうことではございませんので、そういう確率も、きわめてわずかではございますけれども、あるわけでございます。そういう意味から申しますと、大地震対策というのはなるべく早急にやらなければいけない、こういう事態かと思うわけでございます。
  86. 受田新吉

    受田委員 そこまでの答弁で、あとまた質問させてください。  地震予知の六十九年周期説が出ましたが、新潟地震や十勝沖地震というのは、これはそういう予知と関係なく出たのか、予知されたのですかということです。
  87. 高橋浩一郎

    高橋(浩)政府委員 私、実は地震の専門家ではございませんので、よくわかりませんけれども、いままでのは観測結果だけでございますので、一応それとは別でございます。各地につきましては、一応それぞれ過去のことを分析しておりまして、たとえば将来この付近ではどの程度の大きさの地震が起こる可能性があるか、こういう調査はできております。建築をつくる場合には、そういったものを参考にいたしまして、それに耐えるようなものをつくるというのが現在の防災の一つの基本的な態度となっております。
  88. 受田新吉

    受田委員 その次を全部言ってください。それから津波その他が起こった場合の対策……。
  89. 高橋浩一郎

    高橋(浩)政府委員 津波の問題につきましては、これはきわめて短時間ではございますけれども、地震の大きさとかいうようなことを見ますと、津波が起こるか起こらないかという予測がつくわけでございます。したがってそれにつきましては、現在気象庁が責任をもちまして、時間的な間隔がございますので、おもにテレビを使っているようでございますが、すぐさま一般に放送いたしまして、津波が起こるか起こらないかということを現在放送しているわけでございます。これは地震の起こる場所によって違いまして、ところによりますと三十分以内ということもございます。あるいは一時間というようなこともございますので、なかなか技術的にむずかしい面ではございますけれども、現在の段階でばかなりうまくいっているような気がいたしております。  次に、地震の問題でございますが、災害時におきましては、デマと申しましょうか、これが必ず起こるものでございまして、そういうときには、やはり地震の実態をお知らせするということが非常に重要なことであろうかと思うわけでございます。したがって気象庁におきましては、大地震が起きました場合には、すぐさまその状況をお知らせいたしますし、必要によりましては、この程度の余震がこの程度続くといったような一般的な解説をするのが気象方の任務でございます。
  90. 檀原毅

    檀原説明員 御質問に対して一部のお答えになるかと存じますが、先ほど文部省のほうから御説明がありましたように、閣議決定及び文部省測地学審議会の建議に基づきまして、その一環として地震予知連絡会というものが昭和四十四年四月に発足しております。この地震予知連絡会と申しますのは、六つの官庁研究所あるいは機関、それから五つの大学、二つの大学研究所——一つは地震研究所、一つは京都の防災研究所であります。そういった官民連合の組織ができております。現在までに十四回連絡会を開きまして、いろいろ地震予知の問題を検討してまいっております。それでその連絡会は、あくまで情報を収集いたしまして、それに学問的な判断をするということが役目でございまして、したがって学問的な分野に問題が限られるわけでございます。  それで、この連絡会でいろいろ検討した地震予知の観測体制でありますが、地震はどこに起こるかということは非常にむずかしいので、まず基本観測といたしまして、全国を一様にネットを張って、どこもかしこも監視しているというのが一つあります。それからそのほかに、過去に大地震が起きて現在起きていないようなところ、そういうところは特定観測地域といたしまして、これを全国に現在八カ所設けております。そういうところは、ネットをこまかにするとか、観測の方法をたくさん集中するとか、そういうやり方をやっております。それから観測強化地域というのがその上にございまして、現在、南関東は観測強化地域になっております。観測強化地域と申しますのは、観測手段に何らかの異常というような現象がひっかかった場合に観測強化ということになります。そういうところに観測を集中いたしまして、どういう観測から見ましてもそれは大地震の徴候があるということがはっきりしましたら、それは連絡会で判断するわけでございますが、そういたしますと観測集中地域ということになります。現在、観測強化地域というのは南関東だけでございます。したがってまだ観測集中地域というのは出ておりません。  私たちは、あくまで統計は統計といたしまして、これはもちろん過去の統計をまるで信用しないということではございません。それはある程度信用いたしますとともに、あくまで観測機械によって前兆をつかまえよう。先ほど、最も近い地震はどれかという御質問でしたが、現在集中地域はございません。観測強化地域が南関東であるということでございます。
  91. 受田新吉

    受田委員 いまの御答弁では、つまりまだ研究段階みたいなもので、結論が出ておらぬようですね。つまりいつごろあるかという予測を国土地理院はしておらぬです。
  92. 檀原毅

    檀原説明員 地震予知と申しますのは、場所と大きさといつと、三段階を予知しなければこれは何にもならない。それで現在いつということが非常にむずかしい問題になっておりまして、これがいろいろ過去の経験がありますと言えるわけですが、何しろ大地震というものは非常にまれな現象でございますから、なかなかそういう経験がない。したがって、いつということが現在まだ取り残されている問題と申し上げてよろしいかと思います。
  93. 受田新吉

    受田委員 その点がはっきりしてほしい。つまり研究段階としか言えない。いまのお話では答えが出ていないですから。ある程度危険状態がわかると——いまのところ、来年なきにしもあらずと気象庁長官はおっしゃった。来年なきにしもあらずという可能性に備えて、高層建築、道路、そしてあき地その他、待避所の緑地帯等の建設関係の対応策というのは、建設省は一体どういうように用意されておるのか。来年でもあった場合の対策をちょっと……。準備だけはできておると思いますが。
  94. 井上孝

    井上説明員 初めに道路の関係でお答えいたします。  最近つくられます道路につきましては、耐震関係も十分発達をいたしまして、関東大震災程度、震度七の激震程度ですと、構造的には十分耐えるように設計し、また施工できるようになっております。ただ、関東大震災程度でございますと、おそらく局部的なクラックが入る、土砂が若干崩落するというような局部的な被害があると思いますが、全面的な決壊とかあるいは落橋というようなことは、最近の橋梁等の構造物ではないと考えております。しかし、全国の道路は非常に古い橋梁もございまして、関東大震災以前の、あるいは昭和初期のものには、すでに耐用年数が尽きておるようなものが相当ございます。こういうものにつきましてはかなりの被害が予想されます。  したがいまして、二月にございましたロサンゼルスの地震の教訓もございますので、建設省といたしましては、ことしの四月から六月にかけまして、全国的に道路の構造物について、トンネルも含めまして総点検をいたしました。その結果、一万八千橋ばかりあります主要な橋梁のうち、三千二百橋ばかりが若干の補修、補強、あるいはごくまれにはかけかえを要するということがわかりました。また、トンネルにつきましても約六百カ所を調査をいたしましたが、そのうち百九十カ所ぐらいが、はだ落ちといいますか、壁がくずれる危険性がある。したがってトンネルのライニングをやり直す必要があるというような実態がわかりました。さっそく来年度を初年度といたします五カ年計画を立てまして、緊急を要するものから順次補強、あるいはかけかえ、あるいは補修ということをやっていこうというふうに考えております。ただ、五カ年のうち前半の三年間では、地震が起こりました場合に非常に被害が多いと予想されます東京、名古屋、大阪という大都市圏につきまして、地震がありました場合に緊急に避難をする道路、あるいは救援物資を搬入する道路、これは私ども緊急に切り開く道路、緊急啓開道路と申しておりますが、これを選びまして、少なくともその道路につきましては、橋梁が落ちるというようなことのないように、当面の三カ年で緊急に整備をする、こういうことになっております。
  95. 受田新吉

    受田委員 高層建築はどの程度までが限界になっているか。いまの建物で軟弱部分とかたい部分とそれぞれ分類して、端的にお答えをいただきたいと思います。
  96. 救仁郷斉

    ○救仁郷説明員 現在わが国で建てられております建物は、一番高いので四十七階、百七十メートルぐらいでございます。その限界はどうかという御質問でございますが、これはむしろ地盤の条件によって非常に異なると思われます。まず、東京で地盤さえよければ、私どもでは、いま現在の技術で、大体百階、三百メートルくらいまでは可能だと考えております。
  97. 受田新吉

    受田委員 そこの東京タワーは三百二十メートルか三十メートルか、こんなのは問題ないのですね。  そこで、避難所、空地の利用、緑地をもう少しふやすとかいう地震対応策の、都市のあき地利用をどうするか。
  98. 重元良夫

    ○重元説明員 地震が起こりました際に、やはり必ず火災が第二次災害として非常に同時多発するであろうということもいわれておるわけでございまして、一番こわいのは火災であるというふうに、被害の想定をする場合には火災の問題が一番重大な問題と考えられております。この際やはり、現在非常に過密の状況にある都市の中では、避難場所と避難場所に至る避難道路、逃げ場所、逃げ道ということでございますが、それを非常に緊急に確保する必要があるわけでございます。建設省では、特に東京の江東地区につきましては、いろいろ客観的な条件あるいは社会的な条件等から一番日本で危険であろうというようなことから、昭和四十年以来調査してまいりましたが、昨年一応の基本方針を出しておりますが、いわゆる防災拠点と申しております。そのほか、東京都全体としては四十六カ所の避難場所を指定いたしておりますが、中、長期計画では六十六カ所の避難場所をつくるということを考えております。建設省としましては、避難場所としての公園、緑地あるいは工場あと地等の利用というふうなことを積極的にしたいというふうに考えております。
  99. 受田新吉

    受田委員 わかりました。結論を言って、それでおしまいにいたしますが、あすにでも地震があるかもしれないという可能性を、気象庁長官も、それから防災会議参事官も、否定しておられないわけです。地震国ですから。そういう際に、大都市の現状から見ると、いまお話しのようなそれぞれの部署で対策を立てておられながら、総合的な対策というものをどこかで締めくくって、学童が避難するときはどうしたらいいかというような、学校の子供の指導なども含めた全体的な、総合的な対策というものをやる役所は一体どこですか。科学技術庁は地震の総合的な対策を立てられるほうへは御縁がない。研究段階においては、地震対策と地震の研究については例の防災技術センターがあるだけ、こういうことですか、科学技術庁の置かれている役割りは。
  100. 千葉博

    ○千葉説明員 当庁といたしましては、震災の対策に関する研究開発に限られております。そういった対策はやっておりません。
  101. 受田新吉

    受田委員 私、お話を伺っておると、それぞれの部署では知恵を出しておるけれども、その英知を最終的にまとめる力というものは、地震であろうと、台風であろうと、山くずれであろうと、そういうものについて科学技術庁科学技術的なものでやったらいいのか。あるいは総理府がそういうことをやったらいいのか。そういうものについてちょっと疑義が一つ起こったのです。国務大臣科学技術推進する役所としての科学技術庁は、そういう問題を、対策の一部も含めて、何とかひとつ科学技術的な解決のための努力はあなたの庁がやっていただくべきだと私は思うのです。そして今度対策に対する具体的な現地指導ということになれば、やはり総理府などがそれに乗り出していくとかいうことで、部署をはっきりして、そのマネージメント方式をどういう形にしたらいいかを閣議等で御提案になって、科学技術庁権威を一方で保持しながら、大所高所からそういう対策を含む——特に地震対策などは、いま予知問題は国土地理院もやはりタッチしておられる。文部省もタッチしておられる。そういうものは、科学技術庁一緒になって総合的に予知関係をまとめることはできないのですかね。そういうものの知恵を、そういうことを含めた大臣の御答弁を願いたい。
  102. 木内四郎

    木内国務大臣 非常に御熱心な御研究、まことに敬服いたすのでありますが、自然災害に対する対策あるいは諸官庁、これはいろいろあるのです。自然災害、たとえばこの間のがけくずれ、あれなどは科学技術庁が中心になって、各省庁の御協力を得てやりました。あれもあの災害だけを見るわけに実はいかないのですよ。あれは、戦後の状態を見ましても、二十二年、二十三年までの間に五千六百九件ものがけくずれがあって、そしてある年には四十四人、ある年は三十八人、ある年には三百八十何名も行くえ不明になるというような事態がありましたので、それで科学技術庁が中心になって、ロームの斜面の崩壊の状態は研究をなおざりにするわけにいかぬということで、あの計画を立てたわけなんです。ところが計画自体は私は悪いことじゃなかったと思うのですが、たまたま魔がさしたといいますか、人間のやることであって、ちょっとしたところの、もう一歩注意しておったならば避け得たのについにあの災害を招いた。私が現地を視察してみますと、非常な急坂であって、しかしその間にやぶがあったのですね。これがやはり人間の能力の——そのやぶがあったから、まさかそのやぶを越してここまで来まいと思っておったそのやぶがくずれてきた。そしてみんな、調査員がおったところから、写真をとる人はさらにその前に出て、やぶまでは来まいということでやったところが、そのやぶがくずれたというようなことで、これはちょっと余談になりましたが、ものによっては科学技術庁が中心になってやるものもありまするし、また、いまお話しの地震のような大規模なものは、科学技術庁だけでは処理できないと思うのです。科学技術庁は、この地震につきましては、大きな問題はこの時期と規模を予知するということで、これは遺憾ながら今日の科学の世界においてはまだできておらぬらしい。いまお話をお聞きになっておわかりになったと思うのですが、地震の予知の問題と起こった場合の対策の問題、あるいは起こった場合にさらにそれに伴って生ずるところの災害をどうして防除するかという問題、すなわち予知の問題と起こった場合の問題と、こう二つに分かれると思うのです。  そこでこれは、建設省その他、いまお話があったように、各省庁の御協力を得なければできるものじゃない。科学技術庁だけでこれをやれるものじゃないと思う。科学技術庁は、この予知の一環として、いま岩槻市に三百六十メートルの深層の試錐井ですか、そこでもっていろいろ試験などをやっておりますが、とうていこんなことじゃこの地震という地殻の変動、この予測はできないですね。これは予知できないと思うのです。しかし、さればといってほっておくわけにいかない。これは政府の総力をあげて研究する。研究してもなかなか人間の能力には限界がありまして、科学が進歩してお月さまに行くようになっても、あらかじめ地震の規模と時期、時間というようなものは、ちょっといまのところじゃ、まあ夢にも描き得ないような状態でありますが、しかし、何とかしてこれを予知するように努力しなくちゃいかぬと思いますが、そのあとのことは、さっきお話のありました中央防災会議が中心になりまして、政府が全力をあげて、わが国のような地震国ですから、もう必ずあしたあるかもしらぬ、あさってあるかもしらぬのですから、これに対する対策を政府はあげてやらなければならないと思っておりますが、私も微力でありますけれども、その方面に力をいたしたいと思います。
  103. 受田新吉

    受田委員 私いま長官にお願いしたいのは、予知段階科学技術庁が責任を持ち、実施段階総理府が責任を持つというように、分野をきめていかれる必要はないか。つまり、国土地理院、文部省等の予知の段階研究科学技術庁の知能を含めて、それは科学技術の世界ですから、まだ実施面じゃないのですから。実施面は総理府を中心とした各省の総合体制、予知面は科学技術庁がというように分類してやってはどうかということをいま提案したのですが、その意見にはあなたはちょっと消極的でいらっしゃった。
  104. 木内四郎

    木内国務大臣 それはごもっともです。できればそういうことにしたいと思いますが、この研究はむずかしい研究でありまして、科学技術庁でも、いま申しましたように、いろいろなことをやっております。あるいは今度、この間ごらん願った学園都市におきましても、すでに地殻の模型などもやっておりますが、この予知のほうは科学技術庁もやりますが、大学の先生方にもそれは非常にやっていただいておる。これは人知を集めて総合的にやる必要はあると思うのですけれども、なかなかそう簡単にいきません。御趣旨の点は十分に了解いたしておりますので、そういう線に沿ってできるだけのことをいたしたいと思います。
  105. 受田新吉

    受田委員 わかりました。それでおしまいに大臣に一言伺いたい。  研究学園都市科学技術庁の職員だけが今度一部先行することになる。他省も一緒になってやるべきじゃないですか。第一次は総合的に各省からこういう公務員を派遣するというようなかっこうでいくべきで、科学技術庁だけから行く対策だけでなくして、総合的対策が要るのではないか。その処遇についても、首都圏という立場の処遇という意味で考えておられるようですから、処遇については、われわれはまたわれわれで手伝いの道があると思うが、それを派遣するのを科学技術庁が先行することについて、もう一歩進んで関係各省から一緒に第一陣が出て気勢を上げるという必要はないか。
  106. 木内四郎

    木内国務大臣 ごもっともな御意見です。私どものほうは、防災センターがまず行く、あるいは無機材質研究所が行く、それからあるいは金属材料技術研究所のほうが行く、こういうふうなことにして、とにかくいいことですから、まず行こう。ほかの役所も、時間は少しずれますけれども、みなひとつあげて行こう、こういうことでやっていますから、ひとつ御協力をお願いいたしたいと思います。
  107. 受田新吉

    受田委員 終わります。
  108. 伊能繁次郎

    伊能委員長 次回は、来たる十二月二日木曜日午前十時理事会、十時三十分委員会を開催することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時五十七分散会