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受田委員 大臣、第一回の
大臣就任以来の夢をいま語っていただきました。全く夢が一致したというわけです。その点で、人間の体質の
改善までも進めていくという
意味で、先生御自身も百二十五まで生きられるための
科学技術の振興の影響が先生に及んで御長命あらんことを願います。そういう
研究も、人間を長生きをさせる、寿命を保たす
研究、医学の
研究は、すなわち
科学技術の一翼でございますから、そういうことをひとつ進めてまいりたいと思います。
それから、
お話がえらい横へそれたようですけれ
ども、私は具体的な問題をとらえて、最初申し上げた
科学技術行政の強大なる統一というマネージメント、マネージメントによる
科学技術の振興ということ。つまりマネージメントというのは、統制という
意味じゃないのです。それぞれの分野における専門能力を最高にまとめて生かすマネージメントを
科学技術庁はやってもらいたいのです。それはいま非常に大事なことです。そうした人間の能力の最高のものをまとめて生かす力を
科学技術庁が持つ、その
行政をやっていただきたい。いま、先生御自身が夢であった月へも行けるようになった、そういう述懐をされましたけれ
ども、そういう時代に、マネージメントの悪さからくる
川崎の山くずれなどという事件が
科学技術庁の主催でできたということは、あまりにも悲劇だと私思うのですね。それほどの大きな夢を持って
科学技術の振興をやろうとするときに、予測される状態のきりきりまでを警戒してやるべき筋のものが、
研究官の考え一つによって、危険な状態が防止できなかった。こういうようなことになったのでは、これは
科学技術庁としてはほんとうにお粗末な現象だと思うのです。したがって、その夢を実現させるために、陰でマイナスをかせがぬようにしてもらいたいのです。
科学技術庁に対する信頼を失う要素を削除してもらいたい。その点、私が申し上げたのは、
科学技術の振興のために人間を犠牲にするようなことをしてはならない。人は大事です。人命ほどとうといものはない。それを終始念頭に置いて
科学技術の振興をはかっていただきたい。
私は、その
意味のマネージメントの具体策として、いまから具体的にいまの気象の問題をちょっと触れていきますが、
科学技術庁は気象庁とどういう
連絡を終始されて、気象衛星の
研究開発に当たられるのか。それから、その他の
各省にまたがる
機関、
文部省あるいは
国立大学の
研究所——私は
国立大学の
研究所などを見ておると、ずいぶんたくさんのものがある。いま気象に例をとりましたけれ
ども、これからお尋ねする地震の問題の地震
研究所が東大にある。それから宇宙線観測所、宇宙航空
研究所、物性
研究所というものもある。東京工大に行くと精密工学
研究所があり、原子炉工学
研究所がある。京都
大学に行くと、防災
研究所、食糧科学
研究所、ウイルス
研究所、基礎物理学
研究所——これは私は、基礎学というものを十分やっていかなければだめだと思うのです。その基礎学を
国民に浸透させるということは、すべての問題の解決に非常に貢献すると思うのですけれ
ども、そういうものがここにある。こういう数え切れないほど
国立大学は
研究所を持っておる。また民間の
大学でも最近いろいろの
研究所ができておる。こういうものを
科学技術庁はどの程度生かしておるのか。そこの職員をどの程度に生かしておるのか。
私はきのう無機材質
研究所へ行きまして、かつて東京工業
大学の学長をしておった山内先生が、老躯をひっさげて精励確勤しておられるのを見て感激したのでありますが、先生御自身の述懐からも、
研究官の数がもっとふえていくことを期待しておりました。そういう
意味では、比較的あそこは、
国立大学その他の公務員の
研究官、民間からも英知をすぐっておるということでありまして、やや典型的なのが一つ拝見できた。その他のものでもう少し民間の知能、
関係各省の人材を吸収して、そしてもう一ぺんこっちへ出向してきた人は、もうこちらが把握しなければいかぬ。本家のほうを考えさせてはいけません。おれは通産省から来たのだ、運輸省から来たのだ、農林省から来たのだからというように、どうせそっちへ帰っていくのだから
科学技術庁は腰かけだという考えを公務員に持たしてはいけない。六割はよそから輸入した公務員で占められておるのが
科学技術庁なんだ。もともと四割しか
科学技術庁は本来の人はおらぬ。輸入したほうが多い
役所ですから、本家のほうを考えぬで、いま来たほうを一生懸命に考えるような公務員の勤務にさせなきゃいかぬと思う。
長官御存じのように、外務省で在外公館は
各省から出向の外交官がたくさんありますね。運輸省から来たり通産省から来たりして、外交官のキャリアのほかにいろいろな方々が来ておるけれ
ども、全部外務
大臣の統括のもとに外交官の任務を果たしておる。ぴりっとした外交官のそういう
かっこうで、防衛庁から行っている自衛官でさえも外交官として、本家の自衛官の身分、給与というようなものはもうなくなって、自衛官の名前が残っておるだけで、あとは全部書記官としてやっておるという状況。これにあやかって、
科学技術庁は、
各省あるいは
私立大学から、民間企業の英才をすぐって、ひとつその能力を、いま言ったマネージメント方式でその専門分野の力を最高に生かす力を出してもらいたい。そして総力をあげてやってもらいたい。よろしゅうございますか。