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木原委員 これは私のほうは決して無理なことを言っているつもりはないのです。私は、
労働行政の問題については専門
委員会があるわけですから、私
どもがいろいろ日ごろ思っている問題がありますけれ
ども、ここでは立ち入ってそんなことやりたくはございません。ただ
制度の面から見ますと、ともかく午前中も少し
ことばの過ぎたようなことを申し上げましたけれ
ども、
労働省は格段にどうも
便宜主義に過ぎる、こういう印象もあります。前科もあります。
制度という
サイドから見た場合には、私のほうこそが再考を願う余地がないのか。少なくとも時間をおかしするだけの雅量は
委員長以下お持ちでございますから、そういう中でもっと詰めた、ある
意味では幅のある、諸般の点検や検討の中でもう一ぺん考え直す余地はないのかと申し上げたわけです。何か
大臣のほうから、おまえさんのほうでもう少し考え直してくれ、こう言っているのですが、私はともかく
労働省のために提言をしておるようなつもりなんで、決して、この
法案を踏まえて、ここで賛否を論じて云々しようという
気持ちはございません。
労働行政、なかんずく
基準行政の前進を非常に期待をしたい、これだけなんです。ですから、その点は決して政治的にどうのこうのということではございませんから、
立場だけは明らかにしておきたいと思います。いずれこの
委員会の中で同僚
委員諸君との御相談もいたしまして、最善の道を議会としては選びたい、こういうふうに考えておるところでございます。
そこで、
行管からせっかくお見えでございますので、もう少し聞いておきますけれ
ども、一般的な
方針はいま
伺いました。午前中来私が
質問申し上げまして、いまはともかく
基準行政というものが一方では
人員の不足、他方では大量の企業の増設、
事業所がふえている、しかも非常に形態が複雑だというようなことで、どの
監督官に聞きましても、ともかく絶対的に人が足りない。したがって、一人の
監督官が大体一万件くらいの
事業所を持つことになる。そうなりますと、大体年間二百件か三百件かということですから、少なくとも何十年とかかる
仕事量を持っているわけです。そういう
立場が
一つあるわけです。ところが
政府のほうでは、御案内のとおり、人をふやすということについてはあまり積極的ではない。ところが、われわれが見るところによりますと、必要なところに対しても何か一律に人を押えていくという傾向がある。だから、われわれの目から見ると、国民と一番接触する、いわば行政のサービス部門がとかく一律に削られやすい、こういう傾向がこの
監督官の場合にもあらわれていると思うのです。だから、私は
労働省の
立場に肩を持つわけじゃございませんけれ
ども、実際に
仕事の実情を私
ども第一線で見ておりますと、あまりにひどいと思う。
そういう点から、どういう
仕事の形態が出るかといいますと、早い話手抜きになるわけです。あまり立ち入ったことは、幾つかの事例を知っておりますけれ
ども申し上げませんけれ
ども、どうしても帳面づらだけを合わせる、件数だけを合わせる、そういう
仕事にならざるを得ない。なぜならば、これは
労働省の年間の
仕事を達成するために一定の計画なり目標なりというものを持つわけですね。だから、一足突っ込んでまいりますと、人手不足で必要なところに
監督官が行けない。あるいはまた、一定の件数を満たすために、そういう
ことばがあるかどうかわかりませんけれ
ども、望遠鏡
監督だとかいろいろあるのです。たとえば建築業のところに行けば
下請が十社も二十社もある。そういう連中を全部寄せて出づらか何かの申告をさせれば、半日行っただけで二十件見た、三十件見た、こういうようなことにもなる。言ってみれば必要なところに人間が行けない。しかしながら、一方では目標があるものですから、それを満たすためには一種の手抜きにならざるを得ない。
基準行政というのはから回りしているわけです。こんなことでいいのかというのに私
どもたびたびお目にかかっているわけです。しかし、少なくともその
一つの原因が、人間が圧倒的に足りないという、そういうところにあります。これは確かです。
いま
一つの問題は、そういう中でも、少しケースは違いますけれ
ども、一生懸命
仕事をやろうという人は今度は
身分の問題が出る。だから
身分と人の問題は、いまや私にとっては
基準行政を考える場合の車の両輪のような問題です。だから
行管としましては、
人員の問題についてそういう実態を十分に踏まえた上で特段の配慮をしなければならないのではないか。きょうは
基準行政に関連してのことなんですが、そういう点についての考え方をひとつ示してください。