○平泉国務大臣 一つは、わが国のエネルギー供給、こういう点からいいますと、電力の
需要はますます高まってきておるわけであります。家庭的なエネルギーといたしましては、すでに環境問題、そういう点から申しましても、電気は非常にきれいなエネルギーだ、こういうことで
需要は非常に伸びてくるだろう。また、わが国の現在の一人当たりの電力消費量からしましても、現在のアメリカの消費量のまだ半分段階でございますから、これまたいまの二倍
程度に伸びるということは十分予測される。もっと伸びるのではないか。こういうことから考えますと、エネルギーの
需要というものはどうしても確保しなければならない。ところがその実態は、電力ということになった場合、現在すでに大
部分が重油火力によっておるわけでありますけれ
ども、これは石油供給のサイドから申しましてかなりの問題がある。備蓄の点でもかなりの大きい問題を生ずる。こういう点から、原子力発電というのは、ウランですと非常に少量でありながら大量に発電することができるという点からいきますと、純国産の燃料ソースである。それからただいまのコストの問題もあります。また環境汚染の問題。そういういろいろな観点から考えまして、原子力というのが非常に脚光を浴びておる。そして先生がいま
お話しになりますように、原子力に対して各電力会社が非常に大きな
計画を立ててきておるわけであります。
ところで、私
どもといたしましては、原子力そのものの安全性という点に関しまして、従来から非常に
研究を進めており、またそれに基づく行政指導を行なっておるわけでして、原子炉の安全性という点につきましては、原子力
委員会の中でも原子炉の安全性に関する特別な
委員会を常設いたしましてやっておる。炉の形そのものについての安全性の
研究ということは、今後もどんどん進めなければならぬということに大きな主眼を置いております。
それから第二番目には環境対策でございます。これは先生ただいま御
指摘のように、この約一年間くらいの間にたいへん大きな人心の変化がございまして、関心が非常に盛り上がってきておる。そこで、これは単なる心理的な問題のほかに、実際わが国のような超過密な地域において、原子力発電地帯がある地域にかなり集中する現象が起こってきておるわけであります。ここに私は、単なる技術的な問題を越えた政治的な問題がかなり介在してくる余地がある。そこで、これは心理的な現実そのものもたいへん大きな現実でありますが、そういったものもやはり地域の住民の皆さまに納得していただくような、あらゆる方策を同時に講じていかなければならない。技術的な
研究が第一である。そのほか、地域全体に良好な環境だという印象を与える、これが非常に大事なことじゃないかと思うのであります。ことに、最近非常に
計画が伸びてきておる、また環境意識が非常に高まってきておる、またある地域に集中する、この三つの点を重ね合わせまして、私といたしましては、原子力発電集中地帯、こういう概念をひとつ行政の中に導入して、そして、あるかなり限られた地域の中に、かりに言えば、一千万キロワットをこえるような発電
計画が想定される地域。現実には福井県の若狭湾沿岸一帯の地域であります。そのほかには、将来にわたって、福島県、それから新潟県の柏崎地域、こういうところが予見されるので、さしあたって福井県の若狭湾地帯を主要な
目途といたしまして、この地域に、一体的な、総合的な
政府としての施策を講ずべきではないか。この手だてを事務局に鋭意
研究させまして、年内に結論を出す、こういうことをいま指示をいたしておるのでございます。