○山
中国務
大臣 ただいま議題となりました
沖繩開発庁設置法案について、その提案
理由及び概要を御説明申し上げます。
わが国民多年の悲願である
沖繩の祖国
復帰がいよいよ明年に実現する運びとなったことは、国をあげての喜びであります。
沖繩は、さきの大戦において最大の激戦地となり、全島ほとんど焦土と化し、
沖繩県民十余万のとうとい犠牲者を出したばかりか、戦後引き続き二十六年余の長期間にわたりわが国の施政権の外に置かれ、その間
沖繩百万県民はひたすらに祖国
復帰を叫び続けて今日に至ってまいりました。祖国
復帰が
現実のものとなったいま、われわれ
日本国民及び政府は、この多年にわたる忍耐と苦難の中で生きてこられた
沖繩県民の方々の心情に深く思いをいたし、県民への償いの心をもって事に当たるべきであると思います。祖国
復帰というこの歴史的大事業の達成にあたっては、各般の
復帰諸施策をすみやかに樹立し、かつ、
沖繩県の将来についての長期的な展望を明らかにして、県民の方々が喜んで
復帰の日を迎え得るような体制を早急に整えることこそ政府に課せられた責務であります。
このような観点から、
沖繩の祖国
復帰の円滑な実現と明るく豊かで平和な
沖繩県の建設こそ
沖繩復帰の基本的な目標でなければならないと存じます。
沖繩が戦争で甚大な被害をこうむり、かつ、長期間米国の施政権下にあった
事情に加え、本土から遠隔の地にあり、多数の離島から構成される等各種の不利な条件をになっていることに深く思いをいたすとき、まずその基礎条件を整備することが喫緊の課題であり、進んでは、
沖繩がわが国の東南アジアの玄関口であるという地理的条件と亜熱帯地方特有の気候風土を生かし、その豊かな労働力を活用して産業の均衡ある振興開発をはかることが必要であると
考えます。
今回、
沖繩開発庁を設置しようとする
趣旨は、このような
沖繩の振興開発に関する国の諸施策を積極的に推進し、豊かな
沖繩県づくりに政府が直接の力添えをするための体制を整備することにあり、このため、総合的な計画の作成並びにその実施に関する
事務の総合調整及び推進に当たることを主たる任務とし、国務
大臣を長とする
沖繩開発庁を総理府の外局として設置しようとするものであります。
なお、政府は、
沖繩の各界各層の方々の意見を取り入れ、琉球政府と十分な調整を行ない、ここに成案を得て
国会の御審議をいただく運びとなった次第であります。
以上が、本
法案を提案した
理由であります。
次に、この
法律案の概要につきまして御説明いたします。
第一は、
沖繩開発庁の所掌
事務及び権限に関する規定であります。
沖繩開発庁は、その任務を遂行するため、
沖繩振興開発計画の作成及びその作成のため必要な調査並びに振興開発計画の実施に関する
関係行政機関の
事務の総合調整及び推進に当たるとともに、
関係行政機関の振興開発計画に基づく事業に関する経費の見積もり方針の調整を行ない、及び当該事業のうち
沖繩の振興開発の根幹となるべき社会資本の整備のための事業に関する経費を
沖繩開発庁に一括計上し、各省庁に移しかえる等振興開発関連予算についての権限を同庁に与えることにいたしております。また、このほか、この
法律の附則において、
沖繩の
復帰に伴い
沖繩の特殊
事情にかんがみ、政府において
特別の
措置を要する事項で政令で定めるものに関する施策の推進に関する
事務を当分の間
沖繩開発庁に行なわしめることにいたしております。
第二は、
沖繩開発庁の
内部部局に関する規定であります。
沖繩開発庁には、
内部部局として、総務局と振興局を置くことにし、総務局においては、主として振興開発計画の作成及び調査並びに
沖繩振興開発金融公庫法に関する
事務を所掌し、振興局においては、主として振興開発計画の実施に関する
関係行政機関の
事務の総合調整及び推進の
事務を所掌することにしております。
第三は、
沖繩開発
庁長官は、必要があると認めるときは、
関係行政機関の長に対し、振興開発計画の実施に関する重要事項について勧告し、及びその勧告に基づいてとった
措置について報告を求めることができることにいたしております。
第四は、
沖繩開発庁に、付属機関として、
沖繩振興開発審議会を置き、
沖繩の振興開発に関する重要事項について調査審議することになっていることであります。
第五は、
沖繩総合
事務局の設置及びその所掌
事務等に関する規定であります。
沖繩県民の便益に資するため、許認可、補助金交付等の
行政事務あるいは
沖繩の振興開発に関連する建設工事等について、
沖繩現地に
関係各省庁の通常のブロック機関の長の有する権限をおろし一元的な
事務処理を行なうため、
沖繩開発庁の地方支分部局として
沖繩総合
事務局を置くことにいたしております。
総合
事務局は、
沖繩開発庁の所掌
事務の一部を分掌するほか、公正取引
委員会の
事務局の地方
事務所、財務局、地方農政局、通商産業局、海運局、港湾建設局、陸運局、地方建設局等の地方支分部局において所掌すべきものとされている
事務その他民有林及び水産
関係の
事務の一部を分掌することにいたしております。また、これらの地方支分部局において所掌すべきものとされている
事務等については、当該
事務に関する主務
大臣または公正取引
委員会が総合
事務局の長を指揮監督することにしております。
なお、総合
事務局の位置及び組織については、別途政令で定めることにいたしております。
第六は、
沖繩開発庁
設置法は、琉球諸島及び大東諸島に関する
日本国とアメリカ合衆国との間の協定の効力発生の日から施行することにし、また、この
法律の公布に際しては、
法律の内容について
沖繩県民に対し周知徹底をはかるため、
内閣総理
大臣は琉球政府
行政主席に通知することにいたしております。
第七は、
沖繩開発庁
設置法の施行に伴い従来の
沖繩・
北方対策庁
設置法は廃止されることになりますので、北方領土問題に関する
事務につきましては、新たに、総理府の機関として、
総理府総務長官たる国務
大臣を長とする
北方対策本部を設置して、
沖繩・
北方対策庁が所掌する北方領土問題に関する
事務をこれに引き継がせ、本問題の解決の促進をはかるため、この
法律案の附則において総理府
設置法の所要の改正を行なうことにいたしております。
以上述べましたことのほか、
沖繩開発庁
設置法の制定に伴い必要な
関係法律の整備に関する規定を附則に設けることにいたしております。
以上が、この
法律案の提案の
理由及びその概要でありますが、この
法律案は、
沖繩県の自治権を最大限に尊重しつつ、新しい
沖繩県の伸長、発展に取り組む政府の基本姿勢を明確にするためのものであることを申し添えておきます。
何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛同あらんことをお願いいたします。
次に、
国家公務員法等の一部を改正する
法律案について、その提案
理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
現行法のもとにおいては、
国家公務員等の
職員は、本来その職務に専念すべき義務を有していることから、
職員団体等の業務にもっぱら従事することが原則として禁止されておりますが、特に所轄庁の長等が相当と認めて許可を与えた場合には、
職員としての在職期間を通じて三年をこえない範囲で
職員団体等の役員としてその業務にもっぱら従事することができることとされております。いわゆる在籍専従
制度がこれであります。
この在籍専従の期間について、本年十月十一日、第三次公務員
制度審議会会長から同審議会の全
委員の一致した意見として
内閣総理
大臣あてに、「公務員等の在籍専従期間の制限については、現行法の定める三年を五年に改めることが適当である。」との答申が行なわれました。
政府は、この答申を尊重し、さらに最近における
職員団体等の運営の実態をも考慮して、在籍専従の期間を現行の三年から五年に改めるための法改正を行なうことにし、この
法律案において、
国家公務員法、公共企業体等労働
関係法、地方公務員法及び地方公営企業労働
関係法の
関係各規定をそれぞれ改正しようとするものであります。
以上が、この
法律案の提案
理由及びその内容の概要であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。