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1971-11-11 第67回国会 衆議院 地方行政委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年十一月十一日(木曜日)     午前十時四十分開議  出席委員    委員長 大野 市郎君    理事 上村千一郎君 理事 大石 八治君    理事 塩川正十郎君 理事 中村 弘海君    理事 豊  永光君 理事 山本弥之助君    理事 小濱 新次君 理事 吉田 之久君       菅  太郎君    國場 幸昌君       高鳥  修君    永山 忠則君       綿貫 民輔君    山口 鶴男君       桑名 義治君    門司  亮君       青柳 盛雄君  出席国務大臣         自 治 大 臣 渡海元三郎君  出席政府委員         自治政務次官  小山 省二君         自治大臣官房参         事官      森岡  敞君         自治省財政局長 鎌田 要人君        自治省税務局長 佐々木喜久治君  委員外出席者         大蔵省主計局主         計官      加藤 隆司君         建設省都市局都         市総務課長   小林 幸雄君         地方行政委員会         調査室長    日原 正雄君     ————————————— 委員の異動 十一月十一日  辞任         補欠選任   林  百郎君     青柳 盛雄君     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和四十六年度分の地方交付税特例等に関す  る法律案内閣提出第一七号)      ————◇—————
  2. 大野市郎

    大野委員長 これより会議を開きます。  昭和四十六年度分の地方交付税特例等に関する法律案を議題とし、質疑を行ないます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。高鳥修君。
  3. 高鳥修

    高鳥委員 私は、今回の臨時国会に御提案になりました地方交付税特例等に関する法律案につきまして、御質問を申し上げたいと存じます。御答弁は、財政局長さんでけっこうでございますから、そのようにお願いをいたします。  まず、今回措置をされました一連の事柄、つまり、地方交付税総額が二兆四百六十億余でございましたが、そのうち、今年の財政経済の非常な変動によって生じた国税三税の減少、これに伴う交付税減額分七百四十五億六千万円、あるいはまた、所得税減税影響として生じてきた五百二十八億、さらにはまた、給与改定のための交付団体財源不足額五百五十億、これらについて今回一連措置をとられたことについては、きわめて適切であり、この御労苦に対しては私は多とするものでありますが、問題は、今年はこのようにして一応切り抜けることができたといたしましても、今後がなかなか容易ではないというふうに考えられるわけであります。大体、最近の経済見通し、あるいは財政運営地方財政計画全般の総合的な見通しにいたしましても、文教、あるいは商工、その他あらゆる国の政策の長期的な見通しにいたしましても、日本の経済が大体年率一〇%程度成長を維持するであろうという前提に立って考えられてきたと思うのであります。これからは、いわゆる経済成長追求型から、経済成長の余恵を積極的に利用する型の行財政運営に向かわなければならぬということを一つの理想にして、全体的な見通しを立てて運営してきたと思うわけであります。ところが、今年のいわゆるドルショックによる景気落ち込みはもとよりでございますが、来年度以降においても、おそらく、経済成長率などは従来とは全く様相が違ってくるのではないか。そのような前提に立って考えてみました場合に、今年はとりあえず措置はできたといたしましても、来年度以降の地方財政運営というものがきわめてきびしい状態になるというふうなことはだれしも見ているところであります。それらの総体的な見通しについて、自治省としてはどのようなお考えを持っておられるか、その点をまずお尋ねをいたしたいと思うわけであります。
  4. 鎌田要人

    鎌田政府委員 御指摘のとおり、明年度以降の地方財政の姿というものにつきましては、私ども、非常に強い危機感と申しますか、財源不足のために地方財政が非常な危局に直面するのではないだろうかという気持ちを持っておるわけでございます。その前提といたしましては、ただいまも御指摘になりましたように、景気が一体どういう趨勢をたどってまいるかということが現在の段階では非常に立てにくい状況でございますけれども、昨今、法人の九月決算の状況等が各新聞紙上にも出ております。予想外の減益、減収でございまして、大体今年度の経済成長率五・五%と、先般の補正予算に関連いたしまして、政府経済見通しでも訂正に相なったわけでございますが、私どもも、これを前提にいたしまして、法人関係地方税千三百億の減を見込んでおるわけでございますが、来年度これがどういう形になるか、率直に申しまして、通貨調整の問題あるいは課徴金問題等、不確定な要素が多うございますので、はなはだ見通しをつけにくいのでございますが、たとえば、昨日、政府税制調査会で、大蔵主税当局が、国税明年度自然増収は四千百億程度しか見込めないと、あるいは自治省税務当局は、地方税自然増収は三千億程度しか見込めないと、こういうことを申しておるようでございます。  そういうものを前提にいたしますと、御案内のとおり、昭和四十五年度から四十六年度にかけまして、一般財源ベースで一兆二千億の財源不足があったわけでございますけれども、その中で、約八五%、一兆円余りは、地方税と、譲与税と、交付税自然増収でまかなえたわけでございます。それが、ただいまのような数字、たとえば地方税譲与税で、昨年からことしにかけまして七千億ふえました。それが半分にも満たない、あるいは交付税も一千億ぐらいしかふえない、ということになりますと、いろいろな前提条件がございますけれども、かりに、去年からことしにかけましての財政規模伸びというものを維持するということにいたしますと、どう勘定を繰り返してみましても、やはり一兆円前後の財源不足というものを明年度は生ずるのではないだろうかということでございます。これはたいへんな数字でございます。ことし、いろいろと御指導も仰ぎながら、当面の地方財政対策を講じたわけでございますが、これによりますと、財源措置額は五千億でございます。明年度は一兆円ということでございますから、ことしの財源不足額の倍というものを明年度において調達しなければならないということでございまして、との交付税等一般財源確保、あるいはそのほかの地方債等も含めまして、明年度地方財政財源確保対策というものにつきましては、これまで以上の努力をいたしませんと、とうていこの財源不足額を埋めることはできない。こういう状態でございまして、私どもも、決意を新たにいたしまして明年度財政対策に取り組みたいと思っておるところでございます。
  5. 高鳥修

    高鳥委員 ただいま、財政局長から、決意を新たにして来年度の財源対策に取り組むということでありましたが、決意を新たにしただけではなかなかこれは解決がつかないと思うのであります。少なくとも、地方交付税総額が二兆円だ、ところが財源不足の額は一兆円だということになりますと、財源不足の額の規模というものは、それだけでももうおのずから想像ができるというものであろうと思うのであります。そういたしますと、口では抜本的な対策を講ずる必要があると言いますけれども、来年度の予算編成の時期はもう目前に来ておる。そこで、抜本的な対策というものは、もう、目の前に、はっきりした形で、ある程度まとまってこなければならぬと思うのであります。たとえば、抜本的対策として考えられるものは、一つには、交付税率の引き上げといろ問題があるでありましょうし、あるいは、既存の財源を再検討して、たとえば税率を引き上げるというようなことも考えられるかもしれないし、あるいは、新しい税制創設というようなこともあるかもしれない。あるいはまた、国と地方との間における、それこそ抜本的な税の配分のやり直しというようなことにまで及ばなければならないかもしれないし、あるいは、国と地方との間における、それに伴っての行政事務の再配分という問題も当然抜本的な対策としては出てくると思うのでありますが、それはそれとしても、来年度予算編成がもう目前に来ているときに、ただ決意を新たにして取り組むだけでは解決がつかない問題があるのではないかと私は思う。その点についてもう一回お尋ねをしたいと思います。
  6. 鎌田要人

    鎌田政府委員 明年度地方財政規模を固めてまいります場合に、いわば私どもだけの作業で固まりますものと、それから、公共事業とか社会福祉系統経費のように、国の歳出がきまりまして、それに伴いまして地方歳出というものがきまってまいるものがございます。いまの段階におきまして、たとえば給与関係経費でございますというと、人を全然ふやさないという前提で、給与ベースのアップというもの、いわゆる昇給、昇格等を織り込みまして、大体四千三百億くらい来年度給与関係経費でふえるんじゃないか。そうしますと、税と交付税自然増収伸びを大体全部食ってしまうという状態でございます。それに対しまして、たとえば一つの例でございますけれども、来年、老人医療という問題を、国の政策として、どういう形でいつからお取り上げになるのか。それに対応します地方財源措置というものは、それによってきまってまいります。あるいはまた、御案内公共事業でございますと、来年、ことしに引き続きまして景気浮揚型の財政対策がとられるということになりますと、公共事業というものもおそらくかなりふえてまいるだろうし、地方負担も当然ふえてまいるわけでございます。それに対応いたしまして、地方単独事業というものもふやしてまいる。こういったようなことが出てまいるわけでございますが、そこいらのところが、私どもも、大蔵当局と事務的に常時緊密な連絡をとってこの作業を進めてまいらなければならないところでございますが、まだそこのところが詰まり切っておらないために、計数的には確定しがたい事情がございます。  ただ、いずれにいたしましても、一兆円前後の財源不足が生ずるということは、私ども従来からいろいろな作業を繰り返して出てきておる数字でございますので、これに対しましてどのような措置を講ずるかということにつきましては、ただいまも御指摘になりましたような交付税率の問題、あるいは税の面におきましても、昨日の税制調査会自治省のほうから問題点として指摘をしておりますところの事務所、事業所税、あるいは軽油引取税創設といったような税源の拡充、あるいは地方債のあり方、こういったような面に的をしぼりましてこの財源対策というものを考えてまいらなければならないだろう。ただ、その場合におきまして、当面の景気の動向というものが、ある程度来年、再来年と続くものであるか、あるいは一年ないし一年半ぐらいで景気が再び上昇に向かうことになるのであるか、その辺の見通しによりまして、たとえば交付税率の扱いといったようなものにつきましてもおのずから考え方の差が出てまいるというふうに考えるわけでございまして、その辺のところにつきましては、率直に申しまして、なおもう少し時間をかしていただきまして、私どももその成案を得て来年度の対策を立ててまいりたいという段階でございます。
  7. 高鳥修

    高鳥委員 今回のいわゆるドルショック等による経済情勢の悪化、それに伴っての地方税収入減収、これについては、減収補てん債などで約一千億、それから、積み立て金の取りくずしなど、地方自治団体が従来備蓄しておったものから三百三十四億、こういうような形で補てんをされるということで計画をしておられるようでありますが、今回のドルショックなどによる景気の停滞、落ち込みによって、従来不交付団体であった地方自治体の中には、ことしはそういうことで一応減収措置はされるであろうけれども、来年は交付団体に転落せざるを得ないというものもある程度は出てくるのじゃないかというふうに思われるのであります。もっとも、市町村の不交付団体の割合はわずかに二%、都府県の不交付団体は東京、大阪、神奈川、愛知というようなことで、この四都府県については、相当財政力があるというふうに考えられるので、にわかに仲間入りするとは思われませんけれども市町村の中でも相当そういうものが出てくるのではないか、このように考えられるのです。さらに、来年は、沖繩が本土に復帰をするというようなことになれば、沖繩県ないし沖繩市町村に対しては、交付税関係においても、その他の一般会計からの援助はもちろんのこととしても、当然措置はしなくてはならない。  そういうことになると、来年の地方交付税交付額というものは、個々の交付を受ける団体にとってみれば、いまのままの制度でいけばどの程度伸びることが期待できるのか、全然ふえる見込みがないのか、そこいら辺の見通しはどんな状況にあるのかということをちょっと承りたい。
  8. 鎌田要人

    鎌田政府委員 明年度交付税の見込み、いわゆる伸びと申しますか、自然増収というものにつきましては、私ども、率直に申しまして、あまり多くを期待できないというふうに考えておりまして、先ほど申しました国税のほろで、自然増収を四千億程度という程度しか見込んでおられないということになりますと、せいぜい千億そこそこしか交付税はふえないであろう、こういう前提に立っておるわけでございます。  したがいまして、ただいま御指摘になりましたように、そういう中で地方団体が長期的に行政水準を上げていかなければならない仕事というものはやはりたくさんあるわけでございます。加えまして、沖繩県とその市町村に対する財源措置という問題も考えなければならないわけであります。  そこで、私ども考えておりますのは、前段につきましては、先ほど申しました交付税総額確保ということで処置をいたしたい。また、沖繩県あるいは沖繩県市町村につきましては、この二十年間切り離されていたのが祖国に復帰されるわけでありますので、その間のいわゆる行政水準の落差というものを早急に埋める。早急に埋めるためには、現在の内地の交付税をそのまま適用するのでは足らざるところがございますので、臨時特例交付金という形で、復帰後九年間、交付税とは別の制度として沖繩県市町村一般財源を付与する、こういうことで私ども予算要求を現在いたしておるわけでございます。
  9. 高鳥修

    高鳥委員 ただいまお話しのような状況でありますと、交付税伸び率はわずかに五%前後、その他の地方自主財源増加も、おそらくはとんど期待できないか、ないしはその程度であろう、ところが、財政需要のほうは二〇%ぐらい自然に見ても増加をするのではないか、ということになりますと、きわめて深刻な事態が予想されますので、それこそ抜本的な対策についてのきわめて具体的な詰めをなお期待したい、決意を新たにするだけではこれはとうてい解決がつかない、こう思いますので、その点を御要望を申し上げておきます。  それから、今回の措置について、具体的な問題について若干承りたいと思うのでありますが、まず、所得税減税影響による減収分としての五百二十八億、これは国の措置が変わったことによるものでありますから、一般会計から補てんすることが当然であると思いますが、国税三税の自然減の七百四十五億六千万、それから給与改定財源の五百五十億、これを交付税特別会計借り入れをする。これは預金部資金をお使いになるということでありますが、その合計額がまた一千二百九十五億六千万円ということになっておりますが、いまの交付税会計から国のほうに六百億、いわゆる財源年度間調整といいますか、そういうことで貸してある分があって、これを四十七年と四十八年度にそれぞれ三百億あて返済をするということに今年は相なっておったはずであります。本来ならば、これは年度間調整をやろうというのでありますから、今年のように足らなくなったときにはこれは返してもらうということがごく常識的には考えられるわけでありますが、貸しておくほうはそのまま貸しておいて、借りるほうは別に借りるという措置をとられた特別の理由が何かあるのか。そうすることによって、結果的には、技術的にこういう利点がある、といいますか、こういうことも考慮に入れて考えた措置であるというような理由が何かあるのか、その点を承りたいと思うわけであります。  それから、なお、昭和四十年度に、国は、やはり地方交付税減収対策として、国税三税の減に伴う地方交付税五百十二億を、当時は補正予算において減額をしないこととしたという措置をとっておるわけでありますが、今回は減額をしておいて、それを今度は交付税特別会計借り入れで起こすというような措置をされておるように思うのでありますが、それは一体理由はどの辺にあるのか、その違いについてお伺いをしたいと思います。
  10. 鎌田要人

    鎌田政府委員 まず、前段の来年と再来年に返ってくるはずの六百億をこの際繰り上げて返させるべきではないかという御指摘についてでございますが、これは、率直に申しまして、今度の私ども大蔵との折衝の過程におきましてその点も検討いたしました。もちろん、御指摘のとおりに、借りる前に貸してあるものをまず返してもらうということは、これは当然だろうと私は思います。ただ、そこで私ども考えましたのは、千二百九十五億六千万円という金に対しまして六百億ということでございますというと、七百億近いものを返してもらってもさらにまた借りなければならないということになるわけでございますので、それならば、一応一挙動で借りるものは借りて、それで、貸してあるものにつきましては、先ほど申しましたように、明年度以降の地方財政見通しも、まことに暗い、たいへんなときでございますので、俗なことばで申しますというと、先の楽しみにとっておいて、来年度財源対策一つにこれを充てる、こういうことで処置をいたしたいというのが率直なところでございます。  それから、四十年度の国税三税の減五百十二億、これは四十年度におきましては減額をしないということで措置をとりました。今度と措置が違うのではないかということは御指摘のとおりでございます。形としては御指摘のとおりでございますが、実質的には全く変わらない。やや詳しくそこを御説明申し上げますと、四十年度のときには、したがいまして、一般会計から交付税特別会計に繰り入れる額というものに全然変更を加えなかったということになるわけでございますが、今度は、五百二十八億の分は一般会計から繰り出し、そのほかの分につきましては、一般会計から特別会計に入るところは減額になるわけでございますが、そのかわり、交付税特別会計資金運用部資金から借りる。したがいまして、地方団体に対しまする関係におきましては、そこのところは全然増減がない。かつ、特別会計資金運用部資金から借り入れまする借金の利息につきましても、これは国の一般会計負担をするということでございますので、形といたしましては、国の一般会計からまるまる入るか、あるいは資金運用部資金から特別会計借り入れるか、そこの差があるわけでございます。そのような差を、どうして前と違うような措置をとったかということになりますというと、前と同じような措置をとるということになりますと、一般会計が結局その分だけ国債を発行して、それで特別会計に埋めるということになるのでありますから、国債発行額というものをできるだけ押えたいという大蔵国庫当局の意向もありました。それで実質的に地方団体交付税増額確保されるということであるならば、その、ただいまとりましたような措置によってもちっとも差しつかえはないわけでございますので、そのような措置をとった、こういうことでございます。
  11. 高鳥修

    高鳥委員 今回のこの一連措置は、今回の補正予算による公共事業追加支出といいますか、景気刺激対策も含めまして、国では公共事業増額をはかっておるわけでありますが、そういう面についての裏づけというものは全然考えられていない。あるいはまた、市町村自体でも公共事業追加というようなこともなされると思うのでありますが、そういうふうな公共投資に要する経費補正というものは交付税の面においては考えられていないわけでありますが、これを承りますと、地方債一千五百億程度を新規に認めて、それで措置をしようという御計画のようであります。そうなりますというと、これは当然来年度以降の地方財政の中で返していかなくてはならぬということになってまいると思うのでありますが、それらについて、その千五百億というのは今後どのようにして措置をされるのでありますか。  それから、不交付団体に対しては、減収補てん債ということで、一千億を起債で見るということになっておるわけでありますが、不交付団体といえども、これは今後なかなか容易ではないというふうに考えられますが、この一千億などの返済措置というのは今後どのような形で行なわれるのかということについてお尋ねをいたしたいと思います。
  12. 鎌田要人

    鎌田政府委員 この公共事業の拡大に伴います地方負担につきましては、ただいまの御指摘のように千五百二十二億にのぼるわけでございますが、この千五百二十二億に対しましては、全額地方債を充てるということにいたしました。その場合におきまして、当然、市町村等公共事業が張りつくものも少なくないわけでございます。あるいはまた、府県の中におきましても、比較的財政力の弱い団体に張りつくものがかなりあるわけでございますので、できるだけ政府資金をもって充当する。約八割に相当いたしますところの千二百億を政府資金をもって充当するということにいたしまして、公共事業消化の促進をはかることにいたしたわけでございます。  そこで、今度のこの一連措置によりまして、ただいま申しました公共事業で千五百二十二億の起債、それから、そのほかに、地方税の減でございますとか、あるいは不交付団体給与改定財源とか、こういったものに充てますために、全体で二千六百八十二億の地方債増額に結果的には相なるわけでございますが、その中の千六百億につきましては政府資金をもって充当する、残りの一千億余り、正確に申しますと千八十二億につきましては縁故資金等による、こういうことになるわけでございますが、その元利償還というものにつきましては、これは、現在の地方団体におきまするいわゆる公債費率公債費歳出に占めまするウエートというものを見ますと、地方団体全体をならしまして五%程度でございまして、公債費というものが地方財政を圧迫するという段階にはまだなっておらないということでございまして、明年度以降の交付税等財源措置の中におきまして、一般財源の中で消化をされていくのではないだろうかというふうに私ども考えている次第でございます。
  13. 高鳥修

    高鳥委員 最後に、今後の措置について二、三承りたいと思うのですが、一つは、いままでは地方交付税は年々相当伸びを見てきたということから、地方財政富裕論などということがしばしばいわれてきたし、また、現に、そのために、国のほうで地方交付税の借り上げというような措置をやってこられたわけであります。そういうふうな、交付税が年々伸びるという前提で考えた場合に、各市町村なり都道府県なりに対する交付税交付額がいままで毎年相当伸びを見ておるために、交付税総額の中で自治省政策的にいろいろな措置をおやりになったわけですね。たとえば広域市町村圏等構想を考えて、そういう構想を進めていく上においては、地方交付税傾斜配分を考えるとか、それからまた、たとえば辺地債元利償還金については何%を措置するとか、昨年過疎対策緊急特別措置法が成立をしたことによって、過疎債元利償還については地方交付税で見てやるとか、あるいはまた、豪雪対策などについても今後積極的にこれを進めていこうと考えておるわけでありますが、そういう際にも、豪雪債などという制度創設をされれば、おそらく、これの返済については地方交付税の中である程度のものは見てやろうというようなかっこうになるのではないか、こう思うのであります。いままで、総体で相当伸びを見てきた中ではそういうふうなやりくりもできたと思うのでありますが、全体としての伸びがきわめて薄いということになると、新規政策交付税財源を目当てにしてやるということはきわめてむずかしくなるのではないか。それからまた、国がいろいろな政策を打ち出していく場合には、本来ならばこれを国独自のいわゆる一般会計の中で予算措置をして行なわれるべきものであって、地方交付税措置するというのは、いわば地方団体内部における財源のやりくりにすぎないということからして、そのアイデアは売るけれども金は地方公共団体で持てというにひとしいということに結果的にはなっているのではないかと思うが、これらについてはきわめてむずかしい状況になるのではないか、こう思うのであります。過疎対策についてはある程度法律もできて、もちろん額はきわめて不十分であって、今後さらに過疎債などについても大幅な増額を要望されてはおりますが、ともかく措置はしたけれども、過密都市対策というものについての不満もしばしば出ておる。したがって、そうしたものについても今後はいろいろな考慮を払わなければならないのであります。そういうことで、地方交付税でそれをやるということはきわめてむずかしい状況になると思うので、この際、そうした一連の問題についての考え方を再度お尋ねを申し上げておきたいと思うわけであります。  それから、これは政務次官にお尋ねをしたほうがいいと思いますので、できましたら小山政務次官からお答えをいただきたいと思うのでありますが、先刻、財政局長の答弁の中で、老人の医療の無料化といいますか、七十五歳以上の老人の医療費の問題について、今後どうなっていくかということについても十分検討していかなくてはならないという御答弁があったのでありますが、もともと自民党としては、老人の医療の無料化ということは早くやらなくてはならぬという方針を打ち出しておったわけであります。たまたま財政措置ができないということで今日まで延び延びになってまいりましたが、この問題についての要望というものは非常に強いものがありますし、また、措置としてもきわめて適切なものであると私どもは思います。たまたま美濃部さんに政策の先取りをされてしまったようなかっこうになっておりますけれども、われわれとしては、これは当然四十七年度において何らかの形で実現をしたいと思っておるわけであります。そういう点について、たまたま財政局長の答弁の中で少し触れられましたので、自治省としてはこの問題にどう対処していくおつもりであるかということをひとつ承りたい、こう思うわけであります。  それから、鉄道の赤字線の問題について、赤字線の赤字補てんのために地方自治体が金を出すというような地方自治体の財政状況ではないということ、これは地方自治体本来の財政のたてまえ論に立ってのことでありましょうが、そういうことはすべきではないという見解を自治省としては表明されたやに過日新聞で見ております。鉄道の赤字問題だけでなくて、運輸省で考えておる過疎地域におけるバス、過疎バスの問題についても、これは県が路線を指定して、それに対して県と地方自治団体が持つ場合には国も援助しよう、その運行経費の赤字を補てんしていこうではないかという考え方を運輸省では出しておる。これは運輸省が具体的な構想として出しておるのでありますから、当然自治省としても相談に乗っておられると思うのでありますが、ただいまの老人の医療の無料化対策、さらに国鉄の赤字線の対策、それからもう一つはいまの過疎地域における赤字バス路線対策、これらの問題は今後の政策的な問題になろうかと思いますので、政務次官から御答弁を承って終わりたいと存じます。
  14. 小山省二

    ○小山政府委員 お答え申し上げます。  いま御指摘になりましたような老人医療の無料化につきましては、もはや各市町村におきましてはこれを実施しておる団体が非常に多いことは御承知のとおりであります。地方団体におきましてすでに実施しておりますのが十二都府県であり、実施予定は二十一道県に及んでおる。なお、市町村におきましては、千三百六十八市町村において実施をいたしておるというような現状でありますが、この老人医療の無料化につきましては、なおまだたくさんの問題点が残されておるようであります。たとえば、対象老人の年齢をどこに置くかとか、あるいは所得制限の有無をどうするかというように、対象老人の範囲でありますとか、医療費の問題でありますとか、これを実施いたします場合に、いろいろと解決をしなければならぬ問題があるようでございますが、いずれにいたしましても、老人の医療の無料化は、国においてもできるだけ早い機会に取り上げて実施に踏み切りたいと私ども考えておるわけでございます。ただ、公費負担の割合でございますが、過去の児童手当その他から見ましても、これらの問題についてはなお相当検討の余地が残っておるようでございますので、できるだけ関係各官庁とも打ち合わせをいたしまして、すみやかにこれが実施に踏み切れるように、それらの問題を具体的にひとつ話し合いをつけたいというふうに私ども考えておるわけでございます。  なお、過疎バスにつきましては、御承知のとおり、最近、過疎地帯においていろいろ過疎地帯の交通問題が論議をされております。これはひとり過疎バスばかりではございませんで、国鉄においても同様な措置を講じようといまいろいろ検討されておるようでございます。しかし、これらの地域の足の確保ということは私どもとしては軽視できない問題でもございますので、市町村におきまして代替バス等を実施するような場合におきましては、何らか財政措置を講じてやらなければならぬ、かように考えまして、来年度予算におきましては大体三億程度予算をいま大蔵省のほうに要求をいたしておるわけであります。  いずれにいたしましても、過疎地帯の足の確保という問題につきましては、私ども、今後これらの町村とも十分連携をとりまして、これが確保については万全を期する考えでございます。
  15. 鎌田要人

    鎌田政府委員 交付税といわゆる新規施策のあり方の問題でございますが、これは、御案内のとおり、社会経済情勢が流動的でございますし、非常な変貌を遂げておるときでございますので、地域の行政需要と申しますか、そういうものもこれまた非常に多様化しつつあると思うのでございます。したがいまして、交付税におきまして、そのような地域におきまする多様化しつつある行政需要というものに対してどのような形で織り込んでいって、地方団体の現実の姿というものにこの交付税の面から財源の手当てをしていくかという知恵と申しますか、その知恵のあらわれが広域市町村圏でございましたり、あるいは過疎辺地対策でございましたりということで、経過をたどっておるわけでございます。  明年度、御案内のとおり交付税伸びというものがほとんど期待できない。そういう中で、従来のような規模で、また考え方で、そういう広域市町村圏等構想というものを交付税の中で維持できるかという御指摘であろうと思うわけでございますが、私どもといたしましては、やはり、そういう地域社会の実情に即した財政需要というものを、この交付税総額確保を当然はかるということを前提といたしまして、あくまでも維持をしてまいりたい、市町村のそういった面での行政運営に交付税というものが役立つような形で運営をしてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  16. 高鳥修

    高鳥委員 当然、来年の財政なり地方交付税なりとの関係が出てくると思いますが、いまの御答弁の中で、国鉄の赤字に対する、市町村なり都道府県なりの援助といいますか、特に市町村であろうと思いますが、それについてはお触れがなかったようでありますが、その点はいかがになっておりますか。
  17. 鎌田要人

    鎌田政府委員 実は、国鉄の財政再建の問題につきましては、各方面からいろいろな意見が出ております。それで、最近におきまして、国鉄のほうで未定稿という形で出ておりまする考え方といたしましては、このいわゆる地方交通線の中で、バスに転移したほうが国民経済的に見て有利であり、かつ代替の交通機関もあるというもの、約三千キロという表現になっておるわけでございますが、これにつきましては、地方団体の選択によって残す場合には、地方団体がその経費の三分の一を持ちなさい、国は残りの欠損額というものを補てんをする。それから地方交通線につきましては、国がその損失を補償をするという表現でございましたか、という書き方に相なっておるわけでございます。  それで、私ども、いまの前者につきましては、地方閑散線という表現をとっておるわけでございますが、ほんとうに国民経済的に見て必要がないというものであるならば、それは何も、地方団体が金を持つから残してやる、持たなければやめるというものではなくて、国鉄なり国の責任において、おやめになるものはきっぱりとやめられたらいいではないか。そのあとをどうするかという問題は、これはやはり国、地方を通ずる——ただいまの過疎バスの問題とも関連するわけでございますが、そこのところが、私どもといたしましては、基本の考え方というものについて少し疑義を持っておるわけでございます。何よりも、基本的には国鉄でありますから、地方団体に財政負担を求める前に、国の全体の総合交通体系の中で国鉄のあるべき位置を考える。そういう考え方から、国鉄が著しい負担をしなければならない路線というものは、それはやはり国全体の立場ではっきりおきめになられるべきではないだろうか。そこを漫然と、と言っては言い過ぎかもしれませんけれども地方団体が金を持てば残してやるという、こういうやり方というものはないのではないだろうかというのが私どもの率直な気持ちでございます。
  18. 高鳥修

    高鳥委員 終わります。
  19. 大野市郎

  20. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 自治大臣がお見えになっておれば、大臣に基本的な問題をお聞きしたいと思っていたのでありますが、お見えになりませんので、政務次官にお聞きしたいと思っております。  最近の地方自治体は、御承知のように、ここ二、三年の経済の繁栄の中に、実際は非常にうしろ向きの行政をしなければならないという事態に相なっておる。そのほかにいろいろな行政需要に悩まされておる。大都市におきましては、御承知のとおり、公害対策、交通事故の対策に悩んでおり、過疎地帯におきましては、御承知のとおり、いわゆる農村経済の崩壊という問題にどう対処するかに悩んでいる。ですから、地方自治体は、府県も市町村も、経済が繁栄しておるという中で、自治体の運営を、地域住民に密接した環境整備の行政をどうするかということについては、実際は、その財源とともに、将来の豊かな市町村あるいは府県を建設することには非常な苦心を払ってきたと私は思うのであります。そういうことからいいましても、自治省は、主として、そういった生活基盤の整備だとか、あるいは環境整備ということについて、将来の展望に立って、一つのビジョンのもとに推進するということをいち早く提唱をしておられたということにつきましては、私どもは敬意を表しておりました。今日の府県にしろ、市町村にしろ、常に、国の政策といいますか、国の方針と同一基調で予算編成することを指導されてきたわけですね。御承知のとおり、毎年度地方財政計画が立てられておるわけでありますが、これは、昨年の景気落ち込みによる本年度の不安はあったわけでありますけれども、とにもかくにも、相当の、国の予算と同じような二〇%前後の上昇を見込む地方財政計画をお示しになったわけですね。この地方財政計画によりまして、府県にしろ、市町村にしろ、四十六年度の予算編成をすることを相当きびしく——人件費の節減も含めて、あるいはいろいろな事情があるにしても——給与の問題にしても、昨年でございましたか、美濃部さんが四月にさかのぼって給与をしたら必要な起債を認めなかった。そういうように相当強く圧力をかけられたというような事例もあったわけですね。いわば地方財政計画が、今日、府県、市町村予算編成をする上の重要な目標であり、自治省もこれを指導してこられた。しかし、今回の交付税の改正を含む一連財源措置に見られますように、地方団体といたしましては、主として府県あるいは大都市だろうと思いますが、府県、市町村を通じまして五千億以上の財源不足を来たしており、財政計画と大きく食い違ってきたという事態に当面しておるわけです。これは自治省の責任とかなんとかいう問題でなくて、国の政策として、地方自治体を指導してこられたいまの政府の、いわゆる経済見通しにいたしましても、経済、外交政策にいたしましても、大きな破綻である、失敗であると言うことができるのではないか、私はこう考えるわけであります。こういう事態に地方公共団体を追い込まれた政治責任といいますか、これに対して、大臣にかわられまして政務次官からお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  21. 小山省二

    ○小山政府委員 ただいま御指摘をいただきましたわが国経済の実態につきましては、私は、ある程度政府においても責任はあるというふうに考えております。  御承知のように、昨年下半期からわが国の経済は不況感を強めてまいりまして、特に、本年八月、例のドルショック以来、わが国の経済は非常な不況に見舞われておるわけです。したがって、今回やはり補正予算を組まざるを得ないというような実態に立ち至ったわけでございます。しかし、経済というものは、山本先生御承知のとおり、常に流動的でございますので、やはりこの動きを的確にとらえて善処しなければならないのが政府のほうの責任でもございます。しかし、今回行なわれました一連の対米関係の問題は、私ども予期しないような問題でございまして、したがいまして、これらが地方財政に及ぼす影響等を考えまして、今回の特例法等によりましてそれぞれの財源措置を講じたわけでございます。これによって、今後の地方財政の運営というものは一応既定方針どおり行なえるのではなかろうかというふうに私は考えておるわけでございます。  先ほど山本委員が御指摘になりましたような、政府地方自治団体と一体になることの可否については、これはそれぞれ御見解もあろうと私は思います。しかし、国の政策をスムーズに行ないますためには、地方の自治団体も御協力を願わなければどうしてもその成果を期するわけにはまいりませんので、自治省といたしましても、できるだけ国の方針に沿ってそれぞれ地方自治団体に指導をいたしておるというような実情でございますので、私どもは、現在自治体のとっております考え方そのものについては特に大きなあやまちがあるとは考えておらないのでございますが、しかし、先ほど御指摘になりましたような、公害であるとか、交通の問題であるとか、あるいは過疎、過密の問題等、今日多くの問題が存在しておることは事実でございますので、私どもも、できるだけこうした問題を解決するために、国の施策と地方の自治体とが一体となってこうした問題に取り組んでまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  22. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 政務次官も、こういう情勢につきましての責任をお感じになっておるようであります。この議論は、私はここでそう論議をする気持ちはないわけでありますが、私ども、行政につきましては、国と地方とが必ずしも相反すべきではない、国、地方公共団体を通じて、行政の事務にしても、その財源にいたしましても、適正な配分をいたしまして、相協力して地域住民の生活向上につながる体制をつくるということはやるべきだと思うのであります。しかし、国の経済政策が地域住民のほんとうの生活向上につながるということについての配慮をするために、地方公共団体に密接した地域住民の要望が国の政治に反映するという体制、国の政策地方公共団体を協力させるということよりも、むしろ地域の要望を国の政治の上に反映させるという体制をとることによって、国、地方が一体としての行政運営をするということが好ましいのだという考え方に立っておるのでありまして、多少国と地方とが対立しておるという認識に私が立って議論を進めておるような御発言がありましたが、これは、私どもはそういうことなんです。ですから、国の政治に追従していっておりますと、こういった地方公共団体が非常な苦境に立った場合、当然、国の政治としても、ある転換をし、責任を持っていただかなければならぬのじゃないか、かように考えるわけです。  今度の国会の総理大臣の所信表明におきまして、私非常に興味深く感じました点は、——これは実行していただけるのかどうか、そのことは疑問でありますけれども一連景気対策といいますか、大幅減税だとか、あるいは財政投融資の拡大だとか、公債の増発だとか、そういったものをお話しになったあとで、「この景気対策は単なる高度成長への復帰を意図するものではなく、この政策展開の過程で、環境保全、公害防止など国民生活の質的充実を目ざした発展に重点を置く考えであります。すなわち、経済成長のあり方を改めて、活力に満ちた福祉社会の建設に向かうことが、基本的な課題であります。この切りかえを円滑に進めるためには、制度や心がまえの面でもそれに対応した改革が必要であります。」と言っておられるんですね。経済成長というような、単に景気を浮揚させるとかいう問題ではないんだ、大きく政策を変えなければいかぬ、このためには心がまえも制度も変えなければいかぬということで、相当どもの年来の主張に近いお考えを述べておられるのですよ。これはいろいろうわさされておりますように、そういうことで来年から、あるいは今回の補正予算から、引き続きまして総理は決断を持っておやりになるのかどうかはわかりませんけれども、この考えはある程度まで強力に推進してもらわなければならぬ、私はかように考えておるわけであります。  あとでも質問申し上げたいと思いますが、来年もことに地方財政としては苦境に立つわけですね。危険に当面するわけです。そのときの基本的な考え方として、こういったように、単に高度成長への復帰景気対策を考えるのではないのだといたしますと、非常に地方公共団体の使命というものは高くなる。それと同時に、財源も考えていかなければならぬ。あるいは制度的にも、行政事務配分あるいは財源問題等も——ここに言いますように「改革」ということばを使い、相当制度や心がまえも変えていかなければならぬと強い口調で言っておるからには、こういうことを推進する中核となる自治省は、来年度予算編成にいたしましても、何にいたしましても、あるいは制度の問題にいたしましても、すべてに相当強く地方公共団体のために要請願わなければならぬ、かように私は考えておるわけであります。その点につきまして、政務次官は引き続き政務次官を担当されると思うのですが、どういう方向で制度や心がまえを変えて——総理の考えておるこの考えは、地方団体を通じて実現されることが多いわけですから、その地方自治体のあり方にどう対処していかれるのか、その気持ちだけを伺っておきたいのであります。
  23. 小山省二

    ○小山政府委員 先般総理が述べられました所信表明の考え方につきましては、私も同感でございまして、特に、住民生活に直結をしておる地方自治団体——従来からも住民の生活と結びついた行政というものが行なわれておる。したがって、先ほど私のお答えを申し上げましたことにも少し誤解があると存じますが、私は、中央の考えを地方に押しつけるというような考えは毛頭ございません。中央地方が一体となって国の行政を円滑に運ぶようにしなければならぬという考えを述べたわけであります。特に、地方自治体の考え方即住民の考え方と申しても過言でないと私は思います。それが尊重されることが真の民主主義ではなかろうかというふうに解しておるわけでございます。したがいまして、総理が所信表明で述べられたような問題は、私どもとしても、これから、来年度予算編成にあたりまして十分重点的に考え、地方の考え方というものをできるだけ尊重する中で、それが遂行できるように、財政的の面でも極力配慮していきたいというふうに私ども考えておる次第であります。
  24. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 この点に深入りはいたしませんが、先ほど来話に出ております児童手当の内容の充実にいたしましても、老人医療の問題にいたしましても、今日すでに地方公共団体が府県、市町村を通じて実施しておる問題でもありますし、過疎バスの問題、あるいは最近新聞に出ておりましたし、先ほどのお話にもあった大都市におきまする都市交通の非常な赤字の累増の問題。地方におきましては市町村が補助金を得ますけれども、過疎バスで、何とか足を確保するという問題に悩まされている上に、国鉄におきましては、不採算線は府県市町村がめんどうを見ない限りは廃止をしたいのだということで、本来国の政策で決定すべき国鉄の問題が、あたかも自治体の責任であるかのような状況になっているわけです。いわゆる三Kと言われているが、国鉄の問題、国民健康保険を含めました医療保険の問題、さらには今日地方の農村の大きな問題となっている農業基本法というような問題、これらは十年間何をしたか。ほとんどむだな投資をし、そして今日崩壊の過程をたどっておる。そういった問題が残されておる。それらは直接地方公共団体に関連が深いわけなんです。ですから、そういう問題が未解決に残されている上に、さらに来年はいろいろな問題が、先ほど財政局長の言われたように多様化になった。その多様化に対応するような行政水準の向上をはからなければならない、行政需要にこたえなければいかぬのだというお話がありましたとおり、私もそう理解しております。自治省が他省の行政内容に関与するということはなかなかむずかしい面もあろうかと思いますけれども、閣議の席その他におきまして、地方公共団体の当面しておる問題、しかも地方公共団体が住民に対して果たさなければならない責任、これが果たし得るようなことにつきまして一そうの御努力を願いたいということを私は要望しておきます。  次に、今回の財政対策であります。いろいろ苦心していただいているわけでありますが、実際はこれは四十年、四十一年の例もございますけれども総額五千億に対しまして、交付税落ち込み、いわゆる政策減税の五百二十八億を除きましては、交付税借り入れ金にいたしましても、地方税の減税あるいは給与の改定財源にいたしましても、国の今回の補正予算で見られるように、七千九百億の赤字公債を発行して予算のつじつまを合わしたと同じように、大部分が起債によって穴埋めをしたということであって、本来、起債が自由であれば、仕事をしようと思えば、地方税が落ち込めばどうしても起債にたよらざるを得ないということは当然なわけでありまして、所得減税の一般会計からの繰り入れの御努力は多とするといたしましても、実際は地方公共団体の借金で予算のつじつまを合わしたにすぎないのではないか、かように考えるわけであります。ことに、景気の浮揚対策として、債務負担も合わせて五千億の事業費にいたしましても、実際は、地方公共団体の側に立ってのほんとうの考え方はどうなのか、多少疑問を持つような問題もあるわけでありますが、一応こういうかっこうで当面は切り抜けられたと思います。  そこで、この内容につきまして多少お聞きしたいと思うのでありますけれども、変動相場制とか、あるいは円の切り上げとか課徴金が今後いつまで続くかという問題に関連いたしまして、本年度末までにさらに大きな財源不足というようなことになるのかならないのか、そのお見通しをまずお聞きしたいと思っております。
  25. 鎌田要人

    鎌田政府委員 今年度末までの財源状況でございますが、これにつきましては、今回の措置におきまして、まず、交付税は、当初計上額の総額確保したわけでございますし、問題は、これ以上地方税がどういう趨勢をたどるであろうかということだろうと思います。大体、国税法人税におきまして二千九百億の減、地方税で、法人関係税で千三百億の減というものを財政計画上の積算に基づいて立ててございます。この数字が狂うということはないという確信を私ども持っておりますので、本年度におきましては、この五千億余り財源措置によりまして、地方財政は一応支障なく回っていくという確信を持っております。
  26. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 次に、地方税減収につきましてお尋ねいたしたいと思いますが、いままで、わが国の景気が、大都市を中心に、太平洋ベルト地帯といいますか、そういったところを中心に伸びてきておりますので、今回の不況におきましても、おそらく、そういった大都市を中心とする市、府県、あるいはその周辺府県ということで地方税減収というものが大きく出てきているのじゃないかと思うのであります。農村地帯におきましても、御承知のとおり、減反問題だとか、あるいは本年の不作の問題等の税の影響はあろうかと思うのでありますが、それらはほとんど影響がなくて、そういう、いわば全体の府県のうちの四分の一程度といいますか、そういうところに深刻にあらわれておると思うのであります。この地方税減収について、府県と市町村側、あるいは地域的にどういうふうな減収が出ておるかという問題につきまして、その内容をお聞かせ願いたいと思います。
  27. 佐々木喜久治

    ○佐々木(喜)政府委員 今回減収を見積もりましたのは法人関係税についてでございます。法人関係税の減収見込み千三百億のうち、府県分は、法人事業税において九百億、法人住民税において百五十億で、府県分が千五十億でございます。市町村分が、法人の住民税におきまして二百五十億、合わせまして千三百億という見積もりでございます。  ただいま御指摘のとおり、この法人関係税の税収入の多い府県といいますものは、やはり、大都市を含む、いわゆる太平洋ベルト地帯の府県に法人関係税が多いわけでありまして、たとえば、人口一人当たりの数字を見ましても、全国平均を一〇〇といたしますと、東京が二一八%、大阪が二〇二%、その他一〇〇%をこえる府県としましては、神奈川県でありますとか、静岡県、愛知県、それから京都府、兵庫県、広島県といったような地域でございます。そういう意味におきまして、この法人関係税の減収が多いところは大体こういう地域であろうというふうに考えております。  なお、また、これを府県分につきまして、交付団体と不交付団体に分けてみますというと、不交付団体であります四県に法人関係税が約五五%、他の府県に四五%というような比率になっております。したがいまして、こうした税収入の減が大きいのは、交付、不交付団体を含む太平洋ベルト地帯の府県にやはり多く発生をしておるというふうに考えております。
  28. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 市町村の二百五十億の減収、これは住民税の法人税割りが大部分なんですね。これの減収状況というのは、やはり大都市がほとんど——二百五十億のうちどのくらいの比率を占めておりますか。たとえば繊維工業の町だとか、あるいは洋食器の燕だとか、そういうような小さな特殊な都市は、やはり輸入課徴金その他で影響を受けていると思うのですけれども、大部分はやはり大都市と、それに次ぐ都市というところに集中しているのではないだろうかと私は思うのですが、それについて、大体でけっこうでございますから……。
  29. 佐々木喜久治

    ○佐々木(喜)政府委員 市ごとにどういう傾向になっているかという点はまだ十分把握できておりませんけれども、ただいま御指摘のように、こうした法人住民税の比率の高いところは、やはり大都市から、その周辺の、特に工場、事業場等の多い地域に多いわけでありますので、やはり都市部に非常に多く発生しておる。そのほかにも、法人関係税で、県全体としては少ない県でありましても、その中に一つ二つ特に大事業場がありますために減収が大きく出るというような例が、いなかのほうの府県にもぼつぼつあるというふうに言えると思います。
  30. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 そういたしますと、いわゆる裕福な県、裕福な大都市、まあ、行政事業の面からいくと、それがはっきり当たるかどうかわかりませんが、財源的にはそういった市の減収起債でいく、それから、交付税落ち込みという、その他の大部分のおくれておる県、市町村交付税の当初計上額を確保してやる、こういうふうに了解していいわけですね。
  31. 鎌田要人

    鎌田政府委員 そういうことになろうかと思います。ただいま説明がございましたように、その減収は、大府県、大都市というところにどうしても片寄って生ずるだろうと思いますので、そういうところには先ほどの起債措置をもって充当する、こういうことを考えております。
  32. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 次に、この景気対策としての公共事業増額でございますが、これは、総理の所信表明からいいますと、生活基盤なり、あるいは社会福祉というものにある程度まで事業を配分しなければならぬように考えるのでありますが、実際、補正予算の面を見ましても、また、景気調整、景気の浮揚という対策上からいいましても、できるだけ効果のあがる事業を選ぶというふうなことも必要になってくると思うのであります。実際問題として、実際の地方団体の要請する仕事と、公共事業起債による実施とがかみ合わない面も出てくるのではないかと私は思うのでありますが、先ほどの地方税減収が多い地域にこの公共事業費が集中するのではないか、かように考えるのであります。  この補正予算相当多くの部分を建設省が占めておられるわけでありますので、建設省にお聞きしたいのでありますが、地方税減収地帯に公共事業が集中しておるのかどうか。これも大まかな点でけっこうでございますが、お答え願いたいと思います。
  33. 小林幸雄

    ○小林説明員 お答えいたします。  補正予算地方配分の方針でございますが、当初予算と同じような考え方でやっておりまして、いま御質問のようなところに特にアクセントを置いた配分はやっておりません。ただし、この補正の特質上、継続事業だとか、すでに用地が確保してある——それから、これはもとより申すまでもないのでございますが、年内あるいは年度内に完全消化が可能であるという点は、当初の配分方針にプラスアルファして考えて配分をしております。特に大都市中心というふうな考え方はとっていないのであります。
  34. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 そういたしますと、景気対策としての公共事業起債によりまして実施する分の補正予算に計上した分は、従来の公共事業の継続、あるいはそれをある程度まで促進するという考え方に立って全国各府県に事業を配分する、こういうふうに了承していいわけですか。
  35. 小林幸雄

    ○小林説明員 おっしゃるとおりでございます。全国大体地域間のバランスを考えましてやっております。
  36. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 そういたしますと、今回の補正予算についても、いわば産業基盤を中心の補正予算ということが言えて、ある程度まで社会福祉に重点を置いた補正予算ではないというふうに、総理の説明とだいぶ食い違っておるような感じが私はするのですが、政務次官、どうお考えになりますか。
  37. 小山省二

    ○小山政府委員 総理の所信表明の考え方でありますが、今後のあるべき姿を総理は所信表明の中で申されたのであります。したがって、具体的な個々の問題になりますと、総理の所信表明と多少合致しないような面がないとも限りませんが、大きな方向としては、将来そういう方向に国の方針というものが向かっていくものであり、また、いくというふうに私は信じておるわけであります。したがいまして、来年度予算等におきましては、山本先生御指摘のような考え方が予算の上にかなり強くあらわれてくるのではなかろうかというふうに私は考えております。
  38. 小林幸雄

    ○小林説明員 ちょっと関連をいたしましてお答え申し上げますが、当初予算補正を含めまして、建設省所管の予算といたしまして、対前年比の国費の伸び率が一・三四でございます。これに対しまして、いま御指摘関係のような、公園、下水道等のごとき生活環境基盤の整備、これの倍率は非常に高くなっておりまして、たとえば公園で申しますと、これは二〇〇%増、それから下水道で申しますと五四%の増というようなことでございまして、たとえば道路が二九%というふうなのに比べまして、生活環境基盤の整備というものには、建設省所管予算としましては、当初はもとより、補正も含めまして、非常にウエートを置いているということでございます。
  39. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 お話しがありましたが、確かに、下水道等は積極的におやりになっていただいて、これは推進をしているようです。ただ、急激に伸びてまいります関係上、当初で計画を十分やっていないために、中小都市では、現場の指導、監督、設計に、また、冬季に向かう東北地方でもそういった事業に、人手不足その他いろいろな面で支障を来たしている例も実際あるわけなんですが、それはともかくといたしまして、私は、下水道等が今回推進されるということにつきましては賛成でございます。ただ、問題は、いろいろそういった経費がかさむので、財政が苦しくなりますと、雑費程度のものをどうしても切り詰めざるを得ないという苦しい運営におそらくなるのじゃないか。それで、先ほど、年度末にどうなるのかということをお聞きしたのですけれども、それらの点につきまして私はお願いしたいのですけれども、こういう重大なときの事業については、できるだけ地元の超過負担にならないような十分な配慮をして、景気対策としての公共事業を実施する際には、多少腰だめでもお考えになっていただかないと、それによって財政が——来年等も考えますと、本年度すらさらに苦しい立場に追い込まれるということになりますので、事業の配分あるいは内容の査定というような問題につきましては、公共団体といろいろ十分打ち合わせの上に、公共団体負担にならないような配慮を願いたい、かように考えています。  なお、こういう機会に、私、社会福祉の面で聞いておきたいのですが、たとえば小さな市だとかあるいは町等におきまして、公民館だとか、体育館だとか、地域の児童館だとかいったものを建設する際に、いろいろ財源配分上二回に分けるとかいうようなことで実施をしているところが多いと思うのでありますが、そういう場合に、同じ起債を認めていくということであれば、そういうところにも起債をつけて、一気に完全にさして、早く利用させるというような配慮を自治省でしていただくということになれば、景気浮揚対策が地域の必要な施設の整備促進ということと合致するというようなことにもなるのではないかというふうに考えられますので、きめこまかい起債の許可を——もっとも、起債の許可につきましても、こうなりますと、もうあまり一々許可をするというようなことでなくて、包括的な許可なんということも考える時期じゃないかと私は思いますけれども、それぞれの事情は少し押えてもこっちは完成させたいというような実情、こういった景気対策と地域の要望とがマッチするような起債の許可ということを配慮願いたいと思いますが、どうでございましょう。
  40. 鎌田要人

    鎌田政府委員 いま御指摘になりましたような方向で起債の許可を行なってまいりたい、努力してまいりたいと思います。
  41. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 今回の財政対策にかんがみまして、私は大体こういう方向しかないと思うのでありますが、ただ、景気の浮揚対策としての千五百二十二億、これに対しましては、良質の政府資金相当、八割ですか、配分になるということで救われると思うのでありますけれども、こういった国の政策に関連した起債ということにつきましては、何らかの利子補給を、あるいは一部補給でも、全部補給でも、ある程度まで考えるべきではないだろうか。減税の起債につきましては、これは当然公共団体としてはやむを得ない。仕事をやりたければ、税収が減れば起債に依存する。しかも、その公債費の占める比率が少なければ——いままでこまかいところまで自治省で干渉されたわけでありますが、どうしても必要ならば、予算全体から公債費が将来の財政に影響を与えないという比率であれば、起債に依存して補てんをしていく、事業を遂行していくということは当然だと思うのでありますけれども、こういった国の政策に関連するものについては、先ほども質問があったかと思いますが、ある程度まで利子補給というような措置を講ずべきであると思うのでありますけれども、いかがでございましょう。
  42. 鎌田要人

    鎌田政府委員 公共事業の増大に伴いまする地方負担増加、これをすべて国の政策的な必要に基づいてやるのだから、地方団体にまるまるこの財源措置をしてやるべきだという考え方もあるわけでございますけれども、先ほど来再々お話がございますように、下水道等の生活関連施設といったようなものでございますと、地域住民、地域社会というものにもちろん密接な受益関係も持つわけでございますので、私どもの基本的な考え方といたしましては、やはり全額地方債を充当する。その場合におきまして、最近、一般会計ベースの利子補給でございますと、大体六分五厘までの利子補給ということになるものでございますから、それならばむしろ最初から六分五厘の政府資金をできるだけ——まあ、私とも、満額できれば一番よかったわけでありますけれども、八割まで充当をする。そういうことになりますと、実質的には六分五厘までの利子補給ということにかわる措置ということに相なるわけでございまして、現実問題といたしましても、この一般会計債と下水道債の大体半分というものが政府資金でまかなえる。こういう形になっておるものでございますので、当面の措置としてはまあ妥当なところではないだろうかというふうに考える次第でございます。
  43. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 元金の据え置き期間だとか、あるいは償還年限の延伸、これは事業によってある程度まで違うと思うのでありますけれども、この政府資金の償還条件というのは、従来、それぞれの該当する事業と同じ条件なんですね。そういった据え置き期間だとか、あるいは償還年限の延伸だとか、そういった多少の配慮もしないわけですか。
  44. 鎌田要人

    鎌田政府委員 従来の政府資金と同じ条件でございます。
  45. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 時間がありませんので次に進みたいと思いますが、この点もすでに御質問した点だと思うのでありますが、本年は一応財源措置見通しがついたということがいえると思うのでありますが、今後の——まあ当面昭和四十七年度の財政でございますが、先ほどの御答弁によりますと、いろいろ経済が流動的である、見通し等についても、確たる見通しもまだはっきりしていないのでいましばらく待ってほしいということでありますが、財政局長の御答弁によりますと、少なくとも一兆円前後の財源不足が見込まれるということは間違いない事実だと思うのであります。これに対して、大蔵省との関係もありましょうけれども自治省としてはこれをどうするんだという方針をもうある程度まで立てるべきではなかろうか。たとえば、交付税の率の問題ですが、沖繩復帰ということについて、これは特例交付金で措置をするという予算要求をしておるということでありますが、沖繩復帰という問題も大きな問題であるわけですから、要求額ができるだけ認められるということが私は好ましいと思いますけれども、従来の覚え書きからいいましても、交付税の率をどう変えるかという問題ももう論議してもいいんじゃないか。少なくとも、それらの問題を含めて、安易に全額起債に依存するというわけにもいかぬと思うのでありますけれども交付税税率、あるいは地方税の税収をはかる税源をどう見つけていくかという心がまえでも、自治省としては責任上いろいろお話しにくい点もあろうかと思いますが、しかし、いまとなっては、もう少し具体的に、大ざっぱでもお話し願うのが至当じゃないかと私は思うのですが、いかがでしょうか。
  46. 鎌田要人

    鎌田政府委員 先ほどからるる申し上げておりますような前提条件がかなり流動的でございますので、明確なことを申し上げられないわけでございますが、考え方といたしましては、地方一般財源確保ということでございますと、まず第一は、何と申しましても、交付税総額確保する、という問題があろうかと思います。御指摘交付税率の引き上げの問題につきましては、明年度以降の景気見通しというものとの関連におきまして、交付税率の引き上げの問題を含む交付税額の総額確保ということがまず第一の問題になろうかと思います。  それから第二点といたしましては、現在ございまする地方税源というものをどういうふうにして拡充してまいるかという問題であろうと思うわけでございますが、二、三の考え方も、税務局のほうから政府、税調等にもおはかりを申し上げておるようでございますけれども、そういった形で自己財源の充実というものも考えてまいる。それから、臨時特例的な措置として、沖繩等につきまして、どういう措置を講じてまいるか。それから前回、昭和四十一年の落ち込みのときにおきましては、特別事業債というものを発行いたしまして、これにつきましては、当時の地方制度調査会におきましては、一般財源の増強によるべきであって、特別事業債といったような措置によることは適当でないということでおしかりを実は受けておるわけでございます。  この辺のところを、今日の時点に立ちまして、どういう形で地方債のあり方というものを考えてまいるか。考えられる手段といたしましては、大体以上のことに尽きようかと思います。それをどのように組み合わせていくかということだろうと思うわけでございます。
  47. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 大蔵省もお見えになっておられると思いますけれども交付税の基礎になります法人税につきましては、例の特別税率の一・七五%でございましたか、これの期限が切れるのではないかと思うのであります。これに対する措置をどういうふうにお考えになっておるか。あるいは所得税につきましては、来年度の減税でございますが、現在の減税でも相当地方税にはね返ってくると思うのでありますけれども、減税についてどういうふうにお考えになっておるか。もう一点は、交付税の率の増額について、もっと深刻な情勢がはっきりした場合にどう税率をお考えになるのか。この三点だけお聞かせ願いたいと思います。
  48. 加藤隆司

    ○加藤説明員 最初の問題でございますけれども法人税の一・七五、御承知のごとく本年法律で書いてございますが、はね返り分が九十五億と八十億ですか、例の三十九年の市町村減税補てん債八十億、それから特別事業債の九十五億、こういうものが四十五、四十六年度交付税のほうで措置されておりまして、もしかりに、法人税の一・七五が期限が参りますのでもとへ復しますと、この分の問題が出てまいる。法人税の一・七五は、直接的にはそういう問題があるわけでございます。もう一つは、先ほどもお話がございましたが、法人関係地方税の減というような問題、この二つの問題が出てくるわけでございますが、私、直接税のほうを担当しているわけでございませんが、地方財政の担当者といたしましては、主税に再三一・七五は確保してくれということを言っておりますが、どういうふうになりますか、全体の国の政策がからみますので、しかとしたことは承知しておりません。また、今後検討が続けられると思いますが、地方財政の立場から言いますと、ぜひとも確保してもらわなければ困るというふうに考えております。  それから、所得税の減税の問題、これは、地方の立場から見ますと、住民税の減税とか、そういう問題にからもうかと思いますが、同時に、三税にからみまして、交付税の問題になってくるわけでございますが、その点は、昨日の税調の議論なども聞いております。けさの新聞にもいろいろ出ておりますが、消極、積極いろいろ議論があるようでございますけれども、これにつきましても、われわれとしては、地方財政の立場から、あるいは主税局の立場から見ますと、減税はあまりやっていただきたくないというような感じを持っておりますが、これもやはり、景気浮揚とか、あるいは税負担の適切な調整というような問題もあろうかと思いますし、目下のところ私どもとしては見通しを立てることができません。  それから、三番目の交付税率の問題でございますが、四十年、四十一年度編成の際とどういう情勢の変化があるかということもございますが、端的に申しまして、主税の親金のほうが減りますと、率を上げてみてもしようがないという気がいたすわけです。それから、景気の動向がどういうことになるのか。それから、四十一年のときは国がまだかなり力があったかと思うわけですが、ところが、いまや国、地方を通じまして——これは日本だけじゃないと思うわけです。先進諸国全般を通ずる問題なんで、四十一年度のようなやり方で、あのときに、二九・五から、御承知のような三二%に上がったわけでございますが、そういうやり方で地方財政の問題が解決できるかどうかというようなことを深刻に考えているわけです。
  49. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 国もいろいろ財政上困難な面に当面しておることを、私どもよく承知しておるわけでございますが、国は、社会福祉以外に、私どもの主張しておりますいろいろな削減すべき予算等もあるわけでございますが、それらの内容の、ふやすものはふやし、削るものは思い切って削る。私ども、当面、四次防につきましては増額すべきではないという主張もいたしておるわけでございますが、地方は、財源の減少ということはもろに住民の社会福祉に影響してくるわけであります。交付税の対象になる三税が減るわけでありますけれども、しかし、この際、ある程度まで率の上昇によりまして時限的にも配慮するということは考えなければならないのではなかろうか、私はかように考えますので、地方行政担当の主計官としてはその辺のことを十分御配慮願っておきたいと思います。  それから、地方税の問題でありますが、先ほどお聞きいたしましたところによりますと、地方税減収というのは、いわゆる財政というか、支出のほうはともかくといたしまして、一応税収の多い府県、大都市というところに減税が目立っておると思うのであります。従来、私どもは、大都市の自主財源確保ということを強く要望してまいったのでございますけれども、いわば落ち込みの多いこれらの点につきましては、景気の浮揚策からいきますと、増税はどうかと思いますけれども、税の公平な負担というような見地から、積極的といいますか、ある程度まで是正すべき点は是正しなければならぬのじゃないかと思うのでありますが、地方税担当の佐々木税務局長、どうお考えになりますか。
  50. 佐々木喜久治

    ○佐々木(喜)政府委員 地方税におきまして、確かに、仰せのとおり、いろいろな特例措置等がなお設けられております。また、国税との関係におきましても、租税特別措置法の影響を受けている部分も相当あるわけでございます。こういう点につきまして、いろいろな国の経済政策等の変更も予想される時期に、もう一度こういうものについて見直してみようということは非常に大切なことであろうというふうに考えております。私どもも事務的には内々いろいろな問題点を検討いたしております。
  51. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 これは全くの私見でございますけれども、党の方針といたしましても、従来、地方税法の改正の法案等も出しておるわけでありますが、この機会に、税の落ち込みが府県に多いという意味におきまして、住民税の課税最低限の所得税との比率からいきまして、また開いたわけでありますが、これらの最低限を高めることについての努力も考えなければいかぬと思うのであります。その際に、ことしは、中堅所得といいますか、私どもの県から見ますと相当高額所得になるわけでありますが、高額所得に千六百五十億の半分くらい減税になっているというふうに考えるのであります。いままでの住民税の県税は、御承知のとおり百五十万を基準に、課税率は二%と四%ですけれども、税負担全体を通じて増税になってもどうかと思いますけれども、多少軽い累進税率を適用することによって地方税落ち込みをカバーするという考え方はとれないものかどうか。こういう事態でありますので、これらの配慮をすべきではないかというふうに考えるわけであります。  それから、税の落ち込みの大都市その他につきましては、法人税割り等を見ますと、法人等の均等割りもそうですけれども、いままで、大都市におきましては標準税率を適用いたしておるわけでありますが、地方の中都市以下の町村におきましては、ある程度まで超過税率を適用している。比率からいいますと、町村の数からいくと五〇%にはなりませんけれども、四十何%は超過税率で苦しい財政をまかなっておるという実態から考えますと、大都市及びそれに準ずる都市におきましては、標準税率はある程度まで高めてもいいのではないか。均等割りにしてもきわめてわずかな額ですから、かりに、収益がなくても、均等割りを果たす義務はあるのではないか。ことに、府県税あるいは市町村税におきましては、大都市の、主として均等割りも、あるいは法人税割りにいたしましても、ある程度まで増額をする必要があるのではなかろうか、こういうふうに考えるのでありますが、これが第二点であります。  それから、昨年も問題になりました自動車重量税、これは地方配分四分の一ですけれども、これを三分の一くらいに強く四十七年度におきましては増額になるのではないかと思いますけれども、それらを地方に四分の一を三分の一に高めるとか、あるいは自治省でお考えになっております軽油引取税——これは円の切り上げによりますと安く入ることになるわけでありますが、海外の市況というものは必ずしも安くならぬというような宣伝も流れておるわけでありますが、これらも考えるというふうに、この際そういったことについて十分検討して、四十七年度の予算編成までに間に合わせるという配慮が必要ではないかと思うのです。  そのほかにもいろいろあると思いますけれども、この三点につきまして、御検討になっておられるのか、あるいはそういう意思がおありになるのかどうなのか、その点をお聞かせ願います。
  52. 佐々木喜久治

    ○佐々木(喜)政府委員 まず、第一点の住民税の問題でございますが、確かに、今回の所得税の改正によりまして、課税最低限の幅が再び開いたという事態は、私どもも非常に心配しておったところでございます。税制上から見ますならば、住民税の場合は、所得税の控除失格者も相当数の人たちが所得割りの納税義務者になっておるというような現実から見ますと、できる限りそうした課税最低限の引き上げということは考えていかなければならないというふうに思っておりますけれども、何ぶんにも、財政局長からも御説明申し上げましたとおり、財政収支の面から申しますと、そういうような減税をする財政的余裕がきわめて少ない。その点で私どもは非常に困惑をしておるというようなところでございます。  それから、それとの関連におきまして、府県民税の所得割りの税率について、さらに軽度の累進税率をとるべきではないかという御指摘でございますが、確かに、現在になりますと、そういう問題も検討すべき時点に来ておるというふうに考えております。ただ、一方におきまして、市町村民税の税率が府県民税の税率と同じように昭和三十七年の改正できめられたものでございますが、市町村民税の税率につきましては、その後の所得税法の改正による税率緩和という事態から見ますならば、市町村民税の場合には、税率が、所得税に比べてやや急激に少しきつくなっておる。その面の調整が必要ではないかというような意見もまた別にあるわけでございます。そういう意味におきまして、市町村民税、府県民税あわせて、税率につきましては検討する必要があるというふうに考えておるわけでございます。ただ、これが直ちに四十七年の改正になり得るかどうかという点は、やはり税収入との関連もございますので、しばらく時間をかしていただかなければならないというふうに考えております。  それから、次の、特に大都市における法人関係税の問題でございますが、いま、市町村から見ますならば、法人関係税率について相当超過課税をやっておるということは御指摘のとおりでございます。これについて、大都市またはこれに準ずるような都市がそうした超過課税を現在やり得る状況にあるかどうかという点につきましても、それぞれ事務担当者との意見調整を行なっておりますけれども、それぞれの市の議会において、そういうような市の政策として超過課税をやり得るような環境になかなかないような感じでございます。やはり、やるとすれば、地方税法の中で税率改正を行なっていかなければならないということでございます。この点は、法人関係法人税率の問題との関連において、法人負担をどうすべきかというような基本的な問題としてこれは検討されなければならないだろうというふうに考えております。ただ、御指摘のとおり、特に最近における都市の財政需要というものの増高が非常に著しいものがある。それに対応して、現在の市町村税制がなかなか追いついていけないというような現状につきましては、これについて何らかの方策を考えていかなければならないということで、私どもも、税制調査会の長期答申の趣旨に基づきまして、現在事務的にいろいろ検討しておるわけでございますけれども、たとえば、事務所、事業所税といったものを、特に都市部において創設をしていくというようなことも必要ではないであろうかということを考えておりますが、何ぶんにも、現在の経済情勢から見て、はたしてどの程度負担として創設し得るかどうか、この点は十分検討してまいりたい、できる限り実現に努力をしたい、というふうに私ども考えております。  また、軽油引取税につきましては、もう何度か御意見のあったところでございますが、確かに、諸外国の例から比べまして、軽油についての税負担というものは、わが国の場合には非常に低いわけでございます。また、最近のドル問題等から見まして、なお軽油自体の値段を引き上げなくても、軽油引取税の若干の負担増を求めることが可能ではないだろうかということで、そうした価格の状況等もにらみ合わせながらただいま検討中でございます。
  53. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 時間が参りましたので質問を打ち切りたいと思いますけれども、来年度の地方公共団体財政需要というのは非常にきびしいわけでありまして、しかも、内政問題といたしましては、外交と同じように大きく動いておる時代でありますので、この財政の苦境を切り抜けるためには、制度的にも、あるいは地方自治体に対する心がまえといたしましても、大きく切りかえていかなければならぬ。これは自治省だけの問題ではなくて、国全体の問題として考えていかなければならないという時期に当面しておると私は思いますが、いまだに来年度の見通しについて——交付税にいたしましても、地方税減収の問題にいたしましても、これから対策を考えていこうということであるわけでありますけれども、いままでの大きな動きが、税一つ考えましても、地方公共団体に普遍的な税を見出すのに非常に苦慮しなければならぬ。いわば財政事情が大きく二分されておるというのが今日地方公共団体の実態でもあるわけです。これらにどう対処していくか。しかも、行政事情も、両地域は、適切な対策を行使する方策も大きく変わってきておるというような実態であり、非常にむずかしい四十七年度を迎えるのではないかと思いますので、私は、自治省が中心になって、地方公共団体の仕事がやりやすいように、財源の問題あるいは行政事務配分問題等について、思い切って積極的に取り組んでいただきたいということを強く要望いたしまして、質問を打ち切ります。
  54. 大野市郎

    大野委員長 桑名義治君。   〔委員長退席、大石(八)委員長代理着席〕
  55. 桑名義治

    ○桑名委員 先ほどからいろいろと交付税等の問題につきまして議論があったわけでございますが、四十六年度における地方団体財源不足額は五千三十億六千万円という巨額にのぼっているわけでございます。現在の地方財政需要というものを考えてみますと、先ほどからいろいろと論議が重ねられておりますように、住宅の問題とか、交通問題とか、社会福祉問題とか、あるいは社会投資の問題等が緊急を要するというふうに言われているわけでございます。そういった中で、今回のこのような状態を迎えたわけでございますけれども、今回の措置の中で、一般会計から補てんされているのはわずかに五百二十八億にすぎない。こういう姿で今回の地方交付税の財政措置がなされているわけでございますけれども、この問題について、自治省としてはどのようにお考えになっていらっしゃるか、まず、基本的な問題からもう一度確認しておきたいと思います。
  56. 鎌田要人

    鎌田政府委員 今回の昭和四十六年度当面の財政措置についての考え方でございますが、交付税の減のうち、所得税減税に伴います五百二十八億については、これは一般会計から補てん措置を講ぜられたわけでございますけれども、残りの減収分、あるいは地方税の減につきましては、交付税会計借り入れ、あるいは起債という措置によって処置をいたしたわけでございます。  たとえば交付税減収分ということになりますと、これは理屈になるわけでございますが、法律的には当然その年の収入額の三二%ということになるわけでございますので、ほうっておきますと当然減額補正ということになるわけでございますけれども、それにつきましては、交付税特会で借り入れをすることによって、地方団体に実害が行かないようにしたということで評価をされるべきであろう。あるいはまた、地方税の減につきましても、先ほどから話があるわけでございますが、この減につきましては、地方債を適債事業に充てることによりまして財源の振りかえをやっていく。公共事業地方負担の増につきましても、同様に、現在の段階におきまして、地方団体の固有の財源を付与するという方法もあるわけでございますが、国も地方財源が枯渇しておる中でございますので、できるだけ政府資金を充当することによって当面の公共事業消化の促進をはかる、こういうことでございまして、私どもといたしましては、やはり、現在の国、地方を通ずる財政行政の中で可能な限りの措置を講じたというふうにみずからを評価いたしておるところでございます。
  57. 桑名義治

    ○桑名委員 今回の措置は、資金運用部借り入れ金が千二百九十五億六千万円、それから地方債が二千六百八十二億、これで三千九百七十七億六千万円、こういうふうな形になっておるわけでございますけれども、こういうふうな巨額な措置は、今年度の地方債の約四割に当たる借金をしての、その易しのぎの措置に過ぎないというふうに評価をされておる向きもあるわけでございますが、このように、政府の不況対策において、一方的に地方団体が借金を負わされていく、言うならば、今後の財政対策が立たないのではないかというふうに思うわけでございます。いま申し上げたのはいわゆる地方団体の声でございますけれども、先ごろ各地方団体のいろいろな意見も聞いてみましたし、あるいはまた地方団体におきましても、補正予算の成立にも、それが如実にあらわれているというふうに考えても決して過言ではない、このように思うわけでございますが、その借金の元利償還額は、全額国庫負担で本来ならば措置すべきではないか、それがまた当然なことではないか、こういうふうに考えるわけでございます。もちろん、この税の落ち込みというものは、ただ単に地方だけではなくて、国全体の落ち込みも当然あるわけでございますけれども、現在の地方自治団体においても、いわゆる財政事情、あるいはまた財政の需要、こういった面から考えた場合には当然措置すべきではなかろうか、こういうふうに思うわけでございますが、この点についての意見をお聞きしておきたいと思います。
  58. 鎌田要人

    鎌田政府委員 御案内のとおり、今度地方債をもって措置することにいたしましたのが、一つ地方税減収対策にかかります一千億、それからもう一つは、公共事業地方負担の増にかかります千五百二十二億、三つ目が、不交付団体におきます給与改定財源のやり繰りと申しますか、差し繰りのために起こしますところの百六十億、これが今度の地方債増額の内容でございます。それぞれにつきまして、元利償還の是非ということについていろいろ議論があるだろうと思うわけでございますが、まず、地方税の減につきまして、地方税が減るということになりますというと、これは議論にわたって恐縮でございますが、本来ならば、地方団体が結局歳入が減るわけでございますから、歳出のほうに補正を加えて、収入に見合った財政運営をやる、あるいは、そうでなければ、適債事業に起債を割りつけることによりまして、いわゆる財源振りかえという形でこの財政をやる、こういうことになろうかと思うわけでございまして、その分を起債について元利補給をするということはいささかなじまないのではないだろうかという感じがするわけでございます。ただ、そう申しましても、弱小団体の場合でございますと、おそらく地方債のそういった面での負担公債費の累増ということがございますので、そこで、全体の四割に相当します四百億については、政府資金をもって充てることによりまして、公債費負担がふえることをそこで防止しよう、こういう気持ちを持っておるわけでございます。  それから、公共事業地方負担の増に対しまする元利償還、これにつきましては、先ほどもお答え申し上げたわけでございますけれども公共事業地方負担について、元利償還をまるまるするということになりますと、この分の公共事業については、いわば国が全額金を出してやるということになる。これも議論の分かれるところでございますが、今回行なおうとしております公共事業の中身がすべて国の財政負担において、いわば直轄的に行なわれるものであろうが、直轄の場合でございましても、地元負担をとっておるというような仕組みになっておるわけでございますので、そこのところも、私どもといたしましては、全額地方債を充てると同時に、いわば利子補給にかえて、政府資金というものをできるだけ増額をし充てるということを考えてみたわけでございます。  それから、給与改定財源の不交付団体分につきましては、これは非常に厳密な議論をいたしますと、交付税の計算上は給与改定財源を持っておる、こういう前提になるわけでございますけれども、そこはいわば机上の計算ということになろうか——また、そういうものについては、現実にはやはり財源の所要というものがあるわけでございますから、それにつきましては、縁故債を充てることによって給与財源を生み出してもらう、こういう措置を講じたわけでございまして、これについて、元利償還ということは、今度は交付団体給与改定財源、これは特会借り入れという形でございまして、将来は交付税の会計から返していくわけでありますので、それとのバランスから見てもいかがであろうか、こういうふうに考える次第でございます。
  59. 桑名義治

    ○桑名委員 そこで、このような状態に追い込まれてきますと、いわゆる財政力の弱い市町村においては、これ以上借金はもうできない、あるいはまた、この際再建団体に落ちるよりしようがないというふうに言っている団体があるわけでございますが、こういうふうな財政力の弱い団体の実態というものは、いまどういうふうになっているか、お知らせ願いたいと思います。
  60. 鎌田要人

    鎌田政府委員 実は、私どもも、当面の財政、それから明年度の財政ということで非常に苦慮をいたしておるわけでございます。特に、いま御指摘になりました弱小な団体というものの財政、これが来年どういう形で財政を回していけるだろうかということで苦慮をいたしておるわけでございますが、地方債に対します依存度、したがいまして歳出の中に占めます公債費、こういうものをとって考えてみましても、小さい市町村でございますと、そこに公債が多く張りつくということになりますと、これは全体の財政規模が小さいわけでございますから、当然公債依存度も高くなりますし、公債費も重くなる。こういうことがございますので、今年度から来年度にかけましての私どもの考え方といたしましては、できるだけ一般財源を弱小団体には優先的に張りつけていく。それからどうしても起債を張りつけなければならないときには、政府資金を張りつけていく。こういう形で、弱い団体の財政ということも絶えず念頭に置きながら、地方財政全体の財源措置というものを考えてまいりたいということでございます。
  61. 桑名義治

    ○桑名委員 そのような状態におちいるおそれがある地方団体というのは、現在のところ、自治省ではどのくらいの数を掌握しておりますか。大まかでけっこうです。
  62. 鎌田要人

    鎌田政府委員 私ども、ちょっと手元に数字を持っておりませんけれども、現在、御案内のとおり、財政再建特別措置法によりまして、いわゆる準用再建というものを行なっております団体というものが、いま正確な数字を調べてもらっておりますが、百はないと思います。  まず、一番要注意は、再建団体が私ども一番心配でございます。それからあと、御案内のとおり、過疎団体になるわけでございますが、この過疎団体は、団体数にいたしまして、全市町村の約三分の一ということでございまして、この過疎団体を大体中心にして、財源措置というものがただいま申しましたような形にならないように持ってまいりたい。ただ、ここからは、私、少し楽観に過ぎるのかもしれませんけれども、各県の財政状況——ちょうどただいま特交のヒアリングの時期になっておるものでございますから、各県の地方課長さんなり、あるいは総務部長さん方からできるだけ機会を求めて実情を伺うことにしておるわけでございますが、ことしのところは、おかげさまでどうやらこの措置で息がつなげそうですということを申しております。やはり問題は来年の一兆円の問題で、これの処置のいかんによっては、いま御指摘になっておりますような状態が出てくるおそれがあるというふうに私は考えております。  なお、ちょっと申し上げますが、準用団体は三十七団体でございます。
  63. 桑名義治

    ○桑名委員 まあ、内外の経済環境というものが、四十年当初よりも非常にきびしく、あるいはまた、構造的にも異なってきたというふうに世上では言われておるわけでございます。そうしたことから考えてきますと、今回の場合は、四十七年度以降の、いわゆる財政対策に関する一つの足がかりになり、端緒を開くような抜本的な措置を考えられなかったのかどうか、こういうふうに私たちは考えるわけでございますけれども、どうも、今回の処置は、一応帳面づらを合わして何とか一時しのぎをしたというような感がするわけでございます。  そこで、なぜこういうことを申し上げるかと申しますと、いまも局長がおっしゃっておられましたけれども、来年度の一兆円が非常に問題だというふうにお話しになったわけでございます。そういった来年度の予算的な措置を考えた場合に、今回のこの交付税措置に関する処置から何とか新しい方向を見出すべきではなかったろうかと考えるわけでございますが、その点について所見を伺っておきたいと思います。
  64. 鎌田要人

    鎌田政府委員 当面の財政措置につきましては、いろいろな御意見、御批判の余地があろうと私は思います。ただ、私どもの率直な、何と申しますか、感想と申しますか、といたしましては、やはり景気落ち込みというものが予想外に急ピッチでやってきた。そこへ持ってまいりまして、これは、八月のいわゆるニクソンショックというものが少し戻り足になっておったところをさらに引き下げるという形になりまして、そこから、この通貨調整等の問題も含めまして、ちょっと先の見通しがつかない。予期しないような、そういった意味でのこの税の減収というものがあり、それに対する対策といたしまして、所得税の大幅減税と公共事業の拡大というものがあったわけでございますので、そういう意味におきましては、交付税総額確保する等、当面応急の措置をとらざるを得なかったということは、これはやはり認めざるを得ないと私は思います。  問題は、来年以降この景気がどういう趨勢をたどってまいるかということですが、実は、前回は、御案内のとおり、四十一年にああいう財政措置をとったわけでございますが、四十一年度におきましてすでに景気は急速に戻ってまいりました。むしろ、上昇過程に転じたわけでございまして、落ち込みの期間というものが非常に短かったわけでございますが、今度は、それが前回と同じような形で、比較的早く戻り足に転じて上昇するのか、あるいは少なくとも何年か低迷が続くのか、そこのところの見通しをもう少しはっきりさしたところでこの財源措置というものを講じてまいる、こういうことが必要ではないだろうかというふうに考えておるところでございます。
  65. 桑名義治

    ○桑名委員 そこで、不況が長期化した場合、これがまた問題になるのじゃないかと私は思うのです。不況が長期化して、そうして景気浮揚策の効果がおくれてきた場合、今回のような措置が続いた場合は、これは完全に地方財政はパンクします。そういうことを考えていきますと、今後の見通しというものをどういうふうに立てていくのか、これがやはり大きな今後の課題になってくると思うのです。現在の社会情勢をいろいろ分析してみましても、あるいはまた、貿易関係の問題をいろいろ分析してみましても、いわゆる好転するというような材料がほとんど見当たらないのが実情ではないか。これは一般的な、どなたでも考えられる事実でございますけれども景気が浮揚すれば、この効果がある程度あらわれてくるのじゃないかと思いますけれども、この景気浮揚策の効果がおくれてきた場合、いわゆる不況が長期化した場合、これに対応する策というものをどういうふうにお考えになっているのだろうか、これをまずお聞きしておきたいと思います。
  66. 鎌田要人

    鎌田政府委員 不況が長期化する場合と、比較的早目に回復する場合と、いろいろな場合を想定して私ども財政対策を考えなければならないというふうに思うわけでございますが、御案内のとおり、昭和四十一年に国債を本格的に発行いたしましてからあとの国と地方の財政関係というものは、それまでの均衡財政のもとでございますと、結局国の財源というものがある程度伸びると、その範囲で国の財政というものもきまってくる、その範囲で地方の歳入もまたおのずからきまって、地方財政規模もきまるという、こういう一種の連動関係と申しますか、メカニズムと申しますか、というものがあったわけでございますが、国債発行下で国が国債を大幅に出されるということになりますと、国債の増発に見合う地方団体の歳入というものが得られないわけでございますから、そこで、国と地方との財政関係というものについては、やはり考えを新たにする必要があるということがございまして、実は昭和四十一年度あたりにもその議論が一ぺんございました。たとえば、交付税国税三税にリンクさせないで、国税全体とむしろリンクさせたほうがいいのじゃないかといったような議論もございまして、かなり根本的な議論があったのでございますが、先ほど申しましたように、四十一年度以降景気が急速に戻ってまいりまして、五年十期連続黒字というような非常に恵まれた状態のもとで、また今日のこういう危局に直面したわけでございますので、おのずからそこにいろいろな考え方のニュアンスがあろうと思いますが、基本的には、景気の不況が長期化するという場合でございますれば、先ほどから申しておりますような地方交付税総額というものをどのような形で確保するか、それから、地方自身の税源というものをどのような形でふやしていくか、税源の拡充、それからこの地方債のいわば機動的な運用、この三つのコンビネーションになろうかというふうに考える次第でございます。
  67. 桑名義治

    ○桑名委員 国の浮揚策の一環として、一連の施策によって、借金に見られるように、地方財政というものは非常に窮状に追い込まれているわけでございますが、これによりまして単独事業が当然削減され、行政サービスというものが低下をしていく、当然こういうおそれがあるわけでございます。一部にはそういう姿がもうあらわれているわけでございますが、国の景気浮揚策が住民の福祉向上を阻害することになるのではないかという、こういうふうな心配が非常にあがってくるわけでございます。たとえば、今回の処置の中で、給与の場合に百五十億の節約をしろというふうに端的にあらわれてきておるわけであります。あるいは、不交付団体の場合には、節約が四十一億というふうな形であらわれてくるわけでございますが、各弱小市町村におきましては、当然ぎりぎりまで節約してきているわけです。それに、さらに加えて、百五十億、四十一億という、節減、節減という政策が打ち出されてくる。あるいはまた、借金を背負い込んでくる。こういうことになってくれば、どこにしわ寄せがやってくるかといえば、当然、これは単独事業の削減や行政サービスの低下にしわ寄せがこなければならないわけであります。いまいろいろと説明がございましたけれども、円の為替相場、あるいは課徴金といろ問題もまだまだ完全な解決を見ていないわけです。現在、悪条件がそろっている。当然、そういった悪条件は必ず地方財政のほうに大きくしわ寄せがくる。特に、弱小の各市町村団体というものは、弱いところには少しの影響が大きく響いてくるということは当然のことでございます。そういったことを考えますと、先ほど山本先生からもお話がありましたが、行政、財政あるいは税の再配分ということを積極的に考えていかなければならない時期が来たのではないかと思うわけでございますが、その点についての見解を伺っておきたいと思います。
  68. 鎌田要人

    鎌田政府委員 財政が苦しくなってくると住民サービスに影響がいくのではないかという点につきましては、私ども、そういうことにならないように特段の配慮を加えてまいりたいと思っておる次第でございます。  先ほど節減の御指摘があったわけでございますが、これは、たしか前回の当委員会においても私申し上げたと思いますけれども、節減の対象といたしましては、旅費とか物件費とかいった、いわゆる住民サービスに直接影響のいかないところで節減をしていただく、こういう方針でおるわけでございまして、明年度以降、財源が苦しい中でございましても、地域住民の生活環境というものをよくしてまいりますための生活関連道路でございますとか、あるいは下水道の整備でございますとか、そういった、地方財政計画上、一般事業費という形、あるいは特別事業費という形で計上いたしておりますものにつきましては、来年度におきましてもできるだけこれが伸長をはかってまいりたいというふうに考えておるわけでございまして、それが、景気のいかんにかかわらず、地方団体がやらなければならない行政水準の引き上げという道につながるものだというふうに考えておる次第でございます。
  69. 桑名義治

    ○桑名委員 いま、私の質問で提起した中で、行財政あるいは税制に対する対策をどのように考えるか、再検討をする時期に来ているのではないかという、このお話を申し上げたわけですが、それに対する回答がございません。  それと同時に、ここで考えていかなければならない問題は、そういうふうな時期に来ているということは、先ほどから佐藤総理の施政演説の話が出ておったわけでございますが、政策の転換をやっていかなければならない時代だ、それから、高度成長を押えて今後は平衡的な成長をはかっていかなければならぬ、こういう総理の施政演説の中からくみ取れるものに対応して考えるならば、これは当然、先ほどから申し上げているように、いわゆる税制、行政の再配分というものをここらで本気になって考える一つの転機ではなかろうか、こういうふうに申し上げるわけでございますが、この点についての所見を伺っておきたい。
  70. 鎌田要人

    鎌田政府委員 行政事務の再配分、あるいはこれに対応します税源の再配分ということにつきましては、累次の地方制度調査会におきましても答申をいただいておるところでございます。特に、行政事務の再配分につきましては、一部実現を見たものもございますけれども、まだそのままになっておるといったこともございまして、私ども、近く発足を予定されております地方制度調査会におきましても、この点については十分に御審議をお願いしたいというふうに考えておるところでございます。  それから、税源の再配分ということにつきましては、税務局長が参っておるわけでございますが、私ども、やはり先ほどから話が出ておりますような、都市における税源の強化、あるいは道路目的税源の強化、こういったものを中心にして、地方税源の拡充というものを考えてまいりたいということで、現在せっかく検討中でございます。
  71. 桑名義治

    ○桑名委員 歳入の不足あるいは行財政需要の増大というものが相乗作用を起こして地方財政の危機を招いた、こういうふうに考えられるわけでございますが、特に、行政需要の増大というものは、先ほどからお話も出ておりましたが、大都市及び地方の中核都市に、大きな目立つ形になってあらわれているわけでございます。そこで、四十年度には百八十五市町村の不交付団体があったのに、四十五年度では五十八市町村に減って、特に六大都市が軒並みに交付団体になっているという姿があらわれているわけでございますが、この問題は何が原因だというふうにお考えになっていらっしゃるか、まずお聞きしておきたいと思います。
  72. 鎌田要人

    鎌田政府委員 一つは、大都市あるいは中堅都市、こういったところのいわゆる都市の財政需要というものをかなり織り込んでまいってきております。その都市の財政需要伸びというものに対しまして、やはり税源というものが少し希薄である。この両面の効果によって交付団体になっておる。こういうことでございます。
  73. 桑名義治

    ○桑名委員 情報網の発達によりまして、都市化社会へ移行しつつある現在でございますけれども地方財政も構造的な改革をすべきである、こういうふうにいろいろと論議をされているわけでございますが、この点についてはどういうふうにお考えでございますか。
  74. 鎌田要人

    鎌田政府委員 非常に大きな問題でございまして、ちょっと私、構造的な改革ということの内容が十分に把握、理解できないのでございますが、たとえば歳入構造の面で申しますと、税収のウエートというものが低く、依存財源というもののウエートが高い、こういったものに対して、税を中心といたしまする自主財源というもののウエートをもっと高めるべきだ、あるいは、景気の変動にかかわらず、景気に対して安定的な財源というものをもっとふやすべきだ、いろいろな要素といいますか、問題点というものがその中に含まれておるのではないだろうか、というふうに考えるわけであります。  また、歳出の面におきましては、これは、現在の国と地方との間の事務の配分というものの結果でございますけれども地方団体の場合には、人件費というものが非常に多い。あるいは、公債費その他の義務的な経費というものが非常に多い。そういうために、団体によりましては、義務的な経費をまかなうのに精一ぱいで、投資的な経費というものに回る財源が少ない、とういったことも指摘されておるわけでございますが、そういったことを構造上の問題あるいは構造改善ということで把握をされるとしますならば、そういう問題点につきましては、私ども、常時念頭に置きながら、これが是正に当たっておるところであるということを申し上げたいと思います。
  75. 桑名義治

    ○桑名委員 七〇年代は人間優先だとか、内政充実だとか、こういうふうに総理はたびたび言われているわけでございます。六〇年代の産業優先ということから大きく政策転換をされた、こういうふうに聞いているわけでございますが、そのためには、生活基盤、生活環境の整備が当然中心課題になってくるわけでございます。そうなってくると、行政需要の面から考えると、日常生活に最も密着している市町村ということに私はなると思う。この市町村の充実というものがすなわち人間優先、内政充実ということにつながっていく大きなものである、こういうふうに考えるわけでございますが、いまの市町村行政水準あるいは財政力の貧困という事柄、これは御承知のように非常に低いわけでございますけれども、この市町村に力をつけて、人間優先の政策を推進するためには、財源の再配分というものを考えるべきである、こういうふうに考えるわけでございますし、公共投資の面につきましても、今回の場合は、いわゆる地方債を千五百二十五億組んでおるわけでございます。しかしながら、この公共投資の推進をしていくためには、どうしてもこれは中央が半分は負担しなければならないわけでございます。実際にこういうふうに力を注いでみたところで、はたしてこれが完全に消化できるかどうかというところに今後の問題があるのではないか、こういうように私は考えるわけでございますが、この点についてはどういうふうにお考えでございますか。
  76. 鎌田要人

    鎌田政府委員 公共事業消化ということにつきましては、先ほどから申し上げておりますように、全額地方債を充当するとともに、その八割については政府資金を充てる、こういう措置をとりましたことによりまして、これが消化には万遺憾なきを期し得た、こういうふうに考えております。
  77. 桑名義治

    ○桑名委員 これでやめたいと思いますが、税制調査会の長期答申では、都市税源の充実強化ということを非常に強調しているわけですが、これを受けて、自治省としてはどういうふうにお考えになっているか、これをお聞きして質問を終わりたいと思います。
  78. 佐々木喜久治

    ○佐々木(喜)政府委員 税制調査会の長期答申におきまして、最近の都市の財政需要から見て都市の税源を強化すべきであるとして、それに対応いたしまして六つの提案がなされています。そして、その提案について具体的な検討をすべきであるということで結んでおられるわけでございます。私どもも、その長期答申に応じまして、現在の経済情勢を考えながら、できる限り何らかの都市税源の強化をすべきではないかということでいろいろ検討いたしております。  その一つの案として、事務所、事業所税というようなものを、都市を中心として課税していったらどうだろうということで、いま検討はいたしております。ただ、現在の経済情勢等から見て、はたしてどのような方法でどの程度負担を求むべきかという点について、相当むずかしい問題があるんじゃなかろうかというふうに考えております。
  79. 桑名義治

    ○桑名委員 政務次官の意見を伺いたい。
  80. 小山省二

    ○小山政府委員 いま事務当局でお答えしたとおりでございます。特に私どもとしては別にございません。
  81. 桑名義治

    ○桑名委員 事務当局からのお話というものは、あくまでも事務レベルの話であって、政務次官の答弁になれば、それに加えて、いわゆるビジョンなり、あるいは政治的な考え方なりというものを全体の中から把握したお答えがなければならないと思うのです。ただ、事務当局からいま答えたから、そのとおりでございます、私のほうでは別に意見はございませんなんてことだったら、政務次官は要りませんよ。税務局長一人でいい。私は、そういう答弁のしかたは非常に不謹慎だと思う。少なくとも、政務次官としての立場の答弁が当然あってしかるべきだ。私はこういうように考える。前の答弁のとおりでございますか。
  82. 小山省二

    ○小山政府委員 たいへん、答弁について十分でございませんでした。それでは、この機会に私どもの考えておることをお答え申し上げたいと思います。  私どもは、地方財源確保につきまして、従来からできるだけ努力をいたしておるわけでありますが、御承知のように、この財源の問題につきましては、経済のある程度の長期的な見通しの上に立ちませんと、事実上この財源確保というものはかなりむずかしい問題ではなかろうかというふうに私は考えております。したがって、経済の長期的見通しがつきません場合においては、一時的な財源によって処理をするということがやむを得ざる処置として行なわれておるわけであります。従来から、都市財源につきましては、税制調査会等におきましても答申がございまして、これが確保については、私どももいろいろと代案を検討いたしておったわけでございますが、税制調査会等の意向もございますし、都市財源確保については、明年度予算編成に対して、このような考え方をできるだけ打ち出したいというふうに私どもも内部でいろいろ協議をいたしておるわけでございます。  御存じのとおり、最近、地方自治団体が住民生活に直結したいろいろな問題をかかえておりまして、地方がそれぞれ自主的な財源確保しない限り、それらの住民生活に直結した問題の解決というものはなかなか困難でございますので、自主財源確保というものにつきまして、私どもは、そういう観点から、今後の税制改正の中でひとつ十分主張し、そしてこの獲得に全力をあげて努力いたしたいというふうに考えておる次第でございます。
  83. 桑名義治

    ○桑名委員 終わります。
  84. 大石八治

    ○大石(八)委員長代理 本会議散会後再開することとし、暫時休憩いたします。    午後一時十七分休憩      ————◇—————    午後二時五十三分開議
  85. 大野市郎

    大野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。青柳盛雄君。
  86. 青柳盛雄

    青柳委員 四十六年度の地方交付税の特例ということで、いままでに経験のほとんどなかったことが行なわれようとしているわけです。ここ五年間くらいのいわゆる高度経済成長の中で、地方交付税も毎年余りが出たというような形で、政府のほうが逆にこれから借り入れるというような変態の状況があって、それに対しては、この特別会計を独立的なものにしなければいけないので、政府とのどんぶり勘定式のやり方はまずいのだという議論も盛んでありましたが、それが、今度は一転いたしまして、足りなくなった。だから、これに対して措置をとらなければならぬということになったわけで、これは、いままでの考え方から言うと、非常に予想外のことということになるのかもしれません。そこで、今度の場合、所得税減税の分に対応する分は一般会計から補うけれども、そのほかの三税の落ち込みによるはね返りの分は資金運用部資金のほうから借りるのだという、いわば、これは今後返さなければならぬものとして借りるのだということでございますが、今後が、先ほどからもいろいろ議論になっておりましたけれども、再び四十年代の初めのように景気が回復して、国税三税の上がりが多くなって、その三二%が相当上がってきて返せるというめどがあるのならば格別、そうじゃなくて、むしろ逆に来年だって一兆円くらいの不足が出るかもしれない、こんなことが言われているわけでございますので、とりあえずの措置として千二百九十六億円というような膨大な金を資金運用部資金から融通を受けるということもやむを得ないようにも見えますけれども、何とかこれを、そういうように将来返さなくても済むような措置に——すなわち、所得税減税について、五百二十八億円の不足について国の一般会計のほうから負担するというならば、こちらの、先ほど申しましたそれ以外の分についても、国の一般会計のほうから埋めてやるというようなことは考えられなかったものかどうか、その点をまずお尋ねいたしたいと思います。
  87. 鎌田要人

    鎌田政府委員 結論的に申しまして、これは考え方の問題にもなろうかと思うわけでございますけれども、所得税の減税につきましては、これは年度中途におきまして、しかも、千六百五十億という非常に規模の大きいものが、いわば国の政策減税として行なわれる。それに伴いまして、交付税に年度中途において大きな穴があくということでございますから、これはやはり国の一般会計において埋めてもらうということだろうと思うわけでございます。  片や、国税三税の減収ということにつきましては、これはいわゆる国の政策減税でも何でもない。いわば、経済全般の落ち込みに伴いまして生ずる減収でございますから、それについて、それは国の一般会計から埋めろということはいささか筋が違うのではないだろうか。将来、逆に、ことばは適切でございませんが、今度のような自然減収というときもございますれば、また逆に、今度は自然増収というときもあるわけでございますので、自然増収のときは、これはまあ当然その分は収入として受け取るわけでございますが、自然減収の場合におきましては、したがいまして、それとの見合いでいきますれば、それだけのものが歳入欠陥になる。制度上はこういう形になるわけでございますけれども、それでは、すでに交付税のことしの配分額もきまり、この十一月で最終の配分も終わるというときでございますので、地方団体財政運営にたいへんな混乱を来たすということから、この特別会計借り入れるという形をとることによりまして、地方財政の運営に支障の生じないようにする。ただ、これを返す、いわばそのスケジュールでございますけれども、これは、お手元の資料にもございますように、そういう先行きの景気の動向もございますので、八年度間にわたって返す。かなり長い返済の計画でございまして、かつ、最初は少なく、だんだんに額をふやしていく。その間に景気が上向きまして、かなりの自然増収というものが見込めるときが当然必ずくる。そういうときにはある程度繰り上げて返してもいいという気持ちもございまして、私ども、八年度間の返済計画というものをとっておりますので、これが後々そう財政運営に累を及ぼすということにはならないのではないだろうかと存じます。
  88. 青柳盛雄

    青柳委員 そこで、来年の予算を組む場合の心がまえといいますか、いまからの取り組みにおいて、また一定の額を組んでみたけれども、年度の途中で不足が出てきた、しかし、それは、たとえばいま言った所得減税みたいな、年度の途中での特殊な政策の変更に基づくものではなくて、自然増が予想外伸びなかったとか、あるいは自然増自体も望めないというような状況が出てきたときにどうするかということ、まあそういうことが予想されるといえば非常に予想される。今度の場合でも、政府のほうでは、弾力的な予算の運用をやるので景気落ち込みはもう早期に解決するんだというような見通しでいたのにもかかわらず、結局はそうはならなかった。もちろん、ドルショックなどということが起こったことも一つ予想外の事態かもしれませんけれども、必ずしもそれだけの問題ではなさそうだ。だから、来年の地方交付税計画を立てるにあたって、途中で直さなくてもいいような自信のあるやり方があるのか、ないのか、それをまずお尋ねしたいと思います。
  89. 鎌田要人

    鎌田政府委員 ただいま御指摘のとおり、来年度の交付税は、現在の状況でございますというと、午前中にもお答え申し上げましたように、交付税の増というものは多くを期待できない。伝えられますように、国税が、今年度の当初に対しまして来年度四千百億しかふえないということでございますと、これはもう国税三税——その中で、経験的には大体七割五分程度を占めておるわけでございますが、それの三二%ということでございますと、来年度返ってまいりまする三百億を加えましても、千億そこそこという伸びにしかならないわけでございまして、これを前提にいたしまして、午前中からいろいろ御論議が出ておりますように、景気の長期的な見通しとのからみ合いにおきまして、交付税総額をどのような形で確保するかということにいわばすべてがかかっておる。こういうことでございまして、その処置によりまして、来年度中途におきましてことしのような大きな落ち込みというものが生ずることがないような、そういうかたい見積りというものをやりたいというふうに私ども考えておる次第でございます。
  90. 青柳盛雄

    青柳委員 かたい予算を立てるのはけっこうなことでございますけれども、それが必要な経費を犠牲にして、といいますか、要するに、金が入らぬのだからその程度のことしかできないんだよ、これが一番かたいやり方なんだという、そういう考え方ももちろんあると思います。しかし、行政需要というものは、地方自治体の場合非常に高まっている。地方住民の命と暮らしを確保するという、地方自治の本来の最も切実な要求に対してこたえるという、その財源をむやみと削るわけにはいかないわけですね。国税のほうがどうも伸びないらしい、だからしかたがないじゃないか、お互いにわがままを言わないでがまんしようじゃないか、というようなたてまえで計画を立てるんでは本末転倒ではないかと私は思うので、先ほど局長も言われましたように、国税伸びがどうもあまり芳しくないようだと言うんだったら、この三二%を動かすということは考える余地がないのかどうか。これはもう絶対のものなんだというようなところから、確実な点、堅実な点という理屈でやってくれば、それは、結局は、今年度の予算よりも、場合によったら、伸びるどころか減らすというような極端なことだって出てくるかもしれませんし、まあ、横ばいとか、とにかく地方住民にとって非常にサービスの悪い結果になってしまう。だから、三二%を固定的に考えないで、三五%とか四〇%にしていく。そしてまた余裕が出てきたら——たとえばこの前は、何千万というような余裕があるからとか、あるいは何百万という余裕があるからというような理屈で政府のほうで借り上げるというようなことがあったんですけれども、そんなような状況が出たときには、またその税率を下げたところで、配分率を下げたところで、別に朝令暮改というほど大問題にはなるまい。要するに、地方自治体の需要に応じて伸縮自在にやっていくということで地方交付税という制度の妙味もあるわけですが、そういうことはお考えになったことはありませんか。
  91. 鎌田要人

    鎌田政府委員 明年度財源対策といたしましては、国債発行下におきまして二度目に迎えた試練だということを私はよく申し上げておるわけでございますが、最初は四十一年度にあったわけでございますけれども、国のほうの歳出を伸ばすための財源として国税がふえない。国税がふえないかわりに国債というものを大幅に増発をされる。ところが、地方の場合でございますと、国税伸びないときには地方税伸びない。のみならず、地方交付税もふえないわけであります。ですから、その地方団体が、ただいま御指摘になりましたような地域住民の生活環境の整備その他、景気がよかろうが悪かろうがどうしてもやらなければならない仕事というものをやってまいりますための財源というものを得るためには、結局、国から地方に対しまして交付されまする交付税というものをいかにして多く確保するかということにならざるを得ないわけでございまして、その場合におきまして、景気の長期的な見通しというものとのからみ合いにおきまして、交付税率の問題も含めた交付税総額確保ということは、これは当然でございます。  ただ、ただいま御指摘になられました、いわば交付税率の変動相場制みたいな考え方、いいときにはある程度交付税率を下げ、苦しいときには交付税率を上げるという考え方は、実は二、三年前大蔵当局のほうからそういう意見が出たこともあったようでございます。ただ、私ども地方財政の苦しい時代を長いこと経過してまいりました者からいたしますと、いわば、地方財政のあり方、あるいは財源所要額というものについての見方が、一点の疑いもないように客観的なものさしできまるということでございますれば、そういう景気のよしあしに従いまして交付税率をふやしたり減らしたりするという、そういう伸縮的な弾力的な運用ということもいいわけでございますが、地方財源の所要額についての見方というものが、客観的にこの線だということでぴっちりきまらないときでございますと、無用の混乱を起こすおそれがございまして、まあ、交付税率をきめたものを下げるということについては、私ども、非常に慎重でなければいくまいという気がするわけでございまして、現在の段階におきましては、むしろ、交付税額をいかなる方法で積極的に総額をふやしてまいるかということが先決ではなかろうかというふうに考えておる次第でございます。
  92. 青柳盛雄

    青柳委員 一ぺん上げたのはなかなか下がらない、また下げると問題が起こる、したがって、上げるのも慎重でなければならぬ、こういうような御議論のようにも聞こえるのですが、あまり流動性が激しいというと、これは計画を立てる上で非常に影響するところが大きいですから、私どもも、これは変動相場じゃありませんけれども、あまりルーズでもいけないと思います。しかし、三二%というのがきまってから、もうすでに四、五年以上たっております。それに、最近、いわゆる間接税的な方向へ国税も切りかえていこう——それに全部なるわけじゃありませんが、付加価値税の構想などというものが日程にのぼっているようです。ですから、国税三税などというものもだんだん先細りになって、付加価値税のようなもの、間接税のようなものに重点を移していった場合に、一体どうするのだ。だから、国の財源地方財源との配分について、やはり抜本的に考え直してみる必要がこの地方交付税についてもあるんじゃないか。ですから、ある姿のものを固定的に見るというやり方だけにしがみついているのではなくて、経済情勢が絶えず動いていくわけですから、それに対応するような柔軟性のある施策について、自治省とすれば主体性を持った施策について、いろいろと考えていく必要があろうかと思うのですが、重ねてお尋ねしますけれども、間接税方式のほうに移行するような場合には、どういうふうにして地方交付税制度というものを手直しをするか、順応させるか、そういうことについて研究したことがありますか。
  93. 鎌田要人

    鎌田政府委員 非常に大事な点の御指摘だと思います。実は、過去におきまして、国債発行下の地方財源確保ということから、ちょうどいまの間接税の問題以前の問題でございますけれども国税三税が伸びない、しかし、国は国債をもって財政規模をふくらましていく、それに対応する地方財源の拡充というものができないではないかという反省がございまして、昭和四十一年でございましたか、地方制度調査会でもこの問題をお取り上げになりまして、現在の国税三税の一定率ということではなくて、国税全体の一定率というものを考えるべきではないかという御答申をいただいたことがございます。最近におきましては、いま御指摘になりました付加価値税というものの導入が検討されつつあるようでございます。そういうことで、現在では、国税三税が、収入の量におきましても、あるいはまた、その伸長性におきましても、最も有力な税でございますので、この三税にリンクしておるわけでございますけれども、将来、国のそういった意味での税目の構成、税制の構成というものが変わってまいります段階におきましては、当然、この点につきましても、国税三税にかえてどのような税目を対象にするか、国税全体を対象にするか、あるいはそういう有力な間接税も含めたものとしてリンクする形にするか、これは常時検討しなければならない問題であるというふうに私ども考えておるところでございます。
  94. 青柳盛雄

    青柳委員 私、誤解を受けないために一言触れておきますけれども、付加価値税方式が望ましいなどということは一つも考えておるわけじゃありませんが、ただ、財界などの強い要求などがありまして、自民党の政府のもとでは案外とこれを実現する方向へ推進されるんじゃないかという危惧の念もあるものですから、そういうものになってしまってから、地方自治体のほうが大騒ぎを始めた、自治省もあわてたというようなことではあまり感心しないと思ってお尋ねしたわけです。  次に、給与の改定に基づく不足を地方交付税のほうで手直しするということでございますが、交付を受けている団体分は、不足分として約七百億円くらいあると言われているようであります。しかるに、五百五十億だけ地方交付税のほうで考えようということになりますと、差額百五十億円というものはどこからこれをまかなおうという目算でおられるのか、その説明をいただきたいと思うのです。
  95. 鎌田要人

    鎌田政府委員 百五十億円につきましては、これは節約等で、地方団体が自己努力で生み出していただくということを考えておるわけでございます。これは、御案内のとおり、国におきましても、国の公務員の給与改定財源を捻出いたしますのに、既措置財源額のほかに、やはり節減をもって、自己努力で生み出す、その足らざる分を今度の補正予算措置をしておる、こういう経過もございまして、これは、地方団体におかれましても、どうしても節減等で百五十億というものを生み出していただきたい。  そこで、その場合に、どういうところから生み出すのかということになるわけでございますが、これにつきましては、旅費とか物件費とかといったいわば内々の経費と申しますか、そういうもので節減をさせていただく。もちろん、地方団体が行なっておりまする行政の中で、社会福祉系統でございますとか、あるいは住民の生活基盤のための建設投資でございますとか、そういったところに節減の対象ということを求めておるわけではございません。
  96. 青柳盛雄

    青柳委員 この百五十億というのが、比率でいうと、国家公務員の給与の不足を補う場合の、国の財政のほうの倹約率と見合うものかどうか、それは私よくわかりませんが、いずれにしましても、いまの局長の御答弁のように、必要なものを倹約するわけにいかないから、冗費になるような分を倹約する、こういう趣旨はきわめて合理的のようでありますけれども、具体的にどういうところにしわ寄せしていくんだ。旅費のようなものだとか、交際費だとか、時局柄でなくたって、そういうものは本来不合理なんだから、ほんとうに廃止すべきものである。そういうものを倹約するのならばよろしいのですけれども、そうじゃなくて、社会福祉や教育費などに必要なものがやはり犠牲になるのじゃないか、こういうおそれを感ずるわけです。  そこで、抽象的にいま御答弁がありましたけれども、行政指導として、こういったようなものは倹約してもらいたいというような指示を自治省としてはやっているのかどうか。現実には、最近、電気を節約するということでむやみと暗くしてしまうとか、あるいは、寒い冬になるのにストーブを倹約しろと言ってみたり、いわゆるけちけち運動というのが、結局地方公共団体の従業員の労働状況を悪くする、あるいは地方住民に対するサービスを低下させるというようなところにくるおそれがあるわけなんで、指導上誤りがないようになされているかどうか、それをお尋ねいたしたいと思います。
  97. 鎌田要人

    鎌田政府委員 御指摘になりますような、一般の住民の行政サービスというものの低下になるようでは困りますので、いわゆる節減の対象の中からは、いま御指摘になりましたような住民サービスにかかわるものを抜きまして、たとえば、いささか計数にわたって恐縮でございますが、物件費というのがございますが、これはいわば県庁の一種の内部的な生活費みたいなものでございますが、そういうところについては、これはやはり、おしかりを受けるかもしれませんが、ある程度けちけちムードであってもいいと私は思う。紙一枚、あるいは鉛筆一本に至るまで節減というものを徹底していただくことは、これはやはり当然であろうというふうに私は考えるわけでございまして、そういうことで対象にいたしておりますのが、たとえば物件費でございますと、現在、県全体で千三十三億ほどあるわけでございますが、それの大体八%程度のものを節減していただく、こういうことを考えておるわけでございます。また、市町村におきましても千八百億余りの物件費というものがあるわけでございますが、それについて、やはりこれに準じた節減を行なっていただく、こういうことを考えております。あるいは維持補修費等につきましても、やはり県、市町村通じまして大体八百億くらいあるわけでございますが、その中から大体三ないし五%程度のものを節減していただく。こういうことで、住民サービスに影響を及ぼさない範囲で、この程度の節減というものは当然自己努力で生み出していただきたいということでございます。
  98. 青柳盛雄

    青柳委員 地方公務員に対する給与というのは義務的な経費なんで、これをまかなうのに、借り入れ金、前借りでもってやるというのはどうもおかしいような感じがするのです。だから、こういうものこそ国のほうで、一般会計から補てんするということは、決して地方交付税制度から逸脱するものではないのじゃないかというふうにも考えられるのですが、この点については、私ども懸念するのは、どうも、地方公共団体の公務員のベースアップになるものだから、地方団体交付される地方交付税財源が赤字になって、そして借金がかさんでしまうのだといって、あたかも、労働者の賃金要求が何か地方自治体の行政上の財源を枯渇させている原因だというような、住民と従業員との間の離間策のようなものに悪用されるというおそれを感ずるのですけれども、こういう義務的なものについては、大体、地方公共団体行政事務というものの相当数が、三割自治といわれるように、国の仕事を負わされているわけですから、こういう点でベースアップのために不足が出てきたという場合に、国の一般財政から補てんするということは決して不合理なことではないと思うのですが、この点はいかがでしょうか。
  99. 鎌田要人

    鎌田政府委員 これはたいへん議論があるところだろうと思うわけでございますが、かつて、人事院勧告の時期というものを少し考えてもらったらどうだろうか——結局、年度が始まりまして、大騒ぎして予算が組まれた。それで動き出した。八月になると、人事院勧告で、いま議論になっておりますように、一千億とか、あるいは七百億とかいうオーダーの財源所要額というものが必要になってくる。こういうことで、人事院勧告を予算編成に間に合うようにしてもらったらどうであろうかということで、政府部内でも、そのための検討の機会が持たれたことがかなりございます。それを私が申し上げますのは、もしそういう形で、給与改定予算編成に間に合う時点で行なわれておりましたならば、当然それは地方団体財源措置をせられているべき性質のものだというふうに考えるわけです。ところが、現に人事院勧告が予算編成に間に合う時点で行なわれないものですから、毎年、国の予算でもそうでございますが、また、私ども地方財政計画におきましても、大体五月から五%の給与改定になるものとして、あらかじめ財源留保の措置をしておるわけでございます。けれども、これは結局そのときどきの人事院勧告の幅によりまして財源不足額が出てくる。そうしますと、そのものについて国がまるまる財源措置をするということになりますと、根っこのほうは地方団体財源措置でやっておって、給与改定によって既措置額で足りないところだけを国が財源手当てをする、こういう奇妙な形になるわけでございます。  したがいまして、この点につきましては、ここ数年来ずっと、この給与改定の時点におきましては、交付税特別会計借り入れをする。ところが、御案内のとおり、十一期連続の黒字、五年間、この財政が、交付税自然増収がございましたものですから、その中で、結果的には、借りないでも、自まかないができた。今度は、この景気落ち込みによりましてそれができない。したがいまして、その分はやはり後年度の地方財源措置を充実することによりまして、その中から払っていくというたてまえはやはりくずすべきではないのじゃないだろうかというふうに私は考えます。
  100. 青柳盛雄

    青柳委員 人事院勧告の時期があまり芳しくないというところへ話がいきそうなんですけれども、大体、国の予算を立てるときに、国家公務員の給与についても五%ぐらいしか見込まないで、しかも、総合予算だ、補正予算はもう組まなくて、これ一本でしまいまで押し通せるのだといったような、言ってみると、実情に合わない虚構の前提に立っているから、いつも人事院勧告との間にギャップができるわけなんです。だから、これは最初に五%とかいうような低い分で給与改定分を見ないで、もう既定の事実なんですから、米価の場合なんかも相当問題がありますけれども、とにかく、毎年毎年インフレーションあるいは物価高等いろいろのことから、一般民間においても、いわゆる春闘というものが行なわれて、十何%かのベースアップはもう必至な状態が続いてきているわけですから、そういうときに、公務員についてだけは五%台でもってとめておくというようなところから、補正予算の問題が必ず起こってくる。だから、財源が非常に豊富のときにはそれでもいいのかもしれませんけれども、いまお話があったように、それでまかなってきたのかもしれませんけれども、こういう財源予想外に減ってきたというような場合には、そういうことではもう間に合わなくなるわけなんで、国のほうの予算の立て方が悪かった。また、地方交付税のほうもそれに右へならえのような形で財政計画が立てられる。そこに問題があるわけですから、これはやはり国の責任で補てんする場合もあり得るのだ。余裕があるときには別問題ですけれども、それがよろしいかと思います。しかし、これは一つの見解でございますから、答弁は繰り返しになりますから、求めません。  そこで、超過負担の問題が依然重大な関心を呼んでいるわけでございますけれども公共事業を拡大するという。それは景気落ち込みを何とか高揚させる、浮揚させるための国の施策として行なわれる。相当大幅に行なわれる。そうすると、必然的に地方の事業もこれに伴って行なわなければならないから、負担が出てくる。本来、国の負担地方負担は法律できまって、一定の率があって、それの当否は、当然、国会で論議した結果きまるわけでございますけれども、それにしても、現実はその負担とは違った超過があるという、ここに問題があるのですけれども、これについては、自治省とすれば、もう古くして新しい問題といいますか、常に頭を悩ましている問題じゃないかと私は思うのです。何よりも地方自治体がそれで四苦八苦をしているのはだれでも否定できないわけでございますし、私ども地方へ行った場合に、議員も含めて、地方の行政を担当している人たちが、口をそろえて、この超過負担の問題は何とかならぬものかと言っているわけですが、これについてはどの程度の御研究がなされていますか。今度の景気浮揚ということの、国の施策にしわ寄せされてくる超過負担による地方自治体の財源不足、これをどう見ておられますか。
  101. 鎌田要人

    鎌田政府委員 御指摘のとおり、超過負担の問題というのは、これは私どももかねてから非常に配慮を加えてきておる問題の一つでございますが、一口に超過負担と申し上げましても、これは最も典型的なといいましょうか、代表的なと申しましょうか、国の補助単価というものが現実離れをしておるということに基づくものもございましたり、あるいは、補助対象として取り上げておりますところの、その対象の数量なり、あるいは対象そのもの、こういうものがこの実情に合わないといいますか、地方団体は結局それに数量的にも上乗せをし、また質的にも上乗せをする、こういうものが集まりまして、結局超過負担というものを形成をいたしておるわけでございます。これにつきましては、私どもと、それぞれの事業の実施官庁、あるいは大蔵当局と、その議論をするたびにいつも議論になりますのが、ちょっと表現が荒っぽくて恐縮でございますが、いわゆるデラックスさと荒っぽく言っておるわけでございますけれども、結局、地域社会の必要の声、要望が強くて、ある程度いいものをつくりたい——最小限度のものにある程度いいものがくっついたもの、こういういわゆるいいものをつくるために生ずるものと、そうじゃなくて、全く国が意図しておるそれ自身の単価なり、対象なり、数量なりが実際に合わないもの、こういうものの区分けが実は非常に議論の分かれるところでございます。  そこで、昭和四十二、三年度におきまして、超過負担が多いという事業につきまして、たとえば公立文教施設でございますとか、公営住宅でございますとか、そういうものにつきまして、私ども関係各省とで実態調査を行ないました。それに基づきまして、四十三年度から四十六年度までの間に、千二百七十五億のものにつきまして、超過負担の解消をはかってきたわけでございます。ところが、現実には、府県なり市町村から、なお超過負担が多いという絶えざる御指摘がございます。それが、この調査対象として取り上げました公立文教施設、あるいは公営住宅というものについて依然として多いという地方団体からの強い不満、要望、訴えがございます。そこで、私どもといたしましては、さらに引き続きまして、そういうものについての超過負担の実態を調べまして、それに基づいて、引き続いて解消のための措置をはかってまいりたい。現在は、一応四十六年度までのスケジュールに基づきまして、千二百七十五億の解消は私どもはかったつもりでおりますけれども、なお、そういう御不満がありますので、引き続き調査の上、措置をとっていく、こういうことを考えておるところでございます。
  102. 青柳盛雄

    青柳委員 今度の政府のほうの考えている事業の内容を、私どもあまり詳しく知りませんから、それに伴って、さなきだに財源不足が起こって困っている上に、さらに超過負担で困るというような状況のないように配慮してもらわなければなるまいという、一般的抽象的な要請にならざるを得ないわけですが、人件費などの分については、別にデラックスというようなことは考えられませんので、結局、施設を設ける以上、それを運営するための人は必要であり、それが政府のほうで考えている人では間に合わないというようなことになると、人件費も多少超過負担でやらざるを得ないというようなこともあるし、いずれにしても、景気浮揚策というようなことで、超過負担地方自治体におおいかぶさってきて、累積しないような措置を講じてもらうべきだということを申し上げておきます。  それから、この地方税落ち込みに対する措置として、三百三十四億円というものが、これは地方債とは別に、財政調整積み立て金か何かを使うというような趣旨のようでありますけれども、こういうものは各地方団体でどうなっているのか。もうそういうものが存在しないようなところも、事実上そういう制度はあるのかもしれませんけれども、中身はないといったようなものもあるのじゃないかと思うのですが、こういうものを調査してあるのかどうか、そして、そういうところではどうやっていけということを考えておられるのか、それをお尋ねしたい。
  103. 鎌田要人

    鎌田政府委員 私どものほうで、都道府県、市町村の財政調整基金の積み立ての状況を調べているわけでございます。九月二十九日現在におきまして、四十五年度末の現在高というものが、府県の場合で七百二十四億ございます。それから、市町村で六百八十一億ございます。御指摘のとおり、ことしは景気落ち込みが大きいわけでございますし、また、地方選挙のあった年でもございますので、ある程度取りくずしの額もかなり多いようでございます。府県の場合でございますと、九月末までに百億近いものを新たに積み増ししまして、それで、九月末現在で、今度は逆に三百億余りのものを取りくずす、こういう計画があるわけでございます。でありますから、府県で、大ざっぱに申しまして、九月末現在では五百億余りのものがなお積み立てられて残っておる。市町村の場合でございますと、この額が大体六百億くらいのものが九月末では積み立てられておるというふうに私ども推測をいたしておるわけでございます。  そこで、問題は、十月以降に取りくずされるものにつきましては、これは今度の税収の落ち込みに対します措置というものが確定を見たことに伴いまして、その分はとまるであろうということでございました。それを大体大ざっぱににらんでみますと、三百三十四億という数字は十二分に出てくる。また、こういうときこそ、このような形での財政調整基金というものは取りくずされて、初めてこの制度の意義がある。こういうように考えておるわけでございまして、この積み立て金を取りくずすということについては大体円滑にできるのではないだろうかというふうに考えております。
  104. 青柳盛雄

    青柳委員 時間もありませんので終わりのほうにいたしますが、地方税の収入が、いままでは非常に豊富なように国のほうから言われておったのですけれども、今度の状況から見て、相当の不足があらわれているし、来年も不足するという。そこで、税問題というものは非常に深刻なことになってくると思うのですが、住民税を軽くしてもらいたいというのはすべての住民の共通した要求ですから、これを逆に引き上げて税収をはかるなどということは考えられないのですけれども、住民にもピンからキリまであるわけで、ほんとうに税負担をするということに耐えられるだけの収入を得ているという人の数が非常に多いというわけではなくて、むしろ、いまどきでは非常に少ないという。したがって、住民の中でも高額に所得のある人、収入のある人には、それは法人をも含めてですけれども、それ相応に高く、累進的にやってもらう。そして、低いほうの人には、上げるのではなくて、むしろ課税最低限を上げていく。きょうの本会議で問題になった所得税減税でも、あれは景気浮揚策には何ら貢献しないだろうというふうにもいわれているわけですね。高額所得者のほうの減税になっておるので、こういう人たちはむしろ消費生活はもうふんだんにやっておるわけですから、税金をまけてもらっても、それで大いに消費生活を豊富にするというよりも、もっと貯金をしたり、公債を買ったり、株を買ったりしてしまうのではないかといわれているくらいで、そういうような、上に厚く下に薄いというような地方税制のたてまえについて、抜本的に考えることは必要ではないか。  特に、法人事業税の高度累進制というのは非常に重要だと思います。これは周知の事実でございますけれども、資本金が五百万円未満の中小零細企業は全企業の九〇%を占めているけれども、所得金額ではわずかに二一%、ところが、資本金一億円以上の大企業は全企業の〇・七%にすぎないのに、所得金額は五八%だ。こうした内容であるにもかかわらず、三百万円以上は税率が一定しておっても、累進的になっておらぬ。大企業にきわめて有利な仕組みになっており、零細企業には苛斂誅求になっておるというような、こういう地方税制のあり方について、自治省とすれば、やはりメスを入れて、大資本ばかりを太らせるのが地方自治体の任務ではないのだという原点に返ってやってみることは考えていないかどうか。いま私が申し上げたのは法人事業税ですけれども、住民税についても——法人住民税ですね。税割りのことですが、これでも、やはり累進が必要ではないかというふうに考えるわけでございますが、この点は何か検討されたことがあるのか。それとも、検討するお気持ちがあるのかどうかということですね。これをお尋ねしたい。
  105. 鎌田要人

    鎌田政府委員 ただいま私、税を所管いたしておりませんので、ちょっと細密なお答えにならないかと思いますけれども、この住民税、事業税をひっくるめまして、地方税の考え方と申しますか、地方税の理論というものがやはりあろうかと思うわけでございまして、個人住民税の場合におきましては、この地域社会の費用を広く薄く住民が負担をするんだ、そこに住民税の存在の根拠があるんだという考え方に立ちますと、いわゆる所得再分配の機能というよりは、むしろ会費的な性格というものが住民税は強い。そういうものについて高度の累進を求めるということが、いまの地方税の立て方、考え方としてどうであろうかという問題があろうかと思います。  また、事業税につきましても、事業税は人税ではございませんで、物税ということでございまして、その事業そのものを課税の客体にする、事業の活動量というものに応じて課税をする、こういう立て方をとっておるわけでございますので、あまりにも高い累進課税というものとはちょっと理論的になじみにくいところがあるのではないだろうかという感じがいたします。  ただ、いま御指摘になられましたことに関連をして申し上げますと、住民税の減税、特に、所得税と住民税との課税最低限というものが差がかなりある。したがって、それを縮めていくべきだ、こういう非常に強い意見、要望が一般にあるということは事実でございます。住民税独自の立場に立っての減税をやりたいという気持ち、これは大臣もこの席から再三申し上げておるところでございますが、実は、結局、先立つものが来年ないということでございまして、ある程度一般財源を片方において確保するという措置が伴いませんと、この住民税の減税ということをやりたくてもやれないというのが実情ではないだろうか。それから、市町村に、特に都市税源といたしまして、法人に対する負担というものがもう少しあっていいのじゃないだろうか。府県あるいは国というものの税制の中に占めます法人課税のウエートに比べまして、市町村税制における法人課税のウエートが低い。そこを、どのような形で都市税源の充実というものと結びつけながら法人負担を求めていくか。これはやはり地方税制としての当面の大きな課題であろうというふうに考える次第でございます。
  106. 青柳盛雄

    青柳委員 これは大きな問題でございますから、さらにお互いに検討を深めないといけないと思います。ただ、地方公共団体の事業の重要な部分が、わかりやすいことばでいうと、国の政治の下請になっておる。ところが、国の政治は、産業優先、高度経済成長で、そのためには大企業に過保護を与える。税金の面でも、あるいはその他の投資の面でも、あらゆる面で保護を与えていく。当然、地方自治体もそのしわ寄せを受けて、地方に存在する大企業にサービスこれつとめるというようなことがあるのですから、こういう大企業にばかり保護を与えているような、結果として地方住民にしわ寄せがいくというような税制は許されないのではないか、これは不合理じゃないかということは、全くしろうとにもわかる議論だと私は思うのです。だから、あまりむずかしい議論でなしに、これは今後も大いに検討していかなければならぬし、実施していかなければならぬと思います。  そこで、もう一つお尋ねしたいのですが、国のほうでは、ドルショックで、浮揚しようとしている景気が逆に落ち込みがまだ続いていく。だから、今度いろいろの事業を行なってこれを引き上げるように努力する。もちろん、円の調整の問題や課徴金の問題、そういう対外的な折衝の問題もありまして、国内的な施策としてはいろいろ考えておるようでありますが、地方自治体で、ドルショックで直接いろいろと配慮しなければならぬこととしては、たとえば、アメリカに輸出する中小企業の商品がぱたっととまってしまった。繊維の場合でもそうですし、電気製品その他、中小零細企業、下請をやっている人も含めてですけれども、そういう人たちに対するしわ寄せが案外に大きいわけですね。この人たちにしてみると、地方自治体がまずたよりになるというので、救済のための融資とか、あるいは援助金とかいうものを求めているわけですが、遺憾ながら、地方自治体ももう財源が枯渇しておる。こういうものに対して、国のほうでは、今度の措置においてどのような配慮がなされているのか。この法案の実施によっても、地方自治体は何かその点に手当てができるのだとか、あるいは、この法案自体には何もないのだけれども地方債の発行によってそれをやろうと思えばできるのだとか、そういうような点があれば具体的に指摘していただきたいと思います。
  107. 鎌田要人

    鎌田政府委員 ドルショックに伴います輸出関係、特に中小企業の方々に対する救済ということにつきましては、これは、事柄の性質上、基本的には国の責任において措置されるべきものでありまして、地方団体としては、いわば補完的な措置ということで、それ以上に出るということは、私ども、今回の財政措置でも考えておらないところでございます。  御案内のとおり、国のほうにおきましては、九月二十三日の閣議決定をもちまして、緊急中小企業対策ということで、例の政府関係中小企業金融三機関に対しまして、千五百億円の融資規模の拡大をはかりますと同時に、その融資条件を緩和する、あるいは融資限度の別ワクをつくる、こういったようなことやら、商工組合中央金庫等に対する出資をふやす、あるいは財政投融資を追加する、あるいは税制上繰り延べ、繰り戻しの措置について特例を考える、あるいは為替取引の安定措置を考える、こういったようなことで一連措置をとっておられるわけでございます。私どもは、地方団体がこの点について積極的に前に出ていくということは、それこそ、国と地方との事務の配分という問題、あるいは事柄の性質上、適当ではないというふうに考えておるわけでございまして、あくまでもそれを国の責任と措置に基づいて行なわるべきものだというふうに考えておりまして、今度の財政措置の中では格別そういうものを織り込んではおらないところでございます。
  108. 青柳盛雄

    青柳委員 もう時間がありませんから論争はやめますけれども、それは国の責任だから、地方自治体として何もできないのだなどといって済ませられないところにたいへんな悩みがあるわけなんで、本来ならば、自主的な単独事業といいますか、国からのきめられてきたことをやる事業とは別に、こういうところにこそ、地方債とかその他の財源を求めてやる必要があるのじゃないかと思います。いまのお話ですと、それを一緒にやることは何か間違いであるかのごとき、よけいな出しゃばりであるかのごとき、——私、聞き違っておったら、失礼だから取り消しますけれども、あるべき姿じゃないみたいなそういうお話だと、とうてい地方住民は納得しないと思いますので、その点だけちょっと確かめておきたいのですが、どうなんでしょうか。
  109. 鎌田要人

    鎌田政府委員 私は筋道を申し上げたわけでございます。ただ、現実の問題といたしましては、足元に火がついておる、たよれるところは身近な市町村であり、県だということで、県なり市町村で独自の融資——これはもっぱら金融上の措置が多いわけでございまして、その県なり市町村の金を預託をされまして、その預託をもとにして中小企業に緊急融資をやられる。こういうことをおやりになっておる。そういう団体があることは承知しております。そういう団体につきましては、その措置の実情等も十分拝見いたしまして、特交等で、十分なことはできないと私は思いますけれども、及ぶ限りの手当てはしたいという気持ちは持っておるわけでございますが、何でもかんでも地方団体だということで持ってこられると、国と地方との事務の配分という面から見ていかがなものであろうかということを強調したかったわけであります。
  110. 青柳盛雄

    青柳委員 終わります。
  111. 大野市郎

    大野委員長 次回は、明十二日金曜日、午前十時から理事会、午前十時三十分から委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後三時五十九分散会