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1971-12-21 第67回国会 衆議院 大蔵委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年十二月二十一日(火曜日)     午前十時四十四分開議  出席委員    委員長 齋藤 邦吉君    理事 木野 晴夫君 理事 丹羽 久章君    理事 藤井 勝志君 理事 山下 元利君    理事 広瀬 秀吉君 理事 松尾 正吉君    理事 竹本 孫一君       上村千一郎君    奧田 敬和君       木村武千代君    倉成  正君       佐伯 宗義君    坂元 親男君       地崎宇三郎君    中川 一郎君       中島源太郎君    松本 十郎君       三池  信君    村上信二郎君       森  美秀君    吉田 重延君       吉田  実君    阿部 助哉君       佐藤 観樹君    藤田 高敏君       堀  昌雄君    貝沼 次郎君       寒川 喜一君    米原  昶君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)      山中 貞則君  出席政府委員         沖繩北方対策         庁総務部長   岡田 純夫君  委員外出席者         大蔵大臣官房審         議官      松川 道哉君         大蔵委員会調査         室長      末松 経正君     ――――――――――――― 委員の異動 十二月二十一日  辞任         補欠選任   津川 武一君     米原  昶君 同日  辞任         補欠選任   米原  昶君     津川 武一君     ――――――――――――― 十二月十七日  付加価値税創設反対に関する請願麻生良方君  紹介)(第三五七四号)  個人企業税制改正に関する請願金丸信君紹  介)(第三七〇八号)  同(高橋英吉紹介)(第三七〇九号) 同月十八日  個人企業税制改正に関する請願小此木彦三  郎君紹介)(第三八三六号)  同(木村武雄紹介)(第三八三七号)  同外一件(木村武千代紹介)(第三八三八号)  同(塩谷一夫紹介)(第三八三九号)  同(坪川信三紹介)(第三八四〇号)  同(増田甲子七君紹介)(第三八四一号)  同(赤澤正道紹介)(第三九三四号)  同(亀山孝一紹介)(第三九三五号)  同(小山長規紹介)(第三九三六号)  同(河野洋平紹介)(第三九三七号)  同(塩谷一夫紹介)(第三九三八号)  同(武藤嘉文紹介)(第三九三九号)  同外一件(森喜朗紹介)(第三九四〇号)  同(足立篤郎紹介)(第四〇三八号)  同(赤城宗徳紹介)(第四〇三九号)  同(大久保武雄紹介)(第四〇四〇号)  同(大竹太郎紹介)(第四〇四一号)  同(鍛冶良作紹介)(第四〇四二号)  同外一件(鹿野彦吉君紹介)(第四〇四三号)  同(菅波茂紹介)(第四〇四四号)  同(西岡武夫紹介)(第四〇四五号)  同(向山一人紹介)(第四一一四号)  同外一件(綿貫民輔紹介)(第四一一五号)  貸金業金利調整等に関する請願河野密君紹  介)(第四一〇二号)  恩給年金非課税に関する請願広瀬秀吉君  紹介)(第四一一三号) 同月二十日  個人企業税制改正に関する請願足立篤郎君  紹介)(第四二〇四号)  同(有馬元治紹介)(第四二〇五号)  同(金丸信紹介)(第四二〇六号)  同(高見三郎紹介)(第四二〇七号)  同(小峯柳多君紹介)(第四二〇八号)  同(河野洋平紹介)(第四二〇九号)  同(始関伊平紹介)(第四二一〇号)  同(塩崎潤紹介)(第四二一一号)  同(鈴木一紹介)(第四二一二号)  同(阿部未喜男君紹介)(第四二八〇号)  同(赤松勇紹介)(第四二八一号)  同(井上普方紹介)(第四二八二号)  同(石橋政嗣君紹介)(第四二八三号)  同外二件(宇田國榮紹介)(第四二八四号)  同(卜部政巳紹介)(第四二八五号)  同(大出俊紹介)(第四二八六号)  同(大石八治君紹介)(第四二八七号)  同外一件(大原亨紹介)(第四二八八号)  同(奧田敬和紹介)(第四二八九号)  同(勝澤芳雄紹介)(第四二九〇号)  同(川崎寛治紹介)(第四二九一号)  同(川俣健二郎紹介)(第四二九二号)  同(川村継義紹介)(第四二九三号)  同(木原実紹介)(第四二九四号)  同(木部佳昭紹介)(第四二九五号)  同(久保三郎紹介)(第四二九六号)  同(黒田寿男紹介)(第四二九七号)  同(小林信一紹介)(第四二九八号)  同外一件(佐藤孝行紹介)(第四二九九号)  同(佐野憲治紹介)(第四三〇〇号)  同(田中恒利紹介)(第四三〇一号)  同(田邊誠紹介)(第四三〇二号)  同(武部文紹介)(第四三〇三号)  同(地崎宇三郎紹介)(第四三〇四号)  同(堂森芳夫紹介)(第四三〇五号)  同(中井徳次郎紹介)(第四三〇六号)  同(楢崎弥之助紹介)(第四三〇七号)  同(成田知巳紹介)(第四三〇八号)  同(西宮弘紹介)(第四三〇九号)  同(畑和紹介)(第四三一〇号)  同(華山親義紹介)(第四三一一号)  同(広瀬秀吉紹介)(第四三一二号)  同(古川喜一紹介)(第四三一三号)  同(堀昌雄紹介)(第四三一四号)  同(松浦利尚君紹介)(第四三一五号)  同(松平忠久紹介)(第四三一六号)  同(八百板正紹介)(第四三一七号)  同(山中吾郎紹介)(第四三一八号)  同(山本幸一紹介)(第四三一九号)  同(山本政弘紹介)(第四三二〇号)  同(横路孝弘紹介)(第四三二一号)  同(米田東吾紹介)(第四三二二号)  同(金子一平紹介)(第四三九四号)  同(河村勝紹介)(第四三九五号)  同(木部佳昭紹介)(第四三九六号)  同(始関伊平紹介)(第四三九七号)  同(砂原格紹介)(第四三九八号)  同(中川一郎紹介)(第四三九九号)  同(羽田野忠文紹介)(第四四〇〇号)  同(宮澤喜一紹介)(第四四〇一号)  同(森喜朗紹介)(第四四〇二号)  同(山中吾郎紹介)(第四四〇三号)  同(豊永光紹介)(第四四〇四号)  同(天野公義紹介)(第四五四三号)  同外一件(小澤太郎紹介)(第四五四四号)  同(仮谷忠男紹介)(第四五四五号)  同(神田博紹介)(第四五四六号)  同(日野吉夫紹介)(第四五四七号)  恩給年金非課税に関する請願外一件(広瀬  秀吉紹介)(第四二一三号)  同(阿部哉君紹介)(第四三九二号)  同(貝沼次郎紹介)(第四三九三号)  同(松尾正吉紹介)(第四五四二号)  食用塩としての自然塩確保に関する請願外三件  (塩崎潤紹介)(第四二七五号)  同外一件(菅太郎紹介)(第四四〇五号)  自動車損害賠償責任保険に関する請願早川崇  君紹介)(第四二七九号)  付加価値税創設反対に関する請願田中昭二君  紹介)(第四四〇六号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 十二月二十日  付加価値税創設反対に関する陳情書  (第二七九号)  税制改正に関する陳情書外一件  (第二八〇号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  沖繩振興開発金融公庫法案  (内閣提出第四号)      ――――◇―――――
  2. 齋藤邦吉

    齋藤委員長 これより会議を開きます。  沖繩振興開発金融公庫法案を議題とし、質疑を続行いたします。阿部哉君
  3. 阿部助哉

    阿部(助)委員 私、この沖繩振興開発公庫審議にあたって、まあいままでも何がしか審議があったと思いますけれども、もう一度確認をしておきたいことがあるわけであります。  この法律の立法の趣旨を見ましても、経済発展社会開発促進等云々というふうに抽象的に出ておりますが、私は、まずやはり沖繩の今日までの歴史的な立場、そして第二に経済社会発展というが、その一番基本的な考えは何なのかという問題をひとつ担当大臣に確認しておきたいと思うのであります。と申しますのは、沖繩は、御承知のように、戦前、戦中、戦後と、これは本土と違う非常に苦しい立場に置かれてまいりました。     〔委員長退席山下(元)委員長代理着席〕 そういうことを考えると、政府自体もそのことはまずお認めになるだろう、こう思うのでありますが、いかがですか。
  4. 山中貞則

    山中国務大臣 まさにそのとおりでありまして、本土人たちがかり考えても、沖繩人たちからはまだ自分たちのことをわかっていない。絶えず本土の心、沖繩の心といわれておりますように、われわれの理解し得ない分野の心の問題まで、目に見えない分野まで、長い長い歴史をたどってこられたわけであります。しか敗戦国のやむを得ざる措置であったとはいえ、本土が独立した昭和二十七年四月二十八日以降も、なおかつアメリカ側戦勝国の態度によって異民族支配のもとにゆだねられざるを得なかった。そのことに対して私たちは抵抗できなかったとはいえ、心からその沖繩に対する償いをしなければならぬと思うのです。その間において、これから先の沖繩というものを、私たちは償いの上に立って、新しい豊かな、そして平和な、そしてみんなが過疎と貧困の島にならないような条件を設定するためのあらゆる作業をしなければなりません。  したがって、公庫法目的は、各種金融機関をこれに取り入れますためにやや焦点がぼけた羅列のしかたになっております。これは法文上やむを得ないていさいかと思いますが、これが出てまいりましたもとは、沖繩振興開発法目的である「基礎条件の改善並びに地理的及び自然的特性に即した沖繩振興開発を図り、もって住民の生活及び職業の安定並びに福祉向上に資することを目的とする。」このことが本来の沖繩振興開発目的であり、したがって、この金融公庫法はこの目的を受けて、そのために行なわれる事業、あるいはまたそのために沖繩県民の各界、各層の方々が必要とされる資金、そういうものの手当てを手厚くいたす。しかも、本土のほうが有利であれば本土の有利の条件をとり、あるいはまた沖繩の実際上の執行がどの程度行なわれたかの問題は別にして、条件で有利なものがあれば沖繩の有利なものをとり、また基本的な施策等についても沖繩について別途振興開発法の付表をもって十分の十から十分の九、四分の三に至るきわめて高い補助をいたしながら、その開発発展をはかっていこうということでございますので、これを前提としてとらえていただいて、この振興開発金融公庫の生まれたゆえんを御承知いただきたいと存じます。
  5. 阿部助哉

    阿部(助)委員 いま大臣がおっしゃったように、私も、われわれが幾ら想像しようとも、いままでの苦しみというものはわれわれにはなかなかわからぬ、それほど大きな苦しみを味わってきたと思うのでありまして、それで、大臣のたいへんな熱意を伺ったわけでありますが、戦争中そして今日までアメリカ占領下沖繩県民は大体どれくらいの損害被害を受けたのかという問題は、これは金だけでは済まない問題だけれども、金の面で概算をされておると思うのですが、まずその点はどれくらいなんです。
  6. 山中貞則

    山中国務大臣 これは何をもって表現したらいいかということになります。ところで、沖繩県戦前県民所得その他の指標、それから見ると最下位でありました。そして本土の今日行き詰まりを来たしたような急速な経済成長と全く切り離された沖繩でありましたけれども、幸いにして人口流出というようなものが、結果的には施政権の壁というようなものがあったかもしれませんが、本土過疎地域対策緊急措置法をつくらなければならないような環境にありながら、しかしながら琉球政府という形をとっておりましたために、人口も、この一、二年働き手の流出が目立ちますが、何とか増加しつつ、県民所得ともいうべき沖繩国民所得というものは比較的順調な成長率をたどっておるわけであります。したがって、県民所得も、私の県でたいへん残念なんですが、鹿児島県よりも一人当たりの県民所得として見れば高いのではないかというところくらいまできておるわけであります。このきておる大数を分析しなければなりませんが、好ましい形態であるかどうかという問題は別にして、三次産業、ことに基地関連収入というものがきわめて高いウエートを持っておる。したがって、この経済成長の裏には、沖繩における広大な米軍軍需並びに基地の使用されたことの裏目としての収入等関連産業関連企業というものを結果的に起こしていかざるを得なかった。そのために必死になって生活したためにそのような奇形的な経済形態というものが想像できない離島において行なわれておるということであります。しかしながら、その前提として沖繩の国土というものを失った軍用基地デメリットというものは、その計算からは実は出てこないわけであります。もし基地なかりせば、はたして今日の国民所得としての伸びが沖繩にもたらされたかという疑問、もし基地が何にもなくて、アメリカが占領しているという、これはまた考えられないわけですけれども、その場合だったら、沖繩経済はどういう成長をたどっていたであろうかといういろんな問題を前提考えてみるわけでありますが、いずれにしてもいびつな形ながらも沖繩沖繩なりの足取りをもって進んできている。それが今日、対本土貿易面等について、あらゆる制度上の障害本土並みになる。これは沖繩人たちにとっては既存企業等について保護措置がなくなるということにもなります。あるいはまた法律行政制度改正によって、営業そのものができなくなることにも立ち至るでありましょうし、あるいは基地の撤収、アメリカのドルの節約等によって、好ましいことではありませんが、結果的には失業、転業等を余儀なくされる人たちも出てくるでありましょう。したがって、私たちただあたたかく抱きかかえるということばだけでなくて、それらの人たちにやはり本土政府手当てをしていかなければならぬということを考えて、この金融公庫法もそういうことを念頭に置いておるわけであります。
  7. 阿部助哉

    阿部(助)委員 そういうことばだけでなしに、政府はいろいろやろうとしておる、こうおっしゃるのでありますが、そのためには、特に戦争中のあの大きな被害というものに対して、やはりこれは金ではかれない、あるいは精神的な、あるいは文化的な遺産の喪失というものもありますが、そういうものをからめて、ある程度それの見当をまずつけられて、これがよその国であれば、これは賠償という形で日本は償いをつけなければいかぬでしょう。同じように、これとは多少違いましょうけれども、まずそれを調査してみる必要があるんじゃないか。それは確かにアメリカ軍がおることによる損得というものはありましょう。あるけれども、これはまた逆に精神的な非常に大きな苦痛だったとすると、われわれはどういうあれで償いをつけるかという点で、私も政府自体がある程度それの見当をつけられておるだろう、こう思ったのでありますが、どうもそれがないのであります。それでその点は、私は幾らいま政府が一生懸命やろうとしても、いまの法律のワクの中ではなかなか沖繩人たちの満足ということにはならぬのじゃないかと思います。  そこでまずお伺いをいたしますけれども、沖繩振興開発特別措置法の第一条にも、沖繩は特殊だということばを使っております。特殊だということばを使っておるのですが、大臣はこの特殊だという点の最たるものはどういう点だとお考えになっておりますか。
  8. 山中貞則

    山中国務大臣 先ほど私、うらはらと申しましたのは、まさにこの「沖繩特殊事情にかんがみ、」ということも大きな柱でありまして、そのことが全体を通じて流れておるわけでありますが、このことは、沖繩本土施政権の外に置かれていて、税制、財政、行政、あらゆる面において本土と違った形態をとっており、しかもその中で沖繩沖繩なりの必死の経済成長なり生活向上を目ざして努力をしてきた。しかしそれは本土の各県には見られない特殊な事情が一ぱいございます。これは積極的な面でも亜熱帯地域特性を生かそうと努力しておりますし、また消極的な面では、本土では考えられない、先ほど言われましたようなアメリカ軍がいたための人身障害等をはじめとする各種入り会い権漁業制限損失に至るまであらゆるデメリットを受けている、こういうようなことの特殊事情がございますから、本土考え方で精一ぱいやってみてもカバーできない分野がある、その分野について特別に配慮をしようというものがこの法律でございます。したがって、「特殊事情」とは、振興開発法でいけばフリーゾーンを設ける構想とか、そこに自由貿易地域投資損失準備金制度を新たにつくるとか、また沖繩工業開発地区指定をして、そこに進出する企業に対する海外投資損失準備金の適用をやるとか、国内についてはまさに租税特別措置法からいえば少しおかしな、海外じゃないじゃないかという議論もありますが、そういうような手法を引っぱってきたり、また既存企業に対する特別な償却やその他の税制のめんどうを見たりというようなことをいたしますから、開発についても特殊事情を踏まえてしなければならぬ、そしてまたこの振興開発金融公庫についても、その特殊事情を十分に受けた展開がなされなければならないという考え方でございます。
  9. 阿部助哉

    阿部(助)委員 いま長官いろいろおっしゃるけれども、特殊事情だからこうやるのだというのはわかるのですが、歴史的に人権自治が踏みにじられてきたということが一番根底にあるのじゃないだろうか。日本のあの戦争帝国主義軍国主義という時代には、将棋の一つのこまのようにされてきた。本土決戦本土決戦というこのかけ声の最後の戦場になった。そして人権自治も踏みにじられた。そして戦後は長官のおっしゃるように、今度はアメリカ軍基地としてやはり人権地方自治権というものが奪われてきたというのが一番私は根底にあるのじゃないかと思う。その上に、経済のいろんな問題あるいはいろんな精神的な問題等ありますが、一番問題は、私は人権地方自治権というものが侵されてきたというのが沖繩特殊性根本じゃないかという感じがするのでございますが、長官はお認めになりますか。
  10. 山中貞則

    山中国務大臣 直接私どもの法案提案趣旨とその問題とは、関連と申しますか、私自身が説明する立場にないということで、そういう具体的な問題についてのたとえば補償問題その他について触れるつもりではなかったものでありますから、あるいは御質問の琴線に触れる答弁をしていなかったきらいがあるかもしれません。しかし、いま阿部委員のおっしゃることは、私は担当大臣として心の底にそのことをまず出発点として考えておりますから、そこから出てきた政策を打ち出しているんだということで、いま言われた見解と私はもう全く意見は同じにいたしております。
  11. 阿部助哉

    阿部(助)委員 私、まあ長官もそういうお考えであるということでありますので、先に進みたいと思いますが、ちょっとこの法案から離れるようでありますけれども、やはりこれが一番根底にわれわれが考えなければならぬ問題だと思うのであります。そういたしますと、沖繩の人々が最も切望しておりますのは、この琉球政府建議書にもありますように、やはり基地のない平和の島としてこれから暮らしたいというのがまた根本だと私は思うのであります。しかし、残念ながら——いまその問題を私ここで深く触れようとは思いません。思いませんけれども、やはり、一番根底には、沖繩県民は、基地のない平和な島としてありたいというのが私は願いだろうと思うのであります。そうすると、いまわれわれがこの問題を考える場合、やはりその線にできるだけ近づいていくという考えでなければならぬと思うのであります。ただ金をよけいつぎ込んだからということだけで事が済むのではなしに、やはり、平和の島でありたいという願いに向かい、そしていままで一番侵されてきた人権地方自治をどういうふうにして拡大していくか。それは本土とはまた別な意味で、重点を置いていく一番政治の根底だというふうに私考えるわけであります。そういう点を大臣認めだったので、私は深くこれに触れようとは思いません。  そこで、この公庫法関連でありますが、沖繩人たち建議書でも触れてあるわけです。九ページの終わりから触れておりますが、「沖繩県民は過去の苦難に充ちた歴史と貴重な体験から復帰にあたっては、まず何よりも県民福祉を最優先考え基本原則に立って、(1)地方自治権確立、」とこういっておるのです。二番目には「反戦平和の理念をつらぬく、(3)基本的人権確立、(4)県民本位経済開発等を骨組とする新生沖繩の像を描いております。」とこういっておるのでありますが、私はこれはまた当然のことだろうとこう考えるわけであります。そうすると、その趣旨に沿って、この開発あるいは公庫法のあり方という問題が考えられたのかどうか。そこに私、何がしかの、そこから疑念を感ずるわけでありますが、政府のほうはそういうお考えに立って、やっぱりこの公庫法考えられたわけでありますか。
  12. 山中貞則

    山中国務大臣 公庫法の中には琉球政府の現在の特別会計等一緒になるものがございますから、当然琉球政府事前に相談をして合意しなければ、この提出した公庫法案というものはでき上がらなかったわけであります。したがって、この四項目の自治権を侵さないこと、あるいは反戦平和の理念というものに対して、私たち公庫法でそむくこともありませんが、ここへ軍需産業を持っていこうとしておるわけでもありませんし、少なくともわれわれの話し合いではそういうことももちろん障害はございませんでしたし、基本的人権というのは、まあ公庫法と直接関係はないようなものでありますけれども、これはやはり日本国憲法下に直ちに入り、アメリカ関係では属人主義属地主義の、すなわち裁判管轄権本土並みに即時なる。私たち本土も独立をいたしまして約一年半ぐらいは裁判管轄権の取り返しにジラード事件が起こるまで苦労したことを思い出しているわけでありますけれども、沖繩においては、復帰と同時にそれは基本的人権を最優先として本土並みになるわけでありますが、しかし、それにしても本土は、おそらく昭和二十八年の末ごろであったと思いますが、それを取り戻した。しかし、沖繩においては施政権のもとでやはり裁判管轄権交通管制管理に至るまで、いまだにアメリカに握られておる。この点は私たちも深く思いを寄せておるところでありますし、返ってまいりまして、日本国憲法のもと基本的人権保護確立されることは論をまたないところであります。対内的にも対外的にもそうでなければなりません。また県民本位経済開発、これはまさにそのとおりでありまして、沖繩県が希望しない開発形態というものを絶対につくってはなりません。したがって、工業開発地域指定します場合でも、沖繩県知事の申請に基づいてやりますし、沖繩県市町村長意見を聞いて知事が持ってくるというようなことを経て初めて審議会の議を経てその地域指定をいたします。そういうようなことで、本土企業を、たとえば沖繩人たちが苦労して、本土一緒の県であったならばとても存立し得ないような企業等まで一応つくっておりますが、それらのものが本土政府金融措置等でドライブをかけてやることによって、沖繩既存企業というものを脅かす、あるいは一発で沖繩の粒々辛苦二十数年築き上げた既存企業が倒れるというようなことは避けるために、それらの競合する企業に対する融資というものは前提としてしないというつもりでいるわけであります。したがって、金融公庫法については琉球政府と十分に事前の合意をいたしまして、このような形にし、なお運営の内容についても異論のないところでございます。
  13. 阿部助哉

    阿部(助)委員 それならば、長官のいままでの発言からいたしまして、公庫法は、この基本的人権自治権確立、こういうものを発展させるための物質的な基礎をつくる、これが一番大きな目的だ、こう思うのでありますし、その点は長官のいままでの御発言もそのとおりだと思うのであります。その点はお互いに意見は一致しておると思うのであります。そうすると、いたずらに沖繩に官公庁や公社、公団等、また審議会等のものをむやみやたらにつくることではなしに、沖繩県民の総意をできるだけ発揮させるという形でいくべきではないかということになると思うのでありますが、どうもこの開発公庫法を見ますとそうではないのではないかという感じがするのですが、どうなんです。
  14. 山中貞則

    山中国務大臣 どの点を言っておられるのかわかりませんが、もし今後の運営についてならば、私どもとしては運営協議会みたいなものをつくりまして、それに沖繩の方々も十分、現に特別会計を一緒に吸収するわけでありますから、その融資のあり方あるいは選択、そういうものについて参加してもらうつもりでございます。
  15. 阿部助哉

    阿部(助)委員 たとえば開発審議会というのをつくりますね。これはこの公庫のあれも沖繩開発に重大な問題だと思うのですが、その審議会自体を見ましても、どうも政府の任命であるとか、審議委員の数等見ましても政府任命あるいは関係官庁の人たちが数がたいへん多くて、たしか二十五人でございましたか、そのうち大半が政府関係人たちで構成されるということになっておる。そうじゃなしに、やはり半数以上は沖繩県民の中から民主的に選ばれる、県民で構成されるということがいままでの大臣の発言からすれば当然のことではないかという感じが私するんですが、いかがですか。
  16. 山中貞則

    山中国務大臣 振興開発法審議会はすでに衆議院で修正がなされまして、学識経験者六名を五名増員し計十一名とする。したがって定員は三十名ということになったわけであります。私ども、当初原案をつくりましたときに二十五名で国会に提出をいたしまして、本来ならば沖繩県は、大体この種の審議会を見ますと知事並びに県会議長だけのように見えます。北海道あるいは奄美等見えますけれども、しか沖繩の場合は、これらの市町村長も離島市町村長会というのが別にあるくらいであります。全部が離島といえないこともありませんが。したがって、市町村長代表も複数二名、そしてまた同じく市町村議会議長会の代表も二名、計六名の構成を実は考えていたわけであります。しかしながら、関係省庁が十三に及ぶ、どうしてもそこは参加してもらわなければやむを得ないという広範な範囲を持っておりますために、やむを得ずバランス上二十五名に対する十三名は関係省庁の代表であるべき構成になるであろうということが問題になりまして、その点は私も意図するところは全くありませんでしたので、率直に院の決議を——私もそう言われてみればあるいは配慮が足りなかったのじゃないかという反省もいたしまして、そのとおり実行するつもりでございますから、学経の十一名をいろいろな各界各層代表すると客観的にだれが見ても思われるそういう方々を中心に選定することによってそれは可能であると考えます。  そこで、金融公庫のほうですが、公庫は全体としてこの審議会の中で基本的な問題は議論をしてもらうわけであります。しかし、先ほど私が運営協議会と申しましたのは、これはこまかな金融の問題についての協議会でございますから、事務的な段階においてはこの運営協議会で処理していくということでございます。全体的には沖繩開発審議会の中でこの金融公庫のあり方等については当然議論をしていただくことになります。
  17. 阿部助哉

    阿部(助)委員 私、学識経験者というものを——日本の国内にも税調をはじめとしていろいろな審議会、調査会というのが数え切れないほどございます。それで、その学識経験者と称せられる人たちがまた数よけい入っております。一体この人たちはどういう立場に立っておるのか、そのスタンダード自体がたいへん問題があるわけであります。一体こんなものがむやみになければいかぬのかどうか。責任の所在がぼけるだけであって、私はたいへん失礼だけれども、この学識経験者なんというものをあまり信用できないのであります。同じような形のものをまた沖繩でつくっていけば、沖繩県民願いとは別なところにこの問題が論議をされていくということになるだけじゃないだろうか。これはお互い考え方の相違ということもありましょうけれども、いまの審議会というものには全く合点がいかないわけであります。おそらく沖繩県民もそうなるのではないか。そうすると大臣が先ほどから申されておりました沖繩自治権、そうして沖繩基本的人権、こういうものを伸ばしていこう、そうしていままでむしろ特殊に押えつけられてきたものを伸ばしていこうという親心、この点はわからぬのではないのでありますが、この親心がおありならば、こういう委員の構成そのものが、内地のやり方であって、沖繩県民のなまなましい創意を発動するものにはならないのじゃないかという感じがするので、もう一ぺんその点お伺いしたいのであります。
  18. 山中貞則

    山中国務大臣 これは衆議院の修正でございますから、その修正のしかたがいい悪いの議論は私はできないと思うのです。ただ、おそらく沖繩を代表される場合に、県知事並びに議長、市町村長並びに市町村議会の長までは、これはだれが見てもそこまでいけると思うのですが、ただあと五名をふやします際に、沖繩代表の各界各層と申しましても、どういう地位にある者というのを書くのか、きわめて選択が困難な壁にそれから先はぶつかるということで、学識経験者を一応五名ということにされたのだろうと私はそんたくしております。そこで学識経験者とは沖繩が客観的に認められる者というような代表を一体だれにするかということは、ちょっといまのところ私として言うわけにまいりませんけれども、沖繩各界、各層の代表ということを考えれば、そこにおのずからその代表する地位そしてその人たちというものが浮かび上がってまいりましょうから、本土に置かれている各種審議会——税制調査会をあげられましたけれども、その他の審議会の学識経験者という意味とは異質なものに結果はなるであろうと考えております。
  19. 阿部助哉

    阿部(助)委員 そうすると、これは大体沖繩人たちを任命するということですか。
  20. 山中貞則

    山中国務大臣 学識経験者十一名を全部沖繩の人にということはちょっと考えておりませんが、しかし、バランス的に沖繩人たちが、自分たち意見審議会の数の構成によって通らないというようなことのないように、そういう嘆きを私のほうに苦情として申し込まないような構成にはしたいつもりであります。
  21. 阿部助哉

    阿部(助)委員 私はその点多少こだわるのでありますけれども、任命は政府がおやりになるとすると、選ばれる人たちそれぞれその立場があり、スタンダードがあるわけであります。どうしても本土から選ばれる。また政府の任命する場合にはえてして政府に都合のいい人たちが選ばれる。だからいまの日本のいろいろな審議会なんか見てごらんなさい。名前をあげませんけれども、同じ学者と称せられる人たちが、この審議会にもこの調査会にもという形で、めちゃめちゃに多く兼務をしておるわけであります。そういう点からいくと、出てくる成案はもう大体想像がつくような、しかも私たち立場からいけば非常に気に食わない結論が初めから出てくるような仕組みになっておるとしかわれわれには思えない。そういうことで、沖繩が今度これから、そういう本土の意図によって動かされておるとすれば、今日まで苦労してきた、そして復帰のためにいろいろと苦労し、運動してきた、ある意味でほんとうになまなましい体験をしてきた、これだけの情熱とこれだけの創意くふうを出すならば、必ずや沖繩県民自分たちの力である程度やっていくだろう。問題は、それに対する経済的な裏づけを国のほうでめんどう見てやりつつ、発展を願う、これが長官が先ほどからおっしゃるようなあたたかい受け入れ体制をつくるということになるのじゃないか。ここからいろいろなものを政府が任命してやり、あるいはいろいろな中央の出店の機関をあそこに設けてやっていくということは、親切なやり方のように見えるかもしれぬけれども、一番大事な創意くふうという、創意というものを殺してしまうのじゃないだろうか。私はあまりこの法案のこまかいところをお伺いしようと思っておりません。ただ問題は、その基本的な態度が、立場が、考え方が狂ってくると、金をつぎ込んだだけ、あるいは手をとり足をとってやるということだけで、沖繩人たちが一体しあわせになるんだろうかどうだろうかという点に私はいささか不安を感ずるわけであります。そういう点でお伺いしておるのでありまして、大臣の意図は私はわかります。大臣の気持ちはわかる。しかし、大臣がいつまでも沖繩を担当しておるわけではないし、こういう制度をつくっていけば、そのうちにまたひん曲がってくる。やはりつくる場合、ここで初めから、たとえば理事長の任命にしましても、私は、理事長は沖繩人たちから選んで、それを総理が任命するならする、沖繩からこの理事長は出すということが大切だと思うのですが、この点はどうですか。
  22. 山中貞則

    山中国務大臣 これは役員構成の人の問題までいまから答弁しろと言われると、はなはだ実は迷惑なんです。そこまではやはり私としても明言はできません。ということは、やはりそれは人の問題だと思うのです。沖繩に、そういう開発金融公庫から始まる一連の本土の政策金融全部を承知して、切り回していけるような人がおられれば、これは何のちゅうちょもなくやっていけるわけでありますけれども、おられた場合はそういうことも可能でありましょうけれども、おられない場合も可能性があるわけでありますから、そういうことはいまここで、沖繩の人を理事長にいたしますということもはっきりは言えません。しかし、これは私を信用するしないの問題に落ちつくと思うのですが、例をとったらちょっとぐあいの悪い役所もおりますけれども、私は先般環境庁というものの原案をつくりました。そのときに、当然一番の公害の発生の原因に関係のあるところは通産省なんですが、通産省が四名の局長の中に入るべきであるという意見は相当有力な、かつまた私としてもおかしな意見でないという、そういう主張はありました。しかし環境庁が出発するときにはそういう姿勢は国民から見てどうだろうということで、実は通産省にがまんをしてもらいました。これは私が過去にやった身近なことの一つでありますが、要するに姿勢という問題が何より大事であるという点は私も阿部君と同じ意見ですから、このことは、この法律をもし通してもらえるならば、私が任命その他を主導権を持ってやるわけでありますから、いま言っておられるようなことは十分念頭に置いてやりますけれども、いまここで、ではだれをやるんだということまでは御答弁いたしかねるということであります。
  23. 阿部助哉

    阿部(助)委員 私は個人名、だれをやれとかなんとかいうことを言っておるわけではないのであります。沖繩で、ある程度沖繩県民が民主的に推薦したものを政府が任命すべきだ、私はこう言っておるのであります。沖繩人たちの中にこれを運営する能力がないなんということは私は考えられない。その点は私は大臣の言い方は少し言い過ぎだろうと思うのであります。私はそれは当然可能であると思うのであります。ただ、十日や二十日ふなれな場合はあるでしょうけれども、みんなで創意を出していくならば、それが不可能だなんということを——私は沖繩県民はお持ちだと確信をいたしております。その選び方は、沖繩の民主的な推薦をした者を選ぶべきであって、本土からこの理事長を送るべきではないという私の考えなんであって、いまだれをせい、かれをせいなんということをあなたからお伺いしょうと私は初めから思っておりません。そういう点でもう一ぺん御答弁願います。
  24. 山中貞則

    山中国務大臣 これは沖繩県の人を理事長にしなければならないという制約をもって出発することが民主的なのかどうか。その点はやはり実際上どうしたかについてきまることであって、私はまだだれも念頭にあるわけではありませんが、この第三条で、異例なことですけれども、これだけの公庫の事務所は那覇市に置くということも法律で明確にいたしました。これは、明確にするだけでも相当な問題が議論として内部ではありました。しかし私は、沖繩のためにのみ運用される資金であり、沖繩の現地においてのみこの実際の業務がほとんど行なわれるものであるから、これは沖繩県民のための公庫だということで那覇市に置かなければならぬ、国家政策金融機関が一ぱい入っておってもそうしなければならないということで、その姿勢は、主たる事務所を那覇市に置くということだけでも、うかがい知っていただけるところだと私は思うのですが、その理事長については沖繩県が民主的に推薦した者というその言い方も、どういう推薦の方法なら民主的なのか、あるいは民主的に選ばれた知事だから、その知事が推薦すれば一番民主的な手段であるのかどうか、そこらにはまた問題が存するところでありますから、この段階では沖繩県の推薦する者を理事長にしろという御意見は、私、承ってはおきます。しかしそのとおりいたしますということはちょっと言いかねます。
  25. 阿部助哉

    阿部(助)委員 どれが民主的なのかということになると、私もこれはいろいろと問題があろうと思うのであります。だけれども、いまわれわれが知恵を出して考えられる範囲において最高の、一番いいという民主的な方法というものは、私はあり得ると思うのであります。ただそれだけなんでありまして、内地から行った人は、それはりっぱな人もあるでしょう。あるだろうけれども、その原則だけは私は立てて置くべきだ、こう思うのでありまして、私はその点は大臣は聞いておく、できるだけそれに沿いたいという気持ちだろうと推察をいたしまして、先に移りますけれども、この問題はあとあとではやはり沖繩のあり方を左右する大きな問題になってくるだろう、こう考えられるわけであります。  まあ建議書でも、修正がなされたというのでありますけれども、その点は強く訴えておるわけであります。特に審議会の構成等には過半数を沖繩人たちでということが述べられておるわけであります。いまの、学識経験者がふえた、こういうことでありますけれども、官庁関係者が十三人も入るなんという振興開発審議会の構成等も開発に関して大きな発言権を持つ。ここで官庁職員が十三名も入るなんということは、全くこれは中央への従属、ことばは少し荒っぽいけれども、従属になるんではないかという点で、一番最初に私が大臣にお伺いをしたのは基本的人権、そして沖繩自治という問題をそのために私はお伺いしたわけであります。そういう点からいって、審議会の構成というのに、またこの公庫の理事長任命というこの人事の関連で、どうも当初の大臣の御答弁と、実際のここへ出てきておるものは食い違っておるのじゃないかという感じがするわけであります。いかがですか。
  26. 山中貞則

    山中国務大臣 これは関係する省を十三どうしても入れておかなければぐあいが悪いということで、その十三の省がたばになって沖繩側の意見を押えつけるほうに回るとか、そんな単純なものではなくて、この十三の省はいずれもはずせない関連のある省である。でありますから入れてありますが、この十三の省はそれぞれ自分たち分野のことを、率直に言って主張するだろうと私は思うのです。ですから十三名がたばになって、本土政府の姿勢として十三名の数の力でもって、沖繩側から見れば地方自治沖繩の意思の尊重というものを何らか押えにかかるような方向での議論をするはずは私はないと思います。しかし、構成を単純に見ますと、いま言ったように官庁関係が十三名ということは、確かに議院の修正がありましたのでそれに従いましたから今日では過半数に達しておりませんが、原案では、問題を指摘されてみれば、なるほどそういうことも考えられるなあということで、私としてはその修正された趣旨はどこにあるか。いま阿部君の言われたようなことが前提になっておりましょうから、その委員の構成については十分にその点を尊重してまいる所存であります。
  27. 阿部助哉

    阿部(助)委員 公庫の資金というのは大体幾らになるわけでありますか。特に本土から資金は幾ら投入をするわけでありますか、とりあえず。
  28. 山中貞則

    山中国務大臣 一応総計六百五億という資金をもって出発をしたいと考えます。
  29. 阿部助哉

    阿部(助)委員 これはアメリカ側のいま持っておるいろいろの接収したのも入れてでございますか。
  30. 山中貞則

    山中国務大臣 そのとおりでございます。現在は大体二百億ぐらいの規模でございますから、約三倍という感じの形でもって出発するということであります。
  31. 阿部助哉

    阿部(助)委員 そうすると、政府アメリカ側から買い取ったのが二百ぐらいですか。その辺ちょっと詳しく説明してくれませんか。
  32. 岡田純夫

    ○岡田(純)政府委員 資産の買い取りにつきましては、一九七一年度で二百四十八億でございます。その資産の買い取りは、そっくりそのまま法律に基づいて資本金になります。それと別に、資金といたしましては六百五億必要でございますので、新たな出資百五十億円と借り入れ金三百九十億円、その他自己資金を要請している、こういう状態でございまして、したがいまして資産はあくまでもそのまま引き継がれて資本になってくる、こういうことでございます。
  33. 阿部助哉

    阿部(助)委員 このアメリカ側の資産というものの大まかな大きなものは何と何ですか。
  34. 岡田純夫

    ○岡田(純)政府委員 ただいまの二百四十八億と申しましたのは、あらゆる資産、琉球開発金融公社それから大衆金融公庫その他全部入れてのものでございまして、その中で琉球開発金融公社から承継いたしましたところの部分は端数を切り上げて百九十六億となっております。
  35. 阿部助哉

    阿部(助)委員 私、この琉球開発公社であるとかいろいろなものの資本金からいろいろなものを聞きたいのでありますけれども、時間がありませんからやめますけれども、こういういろいろないままでの施設を買い取る、まあ日本政府が買い取るわけですね。そうしたらその買い取ったものは今度の公庫のものになる。公庫というのは沖繩のためになるというたてまえではありますが、これはやはり政府の資産になるわけですね。
  36. 山中貞則

    山中国務大臣 これは資産として一応対米折衝によって引き継いだわけですけれども、資金はさらに一般会計から出資するもの等も加えまして全部を沖繩県民のためにのみ、そしてまた沖繩県内の地域のみに使用されるわけでありますので、これは沖繩県民以外にはだれも使用できない公庫でございますから、その意味においては実際上沖繩県民のみに還元され、かつまたそれが国の出資あるいは借り入れ金等によって大幅に運営拡大されるということで、実質においてその答えになっておると思います。
  37. 阿部助哉

    阿部(助)委員 沖繩にはいろいろな銀行があるわけでございますね。琉球銀行だあるいはまた沖繩銀行だあるいは相互銀行等があるわけでありますけれども、この銀行は日本の銀行とちょっと違うようでして、あるいは相互銀行が為替業務をやっておるとかあるいは銀行が信託業務をやっておるとかというような形で、日本の銀行法等をそのまま当てはめるわけにはいかないような形態をなしておると思うのですが、これに対する措置はどうされるのか、法律は一体どの法律でこれはやられるのか、ちょっとわからないのですが、いかがです。
  38. 松川道哉

    ○松川説明員 ただいま阿部委員御指摘のように、沖繩の金融制度は若干その組織におきまして日本制度と違う機能を営んでおります。これが返還時にいろいろ摩擦を起こしてはなはだ都合が悪いことがございますので、法文上はさきに別の委員会で御審議ただきました沖繩復帰に伴う特別措置に関する法律案、この中で、一般にそっくり日本に持ってこれますものにつきましては、第五十三条におきまして「沖繩法令による免許等の効力の承継等」ということで、沖繩法の免許その他は、日本の法令でも同じような免許その他の効力を有するものという手当てがいたしてございますし、さらに若干いま御指摘のような経過措置につきましては、同じく特別措置法の第百五十六条の雑則の中でございますが、経過措置を政令に委任いたしております。そこでただいま御指摘のような、たとえば相互銀行の外国為替業務等はある一定の年限を限りまして本土復帰後も営めるように手当てをいたしたい、このように考えております。
  39. 阿部助哉

    阿部(助)委員 その政令はできておるわけですか、案は。
  40. 山中貞則

    山中国務大臣 政令というのはまだできないわけです。したがって、政令案というものは一応できておりますが、まだいっておりませんでしょうか。これは特別措置法なものですから、あるいは大蔵委員会には配ってないかもしれませんが、特別委員会には配っております。
  41. 松川道哉

    ○松川説明員 特別措置法を御審議ただきました委員会委員の方々に政令案要綱というのをお配りしてあると存じますが、そこに「大蔵省関係」というのがございます。     〔山下(元)委員長代理退席、委員長着席〕 その五七ページに「相互銀行法関係」がございまして、これは相互銀行法の一例でございますが読み上げますと、「沖繩相互銀行法に基づき現に外国為替業務を営んでいるものは、復帰の日から起算して二年間はこれらの業務を営むことができるものとすること。」このように政令案の要綱で定めておりまして、そのように措置するつもりでおります。
  42. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 議事進行。せっかく重要法案ということでわれわれ長官の出席を求めてやっておるのに、与党の出席が現在のところ六名、わがほうが、野党が九名おるわけですよ。こんなばかな審議はできません。中断します。
  43. 齋藤邦吉

    齋藤委員長 速記をとめて……。   〔速記中止〕
  44. 齋藤邦吉

    齋藤委員長 それでは速記を始めて……。  この際、暫時休憩いたします。    午後零時九分休憩      ————◇—————   〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕