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1971-12-15 第67回国会 衆議院 大蔵委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年十二月十五日(水曜日)     午前十時四十五分開議  出席委員    委員長 齋藤 邦吉君    理事 宇野 宗佑君 理事 木野 晴夫君    理事 丹羽 久章君 理事 藤井 勝志君    理事 山下 元利君 理事 広瀬 秀吉君    理事 松尾 正吉君 理事 竹本 孫一君       上村千一郎君    奥田 敬和君       木村武千代君    倉成  正君       佐伯 宗義君    地崎宇三郎君       中島源太郎君    坊  秀男君       松本 十郎君    三池  信君       毛利 松平君    森  美秀君       山口シヅエ君    吉田 重延君       吉田  実君    佐藤 観樹君       平林  剛君    堀  昌雄君       貝沼 次郎君    二見 伸明君       伊藤卯四郎君    津川 武一君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)      山中 貞則君  出席政府委員         総理府総務副長         官       砂田 重民君         沖繩北方対策         庁長官     岡部 秀一君         沖繩北方対策         庁総務部長   岡田 純夫君         大蔵政務次官  田中 六助君         通商産業省企業         局長      本田 早苗君  委員外出席者         大蔵大臣官房審         議官      松川 道哉君         大蔵省主計局主         計官      加藤 隆司君         大蔵省銀行局特         別金融課長   北田 榮作君         大蔵委員会調査         室長      末松 経正君     ————————————— 本日の会議に付した案件  沖繩振興開発金融公庫法案内閣提出第四号)      ————◇—————
  2. 齋藤邦吉

    齋藤委員長 これより会議を開きます。  沖繩振興開発金融公庫法案を議題といたします。  本案は、去る十一月十六日提案理由説明を聴取いたしております。  これより質疑に入ります。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。広瀬秀吉君。
  3. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 沖繩振興開発金融公庫法案に関連して、若干御質問をいたしたいと思います。  本法案は、第一条に目的が書かれておりますが、沖繩産業開発促進のための長期資金を供給をする、一般金融機関が行なう金融を補完するものである、こういうぐあいにして、その他大衆住宅関係の問題、あるいは農林漁業者中小企業者、病院その他の医療施設などを開設する、あるいは環境衛生関係営業者等に対する資金、こういうもので一般金融機関が融通することを困難とするものに対して補完的に融通をするということを通じて、沖繩経済振興発展をはかるのだ、こういうことになっているわけでありますが、一体この沖繩振興開発ということは、どういう到達目標というものを設定をされておられるのか。少なくとも先般来日本本土の場合には、新経済社会発展計画というようなものなどがあるわけでありますが、沖繩はその際には取り入れられておらない。あれによりますと、八〇年段階でどの程度の国民総生産あるいは国民所得、あるいは国際収支がどうなるというようなことが、それぞれ目標設定されておるわけでありますけれども、この中には取り入れられていない。しかし、そういうものとの関連というものをどういうようにつけて、この振興開発めどというものをどういうところに置くのか。この点についてまず到達目標——振興開発ということばはあるけれども、それが具体性を持った数字でどういう状態沖繩経済振興させ、発展をさせる、そうして県民生活を向上させていくのか、こういうめどというものがあるはずだと思うのでありますが、これらの数字をまず明らかにしていただきたい。
  4. 砂田重民

    砂田政府委員 お答えいたします。  ただいま広瀬委員から沖繩振興開発究極に何をどういうふうなところに目標を置いているかという、具体的なという御質問でございましたけれども、これは実はまだ明確に——承知のように、振興開発計画というものも、十年計画でこれから沖繩県知事復帰あと原案提出をされます振興開発計画に基づいて政府決定をいたしまして進めてまいる大事業でございます。それだけに数字等をあげて究極目的地点ということを明確に明示をいたすまだ段階に至っておりません。復帰をいたしましてから全国総合開発計画沖繩を一つのブロックとして取り上げて、新全総というものを新たにつくって、経済社会発展計画というものも当然その段階で手直しをしてまいることになっておりますので、究極目標について明確に具体的に数字等をあげて御説明をするところまでまだ至っておりません。抽象的な御説明しかできないわけでありますけれども、やはり私ども考えておりますことは、一日も早く沖繩県民の皆さんに本土並み生活を確保する、そのためにたいへん本土格差のございますただいまの沖繩産業の形態というものを、その構造もまた量的な面、質的な面において大いにてこ入れをしてまいらなければならない。まずもって、沖繩産業基盤そのものが、港湾にいたしましても道路にいたしましても、本土とずいぶん格差のあることでございますから、沖繩に現在ございます企業本土から進出期待をしなければならない企業、その間の調整ももちろん必要でございますけれども、そういうことを行ないながら沖繩経済力というものを強めていく。振興開発法の中できめられております産業基盤振興のための財政上、税制上、金融上の措置、その中の金融上の措置を今回のこの公庫で裏づけをしてまいろう、そういう考えで御審議をお願いしております公庫法でございます。
  5. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 いま副長官は、木上並み県民生活水準を引き上げていく。いま一番大事なことは、それはもうだれしもがそう言われること、またわかっていることなのですが、それでは一体この新全総なりあるいは新経済社会発展計画というようなもので計画策定をされておる本土と同じ、たとえば一九八〇年までにいま言われた本土並み生活水準というところに、時期的な設定というものはそういうところに置かれるのか、あるいはそれよりもさらに五年ぐらいずれ込んだところに最終目標というか本土並みということが、経済生活の面において、産業発展の面において、国民生活水準の面において実現するのか、どの辺に目標を定めて振興開発という大きなプログラムを展開されるのかということが非常に大きな問題点になると思うのですが、いかがでございますか。
  6. 砂田重民

    砂田政府委員 これは経済企画庁からお答えするのが筋かもしれませんが、振興開発計画というものは十年の計画で進めていこうとしておりますが、いま先生のおっしゃいますどこに目標を、昭和何年に目標を置いてということは、新全総の中に沖繩ブロックとして取り上げる作業をいたします段階決定をされてくることでございます。私どもといたしましては、一日も早いことを期待し、努力をしてまいりたいと考えております。
  7. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 その分は長官おいでの際にいろいろまた聞きたいと思います。  次に、開発金融公庫資本金の問題ですが、これは沖繩琉球政府関係金融機関あるいは資金特別会計、いろいろなものがありますが、そういうようなものの純資産を充てるのだということになっておるわけであります。それらを全部継承する純資産、これが資本金になるということなんですが、どういう状況になっているか。これは副長官でなくても事務当局からでもけっこうですが、そして総体の資本金を幾らにして出発をさせるおつもりであるのか、その二点。
  8. 砂田重民

    砂田政府委員 お答えいたします。  いまお話のございました公庫が引き継ぎます権利義務のうち資本金とみなされます額は、琉開金大衆金融公庫、それに琉政所属の五特別会計資産の額から負債の額を差し引いた純資産ということに相なっております。一九七一会計年度、したがって一九七一年、ことしの六月現在におきまして、ただいま申し上げました琉開金大衆金融公庫、五特別会計、それの純資産を合計いたしますと、琉球政府出資金が五十六億円となっております。それから民政府出資金が九十七億円、それから積み立て金が九十九億円、これの合計から欠損金の三億八千万円を差し引きました二百四十八億円が本年六月現在の数字でございます。一九七二会計年度中に沖繩が返還される予定でございますから、復帰時、私どもは四月一日を期待しておりますが、三月三十一日現在の残高というものは若干これから動くことが予想されるわけでありますけれども、十億内外ふえてくると思います。それから、法律にきめておりますように、初年度四十七年度に日本政府から新規の出資をいたしますのは、私ども総理府といたしましては百五十億を要求いたしております。これは予算策定の過程できまってまいることでございますけれども、この百五十億と二百四十八億、これに十億内外ふえるであろうと予想される数字、これが初年度におきます沖繩振興開発金融公庫出資金と相なるわけでございます。
  9. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 そうしますと、琉開金あるいは五特別会計、こういうようなところから二百五十八億、予算要求をしているのが百五十億としますと約四百十億程度予算が満額認められたとして大体そういうことになるわけですが、結局これは政府関係金融機関でありますから、当初出発する際にはやはり資本金中心になってこの金融公庫貸し出し業務が展開されると思うのですが、そのほかにももちろん政府からの借り入れということも予定されるわけですが、この資金量、いわゆる資本金をまず中心にした資金量を第一年度で、四十七年四月返還ということを前提にしまして、四十七年度においてどれくらいの資金量を用意していかれるおつもりであるか、この点を次に伺っておきたいと思います。
  10. 砂田重民

    砂田政府委員 財投政府からの借り入れは三百九十億要求をいたしております。これらを合わせた数字が大体事業を行ないます資金量、かように御了承いただきたいと思います。
  11. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 それで大体資本金規模、さらに政府からの財投資金借り入れるということで、約八百億程度資金量ということになるわけでありますが、この資金量でこの振興開発仕事が十分まかなえるもの、こういうふうに想定をした根拠といいますか、想定をした具体的な資料というものはどのようになっているか、この点をまず。
  12. 砂田重民

    砂田政府委員 先ほどお答えをいたしましたが、二百四十八億、それに若干復帰の時点ではふえるであろう、かように申しましたのは、これは資産でございまして、これがまるまる資金で流れるわけではございませんので、四十七年度、初年度貸し付けワクを六百五億の貸し付けをいたしたい、かように考えております。
  13. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 いま私が聞いているのは、六百五億ということだそうでありますが、どこにどういうように資金需要があるのか、それに対してどういうようにという積算の根拠といいますか、こういうぐあいに資金計画を立てた根拠というものがどういうところにあるのかということをお聞きをしているわけです。
  14. 岡部秀一

    岡部(秀)政府委員 六百五億五千万の内訳を申し上げますと、産業開発資金貸し付けで百四十五億二千万、生業資金貸し付けで二十六億、住宅資金貸し付けで百九億六千万、農林漁業資金貸し付けで六十億、中小企業貸し付けで五十三億、医療施設等資金貸し付けで九億六千万、それから環境衛生関係営業者施設等貸し付け金で十一億、それから特殊資金貸し付けで四十五億といろ内訳になっております。これのまたそれぞれの細部につきましては、琉球政府がいままで貸し付けておりましたところの需要状況、それから本土の各金融公庫状況、それから今後のまた新しい需要等勘案をいたしまして計上いたしておる次第でございます。
  15. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 このように一応の計画を立てておられる。その理由としては今日までの資金需要状況ということと本土状況勘案をした、こういろことなんですが、沖繩のどういう部分が特におくれている、したがってこれはかなり加速をさしてリードしていかなければならない、急速に発展をさしていかなければならぬ、このように非常に高い見地からの指導性の発揮というものがやはりこの中に含まれているわけですね。そういう点については一体どういう考えを、どの部面で非常に本土格差がある、これをできるだけ早い機会に本土並み発展をさしていこうというような点で、最もその特徴的な面を幾つかあげていただきたいと思います。
  16. 砂田重民

    砂田政府委員 特にどういう部門沖繩がおくれているかということ、それに対して重点的にどういうふうに考えているかという御質問でございますけれども、率直に申し上げまして、あらゆる部門本土との格差がそれぞれ大きいわけでございます。したがって、第二次産業比率というものを高めなければならないための、それによって雇用吸収と申しますか、そういう期待を持っての本土からの新しい第二次産業進出に対しても当然配慮をいたさなければなりませんし、沖繩の今日の産業構造というものが中小企業の率が非常に高い。その中小企業方々が相当高い金利で融資を受けて仕事をしておられる。そういったこと、中小企業近代化促進のための融資、また住宅も御承知のように非常におくれております。したがって、非常に総括的にすべての面が重要で、私どもといたしましてはどれが重要なのかという御質問にはちょっと答えにくいわけでございますけれども、特にひとつ配慮をいたさなければなりませんことは、本土制度に移行するために非常に困る企業が出てまいることがあります。制度的に本土制度にかわる、あるいは本土からただいま本土産品というものを輸入の状態沖繩に品物が流れていっておりますので、いろいろな関税面での沖繩としての措置がございます。そういうものが本土並みになったときに、競争力の弱い企業等があるものでありますから、そういう沖繩特殊事情による融資、さらに基地経済に依存をしておられる企業、こういう部門に対しましては、特に本土にはない新しい配慮をいたしておりますことは申し上げられることだと思います。
  17. 岡部秀一

    岡部(秀)政府委員 なお補足して御説明申し上げますと、最近の一年間の現地沖繩貸し出し状況を見ますると、二百億になっております。そこで、これは全般的におくれている状況でございますので、これを六百億ですから、約三倍ということを目安にいたしまして六百億ということを考えた。大体、三倍ということだと十分じゃなかろうかと思うのでございます。  それから、特に力を入れた点、ただいま副長官からお話し申し上げました点でございますが、特に何といいましても沖繩産業考えますと、第二次産業本土と比べて非常なへこみ方をいたしておる。これが今後の沖繩産業振興ということを考え、それから雇用の吸収等考えると、何といいましてもこの構造を、第二次産業をレベルアップをするということでないと、今後の産業振興とそれから就職というふうな点を本島内で片づけるということにしないと、ほとんどこちらに流動してきてしまうのではないか。その点で第二次産業に大きなてこを入れなければならないという点に特に力を入れまして、産業開発中小企業、これに力を入れております状況でございます。
  18. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 いまお答えがあったそれぞれの数字は、一覧表にして、当委員会にも審議の便を与えていただくように、資料として配付をしていただきたいと思います。  次に、主たる事務所那覇市に置くということになっております。従たる事務所東京都に置かれるということなんですが、この主たる事務所と従たる事務所における業務の分け方、担当のしかた、役割りの持ち方というものが、非常に現地沖繩では心配をされております。屋良主席建議書の中で、従たる事務所貸し付け業務をやるというようなことになりますと、これは本土関係のあるいは沖繩現地でも相当大きい企業、飛び抜けたような大きい企業はこれとの取引をどんどんやってしまうということで、中小企業に回る分、あるいはいま対策庁長官のほうからお答えがあったように第二次産業が非常に今日特徴的に落ちくぼんでいる、第一次産業比率本土よりはかなり高いけれども、特に第三次産業ウエートが非常に高い産業構造で、これをバランスのとれた沖繩——確かに日本唯一亜熱帯地方だというようなことから、観光産業なりサービス産業というような第三次産業がある程度ウエートが高いことは、これは将来ともあるべき姿としてもある程度納得できるのだけれども、あまりにも第二次産業ウエートが低過ぎる、構成比が低過ぎるという、そういうことにそぐわないような形で、従たる事務所がむしろ主たる事務所以上に貸し付け業務を、そういうむしろ逆行するような形で行なわれるのではないかというおそれを、現在の琉球政府屋良主席建議書でもそういう心配危惧を表明をし、本土政府に訴えられているわけなんですね。したがって、この業務の分担というもので、本土の従たる事務所ぼんぼん貸し出し業務をかなりの部分やるというようなことについては非常に危惧があるのだ、こういうことを屋良さんも言っておられるわけですから、これらを踏まえて、どういうようにやられるのか、われわれの見解からするならば、もう現地にこれだけのものをつくるならば、ほとんど現地でやれるというような形で何ら差しつかえない数だ、こういうように思うし、したがって、東京事務所というのは、これはもう各省政府関係筋あるいは関係方面との連絡調整的な役割りだけでいいのじゃないか、こういう屋良さんの建議書のとおりに考えるわけなんですが、この辺のところは一体どういうようにお考えになっておられるのか、この点を伺いたい。
  19. 砂田重民

    砂田政府委員 いろいろこの点御心配のあるところでありますから、私ども考えも明確にまずいたしておきたいと思いますが、主たる貸し付け業務というものは、沖繩におきます本店並びに沖繩各市におきます五つばかりの支店、こういうところですべてやることにいたしております。ただいま広瀬先生おっしゃいましたように、従たる事務所東京に置きます事務所というものは関係省庁との連絡、率直に申し上げますならば、原資調達政府に依存する度合いが高うございますから、この関係業務を従たる事務所であります東京で行なう、こういう考え方を基本にいたしておりますから、沖繩現地で御心配があるようでございますが、屋良主席建議書も拝見をいたしましたが、この御心配はひとつもう無にしていただきたいと思います。  そこでさらに総務部長のほうから那覇並び東京のそれぞれの大体の組織をお聞きいただきましたならば、貸し付け沖繩現地でやる、東京はそういう事務連絡だけだということは十分御理解いただけるだろうと思いますので、組織の大体の内容を簡単でありますけれども総務部長からお答えをしたいと思います。
  20. 岡部秀一

    岡部(秀)政府委員 特に現地で全部の仕事が円滑にいきますように、那覇本店がありますほかに、那覇、コザ、名護、宮古石垣等支店を置きまして、十分その点現地需要者に応ずるようにいたしてまいりたいと思っております。
  21. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 次に、公庫運営の衝に当たる役員の問題でありますが、理事長、副理事長理事監事等役員であるわけですが、この人的構成、陣容を沖繩県民から登用する分、あるいは沖繩県人たちヤマトンチューといいますが本土専門家をこれに充てる分と、この点はどういう配慮——やはり沖繩開発というものは沖繩県民の主体性というものがすぐれて尊重されなければならないことであるし、いろいろ沖繩特別委員会でも自治権の侵害というようなことがかなり、今度の復帰対策に伴う法制的な処置はかなりそういうおそれがあるではないか、沖繩自治をむしろ侵害する、こういう面も非常に強いではないかということも指摘をされているところでありますが、こういうせっかくの開発公庫をおつくりになっても、これがまた本土陣営がほとんど要所要所を占めてしまって、ほんとうにか細い声しか反映されぬ、この役員構成の中で。そういうことであってはならないと思うわけでありますが、こういう点についての配慮はどのようにいたす所存であるか、この点を伺いたい。
  22. 砂田重民

    砂田政府委員 役員が六名でございますが、その中の何人を、先生おっしゃいますようなヤマトンチューにするか、沖繩出身の方を何名にするか、その数の区分はいまだきめておりません。しかし、当然沖繩出身と申しますかそういう方に役員の中にお入りいただかなければならないことであることはもう十分承知をいたしておりまして、役員構成しますときにその配慮をすることにいたしております。  なお、やはり公庫沖繩の心が当然反映されなければならないので、法律が公布されましたあとできます準備委員会にもこれはもういま沖繩にあります各機関方々にお入りをいただくことは当然でありますし、この点はまだ法律には書いてありませんけれども協議会という名前になりますか審議会という名前になりますか、その点もまだ最終的に決定をいたしておりませんが、公庫業務を側面から助けていくと申しますか、ある程度監督をしていくといいますか、そういった機関をつくることにいたしておりますが、その中にも振興開発法の中できめております審議会、これは国会で修正になったことでございますし、建議書の趣旨も生かし、国会の御意見も生かして、この公庫関係協議会的なものの構成沖繩出身方々に当然入っていただいて構成をしていきたい、このように考えております。
  23. 岡部秀一

    岡部(秀)政府委員 なお事務的のほうから見ますと、琉球開発金融公社及び大衆金融公庫を引き継ぎますが、これは全部権利義務を引き継ぎますので、職員全部引き継ぎますので、全部で百九十三名の職員がこの仕事に当たっておる、いま沖繩におりますところの職員、その人たちが全部ここで同じ仕事をやるということになります。
  24. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 ついでにお聞きいたしますが、この職員沖繩本店支店を含めまして、大体何名になる規模でございますか。各本店支店に分けて人数をはっきりさせていただきたい。
  25. 岡田純夫

    岡田(純)政府委員 新しい公庫で予定いたしております職員は、二百三十二名の職員と、ほかに六名の役員でございまして、二百三十二名に六名足して二百三十八名になります。そこでいま岡部長官から御報告いたしましたように、現地には百九十三名の一般職員、それから役員琉球開発金融公社大衆金融公庫との両方で十名でございますので、現地では役員まで入れますと二百三名、一般職員は、いま申し上げましたように百九十三名、それをそっくりそのまま引き取るという姿になります。  なお、先ほどの御質問に関連いたしまして、この新公庫職員二百三十二名の配置計画でございますが、まず東京のほうから申し上げますと、東京支店はそのうちで職員は三十八名を予定いたしております。これは資金ワク確保とかそういうふうなことで最小限度必要なものでございまして、あとは全部現地でございます。その中で那覇本店には一般職員の中で七十名が、本店と申しますか、主たる事務所に配属いたします。そうしてあと現地でそれぞれ貸し付け業務がございますので、本店以外にさらに那覇支店という組織になりますと、那覇支店が六十名、それから中部北部宮古八重山という従来からの貸し付け体制もそっくりそのまま存続いたします。具体的に申し上げますと、中部で二十一名、それから北部で十四名、宮古で十五名、八重山に十四名という職員を配置いたしまして、貸し付けに遺漏のないようにいたしたい、こういうことであります。
  26. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 残余の部分は次回以降に持ち越しまして、以上できょうのところは終わっておきます。
  27. 齋藤邦吉

  28. 竹本孫一

    竹本委員 最初に、政治的問題にもなりますけれども、事務的なレベルで御答弁願っておきたいのですけれども沖繩の返還の時期の問題ですが、大体、この間私もアメリカに行きまして、向こうの感触ではほとんど圧倒的に七月ということになっております。日本の国内では四月ということに期待が多い。おそらく一月の佐藤・ニクソン会談のときに煮詰められるだろうと思うのですけれども、事務レベルでお伺いをしたいのだけれども、四月の返還には間に合うような態勢であるのか、あるいは事務レベルは何を目標にして一応作業を進めておられるか、それは四月目標に間に合うのか、また間に合わせる上において一番事務的に困難な事務処理の問題はどういう問題があるのか、これだけひとつお聞きしておきたい。
  29. 砂田重民

    砂田政府委員 アメリカからお帰りになったばかりの竹本先生の情報でございますけれども、私どもといたしましては、四月一日返還というものを基本に考えて準備を進めてきておりますところでございます。おっしゃいますように、一月の佐藤・ニクソン会談で強くその復帰時期というものをこちら側からも要請をすることでございましょうから、大体その時期に正確な見当がついてくるのではなかろうかと私ども期待をいたしておるところでございます。  それから、復帰準備のことにつきましては、対策庁長官から事務的なことをお答えいたさせます。
  30. 岡部秀一

    岡部(秀)政府委員 この法律の附則に施行期日が書いてありますが、第一条に「この法律は、公布の日から施行する。」ということで、復帰の前に公布いたしまして、公布の日から施行するということにいたしておりまして、そして「主務大臣は、公庫理事長又は監事となるべき者を指名する。」ということになっておりまして、またその人たちは「公庫の成立の時において、この法律の規定によりそれぞれ理事長又は監事に任命され」、そして「主務大臣は、設立委員を命じて、公庫の設立に関する事務を処理させる。」ということで、復帰前に十分準備を整えるということにいたしております。
  31. 砂田重民

    砂田委員 いまの御答弁でございますけれども、私が聞いたのはもっと全般的な姿勢として、四月を要望する立場において、間に合いますか、また間に合わせる上においてどういう点で一番困難がありますか、こういうことを聞いているのです。
  32. 砂田重民

    砂田政府委員 今回の国会に提出をいたしております、私ども総理府から提出をいたしました法案全部に関係をしてくることでありますけれども、特に復帰に伴います特別措置の中に掲げております諸問題全部、非常に事務的には大きな事務量のある問題ばかりでございまして、どれがといって、そのすべてがたいへんむずかしい問題でありますけれども法律をつくりますその前の復帰対策要綱を閣議で決定を次々に三回いたしましたが、あの復帰対策要綱を閣議決定いたします段階から、琉球政府等との連絡を密にして、お互いに四月一日に間に合うような事務的な準備を進めているところでございまして、日本側といたしましては、私は、四月一日返還で事務的な準備を完了できる、かように考えております。
  33. 竹本孫一

    竹本委員 まあそれでけっこうですが、しかし、それの実現の過程におきまして、事務的に見て、最終的には間に合うだろうけれども、非常な努力を要するとか、非常な困難な問題があるとかいう問題があるはずだと思いますけれども、いまの御答弁ではそれがあるのかないのかさっぱりわからないが、その辺はどうですか。
  34. 岡部秀一

    岡部(秀)政府委員 いま副長官からお答えいただいたのですが、だいじょうぶ私どもは間に合うと思っております。ただしかし、事務的な面で見ていきますと、人員配置の面やあるいは営業体制の確立等いろいろ問題がありますけれども、特に帳簿、貸し付け方針等、まあいろいろとこまかい点でありますけれども、すでに関係の者を、それぞれ事務の点でおっしゃるような点を私たちも考慮いたしまして、すでにそれぞれの沖繩におきますところの琉球開発金融公社大衆金融公庫等の職員をこちらに兼務いたさせておりまして、それと各省庁の関係の各公庫等の職員方々の応援を得まして、それらをいま急速やっておりますので、だいじょうぶ私たちは四月までには間に合うという確信を持っております。
  35. 竹本孫一

    竹本委員 何かないですか。
  36. 砂田重民

    砂田政府委員 竹本先生再度何かないかというお話でございますが、一つ私心配いたしておりますのは、沖繩開発庁というものが準備ができているかどうか、これはもう法案の成立にかかってくることでございまして、これを一つ心配をいたしております。これはやはり予算の立て方というものを、各省予算を集めまして、沖繩開発庁が設立できるということを前提にして、一括予算を計上いたしまして、各省の調整の仕事も、この開発庁が設置できるということを前提にして要求をした予算でございます。それからさらに、琉球政府職員をこの開発庁の現地事務局に相当数引き継いでまいるものでありますから、これは日本政府の側としてもまた琉球政府の側としても相当な準備が必要なわけでございまして、これがただいま私自身の一番心配な点であるわけでございます。
  37. 竹本孫一

    竹本委員 ちょっと公庫の問題は離れまして、一般的な問題を少し伺いたいのですけれども、この開発金融公庫に大いに活躍をしていただくためには、先ほども御議論がありましたけれども、その前提として、やはり沖繩振興開発について基本的な、総合的な計画がなければならぬ。これはあとで午後に大臣に聞くべき問題かもしれませんけれども、事務レベルでけっこうですが、一通りのことを伺っておきたいと思うのです。  まず第一に、沖繩の土地については台帳がありますか。その台帳に書かれておることは事実とどのくらい離れておりますか。それから、総合的に基本的な地籍調査をやるお考えでありますか。これだけのことを聞きたい。
  38. 岡部秀一

    岡部(秀)政府委員 沖繩におきまして土地調査は一応簡単にいたしておりまして、帳簿、公簿等あるのでございます。あるのでございますけれども、これは御存じのとおりに、あの戦争の結果の状況でございまして、地形は全く変貌したという状況でございますので、その点が非常に正確を欠いておるというふうな状況でございます。  その後三十八年でございましたか、国土調査法に基づきまして、ずっともっとさらに今度は精密な調査をやってまいりました。そして、それの帳簿等はできております。これが大体五〇・七%現在できておるという状況です。そして今後あとに残っておる問題は、実は基地関係等の一番むずかしいところ、これは中に入れませんから、それができておらない。これが残っておる問題でございます。これを今後どういうふうにしていくかという問題につきましては、現在それをやるのについて国土調査法でやるのが一つ、それから不動産登記法でやるのが一つであります。国土調査法でやりますと、これは最後には関係者の立ち会いということで決着をつけるということになりますので、それがなかなかむずかしい。そこでもう一つ考えられるのは不動産登記法でございます。不動産登記法でやるわけでございますが、登記法でやりますと、そうするとこれは最後に登記官が出ていきまして登記官の権限でこれを判定するということができるのでございますけれども、これは、登記法のほうのその権限というのはごく限られた、あの広範な面積のところをやるというたてまえにはなっておらない状況でございます。これは申請がありましたときに、どうもこれは食い違うじゃないかというときに登記官が出ていってやるという補足的な状況になっておるということで非常にむずかしい問題です。  そこでこれを今後どうするかということにつきましては、国内法はございません。それから、さらにいずれの方途をとりましても、最後はこの問題は訴訟の問題になってくる、こういう問題でございます。そこで琉球政府のほうとこの問題を何回も話し合いをいたしまして、琉球政府に土地調査庁という、約百名に近いところの職員がおりまして、これは相当のエキスパートでございます。そこで、この人たちを分散しないでそのままの機構で置いて、そうして今後この問題をどういうふうにしたら解決がつくのか、たとえば全然境界等ございませんものですから、ただこれだけの面積なら面積を全部はかって、その中に私はこれだけの土地を持っておりますというものを出してくると、おそらくはみ出してくるという問題があるですね。そうしたらはみ出した面積をどうするのかという問題は、これはあとで案分比例をするとか、あるいはどこかほかに土地を求めるとか、埋め立てをするとかなんとかして、その点をお互いに何とか話し合いをつけるということなんかが出てきたりするのですけれども、いずれにいたしましてもこの問題は十分に測量関係、学識経験者その他でじっくりと考えてどういうふうにしていくかというふうにやっていくべき問題で、ここでただ強権的なやり方でやるということは問題が決して解決にいきませんので、今後そのように琉球政府及び各省庁とで力を合わせて土地調査を進めていきたいと思っております。
  39. 竹本孫一

    竹本委員 じっくりはけっこうですけれども、一体何年くらいの見通しで基礎調査ができるのか、それからそれをやるについての法的根拠はどうなっているのか、それからその法と基地の中の問題等はどうなるのか、その点はどうですか。
  40. 岡部秀一

    岡部(秀)政府委員 それがむずかしい問題でございます。基地の中へはいま入れないのでいままでできておらない。それで今後復帰になりまして、その点、特にこれからの開発をやる場合において、これはいままでも何回も諸先生方から御意見がございましたとおりに、振興開発計画を立てるにつきましても、土地利用の面におきましてもぜひともこれをやはり測量するということ、及びそれの解放ということでございますが、これは今後外交折衝をいたしまして、基地の中に入れてもらうということでやってもらうという折衝を強力にやっていくべきだと思います。それについての法律につきましては、ただいま申し上げましたような国内法には関係はございません。今後それをどういう法律に盛っていくのか、あるいは盛っていかないで何かやっていくか、その点を今後研究をしていかなければならないと思いますし、その時期等、いつにできるか、終わるかということはいまではちょっと見当がつきませんけれども、何とかこれを早急にやっていかないといろいろな面にやはり問題が残りますし、各人もそういう不安定な状況が長く続くということはまことにおもしろくない点だと思いますので、ひとつ琉球政府のほうと本土のほうで十分に早急に進めていくということをやらなければならぬと思っております。
  41. 竹本孫一

    竹本委員 副長官、いまの御答弁でわかりますように、たとえばわれわれから言えば、何も反対のための反対を考えるわけでも何でもありませんけれども沖繩の総合開発計画を立てるというようなことになれば、まず第一に土地がどれくらいあるのかということだって調べなければならぬと思います。いまも御答弁があるように、スタートライン、出発点から非常にたいへんなデッドロックにぶち当たっておるというふうに思うのですよ。だから沖繩の問題は、たとえば公庫の問題で、こういう事業にはこういう金を貸す、こういう事業にはこういう金を貸すということばかりたくさん書いてあるけれども、まずその地ならしを考えた土台になる問題が、基礎調査がない。これから調査をやるにはどうしたらいいかということも、これからいろいろの困難を乗り越えて解決していかなければならぬということでございますので、私はやはり沖繩開発計画といったようなものについてはよほど真剣に取り組まないと、最初にも私伺ったように、事務的にはたいした困難もないようなお話でもありますけれども、いよいよスタートしてみれば、もうスタートラインからつまずいてしまう。第一基礎調査がないじゃないか。これは少し意地悪でがんばり始めれば幾らでも質問できますよ。しかしこのくらいでやめますけれども、どうにも土地の面積さえろくにわからない、どういう総合計画を立てるかという問題が根底にあるということをいま指摘したいのです。だから沖繩振興開発計画のごとき、あるいはそれに応じて金を出すということだけれども、その土台がまだまだなかなかむずかしいですよ、前提条件が整備していませんよということをぼくはいま指摘しておるつもりなんです。十分御検討いただきたいと思います。  これとあわせてもう一つ伺いたいが、これはもうほかの委員会でもずいぶん議論になった問題ですが、いまある基地はどれだけの返還になるのか、面積の面でちょっと言ってみてください。
  42. 岡田純夫

    岡田(純)政府委員 私、申し上げますが、この問題は施設庁のほうが中心になっておりますので、私どもわかります分について、間違えましたらお許し願いますけれども、私の心得ておる数字で申し上げますと、沖繩全体、総面積は御承知のように二千三百八十八平方キロでございます。この中で現在軍用施設区域に提供されておりますのは三百四十平方キロ前後というふうに心得ております。その中から返還が一部なされまして、いわゆるA表の施設区域になりますのは三百平方キロを割ったところというふうに心得ております。
  43. 竹本孫一

    竹本委員 もう一度数字で結論だけでいいのですけれども、大体全体の何分の幾らが残って、何分の幾らが今度返還の時点で返されるということになりますか、その割合をちょっと。というのは、数字を見るとところどころ違うのです。だから正確なことを聞きたいと思って聞いているのです。
  44. 岡田純夫

    岡田(純)政府委員 パーセントにつきましては、現在軍用施設区域になっておりますのは一四%、それに対しましてA表の施設区域になりますのは一二・三%というふうに心得ております。
  45. 竹本孫一

    竹本委員 だから面積で基地の全体の何%が返ることになるのですか。
  46. 岡田純夫

    岡田(純)政府委員 したがいまして、その差の、解放といいますか、返還予定、C表は二・一%です。
  47. 竹本孫一

    竹本委員 基地全体の二・一%が返る、こういうことですか。返るパーセンテージが二・一ということになるのか、その辺ちょっと。
  48. 岡田純夫

    岡田(純)政府委員 私、申しました二・一%というのは、全体に対する比率でございます。
  49. 竹本孫一

    竹本委員 そこでこれはいまの土地の地籍調査の問題と関連して基地の問題がある。それがほとんど問題にならない割合しか返ってこないわけですけれども、この基地が何年に返されるか、どうなるかという問題は、特に政治性の強い問題でございますからきょうはやめますけれども開発金融公庫が大いに積極的な機能を持ってやってもらうということのためには、総合的な開発計画というものが立たなければならぬ。それはそうですね。ところが総合的な開発計画をやるについては、土地の調査にしてもあるいは基地の返還等の問題にしても、大体一番最初の地番というものがはっきりつかめなければならぬ。そうすると私が心配するのは、いまのようなデータが不十分であるとかあるいは条件が不安定で未確定であるとかいうことを前提にして、なおかついかなる総合的開発計画が科学的に打ち立て得るかという点がぼくは非常に問題であると思うのです。その点についてのお考えはどうですか。
  50. 砂田重民

    砂田政府委員 先ほど広瀬先生にもお答えをいたした点でありますけれども、総合的な明確な数字をあげての開発計画というものは、竹本先生御承知のように、振興開発法に基づいて振興開発計画の原案を沖繩県知事がお出しになりまして、審議会にかけた上でその計画政府決定をする。さらに新全総の中に沖繩を一つのブロックとして取り上げて、新しい新全総をつくっていく。経済社会発展計画もそれに基づいて変わっていく。その段階で具体的なものはきまってくるわけでございます。ただそれは復帰以後進められる作業であって、それでは復帰初年度の四十七年度の予算をどうするのか、それが何を裏づける予算であるのかということになってまいりますと、振興開発計画というものの具体的な決定あとになってくる。その振興開発計画というものは、御承知のように、沖繩県知事が原案提出権を持っておられるわけでありますから、当然四十七年度予算決定いたします段階ではそういうことがきまってない。ただ日本政府琉球政府の間でいろいろな意見調整をいたしました結果、振興開発計画の中に当然盛られるべきであろうという事業の中の一部分、そういうものについて四十七年度の予算要求をしているわけでございますし、またそういうことに関係をしたことについての金融面の受け持ちをこの金融公庫でやろうとするわけでございます。振興開発計画というものは、振興開発法の中で御承知のように十三もの柱を立てた膨大な総合計画でありますけれども、四十七年度の予算といたしましては、また四十七年度の金融的なこの公庫措置といたしましては、当然この開発計画の中に将来含まれているであろうその一部分について、初年度でスタートをしようとするものであります。
  51. 竹本孫一

    竹本委員 いま知事が振興開発計画を立てるとか新全総がどうだとかいう御答弁がありました。そのとおりだろうと思います。ただ私がここで指摘をすることは、沖繩県民に対してもあるいは日本の国民に対しても、沖繩が返還される、されたらあと引き受けたというような形で総合開発計画が立つんだ、またその総合開発計画に応じて開発金融公庫もすべてを一元的に大いに活躍をして助けていくんだ、こういうふうに言われますと、先ほどの話じゃないが、話はきわめてスムーズにいくようでもあるし、また非常に至れり尽くせりの計画がきわめて科学的に打ち立てられるように国民も期待するだろう、沖繩県民期待するだろうと思うのです。しかし、事実はそんなになまやさしいものではないのではないか。そういう意味で、これは非常に極端な失礼な言い方かもしれませんけれども、いまの御答弁にもありましたように、いろいろ考えられるもので、しかもいまできるものをここから始めていこう。事実それしかないと思うのですよ。そういうことにすぎないんだから、何といいますか、あまり誇大広告みたいな、総合開発計画を立てるんだ、これで全部解決するんだ、こういうように言われることは、県民あるいは日本の国民にただいたずらに過大な期待を持たして惑わすことになるということになりはしないか。それよりももう少しじみな取り組み方のほうがいいのではないか。何かわれわれは新聞だけを読んでおると、沖繩の問題はあしたにも解決するようにいわれておるというか、考えさせられるような新聞面ですけれども、実際はそういう開発計画というものはそう簡単に立ちません。いま言ったように、土地の調査だってろくにできやしないじゃないか。基地がいつ返るかわからないじゃないか。こういうことを考えると、そう簡単に、開発計画だとか開発金融公庫で万事引き受けたというわけにはいかないということで、誇大広告にならぬように、そしてまたあまり勇み足にならないように、取り組みはきわめて慎重に、じみに、堅実な足取りでやってもらわなければならぬのではないか、こういう点を私はいま指摘しておるのです。  それで極端に申しますと、誇大広告の問題は別にして論じましても、私はこれは予算委員会でも申しましたけれども、一番大事なところ、一番いいところは基地で押えられておる。その残りのほうを中心にした開発計画でしょう。だから、ことばを非常に悪くいえば残飯計画だというんです。残飯総合開発計画です。いいところはみんなとられちゃって、まわりのほうだけを幾ら開発計画を立てようが、総合計画を立てようが、それでどうして沖繩がよくなるか。だからわれわれがいま取り組んでいるものは、残念ながら事実においては残飯総合計画にすぎないんだというのです。ぼくは、計画の限度と限界というものを一応国民にも、またお役人にも明らかにした上で取り組まないと、誇大広告をやられようという意思があるとは決して思いませんけれども、結果として見れば非常に行き過ぎに誇大広告になって、あるいは国民からいえば過大期待を持たせるということになりはしないか、こういうふうに心配をいたしますが、いかがですか。
  52. 砂田重民

    砂田政府委員 竹本先生御議論の総合開発計画というものは非常に困難なことだ、特に土地の問題を具体的に取り上げられまして御議論になりましたことは、私は現実論だと思います。そのとおりだと思います。したがって、私どもも誇大広告をする気持ちは毛頭ございません。消費者行政を担当してきた私は、誇大広告は絶対にいたしません。ただ、そういう困難な中におきましても、将来復帰の後においてつくられていくであろう総合開発計画の中の一部分だけでも現実的にスタートしようという私ども金融公庫法もまた、私は現実的な立場に立った提案だろうと思うのです。ただ、先生のおっしゃいましたような困難は私ども承知しておりますし、さらに基地というものがいまのまま未来永劫続くとは私ども考えておりません。総理も本会議国会の御決議にこたえて所信表明いたしましたとおり、基地縮小の努力は大いにやってまいるわけでございますから、また本土の終戦後から今日までの基地の態様を見てみましても、私ども期待、希望をもってこれに取り組んでまいりますので、誇大広告する気持ちは毛頭ございません。私どもといたしましても現実的に仕事を進めておりますことは、御理解をいただきたい点でございます。
  53. 竹本孫一

    竹本委員 いま沖繩に関して五カ年計画があれこれいわれておるようでありまするが、現在いわれている五カ年計画は、数は幾つありますか。
  54. 岡部秀一

    岡部(秀)政府委員 道路、港湾、航空、治山、海岸、漁港、下水道、治水などだと記憶しております。
  55. 竹本孫一

    竹本委員 全部で幾つになりますか。
  56. 岡部秀一

    岡部(秀)政府委員 八つであります。
  57. 竹本孫一

    竹本委員 これもいまの計画を立てる——当然事務官僚が良心的に立てなければならぬ問題だと思いますから、それはそれでけっこうですよ。しかし私が言うのは、先ほど言ったように、いま沖繩でできる限界、いま日本の政府としてできる限界というものを踏まえた上でよほど慎重に考えてもらわぬと、何でも計画がどんどん出てきて、そして沖繩は一ぺんにあしたからよくなるというような先ほど言う過大期待の問題につながっていくということを心配し、同時に、あまりにも官僚的、事務的レベルだけでそういう問題を考えるということよりは、もう少し総合的な、政治的な検討が要るのではないかということを私は指摘するわけであります。八つでも決して少なくない。それを一体どれだけどういうふうにまとめ上げていかれるのか、これからの問題でございますが、そう簡単な問題ではないというふうに私は思うのです。  そこで、もう一つ総論的なことを伺いたいが、一体沖繩の経済というものは、いま日本の内地に比べて何年ぐらいの立ちおくれがあって、何年ぐらいの計画においてこれをいわゆる本土並みにしようとしておられるのか、その辺を伺っておきたい。
  58. 岡部秀一

    岡部(秀)政府委員 これは今後の計画を精密に立てないとわからないのですが、まあ大ざっぱに私たちがいま常識的に考えているところで見ますと、やはり五、六年おくれている状況がございますので、私たちといたしましては、振興計画におきましては約五年の間において産業基盤等につきまして本土レベルまで何とか持っていきたいという考え方を持っております。  それから先生、先ほど八つ申し上げましたが、なお住宅と農業基盤整備と清掃施設と交通安全、これに計画がございます。
  59. 竹本孫一

    竹本委員 十一ですか。
  60. 岡部秀一

    岡部(秀)政府委員 十二でございます。
  61. 竹本孫一

    竹本委員 もう一つ、これに関連をして。まあ五年おくれておる、あるいは五、六年おくれておる、これを御努力によって追いついていこうというのだけれども、これはわれわれもいま大蔵委員会で藤井さんも御一緒に沖繩にも行った。そのときにもいろいろ御意見を承ったのでございますが、その沖繩の、本土並みに持っていくという持っていき方の問題ですけれども、たとえば農業の位置づけ、中小企業の位置づけ、サービス産業の位置づけ、こういう問題について私が現地で承った空気からすると、きわめてずさんな、あるいは希望的な意見を述べておるにすぎない。はたしてどれだけの科学的検討が行なわれておるかということについて私は非常な疑問を持ったまま帰ってきて、そのままになっておるのですが、いま当局で考えておられる五カ年間に本土並みに持っていく、それは何をてこにし、何をバッグボーンにして、どういうふうな産業配分を考えながら持っていこうというのであるか。これは開発公庫の活動分野にも直接関係しますが、その産業の内部の構成産業構造、経済構造はどういうものを描きながら開発公庫も金を貸し、総合開発計画も打ち立てられるのか、その辺をちょっと伺いたい。
  62. 岡部秀一

    岡部(秀)政府委員 おっしゃいますとおりに、いままでも国会でいろいろ議論が出まして、それにつきましていろいろと応答されたわけでありますが、これは一にかかって振興開発計画を出してここで検討をするわけでございますから、いまからの仕事でございます。それについて沖繩の県でもって作成をしたのを土台といたしまして、振興開発審議会におきまして、学識経験者、各省の職員を加えましてそこでいまから練る問題でございますので、それをいまここで先生に具体的に、こういう数字に基づいてこういう計画だということをお話しできませんことは残念です。これは必ずりっぱな計画関係者で力を注いでつくっていくということでございます。
  63. 竹本孫一

    竹本委員 計画はりっぱなものをいまから練るんだ。まあそのとおりでしょう。しかし、この開発公庫は返還の日から金を出して事業活動を始めるわけでしょう。あるいは事業活動を助成していくわけでしょう。そうすると、その間に大きなギャップとでこぼこができやしないかと心配しますが、どうですか。   〔委員長退席、山下(元)委員長代理着席〕
  64. 岡部秀一

    岡部(秀)政府委員 その点は実は私たち、まあいままで援助計画もやっておりますし、それから琉球政府におきましても十カ年計画というのを立てておりますから、おそらく琉球政府沖繩県がこの計画を立ててくるのについては、いままでつくりましたその十カ年計画をどろ修正していくかという問題、大きく修正する問題点等もたくさんございますけれども、大体そのような資料、及び各省庁でそれぞれ本土の諸事業をやっており、沖繩の現状を見ておりますときに大体の目安というものはつくし、一年度において大体その見当をつけて予算等を要求しておりますような状況でございます。
  65. 竹本孫一

    竹本委員 ところが、その従来の計画、十カ年計画があると、こういうお話で、それらを基礎にしていろいろ、われわれが行ったときにもお話を聞いたんだけれども、それが非常にあやふやであるということをぼくは言っているわけですね。だからそれに沿ってこれからの計画は十分練っていくんだ、いまあるやつは従来のもので大体のものがあるから、それに沿って金を貸していこう、こういうような場合ですけれども、その従来の計画そのものにどれだけの科学的な総合性があるか、根拠があるかということについては、私はきょうは詳しく言いませんけれども、疑問がある。だからそういう問題を未解決にしておいて、そして一方のほうの事実は——もちろん金は貸していかなければ生活もできない人もおるわけです。事業も動きませんけれども、しかし基本的な、たとえば石油化学なら石油化学等の問題についても、あるいはレジャー産業のあり方等についても、それから農業の位置づけについても、私は、少し専門的に突っ込んで聞けば直ちに矛盾が暴露されるような話しか、簡単に申しますと向こうで聞かなかった。そういうものを基礎にして大体の計画があったんだからそれですべっていくんだ、こういうことになると、将来の沖繩の総合的な開発計画のために非常に遺憾な点ができるという点がありますので、これは警告をするということでとどめておきますけれども、大体の計画といったものがきわめてあやしげなものであるということを、論証はきょうはいたしませんでしたけれども、私は印象として持っておりますので、できるだけ早くりっぱな総合計画をつくってもらいたい。これはまた、いま言ったような非常に不確実、不可能な条件が多いという御苦労もわかりますけれども、何としてもそれを早くまとめて、その線に沿って沖繩開発をやらなければ、開発の事実のほうがどんどん先に行って、金をどんどん貸して、あとから総合計画でこれは失敗だったということになると、たいへん悔いを残しますので、御留意を願いたいということであります。  そこで、この法案に関連して少し伺いますが、政府関係金融機関、政策機関というものは、日本におきましてももちろん民間にいろいろ金融機関があるので、それについて大体補完をする、補って、足らざるところを全うしていくのだということが、政府金融機関、政策金融機関のあり方であるということが日本においては常識になっております。そのこと自体についてもわれわれは非常な疑問を持っておるのでございますが、この沖繩の場合にも、やはり補完を中心に「一般金融機関が行なう金融を補完し、又は奨励するとともに」ということが、この開発公庫にも書いてある、考えてあるように思いますが、私はそれはだめだと思うのです。というのは、日本の内地においてすらも、たとえば中小企業なんというものにいままでのような金融機関、政策機関が補完をするということでは問題が解決しないので、矛盾が拡大されておる。ことに沖繩のように原資的な蓄積はない非常な困難な条件の中において本土に返ってくる、そういう条件の中で一般金融機関しっかりやってみろ、足らないところだけわれわれが補いましょうといったような補完機能に役割りを限定するということでは、かりに総合開発計画ができて、それに応じて沖繩経済のレベルアップをしようというときに間に合わないと思うのです。この補完ということに非常にとらわれるわけですが、お考えはいかがですか。
  66. 砂田重民

    砂田政府委員 沖繩の将来の民間金融機関がどういう形に変革をしていくか、こういう問題をやはりひとつ、別のところに問題があるわけでありますけれども、少なくともこの公庫のスタートの時点におきましては、本土でいいますところの、先生がいま例にとられた中小企業金融などの九割を民間金融機関がこれをやって、あとの一割ぐらいを三機関が見ていく、こういう補完ということばでは、沖繩の場合は中小企業にいたしましても何にいたしましても回っていかない。金融公庫のスタートいたしますその時点では、補完ということばではあり得ない、むしろこの公庫が中核的な政策金融機関として沖繩のあらゆる産業金融を主管的に見ていく、こういうふうな立場をとることに相なると思います。
  67. 竹本孫一

    竹本委員 たいへん前向きな御答弁のようでございますが、ぜひひとつこれは内地と違うわけですから、条件も違うわけですから、単なる補完という従来の考えを延長しただけでは沖繩の問題は解決しないということをひとつはっきりさして御努力を願いたいと思います。  それに関連して、今度の開発公庫資本金の問題にも先ほど御議論もあったようですけれども、いままである開発金融公社とか大衆金融公庫の有する権利、義務を承継する、そして大体資本金ができるということのようですけれども、それは一体どれぐらいの金額になるのかということが一つ、それから「予算で定める金額の範囲内において、公庫に追加して出資することができる。」というのだけれども、それは本年、来年、どういうことを考えられるつもりであるかということを聞きたい。
  68. 砂田重民

    砂田政府委員 先ほどお答えをいたしましたが、引き継ぎます資本金とみなされる額というものは、琉球開発金融公社大衆金融公庫、それから琉政の五つの特別会計、これの純資産でございます。一九七一会計年度、したがって、ことしの六月におきましては、これの総計は、琉球政府出資金が五十六億円、民政府出資金が九十七億円、積み立て金が九十九億円ございまして、この合計から欠損金の三億八千万円を引きました二百四十八億円が承継をするべき、また資本金となるべき数字でございます。四月一日を復帰といたしますと、これに大体十億前後さらに上のせされるだろうと考えております。それから四十七年度の本土政府出資を、私どもといたしましては百五十億要求をいたしております。予算編成の段階でこれは決定をされていくことでございます。それから財投からの借り入れを三百九十億要求をいたしております。六百五億の融資を四十七年度にやりたいと考えておりますので、いろいろな私どもが構想として持っております融資条件に当てはめて考えてまいりますと、九億ばかり不足をいたすわけでございますから、ただいまの百五十億の出資、三百九十億の借り入れのほかに九億の補給金を要求をいたしております。
  69. 竹本孫一

    竹本委員 大体わかりましたけれども、問題は、はたしてそれで沖繩県民の要請にいわゆる十二分にこたえ得るかどうかという問題でございますが、もう時間が私、予定がございますから、今後の御努力を期待するということでやめておきたいと思いますが、問題はそれらの融資の条件ですね、業務方法書の中に書かれることだろうと思いますが、業務方法書に書かなければならぬことになっておるが、その利率、償還期限、据え置き期間といったようなもの、それから貸し付け金額の限度、償還の方法、担保といったような問題、総じて沖繩における公庫融資の条件というものは、沖繩特殊事情にかんがみてどの程度の特別な考慮をされるのであるか、またその特別な考慮は何年間くらいされるつもりであるか、この点をひとつ……。
  70. 砂田重民

    砂田政府委員 本土の各公庫融資条件、沖繩でただいま行なわれております各種金融融資条件、こういうものを検討をいたしまして、大体において沖繩の金利のほうが安うございます。そこで、本土にあります今回この金融公庫に一緒になります各公庫、この融資条件から、沖繩で行なわれております現行の融資条件に合わせていきたい、このように考えておりますが、こまかい数字につきましては、事務当局のほうからお答えをいたしたいと思います。
  71. 岡田純夫

    岡田(純)政府委員 それでは、現在の大蔵省に要求しております考え方でございますが、考え方の基本は、いま副長官の言われましたとおりですので、そういう前提に立って、どういうような要望をいたしておるかということを代表的な点について申し上げたいと思いますが、産業開発資金的なものにつきましては、現行沖繩で七分五厘でやっております。それから貸し付け期間は現地では十年ないし十五年となっております。したがいまして、新公庫でも七分五厘、もっともこれは標準金利につきましてでございますが、それからなお、本土貸し付け期間はより長いものもございますので、そのより長い線に合わせまして、十年ないし二十五年という、ものによりますけれども、そういうところでいま要請いたしておる、こういうことでございます。  いま一つの住宅資金につきましては、現地では住宅特会が五分五厘で融資いたしております。本土のほうも住宅問題非常にございますので、ものによりますが、個人住宅で五分その他五分ないし六分五厘という見当で現在大蔵省と折衝しておるということでございます。なお御質問がありますれば……。大体そういう考え方をもって、現地本土と両方勘案いたしまして、最も有利なように配慮いたしておるわけでございます。
  72. 竹本孫一

    竹本委員 融資の問題はあとでいろいろ御議論も出ることと思いますので、最後にもう一つだけ、宅地債券を発行するということの構想があるようですけれども、それはどういうお考えか、ひとつ構想のあらましをお話し願いたい。
  73. 岡部秀一

    岡部(秀)政府委員 これは規定にそう書いてありますけれども、今後の問題で、すぐにこれを発行するということをしないで、今後の状況等を見合わせてやっていきたいと思っております。
  74. 竹本孫一

    竹本委員 終わります。
  75. 山下元利

    ○山下(元)委員長代理 藤井勝志君。
  76. 藤井勝志

    ○藤井委員 竹本委員から問題の指摘がございまして、私は関連をいたしまして一、二点お尋ねをいたしますが、このたび沖繩振興開発金融公庫法案が初めてこの大蔵委員会審議されることになりました。時間的に非常に短い日程において結論を出さなければならぬ、このように思うわけでございます。したがって私は、この公庫は非常に地元の要請にこたえ、いわゆる政策金融機関を一元化して強力な産業開発をやろう、こういうことでスタートしたことは、先般長官から趣旨説明をお聞きしたとおりでございます。したがいまして、私も実は現地に行きまして、本土並みというのだから、各機関が別々に地元へ行く、商工中金なり国民金融公庫なりいろいろ行くのだというふうに地元には思われているのではないかと感じておったところ、そうではなくて一本化したい。これはやはり先ほど総理府の副長官もお話がございましたが、沖繩産業基盤といろのは非常におくれておる、こういう特殊事情を踏まえて、そういう地元からの提案があって、このような公庫が発足をした、こういうふうに理解するわけでございまして、沖繩の立地によって特殊性があるという、産業基盤がきわめて未整備であるということは、それだけ産業方面からいうと原価が高くなるということに当然なりましょうし、沖繩は風土的には台風常襲地帯で、同じ建物を建てても元がかかるということは常識的に理解できる。しかも本土と一体化で、本土から原料も送り、できた製品は本土へも送り海外へも出すということで、将来産業面、経済面を中心考えると、やはりこの際よほど思い切った公庫業務内容といいますか、貸し付け内容というものが実行されなければ、まさに画龍点睛を欠き、それこそ羊頭狗肉ということになるのではないかという心配をいたしますから、私は、この二十二条、先ほど質問がございました業務方法書ですね、この問題を中心にお尋ねをいたします。  この問題に関連して、長官からの先般の趣旨説明でございますが、この業務方法書で貸し付け条件は定める。「その条件の設定にあたっては、沖繩の現行の貸し付け条件及び本土公庫の条件を勘案し、沖繩産業経済の発展をはかるため、でき得る限り有利な貸し付け条件を設定することにいたしたいと考えております。」こういう表現でありますが、私、ちょっと気がかりなのは「本土公庫の条件を勘案し、」というこの辺で足を引っぱられてはいけないということを非常に心配する。大蔵省はやはり金利体系ということをよくいわれる。そのこと自体、私は決して否定するものではない。しかし、沖繩産業基盤の特殊性という問題、いろいろな経済条件の特殊性、立ちおくれ、こういうものを考えた時分に、大蔵省がいわゆる従来の発想を前提にして、本土公庫の金利体系との調整ということに重点を置くと、結局せっかくつくっても利用できない開発公庫になってしまっては困る、こういうふうに私は非常に心配をいたすわけでございます。このような説明は、「本土公庫の条件を勘案し、」ということは、一応常識的にはわかるけれども、やはり五年とか十年とか経過措置をもって、税制の場合も経過措置でやっておるわけですから、経過措置をもって、私は本土と条件をそろえるということがあってしかるべきであって、初めから本土融資条件に足を引っぱられて、公庫融資条件が現地が利用できないようなことになってはならぬと深く私はこれを心配する。  そこで、これは総理府のほうの立場と同時に、きょうは大蔵省の諸君も来ておられるが、一つ私は具体的に問題にぶつかっているのです。これは通産省のほうから聞いているその問題もありますから、時あたかも四十七年度予算編成中でありますし、先ほど副長官のほうから具体的な数字が出て、出資百五十億、財投三百九十億、補給金九億、こういう具体的な線が出ております。これがある程度きちんとしなければ業務方法書でいろいろなことをいったって、それこそ仏つくって魂入れずということになるわけなんです。私は一番この公庫発足にあたって業務方法書の中身と、これを裏づける出資財投というものが中心でなければならぬとこう思うわけでございますから、これに対してまず総理府のほうから、それから大蔵省関係の諸君からひとつ私の意のあるところを御理解いただいて御答弁願いたい、こう思います。
  77. 砂田重民

    砂田政府委員 先ほどもお答えをいたしました数字で大蔵へ要求をいたしておりますということを申し上げたわけでありますけれども沖繩県方々におかけをしてきた苦難、これに報いるというのが政府の基本的な姿勢でございます。それだけに沖繩県民生活を高めるその基盤になりますところの産業経済の発展のために、そういう心持ちで私どもはこの要求をしたわけでございます。大蔵当局と申しますか、財政当局もそういう理解をしておられることを私どもといたしましては期待をしておるところでございます。
  78. 松川道哉

    ○松川説明員 ただいま業務方法書の具体的な内容についての御質問でございますが、この点は藤井先生よく御案内のとおり、ただいま予算の折衝中でございますので、具体的にどうなるかということは御説明する段階には至ってないのでございますが、全体を通ずる考え方で、本土にも金利体系があるから、それでむちゃくちゃに引っぱるな、先生の御発言の趣旨がもしそういうことでございますれば、私ども沖繩の地理的な特殊性、経済的な特殊性、その他は十分理解しておるつもりでございます。したがいまして、その点は可能な限りの調整はしていきたい。ただ、可能な限りというのが、沖繩で現在行なわれております金利をそのままこちらが引き継ぐかということになりますと、やはりその点は本土の各公庫を通じまして、一応の金利体系というのがございますから、これを勘案しながら調整はしていかなければならないだろう、このように考えております。
  79. 加藤隆司

    ○加藤説明員 ただいま銀行局のほうから御答弁がございましたが、何せ予算の編成作業をやっておりますので、どうも歯切れが悪くなりますが、一つは内地におきます政府関係機関出資金の問題でございますが、たとえば開発銀行二千数百億になっておりますが、人口でみますと沖繩が大体一先ぐらい、開発銀行は全国でやっておりますので、これについてみますと、大体二百九億ぐらいになりますか、先ほど対策庁のほうからお話がございましたが、一公社、一公庫、四特別会計を合わせますと、沖繩公庫が大体二百五十億ぐらいになるわけでございます。こういうような、一つの県に公庫をつくるわけでございますが、政府関係機関である以上、やはりバランスがあろうかと思うわけです。もちろん沖繩の地域格差の問題、それから戦後非常に御苦労され、急速に本土生活水準まで追いつかなければいかぬという問題、こういう問題がございますので、いたずらにバランスを議論するわけにはまいりませんし、できるだけのことはしなければいかぬと思いますが、そういうような問題が一つまずあろうかと思います。その次には、貸し付け規模にもかかわってぐるわけでございますが、金融機関である以上、経費の収支計算と申しますか、利回り計算と申しますか、そういう角度からの計算もやる必要があるのではなかろうか。沖繩に対する政府のいろいろな姿勢というような問題、それから政府関係機関としてのバランスというような問題、それからいま個々の金融機関としての収支の問題、そういうようないろいろな観点から出資金の百五十億要求を受けておりますが、要るのか、要らないのか、要るとすればどうなるのか、いろんな観点から検討中でございます。歯切れが悪うございますが、何せ予算編成中でございますので、こういう程度でお許しをいただきたいと思います。
  80. 藤井勝志

    ○藤井委員 松川審議官、加藤主計官の御答弁、お立場上、また現在の時点では私はまあやむを得ないとは思うのです。ただ、姿勢について、もうちょっとお尋ねといいますか、念を押しておきたいと思うのですけれども、私は具体的な例というのをちょっと申し上げますが、アルミ精錬事業が出ようというので、操業開始は四十九年の四月ですか、朝日新聞で私は見たんです、もう相当前ですがね。これは沖繩産業開発の中の基幹産業として私の知っておる範囲では最初のケースではないか。石油精製なんか一時あったけれども、これは別として、基幹産業らしき産業としてはアルミあたりが目玉商品ではないかというふうに思っていたわけです。それが聞くところによる、総理府あるいは通産省、所管大臣レベルでは、進出企業に対して、融資条件においては特別な計らいをするという話で事が進んでおったところが、具体的にいよいよ話が詰まって、どういう融資条件でいこうかということになって、幾ら沖繩のためといっても社会福祉事業ではないですから、やはりそうはいかぬということでいま停滞をしておる。それで金利四%の、融資比率八〇ですか、この辺はまた通産の間をとって融資比率はもう少し下げるとか、多少はいろいろ間へ役所も入っているというようなことを聞くのです。ここら辺について、やはり私は弾力運営といいますか、いま加藤主計官が言われたように、頭割りにして、全体の資金量からいうと、開発銀行とかそういったことのバランス論とかいうようなこともありますよ。しかし私は、税制において経過措置で特別な扱いをしたごとく、まあ五年ないし十年、そうしてそう一ぺんに全部が押し寄せるわけじゃございませんから、ケース・バイ・ケース、具体的に特殊事情考えて、沖繩には総理府が窓口として直接掌握されているのですから、総理府、それから通産関係なら通産省ですね、こういったところと相談をしながら個々のケースにおいて便宜をはかろう、業務方法書はひとつ弾力的な運営ができるような中身をやっていく、こういう配慮があってしかるべきだと私は思うのです。これは決して全部体勢をくずすという意味ではなくて、そうして五年先か十年先には本土並みになる、こういったことに持っていくためにはやはりそのような配慮が必要ではないか、こう思うのですが、何ぼこうやろうという答えはしにくいにしても、そういう配慮は検討の価値があるかないか、これは大蔵省側からひとつお答えを願いたい。
  81. 松川道哉

    ○松川説明員 個別、具体のケースになりますと、私ども非常に答弁、御説明はいたしにくいわけでございますが、たとえばいま御指摘のようなケースにつきましても、一体その原因が現在の非鉄の市況が悪いからそのせいでペイしないのか、その他いろいろな原因があろうかと思います。そういたしますと、国といたしましてそこに何らかの施策を誘導するということでございます。金利、これは政府関係の特別な金融機関における金利でやるのがいいのか、そのほかの特別な手だてがあるのか、その点もいろいろ検討しなければいけないのではなかろうかと思います。  そこで、業務方法書自体に弾力性を持たせるという考え方でございますが、私どもの立場から申しますと、場合によりましては弾力性があることが、いろいろ政府関係金融機関業務を行なう上につきましてかえって不公平を招いたりその他不都合なことも起こり得るのではないかという感じを一般論としては持っております。そこで、ただいまのケースが救えるように弾力的にかけるかということになりますと、現在の段階では、私、ざっくばらんに申し上げましてむずかしいのではなかろうかという気がいたしております。ただいま先生の御指摘の四%という金利でございますが、私どもこの沖繩公庫の金利その他につきましては、経済の実態を見ながら、いたずらに本土の対応する金融機関の金利水準その他にとらわれることなく考えますとは申し上げましたが、本土でこのケースがかりにあったとすれば、おそらく開発銀行の一般の金利八・二%になろうか、これは私、ただいま伺いましたので厳密なチェックはいたしておりませんが、そのような印象を持つわけでございます。そこで八・二%ということでやっております種類のものを沖繩の場合にどこまで下げられるか。御指摘のように四%までいけるかということになりますと、どうも私ども金融行政全体を見ております立場からは、少し低過ぎて全体のバランスをあまりにも失するのじゃなかろうか、こういう疑念を持つ次第でございます。
  82. 藤井勝志

    ○藤井委員 もうこの程度で私の質問を終わらせていただきますが、私が業務方法書を非常に注意したいというのは、輸出入銀行の場合、具体的な問題にぶつかりまして、当委員会においていろいろ質問をしてある程度前進をした、これは業務方法書が七割まで融資できるというのに実際の運営は三割くらいしか協調融資できてないということで、海外資源開発に非常に支障を来たしておったのですね。これは業務方法書の運営ですけれども、私は、ここにせっかく公庫をつくるならばほんとうに現地産業が伸びていくようなこういう配慮はしておかないと、まさに仏をつくって魂を入れない結果になる。まあなるほど全体的に大蔵省は各機関が総合されておりますから、そう簡単に踏み切れないということはありましょうけれども業務方法書の運用についてはひとつ十分弾力的な運用のできるような業務方法書をつくってほしい。こういうことを特に、まあ総理府が窓口になっておられますから総理府と関係機関がよく話し合いをつけていただく。これはいつごろまでに上げられるかなんですが、まあ私は与党の立場から言えば、出された法案は一刻も早く御審議願ってこの成立を急がなければならぬということに当然基本的なかまえを持っております。持っておりますけれども、この中身がいいかげんなことでは、かえってそれこそ過当宣伝、過当広告ということのそしりを免れない、こう思いますから、この点はひとつ重々、関係の皆さん方いい知恵をしぼっていただきたい、このようにお願いをして、私の質問を終わります。
  83. 堀昌雄

    ○堀委員 ちょっと議事進行について発言。  私、この委員会にさっき途中からちょっと来たわけですけれども、ずっとこういう状態で実際審議が行なわれているわけですね。重大だと思うのです、実は。最初のときはいたのでしょう。しかし、私が入って来たのは十時五十分ですよ。そういうように、わがほうもよくないけれども、全体が非常にふまじめだと思うのですね。ついては、これは重要な関係法案でありますから、あと審議については、私どもも安定を守るために努力をいたしますが、途中で消えるようなことがないようにひとつ要望させていただきます。
  84. 山下元利

    ○山下(元)委員長代理 委員長において善処いたします。  午後三時より再開することといたし、この際暫時休憩いたします。    午後零時二十七分休憩      ————◇—————    午後四時二十六分開議
  85. 齋藤邦吉

    齋藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  沖繩振興開発金融公庫法案に対する質疑を続行いたします。広瀬秀吉君。
  86. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 だいぶ時間がおくれましたけれども沖繩振興開発金融公庫法案に関連して、若干質問をいたしたいと思います。  沖繩振興開発という文字がこの金融公庫にも冠せられておるわけですが、沖繩振興開発というものが、まだ復帰が行なわれていない、来年の四月になるのか七月になるのかもはっきりしてない、こういうようなところから新全総なりあるいは新経済社会発展計画というような中には取り込まれていない。そうなりました場合にこの沖繩振興開発計画というようなものは、この金融公庫法もそういう大きな振興開発計画金融部門を担当するものの一つだと思うのですが、そういう振興開発におけるマスタープラン、こういうようなものが新全総あるいは新経済社会発展計画、こういうようなものとの関連において一体どういうようにとらえられるべき問題であるのか、この点まず長官にお伺いいたしたい。
  87. 山中貞則

    ○山中国務大臣 沖繩は、新全総の中の一ブロックとしてこれを位置づけるということをすでに閣議決定をいたしておりまして、経企庁においてその作業が順調に進んでおります。なお、新経済社会発展計画のほうは若干作業の時間を要すると思いますが、いずれにしてもそれらのものは当然長期展望の中に、それが前提となって開発計画が組まれ、そしてその裏づけとしての本公庫法案の成立後の融資というものがそれぞれの対象について適正かつ有効に働くように組み込まれておるものであります。
  88. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 そうしますと、沖繩を新全総の一ブロックとして開発計画を立てる、こういうことになっているわけでありますが、そこでその際、これは沖繩でつくったものだと思いますが、長期経済開発計画、これは要約版ですけれども、経済開発審議会の答申、これは七〇年の七月に出ておるわけでありますが、これと、いま経企庁でやっている作業との関連というのはどういうことになりますか。これを相当取り入れている、これがやはり計画の土台になる、こういうような関係にあるのか、全く新しい立場で作業を進めておられるのか、その関連がどうなっておるのか、お聞きしたい。
  89. 山中貞則

    ○山中国務大臣 新全総としてのとらえ方は、そういうような、琉球政府でつくりましたような計画、そういうものぴったりの新全総となることは、性格は少し違うと思うのです。しかしながら、その作業に当たりました企画局の職員の諸君と私もひざを交えて、その苦心談あるいは純粋な作業の努力というものもよくわかっております。しかしながら、食い違う点がいろいろありまして、たとえばこれから計画を策定いたします場合の十カ年計画とのそこですけれども、その点についてはまずスタートの年次が本年度になっている。復帰前の年次が初年度になっている点がまず一つ違うわけであります。それから大前提としての十年後において、沖繩における基地はなくなる、基地収入というものがほとんどないということを前提にしておりますから、そこらのところは私たちもそう希望はいたしますけれども、実際上の計画を作成するにあたっては十分念頭に置いてやるものの、そこらの基本的な前提の若干の違いがありますから、まず年次の違いは来年度予算をもって沖繩の新しい振興開発計画初年度として耐え得る内容のものを組まなければならない。これは一般会計の予算にしても、この金融公庫予算にしてもしかりだと思うのでありますが、そういうつもりではやりますし、その計画は尊重してまいりたいと思います。
  90. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 たとえば国民所得、一九八〇年度において本土の場合には一人当たる国民所得で四十四年度価額で二千四百十六ドル、こういうのが出ておるわけですね。沖繩の八〇年度におきましては二千四百九十二ドルとむしろ本土を上回る、こういうような計画が出ているわけですね。一人当たり国民所得というのは、やはり経済のレベルアップの問題が集約されてこういうところに出ると思うのでありますが、こういうめどというものを立てておられるのか、こういうものは今度の経企庁が計画策定をされるに当たってどの程度に置いておられるのか、本土と同じ水準なのか、あるいは沖繩の経済開発審議会が出されたようなこういうものとどういうことになりますか、その辺のところを、言うならば振興開発と銘を打ってこれから振興開発計画に従っていろんな施策が行なわれる、そのまた一つの柱として金融を充実さしていこう、こういう関係に立つと思うのでありますが、その点で振興開発の行き着くところ、到着目標というものをどういうところに置かれておるのか、この点を明らかにしていただきたい。
  91. 山中貞則

    ○山中国務大臣 実務は経企庁でやっておりますので、そこまでの答弁をいま即刻はできませんが、先ほど申し上げましたほかに、沖繩県の十年後に保有するであろう人口、これもやや最近本土流出状況等見ますと、一九七〇年ではすでに一万一千名近くの者が本土流出をしておる。しかもこれが中高年齢層ではなくて、大体中学校、高校卒の今後の沖繩経済振興の旗じるしをになう働き手の諸君が中心であるということは私の一番心痛いたしておるところでありまして、ことしの実施いたしました国勢調査の人口についてももう少しふえているつもりで私もおりましたし、琉球政府もおったのでありますけれども、九十四万五千百十一名というやや意外な感じの伸び率の鈍化を示しております。これらの点を考えますと、沖繩県内において魅力ある産業なり就労の場所なりそういう所得向上の場所を提供しなければならないし、流出を食いとめなければならないということが一つの政策目標でここに登場してくると思うのです。琉球政府想定いたしております長期計画の中の国民所得としての県民所得、そういうものの到達目標、これは私どももそういうあるべき理想というものは当然念頭に置いて、豊かで平和な沖繩というものを考えていかなければならぬと思いますが、いまここで琉球政府考えている十年後の県民所得と本土想定さるべき国民所得との対比というものについて、いま少し明確にできないものかと思うのでございます。
  92. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 もうひとつ明確にできないものがあるということでありますが、いま山中長官といえば、沖繩問題では政府内においても特に沖繩県民に対する深い愛情と高い見識を持って今日まで非常に努力をされてきた人だということは、まさに自他ともに認めるところであろうと思うのです。私どもも実はそう思っているのです。その長官の気持ちとして、十年先ということなんですが、十年間で——まあ長い米国の施政権下に苦しんできて国の援助というものも受くることまことに微々たるものであった。そういう異民族支配の中での芳労というものができるだけ早い機会に埋め合わされ、不利益がカバーされ、ブランクを埋めて、発展開発が軌道に乗って、その成果が本土並みになる。そして文字どおり平和で豊かな沖繩になる目標年次というものに少なくとも十年ぐらいは、どんなにやってもいろいろな問題があるから、そのくらいの日時は要するだろうと思いますが、この十年間で先ほども申し上げたように沖繩県民所得というものをいわゆる土本の一人当たり国民所得の平均値くらいのところまで行かせたいというような具体的な到達目標というものがあっていいと思うのです。一人当たり国民所得だけにこだわるわけではありません。たとえば産業構造のバランスを変えていく問題もあるでしょうし、社会資本の公的な固定資産形成、そういうものを充実させていくということもありましょうし、いろいろな問題点があると思いますが、そういう問題点について、本土の平均の数字、人口規模、特に過疎の、いわば後進県と申しますかあるいは過疎県、財政の非常に困難な県、こういうもの程度のことなのか、その辺のところはどういうところに目標設定されるのか、率直なところをお伺いしておきたいと思います。
  93. 山中貞則

    ○山中国務大臣 これは私ども本土類似県と言う場合に、よく宮崎とか、いろいろ人口とか産業形態が似たところとか財政力規模とかというものを例にとって類似県と言いますが、交付税その他の議論のときにはそういう議論もよかろうと思うのです。しかしながら、本土の類似県同様の程度目標沖繩設定することは、私ども本土として酷に過ぎるのであって、私はあえて振興開発法の第一章にも格差ということばを使わなかったのですが、ということは、沖繩が持っておる有利性というものを引き出すことがぜひとも必要だ、そして沖繩県に対する私どもの長年の償いというものを果たして、単に本土との格差を埋めるという考え方でなく、本土との格差を埋めるのは当然のことなんだ、むしろそれよりも沖繩県が持っている、すなわち南のほうは緯度において台湾の中部に位置するくらい長い弓状の列島の持つ価値というもの、本土の全体にも貢献し得るだけのりっぱな価値を持っており、そして亜熱帯の気候、風土というものをうまく利用することによって、本土の今日の大消費市場を相手にした沖繩県ということ等を考えますと、沖繩の未来というものは、単に本土の類似県としばしばいわれているような形の県と比べてはいかぬ。非常に有望な未来を持つ県である。それをどのように設計書で描いていくかということが非常に問題であろうと思うのです。私にとって一番の重大な前提は、過疎と貧困の島におとしいれてはならないということだと思うのです。沖繩の軍事基地の巨大なること、それに伴って基地関係の直接、間接の沖繩経済に貢献する度合いが七〇%をこえておるという、この異常な事態を平和経済の中に切りかえていく、このことがはたしてうまくいくのかいかないのか。もし施政権という壁が今日までなかったと考えたら、はたして沖繩は鹿児島とか宮崎とかその他の近い県が示しておるような年率二%、五年で一〇%以上の人口流出を遂げていた県であったのかなかったのか。私は非常に危険性があったと思います。現に沖繩の中の市町村のこまかな人口分布を見ますと、その過疎状態におちいりつつあるところは沖繩の中でもやはり明確にあらわれつつあります。本土の過疎法を適用しても、すでにはるかにオーバーして流出率二十数%というようなところもありますし、三十何%に達しているところもあります。こういうことを考えますと、これはよほどの施策を講じなければ本土への流出、同時にそれが過疎県、そうしていかなる計画を立ててみても、働き人口のいない、結局は夢の計画に終わって、地場産業というものを通じて、そして自分たちの豊かな生活へ貢献し得ない沖繩県になるおそれがある。全県離島でありますだけにその点はもっと慎重に配慮をおっしゃるとおりしなければならないと思います。
  94. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 そこで、この沖繩振興開発ということになりますと、先ほどから長官もお触れになっておるように、基地の態様が一体どうなるのか、ほんとうに十年先には米軍基地のない沖繩にするということを前提にして開発計画のマスタープランも立てようとされておるようでありますが、この見通しについて、そしてまた現実的な可能性についてどのように考えられておるのか。十年たってまた基地があったために——どもことしの六月の末から七月にかけて、これはごく短い期間で、沖繩本島だけでしたけれども実際に見てまいりました。あの広大な米軍基地、あれをそのままにしておいていかなる机上プラン、デスクプランを立てたところで、あの問題が解決しない限り本格的な開発計画というものは何としても成り立たぬのじゃないかという印象を非常に強く受けてきたわけであります。たとえば中心都市である那覇等につきましても、あそこの軍用地、広大なしかも非常にいい、工業立地においてもあるいは市民住宅についてもまことに適地と思われるところが、広大な面積が米軍に占有されている。こういうようなことを考えると、どうしても基地問題というものにぶつからざるを得ない。おそらく、いま山中長官も一番頭の痛い問題であると言われましたけれども、この問題についてやはりかなり年次的に基地の縮小、そしてそれが振興開発計画の中に組み込まれて、その土地が、米軍基地が有効に生かされていくというようなものがなければしっかりしたものは成り立たない。片ちんばのままで片ちんばを一そう拡大するような形というものが開発の中に出てくるのではないか、いびつな開発というものが行なわれるのではないかということが非常に心配なんです。これについての見通し、また政府の努力というものについての特段のお考えがなければならぬと思うわけですが、その点についてどのように努力をされていかれるのか、この点を基本的な問題としてお聞きをいたしたいと思います。
  95. 山中貞則

    ○山中国務大臣 ちょっと誤解が一つあるようですが、私どもがつくる計画の中では、十年後には沖繩に基地が一つもないということは実は困難であると思っております。むしろ琉球政府のつくっておる計画についてそうであるということを申しただけであります。ということは、これはやむを得ないことでありますけれども、やはり私どもは日米安保条約というものを結んでおりますから、したがって、それがいつまで続くかは別であります。これはうちの政権の運命もわからないわけですけれども、要するに、いまの体制で考えれば私どもはやはり沖繩に米軍基地が全く存在しない状態というものを前提に作業をすることはきわめて困難であると考えます。この主張の相違はこれは党の違いでありますから、このことは議論はいたしませんが、しかしながら、それにしても沖繩本島の中南部における基地の密度というものはこれは何とかしなければ、たとえば復帰後県庁所在地になる那覇市の都市計画、これは全く都市計画というものはなくて、ただ人口がふえ続けていって家ができて住んでいるというだけに極言すればすぎない。そのときに牧港住宅街、上え屋一帯の、那覇市にとってはほんとうに広い土地というものが米軍基地である。これについてはもう当然これは私としても返還交渉の間に牧港住宅街に手をつけられないようなことではだめだ、とても県庁はあのままの姿では置けない。飛行場からおりて道路を走れば、すぐ右側にだれでもがびっくりするような、緑の芝生にレイアウトされた米軍宿舎が見えるわけですから、こういうところは努力いたしまして、その結果、たとえばA表を引っぱってきたB表の注に牧港住宅街というものが定められました。これによって私は非常に促進されると思います。  また、港湾施設についても、安謝新港を鋭意つくっておりますけれども、しかし米軍がいま使っておる南岸の軍用港というものが、あれが全部沖繩県の経済港としての機能を果たしたならばという気持ちも持っておりますし、また本島の縦貫、私どもは道路と思っておりますが、鉄道の御要望もございます。それをつくるにしても、那覇市から石川市までは設計ができ、都市計画も着工ができます。しかし石川市から名護まで行こうとすると、この軍用地の問題を解決しない限りは、いまの東海岸か西海岸、これは復帰後は国道になりますけれども、そこに合流しなければならない、そこではまたたいへんな混雑が起こるという、縦貫道路の価値をなさないものになってしまうおそれがあります。幸か不幸か縦貫道路というものは一年でできるものではありませんので、これは逐次石川市から少なくとも名護までは中央を縦断するような道路ができるように努力しなければなりません。そういうときに、嘉手納基地は申すに及ばず、そこら周辺の基地の存在を考えますと、やはり民生安定あるいは社会資本の形成、そういうものと道路、港湾等を展望いたしますと、基地の存在は私がこれから責任をもってつくらなければならない沖繩の未来図に大きな障壁になっておる。このことはもう認めざるを得ないことでありますし、やはりこれに向かっては、国会の基地の整理縮小につとめろという決議を受けて、総理も外交折衝を復帰を待たずして展開する、こう言っておりますので、逐次その成果があらわれてくるものと私は心証を持っておる次第であります。
  96. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 その点は一番大事な点でありますので、その点、これは長官も永久に沖繩担当の総務長官というわけにはいかぬわけですから、十分ひとついまのうちから手を打って、はっきりした姿勢を、国会の決議もあることですから、米軍基地の縮小の方向というものをしっかりやっていただきたい、このことだけ要望いたしておきます。  それから、この法律開発金融公庫ができる。午前中ちょっと事務当局からお伺いしたわけでありますが、資本金琉球政府出資分、民政府出資分、それから積み立て金、こういうようなことで、結局二つの金融機関と五つの特別会計、こういうものの純資産を承継し、これが出資金になるということでありますが、大体二百四十八億、それに十億ぐらいふえるということで二百五十八億、こういうことになり、また本土政府としては総理府から大蔵省にいま百五十億の出資金を要請しておる、こういうことでありますが、本土政府出資分百五十億は大蔵省との間にこれが予算折衝で削られるとかどうかということなのか、あるいはこれは満額もうだいじょうぶだ、こういう段階まで来ておるのか、この点を……。
  97. 山中貞則

    ○山中国務大臣 これはできれば予算編成前に金額も定めておければ、沖繩国会に臨む政府の姿勢としてたいへん理想的だったし、そうなければならなかったとも思います。しかしながら、やはり大蔵としては、来年度の予算編成というものは、経済見通しその他を勘案しながら、本年度だけで法人税三千億も穴があくというような状態で来年に進んでいくわけでありますから、やはり景気見通しもむずかしいし、それらの点で沖繩国会に臨むにあたって、私もできればその金額まで合意しておきたかったのでありますが、やはり大蔵としては予算編成権を持つ立場上、その金額について完全にオーケーということを言っているわけではありませんが、私どもが個々に先ほどあげられましたような資金のワクをそれぞれ設定しております。そのために国が出資すべきもの、あるいはまた借り入れ金に依存し運用に資するもの、いろいろ計画しておりますことがくずれますと、やはり沖繩の新しい振興開発の裏づけであるいろいろな融資その他に支障を生じますので、私としては全力をあげてこの要求の金額あるいはまた融資の金利あるいはまた償還期限その他を含む条件、こういうものを私、全力をあげて大蔵の理解を得るために努力をしたいと存じます。
  98. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 午前中どういう面にどのくらいの資金を配分するのかということをお聞きをしたわけですが、その計画からいってもこれはもう最小限度の計画であろう、こういうように思うわけであって、百五十億の出資というのは、これはもう私どもも議会の立場として大蔵省にも働きかけをやって、長官とともどもにこの獲得のためには努力をする決意でありまするけれども、ひとつこの百五十億の満額獲得のために、これはがんばっていただくように激励を申し上げておきたいと思うわけであります。  そこで、この出資金の中で、本土政府が百五十億かりに持つということが確定をした、あるいは琉球政府の五十六億ですか、これもまずコストのかからぬ出資金と見ていいわけでありますが、民政府の九十七億、これはいわゆる見返り資金からの出資ということになるんだろうと思うのですが、そのほか積み立て金の九十九億というようなものがあるわけでありますが、いわゆるコストのかからぬ出資金というものはそういうものなのか。そして総体で大体合わせれば約四百十億ぐらいの出資金になるわけですけれども、そのうち全くコストのかからぬ部分というのは一体どのくらいなのか、コストのかかるものはどういうことでどのくらいのコストがかかるのが入っておるのか、その点事務当局でけっこうですから……。
  99. 岡田純夫

    岡田(純)政府委員 ただいま御指摘の引き継ぎ資産、先ほど午前中砂田長官から御答弁されたものについてと思いますけれども、それについては、そのまま全額承継資産として創設時の資本金になります。したがいまして、コストはかからないわけでございます。それに百五十億の一般会計からの出資、もちろんこれも御承知のとおりコストはかかりません。したがいまして、その両方のものはコストがかからないわけでございます。ただ、借り入れ金、融資に対しまして当然のこととして借り入れ金がございますが、これにつきましては、政府資金のレートはかかります。
  100. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 いわゆる出資金分は全くコストがかからぬということでありますが、国内における国民金融公庫等におきましても、やはり貸し付け条件を改善をするためには常に国の出資金分をふやしなさい、コストのかからぬ資金量をふやせということをわれわれこの委員会でずっとやってきておるわけでありますが、この部分の、これはまあ将来の問題にもなるかと思いますが、とりあえずこれで発足をする。四百十億程度のものになろうかと思うのですが、そういうことで、少なくともその部分については全くコストはかからぬということでありますが、財投資金関係を二百億ぐらい入れよう、こういうことでありますから、合わせて大体六百億ぐらいがいわゆる資金量ということになるわけでありますが、貸し付け条件でこの初年度からいわゆる採算というものはどういう見込みになっておりますか。ペイするのかしないのか、この辺のところを……。
  101. 山中貞則

    ○山中国務大臣 これはお手元にも大体資料を配っているかと思いますが、いずれ質疑応答で明らかにしていくことになりましょうが、沖繩については考え方として、現在沖繩でとられている資金その他は非常に貧弱なんですけれども貸し付け条件の金利その他について本土では考えられない低いもの等もありますし、中には米資金でくり舟等については二分五厘なんという低いものもあります。こういうものもそのまま置きますし、本土のほうでいろいろな政策金融で安くしてあるものは、全部沖繩にそのまま適用するという姿勢はとっておりますから、当然そこにはおっしゃるとおり運用の赤字が出てくる可能性がなければならぬわけであります。したがって、その点については、百五十億のほかに赤字が出ないように九億を別途要求いたしておりますから、これは正確には百五十九億ということにお考えいただいてよろしいと考えます。
  102. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 長官、この貸し付け条件ですね。確かに私ども調べてみますと、沖繩の現行制度でそれと同様な、本土における貸し付け条件、特に金利あるいは償還期限、こういうようなもので非常に沖繩のほうが有利であるという面が非常に多いわけであります。それは全部とにかく沖繩の現行の、たとえば住宅融資につきましても五・五%、これ一本しかないわけですね。国内の場合にはそれ以上の六・五%ぐらいのものはありますけれども、こういうことになっておる。しかも貸し付け期間は十八年から七十年というような、まあ最近沖繩の民家もコンクリート建てにする、台風常襲地帯ですからそういうことが私どもも望ましいと思うのだけれども、そういう意味も含めて七十年というような長期のものもあるのだろうと思うけれども、そういうものはすべて少なくとも当分そのままにやっていく、本土より不利になった、こういうような面が出ないようにやるということははっきり確約されるわけでございますか。この住宅ばかりじゃありません。その他制度金融全体を含めてですね。
  103. 山中貞則

    ○山中国務大臣 そのとおりであります。いま住宅の例をとられたのですが、沖繩は現在住宅特会で五分五厘ですね。これは本土で見合うものも一応個人住宅、分譲住宅、賃貸住宅、災害住宅等が五分五厘ということで対応はしておりますが、しかし沖繩の場合は、住宅事情というのは本土よりもきわめて悪うございますので、当初琉球政府が相談をかけてまいりました住宅十カ年計画を、建設省と相談してその内容を五カ年で達成しようということに、実は建設戸数その他を定めたわけであります。そこでもっと低くする必要があるというので、個人住宅や分譲住宅については五分にし、賃貸住宅については四分にし、災害住宅については五分にするというような制度をとりまして、沖繩の現在の住宅特会よりもこの点はさらに有利になるわけであります。さらに貸し付け期間等については、現行の沖繩法が有利でありますから七十年を採用しておる。融資比率沖繩は八五%で本土は最高八〇%ですから、八五%のほうを採用する。なお沖繩にはいま産労住宅やあるいはまた関連公共施設あるいはまた中高層市街地再開発、宅地造成、こういうもの等の貸し出しをする窓口がありませんけれども、こういうものもやはり本土よりも少なくとも不利にならない形で新しく沖繩にこれを設定しようということでありまして、したがってこの考え方は、例を住宅にとれば、いまお示しのような考え方で全体を貫いているというふろにお考えになって差しつかえないわけであります。
  104. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 住宅なんかの場合、日本の場合でもいま非常に問題になっておるわけです。土地購入資金なんかでも、たとえば八十万かそこらしか貸さないとか、それから木造建築の場合には住宅の建設資金としては百万とか九十五万とかいうような、今日ではとうていその資金だけでは住宅建設ができないようなそういう面があるわけです。したがって、その貸し付け限度額というようなもの等についても、十分振興開発金融公庫の中でその部門からの条件というようなものについても、いま特に金利の面なんかでも〇・五としてやろう、これはたいへんけっこうなことですが、その資金量の問題、それから特に一戸一戸に対する貸し出し限度額というようなものなどにつきましても、本土並みのけちったやり方では、あの台風常襲地帯の、それに耐え得るりっぱな建築というのはなかなかできないのではないか、こういうように考えるわけですけれども、その辺のところについても万全の措置をとるお考えでございますか。本土並みということになると、この面はいま言ったように非常にみみっちいものになってしまうので、その点いかがですか。
  105. 山中貞則

    ○山中国務大臣 これは融資比率を一〇〇%ということにしておりますから、やはりその算定の前提の建築の単価、こういうものについて配慮しなければならぬだろうと思います。ことに資材が現在は特別に変動相場制採用等によって手当てはしておっても、迷惑を現実にかけておりますが、復帰後はその点は消えるとしても、建設諸資材等もあれだけ長い海上輸送をされるということがありますから、それらの現地における建築単価というものを十分に配慮させれば大体解決すると思っております。
  106. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 その点十分ひとつ配慮していただきたいと思うわけです。  それから商工中金。今度の場合、開発公庫の中に国民金融公庫仕事あるいは中小公庫仕事、こういうようなものが入っているわけですけれども、商工中金、政府関係機関と私どもも一口に言うわけですが、商工中金の関係で、これはもちろん商工組合、商工団体、こういうものが沖繩でどういうようになっているかということも関係があるわけであります。この問題がどういうように措置されるかということは、午前中の質問でも、中小企業にはかなり重点を置いていきたいという御答弁もあったわけだけれども、そういう中で商工中金の関係がどうなっているのか。商工中金の関係でこの土台になる商工関係の組合というようなものがいま現地でもどんどんつくられて、すぐにでも商工中金の融資制度に乗れるように準備を進めているという話でありますが、この問題については一体どういうようになっておるか。中小企業金融の面から、この面でも商工中金の支店なりが向こうにできて、すぐにでも資金需要に応ぜられるような体制というものを当然つくるべきだろう。このことはまた現地からも非常に強い要請があるわけだと思うのですが、その点どうなっているか、お伺いいたします。
  107. 山中貞則

    ○山中国務大臣 これは、いままで議論しております金融公庫法の中に含むにはちょっと異質なものであることは御承知のとおりです。これはやはり組合員として出資その他の行為が伴いますから、したがってこの中には入れてありませんが、沖繩にはとりあえず商工中金の事務所を直接設置して、将来は支店にしたいということにしておりますが、ここを通じて沖繩中小企業のそういう制度金融になじんでいくような組織づくりを促進して、その金融についても遅滞のないように努力をするつもりでありますが、代理貸し制度なんかを活用して、現地のそういうものに継ぎ目があってはならぬということで連絡はよくとっております。
  108. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 その点、これはブランクの時期がないように、復帰と同時に商工中金の融資中小企業はどんどんそれに乗っていけるというような万全の対策を進めておいていただきたい。この点は要望しておきます。  それから、この法案役員が六名、理事長、副理事長理事あるいは監事というふうに設けられるわけですが、この役員構成で、沖繩県民の中から役員の中に少なくとも半分は確保すべきではないか。そうでないと沖繩の実情というようなもの、また沖繩県民公庫に対する発言権というものは非常に弱くなる。それぞれ各省縦割りで、在官時代に有能であったというようなゆえをもって天下りで本土からばかり行ってしまうというようなことはやはりおもしろくない、運営について問題があるんじゃないか、こういうようなところから、そういう面での配慮というものはどういうように行なわれるか。少なくともこの点の問題は沖繩県民役員に充てるべきじゃないかという気持ちを持つわけですが、いかがでございますか。
  109. 山中貞則

    ○山中国務大臣 もし法律案を通していただければ、私の在任中にその人選をやるわけです。したがって、いまの御趣旨に沿うような人選はできると思うのです。現在民政府機関でありましても、この開金の責任者は沖繩県民の方がなっておりますし、また大衆金融公庫等にも人材がおりますし、その他在野の人たちにも、この金融業務等について明るい方等がおられるわけでありますから、これはそういうふうにしたいと思っております。役員ばかりではなく、これは那覇本店を置くという実に異例なことをやったわけです。したがって、実際の貸し出し業務というのはほとんど現地でやりますから、これはどうしても現地の実情に明るく、かつ金融機関の責任者としての能力のある方はぜひとも登用しなければいかぬ、私はそう思っておりますが、二分の一とか三分の一とかそういうふうにはまだ考えておりません。しかし、少なくとも、いかなる理由をつけても、それをただ天下り先の新しいものが一つできたわいという結果には断じてしませんから、その点は御理解を願いたいと思うのです。
  110. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 非常にりっぱな御答弁なんですが、そのとおりになるように期待をいたしております。  それから、主務大臣が、この法律については総理大臣及び大蔵大臣、こういうことになっておるわけです。その主務大臣が監督をされるわけでありますが、その中で主務大臣としての任務の分担というか、責任の所在というか、こういうようなものが、お互い責任をなすり合ったりというような結果にならないように、その点は権限の問題等も含めて明確になっているんだと思うのでありますが、これは主務大臣が二人あるということで、その間の権限の分掌といいますか、そういうものはどういうことになっておるのか、大づかみでけっこうですから……。
  111. 山中貞則

    ○山中国務大臣 これは、この公庫沖繩開発庁というものに所属いたしますから、したがって総理府の外局という形になりますので、それは総理大臣ということになるわけであります。したがって、おおむねの権限は全部その責任大臣の手によって、総理大臣の名においてなされるということでありますが、他面また、この金融機関を一地域につくるについても、開銀その他を全部ひっくるめて持っていくわけでありますから、これはどうしてもやはり大蔵大臣が、その立場からそれに対して共管の大臣にならざるを得ないのです。これはまたなってもらわなければいけません。しかしながら、大蔵大臣としてはそう日常の煩瑣なことまでやるわけではなくて、たとえば大蔵省として、国の財政金融を担当しておる責任大臣から見て、この金融公庫の運用なり、あるいはまた貸し出しの条件なり、貸し出したあとの始末等が疑問に思うというような場合には、この法律の定めによって大蔵大臣は単独で立ち入り検査その他の権限を行使することがうたわれておりますから、そういう意味においてはやはり大蔵大臣というものは入ってもらわなければ、国民の税金を使わしていただくわけでありますから、どうしても必要な関係大臣になるであろう、そのように考えます。
  112. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 質問の時間が来たものですから、以上で長官に対する質問は終わっておきますが、また最後の質問は後刻に保留しまして、きょうは終わります。
  113. 齋藤邦吉

    齋藤委員長 松尾正吉君。
  114. 松尾正吉

    ○松尾(正)委員 いよいよ金融公庫法案審議でありますので、長官に、実は連合審査の際に金利について非常に積極的な熱意がある答弁をいただきました。ところが、隣席におった大蔵大臣の答弁に私は強い不満を持っておるわけなんです。どうかひとつあの答弁どおりに実現するように全力を尽くしていただきたいということを冒頭にお願いしておきます。  そこで、まず金融公庫法案が、本土では各個別に中小企業その他区別されておりますけれども、これを一括した理由はどこにあるのか、この点をひとつ伺いたいと思います。
  115. 山中貞則

    ○山中国務大臣 まず、大蔵大臣の答弁ですが、あのときも、これは予算できまることだからはっきりは言えない。しかしながら、うちの事務当局はどうも山中長官の言うようになっているような気がして、というようなことをちょっと言ったと思うのです。そういうことを言った記憶が私はあります。ということは、大体事務同士、私のほうは私を含めてですが、大体において詰めるだけ詰めて、国会審議に資するために、私たちとしてはこういうことを考えておりますということを述べているわけでありまして、大蔵大臣の最終決裁を、予算を含めて承認を得たというものでないことは事実でありますけれども、その線で進まなければならぬと私は考えるわけであります。  そこで、沖繩について、先ほど商工中金を除いた話はいたしましたが、大体において公害防止事業団からそういうものの融資業務まで含めて一括して金融機関を設立する必要性があるのかないのか、これはやはり沖繩における新しい振興開発計画をつくりまして、それに伴って民生の安定、生活の向上あるいはまた産業振興というようなものを考えます場合に、それぞれ熱意をもってやってくれるとは思いますが、しかし、開発銀行から始まって各種の機関がばらばらになりますと、そこに整合性を欠くことは間違いありませんし、またその機関考え方いかんによっては、何ぶん返ってまいりますと一県ということも言えるわけでありますから、そういうつもりで沖繩に臨んでもらってはとても困るわけであります。そこで、やはり振興開発金融公庫という一つの目的をはっきり掲げて、そして斉一性をもって金利その他のバランスのとれたもので融資ワクその他も設定をしながら、きちんと責任をもって沖繩県内の各種分野の融資が斉一に行なわれていくということがぜひとも必要だと私ども考えておるわけでございます。
  116. 松尾正吉

    ○松尾(正)委員 この質問を掘り下げていくためには、どうしても貸し付け業務等の政令にゆだねられている面が非常に重要な問題になってくるわけであります。それで、確かにいままで私どもが聞いた範囲では、一つにしておって窓口を別個にしておく、場合によっては不足あるいは多少余る、こういう場合の融通も非常に可能なんだ、こういうようなことも説明段階で聞いたわけであります。  そこで問題になるのが、この融資面の手続だろうと思います。本土の場合でありましても、国金あるいは中金等で貸し付け手続の簡素化が強く要望されている。ところが、もし沖繩で一本化された場合に、余ったものは不足するところへ充当していくという利益も大いに考えられますけれども、これがもし、貸し付け手続等に非常に複雑なものがあって、中小企業その他が借りたいけれども借りられない、それがために残余金が出る、それがよそへ向けられるというようなことになると、これは本質を欠くような結果になる。これを心配するわけでありますが、その貸し付け手続について、いまどの程度までわかっているのか、案としてどの程度まで考えられておるのか、差しつかえなかったならば、伺いたいと思います。
  117. 山中貞則

    ○山中国務大臣 これは業務方法書等において定めなければならぬと思います。もし、この法律が通してもらえますと、すぐに設立の準備のための機関ができます。それによってこまかく検討されることになりますが、その人選等については、先ほど広瀬君にお答えしたとおり配慮をいたしますので、沖繩においては、何せ本土の政策金融に直接ぶつかるのは復帰後初めてになるわけでありますから、沖繩において、特会その他で一応なれておる部面もありましょうが、しかし、新規の窓口等も開かれるわけでありますので、そこらのところはやはり沖繩人たちに周知徹底させて、手続をなるべく簡素化することは当然心得ておかなければならぬことだと思うのです。  それから、ちょっと気になるのですが、午前中にうちの政務次官が答弁したのかもしれませんが、各目的業種と申しますか、資金ワクというものは一応予算積算上はっきりしておりますので、これを中小企業がなかなか借りられなかったとか、手続面等で農林漁業者等の借り受けが少なかったというような結果、それが大企業のほうに流れていくというような御心配は絶対にないようにしたいと思うのです。しかしながら反面、たとえばいまアルミに対して、一応出るということでありますから、金利五%の条件を付してやっておりますが、アルミ業界は輸銀並みの四%でなければならぬというようなことを通産省に対して言っているらしいのです。そういうようなことで、私どもは公害を完全に防除したアルミ産業というものが沖繩にマイナスにはならないと思って推進しておりますが、しかし、かりにそれが断念をした場合に、そういう金が中小企業なり、あるいはまた環境衛生、医療、住宅あるいは農林漁業、そういうほうに、これは大蔵と相談をしなければできないわけでありますが、流用され得ることは、むしろ場合によってはあるだろう。しかし、零細な人たちの金をこの産業資金のほうへ回すことについては、私は考えておりません。
  118. 松尾正吉

    ○松尾(正)委員 長官が言われる趣旨は、意味はよくわかります。けれども、この運用いかんによっては、実態でそういうことが今後起こり得るということがありますので、ひとつそういう点には十分な配慮を、この際強く要望しておきたいと思います。  それからもう一点、現地企業は、企業が非常に零細規模でありますために担保力がない、こういうものが大部分であるといっていいと思います。これに対して、建議書の中でも、中小企業関係業者が融資を受ける場合に、沖繩信用保証協会の保証債務が中小企業信用保険公庫に付保することができるように特別な措置を講じてもらいたい、こういうことが強く要望されているのですけれども、この点はどうでしょう。
  119. 山中貞則

    ○山中国務大臣 これは沖繩における中小企業の担保力というものが一がいにそう低いと断定もできないわけですが、どうしてもだめな場合には、これは制度としては、無利子の貸し付け等もあるわけであります。しかしながら、沖繩においてそのような担保力が、本土の基準どおりいくとややむずかしいなと思われるものでこれは救済すべきだと思うものについては、積極的に努力をしていかなければならぬと思います。ただ、沖繩全体の企業の自己資本比率は実は二〇%あるわけです。ところが本土のほうは、大企業のせいか知りませんが、自己資本比率が二〇%よりか低いということ等を考えますと、そこに沖繩の自己資本比率はわりと堅実であることも言えると思うのですが、一方においては、資金調達が、マーケットが狭いために沖繩独特の模合なんというもので企業資金の調達等が行なわれているという、大体そういう傾向等もございますから、これからは制度金融を開始するにあたって、沖繩における中小企業融資というものはよほど考えていかなければなりませんし、また、復帰に伴っていろいろな制度とかあるいは税制が変わったとかによって、いままでやってきた仕事について債務の肩がわり等を希望する方々等についても、特別に債務の肩がわりのできるような条項も設けているわけでございます。
  120. 松尾正吉

    ○松尾(正)委員 いま言ったようなことすべてがこの業務方法書に盛られるわけであろうと思うのです。それで、もちろんこれをすぐに要求しても無理ですけれども業務方法書の大綱がいまどの程度案として進んでおられるか、伺いたいと思います。
  121. 山中貞則

    ○山中国務大臣 一応予算で金額がきまりませんと前提がくずれるわけでありますから、予算の問題で、一応通常国会に入りまして、当大蔵委員会等の審議の場において、設立委員等の議も経て、そしてそれが確定できると思います。もちろん復帰前にです、復帰前にそういうものはきちんとしておかなければなりませんから。それをごらんいただく機会はあると思います。
  122. 松尾正吉

    ○松尾(正)委員 もちろん、予算が通らないから額については無理と思うのですけれども、現在進行段階のこの法案審議するための必要な点等が十分ありますので、現在の差しつかえない範囲の資料は提出していただけますか。中間のものです。
  123. 山中貞則

    ○山中国務大臣 私としてもできておればそうしたいのですけれども、この法律が通ったならば準備のための委員が任命されますから、その人たちの相談も経なければこれまた民主的でありませんで、そういう手続を経ますので……。その発足は四月一日になるわけでありますから、その前に御審議をいただく機会はある、そういうふうに考えております。
  124. 松尾正吉

    ○松尾(正)委員 現在差しつかえない段階で中間のものでもという要望だったのですけれども、それが無理であるとしたならばやむを得ません。逐次質問をして伺う以外にないと思います。  それから、先ほどの制度金融の金利の面について力強い答弁があったのですけれども、税制においては、沖繩税制それから本土税制あわせて、本土のほうが有利なものは本土のもの、それから沖繩税制を用いて有利なものは沖繩税制のものを用いる、こういうことを事前に決定しておるわけです。したがって、税の場合には、低いものを採用しますと相当減収があるわけですね。ところが金利面等についてはそう大きな開きはない。そう考えてみると、税制でそこまでできるのであれば、むしろ業務方法書等といわないで、金利について、貸し付け条件についてはこうするということが事前にできたはずではないか、こういうふうに考えるのは、税と比較して考えた場合に、税のほうが減収率が大きい、こういうたてまえから、当然だろうと思うのですけれども、その点はどうでしょう。
  125. 山中貞則

    ○山中国務大臣 まあやってできないことはなかかったと思います。しかしながら、この融資の問題は、大体了解をしておると思っていただいてけっこうでありますが、一方においては、補助、負担等についてはすでに別表に掲げたぐらいでありますから、できないこともなかったわけでありますけれども、この問題はやはり新しい機関が設立のためにできるわけでありますので、そこまで事前にやって、設立のための準備の機関ができても全部きまってしまっているのだというようなことでは、これはまたたいへん失礼にもなりますし、したがって私どもとしてそこまで明確にいたしておりませんけれども、少なくとも予算のときには、とりあえずは予算としてそういう金利、条件等設定しなければなりませんから、それについてきめておいて御了解をいただく措置はとりたいと思います。
  126. 松尾正吉

    ○松尾(正)委員 先ほど広瀬委員質問にもありましたけれども、これに関連して、貸し付け手続、期間その他が非常に重要な問題になってくると思います。前回伺った制度金融の中のこの公庫法案に基づく貸し付けの金利の問題です。これについては、まず基準金利、特利合わせて本土のものよりも有利にする、本土のものが有利なものについては本土のものを適用する、こういう形で進めていくというふうに解釈してよろしいわけですね。
  127. 山中貞則

    ○山中国務大臣 そのとおりでございます。
  128. 松尾正吉

    ○松尾(正)委員 そこで、先ほど広瀬委員のときに、住宅金融についての質問がありましたが、実は沖繩振興開発金融公庫法案関係政令案の概要という中に、第十九条の一項三号として、住宅資金の貸付対象者という中に、災害復興住宅の建設等を定めて、そして、住宅資金の貸付対象者と定める、こういうことがうたわれておるわけです。これによって今後の災害の場合は一応理解できるのですが、実は本年の九月二十八日のあの台風二十八号で八重山群島に相当大きな規模の被害を受けた。全壊が四百戸をこし、半壊が一千戸をこした。これに対しての救済措置がそれぞれ講じられておるわけですね。災害貸し付けの申し込みが五十二件あった、それから対策庁で応急仮設住宅を百四十七戸つくった、開拓者については九〇%の救済措置を講じた、こういうことでありますけれども、この仮設住宅というものは、大体耐用年数は二年程度しか考えられないと思う。そこで、被害者が仮設住宅に入っておるのでありますけれども、いまのような居住の質が低いこういう仮設住宅におる場合には、むしろ復帰後に二年たって、もう救済したからいいわでなく、これらに対しては何らか特別の措置を講じてやる必要があるのではないか、こう考えるのですけれども、台風によって過去に受けた被害、遠いものは別として、台風二十八号のようなごく間近な被害を受けた者に対する救済措置、今後の貸し付け条件その他について、何か特別に考えておられるか、その点を一点伺っておきたいと思います。
  129. 山中貞則

    ○山中国務大臣 これは別途激甚法について、政令で、復帰前に受けた、とりあえずことしの台風等の災害ですね、そういうものについては、干ばつ等を含めて、さかのぼって激甚法の適用をすることができるようにいたしました。したがって、今回の応急措置も、琉球政府の要請に従って、仮設住宅はいやだ、やはり永久建築にして二度とこういう悲惨な目にあわないようにしたいという人たちにはまた鉄筋も含めたそういう永久住宅が建設できるように予算措置はとりあえずはしておりますが、復帰後において、そういう仮設住宅に入っている人たちが当然新しい生活のよりどころとして住宅を建設しようとするだろうと思うのです。そのときには激甚法のさかのぼった指定ということを一応考えておりますから、そういうことによって当然その住宅融資についても特別の配慮をしなければならぬと考えております。
  130. 松尾正吉

    ○松尾(正)委員 それから、環境衛生資金貸し付け対象者の中に、この政令案の概要によりますと「環境衛生関係営業者に使用される者」というようにうたってあるのですけれども、この「使用される者」というのは、この対象者はどういうものか、この貸し付けはどうか、事務当局でもけっこうでございます。
  131. 山中貞則

    ○山中国務大臣 これは沖繩においてやはり復帰に伴う特殊な事情、たとえば復帰と同時に売春禁止法が事実上発効いたします。そうするとやはりその種の営業というものができなくなるわけでありますから、まあそういうことを念頭に置いてやっているわけではありませんが、その他基地からある部隊が撤収をすると、ランドリー業者が那覇空港の関係が大量に失業したとかという人たち等を考えて、Aサインバーとかあるいはホテル、レストラン、こういういろいろなものが影響を受けると思うのです。その場合に、自分は長年使用人として使われてきたけれども、この際金融公庫等でめんどうを見てくれるならば、自分はこの際独立をしたいという人たちには、じゃ独立の営業のための資金というものをめんどうを見ましょう。そういう意味で営業主はもちろんでありますが、転業等についてめんどうを見ますけれども、自分は独立するんだという気概のある人にはこの際援助をしたいというつもりでそういうことを書いたわけであります。
  132. 松尾正吉

    ○松尾(正)委員 時間がなくなりましたので最後にもう一点、この予算要求を見る限りでは非常に力強く感ずるのですけれども、この項目別に分けた産業開発資金あるいは生業資金、これら七項目のほかに特殊資金貸し付けというのが四十五億見込まれておりますが、これはどういう対象にどういう方法で貸し付けられるのか。
  133. 山中貞則

    ○山中国務大臣 これは本土法令が適用されたことに伴ってやむなく失業するに至る者、たとえば典型的なものは専売法によって営業補償と従業員の退職金等をもらって一応はさようならしなければなりません、そういう人たちとか、あるいは今日までの沖繩法では自由でありあるいは特別に本土と違った制度で営業できていた人たちが、本土法令の適用によってその営業がむずかしくなるというような人たちもおられるわけであります。そういう人たち等を念頭に置いて、そういう人たちについては特別に、本人のまだ営業したいというような意思があったにもかかわらず、復帰ということに伴ってある部門については冷厳な事実としてその職を離れなければならないという人たちには、どうしても再就職あるいはまたもう一ぺんやり直しの機会を与えるのが国家的な義務があると思いますから、したがって、それらの人々がいままで——私、いま独立の話をしましたら、ちょっと違うということで失礼いたしました。これはいままで申した私の前提は同じであります。輸入規制が撤廃されたりあるいはまた物品税等の保護関税等が撤廃されたりいろいろなことで影響を受けますから、そういう人たちがなお引き続き——そこのところが違っていました、引き続きなお自分は営業していきたい、しかしながら過去に琉球の金融市場においては非常に高利でそしてまた短期な市場しかありませんから、そういうもの等をかかえて困っているんだという人たちについては、特殊事情というものでそれらの人の負債の肩がわりをしてあげようという意味の政策をとろうとしているのがこの特殊金融であります。
  134. 松尾正吉

    ○松尾(正)委員 いままで伺った範囲では、税制と同じようにその融資についても金利あるいは手続、それから貸し付け期間、さらにはまた担保力のない者に対する措置、これらについて、非常に住民のことを理解した答弁を得たわけです。  そこで、田中政務次官に伺いたいのですが、山中総務長官は大蔵の事務当局とそれぞれ緊密な連絡をして、答弁した範囲で実現できるという趣旨の答弁をいただいたのですけれども、大蔵当局としていまの答弁の範囲にどういうふうに対処しようとされるか、政務次官から答弁をいただいて終わりにしたいと思います。
  135. 田中六助

    ○田中(六)政府委員 地元とも十分話をつけた上でこういう措置をやっておりますので、そういうことも地元の意向を十分くんで対処できると思っております。
  136. 松尾正吉

    ○松尾(正)委員 地元の意向をくんでじゃなくして……。
  137. 田中六助

    ○田中(六)政府委員 いや、地元というか、地元の当局と十分詰めていくという意味です。
  138. 松尾正吉

    ○松尾(正)委員 終わります。
  139. 齋藤邦吉

  140. 竹本孫一

    竹本委員 長官、先ほども実は私伺ったのですけれども沖繩の返還の時期と関連して簡単にお伺いしたいのですけれども、アメリカにわれわれがこの間参りましたときは、向こうでは七月説が圧倒的である。それから日本では返還の時期についてわれわれ四月を期待しておる。その場合に、向こうさんの言うのは、むしろ事務的な準備がアメリカの側においては七月でなければほとんど間に合わないような感じをわれわれが受け取ったのです、間違っておるかもしれませんが。そういう情勢であるのに比べて、日本のほうでは四月ということを期待する、あるいは一月に四月と決定するかもしれぬが、その場合に全般的な事務の消化というものはできるという確信をお持ちであるかどうかという、この点を一つ伺っておきたい。
  141. 山中貞則

    ○山中国務大臣 確かにアメリカ側には軍部を中心にして、いまなお原則的には復帰に対して異論を唱えている感じも率直にいってあるのです。したがって、復帰の時点も、なるべく向こうから言うならば、自由気ままに使える基地の存在を三カ月でも延ばしたいという気持ちがないとは私も言えません。しかしながら、やはりわれわれは米会計年度の七月一日というようなことよりも、日本のほうの会計年度というものから出発したほうがいい。ことに琉球政府の発足してちょうど二十年の記念日にもなります。そういうことも念頭に置きながら、総理ともよく相談をしておりますが、おそらくサンクレメンテの会合においても、総理は四月一日を主張されるであろうという心証を、私は四月一日を主張されるであろうという心証を得ております。なお、現地のランパート高等弁務官の米上院における証言等で、七月一日のようなことをちらっと耳にしたこともありますから直接聞きましたけれども、それは予算の用意はどうなんだということを言われて、沖繩における民政府その他の予算は六月三十日までございますということを答えたのであって、復帰時等の決定についてはあなたの国の最高責任者と私の国の高いレベルできまることである、私は現地の司令官として四月一日がきまるということであればそれに間に合わせるために全力を注ぎます、こういうことでありますから、これはぎすぎす押し合いへし合いする問題じゃないのです。そこのところはやはりよく話し合いをして、どちらがより友好的な結論になるかということを結論をつけてもらいたいと思っておりますが、われわれは四月一日の希望であります。
  142. 竹本孫一

    竹本委員 これはどうしてもあと受け取っていろいろ始末をしていかなければならぬ日本の会計年度に合わせるほうがより合理的であろうと思いますので、その場合に沖繩関係法案が六件あるとかいうようなことで、簡単に考えれば沖繩返還ということで簡単に考えられますけれども、事務的な消化ということは予想以上に複雑多岐にわたっておる。その点に万遺憾なきを期していただきたい。希望であります。  第二番目は、せっかく長い間苦労した沖繩が返ってくる、これの振興開発という問題については、従来の日本の経済体質や経済体制から考えると一歩進んだ進歩的なというか、われわれで言うならば革新的なと申しますか、とにかくレベルの一歩進んだところで経済振興開発に取り組んでもらいたい。日本と同じ体質、同じレベルでそのままそれの延長あるいは拡大という形で沖繩経済がプラスされたということでは、必ずしも沖繩のためにもよくないであろうというふうに考えます。そういう意味で、一つは国内の経済体制から飛躍的なことが考えられるはずもありませんけれども、一歩進んだ形でこれを受けとめていくことが必要ではないか。  それからそれと関連しまして、これも先ほど申しましたけれども、地籍調査その他沖繩の総合経済開発に必要な基礎的なデータの整備という問題については、これはより高いレベルで考えれば考えるほど重要な問題でありますので、これに対する取り組みの姿勢はどうかという点についてお伺いしたいと思います。
  143. 山中貞則

    ○山中国務大臣 沖繩の経済開発というものは、きわめて斬新なものでなければならぬと思うのです。ということは、われわれ日本本土が今日まで発展してまいりました過程でマイナスの面がずいぶん出ました。去年は公害国会という二度とそういう国会を開いてはならない国会までやらざるを得ないところまでに立ち至ったわけであります。そして海外の環境としても、日本の円というもののあり方というものがあらためて緊迫した爼上にのせられた段階にありますし、それらを考えますと、沖繩においてはそれらの過去の経験を踏まえたきわめて新しい産業開発の展望というものを持って臨まなければならぬと思います。すでに琉球政府の認可によるガルフ、エッソ等の外資が、われわれは公害企業の一つだと思っておりますが、そういうものがすでに進出しておる。しかし、これらも返ってきたならば本土の制定された公害規制法を全面的に受けるわけですし、業法等の定めるところにも従ってくるわけでありましょうが、今後私ども沖繩の未来像を描く場合において、その点はきわめて慎重な配慮をもって臨まなければならないところであろう、私も全く同感であります。  なお、沖繩の土地調査は、すでに全島でいきますと五七%済んでおります。本土の各県平均は一〇%でありますから進んでいるように一見見えるわけですけれども沖繩においては三十六年に二十六年から出発した一応の公簿、公図がそろったわけですが、しかしそれではいかにも基地内は言うに及ばず、基地の外においても戦争中あるいは戦争直後に混乱のまま占領されたりあるいは解放されたり、やたらにそこらに家を建てたりという状態がそのまま今日現状として残っておりますから、琉球政府においては、これを善意の取得による十年の時効というものを停止いたしております。宮古八重山を除くといえば、いわゆる激戦の行なわれた本島並びに周辺ということになるわけでありますから、これらの事情を踏まえますと、沖繩における地籍調査というものは本土各県のようなことを考えてはとてもだめだ。琉球政府と相談をしてみたんですが、できれば琉球政府は土地調査庁を国で引き継いでやってもらえないかという意見もありました。  私もできればそうしてみようと思いまして、琉球政府の言うところは、やはりある意味の権力を持たないと最終的な確定ができないということになったわけです。法務省等と相談をしてみたわけですけれども、やはり最後は民事訴訟になる。その場合に、国が境界作定の最終の機関として行なったことに対して国が被告になるということにもなる。したがって、法務省としてもそのような行政上の最終確定権を持つような機関はむずかしいでしょう。こういうようなやりとりがありまして、結局は琉球政府に今後調査庁の運営に対する援助あるいはまた沖繩において境界作定のきわめて困難なモデル的な、モデルということばがおかしければ、典型的なところが与那原地区である。ここをもし解決できるならば、これは軍用基地内は別として解決できますということでありましたから、与那原地区についてはひとつ国のパイロット的なものとして全額国費でもってその調査をやってみようかということでいまその準備をいたしておりますが、いずれにしても最終的にこの地籍の調査、公簿、公図の最終的な確認ということは、その住んでおる周辺の地域の住民、そして市町村、場合によっては県という地域の問題としての合意を見ることが一番私は好ましいことだと思います。そこで、そのような方向に国も前提を置きながら援助をしていきたいと思いますが、全滅家族なんというのがありまして、援護法を適用しようにも、だれも身寄りも一人もいないというような屋敷あととか圃場とかがそのまま残っております。これは復帰すると、法律は冷酷で国有財産になってしまう。激戦のあった部落のあちこちに国有財産として屋敷あとを取ろうなんと毛頭考えていない。復帰前にぜひ全員の相談を部落内でされて、話し合いをきれて、その圃場をだれかに渡し、あるいは屋敷あとを合意の上でだれかが買ってその代金を部落に積み立てる、そういうことで永代供養料等にされたらどうでしょうかということの助言をいたしておりますが、いずれにいたしましても、沖繩本島における地籍の確定ということはきわめて緊要であり、そうしてきわめて困難である。しかしこのことはしてあげませんと、沖繩におけるまず生活の安定の第一歩が、おまえの住んでいるうちはほんとうはおれのうちなんだということが絶えないということは、私たちは絶対にこれ以上長引かしてはならぬと考えておるわけであります。
  144. 竹本孫一

    竹本委員 大臣の御答弁のとおりに、きわめて重要、きわめてまた困難な問題でございますが、何しろ新しい沖繩の建設を論ずる場合のスタートラインの問題ですから、真剣に取り組んでいただきたい。  次へまいりまして、沖繩産業経済の開発についていろいろ構想が出ておる。五カ年計画も先ほどお伺いいたしますと十幾つ出ておる。それらを総合調整して、どういう沖繩の経済建設のビジョンを持つかという問題は非常にむずかしい問題でありますし、きわめてまた現実的でなければならないし、総合的でなければならない。大臣において独自のフレッシュな構想がおありだろうと思うのですが、きょうは時間もありませんので、結論的に私、この前大蔵委員の皆さんと御一緒に沖繩に行きましたときの感じでございますけれども、そこでいろいろ描かれておるような計画なりビジョンなりというものがある意味においてははなはだ飛躍的でもあり、一体それができるのだろうかという感じを持ちましたので、あらためて伺うんですけれども、一つは、農林漁業の部門ウエートというものを飛躍的に少なくするというか、第二次あるいは第三次産業に持っていくんだというような考え方も当然あるだろうと思うのですけれども、その農林漁業の位置づけについて大臣は現在のところどういうふうにお考えになっておるか。それから新しい沖繩の経済建設のそれこそビジョンの一つとして、石油化学なり造船業なりというものを非常に大きく構想する人もあるように感じたのでございますが、その点についてはどういうふうに大臣はお考えになっておるか、その点だけをお伺いしたい。
  145. 山中貞則

    ○山中国務大臣 沖繩の農林漁業、一次産業でありますが、これのウエート本土に比べて高うございます。しかしながら、琉球政府の長期計画ではそれが相当減っていくようなふうに書いてあるわけであります。私は沖繩本島においてはそういう傾向になっていくのもやむを得ないだろうと思うのであります。しかしながら、沖繩本島においても南部地域あるいはその他の地域についても都市近郊の農業形態というもので非常に土地収益性の高いものに切りかえていかなければならないし、それを織り込んでいかなければならないと思っております。またキビ、パイン等も基幹作物でありますから、これはやはりキビについては地域作物にはたして農業災害補償制度が適用できるかどうか。となると、今度は奄美大島のキビまで含めて考えなければなりませんし、そこらのところをいま検討しておりますが、干ばつになって生産者は手取りはもうほとんど皆無だ。普段なら八トンから七トンとれる圃場から全くとれないし、とれても一トンぐらいだというような状態のときに、問題は幾ら生産者価格を引き上げてきめましても、農家の手取りというのはキビがないわけですから、そうするとそれは救いにならないということ等もありますから、これは今後やはりそういう基盤整備なりあるいはまた畑かん等のダム建設なり伏流水のくみ上げなり、こういうようなことでいろいろと条件も整備していかなければなりませんが、本島は別として、その他の離島においては、これはもうキビ、パインを中心とし、やがて畜産、肉用牛を組み合わせた生活というものを捨てたら、ちょっと離島の人たち生活設計というものあるいはまた離島の未来図というものはかけない。どうしてもやはり農業というものを捨てることはできない。したがって、農業の構成人口が減っていくことは、これは先進国型になるわけでありますからいいとしても、やはり沖繩本島を除く離島においては、農業というものは相当振興策を積極的にとっていかなければならぬと思っております。  それに、沖繩は漁場の中に島があるという感じでありますけれども、遺憾ながら漁業のあり方はまだ近代化されておりませんし、漁船もくり船と呼んでおるような小型な、非常に操業海域の狭い小さな船が七〇%も占めておりますから、これらについては、先ほども触れましたように二歩五厘という超低利の金でもって大型化、近代化をして、少なくとも目の前にある漁場から沖繩県内の自給自足はもちろんのこと、——いまは本土から魚がいかなければなりませんから足りません。したがって、大衆魚介類でも一〇%、高級生鮮魚介は二〇%の物品税がかかって庶民の手に届くというような状態は、これはやはり沖繩の置かれた海洋県という立場から放置できない問題でありますから、私としては、一次産業のうち農林漁業というもの、ことに農業、漁業というものには相当大きく援助をして、そしてそれによって立ち上がる道を与えませんと、沖繩本島を除く島々はいよいよ急速度に過疎への道を歩いていくおそれがあるということを心配しておりますので、農林漁業については十分の振興策を講じていきたいと考えます。  造船、石油化学は、もうすでにガルフ、エッツ、東洋石油等、現在の施政権下でできてしまっております。しかもそれは非常に巨大な量のものであって、とても島内需要、県内需要というものを当てにしたものでないことは当然でありますから、したがって、通産省等の石油業法等の中に入ること、いわゆる本土の制約を受けることを条件等にして一応認可というものを琉球政府がしたようでありますけれども、今後私としてはあまり沖繩には石油——CTSだけならまだよろしゅうございますが、精製から石油関連の産業というものをそう積極的に実はあまり進める気はございません。むしろそれよりも、公害をあまり出さないで雇用労働力に非常に貢献する造船業というようなものあるいは弱電産業等は積極的に推していかなければならぬものだと私は考えております。造船については、川崎重工がドル・ショックによって進出を一応断念したという表明を最近運輸省にいたしまして、私もショックを受けております。しかし一方、現地側においても糸満造船所なり那覇のそういう造船関係者等が自分たちでやっていける規模の造船所をつくりたいという意向がありますから、そういっても五千トンクラスのものまではやるということでありますので、こういうものは積極的に、既存産業の育成、そして雇用事情への貢献ということで進めてまいりたいと思います。  また、海洋博等がいよいよ本ぎまりになってまいりますと、これが沖繩にとって一つの観光立県という柱になりますように、済んだあとは取っ払ってしまうというようなことにならないように、そして積極的には世界の人類がいどもうとしている海洋開発の拠点にもなり得るように、そういう文化的な学術的な角度からも沖繩海洋博が沖繩資産として、目に見えないもの、そして有形の観光立県の柱になるようにという配慮をしつつ沖繩海洋博というものに進んでまいりたいと考えております。
  146. 竹本孫一

    竹本委員 ただいまの沖繩の経済建設に関する大臣の構想は、私非常に同感な点が多いのです。ぜひその線でがんばっていただきたいと思います。  最後に、今度の法案の中に宅地債券というものが出ておる。おもしろい構想と思うのですけれども、これが出てきた経過並びにそのものの構想について大臣のお考えを承りたい。
  147. 山中貞則

    ○山中国務大臣 これは本土のほうでも実はやっておりますが、沖繩ではたして宅地債券がなじむだろうかということはずいぶん検討してみましたけれども、やはりいまおっしゃったように、沖繩の市場の中においても非常に住宅需要が強い。それに対して宅地債券というようなものがなじむとすれば、この制度沖繩ではやっぱり必要だと考えて取り入れたわけでございます。
  148. 竹本孫一

    竹本委員 けさほど質問したときには、これはあまり具体的な構想を持っていないようなたしか答弁だったと思いますが、その点どうですか。
  149. 山中貞則

    ○山中国務大臣 私、午前中の答弁聞いておりませんが、来年からすぐ宅地債券が活用されるかというようなことについては、すぐには無理だろうというようなことを言ったのだろうと思います。それは確かに私も現地で宅地債券がすぐに市場に乗っていくということはちょっと考えられないと思いますが、しかし、その道はあけておいて、この制度を有効に使える沖繩の市場にしたい、そういうふうに考えておるわけです。
  150. 竹本孫一

    竹本委員 以上で終わります。
  151. 齋藤邦吉

    齋藤委員長 津川武一君。
  152. 津川武一

    ○津川委員 平和で豊かな沖繩県の建設を進めるにあたって農業の振興が重要であることは、山中長官も認めているところですが、この農業の発展にとって一番の障害となっているのが基地であることは明らかです。沖繩県民の総意を集めた建議書でも、基地の存在は総合的、統一的土地利用計画にとっても大きな障害となっており、基地の撤去を前提としない限り、真の意味での恒久的な開発計画の策定は不可能であるといっております。  沖繩本島の平均耕作反別は、戦前でも本土の半分の五十八アールであったのが、米軍占領による不当な土地収奪によって三十五アールとなっており、米軍基地の撤去を差しおいては農業の振興を語ることができなくなっております。私たち伊佐浜の屋良朝小さんという七十二歳で老妻と二人、三人の子供を持っておる農民と直接会って聞いてみましたが、三十二戸の伊佐浜のうちアメリカ軍に銃剣を突きつけられ追い立てられて十戸だけ残って、残りの七戸が美里村犬目というところに移っております。そこにも行ってみました。千坪のがけ地、荒れ地にへばりついております。このため屋良朝小さんの三人の子は、ここで生活できないためにブラジルに移住させられておる。この伊佐浜でブラジルに移されたのが十五戸。そこで屋良朝小さんにむすこたちのことを聞いてみました。どうなんだ。そしたら非常に悪い土地で生活できない、日本に帰りたいが帰る手段がない、帰ってきてもらっても屋良朝小さんにむすこさんを入れる土地がない、こういうことであります。そこでやっぱり私は、この屋良朝小さんの言うことを聞いたときに、もう一度基地を取り戻すために政策を講じなければならない。やっぱり協定が延びてももう一回交渉をやり直す必要があるかと思いますが、こういう情勢を見て、長官、どう思っているか。  もう一つは、このブラジルの人たちを迎えてくれる施策があるのか、迎え入れる土地があるのか、家屋があるのか、仕事があるのか、この点答えていただきます。
  153. 山中貞則

    ○山中国務大臣 これはその例をあげられるまでもなく、今回の二十八号台風によって家が全部倒れたという開拓地の人たちも、従来はどこから移ってきたのかといえば、本局で米軍に土地を取り上げられた人たちが開拓者として行っているのだ。精も根も尽き果てて、住宅資金を貸してくれても自分はいやだというようなことで、また帰ったら自分はどういう生活ができるかということを考えるいとまもなく本島に戻る人もいるそうです。伊江島にも例があります。そういうことを考えますと、私たちが敗戦国家としてやむを得ず沖繩をそういう環境に置いたとはいえ、これはもう本土政府で償い切ることはできない痛手を沖繩人たちに与えているのだ。そのことについては私はもうしみじみと感じております。これらの人の具体的な例としてブラジルに行っている人を、おまえ呼び返して何かやれる道があるか、急に具体的なケースを言われますと、私もとっさにはそのお答えをいたしかねますし、屋良朝小さんと私直接会っておりませんが、そのような人たちがいっぱいおられると思います。  私は沖繩の基地の現状もよく知っております。地図から見れば、なるほど全面的に軍用地として不可侵みたいに見えますけれども、しかしそれは実際は使用していない荒蕪地であったり、ときどきピストルの射撃に来るような場所がなおそのまま解放されないでおったり、こういうような嘉手納、北谷、読谷、その他の典型的なところを見ますと、私としてはしみじみ感ずることがあります。院における決議もございまして、総理もそれに対して積極的に努力すると言っておりますから、私どもは私自身が外交折衝の当事者ではありませんけれども、やはり積極的にこの軍事基地の、少なくともわれわれから見て沖繩県民のために活用されるべきであるというところについては、私ども沖繩県民のごもっともな、しかもやむを得ざる要求というものに対して沿っていかなければならぬと思います。泡瀬のゴルフ場なんというものは地図を見れば軍用基地内にあります。しかし目で見れば、道路を隔てて基地と関係ないところにゴルフ場はある。その人たちはそこを追い立てられて、そこからもらう賃借料よりも高い賃借料を逆に払って隣村へ行って生活を余儀なくされている。まことに私は本土政府として申しわけがない、そういう気持ちがするわけであります。したがって、事、外交問題でありますから私がいかように沖繩県民の立場に立ってみてもできないこともあるかもしれませんが、私は誠心誠意沖繩人たちの戦争中から戦後の今日までの忍従にこたえる努力をしたいと考えます。
  154. 津川武一

    ○津川委員 長官のことばはいいですね、できるだけの償いをする。そうすると土地を取られた人たちにとって最大の償いは何であるか。銃剣を突きつけられて取られて、がらくたのところに追い込まれて、ブラジルまで追われた人たち、その人たちに対してほんとうのおわび、そういう形での施策といえば土地を取り返すことではありませんか。それが感情的にも倫理的にも人間同士のつき合いとしても、それを抜きにしておわびするとか、全力を尽くすということは私はからことばだと思うのですが、この点どうでございますか。
  155. 山中貞則

    ○山中国務大臣 そのようにお受け取りになるのは御自由でございます。しかし、私は返還協定の当事者でもありませんし、したがって返還協定の結ばれたことについては、これはまた私も閣僚として責任を負わなければなりません、担当大臣でございますから。したがって、いまの基本的な見方からすれば、沖繩県民の、ことに土地を銃剣や戦車やブルドーザーで取られた人たちにとってがまんのできないところもあろうと私は思います。しかし、私は少なくとも自分自身の決意というものを率直に申し上げているのでありまして、何のために沖繩担当大臣として今日まで沖繩人たち——なるべく多くの人たちに接触したいと思って各地を回って慰め合ってまいりました私として、受け取られ方は御自由でありますが、私に関する限り誠心誠意やらなければ、復帰をしたからそれで済んだという沖繩ではないのだということを私としては決意として申し上げておきます。
  156. 津川武一

    ○津川委員 償いということは、何はさておいても沖繩県民が、あなたはどう解釈しようが、沖繩県民の圧倒的な要求は土地をもとどおりに戻すということです。これをひとつ念頭に置いて、忘れないように……。  その次は、あなたたちは基地のほとんどを米軍に提供した上で沖繩県民生活考える、それがあなたたちの立場です。県民は基地を返還してもらってその上で生活と生業を考えていく。こういう点がはっきり対決しているわけですね。そのことは経済開発にも影響してくるのです。たとえば一つの読谷という村の開発計画を見てみますと、農家戸数が総戸数の六四%、三千三百九十九戸、村の総面積に占める軍用地の割合は六割からこしておる。ここで皆さんの計画沖繩に対して百億円の貸し付け予定を組んだわけですが、沖繩県民が実際に申し込んで借りるだろうと予想されるのは五十四億円。なぜこうなったか。これは土地が取られているために営農の計画が立たない。農業をやる上に土地というものはこういうふうに圧倒的な形で比重を占めている。皆さんは頭の中で空想で考えて、沖繩にいいことをしてやって百億をやるといっているが、これは空文なんです。現実にこれを受け入れる体制がない。これが土地の、基地の問題なんです。したがって、開発のためには何をおいても私はやはり土地の返還が第一条件だと思うのです。  その上、問題は黙認耕作地。一千七百五十一万四千六百八十何坪という黙認耕作地がある。一年に一回か二回しかアメリカは使わない。この使わない土地をこれほど一千七百万坪も与えておくということは、こういうことが何を意味するかということです。  そこで重ねて言うが、やはり土地に対してもう一度私は交渉し直すべきだ。その返還をやり直させるための第一の、一番最初にやって効果を生むものは、この使わない一千七百五十一万坪の返還だろうと思うのです。いかがでございますか。
  157. 山中貞則

    ○山中国務大臣 これは確かに基地として接収しておきながら、実際上基地機能維持のためには使われていない。かといってそれは手放さないで、耕作をしてよろしいというようなことをしておることは非常に矛盾しておると私も思います。思いますが、しかしいまこの黙認耕作地の部分だけ返すというようなことにアメリカが応ずるかどうかについては問題もありますし、しかし、今後本土政府のほうの方針としての基地の整理、縮小の手がかりということになるならば、当然黙認耕作地というものはその大きな一つの拠点になるであろうということは私は同感であります。
  158. 津川武一

    ○津川委員 もう一つ、黙認耕作地で問題になるのは、はいれないことではないのです。黙認耕作しているから、アメリカ軍は一年に一、二回使うだけだから、入っている。だが、こいつを基盤整備することはできない。投資することができない。手を加えることができないのです。したがって、行ってみたでしょう、黙認耕作地に。一番原始的な、一番やってはいけない農業をやっているわけです。これが読谷でも嘉手納でも農業計画の中に入っている。この点をどう考えるか。ここを普通の農地にして基盤整備して生産性の強い土地にするとあなたは言っているが、基地をこんなふうにしておいて、黙認耕作地をこんな状況にして、これを農業の中に組み入れておいて、何でできるかということです。この黙認耕作地に対する農業政策を、あなたはちょうど農林大臣代理でもあるので……。
  159. 山中貞則

    ○山中国務大臣 これは提供施設の中に一応入っておりますから、今後の姿勢としては、あなたのおっしゃることを私は無理だとは思いません。そういう状態がいまなお存在しているのが沖繩であるということを考えますので、すみやかに祖国の手に抱き取って、そうしていまおっしゃったようなことも、これは与野党共通の本土の人間が全部沖繩に対して持たなければならない心がまえがありますから、それに沿って努力をするつもりであります。
  160. 齋藤邦吉

    齋藤委員長 次回は、来たる十七日金曜日、午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後六時十分散会