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1971-12-15 第67回国会 衆議院 商工委員会エネルギー・鉱物資源問題小委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    本小委員会昭和四十六年十一月五日(金曜日)委 員会において、設置することに決した。 十一月五日  本小委員委員長指名で、次の通り選任され  た。       左藤  恵君    坂本三十次君       始関 伊平君    塩崎  潤君       進藤 一馬君    羽田野忠文君       橋口  隆君    八田 貞義君       山田 久就君    石川 次夫君       岡田 利春君    松平 忠久君       浅井 美幸君    近江巳記夫君       川端 文夫君 十一月五日  橋口隆君が委員長指名で、小委員長に選任さ  れた。 ――――――――――――――――――――― 昭和四十六年十二月十五日(水曜日)     午前十時四十二分開議  出席小委員    小委員長 橋口  隆君       左藤  恵君    始関 伊平君       塩崎  潤君    進藤 一馬君       丹羽 久章君    石川 次夫君       岡田 利春君    中村 重光君       松平 忠久君    松尾 信人君       川端 文夫君  出席政府委員         通商産業政務次         官      稻村佐近四郎君         通商産業省鉱山         石炭局長    莊   清君  小委員外出席者         商 工 委 員 内田 常雄君         商 工 委 員 武藤 嘉文君         商 工 委 員 加藤 清二君         商 工 委 員 岡本 富夫君         参  考  人         (石油開発公団         総裁)     島田 喜仁君         参  考  人         (石油連盟会         長)      滝口 丈夫君         参  考  人         (石油鉱業連盟         会長)     林  一夫君         商工委員会調査         室長      藤沼 六郎君     ――――――――――――― 十二月十四日  小委員山田久就君同月一日委員辞任につき、そ  の補欠として山田久就君委員長指名小委  員に選任された。 同日  小委員近江巳記夫君同日小委員辞任につき、そ  の補欠として松尾信人君が委員長指名小委  員に選任された。 同月十五日  小委員坂本三十次君同日委員辞任につき、その  補欠として丹羽久章君が委員長指名で小委員  に選任された。 同日  小委員松平忠久君同日小委員辞任につき、その  補欠として中村重光君が委員長指名で小委員  に選任された。 同日  小委員丹羽久章君同日委員辞任につき、その補  欠として坂本三十次君が委員長指名で小委員  に選任された。 同日  小委員中村重光君及び松尾信人君同日小委員辞  任につき、その補欠として松平忠久君及び近江巳  記夫君委員長指名で小委員に選任された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  エネルギー・鉱物資源問題に関する件(石油問  題)      ――――◇―――――
  2. 橋口隆

    橋口委員長 これより商工委員会エネルギー・鉱物資源問題小委員会を開会いたします。  私が、今回エネルギー・鉱物資源問題小委員長に選任されました。各位の格別の御協力をお願い申し上げます。  エネルギー・鉱物資源問題に関する件について調査を進めます。  本日は、石油問題調査のため、参考人として石油開発公団総裁島田喜仁君石油連盟会長滝口丈夫君及び石油鉱業連盟会長林一夫君が出席されております。  この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。  参考人各位には御多用中のところ小委員会に御出席をいただき、まことにありがとうございます。本委員会におきましては、エネルギー・鉱物資源問題に関する件について調査中でありますが、本日は特に石油問題につきまして、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べ願いたいと存じます。  なお、議事の順序でございますが、初めに御意見をそれぞれ十分程度に取りまとめてお述べいただき、次に、小委員諸君からの質疑に対してお答えいただきたいと思います。まず、参考人島田喜仁君。
  3. 島田喜仁

    島田参考人 私、島田でございます。よろしく。  それでは、石油資源開発状況をめぐりまして、日本の置かれている立場世界の情勢につきまして簡単に申し上げさせていただきます。  御承知のように、日本終戦以来中東を中心にしました大油田開発油田の発見という背景に立ちまして、生産された原油購入するということによりまして日本エネルギー需要をまかない、日本経済成長あるいは文化の発展に役立たせてきたわけでございます。  ところが、その後一九六〇年代に入りまして、世界確認埋蔵量を年の生産量で割りましたいわゆるRPというのがだんだん下がってまいりました。世界的には一応現在三十年程度といわれておるわけでございます。かつては中東は十年前には百年以上あったといわれたのが、これがだんだん下がって、全体としてはそういう状況になっています。アメリカでは可採埋蔵量がただいま申し上げましたようなRPとして考えますと十年を割っておりまして、やはりセキュリティーの立場からエネルギー政策をさらに前進させるという立場をとりつつあるわけでございます。  ただ私ども石油開発に携わってまいりますというと、石油というのはまず鉱区を取得いたしまして、調査を始めてから、油がかりに当たりまして生産出荷をするまでには七、八年もしくは十年かかる、こういうふうに考えざるを得ないわけでございます。したがって、石油資源開発というのは十年、二十年、三十年先のことを考えながらやってまいらざるを得ない、ここに一つの大きな問題がございます。したがいまして、現在日本需要する膨大な油というのは、いずれにいたしましても、国際石油資本生産をしている油を当分の間長期にわたって買わざるを得ないという事態は、これは過去日本資源開発をやっておりません結果、やむを得ない実態でございます。  ただ御承知のように、これから長期にわたりまして十年、二十年、三十年先を考えましても、エネルギー主役を占めるものは石油でございます。原子力開発が進みましても、あるいはその他の石油以外のエネルギー開発が進められましても、依然としてエネルギー主役石油でございますので、先々と考えて利権確保をしない限りは石油問題の解決はできない、こういうことでございます。しかも現在の実態は、日本需要する油の九〇%は外国石油資本、特にメージャーズから購入をいたしておるわけでございまして、いわば国際石油資本一辺倒輸入という体制でございます。そこで、その自主性確保するためには、先のことを考えて資源開発をしてまいらなければならないというのが実態でございます。  ところが、御承知のように昨年の終わりからことしの初めにかけましたOPEC諸国のいわゆる石油戦争といわれます石油コステッドプライス値上げから始まりました資源国の姿勢というものは、御承知のように自主性の回復あるいは石油資源あるいは天然ガス資源をもとにいたしまして、工業化もしくはその国のテークオフを考える、いわば自分みずから事業を行なっていこうという、そういう立場にだんだん立ちつつあるわけでございまして、ただいま資本参加の問題に関連しまして、OPEC諸国が、既存の石油生産をいたしております外国石油会社に対する資本参加の問題が問題になっておるのも、実はそういう立場からでございます。  そこで私どもがこれから資源開発を特に資源国としてまいります場合には、従来のように単にプロフィットだけをねらうということではなしに、やはり相手国テークオフ国民経済のレベルアップという立場協力をしながら資源開発をしていく、いわば南北問題の解決に資するという立場で私ども資源開発をしなければならぬ。相手国のテイクオフに役立つと同時に、日本長期に大事な油を確保するという立場に立たざるを得ない。ここに両者の間に、消費国日本との間に大きな問題が出、調整をしなければならない問題があると思います。  なお、もう一つ問題を考えなければなりませんのは、いまのような立場資源国立場を考えますと、従来よりもはるかに条件がきびしくなってまいりまして、従来の石油会社利権を獲得した場合の利権条件よりはるかに条件がきびしくなってくる、こういう問題も頭に置かなければならぬわけでございます。  なお、いままでは資源国との間では、掘る側が、開発する側がリスクを負担をして、そしてそれによって油が出た場合に、プロフィット税金という形で相手国に渡す、あるいはそのプロフィット資源国に渡すという形でございましたけれども、いまのような事業をやるということになってまいりますと、考え方が変わってまいりまして、場合によりますと、相手方に資金を供給して資源国側が掘る。掘った油を日本購入する。言いかえれば、融資開発方式という問題が実は出てまいります。と同時に、また資源国のみならず、私どもは、すでに鉱区を保有しておる国際石油会社と共同して開発をする、そこにファームインするという考え方もとらざるを得ない。また場合によりますと、石油会社が一部開発した油田発展をしながら同時にまだ探鉱地域を持っておるという、探鉱地域とそれから開発油田とまざった、言いかえれば混合した鉱区を買い取る、あるいはこれに資本参加をするという考え方も私どもはとらざるを得ない、こういうふうに考えます。また私どもは、国際石油資本のみならず資源国が今度はそういう形で自分の油を持つようになってまいりますから、その油も買う。言いかえれば、原油供給源の分散をはかっていくという立場も考えざるを得ない。特に最近外国石油資本も目をつけております日本大陸だな周辺は、立地条件からいいましても、低サルファという見通しからいいましても、この大陸だなに思い切って探鉱を進めていくというそういう問題も考えてまいらざるを得ない、こういうふうに考えるわけです。  同時に、もう一つ問題がありますのは、利権確保するという問題は非常に長期にわたって極秘裏利権確保をする場合と、それから突如として、一、二カ月の間にこの利権確保が各企業の間に競争的に行なわれましてきまるという非常にタイミングの早い場合がございます。いずれも利権問題というのは非常に極秘裏に進められる問題でございますので、現在の体制からまいりますと、日本には民間企業といえどもそういうリスキーな投資をいたします蓄積がございません。同時に、私ども公団といたしましても、法律的には、民間企業に対しましてファイナンスをするということを一つの機能といたしておりますので、公団利権確保をするということが現状においてはできないわけでございまして、そういう間にどんどん有望な利権が、国際的な各石油企業の手によって現在でも確保されつつありますので、これに対して、わが国といたしまして、重要なエネルギー政策立場から、まず何といっても鉱区確保する、言いかえれば開発利権をいかなる形かにおいて確保するということが第一でございます。こういう点につきましては、民間等からも、むしろ公団利権確保することのできる体制をつくるべきだという要望も実は出ておるわけでございまして、こういう点につきましてもひとつよろしく御審議をいただきたい、こういうふうに思う次第でございます。  簡単でございますが、以上。
  4. 橋口隆

  5. 滝口丈夫

    滝口参考人 石油連盟会長滝口でございます。  時間がございませんので、簡単に申し上げますけれども石油連盟仕事と申しますと、精製販売のほうに携わっております。それで、まあ宣伝をするわけではございませんけれども終戦後これだけの発展を遂げました根本は何かと申しますと、安い石油輸入をしまして、それを日本経済供給をしたというところにそのポイントがあるのではないかとわれわれは自負しておるわけでございますけれども、どうも石油の話と申しますと、いま島田さんも申し上げましたし、これから林さんも申し上げると思うのですけれども、どうも開発というほうがいかにもリスキーであると同時に冒険的な、何となしに勇ましい仕事のように思われまして、石油というと、どうも開発業のほうが重点のように一般に考えられておる向きがございますけれども、本質は、現在二億トンの原油を処理をしまして日本の国の経済にそのエネルギー供給しているのはだれかと申しますと、石油精製業であり販売業でございます。  それで、ビジョンとしては、なるほど今後は石油を獲得することはなかなか重要な仕事でありまして、よろしゅうございますけれども、現実的に日本で油が要る、その油をどうして供給するかということが一番ポイントだと思うのでございます。それはわれわれ石油連盟がもう大半携わっておるのでございまして、その意味では、石油のことは、現在のことを考えないで、要するに将来のことばかり考えていてはいかぬというところにポイントがあるように思うのです。  現在二億トンの油を処理しておりますけれども、いまエネルギー調査会等でいろいろ試算をしておりますと、六十年には五億トンとか、いろんな計算が出ておりますけれども、要するに現在以上に、とにかく倍以上の油を日本が使うことは確実でございますが、それをどうして安定的に供給するか、そのことが一番ポイントだと思うのです。ただ将来のために油を掘るのはよろしゅうございますけれども、それは確実性のない問題でございますから、とにかく安定的に供給する面においてはやはり外国から輸入をするということが重点になるわけであります。エネルギー調査会でも、一応六十年には三〇%の自主開発をやる、あとの七〇%は依然として外国から輸入をするということがもうポイントになっております。  それで、しからば輸入をする油については政府としてどういう処置をとっているのだ、確実にそれだけ輸入することを――何か開発のほうにいろんな力を注いでおりますけれども、七〇%の輸入のほうには何にも頭がいってないのではないかということがわれわれに感ぜられるのでございますけれども現状ではわれわれ業者にまかしているのが現状でございます。そういう意味で、われわれはかねがね、これから業者にばかりまかしていていいのだろうか、一番大事な安定供給の少なくとも七〇%以上を国が確保する必要があるのに、現状ではあまり国会の皆さまも頭に置かないのではないかと実は思っておるのですが、そういう意味でこの問題はポイントを、あくまでも現状に立脚した御政策をお考えくださることをわれわれは希望するものであります。  特に御承知のように、去年の暮れからことしの春にかけましてOPEC原油値上げを強行いたしまして、大体キロリットル千百円以上の値上げをしたのでございます。四十六年度、来年の三月までを一応考えますと、値上げの総額は約二千六百億円、これだけ原油値段が上がった。それをわれわれは輸入をして加工して販売する業種でございますので、当然われわれとしては原油の値上がりを製品のほうでカバーをしなければわれわれのそろばんは合わぬということで、実は政府のほうにもお願いしまして、四月からガソリンその他重油に至るまで値段を上げまして努力いたしましたが、どうも現状では、この一年間、来年の三月までを一応見ますると、要するに半分だけカバーできた、おそらくできるだろうという見通しでございます。半分と申しますと千三百億、あとの千三百億はこの業界が自分負担をする、吸収をするという形にならざるを得ない。幸いなことに――幸いというと語弊がございますけれども、円の切り上げ問題があります。それからドル・ショック、ニクソン声明によりまして八月から変動為替相場になりまして、輸入業種なものですから、実は為替差益が出ます。それを一応計算いたしますと、石油連盟概算でございますけれども、八月以後変動為替相場になり、それが現在続いておりますけれども、想定で来年初めから一五%の円の切り上げがあると仮定をいたしまして、一月、二月、三月、それを見まして一応概算をしますと、為替差益が約千二百億出るのじゃないかというのがわれわれの計算でございます。それが千二百億出まして、前の取り不足の千三百億を差し引きますと、要するにまだわれわれが百億ぐらい負担をせざるを得ないというのがわれわれの見通しでございます。ですから、いま巷間、石油業というのは為替差益の上において一番有利な業種と皆さんお考えなさっておる向きに聞いておるのでございますけれども、決してそうでない。  このほかに、十月から御承知のようにスマトラのミナス原油、これがインドネシアのほうから値上げがありまして、バーレル当たり三十九セント、キロに直しますと約六倍としまして二ドル四十セント、それから中東原油が、これは一応メージャーのほうの格差の問題をここで是正をするというところから生まれました値上げでございますけれども、これが大体アラビアンライトとかイラニアンライトとかその他もありますけれども、そういう中東原油が大体五セント値上げになっております。これを一応概算しますと、大体来年の三月までに二、三百億円だけ値上げになるのではないかというわれわれの計算でございます。そうしますと結局まだ負担するのは大体四百億くらい、要するにわれわれが損をする形になっております。  こういう問題がありまして、石油精製業販売業というものはなかなか困難なことでございまして、今後もこのほかに公害問題からきますところの脱硫装置、これが大体一つ装置をつくりますのに七十億から百億くらいかかるのではないかというような装置をつくらざるを得ない。それからガソリン無鉛化、これも五年間の課題になっておりまして、いわゆるエチル鉛というものを、オクタン価を維持するためにいま混入しておりますけれども、それが害になるというのでそれを取れという御指示がありまして、五年間のうちにその鉛を入れないことにする。そうしますと、なまのガソリンでいきますと現状ではなかなかオクタン価が上がりませんから、それを今度精製をさらによくするためにいろいろな分解装置をつくらなければなりません。そういうリフォーミングとかアルキレーションとかいろいろな問題がありますけれども、そういう装置を今後五年の間に建設しなければならない、こういう問題もございます。  そのほか、OPEC交渉を持ったときに、われわれの手持ちの油が少なくては交渉にならぬというところから備蓄の問題が出てまいります。現状では備蓄は四十五日持っておるのですけれども、それを十五日だけよけいに持つ。これも急にはできませんから、これは五年間でしたかにつくることになっておりますけれども、御承知のようにこの金額もばかにはなりませんで、土地代それからタンク代を合わせますと相当な金額になります。金額をいま申し上げませんけれども、御質問がございますれば詳しいことを申し上げますけれども、相当な額になる。こういうように現在安定供給を主体にしておるわれわれ業種というものに対して、過重な義務なりいろいろなコストのアップの面がおおいかぶさっておるのでございます。  ことに、うわさに聞いておりますと、この国会でいま話題にのぼっております軽油引取税、バスやトラックに使います軽油税金がいまキロリットル一万五千円でございますけれども、自治省の関係で、地方財政が困難なためにそれをさらに上げて、地方道路財源、いろいろなものに使うという御構想があるように聞いておりますけれども、そういうように税金をまた上げるというようなお話もありまして、そういう問題はこの石油連盟関係のほうにみんなおおいかぶさってまいっております。  安定供給をするためにはやはり外国から原油を買わなければなりませんので、それを何とかして買いやすくするように御措置を願えればとわれわれはいつも考えておりますけれども現状では逆な面で、むしろわれわれのほうが税金なりいろいろな義務というものを押しつけられておるかっこうになっておりまして、実は苦慮しておるわけであります。忌憚ない意見を申せというので、こういう点を遠慮なく申し上げましたけれども、ひとつ御参考までに頭の中におとどめ願えれば幸いだと思います。  私の意見を終わります。
  6. 橋口隆

    橋口委員長 次に林参考人
  7. 林一夫

    林参考人 石油鉱業連盟会長の林でございます。  第二次大戦突入寸前日本の油の備蓄がわずかに五百五十万トンであった。昨年度の日本の油の消費量が約二億トンでございますので、一日五十五万キロリットル使うわけです。ちょうど霞が関ビル一ぱい分を毎日使うわけでございまして、その当時の備蓄量というものはわずかに今日の十日分にすぎなかりたということであります。その当時非常に対日感情が悪うございまして、日本に対して油の禁輸をやりました。したがいまして、日本はやむにやまれずして南方のほうに進出していく、戦争はだんだん拡大をしていくということになったのでございますが、この二億トンという数量は実に膨大な数量でございまして、さらに、先ほどちょっとお話しございましたように、これは昭和六十五年度になりまするというと、六億ないし七億トンになろうかというのでございまして、まことに膨大な数量でございます。これを一体どういうふうにしてまかなうべきかというのは――もちろん現在ほとんど大部分はメージャーからの輸入メージャーからこれを買っておるわけでございまして、いま滝口参考人が言われたように、大半はこのメージャーから買っておるのでございまして、わずかに一〇%程度がいわゆる純国産原油として入っておるわけでございます。したがいまして、日本原油需要をまかなうためには、もちろんメージャー世界有力石油会社と提携いたしまして、そこからできるだけ有利に石油を買うということはこれは絶対必要でございますが、同時に自主開発ということ――自主開発というのは非常にことばがいろいろ誤解されまするけれども日本人の手によってある程度開発原油というものを持たなければならぬということもまたこれは必要なことであろうかと思います。と申しまするのは、全然自主開発原油を持たない、全部これを外国からの購入にまつということになりまするというと、これはもう日本としては全然いわゆるバーゲニングパワーというものがないわけです。交渉力が全然なくなりまして、いわば外国メージャーの言うとおりの値段で買わなければならぬというふうなことに相なっていくのではないかと考えております。  こういたしまして、自主開発原油というのは要らぬじゃないかという説もあるのでございますが、先ほど申しましたように、第一次大戦のときにクレマンソーをして、油の一滴は血の一滴であると叫ばしめたように、もしも日本に油が全然入ってこないようになったらどうなるかという危機感というものが、どうも一般にないということでございます。私しょっちゅう言うのでございますが、日本を滅ぼすにはいまや軍艦も大砲も要らない、日本にこれらのメージャーが全部油をストップする、禁輸したならば日本はたちまち壊滅いたします。したがいまして、先ほど申し上げましたように、あくまでもメージャー協力していって、そしてあえてけんかする必要はないのでございますから、親善関係を保って、その協力を得ながらできるだけ安く入れるということをはかると同時に、また日本人の手による開発を進めていくということが必要であろうかと思うのでございます。  先ほど島田総裁も申されましたように、今後の石油開発というものはだんだんむずかしくなってまいります。従来のように、アメリカあるいは英国等におきまして、これはもう植民地から油を開発しておったのでございますから、いわゆる植民地政策によって搾取しておった時代はもう過ぎ去ったのでございまして、昨年来のOPEC攻勢に見られますように、今後におきましては、従来のような一〇〇%の利権を取りまして、そうしてかってにその利益を全部吸い上げて自分の国に持って帰えってくるという収奪型の石油開発はむずかしくなってまいります。最近の――私は、昨年ちょうど南米に外務省のミッションの一員として参りましたけれども、これらのところにおきましても、ほとんど今後の石油利権は従来のような一〇〇%のコンセッションというものをくれるのでなくして、いわゆるサービスコントラクト――まあ請負でございますね、彼らの国においてはたいていみな国営石油会社をつくっておりますので、その国営石油会社が持っておりまするその鉱区の中へ入りまして、そうしてこちらの金で探鉱開発をし、そうしてその油を半分なら半分、日本へ持ってくるという方式でございます。したがいまして、昔のメージャーが味わったような非常に甘い汁を吸うということは今後はできないのじゃないかと思っております。しかし、そういう昔のように甘い利益はございませんけれども日本にはどうしても油というものが不可欠でございます。原子力時代が参りましても、それは一九八〇年の後半だろうかと思いますが、依然として一次エネルギーに占める石油の割合は六八、九%をなおかつ占めるのでございまして、ここ当分は、何といっても石油というものがなければ日本は立っていかないということでございますので、うまみは少なくなったけれども、やはり海外に進出して原油開発をやっていかなければならぬということが至上命令だろうかと存じます。  こういうことに対しまして、私どもとしましては、いま石油開発公団というものができておりまして、この御援助を得ましていろいろ開発に乗り出しておるのでございますが、それがためには、何と申しましても、いわゆる十分な資金がなければならぬ。しかも、その資金は単年度単年度でその予算をきめるのでなくして、いわゆる私どもが要望しておりまする石油特別会計というものをつくっていただきまして、そうしてその中から自然にこの公団のほうに金が流れていきまして、私ど番のほうの開発企業に投融資をお願いしたいと切望しておるわけでございます。  それからまた、先ほど総裁も触れられましたが、石油開発公団の機能の拡充ということを非常にお願いしておるわけでございます。たとえば非常に有望な石油地帯がございましても、世界メージャーというものは膨大な資金力を持っておりまして、機動的に直ちにそれを押える力を持っております。日本は、さて利権がよさそうなところがあるといいましても、まず民間会社が集まりまして会社をつくって金を集める、それからようやく公団にお話しして公団に金を出してもらって行くということで間尺に合わない。その間に全部押えられてしまって、日本はいわゆる落穂拾いに終わるという結果になるのでございまして、どうしましてもこの公団の機能を拡充しまして、有望な利権につきましては先行取得ができるように法律を改正していただきたいというのがお願いでございます。  さらにまた、先ほどちょっと触れられましたけれども、海外海外と申しまするけれども、案外日本の周辺の大陸だなにたくさんの油や天然ガスが眠っておるといわれております。私どもは今後日本大陸だなの開発ということに向かってきわめて積極的に進んでいく必要があろうかと思います。これがためにも、陸上と違いまして非常にばく大な資金がかかりまするので、公団の投融資の対象にしていただきたいということをお願いしておるわけでございます。  それからもう一つども公団にお願いしておりますることは、いま海外プロジェクトにいたしましても大体公団の投融資の額というものはフィフティー・フィフティーでございまして、五〇%を限度としておられるのでございますが、だんだん民間の資金力を動員するにいたしましてもなかなかリスキーなプロジェクトでございまして、リスクマネーでございますから、そう簡単に金は集まりませんので、ケース・バイ・ケースによって、五〇%でなく場合によっては七五%あるいは八〇%までも公団の投融資ができるようにひとつ運営をしていただきたいということをお願いしておるわけでございます。  その他、税制上いろいろな問題がございまするが、時間がたちましたので、またあと御質問がございまするならばいろいろお答え申し上げたい。  これで終わらしていただきます。ありがとうございました。
  8. 橋口隆

    橋口委員長 これにて参考人の方々からの御意見の御開陳は終わりました。     ―――――――――――――
  9. 橋口隆

    橋口委員長 質疑の申し出がありますので、これを許します。松平忠久君。
  10. 松平忠久

    松平委員 参考人の方に若干質問したいと思うのです。  最初に林さんからお願いしたいと思います。  ただいまのいわゆる三〇%程度自己開発のものを持ちたいという考え方が特別会計というお話になっておるわけでありますが、大体何カ年計画で、何年ぐらい、どのぐらいの資金というものが三〇%いくには必要であるか、そのことを皆さんのほうからちょっとここでお話し願いたい。
  11. 莊清

    ○莊政府委員 昭和六十年で大体わが国の原油の所要量が七億キロリットル程度前後といわれており、その三〇%程度をいわゆる自主開発によって開発したいというわけでございますが、まず第一に申し上げておきたいと思いますことは、この自主開発ということの中身でございますけれども、わが国が主体になりまして資本を出して開発するという形はもちろん中心にございますけれども、これと並びまして、外国企業開発をしておる場合に、わが国がパートナーとして参加していく、あるいはそういう開発企業に希望がある場合には融資をして協力をしていく、つまり、ひっくるめて申しますと、石油開発事業への参加もしくは協力というふうなことでございまして、これらを全部ひっくるめまして便宜自主開発と申しておるわけでございますが、こういう手段によりまして七億キロリットルのうちの約三割程度を調達するように、昭和六十年時点でできるように持っていきたいというのが基本姿勢でございます。  それで、それのために一体金が幾ら要るだろうかという点でございますが、これはたとえば海洋でボーリングを一本やるという場合に、昨今は十億ぐらい要るといわれておりますし、それから成功率の見方をどう見るかというふうな点もいろいろ予測があるわけでございますが、通産省でいろいろ試算を置いておりますところでは、大体ひっくるめて最低二兆円ないしそれ以上の金がやはり必要になってくるのではないか、こういうふうに概算で見ております。
  12. 松平忠久

    松平委員 その二兆の金は、つまり全額国費というか政府出資というか、あるいは財投、そういうものであるか、あるいは民間石油連盟の御協力を得てやるというたてまえから民間からも若干拠出がある、そういう考えですか。
  13. 莊清

    ○莊政府委員 二兆円が全部国費ではございません。これは石油探鉱だけではなくて、探鉱したものを今度は生産をいたしまして日本に持ってこれるだけのばく大な投資が現地に要るというものも入るわけでございます。それで、その中で探鉱段階につきましては最もリスクが高うございますから、これはやはり石油開発公団の資金力と機能を拡充して政府が大いに援助をする形でやっていかなければ、これはとてもできないと思います。開発段階につきましては、現在でもさようでございますけれども、輸出入銀行の資金、それから民間の資金等が中心になって公団が借り入れについては保証をするというたてまえになって、そこでまた財政が援助をする、こういう仕組みになっております。したがいまして、探鉱段階は主として政府の資金、開発段階は主として民間の資金、こういうふうに考えておるわけでございます。
  14. 松平忠久

    松平委員 そのパーセンテージはどうなっておりますか。
  15. 莊清

    ○莊政府委員 大体開発探鉱と、場所によってこれはいろいろございます。また開発の、先ほど申しました中で三種類、大ざっぱに申しまして融資買油まで含めて三つぐらいの形態が大まかにあると申し上げましたので、全体の中で開発関係が幾ら、探鉱資金が六十年まで幾らという明確な計算は現在のところではございません。
  16. 松平忠久

    松平委員 その次に、開発方式について皆さん参考人の方からいろいろお話がございました。それからいままでのいわゆる石油開発権利の獲得についてメージャー側にいつもしてやられたというお話がございましたが、これは林さんに伺いたいのですが、過去五年ぐらいの間に、こちらが見てあそこはよさそうだということで行った場合にメージャー側にじゃまされたり、あるいは先手を打たれたりというような例がありましたら、ひとつお教え願いたいと思うのです。
  17. 林一夫

    林参考人 たとえて申しますると、ペルーでございますが、先般ペルーの動力鉱山大臣が参りまして、私どもとしてこうこうこういうところの鉱区がほしいということを申したのでございますが、ちょっとタイミングを失したために、ペトロ・ペルーという国営会社が掘っておりました井戸が当たりまして噴油したのですが、そうすると世界メージャーがそのまわりに殺到していきまして、またたく間に押えてしまう。日本では民間でちょっとそういう芸当はできません。そういう場合にはやはり公団というものが非常に機動的にぱちっと行って押えるというようなことをやっていただきたい。そういう一例がございます。
  18. 松平忠久

    松平委員 島田さんにお伺いしたいのですが、島田さんの公団、その前の資源開発株式会社ですか、かつてあそこで英領のニューギニアでフランスの持っておる鉱区について話し合いをして、これを開発するということがかなり進んでおったように思うのです。そういうことを聞いたのですけれども、その後すっかりこれはわからなくなってしまった。英領ニューギニアの石油開発についてのその後の状況というか話し合いというものはあるのですか。どういうふうなぐあいになっておりますか。
  19. 島田喜仁

    島田参考人 ニューギニアの地域ではフランスの国策会社ERAPという会社がございますが、その子会社の持っております鉱区に参加をいたしまして、ずっと数年間調査をしてまいりました。ところがなかなか金もかかる、それから試掘もいたしましたけれども、なかなか見通しが立ちませんので、このニューギニアの鉱区につきましては、その権利を他の会社に譲渡いたしまして、もし油が当たった場合には一部のシェアをこちらに保有いたしまして、現在は開発に参加をしないというたてまえにいたしました。と申しますのは、石油の問題というのは御承知のようにリスキーでございまして、当たらない場合に十年も掘り続ける場合もございますし、ある場合には見通しを立てまして撤退をするということが、非常に大事な問題で、これは見通しの問題になりますが、そういうことを幾たびか重ねながら油田開発をしてまいるわけでございまして、そのときにはいろいろみんなで知恵を出し合いながら向こうとも話し合いをしてやってまいるというのが実態でございます。
  20. 松平忠久

    松平委員 滝口さんにお尋ねしたいのですけれども、先ほどのお話で、石油開発も大事であるが、精製供給、これが現状においては非常に大事だというお話でありましたが、やはり自己開発ということをいま昭和六十年に三〇%程度を目標にするという考え方で案を練っておられるというのに対して、石油連盟のほうの考え方はそれに対して御賛成なんですか。
  21. 滝口丈夫

    滝口参考人 これはあくまでも政府の一応目標でございますので、われわれ石油連盟民間の団体でございますので、政府意見に反対を表明するわけにはまいりません。石油連盟として、そういう考えに対してどうかということを話し合ったことはございません。ただ、その構成分子である各会社の人間の考えはみんないろいろあります。個人的には、三〇%なんてそんな大きな数量が獲得できるわけがないじゃないかというような意見もありますし、いろいろあるのですけれども、これは政府の御方針でございますので、われわれはそれに対して反対することはございません。
  22. 松平忠久

    松平委員 滝口さんに重ねて伺いたいのですが、かなりの金が政府の財投その他によって、もしこれを実現するためには出るわけでございますので、そこで先ほどのお話にありましたけれども、現在の安定供給、これがさしあたってきわめて重大である。したがって、安定供給確保するために政府はもっと考えてほしい、こういうお話があったわけであります。私も、一方において開発にそれだけの金をかけるというのであるならば、安定供給にも同様な考えがあってしかるべきだと思います。そこで、もっと安定して原油が買えるように、あるいは安定して持ってこれるように、精製もできるように、こういうことだろうと思うのですが、石油連盟として、いわゆる安定供給確保するために当面政府にやってもらいたいことというか、あるいは資金でも何でもいいのですけれども、そういうことはどういうことなんですか、具体的にひとつお示し願いたい。
  23. 滝口丈夫

    滝口参考人 石油連盟といたしましては、原油をなるたけ安く買うということが一番のポイントなんでございます。それで、これはもう毎回、もう何年も前から石油連盟として主張しておりますことは関税の撤廃でございます。要するに、世界エネルギー資源というものを、外国からほとんど輸入をしている原油でございますが、それに関税をかけているところはございません。ただ、アメリカ合衆国が自分のところの、要するに国内でできます原油の維持のために外国から輸入するものに一応の差別関税をつけておりますけれども、それ以外は原料を輸入するのにそれに関税をかけるというのは日本だけでございます。今回OPEC値上げをした一つの理由も、これは直接聞いたわけじゃございませんけれどもOPECのほうとしては、われわれが要するに油によって得るガバーメントテークよりも、日本政府のほうがよけいに油で取っているのじゃないかという一つの根拠にその関税の問題があるわけです。それで端的に申しますと、いま油が世界的にないということでありませんで、ただOPECが値を上げるわけです。値を上げても、われわれはその値段で金を出せば買えるわけでございます。ただ、それがだんだん高くなりましたものを国内に持ってきた場合に、その油の値段が、一般消費者に行く場合にあまり高過ぎちゃ困るというところに懸念がございますから、そういう点を関税で解決するということは、要するに関税を無税にしていただけば、その分だけ油がまた多少高くても買えるということになります。ことに、OPECがこの春に値上げをしまして、その原油値上げ世界的に一体、ヨーロッパなり各国でどういう処置をしているかということを、実は石油連盟調査団を派遣しまして調べて、最近その報告が来ておりますけれども、ヨーロッパや何かは端的に、原油が上がればそれは製品でカバーする、値上げするのはあたりまえだ、常識だといって、それは消費者もあまりそういうことは文句を言いませんで、スムーズに値上げというものが実行されている。イタリアはその点は政府税金のほうをまけまして、それで一般大衆にその値上げが波及するのをある程度緩和しております。そういう国もありますけれども日本は関税は下げないということで、それで値上げをしようとしますと、一般需要家さんのほうからは文句が出ます。特に最近は灯油が、これは値上げでないのでございますけれども、小売り価格で多少フラクチュエーションがあったときにすぐお目玉をちょうだいするという、日本が一番われわれのほうとしてはやりにくいのでございます。その点は十分お考えください。
  24. 松平忠久

    松平委員 それから公害問題にお触れになったのですが、この公害について企業責任主義ということを日本はとっているわけです。何らか政府石油公害について補助的なことをやっておられるかどうか、若干金を使っているかどうかということをちょっと聞かしてもらいたい。
  25. 滝口丈夫

    滝口参考人 これはこの前の私の話では触れておりませんでしたけれども、この機会に皆さまにお礼を申さなければなりませんが、重油脱硫装置をつくる場合にいろいろな補助、いろいろな税金の面とか、それから償却方法につきまして御援助を得ております。それからローサルファ原油輸入する場合に、去年でございましたか、おかげさまで御援助を願うことになっておりまして、この点については感謝いたします。ただ、希望としましては、もう少しよけいいただきたいというのが実は偽らざる気持ちでございます。
  26. 松平忠久

    松平委員 先日、私、北京の郊外の房山の石油精製工場を見てきたのですが、これはこの間の東京の同友会のメンバーの方々が行かれたときにも見てきまして、その記事が出ておるのですが、その中の公害問題についてのやり方というものは、汚水の処理について、汚水を真水にしましてそれでいろいろな魚を飼っておった。そうして魚を飼っておるその向こうのほうにたんぼがありまして稲をつくっているわけです。これは国営だからできると私は思うのだけれども、しかし、日本の公害関係のいろいろなやり方というものを見てみますに、都道府県にもかなり力を尽くさせるような、そういう体制にも漸次なってくると思うのです。したがって、石油精製工場における公害というものは、地域の住民との関係でありますから、都道府県にも協力をさせるということで、そうして試験的にもそこで魚を飼ったりあるいは米をつくってみるというようなやり方ですね、これは政府関係の都道府県が協力すればできることなのです。そういうことをやって、そうして住民の信頼をかちうるようなことを、これは非常にいいことだと思って見てきたんですが、参考までに私はただ申し上げただけですが、ひとつお考えおきを願いたいと思います。  時間が参りましたので、最後にお聞きしたいのですが、いまから十年くらい前でありますか、エネルギー資源調査ということで二回ほど欧米を回ってきたのですが、そのとき各国にいろいろなやり方があります。たとえば、フランス方式のようなああいう方式で、一種の専売制度みたいなものをこしらえて、そしてあの益金でサハラ砂漠の石油開発をやったわけです。イタリアはENIという国策会社を通じて、そして北部イタリアのあのパイプライン、こういうものをやらしている。そういう資金を持っておるわけなんです。  そこで、いまの石油関係税金の一部の中に目的税的なものがありまして、道路の整備その他に使う。これはまあ私も一つの方法だろうと思うのですが、そういう意味日本日本式のこと、いわゆる目的税的なことを考えてやるということも一つの方法じゃないか、こういうふうに思っておるわけなんです。そうするとすぐ税金を上げろということになりますが、そうじゃないのです。道路が一応終わったらひとつそっちをやるとか、あるいは部分的に道路のほうはかなりガソリンや自動車におんぶするのじゃなくて、国全体の交通の問題なんですから、それはそれで考えて、そうして石油に関するいろいろな税というものはいま申しました特別会計に入れる、こういうような行き方というものがひとつ考えられてしかるべきだと私は思っておるわけです。それについて皆さん方の御意見があれば伺いたいと思います。  以上をもって私の質問を終わりたいと思います。
  27. 滝口丈夫

    滝口参考人 石油連盟といたしましては、この石油特別会計ができますときに一応意見は申しております。それは、関税から転化をして財源にすることは反対である。関税は無税であるというのが要するにわれわれの根本思想でございまして、関税はもうないものである。それを関税をあてにして、それで資源開発をやるというのは困る。資源開発をやることはまことにけっこうです。けっこうですが、財源はほかの財源からお使いくださらなければならない、関税のほうから出るのは困りますという意見は申しております。
  28. 橋口隆

  29. 丹羽久章

    丹羽(久)小委員 小委員長のお許しを得ましたので、ちょっとお尋ねいたしたいと思いますが、きょうは島田石油開発公団総裁石油連盟会長の滝口さん、石油鉱業連盟会長の林さん、御出席いただきまして御苦労さまでございました。  私、少し時間をおくれて参りましたので、皆さん三人のお話を承ることができませんでしたけれども滝口さんと林さんのお話は承ったつもりでございます。  私がこれからお尋ねいたしたいと思いますことは、それぞれの方々に関係ありますが、まず石油連盟会長は、一応精製していただいたら、それを国内で売るという販売的な関係重点になろうと思いますので、これはもう私としては、外国製品そのものを売っていただく立場において、税金問題やいろいろあろうと思いますが、きょうはこの問題には触れようとは思っておりません。そこで、特に開発公団総裁石油鉱業連盟会長に私はお尋ねをいたしたいと思います。  まず最初に、連盟会長の林さんにお尋ねをいたしたいと思いますが、あなたの話のうちに、日本石油というものの使う全体量、そのうちの九十数%というもの、これを、たまたま私ども石油連盟の方々とお話を申し上げましたときには、九九・六%までが外国から入ってくるものであるというお話でありました。私もそう思っております。それほどの石油が海外から入ってくる。日本にはほとんどないといってもいい状態である。そういう場合において、日本の国内にもう売らないようになってきたという時点、そのときはもうたいへんなことになろうと思うのです。私は、菅野和太郎さんが通産大臣のときにもそのお話を申し上げて、あの戦争が始まる――あれはどこの戦争だったか知りませんが、戦争が始まるちょっと前にその質問をいたしております。日本の油の保有量というのはどのくらいあるかと聞いたら、大体二十日あるいは十七、八日持ち分があるということでした。日本世界的に発展して文化国家になってきたというその中心をなすものは何であるかというと、エネルギーであり石油であるということは申し上げるまでもありません。それが、よそからとめられた場合、入らないようになった場合、日本の国内にそんなわずか二十日間や十八日間でどうするのだということを私は質問いたしたのです。そのときの答弁としては、何とかして石油確保をいたしていきたいけれども、非常に危険なものでもあり、これを貯蔵する上において、買いだめをする上においてはたいへんな金がかかる。そこで、子供だましのような話でありましたけれども石油スタンドをたくさん皆さんにつくっていただいて、そこでつとめてひとつ持ち量を多くしていただく、そういう民間分散的なものをひとつ考えてみたいと思うというような、子供だましのような話でありました。ちょうどたまたま私は時間の関係でそれ以上の追及をすることはできなかったので、残念ですけれども、それで打ち切って、そんな安易な考え方ではだめだ、もっと大量にそれを貯蔵する考えを持ちなさい。他国はどのくらい持っているかと言ってそのときに聞いたら、他国は大体三月ないし四月ぐらいが標準であるという話でした。他国は三月であろうと四月であろうと、自分が掘ればまた持ちこたえることのできる資源を持っておる国はそれでいいでしょうが、日本のように無から、よそから有を出すという国が、そんな一月や半月で一体どうするのだという考えを私は常に持っておるわけであります。  きょうここに御出席になっております社会党の加藤先生なんかとも私どもアメリカへ行きまして、ロッキー山脈周辺をバスで通ったわけであります。そのときにあちらこちらでボーリングしている。あれは一体何のボーリングをしているのだと聞くと、油があるかないかのボーリングをしておる。油があったらどうするのだと聞いてみますと、油があるとそれはあるというチェックをしておいて、それで出そうとはしない、封じておくのだ。ここに資源があるということさえわかれば、それで出そうとしない。それじゃ、アメリカ政策はどうなんだと言って聞いてみますと、現在買えるだけよそから買って、そしてなくなったときに初めてアメリカ資源開発をしていくという長期展望に立っておる、こう言っております。日本は、いまあなた方の説明を聞いてみますと、もうたいへんな油の使用量であり、伸び量なんですね。これがよそから入れてくれなくなってくるような事態、そしていま石油開発公団というのができたが、私に言わせると全くお粗末なんです。人柄がお粗末だというのでない。その資金量たるものとその考え方が、私はお粗末だと言ってあえて過言でないと思う。これは、やはり日本がみずから資源がなければ、一番大切な資源をどう確保するかということはたいへんな問題だと思う。そういう意味において、私は石油鉱業連盟会長であるところの林先生のお話は、実際非常に参考になる。  そこで、林会長からは御返事をいただこうと思いませんが、石油開発公団に、これから私の言うことに対してひとつお答えをいただきたい。先ほど林会長が言われましたが、同じ表現であるけれども、ものの言い方が少し違った表現を私は聞いた。どういう言い方をするかというと、日本をつぶすには手間ひま要らない、油を売らずにおけばよい、こういうことを諸外国で言っておりますよ。そういう事実はいま端的にはあらわれてこないけれども、少しずつあらわれつつある。それはどういうことにあらわれてくるかといえば、うちの品物だから高く買え、いやだったら少し考えさせてくれということで、だんだん値段が上げられてきている。もう一つは、考え方によっていろいろ違いますが、油の値段が上がるという問題だけでなくて、よその国同士が戦争してきた、そういう戦争をしてきたときに、日本は島国である、輸送をすぽっととめられてしまった、こういうような事態等々を考えてみますと、開発公団自体の姿勢というのか基本的考え方、国の金によってまかなっていくなんというようなことそれ自体が十分なまかないができない。とすれば、民間協力を得なければならない。民間協力を得なければならなければ、その間におけるところの協約は、今後どういう事態になっても安全性――日本は憲法九条により戦争には不介入であるからといって、安全性が保たれて、日本に輸送してくれるであろうかどうであろうか。そういうような契約が結ばれて、初めてボーリングをして、そこに試掘権ができ、そこに初めて石油がふき出してきた。それを日本の船が持ってくる。輸送して、そうして精製所でそれを精製するというような機構になっておるかどうか。それはもしなっていないとするならば、そこの国において問題が起きてきたときには、もう輸送することもできない。権利は持っておる、掘る力はある。ところが、輸送はできませんよ、私の資源ですからと、こういうことになってきたら私はたいへんだと思う。そこでIPU会議に出席しましても、みんな口をそろえて、資源のある人たちは、石油に限らず、こういうことを言っておる。私の国には物があるのだ、文化国家の連中が技術を持ってきて、そして物を掘る。掘ってそれを持っていく、われわれにはほんとうにささいな金より払っていかないじゃないか。そしておまえたちはその資源を掘り出して持っていくと、今度は逆に、帰ってくるときには高い金で売りつけてくる、そういう不平等なことは、もう今後は許されないことである。IPU会議においてもこういう問題を取り上げて真剣に考えてくれ、こう言って、会議でも盛んに、そういう資源を持っている国――資源を持っているところの低開発的な国民は、声をそろえてそれを訴えている。それは将来国連でも取り上げる問題になってくるでしょう。人種差別と一緒にこの問題は取り上げてくるだろうと思う。そういう意味から、これからの資源開発をどういう基本的姿勢であなた方は進めていこうとせられるのか、これをひとつ開発公団総裁にお尋ねいたしたいと思います。  石油のないこともおわかりでありましょうし、これからたいへんな石油が要する。その石油をどう集めて、今後どうするのか。すでにケネディは、いまから二十年前に大きな発表をしている。それは、地下資源に対しても海中資源に対しても、日本の何十倍かの予算を計上して、そして開発をしようじゃないかということを叫んでおる。そういう意味から、きょうもあなたのほうのあれが御出席になってお話しになりましたが、その金額たるもの全く微々たるものである。これはやはり日本の一番大切な問題であると思いますから、どうぞひとつ腹を据えて、遠慮なしに聞かしていただきたい。それによってわれわれもしっかりした考え方を持ちたい。これは超党派的なものです。何も政治的なものは一つもない。超党派的に日本資源確保のために、私ども日本人の民族安定のために、戦争に使う資料としてでなく、われわれが文化生活をしていく上における絶対必要なものとして考えていってもいい。そういう意味からひとつしっかりお答えいただきたいと思います。
  30. 島田喜仁

    島田参考人 いま先生からお話がございました問題につきましてお答えをいたします。  私ども、まずこれから海外で資源開発をいたします最大の目標は、先ほど申し上げましたように資源国でございます。資源国に対しまして、私どもがどういう考え方で進めてまいりますかというと、先ほど申し上げましたように、従来メージャーズ並びに国際資本がとってまいりました、言いかえれば、資源国が言っておりますように、油を掘って、自分のところへ利益だけを持っていくような考え方では、これからは利権を渡しませんという、そういう考え方というものを私どもは考えていかなければならぬ。と申しますのは、いまお話しの安定供給立場から日本長期的に油が確保されると同時に、資源国は、やはり自分の国の要するに工業化もしくはテイクオフを考えるという共存共栄の立場開発を進めていくべきである、こういうふうに私ども考えております。  そこで、私どもは、ほとんど資源国にあります公社もしくは政府から、日本で何とか開発に参加をしないかという強い要望が公団発足以来来ておりまして、むしろ考え方としては、いままで土つかずであった日本とぜひやりたいという圧倒的な希望を持っておることは間違いございません。ただ問題は、先ほど申し上げますように、だんだん資源国も社会開発をしたり、経済開発をするために石油利権条件を変えていこうという考え方に立っておりますので、それらの点を考えながら日本も要するに相話し合いまして利権交渉をする。いままで私どもが四年間――資源開発国に対しまして利権協定ができておりますが、その利権協定は全く話し合いの結果、日本にきめられた油を輸出するということがはっきりいたしておりまして、ただ私ども考えておりますのは、もちろんその資源国の政治情勢等も知り得る限り慎重に考えました上で、まず日本に対してはだいじょうぶであるという判断に立って利権協定を進めております。  なお、いま申し上げましたように、利権協定がきわめて多様化されておりまして、一つの方式だけでなくて、幾つかの組み合わせによりまして、そのときそのときに協議の結果きまってまいるわけでございますので、それに対しましては、いつもそれに即応した手が打てるような公団の機能になっておりませんと利権確保されない。同時に、もう一つは、先ほどもいろいろな計画がどの程度になるか、三〇%の問題についてもお話がございましたけれども、実は利権日本は持っておりません。鉱区を持っておりませんから、幾ら日本で計画を立ててみたところが、交渉して、利権がはたして日本に来るかどうかわかりませんので、計画というものは実は実際には役に立たないわけでございます。もしまた一応計画を立ててそれが発表されますと、それこそ人の領土権に属する資源日本がやろうとしているというようなことになりますと、実はたいへんな問題になります。普通の予算の場合には、事業計画というものがきまっておりまして、その事業計画に基づいて積算をして、そうして予算というものがきまるわけでございますけれども、私ども公団立場に立ちますと、鉱区を持っておりませんから、探鉱計画というものは実は立たない。一応腹づもりはありますけれども、金があって初めて利権交渉ができるわけですから、その利権交渉も実は公団では利権を獲得することができませんけれども、しかしそうも言っておれませんので、先行的にその前段階のネゴを実はやるわけでございます。やらざるを得なくなっておるのが実情でございます。そうなりますと、ある程度大きな金が要る場合に、金なしには交渉ができない。しかもまた、その金の要り方が違ってくる、そういう点を私ども一つの大きな悩みにしておるわけでございまして、この点が、たとえば、石油会社等は蓄積資本を持っておりますから、いつでも手が打てる。いま林会長のお話がありましたペルーの問題につきましても、ぜひ日本とやりたいというので、実は大臣が私のところに参りまして、長時間にわたってあれしましたけれども、その当時相当金が実はかかるわけでございまして、たとえば、ペルーの問題が出ましたからあれいたしますと、例のアンデス山脈――富士山より高いアンデス山脈を越えてパイプラインを敷かなければならぬ。しかも、そこはアマゾンのジャングル地帯でございます。そこで掘って、パイプラインを太平洋岸に敷いてくるという相当大規模なプロジェクトでございますが、そのために手が打てるかというと、手が打てない。そのために、大臣は日本に対してこれだけ話をしたにもかかわらず、日本は残念ながら進出してくれなかったというので、この一、二カ月でばあっときまってしまった。これは先ほどお話があったような例でございまして、そのほか、数年間にわたりましてそういう手が打てない。ところが、御承知のように公団と申しますのは、要するに、国会で法律によってきめられた機能の範囲内でしか私どもは責任を果たしてまいれぬわけでございまして、政府もしくは国会公団の機能をどうしてまいるかを私どもに御指示いただき、おきめいただけば、それに従って私どもはその仕事に微力ながら全力を尽くしてまいるという立場に立っておりますので、その点をひとつ御了承願いたい。しかも、私どもその範囲内ではできるだけ努力をいたします。
  31. 丹羽久章

    丹羽(久)小委員 公団の規約を順守する、その域を脱してまでやることはできないとおっしゃるが、あなた方が、公団が最初に出発したときの実情に沿っていなければ、こういうこととこういうことは直して、そうしないとほんとうに機能を発揮することはでき得ないじゃないかという熱意があるのを、どこで食いとめるでしょうか。それはやはりあなた方がほんとうに仕事をしていかれる上においてそれを直してくれという問題があれば、それは直るのですよ。だから、私はきょうあなたを責めようとは思っていないが、国を愛するために将来を考えてくるときに、一体このままでいいかどうだということになってくると、全く不安なものなんです。一カ月や四十日より保有量がない、使い量はどんどん使われていく。そういうようなことで、このままではいかぬから海外に開発をしてもらうようにあなた方が中心になっていただく、開発公団の力が足らなかったらやっぱり民間協力してやるのだ、政府にそういう財投ができない場合には民間の金も入れてやっていこうじゃないか、そういうところで日本輸入する資源確保をして、たとえ一年間でも持てるという体制にならなければいけないというのがいま国民の声なんです。最近、油がそんなに少ないのかといって初めてびっくりしているのですよ、あちらこちらで発表せられてくると。九九・六%というものが海外から入る舶来品ですよということを、最近自動車に乗っている人たちも認識しかけてきた。だから、ひとつあなた方において十分研究していただいて、いまの公団の規約自体が、あなた方がやっていただく上において不便を来たすなら、それはひとつ遠慮なしに言われたらいいでしょう。そうすれば真剣に政府も考えて、それを直していくでしょう。私どもは実際その審議にだれひとり反対するものはないですよ。  そこで、局長、あなたにお尋ねします。一体、局長は現状の油の貯蔵だけで、もしもの場合があったときに乗り越えていけると考えておりますか、あなたは通産省の責任者として。それでもし乗り越えていくことができ得ないとするならば、今後の貯蔵方法は、できるだけよそから買って入れるにしても、どういう方法を考えておるか、ひとつ局長として責任ある御答弁を願いたい。
  32. 莊清

    ○莊政府委員 お答えいたします。  現在、わが国の石油備蓄は大体消費の一月半程度でございます。これはヨーロッパの水準に比べましても半分ないしそれより若干上という程度の低い水準でございます。しかも、わが国は全量海外から輸入しておるわけでございますから、大規模の戦乱等ございました場合、これはまた別の問題かと思いますが、局地的に供給が円滑に行なわれないというふうな事態は今後十分考えなければいけない。  そういう意味で、まず第一には、私ども来年度から石油特別会計を設置いたしまして、これによる助成を行ないながら、その四十五日分の備蓄というものを計画的に増加さしていきたいと考えております。とりあえず、来年度以降三カ年間で一年につき五日分ずつふやす。四十七年度、八年度、九年度で十五日分を上積みいたしたい、かように考えております。  このほかに、備蓄につきましては、通産省といたしましてはもう少し広く対策を進めるべきであるというふうに考えております。  その一つは、今後の開発に際しまして、やはり極力開発地点というものを、分散を心がけるようにプロジェクトを設定していくということでございます。局所集中を極力避ける方法で地域分散をはかる。第二は、わが国の周辺にございます大陸だなの資源、これがまだほとんど手がつけられておりませんので、この面についても調査開発を急速に進める、こういう施策もあわせて、全体としてわが国の備蓄力を強化させて安定に資したい、こういうふうに考えております。
  33. 丹羽久章

    丹羽(久)小委員 時間が来ましたのでやめますが、年間五日間ぐらいずつ伸ばしたい、三年計画を立てて十五日間伸ばすなんて、子供のようなことを言ったってだめですよ。そんなゆうちょうなことをあなたはお考えになっておるのですか。それが真剣な考え方でしょうか。私は議論しようと思ってはおりませんが、もっと考え方があるはずでしょう。年間五日間伸びるといって、皆さんどう思います。年間五日間、三年間かかって十五日間の持ち分を多くしていきたいなんて、国民のしあわせを考えて、一番中心になる油がそんな考えでは私はまともには受け取れない。もしそれに障害があるとするなら、五日間持ちこたえることの計画より立たないというそのほかに原因があるなら、今度あなたによく聞くことにいたしましょう。私は少なくとも三年かかって一年分ぐらいの持ち分を十分でかしますとか、二年後には一年分ぐらいは何とかしますとか、百四十億ドルも百七十億ドルも日本は金を持っておりますから、その何%かを出して、そうして油を買いだめして、いままでの大きな防空壕というのか、そういうところにでもドラムカンを押し込んで、最悪の場合にはみんなに心配のないように考えますというのならわかるけれども、年間五日間ずつ伸ばしますというようなことでは、局長の答えとしては私は納得できない。もしその間にどこかに問題が起きてきて、入ってくる船が半分になってきたら一体どうします。デスクプラン的なものではなくて、もう少し真剣な考え方でこの問題は取り上げていっていただきたいと思うのであります。  要するに、ないのでないのです。規制せられて売ってくれないというものじゃないじゃありませんか。時間がありませんからお答えいただこうと思いませんけれども、私はそんな局長のお考えなんというのには絶対承服することはできません。私は特別に今度商工委員会に出まして、なぜ年間五日間というもので十五日間を対象にせられるか、ゆっくり聞いてみたいと思います。どうもありがとうございました。
  34. 島田喜仁

    島田参考人 丹羽先生に一言だけお答えさしていただきます。  ただいま私は、公団の機能というのは法律にきまっておると申し上げましたけれども、私どもが四年間やってまいりましたいろいろな実態から、どこに問題があってどうしたらいいだろうということは政府には全部お話を申し上げております。  そこで、一つ、二つポイントだけ申し上げたいと思いますが、いま私ども公団は、林会長からお話がございましたように、全く民間と一体になってやっておりまして、ただ問題は、むしろ国の金をよけい出してもらいたいという要望が出ておりまして、この点はプロジェクトによりまして、大型等のプロジェクトに対してはそのとおりだ。それを政府に要望いたしております。  それから第二は、これも林会長のほうからのお話がございましたが、やはりいろいろな情勢からいえば、大型の有望な資源利権公団が取得できるようにいたすべきだ、こういうふうに考えております。これは業界とも同じ考え方でありまして、政府に対して強く要望をいたしております。  第三は、先ほど申し上げましたように、日本がみずからリスクな探鉱投資に金を出すという形でなしに、資源国には全部公社というのがございますから、公団から公社に直接金がローンできるような形をぜひとつていただきたい。幾つかの多様化の中で、向こう側が金を持ってやるんだ、それに技術的な協力、あるいは掘れたあと油を日本に持ってくるという形をとっていかざるを得ない情勢が刻々出てまいっておりますので、ぜひそういう形をとっていただきたい。  それから、利権をとった場合に一定の義務がありまして、すぐ、たとえば一年あるいは一年半の間にまず掘ることまでやるべきである、権利をとってそれをほったらかしておいてはいかぬというそういう支出義務期間がきまって、だんだん短くなっておりますので、とりあえず権利をとったあと必要な場合には探鉱までやることをぜひ私はお願いをいたしたい、こういう最小限度のお願いだけをここではっきり申し上げさせていただきたい。
  35. 橋口隆

  36. 岡田利春

    岡田委員 総合エネルギー調査会石油部会で、去る十二月六日に、今後十年間の政策についてその基本方針を出しておりますが、大体これを読んで、私は、石油業法並びに石油公団法の審議の際に私どもが述べてきた方向に一歩近づいてきた、こういう意味では一応評価をいたしておるわけです。しかし国際的な、特に、日本の場合には、同じく資源を多量に消費しているヨーロッパのエネルギー政策というものは日増しに年々やはり前進をしている。このことに注目をする場合にまだまだ不十分な面が非常に多いのではないか。特に、ヨーロッパのエネルギー政策は相当な天然ガスの発見等もあってその構成比が変わっているのにかかわらず、石油であれば七五年までには九十日の備蓄を完了する、軍事の分についてはこの別ワクである。あるいはイギリスのEC加盟によって、もちろん原子力においてもEC関係エネルギー政策は大きく前進するでしょうし、イギリス自体がメージャーズを持っているわけでございますから、当然これは協力をする義務を生ずるわけでございまして、この面でもヨーロッパのエネルギー政策は大きく前進することは間違いがないことだ。そういう国際的な動向の変化から考えても、まだこれでも不十分ではないか、私は実はこういう非常に強い意見を持っているわけですが、いずれ通常国会には石油開発公団法の改正が出されると思いますから、詳しくはその段階でいろいろ議論をしてみたい、こう思っております。  ただ、いま島田総裁が言われた要望点はなるほどその通りだと思うのです。私は先般の委員会で、石油公団総裁である島田総裁は、その行動半径から見て公団法の業務の範疇を越えているのではないか、こう実は委員会で指摘をしたことがあるわけでありますけれども、もちろんそういう方向に動かざるを得ない情勢であることは当然でございます。ただ私は、これはもちろんそれぞれの情勢、年次計画に合わしてやらなくてはならぬ問題でありますけれども石油公団自体が原油を買いつける機能を持つべきではないのか、いま言われた意見以外にそういう意見を持っているわけですが、これは需給の動向がありますから、いますぐ一ぺんにやるというわけじゃなくて、大体十年なり十五年の見通しに立って、そしてやはり機能としてはそういう機能も持つことが大事ではないか。もちろん、意欲としては協力開発といいますか自主開発といいますか、これを三〇%に持っていくといっても、これはたいへんなことだと思うわけです。言うにやすく、これを実際に行なうということは非常にむずかしいと思うわけです。そういう側面等も考えると、やはりそういう点を含めて石油公団法の改正は考えらるべきだというのが私の意見でありますけれども、この点について島田さんの見解を承っておきたい。
  37. 島田喜仁

    島田参考人 ただいまお話をいただきまして私みずからを反省いたしておりますが、公団の機能といたしまして油を買いつける業務をするかどうかについては、いろいろ私は問題があると思います。ただ、いま申し上げましたように、もしかりにみずから掘るのでなく、相手の公社にファイナンスをして、向こう側が掘った油を日本に渡すという場合には、場合によって引き取り権という問題が出てまいります。当然、協定の中で日本に油が来るというわけでございますが、かりにそういう場合には、引き取り権というものをもちまして、その引き取り権を民間企業に渡していくという考え方は、一つの問題点ではなかろうか。要するに、公団が油を実際輸入をするということになりますと、膨大な機構も持ち合わせなければならぬ。それからいろいろな操作というものが出てまいりまして、これは私はなかなか簡単にはまいりませんと思いますので、それはまた政府のほう、国会で御審議をいただくといたしまして、ただ引き取り権の問題は一つの問題点、こういうふうに考えております。
  38. 岡田利春

    岡田委員 大体開発システムとしては四つのシステムがある。いわゆる単独開発、共同開発資本参加、さらにまた融資開発方式融資開発方式という場合には当然引き取りの義務が生ずるのではないか。また、今回のイランの協定を見ましても、これはいますぐ問題でありませんけれども長期的には問題が出てくるでしょうし、石油業法自体に関係する問題になるわけです。そういう点から、方針を出されておる答申自体を見ても、そういう面について十分討議をして、石油公団法の改正の場合には提案すべきだ。でなければ、いま言ったようにせっかく融資をしてもなかなか引き取りが問題だ。たとえばアラ石だって、初めは開発したって引き取りが問題であったわけでありますから、こういう点について十分ひとつ研究をしていただきたい、こう思うわけです。   〔橋口委員長退席、進藤委員長代理着席〕  それと、林さんに私お聞きしたいと思うのですが、日本エネルギーというのは非常に安いエネルギーをぜいたくに使ってきた。これが六〇年代の傾向であったと思う、アメリカ、ヨーロッパに比べて。この辺でもう少しエネルギー価格バランスというものについて総合的に検討する段階にきておるのではないか、こう私は判断をするわけです。たとえば電力の場合、日本は重油をほとんどたいているわけでありますけれども、この場合にアメリカ、ヨーロッパに比較してみますと、日本の料金体系というものは電灯料金高の電力料金安というのが国際比価の現状であるわけです。たとえば、今度沖繩が返ってきますけれども、電灯料金では沖繩は安いけれども電力料金ではこれは沖繩のほうが高いわけです。米軍の基地に供給している電力料金の価格が大体日本の平均単価と同じだ。こういうものはそのままにしてある。それから、国際的な面から見ても、油の場合のそれぞれの価格バランス等も考えていいのではないか。それから、エネルギー価格というのは、これは上がっていくのだと思うのですよ。これから開発しても、メージャーズより安いコストで開発なんというのはとうていだれが考えてもできないことでありますから、上がっていくわけです。そうすると、エネルギー政策を遂行するために、結局エネルギー価格バランスというものをもう一度総合的に検討し直していく。このことなくして、七〇年代、八〇年代を展望するわが国のエネルギー政策はもう確固たるものだ、こう言い切ることはできないのではないか。ところが、価格問題になると全然手を染めないというところに私は非常に大きな問題が隠されておるように実は受けとめておるわけです。したがって、先ほど関税の問題も出ましたけれども、わが国の関税は確かに特異な関税です。しかし、これは初めから関税をかけるというのではなくして、当初重油消費税というものがいろいろな業界の関係で一〇%の石油関税に転化をしたという歴史的な、答申と相反した法律ができたというような経過も実はあるわけでありますけれども、そういうエネルギー価格政策といいますか、こういう点についてぜひ御所見を承っておきたい。石油連盟滝口さんにひとつ……。
  39. 滝口丈夫

    滝口参考人 価格政策でございますが、これは前にもいろいろ政府のほうでも検討しましたし、石油連盟でも、前の出光会長の前の密田会長のときにこの価格問題を真剣に取り上げまして検討したのでございますが、結局どうもはっきりしたものができなかったのでございます。どういうわけでできなかったかと申しますと、結局石油というものは国際商品でございますので、外国の相場なり何なりに影響されるわけでございまして、日本だけで特殊の価格体系をつくるということはなかなか困難であるということにまあ帰着するわけでございまして、そう簡単にはできないのでございます。
  40. 岡田利春

    岡田委員 エネルギー政策の基本は、低廉にしてかつ安定的供給、こういわれるわけです。どこの国でもそうですし、そういうことばを使うのは当然だと思うのですが、わが国のこれからのエネルギーの大宗を占める石油の問題を考えた場合に、このウエートはどちらを一体重く見るのか。いわゆる低廉ということに重点を置いているのか、安定供給重点を置いているのか。ことばはさらっと低廉かつ安定、こういうのですけれども、私は相当これはウエートが違うと見ているわけです。今回のこの答申をずっと読みましても、低廉ということばは――石油は国際価格でありますから、そういう動向でずいぶんある程度きめられていく、こういうことを考えてまいりますと、やはりエネルギーの大宗を占める石油の場合を考えれば、安定供給ということに大きなウエートがある。  もう一つ、私はエネルギー政策立場からいえば、これだけのエネルギーの多消費国のわが日本が、国際連帯や国際信義の面からいっても当然これはやらなければならない。まして、これからずんずんリスクが大きくなってコストがかさんでいく。そして一年間イランの六千億バーレルぐらいですか、そのくらいの油の消費量がふえていくというのでありますから、GNP世界第二位のわが国が、当然もう国際信義、連帯感においてもやらないと、国際的に指弾されると思うのですね。単に国内的な次元よりも国際的な次元という問題があるわけですから、当然この石油開発というものは、わが国としてあらゆる面で積極的に進めなければならない、私はこう考えるわけです。そういう点では、まあ安いことが最も望ましいのでありますけれども、やはりそういう安定供給、国際的なそういう信義、連帯感といいますか、こういう面がやはり大きなウエートを持っていくことになるのではないか。そうでないと、価格の問題になりますといろいろこれは議論が出てくるのではないかと思うわけです。そういう点について、これは島田さんの見解と、それから滝口さんの見解を承っておきたいと思います。
  41. 島田喜仁

    島田参考人 岡田先生にお答えいたしますが、全く私は先生のお考えに同感でございます。と申しますのは、先ほどお話がございましたが、日本は要するに外国から原油を買って、それをリファインして販売する、そういう体制を戦後とってきたわけです。これはおそらくSCAPの考え方でもあったと思います。中東油田を英米が掘った、その油を日本供給する、掘るリスキーなことはやらずに、それをリファインしていくという体制であったと思うのであります。私は率直に申しまして、顧みるとこの政策は間違っておったのではなかろうか、こういうふうに私は私見で考えております。   〔進藤委員長代理退席、小委員長着席〕  そこで問題は、そういう体制で参りましたから、相当長期間にわたって日本は油を大量、外国石油資本に依存せざるを得ないという事実はどうするわけにもいかない。ところが先ほど申し上げましたように、石油開発というものは十年単位でございまして、先のことを考えておるわけでございます。そういう点を考えますと、要するに、やはり世界全体の資源が、それは無尽蔵にあるということも一つの事実かもしれませんが、これを効率的に、技術的にも人的資源を使って人間が使えるという油というものは限界がある。タイミングにおいても限界がある。ところが、需要がどんどん伸びておりますので、私はやはり世界的に一番大事なことは、資源国も、あるいは開発しようという国も、消費国も、すべてやはりリスキーな、自然に挑戦をして供給力を長期的にふやしていく。そういう点に基本を置かない限りは、石油問題は世界的に解決をしない、私はこういう前提に立つべきである。そういう長期的な観点からいいますると、安定供給というのは、世界的に見て安定供給になるような状況が基本である、こう私は考えております。したがいまして、やはり資源政策としては、長期的な観点に立てば安定供給重点が置かれていくべきである。したがって、いままで低廉であるという問題というのは、安く買うのではなくて、やはり国際的な価格で買い得るような、合理的な価格で買い得るようなことを一つの目標にすべきではないか、こういうふうに考えております。  それから第二の点は、先生のおっしゃったことは全くそのとおりでございまして、アメリカ、ソ連に次ぐ大消費国である日本が、要するにいままでの体制がそうであったからといって、自然に挑戦をすることをせずに、リスキーなことは外国企業にまかせて、その油だけを買うということは、大経済国であり、大消費国である日本立場として国際的に許されるかどうかという問題は、先生のおっしゃるとおりに考えるべきではなかろうか、こういうふうに考えます。
  42. 滝口丈夫

    滝口参考人 お答えします。  どうもなかなかむずかしい話でございますけれども世界的に日本が大消費国であるから、その使う油は自分みずからやはり世界の国と同じように掘らなければならない、連帯感、まことにそのとおりでございましょうが、さて、そこまであまり考えないでいいのじゃないかという気がわれわれはいたします。まあ世界で油のある国と申しますと、大体アメリカ、ソ連、それから中東、インドネシア、いろいろありますけれども日本が、とにかく現在でも二億トン以上の油を使うわけでございますけれども、それをみずから掘るというのでなくて、むしろ考えは、世界というものは一つの考えに立ちますと、供給国、要するに油を供給するにない手と、それから、要するにそれを加工して、そのエネルギーを利用して生産をしてほかの物資を世界供給するというほうが自然のような形に思うのでございますね。とにかく日本は油というものを第一次エネルギーに使いまして、そのエネルギーでほかの品物をつくって、それを世界供給をするという役目が日本の主体だと思うのです。その原料までをみずからが掘るということじゃなくて、世界的にいま考えるわけですから、世界一つの義理を果たすという意味なら、むしろ原料のほうはほかのほうでにない手になってもらって、それでわれわれはそれを使ってほかの品物を世界供給するというほうが、どうも自然のような形に思います。原料から何から全部自分で持っていかなければいかぬというのは、世界的でなくて、むしろ昔の小さな、自国本位の考えのように思うのでございます。そういう意味からいうと、まことに申しわけありませんけれども、どうも先生の御意見にはいささか承服いたしかねます。
  43. 岡田利春

    岡田委員 先ほど局長から将来の見通しとして三〇%、いまは全然三〇%になっていないわけですけれども、たとえば仮足でできたとしても、メージャーズからの供給というものは相当な量になる。ですから、やはりメージャーズとの協調というものは、残念ながら一つの原則として考えていかざるを得ないだろう。あるいは技術の面からいっても、現実にいまイランの場合でも、今度の新しい協定でもみんなメージャーズが参加をしている、こういうことなんでありますから、あらゆる総合的な協調体制、こういう弾力的な姿勢というものがないといかぬのではないのか。私は、そういう意味長期展望に立てば、そうかたくなに石油連盟の場合でもお考えにならなくてもいいのではないか、実は長期的な動向を分析してそう考えているわけです。  そこで、もう一つお伺いしたいのは、たとえばイタリアでもフランスでもそうですが、石油の場合は最高価格というものが公示されて、大体、最高価格で取引をされているようでありますけれども、その価格の問題では、税金その他で操作等もするというような政策をとっておるようです。日本の場合には、それぞれユーザーと個別交渉の中できめていくという形態をとっているわけですが、そういう意味政府の価格政策というものが、この段階にくると、あってよろしいのではないのか、これはいま言った前提がありますが、ヨーロッパでやられている価格政策、そういう価格政策は当然あっていいのではないか。  それと同時に、石油連盟の場合、たとえば備蓄を六十日ですよ、五日分ずつ。ヨーロッパでは九十日を目標にしている。これは法律でもうきめていますね。ドイツでも問題を起こしたこともありますけれども、法律でみんなきめています。しかし、それはやはりヨーロッパの場合には、消費者が負担をするというのが一応の原則になっているわけです。しかし、日本の場合には、多消費型の構造なものですから、急激に消費量が伸びていく関係上、これも消費者、ユーザー側、さらにまた政府がこれに応援をする。さらにまた石油精製部門においても、できるものは協力する。三位一体の姿勢といいますか、そういう方向でやはり急速に備蓄問題というものを考えていかなければいかぬのではないか。あるいは将来の精製部門の立地条件等をも考える場合に、相当やはり内陸部立地の様相も出てくるのではないのか。そういう意味ではパイプラインの流通関係についていろいろな角度から整備をしなければならぬ、こういう問題もあるわけですから、そういう総合的に考えてみる場合には、備蓄の問題についてはやはり精製業者としては一定の原則を持って、これならこうしますというものが打ち出されていいのではないのか。むしろ、そういう点では積極的な姿勢を持ってよろしいのではないか、こう考えるわけですが、この政策的な価格、これといまの備蓄問題について滝口さんの御意見を承っておきたいと思います。
  44. 滝口丈夫

    滝口参考人 どうもあまりむずかしい問題になってきましたのでどうかと思うのですが、備蓄の問題は、根本の考えがどうもちょっと食い違っているように思うんですが、なぜ備蓄するんだということはどういうことなんでしょう。一たん緩急あったときに油が来ない。だから要するに国がある程度油を持っていれば、それだけ食いつなげるという考えで備蓄をする考えのように受け取れるのですけれども、われわれはそう思ってないのです。備蓄というものは、あくまでもOPECとの値段交渉、要するにOPECは、これからどんどん自分のところの資源を高くつり上げようとしている。われわれ消費国はつり上げられては困るわけですから、そこで要するに交渉をするわけです。交渉の段階において向こうから油をストップするぞとおどかされたときに、少なく持っていればすぐこちらはあわてるから、ある程度余裕を持っておれば、一カ月なら一カ月、二カ月なら二カ月持っていれば、その間の交渉で向こうだって売らなきゃ困るんですから、そこで交渉がうまく妥結するのではないかというための意義のほうが強いように思うのです。一たん緩急あって一カ月食いつげないと、あとどうするのかというようなことは、いまの時代にはナンセンスでございますね。特に、それなら実際具体的に備蓄をどれだけやるんだ。いまランニングストックか何かで四十五日持っていますから、あと十五日、五年間で、四十七年から五十一年までに要するにこれをやろうとしているのです。そうすると、それだけの金はどうなんだというと、たとえていえば、それがわれわれの概算でいくと備蓄だけで十五日分というと大体三千八百万トンぐらい。三千八百万トンというと十万トンのタンクが三百八十基でございます。十万トンのタンクというものはどれくらい土地が要るかというと、大体一万坪要るわけです。そうするとそれが三百八十万坪要る。要するに十五日分を貯蔵するだけで十万トンのタンクが三百八十基要るのですね。  これは口では言いますけれども、なかなか――現実にいま、私の個人のことを申し上げて恐縮でございますけれども日本石油は喜入にCTSを持っています。それで初め三十万坪を埋め立てしまして、そこに三十基をつくる。来年までには十万トンのタンク三十基完成いたします。それから、翌年からまた隣を三十万坪埋め立てしまして、あと三十基つくる予定にしておりますけれども、あれだけつくるのにもなかなか土地がございませんで、CTSの場所といって、大体日本の中をいろいろ調べてみますと、候補地はあります。御承知のように、これは直接聞いておりませんけれども、四国の宿毛湾でございますか、一応伊藤忠さんの構想で、あすこに大きなCTSをつくるというので、それを計画したところが、土地の人といろいろ物議をかもしてなかなかうまくいかないとか、橘湾でCTSをつくろうとしても、なかなか漁業問題が解決できないということで、百万坪、五十万坪の土地を得るのにもなかなか困難なんです。それが三百八十万坪の土地をどこで手に入れられるかということが、いま実際問題としてなかなか困難です。まあ金の面は別でございますが……  そういうように、備蓄をするということも、なかなか日本としては簡単にはいかぬということなんです。ですが、備蓄は必要であるから、政府の御命令によりましてわれわれはいま実行しようとしておりますけれども、国の一たん緩急という問題は、要するに油が外国から来なくなったという事態になりましたら、油の問題だけじゃございません。ほかの物資だって全部来ないんですから、それは日本は貿易もストップする。これはもう問題ないのです。そういうことはわれわれ頭にないのでございます。われわれは平和憲法を守っておりますから、戦争というものはあり得ないと思っています。それですから、一たん緩急なんということはない。たとえ世界戦争になっても日本戦争しないのだから、自由に航海はできるという観念に立っています。それで、メージャーから買うことができなければ、それなら国内で自主開発をして、中東のどこかに自分で持っていたって、それは持ってこられますか、現実問題として。要するにメージャーから買うのも中東であり、ロレスタンにしたって、それからいまアラビアの鉱区を手に入れようとしている自主開発にしたって、同じところでございますからね。同じところで、こっちが持ってこられないのにこっちは持ってこられるなんということは、われわれは考えていない。そうすると、備蓄の問題はあくまでもメージャー並びにその先にいくOPECとの価格交渉、そういうものの一つの安定的な手段としての価値が一番重要ではないかと考えております。  いまの低廉とか、要するに価格の問題ですけれどもOPEC値上げをどんどんしようという態勢にある以上は――これは低廉ということの概念が、どこで低廉かということですが、われわれが考えるのは、低廉ということは、要するに世界的な価格として水準が同じであれば低廉だと思っています。日本だけ特に高いものを買うというのは、それは低廉でないと思っています。  それだけのことで失礼いたします。
  45. 岡田利春

    岡田委員 きょうは議論する場所でもないですから、見解だけ承っておきます。  ただ、いま私が言ったのは、別に日本の国が戦争に巻き込まれるなんということを考えているわけではないわけです。ただ、いまおっしゃられましたように、ペルシャ湾に供給源が集中している。たとえばいまの日本の産業構造というのは、スケールメリットを追って五十万トンタンカー船ができておる。もし入り口で事故があった場合、そういう事故の場合もこれは非常にたいへんなことになるのではないか。あるいはまた、いま第二次世界大戦以降の戦争というのは第三世界の中で起きているんですね。代理戦争のような面もありますけれども、それと、それからナショナリズムが非常に高揚して、いろんな革命とかが起きている。こういう戦後の特徴を見ますと、やはり局部的な紛争といいますか、そういうものはあり得る。残念ながら、そういうことを心配せざるを得ないのではないか。そういう意味で、わが国のエネルギーの大宗を占める石油備蓄はどうあるべきなのかというところから、結論が導き出されてこなければならないのではないかというのが私の見解なわけです。そういう意味で、大体国内資源の場合も、一カ月分なんというのはランニングストックになりますから、これが国際的な考えに立てば、一カ月半や二カ月近い分というのはランニングストックと見ていいのではないか。むしろ、それ以上になってまいりますと、たとえばドイツのような場合には、一千万トンの油を連邦政府備蓄しているという、政府でやる面もあるでしょう。いずれにしても、そういう点でもう少し協調的にこの問題を考えていかなければならないのではないかというのが私の見解であることをつけ加えておきたいと思うのです。  最後に、林さんにお伺いしておきますけれども、今度の場合、一つの大きなわが国のメージャーをつくるというような答申の一つの柱があるわけです。この場合、いまの日本開発プロジェクトというものは非常に小さいわけですし、これから開発するという場合でも相当率が高くなっていくことはもう常識になっておるわけです。アラビア石油の夢よもう一度なんということは考えられないと思うのであります。私は、そういう意味においてやはり石油鉱業連盟自体が、そういう情勢に即応して再編成その他についても積極的に対処していく。もちろん、すでに原油が出ている個所も三カ所、アラビア石油以外にも出ておりますけれども、そういう姿勢がないと、有効なエネルギー政策石油政策というものは成り立たないのではないか。ですから、公団に対して先ほどいろいろ御要望がございました。まさしく前からも聞いておるとおりでありますけれども、むしろそれ以上のことを考えなければいかぬというのが私ども意見です。したがって、そういう点について石油鉱業連盟の場合には相当内部でも討議されているのではないかと思うのですが、そこの姿勢についてこの機会に承っておきたいと思います。
  46. 林一夫

    林参考人 私ども、巷間伝えられておりますいわゆる統括会社案なるものについて、少しもこれを不賛成なわけじゃございません。賛成でございますが、ただここでひとつ申し上げておきたいことは、統括会社というのができる意味、その価値というものはどこにあるかと申しますると、公団の金ばかりでなく、民間もですが、後々までもここに資金の吸引力があるかどうか。と同時に、ここに十分な技術陣容を備え得るかどうかということであろうかと思うのです。したがいまして、危険の分散化のために統括会社をつくれということがよくいわれるのでございますが、ただ物理的にいまある会社をただ集めるだけでは私は意味がないと思います。ちょっと卑近な例でございますが、A、B、C、D、Eという五つのプロジェクトがあるとします。これに出資しておる――例をかりに東京電力にとりますと、A、B、C、D、Eのおのおのに一億円ずつの投資を東京電力がしておるとしますると、不幸にしてそのうちの三プロジェクトは失敗した、二プロジェクトは成功した。そういう場合において、東電は二億円は生きるけれども三億円は損をする。しからば、これを統括したものに対して五億円の投資をした場合と、個々にやった場合と、どれだけの違いがあるか。統括したものに対して五億円やっても、その内容はやはり三つが失敗し二つが成功しているということでございまして、これは同じだろう。いまの危険分散という意味から申しますると、いま二十五社あるということでございます。これは公団の金、民間の金がそれぞれ危険が分散されておる状態でございます。しかし、これは大蔵省あるいは公団のほうから見ますると、そこに投融資したものがつぶれないままに、三つは失敗したけれども、二つは成功したということになりますと、危険分散になるという考え方も確かにそれはそのとおりだと思いますが、いま申しましたように、やみくもに、機械的にこれを集めるというのはナンセンスであるということでございます。問題は、今度はノーススロープを名前を変えまして統括会社にするということが伝えられておりまするが、私が社長をしておりますアラスカ石油もその子会社になるらしいのでございますが、これは私、一向反対いたしませんが、問題は、この統括会社にあと民間の資金が集まってくるかどうかということでございます。民間の資金が集まるのは、大体プロジェクトに対する魅力を――あれはあそこに行っておるから、インドネシアで掘るから、インドネシアは油が出るだろう、ローサルファの油が出るであろうというプロジェクトに魅力を感じて出資をするのでございまして、統括会社が今後どこを掘るかわからないものに対して、はたして今後資金の増資が続くかどうかということが問題でございます。これがもう問題なく増資がこの統括会社にできてまいりますれば、これに越したことはない、私ども大賛成でございます。同時に、そこにやはり優秀な技術力を持っておらなければならぬと思います。それが条件であろうかと思います。
  47. 岡田利春

    岡田委員 時間がありませんから、終わります。
  48. 橋口隆

  49. 石川次夫

    石川委員 どうもきょうは時間がありませんで、意見は申さないことにいたします。単純に御質問だけ申し上げますから、結論的な答弁でけっこうでございます。  ただ一言申し上げておきたいのですが、先ほど参考人の御意見の中で、どうも資源に対する重要性の認識に欠くるところがあるのではなかろうかというようなお話があったと思うのですけれども、商工委員会では、資源の問題は最重点にほとんど考えられておるのではないかと思うのです、一般民衆はどうか知りませんが。それと、私個人の考えでは、長期展望に立った場合の日本の政治の最大の課題は、海外資源確保をどうするかという問題、あと一つは、将来の情報化社会にどう対応していくかという問題、この二つが柱になっていくのではなかろうかと考えているわけです。これは多かれ少なかれ大体そういう考え方が多いのではなかろうかと思うのです。その点をひとつ申し上げておきます。  そこで、まず質問ですけれども、鉱山石炭局長に結論、イエス、ノーだけでけっこうでございますが、この資源開発プランニングセンターの必要性というのを去年出されましたですね。それから新聞で、先ほど来話になっております石油備蓄公団をつくらなければいかぬだろうという構想が出ていたことがあるわけです。これは来年度の予算要求でこれが出ておるのかどうか。そしてその見通しは一体どうなのかという点、結論だけでけっこうでございます。
  50. 莊清

    ○莊政府委員 備蓄公団については、来年度は要求いたしておりません。先ほど申し上げましたように、民間備蓄を強化させるために、特別会計から財政的な支援を行なうということを当面考えております。ただし、これは財政当局にもすでにお話をしておりますけれども、これは当面の措置であって、今後さらに備蓄のあり方について通産省としては検討をする、将来必要とあれば政府が何らかの形で備蓄の主体になるという問題も含めてさらに検討をする問題であるということを申し上げておきます。  それから技術プランニングセンターのお話がございましたが、これは来年度の予算では公団に対する助成の形で、石油関係の技術者の養成を促進するというための所要の予算を要求しております。そういう形で考えております。
  51. 石川次夫

    石川委員 資源開発プランニングセンターというのはなくなったのですね、ことし。イエス、ノーだけでいいです。これは意見は言いません。
  52. 莊清

    ○莊政府委員 質問を取り違えましたので訂正さしていただきます。  石油関係ではございませんで、御指摘の点はメタルの関係でございます。その点は金属鉱物探鉱促進事業団に予算措置をいたしまして、小さな形でございますが発足をいたしております。来年度以降強化することにいたしております。
  53. 石川次夫

    石川委員 それで、石油の重要性あるいはその他鉄鉱石にしても、世界輸入量の四〇%、木材三〇%、銅が一九%、石油が一六%、全体から見ても大体一二%ぐらいになるわけですから、これはたいへんなことだと思うのです。その中で、きょうは石油だけに関連をして御質問するわけなんですが、石油開発公団総裁に、これもイエス、ノーだけでけっこうなんです。まあいいプランがあってもすぐ逃げられちゃう、頭金をぽんと出すとかそういう権限もないし金もないしというふうなことで、たいへん遺憾だということは、全く同感なんですけれども、その以前の問題として、資源の情報をどう集めるかという問題があるだろうと思うのです。それについても、フランスあたりは公社あたりでもって四十九カ国ぐらいに駐在員を出している。日本ではベイルートだけだったのが若干ふえたという程度で、とてもこれでは情報をつかむことも不可能なんじゃなかろうか、こういう感じがするわけなんですけれども、その点簡単でけっこうです。結論だけ……。
  54. 島田喜仁

    島田参考人 全く先生のお話のとおりでございます。世界石油会社は、欧米の国策的な会社も含めまして、世界至るところにその情報網を持ち、実は駐在員を置いて、しかもこれは潜行的というか、もぐって、極秘裏にいろんな利権情報を集めたり、資源国とコンタクトをいたしております。そこで、私どものところでは、ただいまお話のありましたベイルートのほかに、ただいまロンドンと、それからアメリカのヒューストン、シンガポールに駐在員を一名ずつふやしました。しかし、これだけではいまお話しのように、とても利権情報、特に極秘な利権情報というものはつかみ得ない。しかも御承知のように、いま私どもが申し上げました、急に利権交渉がきまってしまうというものと、それからもう一年も二年も前からコンタクトをして、そして利権交渉をやっていくという二つの方法がございまして、これを両方を考えざるを得ない。そういう意味では、私ども公団の相当なエキスパートを、中堅になるエキスパートを実は出しておりますので、むしろ定員やそれから質的な面では中央が手薄になりましても、外に出すということをやらざるを得ない段階で、それを実施いたしております。
  55. 石川次夫

    石川委員 それから、先ほど滝口さんのほうの公述だったと思うのですけれども、関税問題がちょっとあったのですが、これについて、実はほかの国では、メージャーが特にそうなんですけれども、アップストリームとダウンストリームで一貫作業ですね。これがあって、海外採鉱でもって課税されているんだということが理由になって、国内では関税を課さない、こういうことになっているのが通例じゃないかと思うのです。だからという意味じゃありませんけれども、まあいろいろなところで資料が出ておりますが、その中でどうしても精製関係は集約をしていかなければいかぬだろう。それから先ほど話があったように、採鉱関係でも、これは何とか統括会社をつくるという機運もあるわけです。そういうものを何とか結びつけていくという方向づけをやらないと、これはいろんなむずかしいことが私らにとっても予想されますし、なかなかたいへんなことだろうと思うのですけれども、将来の方向としては、向こうのメージャーに対抗していくというふうな気魄を持つなら、大局的見地から見ると、どうしてもこのアップ・アンド・ダウンの一貫作業ということの実現をはからなければいけないのではないか、こう思うのです。たいへん大ざっぱな考えで恐縮なんですけれども滝口さん、あるいは林さんの御意見を、一言でけっこうです、伺いたいと思います。
  56. 滝口丈夫

    滝口参考人 これは私の私見でございますので、お気に召さないことを言うかもしれません。  実は、いままでの歴史から見まして、一貫化ということの意味でございますが、自然発生的に一貫体制ができたように思います。それは、まず開発をして、原油を掘り当てる。要するにそれを利用しなければならぬ。販売をする。なかなか売れませんから、自分で製油所をつくり、要するに販売するようになる。そこで一貫体制ができまして、大体掘った油をどんどん売るためにはそういう形が一番いい形でございますので、それで一貫化ができた。その場合に、油のほうは、安うございますから、どんどん出ます。ですから精製販売のほうはある程度利益はなくても、とにかくアップストリームのほうで利益を得ればいいというのがいままでの一貫体制のあり方。ところが、いまお考えなさっておられるのはどういうことなんでございましょう。開発のほうでまず一本にして、これは大きなほどようございます、力が強いから。それでそれを掘り当てる。掘り当てて、それを経済ベースで日本に持ってくる。持ってくれば、経済ベースなら、どうせそこの日本精製会社は原油を方々から買うのですから、それは当然買える。そこへ買っていけば、その何といいますか、精製のほうを集約するという考えはどうしても――そうしなければいかぬというそのところの論理がどうもつながらない。どういうことなんでございますか。そこらが私にはちょっとわかりません。ただ、経済ベースに乗らない油を持ってきた場合、それをこちらで引き取るところがないという、それはもう経済ベースに乗りませんから当然引き取りませんから、それじゃ困る。それならこちらのほうも一緒にくっつけて、要するに全部一貫化にすればいやでもこれは引き取るということであれば、そういうことの一貫化の意味があると思うのです。われわれは、経済ベースに乗らないものは開発することがナンセンスじゃないかということにどうしてもつながる。要するに、山を掘る場合に方々掘り当てて、いろいろこうやって、油はある、だけれどもわずかであるとか、要するに経費がかかるという場合には、それは開発をしないということになります。これは、持ってきて、これが売れる、使えるというところに、経済ベースがあるから開発をするのだというのがわれわれ普通考えておることなんです。そうすると、別にこちらの精製販売のほうを一緒にしなくてもかまわないようにも思うのでございますけれど……。そういう感じでございます。
  57. 石川次夫

    石川委員 けっこうです。私、これは議論をするつもりはないのですが、しかし、われわれのしろうと考えと言ってもいいのでしょうけれども、大体利益率は製造業が平均して四%台だけれども精製業は大体一%以下だというのが常識ですね。それで、外資系の場合には、精製部門で利益がなくてもばく大な資金を装置産業として投じていく、こういうふうな利点もあるというようなことも、一貫作業としての一つのねらいだろう、こう考えておるわけなんですが、いまおっしゃったように、いろんな点でむずかしい点はあるだろうことはわかりますけれども、国の施策としては一貫作業をやりたいな、やるべきだという結論が出ているわけです。困難性はありますが、そういう方向づけをやらなければいかぬだろう、これが常識的に言えるのじゃなかろうかと私は考えます。  これは議論をする場所じゃございませんから、そのくらいにいたしますけれども、さて、私きのうも輸出保険の関係で質問をしたのですけれども日本では相当外貨がたまっている、これは宝の持ちぐされというか、円の切り上げにつながるのではないか、これを思い切って使わなければいかぬ、使わなければたいへんなことになると、私はだいぶ前から言っているのです。使うのに何がいいかというと、それはいろんな考え方がありますが、やはり海外探鉱じゃないか。いまの日本全体の一年間の投資残高を調べてみますと、去年現在で九・六億ドルですね。ところが、これはエッソの一年分の投資額にしかならない。こんなことではとても話にならないので、思い切って外資をそちらのほうに投入するということを考えなければいかぬのじゃないかということをずっと言い続けてきたのですけれども、田中さんになってから、やろう、こう言ったときには時すでにおそくて、すぐにドル・ショックがきちゃった、こういうことなのでございます。外資貸しということについては、日銀あるいは大蔵省の関係では金融政策上その他について大きい問題があることはよくわかります。しかし、非常に古い為替制度、こういうものを守っているということで、新しい酒を古い皮袋に盛ることができないのだということはまことに残念だと思っておるわけなんです。これだけの大きなリスクをかぶるんだったら、これは石油に限りませんけれども、なかなか民間でやれといったって、これはできない。だから、思い切って石油開発公団のほうに金を出して、頭金ぐらいはぽんと出せるという体制をつくるということのためには、外資を有効に利用する以外に方法がないのじゃないか。まあ金融政策上の問題はいろいろございます。ございますが、これは買いオペだってできるんですから、この金が出たから、緊縮というか、引き締め政策ができないんだなんということにならないだろう。国の将来にとって、きわめて重大な問題であるだけに、宝の持ちぐされじゃなくて、外資があることによって、かえって非常な障害を来たしているという状態を打破するという意味においても、これはぜひやらなければいかぬのじゃないかということで、強く要請をしておるわけです。その点について御意見があれば、お三人のうちどなたでもけっこうでございます。ぜひこれを実現したいとお考えになりますか、いい方法だというふうにお考えになりますか、それはちょっとむずかしいのじゃないかというふうに御判断になるか。その点、意見をお伺いいたします。島田さんからどうぞ。――なければないでけっこうです。賛成か反対かだけでもけっこうなんですよ。
  58. 林一夫

    林参考人 この外資貸しの問題につきましては、私ども、もう前々からいろいろ要望しているのでございますが、どうもやはり為替管理法その他の問題で、大蔵省が大きな壁になっておりまして、どうしても実現ができないようでございます。私どもとしては、いま先生がおっしゃったような、利権の先行取得なり、あるいは資源開発とか、そういうものに外資を十分に活用していただきたいという希望を持っております。
  59. 石川次夫

    石川委員 おそらくはかのお二方も同じ御意見だろうと思うんで、あえて御意見を伺いません。  最後に、石油業法の改正が日程にのぼっておるわけなんですが、滝口さん、業法の改正についての御意見があればひとつ伺いたい。
  60. 滝口丈夫

    滝口参考人 石油連盟としてまとまった意見はございませんが、改正を要望している向きもございます。特に、いまの情勢は、われわれが要望するよりも、むしろ開発条件のほうから改正をせざるを得ないような雰囲気が盛り上がっているように思います。ちょうど見直す時期が参ったんではないかと思っております。
  61. 石川次夫

    石川委員 終わります。
  62. 橋口隆

    橋口委員長 速記をとめてください。   〔速記中止〕
  63. 橋口隆

    橋口委員長 速記を始めてください。  それでは松尾信人君。
  64. 松尾信人

    松尾(信)小委員 非常に時間もおそくなりましたし、たくさんの質疑も出ましたので、要点をかいつまんで、お尋ねを申し上げます。  まず、自主開発の点でありますけれども、これは産油国もいろいろの要望があって、なかなかやりにくくなった、そのようなお答えがありました。なるほどそうだと思います。そうしますと、まあ精製するという場合に、やはり産油国で精製してくれ、そのような要望も相当出ておると聞いておりますけれども、今後、石油精製について、産油国でもやっていくんだ、そういうことで積極的に産油国の希望を入れていこう、このように思っておるかどうか、その点が第一点でありますが、いかがでしょうか。
  65. 滝口丈夫

    滝口参考人 現状石油業法下におきましては、そういうことはなかなかできないことでございます。ただ将来、御承知のように、国内の製油所の敷地の確保の問題等がなかなか困難になりました場合に、石油消費量がふえてまいりますと、製油所の能力に限りがございますので、どうしてもほかに製油所をつくらざるを得ないということが将来は起こってくるんではないか、一応、はっきりしためどはございませんけれども、そういう感じを持っております。その場合に、産地で精製をすることもけっこうだろうし、中間地で精製をすることもけっこうだろうと思っておりますけれども、まあケース・バイ・ケースで、できるところからそういうことは徐々にやっていけばいいんじゃないかと考えております。
  66. 松尾信人

    松尾(信)小委員 もう一つは、自主開発の点につきまして、海外のほうの産油適地を今後とも開発していこう、これはよくわかりますけれども、今度はいろいろの観点から、日本大陸だなを開発していくほうに力を入れていきたい、このようなお話がありまして、これももっともだと思います。今後、日本大陸だなを開発していくということは、やはり大きな問題だろうと思いますが、これは力の入れぐあいですね。かりに、自分のほうの開発予算というものがこのくらいあるとした場合に、どこに重点を置いてやっていくか、こういう問題でありますが、いかがでしょうか。
  67. 島田喜仁

    島田参考人 大陸だなにつきましては、最重点探鉱開発をやってまいりたい、こういうふうに考えております。
  68. 松尾信人

    松尾(信)小委員 いま、最重点ということでありますけれども、これは予算のつけようというのがやはり大きな問題になると思いますが、そういう点において、政府考え方、特に通産の担当者としての考え方、これを一言聞いておきましょう。
  69. 莊清

    ○莊政府委員 公団総裁からお答えがありましたが、通産省としても全く同じ考え方でございます。従来から調査費等の予算は計上いたしておりますけれども、最近の動向は、ようやく企業が、実際に石油を取るために探鉱を実施するという段階にかなり入ってまいりました。今後は、石油開発公団等の資金も、そちらのほうに極力活用するということを考えております。
  70. 松尾信人

    松尾(信)小委員 まあ具体的なプランもあるかと思いますけれども、その点を中心にしてしっかりやっていただきたいと思います。  それから備蓄の問題でありますけれども、私ちょっと聞いたところによりますると、今度の石油特別会計のことで、どうも大蔵省のほうが、備蓄に関しては渋っておるというようなことを聞いておりますが、はたしてそれがほんとうかどうか、もしもそういうことがあるとすれば、これは大きな問題だと思います。そうすると、これはどうしても実現しなければいけないし、総理自体が、商工委員会出席いたしまして、議員の質問に対しまして、とりあえず六十日はやっていきたい、将来は九十日も当然考えていくべきであるというような発言もしておりますから、これは少なくとも、いまのところ備蓄で行き悩んでおるならば、大臣折衝に持ち込んで必ず実現するというような力強いものでなくちゃ相ならぬと思うし、また予算の出し方も少し遠慮した予算の出し方をしておるのじゃないか、もう少し日本の最重要国策の一つとして押すべきじゃないか、引き下がっては相ならぬ、このように思いますけれども、そういうところの経緯と考え方を聞いておきたいと思います。
  71. 莊清

    ○莊政府委員 備蓄の問題は、お話しのように財政当局と交渉が相当難航しておることは事実でございます。通産省の当面の備蓄強化策でございますけれども、六十日を目標に備蓄をしようということでございます。予算も少し弱気ではないかというお話もございましたが、昭和五十一年までの五年間を考えてみましても、現在の四十五日を六十日にふやすという関係で、原油代とそれからタンクの建設費と全部ひっくるめまして約四千億円の巨額なものが要るわけでございます。私どもといたしましては、今後六十日をさらに引き上げる必要がどうしてもあるということになりましたならば、また将来の問題としてこの点についても根本的にいろいろ検討もしたい、施策も立てたいということもあわせて大蔵省に話をしております。  そこで、四千億の資金につきましては、これは大蔵省筋の計算では、石油製品一キロリットルについてせいぜい百円かそこらではないかというふうな計算もないわけじゃございませんで、全部消費者に転嫁をすべきではないかというふうなところからこの問題がなかなか難航しておる点でございますけれども、私ども通産省としましては、現在四十五日の備蓄がございますけれども、これが二千八百万キロリットルぐらいに四十六年度でなっておるわけでございます、原油、製品合わせまして。原油も製品もこれはちょっと加工しただけで同じでございます。これが五年後には倍になるわけでございます。五千六百万キロリットル、その上にさらに二千万キロリットルぐらいの十五日分の原油が積み増しされるというたいへんな総備蓄になるわけでございまして、これを全部消費者に転嫁するというふうな考え方は、セキュリティーのためにやるのはやはり――それは消費者負担もある程度はやむを得ません。消費者というものはすでに関税という形で国に払っておるのだから、その中から政府がそっちに金を回していくということは筋違いではあるまいということでがんばっておるわけでございます。これは非常に重要な事項でございますから、義務的にあきらめるとか、そういうふうなことは最初から考えておりません。ぜひ推進いたしたいと考えております。
  72. 松尾信人

    松尾(信)小委員 まあしっかりがんばってください。  もう一つは、石油の消費がふえてまいりますと、精製というものがどうしてもそれに伴ってなされていかなければならない、そのようになってくるわけでありますけれども、いままでの石油精製基地といいますか、先ほどのお話からも相当行き詰まっておる。これは船舶運航の問題からもそうでありますし、港自体が狭く感じてきておるでしょうし、また土地その他の問題もありますが、どうしても精製しなければいけない、そうするとその量はふえてくる。どこに精製基地を新たに求めていくかということで、これはお互いに非常に重大問題でありますけれども、今度は、石油精製基地として選定をされたところでは、新たな公害問題といたしまして非常に反対が起こっておる。先般も私委員会で質問したのでありますけれども、無公害精製というものを大いに考えてやっていかなければいけない。いまそういう面の研究、調査もやっておるのだというお話がありましたが、脱硫関係以外にどのような無公害の石油精製をいまお考えになっておるのか、また考えておるというのはどういうところまで進んでおるのか、こういう問題が一つ。  それから、いまから先の大きな石油精製基地をつくる場合には、タンカー事件等でどうしてももう骨身にしみて感じておるわけでありますから、そういうことも予想した防衛措置、大きな基地には、そういうタンカー事故が起こっても、必ずこれだけのものがあるからだいじょうぶなんだ――だいじょうぶではありませんけれども、とりあえずこういうことはもうすぐできる、新潟であわてたようなそういうことは一切いたしませんというくらいのそういうものがなければ、いまから先は石油精製の基地としての地元の反対をなかなか押えることはできない。県もいいところでこのくらいでございますといってから通産省に持ってくるでありましょうし、それが石油審議会にかかっていって、現地では大体問題がないのだというようなことで、これが審議の過程に入ってまいりますと大きな問題が起こりまして、これは次々とそのようなことが出てくるであろう、こういうふうに私感じます。でありますから、単なる従来の石油精製に対する考え方をうんと進めて、そして地元に納得のいく無公害の精製、また完全なる脱硫装置、それから一たん事故になった場合の対策等についても、このくらい十分配慮しているのだというものがなければとても地元の納得は得られない、こう思いますけれども、以上の諸点につきましてひとつ滝口さんのほうから御回答を願いたいと思います。
  73. 滝口丈夫

    滝口参考人 お答え申し上げます。  無公害という製油所でございますけれども石油連盟に関してはまだ無公害という名前は使っておりませんので、製油というものは、大体公害のほうから言いますと、われわれの解釈では公害工場ではないというのがわれわれのほうの通説なんです。それは御説明なり申し上げますればわかりますように、いま公害と申しますのは、石油に関してはやはり何といっても亜硫酸ガスの問題、製油所自体では重油を脱硫して硫黄を取るわけでありますが、工場で燃すものは、要するにまわりに亜硫酸ガスを出さないような燃料を使いまして、それで燃しておりまして、燃す数もそんなにたくさんないのでございます。ですから亜硫酸ガス公害というものは製油所にはない。むしろその後でつくった重油を発電所とかいろいろなほかの工場で使いましたときに、それが亜硫酸ガスを出すので公害ということになっておりまして、公害の材料をつくるから公害工場だ、こういう御解釈もありましょうけれども、製油所そのものでは亜硫酸ガスを発散してないということであります。  それからもう一つは汚水の問題、海岸に油ごと流すとか、そういう問題も昔から厳に注意しておりまして、オイルセパレーターを何回も厳重にやりまして、出ていく水、排水というものは全然そういう公害はないようなものを出しております。  それから環境の問題でございますが、卑近な例を申し上げて恐縮でございますけれども、横浜の根岸の製油所でございます。あれは御承知のように住宅地のすぐ近くでございまして、横浜市の飛鳥田市長さんはなかなかやかましい方でございまして、いろいろ御指示があって、騒音の問題がまずあります。それは、ボイラーで火をどんどんたきますと、それが昼の間は音が聞こえないのですが、いよいよ夜中になると、風の関係で住宅地のほうへ流れていく。そこで音が聞こえて寝られないという解釈もあり、いろんなことがありましたけれども、それはもう今度はそこのボイラー室のまわりに防壁をつくりまして、風の関係とか夜中のいろいろなあらゆる点を考えまして防壁をつくって、要するにもう音を外に出さないという問題があります。  それから、住宅地とその間に道路がありまして、それから製油所になりますけれども、その間は、大体あそこはずっとグリーン地帯を製油所の中につくりまして、そこで木が林のように、公園のようになっている。大体あれが延べにして五万坪くらいをそういうものにして民間のほうと遮断しております。  それからもう一つ著しいのは、横浜市のほうで、御承知のように製油所の中で装置から水蒸気がたくさん一時に、白い煙がうわっと出るわけです。そうすると、市民に対して恐怖感を与える。これを視公害といいまして、見る公害である。視公害であるから、この白い煙を取り除けという、こういう厳命がございまして、それでやむを得ずパイプを持ってきまして、工場の一番はずれに、ラムネの材料になります炭酸ソーダ――その白い煙の中に炭酸が含まれておりますから、それで炭酸ソーダをつくって、近くのコカコーラの工場にその炭酸を販売している。そういうこともやって、要するに白い水蒸気の煙も出さないようにしまして、現段階におきましては無公害製油というような形のものができております。ですから、それ以上の無公害の製油所というものは一体どういうのか、ちょっと見当がつきませんけれども、いまの、おそらくこれからできる製油所というのは、大体そういうような形の製油所がみんなできているから、地元の方に御迷惑はかけていないのでございます。  ところが、どうも一般の感じは、亜硫酸ガスを出す、要するに重油をつくっている、それから自動車のガソリンの中には鉛を入れる、そういうものをつくっているから公害工場だというように思われまして、どこへ行きましても、漁業組合それから一般の農業組合の方とか、いろんなのが反対も多い。これは現実をもう少し認識していただければいいのではないかとわれわれは考えております。県庁その他の政府のほうの御見解は、公害にはそれほど差しつかえないのだという御見解がありますのですが、どうも地元の方が――これはPRが足りないのか、むしろ政府国会のほうでそういうことをおきめ願って、もうそういう問題は騒ぐなと言っていただければいいのじゃないかと実はわれわれのほうは思っているわけでございますけれども、そういうような感じでございます。
  74. 松尾信人

    松尾(信)小委員 タンカー公害についての考え方もやはり考えておいてほしい。タンカーがいろいろ事故を起こしましたね。
  75. 滝口丈夫

    滝口参考人 これはどうもタンカーのは、船が航行しますと、やはり不測の事故が起きまして、タンカーがぶつかる、そうすると油が流れてくるということは、絶無というわけに実はいかないのですね。やはり船員の質の問題もありますし、いろいろな問題があります。新潟の問題は明らかに船員の質の問題になってきまして、あそこで停泊するところではないというような問題も、日本の船員ならみんなわかっているところを、シナの船員がやったとかいうような問題もありますけれども、やはりそういう事故が起きましたときは油が流れる。油が流れたのは、とにかくオイルフェンスとかいろいろなもので処置をするということが先決の問題になっております。これは世界的に実は方法がないのでございますね。アメリカでついこの間、サンフランシスコ湾でやっぱりタンカーが衝突しまして油が流れた。それで結局は、わらを海に投げまして、わらにしみ込ませたものをみんな引き揚げて、それで処置したというように聞いております。これはそれ以外にいまのところ方法がないのであります。方法がないから困るのじゃないかというのは、これはわれわれとしてもまことに困るのでございまして、これは損害が起きたものに対して損害を補てんするということにやはり最後はなってしまうのじゃないか。それはどれだけ補てんをするかということは、いま保険のほうでPI保険とか、TOVALOPとか、それからまたOCIMFとかがあり、最高三千万ドルまでのものを出そうというような、補償の問題のほうをわれわれは考えております。事故が起きたものは極力やりますけれども、損害がどうしても漁業組合や何かいろいろ出ますから、その場合には要するに落ち度のないように補償を十分にしようじゃないかということにいま頭を使っております。  結論は、なるたけ事故を起こさないことがいいのですから、船員の質の向上ですね。それと、やはりあまりこんでいるところには大きなタンカーは向けないようにしようというのが、要するに一番の、最後の手段だと思います。
  76. 松尾信人

    松尾(信)小委員 これで最後です。  ここに要望みたいなことになりますけれども、業界としましては補償中心ですね。しかし、それだけではやはり地元の納得は――汚染されて補償されるということでは、いままで何もなかったわけですから、それで最後の漁場を荒らされていく、それじゃ突き詰めて何のためかというと、そこに石油精製基地があるから……。無公害だ、わかったでしょう、こういうことだけではやはりいけない問題です。これは政府も、出先の県または市町村、そういうところとタイアップしましてちゃんと考えていかなければいけない問題でもありましょうし、そういう事柄をやはり業界自体としても大いに支援しまして、そして今後石油精製基地をつくる場合には、そういうところまで納得のできるような――補償ということじゃなくて、納得のできるような措置を講じた上の精製基地の進出でなくちゃ相ならない、このように私は強く感じております。これは要望みたいになるかもしれませんけれども、今後はそのような考え方を持たれましてひとつ対処していただきたい。これを申し上げまして私の質疑を終わりたいと思います。
  77. 橋口隆

  78. 川端文夫

    川端委員 長い時間慎重に、いろいろ貴重な意見参考人の皆さんから出していただいて、まことに感謝にたえない次第でございます。先ほど話がありましたように、食事もしないで残酷物語のようなかっこうになっておるわけですから、重複を避けまして……。  従来から出されておる意見はほとんど、それほど大きな違いではないのではないか。言うならば、たとえばコストの問題に対しても、安定供給か価格の問題か、こういうように二者択一的な議論では解決のつかぬ問題もあって、いろいろ先ほどから島田総裁滝口さんの話が食い違いもあるようですが、それはそれとして、局長にひとつ承っておきたいのは、四十七年度における価格の見通しの問題ですね。いろいろな意味で今日日本エネルギー問題の中心になっている石油資源確保という大きな柱もありますし、需要の伸びを考えた場合の、それに設備の増加等も必要であろうと思うのだが、これらを勘案して、もう一つ加えれば、OPECなりメージャーズの最近の動きから見て、来年また上がるのじゃないかと思うのだが、ことしはどうやらこのまま通せたとしても、来年度値上げせざるを得ないときに、業者に吸収できるという立場で臨まれるのか、吸収できないからやむを得ないという、物価の問題等のかね合いを、どういう考え方でこの問題をごらんになっているかということを、冒頭にひとつお聞かせ願いたいと思うのであります。
  79. 莊清

    ○莊政府委員 今回、通産省では、総合エネルギー調査会で御指摘のような問題についていろいろ御検討いただいたわけでございますが、その御答申の中でも明らかに述べられておりますように、世界原油、したがって石油製品の価格というものは、長期的に見て今後やはり強含みに推移するものと判断されるという点で、各方面の権威者の方の御意見が全く一致しておったわけでございます。来年度わが国の輸入する原油の価格はどうなるかということにつきましても、昨年の秋から今年春にかけましての例のOPEC交渉の中で、年々二・五%ずつはスライドして上げていくんだというふうなことがすでにきまっておるというふうな面もございます。片一方、為替の切り上げの問題、先ほど問題になっておりましたが、そういうことも値下がりの要因としてはございますけれども、今後OPECのほうは、為替の切り上げによるドルの価値の下落ということによる収入の減少を再値上げという形で全部カバーするのであるという決議をして、具体的な交渉に入ろうということも宣言しておるわけでございます。したがいまして、私ども基本的な認識として、価格というのは残念ながら長期的にやはり漸次上がっていくということを念頭に置かなければならないと思います。その場合に、お尋ねのございましたわが国の石油精製企業というのはそれを吸収できると見ておるかどうかという点でございますけれども、これは、石油精製産業も年々設備投資に追われておりまするし、どなたか先生方からも御指摘がありましたように、現在の売り上げ高、利益率等を見ましても、これは至って低い水準を低迷しておる、こういう状況でございますから、当然企業としては原料が上がれば少しでもそれを吸収するように努力をする、通産省としても極力指導するということは、これはもう当然のことであって申すまでもないことでございますけれども、やはり非常に限界があるだろうということを申し上げざるを得ないと思います。したがいまして、消費者の価格につきましてもどうしても上がらざるを得ない。これは世界的な傾向としてすでに事実として出ておる点だろう、こういうふうに考えております。
  80. 川端文夫

    川端委員 あげ足取りの質問をするわけじゃないんだが、先ほどから島田総裁の発言の中に、これから必要な資金は三位一体である。まあ先ほどからいろいろ出た御意見、答えの中に、なお業界には蓄積した資本をお持ちであるということばがあったように耳に入ったわけです。間違いであれば間違いでよろしいんですが、そこで、そうであるとすれば、林さんの関係滝口さんの関係業界が、資金の蓄積をまだ余力を持っているとごらんになっておるのかどうか、この点はひとつお聞かせおきを願いたい。私は特に滝口さんのこの石油連盟関係の――まあ、しろうとですからあまり詳しいことはわかりませんけれども、株式の発表等を見ると利益率はなかり低くて、あまりメリットの多い商売とは思えないようにお見受けするんですが、蓄積があるとして、まだ民間の資本を吸収できる力があるという理由をどこに置いて考えておいでになるか。この点ひとつ、これからの石油エネルギーの問題に対して、資本の必要に対してはかなり業界に力あるとおっしゃったように聞いたんだが、そういう関係はどういう見方をされているか。まだまだメリットがあるから資金の吸収は十分可能なりという根拠は何か、ちょっとお聞かせを願いたい。
  81. 島田喜仁

    島田参考人 私が先ほど申し上げましたのは、外国石油会社のように、日本民間にはこういうリスキーな探鉱開発に投資する蓄積資本はむしろ少ないというふうに申し上げたつもりでございます。ただ御承知のように、民間も数年以来このエネルギー政策の重要性を認識されたと思いますし、それから原油供給源を確保することが必要だという見地から、このリスキーな探鉱開発に相当意欲を持たれまして、それを土台にして国もこれに助成をするということで公団法が国会で成立を見たものだ、こういうふうに私判断しております。ただ、いまのような事態から考えますと、できるだけ民間の資本も動員することをぜひ私ども民間に対してお願いをすると同時に、先ほど申し上げましたような大型のプロジェクト、しかも大体これからの有望資源といわれますのは深海であるとかあるいは北極地帯であるとか、あるいは砂漠のまん中であるとかあるいは人跡未到のジャングル地帯ということにだんだんなってまいりますので、そういう面から見ますと、大型プロジェクト等につきましては、むしろ民間の御要望のように、政府の助成する資金の比率を高めていただくことが必要ではなかろうか、こういうふうに考えております。
  82. 川端文夫

    川端委員 滝口さん、内容は私らの知っておるのと実際は違うのかどうか、いま申し上げておった精製業界の内容というものは。
  83. 滝口丈夫

    滝口参考人 お答えいたします。  まさにそのとおりでございまして、私のほうの精製販売業界は決して利益がよけいあがっておるわけでございませんで、大体利益率からいきますと、日本の産業の最低は石炭業だろうと思いますが、その次が、おけつから二番目が石油業、それほど実は利益が出ない。具体的に申しますと、年間の利益が石油精製業全体で四十五年は七十億くらいでなかったかと思いますが、百億足らずでございますね。ところがほかの産業では一社でそのぐらいの利益はあげておるところがたくさんございます。そういうようにまことに利益は少ない。――お答えになりましたでしょうか。
  84. 川端文夫

    川端委員 そこで、私どもが東京だけを見ておる感じでは、精製業を抜きにしまして販売だけで考えると、過当競争的な過当投資におちいっておるのじゃないか、こういうふうにも感じられるのですが、まだまだそういう段階ではないという見方におなりになるか。なぜそういをことをお聞きしたいかといえば、時間がないから言ってしまえば、先般出光さんが参考人としておいでになったときに、いろいろ御意見はごもっともであるし、やらなければならぬことは一ぱいあるが、国の資金を出す場合においては必然的に企業自体の責任なり公共性というものがやはり要求されていくわけであるから、自由主義経済という立場に立つなら業者自身の体制をも十分整えていただかないと――いろんなリスクの多い探鉱等に対しては国が極力力を入れていく必要はわれわれも認めておるし協力していきたいけれども、国の金というものは国民の税金であるから、そのことはやはりある一面において義務が伴ってくることにお考えを留意しておいてほしいということを申し上げておったわけです。その点のかね合いの問題がこれからやはり資金を出す場合に議論になっていくところだ。必要なことは認めておっても、出した金の質というか、これは政府資金か民間資金か、こういう問題で、先ほど両方かね合わせて必要に対しては意見の一致を見ているが、資金の性格の問題に対しては議論がまだ行なわれていなかったけれども、これらに対してやはり長期展望に立ってお考えがあるんじゃないか、こういうふうにも考える。したがって、私から言えば、もう少し利益率が高ければ資金の吸収も楽になるのだという議論も出るかもしれぬし、いろんな意見をきょうは気楽にひとつお聞かせおきを願いたいと思うわけでございます。滝口さんからひとつ……。
  85. 滝口丈夫

    滝口参考人 まあ過当競争のような形で利益が少ないのではないかというような御質問のように思うのでございますが、大体石油精製業と申しますのは、販売業もそうでございますが、終戦後初めて許可制で、とにかく石油業法ができてから許可制になっておるわけでありまして、石油会社がたくさんできたことは事実なんです。そのために一時過当競争も起きました。ですから、そういう意味からいって利益率が少なかったのだろうとも思いますけれども、これはわれわれ古い、戦前からやっておる石油会社から見ますと、あまりどうも好ましくない状況だったのですけれども、戦後はいろんな石油会社ができましたから、過当競争になったことは事実なんです。そういう意味から競争が激しくなって、あとから出てきた会社がどうしても販売地盤がないということから安売りをやる。そうしないと需要家を奪えない。こういうところから市況が低迷しておるというのが事実でありますけれども、これは自然発生的でなくて、むしろ政府のほうからそういうような形に――これはいい悪いは別としまして、形になっておるわけです。ですから、これを直すのは、今後はなるたけ精製石油会社を多くしないで、要するに小さい会社を一つにしてやるというような形でもけっこうでして、将来は新会社をつくらないようにするということが一つの根本問題だろうと思います。
  86. 川端文夫

    川端委員 もう一つ、これも素朴な、しろうと的な意見だが、最近、せっかく御努力をいただいていると思われる精製業の業績が、ドルの切り下げによる、円の切り上げによるメリットというものがあまりないという姿の中には、やはり石油精製過程に生まれてくる化学製品の不振が大きな要素になっているのじゃないかと思うが、これはたいしたことないのですか。やはり要素の一つになっておるのか。この辺をひとつ簡単に……。
  87. 滝口丈夫

    滝口参考人 それはおそらくナフサの問題ではないかと思いますが、石油化学会社の原料に石油精製会社のほうからナフサを供給しております。それで、OPEC原油値上げがありましたときに、当然前産品であるところのナフサも値上げをしなければなりません。われわれはキロリットル一応七百円とか、だんだん下がりまして五百円とか、要するにいろいろ値上げの額をきめたのでございますけれども、いかんせん石油化学業界がなかなか不況でございまして、どうしても納得しない。それで上げられないので、大体いまのところは仮払いで二百円実は値上げしておるわけです。そういうように石油化学会社のほうに対するナフサは所定のとおり上がりませんけれども、ただ石油化学会社のナフサだけでございますから、前産品としましても要するに大体一〇%程度のウエートしかございません。ですから、それだけで石油界のほうが不況になったという原因にはなりません。一般的なほうがもっと大きゅうございます。
  88. 川端文夫

    川端委員 あまり重複した質問をしないと言いながらこまかい質問をしてもしようがないが、昨年来の問題になっておるパイプラインの進行状況を、どちらからでもいいから、現在の計画なり進行状況を、けさほどから質問がないようですから、この点をひとつ……。
  89. 莊清

    ○莊政府委員 パイプラインは今後国内の石油製品の輸送手段として非常に重要なものになると考えております。当面の問題になっております関東地方のパイプラインの状況でございます。神奈川県から北上いたしますパイプラインは、国鉄がその事業として行なわれるという方針がきまりまして、現在具体的な計画を検討中だと聞いております。それから千葉県から北関東のほうへ持っていきますパイプライン、これは同地方に立地しております石油各社で共同のパイプライン会社というものを先般設立をいたしまして、現在具体的な計画、路線等について検討しておるということの段階でございます。両方ともいまだ具体的な着工はいたしておりません。こういう状況でございます。
  90. 川端文夫

    川端委員 いつ着工して、いつ竣工できるかという計画はまだないのですか。
  91. 莊清

    ○莊政府委員 民間が行ないます東側のパイプライン、千葉県から北上するパイプラインでございますが、諸準備が整いましたならば来春にでも着工いたしまして、両三年程度の間に完成をいたしたいというのが事業計画でございます。
  92. 川端文夫

    川端委員 質問を終わりますけれども、とにもかくにも、けさ来いろいろの角度から質疑が行なわれて、石油資源確保なり問題点を十分われわれも深く感じておるわけですが、国が大幅な出資をいたして、援助をいたして協力しなければならぬこともわかるわけですけれども、やはりこれだけの国が力を入れなければならない問題点の一翼をになっていくのだということで、業界も十分その気持ちを腹に置いて協力していただきたいことをお願い申し上げて、私の質問を終わりたいと存じます。
  93. 橋口隆

  94. 中村重光

    中村(重)小委員 どうも参考人の方、おそくまで恐縮です。  荘局長のほうで資源問題の検討というものをまとめてもらいました。滝口石連会長にお尋ねしたいのですけれども、三つの方式をあげているわけですね。単純輸入方式と融資買鉱、経営参加。この単純輸入方式は、先ほどあなたからお話がありましたように、メージャー本位で、量にしても価格にしても向こうさんまかせだという形になる。融資買鉱ということになってくると、相手側企業に融資をして、それに伴うところの量を引き取るということになりましょうが、この量のふえた分というのはこれはまた相手側の意向によってきまるでしょうし、価格もそのとおりなんですね。そうなってくると、経営参加ということになると、探鉱のリスクをこちら側が負担をする、資本とか技術、人材というものをこちらが投入するということになってくるから、発言力というものはこの三つの方式の中で経営参加が一番いいように思うのです。しかし現実問題ということになってくると、これまたたいへんむずかしい問題で、利害得失それぞれあるだろうと思います。国が力点を入れるということになってくると、この三つの方式の中でどの方式が一番重要であるのか、そこらあたり、ひとつあなたの御見解を伺っておきたいと思います。
  95. 滝口丈夫

    滝口参考人 それは、大きな意味でやはり油を買う問題と、それから開発の問題と、二つに分かれるわけでございます。それで、安定供給という観点に立ちますと、現在ある油を買うというのが一番確かな、大地に足のついた問題であります。それから開発というのは、将来に向かってあるだろうということで、これはあるかないかということはまだはっきりしない。ですから、安定供給立場からいけば、根本の柱はあくまでも現在ある油を入手するということが根本でございまして、それとともに将来のそういう確保するということをまた考えるということになるのが根本だろうと私は考えております。ですから、国の一応のエネ調のお考えも、七〇%はとにかくあるものを買うのだという考え方、それからあと三〇%は自主開発。ただ自主開発をする場合にこれは三〇%を確保するということで、やはりウエートは七〇%にあるのがわが国の、要するに油に関しましては安定供給の上で一番重要な柱だと思う。ですから、現在世界にあるものをどうして買うか。安く買うのもけっこうですけれども、確実に長期にわたってそれを日本に持ってくるということが、この油に関しては日本の一番大事な施策だと思います。ただ、バーゲニングパワーとして――メージャーから左右されるような、不当に高値につり上げられるとか、そういうものを防ぐために、バーゲニングパワーとしての三〇%の自主開発はまことに必要なことだと思いますが、ただ安定供給という立場からいったら、やはり現在世界にあるものをどうして持ってくるかということが一番重要な問題だと私は考えております。
  96. 中村重光

    中村(重)小委員 御意見のとおりだと思うのです。自主開発を三〇%、それだけでもたいへんなことだと実は思いますね、先ほども意見がありましたように。最近の資源問題をめぐる国際環境というのは非常にむずかしくなってきておりまして、ナショナリズムも台頭してくるということで、必要であるけれども非常に困難な問題だということになってくるのだろうと思うのですが、時間がございませんからまた適当な機会にお尋ねしたいと思います。  先ほど備蓄のことについて話が出ておりましたが、滝口さんから先ほどお答えがありましたとおり、この備蓄の問題は、言うはやすく行なうはかたし、なかなかむずかしい。備蓄の前提の、平和憲法、戦争なし云々という、そのことは別といたしまして、備蓄そのもの、それはおっしゃる御意見の中に出ましたように、二十万トンのタンクを十個つくる、なかなか土地の入手がむずかしいだろうということになってくるのですね。いまの四十五日といいましても、備蓄をしている量と、実際は産油国からこっちに持ってきている回送中のものを含めて四十五日になっているのだろうと私は思うのです。そのように考えてみますと、海上タンクによる備蓄、タンカーの建造というものに対して国が大幅な助成をするといったようないろいろな方法が考えられなければならぬと思いますが、そういうことで海上にこれを備蓄する、そのままそこに固定するとか、いろいろ方法はあろうと思うのですが、そういったような方法でなければ備蓄問題というのはなかなかむずかしいのではないかと思います。素朴なお尋ねになるのですが、備蓄についてはずいぶんいろいろと研究もしていらっしゃるだろうし、御高見も私はあると思うのですが、そこらあたりの考え方はいかがでございますか。
  97. 莊清

    ○莊政府委員 四十五日分というのは通産省で調査して発表しておる数字でありますので、その点をちょっと補足さしていただきますので、お許し願います。  四十五日分と申しますのは、石油精製企業が持っておる分だけでございまして、海上タンカーの中の分は実は入れておりません。
  98. 滝口丈夫

    滝口参考人 備蓄の場所を海上に求めるということでございますが、そういう場合に考えられることは、大きなタンカー船をタンクがわりに使ってそれを固定するという問題と、このごろできています、何か海中のタンクに貯蔵するという方法、そういうのがあるように思うのでございますけれども、結局、まだ海中のタンクの問題は具体的に実行しておるところがちょっとないように聞いております。一たん事故がありました場合に、さっきの問題のように油が海に流れ出すというと、漁業補償、いろいろな公害の問題が起きますから、やはりこれは慎重にやりませんと、なかなかむずかしい問題じゃないかと思います。  それからタンカー船をつくるにしましても、現在あるのが最高三十七万五千トンの船でありますけれども、これが大体五十万キロリットル程度入るのですが、それをつくるにしましても、それはたいへんな金でございます。五十万キロぐらいのものを一隻つくるのに、いまの金にしますと大体百五十億ぐらいかかるんじゃないでしょうか、はっきりしませんけれども。そうすると十隻でも千五百億。十隻でわずかに五百万キロでございますから、海上にそういうタンカー船を持つということはなかなか実際問題としてはできないのじゃないかと思っております。
  99. 中村重光

    中村(重)小委員 海上に固定したタンクということは、公害問題は御意見のとおり、これはたいへんなことで、むずかしい問題でしょう。かといって、陸上に埋め立てなどをやってタンクをつくるということがはたして可能であろうか。これは努力によって相当程度可能性が出てくると思うのですけれども、何しろ一律に五十五万キロリットル、これから需要がふえていく一方であるということになってくると、むずかしい問題である。官民一体となった努力をしていく以外にはこの問題の解決はあり得ないと思うのです。  それから、価格の交渉メージャーとあなたのほうとでやっていらっしゃる。OPECの価格攻勢がメージャーのところへ、そうすると今度は精製業者のほうに転嫁する。精製業者としてはやむを得ないから需要者のほうに転嫁するという形が出てきている。毎年価格を調整する、流通経費の調整という形で一定の引き上げが行なわれてきているわけですが、しかし値上げが相次いでおるということになってくると、そのつどまたそれに加えた価格を引き上げがなされていくわけです。その際の価格の交渉を当初集団でやっていらっしゃる。結局それは形式的になってしまって、最終的にはメージャーと製油業者の個別企業との交渉、これはマージン等の関係上、いままでの仕組みがそうせざるを得ないのだろうと思いますが、何か効果的な価格交渉というようなものはないものでしょうか。いかがですか。
  100. 滝口丈夫

    滝口参考人 効果的と申しますと、まあ、買わないで済めば一番効果的になるのですけれども、買わないわけにいかないというところに効果が薄い問題になります。それから団体交渉というのは、あくまでもあまり効果は――結局団体交渉でも最後は買わないという腹がないと、やはり効果がないのであります。個々の交渉のほうが、しょっちゅう相手とつき合っている同士の交渉ですとそこに親近感もありますし、お互いに親しい間柄ですとなかなか向こうも無理は言えないというところから、そちらのほうが多少ソフト的に交渉がいきまして、有利な向きもあると思います。ですから現状では個々の交渉にまかして、多少でも要するに値引きをさすというのが対メージャーとの交渉においては賢明な策ではないかと思います。  それからOPECの問題は、これはどういうのでしょう、個々の交渉でもなかなか――向こうは一つOPECとしての決議事項としてやっておりますから、個々の国が安く売るということはなかなかむずかしいのではないんでしょうか。ですから、OPECはやはり高く、どうしても強く出るという場合――メージャーとやる場合には要するにソフトな感じで交渉ができるという、ある程度の有利性がありますけれどもOPECとはソフトではあり得ないというのが現状でございます。それですからその対抗策としては、ストップを覚悟され、向こうが、OPECが、どうしても言うことを聞かなければ油を出さないと言った場合に、それを幾日か持ちこたえて、要するにこちらは交渉をがんばるというところに備蓄の問題も一番現実的には効果が生まれるのではないか、こう思っております。
  101. 中村重光

    中村(重)小委員 林石油鉱業連盟会長にお尋ねいたしますが、あなたのほうで石油開発公団公団法の改正について御意見を出していらっしゃるのですが、この中の石油特別会計の設置、これは特別会計としてはこういう形のほうが望ましいといったような御意見でもあられたら伺いたいと思うのです。大蔵省等では石炭特別会計と一本にした特別会計を言っているのですね。ところが石特会計というのは四十八年度までこれは法律できまっている。そこで、あなたのほうで考えておられる石油の特別会計というものはどうあるべきかというような構想がおありでしたらひとつお聞かせいただきたい。  それから債務保証の充実というのが具体的な問題として出ているのですが、いまの保証のあり方として不十分な点はどういった点であるのか。それら具体的な問題として答弁を聞かしていただきたい。
  102. 林一夫

    林参考人 お答え申し上げます。  公団に対しての予算に特別会計というものを、これは四年越しでお願いをしておりまして、ようやく目鼻を見るかに、いま先生がおっしゃったように何かこう石炭と――石炭には御承知のように原重油関税の十二分の十というものが充当されておりまして、いま通産省でお考えになっておりますのは、十二分の二というのが従来一般会計に入っておったのでございますが、これを核にして、そうして足らないところは財投からの借り入れ金でまかなうというふうなお考えのようでございます。私どもとしてはあくまでも石油単独の特別会計というものを実はお願いしたがったのですが、大蔵省のほうではどうも石炭石油特別会計というので、十二分の十二を石炭とひっくるめて特別会計に繰り入れるというようなお考えのようであります。この点、私どものお願い申し上げているところとは若干違うわけでございますが、しかし、初めには石炭のほうに回している十二分の十の中で石油特別会計をつくったらいいのじゃないかという話があったやに承っておりますが、それでは全然話にならぬのでございまして、十二分の十二を全部そっくり石油の特別会計に回すということでございますれば、いま通産省でお考えになっておるような方策で私どもの願望を満たしていただけるのではないかと考えております。  それから第二の御質問の保証の拡充ということにつきましては、従来開発段階に入りましたときに、たとえば輸銀あるいは一般金融機関から民間開発業者が金を借ります際に、外国油田でございますと担保になりませんものでございますから、どうしても金融機関としては何らかの保証が必要である。この場合に公団で保証していただく、これは法律にそういうふうになっております。ただ、私どももこれを拡充していただきたいと思いますのは、従来公団の保証というものは高くて七〇%であるとか、よくても八〇%くらいまでということでありますが、ぜひとも一〇〇%、たとえば輸銀から五〇借りるなら五〇の一〇〇%の保証をしてもらいたい。これは七〇%くらいに終わりますというと、残りの三〇%というものは一般の金融機関からの保証とか、そういうことになりましてなかなか困難がございますので、その保証していただくについては公団のほうで十五分の一の基金をお積みになる必要がございましょうが、ぜひともこれは一〇〇%まで保証ができるように拡充をしていただきたいというのが私どものお願いでございます。
  103. 中村重光

    中村(重)小委員 島田総裁にお尋ねいたしますが、石油開発公団法の改正といっているのですけれども、私この間実は中南米に行ってきまして、ブラジルの石油開発公団の業務の内容をしばらく見たのですが、相当広範囲な業務をやっているのですね。精製までこれはやっている。私はそこまでやれとは言いませんけれども、これから先の資源問題というのはたいへん重要で、海外経済協力と一体化して――自主開発ということばそのものに抵抗があるというようなことですから、したがって相手国経済発展、それから国民生活の向上というようなものに完全に結びつくというような、むしろ相手側がウエートを持ったような形のこれからの協力体制をとらなければ、先ほど来御意見がそれぞれございましたように、掘って物を持ってくるという反発というものが出てくるわけですね。それらの点等、いろいろな面の公団としての業務というようなものが広範囲にわたっていかなければならない。してみると、この開発公団の業務もそこらまで一歩足を突っ込んだ形の、内容充実したものにならなければいけないのではないかという感じが、私は実はするのであります。もっと端的に言わしていただければ、これは鉱業連盟との間の一体化した形の開発というようなものもある場合はやる、ある場合においてはみずからも開発するといったようなこともやらなければならないということも出てくるのではなかろうかという感じがいたしますが、いまあなたのほうでお考えになっておられる点は、林参考人の資料としてお出しになっておられるこうした内容のもので十分であるというふうにいまのところお考えになっていらっしゃるのかどうか。そこらあたりから伺わせていただきたい。
  104. 島田喜仁

    島田参考人 石油の各資源国は、いま先生がお話しのように、ブラジルのみに限らず、これは掘ることから精製まで含めた一応体制がとれるような、要するに公社になっておるのが原則だと思います。ただ日本の場合は、御承知のように、私どもやはり民間の資金的並びにバイタリティーを大いに伸ばしていただきながら、政府政府の資金をこれにつぎ込みまして、そうして一体となって石油開発に進出をするという一つ体制を続けてまいりました。なお、それは先ほど岡田先生からもお話がございましたように、先ほど私が反省をしていると申し上げましたのは、いろいろな世界の情勢が変わりつつあるし、その開発の態様も変わってくる、タイミングがあるということで、あるいは公団に与えられました機能を越えまして私どもは活動している点が率直に申し上げてある、これはおしかりをいただく点だと思います。ただ、公団のたてまえは一応民間企業に対して融資をすることにはなっておりますけれども、そこは相当幅があるという判断のもとに行動してまいったわけでございますが、いまの公団がファイナンスの問題からさらに進んで利権取得の問題、それから探鉱の問題、それからさらに精製販売の問題ということになりますと、これは公団法そのものの根本的な改変に相なるわけでございまして、しかも世界的に見ますと、アメリカはすべて民間企業で、政府エネルギー政策を大きくバックアップしている。それからあと、イタリアは御承知のようにENIという一本の国策会社、それからフランスは国策会社であるエルフエラップというところと、メージャーに入りましたCFPという両建てでやっております。それからイギリスも御承知のように、BPというのはチャーチルがつくり上げた国の金が入った会社でございますが、一応いまは民間会社という形で、シェルと二社でやっている。ドイツは御承知のように需要者も含めましたデミネックスという一つ体制で、これに成功払いという国の金をつぎ込むという体制でいっております。それぞれ国の経済社会体制という背景も含めながら石油企業というものが動いておるわけでございまして、日本はやはり民間と国との協調体制でいくという一つのたてまえに立って、幅はございますけれども公団というものができております。したがって、日本は、一方民間開発企業があり、それから精製企業があり、一方公団といういま申し上げましたような過程からでき上がった制度がございますので、これをいま中村先生のおっしゃるような形であれする場合には、それは全く政府の大きな政策方針というものがきまらない限りはなかなか解決できない問題ではないか。私ども政府機関でございますので、ただいま私ども民間等からの御要望も含めまして、私どももまた四年間やってきた実態から、ここにいま通産省のほうでも考えております機能の改変の問題というのが一応考えられる。その先の問題というのは、これは政府並びに国会でひとつおきめをいただく問題ではないか、こういうふうに考えます。
  105. 中村重光

    中村(重)小委員 最後に滝口参考人にちょっと伺いまして終わりますが、先ほど来備蓄の問題を中心にいたしまして、まあ国の危急存亡というようなことは考えられない、いろいろ御意見等もあったわけです。そのことは別といたしまして、先般の中近東の事件の際、あるいは近くはOPEC値上げ攻勢、それで一時的に輸入をストップさせるという事態、そのつど実は不安を感じていることは、これは事実ですね。それらのこと等考えてみると、石油業法で、第一条の目的にいたしましても、それから第二章の石油精製業の許可条件、これはいろいろ供給関係というものをこの石油業法は規定をしているわけです。需要のコントロールというものは全くないわけですね。ですから、やはり石油業法というものを改正をして、こうした供給関係だけではなくて、需要をコントロールするようなこと等の必要性というものも一つあるのではないかというようなことを私どもはやはり考えさせられる。ですから、あなたは精製関係業者立場ではあられるわけですけれども、そうした点についての御意見がおありでしたら、ひとつお聞かせをいただきたいと思います。
  106. 滝口丈夫

    滝口参考人 需要のコントロールということはどういうことなんでございましょう。油を使わないようにコントロールするということでございますか。
  107. 中村重光

    中村(重)小委員 そうじゃなくて、重点的な問題。何もそういう規定がない。重点使用という問題。
  108. 滝口丈夫

    滝口参考人 いまの石油業法では、需要がありまして、それに見合う適正な供給量をタイアップしているわけでございます。ですから、それで要するにスムーズに油の需要をまかなっておられるわけでございますが、それと、どういうことなんですか。需要をコントロールさせるのは、需要そのものを少なくするとか多くするということでございますか。――われわれのいま現在やっているのは、需要というものがある、正しい需要に対してわれわれ正しい供給をしている。供給のほうで油を供給する。需要は使うほうですから、ほかの産業の一応の活動になります。それのコントロールはわれわれの側としてはできないわけでございます。
  109. 中村重光

    中村(重)小委員 そういう意味でお尋ねしたのじゃないのですよ。学識経験者という立場に立って――現在の業法というものはおっしゃるように需要があるから供給をするという形になって、あなたのほうは供給する側なんです。ですから、需要をコントロールするためのそうした責任的な立場に――あなたのほうは、需要があるから供給をするという供給業者としての責任は実はもちろんあるわけなんです。それに対して、需要をコントロールするような法律の必要性というようなものをあなたのほうに求めるということでお尋ねしたのではなくて、正直に申し上げて、石油需要に見合う何ら不安のない供給というものがいつも行なわれておるということであれば問題ない。備蓄の問題を言うのも、どうも不安があるから、備蓄というものが二カ月ないし三カ月分だけは必要ではないかという議論が出てくるわけなんです。やはり中近東の戦争であるとかあるいは先般のOPECの価格攻勢というのははたしてどうなるのだろうかという不安を、素朴にいって一般国民が持ち、特に石油の大口の使用者等も不安があることは、これは事実なんです。ですから、需要をコントロールするということ、やはり重点的に少ない石油というものを配分をしていかなければならない事態というものが起こってこないという保証はありません。そういったようなことを規定するものが何ら法律の中にないので、そのようなことは必要性はないのだろうかということを、学識経験者としてのあなたに実はお尋ねしているのであって、供給業者であるあなたにその需要のコントロールの必要性を私が迫っておるという意味ではありませんから、そういうことでひとつ御意見を伺っておきたいと思います。
  110. 滝口丈夫

    滝口参考人 それはヨーロッパのほうでは、この前のOPECの問題のときにも、油がストップするのじゃないかというので、フランスですかイギリスですか、はっきり覚えておりませんけれども、やはり切符制度のような、一応需要をコントロールする制度、油をそうよけい使わないような切符制度を考え、そういう国家的に一つのものを非常事態として考えるということをすぐ用意したような話は聞いております。ですから、日本においても将来何か事件がありまして、油が一時的にとだえるというようなことのために備蓄を用意しておるのももちろんでしょうけれども、そういう場合には、やはり必要なウエートに応じて油の使用制限をするということは、われわれとしては必要なことだとは思います。要するに、われわれはできるだけ安定供給というものを考えておりますから、あらゆる点についてやはり安定供給のために努力はいたしますが、万一の場合のそういうことも一応国家的には考える必要があるかもしれません。
  111. 橋口隆

    橋口委員長 ただいまから懇談に入ります。      ――――◇―――――   〔午後二時二十分懇談に入る〕〔午後二時四十二分懇談を終わる〕      ――――◇―――――
  112. 橋口隆

    橋口委員長 これにて懇談を終わります。  参考人各位には、長時間にわたりまして貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。厚くお礼を申し上げます。  本日はこれにて散会いたします。    午後二時四十三分散会