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1971-12-22 第67回国会 衆議院 商工委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年十二月二十二日(水曜日)     午前十時四十九分開議  出席委員    委員長 鴨田 宗一君    理事 浦野 幸男君 理事 進藤 一馬君    理事 橋口  隆君 理事 武藤 嘉文君    理事 中村 重光君 理事 岡本 富夫君    理事 吉田 泰造君       稲村 利幸君    神田  博君       左藤  恵君    坂本三十次君       櫻内 義雄君    始関 伊平君       羽田野忠文君    八田 貞義君       増岡 博之君    山田 久就君       岡田 利春君    加藤 清二君       田中 武夫君    松平 忠久君       横山 利秋君    浅井 美幸君       近江巳記夫君    松尾 信人君       川端 文夫君    米原  昶君  出席政府委員         通商産業政務次         官      稻村佐近四郎君         通商産業省企業         局長      本田 早苗君         通商産業省鉱山         石炭局長    莊   清君  委員外の出席者         農林省農林経済         局企業流通部長 下浦 静平君         通商産業省企業         局商務第二課長 村野啓一郎君         参  考  人         (商品取引所審         議会会長)   近藤 止文君         参  考  人         (全国商品取引         所連合会副会         長)      西田嘉兵衛君         参  考  人         (日本鉱業協会         会長)     河上健次郎君         参  考  人         (全日本金属鉱         山労働組合連合         会委員長)   原口 幸隆君         参  考  人         (金属鉱物探鉱         促進事業団理事         長)      平塚 保明君         参  考  人         (全日本資源産         業労働組合連合         会副委員長)  森嶋 勝男君         商工委員会調査         室長      藤沼 六郎君     ――――――――――――― 委員の異動 十二月二十二日  辞任         補欠選任   石川 次夫君     田中 武夫君 同日  辞任         補欠選任   田中 武夫君     石川 次夫君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  閉会中審査に関する件  商業に関する件(商品取引所問題)  鉱工業に関する件(鉱物資源問題)  鉱業政策の確立に関する件  石油政策の確立に関する件  請願  一 日米政府間繊維協定反対に関する請願    (麻生良方君紹介)(第四五号)  二 同(石川次夫君紹介)(第四六号)  三 同外七件(岡田利春君紹介)(第四七号)  四 同(春日一幸君紹介)(第四八号)  五 同(竹本孫一君紹介)(第四九号)  六 同(中谷鉄也君紹介)(第五〇号)  七 同(門司亮君紹介)(第五一号)  八 同(吉田泰造君紹介)(第五二号)  九 同外十六件(吉田之久君紹介)(第五三    号)  一〇 同(池田禎治君紹介)(第八〇号)  一一 同(西田八郎君紹介)(第八一号)  一二 同(今澄勇君紹介)(第一六九号)  一三 同(岡沢完治君紹介)(第一七〇号)  一四 同外二十七件(近江巳記夫君紹介)(第     一七一号)  一五 同外六十三件(吉田泰造君紹介)(第一     七二号)  一六 山村開発次期対策早期実現に関する     請願外十五件(上村千一郎君紹介)(第     七三号)  一七 同外九件(安倍晋太郎君紹介)(第七四     号)  一八 同外二十九件(浦野幸男君紹介)(第七     五号)  一九 同外三件(椎名悦三郎君紹介)(第七六     号)  二〇 同外四十七件(正示啓二郎君紹介)(第     七七号)  二一 同外六件(辻原弘市君紹介)(第七八     号)  二二 同外二十件(松浦周太郎君紹介)(第七     九号)  二三 同外八件(内海英男君紹介)(第一四三     号)  二四 同外六件(小澤太郎君紹介)(第一四四     号)  二五 同外一件(角屋堅次郎君紹介)(第一四     五号)  二六 同(櫻内義雄君紹介)(第一四六号)  二七 同外二百六十五件(笹山茂太郎君紹介)     (第一四七号)  二八 同外五件(篠田弘作君紹介)(第一四八     号)  二九 同外九件(灘尾弘吉君紹介)(第一四九     号)  三〇 同外二件(橋本龍太郎君紹介)(第一五     〇号)  三一 同外二件(藤波孝生君紹介)(第一五一     号)  三二 同外一件(古屋亨君紹介)(第一五二     号)  三三 同外十七件(前田正男君紹介)(第一五     三号)  三四 同外十八件(毛利松平君紹介)(第一五     四号)  三五 同外三十件(山本幸雄君紹介)(第一五     五号)  三六 米国の輸入課徴金制度等に伴う中小企     業対策に関する請願(宇野宗佑君紹介)     (第二〇八号)  三七 日米政府間繊維協定反対に関する請願     (受田新吉君紹介)(第二一九号)  三八 同(川端文夫君紹介)(第二二〇号)  三九 同(和田春生君紹介)(第二二一号)  四〇 山村開発次期対策早期実現に関する     請願外一件(安倍晋太郎君紹介)(第三     五九号)  四一 同外二十二件(上村千一郎君紹介)(第     三六〇号)  四二 同(大久保武雄君紹介)(第三六一号)  四三 同外一件(鈴木善幸君紹介)(第三六二     号)  四四 同外二十三件(砂原格君紹介)(第三六     三号)  四五 同外十件(田中龍夫君紹介)(第三六四     号)  四六 同外十三件(野原正勝君紹介)(第三六     五号)  四七 同外五十八件(早川崇君紹介)(第三六     六号)  四八 同外十四件(藤井勝志君紹介)(第三六     七号)  四九 同外三件(坊秀男君紹介)(第三六八     号)  五〇 金属鉱山維持振興対策に関する請願     (鈴木善幸君紹介)(第四〇四号)  五一 不況対策に関する請願(鈴木善幸君紹     介)(第四〇五号)  五二 米国の輸入課徴金制度等に伴う中小企     業対策に関する請願(藤井勝志君紹介)     (第四〇九号)  五三 山村開発次期対策早期実現に関する請     願外五件(奧野誠亮君紹介)(第四四一     号)  五四 同外十四件(大村襄治君紹介)(第四四     二号)  五五 同外一件(岡田利春君紹介)(第四四三     号)  五六 同外三件(角屋堅次郎君紹介)(第四四     四号)  五七 同外二件(金子一平君紹介)(第四四五     号)  五八 同外八件(篠田弘作君紹介)(第四四六     号)  五九 同外五件(椎名悦三郎君紹介)(第四四     七号)  六〇 同(中井徳次郎君紹介)(第四四八号)  六一 同外二件(林義郎君紹介)(第四四九     号)  六二 同(古屋亨君紹介)(第四五〇号)  六三 同外九件(松野幸泰君紹介)(第四五一     号)  六四 同外十件(安田貴六君紹介)(第四五二     号)  六五 同外二件(阿部文男君紹介)(第五八二     号)  六六 同外二件(小沢一郎君紹介)(第五八三     号)  六七 同外三件(角屋堅次郎君紹介)(第五八     四号)  六八 同外七件(鍛冶良作君紹介)(第五八五     号)  六九 同外五十件(正示啓次郎君紹介)(第五     八六号)  七〇 同(瀬野栄次郎君紹介)(第五八七号)  七一 同外三件(野呂恭一君紹介)(第五八八     号)  七二 同外六件(松本十郎君紹介)(第五八九     号)  七三 日米政府間繊維協定反対に関する請願     (佐々木良作君紹介)(第四五三号)  七四 同(西尾末廣君紹介)(第四五四号)  七五 同(岡本富夫君紹介)(第六〇五号)  七六 同外一件(西田八郎君紹介)(第六〇六     号)  七七 山村開発次期対策早期実現に関する     請願外三件(奧野誠亮君紹介)(第六七     〇号)  七八 同(瀬野栄次郎君紹介)(第六七一号)  七九 同外一件(田中龍夫君紹介)(第六七二     号)  八〇 同外五件(辻原弘市君紹介)(第六七三     号)  八一 同外一件(阿部文男君紹介)(第七〇一     号)  八二 同外二十九件(上村千一郎君紹介)(第     七〇二号)  八三 同外二件(植木庚子郎君紹介)(第七〇     三号)  八四 同外七件(小澤太郎君紹介)(第七〇四     号)  八五 同(川崎秀二君紹介)(第七〇五号)  八六 同外六十六件(河本敏夫君紹介)(第七     〇六号)  八七 同(砂原格君紹介)(第七〇七号)  八八 同(瀬野栄次郎君紹介)(第七〇八号)  八九 同外八件(辻原弘市君紹介)(第七〇九     号)  九〇 同外一件(野田武夫君紹介)(第七一〇     号)  九一 同(美濃政市君紹介)(第七一一号)  九二 同外九件(山本幸雄君紹介)(第七一二     号)  九三 同外五件(小沢一郎君紹介)(第七七三     号)  九四 同外四件(笠岡喬君紹介)(第七七四     号)  九五 同外八件(篠田弘作君紹介)(第七七五     号)  九六 同(中川一郎君紹介)(第七七六号)  九七 同外四件(中川俊思君紹介)(第七七七     号)  九八 同外十三件(古屋亨君紹介)(第七七八     号)  九九 同外九十三件(松澤雄藏君紹介)(第七     七九号) 一〇〇 同外九件(村上信二郎君紹介)(第七八     〇号) 一〇一 同外十件(毛利松平君紹介)(第七八一     号) 一〇二 同外九件(安田貴六君紹介)(第七八二     号) 一〇三 同外四件(奧野誠亮君紹介)(第八二九     号) 一〇四 同外八件(大村襄治君紹介)(第八三〇     号) 一〇五 同外二件(椎名悦三郎君紹介)(第八三     一号) 一〇六 同外三件(塩崎潤君紹介)(第八三二     号) 一〇七 同外二件(關谷勝利君紹介)(第八三三     号) 一〇八 同外八件(古内広雄君紹介)(第八三四     号) 一〇九 同外二十三件(松浦周太郎君紹介)(第     八三五号) 一一〇 同外一件(松野幸泰君紹介)(第八三六     号) 一一一 同外九件(浦野幸男君紹介)(第八三七     号) 一一二 日米政府間繊維協定反対に関する請願     (岡本富夫君紹介)(第六七四号) 一一三 同外一件(西田八郎君紹介)(第六七五     号) 一一四 同(新井彬之君紹介)(第七一三号) 一一五 同(岡本富夫君紹介)(第七一四号) 一一六 同(新井彬之君紹介)(第七八四号) 一一七 同(岡本富夫君紹介)(第七八五号) 一一八 同(新井彬之君紹介)(第八三八号) 一一九 同(岡本富夫君紹介)(第八三九号) 一二〇 山村開発次期対策早期実現に関する請     願外四十六件(池田清志君紹介)(第八     九〇号) 一二一 同(金子一平君紹介)(第八九一号) 一二二 同外七十四件(木村武雄君紹介)(第八     九二号) 一二三 同外一件(佐藤孝行君紹介)(第八九三     号) 一二四 同外二件(坂田道太君紹介)(第八九四     号) 一二五 同外六件(高橋英吉君紹介)(第八九五     号) 一二六 同(鍛冶良作君紹介)(第八九六号) 一二七 同外四件(長谷川峻君紹介)(第八九七     号) 一二八 同外三十三件(早川崇君紹介)(第八九     八号) 一二九 同外二件(武藤嘉文君紹介)(第八九九     号) 一三〇 同外四十九件(小島徹三君紹介)(第九     四〇号) 一三一 同外六件(佐々木秀世君紹介)(第九四     一号) 一三二 同外十六件(佐々木良作君紹介)(第九     四二号) 一三三 同外十七件(斉藤滋与史君紹介)(第九     四三号) 一三四 同(辻原弘市君紹介)(第九四四号) 一三五 同(堂森芳夫君紹介)(第九四五号) 一三六 同(中澤茂一君紹介)(第九四六号) 一三七 同(日野吉夫君紹介)(第九四七号) 一三八 同外十五件(渡辺美智雄君外一名紹介)     (第九四八号) 一三九 同(三宅正一君紹介)(第九四九号) 一四〇 同外十八件(毛利松平君紹介)(第九五     〇号) 一四一 同(植木庚子郎君紹介)(第一〇五〇     号) 一四二 同外十件(大村襄治君紹介)(第一〇五     一号) 一四三 同外四件(鍛冶良作君紹介)(第一〇五     二号) 一四四 同外二十九件(鹿野彦吉君紹介)(第一     〇五三号) 一四五 同外二件(菅太郎君紹介)(第一〇五四     号) 一四六 同外二件(佐藤守良君紹介)(第一〇五     五号) 一四七 同(田村元君紹介)(第一〇五六号) 一四八 同(佐藤孝行君紹介)(第一〇五七号) 一四九 同外九件(塩崎潤君紹介)(第一〇五八     号) 一五〇 同(鈴木善幸君紹介)(第一〇五九号) 一五一 同外二件(關谷勝利君紹介)(第一〇六     〇号) 一五二 同(西村直己君紹介)(第一〇六一号) 一五三 同外一件(橋本龍太郎君紹介)(第一〇     六二号) 一五四 同外六件(福田一君紹介)(第一〇六三     号) 一五五 同外二件(藤井勝志君紹介)(第一〇六     四号) 一五六 同外六件(本名武君紹介)(第一〇六五     号) 一五七 同外六件(宮澤喜一君紹介)(第一〇六     六号) 一五八 同外五十三件(森下國雄君紹介)(第一     〇六七号) 一五九 同外七件(毛利松平君紹介)(第一〇六     八号) 一六〇 同外九件(安田貴六君紹介)(第一〇六     九号) 一六一 日米政府間繊維協定反対に関する請願     (新井彬之君紹介)(第九〇〇号) 一六二 同(岡本富夫君紹介)(第九〇一号) 一六三 同(松尾信人君紹介)(第九〇二号) 一六四 同(松尾信人君紹介)(第九五一号) 一六五 同(松尾信人君紹介)(第九八三号) 一六六 山村開発次期対策早期実現に関する請     願外三件(荒木萬壽夫君紹介)(第一一     四九号) 一六七 同外六件(有田喜一君紹介)(第一一五     〇号) 一六八 同外二十五件(池田正之輔君紹介)(第     一一五一号) 一六九 同外四件(笠岡喬君紹介)(第一一五二     号) 一七〇 同外十九件(亀山孝一君紹介)(第一一     五三号) 一七一 同外二件(神田博君紹介)(第一一五四     号) 一七二 同外七件(塩谷一夫君紹介)(第一一五     五号) 一七三 同外九件(中垣國男君紹介)(第一一五     六号) 一七四 同外三十六件(渡辺栄一君紹介)(第一     一五七号) 一七五 同外六件(有田喜一君紹介)(第一二〇     〇号) 一七六 同外四件(植木庚子郎君紹介)(第一二     〇一号) 一七七 同外九件(大村襄治君紹介)(第一二〇     二号) 一七八 同外九件(佐藤孝行君紹介)(第一二〇     三号) 一七九 同外二件(椎名悦三郎君紹介)(第一二     〇四号) 一八〇 同外六件(塩崎潤君紹介)(第一二〇五     号) 一八一 同外九件(篠田弘作君紹介)(第一二〇     六号) 一八二 同外二十二件(田中正巳君紹介)(第一     二〇七号) 一八三 同外六件(野原正勝君紹介)(第一二〇     八号) 一八四 同外七件(藤井勝志君紹介)(第一二〇     九号) 一八五 同外三件(宮澤喜一君紹介)(第一二一     〇号) 一八六 同外一件(毛利松平君紹介)(第一二一     一号) 一八七 同外七件(足立篤郎君紹介)(第一三〇     三号) 一八八 同外五件(愛知揆一君紹介)(第一三〇     四号) 一八九 同(石井光次郎君紹介)(第一三〇五     号) 一九〇 同外二件(小沢一郎君紹介)(第一三〇     六号) 一九一 同外十七件(大石八治君紹介)(第一三     〇七号) 一九二 同(大原亨君紹介)(第一三〇八号) 一九三 同(笠岡喬君紹介)(第一三〇九号) 一九四 同外二件(神田博君紹介)(第一三一〇     号) 一九五 同外五件(菅太郎君紹介)(第一三一一     号) 一九六 同外一件(椎名悦三郎君紹介)(第一三     一二号) 一九七 同外十三件(渡辺栄一君紹介)(第一三     一三号) 一九八 同(野原正勝君紹介)(第一三一四号) 一九九 同外四十六件(早川崇君紹介)(第一三     一五号) 二〇〇 同外十九件(福永一臣君紹介)(第一三     一六号) 二〇一 同外十一件(藤井勝志君紹介)(第一三     一七号) 二〇二 同外九件(古屋亨君紹介)(第一三一八     号) 二〇三 同外五件(坊秀男君紹介)(第一三一九     号) 二〇四 日米政府間繊維協定反対に関する請願外     十七件(畑和君紹介)(第一三二〇号) 二〇五 山村開発次期対策早期実現に関する     請願(安宅常彦君紹介)(第一五五八     号) 二〇六 同外七件(足立篤郎君紹介)(第一五五     九号) 二〇七 同外四件(愛知揆一君紹介)(第一五六     〇号) 二〇八 同外六十三件(有田喜一君紹介)(第一     五六一号) 二〇九 同外九件(笠岡喬君紹介)(第一五六二     号) 二一〇 同外二件(金子一平君紹介)(第一五六     三号) 二一一 同外二十件(箕輪登君紹介)(第一五六     四号) 二一二 同外十一件(正示啓次郎君紹介)(第一     五六五号) 二一三 同外三十五件(中川一郎君紹介)(第一     五六六号) 二一四 同外十三件(大村襄治君紹介)(第一六     二九号) 二一五 同外十二件(亀山孝一君紹介)(第一六     三〇号) 二一六 同外六件(田中龍夫君紹介)(第一六三     一号) 二一七 同(橋本龍太郎君紹介)(第一六三二     号) 二一八 同外十二件(古井喜實君紹介)(第一六     三三号) 二一九 同外三件(古内広雄君紹介)(第一六三     四号) 二二〇 同外二件(前田正男君紹介)(第一六三     五号) 二二一 同外八件(松野頼三君紹介)(第一六三     六号) 二二二 同外六件(武藤嘉文君紹介)(第一六三     七号) 二二三 同外十七件(綿貫民輔君紹介)(第一六     三八号) 二二四 同外十一件(足立篤郎君紹介)(第一七     一五号) 二二五 同外二件(加藤六月君紹介)(第一七一     六号) 二二六 同外七件(金子一平君紹介)(第一七一     七号) 二二七 同外二件(鈴木善幸君紹介)(第一七一     八号) 二二八 同外二十件(藤田義光君紹介)(第一七     一九号) 二二九 同外十九件(山口敏夫君紹介)(第一七     二〇号) 二三〇 同外五件(奧野誠亮君紹介)(第一七四     八号) 二三一 同外六件(佐々木秀世君紹介)(第一七     四九号) 二三二 同(椎名悦三郎君紹介)(第一七五〇     号) 二三三 同外三件(田中六助君紹介)(第一七五     一号) 二三四 同(高鳥修君紹介)(第一七五二号) 二三五 同(谷川和穗君紹介)(第一七五三号) 二三六 同外二件(辻原弘市君紹介)(第一七五     四号) 二三七 同外九件(野田卯一君紹介)(第一七五     五号) 二三八 同外九件(長谷川峻君紹介)(第一七五     六号) 二三九 同(古屋亨君紹介)(第一七五七号) 二四〇 同外八件(松浦周太郎君紹介)(第一七     五八号) 二四一 同(松野幸泰君紹介)(第一七五九号) 二四二 同外三件(武藤嘉文君紹介)(第一七六     〇号) 二四三 同外十八件(井出一太郎君紹介)(第一     八三八号) 二四四 同外二十六件(小川平二君紹介)(第一     八三九号) 二四五 同外七件(塩崎潤君紹介)(第一八四〇     号) 二四六 同外二十一件(藤井勝志君紹介)(第一     八四一号) 二四七 同外八件(村上信二郎君紹介)(第一八     四二号) 二四八 同外四件(毛利松平君紹介)(第一八四     三号) 二四九 同外二十九件(森下國雄君紹介)(第一     八四四号) 二五〇 同外二十六件(赤澤正道君紹介)(第一     九〇四号) 二五一 同外一件(金子一平君紹介)(第一九〇     五号) 二五二 同外一件(亀山孝一君紹介)(第一九〇     六号) 二五三 同(倉石忠雄君紹介)(第一九〇七号) 二五四 同外八件(小渕恵三君紹介)(第一九〇     八号) 二五五 同外六件(園田直君紹介)(第一九〇九     号) 二五六 同外四件(高橋英吉君紹介)(第一九一     〇号) 二五七 同外十四件(羽田孜君紹介)(第一九一     一号) 二五八 同外三十二件(増田甲子七君紹介)(第     一九一二号) 二五九 同外四十件(大村襄治君紹介)(第一九     九七号) 二六〇 同外九件(亀山孝一君紹介)(第一九九     八号) 二六一 同外六件(關谷勝利君紹介)(第一九九     九号) 二六二 同外七件(前田正男君紹介)(第二〇〇     〇号) 二六三 山村振興次期対策の実施に関する請願     (佐々木良作君紹介)(第一九一四号) 二六四 中小企業に対する公害防止設備資金の融     資拡充に関する請願(倉石忠雄君紹介)     (第一九七五号) 二六五 同(羽田孜君紹介)(第一九七六号) 二六六 同(増田甲子七君紹介)(第一九七七     号) 二六七 同(小川平二君紹介)(第二一〇一号) 二六八 同(中澤茂一君紹介)(第二一〇二号) 二六九 同(原茂君紹介)(第二一〇三号) 二七〇 同(松平忠久君紹介)(第二一〇四号) 二七一 同(井出一太郎君紹介)(第二二六三     号) 二七二 同(唐沢俊二郎君紹介)(第二二六四     号) 二七三 山村開発次期対策早期実現に関する請     願(貝沼次郎君紹介)(第二二〇〇号) 二七四 同外五件(笠岡喬君紹介)(第二二〇一     号) 二七五 同外十一件(唐沢俊二郎君紹介)(第二     二〇二号) 二七六 同外九件(金子一平君紹介)(第二二〇     三号) 二七七 同外五件(關谷勝利君紹介)(第二二〇     四号) 二七八 同外八件(田中正巳君紹介)(第二二〇     五号) 二七九 同外十二件(福永一臣君紹介)(第二二     〇六号) 二八〇 同外八件(毛利松平君紹介)(第二二〇     七号) 二八一 同外五件(森下元晴君紹介)(第二二〇     八号) 二八二 同外十件(足立篤郎君紹介)(第二三〇     七号) 二八三 同外七件(高橋英吉君紹介)(第二三〇     八号) 二八四 同外二件(野原正勝君紹介)(第二三〇     九号) 二八五 同外五件(福永一臣君紹介)(第二三一     〇号) 二八六 同外八件(古屋亨君紹介)(第二三一一     号) 二八七 中小企業に対する公害防止設備資金の融     資拡充に関する請願(向山一人君紹介)     (第二三八〇号) 二八八 同(小坂善太郎君紹介)(第二五七四     号) 二八九 同(下平正一君紹介)(第二五七五号) 二九〇 山村開発次期対策早期実現に関する請     願外八件(愛知揆一君紹介)(第二四〇     一号) 二九一 同外十件(亀山孝一君紹介)(第二四〇     二号) 二九二 同外八十八件(田村良平君紹介)(第二     四〇三号) 二九三 同外八件(徳安實藏君紹介)(第二四〇     四号) 二九四 同外二件(早川崇君紹介)(第二四〇五     号) 二九五 同外九件(向山一人君紹介)(第二四〇     六号) 二九六 同(渡辺肇君紹介)(第二四〇七号) 二九七 同外十二件(小坂善太郎君紹介)(第二     四七〇号) 二九八 同外八十一件(大西正男君紹介)(第二     四七一号) 二九九 同外八十三件(仮谷忠男君紹介)(第二     四七二号) 三〇〇 同外一件(渡辺栄一君紹介)(第二四七     三号) 三〇一 霞ケ浦開発事業の実施に関する請願(塚     原俊郎君紹介)(第二四〇八号) 三〇二 中小業者の営業と生活擁護に関する請願     (小林政子君紹介)(第二四七四号) 三〇三 同(土橋一吉君紹介)(第二四七五号) 三〇四 山村開発次期対策早期実現に関する請     願(關谷勝利君紹介)(第二六〇二号) 三〇五 同(藤田義光君紹介)(第二六〇三号) 三〇六 同外八件(松浦周太郎君紹介)(第二六     〇四号) 三〇七 同外八十件(森下元晴君紹介)(第二六     〇五号) 三〇八 同外二件(安田貴六君紹介)(第二六〇     六号) 三〇九 同外二十四件(大村襄治君紹介)(第二     六四七号) 三一〇 同(三池信君紹介)(第二六四八号) 三一一 同外五件(足立篤郎君紹介)(第二七八     七号) 三一二 同(荒木萬壽夫君紹介)(第二七八八     号) 三一三 同外六件(加藤六月君紹介)(第二七八     九号) 三一四 同(二階堂進君紹介)(第二七九〇号) 三一五 同外一件(橋本龍太郎君紹介)(第二七     九一号) 三一六 同外九件(古屋亨君紹介)(第二七九二     号) 三一七 同外九件(塩崎潤君紹介)(第二八六三     号) 三一八 同外九件(長谷川峻君紹介)(第二八六     四号) 三一九 同外四件(久保田円次君紹介)(第二九     〇五号) 三二〇 同外四件(藤井勝志君紹介)(第二九〇     六号) 三二一 同外八件(安倍晋太郎君紹介)(第三〇     三六号) 三二二 同外八件(野田卯一君紹介)(第三〇三     七号) 三二三 同外七件(藤田義光君紹介)(第三〇三     八号) 三二四 同外六件(保利茂君紹介)(第三〇三九     号) 三二五 同(武藤嘉文君紹介)(第三〇四〇号) 三二六 中小業者の営業と生活擁護に関する請願     (浅井美幸君紹介)(第二九〇七号) 三二七 同(近江巳記夫君紹介)(第二九〇八     号) 三二八 同(岡本富夫君紹介)(第二九〇九号) 三二九 同(松尾信人君紹介)(第二九一〇号) 三三〇 山村開発次期対策早期実現に関する請     願外一件(江田三郎君紹介)(第三〇九     〇号) 三三一 同外一件(大野明君紹介)(第三〇九一     号) 三三二 同外二十七件(奧野誠亮君紹介)(第三     〇九二号) 三三三 同外十二件(正示啓次郎君紹介)(第三     〇九三号) 三三四 同外四件(足立篤郎君紹介)(第三一三     八号) 三三五 同(高鳥修君紹介)(第三一三九号) 三三六 同外百四件(中尾栄一君紹介)(第三一     四〇号) 三三七 同外五件(松浦周太郎君紹介)(第三一     九一号) 三三八 同外四件(久保田円次君紹介)(第三三     〇一号) 三三九 同(塩崎潤君紹介)(第三三〇二号) 三四〇 同外一件(武部文君紹介)(第三三〇三     号) 三四一 同外十九件(金子一平君紹介)(第三四     二五号) 三四二 同外二件(松野幸泰君紹介)(第三四二     六号) 三四三 同外一件(武藤嘉文君紹介)(第三四二     七号) 三四四 同外六十一件(永山忠則君紹介)(第三     五一八号) 三四五 同外二件(野田卯一君紹介)(第三五一     九号) 三四六 同外八件(金子一平君紹介)(第三五五     六号) 三四七 同外百三件(金丸信君紹介)(第三七七     一号) 三四八 同外一件(安田貴六君紹介)(第三七七     二号) 三四九 離島振興法の期限延長等に関する請願     (大坪保雄君紹介)(第三七七三号) 三五〇 同外一件(金子岩三君紹介)(第三七七     四号) 三五一 同(坂田道太君紹介)(第三七七五号) 三五二 同(坂本三十次君紹介)(第三七七六     号) 三五三 同(櫻内義雄君紹介)(第三七七七号) 三五四 同(田中龍夫君紹介)(第三七七八号) 三五五 同(西岡武夫君紹介)(第三七七九号) 三五六 同(福永一臣君紹介)(第三七八〇号) 三五七 同(藤波孝生君紹介)(第三七八一号) 三五八 同(松尾信人君紹介)(第三七八二号) 三五九 同(吉田重延君紹介)(第三七八三号) 三六〇 山村開発次期対策早期実現に関する     請願外十七件(金丸信君紹介)(第三八     九一号) 三六一 同外四件(久保田円次君紹介)(第三八     九二号) 三六二 同(地崎宇三郎君紹介)(第三八九三     号) 三六三 同外四件(徳安實藏君紹介)(第三八九     四号) 三六四 同外四件(野原正勝君紹介)(第三八九     五号) 三六五 同外三十九件(古井喜實君紹介)(第三     八九六号) 三六六 同外九件(渡辺栄一君紹介)(第三八九     七号) 三六七 同外八十二件(相川勝六君紹介)(第三     九七三号) 三六八 同外十四件(赤澤正道君紹介)(第三九     七四号) 三六九 同外百六十六件(内田常雄君紹介)(第     三九七五号) 三七〇 同外六件(大村襄治君紹介)(第三九七     六号) 三七一 同外四件(田村元君紹介)(第三九七七     号) 三七二 同外六件(中川一郎君紹介)(第三九七     八号) 三七三 同外二件(足立篤郎君紹介)(第四〇九     三号) 三七四 同外三件(久保田円次君紹介)(第四〇     九四号) 三七五 同外十五件(松野頼三君紹介)(第四〇     九五号) 三七六 離島振興法の期限延長等に関する請願     (宇都宮徳馬君紹介)(第三八九八号) 三七七 同外一件(菊池義郎君紹介)(第三八九     九号) 三七八 同(小宮武喜君紹介)(第三九〇〇号) 三七九 同(高橋清一郎君紹介)(第三九〇一     号) 三八〇 同(西村英一君紹介)(第三九〇二号) 三八一 同(藤本孝雄君紹介)(第三九〇三号) 三八二 同(松浦周太郎君紹介)(第三九〇四     号) 三八三 同(進藤一馬君紹介)(第三九七九号) 三八四 同(關谷勝利君紹介)(第三九八〇号) 三八五 同(増岡博之君紹介)(第三九八一号) 三八六 同(橋口隆君紹介)(第四〇九六号) 三八七 山村開発次期対策早期実現に関する請     願(大村襄治君紹介)(第四二五二号) 三八八 同外十八件(小山長規君紹介)(第四二     五三号) 三八九 同外一件(關谷勝利君紹介)(第四二五     四号) 三九〇 同外五件(本名武君紹介)(第四二五五     号) 三九一 同外一件(吉田之久君紹介)(第四二五     六号) 三九二 同(相川勝六君紹介)(第四三五〇号) 三九三 同外二件(菅太郎君紹介)(第四三五一     号) 三九四 同外二十一件(大野明君紹介)(第四四     九五号) 三九五 同外二件(菅太郎君紹介)(第四四九六     号) 三九六 離島振興法の期限延長等に関する請願     (池田清志君紹介)(第四三五二号) 三九七 同外一件(白浜仁吉君紹介)(第四三五     三号)三九八 同(砂原格君紹介)(第四三五四号) 三九九 同(田村元君紹介)(第四三五五号) 四〇〇 同(毛利松平君紹介)(第四三五六号) 四〇一 同(内海英男君紹介)(第四五〇〇号) 四〇二 同(小澤太郎君紹介)(第四五〇一号) 四〇三 同外一件(小沢辰男君紹介)(第四五〇     二号) 四〇四 同(大橋武夫君紹介)(第四五〇三号) 四〇五 同(園田直君紹介)(第四五〇四号) 四〇六 同(中村重光君紹介)(第四五〇五号) 四〇七 同(村上信二郎君紹介)(第四五〇六     号) 四〇八 日米政府間繊維協定破棄に関する請願     (岡沢完治君紹介)(第四三五七号) 四〇九 同(内海清君紹介)(第四三五八号) 四一〇 同(今澄勇君紹介)(第四三五九号) 四一一 同(池田禎治君紹介)(第四三六〇号) 四一二 同(春日一幸君紹介)(第四三六一号) 四一三 同(河村勝君紹介)(第四三六二号) 四一四 同(寒川喜一君紹介)(第四三六三号) 四一五 同(竹本孫一君紹介)(第四三六四号) 四一六 同(曽祢益君紹介)(第四三六五号) 四一七 同(鈴木一君紹介)(第四三六六号) 四一八 同(吉田之久君紹介)(第四三六七号) 四一九 同(渡辺武三君紹介)(第四三六八号) 四二〇 同(麻生良方君紹介)(第四四八九号) 四二一 同(受田新吉君紹介)(第四四九〇号) 四二二 同(西尾末廣君紹介)(第四四九一号) 四二三 同外一件(西田八郎君紹介)(第四四九     二号) 四二四 同(門司亮君紹介)(第四四九三号) 四二五 同(吉田泰造君紹介)(第四四九四号) 四二六 中小企業団体中央会に対する助成強化に     関する請願(岡本富夫君紹介)(第四四     九九号) 四二七 中小企業に対する公害防止設備資金の融     資拡充に関する請願(林百郎君紹介)     (第四五二三号)      ――――◇―――――
  2. 鴨田宗一

    ○鴨田委員長 これより会議を開きます。  商業に関する件について調査を進めます。  本日は、商品取引所問題について、参考人として商品取引所審議会会長近藤止文君及び全国商品取引所連合会会長西田嘉兵衛君が出席されております。  この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。  参考人各位には御多用中のところ本委員会に御出席をいただき、まことにありがとうございます。  本委員会におきましては商業に関する件について調査中でありますが、本日は特に商品取引所問題につきまして、それぞれのお立場から、忌憚のない御意見をお述べ願いたいと存じます。  なお、議事の順序でございますが、初めに御意見をそれぞれ十五分程度に取りまとめてお述べいただき、次に委員諸君からの質疑に対してお答えいただきたいと存じます。まず近藤参考人、次に西田参考人にお願いをいたします。  まず近藤参考人。
  3. 近藤止文

    ○近藤参考人 ただいま紹介にあずかりました近藤でございます。取引所制度の運用の問題に関しまして、商品取引所審議会会長といたしまして十五分程度というお話でございましたけれども、要点につきまして簡単に私から意見を申し上げまして、御質問にお答えを申し上げることにしたいと思います。  商品取引所制度の問題につきましては、昭和四十一年の二月に、前審議会の会長石黒武重さんの名前で意見書を提出いたしておりました。これは主として委託者保護の問題を中心にいたしまして、取引所の運用上のいろいろな欠陥ないしはそれらの保護につきましての万全を期すべき施策等につきまして、相当各方面にわたった意見書になっておるわけでございまして、この意見書に基づきまして昭和四十二年に法律改正が大幅に行なわれまして、その法律改正の結果、本年の一月二十六日をもちまして従来の仲買い人が取引員ということで、許可制によりまして許可になるということで、前回の法律改正が完了いたした次第でございます。  したがいまして、四十二年に法律が改正されましてから三年間、その後の様子を見てまいったのでございますが、実は委託者保護ということに重点を置いた法律改正ではございましたけれども、なおやはりいろいろ紛議の絶えません問題がございまして、相当これはたくさん発生をいたしましたし、また予想しなかったような事態の問題も出たようでございまして、やはりこの間に相当、前回の法律改正によりましてもさらに運用を改善すべき点があるように考えられたのでございます。また同時に、前回の法律改正におきまして国会におきまして附帯決議がございまして、その附帯決議に従いまして、審議会としてはその与えられました職責の範囲内におきまして意見書を作成する必要がございます。それで、それらの状況にかんがみまして、通産、農林両当局におきましては、法律の施行の問題につきまして相当精力的にいろいろ仕事をなさいましたが、同時に今後の制度改正の問題につきましてもいろいろ検討をされまして、昨年の十一月に審議会に対しまして、十項目につきましての意見を聞いてまいったのでございます。  審議会はその十項目の意見書を受けまして、自来約八、九回でございますか、この項目を検討いたしました。ただ、十項目につきまして必ずしもこれが項目別に整理されておるとも考えられませんので、これを三つの大きな項目のくくりにいたしまして、その三つのくくりによりましての審議会としての意見書を取りまとめまして、先般通産大臣、農林大臣、両大臣に意見書として提出したのでございます。  その内容をごく簡単に申し上げますと、一つは、この前法律改正によりまして委託者保護について万全を期するような施策を講じたのでございますけれども、やはりなお徹底を欠く点もあるようでございますし、また行なわれました施策につきましても十分にその方針どおりに行なわれないというような点もあるようでございますので、それらの点をひっくるめまして、一つの大きなくくりとして、やはり委託者について十分これを保護するための万全の措置を講じなければならない。それからその次に商品取引所の制度の問題につきまして、これはこの前の国会の附帯決議にもございますように、上場商品の検討の問題また国会でいろいろ御質問もございましたような、たとえば取引所の整理統合の問題あり方の問題、これらの問題を一つの項目として取りまとめまして、それから最後に、これはちょっとよけいなこと、審議会としましては少し範囲を逸脱するかと思いますが、商品取引所というものの今後のあるべき姿というものはどういうことであるべきか、こういう形であれば国際経済の中に伍して商品取引所としての機能が発揮できるのじゃないかというようなことでまとめてみたわけでございます。この最終的の問題が今後一番大きな問題だと思うのでございますが、商品取引所審議会というものが、法律の条文をごらんになりますとおわかりになりますように、商品取引所法の施行に関する重要事項についての調査審議をするということになっておりまして、商品取引というものの今後のあり方をどうするんだというような積極的な審議をするというところまでいきますことが、審議会としての範囲の中であるかあるいはそれからはみ出るか、その辺がいささか問題に考えられましたので、これは大きな方向づけだけを示唆するということにとどめた次第でございます。  内容といたしましては、委託者保護の問題につきましては、ここであらためて申し上げるまでもなく、前回の法律改正をいたしました趣旨に沿いましてさらにこれを強化し、しかもその実効を期するということで尽きると思うのでございます。また商品取引所の今後のあり方の問題につきましては、やはりたびたび御指摘がございましたように、上場するのに不適当な商品も相当あるように考えられますので、これはこの際できるだけ適格性のあるものに整理をする、またそれに関連いたしまして、現在二十ございます商品取引所というものにつきましては、やはり整理統合をしてまいる必要があるのではないか、これが国際的な商品取引というものに通ずる一つの信用の問題と申しますか、大きなポイントに一つなるのではないかというように考えられるわけでございまして、それらにつきまして、いろいろな方面から検討した上で、基本的にはそういった考え方をまとめてみたわけでございまして、また最終的にはやはり商品取引というものに適合する国際的な商品、特に今後におきましては世界経済というものが非常に狭い社会のものになりつつある状態でございますので、生産地あるいは消費地あるいは集散地というようなばらばらの問題でなしに、通信その他の関係も非常に簡便になってきておりますので、やはり商品取引というものにつきましては、どこかで中心を持ちまして、そこで国際的な商品の生産、配給、流通、また適正価格の設定あるいはヘッジというような問題についてこれを進めてまいるということが一番適当じゃないかというように考えておるわけでございます。  そういったことで、今回の答申を審議会の委員の皆さんの総意といたしましてとりまとめて、通産大臣及び農林大臣に提出したような次第でございまして、その要点はただいま申し上げましたようなことで、私の意見といたしましてもいま申し上げたところで尽きるわけでございますが、内容的には相当こまかい点にも触れておりますので、それは御質問によりましてお答えを申し上げることにいたしたい、かように存じます。意見として以上でございます。
  4. 鴨田宗一

    ○鴨田委員長 次に西田参考人にお願いします。
  5. 西田嘉兵衛

    ○西田参考人 私は、ただいま御紹介ございました全国商品取引所連合会の副会長をつとめております西田でございます。  この連合会は、二年ほど前、委託者紛議の多発等から、全部の取引所を通じての懇親団体的な連合会はすでにあったのでございますけれども、それを社団法人に改組いたしまして、初代の会長として神戸生糸取引所の理事長三木滝蔵氏が就任されました。私はそのときから副会長になった次第でございます。  大体この連合会の仕事といたしましては、従来のような単なる連絡機関というのを越えまして、少なくとも商品取引所にまつわるいろいろな問題、これは国会でもお取り上げになりましてかなりいろいろな点でこの是正について御指示をいただいたわけでございますけれども、それらの御趣旨に沿いまして商品取引員の営業姿勢の改善、あるいはまた委託者紛議が起こりました場合の紛議の調停、そういうようなことにも力を入れることになったわけでございます。今年度の予算も、全二十取引所の合意によりまして、約一億五千万円の予算をもちまして、啓蒙運動はもとより、各地に――各地と申しましても東部、中部、西部と三つでございますが、三つの場所にそれぞれ支部を置きまして、そこに商品取引紛議が起こりました場合の相談所並びに合同紛議調停委員会というようなものを設けまして、それらの解決に当たっておる次第でございます。  今度、ただいま近藤会長から御発表になりましたような十項目に沿いましての答申書を、われわれも拝見いたしました。これらの御趣旨に沿って具体的にどういうふうな活動をしていくかということにつきましては、明日以降――明日実は全商連の理事会が開かれるわけでございますけれども、そうした席でこの趣旨を徹底させて、連合会といたしましても早急にとり得るべき措置についてはとっていきたいというふうに考えておるわけでございます。実は一年間この大きな予算でスタートいたしましたばかりでございますので、まだそうきわ立って大きな仕事はしておりませんけれども、外務員の教育あるいは経営者のゼミナールから始まりまして、個々の取引員を管理監査をいたしますための各取引所の実務者の訓練というようなことは、すでに実施をいたしております。またこれは主務官庁ともお打ち合わせの上で、ある一つの目的に沿っての定款改正等につきましても、全取引所に指令をいたしましてその改正をいたしております。たとえば一取引員が一取引所でもって処罰を受けました場合には、従来はその取引所限りでございましたけれども、定款改正を全取引所にわたっていたしまして、一取引所で犯しましたそれに対する処罰は、全取引所、その取引員が関係いたしております取引所すべてこれを実施するというふうなことに改めております。そうした次第でございまして、いささかは取引員の姿勢が向上して、紛議が絶無になったとは申せませんけれども、改善の方向に向かっておるということは確信を持っておる次第でございます。  なお今後のこうした一つの波に乗りまして、一日も早く商品取引にまつわる委託者の紛議などというものは、もうほんとうに、取引所全体から見ますと、初歩的なと申しますか、当然そうでなくちゃならぬものでございますので、これが根絶に向かって努力を重ねていきたいと思っておる次第でございます。またそれらのいろいろな現在起こっておりますこと、またこの十項目に対するわれわれの進むべき方向ということにつきましては、私なりの意見を持っておりますけれども、御質問に応じましてまたお答えを申し上げたいと思うわけでございます。  これをもちまして私のごあいさつといたします。
  6. 鴨田宗一

    ○鴨田委員長 これにて参考人の方々からの御意見の開陳は終わりました。     ―――――――――――――
  7. 鴨田宗一

    ○鴨田委員長 質疑の申し出がありますので、これを許します。横山利秋君。
  8. 横山利秋

    ○横山委員 御質問するに際しまして、委員長はじめ同僚委員にお願いをしておきますが、この間理事会で、こういう会議のあり方について、質問を、たとえば私が一時間するとその次の方がまた一時間する、そうした形式的な議論よりも、随時きょうは質問してもらいたい。関連質問をずんずんやってお互いの意見が出せるようにしたらどうかということを、私提言をしておきましたから、私の質問過程にありましても、同僚委員、与党野党の皆さんどうぞ御自由に、私が了承いたしますから、関連質問ございましたら遠慮なくきょうは言っていただいて、みんなで議論ができるようにおとりなしを願いたい、こういうふうにお願いします。  さて、同僚諸君のところに答申が出てないのが非常に残念ですが、もうじき来るそうでありますから……。この答申の中の一番最後に「附言」ということばがございます。「以上のように現行の制度と運用については、今後多くの改善すべき点、また、検討すべき点があるが、これらについてはさらに十分な審議検討を行なうためには、現行法における商品取引所審議会の機能、構成、委員資格と任命方法等について適切な改正を行なう必要があると思われる。」こういう内容になっています。私はこれを見まして、正直なことを言いますと腹を立てました。本件につきましては、本年の春でございましたか、私がこの審議会の権能、構成についての疑問がある、または、近藤さん以下わずか五人で、一人が御病気のようでありますが、そういうところでこれだけ耳目を聳動させた問題についてやることはおかしいから、少なくとも委員の増加をしたらどうかということを理事会にお願いいたしましたところ、趣旨はわかるけれどもと言って、結局与党側の皆さんの御了承が得られずに、政府側がまたこれに消極的であったわけであります。この答申というものは、失礼な話でありますが、政府側も相当参加していらっしゃると思うのであります。いまここに、これから仕事をせなければならぬ、制度と運営改善についてせなければならぬけれども、前提として、審議会の機能、構成、委員資格と任命方法について改正を行なうことを必要と認めるということは、まことにいやはや私は残念しごく、こう思います。その点をひとつ同僚委員にもまずお含みおきを願いたいと思うのです。  そこで、近藤さんに伺いたいのは、この書き方によりますと、これからいろいろやらなければならぬけれども、前提として法律改正してくれということですね、そういうふうに伺ってよろしゅうございますか。
  9. 近藤止文

    ○近藤参考人 お答え申し上げます。  私は法律改正をしていただきたいと思います。
  10. 横山利秋

    ○横山委員 わかりました。  政府側委員はどうお考えでございますか。少なくとも審議会からこれらの仕事について法律改正をしてくれということについて、どうお考えでございますか。これからさらに仕事が始まる、始まる前提で法律改正を必要とするならば、通常国会に間に合わしてもらわなければ困ります。いまの「附言」におきます内容はそう重要な論議を呼ぶ問題ではないのでありますから、通常国会で法律改正を、政府提案としていただきたい。いかがですか。
  11. 本田早苗

    ○本田政府委員 お答えいたします。  ただいま御指摘の点につきましては、主務省といたしまして、こうした問題点の御指摘は受けておりましたが、その線を一応尊重いたしまして、専門的な知識の活用につきましては、審議会に参考人を呼びまして意見を聞いて審議を行なうということで、審議会の運用としては不備な点を補いつつやってまいったわけでございます。意見書の「附言」の御意見につきましてはわれわれとしても改善が必要であるというふうには考えておる次第でございますが、今回の意見の内容として、その他にも法律事項として改正する点をかなり含んでおりますので、これらと一緒に次の法律改正の機会に改正をいたしたいというふうに考えておる次第でございます。
  12. 横山利秋

    ○横山委員 話が違いますね。この「附言」をもう一度あなたはごらん願わなければなりません。今後大きな改善をせなければならぬ、その前提としては審議会のいまの機構、いまの権限では困ると、こういっているのですね。私は合併問題、合併の法律改正、いろいろなものは非常に大きな問題だと思うのです。それを審議会で相談しなければなりますまい。その相談の前提として審議会の機能を強化してもらいたい、こういうのですからね。あなたはそういう審議会の改正と同時に行なうというお気持ちらしいのですが、この「附言」とは違うのです。相談するためにいまの機能、権限では困るといういっているのですからね。私が本年の春提案したのもその趣旨なんです。その趣旨をいまあらためてここに書かれておる。これは近藤さんが書いたと思うのですけれども、あなた方知らぬとは言わせません。お役人の皆さんも知らぬとは言わせません。したがって、これは通常国会までにもう一度再検討して、この「附言」に関するものだけでも法律改正案を国会に上程すべきだ。重ねて御検討願いたい、いかがですか。
  13. 本田早苗

    ○本田政府委員 ただいまの考え方としては先ほど申し上げたような考え方をとっておりますが、横山委員から御指摘を受けましたので、もう一度考えてみたいと存じます。
  14. 横山利秋

    ○横山委員 あとからいらっしゃった方がおありですが、どうぞ御意見がありましたら、関連質問で十分していただきたいと思います。  次に、近藤参考人にお伺いをいたします。  一体これらの答申をお出しになって、文章としては、というとたいへん失礼でありますが、いろいろな角度で討議をされておる。それを受け入れるべき実態というものですね。現在の商品取引所、現在の商品取引員、その人たちがどう考えておるかということなのであります。私が率直に申し上げますと、ずいぶん同僚諸君とともにこの商品取引の問題について議論を重ねてまいりました。少し悪口を言い過ぎるというくらいにやってまいりました。そして一刻も早く取引員の皆さんの気持ちが変わり、そして何とかひとつ健全に立ち直って、苦しかろうけれどもがんばってもらいたいという方向をこいねがっておるわけであります。確かにその表に出ました紛議は許可制度以来少なくなりました。けれどもほんとうに取引員の皆さんの営業姿勢、心がまえというものが変わってきたかどうかという点に若干の疑問を抱いております。若干どころではないかもしれません。こういうような答申が作文に終わる可能性はほんとうにないだろうか。審議に入りますときに、全国の取引員の営業状態その他一般的な心がまえも御存じだと思うのでありますが、その点について、抽象的な言い方ではありますが、答申を実践すべきムード、受け入れ体制、心がまえ、そういう現状をどうお考えでございましょうか。
  15. 近藤止文

    ○近藤参考人 お答えいたします。  実は今度の答申を――答申ではございません、意見書を出しました後におきまして、私も取引員の皆さんの講習会と申しますか、集会に二回ほど出席をいたしまして、その機会に皆さんのお考え等もいろいろ伺う時間がある程度ございましたので、いろいろ聞いてみたのでございますが、ただいま御指摘のように、基本的にその姿勢が変わっていらっしゃらない方と、それから、今後はやはり取引員ということで、委託者に対しましても十分なサービスをして自分たちの使命を貫徹していかなければ存立の意義がないのだということで、相当自覚を深くされた方と、両方あるように見受けられるのでございまして、その点では前の時代よりはある程度改善されつつある状況であるというように考えました。それはやはり証券の場合におきましても現在相当改善されておる実績がございますが、先ほど西田副会長が申しましたように、いろいろな関係におきまして施策を講じて、取引員の人格、地位向上というような問題につきましての促進と申しますか、そういうことが必要だと思いますが、やはり取引員に移行したということによりましてある程度の姿勢を直しつつある、まあ直ったというまでは申し切れないと思いますが、相当の人数につきまして直しつつある方々がふえてきておるということが言えるのではないかと思うのでございますが、やはり従来どおりのような姿勢でおるような方もまだ相当数あるというようにも考えられます。たいへん抽象的でございますが……。
  16. 横山利秋

    ○横山委員 なかなか近藤さん言いづらいようなお話でございますが、私が苦言を呈しておきたいと思いますのは、こういう答申が単なる答申に終わらないで、血となり肉となって実践に入るためには、審議会だけに私は苦言を呈するわけではございませんが、少なくとも行政運営から、商品取引所から、あるいは各種団体がどうしたらこれを実践し、あるいは健全な方向へ行くかという、活を入れる方法を考えなければ、答申はただの答申に終わってしまう。法律改正はそれはできます。法律改正は与野党が協力すればできるのでありますが、法律改正をしたところで、それは強権に終わってしまって、下は面従腹背に終わる可能性が強い。こういうことを私は強くこの機会に申し上げておきたいと思います。  西田さんにお伺いします。私は、かねてから、商品取引の恒久的な健全なあり方として、こういうことを考えているわけであります。  それは、この六ページに、商品取引所という項目で若干そこに触れておるわけでありますが、今日商品取引所の機能あるいは全商連の機能はきわめて弱体である。そして取引員の影響力が強い。したがって、農林省、通産省がかなり強権を発動をせざるを得ないことは認める。しかし、これは恒久的なものであってはならない。少なくとも、商品取引が健全化される主体的な大黒柱になるのは、取引所でなければならぬ。取引所に非常に格差がある。そうだとすれば、全国商品取引所連合会、先ほどお話しになりました法人化したそのものが一番の大黒柱にならなければ、決して長期的な展望はできない。こういうふうに考えておるわけであります。この六ページにもその点が出ておるのでありますが、「各商品取引所を通ずる中央機関を確立して、会員自治のあるべき方向につき指導調整を行ない、また商品取引員についての監査、紛議処理等の共通業務を指導して行く体制が望ましい。」こうあります。一体これは法律改正を要するものなのでしょうかどうか、それもあわせて聞きたいところでありますが、取引所の協力体制が全商連を強化し得るような状況にあるのか。あなた方自身でそれができるのか。あるいは法律改正なり何かをしてやらなければできないものか。その点について率直な御意見をお伺いしたい。
  17. 西田嘉兵衛

    ○西田参考人 お答え申し上げます。  ただいま横山先生からの御指摘の点でございますが、全商連といたしまして、できます、何といいますか、強制力を持った限度というものがやっぱりございます。たとえば、ゼミナールをやりますとかあるいは外務員の研修をやりますとか、あるいはまた外務員の登録をやりますとかということは従来ともにやっておることでございますが、ただしかし、紛議の調停につきましても、決してこれが強制力を持った最終の決定、つまり紛議を持ち込みました原告、被告ともにそれをのまなくちゃならぬというような強制力はございませんし、また、かりに監査にいたしましても、現在の法律ではやはり個々の取引所がその権能を持っておりまして、全商連が暗黙のうちに委譲を受けてやってはおりますものの、ほんとうの意味での全商連に権能があるとは思っておりませんので、それらの点につきましては、意見書の御意見のとおり、法律改正によってもう少し力を持った、権力を持ったものにしていかないと、仕事を推進する上ではかなり困難があるというふうに私は考えております。
  18. 横山利秋

    ○横山委員 近藤参考人にその点ちょっと伺いますが、この答申は、その中央機関は法律改正を必要とするという立場ですか。
  19. 近藤止文

    ○近藤参考人 お答えいたします。  法律改正をいたしまして、全商運の規定を法律の中に織り込んだほうが望ましい。必ずしも法律改正の中に入らなくちゃならぬという必然的なものではございませんけれども、できれば法律の中に全商連の規定を入れたい、こういう考え方でございます。
  20. 横山利秋

    ○横山委員 上場商品の適格性の問題がかなり念査をされて答申されておるわけでありますが、たとえば、「既に立合いが行なわれなくなったまゝこれを再開する見込み」のないもの、おそらく綿布、綿花だと思います。「形だけの立合いに止まっている商品」、おそらくスフ糸、スルメだと思います。それらは「上場の実益がなくなったものとしてその整理を検討すべきである」としています。そのほか上場の必要性のあるものというものもありましょう。この討議を通じてどんな議論がありましたか。上場商品の洗い直しについて、具体的に意見があったものについてお聞かせ願えればけっこうだと思います。
  21. 近藤止文

    ○近藤参考人 お答え申し上げます。  上場商品につきまして、相当部分の商品は現在法律に列挙されておりまして、あと、法律の条項によりまして、政令によりまして穀物類が指定されておる次第でございまして、現在上場されております商品につきまして、実は審議会といたしましては一つ一つ具体的な検討をいたしまして、国会の前回の法律改正の場合にございました、附帯決議の中に、上場商品の適格性について十分検討せよというお話がございましたので、一つ一つ検討いたしました。  現在法律で書いてございますけれども実際には上場が停止されておるものに、先ほども申されましたように、綿花、綿布というものがございますが、そのほかに、形式的なバイカイだけつけておるというようなもので、現在ではスルメでございますが、相当長期間スフ糸のようなものもそういう状況がございました。  これらのもののほかに、あと、上場商品として、通産関係の物資といたしましては、綿糸それから人絹糸、繊維ではこういったものが載っておるのでございますが、綿糸につきましては、その生産量の問題、取引の実態の問題、ベーシス取引その他業者がヘッジの機能をかなり果たしておるような実態等から見まして、これは上場適格として考えられるのじゃないか。しかし、人絹糸の問題になりますと、これは現在生産者がわずかに三社でございまして、そのうちの一社の生産はきわめて少量でございまして、主として二社がその生産をいたしておりまして、これはむしろ、あまりに生産がごくわずかの会社に集中され過ぎておりまして、取引所におきまして公正なる価格の決定をいたすということにつきまして問題があるのではないか。したがって、適格であるかどうかということは、これは相当検討を要するので、むしろこれは上場商品としては適格性が乏しいのではないかというように考えられたわけでございます。  そのほかに、繊維では毛糸というものがございまして、この毛糸も、これは実態を調査いたしますと、実は四八双糸というものが上場の商品になっておるわけでございます。ところが、上場されました当初におきましては、この四八双糸というのが相当生割合を生産の中で占めておったのでございますが、逐次これは減ってまいりまして、毛糸総生産量のうちでごくわずかの割合しか占めておらない。したがって、そこに過当投機というような現象が起こり得る可能性が相当ございますし、また代替すべき商品というものもきわめて毛糸全体の生産量からいうと乏しいというようなことから、やはりこの毛糸につきましては、非常に多くの業者がこれを利用しておりますけれども、むしろ世界的に共通商品として考えられておるトップでこの上場をいたすということのほうが、まだ適当ではないかという意見がございました。この問題につきましては、トップ上場ということが適当であるということに、審議会の各委員の皆さんの意見は一致したのでございまして、じゃいかにして、このトップの上場をどの時期にどういう方法でどこでやるかという問題、それに関連いたしまして、ただいま申し上げました毛糸の問題につきまして、いまの非常にごくわずかな供用品というものが適当かどうか、これが十分な供給が行なわれないということであれば、毛糸は世界的にはほかに上場されておるところがございませんので、日本だけの状況でございますから、ある時期におきましてはこの上場問題を考えなければならぬ。しかし現実の毛糸につきましての取引の実情からまいりますと、この際やめてしまうということはちょっと不適当でございまして、トップの上場問題とあわせまして、適当な時期にこの毛糸の問題の措置をきめるべきではなかろうかというように考えられたのでございます。  それから、通産省の関係では、あとゴムがございますが、このゴムにつきましては、別にこれは天然ゴムでございますから、人造ゴムの生産量が現在では天然ゴムの倍以上、割合から申しますと七、三ぐらいの割合で合成ゴムの生産が大きくなっております。しかしながら天然ゴムにつきましてはやはり特殊な用途もございますし、シンガポール市場だけでよろしいとも限りませんので、今日現在の状態においてゴムが上場不適格であるということは、少し速断に過ぎやしないかというような考え方が、大体委員の皆さんの中で大勢を占めたように考えております。  なお、農林関係の物資につきましては、これは相当やはり問題をいろいろ議論いたしました。第一に問題になりますのはアズキでございますが、これはやはり生産の数量に比較いたしまして取引量が非常に大きいのでございまして、過当投機ということが常にいわれておりますが、実績もそういうようでございますし、また相当大量のものが中共から輸入されて補われておるという実情でございますし、また北海道におけるアズキの生産につきましては、三年ないし四年の周期をもちまして非常に豊凶の差がございます。これらがまた同時に投機を非常にあおるというようなことがございますが、いずれにいたしましても生産、流通、配給、消費、そういった面から見まして非常に取引高が多過ぎる。極端な年におきましては二百倍近くの取引が行なわれておるというふうなことでございまして、こうなってまいりますと、必ずしもこれは正常なる価格の決定ないしは取引上の先物取引によるヘッジということの機能から考えました場合に適当かどうか、これは十分検討を要するのじゃないかというようなことが議論をされまして、この問題が今後、上場商品の適格性の問題としては一番大きな問題だ。どちらかと申しますと、少し現在の状況では過当投機ということが当てはまっておりますので、適格性ありと断定することは相当問題があるんじゃないかというふうなことでございましたようなわけでございます。  そのほかの穀物類につきましては、実はあまり大きな議論をいたすほどのことはございませんので、特にアメリカ産大豆のごときはもう生産量が非常に大きゅうございますし、相場の変動も適当な幅の中におさまっておるというふうなことで、これはあまり議論になりませんでございましたが、海産物、特に先ほどお話しのございましたスルメのようなものは、これはほとんど上場する必要がない。ただごくわずか形式上バイカイで相場が立っておるというだけでございます。これらはできるだけ早期に整理をしたらどうだというような、実は審議会の内部をだいぶ率直に打ち明けて申し上げてたいへん申しわけないのでございますが、そういうふうな議論をいたしてこういった答申、答申と申しますか、意見書の提出ということになりました次第でございます。  一応御報告申し上げます。
  22. 横山利秋

    ○横山委員 近藤さんと西田さんに率直に伺いたいのでありますが、この十項目の諮問の中の最後に「指導、監督体制」ということがございます。これは私ども常識的に見まして、もちろん取引員の指導であろうけれども、監督体制という中には行政の指導のあり方も含んでおると常識的に解釈しておる。それにもかかわりませずこの答申の中には行政のあり方について一言も言及をしていません。私どもが本問題を取り上げまして以来常にやかましく言っておりますのが二元行政であります。いま農林省と通産省の担当の方御列席で、私は両省の間がけんかしているとか意見の疎隔があるとか、必ずしもそういうつもりで言うわけではありません。しかしどうしたってこの二元行政というものがタイミングを失し、機敏なる措置を誤り、あるいはまた腹をきめて商品取引を行政指導するという点に欠けることは、だれが見ても万人ともに認めるところだと思うのであります。そういう二元行政のあり方の改善の方式について一言も触れていらっしゃらないのはひきょうではないか。むしろ逆説的にいいましてひきょうではないか。これは何らかの改善策があってしかるべきではないか。私は全部一方の省に集めよと、必ずしもそうは言わない。けれども、改善策が何かありそうな気がするといって、私は二、三回にわたって私の意見を申したことがございます。取引所にしたところで同じことがいえる。取引員にしたところで同じことがいえる。あなたの先ほどの話、西田さんでしたか、話を聞いておりましても、一つの処分は全般の処分、一取引所の処分は全般の取引所の処分にするということになった。そうすればぐるぐると両省を回らなければならぬということにも相なる。この点について一言も言及しないのはなぜなのか。審議会が憶病ではないか。ひきょうではないか。そういうことで腹も立つわけであります。この点について近藤さんと西田さんに、ひとつうしろを顧慮することなく率直な意見をひとつ述べてもらいたい。
  23. 近藤止文

    ○近藤参考人 お答えいたします。  実は、この二元行政の問題につきましては、昨年私が参考人としてこの委員会にお呼び出しにあずかりましたときに御質問がございまして、一元的に行なわれることが望ましいということを申し上げたのでございまして、今度の意見書にも、それを書くべきであるかどうかということを審議会といたしましては議論をいたしましたのでございますが、すでに意見としてはこの席で私が申し上げておりますものですから、実はまことにひきょうだというお話しでございましたが、特に触れなかったということで、やはり行政としては一元的に行なわれることが望ましいという考え方には変わりがないのでございます。
  24. 西田嘉兵衛

    ○西田参考人 お答えいたします。  私ども連合会といたしましては、そうした二元的な行政下におきまして円滑に両省からの通達なり御意見が取引所に伝達されるようにつとめてやってまいったわけでございますけれども、いま近藤参考人がおっしゃいましたとおり、一元的になりますことをやはり希望はいたしております。
  25. 横山利秋

    ○横山委員 両省に聞くのはやぼなことかもしれません。やぼなことかもしれませんけれども、この一元化を何らかの形ですべきであるということは天の声ですよ。あなた方がなわ張り争いをしておるとは言いません。言いませんが、こういう経過になったのはなっただけの理由があるだろうと思う。けれどももう一歩担当の局長、部長としてもお考えにならなければならぬところではないか。両省が一ぺん相談をしてこの一元化はいかにあるべきかということを両省で協議をしてもらいたい、そう思いますが、両省の御意見を伺いたいと思う。
  26. 本田早苗

    ○本田政府委員 御指摘のように行政が一元的に置かれるのは望ましいという点は異論はございませんのでございますけれども、御承知のとおり、商品についての主管というものもございまして、価格の形成あるいは流通の円滑化という目的とのからみがございますので、なかなかそういうふうにまいらないということでございますが、行政が一元的に行なわれるような方向で進めねばならない問題でございますが、そういう点に沿う方向でさらに検討さしていただきたいと存じます。
  27. 下浦静平

    ○下浦説明員 農林省といたしましても、ただいま通産省の企業局長から御答弁がありましたと同様に考えております。
  28. 横山利秋

    ○横山委員 形式的に、ただここで局長、部長が言うて、そして一応やりましたがなかなかいい知恵がございませんでしたというようなことは許しませんよ。少なくとも通常国会の段階で結論をお伺いをいたします。  私は繰り返し言いますけれども、いま本田さんが言うように、流通の問題、商品別のいろんな問題があるから、完全な一元化を必ずしもいまは言っているわけではありません。少なくとも取引所行政については一元化すべきである、こういうことなんですから、最低線それはすべきである。したがって両省がこれから年末年始にかけて十分相談をされて、通常国会におきましては、ここまでいたしますということに結論を報告をしてもらいたい。その結論が法律改正を要するならば、かくかくのことについて法律改正の手順で審議会に諮問をいたしましたならいたしましたと、具体的に必ず結論を添えて本委員会に答申をしてもらいたい。本田さん、いいですか。
  29. 本田早苗

    ○本田政府委員 しばしば御指摘を受けながらなかなか結論できない問題でございますので、直ちに次の国会で結論をというわけにはまいらないかもしれませんが、いま横山委員から御指摘の方向で、真剣に両省で協議して問題を詰めるということにさせていただきたいと存じます。
  30. 横山利秋

    ○横山委員 強くその点は要望し、かつ通常国会におきまして結論を期待をいたしたいと存じます。  その次は、もう目の前に迫っておる問題でありますが、商品取引責任準備金の問題であります。  これは御存じのとおりに、商品取引員は毎年その売買取引金額の一万分の一を商品取引責任準備金として免税により積み立て、顧客たる委託者との間の商品事故を処理する場合に取りくずすことになっておるわけでありますが、それがもう期限に来ておるわけであります。春の国会でこの問題の延長について政府側に要望をいたしました。もう大蔵省との折衝も進んでおると思いますが、結果はどうなりましたか。
  31. 本田早苗

    ○本田政府委員 延長につきましては当省としてもその要望を出しておりまして、大蔵当局とも話し合いをいたしておりますが、われわれの要望の趣旨については十分御理解をいただいて御検討を進めていただいておる現状でございます。
  32. 横山利秋

    ○横山委員 この点については間違いなくひとつ実行してもらいたいと思います。  西田さんにお伺いをいたします。  冒頭に申し上げたのですが、昨年以来ずいぶん取引員のあり方について究明をしてまいりました。その究明が私はいい方面に向かっておるとは思いますが、一面取引員を萎縮させてしまっておる、そして政府の強力な行政指導なりなんなりに、まあしょうがないということにして、面従腹背の状況があると先ほど申しました。しかも外務員の問題につきましてもストップ令をかけたまますでに二年か三年たっておるわけであります。その二年か三年の間に、免許制度があり各社のいろんな動き、消長があるわけでありますが、どうも、まじめにどんどんやっていこうとするものまでも画一的に行政指導が強力なために萎縮が起きているのではないか。全般的にいえばまだまだ立ち直らないとは思うけれども、その流れの中で健全なものを育て上げていくためにもう少し弾力性があってもいいではないか、今日そう思っておるわけであります。その点全商連として取引員の今日の状況、心理状態をどういうふうに把握をしていらっしゃるか、ちょっと抽象的でありますが御意見を伺いたい。
  33. 西田嘉兵衛

    ○西田参考人 お答えいたします。  いま横山委員から御指摘のありましたように、三年ほど前のある時点でストップいたしておることは事実でございます。したがって時日の経過とともに、取引員の営業活動に比しまして外務員の数が少なかったり、あるいはまた規模に比べて規制のために商いができないで内容が悪化するというような例もあることは事実でございます。そういう意味合いで全商連といたしましては営業姿勢を十分に正しながらそうした規制をだんだんにゆるめていただきたいという希望は持っております。また取引員各位もそういう気持ちは持っております。しかしながら、ただ自由にしてしまうということは現在の状況においては無理だと存じますので、その店の従来の営業姿勢とか、あるいは営業の規模とか、経営の経理内容とかというものを検討いたしまして、その一つの基準をつくって徐々に緩和の方向に向かって努力すべきである、来年はそうした仕事に取り組もうというふうに、会長以下考えておる次第でございます。
  34. 横山利秋

    ○横山委員 その点両省はどうお考えでしょうか。一々両省に一ぺんずつ、あなたのほうはどうか、あなたのほうはどうかというのは、時間がかかってしょうがないのでありますが、こういうところにもやはり問題があると思うのですが、本田さんそっちにすわっているから本田さんに聞きますけれども、その私の言う意味はわかりますね。縛るばかりが能ではないということなんですよ。だから、いま西田さんのお話しのように、少し弾力的なところを考えたらどうか。この答申の中にもございますように、完全分離だとか、あるいは当業者主義だとか、零細委託者の問題だとかいろいろな問題がある。これはみんな縛るほうばかりなんですね、ある意味では。縛るほうばかりで、それで萎縮させて、萎縮の結果が面従腹背になってということを考えますと、少しいまのお話をも含んで弾力性のあることを、少しは喜んでもらえることを考えたらどうかということなんですが、どうなんでしょう。
  35. 本田早苗

    ○本田政府委員 お答えいたします。  制度の移行とからみまして、現状凍結という原則のもとに制度を移しかえていくということでやってまいったのでございますが、御指摘のような点もございますので、今後は現状凍結の一応の原則の中でも、逐次改善し得るものにつきましては改善して、弾力的な配慮を取り入れてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  36. 横山利秋

    ○横山委員 時間の関係で、その具体的な私の意見は申し上げる時間がございませんが、少なくともその面について若干の配慮をすべき段階にある。そうでもしなければ、やはり全体的なムードをつくるということがいま大事なときでありますから、答申をいろいろな形で、法律改正なりあるいは行政運営で実行する過程で、説得力を持たなければだめだ、こういう点を申し上げておきます。  それから近藤さんに伺いますが、四ページにこういう文章がございます。「過当投機の誘発その他少なからぬ弊害を生ずるので過度の資金流入に対してはその抑制策が講ぜられるべきである」こういうことが書いてあります。このことは一体どういう意味なのであろうか。私がこれなりに承知いたしますのは、たとえば本年、去年、銀行の支店長が、会社の経理部長が、大量の金で商品取引をして世間を騒がしました。その大量の金が、取引員にしてみれば、そういう悪いことをした金であるかどうかは自分にはわからないんだから自分に何の罪はない、こういう立場で押し通して、そしてそれについて責任を何ら感じなかったというところを指摘をされたのではないかと思うのであります。もしそうだとしたならば「その抑制策が講ぜられるべきである」というのは、具体的にはどういう策があるのかという点であります。
  37. 近藤止文

    ○近藤参考人 お答え申し上げます。  ただいまのお話の過度の流入につきましての抑制策といたしまして、まあ新聞をにぎわしておりますような、ある特定の人が非常に片寄った投機をいたしておるというふうな現象につきましては、取引所当局が常にその取引の実態をチェックいたしておりまして、それによってある片寄った取引があり過ぎると見た場合にそれを押える。これは現に横浜の生糸取引所、その他いずれの取引所におきましてもそういった状況を絶えず監視いたしまして、そしてそれらを取り次いでおります取引員につきまして勧告をし、あるいはその売買につきまして一時これを抑制するというような措置をやるようなことを奨励いたしておるわけでございます。また同時に、それに関連いたしますが、あとから出てまいりますように、商品取引は証拠金が比較的安い、これは証券と比較いたしての問題でございますが、安い証拠金によりまして、多額の取引ができるということがございますので、それらの措置は、後ほど出てまいりますような措置でこれを防止してまいるというような考えでおるわけでございます。     〔委員長退席、進藤委員長代理着席〕
  38. 横山利秋

    ○横山委員 西田さん、その点についてどうなんでしょうか。要するに取引員が、どんなにたくさんの金を持ってこようがおれの知ったことではない、それで会社の金なり銀行の金を使い込んだにしたところでおれの知ったことではないという立場の人に、いま近藤さんのおっしゃるように、取引所の指導によってそれを抑制するということが一体可能であろうかどうか。法律的にはおまえは何ら悪いことをやったのではないけれども、しかしまあどうかということなんですからね。私は銀行の支店長が、あるいは会社の経理部長が、何千万、何億という金を動かしたとするならば、すでにそのこと自身の中に取引員としてはこれはおかしいなと思うのがほんとうではないか。要するにそれは古物商の故買に属するような傾向がありはしないかと思うのです。だからこの抑制策というものが単なる取引所指導ということで抑制ができるのかどうかという点について、現場の責任者として御意見を伺いたい。
  39. 西田嘉兵衛

    ○西田参考人 お答えいたします。  いままでに起こりました企業につながる投機並びに犯罪ということにつきましては、取引所自体も取引員に向かって注意は常にいたしております。たとえば昨年、一昨年にもなりますか、委託者保護という見地から、家庭の主婦を引っぱり込んではいけない、そういうところに電話でもって攻勢をかけたり、勧誘したりしてはいけないというような指導をいたしておりますけれども、企業の経理関係者が委託者の場合は、御指摘がありましたように相当まとまった、つまり大手として登場してくるわけでございますので、それがある場合には犯罪につながる可能性を持っているという意味で、十分に取引員が注意しなくちゃならぬというふうに私も考えております。そうした経理部長とか経理課長とか、あるいは総務部長とかいうような注文につきましては、十分に注意しなくちゃいかぬ。むしろ、その持ってくる金が大きければ大きいほどその個人の資力を考えてみて、不審だと思ったならば注文を断わるくらいの姿勢を持たなくちゃならない。それが同時に委託者の信用を維持し、委託者を悪に導き込まない最も賢明な方法であるというふうに言っておるのでございます。しかしながら現実の問題といたしまして何件か起こっておりますので、どうしてこうしたことが続発しないようにするかということになりますと、やはり取引員、経営者のモラルの問題、そういう上層部の人がほんとうに自分の委託者を常に監視して、不審なものは、いいわいいわでもって過ごさずに、即刻に可能な手段を尽くしてその商いをやめさせるというふうにしたいと思うのでございます。私、ただ困ることは、一軒が断わってよそへ行ったり、非常に分散してやったりするということになりますとつかみようがないという場合も起こり得ますけれども、少なくとも経理の責任者の注文などというものについては、十分に取引員自体が自覚いたしまして、それを取り上げないようにするという方向で指導していきたいと考えております。しかしこれが絶対のきめ手であるとは私も思っておりません。
  40. 横山利秋

    ○横山委員 お二人ともモラルの問題として考えておられるのですが、きめ手ではないとおっしゃる。古物商の故買の論理は、情を知って盗品を売買するということだと思うのでありますが、情を知らなくても、場合によれば古物商については相当責任の追及がされておるわけであります。  それで、今度は下浦さんに一ぺんその辺の御意見を伺いたいと思うのですが、穀物関係で相当あったと思うのでありますが、こういう点についてどう思いますか。やはりモラルの問題しかしかたがないのか、古物商のような故買という論理が適用が不可能なのかどうか、ひとつあなたの御意見を一ぺん聞いておきましょう。
  41. 下浦静平

    ○下浦説明員 お答えいたします。  ただいまお二人の参考人からの御意見がございましたが、私もその点はたいへん大事なことだ考えております。  それからさらにおっしゃいますような不健全な資金流入でございますが、これを把握いたしますために取引所が取引員からその大口委託者の氏名、建て玉等につきまして常に報告を受け、さらにこれをチェックする体制をとるように指導をしてまいりたい、こう考えております。
  42. 横山利秋

    ○横山委員 この点は、私の法律見解を含めて一ぺん適当な機会に申し上げたいと思います。  さて、まだだいぶお伺いしたいことがございますが、同僚委員がまだ御質問の予定があるそうでございますから、私の質問をこれで終わることにします。
  43. 進藤一馬

    ○進藤委員長代理 中村重光君。
  44. 中村重光

    ○中村(重)委員 「商品取引所の制度と運用に関する意見」、これを読ませていただいたわけですが、非常に前進した意見の具申もあるわけでして、要はこれをどう運用するかということにかかっていくであろう、そのように思います。  御指摘の中にありますように、商品取引の運営が商品の公正な価格形成と流通の円滑化をはかるという取引所本来の運営からはずれて過度の投機と大衆資金吸収の場と化しつつある。そこでいろいろと紛議が起こってきて、通産、農林両省の行政指導が行なわれてきた。また、業界の自粛措置もいろいろと講じられてきた。しかし、仲買い人から取引員として格づけされたあとも、御意見の中に出ましたように、紛議は確かに下降線をたどって好ましい方向だとは実は思うのですが、やはりまだそれはあとを断たない。特に、営業所の問題とか、それから何か無登録外務員ということだと思うのですが、そういう違反の行為というものが依然としてまだあるわけですね。それで委託者保護の強化という線でいろいろ御指摘になっていらっしゃるのですが、営業所の問題については、六ページの三項の中で、やはりこういう措置を講じたらば違反行為というようなものはなくなっていく期待感というようなものもあるわけですが、無登録外務員の問題の関係です。外務員の質の向上ということを強く強調していらっしゃる。私もそのとおりだと思います。そこで、いま行政指導でやっておられるのは外務員の量の規制ということですね。量の規制をやっているんだけれども、なかなかうまくいかない。そこで、無登録外務員を依然として使っているということで、違反である。それでいろいろな行政的な処分が実は行なわれているわけですが、やはりそれらの点をなくするということは、質を向上さしていくということに重点を置かなければいけないのではなかろうかというように私は感じられるわけであります。  そこで、外務員の問題については量の規制とそれから質の向上ということに、どちらにウエートを置くことが適当であるとお考えになっていらっしゃるのであろうか、そのことを近藤参考人からお聞かせいただきたいと思います。
  45. 近藤止文

    ○近藤参考人 ただいまの御質問につきましては、質の向上が重点であると考えております。
  46. 中村重光

    ○中村(重)委員 本田企業局長にお尋ねをいたしますが、この意見具申に基づきまして一応自粛措置を促してきたのですね。それから、いまの外務員の登録制ということで外務員の量を規制をするというようなことに実はウエートを置いてきた。これらの点も再検討して質の向上ということに重点を置いてこれから指導していかれるとすると、意見具申の中では具体的なことも書いておられるわけですが、いままであなたのほうも十分いろいろと検討してこられたことでしょうし、どういう方法でもってこれから対処していこうとお考えになっていらっしゃるのか。
  47. 本田早苗

    ○本田政府委員 お答えいたします。  外務員の質の向上につきましては、登録制度というものを取引所のほうでやる体制の中で改善していくことが適当だというふうに考えておりまして、したがいまして、登録要件をさらに整備する、また試験の内容についてもこれをさらに整備するということが必要であろうと思いますし、登録の更新というのが出ておりますが、再試験制度を導入するというようなことも一案であろうというふうに考えておる次第でございます。
  48. 中村重光

    ○中村(重)委員 意見具申の指摘の中にありますように、これは横山委員からも意見として述べられたのですが、大衆参加による外部資金は必要だけれども、過度はいけない、こうした指摘。そういう面からいたしますと、外務員の数というもの、これはふやすということについても私は限度があるということはわかるわけです。しかし、いまのようにただ、外務員を数を規制をしていくということのみでありますと、二人やめて一人しか新規に採用させないと、どうしても悪い外務員でも一定の量を確保していくためにこれをやめさせないということになっていくのですね。これではやはりいけないのだ。やはり近藤参考人から指摘がございましたように、いずれにウエートを置くかということになってくると、質の向上ということにウエートを置いて、良質の外務員を確保していく。それから、その他給与の問題等に対してのあり方等もあるわけです。あらゆる点に総合的に施策を講じていく。そして良質な外務員を確保する。そういう点について十分な配慮をしていく必要があるということを私は申し上げておきたいと思います。  それから、外務員の任務ということになりましょうか、どういう職務を行なう者を外務員というのか。いわゆる受託業務を行なう――勧誘というものもその中に実は入るんだろうと思うのですが、いろいろと営業のしおりであるとか、あるいは新聞、機関紙であるとかありますね、そういったようなものを委託者のほうに持っていく、そういったような行為そのものも外務員ということになってくるのかどうか。その点、外務員の定義というものについての見解をひとつ聞かせていただきたいと思うのです。
  49. 村野啓一郎

    ○村野説明員 お答え申し上げます。  商品取引所法九十一条に規定がございまして、商品取引員は「外務員の登録を受けているもの以外の者に……商品市場にかける売買取引の委託を勧誘させてはならない」、勧誘行為だけを行なわしているわけでございます。
  50. 中村重光

    ○中村(重)委員 私もそうだろうと思うのです。行政指導というものはやはりうまくおやりにならなければ……。外務員というものはやはり勧誘を行なうということが外務員としての行為である、そのとおりであると思う。ですから、機関紙とか宣伝ビラの頒布、そういう行為はむしろこれは一般の労務の何というんでしょうか、そういう業務の中に入っていくんだろうと実は思うわけですから、ここらあたりの指導は十分徹底をさせていく必要があると私は思うのです。私は、取引員に対しても正すべきところはどこまでも正す、同時に十分そういった点を指導して、そしてむやみに、何というんですか、処分をやるというようなことでもって事を処理していくというような態度は好ましくないと私は思う。ですから、取引員に対しても、みずから使うところの外務員に対しては十分指導監督をきびしくやる。そして外務員自体も、みずからどういうことが自分のいわゆる任務であるかというようなことを十分把握さしていく、そういう指導が不足しておるような感じがいたします。十分留意をしてもらいたいというように考えます。  それから五ページに、「商品取引の体制整備」ということで「商品取引所の運営、市場管理等の諸面において、実質上の当業者主義が強く貫かれる体制に速かに戻ることが肝要である。」こういう指摘になっているのですが、現実問題として当業者中心という形で運営をしなければならないんだけれども、これが可能なのかどうかという点です。そうすると前の指摘の中におけるところの大衆参加の関連性等もあるんだろうと思うのでございますけれども、ここでいう当業者主義というのは取引に対する一般参加、大衆参加の問題とは直接の関係はないんでしょうけれども、これはむしろ取引所の構成の問題をいっているんだろうと思うのですけれども、いかがでございますか、当業者主義ということがどこまで可能性というものがありましょうか。
  51. 近藤止文

    ○近藤参考人 お答え申し上げます。  ただいま御質問のございました当業者主義というのは、実質的には当業者中心主義という内容のものだと思うのでございまして、実は商品取引所法の戦後における新しい法律が施行されました昭和二十五年以降、約十二、三年間というものは、そういったことで大体当業者が中心になりまして、ある程度いわゆる半くろと申しますか、当業者ではございませんけれどもこういった取引に参加するという程度の人で運営されてきておったのでございます。これは法律の第一条をごらん願いましても大体商品取引所は流通関係を主として考えておりまして、特に証券取引法におきます投資家保護ということをうたっておりませんように、大衆参加ということを実は前提としてはおらなかったわけでございまして、法律がもともとそういうことでございますが、適正価格の形成ないしはヘッジというような機能をいたしますためには、ある程度の第三者の資金の導入と申しますか、売買の参加というものが必要だ、ただしやはり当業者というものがあくまで中心になってやられるべきものであるということをいっております。ただし現実にはかなり大衆参加の弊が出ておりますので、委託者保護の方面でいろいろ法律改正その他をお願いしておったというのが現実問題でございます。基本的にはやはり当業者を中心にして商品取引というものが円滑に運営されるというのが望ましいのだということをいっておるわけでございます。
  52. 中村重光

    ○中村(重)委員 時間の関係がありますから、お尋ねしたい点も後日に譲らなければなりませんが、取引員の倒産というのが新聞等の報道によってよく見受けるわけですが、この倒産の場合、現在の委託者に対するところの損失補償というのは受託業務の保証金それからシート等の譲渡による資産以外にはないのではないか、私はこう思いますが、倒産の場合、委託者にどの程度の補償がいままでの実績としてなされておるのでしょうか。これは西田参考人にお尋ねしたいのですが、役所のほうが統計があるのでしょうから、役所のほうからお答えいただいてもけっこうです。
  53. 村野啓一郎

    ○村野説明員 お答え申し上げます。  取引員の倒産の際に、委託者債権を保全する手段といたしまして、先般の昭和四十二年の法律改正の際に受託業務保証金という制度ができまして、これに委託者債権の一部を取引所に預託するという制度がございます。これによりまして委託者債権の確保をはかるようにしてございます。  なお先生御指摘のシート料という問題がございましたが、これは許可制以前の登録制の時代にそういう事例があったように伺っておりますけれども許可後はその構成はたいへんむずかしくなっているかと存じます。
  54. 中村重光

    ○中村(重)委員 あなたのほうで仲買い人から取引員に移行させる前、いわゆる許可制に切りかえる前に、紛議が非常に起こってきたというので、行政指導し、自粛措置も講じさせてきたわけですね。そこで移行させる際に、A、B、Cというように三つのランクをつくっておやりになった。ABCに分けて許可をしてきたわけですが、いまの倒産がありますのは、A、B、Cのどのランクの倒産率が一番高いのですか。
  55. 村野啓一郎

    ○村野説明員 お答え申し上げます。  倒産件数につきましては、そうたくさん発生したわけではございませんが、いまおっしゃいましたA、B、C、D四ランクのうちで、Aに該当するものが倒産したことは事実でございます。
  56. 中村重光

    ○中村(重)委員 私が言いたいのは、あなたのほうの行政指導というものは機械的であってはならないということです。要するに紛議というのは好ましくない。これは好ましくないのだけれども、紛議というのはどういう業者に一番多いのか、その資産内容はどうなのか、取引高というもの、それは専門的なことばですからわかりませんけれども、受託量というのですか、そういうものはどうなのか。要するにその取引が大きければやはりどうしてもそれに伴って紛議というものも多くなっていくのではないかというように、私はしろうとですからわかりませんけれども、そう感じられるわけです。大衆の貴重な金を預かってこの業務をおやりになるのですから、営業姿勢も重要であるけれども、資産内容もさらに重要であるということです。資産内容といったようなものをまず第二義的に置いて、表にあらわれてきた紛議の件数といったようなものによってA、B、Cという形にランクをされてきておったとするならば、Aというものに――いまあなたのお答えではAに倒産件数が一番多かったというようなお答えでございましたから、これはAがいいほうでCが一番悪かったんだとするならば、やはりそういった点についてあなたのほうでは慎重を欠いたということが言えるのではなかろうかという感じが私はいたします。ですから、あなたのほうで許可制に移行される際に、あまり管理が行き届かない大きいものはこれは分割をするとか、あるいは弱いものは合併をさせるといったような措置をおとりになったということは、私は当を得た措置であったと思うのです。いま倒産というものがやはりあとを絶たないということになってまいりますと、それらの点も十分考えて、営業姿勢を正していくと同時に資産内容といったようなものも十分検討して、そして大衆に対して損失を与えないというそうした措置が大切であると私は考えます。この点に対しては参考人の御意見をひとつ伺ってみたい、こう思うのですが、非常に重要な問題点でございましょうから、近藤、西田両参考人からも、ひとつ私のいま申し上げた点についての御意見を伺っておきたい。
  57. 近藤止文

    ○近藤参考人 お答え申し上げます。  ただいまの御質問の点でございますが、仲買い人が取引員に移行いたします場合の許可基準というものにつきましては、第一に資産内容というものを一つの標準にいたしました。実は、初めは、率直に申し上げますと、資産内容が十分であるものは大体よろしいんじゃないかという考えでおったのでございますが、その後様子を見ておりますと、案外、資産内容はどんどんよくなっておるのでございますけれども、紛議が絶えない、営業の姿勢が悪いというものが出てまいってきておりまして、したがって営業姿勢というものは、正直申し上げますと、この取引員に移行いたします場合の許可の考え方の中では、実は従的な、二次的な問題として出てきておりまして、当初はまず資産内容がだめなものはもういかぬのだという一つの基準、きめ手というものでいたわけなんです。それにプラス営業姿勢ということになりましたわけでございまして、それはただいま中村委員の御指摘になりましたとおりの考え方であったわけでございます。ただ現在になって考えますと、その資産内容につきまして実は少しレベルが低過ぎたんじゃないか、こういう時代でございますから、もう少し高い、質のいい資産を持っているもの、その資産内容の基準でございますが、これらにつきましてもう少しシビアな考え方をすべきではなかったか、というような反省はいたしておる次第でございます。
  58. 西田嘉兵衛

    ○西田参考人 お答え申し上げます。  全商連といたしましても、大きな倒産等を予防するためにも個々の取引員の資産内容を健全にすることが急務であるということで、主務官庁のお手伝いをしながら内部の経理内容の監査とか調査をいたしております。いま近藤参考人のおっしゃいましたとおり、確かに一般的に申しましてまだ資産内容、資産の大きさ等が十分だとは考えておりません。  ただ、当業者主義という一つの問題がございますが、大衆玉をたくさんお扱いになる、つまりわれわれのことばで申しますと専業取引員ということになりますか、そういう方と、当業者としての資格のほうが強い、委託玉はあまり受けたくないという、そういう取引員とがございます。それらを一つにいたしまして資産の最低限をきめるということにつきましてはなかなか問題もあろうと思いますけれども、少なくとも大衆委託玉をとられるところにつきましては、近藤参考人がおっしゃいましたように、さらに高い資産基準にしなければならないというふうに考えております。したがいまして、個々の取引員の資産というもの――営業姿勢もさることながら、やはり相当な資産を持っていて委託者からの証拠金を預かるという形にしていかなければならないということになると存じます。
  59. 中村重光

    ○中村(重)委員 この営業姿勢の悪い取引員に対しては、あくまでその姿勢を正していく、これは当然だと思う。どうしても直らないということになってまいりますと、これは許可の取り消しというところまでいかなければいけないと私は思うのですね。きびしくやるところはどこまでもきびしくやる。同時にまた、そういうことをやらないような行政指導というものも十分やらなければならない。この前許可制に移行いたしましたときは、私は近藤参考人のいまのお答えのとおりではなかったのだと思う。営業姿勢というところに私は重点が置かれたと思う。資産内容というものは二次的に考えられたのだというように私は思うのですよ。確かに私が先ほど申し上げたとおり、これはいい措置であった。あまりマンモスになってくると管理が十分に行き届かないでしょう。これを分割をさせる。それから資産内容が非常に悪いもの、それを合併させるというようなことをおとりになった。私はそれはもう確かによかったのだと思うのです。しかし、少なくともA、B、Cという形に分けましたのは、これは資産内容よりも営業姿勢というものに重点が置かれた。それから時間を置いていろいろな措置を講じられたということ等、これはやはり営業姿勢のほうにウエートが置かれた。しかし、それはそれなりに、当時はあまりにも業者の自粛というものがありませんでしたから、私はやむを得なかったと思います。ですけれども、今後新たに許可をするとか、許可を取り消しをやるとか、あるいは合併をさせるとか、あるいは分割をさせるとかいういろいろな措置をおとりになるでしょう。そういう場合は十分、大衆に対して迷惑をかけない、損失を与えないようにする、そういう観点から対処していかれる必要があるということを実は申し上げておきたいと思います。  それから冒頭に私が申し上げました、非常に前進した意見の具申があるということの一つは、共同補償制度です。これは私は非常にいいことだと思います。これを成果をあげていくということになってまいりますと、それを十分あげ得るような体制も同時に整えていかなければならないと思います。この点については、共同補償ということになってくると、それは一仲買い人のみにまかせないで、みんなで、委託者に迷惑をかけない、損失をカバーしてやろうということだと思います。したがいまして、これに対しては有税か免税かというような問題等々も出てくるのだろうと思いますが、これらの点についてはどのようにお考えになっていらっしゃるのですか。
  60. 村野啓一郎

    ○村野説明員 お答え申し上げます。  ただいま業界、すなわち取引員側で自主的に進めていらっしゃる共同補償制度は、取引員の方々の拠出によりましてファンドを設けまして、これによって倒産が起こった場合に委託者保護のためにそれを支出する、こういう制度と承っておりますが、制度は大体来年の末に発足するように聞いておりますけれども、これにつきましての税制上の問題といたしましては、これを支出する場合、特別会費ということで構成するように伺っておりまして、これにつきましては、それを損金と認めるかどうかという問題がございます。これにつきまして税務当局と今後相談してまいりたいと思っております。
  61. 中村重光

    ○中村(重)委員 最後にお尋ねいたしますが、この意見具申の「附言」の中にあります、これは横山委員からあるいは御質問があったのではないかと思いますが、審議会の改善について触れておられるのですが、現在の審議会の権限と申しますか、これは法の施行範囲という形になっているのですね。それではなくて、商品取引一般についての権限を持たしていくということでなければならない。これは横山委員から特に強調されてきたところでございますが、この点についてはどのようにお考えになっていらっしゃるのか、考え方をお聞かせいただきたいと思います。
  62. 近藤止文

    ○近藤参考人 ただいま御指摘のありましたとおりに考えております。
  63. 中村重光

    ○中村(重)委員 それから、これは横山委員からお尋ねいたしたところでございましたが、この意見具申に伴って法の改正をやらなければならない、同時に政省令でもってやれるという点もあるわけでございますから、横山委員の、次の通常国会に法律案の改正案を出せということに対しては、明確に次の通常国会にというお答えは実はありませんでした。その点は私も横山委員と同じように考えているところですが、法改正ではなくて政省令でやれる部分がある。これはいつごろからこれを実施に移すという考え方であるのか。
  64. 本田早苗

    ○本田政府委員 政省令の改正につきましてはできるだけ早くやりまして、年度内にも改正を終えるように作業を進めたいと存じます。
  65. 中村重光

    ○中村(重)委員 最後に近藤参考人にお尋ねをいたします。  法律改正の部分については、必ずしも次の通常国会に法律改正の措置を講ずるという明確なお答えは実はありませんでした。政省令に対しては年度末までにというようなことでございましたが、この意見具申にあたっては、その点に対してどのような考え方をお持ちになり、かつまたさらに両省に対して要請をしようとお考えになっていらっしゃいますか。
  66. 近藤止文

    ○近藤参考人 お答えいたします。  審議会といたしましては、法律改正を必要とするものは一日も早く法律改正をしてほしいというように考えておるのでございますが、従来の法律改正の手続、これは御承知かと思いますが、昭和四十一年二月に、この前は石黒会長の名前で意見書が出ておりまして、それが四十二年の六月でございましたか、改正法律案として出たような次第でございます。大体意見書を出しましてから一年ぐらいの時間がかかる。これは役所の側におかれましても、改正法律案をつくり、法制局に持ってまいり、国会に提出申し上げて御審議を願う、こういうふうな段取りがございますので、今度の通常国会にはちょっと間に合いかねるのではないか、しかしできるだけ早い時期の、この次の次の通常国会になると思いますが、できるだけ早い時期に改正法律案をあげていただきたい、こういうふうな考え方でおります。
  67. 中村重光

    ○中村(重)委員 それから委員の数はどの程度を希望していらっしゃいますか。
  68. 近藤止文

    ○近藤参考人 お答え申し上げます。  少なくとも証券取引の委員会と同じように、十名前後の委員の数が必要じゃないかというように考えております。
  69. 進藤一馬

    ○進藤委員長代理 近江巳記夫君。
  70. 近江巳記夫

    ○近江委員 この審議会から出されました意見書でありますが、確かに問題点を列挙されておるように私は思います。そこで、第一番目に、「委託者保護の強化について」ということであげていらっしゃるわけですが、いままで当委員会におきましてもさまざまな具体例をあげて、そうしたトラブル等の問題から、この委託者保護が非常に弱いということで、その強化ということについて、われわれとしては要望してきたわけです。現実に商品取引のこの制度になりまして、最近のそういう運用の点から見て、この委託者保護の強化という点について、十分満足すべき結果が出ておるのですか、どのようにそれを把握されておりますか、お二人からお聞きしたいと思います。
  71. 近藤止文

    ○近藤参考人 実は、委託保護の問題につきましては、前回の法律改正で相当万全の措置がとられるもの、またその結果が出るものと私ども考えていたのでございますが、その後の状況では必ずしも十分とは考えられません点がございましたので、今回の意見書に羅列いたしましたような事項を徹底してやりますならば、委託者保護というものは万全を期せられるんじゃないか、現状におきましてはまだ十分委託者保護ということは徹し切れておらないということでございまして、特にこの委託者保護の中で完全分離保管問題というようなものまで実は取り上げまして、これで委託者には一銭も迷惑がかからないというふうな形に持っていきたいというように、ここにいろいろ事項をたくさん並べてございますけれども、これらが完全に行なわれないとやはり十分とは申せない、かように考えたわけでございます。
  72. 西田嘉兵衛

    ○西田参考人 お答え申し上げます。  全商連といたしましては、やはり委託者保護の一番のスタートは、委託者の御注文を受けるときから始まるわけでございます。その点を十分に、たとえばいろいろな勧誘の行き過ぎとか、あるいは利益保証とかというようなことば、いま全部禁止されております。その、まず委託を受けるときからスタートいたしまして、そうして最終的にはトラブルが起こったときには、それに対する補償ができるという姿勢に持っていくわけでございますが、いま取引員協会におきましては共同補償ということを考え、また委託者保護を積み立て金を積むことによりまして、万一に備えてまいるわけでございます。この二つで今後そうした委託者に対する迷惑が少しでも減るように努力を重ねていくつもりでございます。しかし、現在の姿でまだ完全であるとは思っておりませんので、さらにこれを拡充いたしまして、万全の備えをいたしてまいりたいと考えております。
  73. 近江巳記夫

    ○近江委員 いま近藤さんは完全分離保管ということをおっしゃったわけですか、これについては政府としてはどう考えておるのですか。両省から……。
  74. 本田早苗

    ○本田政府委員 お答えいたします。  完全分離保管制度は、近藤会長からお話がありましたように、これをやることによって委託者保護が十全になるというふうに御指摘を受けておるわけでございますが、現状では、これは法律事項になりますので法律改正を要しますし、直ちにここまで持っていけるかどうか、というのは、業界の実態とも合わす必要がございますので、それまでの間には、ここにも出ておりますような補完措置としての責任準備金の内容を拡充する、あるいは共同補償制度を発足させて、共同補償の体制で委託者の保護をはかるということで、完全分離保管制度に逐次移れるような体制を醸成して、つないでまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  75. 下浦静平

    ○下浦説明員 農林省といたしましても、ただいまの御答弁と全く同様に考えております。
  76. 近江巳記夫

    ○近江委員 この委託者保護についてはいろいろあろうかと思うのですが、まずこのスタートの点で、あくまでこの商品取引というのは清算取引である、差金の決済取引である、そういう特殊性ということをさらに認識させる必要があるのじゃないかと思うのですが、その辺のスタートがどうもあいまいのように私は思うのですけれども、それについてさらにどのように強化されているのですか。そのスタートの点においてどういうように徹底をはかっているのですか。お二人から、そういう具体的な実態というものをひとつお聞きしたいと思うのです。まず参考人から……。
  77. 近藤止文

    ○近藤参考人 実は審議会といたしましては、商品取引というものが先物取引である。これはもう法律にもはっきり書いてございまして、いわゆる清算取引、差金決済で行なう、したがって、これを商品取引に参加する皆さんに十分徹底をさせて、その理解の上で商品取引に参加をしてもらうようにしなければならないということを、常々、通産、農林両省、また取引所の関係の方々にも申し上げてきておるわけでございます。ただ実際は、この清算取引というような問題になりますと、理解しにくい点が多いようでございまして、いたずらにアズキを買えばもうかるというふうなだけの勧誘に終わってしまって、実際にはこういった商品取引に無関係の大衆の皆さんに不測の損害を与えておるというような実情があるようでございまして、その辺は絶えず、審議会といたしましては、両省に対しまして、こういったいまのお話のようなスタートの基本的な問題をはっきり皆さんに認識してもらうようなことで指導してほしいということを申しておるわけでございまして、具体的にどういうふうに通牒を出してどうされておるかというようなことは、両省の関係官の方からお答え願ったらいかがかと思います。
  78. 西田嘉兵衛

    ○西田参考人 お答えいたします。  全商連といたしましては、まずPRをするという必要を感じまして、発足以来、あるいはテレビで、あるいはラジオで、またはパンフレット等を出しまして、啓蒙運動に従事いたしております。また取引員各位に対しましては、各取引所が「清算取引の手引」というようなパンフレットをつくりまして、これまた、初めて参加される方に清算取引というものはどういうものであるかということを御承知の上で御参加願うということに努力をいたしております。現状はそういう程度でございます。
  79. 村野啓一郎

    ○村野説明員 お答え申し上げます。  主務省といたしましては、商品取引の特殊性を委託者に徹底させる方法といたしまして、きめこまかい対策を考えてまいりたいと思っておりますけれども、当面考えられますのは、意見書の中にも入ってございますような取引の外務員の教育研修の際に、その特殊性を強調するよう指導するのが適当かと存じます。  それからもう一つ、取引員が勧誘を行ないます場合に、よく無料のパンフレット等を配っておりますけれども、この内容を――これは業界で自主的にチェックしているようでございますけれども、その中に商品取引の特殊性を十分にうたい込むように、そういう指導をしてまいりたいと思っております。
  80. 下浦静平

    ○下浦説明員 委託者の方には「商品取引をされる方へ」というパンフレットを手渡しするように指導しております。このパンフレットには、この取引は先物取引であるということが内容として書いてございます。なお、検査の際にもそれが現実に実行されておりますかどうか、これをチェックするようにいたしておる次第でございます。
  81. 近江巳記夫

    ○近江委員 それで実際にいろいろなトラブルが起きた、そうなりますと、苦情処理、紛議の調停ということになるわけですが、現在この商品取引事故相談所あるいは合同紛議調停制度、調停員構成の公正化の問題等、こういうようなことがあるわけですが、現実に、こういう制度なり、あるいは調停員の構成等について配慮されておると思うのですけれども、それは公平に行なわれているのですか、その辺はどういう見方をされておりますか、両参考人からお聞きしたいと思うのです。
  82. 近藤止文

    ○近藤参考人 実は、私のほうからお答えを申し上げますのは、非常に間接的になりますので申しわけないのでございますが、具体的には西田参考人なり当局からお答えしていただきたいと思いますが、私の聞いておりますところでは、第三者等を介入させましていま進めておりますことによりまして、この紛議の問題なり苦情処理の問題なり、従前に比較いたしますと、かなりよくなっておるというように聞いておるわけでございます。具体的には数字その他あると思いますので、主務省の担当官のほうからお答えを願ったらいかがかと思っております。
  83. 西田嘉兵衛

    ○西田参考人 ただいまの御質問に対しましてお答え申し上げます。  調停に関しましては、各取引所が必ず月に一回ずつ調停委員会の会合を開きまして、紛議が起こっておりましたならば、それを報告する、しかも、相談所で取り扱い、申し立てられました委託者の言い分を十分に聞きまして、そしてまた、取引員を呼びまして、その取引の状況を聞いておりますのですが、ただいままでのところ、各取引所ともに第三者である弁護士の方を委員の中に加えまして公平にやっておると私は信じております。また、その紛議が幾つかの取引所にまたがっております場合には、その取引所全部が集まりまして、合同でただいま申し上げましたような調査をいたしまして、御納得のいく解決に向かっておると信じております。
  84. 村野啓一郎

    ○村野説明員 主務省より御説明申し上げます。  御指摘の商品取引所合同紛議調停委員会及び商品取引事故相談所、こういうような制度は実は昨年度の初からスタートしておりまして、非常に円滑に運用されているようでございます。特に合同紛議調停委員会の構成につきましては、当事者である取引員のメンバーをなるべく少なくするということで構成してございまして、そのほかに弁護士さんですとか、あるいは大学教授の方とか、こういう方々の御参加をいただきまして、公正な運用をはかっていただいているわけでございます。  なお、事故相談所の相談案件数字を申し上げますと、発足いたしましたことしの五月からことしの九月までは、約五十三件ほどの事件を処理してございます。
  85. 下浦静平

    ○下浦説明員 農林省関係の各取引所につきましても、紛議調停委員の構成につきましては、ただいま通産省側から御答弁のありましたように、できるだけ取引員の数、これを三分の一以内におさめるようにいたしておりまして、本年九月末現在の数字で申し上げますと、全員八十八名のうち取引員が二十七名、学識経験者三十六名ということになっております。  なお、この学識経験者の中には先ほどもお話がありましたように弁護士さん、あるいは会員外の理事等が含まれておるというような状況でございます。
  86. 近江巳記夫

    ○近江委員 まあそれぞれ努力はされていると思うのですけれども、この機関が国民の皆さんから公正であり、信頼されるというそういう認識ということが一番大事だと思うのです。その点こういうケースというものが非常に複雑であることはよくわかるわけですけれども、その辺のところは厳正に今後ともさらに一そう強めていただくように、特にそうした点について配慮していただきたいと思うのです。  それから先ほど横山さん、あるいは中村さんからも話が出たわけですが、主務省としてA、B、Cのランクでこの許可を出したわけですけれども、倒産した中で、そういうようなAの許可を与えながら倒産しておるというお話があったんですが、それはどういうところなんですか。
  87. 本田早苗

    ○本田政府委員 お答えいたします。  大阪の丸上商会という取引員が倒産いたしました。これは先ほど課長から申し上げましたように、Aランクにあったわけでありますが、実はのみ行為等を全く別の事務所で裏帳簿でやっておったということのために、許可にあたっての申請書あるいは調査等でも把握できなかったという事情でございまして、この点まことに遺憾に存ずるわけでございますが、許可申請書の添付書類が純資産額調書等全く架空の数字であったということで、許可の取り消し処分をいたした次第でございます。この点今後の検査等におきまして、こうした事例にかんがみまして、十分慎重な検査をして事実を把握いたしたいというふうに存じておる次第でございます。
  88. 近江巳記夫

    ○近江委員 われわれは許可制に移行するときに、ただ申請されたそれだけをうのみにしてはいかぬ、あくまでもやはり委託者保護という立場から考えるならば、実態調査ということを厳重にやるべきであるということを言っておったわけです。それに対して政府は厳重に調査をしておるということをおっしゃっていたわけです。はからずも、そういうずさんさというものがこういう具体例として出ておるわけですが、そういうような心配はほかにないのですか。
  89. 本田早苗

    ○本田政府委員 お答えいたします。  今回の事例は全く計画的に二重で裏帳簿を別の事務所でやったというようなことから、実態調査もきわめて厳正にやったのでございますが、帳簿の整理はきわめて完全であったために把握できなかったという事情でございます。その点、今後の検査の一つの方法として考えねばならないというふうに存じておるわけでございますが、他の取引員についてはかようなことは、そういう観点から考えましても、われわれとしてはないというふうに考えておる次第でございます。
  90. 近江巳記夫

    ○近江委員 その人数も監督官の少ないということも、それはいろいろなことはあろうかと思いますけれども、やはりそういう机上のペーパーだけでチェックをしていくという、そういう危険性ということがはからずもこれに出たわけでありますが、やはり少なくとも主務官庁としては、社会的にもこれだけ大きな問題になってきたところでありますし、やはり足で歩いてそして実情に合った指導を強化していく。やはりこれがないからこういうような事故が起きるのじゃないか。これはもうひとえに政府の責任であります。あなたは率直に認められたわけですけれども……。  たまたまこう具体的に出たものですから、もう少しお聞きしますけれども、この被害総額は幾らなんですか。委託者数はどのくらいあるんですか。
  91. 本田早苗

    ○本田政府委員 お答えいたします。  確認債権額としては、九億八千二百万円というふうに相なっておりまして、その額のうちの約三割程度、二億八千万が商品取引と関係する債権でございまして、あとの七割は出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律に該当する預かり金という債権でございまして、これはこの法律違反の預かり金という形に相なっておる次第でございます。
  92. 近江巳記夫

    ○近江委員 それで、大体委託者はどのくらいあるのですか。
  93. 本田早苗

    ○本田政府委員 十月二十八日現在で委任状を提出したのが五百六十三名でございますが、これがほぼ九割程度カバーしておりますので、約六百名程度でございます。
  94. 近江巳記夫

    ○近江委員 六百名として、そうするとこの人たちは倒産してどのくらい返ってくるのですか。
  95. 村野啓一郎

    ○村野説明員 お答え申し上げます。  債権者委員会のほうから連絡を受けました数字によりますと約六千万円が返還になっております。
  96. 近江巳記夫

    ○近江委員 九億八千二百万円で六千万円ですか。これはたいへんな被害ですね。こういうことが現実に政府のずさんさのゆえにこうやって大衆が迷惑を受けるわけですよ。解決はそれじゃ六千万ということで、そのままでやむを得ないということなんですか。
  97. 村野啓一郎

    ○村野説明員 お答え申し上げます。  この九億八千万全部が商品取引に起因するかどうかにつきましては、先ほど局長が申し上げましたように一部あるいは大部分が出資法違反ということになるようでございますけれども、現在、丸上が倒産いたしまして残っております資産を全部はたき出しましても六千万円という規模でございますので、私法上の問題としてはこれが限度かと存じます。
  98. 近江巳記夫

    ○近江委員 これがこういう大きな被害に発展しておるわけですが、こういうことから考えても政府は今後どうしたらよいと思うのですか。一軒倒れた、これによってこれだけの被害を受けておるわけですよ。今後この種のこういうような被害についてはどうしたらよいと思うのですか。
  99. 本田早苗

    ○本田政府委員 お答えいたします。  一つは、受託業務保証金の受託の率を上げまして、これによる返済可能金額を引き上げるということ。それから先ほどの共済制度の発足によりまして、共済制度による救済を発足させまして、これによって受託者に対する返済範囲を広げるというようなことを進めてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  100. 近江巳記夫

    ○近江委員 六百名の人たちのこの被害によって、さらにそういう家庭的な悲劇が広がっていくという、要するにすべて社会問題なんですよ。ですから、これを安易に考えるとたいへんなことになりますよ。これだけいままで事故を起こし何し、やってきているわけです。そういう政府の監督のずさんさによってこれが起きておるわけです。政府は国民に対して、特に被害者に対して責任を負わなければいけないのですよ。企業自体も大きな問題ですけれども、許可する際に政府のそういうずさんなことによってこういう事故が起きておるわけです。その点は十分今後反省してそういう事故のないように、また委託者のそういう保護に万全を期していただきたいと思うのです。  それから取引所があくまでもそういう機能を果たしていく、国民の皆さんからも十分に信頼を受ける、そういう機関でなければいかぬと思うのですが、取引所自体は全部うまく運営できておるのですか。両参考人からお聞きしたいと思うのです。
  101. 近藤止文

    ○近藤参考人 先ほど申し上げましたように取引所が現在二十ございますので、その中には内容的に十分でない、あるいはその管理者がまあ実際に信頼に値しないというような人もなきにしもあらずかと思われますので、これは意見書にもございますように今後は上場商品の問題の検討とあわせまして取引所の整理統合の問題を進めまして、それによりまして信頼に値する取引所というものをできるだけ早く確立したい、かように存ずるのでございますが、具体的に一つ一つの取引所の実態につきましては私のほうは正確に把握いたしておりません。監督官庁のほうからお答えを願いたいと思います。
  102. 西田嘉兵衛

    ○西田参考人 お答え申し上げます。  連合会は二十の取引所でできておりまして、その二十の取引所のレベルがみんな同じである。すべて同じであるとは私申せないと思います。しかしながら私の口からどうということは同時にまたちょっと言いにくい事情もございますので、これは監督官庁のほうからそのお答えをいただくほうが適当であると存じます。
  103. 本田早苗

    ○本田政府委員 お答えいたします。  当省所管の物資の取引所としては円滑に運営されておるというふうに考えております。
  104. 下浦静平

    ○下浦説明員 農林省所管の取引所といたしまして、先ほどもお話が出ましたが、函館におきまして海産物、これはスルメでございますけれども、扱っております取引所がございますが、これらは運営上非常に苦しいというような点はございます。これらにつきましては今後実態的にどう持っていくかにつきまして十分検討をいたしたいと考えております。  なお最近、これはかなり前の事件ではございますけれども、取引所自体で不祥事件があったところが二カ所ほどございまして、これらに対しましてはまことに遺憾に存じております。十分そういうことのないよう取引所の役職員が取引所の公共性を十分認識いたしまして業務に当たるよう十分な指導をいたしてまいりたい、こう考えております。
  105. 近江巳記夫

    ○近江委員 その二カ所は具体的にどこであって、どういうような内容だったんですか。
  106. 下浦静平

    ○下浦説明員 お答えいたします。  一カ所は名古屋穀物商品取引所でございまして、商品取引所法第百五十四条違反、これは収賄でございますけれども、この容疑で十一月の下旬でございますが、常務理事と事務局長がそれぞれ逮捕されております。これは昭和四十四年の秋ごろに検査をいたしましたところ無登録外務員を使っておるというふうなことが出まして、その処分をいたしたわけでございますが、それに対するもみ消しを依頼を受けたというような容疑となっております。なお贈賄側といたしましてはただいま三人逮捕されております。  それからもう一カ所は神戸の穀物商品取引所でございまして、これは同取引所の指導監査部長が十二月の九日逮捕されまして目下取り調べを受けております。これは取引員の元外務員等によります詐欺事件の関係でございまして、それに対しまする取引所の自主的業務監査による指摘事項及び委託者紛議の処理等につきまして便宜をはかったというような内容のようでございます。  以上でございます。
  107. 近江巳記夫

    ○近江委員 公正たるべき取引所が、いま御報告があったように、これだけでも三カ所ですよ。ですから国会でわれわれがいままで口をすっぱくしていろいろ言ってきたことを甘く軽く考えておったのかと、われわれは疑いたくなるわけですよ。一番厳正公平であるべき取引所がこういう事故を起こしておる。これはだれの責任ですか。私の所管しておる省はこうであります、こっちはこうであります、そういうところに私は問題があると思うのです。いま横山委員からも一元化の問題がありましたけれども、こういう事故を起こしておいて、実際政府のこういう監督姿勢というものは私はなっておらぬと思うのですね。これに対して通産、農林はどういう反省をしているのですか。これからどうするのですか。取引所というのは一番のかなめですよ。ひとつ率直な反省を私お聞きしたいと思うのです。
  108. 本田早苗

    ○本田政府委員 お答えいたします。  御指摘のとおり、まことに遺憾な事件でございますので、取引所として御指摘のような公正な立場で、業務を遂行する責務を持っておる立場を自覚して行動する必要があるということで、実は先日両局長名で各取引所に対しまして、今回の事件を反省して、御指摘のような立場で業務を遂行することにつきまして注意を喚起したところでございますが、われわれといたしましては、今後かような事件が起こらないような監督を十分やらねばならないというふうに考えておる次第でございます。
  109. 下浦静平

    ○下浦説明員 ただいま近江先生から御指摘がございましたとおり、公正たるべき取引所におきましてこのような事故を起こしたということにつきましては、全く遺憾に存じておる次第でございます。私ども指導監督の官庁でございますので、指導監督上の責任もあろうかと存じます。今後とも、このような事件が二度と起こらないように、十分注意をしてまいりたいと存じております。検査等につきましても今後さらに力を入れてまいりたい、こういうぐあいに考えております。
  110. 近江巳記夫

    ○近江委員 それから取引品としても、たとえば三菱油化あるいは日本信販、これなど非常に世間を騒がしたわけです。大量の偽造株券が証拠金として預けられておる、こういうようなこと自体が当事者はわからなかったかどうか、先ほども話が出ましたけれども。こういう点を一つ見ても、まだまだえりを正して、ほんとうに商品取引自体のそういう公正な機能を発揮していこうというその前向きの姿勢がはたしてあるのかどうかということをここで感じるわけです。取引所といい、あるいは取引員といい、国会でいろいろ問題になったときだけ緊張する、そういうことであってはならぬわけです。われわれも商品取引所のそういう存在や商品取引のそういう立場というものは十分理解もできるわけです。健全に、ほんとうに国民の多くの皆さんから信頼される、そういう存在であってもらいたい、こう思うわけです。だから私もあえて言っておるわけです。  時間があればもっといろいろお聞きしたいとも思うのですけれども、こういう一つの具体例を見てもまだまだ問題が山積しておるわけです。したがって、政府としてもこうした答申案を十分尊重して、そうして実際にそういう問題がもう二度と起きないように、また取引所においても厳正公平な機能を果たしていけるようなそういう運用ということを十分に考えてもらわなければ困るわけです。きょうは時間もありませんのでこれで終わりますけれども、どうかこういうようなことがいつまでも続かないように、政府もあるいは業界も、今後ともさらにえりを正して厳正にひとつやっていただきたい、この点を特に要望しておきまして、私の質問はきょうはこれで終わりたいと思います。
  111. 進藤一馬

    ○進藤委員長代理 参考人各位には長時間にわたりまして貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。厚く御礼申し上げます。  午後二時再開することとし、暫時休憩いたします。    午後一時十七分休憩      ――――◇―――――    午後二時十一分開議
  112. 鴨田宗一

    ○鴨田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  本日の請願日程を一括して議題といたします。  本会期中付託になりました請願は四百二十七件であります。  その取り扱いにつきましては先刻理事会において協議いたしたのでありますが、この際、紹介議員の説明等を省略して、直ちにその採否を決定いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  113. 鴨田宗一

    ○鴨田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  おはかりいたします。  本日の請願日程中、第一六ないし第三六、第四〇ないし第七二、第七七ないし第一一一、第一二〇ないし第二六〇、第一六六ないし第二〇三、第二〇五ないし第四〇七、第四二六及び第四二七の各請願は、趣旨妥当と認めますので、採択の上内閣に送付すべきものと決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  114. 鴨田宗一

    ○鴨田委員長 御異議なしと認めます。よって、さようきまりました。  なお、ただいま議決いたしました請願に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  115. 鴨田宗一

    ○鴨田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決します。     ―――――――――――――   〔報告書は附録に掲載〕     ―――――――――――――
  116. 鴨田宗一

    ○鴨田委員長 なお、本委員会に参考送付されておりまする陳情書は十五件でありますが、お手元に配付してありますので、御了承願います。      ――――◇―――――
  117. 鴨田宗一

    ○鴨田委員長 閉会中審査申し出に関する件についておはかりいたします。  辻原弘市君外十名提出、寡占事業者の供給する寡占商品の価格等の規制に関する法律案  通商産業の基本施策に関する件  経済総合計画に関する件  公益事業に関する件  鉱工業に関する件  商業に関する件  通商に関する件  中小企業に関する件  特許に関する件  私的独占の禁止及び公正取引に関する件  鉱業と一般公益との調整等に関する件 以上各案件につきましては、議長に対し、閉会中審査の申し出をいたしたいと存じまするが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  118. 鴨田宗一

    ○鴨田委員長 御異議なしと認めます。よって、さようきまりました。      ――――◇―――――
  119. 鴨田宗一

    ○鴨田委員長 鉱工業に関する件について調査を進めます。  本日は、鉱物資源問題について、参考人として、日本鉱業協会会長河上健次郎君、全日本金属鉱山労働組合連合会委員長原口幸隆君、金属鉱物探鉱促進事業団理事長平塚保明君及び全日本資源業労働組合連合会副委員長森嶋勝男君が御出席されております。  この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。  参考人各位には御多用中のところ本委員会に御出席を賜わり、まことにありがとうございます。  本委員会におきましては、鉱工業に関する件について調査中でありますが、本日は特に鉱物資源問題につきまして、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べ願いたいと存じます。  なお、議事の順序でございまするが、初めに御意見をそれぞれ十分程度に取りまとめてお述べいただきまして、次に委員諸君からの質疑に対してお答えをいただきたいと存じます。  まず河上参考人からお願いをいたします。河上参考人。
  120. 河上健次郎

    ○河上参考人 河上でございます。  本日は、われわれ業界の実情につきましてお聞き取りいただく機会を与えられまして、まことにありがたく存じております。  現在容易ならぬ情勢に囲まれまして、当業界、一言で申しますと非常な危機に瀕しておるわけでございます。この際抜本的な鉱業政策確立を要望いたしておる次第でございまして、事情お聞き取りの上御判断をいただきたい、かように存ずる次第でございます。  当業界は、銅、鉛、亜鉛のベースメタル、それからニッケルを中心といたしまするレアメタル、これを根幹といたしまして、相当数の国内鉱山、製錬所、これを持ちまして、わが国の経済成長に非常な大きな原動力を有しておりまする基礎原材料の供給を重要な使命といたしまして、ことに昭和四十年の不況期後、経済成長の高度のカーブをたどりました時期に、ときあたかも銅を中心といたしまする非常に大きな激動期、ニッケルにつきましてもさようでございますが、世界的に非常な需給関係のタイトな状況を経験いたしまして、これに対処いたしまして、従来の力をもちましてやっておりました供給責任をかろうじて果たし、将来の大型化を目ざしましてさらに一そうの基礎原材料の安定供給、これをお引き受けいたそうということで、内には製錬の近代大型化に懸命の努力を積みまして、一方鉱源といたしましては、国内資源の開発、さらには海外の資源の開発と取っ組んでまいりまして、ようやく軌道に乗りかかってまいりました。ところが、昨年来の世界的な需給のアンバランスから非鉄につきましても需給がゆるみまして、国際的に市況がダウンいたしました。そこへ加えまして、昨年、本年に続きましての日本国内の経済の不況に見舞われまして、国内的にもこの不況現象が当業界に押し寄せてまいったわけであります。そこにもってまいりまして、当業界といたしましてかねがね問題でございました公害規制の強化、これはそういう方面から当業界といたしましても懸命にその対策につとめてまいりましたが、何にいたしましても鉱山、製錬の特殊性から見まして、公害に対する相当な施設、それからやむを得ずやっております補償費の出費、これが企業の経理面に対する相当圧迫の材料になってまいっております。かてて加えまして、数年前から問題ではございましたがさほどの大きな事態に発展いたしておりませんでした硫黄硫化鉱問題、これは後ほども申し上げますが、これは重油脱硫から発生いたします回収硫黄が、われわれ業界の硫黄鉱山、それから硫化鉱鉱山、さらには銅、鉛、亜鉛の製錬から出ます硫酸操業、これにチャレンジする立場に立ち向かってくる、こういう宿命を持っておるわけであります。そういう情勢の発展の結果、硫黄鉱山はすでに当業界からほとんど姿を消してしまいました。次に問題となっておりますのは硫化鉱鉱山であります。さらに銅鉱山、鉛、亜鉛鉱山、これがそれぞれ鉱石の中に硫化分を含んでおります。これが、回収硫黄がライバルであるという関係になってまいります。さらに、当業界の製錬の過程から出ます硫酸、これは廃ガスの処理、公害対策に伴いまして、近ごろは大気汚染の問題を防ぎますためにほとんど完全に硫黄分の回収ということに近代化が進んでまいっております。そういう硫酸源が、当業界の鉱山製錬の過程からくるそのものとまつこうから挑戦するような形になりつつあるのが回収硫黄であります。これが相当なウエートを持ってまいっておりまして、これが一時の石炭に対するエネルギー革命としてあらわれた石油と同じような、そういう趣の状況が年を追ってだんだんシリアスになってまいります。  そういう、環境の非常な激変のさなかに受けましたのが今度のドル・ショックであります。ドル・ショックと申しますと、普通世間で騒いでおりますのは、造船の例にありますように相当な多額のドル債権が、円の切り上げのために大きな差損を出しておる、こういう点が第一点でございます。それからもう一つ大きなのは、ドル・ショックに見舞われまして輸出の不振、内需の不振ということで、相当長期にわたりました不況がやっと回復しかけたのが逆にたたかれまして、当面構造的な不況が相当強化されるということでいま大問題になっております。普通ドル・ショックの影響はこの二点でございますが、当業界はこの二点そのまま非常に大きなショックを受けております。  まず第一に対外的な債権でございますが、先ほども申し上げました対外的な資源開発のために相当の投融資をいたしました。ドル債権を持っております。これが今度の円の切り上げによりましてそのまま差損というかっこうになって降りかかってまいります。それから国内的な不況によりまして需給のアンバランスでどんどん滞貨ができつつある。これが非常に大きな問題でございまして、後刻申し上げます。これは現状ではとてもたいへんだということでございまして、先ほど申し上げました対外的な資源開発も含めましてやっと実りつつあります外国からの鉱源の確保、これがだんだんできてまいりまして、われわれが喜んでこれを処理しようという段階にこれが実は処理できない、そのまま滞貨になる。これを処理いたしますと、これは製品で滞貨になる。要するに、製品の滞貨を持つかあるいは原料で持つか、いずれにいたしましても相当な滞貨に苦しむという状況が日を追ってこれがシリアスな状況になりつつある、これが当業界の現状でございます。  さらにもう一つ、これは非常に当業界にとりましても重大問題であり、ほかの業界、ほかの物資に見られないドル・ショックによる大きな影響がございます。それは円の切り上げに伴いまして、われわれがやっております銅、鉛、亜鉛、ニッケル、すべて外貨で表示されます円が安くなります。LMEの相場で銅が四百ポンドあるいは五百ポンドというのが毎日動いておりますが、これを受けて国内の銅の建て値をきめておる。ところが同じ四百ポンドでありましても、切り上げ前でございますのと切り上げ後でございますのと値打ちがからっと違いまして、それだけ円貨で表示いたしますと値段が下がるわけであります。外貨のそういう翻訳相場がそのまま内地のわれわれの家庭にシャープにスライドして影響する、これが非鉄に特有の現象でございまして、円の切り上げの結果、切り上げ率つまり円の切り上げとイギリスポンドの切り上げの差がそのまま国内建て値のダウンということになってわれわれやっておるわけであります。これが非鉄の特有の現象でありまして、この面の影響が実は非常に大きいわけであります。ニッケルもこれはドル建てのニューヨーク相場によっております。円の切り上げ、これがそのまま響く、こういう状況でございます。  そういうことでございまするので、その辺の国内の値段が下がるということに関する影響、これが実は非常に大きな影響でございまして、これが非鉄に特有な現象でございます。そういうふうなことで相当な損害にのぼるのでございます。そういうことでドル・ショック、日きわめてわずかの間に業界では相当の損失を出しました。遺憾ながらこの上期の決算におきましてもはなはだふるわない状況でございます。これはおそらく当期の決算面でどういうふうに出ますか。われわれの試算によりますと、このドル・ショックの影響をなべてみまして年間四百数十億、これだけの大きな損害でございますが、大手八社をとりまして、大手八社の最近の二期におきます営業利益はわずか百億でございますから、これは数年分の影響を一年間に受ける、こういうひどい試算の状況であります。これは容易ならざる事態でございます。  そこで一体われわれはどうするかということでございますが、これをぜひ諸先生にお考えいただきたいという点でございます。このままでは国内鉱山ほとんど非常な大影響でございます。経済的な計算から申しまして、残る鉱山はきわめて例外である。製錬の操業もこれは猛烈な赤をこのままでは出します。そこで相当われわれは合理化をしなければいかぬ。しかしマネージメントの合理化ということでは、これはもうほどが知れております。要は、いい鉱山を早く見つけて、衰退する鉱山とチャンピオン交代ということに持っていく以外にないわけであります。海外につきましてもそうであります。ひとついい山を見つけて、これをわれわれの関係の部類につかむということであります。国内、海外とも優秀な山を見つけてこれをひとつわれわれの関係に持ち込む、こういうことがわれわれのやるべき最も本筋の、最も大きな点でございます。これに対してあらゆる鉱業施策をひとつ集中していただきたい。  それからわれわれの努力でやるべき非常に大きな分野がございますのは、今度の円の切り上げに伴いまして非常に受けました打撃をカバーいたしますために、それぞれ海外の先方との、相手方との間に契約の更改をやるということであります。われわれはずいぶん無理いたしまして、あの非常に払底いたしましたときに量の確保が非常に緊急問題でございました。したがいまして、十分余裕のある交渉によりましてわれわれにメリットのあるような条件を外部と獲得するという余裕が実は不十分でございましたために、あえてやむを得ずあまり有利でない鉱源との関係におきまして契約を取り結ぶということもございました。これを思い切ってインプルーブする努力を今後やるべきである、そういうことも考えなくちゃならぬというふうに考えております。  さらにもう一つ大きな問題は、先ほど申し上げましたように、非常な原料滞貨もしくは製品の滞貨ということになってまいります。極端に市況が世界的に沈滞いたしておりますような現在のようなときに、海外に換金のために売るということは、これはもう対外的な貿易通商の面から見ても非常に問題でございますので、そういう方策をとれません。したがいまして、鉱石のストックを減らすということ以外にはないわけであります。ところが資源開発でやっと実りましたそういう果実を、先方と交渉してそれを引き延ばすあるいはカットするというふうなことは私企業としてはやむを得ないとはいいながら、そういうアクションを実はもうすでにとりかけましたところ非常な反響を呼びまして、日本は要るときにどんどん取る、日本の事情で困るときには断わる、けしからぬ、こういうふうな世論が実は対外的に起こりまして、これはたいへんだということで、われわれとしてはどうもこれは私企業でわれわれの限界を越える問題になってきたということで、これは何とかひとつ備蓄でこの危機を乗り切るということにする以外にないじゃないか、本来、あの非常に払底いたしまして世界的に需給がタイトになりました、困りました時期に、こういうときにこそだぶつく場合の備蓄というものがあれば需給価格の安定のためにほんとうにいいのだがという声が起こりました。当時からタイトの場合に放出する備蓄の余裕があれば、非常に安い滞貨がある場合に、これを買い上げて需給価格の安定のための非常に大切なものができるのだがという声が起こりましたわけでありますが、実は実現いたさないで今日に至っております。非鉄はそういう変動の激しい物資でございまして、この備蓄はそういう面から見て本来必要であります。この際、先ほど申し上げましたような長期の日本の資源対策から見てもこの制度の創設にぜひ踏み切っていただきたい。これをつくるまでにはすったもんだ時間がかかるだろうと思いますが、その間は何とか特別な低利でもってこのピンチを乗り切るための金融の措置を、これはぜひ緊急焦眉の問題としてお考えをいただきたい、こういうふうな問題がございます。  いろいろ具体的な施策につきまして一々申し上げませんでしたが、国内の探鉱の強化はもとよりでございます。海外につきましては成功払い融資によりまする探鉱、この制度の新設をぜひお願い申し上げたい。  なお、公害対策につきましても先ほどのような業界の実情でございます。これは金融、税制の面でぜひひとつ数歩前進をお願い申し上げたい、こういうふうな点がございます。  いずれまた後刻御質問によりまして詳細われわれの意見を申し上げたいと思います。ありがとうございました。
  121. 鴨田宗一

    ○鴨田委員長 次に、原口参考人にお願いします。  先ほど私冒頭に申し上げましたとおり、参考人の御意見、要点をひとつ十分程度でお願いをいたしたいと思います。
  122. 原口幸隆

    ○原口参考人 原口です。  最近の金属鉱業の情勢は非常にきびしく、すでにこの一年間に、私の組織の傘下においてだけでも十七鉱山が休山、閉山をいたしておりますし、約二千名近くが職を離れております。さらに現在大手の三菱金属鉱業にも四つの鉱山が閉山あるいは第二会社案等が提案されまして、他の中小、大手にも合理化の検討が進められているような現状であります。基本的には非鉄金属資源というものは今後も国の内外にわたって需要が伸びるものであろうと思いますし、必要資源としてわが国経済発展をささえるものであることについては全部が一致しているところであろうと思います。にもかかわらず、このように鉱山がつぶれるということは、鉱量枯渇という物理的な宿命によるものもありますけれども、資源が社会全体のものという認識に立って根本的な政策がそこにあればまた生き続け、経済の発展に寄与し、国民生活に役立ち得るものであろうというふうに考えます。  次に、簡単に六点にわたって問題点を述べたいと思います。  第一は、銅、鉛、亜鉛等のベースメタルを中心として国際相場である地金価格が現在きわめて低落をいたしております。したがって国内鉱山の多くが採算割れとなっておりますし、また製練部門では海外鉱確保あるいは生産増強の計画等も進めてきましたけれども、昨年来の不況によって在庫増を引き起こし、二重の圧迫を受けております。この時期において国際通貨問題、円切り上げは景気回復のおくれとともに、地金価格の低落と海外投資の為替差損を呼び起こし、重大な状況となっております。産業、企業のこのような状況は、勢いそのしわ寄せが労働者に向けられまして、雇用の不安、労働条件の切り下げという犠牲を強いられているのが現況であります。この際すみやかな円の切り上げに対する緊急対策を望むとともに、長期的に需給及び価格の安定をはかるための国内的な制度が必要であるというふうに考えます。  第二点は、硫黄いわゆるSの問題であります。従来鉱山硫黄によってわが国の硫黄需要を十分にささえてきたわけでありますが、硫酸は硫化鉱から焙焼硫酸、製錬の排ガスからの製錬硫酸等で供給責任を果たしてまいりました。しかし六〇年代の石炭から石油へのエネルギーの転換、七〇年代の公害防止の前進によって、そこからくる条件が全く変わりました。すでに硫黄鉱山は一山を残すのみとなっておりまして、鉱業全体が大きな危機に直面をいたしております。この問題は、一つには石油からの回収硫黄、これは年々十万トンふえておりますが、火力発電所、工場からの排煙硫酸、そして製錬硫酸、いずれも公害防止からくるものであります。  次に、第二には、硫化鉱は銅、鉛、亜鉛などの採掘によってほとんど随伴鉱物として出てまいります。地金の需要が今後増大してくるときに、硫化鉱をどう扱うのか、その鉱山の価値を決定的に左右するものになってまいりますので、稼働中の現在の鉱山の存立、新鉱山の探鉱、開発に影響するところは非常に大きいものがあります。  三番目に、硫化鉱は単に硫黄源としての価値だけではなしに、鉄など他の有価価値元素物質としても今後利用範囲の拡大が可能であります。さらに、硫黄源は単体硫黄としても、硫酸としても、新たな化合物として外国でも新規需要の研究が進められております。また同時に、既往の需要分野における増加についても、造林のための肥料とかあるいは対中国、対東南アジア、他の開発途上国の貿易の拡大等によって可能性があると考えられます。以上の現状、将来の展望に立ちますと、急速にくる産業構造の変化に対応して、市場原理のみで放置しない強力な政治、政策による秩序をつくるとともに、政府、民間協力による硫黄資源の新規需要の研究、開拓を進める必要があると考えられます。  第三には、資源の確保は、資源量の少ないわが国の現状から見て大切な課題でございます。しかも海外への依存については否定をできない事実でありますが、しかしながら、国内鉱床の規模が国際的に少さいことを理由に国内資源を放置をして海外にのみ資源を求めるということは、国際信義にも反するのではあるまいか。また資源が開発途上国に偏在しておる実態から、その国の経済的自立に十分貢献する方法で協力することが大切であろうと思います。さらに、先発の国際大資本との資源戦争ともいうべき競争的位置づけをのみ強調することは、新たな経済秩序を求めているわが国経済と世界経済の現下の課題に逆行することとなると思います。また安定供給という面から見れば国内鉱山の価値は大きく、また地域経済の中に占める位置がきわめて大きいわけでございます。資源の協調開発、分業化時代に入っても、技術、知識、人材の点で国内鉱山のバックグラウンドとしての価値は非常に高いというふうに見なければなりません。以上の観点から、国内鉱山の存続と開発を鉱業政策の主要な柱に置き、国の手による探鉱の充実とともに、国内存続の公的判断のための機構の確立を希望いたします。  第四に、公害の問題でありますが、公害を企業の責任において防ぐことは当然であり、一部の経営者が言うように、産業か公害防止かという二者択一的に見て、企業が過去に果たした、また今後果たす社会的責任を強調して、公害責任を免罪にする考え方はきびしく批判さるべきであろうと思います。鉱業の場合は他の産業とやや異なる点は、非常に長い歴史を持つ産業でございまして、明治以後を見ても、殖産興業から近代産業の形成、本主義の確立期を通じまして国家と資本が鉱山に与えた役割り、さらに富国強兵から太平洋戦争までの軍事優先政策の中での鉱山などの歴史的経過があり、現存し、稼行しておる鉱山、製錬所のほかに、数え切れない廃鉱が現に存在をいたしておりまして、この時期に一気に問題が出ておるというのが現況でございます。このような特殊性を十分配慮した、負うべき責任の総合的な検討をする必要があると考えます。そのため鉱害対策に関する法的措置に向けての検討、資本のない、無資力休閉山の鉱害防止のための総点検と対策を強力に進めていただきたいと考えております。  五番目に、以上のような金属鉱業全体の困難な状況の中で、わけても中小鉱山はその影響を大きく受けておりまして、また中小鉱山が圧倒的に供給責任を果たしておる鉱種もたくさんございます。したがって、金融、税制上の特別措置を充実するとともに、探鉱補助の充実や鉱種別の対策等きわめてきめこまかい政策によって、緊急の救済と基盤の強化をはかっていただきたいというように希望いたします。  最後に、鉱量枯渇という宿命を持ち、特殊な地下労働に携わる、過去幾多の苦い経験を味わった鉱山労働者に対して、社会的な労働基盤の創設が必要であると考えます。特に鉱業労働者の年金制度や中小鉱山の退職金の共済制度等をつくるとともに、労働経済分野における近代化、進歩におくれないようにするための産業基盤の強化が望まれます。そのためには、資源産業に対する特殊な政策的なあと押しがあっても決しておかしくないというふうに考えます。  最後に、この委員会におかれまして、昭和三十六、七年以来、金属鉱業の問題について長年にわたって検討をいただきまして、いま非常な危機に直面をいたしております金属鉱業の問題、そのもとで雇用の安定と生活の安定を求めておるたくさんの労働者家族のことをあわせお考えの上、従来に変わらない御協力をお願いして、参考人としての陳述を終わらせていただきます。
  123. 鴨田宗一

    ○鴨田委員長 次に、平塚参考人にお願いいたします。
  124. 平塚保明

    ○平塚参考人 探鉱事業団の平塚でございます。ごく簡単に陳述させていただきます。  御承知のように、当事業団は昭和三十八年の五月に、金属鉱業の体質改善及び対外競争力の強化をはかり、ひいては重要な金属鉱物の安定的かつ低廉な供給を確保することを目的として設立され、その後諸先生方の特段な御指導によりまして逐次業務を拡大し充足してまいりましたことを、まことにありがたく厚くお礼を申し上げたいと存じます。おかげさまをもちまして、国内、海外の探鉱並びに技術協力関係各事業とも着々と成果をあげてまいりました。  まず、国内関係事業について申し上げてみますると、いわゆる三段階方式、すなわち広域調査、精密調査、企業探鉱、この三つをかみ合わせました方式によりまして、全国二十八地区の有望地区に対しまして探鉱を実施してまいりました結果、現在までに約五千九百万トンにのぼる新鉱床を発見いたしております。さらに試錐等の結果によりまする期待鉱量を含めますと、総計三億二千万トンに達する鉱量を確保いたしておりまして、これは先般の鉱業審議会の探鉱分科会におきましても審議済みの数字でございます。  次に、三段階方式によりまして開発に移行いたしました鉱山を御参考までに申し上げてみますると、秋田県におきまして三菱金属鉱業がやっておりまする松木鉱山で二百万トン、北海道の三菱金属鉱業がやっておりまする下川鉱山で二百二十万トン、秋田県の同和鉱業がやっておりまする深沢鉱山で三百万トン、秋田県の同和鉱業がやっておりまする小坂の上向鉱床で二百五十万トン、同じく秋田県の日本鉱業がやっておりまする釈迦内鉱山で三千万トン、また福島県の風間鉱業がやっておりまする黒沢鉱山で百万トンをつかんでおります。また最近の情報によりますと、次のような成果もあげておるわけであります。すなわち、秋田県の同和鉱業がやっておりまする松峯の西部におきまして三百万トン、福島県の日曹鉱業がやっておりまする横田鉱山の下部で三百八十万トン、島根県の三井金属がやっておりまする石見鉱山で百五十万トン、また北海道の住友金属がやっておりまする国富鉱山で二百万トン、かように多くの鉱床を発見いたしておるわけでありまするが、今日出がけに報告を受けましたところによりますると、本年度の精密調査で大分県の祖母傾山地区でボーリングをいたしておりましたのが、非常におもしろい鉱床を着鉱いたしております。  以上申し上げましたように、国内関係の調査事業は着々と成果をあげておりますが、先ほど来いろいろとお話が出ておりますように、金属鉱業は今回の大幅の円切り上げ及び景気の後退によりまして深刻な事態に直面しておりまするおりから、合理的かつ効果のよい探鉱を促進する必要性は一段と高まっておるわけでありまして、一般会計予算でお願いいたしておりまする広域及び精密調査費、並びに財政投融資でお願いいたしておりまする探鉱融資につきまして、ぜひとも諸先生方の特段の御配慮をお願い申し上げたいと存ずる次第であります。特に探鉱融資につきましては、探鉱促進策のみならず景気の浮揚策でもあり、かつ過疎対策としても効果があると信ずるものでありますので、よろしくお願い申し上げる次第であります。  次に、海外及び技術協力関係の事業について申し上げす。  国内の三段階方式に比しまして、海外では広域と精密を一緒にしたような調査を企業の一部費用負担で実施いたしております基礎調査と、長期低利の資金を貸し付けております融資制度、これは先進国に限っておりまするが、それと保証制度を実施いたしております。また一昨年から、経済協力としていわゆる技術協力のための基礎調査も実施いたしておるわけでありまするが、これは発展途上国を対象に、相手国のためにその国の広域調査を行ない、結果はすべて相手国に与えるものでございまするが、これら発展途上国は資源保有国でもありますので、調査の結果、将来鉱区が国際テンダーに出された場合におきまして、優位な地位でわが国の企業が参加をすることができるという点も考慮した事業でございます。また、これら各事業を実施するにあたりまして、早期にかつ確実な情報をキャッチするとともに、集積しました情報を解析するため資料センターを設置しておりまするが、これまた皆さまの御高配によりまして逐次整備されて活発な活動に入っておるわけであります。  海外におきまする事業は何ぶんにも相手国のあることで、むずかしい点が多々あるのでありまするが、当事業団といたしましては、以上の諸事業を機能的に関連せしめて長期的視野に立って運営を心がけておる次第でございます。先刻申し上げましたとおり、金属鉱業界の緊急非常時にあたりましてきめ手となる海外探鉱、開発の促進策として、来年度はぜひ成功払い融資制度をお願い申し上げたいと存じておる次第でございます。すなわち、非鉄金属の急激な需要の伸びに対処しまして、安定的な供給を確保するため、今後ますます海外における探鉱、開発を積極的に進めていかねばなりませんが、立ちおくれましたわが国の進出すべき地域は未探鉱の処女地ならざるを得ないのでありまして、したがいまして、リスクも大きく、探鉱期間も長期化せざるを得ない次第でございます。  現下のような困難な状況下で海外大企業に伍して巨額の探鉱費を支出しなければならないのでありまするから、相当思い切った助成策も必要であろうと存ずる次第でありまして、成功払い融資制度は、わが国と同じように資源を持たない西ドイツが以前から実施してたいへん効果をあげておる。また、実績がございます。この制度を来年度から実施いたしますについて、ぜひとも諸先生方の特段なお骨折りを、また御援助をお願い申し上げて私の陳述を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
  125. 鴨田宗一

    ○鴨田委員長 御苦労さまでした。  次に森嶋参考人。
  126. 森嶋勝男

    ○森嶋参考人 森嶋でございます。  お忙しい中、意見を述べさせていただく機会を与えられて、心から厚くお礼を申し上げます。  ただいままでお三方がいろいろな立場から申し上げておりますので、私のお話はそれを重複しないように、かいつまんで申し上げたいと思います。  まず、資源産業の現状につきまして私の立場から申し上げたい点は、先ほど来から言われておりますように、昨年来からの不況あるいは円切り上げによりますところの非鉄金属価格の暴落、こういったものにおける影響がどのようになされておるかという点を、数字をあげてお知らせしたいと思います。  現在、銅を中心といたしまして申し上げますと、建て値三十五万五千円、市中の売買はそれを約一万円程度下回っておりまして、三十四万五千円ということでございます。そこで、仕上がりコストはどのようになっておりますかといいますと、先ほどのSの、いわゆる硫化鉱の問題のはね返りもございまして、現在四十三万六千、このようにいわれております。したがいまして、先ほど来、鉱山は鉱量枯渇によって閉山するということが私たちの常識としていわれておりましたけれども、昨今の問題は赤字倒産、いわゆる有用鉱物として鉱石が価値をなさない、こういうところから閉山もしくは縮小の余儀なき現状にあるわけであります。過去におきましては、一時的な現象としてこういったことはございましたけれども、現在の状況では当分回復の見込みがないという状況でございまして、そういった意味合いからも大きく国の助成ということを仰がなければならない、かように考えておるわけであります。  労働者の立場から申し上げますと、これらの問題は直ちに私たちの離山、いわゆる閉山による離山ということになってまいりますし、私のほうの傘下としては、ことしだけで七鉱山閉山をいたしております。中小企業が多うございますので、鉱山の数と、それから労働者の数を申し上げますと千五百名程度になっております。  それから公害問題に対する公害対策費、これは当然やらなければならない問題として鋭意企業側のほうも積極的にやっておりますし、私たちも自分たちの立場あるいは地域住民の立場を守るという意味合いで積極的に協力もし、やっておりますけれども、この対策費が、狭義に見ましても全体の設備投資額の約二三%はかかっておる。これは年間のことでございますが、関連して広義に見ますと五〇ないし七〇というようなこともいわれておりますけれども、大体二三%は最低でも公害費にかかっておる。この金利の圧迫によって労働者の賃金はもちろんのこと、鉱山の存続という問題にも将来一つの暗影を投げかけておるということは申すまでもないところでございます。  それから、最近休山した鉱山の一例を申し上げて恐縮でございますけれども、せっかく掘り出しました精鉱、いわゆる硫化鉱でございますが、この硫化鉱を、売れないのでまたもとの坑内に戻す、金をかけて戻さなければならない。これは堆積しておけばよろしいのでございましょうが、堆積をしておりますと、雨が降って流れることによって公害問題が発生する、こういったこともありまして、完全な堆積ができないところは坑内に戻してこれをまた埋めなければならない、こういうようなこともやっておりまして、労働者としては、血と汗でつくり出した製品をまたもとに返すというようなこともやっておる現状を見て、ますます将来に対する暗い気持ちで現在おるという点も御紹介しておきたいと思います。  それから、閉山による首切りになった方々は、ますます求人側が逼迫いたしまして失業者がふえているという現状につきましても関連して付言しておきたいと思います。  以上のような非常に追い詰められたわれわれの生活環境の中で、地域の、その地方における鉱山と生活をともにしておる方々はどのようになっておるかといいますと、鉱山は御承知のように七十キロもしくは四十キロ、これは一番都会地と離れておるところでございますが、鉱山と運命をともにしておるというそれらの商店の方々は、鉱山の閉山とともに職業までかえていかなければならない。関連して、地方自治の財政の問題あるいはそれらの方々の、運命共同体として生活しておった方々のこれからの生活問題も、これは私たちの直接の問題ではありませんが、重要な社会問題としてお考えをいただきたいという点を申し述べておきたいと思います。  それから、私たちの立場から見る資源産業の重要性、これは何と申しましてもやはり海外から持ってくるよりは、国内の資源を開発したほうが最も安定的な供給源でございまして、それをわれわれは今後も望むわけでありますけれども、それらの問題に関連した対策については後ほど御要望を申し上げたいと思っております。  それからもう一つ、昨今積極的に進められております海外開発の技術の問題、それから労働者の技能の問題を含めまして、国内鉱山がその技術を高め、技能を高めていかなければ海外の開発もできない、こういうような関係にあることは一目瞭然でございまして、そういった点からも国内鉱山の積極的な開発というものは急務とされておる点ではなかろうかということを申し上げておきたいと思います。なお、先ほど申し上げましたように、地方産業の発展、こういった面からも、あるいはわれわれ自体の雇用の維持、こういった面からも、特に鉱山の問題について十分関心をお持ちいただきたい、こう考えております。  最後に、どういったことをやっていただきたいかと申し上げますと、たくさんございますが、その中から緊急の問題として、以下四点についてあげてございます。  一つは、国内探鉱促進費という内容に、広域調査――先生方御承知の点でありますので詳しいことは省きますけれども、精密調査あるいは企業探鉱の助成、これらの問題についての増額、これをひとつはかっていただきたい。金額は別途鉱業審議会あるいは通産省案として出されているものをわれわれは支持をいたしております。  それから、金属鉱物探鉱促進事業団のそれに対する融資、この増額もはかっていただきたい。  三番目に、先ほど来説明されておりますので説明は省きますが、非鉄地金の関税率の引き上げを中心とした税制の問題の解決策をお願いしたい。  四番目には、一番大きな問題として、いま製品としての価値がなくなりつつある硫黄、硫化鉱の問題について、総合S源対策としての対処策をお願いしたい。これは輸出の問題あるいは開発途上国との関係とかいう問題では、まだまだわれわれとしては努力していく分野はあるのではないか、かように考えておりますので、ぜひとも先生方の御努力をお願いしたい、こう思っておるわけであります。  簡単に申し上げましたけれども、われわれ労働者自体としての雇用の危機の問題、これは戦後最大の危機とわれわれは考えておりますが、そういった実情について特に御判断をいただきまして、適切な対策をお願いしたい、かように申し上げて陳述を終わりたいと思います。
  127. 鴨田宗一

    ○鴨田委員長 これにて参考人の方々からの御意見の開陳は終わりました。     ―――――――――――――
  128. 鴨田宗一

    ○鴨田委員長 質疑の申し出がありますので、これを許します。橋口隆君。
  129. 橋口隆

    ○橋口委員 本日は、参考人の皆さま方には御多用中おいでくださいまして、ただいま貴重な御意見をお聞かせくださいましてありがとうございます。皆さま方からいろいろと山の実情を承りまして、われわれもどうしてもひとつお手伝いをしなければならないという決意をいま固めておるところでございます。  そこで、本日は、私は簡単に皆さま方の御意見をちょっと伺って、またあと通産省側の施策についても簡単にお聞きしたいと存じます。  初め河上参考人にお尋ねしたいと思いますが、日本の非鉄金属の鉱石は輸入に七〇%ぐらいたよっているわけで、今回の円の切り上げは非常に大きな影響を及ぼしていることはもう申し上げるまでもないところでございます。先ほどお話のあったとおりでございます。そこで、ちょっとこれは参考までに承りたいのですが、鉱物の場合は、その特殊の価格構成による今回の影響、それから海外投融資が受けた為替の差損、そういうものがいろいろあると思いますが、一番大きな点、大体どのくらいになりますか、その状況をちょっと簡単にお聞かせいただきたいと思います。
  130. 河上健次郎

    ○河上参考人 ただいまの御質問の点をお答え申し上げます。  いろいろ影響はございますうち、外貨の債権の円切り上げによりまするマイナスが、鉱山会社みずから投融資をいたしまして鉱山会社に直接振りかかってくるマイナスの面が、元金五百三十二億に対しまする切り上げの影響でございますので、七十六億円のマイナスでございます。このほか、鉱山会社が商社と相談をいたして、商社名義におきまして投融資をいたしまして、状況によりましてそういうリスクを商社と相談に応ずるという態勢にありますのが、別に差損で七十八億円ございます。これが相当大きな点でございます。  それから海外鉱石の製錬費の加工費がダウンいたします。これが円の調整に直結した損でございますが、これが年間百七十億円のマイナスでございます。  それから三番目に、国内産の鉱石が出ますが、これが円の切り上げによりまして、そうでなかった場合と切り上げ後の値幅のダウンによる国内鉱山だけの影響、これが五十三億円になります。  それから別に、われわれ業界では相当たなおろし資産を抱いております。後カ月分のたなおろし資産を抱いておりますが、これが円の切り上げによりまして建て値が落ちます結果、その分だけの評価損が出てまいります。これが百六十億に相当いたします。  こういうふうなマイナスが、先ほど申し上げました、正確に申しますと四百七十億円のうちに含まれておる主要なものでございます。  以上お答え申し上げます。
  131. 橋口隆

    ○橋口委員 ただいまお話しのように、非鉄業界の受けた円の切り上げによる影響というのは非常に大きいと思われるのですが、これにつきましては、業界から税制、金融あるいは関税対策等についていろいろと御要望があって、われわれもそれを存じているところでございますが、政府当局としては、明年度においてあるいはそれ以後においても長期の対策が必要だと思いますが、どういうような方針で臨まれ、また現在までにどの程度まで実現しつつあるか、ちょっとそれをお聞かせいただきたいと思います。
  132. 莊清

    ○莊政府委員 円切り上げに伴う非鉄金属業界の当面の損失、非常に深刻でございますが、この中で海外投融資の残高の減価に伴うもの等につきましては、これはほかにも似たような影響を受ける産業分野がございまして、これは輸出の面等でもございます。こういう問題につきましては、明年度政府全体といたしまして、御案内のとおり、税制上の特別措置による繰り延べ、繰り戻しというふうな施策がいま十大政策として検討されておるわけでございます。  さらに、前向きのより抜本的な恒久対策といたしましては、為替変動準備金制度というものが、これだけ海外との取引が大きくなっております現在、抜本的な制度として、私ども通産省としてはぜひ実現さるべきだと確信いたしておるわけでございます。  あと、いま鉱業協会会長さんから御指摘のございました、いわゆる切り上げに伴いまして、海外相場の下落がもともと昨今強うございますが、さらにその上に円切り上げのインパクトが加わっておる、そして国内の地金価格は非常に下押ししておるという問題につきましては、国内鉱山に対します通産省として従来から講じております補助金制度等の拡充を当然に要求をいたしておりますが、さらに加えまして、私ども現在の関税制度というものについて、少なくとも当面一年間は緊急措置といたしまして見直しを行なって、制度の改善をはかる必要があるということで、現在大蔵省あるいは関税制度審議会等に御相談申し上げておる状況でございます。  さらに、それらの市況の状況を反映し、海外に対します相当大量の開発なりあるいは鉱石の輸入契約の進捗という、結果としてたいへんなストックの圧力が発生しつつある。こういう問題につきましては、この際ぜひ長期的な観点に立って、滞貨融資に対する何らかの強力な緊急の対策を講ずる必要があるということで、現在政府内部で鋭意検討を急いでおるところでございます。
  133. 橋口隆

    ○橋口委員 鉱山業界はもうたびたび申し上げるように、円の切り上げの影響を一番深刻に受けている業界だと思いますので、ただいまのような施策はひとつぜひとも急速かつ強力に推進をしていただきたいと思います。  そこで、河上参考人にもう一点お聞きしたいと思いますが、最近内外の需給均衡がとれないためにどんどん鉱石が入ってきている。また製品は逆に売れない。そういう状況で在庫が非常にふえている、それで業界は非常にお困りのような話をさっき承ったのでございます。簡単でよろしゅうございますが、製品で大体何カ月、鉱石で大体何カ月くらい累積しているか、その点をちょっとお聞かせいただきたいと思います。
  134. 莊清

    ○莊政府委員 後ほど製品について御説明願うといたしまして、とりあえず、最近私どもが輸入鉱石を中心に詳細な調査をいたしましたので、それを御報告申し上げます。  鉱石でございますが、銅につきましては、今年度末の鉱石在庫量が地金量で十三万六千トン、うち八万五千トン程度が、これは地金量換算でございますが、過剰と考えられますので、金額で二百五十数億と見られます。それから鉛につきましては、本年度末在庫量が、同じく地金ベースで五万五千トン程度、そのうち四万四千トン程度がやはり過剰な在庫でございまして、金額で二十八億程度、亜鉛につきましては、同様期末在庫十一万九千トン、過剰約八万トン、金額五十五億、以上三つを締めまして約三百四十億円程度が鉱石としての今年度末現在における過剰分というふうに考えられるわけでございます。
  135. 河上健次郎

    ○河上参考人 ただいまの製品ストックの状況を申し上げますと、銅が最近のストックは九万トンでございます。一カ月の生産が大体七万トンでございますので、一カ月半近くになっております。この年度末には、この調子でまいりますとかなりなストックになる予想でございます。鉛、亜鉛を申し上げますと、鉛は約二万トンでございまいます。亜鉛は約九万トン、鉛は少し少のうございますが、これはいずれも大体銅と同じようなストックの状況でございます。なおニッケルの状況でございますが、純ニッケルは約三月分くらいのストック、フェロニッケルに至りましては半年分くらいのストック状況に相なっております。  以上でございます。
  136. 橋口隆

    ○橋口委員 この鉱石、製品はだんだんふえる一方だと思われるのですが、これをこのままほっておいては非常な負担になるわけで、さしあたって政府としてはういうふうな対策をおとりになるつもりか。長期低利の融資をすることは非常に必要だと思いますが、ただいまどういう手を打っておいでなるか、それをまず承りたいと思います。  それから、幸が不幸か、せっかくこういうような備蓄がだんだんふえる状況ですが、これを制度的に安定させて鉱産物の取引を安定化するための制度というものは考えられないか、それをひとつお聞かせいただきたいと思います。
  137. 莊清

    ○莊政府委員 当面の輸入鉱石を中心にします異常在庫につきましては、通産省といたしましては最も有効な手段といたしまして、いわゆる外貨貸し制度の活用ということを現在考えておるわけでございまして、財政当局とも何とかこれの解決を見るべく交渉を始めておるところでございます。  恒久的な問題といたしまして、異常在庫の問題を離れまして、やはり非鉄金属というきわめてすぐれた国際商品であり、需給価格等が非常に大幅に動くというものにつきましては、たとえば政府の金も出した形で、何らかの本格的な備蓄機関というものが必要ではないかという意見が最近きわめて有力でございます。この問題は、鉱業政策のいろんな面に非常に関係の深い重要な問題でございますので、私ども通産省といたしましては、鉱業審議会の場で各界有識者の御意見も伺いながら早急にこれの検討を進めたい、備蓄構想についてはかように考えておるわけでございます。
  138. 橋口隆

    ○橋口委員 次に原口参考人にちょっとお伺いいたしますが、先ほどからこの業界の実情、労働者の皆さま方に非常に大きな影響のある問題についていろいろ承ったのですが、その中で特に年金制度を実現してほしい、それから退職者の共済制度も確立してほしいというような御意見があったかに思いますが、現在大手の会社あたりでそういう制度を相当実施されていると思いますけれども、その実情はいかがですか。
  139. 原口幸隆

    ○原口参考人 各社によって一様でございません。しかも金額についても、生活を保障するような金額にはなっておりませんし、会社負担による年金制度じゃなくて、従業員も含めて毎月出すというような制度もございまして、私どもが望んでおりますのは、やはり鉱山全体として社会的に通用できる常識的な年金制度、つまり国家機関による年金制度ということを望んでおる次第でございます。
  140. 橋口隆

    ○橋口委員 われわれも、そういう制度をぜひとも確立する必要があろうと考えまして、できるならばひとつ当委員会でもそれをお手伝いしよう、こういうふうに考えておる次第でございます。  そこで森嶋参考人にちょっとお尋ねいたしますが、現在までに数千人の離職者が出ているわけでございますけれども、その方々に対する退職金、そういうものは現状では十分行き届いておりますですか。
  141. 森嶋勝男

    ○森嶋参考人 これも一がいには言えない面があるのですけれども、わりあい大企業のほうは退職金規定のほかに、特別退職金とかというのを付加して出しておりますけれども、一社一山になりますと、この退職金すら払えないというところがあるのではないか、こういうように考えております。
  142. 橋口隆

    ○橋口委員 次に平塚参考人にお尋ねいたしますが、探鉱事業団は非常に活躍をされておって、最近の日本の鉱山界の発展には貢献されたので、非常に御同慶にたえないところでございますが、これからは、特に海外に進出する場合に情報の収集が必要だということ、これはもう先ほどお話もあったところでございます。ところが、現実にはなかなか手足がないので、これは石油も同様だと思うのですが、十分なそういう情報収集ができないから、みすみす利権を取られてしまう、そういうような場合が多いと思うのですね。だから今後どういうような具体的な手段で情報をお集めになるつもりか。  またもう一つは、この探鉱事業団自体で、いま石油開発公団で問題になっておりますが、国際的競争の場合に乗っ取られないように、利権取得まで手を出すというような、そういう御構想はないかどうか。時間がありませんので、その点を簡単にお聞かせいただきたいと思います。
  143. 平塚保明

    ○平塚参考人 ただいま御質問の点につきまして、まことにごもっともと存じております。私どももできるだけ多くの地域、特に鉱業に関係のある地域に常時人を派遣いたしておりまして、それからニュースを獲得したい、こういうふうに考えておりますが、なかなかこれも予算面もあろうと存じまするが、今年度は二カ所ふやしていただいて四カ所になっております。また、明年度はさらに四カ所ほどお願いを申し上げておる次第であります。これは私どもだけでなく、ジェトロその他同じような政府機関と協力して目的を達成していきたい、こういうふうに考えておる次第であります。  次に、海外の資源の権利を確保するのに考えがあるかということでございますが、これも日本の鉱業政策でございますので、私から申し上げるのもどうかと存ずる次第でありますが、個人の意見を述べろということでございますると、私はやはり権利の確保というのが、なかなか時間をかしてはよそから乗っ取られてしまう。これは非常にむずかしいので、したがいまして、国の機関はなかなか予算に縛られて、こういういいものがあるからそれを手に入れようじゃないか、それから予算をやっていたのでは間に合わない。さようなことで、やはり民間にやらせて、それを国が違った形でバックアップするという形でやるべきではないか、かように考えておる次第であります。
  144. 橋口隆

    ○橋口委員 もう一点お尋ねいたしますが、先ほど原口参考人から国内鉱山の開発が必要じゃないか、こういうお話がございました。これは平塚参考人にお伺いしますが、日本の鉱山は残されておる量は非常に貧弱じゃないかという一般的なわれわれの常識でございますけれども、まだ今後探鉱を進めれば幾らでも出てくる――幾らでもと言うと語弊がありますが、かなりの量は見つかるという可能性はあるものでございますか。
  145. 平塚保明

    ○平塚参考人 お答えいたします。  この問題はいま御指摘のとおりでございまして、いろいろな面から先ほども御説明がありましたが、鉱山がどんどんなくなってくる、これは鉱量の枯渇というのは――要するに品位がなければだめだ、石はあっても品位がそのときの国際価格にペイしないというと引き合わなくなる。石があって結局やめてしまわなければならぬというような形になってきておるわけで、結局高品位のものが得られなければいけないということだろうと思います。先ほど御説明申し上げましたように、片方では有名な生野鉱山もやめようというし、あるいは尾去沢鉱山という、奈良の大仏さんの銅を出したというようなところも縮小せざるを得ぬというような状態になっておりまするが、一面において、全くこの十五年前にはなかった鉱山、釈迦内鉱山しかり、花岡鉱山の松峯鉱床しかり、小坂鉱山の内の岱しかり、かような鉱山が次々と発見されておりまして、たとえば花岡鉱山などというもう戦後一度ももうかったことがないような鉱山が、今日ただいま月に千五百トン近い銅を出しておる。これは歯を食いしばって探鉱をやったおかげである。これはなぜそういうことができたかということは、同じ会社に岡山県に柵原鉱山という、これは硫化鉱の増産すなわち食糧増産に非常に貢献いたしましたが、非常にいい山がある。それのもうけた金をそこにつぎ込んで探鉱した結果でありまして、さようなことからいたしますと、まだ日本には資源は見つければある。これは一例を申し上げますと、私どもも戦争中に軍需省からいろいろと言われて全国をずいぶん調べて増産をやりましたが、当時の軍の力をもってしても、国内の生産は銅について見ますとわずか七万トン強にすぎなかった。それは幾らかかってもよろしい、とにかく物を出せということでやってすら七万トン。それが今日国際ベースで国内だけで十二万トン出しております。それでは私ども戦争中にそれだけ努力をしなかったかというと、非常な無理をしてまでやってなおかつ七万トンしか出なかった。私は当時のことを考えると、とうてい今日のような十二万トンなんという銅が出ようとは思っておりませんでした。さようなことからすると、私はまだ十分に可能性はあると信じております。
  146. 橋口隆

    ○橋口委員 ただいまの平塚さんのお話を聞いて非常に意を強くする次第でございます。今後とも鉱業界の発展のためにも、また労務者の職場の安定という意味からも、ひとつ強く国内の鉱山を探鉱し、開発していただきたいと思います。それにつきましては政府のほうでも探鉱資金の大幅な増額、また開発資金の助成、そういう点について格段の御努力をお願いしたいと思います。
  147. 鴨田宗一

    ○鴨田委員長 橋口君、簡単にひとつ……。
  148. 橋口隆

    ○橋口委員 最後にもう一点、河上参考人にお聞きいたしますが、先ほど、原口参考人から硫黄対策についてもっと研究の分野を広げれば、もっと需要が広がるのではないか、こういうお話がございましたが、その点についていまどういう研究が進められているか、簡単でよろしゅうございますが、お聞かせをいただきたい。
  149. 河上健次郎

    ○河上参考人 硫黄源の問題でございますね。非常に大問題でございまして、積極的に硫黄源を新しく開発するという問題、これは硫黄の製品を従来のルート以外の新しい製品分野にアプライできるのではないかといったようなことで、業界の内部でもかなりの専門家といろいろ協議を進めておるというスタディもやっております。広くはそういう点を総合S源対策、政府の肝いりで、関連の業界からも、有識の各界からも、総合S源対策の検討を進めていただまして、需要分野の開拓、それから輸出のプッシュといったようなものをあわせまして、向け先の拡大ということに真剣に今後もわれわれつとめたい、かように考えております。
  150. 橋口隆

    ○橋口委員 本日はいろいろと貴重な御意見をお聞かせくださいましてありがとうございました。非常な苦境にある現在ではございますが、鉱山業界、政府ともに力を合わせて、この危機を切り抜けていくようにひとつお願いを申し上げて、私の御質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  151. 鴨田宗一

    ○鴨田委員長 松平忠久君。
  152. 松平忠久

    松平委員 時間がありませんので、簡単に二、三質問したいと思います。  第一点は、今後の国際経済の急変転というかそれに対する短期的な措置、それからさらには進んで日本の鉱山資源の全体の問題としての長期の計画、こういうことでありますが、先日実は中小の鉱山の方が私のほうに見えまして、そしてこの安定供給、国際的な相場のために非常に苦境に立っているのをどうしたらいいかということについての陳情があったのですが、そのとき私が申し上げたのは、かつてそういうときに銅については一手買い取り機関というものを設けた、銅、鉛、亜鉛というものが国際間の相場によっていろいろ左右されて困るということであるならば、あれを復活して、そして一定買い取り機関をつくって、そこで国内のものもプール計算してやったならばこの危機はある程度解消できるんじゃないか、こういうことを申し上げておったのです。実はいま、たしかあしたになると思うのですけれども、生糸の問題について農林水産委員会で一手買い取り機関、これを蚕糸事業団にやらせるということで法律を改正する予定になっております。当初はいろいろ問題がありましたけれども、それをやるということに昨日夕方踏み切ったわけであります。したがって、私は一手買い取り機関というものをやはり復活して、そしてとりあえずそれを通じてやって、プール計算していくというやり方を採用したらどうか、こういうふうに自分では思っているわけでありますけれども、政府の人々に聞いてみると、なかなか困難だ、業界がまとまらないということを言っているわけであります。これに対して河上参考人の御意見を聞かしていただきたいと思います。
  153. 河上健次郎

    ○河上参考人 ただいま先生の一手買い取りのお考えは、かつて貿易自由化に対処する鉱業のあり方の真剣な御論議がございました問題でございます。当時も私ども意見を聞かれまして申し上げたわけでございますが、全面的に一手で買い取って、これの価格、配給ルートに関連する計画と申しますか、統制的な機能で貫くという考えには私どもといたしては同意できませんでして、ベースといたしましては、やはりそういうルートにつきましては一手買い取りという形でなく、ただ価格、需給の安定の方策といたしましていろいろな制度を考えていきたいというふうに申し上げたかと記憶いたしております。現在でも根本といたしましてはそういう考えでおるわけでございます。  先ほど申し上げました需給安定、価格安定を兼ねまして資源開発の関連で備蓄機関というふうな構想を、ぜひこれは将来の構想として必要だということは、需給価格安定のための一つの考え方でございまして、現在のようなこういう非常に変則的な事態を防ぎ、かつ非常にホットな状況になりますタイトな状況を緩和するためにぜひ必要である、こういう観点で考えておるわけでございます。
  154. 松平忠久

    松平委員 備蓄に関しましていま御意見があったのですけれども、実はほかの産業、いまも申しました生糸については蚕糸事業団というのがありまして、これが一定の値段から下がると全部買い上げるということになっておって、言いかえるならば、これはやはり備蓄の作用をしておるわけです。  そこで、もしそういう機関をつくるということであるならば法律的事項を要するのじゃないかと思いますけれども、拙速的にやるというのであるならば探鉱事業団というものを拡大強化していって、そして探鉱事業団がある程度備蓄をして金を払って買うということがいわば手っとり早くできるんじゃないかと思うのです。新しくつくるよりも、それも一つの方法で、備蓄部と探鉱部というものがあればそれでいいわけですけれども、その考え方はどうですか。これは河上さんと平塚さんにお尋ねしたいと思います。
  155. 河上健次郎

    ○河上参考人 備蓄が手っとり早くいくという方法につきまして、実は名案を持ち合わせておりません。やはり政府機関をひとつつくっていただきたい。アメリカがやっておりますストックパイルの制度がございます。ああいうものをはっきりつくっていただきたいということがわれわれの願いでございますが、その変形として、現在あります制度のうちで比較的そういうふうなことを、しいて言えばやり得るというようなことの一つのアイデアとしては、お話のような点があろうかと思います。いずれにいたしましても法律改正が必要になるのではないだろうか。その辺、私ども専門ではございませんので、よくわかりませんでございます。
  156. 平塚保明

    ○平塚参考人 お答えいたします。  これも政府の政策でございますが、どうしても備蓄をやる、どっかがやらなければならぬということで、おまえのところがやれという御命令であれば、喜んで私がお引き受けする用意がございます。
  157. 松平忠久

    松平委員 鉱山局長、ちょっと聞きたいのですが、ドイツでやはり一手買い取り機関をつくるということになって法律案を出しましたけれども、あの当時は流れてしまったのです。どうして流れたのか、あるいは今日はどういう状態になっておるのか、その一手買い取り機関というような構想でやっている国があるかどうかということを聞かしてもらいたい。
  158. 莊清

    ○莊政府委員 私、ドイツの構想については実はあまり詳細存じておりませんが、現在までのところまだそれは実現していないというふうに実は聞いております。わが国でも、いま参考人の方からお話ございましたように、本格的な備蓄機関というものを将来つくるということになりました場合には、やはりその持つべき機能というふうなものの特殊性等もございますし、また政府機関ということになりますれば、そういう機能にもやはり注目をいたしまして、それに最もふさわしい形のものというものが一つあるということが国際的に見ても一番自然ではないか、こういうふうに考えております。
  159. 松平忠久

    松平委員 ときどき銅、鉛、亜鉛についてはこういうことを繰り返しておるわけでありますが、その最大の原因は国際相場の変動、今回はそれにさらに加わって円の切り上げということがありますけれども、国際相場の変動であって、したがってその影響を受けるのはわが国だけじゃないと思うのです。これはどこも受けるのはあたりまえだ。そういたしますと、非鉄金属について国際間の協定を結ぶとかあるいは国際間で話し合ってやるとかということができないのかどうか。ある程度の話し合いをやっているかとも思うのです。ところがソ連がここに加わらないということで、ソ連から安い銅を出してくるとこれがくずれてしまうということを聞いておったのですけれども、国際的に業界あるいは政府間、そういうところにおいて、非鉄金属の安定供給というものをはかるための考え方というものを持ち合わしていないのかどうか、また業界においてそういう動きというものがあるのかどうか、こういうことがわかりましたら、これは河上さんと荘局長から御答弁願いたいと思います。
  160. 河上健次郎

    ○河上参考人 いま松平先生がおっしゃいました問題は私どもとしても非常な関心を持っておるのです。よく海外の同じ立場の連中と会います際にこういう話が必ず出ます。昔はアメリカの生産者が中心になりまして生産者価格というものをつくっておりました。ロンドン相場は物の世界的な交換の相場でございまして、数千トンというものが毎日取引されまして、それがきまっておるようなことでございます。そうでなくて、生産者の立場も反映いたしまして、需給の状況は見るが、生産者の立場で、比較的安定した立場でのプライスがほしいということで、生産者価格というのがきめられておりまして、われわれも国内相場はそういうことにリンクいたしましてやっておりました。まだいまよりははるかによかったわけでございます。そういうものの復活ということが必要だなということは、みな各国で感じております。消費者業界のほうもそういうふうな気持ちでございます。ただ具体的な機運に出ませんのは、アメリカのほうはそういうことは率先してやりたがらない、これが非常に微妙な問題でございますので、そういうことについては非常にアクションが表向きとれない。そこで日本あたりは、需要の点から見ましても生産の点から見ましても、非常な勢力なので、ひとつ日本がそういうことを音頭をとって、君らがやるべきじゃないかといったような話も、実は内々プライベートにございます。しかし実情は、CIPEC諸国、チリ、ザンビアといったような発展途上国が、これは別の立場で一つのユニオンを結成しようというふうな動きでございまして、これとやはりある程度タイアップいたしませんと、なかなか実行不可能であるといったような問題がございまして、これはなかなか実施の運びにはいっておりませんが、そういうことを非常に痛感しておるということは事実でございます。
  161. 莊清

    ○莊政府委員 非鉄金属もございますが、石油では、御案内のように、産出国がOPECという強力な組織で最近動いてまいっておりまして、わが国などはむしろメージャーとの間にはさまって、非常に苦労しておるという状況でございます。ただ、大型消費国としてのわが国という見地から考えますと、これはいたずらにお互いに対立し合うというだけでは問題は解決しませんので、日本も開発に乗り出しつつ、OPECとも協調する、経済協力もする、それからメージャーとも提携すべきときは提携するというふうな形の、新しい原油の開発なり利用についての国際的な秩序というものを目がけて努力すべきだろうというふうに、通産省も思っておるわけでございます。  非鉄につきましては、いま会長からお話ございまたように、CIPEC等と消費国とかつては何らかの話し合いをしたらどうかという動きもあったようでございますけれども、そのうちに国際相場が上がり出すとお互いに利害が相反しまして、実現しなかったというふうなことも実は聞いております。ただ長期的に見ますと、原油の場合以上に、非鉄金属の場合には、私ども見まするに、わが国のような大型消費国対アンデス諸国とかいうものを見ますと、典型的な南北問題的な様相を示しておって、原油があるために非常に所得が伸びておるというふうな一部のOPEC諸国のような現象は、非鉄金属ではまずほとんど見られないということもございますので、やはり先進国と非常な低開発国との今後の協力のあり方というものは、国際協調を主軸に考えるべきものだと思います。したがって、その中でやはり非鉄金属の開発というものが中心になるテーマでございますから、これは単なる開発とか輸出入ということではなくて、そういう政治、外交も含めた協力関係の一環として、何らかのかっこうで政府としてはそういう方向に向かう姿勢を堅持しつつやっていくということが基本でなければならないと考えておる次第でございます。
  162. 松平忠久

    松平委員 まさにそのとおりだろうと思うのです。新しい国際的な経済秩序というところへ入り込んでいかざるを得ないわけですから、わが国としては。その方向にある程度世界の世論を指導していく役割りを持つくらいの考え方を、業界にも政府にも持ってもらいたいと思うのです。  それに関連して、一つ気になりますことは、いわゆる海外における鉱物探鉱、資源の探鉱をやっておられて、だんだんそのウエートが高くなってきておる、それに対する世界的な日本に対する感触というか印象というものは私はだんだん悪くなってきておる、こう見ておるわけです。ことに中国あたりが国際連合に加盟をして、いろいろあそこで発言をしおりますが、そういう発言の中に、日本における経済の発展というものは、資源が乏しいのだから海外に行かざるを得ないのだ、海外に行くということは、そこにこれを保護する、こういう立場に立たざるを得なくなるから、どうしても軍国主義化に進むのではないかという、そういう意向のことをあちらこちらで言っておることも御承知のとおりであります。したがって、海外におけるこのウエートが高まってくればくるほど、探鉱開発の姿勢というものを省みていかなければならない。先ほどの参考人の方の御意見の中には、そういう点にも若干抽象的には触れておられました。  そこで私はお尋ねしたいのは、その国の経済に対してできるだけ協力するという体制、そういう姿勢、態度というものが必要なんですが、それには製錬過程までその国においてやっていかなければならない、こういうことになる可能性が多いと思うのですが、現在までの日本の探鉱の中で製錬所までつくってやっているところがあるのかどうか、あるいは外国にそういう事例があるのかどうか、もしおわかりになったら、これは河上さんから伺わしていただきたいと思う。同時に、日本における海外資源の探鉱についての態度はいかにあるべきかということを、あわせてお答え願いたいと思うのです。
  163. 河上健次郎

    ○河上参考人 ただいまの御質問の点でございますが、東南アジアの各国、具体的に申し上げますが、インドネシアと私どもハルマヘラ島のニッケルの開発につきまして、開発を前提とした探鉱契約をやりまして、本格的な探鉱をやっております。その場合には、将来製錬所をやるのに適当なスケールのものに発展できる経済的な可能性があれば、製錬所までやります、こういう前提でやっております。そういうふうな考え方は、ほかの場合にも今後できょうかと思います。いままでは、具体的に製錬所までやるということまで形にあらわれておりません。今後はそういうケースができるだろう、こういうふうに思っております。  なお、探鉱開発の場合の各国との関係におきましては、幸いにいたしまして、私ども非鉄の場合には比較的問題はございません。むしろアメリカよりは、南米においては特にそうでございますが、東南アジアにも比較的よく好感を持って受け入れられております。この点は幸いだ、今後も一そうそういう点については留意したい、かように考えております。
  164. 松平忠久

    松平委員 最後に労働問題について若干お伺いしたいと思うのですが、一つの考え方としては、石炭産業のときに相当政治的な力を入れまして、そして離職者に対するいわゆる失業手当というものは三年間延長するとか、あるいは訓練する場合の特別の費用とか、そういうことについて石炭産業ではそれをなし遂げたわけですが、あの当時閉山した非鉄金属についてはそれは適用を受けなかった。これは非鉄金属のほうの政治力が足りなかったかとも思うのです。いずれにしてもそういう事例が石炭の場合にはあったわけなんです。したがって、今度のこの危機にあたりましては、かつての石炭並みのああいうやり方を政府に要望しなくちゃならぬと思うのです。業界もあるいは労働組合も一緒になってそういう考え方に立たないといかぬと思うのですが、その点についての取り組み方について伺いたい。  同時に、ことに中小の場合ですが、先ほど来ちょっとここで質疑応答がありましたけれども、特別の退職金制度というものを考えて、そしてそれは法律的にほかの借金に流用できないのだ、優先的に労働者の賃金に支払うのだ、こういう制度をつくる必要があるのじゃないか、こういうふうに思いますけれども、この二点について組合のほうの原口さん、ひとつお願いします。
  165. 原口幸隆

    ○原口参考人 二番目の御質問の、優先的に退職金制度について考えるべきであるという点については全く同感でございます。過去の例で、年金はもとよりのこと、規定の退職金すら出されないままにほうり出されたという例がほとんどでございまして、そういう意味では優先的に保障をするという点が必要だと思います。  それから第一番目については、率直に私この問題については悩んでおるところがあるのですが、ということは、金属鉱業というものは石炭産業と同じ運命をたどるべき産業ではないという点であります。つまり金属鉱業というものは将来発展していかなければならない産業、保護されなければならない産業である。したがって、非常にかってな言い分になるのですけれども、しかしながら現実に鉱山がつぶれておりますから、その点では石炭並みの離職者に対する手当てをほしい、しかし第二の石炭産業であるというらく印は押されたくない、そういうところに、率直に申し上げて私の悩みと申しますか、問題点を感じております。
  166. 松平忠久

    松平委員 時間が来ましたのでこれで終わります。
  167. 鴨田宗一

    ○鴨田委員長 次に岡田利春君。
  168. 岡田利春

    岡田委員 先ほど来からお話がありますように、まさしくわが国の石炭鉱業は重大な危機にあると私は思うわけです。最近の動向を見ますと、いわば閉山ラッシュという表現がぴったりと当てはまるのではなかろうか、実はこういう受けとめ方をしておるわけです。なかんずく金属の中でも銅価格の動向というのが、特に大宗的にわが国の金属鉱業に重大な影響を及ぼしているわけです。  そこで、今度新しい為替レートもきまりましたけれども、現在の銅価格は、一ポンド八百円とすれば大体三十二万程度になるわけですが、このなべ底の価格動向が一体どこまで続いていくか、この見方が政策を立てる上に非常に大事ではないか、私はこう思うわけです。業界の要望もあって政府は一〇%の関税を実施をする、製錬赤字二万四千円から、鉱山に対しては三万五千円程度、こういう方向でいまの危機を乗り切ろうとしておるわけですが、これもいろいろ政治的な情勢の中で一年間の暫定措置という方向で動いているように受けとめているわけです。私は、少なくともこの銅価格の低迷動向というのは大体昭和五十年までは続くと見なければならぬのではなかろうか、今後五年間程度は続くと見なければならないのではないか、こういう私自身の判断があるわけですが、この点について、特に業界を代表している河上参考人は、この銅価格の動向について一応どういう見通しの上に立たれて、先ほど来読んでおったわけですけれども、こういう当面の対策を要望されておるのか、お伺いしたいと思うのです。
  169. 河上健次郎

    ○河上参考人 私は何十年この仕事をやっておりますが、はなはだお恥ずかしい次第でございますが、長期の銅価の見通しがいつもはずれております。したがいまして、口幅ったいことは申し上げかねるわけでございます。しかしながら、どうもいままでの銅価の動きを見まして、また今後のこういうかなりの長期的な構造上の不況というふうなことを考えてみますと、日本の国内だけで銅価の先行きに対してどうういう影響を与えるかということにつきましての材料はこれは何もございませんで、はなはだ遺憾ながら、問題はアメリカがはたしてどの程度に、どのくらいの早さで立ち直るかということが一つのキーポイントであり、もう一つは、銅の生産国、CIPEC諸国の安定が生産をどの程度スムーズにキープしていくかという二点にかかると思います。  あとの発展途上国、CIPEC諸国の状況はチリはじめ、はなはだ芳しくございません。おそらくそうスムーズに増産のペースはいくまいというふうに思われます。問題はアメリカの景況いかんということにかかってくる点が非常に多いと思います。しかしながら、アメリカといえども、ここまで各国に迷惑をかけて、その下ささえはできたというふうなかっこうでございましょうから、幸い建築、自動車を中心といたしまして、多少はこの辺で上向きの景況であるということを聞いておりますので、そういう点から判断しますと、いまの惨たんたる状況は多少は回復するだろう、しかしながら、先生おっしゃいますように、それを急速に高目に持っていくことはとうてい不可能だと思います。私は、そういうもたもたした状況がいまから多少上向きましても、はなはだもって芳しくない状況がおそらく一年あるいは一年半近く続くのではないだろうか、それからあとは持ち直すだろう、しかしかつてのような七百ポンドにいくという状況は、これはちょっといまのところでは想像できない、かように申し上げる以外に材料を持ち合わせておらないのでございます。
  170. 岡田利春

    岡田委員 私は、やはり銅価格というのはこれから、チリあたりは国有化問題でいろいろ問題がございますけれども、大型プロジェクトの開発を進めていく、しかも高品位の採掘に後進国としては重点を移していくということは、経済の発展上、当面急速にそれだけの資金を用意するためには、そういう傾向を深めるのではないか、こういう判断に立ちますと、どうしても油のようになめらかにいくのではなくて、階段的にいく、階段の角が常にはみ出す傾向はこれから続いていくのではないかと実は見ておるわけです。  そういう面と相関連して、結局いま協力自主開発といいますか、あるいは融資買鉱といいますか、この占める量というのはきわめて微々たるもので、大体二割程度、若干ではないかと思うのです。あとは取引協定による長期契約によるいわゆる引き取りになっているわけです。しかもこの長期取引協定の内容はきわめて硬直化し、弾力性を欠いているといわなければならないのではないかと思うのです。鉄鋼の場合ですとある程度上限下限で弾力性がある条項があるわけですけれども、いまの金属鉱物の取引協定の場合にはきちっとしているわけです。全然固定化しているわけですね。硬直化しているわけです。これは、やはり今日の情勢になってみると、協定の失敗ではなかろうか、こういう感じが反省点として率直に出るのではなかろうか。こう考えてまいりますと、やはり長期取引協定についてもある程度チェックする必要があるだろう、いままでの協定内容を是正していく必要があるのではないのか、こう考えざるを得ないわけです。そういう意味で、先ほどの備蓄対策の問題もあるわけですけれども、やはりこの金属鉱物の需給調整の何らかの機関、会議でもけっこうです、協会でもけっこうです。そういうものをつくって、そういう面についてチェックしていくという総合的なものごとの考え方、つまり業界も政府も関係者も、私はそういう方向に発想をこれから展開していかなければならないのではなかろうか、こう率直に思うのですが、この点についてはいかがでしょうか。
  171. 河上健次郎

    ○河上参考人 いま先生おっしゃいました、いままでの買鉱契約、外国との契約のあり方の点につきましては、こちらの状況にある程度合わせました量的な伸縮の問題あるいは買鉱条件のあり方、こういう点につきまして、いままでは量的に非常にこちらが確保したいという必要に迫られました、いわば売り手市場が数年間続いておりました。そのときの産物でございますので、これをいまの時点で見直しまして、もっと日本の立場で合理的なベースに引き直すというふうなことは必要があるということで、今後契約の更改の場合に対処してまいるということは当然でございます。その点大いにやりたい。  それから広い意味での需給の問題につきまして、やはりわれわれ生産業者あるいは需要業界、あるいは高所から鉱山行政を御指導いただく役所の観点からいろいろ御意見を出していただき、われわれからも意見を出すといった方向で、今後のやはり業界全体の秩序ある行き方を考えてまいるというふうな構想は非常に私どもとしても気をつけて考えていくべき問題がある。たいへんけっこうなことであり、そういう方向でわれわれとしても取っ組んでいくというふうなことにはいたしたい、かような気持ちでございます。     〔委員長退席、進藤委員長代理着席〕
  172. 岡田利春

    岡田委員 平塚参考人にお聞きしたいと思うのですが、先ほど事業団の開発利権の問題について、これは非常に特殊法人であり、国の検査院との関係もあって、そういう意味であまり適当でないというような御発言があったわけですが、しかしその論理からいくと、石油開発事業団が利権を獲得するということもやはりあまり好ましくないということになるのではないかと思うのです、同じ公団、事業団でありますから。問題は、要は弾力的な運用がどうできるかということにかかっておるのではないのか。石油開発事業団が利権の獲得をする、おそらく来年通常国会に出されると思うのです。そういう面から見れば、やはりそこにはくふうが当然なされるでしょうし、そういうことも可能になるのではないか。もう一つ、やはりいま政府、業界で出資をしている海外鉱物資源開発株式会社ですね。これは残念ながら、私に言わせると有名無実のような状態で、行監等からもこの会社はやめたほうがいいのではないかなどという意見も実は出ているわけです。ですから、もう少しこれからの開発を考えますと、自主開発というよりも協力開発、発展途上国に経済協力をするということになってくるわけですから、いわゆるそれぞれの企業、あるいはせっかくつくっている海外鉱物資源開発株式会社の内容が不十分ならば、これを充実をする、そして事業団、こういう三つの関係が総合的にタイアップをして、海外の資源の安定的供給に資していく、こういうからみ合いがより合理的にいくことが望ましいし、たとえば今度これの対象鉱種にアルミなども含まれておりますけれども、まあオーストラリアのアルミ開発なんかの場合は、一つの企業ではとうていできるものではないわけです。相当な総合的な戦力を結合して初めてあの状況を満たすことが可能だといえると思うのです。ですから、そういう体制と準備というものはもはや必要になってきておるのではないか。そう意味で事業団や、せっかくつくっている海外鉱物資源開発株式会社、それからいますでに企業がどんどん進んでいるわけですから、そういう総合的なやはりタイアップの姿勢、こういうことがより望ましい段階に入っておるのではないかというのが私の意見ですけれども、いかがでしょうか。
  173. 平塚保明

    ○平塚参考人 お答えを申し上げます。  ただいまの先生の御意見、まことにごもっともと私も思います。ただ、いまお話がございました私のほうの事業団、これは鉱山局の指示によってそのとおり動いておる国の組織でございますが、海鉱発その他海外の直接開発を担当しております会社、これはいま先生おっしゃいましたように、それぞれ銅、鉛、亜鉛については海外鉱物資源開発株式会社、アルミについてはアルミニウム資源開発株式会社、ウランについては海外ウラン資源開発株式会社、石炭については海外原料炭開発株式会社、今度はまた新しくクロムについてクロムの、これは単に鉱山会社だけでなく、鉱山会社がみんな集まり、それに事業家と商社あるいは金融機関なども一緒になった機関ができておるわけです。そういう意味で、先生のおっしゃったようにその業界あげて協力してやる。これはそのためにそれぞれ名前を銘打った会社ができておるわけで、権利はその会社に持たせて、そうして、それで国のそれに対する補助を事業団を通じて出すという形にやっていけば、決していまのがうまくいかないのではないので、たまたま海鉱発が最初に取り組んだプロジェクトにうまくいかなかったということが、だいぶ時期的にも、あるいは金の面でもむだをしてしまったということが今日災いをしておるのだというふうに私は解釈いたしておりますが、いま先生のおっしゃいましたように、各機関が力を合わせてそれぞれの鉱種について海外の開発をやること、大賛成でございまして、ぜひその方向に持っていかなければならぬ、こういうふうに考えております。
  174. 岡田利春

    岡田委員 私は国内の鉱山をずっと北海道から九州まで回って歩いてみて、いま事業団が進めているいわゆる広域調査三段階方式、それで現地でもいろいろ率直にエンジニアあるいはまた市町村等から意見を聞きますと、日本列島の地質地図をつくる上においては、こういう方式でもいいだろう、しかし今日の金属鉱業を取り巻くいろいろな情勢等から判断し、また中小鉱山等の実態から判断をすると、どうもこれは実情に合わない面もあるのではないか、もう少し情勢に即応する動きと、それから基本的な調査というものをうまく合わしてやるような方法が一番望ましいのではないか。私の持論は、四段階方式をとるべきだというのが私の持論でありまして、従来の地質調査、それに構造ボーリング、これは基本ボーリングといいますか、   〔進藤委員長代理退席、委員長着席〕 その次に構造ボーリングを打ち、一キロ離れたところに構造ボーリングを打って、そうしてやはりこの開発に直接結びつく、あるいは生きている山そのものが次へ転換でき得る準備体制がとり得る、そういうボーリングを協力的にやっていく、もちろん新鉱床探査補助金などが出ておりますけれども、これではできるものではないわけですから、そういうことが最も望ましいし、特に要望等から見てもそういうことをやるべきではないか。来年度予算は従来どおり三段階方式で要求しているのですが、この金属鉱業を取り巻く情勢から見れば、私はその予算をある程度弾力的に運用するということも必要ではないかと思います。基本的には、やはりそういう立て方を変えるべきではないのか。特に中小鉱山の場合には、国、地方自治体、一部自治体、それに当該受益者、受益企業、といってもなかなか中小鉱山の場合にはそれすら負担できないというのが現状だと思うのです。せめてそういう前向きの政策をいまやらないで何が金属鉱業政策かということに私はなるのではなかろうか、こう思うのですが、この点については事業団の平塚さんから聞くよりも、この際河上さんから、私のそういう考え方についてどういう見解を持たれておるか、お聞きしておきたいと思うのです。
  175. 河上健次郎

    ○河上参考人 企業の立場では、もうすぐに企業にめしの種に早くなるような探鉱の性格というものはないものだろうかということで、目をさらにしておるわけでございます。そういうことで事業団のおやりになるものが少しでもこれが企業探鉱に直結して、企業探鉱に直接プラスになるようなことを歓迎したいということは、われわれ企業の立場からの率直な感じでございます。  ただ、事業団の立場での探鉱がいまの三段階方式で、それぞれにはっきりした探鉱の指針というものがありまして、広い意味では企業探鉱に通ずるための基礎調査ということが非常に重要な使命でございまして、これは企業ではとてもできないことでございまして、やっぱり考え方としてはそこは割り切って、企業でできないものは、本格的にやるということは事業団中心でやってもらう、企業でやれる範囲の探鉱は、探鉱費にわれわれ自身が金を回し得るような道を別途にはっきり講じてもらうという、二つにこれは分けて考えざるを得ない、こういう気持ちでございます。
  176. 岡田利春

    岡田委員 私は金属鉱業の鉱公害の問題について非常に心配をしておる一員でありますけれども、いわゆる金属鉱業の場合には、一番歴史の古い、歴史的な流れを持っており、最近重大な公害というのは、いわゆる重金属物質による公害、こういうものが顕著に発生しておることば御承知のとおりなわけです。業界は、これに対して公害基金の積み立てという制度に踏み切ったようでありますけれども、しかし、石炭などの場合には、これは鉱害事業団を持ち、融資その他一定の制度を備えておるわけです。メタルの場合には一向、これだけ問題になって、業界として自主的な基金制度をつくったという段階よりまだ進んでいない。やはり法律的にももう一歩前進させなければならないのではないか。まして、もう一千年前から鉱山は掘っているわけですから、そういう採掘あとというものは至るところに存在もしているわけです。この整理をするといってもたいへんなことだと思うのです。去年、おととしから、無資力の坑口密閉ぐらいをやろうじゃないかということで、一億円からようやく出発をしたわけですけれども、これでもまだまだ不十分なわけです。いずれにしても、そういう意味では融資の問題も必要でしょうし、事業団をつくるかつくらないかは別にして、公害事業団の中に特に一つのワクを設けるとか、いずれにしても法律的な措置を講ずる必要があるし、制度的にものごとを考える必要があるのではないか、こういうように私は歴史的な経過にかんがみて実は率直に思わざるを得ないわけです。  こいう点について、業界としてはどのように考えられておるのか、この際お聞かせ願いたいと思います。
  177. 河上健次郎

    ○河上参考人 ただいまの基金の問題でございますが、私どもといたしましては、金属鉱業の本質が、ずっと長い間のそれぞれ鉱山の歴史の過程におきまして発生いたしましたものが、現在の規制の標準あるいは将来また強化されるであろう規制に照らしまして、そこでそのしりをぬぐわなければいかぬといったような、きょう冒頭原口参考人からのお話もございましたような事情もございます。また、いろいろ新しい技術上の問題の開発にも努力をし、その設備の負担といったようなことも非常に重荷になってまいっておりますが、さらに廃坑、休山の場合のあと処理といったようなあらゆる問題がございます。そこで、せめて少しでもこれが休山、廃山の場合における措置に対するプラスになるようにといったような観点から、先般基金をつくったわけでございます。  しかしながら、これはそれで抜本的な体制であるなどとは考えておりませんで、やはりこれを踏み台にいたしまして、もっと真剣に基金の充実といったようなことにつきまして、漸を追って進みたいということを実は決心をいたしておるわけでございますが、根本的にこういう問題につきまして税制上の問題等いろいろございます。ひとつ国の強力な助成と相まちまして、これがほんとうに今後公害対策に遺憾なきを期し得られるようにいたしたい、これは衷心から念願しておる次第でございます。
  178. 岡田利春

    岡田委員 これは参考人に御意見を聞くというよりも、先ほど来から総合S源対策が協会からも労働組合のほうからも述べられているわけです。私もこれは非常に心配していることです。特に松尾閉山あるいは先般の北海道硫黄閉山、変則的な方法で何とかかんとか乗り切ってきたという経過をたどっている。そういう経験にかんがみても、今後総合S源対策が失敗をするとたいへんなことになるし、直接単純硫化鉱の山などは一体どうなるのだという心配すらされておる。先ほど平塚さんが言われましたけれども、あれだけの鉱山を発見する原動力になった柵原でさえたいへんな状況にあると思うのです。まして、今後の回収硫黄の進展に伴えば、国内鉱山に相当致命的に打撃を与える場合も容易に想像がつくと思うのです。せっかくいま鉱業審議会でこの問題についていろいろ討議をされておるわけですが、結局石油精製業界との話というものが相当一致点が出てまいりませんと、私は、有効な政策は立たないのではないか、こう実は見ているわけです。そういう意味で、この点特に具体的に積極的に対策を早目に進めるべきである。時間をかけて、問題が出てきたときにやるのではなくして、いまから早目に対策を立てることが最も必要である。この点、私、真に痛切に感じますので、この機会にそれを述べておきまして、それぞれ関係者がこの問題が早急に解明できるようにぜひ御努力を願いたい。われわれとしてもそういう方向でこれに対処してまいりたいと思いますので、これは私のほうから申し上げておきたいと思います。  時間がありませんので、最後に労働組合の原口参考人にお聞きしておきますけれども、先ほど言われましたように、確かに石炭産業エネルギーの構造的変化とは違って、金属鉱山の場合には、問題は斜陽だという意味じゃなくして、これからいかに国際的な信義、しかも資源多消費型のわが国として、国内資源をいかに有効的に活用し、そういう国際的な資源配分の任務を果たしつつ安定的な資源の公平な分配にあずかるか、確保するか、やはりこういう徹底した理念の上に立っていかなければならぬでしょうし、また、技術的にいろんな面でその母体になっておるわけでありますから、そういう意味で私も理解はまさしく同じだと思うわけです。  ただ、しかし、残念ながら、現実に資源産業は限界産業でもあるわけです。資源が枯渇すれば、鉱量が枯渇すればその山は閉じなければならぬということでありますから、一方においては宿命的に閉山ということは出てまいるわけです。私はそういう意味において、その措置を今度の場合、鉱業労働者年金、おそらくこれは石炭労働者と同じように、ひとつ厚生年金プラスアルファのようなそういう制度をつくってくれという意味だろうと思いますし、また中小炭鉱が、結局鉱山の場合は炭鉱でも何でも同じでありますけれども、とことんまで行って、やめるときには退職金も払えない、非常に悲惨な状態になる。その結果地域社会へも迷惑をかける。製錬を持つ大手のような場合には違いますけれども、中小の場合にはそういう例がある。そういう点でこの要望はまさしく適切である、こう思うわけですが、特にこの離職者対策とかあるいは地域振興の問題こういう問題についても、もう少し業界あるいはまた労働組合としても、地域経済や――そのものを地域経済の振興に寄与するというような意味で、そういう意味の前進があってしかるべきではないのか、こういう感じがするわけですが、そういう点について労働組合としてどうお考えになっておるか、この機会に承っておきたいと思います。
  179. 原口幸隆

    ○原口参考人 先生のおっしゃるとおりでございまして、むしろ石炭山よりも金属山はさらに山が深い。しかも親子代々というような地域社会をつくっておりまして、そこを離れるということは人世がひっくり返るような感じを受けているのが一般従業員の気持ちだろうと思います。したがって、離職者の問題については、石炭労働者と同じように扱ってほしいというのが偽らざる私たちの願いであります。それと同時に、最近の若年労働者が、鉱山をささえるべき従業員の中の比率がだんだん減ってきております。したがって、鉱山労働者に魅力を与えるという意味からいっても、また地域社会の発展という意味からいっても、何らかの特別な配慮というものがそこに加わることによって、労働人口が長い目で見れば減っていくわけでありますから、そういう人たちに山に入ってきてもらうというようなそういう多面的な配慮からも、先生のおっしゃるような点がぜひ実現されることを期待をいたしております。
  180. 岡田利春

    岡田委員 通産省にちょっと最後に一点だけ聞いておきたいのですが、いま山が次々閉山になっているわけですが、石炭鉱山の場合には閉山になれば二度とこれを開さくするということは不可能だと思うわけです。しかし、メタルの山の場合には全部が不可能だとは――労働力が集まれば可能な面もあるわけです。これは若干石炭とは特殊な条件にあるわけです。極端に言えば、六十万円に銅価格が上がればではまた掘ろうかなんということもないとはいえぬわけですが、そういう特殊性にかんがみて、いまやめる山はこれは永久にやめる山なのか、それとも将来の動向から考えて、いわば保坑的な考え方ですよ、否定的な、否定方向といいますか、完全保坑するという意味ではなくして、そういう選別というものをある程度専門的にやってしかるべきではないのか。ただもうとにかくやめた。しかし通産省側として、政府としてはそういう受けとめ方、そういう少なくともものを整理をしておくということが必要ではないか、私はそういう判断を持っておるわけですが、そういうことをやる気持ちはないか、必要性はないと考えられるか。少なくともやはり公害対策、いろんな対策からいっても、そういう点はぴしっと系統的に把握をしておく必要があるんではないのか。非常に大事な問題ではないかと思うのですが、そういう点について、やめる場合にかってにやめるということではなくして通産局にも相談があると思うのですけれども、もう少しその場合に慎重に対処しておくことが非常に大事ではないかと思うのですが、この点について通産省から最後に一つだけ承っておきたいと思います。
  181. 莊清

    ○莊政府委員 非鉄金属の場合には石炭に比べまして比較的浅いところを掘っている場合も多いとか、あるいはガスの問題とか水の問題とか、そういう坑内の荒廃を来たすような要因がやや軽いと一般にいわれておるようでございますが、やはり地下資源産業でございます。これを保坑するということになりますと、たいへんな金と人手を使うということで、一般的に申しますれば、今後のわが国の非鉄金属の需要量も相当ふえてまいるはずでございますから、やはり一般的に言う限りでは、そういう余裕があるならば極力海外に出ていくということが結果的には成果をあげるという率が高いのではないかと個人的に思うわけでございます。ただ御指摘のように、やはりやめたものはもうそのままにしておいて、何ら事後的な確認なり調査なりというふうなことを国として一切行なわなくていいかと申しますと、これは一つには保安の問題もございます。それから、将来またその鉱山地帯で客観情勢などの変化に伴いましてまた調査してみたら有望な鉱床が出てきたということも聞かないわけではございません。そういうことがございますから、やはり国としては地質調査所とかいろいろな機関もございまして、専門機関もあり、保安のほうもやっておるわけでございますから、そういう考慮も含めながらやはりフォローアップしていくという配慮は、御指摘のとおりあったほうがいい、それは正しい姿勢だろうというふうに考えます。
  182. 鴨田宗一

    ○鴨田委員長 松尾信人君。
  183. 松尾信人

    松尾(信)委員 だいぶいままでいろいろの問題点につきまして質疑が重ねられてきまして明らかになりました。それで、いままで比較的問題として取り上げられなかったことにつきまして二、三お尋ねしていきたいと思います。  最初に、このいただいた資料の中で、生産の縮小に対応して輸入鉱石をカットするようなことが起こっているわけですね。ここの問題でございますけれども、どういうところから輸入量を削減するのか、相手ですね。ですから、これは買鉱融資の関係だとかいろいろ相手はあると思うのですけれども、おもにどういうところから輸入を減らそうとしているのか。単なる買い付け先から減らすのかですね。自分自体でも開発投資、いろいろ投資したものもございましょうし、またいろいろ買鉱のための融資もございましょうし、単なる買い付け先もございましょうが、ひっくるめてだんだん輸入量というものを減少しなくちゃいけないようになっておるのかどうか、その相手方が主としてどういうところであろうか、またそういうことに対しましてこれでは国際信義上も非常に反省しなくちゃいけないからというふうにして備蓄等の問題が起こってくるわけでありますけれども、まず最初にその点を協会の河上さんからお尋ねしたいと思います。
  184. 河上健次郎

    ○河上参考人 御質問の鉱石が入りますルートから申しますと、契約のあり方でこちらが投資をいたしあるいは融資をいたしまして、一方先方で開発をいたしましたものを引き取るという契約をやっておりますのと、それから全然そういうことをやっておりませんで単なる契約ベースで入れておる、この二種類ございます。その契約ベースも、一年間の契約というふうなのが、ごく一部でございますが、ございます。あとはたいてい三年契約とか五年契約というふうなことに相なっております。それでわれわれが減らします場合に、まず第一に契約全部を通じまして一定の標準の数量の上、一割その上下といったような幅をつけておる契約がある程度ございます。つまりアローアンスをつけておる契約でございます。こういうものはこちらの事情によりましてそれを少し減らしてもらうということ、契約上そういう道が開かれておるものは全部それをやっております。全部そういうことで交渉して減らしてもうらということにして、幸い話ができたものもございます。しかしそれは契約上はでき得るということであるが、でき得るのを一方的にやらないで話し合いでやるという趣旨でございますので、向こうの事情で、なかなか納得できかねるのでぜひ待ってもらいたい、やはり取ってくれということを頑強に言われて話がきまりにくいというものもございます。しかし、話に成功いたしまして減らしておるのもございます。  それから投資融資によりましての契約の場合には、そういう増減のクローズの入っているものが非常に少ないのでございます。しかし、例外的にそういうものがありますれば、そういうことの契約に基づきましてネゴ中でございます。  それからもう一つ、そういうことが全然ございません場合にも、こういう状況を話をいたしまして、そちらの都合で差しつかえないかどうか、差しつかえなければ少し繰り延べてもらいたいといったような程度の話し合いを進めておるものもございます。そういうようなやり方をやっております。
  185. 松尾信人

    松尾(信)委員 いろいろ交渉も苦しいわけでありますけれども、アローアンスで向こうが応じてくれればいいけれども、なかなか向こうも苦しいわけでありますから、買ってくれと言う。これをやはりいままで一生懸命買っておったわけでありますから、これが不況だからといって、アローアンスの制度があるからとかなんとか、またはせっかく開発した分もあれば買鉱融資の分もあるわけでありますから、これはひとつうんと買い付けるようにがんばってもらいたい。それにはお金が要るわけでありまするし、どんどん国内自体にも滞貨があるわけでありますけれども、そこはひとつこの際制度をがっちりつくって、国際信義を立て貫くというふうな方向で腹を固めてやっていかないといかぬのじゃないか、これは私の心の中でありますが、あなたの決心を聞きたいと思います。
  186. 河上健次郎

    ○河上参考人 私ども、従来の経緯から申しまして、少なくとも契約上はっきり取るというギャランティーいたしましたものはもちろん取るということにすべきである。ただ、事情を訴えまして、先方が了解してくれましたもので、差しつかえないものというものはひとつ先方にも持ってもらう。これはやはり遠慮なしにこちらの事情を話をしまして、納得してもらえばそれをやる。向こうもずいぶん無理を言ってくることもございます。それはざっくばらんに話し合ったほうが結局よろしいようでございますので、相手の状況等をとっくり話し合って解決していくというふうなことがよろしいんじゃないか。それにいたしましても、相当たまってまいります。相当たまってまいりますので、ぜひともこれは備蓄によりましてこのピンチを切り抜けていきたい、かような気持ちでございます。
  187. 松尾信人

    松尾(信)委員 その点はまあそのくらいでとどめておきましょう。  次に、いま質疑もあったのでありますけれども、この鉱山の公害防除関係であります。現在、これはどうでしょうかね。各鉱山から、規制もきびしくなってまいりまするので、公害防除の施設をやりたい、それにはこのような計画であり、このようにお金も要ると、そのような個々の鉱山の要請といいますか希望、そういうものを全体的に取りまとめてごらんになったものがありますか。全体で大体どのくらいになっておるんだ、そしてそれが、たとえば公害防止事業団等からの借り入れが、ワクがあってなかなか借れないとか、うまくいかない、そういうことがありますると、これだけの計画に対して、ことしがこのようにワク等で実績が押えられたから、来年度はそれをどうしていったらいいか、こういう問題になるわけでありますから、そういう全体的なものの掌握の状態、そういうことがわかっておれば、この際ここでおっしゃっていただいて、そして来年度はどうしていくんだというようなお考えも示していただきたい、こう思うわけであります。
  188. 河上健次郎

    ○河上参考人 今年度の設備投資計画のうちでのトータルに対しまして、公害関係の比率が一七%でございました。これは会員全体集計いたしました数字でございます。それが全部、公害関係ということで政府関係機関の低利の融資でまかなえるかということになりますと、全部まかなえません。そこで、公害関係の政府機関の融資のワクのかさ上げということが私どもの要求の非常に大きな点でございます。ぜひワク上げということをやっていただきたいというような要望でございます。
  189. 松尾信人

    松尾(信)委員 これは、局長いらっしゃいますね。いま公害関係で全体のそういう計画はつかんでおる、ところが政府の機関等からの融資等のワクが狭くて借りられなかった、来年はうんとがんばっていきたい、こういうようなお答えがいま出たわけでありますけれども、非常に公害をやかましく企業の責任と言うて、そうしてその公害の防除をさせるわけでありますからね。政府の方針に従ってそのような計画を立てて出るものについては、これはやはり優先的に受け入れていくようなワク、当然これはやっていかなくてはいかぬのじゃないかと思うのですけれども、そういう考え方ね。非常にうまくいかなかったということであります。来年度はどうかと、こういうことでありますが、政府の考え方を聞いておきたいと思います。
  190. 莊清

    ○莊政府委員 公害防止の促進は、もう全産業を通じて緊要な課題でございまして、単に鉱山業に限るものではございません。そこで政府としては、公害防止事業団、中小企業金融公庫等の公害防止金融ワクの充実ということを、特に昨年来力を入れておるわけでございますけれども、今後も引き続き、これの画期的な充実ということをぜひはからなくちゃいかぬと思います。私は、いたずらにワクをつくるというだけではなくて、やはり全体必要なわけでございますから、全産業を通じて必要なものを確保するということが確立いたしませんと、これはたいへんなことになるんではないかというふうに思うわけでございます。鉱山の場合には、特に零細な企業でもたくさんの投資をせねばならぬという特殊事情があるわけでございますから、しかも現在のような苦境に立っておりますので、融資の比率でありますとかあるいは条件というふうな運用面におきまして、私は、とりわけ鉱山については特別な配慮というものは政府としてもぜひやってもらいたいと思っております。
  191. 松尾信人

    松尾(信)委員 いまお答えのとおりと思うのでありますけれども、小さな鉱山であろうとも公害防除の施設費はうんとかさむわけであります。そのために公害防除をやると事業の継続ができないというような、ひいては休山とかそういうものにつながってくるおそれもあるわけであります。そこは、よくよく金融財政面において特にめんどうを見ていかないと、公害をやかましく言ったばっかりに、そういうところから思わざる悪影響を及ぼす、これはよく反省してやっていただきたいと思います。これは強く来年度の予算で実現できるように要望しておきます。  それから、これは平塚さんのほうでございますけれども、先ほどのお話の中に非常にいいことがあったのであります。これは海外事業の関連でありますけれども、技術協力の基礎調査をしておる、こういうふうなお話がございました。非常にけっこうだと思いますが、どういうことをいまやっていらっしゃるのか、またどのくらいの予算をその点持っていらっしゃるのか。また来年度はそういうことをどのくらい力を入れてやっていこうと思っていらっしゃるか。これはあまり予算のことになりますと、あなたのほうは無理かもしれませんけれども、まずあなたの気持ち、それを……。それで、わからない点は政府のほうから答えてもらってもけっこうです。
  192. 平塚保明

    ○平塚参考人 ただいまの御質問でございますが、お答えいたします。  私のほうがいまやっておりますのは、経済協力のカテゴリーの中で、海外の鉱山資源がありそうな国、その国はもちろん発展途上国でございますが、その国が経済的の発展をするのに一番手っとり早いのは、何といってもその土地が持つ資源を売るのが一番最初、一番手っとり早い。御承知のように、日本でも明治の初年には銅なんかも輸出して、石炭も輸出しておったわけでございます。さようなことで、各国が国として、ぜひ日本の国に資源開発の手伝いをしてくれいと、こういう申し入れをしてきておるところが十数カ国もあるわけであります。その中で順を追うて重点的に採用してまいって、取り上げてまいっておるわけでありますが、考え方は、御承知のようにそういう発展途上国には道路もない、もう島のところは海を船で行くというようなところで、もちろんいわゆるインフラストラクチュアの関係のものは全くないと言っていい。そういうものをやるのにも何をするにしても、まず地図からない、地形図もないというようなところ、さようなところで、向こうの政府から日本の外務省を通じてそういう要望がありましたところを、役所のほうでスクリーニングして取り上げました。それはどういうことをしておるかと申しますと、まず飛行機を飛ばして写真をとり、地形図をつくる、それから空中写真をとっていわゆるいろいろ空中物探というようなものをやっていく、それで上から見てある程度鉱床がありそうだという地質のところを選び出しまして、そこについて今度は地上におりて地質調査いわゆる物理探査、化学探査というような、さらにはボーリングまでしてやる。それは大体二年とか三年あるいは四年の継続事業で、一切国の供与でございますからグラントでやっております。しかも、それでいいものがよしんば当たっても、その権利を要求いたしません。ただし、いずれそれは開発しなければなりませんから、国際的のテンダーに出すのでしょうから、こちらは、自分たちがやっているわけですから、大体どの程度だということで入札をやっております。(松尾(信)委員「それでうまくいけそうなものがありますか」と呼ぶ)ただいまやっておりますのは、今年度は三カ所やっております。一カ所は去年から続けてやっておりまして、これはセレベス島で一カ所やっております。それからことし始めましたのはペルーの南部の地区、それといまフィリピンのミンダナオ島、これをやっております。引き続きそういうのをやっていくつもりでありまして、予算のほうは鉱山局長のほうからお答えしていただきます。
  193. 莊清

    ○莊政府委員 予算はことし三億六千万円でございますが、これは非常に重要な調査でございますので、予算を倍額要求中でございます。
  194. 松尾信人

    松尾(信)委員 これが最後でありますけれども、これは森嶋さんに。  先ほど休鉱また閉山の問題で、大企業のほうは退職金も出されるところもあるし、特別退職金も出るようなことでありますけれども、中小企業がなかなかうまくいかなないということではなかったかと聞いたわけでありますけれども、これはやはり、中小企業といえどもおたくの組合のほうに全部入っておるわけじゃないか、こう思うのでありますが、そのようにして、中小企業自体はほんとうにかわいそうな状態で、出す金もないかもしれません、そういう実態かもしれませんですね、最後までがんばったわけでありますから。というて、それで従業員がいいかというわけにはまいりませんもので、そういう場合にはどういうふうにして組合としてはやっていらっしゃるのか。ほぼ満足できるような状態で退職をし、また次の就職関係、職業訓練のあっせんをしたり、また新しい職業のほうにあっせんをするとか、そういう点の問題はどうでしょうか。
  195. 森嶋勝男

    ○森嶋参考人 退職金のほうの問題については、先ほども申し上げましたけれども、中小企業でも全然払えないということもないわけでありますけれども、払えないところは、この間の硫黄鉱山のように別途に資金を調達しながらやった。これは各業界というか、関連産業の協力によってやった。しかもそれは基準額には決して及ばないですね。集めた金をそれだけ配分しなければならない、こういうような状態で、ついせんだって終わった例はございます。それから、職業訓練その他についてはほとんどやっていないというのが現状ではないかと思うのですよ。まあ社内転換をしていく方はよろしいのでございますけれども、それ以外の方は自分で各人がやっていかなければならないという状態にあります。
  196. 松尾信人

    松尾(信)委員 まあ実情を承ったわけでありますけれども、やはり、これは今後ともに不況が続いても、もしものことがありまして休山とかそういうものが続いていったら非常にたいへんであります。でありますから、そういう点に関する政府の対策、予算の請求ですね、これはやはり代表としてあなたのほうからしっかりがんばってもらいたいし、中小企業といえども大企業に負けないような、もう最後に自分の職を失うわけでありますから、その点は私のほうもお互いがんばってまいりますけれども、やはり何といっても中心はあなたでありますから、今後ともしっかりがんばってもらいたいと思いますが、いかがですか。
  197. 莊清

    ○莊政府委員 関係省もございますが、私ども通産省としても作業をかかえておりますので、御趣旨を休して努力をしたいと思います。
  198. 鴨田宗一

    ○鴨田委員長 川端文夫君。
  199. 川端文夫

    川端委員 四人の参考人の皆さんには、理事会では四時半を目途にしてきょうの委員会の御参考意見を承るという申し合わせをしてきたのですが、もう四時四十五分も過ぎております。したがって、私は重複を避けて、われわれの不手ぎわでおくれておることをおわびしながら、もうしばらくおつき合いをいただきたいということをお願いいたしたいと存じます。  そこで、二つに分けてものを現時点で考えられるのじゃないか。一つは円高というか、先日の円の切り上げによるきびしい影響下にあって皆さんがお困りになっている問題と、安定需給の立場から、海外に対して安定需給を強化していけば日本の国内に影響を与える結果が出てくるのではないか、この問題が先ほどから繰り返し御質問があったんじゃないかと思うわけでありますが、そういう立場から、第一の問題の円高経済に伴っての犠牲に対しては、この通貨体制を今日まで堅持してきてまいりました日本政府の責任でありますから、これはわれわれも強く政府に要求して、皆さんの困難な事情に対して努力いたしていきたいと思いますが、この安定需給の立場からものを考えて、ここ一年余りはあまり感じられないけれども、特に非鉄金属の中の銅の価格の問題は毎年非常に大きな振幅のある変動を繰り返してきたように、まあ新聞もにぎわしておったことをたびたび私どもは見てきておるわけであります。したがって、今日日本は海外に対して、安定需給の立場から、後進国というか後発国に協力をして探鉱いたしていくことは必要であろうけれども、世界全体のいわゆる生産量というものと世界の経済の成長率というものの見合いから、日本はこれから積極的にやるという、日本独自の立場ではけっこうな話としましても、国際価格が、いわゆる生産がふえて過当競争になるような結果が出はしないかという疑問を持つわけですが、この点はどなたからお答えいただいたらいいのか、平塚さんでも河上さんからでも、これらのことは私は専門的でないので、素朴な質問かもしれぬけれども、ひとつお尋ねしておきたいと思うのです。
  200. 河上健次郎

    ○河上参考人 御質問の点は、突き詰めて申しますと、今後の世界の需給関係、それと日本の需給関係との関係が一体どうなるだろうかということに帰するんじゃないかと思います。そこで、生産量で私どもが従来とってきましたのは、新経済社会発展計画、つまり七五年に銅で申しますと百四十万トンの需要が日本はあるだろう、こういう想定で考えておりまして、資源開発、生産もそれに合わせた方向で取っ組んでまいりました。それがかなりずれてまいりまして、七五年には百四十万トンと想定いたしましたのが、私どものいまの見通しでは百五万トン、その見当になるであろう。大体そういうことでまいりますと、いま、従来考えておりましたプログラムをそのまま進めてまいりますと多少のだぶつきが出る。そのままの入荷を期待し、そのままの状況でやりますと五十年に少しだぶつく、こういう算段になります。そこで多少のその辺の調節をしながら進めてまいまりして、経済成長の見通しから申しまして今後大体七%見当のステディな調子でいくというふうな点に、一応方向としては少し修正していけばいいんじゃないだろうか、こういうふうなことで、かじとりを少し考えていく必要があるだろう。そういたしますと、従来の話をかけております開発計画は一応その計画で、ごく一部はスローダウンいたしますれば大体そう大きな修正でなしに、外部の開発関係につきましてはそういうことでいけるんじゃないか。そういう調子でまいりますと、よほど情勢が変わりますればそういう状態にまた合わせてやっていければ、そんなに大きな狂いが来ることはあるまい、こういうふうな気持ちでおるわけであります。
  201. 川端文夫

    川端委員 日本の新経済政策というか日本の経済発展計画というものを土台にしていま御意見があったわけですけれども、私の冒頭にお聞きしたかったのは、日本だけでなく、世界各国がやはりこういう非鉄金属の開発に努力をしているんじゃないか、いわゆる従来の価格のばらつきというか変動が、国際価格にかなり影響を受けて暴騰したり下落したりした経験を私ら見ておるわけですが、そういう立場から見て、世界の生産量と日本のいま計画しているものが合理的にそれはどっかでクロスできるという自信がおありの上に立ってのいまのお話であろうかどうか。これは政府がもっと広い視野で見ておるとすれば局長からお答えいただいてもいいんだが、そういう疑問を感ずるんだが、まあたとえばもう一つ俗なことばで言いますと、日本の国内においてもそういう例がたびたび起きていた例があるわけです。構造改善なり団地形成の中小企業の対策けっこうであるけれども、その設備がそのまま増産になって共倒れになった産業もなしとしないという繰り返しを見ておるわけでありまして、日本の国内の計画はけっこうであるし、需給の安定という立場からわれわれは支持いたしておるけれども、世界の生産量というものの見合いにおいてそれは正しいという見通しが立つだけの自信が、あるいは調査の資料がおありかどうか。どちらからでもけっこうです、局長からでもお答えいただきたいと存じます。
  202. 莊清

    ○莊政府委員 たいへん基本的かつお答えするのに非常にむずかしい大問題だと思います。  現在わが国の非鉄金属の中で典型的な銅で申し上げますと、九十万トン近い消費量の中で国内で十万トン強の生産、あとはいろんな形で海外に依存するという形でございます。今後も国内の増産もさることながら、やはり圧倒的に海外に依存せざるを得ないというふうに思います。しかも、非鉄金属は銅をはじめすべて重要な産業の基礎原料でございますから、これを消費する産業あっての資源でございます。したがいまして、やはり国際的な価格でユーザーが使えるということがどうしてもこの場合一つの基本とならざるを得ないという問題がございます。したがいまして、海外での資源の開発につきましても、国際的に通用する開発ということを目標に行なわなければならないのは私ども当然じゃないか、かように思うわけでございます。  ただ、国内の資源はそれではどうかという点でございますけれども、これはやはり若干割り高という場合がございましても、その点は関税その他の保護政策あるいは助成ということを加味しながら全体としての需給というものを考えていくということが、これはやはり資源を持っておる日本は資源を全然持たないヨーロッパ諸国と違うという立場がございますので、政府としてはその点は念頭に置きながら政策を考えるということが長期政策としても大切だと思っております。
  203. 川端文夫

    川端委員 局長に対する質問は別な機会にできるわけですからこれでやめますけれども、ただ鉄と違ってあまりにも非鉄金属の価格の変動が、ちょうど日本の高度成長下にあった時代であったせいもありましょうが、非常にばらつきが多く変動が激しかったという点から、はたして世界の生産量というものと需要との関係を十分判断して、これから新しい発想でものをやろうとするに備えているかどうかということを聞きたかったわけですが、これは後日また商工委員会で質疑することにいたしまして、もう一つ私、素朴な質問を持っているんですが、現時点においてはドル建てによる経済という立場からいえば輸入価格が下がって日本の産業に大きな影響を与えるであろう、このことは十分理解できるのですが、はたしてこのままでドル安円高だけが続くかどうかということになれば、現に石油等においてもOPECの値上げ要求の動きが出てきている。もう一つは、新規開発をすれば、私ども狭い範囲で海外を見て回っても、だんだんとメージャー的な国際資本の力において開発しやすいところはもう少し尽くされたんじゃないか、したがって、だんだん奥地へ行くなり調査を深くしなければならぬという形において、生産コストは上がるんじゃないか、こういう感じもするんだが、これは事業団の平塚先生どういうふうに御理解されているか。
  204. 平塚保明

    ○平塚参考人 お答え申し上げます。  いま御指摘のようにだんだん不便なところに参りますから、そういう意味でコストは上がってくるだろう、しかし上がるだけ今度はそれに見合う品位のいい、条件のいいものでなければやらなくなりますから、したがってそのときの相場にリンクしたものを対象にやるということに相なるだろう、こういうふうに考えておりますが、いまの先生の御指摘のとおり、確かに普通にほっておきますれば国内のものでもだんだん品位が下がりますから、高くなってくる、これはもう当然のことかと思います。
  205. 川端文夫

    川端委員 森嶋さんに一、二点お尋ねしたいのですが、一つは先ほどからも、私ちょっと所用があって席を立っておったこともあるのだが、この円高というか、通貨変動に伴う不安というものを、労働者側、働く人々はどのように感じているかということ、そういう意味においていま非鉄金属に従事している働く人々は五万何千とかと聞いておるんですが、年々減ってきている中に、不景気による減少か過疎的な条件、いわゆる不便だという過疎的な、地域的な問題から、だんだん減るというようなことの内容に対して何か見方がおありならば、お聞かせおきを願えないかと存じます。
  206. 森嶋勝男

    ○森嶋参考人 私、労働者の立場としてはちょっとむずかしい問題ではありますが、資料的なものは別として、労働者が円・ドル問題をどのように受けとめているかという問題について申し上げたいと思います。  一般的にいわれますと、先生方御承知のように輸出が安くなって輸入が高くなる、そういった面で差益が出るんではないか、こういう話が出ておるわけでありますけれども、協会のほうが詳しいわけですが、条件整備費の問題とか、こういうドル建てになっている問題が実はそう簡単にいかないような、差損的な関係で出てくる、こういう面もありまして実際には大きな影響力を及ぼしておる、こう聞いております。で、私たちは、その円・ドル問題もさることながら、非鉄金属がこの一年来国際商品として大きく影響をこうむっておる、いわゆる需要と供給の面からの問題でしょうが、その点が一番価格の問題として大きな問題だ、こういう見方をとっておりまして、この価格の問題は先ほども私陳述のときに触れましたけれども、ここ当分解決する見通しがないんではないかという不安にさらされておることは事実でございます。  それからもう一つ先生の御質問の中に、たぶん御質問の内容は地場産業としての役割り、こういった面で地域の住民にどういう影響を与えるか、こういう問題だと思っております。これも先ほどちょっと触れましたけれども、この機会に金属工業傘下だけの人員の最近の縮小の数の問題をちょっと御披露させていただきたいと思いますが、四十五年四月以降から九月の三十日まで縮小もしくは休山、閉山、こういうふうに対象になりました鉱山が三十三鉱山ございます。それでその三十三鉱山の四千八百十九名のうち、三千四百十五名が減っております。社内転換はわずか八百五十七名で、二千五百五十八名、この方々が退職をしておるということであります。率にいたしますと、鉱山数と、それからこういう対象になった鉱山の率は一五・二一%、それから労働者数は、全労働者と比較いたしまして九・七三%、約一割の労働者がやめておるという、四十五年以降からわずか一年の間にこういう状況が出ておるわけであります。  それで、当然ということでありますけれども、鉱山は鉱山町といって、商店その他の方々も含めて生活共同体的な環境にあるわけでありますけれども、鉱山がなくなれば、その方々は町を出ていくなり、新たに地域を求めて生活を求めていかなければならない、こういう実情にありまして、たいへんこういう席上で恐縮でございますけれども、最近の例ですと、あまりのショックのために精神病になられたということが、これは実例でございますけれども、地方の方で現在入っておるということがあるわけであります。非常にどぎつい話を申し上げまして恐縮でございましたけれども、かような実情にありますことを申し上げて終わりたいと思います。
  207. 川端文夫

    川端委員 もう一つお尋ねしておきたいんだが、言うならば鉱山の宿命的な問題、資源を開発しているわけですから、いつの日にかなくなるところと、新しく開発されるところとは、このような経済的なショックの時期でなくても運命的にあるわけですね。どこかやはり新規の開発の場所に移動していくとか、なくなったところは閉山、縮小なりの運命が将来ともつきまとう職業ではないか、にもかかわらず皆さんの年金制度なりあるいは退職共済制度なりの要求が、あまりにも声が小さかったんじゃないか、こうも思うんだが、これらに対して具体的な運動をどのように今日までされてきたのか、これは森嶋さんと原口さん両方からお答えいただいてもけっこうですが、何かそういう努力はしたけれどもこういう壁があってうまくいかなかったという、こういう実例でもあればお答え願いたいと思うのです。
  208. 森嶋勝男

    ○森嶋参考人 私のほうから最初申し上げたいと思います。  これは三十五、六年の貿易の自由化以降、毎年政府並びに国会議員の先生方に対して陳情を行なってまいってきております。逐次充実をしていただいておりますけれども、まだ全きを期していないという感じで、今回も御要望申し上げている、こういうことでございます。
  209. 原口幸隆

    ○原口参考人 声が小さかったという御指摘なんですけれども、われわれのほうとしては、鉱量枯渇、品位の低下という問題がロンドン相場によってゆれるわけです。したがって、相場が高ければ鉱量枯渇、品位の低下ということが消えていきます。ですから深刻の度合いが撤退産業というものと違いますので、多少その点については山にしがみついてがんばっていくというような本来的な姿がやや石炭等に比べるとあったかと思います。そういう面では一つの問題がございますが、先生の御指摘のように結局は掘り尽くしてしまうわけですから、その際の幾ら努力をしても掘り尽くしてしまって離職をしなければならないという場合の対策については、もっと声を高くして訴えていかなければいけないというふうに思っております。
  210. 川端文夫

    川端委員 時間もだいぶおそくなりましたから、重複を避けて質問を終わりますけれども、やはり日本の産業、これで負けちゃおれないわけです。これでへこたれちゃおれないわけですから、やはり資源を確保する立場の第一線に御苦労いただいておる労使ともに、ひとつ今後とも御健闘を願いたいし、われわれもこの機会に皆さんの御要望を十分承って、できるだけ政治の上に反映させて、政府をして実行せしめるように努力いたしますから、今後とも御健闘をお祈りして質問を終わりたいと存じます。
  211. 鴨田宗一

    ○鴨田委員長 以上で参考人に対する質疑は終わりました。     ―――――――――――――
  212. 鴨田宗一

    ○鴨田委員長 この際、橋口隆君外三名から、自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党四派共同提案にかかる鉱業政策確立に関する件、及び石油政策確立に関する件について決議すべしとの両動議が提出されております。  まず鉱業政策確立に関する件について、趣旨の説明を聴取することといたします。岡田利春君。
  213. 岡田利春

    岡田委員 自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党を代表して、私から決議案の趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。    鉱業政策確立に関する件   最近の金属鉱業をめぐる情勢は、国際通貨制度の動揺とそれに続く円の大幅切上げに加えて、景気の停滞による内需の減退及びこれに伴う鉱石等在庫の急増、国際価格の低迷、鉱公害防止対策の進展等、急激な変化を示しつつある。このため、わが国鉱業は、その企業体質が極度に悪化してきており、内外資源開発の推進にも支障を生ずる等、重大な危機に直面している。   よって政府は、このような困難を克服して、わが国鉱業の健全な発展と資源開発の推進を図るため、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。  一、需給及び価格の安定  (1) 銅、鉛、亜鉛等ベース・メタルの需給及び価格の安定を図るため、需給価格安定調整の制度を確立すること。  (2) 円の大幅切上げによる影響を最少限にするため、金融上、税制上の緊急対策を講ずること。  二、内外資源開発の促進  (1) 国内資源の確保及び国内鉱山の企業体質を強化するため、基礎調査等探鉱のための財政上の支援措置を拡充すること。  (2) 中小鉱山に対する金融・税制上の特別措置を充実するとともに、新鉱床探査費補助金制度について、補助金の増額、補助率の引上げ等の拡充を図ること。  (3) 海外資源開発を積極的に推進し、わが国鉱業の経営基盤の確立を図るため、海外探鉱に対し、金属鉱物探鉱促進事業団による成功払い融資制度を実施すること。  (4) 海外資源開発に伴う長期的な為替リスクに対処するとともに、長期低利の資金を確保するため、政府保有外貨を外国為替銀行を通じて資源開発企業に貸し付ける外貨貸し制度を創設すること。  (5) 海外において開発した鉱産物の安定的引取りを円滑にするため、備蓄による調整を図る制度の確立を検討するとともに、そのための所要資金についても外貨貸し制度を適用すること。  三、鉱公害対策の推進  (1) 鉱山における鉱公害の歴史性とその緊急性にかんがみ、鉱公害対策に関する法的措置を検討するとともに、無資力休閉止鉱山の鉱公害防止対策を強化すること。  (2) 公害防止の進展に伴う回収硫黄が急増しつつある現状にかんがみ、総合硫黄対策として、硫黄源需給の調整、価格の安定、新規需要の開拓及び輸出促進の諸対策を強化すること。  四、労働対策    鉱山における労働力の確保を図るため、鉱業労働者年金制度の創設を検討するとともに、中小鉱山の退職金共済制度の確立を図ること。    右決議する。  なお、提案理由の説明につきましては、先ほど来参考人からの御意見また質疑の中で明らかになっておりますので、この際省略をさしていただきたいと思います。  委員各位の御賛同をお願いいたしまして、提案理由の説明にかえます。(拍手)
  214. 鴨田宗一

    ○鴨田委員長 次に、石油政策確立に関する件について、趣旨の説明を聴取いたします。橋口隆君。
  215. 橋口隆

    ○橋口委員 自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党を代表して、私から決議案の趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。    石油政策確立に関する件   石油をめぐる内外の情勢は、OPEC問題をはじめとして、急激に変化しつつあり、わが国エネルギーの大宗を占める石油の安定的かつ低廉な供給を確保するためには、石油資源開発の推進、石油備蓄の増強等が喫緊の課題となっている。   よつて政府は、次の諸点について速やかに適切な措置を講ずべきである。  一、 特別会計の創設    石油の探鉱開発、備蓄等の施策を強力に推進するため、特別会計を創設すること。  二、石油開発公団機能の拡充強化    最近における石油開発の状況にかんがみ、石油開発公団の機能について、次のような拡充強化を図ること。   (1) 石油開発公団による直接利権取得及び探鉱の実施   (2) 開発初期段階における公団投融資の実施   (3) 天然ガスの公団業務対象への追加   (4) その他石油開発技術の向上、海外情報網の大幅拡充、外国政府機関等に対する資金及び技術の供与等    なお、石油開発公団の業務の遂行にあたつては、開発に伴う原油の引取りをはじめ、発展途上にある産油国に対する経済協力と密接な関連を保ちつつ、産油国の経済発展に寄与するよう配慮すること。  三、石油備蓄の増強    現在、わが国の貯油水準は、ヨーロッパ諸国に比較し極めて低い水準にあり、石油の安定供給を確保していくためには、石油備蓄の増強が不可欠であることにかんがみ、備蓄増強のための抜本的施策の確立を図ること。  四、外貨貸し制度の創設    石油資源開発の長期低利の資金を確保するため、政府保有外貨を外国為替銀行を通じて資源開発企業に貸し付ける外貨貸し制度を創設すること。   右決議する。  以上のとおりであります。  決議案の内容は、最近における内外の石油情勢から喫緊の課題となっている事項であり、去る十五日のエネルギー・鉱物資源問題小委員会をはじめ当委員会において論議されているところであります。したがいまして、案文によって十分御理解いただけると思いますので、詳細の説明は省略いたします。  委員各位の御賛同をお願いいたします。(拍手)
  216. 鴨田宗一

    ○鴨田委員長 以上で両案の趣旨の説明は終わりました。  両案を一括して採決いたします。  両動議の案文を本委員会の決議とするに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  217. 鴨田宗一

    ○鴨田委員長 起立多数。よって、さよう決定いたします。  この際、政府から、ただいまの両決議に対し発言を求められておりますので、これを許します。稲村通商産業政務次官。
  218. 稻村佐近四郎

    ○稻村(佐)政府委員 ただいま決議をいただきました石油、鉱業政策確立に関する件、右決議の趣旨を尊重いたしまして、鋭意努力いたしたいと思います。
  219. 鴨田宗一

    ○鴨田委員長 なお、両決議の議長に対する報告及び関係方面への参考送付の取り扱いについては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  220. 鴨田宗一

    ○鴨田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたします。     ―――――――――――――
  221. 鴨田宗一

    ○鴨田委員長 参考人各位には、長時間にわたりまして貴重なる御意見をお述べくださいまして、ほんとうにありがとうございました。厚く御礼を申し上げます。  本日は、これにて散会いたします。     午後五時十七分散会