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1971-12-17 第67回国会 衆議院 商工委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年十二月十七日(金曜日)     午前十時四十六分開議  出席委員    委員長 鴨田 宗一君   理事 浦野 幸男君 理事 小宮山重四郎君    理事 進藤 一馬君 理事 橋口  隆君    理事 武藤 嘉文君 理事 中村 重光君    理事 岡本 富夫君       稲村 利幸君    神田  博君       坂本三十次君    櫻内 義雄君       始関 伊平君    塩崎  潤君       羽田野忠文君    増岡 博之君       松永  光君    岡田 利春君       加藤 清二君    松平 忠久君       近江巳記夫君    川端 文夫君  出席政府委員         経済企画庁総合         開発局長    岡部  保君         通商産業政務次         官      稻村佐近四郎君         通商産業省通商         局長      山下 英明君         通商産業省繊維         雑貨局長    佐々木 敏君         通商産業省鉱山         石炭局長    荘   清君         通商産業省公益         事業局長    三宅 幸夫君         工業技術院長  太田 暢人君         中小企業庁長官 高橋 淑郎君         運輸省鉄道監督         局長      山口 真弘君  委員外出席者         経済企画庁調整         局参事官    宮崎  勇君         外務省経済局外         務参事官    小山田 隆君         大蔵省主税局総         務課長     山内  宏君         大蔵省銀行局特         別金融課長   北田 榮作君         厚生省環境衛生         局環境衛生課長 三浦 英夫君         通商産業省通商         局通商参事官  大石 敏朗君         自治省税務局府         県税課長    山下  稔君         商工委員会調査         室長      藤沼 大郎君     ————————————— 委員の異動 十二月十五日  辞任         補欠選任   坂本三十次君     丹羽 久章君 同日  辞任         補欠選任   丹羽 久章君     坂本三十次君      ————◇————— 十二月十六日  山村開発次期対策早期実現に関する請願外十  九件(金子一平紹介)(第三四二五号)  同外二件(松野幸泰紹介)(第三四二六号)  同外一件(武藤嘉文紹介)(第三四二七号)  同外六十一件(永山忠則紹介)(第三五一八号)  同外二件(野田卯一紹介)(第三五一九号)  同外八件(金子一平紹介)(第三五五六号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  通商産業基本施策及び経済総合計画に関する  件      ————◇—————
  2. 鴨田宗一

    鴨田委員長 これより会議を開きます。  この際、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。  先刻の理事会で御協議願いましたとおり、商業に関する件及び鉱工業に関する件について、それぞれ参考人出頭を求め、その意見を聴取いたしたいと存じまするが、これに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 鴨田宗一

    鴨田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、参考人の人選及び出頭日時等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 鴨田宗一

    鴨田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。      ————◇—————
  5. 鴨田宗一

    鴨田委員長 通商産業基本施策に関する件、経済総合計画に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。中村重光君。
  6. 中村重光

    中村(重)委員 きょう政府委員出席を求めていたのですが、まだ実はそろっておりませんで、質問がそういった関係で飛び飛びになりますので、御了承願いたいと思うのです。  公益事業局長お尋ねをいたしますが、先般の委員会で私が、簡易ガス協会加入金というのが非常に高い、また手数料というのか会費というのか、それも高い、そのことが、簡易ガス協会に入りにくい。入らなければ差別的な扱いを受けるという形になる。また一方、高い加入金、高い会費ということになってまいりますと、それが消費者にはね返ってくるということ。それから、簡易ガス設置に対してのいろいろ紛議というような問題等が起こった場合、また重要な問題について、地方ガス事業調整協議会制度を設けて、そこで調整をするという役割りを果たすために、特に私ども内容的にこれを修正をしたりしまして、それの強化を実ははかっている措置を講じたわけなんです。ところが、簡易ガス設置等の場合には簡易ガス協会のほうには連絡がある。また簡易ガス協会意見具申というものがある程度左右してくるといったようなことがある。ところが、日本LPガス協会というのもあるけれども、これは全く無視されているような状態のようだ。そういったことは適当ではないのではないかというような点等々について、時間の関係がありましたので、実は資料でもって御回答いただきたいということを要請をしておったわけですが、けさ私の手元に出していただきました。  内容をしさいに検討をしてみなければわからないわけでありますけれども、若干目を通してみたわけですが、ある程度のことはこの資料をもってわかるような気がいたします。また、あらためてお尋ねをすることにもなろうかと思いますが、御提出いただきました資料の線に沿って今後十分円滑な運営が行なわれるように、あるいはまたこの保安と申しますか検査基準の問題、そういった点についても、都市ガス簡易ガスのいずれも保安というようなものは重要な点でありますから、あくまでも事故を起こさないというような観点から運営をやっていくというようなことをこの後十分やる御意思があるのかどうか、それらの点につきまして一応お答えをいただきまして、先ほど申し上げましたように、今後あらためてまたお尋ねをすることがあろうと思いますが、一応の考え方をお聞かせいただきたいと思います。
  7. 三宅幸夫

    三宅政府委員 簡易ガス協会会費、特に地方によって設けられております特別会費の問題の御指摘だろうと存じますが、まだ簡易ガス協会が発足して間もないものでございますから、普及度が必ずしも十分でない。したがいまして、会員の数も少ないといったような事情によりまして、やや会費が高いのではないかという御指摘はそのとおりだと思います。特に地方支部特別会費につきましては、私どもも問題があると考えておりますので、できるだけ行政指導によりましてその会費の削減につとめたい。特に福岡につきましては、来年五〇%ほど特別会費の引き下げをはかるように行政指導をしておる次第でございます。  なお、保安関係につきまして、ガス事業法改正の際の審議経過等につきましての御指摘がございましたが、御趣旨をよく体しまして検討を加えたいと思います。ガス事業簡易ガス事業、LPGとの間に、保安問題についてのオブリゲーションといいますか、責任というものが実質的にバランスがとれるようにしたい、かように存じております。
  8. 中村重光

    中村(重)委員 私が強調したいのは、バランスをとるということが中心でなくて、結果的にはバランスをとることになろうと思うのですけれども消費者の立場に立つ、事故を起こさない、そういった基本的な方針の上に立って具体的な保安対策を講じてもらう、これは都市ガスであってもLPガスでありましても、事故が起こるということは絶対に防止しなければなりません。また、LPガス都市ガスの質の問題からいたしまして、保安基準の面において多少の差異が生ずることも私はあり得ると思うのです。形式的なことを私は申し上げようとは思いません。あくまで事故防止をする、そういう観点の上に立ってこの後は対処していただきたいということを要請をしておきたいと思います。前にガス事業法改正案質疑をいたしました際も、バランスがとれてないではないかということは、形式的な点から指摘をしたのではなかった。あくまで事故を起こさない、保安の万全を期していく、そういったような観点に立って、LPガス保安基準、規制というものが事故防止のために適当であるとするならば、その線までにこの都市ガスの場合も引き上げていくというようなことが必要ではないのかという、結果としてのバランスであった。その点を十分念頭に置いていただく、そういう線でひとつ今後は十分検討もし、対処をしていただきたい、そのように要請をしておきたいと思います。もし、私がいま申し上げましたことにあなたが異論がありますれば、お答えをいただきます。そうだということでありますれば、別にお答えの必要もございません。よろしいですか。
  9. 三宅幸夫

    三宅政府委員 都市ガス業者は、安全の周知徹底について、相当の努力をテレビ、ラジオ等でやっていることは先生の御存じのとおりでございますが、ただいまの御意見につきましては、十分意を体して検討したいと考えております。
  10. 中村重光

    中村(重)委員 高橋長官に、来年度中小企業予算概要あるいは大蔵省に対する概算要求内容について、詳細にわたってお尋ねを申し上げることはこれからの予算折衝関係もありましょうから、あまり深く立ち入ってお尋ねをしようとは考えておりません。だがしかし、やはり私どもにも中小企業団体からのいろいろな陳情、要望等もあるわけであります。また、私ども自体が今日まで中小企業問題を取り上げてまいりまして、内容的にこれは不十分である、もっと強化をしていかなければならないと考え、そのことを要求をし、また、それに対応するお答えもあるわけでありますから、私ども手元に入っておりますあなたのほうの来年度予算概要あるいは概算要求の額の問題、内容の問題について、若干お尋ねをしておかなければならない点がありますのでお尋ねをするわけでありますが、概算要求額は、本年度の四百四十九億九千六百万円に対して五百八十億四千九百万円、若干の伸びはありますものの、中小企業を取り巻く環境のきびしさということから考えてみますと、この程度予算伸びではしようがないじゃないかというのが私の強く受けている印象なのであります。だいぶあなたも努力をしたのだけれども大蔵省からこういうきびしい査定を受けたということが、結果として出ておるといたしますれば、これはある程度——政府全体に対しましては、私どもはこれに対して満足するわけではありませんから、もちろんこれを追及をしていかなければならないと思いますけれども長官に対しては、その努力を認めなければならないこともあろうと思うのです。しかし、概算要求というのはそうではない。あなたのほうからこれを適当として提案をして、要求をしておられるわけでありますから、その点ではどうも私は、あなたがどこまでこのきびしい環境の中で、中小企業の経営の安定、また日本経済の中に占める中核的な役割りを果たさせようとお考えになっておられるのか、どうもその真意がはかりかねるわけでありますから、その点に対してあなたのお考え方をお聞かせいただきたいと思います。
  11. 高橋淑郎

    高橋(淑)政府委員 現在の制度では、やはり概算要求を出しますときに、一定のワクの範囲内で行なわれるわけでございます。それで、省内でもずいぶんと協議をし、調整をいたしまして、そのワク内で、しかし、中小企業対策については、最重点を置く項目の一つということで要求をいたしたわけでございまして、私たちとしましては、この要求額について、最大限の実りをあげるということに努力を尽くしてこの事態に備えたいということと、他方、財政投融資要求につきまして、できるだけ結果をよいものに努力したい、この二つの考え方対処していきたいと思っております。
  12. 中村重光

    中村(重)委員 それでは長官、恐縮なんだけれども、あなたのほうにはあらためてあとお尋ねをすることにいたします。その前に、私は、他の委員会に行かれる時間の関係があられる政府委員の方に御出席をいただいておりますから、そのほうを先に質問することにいたします。  新全総の計画に基づいて総合調整部会検討された問題点についてお尋ねをしたいと思いますが、その前に、簡単でありますから、最近の新聞で報道されております輸入ガラスざらが突然破裂をするということで、事故発生をしておるという事実がありますから、通産省から、この点に対して御調査になっておるのかどうか、ひとつお答えをいただきたいと思います。
  13. 佐々木敏

    佐々木(敏)政府委員 輸入ガラス容器のうちで、特に強化ガラス容器につきましては、四十五年当時から間々自然爆発というような事例がございまして、私ども輸入業者あるいは国産類似メーカーに対して、これまでも一数回にわたりまして安全性対策あるいは原因追及等につきまして協議をいたしておる次第であります。
  14. 中村重光

    中村(重)委員 実は長崎市でも最近そういう事故があったようでしたね。それで、あなたのほうにこの対策についての要請があったのかどうか、この点いかがですか。
  15. 佐々木敏

    佐々木(敏)政府委員 長崎におきまして、ある老婦人の方が輸入ガラスコップ自然爆発によりましてけがをされたというような情報がございまして、実は警察庁へ問い合わせをいたしました結果、警察庁では、人身事故ではないからまだ聞いておらぬということでございます。本日、私ども輸入業者であります旭硝子を呼びまして、その辺の実情あるいはその原因調査したい、かように考えております。
  16. 中村重光

    中村(重)委員 先ほどのお答えで、四十五年ごろから事故発生しておるので、いまこれに対する対策は十分講じておるのだというお話であったわけです。決してことばじりをとらえるわけではありませんけれども、同じ容器だろうと思うのです。それがどうして事故が起こったのかということを、これから調査をしてみたいというようなお答えであったわけでありますから、十分な調査をしておるのかどうか、若干首をかしげたくなる気持ちなんです。  そこで、いつごろから輸入されている商品——これはフランス製であるといわれておるのですが、そのとおりかどうか、そしてどの程度出回っているのですか。
  17. 佐々木敏

    佐々木(敏)政府委員 輸入品につきましては、フランスジュラレックスというブランドのものでございます。統計上は、通産省ブランドごと統計がございませんけれども、四十年以降逐次ふえておりますが、四十五年におきましては五百九十万個——参考のために、全体のコップさら等につきましては、現在、国内需要は三億八千万個程度でありますが、五百九十万個がただいま申し上げました輸入強化ガラスでございます。そのほかに国産といたしまして、これは大部分部分強化といいまして口のところだけを強化したものでありますが、輸入ジュラレックスとは違いますけれども、一年間にほぼ二千万個程度出回っておる、かような数字になっております。
  18. 中村重光

    中村(重)委員 私の調査では、昭和四十年ごろから輸入されている、全国で八千九百万個が全国のデパートや陶器店に出回っているという数字になっています。あなたのほうは、四十五年でもって五百九十万個というと、だいぶん数字の違いがあるわけです。  他に破裂事故事例があるのだということでございましたが、どのくらいの件数があるのです。そして人身事故が起こっているのかどうか。
  19. 佐々木敏

    佐々木(敏)政府委員 四十五年度におきましては、ただいま申し上げましたように五百九十万個の輸入数量がございますが、通産省苦情処理制度によりまして、通産局経由苦情のお申し入れのありました件数は、当該年度、四十五年度におきまして十一件であります。なお、四十六年度におきましては、一月から六月まで二百四十万個の輸入がございますけれども、ただいままでのところ、苦情申し入れはございません。  なお、この両年を通じまして、いわゆる人身事故的な負傷という事例は、私ども聞いておらない次第であります。
  20. 中村重光

    中村(重)委員 長崎県で発生——これは長崎市の古町で、あなたがおっしゃったとおりに七十四歳の老婆、北野フサという方ですが、この人はけがをしているんですよ。いま警察庁を通じて照会をしているのだけれどもけがをしているかどうかわからないと言うが、けがをしているのです。したがって、人身事故というものはあるわけですね。四十五年当時に十一件と言いましたが、そういった事故があった、苦情が出た、それから四十六年は二百四十万個輸入されているのだけれども、それには苦情は出てない。前に事故が起こっている、しかもそれは破裂事故、そうしてあなたは苦情とおっしゃったのだけれども、これは単に文句を言ったという程度のものではないと私は思うのですよ。にもかかわらず、またあと輸入をする。これは苦情は出ていないのだ。あなたの答弁から伺ってみても、この問題に対して、これは輸入品として検査をさらにきびしくやらなければいけないとか、あるいは輸入を差しとめなければならぬというような、そういう事故防止措置、強力な対策というものが講じられたというふうには判断できないのです。そういうことでいいのですか。具体的にどのような対策を講じられたのですか。
  21. 佐々木敏

    佐々木(敏)政府委員 先生の御指摘のとおりでありまして、通産省といたしましても消費者保護通産行政の大きな課題でございます。私ども本件につきましては、昨年の十月に工業品検査所中心にいたしまして、その原因の究明とか、あるいは安全対策につきまして検討を行なったのであります。  原因につきましては、熱処理段階におきましてひびが入るというような、ガラスの分子にひずみを生ずるというのが原因であるというところまでは解明いたしましたけれども、まだそれ以上に進んでおりません。  安全対策につきましては、生産管理あるいは出荷検査等、さらに十分やるというような徹底方指導をいたしております。  さらに、本年七月に、輸入業者であります旭硝子国内類似生産業者であります石塚硝子、両者を通産省に呼びまして、いろいろな検討指導をしたのでありますが、その一つといたしまして、今後強化ガラス商品には、非常にじょうぶであるけれども破裂しやすい、十分注意するようにというような表示を、一品ごとにつけるという行政指導をいたしております。七月中旬以降の出荷品につきましては、そういった表示が現在ついておる次第であります。  なお、さらに国産メーカーにつきましては、破裂しないような製品強化ガラスの特徴を生かし、かつ破裂しにくいというような製品開発について指導をいたしております。  以上でございます。
  22. 中村重光

    中村(重)委員 答弁を伺っておって感じるのですが、業者のほうがむしろ責任を痛感して適当な対処のしかたをしているように思いますよ。それは業者旭硝子輸入元であるというのですから、それは取り扱いの店によって、代理店によって違うと思うのですよ。九州では福岡県にあるタカトウというのが代理店になって取り扱っているのです。これはことしの六月から七月にかけて取り扱いを中止したのですよ。そして各店舗のほうから要請があれば回収をするようにつとめている。私はこれもおかしいと思うのだ、実際は。各店補から要請があれば回収をする。むしろあなたのほうでは——そういう事故がいまあなたのお答えの中からだけでも十一件か十二件というお答えがあったわけです。私の調査でも十数件になっているのですよ。これは一応輸入をストップするとか販売をストップする、そして回収でもやるようにつとめていく。そしてその輸入を続けるかどうか、熱処理の問題をどうするかということを私は強力にやっていくということでなければならぬと思う。どうも無関心のような感じがしてならない。そのことは、長崎県で今度起こった事件で、工業品検査所の所長が言っていることばでも受け取られるのです。商品テストをしておる通産省工業品検査所では、熱処理の方法を改善しさえすれば、強度があれば回収などの措置をとらなくてもよいと思う、そういう説明のしかたをしておるのです。改善指導にこれから力を入れたいということを言っているのですよ。その一事をもってしても、いまあなたが言われたような強力な改善対策を講じておるとは判断できない。だからしていつもこういった事故が次から次と続発しておるのですよ。なぜ、こういったような事故発生をしたかということを、少なくとも二件という場合は別として、何年かの間にこれはもう十数計、四十カ年には十一、二件とおっしゃったのだから、それはもっと熱意をもっておやりにならなければいかぬ。それは、あなたはそのときは担当の局長ではなかったでしょうから、前の局長の時代でしょうし、こう私からやかましく言われるのはいささかもって心外とまではいかなくても、何か自分の責任もないのをやかましく言われるような感じもいたしましょうけれども、これはいかんともしがたいのです。通産省全体の取り組みの姿勢というものが私は悪いと思っておる。だからどうします、これで時間をあまり長くとれないですが、今後は。
  23. 佐々木敏

    佐々木(敏)政府委員 先生おっしゃるごとく、人身に影響する問題であります。通産省といたしましては消費者行政は大きな今後の課題でありますし、極力本件を含めまして雑貨関係安全対策につきましては推進をしたいと思います。ただいま、雑貨関係一般安全対策につきまして産構審で検討審議の対象として審議をお願いしている次第でありますけれども先生の御趣旨も十分盛りまして、今後強力に推進をしてまいりたいと思います。
  24. 松平忠久

    松平委員 関連して質問したいのだけれどもフランスから輸入しているものがこういう欠陥のものがあるのですが、フランスでは輸出検査法という法律はございますか。
  25. 佐々木敏

    佐々木(敏)政府委員 フランスにおいてそのような制度があるかどうか、調査いたしておりませんから、早急に調べたいと思います。
  26. 松平忠久

    松平委員 相当前からこういう欠陥があるのにかかわらず、どうしてフランスに対して調査しないのですか。
  27. 佐々木敏

    佐々木(敏)政府委員 実は強化ガラスのこのような事例が起こりまして以来、諸外国における事例も調べたのでありますが、日本におけるこのような事故確率といいますか、この程度確率は諸外国においても起こっておるようであります。ただ、フランスにおける輸出検査につきましては十分に調べておりませんから、早急に調べたいと思います。
  28. 松平忠久

    松平委員 だからぼくの言いたいのは、なぜ調べないのかというのだ、いままで。ぼくがこういうことを言って初めて早急に調べるなんて言っておるけれども、二年も三年も前からあるのにどうして調べないのだ、それを言っているのですよ。どういうわけだ。
  29. 佐々木敏

    佐々木(敏)政府委員 調査が不十分でございまして、早急に調査したいと思います。
  30. 松平忠久

    松平委員 不十分じゃないのだよ。これは調べてないのだから、フランスに対しては。したがって、輸出検査法があるかどうか、これは法定検査であるかどうか、依頼検査というものはどういうふうに行なわれているか、そういうことを在外公館に手を回して、君たちの代表も行っているわけだから、早急に調べて報告してもらいたい。  以上です。
  31. 佐々木敏

    佐々木(敏)政府委員 早急に調べまして御報告申し上げます。
  32. 中村重光

    中村(重)委員 岡部総合開発局長お見えですね。——先般の国土総合開発会議出席いたしまして、いろいろ御意見を申し上げたわけですが、その一部分についてお尋ねをしてみたいと思います。  新全総の開発計画実施で、第一は、国土利用の抜本的再編成を進める。第二は、国土開発推進にあたっては、従来以上に自然の保護、保存あるいは公害の防止等環境問題を重視する。第三は、各種団体開発事業実施に際して、地域住民の意思を十分に反映させるというような考え方が明らかにされておりますね。実施すべき緊急課題としては、全国的ネットワークの先行的整備。新幹線鉄道の整備は全国一日行動圏の大きな役割りを果たすものであるから、すでに事業の進展している山陽新幹線の繰り上げ完成はもとより、今年度新たに工事に着手した東北新幹線、上越新幹線、成田新幹線の事業の緊急実施をはかる。  そこで、現在の調査線の建設線はどの線か、着工予定はどういうことになっているのか、これは鉄監局長お見えでございますから、局長からひとつお答えいただきます。
  33. 山口真弘

    ○山口政府委員 お答え申し上げます。  新幹線鉄道整備法によりまして、現在基本計画を定め、そして整備計画を定めておりまする線は東北新幹線、東京−盛岡間。上越新幹線、東京—新潟間。それから成田新幹線、東京−成田間でございます。その三新幹線につきましては、工事実施計画まで認可をいたしまして、そして東京−盛岡間並びに東京−新潟間につきましては、現実の工事にすでに入っております。  なお、そのほかに大阪−福岡間の新幹線につきましては別途、新幹線法の制定以前から着工いたしておりまして、岡山までが来年の三月に完成をするという予定でございます。
  34. 中村重光

    中村(重)委員 そうすると、いわれているこの鹿児島までの新幹線の新設は、これはどうなっているのですか。
  35. 山口真弘

    ○山口政府委員 新幹線鉄道整備法によりますと、新幹線の制定につきましては基本計画をまず定めるわけでございますが、その基本計画を定めるに際しましては、鉄道−建設審議会の議を経るということになっております。それで、ことしの一月の鉄道建設審議会におきまして、福岡−鹿児島間、それから盛岡−札幌間並びに東京、富山を経由して大阪までの三幹線につきましては、早急に基本計画に組み入れるように適切な措置をとるべきであるという意味の建議がございました。ただいま先生指摘福岡から鹿児島につきましてはそのような建議がございましたので、それに基づきまして役所としては調査をいたしておるということでございます。
  36. 中村重光

    中村(重)委員 そうすると福岡−佐賀−長崎間の新幹線、これはどういうことになっていますか。
  37. 山口真弘

    ○山口政府委員 お答え申し上げます。  ただいま申し上げました建議がございましたのは東京から鹿児島までの新幹線でございまして、福岡から長崎までの新幹線につきましてはその建議がございません。これは全般的な問題といたしまして調査をいたしております。
  38. 中村重光

    中村(重)委員 これは国土総合開発審議会の中でも議論されたことなんですけれども、この緊急に実施すべき事項の中に、先ほど私が申し上げましたように全国的ネットワークの先行的整備が必要である、その中で、大きな柱として新幹線鉄道を強力に推進をするということになっている。形式的には、いまあなたがお答えになりましたようにこの鉄道建設審議会、これの建議ということによってずっと進められていくということは私もわかっているのです。ところが、やはりあなたのほうが一つの基本計画をお立てになる、そして諮問するという形に実質的にはなっているのだろうと思うのですよ。したがって、この福岡−鹿児島間に対しましては、そういう建議があったから調査をやる、いわゆる調査線ということだろうと思うのですが、福岡長崎間につきましてはこの建議が実はないのであります。まあ、一般的なものとしてこれを取り扱っていくということでありますが、あなたのほうの基本的なものの考え方なんですよ。特に福岡−鹿児島間のほうが優先されて、たとえば九州の関係だけでも私から申しますならば、福岡長崎間というものは第二義的にこれを考えられているのか、その基本的な点はどういうことなんですか。
  39. 山口真弘

    ○山口政府委員 基本的な新幹線に対する考え方でございますが、何と申しましても、先ほどお話がございました国土総合開発あるいは国土の調和的な発展ということのためには、高速輸送体系として、この新幹線の果たす役割りというものは非常に大きいものがございまして、そして、この新幹線網によりまして全国的な国土の調和ある発展というものをはからなければならないということでございます。そして、その調和ある発展をはかるに際しましては、やはり国土全体の主要な中核的な都市間というものは、できるだけ新幹線で結ぶということによりまして時間、距離の短縮ということをはかりまして、国民の生活の向上並びに活動力の強化ということをはからなければならぬわけでございます。  それで問題は、そういうふうな基本的な考え方に基づきまして、全国の新幹線を整備してまいります場合に、その整備の順序といいますか、これにつきましては、一応鉄道建設審議会というものがございまして、その鉄道建設審議会が最も緊急に整備すべきものというようなものを、まず基本計画といたしましてこれを決定するという手続を経まして、その順序に従って整備をいたしておるわけでございます。  なお、九州の博多から鹿児島間につきましては一応建議線、建議がございましたが、博多−長崎につきましては特別の建議というものはまだなされておりません。ただ、建議自体は、これは法律上の、何といいますか、新幹線鉄道整備法の必要な要件ではございません。新幹線鉄道整備法といたしましては、基本計画でスタートをするということでございます。
  40. 中村重光

    中村(重)委員 先ほど申し上げましたように、鉄道建設審議会が建議をするという形がとられて、そしてずっと調査線から建設線へとこうなっていく、その手続上のことはわかるわけですが、しかし、やはり、あなたのほうからいまお答えがございましたように、国土全体の観点に立って、長期的な考え方というものが一つ出る。そこで、どの線を先に着工すべきであるかというようなことでもって、実質的にはあなたのほうが諮問をするというようなことで、鉄道建設審議会の建議ということになっているのだろうと私は思うのです。形式的にはそうではないかもしれませんよ。実質的にはそうだろう。そこで私は具体的にお尋ねしているわけですが、福岡−鹿児島間のほうは、これはあなたのほうが重点的に考えられ、そこで鉄道審議会の建議という形になってきた。ところが、福岡長崎間というようなものは、これは率直に言ってあと回しになっている。それはどういうことから、そういうことになったのであろうか。中身をひとつお聞かせいただけませんか。
  41. 山口真弘

    ○山口政府委員 お答え申し上げます。  鉄道建設審議会で建議の御決定になりましたものであるわけでございますが、これは、私ども役所のほうとは直接の関係なく鉄道建設審議会としては御決定になったわけでございます。  それで、結構基本計画を決定いたします場合に、どういうものを考えなければならぬかということにつきましては、やはり輸送量の需要の見通しというようなもの、あるいはその新幹線鉄道の整備によるところの所要時間の短縮なり、あるいは輸送力の増強というものがもたらすところの経済的な効果、さらに、その新幹線の収支の見通し、それから新幹線鉄道の整備が在来線等の収支に及ぼす影響というようなものを勘案いたしまして、そして基本計画というものが従来定められている。それに基づいて建設が進められているということでございます。具体的なただいまの線につきましては、当然そういったような問題を十分検討いたしまして、今後処理をいたしてまいるということに相なるかと思います。
  42. 中村重光

    中村(重)委員 あまり福岡−鹿児島、あるいは福岡長崎というような形で、私があなたにいろいろな点からお尋ねをすると、いかにもローカル的なことになりまして、これの推進というようなことだけで質問しているように誤解されるようなことになりますから、そういうことはできるだけ避けたいとは思いますけれども、やはり基本的な方針というものが十分明確にされなければいけないと私は思うのです。  そこで、続いてあなたにお尋ねをいたしたいのですが、その前に岡部局長お尋ねをいたしますが、国土の総合開発という観点からいたしますと、例の先般の会議でも私が申し上げましたように、国内にのみ目を向けるということは適当ではないのではないか、やはり国外にも目を向けていかなければならない。中国との国交回復といったものも時間の問題であろう、かつての上海航路というもの、上海−長崎の空路の開設というようなものも今日の課題になりつつあるというようなこと等から考えてみると、当然それらの点に対して十分重視していかなければならないのではないかというようなことを、基本的な考え方として私は平田会長にもただしてまいったところで、意見を申し上げたところであったわけであります。  そこで、私がただいま申し上げましたような点等について、経済企画庁の国土総合開発を担当する局長とされて、これらの点に対してどのようにお考えになっていらっしゃるのか、ひとつ伺ってみたいと思うのです。
  43. 岡部保

    岡部(保)政府委員 ただいまの先生の御意見、私全く賛成と申しますか、そのとおりであると存じます。私ども国土開発という考え方でいろいろ考えておりますと、いままで鉄監局長申しましたように、いわゆる全国の交通網というものが一刻もすみやかに整備されて、それによって国土の開発の可能性というものを、国土のあらゆるところまで同じような開発の可能性を与えるように広げていくということが一番大事なことだと考えております。そういう意味で、いわゆる交通網の整備というのがまず第一に重要な施策であるというふうに考えております。そこで、この国土の開発の可能性を全国に広げるということで、国内だけを見るということは決してほんとうの国土の開発の終局的な目標ではないと存じます。もちろん、日本の国土の置かれております状態というものを考えますと、当然いわゆる対岸貿易と申しますか、中国あるいはシベリヤ等のこれからの交易と申しますか、あるいはそれぞれの開発ともタイアップして、いわゆる開発も国際化したものとして考えなければなりませんし、そういうものを考えあわせた上で、一つ日本の主軸というものが整備されるべきであるという考え方に立っておりますので、当然今後の推進の方向としては、いま先生のおっしゃいましたように、外に対しても目を向けなければいけないということをわれわれ考えておる次第でございます。
  44. 中村重光

    中村(重)委員 山口鉄監局長、いま岡部総合開発局長お答え、これが先般の国土総合開発審議会に総合調整部会のメモとして提案された中に明らかにされているところでして、私はその上に乗って実はあなたにお尋ねをしておるところですね。それでいままでの考え方からいいますと、おっしゃるように輸送量の見通しであるとか、輸送力の増強であるとか、収支の見通し、それから在来線の収支への影響、そういったようなことが中心になってきたというんですね。これが中心であったにいたしましても、いま岡部総合開発局長お答えになりましたように、それは国内だけに目を向けるということではなくて、やはりこれから先の日本経済的な発展というものはどうあるべきか、このことを考えてみますとき、私はただこの数字によってのみ左右されるべきものではないのではないか。もちろん、これは建設の財源の問題というものも実はあるわけですね。ですけれども、率直に言って、総合調整部会の中では、無理をしてでもこれはやるべきである、いまやっておるのを繰り上げなさい、早く完成をするようにしなければならぬ、それから計画のあるものは早くこれを実施に移していくのだ。言いかえると、もっとどんどん計画を立ててこれを推進をしていくべきだということを強調をしているわけなんです。ですから、あなたのほうも大きな役割りをこれに果たしていくことになるわけですから、それらの考え方の上に立つならば、私はむしろあなたのほうが、もっと積極的な立場から鉄道建設審議会に対しての折衝を行なって、むしろ建議を求めるというようなそういう姿勢を示すべきではないかという感じがいたしますが、いかがですか。
  45. 山口真弘

    ○山口政府委員 私ども、先ほど輸送需要の動向につきまして申し上げましたのは、決して過去の傾向というものだけにとらわれているわけでございません。新幹線鉄道の整備につきましては、先ほども申し上げましたように全国的な幹線網を形成する、それによって国土の総合的な開発と国民経済の発展というものに資するわけでございます。そしてその場合に、その路線というものは、全国的な中核的な都市を、有機的かつ効率的に連結するということを考えておるわけでございまして、そしてその全国の中核都市というものの中には、単なる国内的な問題だけでなく、ただいま先生指摘のような、国際的な問題も含めた全国的な中枢的な都市ということを当然考えなければならぬものと私ども考えておりまして、そういう意味で国際交通との関係におきましても、それもまた十分に考慮の中に入れまして、そして中枢都市の効率的な連結というものをやはり考えていかなければならぬというふうに考えておるわけでございます。
  46. 中村重光

    中村(重)委員 いまあなたがお答えになりましたような線に沿って、この鉄道建設審議会のほうも、目下あらためてこの建設に対する建議を追加をしていくというようなこともあり得ると私は思うのですが、その点はいかがでございますか。
  47. 山口真弘

    ○山口政府委員 鉄道建設審議会は、先生よく御存じのように、一応国とは独立の機関、運輸大臣の諮問機関でございますが、独立の機関といたしまして独立に動いておるわけでございまして、したがって、その先生方の御意見というものを私ども拘束するわけにはいかない性格のものでございまして、ただ私どもといたしましては、十分にその先生方に対しまして必要な資料も提供し、あるいは私ども考え方というものを述べまして、御参考に供しつつ審議をしていただくということでございますので、先生の御指摘等いろいろ踏まえまして今後十分検討してまいりたい、かように思います。
  48. 中村重光

    中村(重)委員 それでは、その点はまたあらためてお尋ねをすることにいたしまして、国土総合開発審議会において、この総合調整部会検討いたしましたものが総理に対して答弁をされた、この点を踏まえて十分対処をしていただくということを強く要請をしておきたい、こう思います。それは、形式的にはいまあなたがお答えになったとおりであります。鉄道建設審議会というものに対して関与する立場にないということも、私もよく承知をしておるわけです。同時に、あなたのほうは、やはりあなたのほうの所管業務でもあるわけでありますから、これらに対してどうあるべきかということ自体も、いまお答えがございましたようにひとつ十分検討する、そしてこれを推進をしていくということが必要であろう、こう思いますから、こういった線に沿ってこれに対処していただきたいということを要請しておきたいと思います。  次に、岡部局長お尋ねをいたしますが、同じように調整部会のメモの中に「安全、快適で住みよい居住環境の確保」「大都市、地方都市を問わず、諸外国にくらべてとくに立ち遅れが著しい下水道の整備を大幅に促進する」、そこで、具体的には四十六年度から五十年度の総額二兆六千億円の下水道の整備、この事業の実施を促進をしていくのだということが強調されているわけです。  そこで、下水道の整備に不可欠のものは、私は水の問題であると考えるわけです。水の問題ということになってまいりますと、水源開発に対する問題というものがこれはまた重要な要件であることは言うまでもございません。私は、この点も先般の審議会において意見として申し上げたところであります。具体的に、あなたのほうとしては所管の長として、これらの点に対してどのような構想をお持ちになっておられるのか伺ってみたいと思います。
  49. 岡部保

    岡部(保)政府委員 ただいま先生のおっしゃいました下水道の整備だけではなくて、水資源の開発という問題が非常に重要であるということにつきましては、全く同感でございます。私ども、いわゆる国土全般の今後の進むべき道というものを考えますときにやはり一つの大きな問題は、先生の御指摘のありました水の問題でございます。現段階で、これは建設省で御調査なさいましたいわゆる広域の水の供給あるいは需給関係というものについての調査の第一次のデータを私どもいただいておりますが、それを見ますと、いわゆる水の資源と申しますものが、確かに日本の全体としての降雨量というのは相当大きなわけでございますが、国民一人当たりの降雨量というものは決して大きな数字ではございません。したがって、いわゆる水資源と申しますか、そういうものを相当にこれから考えていかないといけないという点がございます。  そこで、いわゆる供給面として、一体これからどのくらいそういう地表水というものを活用できるかというような点について、マクロ的にいろいろ試算され、あるいはミクロ的に地域的に考えるということになりますと、ここで非常に特色として申し上げなければならないのは、いまのように川が流れておる、その流域をその水でまかなうということはなかなかむずかしくなるということが近い将来にくる。したがって、いわゆる流域外に対してその水を融通してもらわなければならないという問題が出てくるのが、非常に大きな特色かと存じます。したがいまして、いわゆる広域的な水の供給というものをこれからまじめに考えていかなければいけない。  さらにその水の、ちょうど下水道に関連ございますが、水の使い方というものを相当に高度化と申しますか、合理化と申しますか、たとえば循環使用をするというようなことまで考えないと、これから先の水の問題ということは非常に問題になってくると存じます。そのような点で、いろいろ問題ございますが、水の問題、またそれといわゆる生活環境としての下水の問題等々、まだまだ相当に力を入れなければいけないという考え方を持っております。
  50. 中村重光

    中村(重)委員 考え方はわかったのですが、具体的に広域水道という形でこの水源開発を進めていこうということになってまいりますと、やはり水源のない地域に対してはどうするかということがこれは当然考えられなければならない、対策として立てられなければならない、こう思います。  同時に私は、海洋開発の一環として、海水の淡水化あるいは海洋資源の開発ということを考えていかなければいけないのではないか、これまた国土総合開発の重要な柱でなければならないというように思います。その点に対してはどのようにお考えになっていらっしゃいますか。
  51. 岡部保

    岡部(保)政府委員 先ほども申しましたように、水のない地域に対する水の供給という問題が、確かにある一面では地表水を域外から導入するという方法も一ございます。また一面には、のいま御指摘のございました海水の淡水化という問題もございます。確かにこれだけの海水という水資源としては非常に豊富な資源があるわけでございますが、現段階では残念ながらどうもコスト面として非常に高いということが海水淡水化ではいえるかと存じます。ただこれから考えてまいりますと、たとえば、地表水の供給ということでいろいろなダムアップをいたしましたり、あるいは域外の導水のために導水路を建設いたしましたりしてやります。そういう地表水の供給の水の単価としても、現在までに供給できた水の単価よりははるかに高騰いたします。したがって、そういう意味から、これは通産省で、あるいは科学技術庁等で非常に御研究いただいておるわけでございますが、この海水の淡水化というものも当然あわせて考えるべきであるということで、その点大いに技術的に改良と申しますか、進めていただきたいということを考えておる次第でございます。
  52. 中村重光

    中村(重)委員 そこで、工業技術院が五十年度で設計が終わるところの淡水化の大型プロジェクト、これに対しては、あなたのほうはどのようにお考えになっていらっしゃいますか。
  53. 岡部保

    岡部(保)政府委員 私どもの立場といたしましては、現在だいぶ進んでおられます研究、これを一刻も早く完成していただきたいと申しますか、いわゆる実用化の段階に早く進めていただきたいという考え方で、必要あれば御協力申し上げるという考え方でございます。
  54. 中村重光

    中村(重)委員 太田工業技術院長がお見えですからお伺いしますが、工業技術院で計画している、いま私がお尋ねしましたこのプロジェクトの建設計画というのは、いまどの程度具体化をしているのでしょうか。
  55. 太田暢人

    ○太田(暢)政府委員 通産省の大型プロジェクトといたしまして取り上げております海水淡水化の研究は、四十四年から始めておりまして、五十年で完了する予定になっております。現在茅ケ崎に臨海研究施設をつくっておりまして、そこで一日三千トンの淡水化の試験工場を運転をしております。非常に順調に研究は進捗しております。来年度から一日十万トンの規模の部分試験工場、これは研究上非常に必要なポイントだけを、十万トンの規模のデータがとれるようなものでとっていくということでございまして、十万トンの水がとれる工場ではございませんが、そういうモジュールテストの工場を四十七年から設計いたしまして、四十八年から建設する、それを動かしまして五十年度までにこの研究を完了させたいというぐあいに考えております。
  56. 中村重光

    中村(重)委員 いま五十年度に大体一日百万トンの淡水化を目ざしていくというようなことについて部分的な試験をおやりになるというようなことなんですね。その場合、将来これが百万トンの淡水化が完成をしたというような場合に、やはり水が不足をしている地域に対してこれは供給をしていこうという考え方であろうと思うのですね、具体的には。それは大体どの地域をお考えになっていらっしゃるのですか。
  57. 太田暢人

    ○太田(暢)政府委員 との大型プロジェクトの目的は、一日数十万トンあるいは百万トンといったような非常に多量の造水を必要といたします地区を対象にした施設でございます。したがいまして、現在日本の内地でございますと神奈川県とかあるいは長崎県とかいったようなところ、あるいは大都市の近辺、そういったところが対象地区になるかと存じます。
  58. 中村重光

    中村(重)委員 そうなってまいります場合、この部分試験というものが将来実用化することにつながっていくというようなことが私は必要ではないかと思いますが、その点はいかがでございますか。
  59. 太田暢人

    ○太田(暢)政府委員 この研究自身は必ずしも地区と直結しなければできないというものではございませんが、もちろんその地区と直結した形でやれればそのほうがよりベターだろうと思います。しかし第一次的には、やはりこの研究自身が一番円滑に進捗するそういう諸条件がございますので、そういうものを満足するような形で研究を進めていくべきものかと存じております。
  60. 中村重光

    中村(重)委員 その研究自体が円滑に進められていくという条件は、どういうことになりますか。予算の問題でしょうか、あるいはその他の条件があるのでしょうか。
  61. 太田暢人

    ○太田(暢)政府委員 これは、まず一つ先生いまおっしゃいました予算、これは大体概算予算がきまっておりますから、その予算の中でまかなっていかなければなりませんので、予算制約上の問題、それから土地の問題、水の問題、あるいは、これも予算と関連してまいりますけれども、その研究をやっていきますために多量のスチームが要りますが、そういったものを隣接した工場から供給していただくとか、あるいは電力を供給していただくといったようなことが満足されることが望ましいというぐあいに考えております。
  62. 中村重光

    中村(重)委員 先ほどあなたのお答えで、この実用化と研究というものが直接結びつかなければならないものではないというお答えがあった。私は研究自体はそうであろうと思います。しかしながら、たとえば百万トンの大消費地域、神奈川県であるとか東京、あるいは長崎ということもおあげになりましたが、それらの消費地域、そこで先ほど申し上げましたように水源がないということで淡水化ということが必要であるなんということになってまいりますと、どうしても淡水化の設備をしていかなければならない。そうなってまいりますと、この十万トンの試験というようなものも、できるだけ将来淡水化を実施しなければならない地域と結びつけるということは、私は当然でなければならないような感じがいたします。しかし、それを制約してくるものは、いまあなたもお答えになりましたように、いわゆる予算問題等の制約もあるであろう、あるいは電源というようなもの、あるいは土地といったようないろんな条件というものもある。しかし、それは集約的にはやはり予算の問題、これは金さえあれば土地というものは何とかならないものではないと私は思う。また電源の問題もしかりであると私は思うのですが、それらの点に対していずれにウエートを置くかということなんです。いま十万トンなら十万トンのモジュールの試験をやる、そういう場合に、その試験がやりやすいということにウエートを置くのか、それはあなたのほうの研究が円滑に行なわれるという、非常に狭い範囲でものを考えることになるのです。そうではなくて、国土総合開発というものの一環として、やはり下水道の整備等をやらなければならない。そうなってくると、水というような問題との関係というものは当然起こってくる。水のないところはそういう整備がどうしてもおくれていく。そこで水源開発が必要になってくる。水源がない、淡水化だ、こうなってまいりますと、やはりそのモジュールの試験研究というようなものをそれらの地域でやっておくということは、将来の実用化に私は大きく寄与することになるであろう、そのように考えますが、その点はいかがでございますか。
  63. 太田暢人

    ○太田(暢)政府委員 いま先生のおっしゃいましたようなファクターも、実際かなり大きな研究でございますので、そういうものをやっていく上からは、かなり重要なファクターの一つであろうかと存じております。いまの十万トンのモジュールテストといいますのは、実際には研究用の施設でございますので、これを実用的に使うのには適さない施設でございます。また、造水量も非常に小そうございます。おそらく四千トンとか五千トンくらいのものしかできないと思います。また経済的には、それを実用化するということではかなり高くなる装置だと思いますが、しかし、地元の方の関心その他そういう熱意といったようなもの、将来それを実用化するにあたりましてのそういった問題は、重要視すべきファクターの一つかと存じております。
  64. 中村重光

    中村(重)委員 岡部総合開発局長、いまあなたがお聞きになっておられて、総合開発観点からどうあるべきかということを、あなたはいかがでございますか、ウエートはいずれにかけるべきかということ……。
  65. 岡部保

    岡部(保)政府委員 私どもの考えといたしましては、先ほども申しましたように、これは研究の段階で非常に御苦労なさっておることはよくわかりますが、われわれとしては、一刻も早く実用化に応じられるような段階に進んでいただきたいという考え方でございます。したがいまして、いま院長のおっしゃいましたような、たとえば一つの実用化のテストプラントというものの立地という問題と、その地域のそういうものに対する熱望というものは、非常に強い結びつきを持っていただきたいという感じを持っております。
  66. 中村重光

    中村(重)委員 考え方はわかるのですよ。考え方はわかるのだけれども、問題は制度上の点にかかってくると私は思う。  これも、国土総合開発審議会に総合調整部会検討メモとして提案されたものの中に実は出ている。「計画実施にあたっての制度上の問題」「広域開発行政の推進地方公共団体の開発行政における主体性の強化をはかる必要があり、また国の開発行政の一元化、システム化も重要な課題である。」こういうことを触れておられるわけですね。  工業技術院としましては、二十五億という予算の制約というものがある。その中で十分なテストが行なわれていかなければならないということになってまいりますと、やはり電源が容易に入り得る地域が必要になってくる。あるいは土地の要件その他、ともかく予算ワク内において試験研究がなされなければその目的を果たすことにならぬ。しかしながら、私が申し上げましたように、この造水量というものは、いまのお答えでは、十万トンのモジュールの研究といったようなものはわずか四千トンとか五千トンにすぎないのだとあなたは言いました。しかし、その量は少ないのだけれども、将来この淡水化を実施をしていかなければならない地帯にとりましては重要な問題点であろう、こう私は思います。したがって、工業技術院が予算の面で縛られているけれども、そういう水質源の開発が困難な地域においては淡水化というものをやっていかなければならないということになってまいりますと、工業技術院まかせであるということであってはならない。やはり予算がなければ、その予算というものを、もっと広い範囲、高い次元に立ってこれをバックアップする、そういう体制がなければならないのではないか。この「計画実施にあたっての制度上の問題」というものも、それらの点に対しても触れておる、私は実はそのように考えるわけです。したがって、経済企画庁としましては、このモジュールの試験研究としましてももう幾つかの地域があがってきておる。しかしながら、その予算関係というものによって、別に水資源というものに困っていない地域であっても、電源、いわゆる蒸気というものが容易に得られるところであるとか、あるいは距離が近いところであるとか、そういうところにどうしてもウエートがかかりがちである。ですから、そういう点を十分ひとつ工業技術院と一体となって、将来の方向をきちっと見定めて試験研究等もやっていくということが必要であろう、そのための地域の決定というものがなされなければならない、そのように思います。  いろいろ触れたいことがありますけれども、時間的な関係がありますから、いま私が申し上げましたことに対して、太田院長並びに岡部局長から再度お答えをいただきまして、この問題に対しては一応終わりたいと思います。
  67. 太田暢人

    ○太田(暢)政府委員 先生のいまおっしゃいましたことも考慮いたしまして、今後の研究にはいろいろ必要な条件がございますが、そういう条件を十分慎重審議いたしまして、モジュールテストの設定の場所をきめていきたいと存じます。
  68. 岡部保

    岡部(保)政府委員 ただいま院長のおっしゃいましたことと全く同感でございますので、今後検討をさせていただきます。
  69. 中村重光

    中村(重)委員 それでは、過密過疎対策の問題についても触れたいと思いましたが、時間が参りましたから、また後日この点についてはお尋ねすることにいたします。  それでは、中小企業関係に入りますので、どうぞお引き取りを願います——きょうは、要点のみお尋ねをいたしまして終わりたいと思います。  先ほど長官からお答えがございましたが、現在の制度というものは、実は一定の制度の上に立って最大限に中小企業の振興をはかっていくという予算要求をしていかなければならないということであります。長官といたしましては、一応制約された立場にありますから、その点はわからないではありません。しかし、私どもの立場からいたしますならば、今日の国際経済の大きな変化に根ざして、具体的にはアメリカの新経済政策によっていま大きな影響というものがもたらされてきている。今日まで進めてまいりました経済の高度成長政策、この進め方というものに対しては転換をはかっていかなければならない。具体的には輸出入貿易の地域の転換というものも起こってくるでありましょう。あるいは、いままで進めてまいりましたGNP第一主義、貿易第一主義というようなことから、公共投資であるとか社会投資であるとか、そして開発のおくれた中小企業あるいは農業、生産性のおくれておるこれらの産業に対して生産性を高めていくということでなければならない。同時に、情報化の時代ですから技術研究、技術開発、そういうことにも力点を置いていかなければならない。同時に、公害をなくするために、あるいは物価を押えるためには流通機構というものの整備を強力に推進をしていかなければならぬ。こうした根本的な問題をかかえて行なわれるところの来年度予算編成、その中で従来の制度にとらわれて、二五%なら二五%程度以上を要求できないというような形であってはならないのではないか。いまあなたのほうで概算要求をしている以上にこの中小企業予算というものがつけられるということは、おそらくあなたは想像をしておられないのではなかろうかという感じがいたします。通産大臣を中心にいたしまして、そこでいろいろと省議が行なわれた、そして概算要求という形になってあらわれたと私は思うのでありますけれども、その中におきましては、私がいま指摘をいたしましたようなことは議論されていないのであるかどうか、その点はいかがでございますか。
  70. 高橋淑郎

    高橋(淑)政府委員 仰せのとおり、概算要求は二五%というワクが設けられておりますが、中小企業につきましては、前年比二九%増ということで概算要求をいたしております。  それから例示的に御指摘のありました情報化時代に対処する方策、技術開発に重点を置くこと、公害対策を重視すべきこと、流通機構の近代化をはかること等、私たちこの概算要求の中でいずれも重要な項目として考えまして、前年に比べまして、比率あるいは金額の上におきましても、いずれも大幅な要求をいたしております。
  71. 中村重光

    中村(重)委員 通産省全体としての二五%、その中において中小企業庁二九%、いまあなたが、私が指摘をしたことに対しまして、この情報化時代に対処する対策あるいは技術研究、技術振興のための対策、その他特恵対策であるとか、いろいろなことを相当頭に置いて概算要求をされたということは、数字の中でわからないでもありません。しかしながら、中小企業の近代化計画に対して一億三千六百万円を要求しているのにすぎない。下請の問題というものが、下請振興法の制定に基づいて相当強力に推進していかなければならないのであるけれども、これに対してはわずかに九千八百万円。技術振興の強化とはいいながらも、これまた技術開発事業は四億七千八百万円、これはわずか一億伸びたにすぎない。技術指導事業にいたしましても、五億一千二百万円、これもわずかに七千万程度伸びたにすぎない。技術研究の促進、これも一億数千万円伸びたにすぎない。一つ一つ取り上げてまいりますと、特恵対策、あるいはその他情報化に対処するための予算関係というのを見ましても、指導事業の強化、情報化対策、組織化対策推進。診断指導事業費の補助、これは九億三千七百万、四十六年度が八億六千二百万という数字から見まして、ほとんど問題にならないでしょう。情報処理指導事業費にいたしましても六千百万、これは二千四百万でございましたから、伸び率としては高いとは申しながら、わずかに六千百万ということではこれは問題にならないですよ。重要な構造変化、抜本的な中小企業の振興対策を講じていかなければならない予算概算要求といたしましては、これでは、声を大にして、あなたは中小企業の振興をはかろうというような熱意を示しておるということにはならないと私は思う。特に小規模事業の対策、これは六十四億四千九百万円でしょう。内容的には何があるのか。従来とほとんど変わったものはありません。小規模事業施策の普及、こういうものは新規の予算として計上されている。他に、目新しいということばを私は使いませんけれども、こういったような予算では問題にならない、私はそのように考えるわけです。私の指摘に対してあなたはどのようにお考えになりますか。
  72. 高橋淑郎

    高橋(淑)政府委員 御指摘は、各項目にわたりまして前年に比べて数千万円の増しかないではないか、あるいは二倍程度の増ではないかと御指摘でございます。私たちも、中で、各項目ごとにいろいろと検討をいたしてまいりましたけれども、それでは何か従来と全然変わった新しい施策で、しかも、実行可能なものがあるだろうかということでいろいろやってみまして、これはできるというものは新規の項目として要求をいたしておりますし、やはり大事なことは、従来の施策が必ずしも十分に理解され、あるいは徹底されていないのではないか。したがいまして、従来の施策の拡充をやはりはかって、それからその運用面につきましてよく振り返ってみて、改めるべきところ、また新しい時代に即応して考えなければならないところ、こういう点につきまして十分な配慮を払って、質的に充実したもので積み重ねによって中小企業対策実施していくということが大事であろう、こういうように考えまして、金額の上あるいは倍率の上でまだまだ足りないではないかという御指摘は、私すなおに承ります。ただ、実行上、実際にやれることということになりますと、なかなか、適当な人材を得ることとか、困難な点もいろいろございますので、今後ともいろいろ御指摘を受けました点につきましては念頭に入れて、中小企業対策の拡充に力を尽くしたいというのが考え方でございます。
  73. 中村重光

    中村(重)委員 私は、長官のあなたに、あまり声を大にして申し上げるということはいささか無理であるというような感じがいたします。これは大臣に当然問題提起をしなければならない。     〔委員長退席、進藤委員長代理着席〕  しかし、長官昭和四十六年度中小企業予算がわずかに四百四十九億九千六百万円でしょう。国の総予算が九兆四千百四十三億、この総予算に占める比率はわずかに〇・六%です。中小企業というものはどんどんふえてきている。そしてまた倒産も絶えず行なわれてきている。いまあなたの答弁からは、何をやったらよろしいのか、人材の問題その他、やろうとしてもなかなかこれといって特に新たに支出をしなければならないというようなものも見当たらない、あるものについては一、二にわたって新たに予算化をしたのだ、そういったようなお答えであるわけである。問題は従来のからを破るかどうかということなんです。  中小企業は間接行政といわれるけれども、今日中小企業の果たしておるところの大きな役割り、国民の消費生活の面において、あるいは国の経済発展の中に占める中核的な役割り、その役割りを果たさせる上において、それでよろしいのか。先般のドル・ショックの関係の法律案の審議の際にも申し上げた、わずかに千五百億の緊急融資、これに対しては、輸出が減退をした、あるいは転換を行なうといった場合におきましても、わずかに加算償却の制度、そして若干の融資をするにすぎないではないか。全部が全部機械を買い上げなければならぬ、買い上げるということは無理であるにしても、ともかくもっとそうした不要になった機械をどうするのか、買い上げの問題を中心にして対策を講じていかなければならぬということを強調し、これは与野党一致して附帯決議がつけられておるということはあなたも御承知のとおりであります。やらなければならないことはある。問題はやはり、予算の制約というものによって押えられてきておる。中小企業のことを問題としない者はないけれども、ほんとうに真剣に中小企業の振興ということに対して、どれほど熱意をもってこれに取り組んでいこうとする姿勢を——政府は言うまでもなく、議会側としても私は反省をしなければならぬと思うのでありまするけれども、国会の場においてもそれを真剣に考えておる者がどの程度あるのであろうか。私は、その熱意不足というものが、今日中小企業をコンマ以下に扱っておる実態にあるということを申し上げなければならないわけです。だからして、来年度予算編成という中におきまして、それらの点に対して十分対処していく予算概算要求というものがなされなければならなかった。それがなされないというところに非常な不満を実は持っているわけです。あらためて大臣にこの点をお尋ねをいたしますが、年内予算編成が行なわれるのかあるいは来年になるのかわかりません。わかりませんが、十分重要性というものを認識をして私は対処してもらわなければならぬということを強く要求しておきたいと思います。
  74. 高橋淑郎

    高橋(淑)政府委員 ことばが足りませんでございましたが、来年度の施策において、小規模対策あるいは公害対策あるいは技術開発に対する対策等、私たちとしてはできるだけの知恵をしぼりまして、新しい項目を幾つか要求をいたしておるつもりでございます。何とかして要求をできるだけ認められるように最善の努力をいたしたいと思いますし、また基本的に、御指摘のありました新しい時代に即応する施策ということにつきましては、先般もお答え申し上げましたように、中小企業政策審議会の場で新しい中小企業のあり方あるいは施策の方向ということについて審議を始めていただいておりますし、また私たちも正面からこの問題にいま取り組んでおるわけでございます。しかし、いますぐに結論めいたものを出すということも困難でございます。したがいまして、従来からも新しい時代あるいは国際化時代にどう対処していったらいいかということを考えながら施策なり予算要求というものはなされております。その中身を充実し、その運用面を事態に即応して極力やっていきたいということでございます。  それから、先般も申し上げましたように、一般会計につきまして中小企業予算を全予算と比較なされる場合はいま仰せのような比率になりますが、財政投融資の面からする中小企業対策というものが非常に大事でございまして、この面においては、私、相当程度の配慮がなされておると思います。
  75. 中村重光

    中村(重)委員 一般会計の面は別として、いわゆる財政投融資の面において相当力を入れておるのだがというようなお答えであるわけでありますが、なお私は先ほど申し上げましたように、公害の問題に関して中小企業者が、もちろん何もかも政府におんぶしていくというような姿勢はあってはならない。これは大企業は言うまでもないのであります、力があるのだから。ない中小企業にしましても自助努力というものはなされなければならない。これは当然であります。ですけれども、今日置かれておる中小企業の実態から、中小企業にとっては、社会的責任はあると申しながら、直接的な予算の面ではうしろ向きの投資になるわけでございますが、これに対して、いまのように共同公害防止施設にいたしましても、公害防止事業団あるいは中金から融資をいたしております。これにいたしましても、いまのような五%であるとかあるいは六・五%であるとかいったような金利を負担するだけの能力があるだろうか。あなたのほうはつぶさに調べておるかどうか知りませんけれども中小企業は公害に対するところの設備がどうしてもできない。だから床を掘ってどんどん、どんどん汚水を流しておるという事実を私は幾つも知っておるのです。それが地下に浸透していく、そうして水質を汚濁させるというようなことが行なわれておる。これはけしからぬ話だ。けしからぬ話だけれども、今日置かれておる中小企業の実態というものは、前向きでもお金が足りないのだから、したがって彼らにとっては直接生産性を高める投資にならない、いわゆるうしろ向きの投資をするだけの余裕がない。だからそういうこともやっておるという実態をあなたのほうは十分把握しておらなければならぬ。機会があれば、私は、どういうところでどういうことをやっているということを具体的に申し上げてもよろしい。こういう場所で申し上げることはいかがかと思いますから、私はきょうは控えますけれども、そういう実態がある。  公害対策にいたしましても、これは融資以外に一般会計の予算で四億九千八百万円を計上しているにすぎないではありませんか。ただ、概算要求の中で、これはむしろ大蔵省予算の中で計上しておると考えますけれども中小企業信用保険公庫、これが百中億から二百十億という予算を計上しておることは、私は熱意を示しておると思っています。これは先般の委員会においてあなたが特に声を大にしてお答えになったところであります。私も、準備基金、融資基金、これは特恵対策あるいはドル・ショック、そうしたことに備えての予算の計上であるというようにこれを評価いたしたいと思っております。だがしかし無担保無保証、こういう信用保険において五十万円が先般八十万円に三十万円引き上げられたが、無担保保険は三百万円の据え置きにすぎない。今日中小企業者は、金が足りないけれども実は担保がないということで借りられないでおるという実態を考えてみますとき、一体無担保無保証あるいは無担保保険という信用保険の制度に対して熱意を入れておるのであろうか、この点は問題であると思いますから、ひとつ端的にお答えいただきます。
  76. 高橋淑郎

    高橋(淑)政府委員 大事なことは信用補完制度を拡充することであるということは、私全く先生指摘のとおり、そう思っております。ただ、無担保無保証の特別小口保険の八十万円を引き上げる、あるいは無担保保険の三百万円の限度を引き上げるとかいうことになりますと、保証協会の収支状況、それから信用保険公庫の意向とかあるいは保険制度のあり方全体を考えまして、この際一挙に限度の引き上げをはかるということはなかなかむずかしい点がございまして、やはり従来に引き続きまして、信用保険公庫に対する出資の大幅増を要求し、そうして他方信用保証協会の経営基盤をまず強くする、そうして保証が円滑に行なわれるようにつとめることがこの際やるべきことであると考えまして、この際は限度額引き上げは要求しなかった次第でございます。
  77. 中村重光

    中村(重)委員 私は時間がないから多く申し上げることを避けますが、いまの無担保無保証八十万円の問題、あるいは無担保保険の三百万円の引き上げの問題これは私どももあらゆる角度から検討して附帯決議もつけてきた。百万円にしなさいという附帯決議をつけてから何年になるのです。保証協会の保証能力がないから、ないからして保険公庫に対するところの出資というものが多くなされてこなければならない。同時に地方自治体に対しても出損金の要求といったようなものは、これは当然行政指導というような形でもって要請されていかなければ私はならぬと思う。むずかしいと言えば少しも前進はないのですよ。問題はやる気があるかどうかという問題なんだ。私どもの附帯決議というものは、そんな現実遊離な附帯決議をつけているのではない。当然これはやらなければならぬという形で附帯決議がつけられてある。国民金融公庫の貸し付けの規模の問題にいたしましても、先般三百万円から五百万円に上げたのだから、これは一千万円までということはなかなかむずかしいといえばそれまでのことなんだ。しかし、今日この貨幣価値というものが低下をしておる事態において、国民金融公庫の貸し付け限度額が五百万円ということであっていいのかどうか。これを引き上げるということになってまいりますと、今度は大きいほうに資金が片寄り過ぎて、零細なものがその犠牲を受けるということになってまいりますから、同時にこれは絶対額をふやしていかなければならぬことは言うまでもないのであります。しかし、この限度額というものの五百万円の据え置きということは実は問題があるのであります。これは大蔵省からお見えでございますからこの点はお答えいただきたいと思うのでありますけれども、時間の関係がありますから全部一括をしてお尋ねしますから、お答えをいただきたいと思います。  たとえば、税制の問題に対しましては、個人事業主の所得に対する課税の負担の軽減の問題、中小法人の法人税率の軽減の適用範囲の拡大、それから同族会社の留保所得に対するところの加算の課税制度についての留保控除額を引き上げよ、こういったことに対しましても、これは絶えず要求をされてまいったところです。  それから地方税の問題に対しましては、個人事業税はこれは二重課税の弊があるから撤廃しなさい。法人事業に対しましては、給与というものは全額損金として落とされておるのであるから、個人事業主の報酬というものは全額これは控除されなければならない。そういった要求がされてまいりましたが、この点は若干、年間五万円程度引き上げて、なかなか全額給与控除制が実施されないという実態に実はあるわけであります。こういったようなことで、弱い中小企業というものが、ほんとうにこの重要な新しい事態に対処してその役割りを果たすことができるとお考えになっておるのかどうか。一括してお尋ねをいたしましたから、ひとつそれぞれお答えをいただきたいと思います。
  78. 高橋淑郎

    高橋(淑)政府委員 保険の限度額の引き上げにつきましては、附帯決議のございましたことも承知いたしております。利用状況をよく見まして、いましばらく検討させていただきたいと思います。  それから国民公庫の限度額の引き上げにつきましては、先般もお答えいたしましたが、三百万円から五百万円に引き上げられてからまだ間がないということ、それからなるべく多くの人に利用していただきたいということ、それから、いろいろと特別に限度額を引き上げて貸し付けを行なう制度の活用をはかるというようなことをやっておりますので、今後引き続き検討さしていただきたいと思います。  中小企業に対します税制につきましては、特に小規模事業者の課税につきまして、国税、地方税を通じて軽減をはかることが何よりも大切であると考えまして、いま御指摘のございました項目をはじめ、いろいろな項目にわたりましていま関係省のほうといろいろ折衝いたしておる次第でございます。
  79. 北田榮作

    ○北田説明員 ただいまお話のございました国民金融公庫の貸し付け限度の点につきましては、中小企業庁長官からお答えされましたとおりでございます。四十四年七月に三百万から五百万まで引き上げましてまだ間も一ないところでございます。できるだけ零細な小口の生業資金を貸し付けるというような趣旨からいたしまして、広く均てんさせるというととからある程度限度を制限しておるわけでございます。現在の国民公庫の貸し付け実績を見てみましても、四十五年度の実績で見ますと、一件当たりの平均貸し付け金額は約百万余でございます。また階層別の貸し付け金額を見てみましても、これは一件一件でございますので累積の残高ではございませんが、百万円以下の貸し付けが件数では七〇%程度、それから金額でも四〇%程度でございます。二百万以下の貸し付けを入れますときわめて多くの部分がこの中に含まれるというような状況でございますので、一般の貸し付け限度の引き上げについてはまだその必要がないものと、このように考えております。  ただ、いまもお話しございましたように、特別の貸し付けにつきましては、いろいろの特別利率を付しますとともに、貸し付け限度につきましても特別の限度額を設けておりまして、貸し付けに支障のないようにいたしておりますので、そういった点で十分あるいは対処し得るもの、このように考えておるところでございます。
  80. 山内宏

    ○山内説明員 国税の点についてお答え申し上げます。  来年度の税制改正につきましては、恒例のとおり雑多と申しますか多彩と申しますか、非常に多くの要望を現在いただいております。それに充てます減税財源はおのずから限度がございますので、その中からいかに重点的に改正を行なうかということにつきましても、目下鋭意検討中でございます。  ただ、ただいま御指摘ございましたように、個人の事業者は法人に比べて何らかの意味でのさらに軽減をしてほしいという要望も入っておりますし、それから小規模の法人につきましては、大規模法人に比べて小規模法人の負担を軽減してほしいといったような要望も入っております。私ども中小企業の重要性という点については十分に認識をいたしておるつもりでございますけれども、同時に、いまのような御要望に対しましては、他方、たとえばサラリーマンの側におきましてはクロヨンといったようなことばでもって、事業所得者に比べてサラリーマンの負担が重いのではないかというふうな感触も伝えられておりますし、また他方、中小企業者と同様に汗を流して働いておる農業所得者につきましても何らかの軽減をやってほしいというような御要望もありまして、その間いずれをどういうふうに考えるか、相互の連関については非常に複雑、困難な問題があるという点については、ひとつ御理解をいただきたいというふうに考える次第でございます。
  81. 山下稔

    山下説明員 地方税の問題についてお答え申し上げます。  第一点は個人事業税が二重課税であるという点でございますが、企業が活動するにあたりましては当該地方団体から何がしの行政サービスを受けるわけでございますので、その点を考慮いたしまして、事業の活動量に応じて負担をするという趣旨の税でございますから、私どもといたしましては特に二重課税というふうには考えていないのでございます。  それから第二点は、事業主の報酬を個人にも認めろという御趣旨であろうと思いますが、事業主報酬の問題につきましては国税との関連もあり、税制の中に取り入れることは問題であろうと私ども思っておりますが、中小企業の税負担の軽減ということにつきましては、地方財政が許します限り検討はいたしたいと思っております。その形といたしましては、すでに個人事業税にございます事業主控除、これを引き上げるという形で検討をしてまいりたいと思いますが、これも地方財政との関連がございますので、そうした点等も考え合わせ、引き続き検討してまいりたいというふうに考えております。
  82. 中村重光

    中村(重)委員 これで終わりますが、私もいまのようなお答えが返ってくるだろうと実は思ったのです。そういうことではどうもしようがないのですね。それぞれむずかしいことはよくわかるのですよ。わかるのですけれども、私は事業、漁業と中小企業を比較しようとは思いません。農業にしても漁業にしても生産性は非常に低いのです。担税力というものも非常にないわけです。しかしながら、個人事業税というものがどうして零細企業に対してのみかかるのであろうか、これは不合理であるというふうに私は考えているのです。それは、サラリーマンの税の問題その他いろいろ、税金は高い、これは決して楽ではないということは言うまでもないのであります。しかしながら、バランスがはたしてこれでとれておるのかどうかということになってまいりますと、租税特別措置法に中小企業も当然該当するのだといっても、現実にそれがはたしてできるのかということになってくると、中小企業がこの租税特別措置法の恩典を受けることはなかなかむずかしい。経理面におきましても非常に条件がむずかしいので、なかなかそれをやることはできないということ等を考えてみると、バランスの問題としては、中小企業に対するところの税金というものは、税負担は決して楽ではない、非常に重税であると実は思っているのです。青色申告の特別経費の準備金の積み立てにいたしましても、これは一歩前進であったけれども、これとても、やめるということになってまいりますと取りくずしによる一時所得というものが課せられてきておる。それではいけないのであって、これは退職金のほうに引き当てていくとか、あるいは資本の中にそれがそのまま引き当てられる場合は税の対象にしないとか、何かいろいろなことが考えられなければいけないのではなかろうか。同族会社の問題にいたしましても、中小企業はほとんど同族会社である。ですから、これは抜本的に税の軽減措置というものが講ぜられてこなければならない、そのように実は思うわけです。  なおまた、先ほど北田課長は国民金融公庫の例をおあげになりまして、百万円とか二百万円とか——他の例ということは、これは構造改善事業なんかのことをおさしになったのだろうと実は私は思うわけでありますけれども数字だけでは見ることはできないと思うのですよ。どうしても絶対額というものが押えられてきている、だから借りたいけれどもなかなか借りられない。また第一線はどうしてもこれを押えていくというようなことになってくるわけです。そこを見のがしてはならぬ、こう私は思うのです。ですから、いま融資されている貸し出しの金額、それの平均がどうなのか、その件数がどうなのかという現在の数字だけでもってこれを律するということは実情にそぐわないものがあるというように私は思います。ですからその点は、先般三百万を五百万に引き上げた、それから何年もたってはおりませんけれども、実態にそぐわないものがあるということで十分検討される必要があるであろうというように思います。ただしかし、この限度額を引き上げたということだけではどうにもならない。絶対額をふやしていくのでなければ、先ほども私が申し上げましたように、これはどうしても信用力が弱い面にしわ寄せされてくるということになってまいりますから、これは相兼ねた形で問題の解決がなされなければならぬと思うのです。  同時に、構造改善事業にこれは匹敵するものであるかどうか、これは議論のあるところでありますけれども、環衛金融公庫あるいは物価対策としての生鮮食料品中小企業の近代化、これはマル食と称せられる、一方はマル環資金といわれますが、これは六分五厘、七分七厘、八分二厘という形になっておる。一般のプロパーの中小企業の設備の面において、より重要性があるものがありましても、これは国金から借りましても、構造改善事業あるいは中小企業の近代化融資、そういったような特殊なものを除いては八分二厘で融資を受けておるという実態、あるいは償還の条件等におきましても、プロパーの融資というものはこれは特別の融資よりも非常に条件が悪い、こういうことがありますから、この点は十分配慮される必要があるだろう、このように思います。  なお、厚生省の三浦環境衛生課長に御出席いただきましたが、時間の関係がありますから、私は意見だけを申し上げてひとつ参考に資したいと思うわけです。  環衛金融公庫も、民間の金融機関に対して、これは環衛公庫の代理貸しというものに指定をせよという要請が絶えず前からなされてきている。業界も、環衛金融公庫、厚生省も、一体となってそういうことを言っておられる。わからないでもありません。わからないでもありませんけれども、離島、僻地に対してその要請を受け入れたというような面も私は多々あるのだろうと思うのでありますけれども、これは再々委託という形によって、民間金融機関が委託を受けて融資をしておる。ところが、現実にそれが弊害となってあらわれてきているということです。だから、歩積み両建てというものも、民間金融機関というものはその弊害がむしろ助長されてきておる。この弊害というものはなくなっておりません。したがって、いま民間金融機関ににわかに代理貸しをやらせるということは、私は必ずしも適当であるとは考えない。だからして、それらの点に対しては十分検討されていく必要がある。ただ、決して私は環衛金融公庫がなわ張りでもって言っておるというように簡単に片づけばいたしませんけれども、ともかくそういうような役所のなわ張り的な点から、環衛金融公庫が融資の決定というものを主導権を持ってやるというような考え方からそういう主張があるとするならば、私はこれは改めてもらわなければならないというように思います。  同時に、これは大蔵省の北田課長もぜひ聞いていただきたいと思うのですが、ともかく最近は環衛金融公庫の融資がどうしてもうしろ向きになりつつあるという事実は否定することができないと私は思うのです。償還期限の問題にいたしましても七年、十年になっている。それならほんとうに七年、十年というような融資が行なわれているのであろうか。あるいは設備の問題にいたしましても、なかなかきびしい査定というものが現実に行なわれておるということは否定できない。そういったいろいろなきびしい条件の中で、民間金融機関を窓口にして貸し出しが行なわれるならばもっと円滑にいくのではなかろうか、借り主の要求というものが満たされるのではなかろうか、こういうような期待がそういう声となってあらわれてきているということも私は見のがしてはならぬと思うわけです。それらの点をひとつ十分勘案して、いま現に行なわれておるそうした運営の方法の再検討を行なって、現実に即して対処をしてもらいたいということを私は強く要請をいたしまして、たいへん長くなりまして恐縮でございましたが、質問を終わりたいと思います。
  83. 進藤一馬

    ○進藤委員長代理 近江巳記夫君。
  84. 近江巳記夫

    ○近江委員 委員長から、各関係者の皆さん方の都合があるから続行してもらいたいということでございますので、私もできるだけ時間を考えつつ質問を行なっていきたいと思います。  まず初めにお聞きしたいと思うのですが、このドル・ショックによりまして、わが国としてはかってない打撃を受けました。いま非常に不況という深刻な面に突入をしておるわけであります。今日までのわが国の戦後の復興を考えてみますと、やはり何といいましても貿易が非常に伸びておった。これが経済繁栄の非常に大きなかぎじゃなかろうか。またさらに貿易が伸びてきた大きな原因として、ガットの果たした役割りというものが非常に大きいのじゃないか、こういうように私は思うわけでございます。  そこで、木村長官がこの間のガットの総会に出席をされまして、米国の輸入課徴金の撤廃あるいは非関税障壁の除去、これを目的とした国際ラウンド、こうした検討を提唱されたわけでありますけれども、アメリカやECはこれらの問題に対してかかわり合いになることを避けようとして、結果的にはあまり実りある成果というものが得られなかった。そこで総会を閉じるというような事態になった、このように聞いておるわけでございますが、そういたしますと、ガットに参加した各国というものは、現在のガット体制に非常に疑念を抱いたのじゃないか、国際機関としてのそういう無力さ、あるいは今後に対する期待感を失ったのじゃないか、そのように感じるわけであります。本来ならきょうは長官出席要求をしておったわけですが、参議院の沖特があるということでできないということで、長官と同行された宮崎参事官がきょうは来られておるそうであります。そういうことで、総会に参加された各国に対するそういう印象あるいはガット総会に出られた所感というものをまず初めにお聞きしたいと思うのです。
  85. 宮崎勇

    ○宮崎説明員 去る十一月の十六日から二十六日までガットの第二十七回の総会が開かれまして、御指摘のように木村経済企画庁長官が政府代表として参りました。私も政府の一員としてお供をしたわけでありますが、今回のガット総会におきまして主として取り上げられました問題は、貿易拡大計画のより一そうの発展のための提案に関する問題と、国際貿易の発展と傾向及びその将来の国際貿易政策と貿易関係に及ぼす影響ということでございました。  会議はきわめて活発に行なわれましたが、各国の代表が、最近の国際通貨不安、アメリカの課徴金をはじめとする保護主義の高まり、あるいはEC拡大などの差別的地域統合の進展を取り上げまして、自由無差別の貿易を原則とすることを標榜してまいりましたガット体制が非常に重要な局面に立たされているということを強調いたしました。議論の過程で、アメリカの輸入課徴金をできるだけ早期に撤廃してもらいたいという話、あるいはECの差別的地域統合に対する強い懸念が、当事国以外のほとんどの国から表明されたということがきわめて印象的であったように感じました。  日本の代表は、まず最初に、アメリカの輸入課徴金あるいは各地の地域統合ないし特恵的な取りきめに対しまして強い批判的な立場をとりまして、前者につきましてはすみやかな撤廃と、後者については作業部会を設けて検討するという案を強く主張したわけであります。  御指摘のように、今回のガットでは、アメリカが課徴金をかけておりまして、従来のガットに対する協力と比べやや消極的な態度をとり、またEC各国も域内の体制整備に追われておるような状況でありまして、わが国の自由貿易を標榜する発言が各国の注目を浴びたという点を強く印象を受けた次第であります。ただ、各国とも国内事情によって今回は積極的な発言はございませんでしたが、ガット体制の基本的な理念を守っていこう、現在のガットの危機を何とか打開しなければならないという点については、各国ともその態度には変わりないというふうに見受けられました。
  86. 近江巳記夫

    ○近江委員 政務次官がちょっと御所用のために出られるそうでありますので、一点だけお聞きしておきますが、先ほど私申し上げたように、このガットの体制というのは、特にこの自由貿易という点から考えても、今後の貿易の拡大、伸展のあるところにそうした各国のさらに貿易の発展があるということは、これはもう言うまでもないと思うのです。そういう点において、このガット体制をさらに今後発展させていくということが一番大事ではないかと思うのです。その点、今回の総会において非常に各国が、言うならば消極的であったというようないま御感想があったわけですが、私は非常に残念なことであると思うのです。木村長官の発言等はかなり意欲的だった、このように思うのですが、次官とされましても、ガットに対して、わが国のそういう通商政策からいきましても強く今後とも発展さしていかれるのかどうか、通商当局の副大臣としての次官にその所感をお聞きして、次官に対する質問はこれで終わりたいと思うのです。
  87. 稻村佐近四郎

    ○稻村(佐)政府委員 おっしゃるとおりでございまして、わが国の場合は貿易立国、こういうような関係から、やはりガットの体制を強力に進めていくことは当然なことであろうと思っております。
  88. 近江巳記夫

    ○近江委員 いま政務次官はそのようにおっしゃったわけですが、第一線の通商局長は、世界のこのガット体制がそのように弱体化してきておるということについてどういう考えを持ち、またさらにどういうように今後やっていきたいと思われるわけですか。
  89. 大石敏朗

    ○大石説明員 局長は来ると申しておりましたが、ちょっとおくれておりますので……。  いま、ガットにつきましてどういう方針でやっていくかというお尋ねがございました。これは戦後以来わが国の伝統的な方針でございまして、やっぱりガットというものを中心にして今後日本の貿易が伸びていくということは、今後とも変わらないと思われます。特に最近、アメリカにおける保護主義であるとかECの拡大であるとか、こういう問題が起こってきておるわけでございますので、やはりこれをガットの本筋に戻して、自由貿易を拡大していくということが肝要かと思われます。そのためには関税の引き下げ、NTBの廃止というような問題にとりあえず焦点を合わせまして、国際ラウンドが実行されるということが最も肝要かと思われます。もちろん、こういう問題につきましては、国内に中小企業その他の問題がありますので、いろいろ問題は出てくるかとは思うわけでございますが、長い目で見れば、これはやはり日本の貿易を伸ばす最大の基本方針である、こういうふうに考えるわけでございます。
  90. 近江巳記夫

    ○近江委員 各国のガット崩壊を食いとめようとする熱意というものが非常に希薄化しておる、それが非常に心配なわけですが、その辺について、まあそれは外国のことだからしかたがないというようなことでは私はわが国の立場としては非常に弱いのじゃないか。当然拡大ECの問題とかあるいはアメリカの保護貿易主義のそうした傾向、いろいろ非常にいま複雑化しているわけでございますが、希薄化している各国のそういう考え方に対してわが国としてはどういうアプローチをしているわけですか。これは参加された経企庁の宮崎参事官にもう一度お聞きしたいと思うのです。
  91. 宮崎勇

    ○宮崎説明員 先ほど申し上げましたとおり、今回のガット総会では、アメリカが課徴金をはじめとするドルの再建に追われており、EG各国が体内の整備のために必ずしもガット精神に即したような行動を直ちにとれるような状況でありませんで、したがってわが国並びに自由貿易を標榜する国の積極的な行動というのが多くの国から期待いたされまして、日本といたしましても、次期貿易交渉についての積極的なサゼストをするというような形で会議に積極的に参加いたしてまいりました。いろいろの点について現在ガットは複雑な問題を持っておりますけれども、わが国が置かれております立場あるいは現在の国際収支状況のゆとりを持つに至った背景をもちまして、今後とも積極的に行動しなければいけない、そういうふうに考えております。
  92. 近江巳記夫

    ○近江委員 外務省の小山田経済局参事官にお聞きしますが、この拡大ECが今後に与える影響というものは、貿易の拡大よりも安定、あるいは貿易の自由よりも秩序、こういうことを原則とするECの貿易政策、これとガットの政策というものが非常に食い違ってきておるのじゃないか、対立しておるのじゃないか。そういう点において、この自由と拡大を目ざすガットの伸展に対して非常に阻害の要因になるのじゃないか、こういう心配をしておるのですが、それについてはどういう見解を持っておりますか。
  93. 小山田隆

    ○小山田説明員 お答えします。  いま近江委員から、拡大ECのほうは安定と秩序のほうを中心とする。それで、発展をはかるガットと矛盾するのじゃなかろうかという御意見がございましたけれども、確かに欧州共同体ができましたとき、それから今回の拡大ECが実現しますと、それは確かに地域主義という問題はございます。しかし、もともと欧州の各国とも、それから欧州の共同体も、世界貿易の拡大によってそれぞれの国の発展、地域の発展をはかるという方針には変わりはございませんから、この拡大ECの問題は、ガットで審議されます段階におきましては、他の主要国とも連絡をいたしまして、阻害要因にならないようにしていきたいと思っております。
  94. 近江巳記夫

    ○近江委員 阻害要因にならないように、どういうように具体的にやるのですか。
  95. 小山田隆

    ○小山田説明員 この拡大ECの協定はまだ正式調印されておりませんし、したがってガットにまだ例外としての承認を求める手続を進めておりませんので、具体的にどうということはいまの段階ではまだ申し上げられませんけれども、やはりその方向としまして地域主義は望ましくない。やはり自由無差別の立場で、なるべく拡大ECの域内諸国と域外諸国との関係についても、差別を極力少なくするという方向で進んでいきたいというふうに考えております。
  96. 近江巳記夫

    ○近江委員 この拡大ECに対抗するつもりでお考えになっているのかどうか知りませんが、通産大臣の諮問機関の産業構造審議会、これは太平洋経済圏を推進するというようなことになってきておりますが、そうしますと、これはどういう発想から出ておるのですか。いまそういうブロック化は非常にまずいというお話があったわけですが、片方ではこういう考えをしておる、その辺のところをひとつ詳しくお聞きしたいと思うのです。
  97. 大石敏朗

    ○大石説明員 お答え申し上げます。  現在通産省におきましては、産業構造審議会の中の国際経済部会というのがございまして、そこでいま御指摘になった問題を含めまして、今後における通商政策をどうするかという問題につきましていろいろ議論をしておるわけでございます。したがって、その中の一つの項目といたしまして、環太平洋経済圏というような問題につきましてどういうふうに考えていくべきかという問題についても議論が行なわれることになっております。現在の見通しによりますと、大体来年の六月ごろまでに、この問題を含めまして一般的な答申が出ることになっておるわけでございます。したがって、その答申を得まして具体的にいろいろな行動に移すということになるわけでございますけれども、御指摘になりましたように、こういった経済圏というような問題は一種の地域主義でございますので、現在ガットの自由貿易主義というものに対しては相反する要素を当然もっているわけでございます。しかし、一方には地域主義というものがある意味で現在欧州を中心として芽ばえておりますので、その問題を含めて今後のガットとのからみ合いがどうなっていくかということもある程度予想しながら、そういう地域主義というものについての限界なりプラス、マイナスというような面を、現在では白紙の状態でいろいろ問題点検討していきたい、こういうことでございます。したがって、現在の段階で、この経済圏そのものをつくるという方向に向かって検討しているというわけではございませんので、その功罪を両方考えながら幅広く議論をしたいということでやっておるわけでございます。
  98. 近江巳記夫

    ○近江委員 そうすると、そういう構想の中に中国等についてはどういう考えを持っておるのですか。
  99. 大石敏朗

    ○大石説明員 当然中国もこの経済圏の周辺にあるわけでございますので、当然こういった問題を考える場合は中国との問題を頭に置いて考えざるを得ないかと思います。しかし、いま申し上げましたように、そういった経済圏そのものが一体、わが国がとるべき方策として妥当かどうかというところがまだきまっておらないわけでございますので、その議論の過程には当然中国の問題も頭に置いて、その重大な一つの前提要件として考えながら議論をすることになる、こういうふうに考えておるわけでございます。したがって、それについて具体的なまとまった特定な構想というものは現在まだございません。
  100. 近江巳記夫

    ○近江委員 いろいろ模索しておる中の一つであろうかと私思いますけれども、いずれにしても、わが国としてはこのガット体制というものをさらに発展さしていこうという、そういう主張はいま一番できる立場にもあるわけです。したがって、あくまでもそのガットの体制を今後発展さし拡大さしていく、さらに充実さしていく、こういう面に少々の困難はあるにしても高らかにそれを主張し、その努力を貫いていくことが一番大事じゃないか、このように思うのです。そういう考えには変わりはないわけですか。こういう横道のほうばかり力を入れるわけですか。それについて……。
  101. 大石敏朗

    ○大石説明員 お答え申し上げます。  やはり今後わが国の進む貿易政策の方向といたしましては、ガットを中心とする自由貿易主義というものが基本になっていくべきだと考えておりまして、それが基本方針でございます。しかし実際問題としては、その基本方針をめぐりましていろいろな事件が起き、いろいろな経済の動静が動いているわけでございますので、そういうものを中心としながら、いろんな起こり得べき問題を頭に置いて議論をするということでございます。したがって、そういう経済圏、地域主義というもののほうに足を向けて、そちらに行くべきであるというようなことからこの問題を議論をするということではございませんので、やはり中心としては、あくまでガットを中心といたしました自由貿易主義というものが今後わが国の基本方針であるべきだというふうにかたく信じております。
  102. 近江巳記夫

    ○近江委員 八月十五日のニクソン大統領の新経済政策は、戦後の世界経済をささえてきたIMF、ガット体制、これを根本的にゆるがしたわけでありますが、あの八月十五日以来、特にアメリカのそうした地位の低下ということが目立ってきておるわけです。先日のニクソン・ポンピドーのアゾレス島の会談を皮切りにして両側の首脳部と首脳会談を行ない、佐藤・ニクソン会談までいろいろ予定をしておるわけです。来春早々佐藤総理がその会談のために行くことになっておるわけですが、当然政府としてもその中身についていろいろと検討し、やっておられると思うのです。したがって、佐藤・ニクソン会談について、この会談の意義をどのように評価されているか、また政府としてはどういうことをここで提案をしたいと考えておられるのか、その骨格というものについてひとつお聞きしたいと思うのです。
  103. 小山田隆

    ○小山田説明員 お答えいたします。  佐藤・ニクソン会談は、その議題、その他についてまだ十分な詰めが行なわれておりませんけれども、やはり最近の中国の国連加盟に伴っての中国をめぐるアジアの動向、それから欧州の問題その他非常に範囲は広いと思いますが、あるいは近江委員の御質問はむしろその問題を経済面に限るということではないかと思います。そういたしますと、確かに八月十五日ニクソン大統領は新経済政策を発表いたしましたが、わが国といたしましてはそれより前、六月の四日に例の八項目というものを発表いたしまして、OECDの閣僚会議でわがほうの考えを述べ、その後九月の日米貿易経済合同委員会でもその実施についていろいろ説明をいたしました。せんだっての日米のホノルル会談でも、それについて中間的なことについていろいろ検討し、またそれぞれの立場というものを明らかにいたしましたが、来年の一月六日、七日の佐藤・ニクソン会談でも、おそらくそれの詰めは、結局八項目をどの程度実施できるかということが日本側としてのあれだと思います。
  104. 近江巳記夫

    ○近江委員 八項目ということを非常におっしゃったわけですが、もちろんそれもその一つかもしれないけれども、円の切り上げ問題も結論の時期が迫ってきておるように思うのです。そういう通貨調整をはじめとしていろいろな問題があろうかと思うのですが、私の言ったことに対して答えてないように思うのです。この意義を政府としてどうとらえておるか。また、そこでいろいろと検討されることについて、骨格は政府がいろいろ考えるわけですけれども、総理自身も考えるとは思いますが、その辺どういうふうに詰めをやっておるかということについてお聞きしておるわけです。一般的なことを聞いておるわけではないのです。もう少し内容をここで言ってもらいたいと思います。  それから通産省局長をさっき呼んでおるのに、どうなったんですか。これは来られないなら来られない理由を言って、代理はだれが出るか。少なくとも国会の場を——それであるなら、私のところにこうこうこういう理由だということを本人から言ってくるべきじゃないですか。早く出しなさい。  いまの問題についてお二人から……。
  105. 小山田隆

    ○小山田説明員 日米の経済面につきましては、御承知のようにいろいろと摩擦が生じてきておりまして、その摩擦を解決するためにせんだってもホノルル会談を持ちまして、それの結果をいま事務当局持ち帰りましていろいろと検討を進めております。これをさらに閣僚レベルでも、きょうの午前中にも検討したと聞いております。そういう結果を持ち寄って佐藤・ニクソン会談に臨む、そういう心がまえでいるというふうに考えております。
  106. 大石敏朗

    ○大石説明員 お答え申し上げます。  どういうことが議題になりますかまだ未決定でございますので、この席で非常にさだかに申し上げるわけにはいかぬと思いますけれども、まあわれわれの立場から申し上げますと、今後の国際的な貿易政策の基本方針をどちらに持っていくか、そういったような問題につきましてこの際両巨頭が腹蔵のない意見をかわす。われわれといたしましては、当然ガット、IMF、自由貿易の維持というような方向に向かっていろいろな基本方針が話し合われるのじゃないか、こういうふうに期待しておるわけでございまして、そういったようなことにつきましていろいろ勉強しておるわけでございますが、まあ準備段階でございますので具体的な問題につきましてお答えできないのが非常に残念でございますが、そういうつもりで準備をしております。
  107. 近江巳記夫

    ○近江委員 いま小山田参事官は摩擦の解消ということをおっしゃったわけです。確かにそういうこともあるわけですが、その考え方は、ニクソンの新経済政策の発表以来日本としてはかなりなショックを受けておるわけで、そういう被害を食いとめようというような対応策のように私は思うのです。もちろんそういうことも大事でありますけれども、将来の国際貿易あるいは通貨体制、こういうことも考えて、わが国として、今後どうあるべきであるかという、そういう主体性というものをもっと盛り込んだ主張がなされなければいかぬと思うのです。当面のそういう小手先のことだけでこと足れりというような考え方が根本にあるようであれば、大きな実りは私は期待できないと思うのです。その点はどう考えておるのですか。
  108. 小山田隆

    ○小山田説明員 ただいまの近江委員の御意見まことにもっともでございまして、私が八月十五日以来機会あるごとに国内各地で講演をしてまいっておりますその中身はまさに、アメリカの新政策実施後、それに対してどう対応するかという小手先の対応策だけを考えているのではなかろうか、むしろこの際日本としては、広く世界経済の中で日本がどうあるべきかということを考えなければいけない、そういう線で各地で講演をしてまいっておりますが、その点はいまの近江委員の御意見に全く同感でございます。  それで具体的にどうするかといえば、そういうこまかい、摩擦を解消する個々の対策のほかに、やはり日本は世界経済の中で発展していく国でございますから、アメリカ、欧州あるいはアジア、全世界とどのようにして国際経済、国際貿易を発展させるか。そのためには原則として自由貿易体制を守っていく。と同時に、輸出面につきましても突然輸出が二倍、三倍になるようなことではなく、ある程度秩序ある輸出を守っていく。輸入につきましても急激に輸入をふやすということよりも、むしろ必要な資源などを確保するという方向で進んでいくべきであるというふうに考えております。
  109. 近江巳記夫

    ○近江委員 基本的な考え方はあなたもそういう考えでおるわけですから、一応それは了解します。  それから、こういう国際協力の足並みというものは、ガットの総会等を見ても乱れてきておる。アメリカの景気というものは、特に先行きが非常に混迷してきておる。こういうことで特にアメリカは国内自身の立て直しということが一番大事な問題でありますが、むしろわが国との立場で考えた場合、対日要求というものが非常に目立ってくるわけです。そういう押されっぱなしのような関係でいいかどうかということです。そこにおいて、わが国としても自主性を持った、き然とした、そういう態度を示すべきじゃないか、このように思うのです。この点、追随外交とかいろいろなことをいわれておりますけれども、特にそういう点、今後わが国としては先ほど申し上げたような自主的な態度をとる必要があるんじゃないか。これについてどういう考えを持っておりますか。
  110. 小山田隆

    ○小山田説明員 確かに、毎日の新聞などを見ておりますと、アメリカの日本に対する要求というものが非常に大きく出ておりますけれども、もちろん米国の対日要求についてもこちらでは検討いたしまして、できることはする、できないことはできない。同時に、アメリカのほうに対しましても、いろいろとアメリカの現在の国際収支上の困難に関する原因につきまして、やはり正すべきものは正すべしということで、わがほうとしてもアメリカにそれ相応の主張はいたしております。たとえば、いまのアメリカの国際収支の非常に苦しい原因一つは、やはりアメリカの国内の経済政策がうまくいっていないということもその原因でございます。それにつきましては、もちろんこまかいことは内政干渉になりますからどうしろこうしろとは言いませんけれども、やはりそういう点にも問題があるということはもう十分おりに触れ指摘いたしております。今後とも世界貿易の三分の一を占める日本と米国との貿易、経済関係は重要でございますので、絶えず連絡を密にし、政府のみならず財界のほうのパイプも広くすることによって、その交流を深めていきたいというふうに考えております。
  111. 近江巳記夫

    ○近江委員 いま局長がお入りになりましたが、ずっといろいろお聞きしてきたことは、いま特にお聞きしたことは、いままでの貿易政策においてもあまりにもアメリカの一方的な要求というものが目立ってくる、まさに国民が批判をしております対米追随外交、それがそのままこういう経済政策にも出てきておる、したがって、もっとき然とした自主性を持った、そういう立場をとるべきじゃないかということを先ほど来申し上げておったわけです。その点、特に佐藤・ニクソン会談も年の初めに行なわれるわけでありますけれども、いい機会じゃないか、このように思うのですが、特に第一線の通商局長としては、いままでのような押されっぱなしの、アメリカの要求ばかりが目立つ、そういうあり方でいいかどうかということなんです。この点について、第一線の最高責任者として局長はどういうように対処されていかれるのですか。
  112. 山下英明

    山下政府委員 まず初めにあたりまして、御通知を受けながら、週末のワシントンにおける日米の通商交渉の関係でおくれましたことをおわびいたします。  私どもは、現在アメリカ政府及びアメリカ経済が直面しております困難をできるだけ理解しようとつとめておりまして、八月以降のニクソンの経済新政策というものが、一つのアメリカのやむを得ない実態に即してやっておる実情と判断いたしまして、日本側がこれにどれだけ協力できるか。その根本は、戦後二十数年基軸通貨でありましたドルの価値を維持すること、そして世界の自由貿易の基本であります各国通貨の調整を早く終えまして、新しい通貨体制における貿易を確立すること、かつ、いかに緊急事態とはいえ、輸入課徴金ですとか投資税控除における差別待遇ですとか、その他アメリカが現在、夏以来とっております世界貿易の拡大、自由化に反する諸施策をやめさせることなどを基本に考えて、しかしながら日本側ができますことに限度がありますので、向こうに対しても十分理解するつもりですが、日本経済の実情とできる限度とははっきり先方に理解させて、そして日米経済関係を再調整していきたいというのが基本だと存じております。現に先週末ホノルルにおいて日米の通商会議をやりましたが、その際もそういう基本原則で交渉してまいったつもりでございます。  しかしながら、先生指摘の世界全体の通商問題として、日米ばかりがすべてじゃないだろうという趣旨の御質問がございましたが、それはまことにそのとおりでございまして、私どもは同じ関心をヨーロッパの新しい動きにも払っておりまして、アメリカが保護主義的な傾向になる、また昔のアメリカモンローに返ろうとする、これは防がなければなりませんが、同時に、英国のEC加盟を契機として、ここ数年ヨーロッパが自分ら域内のことに関心の大部分を払って、世界貿易のことを忘れるというおそれもありますので、この点に関してはセーフガードの問題あるいはガット十九条の補完解釈の問題、その他地域主義等々、ヨーロッパにも一関心を払っております。  いま一つのグループは、言うまでもなくアジアを中心としました後進国関係でありますし、かつ中国の国連加盟を考慮に入れましたソ連、中国その他の共産圏貿易でありまして、それぞれに性質は違いますが、世界貿易全体としては重要さを持っておる、こう考えております。
  113. 近江巳記夫

    ○近江委員 先日のニクソン・ポンピドー会談の結果、ドル切り下げを含むすみやかな平価調整努力する、こういう共同声明が確認されたわけですが、どれだけドル切り下げをするかということは、決定的なことはまだ出ておりませんけれども、まあ六%ぐらいじゃないかということが流れております。わが国の外貨準備高を見ましても、金がおそらく七億ドルにもならない。ところが、片やフランスにしろヨーロッパ諸国は相当実質的にはそういう金を持っておるわけですね。ドルの切り下げイコールこれは金価格の引き上げということになってくるわけです。いま大体わが国としてどのくらいの外貨があるか、お答え願いたいと思います。百数十億ドルあると思うのですけれども、そのうちのわずか七億ドルに満たないのが金である。こうなってきますと、ドル紙幣が実際そのように切り下げをしてくるというと、金を持っておらないわが国としては非常に大きな打撃を受けるわけです。こういう、金を実際に持っておらなかったということについて、どういうような反省を政府としてはしておるのですか。こういう現実の問題ですね。これはもう国民の大きな損になるわけです。この辺は政府としてはどう反省していますか。
  114. 山下英明

    山下政府委員 御質問に対しまして、特に通商の面からの関心及び反省をお伝えいたします。  現在外貨保有高は百五十億ドル弱と存じます。その中で四、五%にしか満たない金を保有しておる現段階で、かりにドルの切り下げが行なわれますと、三十億ドル、四十億ドルと金を持っていた国に対しまして、日本は損する結果になりますことは御指摘のとおりでございます。ただ、戦後日本の貿易、対外経済を振り返りますと、フランス、ドイツ等とは違う環境にございまして、かつ、特に特徴的でありますのは、四、五年前まではまだ二十億ドル程度の保有外貨しか持っておりませんで、しかも保有外貨に比べれば大きな貿易量を毎月やっておった、そういう背伸びした形で貿易立国の体制を整えてきたわけでございます。いよいよ外貨もたまり出すという時期、四年ばかり前からでございますが、その時期になりましたときは、すでにアメリカがドル防衛策を打ち出しまして、日本側に対しても、金に保有外貨をかえることをやめてほしいという要請もあり、かつ世界的に金を新たにたくわえることがむずかしい情勢になってきたわけでございます。しかしながら、現在各国で検討しております通貨問題は、もちろん当面の通貨調整とともに、中期及び長期の問題を同時に議論しておりまして、その際に金選好、つまり金をあくまでも交換価値の基本として使っていくという伝統的な原則はなかなか払拭はされませんけれども、各国が知恵を出そうという方向は、金の保有高に比べて膨大になりました世界貿易量をまかない得るだけの価値手段を金以外に、もしくは金との関連ではかっていこうという新しい通貨決済体制を研究しておりますので、その線に沿って日本も今後方針あるいは提案をしていくことだろうと思います。肝心なドル切り下げしました時点において、日本がほかのヨーロッパ諸国等に比べて損するではないかという御質問の点につきましては、政府全体としても反省いたしておることだと思います。
  115. 近江巳記夫

    ○近江委員 きょうは朝から続行しておりますので、聞きたい問題たくさんありますが、あと数点でとどめたいと思います。  中国貿易ですけれども、広州交易会においてもかなりの成果をおさめたように聞いておるわけです。しかし、いつも問題になってくるのですけれども、輸出入のアンバランスの問題であります。これはいろいろそのたびにお答えになっていらっしゃるわけですが、今後の世界貿易を考えたときに、やはり中国の比重というものは非常に大事な立場にあるのじゃないか、こういう点でやはりアンバランスという点が大きなネックになってくるのじゃないか。この点、通産省としては、今後の健全な友好関係をはかっていく上においてどのようにお考えになっていらっしゃるか、基本的なことをひとつお聞きしたいと思うのです。
  116. 山下英明

    山下政府委員 現在のアンバランスは、大ざっぱに申しまして二対一、輸出が五億ドル強、輸入が二億ドル強ということでございます。しかも、御承知のように日中覚書事務所が、年に一回、毎年交渉をしながら輸出と輸入の基本をきめ、かつその他の友好商社取引等でやっておりますが、私どもが考えております輸入促進の施策としましては、すぐに来年から考えられるもの、これは従来中国側からこういうものは買えないかといって出してこられました幾つかの商品がございます。牛肉その他そういう商品がございまして、それらの困難を一つ一つ解決していきたい。それからまた農産物を、どっちみち日本はほかの地域からも買っておりますので、近隣中国から買えるというものもございますが、そういうものは先方でも作付、出荷の計画を立てなければなりませんので、三年なり五年の長期購入計画を両方で話し合いながら買っていくということにいたしませんと、大きな輸入増大にはならないと存じます。また鉱物その他の資源関係になりますと、長期間にわたりて取引がとだえておりますので、山元の実情なり内陸輸送なり、もちろん長期の購入計画をあわせて話し合いながら輸入増大をはかっていくべきだ、こういうぐあいに、短期、中期、長期の問題をそれぞれ解決して、できるだけ輸入を増大していきたい、こう考えております。
  117. 近江巳記夫

    ○近江委員 あまり具体的なことが出なかったようでありますが、それはきょうはそれ以上聞きませんが、一つのケースとしてユニの家電製品、これは新聞にちょっと出ているのですが、わが国企業が中国に対して委託加工し、それを輸入するというケースが具体的にこのように出てきておるのですけれども通産省としてはどういう考え方に立っておるわけですか。
  118. 山下英明

    山下政府委員 私どもも報道によって存じておる程度の情報でございますが、最近、おっしゃいますように中国に対する家電等について、委託生産の交渉が関連業界の一部で行なわれている実情のようでございます。この委託加工につきましては、私どもも関税軽減措置を無差別、一般的にやっておりますので、話のまとまる実情に合わして関税軽減措置で助力できる、こう存じております。
  119. 近江巳記夫

    ○近江委員 それから、中小企業庁長官も来ておられますので若干お聞きしておきますが、ドル・ショックで何といいましても一番影響を受けておるのが中小企業でございます。特にいよいよ年末を控えておりますし、さらに景気は、それじゃ来年になれば回復するか、かなり長期に低迷するであろう、こういう予測がされておるわけです。そうした場合、あるいは一月に入ってさらに深刻な状態が続くのではないか、こういう点からまいりますと、四十六年度初めて行なわれたこの年末のそうした対策、これをさらに強化していく必要があるのじゃないか、このようにも思うわけです。そういう点、この年末あるいは年度末に対して、中小企業庁としてはいかなる対策をとっておられるのか。これについて長官からお聞きしたいと思います。
  120. 高橋淑郎

    高橋(淑)政府委員 本年度の政府系金融三機関の融資ワクは、当初規模一兆一千八百二十五億円でありましたが、七月に景気対策として二面六十五億円、九月には輸出関連中小企業に対する緊急対策として一千五百億円、ざらに年末金融対策として一千八百八十億円の追加を十一月に行ないました。この結果、三機関の年間のワクは約一兆五千億円ということでございまして、当初計画に比べますと約三割の増でございます。こういうことで、今回の非常にむずかしい事態に直面してとられた措置ではありますが、しかし、そういう点をも含めまして、この金融三機関からの融資上の手当てというのはかなり手厚いものであると私考えます。  そのほか、民間金融につきましても大幅な緩和状態でございますので、こういうこともささえとなりまして、倒産の件数等も、これは数字上のことではありますが、十月、十一月、また十二月の上旬について見ましても、表向き一応平静、落ちつきを示しております。しかしこれは数字上のことでありまして、これから年度末にかけまして私たちは中小企業にとって一番注意をしなければならない時期であると考えまして、その動向を注意深く見守っておる次第でございまして、いま申し上げました金融措置を十分活用することによって、このむずかしい時期を切り抜けていくようにつとめたいと考えております。
  121. 近江巳記夫

    ○近江委員 もうきょうはこれで終わりますが、いずれにしても、年が改まって年度末にかけていまの状況はさらに悪化をするのじゃないか。これは一般の見方であります。したがって、いまは抽象論で終わっておりますけれども、具体的にその救済等について手厚いそういう対策中小企業庁でよく練っていただきたい、これを強く要望しておきまして、きょうは時間がこういう状態ですから私は一応これで終わりまして、今度また質問したいと思います。
  122. 進藤一馬

    ○進藤委員長代理 次回は、来たる二十一日午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。     午後一時四十七分散会