運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1971-12-08 第67回国会 衆議院 商工委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年十二月八日(水曜日)     午前十時三十五分開議  出席委員    委員長 鴨田 宗一君   理事 浦野 幸男君 理事 小宮山重四郎君    理事 進藤 一馬君 理事 橋口  隆君    理事 中村 重光君 理事 岡本 富夫君       稲村 利幸君    内田 常雄君       神田  博君    左藤  恵君       始関 伊平君    塩崎  潤君       羽田野忠文君    前田 正男君       増岡 博之君    松永  光君       山田 久就君    岡田 利春君       加藤 清二君    松平 忠久君       近江巳記夫君    川端 文夫君  出席政府委員         外務省経済協力         局長      沢木 正男君         通商産業政務次         官      稻村佐近四郎君         通商産業省貿易         振興局長    外山  弘君         通商産業省公害         保安局長    久良知章悟君         通商産業省鉱山         石炭局長    莊   清君  委員外出席者         経済企画庁総合         計画局計画官  石丸 博己君         商工委員会調査         室長      藤沼 六郎君     ————————————— 本日の会議に付した案件  輸出保険法の一部を改正する法律案内閣提出  第一一号)      ————◇—————
  2. 鴨田宗一

    鴨田委員長 これより会議を開きます。  内閣提出輸出保険法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、これを許します。近江君。
  3. 近江巳記夫

    近江委員 法案に入ります前に、一点だけお聞きしておきたいと思うわけです。  それは、この間大阪豊中市におきまして、水道局の塩素ガスが漏洩するという事故がありました。当然、通産省高圧ガス取り締まりにこれは触れる問題であります。死者が出なかったというのが不幸中の幸いでありますが、いずれにしても数百名が非常にたいへんな重軽傷を負ったわけであります。そういうことで、今回のこの事故につきまして原因あるいは事故の概況、それからそれに対してどういう処置をとったか等につきまして、簡潔にひとつお答えを願いたいと思うのであります。
  4. 久良知章悟

    久良知政府委員 豊中市で起こりました塩素ガス災害について御報告申し上げます。  十二月四日の午後九時三十分ごろに、これは豊中市の市営の浄水場でございますが、柴原浄水場におきまして、飲用水滅菌用に使っておりました液化塩素の入った一トンのボンベの切りかえ作業をやっておりましたときに、突然液化塩素が噴出いたしまして、付近一帯に広がったわけでございます。これによりまして多数の市民方々が罹災をされたわけでございまして、監督の衝に当たるものといたしまして恐縮に存じておる次第でございます。  直ちに住民方々に避難をしていただきまして、被害者豊中市民病院等に収容いたしたわけでございますが、被害を受けられた方は二百六十八名でございます。このうち、六十七名の方が入院をされたわけでございますが、昨日の午後九時現在では、二名の方がなお入院をしておられる。他の方は全部自宅に帰られたわけでございますが、豊中市民病院内科部長の話によりますと、いずれも後遺症の心配はないということで、残った二名の方も本日中には退院をされるという見込みでございます。  それから、塩素によります物的損害につきましては、六百六十九戸について調査をいたしまして、さらに本日、約千戸について調査を行なう予定になっておるわけでございますが、植木、作物について被害のあったのは三十三戸でございます。そのほか野菜について七戸という被害が認められておる次第でございます。  政府では、この事故発生後直ちに通産省それから大阪通産局大阪府の担当官現場に急行させまして、事故原因の究明、それから事故の処理に当たらしておるわけでございます。  事故原因でございますが、これは浄水場消毒作業をやっておりました作業員が、一トンボンボの切りかえをいたしまして、切りかえの終わったところで圧力計を見たわけでございますが、大体四キロの圧力がなければならないという規定になっておるのが、二キロまで上がりまして、それから以上に上がらないということで、漏洩があるのではないかというふうに考えまして、ボンベについております補助バルブを操作しようとしたわけでございますが、これを誤って、容器とバルブ接続をしておりますボルトをはずしてしまった。そのためにこの接続部が離れまして、ガスがそこから漏れたということでございます。大阪府警では、五日の日にこの作業をした作業員業務上過失の疑いで逮捕をいたしております。なお、補助バルブネジ山が若干つぶれておりまして、甘くなっておるという点もございますので、これがこのバルブの欠陥といたしまして、事故に何らかの関連があるのではないかということで、現在分析を行なっております。  災害措置でございますが、豊中市に対しましては、六日付で、この柴原浄水場塩素ガス消費施設につきまして、高圧ガス取締法、それから一般高圧ガス保安規則に適合するように改善されるまでは、一時使用を停止せよという使用停止命令を出しております。それから昨七日の日には、やはり同じく高圧ガス取締法に基づきまして、設備整備保安管理徹底についての改善命令を出したわけでございます。  それから、この浄水場設備といたしましては、これはとの一トン入りのボンベを交互に使うというふうな設備になっておるわけでございますが、高圧ガス取締法によりまして、貯蔵能力が一トン以上の設備を保有しておる場合、または導管によって他から塩素供給を受けておる、こういうふうにして液化塩素を使います場合には、いろいろの法的な規制事項がかかるわけでございます。  おもなものを申し上げますと、第一が、消費事前届け出、それから第二が消費のための施設消費の方法が、法律できめます技術基準に適合しているかどうかという問題、それから取扱主任者の選任、それからその選任したことを届け出をする義務、それから保安教育、定期的な自主検査実施という義務が生ずるわけでございます。これらの点につきまして、違反の事実があったかどうかということを厳重に調査をいたしております。  それから次に、塩素ガス使用に対します一般的な保安対策でございますが、御承知のように塩素そのものは、食塩の電気分解によって製造されます。それから一般には水道水消毒というふうな面に大量に使用されるわけでございます。御承知のように、非常に強い毒性を持っておるガスでございますので、平素からその取り扱いについては慎重な配慮が要るわけでございます。このために、高圧ガス取締法によりましてこの一般高圧ガス保安規則を定めまして、塩素の製造、販売、移動消費という各面につきまして、特定高圧ガスといたしまして、一般高圧ガスよりもさらにきびしい基準をきめておるわけでございます。われわれといたしましても、これに基づきまして厳格な取り締まりをやっておるわけでございますが、高圧ガス保安確保という点につきましては、法令による取り締まりということだけでは完全でないわけでございまして、やはり実際にこういう高圧ガスを扱う業界自身保安意識向上自主保安体制の確立ということが不可欠になるわけでございます。したがいまして、高圧ガス及び火薬類保安審議会という審議会がございますが、その場におきまして、塩素ガス移動消費についての自主保安基準というものをはっきりきめようということで諮問をいたしておったわけでございます。ことしの九月の二十日の日に同審議会から「塩素に関する保安上の基準について」という報告をいただいておるわけでございまして、移動消費技術基準としてはすでに必要なりっぱなものができ上がっておるわけでございます。当局といたしましてもこれの普及徹底をはかるということから、十二月の四日の日に大阪関係事業者消費者を集めまして説明会をしたちょうどそのやさきにこの事故が起こったわけでございます。私どもといたしましては、こういう保安基準というものができ上がっておるわけでございますので、塩素ガスその他の特定高圧ガス取扱主任者に対する講習というのをやっておるわけでございますが、そういう場を通じまして、今後とも塩素ガスその他の特定高圧ガス使用について、この種の間違いが起きないように強力に指導していきたい、そういうふうに考えておる次第でございます。
  5. 近江巳記夫

    近江委員 非常に長い答弁で……。私、ずっと法案に入りますので、特にあと一、二点聞いておきたいのですが、いろいろな指導もしておる、いろんなことを言っておりますが、四日にそういうことをやって、四日に事故が起きておる。当然、逮捕された係員は、そんな講習などはいままで一回も受けたことはない。しかも、夜の九時過ぎてから、一人で酒に酔っぱらって操作しているのですよ。それだけの危険な一トンのガスのところを、酔っぱらっておれば判断が狂いますよ。幾ら講習徹底するとかなんとか言ったって、肝心の第一線級のところには、何のそういう指導通産省はしてない。ですから、ペーパープランだけじゃだめなんです。実情一体どうなっておるかということをもっと真剣に認識をして、そうしてそういう第一線の者をよく指導しなければいかぬわけです。そういう操作をするときも、普通は防毒マスクをつけなければいかぬ。ほんとうはそこの場所にだけでも三個なかったらいかぬわけですよ。これは一個しかない。しかも、いつもそんな防毒マスクなんかをつけたことがないというのでしょう。あらゆる管理体制から何からいって、むちゃくちゃですよ。通産省はこのように指導しておると言うが、大阪指導した直後に事故が起きているじゃないですか。あなた方のそういうペーパープランのもとでやっておれば、幾らでも事故は起きますよ。何ぼ、こうやってます、ああやってますと言ったって、現実にもうそういう管理のずさんな点がはっきりしておるし、警察だって、上層幹部にも刑事責任を追及しておるわけですよ。これは結局通産省ほんとう現場を知らずにやっておる、そういうずさんな管理が今回の事故を招いた。今度の事故の背景としても、人口の非常に密集した住宅地域の中で、そういう想像を越えた危険物というものがたくさんあるわけです。今度だって、聞いてみましたら、付近住民も私も現場へ行っているから言うのですよ。現場へ行っているから、このことを、具体的な問題を持って私は言っている。浄水場の中にそんな危険なものがあるとは知らなかったとみんな言ってますよ。作業員自体にしたって、そういう認識が非常に欠けているわけですね。ですから、そういう危険な高圧ガス貯蔵所許可基準等についても当然再検討をすべきだと思うのです。容量とか場所とか、あるいは安全施設管理体制、あるいはその設置の地形の問題とか、あらゆる点をチェックしなければ、私は同じような事故が起きると思います。全国的にも非常にたくさん扱っておりますね。全国で、塩素ガスだけでもたしか四十四万トンくらいやっておりますね。水道関係だけでも三万三千六百五十八トン、事業所の数からいけば相当なものですね。上水道事業者数だけでも、日本水道協会のメンバーだけでも千五百ありますよ。大阪府だけでも事業者数が八十三ある。ですから、こういうずさんな管理をしておれば、全国的に幾らでもまた事故が起きます。  こういう点で、今後そういうところに対する注意徹底、そして総点検、さらに今後、通産省としては、こういう高圧ガス取り扱いについて、もっときめこまかな指導現場員ほんとうにそれを守れるようなきめこまかな指導をする必要があると思うのです。その点、今後の事故発生を考えて、全国的にどういう注意をして、また法改正をするならする、あるいはまた規則改正するならする、指導体制をどうするかという、そういうあらゆる点で私は手を打たなければいかぬと思うのです。それをあまり長い答弁は要りませんから、ひとつ簡潔にお答え願いたいと思うのです。
  6. 久良知章悟

    久良知政府委員 高圧ガスにつきましては、事業所の数も非常に多いわけでございます。それから、そのガス関連作業に従事している従業者の数というのも相当多数にのぼるわけでございますので、私どもといたしましては、やはり第一は、事業者自主保安体制というものを確立させるということ、その中で、保安管理組織整備保安教育実施、それから作業表示明確化という、この三つを通じまして、作業者能力を高めるということに今後の強化の重点を置いてまいりたい、そういうふうに考えておるわけでございまして、先ほど申し上げました自主保安技術基準徹底ということと相まって、災害の絶滅を期していきたい、そういうふうに考えておるわけでございます。
  7. 近江巳記夫

    近江委員 この問題は、今後二度とこういう事故を起こさないように、最先端に至るまで、こういう危険なものを取り扱うわけですから、緊張して、慎重の上にも慎重に、ひとつそういうあり方を示してもらいたいと思うのです。  この件について、稻村政務次官、きょうは最高責任者としてお見えになっておるわけですから、一言だけ所感をお聞きして、この問題を終わります。
  8. 稻村佐近四郎

    ○稻村(佐)政府委員 全く御指摘のとおりだと思います。今後、保安体制あるいは管理体制指導体制強化いたしまして、再びこのような事故の起こらないように善処したいと思っております。
  9. 近江巳記夫

    近江委員 それから、この輸出保険法の一部改正でございますが、いろいろあるわけですが、時間の許せる範囲内で何点かお聞きしたいと思います。  今回のこの保険法改正を見てまいりますと、海外資源開発の問題というものが、かなりの重要な点になっておるように思うわけです。そこで、この資源政策という面につきましてまず初めにお聞きしたいのですが、海外主要資源のほとんどがこの数十年来先進諸国によって開発されておるわけです。ところが、わが国の場合、開発輸入というのがまだ緒について間もないわけでありますので、そういう点で海外先進諸国に比べて非常に立ちおくれておるということがいえるんじゃないか、このように思います。鉱物資源輸入依存度の高いわが国が、今後先進諸国との開発競争に加わっていくわけですが、長期的な資源確保をはかるためには、当然、開発体制整備強化開発技術調査技術、投融資の量あるいは質の拡充等、今後はきわめて大きな努力を集中していく必要があるんじゃないか、このように思うわけです。  そこで、輸出保険の制度以前の問題として、今後のわが国海外資源開発に関して、どういう基本的な態度で取り組むか、この基本的な考え方というものをまず初めにお聞きしたいと思うのです。
  10. 莊清

    莊政府委員 基本方針でございますけれどもわが国資源輸入量は、現在アメリカをしのぎまして世界第一の高水準に達しており、今後もこの状態が続くというふうに考えております。片や、資源供給は、地理的に偏在しておることは当然でございますが、資源保有国は、やはりそれぞれの国民所得向上資源開発を通じてぜひ達成したいという、OPEC等の動きも非常に強力になってまいりました。と同時に、国際的に従来から、重要な地下資源につきましては、それぞれ数社の国際資本と称せられるものが供給面支配的な力を持っておるということも、また実情でございます。  そこで、わが国といたしましては、今後は、単に加工貿易立場から、外貨を基準しておいて、単純に輸入だけをするというふうな安易な形ではとうていわが国経済発展に必要な資源の円滑な確保はむずかしい。同時に、わが国がいたずらに自力のみで、いわば資源を略奪する形で、誤解を受けやすいような形での海外進出というものは、とうてい資源保有国との間で円滑な協力関係に立つことが不可能であり、実現する不可能な実情に日々なっておるわけでございます。  そこで、基本的な方針といたしまして、ただいま先生から御指摘がございましたように、資源開発のため非常に立ちおくれております国内の政府の予算、財政、金融、保険等措置を、この際画期的に拡充することはもちろんであり、同時に、民間の開発体制整備もまた、これと並んで当然必要と相なります。が、それを活用いたしまして、海外資源開発するにあたりましての今後の基本的な姿勢といたしまして、私ども通産省といたしましては、やはり後進国資源保有国とも経済協力あるいは共同事業という形で緊密な協力関係を保つ。また、場合によっては国際資本等とも事業の提携、相互の参加というふうな形を通じ、開発地点も極力分散をはかっていくという形で、資源開発わが国が積極的に参加をする。参加開発という形で、世界における人類共通資源であります地下資源というものの供給の増加にわが国も積極的に参加をし、協力をするということを通じて世界供給力を潤沢にするということを基本に、それによりまして、最大の大口消費国であるわが国としても、安定的な資源供給をはかっていく、こういう姿勢で臨むべきではないかと考えておる次第でございます。
  11. 近江巳記夫

    近江委員 ここで、資源開発を見ますと、世界的に大資本支配ということが非常に目立つわけです。たとえば石油は七大資本、銅は十大資本、ニッケルは四大資本、アルミニウムは六大資本、このようにいわれておるわけです。さらには、ウラン等の新しい資源についても、非常にそういう積極的な姿勢が大資本によって見られるわけですが、今後わが国としてこういう主要資源について、これらのこういう支配をどのように脱していくか、また逆にこの大資本と協調あるいは提携しつつ資源確保をはかっていくのか。その辺のところが、簡単には割り切れないと思いますけれども、どういうような考えに立っておられるのか、その辺をひとつ簡潔にお聞きしたいと思うのです。
  12. 莊清

    莊政府委員 わが国としては、自主開発につとめるにしても、御指摘のような国際資本から、相当大量の地下資源を今後とも供給を受けなければならないという点は変わらないわけでございます。そこで、一方的にこういう国際資本の言いなりにだけなっておるという形を漸次改善していく努力としての自主開発ということが当然必要でございますが、同時にやはり後進資源保有国もございます。それから国際資本もまたあるわけでございまして、わが国としてはこれらの関係諸国と、あるいは諸企業と、正しい意味での協調的な競争関係ということをいかにして実現するか、これを基本に置いて今後の対策を進めていくということが基本であると存じます。
  13. 近江巳記夫

    近江委員 この問題を論じていっても一時間、二時間になると思いますので、個条的になりますが、きょうは聞きたい点だけ何点かあと追加したいと思います。  この資源産出国というのは、発展途上国に非常に多い。こういうことで、今後この開発を進めていく上において、特に発展途上国を見ますと、道路なり港湾あるいは通信、産業基盤、そういうものが未整備場所が非常に目につくわけですが、こういうところが開発を進めていく上において非常にネックになっておる、そういうような社会経済状態になっております。そうした点、もっと非常に広範なそうした総合開発という点から資源開発の課題に取り組んでいかないと、ただ資源開発ということだけでいったのでは、なかなかそこはうまくいかないと思うのです。その点、政府援助体制というものはきわめて乏しいのではないか、私はこのように思うのですが、その点についてはどういうような反省と今後の方向を考えておられるのか、それについてお聞きしたいと思います。
  14. 莊清

    莊政府委員 御指摘のありました点は、私ども資源開発にあたって今後最も重要な点の一つであると考えておるわけでございます。たとえば、イランの石油開発という大事業が最近着手されましたが、その場合にも経済協力の一環といたしまして、現地の天然ガスを使った石油化学工場の建設ということが同時に行なわれたわけでございますし、南米諸国が、非鉄金属開発の場合にも、常にいわゆる道路港湾等整備をあわせて要望しておることは事実でございます。  そこで、広い意味経済協力事業資源開発事業とを常に一体として考えまして、単なる開発のための金融的な援助だけでなくて、これに伴うインフラストラクチュア等に対する経済協力基金等からの融資でありますとか、あるいは輸出入銀行資金の活用というふうなことを、今後は一段と強化をするということが基本的に必要でございます。そういう立場資源開発を私どもは担当しておるわけでございますが、そういう面から今後経済協力政策一般を担当しております関係省庁とも緊密な連絡をとりまして、個々のプロジェクトごとに具体的に相手国の要望を十分聞きまして、一体となってこれを推進する必要があると考えております。
  15. 近江巳記夫

    近江委員 先年設立されたアジア貿易開発協会、これはこのような要請に対応して設立されたものと聞いておるのですが、その後の運用状況はどのようになっておりますか。また、こういう要請を考えていきましたときに、この業務範囲というものをさらに拡充するとともに、積極的な出資がなされなければならぬのじゃないか、このように思うのです。きょうは外務省からも経企庁からも来られておりますし、両省からひとつその点をお聞きしたいと思います。
  16. 外山弘

    外山政府委員 アジア貿易開発協会は、通商産業省のほうの所管でございますので私からお答えさせていただきます。  アジア貿易開発協会は、御承知のとおり四十五年二月一日に設立されまして、ただいま荘局長からもお話がございましたように、一つ合理化資金貸し付けということでインフラストラクチュアの分を中心といたしまして、一つ開発事業の中で、道路とか桟橋とか、そういったような関連する施設開発が伴わない限り効率的な開発ができない、それを応援しようということで、その事業一つ内容としておりますし、もう一つ事業促進資金貸し付けということで一次産品の貸し付けを促進いたしまして、少しでも片貿易の是正をはかりたいということで発足した団体でございます。  発足後、これからだんだんと本格的になるかと思いますが、すでに総額で融資決定額が四億三千七百万、そして実際問題としてコミットしているものだけでも二十二億程度のものがございます。現在計画内容一つ一つを慎重に審議しながら進めているわけでございますが、今後こういった必要性の高い事業内容でございますから、ますます活発に使われてくるであろう。こう考えている次第でございます。
  17. 近江巳記夫

    近江委員 そういうためにこういう機構もつくられたわけですから、よくこの点を充実していただきたいと思うのです。これは要望しておきます。  それから調査技術の問題ですけれども、たとえば石油等、これは非常にリスクの大きいものであるということは聞いておりますが、なかなか成功例というのは少ない。こういう点で、一面は非常にリスクが大きいということは承知はしておりますけれども、しかし、そういう調査技術等の問題において、ここにやはり一つの大きなネックがあるのじゃないか、このようにも考えるわけです。特に、東南アジア等発展途上国、こういうところを見ますと、地形図あるいは地質図などが非常に未整備である。この資源開発の前提となる調査が非常に不足をしておるということを聞いておるのです。したがって、その調査のそういう技術あるいは技術者、こういう点が非常に欠如をしておる、こういう点を聞いておるわけです。そういう点、いろいろと手を打たれておるとは思うのですけれども、こうした基礎調査、そういうところにさらに力を入れてあらゆる情報網をさらに充実していく。こういう点、いろいろな組織があろうかと思うのですが、いままでのやり方であれば、そう大きなことは期待できない、いままでの踏襲である、こうなるわけです。したがって、いろいろな対策をとり、資金もあてがうわけでありますから、少なくともそれが成功に結びついてもらわなければ困るわけです。全部成功ということはむずかしいことであります。わかりますけれども、やはり可能性というものについて、もっと手ごたえのあるところをやるということが大事ではないかと思うのです。いままでのそういう基礎的な点について、私は非常に反省すべき点が多かったのではないかと思うのです。率直なその反省点を聞かしてもらいたい。また今後どういうように充実していくか、ひとつ簡潔にお答え願いたいと思うのです。
  18. 莊清

    莊政府委員 石油を例に引いて申し上げますと、最近五カ年間の石油の探鉱の成功率は世界全体で一・五%程度といわれております。わが国の場合には、幸いにして現在までのところはそれを上回る成功率になっておりますが、今後の開発の進展に伴いまして、いろいろリスクが多いケースも当然ふえてまいるわけでございます。  そこで、やはり基本的には、探鉱開発に取りかかる前に、基礎的な情報あるいは技術的なデータの収集、調査ということに、今後、石油開発公団等が中心になりまして、十分な予算措置を講じつつ強化をする必要がございます。  それから第二に、やはり今後の基本的な方向といたしまして、開発を行なう地点をできるだけ分散をはかるということがまた必要でございます。したがいまして、わが国が中心になって行なう開発とあわせまして、相手国の、あるいは相手企業の行なっておる開発わが国も一部参加する方式、あるいはわが国融資を行なって開発をさせ、その製品を受け取るというふうないろんな組み合わせをしつつ、危険を分散し輸入先も分散を行なうということが、やはりリスクを避け、成功率を上げる上において長期的に必要であると存じます。  また、わが国開発企業自体にとりましても、今後はやはり技術力というものを、あらゆる努力をしまして引き上げることによりまして、探鉱の段階においてその成果というものをやはり正確に的確に評価をし、どうしてもだめなプロジェクトは次に切りかえていくというような、探鉱開発についての技術的な総合判断力というものに基づく弾力性と機動性というものを確保するような、そういう基本的な経営のあり方ということが非常に必要になる。  以上、大体三点が中心であろうと考えております。
  19. 近江巳記夫

    近江委員 資源開発における開発体制の問題ですが、わが国の現状を見ますと、一般的に個別企業でおのおの独自の計画海外資源開発を行なっておるというケースが多かったわけですが、先ほどの答弁にもありましたように、今後は相手国の事情も考えて、社会基盤の整備を含めた総合的な資源開発をやっていきたい、相手もそのように要請しておる、こういう答弁でありましたが、世界的な大資本というのはけたはずれに充実しておるわけです。これと伍してやっていくには、単なる、それだけの差のあるわが国のそういう企業が個々に当たっていっていいかどうかという問題なんです。そういう点、やはり効率的に国全体で考えていきますと、達成していくには、そこに連絡協調体制というものが非常に大事になってくるのじゃないか。この点、通産省としてはどのように考えておるかという問題なんです。これについてはどう考えておりますか。
  20. 莊清

    莊政府委員 国の施策として、石油開発公団とか金属鉱物探鉱促進事業団あるいは輸出入銀行等の国の資金によります開発のバックアップ体制というものはきわめて貧弱でございますから、これをまず強化する、国が相当リスクを負うという方針を定めることがまず根本的に必要でございますが、これとあわせまして、先生御指摘のございました、実際に開発を行なう民間企業が、これは相当リスクもあり、資金力も要するわけでございまやから、何らかの形で相互に連絡体制、協調体制を強めるという意味でのグループ化の方向で、今後民間体制整備されることが望ましいと考えております。私どももその方向で、民間の創意くふうで企業の自主努力を生かしつつ、それをさらに強化するという方向でのグループ化等を指導してまいりたいと考えております。
  21. 近江巳記夫

    近江委員 最近ドル・ショック等によりまして非常に不況が来ておるわけです。今後一年続くか二年続くか、政府答弁を聞いておりましても全然確信が持てない、そういう先行き不安の状態を特に感じるわけであります。そうした場合、わが国は御承知のように非常にたくさんの資源輸入しておるわけですが、最近のそういう不況から需要が減退してくる、そういうことで主要基礎資源輸入というものが短期的に抑制されてくる。当然それが輸出国、すなわち発展途上国に相当なショックを与えるというケースが出てくるのじゃないか、このように思うわけです。しかし、業界の負担において輸入を継続する場合、当然過剰在庫となる、負担の限界を越えるということも十分考えられるわけです。そういう点、積極的な海外資源開発輸入を促進する以上、一面においてはこういう事態の対策というものをやはり考える必要があるのじゃないか。この辺について、非常にむずかしい問題でありますが、どのように考えておりますか。
  22. 莊清

    莊政府委員 通産省といたしましては、これは経済協力に関する重要な一つの問題でもございますし、資源開発資源の安定確保上もまた長期的に見てゆるがせにできない重大問題であると考えております。それで私ども通産省は、鉱業審議会の場におきまして、今後こういう非鉱金属等の備蓄の問題についても総合的な検討を進めることにいたしておりますが、とりあえず当面の短期的な開発資源の引き取りの問題に関しましても、相手国の事情等も長期的に見まして何らかの緊急の金融上の対策を講じたいということで、いまいろいろな手だてについて関係業界の意向も聞きながら鋭意検討をしておる段階でございます。どのような方策が可能かについては、まだ明確にこの場で申し上げられませんが、鋭意検討をしておる段階でございます。
  23. 近江巳記夫

    近江委員 発展途上国において政治的、経済的に不安定ということが目につくわけでありますが、そういう中で協調あるいは連携というものを詰めていきながら資源開発を進めていかなければならぬ、非常にむずかしい問題があるわけです。そういう点、特に政府間におけるそういう努力ということが非常に大事な問題になるんじゃないか、このように思うわけです。  最近、東南アジア等海外で、現地の日本人の評判がとかく問題になる。この間はフィリピンですか、日本人が襲われたというような事件も起きおるわけですが、こういう一連の問題について、どのように思っておられますか。そういう点についてはどういうように今後考えていかなければならぬか。これは外務省も来られておるのですから、ひとつ簡潔に答えてください。
  24. 沢木正男

    ○沢木政府委員 東南アジアでそういうふうな、日本人の評価が悪いということは非常に残念なことでございまして、われわれは海外に出て行かれる方、あるいは現地の大使を通じまして、海外に在留される方にできるだけ行動を慎むように要望いたしております。  それから、経済協力の面におきましても、エコノミックアニマル的な感じをできるだけ払拭するという意味におきまして、無償援助で東南アジアに出しておりますものは、主として教育、それから医療というふうなインフラストラクチュア面、それから今後の技術協力におきましても、そういう面をできるだけ多くしていきたいという方式で考えております。
  25. 近江巳記夫

    近江委員 時間が限られておりまして、この問題一つでも、実情からいけば、いろいろ非常に大きな問題があると思うのですが、これは次の機会に譲りたいと思います。  そこで、この輸出保険法の中身について若干お聞きしたいと思うのですが、まず初めに、本改正案の意義と、今国会に提出された緊急性について簡単にひとつお聞きしたいと思うのです。
  26. 外山弘

    外山政府委員 今回の改正案は、三点を内容としております。一つは、バイヤーズクレジットの創設ということでございますし、第二は融資買鉱保険を加えるということで、第三はプラント輸出のための実情に応じた改正という点でございます。背景と申しますと、一つには、バイヤーズクレジットを創設するということは、それだけ輸出信用供与形態を多様化するということでございます。つまり、従来のシッパーズクレジット以外に、欧米各国もやっておりますし中南米等を中心として世界の慣行にもなっておるバイヤーズクレジットに対する保険制度を加えることによりまして、このような輸出信用供与形態を加えることによって、そういう多様化の要請に応じるということ。それからもう一つは、経済協力形態の多様化に一歩前進をするということ。これは申し上げますれば、大体バイヤーズクレジットのようなものは発展途上国が中心に要請してまいります。したがいまして、こうした形態を加えることによりまして、発展途上国要請にも応ずることができるという点も前進だろうと思います。こういったことは、言ってみますれば、日本の国の経済力が漸次充実してきた。世界経済における一つの責務というふうな面から見ましても、できるだけ国際化のやり方を多様にすることによって、それぞれの要請にこたえるということが必要かと思います。  融資買鉱保険につきましては、先ほど来御指摘のように、資源開発方式もやはり世界各国のいろいろな情勢、それから鉱物資源の分布状態、そういうことを考えますと、従来の自主開発方式、単純輸入方式に加えまして、融資買鉱ということの大事な点もだんだんとふえているわけでございます。発展途上国の国民経済要請から見ましても、融資買鉱という形式が今後かなりふえてくるというふうな実情にこたえてやったわけでございます。  それから、もう一点のプラント輸出につきましては、最近はシステム輸出と申しますか、技術等を一緒にしてプラント輸出が行なわれる実情にございまして、相手国の工場の中に入って試運転まで完成するというところで初めて契約が完了する、こういった形態のプラント輸出契約が多うございます。そういった契約の実情に応じまして輸出代金保険の改善をしたい。リスクをそこまでカバーすることによって、そうした実態に応じた保険ができるということになるかと思いますし、これも欧米各国のやっていることでございますので、わが国もこういった実情に合わせて改正をしたい、こういうことでございます。
  27. 近江巳記夫

    近江委員 それで、現在までにあったバイヤーズクレジット供与の要請について、おもなものの内容を、あれば二、三示していただきたいと思うのです。
  28. 外山弘

    外山政府委員 私ども、バイヤーズクレジットに改正に踏み切りますにあたりまして、ここ二年来いろいろ調査をしてまいりました。その過程におきまして、四十三年から四十五年の三カ年間におけるわが国銀行、商社に寄せられましたバイヤーズクレジットの要請件数というものをつかんだわけでございますが、その間八十九件、二十億五千万ドルというふうな要請実情でございます。従来、これらの件につきましては、バイヤーズクレジットがございません関係でほとんどが実現を見てない。わずか世銀との協調ということで五件ほどの例がございますが、ほとんどなかったわけでございます。  その中身におきましては、地域的にはやはり中南米からのものが最も多うございまして、五一%を占めております。それからアジアが三〇%と、大部分がやはり発展途上国からのものとなっております。内容的に申しますと、石油プラント、化学プラント、火力発電プラント、そういったもののプラント類が約半分を占めておるというのが実情でございます。
  29. 近江巳記夫

    近江委員 このバイヤーズクレジットに関する外国為替管理令の許可基準というものが必ずしも明確でない。今回の輸出代金保険の改正と足並みがそろっていないように思うのですが、この点については今後どうしますか。
  30. 外山弘

    外山政府委員 法的に申しますと、外国為替管理令によりまして、債権発生の当事者になることの許可が先行いたしまして、その許可されたものについて保険が伴うというのが法的な内容でございます。したがいまして、まずバイヤーズクレジットの基準ということになるかと思いますが、実は従来のように、サプライヤーズクレジットにつきましても同じでございますが、輸出承認というものと保険の引き受けというものとは、関係部局が相はかりまして、承認行為と、それから保険引き受けということについては政策的な面からも、内容のチェックにつきまして同時に審査をしているわけでございます。今回の場合には片方が大蔵省ということになるかと存じますが、これは関係当局間で十分打ち合わせをしてやってまいりたい。したがいまして、先ほどの要請例等の実情から見まして、私どもといたしましては、バイヤーズクレジットの内容が、一つは対外取引の健全な発達であるとか、あるいはプラント輸出にあたりまして相手国がバイヤーズクレジットを真に求めているということ、そしてまた相手国要請から見てこれは妥当であるということ、そういった点をケース・バイ・ケースで十分見まして、為替管理令の許可と保険の引き受けとが相一致していけるようなかっこうで運用してまいりたい、こう思っておる次第でございます。
  31. 近江巳記夫

    近江委員 第一条の二の十の五ですが、「長期契約」の期間ですね。それから、「政令で定める鉱物」というのは何であるかということです。との中で特にお聞きしておきたいのは、これはウランは入っているわけですか。それから「開発に要する資金」の範囲関連施設というのはどこまで入るか。それからもう一点、経営を実質的に支配しているかどうかの判断基準、この点について……。
  32. 外山弘

    外山政府委員 まず第一点の長期契約と申しますのは、五年というところを大体の基準に置いております。  それから、第二の鉱物資源のほうにウランが入るかという御質問でございますが、私ども当面は、政令で指定する予定としましては、銅、鉛、亜鉛あるいは粘結炭、鉄鉱石、石油等を一応考えておりまして、ウランについては目下のところ考えておりません。しかし、これはいま一時的に考えておる案がそうであるということでございます。  それから、第三番目の関連施設と申しますのは、やはり開発に必要な施設ということでございますので、その範囲で妥当なものを普通の常識で見てまいりたい。従来鉱山開発に必要な関連施設といえばどういうものが入るかということ、それがやはり開発に必要なものであるという範囲で十分見てまいりたい、こう思います。  それから、実質的に支配しているという問題でございますが、これはやはりあくまでも実質的に支配しているかどうかということを具体的に見ていく必要があると思います。もちろん明らかに実質的に支配しているというふうな形態は、これは当然その内容になると思いますが、たとえば、持ち分の実情なり、役員の派遣なりの実態から見て、これはやはり実質支配と見られるかどうかということは具体的に見ていくということが必要ではないかと思います。いずれにしましても、法律の発足した過程におきまして、その辺は法の趣旨に照らしまして具体的な運用基準はつくってまいりたい、こう考える次第でございます。
  33. 近江巳記夫

    近江委員 目下のところウランが入ってないということでありますが、これはもう田中通産大臣も今後の濃縮ウランの確保等、非常に積極的におっしゃっておりますし、エネルギー資源としても、ウランというものはあらゆる面にやはり重視する鉱物じゃないか、このように思うのです。その点、ひとつ省内においてもこのウランの問題について慎重に、なおかつ急速に検討していただきたい。特に要望しておきます。  それから第五条の二第二項第二号、「仕向国」を「外国」に改めた積極的理由というのは何ですか。
  34. 外山弘

    外山政府委員 従来の法律の表現でも間違いではないのでございますが、仕向国というよりも、従来の表現をいまのように、お金を送る相手であるというふうなことで技術的に修正しただけでございまして、内容的な意味はございません。
  35. 近江巳記夫

    近江委員 それから、従来プラント輸出に際して、輸出機会の少ない中小プラントメーカーに対しても輸出の促進策を講ずる必要があるんじゃないかと思うのです。今回のバンクローン保険の創設に伴い、こうした点についてどのように考えておられるか、簡潔にひとつお聞きしたいと思います。
  36. 外山弘

    外山政府委員 中小プラントの輸出振興という問題は、だいぶ昔から唱えられているわけでございますが、なかなかむずかしい問題が幾つかございました。確かに自分でみずからPRをすることもむずかしいし、国際入札に応ずるだけの信用状態も持っていないとか、あるいは相手国輸入者の信用を十分つかみ得ないとか、そういった点に多々問題があったかと思います。今回のバイヤーズクレジットはそういった点については一つの前進になるのではないか、こう考えるわけでございまして、なぜならば、輸入者信用を提供することによりまして、相手国のほうが、相手国におきまして銀行が中小プラントの輸入をすることにつきまして、自分が責任を持てるといいますか、そういった機会がそれだけふえるということ、それだけ日本の輸出者のほうは相手国の信用にそういった従来のハンディキャップをカバーしてもらえる、そういった点が一つございます。  それからもう一点は輸入者信用によりまして、それだけ相手国が大型のプロジェクトを要求できるわけでございますが、それがいろいろな中小プラントの総合というかっこうでいく場合が十分あり得ると思います。そういたしますと、従来の輸出者信用の場合でございますと、個々の輸出契約が集まっていくわけでございますが、輸入者信用の場合は、相手方がまとめてその契約をすることができる。そうしますと、日本側のほうでも中小プラントメーカーにも機会がそれだけ多くなるのではないか。こういうふうな点が指摘できるのではないだろうかと思います。いまのような二点から見まして、若干でも中小プラントの輸出には役立つのではないか、こう考えている次第でございます。
  37. 近江巳記夫

    近江委員 バイヤーズクレジットあるいは融資買鉱とも非常に大規模な案件が多いようになると思うのですが、また、今回の改正で信用の危険を担保するということから、相手方の信用状態、この把握が非常に大事になってくる、このように思われるのですが、通産省としては従来から海外バイヤーの信用調査を行なっておられるということを聞いておるわけですが、その点いろいろな事故も起きておるようにも聞いておりますし、その辺の正確度といいますか、どういう機構でそれをやっているか、そういう点から現在の調査で十分であるかどうかという不安を持つわけです。この辺、今後拡充等についてどういうことを考えておられるか、時間がありませんから、簡潔にひとつ要点を答えてください。
  38. 外山弘

    外山政府委員 御指摘のように、大型の契約というものがふえてまいります。したがいまして、それだけ相手方の信用状態の把握というのはきわめて重要な問題になってくるかと思います。当省におきましては、現在六万数千の海外のバイヤーにつきまして信用調査を行なっているわけでありますが、それによりまして信用状態の格づけを行なって従来から運用してまいりましたけれども、そうした今後の状態にこたえまして、今後はさらにこれを充実したい。そして信用調査範囲も広げたいし、それから回数もふやしたいということで、現在予算の要求をしているところでございます。これは今回のようなバイヤーズクレジット保険、海外鉱物開発融資保険、こういった点の改正にあたって特に信用状態調査必要性を倍加しているというふうなことで、現在予算の要求も行なっているというところでございます。
  39. 近江巳記夫

    近江委員 あともう一点だけお聞きしておきますが、インド、パキスタンのいま全面戦争に入っているような状態ですが、このわが国海外投資あるいは貿易への影響はどうであるかという問題です。また、この輸出保険及び輸出保険特別会計への波及はどうであるか、この点をひとつ簡単にお答え願って、あともおられますから、私の質問は保留しておきます。まだ入ったところでありますので……。
  40. 外山弘

    外山政府委員 インド、パキスタンにつきましては、御承知のような事情の展開によりまして、ごく最近におきまして保険事故事由の認定を東パキスタン、西パキスタン、インド全部について行なっている次第でございます。従来から、インドにつきましても、パキスタンにつきましても、それぞれの保険責任残高がございまして、これらが保険事故を生じました場合はこれを支払うということになるわけでございますが、当面そういった措置を講じた次第でございます。いずれにしましても、事情が回復すればまた引き受けの再開をしたい、こう考えているところでございます。従来の海外投資保険がインド、パキスタン向けのものがどうなるかというととは、いましばらく事情を見ないとわかりませんが、保険事故事由の認定をいたしましたので、実際の問題として回収不能というような事態が起こりますれば、保険金の支払いをもって措置を講ずるというふうなことを考えておる次第でございます。
  41. 近江巳記夫

    近江委員 では、一応保留して終わります。
  42. 鴨田宗一

    鴨田委員長 川端君。
  43. 川端文夫

    ○川端委員 私が聞きたいことに対して、前の委員より聞かれておることとかなりダブっておりますので、できるだけ省略して時間の節約をしながらお尋ねしたいと思うのですが、第一点は貿振局長に承りたいのだが、この法律がいまの時点で一番いい時期であるのかどうか。この点は、制度自体の問題以前の問題として客観的に考えた場合に、いまが一番いい時期であると考えられて法律を提案されておるのかどうか。こういうことを前提にお尋ねしてみたいと思うのです。  その理由は、私は先に申し上げれば、どうも日本の政治というものが、民間の自主努力というか、経済発展にあとから何かついて歩いているように思えてならない。やはり政治は政策の先取りをして、もう少し早く先見の明を持って対策を立てておく必要があるように思うし、今度の輸出保険の問題を出されているゆえんの中に、何かしら外の力において、いわゆる昨年の暮れのOPECのあの値上げ紛争以来の感じから、何か押されてつくって、日本の政治の自主努力というか、自主的立場が非常に希薄だという感じを持たざるを得ないように思うのですが、そういう意味において、私は特に後ほど質問申し上げるが、いろいろな意味において、このような状態において日本の国内の中小企業鉱山に影響を与えざるを得ないということが、いろいろ私ども調べたところによれば出てきておる。日本の国内の地下資源開発をしてきた多くの中小企業にも影響を与えるし、これらの問題に対して、ただ輸出の関係国際的な環境から見て必要だというだけで、その実施の時期というものは慎重に行なわれなければ、あるいは提案の時期というものは大切じゃないかと思うのだが、この点に対する配慮が少し足りないように思うのだが、いかがなものかお尋ねしておきたいと思います。
  44. 外山弘

    外山政府委員 日本経済が力をつけてまいりますと同時に、国際化の姿勢を漸次積極的に、しかも内容も豊富に打ち出していかなければならないというふうな要請の中で、先般対外経済政策八項目というふうなことがきまったわけでございます。その中には輸入の促進とか経済協力拡大、資本の自由化と、いろいろな点がそういった国際化の要請の中で項目としてうたわれておるわけでございますが、その一つといたしまして、やはりこういった状態の中では経済協力も大いにいろいろな姿で、できるだけ拡大をしていかなければならない。それはもちろん協力のしかたの中でいろいろ考えていかなければならない点がたくさんございますけれども、日本の国の責務というふうな面から見ても、とにかく拡大をしていかなければならない。そのためにはいろいろな形態も考えていく必要があろうということが一つございますし、それからまた、いわゆるバンクローンというふうなかっこうでの信用供与形態をそれだけ加えることが、日本の国際的な立場から見てやはり必要であろう。これをやはりできれば早い時期に円滑な実行ができるようにしたいというふうなことも内容になっているわけでございます。そういった点から見ますと、輸出保険法の今回の改正をすることはそういった方向に非常に役立つ。言ってみますれば、今度のような改正がございませんと、先ほどのバンクローンの問題にしましても、それから、先ほど申しませんでしたが、資源の前払い問題というふうな点につきましても、円滑な実行はむずかしいのではないかというふうなことで、私どもとしては準備ができ次第、できるだけ早く国会に御提案申し上げたい、こう思って鋭意検討を進めていたわけでございまして、今回その機会を得たというのが私ども立場でございます。  先生がいま御指摘になりましたような、そういったことが国内経済の自主性と申しますか、国内経済への影響面でいろいろ問題があるのではないだろうか、こういうお尋ねでございますが、もちろんどんな政策でもそういった点を十分考えながらやっていかなければいけないことでございます。私どもも、今回の措置の実行にあたりましても関係当局と十分お打ち合わせをいたしまして、たとえば融資買鉱保険の問題にいたしましても、鉱山石炭局とも十分お打ち合わせをしまして、そうしてこれの運用をはかりてまいりたいと思いますし、そういった国内面への考慮というものは常に忘れずに運用してまいりたいと存じますので、先ほどのような御指摘の点は今後十分頭に入れていくことだけ申し上げておきたいと思います。
  45. 川端文夫

    ○川端委員 外務省経済協力局とあわせてお尋ねしておきたいと思うのですが、私は、このような法律が少なくとも三年なり四年前にあってしかるべきじゃなかったかという前提に立って——日本は何かよその圧力というか、よそからの問題に対して非常に弱い。そのことが今日これだけ経済成長しておる日本の責務というならば、私は一九六〇年代の高度成長の時代に、やはりそこで将来に対処する保険のようなものをつくって投資が行なわれてあるべきだった、こういう前提に立ってものを言っておるわけです。したがって、最近の新聞を見ておるだけではまことに苦々しい感じが多いのです、政府がやっておることに対しては。たとえば、八月十五日のニクソンのあの新経済政策が発表になりまして以来、新聞はむしろ興味本位にドル・ショックと書いておる。なるほど受ける姿においてはショックであったことは間違いないけれども、しかし、国全体の立場経済問題なり外交問題を考えた立場に立ってこれらのことをショックとして受けとめるということは、私はまことに怠慢だといわざるを得ないのじゃないか。少なくとも日米間なりの問題だけを考えても、二、三年前から通貨の問題に対しても当然準備をなすべきだったし、八項目八項目とおっしゃっても、これは六月にようやく発表したにしかすぎないのではないでしょうか。そういう意味において、何か後手をやって、しかも国内の環境を見ないで、必要に迫られたような立場法案を出される、その態度に対して、もっと外務省経済的な立場調査なさっておるのか、通産省のほうがより深い広い資料をお持ちなのか。これはどちらに重点を置くかは別にしまして、少なくとも国際的な事情に対して、国際協力の問題であっても、これからやるというのでは、日本が国際社会における経済的なGNPの表現からいっても、少なくともおそかったのじゃないか。その責任を考えないで、ただ次々に、その場であまり反対できないようなものをつくって後手に回っておる姿に対して、かなり不満を持っておる立場から私はお尋ねしておるわけです。この点は外務省等において、国際的な経済の動き、外交の動き等に対して、もっと先見の明を持って対処できる進言が行なわれてしかるべきではないかと思うのだが、その点はいかがでしょう。
  46. 沢木正男

    ○沢木政府委員 まことに御高説のとおりでございまして、われわれとしましても、海外情報網強化それから真のそういう意味におきます外交を展開すべく、日夜心がけておる次第でございます。ただ、対外経済政策あるいは経済協力の問題について申しますと、予算が単年度の審議で毎年きめられるという点に、多少長期の計画を組む上において障害が起こっておるわけでございまして、後進国援助についてはさらにもっと計画性を持って行ないたいというのが従来のわれわれの主張でありますが、なかなかそれが思うようにいかない面もあることを申し添えておきます。
  47. 川端文夫

    ○川端委員 私は、いま申し上げているような立場から、何としても、日本の政治というものはほうきを持ってあとからついて歩くような感じがしてならない。したがって、外務省なり通産省からせっかく多数の人を海外に派遣しておれば、五年なり先の姿を予測して強い進言が行なわれるべきだという立場で申し上げているのだから、ひとつその点はお考えを改めていただくことを強く希望いたしておきたいと存じます。  それから、先ほども御質問がありましたから多くを申し上げませんけれども、印パ戦争が今日のような状態になってまいりまして、大体どれくらいの影響が出るかということはこれからの発展にもよりましょうけれども、現在すでにどれくらいの保険財政に影響を与えるかということを、何か調査の資料があったら発表しておいていただきたいと存じます。
  48. 外山弘

    外山政府委員 先ほど申し上げましたように、現在インド、パキスタン向けにつきましては保険事故事由の認定をいたしました。現在におきます付保残高がそれだけ保険事故の問題として対象になり得るわけでございます。付保残高は、インドが三百六十七億円、それからパキスタンが二百四億円でございます。これらにつきまして損害が発生すれば当然保険金を支払うことになると思います。ただ、これは現在の付保残高でございます。したがいまして毎年度に見ますと、これの五分の一ぐらいが各年度の問題になるかと思いますし、また全部が損害を発生するということになるかどうか、これは今後の推移を見なければわからない、こういうのが現在の状況でございます。
  49. 沢木正男

    ○沢木政府委員 ただいま通産省のほうから保険についてお話がございましたが、インド、パキスタンに対しましては政府の円借款を供与いたしてきております。その面を申し上げますと、インドにつきましては、現在借款供与額が六億一千八十万ドルでございます。そのうち貸し出しを終わりましたものが四億九百万ドルございます。これが今後どういうふうに実施されるかという点で、実際上現在船積みその他がとまっておりますので、これの返済その他について将来問題が起こってくる可能性がございます。  それからパキスタンにおきましては、借款の供与額が二億五千五百万ドルでございます。そのうち貸し出し残高が一億九千五百五十万ドルございます。パキスタンのほうはことしの五月一日から借款の利子及び元本の支払いを停止いたしておりますので、その分の貸し金がそれ以後日本には返ってきておらないという事情でございまして、したがいまして、すでに契約承認いたしましたものあるいはLCを確認いたしましたものにつきましても、ケースごとに船積みをするかどうかを審査してきめておるというのが現状でございます。  それから、戦争の結果起こりました難民その他について、今後人道的な見地からの救済問題というのが起こってくるものと予想されます。
  50. 川端文夫

    ○川端委員 救済関係に対しても準備されているという報告ですから、ぜひそうしていただきたいと思うわけです。  もう一つお願いしておきたいことは、最近私のところにも依頼がありまして外務省と折衝いたしておりますが、技術協力関係で、あるいは学生交換の関係等があってかなりの人が行っておるはずだが、最近の通信がとだえているためにかなり不安な状況にある。外務省としても、向こうに行っております日本人の人命保護に対して万全を期してもらいたい、このことを要望したいのですが、何か具体的にお答えできるものであったら、ひとつお答えおきを願いたいと存じます。
  51. 沢木正男

    ○沢木政府委員 現在、技術協力関係でインドにおります在留邦人は、本人が百二十五名、家族が二十四名、百四十九名でございます。パキスタンにつきましては、本人が四名、それから家族が十名、十四名でございます。これらにつきましては、もよりの飛行機で帰れるように、日本までの飛行切符を手配して渡してございます。それと同時に、土曜日に在外の公館長に命令しまして、政府派遣の専門家については、特に人命その他について損傷のないように監督、連絡をとってほしいという訓令をいたしておりますけれども、現在ボンベイ、ニューデリ、カルカッタ、それからマドラスの飛行場、全部国際空港が閉鎖になっております。あき次第、そういうところへ日航機を派遣すべく、日航とも話し合い中でございます。
  52. 川端文夫

    ○川端委員 この問題は、内地におる家族の心配、たいへんなものがありますから、可能な限りの努力をより強めていただきたいことを要望しておきたいと存じます。  そこで経企庁にお尋ねしたいのですが、一つは、現在すでに国内鉱山関係が大きな問題点にぶつかって悩んでおることが起きているといえると思うのです。一つは、国鉄再建のための再建計画に伴って、いままでの公共運賃の割引制度を九月一日からか九月三十日からか廃止するという政府方針が打ち出されておるわけですが、現在国内にある中小鉱山等はそれだけでも大きな犠牲になるという訴えが出てまいっておるわけです。もう一点は、通貨問題の変動によって、円の切り上げその他の問題でほとんどの中小鉱山が赤字になる。かりに一〇%上がっても、全部の鉱山といっていいほど赤字になると訴えてきておるのだが、これは事実かどうか、お調べになったことがありましょうか。
  53. 石丸博己

    ○石丸説明員 そういう事実につきまして、計画局といたしましては調べておりません。
  54. 莊清

    莊政府委員 通産省からお答えを申し上げます。  国内鉱石の運賃割引制度の廃止でございますけれども、現在鉱石関係で年間約四億円の減免が行なわれており、そのうち約二億円が中小鉱山の部分になっております。これの廃止に伴いまして、二億円だけ運賃の負担が中小鉱山にふえてまいるわけでございます。そこで、中小鉱山は、この問題に限らず、御指摘ございましたように、現在の不況のもとでの国内の地金類の相場が非常に下落しておること、さらに輸入されます地金あるいは輸入されてくる原料の鉱石というものの価格が、為替の関係がございまして、それだけ下がってまいっておるというふうないろいろの事情が重なりまして、非常に苦境にあるわけでございます。御指摘のとおり、中小鉱山の多くのものが、特に銅、鉛、亜鉛等は現在苦境にあるということを私ども承知をいたしております。
  55. 川端文夫

    ○川端委員 承知いたしておるということでありますけれども承知した上に立ってこれからどうするか、こういう点が一つと、もう一つは、やはり石炭ほど大ぜいの人が一つ場所に働いているわけではないと思うのですが、しかし、山は山なりの産地的な生活環境をつくっているはずだと思うのです。   〔委員長退席、進藤委員長代理着席〕 これらの問題とあわせて、やはり従業員——私の持っている数字が正しいかどうかわかりませんけれども、五千八百八十七名と訴えてきておるわけですが、これらの人がいまこの年末を控え、これからの将来を考えて非常な不安な状態になっておることに対して、一方において前向きの将来の長い展望は必要であるけれども、当面の国内におけるそれらの人々にどうしてあげるのかという具体策があるのかないのか、お聞かせ願いたいと思います。
  56. 莊清

    莊政府委員 当面の対策でございますが、年内にあるいは年度内に直ちに講ずべき努力をいたしておる点でございますけれども、中小鉱山のおもなもので協同組合をつくっておりまして、商工中金から従来金融を受けております。私どもが中小企業庁を通じまして商工中金のほうにも、鉱山関係につきましては手形割引ワクをこの際極力ひとつ弾力化して、金融の円滑化をぜひ実現してもらいたいということをかねて申し入れをいたし、この線で実現されるものと了承いたしております。  なお、これはもう一つむずかしい措置になろうかと思いますが、中小鉱山が相当額政府関係機関から設備資金等を借り入れておりますので、これの返済についての何らかの猶予的な措置をとってもらいたいということも私どもかねがね推進をしておるわけでございます。これは鉱山業に限らず、国内の中小企業で重要なものでこういう同じ要望をかかえておる業種がほかにもあろうかと私思いますので、これの実施にあたりましては、やはり当面の不況対策の一環として、中小鉱山も含めた中小企業対策全体の問題としての処理が今後必要になるわけでございます。  なお、これも私いわば当面対策の中に入ると思いますが、来年度の予算等に関する措置といたしましては、中小鉱山に現在探鉱奨励金ということで約四億円の補助金を交付いたしておりますが、来年度はこれの増額をいま懸命に努力いたしておりますし、新しい有望地点の調査につきましても金属鉱物探鉱促進事業団から補助金等を出しておりますが、これの増額についても現在、来年度予算として努力をいたしております。  さらに根本的な一つ対策でございますが、非鉄金属の場合には、国内の建て値というものが、国際相場でございますLME相場というものを基準に各国実は規制をされており、それが最近異常なほど下落をしておるということが、国際的にあらゆる国の鉱山業を圧迫しておる一つの重要な要因でもございます。そこで私どもは、現在の輸入地金につきましての関税というものをこの際改正をいたしまして、関税の暫定的な引き上げをぜひ実現したい、かように考えて、現在生産業者である鉱山側及び非鉄金属消費者である各ユーザー業界といろいろ意見調整を行ない、間に合いましたならば次期通常国会に関税法の一部改正として、この点もお願いに出たい、かように考えておるわけでございます。
  57. 川端文夫

    ○川端委員 日本の国内の主要なものとしては、銅、鉛、亜鉛、マンガン、タングステン、モリブデン等があるわけでありますが、これらの業種がいま訴えているのは、繊維と同じようなことを訴えてきております。言うならば、設備の買い上げあるいは休廃山のための助成措置をお願いしたい、もう一つは、縮小、合理化に対する対策を考えてもらいたいということでありますが、そこでこれらの対策の問題とあわせて、日本のこれらの鉱山の資源というものを、ある時期においては採算割れになってあまりにも救済額が大きくなれば閉山やむなしとするか、それとも日本の資源として確保していくのかという基本方針はどうお考えになっているか。これらの要望に対してのあわせての考え方をお答え願いたいと思うのです。
  58. 莊清

    莊政府委員 国内資源海外資源との関係というのは非常に高度の政策判断を要する問題かと存じますが、国内のたとえば中小の鉱山であっても、品位とか鉱量が相当よい、しかしながら現在は経営の規模も小さいし、先ほど申し上げましたような国際相場の異常なといえるほどの値下がりのもとで非常に経営が窮迫しておるというふうなものをこのまま放置して、せっかくのすぐれた国内資源を全部放棄してしまうということは、これは何としても避けなければならない大切な点だろう、かように存じております。ただ非鉄金属、現在銅、鉛、亜鉛はむしろ輸入のほうが、輸入地金及び輸入鉱石から生産いたします地金がもう圧倒的な大部分になっておるということも事実でございますし、これらが重要な基礎原料物質であるという点もまた私ども考えなければならない一面でございますので、こういう点も十分考えまして、円の切り上げ問題等、いわば鉱山業にとってきわめて重大な構造上の予見の変化でもございます。したがいまして、長期的にはやはり経済性というものを全く無視したような施策というものはいかがかと存じますけれども、片や、やはり地下資源産業の特殊性というものがございまして、製造工業とまた違った政策面の配慮というものが要りますし、各国とも何らかの形で、関税政策、補助金というふうなことで、やはり優秀な国内資源の保護育成ということは何らかの形でとっておるわけでございまして、私どもも今後通産省の鉱業審議会等でも十分御意見を承りながら、先ほど申し上げました当面措置に限ることなく、基本的な国内資源対策についても今後十分御意見も伺いまして十分検討したい、かように考えております。
  59. 川端文夫

    ○川端委員 この問題は、商工委員会で地下資源とエネルギー対策の小委員会もつくられておるわけだし、近いうちに小委員会を開くという予定もあるわけですからその節にできるだけ譲りたいと思うわけですけれども、やはり継続してなお必要だとすれば、かなり思い切っためんどうを見ていかざるを得ない。めんどうというか助成措置をとっていかざるを得ない。しかも保険というものが、直ちにあしたから、来年から効果があらわれるかどうか知りませんけれども、それはそれとして、やはり今後の海外資源に対する依存力というものは強まっていくわけですから、国内のそういう産業は、鉱山は圧迫を受け、苦しい立場に追い込まれることは間違いない。こういう観点から、ひとつぜひこれらの問題に対していままで以上の協力を惜しまないという態度で臨んでほしいし、臨むべきだと思うのです。  そこで、これとあわせてもう一つ、話題を変えて、先日新聞で見たのですが、ジャパン・メージャーというか、和製メージャーの組織ができつつあるように伝えられておるが、どういう形の内容のものか、御存じであれば報告していただきたいと思います。
  60. 莊清

    莊政府委員 和製メージャーということばで新聞に一部報道されたわけでございますが、通産省の総合エネルギー調査会の中の石油部会で、この秋以来、今後の長期的な石油政策について総合的な御検討をお願いし、最近その中間答申がまとまったわけでございます。その中で、石油の自主的な開発の問題とか備蓄の問題とかあるいは公害防止、災害対策というふうな各般の重要な問題につきまして、政府としてのあるべき施策について貴重な御意見を賜わったわけでありますが、その中の一つとして指摘されたのがいま御指摘のいわゆる和製メージャーの問題でございます。これは考え方といたしまして、現在具体的なそういうプロジェクトと申しますか、どういう企業がどういう形で和製メージャーになる、あるいはなりつつあるというふうな具体的なものが実はあるわけではございません。長期的な今後の石油政策のあり方として、わが国の場合に、石油産業というものは、もっぱらメージャーから原油を輸入だけして、それを国内で精製、加工、販売だけをしておる。別に石油開発が徐々に行なわれつつあるわけでございますけれども、そちらのほうは主としてユーザー業界、商社、金融機関等を中心にして、全く別の開発体制というものがつくられていろいろやっておるというふうなことで、石油開発の段階と精製、販売の段階が実質的にはきわめて緊密な関係があるものであり、各国においてもそういう体制がつくられつつあるにかかわらず、日本の場合にはまことにそういう点で立ちおくれがある。で、わが国のエネルギーの長期にわたる安定かつ可及的低廉な供給確保という見地からは、わが国としても国際石油資本に肩を並べまして、将来の一つのあるべき姿としてどうしても和製メージャー的なものを育成していって、そうして石油の探鉱、開発からそれの精製、販売まで、やはり民族系の企業によりましてある部分はまかなっていく、こういう施策もあわせ講ずべきではないか、こういう方向づけがなされたというわけでございます。具体的にそれの動きが当面あるというわけではございません。今後の課題でございます。なおこれに伴ういろいろな問題もあるわけでございまして、その進め方なり、そのための政府の施策なり民間としてのあり方なりにつきましては、引き続き、総合エネルギー調査会におきまして今後御検討いただく課題になっておるというのが実情でございます。
  61. 川端文夫

    ○川端委員 長い御答弁をいただいたのですが、どうも話が中身に入っていないようです。私の聞かんとするところは、いろいろな意味でその時点においては非常にいい案を打ち出すことはなかなかおじょうずでいらっしゃいますけれども、長期的に見て首尾一貫していないではないか。日本の石油政策の上から見ても、民族系資本という立場に立って 共同石油ができた歴史の中にも、やはり民族系資本を擁護するという立場通産省が一枚かんで統合を進められたことは間違いないはずだと思うのです。そういう立場から考えて、今日までやはりそのときそのときに一つのりっぱな成案を打ち出されるけれども、具体的には首尾一貫していないではないか。こういう点で、次から次に新しい案を出すこともいいけれども、やはり首尾一貫した姿、こういう地下資源等の開発に対しては長期的なかまえがどうしても必要になってくるのであるから、やはりそこらのところに問題点があったのではないか、これからも起きるのではないかという心配を持っておるわけです。この点に対して、いろいろな新しい施策も必要であるけれども、従来からあったものを強化していくという行き方も一つであるし、新しいものをつくれば新聞にはにぎやかに出ても、国際的なメージャーというものの力は、海外を見て回ってもなかなかおそるべき力を持っておるので、そこではやはり摩擦が起きざるを得ない問題も出てくるのだが、短期的にものを処理しよう、目玉として、ことしの政策だといってあわてるところに問題があって、ある程度の長期のかまえを持ってじりじりといけば、何年かのあとには実績ができるのではなかろうか。やはり企業を指導する立場に立ってはそういうことが足りないではないかという感じを持って御質問申し上げているのです。どうもそういう点が感じられてならない。次から次に新しいアイデアでものをやろうとする中に、はたしてそれが長期的に見て継続できるのかどうかという心配もあって——通産省審議会で答申を得るといったって、やはり原案を皆さんがある程度お示しになって、それについて御意見を承るという姿が審議会のあり方ではないかと思うのだが、そのもとになるあなた方の考え方に対して、新しいアイデアを目玉商品的な打ち出し方をされるけれども長期のかまえがないではないか、こういうことをお尋ねしようとしているわけなんですが、いかがでしょうか。
  62. 莊清

    莊政府委員 和製メージャーというキャッチフレーズで、新聞では大見出しでその点が特に強く報道されたわけでございますけれども、先ほども申し上げましたとおり、私ども審議会でもいろいろ御議論をいただいております石油政策の内容といたしましては、きわめて広範な、いろいろな問題の重要性がやはり指摘されておるわけでございます。その中の一つとしての民族系企業のいわゆる一貫化の問題であり、育成強化の問題でございます。  それで、従来から御指摘もございましたが、共同石油の育成の問題等、民族系石油産業に対しては、政府としてもいろいろな措置を講じてまいっておったわけでございますが、そのほうの成果も徐々にあがってまいっておりますけれども、今後のわが国石油業の発展とエネルギー供給体制の安定化確立という点では、やはり従来以上に従来の施策の中身の強化ということが必要であるということが、今回の審議会でも非常に熱心に御議論いただいた点でございます。かつ今後の情勢に対処いたしますためには、民族系の企業の業務提携とかあるいは大同団結というふうな形のものも、単に国内での精製と販売業という段階だけにとどまっておったのではこれはいけない。さらに石油開発の面まで含めまして一貫化を目ざす方向での民族系の企業の提携なり大同団結なり育成というふうに、さらに目標を高くしまして、一歩前進した形で従来の施策も強化していくことが必要だという結論でございます。従来の施策と別に、別のものをまた持ってきておるということではございませんので、従来の施策の延長線上にさらに一段目標を大きくしまして、将来それに向かって努力をする、その必要があるというのが、実は今回の御答申の真意になっておるわけでございます。
  63. 川端文夫

    ○川端委員 先ほどからも申し上げているように、この地下資源なりエネルギー問題に対しては、近いうちに小委員会でもってもう少しお尋ねしたいと思うのでこの辺にしておきますが、貿振局長、この輸出保険政府の直営でやるわけですから、その意味において運用されていく保険引き受けの国際経済協力と、いわゆる保険というものの性格をどのように調和していくか、基本方針的なものがあればひとつお答え願いたいと思います。
  64. 外山弘

    外山政府委員 輸出保険は、輸出あるいは海外投資、経済協力、そういったようなことに伴いまする対外取引の健全な発達をはかるための措置でございます。したがいまして、そういったそれぞれの項目の政策と十分斉合性を保ちながら保険の運用をはかるということが一つ大事な運営の基本的態度だと思います。したがいまして、そういった政策を促進するといいますか、そういう政策の実行に資するといいますか、そういった形の保険の運営をしていくことが一つ基本的な態度でございます。同時に、保険は保険として独自の原則がございます。これは独立採算制と申しますか、収支が長期的には相償うように運営しなければならないという要請もかたがたございます。両方の要請を加味しながら健全な運営をしていかなければならないわけでございますが、先ほどの御指摘のような点で申しますれば、あくまでも対外取引の健全な発達に役立つように運営したいというのが基本的態度でございます。
  65. 川端文夫

    ○川端委員 それでは基本方針としては、発展途上国等に対する経済協力援助という、この意味を含めてのこれからの資源開発という問題に変わっていかざるを得ないという前提に立ってこの保険を考えている、こういうふうに理解してよろしいのですか。
  66. 外山弘

    外山政府委員 たとえばその資源開発政策につきましても、それなりの、相手国の事情なりこちらの資源開発への要請なり、両方加味した一つの政策の方向づけがあると思います。その政策の方向づけの中で、保険がその円滑な実行に役立つように運営される、こういうふうに私どもは理解しております。
  67. 川端文夫

    ○川端委員 話は、比較してはおかしいけれども、医療問題と同じように非常に複雑になっていくおそれもある、政策的に。医療問題でいうなら、福祉国家建設とか社会保障とかいいながら、一方で保険があるからといって、保険のワク内という立場でいろいろ赤字をたくさんかかえていま悩んでいるのが一つの医療制度の姿ではないかと思うわけです。やはり、これから一九八〇年ごろまでには日本の経済力はどのくらいまでいくという計算もいろいろなところで発表されておるわけですけれども、これらの将来の発展を予想して、日本経済の成長を予想してものを考えた場合に、大幅な海外資源に依存しなければならぬ日本の立場から見れば、ある程度の赤字覚悟というか、ある程度の政策的な投入もどうしても必要になっていくのだという、それくらいの覚悟を持ってこの保険に当たろうとされているのか、当面必要だからやるという程度の問題点としてとらえておいでになるのか。この点をひとつもう一ぺんお答え願いたいと存じます。
  68. 外山弘

    外山政府委員 昭和二十五年に発足いたしましてから、その間対外取引の発展というのはたいへんなものでございます。その間にも実情に応じまして、保険もそのつどの要請にこたえながら幾つかの制度の改正をおはかりして御承認を得てきたわけでございます。現在いろいろな形の対外取引に対して保険制度が役立っておるという点は、私どもも、健全な運営をしながらもそういった要請に十分こたえながらやってきている、こう思っているわけでございますが、先ほどの先生の御指摘をまつまでもなく、私ども将来にわたりまして、保険制度の運用がそういった対外取引の発展、その中には輸出も海外投資も経済協力もございます。経済協力につきましては、特に発展途上国発展ということを長期的な視野に立ってやらなければならないというふうな問題点が非常に強くいま意識されているわけでございますが、そうした観点に立ちました数々の今後の対外取引に対しましても保険が十分これに沿って運営できるように、そういった保険への要請が高まれば高まるほど、保険の運用につきましてこの政策の運用に資するように、これは私どもとしては保険につきまして十分な配慮をしてまいりたい。今後も輸出は伸びてまいりましょう。あるいは海外投資もふえてまいりましょう。経済協力も大型になってまいりましょう。そういった中で、保険が十分これに役立つように、必要な場合には適当な時期に資本金の増額ということも考えまして、十分そういった政策への配慮を保険の面を通じてやってまいりたい、こう考える次第でございます。
  69. 川端文夫

    ○川端委員 法案内容に入る時間がなくなりましたので、保留をしながらこれで質問を終わりたいと思いますが、最後に一点だけお尋ねしておきたいと思うのは、やはり中国とのこれからの貿易拡大、プラントなりバイヤーズクレジットなり、いろいろな問題が出てくるのではないかと思うのですね。これらの問題に対しては、中国からの問題点が出てまいりましても保険はかける、ある意味において政府調査が十分でなくてもこれらの問題は引き受けるという立場でお考えなのかどうか。この点を一点お尋ねして、次の機会に法案内容をお尋ねしたいと思うのです。
  70. 外山弘

    外山政府委員 輸出保険の運営にあたりましては、共産圏向けの輸出でありましても自由圏向け輸出に対する態度と同様に、具体的案件ごとに決済条件とかあるいは仕向け国の外貨事情、そういったものを審査しまして引き受けの可否を決定しているわけでございます。共産圏向け、特に中国向けにつきましても輸出代金保険の引き受け実績が六十六億円ほどございます。これは今後もそういった態度で、引き続き引き受けの方針でいくということで変わりなくやってまいりたい、こう思っておるわけでございます。
  71. 川端文夫

    ○川端委員 終わります。
  72. 進藤一馬

    ○進藤委員長代理 次回は、来たる十日午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時二十九分散会