○田中国務
大臣 いまあなたが御発言されたことは非常に重大なことでございますし、その趣旨もよく理解いたしております。
中小企業基本法が審議された当時からの問題でございますし、私自身もその必要性は十分承知いたしております。しかし、言うことと現実のむずかしさということは、これは違うわけです。なぜかといいますと、
中小企業というものに対して、名前は
中小企業診断室にするのか、診断というよりも
企業の振興助成というような名前で実態
調査ということをやるのか、ほんとうに
調査機構でもってスタートできるのか、それから商工会法の中でもって商工会にやらせるのか、それから商工
会議所の中でやらせるのか、いろいろな問題があるのですが、現実問題としまして、いままでなぜ民間の
調査ということでもってそれを引用して国会で
答弁してきたのか、それよりも、民間の興信所の
調査よりも
手形交換所の
調査のほうがもっと確実じゃないかということさえも国会で
指摘をされておるわけです。それはもちろんそのとおりなんです。それくらいわかっておるのですが、これは結果だからわかるのでして、事前には個人の信用に関するものだから、
倒産をするということがきまってからも半年くらい生き延びるのです。これは絶対に親子でも、
倒産の実態というものはそのときにならなければ発表しないというところに問題があるのです。きょうまでは何とか、毎日毎日朝早く出ておそく帰ってくるから、うちはうまくいっているのだと思っていると、
倒産でもって、何とかして
倒産を一日延ばしに延ばしたいと半年から一年間おやじさんが夜おそく帰ってきたということで、家族がやっと実態を知るようである。これが第三者の耳に入ろうものなら、これは生きるものも
倒産をしてしまうということで、秘密を守る。実態の秘匿ということはよほど
——調査機構の中にも知り得た秘密は守らなければならないということ、これは徴税官に対する秘密を守るように、よほどの強い
制約をしないと、なかなか
企業診断にさえ言ってこないという実情がございます。その意味で、中政連
——中小企業政治連盟等でも
企業診断や、
倒産をしないように事前に何とか
把握しようと思いながら、ついにできなかったということでございまして、あなたの言うこと、私も実によく理解できるのですが、それをどこでどういうふうにやるのかということになると、非常にむずかしい問題がございます。ただ、来年度の
予算でどうするかといえば、
中小企業の診断ということにするのか、助成ということにするのか、税務
相談もしかりでございますが、いろいろな問題がございます。
今度は特にいわれているのは、洋食器とかそれから
繊維産業の人たちは、転業するというけれ
ども何に転業すればいいのですかという問題を通産省に持ち込んできている。通産省が具体的なものを指示してほしいとさえ言われておる現状は私自身も理解しております。そういう意味で、
予算を来年度計上するとしても、そんなに具体的なものを計上できないので、商工組合と連絡をとってやるのか、府県市町村とやるのか、また協同組合法やそういうものの中にいろんな具体的なものをつくり得るのか、研究するための
調査費を計上するということになると思います。それで、具体的なものができれば、
商工委員会は超党派でございますから、これは
政府が一方的にものをやるなんということは考えておりません。これは
皆さんがいい知恵を出していただければ、われわれ自身も幾らでもお互いに一緒になって、与野党ともで立法もいたしますし、制度の発足にも
努力をいたしますので、来年度どういうもので
予算折衝ができるのか、これから研究いたします。いたしますが、具体的な問題をどうするかということになると非常にむずかしい問題であって、お知恵をこれからも拝借しなければならない問題であるということでひとつ御了解をいただきたい。私たちは実効があがる
機構がつくれるなら幾らでもお説のとおりいたします。いたしますが、いままでもいろんな議論があったにもかかわらず、それは事実
倒産をした後の統計は相当正確なものが出るが、しかし
倒産前に事前に半日でも一日前にも、私はいついつ
倒産をします、いつ更生
会社の申請をいたします等々、
企業縮小、転廃業に関する問題や、当然
倒産につながる問題は秘密中の秘密であって、これを
把握することは事実上むずかしい問題であるということにひとつ御理解をしていただいて、通産省がこの政策を立案する過程において、いろいろ御注意なり御意見なりを伺いたい、こう思います。