運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1971-11-17 第67回国会 衆議院 商工委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年十一月十七日(水曜日)     午前十一時二分開議  出席委員    委員長 鴨田 宗一君   理事 浦野 幸男君 理事 小官山重四郎君    理事 進藤 一馬君 理事 橋口  隆君    理事 武藤 嘉文君 理事 中村 重光君    理事 岡本 富夫君       稲村 利幸君    内田 常雄君       海部 俊樹君    神田  博君       左藤  恵君    始関 伊平君       塩崎  潤君    羽田野忠文君       前田 正男君    増岡 博之君       松永  光君    岡田 利春君       加藤 清二君    横山 利秋君       近江巳記夫君    松尾 信人君       川端 文夫君    米原  昶君  出席国務大臣         通商産業大臣  田中 角榮君  出席政府委員         公正取引委員会         事務局長    吉田 文剛君         通商産業政務次         官      稻村佐近四郎君         通商産業大臣官         房参事官    増田  実君         通商産業省企業         局長      本田 早苗君         通商産業省重工         業局長     矢島 嗣郎君         通商産業省繊維         雑貨局長    佐々木 敏君         中小企業庁長官 高橋 淑郎君  委員外出席者         大蔵省主計局主         計官      徳田 博美君         大蔵省主税局総         務課長     山内  宏君         労働省職業安定         局業務指導課長 関  英夫君         商工委員会調査         室長      藤沼 六郎君     ————————————— 本日の会議に付した案件  国際経済上の調整措置実施に伴う中小企業に  対する臨時措置に関する法律案内閣提出第九  号)      ————◇—————
  2. 鴨田宗一

    鴨田委員長 これより会議を開きます。  中村重光君から、議事進行の発言の申し出がありますので、この際これを許します。中村君。
  3. 中村重光

    中村(重)委員 鴨田委員長にお尋ねをしたいわけですが、御承知のとおり今六十七回国会は、沖繩返還協定の締結について承認を求める条約、さらには沖繩振興開発特別措置法案あるいは沖繩振興開発金融公庫法案等、本委員会にきわめて関係の深い条約法案等沖繩返還協定特別委員会沖繩及び北方問題に関する特別委員会及び大蔵委員会においてそれぞれ付託され、審議されておるところでございます。したがいまして、関係の深い当委員会といたしましては、以上の三委員会に対して連合審査申し入れする必要があるということを、十月二十九日と記憶いたしますが、常任委員長室におけるところの理事懇談会で私から御提案を申し上げて、そういう方向でいこう、こういうことで申し合わせをいたしたところでございました。十一月十日に理事会を開きまして、その理事会におきまして、これまたそのことを確認をいたしたところでございます。その際委員長は、当日常任委員長会議が開かれるから、その常任委員長会議にそのことを申し入れをするということを確約されたのでございました。だがしかし、この申し入れというものは理事会決定だけではなくて、委員会において正式に決議をする必要があるというようなことから、十一月十二日であったと記憶いたしますが、理事会におきまして、委員会において決議をすることを求めたのでございます。ところが、いろいろと意見がございまして、沖繩返還協定特別委員会に付託、審議されておりますところの条約案は、当委員会との関係というものは進出外資企業既得権問題等に限るので、まずこれをおきまして、沖繩及び北方問題に関する特別委員会大蔵委員会、最も関係の深いこの委員会に付託されておる議案に対する連合審査申し入れをすることにしようということでいろいろと議論をいたしました結果、それでは十二日の委員会において決議をしよう、こういうことを理事会決定をいたしたところでございました。ところが、今日に至るまでまだその決議がなされていないのであります。委員長はどうしてこの委員会決議をすることを御提案にならないのか、その経緯について、またどういう御方針なのか、その考え方をこの際明らかにしていただきたいと思います。
  4. 鴨田宗一

    鴨田委員長 ただいま中村君から御質疑がありましたとおり、経過といたしましては中村君の言うとおりでございます。私としても、委員長という立場から、連合審査申し入れにつきましては理事会決定に基づきまして、関係委員会と現在でも交渉中でございます。連合審査会の実現につきましては現在なお努力しておりますので、いましばらくの時間をひとつおかし願いたいことを心からお願いを申し上げます。
  5. 中村重光

    中村(重)委員 この委員会において決議をするということを十一月十二日の理事会決定をし、冒頭にするのかあるいは委員会の最後の段階でやるのかという時間は自分にまかせてほしいという明確な委員長答弁が実はあったのであります。したがいまして、その交渉ということはどういう交渉なのか、まず委員会決議をしてその申し入れをするということが順当である、そのように私は考えるのであります。委員長がその手続をする上について手続上いろいろと話し合いをしなければならないというようなことがあるとするなら、またこの決議をするということについて変わりはないということをはっきりお答えをいただくのでなければ、交渉いたしましても、その交渉の結果どうも相手が受けないようだからといったようなことで、三回にわたる理事会確認というものが無になる。また委員長がみずから、委員会において決議をするから、その時間等は自分にまかしてもらいたいとはっきり明言をしたこと、そのことが実行されないということでは、理事会決定というものは全く権威を失墜をすることになるのでありますから、そのことについて委員長の確信のほどをひとつ明らかにしておいていただきたいと思います。
  6. 鴨田宗一

    鴨田委員長 中村君の申し述べることも一理はございます。がしかし、私といたしましても、やはり相手のあることでありまして、この委員会におきまして万一議決に相なりましたときに、相手のほうで申し受けをしないようなことがあっては困るというので、現在せっかく相手委員長折衝中でありますので、重ねて申しますけれども、いましばらく時間をかしていただくようにお願いを申し上げます。
  7. 中村重光

    中村(重)委員 それでは、いまお答えがありましたように、私が申し上げていることは少しも無理を言っているのではないのです。委員長の配慮というようなことはわからぬでもありません。ですけれども理事会決定決定とし、またみずから明言をしたことはこれを実行するという権威あるやり方をやっていただくことを強く求めまして、連合審査決議を期待をいたします。      ————◇—————
  8. 鴨田宗一

    鴨田委員長 次に、内閣提出国際経済上の調整措置実施に伴う中小企業に対する臨時措置に関する法律案を議題といたします。  質疑申し出がありますので、これを許します。加藤清二君。
  9. 加藤清二

    加藤(清)委員 私はこの際、先回行ないました質問、それに対する答弁をまだしていただいていない点に限ってお尋ねしたいのでありますが、通産大臣はいらっしゃいますか。——通産大臣はどうなさいましたかと聞いておる。  委員長、私の質問、発言することばはたいへん短いのです。たいへん短いですけれども答弁いかんによっては長くなりますよということを理事会にも申し上げておきました。私は、名委員長のもとですから、名委員長や名理事皆さん申し合わせやおきめになったことには忠実に従いたいと思っております。どうなさったかを承っております。
  10. 増田実

    増田(実)政府委員 通産大臣はただいま沖繩特別委員会に出席しておりますが、ちょっといまはずしておりまして、政務次官かわりに出ておりますが、もう少ししましたら、通産大臣沖繩特別委員会に戻るわけです。それで私のほうから、この商工委員会のほうにぜひ通産大臣が出席して答弁できるようにしていただきたいということで沖繩特別委員会のほうに申し入れ中でございます。
  11. 加藤清二

    加藤(清)委員 沖繩委員会も大切でございましょうけれども、きょうはもう締めくくりでこの法律を通したいという理事会の意向なんです。法律を通す段階になってもなお大臣の顔が見えないということでは、これは大臣抜き法案を操作するのですか。それでは政府側はあまりにも身がってといわざるを得ない。大臣都合が悪いからきょうはもう決議をすることを見合わせるということなら、それはけっこうでございます。それはどうなんですか。
  12. 鴨田宗一

    鴨田委員長 私のほうから答えさしていただきます。  実は、ただいま増田参事官から申し上げましたとおり、大臣都合をつけてこちらへ参るようでありますので、どうぞひとつ加藤委員におかれましては、その間ほかの宿題もあるようでありますので、その宿題のほうからひとつ取りかかっていただきたいと思います。
  13. 加藤清二

    加藤(清)委員 お説のとおりでございまして、私の宿題質問の第一が、中小企業倒産がたいへんに多い、しかしその倒産調査する能力中小企業庁は持っていない、同僚諸君のあれこれの質問に対して中小企業庁長官が答えられない点が間々あったようですが、これは何も中小企業庁長官能力がないわけではない、努力を怠っていたわけでもない、そういう機構中小企業庁にないのです、したがって、これを設けるべきであるという私の質問に対して、政務次官は、そのように努力しますとおっしゃった。じゃ、来年度予算に盛れますかと言ったら、盛れますとおっしゃった。しかしいまこの時点においてはすでに予算はもう原案ができてしまっているのです。こうなればもはや大臣折衝が行なわれて、そうしてこれに組み入れるということ以外に手はないと思います。だからこそこの問題は大臣でないとお答えができないでしょうし——次官でもけっこうでございます。大臣相談の上、大蔵大臣折衝して来年度予算中小企業倒産あるいは中小企業の将来の見通し等々の調査機構をつくるということをおっしゃっていただければ、私の質問は終わるわけなんです。それはだれが答えますか。中小企業庁長官予算折衝できますか。政務次官ことばをくつがえすようじゃ困りますよ。
  14. 高橋淑郎

    高橋(淑)政府委員 加藤先生指摘のように、従来のままの倒産状況把握体制では不十分であり、また問題があると考えます。ただ倒産状況把握のために専門の機関を設けて全国くまなく人員を配置する、たとえばそういうような措置をとるということは必ずしも妥当ではないのではないかとも考えますし、この際、手形不渡り事故の発生を正確に集計しております興信所の情報一つ情報源として活用するということも、やむを得ないものがあろうかと考えます。しかし、このような倒産状況に関連する情報は、仰せのとおりできるだけ多角的に持つべきであるということで、先般政務次官答弁申し上げましたように、通商産業局とか都道府県とか中小企業業界団体などからの情報を総合して活用する、その線をさらに拡充しまして、いまのような各ソースからの情報を総合いたしまして、中小企業庁の中におきまして、より確かな見通しを立てるように努力をいたしてまいりたいと思います。そのために通産局等におきましても特にこういうような時期でございますから、倒産に関連のある情報等についても特に問題意識を持って重点的に収集につとめるよう指導していきたいと存じます。
  15. 加藤清二

    加藤(清)委員 私は高橋中小企業庁長官努力はたいへん多とするものです。あなたの努力は涙ぐましいものがある。それはそれでけっこうですが、同僚諸君質問にも再三出ましたように、その政策が後手後手である、お茶濁しである、またその成り行きを見通すことができない、あるいは転廃業の調査もできない、融資の結果の調査も行なわれていない、あれこれ問題が指摘されたわけなんです。結局それは中小企業庁につとめていらっしゃる皆さん努力不足ではない。何が原因かといえば、自分みずからの手で調査機構を持たないというところに最大の欠陥があるわけなんです。それについて先日私が質問しましたら、政務次官はごもっともなおことばですから、その機構をつくります、予算化することができますかと言ったら、努力します、とこういうことなんです。話が違う。ですから委員長、この問題は長官お答えを願うのは無理だと思います。したがって、ぜひ次官かないしは大臣、その次官大臣折衝された結果を持ってきていただかないと答弁にならないわけなんです。時期が時期です。予算化するといったって来年度予算はもう編成終わっているのですからね。そういう時期にあえて予算化すとおっしゃったんだから、これはよほどの覚悟がないとできない相談なんだ。そのかわり大蔵省に向かっての折衝における御協力は申し上げると私はあの際答えておるのですから、これはひとつぜひ大臣お答え願いたい。  次に二つ目宿題は、本法案によって保険その他が上のせされるということは、これはもうけっこうです。が、どんなに政府融資を用意なさっても、借りることのできない状況に置かされている中小零細企業はどうなるかという問題と、それから中小企業範疇——カテゴリーよりはちょっと上回ったところ、これも同じような打撃を受けるが、その業界に対してはどうするか、業界というよりそのクラスですね。公称資本金五千万円以上の会社従業員三百人以上の会社も同じように打撃を受ける、それはどうするか、こういうことを質問したわけなんです。特に借りることのできない中小零細企業とは何かといえば、繊維に例をとってみますと、もうすでに担保物件という担保物件は全部銀行へ取られている。田地田畑から工場から敷地から取られちゃっている。機や紡績の設備の権利金まで銀行担保として取られている。そういうときに政府資金を差し上げましょうといったって、政府資金を借りるには担保が第一担保でなければ銀行が振りかえをしてくれない。だから私はこの際借りることのできない、せっかくの政府のお情けも受けることのできない中小企業に対しては、いままで借りていた金、それが返済期限が来ている政府資金、それを延期してあげなさいと申し上げた。これは大蔵省が来ていらっしゃるはずですから、大蔵省銀行局ですか、主計でも銀行でもどちらでもいいですよ。主計の問題は先ほどの第一問に関連することでございまするからなんですが、これはもう銀行関係することですから銀行局
  16. 鴨田宗一

    鴨田委員長 主計官はちょっといまこっちに来ますから……。
  17. 加藤清二

    加藤(清)委員 その問題も次にしましょう。  重工業局長来ていらっしゃいますか。——では重工業局長にお尋ねいたします。  今度のドルショック、特に繊維政府間協定が実行に移されますと、打撃を受けるのは繊維加工業者だけではなくて、繊維機械をつくっている業界にもたいへんな打撃が来ているわけなのです。すでにキャンセルが続出しております。次に、すでに受け取らなければならない代金、分割払いの代金、その期限が来ているのにこれがいただけない。いただいたとしてもたいへん長期にわたる手形である。きのうも平均が百二十日とか言ってみえましたけれども、冗談言っちゃいけません。お産、台風はもうとっくに通り越えて、飛行機手形というのが発行されているのです。落ちっこないというやつ、いつ落ちるかわからないという、すなわち支払い期限の書いてない手形が盛んに乱発されているという実情なんです。ですから機械の部品をつくっている会社、これをアセンブルしている大口の会社、ともに四苦八苦なんです。これは一体どうなっているか。鉄に対しては、ちょいと不況が来るというとすぐに不況カルテルをサゼスチョンしたり、相談を受けたりということで、大企業に対してはたいへんに御丁寧に世話をしてみえるが、同じ鉄を扱いながら機械をつくっている、製鉄業よりは小さい企業に対しては一向にめんどうを見てもらえないではないかという声がある。これはどうなっていますかということなのです。これはこの前申し上げた質問です。
  18. 矢島嗣郎

    矢島政府委員 先生おっしゃるように、ドルショック及び繊維産業不況影響を受けて、繊維機械工業は非常に不振をきわめておるわけでございます。繊維機械業界は全体で三百五十ありますが、そのうちいわゆる中小企業は三百ございまして、この三百企業に関しては本法案その他の対策によりまして金融円滑化等を期待しているわけでございますが、問題は、約五十にわたる本制度の対象とならない中堅企業にあると思われるわけでございます。それで重工業局としては、特定電子工業及び特定機械工業振興臨時措置法に基づきまして、繊維省力化機械自動機械等をその高度化計画に指定しまして、その措置法によるいろいろな対策を講じようとしているわけでございます。これは基本的な対策になるわけでございます。  あとは、やはり繊維対策その他によりまして、繊維業界全体が潤うことによりまして、はなはだ間接的でございますけれども繊維機械業界にその影響が回ってくるということを期待しているわけでございまして、繊維業界に対する金融が円滑化することによりまして、納期の遅延要求というものも解消される、支払いも円滑化するということを期待しているわけでございます。  第三番目は、やはり輸出の問題でございまして、昨日も横山先生の御指摘があったとおり、繊維機械輸出につきましてはいろいろな制約がございまして、期待する市場に対する大幅な輸出ができないわけでございますが、そういう点もその制約をなるたけ解除するというような方向努力してまいりたいと思っておるのでございます。  以上、三点の対策を申し上げたわけでございます。
  19. 加藤清二

    加藤(清)委員 あなたのお答えの第一点はわかりますけれども、二点、三点はわからない、あなたのその説明だけでは。なぜかならば、二点目はあなたまかせですね。繊維業界資金が回ってくるのを待つ、こういうことなのです。回ってくるのを待つといって、いま支払い期限が来てしまっているのに払ってもらえない金が続いたら、これはどういうことになります。これは死ぬよりほかに手はないんですよ。繊維業界にいつ金が回ってくるんです。じゃ、繊維業界に金が回る見通しはいつなんですか。一カ月や二カ月表ら待てます。けれども一年も二年も先に回ってくる金が待ち切れますか。あなたたちだって、月給を二年も三年も先払いにすると言われたらたいへんなことになるでしょう。現実にそれが起きているのです、機械業界には。飛行機手形をもらったらどうしますか。七夕手形をもらったらどうしますか。これはあなたまかせじゃしようがないじゃないですか。  それからもう一つ、きのう横山先生からも御質問があったやに聞いておりまするが、この繊維機械輸出に関する限り、日本の通産省は非常に冷たいのですよ。ひとり歩きをさせておったのですよ、業界に対して。それはどこと比べて冷たいかというと、イギリスイタリアのごとく繊維機械をよそへ輸出している国、同時に、いまでは中国までが繊維機械をつくってよそへ輸出している。その輸出の方法等々と比較してみると、日本繊維機械輸出は非常に手当てが劣っている。もう一つ国内で比較してみますると、家電業界——テレビだとかラジオだとか、自動車だとかというものの輸出と、繊維機械輸出を比較してみた場合に、繊維機械に対する手当ては非常に薄い。したがって、やむなくパキスタン、インドのごときは、某会社はオン・リスク・オブ・ファイナンスでやってしまった。そうでしょう。御存じでしょう。それはひとり歩きもいいところでしょう。当然政府が許可したその品物、それをつくってしまった、つくった段階においてストップだ、こんなばかげた仕打ちがどこにあります。これは輸出奨励じゃなくて、輸出にブレーキをかけておるのだ。これは金額は四十億程度ですから、さほどでないと言うかもしれぬ。それを受けておる会社が大きいからたいしたことはないと言うかもしれぬ。しかし政府が一たび許可しておいてこれにストップかけた。これは行政訴訟ものですよ。何度もその相談を受けた。しかし、まあまあ待ちなさい、もうしばらく待ちなさいと言ってあるのです、行政訴訟に訴えることは。自前でやってしまったんでしょう。危険負担も全部自前で某会社はやった。しかし某会社はまだそれを行なっていない。これはどうするのですか。もう一年余になりますよ、この問題は。どうするのですか。
  20. 矢島嗣郎

    矢島政府委員 御指摘パキスタン輸出の問題につきましては、それを予定して生産した会社が相当あるので、その点につきましては、私どもも心配しておったわけでございますが、その後、従来の円借等による輸出につきましては依然として問題が解消しないわけでございますけれども世銀もしくは第二世銀による輸出というようなものができまして、そういう方面に活路を見出して輸出ができましたし、なお二部は国内にも転用ができたわけでございまして、私どもの承知しているところでは、現在一社の一部分を除きまして、この件に関しましては問題が解消したというふうに承知しておる次第でございます。
  21. 加藤清二

    加藤(清)委員 私はこの問題について深く言及することを避けます。というのは、時間がかかりますからね。たいへん時間を食う問題であります。しかし本件は、高橋中小企業庁長官官房長さんの時代に、すでに私はその善処方申し入れておいたことなんです。その後、局長さんががらがらとおかわりになりましたので、おかわりになった早々では御迷惑と存じまして、私はわざとながめていたのです。しかしその対策たるや遅々として進んでいない。きわめて遺憾です。特に内地の繊維業界がこれほど圧迫されてまいりますると、機械産業の生きる道は、きのう、おととい話が出ておりまするように、縮小、転業、廃業ないしは輸出活路を見出す、これ以外に手はない。その輸出の場合の施策が常に、イギリスと比べイタリアと比べて劣っている。ただまさっているのは何かといったら、安くて性能がよいということなんです。安くて性能がよいということは、これは企業努力の結果から発住した問題であって、政府努力ではない。政府努力が常に後手後手に回るがゆえに、エジプトへの輸出のときもイギリスイタリアに負けてしまって、せっかくこちらのとれた注文が全部向こうへ流れてしまったことがある。幸い、このときの経企庁の長官が非常に先見の明のあるお方であり、その後、通産大臣になってよろしきを得たおかげで、今度は日本側へまたこの注文が転げてきた。つまり政府施策いかんによっていかようにでもなるということなんです。あのとき高碕先生なかりせば、完全にあれはイギリス、フランスにやられてしまって、その後の発注も日本へはいただけなかったはずなんです。だから時の大臣、時の重工業局長施策よろしきを得れば、日本機械は将来も輸出可能性は十分にあるわけなんです。なぜかなれば、性能がよくてコストが安いからです。それを十分に生かす道をいまこの段階で講じなければ、一体いつの日に講ずるのですか。繊維がこれほど打撃を受けた。五千億になんなんとするところの予算要求業界から行なわれている。繊維機械のほうに対しては、何にも行なわれていない。こんな片手落ちなことがございますか。もって重工業局長いかんとなされるか。
  22. 矢島嗣郎

    矢島政府委員 基本的には、先ほど申し上げました第一点の特定電子工業及び特定機械工業臨時措置法に基づく高度計画の強力な推進ということによりまして、新しい省力化機械等の需要の拡大、その生産促進ということによって繊維機械工業の発展を期待するということでございますが、なおそれ以外に、先生指摘のとおりに、輸出活路を見出すということが非常に重要でございまして、まあパキスタン等につきましては、種々な制約があって、率直な話、はなはだ残念でございますが、市場はパキスタンだけに限らないわけでございまして、先ほどもちょっと申し上げましたけれども世銀及び第二世銀による方法というものもだいぶ活用されておるようでございますので、これによってその制約を除いて、パキスタン、インド等にも輸出を大いに促進をはかる。さらに、現在東欧圏のほうにも引き合いが相当あるようでございまして、新しい市場につきましてさらにその輸出の促進をはかるというふうにいたしまして、いろいろな施策を講じて繊維業界の当面の問題を解決するようにいたしたいと思っております。
  23. 加藤清二

    加藤(清)委員 構造改善事業と繊維機械の問題は密接不離ですね。乙竹案の構造改善事業は期限どおりに実行ができない。できない理由は、繊維機械の、あなたのおっしゃった高性能、高速度の紡機、織機の製造と構造改善の日にちが合っていないからなんです。このことは乙竹案のときに私は再三注意しておいた、繊維の構造改善が作文どおり行なわれたって、機械が伴わなければどうにもなりませんよと言って。そのおかげで二年、三年とおくれた。構造改善は乙竹案どおりあの期限内に完了できますか。
  24. 佐々木敏

    ○佐々木(敏)政府委員 ただいま先生指摘のように、織物と紡績につきましては、当初の計画は来年六月末で完了する予定でございましたけれども、これまでの実績を見ますと、進捗率はまだ非常に低い状況でございます。
  25. 加藤清二

    加藤(清)委員 そこで、期限が来たらストップにしますか、それとも継続をしますか。問題は来年度予算影響があるからお尋ねする。
  26. 佐々木敏

    ○佐々木(敏)政府委員 そのように進渉率が非常に低い状況でございますから、実は昨年十二月並びに本年九月の産構審の答申を得まして、織布業並びに紡績業につきましてはもう二年間延長を御答申いただいたわけであります。現在大蔵省と来年度以降の予算について折衝中でありますし、また通常国会に特繊法の二つの業種の延長につきましてお願いをするようなことになっております。
  27. 加藤清二

    加藤(清)委員 当然これは、期限切れを延長するということであれば、本委員会にかけなければならぬですね。いつかけられますか。それが一つ。  それから、予算折衝段階において——大蔵省、きょう来ておられますか。——まだ来ませんか。これはだめだね。大蔵省早く呼ばないとだめだよ。私、引き延ばしをするつもりはないんだから。もう常に大蔵省は削ることにのみ専念しておる。旋盤の機械と間違えておる、これは。旋盤機械は削っていればそれで商売になるかもしらぬけれども大蔵省も通産省が出しまするこういう予算について削ることばかり考えておる。もう大蔵省という名前をやめて旋盤工という名前にしたほうがいいかもしらぬ。これは大蔵省のいるところで言ってやらぬと何ともならぬ。  来年度予算にどう盛られておりますか。通産省原案を承りたい。
  28. 佐々木敏

    ○佐々木(敏)政府委員 先生指摘の、第一点のいつの委員会というお話でございますが、これは次の通常国会に特繊法改正案としてお願いをしたいと思っております。  予算につきましては、従来の本年度までの予算、その他今後の構造改善事業達成の必要額、大蔵省と現在数字を詰めつつある段階でございます。
  29. 加藤清二

    加藤(清)委員 幾らですか。
  30. 佐々木敏

    ○佐々木(敏)政府委員 通産省の構造改善の四十七年度の事業規模全体が、織布、メリヤス、染色含めまして四百六十二億円になっております。そのうちで六〇%が国の投資になっておりまして事業団融資分、一般会計出資がそのうちの四〇%、財投が二〇%、そのほかに府県が一〇%ということになろうかと思っております。
  31. 加藤清二

    加藤(清)委員 これは繊維局長、あなたの先輩に磯野という人がいらっしゃったですね。それからもう一人乙竹という人が見えたですね。ともに両者の発言の違反行為になるんですよ。これは記録に残っていることです。絶対に延長はいたしません、期限内にやりますからこの法案は通してもらいたい、とこういうことだった。私はそのときに、とうてい機械は歩調が合っていないからできっこないですよ、できませんですよと言うたにもかかわらず、両者は——記録に残っておる。それ、違反行為になる。しかしまあ、違反行為になろうとなるまいと、問題は業界を救わなければならぬのですから、これは至急あなたのほうの法案の準備を急いでもらいたい。早くしないと、七月期限切れになりますからね。  それから、今度こそ重工業局、最初の構造改善の案が行なわれたときと同じように、この繊維のほうと並行して機械手当てをしないことにはどうにもならぬですよ。またぞろ延長ということになる。これもいまから来年度予算に組んで、手当ての方法をよく検討しておいていただきたい。  大蔵省来られましたか。——まだ来ない。じゃ、あとにしましょう、来られたときに。  労働省来ておられますか。——それじゃ、お待たせしました。  ドルショック並びに政府の行ないました政府間協定、これが実行に移されますと、大体中小企業倒産は三千社の余になります。労働者の首切りは最低二十五、六万になります。これに対して労働省はどのような施策をしてみえるか。すでに労働省は石炭産業の転換の場合に体験済みのことでございまするので、おそらく御準備おさおさ怠りないと存じますが、来年度の予算等々にどのように対策が組まれているか、お漏らし願いたい。
  32. 関英夫

    ○関説明員 現在までのところ、ドルショックあるいは繊維関係でどの程度離職者がこれから出てまいるか、なかなか推定のむずかしいところでございまして、現在労働省といたしましては、この法案に盛られておりますように、離職者が発生いたしました場合には、早期の職業相談なりあるいは職業訓練の強化なり、そして特に就職の困難な中高年齢者につきましては、先国会において成立いたしました中高年齢者の特別措置法によります求職手帳制度の活用、こういった施策によりまして対処してまいりたい、こういうふうに考えておりますが、その後の情勢、こういったものにつきまして現在種々調査中でございます。  また、私どもの諮問機関でございます中央職業安定審議会にもその御検討をお願いしておりまして、同審議会では、近く主要産地等の調査もいたしまして、その上で審議をしよう、こういう段取りになっておりますので、先生の御指摘の、過去の炭鉱閉山に対しましてとられました措置、そういうものも参考としながら、今後の施策というものを検討してまいりたいと考えております。
  33. 加藤清二

    加藤(清)委員 繊維業界はこれが初めてではなくて、御案内のとおり、LTAの場合にもこのようなショックを受けたことがございます。しかし、LTAの場合はコットンに限っておりましたので、ウールやら合繊に転換ができたわけなんです。しかしこのたびはウールも合繊も一括網にかけられたんですから、転換のしようがないんです、これは。どこへ転換したらいいのか。簡単に転業転業といいまするけれども、それじゃ二十万の労働者をどこへどうさせるかということについては、これはたいへんな問題だと思います。ことに哀れをとどめておるのは、石炭が不況になったがゆえにというので、産炭地に第二次布帛加工工場をずいぶんたくさん労働省の肝いりでつくりました。私どもも一生懸命になってこの指導、育成に当たりました。そこがやられるのですから、これはたいへんなことなんです。  それから同時に、沖繩の雇用促進のために、沖繩にも布帛加工工場ができております。これは、米軍を相手に当初は始めたものでございまするが、だんだん技術がよくなるに従って、そこの製品がアメリカへ輸出されていたわけでございます。しかし米軍はだんだん引き揚げていく、アメリカ輸出はシャットアウトをされる、こうなりますと、沖繩繊維に従事している方々にも失業がふえてくるわけでございます。ここらあたりのことについて、どのような手当てが行なわれておりますか。
  34. 関英夫

    ○関説明員 御質問の第一点の、産炭地におきます失業問題でございますが、御承知のように、産炭地につきましては、石炭産業からの離職者につきましては、炭鉱離職者臨時措置法に基づく求職手帳制度、こういったもので対処しておりますが、関連産業からの離職者も非常に出るということで、特に産炭地域開発就労事業といったような事業を興しまして、そしてそういったところに、一時就労の場を見つけていただくというような施策も講じておるわけでございます。今後さらに失業情勢の悪化している地域に繊維産業からの離職者が発生しました場合には、私ども従来から実施しております広域職業紹介、そして職業訓練の上で行なっております転職訓練、こういったものを活用して、できる限りその再就職を促進してまいりたい、こういうふうに考えております。  沖繩につきましては、復帰に伴いまして相当数の離職者の発生が見込まれますので、これら離職者に対しましては、やはり炭鉱離職者と同様の内容を持ちますところの、沖繩の離職者に対します特別の手帳制度というものを新たに設けることといたしまして、現在御審議をいただいております。このような制度によりまして、できる限り早期の再就職をはかりたいというふうに考えております。
  35. 加藤清二

    加藤(清)委員 大蔵省、見えましたか。
  36. 鴨田宗一

    鴨田委員長 はい、見えました。
  37. 加藤清二

    加藤(清)委員 それでは大蔵省にお尋ねいたします。  今度のドルショック並びに繊維協定が実行に移されたとなりますと、これはもうたいへんな打撃中小企業は受けるわけでございます。そのためにいま法案が審議されているわけでございます。しかし政府はどのように施策を講じましょうとも、この関係二法が通過したとしましても、せっかく政府が用意したその金を借りることのできない業者がたくさんあるわけなんです。なぜ借りることができないかといえば、すでに自分担保のある限り保証に入れて、目下市中銀行から借りている。土地、財産のみならず、機械の権利までも担保に入っている。そういう業者に金融の道をつけていただいたとしても借りることはできないと思いますが、何らか便法を考えていらっしゃいますか。   〔委員長退席、進藤委員長代理着席〕
  38. 徳田博美

    ○徳田説明員 お答えいたします。  先生指摘のとおり、金融面につきましては、担保その他保全措置がありませんと、なかなか普通の金融ベースでは借りられないという面が確かに多く出てまいりますので、今回の中小金融関係措置といたしましては、先生も御存じだと思いますが、中小企業信用保険公庫の出資金を二十億円増額いたしましたし、それからそのほか信用保険の融資の引き上げ、限度額を大幅に引き上げまして、その面で信用補完の極力の拡充をはかりまして、先生指摘のような信用力の薄弱な中小企業者におきましても、十分に金融面のそういう補強を受けられるように措置をいたしてございます。
  39. 加藤清二

    加藤(清)委員 あなた、十分に貸し出しができるように措置しているとおっしゃりますけれども、どこをお調べになりました。たとえば知多木綿は御調査になりましたか。福井人絹は御調査になりましたか。あなたがおっしゃるほど、しかくさように金融は容易なものじゃございません。そんなに容易だったら、首つったり転業したり廃業するはずはないんです。もうすでに倒産が、この八月以降ずうっとふえてきておりますよ。それに対して十分な手当てができていますか。かりに今度の法案である程度の上乗せができたとしても、もうぎりぎり一ぱいの自転車操業をしておりますところへのショックでございまするから、ちょっと押しただけで倒産するんですよ。あなたのおっしゃった十分な手当てなんて、ここではそう言って通り抜けたらそれでいいんです。しかし、この法案について同僚諸君が三日も四日も五日も検討を進めておりますが、金融はきわめて不十分ということなんです。そこで福井では県全体の工業組合が結束して、いままで借りていた政府資金、それの返済期限が来たけれども、その返済期限を延ばしてもらいたい、こういう要望がある。このことは何も福井県だけではありません。愛知県にもあります。静岡県にもあります。大阪にもあります。延ばしてもらいたい。これからつぎ込むことより、返す金を返されぬから延ばしてもらいたい、当然そのくらいのことはあってしかるべきだと私は思うのです。なぜかならば、ドルショックで損した人ばかりじゃない、もうけた人がたくさんおる。話に聞くというと、それは大蔵省のサゼスチョンがあって銀行がもうけたといううわさまで立っておる。いずれこれは決算委員会で勝負を張ることでございますからきょうはいたしませんけれども、片やそれでもうけた人がある、片やドルも何も持っていない人がたいへんな悲劇を受けておる。いまのような問題が、福井のような問題が次々と発生する可能性が十二分にあるのです。政府としてはこれに対してどうしますか。
  40. 徳田博美

    ○徳田説明員 お答えいたします。  ただいまの先生の御指摘の問題は、市中の金融機関並びに政府関係機関の融資態度の問題に関連いたすものかと思われます。実はいま所管の銀行局の者が来ておりませんので私なりにお答え申し上げますが、その点につきましては、実は北陸方面の財務局その他にも実情の調査をいま十分に命じておりまして、極力そういう先生指摘のような問題が起こらないように十分配意するよう、指導を徹底させるよう、いま北陸財務局その他十分に問題点を指摘して調査に当たらせております。
  41. 加藤清二

    加藤(清)委員 起こらないようにといって、いま起きているのですよ。いま起きているのですがね。  幸いお忙しい中をかつての大蔵大臣がいらっしゃいましたから、現通産大臣に、じゃ本件についてどうするか。つまり二法案を通しても、借りることのできない業者がたくさんいる、救うことができない。なぜかならば、もはや担保は全部提供してしまっている。あなたの郷里の見附の機屋さんへ行ったって、機の権利までが担保に取られてしまっている。したがって、スクラップダウンをやろう、やろうといったってなかなかできないのは、銀行が権利を取っていて歯どめをするからなんです。権利は銀行に取られているんでず。したがってスクラップダウンはできないんだ。そういう関係まであるわけなんです。したがってこの際、福井から申し出ているように、これから借してくれということよりもいままで借りている金の返済の期限が来た、それを延期してもらいたい。棒引きではないのです、まあ言うなれば大口の更正決定みたいなものですね。そういうことを要求してきている。これに対して大臣はどう処置なさいますか。
  42. 田中角榮

    ○田中国務大臣 繊維企業に対して一律に、全部期日が来たものを延期をするというわけにはまいりません。まいりませんが、現実問題としてあなたが指摘をされておるような事実があることは私は理解をいたしております。そういう意味で公式に答えるとすれば、ケース・バイ・ケースで措置をいたします、こういうことでございますが、しかし現実問題としてなかなかスクラップ化をしたいといっても、かんぬきに入っておってできないじゃないかという現実を承知しております。それで、私は各種の業体別に早くいろんな具体政策をつくって、今度は繊維局だけでもってやるようなことはしないから持っていらっしゃい、通産省としてはしごく前向き女話をしておるわけです。なぜかといいますと、通産省の繊維局だけでもって専門的な立場で対策を立てるというだけでは済まないいろんな専門的な問題がありますから、業界別に政府がなさなければならない救済策の実態に対して要請をすべしと強く言っておるわけです。ところが業界にはいろんな問題があります。ありますが、いますぐ具体的な問題として通産省にこうしてくださいというようなことは、全部まとめて出すような事態に至っておりませんというのが実態でございます。そういう意味で、もう産地別、業界別でかまわないから通産省にいろんなものを出してくれ。通産省に業者が陳情、請願をするということではなく、通産省側も窓口をあけてそういう姿勢をとっておりますので、各地域別また業種別にいろんなことを持ち込んできております。これを通産事務当局は整理をしながら、立法化する必要のあるものは立法化する、それから制度として現行制度の中で弾力運用できるものは弾力運用して、タイムリーにものを片づけなさい、こういう措置をしておるわけでございます。ですからこれも特殊な問題でありますが、やはり一つ一つバイケースで、というと全融機関の自主的な判断裁量に僅かせるということになりますから、それではかゆいところに手の届くようにならないのではないかという問題がありますから、個別的にはその産業の工業組合等がおおよその窓口となって、そして組合全体としてこれらの問題に対して対処できるような措置をとってもらいたいということが一つ。  もう一つは町ぐるみ、その町の歳入の六〇%、七〇%が繊維であるというような問題に対しては、町が何らかの補償をしてこの急場をしのいでもらいたい。それに対しては金融機関にも実情に合うような態度で対応してもらいたいというような姿勢をとっておるわけであります。  新潟の見附、あなた御承知のように見附の例をとりますと、これは町ぐるみということになりますので、私がいま申し上げたようなことを現実的にやろうとしております。しかしやった場合、それは必ず法律において見てくれるのかどうかという問題がございますので、通産事務当局とも話し合いをしながら、おおよそワクに入る範囲においては組合、それから市町村、個々の業者、金融機関、そういうものがざっくばらんに話をしながら具体的な取り扱いができるまでつないでもらう以外にないじゃないか、そうでなければ早く業界として具体的な政策を通産省に要求してもらいたい、こういうことをいっておるわけでございます。ですから私としては、これからこの法律が通っただけで万全だと思っておりません。新しい措置が必要であれば通常国会でも何でも、必要なものは中小企業繊維だけではなくほかの企業もたくさんありますから、そういうもので必要であれば必要な特例法を出してもよし、臨時立法を行なってもよいという前向きの姿勢でおるわけでございます。でありますので、事情申し述べればこのようになるわけですが、あなたの御質問に対してお答えをするのは、実情に合うような態度でバイケースで善処いたします、こうお答えをすることでひとつ御了解をいただきたい。
  43. 加藤清二

    加藤(清)委員 実情に合わせてケース・バイ・ケースで善処する、こういうことですね。善処するという内容ですが、それはたとえばつなぎの一方法として、この年末にもあるいは来年三月にも返す期限が来る。そのころにしわがどんどん寄って倒産が続出してくる、そうなればこれはもう返すことも何もできないのですよ、倒産すれば。更正決定をしたって延期と、こういうことになりますね。ゆえにそういうことにならない前に、ころばぬ先のつえをすべきではないかというのです。町に声あっていわく、私らはドルは持っていないというのです。なぜドルショックが起きたかといったら、大企業政府の金庫にドルがふえたからだ、私ら何もドルを持っていないというのです。ところがしわはわれわれ中小零細企業に寄って、大きいドルを持っているほうは何かといったら、とたんにどこかから情報を得て、一週間たつやたたずのうちに何千億ともうけておるではないか、それを取ってきてわれわれに与えるべきじゃないか、こういう意見まで出ておるのです。素朴な意見として無理からぬことだと思う。なぜかといえば、自分に罪がないのに罪を着るのですから。そんなばかなことはない。罪と罰が逆転している。小説以上なのです。小説以上の社会問題がいま起きている。だから、上のせして貸してやるということもけっこうだが、貸してもらえない人をどうするかといえば、返すことをしばらく延期してやる、返金を延期してやる、これが一番いい策だと思います。だから、実情に合わせてケース・バイ・ケースで善処するという意味は、私がいま切々と訴えているそのことを実地に実行する、こういうことですか、しないということですか。
  44. 田中角榮

    ○田中国務大臣 もうすでに御承知のとおり、通産省から政府関係機関等に対しては、期日が来たものでもこれは強硬に取り立てるようなことをしてはならないということで要請をしてございます。ですから、期日が来たものでも延期されておるものが相当数あることは御承知のとおりでございます。これからも、担保余力はないけれども企業整理をしてもスクラップにならない——スクラップ化をするものとは別に、これから構造改善その他をしながら、新しく企業を整備してまいるというものを黒字倒産に導いてはならない、導かないように努力をしなければならない、そのためにはケース・バイ・ケースで、当然措置はするということを申し上げておるわけでございます。  ただ、あなたがいま言っておられる中に、いま一番困っておる、先ほど申されたこと、すなわち、もう整理をしたいのだ、スクラップ化をしたいのだ、その整理さえもできないというものがあります。確かに、そういうものをどうするかということでございますから、それには、織機などがございましたら、織機十万台を買い上げるといったのは、十万台の届け出をすれば、その部分だけはもう期日が来ておるものでも全部たな上げできるわけであります。できるわけですから、私は、さしあたり十万台ということを明言したわけでございます。そうすれば、いままでのように——五万三千台、ようやくいまスクラップ化を行なっておりますが、スクラップ化ができてからでなければ金は払わないというようなことではなく、十万台といえば、組合が、私のところの織機は全部政府の買い上げ対象にしてくださいというだけでそれに該当する。それに二十五万円をかけたものは——これは大ざっぱな話でございますが、それは期日が来ても、あとは利息をだれが負担するという問題だけしか残らないのであって、期日が来ても確かにそれは延期はできるわけでございます。そういうようなバイケースで——この中には、それは買い上げの対象になる機械を持っているものはいいが、持っていないものはどうするかという別な問題はございますが、いずれにしても、スクラップ化をしたくともできないものに対しては、スクラップ化が進むように、合理化が進むようにしてやらなければなりません。それから、構造改善をしながら新しい企業として残っていくものには、残っていくために臨時的応急の措置をしなければならないということでございます。  そういう意味で、あなたが言われる三つぐらいのうちの二つぐらいは確かに片づくわけでございますが、その一番最後に残るもの、もう払う能力もない、担保余力もない、どうしてくれるんだというのは、これはスクラップ、いわゆる転廃業に踏み切れば、転廃業の施策を適用していくということにせざるを得ないと思うわけでございます。  具体的な問題に対して、やはり限界はありますから、限界を考えながら、しかし前向きに対処をしていく、このように理解をしていただきたい。つぶれる中小企業、零細企業すべてを国が全部措置をしてやるということはちょっとできないわけでございますので、スクラップ・アンド・ビルドを合理的に効率的に進めるために政府ができる限りの協力をする、こういうふうに理解をしていただきたい。
  45. 加藤清二

    加藤(清)委員 私に与えられた時間はもう参りましたが、本件はまだ私、納得できておりません。同時にまた、政府だけでは実行不可能な政府間協定、これについては、業界の協力なくしては実行が不可能であるということは、私が一々具体的に例をあげて証明をしますが、それはまた別な時間に譲るとして、最後に、この間の宿題で、大蔵省が見えないので答えができなかった、大臣が見えないので答えができなかったというのを一点だけ申し上げます。  それはこういうことです。この間うちいろいろ審議をされていますが、中小企業庁長官は非常に熱心で、まじめで、りっぱなものです。にもかかわりませず、政策が後手後手になる、あるいは倒産調査もできない。いわんや、将来、政府間協定が行なわれたらどの程度の倒産が出てくるかという問題についても十分な答えができない。なぜ答えができないかというと、それは中小企業庁長官が怠慢であるわけではない。中小企業庁の職員の方々が能力がないわけではない。ただ調査機構がない。よその私立の調査機構、それも倒産の結果だけなんです。それを額面どおり受け取って対策を練るということなんだから、後手後手になるのはあたりまえな話なんです。  そこで、当然、これは前々からの懸案で、すでに何度も本委員会の席で提案されていることなんですが、この際、中小企業庁の中にあるいは通産省の中に、あるいは総理府でもいいですが、その中に中小企業の実態調査機構をつくるべきである。農業においては、作報をはじめとして二重にも三重にも作付の関係調査機構がある、日本にこれだけ中小企業が多いにもかかわらず、政府機関の中にその調査機構がない、これは片手落ちである、ゆえにいかんとなされると、先日政務次官質問したら、ごもっともだから調査機構をつくります、予算化しますということだった。予算化されるんだったら、大蔵省に対して、私ども折衝の御助力をいたしますよと申し上げた。しかし、このことは、すでに予算の原案もできていることで、それをあえて糊塗し、来年度予算に盛るということになれば、もはや大臣折衝以外に手はない。だから、大臣お答え願わないと、これはこの時点においては解決しない問題であるというので、大臣お答え大蔵省の感触を承りたい、こういうことであります。
  46. 田中角榮

    ○田中国務大臣 いまあなたが御発言されたことは非常に重大なことでございますし、その趣旨もよく理解いたしております。中小企業基本法が審議された当時からの問題でございますし、私自身もその必要性は十分承知いたしております。しかし、言うことと現実のむずかしさということは、これは違うわけです。なぜかといいますと、中小企業というものに対して、名前は中小企業診断室にするのか、診断というよりも企業の振興助成というような名前で実態調査ということをやるのか、ほんとうに調査機構でもってスタートできるのか、それから商工会法の中でもって商工会にやらせるのか、それから商工会議所の中でやらせるのか、いろいろな問題があるのですが、現実問題としまして、いままでなぜ民間の調査ということでもってそれを引用して国会で答弁してきたのか、それよりも、民間の興信所の調査よりも手形交換所の調査のほうがもっと確実じゃないかということさえも国会で指摘をされておるわけです。それはもちろんそのとおりなんです。それくらいわかっておるのですが、これは結果だからわかるのでして、事前には個人の信用に関するものだから、倒産をするということがきまってからも半年くらい生き延びるのです。これは絶対に親子でも、倒産の実態というものはそのときにならなければ発表しないというところに問題があるのです。きょうまでは何とか、毎日毎日朝早く出ておそく帰ってくるから、うちはうまくいっているのだと思っていると、倒産でもって、何とかして倒産を一日延ばしに延ばしたいと半年から一年間おやじさんが夜おそく帰ってきたということで、家族がやっと実態を知るようである。これが第三者の耳に入ろうものなら、これは生きるものも倒産をしてしまうということで、秘密を守る。実態の秘匿ということはよほど——調査機構の中にも知り得た秘密は守らなければならないということ、これは徴税官に対する秘密を守るように、よほどの強い制約をしないと、なかなか企業診断にさえ言ってこないという実情がございます。その意味で、中政連——中小企業政治連盟等でも企業診断や、倒産をしないように事前に何とか把握しようと思いながら、ついにできなかったということでございまして、あなたの言うこと、私も実によく理解できるのですが、それをどこでどういうふうにやるのかということになると、非常にむずかしい問題がございます。ただ、来年度の予算でどうするかといえば、中小企業の診断ということにするのか、助成ということにするのか、税務相談もしかりでございますが、いろいろな問題がございます。  今度は特にいわれているのは、洋食器とかそれから繊維産業の人たちは、転業するというけれども何に転業すればいいのですかという問題を通産省に持ち込んできている。通産省が具体的なものを指示してほしいとさえ言われておる現状は私自身も理解しております。そういう意味で、予算を来年度計上するとしても、そんなに具体的なものを計上できないので、商工組合と連絡をとってやるのか、府県市町村とやるのか、また協同組合法やそういうものの中にいろんな具体的なものをつくり得るのか、研究するための調査費を計上するということになると思います。それで、具体的なものができれば、商工委員会は超党派でございますから、これは政府が一方的にものをやるなんということは考えておりません。これは皆さんがいい知恵を出していただければ、われわれ自身も幾らでもお互いに一緒になって、与野党ともで立法もいたしますし、制度の発足にも努力をいたしますので、来年度どういうもので予算折衝ができるのか、これから研究いたします。いたしますが、具体的な問題をどうするかということになると非常にむずかしい問題であって、お知恵をこれからも拝借しなければならない問題であるということでひとつ御了解をいただきたい。私たちは実効があがる機構がつくれるなら幾らでもお説のとおりいたします。いたしますが、いままでもいろんな議論があったにもかかわらず、それは事実倒産をした後の統計は相当正確なものが出るが、しかし倒産前に事前に半日でも一日前にも、私はいついつ倒産をします、いつ更生会社の申請をいたします等々、企業縮小、転廃業に関する問題や、当然倒産につながる問題は秘密中の秘密であって、これを把握することは事実上むずかしい問題であるということにひとつ御理解をしていただいて、通産省がこの政策を立案する過程において、いろいろ御注意なり御意見なりを伺いたい、こう思います。
  47. 加藤清二

    加藤(清)委員 もう時間が参りましたから、私はこれで終わりますけれども、きょうの質問を終わるだけで、まだ理解ができておりません。政務次官はその席で、調査機構をつくるとおっしゃったのですよ。そしてそれは予算の要ることだから、じゃ野党の私どもも協力しますよと言って約束したのですよ。それを簡単にあなたがお茶を濁していただいては、これは閣内不統一ということになるし、閣内不統一どころか、夫婦不統一だ。それじゃ納得できませんが、次の横山さんの時間を食い込んでは申しわけないのです。委員長、次にこれを詰める時間をいただきまするよう……。
  48. 田中角榮

    ○田中国務大臣 念のため申し上げておきますが、政務次官大臣相談をしてということでございまして、私と政務次官相談もいたしますが、皆さんにも御相談をいたしますので、これは私は前向きであるということだけは考えていただきたい。前向きではあるが、いやしくも国民の血税を使って実効のあがらないものに予算要求するわけにもまいりませんから、実効があがるためにはどうするか、こういうことをひとつ御意見なりお知恵をいただきたい、こういうことでございますので、御理解を賜わりたい。
  49. 加藤清二

    加藤(清)委員 知恵はたくさんあります。計画もたくさんあります。せめて貸した金の行くえの追跡調査ぐらいはするのが通産省の任務だと思うのです。貸した金の追跡調査もできてない。したがって、これはまだ残余の問題がたくさんありまして、委員長、次の機会を与えていただきまするように……。
  50. 進藤一馬

    ○進藤委員長代理 わかりました。
  51. 加藤清二

    加藤(清)委員 本日はこの程度で終わります。
  52. 進藤一馬

    ○進藤委員長代理 横山利秋君。
  53. 横山利秋

    横山委員 大臣に対するいまの加藤さんの質問を最後のところ、たいへん興味深く聞いておったのですが、本委員会質疑は各党とも実に熱心に行なわれたわけであります。そこでどうしてもはっきりしないのが、このあとどうなるのかということなのであります。私が案じますに、この質疑を通じまして一体次の中小企業政策なり産業政策はどういう展望になるのかという点は、どうも大臣もこの間自由濶達に御答弁がありましたけれども、タイムリミットがあるわけであります。お話のように、通常国会で法案が必要なら法案も出そう、財政措置が必要なら予算折衝でしようとおっしゃるのですが、きょうは十一月十七日であります。予算原案というものはもうとっくにできておるわけですね。この原案を修正をしても新しい事態に対処するための覚悟は、いまおっしゃるようにできておると思うのでありますが、その覚悟をすべき土台というものが質疑を通じてまだ暗中模索ということのように私は聞こえてしかたがないのであります。一体この次に産業政策をどんな展望でやるのか、中小企業政策は大体こういう方向で行こうと思うというようなものが、この間からの質疑を通じて少しも出てこないのであります。この点が次の予算折衝で、新味のあるドルショックに基づく予算原案ではないのですから、ドルショックに基づく今後の産業政策、中小企業政策の柱があって、それに伴う予算の原案の修正要求があって、そして十二月三十一日までに一体それが間に合うのかどうか、たいへん私は疑問に思うわけであります。  少なくとも、本委員会を通じて政府側答弁を整理をいたしますと、いままで大体話が出始めましたのが、たとえば中小企業の定義ですね、定義の検討に入るということなんだが、これはおそらく間に合うかどうか私心配であります。それから与野党の間でいま理事会で話が出ておりますのが機械の買い上げ問題であります。繊維と同じように買い上げを一般に普及するかどうかという問題がございます。それから構造改善事業を再検討をしまして、そしてその構造改善事業の主体事業者に財政措置をするというようなことも議論の対象になっています。それから大臣お答えになったことの柱の一つに、これからの産業構造というものの知識産業といいますか、そういう方向が考えられるというような話がありましたが、これもまだばくとしたものであって、予算請求なり産業構造について、そのために必要な法律案が一体間に合うかどうかということが疑問であります。  それからその次に、私どもがかねがね言っております市場の転換につきましても、新聞で拝見をいたしますと、通産大臣と外務大臣との間に輸銀の問題について大きな意見の食い違いがある。そうして新聞はひやかし半分に、角偏の争いというようなことをいうておるわけですね。そうだといたしますと、この問題もまた、予算折衝の問題ではございませんけれども、市場転換政策という大きな問題が一体解決するのかどうかも疑問がある。  こう考えてまいりますと、予算折衝で、ドルショックを織り込まない予算原案を大きく変えてやる柱というものが固まっていないのではないか。そうすると、通常国会ではいまの政策を一応そのまま踏襲して、お話がございましたような調査会を設けていま一生懸命やっております、法案は何も出ませんが、ひとつまあしばらく待ってください、こういうことになりはせぬかということを私はたいへん心配をいたしております。この点について大臣の御意見を伺いたい。
  54. 田中角榮

    ○田中国務大臣 極端に言われれば、そういうふうにきめつけられてもやむを得ないと思います。私はそれを認めます。いままで通商産業省というのは、自然発生を原則として、その自然発生の中で安定的成長路線を前進をしながら、摩察を少なくするために具体的な政策を立てるということだけでありました。私は、これは皆さんのように計画経済的なものの見方を必要としたと思います。ですから、これはそういう中で自然発生ということを前提にしながら政策を立ててきたわけでございます。ところが私はやはりある一つの転機にきたと思っております。いままでのように、自然発生をしておって、その中で政策を必要とするものにだけ政府は政策を準備いたします、用意をいたしますというだけでは困る。先ほどもいみじくも私は加藤さんの御質問に付加して申し上げたわけでございますが、転廃業いたしますと繊維は言っているのです。縫製の諸君も、転廃業いたします、しかも転廃業を第一回やって、そうして産炭地の新しい産業として、縫製工場として定着をしてやっといま仕事を拡大してきたのです、それを縫製がまた転換をする場合には、通産省、用意をしてください、何になればいいのですか、こういうことをもう現に通産省に要請をされる、私はそういう時代だと思います。ですから、それは皆さんが考えておるように、完全な計画経済というわけにはまいりませんが、しかし戦後二十五年、四分の一世紀たって、やはり節を迎えたと思う。ドルショックだけではなく、また日米の繊維協定だけではなく、一つずつの産業の実態を見ても、ここで思い切った新しい政策を必要とするという状態であることは事実だと思います。そういう意味で、中小企業の実態をどうするのか、中小企業の定義をどうするのかといえば、それは五千万円ではもう実情に合わないと思います。しかし、それでは一億円という税法上の問題にすぐそのとおりいいとはまだ断定できません。そのためには繊維審議会の議論もお聞きしますし、皆さんの議論も十分お聞きしてからお互いに結論を出したいと思います、こう答えられるわけでありますが、日本の産業全体に対してほんとうに正面から今度取り組んで、まずその中の応急的な問題として、ドルショックの問題、繊維制限の問題、中小企業の年末対策等やらなければいけませんが、それだけではなくて、私たちがいま取り組んでおる産業立地政策の問題とか、五年後どうなるのか、十年後どうなるのか、十五年後どうなるのか、それで世界の経済の中に占める日本の地位をどうするのかというような立場で洗い直しをして、青写真をつくって国民に提供しなければならない。その青写真に対しても国民全体から、いろいろ各界から議論をしていただく、そしてそれに対応してわれわれも柔軟な姿勢で産業政策の体系そのものをひとつきめていくのだということを私はすなおに考える必要があると思う。いままでのように公式論だけを読んでおったり、しゃべっておったり、通産省はそれだけやっておればいいのだというようなほど単純ではない。だから日本の産業そのものを洗い直して見直して、官民ともに英知を傾けて、一つの理想図をかかなければならない。それにスムーズに移行させるためにいろいろな政策を用意をしなければならないものだ、だから今日御審議をいただいておるのも、言うなればあと追いの政策ということではなくて、これを前進する日本の産業政策の中の一環としてとらえたい、こういう考えでございます。
  55. 横山利秋

    横山委員 大臣の苦悶のお話のように私は受け取られるのですが、この法案は一環じゃないですよ。これは独立した法案です。しかも私がよく言いますように、鬼面人を驚かす題名をつけながら、中身は何もない法案なんです。これは橋渡しの法案ではないのです。しかし私は強くその点を——タイムリミットというものがある、このままいけば予算折衝の中にも、それから通常国会の法案にも大きな柱は出てこないということを心配しておる。だから少し急いでやってもらわぬと間に合いませんぞということを、大臣のみならず長官をはじめ皆さんに強く警告をいたしておきます。  それから次の問題として、先般、本委員会大臣質問をいたしました問題でありますが、中小企業に官公需を確保する問題であります。これはごらんになりましたように、私は大臣に言うばかりではとてもだめだと思いまして、内閣総理大臣あてに質問書を出し答弁書をいただきました。答弁書の内容についてとやかくは言いません、時間がございませんから。中小企業庁で立案をされたという点ではこんなことを書くよりはかなかろうと御同情を申し上げます。しかし答弁書の中にもございますように、これは総理大臣からの答弁書ではありますけれども中小企業庁自分でも認めておる。総理大臣みずからがこの法律効果というものが十分でないということを認めておるわけであります。  特に私がこの中で一、二だけ指摘しておきたいと思いますのは、たとえば四十二年から適格組合証明制度を実施したという。四十二年が八件、四十三年が二十八件、四十四年が三十八件、四十五年が五十四件、四十六年はまだ聞いておりませんが、四年たって百二十組合。協同組都はいま四万ないし五万あるのですよ。百二十組合だと一県には二つないし三つの適格組合しかないわけですね。一体これが施策といえるだろうか。何をしているのだ。こういうような施策を初めて行なって、四年たって四万の協同組合の中からたった百二十くらいが適格組合で、それで施策をやったといえるか。むしろこれは完全な失敗ではないのか。やる気があったらどうしてもっととことんまで施策を追及しないのか。そんな中小企業施策というものは、どうも間口だけ広げて奥行きがとても念査が足りないことではないのか、こういうことを私は痛感するわけです。  それから、この答弁書の最後にございますように、私の中小企業官公需留保計画をつくったらどうかという提案に対しまして、競争条件を確保し予算の適正な執行をはかるという観点からはにわかに賛成しがたいが、まあ御提言でもあるから検討してみるというきわめて消極的な御意見であります。留保計画をつくるということが、確かに理屈を申せば予算の適正な執行をはかるという点で、大企業中小企業と一銭でも違ったら大企業の安いほうへやるというのがこの予決令の精神です。しかし、そういうことを言っておったらこれはもう百年河清を待つようなものであります。この際、閣議でも一応読んでいただいたと思うのでありますが、通産大臣として本法案の責任を感ずる運営をひとつしてもらいたい、こう注文をいたしますが、いかがでしょう。
  56. 田中角榮

    ○田中国務大臣 あなたの内閣に対する質問に対する答弁書は閣議に付議せられましたので理解をいたしております。このような質問書をいただかなければいかないようなことでは困る。私もそのときに、何か中小企業というものに対してもっと拡大をしてまいりたい、実際中小企業が大企業の下請けをやっておるのでございますから、そういう意味では直接資格さえ与えて入札をすれば、安いほうにということになれば必ず中小企業に落ちるはずなんだ、何かそういう実態をもっと把握をして中小企業が納入できるようにしなければならないということを私自身も考えております。まあ調達庁として調達業務を一切国でやったほうがいいというあなたがお持ちになっておるこの考え方自身も、私自身もそういう論者でございました。調達業務はある時期には一つですべきである、同じ中央の、同じ日本の行政官庁でありながら、全然単価の別なものを買っているじゃないかというようなことで、そういう特別調達制度をやったらどうか、私はかつて官庁営繕統一法という官庁営繕の統一に対して立法を行なった経験者でございます。議員立法を行なった者でございますので、そのときからこのような問題と取り組んでおるのでございます。なかなかあなたにほめられるような実態にないということに問題が存するわけでございまして、この答弁書は答弁書としまして、中小企業庁にも中小企業庁案として各地方庁や各政府機関に、もっと中小企業に対する発注度を上げるというためにどういう的確なやり方があるのか、ひとつ研究をさせます。研究をさせるだけではなく実効があがるように取り組んでみますので、そういうことでひとつ御理解をいただきたい、こう思います。  特にもう一つだけ申し上げますと、私も、今度中小企業等いろいろな現実が起こってまいりますので、いま少しは研究しておるつもりでございますが、下請というものは禁じたはずでございますが、なかなかむずかしく制限をしているはずでございますけれども、このごろは工事その他相当下請というものを、ほとんどもう全量下請ということが現に行なわれておるという実態、そうするとその上に一〇%ほどはつって、そしてそれでもって何とか中小企業は利益をあげておるとしたならば、これはやはり国の予算執行にあたっても合理化しなければならない面だろうと思います。そのような状態が続くことによって倒産をした、労働賃金が未払いになったり、いろいろなことによって社会不安、社会的混乱が起こるとすれば、やはりメスを入れなければいかぬだろうということで、私は私なりに、私の所管内の中小企業庁でございますので、ことし勉強して、勉強するだけではなく、実効をあげるようにしたい、こう考えておるのでありますから、そういう前向きな姿勢で努力は続けておるのだということでひとつ御理解をいただきたい。
  57. 横山利秋

    横山委員 いまの中小企業にとりましては、税金をまけてもらうのもいい、銭を貸してもらうのもいい、けれども仕事がほしいという段階。仕事がほしいのについてなかなかいい手がないとあなたもおっしゃっている。しかしその仕事はあなたが持っている。政府が持っている。一番政府がやりやすいのが官公需を中小企業にやるということなんですね。これならば政府自分の仕事でありますから、自分で仕事が出せるわけですね。だから財政投融資なり公共事業なりをどんどんと拡大をするということになっておるのですが、それらが中小企業のほうへ流れるようにしてやらなければならないのです。それならば政府がちょっと本気になって努力をすればできるわけです。できることについて予決令だとかいろいろなことを議論をすれば切りがない話。やろうと思えば一番最初にできるのが官公需を中小企業に回す、これなら政府が決意さえすれば仕事がふえるのでありますから、ひとつ格段の御努力を願っておきたい。  それから、時間がございませんので、きのう注文をしておきました二つの問題について政府側の御意見を伺います。  一つは税金にあります。本法案によって今度場合によれば還付が受けられる。受けられる者、納税者が——還付は権利である、けれども二カ月間たって忘れておったら還付は受けられない。これは一例でありますが、そういうことについていかに思うかというのが私の質問一つ。  もう一つは、この繊維機械が、加藤さんや私が言ってわりますように、たいへん滞貨がある。その滞貨をひとつ政府の教育施設、大学その他の教育施設に買い上げてやらないかということが二つ。それはすでに御検討を、折衝をしておられると思うのでありますから、その経過を承りたい。  以上であります。
  58. 高橋淑郎

    高橋(淑)政府委員 欠損金の繰り戻し還付の手続につきましては、通常は事業年度終了後二カ月以内に確定申告書を出すと同時に手続をしなければならないということになっております。しかし今回の措置によりまして、著しい影響を受けた中小企業者に対しましては、租税特別措置法の改正案におきまして、その附則で経過措置を講ずることとしておりますので、欠損金の繰り戻しの還付に関する特別措置が受けられることになっております。(横山委員「いつまでたってもいいんですか」と呼ぶ)いいえ。さらに詳しく申しますと、八月十六日の時点をとりまして、その十六日から法の施行日以降一月間の間に終了します事業年度において比じた欠損金の繰り戻し還付手続は、法律施行手続期間を考慮しまして、施行日以後三カ月の間に手続をとらなければならないということになっております。でありますから、事実上は十分これで支障がなく運用できるものと考えております。
  59. 佐々木敏

    ○佐々木(敏)政府委員 繊維設備の買い上げにつきましてはただいま順調に進んでおりまして、綿スフ織機、絹人絹織機それぞれ破砕をいたしております。ただ先生指摘の、この買い上げをいたしました織機を、何らかの形で活用、有効利用するということは私ども考えておりません。これは現在ほとんど非常に古い織機等でありまして、破砕をすることを条件にいま実施中でございます。(横山委員「その機械の問題じゃなくて新製作品の滞貨、これを教育設備に買い上げてやるということですよ」と呼ぶ)
  60. 矢島嗣郎

    矢島政府委員 大学等の教育機関あるいは職業訓練施設に設置されております繊維機械、これは工作機械も同様でございますが、非常に老朽化しておりますし、また量的に不足しているわけでございます。ちょうど繊維機械、工作機械というものは内需が減少して非常に不況状況でございますので、実は当通産省といたしましては、先般補正予算の編成に際しまして、これらの教育機関あるいは職業訓練機関における機械設備の更新あるいは新設についての案を作成いたしまして、関係方面と折衝した経緯があるわけでございます。ところが、こういう学校とか職業訓練機関は、国立学校特別会計あるいは失業保険特別会計というものでやっておるわけでございますが、これについては残念ながら補正予算に際しましても、人件費及び公共事業関係を除いては補正の対象としないという方針がございましたことと、それからもう一つは補正予算となりますと、わずか三カ月間でこれはやらなければならぬ。単年度予算でございますので、やらなければならぬ。そういたしますと、年度内に早急に行う、消化することができないという技術的理由もございまして、この二つの理由で補正予算につきましては残念ながらその実現を見なかったわけでございますが、以上が経緯でございますが、今後もこの種のことを、機会を見て実現方について検討してまいりたいと思っておるわけでございます。
  61. 横山利秋

    横山委員 長官、あなた勘違いしてみえると思うのですね。法律施行後三カ月ですか、三カ月以内に還付請求をすれば返してもらえる。逆説的に言いますと、三カ月間知らなかった、うっかりしておったら還付請求はできないし、還付もできないということになるのですね。こういうことなんです。あなたは三カ月でだいじょうぶ、これでだいじょうぶだと思います、こう言うのですね。しかし一般納税者が、この法律が存在し、その法律の中に還付請求ができ、そして三カ月間に還付請求をしなければならぬのだということを知っておる人がどれだけおるかということなんです。そこで、私は先般からもよく言うのですが、税務署は納税者に対して、おまえは脱税しておると言うことは一年に二回でも三回でもできるのですよ。納税者は、自分の計算が間違っておったといって減額修正をすることは一回しかできない。そこで還付というのは納め過ぎなんですから、もらえる権利があるわけですね。その権利を三カ月に制限するというばかげたことがあるか。一体中小企業庁なり大蔵省が納税者のすべてに、こういう法律ができましたからあなたは三カ月以内に還付の請求をしなさいよといって個別に宣伝をしますか。そんなことできはしませんよ。納税者がそんなこと知りはしませんよ。少なくとも三カ月か四カ月であるかどうか知りませんけれども期限を付して当然の権利、納め過ぎの納税を返してもらう権利を期限で制限をするばかげたことがどうしてあるか。これが私の言い分なんです。わかりましたか。——わかりましたね。ですから、ここで言っておっても、あなたに言ってもしかたがない話です。こういう納税者の権利、中小企業の権利というものをもう少し——中小企業庁はどうも税金に弱いような気がしてしようがない、この間のうちから議論してみますと。だからそこのところを一ぺんひとつ十分に検討して、納税者、中小企業の権利というものを守ってやってもらいたい、これが一つですね。  それから大臣には、二番目のお話でありました新しい機械の大学その他に対する買い上げについては、これは補正予算ではだめだということはわかりましたが、来年度予算編成に際して考慮してもらいたいということをお願いしておきたいと思うのです。そういうことでございます。  それから時間がございませんので、大臣にもう一つだけ最後にお尋ねしておきます。  本委員会——先ほども理事会でずいぶん議論をいたしました。私は、本法案一つの欠陥は、先般も養いましたように、これは転換の法案である、縮小の法案の中に入らない。あなたは、先ほど転廃業、転廃業と言いましたが、廃業の場合もこの法案の恩恵はあまりないのですよ。これは主として転業の法案なんです。私は、少吹くとも、縮小が一番大きな問題だから、縮小の文字を法案に修正をせよと迫ったのでありますが、どうにも話がまとまりませんでした。やむなく私も附帯決議の中に一つ入れていただくことに了承をせざるを得ないのですが、私は、基本的な主張は決して譲らないつもりであります。しかしかりに一歩譲って、附帯決議に縮小という文字が入って、その転換または縮小を行なう者についての特定の設備に対する買い上げ措置をすみやかに講じてもらいたいという院議がきまりましたならば、このやり方については、いろいろあると思うのでありますが、補正予算ないしは来年度のこの大蔵省原案を変えなければならないことになってまいりますが、この点について格段のひとつ御努力を願いたいと思うのでありますが、いかがでございますか。
  62. 田中角榮

    ○田中国務大臣 法律制度の上から見て非常にむずかしい問題であります。しかし現実的な問題としては、あなたの発言をよく理解します。これは三分の一だけ切り捨てればこの企業は成り立つというものがあります。三分の一切り捨てるためには、犠牲が大きい。そこで何らかの処置が講じてもらえるならば、三分の一に縮小して本体を残したいということは、私も例をよく知っております。そういうことで、三つある工場のうち一つをつぶせば二つは合理的になる。そういうものこそ救済すべきではないか。これは救済というよりも助成の方法であるということはよく理解できると思うのです。理解できますが、制度や法制の中でこれを一体どう区別するのかということになるといろいろな問題があることは、私もよく理解できます。ですから、もう今度は、そういう状態において、何とか付帯条件ということで御審議がいただけるとしたならば、われわれはこれに、具体的な問題の中でどういう救済方法があるのか。本法の目的とするもの、これは救済であり、補償であるということよりもこれは転業に対する促進でもあるし、また一つの助成策でもありますから、そういう立場からどういう方法が考えられるのか。これはこれからの問題として私自身も研究いたします。ただ、いまの段階における法制上、立法技術としてもこれを具体的に行なう状態においてはいろいろなむずかしい問題がある。それは限界をどうするか、認定をどうするかという問題もありましょうし、これはなかなか法律をこまかく規定いたしましても、どこかで審議をし、採決を受けて、いまの認定企業に対して、ちょうど更生法のように、そういうものがきちんとしておれば法律的に救済をされる措置もあります。これは、更生法の適用を受けるかわりに借金は切り捨てる、こういう問題もありますし、特に融資に対しても利息を何年間免ずるという措置もありますから、そういうようなものまではこの法律はまだ規定しておりません。ですから、いままでのこの法律に対しては、ひとついままで政府当局がお答えをしたことで御理解をいただき、私自身は、あなたが附帯決議でおまとめをいただくという事情を理解いたしまして、起こってくる現象に対してもっと実態をきわめ、研究をするということでひとつ御理解をいただきたい。この法律は、ひとつ区切りをつけて、特別法でございますし、緊急に立法したものでございますから、そういう意味でひとつ御理解をいただきたい。私自身は、その転廃業、転業するスクラップ・アンド・ビルドの中には一部の部分転業というようなものが非常に重要な事項であるということは、現実的には理解しているのです。  ですから、現状認識に対してはあなたに近い。それをどういうふうに救済できるのかということは大いに勉強を必要とするということで、ひとつこの問題に対する私の答弁はそういう意味で理解していただきたい。
  63. 進藤一馬

    ○進藤委員長代理 午後二時再開することとし、暫時休憩いたします。    午後一時二分休憩      ————◇—————    午後二時十九分開議
  64. 鴨田宗一

    鴨田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。米原昶君。
  65. 米原昶

    ○米原委員 政務次官もまだ見えないから、ちょっとその前に公正取引委員会のほうに聞きましょう。  今回のドルショックに際して政府が講じた対策というと、九月一日と十月一日に下請企業対策樹立のための通達を二回にわたって出されております。それと九月二十三日の閣議決定された緊急対策がいろいろの形で具体化されて、今度の法案もその具体化の一つだと思うのですが、この九月一日の通達について公正取引委員会の方にちょっとお尋ねしたいのです。  というのは、この問題が起こりましてから、私は各地へ参って、ドルショックで実際に打撃を受けた地帯に行って、業者の人とか土地の市長さんとか商工会議所とか、そういう方に会ったのです。たとえば新潟県の燕に行きました。そしていろいろ注文がありまして、それもあとで材料の中で話したいと思うのですけれども、その中で、下請代金支払いの問題その他の問題で、この九月一日に通達がすでに出ているわけです。ところが実際には、たとえば燕で言うと、下請の下請のその下請というところがあそこにありますね。一番最下層のところ、いわゆるみがき屋というのですか、グラインダー一台だけしか持ってない。これで最後の仕上げをやるところです。もちろんこれは当然予想されるところですが、一番最初に打撃がきて、九月の時点ですから、その人たちがいろんな状況をかなり話してくれたんです。その中で、通達が出ているんだけれども知っていますかということを私聞いたんです。これは商工会議所にも全部行っているはずなんですが、会長自身が知らないですね。来ているかもしれないというわけで事務局に調べさせたりしておりましたけれども、結局、そういうものはそこに来ていたことは来ていた。しかしそういう状態ですから、趣旨は下請業者の団体には全部出すということは書いてありますけれども、実際は下にはもうほとんど伝わってないんじゃないかということを、ほんとうにつくづく感じたのです。こういうものが出されて——これはもちろん出さないよりも当然出すべきもので、これに反対しているわけじゃないのですが、緊急に出されても実際にはほとんど徹底していないし、だから問題が起こっても知らないわけですね。どうしたらいいか迷っておるわけです。少なくともこの通達には、そういう場合にはこうしなさいということが書いてある。そういう措置すらとられていない状態だということをつくづく感じたのです。  そこで公正取引委員会の方に聞きたいのは、こういう通達が出された結果どういう反応があったか、取引委員会のほうで握っておられるのはどのくらいなものであるかということをお聞きしたいと思うのです。
  66. 吉田文剛

    ○吉田(文)政府委員 お答え申し上げます。  確かに先生のおっしゃったように、本年の九月一日付で、通産省と公正取引委員会の連名で、下請取引の改善について要望書を出したわけでございます。これは一応新聞紙上にも発表いたしまして、各団体、私どもで申しますと、下請協力団体あるいは改善協力委員というものがございまして、そういう方面にも下部の下請業者に対する十分な周知方を要望したわけでございますが、まだその周知方が足りないということについては、反省をいたしております。  それから本年九月の要望書に対する効果でございますが、どの程度の効果があったかというところは、ただいまの段階では具体的にこれだけの効果があったというふうに申し上げられる段階にはまだなっておりません。しかしこの通達を出した後に、公正取引委員会は、十月になりまして、ドルショック影響も大きく、下請事業者が多いというふうに考えられます電気機器製造業者約千二百の親事業所に対しまして特別調査実施いたしまして、現在調査票を回収中でございます。また繊維でございますとか化学、機械、金属製品等の各種の製造業にわたりまして、親事業所約千五百に対しまして四半期ごとにやっております定期調査中小企業庁と分担して、八月から十月までの下請取引の状況について行なっておるわけでございます。まだ全部集計しておりませんので、その結果は近くわかると思いますが、いま申し上げました特別調査、それから定期調査の結果によりまして、ある程度要望書の効果というものが判断できるのではないかというふうに考えておりすす。  それから次に、九月に要望書を出しましてから現在までに、下請事業者から下請法違反の疑いということで申告があった件数は二件ございます。これはいずれも十月の終わりごろでございますが、その内容は、一件は支払い遅延。これは現在違反被疑事件として調べておりますのであまり詳しい内容は申し上げられませんが、一件が支払い遅延。この親事業者は機械メーカーでございまして、給付を受領してから支払いまで八十日くらいかかっておるという申告でございます。  それからもう一件は、これは支払い遅延と長期手形の交付でございます。こちらのほうの支払い遅延は機械メーカーが親でございますが、給付受領の日から支払いまで九十日くらいかかっているという内容でございます。それから手形のほうは二百十三日という長期の手形を出している疑いがあるという申告でございまして、この二件について現在取り調べ中でございます。
  67. 米原昶

    ○米原委員 反響もまだどうだと言える状態じゃないと思うのですが、特に感ずるのは、単にドルショックだけでなく、不況が全体として続いている中でドルショックが加わってきた。それで今後の見通しから言うと、そう簡単に不況から脱するような状態じゃないという中で、下請業者に対する打撃というのが起こってきていると思うのです。  その中で私たちつくづく感ずるのは、いまの下請防止法の条項では非常に弱くて、ほとんど実際上は防止の役に立たないようなものがあまりにも多い。これが一つの問題点なんですが、おそらくそういう不況がかなり長引くようなことが予想されるし、下請の問題が深刻な社会問題になると思われるので、この点で現在の法律も至急に改正する必要があるんじゃないかというように感ずるわけなんです。こういう点について、きょうは要望だけするつもりなんです。それだけにしておきまして全般的な問題に入ります。今度の法律は、輸出関連の中小企業に適用されるということになっているわけですが、これが全部にいくかどうかと思いますが……。  そこで中小企業庁長官に最初にお伺いしたいのは、中小企業全体の中で、いわゆる輸出関連の中小企業、特にこの法案が適用されるような中小企業は大体何%ぐらいかといいますか、企業数でいったらどのくらいか、比率でいったらどのくらいになるかという大ざっぱな点、あまりこまかい点はなかなか計算がむずかしいのじゃないかと思いますが、それをまず聞きたいと思います。
  68. 高橋淑郎

    高橋(淑)政府委員 仰せのとおり、厳密な数字を出すことは非常にむずかしゅうございますが、概略、製造業で申しまして、事業所数にして二割程魔だと考えます。
  69. 米原昶

    ○米原委員 輸出関連の中小企業全体にこの法令が適用されたとしても、中小企業全体から見ればかなり限られた範囲になるわけだと思うのです。いまも申しましたが、昨年から引き続いた不況で、ドルショック以前から相当な打撃を受けている状態があらわれていたと思うのです。そういう中で今度の問題が起こっているので、そこに深刻な点があると思うのです。  先日、埼玉県川口市の業者の方が私のところへ来られまして訴えられたことですが、川口市内の鋳物、機械、織物などは昨年の不況に続くドルショックで、私が話を聞いた当時、操業度が七〇%で、受注残は一カ月分あるかなしかであり、輸出比率で見ると三%から五%にしかならないために、今回の対策の対象にはならないと言っているわけです。そして一方、下請単価は切り下げられる。日立などはいままでの外注を内部に切りかえて仕事を引き揚げたり、手形支払いも全般的な傾向として、いままでが百二十日くらいのものが最近では百八十日くらいになっている、こう言っておりました。また川口は鋳物の町で有名ですが、この原料の銑鉄は輸入品であるために今回の実質的な円切り上げで安く手に入るのに、それを供給する鉄鋼各社が値下げをしようとしない。通産省は値下げをするよう指導してほしいという要望もあったわけであります。  こういった状態に対処して、今月の十一日に日本経済新聞も報道しておりますが、川口市は緊急不況対策として条例をつくって、三十億円の規模で、融資に対する市中金利の八・五%のうち二%を市が負担するというような対策を、地方議会でさえ実施しているわけであります。  政府としていまやろうとしている対策を考えてみる場合に、これが輸出関連の中小企業ということに限られて、しかも二〇%ということになっているために、輸出に若干は関連しているけれども、というようなところですね。それだけでなく、いま川口市の例であげたような、一般的に相当広範囲な不況になっているわけです。そういう点で何らかのドルショックの関連を持っていないわけじゃないわけです。パーセントが低いだけで、受けているわけですね。そういう中小企業者に対して、できるだけこういう趣旨を適用できるようにやっていただきたいというのが一点なんですが、この点について、長官どういうふうに考えておられるか、お聞きしたいと思うのです。
  70. 高橋淑郎

    高橋(淑)政府委員 実は全国の主要な産地の調査をいたしまして、いまお話しの川口市につきましても、これは仰せのとおり、ドルショックだけでなくて、たいへん業況がよくないということでございまして、このたびの輸出関連中小企業者に対する特別措置の対象に何とかならないかということで、いま仰せのとおり輸出比率そのものをとりますと低い、あるいは直接輸出ということになれば、おそらくほとんど大きな数字にはならないだろうと思いますが、間接輸出を含む方式で比率を考えるというようなことで、なるべくこの適用対象業種にできないかということで、この点はそういう積極的な方向でいま検討をいたしております。
  71. 米原昶

    ○米原委員 いまの答弁以上に、もっと積極的にやってもらいたいと思うのです。  法案に即して質問してみますけれども、この法案のおもな内容は、端的に言えば、資金を貸すことと税金をまけることだと思うのです。税金の問題は先ほど来横山委員の提出されたような問題もありますし、実際に、この不況の中でこれだけ安くしてもらっても税金が払えないという業者のほうが多いんじゃないかというふうに思うぐらいであります。ですから、税金の点で実際的な効果というのはあまり期待できない。もちろんやらなければいけませんが、そういうふうに感じます。  融資の問題ですが、特別小口保険は今回の対策では限度ワクが別ワクで二倍になったわけですが、現在の中小企業者にとっては焼け石に水にひとしい額だと言っております。   〔委員長退席、進藤委員長代理着席〕 全国商工団体の連合会などでは、保証ワクを五百万円まで広げてほしいというような要望も出ておるのを受け取りましたが、政府としては現在の倍額の考え方を改めて、さらにワクを広げる考えがあるかどうかということを、まず最初に伺いたいのです。そして融資をやりやすくするために、保険のてん補率についても特別小口保険と無担保保険は一〇〇%、普通保険については九〇%に引き上げてはどうかと思いますが、この点について見解を聞きたいと思います。
  72. 高橋淑郎

    高橋(淑)政府委員 特別小口保険につきましては、八十万円の別ワクとして八十万円を限度とするということでございます。別途無担保保険につきまして、三百万円の別ワクとして三百万円という制度がございます。それでこの中小企業信用保険法を母体としまして今回特例措置を考えました際に、激甚災害の場合の特例措置その他いろいろ考えまして、やはり限度は母体と同額の積み増しを認めるのが限度ではないかというように考えました。  それからまた、実際の運用ぶりを見ましても、必ずしも八十万円でどうしても足りないという方々が多いというふうにも思えませんので、この特別小口保険と、いま申し上げました無担保保険とこの両者を活用していただくということで、何とかこの緊急の場面を切り抜けていきたい。それから、てん補率につきましては、同じく激甚災害の場合も八〇%でございますし、てん補率一〇〇%ということは、やはり信用保険の制度、原理から考えて八〇%をさらに引き上げるということは、なかなかむずかしいのではないかと思います。仰せの点はよくわかりますけれども、実際上の措置としては、現在特例措置として考えておりますところがある程度の限界ではないかというように考えております。
  73. 米原昶

    ○米原委員 続いて聞きたいのは選別融資の問題です。十月十五日に、国民金融公庫の調査部が発表した輸出関連中小企業動向調査というのを見ますと、企業環境が悪化しているため、実際には選別融資が強化される傾向があらわれているということが、国民金融公庫の調査部の発表した文書の中にも出ております。実際問題としても、この臨時国会の始まる前に行なわれた十五日でしたかの委員会で、私が受け取った手紙をここで紹介して通産大臣に尋ねたわけですが、信用保証協会の幹部が選別融資をせざるを得ないと言っているということを業者の人が私のところに手紙をよこしてきたので、それを読んだわけです。ところが、十月三十日の各新聞では、中小企業金融公庫松山支店の幹部の融資にからんだ汚職事件が報道されていました。   〔進藤委員長代理退席、委員長着席〕 この事件の背景には、金融機関がその権限をかさに着て、中小企業者の窮状につけ込み選別融資をやっている現実がはっきり暴露されているわけであります。また、市中金融につきましても、新潟の燕で、これは私が行ったときにも問題になっておりましたが、県内の地銀のトップである第四銀行の亀沢頭取というのが、燕産地は合理化とか構造改善などではもう立ち直れない、特に中級品、下級品メーカーは業種転換しか生きる道がないだろう、だから、金融機関がこのまま洋食器の生産を続けるという企業に積極的に融資するのは産地のためにどうかと思う、ということをしゃべったのが地方新聞に出ておりまして、大問題になりました。全く中小企業者を冷たく突き放しているような態度を地方銀行の幹部がとっているわけです。このような状態の中で、ほんとうに資金に困っている中小企業融資を保証するために、いま言ったような問題がかなり方々で、うわさじゃなくて現実の問題になっておりますが、こういった点に対して、どういう対策をとろうとされておるのか。いままでよりもちょっと思い切ったやり方を徹底させないと、深刻な問題になってくると思うのですが、この点についての見解を聞きたいと思います。
  74. 高橋淑郎

    高橋(淑)政府委員 先般、民間の各金融機関の団体に対しまして、今回こういう事態であるから金融にあたっては特段の配慮方を要請をいたしましたし、それから政府系三機関に対しましては、もう末端まで金融が行き渡るように、特に下請事業者に対する金融を十分配慮するようにということを明示いたしまして、通達を出しております。また、各地域地域で、政府系三機関の支店あるいは県当局、市当局あるいは民間金融機関あるいは業界の代表の方、そういうような方々で協議会をつくって、そういう場面を活用いたしまして、ほんとうに困っておられる方にお金がぜひ流れるようにということを要請いたしておりますし、またそういう協議会方式をなるべく多くの地域において持たれるようにという方向で指導をいたしております。その際ささえとなりますものが、先ほど申し上げました保証、それにつながる保険、これの活用をはかるということでございまして、仰せのように末端の困った方々にくまなく金融が及ぶということはなかなかむずかしい点があろうかと思いますけれども、こういう事態でございますから、特に政府系三機関においては融資態度について弾力的に、積極的に臨むようにということで指導をいたしております。
  75. 米原昶

    ○米原委員 先ほど通産大臣も、現在の状態ではいままでのやり方をかなり変える必要がある、自然成長でなくて、計画的なものも取り入れていく必要がある。おそらく金融の問題もそうだろうと思うのですが、いままでのやり方の繰り返しでなくて、かなり頭を切りかえたやり方をやられる必要があるのじゃないかと思うのです。  融資の問題で、もう一つ利率と返済期限の問題ですが、私がさっきもお話ししました燕市に行きまして、商工会議所や輸出金属洋食器工業組合とか輸出金属ハウスウエア工業組合の人に会ったのです。そのとき連名で請願書を受け取ったのですが、この金融返済期限を、中小企業金融公庫の設備資金の場合は、五年を十年にしてほしい、運転資金は三年を八年にしてほしい、それから国民金融公庫の運転資金は五年を十年にしてほしい、設備資金は七年を十五年に、それぞれ延長してほしい、利率は六・五%に引き下げてほしいという要望を受け取ったわけなんです。先ほども加藤委員から延長してほしいという問題が出ましたけれども、こういう要望が全国的に出ているわけです。それから、全国商工会連合会から私たちが受け取った要望書では、無担保無保証の貸し出しを低利にして、期間も七年にして、二年の据え置き期間を置いてほしい、そういう要望が出ているわけです。そういう点、現在のような激動する経済情勢の中では、ある意味では当然の要望としてこれが出ているのです。そういう点、どのように今後県体策を立てていかれるか。今度の法案では、先ほど加藤委員が言われた点についても、大臣の答えられた程度のことだろうと思うのですが、しかし実際はこの期限を延長するということが必要なのじゃないかと思いますが、どう考えられますか。
  76. 高橋淑郎

    高橋(淑)政府委員 返済の困難な中小企業者に対します猶予措置については、もうすでに政府系三機関に対しまして、据え置き期間の延長あるいは返済猶予の面で十分配慮するようにということを指示をいたしまして、商工中金でたとえば陶磁器の組合に対して一年間返済猶予を認めたケース、あるいは中小公庫におきまして塗装業に対して毎月の返済額を約半額にして、それを一年間続けるというような変更を認めるとか、幾つか例がございますし、先ほども大臣からお答え申し上げましたように、もう一律に返済を猶予する、あるいは繰り延べるということではなくて、個別に困難な事情を伺いましたならば、やはり業種別あるいは企業別の実態に即して返済猶予の措置をとるということで指導をいたしておりますし、この点は中小企業振興事業団の行なっております高度化資金につきましても、同じく返済猶予の措置をすでに講じ得るように通達済みでございますし、すでに返済猶予の申し込みが数十件出ております。これに対しては、適宜措置を振興事業団として行なう予定にいたしておりますので、極力実情に即して、どうしてもやむを得ない場合は返済猶予を認めるということで中小企業の方々の窮状を救うように、さらに一そう徹底してまいりたい、このように考えております。
  77. 米原昶

    ○米原委員 時間がございませんから、この問題は別の機会にもっと聞きたいと思うのです。  もう一つ、ほとんど政府が触れられてない問題について一点だけ聞きたいと思うのです。それは仕事の問題です。十月二十一日に中小企業庁が発表した「第二回産地円ドル問題影響調査結果」によると、最近の輸出成約状況は一八%に落ち込んでおります。話を聞いたところでも、もう感覚的にはゼロにひとしいところまで落ち込んでおるようにいわれております。   〔委員長退席、進藤委員長代理着席〕 このことは十月十二日の三和銀行調査部の調べでも、金属洋食器、はきもの、繊維二次製品、クリスマス電球などはほとんど成約が進まないと述べられておりますし、十月十三日の地銀協の発表の、ドルショックその後の状況、によれば、産地産業をかかえた地域では、金融より仕事の確保という危機感が強まっているという報告がされております。輸出関連の中小企業には、地場産業を形成しているものが少なくありません。これらの業者は、長年つちかわれてきた伝統と技術をもって日本の経済を下からささえてきた大きな力であったし、現在でもそうであります。いまこれらの中小企業に必要なのは、資金であると同時に仕事であります。幾ら融資の道をつけても、仕事がなければその借り入れ金を返すことはできません。しかし政府が、今回の対策の中で実際に仕事ができるような、そういう市場を開拓するような施策が講じられていないという点が私は欠陥だと思っておるのです。ただ金を貸せること、税金をまけることだと言いましたが、これだけではほんとうに中小企業を救済して発展させていくことにはならないと思うのです。ですから、政府は、この仕事、市場の開拓のために積極的かつ具体的で現実的な施策を講ずべきではないかと思いますが、その点について具体策をお持ちならお示し願いたいのです。いわば八月のあの為替騰貴によって、先ほども指摘がありましたが、一千億円をこえるような金をただで大企業にやっているような事実があります。こんな金の使い方をしないで、いま不況で苦しんでいる中小企業者に仕事が軌道に乗るまで思い切った措置をとるというようなことを私たちは切に要望するわけですが、その点をどんなふうに考えておられるかを聞きたいと思います。
  78. 高橋淑郎

    高橋(淑)政府委員 確かに、八月下旬から九月にかけましての主要百二十産地の調査の結果では、いわゆる四十五年並みの輸出を達成するのに必要なペースを考えますと、輸出の成約状況というのは二割程度でありました。しかし十月下旬から今月初めにかけましての傾向は、ほぼ成約度が六割程度に上がってきております。ただし手放しでそれは楽観を許しませんので、この成約の内容というものが、納入価格の低下であったり、あるいはただ在庫圧力のために品物を何としてでもはがせればいい、そういうような内容のものであってはこれは困るわけでございますので、その中身につきましては、よく分析してみなければなりませんが、少なくとも成約の状況は、かなりよくなってきておるということでございます。しかし、受注残高の現況あるいは生産出荷の現況、在庫の現況、その他必ずしもやはり上向く状況にはございません。したがって、この点につきましては、このたびの緊急措置と、それから一般の景気浮揚策と、それから年末金融対策その他によって、一そうの景気の回復をはかっていくということが大事であろうと思います。   〔進藤委員長代理退席、委員長着席〕  それから考え方としまして、やはり一番大事なことは、為替の取引の安定をはかるということでございまして、この点は先般の閣議決定で、船積み後の措置につきましては、中小企業製品の輸出にかかわる期限つきの輸出手形を買い取った外為銀行に対しましては、その手形に見合った外貨預託を外為会計から行なう、こういう措置をとり、また並行しまして、日本銀行においても中小企業製品の輸出にかかわる期限つき輸出手形の買い取りの措置を行なうことといたしました。これで船積み後の措置というのは十分とられておると思いますし、また船積み前の輸出成約の円滑化をはかるための措置ということで、先物予約制度を設けまして、十月二十三日から発足いたしておりまして、十一月の十一日ごろの数字で、一億二千万ドルぐらいの先物予約ができておりまして、中小企業メーカーの輸出成約を円滑化するというためには非常に役立っておると思いますので、基本的には仕事をつくること、しかもその中身が出血輸出とかそういうものでない良質なものであること、また、それを促進することによって、こういう為替取引の安定化をはかることによって中小企業の商談がまとまり、またそれはひいて中小企業の生産活動を活発化さしていく要因となると思いますので、この為替取引安定措置ということを一つの大き主柱として今回考え、かつ実施に移しておる次第でございます。
  79. 米原昶

    ○米原委員 時間があまりありませんから、その問題は別の機会にもう少し大きな問題として話したいと思います。  最後に、最初に申しました下請企業の問題です。打撃が下請企業に大きくかかっていますので、この問題を今後かなり重視していただきたいのです。製造関係中小企業のうちで下請企業の割合はどのくらいになるか。私どもが六六年の中小企業総合基本調査、これで承知しておるところでは、製造業中で五三・三%、うち繊維関係は七八・五%、機械関係は六九・六%というような数字が出ておりますが、大体こんな程度だろうと思うのです。そういう意味でも今後の不況打撃が一番かかってくるのは下請企業だと思うのです。いままでのやり方ではほとんどこれは役に立たないような感じがします。先ほどの公取委員会の話でも、そこまで持っていって問題になっているのがわずか二件という状態で、もっと実効のある方法をとらないといけないのじゃないか。おそらく不況はもっと深刻化してきます。そういう中で、下請企業を守る措置は、いまの対策でははなはだしく不十分だと思うのです。こういう点について、私はひとつ法律の改正をしなければいけないと思うのですが、そういう点についてどう考えておられるかという点を聞きまして、私の質問を終わりたいと思うのです。
  80. 高橋淑郎

    高橋(淑)政府委員 下請企業に対するしわ寄せ防止ということにつきまして警告をし、あるいは通達をし、その徹底をはかっておるわけでございますが、まだまだその徹底のしかたが不十分でございますので、この点はさらに力を入れてやっていきたいと思います。  それからまた、下請代金支払遅延等防止法の運用につきましても、本年度約一万三千件の調査を予定いたしておりますし、すでに六千六百事業者に対しまして調査をいたし、不当なことがあればそれに対して相当の措置をとるということで、この法律の運用がほんとうに下請企業のためになるようにということで努力をいたしておりますが、この点は引き続きさらに努力を重ねていきたいと思います。  それと同時に、下請企業へのしわ寄せを防止するためには、やはり基本的には企業自体の体質を強化することが大事であろうと思います。下請中小企業振興法に基づきまして振興基準ができておりますが、個別の業種につきまして振興事業計画をつくろうという機運も出ておりますので、できるだけ早く、またできるだけ多くの業種につきまして振興事業計画の策定、またその計画の承認ということによりまして、下請企業の設備の近代化あるいは技術の向上、事業の共同化をはかっていく、あるいは親事業者の発注の分野を明確にするというようなことを推進してまいりまして、下請企業者にほんとうの意味で力をつけるということが大事だと思いまして、この方針に沿ってさらに努力を続けていきたい、このように考えております。
  81. 米原昶

    ○米原委員 最後に、これで終わりたいのですが、いまの点について、実際は、最初に言いましたように、こういう通達が出ましても全然下には届いてなくて、地方の商工会議所の会頭なんか全然知らないのです。通達は来ているのですけれども、実際の下請業者に全然伝わってないのです。そういうことが非常に多いのですね。選別融資の問題でも、協議されたとおっしゃるけれども、そういうことをやっておられるあとで——私があげた例というのはそのあとで起こっていることばかりなんです。そういう点が一番弱い中小企業、ことに下請企業のところに非常に多いのです。いままでの通産省のやっておられることは実効があがってない。言っておられること自体が実際に行なわれれば、内容はかなりいい面があるとは私は思っているのですが、実際にはそれが効果が発揮されてない、そういう点を考え直してもらいたいと思うのです。  そうして、それとの関連で、いまの下請代金の遅延防止法にしましても、あれでは実効がほとんどあがらない。非常に弱い立場にありますから、ああいう形では実効があがらないのじゃないかと思うのです。思い切った措置を講じておかないとたいへんな社会問題が起こってくるように思いますので、その点要望しまして私の質問を終わります。
  82. 鴨田宗一

    鴨田委員長 岡本富夫君。
  83. 岡本富夫

    ○岡本委員 いま審議されておりますところの中小企業に対する臨時措置法案に対しまして租税特別措置法、これは大蔵のほうで審議されておると思うのですけれども、やはりこの法案が母体の法案になりまして、そうして租税特別措置ということになると思いますので、ほんとうは連合審査でもやって、この法律ときちっと合っているかということを詰めておきたかったのですが、ここで大蔵省に来ていただいて、そして若干お開巻をしたいと思うのです。  この当法案に対する租税特別措置の概要を簡単にわかりやすくまず説明をいただきたいと思います。
  84. 山内宏

    ○山内説明員 今回の臨時措置法に伴いまして租税特別措置法措置をいたしました特例といたしましては、大きく分けて二点ございます。  そのうちの第一点は、欠損金の繰り戻し還付の特例でございます。これは、今般の臨時措置法によりまして主務大臣が指定をする業種に属する事業を行なっており、かつ主務省令で定める基準に該当するといったことで都道府県知事の認定を受けた認定中小企業者というものと、それからそれに準ずるものとして資本金一億円以下の法人で、準ずる旨の認定を受けたもの、こういったものを対象といたしまして、原則として二年間、個人の場合ですと昭和四十六年、四十七年の両年、それから法人でございますと、四十六年八月十六日を含む事業年度から二年間、その時間の事業年度におきまして生じました純損失または欠損金額を、通常の場合ですと、これは過去一年間さかのぼって繰り戻しすることができるわけでございますけれども、今回の特例によりましてその繰り戻し期間を三年に延長するという措置を講じております。これが第一点でございます。  それから第二点は、事業転換の場合の償却の特例でございまして、これは同じく今回の措置によります認定中小企業者が、今回の措置法に基づく認定を受けた転換計画に従って事業転換をしようとする場合には、その計画に従って処分をする施設について、計画期間内に早期に償却を完了せしめるように償却を早めるということの特例でございます。  以上の二点が今回講じました特別措置の主たる内容でございます。
  85. 岡本富夫

    ○岡本委員 第一点の欠損金の、当期に欠損であれば三年振り返って繰り戻し還付ができる、その資本金一億円、こういうようになっておるというようにいま御説明がありましたけれども、この法案を見ますと、その中小企業者は五千万円以下の資本金、こういうようになっておりますが、繰り戻し還付ができるのは一億円が正しいのか、五千万円が正しいのか、この点に一つ疑問がある。ですから、ちょっとこの母案とそれから特別措置法の案とが、この資本金において若干相違があるんじゃないかということが考えられるわけですが、ひとつ長官とそれから大蔵省、両方からお聞きしたいのです。
  86. 高橋淑郎

    高橋(淑)政府委員 今度の臨時措置法で定義されております中小企業の定義は、中小企業基本法第二条の定義の範囲内に属する中小企業者であります。仰せのとおり、税法上は、このたびの税の繰り戻しの対象になります中小企業者は、資本金一億円以下のものをも対象とし得るということになっておりますから、五千万円に限りません。
  87. 山内宏

    ○山内説明員 租税特別措置法と申しますか税制上の取り扱いと、それから実際にその産業行政の一環として行なわれます行政との間には、執行のやり方に若干の違いがございまして、と申しますのは、税制のほうで行ないますにつきましては、これは全国に八十五万以上ございます法人をすべて対象にいたしまして、基本的には大量処理ということがその執行において欠くべからざる要件でございますので、そういう点も勘案をいたしまして、区分をいたしますについては、先ほど中小企業庁からのお話もありましたとおり、若干範囲は広げた次第でございますけれども、一億円以下ということに簡明な区分のしかたをしたということでございます。
  88. 岡本富夫

    ○岡本委員 そうしますと、この国際経済上、特にアメリカの輸入課徴金あるいはまた平価調整、こういうことによって生じた中小企業の救済措置でありますから、この認定にあたりましては、都道府県知事が認定をするわけでありますが、都道府県知事はおそらく、この法案の上から見ますと、資本金五千万以下というように考えられると思うのですが、そうすると、大蔵省では一億円以下と、非常に聞こえがいいのですけれども、結局はこの五千万円以下の認定業種あるいは認定事業者、これでないと受けられないのではないか、こういうように考えられるのですが、その点もうちょっと、中小企業庁長官と両方からはっきりしていただきたい。そうでないと、おそらく、大蔵委員会ではどういう質疑をされているかわかりませんけれども、一億円以下の中小企業者は認定を受ければいけるんだ、こういうふうにとっている、それから当商工委員会では五千万円以下でないとだめなんだ、こういうことになりますと、ちょっと私は納得がいかないように感ずるのです。したがって、この点をひとつ明確にしていただきたいと思うのですが……。
  89. 高橋淑郎

    高橋(淑)政府委員 今度の臨時措置法によります中小企業者の定義は、先ほど申し上げましたように中小企業基本法第二条の中小企業者の範囲内でございますが、資本金五千万円以下あるいは従業員三百人以下ということでございますから、当然その資本金が五千万円以上のものも対象になり得るわけでございます。  それで二つに分けまして、臨時措置法の対象になる中小企業者で、本法に関連して事業転換をやる場合に加速償却を受けるという場合は、その認定の対象になるものは、先ほど申し上げましたように、この法律に規定してある中小企業者の中で認定を受けたものということでございまして、租税特別措置法の改正によりまして、還付を受けます場合の対象は、本法にいう認定中小企業者と、これに準ずる資本金一億円以下の法人である中小企業者ということでございます。その点について、なぜ差異があるかということにつきましては、先ほど大蔵省のほうからもお話がございましたように、中小企業者の範囲を変動の激しい従業員数でとらえるということは、税の執行上必ずしも適切でないということで、むしろ資本金一本でとらえるほうが実情に即しておるということで、こういうことになっておると承知しております。
  90. 岡本富夫

    ○岡本委員 中小企業基本法にいうところの中小企業者が都道府県知事の認定を受けた場合に、この法律の適用を受けることができるということですが、それ以外の資本金一億までの人たちがそういう事業者、法人ですか、そういうのを受けるというところはどこにあるのですか、これは。租税特別措置法の恩恵を受けることができるというところは第何条ですか。
  91. 山内宏

    ○山内説明員 税法の内容でございますので私からお答えをいたしますが、規定としては租税特別措置法の改正法律案の第六十八条の三にあります。その条文を読みますと、「国際経済上の調整措置実施に伴う中小企業に対する臨時措置に関する法律第四条に規定する認定中小企業者に該当する法人」、これが本来の認定中小企業法人でございますが、「及び各事業年度終了の時における資本の金額又は出資金額が一億以下である法人で認定中小企業法人に準ずるものとして政令で定めるもの」というふうになっておりますので、これで読んでおるわけでございます。
  92. 岡本富夫

    ○岡本委員 この問題につきまして、どうも中小企業庁要するに通産省側と、それから大蔵省側の法案の突き合わせというものがちょっとはっきりできてないのじゃないか、こういうふうに感じられますので、しばらく休憩していただいて、そしてその点を一ぺんよく突き合わせてもらってこの御答弁をいただく、こういうふうにいたしたいと思うのですが、委員長、よろしくお願いします。
  93. 鴨田宗一

    鴨田委員長 ただいまの岡本君の申し出のとおり、この際暫時休憩いたします。    午後三時二十四分休憩   〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕