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-
○森山
委員長 これより会議を開きます。
厚生関係の基本施策に関する件について発言を求められておりますので、これを許します。
田邊誠君。
-
○
田邊委員 医療費の問題は国民が注目をしている非常に重大な問題であります。聞くところによりますると、昨晩からけさにかけての中医協は、大筋においてこれが合意に達したにもかかわらず、最終の点でついに結論を見ることができなかったやに聞いておりまするので、われわれとしてはこの問題がさらに長引いていることに対して非常に心配をしておるのであります。
さて、この中医協の審議は、利害相反するような構成の中で非常に難航してまいったのでありまするけれども、それだけにこの中医協の運営については非常に慎重を期さなければならない、また公正明朗でなければならないということは理の当然であります。
そういう際において、去る十六日から十七日にかけての徹夜の審議のさなかにおいて、この医療保険の当面の責任者である斎藤厚生大臣が中医協の審議の中に加わりまして、このいわば渦の中に加わって行動したということについては、世論は非常に大きな疑惑を持っておるのであります。聞くところによりますと、中医協が審議の途中において、休憩中であるといわれておりまするけれども、中医協の圓城寺会長と斎藤厚生大臣が武見医師会長の私宅を訪れて、深夜にわたってこの中身についていろいろと協議をした。その結果武見医師会長から最終的な意見が出されて、これを持ち帰って、中医協の場所にこれが圓城寺会長から提示をされた。こういう経過を私どもが聞くときに、私は、いろいろな問題がありまするけれども、二つ問題があると思うのです。
その一つは、いま申し上げたように、中医協の審議というものはガラス張りであり公平でなければならない、こういう点からいって、その裏取引に類するようなそういうやり方に対して、私どもは実は重大な関心を持っていかなければならない。第二番目は、一番最初に申し上げたとおり、厚生大臣はこの中医協の建議を経て医療費の値上げを告示をする、こういういわば最終の権限を持っておる責任者でありまするから、その建議、答申を受ける中医協の場所にみずからが介入して工作をするということは、断じて許さるべきでないと私は思うのであります。もちろんこの医療費問題を早期に円満に解決をしたいという熱意があったことは私どもも疑うものでもありませんし、また、事を運びましたものが善意に基づいてあったものであるかもしれませんけれども、しかし、善意に基づいたものといえども、私はこういった世論の指弾を受けるようなやり方に対しては厳重に慎むべきである。こういう観点から、今後この種の問題に対する取り扱いも当然あるわけでありますから、私どもはひとつ大臣のこれに対するところの自粛自戒、今後に対処する慎重な態度を心から望みたいというように思っておるわけであります。あわせて、中医協のあり方についても当然将来にわたって考慮しなければならない問題がございまするけれども、この問題はまた別の機会に政府の見解を承るとして、この重大な段階における厚生大臣の態度に対して私どもは遺憾の意を表すると同時に、今後に対するところの厳正な行動を期待するために、この際特に注意を喚起する意味で、大臣の見解を承っておきたいと思います。
-
○斎藤国務大臣 去る十六日の夜から十七日の未明にかけまして中医協の審議が停滞をし、このままでいけば中医協が審議の進行が不可能であるという事態に当面をいたしましたので、私は、中医協の審議に干渉したりその中に入るという意図は毛頭ございませんでしたが、これを心配をいたしまして、何らか打開の道がなかろうか、かように思って医師会長をたずねましたことが、何か裏取引をしたのではなかろうかというような印象を支払い側に与えましたことは事実でありまして、これは私は、今後こういうことのないように行動をしなければならないと深くただいま思っているようなわけでございます。ただ、真意は、公益側も支払い側も、また診療側も、一月一日実施ということはお互いに目標といたしておりますにもかかわらず、ただ一点についてどうしても診療側が、私の目から見れば少し無理を言うているというように考えましたので、さようなことになったわけでございますが、今後もいま御指摘になりますような事態を考えまして慎重に行動をいたしたいと存じまするので、御了承をいただきたいと存じます。
————◇—————
-
○森山
委員長 次に、労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。
まず、おはかりいたします。
日本原子力研究所における労働問題について、
日本原子力研究所副
理事長村田浩君に本日参考人として御出席願い、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
-
○森山
委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。
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○森山
委員長 質疑の申し出があります。順次これを許します。
田邊誠君。
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○
田邊委員 私が住んでおりまする前橋市の日吉町という町内のすぐ隣に、実は松島正三さんという前橋市内の小学校の用務員をしている方がおりましたが、この一人の用務員が宿直中に心臓発作でなくなるということが起こりました。彼はさびしく用務員室で息を引き取ったのであります。朝になりまして、同じ宿直をしておった教師がこれを発見をして事件が知らされたというのであります。私は、このことはいわば社会の片すみで起こった一つのどこにもあるような事象かもしれませんけれども、以下申し上げるような観点から、彼の死が一片の退職金だけで葬られていいのかどうかという点で、実はぜひとも政府の今後におけるところの施策の上に立って、さらに前向きな
改善をしてもらいたいという気持ちを込めて、実は若干質問をいたしたいと思っております。
まず、これは文部省でしょうか、自治省でしょうか、用務員の人が昼間用務員としての仕事をいたしまして、さらに引き続きその晩宿直をいたしておりまするが、これは前橋市から命令をされた公務であるというように私は思うのでありまするけれども、そういうふうに解釈してよろしゅうございましょうか。
-
○鈴木説明員 そのとおりでございます。
-
○
田邊委員 そこで、私は用務員は用務員としての当然の仕事、任務があると思うのでありまするけれども、この用務員を、昼間正常な勤務をさせて、それに引き続いて宿直させる、こういうことが実は行なわれておるのであります。前橋市におきましても、聞くところによりますると、二十九の小学校があるそうですけれども、用務員の宿直が二十六校にわたって行なわれておる、こういうことであります。はたして用務員をそのまま宿直要員として仕事に従事させることが適当であるかどうか、私は非常に疑問に思うわけでありますけれども、これは一体いかがでございましょう。
-
○鈴木説明員 用務員の仕事のほかに宿直あるいは日直等の断続的な業務を命ずることは、その本来の業務に差しつかえがなければ、たとえば教員の数が少ないとか、いろいろな事情がございますので、必ずしもそのことのみをもちまして妥当でないというような判断はできがたいと思います。
-
○
田邊委員 しかし本来は、用務員としての仕事がある以上、宿直をすべきものではありませんね。しなければならぬものではありませんね。言うなれば、いわば日中の用務員の仕事を毎日やっておるという、こういういわば日勤の勤務をやっておって一向差しつかえないわけですね。ですから、いわば用務員の仕事を昼間やっておって、さらに宿直をするということは、これは必ずしも好ましいことではないと私は思うのですけれども、どうですか。
-
○鈴木説明員 たとえば警備員が配置をされているとか、そういうふうな宿直あるいは日直の手当てが十分できておりますれば、その必要はございませんので、おっしゃるとおりだと思いますが、学校に宿直をする必要があり、教員ないしは用務員がしなければならないということになりますと、学校運営の必要上どうしても命ぜざるを得ないというような実情があろうかと思います。
-
○
田邊委員 したがって、本来命じなくて済むものであればこれは済ませたいものである、こういうことは文部当局も当然お考えだろうと思うのであります。また宿直をする際においても本来私は——
看護婦の夜勤もそうですけれども、一人で宿直をするというのは、いろいろな面で支障があるだろうと思うのです。この前橋市は、用務員の人で二人の宿直制をとっているのは二十六校のうち三校しかないというのでありまして、私は本来そういう二人宿直制のほうに、もし宿直をする場合でもだんだん切りかえていく必要があるのではないだろうかと思うのです。でき得べくんば用務員でない宿直の要員というものを確保する、こういう方向にいくべきである。この二つの点は、そういう方向の上に立って文部省としては努力をさるべきだと思いますが、そうですか。
-
○鈴木説明員 文部省といたしましては、教職員が本来の業務に精励できまするように、学校においては必要がなければできるだけ宿日直をしなくてもよろしいような措置をとりまして、四十三年度から警報機とか火災報知機とか、そういうものを常備することにいたしまして、宿直ないし日直をしなくても済むような管理体制の強化につとめているわけでございますが、今後ともそういう方向で施策を進めてまいりたいと考えております。
-
○
田邊委員 そこで念のためにもう一つだけ聞いておきまするけれども、一人宿直の場合、用務員室に用務員の人がひとり具体的には寝泊まりをしております。ところが学校の教師は、宿直室は別にありまして、この学校の場合二、三十メートル用務員室と離れて、一人の教師が宿直しておったという形であります。ですからそういう場合には、用務員室と宿直をする教師との間に何か連絡の方法を、これは簡単な非常ベルなり呼び鈴等の装置くらいはする必要があるのじゃないかというように思っておるわけでありますけれども、こういったことについては考慮されておるわけですか。
-
○鈴木説明員 学校の管理体制の整備をする際にそのような指導をしておりますが、当該の学校の設置者の責任におきましてそのような配慮は当然なさるべきものであると思います。
-
○
田邊委員 いまお伺いしたので概括的に私は文部省の考え方なり当然あるべき姿についてはわかったのでありますが、私がいま取り上げておりまするところのこの宿直中になくなった用務員の人は、いわゆる一人の用務員で、しかも宿直を兼務しておった、そしていわゆる宿直は一人でやっておった。しかも、いま管理体制の問題が出ましたけれども、その用務員室には他の教師を呼ぶような非常ベル等の用意は実はなかった。こういう状態であります。
そこで、この用務員の人は十一月の十八日の朝四時ごろなくなったのでありますけれども、その前日、十時ごろ教師と話をしておって就寝をいたしました。そうして夜半十一時ごろに一度発作が起きたといっておるのであります。事実その用務員の宿直の部屋には、この松島さんが発作が起きたときに始末をしたらしい新聞紙にくるまれた汚物があったということでありますから、この十一時ごろに発作が起きて汚物を吐いておりますけれども、これは自分で始末をしておったのでありますが、さらに午前四時ごろに二度目の発作で死亡したという診断でございます。
そこで労働省にお伺いいたしますけれども、心臓発作、心臓疾患等で、特に急性心臓死等でなくなった者あるいは脳卒中でなくなった、いわゆる中枢神経及び循環器系の疾患というものの業務上の認定というものは非常にむずかしい、こういうことでありまして、確かに業務との因果関係の面からいって、これはなかなかむずかしい面があるわけでありまして、特に素因や基礎疾病がある場合にはこれを業務上として認定することは非常にむずかしい、こういうのが労災の具体的な執行の段階における措置の様態であるやに聞いておりますが、しかし私はこの心臓発作等の病気によって死亡した場合における業務災害に認定する基準というものは当然あると思うのであります。どういう場合に、こういう心臓発作に類するような病名でなくなった場合においても業務上災害として認定することができるのか、そのできる部面についてお答えいただきたいと思います。どういう条件がそろっておればこの認定をすることができるのかという、過去の判例等を含めてお答えいただきたいというふうに思います。
-
○岡部(實)政府委員 ただいま先生お尋ねの、心臓病等によってなくなられました方が業務上の素因に起因するものかどうかということについては私ども「脳卒中あるいは急性心臓死等の業務上外の認定基準について」という通達で一応処理をしております。その通達には、一般的な認定要件と、特に負傷等により発生した疾病の場合の要件、それ以外で一般的に業務上に起因することが明らかである場合というように分けて、一応認定基準を通達で示しておりますけれども、その業務上に起因することが明らかな場合、これはやはり具体的なケースによりまして医師の診断あるいは医証に基づいて行なわれなければならないわけでございます。そのうちで、たとえばただいま先生御指摘の、どういう場合が入るのかというようなことにつきましては、たとえば脳卒中等を業務上とするためには、通常、発生前におきまして当該疾病の原因とするに足る関連度がある場合、たとえば身体的にあるいは精神的に非常に緊張したとか、あるいは身体的に強い努力をしたというような、強度の特別な、発生前におきまする心身によるそういう緊張あるいは恐怖あるいはショックというようなことが認められるようなケース、こういった場合には脳卒中等が、仕事を通じての、いま申しました心身による緊張その他を起こして、それがもとでいまの心臓疾患によるということになると思います。そういったようなことで、判例等によりましても、いまの脳卒中を起こす以前のその人の心身の態様が、業務上緊張その他特別なショック等があるようなことがはっきりしている場合、これらは当然、一般的な基準として業務上として認定されるようなケースになろうかと思います。
-
○
田邊委員 ですから、過度の労働に従事したとかあるいはまた突発的ないろいろな事故、事件等が起きて、そういうショックによるもの、こういったことが積み重なった場合においては、当然業務上としてこれを認定する、こういうお答えだろうと思うのであります。
そこで私、文部省と自治省にお伺いいたしますが、これはどういう手順で、なくなった人の、いわゆる公務災害であるのかないのかということを判定をしたのかは、手順を知りませんけれども、まずこれは市の教育委員会が市当局に対して申請をしたといいましょうか、市が県の人事委員会等に意見を聞いて、これを公務災害であるかないかというのをきめるのではないかと思いまするけれども、そういう点でひとつ文部、自治両省にお伺いいたしまするけれども、あらかじめ私、この事件、事故についてはお話しをしてありまするからお調べいただいたのではないかと思いまするが、いま労働省からお話のありましたような状態から見て、突発的な、たとえば火事とかどろぼうが入ったとかということはなかったのでありまするけれども、一つにはこの人は、いま言ったように一人夜勤である。しかも二人交代でもって隔日に二十四時間勤務をやっておる、こういうことが一つあります。このいわゆる用務員としての仕事を昼間やって、夜泊まって具体的には、翌日の朝交代というようなことでありまするけれども、実際には昼ごろ交代をしてうちに帰る、そしてまた翌日は朝から勤務する、実はこういう隔日に二十四時間勤務であります。しかも私はこの人の年休を調べてみましたところが、九月に三日間、十月に三日間とっておりますけれども、そのほとんどが、日中休んでおりまするけれども、夜は宿直に出かけておるのであります。そうでなければ、もう一人の用務員さんが続けて泊まらなければならぬという形になりまするから、休暇をとって日中休んでも、夕方から出かけていって宿直だけはする、実はこういう状態をとっておったのであります。したがってこれは、年次休暇をとっても完全な休養になっていない。これが疲労の蓄積として残っておったのではないかというように私は思うんですね。したがって、この二人交代による隔日の二十四時間勤務という変則的な状態、さっきお話のありましたように、用務員としての仕事の上に宿直をするということが加わるわけであります。なおかつ、これは二人で交代をする、しかも宿直は一人でやっておる、こういういわば過酷な勤務条件、こういうことについて、いわば労働の面におけるところのかなりの密度があった。しかもそういった蓄積が残っておったというように思いまするし、この学校の同僚たちの証言によりますると、なくなる三日ほど前から、構内におけるところの清掃やいろいろな片づけごとが積み重なっておりまして、これは、松島さん、そんなに詰めて仕事をしては毒ではないかという話を実はしておったくらいであるということがいわれておるわけでありまするから、こういった勤務条件というものが、彼の死亡を少なくとも早めた結果になってはいないかということを私は実は思うのであります。
もう一つの問題は、これはあとでお聞きをしようかと思ったのですが、いまのお答えがありましたから続けてお尋ねいたしまするけれども、この宿直室に非常ベル等の装置がある、あるいは二人宿直であったということを仮定をいたしまするならば、前夜の十一時ごろに一度発作に見舞われておりまするけれども、本人がその汚物を丁寧に始末をしている。このときに、そばにおれば、当然その事態は発見をして医者にかかることができた、あるいはまた非常ベルがあれば二、三十メートル離れて宿直しておるところの教師に連絡もできた。
こういういわば勤務条件と管理体制の不備というものが、彼を死に至らしめた一つのファクターになっているのじゃないかと実は思って、非常に残念でおるわけであります。こういういわば責任の所在というものを追及していきまするならば、この松島さんの死というのは決して偶発的に起こったものではない、防ぎ得る要因が非常に多かったということを私は考えざるを得ないわけでありまして、ただ単に、心臓発作でたまたま宿直をしておってなくなったのだからこれはそのままでいいんだ、こういう考え方というものは、これはあまりにも過酷な考え方ではないかというふうに私は思うのでありまするけれども、この点についてひとつそれぞれ所管から、どういう御見解であるか承りたいと思うのです。
-
○林(忠)政府委員 まず手続的なことをお答えいたします。
本件が公務による災害であるかどうかという認定は、手続的にはまず地方公務員災害補償基金の群馬県支部というのがございまして、これは支部長は知事でございますけれども、ここにおいてまず一次的に決定するということになっておるわけでございます。で、おそらく、いま先生のおっしゃったような事情をいろいろ勘案して、公務であるかどうか、医学的な見地もまじえて、決定がなされることになると思います。さらに、それが不服である場合には、審査請求を中央に対してできるということになっております。
それから、いまの管理体制の不備その他の問題にかかるものは、公務死であるかどうかという問題と別の面で議論されることになると思いますので、これは文部省のほうからお答えしていただきます。
-
○鈴木説明員
田邊先生のお話の中で、教員が離れてやはりおったというお話がございましたが、私どもの調査でも、教員と用務員と二人で宿直をするというたてまえになっておりまして、たまたま宿直をする場所が違っていたというふうな事情はあるようでございます。しかし当該学校なり教育委員会といたしましては、二人組んで宿直に当たらせるという体制をとっておりましたので、その間の連絡の方法等において先生のおっしゃるような問題があるかもしれませんけれども、一応それ相当の配慮はしておったというふうに考えられるわけでございます。
-
○
田邊委員 自治省にお伺いいたしました質問にお答えがありませんでしたけれども、お調べをいただいた中で、いま申し上げた管理体制の不備の問題等は、これはいわゆる公務災害と直接関係ない、そのとおりでしょう。しかし私は、そのことは彼の死を早めしめた大きな要因であるという見解も成り立つわけであります。これは当然。
いま文部省からもお答えがありましたけれども、当然非常ベル等の簡易な装置が備えつけてあれば、連絡の方法等あったのであります。できたのであります。そういうことが一人の公務員を、一人の人間を死に至らしめるという、そういう重大な結果があることに目をおおうことはできないと私は思うのです。ですから、これは確かに管理体制と死亡は直接の因果関係はないでしょう。ないでしょうけれども、そういう責任をほおかぶりしておいて、ある人はたまたま心臓発作でなくなったんだというだけで済ますのは、私はほんとうの意味における血の通った行政でないと思わざるを得ないのです。しかも私がさっき申し上げたように、この二十四時間勤務を二人で交代でやっているという、こういったことが一体いいのでしょうか、これは、この用務員が宿直を拒否した場合どうなるのですか。それはできないはずはないでしょう。現に市の用務員の親睦会はひとつ宿直制を廃止してもらいたいと言ってきたけれども、現在の状態では学校が無人化するので無理だといって認めてもらえなかった。こういう要望があったのです。無人化ができなければ当然用務員をふやすなり、別の宿直制をとるなり、何らかの方法をとるべきなんです。そういう体制というものが整っておらないままに、この人がたまたまこういう事態になった。しかもいわば一度の発作では助かっただろうとだれしも思っている状態の中でもって、二度目の発作の中でなくなっている、こういうことでありまして、私はこれはそのまま看過することはできないのじゃないかと思って質問を申し上げておるわけでありますから、この点に対してやはりあなた方の責任の立場からいって、一体どういうお考えであるかを承りたいというふうに思っておるわけであります。
-
○鈴木説明員 教職員が宿日直等によりまして本来の業務に支障があるということは、学校運営の実態から申しましても問題がございます。そこで文部省といたしましては、四十三年度から、先生のお話のございましたような学校無人化、これは宿日直をしなくてもいいような条件のところには、先ほど申しましたような火災報知機とか、警報機とか、あるいは電話とか、そういうものを常備いたしまして、用務員なり教員が宿直をしなくてもよろしいような、そういう施策を講じておりまして、四十一年は小学校で約九割の宿直があったわけでございますが、四十六年の三月になりますと三八%に減っております。これは全国的な施策として私どものほうで進めているわけでございますけれども、個々の公共団体なり学校に参りますと、都市部にある学校とか、あるいは警備員の人件費が非常にかかるとか、いろいろな事情がございまして、なかなか進まないという事情がございます。全般的な施策と申しますと、御指摘のようにそういうものを軽減するという方向で進んでいるわけでございますし、また今後もその指導を強化をしてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
-
○
田邊委員 時間があまりありませんから、私はこまかく質問できませんので非常に残念ですが、前橋市の教育委員会の次長という人の話が新聞に載っております。一応の判断は公務災害でないと判断したけれども、特殊な事情があるようなので判例などを調べて再検討すると実は言っているのでありまして、私はこの勤務の状態等について再検討してもらわなければならぬだろうというふうに思っておるのですけれども、いま私が申し上げたように、なくなる数日前から実はかなりの労働をしておるということを、学校当局も言っておるのであります。これに対しても私はさらに検討してもらわなければならないというふうに思っておりまするし、この人は二月に腰痛で病気休暇を一週間ばかりとっておりますけれども、それ以外に休んだことのない人であります。そういった点から見て、私はそういった、なくなる数日前からの過重な労働、そしてまた、いま申し上げたように、二人交代で昼間の勤務をやりがなら、さらに夜の宿直をやってきたという、こういう疲労の蓄積、休暇をとっても夜の泊りだけは出ていってやるという、完全な休養がとれてないような状態、そして最後にはいまお話のありました、全国的にはだんだんと体制が進んできているというお話でありますけれども、この学校では現にいま申し上げた二人交代で、しかも一人の勤務である。宿直をしておった教師との間が離れておった、こういう体制、こういった面から見て、私は少なくとも当該の学校なりまた教育委員会なりというものは、実はかなりいろいろな面におけるショックを与えられているのではないかと思っておるわけであります。そういった点に対してひとつ慎重な再検討がこの問題に対しても望ましいのではないかというふうに思っておりますけれども、そういう指示をされる御用意はございますか。
-
○林(忠)政府委員 先ほど御答弁申し上げました、公務死であるかどうかという認定が群馬県でされ、さらにもし不服があれば中央審査会に出てくるようになっておりますので、その過程を通じまして、そういう事情をできるだけよく考えた上で、よく指導したいと思っております。
-
○
田邊委員 私が現に聞いておるのだから、あなたのほうで連絡をとって、それに対していろいろ再検討する必要がある。教育委員会の次長は、公の場所というか、新聞記者にも話しておるのですから、そういった点に対してしなさいよ。当然でしょうが。審査請求は出すでしょう。審査請求を出す出さないにかかわらず、そういった話を現に私は国会で取り上げて、事実問題を述べているのだから、あなたのほうも前橋市なりに対して、こういった面に対してさらに検討する、こういう用意があるのは当然じゃないですか。どうなんです。
-
○林(忠)政府委員 よく御趣旨に即して指導いたします。
-
○
田邊委員 この人の死というのは、あるいはいままでの基準によれば、心臓発作であるという一つの基準の中でもって、
労働災害なり公務災害になりづらいケースであるということについては、私はそれなりにのみ込んでおります。しかしそれであっていいかどうかという点になれば、私はそうであってはならないと思うのです。いま申し上げたように、管理体制の不備——これは心臓発作で別問題であるという中で、一人の人間が宿直勤務中になくなっておる。しかも私どもは、それではその人は助かったか助からなかったかという判定はできませんよ、できませんけれども、一度目の発作の中で、汚物を自分で始末できた状態でありますから、これは本人があるいは宿直中の教師に連絡できたかもしれぬけれども、あるいは本人の気持ちの中で、程度が軽いからというのでそのままにしたかもしれない。あるいはまた、はい出していって助けを求めることができない状態だったかもしれない。
〔
委員長退席、伊東
委員長代理着席〕
それはわかりません。わかりませんけれども、少なくとも私が申し上げたような体制が完備されておれば、この人がだれも知らないうちに死亡したということは起こらなかったということだけは事実でありまして、そういった点で私は非常に残念でたまらないというふうに思うわけでありまして、自治省、文部省それぞれいま御答弁のありましたような状態を、こういうことの起こり得ないような体制にひとつつくってもらうように、私は心から要望したいと思うのです。そういった点から見て、現状の中において非常に困難な事態でありますけれども、私は私なりの考え方からいいますならば、いわばいま申し上げたような幾つかの要因、幾つかの現在の管理体制の不備、そういった点から見て、私はこの人の死亡というのは、これは公務として取り扱っていっても決して行き過ぎでないというふうに実は思っておるわけでありますから、現状の中でなかなか困難であるといたしましても、この種のいわば勤務中の災害というのは非常に多いはずでありまして、いま申し上げたような条件の中で、助かり得るものか、助かららなかったかという事態というものを踏まえて言いますならば、この種の、例にとった話は当然
労働災害なり公務災害の認定の中に入れていく方向が望ましいのではないかと私は思うのでありますけれども、まずひとつ、基本になるところの労働省はそういうような考え方に立って今後検討する御用意があるかどうか、ひとつ承りたいと思います。
-
○岡部(實)政府委員 ただいま御指摘の具体的事案につきましては、自治省、文部省の関連でございますが、私ども労災補償保険を扱っているものとして、一般的に、いま御指摘の心臓病等による死亡の業務上外の認定基準につきましては、一応先ほど申し上げました通達で出しておりますけれども、現実にその判定については単に医学的医証のみでも十分でない点がございます。そういう点もございますが、基本的には、労働者の保護という基本的なたてまえによって、できるだけいろいろな要因について配慮をして適正な判定が下るように、労災事案の処理につきましても十分慎重に取り扱ってまいるようにいたしたいと思います。
-
○
田邊委員 最後に、いま
労働災害が非常に多いのでありますけれども、これはさきの国会等でも論議になりましたが、通勤途上の災害についても労災を適用すべきだということ、これはいわば周知の事実になってきているのです。したがって、通勤途上災害の労災適用については早急に法
改正の手続をしなければならぬというようにいわれておるわけでありますけれども、その御用意がありますかどうか。私どもとしては法
改正の着手に踏み切るべきであるというように思っておりますが、大臣どうですか。
-
○原国務大臣 通勤途上災害の調査会にそれを諮問いたしておりますので、その答申が近く出るであろうと思いますから、それが出ましたときには善処いたしたいと思っております。
-
○
田邊委員 時間がなくなりましたから私はこれで終わりますけれども、いま言ったように、通勤途上災害についても労災の適用を受けるべきだというのがいわば政府の考え方になってきているわけでありまして、それから見ますならば、当然勤務中の災害については最大限これを措置する方向というものが望ましいと私は思うのです。そういった点で、いま一人の人の死亡というものが公務災害になるかならないかというものについての質問をいたしてまいりましたけれども、自治省なり文部省もぜひ聞いてもらいたいと思うのですね。こんなものは当然公務災害になりませんよというような顔をしておったのでは、ものごとは解決しませんよ。実は、いままでの私の性格でありますならば、私はきょうはここでもって、管理体制の不備が死を招いたんじゃないかという観点で徹底的に追及したいと思っておったんですが、しかし、それでもなくなった人は返らないから、私はあえて今後に対するところの善処を含めてお願いをしておるのでして、自治省も文部省も、いま申し上げたような事情の中で一人の公務員がなくなっていったという事態に対して、厳粛にこれを受けとめて、今後こういったことが起こり得ないように、未然に防ぐような、そういう体制をつくってもらいたと同時に、こういった公務災害と認定され得るような条件については、最大限これが認定できるような考え方を打ち出すように努力をしてもらいたいというように私は思っておるわけでありますけれども、最後に一言ずつ承っておきたいと思います。
-
○林(忠)政府委員 御趣旨の点をよく体しまして、検討させていただきます。
-
○鈴木説明員 御指摘のございました学校管理上の問題につきましては、実情を十分に調査いたしまして、今後このような事態の発生することのないように、遺憾のないような指導を十分にいたしたいと思います。
-
-
-
○
山本(政)委員 最近科学技術庁関係の労使関係というのがあまりよくいっていないような感じがするわけであまります。
例をとってみますと、たとえば原研であります。原研につきましては、四十二年の秋ごろから始まった例の勤務体制といいますか、炉の運転体制の中で、JPDRのロックアウト事件があった。研修生の三講師問題がやはりある。それから再処理工場の設置反対の署名をめぐっての問題が出てきておる。それから四十三年には、国産一号炉の問題で燃料破損をめぐる処分の問題が出てきておる。そして、チェックオフの問題が四十四年に出てきておる。四十五年には食堂掲示板でいろいろトラブルを起こしておるというふうに、原研の中にいろいろな問題が出てきておるような気がする。そして、ロックアウトについては、茨城の地裁ですでに裁判になっておる。
理化学研
究所では、不誠実団交と言ったほうがいいかもしれませんけれども、これは埼玉の地労委の問題になって、近く結論が出そうです。同時に、その結論を前にして、地労委の命令時における報復の処分というようなことも実はうわさが流れておる。
情報センターについても、実は同じような実態があるわけであります。これは不誠実団交事件です。上部団体を入れた団体交渉に応じられない。これは一たん約束をしておるにもかかわらず、その直前になって拒否をしているという事実がある。
こういうふうに、科学技術庁の関係の中ではいろいろなトラブルが出てきておる。私はそういうことを見ますと、原研が——率直に申し上げますと、組合活動に対して少しばかり介入し過ぎるのじゃないだろうか。しかも、これもあとで申し上げますけれども、人事考課の不利益処分というようなものもありそうな気がする。
まず第一番にお伺いいたしたいことは、これは科学技術庁の指示によってそういうことが行なわれておるのかどうか、これをまず第一番目にお伺いしたいと思います。
-
○
成田政府委員 御指摘の、原研の労組に対して管理者側が介入し過ぎるじゃないかという点でありますが、われわれはそうは思っておりませんし、また、そういうことが科学技術庁の指示によって行なわれているということは毛頭ないと思っております。
-
○
山本(政)委員 労働組合法第六条に(交渉権限)というのがあります。「労働組合の代表者又は労働組合の委任を受けた者は、労働組合又は組合員のために使用者又はその団体と労働協約の締結その他の事項に関して交渉する権限を有する。」正規に委任を受けて交渉に出ようとした者が拒否をされているという事実があるじゃありませんか。原研の指導下にあるのは原子力研
究所の労働組合だけではなしに理化学研
究所もある、科学技術情報センターもある。少なくとも理研もしくは情報センターの中には、これを拒否しているという事実があるじゃないですか。原子
力局長はこの法文を御存じか御存じないか私は知らぬけれども、少なくとも当事者である人たちはそのことを十分承知しているはずだと私は思うけれども、その人たちが法文を知りつつそれを拒否をするという事実は支配介入にならぬのかなるのか、もう一度答弁を願います。
-
○
井上政府委員 第六条の委任関係の御質問でございますが、科学技術庁関係の単組からの申し入れは、科学技術庁の関係の機関の労働担当者の
理事者の会合でございます二水会に対しまして、そういう申し出があったというふうに聞いておりますが、二水会と申しますのは交渉するに適当な法人格もございませんし、そういうような関係で交渉に応じ得る能力がないということではないかと思います。
それからいま一つは、各単位組合と各機関との間におきましては、そういう問題につきまして十分に交渉をいたしておるというふうに聞いておりますので、あるいはそういう経緯から申しまして、特に二水会との交渉ということは、まあ能力の問題でも疑義がございますし、あるいは実際上の必要性もあまりないのではないかというふうに判断されたのではないか、こういうふうに考えます。
-
○
山本(政)委員
官房長、そういう答弁でいいんですか。昭和四十六年十二月十七日に、これもたいへん私は奇妙だと思うのだけれども、理化学研
究所の交渉権限受任者——こういうものが法的にあるのかどうか私は知りませんが、その人の名前で理化学研
究所の労働組合の
委員長あてに出ているが、「理研の給与を決定するのに当所の組合が、科労協との団交開催を要求する理由が了解できない。科労協との団交には応じがたい。」二水会に申し入れをしたのではなくて、理研の当事者に申し入れをしているじゃありませんか。
〔伊東
委員長代理退席、
委員長着席〕
あなたの答弁の中には、そういうことが何も言われていない。ちゃんとここにある。
-
○
井上政府委員 はなはだ申しわけない次第でございますけれども、理研の労組からそういうような申し入れがあったということはただいま初めて知ったわけでございます。
-
○
山本(政)委員 それならば、この団交に対してこれを拒否するという理由というものはないと思う。再度この点について、
官房長、答弁をお願いいたしたい。
-
○
井上政府委員 いまの申し入れの件でございますが、どういうようなことで申し入れになっておりますか、実態をよく調査いたしまして、先例等も参考にいたしまして対処いたしたい、こういうふうに考えます。
-
-
○
井上政府委員 申し入れの、交渉の内容をよく知りませんので、よく一回検討いたしまして善処いたしたい、こういうふうに考えます。
-
○
山本(政)委員 それじゃ、もう一つ申し上げましょう。
日本科学技術情報センターの場合にも同じようなことがある。大蔵内示というものについて、これはいつでも予算の初めのときに議論になるわけでありますが、当事者能力と関連するわけでありますが、それはともかくとして、要するに企業内で努力をしてできるだけ配分を
改善しよう、こういうようなことがあった。そういう交渉の中で、いま申し上げたように組合が上部団体に委任をするという手続をとって団交を行なうことにする。そして一たん開催をした。これは理研じゃありません、情報センター。しかもこれは従来から両者とも慣行としてなされたものが、突如として今回そういうことが拒否をされているという事実がある。何でしたのかわからぬのです。もし従来の慣行どおりだったとするならば、私は何も調査をする必要はないだろうと思うのです。慣行どおりなら慣行どおりのことをやればいいので、しかも法六条においてちゃんときまっているわけですから、何も拒否する理由はない。ですから当然団交に応じなければならぬだろうと思うのだけれども、もう一ぺんその点に関して、私がいま申し上げたとおりであるならば拒否をすべきではないと思うのだけれども、それに対する見解をお願いいたします。
-
○
井上政府委員 先ほどから何回も申し上げておりますとおり、実はその慣行についても、そういう慣行があったかどうかはっきりいたしておりませんので、そこら辺をよく調査いたしたいと思います。
-
○
山本(政)委員 それでは、いつ私に御返事をいただけますか。
-
○
井上政府委員 できるだけ早く調査いたしまして、できれば年内にでも御回答できるようにいたしたい、努力いたしたいと思います。
-
○
山本(政)委員 きょうは二十一日であります。年内といってもまだ十日間ある。そんなものは二、三日で調査をすればわかるはずだ。今週中に返事をください。
-
-
○
山本(政)委員 そういう中で実は、労使の関係が非常に正常でなくなってきているという事実があるだろうと私は思う。そういうことで、たとえば理研においては、これもあわせて調査をしていただきたいけれども、組合の書記長が昇格審査で落とされているというような事実があるだろうし、要するにそういうこともあるし、ひとつあわせて聞かしてもらいたいと思うのであります。
きょうは私は主として原研の問題についてお伺いをいたしたいと思います。
これはたしか科学技術特別委員会で公明党の近江委員が質問をされていると思いますが、それと関連をするわけでありますけれども、原子力科学研
究所の原子炉化学部の分析センターの副主任、名前は申し上げたほうがいいでしょう、中島篤之助君、昭和二十四年の大学卒業であります。研究員としては、私は一番古い人だ、こう思うのでありますけれども、この人を飛び越えて二十七年の方が室長になっておられる。そして二十八年の人が室長代理をやっておるわけであります。当然いままでの常識的な考えからいけば、中島という人が室長になる、私はこれが順序だろう、こう思うのでありますけれども、まあそういう言い方はなんですけれども、四年もあるいは三年もあとの後輩の人に席を譲っておる、この辺の事情について、副
理事長がお見えでしたら、ひとつ御説明をいただきたい。
-
○村田参考人 ただいま御指摘がありました中島篤之助の処遇の問題ですけれども、中島君は昭和四十年ごろに副主任研究員になっておると思います。御案内のごとく私どもの研
究所には、研究を実際に推進いたしますためにたくさんの研究室を設けております。中島君は現在原子炉化学部の分析センターに所属しております。そういう組織におきます室長の任務、権限というものは、一面において、その室の担当する研究業務の指導ということでございますが、同時に、組織でございますから、研究室全員を含めまして、予算その他の面の、管理面の仕事がございます。そういった管理面の責任もとるわけでございますから、室長をだれにしたらいいかということを考えます際には、そういった両方の面から最も適当な人を選んで室長にする、こういうふうにやっておるわけでございます。
-
○
山本(政)委員 つまり管理能力がないということなんですか。あるいは指導能力がない、そういうことから昇格ができない、こういうことでしょうか。
-
○村田参考人 研究者としまして、研究者がいかなる研究能力を持っておるかということは、客観的に評価の上、副主任研究員あるいはその上に主任研究員という制度を設けて、その人の研究者としての資格をあらわしております。他方、研究室長とかあるいは室長代理とか申しますのは、これはやはり一つの組織の中における管理の面からの責任者でございます。したがって、この両方の能力を兼ね備えている人をできるだけ選んで室長に充てる、こういうふうに考えているわけでございます。
-
○
山本(政)委員 そうしますと、やはり不適任だということになるわけですね。ですから、そういうことになれば昇給についてもやはり考えなきゃならぬ。そういうことで、ここ四、五年の場合には昇給については一〇%マイナス。もう一人、名前を言ったほうがいいでしょう。大野さんという人については同じようにここ四、五年については五%マイナスされてきている、そういう事実があるわけです。つまり昇格と同じに、昇給というようなことについてもやはり同じような考え方でおやりになっておるのかどうか、この辺をもう一ぺんお伺いしたいと思います。
-
○村田参考人 昇給をどういうふうにするかということは、役職者につきましては、それを認定していきますために一つの内規に基づく認定方法がございまして、それぞれその所属します部、研究部であるとかあるいは技術部だとかございますが、そういった部単位でまず第一次評定を行ないまして、次いでその上に立って第二次評定を、たとえば東海研
究所の場合でございますと東海研
究所長が、さらに高い立場からその人の評定を行ないます。そのように全役職者について評定が行なわれたものが最後に人事担当
理事のもとに提出されまして、これが
理事長、副
理事長、担当
理事の間で最終的に整理しましてきめております。
-
○
山本(政)委員 私がお伺いしたいことは、つまりそういう査定というものが、私が先ほどお伺いしたように、室長としては指導能力とかあるいはその他の管理能とかいう面に欠けるということもあわせてやはり要素になるのかならないのか、その点を実はお伺いしたわけでありますが、その点はいかがでしょう。
-
○村田参考人 ただいま昇給の話がございましたので、昇給について申し上げますと、対象となりました過去一年間におけるその人の勤務状況、それから研究状況、そういったものを一次評定者、二次評定者が評定しまして、これは数字的に出てまいるわけでございます。その結果を配分しまして、そして昇給額をきめていくという制度をとつておるわけでございます。
-
○
山本(政)委員 副
理事長、実はこの人は四、五年一〇%マイナスで、ことしになって〇%になっている。何でそうなっているのですか。つまりあなたのおっしゃったような評定でやっていけば、いままでのようなやり方でいけば、当然この人は一〇%マイナスになるべきですよ、だけれども、〇%になっている。なぜ〇%になっているのだろうか。
-
○村田参考人 私も、役職者多数おりますので、一人一人の、どういうふうな最近の結果であったかこまかいことを記憶いたしておりませんが、これはただいま申しましたように、一次評定から出てきました数字によっておりますから、そういうふうに数字にベースを置いて評定した結果が、もし先生の御指摘のとおりであればそうなっただろうと思います。
-
○
山本(政)委員 四年も五年もマイナス一〇%だった人が、突然変異みたいにことしになって〇%になるはずがない。なぜ〇%になったのか。学術会議議員になったからでしょう。マイナス一〇%に本来ならばあなた方はしたい。組合活動家であったから、本来ならば一〇%マイナスにしたいけれども、学術会議の議員になったからマイナス一〇%ということでは批判があるということで〇%にしたのですよ。現実には。私の言うのがうそだというなら、ちゃんと勤務評定の四、五年前の資料を持っていらっしゃい。かくかくしかじかのためにこの人はマイナス一〇%でした、そして今度は〇%だったと、数字をきちっとあげてみてください。あなた方にはそれだけのデータがあるでしょう。データがあるなら、これもことしじゅうでけっこうですから、ぴしっと私のところに持っていらっしゃい。
-
○村田参考人 ただいま何か学術会議の会員になったからどうという御指摘がございましたが、ただいま私初めて、そういうような見方もされるのかということを知ったわけです。その勤務評定というのは、毎年一回行ないますが、それは大体二月から三月ごろでございます。学術会議の問題というのが、ことしの二、三月ごろに問題になったとは思われないわけでございます。
-
○
山本(政)委員 それでは五年前からことしまでの、要するに細目のものを、中島篤之助という人に関する限りのあなた方の勤務評定の資料を私にいただけますか。
-
○村田参考人 人事考課の記録というのは、先生御案内のとおり、どのような企業におきましても一般的に外に出さない、それは個人のことに関しますので出さないことになっております。本人が出すことについてこれを承知するというような場合は、あるいは違うかもしれませんが、一般的には、そういうものは公開の場に出すものではないというふうに私どもは考えております。
-
○
山本(政)委員 それじゃ、本人が了承した場合には、私のところへ出していただけますか。
-
○村田参考人 その点は、人事管理面の担当もおりますので、さっそく相談いたしたいと思います。
-
○
山本(政)委員 相談いたしたいのでなくて、本人がもしそれを希望するならば当然出すべきでしょう、普通からいえば。マイナス一〇%という不利益をこうむっているわけですから。だから、もし本人がいままでのあり方というものがどうも不利益であると思って、そして給与というものについて正当な判断をしてもらいたいという希望があるならば、当然出したって一向差しつかえないと思うのです。
-
○村田参考人 このような人事考課といいますものは、通常本人が自分の考課の内容を見せてくれという要求がありましても、出しておらないことは先生よく御承知と思います。
-
○
山本(政)委員 それじゃ答弁が違うじゃありませんか、前の答弁といまの答弁と。
官房長が耳打ちをしたのか、そのうしろの人が耳打ちをしたのか、そのことによってあなたの答弁は違っているじゃありませんか。
-
○村田参考人 私が先ほど申しましたのは、このような慣習の上にできておる人事考課でございますから、通常いかなる職員もそのことを外に出すことを希望しないと私理解しておるわけでございます。そういう意味で申し上げたわけでございます。
-
○
山本(政)委員 希望しているとしたらということで私が言っているわけです。あなたは希望しないという断定をしておる。もし希望したら、どうされると私は言っているのです。希望したら出していただけますか、こう言っているわけですよ。
官房長、答弁してください。
-
○
井上政府委員 原研の関係担当の
理事ともよく相談いたしまして、従来の慣行なり内部規定がどうなっておりますか、そこら辺を十分に検討してから処置いたしたい、こう考えます。
-
○
山本(政)委員 私は冒頭から聞いていると、あなた方はさっきから十分に検討してというようなことばかりおっしゃっているのです。もし人事面あるいは給与面でそういうことがあったら、それはあなた方の失態になるわけだ。責任になるわけでしょう。同時に、責任があるとするならば、あなた方はその責任というものをきちんととらなければならぬだろうし、そうしてそういう疑惑があるならば、疑惑というものをきちんとはっきりしなければならぬという責任がある立場にあなた方はあるんでしょう。確たる事実がかりになくても、そういう疑惑を持たれるとするなら、それはあなた方の指導上の責任になるのだと思うのです。何をそれをちゅうちょなさっておるのか、私には理解できないのですよ。もう一ぺん答弁してください。
-
○村田参考人 かりにその評定を受けました本人が、自分の受けた評定に不満がある。自分はもっとよくやったつもりだというような場合には、そのことに対して直上の部長なり、あるいは所長なり、上長に対して、その点を申し出ることはできるわけでございます。そのようなことがございました際には、一応そういうことをもう一度検討してきめていくという道は開かれておると思いますが、ただいま御指摘の問題について、そのようなことがあったと私、記憶しておりません。
-
○
山本(政)委員 村田さん、よく考えてください。要するに、一〇%のマイナスというものが四年続けば四〇%ですよ。かりに五年続いたら五〇%、半分ですよ。私はそういう事実がないことを実は願っているわけなんですよ。しかし、あったとしたら、やはりあなた方はそのことについて考えなければならぬのではないでしょうか、こう言っているのですよ。もし学術会議の委員に当選をしたということによってゼロ%になったのではないということであるならば、やはりいままでがマイナスの一〇%であっのがゼロ%になったという理由を本人に明らかにする必要は、私はあるだろうと思う。そうでなければ、四年間か五年間の間その人は不利益を受けているわけでしょう。それは私はあなた方のような管理者としては、やはりあるべき処置ではないだろう、こう思うから聞いているわけです。かりに私にそのことが出せないというのだったら、本人に対してきちんと説明をしてやることが、私はあなた方の親切な態度だと思うのですよ。
なぜ私がこういうことを申し上げるか。原子力の開発というのは、平和的な利用というものについては私自身も賛成であります。しかし同時に、そのことについては三原則があるわけです。自主、民主、公開という三原則があるでしょう。いま原子力開発の問題で、あちらこちらに実は多発している問題があるわけですよ。そのことに組合の人たちが講師として呼ばれたときに、近江さんのこれを見ると、客観的に私が第三者として判断しても、あなた方のおっしゃっているところに言い過ぎがある。特に宗像さんという人のおっしゃっていることに私は問題があるような気が実はするわけです。
私は原子力研
究所の性格というものは、一つは基礎的な学問というものが必要であろうと思う。一つはこの応用といいますか、研究といいますか、そういう両々相まってのことだろうと思うのです。しかし、この特別委員会の記録を見ると、公平に見て実験だけをやればいいんじゃないか、基礎的な研究は何も必要はないんだ、こういうふうに受け取れるような文章というものがあるわけであります。そして、いま名前をあげた中島さんという人に対して、間接的に批判をされているような気が実はしてならぬわけであります。宗像さんのおっしゃっていることは、「アドバンストスタディの程度のものがもう原研にたくさんいます。アドバンストスタディをやっている間はまねごとです、」こういうことを言っているわけですよ。裏を返すならば、私の判断が間違っているならば御訂正願いたいけれども、つまり、学究といいますか、机の上で基礎的な勉強をやるということは要らない、実験さえやればいいのですというふうに私は実はこれで受け取れる。そうじゃないだろう。原研の仕事というものは、片一方にはエンジニアリングがあるだろうけれども、片一方には基礎的な、グルントの研究は必要であろう、こう思うのです。そして中島さんというのは、ここに書いてあることは、つまりアドバンストスタディのことをおやりになっているのだから、こういうふうに私は受け取られてならない。そういう態度というものはノーマルな態度であるか、どうだろうか。これはあなたでなくて、
官房長にお伺いをしたい。
-
○
成田政府委員
日本原子力研究所は、御承知のように、原子力の開発利用の基本的な、基礎的な研
究所でありまして、原子力開発利用におきまして基礎研究が非常に重要でありますので、その点原子力研
究所の基礎研究に非常に大きな期待を持っておるわけでございます。原研法の第二十二条におきましても、原子力研
究所の業務としまして、第一号に「原子力に関する基礎的研究を行うこと。」とあります。第二号に「原子力に関する応用の研究を行うこと。」とありまして、応用研究はもちろん大事でありますが、その前提となる基礎的研究は非常に重要でありまして、われわれは、原研の基礎研究の充実というのを非常に必要だと考えております。
-
○
山本(政)委員 宗像さんは、ここではそう言っておりませんよ。これは十二月一日の科学技術振興対策特別委員会における速記であります。
前段がありますけれども、「そういうようなことではいけないと思って、いま一生懸命原研の中の体質
改善をし、探求をするためには実験的な精進をうんとしなければならない。実験的精進が原研では足りないのです。」こうおっしゃっているのです。そして、学位というものは三年勉強すればとれますよ、こういう言い方をしているのですよ。あなたのおっしゃることと、宗像さんのおっしゃっていることとは明確に違うのです。この点は一体どう御答弁いただけるのでしょうか。
-
○
成田政府委員 私が先ほどお答えしましたのは、原研における基礎研究の重要性という一般的な見地から申し上げたのであります。ただ、原研におきましても、予算で資金的な制約があり、あるいは人員も定員上の制約があって、そういうワク内におきまして、基礎研究と応用研究のバランスをどうもっていくかというのは、これは開発段階に応じまして、いろいろ違ってくる問題だと思います。そういう基礎研究と応用研究をどういうバランスでもっていくかという点は、原研の
理事長なり管理者の、その実際を担当しておられる方の判断でいろいろきめていくべき問題だと思います。
-
○
山本(政)委員 失礼しました。私、ちょっと訂正させてもらいたい。村田さんに申し上げたのは、給与ではなくて期末手当です。
官房長でも原子
力局長でもどちらでもいいですから、速記録を一ぺん読んでください。
私は、ある意味では科学者というのはたいへんかたくなな面もあるだろうと思うのですよ。その点は理解できます。しかし、かたくなな面ということが、少なくとも、要するに自分が管理している、あるいは指導している人事面までかたくなでは、実は困るのですよ。
これは近江さんの質問にもありましたけれども、北日本漁業経済学会に、原子力開発と漁業公害ということで、組合の人たちが招かれて発表に行くということに対して、二人の人がおろされましたね。中島さんという方と、もう一人は福田という人ですか。その理由は、所内で検討した結果、研
究所の名前を出しての発表は困るということでおろされた、こういうことでありますけれども、このおろした理由をもう一度、
官房長でも原子
力局長でも副
理事長でもどなたでもけっこうでございますから、御説明していただきたいと思います。
-
○村田参考人 北日本漁業経済学会からの講師派遣の申し入れは、同会長から東海研
究所長あてに、実際の会が開かれます直前に申してきたわけであります。ところが、それに添付されてありますところのプログラム等を見ますと、いきなり二人の名前をそこに掲げまして、そしてこの講師をお願いするというような申し入れであったわけです。原子力研
究所は、もちろんわれわれの行なっています業務に関してこれを公開していく義務を持っております。しかし北日本漁業経済学会は、われわれのほうの職員で、まだだれも会員になったことのない学会でございまして、そこから、講演題目等はわかるわけでありますけれども、事前の打ち合わせを抜きまして急に一方的な御依頼があった。そこで、さっそく所長が副所長あるいはその担当の部長と御相談したわけでありますが、いやしくも原子力研
究所ということで講師を派遣いたしますからには、その希望されておる講演題目、内容というものに対して、専門家として、あるいは所を代表するに最もふさわしい人を送るべきであろう。ところが、事前の御相談がございませんでしたために、そういうことができなかったために、お断わりしたわけであります。この点は、東海研
究所長のほうから学会のほうに電話してそのことを話しましたところ、学会のほうでも、事前の御相談をしないで、かってにプログラムを組みましたことは、たいへん申しわけないことをしたという断わりがきておるというふうに私は聞いております。
-
○
山本(政)委員 宗像さんの話によれば、不適任だから、つまり専門の事柄に対しては専門の人を派遣することが当然だと思うから、それでお断わりした、こういうふうに書いてありますね。これは間違いありませんか。
-
○村田参考人 相談の結果、この項目に対する最適の専門家ではないということだと思います。
-
○
山本(政)委員 それじゃ
官房長にちょっとお伺いしましょう。
就業規程というのがありますが、その中に(禁止行為)というのがある。「(2)職務上知ることのできた秘密をもらすこと。(3)職務上必要がある場合のほかみだりに研
究所の名称又は自己の職名を使用すること。」こういうことをやってはいかぬというものがあるわけです。専門家が行って話をすることは、職務上知っていることを話すことにならぬだろうか。専門家が行ったという場合には、そういうことでチェックをする。原子力ということで、今度はほかの人たちが行くときには、専門家でないから行かせない。つまり原子力研
究所の管理者の人たちは、あなた方の論法を使えば、組合側の人たちが行く場合には、いずれの場合でもすべて行かせないということになるのじゃありませんか。宗像さんがおっしゃるとおりのことを逆に引用するならば、専門外だから行かせませんでした、こういう議論だと思う。専門家が行ったら、今度は知り得た機密を発表したら困るから行かせません、こういうことになりはしませんか。そういうことになれば、いずれの場合でも、組合側の人たちが行くことについては行かせぬという論理になってくる、あなた方がしょうと思えばですよ。いま原子力開発の問題があちこち全国各地に起きておるわけですよ。そのときに企業の立場に立ったならば、そういう論理がちゃんと貫かれるでしょう、そういうことになりませんか。
-
○
成田政府委員 御承知のように、原子力につきましては自主、民主、公開の三原則がございまして、そのうちで平和利用を担保する意味で、公開の原則というのが非常に大事な原則になっております。したがいまして、就業規程によっていろいろ職員の就業に関する規律を取り締まっておりますが、これはあくまでも公開の原則のワク内で運用されるべきものと考えております。したがいまして、就業規程によっていろいろ許可の問題もありますが、それはやはり公開の原則のワク内での運用規制ということになっております。それから第五条におきまして、職務上知り得た秘密を漏らしてはいけないというような表現、これは秘密公開の原則は、成果を公開するということでありまして、研究の途中で、あるいは特許、工業所有権等になる前の段階では、外部に漏らしては特許にもなりませんので、そういう段階ではいろいろ機密を守る場合もあるし、またある一定の成果になってはじめて発表すべきものが途中で外部へ漏れることが適当でない場合等がありますので、これは公開のワク内における規制として判断されるのであります。また先ほど御指摘の講演の件も、テーマが原子力利用と海洋公害というようなテーマとの関連で適当な人だったら、当然その就業規程の規制のもとで講演に行けるわけでありますが、テーマ等の関連で適当であるかどうかということを管理者として判断されて処置したものと承っております。
-
○
山本(政)委員 特許に当たるようなことを公開するなんというばかなことを私は申し上げているわけでないのですよ。特許については、特許法というちゃんと規制するものがあるのですから、そのことについて公開しろとは言わぬ。私が申し上げますのは、いろいろ全国のあれこれの問題が起こっておると思う。これは安全性の問題と関連して起こっているわけでしょう。それならば、あなたにお伺いしますが、福田さんというのは保健物理安全管理部研究員でしょう。そうすると、漁業公害ということについては関連があるじゃありませんか。それをおろしておる。あなた方が、全国に原子力開発ということについて疑念を持っている人たちに対して心配ございません、こういう説明をする場合もあるでしょう。しかし厳密に見て、これは危険かもわからぬという考えを持つ人もあるかもわからぬ。それは私は両方の意見というものを、そういう問題の起こった地元の人たちに判断をさせるチャンスを与えていいと思うのです。しかし片一方の場合には押えておる、そうして片一方の場合にはあなた方はさせているわけですよ。これを見てごらんなさい。「原子力発電推進週間講演と映画の夕ベ 同時上映カラー作品ドリフターズのいい湯だな全員集合!!」と書いてある。その片方には「原子力発電所の安全性」というものを書いているじゃありませんか。
局長ここにいらっしゃい。——片一方にこんなことをさせておって、片一方では規制させているのです。どこに公開の原則がありますか。
-
-
○
山本(政)委員 副
理事長、ここのどこにあなた方の自主、民主、公開の原則がありますか。私はそういうことが正常ではないと言っているのですよ。つまりそういう考えのもとすべてのことが行なわれている。人事管理ですら行なわれているということを申し上げたいのですよ。あなたもごらんなさい。こんなことが平然と行なわれている。企業の側に立っている立場がはっきりしているじゃありませんか。どこに自主、公開、民主の原則がここに動いているか。いろいろな理屈をつけようとも、少なくともあなた方がそうお考えになったのだったならば、責任者を送って説明させるのがほんとうでしょう。私は客観的な立場から言っているのです。二人の人をおろした、おろしたならば、納得のいく説明のできる人たちをなぜ派遣しないのですか。そして違った場所においては、こういうものを麗々しく町に張って宣伝をしているわけであります。時間がないから私はあまり多くを言うととはできませんけれども、いろいろな事例がここにあるのです。あなた方がおっしゃっている自主、民主、公開の原則というのは、これならばゆがめられている自主、民主、公開の原則でしかないじゃありませんか。——答弁をしてください。
-
○村田参考人 私が先ほども申し上げましたように、今回北日本漁業経済学会の場合の専門家の問題をこういうふうに判断したということを申し上げたわけでありますが、先ほど原子
力局長の御答弁がございましたように、公開の原則にのっとって、私どもの業務に関して行なった研究の成果を積極的に発表するということには非常に努力しておるつもりであります。たとえば学会等に発表いたします論文も、年々四百件をこえております。口頭発表は六百件を数えております。そのほか原子力研
究所の刊行物として百数十件のレポート類も出しております。専門的事項につきまして、このような形で成果の公開を行なって努力しておりますが、同時に御指摘がございましたようないろいろの講演会等につきましても、それぞれの専門の講師を派遣しまして、そして一般の方々に対する、あるいは地元の方々に対するそういった原子力知識の普及ということにも努力しておるつもりでございまして、ただいま両者の間に矛盾があるというようなお話がございましたけれども、その点は私、御質問の趣旨がちょっとよくわかりかねるわけでございます。
-
○
山本(政)委員 平和利用ということであなた方が公開というものが必要であるとするならば、たとえ研
究所の中に相反する意見があっても、その両方の意見というものを地元にやはり聞かせるのがあたりまえじゃないか、こういうことを言っているのですよ。その点について公平を欠いているでしょう。そういう事実がありませんか。
-
○森山
委員長 山本君、時間の関係ございますから、適当なところで質疑を打ち切ってください。
-
○村田参考人 御案内のとおり、
日本原子力研究所は原子力基本法にのっとり、
日本原子力研究所法によって設立された公共的な機関であるということでございます。したがって、研
究所として発表いたしますこと、講演会等で述べます見解等は、これは公正なものでなくてはいけない。ここで公正と申しますのは、科学的に公正ということであります。科学的に公正を期するために、専門家というものにお願いして講演会に出てもらう、こういうことになっておるわけでございます。
-
○
山本(政)委員 私はこれでやめますけれども、
委員長にもあとで申し上げたいことがあるのですが、議論が終わってないときにやめろと言ったって、実は困るのですよ、中途はんぱで、この私の質問は一区切りついていないのですから。
あなた方は、なさっていることが公平だと思っているけれども、実は公平でないということなんですよ。つまり成規の許可を得て行こうというときに、なぜあなた方は必要以上に行くということを押えるのだろうか、それは公平を欠くのじゃないだろうか、こういうことなんですよ。そして、安全というものを心配をしておるのだったら、それに対して意見の異なる場合があったら、それは異なる意見というものをちゃんとやはり地元の人たちに納得させることが必要でしょう。もしあなた方がほんとうに自信があるのだったら、何も労組から講師に派遣する人たちを不当に押える必要がないのじゃないかというのです。つまり学問的な自信、研
究所はあなたもおっしゃったように、それから原子
力局長もおっしゃったように、基本的な、基礎的な学問をやり、あるいは実験をやる。そのことに対してほんとうに自信があるということならば、何もあなた方がそのことに対して押える必要はないじゃありませんか。もしそのことを勘ぐるならば、学問的な自信がないから行くことを押えるのじゃないかとするから、私は言いたくなってくるのですよ。そして、休暇をとって行くというようなことに対して、あなた方が押えるということから、つまりそういう予断と偏見というものが出てきている。それが人事面にも出てきているのじゃないだろうか、こう私は申し上げているのです。もう一ぺん副
理事長、御答弁をお願いし、そうして次官の考え方を聞かしていただきたいと思います。
-
○村田参考人 原子力基本法に定められました自主、公開の原則というものは、当然原子力研
究所を運営してまいりますときの基本的原則でございますので、もちろん私どもとしましては、その基本線に沿った運営をやっていくつもりでありますし、やってきておるつもりでございます。
御質問の中に、組合関係の人が許可を求めてきたけれども、それを理由もなく拒否したとかいうふうに聞こえる点もあったようでございますけれども、先ほど来申し上げておることは、たとえば北日本漁業経済学会の場合も、所に対して学会のほうからそういう話が突如として起こって、事前の打ち合わせもなく、しかも期日は目前だということで、かわりの専門家も送れなかったということでございまして、そこにあげられた人から、こういうことで学会のほうに講演したいが、どうかという話が来たわけではないわけでございます。
-
○
粟山政府委員 ただいままでの御質問に対するお答えでございますけれども、原研の職員に対する人事の管理の問題については、原研の自主的な規制にゆだねております。そして差別的なそういう処置はとっておらないように私は聞いておりますが、しかし、いままでの先生の御質問で、いろいろ先生疑問をお持ちのようでございます。それから副
理事長の説明では、私の聞くところでは、差別的な待遇をしたのでなくて、そういう講演に対する適当な研究の部門の人でなかったということなど、その他かわりに派遣すべき人の時日がなかったというようなことから送ることができなかったというような答弁だと聞いておりますが、しかし、これがもし何らかの理由でその方を不適当と認めてやらなかったというようなことに先生が御疑問を持たれるようなことがあっては、これは間違いでございますから、なおよく事情を聞きまして、そうして先生のおっしゃるとおりに、あくまでわれわれはいいはいい、悪いは悪いでもってそれをはっきりさせ、悪いならば、その悪い面が出ないように研究し、また開発すべきものでございますから、隠すということは、これは大事な、ことに重要な原子力の問題にあっては許されないことでございまするから、先生のそういうような御不安のないようわれわれは処置したいと、そのように思っております。
-
○
山本(政)委員 じゃあ最後に。
重ねて申し上げますけれども、
日本原子力研究所の保健物理安全管理部研究員福田雅明という人の予定されていたのは「原子力開発と海洋調査の現状について」、そういうことについての話なんですよ。そうすると、私はしろうとですから、はっきり申し上げられませんが、関連があるというふうに思わざるを得ないし、同時になお次官からのお話ですけれども、重ねて私は申し上げますが、
日本原子力研究所の福田さんの場合は、所のほうからこう言われているのですよ。「所内で検討した結果、研
究所の名前を出しての発表は困るということになった。したがって、福田研究員の発表は認められない」、そういう電話があったということですよ。それをひとつ覚えておいていただきたいと思うのです。
もう一つは、北日本漁業経済学会の
理事の佐藤さんという方はこう言っているのですよ。「福田、板倉両氏の発表中止の背景に何があるかはわからないが、学会という“学問の広場”で実際に原子力の研究や管理に当たっている人たちの話が聞けなかったことは非常に残念だ」、こう言っているのですよ。私はこれが地元の人たちの大方の考え方だと思うのですよ。それに対して原子力研
究所あるいは科学技術庁というものが最善を尽くしたかどうか。尽くさないであろう、明らかに私は最善を尽くしていないと思うのです。そういうことが実は原子力研
究所のあり方なのかどうなのか、あるいは科学技術庁のあり方なのかどうなのか、私はそういう点でたいへん疑問を抱かざるを得ないということなんですよ。
時間が一時間ですから、たいへん残念ですけれども、この問題について、次回にもう一ぺん保留させていただきたいと思います。終わります。
-
-
○
寺前委員 私は昨日、三菱モンサント化成四日市工場の職場状況とか労働者の労働条件について調査に行ってきました。これをめぐって一、二の質問をしたいと思います。
まず第一に、四日市といえば、私は初めて行ったのですが、天下に名をはせたところの公害の町です。それだけに、工場の中における安全衛生面については、社会的な周辺に対する悪い影響を及ぼしているだけに、さぞかしいろいろ対策を組んでいることだろうというふうに思って行ったわけですが、なかなかそうはなっていないということをいまさらのごとく知りました。
私は、まず第一番目に監督署に行って聞いてみたところ、ここの監督署は二万の事業所を担当しているそうです。三重県の五〇%以上の事業体をこの四日市でかかえているんだ。監督官は一体それでは実働どれくらいになるのかと聞いてみたら、署長さんとかそういう方がおられるから、実働するのは七人だそうです。その仕事の内容を聞いてみたら、新しい施設をつくるたびに、四日市といえば最高の技術を持ってきている企業が多いだけに、最高の技術の検査を必要としてくる。その勉強をしなければならない、定期検査をしなければならない、労働者からの苦情もある、これ七人でやっていますのじゃというのだから、これはどんなふうにして活動するんだろうかということをつくづく私自身考えさせられたものであります。天下に名をなしている四日市の工場の労働条件、その監督をする立場の監督署の状況がこれではたいへんなことだというふうに思ったわけですが、一体労働省としては監督官をどのようにしていくのか、このままでいいのかどうかということをまず聞きたいと思うのです。
私は、四日市の場合だったら、せめてこれだけの人をこういうふうにして置かなければ仕事にならなかろう——まあ多々ますます弁ずということがあるにしても、せめてこの程度のことをしなければならないだろうということを、あの二万件という事業体とあの四日市を見た場合に、どのようなことをしなければならぬというふうに考えておられるのか、わかりやすく説明をしてほしいと思う。これは予算の伴うことですから、予算に対しては、われわれはこういうふうにしてでもやっていかなければならないというかたいその態度を聞かしていただきたいというふうにまず最初に思います。
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○岡部(實)政府委員 御指摘のように、労働基準監督官が絶対数におきまして、その監督対象事業場の数あるいは事案等の処理の件数等に比較いたしまして、たいへん少ないという御指摘はしばしばいただいておるところでございまして、私どももその点は痛切にいま感じておるところでございます。
そこで、具体的には幾つかのことを考えておりますが、一つは基準局及び署の全体の監督機能を集中的に強化していくために、組織的な
改正、
改善をひとつ考えていったらどうか。と申しますのは、監督官が全国的に、いわばばらまかれておるわけでございますが、たとえば三重の場合でも四日市に実は工場、事業場は集中しておる。また監督を要すべき事案もその地区に集中しておる。そこで、たとえば四日市等の監督署について、その監督の業務については各署の監督官をいわばプール制みたいなことにしてやっていくというような、現在ある監督官の機能の効率的な強化ということが一つあろうかと思います。
それからもう一つは、事案の処理のしかたでございますけれども、最近安全衛生の問題がたいへんやかましくなってまいりましたし、また現実に労働者の安全と健康を守るためにはその方面の監督に力を入れなければならないということがございますので、そこで一般的な労働条件の監督と安全衛生等の監督のしかたについて、いろいろくふうをしていく必要がある。たとえば労働条件、労働時間あるいは賃金等の問題については、一般的な監督手法といたしましては、いわば自主的な申告的な制度もこれに加えまして、その上に立った監督を実施していく。そこで現実に監督官がいろいろな事案について直接監督を実施しなければならぬ部面に対して、その力を集中してまいるというようなことも一つの方法かと思います。そういうことで、ただいま各
局長に管内の監督の実施について最も効率的な運営の方法についての意見をいろいろ出させておるところでございます。
それから、ただ、そう申しましても、絶対数がやはり何といっても私ども足りないと考えておりますので、来年度以降一挙にふやすわけにもまいりませんので、五カ年で千名の
増員をしたいということで、初年度二百名の
増員要求をいたしておるところでございます。これは目下要求中でございますので、結果的にどうなるかは、ただいまの段階で申し上げる限りでございませんが、将来に向かっては監督官の数をふやしながら、監督機能については一、二、申しましたような線で、今後限りある監督官の監督活動を効率的に実施してまいるというような方向で進んでまいりたいと思っておるところでございます。
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○
寺前委員 私は参考のために、四日市ならどのぐらいの監督官を置いたらいいんだろうかということでお聞きしたわけですが、具体的になるとお答えしにくいのかと思いますので、この話はこの程度にしておきますが、ほんとうに工場の中における
労働災害の問題と周辺の公害の問題とは不可分の関係にあると思いますから、それだけに私は、この労働上の被害を受けないようにするために、監督官の仕事も仕事ですけれども、問題は人が配置されなかったら、そのことを何ぼ要求したって不可能だということから、これは思い切った措置をとられるように要求をして、第二の問題に移りたいと思います。
実はこの三菱モンサント化成四日市工場に行ったというのは、ここの労働者が、八月の二十日でしたか、四日市の労働基準監督署へ、水銀電解工場で電解槽の解体・整備作業の労働者原靖夫さん、二十八歳が申告をやっているのですね。労働者災害——何の申告というのですかね、飛び込んでいるのですね。飛び込んで、そしてこういう作業条件だ、作業職場の環境を
改善するために、ひとつ監督署よろしく頼むということと、自分の健康の問題についてそこに申し出に行っている。それに基づいて、監督官が労災の手続のしかたの話をしたり、あるいはそれに基づいて監督署が直接工場を調査に行くというようなことが起こったという問題を私はある本で読みまして、これは重大な問題だ。何しろ天下周知の事実ですが、水銀を取り扱っている工場というのは、全国にも三十とか四十とか五十とかあるとかいうふうにいわれておりますが、例の水俣病というのは、水銀を外へ流し出した場合に魚介類がそれを食うことによって、それがまた人間の口に入って、そしていわゆる水俣病というものになったということで、今日の公害病の中における重要な問題の一つになっているわけです。こういうような問題は、企業が軽々しくそういうものを排出した、水銀に対する取り扱いの軽視がこういうことをつくっているということを社会的に示した内容であったと思うのです。問題は、そういうものを取り扱っている工場が、その工場の労働者に対して水銀の取り扱いを軽々しくやっているとするならば、これは外に対しても軽々しくやるという問題と共通した内容を持ちますから、そういう意味では水銀を企業がどのように慎重に取り扱っているかということは重要な問題です。
で、私はたまたまその本を読んでみたら、水銀の取り扱いをめぐって、そこの労働者が水銀の病気にかかったという記事が出ているだけに、私はこれだけ世間で騒がれている中で、軽々しく取り扱っている工場がいまでもあるのか、しかもその工場が小さい企業の、施設の
改善ができないような会社でなくして、三菱ともあろう会社がそういうようなことをやっておるということになれば、これは放置しておくわけにはいかないということで、そういうことで実は私も現地へ行ってみたら、監督署の人が非常によくきめこまかい勉強をしながら、そこの労働者の労働条件について調査をしておられて、私は感心して帰ってきた。それだけじゃなくて、本省にお伺いを立てて、こういう問題をどう処理したらいいか、一生懸命やっておられるそこの監督官の立場から見ても、それだけに、私は、労働省本省がここの労働者の問題、さらにまた監督官の活動に対して積極的な手を打っていただきたいという立場から、実は質問をしたいというふうに思うわけです。
そこで、この三菱モンサント化成の原さんという人が訴えてきている問題というのは、結局のところ、あそこの会社では毎月定期検診、身体検査をやっているわけですが、私、手元にある、そこの会社でやった原さんの職場の人の尿の水銀検査、四月、五月、六月、七月の表を見ますと、六〇・五とか三八・四とか六一・七とか、一般的に運転係をやっている人の数値は、そういう数字なんです。ところが原さんと同じような、整備というのですか、そういう仕事をしている人の数値を四月、五月、六月、七月を見ると、この分野で働いている人たちの尿中水銀の数値はみんな高いんです。一一五・一とか一五三・六。その次の人のを見ると一五〇・〇、一四七・七、一四四・二。それからその次の人のを見ると、一八七・三、一六〇・五、一四七・七。その次の人のを見ると、一三七・三、二七四・五、二二五・六という高い数字があって、そうして原さん自身の数字を見ると、四月の二一九・八、五月が二五〇・〇、六月が三六六・二。
これは、一応労働省のほうで設立しておられるところの「労働基準法施行規則第三十五条第十五号に掲げる「水銀そのアマルガム又は化合物に因る中毒」の認定について」というものですが、どういう場合に認定するかという中身に「異常高値を示すもの」ということばが使っておりますが、異常高値というのは、「尿一リットル中に水銀がおおむね三百マイクログラム以上検出される場合」、この数字以上の数字が出てきているという表を見せつけられたわけです。
そこで、この原さんという方にも私、会いましたけれども、会ってみたら、原さんが頭痛をし出してたいへんな事態におちいっているのは、四月段階にすでになっている。この会社に入ったのは三十五年ですか、そうしてこういう仕事につき出したのは三十八年ごろからですけれども、ことしになってからそういうことになってきた。それで目まいがする。お医者さんにも見てもらった。初めはいろいろ、おまえは前に鼻のところの病気をしておるから、それで頭がちょっと痛いんじゃないかとかいろいろ言われてきたけれども、しかしお医者さんもこの過程の中でいろいろ調べてみると、鼻なら前のほうが痛いはずだ。それがうしろのほうが頭痛がしている。これは鼻が原因ではないということが、その後検査の中で、だんだんお医者さん自身も勉強し出してわかってくる。あるいはひざのところをたたいたら、ぽんとはね上がるという検査をやったり、これは何か原因があると思って脊髄の水を取って調べてみたり、あるいは頭を調べてみたけれども、そこには原因が全然ない。そうすると、これはやっぱり水銀かなということになって、お医者さんの現在の治療のやり方は水銀の中毒ということで、入院し、退院した後も、そういう立場で調査をしている。
そこで、原さんがそういう病状になってくるのには原因があるだろう。それじゃ水銀という原因にどういうところからなるんじゃろうかということで調べてみたら、——私も直接、会社の人にもあるいはまたお医者さんにも、労働組合の人にも御本人にも、いろいろ各般の人たちに全部聞いてみたけれども、共通して言えることは、水銀がからだの中に入る条件というのを持っておったということをだれも否定できないわけですね。それはマスクは全部に渡されるという状況にあったけれども、そのマスクは塩素を防ぐためのマスクだというふうに原さんも思っておったし、大部分の人は思っておった。そして、そのマスクをしておったら、長時間仕事をやるわけにいかぬものだから、マスクをせずに仕事をしている。しかも特に、このくらいの槽がありますが、その槽の中に、分解掃除をやるときに顔を突っ込んでやっておる。そうしたらそこの下に水銀があって、その蒸発というのが一番きつかったのではないだろうか。しかし、あれは直接見えるわけでもないし、いつの間にやらかかってしまうという結果になる。だからあのことに原因があったのではないかということは会社も否定できないし、みんなやはりそういうようなことをいまになって言っているという始末ですね。
そこで私は、ここで長々と現状を言いましたけれども、問題は、どこから考えても御本人さんは、現実にお医者さんが、判定の基準としては手のふるえがあるというのも、極端なふるえじゃないけれども、やはりあるということで、頭が重いということは事実だけれども、たとえば肝臓機能を障害するところまで極端な状況にはいっていない。労災でいうところの認定のボーダーラインの判断にあるということを現場の基準局の人も言っているし、それからお医者さんもそう言っておるわけですよ。問題は、早く認定してやって、そして職場の環境でこういうことになったのだ、だから職場環境は
改善しなければいけないし、それから本人も
労働災害の結果そうなっているのだから、その
労働災害について会社自身が補償して、からだのめんどうを見て——いま仕事中に賃金カットをしてお医者さんに行っているという事態も起こっているのですね。そういう会社の施設の結果からなったのだろうと想像できるときに、そうでない取り扱い方をいまだに受けている。それから工場の仕事の結果なったということもあったということを、やはりはっきりしてやるということによって、本人自身も原因を明確にして治療の道に専念できるし、お医者さんもまた水銀の結果だ、その水銀はここにあったのだ、この結果だからということでいま治療をやっているけれども、その治療もそのとおりでいいのだというお医者さんの激励にもなるだろうし、それから監督署の人もいろいろ調べてみたら、結局原因は、個人にほかに原因がないんだから、こういう職場環境がこうしたのだから、職場環境を直しなさいということに対しても、積極的に今後会社の指導もできるし、会社自身も、職場のあり方を他の労働者に責任を転嫁しないように、また起こさないようにさせる立場からも、この労災認定というのが単なる基準云々だけの問題ではなくして、与える影響というのは非常に積極的な意味があるということで、八月の二十日段階で出されて、すでにもう三カ月以上もたっておる今日、本省が、お伺いを立ててきているのに対して、よろしい、こういう立場から見たらどうだというような積極的な態度をぜひ示してやっていただきたいということで、労働省基準局のほうが、この問題に対してどういう姿勢で臨もうとしておられるのか、私はその点をお聞きしたいというように思うわけであります。
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○岡部(實)政府委員 先生ただいま御指摘になりました具体的な事案といたしまして、三菱モンサントの原靖夫さんの件でございますが、これにつきましては九月十七日に、四日市の監督署に認定申請が出されております。現地におきまして関係医師等のいろいろな医証等をとって調査をしたりして検討してまいったところでございますが、先ほど御指摘になりました私どもの施行規則第三十五条第十五号に掲げる水銀等による中毒の認定基準と照らして、必ずしも直ちに署の段階で認定することが困難であるという判定のもとに、いろいろな付属書類を添付して本省に稟伺をしてまいっております。その通達の中にも「個個の事例について本通ちょうの基準により難いかもしくは判断が著しく困難な場合」その他云々の場合には「関係資料を備え本省に票伺されたい。」ということが書いてございまして、この項によりまして票伺してまいっております。
そこで、これは医証によりますと、この通達で一つ示しておりまする尿中の水銀含有量等が、さっき先生自身御指摘になりましたように、三百マイクログラム・パー・リットルということでございますが、御本人の尿中水銀量の検出によりますと、あるいはその基準をこえる検出量があった場合もある、あるいはそれを下回る検出量があったりしております。そういうようなことから、いまの基準をそのまま適用した場合に、認定がそれだけでできない、いわば認定が困難だという事案になっております。そこで私どもは一般的な基準といたしましては、関係専門医の意見を聴取いたしまして、その基準を設定したところでございますので、この基準を個々のケースに適用していく場合には、それぞれのデータをさらに寄せ集めてやらなければならない。そこでただいま申請、票伺いたしました件につきましては、目下関係の専門医と相談をいたしておる最中でございまして、いまおっしゃいましたような点は十分、私どもの相談の過程において一つの判定をする場合に配慮すべき要素として考えてまいりたいと思っております。ただその場合に、やはり新しくそういう認定をいたします場合には、この基準によりがたいけれども、こういう理由で認定をするんだということを明示いたさなければならないと思いますので、それはいわば一つの基準を適用していく場合の例を開くことになろうと思いますので、その点この個々のケースの問題と同時に、一般的な判定をする場合の一つの例を設定するということから、なお十分各般の要素を検討して適正な判断をしてまいりたい、こう考えております。
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○
寺前委員 それで、私いまも言ったわけですけれども、基準局もみんな言っているのは、本省に問い合わせをしたというのは、ボーダーラインというのですか、なかなか判定としてむずかしい性格はある。しかし言えることは、どの分野の人たちも、御本人はあの会社の、あの職場環境、条件が原因で水銀を含んでいるということは、だれも否定できない状況にある。環境はそういう条件下にあった。その条件下で現象のあらわれていることも事実だ。そこまではお医者さんも、基準局の人も、会社の人もみんな言っているんだ。とすると、問題は基準との関係だけが残ってくる。こういう問題が現実の問題になっていると思うのです。だからぼくは、こういうようなことは、一定の基準という場合には必ず起こってくる問題だ、従来も起こっておった問題だと思います。そういう場合に、他にそうじゃないと立証する条件がない場合には、その環境条件をもっと尊重するという立場から一定の判断を下していく労災のやり方、こういうものを積極的に考えてみる必要があるという立場に労働省として踏み切るのかどうかという問題が、今日求められている段階じゃないかと思うのです。そういう点について、
局長さんに再度そういう立場で検討するのかどうかをお聞きしたいと思います。
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○岡部(實)政府委員 ただいまの通達によります認定基準は、症状と、それから一定の検査によって検出される水銀の含有量、これを大きな要素としてきめておるわけでございます。いま御指摘の点は、その基準の中に、その労働者が働いておる環境が、いわばそれを生み出したことに寄与したかどうか、そういった要素も基準そのものの中に織り込んだらどうか、こういうお話であろうと思います。
そこでいま御指摘の点は、なるほどそういう環境で働かなかったら、そういう症状あるいは検出量が出なかったであろうかということも当然考えられる点でございますので、それを基準の中に設定するとすれば、その環境基準そのものをどう見ていくかということを明示しなければならぬと思いますので、その辺については今後の課題として、ひとつ検討をさせていただきたい。ただおっしゃるように、そういう環境の要素を全くネグレクトするというつもりではございませんが、それを基準の中に組み込むとすれば、たとえば基準に示す場合に、その基準についての、より具体的な何かを、尺度を示さなければならぬと思いますので、この辺につきましては、従来やはり一つの職業病と申しますか、病としての側面からこれを判断してきておりますので、いま直ちに、——水銀ばかりではございませんで、一般的な問題にも波及してまいると思いますので、その点は少し時間をかして検討をさせていただきたいというふうに考えます。
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○
寺前委員 だから、全体の基準云々ということになると、また時間がかかるという問題になるし、医者の疫学的な方法によるとまた時間がかかるということになって、結
局長時間にわたって問題になっていくわけですね。それでは実際にその労働者も救われないし、関係している医療機関も、この場合は県立の病院ですか、あるいは会社病院でやっておりますけれども、たとえば民間でやっておった場合には、長期にわたって放置されると収入問題にも関係する問題ですから、これは長期にわたってやるわけにいかないわけですね。
そういう意味において、現在の一定の基準の範囲内において裁定を下す場合に、積極的にいま私が提起したような、たとえばこの人の場合だったら、その職場環境の同種の仕事をしておった人が、他の人と違った条件がみんな含まれてきているし、しかもこの人の場合に、さらに他の方法によって検査すると、水銀を大量に含んでおるということが、やはり明らかに検査の結果も出てきておるのですから、そうすると、どこから考えても、そこに起因しておるということが想像にかたくない事態にあるという場合に、私は積極的にその分野を取り入れる立場の方向で、この人の裁定問題をすみやかに処置するという方向で検討してもらえるのかどうかということを最後に聞きたいと思います。
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○岡部(實)政府委員 この具体的な案件につきましては、局からも稟伺をしてきておりますし、それは明らかに該当しないというのであげてきたわけじゃないことは、先ほどの御指摘にもありましたとおり私どもも、やはり認定が困難だ、要するにボーダーラインだ、どっちに判定したらいいかということであげてまいったと思いますので、その点については添付されましたデータを十分検討いたしまして、専門の医者の意見も十分聞きながら進めてまいりたい。ただその場合に、この案件を処理するにあたって、一般的にいま御指摘になりました環境基準というものを直接援用してやれるかどうかという点については、これは全体に及ぼす問題でございますので、いまここで直ちに申し上げるわけにもいかぬ。ただ現実に、いままでこの会社でも診断をやってきておりますそのデータもいろいろ出ておりますので、そういうことも当然添付の資料としてあがってきておりますので、総合的にその点は判断をしてまいるということにして、できるだけ早く結論を得るように関係者の意見調整をしてまいりたい、こう思っております。
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○
寺前委員 それでは時間もあれですから発言を終わりますけれども、発生源が明確な場合には、大胆にやはり処置できていけるように、しかも時間的にはすみやかに明確にさせていくというようなことで、この種の問題には積極的に乗り出していく態度をおとりになることを要望して、私の発言を終わりたいと思います。
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○森山
委員長 次回は明後二十三日午前十時
理事会、午前十時三十分委員会を開くこととし、本日はこれにて散会いたします。
午後一時十五分散会