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1971-12-14 第67回国会 衆議院 社会労働委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年十二月十四日(火曜日)     午前十時四十一分開議  出席委員    委員長 森山 欽司君    理事 伊東 正義君 理事 小沢 辰男君    理事 澁谷 直藏君 理事 谷垣 專一君    理事 増岡 博之君 理事 田邊  誠君    理事 大橋 敏雄君 理事 田畑 金光君      小此木彦三郎君    大橋 武夫君       梶山 静六君    唐沢俊二郎君       小金 義照君    斉藤滋与史君       橋本龍太郎君    向山 一人君       渡部 恒三君    川俣健二郎君       小林  進君    後藤 俊男君       島本 虎三君    山本 政弘君       古寺  宏君    古川 雅司君       西田 八郎君    寺前  巖君  出席国務大臣         労 働 大 臣 原 健三郎君  出席政府委員         内閣総理大臣官         房交通安全対策         室長      須藤 博忠君         労働省労政局長 石黒 拓爾君         労働省労働基準         局長      岡部 實夫君         労働省婦人少年         局長      高橋 展子君         労働省職業安定         局長      住  榮作君         労働省職業安定         局失業対策部長 遠藤 政夫君  委員外出席者         警察庁交通局交         通指導課長   池田 速雄君         運輸省自動車局         業務部長    小林 正興君         社会労働委員会         調査室長    濱中雄太郎君     ――――――――――――― 委員の異動 十二月十日  辞任         補欠選任   川俣健二郎君     大原  亨君 同日  辞任         補欠選任   大原  亨君     川俣健二郎君     ――――――――――――― 十二月十日  保険診療経理士法制定に関する請願赤城宗徳  君紹介)(第三〇七七号)  同(石井光次郎紹介)(第三〇七八号)  同(足立篤郎紹介)(第三一三二号)  同(荒木萬壽夫紹介)(第三一三三号)  同外一件(篠田弘作紹介)(第三一三四号)  同(坪川信三紹介)(第三一三五号)  同(中馬辰猪紹介)(第三一八七号)  同(羽田孜紹介)(第三一八八号)  同外一件(松浦周太郎紹介)(第三一八九  号)  同(阿部文男紹介)(第三二二一号)  同外一件(宇都宮徳馬紹介)(第三二二二  号)  同外一件(大野明紹介)(第三二二三号)  同(大久保武雄紹介)(第三二二四号)  同(大竹太郎紹介)(第三二二五号)  同(奧野誠亮紹介)(第三二二六号)  同(鍛冶良作紹介)(第三二二七号)  同(仮谷忠男紹介)(第三二二八号)  同外一件(神田博紹介)(第三二二九号)  同(菅野和太郎紹介)(第三二三〇号)  同外一件(小峯柳多君紹介)(第三二三一号)  同(坂本三十次君紹介)(第三二三二号)  同(塩谷一夫紹介)(第三二三三号)  同(白浜仁吉紹介)(第三二三四号)  同(地崎宇三郎紹介)(第三二三五号)  同(中尾栄一紹介)(第三二三六号)  同(中川一郎紹介)(第三二三七号)  同(中村寅太紹介)(第三二三八号)  同(中山利生紹介)(第三二三九号)  同(中山正暉紹介)(第三二四〇号)  同(永山忠則紹介)(第三二四一号)  同(橋本登美三郎紹介)(第三二四二号)  同(橋本龍太郎紹介)(第三二四三号)  同(服部安司紹介)(第三二四四号)  同外一件(福田篤泰紹介)(第三二四五号)  同(福田一紹介)(第三二四六号)  同(古川丈吉紹介)(第三二四七号)  同(本名武紹介)(第三二四八号)  同(前田正男紹介)(第三二四九号)  同(松田竹千代紹介)(第三二五〇号)  同(三木武夫紹介)(第三二五一号)  同(向山一人紹介)(第三二五二号)  同(村山達雄紹介)(第三二五三号)  同(森喜朗紹介)(第三二五四号)  同(森下國雄紹介)(第三二五五号)  同(森山欽司紹介)(第三二五六号)  同(山下徳夫紹介)(第三二五七号)  同(山本幸雄紹介)(第三二五八号)  同(綿貫民輔紹介)(第三二五九号)  同(池田清志紹介)(第三二六〇号)  元満鉄職務傷病社員等に対する戦傷病者戦没者  遺族等援護法適用に関する請願井上普方君紹  介)(第三〇七九号)  同(内田常雄紹介)(第三〇八〇号)  同(荒木萬壽夫紹介)(第三一二八号)  同(後藤俊男紹介)(第三二六二号)  国民健康保険改善に関する請願江田三郎君  紹介)(第三〇八一号)  医療事務管理士法制定に関する請願外四十九件  (大野明紹介)(第三〇八二号)  同(荒木萬壽夫紹介)(第三一三〇号)  同外九件(坪川信三紹介)(第三一三一号)  せき髄損傷者に対する労働者災害補償保険の給  付改善に関する請願伊藤宗一郎紹介)(第  三〇八三号)  同(川村継義紹介)(第三一七七号)  海洋戦没者実態調査促進に関する請願(坪川  信三君紹介)(第三一二九号)  民生委員児童委員増員等に関する請願(植  木庚子郎紹介)(第三一七一号)  同(藤本孝雄紹介)(第三二一九号)  看護婦不足対策に関する請願斎藤実紹介)  (第三一七六号)  生活保護基準引上げ等に関する請願浦井洋  君紹介)(第三一七八号)  同(島本虎三紹介)(第三一七九号)  同(谷口善太郎紹介)(第三一八〇号)  同(津川武一紹介)(第三一八一号)  同(寺前巖紹介)(第三一八二号)  同(土橋一吉紹介)(第三一八三号)  同(東中光雄紹介)(第三一八四号)  同(松本善明紹介)(第三一八五号)  同(米原昶紹介)(第三一八六号)  同(寺前巖紹介)(第三二六七号)  清掃事業地方自治体直営化による転廃業者の  補償救済に関する請願平林剛紹介)(第三  一九〇号)  原爆被害者援護に関する請願古川雅司君紹  介)(第三二二〇号)  労働災害以外によるせき髄損傷者援護に関す  る請願千葉七郎紹介)(第三二六一号)  医師、看護婦の増員に関する請願石橋政嗣君  紹介)(第三二六三号)  同(寺前巖紹介)(第三二六四号)  同(柳田秀一紹介)(第三二六五号)  同(米田東吾紹介)(第三二六六号)  身体障害者福祉法に規定する内部障害者援護  に関する請願寺前巖紹介)(第三二六八  号)  同(金丸徳重紹介)(第三二六九号)  同(久保三郎紹介)(第三二七〇号)  同(河野密紹介)(第三二七一号)  同(田邊誠紹介)(第三二七二号)  同(堂森芳夫紹介)(第三二七三号)  同(細谷治嘉紹介)(第三二七四号)  同(松本七郎紹介)(第三二七五号)  同(八木昇紹介)(第三二七六号)  国民年金法年金内容改善に関する請願(青柳  盛雄君紹介)(第三二七七号)  同(小林政子紹介)(第三二七八号)  同(寺前巖紹介)(第三二七九号)  同(林百郎君紹介)(第三二八〇号)  同(不破哲三紹介)(第三二八一号)  同(山原健二郎紹介)(第三二八二号)  同(米原昶紹介)(第三二八三号)  同(石橋政嗣君紹介)(第三二八四号)  同(勝間田清一紹介)(第三二八五号)  同外七件(川崎寛治紹介)(第三二八六号)  同(後藤俊男紹介)(第三二八七号)  同(佐藤観樹紹介)(第三二八八号)  同(田畑金光紹介)(第三二八九号)  同(楯兼次郎君紹介)(第三二九〇号)  同(堂森芳夫紹介)(第三二九一号)  同(中村重光紹介)(第三二九二号)  同(楢崎弥之助紹介)(第三二九三号)  同(西田八郎紹介)(第三二九四号)  同外十五件(華山親義紹介)(第三二九五  号)  同(細谷治嘉紹介)(第三二九六号)  同(八木昇紹介)(第三二九七号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 十二月九日  老齢福祉年金改善に関する陳情書外一件  (第一五一号)  難病者救済基本法早期制定に関する陳情書外  一件(第一  五二号)  原子爆弾被爆者医療等に関する法律の改正等  に関する陳情書外二件  (第一五三号)  徳島県島田島に勤労者総合福祉センター設置に  関する陳情書(第  一五四号)  結核対策拡充強化に関する陳情書  (第一五五号)  社会保障充実強化等に関する陳情書  (第一五六号)  老人医療費無料化に関する陳情書外一件  (第一五七号)  老人福祉対策に関する陳情書外一件  (第一五八号)  同外三件  (第二三五号)  医療費及び調剤費値上げ反対に関する陳情書  (第一五九号)  健康保険法の改正に関する陳情書  (第二〇四号)  薬事行政改善に関する陳情書  (第二〇五号)  原爆傷害調査委員会調査研究継続等に関する  陳情書(第二二七  号)  二歳児以上に対する種痘(薄痘苗)の早期接種  等に関する陳情書  (第二二八号)  国民健康保険制度の改革に関する陳情書  (第二  二九号)  建設国民健康保険国庫補助増額等に関する陳  情書(第二三〇  号)  失業対策就労労務者に対する手当の段階制実施  撤回に関する陳情書  (第二三一号)  失業対策事業就労わく大幅削減撤回に関する  陳情書  (第二三二号)  水道法改正等に関する陳情書  (第二三三号)  夜間保育所制度化に関する陳情書  (第二三四号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  労働関係基本施策に関する件      ――――◇―――――
  2. 森山欽司

    森山委員長 これより会議を開きます。  労働関係基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。島本虎三君。
  3. 島本虎三

    島本委員 大臣だけであります。したがって、大臣にひとつ所信をただしたい。就任の際の所信表明は、私も印象にあるわけであります。アメリカ労働省週休三日を検討中である、しかるにわが国においては二日にも及ばないような状態になっておる、せめて週休二日にしなければならない、このような一つの名言があったわけであります。これは自由主義の国でGNP第二位の日本労働施策の中で生きることばだ、そういうふうに思っておるわけであります。この構想についてどう進めているのか。当然これに対してはいろいろな意見もあろうかと思いますが、その進め方、構想大臣に承りたいと思います。
  4. 原健三郎

    原国務大臣 お説のとおり、私就任以来、国際的視野に立って労働問題を再検討すべきときに到達しておる、こういうことを申し上げました。で、国際的視野に立ってまず労働時間だけ見ましても、御承知のように、日本ではほとんど九割が週休一日であります。ヨーロッパ及びアメリカ、ソ連などでは週休二日であります。国際的視野に立って考えるときに、日本では働く時間が非常に長過ぎるということを痛感いたしております。  それで、どういうふうに進めておるかというと、私はそういう見解で、週休二日でよろしいと思っております、国際的視野に立っても、世界大勢としても。しかし私一人で突っ走っても皆がついてこない場合は困りますので、労働大臣諮問機関である労働基準法研究会というのがございまして、石井さんが会長で、そこに諮問しておき・ましたところが、もうすでにその答申が、新聞にも出ておりますように、世界大勢として週休二日制がよろしいだろうという答申を、正式なものはきょう午後四時ごろいただくことになっております。これも非常にそういう基礎づけとなるものであるし、その他各新聞においても、これを世の流れであるということを強調していただいておりますので、これからこれを踏まえて具体的にさしあたって行政指導、さらにこれは労働基準法についても検討すべしという研究会からの答申が出ておりますので、それら等々をこれから検討していきたい、こう思っております。
  5. 島本虎三

    島本委員 当然、国民福祉の優先、こういう見地と、現在日本の置かれておる国際経済立場から公正な競争をするという、この両面からしても、いまや日本はそういうふうな情勢にまで踏み切らなければならない時期に当然あったわけであります。大臣がいまそれを発想として出して大向こうのかっさいを博しておりますが、これはおそきに過ぎているのではないか。むしろこれを何年か前にすでにやっていることによって、いわばドル・ショックによるところのいろいろな経済的なこういう不安の解消に役立ったのではなかろうか、こういうふうに思うのであります。しかしいまそれを言ったということは、おそきに過ぎたといえどもまことに当を得た措置であり、おそらくこういうような問題を推進するにしても、当然大臣承知のようにいろいろな障害もあろうと思います。こういうような障害は乗り越えてこそ、労働省の設置された意義があり、大臣の発言の意義もあろうかと思うのでありまして、この点はどのような困難があってもやるんだ、こういうような点についてはっきりとした決意を持っておいてもらいたいと思うんです。  それと同時に、これを進めることによって、基準法で定められた週四十八時間制というようなものの再検討とあわせて、週二日を一般化してこれを促進させるということになると、当然考えられるのは、現時点において有給休暇完全消化ということさえも現在行なわれておらないわけであります。  それと同時に、あのマル生運動にかかるところのいわば不当労働行為の問題、こういうようなものも、大臣の目の前で論議されましたから十分知っておられると思います。これを基準法に従って有給休暇を受けたいとしても、いまの情勢はなかなか簡単ではないような情勢にあることは御存じのとおりでありますから、それとあわせてこういうような行政指導だけは、労働省他省に関することであるからという遠慮が若干あるようでありますが、こういう遠慮だけは労働省ある限り必要ないのであります。他省が何とあろうと、これは労働基準法であって労働基本であるということからして強力なる指導、こういうようなものがなければならないはずだ、こういうように思っております。いまの発想、確かにりっぱです。しかしそれに付属する現在の時点においてのいろいろな慣行、これはなかなか封建的なものがあります。この辺のギャップを完全に割り切って進まなければならないと思いますから、大臣においてもこの点は十分留意し、おそらくははっきりしたこれに対する決意もあろうかと思います。これに対して一応伺っておきたいと思うわけであります。
  6. 原健三郎

    原国務大臣 週休二日制のほうから申し上げますが、これは世界大勢であるし、私の見通しでは日本においても、もう五、六年のうちに、ほとんどこれが実施されていくであろうと思っております。なるべく早くこれが実施に移ることを希望しておるのであります。現に千人以上の工場においては、三割五分ぐらいがすでに週休二日をやっております。千人以上の大工場においては、これから急速に二、三年のうちにほとんど週休二日制になろうと思います。  しかも、私がもう一つ申し上げたいのは、労働省でことしの五月に、週休二日をやっている会社千五百会社について調査いたしました。これは大会社、中会社、小会社が入っております。それでその利害得失どうであったかというこまかい調査いたしましたら、週休二日をやってマイナスだけであった、何の得るところもなかったというのは、千五百社の中でわずかに七会社であります。だから九九・五%という、もう圧倒的なものは、何らかの利点があったという調査になっております。これは一番いいのは、新規学卒者を採用するのには効果があったとか、第二番目には能率があがった、第三番目には遅刻、欠勤がなくなった、そういう非常な効果もあるし、ほとんど効果が少ないというところでも、休み得であった、休んだだけ得した、これが少しありますが、結局マイナスだけで全然休んでつまらぬというのは、千五百社の中でわずか七会社ですから、私なんかもその結果を見て、こまかい資料が出ておりますが、またその他別の統計をとりましても、健康上いいとか公害がなくなる等々、驚くほど結果がよくなっております。週休二日制の一番の利点は、生産性が向上することにあります。日本では何でも九〇%が週休一日であります。どうもこれがあまり定着し過ぎたので、休めば損をするように思いますが、決して損ではなくて、能率もあがるし、使用者労働者もその他もいいことのみであると申し上げていいくらい効果があります。それをぜひもっと知らせてPRし宣伝し、行政指導して進めていきたいと思っております。  第二におっしゃった、有給休暇を完全に消化する、これもいままでの習慣でわりあい少ないのでありますが、当然のことでありまして、有給休暇を完全に消化するように行政指導をやっていきたい。しかも、有給休暇など休んだほうが能率があがるのであるということをよく周知徹底させてやりたいと思います。ただこれが、二日休んだ結果生産性がうんと落ちるというのではやはりそれはちょっと問題になりますが、休んで生産も上がるし、休んだだけ効果があるというのでありますから、われわれは信念を持ってこれを進めていきたい、こう思っております。
  7. 島本虎三

    島本委員 これは進めてもらいたいと思います。これは当然世界先進国としての共通の土俵の上ですから、休日、そういうようなレクリエーションを含めた世界的な一つ共通の舞台の中で、休暇こそ勤勉の泉であるということで、ぜひそういうふうに進めてもらいたい、実施をしてもらいたい、こう思うわけであります。  最後に、その問題とあわせて、大臣、前から問題になっておる点は、定年制延長であります。これは前大臣でも、五十五歳の現行のものから手を加えなければならないが、これは直ちに六十歳ぐらいのところへは手が届かない、こういうような答弁が前大臣からあったわけです。これが賢明なる原大臣に受け継がれたわけですが、定年制延長の問題については不敏にして私は新大臣から聞いておらないのでありますが、この点等についてひとつ御所見を承りたいと思います。
  8. 原健三郎

    原国務大臣 定年制延長、大体五十五歳が定年ですから、六十歳にするという問題であります。これは労働省機関になっておる産業労働懇話会——日本の財界の一流トップクラス労働組合の幹部、それに学識経験者が寄った産業労働懇話会というのがあります。この会議においても、定年制延長するのについては、労使とも、学識経験者も合わせて三者において、まず五十五歳から六十歳にしてもいいであろうという結論が出ております。そういう機関意見もありますので、私どもはそれを尊重して、これも行政指導をして六十歳のほうに持っていきたい、こう思っております。
  9. 島本虎三

    島本委員 では次に、いわゆる中高年齢雇用促進法、これをめぐりまして、国会や雇用審議会、また中央職業安定審議会、こういうような場所での審議の過程においてのいろいろな問題がございまして、その確認事項もいろいろ出されました。われわれも、右に向いていた法律を左に向きを変えさせたというほど修正に応じてくれた、その態度を了解して賛成してあげた法律でありますから、その確認事項については一つ一つこれを実施してもらわなければならない、われわれとしてはこういう監視の義務も当然あるわけであります。そういうようなことからして、雇用情勢の最近の悪化に対応して今後の失対事業も、中高年齢者求職手帳制度や、また特定地域開発就労事業等の運用、この適正な措置をとっているかどうか、これについて順次承っていきたい、こういうふうに思うわけであります。  まず第一に、前回も質問し、時間の関係で中途はんぱになってしまったわけでありますけれども、この措置実施しようとしている最中に、高知県の土佐清水市の三崎地区、この方面で大量の措置を受けたいという人の申し出があった。しかし一日おいて、ほんとうに措置を受けたい——失対に戻りたい人ならば戻ってもよろしいがという申し出があった。したがってこれにこたえて、また二日目に、戻りたいといって申し出た人がおった。一日違いでこれが不当な扱いを受け、いまだに就職支度金も受けられず、宙ぶらりん状態にしておるような状態があるように拝聴しております。これは十分調べた上で善処する、こういうようなことになっておりましたが、それ以来善処されたという報告もないのであります。これは重大な問題でもありますし、法を施行する上から、やはり一つミスであってもこれを是正して万遺憾なきを期さなければならない立場にあろうかと思います。その後のこの様子がどうなっているのか、ひとつ説明を願いたいと思います。
  10. 遠藤政夫

    遠藤(政)政府委員 ただいま島本先生指摘土佐清水の失対就労者で、九月三十日までに自立を希望する人で、いま御指摘のような状態に置かれている人が十五名おるわけでございます。前回委員会でちょっと御説明申し上げましたように、この十五名の人たちは、九月三十日までに自立申し出をいたしまして、その後就労者団体が取りまとめて撤回の申し入れをいたしてきております。こういう人たちにつきましては、本人の意思を確認いたしまして、就職なりあるいは自立なり、もし就職を希望する人につきましては積極的に就職あっせんをする、こういうことで現地で手続をとるようにいたしておりますが、実は最近まで就労者団体と県の間でいろいろ話がございまして、十二月十五日までは積極的な就職あっせん活動をやめてほしい、十五日以降にしてほしいという話がございまして、実は今明日から就職あっせん活動を始める予定になっておるようでございます。ただその十五名のうち、すでに数名は就職している人もあるようでございまして、そういう人たちにつきましては、就職支度金組合から一括返還されたままになっておりますので、早急に本人手元に届くように手配いたしております。  大体さような状況になっております。
  11. 島本虎三

    島本委員 現地のほうでは、労働省からの指示はあったけれども、失対復帰ということではなく、仕事紹介せよということであった。したがって失対復帰は、労働省がそうせよと言えばそうするが、いまの状態ではそうせよと言わないからしない、こういうふうに言っているということが現地からの手紙で私の手元に来ているのです。そうするとこれはやはり十五名の人、すでにいま報告のあったような措置を受けた人もあり、そうでない人も中にはあるようでありますから、これはいろいろなその当時の情勢からして、行政当局ミスが全然なかったということはいえない。いかにこれが恩恵的な措置であろうとも、いろいろ誤解を生むようなこともあったことは認めざるを得ません。それでこの土佐清水の分室と呼んでおる職安ですが、ここで実情をよく聞いて仕事あっせんを行なう、こういうようなことになっているそうでありますけれども、その安定課長労働省に対して、高知県で問題を処理するから、こういうような返答を向こうからもしてきている。両方とも何かこれは黙って死ぬのを待っているような状態で、宙ぶらりんにしたままで、あえて措置をはっきりさせないままに現在に至っておるのではないか。これはやはり重大な問題ですよ。たとえ十五人であっても、この中にはからだの弱い人もおるだろうし、生活に困る人もいるはずです。そして、支度金宙ぶらりんになったままで、もらわないままにして仕事もない。こういうふうに宙ぶらりんにしておくことはまことに不幸であります。したがって、やはりこれらは、働けない人もあり、失対に復帰することを希望し、現在までがまんしている人もいるようでありますから、これは一方的な就職あっせんにこだわらずに、やはり十分話し合いの上で善処してやる必要がある。ことしじゅうといってもすでに十二月ですから、早きにこれを処置しなければならない状態にあることは御存じのとおりなんですが、これはやはりことしじゆうに処置すべきである。これ以上来年まで延ばすことは罪悪である、犯罪につながるものである、こうも考えますので、こういうことのないように年限を付して、ことしじゅうにこれを解決するようにしたい。それも一方的な就職あっせんばかりにこだわるという行き方ではなく、手続上のミスもあったのであるから、その点話し合いをして、戻すべきは戻すというような立場に立って善処を望みたい、こういうように思います。これに対してひとつはっきりした見解を表明願いたい。
  12. 遠藤政夫

    遠藤(政)政府委員 ただいま先生御指摘のように、もう年の瀬も迫ったことでございますし、十五名のうち大部分の人がそういう状態に置かれておりますことは私も適当でないと思いますので、できるだけ年内に解決いたすように現地のほうにも指示してまいりたい、かように考えております。
  13. 島本虎三

    島本委員 できるだけというと、できなければという反語が当然あるわけでありますけれども、そういうようなことじゃなく、ことしじゅうにやる、そこにめどを置いていまのような発言があったものであるというように私は解釈いたしまして、住局長のこれに対する決意をひとつ承って次に進みます。
  14. 住榮作

    ○住政府委員 この件については私も実情を聞いておるわけでございますが、手続上のミスがあったかどうかは別問題といたしまして、ペンディングな状態にあることは事実でございますので、ただいま失対部長から申し上げましたように、とにかく不安定な状態に置く、こういうことではいけませんので、就職をする人はしていただく、あるいはできない者についてはどのように措置をするか、そういうものを含めまして年内というめどで対処してまいりたいと考えております。
  15. 島本虎三

    島本委員 これは私、これ以上追及するのはやめておきたい。皆さんの処置に期待したいと思います。一方的な考えで強圧的に指導し、それをさせるようなことをしないように、十分その意見等も聞いて、万遺憾なきを期しておいてやってもらいたい、こういうように思っております。私どもも常にこれは関心を持っておりますから、この点は強く要請しておきたい、こういうふうに思います。それはよろしゅうございますね。——じゃ、よいということを確認しておきます。
  16. 住榮作

    ○住政府委員 御趣旨のような線で、先ほど申し上げましたように年内めどで努力してまいりたいと思います。
  17. 島本虎三

    島本委員 次に、失業対策事業についてお伺いいたしますが、やはり法が残り、中高年齢者雇用促進法というようなものも現在施行されております。当然残っておる人は失対の中におるわけであります。そうなりますと、もうすでに行なうべき手段、措置等は終わったんだ、もうすでにその法に基づいて的確な措置をしなければならない状態になっておるものである、こういうように私は理解しております。したがって、いろいろなことはあったでしょうけれども、失対賃金はやはり就労者生活を安定させるという見地に立って、さしあたりベースアップも考えてやらなければならないような状態にあるのではないか、こういうように考えられるわけであります。この点では十分考えがあることだと思いますが、ひとつ伺っておきたいと思います。
  18. 住榮作

    ○住政府委員 失対事業就労者に支払う賃金、これは先生御承知のように、労働大臣諮問機関でございます失業対策事業賃金審議会の意見を聞いて定めることになっております。賃金は、法律にも原則が書いてございますが、そういう原則に基づいて賃金審議会がきめることになりますが、すでに、それをどうしていいかということにつきまして労働大臣からの諮問も出しまして、現在審議をお願いしておるところでございまして、そういう審議会の意見を聞きまして公正妥当な賃金をきめてまいりたい、こういうように考えております。
  19. 島本虎三

    島本委員 公正妥当ということばはなかなか意味深長であります。それなら具体的に、積雪寒冷地における現行のいわゆる石炭手当といわれておるもの、寒冷地手当といわれるもの、こういうものの制度化を当然確立すべきじゃないかと思います。失対といえども、身分はというと非常勤の特別職の地方公務員の身分でありますから、そういうような点からして、当然いまのように積雪寒冷地手当の制度化も確立の方向を目ざして進むべきじゃないかと思いますが、この点についての御見解を承ります。
  20. 住榮作

    ○住政府委員 失対事業の賃金をどうきめるか、これは明瞭に法律には、同種の労働者に支払われている賃金を基準としてきめろ、こういう賃金決定の原則がうたわれております。従来からもその原則に基づきまして、先ほど申し上げましたような賃金審議会の意見を聞いてきめておるわけでございます。  そこで積雪寒冷地におきましては、とはいうものの就労者生活の実態ということもございますので、賃金の冬季加算という制度を実施してきておるわけでございます。先生のおっしゃることは、そういうことじゃなくて、明瞭に制度化をすべきじゃないか、こういう御趣旨かと思いますが、一つには、そういう失対事業就労者の賃金決定の原則からの問題があるわけでございますので、それをどう制度化するかということにつきましては、いろいろ困難な問題があろうかと思いますが、御趣旨の点いろいろ考えまして検討は進めていきたいと考えております。
  21. 島本虎三

    島本委員 次に、夏季・年末手当、これは臨時賃金になっておりますけれども、これについても昨年度の国家公務員は、夏季においては〇・一カ月、それから年末においては〇・一カ月、それぞれ増額されております。本年度夏季〇・一カ月分の増額されている分についても、失対事業についても当然これは考慮すべきじゃないのか、こういうように思うわけでありますが、この点等についてはいかがお考えでありましょうか、どういう措置をこれからとらんとしておるものでございましょうか、ひとつ御高見を拝聴させていただきたいと思います。
  22. 住榮作

    ○住政府委員 まず本年度の年末分につきましては一日分、これは従来よりは支給方法は変わっておりますけれども、考慮をいたしております。夏の分につきましては、公務員の引き上げの関係等従来の慣例から考えまして、ことしの夏については前年同額の支給をとったのでございますが、来年の夏についてどうするか、こういう問題といたしまして、現在失業対策事業賃金審議会でその取り扱いについて検討をお願いをしておる段階でございます。
  23. 島本虎三

    島本委員 同種の問題についてはこれで二回目の質問なんですが、前回意を尽くせなかった点だけをいまここでやっているので、なるべく前回の重複を避けていきたい、こう思っておりますから、ひとつその点は十分考えて、あまり前回とダブらないような答弁にしておいてもらいたいということを希望しておきます。  それで、手当の支給要件が前回いろいろ述べられました。そしてそれもいままでよりは一日分ふやした手当にして支給するのである、こういうふうにいって四段階に分けておるようであります。そうすると、四段階に分けて一日ふやしたのだから、これは喜ぶはずだ、こういうふうに思われるようでありますが、意外にその支給の条件が過酷な点等がいろいろあり、この問題に対してそのまま感謝しながら受け入れられておらないような傾向が見受けられるようであります。この点等については、支給の要件の緩和という点をあわせて十分配慮しなければならないのじゃないか、こういうふうに思うわけでありますが、この点どういうようにお考えですか。  具体的に言うと、支給の要件はきつく、病気の人が早く帰ったりしたならばそれはもう就労したことにみなさないとか、または早退してもだめだとか、それから、失対の事業で民間就労に出かけていってもそれが排除されるとか、いろいろ要件が加わっておるようであります。改正前までは、月に一日、半年で六日だとすると満額出ておったわけです。今度はそうじゃなくて、改正されて、こういう要件が強くあてはめられますから、これは同じような要件でやることは酷になるのじゃないか、こういうふうに思うのです。この要件の中には、病気通院中の者もあり、まあ場所によっては公害病、ぜんそく、こういうようなもののためにやはり医者へ行かなければならないというような職場もあるようであります。これは出勤とみなさないんだ、賃金カットしたものは一切日にちに算定しないのである、こういうことになると過酷でありまして、これはなかなか受け入れがたいものもあるのじゃなかろうかと思います。この際せっかく一日分ふやして支給するのだ、そういうようなあたたかい心を示したのであるから、それを実施する段階において逆に苛斂誅求、悪代官の標本のように思われるようなことはごうまつも避けるようにして、あたたかいものはあたたかく受け入れられるようにすべきじゃないか、こういうふうに思うわけであります。この点についてでありますけれども、いかがです。
  24. 遠藤政夫

    遠藤(政)政府委員 夏季・年末の臨時の賃金の支給につきましては、先国会で中高年法の御審議の際に、この臨時の賃金の支給方法が非常に不合理であるという御批判を受けまして、これを合理的に、月に一日働いた人も二十日働いた人も同じであるというような不合理な方法を改ためることにいたしたわけでございます。その際、当委員会で御指摘になりましたことは、そういう支給要件を合理化することによって大部分の人の生活状態に激変を与えることのないようにという御注意を受けておりました。私どもはその際にいろいろと試算をいたしました結果、支給要件を四段階に分けまして合理化をいたしましても、大部分の人がいままでどおり満額を支給されるようになるのではなかろうかということを御答弁申し上げたわけでございます。大部分と申しますのは、おそらく全体の九割以上の人が従来の一〇〇%の額をもらえるのではないかということを申し上げておいた次第でございます。実は最近一応の調査をいたしましたところが、九〇%をこしまして大体九四、五%の人が満額をもらえるというような結果が一応出ております。  その他の、一日病気して早引けをしたとか、そういったことによって一日が一日に計算をされない、こういった条件につきましては従来と全く変わっておりません。したがいまして、この年末の手当を支給いたしまして、その結果、先生御指摘のような問題、不合理、不当な状態がもし出てまいりましたならば、そういう点を改善するように今後検討してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  25. 島本虎三

    島本委員 次に、就職支度金制度、自立促進のための一つの制度、こういうようなものがあるわけでありますが、えてしてわれわれのほうには山のような陳情書または請願書がまいるのであります。その中にはやはり就職支度金の問題がいろいろ訴えられております。     〔委員長退席、大橋(敏)委員長代理着席〕 この際、中高年齢者雇用促進に関する法律も出ました。そしていままでのとおりに緊急失対法並びにその関係法律も残りました。職安法もそのまま残りました。そうなりますと、結局一線にそろって新たにスタートしたわけでありますから、それぞれの分野で十分考えてやっていいのじゃないか。これからの人は失対へもうはいれないのでありますから、入っている人は、あと何年間かたったならば自然に淘汰される。そういうようなことに対して、支度金支度金というようなことで、支度金の名目でいろいろ法的な疑義さえも起こるような行為をしなくても、ここに退職金という制度をつくってあげて、いままで十年、二十年、三十年、いろいろとやってきてくれた人に対してせめて報償の道、ということも少しことばは過ぎるかもしれませんけれども、やはり身分としても地方公務員の身分もあるわけですから、特別職の非常勤という条件はつきますが、そういうような点を考えて、やはり退職金制度というものにしてやって、この点トラブルのないようにしてやるのが私は今後のためにいい制度になるのじゃないかと思うわけです。やはり支度金はそのまま残してもよろしい。しかしながら、退職金制度というようなものをそこにつくってもなおけっこう。しかしこれを一本にして、トラブルをなくすような方法にして増額をしてやるのもけっこう。いずれもこれからひとつ新しく考えてやる方法の一つとして、これは十分考慮しなければならないのじゃないかと思うわけであります。退職金制度についてどのようにお考えでしょうか。これも今後は大いに重点的に考えておいてほしい、こういうふうに思うわけでありますけれども、これは大臣でしょうか局長でしょうか——じゃ局長に御高見を承ります。
  26. 住榮作

    ○住政府委員 先生の御指摘の失対就労者の退職金制度の問題でございますが、少し理屈らしいことを申し上げて恐縮でございますが、現在、緊急失業対策法のたてまえでは、失対就労は日々就労、日々雇用、こういうたてまえで進んでおることは御承知のとおりだと思います。そういう意味で、継続雇用を前提とした退職金制度は現在の法律のたてまえと非常にかけ離れている、こういうことになろうかと思っております。そういう意味で私ども、失対就労者が失対事業を離れて再就職なりあるいは自営業を開業される場合に就職支度金制度、こういうことでいろいろと従来も措置をとってきておるわけでございます。今回は特にその就職支度金を国の措置としまして二十五万円に、特定の期間を限りまして措置をしたわけでございますが、これは前国会におきまして法案審議のときも申し上げておりますとおり、あくまでも暫定措置である、特例措置である、こういうことでございまして、その期間が過ぎれば従来の五万円の就職支度金制度というものが動き出していく。そこで、この就職支度金制度五万円というものはいつまでたっても動かさないのか、こういうことになってくると思いますけれども、それはそれなりに私どもその改善に努力をしていくつもりでおりますが、特例措置としてとりましたようなことには非常に困難な問題があろうかと思います。そういう意味で、せっかくの先生のお話でございますが、研究はしてみますけれども、非常に困難であるということを率直に申し上げておきたいと思います。
  27. 島本虎三

    島本委員 これは少し、いままで前向きに検討するといいながらも、この点だけはうしろ向きに自信をもって答弁されたようであります。おそらくはこういうような制度というものは十分検討してみないと結論がどうなるかわからぬ。初めから結論を持っての答弁は、まさにあなた自身国会無視の答弁である、行政優先の答弁である、こういうふうにいわざるを得ないわけであります。——いろいろと不規則発言もあるようでありますけれども、しかし、それにしても退職金制度というものはいいのか、悪いのか、これを慎重に審議するくらいはまともにしないといけません。     〔大橋(敏)委員長代理退席、田邊委員長代理着席〕 それと同時に、支度金をあわせてやるか、また別々にするか、これはまた考えなさいというのですから、これは十分検討に値するのです。それはやはりうしろ向きになって確信をもって答弁することはいけないのであって、新たな事態に立ってこれは慎重に審議すべきである、こういうふうに思います。もう一つ上がって、労働大臣にこの点をお伺いしておきたいと思います。
  28. 原健三郎

    原国務大臣 ただいま住局長が答弁いたしましたように、なかなか簡単な問題でなくて、いろいろ困難があることは局長が申し上げたとおりであります。検討はさせていただきます。
  29. 島本虎三

    島本委員 検討は十分しておいてもらいたい、こう思います。  それと同時に、失対事業の運営、中高年雇用促進法の審議、こういうようなものを通じまして賃金や手当、この一つの原則的な行き方としていつも答弁の中にあがってきたのは、生活の安定につとめるという、そういうようなことだけはいつでも前についていたことばであります。したがって、それも決議の形になってもあらわれておりますから、当然それはお忘れのことではなかろうと思います。いま失対関係の賃金を見ます場合には、他のものと比較すると、産炭地開就事業事業費は五千円であります。緊就は三千百円であります。失対の場合は千三百八十二円八十三銭であります。これくらいの額では、失対に働いて、中にはいろいろと道路や家屋、こういうようなものの建設にも当たっている人もあるわけでありますけれども、そういうような点、あわせて国民に役立つ仕事、こういうようなものをするためには、資材費の点をもっともっと見てやる必要があるのではなかろうか。一方では五千円、一方では千三百八十二円、これではやはり差があり過ぎるのではないか、こういうふうに思います。したがって、この点は十分考える必要があるのじゃないか、こういうふうに思っておりますが、ひとつこれも前向きに検討し、これも結論をやはりすみやかに出すような方向を新しい予算の中で期待したい、こう思います。ひとつこれに対する見解も伺いたいと思います。
  30. 原健三郎

    原国務大臣 お説拝聴いたしましたが、予算折衝もいよいよ始まりますので、これはいつも毎年大臣折衝の中へ持ってくる問題になっておりますので、ぜひその際私からも要求申し上げたいと思っております。
  31. 島本虎三

    島本委員 では次のほうへ進ませてもらいますが、これは特定地域の開発就労事業などの特定地域措置、この方面をちょっと伺っておきたいと思います。  特定地域の指定基準、それと現に深刻な雇用失業問題をかかえている過疎地域なんかに対するこういうような指定はどうなっておるのであるか、これもひとつ伺っておきたいと思います。
  32. 遠藤政夫

    遠藤(政)政府委員 特定地域の指定につきましては、中高年法の施行に伴いまして、十月一日現在ですでに一応の指定を終わっております。前回委員会で先生御指摘ございましたように、その後雇用失業情勢の変化等によりまして、もし指定の必要が出てくればその際に追加指定をやることも考えておりますが、現在のところまだそういう具体的なデータが出ておりませんので、いずれにいたしましても来年の四月一日、新年度にはさらに指定をあらためて行なうことにいたしておりますので、その際に先生御指摘のような情勢のところにつきましては追加指定ということに相なるか、かように考えておる次第でございます。
  33. 島本虎三

    島本委員 なかなか事務的にはりっぱな答弁であります。そのとおりであります。しかし、その背景を考えてみると、九月三十日までにこの失対事業から開就事業のほうに移行をする者、こういうような者を対象にしましたから、やはりもう今月の初旬に皆さんのほうでいろいろ責任機関の責任者を集めてやったにしても、時間的にも時期的にも十分効果をあげ得なかったというような背景もあったんじゃないか。したがって、広く就労させるようにつとめるというような原則からして、予算を完全に消化する、こういうような原則からしても——これはたぶん五千名の就労ワクがあったのじゃないかと思いますが、現在二千名足らずのこういうようなワクの状態より消化されていない。これではやはりもう見通しが余ってしまうのじゃないか。これは広きにこしたことはございませんので、やはりこれを広く就労させるというような基本原則の上に立って、足らざるは補い、現在までの行政指導の面、これは忙しかったからやむを得ないが、これからは拡大してこれを考えてやらなければならないし、過疎地域ですが、過疎地域は仕事がないし、それらしいものも当然起こせない、そういうような場所にこそ必要なんでありますから、そういうような点なんか、いろいろトラブルもあるようでありますけれども、この点なんかはっきりした見解をつくっておかないと、おそらく過疎地域の問題は、言うことは簡単であっても、実際実現するためにはなかなか困難な問題点もあるわけでありまして、この点等は開就の問題には大きい一つのポイントじゃないかと思うのです。こういうような、私が言った心配がないのかあるのか。あったとしたならば、それを解消する方法をあわせて御答弁願いたい。
  34. 遠藤政夫

    遠藤(政)政府委員 御指摘特定地域開発就労事業につきましては、十月以降なるべく早い機会に事業を施行できるように準備を急がしておりましたわけでございますが、市町村の予算措置その他で、私どもの予定しておりました十月中に着工ということがなかなか困難でございまして、大体現在の状態では十一月後半から事業に着工いたしておるような状態でございます。確かに予定いたしておりました五千のワクは全部は消化し切れないような状態にはなっておりますけれども、今後御趣旨に沿いましてできるだけ拡大実施するようにつとめてまいりたい、かように考えております。
  35. 島本虎三

    島本委員 この公共事業についてですが、特定地域実施される一般の公共事業に対しては、中高年齢者の失業者、こういうような者の吸収率をきめることができるようになっておったはずです。たぶん二十二条だと思いますが、こういうようなことをやっておりますか、おりませんか。また、やっていなければこれからどうするつもりであるか、これは遠藤部長に承りたい。
  36. 遠藤政夫

    遠藤(政)政府委員 特定地域につきましては、一般公共事業への中高年齢失業者の吸収率を設定することになっておりますが、従来緊急失業対策法によりまして吸収率が設定されておりました例にならいまして、現在関係当局と吸収率の設定の準備を進めておる次第でございます。
  37. 島本虎三

    島本委員 それと同時に、この特定地域開発就労事業一つ心配な点があります。それは、事業内容や運営の方針については、この事業に就労する中高年齢者にとって無理のないものにする、こういうようなことを配慮してやっていきたい、これを言ったのは住局長でありますから、そういうことになると、実施通達、これは局長名で、求職手帳が終了した中高年齢失業者等のうち「体力、能力、職歴等からみて適格と認められる者を選定し紹介する」ということになると、当然事実上五十五歳以下——六十五歳までを労働年齢と認めながらも、結局いま言ったようにして「体力、能力、職歴等からみて適格と認められる者を選定し紹介する」ということになった場合には、当然事実上は五十五歳以下の程度に制限されるおそれがあるのではないか。いいことを言っても実際上は悪く利用されるおそれがあるのではないか、これが心配なんであります。この労働省の職業安定局長通達、職発第三五三号、四十六年十月一日、この原案に基づいて、私が憂慮するようなことがないのかどうか、これはあってはならないことですから、答弁願います。
  38. 住榮作

    ○住政府委員 私ども開発就労事業の単価、これはきめておりますけれども、それは平均単価でございまして、その事業の選び方について、選び方さえよければ、ただいま先生のおっしゃったように五十五歳以下の者でなければ就労できないというような事業実施計画ではなくて、かりに高度の事業であっても、やはり年齢の高い人でも就労できる作業なり職種があるわけでございますから、前に御答弁申し上げましたように、たとえば五十五歳以上の方がおられるにかかわらず、五十五歳以下でなければ一人も働けないような事業計画、これにつきましては十分指導なり、私どものほうで配慮もいたしまして、就労者が十分就労できるような事業計画をつくってやっていきたい、そういうような体制で指導もし、労働省でもそういう配慮をしてやってまいりたいと思っております。
  39. 島本虎三

    島本委員 いまの答弁では、氷解になりません。氷解いたしません。氷解というのは、私はもう全部了解したというわけにまいらない。出された通達、その初めから終わりまであなたの答弁とこれはうらはらになってしまった。ですから、もう少しこれは、四十五歳から六十五歳まで、こういうふうになっていたら、それまでは労働力なんですから、労働力であるということは皆さんここに断言したのですから、それはまんべんなく就労させるのだという原則でなければならないが、いまのような通達の原則でいくと、能力であるとか、それからいろいろ条件をつけられる場合には、当然それから漏れる人も出てくるのじゃなかろうか、そのおそれがないかというのですよ。
  40. 住榮作

    ○住政府委員 まさしく先生の御指摘のとおりでございまして、私どもは、漏れるようなおそれがあるような事業であってはならない、この大前提に立ちましてその通達を書いておるわけでございます。ですから、そういう趣旨で事業の計画なり運営をやってまいりたいというように考えております。
  41. 島本虎三

    島本委員 中高年齢者の求職手帳の制度がございますが、これはよくいっていますか。
  42. 住榮作

    ○住政府委員 御承知のように、求職手帳制度は、就職困難な中高年齢者が手当の支給を受けながら職業指導なり職業訓練を受けて、その再就職を容易にする、こういうことで手帳を発給するわけでございます。そこで、私どもはその制度が十月一日の施行を控えましてうまくいくように、たとえば全国の会議とか、あるいはブロックの会議とか、あるいは安定所長の会議とか、そういういろんな措置を講じましてその趣旨を徹底させておるわけでございますが、私どもすべり出しといたしましては順調にいっておるのじゃないかと思いますけれども、一部には若干のトラブルもあるように聞いております。そこでそういう地域に対しましては、私どものほうからケース・バイ・ケースによりまして具体的な指導を行なって、円滑な実施ができるような努力もいたしておる次第でございます。
  43. 島本虎三

    島本委員 この点については、やはり十分なるPRがされておらないうらみがある。それとまた、そのPRそのものに対しての考え方も不徹底のうらみがある。この点は特に今後の円満な運営を期するためにひとつはっきり申し上げておきたい。またそうしなければならない、こう思います。というのは、求職手帳の発給については制限をいろいろ付してあって、中には、「公共職業安定所に求職の申込みをしていること。」これが、もう求職の申し込みをしているかどうかによってのみ判断が先行する。それから労働組合というようなものによる手帳制度の宣伝、または組織活動の中の一環である、こういうようなことを認めるということによって、どこかの組合に聞いて来たという、これだけの言質をもってこれを拒否されるという事態もあったと承っておる。もしそれをしなくとも十分PRしておるかといったら、さっぱりそのPRもされていない。そうなった場合には、PRもしていないから組合がPRしてやる、組合に聞いて来たら、それはだめだ、これでは少し天に向かってつばをするようなものであって、自分の不明をたなに上げて制限だけ強化するという行き方で、昔そういうようなことばかりする人を悪代官と言ったのですけれども、やはりそういうようなそしりだけは今後受けないようにしなければならない、こういうように私思うわけです。そういうような点等十分考慮してこれから行なわなければならないはずでありますけれども、これに対してどうお考えでしょう。
  44. 住榮作

    ○住政府委員 私どももそういう趣旨で努力をいたしておるつもりでございます。ただ、いろいろ従来もあったことでございますが、この点につきましては、特に組合等の冷静な協力も私どもいただかなければならない点もあるかと思います。非常に集団的な求職闘争と申しますか、そういうようなことでは、やはり制度の本来の趣旨が生かされないというようなこともございまして、これは従来もそういう例があったわけでございますが、私どもの趣旨が生かされるということも非常に大事なことでございますので、そういう点、関係者の方々にも十分理解していただきまして、ほんとうにこの制度が生かしていけるように、こういうような配慮も必要であるかと思いますが、そういう点については十分注意してやってまいりたいと思っております。
  45. 島本虎三

    島本委員 もうすでに法を制定され、それぞれの立場で動いておりますから、そういうような場合には労働組合等によるいろいろな協力というものも当然必要なんでありますから、労働組合が協力することは一つの干渉であるというふうに考えて、そのもとに来た者は一切排除するというようなかたくなな態度はやはりこの際捨てたほうがいい。PRしてもらってありがとうという宣伝料ぐらい出してもいいはずでありますから、その考え方をこの機会にひとつ改めたほうがよろしい、こういうふうに思うわけであります。  同時に、私の手元に切々たる手紙が来ています。それによると、高知の一婦人でありまするけれども、地元のほうに仕事がないのだ、あってもほんのわずかしかないのだ、県や安定所では、仕事がないところに就職してもだめだ、ほんとうに仕事をするならば、県外に移転就職を認める者でなければ求職者ではないのだ、職を求めるなら、お前、県外に出ていけ、これならばまあひとつあっせんしてあげましょう、こういうようなことを申し込まれたという、一つの過疎対策の中のやり方としてまことに涙の出るような哀れな物語もあるわけであります。おそらくは過疎地域の雇用の問題についての考え方が、やはりこういうようなところでも何かを中心にずれているのじゃないか、そういうようなところにこそ開発就労事業を起こしてやればいいのであって、ないからそっちに行きなさい、こういうふうに言って移動、移籍を条件にして就職あっせんをしてやるような行き方、これは避けなければならないと思います。現にそれがあり、その陰に泣く哀れな人もあるわけでありますけれども、これに対して、大臣、こういうようなことをしては法の精神にもとりますから、これはやはり是正すべきである、こう思います。ひとつ大臣の見解を承りたいのですが……。
  46. 住榮作

    ○住政府委員 具体的なケースの話でございますので、ちょっと私から御説明申し上げたいと思いますが、具体的なケースについて私どもその実情はわかりませんが、一般論として申し上げますならば、先生のおっしゃいましたような理由によりまして手帳の発給ができない、こういうことにはなっていないわけでございますので、かりにそういうことがあれば、私ども具体的なケースに基づきまして、その是正と申しますか、指導をやっていかなければならない、こういうことであります。
  47. 島本虎三

    島本委員 いままでの答弁のうちで一番すっきりして、いい答弁です。あとから資料を出しますから、それによって十分検討し、善処してもらいたいと思います。  それで、次には失対というような問題を大きく見て、きのうでいわば沖繩の返還協定に基づく関連国内法、これが委員会を上がり、きょう本会議にかかる運びになっているわけです。ちょうどそういう中に、沖繩失対に対して一体どういう現状なのかということについて、ここで認識を新たにしなければならないわけであります。それで沖繩に失対があるのかないのか、その際には手当はどうなっているのであるか、そしてこの国内法が通ったあと沖繩の失対はどうなるのであるか、その見解をここに表明してもらいたいと思います。
  48. 住榮作

    ○住政府委員 現在沖繩には大体本土と同じ仕組みによりまして失対事業をやっております。大体就労人員が千七百人、月間の就労日数が十五日、それから一日当たりの賃金は二ドル六十四セントということになっておると思います。そこで本土復帰後の沖繩の失対事業をどうするか、こういうことでございますが、私どもといたしましては現在の失対事業就労者、これは当然本土と同じように、そして本土と同じ考え方で失対事業に就労さしていく。月間就労日数は十五日が現状でございますけれども、これは本土と同様に引き上げていく。それから賃金でございますが、これはやはり本土と同様に賃金審議会の意見を聞きまして、これは復帰がいつになるか、その時期からそういうことにな、るわけでございますが、私ども必要に応じまして賃金審議会の委員の方々の現地視察等も考えております。そういうようなことで、賃金をどうするか、こういうことにつきましても賃金審議会の意見を聞いて、本土と同じような失対事業の運営を行なっていく、そういう観点で現在予算の折衝もいたしておるわけでございます。
  49. 島本虎三

    島本委員 では、予定の時間がもう来たという委員長のお知らせでありますから結論を急がしてもらいます。残念なんですが、大事なところへ来て終わってしまったわけです。  この二ドル六十四セント、八百円からその辺のそういうような賃金であるということは低きに過ぎております。それも十五日ではこれはまことにだめです。したがって、これは本土のどの辺のランクの賃金にまでなるのか、それと同時に二十二日就労は保障されるのか、この点を明確にしておいてもらいたいのと同時に、もしいろいろな関係で本土へ来る場合にはどこの都道府県へ行っても同様の扱いを受けれるのかどうか、この辺の適用、運用についての意見を承っておきたいと思います。
  50. 住榮作

    ○住政府委員 いずれにいたしましても、沖繩の現在の賃金は本土のいずれの県に比べましても非常に低い、こういうことは事実でございます。そこで、それでは本土のどの程度のランクになるのか、こういうお尋ねでございますが、私ども先ほど申し上げましたように、これから沖繩のデータをとる、それで賃金審議会の意見も聞く、こういうことでございますので、それがどれだけになるかということは現在断定することはできませんけれども、やはり南九州の賃金というようなことも考えられるのではないであろうか、これは断定はできませんので、ただ私の現在の感覚からしてそういうようなことになるのじゃないだろうか。しかし、もちろん現在の南九州あるいは本土の失対事業の賃金も、私ども来年引き上げの努力をするわけでございますから、本年度の賃金で沖繩の賃金を考えるというわけにまいりませんので、新しい賃金に見合う沖繩の賃金はどうあるべきか、こういうことで考えるのは当然のことと思っております。
  51. 島本虎三

    島本委員 どうもすみません。これで終わります。  いま、復帰後の取り扱い、これだけは財政負担のいかんにかかわらず、これは重大な問題でありますから十分特別の配慮はしてやってほしい、これは国民の要請だと思います。それと同時に沖繩のいわば開発就労事業、こういうようなものはどうして実施するんだというような構想ははっきりしているのかどうか。それと同時に中高年齢者就職手当の問題、これもいろいろ本土の中では問題があるが、これと同じような状態にしてやっても酷であります。したがって、この点は十分善処し、あたたかく迎え入れてやらなければならないと思うわけであります。特に開発就労事業はどう実施するんだ、こういうようなことはやはりはっきりプランとして持っていなければだめです。何回も現地へ行って調査しているから、これはできていると思います。万遺憾なきを期してもらいたい。このことを最後の質問として申し上げて、終わりたいと思いますが、ひとつ大臣……。
  52. 原健三郎

    原国務大臣 いま島本先生のいろいろの御説、拝聴いたしましたが、その御趣旨の線に沿うて全力をあげて御期待に沿いたいと思っております。
  53. 島本虎三

    島本委員 終わります。
  54. 田邊誠

    田邊委員長代理 次に、古寺宏君。
  55. 古寺宏

    ○古寺委員 ただいま島本委員から失対の問題につきましてはほとんど御質問があったようでございますが、私から、ダブる面もございますが、もう一度質問をさしていただきたいと思います。  前回社会労働委員会で、約四万一千人の方々が自立促進の措置を受けたという答弁でございましたが、その後自立促進はどの程度進んでいるのか、承りたいと思います。
  56. 住榮作

    ○住政府委員 十一月末現在で集計いたしまして、失対事業就労者自立された方の数は約五万人になっております。
  57. 古寺宏

    ○古寺委員 この自立促進は、常用雇用あるいは安定した就労ということが大前提でございますが、自立された方々の職場の内容等につきまして労働省調査もし、あるいは把握して、その後の実態というものをよく調査をする必要があると思いますが、不幸にして不適確な職場に就労したために、失業したりあるいは病気でその職場をやめなければならない新たに失業した方々、そういう方々に対して労働省はどういうような救済措置をとっておられるのか、承りたいと思います。
  58. 住榮作

    ○住政府委員 まず第一点の、自立した方で常用就職された方、この方々のその後の状況を調査しろ、こういうようなことかと思いますが、私どももそのアフターケアについては、全数調査はできるかどうかはわかりませんけれども、必要に応じてそういうようなアフターケアの配慮は必要かと思っております。  それから常用就職されましてもいろいろな事情で再び離職される、こういうような方々もあろうかと思います。私どもそういう方々に対しましては、さらに安定した職業へのあっせん、それから就職の促進、こういうことで努力するのは当然でございますけれども、しかしながら、そういうような努力によってもなおかつ就職できない、こういうような方々につきましては、現在の中高年齢者雇用促進特別措置法の措置もございますので、現在の制度を利用しました就職援護措置を講じてまいりたいと考えております。
  59. 古寺宏

    ○古寺委員 自立をした方々のアフターケアの問題でございますが、全数の把握ができないということは非常に無責任だと私は考える。やはり全数の方々を把握をいたしまして、きちんと自立をなさっていらっしゃるかどうかということを見届けてあげる配慮というものが労働省には必要ではないか、こう思うわけでございますが、この点はいかがでございますか。
  60. 住榮作

    ○住政府委員 先生の御趣旨に沿って努力していきたいと思います。
  61. 古寺宏

    ○古寺委員 失対の方々が自立をするためには相当の期間と資金が必要なわけでございますが、いままでの三カ月間で自立をするというような考え方の就職支度金の増額、これは今後も十分考えていかなければならない問題だと思うわけですが、労働省はどういうふうにお考えでございますか。
  62. 住榮作

    ○住政府委員 この点につきましては、先ほども御答弁申し上げたのでございますが、そしてまた前回の法案審議の際にも申し上げたのでございますが、国で措置いたしました二十五万円というのはあくまでも特例措置である、こういうことでございますので、今後その制度を引き続きやるということにつきましては問題があろうかと思います。ただ、その後一般の、従来もやっておりました支度金五万円の制度は今後も残るわけでございますので、そういう制度によって対処していかなければならないというように考えております。ただ、その五万円がいつまでも五万円かどうか、こういう問題につきましては、私どもその点は改善の努力はしなければいけないと思うのでございますが、特例措置のようなぐあいではその改善はむずかしい、こういうことを率直に申し上げておきたいと思います。
  63. 古寺宏

    ○古寺委員 この特例措置によりまして、民間に就職し得る能力のある方々はほとんど自立したというふうに考えられますけれども、現在失対事業に残っている方々というものはほとんど高齢者であり、しかも雇用機会が乏しいわけでございます。そういうような方々がこういう就職支度金の特例措置を受けられない、今後こういう方々が就職する場合には五万円の支度金しか受けられないということは非常に不平等だと思うのです。ですから、やはりこの実態をよく調査をいたしまして、就職したい、自立したくても自立するような機会がなかった、こういう方々に対しては、いままでと同じように二十五万円の特例措置というものは考えてあげなければいけないのじゃないか、こういうふうに思うわけでございますが、労働大臣の御答弁を承りたいと思います。
  64. 原健三郎

    原国務大臣 大体、就職支度金二十五万円で自立希望の方は一応自立された。あとの方々で自立される方もあろうと思いますが、一応自立される方が自立されてしまったのでございますので、これからされる方にまた二十五万円するというのは非常に困難でございますが、さいぜん局長からも話がありましたように、五万円というのは将来もっと上げていきたいと思っております。
  65. 古寺宏

    ○古寺委員 それと逆の立場でございますが、今度は能力が実際にありながら、地域的に雇用機会が乏しいために、現在なお失対に残っていらっしゃるという方々がたくさんおるわけですが、労働省は今後は失対は三種工事のみにする、こういうようなことを言っているようでございますけれども、こういう能力の高い方々に対しては一種、二種の工事も当然存続していくべきである、こういうふうに考えるのですが、この点はいかがでございますか。
  66. 住榮作

    ○住政府委員 おっしゃるとおり、五万人の方々が自立されたわけでございまして、残られた方の労働能力だとか年齢だとかそういうようなことが変化したか、これは私どものほうで現在調査をやっておるわけでございまして、そういった残っておられる方々の体力、能力、そういうものを見た上で一種事業、二種事業、三種事業実施の割合をどうするか、こういうことで来年度予算を考えていきたいと思っておるわけでございます。  そこで、これは国全体のマクロの立場でどう見るか、こういう問題が一つと、それからそういうような構成が地域によって非常に違うわけでございますので、私どもそういう実情を考慮して、一種、二種、三種の実際の事業を割り当てる場合、そういう点を十分考慮してやっていきたい。  ただ、全体的に言えますことは、本年度と比べまして三種の割合が高くなっていく、これはある程度やむを得ないことかと思いますが、残った方々の能力、体力に応じて一種、二種、三種の工事の振り分けを考えていきたいと思っております。
  67. 古寺宏

    ○古寺委員 そこで、こういう雇用機会が乏しいために残っておられる能力の高い方々に対しては、当然能力に見合った賃金というものが確保されなければいけないわけです。先ほど島本委員からもこの賃金の問題についてはいろいろと御質問があったようでございますが、来年度の予算要求にこういう方々の賃金の確保、いわゆる見合った賃金の確保でございますね、こういう点についてはどういうふうに反映されているのでございましょうか。
  68. 住榮作

    ○住政府委員 先ほどもお答え申し上げたところでございますが、一つは、民間の同種の労働者の賃金がどうなっておるか、それから残された方々のそういう労働力事情、こういうもの等をいろいろ考えまして、現在賃金審議会でその点の検討をお願いをしておるところでございます。いずれにいたしましても、先ほど大臣が申し上げましたように、労力費の問題あるいは具体的な賃金の問題、これについての改善の努力は、ちょうど予算編成期にあたっておりますので、私ども努力をしてまいりたいと思っております。
  69. 古寺宏

    ○古寺委員 次は失対賃金の地域格差の問題でございますが、この地域格差につきましては、最高と最低の格差が二八%になっております。こういうことは失対で働く方々の生活にも非常に格差を生じていくわけでございますが、この地域格差の是正という点については、どういうふうに解消をはかるお考えでしょうか。
  70. 住榮作

    ○住政府委員 たびたび申し上げるところでございますが、失対就労者の賃金、これは類似の作業に従事している労働者の賃金、こういうものを反映してきめる、こういうことになっております。そういうようなことから地域格差が出ることはやむを得ない点もあるのでございますが、しかし先生御指摘の点もございます。そういう意味で私どもも、これは実績を見ていただければ納得いただけるかと思うのでございますが、年ごとにその地域格差が縮まってまいっておると思います。そういう意味で一つには、そういう賃金決定の原則を踏まえると同時に、御趣旨のような線で地域格差の縮小、こういうことを従来もやってまいっておりますので、その点についても賃金審議会その他の御意見も承りながら対処していく、こういう考え方でございます。
  71. 古寺宏

    ○古寺委員 国家公務員の場合も最初は非常に格差があったわけでございますが、これは非常に縮小をされております。そういう観点からいきましても、取り残されている失対の地域格差の問題につきましては早急にひとつこれを是正していただきたい、こういうふうに強く御要望を申し上げておきます。  次に寒冷地における石炭と薪炭手当の問題でございますが、現在地域によりまして差があるようでございまして、北海道の場合には冬季加算額が日額百二十円、海峡を越えた青森県では一日三十円でございます。これは、北海道のいわゆる冬季間の暖房費と、実際の青森県、秋田県、岩手県等の冬季の暖房費の実態と全然合わないわけでございます。こういうことでは寒い冬を過ごしていくことはできないし、さらにまた同じ北海道の百二十円にいたしましても、現在の生活水準からいって非常に低過ぎる。今後この石炭、薪炭手当については相当大幅な増額をはかり、さらに北海道と東北の格差、あまりにも大きなこの格差を是が非でも是正していただかなければいけない。  さらにまた、私がかつて申し上げたことがございますが、休憩所の問題、雪が吹き込むような、暖房もほとんどないような休憩所——失事業の方々はどんどん高齢化していきます。非常に病弱者も多いわけでございます。こういう休憩所の改善もはからなければならないし、さらにまた仕事の現場が非常に遠くなっております。そういう方々については、やはりマイクロバス等を用意いたしまして、不慮の事故や災害にあわないように失対の労務者の方々を守ってあげなければいけない、こう思うわけでございます。この暖房費の加算の問題、さらにはそういう事業場の休憩所等の改善の問題、そしてまたマイクロバス等の問題について、今後労働省はどういうふうな対策をお考えになっているか、どういう考慮が払われていくのか承りたいと思います。
  72. 住榮作

    ○住政府委員 前段の冬季加算の問題でございますが、これは非常にいきさつがいろいろあるわけでございまして、一つ基本的には、再々申し上げておりますように、失対事業就労者の賃金というもの、それはその地域において類似の作業に従事している労働者に払われている賃金を考えて決定し、支払う。そこで、しかしながら積雪寒冷地における就労者の実態も考えなければならないということで、まず北海道にその制度ができたわけでございます。それが逐次東北その他の地域に及んできておるのでございますが、御指摘のようにこれは格差がかなりございます。これを一挙に縮めるということは、過去のいろいろないきさつもございますので、それ自体非常にむずかしい問題がある。それからその冬季加算の制度そのものも、現行のたてまえからいっても非常に問題があるという二つの面がからみ合いまして、この解決は非常に困難かと思いますが、御趣旨の点もわかりますので、私ども今後の研究課題として取り組んでまいりたいというように思っております。  それから次が、大きくいって福祉関係の問題でございますが、暖房の問題とか休憩小屋の問題とかあるいはバス輸送の問題、これは従来からもそういう点について特に力を入れてきておったつもりでございますが、今後の問題といたしまして、それから就労者の実情、こういうことから、こういった対策こそ拡充しなければならないと思っておりますので、そういう点につきましても、来年度予算の重点項目として、私ども大いに取っ組んでまいりたいというように考えております。
  73. 古寺宏

    ○古寺委員 実際に失対で働いている方々の御家庭に行きましても、また休憩所等に行きましても——これはいままで長年日本の経済成長のために一生懸命に働いてきた、あるいは戦争の当時には非常に苦しい中で一生懸命お国のために戦った、そういう方々であります。それが非常に恵まれない現実の生活の中に置かれております。いま申し上げました暖房の薪炭手当の問題にいたしましても、制度云々はともかくといたしまして、現実に一日三十円の暖房費でこの寒さをしのいでいくということは、これは並みたいていのことではございません。こういうような実態をよく踏まえた上で、失業労務者の方々の立場に立った、そういういわゆる手当の増額というものを今後進めていただきたいし、また休憩所あるいはマイクロバス等につきましても、ただいま御答弁があったように今後は積極的にこの改善を進めていただきたい、こういうふうに強くまた御要望を申し上げておきたいと思います。  時間がございませんので次の問題に移りますが、最初に全国のハイヤーとかあるいは貨物輸送等に携わっている、いわゆる運転手の方々の監督でございますが、これにつきましてはどういうふうな実態になっているのか、最初にまず承りたいと思います。
  74. 岡部實夫

    ○岡部(實)政府委員 御指摘のハイヤー、タクシーの自動車関係の運転者の労働条件を守るという意味での監督につきましては、四十五年においては、定期監督を実施いたしました事業場は道路旅客運送業で五千百十八、道路貨物運送業で一万五百九十四、定期監督の実施率はそれぞれ四六・二%、三四・七%になっております。なお四十六年度では、まだ最終的な全部の数字が出ておりませんが、特に春秋二回の一斉監督等を重点的に実施いたしまして、春の場合には五千七百八十五、秋には六千二十五という事業場についてそれぞれ監督を実施いたしました。
  75. 古寺宏

    ○古寺委員 その監督の実施の内容はどういうふうになっておりますか。
  76. 岡部實夫

    ○岡部(實)政府委員 監督につきましては、主として私ども、先生御案内の二・九通達、これの違反がないようにということで実施いたしました。その中身は、労働時間の問題、休日の問題、割り増し賃金の問題その他、こういったような点を重点に監督を実施いたしておるような次第でございます。
  77. 古寺宏

    ○古寺委員 その中で、時間がございませんので、労働時間の違反件数はどのくらいございますか。
  78. 岡部實夫

    ○岡部(實)政府委員 最近の、先ほど申しました四十六年の春及び秋の一斉監督の場合に、労働時間につきましては、約五〇%ないし五二%くらいの違反が出ております。
  79. 古寺宏

    ○古寺委員 そこで、この労働時間等の違反が多いために、それが疲労にも結びついて、交通事故を起こす危険というものが非常に多いわけでございますが、そこで警察庁にお伺いしたいんですが、こういうような職業運転手によるいわゆる交通事故というものは、年間どのくらい起きておりますか。
  80. 池田速雄

    池田説明員 お答えいたします。  四十五年中に過労運転を原因といたしまして人身事故を起こしました件数は、全部で六千二百五十八件ほどございますが、残念ながら、この中での事業用自動車の件数は出てきておりません。ただ一般的に、事業用自動車の事故でございますけれども、近年は大体横ばい程度の数字になっております。
  81. 古寺宏

    ○古寺委員 それでは労働省にお尋ねしたいのですが、この事業用自動車の事故が六千二百五十八件あるそうでございますが、この点について労働省のほうの調査はどういうふうになっておりますか。
  82. 岡部實夫

    ○岡部(實)政府委員 交通事故そのものの数字は、私ども把握いたしておりません。
  83. 古寺宏

    ○古寺委員 それでは警察庁のほうは、こういうような事業用自動車運転手による事故防止対策として、どういうような対策をお考えでしょうか。
  84. 池田速雄

    池田説明員 御案内のとおり、過労運転につきましては、本人の自覚と、それから運転者を取り巻きます環境、特に監督の責任のある者の責任が重大じゃないか、こういうふうに考えております。したがいまして、道路交通法上は過労運転いたしますと、そのこと自体を違反としてとらえておりますけれども、同時に雇用者その他の者がそういった運転を下命あるいは容認したということでございますと、これも同時に違反としてとらえております。同時にまた、行政的には、そういうものを発見いたしました場合には、警察のほうから雇用者等に通知する。  それからまた、そういった事業用自動車の違反がございました場合には、監督の行政庁にも通知するということで、事業用自動車の場合でございますと陸運局長のほうへ警察から通知いたしております。
  85. 古寺宏

    ○古寺委員 陸運局では、この事業用運転手の事故防止対策としてはどういうことをおやりになっておりますか。
  86. 小林正興

    小林説明員 運輸省といたしましては、自動車運送事業者に運行管理制度、それから車両につきましては車両整備管理者制度、この二つを柱といたしまして、事業の内部管理を強化させておるわけでございます。
  87. 古寺宏

    ○古寺委員 ところが、実際に、労働省調査によりますと、こういう管理体制が非常に違反が多いわけですが、こういう違反を少なくするために陸運局はどういう対策をとっておられますか。
  88. 小林正興

    小林説明員 運輸省といたしましては、一つは、積極的に定期監査をいたしまして、運輸規則違反の実態が明らかになった場合に、車両の使用停止等の行政処分をいたしております。また、先ほど警察庁からお話がございましたが、いわゆる重大事故が発生したような場合、あるいは労働官署の監査の結果きわめて悪質な違反というものが起こりました場合には、運輸省側に通報がございます。そういった場合には臨時に特別監査をいたしまして、これまた運輸規則等の違反という実態が明らかになりました場合に、行政処分をいたしておるわけでございます。
  89. 古寺宏

    ○古寺委員 私がお尋ねしているのは、事故が発生してから監査をやるのじゃなしに、事故が起きないように、事故を起こさないように、運輸省としては、どういうような対策をおとりになっているか。私は、今度のこの労働省調査で見ますと、たとえばタコメーターにいたしましても、あるいは乗務員手帳制度というのがございますが、こういう手帳制度にいたしましても、ほとんどが違反をしております。ほとんどは、やっておらない。こういうような、いわゆる事故を未然に防止する指導なりそういう行政というものが行なわれなければ、事故が発生してから監査をしてこれを摘発するのでは、交通事故というのはいつまでたってもなくなりません。また、実際に運転手で働いている労働者の方々が、守られないわけです。こういう点について運輸省は事前に防止するためにどういう対策をとっておられるか、承りたいと思います。
  90. 小林正興

    小林説明員 先ほど申し上げました前段は、運送事業者に対する監査制度、これを定期的に設けまして監査をいたしておるということを先ほど申し上げたわけでございます。  そのほかに安全確保のために運輸省がとっておる措置を二、三あげてみますと、その第一は、運行管理者制度でございます。運行管理者につきまして、それの資格要件等については法令で定まっておるわけでございますが、研修、講習等を実施いたしております。また、運転者の資質向上のために、新規教育あるいは事故多発者につきましての再教育、日常の添乗指導というようなことを指導いたしておるわけでございます。  きわめて具体的な問題といたしましては、たとえば東京あるいは大阪におきますタクシー運転者につきましては、昨年、法律に基づきまして運転者の登録制度を設けるとともに研修の制度化をいたしております。それからもう一点は、運行管理指導センターというようなものを現在全国九カ所、陸運局所在地に設けまして、運転者の適性検査あるいはその結果に基づきます指導、こういったことを運行管理指導センターにおいてやっておるわけでございます。  運転者に関します安全対策としては以上でございます。
  91. 古寺宏

    ○古寺委員 実際に、これは青森県の実例でございますが、一般乗用旅客自動車運送事業のほんの三〇%ぐらいの事業所の調査の結果でございますけれども、その中で時間を記載してないものが七五・九%もある。これは労働省の責任だといえばそれまででしょうが、やはり運輸省も積極的にこういうような乗務員手帳制度あるいはタコメーターの制度等もあるわけでございますので、こういう点について、もっと具体的に積極的な防止対策というものを、指導を徹底していかなければならないんじゃないか、こういうふうに私は思うわけでございます。  そこで労働省にお尋ねしたいのですが、非常に時間の違反が多いわけでございますが、特にハイヤーの例を見ましても、青森県の例では全国の平均を越えまして九二・三%までが違反をしている、こういうような結果が出ているわけでございますが、こういう運転者の疲労対策についてはどういうふうにお考えでしょうか。
  92. 岡部實夫

    ○岡部(實)政府委員 四十二年に、特に自動車運転者の労働時間等に対します相当詳細な通達を出したわけでございます。その通達に基づきまして監督をいたしておりますが、これはほかの事業の監督についてはないことでございまして、特に運転者の労働の実態等から長時間の労働が余儀なくされる、あるいは深夜の労働が余儀なくされるということでございますので、必要やむを得ない点は別といたしまして、少なくとも、たとえば待ち時間の問題とか仮眠の場所の問題とか、あるいは全体の労働時間の短縮の問題等詳細に通達をいたしまして、その線で運転者の疲労が過度にならないようにということで指導し、それをまた重点に監督をいたしておるところでございますが、残念ながら御指摘のように必ずしもその実効があがっておりませんが、私どもの疲労の予防ということは、単に労働時間の規制だけでなくて、仮眠場所その他も含めて通達で過度の疲労にならないように指示をいたしておるところでございます。
  93. 古寺宏

    ○古寺委員 疲労度を測定するための測定器でございますが、これは全国の労働基準監督局あるいは監督署に現在何台ありますか。
  94. 岡部實夫

    ○岡部(實)政府委員 血圧等をはかる測定器は置いてございますが、ただいま御指摘の疲労の測定器は全部設置いたしておらないようでございます。
  95. 古寺宏

    ○古寺委員 疲労の測定をしなければ疲労度というものはわかりません。血圧計で血圧をはかっただけで疲労度の測定というものはできないわけです。労働省は、交通事故で犠牲になる方がいらっしゃる、片一方でまた過労のために交通事故を起こす運転者の方がいる、こういう方々の人命を守るためには、やはりこういう疲労測定器というものをまず持つ。そして疲労度を実際に測定して疲労対策を立てなければ、いかに監督だけをして、しかもそれが、ほんの限られた一部の事業所だけを抽出してこれだけの違反があるということを指摘いたしましても、いつまでたっても交通事故というもの、交通災害というものはなくならぬわけでございます。そこに私は大きな問題があると思うのでございますが、今後疲労測定器を監督局なりあるいは監督署に配置して、そして国民を交通事故の災害から守り、また一方では運転者の過労を防止する、こういう対策というものが緊急に必要である、こう思うわけでございますが、これは労働大臣から御答弁を承りたいと思います。
  96. 原健三郎

    原国務大臣 御趣旨の点は賛成でございます。しかし、これは労働監督署に置くのか、運輸省のほうにお願いするのか、陸運局もあるし等々、こまかいところは検討を加えていきたいと思います。
  97. 古寺宏

    ○古寺委員 陸運局は車のほうの疲労は測定します、安全基準のほうは。この測定器は人間の疲労を測定するわけでございますので、労働大臣が、ひとつこの点については積極的にお考えになられて、そして今後過労から起こる交通災害というものを防止していただきたい、こう思うわけでございます。  次に、労働基準監督官でございますが、せっかくこの監督官になっても何ら身分の保障というかそういうものが現在ないようでございますが、この労働基準監督官の身分保障と申しますか、待遇と申しますか、そういう点について今後考えるような方針を労働省はお考えになっておるかどうか、承りたいと思います。
  98. 岡部實夫

    ○岡部(實)政府委員 基準監督官につきましては、労働基準法の中で特に一般の公務員の身分保障にさらに加えまして、監督官を罷免する場合の特別な手続を規定してございます。分限審議会という特別な機関を置いて、そこの同意を得なければ罷免できないというようなことで、一般公務員の身分保障に加えて、この身分の、少なくとも罷免する場合の条項については手厚くしているところでございます。     〔田邊委員長代理退席、田畑委員長代理着席〕 具体的にいままで審議会等にはかった事例はごくわずかでございますが、身分保障については、いまのような基準法自体に規定を持っているところでございます。
  99. 古寺宏

    ○古寺委員 今後、やはりこの監督官については、その身分待遇についても十二分に配慮してあげませんと、肩書きだけはあっても、十分な監督というものが行なわれないのではないかと思いますので、この点についてはひとつ検討していただきたいと思うわけでございます。  次に、全国の交通事故の件数を見ますと、昭和四十五年度では七十二万件ございます。その中で自家用が七五%を占めているわけでございますが、現在労働省が春秋にやっておる調査というものは、企業の自家用車というものは対象となっておりますか。
  100. 岡部實夫

    ○岡部(實)政府委員 先ほどお答え申しました春秋二回の一斉監督の場合には、 ハイヤー、タクシーあるいは貨物自動車というようなことを対象にいたしております。
  101. 古寺宏

    ○古寺委員 それだけでは、非常に不十分だと私は思うわけでございます。特に、いわゆる白ナンバーの職業運転手による自動車というのは、相当数ございますので、今後この面の監督というものも、いままでのハイタクとか、あるいは運送事業以外のそういう方々に対しても、過労等を防止する立場から、ひとつ十分なる監督行政を進めていただきたい、こう思うわけでございます。  時間でございますので、最後に、総理府にお伺いしたいのですが、こういうふうに、日本のいわゆる交通災害というものが労働省あるいは運輸省、こういうところの十分なる指導監督というものが徹底されないために、非常にたくさんの犠牲者を出しているわけでございますが、こういう面の調整について、総理府の対策本部としてはどういう方針をお考えになっているか、今後どういう対策をお考えになっているか、承って質問を終わりたいと思います。
  102. 須藤博忠

    ○須藤政府委員 お答えいたします。  交通事故の防止のために、運転者の問題が非常に大きな問題であるということは、御指摘のとおりでございます。私どものほうといたしましても、ドライバーの事故防止ということを非常に重要視しておるわけでございます。ただいままでに、労働省、あるいは運輸省のほう、あるいは警察の取り締まりというような面を通じて、現在やっておられる事故防止対策の御説明があったわけでございますが、私どものほうは交通安全の総合調整をいたすという立場からいたしまして、この問題についても従来から取り組んでまいったわけでございます。私どものほうは、昨年制定されました交通安全対策基本法に基づきまして、ことしの三月に昭和四十六年度から向こう五年間にわたる長期の交通安全基本計画というものを策定をいたしたわけでございます。この基本計画の中におきましても、ただいままで申し上げられました関係省庁のそういう施策というものも全部取り入れまして、このドライバーの問題と安全運転の確保ということを重要視して、交通安全基本計画に取り入れております。そしてまた、これを実施していくという体制にしておるところでございます。さらにまた、これに基づきまして、各都道府県におきましても、交通安全計画というものを制定することになっておりますが、この面につきましても、運転者の事故防止という点を、各都道府県の計画策定についても必ず盛り込むように指導しておるというような状況でございます。さらにまた、私どものほうが事務当局になっております春、秋の全国交通安全運動につきましても、関係省庁と十分協議をいたしまして、安全運転の確保ということを取り上げまして、この点についての事故防止というものに重点を注いでおるような次第であります。今後とも免許人口が拡大してまいりますので、ドライバー対策というものに、さらに一そう力を入れてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  103. 古寺宏

    ○古寺委員 最後に労働大臣にお願いしたいのでございますが、実際にこのような労務改善調査をいたしましても、結論としてよく出てくる問題は、いかにいろいろな違反を指摘されましても、食べていくためにはやむを得ない、やむを得ずまた基準法に違反しても働かざるを得ない、こういうような声が非常に多いわけでございますが、こういうような問題を解決しませんと、いつまでたっても監督ばかりやっても、こういうような違反というものは減少しないと思いますが、この点について、労働大臣はどういうふうにお考えになっていらっしゃるのか、承りたいと思います。     〔田畑委員長代理退席、委員長着席〕
  104. 原健三郎

    原国務大臣 交通安全の監督を労働省としても進めますし、またその他のことは運輸省とも連絡をとりまして、そういう交通安全等についていろいろ対策を今後一そう進めていきたいと思っております。
  105. 森山欽司

    森山委員長 大橋敏雄君。
  106. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 時間が非常に切迫しておりますので、簡単に質問したいと思いますが、私は、労働基準法に関連いたしまして、若干お尋ねするわけでございますが、今日のわが国の経済成長というものは、異常といわれるほどなし遂げてきたわけでございまして、御承知のとおりでございます。ところが、その産業優先の企業の姿勢の中に、常に労働者が長時間、低賃金というものを押しつけられてきた、こういう点について、われわれは事実をもって常に労働省指摘してきたわけでございますが、労働省といたしましても、そういう問題を重視なさいまして、労働基準法研究会という労働大臣諮問機関ですか、そこにいろいろとはかっていらっしゃっておるようでございますが、新聞の報道によりますと、十四日、きょうそこの報告がまとめられて、大臣に提出される、こう報道されておりますが、はたしてそれがきょう来るのかどうかという問題が一つ。  それからその内容について、骨子としては、労働時間については、現行の週四十八時間制、一日八時間を早急に再検討せよということ。二つには、週休二日制が一般的に実現されるよう普及促進をはかること。三つには、労働基準法で例外的に認められている時間外労働が一般化し、長時間労働になっているので改善せよ。骨子としては、この三つの柱のようでございますけれども、きょうそういう内容が報告されるのかどうか、また中身についてはもう御承知と思いますので、そういう点についてまずお尋ねいたします。
  107. 原健三郎

    原国務大臣 きょう労働基準法研究会の会長さんから私の手元へ午後その答申が届くことになっております。その内容は、すでに新聞が抜いたというのですか、出ておるのは、大体間違いはございません。あのとおりでございます。  それで第二には、労働基準法に定めておる四十八時間制についても、検討を加えるべきであるということも申しております。さらにまた、週休二日制及び労働時間の短縮をはかれということも、その答申、勧告の中に入っております。さらに労働時間外の長時間についても、そういうものをよく検討すべしという、もうすでに新聞に出ておるとおりでございます。
  108. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 新聞に報道されておる内容のとおりだとおっしゃるとなれば、かなりこれは法律改正にひっかかる問題があると思うのですね。ほとんどそうだと思うのです。昭和二十二年労働基準法が制定されて以来のこれは大きな法改正になる、全面改正、いわゆる抜本的な改正になると思うのでございますが、今後労働省として具体的にどのような作業でこの問題と取り組んでいかれようとなさっているのか、お尋ねしたいと思います。
  109. 原健三郎

    原国務大臣 さいぜんお話のありました、私どもも産業優先というよりも福祉優先、人間優先の労働政策を進めていきたいと思っております。またさいぜん申し上げましたように、国際的視野に立って労働条件等を再検討すべきときにもう来ておる、こう思っております。それで、たまたまこのたび労働基準法研究会からの答申もありますので、これを主として、労働賃金のほうは、もうかなり欧米並み——アメリカじゃありませんが、ヨーロッパ並みに上がってまいりましたのに、やはり時間の問題は、ヨーロッパ、アメリカ、ソ連等では週休二日をすでに以前から実行いたしております。日本では、いま九〇%までは週休一日であります。時間がやはり長過ぎるし、国際的に見ても、どうも日本人は働き過ぎるなどといっていろいろ非難もされておりますので、いまも幸いにこの答申もありますし、私の年来の主張でもありますから、週休二日制ないし時間の短縮に向かって推進していきたいと思っております。ただし法律改正ということになりましては、いつやるか、どうするかという非常に重大問題であります。いまおっしゃったように、日本労働政策の転換ともなるべきものでございますから、十分検討して進めていきたい、こう思っております。
  110. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 慎重に検討なさることはわかるわけでありますが、気持ちとして早期にそういう方向に実現したいという決意はおありですか。
  111. 原健三郎

    原国務大臣 なるべく早期に実現するのが好ましいと思っております。しかしあまり摩擦等があっても困りますので、できやすいところからこれを実行するようにいたしてみたい。一律一体でやりますと、やはり中小企業、商売人等々、たとえば週休二日になりますと、法律をもって一ぺんにやりますと、非常にやはり摩擦もあると思われますので、その点も勘案しながら、できるところから週休二日制、時間の短縮等をやるように行政指導をいたしたい。現に大会社、一千人以上の会社などにおきましては、もう三五%ぐらいは週休二日をすでにやっております。もう五年も六年も前からやっているところもございますので、こういう大会社は、ここ数年のうちに週休二日に移行すると思っております。そしてだんだん可能なところからやるようにいたしたい。法律改正については、やはり慎重を期しませんと、一律一体にやると、いろいろな支障を来たすおそれがありますので、十分その点も配慮してやりたいと思っております。
  112. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 法律改正の点については、大臣が言われるとおり大改正になりますので、これは慎重を期さなければなりません。が、いま私的諮問機関である研究会のほうからの研究内容をまとめられて、その方向をはっきり示されたのでございますので、いわゆる行政指導というものはもう即座にやるべきだろう、私こう思います。  また骨子の一番最初の問題は、四十八時間制のことを早急に再検討せよということでございますが、これは労働省の調べでございますけれども、去年の一週間当たりの労働時間の調査では、日本は四十三・三時間、アメリカが三十七・五時間、西ドイツは三十九・一時間。しかもこの調査は従業員三十人以上の事業所についての統計であるようでございますが、この調査からいくと、日本労働時間というものは、アメリカに比べると五・八時間も長いし、西ドイツに比べると四・二時間長い。しかも先ほども言いましたように、これは三十人以上の事業所の統計でございまして、事実はもっともっと長いわけでございまして、先ほども申し上げましたように、わが国はGNP自由世界第二位を誇るほどの高度成長をした陰に、いつも労働者が長時間労働をしいられ、あるいは低賃金ということで問題がひそんでいるわけでございまして、当面具体的な指導といたしまして、とにかく労使で話をさせることですね、こういう問題について労使で話をさせる。計画的に段階的に改善されるように、具体的に労働省としてそれを指導、監督していくという方向で進んでもらいたいということを強く要望しておきます。  それから週二日制の問題でございますが、いまも大臣がおっしゃったように非常にわが国は少ない。ところが、アメリカではすでに週休三日制がもう一般化しつつあるというのですね。最近では一日に二社の割合でこの週休三日制に踏み切っている、実施しているという会社がふえているそうでございますが、こういうのに比べると、わが国はもう一歩も二歩も立ちおくれているわけでございまして、比べものにならないという実情にあるわけでございます。  ところが、この夏のドル・ショック以来、日経連等は、この週休二日制の問題やあるいは時間短縮の問題については、ブレーキをかけようとする姿が出てきているというようなことを聞くわけでございますが、こういう厚い壁が当面立ちはだかっているわけでございますけれども、行政指導なさるにあたってこの点についてはどのようなお考えを持って進んでいかれるか、お尋ねいたします。
  113. 原健三郎

    原国務大臣 日経連においては、週休二日制はドル・ショックのさなか無理である、こういう見解を発表したこともあります。しかし私どもとしては、労働省としては、ドル・ショックであるから、こういう世界的のショックを受けたときであるからといって、これを退却すべきものでなくて、よろしくこの際反省して、むしろ前向きに週休二日制に進むべきものである、こういうことをいって、日経連にも話をし、理解を求めるようにしておるところでございます。
  114. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 時間がないので次に移りますが、労働基準法で例外的に認められている時間外労働ですね。三十六条の問題です。いわゆる三六協定の問題も指摘されているわけでございますが、私はこの問題については組合側との承認事項でございますので、とやかく言う問題ではなかろうということを一応考えるわけでございますが、実はこの時間外労働が、むしろ一般化されてきているところに問題があると思うわけですね。この三十六条というのは長時間労働を認めた趣旨ではないわけでございます。だから運用の適正化をまず期しながら、労使の自覚を促すとともに、時間延長にも限度を設けよ、こういう考えではなかろうかと思うわけでございます。  また、さきの話にちょっと戻りますけれども、いまは四十八時間制でございますが、大体労働省として、大臣として、これを今後どう短縮なさるお気持ちがあるのか。大体のめどですね。非常にこれはむずかしい問題で、中央労働基準審議会ですか、そこでおそらく検討なさるわけでございますが、当然労働省として諮問なさるわけですからね。その方向といいますか、大体のめどというものはどこに置かれてなさろうとしているのか、お尋ねしたいと思います。
  115. 原健三郎

    原国務大臣 いま労働基準法で週四十八時間と規定しておりますが、これを四十時間にするか四十五時間にするか、こういうところになると、なかなか非常にデリケートなので、影響するところ甚大でありますので、何時間短縮するということは、はっきりした時間はちょっと申し上げかねますが、全体として研究会答申もありましたし、週休二日制、時間短縮、しかもそれも行政指導によってできやすいところからやっていく。一律一体に労働基準法改正して何時間にする、これはまた将来のことでございますので、十分慎重にこれを検討しなければ影響するところが大きいですから、労働基準法を変えて一律一体何時間に減らすということは、もう少し十分熟慮し研究してから発表いたしたいと思います。
  116. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 先ほどの労働省調査の内容を見ましても、日本の場合現在四十三・三時間ということになっておりますし、当然私は四十時間程度でまず進んでいくべきではないか。しかし、非常にこれは重要な事柄ですから、そう簡単に言えないことであろうと思いますけれども、国際的な労働時間の関係から考えた場合、そういうところに落ちついていくのではないか。これは私の強い要望として申し上げておきます。  それから時間外労働の問題でございますけれども、先ほど言ったように慎重に、またこれも検討されなければなりませんが、特に婦人労働者が多くなってきている現在でございます。そういう婦人労働者の問題等も十分考慮した上で、それを検討してもらいたいし、また三十人未満の商業などについても、現在では四十八時間ですが、これが改正になればまた別ですが、四十八時間以内、その中でとどまるように改善してもらいたい。そのためには関係規則の内容を再検討しなければならぬということであるわけでございますが、この点についてもう一回答弁を願いたいと思います。
  117. 岡部實夫

    ○岡部(實)政府委員 三六協定の趣旨は、先ほど先生御指摘のように、三六協定さえあれば長時間労働がいいんだというたてまえでないことは、基準法の精神からはっきりいたしております。ただ現実に、所定外の労働時間あるいは労働をしなければならぬというような必要もまたあると思いますので、その辺をどう調整するか。そこで、とりあえず三六協定等につきましては、この協定を結ぶにあたっての行政的な指導指導はやれると思います。そういうものを通じて、三六協定がほんとうの意味で趣旨に沿った形で結ばれるような指導を進めながら、そういう上に立って法律上どうするかということが検討されてまいることになろうと思っております。
  118. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 最後に、激動する労働界の今日の姿の中で、こういう問題はきわめて重要な問題でございますが、慎重かつ勇断をもって改善の方向で、しかも一日も早くそのような姿になるように全力をあげていただきたいことを要望いたしまして、私の質問を終わります。
  119. 森山欽司

    森山委員長 次に、田畑金光君。
  120. 田畑金光

    田畑委員 労働大臣は時間の都合もあるようでありますから、労働大臣に初めにお尋ねいたします。  まず第一にお尋ねしたいのは、先ほど、失業対策事業についての質問がございましたが、私も同じことをお尋ねしてみたいと思うのです。  大臣承知のように、ドル・ショックで、いまの経済状況は非常に暗いわけです。景気の先行きも明るくないわけです。したがって雇用失業情勢というのが一番大事な問題になってきておるわけです。輸出関連の中小企業が深刻な影響を受けておる。またいろいろな政治的な条件が重なって、繊維産業を見ると、これまた企業の雇用の面にたいへんな問題をかかえておる。輸出の関係から化学産業もそうである、鉄鋼業もそうである、こういうようなことを考えてみますと、私は、失業対策事業というものはこれを大事に考えて、そうしてここで条件にかなった人方の職場の確保、就業の機会を保障する、この制度はいま大事な時期ではなかろうか、こういう感じで見ておるわけですが、機械的に失対事業をだんだんなくしていくという強硬な措置は、大事な経済の状況のときであるだけに、もう一度思いとどまって、失対事業というものを評価しておく時点にいまあるんじゃなかろうか、こういう感じで私は見ておるわけでありますが、この点について、まず大臣のお考えを承っておきたい。
  121. 原健三郎

    原国務大臣 現在失対の方々にはあの法律に従ってよく働いていただき、新たに失業者が出た場合においては開発就労事業等もやりまして働いていただく。そうして離職者、失業者等その他万般手配をして、出ないようにやる方針でございます。
  122. 田畑金光

    田畑委員 ちょっと議論がかみ合わぬですが、大臣のいまのお話に出ておりますように、中高年齢者等雇用促進に関する特別措置法というのがこの十月一から施行されておるわけです。また失対就労者については、先ほど来議論がありましたように、自立促進特別措置がとられておるわけでございますが、私の申したいのは、後ほど触れますけれども、これは局長から答えてもらったほうが具体的な問題だからよかろうと思って、一般論的に、概括的に大臣から承りたい、こう思っていま質問しているわけです。  要するに、あの中高年齢者特別措置法に基づいて現在失対事業に働いておる人方をいろいろな事情から強制排除しておるのが、この夏以来の労働省のやってきたことなんです。その考えている将来の雇用のあり方、就業機会の保障等については、労働省の考え方の中にも同感の点も多々あるわけでありますが、こういう経済の状況のときには、あまりこの法律に基づいて乱暴なことはやるべきではない、慎重に対処すべきである、このように私は考えておりますが、ひとつ大臣の考え方を承りたいと思うのです。  局長首をかしげておるようでありますが、私の言いたいことは、あなた方が自立促進特別措置によってどんどん就職支度金等を支給して失対事業から切り捨てておるというこの夏以来のでき事というものは、地域によって、特にそのような該当者についてはいろいろな摩擦が出ておるわけで、そのような手荒い療治をいまやるような経済状況じゃないじゃございませんか。こういうようなことを労働大臣の所見、意見として尋ねておるわけだから、この点について大臣の見解を承りたい、こう思うのです。
  123. 原健三郎

    原国務大臣 今後やる方策としては、御趣旨の点を十分参酌してやる考えであります。
  124. 田畑金光

    田畑委員 私の趣旨を尊重して今後のことについては考える、こういうことならば私は了承いたします。大臣、私の言っていることをほんとうに御理解あるいはのみ込んでお答えになっておるのか。大臣のいつもの答弁の流儀に従って、趣旨がわからなくなる、むずかしくなってくると、御趣旨を体してやっていきますという、そういう意味の御答弁であるのか、おそらくそうではないと思いますので、ひとつ私が申し上げたいことは、島本委員の質問でも、古寺委員の質問でも、失対事業の問題についていろいろ先般来、大臣局長と質疑応答を重ねておりますが、私はその根底にあるのは、この中高年齢者雇用促進法を十月から実施する、その事前の段階における失対事業に働いておる人方に対する措置、すなわち自立促進強行措置というものは、文字どおり強行過ぎたのじゃなかろうか、こういう感じを受けておるわけです。そういう意味において、まず私の、特に大臣に希望したいことは、いまの経済状況が決してよくないわけで、こういうときに失対事業から切り捨てられた労働能力の少ない人方、年をとっておる人方、こういう人方に幾ら雇用の機会を職業安定機関が確保しようと努力なされても、それは事実上むずかしいし、結局、社会保障等の面に移る以外にないわけです。しかし多くの人方は、社会保障で恩恵的な生活をやるよりも、働ける間は働いて、自力で生活をしていこうという働く意思——働く内容が不十分であっても、能力を持つ人方には働く機会を保障してあげる、協力してあげる、こういうことが大事だろうと私は考えておるので、そういう意味で、ひとつ大臣、そのような視野に立って失対問題の処理については対処願いたい、こう思うわけなんです。大臣、もう一度ひとつ——局長にはこれから聞くんだ、大臣にひとつ答えてもらいたい。
  125. 原健三郎

    原国務大臣 お答え申し上げます。  非常に質問をおじょうずにやられますので、どっちにでもとれるような質問で、ずばりでないものですから、どうもとんちんかんな答弁をして、まことに申しわけありません。  現在、失対事業に働いておられる方については、これ以上ずっとやっていただくそうであります。それで、さらにこれからドル・ショックで新たなる離職者が出てくる。それがもう中高年齢者雇用促進法その他就職手当、職業訓練等いろいろやって、離職や失業のないように万般の手配をいたします。  大体それで御趣旨に沿うかどうか一あとは万事安定局長からお答えいたします。
  126. 田畑金光

    田畑委員 局長、私も本会議の時間も迫っておるから、あまり長い質問もできませんが、六十五国会で成立を見たこの中高年齢者の雇用促進特別措置法は十月一日から施行する、こういうことになっておりますね。いろいろこの法律に基づく政令、省令等々の準備も終わっておると思いますが、特にこの中で、この法律の二条であるとか十三条であるとか二十三条等を見ますると、これこれのことは省令でうたわねばならぬ、あるいは第七条を見ますと、政令でうたわねばならぬ、こういうことが出ておりますね。ひとつこの法律施行に伴う政令、省令等で特に大事なことだけ簡潔に説明を願いたいと思うのです。——それじゃ局長、いまあわてて何条と何条かなという相談ごとでは、これはとても時間がかかって、それだけで質問時間が終わってしまうから、あとから、第何条、第何条に政令で書くもの、省令で書くものがありますから、その資料を私のところに届けてください。  次に移ります。  いま私が大臣に質問したことで、これは具体的なことに入ってくるわけですが、ことしの七月から九月までの三カ月間というのを、島本委員の質問にも出ておりましたが、この法律施行前に、自立促進特別期間として就職支度金の特別増額措置をやってきましたね。この措置がどのような実効をあげたかという面を報告願いたいと思うのですが、先ほどの話によりますと、十一月末にこの自立促進特別措置によって就職支度金をもらった人が約五万人、こういうことでしたね。特に私、この法律ができてから、七月から九月の間地元におりまして見ておりますると、県を督励し、安定所を督励して、非常な一つのノルマというのを課して、一つのワクを設けて、あなた方は強制的に、必ずこれだけは就職支度金の支給をやれよと、予算のワクを与え、この失対事業から切り捨てる人方について、相当無理な荒療治をやっておりましたね。あなた方は何もそんなことがあったかなという顔をしないで、実際、末端の人方は、県の諸君、安定所の諸君もそうやっていたのじゃから……。ああいうむちゃなことをあなた方がやらせるということは、一体どういうことなんだ、こういうことですね。国の補助金は、予算措置は一人当たり五万円が二十五万円でしょう。これが県の負担金、あるいは県の補助金、あるいは当該市町村の補助金、こういうかっこうで、たとえば私のいる福島県のいわき等においては三十五万円というのが一人当たりの支給額でございましたが、一体、全国的に見たときに、最低は幾らから最高は幾らぐらいまで支給してやっているのか。これが一つ。  それから、どれぐらいの人がこれによって失対事業を離れたかということは、約五万だということはよくわかりました。この自立促進特別措置法を行なうについては、あくまでも就労者の自由意思を尊重するというのが、この法律審議の過程においてあなた方が一貫して答えてきた態度じゃございませんか。個々の働いておる人方の自由意思を尊重し、決して強制はしない、無理はしない、こういうことをあなた方は約束をして、あの法律審議のときは私たちの心配に対して、あなた方は決してそんなことはしない、こういうことを繰り返し繰り返し言ってきたはずです。同時にまた、かりに就職支度金を支給して失対事業からやめていってもらう人方等についての今後については、いろいろ職業の安定等について本人の希望意思を聞きながら協力していこう、こういうことも言ってきたはずだ、こう思うのだが、そういうようなこと等については先ほど来の質疑応答にも出ていたが、決して実行されていない、こういうことですね。この点についてどうお考えですか。  さらに重ねて一括して申し上げましょう。  今回のこの自立促進特別措置というやり方は、ことしの七月から九月までの間だけやるんだ、もう二度と機会はございませんよ、この機会をのがしては、このような特別措置などやりませんよ。こういうことで、末端では安定所の諸君が個々の人に当たってやっていたようですが、二度とこれはやりませんかどうか、こういうことですね。  さらにまた地方自治体が、地方自治体の責任や地方自治体の財政的な負担で失対事業に働く人方の、いま言ったような自立促進措置等についてやってきておるが、地方自治体がその自主的な判断でやることについても、この法律が成立すると同時に、いろいろ労働省から強いワクをはめて指導なさっておるが——あなたどうして首かしげるのだ。そんなことやっているじゃないの。そんなことは控えてもらわなくてはならぬと思うのだが、どうですか。あなた、わからぬでほんとうに首をかしげておられるようでは、遠藤部長を呼んで、遠藤部長も並べて聞かなくてはならぬと思うのだが、いままで質問したことについてお答えを願いたい。
  127. 住榮作

    ○住政府委員 まず奨励金の問題でございますが、最低は三十万円、最高が七十万円、そういうような状況になっております。一番多いのは四十万から四十五万、こういうようなところが一番多いのじゃなかろうかと思っております。  それから第二番目の自立を強制したのではないか、こういう御質問でございますが、私どもは法案審議の際にも申し上げましたように、やはり民間に就職なり自立できる方、こういう方々に対しまして十分な相談、指導、こういうことで本人の意思を尊重しながらやらせるような指導方針をとってまいりました。私どもそういう方針でこの自立促進が行なわれた、こういうように考えておりますけれども、あるいはその本人から見れば、不当な干渉なりとかというようなことも絶無だ、おそらくこういうことには断定できがたいと思いますけれども、方針といたしましては、本人の希望を聞き、あるいは求人の状況あるいはその自立の見通し、そういうことの相談に乗りながら、いろいろこういう制度を利用してどうするか、こういうような考え方でいろいろ就労者の方々と相談してまいったつもりでございます。  それから そういう方々が民間に再就職されたり、あるいは自立された、その後のアフターケアの問題にお触れになりましたが、これは先ほど古寺先生にもお答え申し上げましたとおり、私どもといたしましては、そういう点についても、これから十分な努力をいたしまして、安定した職業を続けていけるように、また自立された方々については、そういう自立営業でやっていけるように、こういうアフターケア、これは十分努力してまいりたいと思っております。  それから第三番目の問題といたしまして、今後失業対策事業就労者が残っておるわけでございますが、そういう方々に対してどうするか、こういう問題であろうかと思うわけでございますが、これは私ども先ほども申し上げましたように、この特例措置の期間中いま申し上げましたような趣旨で大いに就労者自立、こういうことを努力してまいったわけでございまして、したがいまして、残された方々、残っておられる方々、これはいろいろな事情で失対事業にとどまる、こういう方々が多いかと思います。一般的にはそういうことになっておりますので、私どもも先ほども申し上げておりますように、自立奨励金の五万円という制度は残しておりますけれども、さらにいままでのような積極的にそういう方々の再就職なり自営、そういう意味での自立を一斉に促進する、こういうようなことは現在のところ考えておりません。  それから最後の点、私ども先ほど首をかしげておると、おしかりを受けたのでございますが、どうも必ずしもその質問の趣旨がわかりかねるわけでございますが、もし国がそういうことをやらなくても、地方の事業主体がそういうような独自財源でやることについて、労働省としてはどう考えるのだ、こういう趣旨でございましたならば、それは私は一般論としてとやかく申し上げることは差し控えたいと思いますが、そういうことがございますれば、実情を十分調べた上で対処してまいりたい。ただしその場合でも、国としての自立奨励金というものは、これは先ほどは改善を今後の問題として検討すると申し上げたのでございますが、国としては、それは五万円、こういうことになろうかと思っております。
  128. 田畑金光

    田畑委員 私の質問の中で、質問の趣旨がはっきりしない点があるというような話がありましたが、できるだけ時間を短くしようと思って質問しているものだから、そういうことになろうと思うが、あなたが受け取ったとおりなんです。地方自治体が自分の責任で、自分の判断で、あるいは自主財源で、現在失対事業に働いている人方について、失対事業から他に仕事を変えてもらおう、こういうような場合等の独自の措置については、中央としては、労働省としては、かれこれそれに介入したり、あるいはそれを支配したり、そういうようなことはやりませんか、こういうようなことを聞いたわけで、やはりそれは地方自治体こそ、地域社会に住んでおる市民であり県民であるわけですから、したがって地方の事業主体あるいは地方公共団体が自分の考えで、責任でやる場合については、あまり中央がかれこれ文句を言うようなことはやめたほうがいいじゃございませんか、こういうことを私は言いたいわけです。  それからもう一つ、あなたの御答弁の中にありましたが、今回のこの自立促進措置はあくまでも働いている一人一人の自由意思を尊重して、まあこういうようなお話でございましたが、実際、自由意思を尊重しながらやっているかどうかというと、われわれが末端で見る限りそうじゃない。ただし、これは労働省の意思が、あくまでも強制してもやれという指示があったからと、私は即断するわけじゃない。末端にいくと、かくもものの受け取り方が違うものかなあという感じを私たちは受け取った、このことだけあなたに申し上げておきたいと思うのです。  次にお尋ねしたいことは、私、この中高年齢者雇用促進法案が採決をみた当日、ことしの五月の十日に、この委員会でこの法律についていろいろ質問をしました。その速記を先ほどからちょっと見ていたのです。この中で臨時賃金について、局長も覚えておるでしょう、私がこのことについて質問したことは。これはあくまでも雇用審議会なり中央職業安定審議会においては、この臨時賃金等の支給については、従来の慣行ということも顧慮しながら生活に激変を与えないように配慮をすること、こういうようなことが強くうたわれて、したがって附則二条によってこれを廃止するということも四党共同の修正でお取りやめになって、この制度は、もちろん賃金でございますが、残ることになったわけですね。しかしその場合、従来のような一律支給というようなことでは悪平等になるから、就労日数であるとか就労時間等も顧慮して、もっと働いた人方には働いた臨時の賃金が支給できるような条件の整備をやろう、こういう約束であの委員会審議は終わっているわけですね。  そこで局長に第一にお尋ねしたいことは、今度の臨時賃金の支給について一つの条件を提示されておりますね、こういう基準を示されておりますね。この基準は、いままで私が申し上げたような趣旨から見ますると、いささか酷に過ぎはしませんか。これが第一の質問。  第二の質問としては、これも私の質疑応答等の速記を見たのですが、国家公務員や地方公務員の期末手当、勤勉手当が増額されるような節には、失対労務者の臨時賃金についても従来は配慮をしていた。今後も同様に配慮をしてくれますかどうかということを何度も念を押したところ、局長は、賃金審議会の意見は聞くが、私の意を十分念頭に置いて考えますということをこの中にはっきり約束しておりますね。労働大臣もそれを確認しておりますね、その点は。今後ともあの答弁のとおりになるかどうか、この点ですね。この二点を明確にひとつお答えをいただきたい、こう思うのです。
  129. 住榮作

    ○住政府委員 臨時の賃金についての条件でございますが、これは御承知のとおり、ことしの夏の分については従来どおり措置をしたわけでございます。そこで、法律改正と同時に暮れをどうするか。こういうことにつきましては、もう御承知のように就労日数によって格差をつけております。大体六カ月で九十日以上働いた方には二十三・五日、それから四十五日から九十日までは十六日、十八日から四十五日までの人には九日、こういうように段階制を設けたわけでございます。  そこで、私どもこの段階制を設けるにつきましては、非常に大きな制度の改正でございますので、これは賃金審議会の意見を聞きました。と同時に、前の国会で御答弁申し上げておりますように、就労者生活に激変を与えないような方向で考えろということで、こういう段階を設けるにあたりましても、一体影響を受ける、このそれぞれの段階に組み入れられる労働者の数は、どういうようになるであろうか、こういうようなことも十分配慮をしたつもりでございます。  そこで、大体先ほどもお答え申し上げたところでございますが、六カ月で九十日、この層に入る方々が大体九十数%になるということで、ほとんどの方が二十三・五日の支給を受ける。と申しますことは、一カ月十五日以上の就労、六カ月で九十日以上の就労、こういうようなことでございますので、就労者生活に激変を与えるような制度の改正ではない、こういうように考えております。  それから第二点。要するに、国家公務員の期末手当の増額の際に、従来失対就労者の臨時の賃金を考慮いたしておったことも事実でございます。そこで本年の暮れにつきましては、その点を考慮に入れて、先ほどの二十三・五日なり十六日なり九日、こういう分類をいたしておりますので、その点については、従来の慣例を尊重いたしたつもりでございます。  それから来年の夏につきましては、これは今後の問題といたしまして御趣旨の線を十分考慮して、賃金審議会の意見を聞いてきめていきたい。したがいまして、前国会で御答弁した方針は、現在も変えていないつもりでございます。
  130. 田畑金光

    田畑委員 局長、六月から十一月までの就労日数が九十日以上の人については、この年末臨時賃金として二十三・五日分支給する。その人方は九〇%をこえておるという話ですね。ひとつそれを先ほどお願いした資料と同時に、九〇%以上になっているかどうか、資料を提供願いたい。  それから各段階をきめておるようですが、段階別に何%ずつに当たっているか。特に十八日未満はゼロですね。これが何%になるのか。私は九十日以上が九〇%以上に当たっておるというのは、どうも直観的に正確でないというような感じを受けるわけですけれども、しかし、資料を見て判断する以外にございませんから、これは資料を御提供願いたい。  それからもう一つ、公務員の期末・勤勉手当の増額に応じて臨時賃金をふやすことについては、これはやっぱりひとつ、理屈は言いませんが、きちんと今後とも守っていってもらう、このことですね。いまの局長の答弁でけっこうでございますが、ひとつよくこれを守っていただきたい、こう思うのです。  それからもう一つ。最後でございますが、特定地域開発就労事業の問題ですね。全国で何十カ所指定したのか。私は全国を言われてもわかりませんから、福島県で何カ所指定し、どうなところを指定したか。そうしてそれはどんな基準で指定したのか。このことだけひとつ……。
  131. 住榮作

    ○住政府委員 福島県は特定地域の指定はございますけれども、開発就労事業実施している地域はございません。
  132. 田畑金光

    田畑委員 だから、具体的にそれをもう少し詳しく説明しなさいよ。
  133. 住榮作

    ○住政府委員 いわきの安定所でございます。安定所の管轄区域が特定地域に指定されておる、こういうことでございます。
  134. 田畑金光

    田畑委員 そうしますと、あの法律審議のときに特定開発地域はいかなる地域か、産炭地域であるとか、それからもう一つは過疎地域、それからもう一つは同和地域、こういうことでしたね。そうしますと、たとえばいわき市ならいわき市は産炭地域であるから、当然特定地域として指定されたわけですが、こういうところには、すでに緊就事業実施されておる。産炭地開発就労事業はないけれども、緊就事業等は実施をされておる。こういうところでは、指定するだけで、例の特定地域開発就労事業の予算ワクとして五千名ありましたね、この予算措置によって、現実に事業実施ということはやらぬわけですか。要するに、特定地域開発就労事業に対して五千名の予算のワクがありましょう。この事業実施ということは、いわき市にはないわけですか。
  135. 住榮作

    ○住政府委員 特定地域の指定は、全国で安定所の管轄区域を基準にしてきめております。で、特定地域として指定しました安定所の地域、これは七十になっております。そこで、特定地域におきましては、いま御指摘特定地域開発就労事業実施することができる、こういうことになるわけです。そこで、事業実施する場合に、その地域内の事業主体がございます。こういうところからの申請、それからその地域の労働者の状況、こういうものを勘案してきめる、こういうことにいたしております。これが制度でございます。  それと同時に、もう一つは、十月一日から開発就労事業実施するわけでございますが、それまでは失対事業就労者であって、その開発就労事業の就労を希望する、こういう地域にとりあえずその開発就労事業実施した。その他の地域につきましては、現在、失業者が安定所に求職の申し込みをして手帳の発給を受けて、たとえば六カ月とか一年とか、その手帳の有効期間中にいろいろな再就職のめんどうを安定所としては見るわけでございます。しかし、そういった努力にもかかわらず、なお就労の機会がない、こういう場合には、そういう特定地域には、その手帳所持者であった者の状況を考えて開発就労事業実施する、こういうことになりますので、若干、その予算のワクとしては、これは五千でございますが、十月一日、ちょっと実施はおくれておりますが、計画いたしております開発就労事業の数というものは二千をこす程度である、こういう状況になっております。
  136. 田畑金光

    田畑委員 それじゃひとつ局長、この問題は時間が来ましたから……。先ほどの答弁によると、五千名の中で事業実施計画がすでにきまったものというような答えでしたが、二千名なんとかいうお話でしたが、そのような資料と、さらにこの事業を具体的に実施するについての基準、地域の指定についての基準の資料ですね。  それからもう一つは、今後、指定を予想される地域というのは相当出てくるんじゃなかろうか。たとえば、輸出関連の中小企業のある——もっともこれは中高年齢者ということになりますか、まあ今後いろいろな輸出関連の企業で、相当失業者も離職者も予想される地域などが考えられると思いますが、そういう地域等についてのひとつ資料を出していただきたい。また、これらの質問はあとの機会に保留しておきたいと思います。  終わります。
  137. 森山欽司

    森山委員長 次回は明後十六日、午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後一時三十六分散会