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1971-12-07 第67回国会 衆議院 社会労働委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年十二月七日(火曜日)     午前十時五十五分開議  出席委員    委員長 森山 欽司君    理事 小沢 辰男君 理事 澁谷 直藏君    理事 谷垣 專一君 理事 増岡 博之君    理事 田邊  誠君 理事 大橋 敏雄君    理事 田畑 金光君       秋田 大助君   小此木彦三郎君       大野  明君    梶山 静六君       斉藤滋与史君    橋本龍太郎君       向山 一人君    川俣健二郎君       小林  進君    島本 虎三君       八木  昇君    山本 政弘君       古寺  宏君    古川 雅司君       寺前  巖君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 廣瀬 正雄君         労 働 大 臣 原 健三郎君  出席政府委員         防衛施設庁労務         部長      安斉 正邦君         経済企画庁総合         開発局長    岡部  保君         郵政省人事局長 北 雄一郎君         郵政省経理局長 浅見 喜作君         労働大臣官房長 道正 邦彦君         労働省労政局長 石黒 拓爾君         労働省労働基準         局長      岡部 實夫君         労働省婦人少年         局長      高橋 展子君         労働省職業安定         局長      住  榮作君  委員外出席者         厚生省公衆衛生         局企画課長   黒木  延君         農林省農政局就         業改善課長   井上 政行君         通商産業省企業         局参事官    田中 芳秋君         社会労働委員会         調査室長    濱中雄太郎君     ————————————— 委員の異動 十二月七日  辞任         補欠選任   木村 武雄君     田村  元君     ————————————— 十二月二日  医療事務管理士法制定に関する請願外一件(竹  内黎一君紹介)(第二五九三号)  歯科技工士の免許に関する請願菅野和太郎君  紹介)(第二五九四号)  同(園田直紹介)(第二七七八号)  元満鉄職務傷病社員等に対する戦傷病者戦没者  遺族等援護法適用に関する請願三池信紹介)  (第二六四〇号)  労働災害以外によるせき髄損傷者援護に関す  る請願(小金義照紹介)(第二六四一号)  せき髄損傷者に対する労働者災害補償保険の給  付改善に関する請願(小金義照紹介)(第二六  四二号)  同(近江巳記夫紹介)(第二七七七号)  老人福祉に関する請願羽田孜紹介)(第二六  四三号) 同月六日  労働災害以外によるせき髄損傷者援護に関す  る請願近江巳記夫紹介)(第二八五九号)  同(木島喜兵衞紹介)(第二八九四号)  同(井野正揮君紹介)(第三〇二八号)  同(西宮弘紹介)(第三〇二九号)  国民健康保険改善に関する請願松平忠久君  紹介)(第二八六〇号)  せき髄損傷者に対する労働者災害補償保険の給  付改善に関する請願木島喜兵衞紹介)(第二  八九三号)  同(井野正揮君紹介)(第三〇二七号)  老人福祉に関する請願小川平二紹介)(第二  八九五号)  同(松平忠久紹介)(第二九五六号)  医療事務管理士法制定に関する請願外十一件  (久保田円次紹介)(第二八九六号)  職業病法制定に関する請願大橋敏雄紹介)  (第二八九七号)  同(古寺宏紹介)(第二八九八号)  同(古川雅司紹介)(第二八九九号)  同(渡部通子紹介)(第二九〇〇号)  同(大橋敏雄紹介)(第二九五二号)  同(古寺宏紹介)(第二九五三号)  同(古川雅司紹介)(第二九五四号)  同(渡部通子紹介)(第二九五五号)  社会保障制度改善等に関する請願谷口善太  郎君紹介)(第二九五〇号)  出かせぎ労働者等生活と権利の擁護に関する  請願津川武一紹介)(第二九五一号)  老人福祉の向上に関する請願畑和紹介)(第  三〇二四号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  労働関係基本施策に関する件(出かせぎ労働  者対策郵政省における労働問題及び駐留軍関  係の離職者対策)      ————◇—————
  2. 森山欽司

    森山委員長 これより会議を開きます。  労働関係基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。川俣健二郎君。
  3. 川俣健二郎

    川俣委員 きょうは定例日をお願いしまして、出かせぎ問題を取り上げまして質問なり、政府労働施策をただしていきたいと思います。  というのは、このごろ非常にひんぱんに出かせぎ現場における事故が多い。不払いそれから不当なピンはねそれから登録なしの業者云々、こういう結果もあると思います。したがって、これは私も去年からたびたびこの席をかりまして労働省に前向きの姿勢でという約束をしておるはずなんですが、なかなか監督官要求どおりに思うようにいかないようでもあるし、加えて年々出かせぎ者もふえている今日、なかなか容易でないということはわかるにしても、一体これはどうしたらいいだろうかというわけでございます。  そこで、大臣安定局長もおそろいになったところで、まず大臣にお伺いしたいのですが、この出かせぎというものを、いろいろ取り上げ方があると思います。厚生問題もありますし、それから農民の延長ですから農業問題として取り上げる考え方もあるでしょうが、ひとつ所管大臣労働大臣として、この出かせぎを労働問題としてはどのようにとらえているのか、この辺を、労働行政ではベテランと聞いておる労働大臣でございますから、これは法律には守られていないでおりながら非常に経済界にもあるいは土建業界にも役立っておる労働力だというように把握しておるだけに、出かせぎを労働問題としてどのようにとらえておるかということを、一考察をまずこの場にお披瀝願って、質問に入りたいと思います。
  4. 原健三郎

    原国務大臣 お尋ねのように、出かせぎ労働者労働力は非常に貴重なものでございまして、本人もあえて出かせぎをことさらにしようというのでなくて、やはり経済的理由によって出かせぎに出られておるのであると思いますが、その労働力は非常に貴重なものであるし、労働省としても、出かせぎなるがゆえに劣悪な労働条件になったり劣悪な労働賃金にならないように、一般労働者と同様なる労働条件で働かれるように希望し、そのために監督もするし、その他労災保険等万般にわたって十分留意して、一般労働者との差のないようにいたしていきたい、こういう根本方針のもとに丁重に扱っている次第であります。
  5. 川俣健二郎

    川俣委員 そこで、貴重な労働力だ、こういうお話ですが、これはいみじくも前の労働大臣の野原さんは、重宝な労働力だと、こういう議事録になっております。そこで重宝という表現であろうが貴重という表現であろうが、何か意味があるようなことになるわけです。またそのとおりだと思います。  そこで、いま一体出かせぎ労働というのは必要だかどうかということを問い詰めれば、これは当然必要だ、こういうことなんです。ところが一方、首切り反対闘争というのはたいがいのところでスローガンになっておるので、どこに出かせぎ労働者の貴重な存在意義があるか、一般正式社員労働行政から見るとどこが貴重なのか、どこが重宝なのか、その辺もう一度大臣に伺って具体的に入りたいと思います。
  6. 原健三郎

    原国務大臣 出かせぎをされる御本人にとっては、それはわざわざ出かせぎしないほうがよいであろうと思っておるのですが、それは経済上の理由でそういうふうにされておるのであろうと思います。われわれのほうから見ると、それが建設業その他において貴重な労働力となるし、日本の生産に非常に寄与していただいておるし、そういう意味において、労働力はみな貴重でございますが、わけてもそういう志を持って東京や都会に出て働いていただくことに対し、貴重なものであると考えて、そういう趣旨のもとに万般労働政策をやっていこう、こう思っておるし、またやっておるところでございます。
  7. 川俣健二郎

    川俣委員 どうもせっかく原労働大臣張り切っておられて、御自身の労働行政をしゃべろうという考えなのに、あまり局長がそばで耳打ちすると、せっかくの労働大臣の抱負が聞けなくなりますから、決してこれは耳新しい問題でもないし、原労働大臣にしてみればもうイロハのイの字でありましょうから、質問したら、その点ひとつ、あまり一々耳打ちしないようにしてもらいたいと思います。  そこで、では局のほうに伺いますが、いま私の言う出かせぎというのはいろいろあります。北海道の場合出面取りといって昔からあったし、出かせぎというのはいま始まったことじゃなくて、昭和初年からあったのですが、いま私が話そうとするのは、いわば冬場の労働力のはけ口を出かせぎに求めているということなんで、そういうところにある程度しぼりたいのですが、その人数——大体大まかなところでけっこうです、あとでこまかい資料はもらいますから。東京大阪中心とする出かせぎの労働者一体どのくらい集まっておるだろうか、そしていつからいつごろまでで、県別にはけっこうですから、大体どういう県から東京大阪に入っているだろうかという、趨勢だけでもお聞かせ願いたいと思います。
  8. 住榮作

    住政府委員 ただいま先生のおっしゃいました出かせぎには冬型、夏型があると思うのでございます。秋冬の出かせぎ者の状況でございますが、求職見込みといたしまして、北海道とか青森秋田等の十五県について見ますと、ことしの状況求職者見込みが大体十一万程度でなかろうか。そこでその大部分は、東京が八割程度、その他神奈川とかあるいは愛知、そういうところに出かせぎとして出かける。大体の就労先東京周辺、これがもう八割以上を占めている、こういうふうにつかんでおるわけでございます。
  9. 川俣健二郎

    川俣委員 十一万人ぐらいという冬型の出かせぎ労働者をつかんでいるという、その言にもやはり問題があるんだ。北海道青森秋田、山形、新潟云々、それは職安を通さないからわからないよということでは過ごせぬと思います。しかし、職安を通っているだけでも、どのくらいいるかということなんですよ。十一万人、大体そういうつかみ方をして労働行政をやるというところに問題があると思いますよ。その数字はどういう数字なの。
  10. 住榮作

    住政府委員 御指摘のとおり出かせぎ労働者の数はかなり、先ほど申し上げた数字以上になると思っております。先ほど申し上げました十一万の数字というのは、安定所に申し込んだ求職の数、こういうことで申し上げたのでございますが、それ以外に安定所を経由しないで、縁故とか募集人募集による出かせぎも相当多数にのぼっておる、これは私どもも承知しておるのでございますが、その人数はどれだけになるかということについては、必ずしも明確につかんでいないわけでございます。  それで、従来私ども方針といたしまして、できるだけ安定所を通じて就労するように、これはもう基本方針として貫いておるわけでございまして、そのためには安定所のないところには相談員制度等も配し、あるいは市町村農業団体等とも連絡して、できるだけ安定所を通じて就労する、こういうことを強く進めておりますとともに、そうでないものについても農業団体とか相談員、そういったところの相談を通じて正しい経路で就労していただく。本来ならば安定所で独占したいのでございますが、なお不十分でございますので、市町村農業団体と協力して正しい就労経路で就労していただく、こういうようなやり方でやっておる次第でございます。
  11. 川俣健二郎

    川俣委員 それではそちらに譲って、十一万人というのは職安を通した数字をまとめたの。どうなんですか、一体
  12. 住榮作

    住政府委員 まとめた数字でございます。
  13. 川俣健二郎

    川俣委員 それはあと資料を求めますけれども、いつ現在ですか。
  14. 住榮作

    住政府委員 十月末の数字でございます。
  15. 川俣健二郎

    川俣委員 ですから、そういうことなんです。  そこで課長さん方にもお願いしておきますが、十月末の出かせぎ数字ではだめなんですよ。いいですか。東北の場合は特にことしは冷害で稲刈りがだいぶおくれたし、十一月十日ごろ出てきたわけなんですから、そういったところでもう一度、その十一万人の数字が大幅に修正されると思うから、数字を固めてあと資料を提供してください。人数の問題はそれでけっこうです。  そこで十一万人以上のものが——大体私の数字では職安を通すのが三十万、通さないのが三十万、こういうように大まかに見ておる。そこでこれに対して労働監督の問題なんですが、監督署員が少ないではないかということで、去年からこの委員会で大騒ぎをして、ふやします、こういうことで、ふやす計画を示した。そこでいま監督員がどういう数字でふえていっているのか、どういう計画であるのかお聞かせ願いたいと思います。
  16. 岡部實夫

    岡部(實)政府委員 監督官は本年度には七十五名増員をいたしまして、来年度は目下要求の段階でございますけれども、来年度以降五年間で千名の増員をはかっていくことを目途に要求をいまいたしておるところでございます。
  17. 川俣健二郎

    川俣委員 まあ千名増員というのは足りないくらいだということでやっておりますけれども、これはぜひ増員して現場監督に当たってもらいたいと思います。  これは私は警告しておきますけれども、ことしの冬はかなり事故が多いと思います。これは、普通の会社だったら、学校を出て三、四年から五年くらいたたないと入れないような現場に、きのう、おととい来た出かせぎ労務者をぽっと入れて働かしておる。尻無川の事故もしかり、去年の大阪ガス爆発にもそれに似通ったことがあった。そういうことから見ますと、基準局長、これはひとつ、せっかく大臣が張り切っておられるところなんですから、やはり現場を見て歩くという——これはもうそれぞれの大臣が見て歩きます。いわゆる市場の物価を見て歩いたり、そういったようなことで、やはり労働大臣なんかかっこうのいい仕事だと思います。いま現場を見て歩くというのは、局長のほうで計画を持っているかどうか。特にこの正月をはさんでの建設現場現場監督、これはどうですか。
  18. 岡部實夫

    岡部(實)政府委員 ただいま先生指摘のとおりでございまして、大臣には特に安全週間、その他そういう行事の期間中に都内の建設現場を、いわゆる安全パトロールということで、大臣御自身出ていただきまして監督をするというようなことをやっております。いま歳末にあたりましても、御指摘がございましたので、あるいは歳末パトロールというようなことで特別な現場を回るようなことも考えてみたいと思っております。(「正月でもいい」と呼ぶ者あり)いま、その辺をおまかせいただきまして、御指摘のような線を織り組んで大臣の御日程を考えてまいりたいと思っております。
  19. 川俣健二郎

    川俣委員 それはもう約束しましたから、ぜひお願いします。  そこで、これは普通の視察見学とは違いまして、よく会社であることなんですが、労働基準局課長さんと民間課長と話し合って、いつ幾日ごろ行くからと……。これはとんでもない見学であり、視察であるわけです。したがってある程度抜き打ち的に建設現場を歩くということを、どうしてもこれはやってもらいたいと思います。これはぜひひとつ約束してもらいたいと思います。まあ局長のうなずいたところで……。大臣局長のプランでぜひ見学視察してもらいたいと思います。  そこで、一体この建設現場で毎日のように新聞をにぎわしている労働災害というのは、出かせぎに非常に多いのはなぜだろうかというように私は思います。そこで局長、どのように分析しておりますか。なぜ出かせぎ現場には、ほかの産業に比べて事故が多いか。
  20. 岡部實夫

    岡部(實)政府委員 幾つかの点が考えられますが、まず一つは、出かせぎに来られる方がその職場の作業に必ずしも十分習熟されておらない。それからまた、そういう方々に安全の面の教育を十分施していくような余裕もないために、いわば未習熟の方が危険な作業に従事するということが一つございます。  もう一つは、特に建設現場等におきましては、先生御承知のようないわゆる重層下請関係と申しますか、元請と下請関係が重層して行なわれている、ために安全のための管理体制が必ずしも十分でないというようなことが見受けられます。そういうようなことが特に出かせぎ者が多い建設現場等災害をよく見ますると、そこら辺に原因の多くが見受けられるわけでございます。
  21. 川俣健二郎

    川俣委員 そのとおりだと思います。さらに、もっとほかにも原因があるようですから、その原因を当局において注意しながら監督してもらいたいのですが、それでは一つの例を出して申します。  ついこの間の新しい例を一つ出します。十二月一日ですから一週間ぐらい前ですが、第三京浜国道で、横浜市の南区中里町の配管業岩野組という会社の出かせぎ労務者が三人で材料をトラック運搬をしておった。そこで交通事故にあい、二人は死亡、一人はやっと命をとりとめておる、こういう事故なんです。そこで一体一つずついま局長が分析したものに当てはめてみますと、これは職安は通っておったか通っていなかったかということ。二つ目は、この岩野組というのは一体登録になっている業者かどうかということです。三つ目は、単なる労務提供業者でないのかということ。四つ目補償問題に入ります。こういうように、私はあえて一つ二つ三つ四つと並べましたが、先ほどの保安教育習熟等の問題もありますが、補償の問題はあとで知らせてもらうにしても、一体この事故をそちらのほうで事実認定として認めておるかどうかです。それを伺いたいと思います。
  22. 岡部實夫

    岡部(實)政府委員 御指摘事故は、十二月一日にいまお話しの配管工方々が、秋田出身の方でございますが、自動車事故のために二人の方がなくなられて、あと四人の方がけがをされたということは、把握いたしております。
  23. 川俣健二郎

    川俣委員 そこで二人は死亡し一人は重態、これを認めておるかということ。それからさらに、続けて質問をしますよ、一体この業者登録になっておるかどうか。いいですか。二つ目は、安全教育習熟等がさっきあげられたので、労働基準局から見た場合には、こういうような業者、この問題だけじゃないのですから、こういうものに対してどういう労働行政をやろうとするのか。三つ目は、補償の問題はどうなるのかという問題です。
  24. 岡部實夫

    岡部(實)政府委員 私どもの調べたところによりますと、岩野組社員が約四十名、そのほかに随時出かせぎの方その他臨時の方を使っている会社で、登録関係はいま正確にあれしておりませんけれども保険関係等から見ましても当然登録をされている業者と考えられます。ただ、いま手元にその点の明確な資料がございませんので、すぐ調べたいと思います。  それから私ども、特に建設事業に対しましては、危険業務が常時行なわれるところでございますので、特に保険関係につきましては十分平常から指導いたしまして未加入がないようにやっております。この件につきましても、目下それぞれ死亡者並びにけがをされた方については、会社と連絡を取りながら労災の手続を至急進めるように目下指導中でございます。
  25. 川俣健二郎

    川俣委員 それじゃ、大体大まかなところでいいのですが、補償はこういう事故の場合どういうような形になるのでしょうか。
  26. 岡部實夫

    岡部(實)政府委員 死亡されました二名の方につきましては遺族補償金補償年金として支給されることになります。そのうちなお前払い一時金として支給されることになりまして、大体前払い一時金が百二十万程度が見積もられるわけでございます。   〔委員長退席増岡委員長代理着席〕 そのほかに葬祭料等十二万。それから年金といたしましては四十九万から五十万程度が毎年、年金として支給される。  それから傷害を受けられました方につきましては、これは重傷、軽傷その他まちまちでございますので、それぞれの年金賃金額に応じまして支給をされるということになります。これはまだどの程度かということの算定はできません。
  27. 川俣健二郎

    川俣委員 具体的な一例だけに時間は費やせないのですが、一応まずいまの法律は全部適用できるということだと思います。しなければならないと思います。これは、法律改正はまた通常国会で出ると思いますけれども。  そこで、こういうように明らかに労働災害だと認められるものは、まだこういうことで救済されます。  ところが、私が出かせぎ現場を回って歩き、耳にする、目にするところによると、簡単に言うといわゆる脳卒中が非常に出かせぎ現場に多いのです。きのうまで元気で働いておったのだが、朝方になると冷たくなっておったという事故が非常に多いのです。これは出かせぎばかりじゃなくて、あらゆる労働現場で、民間、官公庁を問わず問題にされておるわけですが、こういうものに対する労働省見解をまずお聞かせ願いたいと思います。
  28. 岡部實夫

    岡部(實)政府委員 御指摘の点につきましては業務上外認定の問題であろうかと思いまして、脳卒中がその方の業務上に起因して起こされたということがはっきりする場合には、当然これは業務上の認定になるわけです。ただ、業務と直接関係なく脳卒中を起こされた場合に、その業務との起因性と申しますか、どこまで関連するかの認定について具体的に非常に困難でございまして、一般の場合に業務に直接関係がないということになる場合には労災の対象にはならない、非常に抽象的でございますが、一般論としてはこういうことになる。あとは具体的なケースによってその起因性をはっきりさせなければならないということになろうかと思います。
  29. 川俣健二郎

    川俣委員 その業務起因というのが見解の分かれ目なんですが、それじゃ、いま少し理解を深める意味で、たとえば山奥で営林署の林野労働者が木をかついでいる間に脳卒中で倒れた場合には、どういうことになるか。
  30. 岡部實夫

    岡部(實)政府委員 その場合も具体的に個別のケースといたしまして、医師等診断による医証に基づかなければ具体的には申し上げられないと思うわけでございます。ただ作業に従事している間にそういう発作が起こるということの場合には、当然医証の中にその起因性が出てまいるかと思いますが、これはどうも具体的にはちょっと申し上げかねるケースであろうと思います。
  31. 川俣健二郎

    川俣委員 これはきわめて卑近な具体的な例がありますから、そういう考え方でその問題に当たってもらいたいと思うわけです。やはり起因性が非常に強いと思います、仕事中ですから。  そこで脳卒中というのは、特に東北、北陸、北海道のほうから出てくる出かせぎの現場が多いだけに、また脳卒中が食生活、気候、風土等関係で向こうのほうに多いせいか、非常に多いわけです。そこで起因性等の問題、そういうことがなければいいことでありまして、きょう厚生省来ておりますか——これは厚生省労働省のほうかどちらに答弁願うことかわかりませんが、そこでどうも政府に期待しても健康診断というのはおぼつかない。そこでそれぞれの、もちろんこれは地元で県が中心になったり、あるいは町役場中心になったりして、秋に実りを終わって出てくるときの、出かせぎ前の健康診断は大体普及し始めました。しかしながら少しくらい悪いという診断があったところで、生活のために出かせぎをやめるわけにはいかない。そこで無理して出てくるというケースが非常に多いわけです。  そこで出かせぎの前の健康診断はさることながら、出かせぎ中に、もう二カ月経過しておるわけですから、この正月をはさんでの出かせぎ中の冬空の寒い現場に働く人方健康診断をしようではないかということで、私のところへ相談にきておるわけです。それは非常に奇特なお医者さん方がおりまして、ひとつ無報酬でもいいから奉仕の意味でやろうではないか、こういうような声になったわけです。そこでこういう職にある私としては、それをどういうように取り上げていいものなのか皆さんに教えてもらいたいわけなんです。本来から言うならば、一代議士が医者を集めてずっと回れば、自分の選挙運動にはなるかもしれない。だけれども、これはやはり政府の行政じゃないかと思う。そこで私が皆さん方にお伺いしたいのは、せっかくこういうようなお医者さん方が秋田県の私の地元におるものですから、それを受け入れる出かせぎ現場との関係もありますし、そうしますとどうしても政府がこういう施策をやるいい材料だと私は思うわけです。こういった問題に対してどういう考え方をしておるか、見解を聞きたいと思うわけなんです。
  32. 岡部實夫

    岡部(實)政府委員 出かせぎの方につきまして、就労時の地元におきます健康診断等は別といたしまして、まず基準法によりまして採用時における健康診断というものは法律上義務づけておりますので、これは出かせぎ労働者の方ばかりでなくて、一般の方もそうでございますが、当然採用時におきましては健康診断を実施するということになっておるわけです。ただ御指摘のように、現実に事業主のほうで健康診断をやるという場合に、検診機関が必ずしも十分に整備されていないというために、特に中小規模の事業所におきましては、なかなか徹底して実効のあがる健康診断ができないというようなケースも見られます。そこで私どもは、特に中小企業者に対しましては、公的な、あるいは公益法人等によります検診団体に対しまして、たとえば検診車の整備その他をできるだけ進めることによりまして、中小企業の事業主の方が検診を行なう場合に行ないやすいように、検診機関の利用ができるよう、その辺の整備もやりながら検診の義務づけをやり、その実効をあげてまいりたい、こういうふうに考えております。
  33. 川俣健二郎

    川俣委員 局長、出かせぎ現場というものは、あなた方が見て歩けるような現場と違うものがあるわけですよ。というのは、働くほうはめしをかみかみ働くし、働かせるほうは、食堂がトイレのそばにあろうが、あるいは風がピューピュー吹こうが、床は万年床、蚕だなの状態、それでも下請の下請の会社は働かせなければならない、会社をもっていかなければならない、こういうような状態です。そういう状態での医療行政をどういうように入れていくかということになると、かなりきめのこまかい指導をしなければならぬのです。したがって、法律がどうのあるいは行政組織がどうのなんということを考えると、この問題はなかなかできない。安定局長はいまのところは十一万人とつかんでおるようですけれども、私は出かせぎは五、六十万人とつかんでおる。安定局長は、十一万人しかいないんだ、それは担当官方が集めた数字ですからやむを得ないだろうけれども、これが現在六十万人を突破しておる。安定所を通したものだけでも三十万人の数字を私はある程度はつかんでおる。しかしこれは正しい数字じゃないから、ここでは論争しない。こういったような現場東京都内から大阪にかけて無数に、下請の下請の形であるわけです。その中には無登録業者がいるわけです。しかし労働者の人権というものは、どういう会社につとめていようが、きめこまかく入っていくのが労働省の行政だと思うのです。  そこで、私は、大臣から局長方がおそろいのところで申し上げますが、こういうように毎年毎年繰り返される出かせぎの労働者を、単なる農業問題の延長だという考え方じゃなくて、やはり労働問題なんだ、こういうようにまず取り上げていくべきだと思います。したがって、出かせぎオンリーの、出かせぎだけの法律というものがこの辺で考えられないだろうかという声が出てきたと思います。したがって、独立立法というか、出かせぎの場合は普通の労働者と違って、半年農業に働き、半年はこちらで働く、生活が分かれて働くという状態であるわけですから、その辺でいま少し出かせぎというものに本腰を入れて取り組むという姿勢があれば、出かせぎのための独立立法を——これは建設法でもいいと思います。こういったものをぼつぼつ通常国会あたりに出す時期だと思うのですけれども、どういうようにお考えですか。
  34. 原健三郎

    原国務大臣 川俣さんの御趣旨には賛成であります。何とか出かせぎ人に対し単独法をもってこれを援護してあげる、労働条件を整えてあげるようなことはできないかと思って、労働省でかなり検討いたしました。いたしましたが、たとえば同じ建設の現場に、出かせぎの人もおるし、出かせぎでない人も一緒に働いておる。その現場においては同じ労働者である。そういう場合に区別をしていいか悪いか、どうもしにくい。研究いたしましたが、そういう別の単独法でやることは非常になじまないということ等で、なかなか簡単に結論が出ないというところまでいまきておるような次第であります。熱意のほうはすでに大いに持って検討は加えてきたところで、いま言ったような事情で、将来のこと等もいま検討を続けておるのですが、その間に立法上からもなかなかむずかしい問題があるということを発見しておるところでございます。
  35. 川俣健二郎

    川俣委員 私もそう思います。そう思いますけれども、やはり前向きでどうしても——これをやっておるということを聞いて安心しましたが、こういうことだと思うのですよ。農林省来ておりますか。——特に農林省に伺いたいのですが、これはやはり中心になっている主管大臣労働大臣にも聞いてもらいたいからこういう質問をし、受け答えをしたいと思います。というのは、一体東北や北陸や北海道の状態はどうだろうかということなんです。東京ではドル・ショックその他を考えておりますが、農業中心のあの地方においてはどういう状態であるか、こういうように私たちが考える場合に、まず平均一町歩です。平均一町歩が普通であれば、米俵で百俵、いいほうで百俵ですよ。これが二割減反、ことしは冷害で、しかも二年続きの生産者米価の据え置き、それに逆に二割以上の物価のアップ、そうなると、一体農林省さんは、一町歩の農家、五、六人の家族でどういうような収支の状態だろうかということを、かいつまんででけっこうですから、もしお話し願えれば幸いです。
  36. 井上政行

    ○井上説明員 農家経済状況は、ただいま先生の御指摘のようなことで、非常に窮迫をいたしておりますことはそのとおりでございます。ここ二カ年ほどの米の生産調整あるいは米価の据え置き、従来これをささえてまいりました兼業所得、この兼業所得というものが、昨年まではまあどうやら伸びを示してきておったのでございますけれども、本年度、ドル・ショック以来非常に憂慮すべきかげりを示しておること、御指摘のとおりでございます。
  37. 川俣健二郎

    川俣委員 もう少し数字をもって説明できませんか。
  38. 井上政行

    ○井上説明員 手元に具体的な数字をちょっと持ってきておりませんので、申しわけございませんが……。
  39. 川俣健二郎

    川俣委員 出かせぎの問題で農林省を呼んだら、やはりそのくらいのことを考えてくださいよ。  いいですか、結局こういうことなんですよ。総理府の統計によると、三四、五%が農業収入で、六五%が農業外収入にまたなければならないということですよ。いま東北では、冬になったら床屋さんまで出かせぎに来るんですよ。床屋やる人がいないんです。酒屋、たばこ屋さんまでこっちに来るんですよ。もう出かせぎ経済といってもいいくらいなんですよ。そうやってみると、たとえばさっき話したように、労働大臣は特にいま独立立法をつくるべく前向きの姿勢で進んでおる。——主管大臣に聞いてもらいたいのですが、もう一ぺんお話ししますと、二割減反で、しかも冷害なんというのはことしだけだろうとおっしゃるだろうけれども、二年続きの生産者米価の据え置きで、しかも物価は二割三分アップで、どうやって暮らすかということになると、出かせぎなんですよ。十一万人なんというのはとんでもないですよ。どういうところからそういう数字をあなた方つかんでいるかということなんです。いま六十万人をはるかに突破しておるのですよ。そういうことを考えますと、どうしてもいま一度ふんどしを締め直して、労働大臣、この出稼ぎの問題を中心とした行政なり法律をどうしても通常国会までに考えるということの見解をもう一度示してもらいたいと思います。それで終わりにしたいと思います。
  40. 原健三郎

    原国務大臣 さいぜんも申し上げましたが、熱意は川俣さんとあまり変わらぬほど持っておりまして、何とか単独立法として労働省の事務当局に命じて研究させます。したがって、さいぜんから申したように、一番中心はやはり現場において、働くところに災害が起こるとか、あるいは賃金の未払いであるとか、あるいは宿泊のところであるとかいうのですが、製造工業においても建設業においても、その現場に入ってしまうと、出稼ぎ人の方と一般労働者と区別するわけにはいきませんので、一番中心のところになるとどうも法律的にこれを把握できない。それなら、出稼ぎに行く人に特別の援助をしてやるというのなら法律は要りませんので、いまでもいろいろ就職を援助をするとか、そういうことなら法律でやらずにできるということで、なかなか単独法にはなじまない、非常に支障があるというところまできておりますが、せっかくの御希望がありますので、検討はしてみたいと思っております。
  41. 増岡博之

    増岡委員長代理 次に山本政弘君。   〔増岡委員長代理退席、委員長着席〕
  42. 山本政弘

    ○山本(政)委員 ブラザー制度について質問したいと思うのです。  ブラザー制度というのは、昭和四十五年の二月から労務政策の一つとして郵政省に取り入れられております。そして、東京郵政局の当時の浅見喜作局長、いまの経理局長であります。この通達で実施をしておる。そして、それが東要訓第八〇一号、昭和四十五年二月二十七日、普通局の郵便局長あてに出ておる。出しておる人は東京郵政局の第二人事部長、第一人事部長の連名であります。そして、その通達は「郵便局における世話役制の実施について(依命通達)」。カッコつきであります。  この内容は、職兄に任命された職員がマン・ツー・マン方式で新入職員を私生活にまで立ち入って指導する制度である、職兄には一回につき千円程度の活動費が認められておる。これは前回私が郵政当局と非公式にお話ししたときにも出ておる問題であります。そしてその実態は、少なくとも私どもが見る範囲では、ブラザー制度というものは、あとでこのことについてお話をお伺いしたいと思いますけれども思想、信条に対する重大な人権侵害があるように思われる。そしてもう一つは不当差別、人事の公正を害しておるというふうにも感じられるわけであります。実例はあとで申し上げますけれども、全郵政に入ったほうが身分も昇給も保障されるとか、あるいは全逓に入れば首があぶない、昇進がおそくなるということがあるわけであります。  まず第一に質問申し上げたいことは、ブラザー制度というのは公務ではない、断わったら本人の意思は尊重する、こういうふうにおっしゃっておるけれども、事実であるかどうであるか。これをまず第一点お伺いいたしたいと思います。
  43. 北雄一郎

    ○北政府委員 ブラザー制度と申しますのは公務であるかないか、これは任命を伴うものではございません。郵便局長本人に委嘱をするものでありますけれども、その仕事の内容は、要するに新規に入りました職員の定着性を向上させるための施策というものをやはりわが省としてもいろいろ持っておるわけでございまして、そのうちの一つとしてこうった制度を採用している、したがって、それに協力してもらうという意味で委嘱をする、こういうことになっておるわけであります。したがいまして、いわゆる一つの、定着性の向上という、これは役所の仕事でございますが、そのことをブラザーというものに協力してもらう、こういう性格のものであります。何と申しますか、フォーマルな形での職務というものじゃございませんで、インフォーマルな形での一つ仕事、こういうことになろうかと思います。
  44. 山本政弘

    ○山本(政)委員 公務ではない、つまり施策、インフォーマルなものである、こうおっしゃっております。私は、公務ではないんだ、だから断わったら本人の意思は尊重するのですかと、こうお伺いしているのです。そのことだけで、イエス、ノーだけでけっこうです。
  45. 北雄一郎

    ○北政府委員 本人がなりたくないということであれば、強制してなれということはございません。あくまで、頼んで承諾があって初めてブラザーにする、こういうものであります。
  46. 山本政弘

    ○山本(政)委員 私が先ほど申し上げたように、東要訓八〇一号、局長あて依命通達になっていますね。そうすると、依命通達ということは少なくとも郵便局長に強制力を持たせていると私は思うのですよ。強制力を持たせたら、それじゃ各局の局長一体どんな態度をとるだろう。少なくとも依命通達を拳々服膺して、そして郵便局の職員に対してはこれを実施するという態度に出ることは明らかだと思う。あなたが公務ではないから断わったら本人の意思を尊重すると言っても、しかし局の最高の上司である局長は、東京郵政局からそういう指令が出た場合、依命通達ということでやった場合には、局長が少なくともそれを命令として実施されるということは予想されませんか。本人が断わるとか断わらないとかいうことよりも、つまり局の最高の責任者としてどういうふうな態度をとるだろうかということは、あなたは予想されないだろうか。
  47. 北雄一郎

    ○北政府委員 この場合の依命通達と申しますのは、人事部長名でその通達が出ております。したがいまして、郵政局長の命を受けて通達を出した、こういう通達でございます。そういう通達が参りました場合、現場長はどういうふうにこれを受け取るか、あるいは当然拳々服膺するではないか、こういうことでございましたが、郵政局から定着性を高める一つの施策としてこういった具体的方法をやりなさいということを示すわけでありますから、したがいまして各局長は、もちろんそういう施策の本質をその通達によって見きわめました上で、具体的にこれが自分の局においても実効をあげるようにつとめる、これは当然だと思います。ただそのことと、このブラザー個々の委嘱というものとはまた別個でございます。したがいまして、そのことが直ちにブラザーになることを強制するということとはつながらない、かように考えます。
  48. 山本政弘

    ○山本(政)委員 私はたいへんおかしいと思うのですけれども、その前に、第一番目に経理局長の依命通達というのが出ておるのですか。出ているなら、どこに出ておるか、それを出してもらいたい。たとえば東要訓何ぼとか、そういうものがあるはずだから、そういうものを出してもらいたい。それが第一点。  第二点は、いまあなたおっしゃったけれども、本質を見きわめて郵便局長はそのことの実施に努力をするであろう。——かりの場合でありますが、すべての職員がそのことについて、公務ではないからということで本人の意思によってこれを辞退をする場合があったときに、一体どうなるのだろう。そのときにはあなた方は、依命通達だからといって局長の処分あるいは処置をなさるということに結果的にはなるんじゃありませんか。
  49. 北雄一郎

    ○北政府委員 ただいま申しましたのは経理部長でございます。東京郵政局には人事部長とか経理部長というのがございます。先ほど先生お示しの通達は、東京郵政局の人事部長、経理部長連名の通達になっておって、これが依命になっておるということは、郵政局長の命を受けて郵政局の人事部長と経理部長が出した通達でありますということを申し上げたわけであります。したがって、その点は先ほど先生お示しの通達そのものでございます。  それから、その次にお尋ねでございました、郵便局長はそういう通達を受けましたならば、定着性を高めるというのがこの施策の根本であるということを認識して、その施策を具体的に実行に移すわけでありますけれども、その場合、かりに全員がブラザーにならないといった場合にどうするかというお尋ねだったと思います。そういった場合はほとんど実際上はあり得ないと存じますけれども、かりにあったとしたら、その場合ブラザーになる者がないということであれば、これは成り立たない。その場合、ならぬからといって本人に対して処分をするとか強制力を用いるということはあり得ないこと、かように考えます。
  50. 山本政弘

    ○山本(政)委員 第一番目のあなたのお答えはうそであります。経理部長の依命通達なんて出ておりませんよ。第二人事部長、第一人事部長の連名で出ているでしょう。つまり、そういういいかげんな答弁をするからおかしくなるのですよ。  第二番目、実際上はそういうことはあり得ないという、その本質は一体どうなんだろうか。つまり、依命通達であるがゆえに、第二人事部長と第一人事部長が出されておるから、しようがないから拳々服膺するという事実があるかないかということなんですよ。そうでしょう。あなたがおっしゃっていることの中には、つまり省なり局なりの通達が出た場合には、末端の所属長というものはそれをまっしぐらにとにかくやっていくのほかはないだろう、そういうお考えがあるから、実際上はそういうことはあり得ないというお考えが出てくるのですよ。そうでなければ、東京の各局における所属長が、つまりブラザー制度に対してこれほど真剣に取り組んでいるということが起こり得ないはずです。そうじゃありませんか。もう一ぺん……。
  51. 北雄一郎

    ○北政府委員 前段につきましては、まことに申しわけございませんでした。勘違いをしておりまして、先生おっしゃるとおり東京郵政局の二人部長と一人部長の連名の依命通達でございました。つつしんで訂正をさしていただきます。  それから、通達が出た以上それを非常に熱心に下部でやるだろう、それは仰せのとおりだと思います。しかしその場合に、そうかといってこのブラザーというものになることについて強制力を用いるというようなことは全然考えておらないということであります。また、そういったこともないと存ずる、現実にもない、こういうふうに存ずる次第であります。
  52. 山本政弘

    ○山本(政)委員 しつこいようですけれども、強制力がない、強制力がないと言うけれども、つまりそういう官庁のシステムの中では、一つの依命通達というものが出た場合には、それをやるということが常識的になっておるんじゃないですか。そういうことじゃないのですか。
  53. 北雄一郎

    ○北政府委員 それは、郵政局が、一つの施策をこのように実行することによって業務をよくしろ——間接にですけれども、よくしろ、こういう一つの通達、すなわち指示をいたしますれば、これを受けてこれを実行するということは当然あるわけであります。さればといって、そのために、本来、やってくれないか、やりましょう、それでは委嘱する、こういう性質のブラザーというものについて、そういった前段のゆえをもちまして無理やりにならせる、こういったことではございませんし、またそのようなことではこういった制度というものはうまく運用されない。いやいやながらみんなやるということでは、必ずしもこういった制度はうまく運用されないのではなかろうか。むろんその間、十分にこういった制度の趣旨というものも説明をするでありましょうし、そういった意味での通常の意味の説得ということは、これはいろいろいたすと思いますけれども、しかし強圧をするとか強制力を伴うというふうなことは、こういったものの委嘱についてはあり得べからざることだ、こういうふうに考えております。
  54. 山本政弘

    ○山本(政)委員 それなら、東京郵政局第一人事部長あるいは第二人事部長というのはもう少し親切な通達を出さないのですか。このことは強制力を持っておりません、したがって各所属長はこのことについて、この本質というものをよく考えて判断をして差しつかえないという一項をなぜ入れないのですか、強制力がないというならば。黙っておれば強制力があるというふうに考えますよ、少なくともこの段階では。
  55. 北雄一郎

    ○北政府委員 ブラザーの委嘱について、個々の職員をブラザーに委嘱することについて強制力はない、こういうことでありまして、このことはこの通達に直接はございませんけれども、委嘱ということばの中にはっきりいたしておりますし、むろん通達の出しっぱなしではございませんで、その後もいろいろな会議の機会に、この制度というものを東京郵政局も現業各局に周知しておるわけであります。その中で、やはり委嘱ということであって、これは強制ではない、任命とは違うんだという趣旨のことは十分に説明をしておるわけでありまして、下部によく徹底しておると思っております。
  56. 山本政弘

    ○山本(政)委員 委嘱についてはということを繰り返しお答えになっておる。依命通達についてはどうなんですか。委嘱については強制力を持たしていない。依命通達については強制力はあるのかないのか。
  57. 北雄一郎

    ○北政府委員 新規採用職員の定着性を高めるということは、これは非常に必要なことと考えております。そのために、このブラザー制度というものが他の制度と相まって非常に有効な施策であるということも、これは私どもはっきりそう考えておるわけであります。したがって、そういう業務上非常に必要なことにつきましての有効な施策というものをできるだけ必要なところにしっかりと定着させるということは非常に必要なことであります。  そこで、繰り返しましてたいへん恐縮でありますけれども、この制度をやりますにはブラザーという具体的な人が必要になるわけであります。この人たちに対してブラザーになることを強制できない。結果的にそういうことは、また繰り返して恐縮でありますが、万一ブラザーになり手が一人もなかったということになりますと、いかにこういう制度を定着させることによりまして定着性を高めようと思いましても、肝心のいわば道具がそろわない。道具と言うとまた語弊がございますが、肝心のブラザーがそろわないということになると、自然これは残念ながらできない、こういうことになるのではなかろうかと存じます。
  58. 山本政弘

    ○山本(政)委員 定着性の問題についてはあとでお伺いいたします。  大臣にお伺いしたいのでありますけれども、いまの人事局長の北さんのお話によって、定着性を高めることは必要やむを得ないのだということで、片一方はどう考えても強制力を持たしているんですよ。そしてブラザーを委嘱するときには、これは自由意思である。そこに一つの本質的な違いが、答弁の中に出てきているのですよ。末端の所属長には強制力を持たしておる。いまの話の中には歴然と出てきている。そして今後は、委嘱するときには、これを受ける受けぬは自由意思である。常識でそういうことはあり得ますか。私はむしろ依命通達についてそれだけの親切なものがあっていいと思うのですよ。それでなければ、いささか逆説的になるけれども、強制力を持たすなら持たすと何ではっきりおっしゃらないのですか。現に強制力を持たしていることになっているのですよ。だからブラザー制度は問題になっているのです。大臣の答弁をお願いいたします。
  59. 廣瀬正雄

    ○廣瀬国務大臣 ただいま山本先生の御指摘の点が非常にむずかしい、誤解を招くところだと思うのでございますが、両人事部長が依命通牒を出しておるということは、結局郵政事業で一番難渋いたしております郵便の外務職員の、地方から出てまいりました青少年の方々の定着性をはからなければならない、定着度を高めなければならないというところにねらいがありますことは絶対に間違いないのでございまして、そういうようなことにつきましては、こういう制度が好ましいと思います、奨励すべきことでありますという趣旨の通牒であろうかと思っておるわけでありますが、しかし、そういう精神、そういう趣旨でそういうことを奨励いたしましても、好ましいと思いましても、ただいま先生がおっしゃる、そのブラザー制度の要素となりますブラザー、世話役の方々が、いやだ、そういうような世話は何も給料に含まっていることでもないし、余分の仕事になるからいやだということになって引き受けなければ、それで制度というものはこわれてしまうわけでございまして、そこに私は自由を認めておるものだ、このように解釈をいたしております。何だか逃げ口上みたいになりますけれども、従来郵政省あるいは郵政局で考えてまいりました世話役制度、ブラザー制度というのはそういうわけでございまして、いろいろ先般から皆さん方から御指摘いただいておりますこと、私どもも御指導、御教示をいただいておりましたわけでございますけれども、非常に長所がありますものですから、まだこれに非常に愛着を覚えておりますわけでございます。  しかし今後改めなくちゃならぬ点があれば漸次改善をしてまいりたいという気持ちは十分持っておりますわけでございまして、要は、何だか組合の転換を意図しているというような誤解を招くことが一番私は残念であり、そういうことは一番避けなくちゃならぬことだと思っておりまして、明朗な職場を築きますためには、組合がいろいろございましても、おのおのやはり、あります存在理由と申しますか、人々の好みによってそういうことをやっているわけで、これは郵政省がとやかく申すべきことでもございませんし、またブラザー制度なんかによってそういうものをとやかくしたいなんていう意図は全くないわけでございます。しかしそういうような誤解を招くような点があるということであれば、ブラザー制度による定着性の向上ということを第一義に置いて、誤解を招く点は改めていかなくちゃならない、こういうように考えております。  今回、御承知のように二、三日前に全逓の年末闘争につきましては幸い皆さん方の御配慮で妥結を見ることになりましたけれども、このブラザー制度だけはまだ、現在の制度そのままで全逓もよろしい、賛成だというようなことになっておりませんので、この問題だけはちょっと別にいたしまして、今後検討の課題にいたしたいと考えておるような次第でございます。
  60. 山本政弘

    ○山本(政)委員 このブラザー制度というのは定着性を強めること、不平不満の解消をはかること、疎外感の解消をはかること、これが大体主要目的となっておると思います。  そこでお伺いいたしますが、定着性を高めることの中に——これは東京郵政局第二人事部「世話役必携」。「青少年職員の能力開発」という副題がついておる。この中身で、一つは、採用直後から三カ月間に離職をする、採用六カ月から一年目に離職をする、採用一年目から三年目、この期間が離職が一番多い、だから新人教育をブラザーというシステムによってやる、こういうことだろうと思うんですね。定着性の問題で、採用直後から三カ月間、採用六カ月から一年目、採用一年目から三年目という、これは間違いありませんか、北さん、六ページに書いてあります。
  61. 北雄一郎

    ○北政府委員 手元にこれを裏づける数字をただいま持っておらないわけでございます。すなわち採用直後から三カ月、それから六カ月から一年目というようなこまかい区分のは持っておりませんですが、採用いたしましてから三年間の離職率が比較的高いということについては、おおむねそのように私ども把握をしておるわけであります。
  62. 山本政弘

    ○山本(政)委員 それじゃお伺いいたしますよ。これも東京郵政局から出ておるのです。「職場リーダー 定着性向上コース」二ページ、「離職者の勤続期間別構成」となっておるけれども、一番多いのは二年目から五年未満じゃありませんか。六カ月未満九・九%、六カ月から一年未満五・二%、そして二年から五年末満というのが二一・四%ですよ。どこにそういう資料があるのです。私はだから、ブラザー制度というものに籍口してあなた方が何かをやっておるというのですよ。私の数字じゃないんだ。あなた方の出しておる数字だ、これは。どこにそういうでたらめなことが言えるのですか。
  63. 北雄一郎

    ○北政府委員 私ども東京郵政管内の普通局について調べました数字によりますと、詳細にわたりましてたいへん恐縮ではございますけれども、四十一年度採用の職員、これが内外別に申し上げますと、一年未満で離職した者が内勤で七・一%、それから一年ないし二年で離職した者が三・九%、それから二年から三年でやめました者がまたふえまして七・〇%、三年から四年の者が四・六%、それから四年と五年の間にやめた者が三・三%。これで見ますと、一年未満でやめた者と二年ないし三年の間でやめた者の率が高くなっておるわけでございます。これはその次の四十二年度の採用の者につきましても、やはり同じような傾向を示しておるわけであります。こういったことから先ほどのことを申し上げたわけであります。  この先生のお示しの「定着性向上コース」というシート集の二ページにあるものでありますが、これは、正確には存じませんが、おそらくわが部内じゃなくて、一般産業の数字だ、かように存じます。
  64. 山本政弘

    ○山本(政)委員 いいですか。文書を出すならもう少しはっきり出してくださいよ。いまあなたが指摘された三番目のところの「任意退職者の退職の理由」には、カッコして(民間企業)となっているのです。そうすると一番目は郵政省数字になるじゃありませんか。そうじゃありませんか。しかも「当管内平均」と、こうなっている。それならばここにはっきりと民間企業というのをなぜお入れにならない。民間企業というものが一、二には入ってなくて、三番目になぜ民間企業というものを入れたんです。
  65. 北雄一郎

    ○北政府委員 不勉強で申しわけございませんが、この「当管内平均」という意味が、この「調査産業計」という上のが全国の調査産業計であって、下のがその調査産業の東京郵政局管内平均という意味でありますのか、東京郵政局管内の郵政職員のことでありますか、ちょっとただいま資料を持ってませんので申しわけありません。ただ、先生指摘の、この二年以上というのが数字が多いじゃないか、こうおっしゃいますけれども、二年ないし五年未満というのは、ごらんのように三年間の数字でございます。したがって、かりにこれを三で割りますと九%、それから下のほうが七%となりまして、やはりそれより下のほうが離職率が高い、こういうふうな数字になっておると存じます。
  66. 山本政弘

    ○山本(政)委員 いずれにしても、北さんの御答弁の中でも一年未満が七・一、二年から三年が七・〇。そうすると、七・〇に対しては今後また何かなさるおつもりですか。
  67. 北雄一郎

    ○北政府委員 私どもは、要するに大体の傾向として三年未満の間が一番離職が高いんだというふうに、先ほどの数字もございますが考えまして、この辺にいろいろな角度から定着性を高めるような施策をしなければいかぬ、したがって、その一環でありますところの本制度につきましても同様であるという考えは持っておりますが、具体的に採用後どの辺の人たちをということになりますと、実はその具体的なやり方については郵政局にまかせておった傾向がございます。最近、いろいろこれにつきまして、先ほど大臣から申し上げましたように、本省としても、この制度の内容につきましてはこの際身を入れて十分検討をしてまいりたい、こう考えておる次第であります。
  68. 山本政弘

    ○山本(政)委員 いま局長の御答弁がありましたけれども大臣、つまりこのブラザー制度の欠陥というものはもう実態として出ているわけですね。そうすると、このことに対してこれを改めるとか、あるいはもう一ぺん根本的に考え直すというお考えはあるのかないのか、大臣としての責任ですよ、大臣として私はお伺いしたいのですけれども、どうでしょう。簡単でけっこうです。
  69. 廣瀬正雄

    ○廣瀬国務大臣 ブラザー制度、世話役制度というものが青少年の確保に非常に有効であるという気持ちは持っておりますわけでございますが、いろいろ御指摘をいただいておりますので、まあ私どもといたしましてはマン・ツー・マンという精神をなくさずに、また皆さま方のおっしゃるような誤解を招かないような何かの方途はないものかと思って、いろいろ苦慮いたしておりますわけでございまして、これにつきましては、今日までのところ、皆さん方の御満足いただけるような名案が出ておりませんけれども、先刻申しましたように、これは一つの、将来の郵政省の大きな課題として検討を続けてまいりたい。このままの形で放置してやっていこうということでなくて、十分検討を加えたい、こういうようにも考えておりますわけでございます。
  70. 山本政弘

    ○山本(政)委員 この初めに、一ページに「社会と青少年」と書いてあります。戦後から今日までのことが書いてあるのだけれども、非行少年のことが書いてあります。ブラザーシステムというのは、本来はアメリカのビッグブラザーズ・アンド・シスターズという、非行少年を矯正する、指導する、そういうところから始まったのではないだろうかと私は思っておる。そしていみじくも、ここにも初めにそういうことを書いておるのです。私は郵政に入ってくる人たちが非行少年だとは思いませんよ。どうもあなた方がブラザー制度というものを、定着性に対する一番大きな何か有効な手段であると考えているのは少し間違いじゃないか。これはどこかの新聞にも出ておりました。民間産業のように単一な組織の場合には、それはブラザーシステムというものが有効であるかもしれない。私はそれ自体に問題があると思いますけれども、しかし特に郵政のように組織がまっ二つになっているところに対してブラザー制度というものを持ち込むということに対してはたいへんな疑問がある、こう言っているのですよ。だから再検討を願えないか、こう言っているわけです。しかも、定着しないという大きな理由一つというのは、賃金が安いということが一番大きな理由なんですよ。三二%。しかも、もう一つの大きな理由というのは、企業の将来性がないと思ったからというのが三二%であります。そうして自分の能力を認めてくれなかったからというのが二〇%。あとはかなりパーセンテージがダウンしておる。そういうところから見ると、これは民間産業だと、また北さんお逃げになるかもしれぬけれども、しかし趨勢からいけば、大体、離職者の勤続期間別構成を見てもわかるように、私は同じだろうと思うのですよ。そういうところに実は目をつけないで、そうしてブラザー制度というものが最も有効な手段であるとお考えになることに間違いがある、私はこう思うのです。どうですか、北さん、その点について。
  71. 北雄一郎

    ○北政府委員 いま先生のおあげになりました項目別数学、これはもう先生も御承知と思いますけれども、その本にも(民間企業)とございます。しかし私どものほうでも、ただいま正確に数字は記憶しておりませんが、昨年、これは組合の了解も得ました上で、一万人の青少年職員、二十五歳未満であったかと思いますが、それについていろいろな角度から意識調査を行ないました。そのときにもやはり、賃金が低い——現在の賃金をどう思うかというのに対して、低いと思うというような回答が相当ございました。そのことは私ども十分認識いたしております。  しかしながら、私どもも、全体の賃金をきめます場合に、私どもの場合、これまた御承知のように、組合と協約を結びまして賃金をきめておるわけでありますが、その場合、新規採用といいますか若年労働者といいますか青少年職員といいますか、この辺の給与を手厚くするということにつきましては、ここ数年来、定着性を高めるということもございまして、それらの中心施策として実は考えさせていただいております。現在では、たとえば東京都内の郵便の外務職員は、高等学校卒業の者を新規採用いたします場合に、基準内給与五万円をこすものを初任給といたしております。そういったことで、そういったことを中心にずいぶん配慮はいたしておるつもりでございます。  重ねて申し上げますが、このブラザー制度も、そういった定着性を向上するということの一施策である、しかし主要な施策というか中心施策はやはり賃金である、そういう認識は十分に持っておるつもりでございます。
  72. 山本政弘

    ○山本(政)委員 時間があまりないものですから、先へ進みたいと思います。片面ではたいへん強制力を持ちながら片面では自由裁量だというのは、私は皆さん方の御答弁ではきわめて不満でありますけれども、先へ進みます。  経理局長おいででごさいましょうか。——ブラザー制度における経費の支出がありますね。それは需品費から出されている、そして専決事項である、こういうお話でございますが、それについてもやはり明確な支出の明細というものが要るのだろうと私は思うのですよ。その点はどうなんでしょう。
  73. 浅見喜作

    ○浅見政府委員 お答えいたします。  お説のように、需品費で世話役の要します経費を支出いたしておるわけでございますが、この支出の方法につきましては、他にも例がございますが、立てかえ払いと称しますやり方でいたしております。
  74. 山本政弘

    ○山本(政)委員 立てかえ払いの場合でも、要するにその場合でもちゃんと明細は出るわけでしょう。そうじゃないのですか。
  75. 浅見喜作

    ○浅見政府委員 もちろん立てかえ払いと申しますのは、ひとまず私の金、私金で立てかえましたものをあとで補てんをするということでございますから、原則として受領証が要るわけでありますが、たとえば電車賃等のごときは受領証というわけにもまいりませんので、その辺は、行動が明らかであるということを確かめました上で支出をいたしております。
  76. 山本政弘

    ○山本(政)委員 局長、常識的なお答えでけっこうでございます。皮肉で申し上げるわけではありませんけれども、郵政は良識者を養成しているのですから……。コーヒー一ぱいの代金が四百五十五円というのは常識的であろうかどうだろうか、ちょっとお伺いしてみます。あなたのお考えでけっこうであります。もう一つ、お菓子を二人で千円食べられるかどうだろうか、これもひとつ常識的であるかどうだろうか、ちょっとお聞かせいただきたい。
  77. 浅見喜作

    ○浅見政府委員 ブラザー、世話役の運営に要します経費は一カ月千円以内、一件につき千円以内ということで、厳重に立てかえ払い制をとらしておるわけでございまして、ただいま御指摘のコーヒー四百五十五円でございましたか、これにつきましては何人で何を飲み食いしたか、喫茶店であろうと思いますけれども、二人がたとえばコーヒーを飲み、ほかに若干時間を要して、くだものでありますとかあるいはケーキをとったということになりますれば、ほぼ常識の範囲であろうかというふうに存ずる次第でございます。  あとの千円のケースにつきましても、個々に中身を見ませんと何とも申し上げられないと存じます。
  78. 山本政弘

    ○山本(政)委員 それじゃ申し上げましょう。コーヒーを二人で飲んで、九百十円の請求を現実に出している。お菓子は一人で千円の請求が出ているのですよ。(「甘党だ」と呼ぶ者あり)甘党だという話があるけれども、甘党でも一人で千円の菓子を食べるのはたいへんですよ。あなたは一件につき千円以内、こうおっしゃっておるが、一人の人に払われた金の中には、九万九千三百五十四円というお金がある。一体そういうものがノーマルな金の支出であるかどうか、お聞かせをいただきたいと思います。
  79. 浅見喜作

    ○浅見政府委員 ただいまの前段のお尋ねにつきましては、先ほどお答えいたしましたような中身をくるめてのこととしか思われませんですが、あとの九万九千何がしということになってまいりますと、一見膨大なことのようでございますけれども、世話役の活動のあり方といたしまして、もちろんマン・ツー・マンを原則といたしますが、たとえば地方から一斉に集団就職で部内に入ってきたという人たちが、局別に見ましてもかなりの数に相なるわけでございまして、導入の期間におきまして世話役、弟全体がグループで、まず東京になれようというようなことで集団的な施策を施すこともあるわけでございますから、一組の世話役対弟に千円平均といたしましても、かなりの数がまとまりますとこういう支出もあるいはあり得るかというふうに存じます。
  80. 山本政弘

    ○山本(政)委員 あなた方はマン・ツー・マンとおっしゃっているけれども、一人のヤングというのですかヤンガーというのですか私よくわかりませんが、そのヤンガーに対して三人のエルダーが現実についている。蒲田局のブラザーは——あなた方は集配を中心としていると言うけれども、集配はもちろん多いが、集配だけじゃありませんよ。六十六名のエルダーのうち、庶務、会計が二名、郵便課が十七名、第一集配課二十一名、第二集配課十七名、貯金課二名、保険課七名で、六十六名のうち二十八名が集配外じゃありませんか。そして弟のヤンガーのほうは、庶務、会計二名、郵便課十七名、第一集配課二十三名、第二集配課十五名、貯金課一名、保険課五名、合計六十三名のうち二十五名が集配外じゃありませんか。第一にそこにうそがある。第二番目、一対一ではありません。一人に三人についているのがある、ここに。間違いないです。一人に二人ついているケースもある。その点についての御答弁をお願いしたい。
  81. 北雄一郎

    ○北政府委員 世話役制につきましてはマン・ツー・マンを原則、これが一番有効な方法とされておりますので、これを基本的には原則にいたしております。しかしたとえば、その局に新規採用の、ブラザーのつけられておる職員がかりに二十名いたとする。それで、このブラザーがマン・ツー・マンでありますから、やはり二十名という場合に四十名になりあるいは多少欠けまして、三十六名とか三十五名というような者がまとまって行動をするという場合も、先ほど経理局長申しましたようなことであると思います。したがいまして、そういった方法も併用されておると思います。  ただ基本はやはりマン・ツー・マン、相談相手ということになりますと、いろいろ一身上の問題もございますので、マン・ツー・マンがいい。しかし東京になれるとかいうようなことであれば、そういう三十人、四十人というグループ同士で、いわばメン・ツー・メンで一つの行動をするということも、ときとしてはあり得るというふうに存じます。また先生指摘のように、一人のいわば弟に対しまして兄が三人つくという例につきましては、実は私存じませんので、これについてはまた調べてみたいと存じます。
  82. 山本政弘

    ○山本(政)委員 三人ついておるのですよ、現実に。三人ついておって一人は郵便内務主事、もう一人は、名前を申し上げたほうがいいかもわからぬ。高橋正義という人であります。この人は保険内務主任、全郵政の指導者であります。もう一人は郵便内務主任、この三人の人がついているのですよ。何でそれだけのものをつける必要があるのです。そしてあなたはメン・ツー・メンと言ったが、マン・ツー・メンの場合だってあるのです。一人の人がたくさんの人を受け持っている例がある。たとえば労務主事で全郵政、全逓対策の中心人物、この人が何人受け持っているか、六人受け持っているじゃありませんか。どこにマン・ツー・マンというのがあるのです。しかも二人で受け持っておるのが、ここに数組あります。まさに東京郵政局の全逓対策としか言われぬじゃありませんか。しかもその中で、自分は一度もエルダーからそういうことで一緒にお茶を飲んだこともない。菓子を食べたこともない。架空の請求書がここになされている。必要なら名前を申し上げてもいいのですよ。経理局長、そういったことがあったときに一体どうする。処分いたしますか。人事局長と経理局長、答弁してください。
  83. 北雄一郎

    ○北政府委員 ブラザー制度につきましては、これはもともと当方の発案ではございませんで、先生も先ほどおっしゃいましたような外国の制度があり、それが時代の変化によりまして定着性を高めるのにいい施策だということになりまして、わが国におきましても民間の企業におきまして、これを実施しておる多くの例があるわけでございます。そこからヒントを得まして東京郵政局で採用したわけであります。その場合民間の例を見ますと、やはりマン・ツー・マンが原則であります。しかし、これに他の方法を併用しているところもございますし、またマン・ツー・マンをとらないでマン・ツー・メンにしているところ等もございます。ですからこのブラザー制度というものは、一つの根本はございますけれども、それにもただいま申しましたようないろいろなタイプが民間でもある。ですから、わがほうといたしましては、その場合やはりマン・ツー・マンが原則である。しかし他の方法を一切排除するということはいたしておりません。あくまでマン・ツー・マンが原則だというんでありまして、その他実情に応じましてマン・ツー・メンもございましょうし、またマン・ツー・マンの場合でも、ときによってはメン・ツー・メンにするという、いわばブラザーの集団と弟のほうの集団とが合わさって行動するという場合もある、こういうような形であるわけであります。  なお、経費の使用につきましては、問題があるんじゃないかということでございますけれども、私どもそういった立てかえ払いで、金額等についてもきわめてかたい制限をしておるわけであります。したがいまして、今後御指摘のようなことはまあないと思うのでありますが、しかしその点につきましても御指摘がございましたので、今後そういった現実の支出方法が厳正に行なわれるように特に指導をしてまいりたい、かように考えております。
  84. 浅見喜作

    ○浅見政府委員 架空の領収書によりまして国の支出を着服いたしました場合には、それ相当の措置をいたします。(「全部ちゃんとチェックしているか」と呼ぶ者あり)各現場におきまして立てかえ払いの支出をいたさせておりますが、その裏づけとなる領収書その他を、本省経理局長といたしまして今日までチェックしたことはございません。
  85. 山本政弘

    ○山本(政)委員 ちょっと浅見さん、それから人事局長も聞いてください。いいですか。このことについては証言をしてもいいという人がおるんです。しかもその証言をしていいという人に対して三人のエルダーがつけられておるんですよ。その人はただの一度も飲み食いをしたことはありません、あるいはその他のことについてもやったことがありません、しかもいつでも証言に立つと言っている。その人に対して三人のエルダーをつけている。なぜだ。全逓の組合員できちんとしている人です。だから、あなたたちは三人の人をつけているんでしょう。しかもその中では、エルダーというのは全部全郵政の旗を振っている人たちだ。どこに不当労働行為がないと言えますか。  エルダーになっている人をここで申し上げてみましょうか。高橋周一という人がおる。昨年九月全逓を脱退して三日後に主事になっていますよ。堤という人はさっき申し上げたとおり労務主事で、全逓対策の中心人物である。高橋正義さん、全郵政、保険の内務主任、市川という人、全郵政の分会の書記長、集配主任、依田という人は全部郵政結成当時の中心人物、集配計画主事、全郵政所属、これであなた方が定着性だけでなしに、どこに組織対策をしていないということが言えますか。あるなら反証を出してください。私はあなた方の答弁では不満足であります。そして人事局長の御答弁というのは非常に抽象的で具体性を欠いております。もう一回答弁をお願いいたします。
  86. 北雄一郎

    ○北政府委員 ただいま御指摘の具体的な事案につきましては、どういう事情でそういうシステムをその場合とっておるのか、十分に調べてみたいと存じます。
  87. 山本政弘

    ○山本(政)委員 経理局長、私は蒲田の郵便局だけの問題を言っているんじゃありません。王子の郵便局に同じようなものが出ている。そして労使の間の交渉の中に出ている。あなたは専決事項だ、こうおっしゃった。専決事項だけれども、これはむだ使いをしていいということじゃありませんよ。それならば当然それに対してチェックをなさっていいはずでしょう。庶務の経理に当たる最高の責任者で、当然あなたはそうすべきじゃないでしょうか。
  88. 浅見喜作

    ○浅見政府委員 先ほど、舌足らずであったと思います。  私が本省経理局長としてと申しましたのは、私がこの目で領収書を見たことはございませんという意味でございまして、現場におきまして立てかえ払いの支出をいたします場合に、現場の管理者がチェックをいたしておるわけでありますから、それで正当な支払いがなされておるというふうに考えております。
  89. 山本政弘

    ○山本(政)委員 経理局長の答弁というのは、問題をすりかえている。立てかえ払いというものは、後日になって証明がちゃんとできるはずであります。しかし、一度も飲み食いされてない、それが経費としてなぜ支出されるのだ。問題はそこにあるでしょう。そんなばかなことがありますか。   〔発言する者あり〕
  90. 森山欽司

    森山委員長 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  91. 森山欽司

    森山委員長 速記を始めて。  それでは、浅見局長
  92. 浅見喜作

    ○浅見政府委員 補足をいたします……(「補足じゃないよ、だめだ」と呼び、その他発言する者あり)
  93. 森山欽司

    森山委員長 速記をやめて。   〔速記中止〕
  94. 森山欽司

    森山委員長 速記を始めて。
  95. 浅見喜作

    ○浅見政府委員 あらためて答弁させていただきます……(発言する者あり)
  96. 森山欽司

    森山委員長 暫時休憩します。    午後零時四十八分休憩      ————◇—————    午後零時五十八分開議
  97. 森山欽司

    森山委員長 休憩前に引き続き会議を再開いたします。  この際、廣瀬郵政大臣から発言を求められております。これを許します。廣瀬郵政大臣
  98. 廣瀬正雄

    ○廣瀬国務大臣 先刻の経理局長の答弁で混乱を招きましたことは、まことに遺憾に存じます。この種の支出につきましては、慎重に対処いたしますよう、本省におきましても特に配慮いたしまして指導監督をいたしてまいりたいと存じます。
  99. 森山欽司

    森山委員長 質疑を続けます。山本政弘君。
  100. 山本政弘

    ○山本(政)委員 人事局長の御答弁の中でマン・ツー・メンというのもおありになる。マン・ツー・メンという場合には、メンというほうの数字一体どれくらいなんですか。何十人ということにはならぬと思いますが、大体これくらいのものであるという目安はあると思うのですよ。
  101. 北雄一郎

    ○北政府委員 私どもといたしましては、ブラザーの兄のほうになります者もちゃんと所定の勤務を持った職員であるわけであります。これがその部下、新入の職員のよき相談相手になるということになりますと、これはあまり多くの弟を一人の者が持つということになると、おのずから相当な負担になるだろうというふうに考えます。かたがた、先ほどもお答え申し上げましたけれども、そういった相談相手、相談の内容というようなものが個人の内申の問題等にもかかわる問題等も多いと思うのであります。そうなりますと、やはり一人対一人という形で最も望ましいのではないか。相談の内容、それからそういった負担等を考えますと、一対一の関係が一番望ましいのじゃないかと思います。しかし、中には一対二、一対三というものもあってはならぬということは特段に言ってないわけですけれども、そういったことでございますので、あまり多くの弟があるということは、ごく特殊な場合はあるかもしれませんが、一般的には事例も少ないだろうと思いますし、また無理なんじゃないかという気がする次第であります。
  102. 山本政弘

    ○山本(政)委員 四十五年の十一月四日に一人のブラザーが十七人の人と一緒に飲み食いをしております。その十七人の飲み食いをしたエルダーはブラザーを六人持っておる。四十五年の十二月の十日に十五人と食事をしておるが、その人はブラザーを一人しか持っておらない。しかし十五人と食事をしておる。四十六年の一月二十日、一人のエルダーが、ヤンガーを一人しか持っていない、その人が十二名の人たちと、おそらくこれは飲み食いだろうと思いますが、しております。一月三十日に二人のヤンガーを持っている人が十人の人たちと飲み食いをしておる。そういう事実は一体どう説明されるのか、ひとつ説明をしていただきたいと思います。
  103. 北雄一郎

    ○北政府委員 先生ただいま御指摘のようなこと、これまた不敏にしてただいま初めて実は伺う次第でございます。具体的な事情、特殊な事情があったのかどうか、そのケースについてよく調べてみたいと思います。しかし一般的には、私さっき申しましたように、一人が六人も七人も持つというのは、これは大体無理だ、またこのブラザー制度からいくと、やはり少し無理じゃなかろうか。本人の負担ということからいっても無理だし、またよき相談相手になるという意味からいっても無理があるのじゃなかろうか、一般的にそう思いますが、具体的にお示しの場合につきましては、十分に調べさせていただきたいと思います。
  104. 山本政弘

    ○山本(政)委員 私が申し上げるのは、いま四つの例を申し上げたと思うのです。四つの例のうちに、二人は全郵政の指導的な人物であります。そして二人はいわゆる良識者といわれる人で、ボタンを押せばいつでも全郵政にいくというように見られておる人であります。その人たちが十七人とか十五人とか十二人とか十人という人を集めておるということは、まさしくブラザー制度というものが組織対策に使われていると言ってもいいと思います。少なくとも客観的に見れば、そういう疑いをもって見られるということはあたりまえのことだと思います。その点はどうでしょう。
  105. 北雄一郎

    ○北政府委員 そのようなことはないと私確信しております。そのような意図でもってやっておるということはないというふうに確信いたしております。  具体的なそのお示しになりました四つの例につきましては、どういう事情であるのか、十分に調べさせていただきたいと思います。
  106. 山本政弘

    ○山本(政)委員 時間がないそうですから、私は少なくともそういう実態をひとつ調査してもらいたいと思う。それがわかれば、あなた方でちゃんと責任を持って処置をしてもらいたい。これは確認してよろしゅうございますね。
  107. 北雄一郎

    ○北政府委員 十分に調査をいたしたいと思います。また、調査して不適切な形で行なわれておるようなケースがあれば、それはやめさせる、あるいは是正させる。またそのことにつきましてもっと広く私ども調査いたしまして、一般的にもこの制度を将来さらにどういうふうによりよく持っていくかということにつきまして、本省といたしまして、かっちりしたものをつくりましてやってまいりたい、こういうふうに考えております。
  108. 山本政弘

    ○山本(政)委員 つまりそういう人たちが良識者なんですか。処置のことまでについては何もおことばがなかったのだけれども、そういう人たちをあなた方は良識者とお思いになっていらっしゃるから処置をしないのですか。処置をするのかしないのか。
  109. 北雄一郎

    ○北政府委員 私は、そういった制度の運用のあり方というものが、現実には御指摘のように若干さまざまな形になっておるという御指摘だと思います。したがいまして、こういった制度を活用するという見地からいたしまして、最もよいスタイルでこれを運営してまいるということについて、この制度そのものの改正措置といいますか、是正措置といいますか、そういったことを考えてまいりたい、かように申しておるわけです。  現に何人か持っておるその個人ということにつきましては、どういう事情でそういうことになっているのかよく調べてみませんと何ともわからない、かように考えております。
  110. 山本政弘

    ○山本(政)委員 北さん、抽象的な議論じゃないので、私は単刀直入にお伺いしているんですよ。そういう人たちがあなたの言う良識者であるのか、そしてそういう事実があった場合に、私は客観的にいえば良識者でないと思うのだけれども、そのことに対する処置というものをどうお考えになっているか、これだけのことです。きわめて簡単であります。
  111. 北雄一郎

    ○北政府委員 一人に弟がたくさんついておるから、これが良識者であるとかないとかという問題ではないのではなかろうか、こう考えるわけであります。
  112. 山本政弘

    ○山本(政)委員 北さん、問題をそらさないでください。私が言っているのは、つまりいまここで私が例をあげたのは、一人で六人持っておる人もおりますよ。しかし一人で一人を持っておる人もおるわけです。それから一人で二人を持っておる人もおる。そういう人たちが十七人とか十五人とか十二人とか十人とかいうような人を集めて食事をするということが、一体良識であるのかないのかということなんです。それが第一点です。良識であるかないかのあなたの御答弁だけでけっこうなんです。そうしてもしそのことが、われわれのいう良識ということからいえば良識的でないと思うのですけれども、自今そういうものがあった場合には、あなた方は処置をおとりになるかならないか、この二つの簡単な問題なんです。だからいろいろなことは要りません。イエス、ノーだけでけっこうなんです。
  113. 廣瀬正雄

    ○廣瀬国務大臣 ブラザー制度の趣旨から申しますと、一人で十六人も持ってやっておるということは、これは私どもの趣旨に反するわけでありますから、良識ある態度ではないと思っております。そういうものに対しましては、しばらくやめてもらうというような処置をとりたいと思っております。
  114. 山本政弘

    ○山本(政)委員 たいへん簡略でありがとうございました。  あと二問だけ質問させていただきたいと思うのですが、このブラザー制度の中で、兄がいて弟がいない、つまりエルダーがいてヤンガーがいないものが七名蒲田局におる。そしてヤンガーがいてエルダーがおらぬものが四名おる。これも私は何ともふしぎな話だと思うのですが、一体このことについてどうお考えなのか。  もう一つは、四十五年から四十六年の九月までこの人はエルダーであります。その間に一回会合に参加をしたけれども、その以後については会議には招集をされておらない。なぜならば、この人は全逓の分会長であります。名久井国照さんという人です。第二集配課。何のために、エルダーに指名をしながら、そして本人は拒否をしておらぬにもかかわらず、それ以後その人を使っておらないのか。これも私はたいへんふしぎなことだと思うのですよ。これをまとめて二つ。  それからもう一つ。これは同じようなケースたくさんありますよ。新宿局にもありますよ。玉川局だってこれは全部全郵政。あなた方がどんなに組織対策じゃないとおっしゃっても、これは私に言わしたら組織対策であることは間違いない。  そして最後にお伺いしたいのは、郵政の職員が結婚式をあげるときには、私は休暇を出すはずだと思うのですよ。そんなに非人情な郵政省ではないと思うのだけれども、しかしそういうものを拒否をしておる。この人は内縁の奥さんがおった。お金がないからお金ができるまでかせいで、そして結婚式をあげようとした。その結婚式に局長が参加まかりならぬ。本人のおらぬ結婚式なんて私は初めてなんですけれども、大宮の郵便局次長であります。郵政六法をよく見ました。そして東京郵政局の就業規則の解説を見ました。どこにもそのことが書いてない。これはどういうことなのか。しかもその局でやはり組織破壊工作が起こっておるということも明白な事実であります。時間があれば私は全部を申し上げたいけれども、時間がないから……。そういう局長に対してあなた方はどういう処置をなさるおつもりか、この二点をお伺いしたいと思います。
  115. 北雄一郎

    ○北政府委員 ブラザーがおるけれども弟がないのがあるという御指摘であります。実はブラザー委嘱すると前から申し上げておりますが、委嘱ということばをさらに精密に申し上げますと、実は通達にもございますが、指名という概念と委嘱という概念に分かれるわけでございます。指名と申しますのは、要するにその局で一年間にかりに新規採用者が、いろいろなことから推察いたしまして三十人ぐらいありそうだという場合には、あらかじめこの三十名の方々に厳密な意味では指名ということをいたしまして、新規採用の職員が入ってきたら順次といいますか、兄貴になってやってくれ、こういうことになるわけであります。そして新規採用の人間が入ってくればこれが弟を持つ、こういう関係になりますので、この指名者、指名された人間から比べれば、現実に弟を預かってもらっておる人間のほうが少ないということはあり得るわけであります。したがいまして、兄で弟を持っておらぬのがあるということはあるだろうと存じます。  それから大宮の局のことでございますが、これは明らかに局側の間違いでございます。したがいまして、そういう間違いをした管理者につきましては、適正な処置をとりたいというふうに思っております。
  116. 山本政弘

    ○山本(政)委員 都合の悪い点についてはお答えになっておらないのですよ。弟がおるけれども兄がいないということの答弁をあなたはなさっていないのです。それは一体どういうことだろうか。四人の弟がおるけれども、これに兄がついておらない。
  117. 北雄一郎

    ○北政府委員 ちょっと私ここでは考えられないことでございます。したがいまして、その点につきましてはよく具体的に調べまして、そういった場合いかなる理由でそうなっておるのかよく調べてみたい。調べた上で必要があれば必要な措置をとりたい、こう思います。
  118. 山本政弘

    ○山本(政)委員 最後であります。その前に大阪にも同じことがあるのですよ。私は申し上げておきます。これは大阪の中郵だと思いますけれども、四十六年の一月から十月までの採用職員総員百三十七名に対して、全郵政組合員百十四名、全逓組合員十一名、未加入六名、未確認五名、退職一名、合計百三十七名になりますけれども、全逓の十一名という人は、全部全郵政に不信を抱いて全郵政から全逓に入っている人です。たいへん奇妙に思うのは、百三十七名のほとんどが、郵政に就職をしたとたんに入っておるという事実をたいへん奇妙に思うわけであります。  そこで、定着性ということを北さんはお話しになった。ブラザー制度というのは、先ほども申し上げましたように三点ある。一つは不平不満を解消すること。疎外感の解消。そして定着性を強めること。それならばお伺いをいたしたいのでありますけれども、通信試験というのがありますね。通信試験の問題についてここに出ているのはほとんど労働問題ばかり。第二回の通信試験、第三回の通信試験、ほとんどそうであります。どこに不平不満を解消すること、あるいは疎外感を解消するというのが問題として出ているか。労使関係ばかり出ているじゃありませんか。つまりあなた方が言っていることは、私に言わしたら全くうそだということになる。答弁をお願いいたしたいと思います。
  119. 北雄一郎

    ○北政府委員 通信試問と申しますのは、それぞれの共通なら共通、共通というとあれでございますが、郵便部門は郵便部門、貯金部門は貯金部門、会計部門は会計部門、それから庶務部門は庄務部門というような形で、それぞれの現場の職員に対しまして、その勉強心を養う、あるいは業務知識の勉強をしてもらうという意味で試問をしておるものであります。  御指摘のものは、どの部分に属するものか存じませんが、おそらく庶務部門の人々に対するある一ときの、ある一回の試問の内容ではなかろうか、かように考えます。全職員に対してやっているものではございません。その担当の職員に対する試問、こういうふうに存じます。
  120. 山本政弘

    ○山本(政)委員 庶務部門、かりに北さんがおっしゃるように、私は庶務部門なら庶務部門の、要するに管理規定についてやるならばよくわかりますよ。しかし何のために団体交渉とか労働時間とか組合の休暇とか組合専従、苦情処理とかということについて試験問題としてお出しになるのか。私はこれが理解できないのです。出ているのは、ここに二十問の質問があるけれども、一問だけ、冒頭の一問だけ、あとは全部労働問題といってもいいほど労働問題であります。たとえば、一番の問題について、「勤務管理規程の定めるところにより所属長に届出なければならないもののうち、必要のないものはどれですか。」「住所を変更したとき」「自宅を改築したとき」「大学を卒業したとき」、これだけですよ。その他はほとんどが労働問題。中に一つだけ労働問題以外のものがあります。それは被服の正常着用についてということだけである。これはだれが見たって労働対策ですよ、私に言わしたら。こんなものが平然として出されているのですよ。あなたたちがどんなにブラザー制度というものを公平にやりたい、こうおっしゃっても、実は行なわれていることは違うということであります。しかも、冒頭に私が申し上げましたように、一つの郵政という中に二つの組合があるときに、ブラザー制度を採用したら、労使の関係というものが円滑にいかなくなるということは、これはあたりまえの話、だれが考えてもあたりまえの話だと私は思う。あなた方が自分が御採用になっているから、ブラザー制度というものはいいものだとお考えになる。私はそういう既成概念から出てきていることがたいへん間違っていることだと思うのですよ。もう一ぺん根本から出発をし直して、ほんとうの労使関係というものはいかにあるべきかということをお考えになる必要が私はあるだろうと思う。その点について最後に郵政大臣の御答弁をお願いしたい。  それから、もう一つは、いままでの私の質問の中から労働大臣がどうお考えになっておるか、この関係というものが、ブラザー制度というものが一体正しいあり方なのかどうなのか、そしてそれがほんとうに労使関係というものを正常化する方向に向かっているのかどうか、御感想だけでけっこうでございます。お伺いいたしたいと思います。
  121. 廣瀬正雄

    ○廣瀬国務大臣 先刻来、長時間にわたりまして、山本委員からブラザー制度のことについて何かと御指摘いただいたわけでございますが、静かに拝聴いたしておりまして、調査をしなければならない事項、またこの際考えなくちゃならない事項、いろいろあったようでございまして、厳に取り組んでまいりたいと思っております。  私のブラザー制度に対する考え方は、先刻山本委員にお答えしたとおりでございますが、そういう気持ちをもって、ただいま申しましたように、調査したり考えたりいたして、明るい郵政事業の職場をつくるということに努力してまいりたい、このように考えております。
  122. 原健三郎

    原国務大臣 さいぜんから、山本さんからるる、郵政省のブラザー制度についていろいろ御質問、御意見等拝聴いたしまして、私も若干いろいろ事情を知ることができました。ただし、十分まだ把握いたしておりませんが……。  問題は、ブラザー制度のやり方であります。やり方がどうもうまくいかないと、とんでもないところへその結果が及んでいくということが考えられます。さいぜん郵政大臣も、ブラザー制度についてはよくない点があれば再検討するということを言明されておりますので、私どもとしては、ブラザー制度を遂行していく上において不当労働行為等の出ないように十分留意してやっていただきたい、こう思っております。
  123. 山本政弘

    ○山本(政)委員 質問を終わります。
  124. 森山欽司

  125. 古寺宏

    古寺委員 基地の離職者対策についてお尋ねを申し上げたいと思いますが、防衛施設庁の御説明によりますと、米軍基地の離職者の数は、昭和四十六年の一月から六月まで五千名、四十六年の七月から十月までは九百名、大体六千名近いものになっておりますが、これらの方々の就職状況はどういうふうになっているか、御説明を願いたいと思います。
  126. 住榮作

    住政府委員 私どもの安定局関係で把握しております状況について申し上げますと、大体四十五年度の安定所に対する求職者の総数が八千七百四十八名でございます。四十五年度中に新たに安定所に申し込んだのが六千八百十三名。そこでその八千七百四十八名の中で就職していった者が五千四百四十五名、こういうことになっておりまして、したがって、四十六年の三月末に安定所求職を申し込んでおった方々の数が三千三百三名になります。そこで、本年度に入りまして、その三千三百三名と、それから本年度の四月から九月までの数字でございますが、その期間に新しく求職を申し込んだ者の数が三千五百四十八名でございますので、その三千五百四十八名と三月末の三千三百三名、これを合わせたものが四十六年度当初の求職者総数になりまして、その数が六千八百五十一名、こういうことになるわけです。その六千八百五十一名のうち、四月から九月まで就職した者が二千四百七十八名、現在求職中の者が、つまり九月末の求職者の総数でございますが、それが四千三百七十三名、こういう状況になっております。
  127. 古寺宏

    古寺委員 基地の離職者の就職の状況が非常に悪いようでございますが、今後円の切り上げによりまして米軍の予算が削減された場合に、また人員の整理ということが考えられるわけでございますが、こういう点については、労働省はどういうふうにお考えでしょうか。
  128. 住榮作

    住政府委員 私ども駐留軍関係の労務者がどれだけ離職するか、こういう見通し等の問題につきまして、まず防衛施設庁と十分な連絡体制をとりまして、その離職の数はもちろんでございますが、時期あるいは地域、こういうものについて綿密な連絡体制をとっております。そこで、そういうような情報をできるだけ早く把握しますと同時に、離職者の出る基地につきまして、その離職者の就職希望の動向をできるだけ正確に把握しております。その場合、もちろん駐留軍労働組合等の御協力も得ましてそういうことをやるわけでございますが、そういった離職者の希望に応じまして、たとえば職業訓練をどうするとか、あるいは他の地域に就職を希望する者については、そういうところの求人の確保につとめるというような相談、職業指導を行なう。その間、移転等に必要になってまいります宿舎等につきましても、雇用促進住宅等を最大限に活用していく。あるいは訓練希望者につきましては、そういった訓練希望種目に応じまして機動的な配慮を加えていく。こういうことで基地の離職者の実情に応じた対策を考えていく。こういうようなことで従来もやっておりますし、今後も考え方としましては、そういう方向で対処してまいりたいと思っております。
  129. 古寺宏

    古寺委員 防衛庁はどういう見通しでございましょうか。
  130. 安斉正邦

    ○安斉政府委員 お答えいたします。  私どもといたしましては、米軍に密接に連絡をとりまして、できるだけ正確な情報を早く入手したいということにつとめておるわけでございますが、たてまえが軍隊という問題もございます。それからドルの問題もございます。したがいまして、なかなか正確なものがつかみにくいのが現状でございます。三月までの通報分はわかっておるわけでございますけれども、四十七年度に入って以後の問題としまして、ただいまわかっておる分は、稚内の通信施設で三百十二名というのが出ております。それ以外につきましては、傾向といたしましては、おそらくは円・ドル・ショックの関係で、あるいは出てくるのではないかというふうに思いますけれども、正確なところはただいまのところつかんでおりません。
  131. 古寺宏

    古寺委員 かりに円の切り上げが一五%という線で行なわれた場合には、米軍の予算は大体どのくらい減ることになりますか。
  132. 安斉正邦

    ○安斉政府委員 ただいま大ざっぱに申しまして、年間の本土における駐留軍従業員に支出されている円というのは約六百億円ぐらいになります。したがいまして、これは退職金を含めての、あるいは各種給与手当全部を含めての所要額でございますけれども、それから計算してどうかということもいえます。しかし、米軍の予算がこのドル・ショックによってはたして減るのか、現在の基地機能を維持するために必要な基地従業員のための経費を増額してでもこの運営をしていくという方針に立つのか、その辺のところがまだ私どもとしては把握できておらないわけでございます。したがいまして、単純に現地米軍にきている予算が円・ドルの関係で減るということになりますと、人員に関係あるわけでございますけれども、それで維持ができるかどうかの問題にもつながりますので、その辺のところは、ただいまのところははっきりしておりません。
  133. 古寺宏

    古寺委員 米軍の予算の増額が行なわれない場合に、基地労務者に給与の面にどういう影響が出るということが予想されますか。
  134. 安斉正邦

    ○安斉政府委員 ただいま基地労務者に対する給与は、私どもと米軍との間で三つの契約によってまかなわれているわけでございます。そして大体国家公務員に準ずるという体系を定めておるわけでございます。したがいまして、人事院のベースアップがありますと、それに準じた形で処理をしていくということになります。給与面そのものではさしたる変化はないと思いますけれども、全体の人員に、予算額が足りないために影響が及ぶかどうかということが判断がつかないというのが実際でございます。要するに予算額が固定されておりますと、給与面では従来同様に保持したとしても、予算が足りないために人員を整理をしなければならないかという事態が起こるかどうかという問題がありますが、これは円・ドルがそのまま影響するか、あるいは基地の運営維持のためには増額をしてでもやってくるかという、その辺のところがはっきりしないわけでございます。
  135. 古寺宏

    古寺委員 その問題は、あとでまたお尋ねいたしますが、基本的には基地が縮小されるということは、まことにけっこうなことでございます。そのために離職者が再就職ができない、いろいろな問題が起きておるわけでございますが、この点につきまして、労働省は職業訓練を行なっておりますが、施設内の職業訓練を離職後に受けている人は大体どのくらいいらっしゃるか、その点についてお伺いしたいと思います。
  136. 住榮作

    住政府委員 たとえば三沢等の場合の数字はわかっておるのでございますけれども、全国的な数字ちょっといま資料を持ち合わせておりませんので、取りそろえてお答えしたいと思っております。
  137. 古寺宏

    古寺委員 そこで、現在昨年から職業訓練を受けている方々が簿記、珠算等につきましては、この十二月で一応職業訓練が終わります。さらに溶接工あるいは配管工につきましては、来年の三月に終了することに三沢の実情はなっているわけでございますが、こういう方々がせっかく職業訓練を受けましても、なかなか思うように就職ができない、こういう問題があるわけでございます。この点につきましては、労働省はどういうふうにお考えでしょうか。
  138. 住榮作

    住政府委員 大体職業訓練を受けました場合の就職率は、全国的に見ますと九〇%こしておるわけでございますが、その訓練を終えましても、たとえば他の地域に移転して就職しよう、こういう場合ですと、再就職はさほど困難でないと思うのでございますが、土地によりましては、その地域における就職先というものは必ずしも十分でない、こういう場合がございます。まあそこらあたりは離職者の希望等とも非常にデリケートにからむ問題でございますけれども、できるだけその居所を移転しない再就職、これを考えるのはもう大事だと思うのでございますが、いろいろ御相談も申し上げまして、他の地域に移転して就職していただく、こういうようなことで、技能を身につけておられる方の再就職は現在必ずしも困難でないものですから、そういう点につきましては、離職者と十分相談いたしまして対処いたしておるような状態でございます。
  139. 古寺宏

    古寺委員 全国的には訓練を受けた方の再就職が九〇%以上に達しているというお話でございますが、三沢のような場合はなかなか思うように地元にそういうような労働市場がございません。したがいまして、基地でいままで働いておられた方々には高齢者でもあり家族もございますので、地元における就職というものを希望しているわけでございます。そういう方々に対する、いわゆる再就職の道というものをやはり開拓してあげなければいけない、こういうふうに考えるのですが、その点について労働省はどういうふうにお考えでしょうか。
  140. 住榮作

    住政府委員 現在三沢で訓練受講中の方々の数は二百三十三名ほどになっておりますが、私ども訓練を受講されている最中におきましても、いろいろ再就職先の確保ということで安定所が活動いたしておるのでございますが、現在のところ少なくとも半数以上の方々が訓練終了後、再就職が可能なのではないか、こういうように考えておるわけでございます。まあできるだけ御指摘のように、かなり中高年齢者、年齢も高くなっておりますので、移転しないで再就職、さらにそういう意味での求人の確保に努力しないといけないと思うのでございます。なおそういうような見通しが十分つくわけでございますので、ほかの他地域の求人等を提示いたしまして、いろいろこれから御相談を申し上げて、訓練終了後全員が再就職できるような対策を考えてまいりたいと思っております。
  141. 古寺宏

    古寺委員 三沢の例で申し上げますと、三十六年の三月から十一月までの離職者が千七十六名いらっしゃいますが、そのうちで就職の申し込み数が九百八名、決定いたしました者が二百六十六名、訓練中の者がただいまお話がございましたように二百三十三名、自営が十二名。こういうふうに再就職をした方は二五%ぐらいしかないわけでございますが、今後こういう残された方々に対しては、どういうふうにしてこれを救済するわけでございますか。
  142. 住榮作

    住政府委員 ただいまの先生の御指摘でございますが、一つは、そのほかに自己就職等をされた方々もおると思うのでございますが、それにしましても、現在相当数の求職者方々がおられる。それで、従来の就職率は御指摘のように必ずしも十分ではないのでございますが、いろいろ失業保険等との関係もございまして、それと同時に他地域への就職にちゅうちょされている、こういうような事情の方もおられます。いろいろ個別的にそれぞれ事情があって必ずしも再就職に踏み切れない方もあるわけでございますが、それは今後、私ども現地に相談所等も開設してやっておるわけでございますが、そういう相談機能をフルに発揮しますと同時に、県内求人あるいは県外求人、そういった求人情報を提示いたしまして、できるだけ、せめて失業保険をもらっている間に先のめどがつく、こういうようなことにしたいと思って目下いろいろ努力をいたしておる最中でございます。
  143. 古寺宏

    古寺委員 御努力には敬意を表する次第でございますけれども、御承知のように三沢には企業がほとんどございません。したがいまして、この離職者はほとんどが地元の就職を希望しているわけでございますが、このためには、やはり企業の誘致というものが必要であると思うわけでございます。これは地元から再三再四通産局に対しても働きかけを行なっているわけなんですが、労働省のほうからは通産省に対してはどういうような御要望をしていらっしゃるのか、承りたいと思います。
  144. 住榮作

    住政府委員 いろいろ企業を誘致する、これは私ども最もいい対策の方向であると考えておるわけでございます。それで、まずそういう点につきましては総理府にあります離職者対策協議会、これは各省の関係者が集まって離職者の総合対策を検討しておるのでございますが、そういうところでまずできるだけ三沢なら三沢へ企業を持っていく、こういう線はもうすでにきまっておるわけでございまして、その具体的な内容について通産省でいろいろ考える、こういうことで政府全体の体制は進んでおりますし、私どもも離職者の希望等からも、その資料を提示いたしまして、こういう労働力があるということで通産等とも連絡をいたしておるのでございますが、先ほども先生お触れになりましたように、ドル・ショックというようなこともありますし、それから進出企業というものはきまっておりましても、なかなかその時期にぴたり企業進出が行なわれる、こういうようなこともなかなか計画どおりまいらぬものですから、そこらあたり少しそごがあるかと思いますけれども、そういう点につきまして私ども通産省へもいろいろお願いをしておるような状況でございます。
  145. 古寺宏

    古寺委員 そこで、通産省は現地にも一度調査においでになったようでございますが、その後一向に企業の誘致等が進んでいないようでございますが、その後どういうふうになっているのか、また今後企業誘致についてはどういうふうに進めていくお考えか、承りたいと思います。
  146. 田中芳秋

    ○田中説明員 御指摘調査団につきましては、ことしの三月十五日から十七日、三日間かけまして現地を調査いたしたわけでございます。  その報告の要旨を申し上げますれば、現在三沢地区にございます駅東団地に存在しております既存企業の吸収力はきわめて乏しいものと思われる。  第二に、三沢地区の離職者につきましては地元就職希望がきわめて大きい。  第三に、三沢市の就業者構造を見ますと、二次産業比率がきわめて小さい。  したがいまして、以上のことから、今後の施策を考えるにあたりましては、これら地域の地域振興をはかるとの観点ともあわせ新たな団地を造成し、ここに新規企業を誘致する必要があるというものでございます。  こうした報告の結果に基づきまして私どもといたしましては、まず第一に青森県と協議をいたしまして新たな企業団地を造成することにいたしたいというふうに考え、六戸町に金矢団地を造成することといたしておるわけでございます。これが造成は四十六年度に起債を繰り上げてすでに着手いたしておるわけでございます。  第二に、こうした中で私どもといたしましても、やはり進出企業の誘致をはかる必要があるという観点から産業機械、工作機械、包装機械、電気機械、精密機械、自動車部品あるいは住宅関連産業、金属加工産業、これらの業界に呼びかけをいたしまして、これが企業立地の促進をはかってきておるところでございます。しかしながらただいまの状況は、先生御承知のようにやや産業界といたしましても設備投資のきわめて鎮静化を見ております状況でありますために、いまの時点におきましては、はっきりとこの企業というのをつかまえるまでに遺憾ながら至っていない状況でございます。この点につきましては私どもといたしまして、なお一そうの努力を払ってまいりたいと、このように考えておる次第でございます。
  147. 古寺宏

    古寺委員 地元が通産省の調査団の報告に基づいて工業団地をつくりまして、たくさんの借金をしょいます。ところが実際には企業は一つも行かない、誘致ができない、残るのは借金と失業者だけなんだ、こういうことでは、閣議で決定している大綱になっていますが、この中にも書かれてありますが、通産省はこういう面については全然熱意が足りない、こういうふうに思うわけなんですが、この点については将来どうなさるおつもりですか。
  148. 田中芳秋

    ○田中説明員 たいへんおしかりを受けたわけでございますが、私どもとしましても、今後とも全力をあげて進んでまいりたいというふうに考えております。ただいま各業界につきまして、いろいろ誘致を勧奨をしておるということを申し上げました。現時点におきまして具体的な企業名をあげるにはまだちょっと早いのでございますけれども、いま申し上げました企業の中でかなり進出の確度の高いものが実は出てまいっておることも事実でございます。なお今後通産省といたしまして、工場の地方分散措置をできるだけ強くとってまいりたいというふうに考えまして、明年度を目途といたしましてこの施策を検討しておるわけでございますが、こういう地点につきましては今後とも重点的に企業新立地に力を注いでまいりたい、このように考えております。
  149. 古寺宏

    古寺委員 まあ離職者の方々がもう老齢化してしまって働けないころには工場が進出するかもわかりませんけれども、現時点においては非常に心配される状況になっているわけでございますので、今後、このせっかくつくる団地には公害のない企業というものを早急に誘致できるような措置をとっていただきたい、このように御要望申し上げておきます。  次に経済企画庁でございますが、この駐留軍関離職者対策の大綱の中に「地域開発対策の検討と促進」という項目がございますが、御承知のように新全総ができましてすでにもう二年を経過しておりますが、東北開発計画というものがまだきまっていないわけでございます。この点について経済企画庁にも非常に大きな責任があると思うわけでございますが、今後この地域開発計画についてはどういうふうにお進めになるお考えか、承りたいと思います。
  150. 岡部保

    岡部(保)政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生おっしゃいましたように、確かに離職者対策ということで、この会議にも私ども参加いたしておりまして、地域開発の面で少しでもプラスにならぬかというお話もございまして、御協力は申し上げることを約束しておるわけでございますが、どうも現実の問題といたしまして、さしあたりの離職者に対する対策で、なかなか地域開発上有効な手段というものは見つけにくい点をこの会議でも申し上げておるところでございます。  で、いまおっしゃいましたように、東北のこれからの開発という問題につきまして私どもが考えておる、これはまた、さしあたりといいますよりも、もう少し長期的な見通しと申しますか、ロングレーンジの話になって恐縮なんでございますけれども東北の今後の開発という方向を概略お話し申し上げますと、私どもといたしましては、やはり東北の特性と申しますか、最近非常に東北が今後の日本の開発のために貴重なところであるという感覚に立っておるわけでございます。したがいまして、新全総の中でもいろいろ東北の特性を生かした開発という問題を第二部で記述しておるところでございますが、かいつまんで申し上げますれば、まずやはり交通通信のネットワークというものの整備が第一番であるかと存じます。たとえば東北新幹線であるとか、あるいは東北縦貫道であるとか、こういう交通のネットワークというものを少しでも早く整備をする必要があると存じます。これによって非常に、いわゆる時間、距離と申しますか東北開発の可能性をすみずみまで伸ばしていくということが、まず第一点だと存じております。  さらに産業面で申しますならば、いわゆる農業と申しますか食糧供給基地としての東北の立場という問題をやはり強く考えなければいかぬ。これはむしろ詳細については農林省から御説明申し上げるべきかと存じますが、私どもといたしまして、いわゆる高生産性の稲作というようなもの、あるいは大規模な畜産基地の建設というようなもの、あるいは浅海、浅い海での増殖と申しますか、養殖の漁業の振興というようなことを考えなければいかぬのではないか。また工業面、先ほどもいろいろお話しのございました工業面におきましては、いわゆる臨海性の大規模な工業といたしましては、たとえばよく話に出ております、むつ小川原でありますとか、あるいは秋田湾でありますとか、そういう遠隔地に大規模工業基地を建設していく、あるいは内陸の工業基地づくり、いわゆる内陸の工業団地と申しますか、こういうものの整備というようなものを続けていくという必要があるのではなかろうか。またそのほかにも自然というものの貴重な時代になってまいりましたので、自然を保護し、またそれを活用するという意味で、たとえばレクリエーションの基地を山岳地帯に求めることも必要であるというふうに考えておるわけでございます。一応そういうような考え方で、これからの東北計画というものの一つ考え方をまとめておりますが、それではさしあたりの問題としてどう考えるかということになりますと、なかなかむずかしい点がございまして、これからもなるべく早い時期に、しかも有効な措置というものを検討してまいりたいという考え方でございます。
  151. 古寺宏

    古寺委員 そこでむつ小川原の大規模工業開発の問題でございますが、これは先日の東北開発審議会のときにもお尋ねしたのでございますけれども、特別立法の問題でございますね。これは経済企画庁長官がこの次の国会に提案をしたい、こういうようにおっしゃったということが大々的に地元の新聞には報道されているわけなんです。この点については一体どうなんでございますか。
  152. 岡部保

    岡部(保)政府委員 ただいまの御質問のいわゆる東奥日報でございますか、それに出ました記事について私ども拝見しておる次第でございますけれども、私ども考え方としては、まずこれからの見通しとして、特別立法は必要になっていくであろうということは考えておるわけでございます。ただ、その特別立法をすべき時期というものをいつに考えるべきかという点については、あの報道といささか食い違いがありますが、私どもまだ確とした時期をきめておりません。と申しますのは、御承知のように、むつ小川原の開発と申しますプロジェクトでございますが、たいへん大規模なものでございますし、しかも相当長期的なプロジェクトである。しかも工業基地を開発すると申しますか、私どもの考えでは、いわゆる工業の都市づくりをしたいのだ。したがって、公害問題と申しますか、環境問題を十分に事前に調査して、いわゆる環境破壊のないような開発をしていきたいという考え方に立ちます以上、相当に事前調査等をしなければならないという考え方に立っております。  またもう一つの特殊な性格といたしましては、工業基地の建設と申しますものが、本来いわゆる用地の買収等の問題から考えましても、民間の用地取得というものと、また都市づくりと申します、いわゆる社会資本の整備というものと合わせた考えでなければいけないという考え方でございます。したがいまして、いわゆる土地の収用権を行使するなどという考え方で進めるべき開発ではないと考えております。したがいまして、この開発を進めるにあたりましては、どうしても地元の住民の方、地元の公共団体の方との十分な話し合いの上で、はじめてできる事業であると考えております。そこで、このようなプロジェクトに対しまして、現段階はまだ調査の段階であり、あるいは一部用地を取得したいという動きの段階でございます。そこでこのような事業を、一体どういうものが事業主体と申しますか、中心になってやっていくかというような問題について、現段階では青森県が中心になって事前段階と申しますか、それの中心になっていただいておるわけでございますが、これからいよいよ実施と申しますか、具体的な事業というものに入りましたときに、その事業主体をどこに持っていくかというようなことをもう少し煮詰めました上で、当然その段階で必要になれば、これは特別立法をしなければならないという考え方であるわけでございます。したがいましてこういう、いわゆる俗称でございますが、ナショナルプロジェクトといわれているような大事業を実施するのに何らかの特別立法が必要かと存じますが、現段階でもう少し検討をさせていただきたいという考え方でございます。
  153. 古寺宏

    古寺委員 地元では住民対策という線引きが行なわれまして、そうしていま開発に賛成、反対の問題で村じゅうが大騒ぎしているような実情でございます。しかもまだ調査も行なわれない、マスタープランもできていないのに、住民対策が示されたために、そういうような混乱を来たしているわけでございますが、そういう点について経済企画庁はどういう調整をしているわけですか。
  154. 岡部保

    岡部(保)政府委員 ただいまのお話でございますが、いわゆる県当局として一つの住民対策、あるいは一部の当面着工すべき一つ考え方というものの——私ともの理解では、一つのたたき台と申しますか、試案と申しますか、そういうもので住民との対話を始めたというふうに理解しておるわけでございますが、この住民との関係において、非常にいろいろな意味でのもめごとが始まっておることは、先生のおっしゃったとおりでございます。  そこで私どもといたしましては、むしろ非常に心配なのは、こういう開発をいたしますにあたって、先ほども申しましたように、環境の問題等、非常に考えなければならない問題がございます。そこでマスタープランも、現段階でまだできておりませんし、いまいろいろ調査をして、その上で一つのマスタープランの素案というものをだんだん固めていきたい。そこで非常に徐々的にではございますが、具体的なものに持っていく、その場合にいわゆる計画と申しますものが、決して固定的なものではなくて、絶えずこれが是正されながら固まっていくものであると考えております。したがいまして、現段階でのいろいろなもめごと、これは私どもこの情報を伺ってはおりますが、現段階では県に対して、私ども接触をしている段階でございます。県に対して、むしろ十分に住民の御意思を把握されて、しかもあまり固定的に考えなくて、このプランというものを前進させるという方向で考えていただきたいということを申し上げている次第でございます。確かに住民対策と一言で申しますが、現実にいろいろなこまかい問題もございますし、その点でいま県がとっておられます方針にも、具体的にまだ直さなければならないところもございましょうし、追加しなければならない問題もあると存じますが、こういうような現段階といたしましては、私どもまず地域住民と県との話し合いを、県に対してなるべくそういう方向で——方向を是正しながらやっていただくという意味でのタッチをいたしまして、またこれと並行いたしまして、関係各省庁十省庁にわたりますが、それとの連絡会議というものを随時開きまして、その各省としての考え方をいろいろまとめていくというような考え方で現在進んでおる次第でございます。
  155. 古寺宏

    古寺委員 いまの新全総につきましても、もう再検討しなければならないということがしょっちゅういわれておりますが、今度の経済開発審議会ですか、ここでもそういうことを指摘されております。そういうような、もう改定をしなければならないような段階に来ている。それを地域の住民は、そのことによっていろんな混乱を起こして、毎日不安な生活を送っているわけです。この大綱の中には、「離職者が多発する地域については、当該地域の開発計画についてすみやかに検討を加え、必要に応じ、公共事業等の促進、企業立地の条件整備等を行ない、雇用機会の増加を図るものとする。」と、こういうような対策ができている。だけれども経済企画庁は、そういうことについては全くおやりになっていない。地域開発計画もない。そして新全総によって地域住民を混乱させるようなことしかしていない、こういうふうにしか受け取れないわけなんですが、今後三沢と隣接するむつ小川原の大規模工業開発との関連について、こういう離職者に対する対策をどういうふうに進めていくお考えか、もう一度承りたいと思います。
  156. 岡部保

    岡部(保)政府委員 ただいまの直接離職者対策としての問題でございますが、確かにむつ小川原地域の一つの大規模な開発プロジェクトという問題は、どうももう少し長期的な感覚で取り上げざるを得ないということでございます。したがいまして、さしあたりのお役に立つとは私、考えられません。したがいまして、むしろいわゆる新産都市としての八戸地区の開発整備というもので、これは新産都市としてのいわゆる財政面での援助等の問題もございますので、このような面で先ほど通産省からもお話ございました、いわゆる内陸工業的なものの振興というような線で私どもできる限り御協力申し上げるという考え方が、具体的な問題点であるかと存じます。
  157. 古寺宏

    古寺委員 経済企画庁はひとつ、いままで東北は、ビートの問題あるいは青森県では砂鉄の問題、いろいろ国策によって地域住民が犠牲を払ってきたわけです。こういうような二十何年間も基地で働いてきた方々のためにも、やはりこの地域開発というものについては、もっと真剣に取り組んでいかなければならないし、また大規模工業開発につきましても、地域住民を開発難民にするような、そういうような開発ではいけないと思うわけなんです。そういうことを今後ひとつ十分にお考えをいただいて、これらの問題の解決に当たっていただきたいと、このように御要望申し上げたいと思います。  次に、防衛施設庁でございますが、四十七年から三沢基地の機構改革があって、空軍主力編成から海軍通信部隊編成へと機構改革がなされる、こういうようなことが現地の従業員の間でいろいろ心配されていると、こういうことをお聞きしたのでございますが、この点についてはいかがでございますか。
  158. 安斉正邦

    ○安斉政府委員 その点につきましては、はっきりした機構の改革という形では私ども通報を受けておりませんけれども、現実としましては、三沢基地において米軍側の飛行機が、いまいないといいますか、そういう形になっておりますし、通信施設の系統に人間が増強されているというのは事実でございます。
  159. 古寺宏

    古寺委員 こういうことで、再び大量の人員整理が行なわれるというようなことも予想されるわけなんですが、そこでこの基地周辺整備事業の問題でございますが、三沢市の基地周辺整備事業について、防衛施設庁はどういうふうにおやりになっておられますか。
  160. 安斉正邦

    ○安斉政府委員 はなはだ申しわけないのでございますけれども、私、労務を担当しておりますので、施設の問題につきましては、ただいま連絡をとるようにいたします。
  161. 古寺宏

    古寺委員 その中に、高等職業訓練校の防音改築工事あるいは三沢専修職業訓練校の整備拡充という問題がございますが、この点につきましては、労働省はどういうふうに措置なすっているのでしょうか。
  162. 住榮作

    住政府委員 たいへん恐縮でございますが、おそらく空軍が使用しておった場合で、防音装置その他のことを検討しておったかと思うのでございますけれども、現在飛行機がいない、こういうようなことでもございますので、その状況がいささか変わってきておるのかとも思いますが、なお十分調べてみたいと考えております。
  163. 古寺宏

    古寺委員 施設庁の施設関係のほうがいらしていませんので、別な問題でお尋ねしますが、米軍家族に勤務しておるハウスメイドでございますが、こういう方々の実態あるいは離職者対策というものについてお伺いしたいと思います。
  164. 住榮作

    住政府委員 離職者対策につきましては、これは駐留軍関係離職者等臨時措置法の対象には一応なっておるのでございますが、手帳を発給して十分な援護措置を講ずる、こういう対象にはなっておりません。したがいましてそういう方々が、米軍家族の引き揚げ等によりまして離職された場合には、一般の失業者と同様な観点で職業指導なり就職あっせんなり、そういう対策を講じておるわけでございます。
  165. 古寺宏

    古寺委員 先日沖繩へ参りましたら、沖繩のほうでは、このハウスメイドの実態調査をされまして、りっぱな報告書をいただいてきたわけなんですが、本土ではこういうことが十分に行なわれていないのじゃないか、こういうふうにいわれているわけなんですが、この点についてはどうなんでございますか。
  166. 高橋展子

    ○高橋(展)政府委員 駐留軍メイドの実態でございますが、おっしゃいますように、本土の駐留軍メイドにつきましてのこまかな調査というものは、最近行なっておらないわけでございます。しかし一般的に申しますと、駐留軍メイドの属しますところの家事使用人というものの数は、全般的に非常に減少してまいっております。最近では全国的に個人の家庭で働くところの家事使用人は十四万を数えるにすぎないわけでございます。一般的に女子の雇用者がふえている中で、この家事使用人が減少するというのは、たいへんに大きな特徴でございます。この数が減ってくるということに伴いまして、一般的に申しますれば、家事使用人の労働条件というものは高まってきているように見られます。もちろんその中に駐留軍のメイドも入るわけでございます。かつては駐留軍メイドも含めまして家事使用人の保護ということのために、労働省といたしましても、調査を行ないましたり、また啓発活動あるいは相談業務等を行なって力を入れたのでございますが、近年の状況では、そういう意味労働条件がかなりよくなっているようでございまして、私どもの出先への相談、訴えといったようなことがほとんどない状態でございますので、調査といたしましては、昭和三十五年にメイドを含めた家事使用人の調査をいたしまして以来、全国的な調査というものを行なっていないのが実情でございます。また、家事使用人として基準法の適用外にあるということもございまして、データというものが十分ないということは御指摘のとおりでございます。
  167. 古寺宏

    古寺委員 こういう方々に対する実態がよく把握されていませんので、いろいろな問題点がよくおわかりになっていないと思いますが、こういう方々に対してのいわゆる離職後の保障というものは十分に行なわれていないわけです。いろいろな問題が発生しております。今後、もう一度こういう方々の実態をよく調査をなされて、そしてこういう方々に対しても手厚い措置を今後していただきたい、こういうふうに御要望申し上げます。  次に、基地の労働問題でございますが、基地内の転任ということについては、米軍との間にどういうような取りきめがなされているのでございますか。
  168. 安斉正邦

    ○安斉政府委員 施設庁は米軍と労務基本契約というのと、諸機関労務協約というのと、船員契約というのと、この三つの契約をしているわけでございます。この契約ないし協約は、すべての労働条件と申しますか、そういうものを定めておりまして、その章の中に、転勤ということもあり得るというふうに、転勤が規定されておるわけでございます。
  169. 古寺宏

    古寺委員 転勤した場合に、新しい就職先といいますか、転勤先の労働条件が非常に最初つとめておった職場よりも悪いというような問題が起きているようでございますが、こういう点につきましてはどういう配慮をしていらっしゃるわけでございますか。
  170. 安斉正邦

    ○安斉政府委員 労務基本契約によりますと、非常にたくさんの細分化された職種があります。約七百くらいになりますか、その職種につきまして、それぞれ等級、号俸というものがきまっておるわけでございます。そして、与えられた仕事を、この職種に基づいた仕事をやっておるわけでございますけれども、転勤する際には、あきポストで同一の職種があれば問題ないということになります。しかし、違った仕事をするのだということになりますと、本人との話し合いという問題に入ります。そして、本人がよろしいということになれば、その新しい職種にかわるということもあり得ます。したがいまして、労働の条件そのものについては、働いている方々とのお話し合いの上できまってくるわけでございまして、労働条件そのものとしては無理がなくできているものというふうに思っております。
  171. 古寺宏

    古寺委員 労働省にお尋ねしたいのですが、米軍の基地内で働いていらっしゃる方々労働安全対策、こういうものはどういうふうに行なわれておりますか。
  172. 岡部實夫

    岡部(實)政府委員 日米地位協定に基づきまして労働基準法が適用されることになっておりまして、さらに具体的には、基地内に監督官が入っていくわけでございますが、その入り方につきましては、労務基本契約等で定められております。したがいまして、申告に基づく監督あるいは定期的な監督等は、米軍との間のいまの規定に基づきまして監督官が立ち入って、基準法に基づく監督を実施する。その監督の一環といたしまして、安全面の監督も当然実施をしておるわけでございます。それから災害等の発生によります場合もございますので、このときには必ず災害調査監督を実施いたしておりまして、必要な改善の命令も出しております。なお、ボイラー等の設置につきましては、その検査を実施するということで、これも一般の企業に対すると同じようなしかたで検査をいたしております。そういうようなことで、総合的に安全衛生規則に基づく監督を通じて、安全衛生の確保につとめているところでございます。
  173. 古寺宏

    古寺委員 現在、ほとんど、労働基準監督官が基地内に入って、そしてその監督をするなんということは行なわれていないというふうに承っているのですが、年間何件くらいそういうようなことを行なっているか、お教えいただきたいと思います。
  174. 岡部實夫

    岡部(實)政府委員 基地に対しまする監督だけの統計がちょっと手元にございません。ただ、仰せのように、全般的に、基地についていろいろな業種がございますので、申し上げられませんが、たとえば横田基地等につきましては、四十五年から四十六年にかけまして、定期監督、申告監督並びに災害調査も含めて、五回監督調査を実施いたしております。そのほか全般的に、先生お尋ねのように、頻度として率直に申しましてそう高いとは申せませんけれども一般的な定期監督等特に問題のあります基地につきましては、実施しているというたてまえでやっているところでございます。
  175. 古寺宏

    古寺委員 いろいろ基地内に労働問題等が起きましても、労監は組合と米軍の板ばさみになっているようなことがたくさんございますね。当然監督行政というものは行なわなければいけないと私は思います。今後米軍基地に対する、いわゆる労働安全対策といたしまして、総点検を労働省で考えなければいけないのじゃないか、こう思うわけです。  これは相模原基地の問題でございますが、ベトナム戦争が盛んだった当時はもちろんでございますが、非常に危険な仕事を基地の労務者が担当しているわけでございます。たまたまこの方は、三沢から相模原に転勤になったわけでございますが、転勤になる前に示された条件と、相模原に転勤になった後の条件では全く違う。いろいろ人間の血液であるとか、あるいはいろいろな危険な砲弾を扱う、そういうような職場で働くような立場になったのだそうでございますが、こういうようなことに対して、労働省は全く避けて通るような、そういう労働行政が行なわれているというふうに考えられるわけなんですが、今後はこういう労働安全対策を万全を期して行なうためにも、やはり監督官を基地に定期的に派遣をいたしまして、そして基地労働者労働安全対策というものを考えなければならないと思うのでございますが、この点についてはどのようにお考えでしょうか。
  176. 岡部實夫

    岡部(實)政府委員 御指摘のように、基地の中でも特に安全上あるいは衛生上問題のあるようなところもございますので、御指摘の趣旨は十分わかりましたので、施設庁ともよく連絡をとりまして、できるだけ監督について実効のあがる方法を具体的に検討してまいることにいたしたいと思います。
  177. 古寺宏

    古寺委員 先ほどからいろいろ離職者の問題を取り上げてまいりましたが、一番大きな問題は、年間の雇用計画というものがはっきりしていないというところにいろいろな問題が発生していると思うわけでございます。  そこで、米軍の年間雇用計画というものを引き出すためには、やはり防衛施設庁が米軍との折衝に基づいて年間の雇用計画というものを明らかに示すべきである、こういうように思うわけですが、この点についてはいかがですか。
  178. 安斉正邦

    ○安斉政府委員 この問題につきましては、私冒頭の答弁の中で申し上げた次第でございますけれども、施設庁側といたしましては、この基地労務者関係の各種の予算を組むために、予算策定時期の夏ごろ、将来の見通しについてということで米軍に照会し、その回答を得るわけでございます。しかしながら、やはり米軍というものは、いわゆる軍隊でございますために、どうしても確定的なものが——完全な形ではなくて随時変わる、あるいは何かの方針の変更があるということになりますと変更を来たすわけでございます。したがいまして、長期的な見通しをとるということは、私ども常々これが一番必要なことだということで努力しておりますけれども、確実なものを完全にとり切るということはなかなかできないというのが実際でございます。最善の努力は今後とも尽くしていきたいというふうに考えております。
  179. 古寺宏

    古寺委員 そこで、この問題は防衛施設庁だけにおまかせしておったのでは、なかなかはっきりしないと思うのです。これはやはり、日米政府間においてこういう問題を煮詰めまして、そして年間の雇用計画というものをアウトラインだけでも示してもらう必要があるのじゃないか、こういうふうに思うのですが、閣僚の一員である労働大臣に、その点についてのお考えを承りたいと思います。
  180. 原健三郎

    原国務大臣 御趣旨の点は、まことに賛成でございます。やはりだんだん労務職等について雇用関係が複雑になってきておりますし、わけても駐留軍関係もそうであります。それで私たちといたしましては、防衛庁、防衛施設庁及び外務省とそれから労働省も、そういう意向を示しまして、正式に政府間で話し合っていただくようにいたしたいと思います。
  181. 古寺宏

    古寺委員 それから住宅の問題でございますが、離職者の住宅を払い下げていただきたいという御要望が非常に強いのでございますが、この点については、やはりきょうは施設庁は御答弁できないですか。
  182. 安斉正邦

    ○安斉政府委員 先生おっしゃっていらっしゃる問題は、おそらく三沢の従業員の宿舎の問題ではないかというふうに拝察いたします。  この問題でございますけれども、例の四十五年の十二月二十一日、日米安保協議委員会におきまして、たいへんな、基地の態様が変わるという問題が発表されました。三沢におきましても、千人をこえる離職の方が出るということになったわけでございます。その場合に、三沢には現在国有財産としての宿舎がございまして、数多くの方がそこで世帯を営んでいらっしゃるということは事実でございます。そこで当面、離職されますと、これは国設の宿舎に準じますので、明け渡していただくというのが本来でございますけれども、一時期に特定の区域にそういう方が非常に出るということから、三年半そこに住んでおられてもけっこうです、ただ就職された場合は出ていただきますという特別な措置を大蔵省と相談いたしまして、現在そういう状態で住んでいただいているわけでございます。  問題は、その国有財産を住んでいらっしゃる方にじかに払い下げてもらいたいという問題だと思いますけれども、これは払い下げ問題になりますと、直接は私どもではなく大蔵省の問題になるわけですが、じかにこれを払い下げていくということはなかなかむずかしいというのが大蔵省の見解でございます。と申しますのは、いわゆる国設宿舎に準ずるというものでありますので、そこに入っていらっしゃる方が何かの権利を持つという性質でないので、なかなかむずかしい。しかし、これを何かの形で一括県なり何なりというようなものに払い下げて、そこから処理をするというか、何か国有財産の処分という問題につながるやり方というものはないだろうかということで、私ども大蔵省とも相談しておりますが、いずれにしても住んでいらっしゃる方にじかに払い下げるという問題は、法的にも非常にむずかしいというのが大蔵省の見解でございます。
  183. 古寺宏

    古寺委員 時間になりましたので、これで終わりますが、この離職者の問題は非常に重要な問題でございます。それは沖繩でも同じでございますが、高齢化している離職者の方々が今後再就職をするためにも、あるいはまた新たなる事態によって多数の人員整理が行なわれるということも予想されますので、この駐留軍離職者対策には今後万全を期していただきたいと思うわけでございますが、労働大臣から最後に今後の離職者対策についての御決意を承りたいと思います。
  184. 原健三郎

    原国務大臣 さいぜんからいろいろ御意見を拝聴いたしまして、私どもも駐留軍の離職者対策の重要性をさらに一そう痛感いたしておる次第であります。それで、さいぜんお話がありました今後の駐留軍の年間雇用計画等も、なるべく早く的確に把握いたしたい。その交渉もありますし、それから離職者が出たときにおける対策等についても万遺憾なきを期すべく、今後一そう努力をすることをお約束申し上げたいと思います。
  185. 増岡博之

    増岡委員長代理 次回は明後九日午前十時理事会、十時三十分より委員会を開く予定とし、本日はこれにて散会いたします。    午後二時三十九分散会