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1971-12-02 第67回国会 衆議院 社会労働委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年十二月二日(木曜日)     午前十時三十八分開議  出席委員    委員長 森山 欽司君    理事 伊東 正義君 理事 小沢 辰男君    理事 澁谷 直藏君 理事 谷垣 專一君    理事 増岡 博之君 理事 田邊  誠君    理事 大橋 敏雄君      小此木彦三郎君    梶山 静六君       小金 義照君    斉藤滋与史君       田川 誠一君    橋本龍太郎君       向山 一人君    小林  進君       古寺  宏君    古川 雅司君       渡部 通子君    渡辺 武三君       寺前  巖君  出席国務大臣         厚 生 大 臣 斎藤  昇君  出席政府委員         厚生大臣官房長 高木  玄君         厚生大臣官房審         議官      江間 時彦君         厚生省公衆衛生         局長      滝沢  正君         厚生省環境衛生         局長      浦田 純一君         厚生省医務局長 松尾 正雄君         厚生省薬務局長 武藤き一郎君         厚生省社会局長 加藤 威二君         厚生省児童家庭         局長      松下 廉蔵君         厚生省保険局長 戸澤 政方君         厚生省年金局長 北川 力夫君         社会保険庁医療         保険部長    穴山 徳夫君         自治政務次官  小山 省二君  委員外出席者         大蔵省主計局主         計官      渡部 周治君         大蔵省理財局地         方資金課長   宮下 鐵巳君         厚生大臣官房審         議官      信澤  清君         自治省財政局公         営企業第二課長 神崎治一郎君         社会労働委員会         調査室長    濱中雄太郎君     ————————————— 委員の異動 十二月二日  辞任         補欠選任   山本 政弘君     武部  文君   西田 八郎君     渡辺 武三君 同日  辞任         補欠選任   武部  文君     山本 政弘君   渡辺 武三君     西田 八郎君     ————————————— 本日の会議に付した案件  連合審査会開会申し入れに関する件  厚生関係基本施策に関する件      ————◇—————
  2. 森山欽司

    森山委員長 これより会議を開きます。  まず、連合審査会開会申し入れに関する件についておはかりいたします。  沖繩及び北方問題に関する特別委員会において審査中の案件について、連合審査会開会申し入れをいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 森山欽司

    森山委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。  なお、開会日時につきましては、沖繩及び北方問題に関する特別委員長と協議の上決定されることになりますが、来たる四日午前十時開会が予定されておりますので、念のため申し添えます。      ————◇—————
  4. 森山欽司

    森山委員長 次に、厚生関係基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出があります。順次これを許します。小林進君。
  5. 小林進

    小林(進)委員 大臣にお伺いいたしますが、七月十六日に、ドルショックでございますが、思わざる一つの衝撃がわが日本経済に与えられたわけでございます。もちろん、その前からも不景気の様相はございましたが、これを契機にいたしまして、いま、深刻な不景気が日本に訪れてきておる。そういう変わった情勢の中にある厚生行政あり方というものも、私は、こうした時代に適応して形を変えていかなければならないのではないか、かように考えておる次第でございまして、不景気と厚生行政との関係あり方について大臣の御所見を承っておきたいと思うのであります。
  6. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 不景気と厚生行政というテーマにしぼりますと、不景気になれば、一言でいえば、厚生行政でやらなければならない、いわゆる社会保障的な事柄が非常にふえてまいる、かように申し上げられると存じます。一面、不景気になれば、国庫歳入も減るというので、歳出がきわめてむずかしくなるという面がございますけれども、しかし、国民生活を保障し、そして社会生活から脱落することを防ぎ、脱落してきたものを助けていくというのが、一言でいえば厚生行政の主でございますから、したがって、歳入が思わしくなくてもこのほうの支出は当然増してこなければならぬ、かように考えます。ことに日本の今日の現状におきましては、御承知のように、高度経済成長の中において社会保障の占めるいままでの分野はきわめて狭い、こう言われておるわけであります。したがって、日本経済をほんとうに安定をし、社会安定のもとにおいて経済を進めていくという面から見ましても、いままでの社会保障不足をしておったハンディキャップをやはりこの際においてでも取り返してまいらなければならぬという、二つの要件が重なってくるように私は思います。
  7. 小林進

    小林(進)委員 大体私の問わんとするところを大臣からお答えいただいたと思うのでありますが、おっしゃるとおり、不景気になれば支出がふえる。脱落者がふえてきますから当然ふえましょう。しかし収入の面は減ってくる、おっしゃるとおりだと思います。同時に、高度成長の中で社会保障が片すみに置かれて非常に落ち込んでいるからこれをひとつ取り返したいというそのお考え、私非常に同感の意を表する次第でございますが、それにいたしましても、実はわが日本は、不景気ではございまするけれども社会保障を充実するに足る資源はひとつあるのではないか、私はこれが今日のわが日本の不景気の特徴ではないかと思っている。一体ドル手持ちはどれくらいあるものでございますか。大臣、ひとつ正確な数字をお知りでしたら教えていただきたいと思います。
  8. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 私はドル手持ちが正確にいまどのくらいあるか、ここで政府として申し上げる材料を持っておりません。よく伝えられておる、新聞等において発表されている程度しか私は存じておりませんので、その点は御了承いただきたいと思います。
  9. 小林進

    小林(進)委員 百五十億ドルとかりに概算申し上げましょうか。これを一体どう使えばいいのですかな。私はその意味においても、しばしば内閣等も言われているように、不景気の中のドル手持ち、どうもそう海外投資にばかりそれを使うわけにはいかないから、その意味において、国内において産業を助成する、公共事業投資をする、あるいは社会保障にこの金を回して、そして一方には不景気対策を講じながら、この社会の、先ほど大臣のおっしゃった高度成長でこぼこをひとつ直していこうという、姿勢がどうもそっちへ向いているようであります。向いているようでありまするが、ことばでは総理もそういうことを言われるのだが、じゃ具体的に一体どういう方策を講ぜられるのか。当然来年度予算の中にこれはあらわれてこなければいけない。私は実はその不景気と厚生行政あるいは社会保障というのを聞きたかった。これが聞きたかったのです。抽象的に政府がそう言っている以上は、それは具体的に数字の上にあらわれてこなければいけない。ドルショック以来、厚生省の四十七年度予算などというものはどこかでこれが改められて、もう改正をせられて、それが形の上にあらわれてこなければならぬじゃないか。私はそれをお聞きしたかったのです。この不景気対策一環あるいは高度成長のいびつを是正する意味において、ドルショック以来、厚生行政が四十七年度予算の中に一体どう改められてきたか、私はそれを聞きたかったのです。大臣、どうぞお聞かせいただきたいと思います。
  10. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 これは大蔵大臣なり大蔵当局から答えていただきませんと、私からはちょっと答える資格を持ちません。ただ、私考えますのに、ドルの保有が多くなったと申しましても、これは政府が自由にそのドルをどこででも使えるという立場のドルではないと思っておるわけであります。いわゆる貿易差金によってできたドルは、あるいは商社あるいはその他が持っておるのであって、そして政府がかってに一般支出にそのドルをどうにでも使えるという性質のものではない、かように思いますので、したがって、そのドルを操作をしてそして歳入に充てるということは、これはきわめて困難ではないだろうかと、私は担当のあれではございませんし、そのほうの知識もございませんが、さように考える次第でございます。
  11. 小林進

    小林(進)委員 私はドルということばで象徴しましたけれどもドル重点があるのではないのです。こういう不景気の中で、そしていまのアメリカ輸入課徴金だの、あるいは円の切り上げの問題であるとか、相場の変動制だとか、いろいろの問題が重なって、貿易面においても海外投資の面においても、日本にはどうも不景気の様相が来ているじゃないか、それを国内でカバーするために、その不景気を国内で補うためには、いま言う公共投資とかあるいは社会保障だとか環境整備だとか、そちらのほうへ大幅に支出をしなければならぬじゃないか。ですから、この不景気対策一環として社会保障があるわけですから、それを一体具体的に四十七年度予算にどう示されたか、私はそれをお聞きしたわけです。問題はドルじゃない、不景気なんです。あなたがおっしゃるように、高度成長一本でやってきた。もはやわが日本政治経済あり方も、ここで大きく変換しなくちゃならぬ。どういうふうにやられたか。  具体的に言いましょうか。それじゃもう一つ言えば、四十七年度予算骨格について承りましょう。四十六年度と比較いたしまして、どれくらい一体——いまは大蔵省にこれは要求中ですから、固まった、いわば決定したものではありませんけれども、この不景気対策も含め、経済成長いびつ是正も兼ねて、四十七年度予算にそれがどういうふうにあらわれてきているか、ひとつ大臣に承りたいと思います。
  12. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 四十七年度予算編成方針は、近く政府として決定すると存じます。まだ未決定でございまするし、どういう考えでいるか、これは私どもとして申し上げるわけにはまいりませんが、ただ厚生省といたしまして主張をいたしたいと思いますのは、やはりこの不景気対策一環といたしましても公共投資を相当大幅に伸ばすということ、そして景気浮揚に備える。同時に、やはり一般消費を刺激するということも必要でありますから、したがって、社会保障の費用も、金がないと、こう言っても、やはり景気刺激景気浮揚という面から思い切って出すべきだ、こういう方針を私は述べたいと、かように思っております。
  13. 小林進

    小林(進)委員 大臣、私が大臣にお伺いしているのは厚生省予算ですよ。四十七年度厚生省予算骨格を承りたい。これはできているのでございましょう。四十六年度と比較して、比率においてどれだけ伸びているのか、あるいはその中の重点がどこにあるのか、これを私はお聞きしたいわけです。もっとことばを加えて言えば、四十六年度までは高度成長時代例年を踏襲してきたんだ、しかし四十七年度は、社会が変わったのだから、四十六年度予算に比較して、この時代に適応した変わった形が厚生省予算の中に出てこなければならぬじゃないか、これを私はお尋ねをしておるわけなんです。
  14. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 来年度予算要求はすでにいたしております。その骨格は、いわゆる景気浮揚対策という面から申しますと、やはり水道とか、あるいは病院、社会福祉施設等施設の建設、改修、改善というものを前年度よりも思い切って要求をいたしております。また、一般生活の安定、向上という面から、老人対策といたしまして社会福祉年金の大幅な増額、また老人対策の面におけるいろいろなこまかな施策の徹底、また生活保護基準引き上げ、そういったようなもの。   〔委員長退席澁谷委員長代理着席〕 それからいま一つは、医療保障をできるだけ完全な方向に近づけていくという面からの国庫の補助というようなものが、いまおっしゃいます景気浮揚とそれに伴う社会福祉の増強という面にあれであろうと思います。同時に、社会福祉施設整備改善先ほど申し上げましたが、この職員給与改善ということもその中に入るであろう、かように思います。
  15. 小林進

    小林(進)委員 予算数字において総額はどれくらいでございますか、去年に比較して。
  16. 高木玄

    高木(玄)政府委員 明年度予算は、大蔵省にただいま要求いたしておりますのは、四十六年度予算の二五%ワクぎりぎり要求して、一兆六千二百億要求いたしております。
  17. 小林進

    小林(進)委員 私は、個々重点の置き方の問題は別として、政府がそれほどやかましく言っている社会保障公共投資について、二五%しか要求額がふえていないというのはいかにもおもしろくない。去年が一兆三千億ですか、四十六年度が一兆三千億でことしが一兆六千二百億、二五%——決定額じゃないですよ、要求額なんです。四十五年度と四十六年度決定額の増の比率は、一体幾らでしたか——一八%でしたかね。今年度要求額が二五%だったら、最終決定になったら、いままでの例からいって、これは一体どれぐらいになりますか。また一八%からせいぜい二〇%くらいに大蔵省に押えられるということになれば、予算総額において例年を踏襲したことと何にも変わらないじゃないですか。こういう時代の変遷、アメリカドルショック、また社会保障でこぼこだ。この機会にこそ、本腰を入れて画期的な社会保障の充実をはからなければならないなどという、キャッチフレーズだけはりっぱだけれども予算編成の上から見れば例年の踏襲と変わりがないといえるじゃないですか。私はそれを言いたいわけです。違いますか。官房長、言ってください。
  18. 高木玄

    高木(玄)政府委員 これは何年か前からでございますが、予算概算要求にあたりまして、前年度予算の二五%というワク閣議了解事項になっておりまして、そのワク内でいたすことになっております。ただし明年度予算におきましては、沖繩関係沖繩復帰対策費はこのワク別ワク要求いたしております。
  19. 小林進

    小林(進)委員 大臣、子供みたいな質問ですが、私はしばしば迷うところがあるので、ひとつ大臣の博学なところでお伺いしたいと思っていますが、政治行政というものはどう違うのでしょうか、大臣、ひとつお教えいただきたいと思います。政治行政の区別でございます。
  20. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 ちょっとなかなかむずかしいと思いますが、行政はやはり政治を遂行する中の一環であろう、かように思いますが、政治はやはり、国民の気持ちというものをくみ、国政をどう持っていくかという大所高所から判断をしてきめていくのが政治であり、その政治方向に従ってこれを実際の面に具現をしていくというのが行政であろうか、かように思います。
  21. 小林進

    小林(進)委員 私も大体において大臣のお考えと同じでございますが、政治大所高所とおっしゃった。そのとおりでございましょう。政治学の上でいけば、国の意思決定するのが政治だと私は思う。政治が国の意思決定する。その意味において大所高所でございましょうし、また別な意味においては、私は政治はアイデアだと思う。一つの理想だと思います。基本的な国民意思を集約し、それを決定づけるのが政治であって、それを一つ一つ処理していくのが行政なんです。  その意味において、先ほど官房長が言われた、五年とか三年とか前に予算請求は二五%以内だという一つワクがあるからその中で来年度予算をつくり上げましたというのは、これは行政答弁です。私はそんな答弁を聞いているのじゃない。先ほどから言っているように、国の運命が変わりつつあるじゃないか、国の姿が変わりつつあるじゃないか。変わっているとみんなが言っている。国民もそう思っている。実に変わっているのです。その変わった国の形が日常生活——中小企業者にも影響して倒産しているのです。農民にも影響して、農民には出かせぎがなくなっている。あるいは来年の高校の卒業生も、この変わった国の姿勢によって、せっかく決定した就職が取りやめられている。大きく国が変わっているのです。そうして個々生活にそれがみんな響いてきているのだ。そういう中だから、政治の中でも社会保障だとか公共投資だとか、そっちの方向に新しく国の重点が進まなくちゃいかぬ。高度成長の手直しをしなければいけない。こういうところに政治があるならば、その政治に基づいて来年度社会保障国家予算の中にちゃんとその形があらわれてこなければならぬじゃないか。それを、二五%などというそんな行政ワクにはめられて、政治一つも動いていない。国民の様子や、国民の変わり方や生活の変化に対応するような形が、厚生行政予算の中に一つもあらわれていないじゃないか、私はこう言っている。大臣、私はそれを聞いているのですよ。やはりそんなワクにはめていかなければならぬのですか。あなたがそれほどおっしゃるなら、むしろあなたは閣議の中で、政府方針に基づくそんなワクを取っ払って、この際社会保障予算なんか五〇%も一〇〇%も、前年度予算の倍くらいも組んでもらいたいくらいの、一つの高所からながめた厚生大臣姿勢というものをいま国民は求めている。あなたにはそれがない。私はこれを言っているのであります。いま一回御答弁いただきましょうか。
  22. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 来年度予算は全体の総額が四十六年度に比べてどのぐらいになるかわかりませんが、しかし毎年予算伸びは一二、三%から一五、六%ということだと思います。その中で厚生省予算伸び平均よりも幾らか高いというのが現状でございまして、本年は予算伸びが最終的にどうなるかわかりませんが、少なくとも平均よりも相当高い歩どまりで決着のできるように努力をいたしたいと思います。その限度が二五%ということでありますが、まあ二五%と申しますると、一兆何千億の中の二五%でございますから、したがって相当社会保障伸びが見られると私は思います。したがって二五%の要求——もっと三〇%、五〇%あればあるに越したことはありませんが、現実の問題といたしましてはそのワク内において、今後の日本社会保障の伸展という歩みの中から考えまするとその要求でそうまずいものではなかろう、私はかように思っているわけでございます。
  23. 小林進

    小林(進)委員 これはひとつ厚生省官房長要求いたします。この問題は予算委員会とかあるいはほかの場所においてまた論議する必要がありましょうから、資料の要求をいたしておきますが、十年間の厚生省予算、前年度との比較、その比率、これをひとつ早急に出してもらいましょう。いま大臣はたしか一二%から一四、五%とおっしゃたが、やはり前年度予算の二五%ぐらい要求して一七、八%ぐらいの前年度比増を獲得した前例もあるように私は自分では記憶いたしておりまするから、これはひとつ数字の上で示してもらうことにいたします。  いずれにいたしましても、二五%なんという要求をしたことはことしが初めてではございません。前年度予算に比較して二五%の要求をしたのは前にもあるのであって、その前年度との比率においてはちっとも変わっておりません。従来のやり方を踏襲しているとしか認められない。しかし大臣努力によって二五%増、これが満願で獲得せられるならば、それは不満足ではありますがやや了承するところもございましょうが、私どもはいままでのところでは、世の中の移り変わりに対応する、それにこたえるような予算組み方姿勢厚生省の四十七年度予算の中に何も見ることができないのは、いかにも残念しごくです。これだけを申し上げまして、さらにひとつ御努力をお願いする。このままの予算組み方請求のしかたでは、繰り返して申し上げますが、私は非常に遺憾の意を表さざるを得ないということをひとつ申し上げておきましょう。  そこで、先ほど大臣は、抽象的には公共投資あるいは生活の安定という方向重点を指向したとおっしゃったが、それをいま少し具体的に示していただいて、四十七年度予算の中で特に来年度はといって重点を置かれた項目は何か。これを各局別に。それから高度成長のひずみの中で、他の先進国と比較してわが日本社会保障の中で最も欠陥とせられるところはどこか、これをひとつ項目別に並べてお聞かせをいただきたいと思います。
  24. 高木玄

    高木(玄)政府委員 四十七年度概算要求におきまして特に重点を置きました項目について申し上げます。  まず第一番が老人福祉対策でございます。老人福祉対策の中におきましては老齢福祉年金増額、それから老人医療無料化を目ざしての対策、この二つが大きな柱になっております。  それから次に社会福祉施設整備と、社会福祉施設に働いておられます職員処遇改善でございます。社会福祉施設整備につきましては、本年度を初年度とする五カ年計画をつくっておりますが、それを引き続き推進する。それから職員処遇につきましては、給与改善その他の処遇改善考えております。  次に心身障害児対策でございまして、これには特に、心身障害児になりました原因になっているものの、疾病の発生の予防とその治療法確立早期治療、こういった点を重点考えております。  それから次にごみ処理あるいは産業廃棄物処理あるいは屎尿の処理あるいは水道用水確保、こういったような生活環境施設整備、これが重点施策になっております。   〔澁谷委員長代理退席委員長着席〕  それから特定疾患、いわゆる難病、奇病といわれているようなもの、こういったものにつきましての対策というものを強化してまいりたい。これも重点事項になっております。  それから国民健康増進対策あるいは医療供給体制整備、こういった問題、これも取り上げております。  それから消費者安全対策といたしまして、食品衛生の問題あるいは医薬品の有効性安全性確保の問題、こういった問題も取り上げております。  それから原爆被爆者福祉をさらに手厚くする施策、そのほか生活保護生活扶助基準引き上げ戦傷病者援護対策同和対策、あるいは麻薬、幻覚剤等対策等ございます。  それから非常に大きな問題といたしまして医療保険抜本改正の問題、これも重点対策でございます。  以上が明年度概算要求に盛り込みました厚生省重点施策でございます。
  25. 小林進

    小林(進)委員 いろいろ並べられましたけれども、これは並列主義でちっとも重点にはならないが、じゃあその中で、一番最後に言われたところから、どれぐらい具体的に重点政策を示されたか、ひとつ伺っていきましょうか。  第一に医療政策抜本対策医療保険抜本対策、この二つについてまずお伺いいたしましょう。
  26. 高木玄

    高木(玄)政府委員 医療保険抜本対策につきましては、実は予算としてはまだ要求いたしておりません。これは抜本対策成案を得まして、その成案に基づいて追加要求する、こういうことで大蔵省と話し合っております。
  27. 小林進

    小林(進)委員 医療抜本対策はどうですか。医療基本法作成等、一体おやりになっているんですか。
  28. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 次の通常国会にはぜひ医療基本法といったものを御審議いただけるようにいたしたいと、ただいませっかく準備中でございます。
  29. 小林進

    小林(進)委員 その医療基本法骨格だけでもひとつお聞かせいただきましょうか。
  30. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 まだここで骨格と申し上げてお示しいたす段階ではございませんので、その点は御了承をいただきたいと存じますが、よくいわれておりまする、日本医療供給体制についてはまだ確たる方針がないということでございまして、これからの七〇年代、八〇年代に備えて恥ずかしくないような医療の各種の体制確立をいたしたいというのが、基本的な考え方でございます。  今日、医師あるいは医療従事員不足、また都市とあるいは過疎地帯における医療供給体制の非常な不つり合い、それからこれからの疾病構造が社会経済その他の発展に伴って非常に変わってまいります。したがって、いままでのような漫然たる医療供給体制ではなくて、そういった体制に即応できるような、あるいは特殊の疾病についての基幹的な病院の体制、たとえば交通障害等で生じる事態に対応できるような医療体制、あるいは小児病の専門の体制、ガンとかまた成人病に対する医療体制というようなものを体制づけたい、そういったような事柄をいろいろとただいま勘案中でございます。
  31. 小林進

    小林(進)委員 大臣のいまおっしゃいました基本法の中に盛られる項目は、私はけっこうだと思います。いずれもいま要求いたしている問題でありますが、その中で一つ、私は聞き漏らしたかもしれませんが、医療の供給対策とおっしゃいました。その中にはこれこれがあるとおっしゃった。現在の一般医というものと基幹病院との関係といいますか、こういうふうな医療供給機関の体系の問題等は、先ほどそれは専門病院だとか新しく生まれる疾病に対する対策とおっしゃいましたが、現在あるものの医療機関の体系化の問題等についても、一体基本法の中に盛られる意思があるのかどうか、これをお伺いいたしておきたいと思います。
  32. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 十分とはいえませんが、やはりそういう方向づけをやっていけるようにいたしたい、かように存じます。必要あれば医務局長もおりますから、詳しい点は御答弁を申し上げたいと思いますが、何ぶんにもまだ要綱も決定をいたしておらぬ段階でございますので、もうしばらくお待ちいただきまして、十分御審議をしていただけるように、あるいは事前においてもお願いできるときが遠からず来るのじゃないか、かように存じまするので、その節はそれをもとにしていろいろとお知恵を拝借をいたしたい、かように思います。
  33. 小林進

    小林(進)委員 骨格を見ないうちに論じてみても始まらぬ話でございますが、通常国会にお出しになるというのに、いままだ骨格もできてないということで一体間に合うのかどうか、一番急を要する問題でございまするし、また一番大きな問題でもあります。  ちょっと医務局長、国立病院だとか公立病院だとか、組合病院だとか県立病院だとかという各種の病院があって、その中には横の連絡が何もないわけです。特にその中で、いま全国的に県立病院だとか郡市立病院だとかというものが非常に経営難におちいって、廃止するとかしないとかという問題も起きているのでありまするが、そういうことの救済といってはなんですが、そういうことも含めて、こういう病院、診療所等の関係を一体どういうふうに基本法の中に盛られる考えなのか、具体的にお考えがあったら、お示しをいただきたいと思います。
  34. 松尾正雄

    ○松尾政府委員 ただいま御指摘のように、いろいろな種類の設置主体の病院がございまして、その間に、御指摘のように、一種の全体としての調整と申しますか調和と申しますか、そういうようなプランの上からも十分調和のとれた機能というものが十分考えられていない、いわば、極端にいえば各病院それぞれの気持ちでいろいろな整備をしておる。こういった点が現状の欠陥として指摘できると思いますし、またそういう病院相互のお互いの機能が十分に連携がとれてない。特に病院間におきましてもやはり同様でございます。  したがいまして、今後の基本的な考え方としては、やはりそれぞれの地域におきまして、この地域には——病院の種類によりまして広い狭いという問題があると存じますけれども、そういう地域の事情、実態に応じまして、その病院群というものの機能をそれぞれ位置づけていく、こういうことが必要ではないか。特に、先ほど大臣がおっしゃっておりましたように、あるいは子供の疾患でございますとか、あるいは老人の特別の疾患でございますとか、あるいはガンでございますとか、それぞれ特殊の分野で専門的に大きなその力を集約して発揮しなければならない、こういう問題が多数あるわけでございますので、それぞれの病院がやはりその地域において分担すべき役割りというものを計画の中で明定できるようにしていくべきではなかろうか。それからさらに、それとの間において十分横の連携がとれる、こういうことを基本的にうたうべきではないかと私ども考えております。  また、将来そういう問題について、いま情報化時代といわれておりますけれども、そういう各種の病院等の持っておりますところのいろいろな貴重な情報というものが、相互に利用できないというところも、やはり現在の医療上の欠陥として指摘できるのではないかと存じます。したがって、そういう今後の新しい情報化というような技術というものを病院、診療所の相互の連携の中にどう結びつけるかということも、やはり将来のビジョンとして私どもは織り込んでいくべきではなかろうか。  大体そんなような空気でいま作業を進めているところでございます。
  35. 小林進

    小林(進)委員 時間もありませんので、これはひとつ大臣にお約束いただきたいと思います。  私どももこの問題はもう十五年、二十年近くもこれは研究し尽くして、たくさん意見を持っております。願わくは厚生省で、この基本法の作業の過程において、こまかくひとつ私たちにもその作業の過程の試案をお示しをいただきたいと思います。お示しをいただいて、われわれの意見も若干くみ取るような謙虚な姿をひとつお願いしたいと思います。  従来、厚生省の官僚というものは——ほんとうは行政というのは中正でなければならぬ。国家国民に奉仕し、政党の下請機関ではないのであります。特に厚生省は悪い。何を一つやるにも政策審議会とか調査会とかに徴して……。調査会ってどこだといったら自民党。自民党とは言わないまでも、自分たちの調査会のごとく思って、何一つでも調査会、調査会といって、みんな自民党の部屋へ出入りして、そしてその意見を徴しながら事をつくり上げておる。予算一つでも、やっておるけれども、われわれ野党のほうにくるとはなはだ冷淡無比で何一つ相談しようとしない。この姿勢が一番いけない。各省くまなく見ているけれども厚生省が一番この姿勢が悪い。そういう意味において、特にこの医療基本法の問題については国家百年の大計でございますから、政調会、政調会といって自民党の政調会にばかりもぐり込むような卑屈な態度をやめて、われわれのほうにもひとつ、行政の中立性を堅持するという峻厳な立場で全部相談してもらうように、この点は十分注文をつけておきますから、どうぞ間違いのないようにお願いいたしたいと存じます。  次の問題でございまするけれども、今度は医療保険の基本対策の問題について大臣にお尋ねをいたしたいと思う。保険対策でございます。  これは、この委員会にもうしばしば大臣から伺っておるのでございますけれども、どうも最近少し大臣姿勢がくずれたのではないか、右顧左べんをいたしておるのではないか、こういう感じがいたしてなりませんので、いま一回ここでお伺いいたしてみたいと思うのであります。
  36. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 かねがね申し上げておりますように、今日の医療保険は、その発生の当時のいろいろな状況から、それぞれ必要に応じて発生してきて、今日国民がどれかの保険に入っているという形になっておりますので、これをひとつ国民全体の相互扶助による医療事故の保険であるというように統一のできるような方向に持っていきたい、この基本姿勢は決して変えておりません。しかしながら、それぞれ長い間の歴史と経験を持った各種の保険が存在しているわけでありますから、いま一挙に理想的な案をと申しましても、実現がはなはだ困難でありますから、その方向に向かって逐次実現をはかってまいって、最終目的は、最初私が申し上げたような方向にいけるような道を開いてまいりたい、かように考えております。
  37. 小林進

    小林(進)委員 そうおっしゃいますと、一本立てを最終の決着駅にして、その過渡的処置として二本立てを列記しておく、こういうことでございますか。大臣はなかなか抽象的な御答弁をなさるので、私どもにはなかなか理解しずらいが、時間がありませんから……。これが一つ。  それからいま一つ、いま二つの審議会から答申が出ております。この答申はやはり具体的にどう処置されるのか、お伺いいたしておきたいと思います。
  38. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 前者は、大体いまおっしゃいましたとおりでございます。これをほんとうに理想的な姿にするのには相当の年数を要するであろう、かように考えます。その方向に進むように、ただいまの段階としては、いまの被用者保険、地域保険、これを直ちに一緒にしてしまうということは今日の段階ではまだ早計である、かように考えております。  それから、二つの審議会の答申の中には、適切な御答申の内容もたくさんございますので、これを尊重してまいりたい、かように考えます。
  39. 小林進

    小林(進)委員 あなたはことしの春の医療騒動のときには、武見医師会会長と懇談をされて、事態の収拾をされた。そのときに幾つかの条件をのんでおられる。この医療保険の一本化というものも、その武見会談の中における条件の一つじゃなかったかと私は思っておりますが、これを一体どう処置されるのか、お伺いいたしておきたい。
  40. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 直ちに一本化するという約束はいたしておりません。先ほど申しましたような、そういう趣旨は私も同感であると言い、最初に申し上げましたそういった趣旨を私も賛成をした、合意が得られた。これをいま直ちにどうということの約束は、何もいたしておりません。
  41. 小林進

    小林(進)委員 その点が私は——その前に、この医療保険抜本改正の問題について、厚生省はもう案ができておるのですか。できておるのかどうか、これを先にひとつお伺いしておきましょう。
  42. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 まだコンクリートにはできておりません。
  43. 小林進

    小林(進)委員 予算の時期がきているのにまだこれがどうもコンクリートされていないじゃ、たいへんな作業のおくれだと私は思うのですね。これだけでも、考えようによっちゃ厚生大臣の責任問題です。辞職につながらなくちゃならぬ重大問題だと思うのです。何もここで事を大きくする必要はありませんけれども、これは私はたいへんな失政だと思わなければならぬと思っております。早く作業を進めてもらわなくちゃなりません。ぜひ急いでいただきたい。急いでいただきたいが、その急ぐ中で、一つは、また武見会長等から問題を提起されないように、これはひとつ大臣のいまの御答弁でございまするから、そのとおりだと思いまするけれども、十分にひとつ御注意いただきたい。  第二番目は、その二本立ての中の一本はどうも、二つの答申も、組合健保方式が基準になっておるようでございますが、一体これを適当とお考えになるかどうか。組合健保方式でいくとすれば、概算一体、日本じゅうに幾つのこういう形のものができ上がるのか、私ども想像がつかない、二本化とは言いながら、その一本は。これは地域保険も町村別でございまするからたいへんな数になりましょうが、組合健保というものは一体どれくらいになるものか。むしろ考えようによっちゃどうも保険制度をかえって混乱させたりでこぼこさせたり、不均衡なものをつくり上げるような要素をなすんじゃないかということが一つ。  それからいま一つ、地域保険の問題、一体いままでの市町村別の形でいいのか。私はこの際、地域保険も、もしあなたがおっしゃるように将来一本化を目ざしていくんなら、これは都道府県単位の制度に切りかえてみたらどうか。これも思いつきではございません。私ども長い間の主張なんであります。その一本化の方向に向かう過渡的な形として二本化はやむを得ない、二本化していくとおっしゃるならば、その二本化の内容をどういう形に組み変えようとされるのか、お聞かせをいただきたいと思うのであります。
  44. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 まあここらが要点でございますので、もうここちょっとの間御猶予をいただきたいと存じます。
  45. 小林進

    小林(進)委員 いましゃべりたくないとおっしゃるなら、無理に口を開かして返事を聞き出すほどのこともございませんので、しばらく私はお待ちいたしたいと思いますけれども、この問題も私は、結論が出て、幕を開いて舞台を見せたときに、私どもにあれよあれよという悲観を与えないように、ひとつ十分御注意をいただきたいと思います。どうもいまの様子をながめてみますというと、繰り返して申しますように、保険制度の単純化の方向にいかないで、むしろ新しい複雑化の方向改正が動いていっているんじゃないか。繰り返して言いますけれども、一本化が最終の到着駅であるならば、その方向に向かってだんだん事を単純化するように私は持っていかなくちゃならないと思うのでありまするから、ひとつ十分にこの点は御注意いただいて、あらわれてくるまでのお手並み拝見ということにいたしておきたいと思いますが、それにいたしましても、医療騒動のいま一つの問題点でありまする、いわゆる料金の引き上げの問題であります。  巷間伝うるところによれば、十二月初めあたりに新料金に着手せられるように聞いておりましたけれども、どうも十二月になっても出てまいりません。どういう経緯になっておるのか、承りたいと思います。
  46. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 ただいま医療報酬の改定の問題につきましては、中央医療協議会で取り扱ってもらっておりますことは、御承知のとおりであります。これが先月の十八日からちょっと停滞をいたしておりますが、会長をはじめ公益委員の方々、いませっかくこれを促進するように御努力を願っておりますので、早くその御努力が実って実質審議に入れるようにと、いま、私のほうは側面からでございますが、念願をいたしておるというのが今日の段階でございます。
  47. 小林進

    小林(進)委員 どういう理由で停滞しているのか、その理由をお聞かせをいただきたいと思うのでございますが、何か私どもの聞くところによりまするというと、その医療協議会が、何かあやまれとかあやまらぬとか、態度が高いとか低いとかという、そういう感情論か何かでどうも開催が停滞をしているとかいうようなことを——これは間違いであればけっこうですけれども、間違いかどうかわかりませんけれども、まあ国民医療に関する重大問題が、委員同士といいましょうか、委員内部のグループといいましょうか、そういうものの感情問題に左右されて、不安定なままに投げ出されている、これは国民の側から見れば、実にばかげた話といわざるを得ないのでありまするが、どういうことになっているんでありますか。実は、個人的には、小林君こういうことだから、あなたもひとつ何とか中に入ってという話もなきにしもあらずでありますが、理由もわからない、わからな理由の中に私ども入り込んでいくわけにまいらないという話をしておるのであります。停滞をいたしておりまする理由を、開催できない理由をお聞かせをいただきたいと思います。
  48. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 中央医療協議会の運営、なかなか微妙なようでございますが、圓城寺会長が全責任を持ってこの運営に当たっておられますので、私がこの席でとやかく申し上げることは、かえって中央医療協議会に対してじゃまになる、かように思いますので、その点は差し控えさしていただきたいと存じます。
  49. 小林進

    小林(進)委員 私の聞くこと、全部答えがはね返ってこないのでございまして、壁か何かに向かってものを言っているようでございます。残念でございますが、これも次の機会までお待ちすることにいたします。  次は、医療費の値上げの問題でございまするが、これも圓城寺会長が努力中だから、微妙にして言われないと言われればそれっきりの話でありまするけれども、これも何か一五%——あるいは四十何%の値上げの要求があった、だんだんどうも競売のせり上げのように形が変わってきて、一五%とか二〇%程度のところで落ち着きそうだなどという話もきているのでありまするが、これは情報でなくてよろしい、大臣の真意です。医療行政を担当されておるのでありますから、どれくらいの値上げが至当であるとお考えになっておられるか、これは医療協議会とは関係ないと思うのであります。お聞かせを願いたいと思います。
  50. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 この値上げ幅こそが最も協議会長が苦労し、今日の段階においてどの程度の報酬、そしてまた内容はどの程度がいいかということを専心検討をしておられるわけでございますので、腹はもうきまっているかもわかりませんが、私はその協議会長の公式の発表のあることを期待をいたしておりますので、いままで仄聞しておりますのは、皆さんも御承知のように、支払い側のほうが一〇%程度でどうだと、それから医療側のほうは二三%というところまでの案を出している、これは公にされておりますが、その他の点につきましては、これこそまことに微妙でございますから、私が何%が適当であるということをこの際申し上げることは、これはいけない、かように思いますので、その点は御了承いただきたいと存じます。
  51. 小林進

    小林(進)委員 私は、こういう医療費の値上げなども、ちゃんと大臣厚生省のほうで一応の草案をお持ちになって、それを協議会に提示をしながら、その自分たちの目的の方向へ協議会が歩めるような、そういう工作をされていいのではないか。これはまだ私の予想でありまするけれども、何にもない、原案もなしに、そのままばらで出して、会議方向にまかしているというのも、厚生省としては実に策のない私はやり方だと思っておる。強制はしないだろうけれども、案ぐらいは厚生省が持っていなくちゃならぬ。一体幾らの案をお持ちになっているか、それを聞きたかったのでありますけれども大臣が言いたくないというから——私はこれだけでも時間があれば一日くらい大臣とお話をしていたいと思うのでありますけれども、残念ながら私のほうでちょっと十二時ごろに用事がありますので、これは残して後日に譲りますけれども、そんな返事で小林進が満足すると考えていただいたら、私の名折れになりますので、ひとつ大臣、そういうことのないようにお願いしたいと思います。  次は、医薬品の問題。先ほども何か官房長有効性とか安全性とかいうことを重点政策一つにしていると言われましたが、私は、その前に一つ聞いておきたいことは、いわゆる貿易の自由化といいましょうか、輸入の自由化というか、そういうことに対する医薬行政、資本の自由化、輸入の自由化に対する医薬行政はいかにあるべきかという、この問題をお伺いいたしたいと思います。政治の問題ですから、大臣からひとつ……。
  52. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 ちょっと御質問の趣旨をつかみかねるのですけれども、資本の自由化の中における医療行政はいかにあるべきか……
  53. 小林進

    小林(進)委員 いや、薬務行政です。
  54. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 ただいまの行政は、資本の自由化ですか、国際資本の自由化に対処してまいりますためには、やはり日本における製薬、これの開発というものに相当資本をつぎ込んで、そうしてこういったおくれに対処しなければならない、外国資本に打ち負けないだけの体制をつくり上げなければならない、かように思っております。
  55. 武藤き一郎

    ○武藤政府委員 お答えいたします。  資本自由化の問題につきましては、昨年の七月に自由化問題が結論が出ましたが、現在のところ五〇・五〇の大勢でございます。その当時におきましても、資本の自由化をすべきであるという議論もございました。しかしながら、なお日本の製薬企業は体質的にまだ外国と比べて弱いということで、七月の時点では従来どおりになりました。したがいまして、今後はやはり研究開発を中心といたします体質改善を十分行ないませんと、今後の開放体制に向かっては非常に弱うございますので、こういう点につきまして、企業の研究開発なり体質強化に私どもは十分指導をいたしたい、かように考えております。
  56. 小林進

    小林(進)委員 いま五〇・五〇とおっしゃったが、農産物の自由化の問題で、日本の農村もたいへんな被害を受けているのだが、この製薬の問題は、資本の自由化で外国資本が入ってきたら、一たまりもなくやられてしまうと私は思う。そういう危機の中にあるのだから、いま薬務局長ですか、体質改善をやると言われた、これはいつまでも防ぎ切れるものではないのですから、一応いまの防衛の体制の中で、国内の製薬行政というものは抜本的にひとつやらなければならないと私は思っておるのですけれども、具体的に言って、どういうことをおやりになっているのですか。やはり従来どおりの形なのかどうか。体質改善は具体的にどんなことをやっているか、それをひとつお聞かせをいただきたいと私は思う。
  57. 武藤き一郎

    ○武藤政府委員 体質改善の問題は、これは企業自体の問題ではございますが、厚生省としてもいろいろと援助の手をかしたい、かように考えております。たとえば税制の問題でありますとか、その他行政指導を大いに行なっております。たとえば研究開発の面で見ますと、従来企業の研究に対する投資というものは三%弱でございましたけれども、最近は四%くらいになってきております。これは外国と比較しましてもなお半分程度でございます。したがいまして、こういう点をやはり外国並みの八%程度の研究費の投入をやらせるということが必要ではなかろうか、かように考えております。
  58. 小林進

    小林(進)委員 私は、その研究費を、宣伝広告費よりは研究費のほうに必要経費をうんと投資をすることとあわせて、研究の成果を、パテントと言ってもいい、その製品を守ってやるという、そういう体制がなければだめだと思う。そういう点にどういう改革案をお持ちになっているのかどうか。まだ言いたいことはあるけれども、それだけひとつやってください。
  59. 武藤き一郎

    ○武藤政府委員 先生御指摘のように、製品のほうで言いますと、特許の問題と非常に関連いたします。現在日本は化学物質並びに医薬品の問題は、これは製法特許でございますが、他の先進国におきましてはたいてい物質特許でございます。特許庁のほうでも、化学品並びに医薬品につきましての特許問題について、現在工業所有権審議会の中で特別の部会を最近設けまして、この問題の検討を始めております。十年ほど前は、物質特許につきましては、関係者の中では日本は技術力が非常に劣るので非常に反対の声が強かったのでございますが、最近はやはり技術も向上し、やはり物質特許をやって製品なり技術の保護をはかるということが必要ではないかということで、その方向に大体大勢は向いております。しかしながら、なおいろいろ議論がございますので、現在特許庁のほうでは外国に視察団を派遣して、この物質特許の問題についての調査を行なっておられる状況でございます。
  60. 小林進

    小林(進)委員 私はそういうところに従来の、いままでの薬務行政の最大の欠陥があったと思うのです。人にいいのをつくらせておいて、できたらそれを今度は同じものを製法化して、あとは宣伝費だけでぱっぱっと売りさばいて、そして消費者に同じようなものを馬に食わせるほど食わせておいて、そして薬の被害者をつくり上げている。世界一の薬を飲む国民をつくり上げる。たいへんな被害です。そういうところを、それは特許庁もいいだろうけれども厚生省の薬務行政としてもそこはやはり早目にひとつやってもらって、そして民族産業を守る上において、外国資本に対抗するその体制をひとつ早くやってもらいたい。大臣、ひとつ私の言うことを了承してください。そういう体制を早くつくってもらわなければならない。大臣の御所見を承りたい。私はそれをお聞きしたがった。
  61. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 私も小林委員のおっしゃるとおりに考えております。力は及びませんが、できるだけその方向に急速に力強く進めてまいりたい、かように思います。
  62. 小林進

    小林(進)委員 これも早急に処置をとられること、私どもは厳重なる監視体制でぱしっとやります。そういうことで早く進めてもらいたいと思います。  それからいま一つは、薬の有効性の問題。何万種類薬があるか知りませんが、それを五年間で検査する。予算は一体幾らあるのかと思ったら、驚くなかれ二千二百万円でスズメの涙。これで一体薬の安全・有効性重点政策になるのか、情けない気持ちでございまするけれども、いずれにしてもこれは早く進めてもらわなければならないが、有効性の問題に関連をいたしまして、これはわが物価問題の特別委員会の連合審査のところで、こういう問題が出たのです。  それは、公明党の渡部通子さんという人が現物を持ってきて、これは私ども連合委員会でやった。大正製薬のかぜ薬アンプルというもの、これを持ってきて示した。同じ袋を持ってきた。大きい袋と小さい袋、二つを持ってきた。小さい袋のほうはかぜ薬アンプルが二百七十錠入って百円だというのです。こっちはその後に出た薬で、同じかぜ薬アンプルで、袋は二倍に大きくなって二百円だというのだ。中身を勘定してみたらこっちは百四十しか入っていない。百円のほうは袋は小さいけれども二百七十入っていたというのだ。一体どういうことになっているのか。これは物価の連合審査委員会で、たしか総理もいるところで質問しておりましたが、私は委員長ですから口をはさむわけにいかない。交通整理だけやっておりましたけれども、一体こういう行政はこれはどこなんだ。これは一体どこの行政でやるのですか。大臣でも薬務局長でもいいから御返事をいただきたいと思うのであります。
  63. 武藤き一郎

    ○武藤政府委員 ただいま先生が設例をあげられました問題でございますが、その二つの製品についての中身を私いま具体的に承らなかったわけでございますが、私が想像するところ、おそらくその二つの製品は処方が違うのではなかろうか、かように考えます。こういう値段の問題につきましては、現在、再販品でございますれば、公正取引委員会のほうでこの再販品の価格のあり方、それから是正のしかた等につきまして具体的に一応の調査をしておられまして、著しくマージンが多いもの、あるいは出荷価格が調査の上非常に適当でないものにつきましては、現在調査を進めておられます。したがって、そういう点につきましてもあわせて改善策が今後とられるだろう、かように考えます。
  64. 小林進

    小林(進)委員 それは、公取でやっていることはわかります。それは経企庁も関係してやっておることはわかりますが、その責任のがれではなくて、安全性の問題、有効性の問題からも、薬はあなた方が一番詳しいのだから、厚生省が当然タッチしていいじゃないかと私は思う。あなたは構成が違うとおっしゃるでしょうけれども、それは混合でしょうけれども、何か材料の十種類か二十種類の中で、ほんの一部分入れかえたかもしれませんけれども、それが一体かぜ薬アンプルの本質にどう違うのですか。それが百円が二百円に該当するだけの有効性安全性があるのかどうか。私はそういう立場から、いま少しこういうところに関係してもらってもいいじゃないか、それを言いたいわけです。他人ごとの返事ばかりしておってたいへん困る。そんなようなことで、消費者がそれほど痛めつけられている問題にタッチできないような、干渉できないような有効・安全性の仕事ならば意味がないじゃないかと私は言いたいわけです。  しからば、これから五年計画、五十年までの間に薬は洗い直すとおっしゃる。その洗い直し方は、一体どこをねらっていらっしゃるのか。われわれの立場から言わせれば、そういうことこそ真剣にやっていただきたいのであります。
  65. 武藤き一郎

    ○武藤政府委員 薬の品質の問題でございますが、この問題は四十二年から厳重になってきておりますが、特に最近の例を申しますと、ことしの一月あるいは七月等に厳重な試験方法等のチェックをいたして、有効性なり品質についての厳重な審査をさらにきびしくいたしております。  ただいま先生御指摘の医薬品の再評価の問題でございますが、これはことしの夏に答申をいただきまして、その後直ちに中央薬事審議会の中に再評価の特別部会を設け、それから薬務局の中で、有効性安全性の問題を専管いたします課を設けまして、この十月から検討に入っております。まず検討しますものが、先生おっしゃいましたように約四万のものが出回っておりますので、やはり現在ビタミン剤、それから次は抗菌性物質つまり抗生物質、それから第三は神経用医薬品、この三つのものをまず手初めに着手いたす予定でございます。
  66. 小林進

    小林(進)委員 その審査は非常にけっこうだと思いますから、大いにひとつ能率のあがるようにやっていただきたいと思います。私も非常に期待いたしております。  もっとお伺いしたいのですが、時間もありませんので、老人医療の問題をお伺いをいたしたいと思います。これは私どもが去年、おととしあたりから取り上げて、ここ三年ばかりの間に老人問題が非常に脚光を浴びてまいりました。十年前の社会保障医療行政厚生行政からながめれば、この辺が一番変わった。時代とともに変わったんじゃないかと思われる特徴のある行政でございます。老人対策といっても、就職の問題から、健診の問題とか、病人に対する医療無料の問題だとか、あるいは年金の問題だとか、いろいろ広範囲にわたるわけですけれども大臣、この老人問題の一番の中心は何ですか。厚生省の中にはずいぶんこまかく医療対策がずっと並んでおりますけれども、その中心は何でございますか。中心をひとつお伺いしたいと思います。
  67. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 老人問題は、老人のいろいろな、今日の政治に対する要求といいますかニードといいますか、これはたくさんございます。したがって何を中心というわけにはまいらぬと思うのですが、さしあたって金目の問題から申しますと、先ほどおあげになりました、無料で医療にかかれるようにというのが一番の問題でございます。それから年金をもっと高めてもらいたい、これも金目の問題としては二番目の問題でございます。そのほかに、老人はやはり病気にかからないで、生きがいを持って、生気はつらつとして暮らしていけるようにという問題、これは老人クラブをもっと活用のできるようにするとかという問題。それから寝たきり老人、これを全部施設に入ってもらうようにするのがたてまえでありますが、施設と、それからこれの看護をする人を直ちに得るということもなかなかむずかしいのでありますので、これも年次計画をもってやってまいらなければなりません。そういたしますと、現在孤独でそして寝たきりといったような老人に対する居宅の対策というような事柄に分けられようかと思いますが、どれ一つをとっても、どれが一番というわけではありませんが、金目の問題から申しますと、先ほど申し上げたような問題で、全部でございますが、全体について推進のできるように取り組んでまいりたい、かように思います。
  68. 小林進

    小林(進)委員 私は、この老人問題でお伺いしておきたいのは、七十歳以上の老人の医療を無料でおやりになるという制度ができているようでございます。七十歳以上の老人の医療の無料に対しては、所得の制限があるのかないのか、これが一つです。  それから年金問題、これも、福祉年金でございますが、四十七年度は月三千六百円の請求をお出しになっているようでございますが、これに対しても、私どもは所得制限はおやめなさい、年寄りがひがんでしようがないからおやめなさいということを三十四年から何十年、というと少し話が大きくなりますけれども、十何年近くやってきたわけですが、これも一体どういうふうに処置をされているのですか。  それからいま一つは、老人政策の中でも、一番底辺にいて気の毒なのは、孤独で寝たきりの老人だと思う。これはやはり底にいる者から重点、といってもなんでありますけれども、まずひとつ手厚い方策を考えてもらわなければならないと思いますが、いまおっしゃるように、施設へ入れば一番いいが、入れないということになれば、家庭奉仕員といいますか、巡回してめんどうを見て歩く人——これはやる人にとっても実にいやだ、まともな家庭の人ならやりたがらない。未亡人だとか、あるいはよほど社会的に公共心とか親切心が多いという人でなければ、これはやれない。こういう人のやりたがらないことをやっている人たちの立場を考えて、相当手厚い待遇も与えなくちゃならないと私は思います。今年で予算は幾らでしたか、去年までは一カ月二万三千円、ことしは三倍近くの要求をされておるようであります。こういう点、私の質問にお答えいただきたいと思う。
  69. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 ただいまおっしゃるように、われわれの予算要求も御存じのようでございますので、それをできるだけ要求どおり予算として実現をいたしたい、かように考えております。  それから所得制限の点は、扶養者の所得制限ははずしたい、かように思います。本人の高額所得者はちょっと御遠慮してもらうようになるのではなかろうか。しかしながら、今日のような所得制限の低いワクでは困るということで大蔵省と折衝をいたす予定でございます。
  70. 小林進

    小林(進)委員 それは七十歳以上の医療費の無料も含めてですね。医療費も年金のほうも、扶養者の所得制限は排除する、個人の所得の高額の者はそのまま据え置く意思だ、それは私は一歩前進だと思いますよ、大臣。それはそうしていただければ非常に喜ぶ者が多いと思います。家族の収入とかかわりなしに、老人には年金を差し上げる、医療も無料にする、しかし本人自身が高額の者は、将来はこんなこともやめてもらいたいと思いますが、過渡期の処置として半分だけでもはずしていただくことが私は善政だと思いますから、それはひとつぜひやっていただきたいと思います。老人対策のビジョンなんかもひとつ承りたいのでありますが、ちょうど約束の時間が来ますので、次に行きます。  私は、このたび社会保障行政などを担当しながら地方に行って一番気の毒だと思うのは心身障害者のいる家庭、これは一番気の毒ですね。特にその中でも重度心身障害者。重度心身障害者のいる家庭などというものは、全くお気の毒だ。だがしかし、これを受け入れる体制がまだ何もできてない。何もできてないと言っては言い過ぎでありますけれども、できてはいるけれども、なかなか時代の趨勢にマッチしていかないで、まだ泣いている者がたくさんある。私自身の経験を申し上げてなんでありますけれども、私自身がたった一人の重度心身障害者を施設の中に入れてもらうのに七年もかかった、そういう状態です。これなんかも、先ほど一番冒頭に述べました、この社会保障を充実するという好機ですからね。ことしあたりぱっと予算請求してもらって、そういう施設とかあるいは奉仕員とかが充実するようにやっていただきたいという気持ちが強いのでありますけれども、どういうふうにお考えになっているのか。この問題に対するお考えをお聞かせいただきたい。  それからいま一つは、飛び飛びになりますけれども、ことしの生活保護費が、去年と比較いたしまして何%引き上げになって、そうしてその人員が何人いるか。この資料にはないものでありますから、ちょっとその点だけお聞かせいただきたいと思います。   〔委員長退席、小沢(辰)委員長代理着席〕
  71. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 心身障害児対策の問題はほんとうに、おっしゃるとおりまことに私はお気の毒だと思っております。まず何よりもその心身障害児の発生しないようにという、これは相当重点を置くようにといって指示をし、予算の面でも努力をいたしておりますが、それがまず一つ。  それから、現になっておられる心身障害児の方々は、いまもおっしゃいますようにできるだけ、一日も早く施設にお引き取りしてお世話のできるように、かように考えておるわけでありますが、何ぶんにも、これは建物をつくっても、いわゆる保護者といいますか、世話をする職員の養成もまた非常にむずかしいし、なかなか金だけで世話をするというわけにもまいりませんので、両々相まちまして、これも五カ年計画の中で実現をいたしたい、かように思って努力をいたしておるわけでございます。
  72. 加藤威二

    ○加藤政府委員 生活保護引き上げでございますが、生活保護基準引き上げは、四十六年度は一四%の引き上げになっております。来年度につきましては、予算要求ではまだはっきり数字を固めておりませんが、これは十二月中旬ごろになりますと、経企庁のほうで来年度経済見通しが出てまいりますので、それとにらみ合わせまして来年度生活保護基準引き上げを最終的にきめる、こういうことになっておりますので、私どもは、冒頭に先生の御指摘がございましたように、来年度のわが国の経済が不景気になるという点を勘案いたしまして、この生活保護基準引き上げには全力を尽くしてまいりたいと思います。  なお、人員につきましては、いま正確な数字をちょっと持っておりませんが、大体百四十万程度でございます。
  73. 小林進

    小林(進)委員 まだ、たくさん質問を残しておりまするけれども、ちょうど十二時という労働基準法に基づく昼の休憩時間に入りましたので、残念ながら午前の質問はこれで打ち切ることにいたしまして、また午後あらためて御質問を再開いたします。ひとつよろしく……。
  74. 小沢辰男

    ○小沢(辰)委員長代理 次に、古寺宏君。
  75. 古寺宏

    ○古寺委員 最初に、ハンセン氏病対策についてお尋ねを申し上げます。  四十五年の八月六日に、前の内田厚生大臣に対しまして、らい調査会から報告が出ておりますが、この中に、らいの外来診療の問題が答申されております。このらいの外来診療について、厚生省はこの答申を受けて、どういうような具体的な施策を講じたか、まず最初に承りたいと思います。
  76. 松尾正雄

    ○松尾政府委員 らいの外来診療関係は、実は公衆衛生局の所管でありますが、まだ参っておりませんので、私から一応承知しているところをお答えいたします。  確かに、らい患者の外来治療というものをもっと大幅に伸ばしたらどうかという調査会の御意見がございました。厚生省でもそういう方向に向かっていろいろな検討は続けておるわけでございますが、わが国の実態から申しますと、ごく一部、京都大学等の機能の中でそういうことが行なわれておるということを私も聞いておりますけれども、いまの段階で、これを大幅に、収容よりも優先して切りかえるというような状況にはない。したがって、実態といたしましては、外来治療を大幅に前面に出すというような施策は講じてない、かように記憶をいたしております。
  77. 古寺宏

    ○古寺委員 現在わが国におきましては、伝染のおそれのない人も全部療養所に収容いたしております。最近におきましては、ハンセン氏病患者の老齢化が進みまして、成人病の方々も非常にふえておりますが、他の医療機関で治療を受ける場合に、これを受け付けないといって拒否されるというような事例がたくさん発生をいたしております。これは厚生省自体がやはりこのらい調査会の答申を受けて、伝染性の危険のないそういう患者さんについては外来診療も受けられる。また、他の医療機関においても、らい以外のいろいろな成人病その他の治療が受けられるような施策というものを講じなければ、ハンセン氏病の方々は一生涯収容所の中で苦しい生活を送っていかなければならないわけです。昨年の八月にこういう答申が出ているにもかかわらず、何ら対策を講じないということは厚生省の怠慢である、こういうふうに私は考えるわけですが、この点については大臣からひとつ御答弁を願いたいと思います。
  78. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 私は、らいの外来診療に対する答申といいますか、建議といいますか、実は申しわけありませんが、私、いま初めて伺いました。実は伝染のおそれのない者は在宅治療というのが新しい行き方であるというようなことも私は聞いておるのでありますが、そういう権威ある審議会からの答申というものを私はいま初めて伺ったのでありますが、よく検討をいたしてみたい、かように思います。伝染性のおそれがないといっても、今日、日本のハンセン氏病がこのように減ってまいりましたのは、いままでの政策の成果であろうか、かように考えます。沖繩におきましては、いわゆる在宅患者が相当多い。したがって、沖繩におきましては、やはり日本に比べますると、いま発生率も何倍と多いわけでありますので、これはよほど慎重にやってまいりたい。ただ、いま古寺委員のおっしゃいますように、本人の身になってみれば、できるだけ在宅で、そうして外来でありたいという気持ちは十分わかるわけでありますが、その点はさらに十分検討をいたしてまいりたい、かように思います。
  79. 古寺宏

    ○古寺委員 沖繩の例をこのらい調査会の意見と対照してお話になるということは非常に残念なことでございまして、沖繩のいわゆるらいに対する対策というものは、わが国とは非常に格差があるわけです。したがいまして、そういうような諸般の事情によって沖繩のハンセン氏病は増加をいたしておりますが、わが国におきましてはほとんど新しい患者さんはふえていないというのが実情でございます。したがいまして、人道的な立場からいっても、人間としての立場からいっても、私は日本国民として、また人類の一員として、平等の立場で取り扱うべき問題である、こういうふうに考えるわけなんですが、そういうこの基本的な考え方について、もう一回大臣から御答弁を願いたいと思います。
  80. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 ただいまの古寺委員のおっしゃる人道的な立場と本人の身になってと、これは私はまことにそのとおりだと思います。したがいまして、先ほど伺いました調査会の内容なり、私自身、ここで自信を持ってそれに沿いましょうということだけの検討をいたしておりませんので、若干時日をかしていただきたい、かように思います。
  81. 古寺宏

    ○古寺委員 四十五年八月六日にらい調査会、いわゆる専門家の集まりがこういうような意見を厚生省に具申しているにもかかわらず、今日まで厚生大臣はごらんになったこともない、いままで考えたこともないということは、基本的な考え方でまず大臣姿勢を改めていただかなければならない大きな問題があると私は思うわけでございます。したがいまして、今後このハンセン氏病対策につきましては、どうかさっそくこのライ調査会の意見書等もごらんになりまして、今後は平等の立場でこのハンセン氏病対策というものを推し進めていっていただきたい、このように御要望を申し上げておきます。  次に、現在のハンセン氏病の療養所における医師の不足というものは実に深刻でございます。平均年齢が五十歳以上に老齢化をいたしまして、医師が非常に不足をいたしておりますが、今後この医師不足の解消について厚生省はどういうような対策をお考えになっているのか、承りたいと思います。
  82. 松尾正雄

    ○松尾政府委員 御指摘のとおり、私どももこのハンセン氏病患者の診療に当たります医師がきわめて少ないということが最も頭の痛い問題でございます。御承知のとおり、こういう問題が現在の医学の関心と申しますか、そういう中から見て、結核よりもさらに小さなウエートで置かれておる、そういう関心の程度というものが一つは基盤となっておるというようにも感じられるわけでございます。またきわめて特殊な分野だということのために、それに従事する専門家というのが少ない、こういうことで私どもも非常に苦労いたしておるわけでございます。  ただいままでいろいろやっていただきました方々の経緯とでも申しますか、そういうものを振り返ってみますと、相当若いときからそういう場面にタッチをするということによって、その生涯をこういう仕事にささげたい、こういう気持を起こされた方がきわめて多いわけです。したがって、具体的に数字的にどうということではございませんが、できるだけ若い学生その他の方々が、こういうところで勉強したい、見学をしたいということについては、ひとつぜひ大幅にそういう者を受け入れて一緒に学ぶ、こういうことも続けていかなければならぬと思います。しかしまた一面、御承知のように立地条件等の問題もございますし、医師全体としての給与改善の問題、あるいはいろんな療養所の中におけるいわば病院機能というものの向上をはかるというようなことも必要であろうかと存じます。  それからさらに、単にそういう専門員の方だけですべてがまかない得るかどうかという点に立てば、先ほど来老齢化というお話もございましたように、いろんな併発症といったようなものも出てきておりますので、他の機関、たとえば国立病院等の方々がそれぞれの分野でこの診療に協力をする、こういうこともあわせて行ないまして、できるだけその診療の内容を充実をする、確保する、かようなことでただいま進めておるような次第でございます。
  83. 古寺宏

    ○古寺委員 実際に他の病院なりあるいは大学等から応援を受ける場合には、十分な医師確保予算というものが必要になってまいるわけですが、この予算が非常に少ないわけです。したがいまして、謝金等も少ないために他の病院からの応援も得られない、また医師の待遇が悪いためになかなか療養所につとめる先生がいらっしゃらない、こういうことを承っているわけでございますが、厚生省としては大蔵省に対して年間、特に来年度でございますが、どのくらい予算要求をしていらっしゃいますか。
  84. 松尾正雄

    ○松尾政府委員 特にこの医師充足対策というようなことを、らい対策費の中の項目として私どもは生かしておるような次第でございまして、来年度ども要求額としては約二千万でございます。
  85. 古寺宏

    ○古寺委員 二千万では、とうてい全国十一カ所の療養所の医師確保予算としては、これは非常に少なくて、当然その目的を達することができないと思うわけです。今後この予算増額をいたしまして、療養所に現在入所されている方々が安心して医療を受けられるような体制というものを一日も早く実現をしていただきたい、こう願うわけでございますが、この点については大臣から御答弁を願いたいと思います。
  86. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 御意見まことにごもっともと存じまするので、私もできるだけ努力をいたしてまいるようにいたしたいと存じます。
  87. 古寺宏

    ○古寺委員 次に、最近は、先ほどから申し上げておりますように、入所している方々が非常に老齢化をいたしまして、不自由者あるいは老人病の患者さんが多くなっております。したがいまして、看護助手を増員しなければ、療養所の運営というものがなかなか思うようにいかないわけでございますが、現在約二千七百名の不自由者が自分たちと同じ入所している方々のめんどうを見ている、こういうような医療体制にあるわけなんでございますが、この不自由者看護職員というものを切りかえをいたしまして、看護助手というものを一日も早く増員しなければならないわけなんですが、この点につきまして来年度厚生省のお考えを承りたいと思います。
  88. 松尾正雄

    ○松尾政府委員 御指摘のように、このらい療養所の中におきまして、患者さんが患者さんのいろいろなめんどうを見るというようなことがございました。しかしながら、次第にその不自由の度合いというものが強くなりますし、また老齢化してくる、かような現象が強くなってまいりましたので、三十五年から二年ごとにいわゆる不自由度の全体調査というものを行ないながら、患者による付き添い看護といったようなものを、職員の手による看護というものに切りかえるような計画を立て、進めてまいりました。現在までに七百三十五人という人間をそのために配置をしてまいっているところでございますが、全体としてただいまの切りかえ対象患者から推算をいたしますと、来年度はさらに約三十名程度のこのための人員が必要である、かような考え方で定員等の措置を要望しておる、こういう状況でございます。
  89. 古寺宏

    ○古寺委員 二千七百名に対して三十名というものはあまりにも少な過ぎる。さらにいままでのいわゆる看護要員の比率とか介助基準というものは、もう洗い直さなければいけないような時期に到達しているわけです。ところが、三十名要求いたしましてかりに三十名通ったとしても、現実にはどうなっているかと申しますと、補導員をふやしましても、内部で調整をとって実際には一人も増員になっていないというのが現実の姿でございます。こういうことでは、いつまでたっても増員はおぼつかないし、さらにまた介助を要する人がどんどんどんどんふえていくわけでございますので、この点については、思い切った措置というものが必要ではないか、こういうように思うのですが、この点についてはどうでしょうか。
  90. 松尾正雄

    ○松尾政府委員 先ほど申しましたように、私どものほうでは不自由度調査というものを二年ごとに実施をいたしまして、それの数字に基づいて客観的に判断をしながら作業を進めるということでございます。多少先生の御指摘の数字と食い違いがあるのかも存じませんが、先ほど申しましたように、そういうことで七百数十名というものの実際の増員というものも行なってきた、それの一環として、先ほど申しましたような要求をいたしておるわけでございます。ただ、これをもって終わりというわけではございませんで、さらに老齢化し、その病状のいろいろな進展というものが全体として考えられるわけでございますので、やはり今後も定時的にきちんと調査をしながら、その不自由度に合わせてすみやかにいくようにしたい、こういうことでございます。  なお、実際上の定員の要求というものが、全般的ないろいろな行政整理というものとの間に御指摘のような差し引きが若干出てくるということは事実でございますけれども行政整理というものは大きな一つ方針でございますので、それはそれとしながら、やはり必要な職種のものについては確保する、こういうことで進めておるわけでございます。
  91. 古寺宏

    ○古寺委員 患者が患者を見なければならない、看護しなければならないという、こういう前近代的な体制というものを今日なお温存しているわけです。こういうことは当然抜本的に改革をしなければならぬ問題だ、こう思うのですが、この点についてひとつ大臣の決意を承りたいと思います。
  92. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 基本的には私は全く同感でございますが、しかしハンセン氏病の療養所の中におられる人の中で、十分働けるという方は一つの働きがいでもあろう、かようにも思いますし、相互扶助という点からもさようでございますが、働ける方は適当な職を中で見つけて、生きがいを持って働いてもらうということも一つの方法ではないだろうか。したがって、一がいに療養所の中に患者としておられる方を介護のために働いていただくということも否定をすることができないのじゃなかろうか、かようにいま考えているわけでございます。
  93. 古寺宏

    ○古寺委員 先日大臣に私が人工じん臓のお話を申し上げたときに、大臣は何回も人工じん臓の施設の視察をなさったというお話を承りました。今後はひとつハンセン氏病の療養所においでになりまして、実態というものをよく把握していただきたいと思います。昔はよく皇族の方々も視察に参ったようでございますが、どうかひとつ大臣が、今度は一度視察においでになりまして、現実の姿というものをごらんになっていただきたいと思うのです。先ほども申し上げましたように、今日入所している方々はほとんど老齢化しております。不自由度が非常にひどくなっております。そういう状態でもっていままでのような考え、患者に患者を見させるというこの考え方は切りかえていかなければならない、こういうふうに思うわけなんです。そこで、どうかひとつ現実に療養所を一ぺん御視察をなさって、そして大臣がお考えになっていることがいかに前近代的なお考えであるかということをひとつ御認識になっていただきたい、こういうふうに御要望を申し上げます。  次には、医療費の問題でございます。この医療費は毎年二五%ずつつかみ金のように一応アップをいたしておりますが、現実にはこの医療費が非常に少ない。先ほどから何べんも申し上げますように、高血圧症であるとか、糖尿病であるとか、あるいはガンであるとか、いろいろな成人病がふえております。しかしこのハンセン氏病の療養所に入所している方々が、薬を飲みたくても治療を受けたくても、思うように医療費の予算がないために十分にいい薬を使えない。実際に療養所に働いている先生方もそういうことをおっしゃっているわけです。そこで患者さんはなけなしのさいふをはたいて自分の金で薬を買わなければならない、こういう問題もたくさん発生しているわけでございますが、この医療費の増額が今後も二五%という線を続けていくのか、実際に入所している方々の医療費を検討して、実際に必要な予算というものを計上していくのか、この点についてお答えを願いたいと思います。
  94. 松尾正雄

    ○松尾政府委員 私どももかつてはらい固有の治療費、こういう形で組まれておりました予算が、ただいま御指摘のように老齢化に伴いますところのいろいろな併発症の増加ということに対応いたしまして、これではいけない。こういう形で、いま御指摘のように四十五年度以降大幅な増額をはかってまいりました。これは当然今後とも私たちとしてはやはりふやすつもりでございます。
  95. 古寺宏

    ○古寺委員 公衆衛生局長がお見えになったようでございますのでお尋ねいたしますが、ハンセン氏病で療養所に入院している方々がいろいろな病気になって他の病院に入院したくとも拒否をされているというような事例がたくさんございます。ところが療養所には専門医がおりません。こういう方々に対して厚生省としては今後どういう措置をなさるのか、こういう方々は放置しておくのか、その点についてお尋ねしたいと思います。
  96. 滝沢正

    ○滝沢政府委員 この問題は、たとえば老人がふえてまいりまして、ガンのような問題も実はあるわけでございますが、実例として多磨全生園の患者を他の医療機関に移して治療するような例もございますが、一般的にはこの問題は実はたいへん基本的な問題でございますので、調査会等でもいろいろ御検討願った結果、らい療養所に専門機関を設備することは、投資の上からいってもまた医療陣を確保する上からいっても非常に困難なことでございますし、また先生御存じのように、らい患者に対する国民一般の、また医学的な立場からの理解、あるいは感染の危険性という問題も昔に比べましてかなり変わってまいりまして、感染のおそれのない患者というものの退所あるいは社会復帰も可能な状態になってきておる現状でございますので、われわれの考え方としては、必要な特殊な治療の場合等についてはできるだけ一般病院を使う、しかしながら現在のらい療養所の施設で可能なものは専門医をらい療養所のほうにおいでを願って、特殊な手術なりそういうようなことは実施する。しかしながらガンの切除のあとの放射線の照射等の特殊な治療につきましては、民間ないしは国立等の設備のある施設を活用し、外来等によっても治療可能のものはいたす、こういうことでございます。したがいまして、ケース・バイ・ケース、それかららい療養所の置かれておる地域の事情によりまして対応していくという考え方でございまして、一律的にこういう形にはめて医療を施す、こういうような考え方でなくやってまいりたい、こういう考え方でございます。
  97. 古寺宏

    ○古寺委員 よくわからないのでございますが、十一カ所に現実に入所している方々が、今後ガンとかあるいは脳溢血であるとか糖尿病であるとかいろいろな病気になります。そういう場合に、その療養所に専門医がいない、謝金が少ないためによそから専門医が来てくださらない、そういう場合に患者さんを放置しておいては困るわけなんです。ところが他の医療機関に行きますというと、拒否をされる、こういうような問題が現実に起きているわけです。それに対して厚生省はどういうふうに、こういう方々を安心して他の医療機関でも治療ができるようにしてあげるお考えを持っていらっしゃるか、その点を承っているわけでございます。
  98. 松尾正雄

    ○松尾政府委員 私どもでは、どうしてもそういう専門家が必要だという場合には、先ほど来申し上げましたように、同じ国立病院なり国立療養所という同士の中でいわば兼任の形をとりながら、そういう特殊な事情についてのごめんどうを見る、こういうことを第一番目の方針にいたしております。それからまた現実に、ただいま公衆衛生局長からお話しのように、特殊な装置等を使ってやらなければいかぬということであれば、これはやはり国立の機関等なりが率先いたしましてお引き受けをする、こういう形で大部分はいままでやってきておるわけでございますので、私どもはいまの状態からいえば、民間について云々という問題もあろうかと存じますけれども、やはりとりあえずは国立の機関が相互に提携をしながら、そういう方々の診療に万全を期していく、こういうことが一番最適の方法であろうと存じますし、また今後も一そうそういう方向について、かりにもいま御指摘のような誤解を受けるようなことがないような配慮をいたしたいと思います。
  99. 古寺宏

    ○古寺委員 そこで、この十一カ所の中には眼科の専門医であるとかあるいは外科の専門医であるとかいらっしゃるところがございます。そういうような十一カ所の療養所の中にまず総合的な機能を持った専門的な療養所を二カ所なり三カ所つくりまして、そういうところに必要な患者さんを入所させるという方法もあるわけなんです。こういうことも現実にはまだ行なわれていないわけです。こういう点についてはどうでしょうか。
  100. 松尾正雄

    ○松尾政府委員 おっしゃるような線で私たちも実現をはかるべきではないかということで、いろいろと関係施設の方々とも検討を続けておる、こういう段階でございます。
  101. 古寺宏

    ○古寺委員 次は、基本待遇の給与金の問題でございますが、らい調査会から厚生省に出された意見書によりますと、入所者全員の生活待遇を国民年金の障害年金一級に準じた金額にすべきであるということを申しているわけでございます。ところが現在は国民年金の障害年金二級の給与金が支給をされているような状態でございますが、この点について今後らい調査会の答申のように給与金を引き上げる、こういうようなお考え厚生省は現在お持ちでしょうか。
  102. 松尾正雄

    ○松尾政府委員 私どもは基本的にもその線で進めておるわけでございまして、調査会の中でいろいろ議論されました。議論の中の大きな一つの精神は、従来ございましたいろいろな複雑な給与金の制度といったようなものを整理いたしまして、いわば全体について一律というような考え、これはやはり一つ調査会の基本精神であったと私は理解をいたしております。そういう意味におきまして、従来いろいろ改善をはかりました方式を四十五年度からは一律にする。要するにこの場合は一段階として二級の線をとったわけでございますが、当然これは私どもとしては次のステップとして一級並みにそろえる、こういうつもりで、いま要求等もいたしておるような次第でございます。
  103. 古寺宏

    ○古寺委員 厚生大臣は来年度から一級にするというようなお考えをお持ちでしょうか。
  104. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 その要求をいたしておりますので、ぜひ実現をいたしたいと存じております。  なお、ハンセン氏病の療養所を、私は二年前に多磨療養所をつぶさに視察をいたしました。そして重患者にも接したのでございますが、その後二年の経過もたっておりますので、近くまたもう一度最近の状態を視察いたしたい、かように思って、おります。その結果、ただいまおっしゃいました事柄なども十分胸にたたみまして視察をさらにいたしたい、かように思っております。
  105. 古寺宏

    ○古寺委員 大臣がごらんになれば、二年前とこの療養所はほとんど変わっていない、こういうことが特に目につくのではないかと思います。全国の療養所はほとんど明治時代施設の中に患者さんが入っているわけです。こういうふうに老朽化をしまして非常に危険性が高いわけでございますが、今後この施設整備費につきましては思い切った予算の計上をしませんというと、火災や災害の際にいろいろな問題も発生してくるわけでございますが、この施設整備費について来年度はどういうふうなお考えのもとに予算要求するのか承りたいと思います。
  106. 松尾正雄

    ○松尾政府委員 特に先ほど来いろいろなお話がございましたように、患者さんの中の老齢化あるいは不自由度の進展等、こういう問題が一段と強くなっておりますので、いわば不自由者棟でございますとか重症病棟といったものから重点的に整備をしたい、そういう方向のもとに予算を計上する、こういう方針でございます。
  107. 古寺宏

    ○古寺委員 一つ施設に二千万円くらいの整備費では、これはもう焼け石に水でございます。現在多磨の療養所においては廊下から患者さんがころがり落ちる訓練をやっている。これは火災の場合にどうしようもないので、そういうような人命の保障もできないような訓練をやっているわけです。  また青森の松丘保養園の場合は、いまもう雪が降っております。ところがこの除雪車ですが、八トンの中古のブルドーザーを買ったわけです。毎年故障を起こして動けない。一年間に二十万円も修理費がかかります。しかも八トンのブルドーザーであるために思うように必要な道路の除雪ができない。そのためにからだの不自由な患者さんが三時、四時に起きて、凍えながら、ふるえながら足で雪を踏みつけて道路をつくる、こういうことをやっているわけなんです。  あるいは、先ほどらい調査会のほうからの外来診療の問題ともからんでお話し申し上げましたが、現在岡山県の愛生園あるいは光明園ですか、この施設と本土には橋がないわけです。あたかも本土にいる人と療養所にいる人を差別するかのごとくに橋をかけてくれない。こういうことが、私はまず一番大事な問題ではないか、こう思うわけなんです。この橋の問題につきましては、岡山県出身の同僚の山田議員のところに再三現地の患者さん方からいままで陳情もあったそうです。これは厚生省にも当然陳情がいっていると私は思います。しかし、一向にこれが実現しない。こういうような身近な問題も解決できないようでは、私はいつまでたってもこのハンセン氏病の療養所の整備というものはできないと思うわけなんですが、こういう施設につきまして、大臣から今後これをおやりになるお考えがあるかどうか承りたいと思います。
  108. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 あなたがおっしゃいますように、身近なこまかい点に多々あるだろうと思います。先ほども申しましたように、先般多磨の全生園を視察をいたしましたときにも、そういう感を深くいたしました。気のついたところは指示もいたしたりしておるわけでありますが、伺いますと、いま伺いました二点だけでもごもっともだと思います。たいした経費もかけなくともできる問題もありまするので、できるだけ私自身も視察を重ねまして、そしてまたそういう声をできるだけ伺って、気持ちのいい生活を内部でやっていただけるようにいたしたい、かように思います。
  109. 古寺宏

    ○古寺委員 次に、老齢化いたしまして、盲人の療養者が非常にふえているわけでございます。特に東北、北海道の入所者の中には盲人が非常に多いわけなんです。東北、北海道の場合は二〇%、九州の場合には一〇%、沖繩の場合は三%という比率になっておりますが、こういう盲人に対する盲導鈴あるいはガードレールと同時に道路の舗装の問題でございますが、どの療養所へ行きましても、雨が降るとすべってころぶような道路が多いわけです。こういう目の見えない方々に対しては今後十分な施設をつくってあげて、そしてこういう危険のないようにしていかなければならないし、さらに盲人の方々がくつをはく際に手が麻痺しているために、自分の舌でくつをさがしてはかなければいけないというのが実情でございます。そういう方々には当然看護してあげる人がいなければ被服もよごれます、また非常に危険でございます。こういういわゆる盲人の方々に対するいろんな施設、また看護人の増員の問題、さらにいろいろなそういう被服のよごれ、あるいは看護をしてくださる方々にお礼をするお金等もかかりますので、こういう方々に対する手当等も含めて、今後盲人の方々の対策というものも急がなければならない、こう思うわけでありますが、この点については厚生省はどのようにお考えでしょうか。
  110. 松尾正雄

    ○松尾政府委員 確かに盲人の方々のためのいろいろな施策というのはもっと徹底しなければならぬと存じますが、ただいま御指摘のような盲導鈴と申しますか、鈴が鳴っておりまして、それに従って道を歩いていけばいい、こういうような設備もさらに充実をするように来年考えております。  またそのほか盲人の方々のいろんな意味での教養と申しますか、そういったものに必要なテープレコーダーでございますとか、あるいはトランジスターラジオでございますとか、あるいは点字の図書でございますとか、こういったような盲人特有の器材あるいはそういう資材というようなものにつきましてもできるだけ充実をしたい、こういう方向予算の概算も積算をしているつもりでございます。
  111. 古寺宏

    ○古寺委員 先ほどから何べんも申し上げますように老齢化が非常に進んでおりますが、こういう老齢化に伴う老人福祉対策というものが非常に大事になってくるわけでございますが、老人クラブの予算であるとか老人問題のケースワーカーを配置するとか、そういうことがこれから非常に必要ではないかと思うわけです。非常に孤独になりまして、相談員がいないためにさびしい毎日を送っている、そういうお年寄りが非常に多いわけでありますが、こういう老人福祉対策というものについて厚生省は来年度どういうふうな対策をお考えになっているのかお伺いしたいと思います。
  112. 松尾正雄

    ○松尾政府委員 先ほど来老齢化の問題はしばしば出ておりますが、現在平均五十二歳というような状況でございます。しかしそういう老人の方々がやはり生きがいと申しますか、できるだけ快適に生活をしていくということのための一つとして、いわば療養所内において老人クラブをつくっていく、こういうための費用もぜひ私どもは計上してもらいたい、こういうことで要望いたしております。  さらにケースワーカー等のお話もございました。私どもはそういう専門のそれぞれの職種を置くということも当然でございますけれども、らいの療養所の職員全体というものは、日常患者さんとの間に相談に乗ってあげるということが本来の一つの大きな任務でもございますので、さらに今後老齢化する過程において従来以上にそういう老人特有の心理というものも理解して接触しますような指導も続けたい、かように存じます。
  113. 小沢辰男

    ○小沢(辰)委員長代理 古寺君に申し上げますが、自治政務次官が来ましたので、そろそろひとつ問題を変えていただきたいと思います。
  114. 古寺宏

    ○古寺委員 次は退所をなさる場合、退所支度金あるいは就労助成金というようなものが支給されておりますが、沖繩に比較をいたしまして本土のほうが非常に少ない。これが沖繩が本土並みになった場合には沖繩の人はたいへんなことになると思うわけです。これくらい日本社会復帰をする、あるいは就労したい方々のために、いままでは十分なめんどうを見ておられなかったわけですが、今後この退所支度金あるいは就労助成金については沖繩並みを考えるのか、沖繩以上のことをしてあげるようにするのか、ひとつ承りたいと思います。
  115. 滝沢正

    ○滝沢政府委員 沖繩のハンセン氏病予防法、これは本土に復帰しますと、らい予防法の適用になりますが、基本的には、沖繩の場合はWHOの国際的な方針に基づきまして収容もいたしますけれども、外来治療の可能なものは外来治療をする。したがって退所という一文がハンセン氏病予防法の中にはございまして、確かに就労助成あるいは退所患者の支度給与金というような問題については、性格的には沖繩のほうが従来強い線があるということは承知いたしております。本土の場合におきましても、就労助成金については三十九年から四十四年ごろまでは金額的にもそう変化なしでまいりましたけれども、四十五年から生業資金については五万円、技術習得資金については三万円というふうに引き上げたのでございますが、お尋ねの沖繩との関連は、沖繩のほうが現状では高い状態でございますので、少なくとも沖繩の場合はこれを保証すると同時に本土の場合も沖繩に近い線で実現をはかりたい、こういうふうなことで考えております。   〔小沢(辰)委員長代理退席、伊藤委員長代理着席〕
  116. 古寺宏

    ○古寺委員 いま局長さんから本土並みではなくて沖繩並みにする、こういう御答弁があったわけでございますが、厚生大臣からひとつ沖繩並みではなしに、先進国として十分にこのハンセン氏病の予算をふやして、今後ハンセン氏病の患者さんが安心して社会復帰ができるような予算というものを計上していただきたい、要求していただきたい、こう心から願うものでございますが、その点につきまして大臣から御答弁を願いたいと思います。
  117. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 十分に遺憾なきを期してまいりたい、かように考えます。
  118. 古寺宏

    ○古寺委員 次に、自治体病院が最近非常に赤字財政で苦しんでいるわけでございますが、先日この問題につきまして斎藤厚生大臣にお尋ねをいたしましたところが、医療費の改定によってこの赤字が解消できるというような御答弁がございました。しかしながら現実にはまだ医療費の改定は行なわれておりません。そこで厚生大臣の見通しといたしましては、大体いつごろまでにこの医療費の改定ができる予定であるかという点についてお答えを願いたいと思います。
  119. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 先ほど小林委員に申し上げましたように、私といたしましては、できるだけ、一日も早くということを期待をいたしておるわけであります。当初は十二月一日実施ができるであろう、かように期待をいたしておりましたが、御承知のような状況でこれが遅延をいたしております。しからば少なくとも一月一日実施のできるようにということを私は期待をいたし、また中央医療協議会の会長もそういうつもりをもって努力をしていただいておる、かように承知をいたしております。
  120. 古寺宏

    ○古寺委員 そこで、これは最初に自治省にお尋ねしたいと思うのですが、自治体病院の赤字は大体どのくらいになっておりますか。
  121. 小山省二

    ○小山政府委員 単年度におきまして、大体百四十億程度の赤字が出ておる次第でございます。
  122. 古寺宏

    ○古寺委員 累積赤字は大体どのくらいでございましょうか。
  123. 小山省二

    ○小山政府委員 今日までの累積赤字は、大体三百六十一億七千八百万程度でございます。
  124. 古寺宏

    ○古寺委員 これは相当他の会計、一般会計からの繰り入れを見てのいわゆる累積赤字であるというふうに思うわけでございますが、こういうような一般会計の繰り入れによりまして、地方自治体の財政というものは非常にきびしい立場になっているわけでございますが、斎藤厚生大臣は、今後大体どのくらいの医療費のアップをするならば、この赤字が解消できるとお考えでしょうか。
  125. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 ちょっとその点は、非常にただいま微妙な関係にありますので、また私は自治体病院だけを取り上げて、何%アップをすれば解消するかという点は、正確にはつかんでおりません。お答えにならないことを非常に残念に存じます。
  126. 古寺宏

    ○古寺委員 そういう自治体病院というものの認識、自治体病院の使命というものは、非常に公共の福祉、地域住民の医療確保するという上からいって、これは絶対に必要な医療センターでございます。その自治体病院の、いわゆる経営を維持していくような医療費というものを厚生大臣がお考えにならなければ、自治体病院というものが次々に閉鎖をし、あるいは診療所に切りかえ、その経営が思うようにできない、地域医療が十分に行なえない、こういう結果になるわけなのですが、こういう点については厚生大臣はどういうふうに御心配になっているのか、もう一度お尋ねしたいと思います。
  127. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 私は、私立の病院がやっていけるという体制のもとにおいて、自治体病院はやっていけないはずがないという基本的な考え方に立って、考えているわけでございます。
  128. 古寺宏

    ○古寺委員 そこで大臣にお尋ねをしたいのですが、青森県の例で申し上げますと、自治体病院の医師の充足率というものが、医療法の規定でいけば、四七%でございます。なぜこういうふうに自治体病院の医師が不足をするのか、その点についてまず承りたいと思います。
  129. 松尾正雄

    ○松尾政府委員 自治体病院だけにきわめてひどい不足というものがあるかどうかというような点は、多少問題があるかと思いますが、普通一般に自治体の方々からは、やはり、医者が非常に不足である、こういう点を非常に強く訴えられております。それの理由といたしましては、いろいろな点が重なっておると存じます。  一つは、御承知のように公務員ベースというものによります給与体系、処遇というものが、一般に民間に比較いたしまして低い、こういう点もありましょうし、また病院の性質と申しますか、規模、こういったようなものが必ずしも大きなものでもないし、またその設備等がそれに対応して十分持ち得るような規模でもない、こういったような点から、いわば一種の魅力のない機能であるという点も若干あろうかと思います。またさらに、多くの自治体病院でございますので、その配置の上から見ますればきわめて不便なところもある、こういう立地条件からくる問題、こういうようなものがすべて重なってかなり低い充足率になっておる、かように私は見ております。
  130. 古寺宏

    ○古寺委員 こういう過疎地域あるいは無医地区等をかかえている自治体病院の医師の確保対策というものを、どういうふうにお考えでしょうか。
  131. 松尾正雄

    ○松尾政府委員 ただいま申し上げましたようないろいろな原因が考えられると存じます。したがいまして、それらについてそれぞれ手を打っていくということがやはり基本的に大事であろう。第一点の処遇の問題でございますが、これは公務員の医者が給与一般に低い、こういわれておりますが、特にそれが標準になりますのが国家公務員たる医療職、医師の給与でございます。したがって、それを中心にして大幅に引き上げる。これを特に厚生省といたしましては、毎年人事院に対しまして大臣みずから足を運ばれるというようなことで、特に力点を置いて改善をやっていただいております。この点につきましては人事院におきましても、いろいろな例の給与調査の結果から見ても、いろいろな数字が出ておりますが、そういった格差をできるだけ早く解消するということで、一般平均に比べればかなり高い改善率ということで、勧告を出していただいておるわけであります。そういったようなことが当然自治体の医者の処遇ということにもはね返る、こういうことを私どもは期待いたしまして、単に国立の機関の処遇改善をはかるという意味だけではなくて、さような波及効果ということも十分考慮した上で、国立の病院の処遇改善をはかるということも十分つとめておるわけでございます。  それから第二の点といたしましては、やはり病院の設備なり機能なり、こういったものを整備をしていくということが、何としても医者の確保の上の要件としては必要であろうと思います。こういったものについて、特にただいま御指摘のような僻地関係というようなものを担当するような親元になりますところ、こういったところについては、やはり重点的にいろいろな整備をはかってまいらなければならぬ、かように存じておるわけでございます。
  132. 古寺宏

    ○古寺委員 そこで医師の確保につきましては、社会保障制度審議会の答申が出ております。いままでは医師の確保の問題を市町村自治体にまかせっきりでやってまいったわけでございますが、この答申によりますというと、当然国や都道府県も責任を持ってこれはやらなければならない問題であり、そういうような法的な責任の明確化ということが必要であるということを打ち出しております。この点につきまして、厚生大臣並びに小山政務次官の御見解を承りたいと思う。
  133. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 医師の確保につきましては、全体として非常に不足をいたしているわけでございます。したがいまして、まず国がその責任をもって医師の確保をはかることが肝要だ、かように考えております。したがって、いわゆる医師の養成機関である医科大学、大学の医学部、これを国立のものもふやしてもらいたいというので、文部省とも話を進めまして、五カ年以内にはアメリカ並みの十万単位の百六十名程度の医師の確保がはかられるであろう。その計画の実施に努力をいたしているわけでございます。また自治体、府県等におかれましても、たいへん心配をされて、そして御承知の自治体の医者を養成する大学という構想も緒につきかけているわけでございます。これらの点はさらに医療基本法確保をしてまいりたい、かように考えております。
  134. 小山省二

    ○小山政府委員 医師の不足につきましては、自治体病院経営者にとって最大の悩みとなっておるところでございます。このために都道府県におきましては、学校卒業後一定期間公立病院に勤務をするというようなことを条件に、就学費を貸与しておりますとか、あるいは現に大学病院等で修練中の医師に対しては研究費を貸与する。また公立病院勤務中の医師に対しましても同様な措置を講じまして、できるだけ医師の確保をはかっておるわけでございますが、さらに将来の対策といたしまして、都道府県を設立者とする学校法人による医科大学を設置いたし、一定の条件のもとに、この卒業生が一定期間そうした自治体病院に勤務するというようなことによりまして、医師の確保をはかっておるというのが現状でございます。
  135. 古寺宏

    ○古寺委員 いま自治体病院のほうのお話を承ったのですが、僻地であるとか、無医地区、離島、こういうものに対しての医師確保については、厚生省はどういうふうにお考えでしょうか。
  136. 松尾正雄

    ○松尾政府委員 一番むずかしい問題でございますが、私どもはそういう僻地関係に行かれるお医者さんに、できるだけ誘導ができますような措置を考えてみたいということで、いわゆる僻地振興会というような、仮の名前でございますが、そういったようなものを、ひとつつくってみたいと考えております。これはただいま自治省政務次官からのお答えのように、各都道府県がおやりのような、学生のときに就学金を出すということではなくて、と申しますのは、学生時代に自分がどういうふうな方向に進むかということもなかなかはっきりしてない段階でございますから、むしろそういう実態から見れば、卒業した直後にそういう僻地に行くという方々がいろいろなところで研究しておる、そういう段階で研究費と申しますか、そういうものをひとつ貸与する。こういうことによって、勉強しておいて、それが完成した時に行くということを実現してみたい。それからさらに、そういったような僻地に行かれる方々の医師の心情というものは、これはもう先生御承知のとおり、親元になります大学なり、あるいは中心になります病院といったようなものから、また、たこのひもが切れたような形で派遣されてしまうということであれば、そこに非常に不安を持ってくる。したがいまして、やはり親元のほうからは時に応じて十分な指導もすべきでございますし、また戻ってきていろいろ勉強もする、そういったようなことをやはり進めなければ、ただ行ってこいというだけでは実態としては成り立たないのではないか。そういったことの事業についても、少しその会から助成をしたらどうだろうか。また将来の問題といたしましては、そういうところにおられる方々の子弟が、いろいろと教育上にも不便を感ずるといったようなときに、いわば学生寮みたいなものを将来考えていくことも、これは一つでございましょうし、また一定年数おつとめになった方に、一定の功労金みたいな形でその労をねぎらうとか、あるいは海外等への留学をはかる、こういったような種類を組み合わせて行なえるような一つの会をつくったらどうかということで、いまいろいろと検討を進めておるところでございます。
  137. 古寺宏

    ○古寺委員 そうしますと、無医村とか僻地に対するいまの御構想を承ったのですが、予算が非常に少ないようでございますが、これは厚生省のどこが一体担当してこれをおやりになるわけでございますか。
  138. 松尾正雄

    ○松尾政府委員 僻地の医療対策は、厚生省の中では医務局でございます。
  139. 古寺宏

    ○古寺委員 次に、自治省にお尋ねをしたいのでございますが、広域行政圏というのは、これはどういうようなものでございましょうか。
  140. 神崎治一郎

    ○神崎説明員 先生すでに御案内のとおりでございますが、今日の生活環境の広がりというものが非常に進んでおりますし、一方モータリゼーションの発達もはなはだしいものがあるわけでございまして、そういうことから日常生活圏域が拡大いたしておりますので、その日常生活圏域に即応するような行政体制あり方というものを進めてまいりたい、こういう趣旨からそういうものができておるわけでございます。したがって、今後そういうような考え方に即応した形において、たとえば病院事業の経営等についてもこれを考えてまいらなければならないのではなかろうか、かように考えております。
  141. 古寺宏

    ○古寺委員 いまお話がございましたが、広域行政圏域における、いわゆる医療というものについては、具体的にはどういう構想をお持ちなんでございましょうか。
  142. 神崎治一郎

    ○神崎説明員 ただいま検討いたしておるわけでございますが、先刻来御指摘もありますような、医師確保との関連におきましても、都道府県の、あるいは市町村立の公立病院について見ました場合、非常に大規模な病院もございますし、あるいは百床未満の小規模な病院もあるわけでございます。したがって、これらの大規模な病院なりあるいは小規模な病院等を通じまして、私どもいま考えておりますのは、都道府県の公立病院の中心となるような病院、親元病院にしてまいりたい。そうして各地域におきます病院を中核的な病院とし、そうして一線病院とが相互に機能的な連携を保ちながら、地域医療確保ができるようにならないものであろうか、こういう面からの検討を進めておるというような状況にございます。
  143. 古寺宏

    ○古寺委員 こういう自治省あるいは厚生省の構想に基づきまして、いわゆる広域医療圏構想というものを現実に青森県の下北に、下北医療センターというものができました。ところが制度もまだはっきりしない、補助金もない、あるいは起債も認められない。ですから、ちょうど産みっぱなしで全然あとのめんどうを見てくれない、こういうような状況に現在なっているわけなんですが、これに対しては今後制度化をするなり、また補助金や起債等も認めていくお考えが自治省におありなのかどうか。また厚生省においても、どういうふうにお考えになっているのか、承りたいと思います。
  144. 神崎治一郎

    ○神崎説明員 下北の医療センター構想について、病院施設整備というものが当該地域で、県で十分検討を進めておられます場合におきましては、われわれとしてもそういうような観点に立ちまして、病院施設についての企業債についての配慮なり検討を加えてまいりたい、かように考えております。
  145. 松尾正雄

    ○松尾政府委員 そういう下北等の例、具体的に私も存じませんけれども、おそらくああいう立地条件から見ますれば、その中心になります医療機関というものが、先ほど来出ておりますような僻地等の親元病院になる、こういうふうに考えてよかろうと存じますが、そういう場合につきましては、それぞれ親元の整備ということについて、われわれのほうからもそれぞれの機械その他について助成をするような道を講じてまいれるわけでございます。
  146. 古寺宏

    ○古寺委員 いかにいろいろな構想がございましても、予算的な裏づけがなければ、親元病院、中核病院というものはしっかりしないわけなんです。中核病院がしっかりしませんというと、いかにヘリコプターやあるいは患者輸送車等を用意いたしましても、無医地区や僻地の医療というものは解消できないわけでございます。こういう点について今後はひとつ制度化を進めて、補助金なりあるいは起債というものも十分に考えた上で、こういう広域医療圏構想というものを今後推進をしていっていただきたい、こういうふうにお願いをするわけでございますが、厚生大臣からも一言この問題についてお答えをしていただきたいと思います。
  147. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 ただいま広域医療圏のお話が出ましたが、これはただ病院の経営だけでなしに、医療、保健、衛生、全般にわたって広域的な考え方が必要であろう、かように考えます。したがいまして、そういったものを制度化する方向で検討をいたしたい、かように考えておりますので、御了承いただきたいと思います。
  148. 古寺宏

    ○古寺委員 次に、医学部を卒業した方々の研修医制度の問題でございますが、この研修医の病院の指定というものが非常に限られております。したがいまして、青森県の例で申し上げますというと、弘前大学の医学部を卒業する方がかりに百人いらっしたとしても、地元の研修病院に残れる者は十人しかおりません。あとの方々は他の病院に行って研修をしなければならぬわけでございますが、今後この研修病院というものをふやしていく考えがあるのかどうか、承りたいと思います。
  149. 松尾正雄

    ○松尾政府委員 研修病院につきましては、過去の例から見れば、ちょうどインターン時代の歴史がございまして、その当時のいろいろな病院の指定そのものの基準と申しますか、内容が必ずしも高くないではないかといったような不満が一つございましたことは、御存じのとおりだと存じます。したがいまして、新しく発足しました研修病院の指定にあたりましては、研修審議会が設けられておりますけれども、そこでは過去のそういうような例を踏まえまして、やはりできるだけ整備された、きびしい条件のもとに整備をすべきだ。そしてまた、そういう目標に向かって他の病院もレベルアップしてくるように指導すべきだということが一つの基本方針になりまして、個々の病院の個々の医者についても、その経歴あるいは学会等の業績というものもチェックするというような、かなりきびしい形で選定をしていただいておるわけでございます。したがいまして、御指摘のように、そういう意味から、日本の病院全体を一つの教育的な機能という面から見ますと、かなりのものがやはりどこかに欠陥を持っておるということで落とされていく。こういう結果が、御指摘のようにかなり少ない数に落ちついてしまったわけでございます。しかしながら、研修問題は次第に定着をしてまいりました。ただいま私が申し上げましたような一つの条件というものは、一つの病院についてあらゆる角度から見て、いわば百点満点をとらなければいけませんというような基準でございますけれども日本の実態から見て、たとえば眼科とか泌尿器科というようなところに、すべての病院にその指導力のある人を求めるということは、非常に不可能に近い問題でございます。一般大学が協力しろといっても、大学自身がそれだけの病院に人を出せば自分の教室がからになるというような実態も端的にございまして、ここいらが、いわば病院の数をふやすについての具体的な隘路であろうというふうに私は考えております。したがって、先般行ないました研修審議会におきましても、従来の考え方をさらに少し拡大をいたしまして、中心になるようなそういう病院の性格というものは変えないといたしましても、個々の研修病院と相互に提携しながら、たとえば結核という問題を取り上げました場合に、結核患者の診療というものは、一般病院の中では十分にできないことはもう御承知のとおりでございます。そういった場合に、適切な療養所というものが研修病院とタイアップをいたしまして、その部分は引き受ける。あるいはこういう部分については非常にすぐれた病院があるというならば、そういう部分的なものを取り上げながら、一つのグループとして研修機能が果たせるような指定のしかたなり、ものの考え方はできないであろうか、こういうような考え方がいま出てまいりまして、ただいまそれを具体的に当てはめたらどうなるかということを、現実にいろいろ現地の状況を置きながら、その具体的な条件の整備を検討してみたい、こういうふうにいたしておりますので、そういうものが出てまいりますれば、御指摘のような線をさらに広げることは、私は可能だと存じます。また基本的には、そういう研修機能を持った病院が多くなるようにふやしていくということは、これはもう当然必要不可欠の問題でございますので、そういう方向に病院の指導もいたしたい、かように存じております。
  150. 古寺宏

    ○古寺委員 いかに医学部をつくって医師を養成しましても、研修病院が少ないために、ほとんど大都市の研修病院に行ってしまう。地元に定着しない。こういう問題が非常に深刻な問題になっているわけです。ところが、この研修病院をつくるために、地元の地方自治体が負担をして研修病院の指定を受けるような整備をするとなりますと、これは多額の金がかかるわけなんです。これについては相当の財政的な裏づけがなければ、今後研修病院をふやしていくということは、これは不可能に近いわけでございますが、この起債のワクは一体どのくらいになっているか、ひとつお伺いしたいと思います。
  151. 小山省二

    ○小山政府委員 本年度におきます地方債計画によりますと、当初三百億でございましたが、三十億追加をいたしまして、現在三百三十億でございます。もうすでに大部分は配分を決定いたしておるというような実情でございます。
  152. 古寺宏

    ○古寺委員 これは研修病院の施設整備するための起債でございますか。
  153. 神崎治一郎

    ○神崎説明員 じゃ補足して説明さしていただきますが、自治体病院全体の病院事業債として認めておるものでございます。
  154. 古寺宏

    ○古寺委員 私がお尋ねしているのは、自治体病院全体の起債のワをお尋ねしているのではなくて、いわゆる研修病院としての指定を受けるために、その整備のために必要な起債のワクをお尋ねしているわけです。
  155. 神崎治一郎

    ○神崎説明員 本年度から先ほど申しました起債のワクの中で、将来都道府県の中心となるような病院につきまして、医療機能を充実、整備させようという趣旨で、先生御指摘のような考え方に立ちまして、十億円というものを今年度特に設けまして、引き続きそのワクの拡大をはかってまいりたい、かように考えております。
  156. 古寺宏

    ○古寺委員 次に、研修医に対しまして年間四十四万円の助成が出ておりますね。これはどこから出ているんでしょうか。
  157. 松尾正雄

    ○松尾政府委員 研修制度についての予算は二通りございまして、国立大学の付属病院、ここにおけるいろいろな費用は文部省で計上いたしております。それからその他の国立大学以外の大学並びに公私の研修病院、この関係についてのただいま御指摘の予算厚生省でございます。
  158. 古寺宏

    ○古寺委員 いま大臣もお聞きになってわかると思う。十億の起債ではたして何カ所の研修医のための指定病院がつくれるか。一つの病院をつくっても間に合わない。さらにまた四十四万円の助成に対して実際に各病院では百万以上のお金がかかる。それがみな地方財政の負担になっているわけです。こういうような根本的な問題をまず厚生省考えないうちは、いつまでたったって地方あるいは僻地や無医地区の解消というものはできないわけです。特に弱小な自治体病院の医師の確保というのは、不可能に近い。まずこういう根本的な問題から、厚生省というものが積極的に医師の確保という問題と取り組んでいかなければならない。それがこういうような実態です。今後こういう研修医制度をさらに地方に定着させる意味においても、地方の研修医指定病院というものを強力に施設整備してふやしていく。また研修医に対する地方自治体の負担というものを十分に国がめんどうを見てあげる、こういう体制をとらなければならないと思いますが、これについて厚生大臣並びに小山政務次官から御答弁を願いたいと思います。
  159. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 地方自治体病院の強化、それが同時に地方の医療行政の強化につながるわけでございます。御指摘の点は、一々ごもっともに存じます。私のほうも今後その点にもっと重点を置きまして、自治省と相談をしながら、御意見にかなうようにいたしてまいりたいと、かように思います。
  160. 小山省二

    ○小山政府委員 研修病院の整備につきましては、先ほど申し上げましたように一般の病院債のほうから三百二十億、特にその上に、そうした病院については十億ほど上乗せをいたしまして、所要の整備をはかっておるという現状でございますが、なお一定額につきましては、一般会計から病院会計のほうに繰り入れをいたすような措置も講じておりますので、今後計画的に研修病院の整備をはかっていく、かような考え方でございます。
  161. 古寺宏

    ○古寺委員 次に、自治省としての自治体病院の赤字解消対策をひとつ承りたいと思います。
  162. 神崎治一郎

    ○神崎説明員 自治体病院につきましては、先生御案内のとおり地方公営企業法に基づいて経営をいたしておるところでございますが、自治体病院の性格から考えまして、やはり一般行政目的に即応した事務、たとえば看護婦養成事業でありますとか、あるいはまた、採算を度外視してでも公共的な必要性に基づきまして病院を経営しなければならない。たとえて申し上げますと、非常に僻地等において、民間医療機関での診療というものが期待できないような地域に病院なりを経営しなければならない、こういうようなことがあるわけでございます。したがいまして、一般的には診療収入等によります経営に伴う収入によってこれを経営してまいるわけでございますが、先ほど申し上げましたような点につきましては、一般会計から特別会計、いわゆる病院事業会計への繰り出しというような措置を講ずることといたしておるわけでございまして、先ほどお話のありました企業債の元利償還金でありますとか、あるいは不採算地域の病院についての助成でありますとか、あるいは巡回診療等に要する経費でありますとか、その他ございますが、それらを含めまして、本年度二百八十九億円というものを地方財政計画上に計上いたしておるわけでございます。
  163. 古寺宏

    ○古寺委員 先ほど三百三十億というような地方債のワクを政務次官がお話しになったのですが、これはやはり公共性を持った公共のための福祉医療施設でございますので、このワクを大幅に広げて、そして利率を引き下げるとか、あるいは償還の期限を延ばすとか、そういうような対策考えてあげなければこの自治体病院の赤字というものは解消できないのじゃないか、こういうふうに思いますが、どうでございましょうか。
  164. 神崎治一郎

    ○神崎説明員 最近の医療需要に伴いまして、また医療機能の充実向上を期する必要がありますので、病院事業債につきましては、引き続き起債ワクの拡大についての努力をしてまいりたいと考えておりますし、また償還年限の延長等、いわゆる貸し付け条件の改善につきましても、一段と努力をしてまいりたい、かように考えておるところであります。
  165. 古寺宏

    ○古寺委員 大体どのくらいの金額をお考えでしょう。
  166. 神崎治一郎

    ○神崎説明員 四十七年度の病院事業債につきましては、今日、三百八十億円ということで地方債計画上の要求をいたしております。  その他、償還期限の延長につきましては、現在特別地方債ということで、厚生年金なり国民年金、これが原資になっておるわけでございますが、これが償還期限についても、二十五年でございますけれども、でき得れば三十五年程度までこれを引き延ばすことができないかというようなことで、今日要求をいたしておる段階でございます。
  167. 古寺宏

    ○古寺委員 この厚生年金あるいは国民年金の還元融資の問題については、地方からもっとワクを広げてもらいたいという要望が非常に強いわけでございますが、この点につきまして大蔵省の御答弁を願いたいと思います。
  168. 宮下鐵巳

    ○宮下説明員 従来から国民年金、厚生年金の原資からなります還元融資につきましては、年々非常に多額に伸びておりまして、全体の財政投融資ワクの増加以上の増加趨勢を示しております。いま話題になっております病院の問題につきましても、四十五年度におきましては二百五十億のワクでございますが、四十六年につきましては、それに対しまして二〇%の増加の三百億、それに追加を加えまして、追加が三十億ございますので、それを加えますと、三二%の増加となっております。医療行政が非常に重大な問題になってきており、また地方自治体の病院の整備につきましても十分配慮いたさなくちゃならないということで、いま要求が出ております来年度の起債ワク等についても、その点を十分考慮いたしまして、十分な手当てができるように資金確保をいたしたい、こういうふうに考えております。
  169. 古寺宏

    ○古寺委員 社会保険審議会の厚生年金保険部会で、四十五年の八月に、意見書ですか、出ておりますが、この中で、ワクを少なくとも三分の一に拡大しなさいということをおっしゃっておりますね。この点について、大蔵省はどういうふうにお考えですか。
  170. 宮下鐵巳

    ○宮下説明員 私自身、地方資金課長でございますので、この原資のワクの問題につきましては、本来資金課のほうの所管でございますので、そのまま私の責任で御答弁いたすことはできないわけでございますが、財投原資そのものは、郵便貯金等を合わせまして、この国民年金、厚生年金、これらを含めて政府の資金といたしまして統一的に効率的に運用する。そのほうが全体の財政政策の運営というふうな意味でいいんじゃないかというようなことで、原則的にこれらのものを合わせてやっておりますけれども、その中でも、還元融資としては年々の増加額の二五%を特に直接国民福祉につながりますものの役に立ちますように運営しているというような状況でございまして、先ほどもお話し申し上げましたように、この二五%の原資をもっていたしましても、全体の財政投融資の資金量そのものよりも高い率の年々の上昇率を示しているというようなことで、こういった運用のほうがいいんではないか、こういうふうな考え方を大蔵省としては持っておるわけでございます。
  171. 古寺宏

    ○古寺委員 自治省にお伺いいたしますが、この特別地方債の審査基準についていろいろと地方自治体から御要望があるようでございますが、この標準単価等については、今後どういう方向でお考えになっているか、承りたいと思います。
  172. 神崎治一郎

    ○神崎説明員 御指摘のように、これが査定基準の改定について要望があるところでございますが、実態を十分踏まえながら検討してまいりたいと思います。  なお、この点については大蔵省厚生省とも協議をしてまいらなければならない問題でございますので、引き続き可能な限りその実現の方向において努力をしてまいりたい、かように考えておるところでございます。
  173. 古寺宏

    ○古寺委員 そこで自治省にお尋ねしたいのですが、自治省では現在の自治体病院の赤字を解消するためには、どのくらいの医療費の改定を見た場合にこの赤字が解消できるというふうにお考えでしょうか。
  174. 小山省二

    ○小山政府委員 まだ残念ながら的確な資料がありませんが、大体一〇%程度引き上げてほしいという要求がございますが、的確に資料が整備されておりません。
  175. 古寺宏

    ○古寺委員 一〇%の医療費の改定では、地方自治体の病院はいつまでたっても赤字の解消はできない思う。自治省が相当思い切った、たとえば人件費のベースアップ等に対しても特別交付税で考えるとかいろいろしてあげませんというと、いつまでたってもこの赤字は解消できないと思うのでございますが、そういう面では、自治省の考えが非常に甘いように考えますが、もう一度御答弁願いたいと思います。
  176. 小山省二

    ○小山政府委員 たいへんどうも申しわけありません。私、先ほどお答え申し上げました数字にちょっと誤差がございますので、訂正させていただきたいと思います。  自治体病院協議会からは、大体二〇%以上の値上げをしてほしいと、こういう要請でございましたので、この点訂正させていただきたいと思います。
  177. 古寺宏

    ○古寺委員 自治省はどういうふうにお考えですか。
  178. 小山省二

    ○小山政府委員 たいへんどうも恐縮でございますが、まだ的確な資料等が整っておらないようでございますが、先ほど厚生大臣がお答え申し上げましたような線で善処しなければならないのではなかろうかというふうに考えております。
  179. 古寺宏

    ○古寺委員 それでは厚生大臣にお尋ねしたいのですが、自治大臣のほうからは、自治体病院の赤字を解消するためには、どのくらいの医療費の上昇を、改定しなければならぬというような御要望が厚生大臣にあったのでしょうか、承りたいと思います。
  180. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 私自身、自治体病院の赤字解消のためにどのくらいということは聞いておりません。先ほど申し上げましたように、大体病院全体に通じてまず赤字の解消のできるということになれば、自治体病院も解消するのではないだろうか。自治体病院の特殊性に基づいて、赤字のある点は、これは自治体病院の性質に応じた特別の処置をしなければなりませんが、診療報酬を引き上げるという面におきましては、他の病院と自治体病院と区別をする必要はないのではなかろうかと、かように考えております。  そこで、全体に、一体病院としてどの程度診療報酬を引き上げれば、まずつじつまが合うのかという点は、いま中央医療協議会で審議しておりますことは先ほど申し上げたとおりでありまして、支払い側は一応一〇%台というものを出した、これは一般に報じられておりますから、そのとおりでございます。これを病院と診療所に分けてみますると、病院は大体一二、三%に当たり、診療所は八%ぐらいに当たるであろうという見当でございます。そこで医療側は二三%というものを出しておられるのでありますが、いまその間においていろいろと折衝中ということでございますので、ただいま公益委員が中央医療協議会においてその間を折衝しながら、最も妥当な案を出したいという最中でございますので、その妥当な案はここらでございましょうというようなことを私が申し上げることは、これは越権であると、ただいまの段階では思っておりますので、御了承をいただきたいと思います。
  181. 古寺宏

    ○古寺委員 この診療報酬の審議にあたりましては、中医協の中に地方自治体の病院の代表もひとつ送り込んでもらえぬかというような、そういう要望が非常に強いようでございますが、この点については厚生大臣はどういうふうにお考えでしょうか。
  182. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 自治体病院だけでなしに、病院としての代表を出してもらいたいという声が非常に強いわけであります。その中に自治体病院の意見も、公的病院の意見も反映するんだろうと思うのでありますが、日本医師会のほうには病院部会というものがあって、そして病院の経営も把握をしている。したがって、その病院部会の意向を反映すればいいのではないかというので、日本医師会と、また病院協会と、二本立てに推薦を依頼するということは、ただいまの段階ではちょっとむずかしい段階にある、かように御了承いただきたいと存じます。
  183. 古寺宏

    ○古寺委員 最後に。地方自治体の病院は、非常に医師不足、また累積赤字、いろんな問題で非常に危機に直面をいたしているわけでございます。しかも、こういう施設で働いている従事者の職員の方々というものは、いつもこの赤字の問題では議会その他から突き上げられるわけです。そういたしますというと、せっかく一生懸命に地域医療確保のために献身的に働きましても、それが何ら報いられない。そういうような職場であるならば、これはどこかへ行ったほうがいい、こういうような現象が起きているわけでございます。この地方の、地域の医療確保していくためには、どうしても地方自治体病院の経営というものを健全化してまいらなければならないわけでございますが、先ほどから厚生大臣あるいは自治省にお尋ねをいたしましても非常に、まだ積極的な姿勢というものが見られない。そういう熱意というものがうかがわれないように私は感じたわけでございます。今後、この地方自治体病院の危機を乗り越えるためには、もっと積極的にこの問題と取っ組んでいただきたいと思うわけでございますが、最後に厚生大臣と小山政務次官の御決意を承って、質問を終わらしていただきたいと思います。
  184. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 自治体病院の重要性は、地域医療ということを考えますると、まことに大事な問題だと存じます。したがいまして、先ほどから数々の御意見の御提示がございましたが、それらを踏まえまするとともに、これからの地域医療に取り組むためには、自治体病院をほんとうに健全に、もっと育成をするということに努力をいたし、古寺委員にも、さすがにやっておるなと思っていただけるようにいたしたい、かように思います。
  185. 小山省二

    ○小山政府委員 地域医療確保をはかるためには、自治体病院の健全化というのは大事な条件でございます。したがいまして、今後自治省といたしましても、できるだけ病院の健全化並びに体質改善のためには努力いたすつもりでございますが、何と申しましても、やはり病院のたてまえからいきまして、診療収入と申しますか、それの適正化をはかっていくということが一番前提でございますので、すみやかに適正な診療料金の改定という問題に対しまして、自治省としてもできるだけ側面から努力をいたしまして、これらの問題の解決をはかり、自治体病院の健全化につとめてまいりたいというふうに考えております。
  186. 古寺宏

    ○古寺委員 以上で終わります。
  187. 伊東正義

    ○伊東委員長代理 次回は、来たる七日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後一時四十五分散会