運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1971-11-11 第67回国会 衆議院 社会労働委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年十一月十一日(木曜日)     午前十時三十五分開議  出席委員    委員長 森山 欽司君    理事 伊東 正義君 理事 澁谷 直藏君    理事 谷垣 專一君 理事 増岡 博之君    理事 田邊  誠君 理事 田畑 金光君       秋田 大助君    井出一太郎君      小此木彦三郎君    小金 義照君       橋本龍太郎君    向山 一人君       渡部 恒三君    川俣健二郎君       後藤 俊男君    八木  昇君       山本 政弘君    古寺  宏君       古川 雅司君    寺前  巖君  出席国務大臣         厚 生 大 臣 斎藤  昇君  出席政府委員         防衛庁衛生局長 鈴木 一男君         厚生政務次官  登坂重次郎君         厚生大臣官房長 高木  玄君         厚生省公衆衛生         局長      滝沢  正君         厚生省環境衛生         局長      浦田 純一君         厚生省医務局長 松尾 正雄君         厚生省薬務局長 武藤き一郎君         厚生省社会局長 加藤 威二君         厚生省保険局長 戸澤 政方君         厚生省年金局長 北川 力夫君         社会保険庁医療         保険部長    穴山 徳夫君  委員外出席者         大蔵省主計局主         計官      渡部 周治君         文部省大学学術         局大学病院課長 甲斐 安夫君         厚生大臣官房審         議官      江間 時彦君         通商産業省化学         工業局化学第二         課長      小幡 八郎君         社会労働委員会         調査室長    濱中雄太郎君     ————————————— 十一月十日  国民健康保険改善に関する請願貝沼次郎君  紹介)(第八六七号)  同(田中武夫紹介)(第九二二号)  スモン病等に対する健康保険制度改善に関する  請願合沢栄紹介)(第八六八号)  同(砂田重民紹介)(第八六九号)  腎臓病患者の救済に関する請願大橋敏雄君紹  介)(第八七〇号)  同(古寺宏紹介)(第八七一号)  同(古川雅司紹介)(第八七二号)  同(渡部通子紹介)(第八七三号)  同(大橋敏雄紹介)(第九二三号)  同(古寺宏紹介)(第九二四号)  同(古川雅司紹介)(第九二五号)  同(渡部通子紹介)(第九二六号)  同(古寺宏紹介)(第九八一号)  同(古川雅司紹介)(第九八二号)  リウマチ専門病院等設立及び治療費公費負担  に関する請願浜田幸一紹介)(第八七四  号)  同(山田久就君紹介)(第八七五号)  同(大西正男紹介)(第九二七号)  同(辻原弘市君紹介)(第九二八号)  同外四件(石田博英紹介)(第一〇二一号)  同(岡崎英城紹介)(第一〇二二号)  同(鹿野彦吉君紹介)(第一〇二三号)  同(高鳥修紹介)(第一〇二四号)  同(竹下登紹介)(第一〇二五号)  保険診療経理士法制定に関する請願野田武夫  君紹介)(第八七六号)  同(三原朝雄紹介)(第八七七号)  療術の開業制度復活に関する請願谷川和穗君  紹介)(第一〇一九号)  歯科技工士免許に関する請願關谷勝利君紹  介)(第一〇二〇号)  海洋戦没者実態調査促進に関する請願鹿野  彦吉君紹介)(第一〇二六号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  厚生関係基本施策に関する件      ————◇—————
  2. 森山欽司

    森山委員長 これより会議を開きます。  この際、厚生省当局より発言を求められておりますので、これを許します。高木官房長
  3. 高木玄

    高木(玄)政府委員 沖繩復帰に伴う厚生省関係施策について、その概要を御説明申し上げます。  まず、沖繩復帰に伴う特別措置に関する法律案について申し上げます。  この法案は、沖繩復帰に伴い必要となる法令適用についての暫定措置等を定めておりますが、厚生省関係分としては、次の項目について規定しております。  第一に、沖繩に特有の制度である介輔及び歯科介輔について、沖繩医師不足の地域における医療確保に寄与させるため、沖繩地域に限り従前認められていた医業及び歯科医業を行なうことができることとしております。  第二に、沖繩において特例として認められている臨時准看護婦養成所について、復帰後もその存続を認め、その卒業者については沖繩県知事が行なう准看護婦試験に合格した後准看護婦免許を与えることにより、沖繩地域における医療関係者確保に資することとしております。  第三に、市が設置すべきこととなる福祉事務所については、沖繩の市の行財政能力を勘案し、昭和四十九年三月までに逐次設置を進めることとし、この間における福祉に関する事務は、沖繩県が行なうこととしております。  第四に、厚生年金保険法国民年金法等年金制度適用について、従前沖繩法による被保険者であった期間本土法による被保険者であった期間として通算を行ない、沖繩法による年金受給権本土法に引き継ぐほか、沖繩年金体制整備本土に比べおくれたことに伴う老齢年金受給資格期間短縮等について政令で特別の定めをすることとしております。  このほか、琉球水道公社の財産その他の権利義務は、沖繩県が承継すること、沖繩法令による行政処分または行政手続本土法令により行なわれたものとみなすこと、沖繩における公務員である医師及び歯科医師については特別の手当を支給することができること等が定められているほか、本土法令沖繩への適用についての経過措置その他の復帰に伴い必要となる事項政令で定めることとしております。  なお、この政令において措置することを予定している厚生省関係の主要な事項は、次のとおりであります。  第一に、沖繩復帰と同時に本土医療保険各法が適用されることとなるが、これに伴い必要となる措置を定めること、第二に、結核及び精神病について、復帰後も引き続き特例的に手厚い公費負担を行なうこと、第三に、本土免許を持たない沖繩法による医師歯科医師薬剤師等については、復帰後も沖繩県内において従前どおりその業務を継続することを予定しております。  次に、沖繩復帰に伴う関係法令改廃に関する法律案について申し上げます。  この法案は、沖繩復帰に伴い関係法令規定整備するものでありますが、厚生省関係分としては、次の三点について規定しております。  第一に、厚生省設置法を改正し、九州地方医務局及び九州地区麻薬取締官事務所管轄区域沖繩県を追加するとともに、那覇市に九州地区麻薬取締官事務所の支所を設置することとしております。  第二に、医師法を改正し、臨床研修病院の指定に関し沖繩地域病院特例的に認めることとしている現行の規定は、沖繩復帰に伴い必要がなくなるので、これを削除することとしております。  第三に、戦傷病者戦没者遺族等援護法など援護関係法律を改正し、これらの法律による給付の支払い等の権限を沖繩県知事に委任すること等に伴う所要の整理を行なうこととしております。  次に、沖繩振興開発特別措置法案について申し上げます。  この法案は、沖繩復帰に伴い総合的な沖繩振興開発計画を策定し、これに基づく事業を推進することにより沖繩振興開発をはかることを目的としております。  沖繩振興開発計画は、昭和四十七年度を初年度とする十カ年計画として沖繩県知事が原案を作成し、沖繩振興開発審議会の議を経て内閣総理大臣が決定することとなっておりますが、厚生省関係としては、(一)水資源確保(二)生活環境施設保健衛生施設及び社会福祉施設整備日医療確保の三点に関し、総合的な計画を立てることにより、豊かな沖繩県の実現につとめることとしております。この振興開発計画に基づく事業のうち、水道施設廃棄物処理施設社会福祉施設保健所等整備については、特例として高率の国の負担または補助を行なうこととしております。  また、無医地区における医療確保については特に重点を置くこととし、振興開発計画に基づき、患者輸送車整備、定期的な巡回診療の実施、保健婦設置等沖繩県知事に義務づけるとともに、所要財源措置を講ずることとしております。  次に、沖繩振興開発金融公庫法案について申し上げます。  この法案は、沖繩振興開発に資するため、沖繩を対象として一元的に政策金融を行なう機関として、沖繩振興開発金融公庫を設立することを目的としております。  厚生省所管医療金融公庫及び環境衛生金融公庫の行なっている業務についても、この公庫において取り扱うこととしております。  なお、復帰沖繩でこの種の政策金融機関がないため現に市中金融機関から融資を受けている医療機関については、復帰後一年以内に限り、条件のよいこの公庫の資金に借りかえることができるよう経過措置を講じております。  最後に、沖繩における公用地等暫定使用に関する法律案について申し上げます。  この法案は、沖繩復帰に伴い沖繩公用地等のために必要な土地または工作物に関する暫定使用について特別な措置を定めることとしております。  厚生省関係分としては、琉球水道公社が使用している土地で、引き続き使用する必要があるものについて、沖繩県が権原を取得するまでの間使用することができることとし、この期間は、復帰後五年をこえない範囲内において政令で定める期間としております。  以上が、沖繩復帰関連法案厚生省関係分概要であります。      ————◇—————
  4. 森山欽司

    森山委員長 次に、厚生関係基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。後藤俊男君。   〔委員長退席澁谷委員長代理着席
  5. 後藤俊男

    後藤委員 お尋ねします。  一番最初に、九日の衆議院の大蔵委員会におきまして、大蔵大臣は、税の負担公平の立場から来年度の税制改正の際には社会保険診療報酬課税特例について積極的に改廃検討すると答えておられます。こういうことを答えられましたのは、公式の場で答えられたのはこれが初めてではないかと私思うわけでございますが、事お医者さんに関係のある問題でございますし、さらにまた医療問題が今日非常に問題になっておる時期でもございますので、厚生大臣としても、さらに厚生省としても無関係の問題ではないと私は考えるわけでございます。さらにまた今日、中医協あたり医療費値上げの問題も非常にむずかしい段階に来ておるというふうに私は推測いたしておるわけでございますけれども、いま申し上げましたところの七二%の経費を落とす問題について、いままで税制調査会としましてもたびたびその不公平が指摘されておりますし、また医師会のほうといたしましても、これまた強く反対と、そのままで今日に至っておるというふうに私は見ておるわけでございますが、そこで、この問題に対しまして、厚生関係の最高の責任者である厚生大臣、きょうおいでになりませんけれども、厚生省として、いま申し上げました問題についてどういうふうにお考えになっておるんだろうか。あいまいな態度というのは、事今日に至ってはもう許されないというふうに思うわけですし、さらにまた、大蔵大臣としても明確に、先ほど言いましたように、来年度の税制改正の場合には積極的に改廃検討するんだと答えられておる問題でもございますので、この問題に対してどうお考えになっておるかをお答えいただきたいと思います。
  6. 登坂重次郎

    登坂政府委員 お答え申し上げます。  七二%の特別措置法については、仰せのとおり、各方面からいろいろな意見があることも承知しておりますし、この特別措置法医療適正化が行なわれた場合においては云々ということでございまするから、ただいま私のほうで医療抜本改正診療報酬の改定という問題に取り組んでおります。そう長い間ではありませんが、いずれにしても来国会には提出するつもりでございます。その段階において、まだ大蔵省からそういう問題で正式な話も聞いておりませんし、税制調査会等にも大蔵省もはかることでありましょうから、そういうことをあわせて結論を得たところでひとつ考えたい、こういうふうに存じておる次第でございます。
  7. 後藤俊男

    後藤委員 いま政務次官医療適正化ということを言われたわけですけれども、これは、たしか昭和二十九年のこの社会労働委員会附帯決議で、医療適正化が行なわれた場合には、いまの特例についても考えよ、こういう附帯決議がついておると私は記憶をいたしておるわけですが、来年度のいわゆる税制改正につきまして、どういう態度でこの特例に対して臨むかという問題については、いま次官が言われましたように、抜本改正どうこうといっておったのでは、私は間に合わぬのではないかと思うのです。しかも大蔵大臣ははっきり、来年度の税制改正につきましては、改廃について積極的に検討をいたします、税制調査会からも強くこの問題が出ておりますと、そこまで大蔵省としてははっきり踏み切った返答を、少なくとも大蔵委員会でしておられるわけなんです。その問題と、いま次官が言われました抜本改正どうこうというような問題とは、からみ合う関係にあるかもわかりませんけれども、今日厚生省として長い間懸案になっておるこのお医者さんに対する税金特例問題についてはこうあるべきである、来年度の税制改正ではこうするのだと、こういうようなはっきりした方針があってしかるべきだと私は考えておるわけなんです。ただ大蔵省だけがかってにしゃべっておるのだ、われわれ厚生省はそんなことはまだ関知しておらぬ、こういうことでは、これは通らないと思うわけです。だから、もう少し明確によくわかるように、ひとつ政務次官のほうから厚生大臣を代理してお答えをいただきたいと思うのです。
  8. 登坂重次郎

    登坂政府委員 仰せのとおり重大な問題でございます。しかし、これはたてまえが税制調査会という審議会があるのでありますから、その結論を待たなければ、われわれとしてはそれに対処するわけにはまいりませんし、ただ内部的に申しますれば、私のほうでただいま中医協が鋭意検討中で、それが進行中のことでもございますので、しばらく結論は控えさしていただきたい、かように考えておる次第でございます。
  9. 後藤俊男

    後藤委員 いま中医協が開かれておりますから、結論はいましばらく御猶予いただきたいと。中医協が開かれておるからということは、どういうことを意味するのでしょうか。
  10. 登坂重次郎

    登坂政府委員 診療報酬適正化とも関連する問題でありますし、診療報酬に関する中医協の話し合いの最中でございますので、特別措置法附帯決議に準じた範疇に属するものと考えられるからでございます。
  11. 後藤俊男

    後藤委員 そうしますと、中医協結論が出れば、いま申し上げました特例問題についてもはっきりと結論——結論というとおかしいのですが、方針を出しますか。たとえば、いま中医協医療費値上げが一〇%とかいろいろいわれております。また、医師会のほうからいろいろな要請が出ておる非常に微妙な段階にきておるということは私もわかっておるわけなんですが、医療費適正化とは一体どういうことなんだ。医療費適正化が行なわれた場合には、この特例につきましても改廃するんだ、こういうことだと思うのです。そうなりますと、いま開いておる中医協結論が出れば、医療費適正化が行なわれたのだ、そうなれば七二%云々のこの特例の問題につきましても、来年度ははっきりと改廃する、そういうことなのかどうかという点が、どうもあなたの御返答ではあいまいなんです。その辺のところをもう少しはっきりわかるようにお答えいただきたいと思うのです。
  12. 登坂重次郎

    登坂政府委員 この適正化という問題については、仰せのとおりそういう御解釈になろうかと思いますが、税制調査会結論大蔵省結論も出ましょうから、そのときにおいて政府内部の調整ということになると思いまするが、私のほうとしてはただいま結論を出す、お答えするまでには至っていないということだけは申し上げて御了解願いたい。
  13. 後藤俊男

    後藤委員 どうもさっぱりわかりませんけれども、それなら政務次官にお尋ねしますが、実際の経費を調べてみますると、五〇%以内だというようなことも新聞でも報道いたしておりますし、さらに特例法が生まれた当時の条件と申しましょうか情勢というのは、私も十分考えておるわけなんです。  そこで、いま中医協医療費値上げ問題等がここ二、三日というのは非常にむずかしい段階にきておるそういう時期に、この特例問題をどうするこうするということをここではっきり厚生省としての態度を打ち出す場合には、かえってまた話がむずかしくなるから、すまぬけれども、いましばらく遠慮さしてもらいたい。その中医協結論が出た暁におきまして厚生省としてははっきりしたい、いわばそういう気持ちのお答えだろうと私は推察するわけなんです。そのことはそれでいいと思うのです。  そこで先ほどから言っておりまするところの七二%の経費を落とす問題、この特例問題について、引き続いてこれをやっていったほうがいいのかどうか、このことを税の負担公平の立場に立ってどういうふうにお考えになっておるか、厚生省としては一体どうなんだ、この点だけはお考えを明らかにしていただくことができると思うのです。いかがですか。
  14. 登坂重次郎

    登坂政府委員 税の問題は、収入調査、いわゆる経費の問題を精査し、総収入から総損金を控除するというのが税のたてまえでございますので、その総損金の内訳というものは専門家税調にまたなければならないと思うのでありまするが、私のほうとしては、医療適正化という問題を中心考えて、税調はそれなりの専門的な結論をお出しすることでありましょうから、その結論を得た上で厚生省大蔵省相談する、こういうことになろうかと存じます。
  15. 後藤俊男

    後藤委員 それでは、これはもうこれ以上言いませんが、政務次官、そうしますと、いまやっております医療費値上げ問題がはっきり結論が出た場合には、この特例法の問題につきましても厚生省態度を明確に出す、こういうふうに解釈していいわけですか。
  16. 登坂重次郎

    登坂政府委員 税調がそういう結論を出しました場合においては厚生省もこれに何らかの——協議事項になろうかと存じます。
  17. 後藤俊男

    後藤委員 どうもいまの返答はわかりませんが、厚生次官、少なくともこの問題については、厚生省がやはり中心になると思うのです。税金の問題につきましては大蔵省かもわかりませんけれども、いま日本の国内におきましては医療問題がかなり大きな問題になっておることは言うまでもありませんし、しかも抜本改正が目の前にきておる。しかも長い間税制調査会のほうとしても、あの特例問題については税負担の公平の立場から考えるときには改廃すべきである、そういう結論が出ておるわけなんです。ところが、これをこうむるところの医師団体のほうとしては反対だ、やはりいままでどおりやってもらわなければ困る、こういうことで今日に至っておると私は見ておるわけなんです。そこでいま政務次官が言われましたように、中医協でいま医療費適正化と申しましょうか、どれだけ上げるかという論議が真剣に行なわれておる。いわゆる適正化問題を中心論議が行なわれておるわけなんです。そうだとするのならば、中医協医療費の問題が解決した場合には、厚生省としてもこの特例問題をどう扱うか、どうするかということにつきましては、早急に結論を出す、その結論に基づいて大蔵省とも相談をして来年度の税制改正一つの問題にするのだ、そういうように解釈してよろしいかということを私は申し上げておるわけです。いかがですか。
  18. 登坂重次郎

    登坂政府委員 お答えします。  大部分は税法の問題になるかと思いますので、必要経費なるものが何%がよろしいのか、これはやはり専門的に御検討願わなければならないと思うのであります。七二%がよろしいのか、何%に税調でお考えくださるのか、これは税の問題としてお考えを願ったほうがよろしいと思いますので、私のほうとしては大蔵省の意向をくんで、またそのときにおいて結論を出すべきもの、かように考えておるのでございます。
  19. 後藤俊男

    後藤委員 それではいまの問題につきましては、もうこれ以上同じことを繰り返しておりましてもはっきりいたしませんが、私はいま政務次官お答えを聞いて感ずるところは、事税金の問題であるから大蔵省中心になってやるのだ、厚生省としては大蔵省のほうから問題が相談されれば、その時期において相談をしてやりたい、こういうふうな非常にあいまいな態度であるというふうに私は思うわけでございますけれども、少なくとも大蔵委員会大蔵大臣が、この問題については税制調査会からの勧告もあり、最近非常に問題になっておる点である、ですから来年度の税制改正につきましては、積極的に改廃に取り組むのだ、そこまで大蔵大臣ははっきり言明をしておるわけなんです。それならそれで、その問題については大蔵省税金の問題だから、おれら厚生省は全然関知しないんだということでは私は通らぬと思うのです。医療費関係がこれだけ問題になっておる時期でございますから、厚生省厚生省としてはっきりした方針があるのじゃないか。こういうつもりで私は質問を申し上げたわけなんです。ですから先ほども話が出ましたように、昭和二十九年に医療費適正化が行なわれた場合には、この特例についても廃止をするのだ、こういう附帯決議がつけられておるわけでございますから、それでは医療費適正化とは一体どういうことなんだ。これは話は非常にむずかしくなると思うのです。そこで現段階におきましては、中医協でこの医療費値上げ問題が真剣に論議が行なわれておる。そこで最終的に結論が出れば、今日における医療費適正化が行なわれたのだ。そういう考え方に立つならば、いま申し上げました特例問題につきましても、来年度の税制改正においてはこの特例改廃すべきである。直ちにやるかどうかは別問題としまして、その方向を打ち出すべきであるというふうに私は考えまして、いま申し上げましたような質問をしたわけでございますので、その点につきましては、きょう厚生大臣おいでになりませんけれども、ぜひ十分その考え方検討していただいて、今日の医療問題の一つであるところの税金問題につきましても、早急に厚生省としての考え方をはっきりしていただきますようにお願いしたいと思うわけです。  それからその次の問題としましては、予算関係もあろうかと思うのですが、大蔵省福祉年金大幅増額の問題を最近新聞でときどき発表いたしております。たとえば老齢福祉年金、現在の二千三百円を三千六百円にする、あるいは障害年金をかなり大幅に引き上げる、さらに母子福祉年金をこれまた大幅に引き上げる、こういうような方向大蔵省としてはときどき新聞で発表いたしておるわけでございますけれども、事社会福祉の問題につきましては厚生省中心になりまして、来年度の予算編成につきましても要求をお出しになっておると思うわけです。そこで厚生省としまして、来年度の社会福祉の問題についてどういうような方針大蔵省予算要求をしておられるか、この大綱につきまして御説明をいただきたいと思います。
  20. 登坂重次郎

    登坂政府委員 お答えします。  厚生省といたしましては、社会福祉は今後大きなわが国の国是としなければならない。今日、経済大国といわれておりながら公共投資が非常におくれている。特に社会福祉関係に対する投資がおくれているということは痛切に感じております。でありますから、まず年金を大幅に上げる、あるいは長期療養者あるいは重度心身障害者、そういう特殊な病気に対しましては、これまた大幅に政府補助あるいは政府施策を強化する。また各社会福祉の施設に関しましても、五カ年計画というようなものを立てておりますが、これもできるだけ早くその目的を完成するように前向きで検討したい。いわゆる社会資本の充実、年金を含め、各施設等について、例年にない思い切った態度で来年は臨む、こういうわけで、昨年は一兆三千億足らずの予算でありましたが、ことしは一兆六千二百億という概算要求大蔵省要求いたしております。特に来年度は不景気だ、こういうわけでありますから、いままで政府の不景気対策というのは、大体公共投資を主とした景気刺激対策をとっておりましたが、これからは社会資本の中で、福祉資本、福祉行政による景気対策にも備えたい、かような意気込みで予算と取り組んでおる次第でございます。
  21. 後藤俊男

    後藤委員 いまの基本的な考え方はわかりました。それで年金の引き上げなり、あるいは長期療養のお方なり、あるいは重度心身障害者の扱いなり、施設の拡充、こういうことですが、具体的に年金はどの程度引き上げるか。それから重度身体障害者に対してはどういうことをやるのか、施設については、大綱どういう考え方なんだ、あるいは長期療養者についてはどうなんだ、これは簡潔でけっこうでございますから、お願いしたいと思います。
  22. 北川力夫

    ○北川政府委員 福祉年金の引き上げにつきましては、老齢福祉年金は今月から三百円上がりまして二千三百円になっておりますけれども、これを明年度は千三百円増の三千六百円の要求であります。それから障害福祉年金は、三千四百円を二千円アップの要求で五千四百円、母子福祉年金は二千九百円を千八百円増額いたしまして、四千七百円の要求でございます。その他福祉年金関係では、扶養義務者等による所得制限を、現在百八十万円でございますけれども、これを撤廃をするという要求をいたしております。  以上でございます。
  23. 加藤威二

    ○加藤政府委員 福祉施設の整備でございますが、社会福祉施設整備につきましては、四十六年度を初年度とする五カ年計画の来年度は第二年目でございます。国庫補助といたしましては、四十六年度に八十三億という国庫補助を獲得いたしたわけでございますが、来年度におきましては百三十八億という国庫補助要求をいたしまして、五年計画の第二年次ということで推進をしてまいりたいというぐあいに考えております。  それから身体障害者の問題につきましては、先生御指摘のとおり、身体障害者にもいろいろございますが、その中で特に重度の身体障害者の対策というのを、来年はさらに推進してまいりたい。特に重度の身体障害者につきましては、福祉工場というもの、要するに車いすに乗ったまま働けるというような福祉工場の設置、運営というものを、これは本年度すでに計画いたしておりますけれども、それを拡充していきたいというのが一つ。それからもう一つは、全く働けない、寝たきりのような身体障害者の方もおられるわけでございます。そういう人たちにつきましては、これは国のほうで一生施設に収容してめんどうを見るという対策がやはり必要であろうと思います。そういう意味で療護施設、寝たきりで何も動けないという人を収容して全部身の回りを世話をする療護施設というものを来年度から発足させたい、こういう対策を考えておるわけでございます。
  24. 後藤俊男

    後藤委員 それからお年寄りに対する医療費関係の問題があると思うのですが、七十歳以上の医療費を無料にするとか、いろいろ考え方があると思うし、それからさらに母子家庭におきまして、おかあさんが働ける家庭においてはまだ考えられる点もあると思いますが、おかあさんも働けないような母子家庭に対する医療費関係については何か考えておられるかどうか、その点もお尋ねしたいと思います。
  25. 加藤威二

    ○加藤政府委員 老人の医療問題につきましては、先生御指摘のとおり、来年度の厚生省の最重点施策といたしまして老人の年金問題と医療問題を取り上げておるわけでございます。  老人の医療の無料化につきましては、七十歳以上の老人についてその保険の自己負担分を公費負担でいく、こういうことで来年度予算要求をいたしておるわけでございます。  いま御指摘の母子家庭につきましては、母子家庭プロパーの医療問題というものは特に制度的に取り上げてはおりませんけれども、母子家庭で親か子供が病気になって非常に医療費に困るという場合につきましては、私のほうは社会局でございますが、最低の場合は生活保護の医療費ということがあるわけでございますが、母子家庭の医療費というものについては、ただいま申し上げました老人医療みたいな特別の制度というのは、私のところで、いま現在は考えておらないわけでございます。
  26. 後藤俊男

    後藤委員 いずれにしても、厚生次官が冒頭言われましたように、来年度についてはかなり社会福祉の問題に力を入れておられる、この点はうかがえるわけでございますけれども、今日予算要求段階でもあろうと思いますが、できるだけ、いま申し上げましたような年金関係の大幅引き上げの問題、それから医療関係の問題、さらに母子家庭の、非常に苦しい生活をしておられる医療費その他の関係の問題、これらの問題につきまして十分なる力をひとつ入れていただく、これはぜひお願いをいたしたいと思うわけです。  それからその次には、これは全国的に見て救急医療体制の問題です。これはこの間尼崎市の労働会館で開かれた日本災害医学会の最終日に明らかにされた問題でございますけれども、救急医療体制につきましては今日ゼロにひとしい、国さらに自治体がこれからいかに取り組むかということが救急医療体制の一番中心である、これはもう新聞等でも報道いたしておるところでございますけれども、その中身を少し拾ってみますると、救急医療体制というのは、数は四千数百の病院があると思うのですが、専門医の問題につきましても当直のお医者さんがおらない、さらに国公立の病院におきましても、七〇%は当直のお医者さんが一人しかいない、さらにまた二〇%においては二人、残りの一〇%が三人以上、こういうふうなことになっておる、さらにまた二十八都道府県におきましては、補助金は出しておりますけれども、一年間に一つ病院にわずかに十万円の補助金しか出しておらない、そういうような関係で、経済的にも非常に困る関係がありまして、当直医を置くわけにはまいらぬ、こういうふうなことがこの間の災害医学会でかなり論議をされておることは、厚生省の皆さんも十分御承知だと思うわけなんです。  そこで、そこに出ておられましたところの厚生省関係のある技官は、この問題につきましても積極的にひとつ来年度は取り組んでいきたい、こういうふうな意見を発表しておられるわけでございますけれども、いま申し上げましたような立場に立ちまして、救急医療体制の問題について、来年度は、予算要求関係もあろうと思うわけでございますけれども、厚生省としてどういう体制で臨もうとしておられるのか、この点の御説明をいただきたいと思います。
  27. 松尾正雄

    ○松尾政府委員 御承知のとおり救急体制につきましては、まず最初の初療と申しますか、最初に患者さんに適切な処置々する、こういう機関を消防署の搬送業務とタイアップをする、こういう意味でいわゆる都道府県知事の告示診療所、病院というものの配置をはかってまいりました。この点はすでに御指摘のように、四十六年で約四千五百九十五カ所というような数にふえてまいっておるわけでございます。私どもはやはり搬送という問題とからみ合わせれば、こういうファーストエードをやるような機関がふえていくという対策は基本的に必要であろう、こう思っております。ただし御承知のとおり、こういうところにおける機能が必ずしも高いレベルのものばかりとは限りませんので、したがって特に交通事故等によって頭部外傷というような、非常に危険な状態に対応いたしますために、いわば高度の体制ができるような機能、これをいわゆる救急センターといたしまして、四十二年以来補助金を出して整備をしてまいりました。これはおおむね専門家の意見も徴しまして、人口百万に一カ所程度という目標でもって、全国百十二カ所の整備を進めてまいりました。大体百九カ所ほど完成をいたしておりますので、ほぼこの線についての整備は一応はできておるわけでございます。しかしながら、さらにきめのこまかい配置というものがさらに必要ではないか、こういうことでことしから人口十万に一カ所、いわばその救急センターのサブセンターになるようなものを配置したい、こういうことですでに四カ所ほどやっておりますが、本年度も約十五カ所程度のものをそれで整備したい、こういうふうにやってまいりました。しかしながら、一方におきましては、やはりその医者の訓練という問題が必要でございますので、これも当初は脳神経外科関係、こういう専門医の高度の訓練というものに取り組んでまいりましたし、またさらに麻酔科関係医者の訓練ということも専門学会に委託をしてまいっておるわけでございます。ただ問題は、そういうように一つの体系的なものとして、形は確かに私どももそろえてきたという感じはいたしますけれども、ただいま御指摘のように、それぞれの病院における受け入れ体制というようなものは必ずしも私どもも十分だと思っておりません。しかしながら今日非常に医療需要の多い中で、その病院が、特に夜間のような場合に、昼間の業務のほかに相当大量の人を準備しておくということは、それぞれの一病院ずつでは、やはりなかなか困難な実態がございます。これは実情としてそういうことはある程度考えざるを得ないと思います。したがいまして私どもは、できますならば一定の地域ごとに、そこにおける医療機関がすべて共同いたしまして、そうして連携対策を密にして、たとえば当番制でも何でもけっこうでございますし、またその地域において、ある人々がある一カ所に集中をするという、そういう詰めていくような形でもけっこうだと思っておりますが、そういう体制を各地域ごとにひとつ確立させたい、このことをいわば機能的な連携といたしまして確立したい。その代表といたしましてとりあえず一番問題になりますのが、休日、休みの日の体制ということでございますので、来年は要するに休日急患対策という形で、各地域でそういう具体的なプランを立てていくということを推進させたい、こういうことを中核にして進めたいと思っているわけでございます。
  28. 後藤俊男

    後藤委員 いま局長が言われましたことはわかるわけなのです。ところがいまちらっと言われましたように、かっこうというんですか、計画というのはできておるらしい。だけれども、その中身が充実されておらない。その中でも問題になりますが、やはりお金の問題になってくるわけなのです。先ほど言いましたように、二十八の都道府県におきましては、いま言われましたような体制ができつつあるのか、できておるのか、そこで一つ病院に十万円の補助金が出ておる。これじゃもう当直医の宿直費にも不足するんだ。ですから国公立の病院では七〇%がわずかに一人しかおらぬわけなんです、当直医が二〇%に二人、残りの一割に三人。これも財政的の面から非常に苦しいけれどもということで、そういう運営が行なわれておるのではないかというように私は考えるわけでございますけれども、救急医療体制というのは、先ほど言われましたように、交通事故の関係その他の関係で私は非常に重大なことだと思うのです。で、いま申し上げましたような点を、それなら来年度は一体どういうふうに補足すると申しましょうか、いままでの過去において欠陥のあったところをどういうふうに補っていくのだ、予算の面で一体どう見ていくのだ、この点がやはり中心問題になると思うのです。今日は予算要求段階ですから、最終的にこうきまりましたという御返答をいただきたいと私は思いませんけれども、厚生省もこの救急医療体制の確立の問題については、来年度は大蔵省に対してこういう要求をして、こういうふうに中身を確立していくのだ、こういうものがあってしかるべきだと私は考えるわけなのです。その点いかがでしょうか。
  29. 松尾正雄

    ○松尾政府委員 御指摘のように、救急医療機関がそういう体制を整えるために、いわば経済的なベースで合わない場合がある。これは私どもも前々から、いろいろと調査もいたしてみたり、研究もいたしたわけでございます。しかし、いわばその態様というものが必ずしも一定ではございませんで、いわばその運営費的なものを公的に見るというスタンダードの確立ということがなかなかむずかしいというのが実態でございまして、今日までそういう経済的なベースの裏打ちということに行き悩んできたというのが実情でございます。中には、やはり救急体制というものをやりますために、いろいろなそういう公的な資金でやれというお考えもございますし、また一方、現在の社会保険診療報酬というものの中で、特にそういう高度のいろいろなものを取り組むといった場合の点数なり、そういったもののバランスが一般に低いのだということにもひとつ問題がある。したがって高度のものをやれば、それでまかなっていけるような体制というものは、やはり一つは社会保険診療報酬というもののあり方、これに非常に関連するのではなかろうか。御承知のとおり、現在の点数表は、事故の性質によっていろいろときめるというわけにもまいりませんで、特定の注射なり、特定の手術なり、特定の処置なりということについてきめておるわけでございまして、これを交通事故なら交通事故のときだけは同じ注射をしても高いのでございますということは、なかなかこれは理屈としてもやりにくい問題がございます。したがいまして、やはり大きくは点数表の上のバランスというものを、いま中医協でも御議論いただいている中で、いろいろ適正化していただきたい。これが基本ではなかろうか、私どもこういうふうに考えております。  そのほかさらに、救急の場合には、一般と比べまして特に夜間、時間外、こういったようなものが相当多いわけでございます。したがって、その時間外等の加算ということもやはり診療報酬の中で、今日のような実態から見れば、十分に考慮していただきたい問題である、こういうふうに考えております。  したがって、端的に申し上げまして、経済的な経営費についての裏づけというものを、いわゆる国庫補助の形ではまだ私どもは要求いたしておりません。むしろ問題は、先ほど申しましたように、現在のチームワークと申しますか、両陣営の提携というようなものが非常にまだ十分でない、いいネットワークをつくりたいのだということにむしろ焦点を置いているわけでございます。
  30. 後藤俊男

    後藤委員 いまの問題もなおざりにできない非常に大事な問題であると思いますから、ぜひ強く進めていただきたいと思います。  それから、これは最後になりますけれども、十月二十七日の医道審議会で、六人の医師に対する医師免許の取り消し等を決定しまして、厚生大臣に答申があったわけですね。そこで、これらの医師の氏名を、慣例であるとか、さらに個人の名誉に関することだとして、この処分は官報の告示もなく、さらに一般市民の知る手がかりもない。悪徳医師に対する過保護ではないかという批判が新聞でも報道されておることは、これは私が申し上げるまでもありません。その内容を見てみますると、今回の発表は、医師免許の取り消しが一人と、三カ月間の業務停止が一人、十五日が一人、十日が一人、戒告が二人。これらが慣例で全然発表することができない、こういうふうなことで、今日、東京地裁に訴えられて、これが裁判ざたになっておるということも、これは新聞で報道されておることでございますし、さらにまた、この記事に対しましてある厚生省の事務官としては、今後の問題として発表するかしないかは早急に検討をしたい、こういう発表もいたしております。さらにまた、厚生省の新谷医事課長ですか、医事課長さんは、この六人の問題をどう処理するかということにつきましても早急に検討をしたい、こういうふうな発表をしておられることは、私が申し上げるまでもなく、御当人もどこかにおいでになるから、これははっきりしておると思うのですが、そこで私聞きたいのは、発表のできない理由は一体何だろうか。また、そういう場合には発表しないという何か医師会との約束なり協約があるのだろうかという点なんです。この点はいかがですか。
  31. 澁谷直藏

    澁谷委員長代理 簡潔に答えてください。松尾医務局長
  32. 松尾正雄

    ○松尾政府委員 医道審議会におきます審議の結果が、これは従来の慣例というような形で実は発表してなかったということがございまして、その中には、おそらくいま先生御指摘のように、いろいろな立場にある医師立場考えて、いわば必要以上に個人の名誉というものを傷つけないという配慮が働いておった伝統があったのではなかろうかと思っておりますが、しかし、この問題について医師会との間に、こういうものを発表しないとか、してはいけないとかいうような約束は毛頭ございません。しかしながら、私どもはほかの制度、いろいろな身分法に関係いたしまするいろいろな処分というものとの統一的な見解というものもこの際きめるべきじゃないかということで、いろいろ検討いたしまして、やはり必要な限度におきましては、処分の決定がありました際に、その氏名あるいは住所といったような点については公表すべきではないか、こういう結論にいま到達いたしておりますので、先般の答申についても、ただいま省内におきましての決裁を進行中でございまして、決裁が終わり次第、その中身と申しますか、その氏名等については発表したい、かように取り計らいたいと存じます。
  33. 澁谷直藏

    澁谷委員長代理 もう時間です。あとがみんな狂ってしまうから……。
  34. 後藤俊男

    後藤委員 わかりました。  それで、いま言われましたのは、なかなかはっきりしたことを言われたと思って、私も聞く必要もないような気がするのですが、まあいろいろ事情があるけれども、医師会との約束とかそういうものは一切ありません。これだけ問題になっておる六人の問題につきましても、氏名なり中身については早急にひとつ発表をいたします。さらに今後の問題につきましても、こういう問題につきましては、発表をしていくのだ、そういうふうに解釈していいわけですか。
  35. 登坂重次郎

    登坂政府委員 お説のとおりでございます。
  36. 後藤俊男

    後藤委員 わかりました。  これで終わります。
  37. 澁谷直藏

    澁谷委員長代理 次に、古川雅司君。   〔澁谷委員長代理退席、谷垣委員長代理着席〕
  38. 古川雅司

    古川(雅)委員 本日、私は廃棄物処理、ごみの処理の問題について若干お尋ねをしてまいりたいと思います。  昨年、昭和四十五年の十二月二十五日に廃棄物の処理及び清掃に関する法律が公布されまして、この九月二十四日から施行されたわけであります。最初にお尋ねを申し上げますが、従来の清掃法を全面的に改正して、新たに廃棄物処理法を制定することになりましたこの立法の趣旨について、お尋ねをいたしたいと思います。
  39. 浦田純一

    ○浦田政府委員 昨年末の臨時国会において、旧清掃法を名称も改めまして、廃棄物の処理及び清掃に関する法律といたしまして、ほぼ全面的な改正をいたしたところでございますが、その改正の目的並びに主要点といたしましては、一つは、近来ごみの廃棄の量が非常にふえてきた。ことに産業廃棄物が、現実の問題として処理が非常に困難になってきたということと、それから市町村のほうでもっていろいろと従来の清掃サービスをやるにつきまして、増大するごみを適正に処理するということにつきまして、従来必ずしもそのような新しい産業廃棄物を取り込んだ、あるいは廃棄物の多様化、大量化に対応した体制ではなかったということで、一つは、市町村の域を越えまして県、場合によりましては県の連合といったようなところで、従来市町村のみのレベルで行なっておりました清掃事業を、いわゆる広域的に手がつけられるように直したということと、産業廃棄物の処理につきまして企業者の責任を明確にいたしたということ、それから関連いたしまして、従来の維持管理、あるいは施設の基準というものにつきまして強化したということでございます。またこれに関連いたしまして、従来はいわゆる特別清掃区域という考えでもって都道府県知事が、市町村が清掃事業を行ないます区域を限定してやっておったわけでございますけれども、この考え方を改めまして、むしろやはり国土全体の問題として対処すべきではなかろうかということで、特別清掃区域という考えを改めまして、逆に全域に原則として及ぶのでございますけれども、まあ実態上、清掃サービスを市町村が行なわないということが、もう常識的に考えてもわかるという地域につきましては、はずすという逆の考え方を持ってきたところでございます。その他関連いたしまして、いろいろな点の整備拡充、強化をはかったわけでございます。
  40. 古川雅司

    古川(雅)委員 十月十六日の事務次官の通達の中にもございますが、いま局長が御答弁になった趣旨と全く同意義でございますが、「廃棄物の量的増大と質的変化、衛生工学の飛躍的発展等に伴って抜本的な改革が必要とされるに至った」と述べております。このいわゆる三点でございますが、量的な増大、質的な変化、衛生工学の発展というふうにあげられておりますが、この三点についてどのような解決策を考えていらっしゃるか、その点お答えをいただきたいと思います。
  41. 浦田純一

    ○浦田政府委員 まず第一点の量的並びに質の多様化、大量化でございますが、これらにつきましては、やはり従来の一般廃棄物と目されますものは、従来どおり市町村の体系でもってこれらの始末をはかっていくという考え方を踏襲いたしまして、その施設の整備をはかっていく。市町村で持っておりますごみ焼却施設その他の施設につきましての整備拡充をはかっていくということでもって量の増大に対処したいということでございます。それから量の中で一番問題になりますのは、実は産業廃棄物でございまして、これらにつきましては、企業者の責任ということを明確にいたしまして、いままで漫然と市町村の清掃行政のほうによっていたものを、はっきりと企業者のほうで処分させることによってその量の増大に対処する。それから万一産業廃棄物が、結局におきまして市町村のほうの行政にかかってくるといったような場合におきましては、これは市町村のほうの清掃施設を拡充すると同時に、先ほども申しましたように、広域的にこれらにつきましては処理体系をとり、さらに最終的にはその区域の処理計画というものを知事の責任、義務にいたしまして、そのような場合に最終的な担保を考えたということでございます。  それから質の変化でございますが、ことに質の変化として一番目されますのは、一般廃棄物といたしましてはプラスチックでございます。これらにつきましては、御承知のように、都市清掃としても重大問題としていろいろと取り上げておるところでございますけれども、私どもはこれに対応いたしまして、かりに現在のプラスチックの一般廃棄物における混入率が、いまあるいは多少それよりふえても、それを十分に受けとめられるだけの高度の機能を一般の焼却施設に付与いたしたい。それに伴う単価の増大については、これは予算概算要求として大蔵省にすでに来年度の計画として提出済みでございます。これによって対処いたしたい。それから産業系の廃棄物につきましては、冒頭申しましたように、各企業者の責任でございますけれども、いろいろの、たとえば廃酸、廃アルカリあるいは廃油の類、それらにつきましては、それぞれの施設の基準並びに処理の基準というものを明定いたしまして、いたずらに不法投棄あるいは衛生上問題になるような処理、処分ということを禁止してやるわけでございます。  それから次に、衛生工学の向上に伴うということでもって従来の屎尿処理施設あるいはごみ処理施設につきましては、維持管理の基準を強化いたしまして、さらに新しい問題といたしましては、大気汚染あるいは水質汚濁、これらに対しての考慮を取り込んでいくということでもって衛生工学の進歩を取り入れていったわけでございます。  あるいは抜けたところがあるかもわかりませんけれども、また御指摘によってお答えいたします。
  42. 古川雅司

    古川(雅)委員 一応お答えとしては了解をいたしますが、ここで一般廃棄物に問題の焦点をしぼりまして、ことにいま局長の御答弁の中で、処理施設をふやすということが一つのかなめになるという意味の御答弁がございましたけれども、これはこの廃棄物処理法の制定に際しても附帯決議がございましたので、具体的に今後のごみの焼却施設の整備計画については御検討なさっておると思いますが、この点はいかがでありましょうか。
  43. 浦田純一

    ○浦田政府委員 先生御指摘のように、昨年末の臨時国会で廃棄物の処理及び清掃に関する法律の御審議の過程、最後にこれを御採決いただきましたときに、附帯決議として、これから後の施設の整備につきましては、五カ年計画を新たに立てて対処しろということが決議としてあったわけでございます。私どもはそれを受けまして、現在すでに各市町村から今後五カ年間の具体的な処理計画、施設の整備計画を集めまして、さらにそれに加えまして産業廃棄物を含めまして、該当の都道府県がその都道府県内の広域の処理計画というものの策定を進めておりますが、その資料もとりまして、それらに基づきまして現在具体的に長期計画の策定の準備を進めておるところでございます。さらに来年度の予算要求に関連いたしまして、それらに必要な投資額あるいは財政援助の考え方につきまして現在関係方面と折衝中でございます。
  44. 古川雅司

    古川(雅)委員 現在のこうした処理施設を改善し、あるいは新増設をする必要があると認められる、そうした大体の見込みについてはお考えがまとまっているでありましょうか。できれば、大体総額どのくらいの規模でその需要にこたえられるのか、お答えをいただければ幸いだと思います。
  45. 浦田純一

    ○浦田政府委員 現在私どものところで概算をいたしております数字を申し上げますと、ごみにつきましては、昭和四十五年度末が施設の能力が約五万三千トン毎日処理できるということになっておりますが、これを五十年度末には一人当たりのごみの排出量の増加も考慮いたしまして、約十一万トン毎日焼却処分できるという目標を立てておるところでございます。   〔谷垣委員長代理退席、委員長着席〕 したがいまして、四十六年−五十年の間にこの差の約五万八千トン毎日の整備量を考えていけばよろしいかと思っております。  このほかに、粗大ごみの破砕あるいは圧縮設備といたしまして、粗大ごみの破砕につきましては百四十基余り、圧縮機につきましてもほぼその線でもって考えていけばよろしいかと、また産業廃棄物につきましては、現在具体的に計画を持っておりますのは八府県でございまして、これらについて、いまもう少し具体的に私どもいろいろの資料を詰めろということを申しておるところもございますが、おおむねそろっておりますので、これらについていま事業量を積み重ねておるというところでございます。
  46. 古川雅司

    古川(雅)委員 これは当然年次計画の作成準備という段階に入ると思いますが、ここでいわゆる新社会発展計画との関連性、その点が一つ気になるわけでございますが、これはいかがでございましょう。
  47. 浦田純一

    ○浦田政府委員 新経済社会発展計画の中におきまして、廃棄物の処理の投資額が一応きめられておるわけでございます。その金額は現在三千百五十億円というふうに記憶しております。  ところで、今度新しく五カ年計画をつくるということになりますと、このワク内でおさまるかどうかという問題が現実に確かにございます。現在のところ、私どもはまだ最終的な数字を得ておりませんけれども、経済発展計画の中におきまする一つの予備費的なものもございますし、最終的にはさらにその予備費との関連も考慮しながら、この発展計画の中におさまるのではなかろうかというふうに考えておりますが、なお一部新しくこの発展計画の手直しの作業も進められているというふうにも聞いておりますので、最終的に五カ年計画投資額が決定する段階までに、それらのことを考慮しながら破綻のないように結論を得てまいりたいと考えております。
  48. 古川雅司

    古川(雅)委員 大蔵省から渡部主計官においでをいただいておりますので、この点ひとつお伺いをしておきたいのでありますが、この新社会発展計画というのはいつ制定されたものであるか。これは御存じであると思いますが、その制定された段階と今日と、この廃棄物処理に対する情勢は全く同じであるとお考えであるかどうか。先ほど厚生省にお伺いをしてまいったわけでございますが、この廃棄物の処理に対する新たな計画の作成との関連において、いま局長の御答弁の中では手直しも考慮しているという御答弁がございましたけれども、この発展計画のほうの三千百五十億円に拘束されないで新しい年次計画の遂行ができるものかどうか、その点からまずお伺いしてまいりたいと思います。
  49. 渡部周治

    渡部説明員 お答え申し上げます。  廃棄物の処理五カ年計画につきましては、厚生省のほうから四十七年度の予算要求に関連いたしまして、従来の第二次五カ年計画を拡大改定をいたします新しい第三次五カ年計画要求が出てまいっております。この点につきましては、現在われわれ四十七年度予算の査定との関連におきまして、その内容を検討しておる段階でございますので、いまだ確定的な方向なり、あるいは最終的な規模といったものの数字を持ち合わせておりません。  ところで、お尋ねの新経済発展計画との関連でございますが、これにつきましては、これが五十年度までのいわば政府の長期的な見通しを立てた計画でございますので、基本的にはもちろんそれを基準として考えていかなくてはならないと思います。しかしながら、その後の目まぐるしい経済情勢の変化に応じまして、そのときどきの情勢に応じた弾力的取り扱いもしなければならないと思うところでございます。この点につきましては、先ほどの三千百五十億のワクに縛られるかどうかというお尋ねにつきましては、まだ最終の数字が出ておりませんので、結果がどうなるかというお答えはできませんけれども、原則論で申し上げますならば、それは基準になりますが、もちろんその後の情勢を見ながら弾力的な取り扱いをしなくちゃならないであろうというような感じでおります。
  50. 古川雅司

    古川(雅)委員 時間の関係で、残念ながら先に進ましていただきますが、この施設の改善なり新増設の問題は、これは地方自治体だけに責任のあることではないと考えるわけでございますけれども、いわゆるこの建設費用に対しまして国庫補助がなされているわけでございます。これは法令ではどのように規定をされておりますか。
  51. 浦田純一

    ○浦田政府委員 国庫補助率につきましては、今回の法並びに政省令の制定に伴いまして、屎尿の処理施設につきましては、一般の場合は三分の一以内、それからごみ処理施設につきましては四分の一以内、従来実態的には予算補助でございましたのを、今回ははっきりと法に根拠を置きまして、補助規定を設けて補助率を定めてあるということでございます。
  52. 古川雅司

    古川(雅)委員 主計官、この点は御存じでありますか。
  53. 渡部周治

    渡部説明員 存じております。
  54. 古川雅司

    古川(雅)委員 同じく主計官にお尋ねいたしますが、実質的には従来この国庫補助はどの程度なされてきたか、お答えをいただきたいと思います。
  55. 渡部周治

    渡部説明員 お答え申し上げます。  実質補助率というものの見方でございますが、一応総事業費に対します補助額の割合で見ますと、これは総事業費のうち、補助対象額をどう見るかという見方はいろいろございますけれども、一応総体の総事業費で見ますならば、おおむね六%程度ではなかったか、こう思います。
  56. 古川雅司

    古川(雅)委員 政令では四分の一、いわゆる二五%以内と定めながら、実質は六%という現状について、私は納得がいかないのでございますが、これはこのままでもよろしいものかどうか。何のために定めた政令なのであるか、今後これはどういう方向になっていくのか、ひとつお教えをいただきたいと思います。
  57. 渡部周治

    渡部説明員 先ほど申し上げましたのは従来の数字でございます。先ほど局長の御答弁にもございましたように、従来は予算補助であったわけでございますが、今回新しい法律の制定に伴いまして、それに基づく政令ではっきり四分の一以内というあれが出たわけでございます。われわれといたしましては、この補助率につきましても、こういう新しい法律が出、それに伴う政令整備もなされましたので、これにつきましても改善をしていきたい、かように考えております。
  58. 古川雅司

    古川(雅)委員 この一般廃棄物についての二五%の国庫補助率が妥当であるかどうかという議論は別といたしましても、少なくともそこに近づける努力をするのだ、従来とは全く姿勢を変えて、その政令どおりに二五%に近づけますというふうに受け取ってよろしゅうございますか。——了解しました。  こうした施設をふやし、あるいはごみの焼却率をアップしなければならないという問題と同時に、こうした計画の推進を大きくいまはばむものに、いわゆる住民の反対運動がございます。清掃工場の建設に対しましては、各地にこうした住民運動が起こっているわけでありますが、これがともすると、いわゆるこうした廃棄物処理対策に対して、ビジョンを持たないままに問題の解決をおくらせているという非難が起こってくるわけでありますが、現在、これまで国の予算が、国庫補助がきまりながら、住民の反対で建設が中止され、あるいは延期されたままになっているのは、大体何カ所ぐらいございますか。
  59. 浦田純一

    ○浦田政府委員 さだかに数字を記憶しておりませんが、従来の屎尿処理施設あるいはごみ処理施設の建設につきましては、かなりの個所でもって住民の反対がありまして、なかなか思うように工事が進まないといった例はございます。しかしながら、終局的には市町村側と住民側との間の合意に達しまして、住民側の了解も得られまして、実際に工事が行なわれず中止してしまったという例はわずかしかございません。現在はっきりと覚えておりますのは数例であると思います。
  60. 古川雅司

    古川(雅)委員 はっきりした数をお示しいただけなかったわけでございますが、こうした住民の反対運動が起こるというのは一体なぜなのかという、その厚生省当局のとらえ方もひとつお伺いしておきたいと思いますし、なおかつ、またそれに対する対処のしかた、ただ口先だけの説得で問題の解決を強引に済ましてきているということにちょっと疑問を感ずるわけであります。  ここに、一例をあげたいわけでございますが、広島県の高田郡で、すでに御報告は受けておられるかと思いますが、清掃工場の建設、屎尿処理場とごみの焼却場と両方ありますが、この建設に対して地元から反対が起こりまして、いわゆる訴訟問題になりまして、地方裁のことしの五月二十日の判決では、いわゆる生存権、環境権の保障という立場で町側が敗訴をいたしております。住民側が勝訴をいたしております。この訴訟問題につきましては全国的に非常に注目をされておりまして、こうした空気が全国に広がってまいりますと、先ほどお答えをいただきました施設の建設整備に対する計画に大きな支障となりはしないかという懸念が一つあるわけでございます。この点についての御見解はいかがでございましょう。
  61. 浦田純一

    ○浦田政府委員 御指摘のように、広島では屎尿処理施設及びごみ処理施設の建設につきまして反対が起こっておる、さらに、裁判所のほうに仮処分の申請をしておって負けた、町側が敗訴したという事実は承知いたしております。  全般的に申しまして、私どもはやはりごみ処理あるいは屎尿処理施設等の衛生施設につきましては、長期的な見通しを持って、たとえば用地の獲得につきましても、長期的な見通しを持って事前に早く手を打っていくといったようなことが、一番重要じゃないかとは思っております。現に川崎市あるいは北九州の八幡地区あたりでは、すでに戦後間もなく、それらの用地の点まで含めまして長期計画でもって進めておるというところでは、ほとんど地元住民との間のトラブルは起こらないようでございます。それが私は一番肝心であると思います。  また、第二点といたしましては、やはり住民の方々の反対には、従来の処理施設が確かに、必ずしも住民の方が御指摘しているように、いろいろないわゆる公害というものから無縁ではなかった。場合によりましては、維持管理の不適切さも伴いまして、近所の住民の方に非常に御迷惑をかけておったという事実もいなめないところでございます。しかしながら、これらにつきましては、実は私は、いずれも現代の進んだ衛生工学の技術をもってすれば金で解決がつく問題であるというふうに考えております。したがいまして、十分にそれらの点を町側が考慮し、さらにはそれらに対する財政援助につきましても、十分に単価の引き上げ等その他でもって、それらが受け入れられるように対処していくという方向をとるべきじゃなかろうかと考えまして、来年度の予算要求にはそれらの点も含めて大蔵省のほうに要求中でございます。  それから、いま御指摘の広島の件でございますけれども、これを私どもは実はしさいに検討いたしますと、原告側の証人のあげておりますいろいろな環境汚染に関する数値その他については、どうも重大な誤りがあるようでございます。私どもは、そういった点から非常に残念なことだと思っております。したがいまして、事実をもう少し明らかにするように、それらの誤解に基づく判決であるならば、私どもはやはり控訴して事実を明らかにする必要があるのじゃなかろうかというふうに考えております。  しかしながら、このような施設の建設が、たとえば最終的には土地の収用法とかそういったようなことの対象にはなっておりますけれども、私どもといたしましては、あくまでも地元住民の方にその辺のところをよく御納得いただく、また御納得の得られるような設備、高度な設備と、また十分な維持管理というものをはっきりとさせる、それを厳守させるといった方向で、あくまで話し合いで解決するべきであるというふうに考えております。
  62. 古川雅司

    古川(雅)委員 このごみ焼却施設の技術的な改善、焼却率の向上、公害防止のための施設の完備ということは当然でありますし、また運搬途上の問題も、これは周辺住民から大きな苦情の種になっているわけでございます。いずれにいたしましても、これは地方自治体だけに責任を預けておくべき問題ではないと思うわけでありますが、ことにこれまでこうした住民との摩擦が起こってきた、これは一に口先だけの説得にこれまで終わってきたということが言えるのじゃないかと私は思います。もちろん、自治体に対し誠実な対話を求めるということも、これは当然必要でありましょうけれども、さらにその上に、これは国としてそうした施設をつくる場合、その周辺に公園をつくるとか、あるいは体育館をつくるとか、あるいはプールを建設するとか、そういった利益を与えてあげなければならない。そこまで地方自治体にまかせておくべきであるかどうか、この辺に私非常に疑問を持つわけでありますが、政務次官、この点について端的にどうお考えでございましょうか。
  63. 登坂重次郎

    登坂政府委員 今後ごみ処理の問題は地方中央を通じて重大な問題だ、厚生省としても、環境整備という観点からぜひともこのごみ処理を解決しなければならない、こう思っておるのでありますが、   〔委員長退席、伊東委員長代理着席〕 いかんせん、地域の情勢にもよりますし、地域の地理的な条件もありましょうし、一般には言えませんけれども、国としてなし得ること、いわゆる化学処理のできるもの、あるいは今後補助金で済むものか、あるいは広域行政上から考えるべきものか、そういうケースを真剣に考えて、今後の環境整備という問題を掲げて、真剣に取り組みたい、前向きに善処したい、こう思っております。
  64. 古川雅司

    古川(雅)委員 掘り下げてお伺いできないのは残念でありますが、あと十二分少々でございますので、ここで私は、プラスチックの廃棄物にさらに問題点をしぼりまして、若干お伺いしてまいりたいと思います。概括的にお伺いいたしますけれども、いま厚生省としてはプラスチックの容器等についてはメーカーに回収を義務づけております。これに対して、これはむだではないか、義務づけるならば他の食品、あるいは化粧品、洗剤の容器、包装用のフィルム、そういったもの全般にまで回収を義務づけるべきである。さらに、そうなればこれは実際問題として回収は不可能である。したがって、回収を義務づけること自体、これは基本的な姿勢としてもう撤回すべきではないか、こうした議論があるわけでございますが、これに対してどういう見解をお持ちであるか。そういう問題、そういう立場をとりますと、次に問題が出てくるわけでありまして、いわゆる各家庭に協力を求めて分別排出を望まなきゃならない。各家庭の皆さんがこれにはたして応じてくれるかどうか、またその収集業者あるいは地方自治体がこの分別収集に対して、費用の面あるいは作業面で今日台所のいわゆる厨芥ごみ、不燃ごみ、粗大ごみと分別して収集しているのに、さらにそれに加えてプラ廃の分別をすることに応じられるかどうか。加えてそうしたプラ廃の再生利用の開発、まとめてお伺いをしてしまいましたが、こういうことがいま大きな社会問題として取り上げられているわけでございます。どうも厚生省にいたしましても、きょうは通産省にもおいでをいただいておりますが、私どものマスコミを通した範囲で知る限りでは、まだデータの洗い直しをするのが精一ぱいだということで、この問題の解決を非常におくらせているんじゃないかという感じがするわけでございますが、この点はいかがでございましょう。
  65. 浦田純一

    ○浦田政府委員 プラスチックの全般の問題に関連いたしまして、ことしの五月に牛乳容器あるいは乳飲料の容器のプラスチック化ということにつきまして特別の条件をつけまして、つまり回収を義務づけまして大臣の承認を与えたわけでございます。御指摘のように確かにほかにプラスチックの容器類はたくさん野放しでもって使用され、さらに廃棄されております。またその他容器に限らずプラスチック類はずいぶん日常生活にも多用されておりまして、それらがいずれも最終的には廃棄物となって出てきておりまして、現に市町村の清掃事業の中でもっていろいろと処分されておるという実情であろうと思います。したがいまして、牛乳あるいは乳飲料容器のみについてこのような回収義務を課するということは片手落ちではないかという御指摘でございますが、これらの措置をとりました背景について簡単に御説明したいと思います。  御承知のようにプラスチックの廃棄物が一般ごみの中に占めまする比率というものは、この数年間で非常にふえてきております。今年度の推測では重量比でもって約一〇%のプラスチックが全国的平均でもって一般廃棄物の中に含まれておるということでございます。しかし、このようにふえてまいりますと、現在のおくれております焼却施設の能力というものに非常に悪い影響を与えるという面がございます。一つは焼却した場合に酸性のガスを発生して炉を痛める。それから一つは非常に高温で燃えますので、それがまた炉を痛める、あるいはさらに大気汚染の原因になるといったようなことで悪影響がございます。そのために焼却施設のいわゆるオーバーホールの期間が極端に短縮されてきております。したがって、これらが現在でもかなりオーバーロードになっております。都市の清掃行政もいわば破綻するといったような状況に差しかかってきておるといっても過言でないといった状況があるわけでございます。したがいましてとりあえず、幸か不幸か厚生大臣の承認にかかります乳飲料あるいは牛乳の容器につきまして業者の回収の御協力をお願いする。これは当時はあくまでも行政指導でございます。強力な行政指導ということでもって業者の御協力をお願いするという形でもってスタートしたわけでございます。したがいまして、当然これに伴いましてプラスチック全体の対策をどうしようかという続編がなくてはならないわけでございますが、これらにつきましては、現在関係の団体あるいは関係の官庁とも連絡、御相談いたしまして、近くプラスチック全体に対する対策の考え方というものを明らかにいたしたいと思っております。また、市町村側のそのような設備のおくれに対しますることも私ども十分承知しておりますので、来年度の予算要求におきましてはこれらを含めましてプラスチックの現在の混有率も受けとめられるだけの十分な設備機能というものを与えていくようにいたしたいと考えております。しかしながら、御承知のように設備が実際に完成しますには若干の年月を要します。したがいまして、それらに至るまでの間、やはり現在のプラスチックに対する対策というものはゆるめるわけにはいかない。まことにパイオニアとして、私は牛乳メーカーの方あるいは乳酸飲料のメーカーの方は御苦労だと思いますが、その体制はまだ当分ゆるめるわけにはいかないのじゃないか。さらにほかにも手を広げて御協力をお願いするという方向検討を進めていくべきでなかろうかと考えております。
  66. 古川雅司

    古川(雅)委員 残り四分少々でございますので、これ以上お伺いできないのは残念でございますけれども、いずれにいたしましても、プラスチック廃棄物に対する処理の抜本的な対策が立たない現段階において、この乳製品の容器についてだけ全面回収を強行するということには少し疑問を残しているところでございます。しかもこれが全面回収できたといたしましても、全体の一ないし二%にすぎないというようなデータも私ども聞いておりまして、この点は今後の問題として、プラ廃全体の問題として今後またお伺いしていきたいと思いますので、一応留保しておきたいと思います。  本日、せっかく通産省のほうからおいでいただいておりますので、最後に一間だけお尋ねをして私の質問を終わらせていただきますが、いわゆる廃棄物の処理、ごみ処理の問題は、焼却率、処理率を高めると同時に、いわれておりますことは、もう一つはごみを出さぬように、出すごみを減らすというその必要が呼ばれているわけでございます。最近、一部でございますが、いわゆる市民の中からこうした過大包装に対する批判が起こってまいりました。いわゆるノー包装運動というのが起こってまいりましたけれども、確かにこの点は一つ大きな問題になると思うのでありますが、担当の通産省当局としてはこうした過剰包装、過大包装あるいは市民のノー包装運動に対してただ手をこまねいて見ていかれるのか、あるいは行政府として何らかこれに対して手を打つのか、対処するのか、その辺の姿勢を、基本的でけっこうでございますので伺わせていただきたいと思います。
  67. 小幡八郎

    ○小幡説明員 包装の機能は御承知のとおり、大別いたしまして内容品の保護、輸送、保管、荷扱いの効率化、内容表示による販売の促進という三つの機能がございます。通産省といたしましては、これらの包装機能を適切に発揮できる形態としての適正包装が望ましいと考えまして、そのために日本工業標準規格に包装資材を指定いたしましてその適正化をはかってまいりました。また包装技術の改善、向上を推進するために、毎年全国の主要都市におきまして、包装展覧会及び包装技術講習会を開催して指導に当たっております。またただいま先生御指摘の過大包装の排除につきましては、本年当省に設けられました消費者問題懇談会を通じて消費者の声を聞きまして、業界を指導してまいりたいというように考えております。  さらに、ノー包装問題につきましては、これはやはり個々の内容物の種類に応じまして考えなければならない問題だと思いますので、荷主あるいは輸送業者、販売業者等の意見を勘案しながら検討してまいりたいと考えております。  なお、プラスチックといたしまして、包装に多く使われるスチレンホームにつきましては、これは業界が学識経験者、ユーザー、消費者等の意見を聞きまして、適正包装に関する指導書を作成してこれの普及をはかりたいということで、ただいま準備を進めておる次第でございます。
  68. 古川雅司

    古川(雅)委員 終わります。
  69. 伊東正義

    ○伊東委員長代理 ちょっと速記をとめてください。   〔速記中止〕
  70. 伊東正義

    ○伊東委員長代理 速記を始めてください。  次に、田邊誠君。
  71. 田邊誠

    ○田邊委員 医療費値上げ問題を審議をいたしておりまする中医協は、具体的に医療担当者側あるいは支払い者側からそれぞれ意見が開陳をされた段階で、いよいよ最終的なまとめに入っておると聞いておるのであります。その状況の中で、一昨日、医師会側委員から新しい要求が出たことによりまして、その審議が中断をされるという事態も起こりましたけれども、しかし大筋としては十二月一日実施をもくろんで、この医療費値上げ問題についての一つ結論を出すやに聞いておるわけでありまするけれども、厚生省のほうで把握をいたしておりまするところのこの医療費問題に対する中医協の審議の状態と、それの結論が出ました際におけるところの実施の時期について、おわかりの範囲で端的にお答えいただきたいと思います。
  72. 戸澤政方

    ○戸澤政府委員 中医協は八月以来、医療費問題につきまして熱心に審議を続けておられますが、その間においていろいろ起伏がございますけれども、何とか早期に結論を得たいというもくろみでいま最終的な詰めに入っておるような状況でございます。しかしまだ内容につきましては、診療側の要求と支払い側の意見との間にかなりの格差がありますために、今後どのような結論になるか、またそのまとまる時期等につきましても、まだいまのところ推測が立ちにくいというような状況でございます。
  73. 田邊誠

    ○田邊委員 そこで、まだ予測はできない段階でありまするから、いまの状況の中でにわかに医療費値上げ問題の結果について論ずることは早計かと思いまするけれども、いわゆる負担をする側の支払い者側もすでに平均一〇%の値上げを認める、こういう状態でありまするから、何らかの値上げがあるだろうことは、これは私は予測できると思うのであります。そういう状態の中で、十二月実施ということをいわれておりまする以上は、当然この医療費値上げを予測しながら今後に対処してまいることが必要であると思うのでありまするけれども、ここ数年間、慢性的になってまいりました健康保険、特に政管健保の財政の赤字、これを一体どのように解決をし、どのようにこれに対するところの対策を講ずるがということは、私は焦眉の急のことではないかと思うのであります。  この政管健保の財政の状態については、さきに厚生省から数字の提示がございました。きょうは時間がございませんから、私はこれについてこまかく問いただすことは避けたいと思いまするけれども、しかし厚生省考えておりまするところの状態から見ましても、かなりの赤字がかさんでくることは、これまた予測にかたくないのであります。ひとつ概括的に、医療費値上げがどの程度かということがわかりませんから、それによって起こるところの状況の変化について、にわかには出しづらいとは思いまするけれども、たとえばいま支払い者側が意見として述べておる医療費値上げ平均一〇%、もちろん薬価の引き下げの問題がありまするから、われわれとしてはこれを差っ引く勘定にしなければなりませんけれども、しかしそれらを含めて医療費値上げが一応実質的に一〇%ということをかりに仮定をいたしました場合に、一体どのくらいな赤字が四十六年度の末にかさむのであるか。それからまた、今後この状態というものが続いていきまするならば、われわれは通常国会における抜本改正の問題その他をにらんでみなければなりませんけれども、しかしこのまま推移いたしますならば、四十七年度において、これまたもちろん診療報酬の問題やら、あるいはまた赤字の累積によるところの利子の支払い等、実は計算上はいろいろとむずかしい複雑な要素がありまするけれども、ごく簡単でけっこうでございまするから、内訳については私もいささか存じておるつもりでありますので、一体この状態はどういうふうになるのかということについて、結論だけ御説明いただきたいと思います。
  74. 穴山徳夫

    ○穴山政府委員 お答えさしていただきます。  四十六年度におきましては、かりに一〇%引き上げになるということになりますと、一カ月五十億の支出増になると思われます。したがって年度内に実施が三カ月であれば百五十億、二カ月であれば百億の支出がふえるという見込みになるわけでございます。それから四十七年度におきましては、ただいま先生がおっしゃいましたとおり、まだ四十七年度の正確な推計ができないわけでございますが、大体ごく大ざっぱに見積もりまして、かりに一〇%引き上げた場合には年間七百億くらいの支出の増になるというように考えております。
  75. 田邊誠

    ○田邊委員 したがって四十六年度の末における状態というものは、国庫補助の導入のやり方にもよりまするし、それから給付費が保険医総辞退等によってどのくらい減少したかという問題もありまするし、あるいはまたインフルエンザ等の不測の状態がもしこないことによって浮くところの予備費の使用等もいろいろありましょうし、今後流動的な要素はありまするけれども、いま申し上げたように、そういったものを一応れれわれが単純に計算をいたしまして、それから赤字の増加する要因としての医療費値上げ診療報酬の伸び率の低下あるいはまた不況等によるところの収納率の低下、疾病の急増、支払い利子等の要因を差し引き勘定いたしてみますると、いま一〇%の医療費値上げを予測したという段階では、四十六年度末に大体二千四百億くらいの政管健保における財政の赤字が累積をする。これまたそのまま推移いたしまするならば、四十七年度において、いま医療保険部長の話のあった年間七百億の医療費値上げを含めて、単年度の赤字等も予測しまするならば、約三千七、八百億の赤字が四十七年度には予測できるんじゃないか、こういうように実はいわれているわけでありまするけれども、こういったことについての数字はいろいろ見方もありますから、端的にはいえませんが、少なくとも四十六年度末において二千数百億、四十七年度において約四千億になんなんとするところの赤字が予測される、こういう状態ではないかと思うのであります。  実は、私がこの質問をいたしてまいりますると、厚生大臣が、いやそれだからこそ実は先国会において赤字対策のための健保法の改正を提案したけれども、これが廃案になった、責任は君らにもその一端があるというような答弁がはね返ってくるかもしれません。しかし私は、これについてはくどいように申し上げているとおり、まずもって、この赤字対策に対する国の責任をやはり明らかにしてないという姿勢に問題があるだろうと思うんです。赤字がかさんできた、したがって国民もひとつこの負担増にたえてもらいたい、国民のいわば犠牲においてこれを切り抜けようとするところのいままでの政府の姿勢、これを根本から改めなければ、私は慢性化しつつあるところの赤字の累積に対してこれを解消することはでき得ない、こういうふうに思っておるわけでございますけれども、具体的な方策については時間の許す範囲でもって逐次お伺いいたします。  実は、国民皆保険下において、しかも公害や交通事故や多発化するところのいろいろな社会的な要因、とういったものも考えたときに、私は国のこの医療に対するところの責任の度合いは、増加こそすれ決して少ないものではないというふうに思っておるわけでありまするから、この赤字対策に取り組むためのまず国の姿勢として、いま言ったように責任のさらに増加を認識をする中でもって、国費の大幅導入等を断行することが必要であるというふうに思うのであります。私は八月の三日における社労委員会において、たしか厚生大臣にこの点に言及した質問をいたしまして、大臣からもその用意あり、こういう御答弁があったのでありまするけれども、いよいよ来年度の予算編成もあり、そしてまた医療費値上げも目前に迫りつつあるという段階で、この医療の赤字対策、財政対策に対して国の姿勢というものを国民の前に明らかにする必要がある、こういうように思いますので、その観点でひとつ大臣のお考え方をお聞きをいたしたいと思います。
  76. 斎藤昇

    ○斎藤国務大臣 田邊委員の、赤字の出てきたことには国も責任があるじゃないか、その要因はもちろん疾病の増加ということもあるが、その疾病の増加の中には、交通対策であるとかあるいは公害であるとかいろいろそういったような点は、ただこれを被保険者なり保険料負担者にだけ押しつけて、そしてその保険料の値上げでやるということはおかしいので、そういった社会的条件の変化によって医療費が増してきたというような点を踏まえて、国は責任をこの赤字についてある程度は負うべきじゃないかという御意見は、私も同感でございます。したがいまして、先般審議未了になりました法案の中におきましても、国庫負担をある程度いたす。それから医療費の増加の中には、そうでない、やはり被保険者負担をしていただく分もあるからという意味で、保険料率の点にも触れておりますが、国庫負担を増すという点につきましては、ただいまおっしゃいましたような意味を踏まえていたしておるわけでありまして、このことは私は次の改正の場合においてもやはりそういった立場をとりながら改正案に臨みたいと、かように思っております。
  77. 田邊誠

    ○田邊委員 一応大臣の心がまえは私もわかるのでありますけれども、私は実はきょうの機会には時間が許さないと思いまするから言及いたしませんけれども、現在の日本の医療保険の現状から見て、いろいろな改むべき点はあると思うのです。これは社会保障制度審議会なり社会保険審議会も答申の中で言っておりまするけれども、私もたとえばいまの出来高払いの問題にいたしましても、今後一体、この公費負担医療の増加との関係もございまするから、このままでいいのかどうかという異論は当然あると思うのです。いわば浪費といわれる問題は、私は今後検討しなければならぬ問題があると思います。ただ単に乱診乱療の問題や不正請求ということだけに限らず、私は基本的にいまの診療報酬の問題について検討すべきであるというふうに思っているのでありまするけれども、しかしそのことを論ずる前に、いま私が申し上げたように、ただ単に医療費がかさんできた、国民がやはり医者にかかるのだから国民の負担の増加もやむを得ないじゃないかという、とのことだけが何か先行する形で、またしたがって相対的に企業も責任を負いましょう、国も責任を負いましょうという三者三泣きのようなそういう形だけでは、私は国民の了解を求めることはなかなか困難である、こういうふうに思っておるのです。結果的にそういったことがやむを得ざる措置としてあったにいたしましても、まずやはり国が負うべき責任というものに対して、この際ひとつ従前のような考え方からさらに抜け出したものが必要であるという観点で、実はいま質問をいたしたのでありまして、さきの国会でもって定率の国庫補助についての改正案が出たことは重々承知をいたしておりますけれども、あの程度のことでは私はやはり国の責任を全うしたとは言いがたいと思うのです。すでに三年前において二百二十五億円を国が補助したときに、総医療費の中に占める国の補助率というものは五%を上回っておった、こういういわば実績もあるわけであります。したがって、定額二百二十五億円をここ両三年変えていない、この考え方自身が大きな誤りであると思いますから、いま定額を定率に直したというだけでもってこと足れりという考え方があるとすれば、私はこれは大いにその不足を嘆かざるを得ないというふうに思うわけでありますから、今年のいわばそういった廃案になったあの改正案のような立場だけに根底を置くのではなくて、さらに一歩も二歩も進んだ形における国の責任を私はこの次は明らかにしなければいかぬ、これが前提である、こういうふうに私は考え質問をしておるのですけれども、もう一度大臣お答えいただけませんか。
  78. 斎藤昇

    ○斎藤国務大臣 ただいま田邊委員のおっしゃることが前提であるとおっしゃいましたが、私は重要な要素である、かように考えます。田邊委員の御意見は同感でございます。したがいまして、他のいろいろな要素もかみ合わせながら、しかし国の責任も考えまして、あるいは公費負担にするもの、あるいはまた診療費に対する補助という点も、いままでの、おっしゃいましたような点を踏まえて考えてまいりたい、かように思います。
  79. 田邊誠

    ○田邊委員 そこで、私が八月の委員会質問をいたしまして、何といってもやはり、国がいままでみずからの姿勢を明確にしながら国民のコンセンサスを求めるという立場をとらなかったことが、私はここまで医療費の赤字の累積を生んだ重大な一つの原因である、こういう指摘をいたしてきておるわけですが、この国会は沖繩国会でございまするから、当然沖繩の問題が、いま国家的な問題としてこれと取り組むという、こういう国会でございまして、それ以外のいろいろな問題について各般にわたっての審議はでき得ないと思うのでありまするけれども、しかしいま言った医療費の問題等の重大な危機もございまするから、必ずしも法案のあるなしにかかわらず、これにわれわれとしては対処しなければならない時期が刻々迫りつつあるとは思っておるわけであります。  そういった観点でものを見たときに、やはり政府も便々として日を送ることなく、まずもってこの赤字問題について一体どういう考え方で、どういう対策を講じようとするのかということを、私は逐一腹を固めなければならぬところに来ておるのではないかと思うのです。といって、八月にも大臣が私の質問に答弁いたしましたとおり、さきの国会でいわくづきとして実は廃案になりました健保法のような、ああいういわば悪法を再び出すというようなことはもちろんでき得ないというように私は思っておるわけでございまして、大臣も臨時国会に、廃案になったものをそのまま出すようなことはないという御答弁があったのでありますけれども、いま私が申し上げたようなこの状態に照らしてみて、政府はこの赤字対策に対してどういう新しい対策とどういう布石を打とうとされておるのか、大臣、端的なお答えをいただく中で、今後の審議の展開をしていきたいと思いますのでお伺いいたします。
  80. 斎藤昇

    ○斎藤国務大臣 健保、ことに政管健保の赤字についてたいへん御心配をいただいて感謝をいたします。全くおっしゃるとおり、このままで放置をいたしておりますと政管健保が破綻をするという状況にあるわけでございますので、もし願わくばこの国会におきましても、赤字だけは何とかするということについて御審議が願えるという状況になれば非常にありがたいと思っておるわけでありますが、しかしながら、抜本改正の姿を見ないでどうだという御意見もあろうかと思って、いま控えているわけでございますけれども、それらの点について大体の合意が得られるということであれば、少なくともこの急場をしのぐという点だけにしぼって合意が願えないものだろうかというので、いろいろ内々に御意見を伺っているというのが今日の状態でございます。
  81. 田邊誠

    ○田邊委員 きわめて朝令暮改の考え方だと私は思うのですね。この医療費の問題がいま直接的に話題になってまいりましたのは、何といいましても、去る保険医の総辞退による医師会の動き等もあったのであります。それらの問題の処理と、今後の医療保険なり医療制度の問題についてどう対処するかということについて、われわれは機会あるごとに政府にその考え方をただしてまいったのでありますけれども、いままでは両審議会からの答申がないままに、政府考え方を明らかにすることができなかった、こういうことでもっていままで便々として日が過ごされてきたわけであります。しかもいよいよ医療費値上げが目前に迫ったという事態の中で、この赤字克服の問題に対して、政府は何とかそれに対するところの便法を講ぜなければいかぬ、こういう態度に変わってきた。私は、大臣の真意は別といたしまして、そういういままでの投げやり的なその日暮らしの行政というものがどれほどのこの問題を深刻にしているかということに対して、痛烈な批判をしなければならないというように思っておるのでありまして、そういった点から見て、いまの大臣の発言は、その衷情はわかりますけれども、きわめて政府の一貫性のない考え方を暴露したものではないかというように思って遺憾に思うのであります。  赤字対策はもちろん、いま私が申し上げてきたような観点から見ても必要であります。しかし、それにはいろいろな要素があると思うのです。これも私はこの委員会を通じてたびたび意見を吐いてまいったのでありますから、多くを申し上げることを避けたいと思います。いずれ機会を見てまた論及することがあると思いますけれども、しかし二つあると思いますね。  一つは、現状の法律、現状の制度、現状のいわば行政の中でもやれることを、ほんとうに厚生省は腹を据えて、その是正に向かってやってきているのかどうか、これが一つだと思うのです。これに対する国民の疑惑を解く行政努力というものをほんとうにやってきておれば、まず第一の条件は満たされると思うのです。  それからもう一つは、いままで長年にわたって生んできたところの政治不信——赤字対策だけじゃないか、それ以外のいわば医療改善の問題に対して、政府がほんとうに真剣に取り組んでその具体的なものをはっきりするのかどうか、こういうところに対する不信、このぬぐい去ることのできない不信ですね。いま大臣も端的に言われたけれども、いわば食い逃げをされるのではないか、赤字だけは埋めてくれ埋めてくれと言うけれども、給付の改善その他万般にわたるところの改善の方法、これはもちろん抜本改正といわれるものの中に当然含まれてくるものだと思いますけれども、そういったことについては二の次にして、あわよくばこれらはまああまりやりたくないけれども、世論がここまできていることだし、審議会の答申もあるし、医師会との約束もあり、いろいろな要素があるから、やむなく取り組むのだ、こういういわば姿勢。したがって、赤字対策をひとつお願いしますと言いまするけれども、これが済めばまあそのあとの問題については気長くやりましょうというような考え方があるのではないかという、この国民の不信感、これが払拭できなければ、私はこの赤字対策を、ほんとうにわれわれ自身も耳を傾けて取り組むことはなかなか至難ではないかというふうに思うのです。私がいま申し上げてきたことでおわかりのとおり、赤字対策は、なに赤字が出たか、医療費値上げになったか、そいつは国がもっとこれに対して負担をすればいいじゃないか、ほうっておけ、というほど私は実は暴論を吐くつもりはないのです。しかし私は、申し上げたように、国の責任が第一義にあるということを言っておるのは、大臣もその意味はおわかりのことだと思うのです。ですから、そういう意味で、いま百かゼロかといったような論法ではないけれども、しかし少なくとも私がいま申し上げたような現状におけるところの是正すべき点、努力、そして抜本に向けるところのあなた方の考え方をひとつわれわれの前に提示するという、こういう一つのものが相合わさっていかなければ、私は赤字対策は、言うべくしてできないというふうに思っておるわけでありまするけれども、この点に対する考え方はどうかということをまずお聞きをいたしたいと思うのです。  その中で第一の、現状の中でもやるべき施策というものについて、私も口をすっぱくしてこれは言ってきたつもりであります。したがって、いま言った支払い方式の問題も、いろんな今後の考え方はまず別として、これは非常に重大なことであるけれども別といたしまして、やはり医療費の面におけるところの乱診乱療の問題、それから不正請求なり水増し請求の問題、この医療担当者に対してやはり迫るべきところの問題に対しては、確かに一片の通牒を出した。従前よりも監査についても厳正にするということを言った。しかし、実際そのことが改まっているのか。そうではないでしょう。だんだんそれができづらくなってきたということになれば、それならばひとつ薬価の基準以外の薬も使おうかというような武見発言も出てくる。私はそういった医療担当者の姿勢では国民は納得しないと思うのです。これらの問題に対して、まず一体どうするのか、これが第一。  それから第二は、やはりいまの診療報酬体系の中における一番の問題は、何といっても物と技術の分離の問題です。これが早急な機会にできないにいたしましても、いまの薬の問題に対して、これはわれわれとしてもどうしてもやはりさらに前進の体制をつくってもらいたい。再販制度もこれの検討の問題を公取でやっていましょう。しかし、それだけでもって私は済む問題じゃないと思うのです。あるいはまた添付薬の禁止をしたといいまするけれども、しかし、実際にこれが厳格に守られているか、監査をやったことがありますか。また、添付薬は禁止をされた、それにかわるべきところのリベートの問題は一体どうなっているか、これはほんとうに厳格に守られているかということがありますね。  それからまた、アメリカでいわば実行しつつあるところのいわゆる有害無益の医薬品に対するところの整理統合の問題、一体この作業が進んでいるのか。全部の薬に対してこれを対象にしてやるということをいわれた。五年間くらいかかるだろうといわれておる。しかし、一体そういったものに対して逐次実効をあげつつあるのかどうか。さらには薬価の問題についてもやはり必要なことは、抜き打ち検査をしても引き下げるべきものは引き下げる、こういうことがなければならないというふうに思っておるわけでありまするけれども、こういった現状において克服できるところの問題、実効をあげるべき問題に対して具体的に行政努力をどうやってきたのかということを私はお伺いしていかなければならないと思うのです。しかし、まあきょうその問題についてずっとお伺いするにはあまりにも時間がございませんから、これに対してそのポイントだけひとつ大臣なり事務当局からお話しをいただいて、あとの具体的な実行の方法なりその実績については、ひとつ私のところへ委員長を通じて文書でもってお答えいただければけっこうでありまするから、二つに分けて大体根幹に触れる問題だけお答えいただきたいというふうに思います。
  82. 斎藤昇

    ○斎藤国務大臣 お話のように厚生省医療保険行政に対する不信、これをぬぐわなければ、うまいこと言ったって食い逃げするんじゃないかという国民の感情はぬぐえない、その御批判は私は謙虚に反省をしなければならぬと思っております。したがいまして、現状の中においてでもやれることは最善を尽くしてやるようにということで、今日監査の強化にも踏み切って、現状にそういう方針でいま臨んでおりますが、その結果、数字が非常にたくさん出てきたという段階にはまだなっておらぬのが残念でございますが、保険医の総辞退問題もおさまりましたので、これを機会に、いままでよりも一そう国民の皆さんにわかるように、ひとつ結果の出るように督励をいたしておるわけでございます。  薬の問題等につきましても御指摘のとおりでありますが、とにかく今日自由主義経済のもとにおきましての薬価の問題でありますから、添付薬はやめた、値引きをやる、また値引きは厳重に監視をしても、あるいはリベートということもあるじゃないかというので、これらを考えますとなかなか薬を——それじゃ銘柄ごとに公定価格をきめて、それよりも高くも安くもいかぬ、やれば処罰をするというところまでいかないと、なかなかまいらない。しかしそのことは自由主義経済のもとにおいて適当かどうかと考えるとなかなかむずかしい、かように考えておるわけでありまして、まあ少なくとも医薬分業はできるだけ進めてまいらなければならないというので、薬剤師会にも督励をいたしまして、そうして前進の方向をとりたいと思っていろいろ作業中でございます。そういうようなわけで、現状の中ででもやれることはできるだけやりたいと思っておるのでありますけれども、何ぶんにもいまの医療保険をめぐるいろいろな諸制度がなかなかまたじゃまになる面もありまして、これらもひとつ抜本改正の際にはそういったこともやって、そして国民の信用を得たい、かように考えておりますので、したがって、赤字対策だけをやって食い逃げをするというような印象のないようにやってまいりたい。  それには抜本改正も皆さんの合意を得られるような案を早く、まあ試案でも策定をして、そして皆さま方の合意のもとにこういうものでやっていこう、さしあたってはそれじゃここまでというようにやっていただければありがたい、こういう基本的な考え方のもとでいろいろと施策を練っているというのが今日の現状でございまするので、ひとつよろしく御了承を賜わりまして、そういう意味におきましても御協力を、この機会をかりて特にお願い申し上げたいと存じます。
  83. 田邊誠

    ○田邊委員 残余の問題については、ひとつ文書をもって出してもらうように委員長から言っていただきたい。
  84. 伊東正義

    ○伊東委員長代理 御要望のありました具体的な措置については、文書で田邊委員のお手元に届けるように取り計らいます。
  85. 田邊誠

    ○田邊委員 いま大臣からお話のありましたような努力をすべきだと私は思う。それからまた、全部の成果があがらなくとも、この際という時期を考えるときに、いま私が二、三申し上げた問題を含めて、具体的に現在の行政の中でもってやれること、やったことについては、私は中間的でもいいから成果を発表すべきだと思うのです。これは国民の理解と協力を得られる一つの大きなファクターになると私は考えるから、時期的に見た場合に、ある程度緒についただけの話であってもこの際明らかにすることのほうがよりいい効果を生むのじゃないか、私はこういうように思うから、この点に対してはひとつ厚生省のそれぞれの部門でもって、時期をそろえてある程度中間報告をしてもらいたいというように思います。  それともう一つは、これは言わずもがなでありまするから特に触れませんけれども、医療の問題について特に問題になっているところの老人医療なり難病対策なり、あるいは僻地対策なり、あるいはまた給付の改善なり、これらの問題に対しては、来年度の要求の中で、今度はバナナのたたき売りみたいに——生活保護の問題もしかり、大臣が私に個人的にお話しになったとおり、いわゆる生活保護に転落する者のかなりの者が疾病による、こういうこともいわれておることを大臣自身が承知をされておるわけですから、そういった部面に対しても歯どめをかけるという意味で、この際徹底的に要求を実現する、厚生省要求は来年度予算の中で実現をする、私はそういうこともあわせてやっておかなきゃお話にならないというように思っておりますが、この御決意は当然おありだろうと思うからあえて答弁を求めません。  そこで、私の持ち時間がなくなりましたから、最後に、抜本改正抜本改正といいまするけれども、私はいま申し上げたようないろんな要素も含めながらその構想が練られなければならぬと思うのでありまして、医療保険制度あるいはまた、いわばそれをはみ出たというか、拡大した医療制度全体の問題に対してまで触れなきゃならぬことになってくるでしょう。したがって、これはただ単なる現行法の改正だけではなくて、あるいは医療基本法等の制定も必要になってくる、こういうように思っておるわけでありますが、その中身はきょうはお伺いいたしませんけれども、一体いつごろまでにこの構想なり大体のあなた方の考え方というものがまとまって、われわれなり国民の前にその概要が提示されるものか。そのことが一番最初に私が申し上げた財政問題やその他の当面する課題の解決とも重大なかかわりがあることは御案内のとおりですから、抜本改正の構想、基本的な考え方、これは一体どの辺でもってまとまるという見込みに立っていらっしゃるのか、ひとつ現状に対して大臣の端的なお答えをいただいて質問を終わりたいと思うのです。
  86. 斎藤昇

    ○斎藤国務大臣 なるべく早く構想をお目にかけるといいますか、まとめたい、かように思っておるわけでございますが、具体的に構想がなりませんと、ただこういうような方針でというようなことはたびたびいろいろ申し上げておりますが、それを具体化したものを、こんなものができたがということで皆さま方でいろいろと御議論の場にしていただくように少なくとも年内にはいたしたい、かように考えております。   〔伊東委員長代理退席、増岡委員長代理着席〕
  87. 田邊誠

    ○田邊委員 それでは質問を終わりますけれども、いま私が申し上げたようないろいろな条件というものを積み重ね、それの総合的な判断というものが、今後の医療の改革にとって非常に重要なことであるというように実は思っておるのでありまして、私どももこれに対しては十分突っ込んだ検討をする機会も持ちたいと思っておるのです。ですからその際に、医療保険制度の将来のあるべき姿についてもお伺いをいたしたいと思います。  端的に言いまして、この際大臣に忠告しておきたい。それは保険医総辞退後の収拾の問題もありまして、大臣が医療保険のいわゆる医療の一本化の問題を出されました。これには私はこれの一つの意味があると思います。しかし、それにはそれにかかわるところのいろいろな条件、いわばその前提となるべきところの問題、これらが明らかにならなければ、ただ単に一本化について御検討いただきたい、そういった大臣の発想のしかたでは私ども納得しません。ですから、そういったものもやはりいろいろと検討される中でもって、将来のあるべき姿についてもこれから先明らかにされるということを私はぜひお願いしたいと思うのでありまして、そうでありませんといろいろと誤解を生んだり、いろいろ不信を生むのです。したがって医療保険の将来のあるべき姿についても、当然供給体制の問題なり社会化の問題なり、あるいは保険料の負担割合の問題なり、年金等の他の社会保障の制度とのかかわり合いの問題なり、いろいろな問題が実はあるわけでありますから、そういったことを十分御勘案の上で大臣の発言も慎重にしていただくことを、私はこの際強く要望しておきたいと思います。  それらもひとつ含めまして、私が申し上げたような考え方で当面する財政対策なり将来の抜本なりあるいは医療制度全体に対するところの考え方を国民の前に提示される中で、ひとつ所期の成果をあげられるような状態を政府みずからの決意と勇断と努力の中でもってぜひともつくっていただくということを私は強く要望しておきたいと思います。終わります。
  88. 斎藤昇

    ○斎藤国務大臣 たいへん激励をしていただいてありがとうございます。ただいまの御意見の趣旨を激励のおことばと体しまして、これから十分……(田邊委員「批判もあるよ」と呼ぶ)御批判も謙虚に反省をいたします。どうぞよろしくお願いをいたします。
  89. 増岡博之

    ○増岡委員長代理 次に、田畑金光君。
  90. 田畑金光

    ○田畑委員 いまの質問に関連するわけでありますけれども、ことしの九月十三日に社会保障制度審議会が答申をしております。それによれば、医療保険制度の問題については地域保険と職域保険を一本化するということについてはとらない、現状の二つの制度改善する方向でいくべきだ、こういう答申を出しておるわけです。また、ことしの十月八日の集会保険審議会の答申を見ましても、医療保険制度の二本立ての問題についてはやはり現在の制度を発展させることが望ましい、こういう答申を出しております。したがいまして、大臣が地域保険に一本化するという構想は、両審議会の答申では否定されたわけでございますが、これを受けて今後厚生省政府といたしましても、当然抜本改正の内容というものは策定されるものと思いますが、端的に伺いたいことは、大臣はこの二つの制度審議会あるいは保険審議会の答申に即して、医療基本法なりあるいは健康保険法の抜本改正、こういう答申を受けておやりになる御方針であるのかどうか、まず第一にこれをお尋ねします。
  91. 斎藤昇

    ○斎藤国務大臣 両審議会の御答申はできるだけ尊重いたしてまいりたい、かように考えます。その中で医療保険の一本化の話がございましたが、私は医療保険は、これは国民皆保険の今日においては、国民全部が相互扶助の観点に立って運営せらるべきものである。したがって、保険料の公平の点においても保険給付の公平の点においても、そういう観点においてやるべきである。したがってその姿は、一本になればもちろんできるわけでありますが、しかし、いま組織を必ずしも一本にしようという意味ではなくって、そういった一元的な考え方医療保険というものが運営さるべきであり、いま直ちにこれを地域保険にまとめてしまうんだということを私は言うておるわけではございません。将来、そういった考え方でだんだんと実情に合うようにやってまいって、制度の上でもそうなればけっこうであるが、しかし組織がいろいろ分かれておっても考え方がそういった一元的な考え方のもとに立って、そうしてあるべき姿に徐々に持っていくというのが現実の姿ではなかろうか、かように考えております。両審議会におかれましても、永久にこの被用者保険とそうでない保険とは別立てでなければならぬという、それまでの強い御意見でもなさそうでございます。しかし、さしあたってはいまこの二つの、二元的といいますか、これを一つにしてしまうというのは不適当だと、かように私は両審議会の御意見を解釈をいたしているわけでございます。
  92. 田畑金光

    ○田畑委員 大臣はしばしば、この次の機会に医療基本法を提案される、こういうお話をなさっておるわけです。同時にまた、医療保険制度抜本改正もいたしたい、こういうお話です。これは二本立てでお出しになるのか、あるいは一つのものとしてその中で基本的なものあるいは抜本改正、こういうような法律の体系を予定されておるのか、いずれをおとりになるわけですか。
  93. 斎藤昇

    ○斎藤国務大臣 ただいまのところでは二本立てで、基本法は基本法として、それから医療保険の改正案は改正案として、別立てで立案をいたしたいと現在のところは考えております。
  94. 田畑金光

    ○田畑委員 そうしますと、当面の赤字については、できれば赤字財政対策のコンセンサスが得られるならばなるべく早くこの問題を処理したい、さらに、その上に立って保険制度万般の抜本的な方向を示していきたい、さらに、将来の医療のあり方を医療基本法の中でうたっていきたい、こういう構想なのかどうか。さらに、私がさっきお尋ねしたのは、大臣は一本化構想を打ち出しておられるわけです。その一本化構想というのは、いわゆる医療基本法案の中で提示されようというおつもりなのかどうか。したがって両審議会の答申については、それを受けて抜本改正の中でそれを具体化していこうというお考えであるのかどうか、このあたり考え方を聞かしていただきたいと思うんです。
  95. 斎藤昇

    ○斎藤国務大臣 お尋ねの前者については、御意見のとおりでございます。医療基本法を別立てにし、それから財政対策ができるならば財政対策だけでも切り離して、なるべく早く御審議を願いたい。抜本的な改正はさらに、同時にではありますが、十分御審議を願いたいと、かように思って今日はいるわけでございます。  それから医療基本法の中に一元的な構想を盛るのかというお尋ねでございますが、私が先ほど申しました一元的と申しますのは、これは先ほど申し上げました国民皆保険という考え方から国民全体の相互扶助ということを観点にして、そして給付もあるいは保険料も考えるべきであるという、この精神を申し上げておるのでございまして、したがって保険制度といいますか、保険の仕組みを全部一律にしてしまうかどうか、この点は、長い歴史もあり、また保険の運営の効率化という点もございますから、したがっていまおっしゃいましたように一つの仕組みにしてしまうということは、いま直ちには考えておりません。
  96. 田畑金光

    ○田畑委員 希望することは、医療基本法の内容についても、あるいはまた抜本改正の内容についても、あるいはまた当面の医療費の引き上げも行なわれるが、これに伴って保険財政が非常な危機に立たされておる、これをどうするか。このような問題等についてはできるだけひとつわれわれとも意見の交流がなされるように、また私たちの考え方も十分取り入れる雅量を持つように御努力を願いたい、こう思うわけです。  そこでもう一点答申に関連してお尋ねしたいことは、社会保険審議会の答申を見ますると、老齢者医療制度について「老人医療については公費負担により、医療の無料化を実施すべきである。」はっきりこのように指摘しておるわけです。また社会保障制度審議会の答申を見ましても「老人医療問題処理の指針」この中で、老人医療のあり方ということをはっきり打ち出しておるわけであります。社会保障制度審議会のこの答申の中を見ますると、老人医療の対象とする範囲については「過渡的に七十歳以上とすることは、その実施を早めるための措置としてやむを得ないと考えられるが、その場合でも将来六十五歳まで引き下げることは確定しておくべきである。」こういうようなはっきりとした一つの指針というものを明らかにしておるわけです。  ところで、来年度政府は、伝え聞くところによれば満七十以上の老人に対して、いわゆる自己負担の三割ないし五割については公費負担にする、こういうことを打ち出しておるわけでありますが、政府がようやく老人医療の問題について一歩踏み切るようになったのは、われわれから見るとおそ過ぎる。政府の厚生行政のおくれもはなはだしい。来年からは三十七の都道府県が、政府の手ぬるさにしびれを切らして公費負担に踏み切る、こういう状況から、ようやく重い腰を上げて、政府も来年から老人医療について一歩前進した施策を講ずることになったわけでありますが、そこでお尋ねしたいことは、厚生省医療抜本改正案の一つの柱の中に老齢医療制度というものを打ち出しておいででございますが、来年発足するこの老人医療のあり方については、そのような抜本改正の将来のあり方を展望して、とりあえず満七十以上の人々については自己負担分を公費負担にする、こういうことであると見ていいのかどうか、この点、大臣の見解を承っておきます。
  97. 斎藤昇

    ○斎藤国務大臣 老人医療につきましては、御承知のようにもう二年と少し前に、公費負担でするかあるいは老齢医療保険というようなものをつくってやるか、いずれにしてもこれは放置できない問題であるということで諮問をいたしましたことは御承知のとおりでありまして、ただ答申をいただくのにもいろいろ審議をしていただきました関係で時間的につい最近にまでなったわけでございまして、答申があろうとなかろうと、もっと早く発足すべきではなかったかという点につきましては、御意見として承らしていただきたいと存じまするが、来年度からはどちらかの方法で、少なくとも七十歳以上の方々は自己負担なしに医療にかかれるように、公費でやるかあるいは全部十割給付でいくかというのをただいまいろいろと検討中でございます。したがいまして、その検討を終わりました上で、皆さま方にひとつ御意見を伺いたい、かように考えている次第でございます。
  98. 田畑金光

    ○田畑委員 内容の問題ですが、三割ないし五割の老人の自己負担については、これを全額公費負担にする、この大前提ははっきりしておると思うのですが、この点どうなのか。  さらに、満七十歳という年齢でございますが、やはり私はいまの民間の雇用あるいは定年退職あるいは年金制度、そういうような立場から見たとき、制度審議会がはっきりいっておるように、六十五歳あたりからは当然老人医療、こういう範疇で解決するべきだ、こう思うのですが、そのような将来に対する展望などについてはどのように考えていらっしゃるのか、この点はっきりしていただきたいと思うのです。
  99. 斎藤昇

    ○斎藤国務大臣 全国民がすべて保険で十割給付ができるというあり方が望ましいのかもわかりませんが、これには一利一害もございます。そこで少なくともお年寄りの方が医療費に気がねなしに医療にかかれるということが先決であるということで、老人の医療保険をやるか、あるいは公費負担をやるかというので、少なくとも、保険がどうなろうと、公費負担でまずやろうじゃないかというので、党のほうでは一応公費負担の構想を立てられました。しかし、この際にもこれがまだ、保険でやったほうがいいかどうか、その場合にはもう一度考えようということになっているわけでございます。  七十歳を六十五歳に下げるのがいいかどうかという点につきましては、これは財政の面もございます。ただ財政の面だけでなしに、日本の現状に即して何歳が適当であるかというのは、これはいま直ちに六十五歳までを目途とすべきであるというふうにはちょっと申し上げかねる、かように思っております。
  100. 田畑金光

    ○田畑委員 大臣の答弁を聞いておるとちっとも弾力的でなくて、発展的でなくて、とにかく石橋をたたいて立っているような感じで、もう少し将来の構想などについては、大臣ともある立場の人はもっと自由に発言してもいいのじゃないかと思うのです。  まあこの程度にしまして、文部省の方がだれか見えていらっしゃるかと思うのですが、文部省に医科大学設置調査会を設けて、医者の不足対策について検討されて、この調査会の報告が文部大臣に出されておりますが、まずその骨子を簡単に御説明を願いたいと思うのです。
  101. 甲斐安夫

    ○甲斐説明員 ただいまお話しの医科大学設置調査会のことについて概略御説明を申し上げたいと存じます。  これは七月に発足いたしまして、数回にわたって検討いたしておりまして、ついせんだって医師養成の計画につきましての中間報告が出されたわけでございますが、この考え方は、先ほど来御議論になっておりますけれども、本来医師養成、医師のあり方、配置等につきましては、その適正配置あるいは基本は医療保険制度等にもからまる問題でございますけれども、やはり何と申しましてもわが国における医師の絶対数の不足という問題は何としても解決する必要があろうというのが前提でございまして、それにつきまして今後どうするかということでございますが、大体人口十万対百五十人程度に持っていくためには当面千三、四百人程度の増をはかるべきであろうということでございまして、その増の方法といたしましては、既設の整備された医科大学の定員増をはかるのをまず第一義といたしまして、さらには新設を考えていくべきであろうということでございます。なおその新設の方法といたしましては、私立大学はかつていろいろ問題もございましたが、むしろ国が積極的にその整備をはかっていくべきではないかということが提示されておりまして、そういう方向で新設を考えていくべきである、大体そういう骨子になっておるわけでございます。
  102. 田畑金光

    ○田畑委員 この調査会の報告の趣旨はいま答弁のとおりでありますが、要すれば医師の養成というものは国立・公立大学を中心に、できるだけ私学の増設は抑制する、同時にまた新しい特色としては、地域医療の充実をはかるために国や地方自治体が協力して公的な医科大学の増設、こういうことを指摘しているわけです。  そこで、実はきょうの新聞にも出ておりますが、前からの構想である——これは政府の構想であるか防衛庁の構想であるかは別にいたしまして、政府の中においては防衛医科大学を新設するこの構想が固まった、このように報じられております。これはひとつ大臣にお尋ねいたしますが、防衛医科大学構想というものは閣議などの議を経て政府方針として定まったものであるかどうか、この点まず明らかにしていただきたい。
  103. 斎藤昇

    ○斎藤国務大臣 私の承知いたしております限りではまだ閣議で決定したということはない、かように考えております。
  104. 田畑金光

    ○田畑委員 大臣にお尋ねしますが、先ほど文部省のほうから医科大学設置調査会の中間報告の内容について報告がございました。医師の不足ということは厚生行政を担当なさっておる大臣の一番切実な問題だ、また切実な関心事だ、こう思うのですが、ようやく国や自治体の協力によっていわゆる僻地医療対策を中心として考えた自治体の医大というものは、すでに栃木県で建設の途上にあるわけですが、この防衛医大について大臣としてはどのようにお考えになっておるのか、ひとつお考えを承っておきたい、こう思うのです。  あわせて、いま防衛庁から担当者がおいでになったようでありますので、防衛医大構想について、まず大臣の答弁の前に、どういうものであるのか、簡単にひとつ防衛庁のほうから御説明を願いたい、こう思うのです。簡単でけっこうです。
  105. 鈴木一男

    ○鈴木(一)政府委員 お答えいたします。  防衛医科大学校は防衛庁の付属機関として設置したいと考えております。それから教育課程は、大学設置基準によりまする医学課程に準拠するものといたしまして、進学課程二年及び専門課程四年からなっております。それから一学年の学生の定数は六十人といたしたいと考えております。学生は定員外の職員といたします。学生の処遇は、大体現在の防衛大学校の側によりまして授業料は無料、それから学生手当を支給したいと考えております。それから防衛医科大学校の卒業者に対しましては、所要の立法措置によりまして、医師国家試験の受験資格が与えられるような形で考えなければならないと考えております。それからやはり歩どまりを考えまして、卒業いたしまして少なくとも九年間はつとめていくような形で義務制を検討いたしております。それと防衛医科大学校の付属病院につきましては、付属病院のみならず施設関係一切、なるべく東京周辺の国有地を求めでまいりたい。現在の作業予定といたしましては、昭和四十八年度に開校できるような方向で作業を進めてまいりたい。概略でございますが、大体以上のようなことを考えておる次第でございます。
  106. 斎藤昇

    ○斎藤国務大臣 防衛医科大学を卒業した方は、やはり医師免許証がないと医療に従事できませんので、したがって厚生省といたしましては、大学教育の内容を備えるものであるという法的な担保があるならば、防衛庁の設置しようとする学校にも、そういった教育内容の担保ができるなら医師免許試験を受ける資格を認めていいのじゃないか、かように考えております。
  107. 田畑金光

    ○田畑委員 この問題について質問すると、いろいろな角度から質問しなくてはなりませんので、きょうはその時間もありませんからやめますが、そうしますと、防衛医科大学校を設置するためには、防衛庁設置法の一部改正、付属機関に防衛医科大学校を設ける、こういうことになるかと思いますが、そうでいいのかどうか。さらに、これは当然お医者さんということでございますので、医師法の一部改正、こういうようなことで、いま大臣のお答えの国家試験の医師免許試験の問題の改正等々が出てくると思いまするし、また運用面から申しますなら、当然臨床研修等については、まあ医師法自体が義務規定ではないのでございますけれども、当然臨床研修等の規定適用される、こう思うのでございますが、その点について、それでいいのかどうか。  さらに、これは大臣にお尋ねするわけでありますが、いろいろ防衛第四次五カ年計画等々が出ておるわけでありまするが、それはそれとしまして、今回防衛医科大学を設置されるということは、またいろいろな議論が出てくるかと思いますが、政府としてもこの方針のもとに、先ほど防衛庁の説明がありましたように、四十八年の四月あたりをめどに発足する、そういう方針で閣議決定などが近くなされるものと思いますが、それはいつごろの予定なのか、このあたりをひとつお尋ねしておきたいと思います。
  108. 斎藤昇

    ○斎藤国務大臣 いつごろ閣議決定をするか、これは防衛庁あるいは文部省等いろいろ御意見もおありでございましょうし、私のほうといたしましては、医者として診断に従事し得るものでないとつくっても用をなしませんので、したがって、医者の資格を得られるような内容を備えるものであるならば、厚生省としては医師法の改正にも応ぜざるを得ない、また応じましょうという態度でいるわけであります。しかし防衛庁自身とされて、あるいは政府全体としてそういうものをつくるかどうかということは、まだ、いつごろそんなことを閣議で問題にするかというのは、私はここで申し上げる立場にございませんので、御了承いただきたいと存じます。
  109. 田畑金光

    ○田畑委員 私は、この問題についてはむしろ文部省にもう少しお尋ねしたいわけです。学校教育法に基づく大学の設置ということではないと思うのですね。したがって、さっきの調査会の報告を見ると、あの報告の中には防衛医科大学校の問題については何一つ触れていないわけです。したがってまた、文部省としてはこの問題についてどう考えるか、これを実はお尋ねしたいわけなのです。しかし文部省の課長でこの問題について答弁しろといっても私は無理だと思うんですね。だから閣僚として佐藤内閣の政策全般の議にあずかる、しかも医療問題については最も密接な関係にある斎藤厚生大臣が、国務大臣として発言するということは、決して質問自体がむずかしい、またその立場でないと言うが、私はその立場では答えられない、そういう厚生大臣ではないと思うのです。やはり国務大臣としてこの問題についてどうお考えになっているか、こういうことですね。これは本来の意味ならば文部大臣が一番いいのだけれども、文部大臣がいないから、課長にこれを聞きたいけれども、こういう高度な政治的な判断を要する問題について課長に答えろというのは、これは無理でしょう。やはり、これは有力閣僚としての、国務大臣としての斎藤昇大臣はどうお考えになるのか、これをお尋ねしているわけです。
  110. 斎藤昇

    ○斎藤国務大臣 国務大臣といたしましては、そういった防衛医科大学といいますか、医学校といいますか、そういったものがけっこうであろう、私はかように考えます。
  111. 田畑金光

    ○田畑委員 質問を終わります。
  112. 増岡博之

    ○増岡委員長代理 次に、古寺宏君。
  113. 古寺宏

    古寺委員 この四、五年の間にリューマチ性の疾患で悩んでおられる患者さんの中から多数の自殺者が出ていらっしゃる。また今年の四月には、静岡県におきまして、重いリューマチで長年苦しんでおられたおばあさんを、その御主人が思い余って首を締めて殺したというような事件も起こっております。これは全国に七百万人をこえると思われるリューマチ性の患者さんを今日まで放置しておいた厚生省の責任であるというふうに私は考えるのでございます。  世界の情勢を見ましても、ソ連あるいはイギリス、フランス等でもこのリューマチには——アメリカもそうですが、真剣に取り組んでおります。こういうリューマチが今日まで放置されているということは非常に残念なことでございますが、今日では結核を上回る患者数である、こういうふうにいわれております。さらに、結核患者の入院率が六九%に対してリューマチはわずかに六%である、こういうこともいわれているわけでございますが、このリューマチの患者さんに対する厚生省の対策をまず承りたいと思います。
  114. 松尾正雄

    ○松尾政府委員 御指摘のように、リューマチス患者がかなり多くなっておりますことは、われわれも承知いたしております。特に長期でございまして、慢性の経過をたどっていくということから見れば、これは非常に大事な疾患だと私どもも考えております。したがって私どもも、四十五年から国立病院の中ではすでに共同研究班を編成をいたしまして、外科的並びに薬剤療法等にわたりますところのいろいろな治療研究の方策を立ててまいりました。また、それより先に国立病院の中でもすでにリューマチセンターというものを六カ所創設いたしまして、そこで専門的な治療をやるということもはかってまいっておるわけでございます。  ただ問題は、御承知のとおりリューマチ性疾患自体がきわめてその原因なり治療方法なりにまだまだ定説のないむずかしい問題でございます。したがって私どもは、他面そういうような研究を促進していくということと同時に、やはりこのリューマチス関係医者中心とした方々のいわゆる専門的な知識を上げていかなければならない。こういうことで、すでにことしも実施をいたしましたが、そういう専門家についての特別な訓練ということも開始をしておるわけでございます。現在までは大体そういう形で推移をしてまいっております。
  115. 古寺宏

    古寺委員 そこで厚生省は、患者さんの実態調査というものをまず急がなければいけないように思うのですが、いままで実態調査はほとんど行なわれておりません。今後この実態調査についてどういうふうにお考えになっていらっしゃるか、承りたいと思います。
  116. 松尾正雄

    ○松尾政府委員 いわゆるリューマチスの実態調査というようなものは行なっておりません。また、先ほど来ちょっと申し上げたことにも関連いたしますけれども、実態調査と申しましても、これは非常に鑑別診断といいますか、診断基準というようなものを統一することが非常に困難な面もございます。したがいまして、直ちにいわゆる実態調査というものをやり得るかどうか、これはもう少し慎重に検討いたしたいと思います。  ただ、御承知のように、厚生省では毎年医療機関にかかっておる患者については、日を定めまして一斉に調査を行なっておるわけでございますが、それらの数から一応私どももリューマチ性の問題あるいはそれの類似疾患というもの、あるいはそれとまた一体になるかもわからないと思われる慢性関節炎とリューマチスというものを含めたような数については、毎年の実態を大体承知をいたしておる次第でございます。
  117. 古寺宏

    古寺委員 先ほど研究班の問題がございましたが、一年間に研究班の研究費は幾らでございますか。
  118. 松尾正雄

    ○松尾政府委員 四十五年、四十六年とも国立病院では八百万円でございます。
  119. 古寺宏

    古寺委員 私が調査をいたしましたところが、実際は百万円より支給されておらない。しかも、その百万円の研究費を十一カ所の国立病院が分割して研究に充てているわけでございます。したがいまして、一病院当たり十万円足らずの研究費でこれだけのむずかしい難病といわれるリューマチの研究がはたしてできるかどうか、これは非常に私は疑問に思うわけでございますが、この点についてお伺いしたいと思います。
  120. 松尾正雄

    ○松尾政府委員 リューマチの研究費としては、先ほども申し上げましたように、八百万円を充当いたしているわけでございます。ただ、いまおっしゃっているのは、おそらくその研究のために特別の装置等を購入しなければならない、こういったようなものをおそらく除きまして、会議なりその他の旅費なり、いろんな資料収集のための費用なり、こういったものをおさしになっておるのじゃなかろうかと思いますが、中にはそういう特殊な、血液等の分析装置なりというものがあればこの研究が一そう促進するというようなものがあれば、そういう機械の費用の一部分に充てておるわけでありますが、それを含めまして、全体として八百万円、こういうことでございます。
  121. 古寺宏

    古寺委員 実際に共同研究をする場合には、こういうリューマチのような場合は、私は億単位の研究費が必要だと思うわけです。ところが、予算上は八百万円計上されておっても、実際の研究者に渡る金は十万円足らずである。これではリューマチの原因の究明も治療法の確立もできない、こういうふうに考えるわけですが、今後こういう非常に困っている患者さんの多いリューマチに対する研究費については、相当大幅な研究費を計上し、さらに国立病院だけではなしに、あらゆる学者を動員した研究班をつくって、一日も早くこの研究を促進しなければならぬと思いますが、これについて大臣の御答弁をお願いします。
  122. 松尾正雄

    ○松尾政府委員 数字の問題でございますので、私からお答えいたしますが、億単位まではとてもまだ考えておりませんけれども、国立病院関係は、従来からの実績もございますので、これをさらに拡大して、約九百万円程度で来年は継続をしたい。そのほか、いま御指摘のように、国立病院関係以外の学者の方々にもお入りいただくということは非常に必要でございますので、いわゆる特別研究費という形で、一般用として来年は約一千万円のワクをその中に設定したい、こういうことで進んでおります。
  123. 斎藤昇

    ○斎藤国務大臣 ただいま医務局長お答えをいたしましたとおりでございますが、リューマチに悩む人たちの非常に多いこと、それからこれは諸外国を通じての問題でもありまするので、できるだけただいまおっしゃいましたような趣旨に沿いまして今後研究に力を注いでまいりたいとかように存じます。
  124. 古寺宏

    古寺委員 まあ非常にばく然とした御答弁で、どうも納得がいかないのですが、非常に施設が少ない、リューマチを治療する施設、また入院、収容する施設が非常に少ないわけです。今後リューマチの専門病院あるいは収容の施設というものを大幅に拡充していかなければならない、こういうふうに考えるのですが、この点については、厚生省はどういうふうにお考えでしょうか。
  125. 松尾正雄

    ○松尾政府委員 先ほども申し上げましたようなリューマチセンターといったものもつくりまして、そこで専門的な相談、治療に当たってまいりましたが、やはりこういったものは、さらに今後ふやしてまいらなければならぬと思います。しかし、中央に一カ所何かあれば済むような実態ではない。非常に広く広がっている問題でございますので、そういう点をやはり患者の便利から考えれば数多くつくっていくということが必要だろうと思います。しかし、同時にもう一つ、この治療体系の中では、従来ややもいたしますと、たとえば手術ということであれば、整形外科サイドの方だけがこれに従事するというきらいがございましたけれども、われわれの研究班の中でもすでに指摘をしておりますように、内科系統とも一体となってチームワークを組まなければ、どうしてもこの治療はうまくいかない。そういう点の関連づけということをやはり十分考えていきたいと思います。  また、さらにこの場合にも、急性期の状態もあれば、かなり慢性化していくという状態の方もおられるわけでございますので、やはり病院と療養所といったものを連携させながら、その流れがうまくいくように逐次整備してまいりたい、かように私どもは考えております。
  126. 古寺宏

    古寺委員 そこで、がんセンターのように、研究も行ないながら、患者の治療も、臨床面をとらえながら総合的に患者さんを治療しながら、研究も進めていく、こういう体制が目下非常に必要なことじゃないか。さらに、全国の国立病院あるいは国立療養所等にリューマチの科をつくるとか、さらに医科大学にもリューマチの講座を設けるとか、こういうことをして、専門医の充実と一緒にこの問題を進めていかなければならないと思うのですが、こういう点について大臣はどういうふうにお考えでしょうか。
  127. 斎藤昇

    ○斎藤国務大臣 リューマチのことにつきましては、これは非常に医学的な要素を持っておりますので、がんセンターのようなものを設けるのがいいのかどうか、これは技術的によく検討させたいと思いますが、医務局長からお答えいたさせます。
  128. 松尾正雄

    ○松尾政府委員 確かに、御指摘のような研究機関を備えたセンターというものをつくる、この提案は私どもも聞いております。専門家の中からもいろいろとその検討をしていただいておるわけでございます。  ただ、先ほど来申し上げておりましたように、リューマチというものの本体そのものがかなりいろんな意見もありますことは先生御承知のとおりでございます。一方におきましては、たとえばアレルギーといったようなものを中心にしてその中に取り込むようなそういう研究体制、このほうがいいんではないかという別のサイドからの意見もあることも事実でございますので、将来こういったような問題をどういうように調和させていくか、その辺は十分ひとつ検討させていただきたいと思います。
  129. 古寺宏

    古寺委員 もうこの検討期間を過ぎておると思うわけです。何年も前からこのリューマチの問題ということは潜在して今日に至っていると思うのですが、大臣もひとつ今後は積極的にこのリューマチと取り組んでいただきたい、こういうふうに御要望申し上げます。  そこで、このリューマチの患者さんが非常に多く使うのが副じん皮質ホルモンでございます。これは病院でお医者さんからいただいて飲む場合もございますし、さらに現在は、薬店ではかってに売られないことになっておるようでございますが、患者さんが非常に苦しいために、あるいは収容施設がなくて自宅療養者が多いために、この副じん皮質ホルモンを非常に多量に乱用している傾向がございます。ところが、この副じん皮質ホルモンは、御承知のように非常に副作用があって、かえってこれが寿命を縮める、生命をそこなう、こういうような事故が非常にふえているわけでございます。これに対して、副じん皮質ホルモンに対する治療指針なりあるいは基準というものを定めませんというと、将来たいへんなことになると思うのですが、この対策について厚生省はどういうふうに考えていらっしゃるか、承りたいと思います。
  130. 武藤き一郎

    ○武藤政府委員 いま先生が御指摘になりましたように、副じん皮質ホルモンという薬につきましては非常に副作用があるわけでございます。これにつきましては、昭和三十七年から要指示薬品に指定しております。それから、四十四年には薬務局のほうから、この安全特別部会、これは薬事審議会の特別部会でございますが、それと、それから副作用調査会と、この二つの専門家調査会で、この使用上の注意につきまして検討をいたしまして、四十四年に通知をもちましてこれを各都道府県を通じまして各メーカーのほうに指示をいたしております。したがいまして、この副じん皮質ホルモンにつきましては、現在では詳細な使用上の注意事項が書いてあります。したがいまして、医者のほうで、いろいろ薬剤を使用される場合には当然十分注意されておられると思いますし、患者にもその旨は十分伝わっていると私は考えます。  ただ、いま先生がお話しのように、苦しいために患者がいろいろ薬剤をかってに薬店で買うというようなことは、要指示薬品でございますのでそういうことはできないたてまえになっております。したがいまして、患者についてはそういう点は十分注意を促すべきだ、かように考えております。
  131. 古寺宏

    古寺委員 専門医が少ないこと、診断基準がアメリカの診断基準を用いているということ、治療指針が定まっていないということ、こういうようないろいろな未解決の問題がございます。したがいまして、普通のお医者さんは簡単にステロイドを使うわけです。患者さんは、痛くなれば耐えられませんからまたこれを使います。こういうことが繰り返されておる。そのために、首の骨がもう多孔症になって、もろくなって溶けちゃって、首が曲がったとたんにそのまま窒息して死亡したというような事故もたくさん起きているわけですよ。こういう現実の問題がありながら、大臣は、これから検討しますとか、これから何とか一生懸命やりましょうと、こういうような状態では、これはたいへんなことだと私は思うのですが、大臣は、こういうステロイドの副作用対策等については一体どういうふうにお考えになっているのか、承りたいと思います。
  132. 松尾正雄

    ○松尾政府委員 たいへん専門的な問題でございますので、私からまずお答えさしていただきます。  ただいま薬務局長からもお話がございましたが、副じん皮質ホルモン全般につきましては、これは何もリューマチスの場合だけに限った問題ではございませんで、あらゆる場合にその使用についてはきわめて注意深くやるべき問題でございます。したがいまして、保険のほうにおきましても、副じん皮質ホルモン系統の使用基準というものができておるはずでございます。これはたしか三十七年ごろに初めて出たものだと思います。その中におきましても、るるこの使用については原則的な方針が示されておりまして、できるだけこれは少量に使う、なるべく外用で済むなら外用でいく、内服を避けて外用でいく、注射をしないで内服でいくというような、できるだけ少量で害のないような使い方ということを非常に強調されております。  したがいまして、原則的にはそういうものが示されておるわけでございますが、一方、副じん皮質ホルモンが、非常に苦痛のありますときにはまた劇的な効果を持つ場合もございますので、いま御指摘のような使い過ぎということがありますことは、これはもう学会の中でも憂慮されている問題でございますので、この点については、さらに副じん皮質ホルモンの使用について十分ひとつ注意が行き渡りますような何らかの配慮をいたしたいと思います。  なお、先ほど基準等の問題がございましたが、私たちの研究班でも、できるだけ早く診断基準なりそういったものを確定したい、こういうことも一つの目標にいたしておりますことをつけ加えておきます。
  133. 古寺宏

    古寺委員 そこで、リューマチの患者さんは非常に医療費の問題で悩んでいらっしゃる方が多いわけです。自宅で通院加療いたしましても一カ月五千円から一万円はかかる。さらに、二十歳から四十歳代までの家庭の主婦に非常にこの病気が多いために、いろいろな家庭の悲劇も生まれているわけでございます。当然この医療費につきましても、結核であるとかあるいは先天性の心臓疾患等と同じように、やはり何かの方法で公費でめんどうを見てあげるというような対策を考えるべきではないか、こういうふうに思うわけですが、この点について大臣から御答弁を願いたいと思います。
  134. 斎藤昇

    ○斎藤国務大臣 公費負担にするかどうかということは、他のいろいろな疾病の関係その他との関連ももちろんございまするし、ただ医療費が高額にかかるという問題については、ただいまの五割あるいは三割の自己負担というものも相当重いであろう、そういう面を何らか保険サイドで考えたらどうであろうか、かように考えて、保険の改正とからめまして公費負担の問題も考えてまいりたい、かように考えております。
  135. 古寺宏

    古寺委員 それから身障者の手帳の問題でありますが、これは昭和四十二年に法律が改正になって、病状が持続している場合でも身体障害者の対象になれるわけなんですが、こういう点が実際には徹底しておらないわけです。そのために、リューマチの患者さんがいろいろお医者さんのところへ行っても、まだ固定していないからいけないというふうに断わられる例が非常に多い、こういうことを承っているのですが、この点についてはどういうような対策をお考えでしょうか。
  136. 斎藤昇

    ○斎藤国務大臣 身障者の手帳につきましては、ただいまおっしゃいました、症状が固定をする必要があるかどうかという御趣旨だろうと思うわけでありますが、身体障害者という範疇にどこまできたら入れるかという問題でございますが、ただいまの御意見の点もございますから、よく検討をいたしてまいりたい、かように思います。
  137. 古寺宏

    古寺委員 いま私が申し上げたのは、昭和四十二年以前は、固定しないというと身障者の対象にならなかったわけです。ところが、四十二年以降は、固定しなくともリューマチの患者さんは身体障害者の対象になるわけです。それが厚生省からよく徹底されていないために、四十二年以前の考えで患者さんが取り扱われるケースが非常に多いわけなんです。ですから今後は、この問題について厚生省からよくこの旨を周知徹底していただきまして、リューマチ性の患者さんが全部身体障害者の対象になっていけるような措置を講じていただきたい、こういうことをいま申し上げたわけでございます。  次には、リハビリテーションの問題でございますが、非常に施設が少ない。そのために放置されているリューマチ性の患者さんが非常に多いわけですが、こういう患者さんを救済するためには、どうしてもリハビリテーションの施設も必要ですし、さらに大きな問題は、このリハビリテーションの保険点数が非常に低過ぎる。労災保険等に比較しても全く点数が低いために、どこの医療機関もこれを喜んで受け入れない、こういうような問題があるわけですが、このリハビリテーションの点数の問題について、ひとつどういうふうにお考えになっているのか、承りたいと思います。
  138. 江間時彦

    ○江間説明員 診療報酬につきましては、現在中医協でその適正化についてちょうど検討が行なわれている最中でございまして、おそらく、当然先生の御指摘になりました面につきましても改善がなされるものというふうに考えておりますので、それが決定されましたならば当然善処したいと思うわけでございます。
  139. 古寺宏

    古寺委員 最後に、青森県の例なんですが、青森市に臨浦園という国立の結核療養所がございまして、これはいまいろいろ増改築をいたしておりますが、この療養所に平内にある青森療養所を合併をするという計画になっておるわけでございます。来年度には歴史の長かった青森療養所が廃止されるというように聞いております。こういうようなせっかくいままである施設を、いろいろな面で施設が足りないのになぜ廃止をしなければならないのか。いままであった施設を活用して、こういうリューマチの患者さんあるいは重症心身障害者、さらに老人問題、いろいろございます。そういうような施設をつくるなりしてなぜ活用しないのか、非常に理解に苦しむわけでございますが、この点について大臣から、どういうわけでこういうふうに廃止をしなければならぬのか、活用する意思はないのか、承りたいと思います。
  140. 松尾正雄

    ○松尾政府委員 青森療養所と臨浦園の統合という問題は、ほかの結核療養所の場合でも同じでございますけれども、やはり新しい機能を与えなければならない。御承知のように非常に古い建物で分散をいたしておりますので、それに新しい機能を与える、こういう目的のもとに必要な場合には統合してりっぱな施設をつくっていこう、こういう趣旨から発している問題でございます。ただ、その場合に、青森療養所自体のあとをどう利用するかということになるわけでございますが、いまのままの施設でいま御指摘のような新しい機能を持たせるなんということはとうてい困難であろうと思います。したがいまして、一応いまの結核体制という形で臨浦園のほうに統合してそちらのほうで機能を強化する。しかし、このあと地をどういうふうに利用するかという点につきましても、すでに私ども県のほうとも連絡をとりまして、地域全体として何か利用のしかたはないかというようなことも意見を聞かせるようにお願いしてありますので、そういう意見に基づきましていろいろあとの利用を考えてまいりたいと思っております。
  141. 古寺宏

    古寺委員 きょうは時間の関係でリューマチの問題だけを取り上げたわけでございますが、どうかこの七百万人をこえる患者さんが悩んでおられるリューマチ対策というものを、今後ひとつ真剣に厚生省としても考えていただきたい、こういうふうに思うわけでございますが、最後にもう一度厚生大臣から今後のリューマチ対策に対する決意というものをお伺いいたしまして、質問を終わらせていただきたいと思います。
  142. 斎藤昇

    ○斎藤国務大臣 私の周辺にもリューマチで悩んでいる人が相当ございます。したがいまして、リューマチの治療法を一日も早く発見をし、リューマチに悩む人が少なくなるようにぜひいたしたいものだ、かように考えますので、この上とも十分力をいたしてまいりたい、かように思います。
  143. 増岡博之

    ○増岡委員長代理 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時五十九分散会