○田邊委員 きわめて朝令暮改の
考え方だと私は思うのですね。この
医療費の問題がいま直接的に話題になってまいりましたのは、何といいましても、去る保険医の総辞退による
医師会の動き等もあったのであります。それらの問題の処理と、今後の
医療保険なり
医療制度の問題についてどう対処するかということについて、われわれは機会あるごとに
政府にその
考え方をただしてまいったのでありますけれども、いままでは両
審議会からの答申がないままに、
政府の
考え方を明らかにすることができなかった、こういうことでもっていままで便々として日が過ごされてきたわけであります。しかもいよいよ
医療費の
値上げが目前に迫ったという事態の中で、この赤字克服の問題に対して、
政府は何とかそれに対するところの便法を講ぜなければいかぬ、こういう
態度に変わってきた。私は、大臣の真意は別といたしまして、そういういままでの投げやり的なその日暮らしの行政というものがどれほどのこの問題を深刻にしているかということに対して、痛烈な批判をしなければならないというように思っておるのでありまして、そういった点から見て、いまの大臣の発言は、その衷情はわかりますけれども、きわめて
政府の一貫性のない
考え方を暴露したものではないかというように思って遺憾に思うのであります。
赤字対策はもちろん、いま私が申し上げてきたような観点から見ても必要であります。しかし、それにはいろいろな要素があると思うのです。これも私はこの
委員会を通じてたびたび意見を吐いてまいったのでありますから、多くを申し上げることを避けたいと思います。いずれ機会を見てまた論及することがあると思いますけれども、しかし二つあると思いますね。
一つは、現状の
法律、現状の
制度、現状のいわば行政の中でもやれることを、ほんとうに
厚生省は腹を据えて、その是正に向かってやってきているのかどうか、これが
一つだと思うのです。これに対する国民の疑惑を解く行政努力というものをほんとうにやってきておれば、まず第一の
条件は満たされると思うのです。
それからもう
一つは、いままで長年にわたって生んできたところの政治不信——赤字対策だけじゃないか、それ以外のいわば
医療の
改善の問題に対して、
政府がほんとうに真剣に取り組んでその具体的なものをはっきりするのかどうか、こういうところに対する不信、このぬぐい去ることのできない不信ですね。いま大臣も端的に言われたけれども、いわば食い逃げをされるのではないか、赤字だけは埋めてくれ埋めてくれと言うけれども、給付の
改善その他万般にわたるところの
改善の方法、これはもちろん
抜本改正といわれるものの中に当然含まれてくるものだと思いますけれども、そういったことについては二の次にして、あわよくばこれらはまああまりやりたくないけれども、世論がここまできていることだし、
審議会の答申もあるし、
医師会との約束もあり、いろいろな要素があるから、やむなく取り組むのだ、こういういわば姿勢。したがって、赤字対策をひとつお願いしますと言いまするけれども、これが済めばまあそのあとの問題については気長くやりましょうというような
考え方があるのではないかという、この国民の不信感、これが払拭できなければ、私はこの赤字対策を、ほんとうにわれわれ自身も耳を傾けて取り組むことはなかなか至難ではないかというふうに思うのです。私がいま申し上げてきたことでおわかりのとおり、赤字対策は、なに赤字が出たか、
医療費が
値上げになったか、そいつは国がもっとこれに対して
負担をすればいいじゃないか、ほうっておけ、というほど私は実は暴論を吐くつもりはないのです。しかし私は、申し上げたように、国の責任が第一義にあるということを言っておるのは、大臣もその意味はおわかりのことだと思うのです。ですから、そういう意味で、いま百かゼロかといったような論法ではないけれども、しかし少なくとも私がいま申し上げたような現状におけるところの是正すべき点、努力、そして抜本に向けるところのあなた方の
考え方をひとつわれわれの前に提示するという、こういう
一つのものが相合わさっていかなければ、私は赤字対策は、言うべくしてできないというふうに思っておるわけでありまするけれども、この点に対する
考え方はどうかということをまずお聞きをいたしたいと思うのです。
その中で第一の、現状の中でもやるべき
施策というものについて、私も口をすっぱくしてこれは言ってきたつもりであります。したがって、いま言った支払い方式の問題も、いろんな今後の
考え方はまず別として、これは非常に重大なことであるけれども別といたしまして、やはり
医療費の面におけるところの乱診乱療の問題、それから不正請求なり水増し請求の問題、この
医療担当者に対してやはり迫るべきところの問題に対しては、確かに一片の通牒を出した。
従前よりも監査についても厳正にするということを言った。しかし、実際そのことが改まっているのか。そうではないでしょう。だんだんそれができづらくなってきたということになれば、それならばひとつ薬価の基準以外の薬も使おうかというような武見発言も出てくる。私はそういった
医療担当者の姿勢では国民は納得しないと思うのです。これらの問題に対して、まず一体どうするのか、これが第一。
それから第二は、やはりいまの
診療報酬体系の中における一番の問題は、何といっても物と技術の分離の問題です。これが早急な機会にできないにいたしましても、いまの薬の問題に対して、これはわれわれとしてもどうしてもやはりさらに前進の体制をつくってもらいたい。再販
制度もこれの
検討の問題を公取でやっていましょう。しかし、それだけでもって私は済む問題じゃないと思うのです。あるいはまた添付薬の禁止をしたといいまするけれども、しかし、実際にこれが厳格に守られているか、監査をやったことがありますか。また、添付薬は禁止をされた、それにかわるべきところのリベートの問題は一体どうなっているか、これはほんとうに厳格に守られているかということがありますね。
それからまた、アメリカでいわば実行しつつあるところのいわゆる有害無益の医薬品に対するところの整理統合の問題、一体この作業が進んでいるのか。全部の薬に対してこれを対象にしてやるということをいわれた。五年間くらいかかるだろうといわれておる。しかし、一体そういったものに対して逐次実効をあげつつあるのかどうか。さらには薬価の問題についてもやはり必要なことは、抜き打ち検査をしても引き下げるべきものは引き下げる、こういうことがなければならないというふうに思っておるわけでありまするけれども、こういった現状において克服できるところの問題、実効をあげるべき問題に対して具体的に行政努力をどうやってきたのかということを私はお伺いしていかなければならないと思うのです。しかし、まあきょうその問題についてずっとお伺いするにはあまりにも時間がございませんから、これに対してそのポイントだけひとつ大臣なり事務当局からお話しをいただいて、あとの具体的な実行の方法なりその実績については、ひとつ私のところへ
委員長を通じて文書でもって
お答えいただければけっこうでありまするから、二つに分けて大体根幹に触れる問題だけ
お答えいただきたいというふうに思います。