運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1971-11-12 第67回国会 衆議院 災害対策特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年十一月十二日(金曜日)     午前十時十三分開議  出席委員    委員長 中井徳次郎君    理事 天野 光晴君 理事 稻葉  修君    理事 内海 英男君 理事 進藤 一馬君    理事 米田 東吾君 理事 北側 義一君    理事 合沢  栄君       宇田 國榮君    坂元 親男君       塩谷 一夫君    高鳥  修君       中村 拓道君    西岡 武夫君       羽田  孜君    羽田野忠文君       細田 吉藏君   三ツ林弥太郎君       安田 貴六君    吉田  実君       千葉 七郎君    辻原 弘市君       内藤 良平君    中村 重光君       芳賀  貢君    松浦 利尚君       相沢 武彦君    瀬野栄次郎君       松尾 正吉君    小宮 武喜君       津川 武一君  出席政府委員         内閣官房長官 三原 朝雄君         農林政務次官  伊藤宗一郎君         農林大臣官房参         事官     大河原太一郎君         農林省農林経済         局長      小暮 光美君         通商産業政務次         官      稻村佐近四郎君         中小企業庁次長 進   淳君         消防庁次長   山田  滋君  委員外出席者         内閣総理大臣官         房参事官    高橋 盛雄君         科学技術庁長官         官房総務課長  小山  実君         大蔵省主計局主         計官      宮下 創平君         農林省農林経済         局金融課長   渡邉 文雄君         中小企業庁計画         部金融課長   高橋  清君         建設省河川局防         災課長     生瀬 隆夫君         建設省河川局砂         防部砂防課長  谷   勲君         自治大臣官房調         査官      福島 栄造君     ――――――――――――― 委員の異動 十一月十二日  辞任         補欠選任   卜部 政巳君     芳賀  貢君   古川 喜一君     松浦 利尚君   伊藤惣助丸君     相沢 武彦君   小川新一郎君     松尾 正吉君 同日  辞任         補欠選任   芳賀  貢君     卜部 政巳君   松浦 利尚君     古川 喜一君   相沢 武彦君     伊藤惣助丸君   松尾 正吉君     小川新一郎君     ――――――――――――― 十一月九日  天災による被害農林漁業者等に対する資金の融  通に関する暫定措置法及び激甚じん災害に  対処する  ための特別の財政援助等に関する法律の一部を  改正する法律案内閣提出第二二号) 同月十日  北海道冷害による被害農家救済に関する請願  (河野密君紹介)(第一一一二号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 十一月八日  北海道異常低温による農作物冷害対策に関す  る陳情書外三件  (第五九号)  北海道冷害による被害農家救済に関する陳情  書  (第一二〇号)  豪雪地帯対策特別措置法改正等に関する陳情  書  (第一二一  号)  台風十九号による鹿児島北姶良地区被害対  策に関する陳情書  (第一二二号)  台風十九号による鹿児島県牧園町の被害対策に  関する陳情書  (第一二三号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  天災による被害農林漁業者等に対する資金の融  通に関する暫定措置法及び激甚じん災害に  対処する  ための特別の財政援助等に関する法律の一部を  改正する法律案内閣提出第二二号)  災害対策に関する件(川崎市に発生したローム  斜面の崩壊実験計画における事故に関する問  題)      ――――◇―――――
  2. 中井徳次郎

    中井委員長 これより会議を開きます。  去る九日、本委員会に付託になりました内閣提出天災による被害農林漁業者等に対する資金融通に関する暫定措置法及び激甚じん災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
  3. 中井徳次郎

    中井委員長 まず提案理由説明を聴取いたします。伊藤農林政務次官
  4. 伊藤宗一郎

    伊藤政府委員 天災による被害農林漁業者等に対する資金融通に関する暫定措置法及び激甚じん災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び主要な内容を御説明申し上げます。  天災融資法は、昭和三十年に制定されて以来、農林漁業経営動向に即応し、天災による被害農林漁業者等経営の安定に資するよう数次にわたる改正を行ない、天災による被害農林漁業者等に対する資金融資に大きな役割りを果たしてきたのであります。  しかしながら、最近における農林漁業経営の推移に伴い、必ずしも経営の実態に即しているとは言いがたい面も生じてきております。特に、北海道においては、今次の冷害により主要な農作物に大きな被害が発生し、これら被害農家に対する経営資金の円滑な融通が要請されております。  一方、激甚災害を受けた中小企業者に対する資金融通措置としては、昭和三十七年に制定された激甚災害法等により、その円滑化がはかられてまいりましたが、最近における中小企業経営動向及び経済規模拡大等から見て、中小企業者に対する貸し付け限度額引き上げが必要となっております。  以上の観点から、最近における被害農林漁業者及び被害中小企業者等資金需要の増大に対処するよう、今回これらの者に貸し付け資金にかかる貸し付け限度額引き上げるとともに、被害農林漁業者負担の軽減をはかるため、これに貸し付け資金にかかる貸し付け利率適用区分の改善を内容とする法律案を提出することとした次第であります。  次に、法律案の主要な内容について御説明いたします。  まず、農林漁業関係でありますが、その第一点は、都府県二十万円、北海道三十五万円と定められている経営資金貸し付け限度額をそれぞれ都府県四十万円、北海道七十万円に引き上げることであります。  第二点は、政令で定める資金について、五十万円と定められている貸し付け限度額を百万円に引き上げることであります。  第三点は、政令で定める法人について、二百五十万円と定められている貸し付け限度額を五百万円に引き上げることであります。  第四点は、被害農林漁業者天災による損失額が農業、林業または漁業による総収入額の百分の三十以上であるもののうち特別被害地域内の特別被害農林漁業者以外のものに対する経営資金貸し付け利率を年六分五厘から年五分五厘に改めることであります。  第五点は、以上の改正にあわせて激甚災害法における天災融資法特例措置に関する規定を改め、激甚災害の場合の経営資金貸し付け限度額について、都府県二十五万円、北海道四十万円をそれぞれ五十万円、八十万円に、政令で定める資金六十万円を百二十万円に、政令で定める法人貸し付けられる経営資金二百五十万円を五百万円にそれぞれ引き上げることであります。  次に、中小企業関係激甚災害法改正でありますが、その第一点は、激甚災害を受けた中小企業者について百万円と定められている貸し付け限度額を二百万円に引き上げることであります。  第二点は、協業組合及び中小企業等協同組合その他の団体について三百万円と定められている貸付限度額を六百万円に引き上げることであります。  なお、経過措置といたしまして、この法律の施行前に指定された天災及び災害につきましては、なお従前の例によることといたしております。  以上がこの法律案提案理由及びその主要な内容であります。  何とぞ、慎重に御審議の上、すみやかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
  5. 中井徳次郎

    中井委員長 これにて提案理由説明は終わりました。
  6. 中井徳次郎

    中井委員長 次に、本案に対する質疑に入ります。  質疑の申し出があります。順次これを許します。天野光晴君。
  7. 天野光晴

    天野(光)委員 今度の天災融資法改正は非常に時宜に適したものであると思いますし、委員会空気等を察知されましてその措置に出られましたことに対しては、敬意を表しておきたいと思いますが、問題は、災害をこうむった者に対する融資措置というものは他の金融措置と違いまして、その災害をこうむった者自体の血清の保障にも該当するようなものになるわけであります。御承知のように、農林災害であるとすれば、農作物が全滅になって激甚災適用する、そして天災融資法によって融資をするということは、自分の生活ばかりの問題ではなくて、経営にまで及ぼすための融資措置を講ずるということで、これは激甚災天災融資法法律の中では最も重要な意義を持つものであると私たちは常にそう考えておるわけであります。  このたび、経済の変化に伴いまして、融資額限度引き上げという措置は非常に適切であると思うのでありますが、この委員会でも、過去十数年にわたってその金利引き下げというものを終始一貫主張し続けてきているわけでありますが、今度のこの一部改正によって、農林省のいわゆる貸し付け金の中には、扱い方によって少し安くする、いままで六分五厘を五分五厘にするというようなものもあるようでありますが、全面的にはそうでないようであります。どうして金利引き下げができないのか。きょうはベテランの赤城先生がお見えになりませんので非常に残念なんですが、どうしてその金利引き下げができないのか。これは通産省関係がございます。そういう点で、中小企業に対して、天災融資法に基づいて貸し付けをする貸し付け金に対する金利をどうして引き下げることができないのか。  それから、いま提案されたこの法律案の中で、一部改正をして引き下げをするような形をとっておられるのであるが、根本的になぜその引き下げができないのか。私たちの主張しているのは、激甚地指定を受けて、極度に災害をこうむった者に対しては無利子にしたらどうか。現在六分五厘で貸しておるものを、できることなら三分五厘に下げるわけにはいかないのか。どうしてもできないなら、五分くらいならどうだということで、過去において何回も折衝してきた過程があるわけでありますが、現在、政府のほうでは、今度の改正にもそれがのってこないようでありますが、そこらあたり検討されたのか。そして将来に向かってどういうふうに考えておられるのか。その点、農林省通産省両方からお答え願いたいと思います。
  8. 小暮光美

    小暮政府委員 政務次官からお答えいただきます前に、折衝経過もございますので、私からお答えいたします。  災害の際に、特に激甚災のような場合に、経営資金融通いたしますにあたりましては、一般金利体系に比べまして格段と優遇した金利適用すべきであるという点につきましては、先生の御指摘のとおり、私どももそのように考えております。しかしながら、経営資金融通と申し上げましたけれども、十分御承知のところでございますが、冷害等で非常にお気の毒な状況にあることはもちろんでございますが、これに対する施策といたしまして、農災制度対象となっております作物につきましては、御承知のように、共済金の支払い、それから再生産を確保するために経営資金の中の現金支出部分に見合う運転資金融資という意味で、この災害融資がございます。  しかし、農災制度並びに天災融資というものをフルに活用しても、なおかついま先生のおっしゃったように、食うにも困るというような非常に極端な状況の場合もあるわけでございます。これらのものには、御承知のように、非常に長期の自創資金というものを、さらに必要に応じこれに組み合わせるということで災害に対処してまいっております。最も有利な金利として三分資金というのが、現状の日本のいろいろな、政府が直接責任を持っております制度金融体系の中でぎりぎりの線ではなかろうかというのが、事務当局としていろいろ財政当局とも折衝いたした際の判断でございます。しかし、これらの全体の金利体系の中でも、現行制度では、激甚災指定されて三分の資格があるものと六分五厘との間の段差があまりにもひどい。これを何とかきめこまかくやれないものかということで、五分五厘の適用対象を広げるということで私どものほうとしては御提案申し上げておる次第でございます。
  9. 稻村佐近四郎

    ○稻村(佐)政府委員 いまの天野先生の御質問でございますが、私ども通産省へ参りましてから、農林省が三分ないし六分五厘、通産省は、御承知のように、激甚指定された中小企業者に対して六分五厘ないし八分二厘ということでございますが、何とか農林省並みにいく方法がないものであろうかというふうに、いろいろ事務当局検討させてみたわけですが、農林省というのは補助的な色彩を持っておる、通産省というのは自主自立と申しますか、こういう形で、金利体系金融体系が違っておるわけです。今度、そういったことを薄めるという意味合いから、一つ企業に対して百万から二百万、それからまた三百万から六百万と貸し出しを多くしたわけです。しかしながら、通産省としてもやはりこれに対して考えていかなければならぬ、こういうふうに考えますので、災害という特別の事態であるということをよく考えて、やはり低利、実質的に負担が軽減されるように、今後ともひとつ検討してみたい、こういうふうに考えております。
  10. 天野光晴

    天野(光)委員 いずれも抽象的な答弁なんですが、もう少し具体的な答弁ができないものか、こう思うのです、きょう初めてこれを議論するわけじゃないのですから。そういう点で、農林災害に対して、いまの共済制度に該当しておる作物を栽培しておる農家は、その被害限度に応じて共済金が入ってきますから、私はよほど助かると思うのですが、共済制度に該当していない作物を栽培しておる者にはその恩恵がないわけであります。ことに商業関係と違いまして、年間一回きり操作のできない品物をつくって、それが壊滅状態におちいったものに対する救済のために行なう金融制度としては、どうしてもいまの制度が納得いかないという考え方でございます。  これをここで議論しますと、与えられた十分や二十分の時間ではとてもじゃないが議論が尽きるものではございませんから、私は、もう少し検討することを要望しておきます。これは、やり方によってはだいじょうぶできることでもあるし、決して憲法違反でもなければ何でもないと思う。扱い方では十分やれる措置があるものと、私たちはいままで検討を加えてきておったわけでありますから、委員会としては、この臨時国会は非常にむずかしいのですが、来たる通常国会では、これに関する小委員会をつくって積極的に検討するという考え方でおります。これはもちろん法律行為ですから、当然委員会のほうで話し合いをつけて法律改正をやるべき性質のものであるというふうに考えておりますので、その点は、事務当局として受け入れ体制のできるようにひとつ措置しておいていただきたい。  それからもう一つ通産省当局にはまことに恐縮なんですが、いままで聞いている範囲内では、このほうに融資する金はいわゆる財政投融資関係の金を使っている、一般会計から出しておるのではない、そういう関係から、郵便局で預かった国民の貯金を貸し出しをするために、どうしても金利を安くできないというようなことが、通産省当局大蔵省当局との話し合いのガンになっているんだというような印象を受けておるのですが、過去において、通産省は、郵船会社に、船をつくる資金にさえも利子補給をしたという実績があるわけですから、災害をこうむって、大火にあって家がみな焼けちゃった中小企業、そして大洪水で品物が全部水浸しになって役に立たなくなった者、要するに、全部自分の財産が壊滅に瀕しておる者の救済措置としては、六分五厘という金利は高利貸しの金利に匹敵するものであるというように私はいつも考えておるわけであります。そういう点ひとつ十二分に検討していただいて、委員会のほうで検討をするのに相呼応して、政府側もこれに順応してこられるような体制を整えておくように、ひとつこの点は希望しておきたいと思います。  それからもう一つ総理府にお尋ねをしておきますが、個人災害の補償という問題がこの委員会で何年か議論をされてきております。最近は、総理府のほうで検討して何らかの成案を得る見通しであるという総務長官からの答弁を得ておるのでありますが、その辺は一体いまどうなっておるのか、その点ひとつお聞きしておきます。
  11. 高橋盛雄

    高橋(盛)説明員 お答えいたします。  個人災害共済制度については、本委員会においてもいままで議論されました。また、総理府といたしましても、去年それからことしと数次にわたりアンケート調査を実施いたしまして、この際、個人災害共済制度の開設を目途といたしまして、いろいろ検討を進めてきたわけでございますが、来年度予算を要求いたしまして、現在のところ、関係各省と極力折衝を行なっているところでございます。現在のところは、この個人災害共済制度につきましては、法制上、財政上の問題、あるいはその実行の可能性の問題など、制度成立の根幹に触れるような困難な問題がかなり多いわけでございまして、かつまた、それらが相互に深く関連しているのでありまして、その成否は必ずしも楽観を許さないものがあるわけでございますが、今後とも、総理府といたしましては、関係各省庁と十分協議調整を進めて、本制度創設のためにできるだけの努力を払ってまいりたい、このように考えております。
  12. 天野光晴

    天野(光)委員 努力を払う話はもうけっこうなんですが、見通しとしてはどうなんですか。たとえば、いま来年度予算の要求は、一応暫定的なものを大蔵省に出している、来年度の予算は今年度内に編成すると言っている、その年度内に編成する予算に間に合うように成案を得られる見通しなのか、それとも年度内には成立は困難ではあるが、来年早々何らかの措置を講じて、これを発足できるようなところまで持っていこうという考え方を持っておるのか、その辺のめどをひとつお聞かせ願いたいと思います。
  13. 高橋盛雄

    高橋(盛)説明員 いまのところ関係各省、それから法制局法務省等と極力折衝いたしております。できるだけその制度成立努力しているわけでございますけれども、年内あるいは年を越す、その辺の見通しについては、現在のところ必ずしも明確な目標をまだつかんでいるわけではございませんが、私どもとしては、できるだけ早い制度成立を目ざして極力努力いたしております。
  14. 天野光晴

    天野(光)委員 その問題も、この国会中には私たち委員会のほうも手が回りかねると思いますから、そういう点で、通常国会に入りましてもまだ政府当局のほうで事務的に遅延しておるというような状態がある場合には、前の金利引き下げの問題とからみ合わせまして、小委員会か何かの形において積極的に進めますから、それをひとつあらかじめお含み願っておきたいと思います。  それから最後に、きょうおそらく与野党一致してこの法律案は通していただけるものと期待しております。その通りました暁における事務的な扱いですが、これは、農林省金融課長も見えておりますが、法律の問題ではなくて、政令扱いの問題だと思うのですが、地域住民からの声を聞きますと、金を安い金利にしてもらって長い期間で貸してもらうのはたいへんけっこうだが、借りるのに対する事務的な扱いが非常にめんどうだという声を聞きます。それで今度の場合は非常におくれております。本来なら、いままでに激甚災指定をして――北海道冷害にこれは適用をするために私たちのほうでも急いでおるのです。出ている原案が、いままで適用したのはさかのぼらないということで、北海道激甚災にきょうにでも指定してしまえば――来週の火躍日あたり成立するだろうが、そうすれば北海道が入らないということになるので、それでは北海道冷害に困っておる農民の方々に非常に御迷惑をかけると思いまして、いまは成立を急いでおりますから、より以上の議論は避けますが、通った暁には、十分地域住民の期待にこたえられるように、簡単明瞭なかっこうで融資措置を事務的に扱い得るような措置を講ずることを希望いたしまして、私の質問を終わります。
  15. 中井徳次郎

  16. 米田東吾

    米田委員 ただいま農林大臣から提案になりました二つ法律改正案に対しまして、若干の質問をいたします。  まず基本的にこの二つ法律改正によりまして、災害地天災融資並びに激甚災に伴う中小企業者融資について、それぞれ貸し付け限度がほぼ倍額引き上げられたということについては、われわれ社会党としても賛成でございますし、今日北海道冷害その他、この法律適用を待っている被災の皆さんのためには時宜に適したものとして歓迎をするものでございます。ただ問題は、融資の額が倍額引き上げられたということだけでは、実はまだ魂が入っておらないように思うわけであります。私が聞きたいのはその画竜点睛を欠く部分でございますが、金利それから償還期限それから手続簡素化、この三つぐらいを中心にして、時間がございませんので、要点だけ御質問をしておきたいと思うわけであります。  冒頭にまず御質問いたしますが、北海道激甚法適用は大体いつごろになりましょうか。見通しについてまずお聞をしておきたいと思います。北海道冷害についてであります。
  17. 小暮光美

    小暮政府委員 農林省といたしましては、十月十五日の統計調査部の数字に基づきまして、ただいま鋭意関係の道県と資金需要量についての作業を連日詰めております。今回の法律を決定いただきますれば、可及的すみやかに天災法発動をお願いする手続を進めるつもりでおります。したがいまして、それと並行して激甚災の問題も当局において御検討いただくように連絡いたしております。
  18. 米田東吾

    米田委員 そうしますと、まず天災法は早急に調査が済み次第発動したい、激甚についてはそれから検討するということなんですか。見通しはどうなんですか。
  19. 小暮光美

    小暮政府委員 今回の北海道冷害につきましては、農林大臣も、これまで他の委員会で、激甚発動にかなうものであるというふうに見通しておるということを明言しておられまして、そのような方向で事務連絡を常時続けております。
  20. 米田東吾

    米田委員 期限が明確になりませんが、やむを得ません、時間がもったいのうございますから。ひとつ早急に、激甚を含めて北海道適用されるように御要望申し上げておきます。  それから、金利関係でございますが、ただいま天野委員からすでに御質問がありまして政府側答弁がありますので、やや重複するかと考えるのでございますけれども天野委員からも御指摘なされておりますように、この問題につきましては、災害特別委員会ではもう十年来取り組んできている問題である。  ここに資料がございますが、これは昭和四十二年十月六日付の、いま質問されました天野先生が当時小委員長になられまして、災害の諸般の施策について小委員会を持って検討された記録でございます。これはたしか羽越災害の直後に、この災害対策特別委員会で小委員会をつくって検討されたのじゃないかと思いますが、そのとき、非常にこまかく災害対策特別委員会の小委員会の結論としてまとめられまして、政府側に要望が出ておるわけであります。  特に、その中に、金利関係については、「天災融資法において、現行特別災害の場合は三分以内であるものを二分五厘以内、以下、開拓者一般組合等も大体同様五厘ずつ」引き下げるようにすべきである、まあほぼ具体的に、しかも各区分に従いましてこういうふうに提言が出ているわけであります。いま、天野さんの御質問も大体この線に沿っているようでありますが、私どもも、災害融資という事情にかんがみまして、本来はもう無利子ということが当然だと思いますが、それが融資体系をくずすということになりますならば、やはり最低、三分よりも五厘を下げるぐらいの措置が、この法律改正とあわせて当面必要だ。これがなければ、私は、ほんとうの災害融資としての画竜点睛を欠くと思うのでありますけれども、まあ努力をするということでありますが、このことにつきまして、決意のほどを再度答弁していただきたいと思います。
  21. 小暮光美

    小暮政府委員 御指摘のように、天災の場合の経営資金融通にあたりまして、できるだけ被害の程度に応じた優遇をすべきであるという点は、私どもも全く同じ考えでございます。ただ、これまでも御承認いただいてやっておりますように、被害の程度に応じ金利に段差を設けるという考え方が出ております。これは実は、天災にあいましたことの不幸は同様でございますけれども、先ほどもちょっと申しましたように、農業経営を主とするもの、経営者として経営資金融通を受け、次年度以降の経営の中からこれを返していくという融資部分と、それから全く農業者であることを放棄せざるを得ないような窮迫した状態において、自作農を維持するために融資でこれをしのぐという問題と二通りございまして、この部分につきましては、天災融資法では経営資金融通をはかるという考え方でございまして、その被害の深刻な場合にはもうできるだけ低利、被害の軽微な場合にはややこれと差を設けた金利ということでやってまいっております。  実際の運用上は、御承知と思いますが、三分資金適用を受けるような場合が非常に多いというような運用を実はできるだけ心がけております。今回六分五厘からかなりの部分を五分五厘に移すということで、実質的にかなり被害者の御要望にこたえ得ると思いますけれども金利体系全体の問題でございますので、他の農業金融との関連も考慮しながら、今後十分これを見直してみることは先ほど御指摘をいただきましたので、持ち帰りまして、上司にもその御意向を十分伝えたいと考えます。
  22. 米田東吾

    米田委員 いまも答弁がありましたように、実際は金利の面では、六分五厘じゃなしに、三分該当の融資のほうが何かもう八〇%をこえておるというふうに聞いておるわけでありまして、おそらくそういうことじゃないかと思うのでありますが、そうなりますと、六分五厘という対象融資というものはほとんどないことになる。要するに、一〇%から三〇%程度というようなものはほとんどない。そうだとすれば、そういうものはもう要らない。そして、もっと相対的に検討をして、三分なら三分というふうに一本立てにするとか何かそういうような方法も考えていいのじゃないかと実は思うのでありますけれども、これはいずれ後刻この特別委員会でもさらに検討を続けるはずでありますから、私どももひとつ十分検討してみたいと思っております。  それからもう一つは、先ほどの答弁にもありましたように、利子補給を現実にはやっておるわけであります。目的がどうであろうと、たとえば六分五厘に対して三分だとすれば、その三分五厘というものは、あなたのほうでは利子補給をやっておる。この関係が可能であるとすれば、先ほども答弁がありましたけれども中小企業に対する融資等についてこれが適用されないということもおかしい。法律適用の原則からいきましても、利子補給というような方法をもう少し合理的に拡大をするなり、別に法律をまた整備するなりして、これらも適用されるというふうにしなければならぬのじゃないか、そういうふうにも実は思うわけであります。いまここで、金利を幾らにせいとか、どうするとかいう議論やそういうようなことをやりましても、これはもう余裕がありませんからあとの機会に譲りますけれども利子補給等の関係とあわせて金利関係につきましてはひとつ十分検討していただきたい。注文を申し上げておきたいと思います。  それから、償還期限でありますが、これはもう少し、たとえば六年を十年にするとか、あるいは三年を五年にするとか、七年を十年にするとか、それから、特に激甚法等の場合においては据え置き期間を設けるとか、こういうようなことについても、四十二年のこの小委員会が提起をしておるわけでありますけれども、この償還期限等についてもあわせてひとつ検討が必要である、私はこういうふうに思いますので、政府のほうの見解もこの際ひとつ聞かしておいてもらいたい。
  23. 小暮光美

    小暮政府委員 農業の場合に天災融資法に基づく経営資金融通をやっておるわけでございますが、農業関係全体に、農業用の施設の設置に対する融資、あるいは先ほども触れましたけれども、農業を維持できるかできないかというせとぎわで自作農を維持するための資金、それから天災の場合の経営資金、こういう大ざっぱにいって三通りの制度的な資金があるわけでございます。  全体としての考え方を私どもなりに整理して申し上げますと、施設を設置いたします場合には、やはりこれらの施設に関する償却の年限と申しますか、妥当な一つの年限の中で、規定の中でこなしていかなければ、そういうものを買わせること自体が指導上おかしいわけですから、そこにそれぞれの施設に見合った償還年限というものが公庫資金あるいは近代化資金の場合に考えられていることは御存じのとおりだと思います。それから、自作農維持資金ということになりますと、これはかなり長期のものでないと立ち直りを援助することができないということで、これより長期の金がございます。  そこで、天災の場合の融資につきましては、どこまでもいま申しましたようないろいろの制度と関連しながら、天災によって翌期の営農に着手するための営農資金の足りない部分を援助しまして、翌期の経営によってこれを返して立ち直ってもらおう、こういう仕組みでございますので、当面非常に資金需要があり、返すのがつらいというのは、実感として、個人としてはよくわかりますけれども、いま申しました三つの中身をよく振り分けてそれぞれの目的に応じた償還期限というものを考えておきませんと、いわば借りるのはいいのですけれども、全部累積してしまってどういうかっこうで営農の中から返せるんだという論理が明確にならない。  そこで、経営資金を返すためには、先ほど申しましたように施設に見合った投資でございませんので、やはりどうも五、六年の間にこれを回収できるような形というものをつぎ込んで、それに見合って翌年の営農のための所要資金を貸し出す、それで足らざる生活の資金等については自作農資金等の措置、さらに状況によりましては、むしろ救農土木その他の全く別の措置で現金収入の道をはかるというような災害対策全体のバランスの中で配慮していく以外にないのではないかというふうに私どもとしては考えているわけです。
  24. 米田東吾

    米田委員 いつでもこの委員会で問題になるのでありますけれども、実態としては、災害の繰り返しによって実際はなかなか計画どおりの償還ができない。何とかそれを救うことができないのか、そこらあたりからだんだん考えて償還期限というものがもう少し延ばされないかということに現実的には被災者の立場からするとなっているわけなんです。それらを解決する方法というものを私どもはどうしても見出していかなければならぬと思う。政府のおっしゃることもわかりますけれども償還期限という関係についても、私は、金利とあわせ、ひとつ今後検討するようにしなければならぬと思いますが、政府のほうからもひとつ考えておいていただきたい。  次は、手続関係について若干御質問しておきます。  一つは、この天災融資法によりましても、激甚法によりましても、災害を受けてからの調査期間がきわめて長いということなんでしょうが、査定の関係その他いろいろあるだろうと思いますが、現にいま北海道関係にいたしましても、もう雪が降るというのにまだ天災融資法、それから激甚法等についてのめども十分示されない。前向きで検討しているという期待感は持たせることができても、いつからやるということがいまなおはっきりしない。災害の場合でも大体みんな平均して三カ月くらいずつかかっているわけであります。これでは、やはりこの災害対策という面からいきまして私は問題だろうと思うのです。何とかこの災害が起きてから適用されるまでの期間が短縮できないものか。要するに、調査の迅速、査定の迅速、そういう方向でひとつこれは努力をする必要があるんじゃないかということが一つ聞きたいわけであります。何か皆さんのほうでこのことについて解決策というものを考えておられないかどうか。  それから手続関係等につきましても、なかなかその被災農民だとかあるいは漁民が、この手続関係では十分こなせない。いろいろ形式その他におきましても、とりつきにくい条件があるわけであります。こういう面についてももっと解決する方法はないのかどうか。  それからもう一つは、災害融資関係については、これは中小企業の場合は政府関係三機関、農林関係等については農林中金だとかいろいろなそれぞれの機関から金が出るわけでありますが、災害融資事業団というような一つの系統的な機関、そういうものをつくって、そして中小企業であろうと農林業であろうと漁業であろうと、災害関係については、一元的に災害融資事業団が迅速に措置をするというようなことができるような方法が考えられないかどうか。これはできれば政務次官なり大臣からひとつ答えをもらいたいと思うのでありますが、そういう方法がとられれば、私は、期間の関係あるいは簡素化関係、系統的な融資の面を含めまして非常に改善されるし、もっとよくなるのじゃないかと思うのでありますけれども、ここらあたりについてもひとつ見解を聞いておきたい。  それからもう一つは、特に中小企業関係融資でありますが、これは激甚災適用を受けるということが前提でありますが、同時にもう一つ災害救助法の発動がなければこれまた融資を受けられないということです。この災害救助法の発動というものはなかなか問題がありまして、この委員会等でも、災害救助法の関係というものは何とか除くことができないか、これを条件にしないで中小企業者等に対する融資ができないのかどうか、こういうことでしょっちゅう問題になっておりますが、今度の法律改正でもこれが解決されておらないわけでございます。この関係については、今後どうされようとするのか、これは不可能なのかどうか、法律改正が必要だとすればどういう面にその問題があるのか、そういう面も含めてひとつ答弁をいただきたいと思います。
  25. 伊藤宗一郎

    伊藤政府委員 手続があまりにも発動の時期がおそ過ぎるというようなことについては全く同感でございまして、これをもう少し早くならぬかということでついさっきも事務当局を叱咜したばかりですけれども、一カ月くらいはどうしてもかかるということでありますけれども、御趣旨に沿うように今後努力したいと思います。  なお、一本化の問題は、これはなかなか大事業ですからいまここでお答えをする立場でもございませんけれども、いずれにしても、被災者が困っている状態のときにいち早くあたたかい手を差し伸べるということが政治の要諦でございますから、米田委員の御構想に基づきながら政府としても善処したいと思っております。なお、委員会のいろいろな御勉強にも相呼応する姿で今後政府としても取り組んでまいりたい、このようにお答えをしたいと思います。
  26. 進淳

    ○進政府委員 激甚災害適用に際しましての災害救助法の適用が条件となっております点につきましての改善と申しますか、これをはずすことにつきましては、御趣旨の線に沿いまして、できるだけ私どももそういうふうにしたいと存じております。しかし、これは政令改正を必要といたしますので、通産省単独で行なうわけにもまいりませんので、関係各省とそういう御趣旨の線に沿いまして検討中でございます。
  27. 米田東吾

    米田委員 私も終わりますが、ひとつ通産省のほうにお願いをしておきたいのでありますが、この二つ法律改正、私の党といたしましても、党の政審でいろいろ検討したわけなんでありますけれども、どうしても納得できない。これは基本的な点でございますが、そもそも天災ということで農業や林業や漁業経営者あるいは法人融資をするということがあるなら、中小企業に対しても、天災ということによるこの法律の精神に基づくところの中小企業に対する融資というものが当然あってしかるべきじゃないか。この法律は、この名のとおり天災に基づく農林漁業ということになっておりますけれども中小企業者に対する融資ということを同様に――これは立法措置を必要とするならわれわれは考えましょうが、そういうことで公平な融資制度というものを中小企業者に対しても考える必要があるのではないだろうか。それが一つあるわけであります。  それから同時に、そういう制度がとられるとすれば、中小企業者に対しても、その企業経営の種類だとかあるいは規模だとか、そういうものに基づいて、たとえば農林漁業等について災害の規模に応じて一割から三割までは何分の利子の金融だとかいうふうになっておりますが、そういう区分けもある程度して、きめのこまかい融資というものができるのではないか。要するに、中小企業者に対しては、激甚災害適用がなければこの天災融資法という関係での融資の道はないということなんですね。これはどうしても解決をしなければならぬだろう、こういうことが出ておるわけでありますけれども中小企業庁のほうとしては、この関係についてはどうお考えになっておられますか。私どもとすれば、天災という関係で農林業あるいは漁業というものに対してこの制度融資があるとすれば、当然中小企業者に対してもあるべきだ、なかったのがおかしいのじゃないか、こういうことなんですけれども、その見解を最後にお聞きして、私は終わりたいと思います。
  28. 進淳

    ○進政府委員 御指摘の点につきましては、中小企業者に対する災害融資といいますか、激甚災害に対します融資の改善につきましては前からいろいろ検討はいたしておりますけれども、先ほど政務次官から御答弁申し上げましたように、商工金融のあり方ということで金利体系全体との関連もございまして、実質的にできるだけ負担を軽減するというようなことから、いささかおそくなりましたけれども、今回融資ワクを倍にするということで負担の軽減をはかったわけでございます。  さらに、天災そのものに対する考え方ということにつきましては、中小企業の中でも特に零細企業というものは生業的な色彩がございます。個人災害全般との関連もございまして、そういう意味で若干そういう広い意味の問題もございます。商工業全体ということにつきましては、通産省といたしまして、従来の金融体系の中でできるだけ実際上の軽減をはかってまいりたいというようなことで考えております。
  29. 米田東吾

    米田委員 そうすると、この農林業にならって一つの立法措置をするというようなことは考えていないということですね。
  30. 進淳

    ○進政府委員 現在のところでは非常にむずかしい問題がございますので、いささか困難であろうかと存じております。
  31. 米田東吾

    米田委員 立法の問題はわれわれの問題でございますから、これから委員会で十分また検討していきたいと思いますが、中小企業庁も十分ひとつこれは前向きに考えておいていただきたい。  以上で終わります。
  32. 中井徳次郎

  33. 相沢武彦

    相沢委員 時間がございませんので、簡単にお伺いしたいと思います。  今回提案されました天災融資法の一部改正、また激甚災害法の一部改正、ともに融資ワクの拡大の面で従来の倍額になったということは、今回特に北海道農業が大災害を受けました農家の人たちにとってまことに時宜に適した措置と歓迎をいたしております。  そこで、先ほどからも論議がかわされておりますが、制度資金をこれまでうんと使っている農家、特に北海道農家は、平均二百五十万からのそういった制度資金を満ぱいに使って、また負債もあるということなんですが、この面の返済金の償還について延納措置がはっきり講じられませんと、せっかく今回融資ワクが拡大されてもこれまでの償還のほうに回されてしまって、実際明年からの営農を継続するための資金としての活用はできない、そういう点を現地の農家の人たちは非常に心配しておるわけでありますが、この点に対する当局のお考えを明確にしていただきたいと思います。
  34. 小暮光美

    小暮政府委員 今回の冷害に関連いたしまして、被害農家負担の軽減をはかるために、制度資金の償還の条件につきましては、次のように措置したいと考えております。  まず農林公庫資金でありますが、農林公庫資金につきましては、災害により元利金の支払いが困難な借入者につきまして、その貸し付け金貸し付け条件の緩和につき被害の程度に応じて中間据え置き期間の設定、償還期限の延長、元利金支払いの猶予、遅延損害金の減免等の措置を講ずる考えでございます。また、今回の災害が広範囲で被害農家も多数にのぼることにかんがみ、条件緩和措置が迅速かつ簡便に処理されますよう、被害の程度によりあらかじめ条件緩和のタイプをつくっておきまして、受託金融機関が専決することができますように事務の迅速化をはかりたい考えでございます。  農業近代化資金につきましては、借入者の申請に基づき被害の程度及び償還能力の実情に応じまして、たとえば償還期限を法定期限まで延長するとか、四十六年度の償還分の相当分を次年度以降の約定期間に均等に繰り延べる等の措置を講ずるよう指導いたしておりまして、その際の事務処理につきましても、先ほど申しましたと同様、可及的簡便な方法をあらかじめ用意しておくように末端を指導しておる次第でございます。
  35. 相沢武彦

    相沢委員 いろいろ措置が講ぜられますが、実際に農家の人たちにそれが熟知されるような一そうの浸透をはかっていただきたいことと、関係機関にも、十分農林省の意向がそのまま事務処理等にあらわれるようにさらに徹底をお願いしておきたいと思うのです。  それから、もう一つこれに関連しまして、対象農家資金融資の点で伺っておきたいのですけれども北海道の場合は、今後大型農業化ということで十町程度ということが一応北海道の第三計画の中にもありまして、その面でいくと、二、三町しかない農家あるいはこれまで負債をしょい過ぎておる農家等、農家にもいろいろ事情がございます。実際に今回の災害を受けた農家であって、ここで営農資金融資を受ければ今後も営農していきたいという希望農家が、実際現地の段階においてもうこの農家は返済の見通しがちょっとつかないのではないかというようなことから、資金融資を希望しても希望する農家になかなかいきかねるような状況が起きないだろうかという心配がありますが、この点についてどのような指導、監督をなさるおつもりでありますか。
  36. 小暮光美

    小暮政府委員 北海道の営農の実態から見ますと、内地と異なりまして、水田の場合でも五町-七町あるいは七町から十町というふうな形で稲作をやっておる農家が多いわけでございまして、これらの最近の経営動向から見ますと、今回改正をお願いいたしましたような貸し出しワクが必要であろうという判断でこの案を提案しておるわけでございます。このことは同時に、償還の可能性があるという問題を含むわけでございますけれども農家経済調査等によってこれを見ます限り、北海道におきまして何年かに一ぺんまことに不幸な災害がございますけれども、それ以外の、うまくまいりました年にはやはり経営規模が大きいだけに農家経済余剰の生まれ方も内地とまた格段の差がございます。私どもといたしましては、被害農家が今回の制度を十分に活用して営農の継続をはかり得るように道庁と十分連絡をとりながらこれを御指導申し上げたいと考えております。御心配のような点が起こりませんように、道庁ともよく相談して末端まで指導徹底させたいと考えております。
  37. 相沢武彦

    相沢委員 この二本の法律を通過させたあとで適用政令が出されるわけですが、特に北海道の場合には、今回大被害を受けたので、緊急にこの資金融資がはかられることが望まれているわけであります。そこで、政令の実施時期はいつごろになるのか、この点をはっきりしていただきたいと思うのです。特に政令が出されてから地方自治体でも事務手続等にやはり半月はかかるのではないかというような見通しでありますし、実際に今年度内農家の方たち融資がはかられなければ営農に直接影響がございますので、この適用政令の時期を明確にしていただきたいと思います。
  38. 小暮光美

    小暮政府委員 災害指定のほうの政令発動の時期につきましては、先ほども政務次官からお答えしましたように可及的すみやかにこれを行なうようにということで、事務といたしましては最大の努力をいたすつもりでございます。ただ、この法律を衆参両院で御承認いただきましたその日に出るかどうかという点に若干、なぜ出ないのだろうかという疑問が必ずおありだろうと思いますが、その点の事情だけ率直に申し上げておきます。  あの政令は、災害指定するという意味と、関係道府県と十分打ち合わせて資金ワクを政府として確定するという二つの事務上の意味がございまして、ただいま十月十五日の作柄を基準にして天災融資法適用を希望する道県と、非常に急いでその資金需要量の詰めをやっております。もう済んだところもございますし、まだそれが間に合わないところもございます。これらの内地の若干の県が今回の同一気象に基づく冷害ということで指定されるということになると思います。それらのものも合わせましてできるだけ早くこれをそろえて政令の公布をお願いしたい、かように考えております。
  39. 相沢武彦

    相沢委員 そういっに事情はわかります。可及的すみやかにということは、結論として年内に農家融資が渡るのかどうか、その見通しはどうですか。
  40. 小暮光美

    小暮政府委員 年内に農家資金の現金が渡るということでなくて、貸し出しの形が確定するということにいたしませんと農家が安心して年を越せないわけでございまして、別途現金のほうは、これも毎々御答弁申し上げておりますが、農災関係のほうは暦年内に現金が末端に渡るようにということで、こちらの作業はどんどん進んでおります。一部概算払いで末端まで金を流したものもございますが、天災融資のほうは、その時点までに貸し出しの形が各農家にわかる、そういう形まで持ってまいるというように末端を指導いたしたいと思います。
  41. 相沢武彦

    相沢委員 次に、中小企業庁のほうにお尋ねしたいのですが、先ほどから金利引き下げの問題が話題になっておりますが、やはり六分五厘という金利は、風水害や天災等で壊滅被害を受けた中小企業の場合には非常に高率でありますし、この点は再度引き下げ検討をされるように強く要望申し上げておきます。  そこで、北海道の場合ですが、この激甚災害は、今回の冷害と直接関係ないわけでありますけれども、しかし実際大冷害のあった場合に、その付近の特に商工業者なんかは、商品の破損や店舗施設の被害を受けなくても、農家激甚災害によってストレートに被害を受けるわけです。特にこれまでの売り上げを維持できない。売り上げが激減するということと、それからまた、これまでの貸し付け金の回収がほとんど不能になる、こういったダブルパンチを受けることになるわけでありまして、この点について、中小企業庁として、こういった激甚災害地における直接の被害を受けないけれども、間接的にそういう大きな影響を受ける中小企業に対して、どういうような救済措置を講じようとお考えになっておるのか、その点を伺いたいと思います。
  42. 進淳

    ○進政府委員 御指摘のとおり、北海道冷害の間接的な影響といたしまして、中小企業関係につきましては、売り掛け金の回収難でございますとか、売り上げの減少というようなことで、特に金融措置について何らかの措置をとってくれという要望が現地からまいっております。しかし、御指摘のように、激甚災害法適用につきましては、当庁といたしましては、直接の被害の場合だけに限っておりますので、私どもといたしましては、制度の運用といたしまして金利引き下げは困難でございますけれども融資の据え置き期間の延長でございますとか、あるいは融資期間をきわめて長期にしておりますので、そういうような、いわゆる激甚災害法に基づきます特別措置金利以外の部分につきましては緊急に措置をとるように、中小企業長官名で現地の三機関あてに通牒を出しまして、融資につきましてもできるだけ迅速にやるように、そういう措置をとったわけでございます。
  43. 相沢武彦

    相沢委員 その件に関連しまして特別措置がとられた場合、別途融資体制が生ずるわけですけれども、保証協会との関連――保証協会の災害関係地域における支援体制が弱いと、実際そういった融資を希望する商工業者に渡らないという面が生じるわけでありますが、この保証協会の災害関係地域における支援体制あるいは認定などの推進について、これまでよりも前向きの体制が整えられておるかどうか、それからまた、今回はドル・ショックによる救済措置もいろいろ考えられておりますけれども北海道としては、こういったドル・ショックに伴う救済ともあわせて四億五千万という救済措置を考えておりますが、政府のほうとしては、どの程度を考えておりますか。
  44. 進淳

    ○進政府委員 全く御指摘のとおりでございまして、支援体制といたしまして、保証協会の保証を強化するという意味で、北海道の保証協会におきましても、従来考えておりましたよりも融資基金の配分をふやすことを考えております。ただ、現在のところ、全体の額をどうするかという金額の決定まではいたしておりませんけれども、通常の配分よりは融資基金をふやすということを考えております。
  45. 相沢武彦

    相沢委員 以上で終わります。
  46. 中井徳次郎

    中井委員長 次に、小宮武喜君。
  47. 小宮武喜

    ○小宮委員 いままで各委員から質問されておりますので、私の質問の中でダブる面につきましては省略をして質問をしたいと思います。  いままで各被災地を回ってみまして、一番被災を受けられた農林漁業者あるいは中小企業者たちが異口同音に訴えておられることは、やはり融資額引き上げの問題と、それからその金利引き下げ、それに償還期間の延長の問題、この三つがほとんどでございます。その意味では、今回の法律改正で不満ではございますが、一応金額は大体二倍に引き上げられた。しかし、金利引き下げの問題と償還期間の問題については何ら触れられておりませんので、先ほどから各委員からそのことを指摘されておりますが、この問題について、もういろいろくどくどは申しませんが、先ほどからいろいろ意見も出ておりますので、この二つの問題について、ひとつ農林省としてもそれから通産省としても再検討するということをここで約束をしてもらいたい、こう思いますが、ひとつ農林省通産省の御見解を承りたいと思うのです。
  48. 伊藤宗一郎

    伊藤政府委員 先ほど来たいへん御熱心な御要望、また切実な御要望を承っておりますので、ぜひ各省とも連絡をとりながら、また本委員会の御勉強にも相呼応いたしまして、金利体系全体の問題もございますけれども、先ほども申し上げましたとおり、やはり被災者に一刻も早くあたたかい手を差し伸べるということが政治の要諦でございますので、その要諦にかんがみまして、前向きに善処をしてまいりたいと思っております。
  49. 進淳

    ○進政府委員 金利の点につきましては、先ほど政務次官から答弁申し上げましたように、中小企業全体の金利体系の中で考えておるわけでございます。今度融資限度引き上げましたように、今後も実質的にできるだけ災害中小企業者負担を軽減するようにしてまいりたいと思います。
  50. 小宮武喜

    ○小宮委員 特に災害対策を行なう場合に、非常に盲点ともいえるかもしれませんが、いままでわれわれも、災害対策委員会のたびに、早期査定、早期着工ということで工事期間も四年を三年に短縮せよということを盛んに主張してまいりました。ところが、われわれが実際現地を回りまして、いろいろ各市町村段階、また県段階でも調査してみますと、いままで各本省に対してものを言ってきたけれども、各県、市町村にもそういった早期査定、早期着工という面から問題があるやに私も考えてまいりました。ところが、その内容を見てまいりますと、やはりいざという場合に設計技術者が非常に不足しているという問題――御存じのように、各市町村でも災害を予想してそれだけの技術者をそろえておくわけにまいりませんので、いざ災害が起きますと、たとえば災害査定を受けなければならぬ、またあと実施災害を受けなければならぬ、その段階で技術者が足らぬということで、各市町村、各県にまたがってまで応援を求めておる実情なんです。しかしながら、各市町村、各県ともその意味では余剰人員を持っておるわけではないし、来ても一週間か十日すると帰ってしまうというようなことで、実際は早期査定をやろうにも、結局各県、各市町村段階でそれがなかなかできにくいという事実が出ております。この問題について私もいろいろ考えてみましたけれども、やはりこれを解決しなければ、早期査定、早期着工といっても非常に問題があるというふうに感じました。  そこで、これは私案ですけれども、そういった土木関係、特に技術関係の人たちを、たとえば県単位かあるいはブロック単位に、たとえば九州なら九州に一カ所でもいいし、あるいは長崎県と佐賀県でもいいし、そういう県単位かブロック単位かで設計・土木技術者の公社といいますか公団といいますか、名前はどちらでもいいのですが、そういうようなものをつくって、常時そこへ設計技術者をかかえておく。そうしないと、町のほうに設計を依頼すればものすごく金がかかる。一億五千万ぐらいのある町で、設計料だけで二千万から三千万の金がかかっておるという事実も明らかになっておるのです。そういった意味で、何とかこの問題を解決してもらいたいというのが私の願いなんです。  その意味で、私が先ほど申し上げましたように、とにかく県単位かブロック単位かで何かの公社関係をつくって、これに国が補助してやる、県も負担する、それから各市町村も負担をするということで、災害のときばかりでなくて、やはり平時の場合も、各市町村とも設計工事、土木工事、建築工事いろいろあるわけですから、そういうようなことで平時の場合も利用するようにしたら、これは非常に助かるのではなかろうかと私は考えます。十九号台風、二十三号台風、いろいろな台風を見て回って、被災地から言われているような問題も、突っ込んでいきますとそこにぶつかる。そういった意味で、私が先ほど申し上げましたような考え方で、たとえばそういう法人による公社か公団、名前はどちらでもいいです。そういうような問題を、これは建設省が主になると思うのですが、特に大きな災害の場合も、河川の復旧にしてもがけくずれにしても、そういうような問題が非常に大きく影響してまいりますので、ひとつ建設省のほうでそういった構想を再検討してもらうようにお願いをしたいのですが、所見を聞きたいと思います。
  51. 生瀬隆夫

    ○生瀬説明員 お答えいたします。  ただいま先生からお話しありましたようなことは、確かに災害のときだけではありません。技術者が不足しているというのは確かに現状でございまして、現在県あるいは市町村に法人を設立いたしまして、そういう災害だけじゃありませんで、ふだんやっております実施設計書等につきましても公社あるいは法人、そういうものでもってやっておるのもかなり各県にございまして、ますますそういう機運が高まりつつございます。ただ、技術者不足ということにつきましては、現在私たちのほうでは電子計算機を導入いたしまして、そういう手で、単純労務につきましては考えていきたい、こういうことで現在北海道等につきましてはある程度そういう整備もできてございます。各府県につきましても徐々にそういう機運が高まっておりまして、そういう方向に今後進みたいと思います。  なお、こういう法人設立につきましては、先ほど先生おっしゃいましたように、現在民間のコンサルタントに一部そういう業務をやらしておりますというような関係もございまして、そういうこととの関連等も考えまして今後検討してまいりたい、このように考えます。
  52. 小宮武喜

    ○小宮委員 その問題については国内でもあちらこちらでいろいろやっておるところもあるということですが、やはりこの問題はぜひ積極的に進めていただきたいということをお願いしておきます。  それから、査定用の設計費、それからまた、実際具体的な工事にかかる場合の実施計画用の図面の費用、こういうような問題は、災害補助の場合には、実施用のやつは入るけれども、査定用のやつは入ってないのですか。
  53. 生瀬隆夫

    ○生瀬説明員 お答えいたします。  現在災害復旧の申請につきましては、これは各管理者のほうから申請いたしまして、そういう事業費を決定する行為が済みまして一応実施設計を考える、こういうものが積算される、こういうようになっております。
  54. 小宮武喜

    ○小宮委員 それから、もう一つお聞きしたいのは、最近災害に対しては各省とも非常に前向きで取り組んでいただきまして、予算も案外つけてくれるのです。しかしながら、各市町村に参りますと、県にしても同じですが、県単工事とか町単工事、いろいろあるものですから、そういった意味では、各県、市町村が負担する分についての負担額の予算措置がなかなかできないということで、実際は国からの補助がついても、災害復旧がスムーズに、順調に、迅速になかなか行なわれないということが現実に出ておるのです。そういった意味で、われわれも災害復旧がいままでの四年のやつを三年にしろとか二年にしろとか――西村建設大臣も災害対策委員会に来て、やはり年度内復旧を基本にするということまで言われ、非常に前向きで取り組んでいただいておるのですけれども、実際それに地元がついていき切らぬ、やはり地元の負担額がそれに間に合わないというような問題を各市町村を回ってみるといろいろ聞く。そういった意味で、これは自治省のほうがいいのでないかと思うのですが、やはり災害復旧の場合、国が予算をつけても、その地元の負担額をやはり何らかの形で、たとえば特別交付金の前払いとか概算払いとか、そういったこと等も、まだほかにもありましょうけれども、そういうような問題を考えて、少なくとも地元負担によるいわゆる財政措置ができないために災害復旧が二年も三年も四年もかかるというような実態は、これは災害復旧、災害対策の本来の目的にはずれる、こういうふうにも考えますので、ひとつそれに対する地元負担の問題について特別の配慮、考慮、特別措置がされないものかどうか。これは自治省からひとつお聞きしたいと思います。
  55. 福島栄造

    ○福島説明員 災害復旧に伴います臨時の財政負担につきましては、先生お話しのとおり特別交付税で措置をしておるわけでございます。  なお、災害復旧に要する地方債の元利償還につきましては、地方交付税の基準財政需要額でこれは算入をする。それから臨時の資金繰りにつきましては、地方交付税の繰り上げ交付、こういう措置をとるということで、自治省といたしましては手厚い措置をとっておるわけでございます。
  56. 小宮武喜

    ○小宮委員 その返還とかなんとか、それは問題ないのです。ただ、普通交付税の繰り上げなんかはいままでもやっている。しかしそれではもう間に合わぬ。災害が大きければ大きいほど、たとえば一億五千万くらいの各町村で実際災害額は四億五千万も五億も出たという、今回のような例が多いのですから、そういった意味で、普通交付税の繰り上げをやってみたってそれは焼け石に水です。だから、特別交付金にしたって、この問題もこの前も質問したことがありますけれども、やはり増額するとか、たとえばそのために工事が――先ほどからもいろいろ出ておりますが、橋がこわれてもなかなか復旧できぬ、三カ月も四カ月も橋をこわれたままにしておるというような問題もある。問題は、災害の地元負担をいかに緩和してやるのか。そして国がどういうような援助措置をするのかということを言っておるわけです。ただ、いままでのことを説明してもらっても何にもならない。したがって、もっともっと前向きで、こういうふうにするということをここではっきり言ってもらいたいと思うのです。
  57. 福島栄造

    ○福島説明員 新しい措置ではございませんけれども、特別交付税は、被災団体に対しまして、被災の状況とそれから市町村の財政事情を十分に自治省といたしまして勘案して重点的に配分する、こういうことでございます。
  58. 小宮武喜

    ○小宮委員 ぼくは長崎県に行って農林部長にも会い、土木部長にも会ったのです。しかし、現地で早期着工だとか早期復旧だといってみても、現実には各市町村、各県の負担がそれに応じ切れないということで、結局は三年か四年でそういうような復旧を計画してやらないと、どうしても各市町村、県段階で負担に応じ切れないということを言っているのですよ。だから、ここでは、われわれはみんな五年も四年もかかるのはけしからぬじゃないか、三年に繰り上げろ、二年に繰り上げろ、これが災害復旧の基本でなければいかぬということを言いながらも、現実には財政面で、やはりいま制度化されると四年ぐらいになってしまう。それをやはり改革して改良しなければならぬということが私のねらいですから、そういったような意味で、いまのような答弁ではちょっと納得しかねるのですが、そういうような方法がもっとほかにあれば、そういう方法で、少なくとも地元負担金の問題で災害復旧がスムーズにいかぬ、迅速に行なわれぬというような問題があれば、そういうものを解消するためにこういうような手を打ちます、こういうようにしたい――まあその問題はどういうふうにするか、ここであなたに確約しろと言ってもむずかしいかもしれませんが、一応この問題はひとつ十分自治省としても検討してもらいたいということです。  いろいろ申し上げたいことがありますが、大体十一時半までに終了ということになっておりますので、きょうはひとつ議事運営に協力いたしまして、これで私の質問を終わります。
  59. 中井徳次郎

    中井委員長 津川武一君。
  60. 津川武一

    ○津川委員 北海道被害を受けた農民は、その被害のためにいま生活費、これからの営農資金に事を欠いておる。これが一つ二つ目には、いままでの固定負債の残高が重なっておって、その元利償還に困っておる。この二つがありますので、この二つについてお尋ねしてみます。  今度の改正によりまして貸し出すほうの金額が上がったり、利子の若干が引き下がりましたけれども北海道農家の固定負債中、四十六年度中に償還がめんどうだ、かなり不能と見られるというふうにして、道庁より不能処分にしてくれるように要請しておる額が三十六億円、このうちで三分の二が公庫資金になっております。ほったらかしておくと離農せざるを得ない。この人たちに今度の融資を施す必要があると思いますが、それがいきますかどうか、いかせるためにどんな策を持っておるか、お尋ねします。
  61. 小暮光美

    小暮政府委員 北海道農家の借入金の残高は四十五年度末現在の調査で二千六十九億になっておりますが、このうち四十六年、ことし償還の時期にきておって償還が困難、何らかの措置を要望しておるものが三十六億であります。これらにつきましては、先ほども他の委員にお答えしましたように、それぞれ既往の貸し付け金状況に応じまして中間据え置き期間の設定その他の措置をとるようにいたしております。これらのものにつきましては、今回の貸し付けワクの拡大によってかなりその資金需要にこたえ得るものというふうに考えております。
  62. 津川武一

    ○津川委員 この三十六億の人が政府の援助を待っているわけですが、申請すると天災融資法激甚法なんかの恩恵がいくということであればよろしいのですが、明確に答えていただきます。
  63. 小暮光美

    小暮政府委員 率直に申し上げて、ただいまの三十六億の残高に関連した一人一人の農家が今度指定します北海道冷害政令の条項に該当するかどうか、そこは私もちょっと論理的には申し上げられない。しかし、たぶんかなりの人が重複しておるだろうと思います。今回お願いしました資金ワクの拡大によって、頭打ちが除去される農家が相当あるだろうというふうに考えておるわけであります。
  64. 津川武一

    ○津川委員 その次に近代化資金です。これは四十五年度末で三百四十九億円、これで信用保証協会の保証のあるものが半分、保証のないのが半分なんです。そこで、保証のある分に対しては金融機関も安心して今度また貸し出しますが、信用保証協会の保証がないため、現地に行ってみますと、保証人持ってこい、判こ持ってこい、こういう現実です。この保証人も担保も持っていけないかなり困難な人こそ、私は国の援助が必要だと思うのですが、この人たちに今度の改正された法の行き分がそのままいくか。場合によっては、この人たちに無保証、無担保でもお金を支度してあげる必要があるかと思いますが、この二点、お答え願います。
  65. 小暮光美

    小暮政府委員 今回御提案申し上げております法改正は、被害農家の一農家当たりの貸し付け限度額の拡大の問題でございますので、ただいま御指摘の問題に直接にこの法律でこたえるわけにはまいらぬと思います。私どもといたしましては、末端における農業近代化資金貸し付けにあたりまして、農業信用基金協会による保証措置を十分活用するように日ごろ指導いたしておるわけでございます。しかしながら、一部授信していない方のあることも御指摘のとおりでございます。災害の際に直接貸し出しの実務を行ないます農業協同組合が農家の実態を把握しておるわけでございますから、農業協同組合との日ごろの結びつきの中でこの問題が円満に解決されることを期待しているわけでございます。
  66. 津川武一

    ○津川委員 皆さんの懸命な努力にもかかわらず、現在半分がこの信用保証協会の保証なしでやっているわけです。これに対する態度がかなりきつい。こういう人こそ必要なんで、こういう人にも制限なく今度の改正の恩恵を受けさせる道をどう農林省は考えているか。これはやるつもりでございましょう。ひとつこれにも、困難があった場合に何かこれを切り抜けさしていく方法が必要だと思うのですが、この二点。
  67. 渡邉文雄

    ○渡邉説明員 お答え申し上げます。  農家が担保力がないために金が借りられない場合に、その信用を補完するという意味で、政府も出資金の一部を助成するというようなことをやりながら、基金協会を助成し育てておるわけでございますが、基金協会が通常保証いたします場合には、なるべく担保を取らないで保証するように指導しております。保証にあたりましても、なるべく借り入れにあたって担保力のない農家にまんべんなくいくように私どもとしては指導しているつもりでございます。ただ、基金協会によりましては、農協が金を貸す場合に、保証がなくても金を貸すという場合も、あるいは農家の担保に応じて、保証協会の保証を要しないで農協が金を貸すという場合もあると思いますが、今回の天災融資法の場合には、そういう保証協会の保証とは関係なく、農家被害を受けておれば、市町村長の認定によりましてそういう農協からの融資が受けられるように、これは当然のことでございまして、その方向で指導したいと思います。
  68. 津川武一

    ○津川委員 そう言ってくれたことは非常にありがたいわけですが、現地に行ってみますと、実際農協で、今度は天災融資法だめだ、おまえは担保も保証人もないし、いままでの実績からいってかなりめんどうだと言われて、かなり悲観している人がある。こういうのが農林省に来たならば、それじゃ、個々に指導して、道を開いてくれますかどうか。
  69. 渡邉文雄

    ○渡邉説明員 天災融資の場合には、農家被害を受けておりまして、経営上なかなかむずかしくなっておる状態で、金を貸す農協としましてはだからなかなか貸しにくいという場合も事実あろうと思いますが、そういう趣旨で、天災法の中で、農協が融資をした場合にそれが返ってこないということで農協が融資しにくいということを救うために、別途、市町村と農協が損失補償契約を結ぶという措置を講じております。現実に損失補償の必要が生じた場合には、国のほうからも、その損失補償に必要な金の一部を補助するという仕組みもつくっておるわけでございまして、さらに具体的にそういう問題が起きないように道庁等も指導してまいりたいと思っております。
  70. 津川武一

    ○津川委員 もう一つ。今度の融資で、非常に首を長くして待って、楽しみにしておるのは農協です。農協の一部の中には、ここではあえて名前を言いませんけれども、ひとつ融資をもらって、きた融資でいままでの借金を埋めて、その人を離農させるということを考えている向きがある。こちらからいく、農協までは入った、農民のところにいかない、こういう心配がありますが、あってはいけないし、やらしてはいけないし、こういうことに対する指導方針をひとつ聞かしていただきます。
  71. 小暮光美

    小暮政府委員 天災融資法の最末端における運用につきましては、御承知のように市町村長が被害を認定するという、市町村長がきわめて大事な機能を果たしております。私どもといたしましては、道庁を通じ、この法律の施行に遺憾ないように十分指導いたしたいと考えておる次第でございます。
  72. 津川武一

    ○津川委員 最後に、各委員から、金利引き下げだとか利子の補給だとか償還期間の延長だとか既存借金の延納など、いろいろなものが出ましたが、これをいまは現地の末端の金融機関の専決処分でやらせる、非常にけっこうなことですが、この際なので、思い切って天災融資法激甚法の中に、被害状況によっては金利を下げる、ただにする、償還期間も、法律できまった期間というものを延期するというところまで法を改正してみる必要が、私は、場合によっては出てきたと思うのです。この必要はないですか。
  73. 小暮光美

    小暮政府委員 天災融資法にかかわる融資はどこまでもやはり融資でありまして、国はこれにつきましていろいろ制度的な方向づけをしながら利子補給並びに債務保証ということをやるわけでございますが、その融資の具体的な実行にあたりましては、やはり一つ融資機関としての姿勢を堅持してもらいたいというふうに考えております。個々の実情に即して末端で金利を変えるということは、この制度の性質上適当でないというように考えます。
  74. 津川武一

    ○津川委員 天災の度合いによりますが、かなり法律上めんどうなこともありますけれども、私は天災があった場合に、天災融資法でも激甚法でも、個々の農協や市町村長の善意によってそういうことをやるんじゃなくして、法律によってそういうことがやれるというたてまえをつくっておくことが必要だと思うのですが、これはいかがでございますか。
  75. 小暮光美

    小暮政府委員 国民経済的に見て非常に打撃が大きいというふうに判定される被害につきまして、国が直接利子補給並びに債務保証という形を行なうというのがこの制度の趣旨でございます。したがいまして、この制度は、やはり国の責任においてその状況を判断し、それぞれ守るべき基準を示してやることになると思います。  なお、隣保共済の精神あるいは地方自治体のそれぞれの財政力並びに判断によって、それぞれ災害に対して応急の措置をすることは、これはまた別途当然であろうかと考えます。
  76. 津川武一

    ○津川委員 終わります。
  77. 中井徳次郎

    中井委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     ―――――――――――――
  78. 中井徳次郎

    中井委員長 次に、本案を討論に付するのでございますが、別に申し出もありませんので、直ちに採決に入ります。  天災による被害農林漁業者等に対する資金融通に関する暫定措置法及び激甚じん災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律の一部を改正する法律案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  79. 中井徳次郎

    中井委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。(拍手)     ―――――――――――――
  80. 中井徳次郎

    中井委員長 この際、天野光晴君外四名より、本案について附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  本動議を議題とし、その趣旨の説明を求めます。天野光晴君。
  81. 天野光晴

    天野(光)委員 私は、自由民主党、日本社会党、公明党、民社党及び日本共産党を代表いたしまして、本動議について御説明申し上げます。  案文を朗読して説明にかえさしていただきます。    天災による被害農林漁業者等に対する資金融通に関する暫定措置法及び激甚じん災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)  本改正において、貸付限度額引き上げ等の措置を講じたが、政府は、今後さらに、各種災害融資について、金利負担の軽減措置等被災者の救済に万全を期すべきである。  右決議する。 以上であります。何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。(拍手)
  82. 中井徳次郎

    中井委員長 本動議について採決いたします。  本動議のごとく決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  83. 中井徳次郎

    中井委員長 起立総員。よって、本案については天野光晴君外四名提出の動議のごとく附帯決議を付することに決しました。  この際、農林政務次官より発言を求められておりまするので、これを許します。伊藤農林政務次官
  84. 伊藤宗一郎

    伊藤政府委員 ただいま附帯決議をいただきましたが、御趣旨に基づきまして検討してまいりたいと存じます。     ―――――――――――――
  85. 中井徳次郎

    中井委員長 おはかりいたします。  ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  86. 中井徳次郎

    中井委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ―――――――――――――   〔報告書は附録に掲載〕      ――――◇―――――
  87. 中井徳次郎

    中井委員長 次に、災害対策に関する件について調査を進めます。  昨十一日、川崎市に発生したローム斜面の崩壊実験計画における事故について調査を進めます。  質疑の申し出がありまするので、順次これを許します。米田東吾君。
  88. 米田東吾

    米田委員 まことに不幸な事態が起こっております。けさの新聞によりますと、ただいま委員長が議題にされました川崎市生田における災害防止のための実験の過程において、多数の国家公務員並びに研究者、報道関係者等が、実験を主宰し計画し管理した政府のずさんな計画のために犠牲になっておられるわけであります。  私は、社会党を代表して、今回の犠牲者の皆さんに心から哀悼の意を表し、御遺族に対して深く御同情申し上げる次第でございます。  この災害につきましては、幸いに、付近住民の被害がなかったということが不幸中の幸いでございました。私は、限られた時間でございますので、以下若干の御質問をいたしたいと思います。  まず、今回のこの事故は、私は、三つの角度からその責任がただされて、原因が追及されなければならぬと思うわけであります。  一つは、政治責任であります。少なくとも国家の責任で国民の税金を使って、そうして災害防止という名でなされた一つの研究実験が、政府が主宰するその計画のミスやあるいは錯誤によって、このような犠牲者を出した、これは私は、政府自身の政治責任が当然問われるべきだと思います。いま一つは、これを実際に実施した行政の責任であり、そしていま一つは、当然これは刑事責任であります。  わが党は、この政治責任や具体的な事態の究明につきましては、現在本会議における緊急質問を要求いたしておりますので、それらの大綱につきましてはそこに譲りたいと思いますが、当面まず、きょうは政府側から、なぜこのような不幸な事態が起きたのか、一体どこに計画の誤りやあるいはミスがあったのか、少なくとも政府自身はどのような責任を感じておられるのか、また、関係犠牲者の方々にはどのような措置をいまなされておられるのか、それから新聞の伝えるところによりますとなお行くえ不明が一名あるといわれておるわけでありますが、ただいまの時点でこの一名の行くえ不明はどうなっておるのか、これらの点につきまして説明を求め、さらに質問をいたしたいと思いますので、御答弁を願いたいと思います。
  89. 小山実

    ○小山説明員 お答え申し上げます。  実は、おわび申し上げなければなりませんのは、専門の担当者がみなほかの委員会あるいは現地に行っておりまして、何よりもまず被災者の救出、御遺族並びに負傷者の方々のお見舞いに奔走しておりますので、私ども十分なお答えができるかどうかわかりませんが、その点はお許しいただきたいと存じます。  まず、事故の原因でございますが、昨十一日の午後三時ごろ、川崎市生田におきまして、ローム斜面の崩壊実験の実施をしておりましたところ、予想外のがけくずれが起こりまして、多数のとうとい人命を失い、また多数の負傷者を出すに至ったのであります。まことに申しわけない次第でございます。  私どもといたしましては、実験の安全性につきましては十分な注意を払うように努力してまいったのでございますが、このような事故が起きましたことにつきまして、努力が足りなかった点を深く反省しておる次第でございます。  具体的には、九日午後三時半から散水を開始いたしまして、足かけ三日目と申しますか、昨十一日午後三時半ごろ、全部で降らしました水の量が約五百ミリメートルに達しましたときにがけくずれが起こったわけでございまして、そのくずれ方の速度及び規模が、当初いろいろ技術的に検討し、予想しておりましたよりも非常に大きかった。そのために大きな被害を引き起こしたわけでございます。  それで、現在確認しておる状況でございますが、十五名の方がなくなられまして、負傷者が十名というふうに承知いたしておりますが、なお自衛隊等の協力も得まして、けさからさらに遺体の捜索に努力いたしておるわけでございます。  特に、今回の実験におきまして、反省をしてみますと、安全の問題についていろいろと不注意があったというのは否定できないところだろうと思います。技術的にはいろいろ三年間にかけての調査研究でありまして、この程度でだいじょうぶという想定のもとに行なったわけでございますけれども、これが予想に反して事故が起こったということでございます。それから安全対策につきましてもいろいろ措置を講じてはおったわけでございますが、それらの点につきまして若干手抜かりがあったことがこれらの事故を起こしたわけでございまして、非常に申しわけなく存じておる次第でございます。
  90. 三原朝雄

    ○三原政府委員 内閣官房長官三原でございます。  ただいまのお尋ねの点でございますが、まず、政府が行ないました災害防止のための仕事で多くの犠牲者を出しましたことにつきましては、政府の責任を痛感いたしております。まことに申しわけないことだと考えておるのでございます。  そこで、まず政府といたしましては、とりあえず科学技術庁に、長官を本部長といたしました対策本部を即刻設置いたしまして、また、本日は閣議の了承を得まして、総理府に事故調査委員会を設置いたしました。これは政府外第三者の学識経験者をもちまして、五人の委員会を設置いたしまして、本日正午第一回の委員会を開き、委員会後現地に調査に行っていただくように処置をいたしておるのでございます。  そこで、犠牲者の方なり御遺族に対しましては、心から弔意をささげるのでございますが、これに対します処置といたしましては、心からなる弔意を表しますとともに、できるだけの手厚い処遇をする考えで進んでおるのでございます。  なお、政治責任の問題でございますけれども、当然政治責任を考えておるのでございます。そこで、本日は科学技術庁長官が総理に対しまして進退伺いを提出をいたしました。総理は、ただいま慎重に考慮をしておる段階でございます。  なお、行政上の責任につきましては、先ほど申し上げましたように、調査委員会調査を早急にお願いいたしまして、その結果を待って措置いたしたいと考えております。特に、今後再びこういうことを起こしてはなりませんので、対策本部なり調査委員会のそうした結果を待ちまして、早急に取り組みたいと思っております。  なおまた、きょう閣議におきましても、各大臣に対して、各省庁においてもかかることが起こらないように厳重に心がけるようにという御指示もあったのでございます。  御報告申し上げる次第でございます。
  91. 米田東吾

    米田委員 私は、具体的な原因の究明なりあるいは責任の追及という点につきましては、きょうは保留いたします。いま御答弁ありましたように、政府側におきましても、事故調査委員会が持たれて究明その他にいろいろ取り組んでおられますわけでありますから、またわれわれも現地調査をいたしまして十分資料を整えてから、私どもはこの内容についてただしたいと思うわけでございます。ただ、当面さしむきいま緊急に対策上必要とする点でなお二、三お聞きをしておきたいと思うわけであります。  いま科学技術庁から答弁がありましたけれども、どうもはっきりいたしません。それで、一名の行くえ不明者はどうなったかという御返事なんですが、私はっきり聞き取れておりません。これの救出はいまどうなっておるのか。それから、重軽傷者十名の方々の関係については、病院に収容して手当てがなされておると言われておりますが、この方々がさらに命を失う、重傷がさらに度を越えて不幸な犠牲者になるというような、そういう度合いというものはどんな程度なのか、お聞きをしたいと思います。それから、がけくずれが現実に起きておる現地に対する復旧の関係というものは、どこでどういうふうにいま対策が進められておるのか、そこらあたりもお聞きをしたいと思います。
  92. 小山実

    ○小山説明員 申しわけありませんが、私はけさからずっと飛び歩いておりましたので、行くえ不明の一人がどうなったというのはまだ確認をしておりません。もしあれでございましたら、すぐ確認をしてから御回答させていただきたいと思います。それから、負傷の程度につきましても、手元にいま資料を持っておりませんので、これも即刻調べまして返事をさせていただきたいと思います。
  93. 米田東吾

    米田委員 きょうはこの委員会があるというのは――私が聞くところによりますと、科学技術の関係でも本委員会が開かれておるそうでございます。しかし、災害対策特別委員会は、すでに公報を通しましてきょう持たれることになっておるわけであります。今度のこの事故というものは、災害対策の側面から、そういうサイドから、この事故については当然本委員会がただしておかなければならぬ部分があるということは、これはもう御承知のとおりだと思うのであります。だとするならば、あなたのほうは、もう少しこの事故についての報告を整理をされて、進んで本委員会に提出をするなり報告するなりなされなければならぬだろうと私は思うのです。いまのあなたの御答弁では、全然要を得ておりません。まあ周章ろうばい、これでは、適切な今日ただいまの対策すら進められておらないのではないか、私はこういう気もするわけであります。  あなたのほうを幾ら責めてもこれはらちあかぬと思いますが、官房副長官にぜひひとつ――私はこれ以上申しませんが、当面早急に現地の対策はもちろんでありますけれども、行くえ不明者の関係、それから重軽傷者の手当てその他の関係、それから現地の地すべり、がけくずれになっておる事態についてどういうふうにいま対策を進めておられるか、それらの関係を早急にまとめていただきまして、きょうはそう長くこの委員会は開かれないと思いますけれども、私は、委員長のもとに、そしてこの委員会に出していただきたいと思います。  あわせてこの際、私は要求をいたしておきますが、この事故については、四機関を大体主管したのが科学技術庁防災科学技術センターというふうに聞いておるわけでありますから、もう少し各省――四機関を当然含めると思いますけれども、この事故の原因、それから政府のいわばいろいろな手落らやミスがあると言われておるわけでありまして、これはきょうの新聞によりますと「ずさんな実験バカげた災害」、これほどのきめつけた見方をされておる今回の事故であります。ひとつ総体的に政府として、この事故原因、特にこれから災害対策の面で私どもが十分検討を加えなければならない部分を重点にしてひとつ報告書をまとめていただきまして、この委員会に早く出してもらうようにお願いしたいと思います。  それから委員長にお願いをいたしますが、本委員会におきましても、場合によれば委員会としての事故調査、現地調査という関係が出てくるかもしれません。ひとつ後刻、理事会等でぜひ善処をしていただきますように、それから、必要によっては科学技術等の委員会との合同調査ということもあり得るかと思いますので、御配慮いただきますように御要望申し上げておきたいと思います。  いま私が申し上げたことについて、これは副長官から御答弁いただいて、私は終わります。
  94. 三原朝雄

    ○三原政府委員 お答えを申し上げます。  まず、現地で事故対策上やっておりますことにつきましてはここに資料はございませんけれども、昨夜内閣のほうから科学技術庁のほうには、犠牲者に対しまする処遇の問題でございますとか、それから埋没されておられる方々の発掘等について、手厚い処置をして即刻やれという指示もいたしております。  それから、重軽傷者に対しましての病院のお世話その他一切の処置を指示いたしておるのでありますし、現地の復旧につきましては川崎市、県、自衛隊に対しての協力要請もお願いをするというようなことを科学技術庁に連絡をいたしましたところ、対策本部は、こういう具体的な点について、あれは十二時過ぎでしたか、一切のそういう方針に従って処置をしておりますということを本部長から連絡がございましたので、いま御指示いただきました点は、現地においては処置いたしておると思います。  総務課長がそういう点の資料をまとめずに出席をいたしておることについては、申しわけないと思っております。  なお、原因究明につきましては、調査委員会の結果なり、あるいは科学技術庁そのものがやりますそういう調査等もまとめまして、将来の災害対策に役立つような資料をまとめて委員会に出すように処置をいたしますので、御了承願いたいと思います。
  95. 中井徳次郎

    中井委員長 ちょっと委員長として一言申し上げておきます。  いまの米田君の御要望につきましてはよくわかりました。善処いたします。  ただ、ちょっと三原さんにも申し上げたい。これは政府に申し上げたいことでありますが、関東ローム地帯の被害といえば、ことしの夏、千葉県で明治以来初めてのローム地帯の地すべりがあったわけであります。きょう新聞で見ましたような地すべりと同じような地すべりが、千葉県において各地で起きました。それで約五十名ばかりの死者が出まして、私ども災害対策委員会といたしまして、千葉県を二班に分かれて一日ゆっくりと、ほんとうに夜九時ごろまで調査をさせていただいた。翌日の新聞の報道するところによると、かけ足視察なんていって大いに私どもはひやかされて私は心外でございましたけれども、テレビなどにも出ておりましたが、どうも交通はわりあいに便利でございますけれども、なかなかたいへんです。一日の間に、銚子から千葉までずっと見て歩いた。全部同じようなタイプであります。したがいまして、神奈川県でおやりになった、川崎でおやりになったということを私は伺いまして、同じことをなぜやってみるのだろうか、現に実際あった例が千葉県にたくさん残っているのだ――こちらは神奈川県でしょうが、神奈川県は住宅問題で四、五年前からよく地すべりがありまするので、それにつられてそれをやったのじゃなかろうかと思いますが、そのときに千葉県を忘れちゃったのじゃないか。  大原幽学以来百数十年前から、千葉県の農家は、北にロームの小さな山を背に置きまして南向きの農家、これが一番いいということになって百五十年ほどたっている今日、この災害が起こったわけで、それはもうはっきりといたしておるし、現場もはっきりと現状が残っておるだろうと思うのであります。したがいまして、その辺の関係が、一体科学技術庁というところは何をしておったのかなと私は思います。実験もけっこうでありますけれども、科学技術庁は千葉県へ行ったらよかったのじゃないか、こういうふうに私は思います。行かれて、またそれでよくわからなかったかもしれませんけれども、関東ローム地帯ですから似たようなものですよ。ですから、そういうこともよくひとつ――これは災害対策委員会の代表として、私は何党にも属さぬで公平に判断をいたしまして、どうも政府国会のこういう委員会のわれわれの質疑応答をもっと正しく受けとめて、そうしてそれを使いたいときには大いに国会先生方の御意見も伺う、一緒にも行くという態度が案外欠けておったのじゃないかというふうなことを私はけさの新聞を拝見して非常に痛感をいたしましたので、この点をひとつ三原さんに特に私から要望を申し上げておきたいと思います。  たいへん長くなりましたが、以上で私の要望といたします。  次に、松尾正吉君。
  96. 松尾正吉

    松尾(正)委員 ただいま委員長からわざわざ発言がございましたが、昨日の生田のこの多数の犠牲者を出した事故につきまして私はきわめて遺憾に思うわけであります。犠牲になった方々並びに御家族に対しては心からお見舞いを申し上げる次第でありますけれども、このたびの事故は明らかに政府のずさんな計画に基因した、こう指摘せざるを得ない。私は、昨晩事故を知りまして現場に急行をして如実に見てまいりましたけれども、その悲惨な状態というものを見たときに、これはもう政府は根本的に考え方を改めなければいけない、二度とこういうことを起こしてはならない、こういう怒りを感ずると同時に、この感を強くいたした次第であります。  ただいま先輩の委員から発言がありまして、官房副長官から事故対策についてはそれぞれ地元でも十分手を打つというような答弁がありました。しかし、もろすでに皆さんも御承知のように、災害、土砂くずれというものは不測のときに起こるのが現状であります。ところが、今度の事故の場合は、それを事前に防止しよう、このための経験者、技術者が集まっての実験であるにもかかわらず、こういう問題を起こしたというところに、私は許せない、こういうものを感ずるわけです。  特に副長官にひとつ伺いたいのは、今度のものは四省庁連合でやったというのですけれども、いわゆる四省庁がどういうものを計画してだれがチェックの最高の責任を持ったのか、この点をひとつ伺っておきたいのです。
  97. 三原朝雄

    ○三原政府委員 これは御承知のように科学技術庁が責任の立場に立っておるのでございまして、それに建設省の機関が一つと、それから自治省の消防庁の研究機関が一つ、それに通産省の工業技術院関係の地質を担当する者が協力する。その三省の三機関が科学技術庁の機関に協力をしてやったという事態でございますので、具体的には調査の結果を待たなければわからないと思いますが、責任は科学技術庁にあるものと判断をいたしております。
  98. 松尾正吉

    松尾(正)委員 時間があまりありませんので端的に伺いますが、これは三機関が連合でやって科学技術庁が責任を持ったというのですけれども、おそらくこの目的は災害対策、いわゆる土砂くずれに対する災害対策の総合実験、こういうふうに考えていいのじゃないかと思うのですけれども、この点は副長官どうでしょうか。三機関がこういうふうに一緒になってやっておるわけですよ。消防、建設それから技術的な科学技術庁と、こういう機関があるのですから総合的な実験だ。災害を防止するためのいわゆる研究でしょう。だからそういうふうに三機関連合というのは初めてのケースですよ。これは当然災害に対する総合対策、こういう目的であろう。そういうことを副長官はどう考えているかということを聞いておるのです。
  99. 三原朝雄

    ○三原政府委員 四機関でやっておりますので、おそらく科学技術庁がその事務的な責任者と申しますか、そういうお世話役になり、いま言われた運営は、お互いの技術者が総合的に知能をしぼり出しながら研究、実験を進めたものと判断をいたしております。
  100. 松尾正吉

    松尾(正)委員 責任者がほかの委員会におりますので、こちらの要求する答弁が得られないのは残念ですけれども、結局この事故というものは、もう弁明の余地がない計画のずさんさにあるわけです。  これと並行してもう一つただしておきたいことは、こういった大きな規模の実験をやるのに、地元の市長等に公には何の連絡もなかった。それで、昨日事故現場で市長に会って聞いてみますと、このような規模の実験を行なうんだったならば、少なくとも連絡がほしかった、そうすれば、消防なり何らかの手当てはできたのに、そういうものが何の連絡もないために、もうニュースを聞いて私は飛んできた始末だ――こういうことはきわめて遺憾な点だと思うのですけれども、この点についてはどうですか。
  101. 三原朝雄

    ○三原政府委員 先生の御意見、ごもっともと考えております。当然そういう連絡をとり御協力を得ながらやるべきものだと思っておりますが、それをやっておらぬとするならば手落ちであったと考えます。
  102. 松尾正吉

    松尾(正)委員 それからもう一つの大きな問題点は、地元に、あの生田緑地で防災実験をやりたい、こういう要請があった場合に、あの地域は、遊園地です。生田緑地といいまして、公害に苦しむ川崎住民が何とかいこいの場として、あの緑の土地に一時、時間を求めたい、こういう遊歩道等のある場所なので、そういう目的からも――しかも関東ローム層というのは、そういう実験には危険と思う。緑地の関係、遊歩道の関係、これらがあるので、どうかこれはほかの場所でやってもらいたいということで再三拒否したけれども、結局われわれは専門家なんだ、技術者なんだ、信用しなさいということで強行した、こういうことなんですが、この態度についてはどうなのか。けしからぬことだ、副長官
  103. 三原朝雄

    ○三原政府委員 御意見十分拝聴いたしましたが、なおよく実態を把握いたしておりませんので、調査をいたしてまいりたいと思います。
  104. 松尾正吉

    松尾(正)委員 いまの二点ですね、地元に連絡を十分にとらなかった、市長並びに知事に。それから、第二点目の再三拒否したにもかかわらず、技術者を信用しろということで強行した。この点については、経過をひとつ資料として提出してもらいたい。当委員会でも、これは重大な問題として追及をしていかなければならない、こう思うわけであります。  それから、官房副長官は、この研究が総合的なものであろうと思うぐらいの答弁でありましたけれども、私は、消防が参画をしている、建設の地質関係あるいは通産の地質関係、科学技術庁、こういう関係がしたのですから、この実験に関しては、当然総合災害対策でなければならぬ、こう思うわけであります。普通の災害が一ぱい起きているわけですよ。しかも、普通の災害は、起きた時点を見るとどうか。もう眠っている時間あるいは全然予知しない時間に起きてくるのが災害なんです。ところが、今回の場合は、そういうことを防止しようという目的で、全部計算をした上になされた結果が、こういう十五名の生命を奪ったという結果を生んだわけでしょう。許されないと思うのですね。ところが、科学技術庁は、責任を持ってやったんだということですけれども、結局地元を無視している。おれたちは上級機関だという、こういうものが災いをしておると思いますし、またおれたちは専門家だという、こういう過信も災いしたと思う。  いずれにしても、地元を無視する、地元に通告をしないというようなことは、これはもう断じて許せない問題だ。そういう行き過ぎた考え方が、結局この試験に対して――一応土砂がくずれた、その場合、人命にもし事故が起きた場合にはどうするというようなことが含まれての対策でなければならぬ、そういう実験でなければならぬ、こう思うわけですよ。ところが、そんなものは一切ないわけですね。だから、市長があわててニュースを聞いて飛んでいく、いやもう職員をかき集めて飛んでいくというような右往左往という状態です。  しかも、事後の対策等はもう皆無で臨んだんですから、病院の状態等を聞いてみますと、病院は、一挙に大ぜいの死体、患者等を収容する場所がありません。したがって、病院側としては当然と思うのですけれども、死体を何とか早く引き取ってもらいたい、こういうことを要請された。だれに連絡していいかわからないわけです。まあ科学技術庁長官は、心からお悔やみを申し上げますと言って病院には回ったけれども、ただお悔やみを言っただけで、遺体に対してはどうしましょうというような手がはたして打たれているのかどうか、これは総務課長よくわかっておると思いますから、その点を伺いたいと思う。とにかく遺族が飛んでいった人は引き取ったわけですよ。ところが、取材に当たっておった報道関係ですね、この人たちは、一部報道の責任、家族もやはり報道の責任を感ずるわけです。したがって、これらに対しては引き取り手がいない。病院では、困るから引き取ってくれ――こんな残酷なことはないと思うのですね。長官がわざわざ病院まで行ったんだけれども、それらに対してはどう対処してきたのか、伺いたい。
  105. 小山実

    ○小山説明員 私は、現地の状況を存じませんので、もし事実と反しておりましたらおわび申し上げますが、私が昨夜本部で聞きましたところによりますと、御遺族の方で、わりにお近くにおうちがあられる方で、早く遺体を引き取りたい、こういう御希望の方にはお引き取りを願う。一部、たとえば東北地方におとうさんがひとりおられて、そちらから出て来られるということで、しばらく遺体を引き取り手がないという方はしかるべきところに準備してそこへ安置するというふうに指示したというふうに聞いておりますが、もしそれがそのとおりやられておらなかったとすれば、非常に申しわけないと存じます。
  106. 松尾正吉

    松尾(正)委員 これを詰めるのは、あと以外にないと思いますが、事実は、非常に御遺族にお気の毒なやりとりがありました。したがって、これらに対しては、私どもも、今後もうこういうことを起こしてはならない、こういうことを痛感しておりますので、私自身、調査特別委員会をつくって現実に調査を進めておりますけれども、これらに対する補償は、これはもういままでとは変わった観点で考えなければいけないと思うのですが、この犠牲者並びに家族に対する補償について、先ほどちょっと伺いましたが、これだけについて副長官、お答えをいただきたい。
  107. 三原朝雄

    ○三原政府委員 御遺族並びに負傷者の方々に対しましては、できるだけのと申しますか、十分手厚い処置をするという方針で臨んでおりますので、先生の御意見等も承りましたし、対処してまいる所存でございます。
  108. 松尾正吉

    松尾(正)委員 時間がありませんので、最後に私は結論的にただしたいのですが、先ほど同僚委員からもありましたように、今回の責任は、あげて政府の責任である。もう一点は、大きな刑事責任もからむのではないか、こういうことを感じておるわけです。とにかく一般災害とは全然異なった、技術専門家が集まってあらゆる準備をした結果、こういう状態になったということですから、もう弁明の余地は皆無である、明らかにこれは計画のずさんさにあったんだ、こう言う以外にはありません。これは証明していると思うのです、この事故が。したがいまして、この事実を取り上げて、単にあの現場で担当した人たちがいけないという、こういう考え方は、私は改めなければいけないと思うのです。その根底にあるものはどうかというと、わが国では、経済は、民間の資本投資等で非常に伸びてきたけれども、もう社会資本の立ちおくれというのはおびただしいということが再三指摘された。その一つが、こういういろいろな災害となって起きているのです。それを何とかしたいというので取り組んだ結果なんですから、私は担当者そのものを責めるということは、これはいけないと思う。したがって、一番いけないのは何かというと、問題点は、国防費なんかには国民の反対を押し切って膨大な金を使うわけです。年度当初に組んだ予算には多額の防衛費をつぎ込んでおる。ところが、いま災害に対してはどうですか。委員長からさっき発言があったように、千葉でもたいへんなことがあったわけです。川崎では、廃棄物を捨てた灰が流れて、もう五十人もの生命がつい先年奪われている。こういった災害に対して、いわゆる国民の生命、国民を守るために金をどこまで使っているか、きわめてこれが少額だ。いわゆる生命を軽視しているという以外にないと思うのです。その結果がこういうふうにあらわれている。今度の事故というものは、明らかにいまの日本の政治姿勢に対する警鐘であろう、こういうふうに私は現場を見て感じたわけであります。  それと同時に、そういう姿勢がアメリカあたりではどうか。アムチトカのあの重大な実験が何の事故もなく行なわれているわけです。行ったり来たり、月を征服しているのです。これだけの技術が進んでいる。これは何か。ただじゃないですよ。金を使っているのです。ところが、わが国ではどうか。土砂がくずれて人の命や財産が奪われるということが、試験をしながらこういう結果を招いている。世界にわが国の科学技術というのはこんなものだということを示したもので、これはあまりにも残念なことだろうと思うわけです。こういった事態を考えて、どうか副長官、単にこれは一委員の発言だというのではなくて、この対策特別委員会で、こういう真剣に事故を防止しようとして取り組んだまじめな人たちが一命を奪われるような結果になったことについて、その人たちを責めるようなことがあっては断じてならぬ。そうじゃなくして、その大もとの国民の生命を守ろうとする、ここにもっと国民の大事な税金を使う、こういうことをあなたは心してひとつ――きょう大臣あるいは総理大臣にも私は出てもらいたかった、この大事な対策特別委員会ですから。けれども、ほかの会合の都合でやむを得ませんから、どうかあなたは副長官として、この点を、一人の意見でなく全国民のこれは強い声なんだ、こういう気持ちで聞いてもらいたいということを特に要望をすると同時に、副長官からこれに対処する考えを伺って、私は終わりたいと思います。
  109. 三原朝雄

    ○三原政府委員 貴重な御意見を拝聴いたしましたし、今後の政府の政治姿勢あるいは政策決定の指針にせよという御意見でございまして、十分承りまして、総理にも十分この点報告をいたします。
  110. 松尾正吉

    松尾(正)委員 以上で終わります。
  111. 中井徳次郎

    中井委員長 次に、津川武一君。
  112. 津川武一

    ○津川委員 今度の川崎の事件でなくなられた方にお悔やみ申し上げ、家族の方に心からお見舞い申し上げる次第でございます。と同時に、犠牲者の処置、補償に対しては、ほんとうに十分な補償をするように要求するものでございます。  そこで、問題のある場所、責任でございますが、副長官は責任を感じていると申しておりますが、私は、こういう急傾斜地をそのままほったらかしておいた国の政治のあり方、一切の責任はそういうところにあるのじゃないかと思うわけであります。  この急傾斜地、危険地域として、全国一万三千三百二十四カ所をほったらかしておいて、四十四年が百二十八カ所、四十五年が三百四十八カ所、四十六年が二百八十五カ所、これだけがけくずれしておるわけであります。そうして四十四年中八十二人、四十五年に二十七人、ことしは百七十一人という方がなくなっておる。これを根本的に解決することを怠って、冒険的な一つの実験で事を済まそうなんて考えたところに問題があるかと思うのです。事の本質はそこいらにあると思うのですが、副長官はいかが考えておりますか。
  113. 三原朝雄

    ○三原政府委員 いま全国に一万三千をこえる急傾斜地の危険地帯があるというこの問題を積極的に解決をせなければならないということで、今回の崩壊実験をやったのでございます。政府といたしましては、一日も早くそうした危険地帯の除去をやるという方針で進んでまいっておるのでございます。
  114. 津川武一

    ○津川委員 これだけの犠牲者が出る実験でございます。そこで私たち共産党は、実験が民主的で平和的で公開で安全でということは、これは欠くことのできない条件だと思っているわけです。そこで、今度の実験における安全の問題ですが、一体人命尊重という立場が今度の実験の中にどうあったでございましょうか。この点をお答え願います。
  115. 三原朝雄

    ○三原政府委員 実験の安全性につきましては、一応政府としては十分だという考えで進んだようでございますけれども、こうした事故を発生いたしたのでございます。そういう点で、非常にいまそういう立場から反省をいたしております。  そこで、本日調査委員会を設置し、これは政府サイドではいかないということで、民間の学識経験者をもって調査委員会をつくっておりますので、その調査結果によって、いま先生御指摘のような点が結果に出てくるのではないか、その結果を待ちましてまた処置せねばならぬということでおるわけでございます。
  116. 津川武一

    ○津川委員 私たち共産党の議員団が昨夜調査に入りましたが、がけの真下に実験本部がある、こういうことがいま副長官が答えたみたいな十分であったかどうかということです。  その次に、安全のためにあれだけの実験があるとなれば、事故を起こした場合の処置、救急の措置、避難の措置、避難の場所、事故を処理する人員の配置、これがああいう実験には不可欠の要件なのでしょうが、これがなかったようでございますが、ございましたでしょうか。
  117. 小山実

    ○小山説明員 安全対策の問題につきましては、危険を伴うということをあらかじめ予期いたしまして、事前に検討を行ないまして、危険区域には立ち入り禁止の表示をし、それからまた、雨を降らしたあと計測器を用いまして、土がだんだん動き出した場合には、その観測結果に基づきまして警報を発するという準備をしておったわけでございます。  今回は崩壊の一時間前に厳重な警戒を要するという旨の警報を出し、また崩壊五分前に、きわめて危険であるという旨の警報を行なったわけでございますが、その立ち入り禁止区域に入られた方々の排除をする措置が徹底を欠いたということと、土砂の流出が予想外に非常に早かったということが、こういう惨事を招いた原因ではなかろうか。御指摘のように、事故を防止するというための措置はいろいろ考えておったわけでございますが、起こった場合の措置という点は非常に不十分であったことは、御指摘のとおりだと思います。
  118. 津川武一

    ○津川委員 一番最初に実験を計画するとき何から始めるか。その鉄則は、この事故で災害が起きるかどうか、起きた場合の処置をどうするか、これが一番最初の条件なんです。この条件を考えておったかどうか。したがって、この実験の計画を後刻見せていただきたいと思うのです。この計画の中にこれが入っておったかどうか。  安全の点でもう一つ。私ども調査団と新聞の報道によりますと、土砂が五メートル以上くずれてくると笛をマイクの中に吹いて警笛を鳴らす、そうなっているそうですが、そのときに笛を聞いた人たちがどのような処置をするのか、どう退避するのかという具体的な措置があったかどうか。あなたに言わせると何かやったと言う。その点が、見学に来ておられた川崎市の市役所の人、取材に来ている新聞記者の人たち、ジャーナリストの皆さんに具体的に教えてあるかどうか。実験作業の第二の前提は、それに携わる人たちを実験からくる副作用、被害というものから守るための訓練教育、これが安全に対する基本的な態度なんですが、これがあったかどうか、答えていただきたい。基本計画の中にこの計画が入っておったかどうか。わからなければあとで書類でいただいてもけっこうです。
  119. 小山実

    ○小山説明員 実験計画の現物を持っておりませんので、後刻提出させていただきたいと思います。
  120. 津川武一

    ○津川委員 そこに根本的な問題の抜かりがあった。国土の保全の対策を怠ったと同時に、このような形で実験に臨んでおるこの政府の態度が、がけくずれを起こして、たくさんの被害者を出した。ことしの千葉県と三重県の被害の本質は、私はそこにあったのではないかと思うのであります。  この点はまた別の機会にやるとして、その次に、実験のもう一つの基本的な問題は、民主的にやらなければならない。関係者が密に協議して、トップを中心にして一つの責任体制をはっきりして、ここで関係者がみんなで協議していかなければならない。先ほどの公明党の委員の指摘にもあるとおり、川崎の市役所がこれにタッチしていない。こういう点での民主的なルールが踏まれておったかどうか。私たち調査団の一部に対して、かりにあれだけの費用や人員が一つの大学の工学部なり理学部なりでやられたならば、こんな被害はなかった、こういうことなんです。そこで、実験の民主的なルール、これが踏まえてあるのかどうか。もし踏まえてあると言えばそれでよろしいし、踏まえてあるというならば、そういう討議をしたという一つの事実の証拠が、実験の計画書にあるかどうか、これも提示していただきたいと思います。
  121. 小山実

    ○小山説明員 後刻提出させていただきます。
  122. 津川武一

    ○津川委員 それから、この民主的な形でやる実験のもう一つの、今度は本論に入りますけれども、実験の一番の基本的な問題は、こちらから人為的に、自然に起こる災害と同じ状態を再現するという実験、これではないんです、学問の本質は。すでに起きておる実験、先ほども指摘したように、昭和四十四年に百二十八カ所、四十五年に三百四十八カ所、ことしはいままでだけで二百八十五カ所、これほど大きな実験はない。学問の進歩は、この自然に起こるものを観察する、記録する、ここを検討する、ここからこそ最大の教訓が、ここからこそ必要な対策が起きるわけです。これだけの問題を持っておって、実験をなぜしなければならなかったか。この百二十八、三百四十八、二百八十五、この事件が起きているちょうどこのときに、実験が計画されておる。同じです。実験をやっている年と、この自然に起きている年は同じです。委員長から先ほどはしなくも千葉でなぜやらなかったかという話が出てきた。この記録が、この検討が、この調査が、この調査の蓄積がどうなっておるのか。科学技術庁でここに実験の中心を置いたのかどうか。置いたとすれば、その学問的な成果、蓄積がどうなっているか、これを知らせていただきたい。
  123. 小山実

    ○小山説明員 この研究は、四十四年度から三年間にわたって行ないましたものでございまして、それぞれ各年度に行ないました結果を踏まえて、最後の仕上げといいますか、そういう形で行なったものでございます。それぞれの研究の蓄積はあるはずでございます。どの程度のものをお出しできるかどうか、帰って検討させていただきたいと思います。
  124. 津川武一

    ○津川委員 もうぼつぼつ最後にいたしますけれども、その民主的で公開で平和的で安全であるという、その民主的な公開的な立場からいうと、この実験後、日本のそれぞれの学会、それと関連するそれぞれの研究団体、それに関連した、災害関係したいろいろの人たちに御相談申し上げているかどうか、公開されているかどうか。どんなに練達のベテランでも――今度は日本の権威中の権威といわれる人たちが、最高の権威の人たちがやってこうなっているわけです。千葉の場合もそうでしたが、十勝沖地震の場合もそうです。十勝沖地震の場合、行ってみたら官庁がおろおろしているときに、地元の故老が来て、あそこへ行ってみなさい、きっとくずれているだろう、こういうことをよく覚えているのです。前の公明党の方の質問に対して、川崎市にも連絡してなかった。こういう公開性、国の全力を、全知識をしぼってあげる公開性というものが、こういう危険を生む実験には必要なんですが、こうした各学会、それと関連した団体、地元の先覚者などに意見を聞いたことがあるのかどうか。お答えできなければ、そういうことの計画の中にそれがあったのかどうか、実験の計画書を検討して御返事いただいてもけっこうでございますが、これを明らかにしていただきたいと思うのです。
  125. 小山実

    ○小山説明員 検討の上御報告させていただきます。
  126. 津川武一

    ○津川委員 いまにわかで、なかなか返答もできなかろうと私もわからないわけでもありませんけれども、いま申し上げたように、実験の発端から、計画を討議した過程と実験の計画書、これをぜひわれわれの中に提示していただきたい。特にこの中で、安全性の問題、それから公開の問題、民主的な運営の問題の三点は欠かせない要素なので、これもお知らせいただくことを要求して、質問を終わります。
  127. 中井徳次郎

    中井委員長 本日は、この程度にとどめます。  次回は公報をもってお知らせすることといたし、これにて散会いたします。    午後零時四十九分散会