○林(義)
委員 この問題は、くどいようですけれども申し上げますが、単に山口県とか一部落だけの問題ではない。私は全国の問題だと思うのです。至るところで大工場ができ、いろいろな被害が出てくる。漁民はどうするのだということです。私は、そこにやはりはっきりと漁業
対策というものを出さなくちゃいかぬ。これがないから、漁民としてはもうどうにもならない。もう暴力をもってでも工場施設を排除していこう、埋め立てを排除していこうという話になるのです。こういうふうな方向でやったらいいのだという方向づけをしないことには、私は、国土開発というものは進まないと思う。そういった全体の立場から考えて、私はいま申し上げているのです。漁民に安心した生活を与えなければいけない。東京湾であれだけいろいろな汚染がある。また、この前の
委員会でもありました、あの油が流れる、漁民はどこに持っていっていいかさっぱりわからないということでは、私は非常に困ると思うのですよ、はっきり申し上げて。生活権を奪われるということにひとしい。この辺は、十分に私は考えてもらいたいと思う。
そういったことで、公害紛争処理
委員会のほうからどなたか来ておられると思いますが、お尋ねしますけれども、
一つは、確認をしたいのです。
先ほど水産庁のほうから、こんなもの持っていったところで、公害紛争処理
委員会でも受け付けないという話ですが、私は、ある程度まで原因が
究明できれば、当然にこの公害紛争処理
委員会の対象になるものだと思うのです。もちろんそれは、先ほどの南西海域の
調査をやっておられるところの結果が出てからだろうと思いますが、そのときに、
一つは、相手がおそらく福岡県なり北九州市になるだろうと思います、埋め立て工事をやっておりますから。そういった地方公共団体あるいは公的団体を相手とするようなものにおいても、公害紛争処理
委員会は私は処理できると思いますが、この辺を確認をしておきたいのが一点。
それから、私、申し上げたいのは、言うならば、資本主義のメカニズムというものが非常に変わってきておる。先ほどの
カドミウムの問題にしてもそうであります。資本主義だけのメカニズムではどうにもならない。漁業の問題にいたしましてもそうであります。いままでのような保険理論だけでは救済できないような問題になってきている。やはり新しいメカニズムというものをつくっていくことが必要だと思うのです。そのメカニズムをつくっていくのは、
法律的に新しい方法を出すのも考え方かと思いますが、これは公害紛争処理法が先般改正されたときに、私は申し上げた。要するに、公害紛争処理法に基づいて調停をし、また和解の話し合いをさせるというときには、いわゆる民法原則のものだけでは私は足りないと思う。新しい
一つのルールづくりというものをそこにしていかなければならない。そういったことをやっていくのが公害紛争処理
委員会の役目だろうと思う。要するに、被害を受けた人を救済するためにアプローチの方法として、立法的に解決する方法と、その紛争処理
委員会のようなところでもって、ケース・バイ・ケースでこの問題を取り上げていくことが私は必要だと思う。幸いにいたしまして、公害紛争処理
委員会の判断は自由心証主義であります。この自由心証主義をぜひ生かしていただきたい。そうしないと、私は、ほんとうの公害問題を解決するきめ手にならないと思うのです。この辺につきまして、ひとつ公害紛争処理
委員会——事務局でございますから、御答弁できるかどうか知りませんけれども、精一ぱいの御答弁をいただきたい。