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1971-12-15 第67回国会 衆議院 公害対策特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年十二月十五日(水曜日)     午前十時四十三分開議  出席委員    委員長 小林 信一君    理事 始関 伊平君 理事 橋本龍太郎君    理事 八田 貞義君 理事 藤波 孝生君    理事 山本 幸雄君 理事 島本 虎三君    理事 古寺  宏君 理事 寒川 喜一君       久保田円次君    浜田 幸一君       林  義郎君    村田敬次郎君       阿部未喜男君    加藤 清二君       山口 鶴男君    岡本 富夫君       米原  昶君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (環境庁長官) 大石 武一君  出席政府委員         防衛施設庁施設         部長      薄田  浩君         環境政務次官  小澤 太郎君         環境庁長官官房         長       城戸 謙次君         環境庁企画調整         局長      船後 正道君         環境庁自然保護         局長      首尾木 一君         環境庁大気保全         局長      山形 操六君         環境庁水質保全         局長      岡安  誠君         外務省国際連合         局長      西堀 正弘君         厚生大臣官房審         議官      曾根田郁夫君         厚生省環境衛生         局長      浦田 純一君         農林省農地局長 三善 信二君         食糧庁次長   中村健次郎君         林野庁長官   松本 守雄君         水産庁長官   太田 康二君         水産庁次長   藤村 弘毅君         通商産業省公害         保安局長    久良知章悟君         運輸大臣官房審         議官      見坊 力男君         運輸省港湾局長 栗栖 義明君         海上保安庁長官 手塚 良成君         建設省河川局長 川崎 精一君         建設省道路局長 高橋国一郎君         自治大臣官房参         事官      森岡  敞君  委員外出席者         防衛庁経理局施         設課長     蔭山 昭二君         通商産業省化学         工業局化学第二         課長      小幡 八郎君         工業技術院産業         公害研究調整官 佐々木 亮君         運輸大臣官房安         全公害課長   鈴木  登君         運輸省航空局首         席安全監察官  泉  靖二君     ————————————— 委員の異動 十二月十五日  辞任         補欠選任   土井たか子君     山口 鶴男君 同日  辞任         補欠選任   山口 鶴男君     土井たか子君     ————————————— 十二月二日  公害発生源除去等に関する請願外六件(土井  たか子君紹介)(第二七九四号) 同月六日  公害発生源除去等に関する請願米原昶君紹  介)(第二九四六号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  公害対策に関する件(水質汚濁対策等)      ————◇—————
  2. 小林信一

    小林委員長 これより会議を開きます。  公害対策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。浜田幸一君。
  3. 浜田幸一

    浜田委員 私はお許しをいただきまして去る十二月四日に東京湾流出しました油による浅海漁民被害対策並びにその後の処置についてこれからお伺いをさせていただきたいと存ずるのでございます。  本問題は、すでに政府当局千葉県当局よりの報告、もしくは現地に派遣された調査官報告によって現状把握については的確にされておると思いますが、その質問に入ります前に、その現況確認とその後の処理状況についてお伺いをさせていただきたいと思うのでございます。  まず水産庁太田水産庁長官に、現在までにおける状況確認並びに本問題に対する処理についてどういう処理をされてきたのか、この点についてお伺いをしたいと思います。
  4. 太田康二

    太田(康)政府委員 今般の千葉県の木更津市、袖ケ浦における油汚染の問題につきましては、当初私のほうに十二月四日の午後八時に県庁からの電話連絡水産課からございまして、四日の午前七時に羽田漁協組合が沖合いに大量の油が流れているのを発見した旨連絡がございました。この段階におきましては、まだこの被害地域は牛込、金田、奈良輪漁協地先である。ノリさく数が二万四千六百七十五さくと推定される。それで十一月の三十日から十二月三日までに新網を建て込んだばかりである、こういう連絡がございまして、目下内湾水産試験場試験船取り締まり船むしろを使用して処理中である、一応の被害の予想は七億五千万円である、こういう連絡がございました。原因はもちろんこの段階においては不明である。その後日曜日の十二月五日に、私のほうの公害担当調査官連絡先といたしまして、県庁からそのつど御連絡いただくということであったわけでございますが、正午に連絡がございまして、こう申し上げるとたいへんことばが悪いのでございますが、千葉県等におきましてはしばしば被害がございますので非常に県庁がこの処理につきまして迅速に的確に処理なさるわけでございまして、水産課からの連絡被害額生産減が約五千六百万枚、この被害総額七億八千三百八十八万八千円である。それから資材費といたしまして八千九万円、それから清掃費として中和剤とかむしろ等を使った経費として千八百二十八万四千円、合計約八億八千二百二十六万二千円というものが当面考えられる被害額である、こういう連絡がございました。そうして正式の処理といたしましては、十二月九日に県から知事の名前で私あてに木更津市及び袖ケ浦地区重油によるノリ被害対策に関する要望書というのが出てまいりまして、その陳情書によりますと、現在までに判明している八億八千万円にのぼる大被害が発生した、これは先ほど申し上げた数字とほぼ一致いたしておるのであります。  そして、県が言ってこられましたのは、一つ被災漁民に対する次の緊急助成措置一つノリの再生産のための資材購入費に対する助成、それからいま一つノリ生産減に対応する越年資金の貸し付け及び利子補給、二番目は、これは恒久対策でございますが、水産資源保護の見地からの海洋汚染防止対策を強化してもらいたい。これは東京湾内緊急事態に対処できる油の汚染監視防除体制の確立、こういう二項目の陳情があったわけでございます。  それから私ども千葉県に照会して千葉県が現在おとりになっている措置を聞いたわけでございますけれども生産減の問題、先ほど申し上げました約七億八千三百万の生産減、要するにノリ被害の問題でございますが、この点につきましてはできる限り原因者追及いたしまして、原因者がはっきりいたしますれば当然民事上の問題として処理をしていただく、損害賠償の請求ができるわけでございます。そういうことでございますので、この点につきましては私のほうといたしましてもこういった面の取り締まりに当たっておられますところの海上保安庁に、これは県からももちろん要請がございましたが、至急ひとつ原因者を突きとめてくれというお願いをいたしております。  それから復旧資材費漁場清掃費につきましては、私どもがただいままでに伺っておる県の処置といたしましては、信漁連から一億円の融資をする。それに対しまして、元本につきましては県が三年分割で信漁連に返済する。要するに漁民の方に、復旧資材費漁場清掃費につきましては県が全額めんどうを見る。信漁連の金を一応当てていただきまして三カ年で返済する。信連の金でありますから当然利子がつくわけでございますけれども、この点につきましてはそれぞれ木更津市、袖ケ浦で負担するということで、県としては当面の応急措置をとられた、こういうことでございます。  そこで国は一体何をしたのだ、こういうことになるわけでございますけれども、はなはだおことばで恐縮なんでございますが、私のほう、今回新潟山形におきますところのジュリアナ号の油の流出による問題も起こりました。それから千葉県もほぼ時期を同じくしてこの問題が起こったわけでございますけれども、御承知のとおり現在の時期が時期でございますから、越年資金に対する要望というのはたいへん強いと私ども思っております。それに対しまして何とか検討しろという大臣指示もございまして、われわれいろいろ検討いたしたのでございますが、残念ながらいままでにこういったことに対する措置がないというようなことで、実は大蔵省といろいろ折衝いたしたわけでございます。先生も御承知のとおり、災害に対する融資制度といたしましては天災融資法があるわけでございますけれども、この場合には天災というより人災である、過去に例がないというようなことでいろいろやり合いました結果、天災融資法発動基準というのがございまして、被害を救済するたてまえといたしまして、これも理屈といえば理屈なんでございますけれども、一時的には市町村めんどうを見てもらう、市町村めんどうを見切れないものは県が乗り出す、しかし県がさらにめんどうを見られないものは国が応援をする、こういう体系になっておりまして、天災融資法発動の実は基準というものがございます。これは一般的に被害が三十億をこえるというようなことが発動基準になるわけでございますけれども、高潮とか突風とか氷害みたいに、ある地域に極端に広がりは狭いけれども非常に深度が深いというような被害がございます。こういったものにつきましては、被害額が十億円以上で被害の県が二県以上にまたがる、こういう一つ発動基準がございまして、千葉県の場合にはまことにお気の毒なんでございますけれども千葉県自体にしか被害がないというようなことでございますので、新潟山形の場合には昨日の閣議でも大臣が御報告申し上げたわけでございますけれども、一応天災融資法に準じた措置を国がとるということに大蔵省との間で話し合いがつきましたわけでございますけれども千葉県の場合には千葉県一県の被害であるということでございますので、そういった措置もとれなかった。私どもといたしましてはできる限り早く海上保安庁お願いをいたしまして、原因者を突きとめていただくということを現在お願いをいたしておる、こういうことでございます。
  5. 浜田幸一

    浜田委員 いま水産庁長官原因者追及に全力をあげるということですが、かつて水産庁がこれらの問題を取り扱った場合に、四十二年にもこういう問題がありました。しかし原因者追及いたしました場合でも解決のできない問題が数多くあるということは——私は時間が限られておりますからここで議論はいたしませんけれども、そういう形でこの問題が解決されるとはお考えになっていないと思うのですが、その点どうですか。
  6. 太田康二

    太田(康)政府委員 私ども、もちろんいろいろそういう原因者の問題につきましての探求につきまして努力をいたさなければならぬわけでございますけれども海上保安庁が一応海洋汚染防止法の何と申しますか、当然の一時的な責任官庁になっておりますので、海上保安庁お願いをして、いまこの問題につきまして原因者追及していただくということにいたしておりますが、まさに先生のおっしゃるように、それでは一体こういうケースですべてわかるかどうかという問題がございます。したがいまして、その場合にどうするのだという問題が当然出てくるわけでございます。私のほうに養殖共済制度があるわけでございますけれども、油濁による損害というのは実は免責事由になっておりまして、損害の手当ての対象にならないことになっております。そうすれば加害者が明らかにならぬ場合に、被害者漁民は泣き寝入りかということに当然なるわけでございますので、私どもといたしましては、何らかの形で現在の保険対象にこれを加えるということになりますと、結局保険料を値上げして漁民の負担において解決するということになりますから、私どもといたしましては、それでは問題の根本的な解決にならないと思っておりますので、いまも寄り寄り海上保安庁長官ともお話し申し上げたのでございますけれども、やはり私どもをはじめといたしまして、海上保安庁あるいは通産省等ともよく相談をいたしまして、こういった問題にどう対処するかというようなことの方法につきまして、これは当然制度をつくらなければできないことだと思いますので、いましばらく時間をおかりいたしまして検討さしていただきたい、かように考えております。
  7. 浜田幸一

    浜田委員 先ほど長官からも言われましたとおり、実際にノリ被害枚数で申し上げますと五千五百九十万枚なんですが、それが被害を受けたということは、あのノリ生産が全滅したということなんです。いま言われるような形ですと、加害者をつかまえる、それと法律を改正しなければならない、何か措置をしなければならないということですね。それともう一つは、もう少し時間をかしてくれということなんですが、漁民は年の瀬を控えまして、実際に子供たちに晴れ着一枚も買ってやれないような現況なんですね。そうすると一体政治の姿勢として、水産庁のとられる姿勢というのはあまりあたたかい姿勢ではないのではないかと思う。たとえば千葉県の場合には、税収入歳入欠陥見込みが三十五億円本年度あるわけですね。そういう苦しい状態の中で、特にいままでもこういう例がありましたけれども天災融資法を待っていたのでは、それだけでは漁民を救うことができないという形で、県議会で了承をいただいて今回の措置をとったわけであります。これは、一つ自治法を検討してみた場合でも便法的な措置だと思うのです。この問題については後ほど自治省とも議論をいたさなければならないところでありますが、浅海漁民を正しくお守りいただくという条件からこの問題を考えてみれば、水産庁においてもたとえば犯人をとらえる。犯人との間で裁判なら裁判が行なわれて、そしてそれだけの被害額損害額を弁償させる。それまでの経過がたとえば一年かかったり二年かかったりする状況があるわけですから、そういう結論が出るまでの間——しかしながら法律的にはむずかしさがあると思いますけれども、その間の漁民を守るための施策を行なうのが水産庁責任ではないだろうかと私は思うのです。いまの御意見を聞いておりますと、やはりそういういろんな法律とかそういうルールがセットされなければ解決されないということになりますと、おことばを返してたいへん恐縮なんだけれども、それまで漁民はがまんをしなさいということになって、一体漁民はどうすればいいのか壁にぶつかると思うのですね。私はこの辺のところが、やはり一つ行政責任の形で決断を下さなければならない問題だと思うのです。これはもちろん私の考えとしては水産庁だけで解決できる問題ではないのです。これは通産省にも関係があり運輸省にも関係があり、これは環境庁にも関係があり、全体の中で結論を出してもらわなければならない問題なんですけれども、たとえば航路を拡張する場合には運輸省でしょう。航路をなぜ拡張するかといえば、通産省責任の範囲における経済生産性の問題があるからということになってくるわけです。だからこういう被害が起こった場合には、水産庁漁民の立場に立って、東京湾を利用する利用者に対して共同責任追及というものをしていただくような強い姿勢を持って解決にあたっていただかなければ問題の処理にはならないと思う。かつてわが千葉県においては、三回ならず四回ならずこういう問題があって、天災融資法発動を受けて漁民を救済したことがありますけれども、その後の立ち直りの状況から見ますと、水産庁姿勢が必ずしもあたたかいものであるとはいえないような私は気がする。特に昭和三十六年の七月三十日だったと思いますが、東京湾漁業構造改善事業の問題が取り上げられたとき、あなた方水産庁においてはどういうわけで反対の姿勢を示されたかわかりませんけれども東京湾浅海漁民対象とする漁業構造改善の問題については、非常に消極的な姿勢を示された。この法律がつくられたときから、浅海漁民は、今日のような苦しい生活、すべて問題が起こっても、どろをかぶらなければならないような一つの路線というものは、それによって私は確立されてしまったと思う。  私は、その問題をいま取り上げて、あなたと議論をしようとは思いませんけれども、少なくとも、水産庁姿勢としては、漁民が年を越せない、こういう問題について、県は一億円出したので、犯人を捕えるまで待つという形だけではなしに、農林大臣と御相談をいただいて——この間、農林大臣代理山中大臣は、閣議において、この問題については、いままでのような処理であってはいけないという発言をされた。われわれの仲間の漁民たちは、山中大臣という人は非常に先見の明のある人であるということで、大臣一人に期待をかけているのです。ところが、大臣閣議でそう言ったけれども、その下で行政の一切の責任をとっておられる長官が、いまのような答弁をされるということであると、新聞にはかっこうのいいことを言っているけれども、実質的には、解決の目安は何もないんだということになるのではないかと私は思うのです。  ですから、この問題は、現況確認と、私ども見解相違点は明確になりましたので、一番最後段階水産庁長官——水産庁長官は、犯人を捕えた上でなければ解決できないという意見でございます。犯人を捕えたい、だから海上保安庁長官にまかしてあるということですから、海上保安庁長官にこれから私は質問をします。それをよく聞いておいていただいて、どう処理すべきかという最後の御答弁をいただきたいと思うんです。  海上保安庁長官にお伺いをいたします。いまお聞きのとおり、水産庁長官は、すべての責任海上保安庁にあるという表現をしております。そこで、お伺いをしたいのでありますが、海上保安庁長官としては、海に油が流されたその場合に、まず報告をする義務が——これは海洋汚染防止法の中にきちんと定義されております。その条件に沿って、たとえば明原丸という船が油を流したと伝えられているけれども、その報告があった、届け出があったということまで、実は、新聞に出ているわけです。その前段の問題については、議論をすると時間がなくなりますので、率直に伺いますが、明原丸東京湾に油を流したという届け出があったそのときに、海上保安庁はどういう措置をとられたか。現場に直ちに調査に行かれたかどうか。届け出があって調査に行った、現地に急行したときのその時間の差ですね。それがどのくらいかかったのか、この点からお伺いしていきたいと思います。
  8. 手塚良成

    手塚政府委員 端的な御質問でございますので、簡単に御説明します。  六時五十分に明原丸一等航海士から川崎保安署流出通報がございました。内容は、午前四時三十分ごろ、燃料油搭載中、C重油約二キロリットルをオーバーフローさせ目下処理中。この四時三十分につきましては、その後の調べによりまして、三時三十分ごろであるということに、現在の調査はなっております。そういう通報によりまして、七時五分、川崎保安署巡視艇たまかぜ」が現場に到着をいたしております。そして防除の指導と監視をやっております。
  9. 浜田幸一

    浜田委員 そうすると、これは、海洋汚染防止法の第三十八条に関する決定に従って届け出はされたということでいいわけですね。そういう事実は認められているわけですね。
  10. 手塚良成

    手塚政府委員 一応形式的には、現段階におきましては、通報がなされておるというふうに見るべきではなかろうか。しかし、通報内容あるいは通報された時間——時間と申しますのは、先ほどの六時五十分でございます。実際に問題が起こっておりますのは、後の調査でいうところが真実であれば、三時三十分でございます。これは直ちに通報しろということになっておりますので、そういった通報の時間的な問題等が適切であるかどうか、これは問題があるかと思います。今後の調査にまたなければなりません。
  11. 浜田幸一

    浜田委員 海上保安庁巡視艇が参りましたときに、中和剤が投下されたり、その油を除去するための処理方法ですね、そういうものについては、新聞紙上によりますると、第三管区の本部長は、中和剤の投下がされているならば問題はなかろうという見解を示されたということになっておりますが、私ども新聞だけで議論をいたしたくはありませんので、そのときの明原丸の油の処理に対する具体的な事実を御確認になっておりますか。処理はどうされたか。
  12. 手塚良成

    手塚政府委員 ただいま申し上げました巡視艇現場確認並びにその後の調査によりましたところでは、当時処理に当たりました東燃タンカーの代理店酒井海運及び東燃川崎工場によって防除がなされたわけでありますが、この両者によりまして、処理剤七百かん、むしろ千枚、オイルキャッチ五ケース五百枚、吸引ポンプ作業船が五隻、作業員七十五名という現状確認し、それらを使って処理中であるという状態確認してまいっております。
  13. 浜田幸一

    浜田委員 そこまでお伺いすれば、とにかく明原丸犯人であるということではなしに、そういう問題が起こって、東京湾に十二月四日以前に油を流したものがいるということの確認だけはされているわけですね。
  14. 手塚良成

    手塚政府委員 四日の日に、漁業被害があったという通報を受けまして、その後私どもは、二百六十六隻の船の調査並びに情報収集というのをやり、油というのもいろんな個所からいろんな形態で流れ出ておると思われますので、そういう関連の油の種類三十九件、こういうものを採取をし、いろいろ調査をしたわけであります。いま申し上げた問題のものもその中に入っておるわけであります。そういうものを総合してだんだん話を煮詰めていっておりますのが、いま申し上げたような事態の問題になっておるかと思いますが、なお、いま捜査は継続中でございまして、そういった事態以上のことはちょっと申し上げにくいわけでございます。
  15. 浜田幸一

    浜田委員 いまの長官の御説明ですと、明原丸が正しい加害者であるという断定はできない、いまの段階調査段階であるということに理解をさしていただきたいと思うのです。  次に進ましていただきたいと思いますが、これはあなた方の真意ではないと思いますけれども、今回の捜査にあたって、海上保安庁はあまり乗り気でなかったということが出ているのです。これは「海上保安庁が再調査指示犯人割出しに疑惑、資料拒む「三管本部」県は困惑」という題名なんです。ただし、その中でどういうことが取り上げられているかといいますと、三管本部そのもの県当局から資料要求をしたときに、その資料が出なかったということについてははっきり出ていませんが、私はこの問題で議論はいたしません。ただ、お伺いしたいことが一つありますから、これにははっきりお答えしてください。これが一番大きな重大な問題だと思います。  過般千葉県の友納知事は、その関係会社である鶴見輸送株式会社、これはきのうおたくのほうで捜査の手入れをされたところだと思います。これには十二月十二日の日付でこのような文面で出しております。     木更津市および袖ケ浦地先のり養殖漁場への油流入事故に関する調査(照会)   昭和四十六年十二月四日木更津市および袖ケ浦地先のり漁場へ油が流入する事故がありましたが、その以前数日間の東京湾航行中の船舶関係者等によりそれぞれ航行時の状況を聴取し、これを総合すると川崎扇島シーバースにおける明原丸への燃油を給油中の油流出事故と極めて密接な関係があるものと判断されるので必要につき下記につき至急ご回報願います。     記  昭和四十六年十二月一日またはその直前において明治海運株式会社所属明原丸へ舶用燃油を供給したことに関し  一 この給油のために稼動した給油船の船名、所有者、住所、トン数、送油管の径、送油ポンプの能力  二 重油の供給を受けた会社名および供給年月日および数量  三 一に記した給油船が明原丸に給油した年月日、給油開始時刻、同終了時刻および数量  四 明原丸への給油中における油溢出事故の有無、有の場合その詳細について  十二月の十二日にこの文書を実は送りまして、そういう事実があったかどうか回答を求めたところ、これに対して、この会社からは何ら回答が出ておりません。  それからもう一つは、明治海運株式会社に対してであります。この文面を読んでおると長くなりますので、簡単に申し上げますと、明原丸のトン数とか船舶の所有者、氏名とか船舶運航者とか、これを雇っている者の住所、氏名あるいは用船期間、本船の航海の運航計画、こういうことについてまたお知らせをいただきたいということで問い合わせをしたら、これにも回答が全然出ておりません。  それからもう一つは、おたくのほうの調査ではどうなっているかわかりませんが、酒井海運株式会社というのがあります。この会社も明原丸に関連のある会社でありまするけれども、この会社に対してやはり同じものを出しております。ところが、これも回答をしてきておりません。とすると、あなた方がきのう捜査の手入れをした、捜査権を発動したということになれば、当然その会社には何かしら関係がある。油を流した船に対して給油をした会社だとか、雇っている会社だとか、何かしら関係があると思うのです。ところが、実際に東京湾の中にその油の被害がどうのこうのという以前の問題として、海洋汚染防止法の適用を受けるその会社が、千葉知事に対して一切の回答をしないという姿勢については、私どもはどうしても納得できないのです。そしてまたおかしなことには、海上保安庁が、公害対策委員会を本日開く前のきのう十四日、回答も何もしない、われ全然関知せずという会社に対して手入れを行なっております。少なくとも千葉県が確認した段階の中においては、明原丸が確かにそういうことに関係があるという割り出しをしたのはきのうではなくて、もっと以前の問題だったと思うのです。十四日、問題が起こってから十日間後にこの問題で公開捜査ということになったわけですけれども、その以前の問題として海上保安庁がやれなかったかどうかです。警察本部に対して千葉知事からもその要請をしたところ、われわれの取り締まり対象になる捜査権の発動については、海上保安庁が先に手を出した場合にはそれは海上保安庁がやるのだ、そういうしきたりになっておりますということの回答らしい。これは海上保安庁でなくて警察庁だったら、もっと早く原因追及をして公開捜査に踏み切ることができたと私は思う。そこに海上保安庁が疑惑を持たれる理由があるのではないかと私は思う。これが一つ。  もう一つは、今回海上保安庁に対しても、実は友納知事から、「木更津市および袖ケ浦地先のり養殖漁場への油流入事故に関する調査ならびに係官の派遣について」依頼をいたしました。「本事故については、十二月一日扇島シーバースに着桟中の明治海運株式会社所属明原丸への給油作業中の事故ときわめて密接な関係にあるものと判断されます。このため両事故の結びつきの重要な資料として本船に積載した当該重油を仕向地入港前に押収する必要があるので貴部係官の派遣を下記によりお願いします。なお、これについては本県係員一名を同行させます。」というお願いをいたしました。この前段のお願いは聞いてくれまして、係官を二名ペルシャ湾に対して御派遣をいただく、サウジアラビアのラスタヌラに御派遣をいただくとともに、海上保安庁の係官はただいまビザの申請中であるということであります。ただし、千葉県側の考えは、本県係員を一名同行させていただきたいということは、あなたのほうはそれが犯人であるかどうかを逮捕するほうですね。ところが、千葉県側は逮捕をした者との間でこの問題の処理をする側なんです。千葉県が連れていってもらいたいということを言っているのは、これは当然最後裁判になります。そのときのために、現在船に積んである油そのものを参考資料としてとりたいからなんです。ところが、保安庁から返ってきた返事は、捜査に行く場合に第三者の介入は許さない、こういう回答をいただいているわけです。それならば、ひとつ飛行機の中で乗り合わしたということで今後の漁民のために一緒に連れていっていただけませんかということを言ったら、その場合については考えましょうという回答なんです。これだけの問題が起こって、この問題の処理に悩んでおる者が数多くあるときに——捜査上の秘密もわかります、また疑わしきは罰せずという論拠もわかります。しかし、問題を解決するために必要な資料を集めに行く、このことが捜査を妨害するものでも何でもないと私は思う。明治海運はこの問題について、油の中にしろうとの人が入ると電気とか磁気が起こって爆発する危険性があるから、それは御遠慮願いたいということで——同じようなことを明治海運にも出しているのです。あなた方を犯人と認めているのではありません、実際に関係があるかどうか調査をしたいので、海上保安庁ではこう言っておりまして参画はできませんから、明治海運の社長から船長に対して油を採取することをお許しいただきたいというお願いを出している。これに対しても断わりがきた。海上保安庁も断わってきた。長官、正しい捜査を行なうのに、第三者である善良な千葉県が、少なくとも海洋資源を守ることに忠実な千葉県の代表が、なぜ海上保安庁長官の派遣する者と一緒に同行することができないのですか。私は海上保安庁のその姿勢に疑問を感ぜざるを得ない。本来であれば、この問題については、千葉県が行くということではなしに、漁民の母であり父であるといわれている水産庁むしろ海上保安庁に同行して、調査をするくらいの熱意を持っていただく性格のものだと思うのです。われわれが調査したように、海上保安庁はほんとうにそういう態度をお取り続けになっているのか。またこの問題については、今後も、捜査権の機密保持という観点から、日本の国会に了承していただいて派遣する者をも拒否されようとするのか。私は、このことについて長官の基本的な考え方を伺っておきたいと思います。
  16. 手塚良成

    手塚政府委員 いろいろ具体的な内容を含めました御質問であったと思いますが、いろいろ民間から資料の提供をお求めになって、それが得られないという事態につきましては、これは県自体と民間との御関係であり、そのすべてを私どもが知っておるわけでもございませんので、民間の意向がどうであったかということは推測するにすぎません。それらについて私どもがとやかく言う筋はなかろうか、かように考えます。  私どもは、本件が起こりまして直ちに捜査本部を千葉保安部に置き、さらに十三日には第三管区本部に統合捜査本部というのを置き、これはもっぱら法令違反被疑事件ということで捜査を開始し、本件を非常に重視いたしまして、いまのような態勢を次々にとっていった。捜査内容もきわめて広範で、第三管区本部の船艇十三隻、海上保安官百二十名という動員をし、現在捜査を継続しておるという段階でございます。これはもちろん、先生にお話しするまでもなく、やっております職員の身分といたしましては、司法警察職員というたてまえでやっております。  中に、警察であったならばというお話がございましたが、私どもは警察ともびっしりと協定ができており、本件の捜査につきましても話し合いをいたしました。陸上関係については警察がやり、海上については海上保安庁がやるという、両者の部内的な話し合いではありますが、そういうたてまえで並行して、同じような立場において捜査をやってきたわけであります。  そういう関係で、私どもはその間、全く渾身の努力を傾倒いたしまして今日まできておるわけでございますが、第二の派遣要請の問題につきましては、私どもとしましては、やはり捜査の独立性、機密保持というような一般捜査に関する原則に従い、また私ども自体、独力によって徹底的な捜査をしたい、こういう観点から、おそらく統合捜査本部におきまして、御要請に応じにくい、こういうお話をしたんであろうと考えております。私どもは、その捜査がかなり特殊な分野でございますので、そういった捜査一般ということに従ったやり方は今後においてもとっていかなければならぬというふうに考えるわけでございます。  県自体としましては、民事上の問題として本件をいろいろ処理なさりたいというお気持ちは十分わかるわけでございます。そういう民事とわれわれのやります法令違反という刑事との関係におきまして、われわれ自体のやり方におきまして、いまの捜査の基本線で差しつかえのない範囲においてはおそらく御協力はできると思いますが、本件についての派遣という問題については、ただいま申し上げましたような線でおそらく本部長としてお断わり申し上げた、かように考えます。
  17. 浜田幸一

    浜田委員 一般的な御答弁をいただいたわけでありますが、それでは具体的にお伺いをします。  海洋汚染防止法の第四十二条、「(油による著しい汚染防除のための財産の処分)海上保安庁長官は、本邦の沿岸海域において排出された著しく大量の油により海洋が著しく汚染され、当該汚染が広範囲の沿岸海域において、海洋環境の保全に著しい障害を及ぼし、人の健康を害し、財産に重大な損害を与え、若しくは事業活動を困難にし、又はこれらの障害が生ずるおそれがある場合において、緊急にこれらの障害を防止するため排出油の防除措置を講ずる必要があると認めるときは、当該排出油の防除措置を講ずるためやむを得ない限度において、当該排出された油が積載されていた船舶を破壊し、当該排出された油を焼却するほか、当該排出された油のある現場附近の海域にある財産の処分をすることができる。」とあります。私は法律の専門家ではありませんので、あなたと議論ができないかもしれませんけれども、この第四十二条の拡大解釈をしてみたいと思うのであります。  疑わしきは罰せずということはわかりますけれども、この四十二条にあるとおり、「人の健康を害し、財産に重大な損害を与え、若しくは事業活動を困難」にした場合は、この船舶を破壊し、油を焼却するほか、財産を処分することができるとあります。それならば、なぜペルシャ湾に派遣する前に、この船に対して航行の停止を命じて、もし、まだ加害者ではないわけですからそれを命ずることができないならば協力を要請して、一日も早くその船の中に積んである油の調査をしようとしなかったのでしょうか。海上保安庁に御努力をいただいていることはわかりますけれども、それだけ努力をして、この問題の解決というよりも海洋汚染防止法をお守りになるという解釈であるならば、ペルシャ湾までわざわざ行く前に、一たん航行を停止して協力を要請して、要請してもできない場合は現地におもむくとか、こういう四十二条の拡大解釈の適用が私は海上保安庁のとるべき態度ではなかったのではないだろうかと考えますが、この点についてどうお考えになりますか。
  18. 手塚良成

    手塚政府委員 これは、一つは事件の起こりました経過との関係があるわけでございまして、油が流出いたしたとわれわれが考えておりますのは一日の朝からであります。そこでこの船は三日に出帆をいたしております。この一日から三日までの間というのは、先ほど申し上げましたような二百六十六隻の調査あるいは最終的には三十九件にわたる関係の油の分析、そういうようなものをやっておりまして、いまの船との関連性というのは今日ほどまだ明白ではない。そういったもろもろの対象一つにはなっておったと思いますが、今日ほどの関連性ではないという時期であったわけです。そこでそのままその船は出航をしてしまった、これは私はやむを得ないんではないかと考えます。ただ、これが出帆した後において、もう少し早くわかった時期に呼び戻したらどうだ、こういうことがあるかと思います。ただ、これを呼び戻すという権限につきましていろいろ法的なよりどころが必要であるわけですが、いま先生は四十二条の「(油による著しい汚染防除のための財産の処分)」というところを御引用になったわけであります。この法律はむずかしい解釈問題は別といたしまして、これはきわめて緊急な際の財産の処分でございまして、きわめて緊急な、大量な、異例な時期にこういった船舶を破壊する、あるいは排出された油を焼却する、あるいは現場付近の海域にある財産の処分をする、こういうことができるという権限であります。  具体的な事例でいいますと、五年前になりますか、イギリスの海浜におきまして、トリー・キャニヨンという船が大海難事故で油の大流出をやった際にイギリスの政府がとりました処置であります。ああいったような事態の際に政府がとった措置をわれわれとしても、日本政府としても、類似の場合にやり得るということをきめた内容であります。これからこういうことすらできるのであるから、呼び返すくらいわけないではないかというふうなあるいはお考えがあるかと思いますが、これはこういったきわめて限定された具体的な事態をきめておりまして、これからすべてそういったことが可能である、これは権威ある法律解釈としてむずかしいということになっております。  その他そういった法律根拠等につきまして、私どもは実は研究をいたしましたし、関係のところに法律解釈等も問い合わせをいたしました。しかし、現段階におきましては、そういうことはむずかしいということで、結局私どものほうで先回りをして待ち受けるというていさいをとるということで、ただいま向こうに船が入港する前に係官が派遣できて、油その他についての調査あるいは必要なる尋問を可能にする、こういう手段をとりつつあるという状況でございます。
  19. 浜田幸一

    浜田委員 いまの御説明をお聞きしますと、かりにそれが直接の加害者であったとしても、現在の海洋汚染防止法の範囲内においてはそういうものを強制捜査に踏み切る権限はないように私は受け取れるわけです。  そこでお伺いしますが、あなたが海上保安庁長官としての権限の委任をしております。これは第五十三条に「この法律の規定により運輸大臣又は海上保安庁長官の権限に属する事項は、運輸省令で定めるところにより、海運局長又は管区海上保安本部長に行なわせることができる。」、運輸大臣もしくは海上保安庁長官が権限の委任をさせるということは、何の権限を委任をさせるということでありますか。この点についてお伺いをしておきます。
  20. 手塚良成

    手塚政府委員 この法律の中で海上保安庁長官がいろいろやり得ることがきめてございます。いま御指摘になりました四十二条にも「海上保安庁長官は」と書いてありますし、その前段の四十一条、「(海上保安庁長官措置に要した費用の負担)」というところにも書いてありますし、その前段の四十条、以上ずっとこの第六章に保安庁長官と書いてあります。そういった長官と書いてあります内容については、やはりそういう委任という問題が起こるというふうに考えます。  それから、前段ちょっと誤解があるかとも思いますが、船の中についての強制捜査という問題については、これは私どもはできるということになっておりますので、今回行きました連中も、そういうことが可能である、また可能な措置をとって行かせるようにいたしております。
  21. 浜田幸一

    浜田委員 それではまたもとに戻りますが、たとえば届け出の義務が明記されておりますね。油を流した場合、排出物を出した場合の届け出の義務、そのときに報告する者は、一体だれとだれの責任ということになっていますか。私が法律を一々読み上げなくても、お伺いしたほうが早いと思いますから……。
  22. 手塚良成

    手塚政府委員 条文お持ちであればこの三十八条、上のほうからいきますと、「運輸省令で定める量以上の量の油の排出があったときは、次に掲げる者は、」途中ずっと抜かしますと、「海上保安庁の事務所に通報しなければならない。ただし、」かくかくの場合はこの限りでない、こう書いてありまして、その最初に一であげてありますのは、「当該排出された油が積載されていた船舶の船長又は」云々……
  23. 浜田幸一

    浜田委員 そこまででけっこうです。そうすると、先ほど海上保安庁長官一等航海士報告をしたということになっておりますね。その場合、この一の「管理者」という形で解釈してよろしいでしょうか。
  24. 手塚良成

    手塚政府委員 途中でやめてしまいましたが、二号のほうには「前号の船舶内にある者」というふうなことが一つ通報者にあげられております。これは乗り組み員ということになるかと思いますが、いまの一等航海士などが当直体制にあるような場合には、これまたその際における船長の一部の権限の代理ということもあり得るわけでございます。したがって、一等航海士通報したということが、ここに書いてある船長ではないということから直ちに通報者が違反であるということになるかならないかは問題があると思います。
  25. 浜田幸一

    浜田委員 そこで、きのう強制捜査に踏み切られたと思いますが、家宅捜査をやられましたね。私はその問題にまた戻さしていただきますが、まず第一にお伺いしたいことは、一等航海士通報をしたときに船長はいたのかいないのか。これをひとつお伺いしておきます。船長がおられるならば、当然船長が報告すべきことなんですけれども、これは大事なことですから、お伺いしておきます。  それからもう一つは、きのう捜査をしたのは鶴見輸送会社ですね、その鶴見輸送会社の調査によってどういうことが明確になったのか。また疑わしきは罰せずという態度をおとりになっているわけですけれども、たとえば海上保安庁の御説明ですと、そのときには二キロリットルの油を流したということを先ほど御説明になりました。数字は、誤っておればまた訂正さしていただきたいと思いますが、防止法の中ではっきりと、二年間なら二年間、給油の状況をはっきり明記して保存しておかなければならないということが定められておりますけれども、そういう状況確認をされると同時に、実際に給油をした状況捜査するにあたってどういう結果を海上保安庁は持たれたか。やっぱりこれが犯人だと思われたのかどうなのか。きのうきょうですから、もうそろそろはっきりしてもいいと思う。世界に冠たる海上保安庁が公開捜査に踏み切ったのですから、もう犯人であるのかどうかぐらいははっきりしていると思う。少なくとも新聞に出ている、排出された量と、実際に現場確認をやって流れたと思われる量との差は当然出てきていると思うのです。その辺のことについてお伺いをしたいと思います。
  26. 手塚良成

    手塚政府委員 当該船に船長の在否につきましては、私の現在持っております手元の資料ではちょっと明確になっておりません。御必要とあれば、また後ほど調べて御連絡をいたします。   〔委員長退席、島本委員長代理着席〕 ただ、かりに船長がいないという場合でありましても、先ほどちょっとことばが足らなかったかもしれませんが、船の場合にはそういう際には当然船内における序列によって船長の代理者というのが次々に自動的にきまっていくたてまえになっております。したがって、一等航海士というのは、やはりそういった序列の相当上のほうの序列になっておりますので、かりに船長がいなかったといたしました場合には、やはり一等航海士がそういう権限を持っておったというふうに理解できるかもしれない。その辺は、今後の捜査だと思います。  それから昨日五時十五分に鶴見輸送をきっかけといたしまして、酒井海運と東亜燃料の三社につきまして、令状によるところの強制捜査というのをやりました。捜査内容につきましては、時間的な関連もあり、これはそれこそいわゆる捜査一般ということでございますので、その中身を云々ということはただいまこの時点におきましては差し控えさせていただきたい。これらの三社が関連しております問題の焦点というのは何か。これらの連中がどういうことで捜査を受けるのかというのは、やはりいままで御説明申し上げた関係におきましておのずとおわかりになるかと思うわけです。  鶴見輸送というのは明原丸自体に給油をするための会社であったわけです。酒井海運は東亜燃料の代理店であります。東亜燃料自体はバンカーオイルの提供者であります。こういう関係におきまして三社を強制捜査をした、こういうことであります。
  27. 浜田幸一

    浜田委員 それではもう少し具体的な質問をさせていただきます。これはあくまでも現地調査に行かれるわけですから、その現地調査をされた場合の基準ですね。公開されると都合が悪いこともあるでしょうからそれはけっこうですが、たとえばきのうの捜査で、十万トン級の船、明原丸がどの程度油を給油されたか、これが一つです。これだけは報告されても別に秘密にすべきことではないでしょう、売る者があって買う者があるわけですから。これが一つ。  それで、そのときに油の量はどの程度入ったかですね。いまあなた方が現地に直接に調査に行かれるそのサウジアラビアのラスタヌラ、ここまであの船が走っていった場合にどの程度油が燃焼されてなくなるものなのかですね。   〔島本委員長代理退席、委員長着席〕 それから、残った油が幾らあるべきなのか。油が幾ら残っているかという調査をしていただけば、エンジンのぐあいもあるでしょうけれども、どこにも寄らずに普通何日間ということで航海をしていった場合には当然消費燃料というのはわかるわけですね。そうすると、そこから東京湾の中に排出されたといわれる油の量は、多少の誤差はあるにいたしましても、おのずから明確になってくると思うのです。  そこで私はお伺いをしたいのですけれども捜査に行かれる場合に、残った油の調査をどういう形でやられようとしておるのか。また入れた量は、きちんとした機械で入れているのですからわかっているのです。その点、私はここで参考として聞いておくのは、——いまのものは意見として聞いておいていただけばいいのですが、入れた量はどの程度か、これはひとつ資料があったら、私は御答弁資料でいただきたい。これは千葉県がそういうことについて報告してくれと言ったら、報告してくれないのですよ。教えてくれないわけです。しかし、だれに教えることができなくても、千葉知事にその会社が教えることができなくても、これは海上保安庁長官が国会の場で資料要求された場合には、断わる理由にはならないと思いますが、ひとつその資料をいただけるかどうか、御回答いただきたいと思います。
  28. 手塚良成

    手塚政府委員 油をどれくらい給油したかという量の問題ですが、私どものいままで調べております観点は、先生のいまのお話の過程とは少し違っております。あまり具体的に申し上げることは控えさせていただきたいのですが、三十日の十時半から、燃料油、C重油の搭載を開始をしたわけです。そして、これはバンカーオイルを入れますタンクは二つあったと一応考えられます。その一つ、三千トンの一番タンクに積み込み中に漏油をしたというふうに一応考えております。漏油のしかたが、積み込みが終わっていたのかあるいは積み込み中に出たのか、それはいまいろいろ調査中であります。そういうことで、全体でどうであったかということを当然これは調べつつある状況でありますけれども、そういう過程の問題であるということがいえるのではなかろうかと思います。そういうことで、あるいは御推測が非常にむずかしいかもしれませんが、いまおっしゃるような数量の資料がほしいという点につきましては、しばらくお待ち願いたい。いま非常に微妙な段階になっておるわけでございまして、それは先生も御同様であろうと思いますが、やはり真正なる公正な結果を得たいというお気持ちは間違いないと思います。そういうものを私どもは得るべく最大の努力を払っておるわけでございまして、そういう真正さが阻害されるというようなことがかりに考えられるような場合には、やはり資料といえども御提出することは適当ではなかろうか、かように考えますので、お許しを願いたいと思います。
  29. 浜田幸一

    浜田委員 それは信頼すべき海上保安庁長官の言うことでございますから、私も無理に資料提出を求めませんけれども、さかのぼってもう一つ伺いしますが、明治海運に対して千葉県側が要請したときに、これは民間ペースなのでわれわれが関知することではないという御答弁であったわけでありますが、海上保安庁は明治海運に対してどういう強力な要請を求めているのですか、その点をお伺いします。
  30. 手塚良成

    手塚政府委員 一番求めておりますのは、当時の、油積み込み中の立ち会いの責任者、それを私どもは一応事情聴取をしたい。そのためにはその本人が現在乗り組み員の一員として航海中でありますので、向こうへ着き次第早急にこちらへ帰してもらいたい。そのためにはこちらからそれにかわるかわりの乗り組み員を送らなければならない、そういうものを送る手配をしてください、そういうことをいま要請いたしております。
  31. 浜田幸一

    浜田委員 私が考えますのに、なぜしつこく繰り返しお伺いするかといいますと、千葉県が明治海運に対してそういう要請をしたところが、それに対しては資料回答も何も得られなかった、そういうずるい会社であるならば、給油した会社も油を売った会社も明治海運という会社もそういうずるい会社であるとするならば、航海中にその当事者に対して言い含めることもできるであろうし、調べられた場合の答弁内容もでっち上げることもできるでしょう。同時に目的地に向かうまでの間、どういう油、C重油——問題は排出された油が、被害を与えた油が、いま使っている油と同一であるかどうかというぎりぎりのところまできていると思うのです。その場合に、他の油が混入されたり、たとえばそれは技術的にできないかもしれないけれども、何か捜査上の妨害になるようなことがあって、われわれが不利な状況に置かれるといけないというのが私の考え方です。その危険性は一切ありませんか。
  32. 手塚良成

    手塚政府委員 本船は、目的地でありますところのバーレンに着くまでは、一切他の油を補給することはできないし、その行動予定もぴしっとわかっておりますので、まずできないというふうに私ども考えておりますので、混入等の心配はまずなかろうかというふうに推定をいたしております。乗り組み員がいろいろ偽証の打ち合わせその他をやるかもしれぬという御心配もあるかと思いますが、これはある程度想定をしなければならない。しかし、さればといって先ほど来申し上げておりますように、時日の経過あるいはこういう時期になるまでの過程というものがありますので、そう一足飛びのことはできない、こういう事態になったについては最善の努力を払う以外になかろう、かように考えます。
  33. 浜田幸一

    浜田委員 海上保安庁長官最後にお伺いします。  私は海上保安庁を信頼しております。でありまするから、千葉県側において、漁民側においてあくまでも加害者——目撃者までいるということを言っているわけですから、加害者明原丸であろうという想定に立って私ども長官にお伺いをしているわけであります。長官は公正な立場でこれは調査しなければならないこともよくわかっておりますが、少なくとも調査段階において国民の期待を裏切らないような捜査権の発動を私は今後もしていっていただきたい。このことについて私はお伺いをしておきたいと思います。
  34. 手塚良成

    手塚政府委員 私どもは先ほど来申し上げておりますような立場で、非常に重要な使命を帯びておると自覚をしております。いろいろ巷間いわれますようなことは、私どもは全く心外であるというふうに思っておるくらいでございまして、黙々と捜査本来の筋道をたどって堅実に、公正に真因のあるところを見つけ出すということに全力を傾けてきておりますし、今後もそのつもりでやる決意であります。
  35. 浜田幸一

    浜田委員 私が特に念を押した理由は、これは読売新聞の十二月十四日の記事でありますが、「三管動かした県の強腰」、「さる四日、木更津市金田、牛込、君津郡袖ケ浦町奈良輪の三海岸で重油が漂着した事件をめぐり、県特別対策本部は十二日、友納知事名で第三管区海上保安本部に捜査資料提出を求める異例の措置をとったが、県からの申し入れをいったん拒否した三管本部は、十三日夕、独自に「捜査員二人を早急にペルシャ湾に派遣する」と発表、事態は急転した。県ではあくまで県職員の同行を要請する方針をとっているが、いわば背水の陣をしいて三管本部に挑戦状をたたきつけた県のねらいが当たり事態は県の思惑通りに動き始めた。」という記事が出ております。私は、被害を受けた県民並びにこれに関連するすべての県民がこれを見たときに、ほんとうにそうだったのかということになったら、やはり今後政治的な姿勢に対して不信感を強めていく結果になる危険性があると私は思いますので、いまの海上保安庁長官の決意を実はお伺いしたわけでございます。どうか本問題の調査にあたりましては、要望でありまするけれども、万遺漏なきを賜りますよう要望をいたします。  続きまして運輸省にお伺いをいたします。実は運輸大臣にお伺いしたかったわけでありますが、私は運輸省見解を三点だけただしたいと思います。  この問題の加害者が明確にならなかった場合、たとえば現在海上保安庁が追跡調査をしておりまする明原丸加害者でないといった場合には、おそらくこの問題はもう解決の見通しがつかなくなると思います。そこでお伺いをいたしたいのでありますが、加害者が見つからなかった場合に、運輸省としては、本問題に対する基本的な解決姿勢をどうおとりになるのか、これを一点お伺いをします。
  36. 見坊力男

    ○見坊政府委員 一般的な問題といたしまして、加害者が明らかでない場合も非常に多いわけでございます。たとえば廃油ボールが沿岸に漂着をして漁業に被害を与えるというような事例も多いわけでありますが、かりに本件の場合に加害者明原丸でないということになった場合に、問題は一般論に戻るのではないか。運輸省といたしましては、海洋汚染防止法の施行を厳重にやっていくということはもちろんでございますが、ただ廃油ボールの対策につきましては、海洋汚染防止法の施行前でありましても、これを行政指導でやっていこうということで現在努力をいたしております。まあ一般的にその対策を進めるしかないというふうに考えております。
  37. 浜田幸一

    浜田委員 その対策を進めるといいますと、一体具体的にはどういう対策になるのですか。私がお伺いしたいのは、東京湾航路権の認定は当然運輸省の管轄でありまするので、これはだれが流したかわからないとするならば、船舶航路権すべての、東京湾の許可権を持っている運輸省責任をおとりいただかなければ、漁民は救われたものじゃないと思うのです。たとえば海洋汚染防止法の中にもはっきり出ておりまするけれども、そういうことを起こしてはならない、そういうことを起こさない措置としていろいろな処置をとるのだということになっておりますが、東京湾に油が流れた場合に、たとえばそれを直ちに発見して、発見した油を油吸い上げ船で引き揚げて、水と油を分離して廃油だけを船の中に残すような、そういう船を持っているということも聞いたことがないし、たとえば共同の責任体制の確立ということで、東京湾利用者会議を開いて、犯人の出ない場合はその中で生産所得を著しく低下させるような被害を与えた場合においては、そういうものを全体の責任として解決していこうというような法律もないわけです。ところが東京湾においてはもう三分間に一隻、二分間に一隻という形で航路権の拡張をいま運輸省が計画しておりますね。現在でも千葉県に対して一千メートル航路権の拡張を申し入れておるわけですけれども、そういう航路権の拡張そのものを考えること自体、東京湾浅海漁民はもう死んでしまえと言っていることと同じだと私は思うのです。本来であれば運輸省がそういう航路権の拡張をして東京湾の拡大利用をする以前の問題として、その中に生存する浅海漁民をどう処理するのか、どういう形で守っていくのか、その具体的な施策をわれわれに示した上でなければ、私はそれは対策とは言えないと思うのです。問題が起こったときに対策を考えざるを得ないと思います、そのたびに被害を受けて泣き寝入りするのは漁民なんです。私はここであなたに申し上げようとは思いませんが、少なくともそういう対策がきょう悩んでいる者たちのために直ちに生かせるような責任というものを感じていただかなければならないと私は思います。ここではっきり申し上げておきますが、もしこの問題で犯人が出なかった、それで対策を立てますということであれば——この間も千そうの浅海漁民がデモをやりました。これはもう東京湾の中に船を入れてもらわないことが浅海漁民を一番守ることになるわけです。われわれはきょうの議論展開する前に、そう言う漁民もたくさんいました。実力行使をして第一海堡と第二海堡の間を閉鎖して何とか漁民の生活を守るようにしてくれということで、私のところにたくさん来ました。しかし法治国家である日本としてそういうことはすべきではない、必ず政府にはあたたかい処理方法がある、こういうことできょうの特別委員会質問が終わるまで待とうということで待っているわけです。これは、あなたが一般的な考え方でこの問題を処理されると、東京湾の交通は絶対に麻痺しますよ。そのときになって、またわれわれのところに来てそういうことをやめさせろといってもそれはできない相談ですよ。そういうことも踏んまえて、切実な浅海漁民の苦衷というものを踏んまえた上で、もし犯人が出なかった場合、運輸省は本問題の取り扱いについてどう処理してくれるのか、ひとつ具体的にお伺いをさしていただきたいと思います。  私の提案としては、この問題は認可・許可権を持つ国、企業の進出を認めた県、東京湾を利用する利用者のすべて、東京湾があるからわれわれ国民も油も使えれば自動車にも乗れる、生活も豊かになっていくわけで、われわれにも責任があるわけですから、そういう全体的な政治の責任の中で私は御配慮をいただきたいと思います。  千葉県は一億円の金を漁民に出しました。しかし、実際に正月も迎えられないようなそういう漁民がたくさんいるわけです。これに対して私は自治法の解釈、私自身がまだ十分でありませんから、どういう方法がいいかわかりませんが、とにかく地元に対して再生産資金を国が積極的に推し進めていくように、水産庁から運輸省に要求があったからするという形ではなしに、運輸行政のすべての権限を持っている運輸省の中で、こういう問題、船が積んだから油が流れたのだ、だからこの問題については運輸省はこう考えるのだ、こう処理したいのだ、私はそういう姿勢を少なくともお示しをいただきたいと思う。  閣議山中大臣が、新潟問題と本問題については特別な善処をしなければならないというふうに御発言をいただいたということでありますが、運輸大臣がそういう御発言をしてくれたとは聞いておりません。とにかくその閣議の席上では、犯人捜査に全力をあげよ、犯人が出たあとのことにしょう。しかし、正月もやってきます。子供たちは学校で学ばなければなりません。海上保安庁が全力をあげて犯人捜査をやってくれているのですから、犯人は出てくるでしょう。その犯人が出てきた場合の前提条件として、犯人が出ない場合を想定した処置として私は運輸省に積極的にこの問題に取り組んでいただきたいと思うのでありますが、その点についていかがでしょうか。
  38. 見坊力男

    ○見坊政府委員 先ほどは、海洋汚染防止法のたてまえを申し上げましたが、海洋汚染防止法では、いま先生お話のように、海に油を捨ててはならない、そのために廃油処理施設の整備をはかる、あるいは油が大量に流れた場合の措置をどうするというようなことをきめておりますが、東京湾のようなところに大きなタンカーが入る、これがわれわれは問題である。油が流れて、その防除措置をとるということの前に、まず基本的に大型タンカーは東京湾あるいは伊勢湾、瀬戸内海、そういうところに入れるべきではないというような基本的な考え方を持っております。  そこで、現在、東京湾外にシーバースをつくりまして、湾内にはパイプラインで運ぶというような構想もございまして、今年度も東京湾、瀬戸内海におきまして、その調査を進めております。将来そういうことが実現いたしまして、さらに廃油処理施設の整備が行なわれるということになりますれば、海の油濁というのは現状よりもさらに改善されるというふうに確信いたしております。  ただ、いまのお尋ねの犯人がわからなかった場合どうするかという問題でございます。これは先ほども一般的に申し上げたわけでございますが、やはり直接の損害補償ということになりますと、その間の因果関係も明らかにならなければならぬということになりましょうが、その辺のこともございますし、将来、われわれとしては検討すべき課題ではないかというふうに考えております。
  39. 浜田幸一

    浜田委員 この問題は、あなたにお伺いするよりも、運輸省全体の責任者である運輸大臣の御答弁をいただき、運輸大臣の政治姿勢として、今後海洋汚染防止法というものを環境大臣だけにそのすべての責任を持たせるということではなしに、運輸大臣そのものに海洋汚染防止法の理解を正しくしていただいて、またこの法律の中だけでは解決できない問題もあるわけですから、そういう一つの新しい海洋行政の指標というものを私は検討した上で出していただかなければならないと思う。東京湾現況は、あと五年たったら何倍になりますか。あなたのところで御説明に来られたのは、あと十年たったら、いまの利用率の五倍にも七倍にもふくれ上がっていく。油だけだって二倍半から三倍になるでしょう。そういう現状の中で、そういう抽象的な御答弁をいただいて、シーバースはできない、船はふえていくだけだというだけでは、それは私は御答弁にならないと思う。しかし、そのことを私は時間の関係がありますからやっておられませんので、次に移らしていただきますが、とにかくお願いだけは大臣とよく相談をして、実際に被害が起こっているのですから、たとえばカキならカキにおいて政治的な決断が必要とされる場合には政治的な決断をして漁民を救ってくださいという訴えを、私があなたにしたということだけは伝えておいてください。  それから罰則の項をお伺いします。これは環境大臣にお伺いしたほうがいいと思ったのですが、まず運輸省にお伺いしておきます。  違反した者ですが、違反した者については、第五十五条の「次の各号の一に該当する者は、六月以下の懲役又は二十万円以下の罰金に処する。」ということだ。いまの法律の解釈でいいますと、たとえば十万トンのタンカーが油を東京湾に流しても、罰金は二十万円で懲役六カ月以下なんです。いま懲役六カ月以下といいますと、日本の中では女性のおしりをさわると懲役六カ月ですね、大体そのくらいのことです。これは痴漢という処分ですね、これは企業がたとえばそういうあれをした場合でも、二十万円の罰金で六カ月ということになると、たいした罰則じゃないですね。とにかく町でだれかがけんかしますね。なぐり合いをやると、大体もう六カ月以上ですよ。金を一万円盗むと六カ月以上ですから、そうなると私はこの海洋汚染防止法にある罰則規定というのは、現在の日本の経済情勢から考えてみた場合に、全然これはもうざる法といわざるを得ない罰則規定だと思う。このことについて運輸省はどうお考えになっておるか、この程度の罰則規定でいいのか。  それからもう一つついでに聞いておきますが、これは認可の取り消しという条項があります。たとえば違反をした者についてはその登録を取り下げるということがされておりますが、今回の場合、明治海運所有のこの明原丸という船が完全に犯罪者であったという決定になった場合には、運輸省は、明治海運をはじめとして、現在犯罪者と断定されようとしている明原丸に対して登録の取り消しをする決意があるのかどうか。罰則なんてそうなったらしょうがないと思うのです。二十万円以下の罰金、六カ月以下の懲役なんというのは、私は罰則規定にならないと思います。登録認可の却下をさせることができるかどうか、その点についてはっきりお伺いをしておきます。それは明治海運という会社も含めてですよ。
  40. 見坊力男

    ○見坊政府委員 この罰則の点でございますが、これは海洋汚染防止法を制定いたしましたときに、現行の船舶の油による海水の汚濁の防止に関する法律というのがございまして、それを新条約の線に沿いまして国内法化いたしたわけでございます。その際に、この罰則は、旧法でございますと三カ月以下の懲役または十万円以下の罰金となっておりましたのを、倍にいたしております。ただ、これが軽いか重いかという点につきましては、罰則適用のバランスと申しますか、全体的な問題がございますので、法務省と十分協議をいたしまして、全体的にこれでよろしいということで、このようにきめたわけでございます。  それから、登録の取り消しの三十三条の規定は、廃油処理事業者がここに掲げられた各号に該当したときは取り消すことができるということでございまして、本件の場合には三十三条に当たらないのではないかというふうに思います。
  41. 浜田幸一

    浜田委員 そうすると、これは廃油処理業者であって、給油業者の場合海洋汚染防止法の中ではどういう規定があるのですか。たとえば油を供給しているときに、故意に流したのではないけれども、ミスがあって流した場合の取り締まり条件というのは一体どういうことになっているのですか。私の考えでは、第三十三条の廃油処理事業者という場合でも、これは油の供給事業者といえども同一視して考えるべき性格のものだと私は思っているのです。そうでなかったら、給油業者がそういうミスを起こした場合には、登録を取り消すとか許可を取り消すとか、そういうものがどこかに出ていなければならないと思うのですが、それはどこに出ているのですか。
  42. 見坊力男

    ○見坊政府委員 それは大量の油が流れた場合の措置で、まず三十八条によりまして通報の義務がある。これによりまして、三十九条でさらに「応急措置を講じなければならない。」、この規定でございまして、登録取り消しというような規定はこの法律では入っておりませんで、罰則のほうにいっております。三十九条の規定に違反した者はやはり六カ月以下の懲役または二十万円以下の罰金、こういうことになっております。
  43. 浜田幸一

    浜田委員 第三第十三条の解釈において、たとえば「(事業の許可の取消し等)」「運輸大臣は、港湾管理者以外の廃油処理事業者が」云々ということになっておりますが、その廃油処理事業者がそうした場合には、これはやめさせる。しかし、給油業者もしくは給油を受ける者があやまちをおかした、あるいは過失もしくは故意にそれを流した場合において、罰則規定だけで、第三十九条に違反した者はという形で処理されるというのは、法の欠陥じゃないですか。当然、現在シーバース等においてもそういうミスがたくさんあるわけですから、そういうものに対して法律的に規定を設けない限り、今後起こり得ると想定されるものについては何ら事前の措置にはならないのじゃないですか。これは当然、機械設備あるいは技術者の提供、そういうものについて欠陥があるからそういうミスが起こるのですから、それなら野放しと同じじゃないですか。廃油処理というよりも、現実に廃油になる前の油そのものを日本は必要としているわけでしょう。船も必要としているわけですよ。だとすれば、これは真剣に運輸省においても、きょうの段階結論の出せることじゃないのですけれども、少なくとも本問題について何か一定の考え方を持っていただかなければならないと思いますね。それでなければ、海上保安庁が強制捜査に踏み切ってミスがあったということになったって、何にも取り締まっているということにはならないじゃないですか。
  44. 見坊力男

    ○見坊政府委員 いまの給油施設等は、十八条の海洋施設からの油または廃棄物の排出の禁止に当たるわけでございます。この海洋施設というのは政令できめることに相なっておりますが、この十八条の規定に違反した者は罰則の適用があるというたてまえになっております。
  45. 浜田幸一

    浜田委員 事務局に御迷惑をかけるようですから、私は大臣にさっそく質問させていただきますが、運輸省はけっこうです。  私は大臣質問する前に、法の欠陥をはっきり摘出しておきたかったから、各省に対して御質問申し上げたわけです。最終的には大臣にお伺いしなければならないことでありますが、いま議論のやりとりがありましたように、私は担当大臣環境庁長官にお伺いをいたしたいと思いますが、まず第一に、今回起こりました東京湾の問題については、大臣に各般の御配慮をいただいておりますことを感謝申し上げておきます。質問はあくまでも法律解釈の質問でございますので、おしかりのないようにひとつ御答弁を賜わりたいと存じます。  そこで、第一に取り上げなければならない問題は、私は海洋汚染防止法全体について環境庁長官にお伺いをいたしますが、いまも各条にわたって摘出いたしておりまするように、この法律はこのような問題が起こってまいりますると、政府に責任が一切与えられておりません。政府が被害者に対して責任を持てない法律は、私は法律ではないと思います。  そこで具体的にお伺いをいたしますが、たとえば三十三条、今回の流出事故については当然油の供給業者もしくは船が流した、あるいはシーバースにおける欠陥、そういうことだと思いますが、事業の認可の取り消し等の項目、そういうものは一切ないわけです。それが一つと、もう一つは罰則規定、先ほど罰則規定の問題を言いましたが、罰則は二十万円以下の罰金、懲役六カ月ということであります。経済大国といわれる日本の状態の中で、日本政府がこういうことで、よろしいのかどうか、その辺からまずお伺いをしていきたいと思います。
  46. 大石武一

    ○大石国務大臣 海洋汚染防止法のことについてのお尋ねでございますが、最初に申し上げたいことは、これは国会でおつくりになった法律でございます。したがいまして、いまわれわれ役人がその法律がいいとか悪いとか、とやかく申し上げることは避けたいと思いますので、それは避けます。  ことにこの法律は、来年六月に初めて全部が発効になるわけでございますが、まだ十分に発効にならない法律、しかも前の国会でおきめになったことを、いいとか悪いとかとやかく言う権限はございません。ただ御承知のように、世の中は非常に変わってまいります。急速ないろいろな情勢変化を来たしますから、適当だろうと考え法律でも、ある時期がたてば、必ずそれは改正なり修正をしなければならぬ時期が参ります。そういうことで私は、この海洋汚染防止法も、いわゆるいままでお話しのような、いろいろな時代に多少合わないかもしれないような状態があるかもしれませんから、そのようなことを十分勘案して、その事態に合うような方向につとめてまいることが妥当ではないかと思います。  罰則でございますが、なるほど懲役六カ月、二十万円の罰金では、いまのものの考え方、いまの時代の経済的な考え方として、私は個人的に合わないような感じがいたします。しかしそれはいろいろな法律的な根拠によってくることだろうと思いますので、二十万円が多いか足らないかということはあえて批判はいたしませんが、いまの経済的なものの考え方からすれば、それから人間尊重のいまの政治の思想からすれば、六カ月と二十万円ですか三十万円ですか、少しつり合いがとれないような気はいたします。  いま申しましたように、廃油処理の問題、これは廃油処理にあたるものがそのようなあやまちをおかした場合には、やはり相当な厳罰を加える必要があると思います。ただ給油するものとかそういうものは、やはり考え方は違うと思う。しかしあやまちをおかせばその責任は負わなければなりません。その責任が大きければ大きいほど、つまり損害賠償ということが基本になると思いますが、そういうことは十分な責任を負わせることがあるわけでございますから、いまの法律考え方では必ずしも間違っておるとは思わないわけです。
  47. 浜田幸一

    浜田委員 各論に触れてまいりましたが、私は実は法律だけを論議しようと思っているわけではございません。ということは、われわれが求めているものは、法律に誤りがあればこれは是正していきたい、そのための勉強であります。  それともう一つ、本日大臣にお越しをいただいた理由は、大臣が、環境保全あるいは公害防止のために、先頭に立たれて御努力されているやさきに、たとえば新潟問題が起こった。同時に新潟問題は加害者がいますけれども東京湾で起こった問題にはいまだ加害者がいないわけです。そこで、ここで法律論議をしても解決がつかないことでありまするけれども、最終的にわれわれは、犯人がいないという場合に、法の精神を生かして、東京湾汚染されれば、それによって被害を受けた人たちに、政府は、たとえば環境保全を担当される大臣としては、どういう処置をされようとお考えになっておられるのか。私はこのことについては先にお願いをいたしておきますが、何回も申し上げておりまするように、もう暗中模索で手のつけようがない。ただただ困った、困ったと言っているだけが現状でございます。そこで千葉県は、この間議会に御了承をいただいて、一億円の支出を決定しました。これは自治体の行なうことでありますけれども、同じ役人であっても、大臣は政府の担当大臣、トップの大臣でございまするから、私は少なくともこれらの問題の処理について、政治のあたたかい心というものを御決断をいただいて御処置をいただきたいというのが私の質問の趣旨であり、お願いの趣旨でもあるわけです。犯人をつかまえましてから裁判をやりますと、大体一年か二年、二年間でできればいいほうであります。しかしその間漁民は生活困窮でもうどうにもならなくなってまいりまするので、私どものほうとしては、先ほど水産庁にもお願いをしたのですけれども犯人がつかまった、つかまって結論が出るまでの前段において法の精神を正しく生かしていただいて、何とか御配慮をしていただきたい。このことについてひとつ大臣の御見解を承り、また今回被害を受けた漁民に対して力づけをしていただくためにも、御配慮ある御回答を賜わりたいと存じます。
  48. 大石武一

    ○大石国務大臣 先ほどから浜田委員の御発言を聞いておりましたが、被害漁民の救済についてのいろいろのお考えは、私は非常に高く評価いたします。それこそ全く人道主義にのっとったお考えだと、私も同感でございます。何と申しましても、このような公害を引き起こしたものは、やはりその企業が、引き起こしたものが、責任を負わなければなりません。ですから、どんなことがあっても、これは海上保安庁が中心となりまして、その原因犯人をはっきり糾明することが一番大事でございます。そしてこの糾明の暁において、これは厳重なる損害賠償なり処分をすることが必要だと思います。ことに今回の行動を見ますと、真相がわかりませんから軽々には申されませんが、いかにも責任をのがれているような無責任な態度が見られるように思います。こういうことを厳重に究明しまして、まず犯人をさがして処置をして、その損害賠償をさせることが一番大事だと考えております。しかし、おっしゃるように、これでは時間がかかります。時間がかかりますので、やはりその間に、その被害漁民に対しては何らかの、生活が立っていけるような、あるいは再生産ができるような処置をすることが、非常に大事だと思います。そういう意味で、千葉県がさっそく一億円の越年資金を出しまして、そして一応被害者の救済に充てておる。その利子負担につきましても、木更津市と袖ケ浦町ですか、ここでいろいろなめんどうを見るということでございますから、まことにけっこうな処置だったと思います。ただ、行政というものは、国は国だけでやるのだ、県は県だけでやるのだ、というものではございません。国と県、市町村ですね、こういうものがお互いに連携をとりまして、総合的な施策をするところに初めて行政の正しい運営があると思います。そういう意味で、もちろん国もあらゆるいろいろなめんどうを見なければなりませんが、いま言いましたように、県と国とが、県が中心でございますが、いろいろと相談をいたしまして、いま申しましたようにはっきり賠償が取れるまでは、やはり何らかの生活の立っていく道を講じなければならないと思います。幸いに千葉県の処置によりましてあるいは越年ができるかもしれません。越年ができなければまた何らかの処置をわれわれも考えなければなりませんが、そういう考え方を基本として、そうしてもし不幸にして犯人がないから損害賠償を取れない場合には、それに相応した、いろいろな再生産ができるような手段をやはり国と県、総合的な行政においてやらなければならない、何らかの方法があると私は考えておる次第でございます。
  49. 浜田幸一

    浜田委員 いま私は大臣の御答弁をお伺いいたしまして実は後悔をいたしております。こんなりっぱな答弁を、もうほんとうに国民が期待しているような御答弁をいただけるならば、保安庁や水産庁やすべての長官にしつこく質問しなくてもよかったのだなということを考えておりますが、ひとつ大臣にあらためてお願いをいたしますが、市町村行政並びに千葉県の場合三十五億円の歳入欠陥がございます。また市町村は無理な合併をいたしておりまして、特別交付税とかそういう形の御配慮をいただかなければなりませんので、実は自治大臣にも過般個人的にお願いをいたしました。そういう問題については配慮するという御答弁をいただいておりまするので、きょうは実はおいでをいただかなかったわけでありまするが、ひとつ閣議の席におきまして、山中農林大臣臨時代理ですか、大臣にひとつ環境庁長官からよくお願いをしていただいて、ただいまの方向で御処理をいただくようにお願いをしておきたいと思います。私は、いまの大臣の御答弁を承りましたので、もうそれで十分でございますが、ただただ心から期待をいたしておりまするので、ひとつよろしいお願いをいたしたいと思います。  それから、水産庁長官、いまお聞き及びのとおりであります。水産庁漁民の父であり母であるということを千葉県の水産部は言っております。水産部の連中も一生懸命やってくれました。ただ一生懸命でないのは水産庁だけでございまするから、長官はひとつ各大臣を通じまして、水産庁としてできる得る限りの御処置お願いを申し上げておきたいと思います。  私は、委員長との約束が二時間以内ということでございまして、まだ五分程度ございまするけれども大臣もお忙しいようでございますから、この辺で打ち切らしていただきますが、ひたすらに本問題が国民の期待にこたえられる解決でありまするように心からお願いをいたしまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  50. 小林信一

    小林委員長 午後一時再開することとし、この際暫時休憩いたします。    午後零時三十分休憩      ————◇—————    午後一時十分開議
  51. 小林信一

    小林委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  公害対策に関する件について調査を進めます。  質疑を続行いたします。島本虎三君。
  52. 島本虎三

    ○島本委員 私の場合は、特に最近のオイルタンカーの事故、それに伴う油の流出によるところの漁業被害、こういうようなものを含めて、問題惹起したそのものに対する対策と、あわせて将来事故を起こさない対策をどのように指導するのか、考えているのか、ここに重点を置いてきょうはひとつ皆さんの御高見を承りたい、こういうふうに思う次第であります。  まず新潟ジュリアナ号座礁並びに油の流出のその後の状況はどうなっているか、同時に被害に対する対策はどのようにとっているか、この惹起したものに対する対策をまずお伺いいたします。
  53. 手塚良成

    手塚政府委員 起きました事故そのものについてその後の状況と現在とっております措置を御報告申し上げます。  船尾と船首に分かれた船の残骸がございまして、船尾のほうにはなお現在推定約七千トン、船首のほうには推定約九千トンという油が残っておる現状でございます。船尾からいままで相当量油が流出しておりましたが、これは現在すでにとまっておりまして、船首部から多少の流出をしておるという程度でございまして、油の拡散状態は非常に縮小をされておるという状態でございます。これに対しましては、現在は吸着剤というのを使用いたしまして、油の中和処理剤は八日以降ずっと使用をやめておりますが、現在もっぱら吸着剤によってこの少量流れておるものに対処しておるということでございます。問題は船尾、船首になお残っております大量の油の措置になるわけでございます。私どもがいま一番力を入れておりますのも、早急にそれを抜き取るということでございます。  船尾のほうからの残油の抜き取りにつきましては、十二日十一時以降から陸岸の送油管が開通をいたしましたので、これを使って抜き取りをやっております。一時間約九十トンという能力の油吸引でございまして、パイプを通じて出てまいりました油を一たん油積み取り船に移しまして、その積み取り船で昭和石油製油所へ輸送しておる、こういう状態でございます。  本日十五日午前八時この抜き取りを終わりました。これはパイプと一部海上の瀬取り船からの輸送も含めまして、現在総量で五千八十八キロリットルを抜き取りました。船に七千トン推定残っておったといたしますと、残油の量は約二千トンという量になるかと推定をいたしております。そうしてこれが現状のパイプ一時間約九十トンという能力で今後続けてまいりますと、私どもの目標といたしましては、順調にいきますと本日中には完了できるか、また完了いたしたいということで努力をしております。  それから船首部につきましては、九日にいわゆる船固めというのを終了いたしまして、その後これから抜いていくための瀬取り作業のための準備を進めておるわけでございます。実は準備は作業船を仕立てまして、このそばまで行きまして、そうしてこれはどうしても瀬取り船を使って抜き取っていく必要があります。ある程度抜きますと、また船が浮き上がってまいりますので、浮き上がった状態のままでまた完全抜き取りの可能な場所に引っぱってきてそこで最終的に抜き取る、こういう作業手だてを考えておるわけであります。  そこで、いまのような概略の作業手だてでございますが、そういうふうにやっていって最終的には二十四日までに小型タンカーによる瀬取りを完了したい。これはやはり天候と海上模様が相当影響いたしますが、何はともあれ年末までには何とかケリをつけたいということで、努力をせっかく傾注しておる次第でございます。
  54. 藤村弘毅

    ○藤村政府委員 十一月三十日夜座礁いたしまして、直ちに漁業被害調査のため、水産庁現地に公害担当の調査官を派遣いたしまして調査に当たるとともに、被害状況調査計画を一応立ててまいりました。  その後、八日、私が団長となりまして、被害調査をどういう調査をしたら被害額というものが出るか、影響がどこまで及んでいるかというような調査計画を私が立てに参りまして、調査計画を立ててまいりました。  なお、この事故が起きましたので、この事故天災ではございませんで人災ではございますが、天災に準ずるような大きな事故でございますので、それとともに長期に影響を与えるというものでございますので、県とともに低利のつなぎ融資が行なわれるよう所要の利子補給を行なうこととなって、関係者と協議の上でできる限りすみやかに融資を実施するように、現在進めておるところでございます。
  55. 島本虎三

    ○島本委員 対策はわかりました。いままでの努力はやはりわれわれも行って視察し、調査してまいりましたが、並みたいていのものじゃございませんが、その点については私もほんとうにねぎらいたい、こういうふうに思う次第でございます。ただ、一生懸命やったから対策はそれでいいというものでは決してないわけであります。今度の場合は、特に初めてのこういうような油によるところの被害であるという点からしても、公害のうちのいわば未知の部分を経験したことにも相なろうか。若干の問題はあっても大きいものはない。したがって今後はあれくらいのもので済まなくて、あれの十倍、二十倍くらいのやつも予想されるわけであります。公害対策という見地から見ると、これはおろそかにはできない、こういうようなことになっております。  長官にお伺いいたしますが、いま申し上げましたように、問題惹起してからの対策は、いままではほとんど追われておって、それに対する意見というものは、今後こういうことを起こさないようにする、これは山であっても川であっても海であっても、みんな同じことであります。山が爆発しても、総理はじめ、そのとおりの答弁です。しかし今後こういう事故を起こさない対策はということ、これはなかなか絵にかいたもちのようなものであって、とうてい手の届かない、あるいは実行不可能、あるいはやっておっても次から次へと事故が起きる。少なくとも公害に関するような状態、一回破壊された場合はこれは戻らないという長官のいままでの考え方そのままですから、今後は油の対策は慎重でなければならないと思うのであります。いま事後の対策はやっております。起きた対策はやっておりますが、これからの対策について、大臣はどういうふうに考えておられますか、所見をまず承ります。
  56. 大石武一

    ○大石国務大臣 このような事故例はわれわれ始めて経験するものでございます。そういうことで、まずこのような事故による油の汚染並びに油を中和する中和剤の、いろいろなその後のこれが魚類に対してあるいは微生物に対してあるいはさらに魚類を通じての人体への影響はどういうものであるか、こういうことをまず一番先に見当をつけなければなりませんので、十分に水産庁その他とも連絡をとりまして、この根本的なあり方の追跡調査をしてまいりたいと考えます。そういうものを土台として今後どのような対策を立てたらいいか。事故が発生する、しないは——事故が発生しては困りますが、それはどうしても、事故というものは不測のことでございますから、それはどのように運輸省なりその他があらゆる港湾の機能なりあるいは船の運航なり船の技術のことについてはずいぶん努力もいたすでしょうけれども、やはりいつかは事故があり得ると考えなければなりません。そういうことで、それに対してはやはりいまのような実態の追跡調査をまず十分にいたしまして、十分な方向を得ましてから、それを土台としてそれに備え得る対策を考えてまいりたいと考えておる次第でございます。
  57. 島本虎三

    ○島本委員 問題はそれを具体的にすることになろうかと思います。いま海上保安庁ではすぐ中和剤その他の散布あるいは油の抜き取り、いろいろな措置を講じました。私も見てまいりました。一生懸命やったその努力に対して、科学的な指導と適切な措置という問題はこれはやはり環境庁なり運輸省なりが指示し、お互いに協力し合わなければならないのじゃないか。たとえば確かにわれわれはその当時の考え方として原油による一次災害、これは困るのだ。しかし乳化剤によるところのまた二次公害、こういうようなものも漁民はおそれておった。しかし毒をもって毒を制するのだ、こういうような論理であろうか、それとも複合汚染のために、いま海中に魚類はおろか微生物さえも住んでいけないような状態を招いてこれを処理したということになれば、何にもならないわけであります。この中和剤の場合にはこういうような点を十分考えてこれを使用さしたのか。またこういうようなところまでいかないで、ただ公害防止技術は公害移動技術にすぎないような結果、それをどこかに移動させればいいんだ、表面のやつを下へおろせばいいんだ、拡散させればいいんだ、この程度の指導だったのか。これはやはりいま考えて見ると、再び起こしてはならない事故だけに、これは今後こういうようなものに対して慎重でなければならないし、的確でなければならない、こういうようなことになります。ジュリアナ号の油の処理、これは原油流出によるところの災害、事故でありますから、応急措置として乳化剤を散布し油を乳状にして海中に没させる、こういうような点は確かにそれなりに有効であったかもしれません。しかしこの油を分解していない、ただ油をこまかくし、見た目に油の存在をわからなくするという程度の作業であるということ。それがまた乳化剤そのものが海の生物にとっては有害なものであるから、当然海面の被害を海底に移動さした、こういうようなことであるならば、これは見えるものを見えなくしただけで被害は同じだ。むしろ前よりひどくなる、こういうようなことを指導したことになるわけでありまして、この点はやはり慎重でなければならなかったはずじゃないか、こういうように思うわけなんであります。この中和剤に対してのはっきりした認識を大臣はお持ちだと思いますが、今後どのようにしてこれを管理し、また利用させようとしておりましょうか。この中和剤に対する考え方をちょっと承っておきたい。
  58. 大石武一

    ○大石国務大臣 油の汚濁を中和するいろいろな中和剤につきましては、いままでやはり、いろいろ使われておったようでございます。今回の新潟事故につきまして、初め大量に使われたのでございますが、それ以前にもいろいろ各漁業協同組合なんかの漁業に関する陳情を聞いておりますと、油がこぼれますと、その油を中和するために中和剤というものをまいておったようでございます。その結果は、漁業組合の意見でございますから必ずしも科学性がないといたしましても、魚がみな逃げてしまうとか、そのような大きな影響があるようでございます。したがいまして、やはりこれに対しては十分に、われわれも前もって中和剤についてどのようなものか、どのような実験をしておるのか、どのような方法でこれを許認可しておるのか、そういうものをはっきりする必要があると思います。幸い——幸いと申しましてもこれは中途はんぱでございますが、海上保安庁ではやはりこのような中和剤につきまして、その毒性なり効果なり、そういうものを研究しておったようでございます。それが必ずしもまだ十分にその研究が完成しないうちにこのような新潟事故が起きたわけでございます。それを見ましても途中の研究のようでございますが、現在三十数種ほどあるそうでございますが、毒性の非常に少ないものもあればどうもいかがわしいようなものもあるということで、やはり海上保安庁においてもこういう問題は心配しておったようでございます。私はそれを考えまして、これは当然この中和剤というものが、効力は別として、人体に対するあるいは生物に対する被害がどのようなものがあるか、影響はどうであるかということを十分に検討しなければならないと思いました。同時にこれは今度の話ばかりではありませんが、日本全体においていわゆる化学製品、つまり医薬品とか医薬品でないいろいろな化学薬品がたくさんあるわけでございますが、そういうものが一体どのような行政的な秩序において正く生産が認められ、使用が認められているかということについて、非常に不安があるわけでございます。医薬品は厚生省で責任を持って——これは人体に直接影響が及びますから、厳重な監督なり基準がある。それでけっこうだと思いますが、それ以外のものは農林省なりほかの省でばらばらにこういうものを簡単に許認可していると思うのです。しかもその場合にやはり化学製品でありますから、われわれの知らないいろいろな有害なものが必ず含まれていると考えなければなりません。それが十分実験を経まして、これは無害である、あるいは有害なものは除去してあるというふうに証明が行なわれてなければ、これは使用してはならないと思うのでありますが、いままではそのような明確な規定はなかったと思うのです。それでやはりそういうような化学製品というものは厳密に実験を行ないまして、絶対にわれわれの環境を破壊しない、健康を破壊しないというような証明を持たない限りは医薬品以外といえども私は許可してはならないということを考えまして、実はいつでしたか、今月、十二月の四日だったか五日でしたか忘れましたが、閣議におきましてそのことを発言いたしまして、このような化学製品の製造なり許認可なり使用法については行政を一元化して十分に検査してやるという手段を講じたらよかろうという発言をいたしまして、閣議の了解を得まして、さっそくその次の日から内閣審議室から各役所に回りまして、そのような組織をつくることに話ができたわけでございますから、おっしゃるとおりこういうものを十分に、将来確実な無害性といいますか、そういうものを確認すること、それをやる行政機構を一元化すること、そういうようなことを中心として御趣旨に沿うような方向に進んでまいりたいと思っている次第でございます。
  59. 島本虎三

    ○島本委員 そうすると中和剤は薬剤ではないようでありますが、それは洗剤と同じようなものなのかどうか、それを管理をする主体をこれからつくるのか、もしやるとすれば環境庁なのか、厚生省なのか、運輸省なのか、水産庁なのか、このあたりの御見解はどういうことになりましょうか。
  60. 大石武一

    ○大石国務大臣 それは洗剤であるかどうか知りませんが、とにかくいわゆる化学製品ですね、こういう薬品といいますか、洗剤もその中に入ると思いますが、そういったいわゆるわれわれの日常生活に便利に使うような化学製品は厳重に毒性なりその有効性というものを実験しなければならぬ。それを取り扱う、許認可したりすべて扱うところはどこでもいいと思います。ただし私はばらばらでなくて一本にまとまった——環境庁でもいい、厚生省でもいい、どこでもけっこうでございますから、そういうものを考え方をまとめて一本化して総合的な行政をやらなければならぬと考えております。
  61. 島本虎三

    ○島本委員 そこはよく了解いたしました。いまどこを考えているかというんです。環境庁でやるようになりますか。というのは、調査に行ったその主体によって、われわれ調べたというのを新聞その他の報道に書いているわけでありますが、それをどっちのほうが管理してやるのか、将来どこかにしなければならない。——わかりました。じゃ、どこにしたい考えなのか私は聞いている。これはわかるでしょう。そうだとすれば、薬剤ならば厚生省——いま実際これはどこで認可しどこで、これは許可はないのですが認可するのですか、扱っているのですか。実際は乳剤という中和剤はどこで扱っているのですか、どの省で。
  62. 久良知章悟

    ○久良知政府委員 中和剤につきましては別に認可の対象にはなっていないわけでございますが、化学製品といたしまして製造については通産省の化学工業局で所管をいたしておるわけでございます。
  63. 島本虎三

    ○島本委員 化学製品として通産省でやっている、やっている以上これは毒性があるなしがわかってちゃんと管理していなさるはずであります。その組成と化学構造式はどういうふうになってるのですか。
  64. 小幡八郎

    ○小幡説明員 油乳剤の組成につきましては、これは大きく分けますと非イオン系のものとそれから陰イオン系のものということに分類されるわけでございますけれども、現在の乳化剤は非イオン系のものがほとんどでございます。  それで、その組成といたしましてはポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、スパン系、これらのものを数種組み合わせたものに石油系溶剤を加えたものであるというように考えられます。それから、場合によってはこれに陰イオン界面活性剤を加えることもございます。  それで化学式でございますが、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテルはRC6H4O(C2H4O)nHというような炭化水素に酸素の入ったものでございます。それからポリオキシエチレンアルキルエーテルはRO(C2H4O)nHというふうに、これはいま申し上げましたポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテルからベンゼン核をとった、やはり炭化水素に酸素の入ったものでございます。それからポリオキシエチレン脂肪酸ニステルはRCOO(C2H4O)nHというものでございまして、これも炭化水素に酸素の入ったものでございます。それからスパン系と申しますのはC3H6(OH)8OCH2OCORというものでございまして、この最後のRはラウリル酸というようなものが加わっております。これも炭化水素に酸素の入ったものでございます。
  65. 島本虎三

    ○島本委員 それは無害であるということで皆さん方のほうでは管理なさってるのですか、有害なものですか。
  66. 小幡八郎

    ○小幡説明員 これらの乳化剤につきましては、これは全く無害であるということはできないと思います。いままでの民間あるいはその他で行なわれました研究によりましても、どこまでこれが水の中に入ってくると魚が何時間で半分死ぬというような研究が行なわれているところから見ましても、これはやはり魚等に対して毒性があると判断しなければならないと思いますが、その程度につきましては、先ほど化学式を御説明いたしましたようにほぼ油に酸素の入っているというような性質のものでございますので、油に近いものではないかというように推定されます。ただ油と比較してどうかということにつきましては、まだ私ども公式なデーターを持っておりませんので、その点はお答えしかねるということでございます。
  67. 島本虎三

    ○島本委員 管理する以上どうしてそういうようなのを完全にとって管理しておらなかったのですか。そしてそれを使わせる場合には緊急やむを得ず、おそらく無害、有害わからないままに海上保安庁はそれを使って、油をなくすると同時に被害はたいしたことはないと思ったに相違ない。その場合被害がありますよということをちゃんと言ってやれば——これは油ようの、ものであって油はなくなってないのだ、色が変わるか形が変わるだけでそのまま海底に沈むことによって汚染面積を広げることになる。公害対策じゃなくて公害拡大になってしまうじゃありませんか。そういうようなことをちゃんと指導しちゃんと管理するのでなければ通産省は公害拡大省じゃないですか。そういうようなことであってはならないと私は思うのですが、これ、なぜあなたのほうからそれを言ってやらなかったのですか。
  68. 小幡八郎

    ○小幡説明員 この乳化剤は海中におきまして油と結合するわけでございます。そうして一方におきましては水とも結合する、こういう性格を持っておるわけでございます。したがいまして海面に浮いた油はこれを投入いたしますと海中、水面の下に沈降するということになるわけでございますけれども、これはただ表面の油を海中に沈降させるというだけの作用ではございませんで、その結果といたしまして、海中のバクテリアによりましてそのもの及び油が分解するということをねらったものでございます。ただそれまでの間、やはり先生御指摘のように魚類あるいは海藻等に被害を与えるということはございます。したがいましてこれを御使用になる際には、そういう一次公害及び二次公害比較考量した上で御使用になることと思うわけでございますけれども、この点につきましては海上保安庁におかれましても数年研究をされておるということを聞いておりまして、この乳化剤の性格は当然海上保安庁におきましても御承知のことであろうと思っております。
  69. 島本虎三

    ○島本委員 どうもいまの答弁は、考えられる、思う、海上保安庁は数年前から研究しているからこれはわかっているはずだ、どうも推定の御答弁が多いので、具体的にそれをつかんでおられないようであります。それならば保安庁、ちゃんとあなたのほうでこれを知っておったのですか、そして研究は長年続けておったのですか、そしてわかっていながらやはりこれを散布したということになるのですか、この点少し。
  70. 手塚良成

    手塚政府委員 私どもは昨年来海洋汚染防止の監視取り締まりの使命を帯びまして、いろいろ中和剤を使ってまいっておりましたが、その間いろいろ漁業のほうからの被害云々という問題が聞こえてまいりまして、どの程度かということを懸念はしておりました。で、何とか被害が少ないやり方はなかろうか、そういうものはなかろうかということも寄り寄り検討しておりましたが、正式には昨年たしか八月ごろだったと記憶しておりますが、これを権威ある海洋学会に海洋生物に対する影響はどうかという意味での委託研究に出しておりました。先般中間報告的なものはちょうだいをしておりますが、最終的結論は年が明けてという予定になっておりまして、いまだ最終的なものは入手していない。したがいまして、私どもは何がしかの影響はあろうということは考えておりましたが、その決定的な結果というものはわかっていない。したがいまして、これを使う場合等につきまして、やはりそれなりの使い方をしたいということで、これは先般の新潟等の事例でもわかりますように、やはり当初非常に大量のものが出る、そしてその結果、火災あるいは爆発の危険が多分にある。そうしてそれが周辺に影響が非常に甚大である、こういうような一応の条件基準というものを想定しまして、そういう事態にはやむを得ざるものとして使うということ、それから、なお現在中間報告を前提にしてわかっておりますあの中和剤の中で比較的毒性が少ないといわれておるものがありますので、極力そういう種類のものを使う、今回もそういう配慮をいたして使用したつもりでございますが、そういう程度のわかり方とそういうような使用のしかたを今日までしてまいっております。
  71. 島本虎三

    ○島本委員 そういうようなのを知りながらやったということは私は了解できないのですが、えたいの知れないものをなぜ使ったのだろうかという疑問は依然として残るわけであります。  なお、いま組成と化学構造式の説明がございましたが、これによっても動物、また魚、こういうようなものの中に入ると肝臓の中へ入って蓄積をされる、それをまた人間が食べるとじん臓や肝臓に破壊されない限り蓄積される、そうするとこれは肝臓や脳にも影響する、こういうことさえいわれておるわけであります。やはり現場のほうでは漁民をはじめ、それに対して恐怖感を持つのは当然なんであります。この点等においても、これは環境庁長官としても十分考えなければならない問題じゃないかと思います。現在BHC、これは一応ストップをかけたようでありますが、依然としてPCBは野放しのまま使われておるようであります。同じようにこれも作用しておるわけでありますから、公害全体から見る場合には、もっともっとこういうような化学製品といわれるもので取り締まりがはっきりしていないようなもの、ことにこれは通産省のほうではわかっており、海上保安庁のほうでも研究をしておる、しかしながらどこが管理し、どこがやるのかわからない、こういうようなものに対してはもっと慎重に、どこか一つ取り締まり官庁をきめる必要があるのではないか。それを管理する官庁はどこなんだ、これをさっきから聞いているのですが、どこかにきめたいというだけで、さっぱり長官の御答弁がないのですが、こういうふうにしてみるとまだやはりあるようですから、この点について対処する必要はございませんか。
  72. 大石武一

    ○大石国務大臣 いまいろいろとおしかりをいただいたわけでございますが、これは当然それだけのおしかりを受けるだけのことはございます。しかし、これは日本の政治の思想なり行政考え方ということが、御承知のような産業経済発展一点ばりの時代でございましたから、やはり人間尊重とか人命尊重という考えは古来なおざりにしてまいりましたから、これは日本全体の政治、行政のあり方の結果でございまして、一般に通産省が悪いとかどこが悪いとか責められないと思うわけであります。しかし世の中は変わりました。幸い政治の方向も人間尊重というヒューマニズムを基盤としたりっぱな方向にいま進みつつございます。したがって、そういう政治のあり方から行政も当然そのように進んでまいっておりまして、これからはこのような無責任行政は許されませんし、また、それを必ず改めてまいらなければならないと思います。そういう意味で、たとえばいま——ただし事故というものは先ほど申すようにいつ起こるかわかりません。人命に関する医薬品につきましても厚生省は厳重な監視あるいは努力をいたしておりますが、それでもサリドマイドとか、あるいはキノホルムとか、予想もできないような事故もあるわけでございますから、やはり化学剤というものは、今後これを許可する場合にはやはり十分に念には念を入れて厳重な実験、証明等を経た後に、これをたとえ洗剤によるとか中和剤によるとか簡単に考えないで、やはりどのようなところにどのような公害があるかわかりませんから、こういうものを十分に検討して、行政機構を一元化して、実験の証明なり許認可というものははっきりそこできめることが必要だと思います。  どの役所かということでありますが、それはいま御承知のように化学剤の管理取り締まり体制の整備に関する関係各省庁連絡会議というのをつくりまして、これで検討いたさせます。ここで検討して、そしてどこか責任あるところ、環境庁でも喜んで引き受けます。あるいは厚生省でもけっこうだと思います。あるいは通産省でもけっこうだと思いますが、責任を持ってそのような仕事をする役所をきめるべきだと思いますから、どこかということは、逃げるのではありませんが、必ずつくりますけれども、それはこの連絡会議でいろいろ検討させたあとできめたいと思いますので、それまでお待ち願いたいと思います。
  73. 島本虎三

    ○島本委員 わかりました。  それで長官、特にこの点閣員の一人として十分お考えおき願いたいことがあります。この二十年の間に、タンカー事故というものが年々幾何級数的にふえてきておる。かつては一九五五年ドイツのどこかの沖で一隻、そのあと五六年に一隻というような状態が、そのあとになったら六六年に二回、六八年に三回というようにだんだんふえてきております。最近の手元にある外国の被害だけでも、ほとんどこれは毎年のようにあるわけです。じゃ、なぜこれはあるのか、この被害は日本にはどうなるだろうか、この辺の探求は当然必要であります。ことにタンカー事故はある確率で事故が起きておるわけです。はっきりと統計的にも確率を持って事故が起きておるわけです。そうなるとこれはやはりこの点からも十分検討しておいて、確かにタンカー事故は不可避なものである、こういうようなことであきらめて逃げてしまうような態度ではだめなんです。いま政府の態度も変わった、こうおっしゃいましたし、去年の公害十四法、本年の二法、これを合わせて、公害関係一つ事故そのものをやろうとする意思がある場合にはこれは犯罪になるし、これは公害そのものはかつてはやむを得ないもの、いまや犯罪、こういうように断定されるような状態になりましたから、こういうような確率をもって発生する事故に対しては完全に手を打たなければならない。そうでなければ、そういうものは何らかの方法を講じさせなければならないということは、これは当然ではないかと思うわけです。その一つの現象としてジュリアナ号も起きておるわけでありますから、やはりこういうような点は今後再び起こさないためにはどうするんだ。起きたからその対策だけは練る、こういうような態度じゃだめだ。私はもうはっきりこのことは長官考えてもらいたい。運輸省も来ておりますから徐々にこれは聞いてまいりたい、こう思うのです。この石油化学工業、これはだんだん巨大化してまいりますから、そうなると海洋の油の汚染、これはもう日本的な考え方ではなしに、世界的なというよりも地球的な規模で広がってくるわけです。そうなりますと、海そのものが地球的規模で汚染されることになるわけです。いま日本では二億トンほどの油を輸入しております。数年後には五億トンになる。輸入しておる原油、その他重油で日本近海をよごしてしまうおそれも当然あるわけです、長官。ですからタンカーもだんだん大型化してきておる。それに今度過密化してきておる。それと速度も上がってきておりますから高速化してきておる。そうなるともう最大の事故、これが近海に起きないということの断定はできないわけです。そういうようなことに対してはっきりした対策を立てない以上、またあすにも起きる、あさってにも起きる、こういうような状態で、起きたときばかり問題視してはだめだと思うのです。これはこういうような一つの傾向がはっきりしてきておる。大型化してきておる。それから高速化してきておる。それから航路その他についても過密化してきておる。陸上の交通だって、こうなった場合には事故が頻発しております。海上だけがその例外たり得ないわけでありますから、こういうような状態を十分考えて、運輸省その他でも手を打っておかなければならないはずだと私は思うのですが、これらに対してはどういうような考え事故を全然起こさないような点を考えておられますか、運輸省……。
  74. 大石武一

    ○大石国務大臣 いまのお話は、全くそのとおりと思います。こういう大きな問題は、ただ運輸省なら運輸省だけでも御答弁はできないと思いますので、私がかわって考え方を申し上げたいと思います。  お話は全くそのとおりだと思います。ですから、これに対しては何らかの十分の、十年先、十五年先のことをよく考えまして、それは先のことはわかりませんけれども考え得るあらゆるものを全部出し合って、そして考えればいいのでありますが、そういうことで対策を考えなければならないのです。ただ日本では、日本の考えというものは、ある目的に向かいますと、なりふりかまわず、あたりのことを考えないで、まっしぐらに進んでいく。ですから、その目的は達成することはできますが、さて振り返ってみますと、一つの目的だけは達成できますけれども、それにバランスをとれたものはできない、手を抜いておりますから。結局はいま言った公害というものも、そういうところに起こってきていると思うわけです。ですから、石油が五年間か十年間で倍になる。使用は実際に倍になるのですよ。しかしそれに伴って、すべてのものが整っていかなければ、すべてはうまくいかない。必ず漏れた事故が起こってまいりましょうし、あらゆる悪い事態が発生すると思います。ですから、そのようなことを考えて、それにかりに二倍の石油が十年後に要るならば、それに対処してすべての受け入れ体制なり、すべての港の施設なり、すべてのことを十分考えに入れた上でなければ、そのようなことは実現はしてはならないと思います。  たとえば船にしましても、今後さらに三十万トン、四十万トンの船がつくられますが、そういう船を、はたしてつくっていいのかどうか、私は疑問があるのです。これは個人としての意見です。一政治家としての意見としたいのでありますが、これは環境庁長官としては語弊がありますから、一政治家として、そういうようなものは考えなきゃいかぬと思うのです。それはやはり世界的にお互いに相談をし合って、三十万トン以上の船はこういうわけだからやめようとかなんとか、いろいろの形のしかたもあると思います。ただいたずらに大きな船をつくって、ただ能率をあげるというのは、いままでの産業優先主義の私は一つのあらわれだと思うのです。そういうものが、かりにたくさんふえますと、東京湾には入れない、瀬戸内海には入れない、それは絶対に入れてはいけないことになります。そういたしますと、どう処理するか。シーバースやパイプラインをどこにどのようにするか、それに石油コンビナートをどうつくるかといういろいろな問題が付随してまいりますから、簡単に、ある目的があってもそれにまっしぐらに向かわないで、やはりバランスのとれたすべての産業開発なり行政が行なわれますように、そのような考慮をこれに加えていくことが、一番大事な政治の問題ではなかろうかと思います。  ことにそのような大きな船が出てまいりますと、海洋の汚染は間違いなくはなはだしくなります。これは当然世界的な問題でありますから、私は来年のストックホルムにおける環境会議、これに出てまいりまして、そのことを提案しようと思っておりますけれども、いろいろと考えまして、ただ、いままでのようなむちゃくちゃな経済開発だけまっしぐらに向かうという姿勢を改めまして、もっと余裕のある、バランスのとれた国全体の発展のしかたをしなければならないということで、がんばってまいりたいと思う次第であります。
  75. 島本虎三

    ○島本委員 大いにがんばってもらわなければならないと思いますけれども、しかし政府の姿勢、あなたの姿勢はわかりました。おそらくはトリー・キャニヨン号が十一万八千トンの油を積んだまま、英仏海峡のランズエンド西二十八キロの地点で事故を起こして、そして八万トンの原油を流した、こういわれてから四年ですよ。四年になって、国際的にもこういうような問題に対しては、十分注意しなければならぬのだ、こう言いながらも、あなたの気持ちはわかるけれども、現にタンカーはだんだん大型化してきている。その傾向としては、資本の求めるこれは一つの要求なんですよ。ですから装置産業の効率化、それと同時に容器の大型化、こういうようなことから建造費、運搬費、これが大幅に軽減されるのですから、そういうところをねらってだんだん大型化してくる。今後それに対してだって、やはりだれかがチェックするのでなければ、おそらく大型化すると危険や汚濁が集中的に起きるということで、一番これはあぶないんです。いまのは一万トンクラスの船、流れたのは六千トン、こういっても今後二十万トン、三十万トン、五十万トン計画があるとすると、もう日本の近海に入れないとか、瀬戸内海に入れないとか、当然東京湾に入れないとか、いろいろな対策が必要になってくるはずなんです。なぜかというと、大型化すると危険や汚濁が集中的に起こるから、一回やったらこれはとんでもないことになる。日本はそのまま一回で壊滅してしまいます。資本の求める要求にそのまま応じていては環境の保全、こういうものが保てませんから、十分考えて今後やってもらわなければならないと思うんです。あなたの決意はよろしい。しかしそういうようなことは政府全体の一つ姿勢として、はっきりと確立しておいてもらいたい、こういうふうに思うわけです。そのためには通産省運輸省、こういうような機構を網羅して、監督庁がその強力な権限と指導性、こういうようなものを持たなければ、やはり、もくあみになってしまうんじゃないか、私はそういうふうに思っております。この点ではあえてあなたを激励するようなことになったかもしれませんが、もう一つあなたのことばに一歩進めていうとこういうことになる、こういうことであります。集中的に拡大した公害がうようよするということになりますと、とっても危険である。御意見ございましょうか。
  76. 大石武一

    ○大石国務大臣 おっしゃるとおりでございます。それに政府の姿勢もそのようになりつつございますから、必ず御希望なさる方向に進んでまいるというふうに確信いたします。
  77. 島本虎三

    ○島本委員 それじゃ具体的な問題としてこれからお伺いします。いまのような構造の船やタンカー、いまのような船長や乗組員の能力、こういうようなものでは同じような事故が起きないということにはなりません。それでタンカー事故のおそろしさというものを、十分われわれ自身が認識いたしました。諸外国のこういうような事例等もあって、あの大きいトリー・キャニヨン事件以来、たった四年です。その間に、その対策が不十分であったということは十分に批判しなければならないし、いまのジュリアナ号のこれを再び繰り返さないためにも、これは十分今後考えていかなければなりませんので、ひとつ具体的に伺っていきたいんだ、こういうように思うわけです。  保安庁、三名の企業側の外人技術者が現地に派遣された、こういうようなことを聞いておりますけれども、これはどのような手助け、どのような指導をされましたか。
  78. 手塚良成

    手塚政府委員 三名の外人技術者は、シェル石油のこういった公害防徐、今回のような防災のベテランといいますか、技術者であるようでして、ロンドン、ニューヨーク、オランダのアムステルダムに駐在しておる者が参りました。私どもの対策本部の一つのアドバイザー式の考え方で、一員に入ってもらっております。当初この方々に現場を見てもらって、これに対するわれわれのとっており、とろうとしておる対策に何か特別いいことがあるか、世界的に見た場合に何がしか新しいやり方でもあるかという意見を求めましたが、これにつきましては目下のところ、現在保安庁のやろうとしておること、これが一応今回の手だてである、これ以上別途な新しいやり方というものはない、こういうことを言っておりました。  具体的にいま働いております内容は、抜き取りについての安全性、原油というのは非常に爆発、火災の心配が多うございます。船上を歩いております船員のくつの裏皮のとめ金と甲板がすれ合って火花が出るということ自体も、これは火災、爆発の危険性を持っておるといわれているくらいでありまして、これをパイプで流すについては相当安全確保のいろいろなテストが要る。こういう面につきましては、一々この連中がわれわれと一緒に菜っぱ服を着てテストに立ち会ってくれております。それから船内自体にも彼らは入っていきまして、船内の油の分量の調査、そしてこれの抜き取りについての安全確保の手立て、きわめてこまかいところまでやってくれておりまして、私どもは現在非常に助かっておるという現状でございます。
  79. 島本虎三

    ○島本委員 油の流出防止の対策、これはいまどういうふうに考えていますか。これは運輸省
  80. 鈴木登

    ○鈴木説明員 一船的に申しますと、実は御指摘のとおりタンカーの大型化があらわれましたのは昭和四十年ごろからでございました。したがいまして四十一年にその大型化に対する抜本的な対策という観点から、船舶の安全面、それから港湾設備面、海上保安面、あらゆる点から考えまして大型対策というものを立てたわけでございます。  それからタンカー事故の防止ということをはかってまいりましたが、さらに四十五年に実は東京湾の入り口でコリントス号の事故が起こりまして、狭水道で一番事故が起こりやすいという観点に立ちまして、さらに四十五年狭水道対策というものを中心にやっております。これはやはり抜本的にタンカー事故及びそれに伴う流出事故を防ぐためには、基本的には湾外に石油基地を出すことだろうという考え方から、東京湾からできるだけタンカー船を出すための措置、すなわち湾外シーバースの建設調査というものも含んだ抜本的な対策を考えたわけです。それで今回の事故が起こったわけですが、今回の事故に対しましてはそういう事前の対策というものを前提にいたしまして、特に運輸省としては三つの対策を立てております。  第一番目は、海上安全交通法案の制定促進という点をやはり推す必要があるだろう。現在港湾内につきましては、海上保安庁の規制が行なわれておりますけれども、一歩湾を出ますと、航行が自由でございますので、それはやはり規制することが油濁発生事故を防ぐ道であろうということから、そういう対策を進めようということです。  それから第二番目の対策としましては、たびたび事故が起こっておりますけれども、最近の大きなタンカー事故といいますのはほとんど全部外国船でございます。日本船の大型タンカーの事故というのはほとんど起こっておりません。そういう考え方から、日本の船員は非常に質がよろしいわけですけれども、海外の船員には中にはかなり質の悪いのもあるのじゃなかろうかという考え方から、船長の基準あるいは船員の基準をもう少し国際的に統一する必要があるだろうというような考え方から、それの統一を積極的に推進していく。唱道していくということを第二番目の抜本対策としてあげたわけです。  それから第三番目には、事故が起こったあとの措置ですけれども、先ほどから問題になっております油処理剤の点ももちろん、これは第二次公害の点を検討することを前提といたしまして、そういうものを船舶あるいは石油基地に、どこの石油基地にどの程度、あるいはどの船舶に何トンくらいの量を設置させるか。さらにオイルフェンスにつきましても、その設置の場所、基準、量、そういうものを全部きびしく定めようということ、これが第三番目の方針として一応きめられまして、現在それの細目化をやっておる最中でございます。
  81. 島本虎三

    ○島本委員 油の流出の防止対策を聞いたわけですよ。ですけれども、いま聞いていたら、事故を避けるための対策のことを言ってくれましたから、それはそれでやっているなということを思います。しかし、油の流出の防止対策ということになると、船自身の構造も当然問題になるじゃありませんか。いま現地に行ってみたら、やはり部屋の中にちゃんととじ込められた原油は出ない。しかし、出ているのもある。何か大き過ぎて出る油の量も多い。それをもう少し小さくするとか、もっとがんじょうなものにして、ハチの巣のような、そういうような状態にしておくとか、構造の面で、破壊されないような構造にしておくとか、こういうのが流出防止の対策じゃないかと思うのですが、どうもそういうものがなさそうです。  そのほかに、事故を避けるための対策、肝心なところは、だんだん大型化していって、東京湾とか瀬戸内海への侵入をそのままこれから認めるのですか。むしろそこへ入れないでおいて、あぶない場合には外国船なんか入れないでおいて、その対策を考えるということが先じゃないかと思うのですが、さっぱりそういうことを考えておられない。これでは事故はまた起きますよ。
  82. 鈴木登

    ○鈴木説明員 油濁事故につきましては二種類ございまして、第一番目は、船自体が事故を起こすということによる大量の流出事故がございます。それからもう一つは、船から、現在海洋汚染防止法が適用対象といたしておりますような故意あるいは過失によってビルジあるいはバラスト水を流すという二つの問題がございます。  第一番目の事故によって大量の、トリー・キャニヨン号あるいは今回のジュリアナ号のような事故は、むしろ船舶の安全性の強化ということが中心になろうと思います。これにつきましては船舶法あるいはそれに基づきます船舶設備の規定の改正をやっております。これにつきましてもIMCOという国際機関の場で、常に日本政府のほうがリーダーシップをもってやっております。今度ついせんだっての会議におきましても……。
  83. 島本虎三

    ○島本委員 もういいよ。依然としていままでの事故が起きてからの対策、こういうようなことしか考えておらない。これから起こさないという一つの対策がどうも不足だ、外人の乗り組み員並びに船長の事故が多い、こういうのだから、その対策をどうするかというきめ手がない。まただんだん大型化していくのに、東京湾、瀬戸内海、こういうふうなところにそのまま入れるような航路をまだ考えておられる。大臣、これじゃ私としては不満です。これは必ず起きます。こういうふうな運輸省の態度はやはり改めるべきじゃなかろうか。行政的にもっと強力にこれをやるべきじゃなかろうか、こういうふうに私思います。  ところで、環境庁の権限になるのですが、海洋汚染防止法、これによって、油やこういうようなものに対しては運輸省の所管になっておられるようです。それから廃棄物、これは環境庁の所管になっておるようですが、だからといって、これは分類されたまま環境庁は全然これに手を触れなくてもいいのか、これはとんでもないことだ。設置法の第四条の第二項並びに第六条の長官の権限、こういうようなものにもはっきりありますから、これはもっともっと油に対しての指導また公害発生のおそれのあるものに対する調整、こういうようなものはすべきであります。しないということは逆に怠慢になるのであります。しかしこういうふうなことに対しては環境庁はその熱心さがまだ足りないかのような印象であります。感触であります。この点はいかがでありますか。
  84. 大石武一

    ○大石国務大臣 どうも少し熱意が疑われるようなおしかりを受けまして恐縮でございますが、一生懸命やっておるつもりでございます。これからも一生懸命やります。  油の汚染につきましては、実際の話は、いまなかなかすぐにはいい考えも出ませんし、それからすぐにも設備はできませんが、何とかして早期に手を打たなければならぬということで、いま政務次官を中心にいたしまして、運輸省並びに水産庁とも十分に協議させながら、いますぐできる対策を研究さしております。そのうちに適当な考えを持ってくると思います。海洋汚染防止法、これは大体運輸省で所管の法律みたいなものでございますが、これにつきましては先ほど浜田委員質問に答えましたように、批判はいたしません。しかし時代は急激に変わってまいりますから、この時代の変化に対応できるような、むしろ先々法律の効果をあげ得るように、われわれも全面的な協力をしてまいりたいと思いますし、その必要があるならば、これは国会にはかって改正をしていただかなければならぬと考えておる次第でございますが、とりあえず来年の六月から全面的な発効になりますから、しばらくの間はこれを中心としてできる限りの妥当な運営によりまして、強力な運営によりまして、海洋汚濁を防止してまいりたいと思います。  ただ、この海洋汚濁は、なかなかこれはむずかしい。世界どこでもこの海洋汚濁の取り締まり、規制をするのは、大体海上保安庁のようでございます。ところが、それだけの監視をするだけの道具と、それから警察力と申しますか、そのような法律的な権力を持っておらなければできませんので、大体どこでもそのような方向にあるようでございますが、それだけにわれわれはまかせっぱなしにする気はございません。もちろん協力してお互いに相談し合って、お互いの協力においてこの効果をあげるように努力してまいりたいと思うところでございます。  ただ私ども思うのでございますが、海洋汚染については、協定は世界的に水準が低いのです。聞いてみますと、このようなことではとてもいまのような段階で海洋の汚染を防げまいということです。それは現実の世界的な協定の内容がその程度までしかいっておらないということでございます。ですから、これは世界的な問題でございますから、わが国だけですべてを規制しようと思ってもできませんから、できるだけ世界的な協力においてこれを改正していくほかないと思いますが、ただわが国としては、できることはやらなければならぬ、それは私は思うのですが、つまり日本の近海を通る船は必ず日本に寄港いたします。寄港しました場合には、私は、日本の法律でけっこうですから、それらの船に対しては、全部廃油の処理なりあるいは中の船倉の油を洗うなり、そういうことを法律で義務づけるべきだと思います。このことによって、少なくともわが国は世界の海洋を荒し回っておるという一つの汚名も相当はそそぐことはできましょうし、少なくともわが近海の海洋の汚染は相当に防げるのではないか、こう思いまして、そのような強烈な規制をする法的な措置が私は必要だと思います。もちろんその前提としては、その法律を実行し得るような体制を一日も早くつくり上げることが大事でございますが、そういうことを考えておるわけでございます。
  85. 島本虎三

    ○島本委員 どうしても経済的な発展のあとを追いかけながら、それもはるかにおくれて安全や環境の問題がいつも考えられていく、こういうような構造がいまの日本の一つ考え方や姿勢でもあったわけです。これを変えていくというのですから、それを私は今後期待いたします。  いまの海洋汚染防止法、確かに油は運輸省、大気汚染防止法、これはやはり電気、ガス、これまた通産省、肝心なものになったら権限は全部そっちのほうが持ってしまう。そして、調整権の名において環境庁長官が発言できる程度である、こういうようなことがいまいみじくも海洋汚染防止法の中にもあるわけです。私はそれは油だけ環境庁がはずされて、そして廃棄物、こういうのは責任を持って与えられておる。しかし、調整権が与えられておるのですから、調整権は絶大なる権力でありますから、これをあなたが発動できるという意味で、今後この海洋汚染防止法の効果ある施行を望みたいわけです。それと同時に、公害対策基本法、この中には今度土壌汚染も入れて、典型公害、七つになっております。そして、この中には当然温排水による水の状態の悪化、それと汚泥による水底の底質の悪化、これも公害に含まれることになっております。したがって、もう基本法でそれがきめられてある以上、それを管理する長官としても、まっ先の責任長官のほうにいきますから、そうなると、ひとつ科学技術庁、その方面に十分に言って調査を早めなければならない。この中和剤によるところのいわば海底の汚染、これに対しましては、それを全部しゅんせつするのだそうじゃありませんか。あの広い海底をしゅんせつする。また東京湾もやり洞海湾もやり瀬戸内海もやる、これは当然やらなければならない基本法になっております。今度の場合は、水産庁では、新潟のあの海はしゅんせつする計画のように承っておる。そうするならば、東京湾や洞海湾や瀬戸内海、この汚染されたところのしゅんせつの計画はないのですか、水産庁
  86. 藤村弘毅

    ○藤村政府委員 今度の場合も新潟の場合につきましても、現在直ちに海底をしゅんせつするという計画を立てているわけではございません。海底のどろを取ってみまして、どろの中に油あるいは中和剤がどれくらいあるかという調査をまずいたしまして、しゅんせつする必要があるかないかということを検討いたしたいというふうに考えております。  東京湾あるいは洞海湾についてのしゅんせつというのは、いまのところ全体のしゅんせつというものは考えておりません。瀬戸内海につきましても、一部分のところについては考えておりますが、全体につきましてのそういう計画は、とてもできるわけではございませんが、一部特に汚染されて土壌が荒廃しているところについてはしゅんせつするという計画を持っております。
  87. 島本虎三

    ○島本委員 大事なところです。環境庁長官は、最近はなかなか国民に期待を持たれている。自然の環境保全をする、これはなかなかりっぱです。一度汚染されたら戻らないという基本的な考え方で、これは今後大いにやってもらわなければいけない。ただ、一度よごされたところはほったらかしておいてもいいということにはならぬのです。それはもうしゅんせつ計画はあるのですから、すぐやるのかと私は思ったのですが、何年か後にやるのだったら、それまでにまたよごされたらどうなりますか。魚がそこに住めなくなったらどうなりますか、こういうような点を考えたら、まだまだだめです。一度よごされたらだめですから、長官としては守ることからよごされたところに対する救済、この方面も大いに重点的にやってもらわなければだめだと思います。瀬戸内海あたりだって、もっと海底の調査をすべきであります。同時に四日市の海底、あそこもすでに御存じのようにシアンや、そのほか禁止された物質までも底にあることが発見されております。また東京湾においてもそのとおりです。そういうふうにして見る場合には、もっともっとその方面の対策を練らなければならないということははっきり申し上げておきたいと思います。これに対する意見伺います。
  88. 大石武一

    ○大石国務大臣 おっしゃるとおり、もちろん公害を出さないように未然に防止することが一番根本的な問題でございますけれども、いままで何十年もかかって汚染された地域に対しましては、あるいは物品に対しましては、われわれは何としてもでき得る限りの努力をして、もとに戻らないまでも、人間がある程度健康に生活し得るような状態に返さなければならない、そういう覚悟で努力いたしております。しかしこういうものはなかなか急に効果があがりません。七十年も八十年もの間無秩序に蓄積された公害というものが、半年や一年で直ちに解決するとはとうてい考えられませんので、懸命な努力をいたしてまいります。  ただいまの海底の問題につきましても、たとえば瀬戸内海というのは、御承知のように今回環境保全対策会議をつくりまして、根本的にこれを改善するという方針を立てて、十年かかるか二十年かかるかわかりませんが、そういう意気込みでやっておるわけでございますが、海底の調査については、今度明年度からこれをいたすことに方針を進めております。ただ新潟の場合は、先ほど申しましたように、これからどのような影響があるを追跡研究してまいりますから、その結果によって海底をしゅんせつするかどうかきめなければなりませんので、もう少し結論をお待ち願いたいと思います。
  89. 島本虎三

    ○島本委員 一九五四年の海水汚濁防止法、これが一九六九年に条約の改正があって、今度油濁事故に対する公海における措置に関する国際条約、これの早期の批准に備えて国内法も整備された。それが水質汚濁防止法または海洋汚染防止法、こういうふうになってあらわれてきております。このように世界的な、地球的な規模で油の問題が論ぜられており、汚染から守ろうとしておるわけでありますけれども、一九六九年、ブラッセルで成立した油濁損害は対する民事責任に関する国際条約、この批准に対して日本は棄権しているのです。政府は姿勢をきちんとするといいながらもこれはどういうわけですか。なぜこれを棄権したのですか。
  90. 鈴木登

    ○鈴木説明員 私法条約の点に関しましては、現在航空機の関係もございますが、そういう一連の保険問題、自動車保険の問題、すべての関連において現在検討中でございます。  それからまたそのための基金条約も、ブラッセルでただいま開かれておりまして、それにも委員を派遣いたしまして、検討中であります。(島本委員「それにまだ加盟していないでしょう」と呼ぶ)まだ加盟しておりません。それも全部ひっくるめて現在検討中でございます。
  91. 島本虎三

    ○島本委員 これは大臣、油濁に関するこういうような国際的な条約に、ある場合は棄権しておるし、ある場合は加盟しておらない。それが運輸省でしょう。そういうような場合に、油濁関係の条約に加盟していないということの意味は、私はちょっと理解できないわけです。したがって、これは航行する船によるものか、あるいはそれを結ぶことによって日本がどのような不利を受けるものか、これはわかりませんので、やはり大臣としても慎重にこの問題を考えるべきではなかろうか、こういうように思いますが、いまお聞きのとおりなんですけれども、これは早く加盟し、日本も国際的にはっきりした責任と義務を負うというこの態度こそ必要だ、こういうように思います。この点はいまの答弁のとおりですが、これは大臣が十分指導して、早く加盟し、あるいは棄権しないようにして、この問題に対して正面から取り組むべきであります。そういうような点がどうも私としては理解できない点であります。どうですか。
  92. 大石武一

    ○大石国務大臣 どうもはなはだ不敏にしてその詳しい内容を存じておりませんので、直ちに的確なお返事を申し上げるわけにはまいりませんが、やはり正しいことは積極的にやるべきだと思います。国益のことに十分に考えなければなりませんが、その国益も国際的な見地から判断すべきだと思いますので、漸進的に進めていくべきだと思います。
  93. 島本虎三

    ○島本委員 それでいろいろあるわけでありますけれども、これで一つ考えておいてもらいたいと思うのは、いま言った一九六九年ブラッセルで行なわれた条約、油濁損害に対する民事責任に関する国際条約でありますが、これに棄権しております。それからもう一つ、ブラッモルで開かれた会議、これに加盟していないのですね。油濁損害補償基金に関する条約でありますが、これもまた十分考えられたほうがいいのじゃないか、こういうように思いますので、一応提案しておきたいと思います。あわせて損害賠償制度に対してもっともっと考えなければならないし、こういうようになっていまこそ公害のいわば無過失賠償責任は緊急に急がなければならない。こういうようなことは大臣も身をもって感じただろうというように思うわけであります。どうぞその点等についても、これを急いでやっていただきたい。  それともう一つ、タンカーの問題に対する対処、これだけは適確にやってもらいたい。それと荒天に備えて、あのオイルフェンスは外海では使いものにならないようでありますから、その点なんか必要あるならばもっと考えてやったほうがいいのではなかろうか。それから無害の中和剤というものを早く開発するように、これは馬力をかけてやっていただきたい。このことを衷心から私は希望するものであります。  それと同時に、最後に、調整権といえどもあなたに与えられた重要な一つの権限でありますから、油は運輸省、それから発電やガスは大気汚染の場合には通産省、こういうようなことに遠慮しないで、どんどん調整権を発動して、そしてまさに環境保全は大石長官の時代に全きを期した、こういわれるような長官になるように心から激励を申し上げたいと思います。決意を伺ってやめたいと思います。
  94. 大石武一

    ○大石国務大臣 いろいろな御激励を賜わってまことに感謝にたえません。一生懸命やります。できるだけ日本の環境保全のために全力をあげて働いてまいる考えであります。
  95. 小林信一

    小林委員長 山口鶴男君。  速記をやめて。   〔速記中止〕
  96. 小林信一

    小林委員長 速記を始めてください。
  97. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 ただいまわが党の島本委員環境庁長官の御議論を拝聴しておりまして、現在佐藤内閣は国民の支持率が二三%というふうにたいへん下がっておるわけでありますが、その二三%のうちの相当部分を大石環境庁長官がかせいでおられるんじゃないかと、私は日ごろから敬意を表しているわけであります。  群馬県の尾瀬ケ原の環境保全につきまして、環境庁長官に非常な御努力をいただいたことを感謝いたしております。たまたま群馬県知事が少しものわかりが悪くて、長官にも若干御迷惑をかけたんじゃないかと思いまして、この点群馬県民の一人といたしまして、たいへん恐縮に存じております。そのほか、奈良県でございますか、吉野川に奈良県が県営ダムをつくろう。あそこは吉野熊野国立公園地内でございまして、この環境保全の問題につきましても長官に非常に努力をいただいておるということも新聞で拝見いたしまして敬意を表ております。  そこで、お尋ねいたしたいのでありますが、わが国のエネギー需要というものは、新経済社会発展計画あるいは新全総によりましても飛躍的に増大することが見込まれております。数字のほうは時間がかかりますから申し上げません。そうなりますと、火力発電だけではこれはとうていまかない切れない。相当部分はやはり原子力発電にたよらざるを得ないという方向が出ておりますことは、これは一面私はやむを得ないと思います。同時に、原子力発電につきましては、現在三十万キロワットあるいは三十五万キロワット程度の出力でありますが、これから計画されております原子力発電所は、百万キロワットないしは百十万キロワット、約三倍にスケールアップされる。今後予定されますものについては、さらにスケールアップされることが予想されます。原子力発電につきましては、イギリスのウインズケールその他において事故があり、わが国においても事故がございました。特に関西電力の美浜発電所、日本原子力の敦賀発電所、いずれも本年に入りましてから事故を起こし、操業中止等もいたしております。これがありますところは国定公園地内であります。さらに、吉野熊野国立公園内の勝浦、瀬戸内国立公園内の鹿久居島、いずれも国立公園地域の、しかも特別地域になっている地域に原子力発電所の設置が予定されておりまして、現在ボーリング調査をいたししたいといっているそうであります。  こういうものはやはり環境保全という面——一たん破壊されたらもう戻らぬわけでありますから、私は、少なくとも国立公園内、しかも特別地域に原子力発電所をつくるというようなことにつきましては、やはり厳に戒めるべきではないかと思います。長官の御所信を承りたい。
  98. 大石武一

    ○大石国務大臣 原子力発電のお答えをする前に、ちょっと一言弁明をさしていただきますが、群馬県知事にはいろいろお世話になりました。決してものわかりが悪いことはございません。現にあの土地で道路がつくられているのですから、私のほうとしては少しお気の毒な気がいたしましたけれども、幸いに、多少時間がかかりましたが、私の言うことを御理解されて共鳴されてくださいましたので、私は別に強権を発動しなくても済むことができたわけでありまして、その点群馬県知事に感謝しておりますので、よろしく申し上げていただきたいと思います。  いま原子力発電所の計画が、あるいは建設が、大体国立公園なり国定公園の中に行なわれております。これは考えてみれば、原子力発電なんというものはやはり人口の少ないところあるいは人のあまり住んでないところにつくるのがいまの常識でしょうから、そう考えますと、どうしても一番いままで便利でなかった、産業的に成り立たないような地域が選ばれるのでしょうから、やはり国立公園なり国定公園なりの中に目をつけられるのは当然だと思います。美浜と敦賀ができ上がりまして、いまもう二つ建設中であります。いずれも若狭湾の国定公園内でございます。どのような理由でそのような地域が許可になったのかわかりませんが、やはりそれなりの理由があって許可されたものと思います。現にいま勝浦と鹿久居島、両方にボーリングをいたしたいという申請が出ております。これにつきましてはいま慎重に考えまして、まだ結論を下しておりません。  おっしゃるように、せっかくわれわれが日本の国民のために大事な自然を保護する地域として国立公園という制度をつくりまして、そのような保護あるいは利用をいたしておるわけでありますから、こういうところにいろいろな施設はないほうがいいと思います、原則的には。ただ今後の日本の国力なり経済の発展を考えます場合に、やはり発電所は必要だと思います。そういう意味で、その必要度それから保存の必要度とどちらがよけい大きいのかということを十分に考えまして、もちろんそれは大事な国立公園なり国定公園の根拠地は絶対に認めるわけにはまいりませんけれども、ある部分につきましてはもう少し柔軟な態度で、その貢献度、必要度の大きさに応じて判断してまいりたい、かように考えておるわけであります。
  99. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 原子力発電所の必要性を私はすべて否定いたしているわけじゃありません。今後より科学的に、技術的に安全な原子力発電所を建設するために全力を注ぐことがまず基本的に大事だと思います。しかしそういいましても、何といいましても原子力でありまして、長官がお答えになりました美浜、敦賀、いずれも本年に入りまして事故を起こしているという実績もございます。イギリスのウィンズケールの事故はきわめて大きくて、幅が十六キロメートル、長さが五十キロメートルにわたって死の灰が降りまして、その地域は立ち入り禁止、それから牛乳につきましても飲用禁止というような措置をとり、しかもその死の灰の一部がイギリス海峡を越えてヨーロッパ大陸まで汚染をした、こういう事実もございます。それだけにこの安全管理につきましては全力をあげなければいかぬ。  そこで、特に国立公園ということになりますと、これは貴重な国民の財産であります。聞くところによりますと、勝浦と鹿久居島につきましては特別地域である。ボーリング申請が出されまして、これは環境庁に国立公園の管理が移されます以前、厚生省が所管をしておりまして、まだ十分な管理が行き届いておりませんときに、まあいいんじゃないかというような御意見が自然保護審議会でされておるそうであります。しかし、今度環境庁長官のもとに国立公園の所管は移されたわけでございまして、しかも先ほど来申し上げましたように、自然保護については異常な御熱意を示しておられる大石長官が幸い環境庁長官になっておいでです。しかもこの勝浦、鹿久居島は普通地域じゃなくて特別地域ですね。特別保護地区よりは一段ランクは下でありますが、しかし特別地域だということになれば、国立公園普通地域とは違いまして、より自然環境を保護しなければならぬ環境だと思うのです。したがって、これにつきましては大石環境庁長官の手ではまだボーリング調査につきましても処分が留保されておるやに聞いておるわけでありますが、少なくとも特別地域内において原子力発電所を設置するということについては、私は拒否すべきではないだろうかというふうに思います。この点いかがでしょうか。
  100. 大石武一

    ○大石国務大臣 国立公園ですね、こういうものの考え方につきましても、私はこれから少し考え方を変えてまいりたい。そういうものの一端を、この次の通常国会に予定しております自然保護法という形の中で、ものの考え方を少し変えていこうと思うのでございます。国立公園と申しましても、いろいろな程度のもの、段階のものがございます。そういうものを分類をして、その保護のしかたなり——もちろん保護が中心ですが、利用のしかたなり、そういうものを考えていかなければならぬ。たとえば尾瀬のような地区とか箱根のような地区、雲仙のような地区には同じような取り扱いはできません。  そういうことで、機能別と申しますか何と申しますか、いろいろな分類をして、そしてその正しい保護、運営をはかってまいりたいと思うのでございます。そういう意味で、特別地域だからどうのこうのというのは必ずしも絶対的な基準にはならないと私は思っております。ただし私は基本的には、せっかく国立公園として残した地域でありますから、こういうものはできるだけそのままに保存したいという気持ちでございます。ただ日本のいろいろな国益を考えます場合には、これを絶対的に許可しないとは私はいま考えておりません。いろいろな条件考えましてある程度認めなければならない。ほんとうにそれが絶対度が高いならば認めてもいい。もちろんその場合には、いま言った分類によりまして、そのような利用をさせていいという分類の地域に入るところでございますので、そういうところで、しかも自然環境を十分に保存できるような条件においてそれを許可するということになりますので、簡単にはそう許可する気持ちはございません。
  101. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 そうしますと、次の通常国会に自然保護法ですか、長野、北海道等でそれに関係する条例がすでに幾つかできているようでありますが、それを全国的にくくるところの自然保護法を制定される。その際に、いま申し上げました国立公園に対して特別地域の中にあればすべていかぬということではなしに、ある程度条件を見直しと申しますか、そういうことをされるということでありますから、その方針が策定される以前には勝浦、鹿久居島については——いま処分を保留しておられるようでありますが、その基準ができるまでは処分は保留して許可はしない、こう理解してよろしゅうございますか。
  102. 大石武一

    ○大石国務大臣 いまお話しの鹿久居島、勝浦は、第一、地元のいろいろな考え方、受け入れ体制が違いまして非常に混乱しているような状態のようであります。したがいまして、そういうものをある程度こっちで勘案いたしまして、イエス、ノーの時期はきめなければならぬと思いますが、そうあわててする方針はございませんので、おっしゃるとおり、はっきりそうだとは申しませんが、そんなようなものかもしれないと考えてもいいと思います。
  103. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 自然保護につきましては非常な御熱意を示されて国民の期待を一身に集めておられる長官でありますから、今後原子力発電所の全国各地での建設が問題になるとは思いますが、どういう地域は許可すべきでないという厳然たる一つの方針というものをきめて、そして日本の環境保全については格段の御努力を賜わりたい。そうでありませんと非常にたいへんなことになると思います。また、せっかくの環境庁長官に集まっておる期待を無にするということになりますので、この点はひとつ強くお願いをいたしておきたいと思います。  ついでに、現在文部省が所管しております名勝、天然記念物等が、最近見ておりますと、建設省が申請をいたしますと、ほとんどノーズロ的に許可しているというような状況にあるようであります。私、非常に残念だと思います。むしろ私は、名勝、天然記念物など自然保護に関係すべきものは環境庁がこれを握るということのほうがいいんじゃないか。いまの文化庁の実態を見ておりますと、どうも非常に遺憾な点が多い。この点ひとつ長官としての御感想があればお伺いしたいと思います。
  104. 大石武一

    ○大石国務大臣 名勝とか史跡、天然記念物、こういうものと環境の整備は必ずしも無縁ではございません。私は相当に重なっていると思うのです。ですからいろいろな機能が、いわゆる名勝、史跡、天然記念物は文部省の文化庁の所管になっております。しかしこういうものが、一緒になってももちろんけっこうでございますし、いろいろな事情がございましょうから別に一つのものにならなくても、せめてお互いに十分に話が、意思が通じまして、両方の努力によってそのような保全がはかられるのが一番望ましいと考えます。
  105. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 実は私の県に名勝、天然記念物のあります地域が、八ツ場地区というのですが、ダムをつくるかつくらぬかということが問題になっております。すぐそばが国立公園になっておるわけでありますが、どうも現在の文化庁の方向を見ておりますと、この問題はどう扱うかまだきめておりませんけれども、過去にこういうような事例があった場合、文化庁がどの程度許可をしておるか調べてみましたら、ほとんど許可をしておるのですね。私は、それではやはりいけないんじゃないかと思う。先ほど島本委員が調整権というようなことを言っておられましたが、ひとついま長官のお答えになっていただきましたような趣旨で、やはり現在権限は文化庁にございましても、自然環境保護という面から、これにつきましては十分文化庁とも連絡をとっていただきまして、そして指導すべきものは指導するという形をぜひお願いをいたしたいと思います。いかがですか。
  106. 大石武一

    ○大石国務大臣 八ツ場ダムを予定されている吾妻渓谷のことかと思いますが、これはかねがねいろいろ話を聞いております。私も非常に惜しいものだと思いまして、権限ももちろん考えますけれども、それ以外にも文化庁の方々とも相談をして、建設省とよく相談をして、いろいろと考え方を相談し合おうという気持ちを持っております。
  107. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 大臣お忙しいようなら……。
  108. 大石武一

    ○大石国務大臣 三時に参議院に入れということだそうですから。
  109. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 では、三時までにもし話のついででお聞きすることがあればお聞きいたしますが、どうぞ御都合で御退席いただきます。  それでは食糧庁にお尋ねをいたしたいと存じます。  十四日、昨日の新聞を拝見をいたしましたら、カドミウム汚染米、正しくは〇・四PPM以上一PPM以下の準汚染米だと思いますが、これを配給ルートに乗せる、食糧庁が放出基準をゆるめる、こういう報道がなされました。私、以前から当公害対策委員会におじゃまをいたしまして、カドミウム汚染米の問題については何回か議論をいたしました。これはたいへんいかがかと思いまして、本日質問しようとそれぞれ手配をいたしたわけでありますが、またきょうの新聞を拝見いたしましたら、カドミウム汚染米の配給問題について衆議院公害委員会は社会不安を招くと重視、十五日開かれる同委員会でこの問題を取り上げ食糖庁を追及することになった。これに先立ち同庁の中村次長は十四日夜、緊急記者会見をいたしまして、現地の富山食糧事務所で本庁の趣旨が徹底しなかったため起きた問題で、まことに遺憾である。食糧庁の考えにはいまも変更はない」と発表された。十五日にあらためて準汚染米を配給米に回すなという指示を同事務所あてに行なうことになった、こう報道されているわけであります。このような報道されたような事実経過がございましたのか、まずそのことからお答えをいただきたいと思います。
  110. 中村健次郎

    ○中村(健)政府委員 お答え申し上げます。  まず十四日の報道でございますが、これにつきましては、それに報道されてありますように食糧庁の方針が変わったということではございません。したがいまして、従来と同じようにカドミウム汚染米の配給上の取り扱いあるいは農家保有米の交換措置は全く変更いたしておりませんし、また変更するというふうなことを事務所に指示したこともございません。なぜこういう報道が出たのかということは、カドミウム米につきまして、富山の食糧事務所業務部長が新聞記者の方といろいろお話し合った際、かなりいろいろ当初のいきさつから詳しくお話しをした。その中でこういった誤解を生むような、とられるような発言があったかと思います。それで、そういうことで毎日新聞にも出ましたので、いろいろほかの新聞社からも問い合わせがございました。長官とも相談しまして、個々にその問い合わせに応ずるよりは、新聞記者クラブがありますので、そこでお話しをしたほうがいいということで、昨夜クラブでお話しをしたのが本日の朝刊に載っておるような次第でございます。
  111. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 そうしますと、食糧庁としては富山の食糧事務所に対して指示をした事実はない。〇・四PPM以上一PPM以下のいわゆる準汚染米については、従来どおり消費者の感情を考慮して凍結をするという方針については変わりがない、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  112. 中村健次郎

    ○中村(健)政府委員 先生仰せのとおり、従来の方針どおり一PPM以上の米はもちろんでございますが、要観察地域における一PPM以下の米並びに要観察地域に準ずるような人為的汚染のある地域の一PPM以下の米につきましては、従来と同じ方針で凍結をする、こういうことでございます。
  113. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 本年は天候の状況もございましたり、あるいは食糧庁として減反を各農家に強制したというとそうじゃないと言うかもしれませんが、押しつけたりいたしまして、相当米の需給のバランスが従来とは変わってまいりました。明年のことを予測することはできませんが、あるいはさらに食糧の需給バランスというものが悪化をしたということがありましても、〇・四PPM以上一PPM以下の準汚染米についてはずっと凍結し続ける、かように理解してよろしゅうございますか。
  114. 中村健次郎

    ○中村(健)政府委員 この問題につきましては、凍結しております理由が、第一には消費者感情を尊重するということと、第二点では需給上もそれが許されるという二つのことから、食品衛生上は有害ではないけれども凍結をいたします、配給しません、こういった方針を出したわけでございますが、いまもその方針には変わりございません。  なお、生産調整等が御協力願えまして、需給バランスがとれるような状態になってきておりますし、特に本年は不作だということで、需給が非常に緊迫してきておるということも事実でございますけれども、こういった消費者の不安、消費者感情が許さないという限りにおいて、私のほうでは無理をしてこれを配給に回すというふうなことは考えておりません。
  115. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 わかりました。二つ、消費者の感情及び需給のバランスということだが、かりに生産調整等進みまして、より将来国内産の米が少なくなったということがあっても、消費者感情というものが変わらぬ限り凍結し続けるのだ、そういうお答えでございますので、その点は了解をいたします。  それでは、これに関係してお尋ねをいたしたいと思うのですけれども、私、特にこの報道を見まして、このこと自体も問題だと思いましたが、いま一つ懸念いたしましたのは、もし最初報道されたようなことが事実であるとすれば、せっかく私、食糧庁にずいぶん要求をいたしまして——当初は要観察地域内の農家の方が持っている保有米、これを農家の皆さんは食べておるわけでありまして、結局この〇・四PPM以上のものは配給ルートには乗せない、しかるにそれを生産する農家の方は保有米を持っているわけでありますから、この要観察地域におって、大気や水や野菜等からこのカドミウムを摂取しておりながら、なおかつ配給ルートに乗せない準汚染米を食べなければならないことは矛盾だ、したがってこれは何とか措置せいということで、食糧庁に要求をいたしまして交換の措置を実はとっていただきました。ただいまこちらの報道のようなことではなくて、従来の方針を堅持するということでありますから、農家の保有米に対する交換の措置、これも従来の方針と変わらないで交換が行なわれるというふうに理解してよろしいわけですね。
  116. 中村健次郎

    ○中村(健)政府委員 先生の仰せのとおり、交換の措置も従来どおりいたしております。
  117. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 そこで、浦田さん来ておられますので浦田さんにお尋ねいたしたいと思うのですが、実は基準をきめるのは、食品衛生法上の観点から厚生省におありなわけですね。そこで私、米だけに基準を設けて——その基準一PPMというのもどうも少し基準が甘過ぎるのではないかということにつきましても何回も議論をいたしました。同時に、米だけきめて他のものに基準をきめないのはおかしい。特に群馬の安中等は、従来から食習慣が麦の摂取といいますか、うどん等を食べる量が非常に多いわけでありまして、麦についても基準をきめないことは食品衛生上の安全の意味からいってもおかしいではないか。それからさらに昨年の公害国会で土壌汚染防止法ができたわけでありまして、この土壌汚染防止法に基づく防止計画、その事業を行ないます場合に、麦の基準をきめなければ畑地については公害防止事業から除外されるという差別が起きるおそれがきわめてある、その面からいっても、麦についても基準をきめたらどうですかということを申し上げてきました。浦田環境衛生局長は、近くこの麦について基準をきめるつもりだということを実はお答えになったのであります。その後相当の日数もたったわけでありまして、麦についてはもうすでに基準をおきめになる一歩手前ぐらいまでいっているのじゃないかと思いますが、現状、いかがでございますか。
  118. 浦田純一

    ○浦田政府委員 麦の基準の御指摘でございますが、前通常国会でも御質問ございまして、あるいはその他の席でもいろいろそういった御意見が出まして、そのたびに、できるだけ早い時期に麦のカドミウムの基準の作成はしたい考えでございますということはお答えしてきたところでございます。その後、微量重金属研究会、これは米のカドミウムの基準についてもこちらから御意見をお伺いした研究会でございますが、その先生方にもお集まりいただきまして、いろいろとこの基準作成にあたっての必要な考え方、資料あるいは調査などについて御相談申し上げているところでございます。  おっしゃるとおり、安中地区の麦のカドミウムの含量につきましてはなかり詳細なデータはわかっております。しかしながら、全国的に基準を設けるという必要もございますし、またいろいろと付随いたしまして、たとえば食習慣あるいは外国の麦を直接日本で測定いたしました場合の含有量等、現在いろいろと手分けいたしまして、御指摘の必要な資料の収集並びに足らない調査を続行しているところでございます。したがいまして、これらが整い次第、できるだけ早く基準をきめてまいりたいと考えております。
  119. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 できるだけ早くというのですが、大体いつごろになりますか。土壌汚染防止法も制定いたしまして、カドミウムの汚染地域では公害防止計画をどうするかということも考えなければならぬ段階にきているわけですね。したがいまして、いつまでたっても、つくるつくると言うておるけれども、麦のほうがきまらぬということは、私は土壌汚染防止法に基づく事業計画を進める上でも大いに支障があると思うのです。大体いつごろの見通しですか。
  120. 浦田純一

    ○浦田政府委員 最近集まりましたときの先生方の御意見、あるいは調査の進捗状況から考えますと、大体必要なデータは三月一ぱいくらいにそろうのではなかろうかということで、その段階で初めて基準そのものについての考え方のまとめということに入ると思います。そういった意味で、私も全く事が重大だと思っておりますので、できるだけ急がしてはございますけれども、残念ながら麦につきましては、米と違いまして若干資料不足という点もございましたので、時間が経過したような次第でございます。
  121. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 そうすると、三月中にデータが集まる、集まった段階基準に対する議論をして、三月からそうあまりおくれないうちにきめるというふうに了解してよろしいわけですね。
  122. 浦田純一

    ○浦田政府委員 そのように私どもは期待して、努力したいと思います。
  123. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 そこでさらに話を進めたいと思いますが、結局食糧庁の方針とすれば、ただいまお聞きしたわけでありますが、将来生産調整がさらに進むなり、あるいは気候の条件によって国内の米の生産量が少ないということがあっても、消費者感情が従来のようである限り一PPM以下〇・四PPM以上の準汚染米については凍結をする、こういう方針が続くわけですね。そうなれば、私はもうこの一PPMという食品衛生上の安全基準というものを再検討してもいいのじゃないか。ということは、一PPM以上だったら企業が当然補償しなければいかぬわけですね。ところが、一PPM以下〇・四PPMまでの間はいわば国が買い入れる、しかも凍結をしているということになりますと、国民の税金によっていわば企業がカドミウム汚染米に対して補償しなければならぬものを肩がわりしている、こういう結果に現実にはなると私は思うのです。そういう意味では、いつまでも国が国民の税金でもって企業が当然負担しなければならぬものを肩がわりしているということは、私は納税者が感情として許さぬだろうと思うのですね。この点、食糧庁それから厚生省並びに公害対策基本法を主管しておられる大石長官がちょっとお帰りになったのでありますが、小澤政務次官でもけっこうでありますし、また他の政府委員でもけっこうでありますが、いま私が申し上げた点に対する環境庁としての御意見、あわせて承っておきたいと思うのです。
  124. 浦田純一

    ○浦田政府委員 ただいまのカドミウム汚染米の基準についての考え方を申し上げます。  カドミウムの汚染米、この基準が一・〇PPM未満については健康上害がないということを申しておるわけでございますが、これにつきましては、〇・四PPMというのは、かつて厚生省のほうでカドミウム対策暫定要領の中で認めたようなことでございまして、学問的な根拠に基づいてあのような御意見を答申していただいておりますので、安全かいなかということについては、これは改正する意思はいまのところございません。
  125. 中村健次郎

    ○中村(健)政府委員 食糧庁といたしましては、ただいま厚生省の局長からお話しがございましたように、一PPM未満の米につきましては、決して食糧として食べてはいけないというものではないわけでございますから、十分に国民食糧になるものでございますので、これを食管法によって買い上げるということは、やはり国民食糧として使うんだという趣旨において買い上げているわけでございます。遺憾ながら先ほど申しましたような国民の感情もございますので、やむを得ず保留しておるよりほかに方法がないということでございまして、先生の御指摘のように、国民の税金で負担をしているという結果に相なっておりますが、この負担をだれがすべきかという問題は私のほうではわかりませんけれども、少なくとも食糧庁が現在経費をかけて負担をしておるということはそのとおりでございまして、何とかこの点が解決できないものか、苦慮いたしておるわけでございます。
  126. 小澤太郎

    ○小澤(太)政府委員 環境庁といたしましては、食品衛生法のあの基準によらざるを得ない。その検討を待ちまして、それに応じてやりたい、こう考えております。
  127. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 私は小澤さんにひとつ政治家という立場で今後の御検討をお願いしたいと思うのですが、結局、食糧庁それから厚生省のお答えは、まあ法律的にはそういうことだろうと思います。ただ問題は、いま言ったような矛盾がありますために、本来企業が補償しなければならぬものを国が税金でもって肩がわりしておるという結果に現実はなるわけですね。私はそういうことは、納税者の立場、国民の立場というものを考えました場合に、当然問題があると思うのです。したがって、食品衛生上安全の基準はどうかという一つの科学的な問題もありましょう。しかし同時に、私がいま指摘した問題もあるわけですから、その点をひとつ政治家の立場で今後御検討をいただきたい。要請をいたしておきます。長官にも伝えていただいて、ひとつ御検討いただきたいと思うのです。
  128. 小澤太郎

    ○小澤(太)政府委員 山口議員のおっしゃるとおり、どうも一PPMと〇・四PPM、なかなか理解ができない点もあるようでございます。ただ御指摘のように、国民の負担の問題もございます。いろいろ問題があると思います。一応食品衛生法の関係からいえば、一PPM以上のものが有害であるということになっておりまして、その辺の検討も実際にはよくいっているかどうかということも疑問です。さらに〇・四PPMから一PPMまでの間のものを配給していいか悪いかという問題も、これまた相当検討しなければならぬ問題だと思う。そういうふうに両方からもっと検討していって、いまおっしゃるような矛盾のないようなかっこうにしていきたい。これは私ども政治家として念願しておる次第でございます。長官にもよくお伝えいたしておきます。
  129. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 それではあと環境庁に若干フィルム公害の問題をお尋ねいたしたいと思います。  現在テレビ放送は、九〇%がカラーの放送でございます。この放送の方法としては、なま中継等による電気的方法及びフィルムによる方法と二つございます。割合は、電気的な方法が七、フィルムによる方法が三だそうでございまして、フィルムのほうが少ない。少ないのでございますが、とにかく事は急ぐわけでありますから、同じ現像方法も、スピードを上げるために特別な方式をとっているそうであります。ME4処理方式というのだそうでありますが、スピードを上げるために非常に毒性の強い物質を使っている。ハイドロキノンとか銀イオンとかロダンとかハイポとか、またロダンからシアンも出るわけでありまして、そういう毒物も出る。それから生物化学的酸素要求量であるBOD、これも非常に汚染をする。二つ問題があるようでございます。特に問題は、カラーフィルムの現像方法につきましては、コダック社等のいわば企業秘密がございまして、一体どういう物質を使っているかも明らかでないということだそうであります。NHKが一日に消費いたしますフィルムは一万五千フィートないし二万フィート、これには四十リットルから百リットルの漂白液を必要とするといわれております。当然私は水質汚濁防止法によりまして、これらNHKをはじめとする民放のフィルムをたくさんに現像するテレビ局については、特定施設として届け出をする義務があるのではないかと思いますが、現状はどうなっておりましょうか。それからさらに小西六、その他テレビドラマ、コマーシャル等のフィルムをこれまた大量に現像している。これはNHKの何十倍という量を現像しているところだそうでありますが、これらがやはり特定施設としての届け出がなされておりますか。また、これらの施設のシアン、BOD等の汚染状況は一体どうでありましょうか。政府委員でけっこうでありますからお答えいただきたい。
  130. 岡安誠

    ○岡安政府委員 写真現像業につきましては、お話しのとおり水質汚濁防止法によります特定施設ということになっております。ただ写真現象のすべてが特定施設ではございませんで、自動式にフィルムを現像するというような、自動式の現像装置を持っているところというのが特定施設ということになっておるわけでございまして、お話のように大量にフィルムを現像するというところは当然特定施設といたしまして届け出もしなければなりませんし、また排出のほうの規制も、今月の二十四日からやはり規制にかかるということになっておるわけでございます。  届け出現状につきましては、都道府県知事のほうに届け出をするということになっておりますので、私ども必ずしも現在どのような数の、どのような名前の業者が届け出をしているかということは把握しておらないのでございますけれども、私どもはやはりそういうような業種につきましても、当然水質汚濁防止法の規制の対象になるということを徹底いたしまして、排出につきましては、健康物質はもちろん、それ以外の生活環境物質につきましても基準を厳守するように指導いたしたいと考えておる次第でございます。
  131. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 そういたしますと、あとでけっこうでありますから、都道府県を通じまして特定施設としての届け出現状資料として御提出をお願いしたいと思います。  それから十二月二十四日、シアン、カドミウムその他基準が決定になると承っておるわけでありますが、このフィルム公害に関係ございますシアン、BOD、これについてはどの程度の基準になる予定でございますか。また、基準ができまするならば、これら届け出をすべき特定施設に対しましては、排出規制は当然しなきゃいかぬわけでありまして、これに対する点検ということもきわめて重要だと思います。それに対する考え方をあわせてお答えをいただきたいと思います。
  132. 岡安誠

    ○岡安政府委員 届け出内容につきましては、至急関係都道府県から資料を取り寄せて御報告させていただきたいと思っております。  排出の規制の基準でございますが、健康物質の中でシアンが大量に出るというようなことをいわれておりますけれども、シアンにつきましては一PPMというような排出の基準でございます。カドミウム等も出るおそれがあるわけでございますが、カドミウム及びその化合物につきましては〇・一PPMということになっております。BODにつきましては日間平均一二〇PPM、最大一六〇PPMということになっております。  今後やはりこういうような有害物質を排出するおそれのある工場、これらは写真現像業のみならずでございますが、そういうものにつきましては重点的に各都道府県知事が定例的に排出水の検査をするように——実は予算もかかることでございますので、私ども今年度もできるだけする、来年度以降につきましてはできれば予算措置も講じまして、こういう健康有害物質の排出工場につきましては重点的に検査をするということにいたしてまいりたい、かように考えております。
  133. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 これで終わりますが、明年の一月の末ですか、二月になりますか、札幌において冬季オリンピック大会が開催をされます。十日間開会されるわけでありますが、そこにわが国のNHK並びに民放のみならず、世界各国の放送会社が参りまして、当然カラーでもってたくさんのフィルムをおとりになることが考えられます。大体現在の見通しですと、一日四万フィートからのフィルムが使われるのじゃないかといわれております。そういたしますと、現在NHKが処理しておりますフィルムの約三倍、二・五倍くらいになるかと思いますが——しかもこれを世界各国ばらばらで現像するわけにいきませんので、すべてNHKが世界各国のフィルムを一括して処理する、こういう方式に話し合いがまとまっておるやに聞いております。一日四万フィート、十日間でありますから四十万フィートという膨大なカラーフィルムが処理をされる。そうなりますと、シアンの排出量、それからBODにつきましても相当な悪影響があると考えなきゃなりません。札幌は水質汚濁防止法二十八条によるところの政令で指定された市である。都道府県並みの権限をお持ちの市だということになっておるようでありますけれども、当然したがって札幌市がその規制につきましては責任があるわけでありますが、とにかく一時期に大量にこういうものが出るということでありますから、これは札幌市だけにまかせるということは私は無責任だと思います。当然環境庁といたしましても、この札幌冬季オリンピックにおけるフィルム公害対策につきましては十分な対策をとっていただけるものと確信をいたしておりますけれども、その点に対する環境庁としてのお考え方をお示しをいただきたいと思います。
  134. 小澤太郎

    ○小澤(太)政府委員 オリンピックに際しましてたいへんいい御示唆をいただきまして、ありがとうございました。これは知事並びに市長の責任になっておりますので、市長並びに北海道知事に対しましてこちらから指示をいたしまして、万遺漏なきようにさせようといたしておる次第でございます。
  135. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 終わります。
  136. 小林信一

    小林委員長 古寺宏君。
  137. 古寺宏

    ○古寺委員 四十六年の十二月の七日に、環境庁長官に対しまして、自然公園審議会から青森県の津軽が国定公園の候補地として適当である、こういうような答申が出ておりますが、この地域内に防衛庁がミサイルの射撃場をつくるということで、非常にいま地元で問題になっております。  そこで、最初に防衛庁にこのミサイルの射撃場の計画について承りたいと思うのです。
  138. 蔭山昭二

    ○蔭山説明員 防衛庁におきましては、ただいま御指摘の青森県車力村、この地区に地対空誘導弾ナイキ及びホークの年次訓練を——現在アメリカ合衆国内の試射場で実施してきたのでございますが、本来この種の射場は国内の保持して訓練を実施するというのが望ましい、それからまた、アメリカ合衆国内の試射場につきましては、今後とも長期にわたって使用できる見通しが必ずしも明らかでないということ等の事情から、国内に射場を建設するということで検討をしてまいりました。この検討の結果、一応最終的にはこの車力村に候補地を選定いたしまして、ことしの夏、この車力村を候補地とすることを決定いたしまして、内々地元の意向も打診をしておりましたが、十一月の十二日に正式文書でこの射場設置について村長あて協力方を申し入れたものでございます。
  139. 古寺宏

    ○古寺委員 そこで、県から共用射場設置についての質問があったわけでございますが、これに対しての防衛施設庁からの回答を読みますと、いろいろはっきりしない点があるわけでございますが、具体的に設置の場所であるとか、あるいは射場の規模であるとか、設置の時期であるとか、あるいは安全基準の問題、安全措置の問題、また運用計画等について具体的にひとつ御説明を願いたいと思います。
  140. 蔭山昭二

    ○蔭山説明員 射場の設置の場所といたしましては、青森県西津軽郡車力村字屏風山というところでございますが、この射場の規模といたしましては、ナイキ、ホークの共用射場でございまして、その発射地区、これが約二十五万平米、それからホークにつきましては、標的機を発射いたしますその地区といたしまして約三万平米、それから、レーダー、隊舎、弾庫、そういった施設をいたしますところが約四十四万平米、合計約七十二万平米の地域を必要な条件といたしまして、取得の交渉に当たっております。用地の取得につきましては今年度じゅうに取得をいたしまして、それから射場に必要な土木工事、建築工事、そういった建設関係の工事を四十七年度から着工をいたしまして、四十九年度末に完成をする。運用の開始は昭和五十年度というふうに考えております。  ここに配置いたします部隊といたしましては、いわゆる施設を管理いたします常駐部隊として、航空自衛隊から百五十名、陸上自衛隊約百五十名、計三百名を常駐させまして、さらに、五十年度から始まるいわゆる訓練のために部隊を派遣いたしますが、一回につきまして航空自衛隊、陸上自衛隊ともそれぞれ約百名、計二百名、したがいまして、訓練を行ないます際には約五百名がここに配備をされるということに相なります。  ナイキとホークと共用ということに相なりますが、このために陸上に保安地域を必要とするわけでございますが、先ほど申し上げました約七十二万平米の用地は三カ所に分かれますが、この発射地区を中心といたしまして半径二・二キロの範囲を訓練の際には借り上げをいたしまして、立ち入り禁止の措置をとらしていただきたい。それから、陸地から海上西のほうへ向けて射撃をいたす計画でございますので、海上の保安水域が必要になるわけでございますが、これは実射の日に限りまして所要の海面を制限海域ということにいたしまして、その間の漁業の損失補償を実施するという考え方でございます。この制限区域につきましては、発射地区から海上西方へ約九十キロメートルの距離をとりました扇形の海域とするということでございます。  安全措置でございますが、陸上及び海上の関係の方々につきましては、訓練のつど事前に周知徹底をはかりますとともに、陸上につきましては数カ所に哨舎を設けまして、この陸上の保安地域内での立ち入りを制限をいたすとともに、海上におきましては航空機とそれから目視によりまして船舶の有無を確認いたしまして、空中につきましてはレーダーによって航空機の有無を確認いたしまして、すべて安全であるということを確認をしてから訓練をいたす、そういう計画でございます。  訓練の期間といたしましては、年間約三十週のうちの二日というのを発射の期日と考えておりまして、おおむねその訓練の期間は大体五月から十一月という期間を考えております。発射の時間といたしましては、午前十時から十七時ごろまでということでございます。一日の発射弾数は、ナイキ、ホークいずれも各二発という考え方をとっております。  ホークの発射の方法でございますが、まず陸上から標的機を発射いたしまして、それからその標的機と申しますのは標的を曳航いたします無線誘導無人機でございますが、これを飛行させまして、その発射地区からホークを発射をいたしまして、おおむねこの海上保安水域内、発射地区から約三十五キロメートルの水域の上空で標的に命中させまして、その後この無線誘導無人機は陸上の安全な場所に回収するということになります。  それからナイキは、電子計算機によりまして仮想の目標を設定をいたしまして、ホークの場合と同じく海上保安水域内で、発射地区からおおむね四十五キロメートルないし六十五キロメートルの水域で自爆をさせることに相なります。で、ホークにはついておりませんがナイキについております発射時の際の通称ブースターと申しておりますロケットが発射地区から約二キロメートルの水域に落下するということでございます。  住民の方々に対する対策というものにつきましては、周辺対策といたしまして、防衛施設周辺の整備等に関する法律を活用いたしまして、障害の防止、軽減緩和につとめるとともに、関係住民の民生安定、福祉の向上に寄与するというような措置考えてまいりたいということでございます。  さらに制限水域の設定にあたりましては、関係各省庁それから関係道県知事並びに関係漁業者の意見伺いまして、了解をいただいた上で所要の水面につきまして、演習の実施日に限り漁船の操業を制限することとしたいということでございます。この制限水域で漁業を営んでおられる方がその射撃することによりましてこうむる損失につきましては、補償を行なう考えでございます。  以上でございます。
  141. 古寺宏

    ○古寺委員 そこで、実際にこの射場ができる地番でございますね、車力村と申しましても非常に広いわけでございますので、どの地番にこういうような三つの施設をお考えになっているか。  それから第二番目にはこの制限水域の問題でございますが、角度がはっきりいたしませんので、九十キロ沖合いということはわかりますが、はっきりしたその水域の面積その他がわからぬわけでございます。これについて御説明を願いたいと思います。
  142. 薄田浩

    ○薄田政府委員 先ほどの御質問二点のうち一点は、実は、先ほど防衛庁の施設課長からいろいろの計画をお話しいたしましたが、施設庁といたしましては、ことしの夏初めごろからいろいろ折衝をして、地元の御協力を得たい、こういうふうに思っておりまして、御質問の場所は、車力村大字富萢字屏風山、地番は一の七百四十六、一の七百四十七、一の七百四十八、一の七百四十九、一の七百六十八、それからもう一カ所は、同じく大字豊富字屏風山の地番一の三百三十一、一の三百三十三、一の三百三十四、一の三百三十六、一の三百三十七というふうに考えております。  それから水域でございますが、これは発射点と申しますか、ナイキ、ホークの発射地域から沖合い九十キロで、大体開いた扇形の長さが約五十キロから五十五、六キロというふうに現在検討いたしております。
  143. 古寺宏

    ○古寺委員 次にお伺いしたいのは、現在ここは開畑計画があるわけでございますが、農林省とはどういうようなお話し合いをしていらっしゃるのか承りたいと思います。
  144. 薄田浩

    ○薄田政府委員 計画段階で農林省のほうにもいろいろ御相談いたしまして、一応公文書をもってはあれしておりませんが、課長を派遣いたしましていろいろ話をしております。それで問題の個所はむしろ地元の村長が一番よく知っておるわけでございまして、村長からは開畑計画には影響ない、こういうふうに報告を受けております。
  145. 古寺宏

    ○古寺委員 それでは農林省にお尋ねいたしますが、七十二万平米の地域が現在の防衛施設庁の設置場所になっているわけでございますが、これは当然この計画の中に入ってくると思うのでございますが、この点については農林省はどういう検討をしていらっしゃるのか、お答えを願いたいと思います。
  146. 三善信二

    ○三善政府委員 防衛施設庁のほうから私どもは一応の話は聞いておりますが、具体的な話し合いはまだいたしておりません。それで一応の話し合いの中で、農林省で計画いたしております国営の農地開発事業、これは屏風山地区の開発でございます、その開発事業との関係でございますが、地域的には、現在のところ防衛施設庁のほうで計画をしておられますレーダー基地とかあるいは標的の発射場、そういうところは直接開発区域とはダブってはおりません。ただ、多少気になりますのは、陸上においても、発射場から半径二・二キロでございますか、その点を訓練時には立ち入り禁止区域にするというようなお話がありますが、その立ち入り禁止区域の中には多少開発区域とダブっている点もございます。
  147. 古寺宏

    ○古寺委員 そうしますと、現在の施設庁の計画からいきますと、屏風山地区農地開発事業というものは、今後計画変更しないで、いままでの計画のとおりにこれを推し進めるお考えでございますか。
  148. 三善信二

    ○三善政府委員 屏風山の農地開発事業は、御承知と思いますけれども、全体の計画を現在つくっておりまして、四十六年度はその全体設計をやっている段階でございます。できれば四十七年度から工事に着手しまして、大体七年ぐらいかかりますので、五十二、三年ごろ工事は完了する予定にいたしております。したがいまして、現在のところ、工事自体に直接影響があるとは思いませんが、ただ一つ、私どもも気になっておりますのは、先ほど申し上げました立ち入り禁止区域、この中に基幹農道をつくることにしております。その農道と立ち入り禁止区域の関係をどういうふうに今後考えていったらいいかということで、今後防衛施設庁とも具体的にそういう話し合いをしていきたい、その上で検討したいと思っております。
  149. 古寺宏

    ○古寺委員 防衛施設庁にお尋ねしますが、これは三次防の計画でこういう射撃場をつくる予定になっておりますが、四次防の中で今後この射撃の訓練場というものを拡張するというお考えがないかどうか。  それからこの青森県に対する回答書の中では、発射する際の爆発音は銀座くらいの騒音であるというようなことをおっしゃっておりますが、いろいろ専門家にお尋ねしますと、相当に大きな騒音が出るようでございます。またさらに、ハワイであるとかアメリカにおきましてはいろいろな事故が発生いたしております。こういうような危険性というものを十分に検討した上でこの計画を推し進めているのかどうか、その点を承りたいと思います。
  150. 薄田浩

    ○薄田政府委員 第一点の四次防計画の問題は防衛本庁の施設課長から御回答申し上げて、後半のほうでございますが、音につきましては、いわゆる銀座くらいだというふうなことを私のほうは申し上げた記憶はございません。いわゆる推進で上がるわけでございますから、遠い雷程度の音であるという回答はしたことがございます。  それから安全性でございますが、いわゆる安全性につきましては、自衛隊も過去何年か米国で実射に行っておりまして、自衛隊においてはまだ事故はございません。しかし、ナイキ、ホークについてのいろんな規定というものがございます。これはいろいろなデータを調べた上でできたわけだろうと思いますので、そういうことを勘案いたしまして、先ほど申し上げました保安地区の問題あるいは海上の制限海域もあるわけでございます。たとえばホークにつきましては、海上について申し上げますと、六十五キロ先で当たった当たらないという判定をしまして爆破させるわけでございますが、安全のため先ほど御説明申し上げましたように九十キロ沖合いまでとっておるわけでございまして、われわれといたしましては、この安全の区域についてはこれで十二分ではないかというふうに考えております。
  151. 蔭山昭二

    ○蔭山説明員 先ほど御指摘の四次防の拡張の有無の問題でございますが、先ほど申し上げました約七十二万平米の必要な規模と申しますのは、これは共用の標準的なものでございまして、現実に取得をいたします場合のものにつきましては、なお現地防衛施設局と地元の関係者との間の話し合いの結果きまってくるものでございます。当面取得できましたもののその後の四次防における計画といたしましては、拡張の考えは現在持っておりません。そのままの姿を維持してまいりたい、こういう考え方をとっております。
  152. 古寺宏

    ○古寺委員 そこで、この射撃の訓練場をつくった場合に、この車力の射撃の訓練場を中心にいたしまして、ナイキの基地を青森県とかこういうところに張りつけるというようなお考えはございませんか。
  153. 蔭山昭二

    ○蔭山説明員 これはどこまでもナイキ、ホークの共用射場ということで運用をしてまいりまして、いわゆるナイキ施設といいますか、第一、第二、第三、第四とやってきております高射群施設とは別のものでございます。管理部隊として、先ほど申しましたように陸空それぞれ約百五十名がおりますという、そういう態様の施設になっております。
  154. 古寺宏

    ○古寺委員 私がお尋ねしているのは、この共用射撃訓練場が設置された場合に、将来青森の三沢であるとか、あるいはむつであるとか、こういうようなところにナイキの基地をつくる計画はお持ちになっているのですかとお尋ねしているのです。
  155. 蔭山昭二

    ○蔭山説明員 青函地区にナイキ施設を設置したいという希望は持っております。まだしかし、これは四次防段階の問題でございまして、これについてはいまだ具体的なものは何もきまっておりません。
  156. 古寺宏

    ○古寺委員 そこで、今回のこの計画からいきますというと、制限水域の地域というものは非常に良好な漁場でございます。これに対しては、地元の漁業協同組合が一斉に反対の意思を表明しているわけでございますが、漁業協同組合とはどういうようなお話し合いをしたのでございますか。
  157. 薄田浩

    ○薄田政府委員 先生おっしゃいました水域の制限に伴う漁業補償の問題でございますが、現在のところ、いわゆる陸上のほうの施設のためのいろいろ手だてをやっておりますので、漁業組合のほうにもそれほどまだ積極的にはあれしておりませんが、一応十二月八日付の文書をもちまして、水産庁長官にいろいろ御協力をお願いいたしております。  それから、これは所管が仙台防衛施設局になりますが、これに関連いたします水域は、いわゆる北海道方面もあると思いますので、北海道の札幌施設局等にそれぞれ指示をいたしまして、現地のいわゆる協同組合の連合会の会長さんにいろいろ御説明をさしておる段階でございます。それから、個々の組合について、今月に入りましていろいろ接触はしております。  それから、何ぶん、補償の実態でございますが先生おっしゃいますように、いろいろの漁業が営まれておるということは承知しておりますが、五十年度からのいわゆる実射でございますので、施設庁といたしましては、数年かけまして慎重にかつ熱意をもっていろいろ組合の方々に御理解をいただき、かつ適正な補償を話し合いによって実現さしたい、こういうふうに思っております。
  158. 古寺宏

    ○古寺委員 きょうの新聞によりますと、この地域は民間飛行機の訓練空域になっている、これについては運輸省は反対であるというようなことが載っておりますが、運輸省のお考えをひとつ承りたいと思います。
  159. 見坊力男

    ○見坊政府委員 ちょっと私、所管でございませんので、答弁いたしかねますが、後ほど調べまして御説明申し上げます。
  160. 古寺宏

    ○古寺委員 それでは、ただいま施設庁のほうからお話がございましたが、水産庁の御見解を承りたいと思います。
  161. 藤村弘毅

    ○藤村政府委員 沖合い九十キロメートルまでの扇形海域の漁業を制限されることになりますので、当該水域周辺で行なっております漁業は、地元漁協だけでございませんで、たとえばイカ釣りとかサケ・マス流し網、サケ・マスはえなわ漁業あるいは沖合い底びき漁業というのは地元の協同組合だけでございませんので、そういう点も考慮していただくように話し合いを進めております。
  162. 古寺宏

    ○古寺委員 話し合いを進めているというのは、いわゆる賛成の立場で話し合いを進めているわけでございますか。
  163. 藤村弘毅

    ○藤村政府委員 私どもといたしましては、そういう漁業者の同意を得てからこれを設置してもらうように防衛施設庁のほうに話をしているところでございます。
  164. 古寺宏

    ○古寺委員 それでは、水産庁は具体的に地元の漁業協同組合といつお話し合いをしましたか。
  165. 藤村弘毅

    ○藤村政府委員 防衛施設庁のほうからも御答弁がありましたように、文書をいただいたのは十二月八日でございまして、まだ地元の組合あるいは関係組合と水産庁として話し合いをしたことはございません。
  166. 古寺宏

    ○古寺委員 そこで、防衛施設庁は、この土地の取得というのはいつからお始めになりますか。
  167. 薄田浩

    ○薄田政府委員 土地は、先ほど申し上げましたように、本年の夏当初からいろいろ交渉しておりまして、その後十月には口頭で申し入れ、それから十一月十二日に正式文書をもって協力を依頼しておりますけれども、その間村長さんはじめ村議会の方々にも御説明いたしまして、土地の取得につきましては、全部は完了しておりませんが、そのうちの一部については所有者との買収についての話し合いを完了いたしておるのもございます。
  168. 古寺宏

    ○古寺委員 その土地の買収の候補地の中に大阪の粟生産業という方が所有しておる土地も入っておりますか。
  169. 薄田浩

    ○薄田政府委員 先ほど申し上げました地番のところには、粟生産業という名前もございませんし、私、全然存じておりません。
  170. 古寺宏

    ○古寺委員 そういたしますと、先ほどのこの地番の所有者はどういう方々でございますか。
  171. 薄田浩

    ○薄田政府委員 地番ごとに申し上げますと、第一地区と申しますか、富萢のほうの屏風山でございますが、相馬静子さんという方と相馬和三さんでございます。それから第二地区が相馬静子さん、第三地区が相馬静子さんと相馬和三さんと野口テツさん、この三名の方になっております。
  172. 古寺宏

    ○古寺委員 その土地は農用地でございますか。それとも原野でございますか、山林でございますか。
  173. 薄田浩

    ○薄田政府委員 たしか山林というあれでございましたけれども……。
  174. 古寺宏

    ○古寺委員 そこで、林野庁にお尋ねをいたしたいのですが、この車力には国有地いわゆる国有林を開放した地域がたくさんあるわけでございますが、その後この開放した国有林のいわゆる運用と申しますか、目的どおりに運用されているかどうか、その点についてお尋ねしたいと思います。
  175. 松本守雄

    ○松本(守)政府委員 お答えをいたしますが、その後の運営につきましては、青森県の保安林の整備計画というのがございまして、それに基づいて運営をされておるというように聞いております。
  176. 古寺宏

    ○古寺委員 今後この国有林を開放した地域が、当初の目的から離れて防衛施設庁のおっしゃっている射撃訓練場の敷地としてかってに売買される、こういうような場合には林野庁はどういうような御見解をお持ちでしょうか。
  177. 松本守雄

    ○松本(守)政府委員 その土地が、もと国有林であって払い下げた土地であるのか、あるいは全然別な土地であるのか、いま私ここでつまびらかにしないのでございますが、もしかりにそれがもと国有林であったという場合にどうなるかということでございますが、これもつい最近に防衛施設庁のほうから口頭でもってお話を聞いておりまして、まだ検討が完全に進んでおりません。いま検討中でございます。
  178. 古寺宏

    ○古寺委員 防衛施設庁からどういうような相談が林野庁になされたんでしょうか。
  179. 松本守雄

    ○松本(守)政府委員 施設庁から御相談を受けましたのは、その発射基地の近くに国有林がある、そこで発射演習をする際に立ち入りを制限する場合に、国有林が協力をしてくれないかということで申し入れがあったことは聞いております。
  180. 古寺宏

    ○古寺委員 次は環境庁にお尋ねしたいのですが、先ほども申し上げましたように、これは国定公園の候補地になっているわけでございますが、こういう国定公園の候補地と非常に危険を伴うナイキ、ホークの共用射撃訓練場が共存するというような形になりますが、こういう点に対する環境庁のお考えというものを承りたいと思います。
  181. 小澤太郎

    ○小澤(太)政府委員 ただいま御指摘の、射撃場に予定しておる地域の一部が国定公園として青森県知事から要望しておりまする地域の一部に重なるということ、御承知のとおりであります。この国定公園の候補地は、これまは先生承知のとおり、海岸の砂丘地帯でありまして、そこには湖沼もありまた湿原地帯もありまして、特有の植物の群落があるのであります。この申し出を受けておりまするこの施設庁のほうからの計画の地域は、幸か不幸かこのような植物の群落に支障の少ない地域であります。また面積も大きくありませんから、非常に国定公園とするのに支障のあるというところではないようであります。しかしいまおっしゃったように、いろいろな大きな音もしたり危険ということがあり得るとしまするならば、そういう観点からの検討も必要かと思います。県知事並びに地元の意見を聞きながら、関係の省庁と十分連絡をとって私ども態度をきめたい、かように考えておる次第でございます。
  182. 古寺宏

    ○古寺委員 現在は県立公園でございますが、将来は国定公園の地域になるわけでございます。そういう国民の人間性回復の場と申しますか休養の場と申しますか、そういうようなところにこういう非常に危険な施設というものをつくることが本質的に好ましいことかどうかということを、いまお尋ねしているわけであります。
  183. 小澤太郎

    ○小澤(太)政府委員 これも、その具体的な場所とそれからその環境等によって判断すべきものだと思います。一般論としては、もちろんそういうところに、どまん中にそういうものができるということは願わしくないことでありますが、具体的な事例をとらえて判断をいたしたい、このように考えておる次第であります。
  184. 古寺宏

    ○古寺委員 この現在の候補地の周辺は非常に貴重な動植物等がたくさんあるわけでございますが、こういう点について、先ほどの政務次官のお話は、幸いにしてそういう貴重な特別保護地域にするような地域は除かれている、こういうふうなお話がございましたが、現地のほうを確認なさいましたですか。
  185. 首尾木一

    首尾木政府委員 国定公園として申し出を受けましたその地域につきましては、私どもの担当職員及び審議会委員の一部の方によりまして調査を行なってございます。
  186. 古寺宏

    ○古寺委員 これはもうすでに自然保護協会からも報告書が出ております。また実際にこの調査をなさった方々も、こういうところにこういう施設をつくるということは非常に困ったことだということを申されておる。それをこれから環境庁調査をするという。また政務次官は、調査もしないうちに見てきたようなお話をなさる。それではいけないと思う。こういう貴重な資料もあり、調査も前に行なっているわけですから、やはりこういう貴重な調査というものを尊重いたしまして、そして審議会のほうでも候補地としてこれは適当である、こういうふうに言っているわけなんですから、やはり審議会の意思というものも尊重し、また先ほどからいろいろお話があったように、水産庁のほうもまだ現地と全然お話をしておりません。あるいは林野庁にしても同じであります。農林省も同じだと思います。それを一方的に、防衛庁のやることだからこれはもうやるしかないというような、そういう心がまえではいけないと私は思うのです。そういう意味で、もう一ぺん政務次官から御答弁願いたいと思います。
  187. 小澤太郎

    ○小澤(太)政府委員 私が直接見ておりませんが、ただいま局長から答弁いたしましたように、職員を発して見ております。それからこの地域が国定公園としてはふさわしいところであるという判断もいたしております。それから現実に射撃場になる予定の地域が国定公園として認めます際においてどの程度支障になるかというようなことは、私ども環境庁の立場から判断いたすのでありまして、施設庁が計画をしたからやむを得ない、そういうような態度はとっておらないということを申し上げます。
  188. 古寺宏

    ○古寺委員 それでは、運輸省は、民間機の訓練空域であるから、防衛庁の考えには反対である、こういうようなことを新聞記事には書いておりますね。これに対して防衛庁と運輸省とのお話し合いはどういうふうになっておりますか。
  189. 蔭山昭二

    ○蔭山説明員 民間機の訓練空域の問題につきましては、私ども伺っておりますところでは、この八月十一日にそうした運輸省での御決定がなされたように聞いております。この問題につきましては、防衛庁内部で検討をいたしておりまする事柄といたしまして、訓練空域は低高度のいわば民間、何と申しますか、聞いておりますところでは、小型機のパイロットの方の訓練空域であるということを聞いております。そこで、防衛庁内部で検討いたしておりますことは、この面についての射撃の実施というものと、そうした訓練空域での訓練の実施ということの調整は、これは事前に十分とれるものであるというふうに考えております。ちょうど運輸省の航空局のほうには私どものほうの防衛局のほうで現在調整中であるというふうに聞いております。
  190. 古寺宏

    ○古寺委員 そうしますと、おたくのほうでは、この第一地区、第二地区ともにもう土地の所有者からは承諾を得て、買収をする段階に入るわけでございますね。
  191. 薄田浩

    ○薄田政府委員 一部についてはいわゆる買収を完了いたしておりますが、多少残っておるところがございます。
  192. 古寺宏

    ○古寺委員 そうしますと、もう土地は確保してあるわけでございますね。全部ではないけれども、もうほとんど土地は確保してある、そういうふうに承ってよろしゅうございますか。
  193. 薄田浩

    ○薄田政府委員 確保したわけでございます。
  194. 古寺宏

    ○古寺委員 そうしますと、ただいまいろいろお話が出てまいりました国定公園の問題、あるいは漁業者の問題、あるいは地元農業者の問題、いろいろな問題がございます。そういう方々からどのような反対が出ても、防衛庁としてはこれを必ずやるわけでございますか。
  195. 蔭山昭二

    ○蔭山説明員 現実の運用開始は、先ほども申し上げましたとおり、昭和五十年度ということを考えておりますが、これから鋭意関係各省庁、それから関係の漁業者の方、その他利害関係のあります方々との間には十分お話し合いをいたしまして、この約四年間をそうした面の努力をいたし、調整がつきます限りにおきましてつけたその結果における射撃の態様というものを考えてまいりたい、こういう考え方でございます。
  196. 古寺宏

    ○古寺委員 工事が始まるのが四十七年度で、四十九年度にはもう完成するわけでございますね。その間にそういうような地元住民との折衝あるいは漁業者の折衝等をおやりになる、こういうようなお話でございますが、地元の住民の意思を全く無視してこういうことを押し進めるということは行き過ぎじゃないかと思うのですが、どういうもんでございますか。
  197. 蔭山昭二

    ○蔭山説明員 この問題につきまして、もとより先生御指摘のように、私どものほうもなるべく早くそうした面の調整を完全に終わらなければならぬということで考えておりますが、何ぶん陸上の問題と、それから保安用地の借り上げの問題、それから海上における制限海域の問題、特にこの制限海域の問題につきましては、現在なお鋭意詳細にわたっての検討を完全に終わっておりませんので、これを急ぎまして、そしてそういうものの成案ができた段階におきまして、関係の方々との調整を四年間かかってやるという趣旨ではございませんで、そういったものは直ちにそうしたお話し合いを関係方面と始めたい、こういうことでございます。
  198. 古寺宏

    ○古寺委員 運輸省は来ましたか。——来るまで待ちたいと思います。
  199. 小林信一

    小林委員長 ちょっと速記をとめてください。   〔速記中止〕
  200. 小林信一

    小林委員長 速記を始めてください。  運輸省の航空局の泉さん、あなたですか。
  201. 泉靖二

    ○泉説明員 はい。
  202. 小林信一

    小林委員長 委員会から運輸省のほうにだれか出てくるようにという要請に基づいて、あなたがいまおいでになったのですか。
  203. 泉靖二

    ○泉説明員 はい、さようでございます。
  204. 小林信一

    小林委員長 あなたの省には国会の中に政府委員というのはありませんか。
  205. 泉靖二

    ○泉説明員 あります。
  206. 小林信一

    小林委員長 この委員会にはそういう人は回さないのですか。
  207. 泉靖二

    ○泉説明員 本日みな出払っておりまして、急に私出るように命ぜられて出てまいりました。
  208. 小林信一

    小林委員長 運輸省ががらあきというわけではないでしょうね。
  209. 泉靖二

    ○泉説明員 そうではございませんが、いまのところこの問題について出られる者がおりませんでした。空域を担当している私が参りました。
  210. 小林信一

    小林委員長 それにしても大事な審議がとまるほど重大な問題でお招きしているわけですが、あなたも政府側ですから、私ども国会の立場から一言申し上げますが、実はきょうは環境庁長官に私ども一喝食ったわけなんです。環境庁長官は、幾ら質問者が立っても自分に質問がないから、おれは用はないのか、ないものをどうして呼ぶのだというふうにだいぶごきげんが悪かったわけです。今度また必要な、質問者が出席を運輸省に要請して、私の耳に入ったのは、一時間前に、出ましたという報告があったわけだ。もうその一時間という時間の経過から見ても、いかに運輸省は当該委員会を軽視しているかがわかるわけなんだ。しかもどこの委員会にも必ず政府委員がいて、そういうふうな場合には委員部も一生懸命に連絡をとって出席方をお願いしますが、しようにもしようがないのだ、ここは。そして電話では、一時間前に、出ました、そういう連絡を受けている。これは当該委員会を非常に侮辱されたような感がするわけですよ。そういうような、委員の方たちの大事な質問を審議をする気持ちの中にそういうものがあるわけなんで、実はあなたがおいでになったのはどういう係か知らぬけれども、いまの質問者は、大臣が都合が悪ければ次官というふうにお願いをしているわけなんですから、あなたは大臣という一応代理もつとめているわけなんだから、私は厳重に運輸省に抗議を申します。きょうは答弁をして帰っていただけばけっこうですが、このままでは私ども委員会としては承知できないのです。
  211. 泉靖二

    ○泉説明員 つつしんで承りまして、大臣にそのように報告いたします。
  212. 小林信一

    小林委員長 あなたを責めてもしかたがないのですが、とにかく出ましたというふうな、ほんとうに出たならば出た時を言ってください。一時間前に、古寺さんがいま質問している最中なんですが、運輸省から来ましたかと言ったから、委員部の人たちに電話をかけてもらったら、出ましたという返事をしたのです。そういう軽率な、ごまかしのあいさつなんかはこの委員会ですべきものじゃないと私は思うのです。
  213. 泉靖二

    ○泉説明員 そのとおりであります。
  214. 小林信一

    小林委員長 もしできましたら運輸省責任ある人に来てもらわなければ、私はほんとうにこれから運輸省関係答弁を受けるような気持ちになれないのですが、しかしそれでは審議が進みませんから、一応審議を進めますが、これは委員会としての意向であることをお伝え願って、しかるべき措置をしてもらいたいと思うのです。今後このようなことがあれば、これは国会の権威を運輸省が軽視しておるということにもなると思うのです。あなたを追及することはあるいは的をはずれているかもしれませんが、そういう委員会の意向であることをお伝え願いたい。
  215. 泉靖二

    ○泉説明員 御趣旨を十分に大臣に伝えます。
  216. 小林信一

    小林委員長 古寺宏君。
  217. 古寺宏

    ○古寺委員 それでは運輸省にお尋ねいたしますが、よろしゅうございますか。  きょうの新聞に載っておりますが、御承知のことと思いますが、青森県の車力村にミサイルの射撃場ができるわけでございます。ところがその上空が民間機の訓練空域に今年の八月の十一日になっているわけでございますが、ここに民間機の訓練空域を設けた理由はどういうわけでございますか。
  218. 泉靖二

    ○泉説明員 お答えいたします。  先般雫石上空の不幸な事故がございました。それ以来空域の設定につきましていろいろ反省をいたしました。その中で一番大きな部分は、従来米軍、防衛庁、民間、これがばらばらに訓練をいたしておりました。その空域が一般航空交通の通ります空域と重複しているところがあったわけでございます。そこで一般航空交通の通過いたします空域と訓練空域を分けようということになりまして、自衛隊の訓練空域同様民間の低高度の訓練空域をそこに設定した次第でございます。
  219. 古寺宏

    ○古寺委員 その設定にあたりましては、防衛庁とは御相談なさったのでございますか。
  220. 泉靖二

    ○泉説明員 防衛庁と相談いたしております。
  221. 古寺宏

    ○古寺委員 その防衛庁と交渉した段階において、こういうような射撃場を設置するというようなお話はなかったのですか。
  222. 泉靖二

    ○泉説明員 ございませんでした。
  223. 古寺宏

    ○古寺委員 防衛庁が、先ほどいろいろと土地の問題がございましたが、この土地の所有者に対して交渉を、折衝を始めたのはいつごろからでございますか。
  224. 薄田浩

    ○薄田政府委員 村当局とはことしの夏ごろでございます。それから所有者の方とは九月ごろから折衝しております。
  225. 古寺宏

    ○古寺委員 先ほど御答弁がございまして第一地区、第二地区の地番を御説明を承ったのですが、この面積は幾らでございますか。
  226. 薄田浩

    ○薄田政府委員 第一地区が三十二万八千六百六十六平米、それから第二地区、これが二十万二百四十平米であります。第三地区とわれわれ称しておりますものが五十二万二千八百八十三平米。合計いたしまして百五万千七百八十九平米でございます。
  227. 古寺宏

    ○古寺委員 そうしますと、先ほどお話がございました所有者には間違いごいませんですか。この百五万平米を三人の方が所有していらっしゃるわけでございますか。
  228. 薄田浩

    ○薄田政府委員 さようでございます。
  229. 古寺宏

    ○古寺委員 繰り返してお尋ねいたしますが、三人の所有による百五万平米というふうに承ってよろしゅうございますか。このほかには所有者はいらっしゃらない、間違いございませんか。
  230. 薄田浩

    ○薄田政府委員 そのように御理解いただいてけっこうでございます。間違いございまん。
  231. 古寺宏

    ○古寺委員 そこでもう一度運輸省にお尋ねしますが、これは全日空の事故の問題でこういう訓練空域というものをきめたと思うのでございますが、その時点では防衛庁のほうからは何もお話がなかった。今回このミサイルの射撃場設置の問題についてはどういうような交渉があったのですか。
  232. 泉靖二

    ○泉説明員 実は本日本件について協議がございました。しかし協議を受けたばかりでございますので、まだ検討中でございます。
  233. 古寺宏

    ○古寺委員 この新聞の記事を読みますと、同じ空域で航空訓練をナイキの発射と一緒に行なうということは非常にむずかしいことだ、こういうふうに運輸省見解が載っておりますね。これは事実でございますか。
  234. 泉靖二

    ○泉政府委員 まだ完全な検討は経ておりませんが、運輸省といたしましては、同じ空域で訓練を行ない、かつ、ナイキの射撃をやるということについては、憤重な検討をしなければならないと存じます。
  235. 古寺宏

    ○古寺委員 そこで、防衛庁にお伺いしたいのですが、土地の交渉を始めたのは、もう夏ごろから始まっておるわけでございますね、その時点において、すでにミサイル射撃場を設置するという計画はあったわけでございますので、そういう点について、なぜ運輸省とお話し合いをしなかったのか、その理由を承りたいと思います。
  236. 蔭山昭二

    ○蔭山説明員 実は、この国内射場の設置につきましては、防衛庁としては、従来から長年の懸案ではございましたが、何ぶん経験といたしましては初めてのことでございまして、米国内の射場の状況、それから、ほかにクレタ島というところでもNATOの射場がございまして、それから、ハワイにもございます。もちろん沖繩にも現在米軍の射場があるわけでございます。そういった面のいろいろな要素を勘案しながら、国内の、特に車力村を発射地点と選定いたします制限海域の詳細につきまして、なお実は成案を得ておりません段階で、そこで関係各省庁に対するお話をいたしますのがおくれましたのが実情でございます。
  237. 古寺宏

    ○古寺委員 時間がないので、一応これであれしますが、いままでのお話を承っておりますと、防衛庁というのは、ちょうどかつて米軍が沖繩へ来て、土地をかってに住民から取り上げたような、そういうことに近いことを現在現実に行なっているとしか思えないわけでございます。こういう自然公園の問題あるいは漁業の問題、農業の問題、運輸省との関係、いろいろな問題がございます。こういうことを防衛庁だけがかってにこの土地を買収して、そうして推し進めるということは、非常にこれは危険であると思う。今後、こういう点について慎重に、これは国民の問題です、慎重に進めていかなければならないと思いますが、そういう点について反省をしているのかどうかを承りたいと思います。
  238. 蔭山昭二

    ○蔭山説明員 お話のとおりでございまして、私どもとしては、反省をいたし、なお、関係各省庁と十分慎重なお話し合いをさせていただきたいと思います。
  239. 古寺宏

    ○古寺委員 それじゃ、時間でございますので、これ以外の問題はこの次の機会に譲りまして、きょうはミサイルの射撃場の問題はここで一応終わります。  次は新潟の油濁の問題についてお尋ねしたいと思うのです。  最初に、海上保安庁にお尋ねしたいのですが、私が十二月の一日の委員会でも、この処理剤の問題については二次公害のことを申し上げました。また、きょうの午前中の審議におきましても、島本委員からもこの点の指摘がございました。そこで、運輸省では、昭和四十二年から日本海難防止協会に毒性の実験を行なわせておりますけれども、こういうことについて海上保安庁はどういうような実験をいままでおやりになっているのか、試験をおやりになっているのか、承りたいと思います。
  240. 手塚良成

    手塚政府委員 私ども自体では直接やっておりません。部外の権威のあるところに委託調査に出しております。
  241. 古寺宏

    ○古寺委員 海上保安庁はどこのどういう機関に対して委託研究をしていただいているのでしょうか。
  242. 手塚良成

    手塚政府委員 日本海難防止協会に委託に出し、防止協会はさらに東大の水産学部に出しております。
  243. 古寺宏

    ○古寺委員 水産庁はいかがですか。
  244. 藤村弘毅

    ○藤村政府委員 水産庁といたしましても、海難防止協会からの依頼がありまして、昭和四十三年、東海区水研におきまして処理剤の実験をいたしております。   〔委員長退席、島本委員長代理着席〕  実験の内容といたしましては、おもにヒメダカでございまして、淡水魚でございますが、ヒメダカを濃度によりまして、四十八時間で何PPMの濃度で死ぬかという実験をいたしております。その後、水研独自といたしましても、若干の補足の実験をいたしております。
  245. 古寺宏

    ○古寺委員 運輸省いらっしゃいますね、運輸省はどういうような研究を委託しておりますか。
  246. 見坊力男

    ○見坊政府委員 運輸省本省としては別にやっておりませんので、外局の海上保安庁のいま申し上げたようなことでやっております。
  247. 古寺宏

    ○古寺委員 通産省はどうでしょうか。
  248. 久良知章悟

    ○久良知政府委員 私の所管事項ではございませんが、通産省といたしまして、特にこの件についての研究を直接やっておるということは聞いておりません。
  249. 古寺宏

    ○古寺委員 通産省の担当の方いらっしゃらないのですかね。
  250. 島本虎三

    ○島本委員長代理 ちょっと速記をとめてください。   〔速記中止〕
  251. 島本虎三

    ○島本委員長代理 速記を始めてください。
  252. 古寺宏

    ○古寺委員 それでは、これは通産省が大阪で研究したはずでございますので、その点について詳しい方を呼んでいただきたいと思います。
  253. 久良知章悟

    ○久良知政府委員 工業技術院の所管であろうかと思いますので、さっそく連絡をいたします。
  254. 古寺宏

    ○古寺委員 そこで、海上保安庁長官にお尋ねしたいのですが、現在までに処理剤の毒性というものについてはある程度の研究の成果というもの、中間報告というものが出ておりますが、中には、非常に猛毒を持っている処理剤もあるわけでございますが、今回の新潟事故に際しましては、大急ぎにこの処理剤をかき集めた関係上、あらゆる処理剤を使っております。したがいまして、その中には、いろいろな二次公害を考えなければならない処理剤がたくさん入っているわけでございますが、なぜこういうふうにいままでいろいろ研究機関で研究した結果というものを公表しないのか、発表しないのか、その点についてお尋ねしたいと思います。
  255. 手塚良成

    手塚政府委員 私どもの委託研究の成果といいますのが、完了いたしておりません。中間という意味で、私どもがもらっておりますのも、まあ一応は事務上の処理の必要性ということで言われておる程度のものでございまして、当該関係機関からもなお完了を待ってその後の措置にということで、私どもは急がしておりましたが、まだそういう意味合いの程度でございますので、今後完結を待ってしかるべき措置をとりたい、かように考えております。
  256. 古寺宏

    ○古寺委員 この海難防止協会から出ている昭和四十三年度の報告書の中に、毒性について報告が載っておりますね、その後に出た報告書には載っておりません。したがいまして、昭和四十二年から始めて、なぜこういうような空白ができたのか、その理由を承りたいと思います。
  257. 手塚良成

    手塚政府委員 私が先ほど申し上げました委託先の日海防と申しますのは、昭和四十五年からつながっておるようでございます。その以前におきましてやりましたところは、こことは別で、東海区水産研究所水質部というところで一応のやった成果があるようでございます。これはおそらく、いろいろあて先が変わったり継続しておりますのは、なかなかその成果のはっきりしたものが出ない、いろいろなところでいろいろなやり方、いろいろな対象で研究をしておるということで、こういうふうにつながってきておるかと考えます。
  258. 古寺宏

    ○古寺委員 そういう研究の成果というもの、毒性というものをなぜ発表しないのかということをお尋ねしているわけでございます。
  259. 手塚良成

    手塚政府委員 再度の同様なお答えになるかと思いますが、私どもは成果を待って、完結をいたしまして、それで世に問いたいというのが真意でございまして、しかも、本来私どもは、これは使用者の立場に立つものでございますので、一般にこういうものを私どもは研究したら必ず出すという立場でもないかと思います。しかし、使用者としては一番広い使用の立場にありますから、やはりこれらの成果がありましたら、私どもも業界にしかるべき措置をとりたいし、一般の私ども以外の使用者に対しても、そういう成果に基づいた指導をしたい、こういうことをかねがね考えておったところでございます。いまやっております東大への委託も明年二月ということで一応聞いておりましたので、二月が来たらばということで、決意をしておった最中でございます。
  260. 古寺宏

    ○古寺委員 そういたしますと、処理剤を使いまして、二次公害によっていろいろな被害が発生した場合には、これはだれが責任を負うことになりますか。
  261. 手塚良成

    手塚政府委員 ただいま使います場合は、海洋汚染防止法によりますところの海洋汚染防除、中和ということで、これを使用することにしております。したがいまして、一般民間で使いますのは当然民間でございますが、私どもが使いました場合に、この汚染防止法では、そういった公害の責任者はこれはやはり原因者であるというたてまえになっております。私どもが使いますのは、そういう原因者への協力、つまり緊急であるとか、きわめて大量であるとかいうことで、原因者自体が処理できない、そのために一般公共に影響を及ぼす、そういうときにかわってやるというたてまえになっております。したがって、私どものやりましたものはまた相手の原因者からこれを求償するということになっておりますので、いま先生のおっしゃいます責任は、そういう原因を起こしたものである、かように考えます。
  262. 古寺宏

    ○古寺委員 そこで、もう一つ伺いしておきたいのですが、各港等の石油基地にはあるいは海上保安部には、こういう処理剤を用意してございますね。その場合に、この処理剤を使用した場合にもやはりこれは原因者ということになりますが、原因者のいない場合はだれが責任を負うわけでございますか。たとえば今回問題になっている木更津等の問題もございますが、こういう全然原因者がわからない油の汚染があった場合に、海上保安部が処理剤を使って二次公害が発生した場合に、これは一体だれがその被害に対する補償をしてくださるわけでございますか。
  263. 手塚良成

    手塚政府委員 私どもはただいまのようなたてまえでやりますから、あくまでも原因者追及するということを真剣に進めてまいります。全く不明な状態というようなことになれば、そういう事態がかりにあるといたします場合には、それはやはり国の立場ということでやることになるかと思います。そうした際に、その責任はおのずと国が負うということになるかと思いますが、そういう全くわからないというケースがどういう際にどういうふうに起こるか、これは目下私どもとしてはまだ明白にしておりません。
  264. 古寺宏

    ○古寺委員 もう一つ、各タンカーあるいは油の業者が、実際にその油濁が起きた場合に、海上保安庁の指導に基づいて処理剤を使ったところが、非常に大きな二次公害が発生した、こういう場合には、これは使用者でございますか、指導したほうの責任でございますか、この点を承りたいと思います。
  265. 手塚良成

    手塚政府委員 私どもの指導も、私ども自体が使いますと同じような意味合いにおいてこれを使う、絶対的な必要性がないときにむやみに使うなというような指導をやっておるつもりであります。使います場合は、やはりこれが非常に大量、しかも緊急の場合に使う、これを使わないほうがむしろ被害が大きい、今度の新潟のような場合も、あの際ほうっておきますと、火災、爆発の危険がある、周辺の人家に被害、影響を及ぼすであろう、こういう際に使うということにいたしておりますので、指導につきましても同様なたてまえで指導いたしております。
  266. 古寺宏

    ○古寺委員 今回のこの新潟では大体どのくらいの処理剤が使用されておりますか。
  267. 手塚良成

    手塚政府委員 一かん十八リットル入りを二万九千八百九十四かん使用いたしました。
  268. 古寺宏

    ○古寺委員 この処理剤を使った場合に、先ほどのお話ですと、バクテリアか何か分解してしまうというようなお話でございましたが、プランクトンがこれを食べまして、さらに小魚が食べて、大きな魚が食べて、人間が食べる、こういうような状況になるのでありますが、油やあるいはこういうような処理剤が大体五千倍くらいに濃縮されるというようなお話も聞いておる、そういう場合に、もしもそういう汚染された魚を食べて、人間が死亡するまでいかなくとも、人体にいろいろな障害が出てきた場合には、これをだれが補償するわけでございますか。
  269. 手塚良成

    手塚政府委員 人体への影響があるかないかということ自体が、現在の段階では、先ほどの研究成果等も出ておりませんことから見ましても、まだ明白ではございません。水産庁自体でいろいろ水産魚類への影響等も御研究のようでございますが、まだ結論は出ていないと思います。したがいまして、人体への影響はどういうふうになるのかまだかいもくわからないと申し上げてよろしいかと思います。
  270. 古寺宏

    ○古寺委員 かいもく現時点においてわからなくても、将来それが判明した場合にはどういう責任をおとりになりますか。
  271. 手塚良成

    手塚政府委員 私どもは、これはなかなか法律的にはむずかしい問題があると思いますが、当初まきましたときからの因果関係等がきわめて明確でありますれば、先ほど汚染防止法で申し上げましたような責任関係になると思います。
  272. 古寺宏

    ○古寺委員 外国におきましては、英国あるいはフランス、アメリカ等におきましては、処理剤の使用はほとんどいたしておりませんようでございますが、新潟の場合は火災の危険があるので大量に使用した、こういうお話でございますが、新潟では火災の危険性が十二分にあったというふうに御判断なすったんでしょうか。
  273. 手塚良成

    手塚政府委員 火災の危険性は十分にあったと判断いたします。現在油の瀬取り、抜き取り作業をやっておりますが、この過程におきましても非常に危険である。したがいまして、市消防署から関係の職員が出まして、毎日その瀬取りの最中検知機をもって検知をしておるという状態でございますので、あの事故の起こった直後におきましては非常に危険であったと判断をいたしております。  なお処理剤の使用につきまして、外国におきましては、アメリカでは一応禁止されておるように聞いておりますが、ヨーロッパ方面においては現在禁止はされておりません。そういう意味で、けさほど一応お答えしたかと思いますが、現在の処理について、シェルの公害防除担当技術者が来ておりますけれども、この技術者の連中もやはり当時としてそういう処理剤を使うことをわれわれにアドバイスをいたしております。
  274. 古寺宏

    ○古寺委員 私がこの前質問いたしました場合には、火災の危険がないというような海上保安庁からのお話がございました。  そこで、この火災に対するいわゆる消火体制でございますが、海上保安庁は火災に対しては処理剤のみで消火を行なうわけでございますか。
  275. 手塚良成

    手塚政府委員 処理剤は一応その油を乳化、拡散させますので、その限りにおきましては、火災の一部の防除の手段かと思いますが、ただそれだけでは火災防除に十分ではございません。そういう体制の中でもやはり火災が起こるかもわかりません。起きた場合に対する体制という問題が必要かと思います。そういう面におきまして、私どもの船にはそういう化学消防能力を持たせ、それに必要な消火剤等を備蓄いたしております。
  276. 古寺宏

    ○古寺委員 新潟事故の場合に、火災の危険があるのに消防艇と申しますか、大型の化学消防艇が新潟には行っていないようでございましたが、これはどういう理由によるものでございますか。
  277. 手塚良成

    手塚政府委員 私の申し上げました船による化学消防能力は、普通の巡視船艇にそういうものをさらに併置をしておるわけでございます。そういう意味合いの巡視艇というのは現場に出ております。先生のおっしゃいますような船は、おそらく消防専用で、東京湾、四日市、下津の三カ所に置いてある式のことをお考えかと思いますが、ああいったものは当時としては現場に配置をいたしておりませんでした。
  278. 古寺宏

    ○古寺委員 そういう消火のために必要なものは配置をしないで、処理剤だけを一生懸命お使いになるということは、どうも納得いかないのでございますが、今後この漁場の汚染を回復するまでには相当の期間を要するのではないかということを現地の方々が心配をいたしておりますが、大体海上保安庁といたしましては、現地の漁業従事者がいつごろから漁業に従事することができるというふうにお考えでしょうか。
  279. 手塚良成

    手塚政府委員 私のほうに直接漁業者の方々から、かくかくの漁業被害という意味でのお申し出なり事実のお示しは来ておりません。おそらく水産庁自体で調査団を編成して現地においでになり、その後いろいろ措置をおとりになっておりますので、そちらのほうでそういう実情を聴取し、対策をお立てになっておると考えております。そういう意味で今後いつからということは、私からは申し上げないほうが適当かと思います。  なお、前段で、現地新潟等におきまして、ただいま私申し上げましたことで、化学消火剤がゼロであるかのような御印象をお受けになったといたしますと間違いでございまして、当時といたしまして化学消化剤は九管管内に三千トン、民間に十四万トン、合計いたしまして十四万三千トン現地に備蓄しておりました。
  280. 古寺宏

    ○古寺委員 この漁業の回復の問題については、水産庁はどういうふうにお考えになっておりますか。
  281. 藤村弘毅

    ○藤村政府委員 現在までにこういう事故がございませんので、いまのところこれからどういう被害が出て、いつこの被害がなくなるという予測はちょっと立ちかねますが、私が現地に出まして計画を立てましたが、新潟県、山形県の調査船、監視船、それから私どもの日本海区水産研究所の調査船によりまして、この水域につきまして、主として現場から粟島を結んだ線以東の海域でございますが、この海域の採水と採泥、生物採取を行ないまして、この海域におきまして油と油処理剤の分析を行なってみたいと考えております。これによりましていつから漁業ができるかというのはわかりませんが、こういう調査を一応三月一ぱい進めまして、三月になりましてからその後の調査の必要性を含めまして、調査方法を検討いたしたいというふうに考えております。
  282. 古寺宏

    ○古寺委員 そういたしますと、三面川とか、あの沿岸からもたくさんサケが上がっておりますね。これを市場に持っていったら全部返品された。漁業者は非常に困っているわけなんですが、こういう方々はそうしますと、その間生活にも困る。操業もできない、とっても売れない、生活に困るわけですが、こういう方々に対してはどういう対策をお考えですか。
  283. 藤村弘毅

    ○藤村政府委員 新潟市以北の新潟県の漁業協同組合は二十ございますが、この二十につきまして、今後三月までの間、万一とれなかったとしたらどれくらいの額になるものかという推定をいたしまして、それが約六億九千万円でございまして、漁業者のほうの要求が六億九千万円ございますが、これについて天災融資法並みの金利で県がこれに貸し出す場合、天災融資法は三分でございますけれども、三分になるように国と県でこれの利子補給をいたしたいというふうに考えております。県といたしましては、とりあえず一億円の融資をきめておるのでございます。
  284. 古寺宏

    ○古寺委員 そうしますと、来年の三月になっても漁場がもとに復旧しない。公害その他で操業ができない。これは一年かかるものか、二年かかるものかわかりません。そういたしますというと、さらにまた天災融資法と同じような融資を行なうのでございますか。
  285. 藤村弘毅

    ○藤村政府委員 ただいまも申し上げましたように、これから、調査をいたしておりますので、それに基づきまして三月にどういう措置をとるか検討いたしたいというふうに考えております。
  286. 古寺宏

    ○古寺委員 ところが漁民といたしましては、来年の三月になって、はたして自分たちが仕事ができるかどうかということをいま心配しているわけです。不安なわけです。ですからそれは調査の結果によらないとわからないとは思いますが、私は先日行ったときには、水産試験場で砂であるとか、海藻であるとか、海水を取ったのにどこへ持っていって分析したらいいのか、どこでこれを調べてもらえばいいのか、実際にとったものはあるだろうけれども、そのまま放置されているわけですね。そういうことではいつまでたったらこの調査の結果が出るかということが非常に心配なわけでございますが、その調査の具体的な方法はどういうふうになっておりますか。
  287. 藤村弘毅

    ○藤村政府委員 私、八日から十一日まで参りまして、山形県水試、新潟県水試、水産庁の日本海区水産研究所、東海区水産研究所を集めまして、現場で採水方法から採泥方法を検討いたしましたし、それによりまして分析をどこでどういうふうにするかということを打ち合わせてまいりました。あまりこまかくなりますから、こまかい点は省略させていただきますが、調査船といたしましては新潟県の越路丸、苗場、弥彦丸、水産研究所のみずほ丸、山形の最上丸、月峰、この六隻で採水、採泥をいたす予定でございます。採水、採泥の地点もきめてまいりました。  それから、油の分布状況等は九管のヘリコプター等を飛ばしておりますので、これによって油の分布状況を見せてもらうことにしております。  採水につきましては、新潟県水試が主体となって日水研が協力してこれを行なう。採泥につきましても、同様でございます。  それから、分析は一部新潟県水試が行ないますが、これにつきましても、分析の方法等は東海区水研がこれを指導いたしますとともに、日本海区水研が一部受け持って分析をいたしますが、主として油並びに処理剤、油の処理については東海区水研が指導して新潟県水試が行ないます。その他のものについては、主として東海区水産研究所で行なうように計画してまいりました。
  288. 島本虎三

    ○島本委員長代理 なお、古寺君に申し上げますが、そろそろ時間になっておりますが、工業技術院から佐々木産業公害研究調整官が呼ばれて来ております。せっかく参っておりますので、その方面に御質問あらばまあひとつしてやっていただきたいと思います。
  289. 古寺宏

    ○古寺委員 それでは通産省にお尋ねいたしますが、処理剤通産省のいままでの研究の結果について御説明を願いたいと思います。
  290. 佐々木亮

    ○佐々木説明員 古寺先生の御質問の御趣旨は、通産省におきまして原油処理剤の毒性の研究をしたことがあるかという御趣旨だと拝察するわけでございますが、これの体系的な研究というのはいたしておりません。  しかしながら、部分的と申し上げますか、きわめてプリミチブな段階での実験は大阪工業技術試験所においていたしておるわけでございます。それで、そういった処理剤を使いまして、たとえば金魚でございますね、そういった金魚が十匹いたところへ処理剤を単位時間入れまして、どれくらい金魚が死なないで残っておるか、こういうようなところのきわめてプリミチブな段階でございまして、現段階におきましては、それで評価云々というところまでは行っておりません。  以上でございます。
  291. 古寺宏

    ○古寺委員 政務次官がお聞きになっていらしたと思いますけれども海上保安庁あるいは通産省でもってこの処理剤の毒性の研究というものは今日まで行なってきたわけでございます。しかしながら、現実の問題としてこの毒性のあるものを使用しているがゆえにこの内容を発表していないわけです。したがいまして、毒性の強いものも弱いものも全部これをもう同じような考え方で、使用する場合には使用いたしております。こういうことがもっと早くわかっておれば、使用する場合に毒性の少ないものを使って漁業被害を防止することもできるし、また今日未知の問題であるところの人体に対する悪影響というものもある程度防止できるのじゃないか、こう思うわけでございます。  したがいまして、今後環境庁におきましては、これらのいままでの研究の成果というものを一応整理いたしまして、どういう処理剤が毒性が強いのか、どういうものが現段階ではやむを得ざる場合には使用してもよろしいというような、そういう基準を早急にきめる必要がある、こういうふうに考えるわけでございます。  なお、この毒性の問題については、国民にほとんど知らされておりませんが、いままでの成果については中間の段階でもかまいませんので、国民に対してもこの毒性のことについてはやはり公表すべきである、こういうふうに考えるわけでございますが、政務次官の御答弁を承って終わりたいと思います。
  292. 小澤太郎

    ○小澤(太)政府委員 全く古寺委員のお説のとおりでありまして、この面の研究が十分に進んでおらない、そのときにこのような事件が起こりました。まことにわれわれとしては遺憾に思い、また国民に対しましても責任を痛感いたしておるような次第でございます。  御指摘のように、この処理剤の毒性の問題につきましては、あるいは毒性ばかりでなしに、これの物理的ないろいろな起こる現象から水産動物に対する大きな被害があるというような問題については、今後も私はやはり長期的に継続的に調査をしなければならないのじゃないか、こう思います。それをやはり環境庁は各省庁と連絡をいたしまして十分な研究を進めますと同時に、でき得れば、その使用の基準等につきましてもつくっていきたい、かように考えます。  また、調査の結果の公表の問題は、もうこれは当然国民に周知していただき、国民の協力を求めなければなりませんし、また民間の各機関の研究の材料にもなると思いますので、これは仰せのとおり、努力してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  293. 島本虎三

    ○島本委員長代理 岡本富夫君。
  294. 岡本富夫

    ○岡本委員 時間が相当経過しておりますから、要点のみを申し上げ、また質問いたしますから、簡潔にわかりやすくお答えをいただきたいと思います。  十五世紀から十六世紀にかけて英国では土地の囲い込み運動、こういうようなことが起こりました。これは何かといいますと、小農民、小さな土地を持っている農民が、その生活基盤であるところの土地を追われ転落していった。これは、ちょうどその当時羊毛が非常に価格が高くなった。そのために土地を全部羊毛の羊を飼うところの土地に変えていって、とうとう最後には羊が人間を食ったという話があるわけです。これは昔の話のように聞こえますけれども、ちょうど現在のわが国の姿はそうではないかと思うわけです。  そこで、その時点に立って、私は、今日環境庁があるのは、そういった人間が経済に追われてしまって、ついに生活ができなくなってしまうということのないようにするために環境庁が生まれたと思うのでありますが、その一つの事例といたしまして、港湾の埋め立て工事、こういうものが行なわれておりまして、その付近の海水浴場あるいはまたレクリエーションのすばらしいところ、あるいはまた環境破壊、こういうのが起こっておる。これはやはりどうしても環境庁で規制しなきゃならないと思うのです。  そこで、この公有水面の埋め立ての法律を見ますと、これは大正十年——これは建設省関係ですけれども、に施行されておりますが、ここには一つも環境保全あるいは公害の問題はないわけです。また、運輸省のほうの、これは五十八条ですか、港湾管理あるいは公共水面の埋め立てについてのこの法律も、環境保全というものは一つもないわけです。  したがって、これはやはりどうしても現在の時点に立って改正しなければならぬのじゃないか、こういうように思うのですが、まず政務次官からお答えをいただきたい。
  295. 小澤太郎

    ○小澤(太)政府委員 公有水面埋立法の関係につきましては、岡本先生の御指摘のとおり、実は私、環境庁に参りまして、そういう面も一応法律を当たってみました。ところが、遺憾ながら、御指摘のとおり、環境庁が直接関与するようなかっこうになっておりません。都市計画法については環境庁長官に協議をするようになっておりますが、こういう欠陥がありますので、私も事務当局には、この点についてさらに検討して、立法措置等が必要があればこういう面にひとつもっと研究するように、こういう指図をいましておるところでございます。
  296. 岡本富夫

    ○岡本委員 あなた、この法律をごらんになって、立法措置が、要するにこの改正が必要であるかどうかということを検討されておるというお話でありましたけれども、これは、すでにことしの予算委員会で、わが党の小川君が建設大臣に対して、これは改正しなければならぬじゃないか、これに対して、そういう時点になっておるというような答えが出ておるわけですが、特に環境庁の立場としてもう検討の段階ではないのじゃないかと私は思うのです。もう少しはっきりしたことを言ってもらいたい。
  297. 小澤太郎

    ○小澤(太)政府委員 私は個人としては、この点を指摘いたしまして、法の改正をすべきである、こういう考えを持って事務当局には指図をいたしております。さらに、これだけでなしに、あるいは御質問があとからあるかもしれませんけれども、いま自然環境保護法というのを考えておりまして、もっと広い面で埋め立て地等についても規制ができるようにというようなことも考えておるわけでございまして、あわせてどういうようにするかということをいま検討しておるような次第でございます。
  298. 岡本富夫

    ○岡本委員 建設省の河川局長、来ておりますか。——あなたのほうではこれをどういうように考えておりますか。
  299. 川崎精一

    川崎政府委員 ただいま先生のお話のように、当時小川先生から私どもの根本大臣にそういう御質問がございまして、やはり大臣から、現在の埋立法につきましては、これは大正十年以来の法律でございまして、非常に時世に合わないというようなことで、ぜひ改正の方向で検討したい、こういうお話でございました。私どもにもそういう指示がござました。したがいまして、環境改善の面はもちろんでございますし、いろいろ時世に合わない点もございますので、私どものほうで積極的にその内容等現在検討いたしまして、各省ともその上で成案を得ましたら協議をいたしまして、改正の方向に進みたいと考えておる次第でございます。
  300. 岡本富夫

    ○岡本委員 運輸省の港湾局長、これについて……。
  301. 栗栖義明

    ○栗栖政府委員 ただいま建設省のほうからもお話がございましたが、全く同感でございまして、港湾と申しますと、施設をつくるにつきましても、規模の大小は別にいたしまして、やはり埋め立ての問題が起こってまいりますので、そういう意味では建設省と御一緒に改正の方向で検討したいと思います。
  302. 岡本富夫

    ○岡本委員 そこで、この改正されるまで、東京湾地域整備連絡会議ですか、ここに整備委員会が本年の七月に事務次官の申し合わせでできておるわけでありますが、それには建設省、運輸省通産省それから経企庁、環境庁、これがみな入っているわけです。  そこで、具体的な質問を申し上げたいわけでありますけれども、金沢八景の埋め立てについて、運輸省がこれを認可をいたしておりますけれども、これの概況について御説明をしていただきたいと思います。
  303. 栗栖義明

    ○栗栖政府委員 先生御指摘の横浜の金沢地区の埋め立てでございますが、全体計画につきましてはいろいろといま市会で検討されているようでございますが、私どものほうで認可いたしました区域は百八十二万平方メートルでございまして、昭和四十五年の五月三十日に認可いたしまして、それを受けて免許が四十五年の十一月九日に出ております。現在工事が進行中でございます。
  304. 岡本富夫

    ○岡本委員 現在認可いたしましたところの一号地は、使用目的は何であったのか、これをひとつお聞きしたいのです。
  305. 栗栖義明

    ○栗栖政府委員 現在の埋め立て地の利用計画につきましては、都市再開発用地ということでございます。
  306. 岡本富夫

    ○岡本委員 もう少しあなた丁寧に答えたらどうですか、何ぼ早くても。都市開発に対して今度はどういうような計画であった、それをはっきりしてもらいたい。
  307. 栗栖義明

    ○栗栖政府委員 申しわけございません。  御承知のように、現在の公有水面埋立法によりまして利用目的をきめて認可するわけでございますけれども、御指摘のようにかなり大ざっぱのといっては語弊がございますけれども、目的がこまかくきめてございませんで、都市再開発用地というふうな目的で現在の横浜市の過密の市街地を再開発するというふうな趣旨の目的があれば認めるという形でやっておるわけでございます。
  308. 岡本富夫

    ○岡本委員 しかし案外ずさんなものなんですね。当時の開発の認可については、市内の中小企業の公害企業、こういうものの二千社をこっちに移したい、こういう計画ではなかったですか。それは一部入ってませんでしたか。
  309. 栗栖義明

    ○栗栖政府委員 ちょっと私のことばが足りませんでしたけれども、市内の中小工場で公害を発生するものを入れるという意味で市街地再開発ということばを使ったわけでございますが、ただ市の計画の中にどの規模のものをどれくらい入れる、どこをどうするというこまかい点までは私どものほうは十分承知しておりませんけれども、目的がそういうふうな趣旨であるということで市の計画は聞いてございます。しかし計画の内容につきまして、どの工事がいいとか悪いとかということは特別チェックをしてないという意味で申し上げた次第でございます。
  310. 岡本富夫

    ○岡本委員 そういうあなたのお話を聞けば、まことにずさんな認可ではないかと私思うんです。あなたわからなかったら、お答えは課長でもいいですよ。当初この計画によると、八百社の中から公害企業を募って、そして移転をさせるというための土地であるということが認可の申請のときに出ているはずなんです。ところがよく調べますと、県の事業所の表を調べるとそんなにないんですね。移転希望は九百八十二社、全部ひっくるめたとしましてもですよ。しかしこの中で過密市内を引きますともっと少なくなるんです。そういうことを考えますと、当初の計画であなたのほうに出した認可するにあたっての書類が非常にずさんであったんではないか。それに対してあなたのほうの認可するにあたっての認可条件というのは非常にずさんであったのではないか、こういうように私は思うんですが、この点についての御答弁をいただきたい。
  311. 栗栖義明

    ○栗栖政府委員 先ほども申し上げましたように、認可条件というものにつきましていろんな条件がございますけれども、まずいま先生御指摘のように、土地の埋め立ての目的あるいは埋め立て地の利用計画という条項がございまして、これを受けて検討するわけでございますけれども、具体的に何工事があって面積が幾らでという計画は聞きますけれども、利用計画につきましてはやはり市当局があるいは県と相談いたしまして、公害を起こす中小企業を移転させるのに一番都合のいい計画をお持ちになってやっておられるというふうに考えて進めてまいったわけでございます。したがいまして、御指摘のようにこまかい工場の数あるいはその配置という点につきましては、むしろ地方公共団体の行政当局の計画を信頼して進めております。
  312. 岡本富夫

    ○岡本委員 これはいま計画変更しなければならない、こういうふうなことになっておることは、あなたも内々御存じだと思うんですけれども課長報告では、これは計画変更しなければならぬというようなことを言っておりました。そこでおそらくあなたのほうへも書類が来ておると思いますけれども、埋め立てる土、山土ですが、八百万立米ですか、それに対して総金額が二百億ですか、こうなりますと、一立米が計算すると二百六十円になるわけですけれども、こういう土はどこにあるのですか。こういうほうの検討をなさったことがありますか。  なぜ私がこの問題を言うかと申しますと、この埋め立ての工事のちょっとうしろに金沢八景、そのうしろに非常に風光明媚な、ちょうど金沢文庫から鎌倉へ抜けるところのハイキングコース、ここにはたくさん遺跡があるというのですね。また能見堂、これは由緒ある場所ですが、そういうものが全部つぶされてそちらにどんどん運び込まれたんでは、これは京浜近郊において、私見てきましたけれども、非常に風光明媚なまた残しておかなければならぬ土地なんですね。こういうものがこわされてどんどんこっちに持ってこられたとすれば、これはたいへんなことになると思うんです。この点についてあなたのほうでお考えになったことがありますかどうですか。
  313. 栗栖義明

    ○栗栖政府委員 先生御指摘の計画変更、いま市会でも検討中だというふうに聞いてございます。それが固まった段階ではいろいろな問題が関連して出ようかと思います。その時点で、まだ私どものほうに上がってきておりませんので、上がってきてから、御指摘のような点は十分検討さしていただきまして、問題がある点はほかの法律体系にも関連することでございますので、十分相談して検討を進めてまいりたいというふうに考えております。  なお現在行なっております、先ほど申し上げました百八十二万平方メートルに対しますどろにつきましては、全体が約二千二百万立方メートル必要になるのでございますが、現在約一四%程度の進捗率でございます。三百五十七万立米入ったというふうに市のほうからは聞いておりますが、ほとんどが埋め立て予定地の前面を掘って埋めておりまして、一部都市から出てくる残滓であるとかあるいはほかの地域の山土を運んだというふうに聞いてございます。ただしゅんせつ土砂を使いますと、あの辺の土質によりましては、最後に表面を山土でかぶさなければいかぬという問題が起こるかと思います。これについてはまだどこからとるかということはさまっていないというふうに聞いております。
  314. 岡本富夫

    ○岡本委員 向こうの計画書に出ているのですよ。いまあなたがおっしゃったように、前の海の中から揚げる土は千六百万立米ですか、それから普通の土が七百万立米、それから硬質土が百万立米山土八百万立米、こういうようにきちっと出ているわけですよ。そう言ってごまかされたんじゃ話にならないわけです。ですからこれを一つ見ましても、千葉あたりから持ってきますと相当な、一立方メートル五百五十円かかるのですよ。あそこからとれば、すぐ山からとれば一立方メートル二百五十円台くらいでできるわけですね。そういう面から見ましても、やはりこの計画がどの辺からこの山土を持ってくるかということを考えるときに、あなたのほうは港湾だからわしらは関係がないんだ、こういうのではなくして、やはりこっちのほうにも目をつけて、そうして環境保全をしていかなければならぬ、こういうことを私はあなたに申し上げたわけです。  そこで、環境庁長官はきょうはいないので、この話を聞いているはずなんですけれども、政務次官一ぺんこの計画については特別に私は調査する必要があると思うのです。一生懸命に環境保全をしょう、そうして遺跡も残していこう、こういう長官が一生懸命やっておるそのうしろからこういう埋め立てをどんどんやって、そうしてこわしてしまう、こういうことではならないと私は思うのです。政務次官もひとつどういう方法にするか、どういう考えであるかひとつ。
  315. 小澤太郎

    ○小澤(太)政府委員 金沢文庫は鎌倉時代からの史跡であり、金沢八景があの地区で残された自然としてはただ一つのものだと思うのです。それほど貴重なものでございます。それが埋め立ての認可がすでに出てしまったということでありますので、われわれとしてはいろいろ遺憾な点があります。  そこで、ただいま港湾局長から説明を聞きましたように、これは先生御指摘のとおり公害防止のために中小企業を移して、そして環境整備をしようという目的のようです。さらに緑地帯をつくったりあるいは人工の海岸をつくったりして、その面の配慮も十分やるということでありまして、先般飛鳥田市長が環境庁長官を訪問いたしまして、その計画についてもいろいろ説明をいたしました。その際、大石長官としては、いま申し上げましたように、非常に貴重な自然であるから十分慎重にやってもらいたい。特に背後地の緑を、山を削ることによって景観を害するようなことについては、十分注意をしてもらいたいということを強く要求いたしました。飛鳥田市長もその点については自分としても慎重に考えて善処してまいりますという話をされて帰ったということを長官から聞いております。すでにこの計画が進められたものでありますが、幸いにして市議会においても計画の変更等を考えておられるそうでありますから、私どもとしましては、この点われわれの環境保全というたてまえから強く、また行政的に市長とも相談してまいりたいと思いますし、その調査等も長官自分で行ってみたいと言っておられたのですが、あるいは係員を派遣するなりあるいは長官が行くなり私が行くなり一応見てまいりたい。ただ残念なことには、先ほど申し上げますように法の不備などもありまして、私のほうで権限的に関与することができません。これは政府の責任、政府一体としての良識、良心に従って善処してもらうように関係省庁ともこれからは緊密な連絡をとっていきたい。さらに先ほど申しましたように、立法措置としてはいろいろなことを考えておりますから、そういうこともあわせて実行していきたい、かように考えておる次第でございます。
  316. 岡本富夫

    ○岡本委員 計画変更と申しましても、いま認可されているところの一号地が変わるわけではないわけです。一号地のほうはもうすでに認可をやっているわけですけれども、二号地、三号地にもう一ぺん認可申請しようとしているわけです。そこで考えられることは、東京湾の中でもうあそこだけしかきれいなところがない。年間七十万の潮干狩りあるいは海水浴の人たちが行くわけです。そこで今度の計画を見ると、潮流が北から南へ行くようになっている。そこへこの一号地が前へ出てきまして二号がこう出てきますと、海の公園をこっちへつくるといっておりますけれども、そこへ潮流がうまく流れて来ないのではないか。こういうようないろいろな面から研究をして、認可にあたっては——幸い計画変更ということになっておるのですから、このときこそ、ただ市長にうまくやってくれ、これだけではなくしてやはりある程度の——ある程度といってはおかしいけれども、これはこうしなければならぬ、これはこうしてもらいたいというような意見を出してやっていかなければ、いまの法律が不備だからもうよごれてもしかたがないのだというようなことでは私は納得できない、こういうように思うのですがね。
  317. 小澤太郎

    ○小澤(太)政府委員 不備だからしかたがないと申し上げたわけではございません。不備ではあるけれども、さらに先ほど申しましたように政府の態度もはっきりします。さらに市長とも十分行政指導をやっていきたい。飛鳥田市長もこの問題については相当真剣に考えておるようでありますから、そういう面で十分な指導を加え、実質的にいまおっしゃったような環境保全が実現できるように努力する、こういう考えでございます。
  318. 岡本富夫

    ○岡本委員 港湾局長に特に私要望しておきたいのですけれども、あなたのほうは港湾だけだから、港湾に支障がなかったらすぐ認可をおろしてもいいのだということではなくして、やはり環境庁ともあるいは建設省ともよく連絡をとって、先ほど私が意見を出しましたように潮流の問題、それから今後の計画、現在の一号地の計画も中小企業の公害企業が入るというのではなくして、すでに三菱重工が来るような計画もできておるのです。三菱の組合のほうに聞くと、そう行くようになっておるのです、こう言っておる。市のほうでは伏せておるのではないかと思うのですがね。ですから私先ほど申しましたように、羊に人間が食われてしまうことのないように相当目を光らして、認可にあたっては十分な施策をとっていただきたい、これを要望いたします。   〔島本委員長代理退席、委員長着席〕  そこでもう一つ重要な問題があるのです。この市の計画の中に、「なお、変更案による総事業費九百二十一億余円の資金の調達については、昭和四十七年において第四回の外貨建起債九十億円を予定し、その他については、主として埋立地の売却代金をあてる計画としております。」こういう事項があるわけですけれども、ひるがえって、この平潟湾を埋め立てたときの様子を見ますと、京浜急行の子会社みたいな京浜興業いというのですか、これがあるわけですが、市が売却いたしましたのは十八万一千七百平米ですね。これを今度は京浜興業が買いまして、そして売るときには二十万二千平米になっている、こういうようなことになっている。一万八千平米ですか、これぐらいどこからか出てきておるわけですね。要するに、ないものを売っておるんじゃなくて、ふえている。これも何かおかしいんじゃないか。また京浜急行がこの土地を市から六千五百余円で買いまして、それを京浜興業に売ったのが坪七万三千円から七万四千円、坪二万円くらいのものが七万三千円から七万四千円というような実に大きな利益になっておるわけです。そうしますと、この売却については、この「埋立地の売却代金をあてる」というようなところにも何か——その前にこの平潟湾の問題がありますから、そういった面もやはりよく確かめた上でやらないといけないんじゃないか、私はこういうようにも考えるわけです。地元の皆さんが特に心配しておりますのは、こういった東京の近郊において一番すばらしいところがなくなってしまう。市のほうでは、ちゃんと港湾整備をすればきれいになるんだというようなことも説明しているらしいのですけれども、それはそうでないと私は思うのです。企業が来たりあるいは整備すれば、いままで必ずそこから海がよごれておるわけです。その点を、ひとつ今度の計画変更の申請がきた場合に、よく検討をしてやってもらいたい。そうでないと、環境保全、環境保全とやかましく私たちが当委員会で言うておるのに何にもならないと私は思うのです。法律の不備だから——法律の不備であれば、早速これは法律を出してもらって、審議して変えていけばいいわけですからね。その点を特に要求をいたしておきます。  もう一ぺん政務次官、——きょう長官がおると——この点もっと突っ込んで私は長官に聞いていますからね。いろんなことを聞いたことにも間違いもあろう、それも少し指摘したいと思っていたのですけれども最後の決意をひとつ両方から承りたい。
  319. 小澤太郎

    ○小澤(太)政府委員 御趣旨を十分に私理解いたしまして、処理いたしたい、かように考えます。
  320. 栗栖義明

    ○栗栖政府委員 先生の御指摘の点、十分今後の計画変更の認可をする場合にあたりましてはしんしゃくしてまいりたいと思いますし、冒頭にお話ございましたように、東京湾につきましては、関係省庁がいろいろと相談して進めるというふうになっておりますので、この点につきましても、やはり関係省で集まりまして、相談して実施その他につきましてもチェックしてまいりたいというふうに考えております。
  321. 岡本富夫

    ○岡本委員 いま私が指摘いたしましたことは、私もいろいろと聞いたことですから、ひとつよく調査をしていただいて、そして間違いないようにやっていただくように要望をいたしておきます。非常に時間がおそくなりましたから……。  建設省の道路局長、来てますね。いま交通公害で国民が非常に迷惑をしておるというわけで、私、この前、当委員会におきまして、阪神高速道路の問題を取り上げまして要求いたしましたが、要するに、国道四十三号線の周辺に居住しておる人たちが、毎日トラックあるいはまたバスの自動車交通の排気ガスあるいはまた振動、騒音によって悩まされておるというわけで、私は当委員会であなたに要求したことがありますけれども、非常に道路がでこぼこしているというので、さっそくあなたにそこに約五センチのアスファルトを敷き直してもらった。それによって少し振動がなくなった。しかしその道路にはところどころに橋があるわけです。その橋のけたが非常に不完全なもので、これが非常に響くわけです。これは少々アスファルトを敷いたところでどうしようもないわけです。したがってせめて深夜だけでも何とか自動車の、大きなトラックの公害から、振動あるいは騒音からのがれたいというのが、付近に住んでいる住民の皆さんの考え方、また要望なんです。したがって、ちょうど神戸から西宮までの間、上に高速道路があるわけですが、バイパスがあるわけですが、大きな車を、要するにトラックあるいはまた深夜バス、こういうものを、その上を通るように規制をしてもらいたい、こういう要求でありますけれども、それについてのお考えはいかがですか。
  322. 高橋国一郎

    ○高橋(国)政府委員 ただいま御指摘の国道四十三号線の上に阪神高速道路神戸——西宮線が通っておるのでございまして、下の道路である国道四十三号線はたいへん交通がふくそうしておりまして、特に御指摘のように、深夜にも大型が相当通るようでございます。御指摘のように夜間の料金を下げてなるべく上のほうに転換するという方法はあり得るかと思いますけれども、現在のわれわれといたしましては、もし夜間の料金を引き下げるようなことになりますと、ただいまの阪神高速道路公団の計画そのものに大きなそごをいたしますし、償還計画並びに建設計画等に大きなそごをいたしますので、現在われわれ事務当局は、そういうことは実は考えておりません。したがいまして、もし何としても騒音を少なくするには、やはり現在のわれわれの段階では、むしろ車の規制を行なうほうがよろしいのじゃないかというふうに考えておる次第でございます。
  323. 岡本富夫

    ○岡本委員 車を規制しますとどういうことになるか、あなた、おわかりになりますか。九州あるいは四国から大きなトラックをどんどんフェリーで神戸まで持ってくるのです。あそこで交通規制をいたしましたら、その車、そのトラックなんかどこへ行くのか。それは、あなた、ごらんになってないからおわかりにならないのじゃないか。それが一点。  それからもう一点は、夜間料金を安くして上を通すと非常に阪神道路公団の計画に不備を来たす、こういうあなたの話でありますけれども、いままで下を通っていたのですよ。これは、阪神道路公団に一銭も払わぬで通っていたのですよ。それが上を通って、少し金を払ったからといって、どういうそごを来たすのですか。
  324. 高橋国一郎

    ○高橋(国)政府委員 第一点の交通の規制と申しましたのは、単に、阪神のこの地区だけではございませんで、東京都内におきましても、実は、現在方々に起きている問題でございますけれども、私が先ほど申し上げました車の規制と申しますのは、車を完全にとめることを意味しておりません。たとえばの話でございますが、御承知のように、騒音の一番大きな音を出すのは、低速の場合におきましては、エンジンでございます。それから、ある速度以上になりますと、今度は逆にタイヤの摩擦音になります。われわれも、あまり十分な研究じゃありませんが、幾つかの道路を調べた結果によりますと、大体五十キロぐらいのスピードがちょうどバランスがとれるようでございますので、深夜にビュンビュン飛ばすことをやめさせまして、おそらく深夜は交通も少のうございますから、相当のハイスピードで走っておると思われますので、そういう場合に、スピードを制限してやる方法があるのではないかというふうに、実は考えておるけわであります。  それから、第二点の問題でございますが、これはただいまの国道四十三号の車が上に乗ったというお説でございますが、そのとおりでございます。ただ、私が申しました償還計画ないし建設計画にそごを来たすと申しますのは、阪神高速道路公団の事業は、御承知のように、国と地方公共団体が出資し、大部分の金は、それ以外に財投の資金によってまかなわれております。これはいわゆる借金で事業をやっておりまして、料金によって償うことになっております。したがいまして、料金を幾らに定めるか、それは建設費並びに管理費を償う額であること、それから公正妥当なものであるという二つの縛り方から料金をきめてありまして、それに従って、何カ年でペイするという計算のもとに出てきております。したがいまして、夜間におきます料金を減にいたしますと、それによって非常な減収が起きまして、計画にそごを来たすというふうに申し上げたわけでございます。
  325. 岡本富夫

    ○岡本委員 あなたの言うことが、ちょっと私はわからないのです。一つは、夜間上を通して料金を下げると、財投資金なんかを借りておるので、そういうものをお返しするのに経済の上で非常に損をするから困る。いままで一銭も阪神道路公団に払わぬで下を通っている車が——これは一日十万台通るんですよ。夜間も多いんです。上は金がかかるから下をみんな通る。下を通ればみなただなんです。これが上を通ってお金を払えば、阪神道路公団とすれば、遊ばしておる道を通せば、それだけ得になるんじゃないですか。この点、どうですか。
  326. 高橋国一郎

    ○高橋(国)政府委員 阪神道路公団の道路に限らず、有料道路につきましては、建設の完了、つまり供用開始時点において、何万台の車が通るという想定から、それが何カ年続いて、何カ年でペイをするという計算のもとに料金がきめてあります。したがいまして、われわれは夜間にも車の乗ることは想定しておりまして、現在の料金では、これだけの車が乗るということを想定して計算されております。もし、それを下げた場合には、それだけ年限が延びる。つまり年限が延びるということは、すべての計画にそごを来たすわけでございます。そういう結果になるということを申し上げたわけでございます。
  327. 岡本富夫

    ○岡本委員 それはあなた、机上計算なんですよ。実際は、夜間上を通っている車は少ないんです、下をみんな通れますから。上を通っているのは、お金を払いますけれども、下を通る車は一銭も払わない。それを上に回して金を取ったら、いままで八百円かかっていたものを三百円とかあるいは四百円とかいう夜間料金にすれば、それだけ上に車はふえるんです。一台通るのと、二台通るのと——話、わかりますか。だから、あなたの言うことは、どうも私、納得がいかぬのです。  東京のほうもいろいろ問題があるでしょう。しかし、こういった面をあなたがよく考えて、よく知ってもらって、ここはやはりこうしたほうがいいんじゃないか。阪神道路公団も決して減収にならないと思うのです。しかも、規制せいといったところで、どんどんカーフェリーで送ってくるんです。規制のしようがない。あなた、これはもう少し研究してもらわなければいかぬ。うそだと思ったら、一ぺん、三日でもいいから、あそこの周辺でしばらくやすんでごらんなさい。寝ておれません。ずいぶんノイローゼの人がおりますよ。まあ、あなたがあそこへ、たとえ五センチでもやってくれたから非常に助かった。しかし、途中にたくさんの橋があるわけですね。この橋のけたは、これはもう直すわけにいかないのです。私は決して、阪神道路公団に対してマイナス面を言っておるのではありません。いままでよりも車がよけい通れば、いままで二台しか通らなかったものが二十台通れば、八百円のやつを四百円、三百円にしたところで、よけい収入が入るのです。この点、どうですか。もう一ぺん答えてください。ちょっと考え違いじゃないですか。
  328. 高橋国一郎

    ○高橋(国)政府委員 おっしゃるとおり、あそこの場合、百五十円ですから、たとえばその半分の七十五円にすれば、深夜に一千台も乗ったものがあるいは二千台以上になるかもしれません。これは仮定の問題ですから、実際にやってみないとわからないと思いますけれども、ただ、従来われわれがやっております計算によりますと、車が転換するのは下の交通量との相関でございます。下の道路が全くこんでいる場合は、相当高額の金を払っても上に乗るというのが経済の原則でございまして、われわれ時間便益と称しまして、一分当たり幾らという計算からスタートをしておりますが、深夜の場合は、大体、下がもうがらがらになっております。したがいまして、スピードが、おそらくあの区間におきましては二、三分と違わぬのじゃないかと思います、上がる距離によりますけれども。したがって、その便益を買うかどうかというのは、これはまた経済学上の問題になります。われわれ事務当局の計算では、深夜の料金をもし、たとえば半額にいたしましても、交通は倍以上ないと、いま先生のおっしゃったようにペイしないという理屈にならぬわけであります。そういうふうな計算が実は出てこないので、そういうふうに踏み切れないというのが実情でございます。
  329. 岡本富夫

    ○岡本委員 あなたのほうでこれを道路公団にやることが確定すれば、これは警察のほうにいうて規制をしてもらうわけです。そうすれば、あの夜間の振動というものは非常に少なくなる、乗用車ぐらいで済みますからね。そうしたら、みんながゆっくり休めるわけです。西宮にしても芦屋にしても、これはみなベッドタウンですよ。私はそれくらいの、政府のあったかい行政があってしかるべきではないかと思うのです。いま通っている車を規制して上に上げたからといって、上のバイパスを通したからといって、これはもう警察のほうで規制してもらうわけですから、その車はみな上に上がるわけですから、道路公団の収入は減らないのです。あなた、わかってくれますか。これはもう一ぺん検討してもらいたい。あなたは机上計算でやっているから、現実と沿わないのですよ。いかがですか。
  330. 高橋国一郎

    ○高橋(国)政府委員 いまの阪神地区に限らず、東京都内でも随所にこういうところがございます。首都高速道路の下は、大体人家がずっと続いておりまして、街路を拡張して、その上に高速道路をつくっておりますので、同様なケースはたくさんあるわけでございます。ただ、これにつきましては、先生のおっしゃるとおり、もう一度われわれ検討はいたしますが、事務的には、現在の段階においてはたいへん困難であるというふうに考ております。
  331. 岡本富夫

    ○岡本委員 事務はだれのためにあるんですか。私は住民のためにあると思うのです。阪神道路公団に対して減収にならない。なぜか。下を規制するのですから。あなたは、そんなわかり切ったことができないというのは、まことにけしからぬと私は思うのです。事務レベルでできない理由はどこにあるのですか。どこか法改正しなきゃならないのですか。もう一ぺんひとつ。
  332. 高橋国一郎

    ○高橋(国)政府委員 道路整備特別措置法等にやはり抵触すると思われますので、もしそういうふうな事態になりますと、法律的にも検討する必要があろうかと思います。
  333. 岡本富夫

    ○岡本委員 これだけ陳情が来ているのですよ。みんな一人一人昼は大阪やあっちこっちで仕事をしてきてベッドタウンに帰ってきて夜はやすみたいというわけで、これだけ多くの人が署名して何とかしてもらいたいと言ってきているわけです。あなたの権限でできないわけはないと私は思う。しかし、環境庁のほうからこの点については——もうすでにノイローゼになった人がずいぶんいるのです。これについてひとつあなたのほうから……。
  334. 小澤太郎

    ○小澤(太)政府委員 岡本さんの御指摘のその具体的なところについてどうこうということはちょっとお答えいたしかねますが、せっかくの機会でありますから、道路に対する環境庁としての考え方を申し上げたいと思います。  道路は流通、スピード、安全、これが大事な要件になっておりますが、私どもはそれに加えて環境保全ということを特に一つの大事な要素に加えたい、こう思いまして、現在政府の中で、経済企画庁で総合交通政策要綱をつくりつつありますが、その中に強く私ども要望いたしております。それは施設の改善、同時にいまお話に出ていました交通規制の問題も、環境保全というたてまえから、交通の安全だけでなしにこういうたてまえから進めていくということを私どもの道路政策の一つとして強く政府の中で主張してまいりたい、こう考えております。
  335. 岡本富夫

    ○岡本委員 だから政府部内では、そういうように道路は安全だけでなくして環境保全というものを考えておる。そうなると道路局長、あなたのほうは安全、それから道路公団は経済効果だけ、あなたちょっとおかしいじゃないか。いいですか。環境庁のおっしゃるのとあなたの言うのとちょっとそごがあるように思うのですが、その点どうですか。
  336. 高橋国一郎

    ○高橋(国)政府委員 政務次官のおっしゃいましたのは今後の総合交通体系を議論するときに出てきた問題でございまして、われわれ自身も、最近の交通騒音等に対する問題から、新しく道路をつくる場合におきましては、自然環境並びに騒音公害等のできるだけ少ないような構造を検討しております。したがいまして、そのために要する費用は幾らでも惜しまずにわれわれはやりたいと思います。ただしかし、現在すでにあります、たとえば東京都内の環七であるとか東京都内の大幹線はすべて騒音に悩んでおります。これを道路だけでもって食いとめることはほとんど不可能であります。まず一番大きな問題は、車自体の構造かと思います。そういうこと並びに交通規制すべてをかみ合わせてやるべき問題でございまして、一道路管理者にすべての責任を負わせることはほとんど不可能だと私たちは考えております。したがいまして、先ほど申し上げましたように、環境庁の政務次官の答弁と私の答弁とは全く変わってないというふうに私は感じます。
  337. 岡本富夫

    ○岡本委員 それであなた変わってないと思いますかね。いいですか。先ほど申しましたように、交通規制、これが入っておる。交通規制をすればどうしても上を通さなきゃならないのです。下のほうの人たちはたいへん迷惑しておりますからね。それをそのままそこで交通規制をしてしまったのじゃ、結局どんどん九州のほうからあるいは四国のほうからカーフェリーであがってくるものがどうしようもない。だから上を通そう。そのためには、夜間上を通るのが非常に少ないのだから下の分を上へ回したらどうだ。そのためには若干夜間料金をつくってあげて、そしてみんなそこを通れるようにしたほうがいいんじゃないか。こういうのがあたたかい行政であると私は思うのです。そんなことができないわけがないと思うのです。それができないというのは、あなたよほどどうかしています。絶対できないですか。これはどうですか。第何条によってできないのですか。もう一ぺん教えてください。
  338. 高橋国一郎

    ○高橋(国)政府委員 道路整備特別措置法第十一条に「料金の額の基準」というのが出ておりまして、この中に「高速自動車国道、首都高速道路、阪神高速道路又は指定都市高速道路に係る料金の額」をきめることになっておりまして、その中に「新設、改築その他の管理に要する費用で政令で定めるものを償うものであり、」この点にかかります。それから「かつ、公正妥当なものでなければならない。」この二項目によってきめられておりますが、この基準に該当するかと思います。
  339. 岡本富夫

    ○岡本委員 そうしたらその料金はだれがきめたのですか。現在取っておる料金はだれがおきめになったのですか。政府できめたのですか。
  340. 高橋国一郎

    ○高橋(国)政府委員 建設大臣でございます。
  341. 岡本富夫

    ○岡本委員 そうすると、建設大臣がきめたのであれば建設省で変わりはないじゃないですか。国会できめたのとは違いますよ。私の言うのは、いままでよりも数よけい通ればそれだけのものが安くなるじゃないですか。いままで下を通つていた分を上を通せばそれだけの分が安くなるから夜間料金というものは安くしてもいい、これは常識ではないですか、違いますか。だからそれを一ぺん阪神道路公団とよく相談をして夜間のものをはかって、終夜走っておりますから、私はよくわかっておる。何台上を通せばどうなるのだというふうな検討もして——そうして少なくとも国道のためにみんな困っておるわけです。そしたら国の建設省においてそういう面も何とかして皆さんの健康問題、環境問題を解決しよう、そういう前向きの行政でないとだめだと私は思うのです。私は全国のことを言うておるのではありません。一つの事例を言って話をしておる。よろしいですか、検討いたしますかどうですか。
  342. 高橋国一郎

    ○高橋(国)政府委員 先生の御趣旨よくわかりますので、十分検討させていただきたいと思います。
  343. 岡本富夫

    ○岡本委員 環境庁のほうからも、建設大臣がきめたそうですから、西村建設大臣に話をしてひとつ検討をするようにしていただきたい、よろしゅうございますか。
  344. 小澤太郎

    ○小澤(太)政府委員 先ほどは道路政策一般論を申し上げた、原則を申し上げたのでありまして、いま御指摘の具体的な問題についてはよくわかりませんので、いま道路局長は検討すると言っておられますから、その線に沿って私どもも協力できる限り協力したい、こう思います。
  345. 岡本富夫

    ○岡本委員 終わります。
  346. 小林信一

    小林委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後六時九分散会