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1971-12-01 第67回国会 衆議院 公害対策特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年十二月一日(水曜日)    午前十時五十二分開議  出席委員    委員長 小林 信一君    理事 始関 伊平君 理事 橋本龍太郎君    理事 八田 貞義君 理事 山本 幸雄君    理事 島本 虎三君 理事 古寺  宏君       伊東 正義君    久保田円次君       中島源太郎君    阿部未喜男君       大原  亨君    加藤 清二君       土井たか子君    岡本 富夫君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (環境庁長官) 大石 武一君  出席政府委員         北海道開発庁総         務監理官    山田 嘉治君         経済企画庁総合         開発局長    岡部  保君         環境庁長官官房         長       城戸 謙次君         環境庁企画調整         局長      船後 正道君         環境庁自然保護         局長      首尾木 一君         環境庁大気保全         局長      山形 操六君         環境庁水質保全         局長      岡安  誠君         厚生大臣官房審         議官      曾根田郁夫君         農林大臣官房技         術審議官    遠藤 寛二君         農林水産技術会         議事務局長   加賀山國雄君         水産庁長官   太田 康二君         通商産業省公害         保安局長    久良知章悟君         工業技術院長  太田 暢人君         運輸大臣官房審         議官      見坊 力男君         海上保安庁長官 手塚 良成君  委員外出席者         大蔵省主計局主         計官      海原 公輝君         林野庁指導部長 松形 祐尭君         海上保安庁警備         救難監     武市 一郎君         日本国有鉄道副         総裁      山田 明吉君         日本国有鉄道運         転局長     鈴木  宏君     ————————————— 委員の異動 十二月一日  辞任         補欠選任   土井たか子君     大原  亨君 同日  辞任         補欠選任   大原  亨君     土井たか子君     ————————————— 十一月二十二日  汚水公害絶滅に関する請願佐々木良作君紹  介)(第一九一五号)  自然保護基本法制定に関する請願倉石忠雄君  紹介)(第一九九〇号)  同(羽田孜紹介)(第一九九一号) 同月二十六日  自然保護基本法制定に関する請願小川平二君  紹介)(第二一二八号)  同(中澤茂一紹介)(第二一二九号)  同(原茂紹介)(第二一三〇号)  同(増田甲子七君紹介)(第二一三一号)  同(松平忠久紹介)(第二一三二号)  同(井出一太郎紹介)(第二二六一号)  同(唐沢俊二郎紹介)(第二二六二号)  公害発生源除去等に関する請願青柳盛雄君  紹介)(第二三五七号)  同(浦井洋紹介)(第二三五八号)  同(小林政子紹介(第二三五九号)  同(田代文久紹介)(第二三六〇号)  同(谷口善太郎紹介)(第二三六一号)  同(津川武一紹介)(第二三六二号)  同(寺前巖紹介)(第二三六三号)  同(土橋一吉紹介)(第二三六四号)  同(林百郎君紹介)(第二三六五号)  同(東中光雄紹介)(第二三六六号)  同(不破哲三紹介)(第二三六七号)  同(松本善明紹介)(第二三六八号)  同(山原健二郎紹介)(第二三六九号)  同(米原昶紹介)(第二三七〇号) 同月二十九日  自然保護基本法制定に関する請願向山一人君  紹介)(第二三八九号)  同(小坂善太郎紹介)(第二五五四号)  同(下平正一紹介)(第二五五五号)  公害発生源除去等に関する請願青柳盛雄君  紹介)(第二四四〇号)  同(浦井洋紹介)(第二四四一号)  同(小林政子紹介)(第二四四二号)  同(田代文久紹介)(第二四四三号)  同(谷口善太郎紹介)(第二四四四号)  同(津川武一紹介)(第二四四五号)  同(寺前巖紹介)(第二四四六号)  同(土橋一吉紹介)(第二四四七号)  同(林百郎君紹介)(第二四四八号)  同(東中光雄紹介)(第二四四九号)  同(不破哲三紹介)(第二四五〇号)  同(松本善明紹介)(第二四五一号)  同(山原健二郎紹介)(第二四五二号)  同(米原昶紹介)(第二四五三号)  同外五件(土井たか子紹介)(第二五五一  号)  同(米原昶紹介)(第二五五二号)  同(谷口善太郎紹介)(第二五五三号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  公害対策に関する件(水質汚濁対策等)      ————◇—————
  2. 小林信一

    小林委員長 これより会議を開きます。  公害対策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大原亨君。
  3. 大原亨

    大原委員 私はきょうは、先般の衆議院予算委員会における瀬戸内海公害防止総合対策についてさらにこまかい質問をいたしたい、こういうふうに考えておりました。その中に、瀬戸内海において石油コンビナートを中心に重化学工業地帯があるわけですが、石油タンカーその他の事故というものは、瀬戸内海の池のような性格上これは非常に大きな問題であるという点で、バラストの処理の問題その他質問をいたすつもりでしたが、御承知のように、昨日新潟におきましてあのような座礁事件が起きてまいりました。そこで最初にそのことにつきまして、海上保安庁運輸省に対しまして御質問をいたしたいと思います。  質問の第一は、その前提となることですが、新潟におけるリベリア籍原油タンカー一万一千六百八十四トン、ジュリアナ号座礁は、これからの原油、重油をたくさん使っておる日本重化学工業の問題では、日ごろから非常に危惧された事件がこの事件となって出てきたわけですが、この事件概要とそれに対する応急措置をどのようにとっておるかという点を、担当者からお聞きいたしたい。
  4. 武市一郎

    武市説明員 お答え申し上げます。  海難概要でございますが、原油二万一千七百二十二トンを積載して新潟港西防波堤灯台西南西三千百メートルに投錨しておりましたリベリアタンカージュリアナ号、トン数は一万一千六百八十四総トンで、乗り組み員は四十七名でございます。この船が、十一月三十日、昨日の十六時ころ、北西の風が十五メートルないし二十メートル吹いておりました現場で、荒天のためにいかりを入れておりました場所が少し不適当だというような考え方から、停泊しておりました場所を移動する作業をいたしておりましたときに、風、波に圧流されまして、十六時四十分ころ、新潟港西防波堤灯台南西二千三百メートルの地点に乗り上げましてSOSを発信、十七時三十八分、船体は中央部付近二つに折れまして、積み荷の一部が流出したということでございます。現在、中央部で折損いたしまして、大体百メートル程度船首部船尾部が離れて座礁しておるという状況でございます。  当時の海上の模様は、天候は曇りで、北々西の風十七メートル、うねりが五と申しますと、うねりの高さは大体三メートルから四メートル程度状況でございます。  次に、事故対策のためにとった措置でございますが、このジュリアナ号SOSを受信いたしました海上保安庁といたしましては、次の措置をとったのでございます。  まず、乗り組み員の救出ということでございまして、航空自衛隊新潟救難隊ヘリコプターの出動の要請をいたしまして、同隊のヘリコプター二機によりまして十八時二十五分から乗り組み員のつり上げ救助作業を実施いたしまして、二十一時四十五分までに乗り組み員四十七名全員を救出いたしております。  それから次に、十七時十五分以降、一般船舶に対しまして二次災害の防止ということから、同遭難船付近への航行の制限措置をとっております。  それから、県の警察あるいは消防機関等を通じまして、付近住民に対して同事件を周知して、原油でございますので火気使用等につきまして注意を喚起いたしております。  それから、救助体制の勢力といたしまして、日本海岸に面しております海上保安庁の第一、第二、第八、第九の四つの管区巡視船艇十五隻を現場に集結中でございます。現在、新潟基地の二隻は、昨晩から同地付近で警戒に当たっているわけでございます。  それから航空機につきましては、羽田基地からYSを昨晩油除去剤かんを搭載いたしまして、本庁の警備救難部長現場に派遣して、現場対策本部との連絡指導等に当たらせております。  それから、オイルフェンス油除去剤等流出防除器材についてでございますが、新潟地区では備蓄量がきわめて手薄でございましたので、昨晩じゅう東京湾内それから遠く四日市あるいは大阪方面からも、平生当庁と緊密な連絡をとっております石油処理剤メーカー等連絡いたしまして、在庫品その他を緊急輸送中でございます。それから現地におきましては、多少原始的でございますが、むしろとか、わらとかいうようなものが、先般のアメリカのサンフランシスコのこうした類似事件におきまして非常に有効であったということでございまして、こうした資材等の調達も現地で行なっておる次第でございます。  それから昨晩、私どもといたしましては、九管本部海難対策本部を設置いたしまして、新潟地区大型タンカー事故対策連絡協議会を招集いたしまして、事後の対策について措置をしておるのでございます。新潟地区大型タンカー事故対策連絡協議会と申しますと、同地方におきます官民関係の諸団体を網羅したこうした事故に対する連絡協議会でございます。  航空機による流出油確認、これはけさ早朝、当庁のヘリコプターによりまして上空を哨戒いたしまして確認にあたっておるわけでございます。それから現地におきましてバキュームカーというようなものが有効であろうということで、これも四十台ほど調達いたしましたが、実際にけさ使いましたけれども、あまり効果がないというふうな状況にございます。  それからオイルフェンスにつきましては、新潟地区に約二千メートル、それから昨晩東京湾内の千五百メートルというのを緊急輸送いたしておりますが、現場は現在に至りましても、先ほど申し上げましたように、二十メートル程度北西の風が吹いておりまして、オイルフェンスの有効な展張ということは、天候に災いされまして実施できないような状況でございます。  以上、大体いままでの経過概要と、これに対する措置概要を申し上げました。
  5. 大原亨

    大原委員 海上保安庁長官がお見えになりましたから長官に御質問いたしますが、時間が短い、こういうことですから、集中して質問していきたいと思います。  いま、当時の座礁状況応急対策について救難監から御答弁があったわけですが、これは逐次質問いたしてまいりますが、一つは、大体四千トンほど流出した、こういうふうにいわれておりますね。二千トンという報道もありますが、四千トン、あと一万七千トン残っている、こういうことですね。これは出てくる可能性はないのか、あるいはこれに対する処理はどうしているのか。
  6. 手塚良成

    手塚政府委員 あの船舶は、タンカーいずれもそうでございますが、中が区画によって壁ができております。いま二千トンと言いましたのは、一つの容積が八百キロリットルのタンクの箱が約五つぐらい亀裂または破壊されて流れておるであろう。一つは八百でございますから、五つだとしますと約四千キロリットル、ただし一部が箱の底に残るであろうと思いますので、約三千六百キロリットルということをいっております。それから亀裂の起こり方が、直線的に三つの箱に起こっておるとしますと、二千四百キロリットルくらいな感じでおります。私どもはただいま五つの箱に亀裂が起こって流出をしておるということを前提にして防除対策を立てております。いま先生が言われますとおり、それ以外の箱が二十二個ばかりございますが、この箱にどういう状態が起こっておるであろうかということを、現地サルベージ等動員をいたしまして目下調査をしております。先ほど概要説明にあったかと思いますけれども、風とうねりが相当にひどうございますので、なかなか船そのものに近寄りにくいという現状になっておりまして、事態が明白にわかっておりません。あるいはもう少し箱があるものであるとすればさらに流出する可能性は考えられます。
  7. 大原亨

    大原委員 対策としては、いろいろいわれておるわけですし、あると思うのです。御答弁もあったわけです。つまりオイルフェンスの問題、拡散防止するという対策一つあるわけですね。それに対して海上保安庁が、そういう救難措置について常時備えがないということがはしなくもはっきりいたしておるわけでありますけれども、しかし東京から持って行くといったら、どこを通って行くのか、海を通って持って行くのか陸を通って持って行くのか、わかりませんけれども、それらを加えてもオイルフェンスは足りない、こういう状況じゃないのですか。これがどんどん拡散するようなことになれば、漁業とか地元住民には非常に大きな損害ではないですか。イギリスで昭和四十二年にあったときに、最後には船を撃ち沈めた、爆沈したという、最後処理のことで、金にいたしましても三十億円も使ったということがいわれておりますね。ですから、それはオイルフェンスの問題だけとりましても、十分足りるのですか。
  8. 手塚良成

    手塚政府委員 現地におきますオイルフェンスは、おっしゃいますように非常に少のうございまして、私ども官民協力態勢前提にいろいろこういう計画を立てておりますが、そういった面から、われわれの所管でいう第九管区海上保安本部におきましては、オイルフェンスが四千五百三十メートルという状態で現在の事態に対処しては必ずしも十分ではないかと思います。ただ、いまのこの天候状態から見ますと、この波浪ではオイルフェンスが十分使い切れない、使っても効果がなかろう、上を乗り越えたり下からもぐったりという状態になるかと思います。これらのかわりは、いまお話のありましたサンフランシスコ流出事故の場合もそうでございましたけれどもむしろ木材を使うほうが効率的ではないかということが先例としてもございますし、現在もそういうことが考えられますので、この木材面使用について、その動員をいまかけて、現地で情勢を見ておるという状態でございます。  オイルフェンス全体の問題といたしましては、おっしゃいますように、事故前提、想定が非常にむずかしゅうございますので、私どももこれにどの程度対処しておればよいかということについて、絶えず検討を繰り返しておる。入ってまいります船の大きさあるいはそれの隻数、あるいは事故の態様、いろいろそういうものから前提がきまってきます。それから、われわれ自体で持ちますもののほかに、ただいま申し上げた民間との協力態勢ということはぜひ必要でございますので、そういった協力分担割合等もどういうふうに考えるか。それから、おのずと全般的に重点海域というのがございますので、そういった重点をどういうふうに見て、どういうふうに配置するか、こういうようなことも考えておるわけであります。  端的に申し上げまして、今度の新潟海域方面については、私は、特にオイルフェンスなどは必ずしも十分ではない、しかしそれに対応する応急措置は、先ほども申し上げましたようなことも含めまして、ただいま積極的に措置を講じております。
  9. 大原亨

    大原委員 いまの御答弁を開きまして、平生からその準備やその他、予算もないかと思うのですが、非常に欠けている。実際に日本重化学工業国であって、しばらくすれば世界第一位になろうかというGNPの成長を控えておるわけですから、こういう問題は、申し上げましたように、そういった内海はもちろんですけれども周辺において起こる可能性があるわけですから、そういう問題に対しては、その点では非常に足りないと私は思いますし、さらに方法といたしましては、オイルフェンスで取り囲んでおいて、あるいは木材で取り囲んでおいて、バキューム船で吸い取っていく、あるいは中和させる、あるいは火事が起きないように消火剤を用意する、こういうこと等をすべきであるというふうに、通常これは言われておるわけですね。そういう点は手ぬかりはなく、準備ができておりますか。
  10. 手塚良成

    手塚政府委員 今回のような事故につきましての処置対策は、いろいろな角度から見なければなりません。一つはいま流れておりますものについての措置、それからこれから流れるかもしれないと思われるものの措置ということに大別されます。いま流れておりますものにつきましても、これが現在以上に拡大しないようにする、その拡大しないようにした後におけるその油の除去の問題、それから今後流れ出ないようにといいますのは、いまの船が半分に割れておりまして、まだ流出しないタンクが二十二個ばかりありますから、それを流れないようにする措置、こういうふうになるかと思います。  それで、いまのオイルフェンスあるいは木材を使って云々といいますのは、これが拡大をすることを何とか防止をしたいということの措置でございます。蛇足になるかもしれませんが、われわれがいま一番心配しておりますのは、新潟の新港の港の中に、油が波と一緒に入り込むということになりますと、これは港の機能あるいは周辺人家等関係もございますので、これを拡散しないように防止をしたいというふうに考えておりますが、そういったような拡散防止措置として、オイルフェンスが重要である。そのほかに、いま言ったオイルフェンス等の中に集めた油をなくしていくための油の除去剤というような問題が出ます。これが除去剤そのものだけではまた問題がありますので、先ほど話があったかと思いますが、むしろとかあるいはわらというようなものを使うという、一見きわめて幼稚に聞こえますけれども、現在の段階では一番効果的だといわれておりますそういうものの動員、それからいままっ二つに割れております船からさらにこぼれないようにするために、これをどうするかというような問題がございます。さらに火災が発生しないようにする、これは一番私どもがいま心配しておりますが、火災防止する。とりあえずいまあの周辺における船の立ち入りはもちろん禁止しておりますし、それから周辺人家その他における火気使用の禁止を地元公共団体にお願いをしてやってもらっておりますが、そういった面の対策ということになるかと思います。
  11. 大原亨

    大原委員 私が言っておるのは、そういうことをしましても、残っておる一万七千トンが流出するという問題はともかくといたしまして、四千トンがどんどん広がっていく、これによる被害防止しなければならぬ、あるいはどういうことで火災になるかもしれない。そういうことに対して、たとえばバーキュームカーで吸い取るとか、中和剤とか、消火剤を用意するとか、そういう用意はできておるのですかと、こういうことを言っておる。
  12. 手塚良成

    手塚政府委員 ちょっといまことばを落としましたが、そのバキュームカー使用してということは、現在すでに実施しております。集まっておりますバキュームカーが十台、現地にいま派遣をして、けさの六時から作業を開始してみました。しかし波が非常に荒いというのと、風が強いということで、現地の報告によりますと、いま一時中止をしておるということを言っております。このバーキュームカーはいまわれわれは相当効果がある、特に厚い層をなして集まっておる場合には、これでまずできるだけ吸収をするということは当然で、効果のある方法だと思っております。それを吸収たし後に、除去剤なりあるいはむしろわら等を使う、こういうのを作業の段取りとして考えておりますので、バキュームカーはいま申し上げましたように中止しておる……。
  13. 大原亨

    大原委員 中和剤とか消火剤は……。
  14. 手塚良成

    手塚政府委員 はい、それをいまその次の段階として、一万三千かん現地に手配して、待機をしております。
  15. 大原亨

    大原委員 これは時期を失すれば失するほど被害が拡大するという種類のものですし、それからいま御答弁を聞きましたが、オイルフェンスの問題から始めてずっとぬれむしろを用意するに至っては、全く前近代的な話ですね。だからこういう問題は、四千トンの問題ですけれども、将来大きな問題が起きてくる可能性があるわけです。ですから、そういう点では、その対処のしかたというものは非常に政府としては不備ではないか、こういうふうに思います。この問題が一つと、魚介やその他水産物に対する被害については、どのように水産庁は考えておりますか。
  16. 太田康二

    太田(康)政府委員 被害のございました地域における漁業の現況を申し上げますと、サケの定置網が一カ統ございます。それからなお油の流失状況いかんによりましては、さらに影響が考えられるのが三カ統、それからサケ刺し網あるいはその他のはえなわ釣り、それからカニ刺し網、イカ釣り、底びき、二そうまき網、エビ、カニかご漁業、こういったものが当該地域においては行なわれておりまして、実は私もきょうさっそく新潟県に電話を入れまして、この状況を聞いたわけでございますけれども被害状況につきましては、なお明らかではございません。私どもといたしましては、海上保安庁が主としておやりになっておりますところの対策、なおそれに関連いたしまして、私のほうでとるべき措置等につきまして、なお被害状況も含めまして、現地について実際に当たりたいということで、さっそくきょう係官を派遣することにしております。いましばらく、被害状況等につきましては、詳細につきまして時間を拝借させていただきたい、かように考えております。
  17. 大原亨

    大原委員 それでは海上保安庁長官、こういう事故によりまして、座礁によりまして、原油流失をするというふうな問題で、火災まではまだ至っておりませんけれども、そういう住民に対する被害漁業、産業に対する被害あるいは政府に対する被害があると思うのです。こういう場合に、リベリア籍の船ですね、それからそれを契約しておるのは昭和石油ですか、あるいは伊藤忠商事ですか、そういう取引をやっておる企業者側責任というものは、どういうふうになるのですか。
  18. 手塚良成

    手塚政府委員 本件は海洋汚染防止法によりまして、一応責任船舶運航者、その所有者、それから油の輸送者、船の引き受け人、これらがいずれも責任があるたてまえになっております。責任程度応急措置から始まりまして、いろいろあります。いずれにいたしましても、これはそういった方々の中の責任として、どなたがどういうふうに負担するかということは、今後原因の調査等々をやってそれぞれが明確になっていくものと考えております。
  19. 大原亨

    大原委員 石油タンカー事故というものは、これは起きたらもうだめだ、起きたらほとんど手の施しようがないというくらいにいわれておるわけですね。ですから、これは予防する措置を十分講じなければならぬわけです。これは運輸省船舶関係の人は、きょうは見えているかどうかわかりませんけれども、たとえば最近マラッカ海峡を二、三十万トン以上のタンカーが通ると、海峡の底を洗って非常に危険だということが国際的に警告されておる。そしてそういう被害が起きた場合にどうするのだという問題が出てきておる。あるいは最近日本政府は四十七万トンの石油タンカーを許可したといわれておる、そんなものが瀬戸内海なら瀬戸内海東京湾なら東京湾で一たび事故を起こしたならば、完全に、一ぺんに、瞬間に死の海になるということは間違いないですね。ですから、そういう事件が起きた場合の予防措置あるいは訓練、そういう体制を、予算上あるいは人的な措置、こういうものを十分なされているかどうか。たとえば一部新聞の報ずるところによると、対策会議が開かれたのは事件があって以後四時間であったというふうにいわれておる、ぬれむしろなど用意しておるくらいで、そんなことでは何もならぬ。そういう事前の予防対策等について、これは十分やる必要があるし、またその船主その他に対する日本の領海や近海を航行する際におけるやはり法的な規制、責任というものをぴちっとしなければならぬ、そういう問題について、事故が起きた場合はどうだというようなこと等についての注意義務についての規制はあるのですか、ないのですか。あるいはこういう場合に、損害を及ぼした場合においては、企業責任はどうなるのですか。こういう問題については、私は環境庁にも関係はあると思いますけれども海上保安庁長官がそういう点について見解があるならば、この際ひとつ明らかにしてもらいたい。
  20. 手塚良成

    手塚政府委員 私のほうは直接申し上げるのはいかがかと思いますが、いまお話の中で前段のやはりこういう事故が起こらないようにするための交通の規制、そのためにたとえば、超大型のものを瀬戸内海のようなふくそうしたところに入れる入れない、さらには超大型のものをどの限度まで認めていくかというような問題等々が背景にございますが、事故が起こった際の責任というふうな問題につきましては、やはり関係法令のきめるところによりまして、それぞれその原因の探求と相まって責任の所在がおのずと関係者の間に明確になる。これは石油施設の管理者等々を含めましてこれはおのずと明確になることでございまして、決して不明確な状態に置かれることはないと考えております。
  21. 小林信一

    小林委員長 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  22. 小林信一

    小林委員長 速記を始めて。
  23. 大原亨

    大原委員 その航行についての交通安全の問題、通航安全の問題等含めて、あるいは事故を起こした場合の責任等の問題について法的な規制をする必要がある、こういう国際的な議論がどんどんなされているわけですね。日本においては、そういう問題については私は十分な措置がなされていないのじゃないか。運輸省も出席いたしておるようでありますから、この問題について事後対策として、事後対策ということは、これからそういう事件を起こさない、こういう決意のもとにどういう点において私は十全の法的な規制をすべきであるかという問題についての見解を含めて、現在の法的な規制の措置を含めて御答弁をいただきたい。
  24. 手塚良成

    手塚政府委員 海上におきましていろんな法律が適用になっておりますわけで、ただいまのような事故でございますと、直ちに海洋汚染防止法あるいは刑法、想定されます刑法の犯罪としましては往来妨害罪というような問題になります。そのほか船舶安全法の問題、船員法の問題、いろいろございまして、それらによる罰則規定というのがあります。責任の所在というものが——おそらく先生のお考えは、非常に卑近なことばですが、交通整理という問題からして、いわゆるいままでいわれております海上安全交通法的なものがない、これをつくりますことは多年の私どもの懸案になっておりますが、これによりましていろいろ交通整理上の問題が規制をされて、それに伴うまた罰則規定が出てくる。そういう面において現在若干欠けておるのではないか、こういうような問題点はあるかと思います。
  25. 大原亨

    大原委員 IMCO、国際機構ですね、海難、そういう問題についての。そこでは、流出量三万立方メートルに押えるように安全最低基準をつくり、来年一月から発効する、こういうふうに伝えられておりますね。たとえば、四十七万トンのタンカーを許可するということなんかというものは、これはもうむちゃくちゃじゃないですか、でたらめじゃないですか。タンカーは大きければ大きいほどいいというのは、一たび暴風雨その他に際会いたしまして、近いところで、近海でにっちもさっちもいかなくなって災害を起こす場合もあるでしょう。航行規制等を守らないものはぴちっと取り締まる必要があるでしょう。そして、損害を起こしたならば、ちゃんと損害賠償させることが必要でしょう。たとえば原油でしたら、石油のボールになって、だんだん時間がたつと海底に沈んで、そうして海底の魚介類は全部死んでしまう、いつまでも残る、こういうことがいわれているのですね。東京湾とか、伊勢湾、大阪湾、瀬戸内海等でこういう事故が起こったらどうするのかということが、今日石油コンビナートができてくるときに非常にいわれておるわけです。いままで注意は喚起されておったわけですね。海上保安庁には、それに対しては、いまのお話を聞いてみると、やはりそういう指揮系統も、それからオイルフェンス、そういうことからはじめて中和剤消火剤とか、その他の動員準備も全くこれは手抜かりだと思いますね。応急措置も手抜かりだと思うわけです。私ども先ほど言ったわけだけれども海上自衛隊なんかふやさぬでいいから、海上保安庁をきちっとしてやれば、そのほうがよっぽど大切だということになるわけですね。これは大石長官にあとから聞きますけれども、そういうことについてのことを徹底的に私は議論をしていただかないと、議論をして方策をまとめてもらわないといけないと思う。これは運輸大臣が後の機会に見えられるということになれば、あらためて質問いたすといたしましても、この点は大石長官のほうからひとつ国務大臣としていままでの質疑応答の中から御答弁をいただきたい。
  26. 大石武一

    ○大石国務大臣 大型の、いまのように四十七万トンのタンカーがいいか悪いか、私は技術的なことはわかりませんけれども、いま大原委員のお話のように、いろいろの問題があると思います。ですから、これはいろいろな将来のこと、あるいは海洋を守るとか、安全を守るとかいう意味からやはり十分に検討する必要があると思います。  私どもは、要するに公害防止の立場から考えましても、このような大きな船をつくっていいか悪いかというと、やはり私は問題があると思います。と申しますのは、いま世界の海はみんな廃油の海洋投棄によりまして非常に汚染されております。これは海洋汚染防止法という法律が新たに先般つくられまして、それで規制することになっておりますけれども、この法律が来年の六月から発効のわけでございますが、それ自体が私は古い法律ではないかと思うのです。そんなことを言うとはなはだ失礼でございますが、古い法律ではないかと思います。第一、条文を読んでみますと、船が何ノットかで走っている間は、油が浮いているバラスト水をある量において海洋の中に投棄してもいいということが書いてある。これは私は非常に問題があると思うのですね。これだけ一つをとってみましても、いま十万トンのタンカーがバラスト水を捨てますと、大体二百トンの油が捨てられることになるわけでございますから、四十七万トンというと、約千トンくらいの油がしょっちゅう一航海するごとに流されるということになるわけでございます。こういうことも、はたしてそれをだれが監視することができるかどうかという問題がございます。海に捨てること自体問題がございます。ところがこの海洋汚染防止法という法律は先般できた新しい法律でございますけれども、これは大体そのような世界の水準になっているそうでございます。世界全体の海に対するものの考え方がおくれている、海を守ることに対する考えがおくれているということから、そこまでしか法律がつくられないのだとは思いますけれども、いろいろな問題があるわけでございますから、やはりこれは全体の面から考えましてはたしてむちゃくちゃにただいわゆる経済開発の手を広げることがいいのか、これは十分に考慮しなければならぬと考えております。
  27. 島本虎三

    ○島本委員 関連して。  いま長官が言ったことは、海洋汚染防止法を審議するにあたってわれわれが言ったことなんです。それをいま長官が得々として大原委員に対して答弁をしていなさる。ですから、われわれはその必要性、これじゃのろいぞ、したがって一年もほっちゃらかしておいて、その間いいのか、またこれは抜けた点もあるぞ、抜けた点に対しては、これはすぐ修正をする必要があるぞと言ったのです。それでやれると言ったのは運輸省——それで聞きますが、この際に、法案作成の段階運輸省の原案では石油業者などへ廃油処理施設の設置を義務づけるという規定を削除したままで法案を出してきたのですね。ですから、まず第一段階としてこれが抜けている。これは強く指摘しておった。それと、この海洋汚染についての漁業についてのいまの新潟みたいなあんばい、こういうような場合に対しての補償、こういうようなものに対しても全然ないから、海洋汚染によるところの漁業被害に対する補償にもこれまた触れていない。そういう措置もない。こういうようなことで強力にこの底抜け、しり抜けをわれわれが主張したのに対して、運輸省当局のほうでは通報措置海上保安、こういうようなことについては監視を厳重にすることによって法律施行までの間に万遺憾なきを期することになっていた。ところがその間にこれが起きた。これをやる場合には、公害行政としてはわれわれとしては一歩一歩先んじてやらないといつも手おくれになるということです。いま長官がほんとうにいいことを言ってくれたけれども、残念ながらこれは審議の過程で野党のわれわれが言ったことばです。こういうようなことからして、私としてはこの法律の抜け道そのものと保安庁の責任というものはこれに対してはっきりあるということで、いま保安庁関係はどうしているんだということをちょっと一、二聞いておきたいのです。これは大臣も聞いておいてください。  というのは、この法の趣旨、船舶からの油の排出禁止、これは当然です。それから船舶からの廃棄物の廃棄の禁止、これもあたりまえなんです。それから海洋施設からの油及び廃棄物の排出禁止、これはいま流している、これだってこれでやっていけるんだ、国際的基準だと言っていた。何が基準ですか。違うのです。それと同時に緊急時の防除措置、こういうようなものに対しては今回みたいに大量の油が排出された場合の措置としては完全かということに対して、これは通報とその措置、これは海上保安庁長官の監視の義務づけがあるはずなんですよ。これは起きてからまたやろうといったって、同じことを繰り返すことにすぎない。いまこれからいろいろ言おうとすることは、義務として保安庁にあるはずです。法の施行が一年後であって、これは施行規則や政令、省令ができてからやる。それ以前に法の精神は生きているのです。これを考えたならば、これは怠慢のそしりを免れない。  それと同時に、保官庁長官、あなたのほうで、私と委員長あたりが招待されて、一大偉観を私も感じておった皆さんの訓練の状態を拝観する機会を得たわけです。あのときに私は、これで公害行政は完全かと言ったら、だいじょうぶだ、千二百メートルのあのオイルフェンスあたりは、これがあるなら全部防げるんだ、こういうようにおっしゃった。われわれは心強く思った。新潟のあのようなしけの場合には、オイルフェンス、こういうようなものは有効なのかどうか。そしてこれに対して消火剤が十分間に合う状態にあるのかどうか。こういうような点に対してはやはり通報とその措置との義務は海上保安庁長官にありますから、こういうような点も十分に監視しておかないとだめなはずです。それでないと監視の義務を怠ったということになる。だからこそ、運輸省のほうでは行政管理庁のほうから五%の削減をやると、全部海上保安庁のほうの人員を削減しているのですが、こういうようなことをしないように強く要請しまたそのとおりやると言っていた。しかしながらまだ法の精神は生きておらない。これは環境庁もそうですが、運輸省も含めて海上保安庁あたりもっともっとこれに熱を入れてやらないといけないと思うのです、法の精神からして。抜け道からして当然いままでに対する対策の手抜かりな点、こういうような事故に対して何ともまだ手の出しようのない状態になったのじゃないかと思います。私はこれについて今後がっしりしてもらわないとだめだと思うのですが、しけの際の緊急の措置というものはできているのですか。千二百メートルくらいのオイルフェンスでこれはだいじょうぶなんですか。それから措置として、通報として保安庁としては万全を期するようになっているか。いまの体制でだいじょうぶなんですか。環境庁長官も、いまのような状態ですから、こういうような法律とあわせて公害関係の法律はもう一回洗い直してみる必要がいまこそまた出てきた、こう思います。ひとつそれぞれの立場で御意見を拝聴したいと思います。
  28. 手塚良成

    手塚政府委員 第一点の今回のような事故が起きました際の通報、関係一般の方々への被害波及等に対する通報の問題につきましては、私どもは法の精神もございますし、任務の上からいたしましても、当然そういうことをやらなければいかぬということで、従来考えておりましたような官民協力体制を発動いたしまして、大型タンカー、大型事故対策連絡協議会というのがございまして、これは関係の民間の方々、地方公共団体、消防機関、警察機関みな入っておりますが、こういった協議会を直ちに招集をいたしまして、主として警察、市等を通じましてそういった通報関係を一般に流す、それから付近航行船舶につきましてやはり火気の厳禁、使用禁止ということをやらなければなりませんので、そういった意味の通報もやった次第でございます。  それからオイルフェンスの問題につきましては、これは先ほど大原先生からもお話しがございました。質、量いずれの点につきましてもいろいろ問題がございます。特に質の問題につきまして、これはわれわれ前々わからぬではございませんが、今回のような波、風の相当に荒いというときになりますと、現在開発されておる最上のものを使いましても、なおこれで拡散防止ということには十分ではない。したがってそういうときにどうするかという問題が続いてあるわけでございます。こういった問題は過去イギリスのトリー・キャニヨン号事件の際あるいは昨年十二月のサンフランシスコ事故の際のときにおきましてもやはり問題が起こっております。それらの先例からいたしまして、今回とり得る措置としては、木材等を連結をいたしまして、オイルフェンスむしろかわりといいますか、そのほうが効果的ではないかというふうなことをいま考えて、その措置をとりつつある。しかしいずれにいたしましてもこのオイルフェンス等による拡散防止というのは非常にむずかしい問題でございまして、今後の波、風の動き等によってどういうふうに変わるかわかりませんが、いまのありますオイルフェンス等、そういった木材その他を活用しての措置ということで考えていかざるを得なかろう。その間、もちろん油除去剤等によって油そのものの乳化で減少をさせるということを同時に並行的にやっていかなければならぬと思っております。  量の問題につきましては、これは先ほど大原先生からの御指摘で御説明申し上げましたとおり、現地につきまして必ずしも十分ではないので、関係方面からこれを急遽応援をするという体制をとっております。これは日本全体におきまして、私ども重点海域と思われるところを重点にそういう資材を集中しております。今回のような新潟地区につきましては、われわれの日ごろの重点とは一応考えておりません。それに次ぐ場所であるというふうに考えておりました。そういうところでもし起こったならばどうするかということについては、ただいまの連絡協議会等を活用して、民間との協力体制を強力に進める、それからその関係周辺からこれを動員をする、こういうことを当初から一つの計画としておりまして、そういったようなやり方で今回は処置しております。
  29. 大石武一

    ○大石国務大臣 どうもいろいろな緊急の場合の処置、対策につきましては、それぞれ責任の所管庁がございますから、そこで十分な努力をしてもらうことを心から願っております。  ただ、われわれ環境庁としましては、いま世界的な重大問題でございますこの海洋汚染につきましては、何としてもこれを早くその目的を達するように努力をしたいと思います。それで先ほどタンカーのバラスト水の一部を申し上げましたが、これだけですべてが解決するわけではございませんけれども、そういうものの解決にもやはりわれわれは努力してもらうことが必要だろうと思います。そういう意味で、私は世界のいろいろな海洋に関する規約なりそういうものがございましょうから、そういうものを、われわれはその範囲内で活動しなければならぬでしょうけれども、少なくとも日本の港にどの船でも寄港する場合には必ずそこで廃油処理をするということを義務づけることが海洋汚染防止一つの大きなキーポイントになるのではなかろうか。そういうことを考えまして、そのような方向に日本の規則、法律が進んでまいりますことに努力してまいりたいと思います。
  30. 見坊力男

    ○見坊政府委員 法律制定当時、先ほど先生からお話のございました点は私もよく承知いたしております。当時、海洋汚染防止法では、IMCOで改正されました海水汚濁防止条約の内容を、油に関しましてはこれを法制化いたしたわけでございます。当時、たしか批准された国が三カ国であったと思います。発効までには、全体で批准した国が二十数国必要なわけでございますが、わが国はたしか四番目くらいであったと思います。国内法からいたしますと、この法律が公布後一年六カ月ということで、確かに長いという御指摘でございました。これは準備期間もございますし、条約が発効する日か、あるいは一年六カ月後、いずれか早い日ということでその施行をきめたわけであります。法律はそういうことでございますが、われわれとしましては、先ほどお話もございましたように、来年の六月ということで法律はそういうことになっておりますが、実質的にはもう少し早くやりたいということで、運輸省で、これは十月でございますが、廃油ボール防止緊急対策要綱というのをきめまして、これは第一にはバラスト水の適正な処理、現在ロード・オン・トップ方式を採用いたしておりますが、採用しておってもそれをやってないという船もございます。今度は法律が発効いたしますと、捨てられなくなるということから、どうしても大きなタンカーはそういうロード・オン・トップ方式をとらなければいかぬということで、まずロード・オン・トップ方式を早急にとれということで指導をいたしております。それから、タンカークリーニング及びスラッジの適正な処理というようなこともきめまして、現在、法律施行前でございますが、この対策要綱によりまして行政指導によってやっていきたいということで、努力をいたしておるわけでございます。  それから、この海洋汚染防止法によって万全であるかという点につきましては、法制定の御審議をいただきました当時にも御質問ございました。われわれもこれでもうすべて万全であるというふうには考えておりません。国際的に、IMCOその他国連の場におきまして、環境問題がいま非常に盛んに論議をされております。国際的なそういう動きに対しまして、われわれとしても積極的にそういう議論の場に参加して、将来の海洋汚染防止に努力をしていきたい。法律をどういうふうに直すかというような点につきましては、そういうような国際機関でいろいろ議論された点も十分考えまして、いずれにしましても、海はよごしてはいけない、海は捨て場ではないんだという基本的な考え方でまいりたいというふうに考えております。
  31. 島本虎三

    ○島本委員 じゃ、これで終わりますけれども、なお最後一つだけ注意しておきましょう。  それは、この海洋汚染防止法、これではなくて、清掃及び廃棄物のこの国内法によっても廃油とかこういうのは捨てちゃならないことにもうなっておるはずです。海をよごしてはならないと、同僚の質問に対してりっぱな答弁をされておりますが、函館にも青森にも国の連絡船が通っていながら廃油の施設がない。これで、廃油を完全に処理すると言ったって、そんなことは通用しない。緊急にそれをやると言ったって、まだできておらない。函館の計画も、これはもう以前の計画をこれまで半分に減らしているのだ。こういうようなことで、完全にやると言われても、どうもわれわれはまた作文でごまかされ、いざとなってまたこういう事故が起きて問題になる可能性がある。これは環境庁長官も十分に気をつけてやるように、心からこれを要望して、いまは関連質問ですからこれで終わります。
  32. 大原亨

    大原委員 それで一応これは終わるわけですが、いままで質疑応答ございまして、この原油や重油の流出の災害に対する対策が、日常のそういう準備というふうなものが非常に足りないということがわかったわけです。法的な規制についても、新しい事態を想像しながらやるということについては、まだ幾多の不備な点があるということがはっきりいたしました。それらの点を総ざらいをして、そうして将来のそういう事故あるいは日常の原油や重油の放出に対する対策を総点検をしてもらいたい。このことをひとつ強く要望しておくと一緒に、環境庁長官、閣議でもなにして……。  海上保安庁、だめですよ。非常に資材も悪いし、人的な点も貧弱ですよ、その点は。このことは、日常事前に交通整理をするのも、やはり海上の交通だって、瀬戸内海見たってこれはたいへんなんですね。一年間に一万隻の船が日本に出入りしている、こういっているわけです。石油タンカーもだんだん大型化していく、こういうときですから、そういう問題等を含めて海上の交通保安行政等については私は根本的にやり直す必要がある、こう思います。これはどちらでもいいから、ひとつ最後にこれに対する見解を求めておきたいと思います。
  33. 手塚良成

    手塚政府委員 たいへん御激励のことばをいただきましてありがとうございました。私どもも、現勢力、船艇、航空機、人員等を含めまして、決して十全とは思っておりません。今後大いに御趣旨も体しまして、さらに一そうそういった面の充実に努力をしていきたい。なおまた、今回の事故に徴しまして、こういった事故対策についてさらに自己反省をいたしまして将来に備えたい、かように考えております。
  34. 大原亨

    大原委員 それでは、先般予算委員会瀬戸内海公害防止計画についての議論をいたしました。通産大臣からも環境庁長官からも関係大臣からもいろいろな答弁があったんですが、その中には重要な問題があるわけです。  そこで、第一に私は質問をいたしたい点は、この瀬戸内海公害防止総合対策推進会議、これは公害基本法第十九条に基づいて設立されたものですか、いかがですか。
  35. 船後正道

    ○船後政府委員 お答え申し上げます。  瀬戸内海対策会議は、政府部内の申し合わせで設置されたものでございまして、公害対策基本法十九条とは特別な関係はございません。
  36. 大原亨

    大原委員 これは私ども予算委員会現地調査いたしまして、瀬戸山さんは非常にまじめな人だし、総理に言って、あなたに指示をして、あなたが本部長で瀬戸内海の総合公害防止対策推進会議を設けられたわけです。これは各省ばらばらであっては瀬戸内海はやはり死滅が進行するだろう。各県ばらばらであってはならぬ。総合行政で公害行政を一元的にとらえなければ、環境庁長官、総理大臣が大きな権限を持って指導しなければこれはできないという議論があって、具体的な問題の処理として推進会議ができたと思うのですね。これはいまの御答弁を聞きますと、公害基本法の第十九条によって、この法律の精神でできたものではない、こういうことなんですが、それじゃ一体どういうことをきめてどういうことをやろうとするのですか。これは十九条と関係ないのですか。
  37. 大石武一

    ○大石国務大臣 はなはだ申しわけありませんが、法律的な関係局長からお聞き願いたいと思いますが、私ともの精神はやはり総合的な——瀬戸内海、いまのような各県ばらばらの行政ではどうにもなりません。そこで総合的な強力な行政をやらなければならぬ、そういう心がまえから各省集めましてお互いに意見を統一して方針をきめてやろう、そうしてその考え方を県知事、あるいは何といってもすべての行政が県がばらばらでやっておりますから、それでは困りますので県知事も集まっていただきまして、それでお互いの協力のもとにやろうという精神からあの対策会議をつくったわけでございます。
  38. 大原亨

    大原委員 十九条には公害防止計画を策定することについての具体的な手続が書いてあるわけです。総理大臣が大綱を示して各県知事が具体的に防止計画をつくった上で承認を求める、公害防止計画を策定する、そうしてこれを法律上の根拠のあるものとして、そうして行政上あるいは財政上の裏づけをするというような政策をもってこれから進めていくわけじゃないですか。いかがですか。
  39. 大石武一

    ○大石国務大臣 公害防止計画はいまでもやっておりますけれども、今後も進めてまいりますが、いままでの方針あるいはやり方は、法律的なものは県が単位であります。ところが、各県単位でばらばらでやりましてもどうにもなりません。そこでそういうものを超越しまして、その上に、私どもの腹の中では一つの権限を持った新しい行政機構をつくりまして、公害防止の問題でけっこうでございますが、そういうものでやろうという考えを腹の中に持ちましてこの会議をつくったわけであります。公害防止計画はもちろん今後進めてまいりますが、いままでの法律ではこれは県単位のものであります。県単位でやっておりますが、それだけではとうていあのような広域的な瀬戸内海の完全な公害防止対策は立てられないと思います。そういう考えから、このような先の含みを持った自分の考えでこの方針を進めておるわけでございます。
  40. 大原亨

    大原委員 ちょっと法律上の問題だけで議論いたしますけれども、第十九条は「公害防止計画の作成」、特定地域における公害防止のために防止計画の策定について述べておるわけであります。ここで問題は、「関係都道府県知事に対し当該計画の策定を指示するものとする。」こういうふうに内閣総理大臣の権限をきめておるわけです。指示権をつくっておるわけです。その第二項によりますと「関係都道府県知事は、前項の指示を受けたときは、同項の基本方針に基づき公害防止計画を作成し、内閣総理大臣の承認を受けるものとする。」こういうふうに各省の関係だけでなしに都道府県知事との関係を策定いたしまして、指示権や監督について一応のめどをつけておるから、私は公害基本法の第十九条に従ってそれを運営するために総合的な推進会議をつくったのではないか、こういうふうに思っておったわけです。しかしながら、それでも非常に機構上、行政上不備なんです。これはイギリスやスウェーデン等で議論があって、いまやっておるとおりなんです。いまの環境庁は公害行政の一元化のために役立つかどうかという一つの試金石みたいなものです。具体的な問題を解決できないような環境庁は、大石長官が幾ら張り切ってやっても限界があるわけです。いまあなたは調子がいいけれども、だんだんと悪くなってしまうわけです。時間がたつに従って、あいつはやはりだめだったなということになってしまう。だからこれは機構上、人的にきちっとしなければいかぬわけです。プロジェクトチームをつくってやろうという新しい構想等は非常にいいと思うのですよ。問題ごとに協調してやろうというのはいい構想だし、ぜひ成功させたいと思うが、しかし、行政上、法的に、あるいは機構上、財政上欠陥が露呈されたら、それは再検討されなければならぬ、そういう意味において言うわけですが、十九条を基礎として、十九条の条文では瀬戸内海のような非常に各省にまたがる、各府県にまたがる、各政令都市にまたがる、そういう問題は全部の強力な協力関係や監督指導がなかったらできないわけです。絵にかいたもちなんです。それをこれで運営していくのに不備であれば直すということになるわけだけれども、私は第十九条によってこれを運営し、そして総合的な公害防止計画を策定して計画をしていく。そして各官庁や都道府県知事はそれに従ってやる。大蔵省は財政上の措置をとる。きょうは主計官見えておるはずですけれども、そういうことでなければ、来年からどう出発するということでなければ、先般の質疑応答もあるいは公害防止というのも絵にかいたもちではないか、こう思うわけです。いかがでしょう。
  41. 大石武一

    ○大石国務大臣 その公害防止計画の策定はお話のような方向です。それは実行に移しております。これはもうすでに第三次の策定もあれを指示してありますし、第四次、第五次とその方向を進めておるわけでございます。ただ御承知のように、この公害防止計画は県単位のものでございます。県だけです。ところがあれは十一府県にわたっておりますので、とうてい県単位のものでは総合的な強力な対策は立てられません。  そこでわれわれはそのような公害防止計画を進めるにあたっても、先日総理大臣からそういう指示もありました。県単位ではだめだから、できるだけお互いに近くの地区は先のことを考えて、お互いに総合的にやれるような方向で公害防止計画を策定しなさいという指示もありました。しかしそれだけでは不十分だと思います。あそこは一つの広域的な行政圏として、公害防止の問題だけでけっこうでございますが、やはりこれは考えなければならぬ。それにはやはり一つの行政機構の新たなものを将来つくりまして、一つの強力な権限を持って、たとえばいまの状態では幾らわれわれがあそこの瀬戸内海をりっぱにしようと思いましても、各県がかってにばらばらにめちゃくちゃに埋め立てたんではどうにもなりません。それをどうして押えるか。一例をあげるとそういうことがございます。  こういうことを考えますと、やはりいままでの行政機構とは違ったもの、そのような問題、たとえば一部事務組合といいますか、それよりもっと大きなものだと思います。そういう機構をつくりまして、だれがあそこで権限を持ちますか、それはあとの問題としまして、りっぱな行政的な権限を持った、そして各県にそれは埋め立てをしてはいけない、これはこうしなさいということを指示できるような機構をつくらなければ、私はとても根本的な対策は立てられない、こう考えまして、それらの方向に持っていきたい。しかしその前にやることはたくさんあります。いまの段階では、たとえば赤潮の原因を早く究明しなければなりませんし、どんなことがあろうとも、要するに汚水処理、下水道を一日も早く整備することが必要であります。だから当面やることがたくさんございますから、そういうものをやりながら一日も早くどのような方向にいったらいいかという、広域的なもののプランをつくり上げまして、その機構を新たにつくることに努力していきたい、このように考えておるわけであります。
  42. 大原亨

    大原委員 だいぶ長官の意見はわかりました。つまりこういうことですね。私はこういうふうに思ったわけです。つまり都道府県知事が責任者として公害の防止計画をつくるんだ。しかしながら十一府県にまたがっておるから、あるいは各省ばらばらであるから、総理大臣が指示権を発動し、あるいは承認権を発動して、各都道府県がつくる一防止計画というものの大ワク、方向づけをする。そして総量規制かあるいはいろいろな議論もたくさんあるわけですが、防止協定の締結等もあるわけですけれども、県知事等がやっておるわけでありますが、そういう全体の歩調をそろえていくような措置をとるというふうなことをやるのか、私はこう思っていたわけです。そういうことではなしに、長官の意見はこういうことですね。当面のことについては処理をしていくけれども、たとえば首都圏の整備についての本法を設けるというふうな、瀬戸内海の公害の総合防止については実施についての行政機関を近い将来につくっていくんだ。それを中心として強力に一元的な瀬戸内海全域の自然環境を保全する行政を進めていく、こういうふうにしなければたとえば一々一地域の総合的な公害防止はできない、こういう学者の御意見でございますね。その準備としてあるいは当面の措置として推進会議をつくったのだ、こういうことですね。
  43. 大石武一

    ○大石国務大臣 大体の御趣旨はそのとおりでございます。ただ公害防止計画は、これはおっしゃるとおり法律によって実施しております。それは各県単位にやりますけれども、しかし大きな将来のことを見通しながら、それが一つの県だけの狭いことではなくて、総合的になり得るような考え方から各県の公害防止計画を策定するように、総理からも指示するわけでございますが、そういうものを基本として、同時に、いまどうしてもやらなければならぬことは、基本的なことはずいぶんございます。下水道の問題とかいろんな問題がございます。屎尿処理の問題とか、そういうものをやりながら早い機会に——幾らそのようなことをやりましても、かってに、たとえばいま申したように各県でばらばらに埋め立てをするとか、かってなことをやられましてもどうにもならない。ですから、先ほどのお話のように総合的に大きな行政機構をつくりまして、そのような形で近い将来に統一的な大きな総合的な指示、命令できるような組織をつくりたい、私は腹の中でそういうふうにいま考えておるわけでございます。
  44. 大原亨

    大原委員 それでは一歩進んで、瀬戸内海公害防止についての推進会議ですね、この推進会議は今日までどのような仕事をしてこられたか。それから、これが一定の段階に来たならば、結論を得て、行政機構等を設ける提案をするとするならば、来年度の予算との関係はどうか。実態調査費が一億何ぼ、わずかですけれども出ておりますけれども、そういう問題等を含めて、これからのめど、目安等についてひとつ、漫然と時間を過ごせば過ごすほど時期おくれになるわけですから、そのめどについて御答弁いただきたい。
  45. 大石武一

    ○大石国務大臣 いままでの仕事につきましては、後ほど局長からお答えいたさせますが、その新しい行政機構をつくること、これもまだ私のは構想の中にあるものでございまして、そこまでの会議はまだ進展いたしておりませんので、そのような必要性ができましたならば、早い機会にこの構想をまとめる。しかし新しい構想でございますから、そう一月や二月で簡単にできるはずもございませんし、実施もできませんが、できましたならば、かりに予算が要るものならば、昭和四十八年度くらいの予算からそういうものをつけたらいいのじゃないかと私は考えております。  なお、いままでのやってきたことにつきましては、局長からお答えいたさせます。
  46. 船後正道

    ○船後政府委員 瀬戸内海の環境保全の対策推進会議のことでございますが、これは十月八日に閣議了解がございまして、それに基づき、関係各省庁の局長クラスをメンバーといたしまして設けたものでございます。その後、本会議を開きまして、当面問題となっております赤潮の問題、瀬戸内海全般につきましての水質汚濁の問題、それからさらに自然保護の問題、それから将来問題といたしましては、瀬戸内海を広域的に環境保全の見地からどのようなマスタープランを考えていくかというような四つの課題につきましてそれぞれ分科会を設けまして、関係各省の局、課長クラスがメンバーとなって作業をいたしておる次第でございますが、さしあたり一番緊急に対策を要する赤潮、水質汚濁等につきましては、現在各分科会におきまして環境基準の水域、水系の規制の促進でございますとか、排水規制の強化、屎尿の海洋投棄の問題、下水道の整備、そういった問題を具体的に検討しておるわけでございます。  なお、本年度につきましても、予算の実行上何とかいたしまして種々の調査は続け、明年度は、先ほど先生の御指摘にございましたような調査費をもってこういった問題を徹底的に解明をいたしたい、かように考えております。
  47. 大原亨

    大原委員 それで、との間の質疑応答の中で一番問題は、厚生省のほうで、昭和五十年までにはこの瀬戸内海における屎尿の投棄は禁止する。斎藤厚生大臣は、禁止するだけじゃだめだ。出るものですから、出ものところきらわずで、実際に出ておるのですから、それを処理しなければならぬわけですから、そのためにどうするのかということに対しましては、終末処理と公共下水道をやるのだ、こういう御答弁でした。それは具体的に、役所は、公共下水道は建設省にわたりますが、公共下水道や屎尿の終末処理について、瀬戸内海に投棄を、昭和五十年にはしなくてもよいだけのそういう長期計画があるのですか。あってそういう御答弁になっておるのですか、どうですか。
  48. 曾根田郁夫

    ○曾根田政府委員 瀬戸内海における屎尿の海洋投棄につきましては、現在日量約三千トンの投棄が行なわれておりますが、私どものほうでは、瀬戸内海を含め全国すべての海域において、昭和五十年度には屎尿の海洋投棄を一切やめて陸上で衛生的処理をするという計画で、目下第三次五カ年計画の策定並びにこれに基づく予算要求をいたしておるわけでございますけれども、特に瀬戸内海につきましては、昭和五十年を待たず内海における海洋投棄は来年の海洋汚染防止法の施行以降は原則的に禁止いたしたい、そういう方向で目下関係各府県のこれに伴う措置その他の、あるいはまた海域等についての要望、そういった事項について目下照会中でございます。
  49. 大石武一

    ○大石国務大臣 屎尿の投棄の問題、いま曾根田審議官お話ししましたように、これは私個人的にも斎藤厚生大臣にお聞きしましたが、これは自信を持ってお答えのようでございますから、これは必ず実施すると思います。ただ、いわゆる公共下水道の問題です。これは五十年までにはとうてい、残念ですけれどもでき上がりません。いま御承知のように政府では、昭和四十六年度から下水道の五カ年計画という、二兆六千億円ですか、あの予算でやっておりますが、これは三八・何%、四割足らずを目標にいたしておるわけでございますから、ときに重点的に瀬戸内海において多くの費用を使われたとしましても、とうていこれは不可能でございます。しかし、われわれはこの五カ年計画を、五年のものを三年にも詰めたらよかろうということで、そこにもそのようないろいろなお話をしておりますので、できるだけ進めまして下水道の問題も促進させなければならぬ、こう考えておる次第でございます。
  50. 大原亨

    大原委員 時間も何ですが、私は環境庁が——イギリスなんかの例を見るとそうですが、環境省が実施官庁として、自治省や建設省や運輸省の一部を下部機構として持っておるわけです。だから公共下水道とか、屎尿の問題とか、中小企業が工場から排出いたします際の水の浄化の施設とか、そういう処理施設というふうなものはやはり環境庁が握っておりながら規制をしていくというふうにしないと、実際上はなかなか仕事は進んでいかないと思うわけですね。特に日本のいまの高度成長では、設備投資中心の高度成長でしたから、今度は財政主導型の福祉経済政策に転換をすることが、内外ともに体質的にも要請されておるわけです。そういう場合には、終末処理もさることながら、公共下水のそういう計画については、これはすみやかに進めていくという方針で、期間はうんと、五年を三年に、それ以上短縮をしていくということで、普及率も三八%ということでなしに、それ以上にしていくということをやらないと、瀬戸内海全体の公共下水施設の普及率は非常に低いわけです。全国平均からいたしましても、低いわけです。そうして、一方ではコンビナートやその他工業生産が集中しているというところですから、そういう有機的な関係における公共下水道の整備計画はないわけです。日本の全体の四分の一を占めるような、そういう生産額を占めておるわけですから、このままで進んでいくならば瀬戸内海は死滅することははっきりしておる。一方では工場の立地の規制をやる、土地はあるけれども、立地の規制をやる、もう一つは、公共下水道や終末処置場や中小企業排出物の処理の施設をつくっていくということを、いまの政策の方向転換の中で強力にやらなければだめだ、私はこのように思うのですが、いかがです。
  51. 大石武一

    ○大石国務大臣 全く御意見のとおりであります。幸いに日本の政治の方向もそのような方向にいま変わりつつありますから、御趣旨を十分に体しまして、その方向に強力に進めるように努力してまいります。
  52. 大原亨

    大原委員 そういたしますと、昭和四十七年は具体的にどういうお考えでこの問題を具体化されますか。
  53. 大石武一

    ○大石国務大臣 御趣旨の範囲がちょっとわかりませんけれども瀬戸内海につきましては、先ほど申し上げたような方針で進んでまいります。つまり、まずいろいろな原因を究明しなければなりません。その原因究明に一生懸命努力してまいります。これは、各省庁等すべての協力をもらいまして、いろいろな方面から研究なり調査を進めて、原因を究明してまいります。同時に、とにかく原因を究明しないでもわかっているもの、いま申しましたように、屎尿投棄の問題であるとか、あるいは汚水処理の問題でございますとか、こういうものにつきましても、できる限りの予算をさきまして、いままでの五カ年計画より以上の実績をもって進めるような方向に進んでまいります。同時に、先ほど申しましたように、新しい行政機構につきましてもいろいろと研究、準備をいたしまして、新しい行政機構によって、いま言ったような、たとえば埋め立ての問題であるとか、あるいは工場立地の問題であるとか、そういう問題につきましても十分に規制できるような、そのような行政機構というものを考えてまいりたい、こういうことを明年度は努力いたす方針でございます。
  54. 大原亨

    大原委員 時間も限られているわけですから具体的に申し上げるわけですが、大石長官は飛行機等で、あるいは政務次官等も現地を視察になったわけですね。それから、それぞれ、関係会議や、あるいは記者会見等で御発表になっていることがあるわけです。それを期待しておるわけですが、その中で問題は、水質汚濁防止のための排水の濃度規制だけではなしに総量規制をやらなければだめだ。薄めて流したのではだめだ。総量規制をやらなければ、瀬戸内海は、言うなれば一つの池のようなものであるからだめであると、こういう点は、小澤政務次官の締めくくりの中でも、あなたの締めくくりの中でも全部あるわけですが、この点は具体的にどうされるかということが一つです。  もう一つ。下水道整備五カ年計画を三年程度にスピードアップすべきであるということは、これはたび重ねて皆さん方言っております。屎尿の終末処理については昭和五十年までにぴしっとやるというふうなことです。ただしこの屎尿の終末処理も、いまのような処理をいたしますと、窒素というものは完全に除去できないそうですね。燐酸と窒素が適当な条件の中で結合いたしまして、そして赤潮の異常発生ということになる。それを繰り返してくるとだんだん瀬戸内海が死滅する、こういうことです。特に赤潮の第二次汚染という問題が最近言われているわけですね。そこで、そういう問題はありますけれども、五年計画を三年計画に縮める、縮めるだけでなしに、この普及率を高めていく、こういうことをたび重ねて皆さん方は言っておるわけです。そこで総量規制の問題をどうしてやるんだという問題と、それからいま質疑応答いたしましたが、公共下水道の普及率を、全国的にもそうですが、五年を三年に縮めるだけでなしに、いまの政策といたしまして大きくこれを普及率を上回るような政策をやっていく、私は、こういうことがいま日本の政治で最も求められておることだと思うから、その点を強力に総理大臣がイニシアチブを発揮すべきだと思うのです。その具体的な問題の解決策について、総量規制の問題を含めて御答弁をいただきたい。
  55. 大石武一

    ○大石国務大臣 いわゆる公害の防止が、PPMだけでなくて総量でこれを始末しなければならぬことはもう論をまたないと思います。どういうふうにやるかと申しますと、これは技術的な問題でございますので、私はそのように庁内に命じましてその努力をいたします。私個人は技術的にどうしていいかわかりませんが、ただ、とにかく水の問題は非常におくれています。この水のいろいろな技術につきましても、これはもっともっと開発しなければならない、将来まで水の問題が一番むずかしい問題だと考えておりますので、あらゆる方面から技術の開発、そういうことを中心として、そのような総量の規制まで早く持ってまいるようにしたいと思います。  それから、おっしゃるとおり、屎尿処理につきましては、もう四、五年中に全部処理できるということでけっこうでございますが、おっしゃるとおり、赤潮の発生の原因母胎である富栄養化ですか、そういうことは確かにいまの屎尿処理方法では残ると思います。しかしこういうものは下水道その他によって早く吸収してまいらなければならぬと考える次第でございますが、そういうことにつきましても、とにかく何もかにもいままで何十年も流しっぱなし、荒らしっぱなしにして、二年や三年で早くせいといっても実際はむずかしい問題でございますが、できるだけ早い機会にやるという熱意をもって努力いたしてまいります。衛生等につきましても今後も懸命の努力をしてまいるつもりでございます。
  56. 大原亨

    大原委員 最後に。質問し残しておるわけですが、またあとで別の機会に譲るといたしまして、通産大臣は先般の答弁で、やはり工場の設置等についても規制をしなければこの問題は解決できない、こういうことを言っておるわけです。経済企画庁は新全総の練り直しをやっておるわけです。新産都市の問題や工特の問題等で、特に周南地区等は問題になっておるわけです。そういう問題について、経済企画庁はきょうは御出席ですけれども、経済企画庁はそれらの問題を含めて、総合対策の一環としてこの際ひとつ思い切って政策の転換をはかるべきである、こう思いますが、いかがですか。
  57. 岡部保

    ○岡部(保)政府委員 お答え申し上げます。  ただいまの先生の仰せ、いわゆる新全総計画自体の考え方というのは、相当に環境問題について考えてはおったわけでございます。ただ現実の問題として、確かにいまおっしゃったような事例、もうどこを見てもそういう問題が非常に出てきておるわけであります。したがいまして、環境問題を特に強調と申しますか、特に現実の問題としてどういうふうにこれからこの計画を実施するにあたって織り込んでいくかという点において、もう一度点検をし直そうじゃないかという考え方でございます。そこで先ほどの仰せのございました工業の制限の問題等、これも一つの考え方として当然考えなきゃいかぬという反省があるわけでございます。したがいまして、今後の日本として、決してこれから工業が新しい立地をしていってはいけないんだという考え方ではございません。環境問題としてどういうふうに取り扱っていったらいいかという問題について、これから相当に慎重に検討するという考え方でございます。
  58. 大原亨

    大原委員 これで終わりますが、問題は、これから、工業用水を使った際に、きれいに使った水はきれいにして返すという原則で、ぴしっと整備をさせること、あるいは現在出ておるものを規制すること、そして現在蓄積しているものをどうするかという問題、それからその他各省にまたがる問題についての総合的な対策、特に申し上げたような公共下水道をすみやかに、いまちょうどいいチャンスですから、これを大々的に進めていく。地方財政をどうするか、こういう問題等を含めて、強く総合的な対策が進むように、それに関連いたしまして、そういう赤潮の原因究明もまだまだ問題があるわけですから、そういう研究面についての一元化を進めていきながら、行政がその権威の上に進んでいくような政策を立てるべきだ、こういう点を、まだたくさん残っておりますが、これはまた別な機会に申し上げるといたしまして、そういうことを特に要望いたしておきまして、一応私の質問を終わります。
  59. 小林信一

    小林委員長 島本虎三君。
  60. 島本虎三

    ○島本委員 まず環境庁長官、きょう質問するのは大体三点です。北海道の苫小牧、これから行なういわば臨海工業地帯、これに対する準備と指導の問題、それと無過失賠償責任とあわせて救済の問題、それと大雪山国立公園の道路敷設の問題、この三つをお聞きしたい、こういうふうに思っております。それで、その辺も全部すわっていてください、一回一回立つ時間を短くしてください。  環境庁長官にお伺いしますが、長官が就任以来精力的にいままでやってまいりました意図するその行為は私は高く評価いたします。長官としては、ことばは悪く言うと、この人気のない佐藤内閣の中でひとり洛陽の紙価を高めておる、あなたはいまやこういうような存在になっておる。それをいいことに一人のんのんとしていたらこれはとんでもない、これは食わせものだ、こういうことになるわけであります。私はあなたが食わせものでない、こういうことを最後まで信じていたい、こういうふうに思いますので、以下質問を展開していくわけです。  というのは、環境保全の場合はあるものを保全するからこれはなかなかよろしい。また保全ということに対してはいまの流行でありまして、なかなかこれはりっぱなものであります。しかし一たん汚染された場合には、その場所に対して手をつけるということは、これはなかなか困難な問題があります。救済の問題、損害賠償やまたは施設の改善の問題を含めてこれは困難な問題があり、手をよごしかねないわけであります。いままでの結果は、裁判を除いては環境保全の問題は大いにいいのですけれども、それ以外の公害の救済対策という方面はまだまだ十分じゃないように私は思われるのです。これでは環境全体、いわゆる公害対策に当たるわれわれのほうとしては百点を差し上げるわけにまだいかないわけです。ただ、あなたが出ていくところにおいてはマスコミがつき、マスコミによってひとりあなたが有名になれば、これは人気の点においては洛陽の紙価を佐藤政府のために高めていく、こういうことになったら私どもとしては不本意であります。それに実際に力をつけてもらわないといけない、こういうことでありますので、ひとつ公害対策の点についてもこれはもうほんとうに画龍点清を欠くことがあってはならないのだ、こういうふうに思うわけなんです。この辺の覚悟はもうできておると思うのです。それでこれは質問いたしません。それからして、今後もこの対策のために積極的に取り組む、これだけは考えておられると思います。手短に簡単にひとつ決意を……。
  61. 大石武一

    ○大石国務大臣 いろいろなおほめをいただいたりおしかりをいただいてまことに恐縮でございます。私としては食わせものでないように全力をあげてこの日本の環境保全のために取り組んでまいる決意をいたしております。そういうことでありますから、ただ力がどこまであるかわかりません、それは現在のいろいろな体制も必ずしもすべてのことができ得る状態かどうかわかりませんのですが、そういうことがございますので、どうかひとつ今後とも御協力といろいろな御忠告を心からお願いいたしたいのでございます。ただ私の申し上げたいことは、一生懸命やります、やりますが、御承知のように日本の公害問題というのは七十年も八十年も昔からの、積もり積もって一挙に爆発して今日あらわれてきたものでございます。したがいまして、どのようにあらゆる努力をいたしましても一カ月や二カ月や半年や一年で解決するものではないと思います。そういうことをしようと思いますと結局はどうにもできなくなります。したがって、一つ一つ努力を積み重ねながら、ちりが積もって山となるのたとえのとおりです。振り返ってみればよくここまで来たと思われるような努力によって、気長にやって、やはりそういうような忍耐をもって努力しなければならぬ、こういうこともございますので、その点もひとつ十分に御認識を賜わりたいと思います。とにかく一生懸命やります。
  62. 島本虎三

    ○島本委員 それで、けさの新聞を見て私もちょっと感ずるところがあります。というのは、これはもう、公害の無過失責任立法を通常国会で実現するために、この内容が大体報ぜられてあるわけです。これによると、やはりわれわれが想像したとおりです。というのは、この中から食品や薬品は含めないということにした、これはもう当然、その他の立法によって処置するだろうと思います。その他の立法においてはそのままにしてここに含めないということになると、ちょっと私は遺憾なんですが、そういうようなことだろうと思いますが、これくらいの骨子だったら、前回の国会で出そうとしたのとほとんど同じであります。それならば臨時国会に出したって、この前だって通ったのです。これよりも手が加わってりっぱなものであってこそ、いま長官の言ったことばが生きるわけなんです。前回のやっと同じものを、一年間も置いておいて出すと言ったって、これはどうも熱意のあるものとは受け取りかねるわけです。そして、この中にいろいろあるようですけれども、これは次の国会には出るだろうと思いますが、官房長、来ております。それで官房長に承りますが、この中で漁業権や建物の腐食など物質被害は含めない方針とございます。これについてちょっと説明を願いたいと思います。長官でないほうがよろしい、技術的な問題ですから。
  63. 大石武一

    ○大石国務大臣 一つだけ先に申しておきます。  このけさの新聞の記事は、それは聞きますと、きのう企画調整局でいろいろな解説をしたということでございまして、われわれの法案の内容はまだきめておりません。きめておりませんから、それは必ずしもそのとおりかどうかわかりません。でありますが、後退はいたしてない、こういう考えでございます。  あとはひとつ……。
  64. 島本虎三

    ○島本委員 官房長、あなたの場合は、特にあの公害行政については、被害者救済の点であなたは経験者なんです。また、いろいろと水俣の苦労をひとり味わってきて、あの汚濁の中からあなたは浮き上がってきた人なんです。したがって、あなたの場合はこういうようなものを全部知っているから、この問題に対しては、適正を欠く——事務的なかじとりはあなたになっているのですよ。どうもこれに対しては、無過失賠償責任に対しては長官ははっきりした言辞を示しているわけです。あなたのところで長官の意を体してはっきりやるのでなければ、これは長官ひとり浮いてしまいます。無過失賠償責任の中に、長官がはっきり言ったこの漁業権を含むところの財産権、それと同時に建物の腐食、こういうようなものをなぜ入れない。こんなことを初めから考えてこれは発表するのですか。これは親の心、子が知らない。あなたは二重犯罪を犯すことになるのだ。前に水俣の命を三百万円で売った。今度は、この財産だけではない、長官を売るようなことになりかねない。こんなことがあってはだめだ。あなた、どうしてこれを発表したのか、ちょっと関係者言いなさい。
  65. 船後正道

    ○船後政府委員 本日の新聞記事でございますが、経緯につきましては長官が申されたとおりでございまして、私どもの局で無過失責任立法のことを担当いたしておりますが、最近の状況はどうかということでございましたので、種々の問題点を御説明したまででございます。環境庁といたしましてこのような案でいくとか、このような考え方はとらないとか、そのようなことをきめた段階ではございません。ただいま御指摘の具体的な問題につきましても、従来から懸案であったことは御承知のとおりでございまして、立法形式の問題あるいは被害の態様の問題、これらにつきましてはいろいろな考え方があるということは、われわれ十分説明いたしたのでございまして、基本的な方針といたしましては、長官の意を体しまして無過失立法の問題を検討いたしておるわけでございます。
  66. 島本虎三

    ○島本委員 この際、立案当局者によく言っておきますが、昭和四十六年七月の二十三日、公害対策特別委員会議事録第三号、これは午前十時五十一分から始まっておりますが、その中で、長官に対する私の質問「ようやくその生命と健康だけに対して補償をするのか、一歩進めて、そういうような事態がある場合には、当然、その漁業権を含め財産までこれを認めてやる、こういうようなことに立つのが、これが新しい考え方であり、国民もその点」「期待しているのではないか、こういうように私は思うのです。この財産権を入れる見解についてどうお考えでしょうか。」大石国務大臣「私は島本委員のお考えに同感でございます。やはり財産も当然これに含めなければならないと思います。」とはっきり言っているんだ。それなのに、これは入れないように作文して、これを発表するというのは、これは官僚同士でもって——これはもう国権の最高機関である国会を侮辱することになる。そうでなければ、大石長官をこの世の中から抹殺するような結果を、あなたたちが策謀していることになる。せっかくここまでりっぱなことを言って、国民も期待しているのに、これを作文する立場の皆さんが、こういうようなくだらないことを出すようなことでどうするんだ。火のないところに煙は立たないだろう。——だめですよ。ちょっと長官待ちなさい、あなたはこれだけでいいんだから。あとは全部事務当局……。
  67. 船後正道

    ○船後政府委員 経緯につきましては、先ほど申し上げたとおりでございまして、決して作文を発表したものではございません。問題点につきまして、いろいろな考え方があるということを昨日は説明したまででございます。
  68. 島本虎三

    ○島本委員 当然これは長官のこの意のある七月二十三日のこの答弁を生かして立法しなければならないのがこれが環境庁の義務である、こういうふうに思うわけです。そういうふうにして進めてもらいたいし、そうしなければならないと思います。これは官房長、あなたはどう思います。
  69. 城戸謙次

    ○城戸政府委員 私、ちょうど公害対策基本法が四十二年に出されましたときから見まして、一番大きな問題としましては、経済の調和条項を削るという問題、目的の問題ですね。それから、環境行政一元化の問題と並びまして、無過失責任の問題が大きな問題であるということは非常に深く感じてまいっておるわけでございます。したがいまして、この問題につきましては、当然長官を補佐しまして、できるだけりっぱな法律ができますように、庁内あげて努力してまいりたいと思いますが、所管としましては船後局長のほうが所管でございますので、事務的なことはひとつすべて船後局長のほうにお願いしたいと思います。
  70. 島本虎三

    ○島本委員 そういうようなことで、じゃ長官のこの意思を十分生かして立法すると、こういうようなことですから、それを私は心から期待しております。  長官最後に。あなたはりっぱにこれをやっているんですから、いまもう環境の保全のほうはりっぱだ。しかしながら、救済や損害賠償や企業の改善、これを含めるところの重大な問題をかかえるところの公害行政、こういうふうなものに対してもあなたはりっぱにやるといった。このりっぱな議事録もある。これは私はもうほんとうに国民は期待しておる。ここでいままでと同じような大臣で、これはやめたということのないように、これもいままでできなかったことをやった。さすが大石だ。昔は討ち入りをやり、今回は公害関係の討ち入りをやった大石武一だ。大石義雄と大石武一、この一つの相関関係において、りっぱなあなたはこの法律を出すように心から期待します。しかし、この答弁の修正は一切認めません。私はもうこれを修正するようになったら私はもう重大決意を持ちますよ。いや、あなたはもうこれは修正しないというなら答弁許します。
  71. 大石武一

    ○大石国務大臣 修正はいたしません。いままでの大臣もりっぱでございます。りっぱでございますが、さらに私もそのあとを継ぎましてそのあとをさらに前進するような方向で行政を進めるような方向で働いてまいる考えでございます。ただいまのお話は賛成でございます。根本的に賛成でございますが、それはでき得る範囲においてやります。段階を追ってやります。その修正につきましては、この前の委員会あたりで一言弁明いたしておりますので、それをごらんいただきまして、その前の発言の趣旨は、基本的にはそういう考えでございますので、その点をひとつ御了承願います。
  72. 島本虎三

    ○島本委員 だからこれに関しての発言はあなたにさせないということで発言させた。これはだめなんです。前のやつはあなた自身こう思いますがというような一つの注釈であって、生きているのはこれです。あなたの戸籍謄本はこれです。(笑声)これ以外のものはない。これはほんとうに笑いごとじゃありませんよ。十分この精神を生かしてやる、事務当局もこれでいいと思いますが、立案の責任者いいですね。
  73. 船後正道

    ○船後政府委員 事務当局といたしましては、今後種々の問題点を十分煮詰めてまいりたいと存じます。救済の対象としての被害の範囲につきましては、種々の問題点がございますし、また、これを実現するにつきましては先ほど長官が申し述べましたようにいろいろな時期的な考え方もございます。究極的にはこのような考え方を持っても、さしあたりの立法としてはどの辺までを考えるべきか、いろいろの点がございます。そういったことも勘案いたしましてこの作業を進めていきたい、かように考えております。
  74. 島本虎三

    ○島本委員 では次に移ります。長官これを忘れないようにはっきり言っておきます。あなたの発言の生まれたのは、昭和四十六年七月二十三日、この日付の議事録があなたの戸籍謄本です。これを変更した場合にはとんでもないことになりますから、十分加味して出してください。  それでは、次に移ります。同じようなコンビナートの問題で方々からいろいろな意見が出され、あるいは瀬戸内海では赤潮の発生まで生んでいるような状態であります。まだ、全然手を触れていないような新しい構想のもとにやる開発については、万全を期さなければならないと思います。いままで政府がいわば地方自治体に計画を出させ、そしてそれを政府が認めてやって、いまだに公害が発生しているのは、——これまた鹿島、水島、こういうようなことを二度、三度繰り返してはならないと思います。ここに苫小牧が新たに第三次計画としてあそこに出されるようになり、東部地帯においては、一大工業地帯としてこれを開発する計画が策定されております。これには通産省並びに北海道開発庁、これらも参加してやっているんです。この計画がおくれればおくれるほどまた困難になってきます。この進捗の状態あたりを私見て、これまた水島、鹿島の二の舞になりかねないという心配があります。そういうような点からして伺ってみたいのです。この基本調査について、通産サイドではこれはまだ不十分なようじゃありませんか。古い苫小牧と新しいこれらの計画を持たなければならない苫小牧があるのです。古いほうの苫小牧、いわば旧苫小牧でさえも、また大気と水が全部出そろわないようであります。ましてこれからの新しいコンビナートをつくる場合に、基本計画ができないで、それからいろいろなことをやると、これまた公害発生の原因になってしまうのです。なぜこれを急いで進めないのか、なぜサボっているのか、この点についてはっきりした答弁を承ります。
  75. 久良知章悟

    ○久良知政府委員 お尋ねの苫小牧地区につきます産業公害総合事前調査と当地の開発計画との時期的な関連についてでございますが、先生おっしゃるとおり第一苫小牧の計画が目下着々進んでおりますし、それからさらに第二苫小牧の開発についての計画が現在検討をされておるわけでございます。第一苫小牧につきましては、これは私どもでやります総合事前調査につきましては、大気関係とそれから水質関係二つに分けてやるわけでございまして、大気関係について申し上げますと、昭和四十三年の六月に現地調査をやりました。その後各計画地域に進出いたします工場の計画が固まりますとともに、第一次の風洞試験、それからそれに基づきます企業の計画の変更の指導、それから第二次の風洞試験というものをやってまいりました。第二次の風洞試験はことしの三月にやったわけでございますが、現在その結果に基づきまして、なお若干、進出予定の、進出中の企業の大気汚染の原因になります物質の濃度その他につきましてまだ改善を要する問題もございますので、その改善についての指導をただいまやっておるわけでございます。この改善の計画がまた出されますと第三回目の汚染の予測のいろいろな試験をやるという予定にいたしておるわけでございます。  それから水につきましては、これは昭和四十四年に現地調査をやりました。その後、水理模型によります実験を終わりました。その結果を使いまして企業の排水計画その他の改善の指導をやったわけでございますが、大体四十五年度中にそれが終わりましたので、事前調査の結果につきましては四十六年六月にこれは発表をいたしまして、企業もその線に沿って操業ないし改善をやっておるわけでございます。  それから第二苫小牧につきましては、これは目下いろいろと計画が練られておるわけでございますが、大気につきましては現地調査を四十五年の七月に行ないました。現在マスタープランに基づきまして、電算機によります汚染の予測を実施をいたしておるわけでございます。企業進出がどの時点にどういう形で出てくるかというふうなことにつきましては、具体的にはまだ細部まで決定いたしてない状態でございますが、そういう点がきまりました時点で開発庁のほうでやっておられます計画ともにらみ合わせまして、この事前調査に万全を期すると同時に、時期的にも十分お役に立つように間に合わしていきたい、そういうふうに考えておるわけでございます。
  76. 島本虎三

    ○島本委員 しかし、もう現に動いているその地帯でも、通産サイドの計画調査が、水の点はできても大気の点はまだできておらぬ。これからの点はこれからだ、こういうようなことじゃ全くおそいのです。開発庁、第三期計画のマスタープランはどういうふうになっているのですか。大体構想を示してもらいたい。
  77. 山田嘉治

    山田(嘉)政府委員 お答え申し上げます。  御承知のように、北海道の開発は昨年の七月に閣議決定を見ました第三期北海道総合開発計画、四十六年度から始まる十カ年間の計画でございますけれども、これに基づいて推進しておるところでございます。この計画におきまして一つのキャッチフレーズとして、生産と生活が調和する豊かな地域社会を先駆的に実現するということをねらいとしておりますけれども、そのために各般にわたる幾つかの大規模な開発のプロジェクトが盛り込んでありますことは、先生の御承知のとおりでございます。苫小牧、ただいま話が出ておりました苫小牧東部の地区におきますところの大規模工業基地の建設はまさしくその一環として推進しようとしている事業でございまして、このためこのマスタープランと申しますか、開発基本計画の作成にあたりましては、各方面の権威の意見とともに、地元関係者の意向も十分に参酌いたしまして、去る八月に北海道開発審議会に御説明申し上げまして、御了承賜わったところでございます。  この基本計画の概要について申し上げますと、これはかなり長期のプランでございまして、完成を予定しております昭和六十年代におきまして、鉄鋼、石油精製、石油化学、非鉄金属等の基幹工業とそれに関連する工業、合わせまして約三兆三千億円という非常に大きな工業出荷額を期待しております。これは非常に地域が狭小で過密な日本の国土におきましてはなかなか実現し得ないような大きなプロジェクトでございまして、このために面積といたしまして約一万二千六百五十ヘクタールを予定しております。そこで最近環境保全、公害の防止ということが一つの大きな国民的要請でございますので、そういう点を十分に念頭に置きまして、一万二千六百五十ヘクタールのうち工業産地は半分ちょっと、約五三%程度にとどめまして、極力緑地でございますとか道路等を大幅に確保するという、従来の、先生御指摘になりましたような鹿島その他の苦い先例にかんがみまして、かなりゆったりとした余裕をとって考えたいというようにしております。  それから先ほど申しました廃棄物を出す可能性の多い基幹工業、これは海岸線に沿って配置いたしまして、重複公害等が出ないよう十分な配慮をしておるのでございます。もちろん公害の未然防止という観点から、排煙、排水等の産業廃棄物に関しますところの最新の公害防除技術の採用などを立地企業に対しまして強力に指導措置をいたしますとともに、その万全を期するために、公害の監視体制を確立するということをその基本計画では考えております。  それともう一つ、この大規模工業基地の開発に伴って人口が相当大幅にふえるということを考えております。約三十万人、見込みでございますが、これも非常に広大な地域でございますので、工業の配置地域とは相当な距離を離しまして計画的に新たな住宅市街地を開発いたしまして、過密化の防止ということとあわせまして、理想的な人間環境をつくるということを考えておる次第でございます。しかし先ほど御指摘がございましたように、公害の総合事前調査ということをただいま通産省のほうにお願いしておりますけれども、その結果がまだ完全に出ておりません。そういうままでこの基本計画を一応作成したということになっておりますので、この結果が明らかになりました段階には、この計画は先ほど申しましたようにかなり長期の計画でございますので、この調査結果が出ました場合は、これらを十分に勘案いたしまして、決して不都合が生じることがないように格段の配慮をいたしたい、かように考えております。
  78. 島本虎三

    ○島本委員 産業または経済との調和ということばは去年の十二月にもう基本法からなくなってしまい、むしろそういうようなものを犯して公害を出したものは、公害即犯罪なりという概念が新たに生まれてきたのは、公害罪処罰法、こういうようなことによっても明らかであります。この基本的な考え方が——生産ということばですが、生産イコール経済、生産イコール産業じゃありませんか。産業との調和でこれをやっていくというこの基本的な考え方、一年前にこれはこの世の中からなくなった概念じゃありませんか。これを北海道で再び植えつけようというような考えですか。この点を私は若干伺っておかなければならない。これは少しおかしい。環境庁からよく注意されなかったものだと思います。  それからもう一つ、なるほど一万ヘクタール以上の広大な土地であります。そして五三%に当たる六千五百ヘクタールほどをその土地に充てる。そしてあとはもう緑地帯をつくるということです。この緑地帯をつくるということ、これに対してはむしろそれと同時に発生源対策を完全にして、強い規制をするというのが並行するかそれより先になるか考えてなければならないのじゃありませんか。この規制ということ、発生源対策ということ、こういうようなものに対しては十分考えれておらないかのようでありまするけれども、これは単に一キロの緑地帯があるから中で何を出してもいいんだという考えはだめなのです。そういう考えがあるからこの生産と生活の調和ということばが出てくるのじゃないか。これはちょっとおかしいんじゃないかと私思うのです。どうもこの点ではどうなのか、これは伺っておかなければなりませんし、大規模工業基地の開発に対して単なる作文、これをまだ通産省の基本計画ができていない間にこの基本プランがもうできあがっている。それもあえてここで指摘すると、いわば海岸線に配置されるのは、たれ流しにしてもいい企業が全部配置されています。これはまた要注意ですよ。だから生産との調和ということになるのかもしれません。それと同時に、いろいろあるようでありまするけれども、この現行計画のままでは大気汚染が深刻化するし、工業配置等の当然変更もあり得るし、そうしなければならない、こういうふうに私ども思っているのですが、こういうようなことを十分考えられておられるかどうか。これは単なる公害だけの問題ではありませんし、もっともっと指摘したい点はありますから一回に答弁してくださいよ。一問一答はあとからやります。  それと同時に公害の防止のための施策というようなことを十分考えておられるかどうか。進出企業に対する選挙、許可基準があるのか。農地を緑地にするというような点わかりました。それと並行して公害に対する、発生源対策に対する強い規制を考えてこれを行なうような準備があるのかどうか。それから公害の基準ですが、これはまさに大気汚染防止法の指定地域に当然しなければならないと思うのですが、環境基準はあくまでこれをきびしくしてもこれで余るということはないはずであります。この基準についてどういうふうに考えておるのか。具体策、油の使用、こういうような問題も当然考えなければならないはずでありますが、それも考えておられたマスタープランじゃないかと思います。そうでなければ——いま問題のたれ流しは海岸地帯が一番多いのです。そういうようなことからしてこの計画自身もたれ流しのしやすいような計画になっている。それに対して通産省の調査のほうはあと回しあと回しになっている。これがもしそのとおりやられるとしたら通産省も同罪になる。これに対して、いま言ったことを十分留意したプランなのかどうか、御答弁を願います。
  79. 山田嘉治

    山田(嘉)政府委員 お答え申し上げます。  私どもは決して海岸地帯に基幹工業を配列するということを申したからと申しまして、これは何を出してもいいんだ、たれ流しでいいというようなことは毛頭考えておりません。先ほどちょっと申し上げましたけれども、これは通産省、関係各省と共同で強力な指導、規制ということに当たっていかなければならないわけでございますけれども、公害の発生源に対する規制というものは、これはきびしく定めまして、厳重に、いわゆるたれ流しというようなことは絶対にないように指導するつもりでございます。もちろん進出企業の選考とか許可にあたりましても、関係の通産省その他と十分に協議いたしまして、その企業の過去の実績でございますとか、公害予防に関するもろもろの措置準備等も十分審査いたしまして、そういう観点から許可をいたしていくべきだというように考えております。それから環境の基準につきましては、これは最も厳重にやってもらいたいと考えております。  私どもは、要するに何でもここへ工業を持ってきて生産すれば豊かになるのだからそれでいいという考えは毛頭持っておりません。島本先生御出身の北海道は、これはまだ日本の他の地域に比べれば、俗に申せば汚染されておらない処女地でございまして、ここで一つの住みよい——生産は工業でございますけれども、大きな都市圏というものをつくっていこうという考え方でございまして、要するに廃棄物がやたらと出まして、そのために非常に住みにくくなるというようなことでは、これは私どもの開発の目的と合致しないというように考えております。  先ほど生産と生活が調和するということを申しましたのは、何か時代おくれではないかというお話でございましたけれども、私どもはどちらが重要であるかといえば、もちろん人間が住みよい生活ができるということが基本の目的でございまして、調和するために多少の公害があってもそれを甘受しろというようなことは考えておりません。一言申し上げておきます。
  80. 島本虎三

    ○島本委員 環境庁の官房長、いまの生産との調和ということに対して、去年の十二月なくした理由をちょっと聞きたい。
  81. 小林信一

    小林委員長 ちょっと速記をやめて。   〔速記中止〕
  82. 小林信一

    小林委員長 速記を始めてください。
  83. 島本虎三

    ○島本委員 今回の北海道開発について、いまちょっと伺ったところによると生産と生活を調和させる、この基本理念によってやっていくということばがあったわけです。去年の暮れに経済との調和、産業との調和ということばは公害基本法から除かれてしまった。そのことは先ほど城戸官房長のほうからもはっきり答弁があった。しかし生産、これはやはり経済ではありませんか。生産すなわち産業ではありませんか。イコールまたは準イコールになって結びつくものです。それと再び生活を調和するというような基本理念によって北海道開発を推進していくというのです。そうするとここで産業との調和ということばが、基本法からとっても再び出てくるのではないか、こたがはたしていいのか悪いのか、これを聞いたのです。あなたいないからこれを二回言わせることになりました。これでいいと開発庁は言うのですが、あなたいいのをどうして去年基本法からとったのですか。
  84. 城戸謙次

    ○城戸政府委員 これは経過のことでございますが、公害対策基本法一条に生活環境の保全と国民の健康の保護と二つを目的にあげていたわけでございますけれども、生活環境の保全にかかわるものは、いまの経済の健全なる発展との調和をはかるということになっていたわけでございます。これがいろいろな意味におきまして——ことに第九条の環境基準のところにも同じようなことばがございましたし、関係の立法の中にもそういうことが入っておった。これではいわば環境保全立法、特に公害対策の立法としまして、純粋な立場で行政を進めていくということにならぬじゃないか。むしろ経済の問題は一つの基礎でございますから、経済を一切無視するということじゃないにしましても、環境立法につきましてはその純粋な立場で法律に規定すべきだ、こういう考え方で整理いたしたわけでございます。ただその根底におきましては、考え方としましては国民生活優先という考え方に立ってのこの改正であったことは間違いないわけでございますが、法律上の措置としましては、そういう考えで整理をしたつもりでおるわけでございます。  なお、いまの北海道の関連でございますが、この公害対策基本法におきましては、公害対策という見地から経済との関係を特に問題としているわけでございまして、特に最近問題となっております自然保護の問題になりますと若干公害という概念とは違ってまいりますので、その辺につきましては、今後の自然保護の基本立法をするにあたりまして、さらに十分検討していくということになろうと思うわけでございます。基本法としましては、公害対策の基本法であるこの中から経済の調和条項をはずしたということであるわけでございます。
  85. 島本虎三

    ○島本委員 大体聞いておられたと思うのです。生産、すなわちそのために発生する公害は十だ。生活は公害のゼロを求めますよ。調和をするということは、五でがまんせいということになるでしょう。やはりすべて公害に関することは人命優先、人間優先なんです。ですから、そういうような点までも生産と生活を調和して、ここでやるのだという考え方は、ともすれば五でがまんせい、こういうようなことの押しつけになる。それを北海道開発のほうに持っていったのではだめだ、こういうような概念です。これは十分考えて、あまりこういうまぎらわしいことは言わないほうがいい、御注意申し上げます。  そうすると、ここでたく低硫黄油はどうするのだということ、これはどうなんです。
  86. 山田嘉治

    山田(嘉)政府委員 先ほど申し上げましたように、この工業基地におきまして石油精製など石油関係の企業の進出をかなり大きく期待しておりますので、これは今後通産省とも十分に御相談申し上げて、指導していかなくてはならぬことでございますけれども、極力低硫黄の油を使う等、亜硫酸ガスその他廃棄物の量を、最新の防除装置の使用とあわせまして最小限に押えるということで、指導してまいりたいというように考えております。
  87. 島本虎三

    ○島本委員 いま二%の硫黄分を含んだ油を大体苫小牧あたりでやっているようです。これは一時間二万七千百三十三N立方メートル、これは摂氏零度で一気体体積だそうでありますけれども、これでいくと最大着地濃度は、全然公害対策にはならないことになるんですが、この点なんかも十分考えてこれは立案されているのですか。石油コンビナートですよ。それからまた発電装置もあるのですよ。いわゆる大気汚染の悪玉がみんなそこへ集中するのですよ。それでいて高煙突、広拡散をこれから指導するのですけれども、その燃料が二%のこういうものをたくことによってどうなるのですか。あなたのほうで積算があると思うのです。通産省、これは早く出さないからこんなことをやるのだ、全くもって怠慢だ。開発庁、ちょっと結果を発表してください。
  88. 山田嘉治

    山田(嘉)政府委員 先生御指摘ございましたが、油の着地の数値につきまして、私ただいま数字をここに持っておりませんので、後ほどお知らせいたしたいと思います。
  89. 島本虎三

    ○島本委員 これは最大着地濃度、こういうようなものを十分調べてやらないといけないから、通産省のこのような結果を急がないとだめだというのはその辺にあるのです。われわれのほうで調べてもらったのによっても国の環境基準は〇・〇五PPM、いま苫小牧のほうで計画どおりにやるとそれを上回って〇・一PPM、これはもう風が南へ吹くと、この汚染範囲が千歳、恵庭、札幌にまで及ぶ、こういうような状態です。ですから油の問題に対してはどうしているんだというととはそこなんです。現行どおりでいったらこのとおりですよ。こういう計画を進めてはいけません。これはだめなんですよ。どうもその点北海道はおおようで、まだまだ注意力が足りないようですけれども、そこを十分やっておいてもらいたいと考えるのです。油はどういうふうな方法でこれを集めて——これからやるところですから、これから油の需要を満たすつもりですか、あるものを買いますか、そこで精製脱硫させますか、そういう計画はどうなっていますか。
  90. 山田嘉治

    山田(嘉)政府委員 お答え申し上げます。  先ほどお答え申し上げましたように、脱硫装置その他の防除装置の進歩に期待いたしますと同時に、極力低硫黄の油を集めて操業させるということを考えておりますけれども、具体的にどこの地域からどれだけの量の低硫黄の油を集めてきてやるというような段階ではございません。
  91. 島本虎三

    ○島本委員 これも通産省の怠慢だ。通産省、こういうようなことをなぜ教えてやらぬのです。
  92. 久良知章悟

    ○久良知政府委員 総合事前調査調査結果の内容については、先ほどお答えをしなかったわけでございますが、大気について申し上げますと、第一苫小牧の調査につきましては、一次、二次と計画の変更に伴いまして何回か風洞試験をやってきたわけでございます。第一次風洞試験では、当時対象工場九工場について確定をしておったわけでございますが、そのときに、南の方向の風向きのときに最大着地濃度が〇・二九三PPM、それから東の方向のときに〇・三八九PPMということで、かなり高い濃度が予想されたわけでございます。したがいまして、将来進出企業がフルに活動した場合には、硫黄酸化物について問題ありということになるわけでございますので、進出企業に対しまして燃料の改善、それから煙突の高層化というような点の指導をやったわけでございます。その結果、第二次の風洞試験をやりましたときには、先ほどの九工場が八工場ふえまして、十七工場に増加をいたしたわけでございますが、十七工場のフル操業を前提にいたしまして、改善結果を入れまして、第二次風洞試験をやりました結果によりますと、最大着地濃度にいたしまして〇・一五六PPMということになるわけでございます。この〇・一五六PPMと申しますのは、環境基準で申しますと、九九%滞留値の〇・二PPMというのに照応するわけでございますので、私どもといたしましては〇・一五六という数字は、環境基準としては一応以内に入っておるというふうに考えておるわけでございますが、しかし十九工場の中の三工場につきましては、個別の工場からの排出源による影響というものを、私ども〇・〇五PPM以内におさめようというふうに考えておるわけでございますが、この値を若干オーバーするのがあるわけでございます。この工場に対してさらに第二次の改善計画というものを現在指導しておるわけでございます。この結果が出ましてからさらに第三次の風洞試験を実施いたしまして、確認をしたいと考えておるわけでございます。この風洞試験の結果その他につきましては、関係の向きには御連絡いたしまして、計画の検討その他に前提として織り込んでいただいておるわけでございます。
  93. 島本虎三

    ○島本委員 こういうようなりっぱなマスタープラン、りっぱな計画があっても、いまのように低硫黄の重油が確保されない限り、これは夢物語りになるのです。だから、そういうような場合を想定して、それに対する対策も当然必要なんです。大気汚染の最たるものはSO2、これはおわかりのとおりなんです。重油をたくさん使う場所はどこだ、火力発電と製鉄所なんです。こういうようなものがそこに集中するのです。そういうふうになると、ローサルファ、こういうような油に対しては日本は不利な状態にあるのです。産油国と世界の石油資本、これがぴったりしてますから、良質のローサルファ油は全部アメリカやイギリスやEC諸国のほうに行くようなことになってしまう。そして日本の場合には、わずかにミナス原油、こういうようなものが入ってくる。それは取り合っているのです。どこに行ってもみなたきますたきますというが、どこから入ってきてたけるのですか。だから日本原油の消費量は幾何級数的にこれからふえていきますから、幾らこういうような低硫黄の油をやるといったって、持ってくる、これはどこでもそう言いますけれども、これは不可能なことなんです。したがって買わされるのはハイサル・オイル。したがってSO2はますますふえる。そこで製鉄所でも火力発電でも現にやろうとする、そういうようなところに対しては特に脱硫装置をまたつけさせて、自分でもそういうような精製したものを使う、こういう施設を新しいコンビナート、新しい場所には当然計画しなければならないじゃありませんか。いまそういう計画はないのです。あれほど広大な土地がありながら、その中にまた全部密集してしまったら、今度は五分の一くらい、総面積が必要なんですから、そういうものを建てる余地がなくなれば、こういうことはやろうとしてもできなくなる。初めからこういうような計画をちゃんと入れておかぬとだめなんです。したがって、低硫黄オイルに対する対策はあるかと言ったら、ない、これではほんとうに環境庁、これまた向こうだってそういうふうになってしまったら困るのです。ですからこの点に対しては十分指導してやってほしい。いま東京電力でも、それから中部電力でも、関西電力でも、困っているのはその土地がない、低硫黄油が入らない、これなんです。ですから、やっていることになりますけれども、厳密にはかったならば、何でもないはずのものがSO2があふれてしまう。これはどこかに欠陥がある。ですからこの点は十分に考えておいてもらわなければだめなんです。開発庁、これは考えておいていただいて、この点だけははっきり手を打っておいてもらいたい。いいですね。  それだけではないのです。まだまだ一ぱいあるのですけれども委員長が妙に時間ばかり気にすると、私の質問も気になるのです。ですけれども、それにこだわらないで私は言うことは言わしてもらいますけれども、これはどうなんですか。今度の場合にはベッドタウン建設とレジャー建設と、それから工業団地、こういうようなものがやられるようですが、これまた公害防除の見地からやられていないようです。風の一番流れる方向に住宅地帯を設定する、こういうような傾向もあるようです。これもやはり是正を要します。  それと、これはどうなんですか。悪徳不動産業者、こういうようなものの進出対策を早くしなければ、もう新聞広告をしてやっているでしょう。全部買い占めてしまったら、また高くなってどうにもできなくなる。早いうちに手を打たないとだめなはずです。そのためには民有地の共同管理方式、こういうようなものもやはり指導として必要なんじゃないか。これは公害対策なんです。環境庁長官、こういうようなものがあるのです。これはまだまだ手を入れなければならない、こういうような点が感じられますけれども、この点ではもっともっと考えてやってもらわなければならない。これはよろしく頼みますが、こればかりやっていたのでは時間がなくなりますから、早くやって次へ移ります。
  94. 山田嘉治

    山田(嘉)政府委員 島本先生御指摘のように、住宅地の配置につきましては、主要な、風向きその他を考えまして、最も公害を受ける可能性の少ない地域を選定しまして、一応のマスタープランで場所を予定してございます。それに必要な交通道路網の配置その他の計画が基本計画にございますけれども、確かに先生御指摘のように、工業基地のほうは北海道庁が相当の土地を先行買収いたしまして、問題が相当程度解決しておりますけれども周辺の都市の確保につきましては、まあ部分的にはその場所が公有地でございまして、あまり悪徳の不動産業者等の進出の心配のないところもございますけれども、さようでございませんで、うっかりしておるとそういう人たちの進出の結果、用地の取得が困難になるようなところも確かにございます。そういう点もございますので、ただいま北海道庁はじめ関係者と相談いたしまして、極力すみやかに計画的に良好な環境の場所を住宅地として確保できるように手を打ってまいりたいと考えております。
  95. 島本虎三

    ○島本委員 あげればきりがないのですが、これはどうですか。苫小牧のいま予定されているそこに、十数カ所の縄文時代の各期、前、中、後にわたる遺跡があるのです。その中には後期ごろのものといわれる墓さえ発見されているのです。これはやはり埋蔵文化財です。こういうようなものもこの計画の中にあるのです。一たんブルドーザーでばっとやってしまったら、もうおしまいなんです。そういうようなものの対策は講じてありますか。
  96. 山田嘉治

    山田(嘉)政府委員 御指摘の文化的遺跡の存在につきましては私どもも話を承知しておりまして、ただいま私どもの承知しておりますところでは、道庁があの辺から勇払一帯にかけて調査をいたしておるということでございます。その結果等によりまして、この基地の建設にあたっては、そういう文化的な遺産につきましては極力これをそこなわないように配慮してまいりたいと考えております。
  97. 島本虎三

    ○島本委員 いかにそれを言ってもだめなんです。民間にやらしてしまったら、墓の一つ二つこわしてもこわす前に写真をとればいいということになっていますから、そういうようなことでみんなぶっこわしてしまう。あなたの言うことはほんとうに画竜点清を欠く答弁ですよ。ですからここではっきりあなたと確約しておきたい。そこには北海道の教育庁ですか、そっちのほうの社会教育に文化振興室か何かの保護係か課があるはずです。それはそういうものがあるから、今後そっちのほうと開発庁並びにこれを企画し実施する側と十分相談した上で道路なりこういうようなものの開発をやっていく。文化財そのものは再び戻ってきませんから、その辺こそ緑地にしてもいいはずですから、これを残すことに十分意を注いでもらいたいと思います。環境庁長官、眠いでしょうから答弁してください。
  98. 大石武一

    ○大石国務大臣 御趣旨はごもっともでございます。これは、ただいまのところは文化庁の一つの監督か何かの所管になっておりますので、われわれは十分に連絡をとりまして、御趣旨に合うようにわれわれも協力してまいりたいと考えております。
  99. 島本虎三

    ○島本委員 したがって公害防止計画の地域指定、これは必要だと思いますが、これをどういうふうに考えておりますか。
  100. 船後正道

    ○船後政府委員 苫小牧につきまして公害防止計画が必要かどうかというお尋ねでございますが、公害防止計画は、御承知のとおりすでに汚染のかなり進んだ地域、今後汚染のおそれがある地域、こういった地域を対象として策定されるわけでございまして、本来、苫小牧のように計画的に開発が行なわれるところでは、そのような事態に立ち至らないことが第一でございます。ただいま開発の地域で、苫小牧につきましては、私本日ここにデータを持っておりませんけれども公害防止地域に指定するがごとき状態には現在なっていないというふうに承知いたしております。
  101. 島本虎三

    ○島本委員 なぜそれを指定しないのですか。
  102. 大石武一

    ○大石国務大臣 ちょっと……。苫小牧はこれから新しい計画を立てるのでございますから、絶対に公害防止計画をつくる必要のないように、指定することがないように、いまのうちから公害を起こさないような完全な計画を持った内容で建設をすることが必要でございます。われわれとしましてはいままでの公害防止計画というものは跡始末か、今度の鹿島とか大分は予防的な措置でございますが、そのようなことをしなくてもすでに、あそこの建設が始まる前にそのような完全な計画をもってやることを心から希望いたしております。
  103. 島本虎三

    ○島本委員 北海道を代表して北海道議会では、これはやはり公害防止計画の地域指定を早くしてもらいたいという要望が道民を代表して出されているはずです。これは道民の意思に沿って公害防止計画の地域指定は当然じゃありませんか。向こうのほうでそういう計画を立てる、早く持ってこい、早く指定してくれと言っておるのですから。
  104. 大石武一

    ○大石国務大臣 そういうことですか。
  105. 島本虎三

    ○島本委員 そういうことですよ。
  106. 大石武一

    ○大石国務大臣 わかりました。
  107. 船後正道

    ○船後政府委員 新規の開発地区につきましての公害防止計画の関係は、ただいまやはり長官が申されたような趣旨でございまして、公害防止計画を必要としないようなそういった地域にしていただきたい、かように思うわけでございますけれども、ただ公害防止計画につきましては、十九条の一項二号で将来汚染のおそれのある地域、これは地域指定に該当するわけでございますが、苫小牧の問題は、私先ほど申しましたように詳細なデータは現在ございませんけれども、どう取り扱うかにつきましては地元と十分調整してまいりたい、かように思っております。
  108. 島本虎三

    ○島本委員 その辺がやはり今後の公害の一つの争いになるかもしれません。こういう計画をはっきり策定してそれを出して、環境庁が認めてやってそして補助し予算をつけてやってそれから実施するようになっている、それが計画の中に入れられないとだめなんです。どうもこの辺みんなちゃらんぽらんになっているのですよ。その計画はその計画、この計画はこの計画、遺跡の計画は遺跡の計画、みんなばらばらなんですよ。ですから、こういう計画じゃだめだし、日本の計画はこれから新たに環境庁が重大な決意をもってチェックしないとだめなんです。どうもその点でははっきりしないようですが、やはりそういうようなものを出してはならないという防止計画を——防止の計画ですから、地域の指定をしてもらいたいと言うのです。これは急いでもらいたいと言うのです。十分それは相談した上で善処してやってください。どうもこれは十分内容を知っていないようですが、いいですか。
  109. 大石武一

    ○大石国務大臣 いまのお話、よくその御趣旨はわかります。わかりますが、われわれの希望から言えば、あらためて公害防止計画地域に指定しなくてもそのような防止計画が十分に取り入れられたマスタープランでなければならぬと思うのです。そういうものをぜひ私は北道海開発庁においてつくるようにそれは実行するように心から願いますし、そのように調整してまいる考えでございます。
  110. 島本虎三

    ○島本委員 じゃあとで十分考えて、必要あるならこれはやるようにしてやったほうがいいと思います。  それと公害防止総合センターの設置に対する財政援助、相当考えておいてくれということです。こういうようなのは当然だと思いますが、これは道民を代表しての意見でありますから、これに沿うてやるべきだと思います。これは環境庁長官のほうもそういうようにやってもらいたい、こういうように思いますが、よろしゅうございますか。——それと同時に、遺跡の点はそれでわかりましたから、総合的に開発庁も十分——これはただやればいいんだじゃなくて、いまの点は十分留意した上でこまかい計画を練り直してやってください。いいですね、それは。最後にわかったということだけ言いなさい。
  111. 山田嘉治

    山田(嘉)政府委員 先生の御指摘のとおり、十分に留意いたしましてさように善処いたします。
  112. 島本虎三

    ○島本委員 じゃ次にちょっとお伺いしたいのですが、長官のほうで、北海道の国立公園である大雪山、その方面のいわゆる開発道路、道道です、それをつくる場合に、北海道庁の中にある環境局と農林省とそれから北海道開発局との間でいろいろトラブルがあってまだこれが解消しておらない、こういうようなことを聞いておるのですが、長官はこれは御存じですか。
  113. 大石武一

    ○大石国務大臣 大雪山を横断する新得から旭川に抜ける道路でございますか、あれにつきましては、開発庁なり北海道なりの御意見のまとまりがあるかどうか知りませんが、これは環境庁のほうでいちゃもんをつけまして押えてございます。
  114. 島本虎三

    ○島本委員 そのいちゃもんをつけて押えておるのは大いにけっこうであります。ですから、そのままにしないで何らかの方法がなければならないと思います。それは年来の要請だったそうであります。しかし、いままであまり環境保全を考えないで、ただ道路をつければいいという考えであったようであります。それに対する修正をすることは大いにけっこう、これはやってほしいことです。これに対しては着工が五十キロにわたるようであります。その間にトムラウシとか白金だとか天人峡、勇駒別、こういうような温泉もあるようであります。そのようなことからして、大雪山は高層湿地帯ですか、こういうのがあったりして得がたいものもあります。そういうようなところを保全するということからして、十分考えられておると思います。それで林野庁であるとかそれから建設省であるとかそういうようなのと十分議を通じて、そうしてめちゃくちゃなことをしないようにすべきだ、こういうように思っておるのですが、その方面関係はよろしゅうございますか。
  115. 大石武一

    ○大石国務大臣 十分にそのような各方面に調整をいたしまして、この得がたい大雪山の自然環境を保護してまいる決意でございます。
  116. 島本虎三

    ○島本委員 それに対しては林野庁のほうでは、いろいろな施設の解除なり——現在のところでは林野庁自身はこういう国有林を保全しているわけです。そういうような関係で、道路そのものについても何ら具体策がないようであります。そういうようなことも承っておらないようであります。したがって林野庁でもこの問題に対しては重大な関心はあるかのように聞いているのですが、林野庁のほうでこの問題をどういうふうに考えておられますか。
  117. 松形祐尭

    松形説明員 お答え申し上げます。  ただいまの路線につきまして、施行主体でございます北海道開発庁から何ら協議がまだまいっておりません。しかし一般的に申し上げまして、国有林野内にこのような道路を開設いたします場合は、その路線決定にあたって自然保護等に十分配慮するようにいたしております。また工事の施行上も、林地の崩壊防止とかあるいはのり面の緑化とかあるいは残土の処理等につきましても条件を付して許可するというような処置もいたしておりますし、またこの場合、先ほど長官からお話しございましたように、大雪山国立公園地域でもございますので、以上のような基本的な考え方にのっとりまして、さらに慎重に処理してまいるつもりでございます。  以上でございます。
  118. 島本虎三

    ○島本委員 これはやはり特別保護地区として十分検討しておかなければならない問題だと思っておるのです。この問題に対しては各庁よく連絡した上で、これはほんとうに善処しておいてもらいたい、こういうように思うわけですが、これは各省庁との連絡、十分できておりますか。
  119. 大石武一

    ○大石国務大臣 十分に自然保護区を中心として手配しておるようであります。たとえばことしはもうあそこを開発地帯といって、北海道開発庁は予算をつけておるようでございますが、すでに事務当局の話し合いによりまして、その予算は他に流用されておりますので、そのような方面の話し合いもついておるようでございますから、今後も十分な話し合いがつくものと私は確信いたしております。
  120. 島本虎三

    ○島本委員 じゃその話はそれで終わることにいたしまして、また苫小牧のほうにいきますが、赤どろの対策はもうできましたか。
  121. 大石武一

    ○大石国務大臣 この赤どろの問題につきましては、苫小牧の日軽金ですか、あそこで大量の赤どろを海中に投棄したいという方針のようでございますが、われわれのほうでも十分にこれを警戒いたしまして、いろいろと北海道庁とも連絡をいたしまして、十分に検討させております。われわれは北海道庁にいろいろな諮問機関をいまつくってもらいましてそこで審議中でございますが、今月中には結論が出まして、その赤どろをどのように処理するかという結論が出てまいります。その結論に従ってわれわれもその方向をきめてまいりたいと思っておりますが、原則としては陸上処理をわれわれは希望いたしております。
  122. 島本虎三

    ○島本委員 いろいろと今後それによって環境が侵されるおそれのないようにこれもやらなければならぬ。  それとあわせて阿寒湖畔のあの国立公園地帯ですけれども、あの方面の排水関係、これはやはり排水施設を完備させるのでなければ、いまでもまた環境が悪くなってきておる、湖水が濁ってきておる、摩周湖は世界でも透明度の高いことにおいては二、三番、いまぐっとまた下がってしまった、何らかの原因がある、したがってこういうような場合には、十分阿寒湖あたりの排水施設の整備、これはやはり早期に措置してやるようにしなければならないのじゃないかと思いますが、これは国立公園地帯でありますから、この点は十分配慮すべきじゃないか、こう思いますが、長官いかがですか。
  123. 大石武一

    ○大石国務大臣 全く御意見のとおりでございます。摩周湖、阿寒湖に限らず、たとえば洞爺湖にしましても、ほかのところもみんな湖水が濁っておりますので、これを何とかして、いろいろな原因はありましょうけれども、極力その原因を突きとめ排除して、このりっぱな自然を守ってまいりたいと心がけて努力いたしております。
  124. 島本虎三

    ○島本委員 いよいよ最後になってまいりまして申しわけありませんが、先ほどの環境保全大いにけっこう、これからがんばってもらいたい。それと同時に公害被害者の救済、これは一刻も早く万全の措置を講じてもらいたい。いままでこれは私は言い続けてまいりました。  それで被害者の救済ということになりますと、いろいろ問題があるわけです。これは別々な考えの人もおありになるのじゃないかと思いますけれども、まず公害認定については、立法の当時からわれわれもこれに携わってやってまいりましたが、現実に実施するようになってみるとまだまだなかなかむずかしい点が多いようであります。すなわちこれは指定地域という一つの関門があります。それからその指定地域であるということとあわせて認定という条件があります。その認定につきましても、範囲であるとか、著しい大気の汚染があるとか、または疾病の多発する地帯であるとか、こういうようなことはわりあいに要件が緩和しておるようですけれども、こういう要件が整うことが一つの条件になっております。それでいいのかと思うと指定された病気というようなまた一つのワクがはまります。それと同時に、そこに何年の間、たとえば三年の間住居する者でなければならないというような一つの規制があります。その中にはもちろん例外があります。配達なんか行って、そこで八時間以上働く人もあるわけですが、現在そういうような状態の中ではなかなかっかみ得ない点も多い。ことにこれでは、たとえば鹿島に発生した、たとえば方々に発生したということになると、指定されていないとこれは救済できないということになる。現在どういうようなところが指定されているか、この点についてここでいままで指定された大気汚染の地帯をはっきりさせておいてもらいたい、こう思うわけです。それと水の場合でもそうですが、水の場合よりいま大気汚染の場合のこの規制、これがなかなか抜けているようであります。  私はこれでひとつ聞きたいのですけれども、京葉工業地帯はこの指定の中に入っておりますか、どうですか。それから京浜地帯でも川崎は入りましたが、あの隣は東京ですが、東京、これも入っているのかどうか、これをひとつ御答弁願いたいと思います。
  125. 船後正道

    ○船後政府委員 大気汚染にかかわる疾病の指定地域といたしましては、御指摘の東京都、これは入っておりません。それから千葉市、これも指定地域ではございません。
  126. 島本虎三

    ○島本委員 申しわけありませんけれども環境庁長官これは直す必要ありますね。川崎市は指定されても、隣の羽田を含めてあの辺が同じように病人が出てもまだ指定されていない。煙というものは広拡散、それを政府が指導しているから、もう川崎の煙は木更津にまで飛んでいく、京葉工業地帯の煙はまた羽田まで飛んでいく、こういうような状態の中で、監視網だけはそれをやっていても被害者の救済の手はこういうふうに落ちているということになったらこれは重大ですね。これはやはり要件を改める必要がある、こう思います。また条件をゆるめる必要もある、こういうふうに思います。そうでなければ地域指定の点において広域指定をするか、そうでなければ何らかの方策がいま必要じゃないかと思います。悩めるあわれな公害被害者のために、ひとつここに錦上花を添えた答弁をいただきたいわけであります。
  127. 大石武一

    ○大石国務大臣 公害患者並びに公害地域指定につきましては、やはりいろいろな改正をしなければならぬ点も多々あるように私も思います。一例をあげますと、たとえば居住地に三年いなければならぬとかなんとかいう問題もございますが、これは病気によっては半年でもあるいは一年でも当然公害が発生するものがございますので、こういうものはもう少しさらに基礎的な研究を進めまして、実態に合うようにできるだけの救済ができるような方向で進めてまいりたいと考えております。  いま局長から、東京は入っておりませんということでございましたが、まだ入っておらないということでございまして、近く入る予定でございます。それは東京はこの間美濃部知事とも会見いたしましていろいろ話し合いをいたしまして、お互いの合意を得たのでございますので、東京都のたとえば大田区であるとかあるいは江東区その他の地区をいろいろ考えまして、いま東京都と打ち合わせをして基礎的な調査をいたしております。それが整い次第こちらから調査地区として指定をし、さらに公害地区として指定をすることになる段取りになるわけでございます。いまそのような準備を進めておるわけでございます。
  128. 島本虎三

    ○島本委員 これはやはり一つ一つ指定していくということは、やはり漏れがあります。これは指定するなら広域指定でなければならないんじゃないかと思います。そうでなければ一定の要件を備えたならば指定を取り払うか、この辺までもう考えてもいい段階じゃないかと思います。そうしなければ救済できないし、被害者が泣き寝入りする人が当然出てくる。公害が起こってはならないところに公害が発生する。そうすると、そこは起きてはならない場所だからそこに発生した人は泣き寝入りだ。これほど矛盾したことはございません。企業がある以上、これは鹿島あたりでもはっきりしておりますが、医者がそれを認定しても救済の方法がないんだ。これじゃ、あわれじゃありませんか。やはりこの点なんかはもっともっと考えなければならないし、法の改正が当然必要じゃないかと思うのです。  それから生活援護手当、こういうようなのもかねての懸案ですから、これは今後見てやるのだ。それと同時に、もしものことがあった場合には埋葬料ぐらいも見てやるのだ。それから被害の救済になった場合には当然物の被害の点なんかも考えてやってもいいんじゃないか。との辺までももうそろそろ広めてもいいはずです。ですけれども、物のということになれば、もう一回あなたも考えるでしょうけれども、前の答弁からしても考えてもいいはずですから、これも十分考えておくべきだ、私はそれを強力に要請しておきたいと思うのです。  それと合わせて、今度は大気汚染防止法に基づく政令市の指定はできましたか。
  129. 山形操六

    ○山形政府委員 お答えいたします。  全部で五十七を指定いたしました。
  130. 島本虎三

    ○島本委員 その中に、北海道では札幌とどこですか。それからその中に室蘭と苫小牧市が入っていますか。
  131. 山形操六

    ○山形政府委員 北海道では函館、小樽、旭川でございます。
  132. 島本虎三

    ○島本委員 なぜ室蘭市や苫小牧市、こういうようなものが入らないのですか。時間がありませんから私が言います。これは入れるように今後考えておいてやってください。大臣、いいですね。  それから、最後公害防止事業団の資金の問題であります。これはもう幾ら中小企業にやろうといっても、あの現在の運営の条項ではなかなか困難であります。あの貸し付け要項あたりはもっと検討し、もっとこれを改正して、ほんとうにこれをやりたい、これを使いたいという中小企業者には十分行き渡るようにやり方を検討してもらいたい。いまでも膨大な担保を中小企業に要求いたします。利息の点は若干あっても、この点についてはまだまだ高い。もう少し低くてもよろしい。それから貸し付けの条件、現在の場合は市が公園としてきめるかなんかでないと、いかに企業が緑地帯としてやりたいと思っても、それに使わせられない状態になっておる。これなんか官房長は知っております。これは改める必要がある。こういうような点で、十分利用させるための検討をお願いしておきたいと思うのですが、大臣ひとつ御所見を承ります。
  133. 大石武一

    ○大石国務大臣 公害防止事業団の事業につきましては、おっしゃるとおりのようないろいろな問題がございます。いまわれわれはこのあり方を再検討するために企画調整局でいろいろと検討いたしております。いずれ近く結論が出ますから、それを中心として十分に指導、監督ができるように、そしてりっぱな運営ができるように努力する決意でございます。
  134. 島本虎三

    ○島本委員 今後の公害行政に対してほんとうに皆さんのだれにも遠慮しないような御健闘だけはお願いしておきたい。  それから、これからいろいろ問題が発生しても、公害の問題の解決は何よりも優先いたしますから、いかに他の大臣とぶつかりあっても、そういうようなものに負けないで、高邁な理想を持って、強力な鉄の意思を持ってがんばっていただきたい、これを心から要請して、私の質問を終わります。
  135. 小林信一

    小林委員長 午後二時三十分再開することとし、この際暫時休憩いたします。    午後一時四十二分休憩      ————◇—————    午後二時三十八分開議
  136. 小林信一

    小林委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  公害対策に関する件について調査を進めます。  質疑を続行いたします。古寺宏君。
  137. 古寺宏

    ○古寺委員 最初に、海上保安庁にお尋ねをいたしますが、現在二十万トン、三十万トン、また将来におきましては五十万トンのタンカーの出現も考えられているわけでございます。過去におきましても、トリー・キャニヨン号事件あるいは一九六九年のフロリダ号事件、いろいろとタンカー事故があったわけでございますが、今回わが国におきましても、昨日新潟港でリベリア船であるジュリアナ号が暗礁に乗り上げて、四千トンの原油流出したという事故が発生いたしました。  これにつきましては、午前中にいろいろと御説明がございましたが、その後の状況につきまして、御説明を承りたいと思います。
  138. 手塚良成

    手塚政府委員 現状におきます御説明は、けさほど申し上げましたのは午前六時現在の状態で申し上げました。ただいま手元にございますのは、十一時現在の状態でございます。  油の現状は、この破損いたしました本船から西防波堤灯台を結んだ線の内側に濃い油があり、この船からは厚みの感じられる油が陸岸に向かっておる。西防波堤では先端を迂回して、ほぼ海岸線に平行に距岸千二百から千五百メートルで東に流れて、阿賀野川の東約二海里の海岸に達しておる。この状態は総体的に申しますと、午前中もう少し北東に上がっておりましたのが、むしろそれから西北のほうに集中、集約をしておるというのが現状であると思います。出動の施設、機材等につきましては、除去剤を八百七十かん使用いたしております。バキュームカー使用いたしましたが、これは波と風が強いために効果がなくて、ただいま一時中止をしておる。船艇は五隻現場におりますが、なお十隻が間もなく到着するという現状であります。航空機が二機待機をして、一機が流出油調査に当たっておる。ガソリンポンプが五台、処理作業に従事をしておる。出動しております人員は当庁船舶乗組員を含めまして五百五十三名、消防が六十名、警察三十五名、会社その他の関係で八十名。船体の状況そのものは、船尾部のほうは変化がなくて、船首部、船橋がやや以前よりは沈下しかかっておるように見える。気象の状態は、晴れでノースウエストの風十七メートル、うねり四ないし五、波が四というので、依然非常に荒れておるという状態でございます。
  139. 古寺宏

    ○古寺委員 油の流出の量は、午前中には四千トンというお話がございましたが、その後私どものほうで入手いたしました情報によりますと、相当に油の量がふえております。さらに船が、船尾が少しずつ陸地のほうに移動しておりまして、このままで置きますと、非常に危険性があるということが伝えられておりますが、そういう点につきましては、保安庁のほうでは、現在把握していないのでございますか。
  140. 手塚良成

    手塚政府委員 おっしゃるような情勢は把握いたしております。船尾のほうが陸岸に近づきつつあるという点を含めまして、先ほど申し上げた沈下も少ししかかっておるように見えるということであります。これに対して、あまり陸岸に近づいてきまして、これからまた流れる油ということが非常にまた問題になるので、これの対策をいま急いでおる。油の流出量につきましては、午前中申し上げましたのは二千三百ないし三千六百キロリットルということを申し上げたつもりでおります。三千六百キロリットルといいますのが、破損したタンクが五個である場合には約三千六百キロリットル、一個の容積が八百キロでありますので、四千キロリットルほどになりますけれども、全部が出るとも思いませんので、約一割減ぐらいのところの三千六百キロであろうと推定をいたしております。処理剤その他は現在三千六百でいま対策を進めております。
  141. 古寺宏

    ○古寺委員 私のほうでお聞きしたのでは、反対側のタンクから大体二千三百トンから三千六百トンぐらい新しく流出をしているというふうに承っておりますが、間違いですか。
  142. 手塚良成

    手塚政府委員 その点の情報は、いま私どものほうは得ておりません。これは破損の際の状況かんでございますので、私の申し上げた以外の段階、どういった状態になっておるかということを早急に把握したいと思っておりますが、波が荒くてもぐりその他を近づけることもいま不可能な状態でございますので、ヘリコプター等から外観上ながめる以外に手がございませんので、いまのところまだ明白になっておりません。
  143. 古寺宏

    ○古寺委員 天候が非常に不良のためにいろいろな対策がおくれているようでございますが、今後このまま流出がどんどん増加いたしまして、非常に危険な状態になる、あるいは他のタンカーに油を移動することができない、こういうような事態が発生した場合には、このジュリアナ号に対してはどういうような措置をお考えでしょうか。
  144. 手塚良成

    手塚政府委員 いま私のほうは残っておる船体の部分についての油を相当なる危険を冒してでも他の船に瀬取りをしたいということに全力を注いでおります。そのために専門のサルベージ業者をいま差し向け、それに必要なポンプ船、専門の特殊施設の船が必要でございますので、これをいま差し向けつつあるという状態で、気象の状態もいま予測されておりますことは、今夕から明日一ぱいにかけて現状よりは波が静かになる、風も静かになるといわれておりますので、この機会を全力をあげて利用して、いまの瀬取りを成功させたいというふうに考えております。ただこれがさらに広がっていった場合、もしもという場合にどうするかということについては、いま考えられます手段、方法は午前来申し述べておりますようなオイルフェンス油除去剤、そういったものを極力多量に使用して、拡散を防ぎ、乳化して分散をさせる、そういう方法しかないと考えております。
  145. 古寺宏

    ○古寺委員 そういたしますと、中和剤が相当必要になるわけでございますが、どのくらいを準備なさるおつもりでございますか。
  146. 手塚良成

    手塚政府委員 いまの流れました三千六百キロリットルを前提にした場合には、一かん十八リットル入りの処理剤を四万かん用意をしたいと考えております。
  147. 古寺宏

    ○古寺委員 現在は何かん集まっておるわけですか。
  148. 手塚良成

    手塚政府委員 目下業者の方々が自主的に手配をしておられるもの等がありまして、いま正確に集計中でございますが、とりあえずいま手元で集計をいたしましたものは三万六千六百かん、そのうち十二時までにトラックに乗せて現地に輸送済みというものが二万二千かんであります。
  149. 古寺宏

    ○古寺委員 そういたしますと、先ほどお話がございました三千六百トンではなしに、この倍あるいは三倍に油の流出が起こった場合には、それに従って中和剤というものが必要になりますが、その確保はできますか。
  150. 手塚良成

    手塚政府委員 この処理剤につきましては、製造が比較的短時間でできるようでございまして、いま主として関係六社を通じまして、そういった製造もいま極力ふやしておる。今回の動員によりまして、一切の業者の手持ちはなくなりますので、いまどんどんそういうのを製造にかかっております。  いま私手元に——製造能力の資料を置いてまいりましたので、どれくらいの時間にどれくらいできるかというのを具体的に数字で申し上げるのができにくいので、必要とあればまた後ほど申し上げますが、そういうのを動員していきますと、今後のそういったものにある程度処理ができると思いますが、やはり若干時間がかかりますから、次から次にためておいてどんどんぶち込むというわけにいかない。したがって、やはり拡散防止で中にため込んで、そしてそのため込んだのを外に出ないようにしておきながら、そういうのを到着次第乳化をはかるというようなことになろうかと思います。
  151. 古寺宏

    ○古寺委員 拡散防止をはかりましても、非常に波が強いために油面の広がりが西埠頭から東埠頭の十五ないし十六キロメートルまで及んでいる。こういうふうに、こちらのほうには情報が入っております。そういたしますと、今後どんなに海上保安庁が一生懸命拡散防止しようといたしましても、気象の関係あるいはタンカーから排出される油の量が増大いたしますので、この拡散防止することはとうてい不可能でないか、こういうふうに考えるわけでございますが、その際に船を撃沈するというような処置をお考えになっておられますか。
  152. 手塚良成

    手塚政府委員 過去のイギリスにおきますトリー・キャニヨン号の際にはそういう撃沈という措置がとられました。海洋汚染防止法におきましても、最悪の事態の際にはそういう措置を保安庁長官が取り得るという権限規定もございます。ただ、今回の現場に合わせましてそういうことを発動し、実施することはいいかどうか、寄り寄り検討いたしておりますが、いまのところ漏れておる、あるいは漏れるかという今後の心配がありますのは、海岸に近寄りつつある船尾のほうの部分でございます。ところが、これがある現在の位置がやや浅いところで、半分船底が座礁しかかっておるようなところであります。しかもこれの海岸から背後に人家等がございますので、かりに爆破しようと思う場合でも現在の位置では非常に不適当である。さすれば、これを沖へ持っていかなればならぬ。沖へ持っていきますのに、現在の位置から引っ張っていくということが現状の波、風、それから船の重量等によってなかなか容易なことではないように思います。したがいまして、私ども先ほど申し上げました、まず瀬取りで中の油を抜く、そうすると船自体が軽くなって浮揚いたします。その後若干残るものがあればそれを適当に始末をするということで、爆撃措置はまず現在の段階では行なわないというふうに考えております。
  153. 古寺宏

    ○古寺委員 そうしますと、処理剤が十分ございませんし、海岸の汚染が相当ひどいものになるということが予想されますが、もう一つ大事な点は、近い将来においてこれと同じような、あるいはこれに近いような事故が発生した場合に、中和剤についてはどういうふうに対処するお考えですか。処理剤でございます。
  154. 手塚良成

    手塚政府委員 中和剤は極力備蓄をし——今回の例にも徴しまして事故前提等の想定をある程度改定をして、何がしか大規模なものを想定の上でしかるべき備蓄をして、事故の際にはこれを使っていく、こういう方向を考えております。
  155. 古寺宏

    ○古寺委員 今回は幸いにして外国のタンカー船の事故から見ると油の量はまだ少ないわけです。それについても中和剤の量が思うように確保できないような現状でございますね。これが将来タンカーがいろいろふえるに従って事故が発生するわけでございますので、その場合に中和剤が間に合わないというようなことが、これからたびたび考えられるわけです。それに対してどういうふうないわゆる計画をお持ちになっているかを伺いたい。
  156. 手塚良成

    手塚政府委員 備蓄の場合に、さらに製造いたします場合でも、一体どういう事故を想定するかということが非常にむずかしい問題になると思うのです。タンカーも大きいのもございますが、やはり今回のようなタンカーも依然として将来に残る。しかもそれがどういう条件のもとにどういう場所でこういう事故を起こすか。起こした場合にも、今回ありますようにタンクの数がどれくらいこわれるであろうか、それらによって流出油の量が格段に違いますので、そのどの程度の量を前提に考えるかということになるかと思います。その際の量の推定につきましても、いまの段階で申し上げることはできにくいのですが、いずれにいたしましても相当量やはり備蓄をする必要がある。しかもその備蓄の体制としては保安庁だけで備蓄をするのではなくて、やはり官民合同の体制を前提にして、それぞれの施設保持者、船舶所有者、こういった方々が自分のやっておる仕事の裏打ちに必要な範囲のものを持ってもらう。メーカーのほうにも、しかるべき今回のような動員態勢に対応できるようなある種の備蓄を考えるというようなこと、当然その背景に経済性との関連が出るかと思いますけれども、そういった体制をひとつ考えていきたい。現状も大型タンカーにつきましての災害では、大型タンカー事故対策連絡協議会というものを地区別につくっておりまして、いま申し上げましたような意味合いのことをすでにやっておりますし、新潟におきましてはやはりこの協議会が現在発動して、ある程度効果をあげておるということでありますので、こういう体制をさらに強化をし、その体制の中でいま言いましたような問題を処理していきたい、かように考えております。
  157. 古寺宏

    ○古寺委員 現在お使いになっている処理剤はどういうような薬剤でございますか。
  158. 手塚良成

    手塚政府委員 薬剤の種類をお聞きかと思いますが、種類は御承知のとおり非常にたくさんございます。今回はその種類の具体的などれとどれを使っておるかというところまで、いま確定的に申し上げにくいのですが、保有しておりますものを全部使うというような状態に現在はなっております。
  159. 古寺宏

    ○古寺委員 この処理剤の毒性が非常に問題になっているわけなんですが、その毒性については十二分に検討した上で御使用になっているわけでございますか。
  160. 手塚良成

    手塚政府委員 この処理剤によりますところの二次公害の問題につきましては、かねがね、いままでも部分的な使用の結果いろいろ漁民の皆さんからの御批判もあり、われわれも気がついておることもございまして、実は現在具体的な分析について権威ある機関に依頼をしていま実施中でございます。現在その中間報告等によりますと、やはり拡散としての性能は非常にいいけれども毒性はあるというようなもの、逆に毒性はないけれども、そのかわりに性能は悪いというようなものがある、こういうような具体的な事実についてある程度の実情を把握いたしております。
  161. 古寺宏

    ○古寺委員 そういたしますと、当然いろいろな水産資源に対する被害というものが考えられるわけであります。そういう被害に対しては補償はどうなりますか。
  162. 手塚良成

    手塚政府委員 私どもはいまのような実験、分析の結果に徴し、またいまやっております最終結論が出ました暁に最終的にこれをどう扱うか。悪い内容の品物はもう製造もやめてもらい、使用も一般に禁止するというようなことまで含めまして、最終的な方針を検討したいと思っておりますが、今回の事故の現在の段階におきましては、これを使わないで放てきしておくよりは、若干の二次公害があっても使うべきではなかろうかという判断のもとに私どもは使っております。しかも、今回の流出につきましての責任といいますのは、やはり油の輸送にあたっておる企業でございまして、この企業がむしろ自主的にこういうものを使うという態度に出ておりますので、その後の補償等の関係につきましては、そういった使用責任のあるところにおいてしかるべく処理されることと考えております。
  163. 古寺宏

    ○古寺委員 いままでも処理剤による公害、二次公害がたびたび問題になっております。これは今回のタンカーの問題だけではなしに、他の流出といったような場合には、海上保安庁のほうではつとめて処理剤を使うことを指導しております。したがいまして、毎年相当数量の処理剤がわが国においては使用されているわけなんですが、処理剤による公害、この問題について環境庁はどういうふうにお考えになっているか、承りたいと思います。
  164. 岡安誠

    ○岡安政府委員 環境庁のほうにも従来漁民のほうから処理剤によります漁業被害につきましての陳情を受けております。先ほど海上保安庁長官からお答えがございましたとおり、私どもはできる限り将来は二次公害を起こさないように、そういう処理剤の開発、使用をお願いをするということを海上保安庁のほうに申し入れておりますが、具体的な補償の問題は、先ほども保安庁長官のほうからお答えがございましたとおり、処理剤を使用した者と漁民の間で解決されるべきものと考えております。だた現実問題といたしまして水産動植物の被害は、魚が死ぬ以外に、漁場が荒らされるといいますか、魚が逃げてしまうというような被害のほうが多い場合があると聞いておりますので、そういうような場合の損害の認定、把握等が非常に困難だと聞いております。したがって、将来やはり二次公害を起こさないような薬剤の開発を急いでいただくよりほかにはないだろうというふうに考えております。
  165. 古寺宏

    ○古寺委員 そういうふうに毒性もまだはきっりわかりない、しかも漁業被害が起きてもその被害の内容について詳しく調査することもできないというような薬剤につきましては、当分の間それがはきっりするまではやはり使用を中止したほうがいいのじゃないか、こういうふうに考えるのですが、環境庁長官はいかがでしょうか。
  166. 大石武一

    ○大石国務大臣 私はまだ知識はありませんが、いままでの話ではまだわからないということですが、毒性があるらしいということでございまして、まず一番先に、早急にどのような毒性があるのか、これはそうむずかしくは——私はわかり得ると思うのです。それを急いでやって、いままでやらないほうが悪かったわけですけれども、急いでやって、それを土台にしてやはり判断する以外になかろうかと思います。と申しますのは、魚がそのことによって人畜にいろいろな健康的な被害を与えるということならば、これは絶対に使用してはならないと思います。ただ、一時的に、ある、たいしたことはない、魚が逃げてしまうとか何とかいうことの問題でしたら、やはり油が流れまして、それがいろいろなあとの障害をあわせ考えまして、どちらが一体害が少ないかということをとりあえず判断すべきであろう。そして、その間にできるだけ早くその毒性ですか、副作用というものを検討するということがいま大事ではなかろうかと思う次第でございます。
  167. 古寺宏

    ○古寺委員 これは沖繩の例でもございますが、いろいろこういう薬剤を使用したために全然死の海になってしまったというような例があるわけです。これに対しては全然補償もされていないという、そういう事例がございますので、環境庁は薬剤の毒性の究明というものを早急に検討されて、そして安全基準なり使用基準というものを一日も早くきめていただきませんと、今後こういうような事故が発生するたびに二次公害によって日本の海が死滅をしてしまうというようなことも考えられますので、今後この点につきましては早急にひとつ対策を考えていただきたいと思います。  次に、今回は四千トンの油の処理に対する対策も全くなかったわけでございますが、今後大型の二十万トンあるいは三十万トンクラスのタンカーがこういうような事故を起こした場合には、海上保安庁はどういうような対策をお考えになっておりますか。
  168. 手塚良成

    手塚政府委員 まず私どもは、起こした場合はというよりは、起こさないような予防措置のほうをむしろ積極的に進めたい。と申しますのは、そういった大型タンカーの入出港できる範囲、これはもし事故が起こった場合でもあまり被害がないというような場所に限定をする。現在鹿児島県の喜入等に、日石関係の大型のタンカーはそこまで持ってきましてあとは小型のタンカーに積みかえて内地で二重輸送をしておりますが、こういったような形態は将来の大型化の輸送、大型化の船を使う場合には好ましい姿ではないかというふうに考えます。さらにはまた、それ以下のタンカーが航行します場合にも、これらに対する交通規制等を厳重に取り扱っていきたいというふうなこと、それに伴う法律的裏づけその他の必要性が出てまいりますが、そういうふうなこと、さらには航行等の安全、保安等の施設の充実というようなことどもで、こういう事故が起こらないような努力をぜひやりたいというふうに思います。  ただ、いま起こりました場合はということでございますが、目下世界じゅうの海事関係者の集まり等におきまして、IMCO等でもこういった問題を前提にして検討が行なわれております。その内容は、船舶自体においてやはりこういう事故の際の災害を少なくするというようなことで、一つタンクの容積を制限をしていこうではないかというようなことなどが話し合われて、また災害の起こった際における補償関係処理する付近の問題などが話し合われるというようなことが、一方で行なわれております。卑近な事故対策自体、いま新潟で起こっております事故自体というような対策については、やはり各国いろいろ検討しておりますし、過去の事例等における実績も持っておるわけであります。私どもはそういうものを日夜検討、研究をいたしておりますが、現在の段階におきましてはやはりただいまやっておりますような拡散防止、それから二次的な流出防止、さらに拡散をしたものに対する除去剤あるいはわらむしろ等を使用しての回収、回収の方法にはさらにバキュームがある。その他回収機器の開発等も含まりますが、そういうことにより、さらに残ったものに対する除去剤使用、この除去剤につきましては先ほど来お話しのあるような二次公害が皆無であるというようなものをつくっていくというようなことをし、さらに数量的な備蓄の問題につきましては先ほど申し上げましたような体制のもとにこれを進める、かような一連のことを考えております。
  169. 古寺宏

    ○古寺委員 そこで、こういうような海洋を汚染するような問題について船会社あるいは船舶についてはどういうような防止の義務を課しているわけでしょうか。
  170. 見坊力男

    ○見坊政府委員 いまの制度、つまり海洋汚染防止法におきましては、大量に油が流れた場合の第一次責任者は現場の船長等でございますが、船会社等の船舶所有者除去責任を負うておるわけでございます。体制的にはまず民間の事故を起こした者、これがまずその対策につとめるということに相なっておるわけでございます。
  171. 古寺宏

    ○古寺委員 いや、お聞きしているのは、わが国でタンカーをお持ちになっている船会社あるいは企業に対してどういうような防止義務を現在法律では課しておりますか。
  172. 見坊力男

    ○見坊政府委員 海洋汚染防止法におきまして、いま申し上げましたようにまず第一次的に責任を負うというようなことでございますので、いまの海洋汚染防止法三十九条でございますが、応急措置を講じなければならない義務づけがございます。その場合に運輸省令でその措置を定めておるわけでございます。それを申し上げますと、一つは、「オイルフェンスの展張その他の排出された油のひろがりの防止のための措置」二番目に、「損壊箇所の修理その他の引き続く油の排出の防止のための措置」三に「当該排出された油が積載されていた船舶の他の貨物艙その他の油槽又は当該排出された油が管理されていた施設の他の油槽への残油の移替え」「排出された油の回収」「油処理剤の散布による排出された油の処理」こういうようなことが応急措置の内容として定められておるわけでございます。
  173. 古寺宏

    ○古寺委員 これは実際に事故が起きた場合のいわゆる応急措置でございますね。ですから、先ほどお話がございましたように、今後はとても何十万トンというような大きな油送船の事故が起きた場合には、現在の日本海上保安庁の力ではもうどうしようもないところに来ているわけです。それを予防するためには事故を起こさぬようにしなければいけない。そのためには、タンカーをお持ちになっている企業なりあるいは船会社というものにそういう予防的な義務を考えなければ、これは予防することができないわけでございます。そのことについてお伺いしているわけです。
  174. 見坊力男

    ○見坊政府委員 根本的な対策といたしましては先ほど海上保安庁長官から御説明申し上げたとおりでございますが、運輸省としましてその当面の対策ということで、その安全対策を定めておるわけでございます。これは一つには船舶におけるレーダーの装備、それから特定の船舶における標識の掲出、航法指導の強化、航路標識の改善、こういうようなことを内容といたしまして、昨年の十一月に運輸省として、これは浦賀水道の場合でございますが、浦賀水道における海上交通に関する緊急安全対策、こういうことで現在進めておりますが、そのレーダーの装備あるいは標識の掲出等を船舶に義務づけをいたそうということで現在進めておるわけでございます。
  175. 古寺宏

    ○古寺委員 いまお話しになったことは、これは一般的な当然の問題でございまして、タンカーにつきまして、こういう油をたくさん出す船について、特別に現在検討されているようなことをわが国でなぜもっと早く検討もし、そういう義務づけをしないのかということを私は申し上げているわけでございます。その点についてはいかがでございますか。
  176. 見坊力男

    ○見坊政府委員 われわれは浦賀水道の問題に特に重点を置きまして対策を考えておるわけでございますが、全般的にいま先生御指摘のような点につきましては、われわれも今後早急に詰めなければならぬというふうに考えておる次第でございます。
  177. 古寺宏

    ○古寺委員 次に、今回の油の汚染によりまして漁業被害が相当考えられるわけでございますが、これに対しての水産庁対策はどういうふうになっておりますか。
  178. 太田康二

    太田(康)政府委員 けさども申し上げたわけでございますけれども、具体的に被害がどういうふうに出ておるかということの実態はまだつかんでおらないわけでございまして、先ほど私のほうの担当の調査官を、これらについての調査もするようにということで現地に派遣をいたしたのでございますが、対策といたしましては、実は先ほどもお話がございましたように、こういった場合にはやはり中和剤等で当面処理するということもやむを得ないかと思うのでございます。しかしいずれにいたしましても、石油等が沈降いたしまして漁場が荒廃したというような場合には、私のほうで実は漁場のしゅんせつあるいは客土等をいたします予算がございます。これらの事業によりまして——被害の実態を十分調査の上ではございますが、もしそういった事業が漁場の回復のためにとられることが望ましいというような事態でございますれば、いま申し上げたような予算の執行によりまして漁場の回復をはかりたい、かように考えておる第次でございます。
  179. 古寺宏

    ○古寺委員 そこで、いままで沿岸漁業をやっておられた方々が漁場の汚染によって漁業ができなくなる、あるいは海流の関係日本海沿岸を北上いたしまして東北はもちろん北海道にまでこの油が流出していく、あるいは処理剤が流出していくというようなことも考えられるわけでございますが、そういう点について水産庁はどういうふうにお考えになっておりましょうか。
  180. 太田康二

    太田(康)政府委員 これも先ほど海上保安庁長官からお答えがあったわけでございますけれども、できる限り拡散防止ということをやっていただく、これによりましてそういったことのないようにしてまいるということを当面の緊急対策としてとっていただくということで、いまお尋ねのような事態が起こらないようなことをわれわれも期待もし、ぜひそうやっていただきたいと考えております。しかし実際問題として、お尋ねのような事態もあるいは最悪の事態の場合には考えられるかと思いますが、そういったことのないように、とにかく緊急対策を適切にやっていただくことを期待いたしておるわけでございます。
  181. 古寺宏

    ○古寺委員 それは水産庁だけではなしにだれしもが期待もし願っていることだと思うのですが、そういうことが現実に起きた場合、水産庁としてはどういう対策をお考えかということをお尋ねしているわけです。
  182. 太田康二

    太田(康)政府委員 要するに石油の拡散防止対策といたしましては、私どもが一般的に進めておりますことは、中和剤使用ということよりも、むしろ先ほど来これも話に出ておりましたようなマットとかむしろ、こういったものを使用いたしまして吸着するということがよろしかろう、あるいは油水分離器によりまして吸収するということを考えておるわけでございます。どうしても中和剤使用しなければならぬという今回のような事態も当然あるわけでございますが、そういった場合には、実際に使用する場合の使用のしかた等についての適切な指導をはかってまいるということでございます。こういったことによりまして、できる限り被害の拡大することを防いでまいりたい、かように考えております。
  183. 古寺宏

    ○古寺委員 いままでずっと環境庁長官もお聞きになっていると思いますが、こういうふうに大きなタンカーによる流出事件が起きますと、非常に海洋が汚染されます。しかも処理剤による二次公害、さらには油の拡散によって潮流に乗った油の被害を、沿岸漁業はもちろんのこと、海が汚染されるわけでございますが、こういう点について海を守る立場から環境庁としてはどういうふうにお考えになっておられるのでしょうか。
  184. 大石武一

    ○大石国務大臣 環境庁としましては、このような今回のタンカーの沈没のような突発的な事故はできるだけ起こさないように万全の努力を各関係機関によってやってもらいたいと願っております。こういう場合にはやはりそれなりに応急措置をとらなければなりませんが、その場合にも、先ほど申しましたようないろいろな、適確に油の被害がおさめられるような開発というものをしてもらいたいと思いますし、そのものが先ほど申しましたように人畜に毒性のないもの、あるいは漁業被害のないものをぜひ早くつくってもらいたいと思います。ただ、われわれ環境庁としましては油濁によります海洋汚染、いわゆる通常のいろいろな廃油であるとかあるいはバラスト水であるとか、そういうものの海中投棄による海洋汚染のほうがわれわれとしてはむしろ、これはしょっちゅうあることでございますから、そういうものについて特にいろいろと意を用いて、こういうものを押えることのできるような行政措置をぜひとも講じたいと願っておるようなわけでございます。
  185. 古寺宏

    ○古寺委員 時間がないので次に移ります。  通産省にお尋ねしますが、日本のガソリンスタンドあるいは機械の修理工場とか、いろいろな廃油を出すそういうような事業所は一体どのくらいありますでしょうか。
  186. 久良知章悟

    ○久良知政府委員 お答え申し上げます。  通産省所管のいわゆる廃油を発生する業種と申しますか、これはいま先生のお尋ねのガソリンスタンド、それから工作機械というふうな機械工場、それから変電設備のトランス、それからドラムかんの更生業者というふうなものが主要なものでございます。  ガソリンスタンドで申し上げますと、スタンドの廃油処理、それから廃油回収業者につきまして、ただいま通産省でアンケート調査をいたしまして、現在報告をまとめておる段階でございます。それによりますと、概要で、廃油の発生量、これはおもに潤滑油ということでございますが、全国で大体一年間に二十六万キロリットルくらいというふうに見通されるわけでございます。  それから工作機械の廃油でございますが、これは現在のところはっきりと量はわからないわけでございますが、これはおもに切削油でございますが、工場内で極力循環使用する、あとは廃油業者に処理をさせるというふうな状況にしておるようでございます。  それからトランス油につきましても、これは最近劣化防止の装置がつけられておりますので、再使用するということで、廃油となる量といたしましてはきわめて少ないというふうに私ども見ておるわけでございます。  それからドラムかん更生業につきましては、全国で約百八十ほど業者があるわけでございますが、この大部分は中小企業でございます。年間約三千七百万のドラムかんが使われておりまして、そのうちの約三千万に近いものが更生ドラムかんでございますので、更生の途中で清掃をいたしますが、これからある程度廃油が出るわけでございます。これに対しましては、私ども廃油処理施設というのをいま設置するように努力をいたしておるわけでございます。
  187. 古寺宏

    ○古寺委員 ただいま通産省からいろいろお話がございましたが、廃油の発生量でございますが、ガソリンスタンドあるいは工場あるいはドラムかんの洗浄工場等の油の発生の推定は、おたくのほうの資料を見ましても、昭和四十五年度には七十四万キロリットル、昭和五十年には百九万三千キロリットルの発生が予想される、こういうふうになっておるわけでございます。  こういうような廃油につきましては、現在まではいろいろとこれを海洋投棄をしたり、あるいはまたおふろ屋さんが回収業者から配給を受けてこれを燃料に使うとか、いろいろやってまいったのですが、最近はこの廃油の処理に非常に困っているわけです。したがいまして、こういうような廃油を下水道に流したり、あるいは直接河川や海洋に不法投棄している例もたくさんございます。今後この膨大な、いわゆる百万キロリットル、百万トンをこえると予想される廃油について、通産省は一体どういうような処理方法をお考えになっているか承りたいと思います。
  188. 久良知章悟

    ○久良知政府委員 廃油の処理につきましては、先生おっしゃいますように、従来そう通産省としての表立った問題ではなかったわけでございますが、最近のいろいろな情勢から見まして、今後これに大いに力を入れていきたいと考えているわけでございます。その方法としては、やはり第一は廃油処理施設をつくらせるということであろうかと思います。廃油処理施設によりまして、できるだけ再生利用できるものについては潤滑油なり燃料油としてさらに使う、資源化をするということであろうかと思います。このために第一は、共同化によりまして廃油処理施設をつくらせるということが第一の方策であろうかと思いますが、スタンドについてはそういう方法について鋭意進めておるわけであります。共同化以外のものにつきましても資金のあっせん等、それから技術指導を通じまして、できるだけ早期に完全な処理施設をつくらせるということで進んでおるわけでございます。
  189. 古寺宏

    ○古寺委員 環境庁長官がお出かけになる前にお伺いをしておきたいのですが、現在わが国では六十万トンの廃油が海洋に流されておる、こういうことで英国からも非難をされておるわけであります。最近は御承知のように海洋の油濁というものが非常に問題になっておりますが、陸上で実際に出てくる廃油というものが今後百万トン以上になるということが予想されております。ところがこの処理施設をつくるためには、一カ所十億以上の資金が必要でございます。さらにこのためには業者が組合をつくるなり、あるいはそういう一つの機構というものをつくらなければこの処理施設ができないわけなんです。今後海のほうはいろいろとバラスト水やクリーニング水やたくさんいろいろこれは規制してまいりますが、陸上の廃油について真剣にいま検討しなければ、これはたいへんな事態になるんじゃないかということが考えられるわけでございますが、この点について環境庁長官はどういうふうにお考えになっているのか。そういうような処理施設を通産省は計画しているようでございますが、海洋汚染防止法やいろいろな法律が実際に今度運用されまして規制された場合に、実際にこういう廃油で悩んでいる中小企業の人もたくさんございます。こういう問題をどうやって解決をしていくお考えか承りたいと思います。
  190. 大石武一

    ○大石国務大臣 率直に申し上げまして、いま古寺委員からお話を承りまして、非常に深刻な事態をあらためて認識したわけでございまして、非常に鈍い感覚だったと自分で悔やんでおるわけでございますが、私も率直に申しまして、どういうようにしていいかわかりませんが、これはやはり何としても処理しなければならない問題だと思います。いままで環境庁では特定施設ということでガソリンスタンド等を指定いたしまして、一応の規制はいたしておりますけれども、それはまだまだ弱いものだと思います。今後どうしたらいいか、このような八十万トン、百万トンに及ぶ陸上の廃油をどのように処理するかということはいま私はわかりません。いま通産省からも説明がありましたが、そういうものとみんなで相談をして、何としても強力な対策を立てなければならないと思います。その基本はやはり何といっても厳重に規制を守らせること、たとえ中小企業であろうと何であろうと規制を守らせること、しかし同時にそれが規制を守り得るようないろいろな技術なり資金面のめんどうは見なければならぬ、そういうことにしなければならないと考える次第でございます。
  191. 古寺宏

    ○古寺委員 そこで通産省にお尋ねしたいのですが、水質汚濁防止法、海洋汚染防止法でいろいろ規制がございます。こういうもので実際にこの油の関係の規制が始まった場合に、現在処理施設がございません。そこで、こういうようなガソリンスタンドあるいは工作機械工場、あるいは先ほどお話がございましたドラムかんの洗浄工場、さらにはまた変電所の変圧器の油の問題、こういう問題は、これは一体どこで処理をすればいいわけでございますか。捨てることもできない、あるいは零細企業、中小企業のために思うようにこれを処理ができない、こういう場合に、通産省としてはどういうふうにこれを救済し処理していくお考えでございますか。
  192. 久良知章悟

    ○久良知政府委員 従来廃棄しておりました廃油というものが、ただいま先生おっしゃいますように、いろいろ規制がきびしくなることによりまして廃棄ができないわけでございますので、いずれにいたしましてもこれは回収をいたしまして処理をし、最終的にはこれを再生するとかあるいは廃物については焼却処分をするということが必要になってくるわけでございますので、先ほど申し上げました零細業者につきましては、なるべくは共同で処理施設をつくらせる。それからもう一つは、全体の回収業者、処理業者というものの育成をやっていかなければいけないであろう、そういうふうに考えておるわけでございます。
  193. 古寺宏

    ○古寺委員 現在この回収業者、処理業者というものは非常に少ないわけです。私のほうの青森県のような場合には一軒もございません。もちろん処理場もございません。通産省の考えでは全国に大体四カ所ぐらいの処理場をこれから建設するというようなお考えでございます。その処理施設に北海道や東北の業者が集めて、そして東京へ持ってきて処理をするというようなことになるわけなんです。これは相当の時間もかかります。資金もかかります。そういう体制をつくるためには、よほど政府が思い切った対策を考えなければ、それは実現が不可能だと思うのです。せっかく法律をつくっても、実際にこれが実行が伴わない、日本の海洋汚染は防止できない、河川もいままでのように汚染されていく、こういうようなことを続けていかなければならないわけなんですが、こういう点についてはもっと環境庁も積極的に対策を考えなければならなかったのではないか、こういうように思うわけなんですが、環境庁長官はこの点について反省もし、さらにまた通産省や各関係省庁と連絡を緊密にして、今後この問題を解決していかなければならないと思いますが、長官としてどういうふうに今後この問題を解決していくお考えか、もう一ぺん御決意のほどを承りたいと思います。
  194. 大石武一

    ○大石国務大臣 いま古寺委員の言われたとおり、こういうものに十分まだ意を用いなかったわれわれの行政を反省をいたします。そしてやはりおっしゃるとおり、これは何とかしてできるだけ早い機会にそのような汚染をさせないような処理ができるようないろいろな施設を整えなければならないと思います。それにつきましては、具体的なことはいまわかりませんが、何としてもわれわれはあらゆる努力をいたしまして、そのような方向に行政を向けてまいりたいと考えております。
  195. 古寺宏

    ○古寺委員 次に国鉄にお伺い申し上げたいのですが、現在国鉄当局では車両基地あるいは機関区等で列車を洗浄したりいろいろな関係で非常に油の汚水を排出をいたしております。そこで現在、そういうような油の問題について処理施設なりあるいはそういう問題について今後整備をしていかなければならないというような施設が一体幾らございますか。
  196. 山田明吉

    山田説明員 いま御指摘のあります油を特に多く使います、いわゆる私ども動力車区と申しておりますが、これはディーゼルカーそれからディーゼル機関車が特に油で運転しているものでございますので油をよけい使っております。その関係の動力車区が全国で百二十カ所ございます。いわゆる機関区という、蒸気機関車もまだ若干残っております。全体の数でいいますと、二百三カ所でございますが、そのうちの百二十カ所が特に油をよけいに使っている動力車区でございます。これらはもちろん油を使って、その処理につきまして従来もいろいろな手当てをいたしておったのでございますが、先生御承知のとおり最近規制が強化されまして、車を洗う場合に油がまじった水が多量に出てまいります。その水の処理につきまして従来も脱油装置をつけて処理をしてまいっておりましたが、今後の基準では、従来の装置では不完全であるということが明白になってきておりますものが大体百カ所。百二十カ所のうち百カ所程度はさらに新しい装置に置きかえなければならないということでございまして、現在、各動力車区の規模が違いますので、その手当てをするやり方もいろいろあるわけでございますが、いま考えておりますのは、来年度から年次計画で早急に今後法の定める範囲内で措置できるような計画をいたしているところでございます。
  197. 古寺宏

    ○古寺委員 そうしますと、青森の場合相当に車両が多いようでございますが、毎日百トンの油の汚水を流している。これは対象になっておりますか。
  198. 山田明吉

    山田説明員 青森につきましては、従来の基準では合格するであろうと思われる装置がついておりましたが、今後具体的に5PPMでございますか、これ以下に洗浄する必要があるわけでございまして、現在の青森運転所にございます装置ではそれが全うできませんので、これは近く改良を施す要があろうかと考えております。
  199. 古寺宏

    ○古寺委員 大体いつごろの見通しでございますか。
  200. 山田明吉

    山田説明員 ただいま申しましたように、全国的に約百カ所手直しをしなければならない個所がございまして、来年度の予算も実はこれからの問題でございますので、予算の範囲内でできる限り多くやりたいと思っております。  なお、御質問の範囲外でございますけれども、油をよけい使います施設として鉄道では鉄道工場というものがございます。これは全国で二十六カ所ございまして、これが大体市街地に多くございまして、公害の問題がやかましくなった昨今非常に問題が出てまいっております。それでこれをことしと来年早急に片づけて、それと並行的に動力車区にも手をつけてまいりたい、こういう計画をいたしております。
  201. 古寺宏

    ○古寺委員 青森の運転所には車を洗浄する装置がございます。ここから相当大量に毎日二百トンくらいの洗浄水が流れておりますが、これに対するいわゆる処理施設はどういうふうにお考えでしょうか。
  202. 鈴木宏

    ○鈴木説明員 いまの御質問は車両の清掃洗浄のことに関してかと存じますが、ただいまのところ、一応使っております洗浄剤は人的にも影響がない程度の濃度のものであるという考え方で、特別の処理はいたしておりません。
  203. 古寺宏

    ○古寺委員 その排水の内容はどういうような物質でございますか。
  204. 鈴木宏

    ○鈴木説明員 青森の運転所で使っております洗浄剤はPHが〇・九ないし一・五で酸性のものでございます。それに中性洗剤をまぜております。そういうふうなもので普通の排水処理でまいりましても、土の中のマグネシウム、カルシウム、アルカリ等と化合いたしまして水に不溶性のものになり、一応沈でんするというような経過をたどって、魚類その他に影響はほとんどないのではないかと、いままでの私たち技術関係のほうの見解でまいっております。それから中性洗剤のものは、御承知の都市で使われておりますものと同じようなもので、若干あわ立ちはいたしますが、少量のものであれば問題はないんじゃないかと考えております。
  205. 古寺宏

    ○古寺委員 環境庁にお尋ねしたいのですが、四分間に十四両ですか、車両を洗浄するような装置から毎日二百トンくらいの汚水が流れているわけでございますが、こういうような洗浄水については基準はどういうふうになっておりますか。
  206. 岡安誠

    ○岡安政府委員 まず施設が特定施設になっておるかどうかというのが、この法律の適用対象になるかどうかということになるわけでございますが、一応自動式車両洗浄施設というものを備えておる事業所につきましては特定事業所ということになるわけでございまして、その事業所から日間平均五十トン以上の排出水が出るという場合には、特定施設であって、かつ排出の規制がかかることになっておるわけでございます。  問題は排出水の内容でございますが、PHについて申し上げますと、その排出水が海以外の川等に排出される場合には、基準は五・八以上八・六以下ということになっておりまして、海に排出される場合には五・〇以上九・〇以下というような基準になっておるわけでございます。もしその排出水の中に油分が含まれるというような場合には、方法としましてはノルマルヘキサン油出物質含有量ということになっておりますけれども、油分が五PPM以上あってはならないということになっているわけであります。  なお洗剤のABSにつきましては、まだ私どもいろいろそのメカニズム等につきましては研究中でございまして、まだこれは規制の対象には取り上げておらないという現状でございます。
  207. 古寺宏

    ○古寺委員 これは当然特定施設の中に入っていると思いますので、国鉄当局でもPHの問題、あるいは油分の問題につきましては、実際に分析をいたしまして、そしてこの洗浄装置から今後公害を起こさないようにしていただきたい、こういうふうに御要望申し上げておきますが、さらに、ただいま副総裁からいろいろとお話を伺いましたが、今後国鉄当局も相当に施設の改善をしなければ基準を守るということは容易でないような現在の時点に差しかかっているわけでございます。こういう場合、環境庁長官はどういうふうにお考えでしょうか。特にこの油の問題につきましては、もう非常に後手後手に回りまして、いろいろな問題がこれから発生してまいるわけでございますが、この点については環境庁長官としてはどういうふうに対処して、日本の油濁を防止していくお考えでございましょうか。
  208. 大石武一

    ○大石国務大臣 どうも、この油の問題につきましては、全く後手後手でございまして、ほんとうに答弁するのも心苦しいのでございます。しかし、どのようなことをするか、具体的なことはいま申し上げかねますけれども、やはり何としてもできるだけ積極的に後手でないようにその処理をしなければならぬと思います。しかし、この場合にも、たとえば海洋汚染防止につきましては、海のいろいろなタンカーその他船の廃油なりバラスト水ですか、こういうものの処理につきましては、世界のどのような規約がありましても、少なくとも日本の港に入ってくる船につきましては、強制的に油の処理をさせる、そうしなければ、当然出港を許さないというぐらいの強い規制はつくらなければならない、私はこう思います。  陸上のものにつきましては、私としてはまだ的確な考えもございませんが、それなりの機関、各省庁と十分に連絡をとりまして、的確な確実な方法を考え出し、それを実行に移してまいりたいと考えております。
  209. 古寺宏

    ○古寺委員 そこで、水産庁にお尋ねしたいのですが、今回のこのタンカーの問題でも、非常に漁業被害があるのは当然でございますが、日本の海洋の油濁というものは相当に進行しているわけでございます。これによる漁業被害というものも年々拡大されているわけでございますが、これに対して水産庁は漁民を守り、海洋資源を守る立場からどういうような対策をお考えになっているか、承りたいと思います。
  210. 太田康二

    太田(康)政府委員 私どもが都道府県を通じて調査をいたしました、お尋ねの油によりますところの水産の被害でございますが、船舶、工場、事業場、あるいは漂泊等に分けまして調べてみますと、年々件数、金額ともふえておることは御指摘のとおりでございます。そこで、われわれの、この油によりますところの漁業被害につきましては、原因者がはっきり判明しているものにつきましては、一般的に、当然、当事者間の民事上の問題として処理される、補償要求をいたすということになるわけでございまして、このために、われわれといたしましては、問題解決を急ぐというような意味で適切な指導あるいは必要な調査等もいたしまして助言をいたしておるというようなことでございます。さらに、事と次第によりましては、公害紛争処理法の和解の仲介あるいは調停の制度の活用、こういったことを指導いたしておるという実態でございます。  なお、原因者が不明のものにつきましては、民事上の救済を求めることがなかなか困難でありますので、実際に原因を起こしますところの工場排水あるいは油の海洋投棄等の監視、取り締まり体制の強化整備、こういったことを、実際にこういうことに当たられる監督官庁に要請をいたしまして、被害発生の防止につとめてまいるということを基本の姿勢といたしまして、油によりますところの漁業被害に対処いたしておる、こういうことでございます。
  211. 古寺宏

    ○古寺委員 海上保安庁はもういらっしゃらないでしょうか。
  212. 小林信一

    小林委員長 おりませんね。さっき帰りました。
  213. 古寺宏

    ○古寺委員 日本の油の汚染というものは、せっかく海洋汚染防止法あるいは水質汚濁防止法ができても、今後日本の油の需要供給の関係からいって、まだまだ増大していくというような危険性を十分にはらんでいるわけでございます。海上保安庁も、いままでこの油の不法投棄等につきましては、非常に人手も足りないとか、いろいろな監視のむずかしさもあって、思うようにいかなかったようでございますが、今後は、陸上また海上両面からの油濁の防止対策というものを政府当局に強力に推し進めていただきませんと、重大な時期に到達しているわけでございますので、どうか今後いろいろなこれらの問題について環境庁長官は積極的にひとつ調整をとられて、日本の海洋の汚染の防止を進めていただきたい、こういうふうに心からお願いをする次第でございます。  最後環境庁長官からひとつ今後の御決意をもう一度向って質問を終わりたいと思います。
  214. 大石武一

    ○大石国務大臣 御質問の、あるいは御意見の御趣旨はごもっともでございます。その意を十分に体しまして各省庁とも十分に調整をいたしまして、できるだけ早い機会に油の処理の適切な行政を進めてまいる所存でございます。
  215. 小林信一

    小林委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。    午後三時五十八分散会