○吉田(賢)
委員 これは大蔵省と折衝なさるときに、やはり社会保障的な施策に対する財源の要求等についての説得の基本態度、方針にもつながっていくわけでありますが、たとえば七十兆円をこえますGNPにいたしましても、ただそれだけで経済大国といっておるから、ドル・ショックでぴしゃんとやられちゃって、いまのような状態になるわけであります。でありますから、反面におきまして不均衡である。これはまた、不均衡を是正するのは社会保障の
一つの社会的な基本原理でございます。でありますから、たとえばアメリカのように所得が三倍である、あるいは北欧あたりのように個人所得は日本の倍であるというような場合とは違いまして、GNPはうんと上がりましたけれ
ども、それぞれの個人所得は低い、そこに社会的断層がある、いろいろな問題が起こってくる。だからそのほうへ高負担しろ、かわりに高福祉だということは、日本にはぴたっと当てはまらないものがずいぶんと起こってくるだろうと思うのです。結局そういうことをしますと、それならば所得をふやしてくれ。賃上げになるということになりますとコストインフレの原因もまたつくっていく。ぐるぐる回りしていくというようなことにもなってまいりますので、そんなことは私からあなたに申せば釈迦に説法でありますから言いませんけれ
ども、ひとつ十分にお
考えの上、やってほしいと思います。
そこで、具体的にひとつ入りたいと思うのでありますが、老人の問題であります。老人問題は、おっしゃるように、いま緊急を要する最大の
一つの課題でないかと私も思うております。一人暮らしの老人が、あなたの白書によりますと六十四、五万、それから寝たきり老人が三十一万と推定されておりますね。重大な社会的な
一つのあらわれです。でありまするので、これは一事が万事でお聞き取り願いたいのであります。一例をあげましたならば、ホームヘルパーの問題にいたしましても、ホームヘルパーをことし二百人もふやすとかいうような御計画があるらしいのですが、ホームヘルパーというものは簡単にできません。二万三千円やりまして、それぞれの熱練者を集めてきて、そうして老人をよくいたわって、食事の準備をしてあげたり、あるいはまた衣類の世話をしてあげたり、何か病気の世話も若干するというような、そんな能力者は得られませんです。いまの経済価値、それから見まして。しからば、しかるべき報酬を与えなければならぬ。しかるべき報酬を与えてある程度熟練させなければいかぬ。たとえば、一月でもホームヘルパーとして訓練所へ行って、そしてそこで何の仕事をどうするか、何時から何時までどうするか。それ
自身が健康でなければいけません。たとえば、食事するにいたしましても、栄養価はどうか、たん白はどうか、ビタミンどうかということくらい頭がなければいけません。全然頭がない人であってはそんな世話はできはしません。ことに老人の食欲は申すまでもないことでありますけれ
ども、やはり相当たん白も要求いたしますから、その辺のところも必要でありまするので、そんな準備もしなければいけない、準備をするならその経費が要る。施設が要る。そこで一月でも養成する。どんどん出していく。そうして、三万でも五万でも、しかるべき手当を出していくということにしなければ、それは
大臣、ホームヘルパー、だめですよ。
そういうふうにいたしまして、そしてこの三十一万の寝たきり、六十四、五万の一人暮らしの六十五歳以上の老人にいたしましても、それを完全に
一つの福祉の典型的なものに実現いたしましたら、これは大きなアドバルーンを上げたことにたりますよ。おそらくは
国民は、そういうことを
一つの転機としまして、日本の福祉行政に対して大きな将来の夢を持ちますよ。私は、そこにやはり日本的な
一つの将来の文明の、物心両全を得るところの文明の
一つの目標ができると思います。でありまするから、先進諸国のように、イギリスにいたしましてもスウェーデンにいたしましても、その他の諸国にいたしましても、ずいぶんと福祉施設が進んでおりますけれ
ども、私
どもの
考えからしますると、やはり唯物的な経済一本の頭でありまして至れり尽くせりだけでは、終局満足できないものができます。だから、日本的なそれからいたしますると、やはりそこに血の通ったものが要りますので、私は、老人施設、老人問題が重大施策といたしまして来国会に打ち出されるということをおっしゃいましたから、それはもう大きな期待をするのです。その
意味において、一例をあげたら、ホームヘルパー
一つの問題でも、扱い方をそうしてもらいたいと思う。そういたしましたならば、そのホームヘルパーは、よしんばホームヘルパーにあらずとも、その人はりっぱに
一つの職業を持つようになるかもしれません。若い女性もそうした志願者が出ますよ。どんどんと志願者が出ます。
〔
委員長退席、森下(元)
委員長代理着席〕
こういうこともございますので、ひとつそこは、老人問題、健康問題もあるし、たくさんにございますけれ
ども、そういうこともありましょうし、その他の施設もそこにございましょうが、
一つ例をとってみましたら、そういう点についても、ひとつ模範的な対案を用意して臨んでもらいたい。
それからもう
一つは、老人問題につきましては、例の
大臣に対する去年の十一月の答申、老人問題の総合施策についての答申がございますね。六つか七つか、要約したやつがあるわけであります。その答申も出ておりますので、これはやはり相当具体的な専門研究の結論を出したところでございまするから、せっかくのことですから、答申の
趣旨は尊重されまして施策の実現に進んでいくように御計画を願いたいと思います。
それからもう
一つは、これは、時間がないからやむを得ませんので羅列しておきますけれ
ども、私は、やはりいまのところ緊急を要する問題として、老人問題は典型的な問題と思っております。世界的な趨勢として、だんだんと老人がふえていくことでもありますから。
次は、やはり
児童問題です。
児童問題は、
一つの年齢の両極であります。けれ
ども、人生の出発でありますので、この間も文部
大臣に、
児童問題について教育の面からいろいろ申し上げたり問答しておったのです。私はやはり相当の力を入れてもらいたい。たとえば保育事業。保育事業にほんとうに力を入れてもらいたい。保育と幼稚園をもっとつながらしたい。母体の赤ちゃんの、おなかの中から保育へつながらしてもらいたい、こういう
趣旨でつかんでもらいたい。そして、あそこで二、三年の場で保育事業は、
先生の
一つの何かを示唆されるような、たとえば天分があります。特性、何か持っていますよ。自由にこう伸ばし得るような場を与えるようなこともしてもらいたいと思うのです。言うならば、あそこで
一つの大きな夢を持った保育事業を
厚生省は計画してもらいたいと思うのです。ただ、たくさんに収容するだけが能じゃありませんです。あそこでほんとうに有効に施設を生かしてやってもらいたい、こう思うのであります。
その他健康もあります、等々たくさんにあります。ことに非行少年がどんどんできる時代ですから、これに対する予防もあります。
ことに健康問題になりましたら、
一つなお御
注意を喚起しておきたいのは、いつかも私は尋ねたことがあるんだが、一体日本人の梅毒患者は何人ありますか。そして梅毒の原因は何でしょうか。母が梅毒では、生まれる赤ちゃんが健康体であるはずがない。精薄者の原因は何であるかというようなこと等を追及していきますと、これはもうたいへんであります。ですからそういう点につきましても、ひとつ健康管理の面から万全の対策を立ててもらわなければいくまい、こう思います。
それから、身障者の問題であります。この間も兵庫県の身障者大会に私参りまして、ほんとうにほろっとするような場に実はぶつかったのであります。それほど、形は整っておって五官そろわずという人、もしくは、もうほんとうに痛々しい、かわいい顔で、そして人並みの動きができぬような子供ですな、あれを思いますと、こうした心身障害者に向かっての施策は最も力を入れる
一つの問題ですね。
ことに車いすですね。兵庫県だけでもこの車いすが五千あるのですよ。車いすが五千ありますけれ
ども、車いすというものを使う場が一体社会にありますか。ないんです。
病院の廊下だけです。この間も住宅公団の幹部さんに、一体住宅公団は、住宅をつくるときに老人だとか身障者のために何か考慮しますかと言うたら、そんな頭ないですわ。ですから、せっかくああやって車いすみたいなものがございましても、車いすで自由に動けるように社会が相呼応してこないのであります、例をあげましたら。
身障者の問題はたくさんにあります。リハビリテーションの問題でもやはり同じことであります。リハビリテーションを老人に適用していくということは、これはおもしろいですね。この社会復帰についてうんとやってもらいたい。これもやはり
厚生省としてはずっと前から新宿のほうでやってもおいでになりますけれ
ども、いずれにいたしましても、この身障者のためにリハビリテーションは、施設、機械、それからその他医学的な面につきましてひとつ特段に力を入れてもらいたいと思います。もっと原子力を利用なさい。ニューヨークあたりでは、やっています。ニューヨークのあの兵隊さんの足切ったり手切ったりしたやつをやっているのなんか、巧みに電子
計算機なんかも使いまして、いろいろなものを測定してやっております。ですから、このリハビリテーションについては特段にひとつ力を入れていかなければいくまいと思う。身障者の問題。それからそういう施設の問題。
それからもう
一つは、母子家庭の問題です。これはいろいろと
お尋ねしたいのですけれ
ども、ほんとうに母子家庭こそ、これは大きないろいろな荷物を背負って、人生半分涙のうちに送るのですよ、残余を。幾多そういうようなのがあるわけです。母子家庭につきましては、ひとつまた特にあたたかい手を差し伸べていただきたい。母子家庭が寄りまして、そしてある小さな
営業をやっておるのですよ、安い値段で。私に懇意な人々が何人か寄りまして、そして「おふくろ」という食堂をやったりしている。うどん六十円ぐらいで売るのですよ。そこまでやっておりますが、そんなものも税金を取られちゃうんですね。何かもっと簡単に、税金でも取られないような手がないのかということも
考えるのです。それはほんの一例ですよ。母子家庭につきましていろいろな面から、経済的援助とか、あるいはその他子供、家庭等々に問題がございますけれ
ども、いずれも足りない。
もう
一つ重大なことは血液の問題なんです。血液事業です。血液事業は重大でございますので、ことし十一億円要求なさっているらしいが、これは非常に大きな仕事でございますから、ひとつ
委員長とも相談しまして、小
委員会の
皆さんの御
協力を得て、血液の事業につきましてひとつ論議する必要があると思っております。非常に大きな課題であります。
〔森下(元)
委員長代理退席、
委員長着席〕
全体といたしまして、私は健康管理の問題、これは健保の問題につながりますから、きょうは触れません。健康管理の問題。健康管理なくして福祉国策はない、そういうふうに思いますので、これら四つ、五つ羅列してみたのですけれ
ども、ひとつ簡単でよろしゅうございますから、時間もないことですから、一応締めくくって
厚生省の
姿勢をちょっと明らかにしておいていただきたい。
それから血液の問題について文部省、教科書に取り上げることが非常に大事だと思いますが、これは三十九年の八月でしたか、三十九年の閣議決定もあるようでございますので、教科書に取り上げて、そして私はこういう
一つの資料を持っているのですが、こういう教育社から出しているものがございますが、第一ページには大きく取り上げています。「愛の献血」としておりますので、教科書に取り上げるといたしましたら
国民は血液の重大性がわかります。血液事業の重要性、献血の重要性はわかりますと確信します。そうしたら血清肝炎もなくなるし、梅毒患者も少なくなります。そういうこともやっておいてもらいたいと思いますが、ちょっと文部省からもその点つけ加えておいてください。
大臣、ひとつどうぞよろしく。