○華山
委員 去る九月三十日に開かれましたこの
委員会におきまして、私は運輸省当局との間で、東京の四ツ谷駅構内におきまして東京陸運局が東京自動車協会から借り上げている建物の借料について
お尋ねをしたのでありますけれ
ども、その間にすれ違いがあって、質疑応答がよく進みませんでしたので、その際は資料の提出を求めて質疑を保留いたしました。その後、運輸省、国鉄、
大蔵省、会計検査院からいろいろ説明を受けましたので、ここで私なりに得た
考えの要点を申し上げたいと存じます。
東京陸運局は長い年月の間、東京自動車協会の所有する二階建て一千百四十五余.平方メートルの建物を庁舎として借り上げ、この建物の敷地は協会が国鉄から借りておるものであります。その
土地は一千二百十二余平方メートルとなっております。
ここで私が問題といたしたいのは、協会が国鉄に支払う
土地の借料と陸運局が協会に支払う建物借料の中に含まれているはずの
土地に対する部分に相当する額との関連であります。四十五年の単
年度についてこれを見ますと、協会が国鉄に支払った
土地使用料は年額百十七万一千四百六十円であるのに対し、陸運局が協会に支払った借料の中の
土地使用料に対する相当額は、二百九十七万五千四十一円であって、ここに百八十万円余の差があるのであります。
なぜ陸運局は協会が国鉄に支払った額よりも多くを支払う
計算見積もりになるのか。その要因には二つのことがあると思われます。
その
一つは、陸運局が借料の見積もりにあたって部外専門鑑定機関の鑑定を参考としているのでありますが、この参考資料につきましては、陸運局からは批判がありません。この鑑定では
土地借料、建物借料その他の経費を合算したものであって、その中の
土地借料については、適正
土地価格を
計算した上、これに四%の資本
利子率を乗じて得ているのであります。この
計算方法、すなわち資本
利子率を乗ずるのは、その
土地に自己の資本として所有権を持っている場合であるとか、あるいは所有権に準ずるような権利を有する場合に行なうべきものであって、三カ年の短期の契約で、契約そのものに対し、何らの代価なくして得るに至った借地に対し資本
利子率を乗ずることは間違いであると私は思います。
さらにもう
一つは、国鉄では、借料の
計算にあたって地価の値上がりに対処するために、三年ごとに借料の改定を行なっているのでありますが、地価の上がる倍率については、急激な上昇を緩和するために、漸進改定率を設定しているのでありますけれ
ども、この鑑定資料にはこれがありません。これを
考えるならば、陸運局は、賃借料見積もりにあたっては、協会が国鉄に支払う借料をそのまま
土地に対するものとして
計算するのが適当であったと思われます。陸運局においては、協会が国鉄に支払う借料については何ら考慮にも入れることなく、協会に対し、自己の所有する、またはこれに準ずる
土地でもないものに対し利益を与えたことは、私は不適当だと思わざるを得ません。
これらの点について会計検査院の再
調査をお願いいたしたい。また会計検査院の検査が国鉄、運輸省ばらばらに行なわれて、その間に横の連絡がない。このようなことから起きているとも
考えられるものでありまして、会計検査院の反省を求めるものであります。
なお申し添えるならば、この協会の
決算によれば、収入のほとんど全部、あるいは全部と言ってもいいかもしれないものが建物の収入であり、これが国の財政から支払われ、協会の運営は、一にかかって、国の財政からの収入から得ているものであります。また協会の
理事長は国
会議員でもありますし、これらの点を
考えるならば、借料の
計算はあくまでも厳密、慎重を要するものと思われるのであります。
さらに事ここに至るまでの私の
調査において気ついた若干の点を申し上げますと、前に申し上げました値上がり倍率の漸進改定率、これは全国的に行なわれるわけでありますが、これについては、国鉄では一般国有財産と違った法則をとっております。よく
計算してみますと、結論としてはあまり違わない
数字が出てくるのでありますけれ
ども、それにしても、これらの財産は、帰するところ同じく
国民の財産なんでありますし、国鉄の経営に対し一般会計から補助の
増額も問題になっているときでもありますから、この相違は調整されてしかるべきものではないかと思われます。
また地価倍率の漸進改定率は、私の受ける
感じでは甘過ぎるのではないか。
土地の値上がりの大きいものほど、借料の値上がりがない。このようなことは反省さるべき点ではなかろうかと思うのであります。したがって、一般的なものでいうならば、陸運局の徴した鑑定にもこの調整漸進改定率の
考え方が入っていないように、私はこの漸進改定率には再
研究の必要があると思います。この点につきましては、なお今後
委員会において私が取り上げる機会があるかとも思われます。
またさらに、国有財産については、国有財産を貸す場合には、その借料について各省庁に通ずるところの準則があります。しかし民間から借り上げる場合には準則のないことも、この
研究の中でわかりました。
貸し手、借り手の強弱もあることではあるし、借りる場合には、一がいにきめられないということもわかりますけれ
ども、そこに何らかの幅を持たせたものであっても、借り上げる場合の準則があってもよいのじゃないか。これらの点についても
大蔵省において検討をしておいていただきたいし、またいつか当
委員会でお聞きする場合もあるかもしれません。
さらに、ここで問題にいたしました陸運局と協会との借料については、四十五
年度における鑑定においては、年額八百四十万円余と見積もられるのでありますけれ
ども、運輸省はこの見積もりを批判するのではなくて、
予算の都合として七百十余万円の
支払いにとどめました。それで
土地借料の部分の私の指摘したところでは、百八十万円余の多い見積もりは五十万円余に縮まっているのでありますけれ
ども、これは
予算というものにかぶせられたところの皮肉の結果なのであります。一般の場合についていうならば、
予算の査定は各省庁ごとに前年の何割増し、そういうふうな概算として出てくるものではないかと思いますが、これによって適正な借料を圧縮するような
やり方、これについては私は疑問を持つものであります。
以上、私は時間を節約するためにも質疑応答をなるべく省きたいと思いまして、一方的に全部を申し上げました。もしこれについて御意見があれば、
関係当局からお伺いしたいと思うのであります。
なお
最後に、この四ツ谷駅構内は風致地区として指定されております。そして陸運局はあそこから立ちのきまして他に移転いたしまして、最近はあき家になっております。この協会に
貸している期間が過ぎた
あとはどうなさるのか。私はあの場所にあのあまりきれいでもない場所があることは問題だとも思いますし、またどういう者に貸さないとも限らないし、建物を貸す場合には国鉄の了解を得なければいけないということにもなっておりますし、期間が来たならば、期間は来年でございますか再来年でございますか私よくわかりませんが、あの
土地は風致地区として国鉄では持っていかれたほうがよいのではないかと思いますけれ
ども、お差しつかえない限りこれについての御方針を承っておきたいと思います。