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1971-11-05 第67回国会 衆議院 決算委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年十一月五日(金曜日)     午前十時十九分開議  出席委員    委員長 福田 繁芳君    理事 綿貫 民輔君 理事 華山 親義君    理事 鳥居 一雄君 理事 吉田 賢一君       阿部 文男君    笠岡  喬君       中川 俊思君    中村 弘海君       中山 利生君    丹羽 久章君       田中 武夫君    高田 富之君       坂井 弘一君    瀬長亀次郎君  出席政府委員         大蔵大臣官房日         本専売公社監理         官       福間  威君         建設省住宅局長 多治見高雄君  委員外出席者         大蔵省銀行局特         別金融課長   北田 榮作君         通商産業省繊維         雑貨局繊維製品         課長      谷村 昭一君         会計検査院事務         総局第五局参事         官       石島 芳夫君         会計検査院事務         総局第五局参事         官       高橋 秀夫君         日本専売公社理         事       斎藤 欣一君         日本専売公社管         理調整本部調査         役       後藤  正君         日本専売公社管         理調整本部沖繩         復帰対策室長  吉川 和郎君         国民金融公庫総         裁       澤田  悌君         日本開発銀行総         裁       石原 周夫君         日本輸出入銀行         総裁      石田  正君         日本輸出入銀行         理事      奥村 輝之君         参  考  人         (日本住宅公団         総裁)     南部 哲也君         決算委員会調査         室長      池田 孝道君     ————————————— 委員の異動 十一月一日  辞任         補欠選任   愛知 揆一君     阿部 文男君   賀屋 興宣君     中山 利生君   草野一郎平君     笠岡  喬君 同月五日  辞任         補欠選任   中澤 茂一君     田中 武夫君 同日  辞任         補欠選任   田中 武夫君     中澤 茂一君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  昭和四十四年度一般会計歳入歳出決算  昭和四十四年度特別会計歳入歳出決算  昭和四十四年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和四十四年度政府関係機関決算書  昭和四十四年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和四十四年度国有財産無償貸付状況計算書  (建設省所管大蔵省所管日本専売公社、国  民金融公庫日本開発銀行日本輸出入銀行)      ————◇—————
  2. 福田繁芳

    福田委員長 これより会議を開きます。  昭和四十四年度決算外二件を一括して議題といたします。  本日はまず、建設省所管、特に日本住宅公団に関する問題について審査を行ないたいと存じます。  この際、諸君におはかりいたします。  本日、参考人として、日本住宅公団から総裁南部哲也君の御出席を願いたいと存じまするが、諸君、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 福田繁芳

    福田委員長 御異議なしと認め、さように決定いたします。     —————————————
  4. 福田繁芳

    福田委員長 ただいま華山委員から発言の申し出があります。これを許します。華山君。
  5. 華山親義

    華山委員 本委員会は十月二十二日、日本住宅公団のすでに入居の済んだ千葉袖ケ浦花見川米本の各団地を、さらに十月三日には公団の今後入居すべき建設中の千葉東寺山新検見川稲毛ニュータウン、各団地視察してまいりましたので、その実情を申し上げ、当局において早急に改善措置がとられますよう希望するものであります。  まず第一に、すでに入居済み団地については、  一、袖ケ浦団地に起きた雨漏りによる被害は、被害を受けた入居者の言うところによれば、入居後間もなく雨漏りがあり、公団に対して申し出たのでありますけれども、不十分な補修が行なわれ、長い間放置されたままになっておったもので、これは公団の弁明するように台風によって一時に起きたものということはできないようであります。これは建築工事の、ミスによるものと思われます。これについては、公団建築過程監督及び検査の多くが民間業者にゆだねられるなど、公団の目が行き届かぬために発生するものとも考えられますので、公団当局監督及び検査についてすみやかに改善されることを望みます。また、雨漏りなどについて全戸につき完全に把握しておられないとも思われますので、ここで全国的に総点検を早急に行ない、修繕を必要とする個所について根本的補修を急がれるように望みます。  二、団地建設にあたっては、通勤者交通便益十分配慮の上行なわれなければなりませんが、その実態は、米本団地において都心への通勤に一時間半を要し、花見川及び米本の両団地においては通勤時間帯のバス回数、終バス時刻等について改善すべき点があります。  三、多数集団入居者については生活の便益が配慮されなければなりません。しかるに、米本団地においては、入居募集要綱に設置を明記してある医療機関郵便局が、入居後相当期間経過している現在においても、いまだに要綱のとおりに設置されてはおらないのでありますし、また、同団地商店においては同一業種が一軒だけで、値段が高く、閉店時間が早過ぎる等の住民の苦情を聞くものであります。医療機関及び郵便局については公団努力中で、見通しを持っておられますが、早急に実現されますとともに、商店については同一業種複数制の採用、閉店時間の延長等、いろいろの事情もありますが、一そう努力されるよう希望いたします。  第二に、今後入居すべき諸団地については、  一、東寺山団地については、この土地に天然ガス鉱業権が設定され、稼働中であります。将来、採掘の結果が団地地盤沈下を生ずるおそれがないかどうかを関係各省等から聴取したのでありますが、われわれとしては、おそれなしとする十分な納得は得られませんでした。この点について、将来に災いを残すことのないよう十分慎重に検討さるべきであります。  二、新検見川団地については、公団と県、市との協議が不十分のまま着工した結果、入居時においてバスによる通勤交通の通路に応急の措置を講ずる必要ができておりますし、バス会社との打ち合わせにも今後幾多の問題が残っております。団地建設にあたっては、事前協議が十分になされるよう留意していただきたいと思います。  三、稲毛ニュータウン団地については、一部の建物について、入居予定時において県水道の入らないことが明白であります。公団は、現在建設用に使用されている工事用井戸の水を、それまで一時これに充てようという考えも述べられましたが、はたしてこの水の水質が適当なものであるかどうか、またこのことによって二重投資となる結果を招くとも思われますので、十分に検討されるよう求めます。これも建設にあたっての地方自治体との協議が不十分であることによるものであります。  四、上述のように、視察の結果を見ますと、着工にあたって地方自治体との事前協議が不十分であり、この間に全体としての協調を得ておらないことを強く感ぜられます。公団千葉県との間にかわされた数次の協定覚え書きあるいは協議文書の中からもこれがくみ取られますし、その中でも、千葉県が公団に対し、新検見川稲毛ニュータウン団地建設について、県の了解なくして着工してはならない旨を申し入れたにもかかわらず、これを無視して事前に着工したことは遺憾であるとし、これを公団法第三十四条違反であるときめつけていることは、公団強行的先行を端的に示すものであります。また、地方公共団体は、大集団住宅建設にあたって関連公共施設政府財政措置が不足であることを強く訴えています。かくして、とのままでいくならば、公団事業地方の十分な協力を得られないままに、行き詰まりを来たすのではないかと憂慮されるのであります。  以上をもって私の現地視察報告を終わり、なお鳥居委員からも報告がありますが、これらの報告は多かれ少なかれ全国に通ずるものといわねばなりません。  最後委員長に申し上げます。  公団についての過日からの決算審査過程内容及びこのたびの視察の結果、日本住宅公団の今後の事業の進め方などについて、根本に触れて考え直し、改善を要すべき点があると思われますが、これについてさらに委員会において研究、審議を重ねた上、政府及び公団に対し申し入れを行なうべきではないかと存じますので、お取り計らいをお願いいたします。  終わります。
  6. 福田繁芳

    福田委員長 この際、華山君に委員長として申  し上げます。  あなたのいまの御発言の中の最終に委員長に対する要望事項がありましたので、これはしかと承知いたしました。いずれ理事会において皆さんと御相談の上、場合によれば理事会住宅公団総裁なりあるいは首脳部を招致して、理事会議題としてはかる場合もあるかもわかりませんが、いま申されたことは適切な御意見として、委員長しかと承知いたしました。  次に、鳥居一雄君から発言を求められておりますので、これを許します。鳥居君。
  7. 鳥居一雄

    鳥居委員 ただいま華山委員から、二度にわたる本委員会現場視察を行ないまして、その詳細にわたる視察報告がございました。華山委員報告に尽きているのでありますが、私の立場で補足と強調したい点を取り上げまして御報告をいたしたいと思います。また、去る十三日の本委員会質疑を行ない、残されていた点をあわせて申し上げまして、欠陥団地等改善を求めたいと思うのであります。  まず、雨漏りが多発した件で習志野市袖ケ浦団地視察しましたが、公団側説明によりますと、雨漏り実態は、東京支所管内分譲住宅に限っていうと、八団地、四百四十四戸ということでありました。これは分譲住宅入居者組合調査によるものであります。大多数を占める賃貸住宅につきましては、被害を訴える自治会調査がいまだにないために、公団雨漏り実態をつかんでいないのでありまして、はなはだなまぬるい限りと思います。直ちに総点検を行なうべきであると思うのであります。本委員会質疑の際、目下調査中と答弁がありましたけれども、いつからどう調査するか具体的には何もないようで、調査実態説明されておりません。公団主体者となった雨漏り調査を早急に行なうべきであります。また、入居中の四団地を見てまいりましたが、雨漏り原因は、避けられないものというより、むしろ設計施工上の管理欠陥にあったということができまして、はなはだ遺憾であります。設計施工上の管理改善に鋭意努力をされ、再び、私が指摘しましたようなベランダ陥落寸前という事件や雨漏りなどを起こさないよう、万全を期していただきたいのであります。  さらに、団地立地条件の大切な一つとしてバス輸送の問題があります。花見川団地では、国鉄線に連絡するバス路線の増強が強く要望されておりまして、公団はこれに沿って努力しているということでありましたけれども、現に十月から、二十便あったバス便を五割減らすという矛盾した事態が起きております。直接の責任公団にあるというのではなく、団地足確保にあたりましては主体者となって、解決のために努力していただきたいのであります。また稲毛新検見川の両団地ではバス路線確保が困難であり、開設までに数々の隘路があることが判明しております。公団は鋭意努力中でありますけれども、団地をつくりながらバス路線を考えるというこれまでの行き方に大きな問題があり、給水、付帯施設バス路線道路、こうした細目にわたる慎重な検討計画時点で必要であります。今後の団地建設にあたりましては、足なし、水なしなどの欠陥団地を再び引き起こさないよう改善していただきたいと思うのであります。  なお、新検見川団地につきまして千葉県から、本年一月十八日南部総裁あてに、さらにまた十月五日県から、一方的に建設着工したことで抗議を受けた事実が明らかとなりましたが、これは重大であります。県側は、県の了解なくして建設に着手してはならない旨再三申し入れた、しかしこれら意向を無視して建設を始めたことは遺憾だ、今後は基本協定覚え書きを守れと抗議しております。しかし、これに対して公団は、話し合いをしたから了解があったものと思ったと述べておりまして、明らかに食い違いがあります。今後、決してこうした失態を引き起こさないように改善を求めるものであります。  さらに、天然ガスガス鉱区内に宅地造成を進めております千葉東寺山団地につきまして申し上げます。  天然ガスくみ上げ昭和三十八年ごろから行なっている地点で、公団開発決定をいたしました昭和四十二年の時点ですでに慎重な検討がなされなければならなかった問題であります。本委員会答弁で、地盤沈下は確かにあるということでありましたが、県当局調査によりますと、昭和四十五年九月測定を始めまして、年間十五センチ、平均十一センチから十二センチの沈下を記録しております。このまま沈下が進むと仮定すれば、住宅建設は全く危険という以外になく、全く非常識な宅地開発であります。千葉県の葛南地区年間最高二十四センチの沈下があり、すでにくみ上げ全面規制にこぎつけましたけれども、今回この十五センチといえばそれと大差ない実情にあります。公団説明は、全体的に沈下するのであって、江東区などのゼロメートル地帯と事情が違って安全だと、至って楽観的であります。天然ガスくみ上げ井戸団地中央部に三本、周辺部に二本囲むようにありまして、開発決定時になぜ慎重な検討がなされなかったか、理解に苦しむのであります。今後に禍根を残さないために、天然ガスくみ上げを直ちに中止するか、宅地造成を直ちに中止すべきであります。安全性確保に特段の措置を講じなければならないのに、現在何ら手が打たれておりません。総裁並びに建設大臣に対しまして再考を促すものであります。  最後に、去る十三日の本委員会で福岡市室住団地を取り上げ、入居応募者がわずか〇・四倍という建設計画の甘さを指摘いたしました。また、二千世帯団地で、でき上がりまして一年にもなるのに五百世帯分入居者がいないで、あき家同然になっておりまして、もし入居していたら家賃収入が一億円にのぼる公団収入になるところだったということを指摘いたしました。東京周辺では十数倍が常識であり、しかも三十回も応募してなお入れないという実情にあるのに、〇・四倍というのは驚いたことであります。ところがその後、こうして評判が悪くて入居希望者が一倍を割る団地がここ二年間に十二団地募集回数で申しますと十六回もあったことが明らかとなりました。私ははなはだ遺憾に思うのであります。当初の建設にあたって、非常に甘い計画のもとに事業計画施工がなされたものというしかない実情にあります。現在全国で百三十万戸住宅が不足している。今後五カ年間公団は四十六万戸建てようというのに、こんなずさんな計画が許されてよいわけがありません。私は、公団のただ建てればよいという姿勢、まるで親方日の丸のような事業計画に猛省を促し、今後こうした事態を再び起こさないよう慎重を期して、改善していただきたいと思うのであります。  以上、数項目の報告並びに要望を申し上げましたが、南部総裁から御意見をいただければ幸いと存じます。  私の報告は以上であります。
  8. 福田繁芳

    福田委員長 ただいまの両君の御発言に対し、本日は建設省多治見住宅局長及び日本住宅公団南部総裁両君が参っておりますので、多治見住宅局長発言を許し、所見を求めとう存じます。建設省多治見住宅局長
  9. 多治見高雄

    多治見政府委員 ただいまの両委員の御発言につきまして、内容につきましては、われわれも十分平常の仕事の上でよく知っていることでございますし、この改善努力している問題でございます。中身につきましては、通勤機関の問題、それから医療機関問題等、われわれの力だけではできない問題でございまして、こういう問題をお取り上げいただきまして、われわれといたしましてはそれぞれ政府部内におきましていろいろ努力はしておりますが、なかなかわれわれの希望どおりにはいかないという面がございます。そういう点につきましては、両委員の御発言内容をよく大臣に伝えまして、政府部内で解決していただくように、高度の政治的な判断で御努力いただくというふうに、本日帰りまして大臣に御報告して、よく御了解を得たいというふうに考えております。  それから雨漏りその他具体的な、公団だけで処理できる問題もございますようなので、そういう点につきましては総裁からまたお返事があると思いますけれども、要するに住宅問題は、お話しのように非常に問題が多いということはわれわれも十分承知しておりまして、そういう問題の中に通勤、鉄道の問題、道路問題等、省内でも処理できる問題、それから他省との関係のある問題とございますので、よく大臣報告いたしまして、今後高度の政治的な折衝をお願いして、できるだけ早く解決したいという努力をするつもりでございます。
  10. 福田繁芳

    福田委員長 次に、日本住宅公団南部総裁の、ただいまの両委員の御意見に対する所見を求めとう存じます。南部総裁
  11. 南部哲也

    南部参考人 今回、二回にわたりましてわざわざ現地を御視察いただきまして、ただいま詳細なる御報告、御注意を賜わりましたこと、厚く御礼申し上げます。  第一の雨漏りの問題につきましては、これは公団側といたしましては、公団建築に対する信頼の問題にかかる問題でございまして、実は早急にこの対策実施するということで、御指摘団地等につきましての補修は現在実施中でございまして、大体今月一ぱいでこれは片づけるという方針でおります。しかし、そのもとになりますところの原因等につきまして、施工の不良その他につきましては、これは厳重に今後の改善の指針といたしたい。まず設計を改める。改めるべきところは全部改める。それから民間委託監督体制につきまして、実は指導の徹底が足りなかったという点につきましては、重点的に研修を行ないまして、これらの点を改善していくというようなことで措置していきたい、かように考えておる次第でございます。  なお、全国的な調査というものは、今回を契機といたしまして至急に行ないまして、大体賃貸住宅におきましてはそのつど修理が行なわれておる。分譲につきましては、瑕疵の期間が来るときに非常に多く問題が起きてくるというようないろいろのケースを踏まえまして、十分に対処していきたいと存じます。  第二に、地方公共団体との事前協議、これが十分でなかったためにいろいろなトラブルが起きておるという点につきましては、実は私、就任以来この点につきまして最も力を入れまして、各地方公共団体話し合いをいたしまして、四十六年度事業の執行につきましては、地方公共団体との話し合いがつかないものは一切やらないという方針で、この近県においても全部話をしてまいっておるわけでございます。御指摘の新検見、あるいは稲毛ニュータウンの問題につきましては、実は前年度の問題でございまして、ちょうど三月末の年度ぎりぎりの発注ということで、この前も御説明申しましたように、若干見切り発車のような点があとに尾を引きまして、今日の特に千葉県との間の問題になっておるわけでございますが、四十六年度、本年度事業につきましては、事前に十分私も知事とお会いいたしまして、両者の意思の完全に疎通した点を覚え書きとしておるというような点、これは埼玉県についても同様でございます、神奈川県についても同様でございますが、そのような措置で、この点につきましては十分な連絡をしていかなければ、御承知のようないろいろな問題が起きるということで、最も力を入れていきたいと存じておる次第でございます。  ただ、県、地方公共団体と私どものほうだけでは片づかない問題がございます。これは御指摘バス輸送その他の運輸関係の問題でございます。これについて、われわれとしては、ただいま建設運輸両省にお願いいたしまして、この問題について、団地計画バスの運行というものの間にもう少し斉合性がとれるようにということで、目下鋭意両省でこの問題について詰めてもらっておる現状でございます。  それから、御指摘の第三点の東寺山ガスの問題につきましては、われわれといたしましても、今回の鳥居先生皆さま方の御指摘に基づきまして、直ちに専門家を委嘱いたしまして、この問題についての安全性につきまして十分に検討いたしまして、宅地を購入される——すでに宅地債券も発行しておりますので、その方々に対する不安のないように、今後の事業の進展にあたって慎重に注意をしていきたい。  なお、地盤沈下の状態につきましては、不同沈下その他があるかないかということは団地ごとにおいても調査をしてみたい、かように考えておる次第でございます。  最後に、室住以下の一倍に満たない入居計画でございますが、これは御承知のような、住宅需要建設予定地というものが全く斉合した計画で現在進んでおる、要するに住宅需要と供給とが、全く全国一律のたとえばパーセンテージというようなことで建設が行なわれているというわけではないわけでございまして、そのために現実問題としていろいろな、結果的に募集の倍率がどうこうという問題は出てくるわけでございますが、この点につきましても、今回の御指摘を機といたしまして、本年並びに今後の建設について十分留意をしていきたいと存ずる次第でございます。  以上四点につきまして御報告申し上げまして、お礼にかえたいと思います。
  12. 福田繁芳

    福田委員長 この際、吉田賢一君より発言を求められております。これを許します。吉田君。
  13. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 過日の千葉県下における住宅公団建設諸般視察の結論として、私はこういう感じを一つ持っておるのであります。  あのような亀裂、雨漏り等がよって起こる原因につきましては、一つは、当初の名前を出した建設業者が直営をしたのかどうか。実施業者名義業者とが分かれておるのではないか。二段、三段の下請下請ということがあったのではないか。もしありとしまするならば、やはり当初の契約者に対しましてはかなり厳格な態度で臨まねばなりますまい。のみならず、みずから行なわずに下請を他の業者にさすような場合には、全責任を第一業者が負わねばならぬ。そして、それは同時に住宅公団がその責任を負っていく、この関係を明確にしておくことが非常に重要なことではないでしょうか。ひとり住宅公団のみならず、われわれは、道路建設につきましても、その他港湾の建設につきましても、一切の建設事業なるものが、とかく名前の売れた業者がまず看板を出して、事実上の実施下請下請がやるということは相当の数にのぼっておるのではないだろうか、こういうことも考えられます。ですから、その辺につきましてはけじめをつけて、今後は責任を負っていくというふうな体制を一そう整備していってほしい。それが原因であったか、そのような事実があったかなかったかは一応別といたしまして、いずれにいたしましても公団の名に恥じるような、あのような雨漏りの現象があることは事実なのですから、探求の方向を、その辺までメスを入れていく必要がないかということを考えます。  いま一点は、あなたのほうは建設をなさるのだが、建設省としては全体としての行政を掌握していきます。国会はこれを見ていくわけでありますが、やはり単に数字だけを平面的に監察するのじゃなしに、住宅の需給の状況、それからまた、住宅につきましてはたとえば身障者に対しましてはどうするか、老人に対してはどうするかというような配慮もするというような、そういう立体的な住宅供給の整備をする必要がないであろうか。そうしまして、たとえば何万戸不足、必要なりといったような場合に、どの場所で、どの地域でどのような需要があるか、その需要は非常に切実な需要であるのか、あるいはそれは過密の原因になるような需要であるのかということも検討する。これはもっとも、住宅公団の仕事ではないかもわかりません。むしろ建設省が、この点につきましては十分に事務的にまず事実をつかんでおかなければいかぬじゃないかと思います。これは要するに、住宅建設計画の当初における一切の素材を、そのような角度から整備してかかるということが非常に大事ではないだろうか、こういうふうに思われるのです。  なお、つけ加えまして日照の関係だとか、振動、騒音の関係だとか、その他もろもろの、空気汚染の公害の関係だとか、そういうようなものも十分に検討いたしまして、これらをあわせまして住宅公団が掌握していなければならぬのではないだろうか。例をあげれば幾つもあるのですが、私はきょうは差し控えておきますけれども、幾多の問題点を持っておりますのは事実であります。しかし、反面から見まして、またあの青芝が周囲を取り巻いておるような環境は、これは一つの卓見だと私は思ったのであります。ああいった芝生の上に人の感情をやわらげるというような住宅建設のしかたというものは、これは非常におもしろいと思います。ですから、その辺はよいものはよいといたしまして、可能な範囲でできるだけ拡大していく。しかし、反省をする問題があります点は、これはもう厳格に追及していく、こういうふうにいたしまして、ともすれば独占のそしりを受けるおそれがある建設業でありますし、ことにドル・ショック等の影響で、公共事業費というのは膨大になる来年度予算も考えられますので、ことさらにそういう面につきましては特段の配慮をしていきまして、技術のあるところ、陣容が整備されておるところ、良心的に仕事をやるところ 経済的に考えてくれるところ、そういうようなところは、民間の業者もどしどしと発展していくというくらいな姿勢でいってほしい。日本のように、ごく少数の業者が独占的体制をなしておるのは、日本だけではないかと思います。こういうようなことも考えられますので、どうぞその辺につきましても——すぐにそれを悪いとは申しません。ああいうような事例がありますので、特に気がつきましたので申し上げた次第であります。どうぞよろしくあなたのほうで御配慮されんことを希望申し上げておきます。
  14. 福田繁芳

    福田委員長 ただいまの吉田賢一君の御意見に対して、まず多治見局長から御所見をお述べ願いたいと思います。
  15. 多治見高雄

    多治見政府委員 雨漏りその他工事の実際の実施につきましての問題は、公団のほうで、具体的に吉田委員の御意見を尊重して、今後強力に注意していくかと思いますけれども、その中にございました住宅の需給につきましての計画段階の問題でございますが、われわれといたしましては、事務的にはいま先生のおっしゃいました要素を全部検討いたしまして、それをもとにして第二期住宅建設五カ年計画というものをつくりましたわけで、第一期の住宅五カ年計画において住宅不足を全部解消しようという意欲でやりましたのに、それができなかったという点がございます。これは経済成長の見通し、それから都市の人口集中の見通し等について若干甘かったという点から、第一期計画は一応戸数といたしましては目標を達成いたしましたけれども、依然として大都市の住宅難を解消していないという現象が残っておるわけでございまして、この点の反省を十分いたしまして、第二期計画、ことしから始まっているわけでございますが、これにおきましてはそういった点も十分考慮に入れ、かつ、お話にございましたように、身障者、母子世帯、老人世帯というものについての配慮も十分織り込んで計画を立てているつもりでございますので、その点は、今後もし外的条件が大きな変動を来たしますと計画変更ということもあるかもしれませんけれども、まあ大体、現在の外的条件でわれわれの見通せる範囲では、第二期計画が達成されれば住宅難は解消されるであろうということで計画を立てておるわけでございまして、先生の御指摘のような点は、われわれとしても事務的には十分検討いたしておるつもりでございます。
  16. 福田繁芳

    福田委員長 あわせて南部住宅公団総裁所見を求めます。
  17. 南部哲也

    南部参考人 請負業者責任の問題につきましてお尋ねでございました。  実は、今回の問題を契機といたしまして、この前の本委員会においてお約束しましたとおり、工事の不良の業者につきましては、指名停止の措置を講じました。全体で十数社に及ぶ指名停止を行ないまして、それが下請の悪いのを使っておったという場合には、元請がどういうことになるかということについての反省の資ともいたしたいというようなことで、そのような措置を講じております。今後とも先生の御注意を十分尊重いたしまして、施工に万全を期していきたいと考えております。     —————————————
  18. 福田繁芳

    福田委員長 次に、大蔵省所管日本専売公社、国民金融公庫日本開発銀行及び日本輸出入銀行について審査を行ないます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。瀬長亀次郎君。
  19. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 二十九日の委員会の引き続きの質疑を行ないます。  最初に、十月二十二日に、沖繩の全専売労働組合沖繩地方本部宮里正紀委員長ほか十名が専売公社の総裁に会って、四項目にわたる要求書を出しておりますが、事実そうであったかどうか、明らかにしてほしいと思います。
  20. 斎藤欣一

    ○斎藤説明員 ただいま先生がおっしゃいましたような陳情がございました。
  21. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 その要求の中に、退職を希望する者以外の労働者は、復帰と同時に専売公社の職員として全員採用すること。第二番目に、一時的な復帰工場ではなくて、将来も安定したたばこ工場を沖繩につくること。三番目に、沖繩におけるたばこ産業労働者の現在の勤続期間、これを日本専売公社の勤続年数に加えてもらうこと。四番目に、公社の沖繩復帰対策室、この現地分室がいまあるようでありますが、これは団体交渉に当たるようなものではない。したがって、現地で団体交渉の相手となるようにこの分室を強化してほしいという四項目であります。これにつきまして、項目別に説明してほしいと思います。
  22. 斎藤欣一

    ○斎藤説明員 第一の項目は、復帰と同時に、沖繩のたばこ会社の従業員でやめない者は、引き続いて専売公社に雇用しろ、そういう趣旨だというふうに了解いたしますが、前回の当委員会でお答え申し上げましたように、従業員につきましては、復帰と同時におやめになる方につきましては、できるだけの手当てをしたいというふうにいま考えております。それから、引き続き専売公社に継続して雇用してほしいと言われる方、それにつきましては、まあ戦前もございましたように、現地の出先というものもできるわけでございますので、その中に吸収できる人たちは吸収したい。それから、まあ一緒になるわけでございますので、できるだけ本土の工場——本土の工場では人の採用が必要なところもございます。そららのほうに来ていただくといったようなことで吸収をしてまいる。それからさらに、どうしても現地を離れられないという方もかりにおありの場合、その場合には現地で工場を動かさざるを得ないということもあろうかと思いますが、前回申し上げましたように、沖繩のたばこ市場の大きさということを考えますと、現地でつくります工場というものは、まあ百五十名程度の人員を吸収するといいますか、そのあたりが限度ではなかろうかというふうに考えております。  それから第二の問題は、沖繩に恒久的な近代工場をつくってほしいというようなお話だと思いますが、沖繩の場合、現在島内製品としてつくっております、島内消費用に充てられておりますたばこの数量は、わずかに十四億本でございます。その十四億本のために大きな近代工場をつくると申しますことは、いろいろな点で問題がございます。現在本土で私どもがつくっております近代工場と申しますものが、八十億というのが一番小さな単位でございます。そういった工場、それぐらいの工場でないと合理的な作業がやりにくいということで、そういう工場をつくりますと、原料並びに製品の行ったり来たりというふうなことでたいへん不経済になります。したがいまして、工場をつくるといたしましても、先ほど申し上げました、島内の消費をまかなう程度の工場ということになりますと、まあ十数億の工場、したがいまして、そこで吸収できます人員というのが百五十名程度になろうかというふうに思う次第でございます。  それから、かりに復帰後、専売公社に雇用されました人の身分上の取り扱いをどうするかということは、これは今後関係各省いろいろ横並びの問題もあるわけでございますので、詰めてまいりたいというふうに考えております。まあ、私どもさしあたりの問題としては、一応向こうの現在の企業をやめていただく、そして専売公社にあらためて採用になるというふうな整理をいたしております。  それから、最後に出先の問題でございますが、いずれだんだん復帰の仕事も忙しくなってまいりますし、そのための準備もいたさなければいかないという段階に近づいてまいっておりますので、現地に現在分室のごときものもございますが、その陣容と申しますか、そういうものもおいおい充実してまいるというふうにいたしたいと思っております。この職員の方々との交渉をどういうふうにやるかということ、これは私ども、本社からそのために出かけていってやるということにいたしますか、あるいは現地のその出先でもってやれるようにするかということは、現地にできますその分室と申しますか、それの中身の問題であろうかと思います。それにたえられるような陣容が、しかるべき期間にできればよろしいわけでございますけれども、なかなかそういった点でうまく間に合わないといいます場合には、本社から出かけていって、あるいは向こうから来ていただいて、いろいろの交渉をするというふうなことに相なろうかと思います。  簡単でございますが、お答え申し上げます。
  23. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 現地からの報告では、この前、十名専売公社に来たときに、実に無責任な取り扱いを受けたという報告が来ております。いわゆる実質上専売公社の職員でないという意味でそういった取り扱いを受けたのかどうかわかりませんが、要するにこの四項目についての確答はなかったということなんです、結論は。  それで、いま六百二十四名おるようでありますが、そのうちでやめたいという希望を持っておるのはわずかに二十数名にしかすぎない。全員が専売公社の職員として引き続き働きたいという希望を持っておる。これに対しましては、百五十名程度の工場をつくった場合には、大半が残ります。その場合、やはり全員、希望しておる者は専売公社の職員として採用してもらうということと、もう一つは、その場合、いまの労働者の問題ですが、平均年齢が大体三十歳である。二十年勤務すれば、やめる場合にはいわゆる恩給がつく、こういった問題と関連して、これまでの勤務年数を専売公社の職員として引き継ぐ。百五十名工場ができる、そこに採用された場合には、あらためて新規採用という形ではなく、また、本土の鹿児島かどこかの工場に行く場合に、またあらためて新規採用の形ではなくて、勤続年数を引き継ぐということが非常に大きい問題となっております。これについて、あらためてどういう方針でやっていくかを明らかにしてほしいと考えております。
  24. 斎藤欣一

    ○斎藤説明員 ただいまの問題、先ほどもちょっとお答えいたしましたが、民間の勤務いたしました勤続年数というものを、専売公社の職員になりました場合に、そのまま引き継ぐということにつきましては、むろん民間での経験というものを初任給をきめます場合に参酌をいたしまして、そして俸給をきめていくという問題はございます。その場合に、参酌するということはございますが、勤続年数をそのまま引き継いで、民間でたとえば十年ございました、その部分を専売公社の職員としての勤続年数に加算するということは、ほかのいろいろなバランスの問題や何かがございまして、たいへんむずかしいのではないかというふうに考えております。
  25. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 この問題は、いわゆる復帰の場合にあたたかく沖繩県民を迎えるということは、佐藤総理の口ぐせのように言っておられることなんです。沖繩は、これまでアメリカの占領支配下の中にあって、たばこは専売でなかった。したがって、三つのたばこ会社がたばこを製造しておるかっこうになっておりますが、これは沖繩の特殊事情なんです。特殊事情であるからこそ、沖繩復帰に伴う特別措置法などというのが出てきております。これにつきまして、労働者についてはほとんど何ら保障していない。だからこそ、復帰不安というのはそこから出てくる。いま、交付金の問題が法案の中にありますが、これは企業者に対する転廃業、これに対する問題であります。ところが、労働者の生活と身分の保障ということは、ほとんど現在の七つの関連立法には出ておりません。したがって、この問題は、ただ単に本土におけるいわゆる公社でない個人経営の会社並みに扱われると、もう結局首の切りっぱなしということになります。それは一応手当てするにしても、将来の職業をどうするか。これまで働いてきた身分、これがどのような形になるかというのが復帰不安の一番の問題なんです。それを公社のほうとしてまじめに、誠意を尽くして、その特殊事情をどう勘案していくかということが問題になるわけなんです。そういう意味では、公社としてはいま言われたように、新規採用の形でまた新しく仕事を始めるということになります。非常な不安はそこから出ております。もう一ぺんあらためて公社の方針を明らかにしてほしいと思います。
  26. 斎藤欣一

    ○斎藤説明員 専売公社の職員の身分でございますが、これは純粋の国家公務員ではございませんが、公務員的なものというふうに申し上げてよろしいかと思います。公務員の場合におきましても、民間歴のある方、途中でやめて公務員になられる方がございますけれども、その場合でも先ほどから申し上げておりますように、その民間歴を勤続年数に加算するということはございません。そういった例からもいたしまして、沖繩のたばこ産業におられる方がおやめになって公社の職員として来られる場合も、その前歴の部分を、公社の勤続年数として加算するということはむずかしいのではないかというふうなことを申し上げた次第でございます。
  27. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 これはむずかしいとかなんとかということでなしに、二十六カ年にわたってアメリカの占領支配に投げ込まれたということは、県民が希望したんじゃないわけなんです。そういった中から本土と違ったたばこ産業が出て、さらに労働者が生まれてくる。こういったような労働者は当然、二十六カ年前にいわゆるサンフランシスコ平和条約が発効した時点で公社制度になり、切り離されることがなかったとすれば、その時点ですでに公社の制度が沖繩に適用されたはずであります。だが、そうではなくて、サンフランシスコ平和条約三条によって分断されてしまった。この中からこういった不幸が出ているわけです。それを特別に措置するというのが今度の沖繩国会にその関連立法として出されている立法でありますが、その法律の中にそれがない。それを政府としてどういうふうにするか。六百名の従業員の問題だけではなくて、これは広範な県民の生活と権利を守る立場から、もっと真剣に考えなければならないという基本的な問題が含まれているから私はその点をはっきり申し上げるわけなんです。これをいま言われたような方向で、私企業の労働者はどうにもならぬといったような形で投げ出されるととんでもない。政府不信はだんだんだんだん大きくなってくるということは事実なんです。その点はどう考えられますか。
  28. 斎藤欣一

    ○斎藤説明員 いままでお答えしたこと以上に申し上げることはないわけでございますが、おっしゃいましたように、確かにたくさんの職員の方、従業員の方が、いまたばこの三社においでになるわけです。専売公社といたしましても、さっき申し上げましたように、この三つの企業並びにその従業員の対策については、それをどういうふうにするかということにつきましては、相当の犠牲を払う、そういった仕事でございます。これは沖繩復帰ということに関連をいたしまして、ある程度の犠牲というものも私はやむを得ないと思っています。したがいまして、私ども考えておりますことはいろいろございますけれども、私たちとしては私たちなりに、まず精一ぱい、公社の犠牲というものも甘んじながらいろいろな対策を考えていく、そういうつもりでございます。
  29. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 ある程度の犠牲はやむを得ないといったような形であるからこそ復帰万歳という声は沖繩では出ないのです。これまで犠牲はしいられ過ぎたんだということなんです。ですから、一部でも犠牲をしいられることに対しては耐えられぬ。ああ復帰してよかったということが、全県民的な声にならないといかないが、いまのような返事の中に、もう一部の犠牲はしかたがないんじゃないかということであるからこそ、この前、十月二十二日に十名あなた方のところにやってきたときに、やはり全専売の労働者といわゆる折衝するような方向ではなくて、ほとんど冷淡であったという感じがそこからきておると思います。したがってその問題は、これはもっと政治的な問題になってきます。  ここではこれくらいにとめておいて、四項目の団体交渉をどうしてもやらなくちゃいかぬわけなんです、労働組合ができておりますから。その労働組合は、はっきり全専売労働組合の沖繩地方本部になっております。したがって、この地方本部とあなた方との責任ある者との団体交渉が現地でできるように、いま分室の中に三名おるそうでありますが、これは何ら団体交渉し得るようた機能はないということなんです。したがってこの四項目は、労働組合がこれから専売公社と話し合いを煮詰める上でも実に重要視しております。その点をもう一ぺんはっきりさしてほしいと思います。
  30. 斎藤欣一

    ○斎藤説明員 先ほどの私の答弁の中で若干誤解があるような気がいたしますが、専売公社としても実ははっきり申し上げますと、企業の観点から申し上げますと非常にこの問題はやっかいな問題であります。しかし、公社といたしましても、ただ企業と申しますか、企業採算という観点だけではなくて、公社としてもある程度の犠牲というものは覚悟をして、それを甘んじて、沖繩の復帰のために精一ぱいの犠牲は払いましょうというふうなことを申し上げた次第でございます。  それから、ただいまの沖繩のそういった職員の方々との交渉の問題でございますが、沖繩のたばこ労働者の方が全専売労働組合の傘下に入っております。ただ、私たちとの関係で目下のところ雇用関係にあるわけでございませんものですから、直接に、はたして労働組合として話し合いの立場にあるのかないのか、この辺は若干問題はございます。問題はございますが、いずれにいたしましても、ものごとを円満に運んでまいりますためには、話し合いをしなくちゃいけないという現実はあるわけでございます。で、さしあたりの問題として、従来までは専売の組合というものと専売公社当局との間で、この問題について話し合いを続けてまいりました。今後もそういうことで続けていくことになると思います。ただ、沖繩という非常に離れたところにある、そして特殊なグループの方との話し合いでございますので、中央だけの話し合いでうまくいくかどうかということについては、いろいろ問題があるかと思います。その点につきましては私どもいろいろ考えたいと思いますし、それからまた全専売の労働組合のほうともいろいろ相談をいたしまして、そしてできるだけ話し合いが十分にできるような、そういうふうなやり方というものを考えてまいりたいと思います。
  31. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 専売公社の中に沖繩復帰対策室を設けたという趣旨も、実際は現地の専売事業、これをどうスムーズに引き継ぎ、さらに運営していくかということでこれが立てられたと思うのです。私がいま重視しておるのは、何といいましても生産力は労働者なんです。この労働者が不安に追い込まれるということの事実、これが広範な復帰不安の原因になっている。この復帰不安をなくするために、各省あるいは関係官庁などに対策室が設けられておりますので、これはいま雇用主でないと団体交渉はできない、当然そうかもしれません。だが、それはやはり特殊であります。ここの沖繩のたばこ産業の労働者は、やはり全国的な全専売労働組合の沖繩における地方本部になっておるという意味からも、この点が関連して団体交渉ができるような方向での努力というのが大事じゃないかと私は思います。  いま犠牲の問題ですが、確かに沖繩を引き取るということで犠牲を払うというような意味合いで考えられると、公社が決算においてもわかりますように、塩は欠損を出しておりますが、たばこの場合にはそうでありません。欠損を出そうが、あるいは利益を出そうが、それはどちらにいたしましても、要するに国として生産に励んでおる労働者の生活と身分、これを従来以下にしちゃいかぬということだと思うのです。いままでやっていた、やっていた者が首切られたり、生活をどうするかという問題で悩むということのないようにするのが沖繩の復帰対策根本だとわれわれは考えております。  そういう意味で、誠意を持ってこの労働者との団体交渉ができるような体制をぜひつくり上げていかなくちゃいかぬ。百五十名程度の工場をつくる場合でも、その姿勢がなければ結局労働者をしぼりにしぼって、資本家的合理化によって利益を上げるということにしかならない。そういうことではいけませんので、私は特にそれを主張しているわけであります。その点は特に要望として申し上げますので、ぜひその点を配慮して、一日も早く現地の労働組合との団体交渉ができるように、また、現地から労働組合の代表として来ましたら、真心をこめて、あたたかく迎えて、そして親身になってその労働者の生活、権利、身分、これをどうするかということを配慮してほしいことを要望して、このたばこの問題は終えますが、時間がありませんので、最後に塩専売の問題について質問いたします。  現在、皆さんのほうにも要望書が来ておると思いますが、沖繩製塩株式会社で、さらに豊見城の与根の製塩工場あるいは宮古平良にある製塩工場、興南商会代表、これは八重山の石垣であります。こういう代表から、復帰に際し塩業に関する要望書が来ておると思います。この要望書の中にもありますが、現に転廃業をするということで、大まかに申し上げまして二百七十三万四千ドルくらいの補償金の請求が出ておると思います。これはもちろん、たばこ産業についてもそのとおりでありますが、こういった補償金は、交付金の形で出るとは思いますが、これに対してどのように検討されておるか、はっきりさしてほしいと思います。
  32. 斎藤欣一

    ○斎藤説明員 ただいま御指摘の御陳情の趣旨、私どもかねがね承っております。沖繩の関係業者、これは私のほうにも、あるいは本問題の責任庁であります対策庁にもいろいろと説明をしておいでになるようでございまして、私たちもそれを受けまして、現在特別措置法におきまして交付金を出すということになっております。その額をどのように定めたらよろしいかということにつきまして、関係各省の間でせっかく検討しておる最中でございます。
  33. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 時間が切れましたので一応締めますが、いまの塩専売にいたしましても、塩を全部やめなくちゃいけないということになっておるだけに、この補償金は要求額を満たすように努力してほしいということと、再び申し上げますが、たばこの場合には、非常に範囲が広く影響が非常に大きいので、ぜひ労働組合との団交が現地でできるように配慮してほしいことを重ねて要望いたしまして、質問を終わります。
  34. 福田繁芳

    福田委員長 斎藤理事に申し上げますが、いまの瀬長君の最終要望事項に関する御所見を簡単にお述べ願いとうございます。
  35. 斎藤欣一

    ○斎藤説明員 交付金につきましては、できるだけ関係業界の御要望に沿うようにいろいろ努力してみたいと思います。  それからたばこ労働者との話し合いというものは、十分な話し合いが持てますようにいろいろ誠意を持って検討してまいりたいと思っております。
  36. 福田繁芳

    福田委員長 華山親義君。
  37. 華山親義

    華山委員 輸出入銀行のことについて二、三お伺いいたしたいと思いますが、今日平価の問題がございますし、これからいろいろ大きな問題をかかえ込まれるだろうと思うわけであります。そこで大蔵当局と御一緒に伺えればよろしいのでございますが、一応公庫当局のお話を伺ってからまた必要に応じて大蔵省に伺いたいと思うわけであります。  一つには、金、円の切り上げは現在でも行なわれておりますし、今後避けられない運命だと思うのでございますけれども、これにつきまして輸出入銀行で貸し付けていられるものは長期のものでございますから、円切り上げの場合には、造船業その他多くのものに、輸出について長期債権でございますから、損害があるわけであります。それで、その実態から伺いますけれども、全部について伺うことはなかなかたいへんだと思いますが、非常に大きなお仕事であるところの船舶の輸出につきまして、円切り上げがあった場合に損失をこうむるもの、損失をこうむらないもの、それを金額別にお示しを願いたい。
  38. 石田正

    ○石田説明員 お話しのとおりに、わが行といたしまして例のドル・ショックが起こりましたときに、わが行の融資残高は大体一兆六千億台になっておりました。その中で輸出が一番多うございまして、カテゴリー別に申しますと、輸出が一兆一千八百八十一億という数字になっております。なお、その輸出の中で船舶の関係が七千四百四十二億ということに相なっておりまして、船舶関係が一番大きな問題であることは御指摘のとおりでございます。  ただ、この船舶の問題につきましては、いま申し上げましたように、われわれのほうが貸し出しをすでに行なっております数字だけが問題ではなくして、ほかの業界と違いまして、船舶につきましては非常に多くの手持ちの注文を持っております。これが非常に長期の、二年間ぐらい持っているのだろうと思います。そういうことでございますので、私どもがすでに貸し出しをしておりますところの案件だけでなくて、われわれがまだ貸し出しはいたしておりませんけれども、すでに造船業界といたしましては注文を受けておりますところまで考えて、どういう影響があるかということを心しなければならないのだろうと思います。この点につきまして、各社別に一々数字をとるということはいたしておりませんけれども、大体の見当はついておりまするが、私どもの数字よりもむしろ造船工業会あるいは日本船舶輸出組合等に聞きました数字を申し上げましたほうが、専門の数字でございますから、間違いないかと思いますので、それを申し上げたいと思います。  これで申しますと、大体輸出船舶の対外債権の問題につきましては、もうすでに船の引き渡しが済みまして確定債権になっておるところのもの、これが私どものほうが貸し出しを行なっておるものでございます。そのほか手持ち工事につきましては、元本と輸出金利とを合計したところの数字があげられております。そのトータルは、何と三兆三百六十六億円というような数字になっております。  この数字が全部為替差損につながるかという問題でございますけれども、この辺につきましては、大体ああいう問題が起こります前におきまして、為替相場が変わったときにどうするかという問題につきまして、造船業界といたしましてもいろいろ心配をいたしまして、注文をとりますときに、円建てでやってほしいとか、あるいは外貨建てであるけれども、円が三百六十円で変わらないようにしてほしいとかいうふうな、いろいろな注文をいたしまして、それが成功したものがございます。その数字が、いま申しました三兆三百六十六億円のうち、九千八百三十九億円に相なっておるわけでございます。それで、先ほど申しました三兆に対しまして三二・四%という数字は、為替の変動によりまして影響をこうむらない数字でございます。しかしながら、損失をこうむるもの、為替の問題に対して、何らのセーフガードの全然ないところのものが、一兆七千二百八十二億円ございまして、これが五六・九%というふうな数字に相なっております。  なお、為替の変動を心配いたしましたけれども、円建てで三百六十円クローズがつけられませんで、結局ある程度の為替の変動につきましては、輸入者のほうが負担してくれるというふうな約束がありますものが三千二百四十五億円、これが一〇・七%、かような数字になっている次第でございます。
  39. 華山親義

    華山委員 いまおっしゃったこの数字の中で、これは全部のもので、その中で輸銀のものはどれだけあるかというふうなことは、おわかりになっておりますか。輸銀融資の分につきまして、資料お持ちでございましたら……。
  40. 石田正

    ○石田説明員 一番初めに申し上げました次第でございまするが、これはこの九月末の残高でございまして、多少時期が違います。いま申し上げました造船工業会の数字は、ことしの三月末の数字でございます。これから申し上げますのは、九月末の数字でございまして、数字が違います。その時期が違いますことは、御了承願いたいと思うのでございます。わが行といたしましては、九月末におけるところの債権残高は、七千四百四十二億二千四百万円ということに相なっております。
  41. 華山親義

    華山委員 それで、これからそういうふうな損失がございますと、船会社なりあるいは貿易業者なりからの輸銀に対する返済が円滑にいくのかどうか、こういう心配もあるわけでございますけれども、このことにつきましては、輸銀独自の立場でそういう点の緩和が行なわれるのかどうか、そういう点につきましては、輸銀は何とも打つ手はない。必要があるならば、これは政府によって行なわれなければならない、こういう性質のものであるのかどうか伺いたい。
  42. 石田正

    ○石田説明員 政府のほうで一番先に音頭をとりまして、為替の切り上げをやったということでありまするならば、これは政府責任であることは明らかだろうと思います。しかし、御承知のような状況で、これから政府がどういうふうな御措置をおとりになりますか、いまのところ変動相場の段階でございまして、よくわかりません。しかし、政府は何らかの措置をおとりになるであろう。変動相場が続くのか、あるいは新しい基準レートというものができるのかどうかは、これは政府がおきめになることだと思います。いずれにいたしましても、その場合にいま申しました造船業界その他がいろいろ影響をこうむるであろうことに対してどうするかということにつきましては、私は、これは政府が御措置をとるかとらないかをおきめになる問題であろう、かように考えているわけでございます。  わが輸銀の立場から申し上げますならば、政府がもしかりに損失については何らかのめんどうを見てやるということに相なりますれば、わが行といたしましては回収に懸念がない、こういうことに相なるだろうと思うのでございます。しかし、政府がやらないということになりますと、先生御指摘のようないろいろな問題が起こってくるだろうと思います。そのときにどうするかという問題は、政府の御措置の結果と総合してわが行としては考えなければならない。それに先立って、輸出入銀行は、こうするんだ、ああするんだということを言うべき筋合いのものではない、かように考えておる次第でございます。
  43. 華山親義

    華山委員 そのとおりだと思うのでございますが、実情を伺ったのでございまして、これからいろいろ問題が多くなるだろうというふうな気持ちがいたします。ことに船舶は日本の輸出産業の根幹でありますから、これがどういうふうになるかという問題については大きな問題があろうかと思いますので、お聞きしたようなわけでございまして、もう少したってから、政府のほうの方針等について、決算委員会としてまた伺う機会があれば伺いたいと思っております。
  44. 石田正

    ○石田説明員 蛇足であるかもわかりませんけれども、輸出入銀行は、いま申し上げましたのが筋道であるとは思いますが、何も放置しておるというわけではございませんで、政府が何らかの措置をおとりにならないような場合におきましては、これは、われわれの貸しました金が、業者としてなかなか払いができなくなる、こういうふうな問題が起こってくるのではないか。われわれのほうは、御承知のとおり、いま来年度予算をいろいろと折衝する段階に入っております。その段階におきまして、われわれのほうといたしましては、もし業界が——それぞれ事情は違います。円契約の多いところとか、いわゆる前受け金を相当取っておるところとか、ほかの商売はもうかっておるところとか、うまくいかないところとか、いろいろございますので、いろいろ事情を聞きまして、どうしても回収を延期しなければならないというふうに判断した場合には、債権管理のために輸銀は独自の判断で債権回収を延期するということを認めざるを得ないかもしれない。その場合には、政府に対しましてやはり資金的に援助を求めなければならないということで、回収金の減に対するところの措置をわれわれはある程度まで考えながら予算の要求をしなければなりませんぞということでやっておる段階でございます。
  45. 華山親義

    華山委員 来年度予算にも関係してきますし、たいへん重大な問題だと思いますし、いつまでもほっていていい問題でもないわけでございますので、伺ったわけでございます。  それから、直接借款でございますけれども、直接借款の問題につきましても、回収といいますか返済といいますか、そういう状況はどんなふうでございますか。
  46. 石田正

    ○石田説明員 数字の上で申し上げます。  この九月末におきまして、輸銀の行なっている直接借款の融資の実績は、これは融資承諾額から申し上げますが、これだけお貸ししましょうといって直接借款の約束をした金額は五千百二十六億円に相なっております。これは民間の金融機関と協調してやりますので、わが行はその八割ぐらいをやっておるのが多いのでございますが、そのわが行が、貸しますよという負担すべき分は四千三百五十八億でございます。それが、実行いたしましてどういうふうになっておるかと申しますと、これは三千六百八十二億という金額を貸し付けました。それに対しまして、回収は四百七十三億でございまして、現在貸し付け残高は三千二百九億ということに相なっております。こういう数字をまず申し上げたわけでございますが、この数字を見まして、回収が多いとか少ないとかいうことは、おわかり願えないだろうと思うのでございます。  御承知のように、円借款を出しておりますところの相手国というのは発展途上国でございまして、これはいろいろな意味におきまして、どこか経済的に弱いところがある、こういう国でございます。したがいまして、こういう国につきましては、いわゆる元利の支払いが滞るという問題が起こってくるのではないかということを、初めから心配いたしておりまするし、また貸しましたあとも始終心配しているのが実情でございます。ただ、それは、先ほど申しましたようなぐあいに、回収額がこれだけあるということだけではおわかりにならぬと思います。しかし、その回収が初め貸し付けたときの条件どおり行なえなかったものはどういうものかということになりますと、それに対しましては、われわれはリファイナンスとかあるいはまたリスケジュールということをいたしております。リファイナンスというのは、わが行が金を貸して取るというやつです。それから、リスケジュールというのは、要するに債権の繰り延べでございます。この数字を申し上げますると、大体リファイナンスといたしましては三百十五億ございます。それからリスケジュールをいたしましたものにつきましては五百四十五億ぐらいの数字がございます。その数字が、これは回収がだめになったというわけじゃございませんけれども、回収が予定どおりに行なわれなかった数字、かようにお考え願ったらよろしいかと思います。
  47. 華山親義

    華山委員 そういうふうな直接借款によることが予算上のとおりにいかなかったというふうなことで、いままで政府から特にこのための損失を埋めるために措置をしてもらったというふうな金額は相当なものでございますか。
  48. 石田正

    ○石田説明員 これはまず、こういうふうないわゆる期日どおりに回収が行なわれないことが行なわれました場合に、そのときにすぐ政府措置をとるということではございません。政府は、もう回収期日が過ぎましたものは、そのままそれでよろしいのだということじゃなしに、外側に対しましては——回収遅滞があるということは当該国も知っておるわけでございます。そこで、そのまま措置するのではなくて、コンソーシアムその他の各国関係するところがございますから、そこで相談をいたしまして、その相談に従ってどうするかということを政府がおきめになるわけでございます。その場合におきまして、これはその内容がどういうことになるかと申しますけれども、ただ繰り延べをするということだけになりますると、われわれに対しましては、繰り延べをするのだからそれだけ金が返ってこないことになるわけでございます。それに対しましては、その次の年の予算におきまして、そういうことを前提にして新しい仕事を合わせてどういうふうにやるかというふうなことでやっておるのが大多数でございまして、こういうことがあったからすぐこれをどうするかというふうなことにはなかなか結びつきません。それがはっきり結びつきましたのが、この間のインドネシアの場合でございます。インドネシアの場合におきましては、これは何らかしなければいけないということで国会に法案を提出いたしまして、それによって行なわれておる次第でございます。
  49. 華山親義

    華山委員 それから中華民国、台湾に対する輸銀の円借款でございますけれども、前に一度か二度、あるいは一度かと思いますけれども、円借款が行なわれまして、昨年でしたか、また政府が円借款を約束されたようでありますが、その融資の状況はどうなっておりますか。
  50. 石田正

    ○石田説明員 中華民国に対するところの、これは円借款のほかにもありまするけれども、大体大ざっぱに申しますると、七百何十億かの残高を持っております。そのうら五百億ぐらいが輸出でございまして、それから投資もございまするけれども、大体そのうち二百億ぐらいが借款ということになっております。  その経緯を申し上げたいと思いますが、一番初めに政府が交換公文で台湾に円借款を出すといいましたのは昭和四十年の四月でございまして、このときに五百四十億円を限度といたしまして、輸出入銀行と経済協力基金から五年間にわたって出すという交換公文ができました。その交換公文ができました中にそれぞれプロジェクトが書いてございまして、そのプロジェクトに大体充当するのだということと、それからまた各年度ごとに、それぞれあらためて実際に輸出前におきましては両政府が合意したものを出す、こういう交換公文になっておりまして、したがいまして、われわれのほうもこの一般的な貸し出し契約とそれから個別案件についてその貸し付け合意書というものをつくるということでやってまいりました。それが大体五年間過ぎましたものですから、そこで新しい契約をまた結びたいということが台湾政府から申し入れがございましたけれども、しかしこの場合におきましては、政府は第一の場合のようなぐあいにトータル幾らをどうするということは御同意をなさらないで、とにかく来た案件ごとにその年その年できめていこう、こういうことで推移してまいってきておる次第でございます。  そこで、その数字がどういうふうに相なっておるかということでございますが、五百四十億円の、一番初めの交換公文に基づきまして輸出入銀行といたしましてどういうふうな数字になっておるかと申しますと、大体融資の承諾をいたしましたのが三百三十三億でございます。   〔委員長退席、綿貫委員長代理着席〕 それから契約承認といたしまして個別的にきめましたものが三百五億、貸し出し実行額が二百九十八億で、この承認と貸し出し実行との間に差がございますのは、貸し出しをきめたけれどもまだ貸してないというふうなものでございます。なお五年を過ぎたのでございますけれども、五年の終わりに向こうから申し出がございまして、そしてまだ決着がついておらないというもの、話がつかないというもの、それがまだほかに鋳物工場の件が一つございます。それからなおいわゆる第一借款の五年間が過ぎましてあと申し出がありましたものにつきまして、政府ベースにおいていろいろ話し合いが行なわれます。その政府ベースでもってこれは大体出そうということで話し合いがつきましたものが三件、八十億ばかりございます。しかし、これは政府間の話し合いはつきましたけれども、今日現在、まだわれわれとしては貸し付けの契約をいたしておりません。そういう状況に相なっておる次第でございます。
  51. 華山親義

    華山委員 事実だけを伺いますが、これからのそういう円借款の実行については相当政治的な問題があるのじゃないかと思いますが、これも総裁にお聞きいたしましても、総裁としては御答弁にお困りだと思いますし、お聞きいたしませんが、それで今後中華民国との関係はいろいろ流動的な方向になっているわけでございますけれども、円借款のみならず、その他輸銀として融資をなさったというふうなものの回収については、総裁はあまり不安をお持ちになりませんでしょうか。
  52. 石田正

    ○石田説明員 不安を持たないというと非常におかしいことでございまして、非常に心配いたしております。  この九月末におきまして台湾関係のわれわれの貸し出しの残高を申し上げますと、先ほどもちょっと申し上げたのでございますが、輸出関係が三百二十六件で五百十四億六千百万円ございます。投資が五十二件でもって三十八億六千八百万円ございます。そのほかに先ほど申し上げましたように借款が百九十九億五千五百万円あるわけでございまして、合計いたしますと七百五十二億ということに相なっております。われわれといたしましては、直接借款の問題ばかりでなく、延べ払い輸出等につきましても、われわれとしても貸し出しをしておるのですから心配でございますし、関係しておられますところの業界の方が一体どうなるのかということを心配いたしておるわけでございまして、希望だけを申し上げますと、こういうところに影響がないような何かの措置がとられるような方向に行くことを希望いたしておるわけでございまして、心配は大いにいたしておるのでございます。
  53. 華山親義

    華山委員 これは今後の日本にとりまして、日本と台湾との日華関係ですか——日台というとおこられますから日華関係と申しますが、日華関係につきましては、こういう経済上の大きな問題がことしは起こるのではないかと思いまして、その前提として状態をお伺いしたようなわけであります。  それから日本と中華人民共和国との間の輸出関係も変わってくるようでありまして、輸銀による融資もいままでとは政治的なものの考え方が変わってくるようでありますが、現在具体的に進行中のいろいろな話はございますか。
  54. 石田正

    ○石田説明員 これはいろいろな案件があがっております。直接借款につきましては、われわれは政府機関でありますから、政府方針に従ってやってまいるというのが当然だと思うのであります。しかしながら、こういう事態でございまするから、政府の御方針がどういうふうに変わってまいりますかどうか、それによってわれわれは行動するしかないと思っております。ただ、私が心配しておりますのは、先ほど申しましたような民間の輸出とか投資とかに対しまして早く明瞭なことになりませんと、業界の方がおやりになりますが、それはおまえの責任だけでやっていくのだというようなわけに言い得ないわけです。しかし、輸出をしたいとか投資をしたいとかいって輸銀に来るけれども、われわれとしてはだめだからおやめなさい、こうも言えないということで、どうも苦しい立場にあるということでございます。
  55. 華山親義

    華山委員 たいへん抽象的なことで終始をいたしましたが、貴重なことをお伺いいたしましたから、これを基礎にしてなお勉強して、機会があったら政府のほうにも聞いてみたいと思いますので、その際にはまたいろいろ御協力をお願いしたいと思うわけであります。  これで終わりますが、何か御発言がありましたら……。
  56. 石田正

    ○石田説明員 私、台湾関係の数字だと思いまして申し上げたんでございますが、中共関係でございますれば、これにつきましても政府がだんだんと方針が変わっていかれるのではないかと思います。それに即応してやっていくことでございまして、ただ、われわれといたしましては、予想いたしまして、政府の考え方はこうなるんだろうからこうやってしまうんだということは、政府機関としてできません。やっぱり確認した上でどうこうするということに相なると思います。御了承いただきたいと思います。
  57. 華山親義

    華山委員 重ねて、御発言がありましたのでお伺いいたしますが、何か業界からいろいろなことで具体的な話を持ち込んでいるという事実はございませんか、日中関係につきまして。
  58. 石田正

    ○石田説明員 いま大陸関係につきましては、具体的な御相談を受けておるものはございません。
  59. 華山親義

    華山委員 それでは、輸出入銀行のほうを終わりまして、開発銀行につきまして非常に簡単にお尋ねいたしますけれども、社会資本の充実というふうなことでわれわれも心から希望しておるような状態に変わってくるわけでありますが、これが従来の開発銀行の融資のあり方とどういうふうに変わってくるとお考えになりますか。  それから、ことしはもう予算をお出しになる時期でございますけれども、予算の上ではどういうふうなことに変えられて要求をされるおつもりでございますか。その点を伺いたいと思うのです。
  60. 石原周夫

    ○石原説明員 日本開発銀行はことしでちょうど二十年に相なるわけであります。最初の時期におきましては、四大基幹産業と申しまするか、電力、石炭、鉄鋼、海運、これの再建と申しまするか、これのほうに金を出しておりまして、最初の四、五年くらいでございますると、融資額の八割あるいは九割近い金が出たときがございます。その後、産業の高度化という政策要請がございまして、たとえば特定機械の関係である、あるいは電子工業の関係である、電子計算機の関係である、石油化学の関係であるというようなものがだいぶ出てまいりました。  それで、いま華山委員の御質問の問題に入るわけでありまするが、ちょうど十年ほど前になりまするが、地方開発融資というものが始まりまして、正確には三十四年に始まっておりますが、地方開発関係におきましては、これは日本の中の——御承知のように北海道、東北には公庫がございますので北海道東北開発公庫にお願いをいたしておりますが、それ以外の九州、中国、四国、北陸という本土の中におきましては後進的であるというような地域、これは御承知のような新産都市でありまするとか工業整備特別地域というようなものがございまして、そういうようないわゆる工業拠点というものをつくりまして、そこでそれを中心にして工業の発展をはかってまいる、また経済の発展をはかってまいる、こういうことになっております。そこで、四十二年からでございまするが、都市問題というものが非常にやかましくなりまして、この都市再開発という項目を立てました。その以前から私鉄などの関係におきましては若干あったわけでありますが、一つの大きな柱といたしまして立てるようになりましたのはそのときからであります。これも、それに先立ちますが、公害対策というものがございます。公害防止事業団というものが中間にできておるものでありますから、業務の分解をいたしたわけでありますが、大体その三つが華山委員お尋ねの社会開発ということに正確に当たりまするかどうか、私どもは実は国土開発というようなことばでまとめておるわけでありますが、大部分が社会開発的なものであります。これが最近におきまして融資額の相当大きな割合を占めるようになりまして、四十一年にはそれらを含めまして私どもの融資額の二八%を占めておるわけであります。それが四十六年、本年度は三八%、シェアにおきまして一〇%になる。四十一年の私どもの融資額と今四十六年度の融資額の差が約二千三百億ございまするが、そのうちの千億少々がその国土開発、おおむね半分近い四割何分という数字がいまの社会開発的なものに向けられたわけであります。  ただいまお尋ねのございました四十七年度はどうであるかということでございますが、四十七年度におきましては、私どもが現在政府のほうに提出いたしております予算におきましては五割一分ということになっておりまして、来年度要求ベースにおきましては、私どもの融資いたしたいという額の半分少々でありますが、社会開発的なもの、地方開発のほうは、ついでに申し上げておきまするが、御承知のように先ほど申し上げましたように、工業拠点の開発あるいは地元におきます適地産業の育成ということでございますが、最近におきましては地方開発の一つの大きな重点が地方都市の機能整備という問題に置かれるようになりまして、私どもはこの融資の割合をだいぶふやしております。四十一年度には一六%くらいでございましたのが、現在は三割近い数字になりまして二十八、九%というものがそういうような地方開発の中で地方都市の整備、これは交通の関係である、あるいは都市施設の関係である、流通の関係であるというようなことでございます。したがいまして、地方開発を含めましてそういうような社会開発的なもののウエートが上昇しておる、こういう状況でございます。
  61. 華山親義

    華山委員 また、非常に大切なことだと思うのですけれども、日本の投資といいますか、そういうものの傾向が社会資本の充実ということをよくいわれます、その方向に持っていかなければならないというふうにいわれますけれども、社会資本の充実という面から申しますと、具体的には開発銀行はどういうふうな業務が重点になってまいるのでしょうか。
  62. 石原周夫

    ○石原説明員 社会資本ということばでございまするが、これは御承知のように、政府の新経済社会発展計画というものがございます。この中に政府固定資本の形成という項目がございまして、これがやや形式的に申しますると社会資本に当たるかと思うのであります。ただ、これは国及び地方のいわば政府資金そのものをもってつくります、一番典型的な例で申しますれば公共事業でございますが、あるいは鉄道である、あるいは通信である、あるいは先ほどの住宅公団であるというようなものを含めまして、政府並びに三政府機関を含めまする事業、まあことばでIGということを申しているわけでありますが、そういうような政府の資本形成というようなものがございまして、これは御承知のように国なり地方団体あるいは政府機関、おのおの国鉄であるあるいは電電公社であるというようなものが担当しておられるわけであります。   〔綿貫委員長代理退席、委員長着席〕 ただ、社会資本というものはいままで形式的な、政府あるいは公共団体が行なうのか、あるいはそれ以外のものが行なうのかという違いはありまするけれども、実質においては違いがないじゃないかというものがございます。たとえば鉄道は国鉄がやりますれば、これはいわゆる政府固定資本の形成になりますし、私鉄が行ないますれば、これは民間資本の形成になるというのがいまの経済社会発展計画内容でございますけれども、先ほど申し上げましたように、いわゆる政府地方公共団体あるいは政府のそういう事業を行ないまする機関が行ないますものは、私ども関係いたしておりません。これはおのおの政府なり政府関係の資金でまかなっておられるわけでございます。いま社会開発的であるあるいは国土開発であるということで申し上げましたようなものは、私どもは民間の設備投資に対しまするお手伝いをいたしますたてまえでございまするので、これはあくまで民間でやられますものであります。ただ近ごろ、御承知でありますように、民間資本の導入と申しまするか、民間にできるだけそういう公共的な仕事をしてもらおうという要請が強いわけでございます。先ほど申し上げました私鉄が、たとえば都市乗り入れをいたす、あるいは複線化をいたす、あるいはニュータウンに延長線をつくるという問題がございます。あるいは流通センターというものがございまして、これは御承知のように、羽田の近くにあります京浜二区でありますとか、あるいは大阪でありますとか、そういうところでやっております流通の関係、あるいはトラックターミナル、バスターミナルというような関係——私どもやっておりまする社会開発と俗に称せられます分は、いわば結節点と申しますか、接触点と申しますか、そこら辺のところで、場合によりますると、たとえばいわゆる第三セクターと称せられますもののうらには、公共団体が若干出資をしていらっしゃるものもあります。例外的には政府が出資しておるものもないわけではございませんが、大体は地元の関係の資本を集めてやるというような形でやっておられるわけでございますが、私が申し上げました社会開発のうらの都市関係の非常に大きな部分が、いま申しました社会資本的なものだというふうに御承知いただきたいと思います。地域開発の中で三割近い都市機能の問題があるが、これも大体それに類似したものと考えております。  なお、公害のことを申し上げたわけでありまするが、公害のほうは、これは民間の工場、事業場の公害防止設備でございまするので、これはいう意味で社会資本ということに相なりますかというと、そうならないと考えられます。いわば社会開発的な国民福祉の見地からいろいろな施設をいたしていくという意味から申しますれば、これは関連があるかと思いますが、いわゆる社会資本ということでお尋ねでございますれば、私どもの大体都市開発関係の金がその分に当たる。英語でよくインフラストラクチュアということを申しますが、インフラストラクチュアということばを使って申しまする場合には、いまのようなものは大体入るというふうにお考えいただいてよろしいかと思います。
  63. 華山親義

    華山委員 これから社会資本の充実というふうなことに、私どもが長い間言っておりますとおり、重点が移ってまいりますと、金融の機構といってはどうかと思いますが、金融の流れに変化がくるだろうと私は思っているわけであります。そういうふうなことで、これから開発銀行の業務が拡大されるのか、あるいは縮小の傾向にいくのか、一つの段階じゃないかというふうにも考えますので、御希望申し上げておきますが、ひとつ開発銀行もそういう社会資本の充実の面、あるいは社会開発と言ってもいいかもしれませんが、その辺に重点を置かれて、開発銀行は重要なものであるということが落ちないように御努力を願いたい、またそのためにがんばっていただきたい、このことを申し上げる次第であります。  これで終わりますが、ちょっと委員長、時間がありますから、国民金融公庫のほうにお聞きしてよろしゅうございますか。
  64. 福田繁芳

    福田委員長 よろしゅうございます。
  65. 華山親義

    華山委員 国民金融公庫にお伺いいたしますが、あなたのほうの窓口から見まして、現在の中小企業の状況はどんなふうでございますか、その点だけちょっと伺っておきたいと思います。
  66. 澤田悌

    ○澤田説明員 一般的な感じをお答え申し上げます。  御承知のように、国民金融公庫の対象といたします業界というのは非常に零細でございます。その零細な融資を件数で申しますと、大体百六十万件の貸し出し残高があるわけでございますが、今年の初めごろからいわゆる一般的な不況、それに加えまして対米繊維の問題、最近はまたドル・ショックの問題等で各地にいろいろ困難な問題を引き起こしておるわけでございます。特に輸出に関連の深い地場産業、よく燕の洋食器でございますとか西脇のギンガムでございますとか、いろいろいわれておりますが、そういうものにつきましてはなかなか困難な問題を含んでおりますので、政府の施策と相まちまして、私どもも全力をあげてこれに対応してまいりたいと思っておる次第でございますそういう困難な事態の反映として、私どもに対する資金需要の件数もかなり多うございます。これをひとつ全力をあげてさばいてまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  67. 華山親義

    華山委員 債権の確保ということがやはり重大なことだと思いますし、困難な融資をするというふうなこと、そういうふうなこととの調和の点があるかと思いますけれども、これは非常に重要なことでございまして、回収が困難であるから控えるというふうなことになっては救済にならないわけであります。そういう点につきまして政府からのお考え、またそれをどういうふうに現在お考えになっておるのか、そういう矛盾についての対処のしかたについて伺いたいと思います。
  68. 澤田悌

    ○澤田説明員 非常に微妙かつ重要な点の御質問でございます。御承知のように、国民金融公庫法のたてまえは、市中金融機関から借り入れることの困難な企業者事業資金ということになっております。と同時に、規定のたてまえに、救済資金であってはいけないという制約もあるわけでございます。その両者の間のぎりぎりの線を求めて中小零細な事業者の資金のめんどうを見ていくことが私どもの使命だと心得ておるのでありまして、単純に表面的な調査で安全であるとかいうことでなしに、一例を申しますと、現在非常に悲境にあっても、この資金によって将来立ち直り、また強化できるというふうなものについての取り扱い、これをどういうふうにしていくかというようなぎりぎりの線がまた非常にむずかしいところであります。また返済が困難な状態に立ち至った場合に、それをどこまで猶予し、その立ち直りを見ていくかというような具体的な判断がまた窓口においては非常に重要になってまいります。私どもは、一律の機械的な判断でなしに、そういう実情をつぶさに見ながら、先ほど申しました二つの原則の間で中小零細業者のほんとうの資金を供給し、また管理してまいりたい、かように考えておりますが、先ほど申しましたように、最近の状況はそこに一そう困難を加えてきておるわけでございます。従来の膨大な件数の貸し出しの中でどうしても質の低下するものが出てくる、それから今後の借り入れ申し込みにつきましても、従来よりも質の低下したものがふえるということは免れないと思います。したがいまして、これは政府の御方針にものっとりまして、状況によってはかなり大胆な貸し出し審査の姿勢をとらなければならないこともあり得るかと思います。現に、最近の状況に応じまして、従来の貸し出しの条件変更の希望がかなり出てきております。これについても、その返済の猶予、貸し出し期間の延長等につきましては弾力的な姿勢で臨みたい。しかし、あくまで貸し金は金融ベースであるというそこのぎりぎりの線、これもはずさないように立ち直ってりっぱに返してもらう、こういう姿勢でその両者の調和を真剣に求めてまいりたい、こんな気持ちでおりますので、以上お答えいたします。
  69. 福田繁芳

    福田委員長 華山君にちょっと……。いまあなたの御質問に関して、大蔵省の北田銀行局特別金融課長がいまはべっておりますので、よい機会だから、あわせて答弁させますから……。北田課長
  70. 北田榮作

    ○北田説明員 お答え申し上げます。ただいまの件につきましては、ただいま国民公庫の総裁からお話のございましたとおりと私どもも考えております。やはり零細な中小企業者に対しましては、普通の金融機関で困難とするものを融資をするというたてまえからいたしまして、かなり実態に即して融資をするということは必要だと存じますが、一方、やはりその財源は郵便貯金その他国民の貯蓄資金を主としておりますために、回収ができないということではならないわけでございまして、あくまでも金融ベースを守ることも必要でございます。ただ、そういった実行上におきましては、できるだけ債務者の実情に即しました適切な運営を行なうということが必要かと考えます。たとえば、そういう意味で担保等につきましても、現在三百万円以下の貸し付けにつきましては、担保を徴しないで、保証人等で融資ができるというような措置もとっておるわけでございます。ただいまお話がありましたように、返済等が非常に困難なようなことになりました場合には、実情に即して、ケースバイケースで、それに即した措置をとるというような措置をとっておるところでございます。
  71. 華山親義

    華山委員 私は、これからの日本の経済というものは、アメリカ等の関係もございますし、平価の切り上げの問題もございますけれども、そんなに容易に立ち直るものじゃないのじゃないかという考えを持っております。特に繊維とか、それから新潟県の燕市の刃物、金物の業であるとか、私は立ち直る時期がそう急には来ないのじゃないかというふうな気もするわけでございます。そうですから、金融ベースの考えでいくならば、これは融資ができないものです。しかし、これは融資しなければどうにもならない。そういうふうな段階だと思いまして、非常に困難なものでございますが、私もいつまでも決算委員会委員をやっておるわけじゃございませんから、そのときに、この国民金融公庫に赤字がたくさん出たから、あるいは滞納がたくさんできたからけしからぬというようなことは、私は言わないつもりでありますが、これは大蔵省としても、将来そういう事態が生じたならば、おっしゃるとおり、これを預金者等の損害にするわけにもまいりませんし、やはり国庫で負っていくというふうな覚悟を持っていかれなければ、非常に困難な問題でもあり、貸し出しをされる金庫といたしましてもまことに困った事態になっていくのではないか。こんなふうにも思いますので、ただ一言だけ申し上げて、これで質問を終わりたいと思います。
  72. 福田繁芳

    福田委員長 この際、澤田総裁並びに北田金融課長に申し上げますが、いま華山君の最終の希望的な御意見を御了承されたと思いますから、よしなに願いとう存じます。答弁の必要はありません。  そこで、次に吉田賢一君から発言を求められております。これを許します。吉田賢一君。
  73. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 きょうは大蔵省銀行局特金融課長だけしか見えておりませんので、十分な御答弁は困難かと思いますが、資料的にあなたに伺っておきたいのですが、今度のアメリカのドル・ショックの日本内地への、特に中小企業を対象とした影響はかなり深刻なものがあると思うのであります。つきましては、これが対策の一環といたしまして、融資、金融が行なわれております。そこで、あなたの大蔵省としては、広い意味におきまして、中小企業全体としての被害率は一体どのくらいであるか、被害金額はどのくらいになるのであろうか、それから必要資金、融資の量というものはどのくらいまで見積もればいいのであろうか、こういうような測定をなさったかどうか、それをまず素材として、前提として伺っておきたいのですが、突然のことですから、資料等の関係もあって御答弁が困難でしたら、一応資料を委員長あてに出してもらって、また次回にその点は譲ります。
  74. 北田榮作

    ○北田説明員 ただいまお話のございました中小企業関係のドル・ショックに伴います被害等につきましては、通産省の中小企業庁を中心にしていろいろ調査中でございますが、現在のところ的確な数字をつかむまでにはまだ至っていないのが現状でございます。
  75. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 大蔵省としましては、この被害に対する救済資金、いろいろなものの内容はありましょうが、それは総額どのくらいとして決定いたしましたか。またそれを決定するにつきましては、前提の損害は通産省のほうから推定でもしかるべく出てきたもの、これを前提にしまして両省いろいろと協議した結果固まった数字で、閣議決定もそういうふうに運んだと思うのですが、その点どうですか。
  76. 北田榮作

    ○北田説明員 今回の中小企業対策といたしましては、ドル・ショックによりまして、特に輸出の比率が高い中小企業等につきましては、これによって非常に大きな影響を受けるであろうというようなことが考えられるわけでございます。したがいまして、そういった中小企業を中心にいたしまして、滞貨あるいは減産あるいは転業、そういうようなことのために必要な運転資金を特別に中小三機関から融資をすることにいたしまして、総額でこのために千五百億円の融資をすることを先般閣議決定をいたしまして、現在三機関実施中でございます。
  77. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 その点は、去る九月二十三日の閣議決定におきましてきまりました数字、千五百億円、三機関に対する内訳もわかっておるのですが、私が聞きたい点は、単に数字を何千億円出しますということの前に、国会におけるわれわれの検討といたしましては、一体どのくらいの金額の被害があるのだろうかということを大体推定でもつかまなければ、予算の積算のもとができないだろう、こう思うのです。ですから、それをあなたいまずばっと御説明できなければ、次の機会でもいいから、きちんと資料を出してください。いずれそれは通産省であろうとどこであろうと、幾ら被害があるのかわからないのに千五百億円出します、そういうようなつかみ金はないはずなんですから、その辺の資料としまして固まっておるのか、推定があるのかないのか、そこをちょっとはっきりさせておきたいのです。あなた、きょう御説明できなければあとでいいのですよ。その点いかがですか。
  78. 福田繁芳

    福田委員長 ただいまの吉田君の重ねての御質問に対して、ちょうどきょうは通産省の谷村繊維製品課長が参っておりますので、あわせて答弁させます。
  79. 谷村昭一

    ○谷村説明員 いま先生の御質問に対しまして、私、繊維を担当いたしております者でございますので、繊維だけに限ってお答えさせていただきたいと思います。  現在、ドル・ショック対策関係いたしまして、繊維につきましては主要業種ほとんど業種指定をしておるわけでございますが、千五百億のうち、繊維につきまして幾らであるかという点につきましては、必ずしも明確にしておるわけではございません。しかしながら、いま先生の御質問のありました影響の具体的な実態調査につきましては、業種別にそれぞれ実施をいたしまして、いま申し上げました千五百億の積み上げの中に繊維が入っておるという形になっておりますので、全体としての御質問につきましては、あらためて先生に資料として差し上げさせていただきたい、かように考えておるわけでございます。
  80. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 その点は、中小企業庁において出しました融資制度の対象につきまして、産地別それから業種別を指定しております。したがいまして、これを見ますと、総計七十八業種になるようでございますが、可能ならば全体につきまして、あなたのほうでこの業種別の被害程度、それぞれを測定しておられるようでありますから、資料として至急お出しいただきたい。委員長あてにお出し願ってけっこうですから、それはお願いします。ただし、あなたのほうは繊維局でありますので、これは中小企業庁ではなしに、通産省全体にわたりますので、しかるべく委員長おはからいいただきまして、通産省から出すというふうにしてもらい、繊維雑貨局は繊維に関するのみでけっこうでございますから、そのようにひとつ資料の配付方をお願いいたします。同時に、これは受けた大蔵省のほうも当然持っておるはずでございますから、両方からありましたら、そのほうが前提が確実になると思いますので、資料、よろしくお願いいたします。
  81. 福田繁芳

    福田委員長 この際、北田、谷村両課長委員長として重ねてお願いしておきますが、ただいまの吉田賢一君の資料要求の点だが、これは今朝の理事会においても各党派の諸先生からも強い希望がありましたので、幸いにきょう両課長がいらっしゃっておりますから、相なるべくは早目にその資料をおまとめ願って御提出願いたいと思うのだが、北田、谷村両課長いかがでございますか。よろしいか。
  82. 北田榮作

    ○北田説明員 通産省のほうと相談いたしまして提出いたします。
  83. 福田繁芳

    福田委員長 では、両省御連絡の上、よろしくお願いします。
  84. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 繊維雑貨局並びに大蔵省、あわせて御答弁いただきましたが、簡単でありますから、以下一、二尋ねてみます。  これは一つの繊維の関連で、糸染め加工業でありますが、この場合における兵庫県の西脇地区の実情をちょっと調べてみますと、ここはギンガム中心でありましてギンガムは日本じゅうの八割を出しておりますから、課徴金の影響によって対米輸出が五割減少いたすと見た場合、染色だけで年間八億円の損害が生じます。これは市長を中心として、また業界の代表等によりまして、あちらこちらから推計を立てた結論の数字であります。なお為替の変動幅の影響、この点を見てみますと、一〇%の場合には十億円、一五%の場合には十七億円の被害を受けるようであります。かりに一〇%といたしますと、課徴金の影響と変動幅の影響合わせまして十五億円の被害を受ける、こういう計算になっておるようであります。  そこで、これらにつきまして、しからば対策として考えてみたいと思います点は、一点はやはり差し迫った金融の関係でございますが、課徴金によりましても、当然これは輸出減でありますが減産になります。ことに糸染めのような場合、円変動幅の被害等あれこれといたしまして、かなり苦境におちいるのでございまして、きょうは時間もないから詳しく言いませんけれども、過日も、これは加工業者のほうでございますが、その前には機屋でありますが、機屋は三月の自主規制のときに、おかあさんが中学生などの子供三人と一緒にひもでくくって池へ飛び込んだ自殺事件がありました。これは兵庫県でございます。もう一つ、最近でございますが、これは二十七、八の青年が交通事故をやりました。この交通事故のためとドル・ショックでおりから家業が困難におちいっておりましたので、五十代の親とともに四人が火であぶるようにして自殺未遂になりました。病院に見舞いに行きましたが、顔がはれ上がってしまって目が見えないような事態におちいっておるという悲惨な事件があったのです、詳しいことはきょうは言いませんけれども。したがいまして深刻な打撃を受けておるという実情を十分に勘案いたしまして、その前提に立ちまして、私は融資の対策を適切にとってもらわねばならぬ、これは力説したいのであります。なかなか本省だけではいきませんから、もちろん地方自治体との間の連絡、業界との連絡、実際に足を運んで目で見るというようなその手、いろいろな点から事実認識を深めてもらいたいと思うのでありますが、そういうふうになっておりまするので、この融資対策というものは平素と違うという非常事態、全機能を発揮いたしまして、タイミングに効果適切な、そして金額にいたしましても、できるだけその辺は非常時であるという前提に立ってやってもらわなければいかぬ、こう思うのであります。思うのでありますが、これはあなただけを責めるような質問のしかたで悪いけれども、全体の姿勢としてひとつぜひ頼みかたがた協力方を御要請申し上げたいのであります。これは通産省、大蔵省としまして、課長というよりももう少し広い視野に立ちまして、共同の責任、行政責任というような、そういう立場からひとつ御答弁願っておきたい、こう思うのですが、いかがでございますか。
  85. 谷村昭一

    ○谷村説明員 いま御質問のございました点は、先般の自主規制に伴います救済融資で、西脇の糸染め業者につきましては四億円の融資をいたしたわけでございまして、これは現実に融資されておる段階に入っておると思います。さらに現段階では、ドル・ショックに伴います融資は、全体の中に業種指定をいたしておりまして、現在準備を進めておるわけでございますが、先生御指摘ございましたその前段階の機屋につきましても、先般の自主規制に伴います融資と、今回のドル・ショックに伴います融資と両方を併用いたしまして、御趣旨に沿うようにこれからますます努力させていただきたいと思います。  それから先生の御指摘になりました非常な窮状につきましては、私も現地に参りましたし、十分承知いたしておりますので、今後御趣旨に沿ってまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  86. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 石原総裁おられますね。開銀さんにちょっと伺っておきたいのでありますが、あなたのほうの機関の日本経済上に占めておられるその使命の重要なことは感ずるのであります。  そこで、この日本開発銀行法ができました昭和二十六年、あの時代における立法の精神と、いまの時代の変遷とはかなり変わっておりますので、その点につきまして、開発銀行法の第一条によりますと、「日本開発銀行は、長期資金の供給を行うことにより経済の再建及び産業の開発を促進する」、こういうことで、一般金融機関の金融を補完し、また奨励することを目的としておる。そしてあなたのほうは最も膨大な資金量をお持ちの銀行なのであります。としますると、いまの経済の再建というものは、申し上げるまでもなく経済成長一本やりではもういかない。人間尊重、福祉の国といったようなものが非常に大きく、傾斜的に大きな政治課題になっております。その欠陥というものがやはりいろいろなドル・ショック等によって見てもわかるのであります。均整とれて発展しておりませんので、受ける打撃は深刻であり、あるいは深刻でない、こう断層がきついんですね。こういうような混乱が生じます。こういうようなときにあたりまして、一体経済の再建というものは何であるのかということも考えるのであります。でありまするので、これは法律の改正というところまでいかなければいかないかもしれませんけれども、開発銀行の機能といたしましては、主として大企業に対する設備投資、あるいは電力であるとか原子力であるとか造船であるとかいうような、一流の企業に対する設備投資的なものが主でございましたので、いま悩み抜いておるのはやはり中小企業であります。中小企業のほうは、かなりあなたのほうは狭い分野にしかこれまで行っておりませんが、経済の再建というようなこういう大命題に向っては、新しい時代に即応するような体制に少し切りかえる必要があるんじゃないだろうか、こう思うのであります。これは銀行のあなたに聞くのがほんとうかどうか、ちょっと疑問ですけれども、一線に活躍し、牛耳っておられるあなたのお立場からしましても、やはり少し、言うならばピントがはずれてくる危険がなしとはしない。経済再建もちろん重要です、産業の開発もちろん重要ですけれども、さらに重要なのは人間尊重になってきました。そういう意味におきましての経済の再建とは一体何か。もっと言うならば、立体的に中小の小も微細も人間の能力を回復して、そして日本全体としての国民のしあわせにつながっていく金融機関の使命を果たしてもらいたい、こう思うのでありますが、そういう意味においてこの辺のあなたの御使命にやはり少し手を入れなければいかぬ時代が来ているのじゃないだろうか。これを受けて十八条が出てきます。十八条には業務範囲が出てきます。いわば束縛されてきます。せっかく膨大な資金量を持っておられるあなたの機関が、ぴたっといまの、たとえばいまちょっと伺いましたが、ドル・ショックの中小企業への影響ですね。これにずばっとあなたの活躍してもらう場がなかなか見つかりにくい。しかしこれは残念なんです。富士のすそ野のような膨大な中小企業の分野に、あなたのほうは手が伸びないおそれがあります。この点どういうふうにお感じになりましょう。お感じをひとつ述べておいてもらいたいです。
  87. 石原周夫

    ○石原説明員 政府側からお答えをいただく部分も多いかと思うのでありますが、私なりのことで吉田委員の御質問にお答えいたしたいと思います。  まず第一に御指摘のございました日本開発銀行法の第一条の問題でございまするが、これにつきましては、昨年になりますが、開発銀行法の前回の改正をいたしましたときに、衆参両院の大蔵委員会におきまして、いま吉田委員が御指摘になりましたような御趣旨の指摘がありました。二十六年にできた法律でございまするので、国民経済の再建ということはいかがであろうかと。実は私ども借り入れ金の限度の問題がございまして、おそらくは来年、これは大蔵省のほうで準備をしていただいているわけでありますが、法律改正をいたさなければならないことになるかと思うのであります。当時もそういうことも予想せられたものでありますから、この次の機会には検討してみたらどうだというお話がございました。立法当時の状況と今日の状況が違いますことは吉田委員指摘のとおりでありまして、そういうような表現でよろしいかどうか、これは現在政府側で御検討をいただいておると思います。  第二点の中小企業の関係でございますが、これは政府機関の間にはおのずから分界がございまして、中小企業の関係につきましてはおのおの政府機関がおられるわけでありまするので、私どものほうがそちらまで入って仕事をいたすわけにはまいりません。ただ、御指摘になりますように、私どももそう大企業ばかりを相手にいたしておるわけではございませんで、機械の関係であるとか、あるいは繊維の関係においても、御承知だと思いまするが、相当中小規模のものにお手伝いをいたしております。地方開発におきましても相当中小規模のものにお手伝いをいたしておるわけでありまするから、必ずしも大企業を相手にだけいたしておるわけではございませんし、そういうような中堅企業と申しまするか、そこら辺の育成が非常に大事だということは、これは政府もよく言っておられるわけでありまして、私どももある程度まで中堅企業というものが大きなウエートを持つ部分の融資に力を入れてやっておるわけであります。今後のお話につきましては、先ほど華山委員からも御指摘がございまして、いわゆる社会開発というような面が非常に重視をせられる時期になっております。先ほど若干数字をあげて申し上げましたように、私どものほうの融資も、最近数年間におきましてそういう非常に社会開発的な方向に重点を注ぎつつあるということでございます。これは今後もますます強化をしていかるべき傾向であろうと存じまして、実は四十七年度にもそういうような趣旨で予算要求をしておることは先ほど申し上げたとおりであります。  なお、いまのドル・ショックの関係についてのお話がございましたが、そういう場合の転換の問題がございます。これにつきましては、実は特恵関税というものの関連におきまして、本年度特恵対策ということで、黄麻の関係につきまして転換の対策を講ずるということの融資のワクを持っておりまして、近く実行いたします。特恵の問題に限りませず、いまおっしゃいますような非常な変動の時期になりましたので、転換の関係で何かお手伝いをいたすということは、あるいは来年度予算に関連いたしまして出てまいろうかと思っております。  御指摘の運転資金、設備資金に限定せられるために非常に窮屈ではないかという御指摘がございます。これは御承知のように、第一条に書いて去りまするように、私ども一般の金融機関に対する補完ということがたてまえでございまするので、本来運転資金は市中の金融機関でおやりになるのが筋ではなかろうか。長期を要しますし、相当長いプロジェクトに相なります設備資金につきまして財政資金でお手伝いをいたすというのが法の趣旨かというふうに考えております。したがいまして、設備運転資金まで広く出るということにつきましては、先ほど来通産省なりあるいは国民金融公庫総裁あるいは大蔵省からお話がありましたように、おのおのそのほうの担当の機関がおられまするので、そのほうで御措置をいただくことかと考えております。転換の関係、それが設備を伴います分につきましては、私どもがまたこれから決定せられる政府の政策に従ってやってまいりたいというふうに考えております。
  88. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 これは総裁答弁は要りませんが、また別の機会にあなたや大蔵大臣に一緒に御答弁願うことにしますが、考えてもらいたい点があるのです。それは、たとえば政府系金融三機関、またあなたのほう、それぞれの分野がありまして、お互いに相侵すことのないようにしたい、もっともなことです。しかし同時に、やはりいまの時代になりまして、たとえば事業転換の円滑化、これは閣議決定をしておりますが、事業転換の円滑化につきましては、中小企業振興事業団の高度化資金、これは十億円あります。ほとんどあまり使っておりません。ただし、共同を条件にしております。それからまた、中小企業公庫の特別融資ワクが、これは十五億円あります。これはまた金利は別ですが、前者は二分七厘です。後者は七%です。安いですね。言うならば、ここにぎょうさん余っていますということがありまするから、この激しい時代の流動ですから、やはりあなたのほうが向こうのなわ張り、こっちのなわ張りというようなことではなしに、お互いに長短相補うという構想だけは持ちまして、ただし法改正が必要であるというならば、それはそれでいくというふうにしていきませなんだら、いま三公庫でもこれは間尺に合わぬ面がよけい出ております。したがいまして、多数の金融機関があるわけでございますから、東北にしたって、北海道にしたって、あちこちに開発公庫なんかございますね。こういうような多数の金融機関がありまするから、これは言うならば、もう一ぺん総点検をしなければならぬような時代が来ているのじゃないだろうかとさえ感じるほどにいま流動しておりますので、こんなときでありますから、あなたのほうはひとつ特段にもっと手を伸べる面がないだろうか。たとえば、さっき申しました糸染めですね。糸染めは御承知のように、繊維課長はよく知っておられるのだが、糸染めというのは、兵庫県の糸染めを京都へ持っていったらだめなんです。先染めがこの地方の特色ですから、関連産業ですから。これが全体といたしまして四割を減縮する、買い上げる、そしてこれを合理化するというようなことも要望されているのです。こんなことも問題があるのです。具体的にそういうことがありますので、そういう点は、それは設備資金は私のほうで出します、これはもっともなことなんです。そういう関連の産業、たとえば機屋、加工、染色その他関連の産業全体として、同じように他の金属工業にしましても原材料からいろいろな関連産業がある。その関連産業をつかんでいくという面からも一歩前進してもらわなければならぬ面が確かにございますね。これはいま答弁は要りませんから、ぜひひとつ御検討願いたいのであります。若干私、資料を持っておりますから、また資料に基づきまして意見を交えながらひとつお尋ね申しますので、総裁にお願い申し上げておきます。  時間がありませんので、国民金融公庫さん、あなたのほうの時間がなくなりましたが、十分で終わりますから……。  国民金融公庫さん、あなたのほうは今度のドル・ショックにおける中小企業対策の金融機関ですね。この金融機関における使命の一番重要なものをずばっと持っておられるのですが、あなたのほうで、九月の閣議決定の融資資金量千五百億円のうち三百五十億円を持っていますね。これが割り当てになっておりますが、大体これはできるだけ簡単に融資する。たとえば、対象は産地別、業種別にありますが、被害実態につきまして知事もしくは市町村長の確認が要る。これが前提になりますね。一体知事なんかそんな被害実態が詳しくわかるだろうかということもありますが、何かこれはもっと簡単にしなければ、年度内にやったらいいのだということで問に合わぬおそれがあります。三月末までにやったらいいのだが、間に合わぬおそれがありますから、できるだけ事務を能率的に進めていく上におきまして簡単にする手はないだろうか。これが一点です。これをひとつはっきりしておいてもらいたい。  それからもう一つは、需要量の総見込みですが、一体どのくらいの需要量を見込んでおられるのだろうか、需要の件数がどのくらいになるだろうか。件数及び金額はどうなのだろうか。といいますのは、全体としての被害数量はたいへんなんです。被害件数もたいへんなんです。ですから、その辺はどういうふうにつかんでおられるだろうか、こういう点、先にちょっと伺っておきます。
  89. 澤田悌

    ○澤田説明員 今度の輸出関連緊急融資に関します特別融資の手続でございますが、これはいま御指摘のように、都道府県知事あるいは市町村長の認定か確認書が要るということになっておるのでございます。私のほうといたしましては、確認書ができますれば、もう極力早く、従来の審査手続を一そう簡素にいたしまして貸し出しを実行いたしたい体制を整えておるのでございまして、現在各地で申し込みが続々出ておりますが、まだ確認書を伴わない段階、確認書があとから来るという点で、これは特別の政府の施策に基づく優遇融資でございますから、ああいう手続が要るのはもう当然であり、やむを得ないと思いますけれども、私のほうの窓口の姿勢といたしましては、確認書待ちで極力早く希望に沿いたい、こういう感じで実行いたしておるわけでございます。  それから、どの程度の融資希望があるか、件数はどうかという点でございますが、これはなかなかっかみにくいところでございまして、現在までのところ、ようやく十月末ごろから具体的に出始めてまいったのでございまして、金額につきましては、御指摘のように千五百億円のうち三百五十億円を私どもが受け持つことに相なったのでございますが、これを年内に三分の二、年を越しましてからおよそ三分の一、このくらいの需要があるのじゃなかろうかというような推測をいたしまして、大体それに対応し得る姿勢で準備をいたしておるような次第でございまして、件数の点になりますと、なかなか推測がつきにくいものでございます。その点は御了承をお願いいたしたいと思います。
  90. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 やはり金融機関でございますので、あなたのほうはあちらこちら出先を持っておりますし、また関連いたしまして、この種の問題につきましては地方行政庁もあることでございますから、自治体あるいは業種団体とも横に連絡をとりながら、その辺の推定をしていくということは、同時に大蔵省並びに通産省あたりもいろいろと参考になるだろう、こう思うのであります。将来、たとえば通常議会におきまして来年度予算を編成する際にも、かなりこういう辺が財投の計画にいたしましても大事な前提になってくると思いますので、これはひとつ十分に御検討願いたいと思います。  それから、これは金利の問題ですが、金利は普通八分二厘ですね。一体八分二厘で普通三年で返せというような、こういう緊急融資というようなものは、これはちょっとわれわれしろうとから考えましても、常識的ではないですな。まあ事情によって五年まで待ってやるということになっておりますけれども、もっとやはり政府資金であり救済資金である以上は、これは明らかに奉仕じゃありませんけれども、決してそういう意味じゃありませんが、もっと合理性といいますか、ただくれてやるんじゃありませんけれども、やはり利益をあげて償還をしていかなければいけませんので、簡単に転廃業はできない。ことに締めくくられております機屋みたいなものは、しばらくもう一ぺんやれないのですから、そういうような目にあわされるのですから、なかなか資金問題は、金利の問題が少し高過ぎるという点、それから短期をもう少し期間を延ばすべきではないだろうかという問題、それは長期低利ということを目標にしておられる開発銀行なんかと比べまして性格は違いますけれども、運転資金的なものが多いのです。多いのだけれども、やはり期間の問題はもう一ぺん再検討する必要があるのじゃないかと思いますが、何かくふうはないだろうか。さっきも申しました事業団の高度化資金であるとか、あるいは中小企業公庫の特別貸し付けのあれなんかによりまして、二分七厘、七分というようなそういう安いものはございますけれども、もっと金利を下げる必要はないだろうか。実情に合いませんから、そういうふうに思うのですが、そういう点。  それから、これはあなたのほうではいけないだろうけれども、大蔵省の金融課長しか見えていませんが、やはりこの際は、たとえば石炭等に対するあの融資のごとくに、過去の貸し付けについて金利を引き下げる、あるいはまた納税について延納するというのじゃなしに、減税するとか、減額する、減率するとか、あるいは税制の措置とか、あるいはまた過去の貸し付けについて特別の措置とか、いろいろと金をめぐりましての方法があると思います。  それからもう一つは構造改善、これは雑貨課長にもちょっと言うておきたいのですが、繊維のごとき、構造改善のさなかに、そのときのドル・ショックなんですね。だから、両方のたいへんな負債におちいる危険がありますと、一般の市中銀行は警戒する、金融筋は警戒する、高利貸しが入ってくる、こういうおそれがあるので、各方面から特段の救済の手を立てていく必要があるのではないだろうか。融資、税制その他そういうふうに考えますので、これをあわせまして、しかるべく御答弁願いまして、きょうはくぎさしになりましたけれども、委員長、この程度で終わることにいたします。
  91. 澤田悌

    ○澤田説明員 ただいまの金利あるいは貸し付け期間の問題は、政府の施策の面からお答えするのが適当かと思うのでございますが、私ども実施面を担当いたしております者の考え方を申し上げてみますと、今度のドル・ショックに伴う緊急融資の貸し出し期間は、閣議決定の方針によりまして三年が原則でございまして、必要な場合は五年までということになっております。私どもの国民金融公庫の現在の運転資金の平均貸し出し期間というのは、大体二年ないし三年程度でございますので、普通であれば五年まで認めればそう不自由はないかと思うのでございますが、これが五年でもなお非常に困難だというような事態、ケースが多く出てまいるようでありますれば、関係方面にお願いをして、いろいろ御検討を願わなければならない、こんなふうな感じを持っておる次第でございます。  なお、金利につきましても、今度の緊急融資は、普通の八分二厘に比べまして、私どもの関係で言いますと、三百万円までは六分五厘、それをこえます場合でも二分の一は六分五厘、特別の場合は、五百万円までは六分五厘でよろしいというような制度になっておりますので、これも実情に合わせて、無理のないように配慮をしてまいりたいと思うのでございますが、一般金利の水準の問題になりますと、これはまた政府当局の問題になりますので、いろいろ問題があろうかと思いますが、私からは以上の点をお答えして終わりたいと思います。
  92. 福田繁芳

    福田委員長 次回は公報をもってお知らせすることといたしまして、本日はこれにて散会いたします。    午後零時五十五分散会