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1971-10-19 第67回国会 衆議院 議院運営委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年十月十九日(火曜日)     午後四時三十三分開議  出席委員    委員長 田澤 吉郎君    理事 亀岡 高夫君 理事 海部 俊樹君    理事 中川 一郎君 理事 小渕 恵三君    理事 加藤 六月君 理事 勝澤 芳雄君    理事 中嶋 英夫君 理事 広沢 直樹君    理事 塚本 三郎君      小此木彦三郎君    中尾 栄一君       中山 正暉君    西岡 武夫君       羽田  孜君    浜田 幸一君       藤波 孝生君    森  喜朗君       井野 正揮君    斉藤 正男君       山口 鶴男君    近江巳記夫君       松本 善明君  出席国務大臣         内閣総理大臣  佐藤 榮作君         通商産業大臣  田中 角榮君         国 務 大 臣         (内閣官房長         官)      竹下  登君  委員外出席者         議     長 船田  中君         副  議  長 荒舩清十郎君         事 務 総 長 知野 虎雄君     ————————————— 委員の異動 十月十九日  辞任         補欠選任   桑名 義治君     近江巳記夫君   和田 春生君     岡沢 完治君 同日  辞任         補欠選任   近江巳記夫君     桑名 義治君   岡沢 完治君     和田 春生君     ————————————— 本日の会議に付した案件  本院において行なつた、米国繊維品輸入制限  に関する決議(第六十一回国会)と日米繊維協  定仮調印に関する件  明二十日の国務大臣演説に対する質疑の件  次回の本会議等の件      ————◇—————
  2. 田澤吉郎

    田澤委員長 これより会議を開きます。  この際、佐藤内閣総理大臣田中通商産業大臣竹下官房長官が出席されました。  昭和四十四年五月九日、米国繊維品輸入制限に関する決議が本院において行なわれておりますことは、御承知のことでありますが、今回、繊維に関する日米繊維協定仮調印が行なわれましたことについて、内閣総理大臣からその経緯の説明を願います。内閣総理大臣
  3. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 ただいま田澤委員長から御発言のありましたことについて、先ほど会議所信表明でも申し上げましたとおり、最近、日米間の繊維交渉が始められ、そうしてそれが調印にこぎつける、こういうところに来たのであります。これは私が申し上げるまでもなく、いままで院議があればこそ、そういうことで折衝を続けてきたと思います。先ほど申したとおり、これはどうもやむを得ない措置であったと受けとめていただきたいのであります。と申しましても、院議方向に反した結果になったことにつきましては、好ましいものとは思っておりませんけれども、詳細の経過につきましては、通産大臣がその衝に当たっておりますからお答えさせることといたします。  先ほども申しましたとおり、ここで本会議で申したことについて付言いたしますと、ことしの三月、わが国繊維業界が一方的に自主規制の宣言を行なった際には、政府もこれによって事態改善を期待し、歓迎の意を表明した次第であります。官房長官と私の感覚がやや違っておりますが、当時は、官房長官の言がそのまま新聞に報道されたわけであります。しかし、一方、米国政府はこの自主規制では不満だ、かように申しまして、当時から不満の意を表しておりました。特に最近になりまして、政府間協定が不可能な場合には、すべての国に対し一律に一方的に輸入規制実施する、こういう態度をとるようになりました。これはいわゆるドル危機、それの一部として対処する、こういう考え方であります。そこで政府は、長期的に見たときに、わが国国益の推進のためには、これは政府間協定に踏み切ること、締結もやむを得ない、かように判断したのでございます。いま取りつけておりますのは、相互の理解と互譲の精神に基づいて米国側話し合いを重ねておったのであります。同時にこれは、当初米国が言っていたものに対しては大幅な譲歩を得まして、今回の了解に達したものであります。今回の協定締結によって最悪事態は避け得たのでありますが、これを契機として日米経済関係改善され、ひいては、自由貿易の一そうの伸展がはかられるよう期待してやまない次第であります。  また政府は、今回の措置に伴う繊維業界救済につきましては、万全の措置を講ずる所存であります。これはきょうの本会議で御説明申し上げたとおりであります。各党の御理解ある御協力を何とぞよろしくお願いいたします。
  4. 田澤吉郎

    田澤委員長 ただいまの説明に対し、発言を求められております。  勝澤芳雄君。
  5. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 総理、この業界自主規制を七月一日からやられたのですけれども、これは政府の要請によってやられて、しかもこれについては、政府歓迎するという談話まで発表し、しかも六百五十億という融資と機械の買い上げまできめて、そうして業界のこのやり方を支持したわけであります。しかもまた、日米経済閣僚会議で、田中通産大臣は、このアメリカ側の要求をけってお帰りになって、一週間か十日たたぬうちに突如としてこの協定が実はなされたわけであります。しかもいまのお話ですと、アメリカ側より新たな提案があったとか、長期的に見て国際協調わが国国益伸長のためにやむを得ない措置であった。これは具体的には、新たな提案といっても、業界から見れば何も変わっていない。長期的に見て国益、何が国益なのかという点についても国民は大きな疑問を持っているわけでありますから、その点についての御説明を賜わりたい。
  6. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 これは折衝の衝に当たった田中通産大臣からお答えするほうがいいかと思いますが、ただ概略申しますと、最初自主規制に入った、そうしてそれがただいま言われますように、実施期間に入ってわずか三カ月、そういう際にまたあらためて協議をする、そういうものに何か割り切れないものがある、こういうお話だと思いますが、その点については、最初からやや日本側の受けている自主規制案米側のそれに対する評価が基本的に違っておるわけであります。この基本的な相違の上に、最近のドル・ショック、そういう問題にぶつかった、こういうことでありますから、ただいまの関係は、もっと実績を見ないと、こういうことは実は言えないような状況にあります。
  7. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 今度の繊維交渉経過を見てみると、アメリカはとにかくなりふりかまわず押せ押せという状態でありまして、世間では、一体総理沖繩繊維と取引した、秘密協約があるのではないだろうか、こういうことが言われておるわけであります。しかも、アメリカのニューヨーク・タイムズによれば、社説で、このようなおどかしでもって日米間の協定を結ぶようなことは、日本アメリカの将来によくない、こういわれておるわけでありまして、私はこの問題を見てみますと、四十四年の五月九日に衆議院決議をして、そうして十一月の十九日に総理ニクソンとこの問題について約束をされた。五月九日に衆議院決議されていながら、十一月十九日に早期に解決するという約束をされ、そしてまた、四十五年の十月二十四日に再交渉約束されて、そして今回の経過になったということを見てみると、衆議院決議をされておるにかかわらずこの問題について再交渉しようとしたことは、明らかにこれは院議無視だと思うのですが、いかがですか、
  8. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 私は、院議があったからこそ、いままでかかって交渉を持ってきたというように思います。私は、必ずしも院議は、一切やっちゃいかぬ、こういうものじゃなかったように思います。もちろんそれらの点について、ただいま院議は非常に強い意向だ、だからそれに縛られた、こういうことでありますから、私ども交渉するにしてもそのワクははずさないように、はずさないようにというふうに実は気をつけてまいった、かように私はこの機会にはっきり申し上げることができるのであります。
  9. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 沖繩との関係はどうですか。
  10. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 沖繩との関係はありません。これは全然別です。
  11. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 時間がございませんから、また別の機会に詰めることにいたしまして、私はこのように院議を無視して、院議に沿えなかったということからいうならば、業界も納得していない、こういう大事な問題でありますから、せめてこの協定はやはり国会にかけて承認を得べきものだ、こう思いますけれども、いかがですか。
  12. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 まだ最後調印というものの形、どういうものになっていますか、最終的にはまだきまっておりません。ただいまのところでは国会承認を得なくてもいいような、いままでの取り扱い方から見まして、それと同様な行政協定、これをするはずであります。私も、そういう点については、こまかなことですからどういうことになるかわかりません。しかし、先ほど来申しますように、院の意向が実は非常にはっきりしておりますから、そういう点で今回の取り結びにいたしましても、その方針、その精神、それは十分守らなくてはならない、かように思っております。政府は当然であります。
  13. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 総理答弁はたいへん不満足であります。不十分です。しかし、時間もございませんので、後ほどまた官房長官なり通産大臣なりに質問することにいたしまして、一応私の質問はこれで終わります。
  14. 田澤吉郎

    田澤委員長 次に、広沢直樹君。
  15. 広沢直樹

    広沢委員 ただいま冒頭に総理から経過措置について簡単な説明がありました。しかし、去る四十四年の五月九日の本院における決議、並びに引き続いては、昨年の参議院においても、商工委員会では、より項目をあげての決議がなされております。したがって、それを尊重するために種々交渉を続けてきたというお話でありますけれども、ならば今回の国会承認——協定の内容からいえば、行政協定であろうかと思いますけれども、一応十分国会意思というものを総理自身が確かめられた上で、そうしてそれはきめらるべきじゃないか。一方的に見切り発車だとかあるいは業界見殺し発車だとかいわれるような、業界意見を無視し、国会意思も無視した形で政府間協定国会開会直前に一方的に仮調印しますということについて、大いに疑問を持っているわけでありますから、もう一ぺんその姿勢について伺いたいと思います。
  16. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 いま勝澤さんにもお話をしたのですが、問題は、政府間交渉によるか、あるいは米国側の一方的規制によるか、いずれにしても、業界はたいへんな変化を受ける、こういう状態であります。そのことばのうちにもありますように、米国がなりふりかまわずにいま取り組んで、国際収支改善をはかろう、そういう状態のもとにこれを一方的に進めることから、業界の受ける影響はたいへん大きいものだと私は思います。したがって政府は、いずれの場合におきましても、わが業界育成維持をする、こういうことが政府の当然の責任であります。また、業者の立場も十分考えてやらなければならぬ。そういう観点から考えますと、私どもが介入することはどうも適当な方法ではないか、また当然見殺しにするというようなことではなしに、政府救済の適切な措置をとるべきだ、かように判断したものであります。したがって、ただいまの米国がなりふりかまわわないでこの問題と取り組んだ、その実態、これは後ほど田中君から説明するでしょうから、そこらの点も十分御考慮、御賢察いただきたいと思います。
  17. 広沢直樹

    広沢委員 総理、これは私自身が聞いたわけではありませんけれども新聞の報道によりますれば、この交渉過程におきまして、繊維業界の首脳と総理とのお話し合いの中で、ニクソンとは古い友人である、少しばかり同情したというような記事が載っておりました。そういった中に、一つのすっきりしない、アメリカのいまやっているような日本に対する圧力的なやり方に対してはやむを得ず協定を結ばざるを得なかったという——やはり繊維に関して一千万近くの方々はそのために非常に打撃をこうむるという面から考えてみましても、こういったことは少し私は納得できないわけでありますが、それについての一つのはっきりしたお答えを承りたい。  さらに、きょうの所信表明の中でも、国益伸長云々ということをおっしゃいました。さらに、交渉妥結したときの政府声明にも、やはり国益伸長である、あるいは今回の協定最悪事態は避けた、これを契機日米経済改善されるというような声明が出ております。これは政府声明であります。われわれは、この今度の交渉アメリカの一方的な圧力に屈したのではないか、繊維業界はもとよりとして、日本国民の対米不信感が高まったことはいなめないものと私は思いますし、さらに、米国においては、強引にこういうふうに押していけば、ガットの精神を無視しようと何しようと、保護貿易というような形の上から強引に押していけば、日本政府は引っ込むのだというような印象を与えたということもいなめないことだと思うわけです。経済関係改善するとはいうものの、こういった経済原則を無視するような形で政府が介入をして妥協するというようなやり方において、どうして日米関係経済状態改善されるかということも、大きく懸念されるわけであります。  政府は、こういった立場から十二分に反省すべきだと思うわけでありますが、その点についての所見を承りたい。
  18. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 私は、米国側がどういうふうにとるか、これは別として、繊維業界会長その他と懇談を持ちました際に、いろいろ説明をしたのですが、米国が当面しておる事態を、どうも少し見方が甘いのじゃないか。この見方が甘いと、どうも米側日本政府があやつられる、こういうような批判も起こるようであります。どうもいまは、繊維会長にも言っているのですが、なりふりかまわない態度米国課徴金の制度をやったり、あるいは金の兌換を停止したり、さらにまた賃金・物価の凍結令を出したり、これはずいぶん思い切った措置であります。そういうところにさらされてのいまの米国との貿易の問題ですから、この問題が適当なところに落ちつかないと、波及するところは非常に大きいと思います。これが、いわゆる貿易は拡大はしたいが、しかし、それかといって急激にふえるとか、急激に相手方に打撃を与えるとか、こういうことが起こらないようにすることが必要だろう。オーダリーマーケティングと申しますか、そういうような事柄が必要なように思います。  そして、この問題は三年越しの問題であります。二年といいますけれども、もう話が起きてからは三年越しです。そういうことを考えますと、まずこれを解決すべきだ、かように実は考えます。いままでもそのチャンスがあったように思いますけれども、そのチャンスの場合には、アメリカ自身もそう急激な状態ではない、かように思っておりましたが、しかし、最近の実情になると、ほんとうに矢もたてもたまらないような気持ちにあせりが出ております。そこで政府が介入した、こういうことであります。  私は、たびたび他の機会にも申しましたように、日本の外交の方向、また日本の進むべき方向、それはやはり何といいましても、日米がこの関係を維持することが日本の平和につながる、同時に日本の繁栄にもつながる、これは基礎的な考え方であります。そういう意味から申しまして、この問題を解決すべきだ、かように考えた次第であります。
  19. 広沢直樹

    広沢委員 時間だそうですので、最後に一言申し上げておきたいことは、現実の問題として、日米経済関係は、競争関係はまだ今後続くわけであります。したがって、本院の決議にありますように、それを十分尊重して、今後もこういうことのないようにひとつ考えていただきたいということであります。さらに、総理からお話がありました、繊維業界に対する打撃に対して、十分対処していくというお話でありますので、その点もあわせて要望しておきます。
  20. 田澤吉郎

    田澤委員長 次に塚本三郎君。
  21. 塚本三郎

    塚本委員 総理にお尋ねいたします。  このたび政府が結ばれました繊維政府間協定につきまして、ただいま総理からは、院議には相反しておらないと思うがというような御発言がございました。なるほど、決議文言の中には、政府間協定をしてはならないという文言は入っておりません。しかし、すでに総理自身もお気づきになっておられますように、野党だけではなくて、与党の中でもこの協定が不本意なことは、御承知のとおりだと思います。したがいまして、その院議精神に全く反するところの協定だと私たちは受け取っております。したがって、文言には反してはいないかもしれないけれども、しかし、その精神に反するところの協定を結ばれたということになりまするならば、その際、国権最高議決機関の長たる衆議院議長に対して、総理事前にどのような了解を取りつけられたか、これをお伺いしたいと思います。
  22. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 官房長官をして連絡いたさせております。
  23. 竹下登

    竹下国務大臣 総理の指示を受けまして、私が衆参両院に、交渉に入る段階に、了解を得ると申しましょうか、現状認識お話し申し上げて、両院へ通告といいますか、連絡をとりました。その際、衆議院においてはたまたま正副議長公用で御出張でありましたので事務総長参議院は副議長がいらっしゃいましたので副議長というふうに御連絡を申し上げておきました。
  24. 塚本三郎

    塚本委員 政府のその姿勢というものは、私はきわめて遺憾だと思っております。われらが長であります議長のところに、少なくとも期間がなかったとするならば——それは事務総長に、しかも官房長官という方が了解を求められるという姿は、われわれ国会議員があまりにも軽視されておるというふうにしか受け取れないわけでございます。私たち議員立場からいうならば、とにかく議長さんに対して総理が何らかの事前了解工作をなされるのがしかるべきだ、それが憲法に明記せられた国会国権最高議決機関というものではないかと私は受け取っております。総理、そうじゃないでしょう。
  25. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 ただいま官房長官から説明されたように、私として考えられる方法はとったつもりであります。
  26. 塚本三郎

    塚本委員 きわめて遺憾だということを申し上げておきます。院の決議というものは——官房長官を軽いと申し上げるわけではございませんけれども、しかし、総理態度は、私たち国会議員としてはきわめて遺憾な態度であり、衆議院議長を軽く扱われたという遺憾の気持ちを表明しなければなりません。  そこで次に、本日の政府所信表明演説において福田外務大臣は、輸入課徴金による輸出の支障より、それがために起こる保護貿易機運が高まることを憂えなければなりません、と演説されました。しかるに総理は、同じとき、本日の演説において、長期的に見た国際協調によるわが国国益伸長のためにはまことにやむを得ないものである、と相反する意見を述べておられるわけでございます。そして、だからしかたなく繊維輸出に関して協定を結んだという理由づけを行なっておられます。つまり、外務大臣の憂慮とは全く逆の、保護貿易機運が高まることに拍車をかけられ、さらに決定的ともいえる政府間協定を結ばれたわけでございます。一体かくしなければならなかった第一の具体的理由は何であるか、そして総理演説されました国益伸長とは具体的には何であるのか。たとえて言いまするならば、繊維犠牲にすることによってそれ以外のすべての産業を制限されなくても済むとでもいう確約でもあったのか。いわゆる協定を結ぶことが国益だと総理はおっしゃったわけです。そうすると実は繊維がたいへんな犠牲をこうむるし、そしてまた外務大臣も、保護貿易機運を高めるということのほうが輸入課徴金よりももっとおそろしいことだということを演説なさったわけです。われわれは共感を持ってそれをお聞きしたわけですけれども、もしそうであるとすると、国益伸長とは、政府間協定を結ぶことによってどういう国益があるのかということを具体的に一つ、二つ簡単に教えていただきたいと思います。
  27. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 外務大臣と私との演説に食い違いがあると私は思っておりません。私自身も、いまやっておることが、さらに保護貿易に転化する、こういうことを防ぐためにも必要だということは、ちゃんと演説の中に触れております。それらはひとしく同じ考え方であります。そして私どもはどこまでも自由貿易主義、これを守るというつもりであります。だから、それはそれでよろしいのですが、ただ、いまの問題、繊維協定はずいぶんもう——課徴金をかけること自身がすでに、これは繊維ではございませんが、全部が保護貿易的な一つのステップだ、かように評価してしかるべきだろうと思います。われわれは課徴金をやめろ、こういうことを強く要望しておることは御承知のとおりであります。その点では、外務大臣も私もきょうの演説で触れたはずであります。ただ、この繊維の問題は三年越しの問題であります。そういう懸案であるというところに一つのひっかかりがあります。したがいまして、その他の問題に及ばないように、ぜひともわれわれは最善を尽くしたい、かように思っております。ただいまのような状況でその危険なしとしないというのがきょうの本会議演説から出てくる感じだろうと思います。そういうことがあってはならぬ。私どもは、繊維をやったからその他のものは安心だ、こういうような、いわゆる繊維犠牲にする、こういうようなつもりはございません。しかし、いままでのひっかかりから申しますと、まず繊維を片づけたい、かような意味でこれをやっているわけでございます。
  28. 塚本三郎

    塚本委員 しかし、総理ことばの中には、その他のものを守りたいということばがにじみ出ておるようでございまするから、そのことに対しては大きな期待を寄せておることを申し述べて、最後に、協定実施することは完全なる国民権利制限となると思います。それは主権者である国民合意を得なければならぬことは当然だと思います。よって、協定国会にかけて承認を得られるのか、あるいは新たなる立法を制定する必要があると思うか、総理はどちらを選ばれるか。私は、この二つのうちどちらかであろうと思います。また、先ほどの御答弁の中ではお迷いになっておられるようですから、あらためてお聞きしたいと思います。  すでに政府業界合意に達して自主規制実施貿易管理令の発動によって行なっており、官房長官歓迎談話も発表しております。しかるに、今度新たに主権を制限する協定を結ばれたのは、どのような合意に基づくものであるかということをお伺いしたいと思います。これで最後にします。
  29. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 私は、先ほども申し上げましたとおり、国会を軽視するわけではありません。国会決議、その趣旨に沿うのは当然のことだ、かように思いますが、しかし、政府がこの協定を結んでおるのは、いわゆる政府行政の範囲でできることをやっている、かように理解していただきたいと思います。
  30. 田澤吉郎

    田澤委員長 これにて総理大臣に対する質疑は終了いたしました。  なお、引き続き通商産業大臣及び官房長官に対して御質疑があればお願いいたします。  斉藤正男君。
  31. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 官房長官に伺います。  ジューリックとかケネディとかいう御人がはるばる飛んで来たわけでありますが、一体このアメリカ代表と称する人たちは、どういう資格で繊維交渉に乗り込んできたのか、その点をまず明らかにしていただきたい。
  32. 田中角榮

    田中国務大臣 私からお答えいたします。  八月十五日付で発表せられましたニクソン政策というものは、アメリカが当面する三つの大きな問題を処理することを目的として発表せられたものであります。その一つは、アメリカ国際収支改善する、もう一つは、恒常的な失業対策、失業問題に対するめどをつける、第三点は、インフレぎみアメリカ国内状態をよくする、この三つ政策目的を持って新政策ができました。そのために、大統領はその新政策に関する限り、一切の責任大臣は一人にしぼる、こういうことで、こうアメリカを代表する権限は財務長官に与えたわけであります。だから、外国との交渉に対しましても、大使館にはその権限を与えない。ですから、繊維の問題に対しても、商務省はその交渉権を持たないということでございまして、大統領が任命をした二人の特使、一人は大統領特命大使であるケネディ氏、前の財務長官でございます。それからもう一人は、同顧問として発令をせられておる大統領特命大使顧問のジューリック氏という二人に交渉妥結権はしぼられておる、こういうことでございます。
  33. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 そうすると、ジューリックにしてもケネディにしても、大統領の特命を持った正式の代表ということを日本政府も明らかにして交渉に応じた、そういうことですか。
  34. 田中角榮

    田中国務大臣 そのとおりでございます。これは内閣が最終段階で——私もちょっと初めはその資格に対して疑義があると困るので、あなたの権限は何ものなりやということを問うて、答えがございましたので、その後内閣がアメリカ大使館と連絡をとりました結果、アメリカの大統領府の権限を有する者はケネディ氏外一名であるという明確な答弁を得て行なったわけでありますから、この署名の相手方もケネディ特使でございます。
  35. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 そこで第二問を伺いたいわけでありますけれども通産大臣は、この協定によって繊維に関する課徴金は撤廃させる、さらに業界了解を必ず得るというような言い方をされております。  まず第一に、このことによって課徴金の撤廃が約束されておるのか。そしてまた第二は、業界了解を完全に得るという自信があるのかどうなのか伺いたい。
  36. 田中角榮

    田中国務大臣 課徴金は撤廃が実現をいたします。十月一日付で撤廃いたす見込みでございます。  第二点の業界の理解を得たいということは、全精力をあげて業界の理解を得たいということでございます。これはしかし、全部オーケーという場合もございますし、腹の中ではよくわかるけれども、とてもそう急にはできないという場合もございますし、いろいろございますから、それはこれだけの問題でございますし、政府がすでに七百五十億も対策を行ない、これからなお国民の税金その他を使って大きな救済をやらなければならないということでございますから、できるならば業界全体が、いままでは遺憾であったが、事ここまで来たら政府と全面的に協力してやりますというところまでいってもらうことが一番望ましい姿である、私はそういうところまで全力をあげて説得をするつもりでございます。ございますが、まあ確実に名実ともに了解が得られ、調印まで持ち込めるかどうかということは、私にも自信がございませんが、これはいままでの業界とのおつき合いから考えてみても、私は了解を得るべく全力をあげますし、政府の苦心の存するところを御理解いただける、こう思います。
  37. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 この四十四年五月時点の院の決議の際、当時の商工委員長大久保武雄君は、その案文の説明にあたって、「綿製品の自主規制を求めた取りきめ自身がガットの精神に反するといわれているのに、その協定の第一条にうたわれた、綿製品以外には波及させないという原則すら、これを破り捨てるということであったならば、今後、自主規制の要求が電気製品等他の産業品種に波及しないという保障はなく、日米間の貿易は非常な混乱におちいるおそれなしとしない」ということを大久保委員長みずからも言っているわけです。さらに繊維については、「米国側からこれを見るならば、米国内消費に占める輸入繊維品の比率は、昨年、綿、毛、化合繊で約七%、合成繊維のみをとるならば、わずかに三%にすぎず、わが国からの輸入はそのまた何分の一かにすぎないのであります。」というような説明をしておるのであります。  一体、今度の政府間協定によって他の品目に及ばないという歯どめがあるのかどうか。さらにまた、このような繊維アメリカの需給の実態からいって、あまりにも強引な押しつけだというように思わざるを得ないわけでありますけれども、あなたも閣僚の一人として、あるいは党の役員の一人として、当時の業者間協定についても歓迎し、賛意を表した一人であるし、そしてまた日米閣僚会議ではアメリカに行ってずいぶん吹いてきた。しかし、今日その衝に当たってみて、なるほど事態は変わったとおっしゃられましょうけれども、この大久保委員長みずから説明したほかの品目へ波及するおそれはないのかどうなのか、さらにまた、アメリカ日本繊維品の需要の状態がこのような状態であることを認識されての決断であるのかどうなのか、伺いたい。
  38. 田中角榮

    田中国務大臣 当時の大久保商工委員長が述べておる趣旨のことは理解をいたしております。おりますから、自主規制に踏み切ったことに賛意を表したのであります。ですから、当時の官房長官政府を代表して賛意を表しておりますし、私も与党たる自由民主党の幹事長として、党を代表して談話を出しております。でございますから……(「それなのに」と呼ぶ者あり)それはよく理解できますが、その間に事情は大きく変わっておるということだけは事実でございます。  これはひとつここでこの際ちょっと申し上げますが、これは自由民主党まで加わった院議になったという背景をちょっと私は申し上げます。ここでもってもし取り消す必要があれば、あとから削除していただいてけっこうです。そういう前提でなければほんとうの話は申し上げられない。ちゃんと申し上げます。  それは、この繊維交渉というものは、一九六八年の八月から始まっておるのですから、正味三年一カ月かかっております。それはニクソン大統領の繊維に対する輸入規制を行なうという宣言から始まっております。そして一番その中で大口である日本との間にどうしても政府間交渉を行なわなければならないということで、スタンズ商務長官が参りましたり、また大平・スタンズ会談、宮澤・愛知・スタンズ・ロジャース会談等々、何回も何回もやられた結果、最後にはワシントンにおきまして佐藤ニクソン会談において政府間協定を始めましょうという正式な合意が行なわれております。そしてその正式な合意が行なわれた後、政府間においては牛場・フラニガンという正規なルートにおいて政府間交渉が行なわれております。ところが、その後七一年三月に突如日本繊維産業連盟案なる自主規制にすりかわっておるのです。この前提に院議が行なわれておる、こういう事実でございます。それはどうしてそういうことになったのかというのは、アメリカに指摘をされるまでもなく、私はその一点を——いま遺憾な点があれば削除いたします、こう言ったのですが、外交交渉において政府間交渉を行ないましょうという合意に達しておって、条件がそろわなかったから決裂したということは例がないわけであります。これは日米間において沖繩返還交渉において合意をした、条件が整わなかったからこれはやめた、こんなことがあり得るはずはない。そういう合意に達しておって、条件が整わないでもってやめになった場合、起こったのは昔は戦争であります。それ以外に方法はないのです。この問題に対しては、そういうことが行なわれたのです。そのときにはなぜ牛場・フラニガン会談という正規なルートで協議ができなかったか。足して二で割っても協議をすべきなんです。なぜしなかったのかというところに問題があるのです。そのときに、これは牛場・フラニガンという正規な交渉では絶対にできそうもないということを政府も自民党もみなお互いが理解をしたわけであります。それでこの自主規制なるものを、事実の政府間交渉だということを裏づけるために、国会決議という強力な決議をもって裏づけをした、私は当時の与党の幹事長としてそう理解をしておるのであります。ですから、これは日本も引けないという最後のところでありますから、政府も自民党もみな賛成してこれは実際やったわけであります。そうでなければ、政府間協定をしますと言っておって、協定の途中でもってこういうものに変えられるわけはない。それには、私がここで申し上げるのはその一つだけれども、問題があります。それは、このままの交渉でもって牛場・フラニガン協定を結ぶと、いま現にある綿製品協定と同じものになってしまう。品種間のシフト率が規定をされておりますので、伸びるものも頭を押えられる。そして伸びないものは死にワクとなる。そうすると十七年間でもって実質対米輸出は半分になる。そういうことでは困るというので、このシフト間の協定ができないために政府間交渉がついにできなかったということでございます。  ですから、今度の協定は、初めの案は非常に強い案でございますが、最終的に協定をなしたものは、これからお互いが日米間で交渉していくと、いまの日本繊維産業連盟の自主規制をそのまま置きかえたというところまで何とか持っていけるかもしれないというものであって、これをアメリカが一方的に輸入規制をする案から比べると、非常に有利な案であるということは事実であります。そうでなければ、私はこんなものは結ぶはずはありません。ですから、そういうことであって、内容はどうせ商工委員会でもって十分、こまかく数字をあげて論議する問題でございますから、私はここでは政治的な背景だけを申し述べるわけでございます。  第一回、自主規制に変わらざるを得なかった、異例な変わり方をした。日本はこれで済んだと思っておりますから、政府官房長官談話も出し、与党の幹事長談話も出し、みな出しておるわけであります。ところが、アメリカは一向に済んでおらないのだ、アメリカ日米政府間交渉の糸は切れていない、日本が途中で何か言っただけである、どうしてもこういうことを日本が固執をするなら、アメリカはもう一歩進めて一方的規制案を提示いたします、その一方的規制案というのは、今度きめた協定よりもはるかに悪いものであって、これは一年間全アメリカへの輸出がストップする案であります。それは、もうこの半年間でもって一年間分くらい輸出をしてしまったのです。それはかけ込み輸出もあったでしょうし、いろいろなものがあるのです。一番最後に、調印する前の日などは、一年分の糸が一日でもって通産省に持ち込まれるというような大勢であった、そういう状態で糸はもう三五一、三年半分出ておるのであります。それだけではなく、台湾からは二十三年分出ております。韓国からは二十四年分出ております。ですから、アメリカはこれを食いとめるためには、日本だけではなく、全世界に対して十月十五日付をもって画一的、一律的な規制を行ないます、こうきておりますから、このままで突っ込んだならば、対米貿易はオールストップになる、こういう危険があったのでございます。ですから、それよりも、国会もございますし、決議もございますから、この背景でもって毎月毎月コンサルテーションをやって、死にワクの活用をはかってまいれば、私は業界が行なった自主規制に近い調整が何とか両国でできるであろうということで踏み切らざるを得なかったということでございます。  私は、この国会決議というものに対しては、それは峻厳に考えておる。そういう意味では、この国会の議決が表面的に出たものの事情はどうあっても、これとたごうような協定を結ばざるを得ないというときは、行政協定のいかんにかかわらず、最終的には国会の判断をまつべきである、私はそう公に発言をいたしております。おりますが、事情は全く変わっており、政府政府間協定を半年後に結ぶ意思があるならば、はっきり言って自由民主党の幹事長はこの決議に賛成をしませんでした。そうでなかった。この自主規制政府間協定だと強弁するには、あの当時としてはこれ以外にないということで、自由民主党を私はまとめたのです。自由民主党をまとめて、この繊維自主規制決議案に賛成のサインをしておって、今度は通産大臣になったら反対の調印をしなければならないというのですから、それはよほどの事情の変更がない限りそんなことはやるわけはありません。それはほんとうでございます。これから、数字的にどのくらいメリットがあったのか、どのくらいあぶなかったのかというならば、これはここに全部皆さんのところに数字で書類をお配りしてございますから、全部説明できます。具体的に説明できます。そういうことをひとつ御理解いただきたい。
  39. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 最後ですが、第一のお尋ねにお答えになっておりませんが、繊維だけで食いとめる確信、御自信があるのか。  それからどう考えても、アメリカのどうかつ、あるいは強制というものに屈服したという印象を国民は持つのですけれども、それらを一体どう理解させるかということについては、政府責任はきわめて重大だと思う。同時に、いま聞いてみればみるほど、院の決議は道具に使われたとしか考えられないような点がある。この点についてもよほど確固たる説明なり、理解を求める努力をしなければわれわれは了解できない。  そこで、三年とか五年とか言われておる。五年ならば国会決議を必要とするので三年でごまかしてしまうのだというようなこと、あるいはほんとうは、表面は三年といっておるけれども、実は五年間だというようなことも言われておる。この点はいかがでございましょうか。  以上三点についてお答えいただいて私の質問を終わります。
  40. 田中角榮

    田中国務大臣 まず、期限の問題を申し上げますが、行政協定には期限の長短は制限にはなっておらないようでございます。これは内容が問題であるということでございます。でありますから、いまある現行法の範囲内で行なわれるものということで、内容がございまして、原案にあったガットの規定その他を全部削除いたしましたので、これは行政協定でやれる、こういうのが外務省の条約局及び法制局の見解のようでございます。  それから三年とか五年とかいう問題は、これはそうであるから国会の議決案件である、そうでないから議決案件でないということではなかったということだけは申し上げておきます。五年を三年にしたというのは、これは短いほうがいいのです、業界自身を納得させるためにも、五年なんということで聞けるものではない、短いほどいい、こういうことで三年か二年を固執をした、こういうことでございます。  それから、他の品目に波及しないか、これはなかなかめんどうな御質問でございますが、私は、この協定にサインをしたときに、他の品目、このまま協定を行なわないで一方的な規制になりますと、これは自動車もやる、テレビもやる、電卓もやるということで、その過程においても全部出てきておるのです。五%、一〇%以上の伸びというものをこしておるものは全部対象になりますよ。自動車は二一〇、いまもうすでに去年の倍以上出ておるのです。もっと出るのです。実際三倍くらい出るのです。そういうもの全部、七品目ちょっと見ても、その平均が一五四でございますから、そういうものはどうにもならないという状態である。あれはさっき総理が言ったように、オーダリーマーケティングの問題で、お互いに秩序ある輸出体制をとらなければいかぬ、これはどこでもなるほどということで考えますから、その意味では繊維だけはこういうことはやむを得ない、しかし、これを仮調印する場合に、他の品目に及ぶようであるならば、私は容認いたしません、私が通産大臣である限り協定はしませんよ、こう言ったのですから。今度こんなことをやるなら通産大臣はやめなければならぬかもしれない、そういうことなら別ですが、いずれにしても私がこの席におる以上は、他の品目に及ぶような案を持ってきても乗りませんよ、こういうところまでは強く意思表示をいたしております。いたしておりますが、全然日本側にそういう要求をしてこないということを向こうは絶対に発言いたしません。いたしませんが、私はいろいろな状況から考えて、とにかく日米間の品目別の問題には、まだいろいろな問題が存在するということは理解いたしております。
  41. 田澤吉郎

  42. 近江巳記夫

    ○近江委員 今回の仮調印業界意向を無視して、また国会のそうした決議あるいは商工委員会のそうした決議というものを無視されて政府仮調印されたわけでございますが、直接の担当責任者として田中大臣はどういう反省を込めた感想をお持ちか、ひとつ伺いたいと思います。
  43. 田中角榮

    田中国務大臣 先ほど申し上げました中で、決議を道具に使ったかという話もございます。そんなことは全然ございません。そういう気はごうもありませんので、そういうふうにおとりになるならば、その部分全部削除していただきます。私は、委員会、本会議決議いかんを問わず、院の決議は最重要なものである、こういうふうに考えます。私はそういう意味で、事情のいかんにかかわらず、このような決議、これは時間があれば、私は国会のこの決議に対して、こういう事情でございますから、政府はあの決議を取り消していただくような要請をやはりして、結ぶべきだと思ったのです。だから、私は自民党の議員総会では述べたのです。皮肉にも国会召集の前日がその限度であった。十六日から国会が召集される、向こうは十五日が限度であった、こういうことで、詰められておるというところに非常に問題があるのだということで、私はその間の事情は与党だけではなく、野党の方々にもお会いしまして述べてございます。述べてございますから私は免責されるなんて考えておりません。私も少なくとも二十五年間議席を持つ者でありますから、私はそういう意味ではまじめなつもりで申し上げております。それだけではなく、衆参両院商工委員会においても、その間の事情をこまかく述べまして、いま調印をいたしますということをここでは言明はできませんが、もう避けがたい状態まで来ておりまして、最後には結局院議というものに対して非常に拘束をされておりますし、精神的にもたいへんな負担を感じておりますが、しかし、国益を守るということ、このままでいってしまうならばオール損になる、これを食いとめて他に波及しないということが約束できるならばという気持ちもありますので、ぎりぎり追い詰められた状態でございます。政府間協定に移行せざるを得ないかもわかりませんというところまで両院で答えております。ですから、まあそれならほんとうに議運でも商工委員会でも決議をいただいておくべきだったと思います。将来私は二度とこういうことはやりませんから。どうしてもやらなければならぬ場合には、やはり院の意思をきめてもらってからそれはなすべきであると、私自身はそういう点に対しては理解をいたしております。
  44. 近江巳記夫

    ○近江委員 それから、この国会決議のそういう裏話といいますか、その辺をお伺いしたわけですが、何か一つ方法論として国会のわれわれの決議をとっている、これは私はけしからぬことだと思います。ですから、その点どういう反省をされているか、簡潔にひとつ……。
  45. 田中角榮

    田中国務大臣 いま前段に申し上げましたとおり、先ほどの御質問にございましたように、何か道具に使われた状態に私の当時の事情説明をおとりになるようなら、そうとれるような発言がありとせば、それは全部取り消させていただきます、こう言っておるのでありますから、院の決議は事情のいかんにかかわらず尊重すべきものである、こういう原則的な姿勢を明らかにいたしておりますので、もうその点は、私のいままでのお答えで御理解をいただきたい。
  46. 近江巳記夫

    ○近江委員 自主規制が一応きまって、七月から実施されたわけですが、その時点で一応これで解決したのじゃないか、そういうような判断をされて、官房長官もああいう談話を発表されたわけですが、政府のそういう受けとめ方、その辺政府アメリカ意向を洞察していない、こういう点における責任は私は重大だと思うのです。この点についてはどうお考えですか。
  47. 田中角榮

    田中国務大臣 それはこの協定のメリットの中に数えられている一つの大きなポイントでございますが、牛場・フラニガン会談というのは、先ほど申し上げましたように、今度の協定の第七項、いわゆるシフトとトリガーという問題がある。シフトというのは、品物をきめてございまして、そしてその中でもってうんと伸びるものは頭打ちにする。これは総ワクで、対前年度比の実績の五%増しということになっておりますから、伸びるものは頭で押えられてしまう。そうすると、あれはきわものというか、非常に流行を追うものでございますから、去年はうんと売れたものでも、ことしは半減してしまうということがあるわけです。ですから、そのワクが余るわけです、死にワクが。それを、出るものに全部移しかえがきけば、いまの自主規制と同じことになる。五%ワクまでは全部やれるということ、五%以上はやりません、こういうことでございますから、そうなるのですが、それをやりたくない、そういうことになると、日本というものは、やはり非常に対米輸出が大きくなってきておりますから、そういう意味では、そのシフトの問題に関しては、どうしても政府間交渉では、役人同士では話がつかない。つかないから、あの自主規制では、総ワクを五%で押えるなら、ほうっておけば三〇%も五〇%もふえるものを、五%で押えるのだから、アメリカは言うことを聞くべきである、こういう判断のもとにやったわけであります。ところが、アメリカは、先ほど申し上げたとおり、政府間交渉をやっておって、途中で消えてしまったということに対して相当問題にしておるという政治上の問題が一つあります。もう一つは、その後日本が、ワクの中に入っておらなかったものが、三年分も糸がばあっと伸びてしまったり、いろいろな現実的にすごい輸出になっておるのです。実際申し上げると、これはたいへんな輸入になっておるのです。そういう意味で、倍、三倍になる。自動車をいまばんと目の前に出してくるわけにいきません。だから、何でも日米の間でもって、予告なしでもって、自動車が三倍になったから政府間交渉しよう、規制をしよう、そんなことができるわけはない。ですから、三年間も続いておる繊維ですから、これをどうしてやらないんだ、はっきり申し上げるとこういうふうにきたわけです。そこはもうお互いに理解できると思うのですよ。  ですから、そこでもって繊維交渉をしなかったら、あと何がくるか。あと五品目も七品目もくるでしょう。向こうはちゃんと用意しておる。ですから、ぎりぎり一ぱいの状態において、私としては結局、アメリカの原案どおりではいかぬから、牛場・フラニガンの膠着したシフトとトリガーにメスを入れようというので、最後のどたんばで、この協定の中にメスが入ったのです。死にワクの活用については、日米双方で議題として解決する、このたった一条が入らなかったために、自主規制のかっこうをとらざるを得なかったし、政府間交渉を認めることができなかったわけです。そうして、これは前文が入ったのは、日米繊維貿易を規制するものではない、正常な貿易を発展せしむるための協定だという前文を入れて、そうして、どうしても政府間で解決をできなかったシフトとトリガーに対しては、死にワクの活用に対して政府間において合意を求めるように話をします、こういうことができましたから、最終的に協定に踏み切った、こういうことであります。
  48. 近江巳記夫

    ○近江委員 最後に一、二点お聞きしますが、政府行政協定とされておるわけですけれども、それをするには、新規立法措置とか、あるいは多額の財政支出を必要としないとか、あるいは在来の輸出における国際的な権利を放棄しないとか、あるいは長期協定であってはならないということなどが条件になるのではないか、このように聞いておるわけです。そうしますと、政府は、今回のこの協定を、これらの条件から考えてみたときに、行政協定とした場合に実際に問題がないのかどうか、これが一点です。  それからもう一つは、少なくとも政府間協定をやったとしても、業界が猛反対しておるわけです。ここで訴訟までやる、そうすると、業界の協力がなければとうていこれはできないということがわかるわけです。それに対して政府は、貿易管理令の運用をしよう、このように言っておられるわけですが、繊維品の輸出規制というのは、外国為替及び外国貿易管理法第四十八条の、輸出承認への政令制限というものが「国際収支の均衡の維持並びに外国貿易及び国民経済の健全な発展に必要な範囲をこえてはならない。」という同条二項の規定に反するのではないか。ですから、この貿易管理令の発動というものはおかしいのじゃないか、このように思うわけです。  その二点について簡単にお聞きしたいと思います。
  49. 田中角榮

    田中国務大臣 政府行政協定として国会承認案件でないとするならば、それは堂々たる法律上の根拠がなければ、疑義のあるものなどで政府だけでやれるものじゃありません。それは私は、議院内閣制の立場から考えますと、これはアメリカのように直接選挙は行なわれておるわけではない。大統領選挙はない。議院内閣制である。拒否権を持たない内閣ですから、それはあたりまえのことだと私は考えております。ですから、法制局が、これは行政協定であります、こういうことを言うのには、そういうあなたがいま指摘されたようなことは全部配慮してある、純然たる行政協定の範疇にあるものだ、私はそのように理解いたしております。ですから、これからでも、そうかどうかということで、協定成約の場合までのことを政府に今度説明を求められる過程において、それらは全部明らかになることである、こういうふうに私は理解しておるわけであります。  それから、貿管令の問題、これは為替管理令と貿管令によって調整しておるのですが、いままで政府間交渉ができないといったのは、あなたがいま言っていることを政府がそのまま言っておったのです。それは、貿管令というものは法律ではやれることになっておるが、これだけのたくさんなものを、業界の協力なくしてはだめだ、表向きはどうあっても、中身は協力を得なければそれは実際できませんですよ、とこう言って私はずっと断わってきたのです。そんなものはだめだ、実際はだめです、こう言って断わってきたのです。それは百六、七十万人もおり、百五、六十も組合があり、それに割り当てや何かのものを協力的にやってもらわなければ、輸出割り当てもできない、調整もできないということですから、それはたいへんなことなんです。ですから私も、そうでなければ、通産省の役人を何十倍にもしてもらわなければ実質的にできない、こういうことで大蔵省に、これをやるなら予算を計上しろ、こう言ったのです。そこまで私は言ったのですから。実質的には法律どおりにやるわけにはちょっといきません。協力がなくちゃだめなんです。ですから、これがうまく進むとすれば、表向きはどうあっても、幾らか協力を得ているのだなあということを理解していただけると思います。そうなんです、そうでなければやれないのですから。  しかし、これは絶対に、もう協力が全然なくて、全部法廷で争うということになると、二つの問題が起こってくる。一つは、法律で仮処分をしてくるという問題が起こります。もう一つは、現実的に、アメリカへ出しても通関が全部ストップするという問題が起きてくる。これはどうしても非常に大きな混乱が生まれることであって、これは通産省と業界との間に十分話をしなければいかぬし、業界だけじゃだめなんで、組合にもいろいろ話をして、何とか、アメリカの一方規制を受けるよりもいいんだ、こういうことを理解してもらわなければ、とてもこの仕事は、ほかの仕事とは違って、なかなかむずかしい。オールストップの状態を覚悟しないと、法律だけではとてもうまくいかないというのが実情のようでございます。
  50. 田澤吉郎

  51. 塚本三郎

    塚本委員 通産大臣の話を聞いておりますと、取り消しを前提として十五分もお説教をいただきまして、これは事情はよくわかるのです。まあ事情を知っていただくために、取り消しを前提としてそういうことを御説明いただいたのですけれども、そういうことを聞けば聞くほど、私たちは、あの決議というものは、自民党の皆さま方には言ったけれどということだから、いわゆる牛場・フラニガンにおけるきまりかけたきわめて悪い中身というものを破るためにこの決議をなされた。そうすると、もうそれが拘束力となって、実はその当時、政府間協定国民立場からいうならば、最も悪いものは破ることができたという意味で役に立ったと思うのです。しかし、今日の立場になると、もうすでにあのときの決議は、実は一つの使命を終わったのであるから、そんなに重視しなくてもいいというふうに、少なくとも私は受けているのです。それは通産大臣が何度そうでないとおっしゃっても、ならば、通産大臣ほどの国会運営のベテランが、そして先輩の竹下さんのような国会運営のベテランがおいでになって、先ほど答弁いただきましたような、通産大臣は少なくともこの決議を無効にする決議を出そうと思ったというところまでおっしゃるのだったら、いわゆる大番頭であります通産大臣なりあるいは官房長官が、少なくともわれわれが尊重する議長さんか副議長さんに対して、おいでになりませんでしたということだけで、こんなところで答弁されては、私はきわめて遺憾だと思うわけです。それが事情のおわかりにならない方ならばともかくとして、しかも通産大臣は、院を大事にするがために決議の無効の決議までしていただこうというような発言まであったほどです。そこまで院をお思いになっておるなら、なぜこんなりっぱな議長さんや副議長さんに了解を求めずに踏み切られたのか、私はその点はきわめて不満だと思うのですが、どうでしょう。
  52. 田中角榮

    田中国務大臣 決議の問題に対しては、私は明確にしております。決議は、委員会の決議であろうが、本会議決議であろうが、その背景がどうあろうが、院の決議は最重要なものと理解をすべきであるし、そう対処すべきであるということはもう明確に言っておる。前にいろんなことがあっても、それは別にして、結論はちゃんと申し上げております。これは公の立場で申し上げております。  もう一つ、あなたがいま言ったように、これはそういう決議があるのだから、院の決議を取り消していただかなければならない、そうでなければ、その事情を了解をしてもらうような、商工委員会決議でもとるような配慮をしなければならなかったといま思いますということであって、それをしなかったのだから君はいかぬのだよと言われれば、そこで私は頭を下げているのです。それは時期もなかったし、そういう非常に追い詰められた時間であって、私は時間があれば当然そうすべきであったし、きょうここへ呼び出されて皆さんに究明を受けておれば、いま言われたとおり、それはまだなすべき仕事はあったのじゃないかといま思いますという、いまの真情を吐露しておるのです。ですから、そんないいかげんな話はしておりません。  私は、そういうふうにいまの立場でもって申し上げておるのですから、私自身にそれは手落ちがあった、もっと配慮すべきであったというおしかりは十分理解できます、とそういうことを言っておるのですから、この決議に関しては、私は一番その問題を頭にして、これを調印したときの新聞記者会見の第一に、私のこの行為に対しては一切院の判断に従います、こう答えておるのですから、相当深刻な気持ちであるというくらいはひとつ御理解いただきたいと思います。
  53. 塚本三郎

    塚本委員 ちょっとこれはあとからのことだから、いまさら申し上げてもせんかたないことではありますけれども、この点は、しろうとの方ではございません、国会運営の大先輩のお二方でございますので、それが業界を工作なさらずに踏み切られて発表されたということは、民社党として重ねて遺憾の意を表明しておきます。  最後に、この協定国会にかけないし、新たな立法もなさらないようなにおいがどうもするわけでございますが、これは業界とそこに働く労働者にとってはたいへんな権利制限でございます。少なくとも一労働組合であります全繊同盟だけでも、おそらく直ちに五万人の失業者が出る、といま深刻な受けとめ方をしております。そういう重大な権利制限であるのに、それを国会にかけずに、いわゆる行政の範囲内でやりたいと思うという総理発言がありましたが、あらためてその点に対して、国会にかける必要がありはしないかという問いかけをいたしますので、お答えをいただきたいということと、それから、それに対してどのような万全の策を考えておいでになるかということと、最後に、実は今日まで、さなきだに繊維産業はすでに斜陽産業商工委員会でも口ずさまれたことがございます。それは、特に労賃の安い後進国等の追い上げ等もありますので、だからこそ、構造改善の道を進んできました。にもかかわらず、ここで政府ががらっと方向を変えなければならぬということになりますので、全くいわゆる経済の中における政策転換を繊維に関してはするということになるか、その点だけお伺いして、私の質問を終わります。
  54. 田中角榮

    田中国務大臣 協定案としては国会でその事情、内容等十分御説明をすべきことは当然でございますが、これは国会の議決案件になるのかならぬのかということは、憲法の規定、法律の規定によって、三権でおのずから固有な権能というものを与えられておるわけでございますから、これはそういう意味で、議決案件でなくてもその間の事情を国会に十分申し上げるべきであるということは別にしまして、これが国会の議決案件になるのかならぬのかというのは、純法律的な問題でございますので、私は、いまの状態においては国会の議決案件ではないということで、法制局及び外務省の条約局は行政協定であるということを言っておりますので、私自身こまかい専門家じゃございませんので、立法府の議員でありながら法律の解釈問題ということになるとなかなかむずかしい面もございますので、これはやはり専門家の判断にゆだねる以外にはない、こういうふうに思います。  それからもう一つ、事後処置、産業対策は十分やってまいります。  それから、繊維に対して、ただやはりいまの繊維全部そのまま自然発生を認めて伸ばしていくということが可能なのかどうか、私は、それは必ずしもそう思わない。実際において、いま七十万台の織機がございますが、いま七十万台の織機が完全に稼働すると、いまの輸出の倍以上も生産できるということでございますから、やはり転廃業する者には、スクラップ・アンド・ビルドというのか、政策というものの洗い直しもある意味においては必要なんじゃないか。そういう意味では国会の皆さんの御意見その他も十分に伺わなければいかぬだろう、こう思います。
  55. 田澤吉郎

    田澤委員長 松本善明君。
  56. 松本善明

    ○松本(善)委員 通産大臣に簡潔にお聞きしたいのですが、通産大臣先ほど答弁であれば、院の決議を取り消してもらってからやればよかった、しかし、時間もなかったし、一方的規制をされるよりはいいから踏み切ったという趣旨に伺います。私どもは、これは院の決議の無視であるというふうに考えておりますが、通産大臣は、少なくもこれは院の決議の趣旨には違反をしておる、こういう判断をされたからこそ、いまのような発言があったのではないか、その点についてはいかがお考えでございますか。
  57. 田中角榮

    田中国務大臣 立法府の議員としては、精神的な考え方としては、立法府の決議は最優先すべきものである。だから、違法性とか妥当性とか——違法性の前に、まず違法でないというよりも、妥当性の議論から考えると、私は精神的には、私自身が院の決議を最優先にものを考えるということは皆さんと同じであります。しかし、あなたが言うように、三権の中の国務大臣が連帯して国会責任を負っておる立場で、これは明確な国会決議違反だという発言には、そのままそうでございますとお答えできません。
  58. 松本善明

    ○松本(善)委員 通産大臣決議違反だということをお認めにならないことはよくわかっておりますが、少なくもいままでの発言では、趣旨に反するというふうに思うからいままでの発言があったのではないか、こう思うわけです。その点はいかがかということをお伺いしたわけです。
  59. 田中角榮

    田中国務大臣 私は、ほんとうに申しわけございませんが、私もまだ通産大臣になってから非常に日も浅いし、非常にがたがたしておりましたので、こういう問題の質問に対しては誠意をもって答えるべきたという考え方から、少し要らないことを申し上げたかもわかりませんから、これがまたいろいろあなたのいまの発言のように、各委員会で引用されるということは、私としても困るのです。  そういう意味で、最後に、国会決議に関しては、先ほど私が最後に答えた、これは最優先すべきものである、私もそう考えておりますという解釈だけで、あとの部分はひとつぜひ取り消さしていただきたいということをお願いするつもりでございましたから、どうぞこれはひとつお願いしておきます。
  60. 松本善明

    ○松本(善)委員 最後に伺っておきたいのですが、先ほど通産大臣は、そういう経過もあるからこの問題については一切院の判断に従いたいという発言をされました。であるならば、この協定について国会承認を得るかどうかという問題について、単なる法律的な見解というだけではなくて、進んで政府国会にこれを提出をして、その承認を求めるという措置をとるべきではないかと思います。その点についての通産大臣の見解を伺いたいのが一つ。  それからもう一つは、先ほど通産大臣は、これを踏み切った原因は、一方的に輸入制限をやられるよりはましだからということを言われました。そのアメリカ側が一方的に輸入制限をやるということの根拠、特に対敵通商法との関係からいろいろいわれております。その根拠はどういうところにあったのかということを伺いたい。  その二つを伺います。
  61. 田中角榮

    田中国務大臣 国会の議決案件として提出をするような状態にいまないということは、総理大臣もお述べになりましたし、私自身も、法律技術的な、法律家の意見は、これは行政協定であって、政府の専権に属するものであって、国会の議決案件ではないといわれておりますので、そう理解しております、こうお答えする以外ありません。  それから、一方的な規制というものは一体何を根拠にしているか。これは向こうは明確に言わないのですが、何か一ぱいあるのです。これは対敵通商法もそうでありましょうし、通商拡大法、農業法二百四条、それからそのほか銀行法というのがあるのです。とんでもない法律があるのです。何か総動員時代のものであって、国民生活とか経済的に非常にめんどうなときにはやれるような何かいろいろな法律があるようでございまして、これが発動されておると、何によって発動するかということで、発動は未然に防がれたわけです。向こうも何によってやるということは明らかにしていないわけでございます。しかし、アメリカは、専門家が、結局幾つも発動できるものがあるので、繊維はこれでやる、別なものはこれでやる。農業法二百四条でやる場合には、一体石油製品は農業の物件か、こう言ったら、それは別でやるのです、こういうことでございまして、アメリカ側としてはやれる。課徴金制度を現にやっておるわけです。一〇%の課徴金を通商拡大法によってばんとやって、いま実行しております。ですから、それは日本においては、法治国ですからなかなかやれないと思いますけれどもアメリカのほうはアメリカの法制でやるのでありますから、これはいかんともなしがたい、こういうふうに思います。
  62. 田澤吉郎

    田澤委員長 これにて両大臣に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  63. 田澤吉郎

    田澤委員長 明日の国務大臣演説に対する質疑は、まず日本社会党の赤松勇君、次に自由民主党の小坂善太郎君、次に公明党の矢野絢也君の順序で行なうこととし、発言時間につきましては、日本社会党四十分以内、自由民主党及び公明党三十分以内とするに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  64. 田澤吉郎

    田澤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。     —————————————
  65. 田澤吉郎

    田澤委員長 次に、次回の本会議の件についてでありますが、次回の本会議は、明二十日水曜日午後一時から開会することといたします。  また、次回の委員会は、同日午前十一時理事会、正午から委員会を開会いたします。  本日は、これにて散会いたします。    午後五時五十二分散会