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宗像参考人 ただいま近江先生から御指摘の点について、近江先生が御理解なさっておられますことと若干筋が違っている点もありますので、よく御説明申し上げたいと思います。
もともと
原子力の
研究に
関係して自主、民主、公開というようなことを守らなければならないということは、私重々よく
承知しておりまして、先年いろいろ先生方から御指摘がありましたころに、印刷いたしましたもので先生方にもよく御説明申し上げまして、ことに公開という問題についてはどうするんだということで何度か御説明申し上げまして、御
了承をいただいたその当時の所信とちっとも変わっておりません。
ただ、私いつも
考えておりますが、いま先生が御指摘のように、
原子力の問題は
研究している者自身もベストを尽くしておりますけれ
ども、全部真理をうがつだけに行き届いているわけではありませんので、いろいろこれに
関係して、これに関心をお持ちになる
一般の方々に誤解を招かないようにしなければいけない。決して隠すことじゃない、しかし誤解を招かないようにしなければいけないということは、いつも強く
考えております。誤解を招いたために、せっかく国のたくさんの費用を投じて
日本一の
研究環境をつくっていただいて、そこで
原子力の自主、民主的な
研究をしていこうとするその
成果が間違って伝えられて、そのために多くの方々の御期待に沿い得ないようなマイナスの結果が出てはたいへんだということも案じております。
いま御指摘の例について少し申し上げなければならないと思いますが、十月十五日のことでございますけれ
ども、十月十七日の河北新報の記事によりますと、十月十五日から二日間にわたって仙台市で開かれた北
日本漁業経済学会で、
原子力と漁業
公害ということに
関係した件で発表することを申し込まれたのでありますが、いままでもわれわれと
関係している
人たちが、われわれとしてはきわめて公正なつもりで発表するのを、聞く方々が非常に曲がって、違えて、われわれが言っていることと全く違ったことに解釈なさって、そして新聞にお出しになったり、あるいは印刷物につくってみんなにお知らせになったりするようなことがありますので、発表する場所のことについて非常に
注意しなければならないということを何度か
経験しております。
今回のものもそれについて非常に心配しました。この心配するのは、
原子力研究所では、あそこにたくさんの
研究者がおります。その
研究のしかたや
研究の
成果については、まだ私自身も非常に不十分だと思って恥じておりますが、その
研究をしている
人たちは、いずれは、やがて
日本の国で
原子力の
開発が盛んに行なわれるときに、それに一緒になって自分も発展していきたいということをみんな——みんなといいますか、大部分の者はそれを信じて、そのために
努力しているわけであります。私
どもも
原子力研究所にいる
人たちがみんな育って、そうして
日本の
原子力開発と一緒にどんどん伸びていくことを期待しておるわけであります。ところが、そういうふうになるためには
原子力研究所は信頼される、実力のある
研究所にならなければならぬと私
どもはそのために日夜
努力をしているつもりなのでございますけれ
ども、聞き手が少し違ったように解釈されるようなところへ出ていって話をされると、現にそういうつもりでないといって、話した
人たちが帰ってきても、すごく意に反したことを言われたということで憤っている例さえあるくらい、聞き手について十分
考えなければならないということを実際に知っておりますものですから、誤解をされるようなところに、ことに
研究者ですと、行きまして話はする、
あとで
質疑応答があったときに、ついとてつもないようなところのことを答えなければならないというようなことになりまして、それがもとになって誤解を招くということが往々あるものですから、それで私
ども非常に慎重にしまして、そういうことのないように、この福田、中島両人については、山本東海
研究所長がよく当たりまして、それでことに中島は
研究員で理学博士ではありますけれ
ども、この人は分析する機械の改良をすることだけしか知っていない人なんですね。そういう人がよそへ行っていろいろなことをしゃべること、もちろん常識的に知っていることをしゃべることは一向差しつかえないともお思いになるでしょうけれ
ども、それを飛び越えた質問が出たときに答えざるを得なくなって答えてしまうというようなことがあるものですから、それに福田はその漁業
関係のほうに若干近い
研究をしておりますけれ
ども、その人となりから見て、やはりそういう心配が——もしもほんとうにこの学会が正式に
理事長に宛てて依頼があれば、私が責任を持ってもっと適当な人を派遣する自信は十分ございますので、そういう人を派遣しなければ、
原子力研究所は、せっかく
原子力研究所の多くの人が
原子力の
開発のために良心的な精進をしているのが曲がり伝えられること、それはいずれば
原子力研究所の
人たちが
原子力の
開発とともに発展していくのを阻害するというふうに
考えますので、これは
理事長として
原子力研究所を担当し、
研究者を育て、技術者を育てて将来の
日本の
原子力開発に信頼される人材をつくって送り出そうとするのにそむきますので、そういう点で私はこの山本所長がとった処置はこれでけっこうだ、私が責任を持つからよろしいということを言って、これをしたわけでございまして、決していま近江先生がおっしゃるように民主、自主、公開のうちの重大な公開を踏みにじって隠したりなんかするということは一向ないわけでございます。
よくその点の事情を、私は口がへたでございますから尽くしませんかもしれませんけれ
ども、
原子力研究所の中の
人たちが誤解をされて発展しそこなうようなことが起こるような、
原因になるようなことが
原子力研究所からは出ないように、出ることは
原子力研究所の
人たち、
原子力研究所を盛り立てていくのに非常に差しつかえると私は思いますし、追っては
日本で
原子力的に誤解を招くもとじゃないかしらというふうに思いますので、私はその処置を私の責任においてよかったというふうに
考えております。