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渡部(一)
委員 そこで、私はここのところで申し上げておきたいことは、このように
米軍というものが——先ほどから時間ばかり食っておりますから、話をパッカード国防次官の、この会における十月二十八日の説明の中から、一言申し上げておきたいと思います。
これは、中にはどんなことが書いてあるかといいますと、この中では、いろんな
協定やら何やらの説明があった後に、「
日本の自衛隊が
沖繩の
防衛任務を引き受けるに伴い、国防総省は年間約三千五百万ドルを他の任務に振り向けることが可能となる。このことは、われわれの部隊の一部が引揚げて他の任務につくことを
意味し、その限りにおいて、われわれは年間大体のところ三千五百万ドルの節減を実現しうるのである。」お金の話です。もうかるぞという話をしておるのです、向こうは。次に、「
行政責任の移管は、
米国にとつて、年間約二千万ドルの節約になる。これは、沖網
返還交渉の開始決定以前の援助支出も含めた米民
政府運営費であった。この金額は
復帰を見込んで、すでに大幅に削減されている。」その次に、「現在われわれは
沖繩で基地として使用している民有地を賃借している。
安保条約及びこれに関連する地位
協定の
規定によれば、
日本は
米国に無償でわれわれの必要とする施設・区域を提供する。従って、現在年間一千万ドル以上も掛つている
沖繩の地代は、
復帰とともに
日本政府によって区引き受けられる。」その次、「現在の
沖繩では、軍が必要とする現地人従業員を直接雇用している。しかしながら、
日本では、必要な現地人従業員の提供のため
日本政府との間に基本労務契約を
締結している。従って、
日本における現地人従業員は、
日本政府を通じて間接的に雇用されている。この制度は、
日本での現地人従業員との間の労務紛争を著しく減少させるという大きな利益がある。われわれが基本労務契約にもとづき支払う賃銀及び給付は、
日本政府が
政府自体の職員に支払っているものと実質的に同一のものとなるので、われわれが
沖繩で毎年行なっている賃銀
交渉は、なくなるであろう。」こういうふうに片っ端から述べているわけであります。
ここにあることは何か。ここのパッカードさんというのはどういう方か、私はよく存じませんけれども、非常にもうかる話を、非常に丁寧に述べてあるわけであります。
アメリカはもうかるぞと、
沖繩は
日本に返して大もうけだと、あれも
日本、これも
日本、この紛争も
日本と、最後には、ここに読み上げませんでしたけれども、基地の警備なんというやっかいな問題についても、軍事力を使わないで、
日本の悪名高い機動隊、まあ悪名高いとは書いてないが、そういう機動隊におまかせできるのだ、けっこうなことじゃないかと、一生懸命書いてあるわけであります。
このように
アメリカのほうの説明というものを私は考えてみますときに、
アメリカは
沖繩返還協定の実施によって、まず経済的にもうかるんだということが
アメリカのほうの口から明確に述べられていること、そうして、このロジャーズ長官の口から言うならば、
米軍基地というものは、これ以上維持すればもう危険な
状態になるという危機感が明瞭に述べられているということ、この二つは、私はまさに重大だと思うのです。だから、
沖繩返還協定は、特別の恩恵として
アメリカに
日本が返してもらったものではない。
アメリカは、大もうけの種として今後
米軍基地を
日本に渡そうとして返してくれたにきまっておる。私は、これについて
総理も
外務大臣もしゃべってくれと頼んではおりません。こんなこと言いにくいだろうと思いますが、私が一方的にただしゃべります。
こういう状況にあって
佐藤さんは呼びつけられて、
沖繩基地を渡されて、これを今後はしっかりお守りしろよ、そして
米軍に貸すんだよ、東南アジアの
防衛も引き受けるんだよ、少しお金もたまったから、少しお金も出すんだよ、いいかい、今後もしっかりやるんだよと、頭をなでられて帰ってこられた。そういうやむを得ない状況におありになったということが言えると思うのです。
このような状況にあるときに、
沖繩の
返還協定というものに対してあまりにも条件が大きくつき過ぎているということは、私はあまりにもあまりだと思うのです。これだけの条件を考えてみたって——
沖繩返還というものが、それこそ私はむぞうさにできる
交渉だと言っているわけではない。しかし、
沖繩返還というものに対して、少なくとも三条以降につけられているような
米軍基地の強大な存在を、もうそれこそ引き受けておいて、たくさんのお金を払わせられておいて、なおかっこのようなたくさんの
日本の主権に対するブレーキをかけられておって、そうしてなおかつこれに対して
文句も言わないで、ただその
国会の通過をはかるとしたら、私はそれはちょっとおかしなことじゃないか。少なくとも、この
協定にはたくさんの不満がある——不満があるということは先ほども述べられた。その不満というものは多少あるがと述べられた。その不満が、多少どころではない、たくさんある。このたくさんの不満というものを何とかしょうと考えることこそ、まさにここにおける審議の対象になるべきだとぼくは思っておる。ところが、
政府のほうは、ともかく
沖繩返還協定は無傷でここをかけ抜ければいいというふうにいこうとする、これをただ阻止しようとするというだけでは、論理は発展しないと私は思う。いまこの
返還協定という難物をかかえて、私は、この
返還協定の伴う
日本国主権に対する大きなブレーキと、そして
日本が当面しなければならないたくさんの危険と大きな財政的支出というものをいかにブレーキをかけてやっていくか、そこにまさに
問題点があるんだと思うし、それについての努力を今後どうするかということをまず伺ってみたい、こう思います。
〔
発言する者あり〕