○曽祢
委員 けさ早く、
アメリカの上院におきまして
沖繩返還協定が通過いたしました。これで百万の
県民、一億の
同胞の悲願であった
沖繩復帰実現に関する
アメリカ側の障害がなくなったようであります。
三年以前から、いまはなき
西村君の提唱によりまして、当時まだ
ベトナム戦争が続いているのに早期
返還は困難ではないか、あるいは、早期
返還ということになれば、やはり
基地の自由使用とか核兵器が残るというようなこともあるのじゃないかという懸念もあったし、また、他方においては、
基地なき
沖繩の
返還でなければ絶対にいけない、
安保破棄、こういうような全面即時無条件
返還という声もありましたさなかに、
ベトナム戦争継続中といえ
ども、早期核抜き
本土並み、これで
沖繩の
返還をやらなければいかぬということを言いました。私は、率直に言って、これが
わが国民のコンセンサスをつくることに大きな役割りをしたのではないかと思います。
さらにその後、去年の五月、六月のころには、私も一緒に参りましたが、民社党の
国会議員団が
アメリカの議会、
政府筋をたずねました。民間外交として、早期核抜き
本土並みの原則でひとつやっていこうじゃないかということを申しました。幸いに、早期核抜き
本土並みに関する民間外交としての一つの軌道をつくることに成功したと思います。
私は、そういう
意味で、今度の
沖繩協定については、事、戦後処理の問題でもあるし、非常に内容的に多くの不安、不満がございます。しかし、絶対にこれを全部やりかえる、あるいは
協定粉砕、こういう
立場でなく、何百万の
国民、また多くの何十万の
県民諸君は、やはりこの内容が最後の最後までもっとベターなものになる、そうして早期
返還にしてほしい、こういういささか割り切れない
気持ちで
協定の
審議を見ておられることと思うのです。私は、そういう
意味で、きょうは、
いろいろの内容についての不満点もございますが、ごく重要な点だけに限りまして、そういったような世論をバックにいたしまして、民社党を代表いたしまして御
質問いたしたいと思います。主として
総理から簡潔に御
答弁を願いたいと思います。
項目だけ先にあげますと、第一には、返避
協定そのものが前文でうたっている一九六九年の十一月の
佐藤・
ニクソン共同声明、これがやはり
協定の基礎になっておる。特に第四項の問題と、これが今後
返還後の
基地自由使用に通ずるおそれがあるのではないか、これが第一の問題。
第二の問題は、
返還時点において核兵器がなぐなる、その後は核兵器の持ち込みは許さない、この問題についての詰めがまだまだ足りないと思います。
第三は、情勢の変化に応じて
基地の大幅縮減が
返還前といえ
どもなされるべき情勢に至っておると思うので、A、B、Cの内容についてこの点に対する不満がございます。
第四点が、問題になっておるVOA、これの早期撤去をもっと真剣にやるべきだということであります。
さて、まず第一点に触れますが、これはもう御
承知のように、
共同声明の第四項で「
韓国の安全は
日本自身の安全にとって緊要である」「
台湾地域における平和と安全の維持も
日本の安全にとってきわめて重要な要素である」こういうことになっております。
私は、当時から、この問題について、特に「
台湾地域」云々については、どうも
日本として行き過ぎな問題ではないかということを憂えていたものでありますが、特にこの
意味が、
総理大臣のナショナル・プレスクラブにおける演説によって、単に抽象的に「
韓国の安全は
日本自身の安全にとって緊要である」というのではなく、はっきり、
韓国に対して武力攻撃が発生した場合には、
日本からの戦闘出撃の事前協議にあたって、前向き、かつすみやかに
態度を決する。前向きというのは、ポジティブリーと書いてあるのですから、これはネガティブの否定的でなくて、肯定的、積極的という
意味で、前向きということばでこれをごまかしてはいけないと思うのです。要するに、
韓国に対する武力攻撃があった場合には、事前協議制はあっても、事実上自動
承認的なことを言っている。特にこの「
台湾地域」となっておりますが、
台湾地域の平和と安全、これは
日本としてはあそこら辺で
戦争が起こってはたまらないということについては非常な関心を持っておるところですが、ナショナル・プレスクラブではそうではないのです。中華民国に対する武力攻撃に際しての米国の防衛義務の履行のような
事態においては、
日本を含む極東の平和と安全に対する脅威と認識して対処していく。これもなるほど歯切れは
韓国の場合よりか少し悪いようであるけれ
ども、しかし、
台湾海峡の問題じゃなく、中華民国に対する武力攻撃の場合に、
アメリカ軍が応援の義務を発したときには、これも実際上オーケーと言わんばかりのはなはだ不幸なる言い過ぎをやっておられるのではないかと私は思うのであります。
かような
状態のもとにいまわれわれがこの
協定そのものを
審議しているわけであります。自来、何回となく、
国会を通じ、特に本院のいろいろな
委員会、本
会議でもこの問題についての応酬がありました。
政府の御説明は、そのつど、一方においては、ナショナル・プレスクラブのように、事実上自動
承認ととられるようなことを言っておきながら、公式の御説明、御
答弁は、常に、イエスもあり、ノーもある。これは私は、そういう点ははっきりしなければいけないのじゃないか、まず
総理からこの点について明確なお答えを願いたいと思います。