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西宮委員 立法院がこういうふうに、いま読み上げたとおりの決議をしている。これはもちろん、
沖繩の立法院の多数党はいわゆる自民党、保守党の皆さんでありますが、そういう方で組織をしている
沖繩の立法院で、ただいま申し上げたとおりの
沖繩の軍用地の開放ということをうたっているわけですから、これは
本土の政府として、あるいはまた自民党としても、当然に最重要課題として私は
考えてもらわなければならぬ問題ではないかと思う。
福田外務大臣は
沖繩についてはよく御
承知だということでありますから、釈迦に説法になるかもしれませんが、私は、試みに最近の
沖繩を、ちょっと新聞記事から拾ってみたわけでありますよ。御
紹介しておきたいと思いますが、これは
沖繩の現地新聞、十月と十一月の記事を拾ったわけでありますが、十月の二日、
アメリカ兵のタクシー強盗。十月三日、麻薬が
米軍基地周辺で出回って被害が続出をしておる。十月四日、ガルフ社の石油が漏れて漁場が汚染されて緊急役員会。それから、同じ日に黒い貨物輸送があって、それは毒ガスの移送ではないか。天願桟橋で
米軍秘密作戦が行なわれている、こういう記事。十月五日、タンクの原油が逆流をした。同じく十月五日、八十歳の御老人が海兵隊のオートバイで重傷を負った。十月六日、外人がレンタカーを使ってひったくりが二件あった。同じ日に、外人の大麻の栽培が発見された。十月九日、またも外人のひったくり、婦人が十六ドルとられた。もう一つは、酔っぱらい運転の米兵が激突をして妊婦がショックで死産をした。十月十一日、酔っぱらい外人車が暴走してタクシーに激突、三人が大けが。白人兵がダイヤを奪った。米兵がタクシーの強盗をした。十月十三日、外人の無謀運転続出。今月に入ってすでに十三件——十三日で十三件というのですから毎日一回というわけですね。十月十四日、酔っぱらい米兵の運転で下校中の小学生がはねられて死亡した。ところが、これはつかまえたけれども、犯人は犯行を否認している。したがって、第二の金城さん事件になるのではないかというので、たいへんな問題になっておる。十月十八日、米兵がまたもひき逃げ。高校生三人が乗用車で追跡をしてとらまえた。危うく隊内に逃げ込む寸前でとらまえて那覇署に引き渡しをした。同じ日、米兵が大あばれ、強盗、ひったくり、無銭飲食などが続発をしている。他の場所では婦女の暴行未遂事件。十九日、タンカーからの流出で汚染をして海岸——具志川海岸でありますが、大騒ぎをしておる。十月二十四日当間君の——さっきの小学生ですね。そのひき逃げ事件について、対策
委員会を設けて村民大会が開かれた。二十七日、ガ社の原油汚染によって、操業中止を要求した議会の抗議。二十八日、麻薬を所持しておる米人が逮捕された。二十九日、
米軍ジェット機が墜落をした。パイロットは脱出をした。同じ日に、米兵が婦人二人をひき殺した。三十日には、前の小学生の問題で村民抗議大会が開かれた。十一月の一日には、タクシー運転手殺さる。空気銃でねらい撃ち。同じ日に、外人主婦に乱暴。十一月二日には、無免許の女性米人がタクシーに衝突をした。四日には、ホステス殺しに——ホステスを殺したんですけれども、無罪の判決になった。同じ日に、外人のかっぱらい二人がつかまる。同じ日に、
米軍機がまたも墜落をした。乗員は救出をされた。あくる五日は、自動車の車賃の踏み倒し、タクシー運転手が騒ぐ。七日には、ヘロイン六万ドル分押収され米兵逮捕。八日には、米兵がタクシーで強盗、うしろから棒で頭をなぐった。同じ日に、また米兵がひき殺す。九日、酔っぱらい米兵が幼児をはねる。十一日、米兵の酔っぱらい運転。乗用車が焼き討ちをされた。十二日、米兵が坊やをはねて殺した。十三日、無灯火オートバイに乗って乗用車に激突をした。十五日、拳銃を突きつけて脅迫をしたという事件。もう一つは当て逃げの米兵の事件。十六日は、米兵三人組タクシー代を踏み倒す。十七日、客船が入港しても、軍艦が入るために入港できない。十九日、米人少年はね飛ばす。二十日には、運転手をなぐって金を奪う。米兵のタクシー強盗。
米軍機が滑走路でパンクをして、二時間も空港が閉鎖をされた。二十二日、外人少年がバスに投石をして、乗客の婦人がけがをした。二十五日、麻薬の密輸の問題。二十七日、麻薬ヘロイン一万ドル分が押収された。二十九日、麻薬を吸ってふらふらになっている米兵が車をぶつけて逃走した。同じ日に、米兵のタクシー強盗があって、かぎと金をひったくられた。
こういう事件が相次いでおるわけです。(「毎日だ」と呼ぶ者あり)全く毎日、連日連夜こういう事件が続いておるわけです。
こういう問題は、単に
施政権が返ってきたということでは何の解決にもならないわけですよ。これはその
基地が減り、あるいは
米軍人が減る、こういうことにならなければ、問題の根本的な解決にはとうていならない。そういう点について、
沖繩の人たちが毎日戦々恐々として過ごしておるというのが実態であります。
この間、このいわゆる
返還協定締結と強行採決というような問題に抗議をいたしまして、
沖繩で十二万の労働者がストをやった。あるいは六万人の市民が集まってデモをやった。こういうことは、これは非常に重大なことだと思うんですね。ストにしてもあるいはデモにしても、それはだれかが命令するから機械的に集まってきたんだろうというふうにお
考えかもしりませんけれども、
沖繩で十二万の人間がストをやったということは、
日本本土の場合ならば千二百万の人間がストをやったことになるわけですよ。あるいは那覇市で六万人のデモがあったということは、東京ならば六百万の人間がデモに参加したということですね。東京で六百万の人間ということになれば、東京都に住んでおるおとなは、成人はまず全部参加をした、こういうことになるだろうと思うのですね。それに相当する抗議の意思表示が行なわれたということは、まことに重大な問題。おそらくそういう
気持ちは、いま私が読み上げた、ここに新聞を持ってまいりましたが、この新聞などは、もう全く全紙面をいまのような事故で埋めておるわけです。こういうことが連日連夜行なわれておる。これはもう
施政権の
返還では解決にならぬわけですよ。一日も早く
基地がなくなりあるいはまた
米軍人がいなくなる、そういうことにならなければ問題の解決にはならぬ、こういうことを身にしみて痛感をしておる、はだで実感をしておる、そういう人たちの抗議の行動だと思うのですね。そういう点を十分に理解をしてもらわなければ——那覇では三分の一を御
承知のように
アメリカが占領しておるわけですね。那覇で三分の一を
アメリカが占領しておるということは、東京二十三区の中で八区は
アメリカ人が占領しておる、こういうことになるわけですね。ですから、東京二十三区の中で八区が米人が住んでいるんだ、こういうことになったら、あとの残った東京都民は全く息もつけないほど息苦しくなるだろう、呼吸困難になるほど息苦しくなるだろうと思うのです。そういう生活を毎日毎日しておるわけですよ。私は、これはあだやおろそかじゃないと思うのです。
何もことばじりをつかまえるわけじゃありませんけれども、大臣が一番最初に言われた、今度行ったら
基地の縮小についても話し合ってみよう、こういう最初の出だしでありましたので、私は、話し合ってみようというような
程度ではとてもとても解決のできない重大問題なんだ、こういうことを特に強調したわけです。
なお、立法院の決議とそれから屋良さんが持ってきた
建議書ですね、これは冒頭の書き出しから、ほとんど全編が
基地から発生してくる問題で埋まっていると言ってもいいと思うのであります。実に切々として、
基地に独占されておる
沖繩の苦痛を訴えているわけです。私は、今度会談に臨む
総理にも、ぜひもう一ぺんその点は申し上げたいと思うのであります。
外務大臣からその点はよくお話をしてもらって、これは
総理にぜひもう一ぺん聞いてもらいたい問題であります。したがって、その問題は、あとで
総理にまたお尋ねをすることにいたします。
もう一つ。よく新聞に世論調査などが出ております。しかし、あんまり新聞等で
紹介されておらない、つまりこれは学生のやった世論調査でありますが、ひとつ御
紹介をしておきたいと思います。
それは高等学校の学生の意識調査でありまするが、高等学校の学生を対象にいたしましたのは、つまり、高等学校の学生というのは戦争の経験を経てないわけですよ。戦後の
国民ですね。そして、
アメリカからいろいろお世話になりあるいはまた教育をされてきている、こういう人であります。
ついでながら申し上げると、ちょうど私、東北に勤務をしておったときでありますが、いまの主席になった屋良さんとかあるいは参議院に当選した喜屋武さんとかああいう人が
日本全国の学校を回って、
沖繩の学校の、いわゆる馬小屋学校といわれたそういう学校の窮状を訴えて募金をしたわけであります。私もその当時から、そういう
関係でおつき合いしたわけであります。ところが、せっかく全国を回って金を集めて学校を改築しよう、あるいは建設しようとしましたところが、
アメリカの民政府はこれを禁止してしまったわけですよ。つまり、そういう
日本の
本土の人たちの金で学校が改築をされる、こういうことになると、
沖繩の児童生徒、学生は心情的に動くのではないか、
本土に対する感情で動くのではないかというので禁止をしてしまった。ずいぶん残酷な話だと思うのでありますが、禁止をした。そして
アメリカ政府がたいへん金をかけて、たいへんりっぱな学校をつくりました。そういうことで、
アメリカはたいへんに自慢をいたしておりますが、すばらしい、昔に比べたら見違えるような学校をつくった。
そこで教育を受けた子供たちですよ。いわば
アメリカにお世話になって教育をされたそういう子供たちでありまするから、だいぶ意識が違うんではないかというので調査をした結果でありますが、それによりますると、たとえば
基地の問題について言うと、
基地をどう思うかという
質問に対して、悪いと思うという答えが八四・五%であります。よいと思うというのはわずかに三・一%しかない、こういう
状態であるわけであります。あるいは、
米軍がいなくなると生活が苦しくなるから、
米軍は帰らないほうがよいという
意見についてどう思うか、こういう
質問に対しても、そうは思わない——せっかくそういういわば誘導
質問のような
質問をいたしましても、そうは思わないという子供たちが約六割を占めておるわけであります。特に
基地に対する子供たちの
考え方がいかに切実であるか。八五%が
基地は悪い、こういう認識をしているわけです。もう一ぺん
福田さんの心境を伺って、私は次に進みたいと思います。