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中谷委員 そういうふうにはかない期待を持っていてください。ま
あとにかくこの訴訟は、私も実務はやっておりませんけれども、弁護士の端くれだから、こういうふうな
法律が万が一にも撤回されないなどというようなことがあれば、身銭を切ってでも私はこの抗告訴訟をやりたいと思う。
そこで、原告適格の問題についてひとつ
お尋ねをいたしたいと思います。この問題については、いままで私は
法制局長官に、非常に、何といいますか、十四条違反じゃないかと、こう言ってきましたけれども、この問題については、おそらく
本土公聴会等において著名な民法学者あるいは民事訴訟法の大家も呼ばれることだろうから、私は、むしろこの点は問題を提起したいという気持ちで
質問をしたいのです。これはぜひとも山中さんにも聞いていただきたい
質問なんです。
どういうことかと申しますと、原告になり得る者はだれか。まず、
沖繩県、
沖繩の
市町村が
沖繩県有地、
沖繩の
市町村有地を持っておって、それが
区域に指定されたという場合に、当然、
沖繩県及び
沖繩の
市町村は原告たり得ること、これはもう
答弁を待たずして明らかでございますね。
——もう時間が惜しいから、それはそういうふうに明らかだというふうにうなずいていただいたということで、
会議録にとどめておきます。
そこで、訴えについての「
法律上の利益を有する者」というものは、
一体沖繩県の場合にどの人が入ってくるのだろうかという問題を私は問題提起をし、私はここで多くの日本の民法学者、法学者の意見も求めたい。これは
沖繩開発そのものに直接結びつく問題だと思うのです。山中
長官に私は申し上げたいと思いますけれども、基地の存在というものが、
沖繩の開発というものに対して重大な支障であり、ネックであるということは、これはもう当然のことであります。
経済企画庁長官御出席いただいておりまするけれども、新経済社会発展計画というものの達成年度というものはすでにきまっておる、にもかかわらず、そこで
暫定使用期間が五年だなんということになってまいりますと、
沖繩の場合は全く新経済社会発展計画のらち外に飛び出してしまうだろうという問題だって出てくるだろうと私は思うんです。建設大臣はずっとおいでいただくけれども、縦貫道路をつくろうといったって、そんなものをつくることは非常に困難だろうと思う。厚生大臣おいでいただいておりまするが、病院を建てようと思うけれども、基地があって非常に問題があると思う。そこで私は、原告適格になり得る者というものの中に、たとえば読谷、嘉手納村、
一つの村の八〇%も九〇%も基地にとられているというふうな村がある。こういうふうな村がはたして原告たり得ないんだろうかどうか。
法律上の訴訟として
区域指定についての
区域の取り消しを求めることができないものだろうか。まさにこういうような場合は私は原告適格を持っていると考えます。そこで、いろいろなものを私は調べてみた。行政事件訴訟法についての読めるだけの本は読んでみました。この点については判例はないようであります。長沼訴訟について、
防衛庁、国は、原告適格を保安林解除について争った。しかし、
沖繩という特殊な事情を考えてみた場合には、何が公共の福祉か。
米軍が基地を持っておる、そうしてまた自衛隊が基地を持っておる、
演習場を持っておるということ、それと、それでは経済開発ができないじゃないか、那覇の都市整備は
一体どうするんだ、中部の開発はどうするんだ、良質の電力をどうしてつくるのか、水道はどうするのかという新しい経済計画というものは、これは私は二律背反だと思うのです。そういう場合に、
一つの村が、たとえば
自分のところが八〇%も九〇%も基地にとられておるというふうなことになれば、自治大臣おいでいただきましたけれども、
地方自治法については、
地方自治の固有の事務というのが書いてある、住民のしあわせを守る、健康を守る、生活を守るということが書いてあるが、そういうふうなことが
一体できるのだろうか。できはしないじゃないか。要するに、人間でいうならば、とにかく
自分の行政区画の八〇%も九〇%もとられているということは、手もとられ、足もとられ、そうして胴体もとられ、心臓だけが残っているような
かっこうじゃないか。こん場な合に村が訴訟の原告たり得ないのだろうかどうか。私はそういうような場合に訴訟の原告たり得るのじゃないかと思う。また、
沖繩県も、まさに、現在の
沖繩の基地というものが、そういうふうな告示に基づく
暫定使用による基地の存在というものが、
沖繩経済開発に対して非常に不利益であり、ネックなんだということの、いずれが公共の福祉かという訴訟を起こし得るのだというふうに私は考える。
そこで、まずその点について、これは
法制局長官の御
答弁だろうと思います。しかし、それはだめなんですよというふうな
答弁ではなしに
——そういうことについての判例はない。学説も、とにかくその点については消極に解しているかもしれない。しかし、
一体そんなことを、あの行政事件訴訟法というのは、
法律上の利益というときに、考えたのだろうか。村の八〇%まで基地にとられておる。村の組織も運営もできないじゃないか。憲法九十五条論をやった人もおります。九十五条論と同じような考え方で、村が抗告訴訟の原告になり得るじゃないか、それは
沖繩県民の心をそういう
かっこうで伝えるべきじゃないか、何も
政府へ来て基地を縮小してくれということをお願いするだけではなしに、そのような基地のあり方というものは間違いなんだということを、三権の
一つの裁判所に対して堂々と訴えることも、私は
一つのあり方ではないかと思う。この点について
法制局長官の御
答弁をいただきたい。これは私自身も、この問題については、この私の発言を機会として日本の多くの
法律学者がこの問題に関心を持たれることを期待して、私はこの
質問をしたいと思うのです。