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1971-11-17 第67回国会 衆議院 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年十一月十七日(水曜日)     午前十時九分開議  出席委員    委員長 床次 徳二君    理事 金丸  信君 理事 國場 幸昌君    理事 二階堂 進君 理事 湊  徹郎君    理事 毛利 松平君 理事 久保 三郎君    理事 細谷 治嘉君 理事 中川 嘉美君    理事 門司  亮君       天野 光晴君    池田 清志君       石井  一君    宇田 國榮君       小渕 恵三君    大石 八治君       大野  明君    大村 襄治君       加藤 陽三君    木野 晴夫君       佐藤 文生君    佐藤 守良君       正示啓次郎君    田中伊三次君       田中 龍夫君    谷垣 專一君       谷川 和穗君    藤波 孝生君      三ツ林弥太郎君    箕輪  登君       村田敬次郎君    森  喜朗君       山下 徳夫君    豊  永光君       井上 普方君    石川 次夫君       川俣健二郎君    木島喜兵衞君       武部  文君    美濃 政市君       山口 鶴男君    桑名 義治君       斎藤  実君    田畑 金光君       東中 光雄君    米原  昶君     —————————————  出席国務大臣         法 務 大 臣 前尾繁三郎君         外 務 大 臣 福田 赳夫君         文 部 大 臣 高見 三郎君         厚 生 大 臣 斎藤  昇君         運 輸 大 臣 丹羽喬四郎君         郵 政 大 臣 廣瀬 正雄君         自 治 大 臣 渡海元三郎君         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)      山中 貞則君         国 務 大 臣         (国家公安委員         会委員長)         (行政管理庁長         官)      中村 寅太君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 西村 直己君         国 務 大 臣         (環境庁長官) 大石 武一君  出席政府委員         人事院総裁   佐藤 達夫君         人事院事務総局         管理局長    茨木  広君         人事院事務総局         給与局長    尾崎 朝夷君         総理府総務副長         官       砂田 重民君         防衛庁参事官  鶴崎  敏君         防衛庁防衛局長 久保 卓也君         防衛施設庁長官 島田  豊君         防衛施設庁総務         部調停官    銅崎 富司君         経済企画政務次         官       木部 佳昭君         科学技術政務次         官       粟山 ひで君         沖繩北方対策         庁長官     岡部 秀一君         沖繩北方対策         庁総務部長   岡田 純夫君         沖繩北方対策         庁調整部長   田辺 博通君         法務大臣官房司         法法制調査部長 貞家 克巳君         法務省民事局長 川島 一郎君         農林政務次官  伊藤宗一郎君         通商産業政務次         官      稻村佐近四郎君         運輸省自動車局         長       野村 一彦君         労働政務次官  中山 太郎君  委員外出席者         外務省アメリカ         局北米第一課長 千葉 一夫君         沖繩及び北方問         題に関する特別         委員会調査室長 綿貫 敏行君     ————————————— 委員の異動 十一月十七日  辞任         補欠選任   武藤 嘉文君     村田敬次郎君 同日  辞任         補欠選任   村田敬次郎君     武藤 嘉文君     ————————————— 本日の会議に付した案件  沖繩復帰に伴う特別措置に関する法律案(内  閣提出第一号)  沖繩復帰に伴う関係法令改廃に関する法律  案(内閣提出第二号)  沖繩振興開発特別措置法案内閣提出第三号)  沖繩における公用地等暫定使用に関する法律  案(内閣提出第六号)  国家公務員法第十三条第五項および地方自治法  第百五十六条第六項の規定に基づき、人事院の  地方事務所設置に関し承認を求めるの件(内  閣提出承認第一号)  沖繩平和開発基本法案細谷治嘉君外十六名提  出、衆法第一号)      ————◇—————
  2. 床次徳二

    床次委員長 これより会議を開きます。  内閣提出にかかる沖繩復帰に伴う特別措置に関する法律案沖繩復帰に伴う関係法令改廃に関する法律案沖繩振興開発特別措置法案沖繩における公用地等暫定使用に関する法律案国家公務員法第十三条第五項および地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、人事院地方事務所設置に関し承認を求めるの件及び細谷治嘉君外十六名提出にかかる沖繩平和開発基本法案、以上の各案件を一括して議題といたします。  質疑を続行いたします。湊徹郎君。
  3. 湊徹郎

    湊委員 前回に引き続き、ただいま委員長から話のございました各法案に関連して、質疑を行ないたいと思います。  まず、最初に外務大臣お尋ねをいたしたいと思いますが、去る十日の日にアメリカ上院の本会議におきまして、返還協定批准案件について賛成八十四、反対六で承認が得られたわけでありますが、これについて外務大臣はどういう受けとめ方をしておられるか、まずお尋ねをいたします。
  4. 福田赳夫

    福田国務大臣 かねて私は申し上げておるんですが、今回の沖繩施政権返還、これは歴史的な偉大なできごとである。それは何かと申しますと、一つ沖繩県民の熱情、それからまた同時に、一億本土の国民の沖繩県民に対する同情、こういうこと、これともう一つは、やっぱり歴代政府努力であったと思うのです。その歴代政府努力背景には国力の伸長、わが国の経済力が強大になった、アメリカに対する発言権も大きくなってきた、これが背景をなしておる、そういうふうに考えます。しかし、同時に第三の問題は、やはり日米友好関係がその基盤にあった、こういうことでございまして、この三者が結合された力、これが今回の偉大なる沖繩返還実現さしたと、こういうふうに見ておりますが、アメリカ上院においていろいろ取りざたがありました。あるいは場合によったら三分の二という票がそろわないんじゃないかというような見方さえ一時はありましたが、これがいま御指摘のように八十四対六という圧倒的な多数をもって可決されたということになりましたのは、この三つの柱が結合されまして、強固な基盤沖繩返還についてでき上がった、それが沖繩協定審議に際してアメリカ上院にも反映されたんだと、こういうふうな受け取り方をいたしておるわけであります。
  5. 湊徹郎

    湊委員 私は、一刻も早い返還実現するという観点から、ぜひとも四月一日の実現最大努力をしていただきたいと思っておる一人でありますが、ただいまお話がございましたアメリカ上院の本会議承認によって、実現可能性は非常に強まったという判断をいたしております。  過般質問に答えて外務大臣は、何ぶん二十数年という長い間アメリカ沖繩に、ことばは悪うございますが、居すわっておった関係等から、いろいろのちりあくた、おりがたまり込んで、その掃除はなかなか容易でない。したがって、アメリカ側は七月一日というふうな考えをしておるというふうに受け取れるようなお話があったのでございますが、私はむしろ今回の上院承認によって、当方準備さえもし可能であれば、四月一日は実現し得るというふうに考えております。といいますのは、引き渡しよりも、むしろ受け入れのほうが準備体制としては実はたいへんでございまして、今国会に提案になっておる各種国内関連法案がかりに通りましても、あとに続いて各種行政措置も必要になりましょうし、それ以外に予算その他の実体的な受け入れ体制の整備も当然必要でありますから、四月一日実現のためにはむしろわがほうの受け入れ体制、これを急ぐことが先決であるし、そのことによって可能になるというふうに考えておりますが、この点いかがでございますか。
  6. 福田赳夫

    福田国務大臣 お話は私も同様に考えます。つまり沖繩返還は、円滑にこれがとり行なわれるということを前提条件として考えなければならぬ、こういうふうに存じます。この円滑な返還はどうやって行なわれるかというと、アメリカ側にも準備の必要がある、またわがほうにおいても準備の必要がある。その準備進行状況はどうかといいますると、まず何よりもこの協定承認であり、協定関連法案成立である、こういうふうに考えますが、アメリカには関連法案というのはない。そこでこの協定だけの問題ですが、これがもうとにかく可決されてしまった、もう批准を待つばかりである、こういう状態になってきておるわけであります。その他、沖繩現地におきましてとり行なうところの諸準備がありましょうが、これは取り急ぐようにお願いをし、鋭意米国側においても急いでおります。問題はわがほうになってくる。わがほうはどうかと申しますると、まだこの協定にいたしましても御審議中であります。また関連法案につきましても御審議中である。そういう状態で、この諸準備の基幹になる協定関連法案というものが、まだアメリカに比べますると日本のほうは一歩おくれておる、こういう状態でありますので、何とぞこの協定関連法案がすみやかに成立するようにと、私どもお願いをいたしておる次第でございます。  アメリカ上院外交委員会におきましても、どれがこれが、こういって具体的に言うわけじゃないけれども、一般的に日本協定関連法案というものの成立批准前提として考えておいてもらいたいというようなコメントをつけておりますが、そのコメントを待つまでもなく、主体的にわがほうとして考えまして、円滑なる沖繩返還実現されるためには、協定はもちろんでございまするが、これに関連する、これを執行するために必要な、あるいはこれに関係するところの諸法案成立しておるということがどうしても欠くべからざる前提になるわけでありまして、私は、そういう意味におきまして当委員会の御審議、ひとつすみやかに進行されんことをお願いしたいという気持ちでございます。そういう努力を積み重ねてまいりまして、念願の四月一日復帰ということが実現せられるようにということを目標といたしまして、私どもも鋭意努力をいたす所存でございます。
  7. 湊徹郎

    湊委員 ただいま外務大臣からお話がございましたように、米側には関連法案がないのだ、あるとすれば現地準備体制だけである、こういうお話をいただいたのでありますが、実はアメリカ側当方に対する、向こうからいえば引き渡し準備でございましょうか、そのために、去年の十一月九日に、準備委員会米民政府の諸権限日本国への移行を用意するための合意というのが行なわれたわけであります。それで、第一段階において、協定署名の日までに具体的な諸権限をできるだけ早く移していく、そのためには一部琉球政府に対して委任するものもあるし、また日本政府に代行してもらうものもあるし、またいろいろな行政を進めるにあたって日本政府に参加をしてもらうものもある。それにつれて、現在、現地にあるアメリカ民政府は逐次その諸権限及び機能を停止していくんだということで、具体的な取りきめが行なわれたわけでありますが、その後第二段階としては、必要な立法府支持が得られる日まで、つまり国会における承認実現する日までを第二段階とし、それから現実返還実現する日までを第三段階として、逐次移しかえていくんだというふうな合意があるわけでありますが、その点に関して、まず二点お伺いしたいと思います。  第一点は、必要な立法府支持、これについては先ほど外務大臣から話があったようでありますが、具体的に、必要な立法府支持というのはどういうことであるかということ。それから第二点は、もうすでに署名の日は六月でありますから、それ以来五カ月余を経過いたしておるわけで、当然第二段階の具体的な話し合いというものはかなり進むか、もしくはまとまっておる時点だろうと思いますが、その内容についてお尋ねをいたします。
  8. 福田赳夫

    福田国務大臣 本件を担当いたしております千葉課長よりお答え申し上げます。
  9. 千葉一夫

    千葉説明員 お答え申し上げます。  第一のお尋ねの、必要な立法府支持についてでございますが、これはアメリカ上院による承認及びわが国会による御承認でございます。  次に、第二段階につきましての話はいかように進んでおるかというお尋ねと存じますが、これにつきましては、ただいまいろいろ米側と下話をしておりまして、各省とも種々意見を徴しておる段階でございます。
  10. 湊徹郎

    湊委員 一番先に申し上げましたように、すでに米上院における承認手続は済んでおるわけでありますから、ただいま話がございましたように、当方承認手続が済みますと、当然第三段階に移る。したがって、実際に復帰時点において、これだけはどうしても復帰の日まで残しておくけれども、それ以外は全部日本政府に事実上おまかせをするんだというふうな形を、一刻も早く合意を取りつけ、実現することが促進のために必要であろうと思いますので、そういう向こう側引き渡し準備といいますか、それを当方受け入れ準備と並行して促進していただきたいというふうに思いますが、外務大臣の御所見を伺います。
  11. 福田赳夫

    福田国務大臣 協定批准になりますと、二カ月後に協定効力発効することになりまして、その発効の瞬間におきまして復帰実現をするということになるのです。でありまするから、この協定批准発効の日にアメリカ施政権日本に移ってくる。それが一日の間に行なわれる、諸手続は一日の間に行なわれるということになりますが、それに対しましては、その返還の日の一日で行なわれるところのいろいろな手続等が順調に行なわれ、しかも、その実態がまた円滑なる移管でなければならぬ、こういうふうに考えます。したがいまして、前広に準備が必要である。いま御指摘の三段階手続、これはいま極力進めておるわけでございますが、御指摘のような考え方のもとに、なるべく返還日以前において諸準備が整う、つまり日本政府への事実上の移管実現をされておるという状態をつくり出すために最大努力をしてまいりたい。これが円滑なる返還の一番大事な要点になってくるんじゃあるまいか、さように考えております
  12. 湊徹郎

    湊委員 次に、公用地等暫定使用法関係についてお尋ねをいたしたいと思います。  まず第一点は、この法律性格についてでありますが、これは名のごとく経過的な、文字どおり暫定措置である。先ほどから話がありましたように、日米それぞれの立場で、復帰に備えて受け入れ及び引き渡しのための準備措置を早急に整える必要があるわけでありますが、何ぶん二十数年という長い年月にわたって異種、異質の制度、体制下のもとに置かれておったものを、復帰時点で、形の上から申しますとまさに瞬間タッチ方式で移しかえる、こういうことになるわけでありますから、そのことは実態と比べまして当然すき間が出る、これは理の当然であります。いわば形式的と実態との乖離、断層、こういうものをどうやって埋めていくかという問題であろうと理解いたしますが、そういう空白を生じないようにやむを得ずとる、まさに緊急特例的な措置であるというふうに理解していいかどうか。  それに関連して、本来ならば当然土地所有者地主の皆さんと協議をして、それに基づく合意が得られる、これはもうもちろん大原則であります。やむを得ない場合も、これまた本来ならば既存の土地収用法等国内手続によるべきではあるけれども、さっき申したように瞬間タッチという形をとらざるを得ないために漸進的には継続使用を行ないながら、他方今後の方針としては基地の縮小をはかっていく、こういう政府のいままで示された考え方、それに基づく現実事態、これを踏まえて、これまたそういうためにとる非常のいわば緊急避難的な措置であるというふうに解していいかどうか、それが第二点。  三点は、この方法以外に適当な方法があるかどうか、その点について防衛庁長官のお答えをいただきたいと思います。
  13. 西村直己

    西村(直)国務大臣 ただいまお尋ね公用地等暫定使用法案、その名のとおり、一つ公用地等でございます。一つ暫定使用、この二つに性格がなっているわけであります。この問題につきましては、何としても非常に大事な土地であります。これはもうよくわかります。したがって、その中で巨大なものを——占領下時代からずっと大きな基地が存在しておる。これは将来の沖繩のためにも非常に不幸なことである。でありますから、基本的には基地を整理統合するという方針返還協定にも一部そういう形は出ておりますが、万全でない。これは今後ともできる限り政府努力をしてまいりたい。  また、第二は公用地等でございますが、公用地等と申しますのは、第一は、何と申しても安保条約下米軍基地、第二は、国の作用としてあるいは公共的な作用として、いわゆるファンクションとして引き継ぎのときに引き続いて使わしていただきたい、こういうようなものがどうしても国家条約とか国家機能とかで、あるわけであります。ところが、沖繩特殊性から申しますと、たくさんな民有地地主さんをお相手にする。したがって、できる限り復帰前に円滑なお話し合いももうすでに進めつつあるわけでありますが、復帰時点でどうしてもお話し合いのつかない方々が相当残る。関係公用地あるいは公共用地としましては、それを使う以上は権原がなければいけない。権原なしに土地を使うというわけにいかない。そうすると、その間を暫定期間を設けて、そして使用権を立てさせていただいてその間にお話し合いを進め、あるいはどうしてもお話し合いがつかない場合はその他の措置によってやっていく、一定の期間暫定経過措置、こういうふうに考えていただきたいのであります。したがいまして、この法律案を将来改正して、さらに延長するなんという考えは全然ございません。
  14. 湊徹郎

    湊委員 次に、この手続についてでありますが、復帰の前にあらかじめ告示をするというふうな形で行なわれるわけでありますが、これに関して、これは一方的な処分じゃないか、それでもって所有権あるいは使用収益権を制約するというのは、いわば戦前の国家総動員法にも比すべき前例のない強権法であるというふうな見解がありますが、そのような性格はこの法律のどの点にあるか、ひとつ長官見解を承りたいと思います。
  15. 西村直己

    西村(直)国務大臣 まあ一部では、これは非常に国家総動員法的な無理があるのではないかというお説も聞いております。ただ、御存じのとおり、今日の憲法また国家のいろいろな行政運営というものは、あくまでも最高機関である国会の御審議の中でものをきめていく。しかも、憲法自体が非常に、それぞれの権利を尊重する考え方が基本的に違う。その中で、この沖繩特殊性に対して、こういう法律をつくらしていただく。  そこで、告知方法にも、通知告示、いろんな種類があると思うのでありますが、この法律の場合には、告知方法として、関係土地範囲使用方法を定めて、復帰前にあらかじめこれを告示、周知徹底する、これで関係地主等は、自分の土地が本法の対象となるということがあらかじめ予知できる仕組みになっております。  通知方法によらなかった理由は、本件使用効力復帰と同時に一斉に画一的にあれしなければ、さっきのように空白が生じては、これはいわゆる公用地等使用意味がなくなる。もちろんその間には、大部分は契約で済むと思いますが、しかし契約が残ったような方々に対しては告示をする。そうして、その間につないでおいて、直ちに今度は遅滞なく通知をしていく、こういうふうにしてまいりたいから、これでもって私ども通知ということを法定しなくても、実際上この土地使用については、地主権利を侵害するというふうには考えておらない次第でございます。
  16. 湊徹郎

    湊委員 先ほど公用地等ということで内容にお触れになりましたが、アメリカ軍に提供する施設、区域、あるいは水道であるとか電気であるとか道路あるいは航空保安施設等の敷地として必要な土地については、これは当然いままでの状態を継続して使用するわけでありますから、経過暫定措置というふうな形になるのは当然でございますが、自衛隊の場合は新たに配置されるという形になりますので、いささか前二者とは性格が違うのじゃないかというふうな気がいたしますが、この点についての御見解はいかがですか。
  17. 西村直己

    西村(直)国務大臣 自衛隊というものの性格から申しますと、やはり今日の自衛隊国家機能の中で、昔のように統帥権がある軍隊ではございません、あくまでも行政作用として国土を守る。したがって、これ自体がもうすでに憲法上普通の行政、いわゆる公的作用、私は国家行政一つの分野だと思うのであります。それに対して継続してやらしていただく。その場合に自衛隊というものが従来の、やはり新しくここでもって拡張して地域をとって暫定使用するのではなくて、従来のいわゆる米軍施設の一部をそのまま返還になると同時に引き続いて使わせていただく、こういう趣旨からいくと、私は大体性格は同じと受け取って、それで自衛隊用地も他の公用地、それから駐留軍のほうは御存じのとおり安保条約上の義務、こういうものと並べまして、暫定使用性格のものとして扱わしてこの法案をつくって御審議を願っているのであります。
  18. 湊徹郎

    湊委員 先ほどから申しましたように、何せ二十数年という空白を置いての本土復帰でございますから、当然特殊異例事態である、こういう認識に立ちますならば、使用手続そのものもこれまた異例でございましょうし、多少簡略化されるという点はやむを得ないと思われますけれども、その手続の中身について、従来のいろいろな手続あるいは使用範囲、そういうものを越えて、恣意的に従来以上の強権による収用をはかっていく、よもやそういうことはございますまいと思いますが、一部に憲法の容認する範囲を逸脱しておるという意見もございますので、これは合憲なんだ、憲法の容認する範囲内のことなんだ、こういうことをひとつ理論的にお示しをいただきたいというふうに思います。
  19. 西村直己

    西村(直)国務大臣 私は、憲法専門家でもなし、したがってあまり理論的でない点は、ひとつ足りなければ法制局からさらに詳細に御説明を願いたいのであります。  そこで一番問題になるのは、これは憲法の何に基づいたか。私どもは、憲法二十九条の、公共のために個人の財産権に対して国家としてこれをいろいろ制約をする、そのかわり正当ないわゆる対価を払ってやる。公共目的にかなうかどうかという点が、一つ最大な問題になってくると思います。これにつきましては、もうすでにこの機会に申し上げましたけれども、こういった例は小笠原の返還の場合にもございました。それから内地の、本土講和条約発効後における駐留軍土地につきましても、こういった憲法二十九条によって特別措置法をつくっておるという等のことがあって、それらが合憲性を認められて、国会でもすでに御審議を願ってそれを使っておる次第でございます。  そういうような趣旨から、他の憲法上の条章についてこまかに私は申し上げませんけれども、本法案は、先般個々の条文に、憲法条章につきましても法制局長官から御説明申し上げましたように、これはもう私ははっきり合憲憲法のワク内でこの法律を御審議を願っておる、こういうたてまえでございます。
  20. 湊徹郎

    湊委員 この法律は実際に適用せずに済めばこれにこしたことはない、そういう性格法律であろうと思いますが、かりに適用した場合も、一方的な押しつけである、あるいは強権発動であるというふうな印象をできるだけ与えないようなほかの方法を同時並行的に講ずることによって、本法に対する評価、考え方というのはかなり変わってくると私は思います。  そこで三点ほどお尋ねをしたいのでありますが、第一点は政府の態度、姿勢、それから沖繩県民の皆さんに対するPR、内容の理解をしていただくこと、それから説得努力、これが必要なことは当然でありますが、同時に、土地所有者方々の意思なり意見なり希望なりのくみ上げ方によっても、かなり違ってくるだろうと思います。その点、第一点まずお尋ねをいたします。
  21. 西村直己

    西村(直)国務大臣 全くそれは私ども心得るべきことでございます。これがなくしては、この法案というものはむしろ害になります。それから、理想からいえば、この法案などは出さぬほうがいいのでございます。しかし、こういったある施政権下に置かれ、なかなか、御存じのとおり直接手を突っ込んでわれわれが詳細な調査ができないというような過程で、瞬間タッチではありませんけれども、円滑な引き継ぎをするには、こうした暫定使用というものが最小限、いわゆる一つの保障としてと申しますか、そういうような立場からこの法律というものは存在をさせていただきたい。しかし、その前提はあくまでも契約でいく。そこで契約にいく前に、まずこういう法律をちらつかしておってはいけないというので、事前に、予算のワクではございますが、こういったような姿勢でいきますよという具体的行動をとったのが、地主等の御要望もかなりしんしゃくいたしまして、来年度予算に借料を中心にしましたものを相当多額に要求をし、と同時に、現地に対しましても、できる限り私どもはこの法案以前から地主系統の方々お話をし、市町村長にお話をし、同時にこの法案国会へ提案になると同時に、われわれのほうから琉球政府なり市町村長にまた御説明にもあがっておる、今後もできる限りこの法案が最小限に使われると申しますか、最小限しか効果はない、むしろそれ以前の、いわゆる政府の態度、御説明受け入れ態勢、御理解、こういう中で事を処理してまいりたい、全く私は湊さんのおっしゃることには同感でございます。
  22. 湊徹郎

    湊委員 それから第二点といたしましては、各種のいわば一種の救済措置と申しましょうか、そういうことについて、どの程度の考慮があるかという点でありますが、御承知のように、行政不服審査法に基づく不服の申し立て手続というのもございますし、また行政事件訴訟法に基づく訴訟の道もございましょうし、あるいは収用委員会の裁決に基づく各種の損失補償措置、こういうものが考えられますが、以上申しました点について、手続の上で特別の何か配慮があるのかどうか、お尋ねをしたいと思います。
  23. 西村直己

    西村(直)国務大臣 法律の細部でございますから、あるいは足らない点は施設庁から説明させてもよろしゅうございますが、私の大体存じておりますところ、この法案の第二条第二項、対象土地の区域や使用方法告示というのが一つございますが、これは明らかに行政不服審査法、行政事件訴訟法の行政庁の処分である、こういうように考えますから、これが違法、不当であると主張なさる土地所有者、いわゆる地主さん等は、これらの法律によって異議の申し立てあるいは行政訴訟を提起することができるというふうにわれわれは解釈しております。  それから、これは適正なものを勘案して適正な価格を補償として立てるのであります。これは従来は、アメリカの場合には五年ごとでありますが、日本政府に移行されますれば毎年度算定して、近傍類地の借料等の値上がりもそれに合わして補償ができるようにしておる。補償の話し合いがまとまらない場合には、収用委員会に適正な額の判定を依頼するというような、いろいろな措置はとっておるのでございます。
  24. 湊徹郎

    湊委員 第三点は、いわば一種の代償措置と申しましょうか、特別な財政措置、さっき話がございました借料、これについての特別措置もお考えになっておるようでございますし、当然現在ある基地周辺整備法に基づく各種の財政措置、これもとられることになろうと思いますが、過般の質問にもございましたように、二百十五億というふうな数字が出ておりますし、このうち百八十八億というのはいわば一種の本来の借料、地代部分であるというふうなことも伺っておるのでありますが、まず第一点は、この二百十五億といわれるものの内容について多少詳しく御説明いただきたい。  第二点は、その中に他の公用地、道路とか電気とか水道とか、そういうものも含んでおるのかどうか。過般の質疑では必ずしも明らかでなかったようでありますので、その点を明らかにしていただきたい。  第三点は、先ほど申し上げました周辺整備法に基づく財政措置として、大体どのくらいをお考えになっておるのか。  以上三点お伺いをいたします。
  25. 西村直己

    西村(直)国務大臣 基本的な態度としましては、私どもできるだけ地主さんの集合体である方方の御要望に近づけたい。しかし政府でございますし、行政庁でございますから、ただそれをつかみ金式にぱっとまるのみしてどうだという形も、また国民の税金の面からいって、税金を使うものでございますから、根拠づけなければならない。そういう中で、軍用地と申しますか、防衛施設庁で扱う部分につきましては、百八十八億というものを概算要求して、これがいわゆる六・五倍と申しますか、地主さんのほうが六・八三と申しますか、こういうような形になっております。二百十五億という地主会中心の御要求がありますが、これにつきましては、他の公用地との関係もありますから、施設庁長官のほうからお答えさせます。  それから周辺整備につきまして基本的態度は、沖繩が異民族の施政権下にありまして、やり方が必ずしも日本本土におきますような厚い周辺整備が行なわれていなかった。先般も、私どものほうの代表者が参りまして町村長にお目にかかりまして、詳細に、国内における周辺整備、たとえば騒音防止、そうしてそれによってはこういう範囲まで騒音防止をやっておるというようなものを実例をごらんに入れましたところが、最近それを御理解いただき、と同時に、内地の周辺整備の状況等も、あるいはおいでになって見ておられます。その結果、かなり周辺整備に関心をお持ちになる、そこで、それをやるにはどうしても調査をしっかりして、技術的な設計を持たなければならぬ、これが一つでございます。それから当面緊急なものをやってまいる。  なお、詳細につきましては、施設庁長官のほうから御答弁させていただきたいと思います。
  26. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 地主会連合会のほうから当初要求ございました現行借料の六・九一倍、つまり二百十五億という金額の内容でございますが、これはその中には一部、水道、電気等の要するに公共用地の分も入っておりますし、いわゆるCリストによりまして部分返還になります土地関係も入っております。それから離島が含まれておらないとか、あるいは一時使用訓練場が入っておらないとか、あるいは非細分土地が入れられておるとか、いろいろ、私どもの算定いたします基準と違ったところがございますので、その中身につきましていろいろ突き合わせをやっておるわけでございます。  そこで、施設庁といたしましては、借料並びに借料関連経費として百八十八億を要求いたしておりまして、これはそのうちの百五十二億というものが借料、それから三十六億が一応借料関連経費ということにいたしておりまして、この百五十二億は、本土の場合におきまして、地目に応じまして宅地は宅地あるいは農地は農地あるいは山林は山林というふうな一つの計算の方式がございますが、その計算の方式をもとにいたしまして、沖繩の場合も算定いたしておるわけでございます。沖繩の場合におきましては、土地借賃安定法というものがございまして、それによって各市町村別、地目別に金額が算定されております。そして一般の用地と軍用地の場合にはそこに格差がございます。また、本土の場合におきましては、借料は毎年毎年その土地の条件、周囲の開発状況等に応じましてこれを改定をいたしておるわけでございますが、沖繩の場合におきましては、五年間据え置き、五年ごとに若干の増額がございますけれども、五年間は据え置きということでございまして、それにつきましても本土の基準によりまして、今後は毎年毎年周囲の開発状況に応じまして算定していく、しかも、米軍の場合におきましては、使用開始いたしました当初に、たとえば宅地なりあるいは農地なりあるいは山林と、こう地目がきまりますれば、原則的にはその地目は変動ができなかったわけでございますが、本土の場合におきましては、その地目のいかんにかかわらずその借料を算定いたしておりますので、そういう考え方沖繩の場合にも適用していきたい、かように考えておるわけで、そういういろいろな本土の基準をもとにしまして算定いたしたのが百五十二億でございますが、今後、地主方々といろいろ折衝していきます場合におきまして、必ずしもそれで妥結できるということも考えられない面もございますので、関連経費によりまして十分その点においては地主との話し合いを了して、そして賃貸借契約を締結をしたい、かように考えておるわけでございます。最初申しましたように、二百十五億につきましては中身に若干私どもの算定と異同がございますので、その辺は十分調整をしていきたい、かように考えておるわけでございます。  それから、周辺対策につきましては、これは沖繩におきましては、米国の施政権下におきまして過去において十分な対策事業が行なわれておりません。本土の場合に比べまして大きな開きがございますので、それを早急に私どもとしては埋めまして、早く本土の水準並みに持っていきたい、かように考えて、いろいろ来年度予算についても検討いたしたわけでございますが、何ぶんにもまだ十分周辺対策事業に対する御認識もないという点もございまして、具体的な要求で出ないものもございます。しかしながら、われわれとしましては、まず実態を十分把握するということで調査費を組みますと同時に、緊急に必要な、たとえば騒音対策その他の事業につきましては、これは早急に実施いたさなければなりませんので、そういうものとして約十億程度の予算を計上いたしておるわけでございます。できるだけその予算の獲得につとめまして、一日も早く本土の水準に達するように今後も十分努力していきたい、かように考えておるわけでございます。
  27. 湊徹郎

    湊委員 次に、暫定使用期間についてでありますが、過般来しばしば話がありましたように、何せ三万数千件にのぼる、件数が非常に多い。また不明者もおれば、海外移住者もおる。あるいは不明の土地も多い。それからアメリカ軍の施政下にあるために、事前の準備本土の場合のようにはなかなかうまくいかぬ、そういう制約もあるというような点から、かなりの暫定使用期間が必要であるということはよくわかるのでありますが、先ほども話がありましたように、本法にも書いてございますけれども、何より肝心なことは、かりに復帰実現して本法が適用されるようになったあとも、対象件数を一刻も早く少なくしていくように本来の手続に移行する努力を急ぐことが肝心であると思います。この場合、五年を最大限であるというふうにしておりますが、これ以上延期の意思のないことは先ほど伺いましたけれども、さらに政令で土地または工作物の種類及び設置場所等を考慮して必要だということで定める期間ということになっておりますが、けさの新聞に、その政令案の内容らしきものがございまして、十五カ所であるというふうに書いてございましたが、その内容について確かめておきたいと思いますので、お示しをいただきたいと思います。
  28. 西村直己

    西村(直)国務大臣 これは施設庁長官のほうからお答えいたさせます。
  29. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 この法案の二条第一項におきまして、「この法律の施行の日から起算して五年をこえない範囲内において」、そして「土地又は工作物の種類及び設置場所等を考慮して必要と認められる期間として政令で定める期間」、こういうふうに規定をいたしておるわけでございます。そこで、この五年というものは、海外移住者とかあるいは所有者が不在である、そういうふうな場合がございますので、これは極力その所有者をさがし出すということが必要でございます。これにはやはり相当な期間がかかると思いますし、それから個々の地主さん方と十分話し合いをいたしまして、賃貸借契約を円満に合意に達する、こういう努力が必要でございます。  そこでこの努力は、この法律の施行前に行なうことはもちろんでございますけれども、この一条の二項にございますように、この法律の施行後といえどもあくまでその原則である合意をとりつけるということにつとめなければならない、こういうことになっておりまして、どれくらいの地主さん方が契約に応じてくださるか、これはなかなかまだはっきりいたしませんけれども、やはり一部にどうしても残る。しかもその場合は、この契約交渉もなかなかむずかしいだろうということでございますので、やはり相当な期間を必要とする。  それから、どうしても最終的に合意に達しないという事態が起こりますれば、本来の手続としましての米軍の、合衆国軍隊が使用します土地につきましては特別措置法自衛隊につきましては土地収用法というような本来の手続をやっていく必要もあろう、こういうふうなことで、いろいろ総合勘案いたしまして、五年というところが一応妥当であろうということできめておるわけでございます。  しかしながら、この五年間というものは、一たんきめましたらそのままずっと五年間据え置くというものでございませんので、あくまでやはり第一原則は地主さんとの円満な合意に達するということが努力でございます。しかしながら、中には五年の使用期間でなくとも、それより短期間でよろしいという場所もございます。そこで考え方としましては、やはり土地につきましては一応まあ五年、それから工作物につきましては三年と、こういうふうな原則に立ちまして、しかしながらその土地の中でも、たとえば関係者が非常に少ない、したがいまして、いろいろな事前の調査も比較的容易にできましょうし、それから合意も比較的短期間に達せられるであろうというふうな、たとえば灯台等の航路標識、それから今回の提供施設の中には、一定の期間を限って使用を認めるという土地がございます。いわゆる一時使用訓練場でございますが、こういう土地につきましては、その権利の制限期間そのものが非常に短いということもございまして、これにつきましては比較的契約交渉も容易ではなかろうか。それから事前にいろいろな各種の調査をいたします場合におきましても、米軍使用している期間が非常に短期間でございますので、いろいろな立ち入り調査等も容易であろう、こういうふうなことを勘案いたしまして、この土地につきましては三年が妥当ではなかろうか、こういうことで一応仕訳をいたしておるわけでございます。
  30. 湊徹郎

    湊委員 ただいまの暫定使用法に関しましては、先ほどから申しましたようないろいろなほかの措置を並行させて、ひとつ、一刻も早く、ただいまお話のあった期間を実質的に短縮できるような御措置をお進めいただきたいというふうに思います。  次に、財政、予算に関連して、これは各法案に関連のあることでございますが、お尋ねをしてみたいと思います。  まず最初に、昭和四十七年度の沖繩関係予算の編成方針についてでありますが、この点については、総務長官からしばしば沖繩県としての予算の第一年目であるし、また今後の沖繩をつくっていく振興開発計画の初年度であって、ここで基礎を固めることが、沖繩の将来がそれできまっていくんだというふうな趣旨の話もございました。  そこで、開発庁を中心にして予算を編成します場合に三つの分類がなされておりまして、第一番目は開発庁に一括計上する分、これは当然沖繩の振興開発のための公共事業等を中心にする基幹的な仕事、あるいは沖繩の特殊事情に基づく特殊な仕事、これは一括開発庁がやることになっておって、これは大体五百八十億円程度とお伺いをしておりますが、そのほかに各省の見積もり調整分というのがございます。これは振興開発計画に基づくいろいろなその他の事業が中心になると思いますし、そのほか、各省がそれぞれ独自の立場で全国の各種行政措置の一環として計上しておりますものの沖繩分というのがあるわけでありますが、その見積もり調整分及び各省がそれぞれに考えております要求分、これについて大体概算どのくらいになるか。おそらく千数百億円になるのだろうと思いますが、その点をまず第一点としてお伺いをいたします。  第二点は、各省の要求分については、これは一応法文上は見積もり調整という手続をとることにはなっておりませんけれども、しかし、一括して沖繩全体の予算ということになりますと、勢い事実上の調整は必要であろうかと思いますが、どういう調整手続をとったのか。  それから第三点は、単独でもって一括計上の上、各省に予算を配分する権限を持っております科学技術庁及び環境庁に関しましては、これは配分計画の上から除いてございますけれども、これも実際上の調整の必要はあるのじゃないかというふうに思いますが、その点もどういう扱いになっておるか。  以上、三点お尋ねをいたします。
  31. 山中貞則

    ○山中国務大臣 これは予算要求額でありますから、これからの年度内編成であれば、正確に言うと、十二月三十一日の夜の十二時までわからないと言って、前提を置かなければならないと思いますけれども、しかしながら、一応現在要求として出しておりますものは、いまの対策庁の分としての要求額が五百八十億二千七百万円、各省庁の要求額の合計が一億一千五百六十五万八千円というふうに、——ちょっと単位を間違えておりますが、もう一ぺん言いますと、対策庁要求額が五百八十億二千七百万円、各省庁の要求額が千百五十六億五千八百万円、合計して一千七百三十六億八千五百万円、ちょっと数字に弱いものですから、失礼いたしました。
  32. 湊徹郎

    湊委員 次に、琉球政府の予算の中は、本土に移行いたしますと、当然国政分、県政分、一部は市町村の仕事もやっておりますから、市町村政に振り分けていくわけでありますが、その分離、分割、ないし移しがえをやる場合の基本的な考え方、あるいは手続についてお伺いをしたいと思います。
  33. 山中貞則

    ○山中国務大臣 これはもう本土法令に基づいて国政事務は明確でありますし、それに伴う、実際上は簡単でありますけれども、人の問題としての国、県職員の振り分け作業等がございます。すなわち、国の職員に移り得ても、本土在勤はなかなか希望されないでありましょうし、それらのところで総合事務局の人員のあり方等についてもいろいろな配慮をしなければならぬと思いますが、もちろん県の事務、市町村の事務、それらについては、明確に沖繩の場合においては普通の県と違って、新たなる事務等も加わりますので、十分の配慮をして、人員並びに予算の配分というものに心がけてまいりたいと思いますが、一般財源としての交付税等の問題は、自治省のほうで処理することになっております。
  34. 湊徹郎

    湊委員 次に、ただいまお尋ねをしました予算の財源措置に関してでありますが、その一つは、当然関税を含む各種税制の特例、これは特別措置法にかなりこまかく、今日まできめこまかく、長い時間をかけながらおつくりいただいたわけでございますが、そこで、その税制の特例をつくるにあたっての基本的な考え方として、第一番目には、何せ向こうとこちらと税制の体系も中身も違うものがかなりございますから、それに対する激変緩和措置、第二番目には、現地の県民生活を考えて、消費者保護という観点からこれは当然お考えになる。三番目には、地場産業、伝統産業、特に地元企業の保護、こういう観点がうかがえるわけでありますが、お尋ねをしたいのは、そのうち消費者の保護と企業の保護、こういうことになりますと、勢い両者の利害が相反するケースが非常に多かろうと思います。たとえば砂糖のごときものは、つくった砂糖はなるべく高い値段で買ってもらいたいし、さらばといって、なめるほうのお砂糖は、これは安値でもって特例措置を講じてほしい、こうなるわけでありますが、そこら辺の調整方針をどういうふうにおとりになったか、お伺いをしたいと思います。
  35. 山中貞則

    ○山中国務大臣 これはきわめて困難、複雑多岐にわたる作業の経過を踏まえて結論を得たわけでありますが、要するに、現在沖繩方々が置かれている生活環境、そして沖繩の企業として二十数年間のあらゆる悪条件の中で、曲がりなりにも独立して採算のとれるような、あるいは独立した企業形態の運営が行なわれるような状態に立ち至った、その経過等を十分に踏まえまして、永久にこれを続けることは沖繩県のためにもよろしくないと思いますけれども、原則五年間の暫定措置前提として、まず第一は、お話しのように、切りかえる際の急激な本土並みになるためのマイナス面というものが激変にならないように最重点を置いたわけであります。すなわち、本土法令では外国に対する関税、あるいはまた内国税としての各種物品税に至るこまかな税目について、沖繩の生活する消費者の方々の立場というものを、今日までの生活慣習に照らして、十分に守っていけるという確信を持ってやったわけでありますが、たとえば一例をあげると、ランチョンミート等についてもそうでありますし、本土法令と違った、いままでどおりの輸入を認めようとしておりますし、あるいは本土において、まだ関税等において自由になっていないもの等についても、沖繩については現状がそうであればそれをそのまま認めていきたい。あるいはこれは本来沖繩が、貿易法上外国という規定のもとにのみあり得ました本土の大手乳業メーカーがつくっております沖繩の妊産婦、幼児等に対するミルクの安値の供給ということも、本土復帰いたしますと、法令上非常に困難なことでありますけれども、しかし、現実沖繩においては、幼児、妊産婦等のために、安いミルクを本土業者が供給する仕組みができておりますので、これはやはり復帰後も同じように安いミルクが供給できて、しかも、いままでの安いミルクが供給できた原因である、農林省の、乳業メーカーの沖繩に対して販売した実績に対応する原材料の輸入ワクの上積みということを、生産、実績でもって今後も続けていくことによりそれを保証しよう、こういうことや、ただいまお話しのように、砂糖を生産するところでありながら、なめる砂糖については現在どおりにしたいというような御希望にも沿い得るように、砂糖消費税の十六円を免税し、さらにまたそれを安く、それだけでは足りませんので、沖繩の現在の価格にひとしい価格にするための差額というものを、一般会計もしくは糖価安定事業団というような形で、いずれにしても国の負担によってそれを補助金という形で、結果出るわけでありますが、それによってなめる砂糖、あるいは原材料というものも現在どおりにしたい、ただし、向こうを安くしたために、その砂糖が本土に逆流すると困りますので、本土に出る場合については、これは当然の制限条項を付さなければなりません。このような措置を、国民いわゆる県民大衆、現在の琉球政府内の人たちの特殊な生活環境を守るために配慮をしたわけであります。  さらに本土沖繩との間において、国の形を構成しておりますためにのみ可能であった物品税という名前の関税、これによって保護されていた沖繩の企業については、たとえば酒類その他に見られますように、その条件によってのみ生存が可能であった企業というものが幾つかありますので、これらについては税制上の立場として理論的に計算し得るぎりぎりの範囲内において、すなわち現在沖繩における格差というものを、本来の本土の税と沖繩の税との格差は五年間据え置き、さらにその実質販売価格の差額をプラスしたものを七〇%と見て、それから逐年原則税率の差は五年間、その上積みされた分については企業努力その他の現地側の努力前提として漸減しつつ、五年目までに暫定措置を終わりたいというようなことで、大体これは一例でありますけれども、既存企業の保護にもつとめておるところでありますし、間接的には沖繩に立地を希望する、本土の雇用事情に貢献し、そしてまた沖繩にふさわしい、大企業を中心とする進出についても開発金融公庫その他で応援をいたしますが、これは沖繩現地で営々として築き上げられた県民の方々の資本ともいうべき現地産業と競合しないということを前提にして守ろうとしておりますし、また現地産業自体の、ことに中小企業の人々については中小企業近代化促進法あるいは構造改善、こういうものを全面的に適用し、すでに本土においては、指定された業種で年次計画を終わって指定からはずされていたものも、沖繩については新たに一斉に再出発ということで指定をして、そして中小企業近代化資金の融資の対象にし、構造改善計画の中に組み入れて、税制等についても、さらにさかのぼった形になりますけれども、新たに出発するものと仮定をして、めんどう見ていきたい、このように考えておるわけであります。  なお、沖繩のこれらの企業、あるいは国民生活、県民生活というものから考えて、その他にも数多くの、主食である米の問題、あるいはまたその他の、現在は物品税がかかっております魚、あるいは高級生鮮魚介類で二〇%、あるいは大衆魚介類で二〇%、そういう物品税とか、あるいはみそ、しょうゆとか、そういうものも物品税は一応なくなりますので、沖繩の県民の方々にとってはこれは非常にプラスであるというふうに考えておるわけであります。
  36. 湊徹郎

    湊委員 ただいまいろいろ話がございましたような各種税制の特例措置を講ずることによって、当然結果的には減収分がかなり出てくる。特に琉球政府、現在でも一般財源について非常に四苦八苦をしてきた経過等から考えまして、地方税の減収分、これは大体三十六億程度と伺っておりますが、その点それで間違いないかどうか、その点が一点。  もう一つは、これはなかなか、特に国税等についてこまかい試算がいまの段階でできるとは私も思いませんけれども、しかし、本土と比べた場合、一つは、琉球の従来の税制下にあって負担しておったものと比べた場合に、一体、住民の負担割合が今度の税制の一種の改正、特例等によってどう変わっていくのか。全体の試算がもしむずかしいとするならば、国県税合わせてでもけっこうでありますが、たとえば所得百万の人ならば、標準世帯の場合にどのくらいの負担の割合になるんだというふうなものを、例示的でもけっこうですからお示しをいただきたい。これは自治大臣にお願いをいたします。
  37. 山中貞則

    ○山中国務大臣 大体これは全くの推算であります。したがって、これらの諸特例措置を講ずることによる国税の減収がおおむね百億、地方税においてはただいまお話しのように、三十台から五十億前後までというようなことが試算はできますが、これは政策的に国が法律その他で、地方税について減税の結果なるべきことを措置したものは、交付税において当然措置されるわけでありますから、これは別といたしまして、それによって沖繩のいわゆる地方財源というものが極端に窮屈になるということには絶対ならない措置をとらなければならぬと考えますが、これらの点は自治大臣から話をしてもらいたいと思うのです。  そしてただいまいろいろの措置をとった場合に、今度の減税というのが年内異例の所得税減税が行なわれたので、沖繩についてはどういうことになるかということでありますが、私どもは、現在の四十六年度にとられた税制というものが、復帰後の沖繩に適用してみた場合にどうなるかという試算のもとに今日まで作業をいたしておりましたが、その場合でも、個人の所得税においても事業所得においても、いわゆる普通の方々、あるいは住民税等における一人一人の負担についても、国税から地方税全体を通じてみて負担の増になる人が出ないようにという計算をいたしました。結局はその結果は、一千万円をこすと、あるいは本土税法のほうが高くなるかという感じになったのでありますが、今回の減税によりましておおむねその線が非常に高くなりましたから、二千万程度のところまでは非課税になる。いや、本土よりも安い税になることになる。したがって、たとえば市町村民税の均等割りあるいは県民税の均等割り納付者等については非課税、あるいは現在の沖繩の市町村税の税額を上回らないように、すなわち本土の税額よりも安くという配慮をもともととっておりますので、今回の減税は、沖繩方々にとってはそのまままっすぐ、いわゆる負担の軽減ということが非常に幅が大きくなったということになるわけであります。  そこで、一例をとれということでありますが、本土の税負担と、沖繩のいま私ども考えております税負担というものが、一緒になる、すなわち、それ以上は本土のほうが高くなるという接点でございますが、独身者の場合は、給与所得者で一千九百十三万五千九百七十四円までは沖繩のほうが安くなる。事業所得者の場合は一千七百五万二千四百八円まで。それから標準世帯とこれからなるでありましょう夫婦子二人というものをとりますと、給与所得者の場合においては二千九十万六千五百八十七円まで安くなるわけであります。それから事業所得者の場合は一千八百八十六万九千八十六円まで。でありますから、これをこえるような所得者がもしあるとすれば、その方々本土税法並みになりますので、やや負担がふえるということになったわけであります。
  38. 渡海元三郎

    ○渡海国務大臣 総務長官に大体答えていただきましたが、補足して申し上げさせていただきます。  地方税制につきましては、現在も沖繩政府におきまして、復帰後円滑に実施できるようにいろいろの措置が講じられておりますが、私たちの基本的な方針といたしましては、復帰と同時に地方税法はそのまま本土法が適用される、しかしこの際に、税負担が多くなるものにつきましては、税目ごとに税負担が増加しないように措置をいたしたいと考えております。  その方針といたしましては、第一といたしまして、原則として、復帰年度は復帰前の税負担をそのまま据え置き、次年度からは一定期間をおきまして段階的に引き上げて本土法にならうようにいたしたい、このような措置を講ずることにいたしております。  いま申されましたそのための減収額でございますが、来年度の経済の見通し、あるいはドル・円の換算率の判定がいたしかねる現在におきましては、測定は不確定でございますけれども、おおむねいま申されました三十六億よりはやや上回って、四十億ないし五十億程度になるんじゃないか、かように考えております。この減収額を沖繩の一人当たりに換算しますと、四千円ないし五千円程度になるんじゃないか、このように考えておりますが、総務長官からもお答えがございましたように、これらの減収額に対しましては、当然一般財源であるべき交付税の姿で処置させていただきたい、かように考えております。
  39. 湊徹郎

    湊委員 財源の第二は、振興開発事業に基づく各種の国の負担補助の特例でありますが、配付いただきました政令によって中身を承知しておりますので、お尋ねを省略いたします。  次に、ただいま自治大臣から話がございました沖繩県及び市町村に対する一般財源措置についてでありますが、まず、交付税交付金の取り扱い方についてお尋ねをしたいと思います。  御承知のように、本土施政権の対象外に長いこと置かれましたために、当然、社会経済の基盤施設沖繩の場合かなり未整備になっておるし、立ちおくれてございます。先回の質問でその内容お尋ねしたわけでありますが、それから事実上過般の戦争で焦土化されたために、すっかりまる裸のような状態になって、その犠牲の傷あとというのがかなり残ってございます。三番目には、地理的、自然的な特性等、沖繩の特殊事情、こういうものを当然交付税の配分にあたっては考慮すべきである。したがって、たてまえとしては本土類似県並みの交付税ではなくて、それに相当額を上積みするということはいわば当然の前提であろうと思います。  ところが、沖繩の場合、交付税を計算いたします場合の基礎資料、統計等がほとんどできておりませんし、また行政需要をはじき出す場合に、さっき申しましたようないろいろな特殊事情を考慮しなければならない。それを計数的にどう評価するかということは、きわめて実は困難であろうと思いますし、また税制特例をとった点もあるし、税制の相違もある、税外収入も必ずしも本土とは同じでないというふうな事情から、厳密な意味で交付税額をはじけというのは事実上現在の間は無理であろう。したがって、当分は推算、推計によらざるを得ない、こういうことだろうと思います。  そこで、大ざっぱな話でありますけれども本土の類似県、たとえば佐賀県であるとか、宮崎、高知、徳島、島根、こういう本土類似県の実態から考えてみまして、交付税相当分、これは大体県と市町村の分を合わせますと、おおむね三百五十ないし四百億円ぐらいになるんじゃなかろうか。この点は過般細谷委員からも話がございましたが、そこで、自治省で今回要求をお出しになっている額は約六百三十億円というふうに承りますが、ただいま申し上げました類似県の数字と六百三十億円の差、これは大体二百五十億円前後になろうと思いますが、それがいわゆる本来ならば臨時の特殊事情に基づく特例交付分なんだというふうに考えてよろしいかどうか、その点が第一点。  それから第二点は、自治省でお考えになっていらっしゃる臨時特例交付金の考え方は、初年度において九〇%、逐次一〇%ずつ減して、十年後には全く本土並みの交付税の、いわば本則による措置にするんだ、こういうお考えのようでございますけれども、しかし、交付税と申すものは、いまさら釈迦に説法ではございますけれども、自治体財源のいわば大宗でございます。そこで、交付税算定に必要な基礎条件、先ほど申します統計の整備等の基礎条件を一刻も早く整えて、そして交付税は交付税、特例分は特例分というふうに区分処理するのがたてまえではなかろうかと思いますが、その点に対する考え方、これが第二点。  第三点は、先ほど総務長官から話がございましたように、税制等の他の財源措置等につきましては、おおむね五年以内ということを前提にいたしておるようでございます。そういう点から考えますと、この十年という期間はいかにも長過ぎはせぬか。さっき申すように、一刻も早くやはり本則に持っていくんだという考え方をとるべきではなかろうか。ただし、沖繩の場合振興開発計画そのものの目途が大体十年でございますから、その特例分についてはやはり十年をめどにして考えていくのが筋である、こういうふうに私は理解しますが、それに対する見解を伺いたいと思います。
  40. 渡海元三郎

    ○渡海国務大臣 交付税のあり方でございますが、本土に返ってまいりましたら、本土の交付税法をそのまま適用すべきことは、これは本則でございますし、私たちも基本はそこに立ちたい、かように思っております。ただ、いま御指摘になりましたように、沖繩は二十六年間施政権の外に置かれましたので、いろいろの点におきまして本土行政格差がついております。また一方、このおくれております社会資本を、沖繩の特性を生かしながら一日も早く充実していかなければならないという点と、また沖繩の置かれた地理的条件を生かしての積極的な振興対策を立てなければいけない。また沖繩の特殊事情によりますところの特殊な財政需要、こういうふうなものを考えてみますと、いろいろな本土の交付税と比べまして、特別の財政需要を必要とするのでなかろうか、このように考えるものでございます。いま申されましたように、算定基準もなかなか困難でございますので、沖繩にはむしろ本土の交付税法によるところの算定基準をそのまま用いることが、統計資料その他において困難でございますから、沖繩沖繩として必要なる基礎的行政需要、それにいま申しましたようないろいろな特殊事情を、沖繩として要ります一般財源の必要量をできるだけ可能な限りにおいて積み上げまして、必要とする額を算定するほうがむしろ実態に即しておるのでないか、かように考えましてその額を算定いたしたものでございまして、いま申されました本土の類似県並みの額を置き、それ以外が特例交付金かと言われましたが、大体ひもつきでございませんので、算定の基礎の上に立ちましてのそんな計算方法もとり得ますけれども、差額だけが交付金でなくして、臨時特例交付金というものは、全体を含めてが臨時特例交付金である。ただ、いま申しましたように、原則としては交付税に足すのが当然でございますから、その九割を国庫のほうからいただき、一割は本土の交付税の中から出すことによりまして、段階的に十年間に限って本土の交付税へ入れていく。その十年の間に、いま申されました統計その他も本土の交付税法の換算ができる、計算できるような統計資料も集まるような沖繩県の行政になり得るものと、こういうふうに考えまして、十年間という暫定措置を置いたわけでございます。しかしながら、この特例交付税の形にしましても、できるだけ正確に求めるのが当然でございますから、いま言われました統計資料その他につきましては、十年間を限らず、できるだけ本土のいま算定をやっておりますような基礎資料ができるように行政運営上指導してまいりたい、これが第二点に対する答えでございます。  第三点の五年と十年の問題、いま湊さん御指摘のとおりでございまして、税制は税制としての目的のために五年間を原則とする暫定措置考えましたが、交付税法はむしろ沖繩県の今後の開発計画とあわせて、そのような措置をするということを考えましたなれば、振興開発臨時特別措置法が一応目安を十年間と置いておりますのと符合を合わして、その期間に交付税法も本土並みに持っていく、十年間を暫定期間とするという姿で措置さしていただいたものでございます。
  41. 湊徹郎

    湊委員 ただいま、全体が一応特例交付金なんだというお考えのようでありますが、この調達財源について、これは過般の細谷質問に総務長官のほうからお答えをいただきましたのでくどくは触れません。つまり、その調達を交付税及び譲与税配付金特別会計、いわゆる国税三税の三二%相当額の中から幾ら負担するか、あるいは一般会計で幾ら持つか、こういうことは、当然今後大蔵省を含めた予算折衝の過程できめられることだと思います。しかし、いずれにしろ、六百億ないし七百億円の一般財源というものは、これは必ず確保していただきたいということを要望申し上げておきます。  次に起債についてでありますが、これについては、約百五十七億程度の要求をお考えのようでありますが、まず第一点は、地方債計画全体のワクをまずきめるのだ、きめた中から沖繩分というものを取り出していくのだというふうなお考えなのか、それとも一般の本土分とは全く別ワクで沖繩分として百五十七億、これは追加要求のかっこうでお出しになっておるはずでありますが、それに対応する分を別ワクでもってまずきめて、そしてあとで整理してかためるときに、地方債計画の各項目、一般会計債であるとか準公債であるとか、これは公営企業債であるあるいは特別地方債であるというふうな項目ごとにその分を差し込んでセットにして、これが地方債計画であるというふうになさるおつもりなのかどうか、その点が第一点。  それから第二点は、百五十七億円の中に二十四億円の借りかえ分というのが実は含まれております。これはおそらく市町村の分であろうというふうに思いますが、この市町村の百数十億にのぼる現在市中銀行からの借り入れがあるやに聞いておりますが、いわばその赤字の肩がわりという意味なのかどうか、その点が一点。  それから、内容は、現在沖繩の場合には本土と違って教育区というものがございますから、その教育区の借り入れ金がその市町村借り入れの大半であるというふうにうかがっておりますが、その中身と今後の処理方針をあわせてお伺いしたいと思います。
  42. 渡海元三郎

    ○渡海国務大臣 起債の額でございますが、御指摘のとおり、百五十七億を一応概算要求をさしていただいております。この分は、概算要求額が別の時期に行なわれましたので別ワクとして要求をさしていただいておりますが、折衝の段階におきましても、沖繩分の分に対しましては一応別ワクとして調整を進めていき、しかしながら、起債額総額といたしましては、その分と本土分、従来の分とを合わせまして、一本にしたもので出していきたい、かように考えております。沖繩分の取り扱いに対しましては、彼此流用という点もはかり、また足らざる分を調整する意味におきましても、本土分と一本にすることによって、別ワクとしておくことによるほうの利点が失なわれることのないような運用をはかってまいることによって、むしろ運用の便をはかりたい、かように考えておるような次第でございます。  借りかえ債の二十四億でございますが、これは御指摘のとおり、市町村の復帰時に予定されます赤字分の借りかえ債でございまして、この中には民間金融機関からの借り上げ額が、復帰時におきまして正確に把握することはできませんが、大体千四百万ドルほどあるのじゃなかろうかと考えておりますが、そのうち、特に向こうの要望する高利の分をできるだけ借りかえいたしたいと思いまして、調査の結果に基づいて、大体二十四億の借りかえ債を予定して、高金利の分を切りかえする予定でございます。  なお、その赤字債の中には教育費が相当あるのじゃなかろうかということでございますが、これは御指摘の分が多分にあると思います。教育区を含めて市町村の借入金については、実情に即した処理をしてまいりたい、かように考えております。
  43. 湊徹郎

    湊委員 起債に関する質問の第二点は、沖繩分につきましては交付税同様特殊な事情等を勘案して、当然この起債の額は、本土類似県ないし市町村より多くなるだろうというふうに思いますけれども、その充当率あるいは適債事業の項目、つまり起債対象事業の種類、これは全く本土並みのようにお聞きをいたしております。そういうふうにしたのは、先ほど来話のあった特例交付金あるいは補助金、負担金等の特例措置、これが、むしろそれによって財源調達をすることが本則であるから、したがって、起債はいわばそういう意味では補完的な措置だから、本土並みでよろしいんだというふうなお考えなのかどうかがまず第一点。  それから、特に、これは過般の委員会でも厚生大臣、文部大臣にお尋ねをしたのでありますが、生活関連施設、上下水道であるとか環境衛生施設であるとか社会福祉施設あるいは文教施設、これらについて本土との格差が非常に多いわけであります。そういうものはまた補助率や何かも実は低いわけでありますので、そういうものについて起債についても特例措置考える必要がありはせぬかというふうな気がいたしますが、その点についてどうお考えになっておられるか。以上、二点。
  44. 渡海元三郎

    ○渡海国務大臣 起債の要求といたしましては、御指摘のとおり、一応充当率その他は本土並みといたしております。ただ、補助ないし国庫負担率が本土と比べまして特例措置をもちまして相当引き上がりますので、地方負担分が相当額減額されますので、充当率その他はむしろ本土並みでよいんじゃないか、こう考えております。  なお、むしろ、起債というものは本来後年度の負担になるものでございますから、その分の足らざる分は、少なくとも市町村におきまして一般財源から補てんできるよう、臨時特例交付金の中でその算定額が組み入れられるよう措置することによって、本土並みの起債で円滑な自治体の運営ができるように処置いたしたい、かように考えております。  生活関連施設の分は、補助率とあわせまして起債の充当率等で引き上げぬとできないのじゃないか、こういうふうな点の御指摘がございました。そのような配慮が必要なこと、御指摘のとおりであろうと私思いますが、実情に合わせまして運営上もし必要であればそのような措置をはかりたいと思いますが、私のほうといたしましては、むしろ、そのような分に対しても一般財源である特例措置でできればやれるように持っていきたい、かように考えておりますのと、もう一つは起債の質でございますが、沖繩の実情に合わせまして、できるだけ良質なる政府債をもってこれに充てるように運用していきたい、このように考えております。  なお、本土並みの起債にいたしておりますが、全体の予算でございますので、いま申しましたように、その他の調整につきましては、運営の面においてやらしていただくように、全体計画の中の一部として起債を行なわしていただいておりますので、その点もそのような必要も考えまして、全体の一部として、特に別ワクとしないという方針を立てましたのも、そのような配慮からでございますので、御了承を賜わりたいと存じます。
  45. 湊徹郎

    湊委員 次に、琉球政府、これは当然市町村の分も含めてでありますが、非常に赤字の借り入れが多いわけであります。その現在持っておる債務の今後の処理方針についてお伺いをしたいわけでありますが、第一番目に、昭和四十七年三月三十一日、つまり四月一日返還ということを前提にいたしますと、その返還予定時に見込まれる債務、これは一体どのくらいになるか、これについても、私がお聞きしておる範囲では総額二百三十五億程度であって、その内訳は公共事業に伴う借入金が大体百十一億、純然たる赤字借り入れ分が約七十億、一時借入金の分が約三十六億、それから四十六年度に新しく設けられた琉球政府債、勧奨退職債相当分が約十八億であるというふうに伺っておりますが、その点、間違いないかどうか。それからその中には、市町村分も入っておるのかどうか。入っていないとすれば、市町村分は一体どのくらいになっておるのか、その点をまず最初に確認しておきたいと思います。
  46. 山中貞則

    ○山中国務大臣 大体いま言われたような数字ですが、それは琉球政府のいわゆる借入金その他の累積赤字であります。これは四十七年の三月末を推計しておりますが、そういうことのうちで、先ほど言われた本年度予算で本土と同じように起債を認めた金額は、これは本土並みの条件でありますから別ワクとして、それについて琉球政府は、やはりいままで国の事務もあわせ行なっている、本土からいうならば行なってもらっているということになります。したがって、これは大蔵と予算折衝を最終的に詰めなければなりませんが、その累積赤字の内容は、いま言ったような分析は必要でありますが、これは一応たな上げをして、本土政府のほうで、琉球政府はいわゆる身軽な財政の県として出発をしてもらう、それについての償還年次分の金額の予算要求をいたしておるわけであります。金額は三十三億であります。なお、これには市町村の分は含まれておりません。
  47. 渡海元三郎

    ○渡海国務大臣 沖繩県が引き継ぐといわれます赤字の総額につきましては、いま総務長官からの答弁があったとおりでございますが、私たちといたしましては、そのうちで湊さん御指摘のありました復帰対策準備として、四十七年三月末までに借り入れの予想されます琉球政府債並びに四十六年度、本年度で借り入れを予定をされておりますところの勧奨退職債、この分を合計いたしまして大体十八億、五百万ドルと予定いたしておりますが、この分につきましては、その分の償還を来年度の特別交付金の中に予定して、一般財源として要求させていただきたい、かように考えております。その他の分につきましては、大体沖繩北方対策庁のほうから処置していただく、こういう方針で臨んでおります。  市町村につきましては、詳しい調査というものがなかなか困難でありますが、大体推定いたしますところ、四十七年六月末、むしろ向こうは年次でいっておりますから、この部分が三月末になりましたらどの程度に減るかわかりませんけれども向こうの年度に合わせての本年度発行の分の予定を入れますと、三千五百万ドル近くの、三百六十円で換算いたしまして百二十五億ぐらいになるのじゃないかと思いますが、その程度の赤字となるのじゃなかろうかと思います。この中の、特に民間銀行から融資いたしておりますところの千四百万ドルに対する分、これの書きかえといたしまして、一応来年度での書きかえの起債ワクを二十四億概算要求しておるような姿でございます。
  48. 湊徹郎

    湊委員 ただいま総務長官のお答えの中で、今後きれいさっぱりしていくために、約三十三億円要求しているというふうなお答えがございましたが、この分は、当然四十六年度に新設した琉球政府債と勧奨退職債は含まれないので、それを除いたおおむね二百十五億前後のものに対する元利償還費であるというふうに理解してよろしゅうございますか。
  49. 山中貞則

    ○山中国務大臣 来年の三月末を推定して、二百三十六億に対応するものとしてやったわけでありますから、お話のとおりであります。
  50. 湊徹郎

    湊委員 そこで、実は琉球政府の今日までの財政運営等を見てまいりますと、特に数年来予算、決算の都合上、年度末になって収支のつじつまを合わせるためにいろいろ借りてきたというふうな経過があるようでありますし、また仕事の内容から見て、国政相当分及び県政相当分未分離のままに事業を執行してきた、こういう事情もございますから、当然この建設公債的な部分がどれだけで、純然たる全くの赤字借り入れ部分がどれだけであるというふうな区分もできないだろうと思いますし、また国政相当分が幾らで、県政相当分が幾らであるというふうな厳密な区分け、区分はできないだろうと思います。そういうことを前提にして、今後の処理方針について基本的な考え方お尋ねしたいわけでありますが、第一には、新しく出発するこの沖繩県をすっきりした形で発足をさせていく、こういうことで、国の責任でこの際一切の始末をつけるのだというふうな考え方、一種の徳政令的な考え方なのか、それとも国の分は国で当然処理することになるのでありますが、県政見合い分については、ある程度琉球政府にも責任はあるのだから、その分は一部県に残して財源を付与しながら、時間をかけて処理していくのだ、いわば財政再建方式とでも申しましょうか、そういうふうな考え方のいずれをおとりになっておるのかお伺いをいたしたいと思います。
  51. 山中貞則

    ○山中国務大臣 これは、琉球政府は単に国政事務をやっていただいておったというばかりではなくて、琉球政府、すなわちわれわれから見ると沖繩県でありますが、当然持っているべき起債市場というものが沖繩の県内になかった。したがって、ある場合においては考えられない財政投融資からの借り入れをしてみたり、あるいはまた民間市中銀行からの五年償還の高利の金を借りたりしてその場をしのいで回転をしております。したがって、ある年度においてはそれが歳入欠陥を補てんしたことになり、ある年度においては公共事業執行等のための公的な経費の不足に充てた年次もあり、これらを細目区分することはきわめて困難であります。あるいは区分しても、それは琉球政府にとってはきわめて酷な区分になるだろうと私は思うのです。でありますから、当初にお話のありましたように、沖繩県について、今日までの御労苦に報いるために、まず、財政上は沖繩県が負債のないすっきりした県として出発できるように肩がわりをしてあげたい、累績赤字の肩がわりという思想が前提であります。しかしながら、その中で先ほど申しましたように、本土並みに起債が認められた四十六年度からの分、先ほど自治大臣が言われました勧奨退職債、琉球政府債等の問題については、これはまた別な仕分けが要りましょうし、一方において当然将来——特別会計法が可決されたようでありますから、その財源として入っていくための金として起債で先当いたしました下地島のパイロット訓練場、すなわち県営の飛行場に充当する分というようなもの等は、やはり話し合いの結果は相談ができるものと考えておるわけでありますから、大略、こまかい議論は避けますが、そのような姿勢でもって本土政府の財政上の真心を示したいと考えております。
  52. 湊徹郎

    湊委員 ただいまのような考え方で、ぜひともお進めをいただきたいというふうに思います。  いまの借入金処理に関連もございますが、琉球政府の場合、従来、本土のほうで予算をつけましても、現地でもってなかなか対応費がない、あるいは技術者が非常に不足して、せっかくの仕事も設計の段階からつまづいてしまうというふうな例も数多く聞いておりますし、また、アメリカ経由ということで一々相談をしなければ話にならぬという過去の事情等もございまして、その結果、非常に繰り越し事業が多いわけであります。事業繰り越しとともに、それに対応する従来の日政援助分等についても、その対応費も余ってくると申しますか、そういう部分がかなり出るだろうと思いますが、いまの見通しではどのぐらい出るか、そのほうの処理方針はどうなのか、お伺いをしたいと思います。
  53. 渡海元三郎

    ○渡海国務大臣 ここ数年来繰り越し事業が持ち越されておることは御指摘のとおりでございまして、七〇年度において九十億、七一年度において大体百十億ほど、来年度は大体百三十億ほどの事業費が繰り越されるのではなかろうか、かように考えております。事業費百三十億に対しまして、国庫補助負担金その他の特定財源を入れまして、一般地方財源として必要とする、八億円程度だろうと思いますが、その分は特定交付税を要求することによりまして、この繰り越し額を、繰り越し事業をぜひとも次年度において処置できるように措置いたしたい、かように進めております。
  54. 山中貞則

    ○山中国務大臣 これは、実はいまからの作業になるわけですけれども、法解釈上の問題もありまして、琉球政府というものは復帰の日の瞬間において消滅をし、沖繩県というものが誕生するということになりますので、本土の各県のようにそれが公的な事業繰り越し、したがって予算も明許繰り越しの手段が法律上とれるのかどうか、ここらの議論もあります。したがって予算上は、また、それに対応する議論として、それはもう結局琉球政府としては執行できなかったのであるから、その予算は一応金額としては消える、そしてそれは来年度の予算として新しく出発する際に繰り越し分が入って計算さるべきであるという議論、いろいろございまして、いずれにしてもそれらの繰り越し分についての取り扱いをどのようにするかということは、先ほど述べられた琉球政府の執行状況というものから考えて、完全に繰り越しが出るであろう。まあその金額等もありますが、これは推計でございますので、まだここで明確にしないほうがいいだろうと思いますけれども、明確にしていいほうの一例としては、たとえば国民健康保険の発足を四月から予定をして、年間十二カ月分八億九千万円、予算で補助、国庫負担分を組んでおります。しかしながら、現実には御案内のごとく、琉球政府の立法勧告と立法院において可決された案とが食い違っておりますために、主席がそれに署名するかどうかという議論等がいま行なわれている最中でありまして、かりにそれがどのような形であれ実行されたとしても、これはやはりどうしても、即時やっても十一月からだということになりますと、本土の会計年度でいえばことしの四、五、六、それから琉球の会計年度でも七、八、九、十と、この七カ月については、予算が完全に執行できないのだということは明白であります。予算が執行できない場合、国庫負担金というものは、了解のもとにほかの財源に充当することを大蔵省との間に合意ができなければ、これは当然不用、執行不能分として残るわけでありますが、その金額も約四億五千万ぐらいになると思いますけれども、それらの金額も先ほど言われましたように形式だけでありますけれども、せっかく日米琉の会議までやってきめた予算でありますので、沖繩側においてそういう制度ができなかったがために執行できない金、こういう金が何らか生かして使えないものだろうかという検討はいまいたしておるところでありますが、これは琉球政府の意向も聞きませんと、使えなかったものは使えなかったもので国に返しますということになりますと、これは財政法の定めるところによって、昭和四十八年度の一般会計の財源に繰り入れられてしまう。これでは私たちとして、ことに担当大臣たる私は、せっかくの財源を、琉球政府に予算として獲得したものが、制度がおくれたりとはいえ、あるいは義務負担分であるとはいえ、執行できないままに一般会計の中に、翌々年度に入ってしまうということに忍びないものがありますので、ここらのところは大蔵当局とよく相談をしながら、現年度内において他に必要なものであって、それが流用が認め得るものであるならば、そういうものは執行できる範囲のものに充てたいという念願は持っておりますが、これは、しかしまだ確定的に定まったものではありません。
  55. 湊徹郎

    湊委員 次に、特別措置法関係を中心にしてお尋ねをしたいと思います。  過般、一般的な問題について若干お聞きをしたわけであります。私なりに分類をすれば、類型別にこういうふうになる、その場合に、こういう取り扱いに特別措置はなっておるのじゃございませんか、こういうふうな御質問をいたしまして、そういう分類のしかたをするなら、あながちそれは間違いではあるまいというふうな総務長官のお答えを得たのでありますが、第二点は、今度は手続の上から考えてみました場合に、沖繩のほうと本土と同じであるか、もしくは同種の制度がある場合に、いろいろ特別措置の上で書き分けてございます。あるいは適用する、あるいは準用をする、あるいはみなし規定を、これもかなりの数にのぼっておりますが、みなし規定を置く、あるいはこれこれの例によるというふうな言い方、あるいは暫定措置というかっこうでやっておる。反面、本土沖繩と制度の内容がかなり異なっておる場合は、たてまえとして特例措置をとるというふうなぐあいになっておるように伺いますけれども、これはたいへん大ざっぱな議論でありますけれども、そういうふうな理解のしかたでよろしゅうございますか。
  56. 山中貞則

    ○山中国務大臣 何を具体的な例で答えていいかわかりませんが、たとえば非常に行ったり来たりした一つの例を申し上げますと——議論が行ったり来たりしたという例ですね、電力の取り扱いについてですけれども、現在アメリカ民政府によって所管されております電力供給公社、これは本来ガリオア資金等に関連があり、なおまた、利用料金等において沖繩県民が負担した金が再利用されてでき上がった資産であるから、資産設備ともにそれは沖繩県民に無償で帰すべきである。したがって、本土政府がそれに対価を支払うことすらいけないという議論であったわけであります。この対価を支払う、支払わないの議論は、承継ということで、一応賛否は別として済んだわけでありますけれども、それを沖繩側においては、当初沖繩県に無償で渡せということでありましたから、渡すならばその運営主体というものはどうされますか。私は、県営電力がよろしかろうということを申し上げたのですが、御承知のとおり、沖繩本島に配電五社がございます。この配電五社が自分たちでもってこれを琉球政府に無償で払い下げて、そして琉球政府から格安の有償で自分たちが受け取って運営をしたい、こういうことで、七月一日を目標に五社合併の動きを一生懸命やったようでありますが、これはだめになりました。現在の時点では、復帰時までどうも合併される見通しもありません。したがって沖繩県としては、民営五社がこれを受け取れないということであるならば、県営でやるかどうかについての検討もしたようでありますけれども、結果として、県営でこれをやることはきわめて困難であり、好ましくないという結論を出してまいりました。したがって、いままでの自分たちの言っていた理論というものはこの際白紙に返す。したがって国のほうで全部めんどうを見てもらいたい。国営電力ということにしてもらいたいという要望がございました。これが最終的な希望でありました。そこで、法案に出してありますように、特殊法人の沖繩電力会社というものをつくりますが、これは私の行き過ぎた配慮かもしれませんが、やはり沖繩のためにのみ存在する電力の開発あるいは発送電等をつかさどるものでありますから、どうしても沖繩県民の意向というものが一部に反映さるべきであるということで、金額はほとんど全額国の出資によるものといたしますけれども、そのうちのたとえば〇・〇〇一%くらいを沖繩県で負担をしてもらう、沖繩県が出資者になるということでもって、たとえば沖繩県知事がその琉球電力株式会社のいわゆる役員になるということで、沖繩県民の意思がその運営あるいは計画の中に反映するのではなかろうかというような意向を申しましたところ、金額はどれくらいになるかという話もありましたが、わずか百万台の話でありますので、まあよかろうということで、そういう最終的な落ちつきを見たわけであります。  これは一つの例として取り上げたわけでありますが、いろいろな数多くの問題点あるいは数多くの角度からの議論がなされました結果、ここに私たちは沖繩県民の希望を最大限にくみ上げたものとして、沖繩県の側から見てこれが一番いいというものを、あるものはみなし、あるものは新しいものをつくり、あるものは沖繩県のための独特のものをつくるということを組み合わせていったものが、全体の考え方を貫く底流でございます。
  57. 湊徹郎

    湊委員 次に、これは過般、細谷委員の質問もあったのでございますが、総合出先機関、いわゆる沖繩総合事務局と個別に置かれる現地の出先機関、これはいずれも設置法と改廃法の関係になるわけでありますが、それを区分した基本的な考え方としては、これも再々総務長官から本委員会で答弁があったのでありますが、住民生活に密接な関係のある事務はできるだけ現地処理をするのだというたてまえで、一元的に処理が可能なもの、たとえば許認可事務であるとか補助金の交付事務であるとかあるいは公共事業の実施事務であるとか、指導・助長行政事務などのような一元的な処理可能なものは、できるだけ総合事務局に組み入れて、それから専門性を持った気象台であるとか試験研究機関であるとかあるいは独立性、中立性を必要とする人事院であるとか公取であるとか、そういうものは個別の機関に振り分けたんだ、こういうお話がございましたが、現在の個別の出先機関の中を検討すると、もう少し総合事務局に組み入れてもよさそうなものもあるような気がするのでありますが、その点いかがでございますか。その点が一点。  それからもう一つは、細谷委員の質問で、出先機関と地方自治の関係でございますが、これは本来国が行なうべき事務をたまたま現地処理ということで現地に機関を置くのだから、たてまえ上、地方自治の侵害ということは起こらないという趣旨の答弁があったようでございますが、私も多少地方自治にかつて関係を持っておりまして、何といいましても仕事を握っておる、金を握っておるということは、実は相当な圧力と申しますと語弊がございますけれども、そういうふうなことに実態上なりまして、補助事業等の選択等についてもなかなかたてまえと実態が必ずしも一致しないケースがあることを承知しております。そこで、そのたてまえはたてまえでありますけれども、そういう点で、この運用についてそのたてまえを貫くようなかまえをとっていくことが必要であろう。機構というやつは何せでき上がりますと一人歩きをする傾向がございますので、特にそういう歯どめといいますか、チェックすることについてどのようなお考えをお持ちか、第二点、お尋ねをしたいと思います。
  58. 山中貞則

    ○山中国務大臣 まず第一点の総合事務局でありますが、これは、実は地方自治の第二の議論と第一の議論とは少しまた関連がありまして、出先機関の中にもっとふやして組み入れてもいいものが単独出先機関であるではないか、こういうことでありますが、これは実は現地の意向等もありまして、総合出先機関はなるべく許認可等を中心とし、あるいは直轄で本省が行なうべきものを現地で、現地の意向も聞きながら、この裏には、建設工事等について琉球政府の職員等もいろいろと現地でやはり指導してもらったほうがいいという意見等もあったようでありますが、こういうようなことで、ある意味では最小限にとどめたという配慮が別途あるわけであります。したがって、いまお話しのように、本来ならば沖繩を一ブロックと仮定して進出を予定できないあるいはおそらくできないであろう機関、第十一管区海上保安本部、沖繩振興開発金融公庫あるいは電力会社、行政監察事務所、地区税関、国税事務所、沖繩海員学校、沖繩気象台、まあ人事院事務所は別でありますが、こういうものはやはり別個の機能として、しかし沖繩県民のためのもっぱらのサービス行政として単独で出てもらいたい、こういうブロック的な権能をそこにおろすということにこれは配慮をしたわけであります。したがって別な議論からすると、いまの沖繩総合事務局の構想そのものだけでも少し大き過ぎるのじゃないか、多過ぎるのではないかという議論が一方にはあるわけであります。したがって、われわれとしては、ここらのところがまあまあほどほどのところではなかろうかというような気がいたしております。  その地方自治の自主権あるいは中央権力の自主権への介入になりがちであるという問題は、これはやはり厳に戒めなければなりません。したがって補助率別表、そしてそれに伴う政令の補助率等について、お手元にもう届いておると思いますが、最大限の補助率、本土の各地域立法、振興法等に関するあらゆる補助率を下回らざる補助率を全部、まあ言う人の表現でいろいろでありますが、そんなにまでしてもらいたくないという役所があるわけですから、そういう役所の言い分だと、本土の各法律のいいところだけを全部取って——奄美振興でも、いまの奄美振興の補助率ではなくて旧奄美振興の、昭和二十八年出発したときの補助率、北海道開発法も旧北海道開発法の補助率というふうに、いいところだけをつまんで全部適用されるというのはどうもという意見もありました。しかしながら、これは、やはり沖繩のために私たちが尽くし得る国の最大限の義務ではなかろうかというふうに考えて、ようやくその関係当局とも話を最終的にセットし、あとは予算の金額を待つということになるわけでありますが、問題は、今度は本来都道府県知事あるいは港湾その他の管理者あるいは市町村長というような者が、本来自分たちが行なってもいいものというもので申請すれば、これが国の直轄となり、あるいは十分の十の補助事業として行なわれるというような場合には、あくまでもこれは申請ということにしております。したがって県知事が申請しないものを、十分の十の補助だからこっちのほうでやったほうがいいだろうというて好意の押し売りをして、自主権を剥奪していくような結果にならないということは、これは法律上も明確であり、その点は湊委員も承知の上で質問しておられるわけでありますから、その点を一応申し上げておくとともに、十分の十の補助というもののおちいる弊害というお話がありました。この点はまさに私もそのようなことがあってはならないと思いますから、ことに沖繩総合事務局は、その局長をそれぞれの行政の主管庁の大臣が指揮をすることになっております。したがって、その斉一性とその十分の十の補助であることに逆に藉口した県政への干渉ということは、これはお互い厳に慎むべきことでありますので、これはお互いにことばの上の議論でありますけれども、そのようなことのないように、ことに基本になる開発計画というものは、県知事の原案作成権というものが認められておりますから、それに従って行なわれるとすれば、形式の上でも最大限のチェックは配慮しておるということはお認め願いたいと思う次第であります。
  59. 湊徹郎

    湊委員 ただいまの機構の問題について、行政管理庁長官はいかようなお考え方をなすっていらっしゃいますか。
  60. 中村寅太

    ○中村国務大臣 沖繩に置かれます国の行政機関につきましては、政府は第三次沖繩復帰対策要綱においてその基本的な方針を定めております。沖繩における経済の振興及び社会の開発をはかるために、総合的な施策を策定し、あるいは推進し、その施策の実施に関しましては、関係行政機関の事務を総合調整することを主たる任務とする沖繩開発庁を総理府の外局として設置することと、それから那覇市に沖繩開発庁の機関として沖繩総合事務局を設置すること、あるいは沖繩総合事務局において所掌する事務以外の国の事務を所掌する行政機関を個別に設置して、これらのうち必要と認められるものにつきましては、原則として当分の間、本土におけるブロック機関の権限またはこれに準ずる権限を与えて、沖繩における事務を円滑に処理することといたしておるのでございます。
  61. 湊徹郎

    湊委員 次に、特別措置法及び改廃法に関連して、百五十七条という非常に膨大な条文でございますから、各省ほとんど関係をお持ちになっているわけでございます。この前法務関係についてお聞きをしたのでありますが、文部関係についてこの機会にお尋ねしたいと思います。  第一番目は、沖繩における教育委員会制度、これは、当然本土と違っておるわけでありますが、復帰に伴いまして、当然教育のような国の基本的な問題でございますから、一体的な処理をするというのが原則のように、いままでもお伺いはいたしておりましたが、教特法の取り扱いも含めて、この機会に文部大臣からはっきりした考え方をお伺いしたいと思います。
  62. 高見三郎

    ○高見国務大臣 お答えいたします。お話のように、教育はその国の基本的な重大な課題であるということは私も考えておるのであります。沖繩本土復帰いたしまする場合、教育行政制度につきましても本土と同じ姿にいたしたい、これは、私は最もすなおな考え方ではないか、かように考えております。教特法につきましても同じことが言える。いま湊先生がお話しになりました点は、私はそういう観点から教育行政制度を本土と一体化いたしたい、かように考えておるのであります。
  63. 湊徹郎

    湊委員 それから、沖繩には国立になるであろう予定の琉球大学以外に私立大学がございます。沖繩大学あるいは国際大学、それに付設されておる短期大学等があるわけでありますが、その中身を見てみますと、いろいろな職員の構成もそうでありますし、学級の編制、その他本土水準に比べると非常に格差がございます。こういう私立大学を復帰の後にどういうふうなお取り扱いをなさるのか、その点をお尋ねしたいと思います。
  64. 高見三郎

    ○高見国務大臣 お話のように、沖繩大学、国際大学という二つの私立の大学がございますが、その設置基準というものを内地の設置基準から見ますというと、お話にならぬほど低いのであります。そこで、政府といたしましては、何とかこの大学を統合することによりまして、せめて内地の最低基準まで持っていきたい。そのために必要な経費の三分の二は国が経費を持とうというので、せっかく山中長官の手元で、この問題を非常に真剣に取り扱っていただいておりまして、話はだんだん煮詰まってまいりまして、復帰までには大体その方向に進むものと確信をいたしておるわけであります。
  65. 山中貞則

    ○山中国務大臣 いまの沖繩の私立大学二校の統合問題は、このままで復帰を迎えますと、その内容等から見て、いわゆる本土の私立大学の扱いを受けない各種学校になるおそれがございます。したがって、このことは前々から関係者と、沖繩にせっかくある私立大学、これをつぶすようなことをしてはなるまいということで御相談をいたしておったのでありますが、やはり人的な関係その他があって、なかなか話がうまく進んでおりませんでした。しかしながら、沖繩にゆかりの深い南援の会長である大浜信泉氏のあっせんによって、いわゆる大浜私案というものによって大体歩み寄りが見られてまいりました。その大浜私案の前提は、両大学の統合に際し、本土には例のないことであるけれども十億の補助金をくれ、国庫補助十億を前提として話し合いがまとまるということでございますので、対策庁の私どものほうで、一括計上分として沖繩における私立大学の統合に対する補助金として、大浜私案の要請額どおり十億円の予算要求をいたしております。これによって沖繩の琉球大学が国立に移り、そして二つある私立大学の基準以下のものというものが——統合しても若干まだ基準には達しない点が多うございますが、これはやはり沖繩に私学を一つは残したい、またあるべきであるという考え方の政策の上から、この十億円というものを、沖繩大学の約束事でもありますので、私立大学の統合に対してぜひ国から支出をしたいと考えておる次第であります。
  66. 湊徹郎

    湊委員 次に、現在沖繩の留学生の皆さんに対して国費でもって給与等を負担する制度がございますが、これは復帰をいたしますと当然留学はなくなるわけであります。そこで、復帰対策要綱の中ではこれに準じた奨学措置を今後も一定期間とっていくのだというふうに書いてございます。これは、当然漸減方式でいくだろうと思いますが、その内容について簡単にお伺いをしたいと思います。
  67. 山中貞則

    ○山中国務大臣 これは、実は復帰対策要綱をつくりました時点では、沖繩側の意向というものが最終的にまとまっておりませんでした。そこでやはり復帰後これを断ち切ることはできないし、もちろん、現在の既得権としての奨学資金を貸与されておる者について、それを打ち切ることも不可能なことでありますから、いま言われたような思想が背景にあったことは否定できないのでありますが、その後、琉球育英会という組織が中心になって、いろいろと試算をいたしました結果、本土政府から育英会に対して十億補助がもらえればということを前提に自分たちが計算をされて、十億を入れてもらえれば自分たちの手で現在の国費本土留学、これが今度は内地留学になるわけですけれども、そういう制度が、そのまま同じ定員と実質同じ金額で保証される道を講ずることが可能であるという計算上の根拠を示されまして、私もそれを試算してみたのでありますが、償還金その他等を総合して計算をすると、なるほど現在の体制がそのまま、これは永続するわけでありますが、実行できそうであります。そこで、直接育英会に国が補助金を出すという例はこれもございませんので、これはやはり琉球政府復帰後の沖繩県に十億を支出し、沖繩県から琉球育英会のファンドとして十億が支出されることによって、今後は沖繩の国費留学生というものが何年間で打ち切られるのかという心配はない。むしろ、永続して沖繩の基礎教育の格差というものを埋めるための国費留学生の制度というものが続行できるということに、かえってプラスの面が出てまいった次第であります。  ただし、他面、特殊選考ということでやっておりますから、この特殊選考の制度は五年間、すなわち沖繩の大学受験までの基礎勉強の条件というものが整備がされることによって、それは試験は大体育英会が試験することになりますか、文部省の試験になりますか、いずれにしても五年間ぐらいのめどで格差を埋めることに努力しようではないかといっておりますが、その国費留学生の実質の制度は、永続できる制度というものがそれによって発見された。したがって、そのための予算措置を講じておる次第でございます。
  68. 湊徹郎

    湊委員 次に郵政大臣お見えでありますから、郵政省関係の二、三の点についてお尋ねをいたします。  第一番目は、沖繩における電信電話制度でありますが、これについて現在の制度は、本土と全体としては大差がないようでありますけれども、電話の基本料金あるいは度数料あるいは市外の通話料等の料金は、沖繩のほうが本土よりも相当高いようにお聞きをいたしております。これらについては、復帰と同時に当然本土並みにするのだと思いますが、反面今度、電話の設備料のほうになりますと、これは本土のほうが高い、こういうことで現地のほうからも再三いろいろな要請等があったわけであります。そこで、その本土並みの——向こうが高いやつを低くするほうはいいのでありますが、この設備等についてどういうふうな取り扱いをなさるのか第一点お伺いをしたいと思います。
  69. 廣瀬正雄

    ○廣瀬国務大臣 沖繩の電信電話、これは御承知のように本土と比べますとだいぶん劣っております。格差があるわけでございます。急いで整備拡充しなければならないということになります。これにつきましては、日本電電公社で五カ年計画を立てまして、年次的に計画的に急いでやるというようなことになっておりますが、その内容の一、二について申し上げますと、まず一般加入の電話につきましては、五カ年計画というのは五十一年度に終わりますけれども、その翌年度の五十二年度までに申し込んでそのままになっているという、いわゆる積滞数のないように、五十二年度の末までにはやってしまいたいというような計画を立てておるのでございます。また公衆電話につきましては、なるべく大幅に拡充いたしたいという考えがございますし、さらに即時化の問題については、これまたなるべく早く全国の即時網に入れたい。本土沖繩との即時化につきましては、ただいま工事を進めておりますが、来年の十月までには実現できるようなことになるかと思っております。ただ先島につきましては、多少おくれまして、五十二年度程度ということになるのじゃないかと思っております。あるいは五十一年度に実現ができるかもしれません。即時化の問題でございます。  なお、ついでに申し上げておきますけれども、カラーテレビの放送につきましては、佐藤総理の特別な御指示もございまして、来年の沖繩本土復帰のころまでには、その放送ができるというようなことに向かってただいま進めておるわけでございます。こういうような状態でございますが、制度そのものにつきましては、ただいま湊委員が御指摘のように、公衆電気通信法あるいは電信電話規則というのがございますが、これはいずれも本土の法制に準拠いたしてつくっているわけでございまして、大差ないわけでございますけれども、ただ、一口に申しますと、設備費は向こうのほうがずっと安い、使用料は本土のほうがずっと安くなっております。本土の約倍程度に使用料はなっているわけでございます。そこで設備費の状況は、御承知のようにいままで九千円でございました。本土は五万円ということになっておりますので、九千円から五万円に一足飛びではいかにも気の毒であるということを考えまして、特別措置といたしまして、経過措置として、昨年の十一月二十日、つまり第一次の沖繩復帰対策要綱がきまりますまでの申し込みに対しましては九千円のままで受け付ける、その後ことしの六月十七日、つまり復帰協定が調印されましたときまでは三万円、その後本土並みの五万円ということに特別に取り扱いたい、こういうように考えているわけでございます。
  70. 湊徹郎

    湊委員 時間の関係もありますので二点お伺いをしたいと思いますが、第一点は郵便についてであります。  速達扱いをいたします普通の郵便物あるいは速達扱いをしてない第一種定型あるいは郵便書簡、第二種郵便物、それから航空小包業務、沖繩のことでありますから、当然一切がっさい飛行機でやるということになると思いますが、その場合に料金その他のサービス等については、これは全く本土並みというふうに理解してよろしいかどうか。そういう点が一点。  それから第二点は、OHK沖繩放送、これは当然日本放送協会NHKと一緒になるわけでありますが、NHKの運営は御承知のように運営委員で行なわれておる。その場合、沖繩選出の運営委員についてはどういうふうなお取り扱いをなさるおつもりか、その二点お伺いをいたします。
  71. 廣瀬正雄

    ○廣瀬国務大臣 郵便につきましては、申すまでもなく、復帰後は内国郵便の取り扱いにいたすわけでございまして、すべて内国郵便の料金になるわけでございます。また、はがき、手紙につきましては、直ちに航空便をもって輸送するというようなことになるわけでございますが、御指摘のように、速達郵便につきましてはまだその方法が開けておりませんので、これもなるべくそういうようなことにいたしたいというふうに考えているわけでございます。  それから、沖繩放送協会が日本放送協会NHKに統合されることになりますと、御指摘のように経営委員会関係ができてくるわけでございますが、この経営委員というのは、学識経験に富んで公正な判断のできる人というようなことで、NHKが十二名選んで委員会をつくっているわけでございますけれども、そのうち八名は、俗に私ども地方区と申しておりますが、全国を八つの区域に区画いたしまして、その地域に住んでおります者から選定しなければならないというようなことになっておるのでございます。そこで、沖繩本土復帰いたしますと、九州の地区に入れて、特別に経営委員はふやす必要はないのじゃなかろうかというような考えもいたしたのでございますけれども、御承知のように、放送の内容あるいは制度につきましても、沖繩は、ずいぶんおくれておりまして、だいぶ格差があるわけでございますから、特に沖繩住民聴視者の声をNHKの放送内容に反映させる必要があるのだということを考えまして、特に沖繩には一名経営委員をふやして設けるということにいたしましたわけでございまして、住民の声をよくNHKに反映させたい、このような趣旨から、そのようなことをやることにいたしております。
  72. 湊徹郎

    湊委員 運輸大臣もお見えになっておるようでありますから、運輸大臣にお尋ねをしたいと思いますが、現在の自賠制度についてであります。  本土の自賠制度と沖繩の自賠制度はかなり実は内容が異なっております。たとえて申しますならば、沖繩法の場合は、これは人身事故だけじゃございませんで、物損事故も一緒に扱っておりますし、保険の金額等も本土の場合は死亡一人当たり五百万円、傷害が五十万円、後遺傷害が十九万から五百万円というふうな扱いになっておりますが、沖繩の場合は全部つっくるめて死亡あるいは傷害、後遺傷害、これを全部セットにして一人当たり五千ドル、五千ドルというと、百八十万円程度にしかなっておりませんし、また一事故当たり一万ドル、三百六十万円というふうな頭打ちといいますか、制限があるようであります。また、本土では六割再保険がききますが、向こうには再保険の制度がない、こういうことになっておりまして、かなりこれは移行については問題が多い制度でありますが、これについてどういうふうな考え方で移行措置をおとりになるのか、お聞きをしておきたいと思います。
  73. 丹羽喬四郎

    ○丹羽国務大臣 ただいまの自賠責の制度につきまして、本土沖繩と御指摘のとおりの相違点がございまして、これらの調整につきましては、沖繩の自賠責制度というものは本土の責任原則その他自賠法の適用につきまして、本土の原則は大体入れてつくっている法制ということでございますので、直ちに復帰後におきましては本土法を適用いたしたい、こういうふうに思っておる次第でございますが、しかし、ただいまお話がございましたとおり、本土におきましては人身事故だけにつきまして適用がございます。片一方、沖繩におきましては物的事故につきましても適用がある。それからまた、額についても非常な相違がある、こういうことでございますので、その間に経過措置を講じまして、できるだけ選択的にこれを被保険者の希望にまかせまして、選択的に、経過的にこれを適用いたしまして、その間の緩和をはかってまいりたい、こう思っておる次第でございますが、詳しくは自動車局長から御説明いたさせます。
  74. 野村一彦

    ○野村政府委員 お答えいたします。  ただいま大臣から申し上げましたように、沖繩本土復帰と同時に、自賠法の規定が適用になります。したがいまして、いわゆる強制保険といいますものは人身事故だけになります。ただその中で、沖繩におきましては人身事故とそれから物損と両方が沖繩の自賠法の適用になっておりますので、物損部分につきましては、これが任意保険に切りかえられるという措置法案の中に講じられております。  それから、金額につきましては、現在沖繩法に基づいて締結されております金額は、これは復帰後十四日間以内に本人が希望すれば本土の保険金額に変わる、希望しなければ現在のままの保険の金額になる、そういうことでございまして、もし不幸にして事故が起こりました場合の本土沖繩との金額の差額は、国家の保障事業で穴埋めをして加害者に求償をする、こういう措置になっております。今後の新しい契約を結ぶ場合は、当然本土並みになるわけでございます。
  75. 湊徹郎

    湊委員 法務大臣お見えになったようでありますから、一、二お尋ねをしたいと思います。  第一番目には、数は少のうございますけれども沖繩県には外国人の弁護士さんがいらっしゃる。この扱いについては普通の日本人である弁護士さんと違って、いろいろ特別措置が必要であろうと思いますが、その点一つ、第一点。  それから第二点は、向こうに会社、法人等がございますが、この法人の中で特に民法法人について私は問題があると思っております。  そこで、民法法人の数は一体どのくらいあるのかということが一つと、それから本土の場合も実は認可のしっぱなしというようなことで、ほとんど民法法人については、自後の監督等についてこまかい規定もないし、いわばつくりっぱなしの状態で置いてあるものが非常に数多い。睡眠法人といわれるようなものも実は過去に許可、認可した半分以上あるというふうに思っておりますので、特に民法法人の扱いについては、沖繩がせっかく返ってくるこの時期に、本土の民法法人も含めてこの取り扱いというものを考え直す必要がある、こう私は思いますが、その点についての法務大臣の考え方をお聞きしたいと思います。
  76. 前尾繁三郎

    ○前尾国務大臣 民事局長からお答えさせます。
  77. 川島一郎

    ○川島(一)政府委員 お答えいたします。  沖繩に現在あります民法法人の数は百六十三、これは一九七〇年、つまり昨年一月に調べた数で、ちょっと古うございますが、現在も大体この程度であろうと思います。  それから民法法人の、内地の民法法人を含めまして、法人に関するいろいろな問題があるという点は御指摘のとおりでございます。この点につきましては、主として民法の規定によりますと、主務官庁がその法人の監督をいたすことになっております。その民法の監督規定の運営の問題でございますので、各省庁に共通いたします。そこでその点につきましては、現在行管、総理府その他各省庁が協力いたしまして運営の改善をはかっていこう、こういうことをいたしておるわけでございます。  なお、法律規定を若干改める必要があるかという点につきましては、法務省において目下検討することにいたしております。  それから弁護士関係につきましては、調査部長のほうからお答え申し上げます。
  78. 貞家克巳

    貞家政府委員 現在沖繩におきまして、外国人弁護士として登録されておる者が三十四人ございます。この制度は、昭和二十八年に米国民政府の布告によって初めて定められたものでございまして、現在の沖繩の弁護士法が昭和四十三年に施行されました後も従前どおりの取り扱いを受けているわけでございます。この布告によりますと、外国の弁護士資格を持っております者は琉球政府の法務局に特別の登録をいたすことによりまして、外国法に関して法律的助言及び訴訟代理をする権限が認められているわけでございます。  そこで、最近の調査によりますと、この登録をいたしました者は三十六人おりましたけれども、死亡し、あるいは承認を取り消されまして、先ほど申し上げましたように、現在登録されております者は三十四人でございます。しかしながら、このうち実際に沖繩におきまして法律事務に従事しております者は十人未満という現状でございまして、その他の人々は、おおむね本国に帰るとかその他によりまして、現在すでに沖繩においては弁護士業務をしていない模様でございます。また、そのわずかな外国人弁護士も、琉球政府の裁判所に出廷いたしますことはきわめてまれでございまして、大部分はもっぱら法廷外の活動、つまり、外国商社間の契約事務の代行というような法律事務を取り扱っている模様でございます。  そこで、これらの外国人弁護士を復帰後どう取り扱うかということにつきましては、他の外国人の自由職業者の処遇とあわせましていろいろ検討されましたし、またアメリカ側とも話し合いが行なわれたのでございますが、一方におきまして、できる限り復帰前に適法に営んでおります業務の実績を尊重するということが一つございます。  他面におきまして、しかしながらこれらの外国人弁護士は、たとえば裁判所の承認というような手続を踏みませんで、単に法務局に登録をすることによってその業務が認められているというような実情を考慮いたしまして、一応これらの者につきまして、復帰後も従前どおり業務を行なうことを認めるという方針は立てましたけれども、それに伴いまして、数点の制約を加えることにいたしております。これが沖繩復帰に伴う特別措置に関する法律案の六十五条の規定でございまして、その制約は大体三点ございます。  まず第一点といたしまして、対象者を制限することにいたしました。つまり、一応アメリカ側との最終的な話し合いの開始されます段階を基準といたしまして、昭和四十六年一月以降、現実に引き続いて沖繩におきまして業務に従事している、そういう実績を持っている者に限定するというのが第一点でございます。  第二点といたしましては、復帰後あらためて最高裁判所の承認を得させるという点が第二点でございます。この承認をいたす前提といたしまして、この法律案にございますように、最高裁判所が選考を行なうことができる。そして承認をいたします際には日本弁護士連合会の意見を聞かなければならないということにいたしております。なお、必要があると認める場合には、最高裁判所はその承認を取り消すこともできるという措置を講じております。  第三に制限的措置といたしまして、これらの外国人弁護士は、復帰沖繩県の区域内に法律事務所を設けるということを条件といたしているのでございます。  こういった三つの条件のもとに、従前どおり外国法に関しまして、これらの外国人弁護士に引き続き業務を行なうことを認めるというのがこの法律案趣旨でございます。
  79. 湊徹郎

    湊委員 人事院総裁お見えになっておるようでありますから、二点ほどお尋ねをいたします。  第一番目は、復帰に伴いまして国家公務員になる者の給与の扱いでありますが、これは、当然本土制度を全面的に適用するということを基本方針となすっておると思います。ただ一定の場合に、どうしても経過措置をとらなければいけないものもあると思いますが、そういう経過措置を講じなければいかぬ場合というのは具体的にどういう場合なのか、それが第一点。  それから、向こうとこっちの給与制度がかなり違った点がございますから、人によっては俸給が下がるというふうな人も出てくると思います。そういう場合の補償措置をどういうふうにお考えになっておられるか。  以上二点、お伺いいたします。
  80. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 お答え申し上げます。  今回、復帰になりますと、およそ六、七千人の琉球政府の公務員の方々国家公務員におなりになるのではないかと予想しておりますが、国家公務員におなりになりました以上は、完全に私どもの同僚として、従来の本土法律のもとに立っていただく、これは申し上げるまでもないことでございます。しかも、大体向こうの公務員関係の制度と従来の本土の制度とは、根本的にはあまり違いがありませんので、そう基本的問題というものはありませんけれども、いま御指摘になりましたように、具体的な一人一人の方々の待遇の違い、差異というものはこれは推定できることであります。私どもといたしましても、こちらに来られて待遇の上がる方もありますけれども、同時に不利益になられる方もこれはあり得るわけでありまして、そういう点に着目いたしまして、今回の法案の中にも一カ条設けさせていただきましたけれども、やはり給与の下がる方に対しては、差額を償うだけの手当というようなものをどうしても差し上げなければなるまいという気持ちで臨んでおるわけでございます。
  81. 湊徹郎

    湊委員 ほかの各省等についてもいろいろとお尋ねしたいことがあるわけでありますが、常識の時間ということを申し上げてございますので、この際、別な機会に残余の分は残しまして、きょうは以上で質問を終わりたいと思います。(拍手)
  82. 床次徳二

    床次委員長 この際、暫時休憩いたします。    午後零時四十六分休憩      ————◇—————   〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕