○山中
国務大臣 これはきわめて困難、複雑多岐にわたる作業の経過を踏まえて結論を得たわけでありますが、要するに、現在
沖繩の
方々が置かれている生活環境、そして
沖繩の企業として二十数年間のあらゆる悪条件の中で、曲がりなりにも独立して採算のとれるような、あるいは独立した企業形態の運営が行なわれるような
状態に立ち至った、その経過等を十分に踏まえまして、永久にこれを続けることは
沖繩県のためにもよろしくないと思いますけれ
ども、原則五年間の暫定
措置を
前提として、まず第一は、
お話しのように、切りかえる際の急激な
本土並みになるためのマイナス面というものが激変にならないように最重点を置いたわけであります。すなわち、
本土法令では外国に対する関税、あるいはまた内国税としての
各種物品税に至るこまかな税目について、
沖繩の生活する消費者の
方々の立場というものを、今日までの生活慣習に照らして、十分に守っていけるという確信を持ってやったわけでありますが、たとえば一例をあげると、ランチョンミート等についてもそうでありますし、
本土法令と違った、いままでどおりの輸入を認めようとしておりますし、あるいは
本土において、まだ関税等において自由になっていないもの等についても、
沖繩については現状がそうであればそれをそのまま認めていきたい。あるいはこれは本来
沖繩が、貿易法上外国という
規定のもとにのみあり得ました
本土の大手乳業メーカーがつくっております
沖繩の妊産婦、幼児等に対するミルクの安値の供給ということも、
本土に
復帰いたしますと、法令上非常に困難なことでありますけれ
ども、しかし、
現実に
沖繩においては、幼児、妊産婦等のために、安いミルクを
本土業者が供給する仕組みができておりますので、これはやはり
復帰後も同じように安いミルクが供給できて、しかも、いままでの安いミルクが供給できた原因である、農林省の、乳業メーカーの
沖繩に対して販売した実績に対応する原材料の輸入ワクの上積みということを、生産、実績でもって今後も続けていくことによりそれを保証しよう、こういうことや、ただいま
お話しのように、砂糖を生産するところでありながら、なめる砂糖については現在どおりにしたいというような御希望にも沿い得るように、砂糖消費税の十六円を免税し、さらにまたそれを安く、それだけでは足りませんので、
沖繩の現在の価格にひとしい価格にするための差額というものを、一般会計もしくは糖価安定事業団というような形で、いずれにしても国の負担によってそれを補助金という形で、結果出るわけでありますが、それによってなめる砂糖、あるいは原材料というものも現在どおりにしたい、ただし、
向こうを安くしたために、その砂糖が
本土に逆流すると困りますので、
本土に出る場合については、これは当然の制限条項を付さなければなりません。このような
措置を、国民いわゆる県民大衆、現在の
琉球政府内の人たちの特殊な生活環境を守るために配慮をしたわけであります。
さらに
本土と
沖繩との間において、国の形を構成しておりますためにのみ可能であった物品税という名前の関税、これによって保護されていた
沖繩の企業については、たとえば酒類その他に見られますように、その条件によってのみ生存が可能であった企業というものが幾つかありますので、これらについては税制上の立場として理論的に計算し得るぎりぎりの
範囲内において、すなわち現在
沖繩における格差というものを、本来の
本土の税と
沖繩の税との格差は五年間据え置き、さらにその実質販売価格の差額をプラスしたものを七〇%と見て、それから逐年原則税率の差は五年間、その上積みされた分については企業
努力その他の
現地側の
努力を
前提として漸減しつつ、五年目までに暫定
措置を終わりたいというようなことで、大体これは一例でありますけれ
ども、既存企業の保護にもつとめておるところでありますし、間接的には
沖繩に立地を希望する、
本土の雇用事情に貢献し、そしてまた
沖繩にふさわしい、大企業を中心とする進出についても開発金融公庫その他で応援をいたしますが、これは
沖繩現地で営々として築き上げられた県民の
方々の資本ともいうべき
現地産業と競合しないということを
前提にして守ろうとしておりますし、また
現地産業
自体の、ことに中小企業の人々については中小企業近代化促進法あるいは構造改善、こういうものを全面的に適用し、すでに
本土においては、指定された業種で年次計画を終わって指定からはずされていたものも、
沖繩については新たに一斉に再出発ということで指定をして、そして中小企業近代化資金の融資の対象にし、構造改善計画の中に組み入れて、税制等についても、さらにさかのぼった形になりますけれ
ども、新たに出発するものと仮定をして、めんどう見ていきたい、このように
考えておるわけであります。
なお、
沖繩のこれらの企業、あるいは国民生活、県民生活というものから
考えて、その他にも数多くの、主食である米の問題、あるいはまたその他の、現在は物品税がかかっております魚、あるいは高級生鮮魚介類で二〇%、あるいは大衆魚介類で二〇%、そういう物品税とか、あるいはみそ、しょうゆとか、そういうものも物品税は一応なくなりますので、
沖繩の県民の
方々にとってはこれは非常にプラスであるというふうに
考えておるわけであります。