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佐藤内閣総理大臣 沖繩が
祖国に
復帰すると、当然私どもが
沖繩の防衛、
沖繩を守る、こういうことになる。これはもう理の当然でございます。しかし、ただいまおっしゃるように、
沖繩はさきの
戦争で十余万、当時の人口から見ればこれはその三分の一にも当たる、そういう方が戦死者として出てきた、そういう
状態ですから、
本土防衛の第一線とはいえ、実に
戦争の惨苦というものをまざまざと見せつけられておる。したがって、どんなことをしてくれても兵隊と名のつくようなものはごめんだ、そういう気持ちがあるだろうと私は思います。したがって、ただいまの
米軍そのものについてももっと
理解を深めなければならないし、またそこを守るにしても、自衛隊についての認識を十分持ってもらわなければならない、かように私は思います。
まず
米軍について申せば、ただいま
米軍は自由に出動し、自由にその基地を使用しております。また、いろいろわれわれの
考えられないような特殊部隊もいる、また核、そういう問題についてもいろいろ心配がある、こういうのが現状だと思います。私は、この
米軍自身が、今度
沖繩が
祖国に
復帰したその暁においては、日米安保
条約のその範囲内、そのワク内において基地施設を使用できる。また、その行動もその範囲内にとどまる、ワク内にとどまる。またそのワクの外へ出ていく、いわゆる出撃というような問題になると、これはあらためて事前協議の対象になる。事前協議は、
日本の国益に照らして、そうしてわれわれがノーあるいはイエス、これを言うということを申しております。国益になるかならないかという、もっとはっきり申すと、
日本自身が
戦争に巻き込まれるような、そういうことが二度とあってはならない、こういう観点から、ただいまの協議についての
日本の
政府の態度を決定したい、かように思っております。
そういうことでございますから、いま野党の諸君からいろいろ質問を受けますのは、現状は
一体どうなんだ、また現状ではこうではないか、こういう
お話がありますが、私はそれに対して、
返還時においては核はないんだ、これは
アメリカの最高の
責任者と私は相談したのだ、したがって、大統領の言っていること、それはそのままひとつ信頼してください、かように申しておりますが、しかし、なかなかそれだけではないようであります。しかし私は、最近の上院
委員会におけるパッカード国防次官、あるいはまたロジャーズ国務長官等の証言によりまして、
返還時には核はないという、これははっきりした証言をいたしておりますから、このことを
国民の皆さまも、同時に
沖繩の方々もぜひ了承していただきたいと思います。
また、さような立場に立つならば、もっと縮小されてしかるべきじゃないか、かように言われること、
返還協定をつくるに際しましても、ずいぶん外務当局もいろいろ苦心し、また
米側の
理解を得るために
努力はいたしました。しかしながら、
現実の問題として現状を変えるということ、それには相当の期間を要する、時間のかかること、それはわれわれも認めざるを得ないということで、ただいまのような
協定ができたのでございます。
また、
米軍がかわればそのかわりを自衛隊がするのではないか、こういう話が出ております。私は、もうすでに御承知のことだと思いますが、わが
祖国はわれわれの手で守る、これが
基本的な方針でありますから、自衛隊が担当するのは当然であります。しかし、それにしても、
沖繩の
県民の十分の
理解を得るということでないとこれはできないと思います。ただいま
國場君が、ただ
自分たちの国は自分で守るのだ、かように言っただけでは、過去の惨禍、あの
戦争の惨禍をこうむった
沖繩県民はなかなか
理解しない、また自衛隊の性格もまだまだもっと話がわかるようにしていただきたいと言われること、それはそのとおりだと思います。私どもは専守防衛、もっぱら守るために自衛隊を持っておる。攻撃的な要素はございません。これがまた
日本憲法の命ずるところでもあります。また自衛隊法にいたしましても、外地への派遣などは禁止しております。それらのことを
考えて、むしろ自衛隊がいままでも
努力したように、あるいは災害時において、
地域住民の利益に協力してやはり災害防除に対している、こういうような実績も見ながら、いまの自衛隊派遣についてはこれを実情に応じたように、また
県民の
理解を深めるような、
理解を得るような、その形において駐留を
考えるべきだ、かように思います。ただいままでいろいろ
考えられておりますが、それらの点については
防衛庁長官からお答えすることとして、
基本的な
考え方はただいま申し上げたとおりでございます。
私は、わが国の安全を
確保するために、
本土、
沖繩をも含めて、われわれ
日本国民の手で防衛の任につく、これをわれわれの手で守る、これが本来のたてまえであります。しかし、われわれの手で及ばない点がある、それらを補うために日米安保
条約がある、それは補足的な
考え方であります。したがって、ただいま一部でいわれるような軍国主義的な、また軍国主義化する、こういうものでは絶対にありませんし、また、
米軍自身がただいまの
状態で自由使用し、あるいは自由出撃している、そういう
状態は、もう危険はない、
祖国に
復帰すれば事前協議の対象になるのだ、こういう事柄を十分御
理解いただきたいと思います。