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1971-07-24 第66回国会 参議院 法務委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年七月二十四日(土曜日)    午前十時三十七分開会     —————————————   委員氏名     委員長         阿部 憲一君                 江藤  智君                 木島 義夫君                 後藤 義隆君                 佐藤 一郎君                 田中 茂穂君                 安井  謙君  昭和四十六年七月二十日右の者は本委員辞任  した。     —————————————  七月二十日議長において本委員を左のとおり指  名した。                 岩動 道行君                 木島 義夫君                 後藤 義隆君                 斎藤  昇君                 西田 信一君                 林田悠紀夫君                 平井 太郎君                 平泉  渉君                 船田  譲君                 増原 恵吉君                 佐々木静子君                 佐野 芳雄君                 成瀬 幡治君                 羽生 三七君                 藤原 道子君                 阿部 憲一君                 白木義一郎君                 松下 正寿君                 野坂 参三君                 河野 謙三君  同日議院において左の者を委員長選任した。                 阿部 憲一君     —————————————    委員異動  七月二十三日     辞任         補欠選任      西田 信一君     吉武 恵市君      増原 恵吉君     星野 重次君      平泉  渉君     中村 禎二君      斎藤  昇君     原 文兵衛君      船田  譲君     岩本 政一君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         阿部 憲一君     理 事                 後藤 義隆君                 佐野 芳雄君                 白木義一郎君     委 員                 岩動 道行君                 岩本 政一君                 木島 義夫君                 原 文兵衛君                 佐々木静子君                 成瀬 幡治君                 羽生 三七君                 藤原 道子君    国務大臣        法 務 大 臣  前尾繁三郎君    最高裁判所長官代理者        最高裁判所事務        総局総務局長   長井  澄君        最高裁判所事務        総局総務局第一        課長       尾中 俊彦君        最高裁判所事務        総局家庭局長   外山 四郎君    事務局側        常任委員会専門        員        二見 次夫君    説明員        法務大臣官房人        事課長      藤島  昭君        法務省民事局長  川島 一郎君        法務省刑事局長  辻 辰三郎君     —————————————   本日の会議に付した案件理事選任の件 ○調査承認要求に関する件 ○検察及び裁判運営等に関する調査  (裁判官再任拒否問題に関する件)  (少年法改正に関する件)  (法務局の業務に関する件) ○継続調査要求に関する件 ○委員派遣承認要求に関する件     —————————————
  2. 阿部憲一

    委員長阿部憲一君) ただいまから法務委員会を開会いたします。  この際一言ごあいさつ申し上げます。  私、前回に引き続きまして委員長選任されました。はなはだ微力でございますが、皆さまの御協力をいただきまして職責を全うしてまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。(拍手)     —————————————
  3. 阿部憲一

    委員長阿部憲一君) まず委員異動について報告いたします。  昨二十三日、斎藤昇君、西田信一君、平泉渉君、船田譲君及び増原恵吉君が委員辞任され、その補欠として原文兵衛君、吉武恵市君、中村禎二君、岩本政一君及び星野重次君が選任されました。     —————————————
  4. 阿部憲一

    委員長阿部憲一君) 理事選任を行ないたいと思います。  本委員会理事の数は四名でございます。  理事選任につきましては、先例により委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 阿部憲一

    委員長阿部憲一君) 御異議ないと認めます。  それでは理事後藤義隆君、佐野芳雄君及び白木義一郎君を指名いたします。  なお、残り一名につきましては、後日指名することにいたします。     —————————————
  6. 阿部憲一

    委員長阿部憲一君) 次に、調査承認要求に関する件についておはかりいたします。  本委員会は、今期国会におきましても、検察及び裁判運営等に関する調査を行なうこととし、この旨の調査承認要求書議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 阿部憲一

    委員長阿部憲一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、要求書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 阿部憲一

    委員長阿部憲一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  速記をやめてください。   〔速記中止
  9. 阿部憲一

    委員長阿部憲一君) 速記を起こして。  検察及び裁判運営等に関する調査議題といたします。  前尾法務大臣から発言を求められておりますので、これを許可いたします。前尾法務大臣
  10. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) 私は先般文字どおりはからずも法務大臣に就任いたしましたが、法務行政につきましては全く未経験でありまして、皆さん方の格段の御支援をお願いしなければならぬ次第であります。  法務行政使命法秩序の維持と国民権利の保全にあることは申すまでもないところであります。社会が平和を続けるためには、あくまで法秩序が維持され、国民権利がよく保全されることが肝要であり、それにはまず司法運営が厳正中正に行なわれ、その機能が十分発揮されなければならないと思います。私はこの面に対し、許される限りの努力を払いたいと考えております。私が日ごろ考えておりますところでありますが、国が進歩発展を続けますためには、それによって起こる社会的変化に即応して、制度やその運営がたえず改変されなければならないと思います。時流を超越して守るべきものはあくまで守り、時流に即応して改めるべきものはあくまで改めていくことが大切だと思います。また豊かな社会では公共サービスの立ちおくれが起こりがちでありますから、その点につきましても最善努力をいたしたいと考えております。  非常に簡単で申しわけありませんが、私の心がまえだけ申し上げまして、今後の皆さん方の何分の御協力をお願い申し上げましてごあいさつとさしていただきます。(拍手
  11. 阿部憲一

    委員長阿部憲一君) これより質疑に入ります。御質疑のある方は順次御発言願います。
  12. 佐々木静子

    佐々木静子君 きょう私、若干お尋ねしたいと思うのでございますが、まず第一に、最高裁の方にお尋ねいたしたいと思うのでございます。  先日来、論議を呼んでおります宮本裁判官再任拒否の問題並びにその後の経過についてお伺いいたしたいと思います。  去る五月二十四日に、宮本裁判官再任を再願する書面を、所長の復申書並びに三十二名の同僚裁判官要望書を添付して最高裁判所に提出されたということを聞いておりますが、そのような事実がありましたか。右の再任を再願する書面を受理された最高裁判所において、現在どのような取り扱いをされているのか、あるいはすでに取り扱いをなされたのかお伺いいたしたいと思います。  右願いを受理された後、同宮本裁判官再任の問題について、最高裁判所裁判官会議を持たれましたか。開かれたとするならば、その日時及びその内容について承りたいと存じます。
  13. 長井澄

    最高裁判所長官代理者長井澄君) ただいま御指摘書面最高裁判所に提出されておりまして、拝見いたしております。で、ただいま事務当局においてその処理方法について審議中でございます。
  14. 佐々木静子

    佐々木静子君 そうすると、最高裁判所裁判官会議はまだこの件について持たれておらないわけでございますか。
  15. 長井澄

    最高裁判所長官代理者長井澄君) まだ裁判官会議にこの案件を御審議いただいてはございません。
  16. 佐々木静子

    佐々木静子君 いずれ裁判官会議に付されることだけは間違いないわけでございますか。
  17. 長井澄

    最高裁判所長官代理者長井澄君) この問題につきましては、事務総局所管の局で、いま慎重に検討中でございまして、その取り扱いについて結論を得ましたならば、その方針に従って処理いたしたいと存じておりますが、まだ最終的な処理方法につきまして結論を得ておりません。早急にこれは検討して取り扱い方法について結論を得たいと考えております。
  18. 佐々木静子

    佐々木静子君 そうすると、それに関連して続いてお伺いいたしますが、なお法律時報の本年の六月号に、全国各地裁判官から宮本裁判官再任拒否について同裁判官再任要請、あるいは再任拒否理由の開示もしくは再任基準制定要請などの要望最高裁判所に提出されているということが掲載されております。この法律時報一〇六ページによりますと、五月十五日現在ですでに五百九十四名に及ぶ裁判官から前記趣旨要望書が提出されているという旨の記載がされておりますが、右のような事実は相違ありませんか。あるとするならば、本日までに最高裁に提出された要望書の正確な総数は幾らですか。また、最高裁判所にこのように多数の要望書現職裁判官から提出されたということは前例がございますか。いままでに全く例のないこと、日本の裁判所始まって以来のこととするならば、まさに重大なる問題と思うのでありますが、これら多数の要望書最高裁はどのように取り扱われたか。  また、この多くのまじめと見られる第一線裁判官の真剣な願いに対して最高裁判所裁判官会議をお持ちになったか。お持ちになったとするならば、いつ何回ぐらいお持ちになったか。そのことについてお伺いいたしたいと思いますし、また、その会議内容についても述べていただきたいと存じます。
  19. 長井澄

    最高裁判所長官代理者長井澄君) ただいまお尋ねのような書面が、お尋ねのような件数が出ておることは間違いございませんが、その中には、重複して提出しておられるものもございますので、本日現在のところの数字はただいま持ち合わせておりませんが、重複部分を差し引きますと、四百名を少し上回る数になっております。下級裁判所裁判官の御要望でございますから、これを慎重に取り扱い検討する方針でございまして、内容を目下鋭意検討中でございます。また、裁判官会議にもその内容を整理いたしまして報告は申し上げておりますが、御承知と存じますが、裁判官会議議題議事内容は非公開と定められておりますので、その会議内容は申し上げることを差し控えさせていただきたいと存じます。
  20. 佐々木静子

    佐々木静子君 そうすると、この件についてまだ最高裁判所裁判官会議は開かれておらないというお答えになるわけでございますか。
  21. 長井澄

    最高裁判所長官代理者長井澄君) 裁判官会議に御報告申し上げておりますので、その限度では会議議題となり、内容となっておりますが、その取り扱いは、どのような方針でこの問題に対処するかというような点につきましては、まだ審議がなされてはおりません。事務当局で鋭意要望書内容につきまして検討いたしまして、制度制定あるいはその運用にかかわる問題でございますし、また今日当面した問題でございますので、先ほど大臣のおことばにもございましたように、時流を越えて処理すべき問題、あるいは時流に即応して対処すべき問題、いろいろな観点から検討しなければいけないと存じます。大臣のおことばでございますから、これは政府当局見解を引用するのかという御反論があるかと思いますが、そういうことではございませんで、これは司法制度に課せられた重大なる使命でございますので、そのような各般の観点から慎重に検討いたして、下級裁判所裁判官要望司法制度使命というものを十分に調整して司法権に期待された役割りを果たしていきたい。このような観点から事務当局要望書検討している段階でございます。
  22. 佐々木静子

    佐々木静子君 いまのお答えによりましても、四百名以上の人が要望書を出しているわけでございまして、これは、第一線裁判官にとっては非常に重大な、単に宮本裁判官のみならず、裁判官の基本的な人権にかかわる重大な問題でありますから、最高裁判所においても早急にまた、多くの第一線裁判官の満足のいく結論をお出しいただくように御尽力をいただきたいと思いますし、さらに国民が、裁判に対する信頼の念を——この問題で非常に不信の念を抱かずにはおれないような現実でございますので、その点においても最高裁判所において十分に、しかも早い時期において納得する結論を出していただきたいと思います。  また、同じ「法律時報」六月号の「資料/裁判司法行政」として掲載されております、札幌弁護士会全国裁判官に対して行なったアンケートに対する全国各地裁判官回答のうち、「あなたは、最近裁判官独立内部において脅かされつつあるとお感じになりますか。」という問いに対して、百七十一名の判事補のうち、実に百二十名の判事補が、「感じている」と述べています。また、三十三名の判事補が、「はっきりとは感じないがばく然とした不安感がある」と答え、「感じておらない」と答えた者は、わずか十六名にすぎません。裁判官独立内部において脅かされつつあると感じない者の九倍半にものぼる大多数の判事補が、はっきりと、あるいはばく然裁判所内部において裁判官独立が脅かされつつあると部内裁判官が感じている事実を、最高裁当局はどのように受け取っておられるのですか。  また、このように裁判所内部から裁判官独立が脅威に瀕しているとほとんどの裁判官が感じている点について、最高裁判所として真摯に反省され、第一線裁判官の不安を取り除くことについてどのような配慮を払っておられますか。具体的に司法行政責任者たる最高裁はどのような対策を持っておられるのか述べていただきたいと思います。
  23. 長井澄

    最高裁判所長官代理者長井澄君) 前段の、要望書取り扱いについて慎重にかつ迅速に検討して成果を得るようにというおことばは、帰りましてそれぞれの所管に十分お伝えすることにいたします。  第二段の、札幌弁護士会匿名アンケート調査の結果につきましては、私どものほうには正式の報告をいただいてございません。いろいろ法律雑誌その他に報道はされておりますが、その限度で知り得るのみでございますので、この点につきまして公の見解を申し上げることは適当ではないかと存じますが、すでにこの問題の取り扱いにつきましては国会の席でも申し上げましたように、何ぶんにも匿名アンケート調査でございまして、事、司法信頼にかかわるような重大な問題でございますから、先生も御承知のように、法律的な用語で申し上げますれば、書証と申すべきものでございまして、まずその内容の吟味につきましてはその成立が真正であるかどうかということが論理的にも社会的にも関心を払わなければならない問題かと存じますが、その点について匿名調査であると、この点司法重大問題——商品の販売に関するアンケート調査というようなものとはいささか趣きを異にしておりますので、この回答内容についてはいろいろ新聞紙、雑誌等に報道されているような内容であるかもわかりませんけれども、はたしてその事実をそのまま最高裁判所が受けとめることができるかと申し上げますと、ちょっとそこに問題もございますので、なお裁判所としてもこの点につきましては十分に調査し、その結果につきまして確信を持てる程度に至りました上で、これに対する対策考えるべきであると、このように考えている次第でございます。  司法に対する信頼の喪失、危機というような問題が、はたして多数の裁判官が持っているかどうかということにつきましては、きわめて慎重に扱わなければならないのではないかと存じます。ことに判事補諸君が、内部的干渉を受けていると感ずるというような、アンケートの結果が多数出ておるという御指摘でございますけれども、判事補制度は、私から申し上げますまでもなく、裁判官としてはまだ修業過程にございまして、もちろん国家の基本的な制度あるいは基本的人権にかかわる重大な問題を審理いたしますと、ある場合にはその世代を代表する人の考えとして、という意味も十分にくまなければなりませんけれども、長い歴史と沿革と伝統を有する司法の問題につきましては、やはり先輩意見というものも取り入れて円熟した裁判のにない手としての成長をしてもらわなければなりませんので、内部的な干渉と受け取られるものの中につきましても、これは成長過程における教育的な一面もあるというような点も考え合わされますので、こういう点につきましては後進裁判官指導育成に当たる先輩裁判官、ないしは司法行政責任を負いますところの最高裁判所におきましても慎重に検討いたしまして、内部干渉にわたることなく、しかしながら将来りっぱな司法のにない手となる判事となり得ますように、事件の処理指導育成、両者を調整した方法司法行政運営していくということが必要であろうかと存じ、またそのような形で努力しておるわけでございます。  具体的な事例をあげるようにということになりますと御説明ちょっと困難でございますけれども、若い判事補諸君あるいは判事補全体につきましては、在官中十年の間にたびたび研修を催しまして、この問題をあるいは指導し、あるいは自由なる検討によりまして切磋琢磨していただくというような機会を設け、また判事になりました方々には、いろいろ研究会を設け、研究機会を設け、あるいは会同等によりまして裁判自体内容の充実を検討するほかに、後進裁判官育成につきましても真摯なる議論をたたかわせて、断層の生じませんように、また、現在唱えられますところの年齢、時代の相違によるところの断層を埋めてゆくという努力をしてゆく方針で予算的な手当てもいたし、会同協議会研修機会をなるべく多く設けるというような形で内部的な危機感というものを第一線裁判官の手によって克服していただくというような方向で司法行政を進めているわけでございます。会同の開催の詳細等は時間がございませんので省略させていただきたいと存じます。
  24. 佐々木静子

    佐々木静子君 いまの御答弁の中で、匿名であるから特に信用しがたいというような趣旨お答えがあったと思うのでございますが、このアンケートのこまかい数字はさておき、このようなアンケート札幌弁護士会でなされたということについて、いま部内の、内部的に脅かされているという結論が、大多数の判事補から出ているという事柄の事実を、そのまま認めるか認めないかということはともあれ、そのような結論が、札幌弁護士会においてなされた調査において出ているということは、その事実は御承知でございますね。
  25. 長井澄

    最高裁判所長官代理者長井澄君) 法律雑誌その他のジャーナリズムにそのような報告がなされていることはこれは明らかでございまして、認める認めない以前の問題であろうかと存じますが、私が申し上げたのは、それを信用できないと申し上げたのではなくて、そのような事実がございますから、十分に内容調査吟味して、この問題を考えたいという趣旨で申し上げたわけでございますから、御了承いただきたいと思います。
  26. 佐々木静子

    佐々木静子君 そうすると、内容を吟味調査されるのもけっこうですが、このような内部的に脅かされているということについて、最高裁当局として反省されるというようなことはないわけなんでございますか。まだ十分調査ができていない、あるいは匿名であるからとかいうようなことで、最高裁自身として、この問題について最高裁自身反省するというお気持ちはいまのところお持ちじゃないわけなんでございますか。さらにいまこの判事補というのが、裁判官として修業の時期に当たっているために、上司からの教育を干渉と受け取っているかもしれないというような御発言がありましたけれども、これは私が札幌弁護士会アンケートに対する判事補回答を例としてあげたまででございまして、同じアンケートに対しまして、判事も同じく感じないという結論を出している人よりも、裁判官独立内部において脅かされていると感じている、あるいはばく然とした不安感を持っているという判事のほうが数において多いわけでございまして、その意味におきましてもいまの御答弁は実際とは事実に反しているのではないかと思います、実情に反しているのではないかと思いますが、その点について最高裁としての御反省、あるいは今後の御配慮についてどのようにお考えでございますか。
  27. 長井澄

    最高裁判所長官代理者長井澄君) 反省ということば意味でございますけれども、自分の非を認めて従来の行き方を改める気持ちはないかという御趣旨でございますと、そのとおりと申し上げることはちょっと困難でございますが、ともかくもそのような意見匿名であるにせよ出されていることは、やはり司法信頼をつなぐ上から好ましい事態ではございませんので、その実情と原因とを十分調査して司法信頼を維持し、磐石の上において十分の検討と将来の施策を考えていきたいことは、これはもう当然のことでございます。で判事補諸君につきましては、今日の制度裁判官であると同時に、権限の上の制約もございまして、修業中の身分をもあわせ有するという観点から、指導面からあるいは批判というものをいろいろな受けとめ方をしているということがあるのではないかと申し上げたわけであります。判事につきましても、すべての判事回答を寄せているわけではございませんが、もしそういう意見の方がございましたら、これは会同等の席におきまして、十分に積極的に意見の御発表を願っているわけでございまして、そのような不満がうっせきして、外に出なくても、内部的に十分解決していき得るのだという確信第一線裁判官に心から持っていただくように努力することは、これは最高裁判所として当然のことである。従来もやってきたところでございますけれども、今後もその点については最善努力を払うことは当然でございます。
  28. 佐々木静子

    佐々木静子君 先ほど同じいまのお答えにおきまして、その裁判官研修その他会議などの発言によって、お互いにその不安を取り除くように努力するというお答えがございましたが、その裁判官独立が脅かされていると一番切実に考えられることは、その裁判官人事の不明朗さにあるからということにお気づきになりませんですか。また、そのようにお思いになりませんですか。
  29. 長井澄

    最高裁判所長官代理者長井澄君) 人事の不明朗さということは、きわめて内容の把握に困難を感ずる問題でございますけれども、御承知のように、裁判官人事につきましては、所管事務当局が十分に検討いたしますばかりでなく、十五人の最高裁判所裁判官が、法律家として最も高い見識を有しておられる方々の中から選ばれた十五人の方々が、裁判官会議において慎重に審議をなさいまして、また、事務当局の提案にわずらわされることなく、自由なる、また慎重にして非常に深い検討をいただいて御結論をいただいております。ただ人事は、事柄の性質上、その理由を発表いたさないということも、組織の人事をあずかる方々は十分御理解いただけるところかと存じますけれども、そのことのために、あるいは不明朗ではないかという御指摘、御批判が出ているのではないかと思いますけれども、この点につきましては、制度上やむを得ないところでございまして、ただいまそのような問題が取り上げられておりますけれども、長い目で見ていただきたい、この司法のにない手としての裁判官人事というものを御批判いただきたい、このように考えているわけでございます。
  30. 佐々木静子

    佐々木静子君 いまの人事の問題に関連いたしまして、前述いたしました宮本裁判官は十三期の裁判官でございますが、来年の四月には十四期の裁判官再任時期にあたっております。十四期の裁判官再任につきまして、最高裁判所は、どのように考えておられるのか、十三期の場合同様、理由不明の再任拒否をあえて最高裁判所は繰り返して行なうおつもりであるのかどうか、その点をお尋ねいたしたいと思います。
  31. 長井澄

    最高裁判所長官代理者長井澄君) 十四期裁判官人事につきましては、まだ時間もございますことで、この人事案件につきましては検討にも着手いたしておらない段階でございますから、何事も申し上げることはできないわけでございますが、ただ憲法に定められましたところに従いまして、人事制度運営していきたいというこの基本的な方針につきましては、これは憲法の解釈並びに運用に関する問題でございますから、従前のとおり取り行なっていくという基本方針においては変わりないものと考えております。ただ運用の問題でございますから裁判官会議がどのように御審議、御判断になりますか、この点につきましては事務当局の私から現在まだ案件にもなっておりませんものを方針として申し上げることは差し控えさせていただきたいと存じます。
  32. 佐々木静子

    佐々木静子君 本年の四月に、二十三期生のうち裁判官希望者七名が任官を拒否され、現在に至るもその理由が開示されておらないことは、われわれにとってまことに遺憾なことでございます。二十四期生の修習終了もあと八カ月に迫っておりますが、最高裁当局は、二十四期生の任官希望者をすべて平等に取り扱われてはいかがかと思います。司法試験に合格し、かつ所定の修習を終えて、いわゆる二回試験にも合格しているものでございますから、裁判官としての能力、資質は十分に備えているものと判断されますが、二十四期生において何ら合理的な根拠のない任官拒否を重ねてあえて行なわれることは最高裁判所が一部修習生を差別しているとの印象をますます深めるものになると思います。この点につき合理的な根拠を欠く任官拒否は二十四期生においては行なわないということを明言していただきたいと思います。  また、女性裁判官採用問題につきまして、二十二期及び二十三期の修習生に対し最高裁判所事務総局人事局長が女性の任官は歓迎しない旨を説明会において述べておられる事実があります。右人事局長の御発言は明らかに憲法に定める法のもとの平等の規定に違反するものと思いますが、その点いかがお考えになりますかお尋ねいたしたいと思います。
  33. 長井澄

    最高裁判所長官代理者長井澄君) 人事局長の言動でございますので、いま事実を確かめていたところでございまして申しわけございません。  二十四期の修習生の採用につきましては、これまた先ほど申し上げましたところと同じでございまして、まだ八カ月ございますからどのような方法で採否をきめるかというような点についてはただいま申し上げかねるところでごさいますけれども、これも人事制度の運用でございますので従来の基本方針を特に変更する必要を認めない限り、これは裁判官たるにふさわしい資質、資格、能力のある方を選考いたしまして司法をになって国民の期待にこたえ得る裁判をなし得る人を採用する責任がございます。その観点からの十分なる検討はやはりいたす責任があるものと考えております。  なお、御婦人の裁判官の採用に関して人事局長が説明会の席上で差別的な説明をしたという点につきましては、私その場に居合わせておりませんのでいま説明を求めて申し上げるわけでございますけれども、採用に関して差別をするというような趣旨で申し上げたのではなく、やはり今日の日本の社会におきましては男性と女性と社会的活動の面においていろいろ性に基づくところの本質的な違いがございますので、そういう観点から必ずしも、円滑に御活動を願う上において十分に条件が備わっておらないので、いろいろその点において任官を御不自由を感ずることがあるんじゃないかというような趣旨説明である、そのようにいま私説明を受けたのでございますけれども、もちろん最高裁判所事務当局のことでございますから、憲法に違反するような趣旨で申し上げるというようなことは万ないものと確信いたしておりますし、またそうあってはならないものでございます。あるいは説明がつい細部にまで及びましたためにそのような誤解を与えているのではないかと思いますが、もちろん性による差別というふうなことは考えておらないことは当然であり、基本方針でもございまして、これは一局長の発言によって左右されるべき性質のものではないと、このように私は理解しております。
  34. 佐々木静子

    佐々木静子君 それでは女子修習生に対して、裁判所において女性の裁判官は歓迎しないという趣旨発言は今後、最高裁としても行なわないということを確約いただけますですね。全く平等に取り扱うということを総務局長としては確信しておられるし、今後の司法行政においてもそのようになさるということを明言なさるわけでございますね。
  35. 長井澄

    最高裁判所長官代理者長井澄君) 修習の過程におきましては、御承知のように、実務修習と申しまして第一線裁判所において実務を担当する裁判官から指導をお受けになる機会が相当期間ございます。この間におきまして指導の裁判官からどのような発言がなされますか、それをまた私のほうからこのようなことを言ってはならぬというような統制を加えることは、これは行政の行き過ぎでございまして、慎まなければならないと存じます。  第一線におきましては、自由な魂と魂との触れ合いによって指導するところでございますから、発言する側あるいは受け取る側でいろいろなとりようがございますので、場合によってはそのように受け取られる発言があるかもしれませんけれども、その点は日常生活の接触としてゆとりのある気持ちで御理解をいただきたいと思います。もちろん事務当局といたしましては、採用について、その後の待遇につきまして差別をいたすというような考えは毛頭ございません。それぞれの性——男性は男性、女性は女性としての本質に従いましたふさわしい職務上の責任を負っていただくという配慮に基づいて適正なる人事を運用していくことは当然でございます。
  36. 佐々木静子

    佐々木静子君 それでは次の問題に移りますが、昭和四十六年の六月二十五日、号外という形で出されました裁判所時報は、編集、発行責任者の記載がございませんが、編集責任者はだれかお答え願いたいと思います。  通常、同裁判所時報は、編集者は、最高裁事務総局、総務局で担当、発行は同事務総局と明記されておりますのに、いま申し上げている裁判所時報にはかかる明記がないのはいかなる理由によるものですか、このことについてお答えいただきたいと思います。
  37. 長井澄

    最高裁判所長官代理者長井澄君) 裁判所時報の所管局は、最高裁判所事務総局総務局でございます。  裁判所時報の本旨は、御承知のように、裁判例通知、通達——裁判所の日常の動静等を記載いたしまして、部内に一種の官報的な役割りを果たす資料として配付しているものでございます。これは私が——最高裁判所事務総局の総務局長が責任者となって発行いたしておるものでございます。  号外につきましては、部内の広報の必要上、それぞれ所管の局から申し出がございました場合に、その所管の局におきまして必要に応じて編集いたしておりますが、この発行につきましては、もちろん官庁の印刷物でございますから、事務総局において責任を負うべきものでございまして、特に発行の責任者、編集の責任者等を掲げますまでもなく、全体として事務総長が責任を負われることは申し上げるまでもないことでございます。で、号外の発行はその必要に応じてなされておりますので、たとえば職員組合との団体交渉等の経過等については、所管の、職員組合関係を処理しております人事局において編集いたしまして、発行の申し出があれば、総務局におきましてその印刷、発送、予算的手続等をいたしておるわけでございます。このたびの御指摘の六月二十五日付の号外につきましては、事務総局の広報課が担当いたしまして発行いたしたものでございます。その最終責任は時報の本紙といささかも変わるところはないわけでございますが、いろいろ御指摘をいただいておりますので、部内の広報、いわゆる広報と従来の裁判所時報そのものの性格の分け方につきましてはなお検討を要するものがあろうかと存じておる次第でございます。
  38. 佐々木静子

    佐々木静子君 特に、このいま問題になっている号外の内容を見ますと、たとえば日本弁護士連合会の臨時総会——これは昭和四十六年の五月の八日に開かれたものですが、この臨時総会において、大半の賛同を得て決議された宮本裁判官らの再任拒否、あるいは裁判官希望者に対して不採用にしたことは司法権独立を脅かし、民主主義の基本にかかわる重大事であるから、最高裁判所は直ちに再任並びに新任するように強く要求するとの決議文、あるいは阪口徳雄君を何らの弁明の機会すら与えずに罷免処分にしたことは不当であって、断じてこれを容認することはできないという決議文、さらにわれわれは司法権独立を守り抜くことが国民から課せられた重大な責務であることを深く認識し、右決議の実現と最高裁判所の姿勢を正すため、この一連の事態の真相を広く国民に訴え、国民とともに全力を尽くすことを決意するという関連決議文など、大多数の日本弁護士連合会の会員の意思により決議されたこの決議を全く掲載せずに、きわめて少数の会員から、同日ビラとして出席弁護士会員らに配られた、広島弁護士会員伊藤仁外若干名の最高裁判所に同調する少数意見のみの記事を掲載していること、特に日本で権威あるといわれている新聞、たとえば朝日、毎日、読売などの記事を一切掲載せずに、ごく一部の、読者もきわめて限られた一部の週刊誌の、いわば特殊な、だれの目から見ても最高裁を支持する一方的な記事のみの抜粋転載のみをなし、これに反するすべての意見を掲載しないことなど、公正を旨とする最高裁においてかかる記事の編集をなされたことは許すことのできないことであると考えるものでありますが、かかる裁判所時報号外なるものを編集され、しかも先ほどの御答弁によりますと、一種の官報的な役割りを果たしているというこの裁判所時報を公的な機関を通じて裁判所内外に配布された意図はどこにあるのか、かかるPR活動は一種の政治活動にほかならず、また、国民の世論に対する挑戦と考えられますが、最高裁判所はあえて重ねてかかる号外を編集、配布されることを計画しておられるのですか。  また、最高裁判所千葉広報課長は、最高裁も黙っていないで、こうした号外をどんどん出すと述べている旨、四十六年七月十五日のある有力新聞の朝刊に掲載されておりますが、同課長のかかる世論に挑戦する言動は、憲法の番人である最高裁判所としてとるべき態度であるかどうであるか、どのようにお考えになりますか、お答え願いたいと思います。
  39. 長井澄

    最高裁判所長官代理者長井澄君) この編集の方針が非常に一部的な主張のみを掲げている、こういう御指摘の点につき申し上げますが、その冒頭に、編集といいますか、これを発行いたしますについての方針として書いてございますように、「一般の目にふれることが少なかったり、読み漏らしたりした刊行物もあろうかと思われる」というような記載がございますが、そういう趣旨で一部の声で、しかもあのようなものがあるからといって、特に御指摘をいただいたようなもののみを掲載いたしました。むしろ有力なる新聞、雑誌等に掲載いたしましたものは、これは広く行き渡っておりますので、予算上の制約もございますので、それを網羅的に掲げる必要はないという観点からそのようなものは割愛いたしました。したがいまして、日本弁護士連合会の総会におきまするところの決議、これも十分にいろいろな機会部内、部外に周知されているところでございますから、掲載しなかったわけでございます。  それで千葉広報課長が今後もPR活動のために広報誌の発行をしていきたいという趣旨発言をいたしておりますが、裁判所信頼を得べきゆえんを十分に周知徹底する、このことはこれまた最高裁に課せられた一つの使命でございますので、その方面における努力は十分になさなければならないかと存じます。ただ先ほども申し上げましたように、裁判所時報というのは裁判所内部における官報的な役割りを果たしておりますので、これとあわせて部内広報ということをやることが好ましいかどうかということについては十分反省し、また吟味しなければならない問題があると存じますので、御指摘もあったことでございますし、いろいろとこの点については検討をいたして、部内、部外に対する広報の形式というものについては改善を加えていきたいということでございます。
  40. 佐々木静子

    佐々木静子君 次に別の件になりますが、昭和四十六年の六月二十八日の官報で、最高裁判所規則第一〇号として、高等裁判所支部設置規則の一部が、「別表中札幌高等裁判所函館支部の項を削る」と改正され、本年八月一日から施行されることが発表されました。しかしながら、函館支部の廃止問題は、単に裁判所の問題ではなく、国民権利を奪う重要な問題でございます。この函館支部の廃止について、裁判所は地域住民の意見を十分にしんしゃくされたかいなか、具体的にどのような方法で地元の住民の意見を聞き、その権利を奪うことについての了解を得たのか、承りたいと思います。ちなみに函館市民からなる支部存置対策協議会の陳情書など多数の反対意見書が出ていることを申し添えます。また、日本弁護士連合会及び多数の単位弁護士会から反対意見要望書が提出されておりますが、最高裁判所、法務省、弁護士会の三者協議による解決をどうしてとらなかったのですか。  昭和四十五年五月十三日、簡易裁判所の民事事物管轄拡張に関する裁判所法施行に際し、参議院において、「今後、司法制度の改正にあたっては、法曹三者の意見を一致させて実施するように努めなければならない。」との附帯決議がなされていることは十分に御承知のはずでございますが、自後三者協議の上、意見一致をはかる方法を具体的にどのように考えられておりますか。最高裁判所として、今後附帯決議を実現するための具体的な御意見をお聞かせ願いたいと存じます。
  41. 長井澄

    最高裁判所長官代理者長井澄君) 札幌高等裁判所函館支部の廃止につきまして地元の関係者から御指摘のような反対の要請がございましたことは存じております。この点につきましては、札幌高等裁判所長官を経由いたしまして、函館の地方裁判所、函館の弁護士会の意見を徴しまして地元の意見を把握するように努力いたしました。またこの案につきましては、裁判所に設置されております一般規則制定諮問委員会におきまして諮問事項として御検討をお願いしたところでございます。その委員の方々の御意見承りました。この中には弁護士会の代表の方も六人入っておられます。そのほかに学識経験者、法務省、検察庁、裁判所の関係者が委員として入っておられまして、反対の意見もございましたし、賛成の意見もございました。弁護士さんの中にも賛成、反対の意見もございました。御指摘のように連合会からは反対の趣旨の御意見が提出されておりますが、基本的な問題といたしましては、札幌高等裁判所の函館支部が裁判事務の処理についてどの程度の仕事をしているかという基本的な問題がございます。申し上げますと、裁判官にはそれぞれ年間に処理できる事務処理の限界といいますか、期待された処理の能力がございますが、各般の統計、実態の調査等によりまして検討いたしましたところ、昭和四十五年末の未済事件について見ますと、その事務量は〇・八七人分の事務量が未済事件として残っているという状況でございました。御承知のように、高等裁判所は三人の裁判官でこれを合議処理いたしますから、これを三で割りますと〇・三人に満たない事務量ということになりまして、あとの〇・七というのは手待ちの状態で執務しておるという関係でございます。  一方、北海道内部を取り上げてみましても、釧路を中心といたしまして道東方面は非常に発展の過程にございまして、事件数、法曹事件も非常に多くあります。そのような観点で、御指摘のように地元住民の裁判を受ける権利を奪うのではないかという御意見がございます。それももっともでございますが、釧路方面、道東方面の事件関係者の事件処理に対する期待というものは、函館方面に比べますというと、非常に不利益な状況に置かれまして、司法的な救済をもっと平等の形で分配することは、やはり司法行政上真剣に考えなければならない問題であるという観点から、原案を提出いたしまして各機関で御検討をいただいたわけでございます。その結果といたしまして、諮問委員会におきましても四人の弁護士さんは反対されましたが、あと二人の弁護士さんを含めて多数からやむを得ない措置であるという御意見をいただきました。で、その諮問委員会の御意見審議の経過はつぶさに裁判官会議に御報告申し上げまして、御検討いただきました結果、これはやむを得ない措置である。そして函館支部廃止によりましてできました人員は札幌本庁に戻しまして、北海道全体の事件処理に当たることにいたしますれば、裁判を受ける権利といいますか、受け得る期待というものはきわめて平等に行なわれることになります上に、函館には御承知のように、〇・八七人分の事件でございますから、一部を構成する三人の裁判官しか配置されておりません。これがぎりぎり一ぱいのところでございますけれども、御承知のように高等裁判所には民事事件、行政事件、刑事事件というような、本庁におきましてはそれぞれの専門の部におきまして処理いたしますべき事件が三人で全部一まとめにして処理されるというようなことで、裁判官にとりましても処理上たいへん気の毒な状態にございますし、人間の能力にはその意味でやはり限界がございまして、専門的な処理をしていただくことが適正と迅速の要請にもこたえるゆえんでもございますので、やむを得ない措置として函館支部の廃止をさせていただいたわけでございます。  なお、三者協議で進めろという当法務委員会の御決議、これはもう十分に尊重いたさなければならないところでございまして、残念ながらいま三者協議の機会というものが得られておりません。何とかこれを実現いたしたいと思いまして、過日最高裁判所の事務総長から、法務事務次官、日弁連事務総長にあてまして三者協議の機会を持ちたいが御意見を承りたいという書簡を差し上げました。法務省当局からは異存はないという御回答をいただきましたけれども、弁護士連合会のほうからは、いろいろ御意見があるようでございまして、一カ月以上——ちょっと発簡の日時をいま資料がございませんが、経過いたしましたけれども、まだ御返事がいただけないという状態にございます。なおこの点は話を煮詰めまして、三者の協議が円滑に行なわれるようにその場をつくりたいと鋭意努力中でございます。
  42. 佐々木静子

    佐々木静子君 その附帯決議の方法とか実現の具体的な方法についてなお御質問したいところがあるのでございますが、それは時間の都合がございますので、また後日に譲らしていただきたいと思います。  きょうは法務省のほうから刑事局長がお越しいただいておりますので、法務省にお尋ねしたいことを先に伺いたいと思います。  法務省は去る昭和四十五年の六月十八日に現行少年法の根本的な改変を目ざす少年法改正要綱を法制審議会に諮問されました。さきに法務省は、昭和四十一年五月にも少年法改正に関する構想を発表され、少年法適用の年齢を引き下げること、検察官の先議などをその構想においてうたっていたのでありますが、少年法改正要綱によりますと、さらに少年事件処理手続において検察官が大幅に関与すること、そして検察権の強化をはかり、かつ、検察官に起訴、不起訴の権限を与えるとともに、家庭裁判所裁判官に少年並びに青年の刑事裁判権を与えるなど、従来の少年法の理念を根本からくつがえす重大な問題を含んでおると思います。これは、少年の健全な育成をはかり社会の福祉に資せんとする少年法の基本的な考え方に明らかに逆行するものであると、最高裁判所、日本弁護士連合会及び多くの学者から強い批判と反対意見が出されており、また、たとえば朝日新聞は、昭和四十五年の五月二十日に、「少年法は改正の必要があるのか」、同六月十八日に「疑問の多い少年法改正要綱」なる社説を掲げ、読売新聞は同じ日に、「現行少年法の精神を大切に」との社説、東京新聞は「理由なき少年法の改正」、「なにゆえの少年法の改正」なる社説を二回にわたって掲げ、右法務省の少年法改正要綱に強く反対を示しておりますが、現在なお法務省においてはこの改正を進められるお考えでございますか。  また、現在法制審議会において審議されておりますが、その審議期間はどのくらいを予定されているのか、述べていただきたいと思います。
  43. 辻辰三郎

    説明員(辻辰三郎君) 少年法の改正問題でございますが、現行少年法は、御案内のとおり、戦後間もない時期に制定された新しい法制でございまして、それから現在までの運用の実情を見てまいりますと、いろいろの問題点を有していることが明らかになってまいっております。そこで、現在でももちろん問題があるのでございますが、法務省では、昭和三十四年ごろから現行法制につきまして慎重な検討を加えました結果、青少年の非行の防止及びその健全育成という目的に資するために、少年法に改正を加える必要があるとする結論に達した次第でございます。  そこで、先ほどお述べになりましたように、昭和四十一年に、現行少年法を改正する構想を二案発表をいたしまして、広く世間の批評を仰いだわけでございます。その批評をまた私ども十分参考にいたしまして、昨年六月、少年法改正要綱を取りまとめまして、法務大臣から法制審議会に少年法改正の諮問が行なわれたところでございます。  この新しい法制の——先ほど、現行少年法に対する大きな後退ではないかというような御意見があったわけでございますが、この改正の構想は、大体、大きく言いまして四つの大きい理念からできておるわけでございまして、まず第一点は、年齢層に応じて適切な処遇が選べるような制度にいたしたい。これは具体的に申しますと、現行少年法におきましては、二十歳未満の者はことごとく少年でございますが、そのうちで十八歳、十九歳の者は青年ということにいたしまして、少年と成人との中間的な処遇をはかっていこう、こういう点が第一点でございます。  それから基本理念の第二点は、年齢層に応じた方法で適正手続の保障を強化していきたいということでございます。これは、青年につきましては、原則として刑事訴訟手続によってこの事柄を処理していこう。十八歳未満の者につきましては、現行少年法にさらに少年側の人権の保障というものを全うできるような手続でやっていこうという点でございます。  それから第三点は、関係機関の協力体制を改善していこうという点でございます。これは、御案内のとおり、現行少年法におきましては、少年の犯罪というものは、家庭裁判所がもっぱらと言っていいほど御所管になっておるわけでございますが、少年犯罪に関係いたします警察、検察、その他の機関との協力関係を全うしていこうという観点で、警察や、検察の一応の、現行法よりも突き進んだ権限を認めていこうという点でございます。  第四点は、少年に対する処遇の多様化と流動化をはかっていこうという理念でございまして、現行法におきます保護処分と申しますのは、御案内のとおり、少年院送致と、保護観察と、それから教護院、養護施設への送致と三種類しかございませんが、この三種類しかない保護処分を、それぞれもう少しきめのこまかないろんな種類に分けていこうと、こういうことでございます。  こういう四点からなる基本理念が、今回の改正構想の要点でございますが、こういうことで法制審議会の諮問にかけられたわけでございます。  法制審議会におきましては、昨年の七月以来現在まで、十一回の少年法部会の審議を尽くしていただいておるわけでございます。まだ、いろいろと御論議がございまして、まだこの審議はそう深いところまで進んでいっておるという状況ではございません。  で、私どもは、この少年法と申しますのは、何ぶん少年法制の根本の問題に触れる点が非常に多うございますので、大きく言えば、国の基本法制の一つに当たると思っておりますので、そういう観点から法制審議会において十分慎重な御審議をしていただきまして、なるべく早い機会に答申をしていただきたいということを期待しておるわけでございます。
  44. 佐々木静子

    佐々木静子君 いまの刑事局長のお話しによりまして、法務省の出されておられる少年法の改正の四点はよくわかりましたけれども、結局、結論的に言いますと、この現行少年法では、運用面において不都合なところが多分にあるからということで、その改正を急いでいるということになるのでございますか。その点、要約すると、どういうことが改正をするに最も必要性を迫られているというふうな御答弁になるのか、その点、もう一言教えていただきたいと思います。
  45. 辻辰三郎

    説明員(辻辰三郎君) この点は、先ほど申し上げましたとおり、現行少年法が、戦後早々の昭和二十四年から施行されておるわけでございますが、その二十四年から現在までのこの少年法の運用の実績という面からいきますと、やはり運用面における改善というのも、もともとございますが、また、さらに、その戦後二十年に余ります間の日本社会の一つの変動と申しますか、特に少年の心身の成育状況というものが、特に年長少年、十八歳、十九歳の者の心身の成熟度というものが、やはり大いに新しく着目していかなければならない問題ではなかろうかという観点もあるわけでございます。こういう社会の一つの変動、それと現行法制の運用面から見た反省すべき点、この二つの観点から、この改正というものが出てきておるというふうに御理解を願いたいと存じます。
  46. 佐々木静子

    佐々木静子君 実は、さらにこの点につきまして最高裁判所のほうからの御意見なり、お考えなり伺いたいと思っておったのでございますが、時間の都合があるようでございますので、また、別の機会裁判所のほうの御意見を承らしていただくことにいたします。  それでは、きょう矯正局長に御足労いただいておりますので、監獄法のことにつきましてさらにお尋ねいたしたいと存じます。  現行監獄法は、明治四十一年三月二十八日に公布されたものでございまして、その施行後、すでに六十数年を経過しております。受刑者の人権を高らかに保障している現行憲法のもと、かかる古色蒼然としてすでに色あせてしまった現行監獄法がいまなお施行されているということは、全く歴史の一こまを逆転させたごとき感がございます。現在、すでに法的にも監獄というものが存在しておらないにもかかわらず、かかる陰惨な名称を持つ法律が七〇年代の日本に現存していることは、この法律の対象になる国民は、懲役、禁錮の刑につき監獄に拘置され、あるいは拘留刑につき拘留場に拘置されている、いわゆる自由刑に服している者及び刑事被告人らでございまして、きわめて弱い立場に置かれている人たちであるがゆえに適切なる法改正を見ることなく、現在まで放置されていたのが現実であろうと思います。しかしながら、刑事被告人は有罪の判決を受けるまでは無罪の推定を受け、その人権が十分に尊重されなければならないこと、既決の受刑者においても、その科せられた刑罰以外の権利の削奪、侵害は不当であって、その人権について大いに留意しなければならないことは言をまたないところでございますが、現行監獄法においては、在監者に対し人間の自由を削奪する戒具の使用を許したり、また、在監者が規律に違反したときの懲罰として、「七日以内ノ減食」とか、あるいは「二月以内ノ軽屏禁」、「七日以内ノ重屏禁」などを規定し、さらに「屏禁ハ受罰者ヲ罰室内ニ昼夜屏居セシメ情状ニ因リ就業セシメサルコトヲ得、重屏禁ニ在テ八仍ホ罰室ヲ暗クシ臥具ヲ禁ス」とあり、かかる規定は無罪の推定を受ける刑事被告人はもとより、受刑中の者に対しても加えることは人間の尊厳に対する重大な侮べつであると言わざるを得ないのでございます。もとより、かかる監獄法の規定は、現在は実際には行なっておらぬ旨、法務当局は述べられるやもしれませんが、再三における刑務所、拘置所における人権侵害事件が惹起されていることは、かかる人権無視の監獄法がいまなお現存していることに由来することが多いと考えられます。  従来から監獄法の改正を法務省は幾たびか計画しており、しかも現実に実現に至らぬまま新憲法施行後二十三年を経た現在においても、人権無視の監獄法が現在用いられていることは、法務当局の著しい怠慢によるものにほかならないと存ずるわけでございます。人権の尊重は、最も侵されやすい弱い立場にあるものの人権を確立することによって初めて保障されると申されます。法務大臣は、法務省におかれては、この陰惨な、人間を動物扱いにしている監獄法をはたして改正される御意図があるのか、またいつごろまでに右改正案を御提案される御予定であるのか、その点を承っておきたいと思います。
  47. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) ただいま御指摘のとおり、監獄というものがないのに監獄法があるということにつきましては、私も非常にふしぎに思っておるわけでございます。また、最近の行刑思想と申しますか、そういうものもずいぶん変わってまいってきておりますし、それから国際連合の被拘禁者処遇最低基準規則というようなものも示されておるわけであります。本来なら早急にやはり改正すべきものだと思っております。  ただ、御承知のように、刑法がまだ改正になっておりませんが、これもあまり遠くない将来に全面改正が行なわれると思います。それと相ともどもに監獄法を改正するというのが最も法律的であり、また合理的であるというような見地からおくれておるように聞いております。御指摘のとおりにできるだけ急いでやりたいと思っておるのでございますが、まだ法制審議会に案を示すところまでいっておりません。しかし、できるだけ督促をいたしまして早く法制審議会に送りたい、かように考えております。
  48. 佐々木静子

    佐々木静子君 そうしますと、法務大臣とされますと、法制審議会のほうにいつごろ諮問に付される御予定でございますか。
  49. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) 大体この秋には法制審議会に送るような段取りにしたいと思っております。
  50. 佐々木静子

    佐々木静子君 私の質問を終わります。
  51. 白木義一郎

    白木義一郎君 本日は法務大臣が就任初の当院における委員会であります。そこで法務大臣に、今後の所信を先ほど伺ったわけでありますが、私はここ数代の法務大臣がとかくの批判を受けてこられたという事実に対しまして、特に出発に当たりまして、ただいま法務大臣の職責を果たすに当たっての所信をお伺いしたわけですが、重ねて従来のような批判を受けるようなことのないように、りっぱにひとつ法務大臣の職責を果たしていただきたい、このように思いますので、あらためて御決意を伺っておきたいと思います。
  52. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) 従来とかくいろいろなことが言われたことについては私からいろいろ申し上げることはないと思います。私自身に関しましては、率直に申し上げまして、能力ははなはだないので、はたしてつとまるかどうかということを疑っておりますが、ただ検察当局というものに対してあくまで厳正に、そうしてまたそのためにはみずからが自粛をして、ほんとうに正しい、また反省をした行き方をやっていきたい。また、ことに法務省の職員としましては、他人の被害を捜査するという重要な役目にあるものでありますから、相ともどもに戒めて、ほんとうに正しい規律のもとにやっていきたい、かような決意をいたしておる次第でございます。何ぶんともよろしくお願いいたします。
  53. 白木義一郎

    白木義一郎君 ただいま大臣の決意を伺って、ぜひともひとつ在任中は従来にない、りっぱな大臣であったと、このように心から希望しておるものであります。それにつきましても新聞の社説によりますと、人事院が国家公務員の懲戒処分状況などを含む四十五年の人事院業務状況報告書を国会あるいは内閣に報告しております。これを見ますと、四十五年中には各省庁が処分した国家公務員は一万人をこえておる、このように報道をしております。なかんずく収賄や横領など汚職関係を各省庁別に載せておりますが、郵政省、林野庁、法務省、建設省で、前年度よりもふえておる、このような報道がなされておりますが、実態はどのようになっておるでしょうか。
  54. 藤島昭

    説明員(藤島昭君) 人事院の集計が人事院月報に掲載されておりまして、ただいまの御質問にございますように、懲戒件数が全部で一万一千百八十二人ということになっておりまして、私ども法務省の数を調査いたしましたところ、四十五年に懲戒処分を行ないました職員の総数は百八十五人でございまして、前年の四十四年が二百三十八人ということで、前年、四十四年に比べて四十五年が数が五十人ばかり減少しておりますけれども、この限りではたいへんうれしいことなんでございますが、ただ、ただいまの御質問にございましたように、横領とか収賄という点だけを見てまいりますと、法務省の四十五年の横領等で懲戒処分した件数が十二人、収賄で懲戒処分をいたしました数が八人でございまして、合計いたしますと二十人ということになります。その前年の四十四年につきましては、横領等で懲戒処分をいたしました数が七人、収賄で懲戒処分をいたしました数が五人で、合計十二名。結局、四十四年の合計十二名に比べまして四十五年は若干ふえておりまして、総計で二十名ということになっております。
  55. 白木義一郎

    白木義一郎君 大臣、いま報告がありましたように、法務省関係の職員の懲戒処分の昨年度の実態ですが、数字の上から見ますと四十四年度よりも減少している。しかし、内容は、数字と比較しまして程度の悪い事犯が起きている。佐藤総理はしばしば——このごろあまりそういう発言はされませんけれども、絶えずえりを正すと、ずいぶんえりを正してきたわけですが、その佐藤内閣のもとにあった法務大臣がしばしば批判を受けている。こういうようなことで、最高責任者としては、この点を明らかにして、今後の職責を全うされるように心から協力も申し上げ、またがんばっていただきたいと、このように考えておる次第です。  先ほどもごあいさつにありましたように、社会が平和を続けるためには、あくまで法秩序が維持され、国民権利がよく保全されることが肝要である。このようにあいさつをされております。したがいまして、ただいま大臣として決意を申されたことを、さらに法務省あるいはその管轄全域に対してどのような決意と覚悟でお臨みになるか、一応伺っておきたいと思います。
  56. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) いろいろお示しを願って、私としましては必ず御期待にこたえなければならぬと思っておる次第でありますし、そのことは今後通達を出すなりあるいは会同の際に必ずその趣旨を徹底させるようにいたしたいと思っております。できるだけ万全を期してまいりまするゆえ、よろしくお願いいたします。
  57. 白木義一郎

    白木義一郎君 そこで、司法の運用が厳正中正に行なわれ、その機能が十分発揚されなければならない、こういうお話ですが、現在法務局の行政内容についてちょっとお尋ねしておきたいと思いますが、東京法務局の現場を調査した結果によりますと、まことに多端な業務に追われ、しかも老朽化した建造物、人員の欠如によって運行が非常に円滑を欠いている。このままでは大臣がおっしゃった司法の運用、また厳正中正に行なわれることが不可能である、このように心配しております。どこかに移転をされるような計画がおありでしょうか。
  58. 川島一郎

    説明員(川島一郎君) 東京法務局は現在中央区の築地にある建物に入っおりますが、この建物は昔海軍の経理学校の庁舎の一部であったものでございまして、非常に老朽しておりまして、また取りこわしが予定されている建物でございます。そういう関係で、かねてから適当な新しい庁舎に入りたいということで、いろいろ考えておったわけでございますが、現在千代田区の大手町に、これは大手町行政合同庁舎というものを建築中でございます。この建物が本年の九月末に完成する予定でございますので、これが完成いたしました場合には、その一部に移りたい、このように考えております。
  59. 白木義一郎

    白木義一郎君 その移転予定の合同庁舎の件ですが、これは大臣は御存じないかもしれないと思いますが、これは非常に仕事のしにくい、また国民としてちょっと合同庁舎で書類をそろえたり、あるいはいろいろな窓口と、書類の受付等については非常に困難をきたすような心配をしているわけです。また係員の方々もたとえばその合同庁舎に行くと、窓口と書類置き場の倉庫との間を一日二百回くらい往復しなければならないというような、そういうような状況のようであります。これは事実であるとすれば、その司法の運用、これがはたして厳正中立に行なわれるかどうか、国民の側としても、また係員の立場からも非常に心配をされている。こういう現状でありますので、大臣もひとつよく現場を視察されて、りっぱに所信を貫かれることを要望を申し上げておきます。  次に、具体的な問題ですが、東京の八丈島の問題ですが、いわゆる不動産登記法第十七条にいう地図のない地域、要するに無番地の地域ですね。全国的に見ていまどのくらいあるのでしょうか。
  60. 川島一郎

    説明員(川島一郎君) 御承知のように登記所には地図を備えることになっておりまして、その地図はいろいろのものがございますが、これは以前に登記所で土地台帳の事務を扱っておりまして、その土地台帳に付属しておった地図、これがそのまま引き継がれて不動産登記法の上でも運用されておる、こういう関係になっております。ところが、その土地台帳というのは以前から伊豆七島については土地台帳法の適用がないので、そのために土地台帳もなければその付属地図もない。こういう状態であったわけであります。そこで伊豆七島の登記所につきましては土地台帳の付属地図がなかった関係上、現在登記所の地図が置かれていない、こういう状態になっておるわけでございまして、こういうところは結局伊豆七島だけでございます。  で、いま八丈島についてお尋ねでございましたが、こういう状況でありますので、八丈島においても何らかの方法によって地図をつくる必要があるということで、これはもう数年前に法務省と関係官庁あるいは地方自治体と協議をいたしまして、地図をつくる計画をきめて、目下実行しつつあるところでございます。昭和二十一年以降その準備をいたしまして、これには登記所も市町村その他と協力をいたしたわけでございますが、一応の素図をつくりまして、この素図ができ上がったところで、それをもとにいたしまして、昭和四十四年から国土調査を実施いたしておりまして、目下、この国土調査の事業の進行中でございます。これができ上がりますと、完全な地図が八丈島にもできあがる、こういうことになっております。
  61. 白木義一郎

    白木義一郎君 そうしますと、八丈島には土地台帳法が適用になってないと、したがって法務局に土地公図の備えつけもなく、地番制がひかれてない。で、これを整備するためにいま作業を進めておられるという御説明ですが、地元ではその作業がこのままいけば、七、八年もかかるのじゃないかと、これは現状からいって観光ブーム等の影響で非常に将来紛争が起きる心配をしておるわけです。これを早急に整備をしなければならない、それにはやはり予算も伴っていかなければならない。この予算関係のことについても一応法務大臣のお考えを伺っておきたいと思います。
  62. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) この地図の作製についての予算は経済企画庁の予算でやっておるようであります。企画庁長官ともよく相談してできるだけ促進するようにいたしたいと思います。
  63. 白木義一郎

    白木義一郎君 これはいま説明がありましたとおりに、台帳が何もない。従来は一山幾らというような単純な売買が行なわれてきたようですが、観光ブーム等の影響で、非常に不動産業者が土地を買いあさっておる、地価が暴騰しておるというような関係で、次第に坪単価の売買に変化しておる。このままいきますと、非常に境界線あるいは土地所有権、こういう問題が、必ず紛争が起きると予想されますので、大臣においては至急手を打っていただきたいと思います。  最後に、これはもっと慎重に研究しなければならない問題ですが、佐藤内閣はしばしば人命尊重の政治ということを強調しております。そういう関係から法務大臣は死刑執行の最高責任者であります。この死刑執行の最高責任者として、佐藤内閣の閣僚として、この人間尊重という思想と関係しまして、最高責任者である法務大臣のお考えを最後に伺っておきたいと思います。
  64. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) 死刑執行に関しましては、やはり刑でありまするから、また万全を期して、出ました結果に対して、私がとかくいろいろな私情で云々するというわけにはまいりません。しかし、法の許す限りにおいては、やはり人命尊重あるいはまた権利の尊重という意味合いからしまして、できるだけのことは私も考えたい、かように考えておるわけでございます。
  65. 阿部憲一

    委員長阿部憲一君) 本件に関する質疑は、本日はこの程度といたします。     —————————————
  66. 阿部憲一

    委員長阿部憲一君) 継続調査要求に関する件についておはかりいたします。  検察及び裁判運営等に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、本件の継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  67. 阿部憲一

    委員長阿部憲一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、要求書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  68. 阿部憲一

    委員長阿部憲一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  69. 阿部憲一

    委員長阿部憲一君) 次に、委員派遣承認要求に関する件についておはかりいたします。  検察及び裁判運営等に関する実情調査のため、閉会中、委員派遣を行ないたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  70. 阿部憲一

    委員長阿部憲一君) 御異議ないと認めます。つきましては、派遣委員、派遣地、派遣期間等の決定は、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  71. 阿部憲一

    委員長阿部憲一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時十七分散会