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説明員(佐藤達夫君) 前のことを十分御勉強の上でのお尋ねでありますから、たいへん
お答えのほうもしやすいのでありますが、おそらく三点いまのお尋ねの中にあると思います。
その第一点は、しょっちゅう私
どもとして恨みつらみを申し上げて言っているところでございます、春闘がどうしてあんなにおくれるのかということに尽きるわけなんです。御
承知のように初めはあれほどおくれてはおりませんでしたが、
昭和三十九年ごろからだいぶおくれを始めて、その次の年をどうしてくれるというようなことはわれわれのほうに非常に強力なる
要望があったのです。なるほどこれはみすみす来年持ち越すというのも公務員諸君のためにもならぬ、筋からいっても、来年の経済界と対応した勧告の形にはとてもこれはならぬ。前年の分が持ち越されるということでは若干不合理な点もあるだろうということで、勇気をふるって例の積み残しをそこに計算に加えたということをやりましたことは、もう宮之原
委員も十分御
承知のとおりであります。それ以後春闘が早まるかといえば決して早まりはしない。ことしのごときは、いまおことばにもありましたように、たいへんおくれましたために、われわれ
調査をしておる者はたいへんな苦労をしております。
調査期間中締め切りに追われて工場をたずねれば、いまはそれどころじゃないのだ、取り込みの最中だと、帰れと言わぬばかりに追い返された、また済んだだろうと思って工場に足を運ぶというようなことまでしまして、ことにことしはその点を訴えたいのでありますけれ
ども、苦労に苦労をしてわれわれとしては
調査をした。したがって、いま二〇何%というようなおことばがありましたけれ
ども、何もそんなに変わらないところまでわれわれの
努力によってやりました。これ以上延ばすならば、これはむしろ
調査時期のほうをおくらして、四月
調査を六月
調査にせにゃなるまい、そのほうが公務員の方々のおためにもなるのじゃないか、春闘を早めてくださらないならばですね、というようなことで、総評議長なり何なりに対してわれわれのほうは勧告権を持っておればいいのですけれ
ども、そのほうの勧告権がない以上は、われわれのほうが追随しなければならない情けない立場におってのことである、それにもかかわらずよくことしは調べたということをおほめをいただかないと、われわれの
調査員の方たちは浮かばれないということになるわけであります。
そこで第二点は、民間の企業との比較の問題で、これは民間追随主義についてはいずれまた別に御追及があると思いますから、その点については触れませんが、われわれは官民比較の立場をとって、なおかつそれがまた正しいと思っておりますからして、その比較の
やり方の問題はこれまた大きな関心を持って臨んでいっておるわけであります。ただ、いまのことばに、五百人とか千人とかけちなことは言わぬとおっしゃいましたので、よほど次元の高いところをお
考えになってのことではないかと思います。したがってその点軽々しく
お答えすると、こちらが恥をかくことになりはしないかと思うのであります。われわれは、現在は百人以上、五十人以上というところで基準を置いておりますのは、
日本における全従業員の過半数ですか、半数以上を占める人たちをとらえてその
水準を比較をして、せめてここまではぜひ追いつかしていただきたいという立場をとっており、また、かくして納税大衆を含む
国民各位の御納得も得ることだろうと、昔のように天皇の官吏というようなことで官吏、公務員が特権的な立場を持っておれば、私自身も
経験がございますけれ
ども、当時の官吏の俸給なんというのは民間には目もくれずに独自の白紙の上に
数字を並べておりましたけれ
ども、今日においては憲法二十八条によって公務員も勤労者である
——労働者ということばをお使いになる方もありますけれ
ども、憲法に言う勤労者である以上は、昔と比べてこれは決して特権的な立場を持つものとは
考えられないということになれば、
国民大衆に対する納得を得るその給与のあり方ということになれば、せめて全従業員の半数以上を占めるくらいのところの
水準には合わせていただきたいということは趣旨が通るだろうということでやっているわけで、これは宮之原
委員十分御
承知のことで、いまさら申し上げるまでもありませんけれ
ども、ここで繰り返して申し上げさせていただきます。
それから、四月実施の問題は、いまお述べになりましたとおりの立場でおります。五月にきまったいきさつなどのことも、これは十分調べておりますけれ
ども、五月説が間違っておるとかいうところまで言うことは、いわゆる十年以上、完全実施までの間にわれわれの五月一日から実施という
やり方が間違っておったということもまだわれわれとしては確証をつかんでいないということもありまして、しかし、
考えてみれば四月説も一理なきにしもあらず、最近では一理あると言わねばなるまいというようなところまで、これは、私は率直なことを申し上げておるわけなのです。しかし、それがいま触れましたような
国民大衆を納得せしめるようなそういう確固たる論拠、五月は間違っておったというようなことはまだわれわれとしてはいまの研究
段階では出ておりません。したがいまして、これはわれわれとしてはとらわれない
考え方でなお真理を追求してまいりたい。ただいまことばじりをおとらえするようで恐縮でありますけれ
ども、民間、公共企業体では四月に実施されているというふうな
考え方を持ってますと、御
承知のように春闘によって上がる民間企業もたくさんあるはずです、最近では大体春闘のほうに寄ってまいりましたけれ
ども、いまだにやはり夏から秋にかけて上がる企業もございますし、この民間における値上げの時期というものをとらえていると、これはよほど精密なる計算をしませんと出てこない、ということは、私が申し上げるのはおかしなことで、手のうちをさらけ出すことですけれ
ども、これは真理の追求のためには何もかも申し上げたほうがいいと思いますが、四月に調べたから四月にさかのぼるという単純な話に持っていきませんと、民間の
ほんとうの上がりを追っかけるということになると、九月に上がったところ、十月に上がったところまでこれはとても計算はできないのであります。これだけ単純な問題であるだけにまた理論的にどれほどの真理がそこにあるかという問題があるわけであります。したがって、この点は検討を続けております。そうして、りっぱな結論が出て
国民大衆もなるほどとおっしゃっていただければ、もちろんわれわれはその正しいあり方に実施時期を持っていくという気持ちでおるわけでございます。