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1971-10-07 第66回国会 参議院 物価等対策特別委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年十月七日(木曜日)    午前十時九分開会     —————————————   委員の異動  九月九日     辞任         補欠選任      嶋崎  均君     岩本 政一君  九月十一日     辞任         補欠選任      岩本 政一君     嶋崎  均君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         長屋  茂君     理 事                 西村 尚治君                 山下 春江君                 竹田 四郎君                 田代富士男君                 中沢伊登子君     委 員                 上原 正吉君                 亀井 善彰君                 川野辺 静君                 志村 愛子君                 玉置 猛夫君                 山本敬三郎君                 加瀬  完君                 鈴木  強君                 柏原 ヤス君                 渡辺  武君    国務大臣        国 務 大 臣  木村 俊夫君    事務局側        常任委員会専門        員        坂入長太郎君    説明員        公正取引委員会        委員長      谷村  裕君        警察庁刑事局保        安部保安課長   関沢 正夫君        行政管理庁行政        監察局監察審議        官        大田 宗利君        経済企画庁国民        生活局長     宮崎  仁君        農林大臣官房        参事官     大河原太一郎君        農林省農林経済        局企業流通部市        場課長      船曳 哲郎君        農林省畜産局参        事官       斎藤 吉郎君        農林省蚕糸園芸        局野菜花き課長  関谷 俊作君        食糧庁総務部長  森  整治君        水産庁漁政部長  田中 慶二君        通商産業省鉱山        石炭局長     荘   清君        中小企業庁計画        部長       西田  彰君    参考人        日本銀行総裁   佐々木 直君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事選任の件 ○参考人出席要求に関する件 ○当面の物価等対策樹立に関する調査  (当面の物価対策に関する件)  (消費者行政に関する件) ○派遣委員の報告     —————————————
  2. 長屋茂

    委員長長屋茂君) ただいまから物価等対策特別委員会を開会いたします。  まず、理事選任についておはかりいたしたいと思います。  去る七月二十日の本委員会におきまして理事四名を選任いたしましたが、あと一名の理事につきましては、後日これを指名することになっております。  この際、あと一名の理事選任を行ないたいと存じます。  理事選任につきましては、先例によりまして、委員長にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 長屋茂

    委員長長屋茂君) 異議ないと認めまして、それでは理事西村尚治君を指名いたします。     —————————————
  4. 長屋茂

    委員長長屋茂君) 参考人出席要求に関する件につきましておはかりいたします。  当面の物価等対策樹立に関する調査のため、本日の委員会に、日本銀行総裁佐々木直君を参考人として出席を求めることに異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 長屋茂

    委員長長屋茂君) 異議ないと認めて、さよう決定いたします。     —————————————
  6. 長屋茂

    委員長長屋茂君) 当面の物価等対策樹立に関する調査中、当面の物価対策に関する件及び消費者行政に関する件を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言をお願いします。  鈴木君。
  7. 鈴木強

    鈴木強君 きょうは、佐々木総裁、御多用のところ、ありがとうございました。また、先般のIMF年次総会には日本政府代表代理として御出席をいただき、御苦労いただきまして、ありがとうございました。  ことしのIMF年次総会は、御承知のような国際通貨不安は放置できない、したがって、通貨調整を急ぎ、長期的な通貨制度について検討を始める、こういうふうな御決意で開かれたものと思います。それで、私は、この総会は特にアメリカの新しい経済政策が発表されたあと会議でありますから、各国から非常に熱心な論議が行なわれたと思います。したがって、総裁に実は総会の様子を承りたかったのでございますが、残念ながら、御都合がありまして、約三十分程度の時間しかいただけません。そこで、いずれまた他の機会に譲ることにいたしまして、きょうは、特に問題になりました通貨調整問題点と、それの今後の見通し、さらにもう一つは、IMF体制が事実上機能を停止したとは言いませんけれども、崩壊に瀕し、半身不随になったような状態でございますから、いずれ、国際的な通貨体制というものをどういう形か検討し、きめなきゃならぬと思いますが、そういった点について意識統一が行なわれたということを聞いております。それからもう一つは、最後に、このような情勢の中で日本経済は一体どうなっていくのか、こういう点を、見通しについて伺いたいと思います。  それで、第一点でありますが、私どもは報道によって承知しているのですから、もし誤りがありますれば、ぜひ総裁から正していただきたいと思いますが、最終日の前日にコナリー米財務長官演説を行なっておりますが、その中で非常に重大な点として、アメリカ輸入課徴金撤廃についての条件として、日本がもしいまやっておりますような為替管理やり方、すなわち市場に対して介入するという、そういうやり方をやめるならば課徴金撤廃してもいいというような趣旨の提案をなされたと聞いておるわけです。これが事実とするならば、この提案をどういうふうに総裁としては受けとめられたかどうか。おそらく、これは、市場への介入をやめることによって、変動相場制をとっている日本通貨価値というものは当然円切り上げに通ずるわけでありますから、そういうことをねらって、アメリカ円切り上げをそういう方向から考え出したのではないだろうかということが一つですね。それから、この演説日本を非常に意識し、日本に対してかなりきびしい姿勢で演説をしたと報道されております。そうなりますと、従来、この問題は当然多国間調整の中でやられるということが筋でありますし、総裁もそうおっしゃっておられた。ただ、われわれ気になるのは、出発する前、総裁も、そうは言ってもなかなかむずかしい問題ですから、ある程度の弾力的な考え方もお持ちのようでございますが、この真意はよくわかりませんけれども、少なくもアメリカ日本の間である程度平価調整に対する意識統一といいますか、協議がなされなければ、かりに多国間調整に持ち込んでも、なかなか容易に解決ができないのではなかろうか、こういうようなことも実は考えられて、コナリー提案というものは、その内容としてはそういうものも含んでおるのではないかという気もするわけでございますけれども、その点はいかがなものでございましょうか。これは為替市場への介入をやめろということですから、そうなりますと、かなりの影響も出てくると思いますから、おそらく、やめろということは完全にやめろということだ、そして実勢にまかして変動相場制というものをやりなさい、こういうことだと思いますから、その辺、今度は日本が受けて立って、提案にこたえるような立場に立たされておると思いますから、その辺も含めて、ひとつ総裁の御見解を承りたいと思います。
  8. 佐々木直

    参考人佐々木直君) IMF総会におきましては、各国代表がそれぞれ所見を発表いたしまして、したがって、総会の席では話は一方的でございます。ただいまお話がございましたアメリカコナリー長官演説の中で輸入課徴金に触れている点は、御指摘がございましたように、自由な為替市場においてでき上がった為替相場、その平価為替の価格でございますね、為替相場を、これを参考にいたしまして新しい平価調整が行なわれれば、ほかにも条件がついておりますけれども輸入課徴金をやめるというように言っておるわけでございます。  実は、その総会の前日に開かれました十カ国蔵相・総裁会議におきましてコミュニケが採択されておりまして、そこで三点について具体的に今後検討するということがきまりました。それは、為替平価多国的調整と、それから変動幅の拡大と、それから輸入課徴金撤廃、この三つがはっきり出てまいりましたので、輸入課徴金撤廃が具体的な問題として上がってきたということが非常に特徴だと思います。それに続きましてコナリー長官演説があったわけであります。したがいまして、とにかく、いろいろ条件がついておりますけれども輸入課徴金撤廃についてある態度の表明がアメリカ側からあったということは、これは意味があると思います。  そこで、ただいま御指摘のございました自由な為替市場における相場の形成ということ、これが一体どういうことであるか、実は、もういま各国とも変動相場の中である程度介入をやっております。したがって、完全な自由市場というものはほとんどないわけであります。ドイツにおきましても、最近は相当介入をいたしておるのが実情でございます。したがって、このコナリーさんの演説あと通貨関係者が集まっていろいろ話をしておりましたときに、これは非現実的な条件ではないかというような批判さえあったのでございます。したがいまして、世界主要国がみなそういう自由ではない変動相場をやっておるという事実から考えますと、日本だけを特に意識した表現であるとは考えられません。しかしながら、それだからといって、それじゃ輸入課徴金撤廃ということが望みがないのかというと、私はそうは考えません。やはり現実の為替市場というものは立っておりまして、そこで為替相場がある程度はっきりしておるわけでございますから、そういうものはやはり今後の平価調整にあたって当然参考にされてしかるべきだと思います。ただ、しかし、それをどの程度のところ、あるいはどういう時期でつかまえて調整をするかということになりますと、これはいろいろ見方があろうかと思うのであります。したがって、そうなりますと、ただいまお話がございましたような、それでは具体的にどういうふうな段取り平価の新しい調整を行なっていくかということになると思います。確かに、お話のように、多国的調整と申しますけれども、多数の国がこういうまるいテーブルに集まって一斉にものをきめるということはなかなかできないことであろうかと思います。したがって、やはり個々のお互いの話し合いを積み重ねていって、最後にまとめるということになろうかと思います。したがって、ある程度、AとB、BとC、CとD、DとEというような、いろいろな各国の間の話し合いが行なわれていくのではないか。そういう話し合いの中でアメリカとか日本とかいうものが相当重要な役割りを果たすということは、いまの国際収支情勢からいって当然であろうかと思うのでございます。したがって、こういう段取りの中で日本アメリカが話し合うということは当然あり得るし、やらなければならないことだろう、こういうふうに考えておるのでございます。
  9. 鈴木強

    鈴木強君 いまの総裁の御見解の中で、一つ輸入課徴金撤廃の問題で、為替管理に対する介入をやめることと、その他にも若干条件があったように聞き取れたのですけれども、それは要するに、貿易自由化とか資本の自由化の問題、あるいはもうすでにヨーロッパに対して行なっているアメリカ防衛分担金肩がわりの問題、こういう問題があったのではないかと思うのですね。日本に対して、特に防衛分担金の問題については、舞台裏で一まあ国際会議というのはいろいろやられるものですから、いろいろな角度からいろいろなところでそういうふうな話がアメリカからありましたかどうか、その点をひとつ伺っておきたいと思いますが、どうですか。
  10. 佐々木直

    参考人佐々木直君) 実は、この問題は結局政府間の交渉でございますので、そういうような具体的な話し合い内容については私は存じておりません。
  11. 鈴木強

    鈴木強君 その点は、大蔵大臣にきょう後ほどいらしていただきますから、また機会をあらためて伺いますが、もう一つは、為替相場管理のしかたですけれども、今後調整する場合に、アメリカ日本との個別の話し合いというのはあり得る、こういう判断を持たれているわけですね。きのうでしたか、大蔵省局長が帰ってきましたね。何と言いましたか。これは私新聞を拝見したのですが、IMF総会出席しておった稲村大蔵省国際金融局長が帰ってこられて、お話をしておられるのを見ましても、結局、国際収支の面で、貿易収支の面で黒字を持っているのは日本くらいのものだそうですね、アメリカとの間では。ですから、そういう意味からいっても、アメリカ日本を、まあ総裁は別に意識したのではないと思うとおっしゃるけれども、そういうふうに私たち思うのですね。ですから、とにかく日本アメリカの間で話し合いの糸口をつけて、ある程度問題点を煮詰めない限りはどうにもならぬというような判断ですから、すでに日本アメリカの間に話し合いがまさに行なわれているのではないかというふうに私たちは思うのですけれども、そういう点もまだはっきりしていないのですか。  それから、総裁としては、市場介入ということに対しては完全に介入をやめるということはできないとおっしゃるのですか。それとも、ある程度制限をして——まあ日本政府も多少緩和をしてはおりますけれども、できるだけ自由に近づけるというような形のものに持っていこうとしておられるのかどうなのか、その点の御見解はどうですか。
  12. 佐々木直

    参考人佐々木直君) 日米話し合いにつきましては、これは、私が承知しておりますところでも、ワシントン水田大蔵大臣が御滞在中にコナリー長官と会っておられますから、そういうようなときにいろいろな意味お話はあったものと推測しております。その程度のことしか私は存じません。  第二番目の、介入の問題でございますが、為替市場への介入というのは実はいろいろやり方がございまして、たとえばきのう、おとといはやっておらないわけであります。ですから、非常に取引が大きいときで、その取引為替銀行相互間——普通インターバンクと言っておりますが、相互間の取引で片がつかないときに、外国為替特別会計の勘定で売買相手になるわけでございます。その売買相手になりますときに、どれくらいの相場売買相手になるかということで、それを介入点と申すわけでございます。したがって、そのときの相場を一体幾らにして入っていくかということが一番問題の中心になると思うのであります。で、最近は徐々に介入点円高に持ってきておりまして、したがって、今後も、そういうふうな為替銀行の間だけで取引が完全にできない場合には、やはりある程度介入は続けていかざるを得ない、こういうふうに考えておるのでございます。今後の国際収支情勢いかんによりましては、もちろん介入が必要でない時期も来得るかと思うのでございますが、まあ、その意味で、現在のやり方はここ当分変更はなかなかできないというふうに考えておるのでございます。
  13. 鈴木強

    鈴木強君 総裁として、この多国間調整に入ります段階まではいろいろの紆余曲折があるでしょうけれど、いまの見通しとして、多国間調整に入った場合に、幅ですね、要するに調整の幅というのはかなり大幅になるというふうにお考えになっておるんでございましょうか。その点は、まあなかなかむずかしいと思いますけれども、どうなんでございましょうか。
  14. 佐々木直

    参考人佐々木直君) その問題は一番むずかしい問題でございまして、ただいまの段階では何とも申し上げかねますが、現状は、円が平価に比べまして約七・八ぐらい上がっております。この計算のしかたは実は二つのやり方がございまして、日本立場中心とした、その国の通貨中心とした計算方式が、いま申し上げました七・八でございますが、通常IMF方式と呼ばれます逆の計算のしかたでございますと、八%を少しこしておる現状でございます。
  15. 鈴木強

    鈴木強君 時間が十分ありませんので、もう少し伺いたいんですけど……。まあ情勢も非常にむずかしい段階でございますが、そうすると、まだ日米間で具体的な折衝をしておるんでしょうか、おらないんでしょうか、ある程度やっぱりやっておるというふうに理解してもいいんですか。
  16. 佐々木直

    参考人佐々木直君) どうもこれは、先ほども申し上げましたように、政府間の問題でございますから、私からはちょっと何とも申し上げる材料を持っておらないわけでございます。ただ、ワシントンで両大蔵大臣が話をされたという事実だけは存じております。
  17. 鈴木強

    鈴木強君 それから、私どもはよくわかりませんので、総裁が向こうに御滞在中、まあ短い時間ですから詳しい観察がおできにならなかったかどうかわかりませんが、アメリカ経済ですね、いまの現状というものはかなり深刻なものがあるように思うんでございますがね。だからこそ、ああいう新政策を打ち出したんだと思いますが、これが一体いつの時期、どの程度の時期に平常な状態に戻るというような、およその見通しもまだ全然つかないというようなものでしょうか。いま全然見当がつかないんでしょうか。
  18. 佐々木直

    参考人佐々木直君) 今度のニクソン大統領の新経済政策というものが、インフレーションの抑圧と失業の減少、それから国際収支の改善と、この三つの大きな柱を中心につくられておることは御承知のとおりでございますが、この問題につきまして相当思い切った対策を打ち出したという意味では、アメリカ国内では相当高く評価されております。それで、賃金物価の凍結が九十日ということになっておりますから、それがこの十一月には期限が来るわけでございます。その期限が来たあと、これをアメリカではいま第二段階というふうにみんな呼んでおりますが、その第二段階賃金物価についてどういう態度政府がとるかということが、もういまから非常に関心を持たれておる。まあ当然であろうかと思いますが。したがって、十一月以降もやはり相当強い政策政府としては続けていくんだろうと、したがって、その効果はやはり相当あがってくるんじゃないかという期待アメリカ国内では持っております。ただ、その時期がいつになりますかは、これは確かに予断を許さない点でございます。ただ、わりあいにアメリカの財界の人の観測では、そう遠くないうちに効果があらわれてくるものだというふうに、これは多少希望的な観測が入っておるかもしれませんが、今度の打ち出された政策が強力なものであるだけに、その期待は大きいようにわれわれには思われました。
  19. 鈴木強

    鈴木強君 それからもう一つ。そういう情勢の中で、いまの変動相場制、これは、固定相場制への移行の問題、あるいは平価調整の決着がつくまでという一つの実際の見通しの上に立たなければならぬと思いますが、OECDの第三部会なり、あるいは十カ国蔵相会議なり、これもスケジュールがきまっておるんでございますけれども、一体この変動相場制というのは、かなり長期にわたって、来年の何月ごろになるかわかりませんですが、十一月ごろか、その辺の見通しはやはり立ててやらなければ、いつまでもこんな不安定な状態を放置することはできないと思うのです、私は。したがって、これはほんとうに政府日銀一体になって積極的に、しかもその情勢判断をするわけですが、慎重に御検討していただかなければならぬことだと思いますが、その辺の見通し総裁としてはどうお持ちでございましょうか。これはたいへんなことですよ。こういう状態が長く続くことは、不安を醸成して、たいへんな混乱が起こるわけですから、その点、いかがでございましょうか。
  20. 佐々木直

    参考人佐々木直君) 確かに、こういう変動相場の状況というのは、その国の経済、特に貿易に非常に障害になります。一日も早くこういう事態から抜け出さなければならないと、全く強く思っておるわけでございます。ただ、ただいま申し上げましたように、これはいろいろの国との話し合いが行なわれなければ解決いたしませんので、それにどの程度の時間がかかるかということは、まだいまの段階では、はっきりした見通しが立たないのでございます。しかし、各国とも、こういう状態では困る、世界貿易の伸び悩みということは、また全体の世界経済にずいぶんマイナスの影響を与えるからということを、今度私は会議に行ってみて、みんなが非常にその点を強く心配していることを感じたわけです。したがって、各国とも、できるだけ早く解決するように努力は続けると思います。ただいまお話にございましたように、OECD会議その他スケジュールはできておりますが、一応そのスケジュールはございますけれども、問題が非常に政治的であり、かつ、各国話し合いの中で問題が進められていくということでありますだけに、そういう形式的な会議の時期に解決の時期が必ず一緒になるというものでもなかろうかと思います。したがって、できるだけ早く解決したいという各国努力がいつ実るかということで、私どもとしては、できるだけ早く解決の時期を手元に引っぱってきたいというふうに考えておるわけであります。
  21. 鈴木強

    鈴木強君 それでは、次に、IMF体制の問題で……。  まあ、御承知のようなドルと金との交換停止をしまして、実際この基金というものが非常に混乱状態になっておるし、機能停止とは言いませんけれども半身不随、そういう状態になっていると思います。これをどういうふうに立ち直らしていくのか、やはり従来のようなドル中心としたままでいくのか、あるいは、言われているところのSDR中心主義でいくのかということは、確かに問題があると思います。ただ、新しい——新しいというか、いまの通貨体制というものをひとつ検討して改革していこうということは意識が一致したように聞いております。したがって、その場合に、コナリーさんの演説を聞いてみると、その点についてはコナリーさんはあまり触れておらぬですね。ほおかぶりをしている。だから、その裏には、おそらく、やっぱりドルを立て直して、もう一回現行体制でいこうという気持ちがあると思いますけれども、いまのIMF体制というものは、どうかすると、十カ国の大きな国がイニシアチブを持って、低開発国なんかはもう置いてけぼりを食うような不安がかなりあると思うのですね。ですから、そういう点をどう調整するかということを考えてやりませんと、これは国際的な通貨基準体制をきめることですから、そこらに私はやはり問題があると思うのですね。ですから、アメリカも検討しようということについては賛成をしたようでございますから、コナリーさんが演説で触れないとしても、この問題については早急に取り組んでいく必要がある。これはもう当然でございますね。したがって、総裁としては、いまの現行IMF体制というものをどういうふうにしていったら一番ベターなものができ上がっていくのか、そういう御構想はございますか。あったらお聞かせいただきたいと思います。
  22. 佐々木直

    参考人佐々木直君) ただいまのお話のように、いまの状態でございますと、国際通貨基金機能というものは非常に障害を受けているわけでございます。基金の非常に大事な仕事であります国際収支に関連した加盟国に対する資金の供給あるいはそれの決済、そういうようなことがいま非常に障害を受けて、うまく動いていないのでございます。したがって、シュバイツァー専務理事などは、一刻も早くIMF機能を回復したいということで、これに努力しておられる状況でございます。ただ、これをどういうふうに解決していくかということは、問題が問題でありますだけに、なかなかむずかしいことであろうかと思います。コナリー長官が、その演説の中で、SDRについて特別に触れなかったことは事実でございます。しかしながら、演説の中に、国際決済というものがアメリカの赤字によらないで、国際的に管理運用された流動性によって行なわれるべきであるというようなことばを使っておりますから、それは実質的にはやはりSDRのようなものを考えておるのだと思います。やはり現状では、特定の金属、すなわち金あるいはまた特定の国の通貨、いまのドル、そういうようなものから離れた、いわゆる第三の決済手段というものが生まれてこなければならないと思います。それで、当面それはSDRを発展させることによって役立たせるのではないか。したがって、今後の研究の方向は、こういう第三の決済手段を求めて、これを基礎にして国際決済機構をつくりあげていくということの方向がいいのではないかと私個人としては考えております。
  23. 鈴木強

    鈴木強君 まあ、このことも非常にむずかしいのですけれどもアメリカがやはりその気にならないと……。SDR中心体制に切りかえていこうという意見が大勢を占めているように思いますけれども、問題は、アメリカ態度だと思いますね。アメリカは、いまの体制をやはり立て直していこうということでやっきになっておられると思うのですが、そういう中で、特にアメリカの意向について特別総裁がお聞きになったような点はございませんでしょうか。
  24. 佐々木直

    参考人佐々木直君) この問題について、特にアメリカの意向をただし、それに対して、はっきりした返事は得ておりません。しかしながら、アメリカ自身も、こういう大きな国際収支の赤字を続けておりますことは、非常にいろいろな面で国内にも悪影響を及ぼしておりますし、それからまた、ユーロダラーを中心とします、こういう海外でアメリカの統制のきかないドル資金が非常に大きく存在しておるということも、アメリカの金融政策の運営の上で非常に支障になっております。そういう点を考えますと、いまのドル基準の国際決済というものがアメリカとして絶対必要なものだという考え方は持っていないのではないか。ですから、いまのようなSDRを中心とする国際決済手段の開発ということには原則的な反対はないのではないかと、これは推測でございますが、考えております。
  25. 長屋茂

    委員長長屋茂君) 速記をやめて。   〔速記中止〕
  26. 長屋茂

    委員長長屋茂君) 速記を始めて。
  27. 鈴木強

    鈴木強君 それでは、経済企画庁長官もお見えになっておりますので、後ほどまた、これからの日本経済の動向なり景気の見通しについては総裁に伺いたいと思いますが、私たちがいま一番心配しておるのは、ドルショックというものが、八月十五日に発表されて、昨年から続いておった長期の日本の不況というものがどうにか下火になろうとしたときに、こういう事態が来たわけですから、それによって、かなり日本経済は先行き暗いと思うのですね。したがって、いずれ、一〇・一%の実質経済成長の伸び、さらに消費者物価五・五%、こういったものを基準にした四十六年度の経済見通しというものは修正するのかしないのか、長期経済発展計画との関連からも出てくると思います。それはまあそれとしまして、もし一〇・一%を動かせないとするならば、政府がいまやろうとするような大型の補正予算を組んで、公共投資や社会資本をふやし、あるいは減税をして、景気操作を財政の面からも大いに検討し、あるいは給与面からもバックアップして、とにかくいまの経済見通しをそのまま持続するという方向でいくのか、そういう見通し一つあると思うのですね。それは、なかなかむずかしいということもあると思うのです。いずれにしても、いまお話を聞きましたIMF総会における国際的な通貨の動きを見ましても、まだそう簡単には結論が出るとは思わない。したがって、相当長期にわたっていまのような状態が続いていくとも思われます。その中で、一体日本経済はどういうような方向をたどっていくのか。景気操作としてはいろいろ考えられております。たとえば公定歩合の第五次引き下げ、こういうこともおそらく金融面から見れば考えられるのでございましょう。あるいは預金金利の引き下げということも、これはいろいろ問題がありますけれども、そういう点もあわせてお考えになる、あらゆる角度から英知をしぼって十分操作を考えて、てこ入れをして、既定の経済成長を貫いていくという御方針に立つかどうか。これは政府側のお考え方ですから、総裁としては、そういうような情勢の中で特に金融面からいろいろなてこ入れをしていったらいいのだということもあわせて、公定歩合や預金金利の問題も含めて、ひとつお考えを聞かしてほしいと思います。
  28. 佐々木直

    参考人佐々木直君) いまお話がございましたが、政府経済計画につきましては私は申し上げる資格がございませんが、あとのほうの今後の金融政策の運び方でございます。  確かに、この七月ごろのいろいろな数字を見ますと、どうやら景気も底入れして、少し上がりかけたという感じがいたしたのでありますが、八月十五日のニクソン声明以来、また、いろいろな面でその回復のきざしがつぶれてまいりました。いまのような停滞が相当長く続くんではないかというふうに案ぜられておるわけであります。しかも、ただいま申し上げましたように、世界的に、いろいろ貿易の伸び悩み等から経済の停滞が大規模に広がってまいりますと、その影響日本にもまた及んでくるわけであります。そういうことを考えますと、今後の財政金融政策というものは、相当ものごとを広く考え、かつ、根本的な対策を考えておかなければならない時期であろうと思います。金融の面につきましては、外貨が多額に入ってまいりまして、その代金が市中に出ておりますので、量的には非常に緩和した状況にございます。したがって、今後の景気を上昇させてまいりますための資金の量的な供給というものには、むしろ十分過ぎるほどあるのではないか。残る問題は、そういう資金の流れを適当に必要なところに流していく方策、これには、いろいろな金融機関の性格によった資金の出し方等もあんばいしていかなければならないと思います。それから金利の面でも、これが企業の負担をできるだけ軽くして、設備投資その他を容易にしていくという方向がぜひ必要であると思います。したがって、いますぐどうというような問題よりも、今後の経済の動きを十分見きわめまして必要な手段をやっていく。幸いにして、いままでの日本のそういう場合の不況対策、あるいは経済を伸ばしていくという場合に、いつも心配になっておりました国際収支の問題が今度は十分ゆとりがございますので、そちらのほうは心配せずに積極的な政策がとられる状態にあると考えております。
  29. 鈴木強

    鈴木強君 まだ具体的な施策というものはおきめになっておらないようでありますが、きょう私が伺っておきたかったのは、金融面における金利の引き下げですね。預金金利をはじめ、公定歩合の引き下げといいますか、第五次の引き下げですね。これは、新聞を見ても、日銀の呉調査局長ですか、この方が、「「ドル・ショックは企業の設備投資マインドや商品市況にあらわれているが、生産、出荷にはまだそれほどあらわれていず、年内は急激な落込みはあるまい。むしろ輸出商談停滞の影響が生産、出荷にハネ返る来年一−三月の落込みが懸念される」と語った。このため同局長は今後予想される不況のテコ入れ策として、財政支出の拡大、減税の早期実施とならんで「第五次公定歩合の引下げも考えてよい」」、こう述べておられるのですが、こういうことも今後あり得るということは、当然理解していいわけですね。
  30. 佐々木直

    参考人佐々木直君) 今後の情勢いかんによっては考えられると思います。
  31. 鈴木強

    鈴木強君 それから預金金利のほうはどう考えておられますか。あるいはその引き下げは。
  32. 佐々木直

    参考人佐々木直君) 全体の金利水準が大きく動いてまいりますときに、預金金利もやはりその中の一つとして私は動いてしかるべきものだと思っております。しかし、それはあくまでも原則でございまして、いまの段階で、たとえば定期預金金利を引き下げるかということになりますと、これは、一般大衆が自分の貯蓄をそこに、主として定期預金に入れておるわけです。そういう点を考えますと、そう簡単に下げられない。金融機関は、全体として貸し出し金利が下がる中で、預金金利を維持できる限界までは、なるべく下げないで持っていきたい、こう考えておるわけであります。
  33. 鈴木強

    鈴木強君 わかりました。総裁の慎重なお考えですから、私も賛成ですが、特に要望しておきたいのは、いまおっしゃったように、預金金利の引き下げは、現在の消費者物価の上昇が非常に激しいときでありますし、そういう面からも、そう簡単にやれない問題だと思います。賢明な総裁ですから、私は強くお願いしておきますが、ぜひその点は慎重にしていただきたい。  これをお願いして、これで総裁に対する質問は終わります。
  34. 長屋茂

    委員長長屋茂君) 委員長から一言申し上げます。  佐々木総裁におかれましては、お忙しいところを、たいへんどうもありがとうございました。
  35. 鈴木強

    鈴木強君 いま私は経済問題を中心に伺っておりまして、引き続き木村経済企画庁長官にお尋ねしたいと思うのですが、どうも、当面、私の頭の中に、あなたの顔を見ると同時に、いま猛烈に上がっている物価問題ですね、そして家庭の奥さん方が非常に苦心されているわけですが、こういう苦しみの顔が浮かんでくるので、経済問題はあと回しにして、とにかく先に物価問題について木村さんに伺いたいと思います。これは、農林省や通産省にもきょうおいでいただいておりますし、運輸省関係の皆さんも、ひとつ、同じように、国民を代表する私の声を聞いていただいて、お答えをいただき、積極的な物価安定施策をつくってほしい、こういうことを私は強く願って質問いたします。  今月の一日の日に、総理府統計局が東京都区部の九月の消費者物価についての指数を発表いたしました。それによりますと、昭和二十四年以来の異常なはね上がりを見せておりまして、この値上がり率は、まさに前月比五・九%高となる。値上がりの元凶を調べてみますと、依然として生鮮食料品と、今度は被服が入ってきておりまして、この二つになっておるのであります。特に、野菜のうち、キュウリとかナス、トマト、キャベツ、大根等の野菜は前月比で二倍以上の値上がりをしております。  けさ、私は早く八百屋さんに行って、ただいまの値段でどんなになっておるか、見てきました。これは参考のためにひとつ長官も農林省の諸君も見てもらいたいのですが、この大根が一本百二十円ですよ。それから、このトマトが五十円です。それから、このキュウリ一本三十円ですよ。せんだってまでトラクターで踏みつぶしていたキャベツが百三十円です。こういうふうに、十月になっても異常な値上がりを続けているわけです。  そのほかに、灯油が、もう北海道や東北では値上がりしてきておる。タクシー料金も、今月の終わりには上げようとしておる。続々と、こういう公共的な諸物価が値上がりしておる。総理府統計局でもあきれはてていますね。お役所の推計でも、この分でいくと、ことしの消費者物価は前年度比七・八%以上に上がるだろう、こういう見通しを立てておるのです。  肉なんかも調べてみましたけれども、いま輸入をしている牛肉、これはあとからまた私……。国内肉とまぜ込んで、ごまかしをして販売をしている店もある。きのう調べてみると、オーストラリアから輸入した肉が、上肉で百グラム百五十円、国内肉は八百円。こま切れが、輸入肉が九十円で、国内肉が百二十円。豚も、これはまあ、豚は国内のしかありませんでしたけれども、百グラムで百五十円、こま切れで七十五円。鳥の笹身が、下級品で百グラム六十円、並み肉で百円。魚も、どうですか、サンマ一匹二百三十円。イサキが百グラム百三十円。一匹というと大体二百五十円くらいしているわけですね。  こういうふうに、生鮮食料品が軒並みに上がっておりまして、このような異常な諸物価の値上がりによって、さっき申し上げましたように、台所を預かっておる奥さま方の御苦心というものは、もう想像に余りがある。まさに悲鳴をあげておりますよ。新聞の記事にも出ておりましたけれど、こういうふうに載っておりました。ある主婦は、毎月の暮らしは赤字だらけ、主人の月収では支出の七割までしかまかなえない、あとの三割は、ためておいた貯金を引き出して埋めている、こういうふうに怒りを込めた訴えをしております。同時に、私は、国民の立場から見ましても、特に生鮮食料品に対する物価安定にのための政府態度というものは、ここ十数年間、声を大にしてわれわれが国会で皆さんにお願いをしてきても、一向にらちがあかない。まず、無為無策だと、こういうふうに言われても、これはしかたがないと思うのです。あきれはてておりますよ。一体、経済企画庁なり農林省なり、関係の諸君は何をしておったか。私は国民とともに激しい抗議をしますよ。皆さんは責任を感じますか、これに対して。われわれは幾たびかこの問題を取り上げた。そうしますと、野菜については、天候が悪いとか雨が降らなかったとか、こう言って責任のがれをしておる。雨が降らないならば降らないだけの施策をしたらいいじゃないか。いろいろ意見を出せば、そのとおりにやりますと言って、なるほど計画は立てられているようですよ。しかし、実効が伴っていない、実効が、さっぱり。うまいことを言うし、やることはやるのだが、実際には実効が伴っていない。これじゃ政府に対して国民は信頼できないですね。たまらないですよ。  ちょっと私はことばが激しかったかもしれませんが、ほんとうに最近のこの異常な物価高に対しては、国民は一人残らず心から政府に対しての不満をぶつけていると思うのです。そういう意味で、私は国民にかわって、いまこの問題をお聞きしているわけですが、なぜこんなに値上がりをしたのか。これこれこういう施策をしたけれどこうなったのだという、国民が納得できる事由を説明していただきたい。そして、願わくば、全力をあげて物価安定のために、経済企画庁が中心になって、ぜひ国民が喜べるような施策を、安心できるような価格安定の政策を、ぜひ打ち立ててほしい、こう思いますが、いかがでございますか。
  36. 木村俊夫

    ○国務大臣(木村俊夫君) いま鈴木さんから御指摘のありました、特に九月の東京都区部における生鮮食料品の値上がり、最近、国民の皆さん、特に消費者の方々に御迷惑をかけている。私自身も非常に心を痛めているところでございます。もちろん、いますでに御指摘もありましたとおり、これには天候その他種々な原因はございます。しかしながら、毎年春夏には野菜の値段なんかが非常に下落しておりますと、とたんに今度は、秋、ことに九月の声を聞きますと野菜の値段が暴騰する。毎年どうも同じようなことを繰り返しているという御指摘、まさに私もそのとおりだと思います。こういう生鮮食料品の、特に野菜の価格安定につきましては、天候その他が非常に大きな原因でありますが、これはもう自然の事情によるものでございますが、しかしながら、それが、生産地あるいは流通段階、あるいは小売り段階を通じての、もっと一元的な計画的な政策がこれに伴えば、これまでの大きな急激な変化はないということは私自身も痛感するところでございます。したがって、これはいままでの政府の施策が非常に中途はんぱであったということを私どもも反省せざるを得ない。また、それに応ずるような財政的ないろいろな事情もありました。もうすでに、わが国の国力もここまで至りまして、そういう民間主導型から財政主導型に切りかえるべき時期にもなっております。そういう面について、いままでのような中途はんぱな政策を反省しまして、もうこういう流通政策、あるいはこういう生鮮食料品の構造改善については思い切った政策をやるべき時期に来ているのだ、いまごろ何を言っているのかというおしかりもございましょうが、そういうような認識のもとに、今後私どもは、特に生鮮食料品の物価安定政策に取り組みたい、こう考えております。おわびを兼ねて、私の決意を申し上げました。
  37. 鈴木強

    鈴木強君 木村長官は非常にまじめな方ですから、私も誠意のあるところはよくわかりますが、実は私は何回もこの問題はあらゆる委員会で取り上げておりますけれども、どっちかというと、同じような御趣旨の決意の表明が行なわれるわけですね。総理大臣も、本会議で、もう物価安定ということは内閣の大事な政策だからとおっしゃる。おっしゃるんだが、いま言ったように実効が伴っていかないところに、問題の発展がないのですよ。  それなら何も政府はやっていないかというと、そうではない。行政管理庁がいろいろ御苦心されて、昭和四十一年、四十三年の二回、農林省に対して改善勧告をされている。ところが、この改善勧告は一体どういうように実施されているのでしょうか。勧告の趣旨は、一つは、野菜の指定産地制度の洗い直し。正確な出荷予想と、それに基づく需給調整、それが二つ。三つ目には、輸送のコストを含めた中間マージンの低減、こういう勧告をしているのですけれども、これすらなかなか実施に移されていないのではないでしょうか。ですから、きょうの新聞にも一斉に報道されているように、もはや流通省でもつくって、勧告の線をほんとうにやる気になってやらなければ、物価安定はほかにないとまで言われておりますですね。それはもう、政府やり方がなまぬるくて、いま長官は率直に、反省すべき点は反省された。私はりっぱだと思います。しかし、もう国民もあきれはてているものですから、最近では、団地とか、あるいは生協とか、それぞれの方々が直接知恵をしぼって、現地の生産者と直結しましての販売を始めております。そうすると三割くらい値段が安く買えるわけですね。お役人がやっているものよりも、民間の人たちが知恵をしぼったほうが手っとり早く安いものが買える。一体政府は何をしているのだと、こういうことになる。だから、流通段階なり、計画生産なり、計画出荷、需要供給が一体どれくらいあるかということは、これは統計を見ればすぐわかることですから、そうしてそれをまんべんなく農家に協力をしてやっていただく。たまたま、米が余るから畑作転換とかなんか、いろいろやっているわけでしょう。減反運動もやっているわけでしょう。ですから、やる気になれば私はできないことはないと思うんですね。そういうような、流通部門にももっとメスを入れるというのでありますけれども、なかなかメスが入らないんですよ。だから、決意を持って、やっぱりやらない限りはだめです、これは。だから、木村さん、あなたが長官になられたんだから、ほんとうにひとつ、がんばっていただけませんかね。何か知らぬが、国会ではそうおっしゃるんだけれども、なかなか歴代の長官、実際にわれわれが見ておると、うまくいっていない。別になまけておったとは言いませんけれども、実際に施策の中に生きてこなければ、これは何にもならぬことですから、そういう意味において、もう少し腰を据えて、あなたもおっしゃるように、ここまで経済が伸びたんですから、思い切ってこういう勧告ぐらいは実施するというようなことをおやりになったらどうですか。  だから、私がさっき言ったように、これは自然に影響される、それはそうでしょうが、じゃ、ことしの全国でどれだけのキュウリを、どれだけのトマトを、どれだけの大根を生産することになったのですか。そのうち、台風の二十何号だか知らぬが、これによってどれだけ予定が狂って、生産が減ったのですか。そのために上がったのですか。そういうことをここで発表してください。そうすれば、台風の被害が幾らあったかということがわかる。ただ抽象的に言われても、これはわれわれ納得できない。そういうことを言ってごまかされてきていますから、いままで。だから、これこれこうやったけれども、こういうことでできなかったというデータを添えてやったらどうですか。抽象的なことじゃ、これはもうだめですよ、長官。  まあ、いろいろ間口を広げたけれども、行管からもきょう来ていただいたから、一体、行管は二回勧告をされて、農林省はそれをどういうふうにやったかということについて、最近追跡調査もおやりになっているようですが、その結果が出たのかどうかよくわかりませんけれども、あなた方は勧告をしっ放しじゃないと思う。勧告して、どこまで実施されたか、ひとつそれを教えてください。
  38. 大田宗利

    説明員(大田宗利君) 四十一年の勧告につきましては、第一に指定産地の制度の問題、それから第二に生産出荷調整の問題、それから第三に価格安定事業の問題、それから第四に中央卸売り市場の問題について勧告いたしております。  それで、第一の野菜指定産地の問題でございますが、これにつきましては、指定産地の整序の問題でございます。それで、その結果につきましては、指定産地につきましては、四十一年八月に三百十産地から四十二年六月には百ふえまして四百十産地になっております。それからその後七回にわたりまして追加指定されております。そして、一方においては、産地として適当でないものというものを解除されまして、指定産地の総数といたしましては現在六百四十となっております。それからその中に、野菜集団産地の育成事業の実施要領というものをつくりまして現地を強力に指導しろということを言ったわけでございますが、これにつきましても指導要領を作成されまして、現地を強力に指導をされております。それから共販体制が非常に弱いということで、これにつきましても、現在、農林省のほうでは共販体制の優秀事例を収集されまして、そして指導員を通じて指導を強化されているようでございます。  それから、生産出荷の調整につきましては、従来、県内の指定産地と地域の二段階でおやりになっていたわけでございますが、これを都道府県段階の協議会を加えまして、現在では三段階で開催されることに改められております。それから、生産計画と出荷のいわゆる基本的な数字になります統計調査と地方農政局との連携の問題につきましては、これは協議会に統計職員を参加させるということで、強力に生産計画と出荷計画との連携を強化されているようでございます。  それから価格安定事業につきましては、現在も監察を実施中でございますが、当時の勧告の回答といたしましては、中京それから京阪神、北九州、この各地の秋冬の白菜を対象野菜として追加されております。それから、指定消費地域の拡大とともに、補てんの対象地域も、四十四年に札幌地域、それから四十六年では、仙台地域、広島地域が追加されております。それから、四十四年にはニンジン、四十五年にキュウリ、ネギが対象野菜として追加されております。  それから、中央卸売り市場の問題につきましては、一括上場・分割販売を実施しておりますが、これについても、市場仲買い人及び卸売り人を指導してもらいたいということで、これも現在指導されております。  以上が大体回答の要約でございます。
  39. 鈴木強

    鈴木強君 百点満点にしたら、何点ぐらい、四十一年の勧告は実施されていると思いますか。
  40. 大田宗利

    説明員(大田宗利君) 一番問題になります生産計画、それから、それに伴う出荷調整というものが、まだ十分できていないのじゃないかと思います。その点が、現在、まだ野菜の価格変動を起こす原因になっているのじゃないかと思います。  それからもう一つは、価格補てんの問題につきましては、現在監察を実施しておりますので、その結果を待ちまして、ほんとうに農民が再生産ができるかどうかという問題を中心といたしまして結論を出したいと、こういうふうに思っております。
  41. 鈴木強

    鈴木強君 それから、行政監理委員会のほうから意見として出ておりますね。流通省というものがあるのですね、構想が。それを見ると、あなたのほうで勧告した幾つかの問題で、なかなか思うようにいってない、したがって、特に生鮮食料品を中心とする価格の安定ということが得られない、そこで、そういうものをつくってやったらどうか、というような構想があるようですね。これはまあ政治的なことですから、あなたにいまここで伺うのは無理かもしらぬが、けさの新聞によると、行政監理委員会が大体そういう構想をまとめて大臣のほうへ意見を出したというふうに伺っているのですけれども、そのとおりですか。
  42. 大田宗利

    説明員(大田宗利君) 実は、答申ということじゃなくて、大臣のほうから監理委員会に意見を聞かれまして、それに対する意見が出たということでございます。
  43. 鈴木強

    鈴木強君 そうすると、百点満点で五十点までいっているのか、七十点までいっているのか、問題によってはいい点数が得られるし、問題によってはまだ二点か三点というのもあるかもしれない。しかし、いま残されているところが一応基本であると、したがって、そこにやはりメスを入れて、いま行管もやっているんだが、一体農林省は、その点についてはどういうふうにして行管の勧告も含めて是正すべきところは是正し、改革すべきところは改革して、そしてその趣旨に沿うようにしようとしているのですか。それをひとつ伺いたい。
  44. 関谷俊作

    説明員(関谷俊作君) ただいま、行政監察の結果につきまして、これまでの実施状況は行政管理庁のほうからお話があったとおりでございます。特に問題となりますのは、指定産地制度が、野菜生産出荷安定法によって適用しておりますけれども、その効果がはたしてあがっているかどうかという問題でございます。これにつきましては、先ほどお答えがありましたように、四十三年の十二月に勧告をいただきましたときに、その時点で調査をいたしまして、十四の産地をとりあえず指定の解除をしまして、また、残りました産地につきましては、その指定の要件に従って共同出荷の体制なり、また、指定消費地域への出荷の義務を果たさせる、そういう指導をいたしてまいったわけでありますけれども、さらにその後の事情の変化によりまして、現在指定しております産地につきましても、計画生産なり安定出荷の面で十分であるかどうかという問題がございますので、つい先日でございますが、現在、近代化事業と申しまして、農林省の補助事業を実施しております産地につきましては総合的な点検を実施する、今年度から年明けにかけまして総合的な点検をいたします調査要領を実施いたしまして、地方農政局と県を通じまして産地の総点検を開始いたしたわけでございます。それと並行しまして、いま問題となっております計画生産、安定出荷の面でございますが、先ほどお話がございましたように、地方農政局と都道府県を通じまして、全国段階、それから地域段階で、生産出荷協議会というものを通じまして生産出荷の計画化ということをやっております。で、これでは、産地の県、団体の参加を得まして、品目ごと、指定消費地域ごと、それから時期ごとに生産計画、出荷計画をきめて実施をいたしておるわけでございますが、どうもこの出荷計画の面が、計画をきめたあとの励行という問題もございまして、特に今年度につきましては、先ほど来問題になっております、これから秋にかけ冬にかけましての安定的な供給確保という問題もございますので、その出荷計画を守って出荷をしたと、そういう実績がある生産者団体については価格の補てんの面でも優遇的な措置をする、補てんの割合を少し高めるというようなことを通じまして生産出荷計画の励行をはかることにいたしまして、その実施に移しておるわけでございます。そういう面を通じまして、従来の指定産地のいわば見直しをやります一方、これから、すでに指定しております中でさらに伸ばします産地につきましては、生産出荷近代化事業の施設の補助、その内容等をさらに一そう充実いたしたいと考えまして、昭和四十七年度の予算の問題も含めまして、さらに一そう拡充強化につとめたいと考えております。
  45. 鈴木強

    鈴木強君 今度は、あなた、課長さん、かわったんですね。もっとわかりやすく言ってくれんかね。何だかいろんなことを言われるけれども、そんなことはもう聞き飽きているんですよ。だから、その点が、守られなかったところがある、どうしてこれが守られなかったかということを簡単に言ってもらいたい。それから、問題は、そういう点を克服して、一体どうしたら安定した野菜なり——あなたのところは野菜ですね、野菜が供給できるか、そういうところにポイントを合わして話してくれませんか。聞いているうちにわからなくなっちゃうんだ。どうですか。もう少しわかりやすく、国民に向かって、家庭の奥さん方に向かってわかるように言ってくれないか。行管から指摘されたけれども、なぜそれができなかったか、簡単にね。あなた方では計画を立てて大蔵省に持っていったけど、金つけてくれなかったとか、全体の協力体制がなかったんだとか、あったんだとか、そういう問題点が明らかになり、そして今度は、それをほんとに自分たちが考えるように予算をつけてくれれば、まあことしの秋野菜というのはちょっと無理でしょうから、来年からはできるとか、再来年からできるとか、そういうようなことを答えてくれませんか。
  46. 関谷俊作

    説明員(関谷俊作君) 指定産地の制度の問題につきましては、やはり基本になりますのは、共同出荷ということと、指定消費地域、大消費地域を中心としました——指定消費地域と申しておりますが、消費都市へ計画的な安定的な出荷が確保される、その二点だろうと考えるわけでございます。これにつきましては、指定産地制度というものは、そういう共同出荷、それから大消費地域への出荷ということが確保できる見込みがあるところを指定しているわけでございますけれども、残念ながら、いままで行政管理庁の指摘にもありましたように、そういう要件に十分合致していない産地があるわけでございます。その原因といたしましては、やはり一つは、指定産地の事情の変化によりまして——都市化が進むとか、あるいは兼業化が進みまして労力が足りなくなる、そういうようなことが非常に大きな影響をいたしております。そういうことにつきましては、一方で、従来の産地を点検をいたしまして、もうこれは指定産地としての機能期待することは無理だというときは取り消しをいたしますと同時に、これからも特に秋冬野菜で一番需給の不安定になりやすい時期につきましては、新しい産地を造成をしていこう、そういうことを考えておるわけでございまして、その場合にやはり重要なことは、共同出荷の拠点となります集出荷場でありますとか、選果場でありますとか、共同育苗施設とか、あるいは生産に必要なトラクターその他の機械類を導入するというような産地の近代化事業をさらに充実するということが必要だと考えております。これにつきましては、従来の近代化事業の事業規模というものは、ややもすると、実態の要求から申しますと少し事業費等が十分でないというのがございますので、これにつきましては今後の予算の問題として事業規模を拡大いたしたいというふうに考えておるわけでございます。それが産地の近代化事業として実施しておりますものの第一点でございます。  それからもう一つは、ちょっといま抽象的に申し上げましたので、おわかりにくかったかと思いますけれども、出荷計画と、いわば実績との対比と申しますか、計画のいわば実行の確保の問題でございます。これは、たとえば京浜地域に、十一月から十二月にかけまして、大根なら大根を何々経済連から幾ら出荷をするというような出荷計画を従来からきめておるわけでございますけれども、これがなかなかそのとおりにいかない。実績はなかなか、それを上回ることもございますけれども、下回ることもあって、まあ計画的な出荷が行なわれません、と、したがいまして、価格の安定もはかれないというようなことで、これは来年度以降の予算の問題としても全面的に検討いたしておりますが、今年度の秋冬につきましては、つい先日、八月の末に大蔵省と話がつきまして、いま実行に移しておりますが、出荷計画と出荷実績との差がまあ大体一割程度以内というような、わりあい差が少ない——簡単に申しますと、その出荷計画をみんなで協議をしてきめたものを守っておるという産地につきましては価格の補てん事業というのがございますが、これは、一般の事業でありますと、保証基準価格をきめまして、その価格から落ちました場合にその差額の八割を従来交付しておるわけでございますけれども、これでは不十分だということで、当面、この出荷計画を守った生産者団体につきましては、八割にさらに一割を加えまして九割という補てんを実施しよう。それからまた、保証基準額も従来非常に低い水準でございまして、生産者としても、農林省の指導なり県の指導に従って生産作付をしまして、また出荷をしましても、価格が低落しますと非常に損害を受けます。そういうことになりますと安心して出荷もできないし、また作付も手控えるというような傾向にもなりますので、保証基準額につきましては、これも、ことしのいわば一種の緊急対策としまして八月の末に決定をいたして実施をいたしておりますが、大根、白菜、キャベツの三品目、秋冬野菜の主要品目である三品目につきまして、上げ幅はいろいろございますけれども、高いもので従来の保証基準額の五割以上になるものもございますが、主要な三品目につきましては保証の水準を引き上げるということを緊急に実施をいたしまして、さらにまた、来年度についてはこういう措置の幅をもっと広げていく。たとえば、夏野菜、それから秋の初めのころの野菜、そういうものに広げていきたいということで予算措置を検討をいたしておるわけでございます。
  47. 鈴木強

    鈴木強君 それをやるのには、予算としては幾らくらい必要なんですか。あなたのほうで幾ら……。
  48. 関谷俊作

    説明員(関谷俊作君) ただいま最後に申し上げました秋冬野菜の緊急対策ということで価格補てん事業の介入をいたしましたのは、大根、白菜、キャベツの三品目でございます。大根、白菜、キャベツ等の、十月あたり、あるいは十一月から三月にかけてのものでございますが、これは実際に価格が低落するかどうかということによりまして財政措置の規模は変わってまいりますけれども、かりに全品目が完全に低落いたしました場合の、いわば最大の国の財政負担は約三億八千万程度というふうに私ども計算をしまして、その関係の措置は今年度の補助金の運用等によりまして措置することにいたしております。
  49. 鈴木強

    鈴木強君 そういうことでなくて、野菜全体の値段を急騰しないように安定するというために施策をするとすれば、いまさっき行管からも指摘されたように、いろいろ問題が残っている点がありますね。そういうものを一切がっさい実施するとすれば、どのくらいの予算が必要かということを言っておる。
  50. 関谷俊作

    説明員(関谷俊作君) これにつきましては、私どもとしては、四十七年度の予算が最終的な——最終的なと申しますか、当面四十七年度予算で行政管理庁の指摘も含めまして、野菜指定産地制度の強化、価格補てん事業も一応の、われわれとして考えられる水準まで改善をするという予算を要求いたしております。これにつきましては、予算の編成の問題でございますので、従来の金額等から申しますと相当の増額が必要になるということで、私の課と申しますか、野菜関係のプロパーで申しますと、従来二十五億円の予算が年間計上されておりますけれども、これにつきまして相当の増額をいたしたいということで予算折衝に入りたいと考えております。
  51. 加瀬完

    ○加瀬完君 関連。  いまのお話で、結局、出荷協力をすればもうかるという体制ができておらないと私は思うんです。具体的に伺いますが、地方農政局と都道府県で相談をするといいますね。どういう担当者が、一体年に何回くらい会議を持って、どう指導しているか、この具体的な状況を教えてください。それから、野菜農家の戸数は幾らですか。最大の幅で三億八千万ということになりますと、野菜農家一戸当たりについて幾らになるか。そういう計算をしてまいりますと、所得保障にはなっておらないのです、いまの補助金が。私はそういう疑いを持っておるわけでございますが、その間の説明をお願いいたします。
  52. 関谷俊作

    説明員(関谷俊作君) ただいまの問題の第一点の、生産出荷計画をどういうふうに策定しておるかというお尋ねにつきましては、時期の生産出荷協議会というのがございまして、これは、農林省の地方農政局で、各指定消費地、たとえば京浜でありますとか、京阪神でありますとか、中京、北九州、それから仙台、広島、そういう指定消費地ごとに開催いたしております。原則としましては、それぞれの作物をある程度グループいたしまして、春のもの、夏のもの、それから秋のもの、冬のものというふうになりますが、大体作付前に一回、それから出荷時期直前に一回、それから出荷の中途で一回というようなことで、正確に申しますと、大体一品目について少なくとも三回程度の協議が行なわれるということになりまして、あとは、それぞれの地域ごとにその時期の重なりますものをまとめておるわけでございます。関東につきましては、地方農政局に——農林省で出荷調整官という名前をつけておりますが、生産・出荷の調整の担当者がありまして、それから各県では、その野菜の生産・出荷を指導しております担当者がおります。それから、具体的にその協議に参加いたします者としましては、各県の経済連、園芸連、青果連というような県段階の生産者団体の代表者がその協議に参加するというようなことに相なっているわけでございます。  それから、いまの野菜作の予算。先ほど申し上げました金額の問題につきましては、三億八千万と申し上げましたのは、秋冬の大根、白菜、キャベツ類の問題でございまして、これは、従来この関係では、野菜安定資金協会というものがございまして、そこで、これらの品目についての補てん資金財源が大体五億円、合わせて八億円程度積んでおったわけでございます。それに対しまして、国が全部負担しますと四億円近くということになりまして、資金の補てんの幅としましては従来より相当飛躍的に補てんに回す財源がふえることに相なっておるわけでございます。これは、したがいまして、全野菜作農家に割り振るというものではございませんので、秋冬野菜、大根、白菜、キャベツの秋冬分だけつくっている農家の数が、なかなかいまの統計ではすぐにはわかりませんので、従来の補てん金から申しますと、今回改善しました分というのが相当の改善になるというふうに考えております。
  53. 加瀬完

    ○加瀬完君 都道府県なんかに参りましても、生鮮食料品としての、あなたの御指摘になりました、かりに野菜の大根、白菜、キャベツ等を主にしてでも、この計画的な植えつけとか、あるいは出荷とかいうようなものを担当する係すらありませんね。課はもちろんのこと、係すらありませんね。だれかの個人というような形で担当している担当官にしかすぎませんね。農政局だって同じだ。そんなことで、一体、行管が出した勧告が実現できるという状態にはとてもなれないでしょう。意見になりますが、私はそういう点を指摘をせざるを得ません。  もう一つ、金額ですが、大根でも、白菜でも、キャベツでも、作付をさせるわけです、計画作付を。そうすると、計画作付をする農家が何戸で、反別が幾らということが出るはずですね。そうして、損害を受けたときには、大体損害がどのくらいあったかというふうなことも出るわけですね。あるいは、キャベツの暴落みたいなことがあれば、暴落による損害がどのくらいという計算も出るわけですね。そうすれば、一番上の幅が三億八千万ということでは、各都道府県にしたって一億に足りませんね。生産地に分けても一億に足りませんよ。生産量が、一億の補てんをすればどうやら採算が合うというような作付面積では、これを生鮮食料品としての、かりに大根、白菜、キャベツだけとったって、消費地をまかなうだけのことにはならないわけですね。そういうことを考えますと、これは長官に伺ったほうが適当かと思いますけれども、ほかのほうに国庫補助を出しているのに比べて、国民生活に一番関係のあるこういった物価物価高騰の一番大きなウエートを占めている生鮮食料品、こういったようなものに対する補助金というのが、ほとんどいままではゼロにひとしかったんじゃないか。国が物価対策を立てるというならば、最低限、生鮮食料品の生産の確保をするということについては、もう少し、鈴木委員指摘したように、どう財政的な措置をするかということを検討していた、たかなければ、これはもう何回やったって同じことになるんじゃないかと思いますが、この際でございますので、長官の御答弁をいただきたい。
  54. 木村俊夫

    ○国務大臣(木村俊夫君) 先ほど鈴木さんの御質問に対して答えました中に、財源の配分について、もっと考え方を変えるべきじゃないかと申しました。まさに加瀬さんが先ほどおっしゃったことと同意見でございます。したがって、いままでいろいろ農林省もよくやっておりますし、また、対策等は万全をきわめておりますが、どうも仏をつくって魂が入っていないというところが、やはり財政的な裏づけが足りなかったという点にあるのじゃないかと思います。したがいまして、これは非常にデリケートな蔬菜農民の心理状態を考えないような政策になっておった。そこにまた、いろんな予算の使い方——もちろん、これは税金でございますから慎重に使わなけりゃなりませんが、そういうところから、きめこまか過ぎて、どうも農民の心理にぴったり来ない、あるいは多少農民の不信を買ったというふうな点もあるようでございます。そういう面で、今後は、先ほどお答えいたしましたとおり、財源の配分について思い切ってひとつ考え方を改めるべきではないか。これは単に農林省だけじゃなしに、政府全体の責任でございますし、また、財政当局にもそういう気持ちでひとつこの問題については取り組んでもらいたい、こう考えています。
  55. 鈴木強

    鈴木強君 さっきから農林省のほうの意見を伺っておったんですけれども、やっぱりあなたは担当の課長さんですからね。ですから、私のプロパーの課の予算は二十何億ですというようなことを言っておったんじゃだめですよ、これは。だから、いま加瀬委員もおっしゃったように、私も言いたいところだったんだが、本来いろいろ問題がある野菜の価格安定に対しては、まあ行管からも指摘があるだろうし、また、皆さんのほうでも創意くふうをしていろいろな考え方を持っていると思いますが、もっと、公営の市場をつくるとか、あるいは流通段階をもっと検討していくとか、計画生産、計画出荷ですね、こういったこともあわせて、そして知恵をしぼって、こうしたら一番需給のバランスがとれて安定的な価格が維持できると、そういうことをやるためには、こういう点はこうする、こういう点はこうするというのをちゃんと青写真をつくって、それに対する費用はこれだけなんだ、だからやってくれという、こういうものをつくってほしい。まあ私は、推察するに、あなた持っているんじゃないかと思うんだ。だけど、まあこういうところだからなかなか言えないだけで、あるいは持っているかもしれないが、持っているとすれば、私と同じ意見だからいいんですがね。しかし、ここで、もう出していいと思うんです、ここまでくれば。そして国民の前に、われわれはこうしたらいいという意見を出してもらう。そうすれば、財政的にも、いま長官がおっしゃるように、ここまでくれば少し回そうじゃないかという意見もあるわけです。私は、これは税金ですけれども、この税金を物価安定政策確立のために使うなら、国民は喜んで出しますよ。つまらないところへ金を使えば、それは、国民は自分の税金だからおこるけれども、だれだっていま物価高で苦しんでいるんだから、物価を安定してやろうという政策のために金を出すなら喜んで出しますよ。三億とか五億とか、そんなみみっちいことじゃなくて、何億でもいいじゃないですか、使ったら。そうして思い切った施策をやらなきゃだめです。もう十数年間同じようなことを国会で言われながらも、ちっとも姿勢が進んでいかない。そこに問題があるわけですから、その点はひとつ、そういう気持ちを持っておられるんだから——まあこういう場所だから言えぬのであろうとは推察しますが、言ってくださいよ、そういうことがあったら。これはまあ私の希望として聞いておいてください。そのための国会ですから。  それで、あなたのほうでは、六日に、五月にまとめた農業観測の修正をしましたよね。それを見ますと、野菜の点はやや増加しているんだな、三%ないし五%。五月にまとめた観測が、若干、その後のドル・ショックだとか、あるいは台風、あるいは気候の関係で、米なんかはこれは減ってきているんだけれども、あなた方はこれは三%なり五%ふえておると言いながら、なぜこんなに野菜は上がるのか、とても納得できないですよ、これは。どういう意味ですか。
  56. 関谷俊作

    説明員(関谷俊作君) 先日ですか、発表いたしました農業観測におきまして、春夏野菜の動向を中心にしまして書いてございまして、春夏野菜につきましては、作付面積は、稲作転換等の影響もございまして、全体的には前年並み、ないしやや上回るというような傾向で推移したわけでございます。そういう関係で、夏から秋にかけましての野菜は、実は、キャベツの低落等にあらわれましたように、やや価格は低落ぎみで推移をすることが見込まれておったわけでございます。そういうことを農業観測の今回の修正でも言っておりますが、そこへ八月の下旬から、御承知のように、異常な低温、それから寡照、日照不足、それから局地的な大雨等がございまして、大体、果菜類——キュウリ、トマト、ナスを中心に急に生育と着果が悪くなったわけでございます。そういう関係で、八月下旬から急に果菜類の値段が上がりまして、そこへ九月の何号かの台風が大体関東地方を中心に接近か上陸いたしまして、そういう関係で、東京に出荷されます、しかもそのときの、埼玉でありますとか千葉でありますとか、近郊の産地の被害、それから、これは被害としてはっきりは出ませんけれども、生育不良ということで、作付面積としてはあったわけでございますけれども、その関係で収穫量が、八月下旬から九月上旬、中旬、現在でもそうですけれども、夏ものの果菜類が非常に減少したということでございます。
  57. 鈴木強

    鈴木強君 それじゃ、あなたの言っていることは、ここで修正したのとは違うじゃないですか。これは十月の六日に、少なくともことしの五月の観測を修正しているわけだから、これは九月の分も入っているわけだね。そうなると、野菜はやや増加して、当初の予測どおりと、こうある。これは、これからの、四十六年度の予測でしょう。総生産指数に対する修正でしょう、これは。そういう意味からいうと合わない。時間がないから、さっきの大臣の御発言等もあるのですけれども、じゃ、ことしの台風によって、あなたがいまちょっと述べられたような被害がどの程度であったのか、そして、全体のこの期における生産量というのは、計画では幾らを予定しておった、ところが台風によってこれだけのものが減りましたと、これは個別に、こうですというデータを、ひとつ、あとで出してください。これは委員長にお願いしておきます。  いずれにしても、これは結局、経済企画庁長官に最後に私お願いをするわけですけれども、たまたま行政監理委員会が、生鮮食料品の価格安定策についての行政管理庁長官への意見書を出しておりますが、この内容を見ますと、一つには、野菜生産農家への収益保障ということを言っております。これは、国の財政が相当に強化されなければなりませんが、あなたがおっしゃったように、そういうことは十分検討の余地があると思います。また、実施できると思いますから……。この点が一つ。  それから流通省とか、あるいは青果物流通センター、こういうものをつくって、機構改革とあわせて生産・流通両行政の改革をやりなさい、こういうことになっているわけだ。これも私は非常にもっともなことだと思いますね。要は、機構改革の面になりますから、なかなかこれはむずかしいと思いますですがね。行政機構の簡素化なり能率化ということは当然やらなければなりませんが、しかし、どうも機構的にものを考えて、流通省をつくるから即農業事務所をつぶしてもいいんだというような、そういう考え方が先行しますと問題は進歩しないですよ。だから、それは、農業事務所の中で、あるいは統計事務所の中で、現行の与えられた農政に対する部門を担当してこの職責が果たせるような体制がやはりいま必要だと思いますから、そのために働いておるわけですから、それを、いま英知をしぼって、創意くふうをして、多少簡素化し合理化できる点があれば、これはお互いにやっていただくということにして、基本的には、何か、そういうものを意識しないで、流通省が必要であるならば、そういうところに力点を置いておやりになったらどうですか。私はこの答申は適切なものだと思いますよ。ですからして、いまやこういうものをほんとうに実行に移すという考え方でやらなければいけないです。中山先生が非常に苦労して物価安定推進会議の中でやっていただいておりますけれども、そこでも、何回何回意見を出しても、さっぱりそれが実行に移っていかないわけですよ。そこに私は今日のあらゆる物価の安定政策ということが実施できない要因があると思う。だからして、木村さん、一番大事なときに長官になられたのですけれども、長い御経験もあるし、手腕力量は十分持っておられるわけですから、内閣の中でも。  もう一つ、さっきあなたが主張されたように、いまや国民生活もここまで来て、生産もここまで来たわけですから、ひとつ思い切って、物価安定のための政策を強力に推進していく、こういう御方針を内閣で統一して一それには予算の裏づけをつけてやっていただかなければだめだと思いますよ。ですから、一つ一つ問題点解決していくという上に立って、この行管の改革案等も、関係の農林大臣なり大蔵大臣なり、総理大臣にも御相談なさって、ぜひ取り上げてやってほしい、こう思います。これをひとつ最初に伺いましょうか、大臣から。
  58. 木村俊夫

    ○国務大臣(木村俊夫君) やはり、政策と申しますか、そのときどきの政策が、いろいろこれは当然ありますが、もういまや、政策そのもののウエートというものが、生産行政から、どっちかといえば、消費行政というものに切りかえつつありますから、したがって、これは農林省だけじゃなしに、通産省自体の政策のウエートもだんだん変わりつつあります。したがって、農林省の行政自体もこの時勢の変化に応じて変わるべきものであります。私は行管当局ではございませんから、政府の一員として、そういうようなところから農林省の行政機構も改めていかなければならない、見直していかなければならない。そういうことから言いますと、私、これは個人的な見解もありますが、いまの食管行政というものが変われば機構の改編も当然そこに起こり得るであろう、また、それが行政改革という目標にも合致するワクの中で、いまお話しになった流通行政のウエートヘの切りかえということも当然私は行なわれてしかるべきだと思います。流通省とかあるいは流通庁とかいう、まあ形は別といたしまして、そういうふうに切りかわるべきものだと思います。
  59. 長屋茂

    委員長長屋茂君) 竹田君。
  60. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 長官にお聞きしたいと思うのですが、あとで視察報告もあるわけでありますが、ここでまとめてひとつお聞きしたいと思います。  一つは、いま、野菜にしても肉にしても、生産の問題が非常に大きな問題でありますが、しかし、流通機構の問題というものが、これまたたいへん大きな問題であるわけであります。おそらく、生産地から出される価格の三倍が、大まかに言って、消費地の皆さんの買う値段だと、こういう話でありますが、まず一つの問題として、これは新聞にも出ておりましたが、町田市の境川団地というのと、福島県の岩瀬農協、あそこは、夏秋のキュウリですか、これの生産地なわけです。ここが実は交流しているわけです。そして、大量出荷で直接境川団地に出して、境川の団地ではその団地の小売り商を通じてそれを売るという、団地と生産地を直結していくやり方、これによってやっていけば大体三分の一は価格が下がる、こういうふうに言っているわけです。いま大量な野菜というのは、中央卸売り市場へ入って、それからまた分散されていく、これは交通上も非常に不合理であります。そういう意味で、いま大きな団地が都市の周辺にできているわけでありますから、それと産地を直結させる、これはいままでの既存の流通機構に対する大きな反省も私は含まれると思います。こういうことをひとつ積極的にやって、いまの流通機構を、流通機構内部からじゃなくて外側から改めていく、それで流通機構内部の合理化をはかっていく、こういうことを相当強力に進める時期に私はあると思うのです。いままで生活協同組合というと、何か厚生省だけのごく一部のやり方だと、こういうふうに言われているのですが、今日の都市と産地との関係から見ますと、もう少しこの点は、ただ単に厚生省の一部局がやるんでなしに、経済企画庁あたりがこういうものをどんどん進めていく、そういう外からのものを私はやっていかなければいかぬだろう、これが視察の結果の一つの大きな問題点であります。  それからもう一つは、特に岩手県の畜産公社を拝見して感じたわけでありますが、あそこでは、現実に屠殺場で牛をばらして、そうしてパッケージに入れて、大体売り値で二百円くらいのものにいたしまして、それを具体的に出しているわけです。したがって、中間で人手をわずらわすということなしに、屠殺、それから精肉、それからすぐ消費者、こういうルートでありますけれども、結局、配給ルートがないということ、それから岩手県では、あそこは新全総で将来畜産団地になっていくわけでありますから、これはたいへん努力をしております。努力していて、そのような形で大衆肉を生産しているのだけれども、これを既存の流通機構に入れてしまう、だから消費者が物を買うときには非常に高いものになる。こういうものなどは、私は、具体的に産地からそうした大きな消費地である団地に直送していく、そこでそれを消費者に販売する、こういうことをすれば、幾つかの流通機構はそこからはずれていくわけです。こういうようなことはすぐ実行できる問題ですから、それを強力に進めてもらいたい。それでなければ、幾ら生産地のことを言っても、これはなかなか私はできないことだと思う。その点をひとつ考えてもらいたいと思うわけであります。そういう意味で、ひとつ、団地と産地の直結——これは団地生協をつくるということもありましょう。あるいはそこに既存の小売り業者というものを利用していく、こういう方法もあろうと思う。こういう点で、消費者物価、特に生鮮食料品の物価を下げていく、こういう措置を具体的に考えてもらうことが第一点であります。  それから、特に私は感じましたのですが、これは行った皆さん方もみんな感じたのですが、非常に不合理なものがある。畜産物の場合です。わざわざ生きたままで中央の消費地に送り、そこで解体をする、これはたいへんな損失だと思う。これは、関係の業者のいろいろな慣習もあろうと思う。いま、そうしたたん白資源の牛肉、豚肉、こういうものは現実に困っておるのでありますから、こういうものについては古い習慣をやめていく。輸送が非常に混雑しておるときでありますから、現地でばらして、骨と内臓をとって、具体的に枝肉に分けて出していく、こういうことになれば輸送費もずいぶん違ってくるだろうと思う。こういうことも早急に手をつけてもらわなければ国民の食生活の改善に役立たない。そうして、高い物価で、定期預金の金利を上回るというような、こういうようなばかな物価水準が上がっていく、こういうことになってしまうんですから、これもひとつ、どうですか、長官、手をつけてもらわなければいかぬと思うんですが、これは経済企画庁、直接ではないが、これは政府としてかなり大きな決意が要る問題だと思う。これは政府として一農林省の部局にまかせるべきものではなく、政府としてやるべき仕事だ、こういうふうに思いますが、これについての御答弁をいただきたいと思います。  それから、これも私は非常にけしからぬことだと思うのは、最近、新聞報道によりますと、国鉄の赤字解消のために、野菜・魚介類の割引率ですが、これを半分にする、こういう話であります。新聞報道を見ますと、魚介類と野菜おのおの六億くらいだと、こういうわけです。こんな金は、考えてみれば、全体からみれば、大した金ではないわけです。国鉄も、キャベツ一キログラムに対して四銭くらいの値上げにしかならない。消費者物価に及ぼす影響は、貨物全体としても〇・二%くらいの影響でしかない、こんなものの割り引きは下げてもいい、こういうわけですが、それは、物価が安定して、物価が下がる時期でありますればそういうことをしてもいいと思うが、物価が二十四年以来の上がり方をしておる、こういう時期に、全体の金額にしたら大した問題ではない。こういうものは、むしろ国のほうが国鉄にその分だけ渡して、ここでそういう問題の国鉄運賃の値上げというようなことはやめても、私は国の財政に大きな影響のある問題じゃないと思う。こういうことはすぐ実行ができ、そしてやれる仕事であります。しかし、これを放置しておきますと、おそらく便乗値上げというものがこれに応じて当然行なわれるわけです。そうすれば、四銭ばかりの上がり方じゃなくて、それが何円、何十円という上がり方になっちゃうんです。そういうことも、やればできることなんです。これもひとつやってもらいたい、こういうふうに思います。  それから、これはあるいは公取委員長のほうがいいかとも思いますけれども、現実に、為替変動相場制で、輸入している物はもう安くなっているわけです。約八%買う物は安くなっているわけですね。その上に、おそらく輸入自由化の問題というのは農畜産物にも今後及んでくると思う。しかし、いままで輸入の自由化をやり、あるいは値上がりに対して緊急的に韓国ノリなんかを入れたこともあります。あるいはタマネギを入れたこともあります。しかし、これが消費者物価には何ら影響していないんですね。これは一体どういうわけなんですか。今度の問題でも、すでに、先ほどから申しましたように、輸入価格は為替相場によっても安くなっているはずです。それにもかかわらず、全然消費者物価影響しないんです。こういうことも非常に国民にとっては不可解千万なことなんです。こういうことを直してもらわなければ、私は、全体として物価を安定さしていこうというような、そうしたものは出てこないだろうと思う。具体的にできることですよ、私がいま言ったようなことは。経済のからくりで、どうしてもできないという問題じゃないと私は思う。少しの財政資金を使えばできることです。こういうことを、長官、やってもらえますか、どうですか。これだけお聞きしておきます。
  61. 木村俊夫

    ○国務大臣(木村俊夫君) 第一の問題でございますが、私も実は町田団地の問題を新聞で見まして、非常に関心を持っております。私はその成果について興味を持っておったんでございますが、まあ、総じて、なかなか、いままでの習慣と申しますか、それを脱し切れないという、いままでの惰性がこの流通段階に非常にございます。そういう意味で、今回、御承知のように、国会を通していただきました卸売市場法、あれがいままでのそういう慣行を断ち切るという役目も私は大いに期待しております。したがいまして、そういう意味で、生産地と大消費地が直結して、何と申しますか、相対取引をやるということは非常に私は奨励していいことだと思います。したがいまして、そのために生協の育成ということが必要であれば、政府としては当然これはやるべきことではないかと思います。  第二の問題、おしかりを受けましたが、国鉄の公共負担の、いままでやっておりましたのを、今回その半分を取りやめまして、あと半分は来年の九月末ということにいたしました。たいへんいままで問題になっておりました事柄でございまして、これは多少私の個人的な見解も入るわけですが、どうも物価政策としては本筋のことではないような気がする。国鉄自身がもうすでに何兆という借金をかかえまして、この国鉄の再建そのものが非常に問題になっているときに、どうも政府が国鉄だけに負担を負わせて、政府政策的な面で、悪く言えば責任を回避しておるということにもつながるのではないかという考えを私個人は持っております。したがいまして、今回この公共負担を半減いたしましたことも、確かにその物価に及ぼす影響から言えば、きわめて微少なものだ、ほとんど取るに足らぬような影響ではございますが、いまの物価段階情勢から言いますと、その心理的な面も、これは軽視するわけにいきません。したがって、私自身も非常に迷ったんではございますが、これは当然国鉄再建という面からいって、この際はまあとにかく半分だけはこれを取りやめて、物価に及ぼす影響は、もっと、何と申しますか、筋の通った政策でこれをやるべきじゃないかという考えもございましたので、あえて今度は、この問題について経企庁としては同意をしたわけでございます。したがいまして、当然、これによって特に生鮮食料品に対する影響等は、先ほどからいろいろ御論議がございましたような、もっと筋の通った政策段階でこれをカバーすべきだ、こういうことで、実はいまおしかりをこうむりましたようなことを、あえて私どもは承認したわけでございます。
  62. 谷村裕

    説明員(谷村裕君) 企画庁長官にもあわせてお尋ねになったことかと思いますが、御指摘のような、たとえば輸入品の流通経路において、何らかの不当な取引の制限あるいは拘束等がある結果、輸入品のたとえば着地の値下がりが消費者価格に直ちに反映しないというふうなことがあれば、当然、私どもとしても、さような流通経路についての問題を突き詰めなければならないと存じます。そういう意味におきましては、私どもも手の及ぶ限りそういうことにも力を尽くすつもりでおります。先ほどいろいろ御意見も出ておりましたように、私どももいたすことは当然いたしますけれども、そういった流通問題あるいは国民生活、消費者行政に関する問題は、それぞれの物資を所管される諸官庁におきましても、十分消費者行政的な立場あるいは公正取引委員会と同様の立場において、持っておられる豊富な知識と人員等を動員されましてやっていただくことを私どもとしては望みたいと思います。そういう意味で、公正取引委員会も、関係各省庁と力を合わせて、たとえばそういう問題にも取り組みたいと思っております。
  63. 木村俊夫

    ○国務大臣(木村俊夫君) 第三の御質問に対してお答えいたしませんでした。  実は、この輸入対策、これはもう、筋から申しますと、国内物価にいい影響を与えることは当然でございますが、これがたまたま流通段階でその物価に対する安定効果を減殺するということがございます。かつて、昭和三十八、九年に、レモン、バナナを自由化いたしました。ところが、すぐにはなかなか下がらないこともございました。現在は、もうすでに御承知のとおり、レモンはその当時に比べますと約半分になっております。また、バナナは約六割安になっております。そういうようなことで、時を経れば、ある時間の経過とともに、そういう流通段階におけるいろいろな作為あるいは輸入効果を減殺するようなことは、なくなっております。しかしながら、どうも流通段階で、あるいは国内の輸入エージェントにおける、輸入段階における、そういう阻害要因は、いま公取委員長から申し上げましたとおり、これは当然、政府の責任で、それにメスを入れるということも必要であろうと思います。また、そう長くそういうことがこたえられるものではないので、いずれは値くずれいたします。それを待たずして、当然、政策としましては、これにメスを入れて——これは公取委員会の協力も得てやることもございましょう。したがって、今回輸入自由化をいたしましたグレープフルーツ、これはまだ値が下がっておらぬという、いろいろな御批判もありますが、御承知のとおり、アメリカの西海岸における港湾スト、これがずっと三カ月も続いております。そのために、ある場合には飛行機で輸入したこともございます。また、メキシコ湾にわざわざ陸送で運びまして、そこからチャーター船によって日本へ持って来たというようなことから、なかなか輸入価格が下がっておりません。これはそういう一時的に異常な事情から来ておるものでございます。こういう面から言いましても、単に、たとえばグレープフルーツのごとき、ただアメリカだけに依存しておるというような考え方も、これは改めなきゃならぬと思います。そういうことで、いま公正取引委員長からお答えいたしましたとおり、また、もう一つ加えなきゃなりませんのは、せっかく国内における、そういう流通段階で万全の措置をとりましても、輸出する——たとえばグレープフルーツであれば、アメリカにおいて輸出エージェントが一つの一元化的な機構をつくりまして、そこで輸出価格を高くするというようなこともございましょう。これはなかなかわが政府の及ぶところではございませんが、そういうようないろんな原因がございます。したがいまして、総じて、自由化、輸入対策国内物価安定効果をもたらすものではございません。それだけで私たちは楽観し、油断することはできません。今後は、そういう問題について、輸入対策がストレートに国内物価安定効果をもたらすように厳重にひとつ監視を続けていきたいと思います。
  64. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 もう一つ、生体取引の問題を……。
  65. 長屋茂

    委員長長屋茂君) 先ほど竹田委員より質疑がございました動物の生体取引のことにつきまして……。
  66. 宮崎仁

    説明員(宮崎仁君) 若干事務的でもございますので、私からお答えさせていただきたいと思います。  確かに、牛肉、豚肉等につきまして、枝肉等による輸送を奨励していくということで、ここ数年来いろいろの施設が行なわれておりますが、やはり主体は、芝浦市場あたりに対する生体輸送によって取引が行なわれておる。これは、やはり流通面からいくといろいろ不合理であるということは、御指摘のとおりだと思います。ただ、従来からの価格形成のあり方という習慣がございまして、これは簡単に直らないわけでございます。しかし、ただいまお話がありましたように、たとえば岩手県の畜産公社のように、それぞれ生産地の段階からそういった新しい流通方式というものを取り込んでくるということがだんだん進んできます。また、東京その他の大都市におけるこういった市場につきましても、たとえば外郭環状線沿いであるとか、そういったところ、あるいは大井の市場であるとか、新しい流通市場をつくっていこうという計画が逐次進められております。こういうことと合わせまして、基本的には、いま御指摘になりましたような方向に一日も早く持っていかなきゃならない。われわれも、相当困難があることは承知しておりますが、進めてまいりたいと思います。
  67. 鈴木強

    鈴木強君 予定がちょっとおくれておりますから、いろいろ私のほうから通告をいたしました予定の質問に全部触れることができないかもしれませんので、あらかじめ御了承いただきたいと思います。  それで、肉の問題とか魚の問題だとか、いろいろあるわけですが、時間がありませんので、魚の問題は、たまたま農林大臣の諮問機関である中央漁業調整審議会が、きのう、「海洋水産資源開発基本方針」というものを答申されておりますが、これは、経企庁長官もごらんになったと思います。これは、新漁場の開拓とか、養殖とか、なかなか中身はあると思いますね。こういうものを、ひとつ実行に移すように考えていただいて……。サンマというのは、この中に入っておりませんね。なかなかむずかしいんでしょうね、養殖ということは、サンマはね。答申の中にはサンマはないですね。ないとすれば、新漁場を開拓するというところに載っているのかと思いますが、そういう点も御検討いただいて……。魚も、どうも上がったり下がったりということも困りますし、安定的な価格の維持ということをやっていただきたいと思いますが、この答申については、どうでございますか、賛成でございますか。
  68. 木村俊夫

    ○国務大臣(木村俊夫君) 私も、全面的に賛成でございます。したがって、新漁場あるいは養殖、そういう面について水産庁に大いに協力したいと思っております。
  69. 鈴木強

    鈴木強君 それから肉のことですけれども、これもいろいろ需給の関係とかを伺いたかったのですけれども、それができませんから、とりあえず、一つだけ問題になっております輸入牛肉の点ですけれども、これが最近国内の牛肉とまぜられて販売されている、そういう事実があります。これは新聞なんかも一せいに報道されておりますが、こういうことをやられていては、どうもせっかく国内産の肉よりも、半分以上も安い国外のいわゆる輸入品ですね。その肉を輸入してみても、いま竹田委員が言ったように、物価安定には何ら役立たないし、むしろ消費者がごまかされ、インチキされるということで、腹が立つことなんです。したがって、こういうばかげたことがどうして行なわれるのか、非常に問題があるんです。農林省のほうから、こういう輸入された肉というものは、一体どういう流通経路をたどっていくのか、その点と、どうしてこういうようなことが実際に行なわれるのでしょうか、もう少し行政面で消費者がばかを見ないような、そういうようなことがやれないものでございましょうか。
  70. 斎藤吉郎

    説明員(斎藤吉郎君) 輸入牛肉につきましての流通の形について御説明申し上げます。  輸入牛肉につきましては現在二通りの形がございまして、一つは、いわゆる畜産振興事業団という事業団がございます。この事業団が扱います分、それからいわゆる民間貿易によりますところの一般的なもの、これは大体現在のところ半々の形でやっているわけでございます。事業団が取り扱いますものは、やはりこれも実際に入れますものは商社でございまして、商社がこれを入れまして、その経路といたしましては、事業団から売り渡すということで、その経路といたしまして食肉の関係の協同組合がございます。それから市場関係の協同株式会社、これが実際に実需者であるわけでございますが、それと、それから加工を扱っておりますところの日本ハムソーセージ工業協同組合、あるいは食肉缶詰協同組合、そういういわゆる原料を扱いますところの組合、これに売り渡しをしております。そのほか新しいいろいろな新規用途というようなことで、消費者団体等にも畜産振興事業団から売り渡すというような形態がとられているわけであります。一方、民間のほうは商社割り当てと事業者割り当てと両方ございまして、商社割り当てでまいっておりますのは、ただいま申しました食肉事業協同組合連合会、それから食肉事業協同株式会社というところに、これがいわゆる生肉用ということで売り渡されるわけであります。さらに需要者割り当て、いわゆる加工用でございますが、先ほど申しました食肉缶詰工業協同組合、それからハムソーセージの協同組合、これに売り渡される、それから各県段階等におりてきまして、最終的に消費者にお渡しする、こういう形であります。
  71. 鈴木強

    鈴木強君 これは四十五年度の分を含めて、四十六年度は一番最近のところでいいですから、輸入された肉が実際どういうふうな、いまお話のありましたような、それぞれのルートを通じて、どれだけの量が割り当てになったか、これをひとつ資料で出してくれませんか。問題は、そういう割り当てをして流通段階に入ってきますね。そうして、いま申し上げたような国内の肉と輸入肉をまぜてインチキなものをつくって売り出すという、こういうことは、これはあれですか、業者の良心的な御判断でそれをやめるのであって、行政的にこれに対して何かおたくのほうで指導をするとか、そういうことは何にもしないのですか。割り当てをしてしまえば、あとは御自由にということになっているわけですか。今度の事件は、私はちょっと新聞で見たのですが、全国食肉事業協同組合連合会、いまあなたの言った中の一つですね。そこが調査をして、むしろ親切に農林省に教えてやったというのですね。ですから、私はこの方たちは非常に良心的なんだと思いますが、どうしてそういう人たちがおる反面、悪徳な業者がおるんですかね。こういうことを行政的に何か指導をするとか、そういう体制は全然ないんですか、やらないんですか。
  72. 斎藤吉郎

    説明員(斎藤吉郎君) ただいま、混肉と申しますか、輸入肉と国内産の肉をまぜ合わせることが非常にインチキと申しますか、すべて悪いことというぐあいに御判断いただきますのは、必ずしも妥当ではない面もあるわけでございます。やはりこれが輸入されてまいります肉の種類と申しますか、品質、そういったようなことにも関連いたすわけでございます。それから従来のどういう肉が入ったかというようなこともいろいろございまして、いい肉が入ってくれば問題ないわけでございますが、やはり悪いもの——悪いといいますか、低品位のものというようなものも入ってきております。安いという面もございますけれども、そういうものをやはりうまく消費をいたしますためには、これをあわせまして、国内の肉とフレーバーをつけまして消費するというのも一つの消費の知恵でございまして、そのこと自体がすべて悪いというぐあいに断じ切るわけにもまいらない面があると思います。ただ、確かにそのとおりそれをまぜたということで消費者におわかり願えて、しかも、その値段が相当程度やはりリーズナブルな価格が形成されるということになりませんと、これはいけないわけでございます。その点につきましては、いろいろと従来からも指導してまいっておりますわけでございますが、何ぶんとも末端のことで、いろいろとその点、消費者の方々の御不信を仰いでいるということも、これまた事実として私ども反省しておるわけでございまして、要は価格的に、それから品質的に御納得のいける形ということをやるようにということで、先ほど申し上げましたような諸団体を通じまして、そういうこともいろいろと指導してまいっており、業者自体も自覚の面があってそういうことをやっておるわけでございまして、かたがた、やはり輸入肉は輸入肉として、末端までどういうぐあいにしたら貫徹して売られるだろうか、そうして御消費いただくという形もとりたいということでやはり指導いたしまして、全国で八百軒以上の輸入牛肉の取り扱いの指定店舗というものをこさえまして、そこではそのことを明示いたしまして、しかるべきリーズナブルな価格でもって販売申し上げるという形をとっております。ことに関西等におきましては、この点が非常にうまくいっていることは御存じの向きもあろうかと思います。そういうことでございます。したがいまして、今後ともなお輸入牛肉の問題につきましては、ただいま申し上げましたような仕組み等も現行ではございますけれども、実は御案内のとおり、牛肉につきましては自由化をいたさなかったわけでございますけれども、将来とも、牛肉につきましての非常な嗜好が伸びておりますので、やはり輸入量は相当ふえてまいってくるというぐあいに考えるわけでございまして、今後非常に需要の強さに応じましてふえてまいります輸入牛肉の取り扱いにつきましては、従来の形のままでいいかどうか。輸入の段階からでございますけれども、含めまして、ただいま農林省で輸入牛肉の取り扱いにつきましての研究会を持っております。識者の方にお集まりいただきまして、大体これが近々に結論を得るということの段階になっておりますので、その結論をいただきまして、その上でできるだけ近い機会において改善の方向をはかりたい、かように考えております。
  73. 鈴木強

    鈴木強君 あなたは、何か私から見ると納得できないような発言をされたんだが、もう一回、皆さんの畜産行政というものを振り返って考えてもらいたいんですよ。こんな混合しなければ食えないような悪い肉を、何でそんなに輸入するんですか。だから、もっと自給が国内でできるような畜産振興、畜産産業というものを興したらどうですか。それがいつも後手後手になってしまっている。人間はふえているわけですね、人口は。したがって、人口増は大体年間どのくらいふえるかということもわかるわけですから、需要がどのくらいに伸びていくか、それをはじいてみれば国内でどのくらいの牛、豚あるいは鳥とかいろんなものがありますけれども、そういうものをやればということを考えて計画を立ててやらないところにこういう問題がある。だから、やむを得ないから、ほんとうなら悪い、輸入してはいかぬような肉までしているんじゃないですか。そうして国内の肉とまぜて売るというようなことは不届き千万ですね。そんなばかなことをして、しかも、これはやむを得ないというようなことを言うのは私は納得できないんですよ。そんならそれとして、やむを得ず、現在需給のバランスがとれない、したがって、ある程度品質が悪いものでも入れなければならないということであれば、それはそれなりの混合販売ということも考えていいと思うが、それならそれとして、お店屋さんが、これは輸入牛肉一〇〇%ですとか、これは三〇%入っておりますとか、そういうことを表示して、そうして消費者がわかるようにしてあげなければいかぬ。表示しているのは大阪など十三軒だという報告が来ておる。だからして、そういう点をちゃんとして、消費者が納得して、混合肉だけれどもちょっと安いから私は買いますといって理解して買うならいいんだ。おかしいから調べてみたら質の悪い輸入肉が入っている粗悪品であったということで、要するにインチキだということで消費者はおこっている。そこに私はポイントを置いてあなたに質問しているから、そんなべらぼうな答弁じゃだめなんですよ、ピントはずれの答弁では。
  74. 斎藤吉郎

    説明員(斎藤吉郎君) おしかりを受けたわけでございますけれども、先生のおっしゃるような意味合いにおいて指導してまいっておるということで、非常に悪い粗悪なもの、食べられないような肉をあれしているということではございませんで、御案内のとおり肉にはいろいろございます。それからこれはまた弁解になるかと思いますが、従来からどうしても輸入肉は冷凍という形で入っておりまして、解凍技術というようなことにいろいろむずかしい面がございまして、どうしても見場が悪い。粗悪という意味じゃございませんが、見場が悪いということもございます。それから解凍技術の未熟のために非常に味が落ちるというようなこともある。そういう意味合いでそういうことを申し上げたわけでございますが、御案内のとおり最近は冷凍ものでございませんで、チルドものというフローズンにいたしません生鮮のものを冷やしたかっこうで持ってまいる。しかも、そういうものが非常に豪州等から入ってくる。これが非常になじみまして、消費者の方々もこれを好まれるというようなことも出ておりまして、そういう面は漸次改善されております。  それからもう一つ、そういうことで、先ほども申し上げましたように、やはり消費者の方に納得していただくことが一番必要であろう、こう思うわけでございまして、要するに、まぜたらまぜてあるということで、そのことをはっきり御納得いただき、しかもその値段、それだけのリーズナブルな価格ということも申し上げたわけでございまして、そういうことにつきましては先生のお話のとおり十分今後も気をつけまして指導してまいりたい、かように考えております。  それから、やはり牛肉でございまして、これは将来にわたりまして、いわゆる計画的な生産というようなお話があったわけでございます。私どももそのことを必要と考えているわけでございますが、何ぶんとも国内の生産体制というものが、御案内のとおり和牛につきましては、従来から役牛ということで、肉牛生産という形がほとんどございません。国内的に御案内のとおり全国平均で飼養規模が二・二頭程度という形でございます。さらにもう一つ、そういうことでございますが、急激にこれを計画的に生産するというような、豚とか鶏のようなわけになかなかまいらない面もございます。しかし、これは大いに力を入れて和牛の生産を振興していく、かたがた牛乳のほうの乳牛から出てまいりますもの、雄牛がございます。これは従来とかく子供のうちにひねってしまうというようなことで、肉資源としては活用が非常に乏しいという形でまいっておるわけでございます。これをひとつ大いに肉資源として活用して、育てまして大きくしまして、これを肉に回していくという形をとりたいということで、現在三〇%程度しかそういうほうに回っておりませんのを一〇〇%近いところまで持っていきたいということで、この辺のところも大いに国内生産に力を尽くしていきたい。なおかつ足りないものの輸入牛肉の、先ほど先生のおっしゃいましたように、必要な分は、むしろスポット的に、安いものを買いあさるということではなくて、計画的な輸入をはかっていくということで皆さん方の御納得を得たいというぐあいなことで、これもおくればせでございますが、肉牛問題全体についての研究会をやはり持っております。これも年内あるいは明年度早々くらいに結論をいただきたいと考えておりますし、その間の御審議の間に、いろいろこういう点につきまして取り組めます生産対策、あるいは流通対策、消費者対策といったようなものにつきましては、ひとつ明年度の農林省の目玉の予算ということで、肉牛対策予算ということを看板に掲げまして、いろいろとやっていきたいというぐあいに考えておりますので、よろしくお願いいたします。
  75. 鈴木強

    鈴木強君 ここでひとつ約束をしてください。これはまだ自由化されていない牛肉ですから、これは割り当てで業者にいきますね。これが流通段階にスムーズに流れて、そして不正行為などがないように、そうして事件屋がそこに入って不当な利得を得ることがないようにこれを監視していただくと同時に、もう一つは表示の問題ですよ、まあ公取に調べてもらうまでもないと思うんだ。いまの輸入肉なら輸入因と混合してあったら、どういう割合で混合しているということをちゃんと表示するように、直ちにこれは通達を出してください。通達というか、行政指導をしてください。いいですか、これはやってください。
  76. 長屋茂

    委員長長屋茂君) なお、斎藤参事官委員長からも申し上げますが、先ほど鈴木君から要求のありました資料は御提出願います。
  77. 斎藤吉郎

    説明員(斎藤吉郎君) 承知いたしました。
  78. 長屋茂

    委員長長屋茂君) それから、同じく農林省の野菜花き課長関谷さん、同君の要求の資料を御提出願います。
  79. 斎藤吉郎

    説明員(斎藤吉郎君) 先生の御注文の点につきましては十分検討さしていただきます。
  80. 鈴木強

    鈴木強君 検討するじゃだめですよ、出すのじゃなくちゃ。検討じゃだめだ。当然でしょう、あなた。木村長官の前で、まあ一課長さんじゃちょっと悪いのですが、おそらく、ここへ来ると、そういう意味で遠慮していると思うのですよ。しかし、そうしないと、いつまでもインチキが直らない。そうしてもう少し鋭い目をみはって、場合によったら公取のほうで御足労を願わなければならないかもしれませんけれども、あなた正当に表示するというならあれですが、検討するとは何ですか。
  81. 斎藤吉郎

    説明員(斎藤吉郎君) やはり末端の小売り店もたくさんあるわけでございますし、先生のおっしゃるように、ただ通達を出しただけで、なかなか実効のあがらない問題でございますので、その辺につきましては、業者自体の自覚にも待たなければならない点がたくさんあるわけでございます。その辺のこともあわせまして、実行のやり方等につきましては検討させていただきたいと思います。
  82. 鈴木強

    鈴木強君 それなら、これからそれはすぐ大臣と相談してやってくださいよ。これは木村長官もぜひそれを農林大臣に話してくれませんか。そして、すぐやってくださいよ。
  83. 木村俊夫

    ○国務大臣(木村俊夫君) 私からもそのようにいたします。
  84. 鈴木強

    鈴木強君 最後に、時間がなくなりましたが、次に、いよいよ季節を迎えて、暖房、特に灯油の需要期に入っていると思いますが、最初に申し上げましたように、またこれの値上げが問題になっております。で、ドル・ショックによって円が切り上げになっておりますから、しろうとが考えてみても当然安く買えるわけですから、上げるどころではなくて安くなっていいのじゃないかという、まあこれは一般的に常識論が生まれてくるわけですけれども、逆にこれが上がるというのはどういうことか、そういう不満がある。何か田中通産大臣が九月三十日に消費者代表と会ったときに、私の責任でそういう灯油価格は絶対に上げさせない、そういう約束をしたそうですから安心しておったのですが、逆に北海道、東北で上がってきたというので、約束が違うじゃないかということで、これはまた文句が出ているわけです。そういうわけですから、おそらくこの原油の値上がり——現在やっておりますようにああいうものが二回、三回とやられておりますから、それらの関係で収支差益があっても、おそらく大臣のほうへは、安くできませんとか、上げなくちゃなりませんと言っているかもしれませんけれども、もう少し大臣の約束したことですから、少なくとも灯油に限ってはことしは絶対に上げない、こういう態度で通産省は行政指導をしてもらえるというその約束くらいしてもらいたい。
  85. 木村俊夫

    ○国務大臣(木村俊夫君) 私も通産大臣とはっきり約束をしておりますので、この問題については、灯油価格は絶対上げないということに通産省とも話をはっきりしたいと思っております。  北海道のお話が出ましたが、これは需要期が非常に早いものですから、そういうことを知らずに、もう小売り値段を上げた所もあります。これはまた当然正常の価格に引き下げるべきものだと思います。
  86. 鈴木強

    鈴木強君 通産はいいかな。
  87. 荘清

    説明員(荘清君) いま長管から御答弁がございましたとおり、通産省といたしましては原油の値上げの問題がございますが、重要な家庭用燃料である灯油については、いま長官の御答弁のありました線で強力に行政指導を行ないたいと考えております。
  88. 鈴木強

    鈴木強君 これも、石油資源の関発を含めていろいろ伺いたかったのですけれども、時間がありませんので、また次の機会に譲らしていただきます。  それからその次に、御承知のように、先般の国会で宅地建物取引業法の一部が改正になりまして、十一月の十五日からいよいよ施行されるわけですが、この改正は今日の規制より以上に一段と強化されるので、その前に手持ちの物件をさっさと売っておこうという立場に立って、一部の悪徳不動産業者が暗躍をしているということです。それで、この一部の悪徳の不動産業者がやっている不正行為というのは、大体たとえば大工さんとか、土建の人たちに無資格の業者がいろいろなものを売りつける、あっせんをする、こういうふうな点が一つ。もう一つは、誇大広告ですね、これは公取からもあとで伺いたいのですけれども、非常に誇大広告で善良な消費者をだまくらかす、それから重要事項不表示、抵当に入っているか入っていないかまぎらわしい、そういう点は詳細に知らせなければならぬにかかわらず、それをやっていない、そうしてマイホームの夢にあこがれを持ってせっかく土地を買ってみた。ところがそれが担保に入っておる。そういうことで、善良な消費者が泣いているわけです。これの取り締まりについては、私は徹底的にやってもらいたいと思うのです。これは警察庁のほうからもおいでいただいておりますので、まず警察庁のほうから、わかっている状況がありましたら、時間の関係もありますから資料でいただいてもけっこうですが、とにかく一段と取り締まりを強化しておいていただきたい、こういうふうに思います。  それから公取のほうには、うそつき広告の点について排除命令等をいろいろやっていただいておるわけですけれども、特に広告代理店、これは現在の法律ではやや処置できないというふうな問題があるようですから、こういう点も含めて法律の改正が必要ならばやはりやっていただいて、とにかくうそつき広告というものがなくなるようにひとつ御高配をいただきたいと思うのですけれども、この点について公取委員長とそれから警察庁のほうからひとつお答えをいただきたいと思います。
  89. 関沢正夫

    説明員(関沢正夫君) 御指摘のような動きもございまして、特に手持ち物件を売り急ぐために違法なことをやるというおそれもございますので、もうすでに九月の初めに全国に通達を発しまして取り締まりを強化するということで、いろいろ対処しております。
  90. 谷村裕

    説明員(谷村裕君) 御指摘になりました不当表示が不動産関係で行なわれております。それについていろいろ調査いたしてみますと、不動産業者それ自身が広告を全部エージェントにまかしてそこにやらしている、そうしてそれがもううそを承知、誇大を承知でそういうものをつくっておるという実態がかなりわかっております。しかし、それは私どもの法律の運用として、はたしてそこまで取り締まれるかということになりますと、御指摘のような問題点がございます。さらに不当表示あるいは誇大広告の問題は宅建業法のほうでも取り締まり得る問題であり、かつまた私どものほうと法体系を異にして直ちに刑事事件として処理し得る問題でもあります。さような場合に、さような広告代理業者が幇助であるとか、そういうような役割りを持つことになるかどうか、この点は私どものほうの法体系と違う問題として御検討になると思いますので、私どものほうといたしましても、だんだん世の中が情報化社会で複雑になってまいりますのに対応したわれわれのあり方というものを、今後、御指摘のように検討いたしたいと思います。
  91. 鈴木強

    鈴木強君 もう時間がありませんから、簡単に、最後一つですけれども、実はタクシー料金をはじめ、公共料金が四十七年度に向けて一体どういうふうに動いていくのかということについていろいろお伺いしたかったのですけれども、時間がありませんから。  特にタクシーについては非常に私は問題だと思います。特にタクシー近代化センターというのをつくりまして、少なくとも乗車拒否等は追放する、それからまた適正な業務を行なうということを前提としてやった。ところが、そういうものが、きょうはセンターから来ていただくことになっていたのですけれども、時間の御都合で理事長はおいでにならなかったのですけれども、私の見ているところでは、分担金すらなかなか会員が払わないということで、事業計画もせんだってきまったという、ぶざまな状態にセンターの内容があると思うんです。そういうのが未解決のまま、また上げるということは、とんでもない話でありますから、経済企画庁長官としては、運輸大臣の直接の所管になると思いますから、あなたと相談しながら、ぜひひとつ、タクシー料金を最低限に押えていくような方法で当面行ってもらいたいと思いますが、その点、いかがですか。
  92. 木村俊夫

    ○国務大臣(木村俊夫君) まだ運輸省のほうから相談を受けておりませんが、しかし、当然のこととして、昨年上げたばかりでございます。また、その後における業界の近代化、あるいはサービス改善の点で非常に実効があがっておりません。そういう意味におきまして、私どもは、それをよく見きわめてからでないと運賃の改定には応じないつもりでございます。
  93. 鈴木強

    鈴木強君 残念ですけれども、時間がありませんので、当面のわが国の経済見通し等について長官の御意見を伺うことができませんでしたので、これは次回に譲ります。特に大蔵のほうにも、減税、補正予算を含めて当面の経済浮揚策についてのいろんな意見を伺おうと思いまして、減税問題でもお伺いしたがったけれども大蔵省からおいでいただいたのですけれども、時間の関係でできませんでしたので、長いこと待たせておわびいたします。どうぞお許しください。どうもありがとうございました。
  94. 谷村裕

    説明員(谷村裕君) 先ほど御質問がありました際に、答弁申し上げるときに、あわせて申し上げようと思っていたことでございましたが、機会を逸しましたので、一言御礼を申し上げたいと思います。  当委員会委員の方々には、お忙しいところを私どもの地方の行政状況を視察においでいただきまして、仙台あるいは大阪、そういうようなところをつぶさに見ていただきました。私どもといたしましても、今後の行政のしかたに十分その御意見を生かしたいと存じます。一言御礼だけ申し上げます。
  95. 長屋茂

    委員長長屋茂君) 柏原君。
  96. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 先日、十月一日に、政府は、わずか一カ月で五・九%消費者物価の上昇を示したという異常な事態を発表いたしました。このように、国民の物価生活というものは非常に苦しい状態に追い込められております。そして、政府がどのように今後物価対策をやっていくかということに非常に関心を持っております。したがって、私、これから魚のことについてお伺いいたしたいと思いますが、できるだけ具体的に、そして納得のいくようにお答えいただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。  毎年の上昇率の一覧を見ますと、七%とか六%という上昇を示しておりますが、これは調査した品目を平均したものでございます。そして、内容を見ますと、野菜とか魚とか、くだものとか、こういう庶民の生活に欠かすことのできない食料品の点は二〇%あるいは三〇%という非常な上昇を示しております。中でも、魚を見ますと、これは、のぼる一方でございます。四十三年は一二・七%、四十四年は一六・九%、そうして昨年は一八・九%と、まるでこの上昇率は慢性的だ。野菜は下がりますけれども、魚の上昇率は下がっていない。こういう点について、企画庁長官は、この魚の値上がりの原因がどこにあるのか、また、この値上がりを防ぐのに、いままで価格安定にどのような対策をなさっていらっしゃったか、この点、具体的にお聞きしたいと思います。
  97. 木村俊夫

    ○国務大臣(木村俊夫君) いま柏原さんがお話しになりました生鮮食料品、わけても、魚の値段が非常に最近上がり続けております。確かに、野菜は、あるときには下がり、あるときには上がっておりますが、魚の値段は上がりっぱなしで、たいへん消費者の皆さんに御迷惑をかけております。まあ、私なりに考えますと、どうも流通段階でもいろいろ問題がございますが、一番大きな原因は、やはり水産資源の枯渇といいますか、非常にこれがいろいろな事情で少なくなっておるところに原因があろうかと思います。したがいまして、その打開策としましては、どうしても水産資源をふやす。いろいろ国際的な事情もありましょうが、とにかく新しい漁場を拡張すること、また、何といいますか、沿岸漁業の面につきましても、養殖事業、これを思い切ってふやすというようなことから、その水産資源そのものをふやさないと、いかに流通段階でいい政策をとりましても、答えにはならぬというような考えでおります。具体的な面については、水産庁が来ておりますから、水産庁に……。
  98. 田中慶二

    説明員(田中慶二君) 魚の最近の価格の上昇は、いまお話しのとおりでございます。これは、やはり基本的には、需要の増大に対しまして供給が追いついていかないというところでございます。この生産は、昨年は九百二十七万トンという史上最高の生産でございましたが、この生産増大の大きな原因は、北洋におきますスケソウダラ、それからサバ、この二つが非常に生産が伸びたわけでございます。そうして、その二つの魚種を除きました他の生産につきましては、横ばいないしはやや低落をしておるというふうな状況でございます。そうして、そのスケソウダラも、御承知のように、すり身等の加工原料に使われております。そうして、またサバも、生産量は百三十万トンという非常に増大はいたしたわけでございますけれども、魚体が小さいものが多くて、その大部分が原料用あるいは飼料に回されるというような状態でございまして、国民の食ぜんにのぼるような魚が伸びていない、多くとれていないというところに、基本的に原因があると思うわけでございます。もちろん、いま企画庁長官のお話にございましたように、流通の段階等にもいろいろと問題はございますけれども、基本的には、そういうところが問題であるというように考えております。したがいまして、私どものほうといたしましては、生産の増大をはかっていくということがやはり必要であるということでございますが、御案内のとおり、最近、沿岸におきましても、いろいろ公害等の問題もございます。それからまた、沖合い、遠洋等につきましては国際規制がきびしくなってまいります。それからまた、資源等の関係もございまして、漁場が遠隔化していくというふうな点がございまして、その生産コストも高くなっておるというふうな点がございます。  そのような問題がございますけれども、まず、沿岸におきましては、私どもといたしましては、第二次構造改善事業というのを本年度から出発をさせまして、それによりまして増養殖を大いに推進をしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。それから、沖合い、遠洋につきましては、本年度出発をいたしました水産資源開発センターによりまして、新漁場の開発調査をいたしまして、新しい漁場によりまして魚の生産の増大をはかるというふうなことにつとめておるわけでございます。  そのほか、栽培漁業センターの充実でございますとか、あるいはまた、魚礁設置というふうなこと等にもつとめておるわけでございますけれども、流通対策といたしましては、水産物の流通改善ということにおきまして、まず、産地におきまして、最近水揚げ地も集中化する等の傾向もございまして、そういうふうな重要な漁港等につきまして、産地流通加工センター形成事業ということで、産地に水揚げをされました魚類ができるだけ円滑に処理あるいはまた消費地のほうに流れるというふうな、そういう機能を高めるような事業を現在やっております。  それからまた、生産者団体等を通じまして、豊漁のときに魚を冷凍保管をさせまして、これを高騰時に放出をするというふうなこと、あるいはまた、冷凍のそういういろいろのものを直接消費者に販売をするというふうな、流通改善の実験事業というふうなこと等もやっておるわけでございます。  まあそういうこと等でございますが、いずれにいたしましても、水産業におきましては、生産対象であります魚類がわれわれの手でなかなかコントロールしにくいというふうな問題がございまして、現在のところ、こういう需給のアンバランスによって価格が高くなっておるわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては、そういう制約がありますものの、いま申し上げましたような施策を通じまして、できるだけ価格の安定をはかっていきたいというふうに考えておる次第でございます。
  99. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 ただいまのお話を伺っておりますと、その原因というものは、魚の資源が不足だとか、あるいは需要供給のアンバランスが原因であるというお話を伺いましたが、それでは、その供給を増すのにどういう方法を具体的にやっているか、いまのお話で、新しい漁場をさがしている、そういうお話でございますが、その漁場を、いまどんなふうにさがしているのか、それをさがすのにどんな方法でやっているか、また、組織はどんな組織をつくってやっているのか、あるいは、それに対する費用ですか、予算というものが足りているのか、足りないのか、まあそういう点もお聞きしたいと思います。  また、現地へ行ってみますと、サンマの場合などは、いいのが、まあサバにしてもみんなそうですが、いいものは都会に送られてきますけれども、小さいものは全部くずみたいに扱われて、そしてえさになっちゃう、あるいは冷凍して時期を見て高値のときに売り出すというふうな非常に原始的なことをやっているわけであります。そうしたものも、いま魚がもう事実足りないといっているこの都会の人たちに、もう少し合理的な方法で、それに加工して、そしてそういうものもどんどん都会に持ってきて、みんなに食べさせられるようにするような方法はお考えになっていると思いますけれども、そういうことを、もう少し具体的に、ここで、こういうことをやっているんだというふうに、おいしい魚を安く食べたいと思っている庶民たちが喜ぶような、希望を持つようなお話を、もう少ししていただきたいと思います。
  100. 田中慶二

    説明員(田中慶二君) ことしの五月に水産資源開発促進法という法律が成立をいたしまして、それに基づきまして、先ほど鈴木先生からお話がございました水産資源開発基本方針というのを昨日公表をいたしたわけでございます。その基本方針の初めには、沿岸水域における増養殖に関することが定めてございまして、それには、大体、今後増養殖を推進すべき水産動植物の種類ということで、ちょっと、いま、はっきりした数字を忘れましたが、魚類につきましては二十三種、貝類につきましては十種ほど、それから海藻類につきましては四種程度、そういう名前をあげまして、それをきめております。そして、そういう増養殖によりまして、四十四年当時の生産より、五十年度を目標にいたしまして、三十一万トン増養殖をしたいというふうに考えております。  それから第二のほうにおきましては、新漁場の開発、どこで開発をするかという予定海域を定めておりまして、そして、そういう漁場の開発はなかなか調査に時間を要するわけでございますが、五十年度ごろには、その新漁場で四十万トン程度の生産をあげたいということを、この基本方針は定めておるわけであります。その初めの沿岸の増養殖につきましては、これは、国といたしましては、御承知かと存じますが、瀬戸内海に栽培センターというものを設けまして、そこで、従来は主としてクルマエビでございますが、これの人工ふ化を行ないまして、これを放流をするということが、ようやく百万台の数量で生産が可能になりました。今後は、タイでございますとか、ガザミでございますとか、そういう新しいものに手をつけていきたいというふうなことを考えておるわけでございます。そしてなお、そういうふうに努力をいたしますると、非常に技術的にも未知の部分が多いわけでございますが、そういうことは何とかやはり打開ができてまいりますので、本年度からは日本海にそういうふうなセンターができないかということを考えております。そしてまた、来年度といたしましては、太平洋を北と中と南に分けまして、その三海区にもそういうものができないかという調査をしたいということで予算の要求を行なっております。そしてまた、そういう技術が、人工ふ化は、それぞれ各県の水産試験場も、水産庁の水産研究所と一体になりまして、指定試験というふうなかっこうで推進をしておるわけでございますが、一番の問題は、ふ化をいたしました後のえさが何であるかというのがなかなかはっきりしていないというふうな点が問題がございまして、非常にそれの壁が厚うございまして、いま一つ、そういう点が次々にヒットが打てないということでございます。  まあ、そういうことでございますが、私どもといたしましては、何とか総力をあげまして、そういう人工ふ化、人工による培養によりまして、あるいはそれを最後まで養殖という形で生産をしたり、あるいはまた、それを放流をいたしまして増殖という形で沿岸の漁民が多くとれるというふうにやっていきたいというふうに思っておるわけでありますが、そういうことで今後も期待を持てますものは、もうノリは、御承知のとおりに昔からやってまいりまして、現在はやや供給が過剰ではないかということが心配されるようになりましたが、あと、ワカメでございますとか、それからコンブがまだ問題がございますけれども、これもかなり期待ができそうで、それであと、アワビ、ハマグリ等々、それから先ほど申し上げましたクルマエビというふうなものの生産は大体見当がついて、大いにやっていただく、構造改善事業等においても大いにこれを取り上げていきたいということで考えておるわけでございます。あと、タイでございますとか、あるいはサケ、マスを何とか完了しました形で増殖をしたいというふうなことでやっておりますが、これ等にはまだ、先ほど申し上げました餌料等の関係で問題がありますが、これも一生懸命にやっておるような次第でございます。  それからその次の、沖合い、遠洋におきます新漁場でございますが、現在は、大体水深二百メートルあたりのところの漁場で魚をとってるわけでございますが、さらに、船も大型化いたしましたし、いろいろ技術的なこともございますので、私どもとしては、今後四百メートルから六百メートルというふうな、いわゆる大陸だなの斜面というふうなところの漁場において、さらにわれわれの食ぜんにあがるような魚をとっていってはどうかということでございます。  こういった資源等におきましては、従来とも、水産庁あるいは都道府県の試験船がいろいろ資源調査をいたしておりますが、何しろ膨大な海域でございまして、そこで一生懸命やりましても、ほんのわずかな点しか調べるわけにまいりません。まあ、そういうふうな知見をもとにいたしまして、先ほど申し上げました開発基本促進法に基づきまして設立されました海洋水産資源開発センターを中心にいたしまして、そういう資源の調査のありますようなところにつきまして企業的に成り立つものかどうかというふうな調査を本年から開始をいたしております。  それで、大体いま申し上げましたような、全世界的に、主として、いろいろ資源によって違ってまいりますけれども、あらゆる漁業にわたりまして、従来やっておりませんでした水深四百メートルないし六百メートル、もう少し深いところでいきますと千メートルぐらいまでの、そういうようなところについてやっていきたい。あるいはまた、南氷洋におきまして、沖アミ——ユーハウシアと申しますが、沖アミが鯨のえさ資源としてあるわけでございますが、これもかなりの生産量があるということでございまして、これはまた、持ってきました場合にどういうふうに利用したらいいかという点が今後まだ解明を要するところでございますけれども、まあそういうようなものもひとつ調査をして、企業的に成り立つかどうか、成り立てばそういうものも持ってきて食ぜんをにぎわしたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  101. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 つくる漁業ということが非常にいま強調されております。で、このつくる漁業への転換ということを考えますと、現実には、増養殖に適した海面が、公害のためによごれたり、あるいは埋め立てられたりして、非常に狭まっていく。こういうことに対して、ちょうど青森県にいま大規模な工業地帯をつくっているように、政府が工業開発のために非常に大規模に工業地帯をつくった。これと同じような考え方を海面に計画する、そうしたお考えがあるかどうか、お聞かせ願いたいと思います。
  102. 田中慶二

    説明員(田中慶二君) 海洋の利用といたしまして、海洋開発ということがいろいろ言われておるわけでございます。その一つに、いわゆる海洋牧場というふうな構想があるわけでございますが、そういうことがうまくいくということにつきましてはいろいろ問題があるわけでございます。私どもといたしましては、現在の技術を駆使して、もう少し総合的にやりますれば、ある一定の海域について相当の水産資源の開発ができるのではないかということを考えておるわけでございます。  それで、先ほど申し上げました開発促進法に基づきまして、都道府県知事が沿岸区域につきまして開発区域というものを設けることになっております。そこにつきまして、私どもといたしましては、先ほどの構造改善事業等の予算を集中いたしまして、できるだけ総合的に生産性の高い区域にしていきたいというふうに考えているわけでございます。それで、そういう区域を指定する場合のよりどころといたしまして先ほどの開発基本方針を定めたわけでございますが、したがいまして、これから都道府県におきましてそういう指定が実行に移っていくわけでございます。それによりまして、現在のところは、どのくらいの区域が指定されるか、はっきりいたしませんが、私どもとしては、おおよそ二百くらいの区域はできるのではないだろうか。まあ、一区域二、三カ町村程度の地先海面というくらいの広さで、二百くらいできるのではないだろうかというふうに考えておりますが、そういう区域を中心にしまして、できるだけ効率の高い、生産性の高い海面をつくっていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  103. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 農林省の方にお聞きしたいのですが、流通機構に改善の余地があるかどうか、そして、魚の値上がりに関係があるかないか、どういうお考えを持っていらっしゃるか、ちょっとお聞きしたいと思います。
  104. 大河原太一郎

    説明員大河原太一郎君) 柏原先生のお話は、生鮮食料品一般についての御質問だと思いますので、便宜、官房のほうからお答え申し上げます。  御案内のように、生鮮食料品は、大宗が、卸売り市場を経由いたしまして、産地から荷受け・仲買い・小売り商というような関係が流通の大半でございますが、これにつきましては、御案内のように、たとえば小売り段階におきましては、わが国の従来の経済の構造を反映いたしまして、きわめて零細な生業です。したがいまして、今日の経済のもとで、コストのプッシュが非常に強いというようなことで、やはり流通関係におきましても末端において一番消費者と直結する要因があるわけでございまして、この合理化が問題になっております。また、中央卸売り市場におきましても、これは今般、法律改正によりまして、制度について多角的な検討を行なって発足したわけでございますが、物的施設におきましては、非常に膨大な消費人口がある、たとえば野菜一つとりましても、何百種類が毎日入荷して、その荷さばきというような、物的施設につきましても、これは非常に物流が停滞している。そこで、いろいろなコストプッシュの要因もあるし、機械化その他、荷受けの機械化はできないとか、もろもろの要因があるわけでございまして、これらにつきましては、先ほども鈴木先生から野菜についてはいろいろな御指摘があったわけでございますが、それぞれの段階におきまして合理化をしていかなくてはならないというふうに考えております。
  105. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 先日、サンマの値段が非常に高いので、産地から消費者の手にわたるまでの追跡をやってみまして、その状態を記録いたしましたが、あまり詳しく言っておりますと時間がございませんので、簡単に申し上げます。  百グラムを単位にして調べてみますと、現地の仲買い人が十六円八十銭で入札しているものが、築地の市場のせりが八十円ということになっております。そして、それが仲買い人の手に渡り、小売り店に渡り、そして消費者に大体百五十円という値段になっております。現地の生産者には、手数料を引きますと、百グラム十六円ぐらいの値段でお金が渡っているわけですが、確かに消費者に百五十円でサンマが売られ、また、生産者の取り分は十六円だと、大体十倍の値段になっております。この点について長官はどういうふうにお思いでしょうか。また、お考えでしょうか。
  106. 木村俊夫

    ○国務大臣(木村俊夫君) やはり、中間の流通マージンというものがいかに魚介類の小売り価格を高くしているか、いまいろいろ調査をされました結果にも明らかでございますが、先ほどから水産庁からお答えいたしますとおり、流通段階における合理化というものが、やはりこの魚貝類の価格安定に一番大きな効果がある。それにもまして、先ほど申しましたとおり、やはり水産資源の開発がより以上に重要であるということを痛感いたしております。
  107. 田中慶二

    説明員(田中慶二君) 流通段階に問題がありますことは、いま企画庁長官のお話のとおりでございますけれども、少し補足いたしまして申し上げておきたいと思うわけでございますけれども、水産物は、野菜と違いまして、水揚げ地に一挙に船が水産物を持ってくる。そしてまたその船はすぐ出ていかなきゃならぬということがございまして、いわゆる産地市場というのが水揚げ地にあるわけでございます。その産地市場が、そういうふうに水揚げをした魚をそこで選別をいたしまして、分けまして、そしてそれぞれのところへ輸送するということでございますが、そこのときにおきます魚に形成いたします価格は、いわゆる大きなもの、小さなものも一緒に込みになって、そこでせりにかかるというのが一般でございます。もちろん、高級魚になりますと、一匹一匹値段がつくというものもございますけれども、サンマでございますとか、サバでございますとか、ああいう多獲魚になりますと、込みで値段がついてまいる。そして、その中の大きいものが、先ほどお話しのとおり、築地のほうに出てまいりまして、築地のほうでは、わりあい大きいほうの魚の値段ということになるわけでございます。そして、その産地におきます小さいほうの魚は、主としてかん詰め原料になるものもございますけれども、飼料のフィッシュミール、かすになるというふうなことでございまして、非常に値段が差がございます。したがいまして、先ほどのお話の十六円八十銭と八十円というものの差は、そういう品質の違いがかなりそこにあるということでございまして、それがそのまま中間の経費ではないというふうに、ひとつ御理解をいただきたいと思います。しかしながら、その間、流通の段階を通りまして、さらに小売り店にまいりますと百五十円になるということにつきましては、現在の小売り店がその日に売れるものを市場から買ってきまして、そこの店頭におきまして、調理——いわゆる、さきまして、そしてそれで消費者の方にお売りをするというようなことで、いわゆる調理技術料というふうなものがその中に入っておるわけでございます。そういうふうな点で、また、当日売りの分を買ってきて、それで家族が生活をするということになりますと、どうしてもそういう技術料というものが高く評価をされざるを得ないという特殊な点がございます。そういう点もあわせまして御理解をいただきとうございます。
  108. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 そこで、私、この流通機構を見ましたときに、一つのポイントは、せりで値段がきまるということにあると思います。その現地の入札の値段と消費地の築地のせりの値段とに、そういう開きがあるのはやむを得ないということは、私もそう思います。ですけれども、この築地に来たサンマが八十円という値段でせられる。この八十円という値段がついて、そしてそれが小売り店にまた利益がプラスアルファされ、そして消費者に非常に高い値段で渡っていく。この築地のせりの八十円というところから値段がつくられていくわけです。このせりの値段というものは一体どういうものかと考えてみますと、仲買い人の人たちに言わせれば、勘である、勘なんだと、その勘は、いろいろな経験から、またいろいろな条件を考えた上での勘だと、こういうふうに言いますけれども、適正な原価というものに関係がない。絶対量が少なければ高くなる。需要が強ければ高くなる。その反対になれば、同じその一匹のサンマが安くなる。こういうのがせりの値段だと思うのです。まあ、仲買い人のカンピューターによるというみたいな感じを持つわけです。私、これ、不合理だと言えると思うのですね。一匹の魚にはやはり適正な原価というものがあると思う。それは、絶対量とか需要などに影響されない、それを考えない一匹のサンマの適正な価格とこれを考えたときに、私は、そのせる幅にある程度の統制をすべきじゃないか、こういうふうに思っておりますが、いかがでしょうか。
  109. 船曳哲郎

    説明員船曳哲郎君) いま先生から、せりによって価格をきめることにつきまして御質疑があったわけでございますけれども、私どもといたしましては、中央卸売り市場というところは、多種大量の水産物なり農産物なりを生産者から卸売り業者が集めまして、そしてそこに、今度は、買い受け側でございますところの仲卸業者が需要を持ち寄って、そして卸売り業者の集めたものと仲卸業者のほしいというものとを突き合わせまして、両者間で価格を形成する。その仕組みがせりであると、このように考えて、中央卸売市場法のもとにおきましても、制度が組み立てられてきておるわけでございます。それで、先ほども御説明申し上げましたけれども、今般、昨年来一年かかって御審議いただきまして卸売市場法を制定していただいたわけでございます。  このねらいは、二つございまして、一つは、卸売り市場を計画的に整備するということであり、二つ目は、卸売り市場における取引を改善していくということでございます。そして、いま先生の御指摘の点は後者の点であろうかと私理解しておるわけでございますけれども、その取引の改善の問題につきましては、新しい卸売市場法のもとにおきましては、せりのあり方につきまして公正な価格の形成ももちろん必要であるけれども、安定的な価格の形成も同時に考えなければならないという考えに立って法律がつくられております。それで、具体的に申し上げますと、従来は、せりがほとんどであったわけでございますけれども、その新しい卸売市場法のもとにおきましては、一定の規格性のあるものとか、一定の規格性があったりまた地方性があったりし、そして、さらにあわせて供給事情が安定しておるといったようなものにつきましては、せりではなくて、相対によりまして安定的な価格が形成できるようにという仕組みの道が開かれておるわけでございます。それで、いま私ども、新法施行直後でございまして、この新しい価格形成の仕組みを的確に実現していくべく、いま具体的に開設者に対して指導しておるところでございます。  なお、せりのあり方そのものにつきましてもやはり改善を加える余地はございます。たとえて申し上げますと、せりの上場単位を小さなものから大きなものへ引き上げて、そして価格の変動をできるだけ小幅にするとか、それからさらに、卸売り業者のせりを同時にできるだけ近い場所で行なわせて、卸売り業者ごとに非常に食い違った価格が形成されることがないようにするとか、さらにせり人の資質の向上ということもこれまた必要でございますので、せり人を登録制にする、これは法律でそのようにしていただいたわけでございます。それからさらに、手ぜりのほかに機械ぜりを導入していく。せりそのものの改善につきましても、いま新法のもとにせっかく努力しておるところでございます。
  110. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 いまお聞きしましたのは、せる幅にある程度の統制を必要とすると、私、意見を申し上げたんですけれども、それに対してどういうお考えでしょうか。
  111. 船曳哲郎

    説明員船曳哲郎君) いまの点につきましては、私どもとすれば、やはりせりとそれを補う相対による価格形成とこの二本立てでいくべきではなかろうか。新法というのはそういう仕組みになっておる。したがいまして、せりそのものに開設者の側から一定の価格をあらかじめ設定するということは、せりの趣旨からして制度的になかなかむずかしいのではなかろうか、このように考えております。
  112. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 流通機構の改善について少し意見を申し上げまして、そちらからの御意見も承りたいのですが、まず一つは、市場の一角に産地直売のコーナーをつくってはどうか。そのためには仲買い人の荷引きをもっと大いに活用させたらどうか、こういう意見を持っております。また、卸売り会社の手数料が定率五・五%となっておりますが、これをほかの方法に変える考えはないか。そのためには施設をもっと拡張して、あの築地の混雑した中で非常に古い形式でやっている、これをもっと近代化するということが前提でございます。そうすれば、そこで働く人数もあまりたくさん要らないし、ネコ車でがらがら押して歩いていなくてももっと何とかなるんじゃないか。また小売りの大型化、近代化というものも研究されなければならないのではないか。こうした三つの点を申し上げて、それに対してのお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  113. 船曳哲郎

    説明員船曳哲郎君) まず、第一点でございますが、私どもといたしましては卸売市場法のもとにおける中央卸売市場のあり方といったものが、集荷——荷を集める——ということをもっぱら担当いたします卸売り業者と、それからその集められた荷を分荷——荷を分ける——ということ、それからさらに評価——値段をつけるということ——その分荷と評価をもっぱら担当するという仲卸業者、この二つを中核にして形成されておりまする関係上、卸売市場制度のあり方とすれば、やはりいま申し上げました卸売り業者、仲卸業者を中心にして取引の改善を行なわせていくべく指導をしなければならない、このように考えております。  ただ、仲卸業者の直荷引きの点については、一つ規定が明らかに設けられたわけでございます。従来は仲卸業者の機能とか、それから仲卸業者に対する業務規制とかにつきましては、法律に規定がなかったわけでございますけれども、今回御制定いただきました卸売市場法におきましては、仲卸業者が、いま申し上げた分荷なり評価について非常に大きな役割りを果たしておるということをお考えいただきまして、仲卸業者の機能を明らかにするような規定を置くとか、それからさらに、仲卸業者の行ないます業務に対しまして一定の規制を加えるといった規定も置いていただいたわけでございます。それで、私どもといたしますれば、そのような制度のもとに、この法が期待いたします仲卸業者の使命を十分達成させるために、仲卸業者の規模の拡大とか、経営の健全化とかを推進してまいる必要がございますので、その点は今後も一生懸命やってまいるつもりであります。  それで問題は、その直荷引きの点でございますが、これはまさに仲卸業者の業務の規制に関する規定といたしまして、法律の四十四条に規定がなされたわけでございます。そして、この点につきましては、四十四条には、一定の場合、すなわち卸売り業者から買い入れることが困難な場合であって、その市場におけるいま申し上げましたような卸売市場本来の取引の秩序を乱すおそれがないというふうに開設者が認めました場合には、個別に一定の手続をとりまして直荷引きができるという道が開かれたわけでございます。  そこで、私どもといたしましては、先ほど申し上げました卸売業者、それから仲卸業者両者の協調のもとに、中央卸売市場の本来の機能、すなわち消費者の欲する荷を必要なだけ取りそろえて、それをできるだけ安定的な価格で消費者にお届けする、こういった集荷、販売の機能を中央卸売市場が果たしていく際に、そのような中央卸売市場機能の充実をはかるといったような観点から、いま申し上げました四十四条につきましては、適切な指導を今後開設者、すなわちこれは東京都とか、大阪市ということになりますけれども、そのような開設者に対しまして十分指導してまいる考えでございます。いま新法制定直後でございまして、いままさにそのレールづくりをやっておる最中でございます。それが第一点でございます。  それから第二点の卸売り業者の手数料の問題でございますけれども、この点につきましては、私どもといたしましても流通コストの軽減ということが非常に重要な問題であるということは痛感いたしております。ところで、その卸売り手数料でございますが、これは卸売りに必要とする経費を基礎にいたしまして、過去幾多の歴史的な経過をたどって今日の手数料制度が実現されておるわけでございますが、この卸売り手数料は卸売り業者が出荷者に交付いたしますところの出荷奨励金といったようなものとか、それから買い受け人に交付いたしますところの完納奨励金といったようなものとか、種々の奨励金と密接な関係がございます。そこで、私どもといたしますれば、この卸売り手数料につきましては、そのように関連する諸経費との関係につきましても十分念頭に置きまして、今後、計画的な出荷ができるように、それから生産者もちゃんと手取りが確保できるように、それからさらに、卸売り業者の財務も健全なものであり得るようにといったような、いろいろな観点に立って手数料のあり方につきましては総合的な検討を行なっていくこととしております。これが第二点であります。  それから第三点の小売りの大型化の問題でございますが、この点につきましては、確かに生産者から卸売り市場、それから小売り業者、それから消費者というふうに一連のパイプでつながっておるわけでございますので、卸売り市場の整備だけをやったのでは事足らない。そこで、小売りの大型化等につきましても今後とも積極的に取り組んでまいらなければならないと、このように考えておる次第でございます。
  114. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 最後に一問お願いいたします。  現代の流通機構には私は限界があると思うのです。そういう意味で今後新しい体系を考えていらっしゃるかどうかという点でございます。また、もう一つ、これは消費者のあり方も考えなければなりませんけれども、全部冷凍で、少なくとも大衆魚ぐらいは流通させてはどうかという考えでございますが、この点いかがですか、以上お願いいたします。
  115. 田中慶二

    説明員(田中慶二君) ただいまのお話しでございますが、魚につきましては、いわゆる冷凍という手段がございまして、これによりまして流通の合理化が今後かなり大きく見込めるということを私どもとしても期待をしておるわけでございます。最近におきましては、大体小売り段階まで冷凍の形で来るというものも漸次ふえてまいりました。また一方においては、まだわずかではございますけれども、いわゆる冷凍食品、三枚におろしたものを冷凍にいたしまして、コンシューマーパックをして、消費者がうちに持って帰って焼きさえすればいいという形のものも出てまいっております。しかしながら、この冷凍につきましてはまだいろいろ問題がございまして、たとえば冷凍の温度等につきましても、常にマイナス四十度を維持しないと、それを途中の段階でマイナス二十度なり、マイナス十度にしてしまいますと、その中の一部が解けてしまって、それをまた四十度のところにもつていきますと、それが凍って、かえってまずい魚になるというふうなこともございまして、流通の経路を整備するということが非常に問題でございます。そうして、先ほど申しましたように、それをできるだけショートカットいたしまして、小売りまで持ってまいりまして消費者とつなぐという場合におきましても、消費者の段階におきまして、かなりそういうものを保存できるだけの設備を整えていくというふうなことも必要でございます。それと、一方におきましては、やはり現在のああいう魚屋の店頭で調理をしたものを三枚におろす、あるいは切り身にしてもらったものを喜んでいただけるということが、いま少し冷凍のほうになじんでいただくというふうな時期も待たなければ、なかなか現在の段階におきまして、私ども検討をし、あるいは業界の方を呼んで御相談を申し上げるのですけれども、現在はまだその端緒が見えてきたという段階のようでございます。私どもといたしましては、やはりこれが一つの将来の流通機構の改善をし、あるいはまた価格を安定するという道のかなり有力な手段であろうというふうに考えております。今後ともいろいろの業界の方等とも相談をいたしまして、こういう方面を強力に進めてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  116. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 それでは最後に、流通対策本部というようなものをぜひつくって、一省でなく、政府の総力をあげてこうした問題の解決に当たっていただきたいということを強く希望いたしまして、質問を終わらせていただきます。
  117. 長屋茂

    委員長長屋茂君) 田代君。
  118. 田代富士男

    田代富士男君 きょうの委員会は、朝から始まりまして現在一時半でございます。理事会の申し合わせでは、長官には申しわけないけれども、昼御飯を抜いて審議に参加していただく、そういうことでございましたが、私、いまさっきから長官のお顔を見ておりましたら、昼めしを抜いてはどうかと思います。人間性を尊重する上からも、ここで十五分ぐらいの間に食事を済ませることができると思いますから、私、食事をしていただきたいことをお願いする次第でございます。時間もあとありませんが、できるだけ私も集約して質問いたしますから、とりあえず委員長にもお願いしまして、十五分だけ休憩をお願いしまして、長官に食事をしていただきたいと思うのですが、いかがでございましょうか。
  119. 長屋茂

    委員長長屋茂君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  120. 長屋茂

    委員長長屋茂君) 速記を始めて。
  121. 田代富士男

    田代富士男君 長官、まことに申しわけございません。できるだけまとめまして、いたします。  朝からもいろいろ審議されてまいりまして、現在、円の切り上げあるいは不況をいかにして回避するかということで、政府当局といたしましても刺激政策をおとりになっていらっしゃいます。これはやむを得ないことじゃないかと思いますが、しかし、その中にありまして、私は政府の姿勢がわからないわけではありませんが、国民生活に一番密着いたします物価の安定という面が非常に薄らいできた感じをいたします。というのも、御承知のとおりに、国債発行にしましても、公共事業の拡大にいたしましても、あるいは補正予算、あるいは四十七年度の予算に対しましても、これは節度ある運営をやっていかなければ再び物価高を招くのじゃないか、これを心配しておるのは私一人じゃないと思うわけなんです。こういうときにあたりまして、政府当局は総需要の適正化ということに対してどのようにお考えになっているか、まず最初にお尋ねしたいと思います。
  122. 木村俊夫

    ○国務大臣(木村俊夫君) 非常に景気が落ち込んでおりましたところへ、まあその間、七月ごろから景気の回復過程に移ったとたんに、またドル防衛措置でございます。たいへん国内経済活動が停滞しております。それが、企業活動、また企業に従事しておられる方々のいろんな所得にも悪い影響を及ぼしてくる。また、まだ、さして顕著ではございませんが、あるいは失業とか、あるいは帰休というようなところに及ぼしてくることを非常におそれたわけでございますが、いずれにしろ、ある安定した経済成長をたどるということがわが国経済の健全な発達のためにどうしても重要であるという考えから、御承知のように、相当思い切った景気対策に移ったわけでございます。しかしながら、いま御指摘のように、これがインフレ要因に結びつくようなことではならないというような戒心は常に持っております。そこで、現在の景気の落ち込み方から申しますと、いま政府が考えておりますいろいろな景気浮揚対策措置によって、これが直ちにインフレに結びつくような懸念はまず私どもはないと、こういう見通しでございます。したがいまして、たとえば、これが卸売り物価にどういう影響があるか、もちろん、現在卸売り物価は非常に鎮静しておりますのみならず、これが下がりぎみでございますが、問題は消費者物価に対する影響はどうかということでございまして、やはり私ども考えますと、どうもこの消費者物価が景気停滞にかかわらず上がりぎみである、むしろ上がりぎみであるどころか、非常に増勢をたどっておるということは、あながちこの景気対策そのものが、また景気そのものが消費者物価に必ずしも同じように結びついていないということを示しておる一つの傾向ではないかと思うのですが、消費者物価対策につきましては、この景気対策との関連において、当然これがインフレ要因になることを絶えず警戒いたしますとともに、消費者物価の別の統制に対する——その原因については今朝来いろいろと御質問なり、私どもからの意見を申し上げたような、また別の意味のこれに対する物価対策を強化することによってこれの政策効果をあげたい、こう考えておるわけでございます。  いずれにせよ、われわれ経企庁といたしましては、景気はこれは浮揚させなければならぬ、それによって安定した経済成長路線を持つことが、国民経済にとっても、また、ひいては勤労者の方々にも、これはプラスであるという考え方と、またあわせて、これが八項目の実施におきまして、御承知のとおり、これがたとえば輸入対策その他の強化をあわせ用いることによりまして物価を安定させる要因にも結びつくわけでございます。あの八項目の中には、景気浮揚対策と同時に、国内の消費者物価の安定にも資するような項目が含まれておることは御承知のとおりでございます。まあ、総じて、私どもは一景気を浮揚させることによって経済安定をはかるとともに、あわせて、これがインフレ要因につながって消費者物価を押し上げることがないように、慎重な政策体系でもってまいりたい、こう考えておる次第でございます。
  123. 田代富士男

    田代富士男君 いま、長官から、いろいろ対策を講じていくと、そういう御決意のほどをお聞きいたしましたが、御承知のとおりに、不況を避けるために一部で不況カルテルなどの結成が相次いで取り組まれようとしております。これは、そういうことも考えられますけれども、そういう意味から、産業界では独禁法をもっと緩和しようということが主張されております。これと、まる反対に、いま長官も申されましたとおり、八項目の中に輸入対策として物価の安定をはかろうとされまして、輸入の自由化のメリットを国民は望んでおるわけなんです。そういう意味から、独禁法というものに対しましては強化を叫んでいるわけなんです。まあ、管理価格なんかによって価格の硬直化を避けなくちゃならない、これが一般大衆の声じゃないかと思うわけなんです。この両方の言い分がございますが、これはいろいろ意見もあるかと思いますが、基本姿勢として、政府は今後この両面の問題にどのように取り組んでいかれるのか、その点をお願いいたします。
  124. 木村俊夫

    ○国務大臣(木村俊夫君) いま公取委員長がおりませんが、いま御指摘のとおり、管理価格、または御指摘はなかったんですが、再販価格、これはいろいろ国内的にも問題になっております。そこで、経済企画庁といたしましては、この問題はたいへんむずかしい問題でもございます。まず、管理価格についても、まだ実態調査が明らかにできておりません。いま、私どものほうで、物価安定政策会議の作業部会で、まず管理価格の実態調査を急いでもらっております。この調査が、もうやがてでき上がると思いますので、その結果を持って公取委員会と慎重にこの問題を検討してまいりたい、こう考えております。
  125. 田代富士男

    田代富士男君 もう一度ちょっとお尋ねいたしますが、消費物価が値下がりする一つの要因といたしまして、輸入自由化政策をとっているということは、ただいま長官がお話しなさったとおりでございますが、しかし、現実には現在消費者物価はどんどんと上がっております。そうした場合に、大幅な値上がりを示しておる現在の状況でございますが、輸入の自由化に対しまして、生産者保護のためにこれをとっていかれるのか、消費者保護のためにとられるのか、この点をもうちょっと明快にしていただきたいと思うんです。
  126. 木村俊夫

    ○国務大臣(木村俊夫君) 輸入の自由化と申しますと、やはり生産者保護にはならないと思います。したがって、それに対して、また別個の見地から、国内でそういう生産者に対する保護政策は、これはたとえば農林省、通産省でお考えになっていると思います。しかし、それが輸入を自由化したからといって、直ちに生産者保護のために関税を設けるとか、そういうことがあっては、政府政策としては一致を欠いておると思いますが、その面については、できるだけひとつ関税措置、これを並行しないということで、私ども政府部内で意思を統一いたしております。また、いま御指摘のように、これはもちろん輸入対策物価安定効果をねらうものでございますから、消費者保護の見地から行なうべきものでございます。ただ、先ほども柏原さんの午前中の御質問にもありましたとおり、どうも輸入の自由化によって物価安定に及ぼす効果が、あるいは加工段階、あるいは流通段階で減殺されるという傾向が非常に強いということは、いままでの経験でもございますが、この面について私どもは監視を続けると同時に、その流通段階において実績調査もして、これにメスを入れなきゃならぬ、こう考えておる次第でございます。
  127. 田代富士男

    田代富士男君 それから、この不況下の物価高を避けるためには、朝からもういろいろ審議されましたが、これは思い切って公共料金の据え置きをやらなければならないというようなことになるんじゃないかと思うんですが、政府が日ごろから主張されます受益者負担というような原則で、これをたって進めていくならば、どうしてもこれは公共料金の値上げをたどっていく道を歩まねばならないと思うのです。そこで、私は応能負担にすべきである。そしてこの公共料金の値上げの道を、私は少しでもこれを防ぐべきじゃないか。政府としましては、受益者負担の基本姿勢であり、原則でありますけれども、応能負担のこの方法を導入する考えがあるかないか、その点ひとつお願いしたいと思います。
  128. 木村俊夫

    ○国務大臣(木村俊夫君) 私の考え方は、公共料金の問題についてもちろん従来政府がとってきた、極力これを抑制するという態度は、これはくずしたくないと思います。ただ、公共事業といえどもやはり企業採算に基づく事業でございますから、その事業の成り立つようにしてやらなければならない、これはもう経済の合理性からくる当然の原理でございますから、したがって、その経営者自体がたいへん安易な経営態度をとることによって事業の合理化を怠るということから生ずる事業の欠損、その他については、これはもうきびしく政府としてもこれに対応しなければなりませんが、ただある時点において、どうしてもあらゆる方法、合理化努力にかかわらず、その企業、公益企業、あるいは公企業が成立しないという場合には、これまた考えていかなければならぬと思いますが、その際に当然考えなければならぬのは、単なる受益者負担の考え方ではいけないんであって、当然財政負担と申しますか、そういうものとあわせて考えていくべきではないか。特に、先ほどからお話がありましたとおり、もうわが国の国力もここまでまいりましたし、相当財政面でも明るくなってきた今日でございますから、資源の配分という面からいいましても、財政的措置を相当強化することによって受益者負担の原則は貫かれなければなりませんが、その配分というものを調整して考えていくべきではないか、こう考えております。
  129. 田代富士男

    田代富士男君 そこで、一つ具体的な問題といたしまして石油の値上げの問題が現在取り上げられております。日本の石油業界は変動相場制によりまして、実質的な円切り上げによりまして、年間一千百億円から一千三百億円くらいの為替差益があると、こういうふうに伝えられておりますが、御承知のとおりに、今回、国際石油資本二社がイラン、サウジアラビア産の低硫黄原油を一バーレル当たり平均五%値上げをするというような、そういう通報があったそうでございますけれども、御承知のとおりに、ガソリンは今春値上がりしたところでございます。五十円から五十八円となりますと、パーセントにしまして大体一七、八%かの値上がり、その他ナフサ、灯油等も一〇%近く値上げになっておりますが、ここで石油だけをもしも値上げしたならば、いまも申し上げました公共料金全体の便乗値上げということが考えられ、波及するおそれがあるわけなんです。で、幸い、九月三十日でございましたか、田中通産大臣が、灯油やプロパンガスの価格の問題につきまして、値上げした店はみんなでボイコットしてください、役所に通報していただいてもけっこうですというような、そういう意味のことを消費者代表に話をされた、それが新聞にも一部出ておりました。そこで、先ほどから五%の値上げというものがきまったとしても、その値上げ分は、私は為替の差益金で吸収できるんじゃないかと思うわけなんです。そういうわけで、他の公共料金の値上げもとめるという、波及を避けるという立場から、私はこの問題をとめるべきじゃないかと思います。これはまあ経企庁長官とあわせまして通産省の管轄にもなると思いますけれども、通産省のほうと長官の、物価が他に波及するおそれがありますので、この点に対してのお考えをお尋ねしたいと思います。
  130. 荘清

    説明員(荘清君) 私からまず事実関係について御説明をさしていただきます。  いま御指摘のございましたメジャースのうち二社、これはエッソとモービルの二社でございますが、これが最近若干の値上げ通告をしてきたという話でございますが、この値上げは私ども調査もいたしておりますが、非常に特殊な値上げであったと判断いたします。と申しますのは、エッソとモービルはわが国にその系列の石油精製企業を三社持っておりますが、その三社に対しましてのみキロリッター当たり約百十円程度の値上げを十月から行なうという通知をしたわけでございます。エッソ、モービルは他の石油企業に対しても原油を供給いたしてはおりますけれども、その方面に対しましては全然値上げの気配を見せておりません。エッソ、モービル以外にも、わが国は御案内のとおりカルテックス、シェル、ガルフ等、巨大石油資本からほとんどの原油を供給されておるわけでございますけれども、そのほうのメジャースはそれぞれの取引先に対して一切値上げの態度を示しておりません。つまり、メジャースのうち二社だけが従来若干ディスカウントして原油を供給しておった自己の日本における提携先に対しまして、ほか並みの値上げにいよいよ踏み切ったということであると判断いたしております。したがいまして、その提携先の三石油企業を含めましてわが国の全石油精製企業の取得ずる原油の価格というものは、全体として現在の水準にとどまるわけでございますから、今回のエッソ、モービルの通告によって石油精製企業の卸価格というものはいささかも変更あるべき筋合いのものではないと判断いたしております。そういう見地に立ちまして今後も指導をする所存でございます。  なお、灯油等の問題もお話がございましたが、この点につきましては、先ほど経企長官からお話があったとおりでございまして、重油等の値上がりという問題も生じておりますけれども、通産省としても火力発電所のコストが燃料費分だけは上がるわけでございますけれども、現在のところ電力企業全体の中で当然にそれは吸収して、公共料金たる電気料金にはいささかも反映すべきではないという態度で臨んでおるわけでございます。
  131. 木村俊夫

    ○国務大臣(木村俊夫君) 事実関係はいま通産省から御説明いたしましたとおりでございますが、いまの二社の問題についてはそういう特殊な問題があるようでございます。当然為替差益があって、むしろ引き下げるべきではないかというような国民感情もあるようでございますが、もうすでにOPECで引き上げた分を引き上げないで据え置くということは実質的な引き下げである、こういうような立場もとっておるようでございます。まあいずれにせよ、この灯油については、これを引き上げないということは通産大臣との間に約束ができております。
  132. 田代富士男

    田代富士男君 まあいま両省からの見解をお聞きいたしましたけれども、こういうガソリンの値上がりに対しまして、便乗値上げということを一番心配しておりまして、ガソリンのためというわけではありませんが、東京都を中心とした大手民営の九社がバスの料金を一気に六六%ですか、値上げをしよう、現行一区間三十円を五十円に値上げしよう、こういうように大手民営九社が実行しようとしておりますけれども、もしもこれが実施されるとするならば、これはいまから論議されております公共料金だとか、あるいはタクシー、あるいはトラックの運賃、こういうものにも私は響いてくるのじゃないかと思いますし、この際タクシーの料金につきましても、いま新聞にも出ておりますが、今月下旬にも認可されるのじゃないかと、六大都市のタクシーについては。こういうわけで、いま国内は不況におちいって、それに件う物価高に拍車をかけるようなことになりますから、長上百といたしましても真に物価安定というものに力を入れたいというものであれば、ここで公共料金、あるいはタクシー、トラック、こういう種類、こういうものに対する値上げは、もう昨年来から公共料金は据え置くという強い姿勢も示されておりますから、あらためて強い姿勢を打ち出すべきじゃないかと思いますけれども、この点いかがでございましょうか。
  133. 木村俊夫

    ○国務大臣(木村俊夫君) タクシー料金、これについては午前中お答えいたしましたとおり、とにかく業界の近代化と申しますか、事業の合理化、あるいは特に市民の感情をいろいろ刺激しております待遇改善の面で実効があがっていないということを踏まえました、そういう面で実効があがらざる限り、経企庁としてはこれには同意はできないということを運輸省にあらかじめ言っております。ただ、これをほうっておいて企業が壊滅する、それによって住民の足が一体どうなるだろうかというようなこともあわせて考えなければなりませんので、そういう面につきましてはもう少し運輸省とそういう事業の改善、あるいはこれに対して企業のいまの急場をしのぐためにある融資が必要ならば、そういう緊急融資措置も考えていろんな点と総合してしかるべき態度をきめたい、こう考えております。
  134. 田代富士男

    田代富士男君 ぜひともひとつ運輸省と連絡をとっていただきまして強力に推進していただきたいと思います。  そこで、物価安定をはかるには物価政策のポイントは何といいましても、食料品の安定をはかるということが一番のポイントじゃないか、こう思うわけでございますが、いまの施策を見ておりますと、従来から農業の保護ということを第一義にされまして、この食料品等の価格の面に対するそういう対策ということが私はどうも薄いんじゃないか、このように思うわけなんです。  そこで、さっきから長官が、あらゆる面からも、財政的な面からも今後取り組んでいく、そういうような話もさっきからなさいましたところでございますから、政府の財政負担によりまして、食料品すべての価格の安定をはかっていくべきじゃなかろうか。そういうわけで私は今後財政負担をどのくらいずつ物価安定につぎ込んでいただけるか。その点、決意のほどをお聞かせ願いたいと思うわけなんです。
  135. 木村俊夫

    ○国務大臣(木村俊夫君) 戦後、主食の確保ということが一番最大の国民生活安定上問題でありました。そういうような政策で進んでまいりましたが、だんだん国民の生活程度も上がりもし、また主食に関する主食の確保という面でもどうやら安心のできる段階になりました。今後は国民のそういう副食物、そういう問題でもう少し国がこれに本腰を入れるべき時期じゃないかと思います。したがいまして、来年度の予算、これはただ経企庁だけでできる問題じゃありませんので、特に蔬菜、野菜関係、あるいは魚介類の安定確保という面について、農林省がこの財政的な予算の問題でいろいろ努力をされる面につきまして、十分、経企庁としてもそれに補てんをしていきたい、こういう決意でおります。
  136. 田代富士男

    田代富士男君 あと質問がずいぶんありますが、二時までという約束で、あと五分少々でございますから時間がございません。で、朝からもいろいろ審議されてまいりましたけれども、八月十六日のニクソン大統領のあの発表以来、国内景気というものは悲観的なものにおおわれておりまして、商品市況を見ましても明るい材料は決してありません。また生産面を考えましても減産を再開するというような業種がふえてきております。また輸出の成約が変動相場制によりましてこれはストップしている。こういういろいろな問題が山積しておりますが、そういう問題に対しまして、政府は九月二十三日、当面の中小企業対策といたしまして、中小企業に対する融資等の実施を発表されました。商工中金七百五十億円、中小金庫四百億円、国民公庫三百五十億円とか、当座の対策としてそれ以外いろいろな施策を講じられております。ところが、地方の公共団体となりますと、そういう効果というものが薄らいでおります。そこで私はここでまとめて、時間がありませんから、こういう施策を講ずべきじゃないかと思うのですが、まあ、これはおもに通産省に関係していますけれども、今回の国際通貨危機に対処して、中小企業の輸出取り引きが円滑に行なえるよう為替差損による損失補てん融資金制度などの措置を講じていかなければならない。次には、滞貨資金、減産資金、連鎖倒産防止資金などを必要とする中小企業に対して、緊急に長期低利融資を大幅に拡大しなくちゃならない。そのために政府系中小企業金融三機関に対する特別融資ワクを設定すること。次には、輸出減退による過剰設備並びに、やむなく転廃業せざるを得ない中小企業の設備については、国による設備の買い上げを行ない、転廃業に必要な資金については長期無利子の資金融資を大幅に行なってもらわなければならない。次に、総合的景気浮揚策を確立するとともに、官公需の中小企業向け契約ワクを少なくとも前年度より五〇%以上に拡大しなくちゃならない。次に、今回の為替変動の影響を受けるすべての中小企業に対し、法人税、事業税の繰り延べ措置を講じなければならない。また、下請企業への不当なしわ寄せを防止するため、不当な単価の切り下げ、下請代金の支払い遅延などに対して、行政機関による厳重な監督を実施していかなければならない。  こういうような、いま申し上げました私からの要望でございます。というのは、どうしても中小企業を守らなければならないということは、御承知のとおり、いま日本の従業員のうち三分の二は中小企業の従業員です。また生産品の五〇%は中小企業の生産品です。こういう人々の汗と努力のたまものによりましてGNP世界第二位という、こういう業績をつくりあげてきた、その人たちのためにも、こういう面を私はやっていただきたい。GNP世界第二位、これは非常にありがたいことでございます。一面から考えるならば、りっぱな業績ですが、現在のような不況を迎えた今日、このいまの不況を打開するには、GNP世界第二位という立場がかえってマイナスの面を招いたというような感も受けている。そういう意味から、私は中小企業に対しまして、これが対策を講じていかなければならないし、そういうGNP世界第二位ということもよかったけれども、それがマイナス面が出てきているし、そうしてことしの実質成長率は一〇%内外とみえておりましたけれども、四%ないし五%に下がりつつある。最終的にはどこで落ちつくかわかりませんけれども、そうした場合に、日本のこの基盤といいますか、機構というものがくずれていくような日本の体質を今後どうやっていくか、こういう面から、そういったすべてに、時間がありませんが、総体的に長官と通産省にお尋ねしたいと思います。
  137. 木村俊夫

    ○国務大臣(木村俊夫君) いまいろいろ中小企業についてお話がありました。大体、先月二十三日に閣議で決定いたしましたこのドル防衛措置に対処する輸出関連の中小企業に対する緊急対策に盛られているようでございますが、もちろん足らざるところは、情勢の変化に応じて政府としても強化をしていきたい、こう考えておるのであります。
  138. 西田彰

    説明員(西田彰君) ただいま長官から答弁がありましたように、先生がいま御示唆になりました諸項目は、大部分、今回の閣議決定で政府としましても取り上げたところでございますが、なお、これまでに講じました措置以外にも、いま先生の言われました点で、私どもに非常に示唆に富む点も多々ございますので、その方向で今後の対策を講じてまいりたいと思っております。
  139. 田代富士男

    田代富士男君 だから、いま私が項目を羅列いたしましたけれども、それと同時に、あと申し上げましたとおりに、GNP世界第二位まで業績を示したということは、これは、一面は業績であるけれども、それが現在のこういう不況がくるということは、当初、だれも予測しなかったと思いますけれども、これがいま壁になっているのではなかろうか。そこで、また、成長率一〇%と見込んでいたのが五%前後に落ちつくというような、そういうような内因というものを、今度は日本体制日本の機構をどうするかというその打開策、その点についてはどうかということを、最後に時間がなくて割愛しましたから何でございますけれども、そういう点を総体的に今後どう取り組んでいくかという、そういう点に対する御答弁をお願いしたいと思います。
  140. 木村俊夫

    ○国務大臣(木村俊夫君) 先般、私どものほうで出しました経済白書、この副題が「内外均衡達成への道」、こういう副題をつけております。まさに、いま田代さんが御指摘になりましたとおり、いわば過ぎたるは及ばざるがごとしということで、やはり、国内的にも、また対外的ビヘービアと申しますか、いままでの政策的反省をも込めまして、国内的、国外的、国際的にも均衡を達するような政策を今後推進していくという考え方でございます。
  141. 西田彰

    説明員(西田彰君) 今回のドル・ショックというような事態が起きまして、いままで中小企業に内在しておりましたいろいろな日本の中小企業の持ちます弱みというものが、はしなくもここにあらわれたわけでございまして、先生御指摘のように、こういった問題は応急措置で、緊急融資等のただ時間かせぎの措置だけではなくて、基本的に、構造的に直していかなければいけないということは先生御指摘のとおりでございますので、私どもといたしましても、従来の立ててまいりました政策、体系を反省いたしまして、特に国際的になってまいりましたわが国の経済におきまして、この国際変動にたえる中小企業の体質というものを形づくっていくというところに重点を置かなければならないかと思います。  なお、先生も御指摘になりましたような中小企業の転廃業対策と申しますか、むしろ、私どもは事業転換というような方向においても流動的な中小企業体質というものを考えていかなければならないかと存じまして、そのほうも鋭意検討をし、また今回の政策にもその一端を盛ったような次第でございますので、今後ともいろいろな市場の動きに応じて、これに対処し得る中小企業というものを形づくっていくようにいたしたいと思います。
  142. 長屋茂

    委員長長屋茂君) 中沢君。
  143. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 朝からずいぶんいろんな委員が次々御質問をされたわけですが、私は、きのうの新聞にこういうことが出ておりました。「政府の資源白書を読むと、こういうことが書いてある。石油、鉄鉱石など主要資源の過去五年間の需要量の伸び率は、日本世界一であること。輸入全体のなかで占める資源輸入の割合でも、日本世界一の資源輸入国であること」、まあこういうようなことが次々書いてありまして、「日本が公害国世界一になった由来も、この資料でよくわかる」、こういうふうに書いてあるわけですが、私はまだこの資源白書というのを読んでおりませんけれども、特に、その中で、「自国保有資源がなく、極端な他国依存であるところからくる日本経済の土台の弱さを、この白書は強調している。代表的な例が石油で、この春、産油国の原油価格引上げ分を、わが国は国際石油資本から全面的に転嫁され、結局、そのツケはすべて消費者がかぶった。」、こういうふうなことがここに指摘されているわけですが、そのような中で、今日までの日本経済は成長第一主義であったと思うんです。つまり、成長第一主義であったということは、とりもなおさず、輸出第一主義であったと思います。そういうときに今度のドル・ショックが、あるいは課徴金の問題、それから円の切り上げの問題など、次々といまの日本経済のこうむっている問題がたくさん出てきているわけですが、これを契機にして、ある意味では日本経済の構造の転換をなすべき時期ではなかろうかと、このように考えますが、長官の御意見をひとつ伺わしていただきたいと思います。そして、いままでは国民生活は輸出第一主義あるいは経済第一主義のもとで、経済に奉仕をさせられて、相当犠牲をこうむってまいりました。ですから、これからはこれを機会に国民生活第一主義に転換をしてもらって、そしてほんとうに国民生活を守っていただきたい、このように考えるわけですが、長官の御意見をまず伺わしていただきたいと思います。
  144. 木村俊夫

    ○国務大臣(木村俊夫君) 私も全く同一意見でございます。したがいまして、いままで終戦後食うものも食えず、着るものも着れず、ああいう状態から一日も早く脱しようという、国民の勤勉と、この国の民族的バイタリティがここまで押し上げたと、こう思います。その間におきまして、当然わが国の置かれた地形、あるいは非常に原料資源の乏しいわが国といたしまして、どうしても資源輸入第一主義にならなければならない。したがって、また加工してこれを輸出することによって国の経済力をつけていく、また輸出第一主義にならざるを得ない。これは一つの宿命的な過程であったと思います。しかしながら、それを続けておるうちに、先ほどちょっと申し上げましたとおり、国内的均衡の面におきましても、また対外的な均衡の面においても非常にいろいろ難点が出てまいりまして、ついに壁にぶち当たったというのが昨今の状況でございます。したがいまして、こういうような国の進み方、あり方を大いに政策的にも反省をいたしまして、もういまやわが国としては、御承知のように、民間設備、あるいは輸出第一主義から、あるいは経済成長第一主義から当然これは大きく転換いたしまして、財政公共主導型、また、ある意味におきましては国民生活を最優先させるというような政策に切りかえるべき時期がきていると、こう考えておりますので、全く同一意見でございます。
  145. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 特に公害問題や物価問題で、ずいぶん国民生活は、何といいますか、被害をこうむっているわけです。きょう午前中に社会党の鈴木委員からいろいろ野菜やなんかを持ち込まれまして御質問がございました。それに対して長官は、いままでの中途はんぱなやり方を改めて、思い切った政策をやるべきだと、たいへん強い決意をお述べになったわけですが、もしもこのまま生鮮食料品の値上がりがずっと続きますと、私ども家庭を預かる者にとりましては、一体ことしの年末はどうなるのだろう。年末を越えたらまた一昨年のお正月のように大根が一本二百五十円も三百円もするような、ああいう時代がもう一ぺんくるのじゃなかろうかということで、年末年始の物価の問題をたいへん家庭の主婦たちは心配しているわけです。ですから、どうか先ほどの御決意を述べられたことが空文ではございませんように、ひとつほんとうに一生懸命にこの問題をやっていただきたいと思います。特にこの間、九月の八日から十一日まで、私ども第一班の物価対策特別委員会のメンバーが兵庫県と大阪に視察に参りました。そこでもいろいろの問題を私どもは聞かされてまいりましたし、また感じてもまいったわけです。特に後ほど公取の委員長にも御質問を申し上げますが、今度、兵庫県の生活科学センターで陳列をされておりました中に過大包装の問題があるわけです。私どもはいまの「天声人語」にも書かれておりましたように、石油の問題は結局は消費者にツケが回ってきた、こういうふうに書かれておりますけれども、この過大包装の問題一つ取り上げてみましても、どうしても発泡スチロールの包装は改めていただくわけにはいかないのだろうか、そういうことが行政指導できないものだろうか、私どもがいろんなものを買いにまいりますときに、ああいうふうな過大包装に包まれておりますと、ずいぶんりっぱに見える、それであけてみれば小さなものしか入っていないというようなことで、たいへん消費者はごまかされやすいものでございます。また、消費者にも一つの難点がございまして、何か包装がりっぱであれば、よそに差し上げるものもりっぱに見えるんじゃないか。内容よりも外観のほうに多少心引かれるというような弱点もございます。そこら辺が巧みにつかれているわけでございますけれども、まあ考えてみますれば、最近は新幹線で通ってみても、そこら辺を自動車で歩いてみても、大半の自治体の一番問題は、私はごみの問題だと思うのです。どこにもごみが捨てられて、それが片づいていない。あるいはせっかく焼却炉をつくってもそれで処理がしきれない。ずいぶんこのごみの処理の問題にも頭を悩ましているのが現状ではなかろうかと思います。一つもこの過大包装で得るところがないと思うのです。何とか消費者教育もしなければなりませんけれども、この石油の問題からも発泡スチロールというものはやめていただく。そして公害を一つでも減らしていきたい。同時に、私どもがものを買いに行きまして、ずいぶん大きなものを持って帰るその労力も——このごろデパートでは送ってくれるわけですけれども、普通の店ならわれわれが持って帰らなくちゃいけない。まあこういうような点で何とかしてこの過大包装を追放してほしい、こういうふうに私どももいつも考えておったわけです。この間、神戸ではその陳列がされておりました。さらに目で見さしてもらって、いよいよこの過大包装は何とかしなくちゃいけない、こういうようなことを考えたのです。そこら辺の行政指導といいますか、いままでどのようなことになっていたか、そこら辺をひとつ聞かしていただきたいと思います。
  146. 宮崎仁

    説明員(宮崎仁君) ただいま御指摘の問題、まことに御意見のようにわれわれも感ずるわけでございます。この問題につきましては、御承知のように、消費者行政の問題としていろいろ議論にもなっておりますし、最近では特にいま御指摘もありましたようなごみ処理の問題というようなことに関連いたしまして、何とかその辺の合理化も考えなければなるまいというようなことも各省の間で議論になっております。しかし、まあ何と言いましても、消費者の選好ということが、なかなかこういう面につきましてはわれわれが考えるように簡単に合理化していくという方向には進まない面もあるようでございまして、アメリカあたりでも最近非常にこういった問題について、ニクソン大統領みずからいろいろ声をかけたり何かして運動が行なわれておるようでございます。われわれといたしましても、そういった面で今後とも通産省なり、それぞれ各省と協力をいたしまして、できるだけこういう面の合理化ということが、消費者の御協力も得ながら行なわれるようにいたしていきたいと考えておりますが、現状は御指摘のようになかなかうまくいっておらぬというのがほんとうのところだと思います。
  147. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 いまの問題はそれだけではなくて、各地方自治体はごみの処理に非常に困っているわけですから、これは何とか経企庁のほうで行政指導をやっていただきたい。これをやれば消費者も自治体もともどもに助かるわけですから、その辺のことを十分勘案されながら何とか強力な手を打っていただきたい。先ほども新聞を読みましたように、結局は資源を輸入して、そういうものから過大包装をつくれば、そのツケは結局消費者に回ってくる。そういうところにも私は物価の引き下げの一つのネックがあるんじゃなかろうかと、こんなこともこの間考えながら、きょう御質問申し上げているわけです。  それからもう一つは、先ほど竹田委員からも御指摘がありましたように、生鮮食料品にしても、そういったような問題にしても、生活協同組合というものが厚生省の生活課に属するのではなくて、もう何べんもこの生活協同組合の問題は佐藤総理大臣ともやりとりをした問題ですけれども、ちっとも私どもの思うように手が打っていただけない、こういうことで生活協同組合でも、この間寄ってみますと、とにかく物価の問題では生活協同組合が、特に兵庫県の生活協同組合、この生活協同組合というものはもう二十六万世帯も加入していて、ここが産地と直取引をやりますと、相当なものを一ぺんに一括購入しまして配給ができる。こういうことで灘神戸生協があるということで、阪神間、相当高級住宅地ですけれども、そこらの物価は全国に比べてみて、京浜地区あるいは京都方面に比べてみて相当あすこは安いところなんです。ですから、この生活協同組合の育成の問題についてもう少し経企庁かどこか、厚生省の一つの生活課でなくて所管をしていただいて、何とか生活協同組合を育成しながら消費者を守ってほしい、こういうふうに思うわけです。そこで、いま当面、生活協同組合の大きな要望としては、地域制限を撤廃してほしい、スーパーマーケットはどこへでも、あっちこっちにできているのに、なぜ生活協同組合だけ地域制限がつけられるんだろうか。これからはだんだん近畿圏だとか、いろんなことで行政区域が広がってまいりますね。そこら辺で川一つ隔てたら向こうはもう大阪府でこっちは尼崎だからということで、向こうの人が近くにあるのに買いにいけないでほかのところに行かなくちゃいけない。こっちの人はたいへん利益をこうむっているのに、川一つ、道一つ隔てただけで、もう向こうの人はその利益にあずかれない。こういうような不平が消費者の中にもあるわけです。いままでこっちにいたのに向こうに転宅をしたために、もう組合員の権利がなくなってしまう。こういうこともございまして、だんだん行政区域も広がってまいると思いますので、この生活協同組合の地域制限の撤廃を何とかお考えをいただけないものだろうか。これはただ生協の陳情だけではなくて、それは消費者、われわれの仲間からもそういう意見があることを御承知くださいまして、この問題に対するお答えをひとついただきたいと思います。
  148. 木村俊夫

    ○国務大臣(木村俊夫君) 一応所管は厚生省になっておりますが、健全な消費者運動の一環としてこれを育成していくことについては、政府としてもそのようにいたしたいと思います。いま、御質問のありました法改正による地域制限の緩和、これは次の通常国会で厚生省から法案を出すようでございます。したがいまして、その際には地域制限の緩和ということについて、私どもも十分協力してまいりたいと思います。
  149. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 それから次に、やはりこれも生活科学センターで展示してあったのを見て実は驚いたわけですけれども、小中学校の生徒が使う三角定木がありますね。この三角定木がみんな長さが違っている。たとえば一センチに刻むその刻みが多少ずつ狂っている。その実物を見せられまして実はちょっとびっくりいたしました。それで私もしょっちゅうこの中に線を引くのに、こういったような、これはどこかの見本でいただいたのですが、こういうものを持っておりますが、それによくこのごろパーティーにまいりますと、ここに花をつけるのがありますね。ああいうものもだいぶ正確ではなさそうなんですね。これは特に子供の使うものですから、私はやっぱり正確を期する必要があるんじゃないか。聞いてみますと、これは通産省の計量法の認可を受けなくてもいいんだ、こういうことを言われておりました。しかし、それはちょっとおかしな話でして、特に子供が使うものですから、これはさらにきびしい、何といいますか、計量法の適用を受けるべきじゃないかと、こういうふうに思います。それからもう一つは、壁に温度計がたくさんかかっておりました。私どももどうかするといろんなところで温度計を何か引き出ものみたいなものでいただくわけですが、いろいろデザインはほんとうにきれいになっています、卓に置くものやらかけるものやら。ところが、そこに置かれておりました温度計は全部温度が違っている。だから、そこの部屋の温度は一体十八度なのか十七度なのか二十度なのか、たくさん置いてあるのに全然わからない。これも通産省の計量法の適用を受けなくてもいいんだ、こういう話ですね。それからもう一つは、家庭用のはかりですね。どこのうちでもこのごろ台所によくはかりを置いてございます。そのはかりも、家庭用のものは計量法の認可を受けなくてもいいんだという話を聞きました。実はこれについてもたいへん笑えない話がございます。やっぱり物価問題を考えるときにはこの計量法をしっかりやろうじゃありませんかということになりました。ずいぶん皆さんが市場から肉を買ってまいります。五百グラムいま買ってきたのを家に持って帰ってきたら十グラム足りないとか、二十グラム足りない。いま相当肉は高いですから、たとえ十グラム減っていても、これは何ぼか損をしたというのでずいぶん消費者が騒いだことがあります。そのときには市場から買ってうちに帰るまでに血が落ちるんだろう、多少乾燥するんだろうといって、消費者団体がいろいろ言ったことがございます。ところが、これもこの間初めて家庭用はかりは計量法の認可の適用を受けなくてもいいんだという話を聞きまして、実は私もびっくりしたようなことがございますが、ほんとうに消費者を守る意味からも、これは通産省に申し入れをするというわけにいかないでしょうか。これをひとつ改正していただきたいと思います。
  150. 木村俊夫

    ○国務大臣(木村俊夫君) もう体温計でなくとも、そういうものが狂っておるということはたいへん消費者として不便なことでございますから、今度、消費者保護会議でこれを取り上げまして、次の通常国会に法改正をやるということになっております。
  151. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 それから、この間やっぱり視察に行ったときのことですが、生活科学センターに勉強に行っている生活促進グループという奥さん方のグループがございます。このグループの方々が、たまたま私どもが視察に行ったときに、おもちゃのやみ再販があるから、これを何とかしてほしいという強硬な陳情がございました。特に予定の時間を変えまして、約二十分ほど皆さんとお話をして、お話を伺ったわけですけれども、その後十月の一日の毎日新聞に、「おもちゃもやり玉」にということで、これは公取が立ち入り検査をしたという記事が載っておりますが、この記事だけでなくて、もしもいまおっしゃっていただいて差しつかえがございませんでしたら、もう少し詳しくこの問題を聞かしていただきたいと思います。
  152. 谷村裕

    説明員(谷村裕君) ただいま中沢委員のおっしゃいましたように十月一日に立ち入り検査をいたしました。それはおもちゃの製造業者及びその卸売り業者で構成いたしておるのでありますが、名前は流通懇話会というような名前をつけているようでございますが、そういうところで、まあおもちゃと申しましてもいろいろございますが、大もののおもちゃにつきましては、製造業者がそれぞれつけました小売り販売価格を末端でもひとつそれを維持してもらうようにというふうな申し合わせをして実施しているのではないかという疑いによるものであります。しかしながら、事件は、そういう意味でその端緒をつかんで立ち入り検査をしております段階でございまして、押収いたしました書類その他から、はたしてどういう実態になるかは現在調査中のものでございますので、この程度でお許しいただきたいと存じます。
  153. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 おもちゃというのは親にとって一番の弱みなんですね。子供にあれがほしいと言われれば、やっぱり買ってやらなくちゃいけないような、たいへん親に弱みがあるわけです。そういう中でこのやみ再販をやったり、子供用のプラモデルでありながら、おとながそれを一生懸命になってつくってみてもとうとうでき上がらなかったというようなおもちゃもあったり、それからいろいろ表に書いてある絵のとおりに、いま何といいますか、小さいいろんなはめていくのがあります。それが数が足りなかったりとか、いろいろなことがございます。特にあそこでびっくりしたのは、子供の着せかえ人形ですね、それを一つ買いますと、これは過大包装でした、中身は小さいんですが。それを買いますと、それから今度タンスが要ったりなんかしてだんだん大きいものがほしくなるようになっているわけです。それを全部そろえますと、おもちゃでも約十万かかると、こういうようなことが言われておりましたけれども、いまの貿易課徴金の問題やドル・ショックの問題で、おもちゃの製造業者というのは相当零細な業者だと思います。そしてまた、中には内職でやっているところもあると思いますので、このおもちゃの業界を私どもいじめたりなんかする意思はございませんけれども、そういうことですから、日本のおもちゃに信用がおけなくなりますと、さらにこれからの輸出というような面においてもたいへん損失をこうむるんではなかろうかと思いますので、この辺のところも十分お含みの上、この問題に取り組んでいただきたいと思うんです。それと同時に、このおもちゃにも、はからずもやみ再販があったということで、それならば、ひょっとしたら私どもの気のつかないところにもっともっといろいろなやみ再販の問題があるのじゃないか、こういうふうな心配があるわけです。そこで、公取としても、やみ再販をつかまえるのに相当な努力をしていてくださるとは思いますけれども、見つけてからそれを罰したり、あるいは審査をしたりなんかするのではなくて、もう少し前に予防措置を講じるわけにはいかないものかどうか、これをひとつお伺いをしたいわけです。  それからこれは私の経験したことですけれども、たとえば、これは乳製品なら乳製品のお中元やなんかに贈るのがありますね、たくさん詰め合わせたもの。そういうのでも何か一定した価格がきめられておりまして、おもちゃと同じように、あるすみっこに、これは五千五百番と書いてあればこれは五千五百円、これは三千番と書いてあればこれは三千円です。私はおそらくそれも全国共通だと思いますけれども、そのこと自体よりも、そういうものをデパートで買えば、デパートはさらにそれをいろいろりっぱに包装してくれて、どこそこへ送ってくださいと言えば、それを送ってくれるわけですね。市内あるいは近辺なら全然送料も要らない。ところが、今度は近所の小売り屋さんで買ってそれをどっかへ持っていくとしますね。そうすると、それはなるほど包装はしてくれますけれども、配達料も何も要らないわけです。それなのになぜ同じ値段だろうかというのがちょっとひとつ疑問なんです。牛乳にたとえますと、店頭販売のものと宅配のものとはいまお金が違っておりますね。そこら辺の問題をどう考えたらいいのか。過大包装の中からそういう疑問がわいてまいりましたので、この辺をどう解釈したらいいか、ひとつお教えをいただきたい。
  154. 谷村裕

    説明員(谷村裕君) 数点御質問がございましたので、私の考えているところを私見をまぜて申し上げたいと思います。  第一に、まあやみ再販といったようなこととか、あるいは過大包装といったようなこと、これは非常に私どもの生活に日常結びついた問題でございますが、公正取引委員会が従来やってまいっております体制と申しますものは、どちらかというと非常に受動的でございました。たとえば、申告を待って、そこで乗り出して行って立ち入り検査をして、そしてどうする、公正取引委員会はこれでもりっぱな行政官庁でございまして、総理府に属する行政官庁なんでありますが、一般の各省庁と違って、どちらかというと、事件を受け付けて、それを審判するとか、処置するとか、そういうような形で実は発足のときからまいってきておったのでございますが、つらつら考えてみますと、やはりいま御指摘のあったような意味において、特に国民生活行政、消費者行政というものが重要になってまいりました今日では、表示の問題にいたしましても、景品の問題にいたしましても、あるいはまたいまおっしゃいました流通業者の販売方法の問題等にいたしましても、積極的にむしろ進んでそういうことをあらかじめ防止し、指導し、また私どもだけでは、ごらんになってもおわかりのように、地方にもそう多くの人数がいるわけじゃございませんが、できるだけ行き届いてそういうことができるようにならなければならないのではないか、かように考えております。そういった考え方の一つといたしまして、まあ私どもといたしましては、自治省のほうや都道府県の方方とも相談いたしまして、まず景表法については都道府県のほうにお仕事をある程度やはり地域の生活行政の問題と関係いたしますからお願いできないかということで、ただいま法案なり必要な予算措置の面を検討しているところでございますが、まずいま御指摘になりましたような問題をできるだけ行き届いてやっていくように、私どもの行政のあり方も変えていかなければならないという気持ちは私ども持っております。それを第一に申し上げます。  それから第二番目に、いわゆるやみ再販といわれる問題でございますが、メーカーが、この品物は大体このくらいの値段で小売りで売ってもらいたいという希望小売り価格、あるいは標準小売り価格とかいろいろ申しておりますが、それを申し出ることは、これは自由なたてまえになっております。ただし、末端までそれを一律に拘束するということは、おっしゃるとおり、いわゆるやみ再販になるわけでございます。事実、メーカーのほうで一応こういう小売り値段だというものをつけてみましても、末端では店によっていろいろの値段で売られているという商品が多いわけでございますが、場合によれば、そのメーカーのつけた小売り値段のとおりでまかり通ってしまっているものもある。ただし、それはそこにいわゆるきちんとした値段維持の拘束が小売りまできつくあるかどうかという点になりますと、これはなかなかっかみにくい問題でもあり、むしろ小売り業者が、自分でもその値で売ったほうがいいと考えてやっている場合もあるかもしれないと思います。しかし、物の値段というものは、ただいま御指摘のありましたように、本来、小売り業者とそこで買おうとするお客さんとの間のいわば交渉できまるといってもよろしいと思います。これは私が持って帰るのだから、こんなに包装をよけいにしてなくてもけっこうです。包装抜きにして中身だけでお安くしてくださいませんかといって、現にそういう交流をなすっていらっしゃる奥さんもいらっしゃると伺いました。あるいはまた、配達してくれてもその配達料がただのものならば、私が持って帰るのだから、配達料だけまけなさいよといってまけさせている方もいると伺いました。たとえば先ほどの店頭売りの問題でございますけれども、店頭売りが一般の配達売りよりも高いというのは、配達料はなるほどかけないで済むわけでありますが、需要として継続的に一定していないという点で不安定であるというところから、たとえば、新聞でも先ほどの牛乳でも高くなるかと思いますけれども、取りつけて入れるということで安定した需要があるということでまあ安くする。そのかわり今度は配達料はそこで込みになるとか、それほどいろいろな実際の消費者、あるいは販売業者の態様なり何なりによって、いろいろそこに差があるかと思います。これは自由経済でございまして、いわゆる統制経済で末端の小売り価格なり何なりを、公定価格をきめたりなんかしているわけではございませんから、消費者のほうでもそこで賢明に行動をする。販売業者のほうも、単に利益だけ何とかしてがめつく取ろうということではなくて、消費者のためを思うことが、すなわち自分のまた商売になるという考え方でやっていく。そういう市場経済は価格メカニズムとして動くわけでございますが、そういうことをもっともっと、いま御指摘になったような意味で、各地方でもそれぞれの地域住民の問題として啓発し、また指導し、また業者ともよくいろいろ話し合うという、そういう国民生活行政という方向が、私、公正取引委員会としてはまさにその一環としての仕事をしておりますけれども、決して全部ではございませんが、私どももそういう国民生活行政の一端をになう意味において、そして先ほどからお話が出ておりますように、日本のいまの政府の各省庁が、先ほど長官がそうおっしゃいましたが、すべてそういう姿勢でもってこれからの行政をやっていくということになれば、いま中沢先生の御指摘になったようなことについても、いろいろとまだまだ改善されるものがあるのではないか。公取はその中で私どもの与えられた仕事を一生懸命やってまいろうと、まあかようなことを、ちょっと長くなりまして恐縮でございましたが、考えておる次第でございます。
  155. 長屋茂

    委員長長屋茂君) 渡辺武君。
  156. 渡辺武

    ○渡辺武君 経済企画庁長官にお尋ねします。  いま、野菜などを中心として消費者物価が非常に急速に上昇しているということは御存じのとおりだと思います。円切り上げのショック、あるいは引き続く不況などで大きな脅威を受けている国民生活にとって、これはまた一つの大きな不安のまとになっているということは申し上げるまでもございません。ところが、私ども考えてみますと、消費者物価は、いま急騰しているだけではなくて、今後さらにこの物価の上昇が激しくなるだろうということを予想させる幾多の材料が、新たに日本経済の中に生み出されてきつつあるということが特徴じゃないかと思うのです。それはどういう点かと申しますと、一つは、政府が赤字公債を大幅に発行しようとしておる。それが第一の点であります。間もなく提出されるであろう補正予算でも、大体四千億円くらいの赤字公債が組まれるのじゃないか。ですから、本年度の赤字公債の総額は、八千数百億円になるのではないかというふうにも言われておりますし、来年度予算案では、けさの新聞でしたか、当初から一兆数千億円の赤字公債を組むのではないかというような見通しさえ生まれております。この赤字公債は、これは回り回って、結局、日本銀行の保有になって通貨の増発の要因になるということは、もうすでにこの国会でもたびたび論議されましたし、事実がまたそれを証明しておると思います。この赤字公債だけではなくて、公共投資を中心にして景気刺激を行なうのだということで、さまざまな政保債も増発される、あるいはまた、現在、地方財政が戦後三回目の危機を迎えておるというような状況で、おそらく地方債の発行も今後非常にふえるだろうということも予想されるわけでありまして、これらが、結局、通貨増発の要因になって、日本のインフレーションをさらに一そう高進させるというおそれは私は多分にあると思うのです。この点が一つ。  それからもう一つは、いまの公共投資中心の景気刺激政策とも関連いたしまして、公共料金の引き上げ、これが今後かなり出てきやせぬか。政府はこの公共料金一年据え置きという政策のもとでさえも、すでに郵便料金、あるいはまたつい最近では貨物運賃の値上げなどを許可したわけですけれども、いま問題になっておりますタクシーの料金、あるいはまた地下鉄の料金、さらに最近、閣議できめました国鉄の割り引き料金の料率の引き下げというような点を見てみますと、将来といっても近い将来、国鉄運賃の引き上げを中心として、公共料金が大幅に引き上げられるというようなことが十分予想できるんじゃないか、これも今後の消費者物価を引き上げる大きな要因になってくると思います。  それから詳しいことは申し上げませんが、西ドイツなどで典型的にあらわれております、俗に外貨インフレと呼ばれておる外貨の急速な流入に伴う国内のインフレーション、これらの要因を数えてみただけでも、なかなかこれはたいへんなことだと思うのです。こういう点は国民が非常に不安に感じておるところでありますけれども経済企画庁として、こういう将来の見通しに対してどのような消費者物価安定政策を考えていらっしゃるのか、それをまず伺いたいのです。
  157. 木村俊夫

    ○国務大臣(木村俊夫君) 国際的にも国内的にも非常に経済情勢が激しく動いております中で、今後、経済運営をどう持っていくか、御指摘のとおり、たいへんむずかしい問題であります。しかしながら、その中で、特にいま御指摘の消費者物価、これはもう国民生活に最も大きい影響がございますが、たとえば、政府がいまとっております景気浮揚対策、これはそのまま、これをストレートに消費者物価に結びつくような政策効果を、私どもは絶対これはとってはいけないという十分な戒心のもとにやっておるつもりでございますが、ただ、いろいろいま御指摘の中で、公共料金の問題を特にお取り上げになりました。公共料金の問題については、私ども前々からこれについてはきびしい態度で、これを抑制していくという態度はいささかもくずしておりませんが、ただ私は、これはやはり経済の中の一つの現象でございますから、これを短期間に押えるだけでは私は能はない。必ずそのとばっちりというものは、少なくとも企業採算をとっている以上、いずれかの時期には、これが爆発するということになれば、もう少しやはり物価とか、そういう経済現象は、そこに一つの合理性を持って考えていくべきではないか、こういう考えから私どもはこれを短期間だけ押えていくというような考え方は取りたくないと思うのです。ただ、その際に、いま御承知のように景気が非常に停滞しております。これに対する景気浮揚策をとって国民経済を安定路線に持っていかなければならぬ。それでないと非常に国民所得あるいは企業の従業員に対してたいへん暗い感情、また効果を与えますので、そういうことで私どもいま景気対策をとっておるわけでございます。これが直ちにインフレに結びつくようなことであってはならない。これが第一の基本的な考え方。したがいまして、いまおっしゃったように、ドイツのような外貨インフレというようなことがないように、当然これは金融当局によってポリシーミックスと申しますか、金融調節によってそういうインフレ要因に結びつくような点はこれを抑制し、またこれを防止するということは当然日銀当局としても考えておるところでございます。したがいまして、結論的に申し上げれば、いろんな幾多のインフレ要因は、政府のとっております景気対策の中にも芽ばえております。また総じてそういうような日本の国民経済の構造面からいって、そういう要因も多々ございますけれども、そういう芽をいかにつんで、消費者物価がこれ以上上がらないように、ある安定的な線でこれが進んでいくということについては、経済企画庁としましても十分戒心と責任を持ってこれに処していきたい。こういう考えでございます。
  158. 渡辺武

    ○渡辺武君 いま長官もおっしゃいましたように、私が先ほどあげた今後予想される消費者物価上昇の要因というものは、主としてやはりいま政府がとりつつある、いわゆる景気浮揚政策、これとの関連で生み出されてくるという点に一つ大きな特徴があると思いますね。御答弁を伺っておりまして、その点私は非常に疑問に思いますのは、たとえば、赤字公債を発行する、あるいは政府保証債を発行する、発行させるというような場合に、これは過去の経験が示しているのですね。結局、回り回って日本銀行の保有になって、そして、いわば再生産の外から日本銀行券を流通界に注入するという結果に終わるのですね。これは日本銀行の政策という点にも関連してまいりますけれども、しかし、この点については経済企画庁として、やはりしかるべき政策を持つべきじゃないかというふうに私思います。直ちにインフレにならないように留意するとおっしゃいますけれども、その点、具体的に政策をどんなふうにお考えになっていらっしゃるのか。  それから、いまおっしゃった外貨インフレーションですね。これまた物価問題の担当庁である経済企画庁として、やはりこれがインフレーションとして国内影響を及ぼさないためには、これこれのやっぱり政策は必要だというくらいのことは考えていらっしゃるのじゃないかと思いますが、その二点について。
  159. 木村俊夫

    ○国務大臣(木村俊夫君) 先ほどから赤字公債ということをおっしゃっておりますが、私どもは今度の国債の増発につきましても、これを赤字公債でないという政策態度をとっております。したがいまして、この公債の消化の問題について非常に問題があるように御指摘になっておりますが、当然これは財政当局である日銀のまるまる引き受けになるような、いわゆる赤字公債的な性格をこれに加えないで、十分配慮を持ってこの国債の追加あるいは増発には処していく、当然の態度でございます。また、将来このインフレ要因になるようないろんな面、たとえば今度のドル防衛措置に伴ういろんな政策を私どもとしてはとっておりますが、その中でも特に消費者物価にむしろ安定的効果を与えるような、たとえば輸入対策その他を強化していく。そういう意味で、私どもは十分な戒心と慎重な態度でもって臨みたい、こう考えております。
  160. 渡辺武

    ○渡辺武君 きょうは時間がないので、立ち入っていろいろ御質問したい点、たくさんありますが、はしょらざるを得ないのが残念ですが、もう一点だけ伺いたいのは、赤字公債と言うか言わぬかというようなことは別にいたしまして、従来、建設公債だというような形で財源不足を補う公債が出ておったわけですが、今度は、まさに、建設公債なんという名前はとうていつけきれないほどたくさんの公債が出るわけですから、やはり財政の赤字を公債によって補っていくというやり方、しかも、それが、従来のようにせめて一年間ぐらいはこれは市中消化をさしておいて、そのあとは日銀に持ち込もうとどうなろうと、政府としては関知しないというような態度できておられるわけですね。いま長官の御答弁を伺いますと、私はやっぱりその点で大いに懸念があるのですよ。結局、いまのように金融がゆるんで金利が低いときには、これは国債の市中消化も、シンジケート団その他の協力を得れば、そう困難でないかもわからぬ。しかし、先行きいって、金利の問題、あるいはまた金融情勢の変化などで、この公債が日本銀行のオペレーションの対象になってみたり、あるいは貸し出し金の見返りになってみたりということで、通貨増発の要因になるということはもう過去の経験が示しているわけですから、その点はひとつ長官よく現実をごらんなすって、そうしてこの対策を立てていただきたい。いまの御答弁では国民は私は満足しないと思っています。その点を重ねて伺いたい。  もう一つ重ねて伺いたいことは、いまの不況、これは円の切り上げという問題もからんでおりますけれども、昨年の下半期から大体深刻になってきておりますね。この不況の姿を見てみますと、以前の不況とは若干姿が違う。以前は、言ってみれば、国際収支の天井が低くて、底にぶつかって金融引き締め、そうしてまた不況というような形をとったわけですけれども、このたびのは、外貨の準備がたっぷりあって、しかも、なおかっこの不況に落ち込んだ。いわば典型的な過剰政策、これがいまの不況の根源だと思うのですね。そういう事態の上に円の切り上げが重なって深刻な不況がもたらされた、こういうことだと思う。そこで、この典型的な過剰政策、何が原因で起こっているのか、その点をよくお考えなすって、私は景気浮揚対策なるものを講ずる必要があると思います。この過剰生産の原因、いろいろあると思いますけれども、端的に言えば、私は政府の高度成長政策にささえられて、大企業中心になって、猛烈な勢いで高度成長を続けてきた生産第一主義、輸出第一主義でいままで貫いてきた、それがやはり今度の過剰生産の最も根本的な原因だと思う。この高度成長のためには、これはもう賃金はできるだけ低く押えようとするし、あまつさえ、インフレ助長政策その他をとって、物価上昇によって国民の生活を圧迫するということで、発達した生産力でつくられた商品が、国民の購買力に見合ってこないということは、非常に単純化して言えば、今度の不況の最も根本的な原因だと思う。ところが、いま政府が考えている景気浮揚対策というのは、まさにそのインフレーションを一そう激しくさして、そうして景気を刺激しよう、こういうことでは国民の生活はさらに圧迫されて、そうして一時的には景気の刺激になるかもわからぬけれども、根本的にはこの不況を解決する道ではないと私は思う。もしも、根本的にこの不況を解決しながら、しかも消費者物価の安定をはかっていく道を考えていくならば、私はいまのような景気刺激対策ではなくして、賃金を引き上げるとか、あるいはまた農業や中小企業の経営を安定、拡大さして、そうしてさらにはまた、いろんな立ちおくれた生活環境の整備、これを徹底的にやるとか、国民の生活と経営、これを根本的に改善する方向で景気を浮揚させるという道をとるべきだと思うのですね。いまのような赤字公債を出して、そうしてインフレーション政策によって大企業の利益を守って景気を刺激していこうという政策では、結局のところ、これは国民に犠牲が全部しわ寄せされるし、ほんとうの景気刺激政策にならないのじゃないか。  この二点について、重ねて伺いたいと思います。
  161. 木村俊夫

    ○国務大臣(木村俊夫君) いまの御指摘、いろいろございましたが、ある点では私ども同意いたすところがございます。したがって、たとえば、いままでの不景気、その原因が過大な設備拡張にあった。確かに経済成長が非常に急に進んだ結果、ある程度の設備過剰力はあったと思いますし、また、それがこの七月ごろにそろそろ景気回復過程に入りましたけれども、まあ一つの、短期といいますか、ある意味ではなべ底的な回復過程でなければならなかったと思う。そういう一つの中期循環期と申しますか、そういうような景気回復の過程をとるということにはあらわれておると思います。しかしながら、それかといって、それを直ちにインフレ要因と一体どう結びつけるか。私どもとしましては、当然いままでの急激な経済成長路線は、これはもう修正しなければならぬと思いますし、また、したがって、従来の輸出第一主義と申しますか、そういう民間設備主導型から財政あるいは公共投資主導型にいまや切りかえなければならぬ時期であるという政策態度を最近とっておるわけでございますが、まあそういう面から申しますと、どうしても、いまお触れになりました社会資本の充実ということからいっても、財源の配分上、あるいは財源の面から申しましても、どうしても税収その他に依存することばかりでいけませんので、そこで、先ほどお触れになりましたような公債増発ということに依存しなければならぬということになったわけでございます。ただその際に、公債増発といいましてもおのずから節度のあることでございまして、インフレ要因につながるような公債の増発は、もちろんこれは赤字公債として避けねばならないし、また公債政策にとって一番必要なのはやはり弾力性でございまして、硬直した財政を招来しないような公債政策を今後もとっていくということは当然でございますし、これは一つの過渡的な措置として私たちは容認すべきであって、これによって景気が回復過程に入りまして、節度のある民間設備の拡張が行なわれ、そこに生産が増大して税収にもつながるということになれば、当然、公債の発行はこれを縮小するということにならざるを得ないと思います。  まあ、そういうような弾力性のある一つの財政政策、これは当然必要だと思います。したがいまして、ある点においては私は同感でございます。また、いままでの景気のよって来たったものに対する分析については、必ずしも私は賛同しかねる点もございます。
  162. 渡辺武

    ○渡辺武君 それでは次に質問を移しますが、先ほど長官は、公共料金について一時的な抑制という見地をとらないんだということをおっしゃいました。新聞等によりますと、経済企画庁は公共料金についての新しい体系を考えているんだというような報道もありますけれども、そういうことを意味していらっしゃるのか。また、新しい体系というのはどういう内容のものなのか、これを伺いたいと思います。
  163. 木村俊夫

    ○国務大臣(木村俊夫君) 公共料金、これは私が先ほどから申しましたとおり、ただ短期間にこれを抑制するということでは、どうも私どもは感心しない。したがって、合理的な公共料金のあり方を一体どう考えるべきか。もちろん、これには国民経済全体から見まして、利用者負担と財政負担と、どういう一体均衡をもってこれを考えていくべきかということを、単に私ども経済企画庁だけでなしに、もっと広く識者の御意見を承ってこれを策定していきたいと、こういうことから、私どもの役所におきましていま物価安定政策会議の一部門においてこれを取り上げていただいておるわけでございます。
  164. 渡辺武

    ○渡辺武君 公共料金についていえば、先ほど長官もちょっとお触れになりましたが、一般的な物価の値上がりの傾向その他が背景にあるわけでして、これはやはり、インフレーションだとか、あるいはまた大企業の製品価格の引き上げだとか、こういうような問題が続く限り、なかなか公共料金の問題だけを切り離して解決しようとするのは、これはまあちょっと困難なところがあるということはわかります。しかし同時に、いまの公共料金の仕組みそのものを考えてみますと、それなりにやっぱり直さなけりゃならぬ点が幾つかあると思うんです。私はその基本的な点の一つは、これは公共企業が、たとえば国鉄のようなものですね、独立採算制をとらされている。そうして自分の企業の採算のワク内でいろいろのことをやっていかなければならぬということから、料金の引き上げによって収入をふやすというような方向に走らざるを得ないというふうに思います。やはり公共企業というのは、これは国民に奉仕するということが基本的な目標でなければなりませんし、政府の財政支出によってかなりの程度まで資金の手当てをつけてやって、公共料金を引き上げなくても済むような状況をつくってやる必要があると思うんですね。この点が一つ。  それからまた、企業によっていろいろ違いはありましょうけれども、特に国鉄などはばく大な設備投資をやって、そしてその設備投資が償却されないのにもかかわらず、これを料金の計算の中に織り込んでやっていくというようなやり方をとっている。これも公共料金が上がっていく大きな原因になっていると思う。同時に、国鉄債その他ばく大な借金をしょい込んでいる、その金利の支払いが非常に大きい。おそらく年間の旅客運賃収入、これと同額くらいのものを金利として支払っているのではないかというふうに考えられるくらい大きいですね。そういう笠利負担、さらに一般国民には比較的高い料金で、大企業の貨物輸送には比較的低料金でという料金体系、この辺に大きな問題がありゃしないかと思うんですね。長官の新しい体系と言われる中で、こういうような問題点についてどのような改善を考えておられるか、伺いたいと思います。
  165. 木村俊夫

    ○国務大臣(木村俊夫君) まあ、国鉄再建計画、御承知のことでございます。その中で、いま御指摘になったような考え方がいろいろ取り入れられておりますが、問題は、いまの国鉄が独立採算制をとっております中で、もう一つ与えられた国鉄の国民的な立場と申しますか、すなわちこれが公企業であるという面でございます。したがいまして、ただ独立採算制なるがゆえに云々とかいうことでなしに、どこまで一体この国鉄の受益者負担ということを国鉄にしいるか、あるいはまた一般の財政負担といいましても、これまた税金から出るものでございますから、そういう意味で、受益者負担と先ほど申しましたとおり、財政負担との均衡を一体どこに置くかということが国鉄問題の大きな問題であろうと思います。そういう意味におきまして、いまいろいろ御指摘になりましたような金利負担というようなこともその中で考えていくべきだと思いますし、また、きょう午前中に貨物の公共負担についていろいろ論議がございました。私もそういう観点から国鉄に対して、ただそういう公共負担をしいるのは逆ではないか。むしろ公共負担は財政的措置によってこれを政府が考えるということが筋ではないかという意味において、実は公共負担の半減について同意したというようなことでございます。したがいまして、この国鉄の今後の行き方については、すでに再建計画の中で盛られておりますが、もっと大きな公共料金——国の公共料金全体の体系をどう一体求めるべきかということについて、先ほどからお話しいたしましたとおり、これを広く識者のいろいろ御検討にゆだねておりますが、その内容について御提案がございましたら、これについて政府部内の意見も統一していきたい、こう考えておるわけでございます。
  166. 渡辺武

    ○渡辺武君 次に伺いたいのは、いまの円の切り上げですね。これで、すでにほかの委員会でも議論がありましたが、輸入価格が下がってくる。したがって、そのままでおけばいろいろな企業にかなりの輸入差益が出てくるわけですが、私どもはその差益は、これは製品価格の引き下げというような形で国民に還元すべきじゃないかというふうに考えております。特にいろいろ問題になりました石油、あるいはまたアルミニウムの原料であるボーキサイト、あるいは製鉄用の原料炭やくず鉄、あるいは綿や羊毛、さらには大豆、小麦など食品の原料というようなもの、こういうようなものはいわば輸入依存度が非常に高いのですね、したがって、円の切り上げによる為替差益というのはばく大なものになる可能性がある。これを物価引き下げの方向に回すように指導すべきだと思いますけれども、その点いかがでしょうか。
  167. 木村俊夫

    ○国務大臣(木村俊夫君) そういう面で政策的指導は必要であると思いますが、ただ、その為替差益を直ちにこれを何と申しますか、物価安定のほうに誘導するということがなかなか政策としてもむずかしいと思います。したがって、為替差益のあった企業については当然税制上の措置がとられる、こう考えますので、為替差益をそのまま物価の引き下げにこれを誘導するということは政策的には非常にむずかしいと思いますが、しかしながら、先ほど御指摘がありましたとおり、小麦はこれは一つ管理価格でやっておりますからむずかしいといたしましても、また別の面で考えなければなりませんが、当然、灯油とか、あるいは石油の価格については、たとえOPECによる引き上げがあったとしても、なお据え置きによってその引き上げを絶対防止したい、こういうような考え方でまいっております。
  168. 長屋茂

    委員長長屋茂君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  169. 長屋茂

    委員長長屋茂君) では速記を起こして。
  170. 渡辺武

    ○渡辺武君 いま経済企画庁長官も言われましたが、小麦の問題ですね、これについて幾つかの点を伺いたいと思います。  最近、製粉業者が十月から小麦粉の値上げをするというような動きがあるそうであります。者のほうから言えば、円の切り上げによって輸入小麦の値段が下がってきているはずなのに、製品の小麦粉の値上げが行なわれるということでは、まことにこれは解しかねるというのが、これが常識的な判断だろうと思います。農林省あるいは経済企画庁のほうで、この小麦粉の値上げの動きについて、どういう理由か、あるいはどのくらいの値上げなのか、そういうような点をつかんでおられるかどうか、まず伺いたいと思います。
  171. 森整治

    説明員(森整治君) お答えいたします。  粉価の値上げにつきまして具体的な動きといいますか、そういう値上げという形での動きにつきましては現在のところ承知しておりません。ただ、もしあるとすれば、昨年粉価の値上げを行なったわけでございます。その後、最近いろいろまあ値くずれがあるのに対しまして小麦の需要がそう伸びない、むしろ横ばい、あるいは若干減りぎみなそういう傾向があったり、まあ経費がいろいろ上がったというような面で建て値を戻したいというようなそういう意向があるやに承っております。ただ、それが現実に市場としてそういうのが通っているわけではないというふうにいまのところ判断しております。
  172. 渡辺武

    ○渡辺武君 経済企画庁のほうではこの動きをつかんでおりますか。
  173. 宮崎仁

    説明員(宮崎仁君) 私のほうでは小麦粉の値段が現実に上がっておるということについての実態はつかんでおりません。いま食糧庁のほうの御説明のような状況ではないかと判断いたしております。
  174. 渡辺武

    ○渡辺武君 ことしの六月二十九日付で、米価審議会がパン、めん類等の二次加工品の値上がりの問題について答申に附帯的な決議をつけていると思いますが、その内容をおっしゃっていただきたい。
  175. 森整治

    説明員(森整治君) 四十六年産の麦価の答申の際に価格の若干の修正がございます。そういう現実がございましたので、それがパンやめん等二次加工品の値上がりに影響がないようにということでそういう附帯決議がされております。そこで、それに基づきまして食糧庁でも各都道府県、関係業界にそういう末端の製品に影響しないように措置するよう指導をいたしております。
  176. 渡辺武

    ○渡辺武君 この米価審議会の答申の最後のほうに次のように書いていますね。「なお、今回の諮問による政府売渡価格は実質的据置きの趣旨であるので、その決定実施に伴ってパン、めん類等二次加工品の値上がり等の事態が生ずることのないよう、政府において強力な指導を加えること。」、こういうことになっておりますね。私は農林省がこの答申を尊重する限り、やはりパン、めん類などの二次加工品の値上がりの原因にもなろうと思う小麦粉、これの値上げの動きというのは敏感にキャッチして、そうしてその実情なども調べるべきだと思うのです。ところで、九月二十六日のある新聞にはこういうことが書いてあるのです。詳しく読みませんけれども、製粉業界では原料小麦の値段が円の切り上げによって下がるので、農林省に払い下げ価格を下げてほしいというふうに言っているけれども、同時にまた、それが下がらなければ小麦粉の値段を上げたいのだという動きをあらわしているという新聞記事が出ております。あなた方この新聞記事をお読みになりませんでしたか。
  177. 森整治

    説明員(森整治君) 製粉業界から、あるいは二次加工メーカーから、円の切り上げの問題に関連いたしまして、政府の払い下げ価格を引き下げてほしいという要望が出ておることは聞いております。ただ、具体的に私ちょっとその新聞を読んでおりません。
  178. 渡辺武

    ○渡辺武君 九月二十六日の日本経済新聞です。私ある専門家に聞きますと、いまの製粉業界は十月から一袋あたり三十円から五十円値上げをしたいと言っておるのです。私が、しろうとが調べたってそのくらいのことはすぐわかるわけだから、あなた方は、答申にちゃんとそういうことまでうたっているわけですから、やはり製粉業界の動き、これについてもっと敏感にキャッチしてその事情などを調べるべきだと思うのです。その点ほんとうに御存じなかったのですか。
  179. 森整治

    説明員(森整治君) 私先ほど申し上げましたように、粉価の値上げということは、われわれとしては時期その他から見てあまり適当ではなかろうという考え方を持っております。そういうことで、もしそういう動きがあるとすれば、当然、事前に農林省に通告があって上げるというか、従来の慣例からいたしますと、何らかの御相談はあってしかるべきだと思いますが、いまのところそういう御連絡は受けておらないということを先ほど申し上げたわけでございます。ただ、業界のいままでの空気からしますと、若干建て値がくずれておる。それを何か戻したいというように、そういうことの動きはあるかもしれません。ただ、それが現実に戻っておるというふうには見ておりませんということを先ほど申し上げたつもりでございます。
  180. 渡辺武

    ○渡辺武君 答弁が食い違っているのですよ。やはりこういう動きが現にあって、私などもちょっと聞けばすぐわかるというような動きですから、やはりあなた方、それはすぐに、おそらくこれは新聞を見ていないなんていうけれども、見ていないこともないと思うのです。ですから調べるべきだと思うのです。それはちょっと怠慢ですよ。わざわざこういう答申の決議が出ておりながら、そういうことをやっていないというのは、製粉業界の小麦粉の価格の引き上げ、これはここ五年間連続引き上げられている。百キログラム当たり二十円から、ことしは九十二円の値上げ、七月にはもうすでに九十二円昨年よりも上がっているというような状態なんですね。だから、政府の払い下げ価格よりもはるかに値上げの程度が大きいということで、私どもこれは非常に不当なものだというふうに思っています。  そこで、きょうはもう少しその点に立ち至って伺いたいのですが、時間がないから端的にお答えいただきたいと思うのですけれども、四十六年度の外麦の買い入れで、かりに円の切り上げで八%もしくは一〇%であった場合にどの程度の差益が出るというふうに考えられますか。
  181. 森整治

    説明員(森整治君) 一応仮定の計算でございますが、一〇%ということでお答えさしていただきたいと思いますが、一〇%になっておりませんが、一つの要素としましては、予算の年間の買い付け量がございますが、九月以降という前提に立ちますと、約一〇%の場合、予算単価がまた変わっております。予算単価を前提にいたしまして、そういう前提を全部設けましてかりに計算いたしますと、小麦で約三十億程度に、主食用でございますが、なろうかというふうに思います。
  182. 渡辺武

    ○渡辺武君 私が計算したやり方とほとんど同じだろうと思うのですけれども、九月以降の買い付け量予定、これが主食用の小麦が総額三百七十二億円、飼料用の小麦が百四十一億円、大麦が百三億円、合計すると六百二十億円ばかり。かりにその一割が円の切り上げで差益が出たとすれば、全体で約六十億円ということになろうかと思うのです。それだけのばく大な差益が今後予想されるわけですね、単純に計算しても。その上に食糧庁は今度の会計年度で、食管会計に外国産の麦の輸入でかなりの利益を見越していると思うのですが、その利益はどのくらいですか。
  183. 森整治

    説明員(森整治君) 当初の本年度の予算で、主食用小麦につきまして約百二十二億、飼料用では四十二億の損、そういうものを予定をいたしております。
  184. 渡辺武

    ○渡辺武君 飼料用の損を差し引いてもなおかつ百二十二億円の益を予想しているといういまの御答弁ちょっと食い違っておりましたね。そうですね、百二十二億円ですね、差し引いて。
  185. 森整治

    説明員(森整治君) いや、小麦が百二十二億の益、それから大麦がゼロでございます、えさの小麦が四十二億の損、差し引き八十億。
  186. 渡辺武

    ○渡辺武君 それは計算がちょっと違いますよ。大麦、裸麦、小麦、全部差し引き八十億ですか。
  187. 森整治

    説明員(森整治君) はい。
  188. 渡辺武

    ○渡辺武君 もう時間も来たので、こまかい点はちょっと別ですが、そういう形で輸入小麦だけでもかなりの差益が予想されるわけですね、いまいった、差し引いても約百億円ばかりの黒字になるし、それからまた、円の切り上げの差益で六十億円近い利益が出る、かなりの黒字なんですね。その上にことしは国内産麦の買い付け量が予定よりもだいぶ少ないわけだから、その面からする損失の減少、この予算よりもこれも相当大きいはずですよ。それやこれや合わせますと、食管会計に一方では相当の黒字がこの関係から出てくる。私は、この黒字を、これを払い下げ価格の引き下げに回して、そして製品の小麦粉あるいは二次加工品のパンやめん類の値段の引き下げ、こういう方向に当然回すべきだと思いますね。これをおやりになるおつもりはありますか。
  189. 森整治

    説明員(森整治君) 先生の御趣旨はよくわかるのでございますけれども、食管の小麦の売り渡し価格のきめ方といいますか、これは法律で、結局外の、国際価格が上がろうと下がろうと関係なしに、家計費だとか、米価だとか、そういうものと関係づけて売り渡し価格を定める、そういう定め方になっております。したがいまして、ただ、いま先生のおっしゃる趣旨からいいますと、最終消費の製品にそういうものを安く下げて、まあそういう恩典を末端まで吐き出すべきではないか、こういう御趣旨だと思いますが、そういう観点からいたしましても、計算いたしますと、たとえば一〇%かりに下がるということでありましても、めんで一・二%、食パンで二・一%の影響しかない。逆に言いますと、もう一回申し上げますと、たてまえ上はむしろ変えないのが原則の管理価格という形になっております。もし、それを何らか別の要素で、むしろ還元をすると考えまして計算をいたしましても、まあ微々たるものになるのではないか、こういうふうに考えております。したがいまして、いまのところ、むしろいろいろ自由化等が二次加工製品で行なわれておりますものと、円の変動、為替の変動によりまして最終製品が外国との価格でどういうふうな状態になるだろうかということをもう少し見きわめてから、たとえば、えさにつきましても同様でございます。えさの価格がほかの価格でいろいろ変わってまいります。そういうものを見きわめまして、たとえばえさの小麦の価格もそういう時点で所要の措置を講ずるということで検討をいたしていきたいというふうに考えております。
  190. 渡辺武

    ○渡辺武君 最後に一言、払い下げ麦の価格の決定のしかたその他等々、おっしゃったことは私も知っております。しかし、消費者の家計を安定させるという根本趣旨から発していろいろの算定をやっているわけですから、やはりその点は輸入差益が、先ほどのあなたのおっしゃることを取り入れても、ほぼ二百億に近いですね、二百億以上の差益が出るですね、国内産麦の買い入れの減少、これも含めて。ですから、そのばく大な利益というものは、これは消費者の価格を安定させる方向へ私は使うべきだと思う。少なくとも製粉業界が価格の引き上げの動きを示しているというふうな状況ですから、したがって、これは価格の値上げを押えるだけではなくして、あなた方の力で、やはり原料を握っているわけですからね。だからして、払い下げ価格を引き下げる条件として製品価格の引き下げを行なわせるということを私はやるべきだと思うですね。そういう方向でおやりになるおつもりがあるかどうか、この点どうでしょうか。
  191. 森整治

    説明員(森整治君) 先ほどお答えいたしましたように、いろいろな経済事情の変動、非常に激しいときであります。われわれといたしましては、むしろ最終末端製品の動きがどういうことになるだろうかということを十分見きわめた上で検討をさしていただきたい、こういうふうに考えております。
  192. 長屋茂

    委員長長屋茂君) 両件に対する本日の調査は、この程度にとどめます。     —————————————
  193. 長屋茂

    委員長長屋茂君) 次に、派遣委員の報告に関する件を議題といたします。  先般、当委員会が行ないました当面の物価等に関する諸問題の実情調査のための委員派遣について、それぞれ派遣委員から御報告を願います。  まず、第一班の報告を願います。田代君。
  194. 田代富士男

    田代富士男君 第一班は、去る九月八日から十一日まで四日間にわたり、長屋委員長西村理事、中沢理事と私の四名で、兵庫県及び大阪府における物価事情、消費者行政の実情等を調査いたしました。  以下、調査の概要を申し上げます。  まず、日程を追って、兵庫県から申し上げます。同県は全国に先がけて早くから消費者行政を推進しておりまして、県下全域にわたって、県民の活発な実践活動が見られるところであります。県当局の説明によりますと、本年度は生活科学化行政を推進するため、その目標を住民みずからが新しい豊かな生活を志向することに置き、消費者を守るための消費対策と人間生活を創造するための新しい生活対策を二本の柱として総合的に施策を進めることとしております。すなわち、消費者対策の面では、市町立消費生活センター設置を補助するとともに、消費者意識の啓蒙普及及び消費生活相談、苦情処理、家計収支の実態調査を行ない、また創造的生活対策の面では、コミュニティー活動の奨励、生活設計の指導、生活環境の保全等に力を注いでおります。  なお、昨年度は生鮮食料品の流通対策物価安定対策の一環として、複雑な流通部門の実態を解明するため、ミカン、バレイショ、タマネギ、キャベツについて、小売店から生産者に至る各流通段階ごとの価格形成と流通経路について詳細な追跡調査を行なっております。  県立の生活科学センターは、神戸、姫路、豊岡、柏原の四カ所に設けておりますが、ここでは生活科学化のための資料の展示、商品の使用テスト、苦情相談、消費者教育のための講座の開設等を行なっております。なお、従来行なわれておりました消費者モニター制度は、発展して消費者団体の自主的な研究グループにまで進んでおります。私どもは、神戸生活科学センターを視察いたしました際、このセンターの講座を終了した方々が中心になって結成した兵庫県生活科学促進グループと懇談いたしました。このグループは、本年七月から八月にかけて、教育玩具の価格調査を行ない、その結果、おもちゃ業界にやみ再販行為の疑いありとして、きびしい監視と取り締まりをされたいとの陳情を受けました。この件は、その後、公正取引委員会においても独禁法違反の疑いが強いとして、東京、大阪のおもちゃメーカーや問屋などに立ち入り検査をし、書類押収等捜査を行なったとのことであります。県側の要望としては、消費生活センター設置費に対する補助金の継続、各市町消費生活センターの設置助成、消費生活協同組合に対する設備資金貸し付けワクの拡大と貸し付け条件の改善等が述べられました。  次に、灘神戸生活協同組合は、その規模と実力において日本一を誇っておりますが、組合員二十四万世帯、出資金五十五億円、活動区域は阪神間九市にまたがり、事業所は支部を含めて六十三カ所、従業員四千五百人で、年間の供給高は五百億円に及んでおります。生協としては、そのモットーとする消費者が品質、価格、量目等安心して買える商品を供給するため、近代経営を積極的に推進し、生産施設の整備拡充はもちろん、厚生施設、消費者教育等にも力を入れておりますが、本年一月からは配送センターも活動を開始しておりますので、流通機構の合理化や産地直送システムの強化に大きな威力を発揮しているとのことであります。同生協からの要望としては、消費生活協同組合法で規制している生協の活動区域制限の撤廃等について述べられました。  次に、神戸市においては、昨年四月に市民生活局を設置し、生活行政に、より重点を置くこととし、市民の台所に関係の深い生鮮食料品を中心とした価格対策を生産、流通、消費にわたって一貫した施策により進めようとしております。そのため、農産物の安定的増産と計画的出荷、中央卸売市場の施設整備、取引方法の合理化をはかるとともに、小売り段階における経営の合理化を推進し、モニター制度、苦情相談、情報の伝達、公設市場における標準小売り価格制度、共同仕入れ事業の拡充等を実施しております。神戸市のアンケートによりますと、市民の物価に対する関心は強く、物価高については、市当局に対するものより国に対する批判のほうが多く、政府は抜本的な総合対策を推進すべきであるとしております。  神戸市からの要望として、六大都市の要望にもあるように、現在、公正取引委員会が行なっている商品の不当表示等の取り締まりは、大都市の場合、市に権限委譲したほうが適当であるとの意見が述べられました。  また、神戸市内の小売り市場、水道筋商店街、ダイエー灘店等を視察し、神戸市小売り市場連合会の方々と懇談いたしました。ここでは、小売り業者の立場から、生産者の直売、原価販売等についての苦情、値段の高いものほどよいとする主婦の購買態度に対する批判のほか、店舗の合理化、近代化のための融資期間の長期化、融資ワクの増額を要望しておりました。  次に、大阪府について申し上げます。  最近における大阪市を中心とする都市部の消費者物価指数の上昇率は全国の都市平均を上回っておりますが、府当局としては、当面の目標を府民の消費生活の安定向上と消費者保護に置き、消費者意向等の把握のため、モニターによる調査、消費生活改善のための調査を行なうとともに、府立消費生活センターにおいて相談と苦情の処理を行ない、消費者保護のため、監視取り締まり体制の確立、商品テスト施設の整備に力を注いでおります。また、価格安定対策として、中小企業等の構造対策の推進、生産、流通機構の整備、消費生活協同組合の育成、公共料金の抑制につとめるほか、教育講座、リーダーの養成、巡回教育、啓発誌の発行などによる消費者教育とともに消費者団体の育成にもつとめております。  大阪府からの要望としては、昨年六月の物価対策閣僚協議会によってきめられた当面の物価安定対策の早期実現、生鮮食料品需給対策の拡充強化、中小企業の生産性向上策の推進と公害防止対策の助成等の強化、生活協同組合に対する融資制度の充実、大都市勤労者のための賃貸住宅の家賃低廉化、地価対策、水道事業に対する財政的てこ入れ等について述べられました。  次に、大阪市においては、高騰の目立つ生鮮食料品を主体に小売り物資の価格安定と需給の円滑化をはかるため、中央卸売市場をはじめ、公・私立小売り市場の施設整備と適正な販売価格保持のための指導を強化するとともに、消費者に対する商品知識の普及と相談など消費者教育活動を促進しております。特に公設市場には標準価格日報を公報し、市民に対しては、テレビによる生鮮食料品の流通情報を放送しております。  大阪市内には、四十四年度に建設された出来島公設市場を含めて四十二の公設市場がありますが、本年度は、経営管理に関する近代化講座を開催し、公設市場連合会を通じて共同仕入れの協業化等を進めております。また、私設小売市場に対しては、共同施設の設備補助を行なうほか、ボランタリーチェーンによる仕入れの共同化等を進めております。  大阪市中央卸売市場は、私ども早朝から視察いたしましたが、この市場は開設後四十年を経過しており、建物が老朽化し、入荷量の増高、入場車両の増加と大型化に伴い、狭隘、過密化しております。このため、市場施設を抜本的に整備するため、本年度は隣接用地を取得するほか、損傷のはなはだしい通路や市場内の舗装等を行なっております。市場関係者と懇談いたしました際、市場用地の拡張と施設の整備、拡充の要望とともに、水産漁業者に対する助成、河川、海水の汚染等公害による漁獲の減少、養殖漁業の問題、また、青果物の計画栽培、仲買い業者の危険負担等、問題点はすでに政府にも要請しているので、これが早期解決をはかられたいとの要望がありました。  大阪市からの要望としては、中央卸売市場をはじめ、屠畜場、総合食料品小売りセンターの整備や市設消費者センターの商品テスト設備費、食料品改善放送事業等に対する補助金および補助制度について述べられました。  次に、公正取引委員会大阪地方事務所について申し上げます。  当地方事務所の業務のうち、消費者保護に関するものとしては、違法な価格協定、再販、誇大広告等の規制や調査等を行なっております。業務の運用にあたっては、地方公共団体との連絡協調、モニターの活用等に意を用いているほか、行政相談、広報活動等にもつとめておるとのことであります。これらの業務は、その他の業務とともに、年々増加の傾向にありますので、職員の定員増が望ましいとのことでありました。  次に、大阪マーチャンダイズ・マートと東大阪流通センターについて申し上げます。  大阪マーチャンダイズ・マートは、流通機構の近代化と都市再開発を目ざして、資本金十億円のうち、大阪市がその二五%を出資して、昭和四十四年八月にオープンした卸商センターであります。これは米国のシカゴ等の例を模したものといわれますが、ここには常時商品見本が展示されており、業者間の取引が能率的に行なわれる仕組みになっております。この建物は地上二十二階、地下四階、延べ床面積十三万一千平方メートルの高層ビルで、倉庫、駐車場、大展示ホールのほか、諸施設が完備しており、わが国ではまだ類のない規模と近代的施設を誇っておりまして、今後の流通近代化のパイロット的役割りを果たすものと期待されております。  東大阪流通センターは流通業務市街地の整備に関する法律に基づいて、都市計画決定された流通団地の中に、一般トラックターミナルを中枢施設として、卸売り業施設、流通倉庫、コンテナデポ等の各種流通施設を適正に配置し、一つの団地として整備したものでありまして、資本金二十億円のうち、大阪府が四九%を出資しております。大阪府はこのほか茨木市に北大阪流通センターを建設し、南大阪にも建設を予定しております。この種のセンターの持つ効果として、輸送、保管、荷役などの流通活動の合理化、都市交通の混雑緩和、流通機能の向上等があげられ、公共事業的色彩が濃いものでありますので、国としても、長期かつ低利な資金の融資等特段の措置が必要かと思われます。  以上のほか、ダイエーの品質管理センターにおいて、食料品、衣料品等商品の品質試験及び管理の状況を、また武田薬品工業の総合研究所において、医薬品の開発、研究の状況を視察するとともに、関係者と当面の問題について懇談いたしました。  最後に、大阪タクシー協会及び全大阪個人タクシー連合会の方々から、タクシー業界の実情について説明を受け、その際、最近とみに悪化しつつあるタクシー経営の窮状を立て直すため、早急に料金の改定を認めてほしいとの陳情を受けました。  以上、報告を終わります。
  195. 長屋茂

    委員長長屋茂君) 次に、第二班の報告を願います。竹田君。
  196. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 第二班は、去る九月六日から十日までの五日間、山下理事、佐田委員と私の三名で、福島県、宮城県、岩手県下の消費者行政、水産、畜産行政の実情、青果物の生産の実態、公正取引委員会地方機関の業務の実情等を調査してまいりました。  以下、その調査の概要について御報告いたします。  まず、消費者行政について申し上げます。  経済の高度成長のもたらした消費生活の高度化、複雑化に加え、企業の販売競争、広告攻勢は著しく激化し、このため、消費者の消費財の選択を困難にし、商品やサービスに関する知識の不足から損害や危害が増大しているという認識は各県とも共通であります。こういうことから、県民の生活を守るため、各県とも行政の主眼に消費者行政を取り上げ、積極的にその強化、推進に取り組んでおります。このための専任機関として、福島県においては県民室を、宮城、岩手の両県においては県民生活課を設けてそれに当たっております。  その基本的施策は、第一に、消費者保護体制の整備強化であります。消費者行政内容はきわめて広範にわたり、かつ、各部局に関係しているので、これらの事務、事業の連絡調整を行ない、体系的な運営がはかられるよう努力している点であります。  第二は、消費者保護の推進、業界に対する消費者の意見の反映であります。すなわち、生活物資の品質、取引条件、表示及び価格の安定等についての消費者保護関係法令の確実な実施を指導するとともに、生産、流通業者に対しては社会的責任の喚起を促し、業界の健全な発展をはかり、者に対しては、みずからの権利と安全を確保するよう啓蒙を行なっている点であります。  第三は、消費者教育と組織活動の育成指導を行なうことであります。すなわち、将来の生活設計に指針を与えるとともに、消費者意識の高揚をはかるため各種社会教育活動と提携し、これによって発展し、変化する経済社会に十分対応し得る主体性のある消費者の育成を行なうことであります。  なお、宮城、岩手両県には、四十五年度より、仙台市、盛岡市に消費生活センターが設置され、消費生活の知識の普及、啓発活動、教育等の目的のため、消費生活相談、商品テスト、各種講演会、研修会の開催、移動センターを設ける等消費者行政の重要な一環をなすとともに、中央の国民生活センターとの情報連絡等を密にしつつ、その機能の充実、発展につとめているところであります。また、福島県下においても本年度事業として消費生活センターの設置が予定されているとのことであります。  いずれにいたしましても、新しい行政分野たる消費者行政は、地方においても着々と実績をあげつつ、根をおろしているということができると思います。  次に、公正取引委員会仙台地方事務所について申し上げます。  当所の管轄区域は東北六県で、所員九名をもって管内における独占禁止法等の施行に関する業務を担当しております。東北地方は、近年、新産都市の開発等による工業化の進展、流通面においても近代化、大型化が進んでおり、今後の競争の激化が予想される一方、直接住民に接する地方公共団体との連絡調整及び消費者保護の諸問題等、事務量の増大、特に当機関の職務の性質から緊急性を要する面が多く見られるところであります。したがって、厳正な法律執行のため、定員の増加、業務の地方移管の問題等早急に検討すべきものと思われます。  次に、福島県において視察した青果物関係について申し上げます。  私どもの視察した岩瀬農業協同組合は京浜地区へのキュウリの主産地であり、湯野農業協同組合は県下における有数の桃の生産地であります。  福島県は全国有数の果実、野菜の生産県でありその需要先を見ると、果実は東京を中心とする大都市三〇%、北海道一〇%、その他の県外向け二〇%、加工用三〇%であり、残りの一〇%が県内消費されています。また、野菜は九〇%が京浜地区に出荷されています。このように、大都市向けの出荷が大きなウエートを占めていますが、建設が予定されている東北縦貫道路が完成すれば、京浜地区と福島との隔たりはさらに短縮され、これら生鮮食品の供給基地としての重要性は一段と高まることが予想されています。こうした動向に対処するため、野菜生産出荷安定法による指定産地としての適性を生かすべく、福島に適合した野菜づくりを計画しようと、その生産体制の整備が進められています。しかし、最近では、特に生鮮食品にありがちな価格変動に生産者も悩まされています。  野菜価格動向の要因は、近年における野菜需給の構造変化、流通過程の合理化の立ちおくれがあげられますが、生産地でのその対策としては、出荷の安定的供給方法について、政策的にてこ入れするため、保蔵施設の設置等に対する認識が高まっています。しかし、野菜には採算面からみずから限界のあるところであります。現在、福島県では、農産物の価格変動に対処するため、昭和三十六年から福島県青果物価格補償協会を設け、果実も含めた農産物一般に対する補償制度を実施しております。また、新しい試みとして、相馬地方と東京町田市境川団地との農産物の産地直結は、いまだ本格的に軌道には乗っていないようでありますが、今後の動向が注目されているところであります。  次に、水産関係で視察いたしました塩釜魚市場について申し上げます。  塩釜魚市場は、第四次漁港整備事業も本格化し、水揚げ状況は十年前に対し、数量で一・六倍、金額二・一倍とわが国有数の漁業生産基地として順調な発展を遂げています。しかし、かつて当魚市場の象徴であった近海マグロ水揚げの減少に対する急速冷凍マグロ受け入れ体制の強化問題とか、漁船大型化に伴う港の整備のおくれ、県外漁船の誘致対策、あるいは加工原料魚の供給不足、他港からの陸送ものに対する依存度のバランス等、検討すべき問題が多いようであります。  当地においての問題には、練り製品の水産加工業者による水質汚濁の問題があります。他の水産都市に先がけ、水産加工業の集約化と汚水の集中処理に取り組んでいますが、四十三年度設置した汚水処理施設は予定どおりの効果を発揮せず、現在操業中止の状態であり、加工団地の発展にも支障を来たすのではないかと懸念されます。なお、環境庁の指導で、本年度事業として新鋭機械の導入が予定されているとのことであります。  岩手県下においては、岩手畜産公社、岩手県肉牛生産公社、県畜産試験場、小岩井農場等の畜産関係の諸機関を視察いたしました。  岩手県は、その立地条件から、酪農及び肉用牛の振興にきわめて熱心であります。岩手畜産公社は、農協等の協力によって畜産物の有利な販売をはかり、農家所得の向上を高めるとともに、産地直結消費地への食肉流通の近代化に奉仕することを目的として三十六年に設立され、農協系統五二%、地方公共団体四四%、業者四%の出資による株式会社であります。埼玉県越谷にストック・ポイントを設ける等、新しい流通経路の開拓につとめるほか、養豚農家に子豚を供給するとともに、県内販売についても農協等を通じ、プリ・パッケージを行ない、さらに高能率の高周波による冷凍肉解凍の企業化試験を国の助成を得て行なう等、積極的な経営を行なっていますが、販路拡張には、小売り食肉業者との競合やブランド製品との競争関係等、解決を迫られている問題があります。  次に、岩手県肉牛生産公社について申し上げます。牛肉の需要増大にもかかわらず、肉牛生産が不足しているのは、農家の飼育規模が零細であること、素牛が不足している点にあることに着眼し、素牛の大量生産、安定的供給を続けるため、四十三年五月県、農業団体、東北開発株式会社が出資して設立した社団法人であります。県内十カ所に基幹牧場を設置の予定で、現在五カ所に着工しており、広大な未利用地の利用による今後の酪農経営の安定と所得の向上が期待されているところであります。  次に、卸、小売りの関係であります。私ども仙台市において、仙台卸商センターと小売り商の協業化の実情を視察いたしました。仙台卸商センターは、仙台市内の卸業者が近代化への要請と機能回復のための方策として団地化を計画し、金融、労務、経営面での共同化をはかり、企業の発展と地域流通機構の確立を目ざし、四十五年建設されたものであります。現在、参加企業二百七十八、年間販売高は四十二年度当時より倍増し、東北六県の流通の拠点としての地位が高まっていますが、今後の問題として、共同配送センター、従業員の共同採用、コンピューター利用による流通システム化の調査、研究等が残されているとのことであります。  零細な小売り商のあり方が、各方面で関心が持たれておりますが、仙台市長町において、六つの生鮮食料品店が協業化し、長町企業組合を組織し、成功している例を見てまいりました。当店は、この地区に進出した四つのスーパー等大型店舗に対抗し、県の指導及び小売り商業協業化資金貸し付け制度による低利の融資を受け協業化し、逐年売り上げ額を伸ばし、四十五年度は、協業化前に比し六倍に近い売り上げ額を示すに至っております。県としても県内中小企業者の組織化意欲に与える影響も大きいので、指導関係機関とも緊密な連絡を保ちつつ、組合運営の指導を行なっていきたいとのことでありました。もちろん、企業組合の結成等、協業化を行なう場合、構成員間の人的関係が問題となるところであり、よき指導者のもとに結束を固めることが必要なことはいうまでもないところであります。  以上のほか、郡山畜産センター、福島市公設卸売り市場建設予定地、仙台トラックターミナルの視察を行なったことを申し添えて報告を終わります。
  197. 長屋茂

    委員長長屋茂君) 派遣委員の報告は、以上をもって終了いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時四十五分散会