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1971-10-05 第66回国会 参議院 農林水産委員会 閉会後第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年十月五日(火曜日)    午前十時二十六分開会     —————————————    委員の異動  九月二十八日     辞任         補欠選任      塩出 啓典君     二宮 文造君  十月四日     辞任         補欠選任      二宮 文造君     塩出 啓典君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         高橋雄之助君     理 事                 亀井 善彰君                 前川  旦君                 宮崎 正義君     委 員                 河口 陽一君                 鈴木 省吾君                 津島 文治君                 初村瀧一郎君                 星野 重次君                 堀本 宜実君                 川村 清一君                 辻  一彦君                 鶴園 哲夫君                 中村 波男君                 塩出 啓典君                 塚田 大願君    国務大臣        農 林 大 臣  赤城 宗徳君    事務局側        常任委員会専門        員        宮出 秀雄君    説明員        環境庁水質保全        局企画課長    河野 義夫君        沖繩北方対策庁        総務部長     岡田 純夫君        文部省体育局審        議官       西村 勝巳君        文部省管理局助        成課長      松浦泰次郎君        厚生省社会局保        護課長      藤森 昭一君        農林政務次官   佐藤  隆君        農林大臣官房長  中野 和仁君        農林大臣官房技        術審議官     遠藤 寛二君        農林大臣官房参        事官      大河原太一郎君        農林省農林経済        局長       小暮 光美君        農林省農林経済        局保険業務課長  川村 文雄君        農林省農林経済        局統計調査部長  中沢 三郎君        農林省農政局長  内村 良英君        農林省農政局参        事官       長谷川新一君        農林省農地局長  三善 信二君        農林省畜産局参        事官       斎藤 吉郎君        農林省蚕糸園芸        局長       荒勝  巖君        農林水産技術会        議事務局長    加賀山國雄君        食糧庁長官    亀長 友義君        食糧庁業務部長  森  重弘君        水産庁次長    藤村 弘毅君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○派遣委員報告農林水産政策に関する調査  (北海道における農畜産業冷害対策に関する  件)  (農畜産物輸入自由化対策に関する件)  (米穀の需給計画等に関する件)  (沖繩における農産物干害対策に関する件)  (農道の整備に関する件)  (瀬戸内海等水質保全に関する件) ○小委員会設置に関する件     —————————————
  2. 高橋雄之助

    委員長高橋雄之助君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  まず派遣委員報告に関する件を議題といたします。  先般当委員会が行ないました北陸北海道及び山陰地方委員派遣について各班から派遣委員報告を聴取いたします。  まず北陸班報告を願います。亀井君。
  3. 亀井善彰

    亀井善彰君 北陸班報告を申し上げます。  北陸班公報掲載のとおり、去る九月六日から十一日までの六日間、福井石川両県の農林水産事情調査を行なってまいりました。参加されましたのは前川委員塚田委員と私の三名で、福井県では辻委員及び熊谷議員現地参加をされました。  以下、この調査を通じまして、特に印象の深かった事項を中心に簡単に報告をいたしますが、日程に従いました詳細は文書をもって報告いたします。  御承知のように、福井石川両県ともその自然環境からして水田単作地帯として発展してきたものでありまして、全耕地面積に占める水田面積は八〇%から九〇%にも及び、有数の穀倉地帯であります。現下の米過剰下生産調整中におきましても、米作にかける農民意欲はきわめて強いものがありました。すなわち、適地適産の観点からして、この地方は米でいくべきだとの考え方を基本とし、また長年の米作のために払われた基盤整備は簡単には他に転換しにくいという事情もあり、米生産生産性向上大型機械化、流通の近代化への努力が続けられておりました。すなわち、数カ所で見たカントリーエレベーター中心としたトラクター、コンバイン等システム化動きが各地に見られ、新しい米づくり体系が追求されておりました。  また、精米工場についても大型集中精米工場の例を見たのでありますが、特殊な貯蔵能力を持つデンマーク製サイロ精米タンク等、良質低廉な米の供給への努力が続けられております。同時に稲作転換について地元技術者農家のたゆまぬ創意くふうも積み重ねられているのでありまして、イチゴとサトイモとの組み合わせの栽培等印象に残ったのであります。  第二は、米作の異常な動きとともに大規模開拓干拓が進められ、そこには畜産酪農蔬菜園芸等計画あるいは実施中でありまして、その規模の大きさには目をみはるものがありました。福井県の奥越高原牧場二百八十ヘクタール、ここでは酪農肉用牛等中心とし、国営坂井北部総合パイロット事業は総面積三千八百十六ヘクタール、水稲園芸蔬菜中心とし、石川県の河北潟干拓は、干拓面積千四百十五ヘクタール、蔬菜類酪農の導入が計画されており、鹿島地区県営パイロット事業では、牧草のための農地造成百三ヘクタール、神野開拓建設事業は、普通畑六十一ヘクタール、牧草畑百六十一ヘクタール、果樹園三百八十一ヘクタール、二子山開拓建設事業は五百四十二ヘクタールで果樹園酪農計画されているのであります。  第三は、両県とも年々大量の観光客の流入がありますが、これへの農業の対応も問題となっております。シーズンとなると、蔬菜果樹等需要が急増し、これを県で自給することが目標となっております。このためには、供給力の増加と同時に省力化生産力安定化、価格の安定、さらに端境期対策等解決すべき多くの問題があります。自然休養整備事業実施について要望があったことを申し添えておきます。  最後に、両県とも良湾に恵まれ、養殖漁業の振興がはかられておりますが、瀬戸内海と同様、早期国立種苗センター設置についての要望がありました。  以上簡単ながら御報告を終わります。
  4. 高橋雄之助

    委員長高橋雄之助君) 御苦労さまでした。  次に北海道班報告を願います。宮崎君。
  5. 宮崎正義

    宮崎正義君 北海道班について御報告いたします。  北海道班は、去る九月二十七日から十月二日までの六日間にわたり、農林水産業実情、特に開道以来最大といわれる冷害実態をつぶさに調査してまいりました。  派遣委員は、高橋委員長村田理事河口委員と、私、宮崎の四名でありますが、調査の全日程にわたり、川村委員現地参加いたしました。  以下、調査の結果を御報告いたしますが、ここではその大要を報告するにとどめ、詳細は文書をもって行ないたいと存じます。  すでに委員各位も御承知のように、北海道は、この春以来、全道的に異常低温にさらされ、近年まれに見る激甚冷害が確定的となっているのであります。  九月十五日現在における道の調査による被害状況は、総被害見込み額七百五十億円余、被災農家は約十一万二千三百戸に達しております。  このうち、水稲は、作況指数が五七と報告されており、特に被害激甚であった網走支庁管内では、わずかに一・四%という作況であり、実質的には収穫皆無の実情であります。  上川、十勝、留萌、空知支庁管内作況は、それぞれ四七%、二七%、四四%、六〇%という状況でありますが、減数分裂期における異常低温による花粉形成障害、八月中旬の低温に起因する開花の不調などにより、稔実粒が極端に少ないという、障害型冷害の様相を呈している地域が多いのが特徴であります。  小豆につきましては、全道の作況指数が四二と、水稲被害率を上回り、最も被害激甚でありました網走支庁管内では、わずかに八%という作況であります。  われわれの訪れました網走湖岸嘉多山地区では、五株に一、二さやの収穫があるかどうかという実情でありました。  小豆をはじめ、豆類主要産地である十勝支庁管内小豆作況は二七%と報告されております。  全道では、約九万八千ヘクタールの豆類被害を受け、被害見込み額は、約百八億円に達しているのであります。  このほか、飼料作物バレイショ等被害も著しく、北海道における主要作物のほとんどが冷害影響を受けているのが実情であり、われわれが現地調査を行なっている間にも低温と雨天が続いており、最終的段階で、被害額がさらに増大するであろうことは必至の情勢であります。  冷害対策につきましては、道及び被災市町村で、いち早く冷害対策本部を設けて、被害農家生活の安定や、明年以降の営農の確保などにつとめているのでありますが、災害規模激甚であるため、天災融資法適用による経営資金融通激甚災指定自作農維持資金融通措置、あるいは、農業共済金早期支払い農産物政府買い入れ及び検査規格に関する特例の設定、救農事業拡充措置及び農家固定化負債の整理、畑作共済制度の確立など恒久対策早期実施などの諸対策を、国において講ずることが特に望まれるのであります。  また、被害調査に際しての質的側面の算入、救農事業における地域実態に即した改善助成措置拡充などの必要性が痛感されたのであります。  以上、簡単でございますが、北海道班報告を終わります。
  6. 高橋雄之助

    委員長高橋雄之助君) どうも御苦労さまでした。  次に山陰班報告を願います。星野君。
  7. 星野重次

    星野重次君 御報告いたします。  山陰方面は、工藤委員と私星野の二名で、九月の二十七日から十月二日、おとといまで、六日間にわたって、鳥取島根両県下の土地基盤整備事業農業構造改善事業漁港整備事業等視察いたしました。  詳細は文書に譲ることにいたしまして、ここでは簡単に口頭報告をさせていただきます。  両県は、農業就業人口が、ともに総人口の三割以上を占めている農業県であります。  私どもが特に強い印象を受けましたのは、基盤整備事業・中でも水田圃場整備事業に対する両県の強い意欲でありました。  これは、平均耕地面積鳥取九十アール弱、島根七十アール弱という狭さであり、規模拡大の困難さや、米価の低迷と相まって、稲作単一経営が一般的には成立困難なため、この事業によって生ずる余剰労働力を、稲作以外に振り向け、所得の増大をはかることを目的としているからであります。  このような余剰労働力は、都市近郊や企業の進出した一部山間地では、兼業に振り向けられております。  また、砂丘地帯大山山ろく島根山間地等では、ナシブドウ、葉たばこ、肉豚養蚕等の労働集約的な、反当たり収入の高い農業に向けられて、専業農家を成立させる条件となっております。  いずれにしろ、兼業化地帯では、適切な職場の確保前提であり、そうでない場合は、出稼ぎの条件整備したにとどまるおそれがあります。  一方、ナシブドウ肉豚等を指向した農家には、将来にわたる安定した需要が不可欠であり、長期の需給見通しに立った政府の強力な指導が必要であります。  次に、農業構造改善事業は、このような状況下にある農家、特に専業を指向する農家にとって、資金面指導面で大きな役割りを果たしておりますが、現地では、実情にあった柔軟な採択基準を配慮してほしいとの要望を受けました。  また、この事業との関連で、農家生活環境整備のために、集落の再編成が必要な段階にきているように思われました。  最後に、漁港整備事業でありますが、両県ともはなはだしく立ちおくれておりました。視察した境、浜田の両港とも地元から整備促進方を強く要望されたことを申し上げまして、以上、簡単でございますが、御報告といたします。
  8. 高橋雄之助

    委員長高橋雄之助君) どうも御苦労さまでした。  ただいま報告がございました各班から別途詳細にわたる報告書が提出されておりますので、これを本日の会議録に掲載することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 高橋雄之助

    委員長高橋雄之助君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいいたします。
  10. 亀井善彰

    亀井善彰君 私は、視察をいたしてまいりました関係委員の皆さんの御了承をいただきまして、この機会に一言、大臣おいででございますから、意見を申し上げたいと存じます。  と申しますのは、いま報告を概要お聞きのとおり、各班ともそれぞれ現地へ参りまして、なまの声を聴取いたしてまいりました。きわめて受け入れ体制整備されておりまして、真剣に、それぞれの部門においての陳情をいただきました。特に、いま最後お話しのございました北海道班のような実情、これらをいろいろ勘案いたしますときに、単に、われわれ農林水産委員会の代表が現地視察して、それを単に報告をして終わった、こういうことであっては、私は、委員会の威信にもかかわる、そういう意味合いからいたしまして、その詳細な報告書農林大臣は各局長あるいは長官等に熟読していただきまして、そうしてその対策を樹立できるものに対しましては早急にこれをあるいは地方農政局あるいは地方庁とお打ち合わせを願い、必要によりましてはわれわれ視察いたしました委員をお集めになりまして、具体的問題等について御相談をいただきまして、そうしてできるものから即時解決をしていただくことを特にこの機会に御要望を申し上げておきます。     —————————————
  11. 高橋雄之助

    委員長高橋雄之助君) 次に、農林水産政策に関する調査議題といたします。  これより質疑を行ないます。質疑のある方は順次御発言を願います。
  12. 川村清一

    川村清一君 本日は、大臣の御出席の時間が非常に短いために、私に与えられております質問の時間もごく僅少でございますので、私はこの際、北海道冷害対策について、まず大臣に基本的な問題にしぼって数点お尋ねし、事務的な問題については、午後事務当局の方にお尋ねをしたい、こういう立場で質問をいたします。  まず第一にお尋ねいたしたいことは、ただいまの北海道視察班報告にもありましたように、北海道の本年の農業は、まさに文字どおりの大冷害を受けたのであります。三十九年、四十一年、四十四年と冷害に見舞われてきた北海道農業でありますが、ことしはいまだかってない大冷害昭和三十一年の冷害以上の冷害を受けておるのであります。北海道が調べたいろいろな調査は、われわれお聞きいたしてまいりましたが、当然、農林省といたしましても、その実態についてすでに調査し、把握されておるものと思います。したがって、まず農林省調査に基づくところの実情被害額等につきまして、ごく簡単でけっこうでございますが、一応御報告を願いたいと思います。
  13. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) ただいま当委員会調査報告も詳細承りましたが、私のほうで調査したこともいまから申し上げます。
  14. 内村良英

    説明員内村良英君) ただいま農林省を代表いたしまして北海道実態調査に参りました農政局長谷川参事官が参っておりますので、長谷川参事官から御報告申し上げます。
  15. 川村清一

    川村清一君 時間の関係がありますから、ごく簡単に願います。
  16. 長谷川新一

    説明員長谷川新一君) 私、この九月の五日に出発いたしまして、大体道内を調査してまいりました。その結果を簡単に申し上げたいと存じます。  御承知のように、本年の天候は変動がきわめて大きくて、しかも農作物生育に非常に大事な時期に低温が襲来したということが大きな特徴のように存じます。  まず水稲につきましては、七月の中下旬の最低気温は十度を下回るような異常低温、それからその時期に、あわせて日照不足というようなことによりまして、しかも稲の生育にとって一番大事な花粉母細胞減数分裂の時期にあたりまして、そのため花粉形成障害を受けて、著しく不稔もみを発生いたしております。それに引き続きまして、八月の十七日を中心といたしまして再度の低・温がまいりまして、この時期には、ちょうど七月の低温でただいま申し上げました障害を受けなかったなかてないしおくての品種が……
  17. 高橋雄之助

    委員長高橋雄之助君) 参事官、簡明にやってください。
  18. 長谷川新一

    説明員長谷川新一君) 開花受精を妨げられて登熟不良になる、こういうような状況でございます。  それから豆類についても同様開花の時期に低温にあたりましたので、着粒数の減少、それから肥大が悪い、こういうようなことで、やはりかなりの減収を示しております。  それから飼料作物については、あまり低温影響を直接受けませんけれども、ちょうど刈り取り時期にあたりまして、むしろ多雨が続いたために品質の低下を見た、こういうような状況でございます。  このような状況で、耐冷性の強いといわれておりますてん菜以外の作物は、ほとんど被害を大きく受けておるというような状態でございます。それで私ども参りましては、さしあたって来年の種子対策ということと、それからその後に予定されます降霜を防止する、こういうことの指導につとめてまいったわけでございます。
  19. 川村清一

    川村清一君 いま報告されたようなことはもう承知しているのです。私のお聞きしたいことは、農林省が御調査になった結果、一体被害総額はどのくらいか、水稲被害幾らか、畑作被害幾らか、合計幾ら被害を出しておるか、その数字をお聞きしたい。
  20. 中野和仁

    説明員中野和仁君) ただいまのお尋ねでございますが、農林省といたしましては、統計調査部の機関を動員いたしまして、十月十五日現在で調査を最終的にいたしまして、十月末にそれの集計ができる。そこで被害額が確定する、こういうことでございます。
  21. 川村清一

    川村清一君 十月十五日で最終的な被害額が出ることは承知しておるのですよ。しかしあなた方のほうはいままで調査してきておるのだから、現段階において幾ら被害額が出ておるか。と申しますのは、私ども調査に出かけまして、北海道調査いたしました九月十五日現在の数字を聞いてきておるわけです。したがって北海道が調べたところのその数字と、農林省調査数字が合っているか合っていないかということは重大な問題であるから、それで私はあえてお尋ねをしておるので、十月十五日に最終的な総額が出てくることは承知しておる。しかしいませっかく農林省から行かれて、先ほど参事官がここで報告されたようなことだけを調査されておるわけですか。
  22. 中沢三郎

    説明員中沢三郎君) ただいま官房長からお答え申し上げましたように、農作物全般につきましての被害額の判明するのは十月末でございますが、これまで水稲につきましては、作況指数被害状況等から考えまして被害額が推計できるわけでございますが、その数字を申し上げますが、ほほ三十七万トン、金額にいたしまして約五百三十億と推計できるわけでございます。北海道庁のご報告によりますと、水稲被害は五百十億となっておるようでございますが、私のほうの試算では水稲につきましてはやや上回っておるわけでございます。現在の段階では金額で申し上げますと水稲だけが推計できる段階でございますので御説明申し上げました。
  23. 川村清一

    川村清一君 まあ水稲のほうの被害額につきましてはただいまの説明承知いたしました。私ども調査によりますれば水稲、畑作合わせまして北海道の九月十五日現在の総被害額は七百五十億円と、こういうように把握しておるわけであります。これは九月十五日現在。しかし、これはただいま政府のほうからお話がございましたように、最終的には十月十五日に出てくるわけでありますから、したがって私どもといたしましては七百五十億以上にこれがさらに拡大されるものと、かように考えておるということを一応ここでお話ししておきます。  そこで、時間の関係で先を急ぐわけでありますが、大臣お尋ねします。  今次の災害は当然天災融資法に基づく災害に指定するとともに、激甚災害法に基づく災害に指定すべきであると、かように考えております。過去の事例からいっても当然そういう措置がとられるべきものと判断しておるわけであります。そこで、私が申し上げたいのは、これを早くやってもらいたい、早急にその措置を講じてもらいたいということであります。罹災農民にその行政措置によって一日も早くあすへの希望を持たしてあげるべきではないか、こういうふうに考えております。政府がその措置をとらなければ行政措置が一向に前に進まないんであります。そこで一日も早く天災融資法に基づく災害に指定するとともに激甚災害法に基づく災害に指定すべきであると、かように考えておるが政府考えはどうか。やるとするならば早くしてもらいたい。いつできるのか、この点を大臣からお聞きいたしたいわけであります。
  24. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) いまのお話しのとおり、天災融資法とかあるいは激甚災害法適用はできるだけ、特に一日も早くというお話でございますが、一日も早く発動するつもりでございます。いつ幾日発動するかということでございますが、発動する場合の時期につきましては、東北等の一部にも冷害による被害が発生しておる模様でありますので、これらを一括するかいなかの判断を待つ必要がありますので、これらを含めて十月十五日現在で実施する農林省統計調査部被害調査結果の判明を待って手続を一日も早く進めたい、このように考えております。
  25. 川村清一

    川村清一君 十月十五日の統調調査結果に基づいてなされるというその趣旨はわかるわけであります。行政措置としてはそうあるのが当然であるのかもしれませんけれども、その措置をとられなければいわば北海道庁行政措置といったような行政が進まないんです。ですから私の言うのは、どうせこれはなるんだから、いままでの冷害の例からいってもなるわけだから、だから一日も早くしてもらいたい。で、その十月十五日でなければなされないという何か法的根拠があるのかどうか。十月十五日で統調調査結果が出なければそれができないのかどうか。もうすでにはっきりしているわけですよ。農林省調査が非常におくれておるわけです。たとえば九月十五日の北海道の七百五十億というその金額にしても、やはり地元統調といろいろ一緒になって——一緒になってと言っちゃちょっと語弊があるが、統調も認めておるんです。こういう中でそういう調査結果が出ているのであるから、もしできるならば十月十五日結果を待たずしてその行政措置を講じてもらいたいというのが私の趣旨なんですが、これはできないのかどうか、大臣にもう一度お尋ねいたします。
  26. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 一日も早くやりたいと思いますが、そうしてまたいまの見通しでは別に被害調査の結果が出なくてもこれらの発動はできるのはできるんですが、やはりこの激甚災害法とか天災融資法とかいうものを発動する前提といたしましては、全国的にこういう措置をとる場合に、やはり一つの被害調査というものを基礎として出しますので、もうそれは当然適用されるとは思いますけれども、十月十五日という被害調査結果、これを待って正式に、正規に発動したいと、こういうのが私ども考えであります。
  27. 川村清一

    川村清一君 次に進みますが、経営資金についても、あるいは自作農維持資金についても北海道農民は三年に一度、四年に一度の冷害を受けております。で、そのたびに制度金融を受けておる。したがって現行制度上では現在農民の借り入れというものはもう満度にきておるわけであります。したがって本年の冷害に対していま大臣のおっしゃったように、天災融資法に基づく経営資金の貸し付け及び自創資金の災害特別ワクといったようなものをふやしましても既往の借り入れ金のために新たに借り入れができないと、こういう実情にあるのが北海道農民の姿であります。したがってぜひ貸し付け限度額の引き上げ、これが絶対に必要であるわけであります。さらにはまたもう累積したこの借財のためにどうにもならないという現状から考えて償還期限を延長するとか、あるいは利子の引き下げ措置をするとかという金融措置というものが絶対必要なわけでありますが、これに対して赤城農林大臣の御所見をこの際はっきりお聞きしておきたいと思うわけであります。
  28. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 実情はいまお話しのとおりだと思います。でありますので、金融措置につきましても十分考えていくつもりであります。ことに農林漁業金融公庫が貸し付けしました資金等につきましては、被害農業者の実情に応じまして貸し付け条件の変更を行なうというようなこと、あるいは償還猶予等の措置を行なうように関係金融機関をいま指導しております。また自作農資金等につきましては貸し付け限度等はすぐにも引き上げることができるのでございますが、これは農林関係の金融機関を極力御趣旨のような方向でいま指示しておるところでございます。
  29. 川村清一

    川村清一君 ぜひその措置を急速にお願いを申し上げたい、かように考えます。  次に、これはまあ恒久対策といいますか、将来の北海道農業をどうすべきかという展望に立って二点ほどお尋ねしておきたいのでありますが、まず第一に、北海道農業は御承知のように耕地面積において全国比が一七%を占めております。九十八万七千ヘクタール。生産額におきましては六・九%、約七%であります。その金額は三千百二十四億円、まさに日本における北海道は食糧の基地である、こう言っても過言ではないと思うわけであります。しかし北海道農業を今日の姿にまで発展させてまいりました農民は、もう冷害に次ぐ冷害の痛手と戦いながら、また政府がいろいろ指導する構造改善、経営規模の拡大、こういうような方向に向かって懸命な努力を続けてまいったわけであります。そのために、現在ばく大な負債を背負って借金に苦しんでおる、これが北海道農民実情であります。いろいろな制度金融をほとんど満度に借り入れております。したがって、ことしこの大冷害を受けて全く打ちひしがれた農民にあすの明るい希望を持たし、営農意欲を減退させずに、さらに後継者も安心して農村に残り、真に日本の経済の中における食糧基地としての北海道のこの農業を安定させるためには抜本的な施策が必要であろうと私は思うわけであります。その抜本的な施策とは何か。これは農業金融政策を抜本的に変えることである。いわゆる現在の負債を整理できるような、総合的な長期、低利な金融制度をつくる、このことが最も必要なことだと、これなくしてはなかなか望み得ないと私は確信しておるわけであります。この日本の食糧基地である北海道農業を安定し発展させるために、ぜひこういう姿勢で農政を行なってもらいたいというのが私の希望でありますが、これに対する大臣の御見解をひとつお示しいただきたいと思います。
  30. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 当面の問題としても、今後の問題としても、北海道農業に対して金融の問題ということは大事なことと思います。もちろんお話しのような方向に進みたいと思いますが、いまお話がありましたように、北海道農業というものは日本の農業の中でもまあモデル的な農業といいますか、また食糧関係からいいまするならば、食糧の基地として大事なところであると思います。でございますので、一戸当たりの耕作面積も、あるいは農地の集団化も、あるいは機械化も非常に進んでおります。で、日本の農業北海道農業のような方向に持っていきたいと思っておるのでございまするから、ますます北海道農業というものを振興さして、先鞭をつけて日本の農業の振興をはかりたい、こういう意味におきましても、北海道農業に対しましては非常に関心を深くし、また北海道農業がいまの災害を克服し、そして伸びていく方向に私は強く政策を打ち出して対策も講じていきたいと、こういうふうに思っております。
  31. 川村清一

    川村清一君 非常にばく然とした御答弁でございますので、恐縮ですが、もう一度しぼってお聞きいたします。  たくさんな制度金融というものがあるわけであります。もう北海道農民は全部借りています。それは決して農民が好んでやった道でもないわけです。政府のいわゆる構造改善であるとか、あるいは北海道農民は、こうすべきためには経営規模を拡大せよとかいう指示、政策に基づいて、借りれるだけの金を借りて規模を拡大してきたわけです。その借金、負債に苦しんでいるのが北海道農民の姿なんです。これ以上やれないわけです。ですから、負債の整理、借金の苦しみから北海道農民を解放してやらない限りにおいてはもう営農意欲はなくなるわけです。北海道農業がだめになる。北海道農業がだめになるということは、これは国のいわゆる食糧基地としての一番大事なところがだめになるわけですから、国益上重大な問題になるわけです。ですから、それを解消するためには新たな総合的な金融制度を設ける。うんと長期低利な、欧米諸国でやっているような——まあ具体的な数字は今後また質問のときに出します。けれども、まず基本的な大臣のお考えを聞いているんです。そういう金融制度を創設して、その中に現在のこの負債というものを全部整理して、まず北海道農民を負債の苦労より解放してやる、これが大事なことではないかと思うんですが、しぼってお聞きしますので、大臣のひとつ御見解を簡単に率直にお聞かせいただきたい。
  32. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 北海道だけに全部の金融制度をまとめてひとつやれというようなお話でございますが、全国を通じて金融機関とか金融制度がございまするから、そういうことには私はまいらぬと思いますが、総合資金制度を活用していくと、こういうことで手を打っていきたいと思います。たとえば農林漁業金融公庫資金等につきましては、業務方法書によりまして償還猶予等を行なうことができることになっておりますから、そういうふうにやっていくとか、あるいは農業近代化資金につきましては、きまった償還期限及び据え賢き期間は政令で定める期限の七、八割の期限でありますので、政令規定の期限まで延長するということもできます。でありますので、こういう各種の金融を一つにまとめて北海道だけに一つの金融機関をつくって対策を講じろというような御意見等もございますが、そういうことまでは考えていませんが、各種の金融制度、こういうものを十二分に拡充活用して北海道のこの災害等に対処していきたいと、こういうふうに考えています。
  33. 川村清一

    川村清一君 まあ大臣のお考えがわからないわけでもないわけであります。しかしながら、基本的には私の考えと違うわけです。大臣は現行制度の運用の中でやっていけるという御見解のようであります。私はそれでは思い切ったことができないという考え方なんです。その理論的根拠は何かと申しますと、大臣、今度沖繩が返ってまいります。沖繩も日本の国になります。そうすると北は北海道から南は沖繩、実に長い日本列島ということになるわけであります。亜熱帯から亜寒帯まで、これは気候条件はもちろん違う。土地条件は違う。いろいろな点において違うわけであります。この違う長い日本列島の領土の中におけるところの農業というものを一本の農業法律の中でこれを行政執行していくというところに、すなわち無理があるのではないかと私は思うわけであります。いわゆる本州と北海道、あるいは沖繩、これは全然気象条件が違う、土地条件が違う、風土が違う、その土地にマッチしたところの農政を行なう、これが必要ではないかと、こう思うわけであります。北の北海道は広大な土地を持っておる。そうしてきびしい自然と戦いながら農業を行なっておる。したがって、この土地条件、気象条件に合ったところのいわゆる農政というものを行なっていくことが必要ではないかと、北海道には北海道農業、本州には本州、沖繩沖繩、そうして日本の経済の中から北海道農業に対してある責任を持たせる、こういう北海道農業というものを日本経済の中でどう位置づけていくかということが必要ではないか。そのためにはやはり特殊な法律が必要であります。立法措置が必要でないかと私は思う。そのことによってほんとうに適地、適作、適経営の北方農業というものを北海道の地に確立することができるんであって、これがまた日本の経済全体に大きな寄与をする道である、かように確信しておる。したがって大臣のおっしゃっていることと基本的に私はその見解を異にするんでありますが、私のいま申し上げたことが大臣に御理解いただけるかどうか。御理解いただけるとするならば、そういう立場に立ってもう一度ひとつ御検討願えないか。これは日本の国のためになるんじゃないかと私は確信しておりますが、大臣の率直なお考えをひとつ明らかにしていただきたい。
  34. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) お考えにつきましては、私はわからないわけではございません。十分わかります。日本列島は南北に長いのでございますし、いろいろな特質を持っております。内地だけにつきましても、各県あるいは太平洋面とか北陸、日本海面等にいろいろ変わっておるところもございます。でございますが、特に北海道とか沖繩というところが、変わっておるところがあることはよく私も認識しています。沖繩等につきましても、しかし今度の返還につきまして、やはり日本全体と差別のないような、また沖繩に有利なような立場の法律、制度等はそのまま存続をある程度しますし、また違っておって日本内地と同じような適用をしたいというものは適用するというようなことでやっておるのでございます。でございまするので、できるだけやはり法律とし、あるいは金融制度としては日本全体が画一的な、統一的なものであったほうが、これはいいと私は考えています。しかし地域の差異がございまするから、農林省におきましても御承知のとおり、農業生産の地域指標の試案というものも昨年十二月に公表しまして、その中でやはり地域に応じた施策をしていく、北海道ならば北海道は今後ともわが国農業において重要な役割りを果たす地域として位置づけておるのでございます。でございますので、法律や金融が統一的でなく、地域的に基本的な法律や制度を分けていくというよりも、統一的なものの中においてこの農業生産の地域指標の試案等に従って、重く考えてまたいかなくてはならぬというのは、その中において運用の面その他において、私は重要性に応じた施策を行なっていく、これが日本全体の統一国家としての立場からは、そのほうがよりいいんじゃないかと、川村さんの見解も十分わかりますけれども、また見解の違うような施策の点においての違うような点も指摘されましたが、私はそういうふうに考えて、十分御意見のような意見を運用の面でできるだけ生かしていって適用をしていくと、こういう方針がよいというふうに考えておるわけであります。
  35. 川村清一

    川村清一君 時間ですから最後にもう一点、いまのお話よくわかりましたが、大臣のおっしゃっていることは、日本の国は統一国家である、したがって法律は一本であるべきである、これが真の姿であるという基本的な考え方は何も私は否定するわけではないのです。統一国家である以上、法律は一本であるべきである。しかしながら現に北海道の特殊事情にかんがみて北海道の開発のために北海道開発法という法律があり、北海道開発庁という役所があり、北海道開発庁長官という国務大臣が置かれている。あるいは今度沖繩が返ってまいりますれば沖繩振興開発庁という特殊なやはり役所ができる。そのためには沖繩開発法という法律ができるわけであります。  それから農業の一部分をとるならば、北海道だけのマル寒資金、要するに北海道だけの金融の法律もあるわけです。ですから何もかも一本ではないのですよ。北海道の特殊事情北海道農業の特殊事情、そのことによって日本全体の経済の発展に寄与するために大きな意味があるとするならば私は当然やってしかるべきである、かように考えるわけです。このことについてもっと掘り下げていろいろ議論をしたいわけでありますが、いかんせん私に与えられた時間は三十分でございまして、きっぱり三十分終わりましたので、あとできまりませんので、今後またこの問題について大臣ととっくりまあひとつ議論をしたい、こういうふうに思っております。  なおこの際、大臣は訪ソされるそうでございまして、北洋漁業の問題についていろいろ向こうでお話し合いをされるそうでありますが、この北洋漁業の問題について私はいろいろ議論をしたがったんでありますが、これも時間がございませんのでお帰りになってからまた私はお尋ねをすることにしまして、私の質問は終わります。
  36. 河口陽一

    河口陽一君 今回北海道の冷災害に対しまして六日間つぶさに調査をいたしてまいりました一人でございます。先ほどからも御議論があり、あるいは衆議院の農水あるいは災害特別委員会でも、北海道の冷災害に対して質疑が行なわれてまいっております。すでに大臣はつぶさに様子は御承知と存じますが、   〔委員長退席、理事亀井善彰君着席〕 この際被害農家十一万戸あまりの農民に対するひとつ農林大臣のあたたかいおことばをちょうだいいたしてそして諸般の対策を進めていくならば非常に幸いと存ずるわけでございます。  ご承知のように、北海道は食糧基地といわれておりますが、米の過剰から何かしらん北海道農民は卑屈になっております。食味が悪い、米質が悪い、災害にあう、米は余っている。そういうことから複雑な農民感情になっているわけでございます。今回の冷災害についても過般初山別で自殺者が出たというような非常に悲惨な状態でございます。これは農民の気持ちの氷山の一角でございまして、非常に北海道農民としては動揺いたしているわけでございますので、この際大臣災害農民に対するあたたかいごあいさつをまず冒頭にお聞きをいたしたいと存じますので、よろしくお願いをいたします。
  37. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 私は、北海道農業というものが食糧基地というような大事なところだというようなことばかりではないと思うんです。とにかく北海道というものは、明治の初めあたりは、非常に僻陬といいますか、開拓がされていなかったところへ入植もしたり、またそういう関係北海道の今日の農業というものまで進めてもらったこの北海道農業者に対しては、そういう面でも心から感謝、敬意を表している次第でございます。  また現時点におきましては、先ほど来申し上げておりますように、内地と違いまして、農業構造等も非常に進んできておったわけでございます。あるいはまた、政府でいろいろな政策を講じました中において、たとえば構造政策等におきましては、規模の拡大とかあるいは集団化とか、あるいは機械化とか、こういう方針等につきましても最もこれに協力し、またみずからそういう方向に進めた北海道農業であると私は思っております。そういう農業がこの災害を受けた。この災害もいままで珍しいというか、ひどいというか、こういう災害を受けたということに対しましては、心から私は御同情申し上げるといいますか、この災害で遺憾のことであると考えております。でおりますので、この災害を一日も早く克服して、日本の食糧基地とし、あるいは農業の進むべき道のほうへ進んできておりまする北海道農業が立ち直ることを心から希望し、そういう対策も一そう講じていきたい、こう思っておる次第でございます。そういう点で、たとえば稲作農業につきましても、北限地でこれは無理だというようなこともあります。無理な点もあります。無理な点もありますが、その無理を克服して、とにかく稲作、米の農業等におきましても前進的な立場をとっておりまするから、さらに栽培技術とかあるいは普通の技術とか、あるいは構造改善等を一そう進めさしてこれをやって進めていきたい。なお、このいま直面しておりまする稲作農業の転換というような面におきましても、畜産とか果樹とか、あるいは林野もございますが、そういう面で非常にその方面を進めることにやっておられるところでございまするから、そういう面からも北海道農業というものを非常に私どもは重要視して、一日も早く災害を克服できるような対策を私ども講じながら、なお前へ進めるような形にもっていきたい、こういうように考えております。
  38. 河口陽一

    河口陽一君 たいへん大臣の力強いごあいさつを承って、北海道農民意欲を持って再生産に取り組むと、こう考えております。  今回の視察で感じましたことは、特に大臣にお聞きを願いたいと思うことは、全くこれは天災的要素が全体と、こう感ずるのですが、私ども視察をいたしますと、この構造改善が行なわれた地帯、土地改良が十分果たされた地帯は被害を最小限に食いとめておるわけでございます。従来の水田では深水もできないものが、基盤整備をし、構造改善が進んだ地帯は、そういう深水対策によって冷低温を防止しておる。ある模範青年のところへ参りましたが、もっと普及員等が指導を十分してくれるならば、この災害を未然に防ぐことができた。この青年、これは永山の梅津という模範青年の宅をわれわれ一行がたずねたのですが、ことしのような災害の年でも、本人は四百二十キロの収穫をあげると豪語しておるわけです。そうしてその稲を見ましたが、災害をほとんど受けてないという、こういう実態をわれわれは目のあたり見せられまして、今回の災害も一部は、これは人災でないかという感じを深くいたしたわけでございます。特に、美深町にまいりましたら普及員とその村長が論争を始めました、私どもの前で。こういう品種を普及所が指導したからこの災害を受けた、われわれが言う品種を植えればこの災害を受けることが半分にとどめることができた、——私はその稲をここへ持ってまいっておりますが、美深では中村白毛という、中村という農家が見つけ出した品種だそうです。このとおり実が入っている。同じ美深の水田地帯で一方の奨励したしおかりはこのとおりもうつんと立ってしまっておる。片っ方はこのとおり八割方実が入っている。これは中村白毛と言っておりましたが、こういうことで、米が余ってきて、良質の食味のいいもの、こういうことを指導者は盛んに奨励をした、そういう奨励がこの被害を受けて、従来の在来種をつくった農家はこのとおり実っておる。これはもうまさに私は人災という感じを強く持ったわけでございます。  北海道は過去二、三年過剰米が出るようになってから品種の改良、食味のいいもの、米質のいいもの、まあ北海道はやっかい道でどうも米が悪いということで、これは自民党の農林部会では私どもはもう身の縮む思いで、会議のあるごとにそういう話を聞かされ、これを訴えておった。これを聞き伝えた指導者はそういう方面の努力をしてきた。そう努力の結果がこの人災にひとしい災害を受けたという、こういうことに対しての対策というものは全然考えておられぬわけでございますので、こういう点についても今後北海道稲作というものに対して認識を新たにしてわれわれは対処せなければならぬ。食糧不足の時代は何でもつくれつくれというので努力をし貢献をし、国策に沿うてきた。一たん過剰米になったら古わらじのように捨てられてしまうというところに農民は言い知れぬふんまんを抱いておるわけでございまして、こうした点に対しては、政府並びにわれわれ民間も十分考慮して対処せなければならぬと思うのです。  ことに、北見地帯の災害は先ほど一・四というような収穫を発表されましたが、実際は皆無です。この皆無の結果は二十号という品種が食味がいい、それからわせ系である、あるいは米質がいいと、こういうことで指導者がこの品種を指導した。ことごとくの農家がこの二十号を植えたためにまっ黒に穂がなってしまい、一粒も実が入っておらぬという、これは障害型といいますが、これは、ことしは幸い霜が非常におそくて、いまだにそれほど強い霜がないわけです。九月の一日ごろに水霜程度のものがございましたが、例年に比しますれば非常に霜がおそくて恵まれた、農家は喜んでおるのですが、天気がよくなればこれは多少実が入るだろうという期待感がいままでの調査で持たれておりましたが、結果的には全然天気がよくても実が入らぬ。だから、私はあとからあとから調査される方が深刻の様相を感じておられると思うんです。それは七月の中旬ごろ低温であったために障害を起こしておる。卵で言うたら無精卵のようなかっこうになっておるから、何ぼその後天気がよくなっても実が入らぬという、こういう悲惨な災害にあるわけです。だから、これらの皆無地帯に対する対策というものは、これは非常に私は法の許される範囲内の最大限の、ひとつお取り扱いをされるように、特に大臣にお願いをいたしたい。われわれの指導がこういうあやまちをおかしておる、国の食味のいいもの、自主流通米などの制度によって食味のいいものということを指導したことが災害を非常に甚大にしておるという実情から考えて、ひとつ法の許される範囲、法を乗り越えてと申し上げたいんですが、許される範囲内のひとつ手厚い対策をお考え願いたいと考えて、特に大臣にわれわれが調査してきた内容の一部を御報告を申し上げ、御配慮願いたいと考える次第でございます。  そこで、恒久対策を申し上げておる時間がございませんから、当面の対策といたしまして、この中村白毛にいたしましても米質が非常に悪いわけです、冷害を受けておるから。だから、規格外の買い入れというものの対策を立ててもらわなければ、これはほとんど商品にならぬという実情でございますから、もうそろそろ出回っておる、そういう際でございますので、この規格外の買い入れ制度というものを至急に対策を立ててもらいたい。  それから、当面困っておる問題はモチ米です。モチ米はことごとく自主流通米に——酒米と同様に政府買い上げの処置が考えておられぬとおっしゃられますが、北海道の場合、このモチ米の買い入れをひとつ早急に決定していただきたい。そうでないと、昨年モチ米が余っておるというんで、自主流通米——なかなか計画が立たぬ、そういうことで混乱をいたしておりますので、モチ米の買い入れを即刻北海道の食糧事務所に指示をしていただきたい。それから豆類の品質が非常に悪いから五等などの制度を早急に立てて、買い入れを等級に入れて取り引きができるように、それから米については天候が非常に悪いから、水甲、水乙、いろいろこまかい問題がございますが、そういう対策を本日ただいま決定して指示をするという大臣のお気持ちをひとつ表明していただきたいと思うのでございます。
  39. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 詳細にまた実地についての災害状況お話を承りまして、私もそのとおりだと感じております。天災が人災だというふうによく言われますが、天災の面もあり、人災的な、すなわち指導やその他が足らなかったという点も災害にあらわれておるということも私は考えております。もともと北海道は寒冷地帯と俗にいわれているようなところでございますので、その技術の指導等につきましても、作物別にいろいろ研究もしてきまして、北限地帯といわれておるところも、ずいぶん稲作等も北限のほうに進んだと、こういうことで技術面、栽培法その他においても私は相当貢献を私どももしてきたと思います。しかしまだ足らない面もあっていまのようなこともあらわれてきたというようなことは御指摘のとおりにも私ども考えております。でありますので、北海道に適した稲の品種につきましても、あるいはまた栽培法につきましても、一そう指導研究を続けていくことが必要だと私は考えております。でございますから、その方面も進めますが、いま現在におきまして、たとえば等外米——規格外米等の政府買い入れというような問題、モチ米の問題あるいは雑豆の問題等につきましてどういうふうにするかということでございますが、お話のとおり法律の範囲内において、また運用のできる範囲内において最大限度の措置をとっていきたいと、こう考えております。規格外米等についての買い入れ等も、実態の把握を極力進めれば、その点もやれることでありまするので、従来もやっていましたから、そういう点もやりたいし、またモチ米は自由米のほうに回しております。これは技術的な面もありますので、こういう点につきましては食糧庁長官から御答弁申し上げますが、前提といたしましては、先ほど河口さんのお話のように法律を最大限に適用していく、運用面においても十二分に弾力的に考えていくという方針であることは私から申し上げていいと思いますが、こまかいといいますか、点につきましては、食糧庁長官から御答弁を申し上げます。
  40. 河口陽一

    河口陽一君 あまり時間もないので長官のほうはあとで。  それからもう一つ大臣に特に御配慮いただきたいのは、北見地帯はほとんど皆無と申し上げておる、一・四、これは刈る手間もないというんで、思案の投げ首でおるわけで、当然飯米がないわけです。この飯米対策ですらそれぞれの委員会政府は型どおりの御答弁があるようですが、私はこの問題に対しては、われわれ法律をつくって朝鮮に三十年年賦で、外国の人にまでそういう長期で余った米を活用しておる状態の中において、国内のものに、しかも冷災害、いろいろな複雑な要素の中で災害をこうむって凶作にあっておると、自分がつくった米が食べられぬという悲惨な状態にあるのでございますから、今後営農を続け、あるいは希望を持たせるという意味において、この飯米の対策ぐらいは、もう外国にやった以上の対策をひとつお考えを願いたい。ここでいろいろ議論をする時間がございませんから詳細なことは申し上げぬが、えさには二万円余で払い下げておるという実情、これらも法を活用すれば私は可能であると思いますが、何か食糧庁長官のほうでは徳用米程度かこの値は下げられないというお話でございますが、いろいろくふうをされて、支払いを延期するとか、あるいは価格を引き下げるということに、いま大臣がおっしゃられたあたたかいひとつ法の最大限を活用して、今後具体案を練り直していただきたい。いままでご答弁になったことは私は聞いておりますから、ここであらためて御答弁を聞こうとはいたしませんが、ひとつそういういままでの過剰米に対する対策というものが、広範な対策を立ててまいっておりますが、その最大限のひとつ、冷災害の飯米のとれない農家北海道もなかなか広い地積でございますから、飯米は十分、あるいは八五、九〇などという指数を出しておる米作農家もございますから、そうした農家には必要がないわけです。北見管内、あるいは十勝管内、あるいは上川管内、留萌管内の北限地帯、こうした特殊な激甚災害を受けた飯米もないという農家に対しては、大臣の特段のひとつ御高配をいただいて、最小限の価格で、そうして長期に支払えるような対策を御高配いただきたいという希望を申し上げて私の質問を終わります。  最後に一言、過般の日米経済協力閣僚会議では、大臣には非常に御努力を願って、自由化に対してはわれわれの期待するような取り扱いになりましたことを非常にうれしく感謝を申し上げる次第でございますが、なお残されておりますコンニャク、雑豆、落花生、この三品目については絶対に自由化をしないように、特にこの際声を大にして大臣にお願いを申し上げて私の質問を終わります。
  41. 中村波男

    ○中村波男君 時間もありませんから、米の需給問題を中心質問をいたしたいと思うんでありますが、四十五年度末における過剰米の推計量を約七百二十万トンと政府は見込みまして、これを四十六年から四十九年の四カ年に処分をするという計画をいたしておるのであります。  そこで、まずお聞きしたいのは、四十六米穀年度における二百万トンの処分計画の実績をこの際お聞きしておいて次の質問に移りたいと、こう思うわけです。
  42. 亀長友義

    説明員亀長友義君) 過剰米の処理計画は、原則として会計年度でとっておりますので、会計年度で御説明をさせていただきますが、四十六会計年度における過剰米の処理計画は、御承知のように、加工食品その他の原材料用で二十万トン、えさ用で百四十万トン、輸出用四十万トン、合計二百万トン程度見込んでおります。現在七月までの処理実績が七十九万トンでございまして、計画全体といたしましては、おおむね順調に推移をいたしておるというふうに申し上げることができるかと思います。原材料二十万トンにつきましては、おおむねその数字が会計年度に達成できる見込みでございます。飼料用につきましては、四月当初の発足が若干おくれたこともございますけれども、年間としてはおおむね百四十万トン、輸出用につきましても四十万トン、これは、まだまだ開発途上国等で希望もございますので、四十万トンを若干上回る程度になるかもしれないというふうに考えております。いずれにいたしましても、目標は順調に、当初計画どおり処理できるものと考えております。
  43. 中村波男

    ○中村波男君 次は、四十六年度の需給計画でありますが、生産量千二百六十九万トンと見まして、さらにそこへ生産調整を百三十九万トン、したがって、政府買い入れば七百四万トン、自主流通米を百七十万トン、こういう計画になっておると思うのでありますが、この実績といいますか、集計が十月三十一日でありますから、まだ完全にはできておらぬと思いますが、大体の推定でけっこうでありますから、この機会にお聞きをいたします。
  44. 亀長友義

    説明員亀長友義君) 四十六米穀年度の需給見通しにつきましては、御指摘のとおり、最終的な確定はまだもちろんいたしておりませんので、見込みの段階で申し上げますが、政府米の需給見通しといたしましては、四十五年産米は、買い入れ量が当初計画から二十六万トン程度減少をいたしております。したがいまして、年初の持ち越し量と買い入れを合わした供給量は千六百七十万トンの見込み、これはもちろん古米も全部含めましての数量でございますが、それだけが総供給量となるわけでございます。一方、需要のほうは、主食用需要が前年に比べまして、約十五万トン程度予定より増加をいたしております。そのほか工業用、飼料用等を合わせますと、需要量は全体として大体八百二十万トンの見込みでございます。以上、差し引きをいたしますと、年度末に持ち越します米の持ち越し量は、おおむね八百五十万トンの見込みでございます。このうち古米は、約五百八十万トン程度であろうかと、かように考えております。
  45. 中村波男

    ○中村波男君 そうすると、四十七年度に繰り越しますのが八百五十万トン、その中で五百八十万トン古米がある、こういうことですか。
  46. 亀長友義

    説明員亀長友義君) 八百五十万トンは、四十二年産から全部含めた数字でございます。このうち、古米と申しますのは、これは四十四年産以前のものということに相なります。
  47. 中村波男

    ○中村波男君 そうしますと、四十五年産で四十七米穀年度に繰り越します量は幾らくらいですか。
  48. 亀長友義

    説明員亀長友義君) この差額が四十五年産米の持ち越しということになるわけでございます。大体百五十万トンから百六、七十万トンまでの数字になるであろうというふうに想定をいたしております。
  49. 中村波男

    ○中村波男君 この中に四十六年度産の買い入れというものは入っておりませんか。持ち越し量の中に、当然今日まで政府が買い入れておる数量というのがあると思うのですが、早場米では。ありませんか、まだ十月三十一日現在では。
  50. 亀長友義

    説明員亀長友義君) 失礼をいたしました。先ほどの答弁を訂正いたします。この八百五十万トンの中には四十六年産米の年度がわり前の買い入れ量が入っております。約三百万トンが入っておるのでございます。それで先ほど古米五百八十万トンと申し上げました中には、四十五年産が約百九十万トン程度含まれておるということでございますので、先ほどの説明を訂正いたします。
  51. 中村波男

    ○中村波男君 次は政府の四十七米穀年度の計画によりますと、政府買い上げを五百八十万トン、自主流通米を百八十万トン、農家保有米が四百五万トンと見まして生産調整を二百三十万トン、こういうまあ計画を立てておるというふうに承知しておるのですが、間違いありませんか。
  52. 亀長友義

    説明員亀長友義君) 御指摘のとおりでございます。通常の年にはおおむね古米の持ち越し量は百万トンということで想定をいたしましたが、これは五十万トン程度増加をいたして持ち越しということになるかと思います。政府買い入れ予定量五百八十万トン、自主流通米百八十万トンというのは御指摘のとおりでございます。
  53. 中村波男

    ○中村波男君 そうしますと総生産量千三百九十五万トンに計画はなっておるわけでありますが、先般九月十五日現在の生産指数を発表になったわけでありますが、その後の天候等々から、私たちのまあ感じでありますが、あの九五という生産指数がさらに低下するということが考えられますが、これは未知数の問題でありますけれども、九五になったということ自体がこの需給計画に大きな狂いが出てきた。したがりて修正をしなければならぬというふうにまあ考えますが、その点については政府はどう考えておられますか。
  54. 亀長友義

    説明員亀長友義君) もちろんこれは平年作を前提に立てておる計画でございますが、作況指数が九五、もちろん最終の集計実収高が出ないと確定をしないのでございますけれども、まあ五十万トンぐらいは生産減になるかもしれぬということでございます。これがどういう工合に政府買い入れ、あるいは自主流通にひびくのかはもう少し生産の模様を見ないと数量的には確定したことは言いにくいのではないかと思いますが、食糧庁の配給計画といたしましては古米の百万トン持ち越し、これが実際上百五十万トン持ち越されるであろう。通常の場合でもそのうち百万トンは配給計画に組み込んで新米と同様に配給をするのだという前提でございます。したがいまして新米穀年度において買い入れる、新米を売却する政府米の数量は五百八十万トンで、実際上は四百八十万トンの計画になっておるわけでございますから、明年度の配給に際しても新米の売却数量等の変更が必要になるほど新米の買い入れが減るというふうにはまだ現在考えておりません。もちろんこれは今後の生産なり政府買い入れの実際を見た上で最終的にきめるべきことだと思いますけれども、現在の段階ではこれを修正するというところまでは、まだ九五程度ではおそらくそういうことにはなるまいというふうに見ておるわけでございます。
  55. 中村波男

    ○中村波男君 そういう計画だといたしますると、百五十万トンの四十五年産米を繰り越したのですね、そうなると、これを相当量四十七米穀年度の供給計画の中に入れなければ、単年度で計算をいたしますと、いわゆる百万トン操作米として持ち越すということが前提になりますならば、四十五年産の、いわゆる現在では古米でありますが、古米を四十七米穀年度の中で配給計画に組み入れなければならぬ、こういう結果になると思うのですが、その具体的な計画はどういうおつもりですか。わかりませんか。
  56. 亀長友義

    説明員亀長友義君) ちょっと御質問趣旨がわかりかねますが……。
  57. 中村波男

    ○中村波男君 その前に——四十六年産はどれだけ十月三十一日現在では買い入れができておったか、さっきちょっと聞こうとしたのですが、どれくらいですか。
  58. 亀長友義

    説明員亀長友義君) 大体三百万トン程度だと思います。
  59. 中村波男

    ○中村波男君 そうしますと、私の聞きたいのは、単年度で考えます場合に、四十六年産を四十七年十月三十一日までの米穀年度の中で全部配給をする、それで不足することはないのだ、こういう見通しかどうか。
  60. 亀長友義

    説明員亀長友義君) 主食用だけに限定をして考えますと、来年の十一月までの間に新米を四百八十万トン、それから古米を百万トン、これを配給すれば間に合う、こういう考えでございます。
  61. 中村波男

    ○中村波男君 そういう計算からいいますと、四十五年産が五十万トンまだ、来年の十一月一日になりますと五十万トン繰り越し米として残っていくと、こういう計画ですね。
  62. 亀長友義

    説明員亀長友義君) そのとおりでございます。
  63. 中村波男

    ○中村波男君 問題は、生産指数が九五から下がらぬという前提での質疑でありますが、私はもう少し生産指数は下がるのじゃないか。だといたしますと、四十六年産を単年度で供給するというか、配給するといたしますと不足するということは明らかじゃないかと、こういうふうに思うわけです。したがって、そういう点を考えて配給計画というのを政府はおそらく立てなければならぬのじゃないかという観点から質問を申し上げたのでありますが、いま長官のお話では、なかなか楽観をしていられるようでありまするけれども、かなり新米をその年に食べさせるという前提に立ちますならば、来年度の米の需給計画というのは窮屈といいますか、不足とはいかないにいたしましても、百万トン操作をするという前提に立つならば、相当いわゆる従来とは変わった窮屈さというものがきびしくなるのじゃないかというふうに考えておるわけでありますが、いかがですか。
  64. 亀長友義

    説明員亀長友義君) 最初に、単年度需給均衡という意味でございますが、私ども考えております単年度需給均衡、本年度の予算編成に際して考えておる単年度需給均衡というのは、その年の消費量だけをその年に生産をする、そしてその年に全部消費するわけじゃなくて、前年度の米は百万トン程度繰り越して、また新米は残して翌年度へ百万トン繰り越し、したがいましてある単年度に消費する中には百万トン程度は必ず古米が入る、それによって備蓄ということも兼ねて運営をしていくという、こういう趣旨でございます。そういう観点から、今度の四十七米穀年度の需給関係を見ますと、百万トンの余裕が百五十万トンあるということでございますし、もちろんこれは生産調整をやっておりますので、当然過剰米がだんだん減っていくという意味では、過剰があった時代よりは不足分の操作としては窮屈になっていくのは当然のことだと思いますけれども、特にこれによって私ども需給あるいは配給、運送、保管とか、こういう面で支障があるというふうには考えておりません。御指摘の九五が幾ら下がるのか、これは統計の結果を待つほかないと思いますけれども、よほど異常なことがない限り、御指摘のような事態にはならないというふうに考えておる次第でございます。
  65. 中村波男

    ○中村波男君 そういう需給状況という前提に立ちますならば、私たちは消費者米価の物統令除外には反対であります。政府はこれをやろうとすでに閣議決定等もして、準備をしてこられたわけですね。それを新聞によりますと、適用しない、こういうことが決定したやにお聞きいたすのでありますが、本委員会として大臣に確認をいたしますのは、これが初めてではないかと思いますので、この際、物統令を除外されるのかされないのか。されないとするならば、どういう事情のもとにされないということにいわゆるされるのか、この点をお聞きしておきたいと思うわけです。
  66. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 物統令除外を昨年決定しましたことはお話のとおりでございますが、ことしの作柄指数などが、いまお話のように九五になっておりますし、まだこれも悪くなる傾向があると思います。それにまた一般経済状況、物価高などもございます。そういう点もありますので、この昨年決定したものについてどうするかということをいま決定はしておりません。これを、物統令除外をそのままでいくか、あるいはまたこれを延ばしていくか、そういうことにつきまして、まだ決定は、政府の態度としてはしていません。していませんので、実はこれは農林省だけの関係でございませんので、ほかとの調整といいますか、相談中でございます。その相談の結果を待って態度をきめたい、こう思っておるときでございます。
  67. 中村波男

    ○中村波男君 いま、大臣の御説明によりますと、四十六年産米がいわゆる不作である、また物価等の関係からきめかねておるという御答弁があったわけなんですが、しかし少なくとも先般、米審の懇談会を開いて、これに対して意見を聞いて、手続を進められようとした農林省の態度からすれば、今日まできめかねておるということについては、それ相当の理由がなければ、そういう措置を急に米審の懇談会取りやめということにはならなかったと思うのであります。したがって、農林省として計画をされてこれを進めようとしたのを、とにかく今日まで延ばしてこられたということについて、もう少し明確にその間の事情を明らかにされたいと思うわけです。
  68. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 農林省としてきめておったわけではございません。農林省としては、米審の懇談会を延期するにつきましては、十月一日現在の作柄等も見る必要があるので、それを見てから米価審議会の懇談会は延期すると、こういう方針をとったわけであります。で、米価審議会の懇談会におきましては、各般の意見を聞こうというふうに考えて、その前提としては作柄の状況等も見た上でと、こういうことで延期したわけであります。でございますので、この物統令についての態度をきめてから米価審議会の懇談会も開くということはあり得ることでございます。でございますので、農林省としての態度は決定したんだというわけではございません。私自身の考え方でありますが、先ほど申し上げましたように、どういう事情かということでございますが、これは農林省だけできめたわけでもないし、農林省だけで延期するということでもなく、関係各省との打ち合わせ等も必要でございますので、そういう手続の問題がありますので決定を延ばしておるわけでございます。その打ち合わせ等につきましては、各省の大臣があるいは外国に行っておったり、あるいはほかの用事があったりして話し合う機会がまだないものですから、そういうことで話し合いをまだしてませんので、いずれにしても決定は延ばしていると。しかし、近日中に話し合いもできると思いますが、その上でいずれともはっきりきめていきたい、こう思っております。
  69. 中村波男

    ○中村波男君 物統令除外はすでに三年前に農林省は内定をして、そうしていろいろ各省と折衝をしたと、私は予算委員会でその問題を質問をしたことがありますが、そのときは政府の統一見解として物統令から除外をしたいと、こういうふうにきまった経過があるわけであります。したがって、従来のいきさつから見ましても物統令から除外するというのが農林省の一貫して今日まで流れてきた政策、方針であったというふうに思うわけでございます。  そこで、われわれが反対をいたします理由は、一口に言えば、いまですらいわゆる政府の配給価格よりも高い自主流通米、また自由米と言われているやみ米、こういうものが公然とまかり通っている、またその消費量も圧倒的に多いという、こういう現実の中で政府の配給米が物統令から除外されれば必ず消費者全体の米価水準を引き上げていくと、こういう立場で私たちは反対をいたすのでありますが、政府としてはいわゆる余剰米と申しますか、政府の手持ち米を多く持っているから高くなるような場合にはいわゆる操作によってこれを冷やす、あるいは小売り店等の新規参人を認めて、自由競争の原理を導入することによってそういう点は防げる、こういう説明を従来いたしてきたわけでありますが、したがって、その方針に基づいて米審の懇談会に意見を求めた、そういう手続をされておったわけでありますが、それが作況等の関係においていま逡巡と申しますか、見合わしておられるということについてはもう少し私はその間の事情と申しますか、考え方というものをもう一度ひとつ明確にお答えいただきたいというふうに思うわけでありますが、いかがですか。
  70. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) いまお話のような考え方も十分私どものほうでは考慮に入れて、そうして繰り返すようですが、手続上の問題です、逡巡しているのは。各省との間のやはり話し合いという手続上の問題、そういうことです。
  71. 中村波男

    ○中村波男君 そうしますと、手続上の問題だという真意が農林省としては物統令から除外すると、そういう方針をいまもなお堅持しておる、こういうふうに理解していいわけですね。
  72. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) いまの、前の話を頭に入れてということをひとつ御承知願います。
  73. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 いまね、お話ありましたけれども、私の考え方があるというふうなお話ですね。いまのお考え方を一つお聞きいたしておくわけです。
  74. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 決定する前にあまり考え方をここでやると公式みたいになっちゃって私一人でやるのは、あの方針できめちゃったようなことになりますから、少しそれはお待ち願います、ごく少ない時間ですから。
  75. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 私はこの間新聞を見まして経済企画庁長官は何か一年延期するようなのを出しましたですね、そうすると農林大臣のほうが先ほどお考えになった問題を経済企画庁が一年延期した理由をこういうふうに受け取りまして変な話だと思って——しかし米審の懇談会を延期されたのはこれは農林大臣だと思うのです。どうやらそういう点からいいますと、大臣のお考えとしては物統令からはずすことはこれは行き過ぎじゃないかというふうにお考えになっていらっしゃるのじゃないかと思うのですけれども、こういう場所ですから大臣のお考えをお出しいただくと非常にいいんですけれども、いかがでしょうか。私はそういうふうに大臣はお考えになっているんじゃないかと、さっきからの答弁を聞いておりますとそういうふうに考えるのですけれども
  76. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 御推察にまかせます。そういうような形での考え方も十分あるということを中村さんにもさっき言ったのですから、そういう考え方で経済企画庁長官か、またそのほかにも相談するところがありますから、そういう手続といいますか、順序というものをやはり踏まなくちゃならぬものですから、まあここで私だけの考え方は大体御推察にまかしておくと、こういうことです。
  77. 中村波男

    ○中村波男君 くどいようでありますが、いま二の足を踏んでおられるという、そういう言い方が適切かどうか知りませんが、とにかく決定をされた、しかけておられるその理由は、大きく分ければ大臣もおっしゃったように需給事情が予定よりは悪くなった、もう一つは物統令から除外をすることによって消費者米価の水準を引き上げるという懸念がある、こういうことからいま閣内の調整が問題が出ておるようにも見受けるわけでありますが、私、いま申し上げました二点を農林省としては率直にお認めになって、お考えいただいて最終結論をお出しになるというふうに理解してよろしいですか。
  78. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 先ほど鶴園さんにお答えしたみたいに御推察でけっこうなんですけれども、御推察も大体わかるんじゃないでしょうか、そういう意味で御推察願っておきたいと思います。
  79. 中村波男

    ○中村波男君 大体真意もわかったと思いますから、この問題はこれ以上論議しませんが、そこでいろいろな新聞が消費者段階における混乱を報道されておりまするけれども、九月五日付の朝日新聞によりますと、「「米屋のインチキ商法追放を」と称して山口県内最大の政府登録米穀卸売業者が正規の米屋以外の八百屋や魚屋、酒屋などで大々的に米の”自由販売”を始めたことから登録米屋が大弱り。「今後は格上げ販売を自粛するから取締りを」と、山口県米穀小売商組合布村鎮雄理事長名でこのほど食糧庁に店のリストを添えて取締りを訴えた。」それから今度は、「陳情を受けた食糧庁も事態を重視し、四日山口県に対し、実情をくわしく報告するよう指示した。」、こういう新聞記事が出ておりますが、これは内容的には間違いないと思いますが、いかがですか。
  80. 亀長友義

    説明員亀長友義君) 山口県である卸売り販売業者から、登録されたものでないものに米の販売をするという形で委託しておるという事件があったことは事実であります。その件につきましては山口県からも報告がございましたので、私のほうからも法規上の解釈は検討して、山口県において山口県知事が適正な措置をとるよう、山口県のほうに話をしてあるような次第でございます。
  81. 中村波男

    ○中村波男君 これは登録業者でないものが米を販売するということは、食管法違反だと思いますが、この点いかがですか。
  82. 亀長友義

    説明員亀長友義君) 登録していない小売り業者が米を販売することは、もちろんこれは現在の食管法に基づく政省令から見て違反でございます。ただその場合に、委託というような形式をとっておるというようなことがございまして、その間の法律関係につきましては委託の実態にふさわしいものかどうかという点については、なお現地実情に応じて判断を要する点がございますので、この点は配給の第一次監督者としての都道府県知事の判断において処置するよう指示をしておる次第でございます。
  83. 中村波男

    ○中村波男君 これは山口県のみならず各地でこういう問題が起きてきておることは食糧庁長官もお認めになると思います。そこで、委託の形態が合法的かどうか検討の余地があるから、十分調査をして対処するということを山口県知事に食糧庁としては指示をした。そういうことは私は、何と申しますか、他人まかせでこの問題はよろしいのかどうかという問題であります。したがってそのいわれるところの委託形態というのが、しからば法律的に適法かどうかという形態はどういうものか、具体的に示していただきたい。
  84. 亀長友義

    説明員亀長友義君) こういう正規に登録を受けた小売り販売業者が正規に登録のある卸の販売業者から米を買い、第三者に運送を委託するとか注文をとることを委託するとかという場合は、これは当然適法だというふうに考えております。
  85. 中村波男

    ○中村波男君 もう時間がすでに経過しておりますから、もう少し突っ込んだ質問をいたしたいのですが、できませんが、また九月十六日の日本経済新聞に「四十六年産の酒米も三菱商事の百二十万俵をはじめ、三井物産農産販売、丸紅飯田、伊藤忠商事、住友商事、トーメン、日商岩井、安宅産業なども二十——三十五万俵を目標に産地と酒造メーカーの間を走り回っている。あまりのハッスルぶりに食糧庁も顔をくもらせ、八月下旬には各社の部長を呼んで「ほどほどにして流通秩序を守ってほしい」とクギをさしたほど」——、こういう記事がありましたが、これも卸売り業者として登録を受けないものが公然と米を扱っておるということは、これは食管法に関する限り無法地帯だといっても過言でないというふうに私は思うわけですが、その点顔を曇らせていらっしゃるだけで済まされるかどうか、聞いておきたい。
  86. 亀長友義

    説明員亀長友義君) 現在、酒米の扱いは原則として自主流通米並みで扱うということがたてまえでございまして、酒米は自主流通米として扱われております。したがいまして、実際上は消費者である酒屋が商社に委託をして米の買い付けの事務の代行をしておる、消費者としての事務の代行をしておる、かような関係にございます。したがいまして、いわゆる主食にございますような登録販売業者という資格は必要ないわけでございます。
  87. 中村波男

    ○中村波男君 委託、委託ということでそれを隠れみのにして公然とやっておるという実態は食糧庁も御存じないはずはないと思うのですが、時間がありませんから具体的な例を引き出して議論はいたしませんが、ことほどさように消費者段階では大混乱を引き起こしておるわけでありますが、そこで大臣にお伺いいたしますが、いわゆる自主流通米を導入したということでわれわれとしては食管法の横腹に大きな穴があいたというふうに見ておるわけでありますが、それはそれとしてそういういわゆる事態の中でやはり競争させて不当な消費者段階における利潤をむさぼらせないために新規算入等を認めてそうして円滑な流通状況というのをつくるという方針があったわけでありますが、新規算入についてはその後一歩も進んでおらないように思いますが、それはどういう方針でありますか。
  88. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 新規算入は卸売り業者については原則としては認めない方針であります。しかし、特別に新規算入というごとも考えなくてはならぬ面も幾分あると思います。  それからもし新規算入を認めるとすれば実態を見てごく小部分について新規算入を認める、こういう考え方でまいるわけであります。
  89. 中村波男

    ○中村波男君 もう一つだけお聞きしますが、来年度の生産調整は既定方針どおり本年度に準じてやるという計画をお持ちになっておるかどうか、これをお聞きして質問を終わります。
  90. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 先ほどから食糧庁長官から需給の問題等もお話しに従って御答弁申し上げたようなことでございますが、私は年によって豊凶の差はあっても、またことしのように非常に不作の年でありましても恒常的に見ますと米が過剰であるという基調に変わりはない、こういうふうに考えておりますので、来年度の米の生産調整は単年度需給均衡の考え方によりまして既定方針どおり実施する、こういう方針でおります。
  91. 宮崎正義

    宮崎正義君 先ほど私は北海道班報告をいたしました。それにつきまして、大臣北海道冷害実態というものを、お行きになっておらないのでぴんと実感が伴わないんじゃないかと思います。それは無理ないことだと思うわけでありますが、外国のほうに行っておられまして日米貿易経済合同委員会のほうに出席なさってまたカナダのほうには日カ定期閣僚会議でございますか、そういう大事な席に列席をなさって御苦労なさっている。その大臣実態というものも私はやはり実感がない。これと同じように今日の北海道農業のいためつけられた今回の冷害にぜひとも大臣にわかって聞いてもらいたいという声があるわけです。そういう声を私はいま申し上げまして御参考にしていただきたいと思うのでありますが、これもすでにいまさら私がこんなこまかいことを言う時間がございませんので、ありませんけれども、やはり私ども視察をいたしました、その視察する前にも私ども公明党は冷害対策本部というものをつくりまして、数班に分かれて冷害調査を東北あるいは北海道に派遣をして実態調査しております。  その間の農家の方々のお話しの中で、水田に老夫婦の人がなすこともなくぽつねんと立たれている。   〔理事亀井善彰君退席、委員長着席〕 そこで、尋ねてみますと、八十歳を迎えようとしているお方でしたけれども、一人のむすこさんは人手もとれない実態をいち早くこれを察知しまして、そうして現金収入の道を得なければならない、出稼ぎにいかなければならないといって老夫婦にゆだねていきました。ところが老夫婦も何とかしてこの皆無の状態でも一部作でも何とか自分の食べるものぐらいは獲得したいというので、不自由なからだを引きずりながら草取りをやっている。そこで私はその方々に伺ってみますと、その人は六十二年間も湿地地帯の開拓をして今日農業経営を営んでいるということであります。そうして借金のほうはどうなんですか、こういうふうに聞いてみますと、恥しいながら負債をかかえている、青刈りをやりたくても不自由なからだではどうもやれない。また、人手をかりてしたいのだけれども青刈りができない、現金がない。たんぼの交通整理をやっとやって三年目、政府が米をつくれ、こう言われてから一生懸命専念して畑を米にかえて専念してやってきた。圃場の整備事業を進めてくると勢い大型化になって機械を導入しなければならない。これがまた一つの借金になってくる。しかしながら、収穫のあるときは一生懸命に返済してきたけれども、三年目か四年目にはこういう冷害に見舞われてしまう、こういう実情を訴えております。  また、私たちが視察にまいりましたらば、ある町長さんでございました。畑作を十年間やった、そうして米づくりを四十年やった、こんなことは初めてだ、こういうふうに私どもに訴えて、この実情をしっかりつかんでもらいたい、こういうふうな声もございます。また、釧路、十勝方面の方々では牧草がすっかりいためつけられてしまって、網走の管内においては、来年の一月まで飼料がもてばいいのだ、こういうふうな実態をどうか大臣にもよくわかっていただくよう伝えてもらいたいというような私はその声を聞いてまいりました。  もっともっとどっさりございます。しかし時間がございませんので、一々例をあげて申し上げる時間がございませんので、ほんの一部の人のことだけを言いましたけれども、この底流の中にあるものは、日本農業政策の行き詰まりの姿を見せておりながら、今日までの政府の日本農業政策のこれが失政がもたらした俗にいいます三ちゃん農業、一ちゃん農業といわれてきた、この一断面ではなかろうかと考えているわけであります。こういうその実情の中から、先ほど川村委員は寒冷地の農業をどうするかという質問をしておりました。私はここで農林大臣に、日本の総合農政、その中に位置する寒冷地問題、それをどうしていくか、総合農政の中からどう踏まえてこれをとらえていって発展をさしていくか、そうしてまた畑作共済の問題については今後どのように考えていくか。北海道ではこの畑作共済というものが唯一の水稲共済に匹敵する大事な時点になってくるわけであります。こういう二、三の人の声から察せられまして、いかに被害が甚大であるかという点を想像なさいまして、そうして御回答を願いたいものと思います。
  92. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) お話しのように、今度の災害につきまして、私は直接まだ災害地へ行きません。それだからお話しのような実感というものも持っていないんじゃないかと言いますが、見なくても実感は相当感じています。というのは、この前の北海道災害のときに、私はずいぶん北海道を見ました。それから、私も農家育ちですから、水害とかあるいは干害とかで米など一つもとれないことは自分で経験しています。でありますので、いま、現状における北海道冷害についての実感というものは、幾らか、宮崎さんほど持っていないかもしれない——持っていないかもしれませんが、十分持っておるつもりでございます。そういうことでありますので、また、農林省からも調査にみんな行きまして、その調査報告も聞いております。そういう面で、私どもも非常に心配しながら北海道冷害対策あるいは北海道農業というものを真剣にいま考えておる最中でございます。特に北海道にありまして、お話しのありましたように、畑作農業というものが北海道には大事だということは、この前の私の農林大臣時代にもそういう観点から畑作振興の法律も出しまして力を入れておるわけでございます。そうして、稲作にりきましても、ずいぶん骨を折って、無理をしながら米の生産ができるようになった。技術あるいは栽培方法、あるいは基盤整備等につきまして、私どももやり、国会でも協力しておりますこともよく承知しておるのでございますが、この災害はほんとうに私は残念なことだと思っております。  そこで、具体的にいまの御質問でございますが、確かに畑作の地帯でございますので、畑作物に対する共済制度、これの希望といいますか、非常に強いと考えております。しかし、畑作物というものは、御承知のとおり、なかなか複雑でございます。畑作面積とか、作柄とか、価格の変動等も大きいので、米のようになかなかいきません。あるいは果実、くだものなどよりも技術的に非常にむずかしい問題があるのでございます。でありますので、この畑作共済制度ということにつきましては、研究をずいぶん続けておるのですが、まだ結論に達しておりません。地域農業の振興との関連もありますので、なお今後とも十分に検討してまいりたい。いますぐにこの制度をとるという段階ではございませんが、今後とも十分に検討を続けてまいりたい、こういうふうに考えております。
  93. 宮崎正義

    宮崎正義君 私もいままでの農林大臣としての実績等も知らないわけじゃございません。でありますが、いまの時点の北海道実情というものは、やはりその時点でなければわからないと思うわけです。それで例をとって申し上げただけでありまして、いまのお話しによって畑作共済の全体の畑作物農作物考えるのじゃなくて、豆類なら豆類というようなしぼっての考え方、たとえば果樹なら果樹という、こういうしぼっての考え方をしてすみやかにやったらどうか、こういうふうに思っておるわけですが、どんなものでしょう。
  94. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 畑作全体として、なかなかそれがしぼることがむずかしいものですから、畑作の共済ということについては検討を続けていきたいと思うわけでございます。お話しの出ました果樹につきましては、御承知のとおり来年から行なうことにしておりますことを申し添えておきます。
  95. 宮崎正義

    宮崎正義君 共済問題、共済組合問題、こういう問題ではまだ私午後からこのやりとりをやりたいと思っておりますのですが、時間がございませんので、いっときも早く、長い間のこれは懸案でございますので、畑作共済についてはぜひともすみやかに考え方をまとめられていかれんことを希望をいたしておきます。  それから次にお伺いをいたしたいのは、地方財政に対する特別の財政措置、こういうことについて農林大臣のほうから関係大臣のほうに強く要望をし、また担当の面におきましては極力御配慮を願いたい、こう思うわけであります。申し上げるまでもなく、きょう私は自治省の方も、それから大蔵省の人もこちらに来ていただくようにして、午後から詳細にわたって話し合いをしていきたいと思いますので、ただいまは冷害による地方税の減免あるいは徴収猶予等の措置をどういうふうにしていくか、また歳入欠陥、それらについての、また被災農家の救済措置をどんなふうにしていくか、臨時歳出等の地方財政に及ぼす影響もまことに大きいことでありますし、特別交付税とかあるいは起債あるいは国保の特別調整交付金の財政措置をどんなふうに考え、助成してやろうかというような財政措置の問題、多くの町村は、財政構成からいくと一般会計の倍も今回の被災を受けておる。女満別とか、一々一々例をあげればきりはございませんけれども、あるいは音更であるとかいうのは相当の被害額が出ておる。一般会計の倍も被害を受けておる。地方財政に対する擁護措置ということを頭の中によく入れていただきまして、どういうふうにおやりになるか、御見解のほどをお伺いをいたしたいと思います。
  96. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) お話しのように、北海道の自治体も非常に苦しいことになると思いまするし、閣議の席等におきましても、作柄の発表などのあとに、北海道は特にひどいのだ、こういうことだから北海道に対しましては自治省もあるいは北海道担当の大臣等も十分手当てといいますか、措置をとってもらうようにということを私はつけ加えておったのでございますが、向こうからも、自治省もあるいは北海道担当大臣も、常に北海道の問題は、話が出るたびに特別の措置をとっていかなくちゃならぬのだ、こういうことを非常に強調しています。こういうことでございますので、私ども連絡をとりながら、財政的な措置等につきましては私のほうの担当じゃございませんが、十分協力してこれをやっていけるようにしていきたい、こういうふうに思っています。
  97. 宮崎正義

    宮崎正義君 強く言っていただきたいことにもう一つあります。中小商工企業者の経営資金融通の点につきましてでありますが、農家対象の売り掛け金が冷害によって非常に不測の減収がある。これも調査に行きましたら風連のところで風連の実態を訴えられました。大体戸数が二百五戸あって、商工業者が百八戸ありまして、その売り上げが一億七千万、回収の可能であるようなものが約八千万、この配分していくものが四千万で大体回収できるものが半分しかない、こういう実情を訴えておりました。そこで、これはそういう商工業者ばかり、その中にも自動車の修理工場の人なんかもおります。これなんかもやはり秋の収穫をねらっての修理をやり、また建築業者もまたそれをねらっての建築業を完成さしている、そういうふうなことから冷害による所得の減少が生じ、円滑な回収が困難になってくるだろう、そしてこれにはどうしても経営資金として長期低利の特別融資をしてもらわなければどうにも立ち行きができないという訴えをしているわけであります。少なくとも融資限度は一企業に対して五百万円ぐらいの金を出してもらったらどうか、しかも融資期間を五年以内、そのうちの一年間くらいは据え置きにして何とかしてこの急場を乗り越えていかなければ——生活を営んでいるその中小業者の窮地ということもよく知っていただきながら、これは通産省あるいは大蔵省の大蔵大臣等に大臣のほうから強くこの点も私は要請してもらいたい。そうして融資関係においても円滑なる行き方をしてもらいたいというふうに思うわけです。
  98. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) この間まあドルショック等もあって中小企業等が非常に困るというようなことに対処するために中小企業対策として相当の融資をすることをきめた際に、私のほうとしては中小企業の範疇に入らないでそういう面で困っている面もある。あるいはまた冷害等もこの不景気と同じようにひどい立場にある、こういうようなことでその対策の中に農林関係の金融は別なものですから、その別な方面から中小企業対策として六十億ばかりでしたか、出すようなこともきめたいきさつもございます。でありますので、いまのお話の点もなお通産省とかあるいは大蔵省当局とよく相談をしまして中小企業庁などでもこの冷害による中小企業の困り方というものについて相当手を打つように相談をしたいと、いまの御趣旨のような点でなおお話ししてみたいと、こう思っています。
  99. 宮崎正義

    宮崎正義君 時間がきたようでございますので、文部省の人もいまここに来てもらっておりますので、午後からの回答をしてもらうことにはいたしますが、大臣に知っていただかなきゃならない事柄があるわけであります。これはもう大臣も御存じだと思いますが、これは児童・生徒の就学援助並びに給食費の補助、こういうことなんでございますが、今回の被害農家の児童・生徒、これはたいへんなものなんであります。そこでこの北海道事情を知っていただく上において二、三気のついた点を申し上げてみたいと思うんですが、あの辺の学校は外の寒気とうちの寒気が同じであります。釧路あたりの山間のほうへ入りますと、外気が零下二十五度ならば教室の中も二十五度という中でオーバーを羽織りながら勉強をしているという実情でもございますし、またそのように室内の温度が保てないという、これはやはり燃料関係の補給もまことに哀れな予算措置しかない。また雪害地でございますので、普通の学校建築の老齢年数からいえばいたみが速い。したがって荒れた校舎で勉強するようになっている。その中で今度はいまの冷害を受けた児童たちがうちにも現金がない。そういう現金のない家庭の子たちがどっさり入ってくるわけであります。こういう子たちのことも考えられて救済の措置ということを大臣のほうからも強くこれは要請をしていただきたいということを私は希望申し上げるわけであります。  さらにもう一つは、何といっても一番いま農家のほしいのは現金であります。現金収入がないということはこれはたいへんなことであります。先ほど来の冷害の話でるる皆さんが訴えておられます。これは現金がない、生活困窮の状態の中に追い込まれているわけでありますので、救農事業につきましても問題点がいっぱいあると思うんです。市町村のほうの側から言わせれば自分のほうの希望する事業をやらしてもらいたい。ところが道庁のほうへ行って副知事のほうの話を聞きますと、地方からそういう声を聞いたら地方適用していくような救農事業もやっていくんだ、こういうふうな回答をしておりますが、現地視察をすると頭から事業がきめられてくる、こういうことのないようにやはり現地の声を聞いて救農事業というものもやってもらいたいものだということの希望もありますので、これに対する公共事業費の助成措置とあわせてこの二点を最後農林大臣に要請をしまして私の質問を終わりたいと思います。
  100. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) いま御承知のように、公共事業等につきましては補正予算を組んで相当大がかりにやろうという考えでおります。また救農土木事業等につきましても北海道庁あたりで上からきめられてくるというようなこともあるかと思いますが、私のほうとしてはいろんな要望を、地元要望を聞き、貸し付けということはいたしません、初めは。まず予算を取ると、救農に関する予算をとって、それが予算がきまりましたらば、皆さんに御協力願ってきまりましたらば今度は貸し付けという段階にいきますから、初めから貸し付けというようなことには現状としてはいっていないわけであります。しかし初めにどういうふうなことが必要だろうか、どういうことが救農土木事業として必要かというような話は聞いて総ワクをまず予算できめるということでございます。そしてどういうことをやるかといえば北海道はとにかく冬場の仕事はなかなかでき得ないようなことでございますが、道路とか、あるいは土地改良とか、あるいは土地改良でも客土するとか、あるいは土の運搬とか、そういうような種類のものに、冬場でもやれるようなものに重点を置いて救農土木事業を行なっていくというような考え、あるいはまた、新規に圃場整備などの採択もして、できるだけ現金収入が得られるような、しかもこの冬場は、なかなか内地と違いまして、非常に救農土木には時期的に気の毒な時期になりますが、この時期も早め、あるいはまたこれを次年度に持ち越すということもありましょうが、そういうことで、救農土木事業等につきましても予算の要求等を公共事業とともに補正予算等に置いて要求の中でございます。追って予算が出たら、皆さんの特段の御協力を願って、早くこれが施行できるようにいたしたいと、こう思っております。
  101. 宮崎正義

    宮崎正義君 大臣、学校関係と、それからもう一つつけ添えまして、今日の物価高でございますので、少なくとも労賃は最低二千円から三千円を現地の人たちは要求もしておるようでありますし、またこれは当然の声だと思いますし、また婦女子にやれる仕事、老齢の人に、年配の方々にやれるような仕事等もこれは勘案してやってもらいたいということも希望を添えておきたいと思います。  学校の関係のことを御答弁願いたいと思います、学童関係のこと。
  102. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 学童の給食費の補助等、これ全国的な問題でもありますが、特にいまの北海道実情からいって必要だと思います。で、こういうことも文部大臣のほうへよく話をつけていきたいと思います。  救農土木費の婦女子、老人あるいは実情の手当てといいますか、そういうものにつきましても、できるだけそういう考えのもとに、予算を要求する積算の基礎として考慮に入れて予算の編成を進めたい、こういう考えであります。
  103. 辻一彦

    ○辻一彦君 私は、いま北海道冷害の問題がたいへん取り上げられております。北海道の皆さんにもたいへん心からがんばっていただくようにお願いをいたしたいと思います。  そこで、沖繩の干害並びにこれからの沖繩農業の問題でございます。これにつきましては、沖繩の特別委員会においても若干論議がされておると、こういうことも承知はいたしております。しかし、この参議院の農林水産委員会におきましては、最近におきましては最初じゃないか、こういうことで御質問を申し上げたい、このように思っております。  すでにいろんな面から、北の北海道冷害、南の沖繩の干ばつ、こういうように非常に深刻な問題であるということは十分御承知のことと思います。私も九月の中旬に約一週間沖繩に参りまして、沖繩の農村をじかに歩いてまいったわけであります。そこで感じましたが、数字はもう十分御承知のとおりでありますが、沖繩の一番大事な作物は言うまでもなくサトウキビでありますが、宮古あるいは八重山等におきましては九割程度の被害を受けて、もうすでに火をつけて焼き払わなくてはいけない、こういう状態であったわけであります。また、私が最後に参りました本島の一番南の喜屋武という糸満の町の部落でありますが、そこでも夜、懇談会をいたしてみますと、夜の十一時ごろに農家の方が、ぜひこのサトウキビを持って帰って国会で報告してくれということで、夜わざわざ畑に掘りに行ったわけであります。これはあした火をつけて燃やしてしまうから今晩でないとない、こういうことでわざわざ持ってきてくれました。  先ほど私、北海道の代表の方から実のない穂を拝見いたしまして、たいへんな状態だと、こういうことを実感いたしましたが、同じように沖繩における一番大事な農作物のサトウキビは、この節間が、これは七、八寸伸びていなくちゃならない節間がわずかにこの程度しか伸びていないというこの状況を見ますと、いかに大きな被害であったかということがわかります。これは葉がついておったんですが、鹿児島の税関が全部一枚ずつむしってしまって幹だけになってしまったわけでありますが、幹のほうがよくわかると思います。沖繩の南部の農民が言うには、国会には実りのない稲穂が持ち込まれておる。国会に節間の詰まったこのサトウキビを持ち込んで沖繩農民の干ばつの窮状を訴えてほしいと、こういう状況であったわけであります。  それから。パインにおきましても、これは南部のほうでも大きな被害を受けましたが、北部のほうはかなり助かっております。畜産はもう言うまでもなく島のほうでは草がなくて肉用牛が斃死をすると、こういう状況が現実に起こっております。したがって、一年の所得を奪われた農家がまずその暮らしをどうするか、あるいは来年のキビの再生産をどうするか、北海道と同様きわめて深刻な状況にあるわけであります。そこで負債も増大をする、何とかしなければいけないということで出稼ぎに出るわけでありますが、出稼ぎも御存じのように軍用基地は機能がますます強化拡大されてはおりますが、軍要員のほうは逆に首を切っていると、こういう状況で、雇用の場がきわめて限られている。その中で農村の若い人が働く場がなくて、那覇の町にかなりたくさん滞留して失業状況にあって、これが悪の道に走るのじゃないかという懸念が琉球政府において非常になされておるということも伺ったわけでございます。  まあこういう状況の中で、特に軍用地に島の一番いいところを全部持っていかれておるという点から、たとえばコザ市の周辺でも黙認の耕作地は二百町歩からある。これを返してもらって、そうして野菜団地等をつくればりっぱな野菜団地ができるという、そういう強い声もあったわけであります。  私は、これは十分皆さん御存じのとおりでありますが、戦争中あるいは戦後に——戦時中には非常な戦災、戦火の中に巻き込まれ、戦後においては日本の本国の独立と経済の発展の犠牲となって、四分の一世紀にわたって異民族の支配を受けた沖繩の最も苦労をした農民の皆さんが二重のいま悲惨な状況に置かれているということは、これは何としても何とかしなくてはならぬのではなかろうか、こういうように思うわけであります。  そこで、先ほど北海道の皆さんからも災害は天災であるということばがございましたが、まず気象条件が第一でありますが、しかし、沖繩の場合を見たときに、私は基地中心の経済によって、第一次産業にもう決定的な投資が行なわれていなかったということが今日のこの干ばつを中心とする災害の大きな問題でないだろうかと考えます。その点でこういう問題をひとつ契機にして、これからおくれた沖繩に本格的な投資を行なって、沖繩農業の再編と新しい出発の基盤をつくるということが一番いま大事な時期でなかろうか、こういうように冒頭に考えるわけであります。  そこでこの問題は当面は総理府の所管のようでありますが、しかし、将来復帰するとすれば当然農林省がこの問題については所管をされるわけでありますので、所管大臣にまず二、三点をお尋ねしたいと思います。  第一は、こういう沖繩農業状況を見て、これから沖繩県における農業をどういうようにしていかなくてはならないかということについて農政の最高責任者としての赤城農林大臣の大筋の考え方をお伺いをいたしたい。  第二点は、これは非常に、まあ数字では北海道に比べれば小さいわけでありますが、沖繩における被害としては非常に大きいわけでありますが、こういう被害の大きな原因に、私は先ほど指摘しました基本的な投資のおくれ、言うならば人災という問題があろうと思うんでありますが、そこらの問題についてどういうようにお考えであるかということをまず最初に二点をお伺いいたしたいと思います。
  104. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 沖繩農業としての基盤等が整備されておらなかったり、土地もあまり豊穣でない、そういうようなことでいろいろ内地の農業よりも劣っておると思います。でありますので、近く沖繩も本土に戻ってきますが、その中で農林省といたしましても、やることがたくさんあると思います。このたびの、お話の干ばつの際にも見られますように、農業関係から見ますと、水源施設が非常に整備されておらない。でありますので、その整備必要性がきわめて高いと思っています。今日まで土地改良投資は非常に立ちおくれています。復帰後におきましては、農道網の整備とか、それから畑地かんがい等のほかに、特に畑作振興の前提となる用水源の確保のため、それに必要な施設の整備に重点を置いて積極的に基盤を整備していく、こういう方針で具体的にどこをどういうふうにやるということも打ち合わせ済みでございます。たとえば基盤整備のこと、あるいはダム等をつくる場所、こういうことも話し合っております。それで、こまかい点につきましては、いまのパインの問題あるいはサトウキビの問題、こういうものが重要農産物でございますので、これの振興対策等につきましてもすでに話し合いを沖繩当局ともしておりまするし、来年度の予算あるいは必要なる法律と、こういうものも整備しておるわけでございます。いまお話のような状況を十分頭に入れ、沖繩に適し、沖繩農業としてもやっていけるような方法を農林省としても十分講じていきたい、こういうように考えております。
  105. 辻一彦

    ○辻一彦君 まあ沖繩農業の基盤、水や土地改良がおくれているという御認識は私全く同感でございます。本土の農地を空から見れば、かなり区画は整理されて整然としておりますが、沖繩にはそういうところがほとんどないという、この一事を見ても決定的におくれていると、これが第一だろうと思います。  それで、実は数字をお伺いしてから御質問をしたいと思ったのでありますが、いま大臣が水の問題、土地の問題にお触れになりましたので、引き続いてその問題について二、三御質問いたしたいと思います。  琉球政府で伺いますと、明年度の農林省はかなり意欲的にこの基盤整備等に予算を組んでおられるということを聞いたんでありますが、まず第一は、山中長官が沖繩に見えて、われわれと前後しましたが、向こうの報道では、たとえば宮古については伏流水、地下水をくみ上げて、それから八重山については表流水、表の水をダムにたくわえる、こういう構想が発表されておりましたが、これは将来総理府がどこらまで手をかけられるのか。あるいは復帰すれば全部農林省のほうに移ってくるのか。これは当然の問題であろうと思うんでありますが、そこを一つちょっとお伺いしたい。  それから第二は、琉球政府で聞きますと、かりに、予算は非常に不十分であるがつけてくれたとしても、琉球政府にいるところのこの技術要員といいますか、人員が非常に足りない。たとえば一千万ドル——三十六億円の土地改良基盤整備をやる場合に、耕地関係の人員は三百三十名大体必要だ。琉球政府には百十人しかいないということで、そういう面のネックがあるわけでありますが、これはかりに予算をつけたとしましてもこういう手配を十分やらなければ早急なる基盤の整備ということはとうてい望まれないと思います。現地でその倍の数をそんなに早急になかなか集めるわけにいかないと思うのでありますが、そういう場合には農林省としては本土のほうから特別の技術陣を編成して出向さしてこれに早期に取り組んで実施をするお考えがおありかどうか、このまず二点をお伺いいたします。
  106. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 最後の、沖繩の農林行政をやっていく定員といいますか人員の問題等は、当然沖繩開発庁ができますし、その中に農林関係も入れますから、内地と同じような形で機構としてはやっていきます。人員等につきましても十分考慮していくと思います。具体的にダムとかその他につきましても予算の要求中でございますから、農地局長からちょっと御説明申し上げます。
  107. 三善信二

    説明員(三善信二君) 沖繩農業基盤整備につきましては、先ほど大臣から御答弁いただきましたが、非常におくれているということは事実でございまして、これまで沖繩農業基盤整備、土地改良と申しますか、主として昔の水田の土地改良をやっている程度で、畑についてはほとんどやっていないというのが現状だと思っております。したがいまして、今後主としてやります事業内容も、先ほど大臣から御説明ございましたけれども、農道の整備とかあるいは基幹かんがい排水、そういったものを中心に、それらの水源確保ということを重点に置いてやっていきたいと思っております。そこで具体的なお話でございますけれども、やはり何といっても干ばつ対策も当然のこと、あるいは恒久対策にしましても当然この用水源の確保ということが非常に重要になってまいります。で、農林省からも調査に参りまして、どういうところにどの程度の水源の開発ができるかということをいろいろ調査しておりますが、まだまだ不十分でございまして、そういう調査は今後も引き続き行ないたいと思っております。で、とりあえずごく最近計画しておりますのは、日政援助で干ばつ対策調査としまして近く石垣島、宮古島、多良間島その他の島にも調査に参りまして、そこで地表水や地下水——地表水をどう利用できるかという問題や地下水をどう利用できるかというような問題を調査いたしますと同時に、貯水施設を小規模なのが必要なのか大規模なのが必要なのか、大体そういうのを確実な調査をしてまいりまして、それに基づいて緊急な干ばつ対策というのをやることにしているわけでございます。で、引き続き、また補正予算においてもそういった事業を行なうことにしております。また来年度の予算においても相当大幅な予算の要求をいたしまして、事業実施を行ないたいと思っておるような次第でございます。
  108. 辻一彦

    ○辻一彦君 質問がちょっと前後しますが、この沖繩における今度の干ばつを中心にするきわめて大まかな数字でけっこうでありますが、最終の集計された被害額とそのパーセント、それをごく数字だけでけっこうでありますから、一言だけで御報告願いたいと思います。
  109. 岡田純夫

    説明員(岡田純夫君) 沖繩被害につきましては査定いたしまして、大蔵省ともよく相談いたしまして、三億一千四百万円の措置をいたしました。三億一千四百万円と申しますのは、本土の予算補助の最高ベースのものを洗いまして、それを処遇いたします。それから、沖繩の復帰対策費、これは事実上援助率もございますので、それの過去の例を参酌する。要するに本土で最高の補助率によってみまして、それを約一億八百万円、それ以外に先ほども北海道の例がございましたが、緊急就労——何といいましても現地に現金をおろしてあげることが先決でございますので、緊急就労対策事業をできるだけ組んでまいります。これがざっと一億六百万円でございます。その他利子補給によりまして営農融資の問題がございますので、これは途中でございますから、金額そのものは巨額なものではございませんけれども、約二億のものが動きます。そうしますと、いまの三億一千四百万円の補助金と、それ以外に融資ベースで約二億、ざっと五億ぐらいが応援できる、こういうようなことになっております。
  110. 辻一彦

    ○辻一彦君 その数字は九月十二日の琉球政府の緊急対策費というこの中にある八十七万ドルに該当する、それでありますね。そこで、それはいいのでありますが、お伺いしたいのは、それでは本土における最高の取り扱いだということでありて、私は当然そうあるべきであると思います。ただ、たとえば米が被害を受ければ農業共済制度によってこの補償というものがあるわけであります。そういう問題、あるいは先ほどちょっと問題になりました激甚地区の指定、激甚災害法による指定であるとか、あるいは天災融資法による内容、これにほぼ準じてはじき出されたものが三億一千三百万円であるのかどうか。農業共済等、米であればかなりな共済金が出るわけですが、こういうものももしないとすれば、含めてこういう法律の適用を受けられるのでありますから、考えるべきだと思いますが、そこらはどうでありますか。
  111. 岡田純夫

    説明員(岡田純夫君) 被害につきまして落としましたので、先般農林省あるいは厚生省と合同調査をいたしました。そのときの被害調査報告によりますと、まだ、そのときは中間のあれでございましたが、全体で現地からの報告によりますと九百七十八万ドルという報告が出ておりました。そこで、なお現地においてさらにいろいろと検討されまして、現地から持ってまいりました被害額と申しますか、援助要請額について申し上げますと、約十億七千四百万円というものが事業費として出てまいります。それに対する国費の要請は七億六千万円、それについて現地で行なわれるものもございますし、そういうものも検討いたしました結果、先ほどのような措置をいたしたということでございます。
  112. 辻一彦

    ○辻一彦君 時間もあまりないわけでありますから、こまかい数字についてはもう少し聞きたいことがありますが、午後伺うようにいたしたいと思います。私のほうの手元にも沖繩の中央会の出したものでも三百万ドルの要請がありましたが、これに比べると大体三〇%程度ということで、まだずいぶん問題があると思います。午後少し詳しくお尋ねをいたしたいと思います。  そこで、大臣にお伺いをいたしたいのでありますが、沖繩農業の将来を考えますと、いろいろな問題がありますが、一つは、やはりサトウキビをどうしていくかということがどうしても沖繩の場合には大事な問題であると思います。いま、精製糖が、その製品である砂糖が自由化の品目に入ろうとしているということを聞いておるのでありますが、これはまあたいへん大臣に失礼でありますが、ある新聞によると、幾つか予定されたうちで、雑豆や落花生がはずされるだろうと、こういう報道の中に、落花生は大臣地元の産物だからこれははずされるのではないかと、こういうたいへんうがったような、失礼ですが、こういう記事が出ていたことを私は記憶しております。そこで、私たちは、一つでも二つでも自由化をさすべきではないということで、どこであっても農産物の自由化を押えるということは賛成でありますが、特に沖繩のこのキビの将来を考えると、やはりここで自由化をした場合には非常に大きな影響が出るのじゃないかということを懸念するわけであります。これについてひとつ、どういうお考えをお持ちか、私たちはもう少し、これは非常にむずかしいことでありますが、沖繩農民がこれだけ、二重の苦労をしている状況考えればかなりな時期、将来何とか特にやり合えるような時期までは自由化を砂糖についてはすべきでない、こういうように考えるのでありますが、そこらをひとつお考え大臣からお伺いをいたしたい、このように思います。
  113. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 四ないし五品目をことし中に自由化したいと、こういうことを申し上げておいたのでございますが、その品目がどれであるかということにつきましてはまだ決定しておりませんから、いろいろな推察はあると思いますけれども、決定しておりません。いま検討中と申し上げるほかはございません。精製糖の輸入自由化の取り扱いにつきましては、いま申し上げましたように、この農産物の関連を考慮して慎重に検討をしておるときでございますし、また検討したいと思いますが、かりに自由化ということにするといたしましても、沖繩産も含む国内の甘味類に対する影響がないよう、十分な措置を講ずる考えでおります。  なお、沖繩のサトウキビ策につきましては、従来から沖繩産糖につきましての糖価安定事業団によります売買を通じ保護措置を講じてきておるところであります。沖繩の復帰後におきましてもこの措置を継続する方針でございます。さらに沖繩をサトウキビの生産振興地域として指定いたしまして、生産基盤の整備とか機械化の推進とか土壌改良等、生産の振興をはかる、こういう方針もあわせて持っておるような次第でございます。
  114. 辻一彦

    ○辻一彦君 私の時間が終わりましたので、一言だけでありますが、本土の米と沖繩のサトウキビは同じような意味合いを持っているという点で食管法に準じたサトウキビに対する取り扱いといいますか、手当てをすべきでないかと、こう思いますが、一言だけ伺って終わります。
  115. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 食管と同じようというわけにもまいりませんが、いまの甘味類の糖価安定事業団による売買をするというような法律もございまするし、その措置によって行なっていくということでやっていくつもりでございますので、食管に似たような価格安定政策を取っていくと、こういう所存でございます。
  116. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 大臣、非常に常識的な話なんですけれども、これは消費者米価を物統令からはずすと、あるいは米穀管理研究会が開かれる、そうしてまた農地制度研究会も開かれるということで、米の問題について非常に心配をしなけりゃならない、そういう段階にありまして、そこへもってきて農産物の自由化のあらしが吹きまくる。農業の中の戦略産業、戦略部門と言われます畜産あるいは果樹、そういうものの自由化のあらしが吹きまくった。ですから、何か日本農業というのは情けないところに追い込まれてきたわいという感じが一ばいいたしておりますですね。ところが、どういうことか自由化の問題を、何かあらしが少しいま静まったような感じがいたしますね。もうオレンジにしろ、天然果汁にしろ、牛肉にしろ、そういうものを自由化するんじゃないかと思ったところが、どうやらそのあらしがちょっとやんだような気がしますね。消費者米価を物価統制令からはずそうということも、これもどうやら延びたような感じですね。さらにことしは米が不作だという、来年は一体どうなるんだという見通しについてもいろいろ考え方はあると思うんですよ。そういう意味でどうも米の問題が統制を解いていこうという、そういう方向も何か少しちょっとばかり静かになったような感じがしますですね。  ですから、私はここで二つ伺いをしたいんですが、一つは、そういう状況になっているんだが、これは一時そういう状況になっておるんであって、何かもっと来年になると大きなものにぶち当たっていくんじゃないかという心配をしているわけです。つまり、農産物の自由化にしても、来年はおそらく早々から本格的なやはり問題になってくるんじゃないかと思いますし、さらにここ二年か三年をとってみますというと、どうもEECの中にイギリスが入るというようなことになりますと、これは豪州の農業、ニュージーランドの農業というものが日本に押しかかってくるというようなことを考えなきゃならない。そういたしますと、自由化の問題というのは、これは来年あたりから二年、三年の間たいへんなことになるんじゃないか。そこへもってきて米の問題も、これはやっぱりそういうようなきびしい状況になってくるんじゃないかという気がするんですけれども、そういう場合にはなはだ情けない状態に追い込まれつつあるんですが、一体日本の農業をどういうふうに持っていこうとされているのか、それを伺いたいんですよ。私は農村を歩いてみて、自由化のあらしが吹きまくっている、米の生産調整をやる、物価統制令から消費者米価をはずすと、そういうような状況の中で農家は農政不信というようなものじゃなくて裏切られたという感じを持っているんですね。なぜ裏切られたという感じを持っているのかということもあとほど伺いたいんですが、どういうふうに持っていこうとされているのか、それをひとつお尋ねしたいんです。
  117. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) ごもっともなお尋ねだと思いますが、また事情お話のとおり農業の人々や農業外の人々もいろいろ心配している事情もお説のとおりだと思います。どういうふうに持っていくかということでございますが、私は柱は二つあると思います。一つは何といたしましても、日本の農業が国内的におきましても、農業と他産業と複雑に交錯してきております。農業地帯でいいましても、兼業農家が八四、五%というようなことで、こういう国内的に他度業と錯綜している面が出てきておる。もう一つは、いまのお話のように自由化の問題等もあり、日本農業も国際関係の中に踏み込まされているというような現状があると思います。  そういう二つの事情等を踏まえて農業をどういうふうに持っていくかということにつきましては、一つは、やはり日本の農業というものも国際競争にたえ得るように、体質を改善して農業を持っていかなくてはならぬ、こういう面が一つ大きく出てきておると思います。そういう面で生産性の高い近代的な農業として育成する構造政策の推進、それをするために、農業団地構想という形で団地形成も行なっていきたい。すなわち一つは国内の農業においても、国際競争に十分たえ得るというようなことは私はむずかしいと思いますが、しかしその方向へ相当強めていかなくてはならぬ、これが一つであります。それからもう一つは、やはり農林関係が食糧の供給というような立場に立っております。そういう面から考えましてですが、国民全体の複雑な関係、生産者、消費者という対立的な関係よりも一体となってこれはやっていかなくてはならぬということになると、農業政策としても、これはいままでもやっておったのでございますが、農業生産の供給と消費地の需要、つまり需給のバランスをとらせると、こういう方向へ持っていかなくてはならぬ。それに対しての価格政策というもの、これは出てきます。しかし方針としては、何といたしましても、生産者にとりましてもあるいは一般国民にとりましても、需給のバランスがとれないということになりますといろいろな障害が出てきます。そういう面におきまして需要供給のバランスをとっていく。これは米についてもそうでございます。あるいは畜産物等もそうでございます。あるいは果樹についてもそうでありまするし、あるいはまた野菜等についてもそうだと思います。でございまするから、一つはやはり国際競争にたえ得るような体質改善をしていくということが一つ。もう一つは需給のバランスをとっていくと、こういう方針で、それから枝葉といいますか、いろいろなものが考えられてくると思います。  問題になっておりまする自由化の問題等につきましても、たとえば体質が改善されないのにむやみと自由化を進めるというようなことは、日本の農業にとっては非常な痛手でございます。日本の農業は自給生産を御承知のように中心として足らないものは輸入する、余ったものは売るというような形であります。アメリカやカナダのほうの農業は、農業そのものも一つの輸出産業というような形になっておりまするから、そういうものと日本の農業とを自由な舞台で競争させるというようなことは、自由主義の原則にも私は反しておると、こういうような関係にございますので、自由化につきましても極力自由化を押える、こういう考えでございまするし、あるいは需給の面からいいまして、やはり自給が超過しているのは米だけでございます。あとは足らない。でございますので、米についてはやはり先ほどの需給のバランスという面から考えまして、これはあまり好むことじゃありませんが、生産調整というものをやはりやらざるを得ない、これも続けていこうと考えております。あるいは畜産とか、果樹とか、こういうものは需要が非常に増しておるような農畜産物でもございまするし、またその需要を満たすような生産体制も進めていかなくちゃならぬと、こういうようなことで、根本的に言えば、そういう方針でいろいろな政策というものも出てくると、出てこざるを得ない、また出していくと、こういう考えでございます。
  118. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 私、いま大臣お話の中で、やっぱり最も大きな中心を成しているのは生産性の非常に高いそういう農家をつくりたいんだと、それは国際競争力にも対応できる、それからできるだけ安い価格の農産物をひとつ供給するという、そういう生産性の高い農家をつくるというのが中心になっていると思うんです。しかし、そういういまのようなやり方の中でその可能性があるのかどうか。私は確かに一部は可能性が出てくると思うんですが、ですから日本の農家の一部は残るけれども、日本の農業は崩壊していくんじゃないかと、そういうふうに見ているんですけれどもね。ですから、私はいま農政で最も必要なことは、農業生産の目標をはっきりしてもらいたい。自由化がどうだとかこうだとかいう問題じゃない。農業生産の目標をはっきりしてもらいたい。そのことについて政府努力をしてもらいたい。いま農家の人たちが非常に不安に思っておりますのは、目標がないわけなんです。何もない。自由化が吹き荒れるということになりますと、どうなるのか、お先まっ暗だ。だから自分の周囲の農作物を見て、なたねとか、大豆とか、麦もなくなっちゃう、それは自宙化されればそういうものはなくなっちゃうんじゃないか、米は一体どうなるという私は農業生産の目標を明確にするという必要があるんじゃないか。その中で自由化の問題とかなんとかを考える必要があるのじゃないか。ただ、私の感じとしては自由化は自由化でできるだけやらぬようにそれはしていくんだと。それからいま言ったようないろんな問題が出てきて、結局私は高い生産性の農家も出てくるだろう、それは一部だ、日本の農業は全面的にその意味では崩壊をしていくんだと、そういう感じがしてならないわけなんですけれども大臣はどういうふうにお考えになりますか、簡単にひとつ。
  119. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 私は自由化だけでこの農作物の競争力がなくなって、農作物によって非常に減少したということだけには考えてません。それと自由化の影響がなかった時代におきましても、ときにおきましても、あるいは労働力の不足とか、あるいは農産物価格の均衡がとれなかったというようなことで生産が減ってきたというようなことも相当あると思います。そこで、そういうことを踏まえて、農業者が目標を失ってると、こういうような御指摘でございましたが、そういう面も相当あると思います。そこで、私のほうといたしましては、やはり需給というものを中心として地域生産の指標というものを昨年十二月につくりました。それがまだ下に流れておりませんが、そういうもののガイドポストというか、そういうものをつくって、その方向に従って生産し、その生産物の流通、加工、そういうものまで農業として含んで担当しなくちゃならぬというような現状に即した対策を講じていくと、こういう考えでおります。  それで、私の考えで言えば、農家というものはなくなっちゃうじゃないかと、こういうことでございますが、先ほどちょっと触れましたように、これも長くなって申しわけありませんが、兼業農家も相当ふえておるようでございます。だから、生産性の高い農家だけを育成するというようなことであれば、それだけが残っちゃって、一五%くらい残って、あとの農家はだめになっちゃうのじゃないかというような御指摘でもあるかと思います。で、そういう意味におきまして、私は、農家個々的には、生産性の上がらない立場の現状ではあると思いますが、それを団地的な経営というものに兼業農家も組み入れ、また自立農家というものが中核になると思いますが、そういうものを組み入れて、団地的に全体として国の農業生産が上がるような方向に持っていく、こういうような構想で進めたいと、こういうように思っておるわけでございます。
  120. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 もう少し、立場は違いますけれども、日本の農業がいろいろな意味で保護されてきたというふうに言われておりますですね。農地制度とか食管制度とか、価格制度とか、そういうような保護的な統制的なものによって農業が保護されてきた。それは工業に対しての問題だろうと思うのですよ。ところがいま農地制度を解く、あるいは食糧管理も解く、価格についてもだんだんと規制を解いていく、そうして、一方においては、もう一つ日本の農業には自由化という問題ものしかかってくる。その場合に、そういう条件を解いてしまうとなりますと、これは条件は最悪の事態ですと私は思うのです。  それで自由化の問題で、そうですね、農業がというお話ですが、それはなたねにいたしましても、大豆にいたしましても、あるいはでん粉にいたしましても、あるいは麦類にいたしましても、これは日本の代表的な作物はほとんど全滅——全滅じゃないけれども、ほとんどなくなったということは、やはり外国の農産物との競争です。ですから、私はまだ十年の間条件が整っていないけれども、もうやらざるを得ないというところに追い込まれておるような気がしてどうもしょうがない。だから、私はどうもいまのままでいきますというと、高い生産性のそういう農家の一部のものは残るが、日本の農業そのものは、これはもうつぶれていくのじゃないだろうかという気がしてしょうがないものですから、その点を申し上げておるわけです。私は、やはり先ほど申し上げましたように、農業の生産目標というものをはっきりさせる必要があるというふうに思います。御承知地域生産の指標みたいなものはありますけれども、もうそんなのは力を持っておりませんですし、単なるちょこっとしたもので、農民にたよりになるような目標じゃないというように思います。  そこでもう一つ、次にでん粉問題について聞きたいのです。もう四、五日のうちにでん粉、それからカンショ、バレイショの基準価格がきまるのですね。それでこれを見ますと、カンショの場合は、これはトウモロコシでん粉との関係もありまして、たいへんな勢いでこの十四、五年の間に減少したのですね。作付面積が四分の一近くに減っておるのですね。たいへんな勢いで減っております。生産量もぐっと二分の一以下に減りましたのですからね。そうして、十アール当たりの反収というのは、この十五年来ほとんど変わらないのですね。ですから、トウモロコシでん粉が入ってくるという中で、カンショの構造改善をやったということにならぬのじゃないか。反収はふえない、作付面積は四分の一近くに減るわ、生産量は二分の一に減るわということになりますと、これは、構造改善をカンショについてやったのだということにはならぬのじゃないか。それに対しまして北海道のほうのバレイショ、これは作付面積が十五年来の間ほとんど変わらない、生産量は二倍近くにふえておる。そうして十アール当たりの反収も二倍以上に上がっておる。そうなりますと、これは、バレイショについては構造改善というものが行なわれたと言って差しつかえないのじゃないか。したがって、相当の競争力を持ってきているんじゃないか。だがカンショについては、これは非常な構造政策というのは行なわれていない。どういう政策が行なわれているかということをバレイショとの関係で伺いたいんですよ、これは大臣じゃなくてもよろしゅうございます。非常な減少ですね、あまりにも明暗がはっきりし過ぎている。バレイショは、構造政策というのはやはり相当成功してきているんじゃないか。しかしカンショについては、これは完全な失敗、面積は四分の一近く減っておる。反収はほとんどふえない、生産額は二分の一に減ってしまうということを見ますと明らかじゃないか。どういうふうにお考えかということを聞きたい。
  121. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 研究している局長から答弁させたいと思いますが、これも常識的でざっぱくなあれですが、カンショとバレイショ、バレイショのほうはどっちかというと主食物的な傾向があり、カンショのほうは、昔は主食物であったでしょうが、いまは主食物を離れておる。こういうような関係もあって、構造政策を行なっても、カンショのほうは作付が減退した、あるいは生産が減退した、こういう傾向があるんじゃないかと思います。でございますので、私としてはやはり構造政策とかその他技術的な面やいろいろな面でカンショのほうにもう少し注意をしなければならぬというふうに思っております。その理由等につきましては、私も詳細に答弁するだけのまだ頭を持っていません、調査もしていません。
  122. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 時間がありませんので、いま大臣お話のように、カンショについての構造政策というのは、いま私が申し上げたように、これはもうたいへんな、いまの状況では完全な失敗だと。それに対してバレイショのほうはある程度成功しているんじゃないかというふうに見られるわけなんです。先ほど申し上げたようないろんなデータから見ましても。最近私こっちに、鹿児島から帰ってくるときに電話がありまして、もう来年からサツマイモはつくれぬと言うのですね。それからなたねももう来年からつくれぬと言うのです。これは聞いてみると、でん粉の自由化というのが非常に迫っているという考え方ですね。それで四十八年の三月から弾力性の関税制度がありまして、あれもどうも見通しが暗いんじゃないかということですね。そうし、てどんどんたいへんな勢い、二割ぐらいの勢いで作付面積が減ってきていますね、毎年。そこへもってきて、でん粉工場が近促法の適用でやるようになりましてから、ばたばたと逃げ出してしまったわけですね。でん粉業界のほうから逃げちゃったんですよ。だからいまつくってもでん粉にできないんじゃないかという心配が非常にあるんです。そういうところからも、もう来年はサツマイモはつくれぬぞと、出かせぎしなければならぬぞと、こういう考えですね。  それからもう一つ、なたねですね。このなたねは、もう来年からつくれぬと言うのですね。なたねの問題についても、これは同じように自由化してきた。それに対して構造政策はどう行なわれてきたかということの結論でもあると思うんです。ですから、もう一つ何か日本とカナダの閣僚懇談会の席上で、どうもなたねの関税が大幅に引き下がるんじゃないか。そうすると、いまでもなたねの基準価格というのが上がりにくいところにもつてきて、上がらぬぞと、下がるぞと、安いものが入ってくるぞと、これはもうつくれぬぞという、こういう認識に立っておるようですね。だからなたねも、サツマイモも、カンショもまたもう来年はつくれぬと、そういう心配していますよ。ですから、いまの点、なたねの関税がゼロになるのかなくなってしまうのか。大豆の関税、これもなくなっちゃうのかという点ですね。この点もひとつお尋ねをいたします。あとの問題は後刻、局長にお伺いしたいと思います。
  123. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) なたねの関税でございますが、この間アメリカあるいはカナダ等経済協力会議がございました。自由化の問題は、向こうの関係で目下私のほうではやりたくない関税品目だということで断わりましたが、大豆につきましては関税を引き下げてもらえないのかと、こういう要望がございました。これは、日本の円対策八項目の中におきましても関税等には相当考慮するというようなことをうたわれておりまして、大蔵大臣のほうからは、関税のほうは約三十品目について関税引き下げについては考慮する用意がある、しかしそれについてはしかるべき手続があると、関税審議会とかあるいは法律の関係でございますとか、そういう手続を経て三十品目等について関税引き下げの用意があると、こういうことをはっきり明言したわけであります。その中に大豆が入っておると、こういうことでございます。  そこで、カナダのほうへ行きましたときに、アメリカのほうで大豆の関税を引き下げるというようなことを言明したようであるが、なたねのほうは大豆と非常に不均衡な取り扱いをいまでも受けている。関税はキロ幾らとかいう割り出し方ですが、それについても非常に不均衡だ、こういうことがありましたが、当局から——私のほうの事務のほうからよく説明して、大豆となたねに対しての日本の関税の扱いが不均衡でないということは向こうでも納得したんですが、しかし大豆の関税を引き下げる、あるいは引き下げがゼロになるかもしらぬというときに、なたねだけをこのままにしておかれるというのはちょっと不均衡じゃないかと、こういうような話がありました。それで、大豆の関税を引き下げるというときには、なたねの関税も不均衡でないように引き下げる、こういうような話をいたしたわけであります。  率直に申し上げますとそういうふうな事情でございます。
  124. 塩出啓典

    塩出啓典君 それでは、先般、物価統制令の問題、また食管が非常に無法状態であると、そういうような点について中村委員からいろいろ指摘があったわけでございますが、それに関連しまして、先月末にこれは風糧庁長官にお聞きしたいのですが、山口における行政監察局が配給米の販売の実態調査をしてそれを発表しているわけでございますが、そういう点について報告を受けているかどうか。
  125. 亀長友義

    説明員亀長友義君) まだ承知いたしておりません。
  126. 塩出啓典

    塩出啓典君 これは、現地の新聞等にはかなり大きく載っているわけですけれどもね。そういう、いうなれば食管法がちゃんと守られていない。そういうような問題が食糧庁長官のほうにもちゃんと報告がこないというのはどういうことなんでしょう。
  127. 亀長友義

    説明員亀長友義君) 私ども行政管理庁の御調査の結果をいつも御連絡いただいておるわけでございますが、まだきておりませんところをみると、単にそれは行管のほうでいろいろ整理をされている御都合じゃないかと思いますが、なお私のほうから照会をいたします。
  128. 塩出啓典

    塩出啓典君 現地はやはり食糧事務所等もあると思うのですけれども、そういう現地の問題等はちゃんとやはり報告するような体制にはなっていないのですか。
  129. 亀長友義

    説明員亀長友義君) 私、行管内部の手続に関しましては、他省のことでございますので承知をいたしませんが、おそらくそれは行管の本庁でいろいろ現地報告を御検討の上われわれに御連絡があるという段取りになるのではないかというふうに考えております。
  130. 塩出啓典

    塩出啓典君 これは、現地の新聞にも載っておりますですね。山口の食糧事務所関係の人もちゃんと知っていると思うのですけれどもね。ただまあこれは、先国会のこの委員会において同僚の委員もすでに問題にしているわけなんですけれども、いわゆる混乱しているお米の販売、七九%は政府の価格を無視をしていると、格上げをしたりあるいは表示不適あるいは先ほど話がありました無登録業者も多い、そういうようなことがこの調査の結果、発表になっておるわけなんです。これは先国会においても、米の業者が非常に手数料が少ないために、やはり高く売らなきゃならない、そういうような事情もあると、そういうようなことがこの委員会で答弁されているように私も議事録では見たわけですけれどもね。こういういわゆる配給米が、自主流通米として回されて高く売られている、これは実は消費者からそういう申し出がありまして、それで山口の行政監察局が調べている、こういう点はどうなんですかね。かなり私の感覚では、食糧庁としては、これはやむを得ないんだ、取り締まりようもないんだと、何かそういうような感覚のように受けているわけですけれどもね。こういう問題について、食糧庁長官としてはどういうことを考えておるのか、この点をお聞きしたいと思うのですが。
  131. 亀長友義

    説明員亀長友義君) まあ御指摘のように、登録を受けた販売業者が、政府から配給米を受けて、それを格上げをして自主流通米で売るという事実があるということについては、私も承知をいたしております。また登録のない者がいろいろやみ米等を扱っておるということも承知をいたしております。もちろん食管法というものが現存しております以上、そういうものが両者ともにそれぞれ食管法のたてまえからは不法なものであるということは言えると思います。ただ、何ぶんにも全国的にいわゆる食管法の本来の公平な配給という目的というものが非常に薄れてきておりまして、公平な配給ということの必要性というものがあまり強調されないという時代になってまいりますと、私どものほうから米の足りないときと同じような取り締まりをするということには、実際的に申しまして非常な無理があるということを率直に申し上げざるを得ないと思います。いままで数回御指摘のような質問に関して、いろいろ政府側からもお答えがなされておりますが、やはり現在の食糧事情に応じて国民感情に合ったような取り締まりをするという政府側の考えが従来とも述べられておりますが、やはり本来の大きな食管の流通経路を大きく乱す、あるいは暴利を得るとか、こういうようなものにつきましては、最近におきましてもそれぞれ取り締まりが行なわれておりますが、非常な細部に至るまでこまかく神経を使ってやるということは、実際問題として不可能なような事情にございます。まあ物統令をはずすという話が三年前にもあり、またことしの予算編成時にも行なわれましたのは、いまの需給事情に応じて、やはりそういうものは業者間で妥当な価格が出るという前提でものごとを考えていくべきだ、法律の取り締まり一本で、米が余ってきている時代に、足りないときのような、同じ警察的取り締まりだけでもって実現することは、実際上無理があろうということも、そういう議論が出てくる背景ではなかったかと思いますが、結論的に申しまして、私どもやはり国民感情に合ったような取り締まりのしかたをしてまいりたい、大量に不法に暴利を得るとかあるいはある地域において配給に不足を生ずるとかいうふうな事態に関しては、今後とも厳重に取り締まりをしてまいりたいと考えます。
  132. 塩出啓典

    塩出啓典君 大臣お尋ねいたしますが、いま食糧庁長官は、国民に合った取り締まりをしていきたいと、けれどもやはり本来もっと安い値段で売るべきお米を高く売る、それを放任するということは、それは食糧事務所の管轄にある、それは配給業者としてはその感情に合っているかもしれませんけれども、消費者から言うならば、これは好ましくないことでもありますし、またほんとうに正直者がばかを見る、ほんとうに正直にやっている人が結局もうけが少ない、そういう事態は、私はこれは非常にむずかしい問題もあると思うのですけれどもね、農林省としてももう少し検討していただきたい。いつまでもそういう正直者がばかを見るような、そういうことはいけないんじゃないか、私はそのことを大臣要望したいのですけれども、検討する気持ちがあるかどうか、その点。
  133. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) お話のとおりだと思います。正直者がばかを見る、あるいは法律を犯して得をしておるという人々を放任しておくというわけにはまいらぬと思いますし、法秩序を乱すということも民主主義国家として捨てておけないことだと思います。でございますので、いまのような事態に対しましても農林省、食糧庁といたしましても厳正な態度で臨むという態度には変わりありませんし、その方針でなお進めます。たとえば巡回検査とか立ち入り検査等、販売業者に対する指導、監督を強化する、そうして公正な自由競争の原理の導入等をはかりまして米穀流通の適正をはかりたい。法秩序を守るという意味におきましても、あるいは一部の正直者がばかを見て不正直者が得をするというようなやわ方というものはまことに好ましくないことだと思います。そういう意味で食糧庁といたしましてもお話のような点をなおよく検討しまして厳正な態度で進みたいと、こう思います。
  134. 塩出啓典

    塩出啓典君 長官に。行政監察局が答申をしている中に、銘柄制度を積極的に検討してはどうかと——私もよくわからぬが、たとえばおそらく自主流通米を買う際に、この米はどこ産のどういう品種で何等の米だと、あるいはそういう米をまぜた場合にはこれ何%まぜているんだと、そういうようなことをやはり自主流通米の袋なら袋にちゃんと明示すると、そういうことじゃないかと思うのですけれども、大体何でも品物は、JASでも何者何%政府のちゃんと規格するように規格づけられているわけですね。そういうようにするというのも私は一つのすぐできる方法じゃないかと思いますが、それはいろいろ支障がありますか、ほかに。
  135. 亀長友義

    説明員亀長友義君) 銘柄の御指摘の点は消費者に売る際の表示の問題だろうかと思いますが、別に支障があるという——できればまことにけっこうなことで、われわれもやりたいということでいろいろ研究いたしております。  ただ御承知のように、買うときに一俵単位でそれぞれ産地、品種、銘柄というのはわかります。ただ配給の段階になりますと、必ずしも一つの銘柄の米だけである地域の消費をまかなうというわけにもいかないわけでございまして、何百種類という銘柄がたとえば東京でございますと年間入ってまいります。県の数だけでも十数県の米が入ってくる。その中にも非常に小さな銘柄がある。そこで自然売る際にはいろいろな形の米をまぜて売るということになるわけでございます。そこで、そういう段階で表示をいたしましてもその表示の信憑性を確かめる方法というのがなかなかむずかしいのでございまして、もちろん消費者には十分わかりかねます。したがいまして、流通経路の段階でそういうものを検査して、それが消費者の手に渡るときに袋に入ったものが破かれないようにする、そういうチェックする手段が相当厳重に講じられませんと、表示はしたけれども、どうも中身を確かめる方法がないという問題がございますので、いろいろ消費者対策として私ども表示の問題について検討いたしておりますけれども、銘柄まで表示をするにはいろいろな問題があるというふうに現段階では考えております。
  136. 塩出啓典

    塩出啓典君 じゃ時間がありませんから。これは私のところで買った米なんか全然書いてないわけですね。だからそれはそういう問題があるかもしれませんけれども、それは、そこまで銘柄表示がほんとうに詳しいかどうかということを言えばきりがないと思うのですけれども、そういうことをすれば消費者にもある程度の知恵もできると思いますし、私はこの問題はやはりもう少し前向きに検討すべきじゃないか、その点を要望いたしまして午前中の質問を終わります。
  137. 塚田大願

    塚田大願君 先ほどから北海道冷害の問題につきましてはかなり質疑が出ましたが、私も実はこの間単独で、独自で北海道調査に参りました。そのようなことからこの北海道冷害の問題についていろいろお伺いしたいと思うのです。  先ほど、実情を見ていなければなかなか実感がわかないのではないか云々というお話がありました。しかし大臣は、私は三十九年にも視察に行っているから十分存じておる、こういうお話でございましたけれども、やはりことしの冷害というのが三十九年の冷害、あるいは四十一年の冷害を上回るものだ、北海道開拓史上最高ではないかというのが実際の視察した人たちの実感だろうと思いますし、また現地でもそのように言っております。でありますから、先ほども論議がございましたが、北海道で発表されました被害状況よりももっと実際は大きいというのは農林省自身もすでに認めておられる、こういう状況でございます。したがって実情につきましては私はもうるる申し上げません。  ただ私が行きまして驚きましたことが一つございます。それは私ども調査に参りましていろいろ農民の方々とお話をいたしますと、そしたら、ほんとうにあなたがたの考え方を率直にひとつ訴えてくれ、話をしてくれといろいろ懇談をいたしました。実はいままで道庁やあるいは農林省やその他から調査が来る、しかし実際に一番ひどいところは私どもはあまり見せたくないんです、またあまり見せませんでしたと、こういう話なんですね。びっくりしました。あれだけの被害を受けたんだから、これだけ被害を受けたと、むしろ大っぴらに見せてくれるものだと思ったら実情は逆だったということ。じゃなぜあなたがたはそういうひどいところを見せてくれないのか、そうしなきゃ対策だって進まないじゃないですか、こう申しましたら、いやあまり騒いでもらうとかえって北海道農業はもうだめだ、米は北限なんだからおまえたち米はやめなさいと言われる可能性がある、そしてもう小さな農家に離農しなさいと言われる危険性がある、それがこわいから一番ひどいところは実はあまり見せなかった、これがほんとうの私どもの気持ちですと、こういうふうに言われるのです。私びっくりしました。なるほど北海道農民の皆さんの気持ちというものはそこまできているかという感じです。また一方農協やその他普及所にいたしましてもあまりひどいところを見せると、おまえたち営農指導員、一体何やっていたんだと責任を追及される危険性もあるというようなことから、そういう機関もあるいはそういうひどいところは見せたくない、こういう気持ちもあったようでありますが、しかし実情は非常にひどいものだと、こういうことです。特に農民の何人かの方々から聞きましたけれども、まあ借金がどんどんふえてきてもうおまえたちこれ以上借金なんかさせられないという農協の話で、もうそんな借金ばかりつくっているような農業はやめてひとつ離農したらどうだろう、こういう話すら出ている。こんなことから農民の皆さんはたいへん苦しいんだけれども、なおかつほんとうにこの被害状況ですね、ほんとうに出そうとしないという実情があることを私は知って驚きました。まずこのことを大臣、その他関係官庁でもよく知っていただきたい、こういうふうに思うわけであります。  そこで、この冷害を口実にした離農促進あるいは稲作転換の強要というようなものが行なわれたら私は重大な問題ではないかと思う。確かに北海道の場合には水稲条件が必ずしもよくない。しかし、かといって、いま農民はやっぱり水稲で何とか生きていこう、それ以外に方法がないのだと思っている農家を、あえて作付転換をやらせる、こういう押しつけがましい行政指導であってはいけないのではないか、こういうふうに考える。  そこで私、大臣にお聞きしたいのですが、実は大臣が先ほどもおっしゃいましたように、三十九年の冷害のときに、北海道視察に行かれた。そのときの話をいま農民がやっぱり覚えております。そしてそのとき赤城農林大臣は、北海道に来て、今度の冷害は構造改善推進のいい材料だ、と言ったら、あんな農林大臣けしからぬじゃないか、おれたちを追い出すつもりか、こういう政策を冷害を口実にして、冷害を奇貨としてこういう政策を進めようとして来たのだ、というふうに言っております。しかし、もちろん私は、赤城さんがそういうふうになまのことばでおっしゃったものかどうかわかりません。そこで私、帰って参りまして、当時の資料を調査してみました。ここに三十九年十年十六日の参議院における災害対策特別委員会の議事録がございます。ここでこの北海道冷害対策質疑討論されたわけであります。これは災害対策特別委員会ですが、この中でやっぱり大臣はこういうことを言っていらっしゃる。ちょっと一部申し上げますが「ことにいま考えておりますることは、離村の問題も多うございますから、受け入れ態勢を強化するともに、農地管理事業団というようなものによって経営規模も拡大していきたい。」、その他ずっとありまして、「なお、開拓者の問題は、それと関連いたしますが、開拓者で離農したいと言いながら、そのワクに拘束されたり、あるいはまた資金が十分届きませんので、出るに出られないという者もありますので、こういう者につきましては、政府資金の面も手当てを早くいたしまして、出たいというならば早く出て、他の業につくようにいたしたいと思います。」、こういうふうにやっぱり言っていらっしゃるわけですね。露骨な形では決して言っておられません。  しかし、やっぱり冷害でやっていけなければ離農しなさい、そのためには政府は大いに積極的に施策を行なう、こういうふうに離農という面を言っていらっしゃるわけです。促進するということははっきり言っていないけれども、離農したい人には離農させるようにちゃんと手当てはつけます、こういう離農の面だけが積極的に出て、実際土で生きていく、農業で生きていこうとされる農民をやっぱり追い出していくという、そういう方向に考えがはっきり私は出ているのじゃないかと思うわけであります。しかし、先ほど赤城さんもおっしゃいましたように、私も農家の出と、私などもやっぱり農家の出でございますから、農民の気持ちはよくわかる。また農民の気持ちをよく知らなければ農政はできないだろう。農民はやっぱり何とか百姓で生きていきたい、土で生きたい、こういうふうに考えている。一生懸命にやってきた、特に条件の悪い北海道で百姓をやってきた人たちの気持ちというものは、大臣も知っていらっしゃるのじゃないか。ところが、その離農ということが促進されるようなこういう状態になりますと、これはもう農民の中では怒りなんというものではなくて、いわば恨みですね。先ほども出ました怨念です。こんなひどいことをおれたちがこれだけやってきて、血と汗でやってきたこの北海道農業、これをいまさら追い出すとは何だ、こういう気持ちが非常に強いということです。  先ほど大臣は国際競争力に耐える日本農業の体質改善を、大規模農業と盛んに言われる、それはお経の文句でありまして、私はほんとうに、先ほど鶴園さんでしたか、質問がありまして、一体何をつくったらいいのかということは一つもはっきりしない。米もだめだ、酪農をやれ。酪農やっても十頭酪農ではとてもだめだから、二十頭、三十頭でやると借金ばかりふえて、結局こういう冷害なんかきたときにはダウンせざるを得ない。こういう形で追い込めておいて、離農したい人はしなさい。離農したいなんという気持ちの人はほとんどいないんですよ。それは一人や二人いるかもしれない。しかし農民として土地を離れて都会に出て働くなんということは、ほんとうに農民としては一番情けないことなんですから、そういう気持ちを持っているはずがない。したがって、こういう状態でありますから、私は大臣に、大臣は今度ソ連にいらっしゃる。大臣は農政のベテランだといわれておりますし、私はものわかりの悪い大臣だとは思っていない。ソ連に行かれますと、赤城さんは私の名前は赤い城だと、レッドキャッスルだと、たいへんものわかりのいい柔軟なこともおっしゃっているわけです。だからこの際、この農民の気持ちをおくみになって、この冷害を口実にして離農促進をするとか、あるいは稲作の転換を強制する、こういうことをしないということを、私は、この委員会でひとつはっきり言明していただきたい、こういうふうに思うわけであります。
  138. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) いろいろお話がありましたが、この前の災害を見たあとでの速記録等も引用されたようですが、恒久対策として構造政策をやるんだというようなことは、これは当然だと思うんです。それが離農に結びついておるというのはちょっとうがち過ぎておるんじゃないかと思います。私は、離農というものは、離れるというんですから、強制的に百姓をやめろと、こういうような考えは持っていませんし、百姓が立っていくように構造政策なら構造政策をやるということは、災害のいかんにかかわらず考えていることなんで、たまたま災害のときに言ったからこれは離農につながるんだと、離農を強制する、こういうふうにおとりにならないようにお願いしたいと思います。お話のように、土に生まれて土で生きている者はやはり土で死にたいというような気持ちで土に接触していくことを生命としているということは私もよくわかります。しかしこれを追っ払ってやるような形で強制するというような気持ちは持っていません。しかし現実におきまして、この災害等がなくとも、農業よりはほかに転換するという人が出てきていないわけでもございません。農業就業人口が減っていますし、農家戸数なども減っているというような現状でございまするから、それは御本人の選択でございます。しかし、離農するようなことがないように農業政策はやっていくと、あるいは災害対策もやっていく、こういう考え対策を講じておるということでございますので、その点はよく御了解を願いたいと思います。
  139. 塚田大願

    塚田大願君 一応まあ大臣がそういう強制的なことはしない、こういうふうに言われておりますから、いろいろまだ考え方には異論もございますけれども、一応その問題は打ち切りまして、時間がありませんから、もう一点、私は今度の災害に対します恒久対策の点でお聞きしたいわけでありますが、これは先ほどからいろいろ陳情や要望書が出ております。先ほどもちょっと討論にございましたが、まあ応急対策はものほとんど私は問題はないだろうと思うのです、政府におかれましても。いろいろ具体的な金融措置であるとかあるいは救農土木事業であるとか飯米、種子の確保、こういうことは問題ないと思うのですが、やはり問題は恒久対策だろうと思うのです。こういう災害を繰り返し繰り返しやっておると、同じ答弁がここで行なわれておる。七年前と同じことがここで言われておるようでは、私はこれはほんとうに農政のあり方といたしまして非常に問題である。  そこで、恒久対策といたしまして、一つはやはり先ほど農協の代表からも陳情がございましたが、固定化負債というものの問題であります。やはりとにかくいまもう何百万という、四、五百万という借金、これが普通だそうであります、十勝の辺、北海道へ行きますと。多い人は七、八百万の借金を持っておる。毎年元利の返済でどうにもならない。実際会って話をして、あなた方これだけの負債をほんとうに返せると思っておるのですかと聞くと、いや実はそう思っていない、こんな借金はもう、しかもこういう冷害でこの何百万という借金返せると思っていないということをやっぱり突き詰めて聞きますとそう言うのです。そこで農協や道でもこの固定化負債の問題はやはり非常に頭の痛い問題だろうと思う。私はこの問題は先ほどから出ましたように、長期低利の特別金融制度を設けて何とかひとつ解決していかなければいけないのじゃないかと思う。で、先ほど農協の方がたな上げなんということばを使われてちょっとぎょっといたしましたけれども、まあ現地に行きますとたな上げと言わない。棒引きと言うのです、借金の。これはもういまの制度ではできない話なんですが、しかし、たな上げ論では普通の常識論になってきつつある。  したがって、そこまできているこの固定化負債の問題に対しましては、やはり抜本的な対策考える必要がある。特に私は、この利子の問題ですね、利子の問題をまずひとつ考えてみる必要があると思うのです。この問題につきましても、実は三十九年の十二月十八日の四十七国会の農林水産委員会です。この農林水産委員会でこの利子の問題につきまして赤城農林大臣は、いま一番低いのは三分五厘だ、これ何とか二分にしたい。特に土地取得や経営規模の拡大の場合などについては二分という金利ができないものだろうかということでいま折衝中である、天災融資の利率についても二分まで持っていけないものかということでございますが、持っていきたい気持ちを持っていますと、こういうふうにおっしゃっているのです。七年前です。ですから、私は少なくともこの農林委員会で七年前討議されたこの利息の問題、やはりそれは何とかこの際もっと前向きに、積極的にひとつ取り組んでいただきたいと、こういうふうに思っているのです。  それから、なおついでに時間がございませんから申し上げておきたいと思うのですが、農畜産物のやはり価格保障の問題ですね。これは十勝へ行きましたら、米はもう御承知のとおり政府管掌の、管理価格の制度がございますから、やはり豆類の問題が一番問題でございます。で、この問題につきましてもこの委員会で、七年前の委員会でやはり何回も論議され、あるいは共済制度の問題も農林大臣はやっぱり何とかこの畑作の共済制度はつくりたいとおっしゃっておるのです。ここにちゃんと議事録がございます。ですから、この農畜産物の価格保障の問題豆類の保障の問題、あるいはこの畑作の共済制度の問題についてやはりもっと真剣に、まじめに私は取り組んでいただく必要があるのじゃないか。この三つの点で、恒久対策ですね、大臣のお考えを聞きたいと思います。
  140. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 恒久対策は金融だけではないとは私も思いますが、金融対策も重要な一環であると思います。でございますので、固定負債の実情等につきましても今後実態の把握につとめまして対処したいと思います。  また金利の問題等につきましても、当時そういうことを私発言したと思います。そして災害ばかりでなく、農林関係の金利の全体につきましても、私は引き下げを実行しました。二分というまでにはいきませんが——この金融関係が、いろいろ組織やなんかありまして、利子の引き下げというものも均衡がとれませんとなかなか実現しなかったのですが、均衡をとりつつ低利にしたはずでございます。天災融資法などにつきましても、四十年に、二分まではいきませんが、三分に引き下げたこともいま記憶しております。そういう点でこの方面もなお十分検討していきたいと思っております。  なお、畑作の共済につきましては、先ほど答弁申し上げましたように、そのときから私は北海道の畑作農業というものを重要視していますので、まだ研究を続けさしておるわけでございまして、その実現の機会にはきていませんが、まだ検討は続けていきたいと思います。その中から雑豆とかエンドウとか、そういうものだけを取り出してやれというような御意見でもございましたが、これは全体として考えるよりほかないのでございますので、畑作共済制度ということにつきましては長いというお話もありましたが、さらに検討を続けていきたいと思います。
  141. 高橋雄之助

    委員長高橋雄之助君) 暫時休憩いたします。    午後二時二十二分休憩      —————・—————    午後三時五分開会
  142. 高橋雄之助

    委員長高橋雄之助君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き質疑を行ないます。質疑のある方は順次御発言を願います。
  143. 川村清一

    川村清一君 午前中は大臣に対しまして、冷害対策の基本的な問題についてしぼって質問申し上げたわけでありますが、午後は事務的な問題、具体的な問題について質疑を続けてまいりたい、かように考えております。まずもって、ぜひ政府当局にも認識していただきたいことは、ことしの北海道冷害というものは、被害総額七百五十億というその金額だけで考えるのではなくして、北海道農業が置かれておりますところの、北海道農業を包んでおりますところの客観的な情勢、すなわち政府の米の生産調整政策あるいは農畜産物の自由化、さらにはドルショクによるところの円の切り上げ等々、こういったような大きな問題の中に包まれた冷害であり、そこに七百五十億という大被害を出したということは、農民にとりましては単に七百五十億円という金額だけでなく、それにプラスするきわめて大きな、感情的なといいますか、心情的なものがあると、それだけに深刻な冷害であるということを御認識になって、その上に立ってぜひ農民が明るい気持ちであすの再生産に従事できるような強力な対策を打ち立てていただきたい、こういう前提の上に立って質問をするわけであります。  で、私は第一に取り上げますことは、農業共済の問題でございます。農業共済につきまして、基準反収のとり方に問題があるのではないかというような感じを私は持っておるのでありますが、まず、どのようなとり方をしておるのか、基準反収というものをきめるについてどのようなきめ方をしておるのかということをお聞きしたいと思います。
  144. 小暮光美

    説明員(小暮光美君) 水稲の場合の基準収穫量は過去の農林統計に基づく趨勢値を基礎といたしまして毎年国がこれを算定して都道府県に指示いたします。都道府県は、この国から指示されました数値に基づきまして、市町村ごとに過去三年ないし七年の農林統計資料を基礎といたしまして、組合ごとの基準収穫量を作成してこれを指示します。組合は、この数字をもとにいたしまして、その上下一定の幅の範囲内で耕地ごとにこれをきめる、こういう仕組みに相なっております。
  145. 川村清一

    川村清一君 過去三年ないし七年の統計に基づくというお話でございましたが、これは三年ないし七年ということではちょっとはっきりしないのですが、私の聞いておる限りではそういうようなとり方をしておらないというふうに理解しておるんですが、そんな三年ないし七年といったような幅のある、どの年をとるのか、一体どういうことなのですか、よくわかりません。
  146. 小暮光美

    説明員(小暮光美君) 詳細は必要あれば専門の課長からさらにお答えをしますが、いま私申しましたのは、国が定めます場合には、農林統計に基づく趨勢値を基礎として国が定めるわけです。それが都道府県を通じ市町村までおりてまいりました場合のことを申しておるのであります。
  147. 川村清一

    川村清一君 国が趨勢値をきめると、それから都道府県、市町村に流れていくわけでありますが、そうしますと、都道府県、市町村によって違うわけですか、この基準反収のとり方は。
  148. 小暮光美

    説明員(小暮光美君) 国が各都道府県について、都道府県の平均の基準収量を示します。それを受けて都道府県が今度は県内の市町村ごとに数字を示さなければいかぬわけです。市町村ごとに数字を示します場合に、過去三年ないし七年の統計資料を基礎として、これを市町村ごとに定めるということになるわけです。
  149. 川村清一

    川村清一君 私の聞いている範囲ではこういうふうに私は理解しておるんですが、これに間違いありますか。七年間の統計、その中で最高と最低をとって五年間の平均値を出して、これを基準反収とするというふうに理解しておるんですが、これは間違いですか。
  150. 小暮光美

    説明員(小暮光美君) 保険業務課長から専門的にお答えいたします。
  151. 川村文雄

    説明員川村文雄君) お答えいたします。  基準反収のきめ方は、ただいま局長からお話しになったとおりでございますが、先生御指摘の三年ないし七年というのはですね、これは県によって三カ年をとると、その県がそういうふうにきめます場合は、その県は全部上位三カ年の市町村別の農林統計の資料でおろすと、それから五年をとった場合は最高と最低を除いた三年間と、それから七年とった場合は、先生御指摘のとおり最高と最低を除いた五年と、県によってこれをきめる。なお念のために、そういう資料できめようとしても、生産の実態に合わぬと、土地改良が行なわれたあるいは肥培管理の条件が非常によくなった、そういう要素があった場合には、市町村の生産事情に詳しい機関ですね、試験場等の意見を参酌して、これをやはり勘案事項としまして、生産の実態に合うように市町村別の指示反収をきめる。それ以外の問題は局長が御答弁になったように、収量等級のやはり一等地、二等地、村内にございますから、まあ大体これは地力あるいは生産の実績、こういうもので収量等級というものはさまっておりますが、これによって一筆ごとにきめる。しかし若干のアローアンスがございます。それらを一筆ごとにきめたものの平均値が県から指示されたものの上下五%の範囲の中に入ればそれでよろしいと、こういうかっこうで一連のきめ方をしているわけでございます。
  152. 川村清一

    川村清一君 そこをお尋ねしようと思ったんですが、そうするとこういうことですね。ただい養のお話によりますと、要するに土地改良とかあるいは品種改良技術が進んでまいりましたので反収が非常にふえてきた。五年前あるいは三年前というよりも年々歳々ふえてきておりますので、そこでその場合においてはその市町村の実態に応じて上位三カ年なら三カ年をとってその平均を基準として、市町村でできるんだと、こういうお話しでございますか。そういうふうに理解してかまいませんか。
  153. 川村文雄

    説明員川村文雄君) 先生の御指摘のとおりでございます。
  154. 川村清一

    川村清一君 それはわかりました。  その次に、共済の対象になるものですね。結局、政府買い上げにならない、いわゆる共済の対象になるもの、これは一・七ミリのふるいにかけて落ちたものは共済の対象になると、そういうふうに聞いておるわけですが、これもまた実情に沿わないのではないか。と申しますのは、農民の方方のお話を聞きますというと、食糧事務所に持ち込んで政府買い入れ米として検査を受けると、その場合においては非常に検査規格がやかましくなりまして、二ミリのふるいにかけて、そして残ったものを政府買い上げの対象にすると、こういうような指導をしておると、こういうふうにまあ聞いておるわけでありますが、共済のほうは一・七ミリで落ちたもの、政府買い上げの場合には二ミリのふるいということになりますと、政府の買い上げの対象になる米の規格と共済の対象になるものとの間には非常にズレができてくる。これでは実情に合わないのではないかというふうに思うわけです。そこで北海道のことしの冷害を受けた農民の方々は、何とか一・七ミリを一・八ミリまた二ミリに上げてもらいたいと、こういうような強い要請があるわけでございますが、この辺はどうなりますか。
  155. 小暮光美

    説明員(小暮光美君) 水稲の共済制度の運営にあたりましては、基本的には統計調査部が採用いたしております米の収量、これに基づいてものを判断いたすわけでございます。米としてとれたという判定は、ただいま先生も御指摘になりましたように、一・七ミリの目の縦目ふるいの段階でとまったもの、これは御承知のように二・二ミリから一・六ミリまでの目がありますものを重ねてこれをふるって選別するわけでございます。それの一・七ミリから上の欄にとどまったものの合計をもって収量とする。これは統計調査部考え方も私ども考え方も同じでございます。これに基づいて米の収量を算定いたしておるわけでございます。したがいまして、この点は変えるわけにまいりません。  ただ、御指摘のように、本年のような極端な被害、非常に大量のものが被害米になって、形はいまの一・七ミリのところへ外形的にはとまりますが、質が非常に悪いと、そういう米が大量に出る場合にその取り扱いをどうするかという問題がございまして、水稲の共済制度の運営上は、このような場合には一・七ミリ以上にとまりましたものが政府の買い入れの対象になればけっこうでございますけれども政府の買い入れの対象にならない場合には、これを試験的に精白いたしまして、精白歩どまりで差がある部分、外形は、さっき申しましたように網目にかかりますけれども、内容が伴わないわけですから、当然精白歩どまりというかっこうでその部分の差が出てまいります。その精白歩どまりの差の部分を水稲共済上の被害というように観念してこれを措置するというような特例を講じ得るようになっておりまして、本年はこの特例を講ずべき年であるというふうに私どもは判断いたしております。
  156. 川村清一

    川村清一君 そうしますと、共済と政府買い上げ米と、こういうものを考えてみますと、共済のほうは一・七ミリに落ちる。しかし、それじゃ残ったものが全部買い上げになるのかというと、そうではなくて、買い上げの場合においては食糧事務所は二ミリのふるいに残ったものと、そういうようなこれは指導かどうか知りませんが、非常に検査規格がむずかしくなる。また、政府の方針としても、良質米をつくるといったような見地からそういう指導をされておると思うのでありますが、買い上げの場合は二ミリと、それから共済は一・七ミリというように差があるわけですね。そうすると、いまのお話によりますと、一・七ミリで残ったものは全部政府買い上げのものになるのかどうか、この点はどうですか。
  157. 小暮光美

    説明員(小暮光美君) 政府の買い上げの場合と共済制度、あるいは統計の場合とで、別に縦目ふるいの目について考え方の相違はございません。ただ、産米改良その他の見地からできるだけ選別をよくするようにという調整上の指導は当然やっておると思いますけれども、これはただ縦目ふるいの二ミリ以上のものを買い上げるという、そういう仕組みではございません。やはり一・七ミリ以上にとまりましたものが米であるという観念でございます。
  158. 川村清一

    川村清一君 そこを聞きたかったんです。その一・七ミリから落ちたものですね、これはまあ共済のほうの対象である。でありますからそれ以上の残ったものは当然政府買い上げ対象にならなければならない、これは常識的にもそう考えておるわけですが、現地に行って農民の方々のいろいろな話を聞くというと、食糧事務所のほうではだめだ、二ミリのふるいに残るものでなければだめだと、これはやはり良質米をつくるという行政指導の観点からそういうことをされているんだと私も判断したわけでありますが、そういうことが強く行なわれておるところに非常に不安が持たれておるわけで、いまのお話を聞いて私もわかりましたが、そこで今度はこの一・七ミリに残ったものをどうするか、いまのお話でもちょっとわかったんですが、ことしの北海道の場合はこれは私ここヘサンプルを持ってきておりますが、若干粒がある、これを脱穀し、精米にいたしましたところでほとんど青米であるか、あるいはくず米になり非常に等級外の米になることははっきりしておるわけであります。そこで農民の心配がさらに増大しておるというのが実情なんです。それでこういう場合にはどうするかということをぜひひとつ考えていただきたい。
  159. 小暮光美

    説明員(小暮光美君) 縦目ふるいの問題は先ほど申し上げたようなことでございまして、一・七以上にとまりましたものをもって収量と考える、ただことばが足りませんでしたのであるいはお聞き取りにくかった点があるかと思いますが、その一・七以上にとまればすべて食糧庁が買い上げるということを申し上げたわけではございません、御承知のように被害粒の問題その他ございますから。そこで通常の場合でございますと五等玄米にかなう姿というものがございまして、そこまでを食糧庁が買う、異例の姿になりました場合にそれをどこまで規格外あるいは等外ということで買い入れ対象にするかという判断の問題が別途ございますけれども、一・七以上にとまりましたものの中から被害粒その他の状況を見て等級格付けされるわけでございます。その点は念のため申し上げます。なおそこで一・七以上になりましても食糧庁が買わないものがあり得るということになりますとそこで生産者の心配があるわけでございます。そこで、先ほど申し上げましたように、そういうものが非常に多量に出るというような年には農災制度の運用上坪刈りをしまして縦目ふるいによる所定の調整を行なったあとでさらにこれを試験搗精いたしまして精白して、通常考えられる精白歩どまりを下回る部分、それを被害というふうに見て共済金を支払うことにいたしておるわけでございます。
  160. 川村清一

    川村清一君 共済のほうは一応わかりましたが、今度は食糧庁のほうにお尋ねしたいんですが、経済局長の御答弁でその点はわかりましたが、さて、その食糧庁の買い上げについてお尋ねしたいわけです。いま経済局長からいろいろお話聞いたように、結局一・七ミリに残って二ミリにかけても残ったものであってもことしのお米というものは非常に質の悪いものなんですね。この点が非常に心配なんですが、そこで五等米にも入らない、こういうものを何とか買い上げ対象にしてもらいたいというのが農民のたっての願いでありますが、これらについて食糧庁としてはどういうような方針でどういうような御見解でどういうような処置をとられようとしておるのかお聞きいたしたいと思います。
  161. 森重弘

    説明員(森重弘君) 今回の北海道冷害によりますところのただいま御質問の等外米あるいは規格外米の政府買い入れにつきましては私どもも出回りの実態というものをもう少しよく把握しなければならない。例年私ども見ておりますと、今回の冷害でもそうですけれども、御指摘のように、青未熟粒の混入が多くて等外なりあるいは規格外になる、こういう状態であると思います。ですが、この未熟粒といいましても非常に幅が広うございます。生きた青から死んだ青までずっと幅がありまして、いま、さっきふるい目の話もありましたが、私どもは何も二ミリの指導をしておるわけではございませんが、品質改良の問題で若干現状の時点の中では米撰機にかけろという指導をいたしておりますから、あるいはそういう誤解が出たのかもしれませんが、二ミリという問題はございませんが、一・七ミリ以上に残りました米の中の未熟粒というものがあるわけであります。主として青未熟だと思いますが、そういうものの混入度合いによる規格外につきましては、まあ例年の事例もございますから、まずことしの出方、大体十月の半ば過ぎますとその流通がよくわかってまいります。実態。ですからその実態を極力早く把握するように事務所には命じております。そのときになって皆さん方と相談しまして規格をきめていきたいと、こういう考えでございます。
  162. 川村清一

    川村清一君 あまりむずかしい規則にとらわれないで前向きの姿勢で検討していただいて農民の苦労を少しでも助けてもらいたいというのが私の質問趣旨なんですが、政府のほうのお考えもそういうような姿勢で臨まれているんだろうと思いますが、もう一度お聞かせいただきたいと思います。
  163. 森重弘

    説明員(森重弘君) したがいまして、まあ今回の冷害につきましては、私ども政府買い入れにつきまして規格をどうするかという問題も、例年の例もございますが、その辺は実態、ただいまも申しましたように出回るその実態というものがわかりませんとなかなかここでどうということを言えませんが、十月の十五日ごろになりますと出てまいりますから、そのときに現地の皆さん方と相談をしまして規格をきめてまいります。
  164. 川村清一

    川村清一君 同じ御答弁ですが、私の言うのは、現地の方々と相談してきめると言うんですが、そのときの農林省の姿勢なんですね、これは非常に好意的な姿勢で当たるか、あるいは規則一点ばりで当たるかということによってだいぶ違うわけでありますから、私の言うのは農民の側の立場に立ってひとつ検討してもらいたいということを言っておるわけでありますから、ぜひひとつその時点になりましたら、またその農林省のやり方によってはここで御質問いたしますから。  次に共済金のことで局長お尋ねしますが、実は共済金の支払いなんですよ。支払う時期をできるだけ早期にしてもらいたい、そのためには被害の認定をできるだけ早くしてもらいたい、こういうことなんですが、一体この被害の認定はやはり十月十五日以後でなければできないのか、そうして共済金の支給はいつごろになるのか。もう現金収入がないんですから全く農民生活に困っているわけです。そこで一日も早くお金がほしいわけですが、できれば十一月中にこの共済金の入るような手当てをしてもらいたいというのが農民の願いでございますが、これらのことができるのかどうか、ひとつお尋ねしたいと思います。
  165. 小暮光美

    説明員(小暮光美君) 農済制度の運用上は別に災害、何と申しますか天災融資法の発動とか激甚災の指定とは関係ございませんから、共済組合の判断でできるだけ損害評価の事務を取り進めるということは私ども指導しております。極端な場合収穫皆無を見越しまして青刈りにしようというようなことを生産者がきめましたような場合、これを組合等にすみやかに通報してもらいまして、現実に青刈りを実施してそこで損害評価をしてしまうというようなことについても現地に注意いたしております。なお、全体としてすべての事務が終わりませんと現金の最終的な支払いはできないわけですけれども、こういう災害の場合には私どもから特に通達が出してございまして、仮渡しあるいは概算払いというものの制度を十分に活用するように組合を指導いたします。なお、最終支払いも、何とかことしは十二月中に終わらすように用意万端整えたいというふうに考えております。
  166. 川村清一

    川村清一君 ことしは、収穫皆無の事態に対しましては青刈りを認められたということを、その地域農民は感謝しております。率直に言って、私どもも高く評価しておるわけでありますが、やはりいまおっしゃったように、そういう事態に対して、できるだけ早く概算払いでもいいから支払ってもらいたいこと、それから全部の地域にわたっても、何とか年内に渡るような処置を強力に進めていただきたいということを強く要望したいと思います。  次に、畑作共済の問題についてお尋ねしたいわけであります。先ほど大臣に対しまして、各委員からも相当質問がなされたわけでありますが、大臣は畑作共済の問題については、今日までいろいろ研究してきておると、私もいろいろ実験しておること承知しておるのでありますが、もはや実験の段階ではなくて実施段階にきておるのではないかと、かように考えておるわけであります。いろいろ技術的にむずかしい問題があるということを言っておりますが、私も、大体それはわかるわけでありますが、一番ネックになっておるのは何か、畑作共済ができない一番ネックは何か、保険設計が立てられないところに問題があるんではないかと思いますが、その問題点、一番むずかしい点、そこをひとつ御説明願いたいと思うわけであります。
  167. 小暮光美

    説明員(小暮光美君) 畑作物の共済につきましては、すでに昭和三十六年以来各種の畑作物につきまして試験調査をいろいろやったわけでございますが、正直申し上げまして途中で、暗礁に乗り上げたと申しますか、なかなか解きがたい問題にぶつかって弱っているわけです。御指摘のように、どういう点がむずかしいかというのを端的に申しますと、個々の作物としてとらえますと、年次間の面積変動が非常に極端な場合が多いわけです。水稲でございますれば、御承知のように、よほどの経済事情、社会事情の変化がなければ、たんぼには米を植えるものでございますが、畑の場合には、さまざまな経済現象につられまして極端に面積動きます。これを特定の作物、大豆とか小豆とか、そういう作物に着目して追っかけ回そうとしますと、なかなかいわば共済の対象となるべき面積の把握が非常にむずかしいという問題がございます。  それから、先ほど来水稲でもいろいろ御議論ございましたが、たとえば基準収量、これをきめませんと保険設計はできないわけでございますので、収量変動が極端に大きくフレますと、特に小豆のように、きわめて極端な収量変動がございますような場合に、基準収量を趨勢値で見るとか、統計的処理で見るという場合に、非常に理論上の幅が多過ぎて非常に使いにくいといったような難点がございます。  それから、一番困りますのは、そういうきわめて変動の激しいものを、いわば思い切って一つの設計に押し込んでまいりますと、これは保険理論からいきますと、非常に高い掛け金率になる保険にある。そういったような点で、個々の作物ごとに、しかもたとえば北海道というような特定の地域だけで、個々の作物についていろいろ研究してみたわけでございますが、これは道もいろいろ研究されましたけれども、道もついに結論を得なかった。国もいろいろやりましたけれども、ついに結論を得なかったというのが実情でございます。ただ大臣からも御答弁ございましたような、そういった過去の経験に徴し、さらに最近の稲作転換といったような、農業事情全体の変化等を考えますと、地域北海道だけに限ることなしに、内地のこういった畑作物との関連もあわせ考慮して、何とか一つ一つの作物でなしに、ある程度束にして相互に作付が、同じ地域で相互に変換しながら一つの作型になり得る作物群があるわけでございます。サトウキビとビートを組み合わせるわけにいきませんから、豆類であれば一つの地域でいろいろ作付が変わっていってもどれか一つつくっているという形があり得るわけです。そういったような点に着目してさらに保険設計が成り立たないものか、こういったような角度も加えましてさらに四十五年、四十六年、いわば思いを新たにしてまた調査を再開いたしておるというような実情でございます。
  168. 川村清一

    川村清一君 局長お話はよくわかるわけです。数年前に私はやはり大和田経済局長時代にこの点に関して御質問を申し上げたわけです。大和田さんの御説明によりますと、結論的には保険設計が非常にむずかしい。その理由は何かというと、畑作といっても北海道が主産地である、北海道と東北の一部でございます。そもそも共済保険というものは一地域冷害なりその他水害、災害等によって非常な被害を受けたその被害というものを全国の農民でもってその損害を負担していくんだ、そこに共済の保険の設計ができるのだ、ところが畑作の場合は北海道が主産地であるから北海道冷害ということになればその損害を負担する保険がない、北海道独自のもの、そこに非常にむずかしい点があるのだといったようなことを言われておったわけであります。  いままた局長お話によりますれば、作付反別がいろいろ変わっていくということから非常にむずかしい要素が入ってくるわけでありますが、これは畑作の特徴でございまして、やはりその年々の経済状況によって価格の変動がある、価格制度が安定していればいいのですが、価格が非常に変動があるというところに非常に問題があります。いいと思えば全部集中していくという、これはまあ一つの経済行為としてやむを得ない点もありますし、加えてこれはもう水田と違った、水稲の場合は毎年毎年同じ水田に稲を耕作することができるわけでありますけれども、畑作の場合はこれはバレイショ、ビート、豆類にしてもこれを輪作していかなければならない。毎年毎年同じ畑にビートをつくる、豆をつくる、バレイショをつくるというわけにいかぬのであって、輪作をしていかない限りにおいて農業は成り立っていかないのです。これが畑作の一つの特異的な特徴といいますか、それがあるわけでありますから、したがって、そういういま局長のおっしゃったようなむずかしさは当然あるわけですよ。ありますけれども、これを克服して畑作共済制度というものを確立しない限りにおいてこれは米をつくるなと言ったって無理なんです。  しかし、現在北海道の水田耕作者はきょういただいた資料に基づきますと、政府生産調整の資料に対しまして一五〇%、いわゆる五〇%以上の協力をしておるという実態、割当は町歩にして五万四千ヘクタールの割当であったわけであります。しかし、実質は八万ヘクタールの生産調整北海道農民はやっておるわけであります。そうして畑作の今度の被害面積は実に四十九万八千ヘクタール、その損害額は二百四十億円という数字が出ておるわけであります。だから、米をやめて畑作にかわれ、酪農にかわれ、こういって畑作にかわっていってもこれだけの損害が出ておるわけであります。そうして米をつくるなと言ったってそれは無理なんで、それを強引に押しつけるということになれば、北海道農民農業をやめてしまえ、こういうことになってくるわけなんであります。  そこで、局長のおっしゃっていることはよくわかるのです。北海道農民だって、北辺地帯のああいう危険地帯に何も好きこのんで稲をつくろうとは思わないんです。稲作転換をしたいんです。稲作転換をして畑作にしていったって、なおこういう危険が存在しておるわけです。したがって、畑作共済をぜひ実施しない限りにおいて北海道農業はもうつぶれてしまうわけです。いろいろ問題はあるだろう。あろだろうけれども政府がほんとに北海道農業を生かして、そしてこの日本の食糧基地にするんだという、こういう考え方であるならば、その掛け金の中だけでもって操作するのではなくして、いわゆる政府が政策的な意図を持って十分にそこに財政投資をいたしまして、財政資金によってこの畑作共済というものを実現するように努力すべきではないかと。私どもの立場から考えるならば、つまらないところにたくさんの金を使っているんです。その政策を転換して、ほんとうにやろうとするならば、そのむずかしさを克服して、北海道に畑作共済というものを実施することが可能であると私は確信しておるんです。これはもう急にそういうことを言っても無理でしょうけれども、この際、局長のお考えをひとつお聞かせいただきたい。
  169. 小暮光美

    説明員(小暮光美君) 現在、いろいろ調査をいたしております段階でございますので、あまり断定的なことを申し上げるのは差し控えたいと思いますが、共済制度という形を基本に置きましてものを考えまする以上、これにもちろん手厚い国庫助成は必要でございましょうけれども、制度の基本はやはり生産に携わる皆さんがお互いに助け合うという共済、こういう仕組みが根幹であるというふうに考えております。したがいまして、やはり共済制度だけが独立して、何と申しますか、完結するものではないと思うんです。やはり基盤整備あるいは耕種改善、そういった面から作柄自身が安定の方向に向かうような努力も農政上しなければならないと思います。それから、価格の問題につきましても、価格の極端な乱高下は必ずしも作柄だけでもないのでございまして、経済事情の変動等に伴う、あるいは流通面の未発達に伴う価格の変動もあるわけでございます。そういった面を、できるだけ価格の変動を除去する努力もしなければならないと思います。これらの努力と相互に並行しながら災害補償制度の確立をはかるということではなかろうかと思います。保険設計を、たとえば勇気を持ってつくるというわけにはまいりませんで、やはりきわめて具体的な基礎データに基づいて過去の何年間かの収量変動等に基づいて実証的にこれを組み立ててまいるべきものでございます。これにかかわる検討の時間をぜひいただきたいというように考えております。
  170. 川村清一

    川村清一君 共済制度の設計については、もちろんただいま局長のおっしゃったように、それはめくらめっぽうにできるものではなくして、過去数年間のデータに基づいて緻密な数字を積み上げてやはり設計すべきが当然であります。何も私はそれを否定するわけではありません。また、共済制度というものは、いわゆる農民お互いの力で助け合うという、そういう精神によって組み立てられておるということも、これを私は否定しないし、そのとおりだと私は思うわけであります。しかしながら、その畑作の実態というものが日本列島の中においてもう大部分北海道に占められておるという実態の中から考えてみますときに、北海道農民だけの力でこの問題を解決せいといったって、これは無理なんで、だから政府の強力なテコ入れが必要でないかということを言っているんです。しかしながら、共済制度そのものに目的があるわけではなくて、共済制度があっても、共済金なんて支払わなくても、また農民が受けなくてもいいような農業を確立するところにこれは目的があることは、こんなことは言うまでもないんです。そのためには何といったって土地改良事業というものを拡充していかなければならないのであります。あなたのおっしゃっているとおりなんです。しからば、政府はこの土地改良というものについてどれだけ熱意を持って実施されておるかということを聞きたいんです。  きょう河口委員からお話がございましたように、もう土地改良がよくできておる地域におきましては、ことしほどの年であっても冷害被害というものをできるだけ少なくしておる。これは事実にあらわれているんだから、だから土地改良を進めていくということに全力を注がなければならない。ですから、そこまでおっしゃるならば、そこまでわかっているならば、もっともっと政府は土地改良に力を入れるべきではないか。私ははっきり申し上げますが、まあ土地改良については全額国庫でやる。全額国庫負担でやるべきだと言うと、お前の言うことは極端であるというならば、しからば八割ぐらいは政府が助成をする。自己負担分は二割ぐらい、このぐらい進めてやることによって北海道の北方農業の確立というものはできるのです。あなたのおっしゃっていることを私は全面的に肯定するんです。決して否定しないんです。否定はしないが、しかしながら、そういう問題を克服してぜひやってもらいたいと思う。そうして共済制度を確立する。共済制度を確立するということは、共済制度をつくることに目的があるのでなくて、共済制度によって金をもらわなくてもいいような農業をつくるところに目的があるのだという立場に立って私が発言しているということを御認識いただきたいんです。御意見を承りたい。
  171. 小暮光美

    説明員(小暮光美君) 御指摘の御趣旨を十分体しまして、鋭意検討を続けたいと思います。
  172. 川村清一

    川村清一君 次に私の時間がありませんので、酪農の問題をひとつお尋ねいたします。  政府指導方針といたしまして、北海道酪農の主産地、酪農冷害に強い、こういうことで酪農を奨励されております。したがって、北海道酪農というものは年々拡大されてまいっておるわけでございまして、もう根釧地域に行くならば、四十町歩、五十町歩の面積を持ち、四十頭、五十頭の多頭乳牛を飼育した大酪農が建設されておるわけでありまして、農民はたくさんの借金をしょってその苦しみにあえぎながら、政府の意図に従って酪農を一生懸命にやっているわけなんです。  ところがことしの冷害は、しからば冷害に強いはずの酪農被害を与えなかったかというと、そうではないのでございまして、まあ御調査によってもおわかりだと思いますが、牧草に相当の被害を与えておるわけでございます。飼料作物につきましては、これは北海道の資料でございますが、面積にして約三十万ヘクタール、それから被害額にして五十一億、これだけの被害を受けておるということが数字の上にあらわれておるわけであります。ところが酪農民に当たっていろいろ聞いてみますというと、実質的な被害というものはこの数字以上にあるということが判明したわけであります。と申しますのは、牧草の収穫が減ったというだけでなくて、牧草の持ついわゆる中身が、栄養が質的にきわめて低下している。これは長雨のために牧草の栄養価が質的に低下してしまった。その証拠といたしまして、その資料もいただいてまいりましたが、一頭当たりの乳牛の乳量というものが昨年の同期に比べまして、六月、七月、八月とずっと減ってきておるわけであります。この減ってきておるという事実は何を物語っておるかというと、ことしの長雨に当たったところの牧草というものが非常に質が悪くなってきた。その質の低下した栄養分の少ないところの牧草を食べた牛の乳量がこのように具体的に減ってきておるのだということを言っておるわけであります。そうしてこれは来年になりますというと、もっともっと大きくあらわれてくることを非常に心配しておるわけであります。  こういったようなことを農林当局は御承知かどうか。もし御承知だとすればこういうようなものに対してどういう対策をおとりになろうとしておるか。特に北海道酪農民は越冬用の飼料の確保ということについて非常な心配を持っておるわけであります。越冬用の飼料を確保するために政府が保有しておるところのふすまや大麦等を生産者団体に払い下げるとともに、代金の無利子、延納の措置を講ぜられたい。あるいはビートパルプの購入費について国庫補助の措置を講ぜられたいと、こういうような趣旨の陳情をなさっております。これらの問題について政府の御見解をひとつお聞かせいただきたいと思うわけであります。
  173. 大河原太一郎

    説明員大河原太一郎君) お答え申し上げます。  北海道の永年牧草、その他飼料作物被害は単に統計的な被害よりも、さらに収穫時の長雨等によりまして、収量が非常に落ち、栄養分が流亡しているというようなことにつきましては、われわれ九月初めに技術関係者を中心といたしました調査団の道内各地におきます調査の結果でもいろいろ承っておりまして、それに基づきまして現在の畜産局から関係者を現地に出して調査しております。したがいまして、ただいま先生からお話がございました越冬用の飼料の確保につきましては、万全を期する必要があるという判断に立ちまして、道庁とも打ち合わせております。どの程度の数量が必要であるかという点については現在調査中でございます。過去の災害におきましても、先生御案内のように、政府操作飼料、大麦等の払い下げなり、その他万般の措置を講じておりますので、今次の災害につきましても十全の措置を講じたいというふうに考えております。
  174. 川村清一

    川村清一君 その点はひとつぜひ万全の措置を講じてもらいたいと思うわけであります。あとたくさん応急対策として、大事な問題があるわけでございますが、これはまた一緒に行った調査団の議員の方々からいろいろ質問があると思いますので、私の質問は大体この程度で終わりたいと思いますが、最後に申し上げたいのは、実は私は国会に出る前に北海道議会の議員を長くしておったわけです。昭和三十年から四十年まで北海道議会の議員をしておったのですが、この間もまた北海道は三年に一回、四年に一回ぐらいの冷害がありまして、そのたびごとにこちらのほうに陳情にあがったと、こういう経験を持っておるわけであります。その場合一番困ることは何かというと、北海道ではやはり農協であるとか、あるいは市町村を通じて、北海道として被害額をまとめてそうして中央に陳情に来るわけであります。ところが、農林省であるとか大蔵省であるとかというところは、なかなか下から持ってきたものを簡単に信用はせぬわけであります。いわゆるサバ読んでおるのではないかといったような、そういう感じで受け取りまして、そして御自分のほうの機関が調査した数字でないと信用しないのです。  そこで、きょう一番先に大臣に私がお尋ねしたことは、農林省調査では、どういう数字をつかんでおるかということをお尋ねしておるのです。ところが、水稲についてはむしろ農林省のほうの調査のほうが、北海道調査よりも数字が上回っているということを聞いて、私は一応安心したのですが、いずれにいたしましても、今後十月十五日現在で最終的な被害額というものが出てくるわけでありますが、ぜひ国と地元北海道とが一致した数字が出るように、お互いに協力してもらいたいのです。何も北海道の言ってきたものをそのまま信用してくれというのではなくして、国は国の機関を通じて正確に調査していく、そうして北海道調査ときっちり合わせて、そして、地元と国と一体となって、その被害に対するところの救済措置を強力に行なって、ほんとうに苦しんでおる農民を一日も早く救ってもらいたいし、そして来年の再生産への意欲、そして実際に再生産できる力、それを国が強力に与えていただくような強力な措置を応急対策恒久対策を通じて行なってもらいたいということを要請いたします。まだ具体的な事務的な問題がいろいろあるわけですから、これからまだまだ何回かお尋ねする機会がありますので、きょうのところは私の質問はこれで終わらしていただきます。
  175. 亀井善彰

    亀井善彰君 時間もだいぶ切迫しておりますが、農地局関係の方おられますか。——先般福井石川の両県を視察いたしました際に痛感をいたしました点、福井県で一点、石川県で一点だけ特に申し上げて、そして御意見を拝聴いたしたいと存じます。  まずその一点は福井県でございますが、大野市、勝山市——辻委員もおられますけれども大野市、勝山市の両市にまたがる県営の牧場であります。非常に高層な海抜四百五十メートル程度の高いところで、そこを開墾をしてそうして相当大規模な牧場を経営しております。これは県営牧場であります。その牧場の内容につきましては差し控えますけれども、それに通ずる道路の問題であります。これは非常にそういう高層地帯の開拓をして牧場はおつくりになりましたけれども、その牧場に通ずる農道というものがきわめてひどい。これはもう私ども自動車で参りましたけれども、途中で下車しなければ通れない、こういうような道路で、こういう道路をああいう貧弱な県と申しましては恐縮でございますけれども福井県のようなところで、ああいう道路についての私は整備は不可能ではなかろうか、こう考えますので、その勝山市と大野市にまたがる県営牧場、これに通ずる道路についての関係をぜひ国においてこれを補助し、そうして協力をして、道路の完備をしてあげていただきたい。  と申しますのは、その地域にこもって、そうして夏冬牧場の作業に従事しておる人、下から通っておる人、こういう人たちは非常な不便を感じておるようであります。よくここであの仕事をしておられるな、こういうような気持ちで視察した一同感激してまいったわけでありますけれども、ああいう過疎地帯であればこそ、その農道については政府があたたかい手を伸ばして、整備をしてあげるべきではなかろうか。おそらく県のほうからもそういう要望が出ておると思いますし、また大野市、勝山市からもそういうような要望が私は出ておるのではなかろうか、こういうふうに考えますので、この点もしそういう書類がきておらなければ、早急に御調査を願って、これが農道の整備をぜひ農林省当局においてお願いをしたい、これは先ほどの視察報告に加えて、私は特にその現場を見てまいりました関係から、福井県について一点申し上げておきます。別に陳情に来ておりませんか。
  176. 三善信二

    説明員(三善信二君) 土地基盤整備の中で、農道の要望というものは非常に地元から強くきておりまして、私どもも今後農道の整備というものは最重点に置いていきたいと思っております。いまお話の大野、勝山の県営牧場に通ずる農道と申しますと、農道の規模がいろいろございまして、大規模の非常に長い農道なのか、あるいは一般の県営でやるような農道か、非常に短い農道であるか、そういういろんな種類があるわけでございまして、現実には私はまだ県からそういう具体的な要望というのは聞いておりませんが、さっそく調べまして県の意向等も聞きまして、できるだけ要望にこたえるような措置考えてみたいと思います。
  177. 亀井善彰

    亀井善彰君 先ほど私が視察報告のあとで特に発言を求めて、その視察報告の詳細について各局において御検討を願って、そしてとるべきものはとっていただきたいというのは、そういう意味であります。したがって詳細な視察報告もございますので、それを一度ごらんをいただきたい。お願いいたします。  さらにいま一点は、同じ農道でありますけれども、これは石川県のほうであります。石川県の、御承知の金沢周辺の河北潟、あれは干拓事業が相当に進んでおります。当初この河北潟については稲作のために干拓をしたわけでありますけれども、途中において稲作が御承知のとおりの状況でございまして、作付を制限しなければならない、こういうふうなことからして、これが全部畑作に転換をいたしておる現状であります。ところが相当広域な干拓事業が完成をほぼしましたけれども、これに伴う農道が整備してない。この干拓地は金沢市に野菜を、蔬菜供給する給源でございまして、これが農道の整備というのは非常に私は必要ではなかろうか。特にわれわれ参りました際にも金沢市長あるいは周辺の二町から、広域農道敷設についての陳情が強くなされたわけであります。この点はすでに農地局のほうにも私は上がっておるんではないか、かように考えますので、関係農政局ともお打ち合わせを願って、これを四十七年度の予算に全部いっときに一度に入れる、こういうことはむずかしいかもしれませんけれども、継続的にもその事業の緒につくことができるかどうか、こういう点についてひとつ伺いたい、かように考えます。
  178. 三善信二

    説明員(三善信二君) 河北潟干拓の周辺の大規模農道につきましては、かねがね地元からまたは県から要望を受けております。調査もだいぶ進んでおるようでございますし、できるだけ早い機会にこれが実現できるように私ども努力をしたいと思っております。
  179. 亀井善彰

    亀井善彰君 いま一点経済局の関係でしょうか。市場の関係ですが、金沢市の卸売市場の関係。問題になっておりますあの市場が、いまもって公取のほうでその結論が出ないとかいうことで宙に迷っているような状況でございます。この前の国会における委員会の卸売市場法案の審議の際にもこれが問題になりまして、金沢市長からも要請があり、また当時の答弁を私記憶しておりますけれども、早急に公取のほうと調整して結論を出すと、こういうことであったんでありますけれども、今回視察に参りましても依然としてそれがまだ回答が得ておらない。その後の経過はどういうふうになっておりますか、伺いたいと思います。
  180. 小暮光美

    説明員(小暮光美君) 金沢市場の卸売り人の問題につきまして公正取引委員会からいろいろ御意見がございまして、法案の際にも申し上げましたように、すでに金沢市において一度市場の取り扱いの一部を修正いたした経緯がございます。その後、公取におきましてさらに調査を続けておりますが、現在私どもとの間での了解では、現実に金沢市場が運営しております実態、これが独占禁止法の精神に反していないというふうに私ども思うものでございますから、その旨を十分申し上げましてその方向でこれを御理解いただきたいということで調査を願っているわけでございまして、公正取引委員会といたしまして調査に若干時間がかかっておりますけれども、基本的な方向としては私どもの理解が通るものというふうに判断いたしております。
  181. 亀井善彰

    亀井善彰君 いま局長からの御答弁のように、金沢市としてはもうすでにこれで承認をされるものとして運営をしておるようであります。ただし、公取の意見の決定というものがあまりに手間どり過ぎまして、経済局のほうの、農林省のほうの御意向は市長もよく承知しておるようでありますけれども、公取のほうに、何か一年以上もたつのじゃないですか、あるいは二年たつかもしれません。そういう長い時間をかけずに、ひとつさらに公取のほうに督促をしていただきまして、晴れて金沢の市営の市場ができるようにひとつ格段の御配慮をお願い申し上げたいと思います。
  182. 宮崎正義

    宮崎正義君 文部省の人いるんですか。——管理課長ですか。
  183. 松浦泰次郎

    説明員松浦泰次郎君) 管理局の助成課長でございます。
  184. 宮崎正義

    宮崎正義君 午前中私が農林大臣質問をいたしておりましたときにおいでになりましたでしょうか。
  185. 松浦泰次郎

    説明員松浦泰次郎君) ええ、代理の者がおりまして伺っております。
  186. 宮崎正義

    宮崎正義君 私は、これは文教委員会で取り上げるべき問題だというふうに言われればまことに残念なことなんですが、今回、北海道が想像外の冷害を受けて、そしてその農家の方々が自分の食べる米もない、勢い現金収入もない、収入がとだえている。そこで学校に通っている児童が、家庭のそういう実情を見て非常に恐怖といいますか、小さい胸の中にそれをとどめて苦しんでいるという、そういう家庭の事情の多くの訴えがございまして、この問題をあえて取り上げているわけであります。したがってそういう考えの上から御答弁を願いたいと思うんでありますが、そこで小・中学校の学校給食費についての問題でございますが、この実情をお聞かせ願いたいと思うんです。  ——答弁者がまだ来ていないそうですから、いまの問題はあと回しにしまして、それでは管理関係の面で申し上げてみたいと思います。  大臣にも私申し上げましたように、北海道の冬あるいは新潟、北陸、東北の冬季間というものはこれは東京の方々では想像もできないような積雪もありますし、また寒さもそれに伴ってきびしいものがございます。そこで、そういう外気も教室内も同じ温度の中で勉強をしている子供たちに対する国の、学校校舎の老朽化の問題について私は聞いてみたいと思いますが、この危険建物に対する国の負担割合は三分の一であるように覚えておりますが、特に積雪地帯の調査はどんなふうになっているのかお伺いをしたいと思います。
  187. 松浦泰次郎

    説明員松浦泰次郎君) いま先生からお話のございました寒冷地の危険校舎の状況でございますが、私どもたまたま寒冷地と温暖地を仕分けいたしました資料を現在持っておりません。小・中学校で申しまして、全国で、木造校舎のうち、老朽いたしまして改築を要するということで補助対象になり得る面積が約四百五十万平米ほどございます。これにつきましては、木造校舎につきまして建築学会等の協力を得ましてつくりました耐力度の測定基準というものがございまして、一番完全にきっちりとでき上がっておりますものが一万点満点になるわけでございますが、だんだんいたんでまいりますと、その点数が落ちてくるわけでございます。国庫補助の対象といたしましては、現在おおむね四千五百点以下になりましたものが基本的には対象になるということになっているのでございますが、いま申し上げました全国の小・中学校で、四千五百点以下の建物で、しかも補助基準までの資格のありますものが約四百五十万平米ほどございます。私も、実は北海道につきましては、ほかの会議で参りました際に、学校の状況視察できる機会がございましたが、いま先生からお話がございましたように、確かにあの地区、特に寒いほうには、資材の関係もあろうと思われますけれども、それに加えまして、いまお話がございましたように、そういう自然的な悪条件による建物のいたみがかなり激しいように感じております。そのようなことでございますので、一般地に比較すると、建物の老朽化も早いというように感ずるのでございますが、先ほども申し上げましたように、四千五百点以下になりますと国庫補助の対象に私ども取り上げていくというようなことになっておるわけでございます。
  188. 宮崎正義

    宮崎正義君 四百五十万平方というんですが、時間がございませんので、具体的にいろいろ申し上げられないんですが、大体、北陸、新潟、東北、北海道等を含めて何校ぐらい、四千五百点に耐力度がきているものがどれだけあるのか。——時間の関係で、これは資料出してもらえばよろしいと思います。委員長、資料請求したいと思います。そうしませんと、時間がかかりますから。よろしくお願いします。
  189. 高橋雄之助

    委員長高橋雄之助君) 提出してください。
  190. 宮崎正義

    宮崎正義君 私の承知しているので特別措置法というのがこれに当たって——積雪地帯の学校が特別措置法に該当して、どのようになっているか、その実態がわかりますか。特別措置法の中に——私のほうから言ってみましょう。途中からですが、第十五条の途中から読んでみます。「当該事業に関する法令の規定にかかわらず、三分の二とする。」、これは補助率。「ただし、他の法令の規定により当該割合をこえる国の負担割合が定められている場合には、この限りでない。一 積雪による通学の困難を緩和するための公立の小学校又は中学校の分校の校舎及び屋内運動場(へき地学校(へき地教育振興法(昭和二十九年法律第百四十三号)第二条に規定するへき地学校をいう。)」ということでありまして、この積雪地帯の学校というものに対する特別措置法の考え方というものは、どういうところに置いているかということなんです。
  191. 松浦泰次郎

    説明員松浦泰次郎君) いまお話のございました特別の豪雪地帯にあります学校数でございますが、総数といたしまして小学校が千七百二十九校ございます。それから中学校が五百八十九校ございますが、そのうち、いま先生からお話のございました特別措置法で特別に補助率のアップになりますのは、その地域の学校の分校でございます。これらの地域におきましては、特別の豪雪によりましてやはり通学困難ということが非常に強くなってまいるわけでございますが、そのために本校に通えないということから、年間を通じまして、あるいは冬季だけ季節的な分校を設けておるというものがございます。その分校数で申しますと、小学校で五百四十八校、中学校で四十八校ございます。このような状況でございます。
  192. 宮崎正義

    宮崎正義君 特別措置法の僻地に関することしか出ていないように私は思うんですが、私の申し上げるのは、市内に、たとえば釧路市なら釧路市という市内にある学校で、こういう積雪の地帯の特例を受けている学校というものが考えの中にあるのかどうかということですが……。
  193. 松浦泰次郎

    説明員松浦泰次郎君) その点につきましては、法律改正の段階でいろいろ議論がなされたのでございますが、特別の豪雪に原因するものに限定をして補助を改善していくべきではないだろうかというような結論になりまして、そういう地域にありましても、本校はもともとその地域に必要な学校であり、一般の市町村と事情としては同じではないかということになりまして、豪雪のために特別に設けなければならないという分校だけに限りまして、その特別の援助措置を講ずるということになったという状況であります。
  194. 宮崎正義

    宮崎正義君 これは時間がありませんので、あと回しにしましょう。  それで、政務次官がおいでになりますので、自治省の問題になってくると思うんですが、小・中学校の校舎の暖冷房の設備についてでございます。これは小・中学校の暖冷房設備については、四十六年に、暖冷房換気等基準設計作成のための調査研究として、いわゆる大気汚染のための公害対策として百四十七万円が計上されているということなんで、特に積雪地帯、先ほど言いました地帯、寒冷地帯の対策としては、いままでは何にも助成措置がされていなかったんじゃないかと私は思うわけですがね。この点を、いま文部省の方もおいでになりますので、御研究をして回答を願いたいと思うのです。そしてこの問題は終わりにいたしたいと思います。文部省お帰りになりましたか。
  195. 佐藤隆

    説明員(佐藤隆君) ただいまの御質問でありますが、農林省として答えるのが適切なのかどうかちょっと戸惑うわけでございますが、しかし、政府部内として豪雪地帯に対する対策というものは衆参両院の災害対策特別委員会の御意見もこれあり、特別豪雪地帯の設定も先般したばかりでありますし、そうしたこと等に基づいて学校等の建築基準、標準規模、そうしたことについて検討を加えているところでありますが、自治省の暖冷房の関係は私もちょっといま思い当たる何がございませんので、いま御趣旨の点については自治省にも伝えたいと思います。そして、文部省も助成課長が来ておりますから、文部省のほうからもひとつ自治省とも話し合うということで問題を詰めるということで御了解をいただきたいと思います。
  196. 宮崎正義

    宮崎正義君 先ほども申し上げましたように、学童の体位の問題が非常に起きてくるという点の上から、さらに冷害で食べるものもないという困窮事態の中にあるから、よけい、私は将来をになう、被害を受けた農家の学童が安心して勉強ができるような環境づくり、そういうものを考えていかなけりゃいけないのじゃないかという観点の上から質問をしているわけでありますが、いま文部省のほうから体育課長ですか、おいでになったそうですから、一点だけ私は省略をして伺っておきたいと思いますが、米食給食について、これは実験として四十五年度から行なわれているということを聞いているのですが、今回の災害を受けた要保護児童、準要保護児童ばかりでなく、こういう災害を受けた子たちに対する給食の考え方についてどういうふうにお考えになっているか、伺っておきたいと思います。
  197. 西村勝巳

    説明員(西村勝巳君) 災害を受けた地域の児童・生徒の中には、生活に困るような家庭の児童・生徒もだんだんふえるというようなことがあろうかと思います。そういう場合に、給食につきましてはその経費を食材料費につきましては父兄負担ということでやっておるわけでございますが、そういう父兄の負担が増高しないようにしていきたいということが大事だろうと思います。特に生活が困っている人たちにつきましては、学校給食法というのがございまして、それに基づきまして一番貧困である生活保護法による要保護家庭、それからそれに準ずる準要保護家庭それぞれ、前者は三%、後者は七%——学童のうちの三%ないし七%ということでそれらの対象児童・生徒に対しては給食費の半額を国が負担する、市町村がその半額を補助するということで、ただで、公費でもって給食が受けられるということになっているわけでございます。それは全国平均でございますけれども、特にそのような生活困窮児童があらわれている被害を受けたそういう地域におきましては、こういった対象児童が非常にふえるのじゃなかろうかということが想像されるわけでございます。そういう場合におきましては市町村長の申し出に応じましてその全体のワクの中で配分をする場合、いまのような児童生徒、生活困窮家庭の児童生徒が多くいる地域に多くこれを配分する、そういうような運営をいたしまして、無償でもってこういった学校給食がただで受けられるというような措置をとっていきたいというふうに思います。  それから、米飯給良につきましては、一応実験をいたしましてこれが可能な地域におきましては米飯給食をやってもよろしいと、それについての必要な援助をするということで現在進めているわけでございます。ただ、米飯給食はたいへん手間がかかりますので、これを大幅に広げるということは非常に困難だと思いますけれども、そういう米飯給食をやる場合におきましても、いまのような給食費についての補助は考えているということでやっていきたいというふうに考えております。
  198. 宮崎正義

    宮崎正義君 教材費なんかのことも同様でいいと考えてよろしいですか。
  199. 西村勝巳

    説明員(西村勝巳君) 教材費につきましては同様に貧困家庭の児童・生徒につきましては学用品、通学用品、通学費、修学旅行の経費、校外活動費というようなものにつきまして補助をしておりまして、国ないし地方公共団体でそれぞれ半額ずつ、公費でもって負担しているわけでございますが、同様に貧困家庭の多いそういう災害地域におきましては、その対象児童・生徒数をふやしていくということでこれを救済するという運用をしていきたいというふうに考えております。
  200. 宮崎正義

    宮崎正義君 この際私は要望を申し上げておきたいのですが、北海道、東北あるいは新潟、北陸等の積雪地の、もう少し実態の把握というものをしていただきながら、今回の北海道の冷災害によって影響を受けた児童がどれだけいるか、その数の調査をすみやかにして、そしてその保護対策をしっかりやっていただきたい、こう要望をいたしておきたいと思います。  先ほど川村委員のほうから酪農関係について、牧草の面の栄養価がないという話がありました。乳量が非常に伸びが悪いという話がございました。この問題は乳量ばかりの問題じゃなくて牧草の栄養に関係してその受精率が非常に悪くなる、これはいますぐわかる問題ではないわけです、どなたか答弁してもらえないですか、この問題について。顔がわからないとどこを向いていいかわかりませんので……。通年は一回のものが五五%ということを聞いております。ことしは五一から五〇と、初回にずっと下っている、この状態が続けばもっと受精率も非常に下がるということになってくるわけです。こういうふうなことから考えていきますと、冬期間の飼育はもちろん困難でありますし、私先ほど大臣にも申し上げておきましたように、網走管内、釧路管内では一月あるいは二月くらいで自分の昨年度分からの一切の持ち量の飼料というものがなくなってしまう、しかもことしのものはその日照の問題もあるし、長い雨のために乾燥ができなかった、一番刈り、二番刈り等も見込みがない、しかもたまにお天気になればカビが生じてくるというような形態で非常に困難な状態を来たしている。で、いま牧草がないからこういう飼育をしていく関係で、いますぐ困る問題じゃなくて、翌年度、その次の年度にも影響していくということなのです。そこで政府考え方としては、この越冬用の飼料はもちろんのこと、配合飼料等どのようにその措置をしてあるか、あるいは約定支払い金等がございます。各種制度資金の借金のためにこれをどうやって切り抜けていこうか。それには牛を売る以外にないじゃないかといって、もう悲観している人たちも大勢いるわけでございます。こういうことから考えまして、政府はどういうふうな手を差し伸べてやって、喜んで営農ができるように、酪農ができていくように考えているか、所見を伺っておきたいと思います。
  201. 斎藤吉郎

    説明員(斎藤吉郎君) 越冬用の飼料につきましてのことに関しましては、先ほど官房の参事官のほうから川村先生にお答えしたとおりでございます。現在、先ほど来お話し申しておりますように、十月十五日の状況に従っての調査というようなことを進めているわけでございまして、そうした調査が進みまして、それによって全体的に越冬用の飼料、それからそれに続きます明年度以降のことについて、どういうふうに足りなくなるかとか、いろいろな問題、具体的に煮詰まってまいると思います。そういうことで、もちろん現在北海道庁のほうとも連絡を密にいたしましていろいろと御相談が始まっているわけでございます。そういうことがはっきりいたしました段階におきまして、確たるその粗飼料の足らず前といったような数量を確定したところで、具体的にいろいろと打ち合わせ等を道とやってまいりたいということで、全体的にはそういうことでございます。いまございましたように、そういうことで、ことしのこれからのいろいろと酪農家にとりましてめんどうを見ていかなければならない面も具体的に出てまいるかと思うわけでございまして、ただいまの段階でどうこうというところまでいかないことを先生にも御了解いただけると思うわけでございますが、北海道庁と十分連絡をとりまして、明年度以降引き続きましての再生産に支障のないように努力をいたしたいと考えておりますので、時間をかしていただきたいと思います。
  202. 宮崎正義

    宮崎正義君 御存じのように、短期牧草栽培が機械化していく体系がどんどんつくられていっている状態でありますので、やはり農家が喜んで一生懸命に固定化していけるような体制をつくってやらなければならない、それには多額な資本投下というものも考えていかなければいけない、こういうふうに思うのですがね。それで、いまのお話がありましたけれども、先ほど、これも川村先生のほうから平均反収の話が出ておりますけれども、この平均反収のとり方というものも、その実情——農作業というものがいま相当高度に開発されてきておりますので、だいぶ平均反収というのも変わってこなければならない時点にきているわけです。そういう意味から川村委員も、この平均反収というものの査定のあり方というものを考え直して、新しい政令なら政令でつくり変えていくほうがいいんじゃないかということの点をおっしゃっておられたと私も察するわけですが、そういう面から考えていきましても、いまの道で査定しておりますものが、あくまでも国の当庁の資料に基づいての平均反収に対するどうであるかこうであるかという数字が、指数が出ておるわけですから、こういう点も実際面とは相当かけ離れているのだという面を考え合わせながら、いま申し上げました、大幅に資本投下して固定化して、安心していけるような考えがあるのか、それにはどうやってやってあげようかというような具体的なお考えを聞きたいと思います。
  203. 斎藤吉郎

    説明員(斎藤吉郎君) ただいま申し上げましたように、現在の段階でこの問題につきまして、いわゆるいまおっしゃいましたようなことは、災害のみにとどまりませんで、北海道酪農畜産というものをどういうぐあいにもつていこうかというような根本的な命題にもつながる問題と思います。もちろん災害に対します応急的な問題も含めまして、十分北海道の現実とにらみ合わせまして検討を進めてまいりたい、かように考えております。
  204. 宮崎正義

    宮崎正義君 開発局関係の人おいでになっていますか。
  205. 高橋雄之助

    委員長高橋雄之助君) いない。
  206. 宮崎正義

    宮崎正義君 それでは就労対象の被災農家の選定基準というのを五割と、こういうふうにされております。この問題は経済局長ですか。救農土木のほうの関係。農地のほうね。就労対象被災農家選定基準を五割というふうに聞いておるんですが、これを三割に下げるべきであるかどうかという考え方ですが、これはどういうふうにお考えになっていましょうか。
  207. 三善信二

    説明員(三善信二君) ただいまの御質問は、救農土木を実施します場合に、その就労をどういうふうな基準でやるかというような観点でございますか。
  208. 宮崎正義

    宮崎正義君 そういうことです。
  209. 三善信二

    説明員(三善信二君) 失礼いたしました。救農土木事業につきまして、実は北海道庁と具体的に数回打ち合わせてやっております。で、そもそも北海道の場合、私ども、農地基盤整備、土地改良事業では、冬場の事業というのは非常にやりにくうございます。したがいまして普通の場合でございますと、なかなか事業は、ほんとうの真冬は休止するのが普通の例でございます。今回の場合には、特に被災者のことを考えまして、できるだけ現金収入の道を多くしてあげるというようなことで、まあ北海道と相談をしているわけでございます。その際に、五割とか三割とか、これは北海道庁が一応の目安として考えたようなことで、私のほうで特に五割以上の被害があったところだけにしか就労の機会を与えないとか与えるとかそういった基準ではございませんで、まあどの程度救農土木事業の分量をやったらいいかという一つの目安のために道庁が考えている基準というふうに御了解いただきたいと思います。
  210. 宮崎正義

    宮崎正義君 私なぜそれを聞くかといいますと、減反減反といって減反を一生懸命させまして、それに協力しました。ところが今度は冷害で何にもない、何にもとれない、皆無である。そうすると、その政府の方針に沿って一生懸命にやってきた。それが今度の冷害と。早くいうならば、農民の側、農家のほうから言わせれば、これはもうまことにダブルパンチといいますか、大きな打撃を受けてきているということになるわけです。ですから、一応天災だというものの、こういうふうな被害という状態から考えてみますと、青刈りをやれば飼料にもなっていくんだ、しかもその青刈りをやるだけの金もない、また人も使えない、収入がないから人も使えない。こういうふうなことから考えていけば、いっときも早く現金を与えてやるということが当然であるわけであります。そういう観点の上から、これが道庁がやっているんだから、道庁の一応の基準でこういうふうに考えているんだろうと言って済ませる問題では私はないと思う。当然政府の方針に従って一生懸命まじめにやった者が、そういう被害を受けて今日来ているわけですから、当然そこには何らかの行政指導とかが必要になってくるんじゃないか、こういう意味合いで私は伺ったわけなんです。
  211. 三善信二

    説明員(三善信二君) 私、先ほど申し上げましたのは、そういった一つの、北海道庁が基準みたいなものをつくったということを申し上げておりますので、私のほうでは就労の機会をできるだけ与える。そのためには基本になります土木事業、これも内容としては非常に限定がされます。たとえば急場の仕事でございますから、客土とかあるいは切り土、盛り土とか、そういった仕事を特に普通の土木事業の施工の場合でございますと、大型機械を現実には用いてやるのが普通の例でございますが、今回の場合にはそういう大型機械を用い得るようなところもできるだけ人力で施工をやるように、そういうことも指導をしたいというふうに考えているわけでございまして、この救農土木事業につきましては、道が単独でやります場合、あるいは国が補助をしてやります場合、いろんな種類があるわけでございます。そういうものを含めて、現在補正予算に要求をいたしている段階でございます。もし予算が通りますれば、実行の段階においては、いま申し上げましたように、できるだけの就労の機会を与えるようにこまかな指導北海道あるいは現地一緒になって指導してまいりたい、こういうふうに考えております。
  212. 宮崎正義

    宮崎正義君 時間だそうでございますので、ここで私の質問をとめたいと思いますが、前回の本委員会において圃場整備事業、土地改良事業の千畑村のことにつきまして、政務次官の活躍のお話がございましたんですが、その後はどんなような経過になっておりますか。一言伺って終わりにしたいと思います。
  213. 佐藤隆

    説明員(佐藤隆君) この前の当委員会において、先生から御指摘のありました点につきましては、さっそく調査を進めるというお約束をいたしております。調査は一応順調に進んでおりますが、十月中にはとにかく調査の結論を出したい、こういう経過にあることを御承知おきいただきたいと思います。
  214. 宮崎正義

    宮崎正義君 ありがとうございました。
  215. 辻一彦

    ○辻一彦君 午前中時間が足りなくて質問できなかった二、三点がありますので、引き続いて行ないたいと思います。  一つは、やはり沖繩におけるキビ作の問題であります。沖繩農民に接触してみると、災害を受けて、農業災害の共済制度というものが全然ないということで全面的に被害をこうむる、こういう点から非常に不安がありますし、本土と比べた場合にそういう点が非常におくれているということは当然であります。そこでこの問題について将来の時点においてキビやパインを共済制度の中に組み入れる計画がすでになされているのかどうか、これを第一にお伺いをしたいと思います。  それから、第二は、いま沖繩の製糖工場が肝心の原料がないということでたいへん困っております。大体一日の処理能力に百五日ぐらいかけないと工場の経営が従来ではできない、こういう状況でありますが、非常に壊滅的な打撃を受けておる。その点から必要な原料が確保されないという懸念がありますが、そのために鹿児島県の奄美大島のほうでは拓南製糖がすでに操業停止をやっておりますが、沖繩にもやはりそういう問題が懸念される。で、いわゆる非常に困難なこの糖業工業、こういうものが累積赤字を積んでおりますが、これに対してどういうような指導農林省としてこれからしていくのかどうかということ。  それから第三には、先ほど農林大臣は、キビについては食管法を当てはめるわけにはいかないが、食管法に似た扱いによってこれをひとつ十分考えていきたいと、こういう御答弁でありましたが、それで食管法は大体全量買い上げあるいは価格を保障する、こういう大事な問題があるわけでありますが、食管法に似た方法でキビを保障するという、似た方法というのは一体どういうことを考えておられるのか。たとえばその中で奄美大島の砂糖はトン当たり九万三千円、キビは六千五百七十円で買っておりますが、沖繩の場合はこれより安くて八万六千四百円、キビの場合はトン当たり十七ドル五十セント、六千三百円ということになります。こういう差がありますが、こういうものも将来一体どっちにさや寄せをして考えていくのかどうかということ、これが第三。  それから第四には、キビ作における労力を見ますと、十アール——一反歩当たり二百十三時間という、ちょっと前の統計かもしれませんが、調べた資料では出ております。今日、米のことを考えますと非常に時間がかかるわけでありますが、特にこの収穫に非常にキビ作の場合には労力がかかる。ここを機械化するということが大事であろうと思いますが、そういう収穫過程における機械化が特におくれておる。こういう点で沖繩農業試験場等で若干考えておるようでありますが、本省における農業機械の専門のほうでこういう検討が行なわれておるかどうか。  それから第五は、本島の南のほうではキビの畑にいま、ちょうど戦後本土でやっておりましたように客土をやっております。岩盤の上に非常に土が浅いということで、その上に粘土をずっと敷いて客土をやっておるのでありますが、これも保湿性を保つという点において現地としてはどうしてもやりたいんだ、こういう御意向でありましたが、これらについてもさらに手厚い援助の手がこれから伸べられるのかどうか。  キビ作について以上五点について御質問したいと思います。
  216. 荒勝巖

    説明員荒勝巖君) お答えいたします。  沖繩の砂糖産業の育成ということにつきましては、現在国内におきましては、糖価安定事業団というものを設けまして、現在北海道のビートあるいは南西諸島の砂糖の事業団による買い入れをいたしておる次第でございます。沖繩の砂糖につきましては、現在単行法をもちまして、沖繩産糖の買い入れに関する法律というもので糖価安定事業団におきまして一手に買い入れをするわけでございますが、これが本土復帰とともに、南西諸島と同じように今後買い入れをさらに続けることになるとわれわれれは考えておる次第でございます。先ほど農林大臣が砂糖については食管法に準じたような方法で取り扱うという趣旨の答弁をされましたが、われわれといたしましては、砂糖につきましては農産物の加工品でございますので、国内のたとえば南西諸島のサトウキビにつきましては基準価格をもうけまして、キビの値段を毎年十一月の終わりにきめまして、それとともに、それからできます砂糖を原価計算的に整理いたしまして砂糖の買い入れを行なっている次第でございまして、砂糖を買い入れることによって、間接的ではございますが、このキビの値段の価格を政府が保障していると、こういうふうに御理解願いたいんでございます。それで、沖繩の場合には現在国内法が適用されておりませんので、取り扱いを多少異にしておりますが、事実上砂糖キビの値段につきましては、鹿児島県の奄美大島の砂糖と同じ値段を適用いたしまして、原価計算の基礎といたしておる次第でございます。したがいまして、農家の手取りのキビの値段は内地の農家と同じ値段、ただそれがこちらでは円建てという形で決定いたしますが、向こうではドル建てという形できまっておりまして、たとえば四十五年産の砂糖、甘庶糖につきましては、キビはいわゆる一九度ブリックス以上のものは内地では六千五百七十円というものを基準にいたしまして、奄美大島の場合は砂糖の値段がいわゆるトン当たり九万三千円、沖繩の場合はそれが八万六千四百円と、これは操業度と歩どまりの違いによって甘庶糖と沖繩産糖との間に値段の差がございますが、キビの値段は同様である、全く同一の取り扱いをしている。これは本土に復帰いたしましても、甘庶糖につきまして奄美のキビとそれから沖繩産糖のキビとは取り扱いを全く同一にいたしてまいりたいと、 こういうふうに考えております。しかも、沖繩の場合も同様でございますが、奄美の場合を申し上げますと、全量事業団による買い入れという手続をとっておりますので、事実上食管法によるような買い入れとほほ類似していると御理解願いたいと思います。  それからこのキビの収穫期のことでございますが、数年前までは沖繩も奄美大島も余剰労働力が多少ございまして、こういったキビについて収穫はほとんど手作業でお願いしてきたわけでございますが、だんだん労働力がきびしくなってまいりまして、不足ぎみになってまいりましたので、キビの収穫機械の需要が非常に強い。それで最初外国から、豪州あるいはその他の国からキビの収穫機械を、サンプルを入れまして、奄美大島でも適用し、また沖繩でも適用できるものを期待して入れたわけでございますが、何せ機械が大型であることと・こちらの、日本の農業のほうが非常に零細で、特に離島でございますので、みな経営規模が非常に小さくてなかなか思うように外国の機械が日本には適用されにくいという、事実上失敗したような形になっております。したがいまして、これにつきまして、現在キビの収穫機械につきましては、農業機械化研究所に委託しましてここ数年開発研究してまいりまして、本年、ことしからの収穫に何らかの実用化ができるんではなかろうかというふうにも報告されておりますが、これにつきましては、今後さらに検討を加えて、いい機械ができることをわれわれも期待している次第でございます。  で、土地基盤整備の客土につきましては、かん水と客土は当然でございますので、これは農地局のほうで、さらに今後沖繩復帰とともに客土事業を大いに推進していただけるんではなかろうかと、こういうふうに期待しておる次第でございます。
  217. 辻一彦

    ○辻一彦君 大体その点はわかりましたが、砂糖価格の買い上げの差は含まれる濃度によっての差ですか。沖繩が八万六千四百円、奄美大島産が九万三千円というのは、その濃度の差ですか、含まれる。実質的には同じということですか。
  218. 荒勝巖

    説明員荒勝巖君) キビの値段は同じ値段できめているわけでございますが、毎年毎年の天候とかいろいろな都合によりましてキビの中身が多少違います。まずわれわれのほうでは歩どまりとかあるいはブリックスという表現を使っておりますが、歩どまり等が非常に水分が多くて砂糖分が少ない場合はあらかじめ価格の決定をする前に相当資料を取り寄せまして比較検討いたしまして、奄美大島の場合の砂糖の歩どまりは幾ら、それから沖繩産糖の場合は歩どまり幾らというふうな推定値で入れるわけでございます。特に奄美と沖繩産糖の問題の違いは歩どまりも多少違いますが、操業度は奄美大島のほうが大きく、一工場当たりの経営規模沖繩が大きいのでございます。粗糖の生産は装置産業でございますから、経営規模といいますか、操業度の違いによりまして相当償却費が違ってまいりますので、従来は沖繩のほうが非常に大きかった関係もありまして、この加工賃が実質的に安くなってきている。しかし実質的には同じ取り扱いをしておる。こういうふうに御理解願いたいと思います。
  219. 辻一彦

    ○辻一彦君 ちょっとわからなかったのだけれども、工場の規模は奄美大島のほうが大きいのですか、沖繩のほうが大きいのですか。
  220. 荒勝巖

    説明員荒勝巖君) 沖繩のほうが大きいのでございます。
  221. 辻一彦

    ○辻一彦君 それでは次にパインの問題ですけれども、これももういつも論議をされている問題ですが、本土の特恵関税、こういうものによって一応沖繩のパインが保護育成されて、今日発展をしてきたという事実は争えないと思います。ハワイのように大規模のこともやれないし、台湾のように労賃も安くない。こういうことで、中にはさまれて沖繩のパインが非常に困っているということは当然です。そこで実地を見ますと、山はだの傾斜地、酸性の普通のものはできないようなやせた赤土といいますか、そういうところにパインが沖繩ではほとんどっくられている。ほかのものではできない場所にパインがつくられている。こういうわけで非常に零細な農家の所得を維持する上にパインというのはそれなりの大きな役割りを果たしたのではないだろうか。そこでまあ農林省の自由化の中にもこれは当分は入っていないわけでありますが、これを自由化すればもう全然だめになっちゃうのじゃないか。そういう点で将来にわたってもパインは自由化すべきでない。こういうふうにパイかんについて思うのですが、その点について確認があればひとつお願いをいたしたいと思います。
  222. 佐藤隆

    説明員(佐藤隆君) 沖繩のパインの自由化ということについて確認をしておきたい、こういうことでありますが、いますでに琉球政府はパイン産業合理化五カ年計画実施中であります。そうしたことで政府としましてパインかん詰めの自由化は見送って、そして保護政策をひとつ十分やろう、こういうことでいま取り組んでいるところであります。
  223. 辻一彦

    ○辻一彦君 それから散発的になるのでありますが、せっかく行きまして、農家の人が、これだけは一ぺん発言してくれ、こういう強い要望がありましたので、二、三お願いしたいと思うのです。  一つは、これは農地局長お尋ねしたいのですが、まあ将来農地法が適用になれば土地が買いにくくなる。こういうことですね。沖繩の戦跡のあとのような沖繩南部の農地は非常に買いあさる。しかも残念なことに、本土から行ってそれの人の手を通して買っているという動きが非常に強いということを聞いてきたのですが、これは沖繩農民の心を非常に傷つける動きであろうと思いますが、こういうような動きを、まあこれは施政権はまだ向こうにあるわけですが、未然に押さえるような何か具体的な対策がないのかどうかということが一つ。  それからもう一つは、これは沖繩が非常に温暖で、あったかいところでありますから、端境期における野菜をつくれば、まあ水の問題を解決すれば将来性がある、こういうことで取り組まれておりますが、一つの構想として、大型の冷凍船等を建造して、端境期に本土に野菜を送り込みたい、こういう声が非常にありましたが、ちょっと聞きますと、過日こういう構想があって一部取り組まれたということも聞いたんでありますが、もしそういう経緯があれば、それもひとつ御報告をお願いしたい、こういうように思います。
  224. 三善信二

    説明員(三善信二君) 最初の問題でございますが、本土から行って農地を買いあさっている、そういう状態があるようだというお話でございますが、私どもがいろいろ調査してみますと、そういった情勢はわりあいに少ないんじゃないかということを聞いております。未然に防止すると申しましても、施政権は現在向こうにあるわけでございまして、現在の段階で、もしかりにそういう情勢がありましても、何らかそういう法的手段で防止するというようなことはなかなかむずかしいと思います。現実の問題としては私どもは別に逆のような状況を聞いている現状でございます。
  225. 荒勝巖

    説明員荒勝巖君) 野菜の沖繩における生産の件でございますが、最近になりまして、沖繩から日本へ野菜を入れたいということで、私の局のほうからも再三にわたりまして沖繩へ職員を派遣いたしまして、野菜生産の今後のあり方についてただいま検討中でございます。今後本土復帰に伴いまして、本土との交流も激しくなれば、当然野菜生産を沖繩で担当していただきまして、本土の野菜不足に備えるように努力いたしたいと思っております。しかし、現実的なことを申し上げますと、沖繩におきましては台風等の影響があるということと病虫害の発生がはなはだ激しい、一夜にして病虫害がたまたま出るというような事情もありまして、沖繩におきましては野菜生産が米軍に一部の野菜が供給されるにとどまりまして、実際は本土から沖繩のほうにむしろ野菜の輸出が行なわれているような実情でございます。したがいまして、われわれといたしましては、沖繩における特殊な太陽の豊富な地域であることにかんがみまして、特に冬野菜を沖繩において生産の奨励をいたして、冬、日本に到着するようにできればそういう努力をしてまいりたい、こういうふうに考えております。夏野菜につきましては、水がまず第一番に非常に不足することと台風という大きな自然的悪要因がございまして、今後それらの自然的条件をいかにして克服するかということが帰りました担当者の報告でございます。
  226. 辻一彦

    ○辻一彦君 私の聞きました、調べた内容と食い違う点もありますが、なおその問題については私もまた調べて、必要があればまた伺いたいと思います。  で、沖繩の問題については私はこれで終わりたいと思いますが、北の北海道、南の沖繩冷害と干害の二つがたいへんないま状況にある。きょうの大臣答弁また各政府委員の御答弁のとおり、全力をあげて北海道冷害沖繩の干ばつに取り組んでいただくように最後にお願いをいたしたいと思います。  それから、先ほど北陸地区の委員会視察で団長から状況の御報告と、それからあと一、二点の御要望があったわけでありますが、私福井でずっと同行いたしておりましたので、若干重複する点はあると思いますが、一、二だけ最後に御要望だけ申し上げておきたいと思います。  一つは、先ほど農地局長のほうから奥越の牧場については道路の問題まだ聞いてないというお話がございましたが、過日、県の農林部のほうで聞きますと、北陸農政局段階まではあがっておるということで、まだ本省に届いていないかもわからないと思います。ただ、これは高原牧場としてやるべき道路が道路分として残って、実質的に困っておるということで、農免道路で扱ってほしいという希望がずっとあって、そういう折衝を農政局北陸のほうでやっておるということでありますので、ひとつお願いいたしたいと思います。  それから、ついででありますが、もう一つは、これは調査団の受けた陳情でありますが、福井県の遠敷郡の上中町の三宅地区の土地改良組合があって、パイプラインの敷設について早急に工事を早めたいということで、県のほうはかなり手当てを進めておるようでありますが、これはそういうことで県の陳情がありましたから、御検討をお願いいたしたい。  もう一つは、福井県の坂井郡は福井第一の穀倉地帯でありますが、これは毎年二千トンクラスのカントリーエレベーターを一つずつふやしておる地区であります。坂井郡という地区で一つずつふやしておりましたし、口頭で陳情があったわけでありますが、それは構造改善事業で入ったカントリーエレベーターと、稲作生産総合パイロットで入ったのと、北陸のほうでは新様式と前の様式があるということで、単価の違いがあってかなり差が出て、地元として取り組んでおるのだが困っておるという点がありました。これについては、本年度の予算から新様式になるということも一応聞いておりますが、本年度あるいは前年度に建設された部分については、それは何ら援助の手がないのかどうか、御検討をひとついただきたいと思います。  それからもう一つは、これは全国各地にもあろうかと思うのでありますが、自脱型のコンバインに対して課税をするという通達が自治省の市町村の税務担当の方から出まして、全国の動きは私は知りませんが、福井県におきましては、自脱型コンバインは走るのが目的でないのだから、農作業用であるから道路走行は目的でないということと、軽自動車としてこれを扱って税金を取ることには反対だと、こういう運動にずっと取り組んでおります。で、一つは、自脱型コンバインは農作業用で道路走行が目的でない、二つ目には、自動車重量税では農耕作業用として非課税扱いされている。三つ目には、耕うん機の場合はトレーラー付きの場合だけ課税され、本体のみの場合は課税されない。四つ目には、労力不足、農業近代化のため必要性の高い機械である。この点からこれに課税をされると機械化の意欲をそぐ、こういう観点から非常に強い反対の声が出ておりますが、これについて自治省のほうではあくまでお取りになる覚悟であるのか、考えであるのか、あるいは農林省のほうで交渉いただいて、こういうものにひとつ非課税扱いをぜひしてもらうように努力をお願いしたい。そこらの点、要望でありますが、もしお答えいただく点があればお答えいただき、残った問題は、また調査のあとでお知らせいただいてもけっこうであります。
  227. 佐藤隆

    説明員(佐藤隆君) ただいまの具体的な四点につきましては、いま、ちょっとお答えいたしかねますので、後ほど、調査をいたしまして、お知らせいたしたいと思います。
  228. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 先ほど大臣にお伺いいたしました残りの点についてお尋ねをいたしたいのでありますが、でん粉の問題で、ことしのバレイショ並びにカンショの生産量は二割程度、もっと減少しておるようですけれども、だいぶん減少いたしております。また、農業団体は、カンショでいいますと、三十七・五キロで四百四十円という基準価格を要望いたしておるようです。バレイショにつきましても三百十二円ですね、要望いたしておるようですが、どういうようなふうにきめつつあるわけですか。
  229. 荒勝巖

    説明員荒勝巖君) ただいまわれわれの、政府のほうにおきまして本年のイモ並びにイモでん粉につきましての基準価格の作業を急いでおる次第でございます。ただいまの、例年の例によりますと大体十月の十日前後までにイモでん粉の値段を政府で決定し、告示をしているという手続をとっている次第でございますので、このちょうどイモでん粉の出回り期にも入っておりますので、今年も支障がなければ、できますればこの十日までにはきめるよう努力してまいりたいということで、ただいま関係方面と折衝している次第でございます。
  230. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 原料イモにつきまして農業団体が要望しているのは一〇%程度上げてもらいたい、カンショについて。それからバレイショにつきましても八%程度上げてもらいたいという要望が行なわれているわけですし、さらに生産条件もはっきりしているわけですし、パリティーもはっきりしているわけですし、従来と歩どまりその他が変わらなければおのずから価格というのもきまってくるのではないかと思うのですけれども、どの程度上がるという、どういう工合に見ておられるのか、それを伺いたい、もうすぐそこですから。
  231. 荒勝巖

    説明員荒勝巖君) ただいま御指摘がございましたようにこのイモでん粉の価格のきめ方につきましては一応政令の手続によりまして、試算方式によりまして、パリティー価格を基準としまして、そのほかの経済事情あるいは生産事情等を加味してきめるということになっておりますので、われわれといたしましても従来と大体ほぼ同様な手続を経てこの値段をきめてまいりたいと、こういうふうに考えておる次第でございますが、現在のきょうの時点では大体この辺にきめたいという段階まで至っていないことにつきましては御了承をお願いしたいと、こう思います。
  232. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 それから少しローカルな問題になるのですけれども、先ほど大臣にもちょっと伺ったのですが、鹿児島はイモのたいへんな産地でして、カンショと言いますと鹿児島の特産みたいになっているのですけれども、ですから鹿児島で来年からイモはつくれぬだろうということを農民が言っている。これは理由は幾つもあると思うのですけれども、一つは、円の切り上げの問題がある。安いでん粉が入ってくるのではないか。あるいはでん粉の自由化の問題がたいへんな深刻な問題になってくるのではないか。それはどうもという考え方、あるいは今年からやられましたでん粉工場に対する近代化促進法を適用いたしましてそれで見舞い金なども出したという点もあって、予想よりもたいへんな勢いででん粉工場がなくなってきた、ばたばたとなくなってきた。鹿児島で言いますと七割ぐらいは民間のでん粉工場なのですが、農協は三割程度だと思います。七割ぐらいのでん粉工場の半分がなくなってしまった、たいへんな勢いでなくなってしまった。そういう点もあって、これはイモはつくったが、でん粉をつくる工場がもうなくなってしまったという点等もありまして、また目の前に見えてこの十年の間に栽培面積も四分の一程度、三分の一減ってきているわけですから、ですからもうこれは来年からイモはつくれぬのではないかという深刻な問題になってきているわけです。  そこで問題は一体そのイモ作というのはどういうふうにしていかれるおつもりなのか。いまの傾向で行きますと、これはもう安楽死どころではない。もう締め殺されるという段階です、いろいろな立場から見ましても。ですからどういうふうになさるおつもりなのか。しかも今度の近代化促進法の適用というのは、これはもう農家に合わせた近代化じゃなくて、企業そのものに合わせました近代化になっているわけですね。イモとの関係で言うならば、もう少しピッチをゆるめましてやっていくべきなんですが、ところがイモとは関係なしにばらばらと逃げてしまったというような印象ですね、たいへんな勢いでなくなってしまったわけですから。そういうところに一体問題が非常にあるように思いますし、どうなさるおつもりなのかということ  もう一つついでに一緒に伺っておきますが、なたねの問題ですね。これもいま一万五千ヘクタール、非常に小さくなりましたですね。十二、三年前は二十何万ヘクタールあったのです。ちょうど生産量も需給が合っておったのですけれども、自由化されましたのでたちまちのうちに二十分の一以下になりました、面積も生産量も。たいへんな勢いで減りまして、まるでいまや風前のともしびですよ。一万五千ヘクタールという風前のともしび、その中のまた大部分が鹿児島に残っておるわけですね。ほんとうに小さいものですね。鹿児島に残っておるわけです。そこで、たいへんな勢いで減ってきたのですが、これもまさに風前のともしびですね。これ一体どうなさるおつもりなのか。実際農家はつくっているのですね。そうして、不足払いという制度もありまして、基準価格との間の格差については交付金を出してもらっているわけですね。たいへん親切な法律があるわけですよ。ですけれども、いま言ったようにたいへんな勢いで減少してきているわけなんですが、来年はもうなたねはつくれぬだろうと、その一番大きな原因はやはり、さっき大臣にも申し上げましたのですけれども、なたねの関税がなくなるのじゃないか、そうしてまた一割程度安いなたねが入ってくるのじゃないか。関税がなくなるということになれば、関税は年間で十億程度の関税があって、それを見返りというわけじゃないのですが、不足払いの制度があったのだけれども、その辺についても問題が出るのじゃないか。そうしてここでなたねは完全に絞め殺されるのではないか、来年はもうつくれぬ、出稼ぎに行かなければならぬ、こういう状態になっているわけです。そうしてイモとなたねというのはほぼ同じところにつくられておるわけですね。同じような、似たようなところでつくっておるわけですよ。ですから、いま申し上げましたように、笑いごとじゃないのですけれども、こっけいな話なんですよ。これは農政の上から見れば、どうも日本の農業を象徴しているような気がするのです。ですから、これはどうなさるおつもりなのか。構造改善するなら構造改善するとはっきりした考え方をひとつ示してもらいたい。  それからもう一つ、これまたでん粉との関連ですが、でん粉工場が非常な勢いでなくなりましたので、そこで農協等が盛んに指導しているのは、イモは十月の末、十一月の初めごろからイモを持ってこい、出荷せいという指導をしておった。これは、もうつぶせませんので、そこで十月の初めからイモを掘ってひとつ出してもらいたい。早目に措置をとらないというと、工場がうんと少なくなったからすれませんぞと、こういうことで十月の初めごろから出してくれという指導を極力やっているようですね。そうしますと農家はまあ十月一ぱいは畑に置いて十分太らして、大きくなったところで出そうと思っておるのですけれども、十月の初めから出しますと、ほんとうに小さなものしか出ない。ですから非常な情勢だと思うのですけれども、どういうようなお考えでいらっしゃるのか伺いたいわけです。
  233. 荒勝巖

    説明員荒勝巖君) イモでん粉につきまして、さらに原料となるべきイモの対策について今後どうするかということでございますが、まず自由化の問題でございますが、われわれとしましては北海道のバレイショ並びにバレイショでん粉も含めまして、でん粉の日本農業に及ぼします重要性ということは十分に考えておりまして、このイモでん粉の自由化につきましては、今回の自由化という作業におきましても、日本農業に及ぼす影響を十分考慮するという前提で今回自由化の対象には現在の時点では考えていない。今後当分の間農安法あるいはその他の甘味資源等の法律に基づきまして、国内産のイモでん粉の保護育成につとめていく姿勢は、ただいまいささかも変わっていないということは十分御了承お願いいたしたいと思います。  特にカンショでん粉につきましては、北海道のバレイショでん粉工場のように、非常に大型の近代的合理化された工場が北海道では設立され、かつイモそのものにつきましても機械化体系の中に入り込みまして、非常に農業自身近代化されまして、非常にわれわれとしましては北海道農業においてバレイショというものが一応軌道に乗ったというふうに、多少そういうふうに考えておった次第でございます。したがいましてこの鹿児島あるいは宮崎中心とする南日本のカンショでん粉、カンショ生産あるいはそのでん粉の生産につきましても、何とかして近代化の流れの中に乗せていきたいという考え方で、まずこの原料イモの品種の改良につきましてもいろいろと検討しましたところ、九州農試で開発いたしました黄金千貫という多収穫品種を導入いたしますとともに、このでん粉工場につきましても、農協あり商協系ありで非常に混乱、乱立いたしておりました。でん粉工場を近代化促進法に乗せまして、何とかしてもっと大型化のでんぷん工場の育成と、そして歩どまりも非常によくあげるという工場生産のあり方も考えたわけでございます。  しかしながら一方におきまして、このイモ自体につきまして、えさのほうへの利用ということにつきましても、最近の養豚事業等の関係からいたしますと、イモを豚に食べさせるということもいろいろ問題が出てまいりまして、農家自身においてやはり畜産のえさとしては輸入トウモロコシの購入という方向へまいってきたことも大きな理由といたしまして、イモの生産が急速に最近少なくなってきたことは事実でございます。しかし少なくなりましても、一方におきまして鹿児島、宮崎等におきましては、豊富な気温を前提といたしまして果樹あるいは野菜というほうへの転換が相当進みまして、やはり鹿児島におきましてもあるいは宮崎におきましても、京浜あるいは京阪神地区に対する生鮮野菜類出荷というものが年々ふえてまいりまして、そういう形でイモ作農家自身が経営の転換を示し始めておるんではなかろうか、こういうふうに考えております。  さらにこのでん粉工場が、急にここへきましてどうも相当促進法の適用とともに、補助金といいますか自分たちの間で積み立てておった配分を受けまして休業工場がふえたわけでございますが、そして一方にはやはり公害という問題がございまして、過去五十数年にわたってでん粉工場を動かしてきたんでありますが、どうも急にやっぱりでん粉の汚水を、回収というのですか、この際清めなければならないということから、でん粉工場にそういう公害対策の施設を設けるよりも、この際やめたほうがいいというような工場等も出てまいりまして、相当減ってきておるんではなかろうか、こういうように考えております。われわれといたしましても生産されましたイモ自身がでん粉工場へ持っていったはいいが、それが引き取ってもらえないというのでは、はなはだ遺憾な話でございますので、かねてから関係県を督励いたしまして、イモの出荷期にあたってイモが販売上不都合を生じないように出荷の調整を行なうとともに、また掘り取ったイモをそこに置いておきますと歩どまりがかえって低落もいたしますので、生産出荷の調整を大いにやりますとともに、でん粉工場だけじゃなく、アルコールといいますか、しょうちゅうの蒸留酒系統の工場に対しましてもその引き取り方を十分呼びかけまして、できましたイモが滞貨しないように指導をしておる次第でございます。  また次に、なたねの点でございますが、このなたねにつきましては、でん粉が農安法の適用がございますが、なたねにつきましてはただいま御指摘もありましたように、大豆なたね交付金法というものを設けまして、年々なたねの価格は引き上げてまいってきておりまして、ただいま一俵五千四十円の価格になっておりまして、最近では大体二百七、八十円前後の引き上げ率になっておりまして、引き上げ率といたしましては六%から七%前後の引き上げという形で、相当大幅な引き上げをわれわれとしては考えておる次第でございます。他方なたねにつきましても生産の育成は今後とも守らなければならないということで、御存じのように稲作転換対策事業でも稲作をやめてそのかわり裏作でなたねあるいは小麦を、麦類を生産された場合には生産調整の転換奨励金反当約三万五千円は交付するという異例の措置を講じましてなたねの生産の増強にさらに励んでいる次第でございますが、だんだんと表日本筋ではなたねの生産が減ってまいりまして、ただいまでは北は青森、南は鹿児島というふうに主産地がほぼ限定されてきていることにつきましてはわれわれとしてもはなはだ遺憾に存じている次第でございます。しかし、今後とも不足払いを適用することによりまして、なたねの生産農家に対しては御迷惑をかけないように努力してまいりたいと、こういうふうに考えております。
  234. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 なたねの問題につきまして、いま局長からお話を承ったんですが、私、先ほども申し上げましたように、このなたねについては、かつて二十万ヘクタール、そして生産量としては三十二万トンと、ちょうど三十二万トンといいますと当時としてはむしろ余分な程度、需要より生産のほうが多いくらいだと思うのでありますが、それが十数年たった今日では一万五千ヘクタールというちょうど二十分の一くらいの面積になったわけですね。で、生産量でいいますとこれまたいまや二万三千トン程度ですからほとんどもう十五分の一というたいへんな少ない状態ですね。しかし輸入はたいへんな勢いでふえてきたわけです。輸入によってとことんまで追い詰められたわけですね。風前のともしびということであって、いまや青森と鹿児島のほうに片寄っている。ほかの県はほとんどないといってもいいという状況になったわけですね。このことは大豆でも同じですね。大豆も同じ、なたねも同じ。そういう自由化によっていろいろな政策がとられるが、結論としては大豆にいたしましてもなたねにいたしましても失敗と、これはもうどうにもならぬというところにきているのだと思うのですね。しかし残ったこれ一万五千ヘクタール、残ったものを何とかして維持していこうという考えがあるのかどうかというと、どうも私はそういうはっきりした考えはないのじゃないかと思うのですね。  それからカンショでん粉につきましては、先ほど私は申し上げたのですが、また局長もおっしゃったんですが、バレイショについてはこれはこの十数年の間、面積も変わりませんし、反収は二倍くらいになっておりますし、それから生産高も二倍くらいになっている。その意味ではバレイショは軌道に乗ったといっていい。高度近代化が成功しつつあるといってもいい。しかしカンショの場合はこれまたたいへんな落ち込み方でありまして、これまた近代化には全く乗ってない。乗ってないだけじゃなくて、もうたいへんな困難な状況にきている、こういわなければならぬわけなんですね。  そこで、先ほど申し上げたなたね、カンショというのは同じようなところでつくられている。これはたいへんなことなんですね。ですから、いままでやってきたような政策では、これはもう安楽死よりもどんどんそこに追い込んでいるという状況じゃないのか。そうすれば、何らかの処置をやっていかれるとするならば、これはいままでのやり方を変えなければ、これはもうなたね、大豆、カンショ等が示すとおりじゃないかという点を私は考えているわけなんです。その点をひとつまず局長にお伺いして、それから先ほど大臣は、なたねの関税を引き下げる問題について、関税を引き下げるようなお考えでした。なたねに対してもそういうようなお話をなすったようです。これは手続的にはどういうふうになって、ほぼいつごろそういうことになるかという点ですね、それも踏まえて、一体なたねをどうなさるのですか、どういうふうに農林省政府としてお考えになるのかという点をお伺いしたい。
  235. 荒勝巖

    説明員荒勝巖君) まず関税の手続から御説明申し上げます。  なたねの関税につきましては、ただいまキロ当たり四円の関税がかかっておるわけでございますが、ただいまの段階では、大臣が先ほど当委員会で答弁されましたように、下げる方向でただいま検討中でございまして、まだこの税率にするという事務的な決定は何らいたしていないわけでございます。かりに関税を引き下げるという手続を踏むことになりますと、従来の例から申し上げますと、年末前後に関税率審議会が開かれまして、その審議会に改定すべき税率の説明、諮問がございまして、その了承を得た上で、関税定率法の暫定もしくは一般税率、いずれかの手続によりまして、国会のほうに、一月の国会に予算関連法案の一部といたしまして提出されるような手続になりまして、おおむね従来の例によりますと、三月三十一日までにこの法案の成立をお願いいたしまして、新年度の四月一日から予算と同時に施行というふうな手続になるやに聞いているわけでございます。  そういうことで、たぶん手続につきましてはお願いすることになるのではなかろうかと思いますが、カンショにつきましては、またわれわれといたしまして、決してカンショについてもうこの際あきらめたというふうなものではございませんで、依然として何とかして南九州におけるイモ作の経営の安定ということは常に念頭にありまして、特に鹿児島を中心とするシラス地帯では、土壌保全という観点からも、やはりあそこの辺にはなおカンショ栽培の必要性は認めざるを得ないわけでございまして、われわれといたしましては、この地域特産の農業として大いに振興してまいるということで、たとえば四十五年度の予算におきましても、地域特産予算で五億八千五百万円の予算をとっているうち、甘蔗につきましてその一割にあたる五千八百万円をカンショ用に適用いたしまして、さらにこの九州地区については、その六割以上のものが九州地区でカンショの生産振興という形で適用いたしております。さらにイモでん粉の値段にいたしましても、年々もうそう大幅な、一割というふうな大幅なものではございませんが、まあ年々四、五%前後の価格の引き上げを行なって、何らかの形で農家経営の安定にはある程度寄与しておるのではなかろうか、こういうふうに考えておる次第でございます。
  236. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 そこで少しばかり伺いたいのですが、私はこれはまあいままでの政策のやり方ではもう先が見えているという、そういう気がしてしようがないものですから——それで現実に農家の人たちはそう言っておるわけです。もう来年はとれない、つくれませんよ、ということです。なたねもつくれない、それからカンショもつくれぬ、というのでは、これは成り立たないです。ですから、やはりこれは相当思い切った施策をとる必要があるのではないかと、まあバレイショのほうは先ほども私が申し上げましたように、局長お話のように、これは近代化が私は実を結びつつあるんだと思いますけれども、カンショについては、これは全然成り立っていない、なたねも全然乗ってないという状況だと思うのですね。これが乗るのか、乗せる可能性がないのかという問題なんです。  なたねはいま申し上げましたように、いま局長からお話のありましたように、これはかりに来年の四月一日から関税が下がるということになりました場合には、これはやはり農家が言うように、なたねは来年つくれぬということになるんじゃないでしょうか。これはいま一〇%ぐらいの関税がかかっておるわけですから、これもなくなると仮定しますと、これから先はよくわかりませんが、大臣お話から言いますというと、なくなると見なきゃならんでしょう。そうした場合に、一体それじゃいままでのような政策でなたねが生き残るのかというと、これはなくなると見なきゃならぬのじゃないですか。だから、にもかかわらずなたね、それからカンショというものを何とかしていくんだというには、私は思い切った政策がとられない以上、私はいけないのじゃないか、そう思うわけです。これについて局長、ひとつ御答弁をいただきたいと思います。
  237. 荒勝巖

    説明員荒勝巖君) 直ちにこのなたねあるいはカンショ・イモ作につきまして大増産をするというような考え方は園芸局としては何ら持っていないんでございますけれども、少なくとも、なたね生産を続ける農家の方がおられる限り、あるいはカンショ・イモ作経営農家が存在する限りは、カンショにつきましては農安法を適用いたしまして、毎年適正なイモ並びにでん粉の基準価格を設定することによって、そのまた生産されたるイモもしくはでん粉の需要の販売先に、需給バランスをとりながら十分に指導してまいりたい、こういうふうに考えておりまして、その結果、カンショ生産農家に非常な経営上悪影響を及ぼすものではないというふうに理解しておる次第でございます。  また、なたねにつきましても、あるいは関税等の引き下げもあるかもしれませんが、われわれといたしましてはいわゆる不足払いという大豆、なたね交付金法の適正な運用法によりまして、このなたね生産農家ができましたるなたねが不当に買いたたかれるということのないように、ことしは先ほど申し上げましたように、一俵当たり五千四十円の価格を設定いたしましたが、来年はさらに適正な値段で引き上げを行なうことによって、栽培農家に対しては少なくとも悪影響を与えないように、われわれとしては努力するつもりでございますので、農家の方がもうあきらめられまして、もう関税がなくなったから、栽培しても大損害だというようなことにはならないように、われわれとしては十分に指導してまいりたい、こういうふうに考えている次第でございます。
  238. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 私もイモ作だけをこれから先に繁栄させたり、それからなたねを先に繁栄させるという考えはないわけです。ですから、最後まで残ったところはやはり僻地というふうに見てもいいんじゃないか。あるいはまた、これ以外になかなかむずかしい、転作もなかなかむずかしいという感じもあるんじゃないかと思うのですが、ですから、いま残っているのを何とかできないものか。先ほど大臣はカンショについていささか不足しているんだというようなお話がありました。バレイショと比べまして明暗が明らかになっておりますので、カンショとバレイショの場合では非常に明らかでありますから、そういう意味で私はカンショについての、ことにカンショ独特の問題もありますが、バレイショと違った独特な問題もありますんですが、やはり政策の不備な点があるのではないかというふうに思っております。それからナタネについても同じだ、何か小さなものになりますと——大きいと強い対象になるが、小さくなってくるともう対象からはずれちまって安楽死を待つというような形が見受けられてしようがないわけです。ですからこの二つの問題についてぜひとももう少し積極的な考慮をひとつお願いをしておきたいと思います、これからたびたび伺ってお願いしようと思うのですけれども。  それからもう一つ、四十八年の三月末で、御承知のでん粉の弾力関税制度というものがなくなることになるわけですね、これはまた非常にでん粉——イモ生産者にとっては非常に大きな悩みになっているし、関門になっているわけですね。ですからこれは来年の四月——四十七年の三月か四月、イモを植える時期までにはおきめいただきませんと困るわけですね。そういう作業が進んでいるのかどうか。来年三月の末苗床をつくりましてイモを植えるわけですから、それまでの間に延期するのかという考え方をおきめいただかないとこれまたたいへんな問題になってくるのではないか。イモをつくっている者にとってはたいへんな問題になってくるんでしょう。そういう検討が進んでいるのかどうか。
  239. 荒勝巖

    説明員荒勝巖君) ただいま御指摘のありましたいわゆるコーンスターチ用のトウモロコシにつきましては、ただいま関税割り当て制度を適用することによりましておおむね高い場合の税率では六〇%近い税率を適用することによりまして国内産イモでん粉との調整をはかっている次第でございます。この制度は御存じのように四十七年産、七年一ばいは適用されまして四十八年の四月からまた改定しなければならないのでございますが、このコーンスターチ用の割り当て制度につきましてはいままでの行政的に長いいきさつ等もございましてそう簡単に撤廃とか廃止とかいうわけには相ならぬものではなかろうか、むしろ、今後さらに場合によりましては、この適用の延長のみならず、ある程度の改定を加えることによって国内産のイモでん粉の経営の安定に資するために、今後われわれとしては十分に研究してまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  240. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 いま局長からいいお話がございましたのですが、どうかそういうことで積極的に御努力を願いたいということをお願いしたいと思います。  ただ、私ちょっとつけ加えておきたいのは、いまお話のありました、これがきまりましたときに、四十五年の二月三日ですね、関税率審議会できめましたときに、非常にきびしい表現を使っておるのですね。要望に反して根本的解決への前進が示されていないことははなはだ遺憾だ、というようなことばがつきまして、そして非常にきつい表現を使いまして、三年間の間に生産性の向上に、その基盤である農業構造の合理化をはかり、根本的に解決してもらいたい、そしてこのことについては実施状況を毎年報告してくれ、こういう附帯決議がついていますね。非常にきつい表現なんですね。ですから毎年毎年いままでもずっと長い間問題であって、私はこの三十五年の年が何か最後通牒みたいな、ぎりぎり一ぱいのところにきているのじゃないかという印象を受けています。しかし、いま局長お話のような点で御努力いただきますればまことにけっこうなことで、ぜひそういうふうにしていただきたいと思います。いまそういうものがついてたいへんな最後通牒みたいなものになっているだけに、私どもとしては心配があるわけで、ぜひ先ほどのお話のとおり御努力をお願いいたします。政務次官にもひとつよろしくお願いいたします。
  241. 塩出啓典

    塩出啓典君 最初に荒勝局長にお聞きしますが、オレンジとジュースの自由化は今回見送られたわけでありますが、政府は今後この問題をどういうように考えているか、それをちょっと伺っておきたいと思います。簡単に……。
  242. 荒勝巖

    説明員荒勝巖君) 今回の日米交渉に際しまして農林大臣が向こうで、訪米されてアメリカ側の関係閣僚に対して、オレンジとオレンジジュース及び牛肉については自由化はしないということを、今回非常にはっきりと明示されましたので、われわれ事務当局といたしましても当然にその線に沿いまして今後これらの自由化については極力いたさないように努力してまいりたい、こういうように考えております。  で、なお国内におけるかんきつ類の生産並びにその需要の増進ということにつきましては、なお生産と消費のバランスが合うように、われわれとしてはっとに行政的に指導してまいりたい、こういうように考えております。
  243. 塩出啓典

    塩出啓典君 まあ極力ということで、これはなかなか相手のあることではっきりわからないと思うんですが、いずれにしても非常に、ミカンは一人前になるのに十年でございますので、そうほかの野菜のように方向転換もきかないようですしね。そういう点で、政府のそういう政策というものがネコの目のように変わっては非常に困るわけでございまして、そういう点でこのいわゆる果樹農業振興基本法ですかね、あれにおける基本方針というものを、これをもう改定すべきだと、改定の時期もきていると思うんですよ。しかも私は現在、たしか四年に一回くらいじゃないかと思うんですが、毎年ぐらいひとつ常に状況によってやはり手を打っていかなければいけないんじゃないかと思うんですが、現在の方針は一体いつ改定するのか、これをちょっとお聞きしたい。
  244. 荒勝巖

    説明員荒勝巖君) ただいま御指摘がございましたように、果樹農業基本方針の改定につきましては、本年度中に改定することになっております。五年前に果樹農業基本方針の設定をいたしたわけでございますが、これは十年後の果実の需要の動向に即して植栽計画をつくっていくことになりまして、五年ごとにこれを改定することになっております。したがいまして、今年度中にこの改定計画をつくりまして、今後来たるべき十年間における、十年後の果実に対する需要の動向というものを十分に判断しながら今後の植栽計画を進めていく行政の指標ともなるべきものをつくることに、改定することになっております。  われわれの現在の作業の中間的な話でございますが、かんきつ類につきましては多少植栽が過去五年の間に伸びまして、まあ四年の間に逆に言えば五年分の目標を達成してしまって、実質的には一二〇%以上の植栽率になっております。それに反しまして落葉果樹でありますモモとかブドウとかにつきましては目標の約半分にしか至っていない。その結果本年の——昨年もそうでしたが——本年の夏もモモとかブドウについては異常なる高値を呼びまして需給が多少逼迫していることを明らかにいたしておりますので、今後の計画改定に際しましてもこの落葉果樹の植栽についてあるいはもう少し強く打ち出す計画になるのではなかろうか、こういうふうに考えておる次第でございます。
  245. 塩出啓典

    塩出啓典君 非常にまあミカンが、かんきつ類がそういう米に次ぐ重要な作物になっておりますし、それの国際競争力をつけていくということは、これは自由化のあるなしにかかわらず大事だと思うのですね。そういう点で基本方針の五年前にできた内容等を見ると、そういう生産性の向上という点においては単なる更新であって具体的な年次計画というのはないわけですね。そういう点で私はこれからの方針とともに具体的な計画を示して、非常にこれから道は険しいけれども、やはりほんとうに積極的に意欲を持って前進していくような、そういうもう少し五年前より一歩前進した内容につくってもらいたい。それが一点。  それともう一つは、いろいろなそういう主産地形成事業政府の補助でいろいろなことがやられておるわけですが、ミカン農家の意見は採択基準をもう少し広げてもらいたいと、こういう声が非常に強いわけでございまして、たとえば農道と工場施設をくっついて両方でやらなければならないとか、あるいは二十度以上の傾斜はだめだとか、そういうような非常に制限が多いために、農民の人としてはもう少しわれわれの現地に即した実情を見てやってもらいたい、そういう声が非常に強いわけでございます。そういう点をひとつ検討——きょうは時間がないですけれども、検討する用意があるかどうかですね。
  246. 荒勝巖

    説明員荒勝巖君) 果樹の植栽につきまして、従来から水田が中心でありました関係もありまして、この果樹は必然と山へ山へと上へのぼっていきまして、非常な急傾斜地に特にミカン類の植栽が進んでいることは事実でございます。その半面、結果的に申し上げることになるのですが、非常に国際争競力に欠除するようなかっこうになりまして、非常にいま植栽資金もコストが高くつき、かつまたミカンの生産費も結果的には非常に高くつく、なかなかこれを安くすることができないという結果になっております。最近のグレープフルーツの自由化を契機として、やはりかんきつ類の国際競争力を強くしなければならないということが政府側にも当然ございますし、また民間にもそういう御意見が有力に出てまいりましたので、われわれとしましては、既存の果樹園、特にミカン園等につきましては、その成園の合理化あるいは作業道の導入ということを強く今後打ち出しまして、コストの切り下げに資するように努力してまいりたいと思っております。  なお、今後の採択基準の内容でございますが、あまりにも急傾斜な地区にかんきつ類をつくりますことは、今後非常にミカン自身にりきましても、国内におきまして産地間競争というふうなコスト切り下げの競争も激しくなりますので、採択基準につきましてはさらに専門家の意見を十分に聞きまして、その採択基準を適正に採択するように検討してみたいと、こういうように考えております。
  247. 塩出啓典

    塩出啓典君 それでは水産庁に伺いますが、昨年の国会で公害法案が通過したわけでございますが、しかし、最近瀬戸内海等における海洋汚染が非常に度を増しておる。先般も漁業協同組合連合会ですか、から、二千億に近い被害、そしてまた広島のカキ等はもう数年後には全滅をすると。またいろいろ環境庁や通産省の調査によりますと、たれ流し企業が多いし、非常に環境基準をはずれているような海も多いわけですね。そういうような問題について、これは非常に大きな問題で、そういうことを一々論議をしているときようは時間がありませんが、水産庁としてはどう考えているのか。これは非常に大きな問題ですが、一分ぐらいにまとめて水産庁の考えをひとつ言ってもらいたいと思うんです。
  248. 藤村弘毅

    説明員(藤村弘毅君) 水産資源を保護し、多数の漁業関係者の経営の安定をはかるという意味で、これから強い姿勢で防止、回復をはかる必要があるというふうに考えておりまして、さきの臨時国会で成立しました水質汚濁防止法、海洋汚染防止法などの公害関係法の適正な運用につとめまして、水質規制を強力に推進するということを第一、それから生産力が落ちました漁場の再開発ということも考えまして、それにあわせまして漁業公害に関する調査、研究の強化ということをはかってまいりたいというふうに考えております。
  249. 塩出啓典

    塩出啓典君 それでこれはひとつ環境庁とそれから水産庁に要望したいのでございますが、やはり瀬戸内海みたいなそういうところは非常に範囲が広いし、総合的に公害防止というものをやっていかなければ、なかなか水を規制したりあるいは家庭下水あるいは屎尿の投棄そういう原因たくさんあるわけですね。そういうものがばらばらの法で規制されているけれども、結局法律があっても抜け道もあるし、結局下水道の整備あるいは屎尿処理施設の整備等が進んでいかなければ何にもならないわけですね。そういう点で地元からの要望といたしましては、公害基本法における第十九条に公害防止計画の作成という、公害防止計画があるわけですね。これは「公害が著しく、かつ、公害の防止に関する施策を総合的に講じなければ公害の防止を図ることが著しく困難であると認める地域」、すでに水島とか川崎とか千葉とかそのほか最近何カ所かふえているわけですが、当然やはり瀬戸内海等についてもそういう公害防止、特に防止計画を策定して強力に推進すべきである。これは水産庁としてはどう考えておられるのか、また環境庁としてはこれどうなのか、その点お伺いします。
  250. 藤村弘毅

    説明員(藤村弘毅君) ただいま御指摘のありましたように、公害防止につきましては個々の産業あるいは都市下水等の影響によるものでございますので、これらの水質規制を強化するほかないものと考えておりまして、環境庁に協力いたしまして、公害防止計画によりまして公害を少なくするようにつとめてまいりたいと考えております。
  251. 河野義夫

    説明員(河野義夫君) 御指摘のように瀬戸内海全体の水質の汚濁、環境汚染が進行しているわけでございますが、これにつきましては、瀬戸内海全体の水質の汚濁の実態の把握、あるいは汚濁等の改善その他下水道の整備あるいは海洋汚濁の原因の一つでございます油による汚染、そういった問題につきまして総合的に調査して対策考えていかなければならぬ、かように考えておるのです。それぞれ水質汚濁防止あるいは廃棄物関係、海洋汚濁防止関係、それぞれの担当の省庁と緊密な連絡をとって環境汚染の防止対策を進めたい、こう考えているわけであります。  それから公害防止計画につきましては、主要な地域につきましては基本方針を策定いたしまして計画の策定を促進してまいりたい、かように考えております。
  252. 塩出啓典

    塩出啓典君 長官は数年後には公害防止計画をつくるといって、私、新聞で見たのですが、そういうように具体的にそういう計画になっているのじゃないですか。公害基本法の第十九条による基本計画に規定する方針なのかどうなのか。
  253. 河野義夫

    説明員(河野義夫君) 公害防止計画の策定につきましては、必要なところから逐次基本計画を策定いたしまして促進いたしてまいりたい、かように考えております。
  254. 塩出啓典

    塩出啓典君 もう一つ赤潮対策の問題ですね。これは昨日も山口県の漁業組合の人たちが環境庁長官に陳情にお見えになったようでありますが、こういう赤潮については今後どういうことになるのか。数年前にいろいろ研究やって、いま何もやっていないように思うのですが、これはどう取り組んでいますか。
  255. 藤村弘毅

    説明員(藤村弘毅君) 正確なデータをただいま持っておりませんが、昨年まで水産大学校長の松井魅氏を中心にしました研究がございましたが、本年から引き続きまして南西海区水研を中心にいたしまして、関係府県の水産試験場、大学等の御協力を求めましてさらに研究を強化いたしております。それでただいま赤潮の発生原因を究明すると同時に、何らかの対策を、赤潮の予防対策につきましての研究を同時に強力に進めてまいりたいというふうに考えております。
  256. 塩出啓典

    塩出啓典君 もう少し具体的にお聞きしたいわけですが、議事進行に協力する意味でそれはよろしい。またあとで資料として教えてください。  それで赤潮という現象は、家庭下水あるいは工場排水あるいはし尿の投棄、そういうようなのが非常に複合して原因になっているわけですね。被害を受けているのは漁民でございます。それからまた瀬戸内海の、先般、私山口県の大島に行きましたけれども、これもごみがたくさん来るわけですね、よそから。ごみを調べていくと、日本海側の島根県のほうのも来ているわけです、潮の流れで。広島のほうから、全部よその都市からそこへ集まってくるわけです。そうして夏になると海水浴場にもそういうごみがたまって、海水浴もできない。そういうビニールが海の底にたまって、そうしてそういうのが非常に漁業の貝類を死滅させているわけです。そういうのを考えてみれば、まあ、これはいままでもいつも問題になったわけですけれども、原因というのは不特定多数でわからないわけですね。結局被害を受けるのは漁民であり、またそういう海水浴場のごみの場合は、財政の乏しい市町村が、よそから流れてきたごみを自分でやはり掃除もしなければならない。だれもそういうのはやはり手がないわけですね。私はやはりこういうのは、ものの道理から考えて非常にむずかしい問題かもしれませんけれども、いつまでもほうっておいていい問題ではないと思うのですよ。そういう弱い者が泣き寝入りする、そういう責任のない、そういう不特定多数が原因である場合には、当然それを救済していくのが国であり、そこに国の責任があるんじゃないかと思うのですけれども、そういう点を私は水産庁として検討してもらいたい。ほんとうに漁民を守るのは水産庁なんですから、やはり水産庁が真剣になってくれなければいかぬと思うのですね。そういう点で、そういう問題をきょうは検討してもらいたいということを要望して終わりたいと思うのです。それで、これは水産庁長官の代理であるあなたと、やはり農林大臣の代理としての政務次官から答弁をいただいて、それで終わりたいと思います。
  257. 佐藤隆

    説明員(佐藤隆君) いま塩出委員御指摘のとおりの状態であります。実は公害問題については、農林省としましても最近、環境庁のほうからいろいろ御指摘等もありますけれども、環境庁が主務官庁だということだけではなくて、むしろ環境庁と同じ立場でひとつやっていこう、こういうことで実は省内においても努力を重ねているところであります。  いま漁場が非常によごれている。赤潮の問題等を中心に御指摘になりました。ことしは漁場の環境を維持、保全するということで、この四十六年度予算から初めて補助金を五カ所、三千万、しかし、これも決して自慢できる措置ではないと思います。さらに、こうしたことで、たとえばしゅんせつをするとか、耕うんをするとか、そうしたことによって漁場環境の整備をするということに鋭意努力を続けていきたい、かように思っております。
  258. 藤村弘毅

    説明員(藤村弘毅君) ただいまの次官の御答弁の線に沿いまして、水産庁として十分努力してまいるつもりでございます。
  259. 塚田大願

    塚田大願君 午前中に引き続きまして、北海道冷害の問題についてなお若干お聞きしたいと思うのでありますが、先ほど、午前中の質疑討論で、河口委員質問に対しまして農林大臣は、確かに今度の冷害は天災という面もあるけれども、人災的な面もございましたと、こういう答弁をされました。問題は、いわゆる生産調整、減反政策、こういう中でうまい米つくりということが奨励をされて、在来の耐寒品種というものをやめて、そういう弱い品種が奨励をされた。で、例のしおかりであるとか農林二〇号、これが全滅をした、こういう質問に対する大臣の御答弁であったのでありますが、この品種のこういう問題に対して、確かに農民はたいへん政治に対する不信を持っているわけであります。農協や普及所が指導してくれたら、それをやったら全滅じゃないか、ほんとうにどうしてくれるのだ、これはまさに人災だと、こう言っているわけなんですが、確かにこの品種の決定であるとか、試験であるとかいうことは、主要農作物種子法という法律によりまして、都道府県が責任を持っている、その点は間違いないのでありますけれども、しかし国として国庫補助もやり、いろいろ農林省としての指導監督の責任もあるわけでありますから、この人災的な面につきまして、奨励品種と、いわゆる在来の耐寒品種との作付が一体どの程度の比率で北海道では今度行なわれたのか。また同時に、そういう問題について指導監督を農林省としてはどのように行なわれたのか、その面をまずひとつお聞きしたいと思うのであります。
  260. 長谷川新一

    説明員長谷川新一君) 北海道水稲の品種の育成につきましては、申し上げるまでもなく耐冷性ということを重点に育成してまいっております。しかしながら最近におきます先生の御指摘のような米穀事情から、品質、食味ということについても相当考えなければならないということで、この両面において改善につとめてきております。これは育成の問題でございますけれども、奨励品種の決定にあたりましても同様でございまして、耐冷性、それから良質、食味のすぐれていること、この両面を兼ね備えた品種を選抜し、それを奨励してくる、そういう方針でやってまいっております。それで現在北海道におきましては、そうした試験の結果、奨励品種となっておりますものが約九割栽培されております。特に今年の冷害というようなこととからみまして、去年と比べました今年の動きというものを見ますというと、昨年奨励品種にいたしましたなるかぜ、それから本年奨励品種にいたしましたイシカリ、それからゆうなみ、これにさらに従来から奨励品種にいたしておりますほうりゅうを加えて、これら四品種が増加しております。それから減ったものはそらち、それからうりゅう、ひめほなみ、こうした品種が減っておりまして、大体昨年と比べまして三万ヘクタールでございますから、全体に対して一七%ぐらいの品種交代があった、こういうふうに考えられます。  このように品種が変わりましたことによって、被害の様相はどうかというようなことが御質問の要点かと存じますけれども、まだ最終的な品種別の収量というものがわかっておりませんので何とも申し上げられないんですけれども、私ども調査いたしました時点で稔実歩合といいますか、逆に言えば不稔歩合になるわけでありますけれども、稔実歩合、各地のものを調べた結果によりますと、大体いま申し上げましたように、最近の品種はいずれも耐冷、良質というものを目標に選んでおりますので、あまり大きな差はない、というよりは、今年、先ほども申し上げましたように、七、八両月の非常に重要な時期に低温がまいったということ、それから栽培法の相違、それから場所によるそうした作物生育層と低温の襲来の時期との、何といいますか、ぶつかり合い、こうしたものによってかなり影響が違うものですから、どうもはっきりした差は見られない、こういうような状況でございます。ただ、先ほど申しました、今年奨励品種にいたしましたイシカりについては、各地とも稔実歩合が高くて、これはまだ現在のところ、たしか一万五千ヘクタールぐらいの普及面積だったと思いますけれども、将来ふえることによってこの方面に貢献し得る品種じゃないか、こういうふうに考えております。
  261. 塚田大願

    塚田大願君 あまりはっきりした御答弁をいただけなかったのですが、この間、道新でこういう記事を見ました。北海道新聞であります。九月二十六日付。北育五十四号という品種が北見の、これは端野でございますか、ここである篤農家がこの栽培をしておった。そうしたら、これは大体七割できたというのですね、その品種では、この北見で、北海道で最もひどかった北見で、こういう品種があるわけです。あるいは先ほど出ましたけれども、上川の中村白毛であるとか、あるいは安斉さんの系統の品種であるとか、非常に強いものがあります。こういうものがあるにもかかわらず、あえてこういう弱い品種を非常に普及されたということは、やはり非常に一つ問題じゃないかと思うのです。しかし、これは時間もありませんし、またそちらでも十分これから研究していただいて、もっとこまかい資料もいずれいただきたいと思っております。  次いでお聞きしたいのは、やはりこの営農指導の問題で、ことしは御承知のとおり四月から非常に低温であった。で、この点につきましては、北海道札幌管区気象台から予報がすでにずっと出されておった。ここからこの気象の状況につきましては逐一四月以降予報されておった。これは私、気象庁や札幌管区気象台から資料をいただきました。四月からずっと霜の注意報であるとか低温情報であるとか、日照不足の情報であるとか、非常にこまかく、月に二、三回ずつ各方面に連絡があった。特に農業気象連絡会でありますか、そういう面にも間違いなく伝えたと、こういう状況であったわけであります。でありますから、ことしの冷害というものは急に起きたんではなくて、いわゆるこの間ありました集中豪雨やなんかと違いまして、かなり前からわかっておった。したがってこういう気象状況の中で事前のこのような予防策というものができなかったのかどうか、私どもにとりましてはまことに不思議でしょうがないわけです。そのような指導措置がどのようになされたのか、あるいはなされなかったのかということについてひとつお聞きしたいと思います。
  262. 遠藤寛二

    説明員(遠藤寛二君) お答え申し上げます。  御指摘のとおり、本年度の稲作につきましては気象庁が毎年三月の十日に発表いたします全般暖候期予報というのがございます。それがすでにそのときに北のほうの冷涼な気象と西のほうは暑いという予報をいたしたわけでございます。で、私ども毎年この暖侯気予報が出ますと、春夏作指導という要領を記載しました通達を各関係局及び北海道に出すわけでございます。この場合も向こう三カ月、あるいは長期予報が出ましたが、それに対しまして、事務次官名でことしの気象状況は北のほうは冷涼であるということで、それにつきまして注意をして栽培をやれという指導をいたしましたわけでございます。それからあと、気象庁は五月及び八月に向こう三カ月予報というのを出しております。それが出まして、それに続きまして私どものほうからやはり事務次官名をもちまして、その都度の技術指導を各関係局特に北海道に対して行なったわけでございます。たとえば生育の促進をはかるために深植えをしないようにすることとか、あるいは減数分裂期の深水であるとか、それから肥料の量、特に窒素肥料の量を控えるように注意をしろということ、あるいはいもち病とか、ドロオイムシの防除をしろ、その他霜の防除のための資材確保その他まあいろいろな問題につきまして内容を持ちます技術指導を行なったわけでございます。これに従いまして、また、先ほど先生お話のございましたように、北海道の管区気象台がいろいろまたこまかい予報をやっておりますが、それとあわせまして北海道庁におかれましても私どもの通達及びそういうものに基づきましてかなり詳細な指導をやってまいってきております。  しかしながら、ことしのような冷害はめったにございません。北海道がこういう冷害を受けましたことは、たしか昭和三十一年にそういうことが一ぺんございまして、やはり北見が全滅をしたということがございます。それからもっと古くは大正二年あたりにそういう冷害があったようでございますが、今回の気象状況というものは、大正年代以降は記録されたことがないような低温が長期にわたって持続したということになりましたので、たとえば先ほど先生おあげになりましたいろいろな品種の中でも、まあ非常に強い品種までも北見では全部ほとんど、作況指数二というのでございますが、ほとんど全部全滅いたしました。私どもといたしましてはできる限りの準備、指導をいたしましたわけでございますが、遺憾ながら結果としてそういうことになったというふうに存じております。
  263. 塚田大願

    塚田大願君 いまのお答えでありますけれども、いろいろ全力を尽くしたと、こう言われるのでありますが、結果から見れば、今度まあ史上最高の冷害であったと、こういうことになってしまう。私はその辺に非常に不徹底さというものがあるんじゃないかと思うのです、指導上。この点はやはりこれからまた当分地球の北半球は冷たいといわれている長期の予報から見まして、来年もこれがないという保証はないわけであります、ことしのような気象が。したがって私はもっとこういう冷害に対する指導、監督、営農指導、こういうものについては農林省もっとひとつ真剣に取り組んでいただきたい、こういうふうに思います。  次に、こういう問題が出ますと品種の問題、あるいは土壌の改良の問題、こういう問題が必ず当然のことながら出るわけでありますが、じゃこの品種の改良の研究が一体どんなふうに行なわれているのか、私は十勝農業試験場に参りました。あそこには道立の農業試験場も一緒にございますけれども、いろいろ試験場に行って聞いてみましたら、やはり研究員が一番不満に思っているのは予算の関係であります。予算が非常にとにかく足りない、こういう冷害が起きてさあ調査もしなければならないといっても今度の場合には予算がないから調査に出かけなかったと言うんですね。三十九年、四十一年のときにはまだやったと言うんです。ことしは予算がないので調査一つしない、試験場として。冷害実態についてまだ調査しておりませんと、こういうお話なんです。なぜしないんだと言ったらしょうがないんだと、こういうまことにお寒い話なんですね。  それで私この予算の状況も資料をいただいて見ましたけれども稲作の場合にはやはりこれは四十二年から四十六年までの北海道の研究費の状況でありますが、四十二年から四十五年まではずっと上がっております。これは水稲の場合ですね。四十五年には九百万余りが一応研究費として出されておる。ところが四十六年になりましたらこれが七百万円に減ったのですね。大豆の場合はどうかといいますと、四十二年から四十五年までずっと上がりまして四十五年には二千三百万余りが計上されたわけでありますけれども、四十六年になりますとこれが一千万円に減らされて半分以下になっている、こういう状況。これは聞いてみますと、四十五年にいろいろ機械を買ったり何かしてそういう費用がやっぱりかさんでいるんだろうと、こういうふうなお話でありますけれども、実際に行ってみますと、とにかく研究員が、たとえば病理の研究室にいたしましても研究員がたった三人しかいないとか、土壌研究のほうの部門でいきますと、とにかく学会に出張しようと思っても三人の要求に対してたった一人分しかこない、あと二人は結局自腹で学会に出かけなければいけない、こういう状況ですというお話を伺いましたが、私は研究費がこんなに貧しくては幾ら国で冷害対策と言っても、まず具体的にそういう耐寒の品種の研究は進まない、あるいは土壌改良も進まない、これでは先ほどの農林大臣も皆さんも政府委員もいろいろ専門的なことをおっしゃいましたけれども、現実にはそういう研究が進むような体制じゃないですね。  ですから、この問題につきましては私はやはり——技術者はとにかく非常に熱心にやっておられます、非常に安い給料で。たいへん失礼だけれども、確かに給料はよくない、そういう中でやはり研究者、技術者としての意欲を持ってやっていらっしゃる。そのくらいの費用が、一千万や二千万の研究費を削らなければならないということはどうしても私どもにはわからない。ずいぶんむだな戦争のための費用はばく大——何兆円と経費が出る、しかしこっちの研究はこういう状態だ、こういうことでは私はやはり冷害対策はほんとうに済むということではないと思いますので、この点につきまして一体今後どのようにこの試験研究の体制をおつくりになるつもりなのか、特に予算面から見ますと、どんどん北海道の予算は削られていっていると、減っていると、こういった状態では北海道農業をおつぶしになる考えでこういうふうに進められているのかどうか、その辺をお聞きしたいと思います。
  264. 加賀山國雄

    説明員加賀山國雄君) ただいまのお尋ねでございますが、北海道の、特に寒冷地におきます試験研究につきましては、これまで水稲だけではなくて畑作物も含めまして、かなり重点的に研究をいたしております。特に北海道における寒冷地農業中心となると思われます草地農業等のことも考えまして、昭和四十五年には北海道農業試験場に草地部等も新設いたしたわけでございます。そのほか、北海道におきましては上川に指定試験を置いておりまして、そこで耐冷品質の試験研究をいたしておりまして、これはかなり歴史的に長くやっております。また、大豆の品質育成につきましては、いまおっしゃいました十勝の道立農業試験場において試験研究をさせておるわけでございますが、ただいま研究費が、年次別にかなり減ったりふえたりしているのではないかという、こういう御指摘でございますが、これは研究費の構成にもよりますが、われわれ研究費の構成として、常に経常的に行ないます経常研究費と、それに加えまして、そのときどき重要な問題を取り上げまして、別ワク研究なりあるいは特別研究というような研究を組んでおるわけでございまして、ただ一つの研究が五年も六年もということにはなりませんが、その年次によってある一定の結果が出ますと、その研究費は打ち切られ、また新しい問題を取り上げてということでございますので、年次別に若干の高低はあろうかと思います。  特にただいま御指摘の北海道稲作のほうにつきましては、昭和四十二年にファイトトロンという施設につきまして約一億二千万円という巨額の投資をいたしまして、それを中心といたしまして耐冷性の品質の育成に鋭意努力いたしているわけでございます。でございますから、お示しいたしました研究費の中にはそういった施設関係のものは含まれておりませんので、それもそのときによりまして重点的に予算をつけてまいるということにいたしております。また先ほどちょっとお触れになりました学界への出席旅費につきまして三分の一ではけしからぬじゃないかというお話でございますが、われわれといたしましては、三分の一とるのに非常に努力いたしまして、今後ともこれの増加をはかりたいと思っておりますが、現在のところは三人に一人と申しますか、三回に一ぺんという予算が現在ついているわけでございます。
  265. 塚田大願

    塚田大願君 その問題については、事務的なお答えだけではなくて、やはり政務次官もいらっしゃるので、私はこういう問題についてほんとうに予算の面で研究者の要求にこたえるように、そうしてほんとうに北海道農民に対して責任を持てるようなそういう体制を私は政府としてぜひとっていただきたいと思っております。このことは別にお答えを必要といたしません。  時間もありませんので、最後にひとつ厚生省関係になりましょうか、お聞きしたいのであります。この冷害に対する恒久対策につきましては、先ほど大臣に午前中お聞きしました具体的な応急な問題としてお聞きしたいのでありますけれども、これは要求は各農業団体から陳情書、要請書が出ておる中でひとつお聞きしたいのは、水稲共済金の早期支払いというのがあるわけでありまして、この点は大臣からも早期に支払うようにするという午前中のお話がございましたが、問題はやはり共済金の早期支払いと同時に、さしあたって飯米もない、非常に困っている、あるいは救農土木事業にもなかなか働きに出られない。わずかな救農土木事業でみんな現金が下りるというわけでもないのですね、非常にわずかなものです、実情を聞いてみますと。ですから、やはり非常に困っている方々があるんですね。こういう困った方々に対する生活保護法の適用、そうしてまた適用条件の緩和、これをぜひひとつやっていただく必要があるのではないか。  これはやはりきょうの農政連の要求書にもちゃんとここにも出ておりまして、生活保護の適用、「都合により現金収入を得られない被害農家生活保護を支給すること。その際、適用基準を緩和すること。」、全北海道農民連盟の名前で出ておりますけれども、ところがこれがなかなかむずかしくて、三十九年のときにこの問題でかなり大きな問題が起きたんですね。ずいぶん、何人か逮捕されたり何かして刑事事件になりまして、何か非常にその適用がきびしい。おまえは乳牛一頭持っているじゃないか、土地も持っているじゃないか、そういうものを売り払ってしまってから生活保護を申請しろと、こういうひどい話がある。しかし、乳牛を売ったり、土地を売ったりしたらこれは百姓としては続けられないわけであります。こういうものは何と言ったって営農のための基礎条件でありますから、そういうものはやはり今度共済金が出ましても、あくまでも今後の営農を続けるための資金として認める、そしてほんとうにこの毎日の生活に困っている人々に対しては生活保護を適用するのが私はあたりまえではないかと思うんです。これはこの間の衆議院の農林水産委員会でも問題になりまして、厚生省は前向きでこれを検討するというふうなお話があったそうでありますけれども、その後この問題についてはどういうふうな結論が出ましたのか、それをひとつお聞きしたいと思うのであります。
  266. 藤森昭一

    説明員(藤森昭一君) お答えを申し上げます。  御承知のように、生活保護法はその法律の趣旨といたしまして、貧困におちいりました原因のいかんを問わず、無差別、平等にこれを保護すると、こういう考え方に立っておるわけでございます。したがいまして、ただいまお話がございました北海道冷害につきましても、冷害であるからという特別な条件の緩和というようなことは制度のたてまえ上困難かと思います。  しかしながら、いまいろいろと御指摘いただきました点につきまして考えてみますと、まず乳牛とかあるいは農地とかいうようなもの、いわゆる資産の保有につきましては、先生のお話もございましたけれども、一般的な原則といたしましては、被保護者が自分の持っている資産、能力、その他あらゆるものを活用してなおかつ生活ができないといった場合に保護を行なうと、こういうような立場に立っているわけでございます。しかしながら、あらゆる資産をすべて活用するということでございますけれども、実際の運用といたしましては、地域の低所得階層との実情の比較、あるいは一般水準との比較ということにおきまして適当と認められるものはこれは保有を許すと、こういう考え方で運用をいたしておるわけでございます。乳牛等につきましては、地域の低所得階層の保有状況、あるいは農地等につきましては地域の一般的な耕作面積、あるいは稼働人員等の条件考えまして、世帯の今後の自立更生のために適当と認めるものはそれらの保有を認めていく、こういうふうな考え方に立っているわけでございます。  それから共済金の問題につきましては、私どもとしましては、これは農業収入が上げられないということのためにこれに代替するものとしての性質を持っているというふうに考えております。したがいまして、これは農業収入と同様に考えるわけでありますけれども、その収入を認定するに当たりましては、当然のことでございますけれども、その収入を上げるべき各種の必要経費がございます。肥料代であるとか、農機具の修理代であるとか、あるいはまた飼料代であるとか、そういった必要経費はすべてこれを控除をいたしまして、残りがある場合にこれを収入として認定するというふうな考え方に立って運用をしているわけでございます。一般的に北海道農業の経営の規模は内地のそれに比較しまして、非常に大きいことはもう御承知のとおりでございます。そういう点は、当然のことながら、保護の実施に当たります福祉事務所等におきましてもこれを考慮の中に入れるということは当然かと思います。  なお、私どもとしましては、今後とも冷害実情把握につとめ、北海道当局と連絡をとりながら被災者の保護ということには遺憾のないようにしてまいりたいと、こういうように考えております。
  267. 塚田大願

    塚田大願君 時間がなくなりましたので、私は最後要望だけを申し上げて終わりたいと思うのであります。  午前中にも私大臣質問をいたしましたときに、三十九年の四十六国会後の災害対策特別委員会の議事録、あるいは四十七回国会の農林水産委員会の議事録を出しまして、当時やはり赤城農林大臣大臣をやっていらしたそのときの答弁の中にありましたその約束といいますか、そういうものが一体どれだけ今日、ちょうど七年です、十月の委員会ですから、七年たった今日、どれだけ前進したのかということを比較しながら質問したのでありますけれども、大体答弁はみな七年前の答弁とそうたいした変わりはないという、まことに情けない状態であることは間違いございません。皆さんが議事録をごらんになればよくわかるところであります。やはりそれでいまのような激動する情勢の中で、円の切り上げだ、自由化だというときに、日本の農業が太刀打ちできないのは、これは私、当然こういう結果になることはわかっていたと申し上げても差しつかえないのじゃないかと思います。したがって、いろいろきょうも貴重な意見を拝聴いたしましたが、政府といたしましても、積極的に日本農業の発展のために、あるいは北海道冷害対策にいたしましても、ぜひひとつ御尽力されるように心から期待いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  268. 高橋雄之助

    委員長高橋雄之助君) 本件に対する質疑はこの程度にとどめます。     —————————————
  269. 高橋雄之助

    委員長高橋雄之助君) 次に、小委員会設置に関する件を議題といたします。  いも、でん粉対策委員会設置することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  270. 高橋雄之助

    委員長高橋雄之助君) 御異議ないと認めます。  つきましては、小委員の数及び人選はいかがいたしましょうか。
  271. 前川旦

    前川旦君 私は小委員の数及びその選任方法、小委員長の選任を委員長に一任することの動議を提出いたします。
  272. 高橋雄之助

    委員長高橋雄之助君) それではいまの前川君の動議に御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  273. 高橋雄之助

    委員長高橋雄之助君) 御異議ないと認めます。  それでは小委員の数は五名とし、小委員として河口君、初村君、川村君、鶴園君、宮崎君を指名いたします。  また、小委員長河口君を指名いたします。  なお、小委員辞任の許可及び補欠の選任は、先例によりこれを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  274. 高橋雄之助

    委員長高橋雄之助君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれで散会いたします。    午後六時三十八分散会      —————・—————