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1971-08-03 第66回国会 参議院 農林水産委員会 閉会後第1号 公式Web版

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  1. 農林水産政策に関する調査 (会議録情報)

    昭和四十六年八月三日(火曜日)    午前十一時七分開会     —————————————    委員異動  七月二十三日     辞任         補欠選任      塚田 大願君     須藤 五郎君  七月二十四日     辞任         補欠選任      玉置 和郎君     梶木 又三君      須藤 五郎君     塚田 大願君  八月二日     辞任         補欠選任      塩出 啓典君     沢田  実君  八月三日     辞任         補欠選任      沢田  実君     塩出 啓典君     —————————————    委員長異動  七月二十四日河口陽一委員長辞任につき、そ  の補欠として高橋雄之助君を議院において委員  長に選任した。     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         高橋雄之助君     理 事                 亀井 善彰君                 園田 清充君                 前川  旦君                 村田 秀三君                 宮崎 正義君     委 員                 梶木 又三君                 河口 陽一君                 小枝 一雄君                 鈴木 省吾君                 温水 三郎君                 初村瀧一郎君                 星野 重次君                 堀本 宜実君                 工藤 良平君                 辻  一彦君                 鶴園 哲夫君                 中村 波男君                 塩出 啓典君    国務大臣        農 林 大 臣  赤城 宗徳君    事務局側        常任委員会専門        員        宮出 秀雄君    説明員        法務省民事局第        三課長      枇杷田泰助君        外務省経済局外        務参事官     小山田 隆君        農林政務次官   佐藤  隆君        農林大臣官房長  中野 和仁君        農林大臣官房参        事官       内藤  隆君        農林省農政局長  内村 良英君        農林省農地局長  三善 信二君        農林省畜産局長  増田  久君        農林水産技術会        議事務局長    加賀山國雄君        食糧庁長官    亀長 友義君        会計検査院事務        総局第四局長   田中  稔君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○農林水産政策に関する調査  (農林水産行政基本施策に関する件)  (農畜産物自由化緊急対策に関する決議の件)     —————————————
  2. 委員長(高橋雄之助君)(高橋雄之助)

    委員長高橋雄之助君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  一言あいさつ申し上げます。  去る七月二十四日の本会議において委員長に選任されました。委員会の運営にあたりましては、円滑公正に行なってまいりたいと思いますので、委員皆さんの御協力をお願い申し上げます。(拍手
  3. 河口陽一君(河口陽一)

    河口陽一君 一言あいさつを申し上げます。  短い期間でございましたが、皆さんの非常な御支援をちょうだいしまして、委員長の重責を果たしました。おかげさまで全法案を可決いたすことができましたことは、与野党一致しての御協力のたまものと深く感銘をいたして、厚くお礼を申し上げる次第でございます。  今後は委員として、皆さんとおつき合いをいたしてまいりますので、前回同様、御指導、御鞭撻をお願いを申し上げてごあいさつにかえる次第でございます。(拍手)     —————————————
  4. 委員長(高橋雄之助君)(高橋雄之助)

    委員長高橋雄之助君) 委員異動について報告いたします。  去る七月二十四日、玉置和郎君が委員辞任され、その補欠として梶木又三君が選任されました。
  5. 梶木又三君(梶木又三)

    梶木又三君 どうぞよろしく。
  6. 委員長(高橋雄之助君)(高橋雄之助)

    委員長高橋雄之助君) 農林水産政策に関する調査議題といたします。  先般、赤城農林大臣から、農林水産行政基本施策について所信を聴取いたしておりますので、これより質疑を行ないます。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  7. 工藤良平君(工藤良平)

    工藤良平君 農林大臣にお伺いをいたしたいと思いますが、先般の大臣所信表明と、さらに具体的な問題としていまたいへん問題になっておりますミカンの問題、とりわけグレープフレーツの輸入をめぐります、これからのミカン農家の将来の問題について若干お聞きをいたしたいと思うわけであります。  先般の国会におきましてもそれぞれ予算委員会等におきまして、これらの問題が論議されているようでございますが、その際の発言の中で特にこのグレープフルーツ輸入の問題に触れられているわけでありますが、歴代大臣が、輸入は、日本温州ミカン輸入解禁アメリカでどのように進められていくのか、そのような状態をにらみ合わせながらグレープフルーツ輸入の問題について対処いたしたい、このような発言が終始行なわれてきたわけでありますが、この点について農林大臣といたしましては、歴代農林大臣のそれらの問題についてはあまり関知していないような発言がなされているようでありますけれども、この点についてその後大臣として、新しい大臣として、どのような歴代大臣との間の意見調整なり、この問題に対する大臣考え方というものの意見調整を行なってこられたか、その点についてまずお聞きをいたしたいと思います。
  8. 国務大臣(赤城宗徳君)(赤城宗徳)

    国務大臣赤城宗徳君) グレープフルーツ輸入自由化するときには日本温州ミカン等アメリカ輸出したい、解禁州を広げていきたい、これと見合いでやりたいということを、歴代農林大臣が言われておったということは私も承知しております。承知しておりましたが、それと見合いにならずに、このようなグレープフルーツ自由化が行なわれた。こういうことは事実として御承知のことと思います。でありますので、前の農林大臣等も、しばしば温州ミカン解禁州等と見合ってと、こういう話もしておりましたので、私といたしましてもあるいは農林省といたしましても、温州ミカン等解禁州の拡大ということに努力してまいってきたわけであります。今般も数日前に担当局長が数名をアメリカへ派遣いたしまして、解禁州の拡大ということがグレープフルーツとの見合いでやるべきであったのにグレープフルーツのほうだけ自由化したということに対してアメリカ側としても十分考慮すべき立場ではないか、こういうことの申し入れと、解禁州の拡大につきましてアメリカ農務省当局とよく協議してその実現を期するように、こういうことで担当局長も派遣しておる、こういう事情でございます。なお、つけ加えますと、あるいは国会のほう、あるいは党のほうでもそういう推進をすべきではないかということで連絡をいたしておるのが現状でございます。
  9. 工藤良平君(工藤良平)

    工藤良平君 この問題については、従来からしばしばグレープフルーツ輸入の問題がもちろん論議をされてきたところでありますが、特に日米両国間の正式の議題として、四十四年十月の日米協議委員会の席上において、この問題が大体四十六年の十二月までに自由化をしたい、こういうことが一応決議をされたようでありますけれども、それが本年度急遽六月三十日から自由化が決定をした、自由化されることになった。こういうことについて私たちは若干の疑問を差しはさむわけでありますけれども、それらの背後関係、内部的な事情は一体どういうところにあるのか。それはすでに調査団も派遣をしておるようでありますけれども、ある程度の、従来の歴代大臣発言をしてまいりました、アメリカの内部における解禁状態見通しがつきつつあるというのか、あるいはまた日本国内におけるミカン農家対応策というものの見通しがついたのか、そういうような状態のもとにこの自由化というものが早められたというように理解をすればよいのか。そこら辺についての考え方をひとつ伺いたい。
  10. 国務大臣(赤城宗徳君)(赤城宗徳)

    国務大臣赤城宗徳君) 前の予定、あるいは予期していたときよりもグレープフルーツ自由化が非常に進んだ、六月に自由化になったということにつきまして、どういう事情か、こういうお尋ねであります。  一つは、国際間、特にアメリカとの国際間で国際収支その他そういう大きな観点から六月に自由化することになった、こういうことが一つあると思います。  それから第二のお尋ねで、国内事情から、ミカン対策が十分できたからグレープフルーツ自由化をしたのかと、こういうお尋ねだと思います。第二の点につきましては、ミカン対策等が十分できた、こういうふうな体制のもとにグレープフルーツ自由化した、こういうふうには私は見ておりません。グレープフルーツ自由化の後に体制を整えるというふうなことになっておるのが現状でございます。  事情を申し上げれば、そういうふうな事情と私は認識しております。
  11. 工藤良平君(工藤良平)

    工藤良平君 二番目の問題については、後ほど国営パイロット等の問題にも関連いたしますので、私は詳細にお聞きをしたいと思っているわけでありますけれども国内生産体制というものも、まだまだ緒についたといわれるかどうかという大きな問題も残っているわけでありますが、それではなぜそのような状態のもとに、このようにグレープフルーツ輸入というものが急遽なされたか、その背景についてどうも私ども納得できないのでございます。もちろんアメリカドル不足というような問題もありましょうけれども、それじゃこのグレープフルーツ輸入によってどれだけアメリカドル不足解消になるのか。これは私はむしろその量というよりも政治的な背景というもののほうがきわめて大きいのではないかという気がするわけでありまして、その点について、もう少し大臣として詳細な御説明をいただきたいと思う次第であります。
  12. 国務大臣(赤城宗徳君)(赤城宗徳)

    国務大臣赤城宗徳君) アメリカドル不足のことは御指摘のとおりだと思います。アメリカ全体の景気が下に向かっておることも御指摘のとおりだと思います。そういう関係から、自由化の点におきましても、日本政府当局と話し合ってグレープフルーツ自由化をした、こういうふうに私は認識いたしておりますが、それによって一体どれだけドル不足解消できるのか、こういうことにつきましては、私も十分それに対する認識がありません。認識はありませんが、いまのお話にちょっと触れたような政治姿勢とか対外協調とか、こういうようなことで、それによってアメリカドル不足解消するとか、あるいは日本物価関係から、どれほどまでに物価の上昇を押えることができるかということは、グレープフルーツだけで正確なデータといいますか、数字的なものを申し上げることはちょっとでき得ないと私は思いますが、要するに、政治姿勢といいますか、国際協調といいますか、そういう関係からの一つの糸口でやられたと、そういうふうに私は見ておるわけであります。
  13. 工藤良平君(工藤良平)

    工藤良平君 それでは、現在、グレープフルーツ国内にどの程度輸入され、将来どのような量が輸入されていくのか、その見通しについてお聞きいたしたい。
  14. 国務大臣(赤城宗徳君)(赤城宗徳)

    国務大臣赤城宗徳君) 数字のことでございまして、事務当局から答弁いたさせます。
  15. 説明員(内藤隆君)(内藤隆)

    説明員内藤隆君) お答え申し上げます。  現在と申しますか昭和四十五年におきまするグレープフルーツ輸入数量は二千二百六十五トンでございます。将来の見通しという問題につきましては、現在御案内のように港湾スト等との関係で市場に入ってきておりません。将来の予測ということは非常に困難でございますが、現在のアメリカ輸出余力それから他の国々に対します輸出実績というようなものを考えますると、当面、近い将来は年間一万トン程度にはふえるんじゃないか。将来の供給余力それから可能性というようなことを考えますると、数年あとには十万トン程度の水準になるのではないか、こういうふうに、現在入手できます情報をもとにいたしまして一応の判断をしておるというような次第でございます。
  16. 工藤良平君(工藤良平)

    工藤良平君 現在、二千二百六十五トンですか、それが一万トン、やがて十万トンというふうなことになりますと、これは金額に直して大体幾らぐらいになりますか。
  17. 説明員(内藤隆君)(内藤隆)

    説明員内藤隆君) 現在の二千トンで金額にいたしますと三億円でございますので、一万トンになりますれば十五億円、それから十万トンになりますれば、一応現在のような価格で百五十億というようなことに相なろうかと思います。
  18. 工藤良平君(工藤良平)

    工藤良平君 金額に直しますとこれはあまり大した影響ということにはならない。いま、大臣がおっしゃるように、ドル解消という問題についてはそう大きな問題ではないと思うわけであります。したがって私は、むしろ——その金額ドル不足解消するためのそれからするとあまり大したことはないんだ、にもかかわらずこれがこれだけ行なわれ、しかもそれは国内的にはミカン生産農家に及ぼす影響というものは非常に大きいわけであります。大きいといいましても金額的に見れば私は大したことはないと思うのです。これは精神的な影響というのがきわめて大きいわけです。  具体的にお話し申し上げますけれども、今日までミカン農家で、非常に熱意を持って進めてこられましたミカン農家方々が、すでに数年来グレープフルーツ輸入というものが宣伝をされ、それが非常に大きな影響を及ぼすということから、せっかく新しい農業経営を求めて努力をしてきた農家が、いま非常にこのミカン農家中心として離農が行なわれているわけです。これは一体、どういう程度ミカン農家であれば国際的に日本ミカン農家というものが成り立つのかということも私は後ほどお聞きをしたいと思っておるわけでありますけれども、いまおっしゃるように、当面一万トンだと十五億円だと、こう言われる金額からしてみれば大したことではないわけでありますけれども、それがどういうように生産農家影響を及ぼしてきているのか、これをほんとうに農林省把握しているのかどうか、これを非常に疑問に思うわけであります。  具体的に申し上げますと、いまここに、これは私の県の一農家でありますけれども、水田が三十アール、ミカン園成木園で八十五アール、まだ若木でありますけれども、三年生から五年生の若木を持っています園も三十五アール、合計百二十アールのミカン園を持った農家がいるわけであります。構成家族人員が四人でありますけれども、この人が組合資金二百四十五万五千円借り入れた。転貸資金八十四万五千円、これで実は今日まで農業経営を行なってきましたけれども、遂に農業経営ができずに——、このミカン農家は三十三年にいわゆる開園をしたわけでありますけれども、新しい農業計画が始まります三十六年の農業基本法以前にすでにこの方は踏み切ったわけでありますが、その農家というのはすでに今日三百六十七万の負債をかかえて、全部自分の財産を今度売り払っている。幾らかといいますと、二百三十万で売り払った。結局あと百三十万円の不足がありますために全部一家をあげて出かせぎに定着をするという状態が生まれております。  これは一つの例でありますけれども、これはいま各地にそういう状態が起こりつつあるわけであります。これは金額にいたしますとわずかな金額かもわかりません。日本の商品につきましても、ミカン農家にしましても、大した影響はないというふうに理解されるかもわかりませんけれども、しかしいま農業を求めていこうとする農家にとってはこれはやはり大きな脅威になっているわけであります。これは重大な問題として提起をしたいわけであります。したがって、いま申し上げましたように、お答えになりましたように、わずかな金額でありますけれども、この及ぼす影響波及効果というものをどのように見ていくか、これはきわめて重大な問題だと思うのであります。農林省としてはこの点についてどのように理解していられるか、お答えを願いたいのであります。
  19. 説明員(内藤隆君)(内藤隆)

    説明員内藤隆君) グレープフルーツ自由化によります国内かんきつ類への影響ということだろうと思いまするが、私どもいま先生お話しのように、グレープフルーツ自由化によりまして温州ミカン自体の需給なり価格基本にそう大きい影響があるというふうには考えておらないわけでございます。ただ、晩カン類と申しますか、晩カン類一般につきましては、御指摘ございましたようなそういう外国の果実との競合というようなことをも考えまして、農家の間で非常に品種更新と申しますか、優良品種への転換というようなことも最近に至るまで相当行なわれてきて、非常に優秀な晩カン類も国産で供給できるようになっている現状であるというふうに思いますが、先ほど申し上げましたように、グレープフルーツ自由化することによりまして、現在の制限された状況のもとにおきますグレープフルーツ価格よりは将来はそれは若干と申しますか、相当低下するであろうということによりまして晩カン類のうちの一部のものにつきましては直接競合関係というようなものから価格への影響は避けがたいというふうに一応は考えられます。そういうものにつきまして、将来その転換なりそれから生産性の向上なりということに農林省といたしましては努力してまいりたいと、こういうふうに考えておる次第でございます。
  20. 工藤良平君(工藤良平)

    工藤良平君 これは後ほどもう少し詰めたいと思いますが、このようないま輸入見通しというものが大体農林省としても一応の計画はあるようでありますが、価格の面においては一体どういうようなことで推移をしていくか。現在の輸入価格と、それからもちろんこれは小売り価格はいろいろなケースがあるようでありますけれども、実際の平均価格として見た場合にどのような価格推移をたどるかお聞きいたしたい。
  21. 説明員(内藤隆君)(内藤隆)

    説明員内藤隆君) 計数にわたることでございますので私から申し上げますが、先ほど申し上げましたように、自由化されました現在におきましても、港湾スト等関係もございまして、現在入っておりますもののグレープフルーツ価格というものは先生方案内のように必ずしも下がっておりません。したがいまして若干の幅はございますけれども、一個三百円というような価格でございますが、将来の先方供給価格その他等を考えますと、それから現在日本に入っておりますものがかなり優秀なもの、優秀なものと申しますか、玉の大きさ等につきましても優秀なものが入っておりますけれども自由化後におきましてはそういうものについても若干の変化が生ずるというようなことを考えますと、およそ先方供給価格等から考えまして百五十円前後で供給されるようになってくる、こういう見通しを持っておるわけでございます。
  22. 工藤良平君(工藤良平)

    工藤良平君 大体平均三百円前後という、——すでにデパートあたりでも百五十円前後の安売りが行なわれているのを私どもは見かけるわけでありますけれども、そういうことからいたしますと、価格の問題についても一つの大きな脅威になるだろうと思いますが、問題は私はこれはかつて紅茶の問題でいろいろとお聞きしたことがあるんですけれども輸入をする輸入業者というのは一体幾らぐらいあるんですか。何社ぐらいあるんですか。具体的に輸入をしている、実際に扱っている業者は何業者くらいですか、その点についてお聞きしたい。
  23. 説明員(内藤隆君)(内藤隆)

    説明員内藤隆君) 現在グレープフルーツ輸入実績を持っております商社と申しますのは概数で百二十社程度というふうに聞いております。
  24. 工藤良平君(工藤良平)

    工藤良平君 百二十社ある業者のほとんど全部品物そのものを扱っているわけなんですか。
  25. 説明員(内藤隆君)(内藤隆)

    説明員内藤隆君) その現物の扱い等輸入商社の監督につきましては、私ども商社を直接監督しているわけではございませんので、ちょっとその内容について現在つまびらかに御返事するわけにはまいりません。
  26. 工藤良平君(工藤良平)

    工藤良平君 通産省おりませんか。——それじゃ農林省は直接扱ってないようですから、なかなかむずかしい問題だと思いますが、たとえば私、紅茶の問題でいろいろとこの問題を調べたことがありますが、紅茶の場合も輸入業者というのはたくさんあるんですけれども、実際に具体的に品物を扱っている業者というのはごく限られた業者になっているようであります。いわゆるペーパー業者といわれる業者がたくさんあるようでありますけれども、こういう問題が今後のグレープフルーツ輸入という問題についてどういうような形になるのか、私はたいへん重要な問題だと思いますし、きょう通産省見えなければ後ほどの機会に再度お聞きをしたいと思いますけれども、しかし農林省としてもその概略ぐらいは把握をしておらなければ、一体それに対応する対策というものは私は出てこない。通産省にまかせる、だから通産省農政といわれる現在の農民を忘れた農政が生まれてくるわけなんです。たいへん問題だと思っているわけです。その点について農林省としては全く把握をしていないわけなんですか。
  27. 説明員(内藤隆君)(内藤隆)

    説明員内藤隆君) 百二十社のうち具体的に物を扱う関係がどうなっておるかということについていま詳細な資料を持っていないというふうに申したわけでございまして、数量割り当てと申しますか、輸入制限をいたしまして数量割り当てをいたします場合には原則として従来とも輸入割り当て実績のある商社を対象といたしまして、国内におきます過当競争、それから海外におきます輸出の独占というようなことの弊害を国内に直接転嫁しないようにというようなことでやっているのが通例でございます。自由化いたしました後におきましてはそういう数量割り当てに伴う商社制限方法というようなことは全然たてまえ上は必要でなくなりますので、全く商社の活動も自由ということに相なるわけでございますが、これは何と申しましても先方供給業者との間に従来取引があります業者というものが、国内に対しますこういう輸入業務におきましても優位に立つということは当面当然でございますので、輸入実績のあるものを中心にいたしまして商社間の競争が行なわれる、こういう、当然のことでございますが考えておるわけでございます。
  28. 工藤良平君(工藤良平)

    工藤良平君 この問題についてはこれ以上農林省を責めてもいたし方ありませんので、これは委員長にお願いいたしますけれども輸入業者の数、名前、そして実際に扱っている業者のリストをつくって資料として提出をお願いいたしたい、こういうように思いますのでよろしくお願いいたします。  それでは質問を続けたいと思います。  先般七月の二十九日に外資審議会が開かれまして、そこで第四次の資本自由化についての答申をなさったようでありますが、その際に、非自由化の七業種の中に農林水産業というものが入っているようでございますが、これはもちろんばく然とした農林水産業ということでありますのでどういう品目が残されるのかわかりませんけれども、特に晩カンの問題について非常に大きな脅威を持っております。オレンジ果汁の問題についての自由化ということについて非常にミカン農家方々が神経質になっておられるのでございますが、グレープフルーツに続いてオレンジあるいは果汁自由化が行なわれることになりますとこれはたいへんな問題でありますので、この点についてこの七業種を残されておる中の、いわゆる農林水産業と指定されたその中にこれらの内容が含まれているかどうか、この点についてお伺いをいたしたいと思います。
  29. 国務大臣(赤城宗徳君)(赤城宗徳)

    国務大臣赤城宗徳君) 外資審議会で答申されましたのは資本自由化でございます。その資本自由化個別審査によるというものを七業種あ、げたのでございますが、資本自由化でございます。その中に農林水産業というのが入っておるわけでございます。いまお尋ねオレンジ果汁等は物の自由化資本自由化の中に入っておるわけじゃございません。そういうたてまえでございます。
  30. 工藤良平君(工藤良平)

    工藤良平君 わかりました。それでは果汁オレンジ自由化という問題についてはどうなるのか、この点について大臣の御見解をお伺いいたしたいと思います。
  31. 国務大臣(赤城宗徳君)(赤城宗徳)

    国務大臣赤城宗徳君) いま物の自由化で残っておるものが二十八種目ございます。その二十八種目の中から農林物資として最終的にきめていくような進め方をしているのが十品目のうち七つでございます。でありますので、二十八品目の中にオレンジ果汁等が入っておる、そういうことでございます。
  32. 工藤良平君(工藤良平)

    工藤良平君 二十八品目の中には入っているけれども、最終十品目の七品目の中に果汁オレンジが入るという保証はないわけでありますか。こめ点について再度お伺いいたします。
  33. 国務大臣(赤城宗徳君)(赤城宗徳)

    国務大臣赤城宗徳君) その七つを選ぶということで、どういう品目を選ぶかということはいま検討中なんでございます。でございますので、まず入れたくないとは思っているんですが、入れるか入れないかということをいま御返事申し上げる段階ではございません。
  34. 工藤良平君(工藤良平)

    工藤良平君 これは大臣農政に対する基本的な姿勢とも関連をしてくるわけでありますけれども、米の問題については後ほど辻委員がやられますから私はきょうは省略をしたいと思いますけれども、お米の問題について御承知のように生産調整で農民に協力を求めている、その新しい道として果樹やあるいは畜産や蔬菜ということが、今日十年来そのことが農林行政の大きな柱として進められてきたわけであります。いまグレープフルーツの問題については夏カン、甘夏等については大きな影響が出るけれども、全体的に晩カンについてはそう大きな影響は出ないだろう、しかし、果汁やあるいはオレンジという問題が自由化という段階になりますと、これは重大な問題になってくるわけです。日本農政の根本に触れる問題ではないかと私は思う。いま農林大臣が新たな決意で農林行政に取り組もうというやさきに、果汁オレンジについてはまだはっきりした考え方を申し上げるわけにはまいりませんということで、一体それじゃいま国営や県営のパイロットを進めている最前線における農業政策推進者にとってはどういうことになりますか。これはたいへん重大な問題であります。ここで大臣がじっくりとやはり腰を据えて、果汁やあるいはオレンジについてはどんなことがあってもやはり農政基本としてそれはちょっと困ると、こういう姿勢になるのかどうかということが、私は将来におけるあなたのおっしゃる総合農政を本格的に進めるということの基本にもなるわけでありますが、そういうあいまいな態度で、はたしていまパイロットを進めている現状がうまく進行してまいりますかどうか、その点に対する姿勢を私は大臣からはっきりとお伺いしたい。
  35. 国務大臣(赤城宗徳君)(赤城宗徳)

    国務大臣赤城宗徳君) この問題はいずれ今月中にでもきめなくてはなりませんが、農林関係の物資はどれもこれも入れたくないんですよ、実際は。ですから、その入れたくないものの中でどれを選ぶかということは非常に私も苦心するわけです。農林省としても苦心し、ほかの省との関係も苦心し、いま苦心の最中でございますので、だからこれを入れるとか入れないとかいう返事はまだ少し早いと、こういうことを申し上げたんでございますが、御指摘の気持ちはよく私だってわからないわけではございません。しかし、現段階におきましてはそれをきめたわけじゃございませんからまだ御答弁できないと、こういうことを申し上げたんです。
  36. 工藤良平君(工藤良平)

    工藤良平君 私は大臣のその姿勢というものが問題だと思うんです。いまの日本の農林行政というものは通産省農政なんです。そこに農林省の方たくさんいらっしゃいますけれども、残念ながら農民のための農林行政になっていないんです。あなたがほんとうに農民の代表としての農林大臣であるならば、少なくとも二十八品目については今後まかりならぬという姿勢を堅持することによって通産省やあるいは大蔵省との折衝というものが進められていくわけじゃないですか。いまあいまいな態度であれも落とされ、これも落とされということになるのが私は落ちじゃないかと思うんです。いま農民は追い詰められている、農政は追い詰められているんです。通産省農政なんです、いま残念ながら。(「アメリカ農政だ」と呼ぶ者あり)通産省農政ということはいまおっしゃったようにアメリカ農政ということにつながるわけです。私は少なくとも通産省農政であってもらいたくない。ここで農林大臣はやはり農民の立場に立って農政というものをあくまでも堅持していくという姿勢がなければ、全くグレープフルーツのように二十八品目をどんどん落とされていくという形になるんじゃないか。これはいま大臣の姿勢というものは非常に大切だと、はっきりやはり二十八品目についてあくまでも死守していくんだという姿勢が私は今日の大臣の姿勢でなきゃならぬと思うんです。その姿勢の上に立って——もちろんそれは国際的な推移もありましょうから、折衝ということは私はしていかぬということではありませんけれども、そういう姿勢の上に立って初めて行政というものは成り立つんじゃないでしょうか。その点について私はもう一ぺん大臣の真意をお伺いいたしたいと思います。
  37. 国務大臣(赤城宗徳君)(赤城宗徳)

    国務大臣赤城宗徳君) 考えについては別に工藤さんと違っている考えは持っていませんが、しかし国際的な問題もあり、国内的のいままでの経緯もあり、でありますから、どういうふうにやるか、二十八品目みんなけ飛ばせと言ってもそういうわけにもまいりません。確かに農民の代表で農林省をしょって立っているのでございますが、御承知のように農林省国際的な関連が非常に強くなっているし、国内的にいいましても、いろいろ生活面、物価面などもありますから、そういうことを勘案していまからきめていかなくちゃならぬ。しかし、その農業に対する考え方につきましては、私は工藤さんの考え方と別に違っちゃいません。違っていませんが、具体的に二十八品目のうちどれときめるかということについて、いま言えと言ってもまだ言えないと、こういうようなことを申し上げているわけです。
  38. 工藤良平君(工藤良平)

    工藤良平君 これからの問題とも関連をするわけですが、私はその大臣の姿勢というものは非常に大切だと思っているのであります。私の考えと同じようであるということであればけっこうなことですが、二十八品目をこれは死守してもらう、こういう姿勢であなたはこれからの行政に取り組むかどうか。もちろんその過程の中で通産省、大蔵省に負けるということがあるかもわからぬ。それはやっぱりこれからの農民をささえていく力が大きいか小さいかということにもちろん関連をしてくるだろう。しかし、私の考え方と全く一致だと、こう言ってみても、これは委員会の答弁にしかすぎないわけで、私が言いたいのは、私はいまあなたの立場と同じだけれども大臣という立場がありますから、その違いは私は認めているわけです。認めているけれども、しかしあなたのいま大切なことは、そういう二十八品目をやはり守っていくという姿勢の上に立って初めて成り立つのではないかというふうに思っているわけですが、その点については私の発言について御了解ができますか。
  39. 国務大臣(赤城宗徳君)(赤城宗徳)

    国務大臣赤城宗徳君) 私は工藤さんと同じだと言うのじゃないのですよ。考え方というか、それは工藤さんの考え方に私は同調している。しかし、二十八品目みんながんばれ、工藤さんが言ったからがんばると、こういうことを私が言っているわけじゃございません。それは国際情勢、国内情勢、他産業との関係ども考えて適当に処理するべくいま検討中なんで、その考え方には私は同調するのですが、考え方の、具体的な二十八品目を最後まで、討ち死にするまで戦えと言ったところで、それはなかなかそれには同調できません。
  40. 工藤良平君(工藤良平)

    工藤良平君 大臣が、どうも考え方は同じだけれどもと言うが、考え方が同じなら同じ姿勢で行政に取り組めると思うのです。しかし、それは力関係がありますから、最終段階で二十八品目を、どうしてもしようがない二十品目になったということは、それはあり得るかもわからない、行政としてあり得るかもわからないけれども、いましかし、大臣がこれからの農政を進める上において、どうもはっきりわからないという姿勢では、私は農政はできないと思う。そこを言っているわけです。それについては、大臣としては確認をしていただいても私は何らさしつかえない。何らさしつかえないというよりもむしろ当然のことではないか、このように思うのですが、どうも私はその点もう少し大臣のはっきりとした考え方をお聞きをいたしたいと思いますね。それじゃ総合農政は進められませんよ、政府の言う総合農政といわれるものは。どうですか。
  41. 国務大臣(赤城宗徳君)(赤城宗徳)

    国務大臣赤城宗徳君) 御意見として承っておりますが、先ほども申し上げたように、総合農政がこれだけできまるわけでもございません、これも大きな要素でございますが。でございますので、諸般の政策あるいは行政を進める総合農政の線を進めていきたいと、こう思っているんで、その具体的におっしゃるようなことを私にのめと言っても、私はちょっと、検討中でございますから、のむわけにはまいらない、こういうことを申し上げたわけです。
  42. 工藤良平君(工藤良平)

    工藤良平君 別の角度から私はお聞きをしてみたいと思うのですが、農林省は四十三年の十一月二十二日に、農業基本法第八条に基づく「農産物の需要と生産の長期見通し」というものを発表しておりますね。これと、それからことしの農業白書を見てもわかりますけれども、これからの日本農業の行くべき姿というものがここに浮き彫りされているわけですが、私はその面から大臣考え方との矛盾を追及してみたいと思うのです。  農林省としては、現在もこの四十三年に出されました「長期見通し」についてこれをあくまでも進めていく、こういう立場に立っていられるのかどうか、その点をお聞きをいたしたい。
  43. 説明員(中野和仁君)(中野和仁)

    説明員(中野和仁君) 四十三年の「長期見通し」につきましては、その後御承知のように米の生産過剰等の問題が出てまいりまして、部分的にその後修正をしております。それは現在「農業生産の地域指標の試案」というものを昨年末つくりまして、それによりまして若干修正をしております。しておりますが、その他のものについては現在の地域指標の見通しにおきましてもそのまま採用しているわけであります。しかし、いろいろの情勢が変わってきておりますので、いずれまた検討を要するかという気もいたしますけれども、現在のところは四十三年の「長期見通し」と、それからその後出ました地域分担の場合の試案ということで将来の見通しを立てているところでございます。
  44. 工藤良平君(工藤良平)

    工藤良平君 その「長期見通し」によって、これからの国内における果樹生産というものはどのようなテンポで、どのような計画で進められていくのか、その点をお聞きいたしたい。概略でいいです。
  45. 説明員(内藤隆君)(内藤隆)

    説明員内藤隆君) いま先生からお話がございました「需要と生産の長期見通し」、それで果樹につきましては御案内のように、果樹農業の振興法に基づきます振興の基本方針というようなことで具体的な植栽の計画、需要量の予想、その基本はもちろん「需要と生産の長期見通し」と同様でございますが、その四十二年に策定いたしました基本方針、本年はその改定期に当たっているわけでございまするけれども、四十二年に策定いたしました基本方針によりますと、たとえば、ミカンにつきましては前期五年間に三万ヘクタール、それから後期五年間に一万五千ヘクタール、五十一年におきまする生産目標を三百六十四万六千トン。需要につきましては、これは需要でございますので、若干の幅を持つことは当然でございますが、三百三十七万トン弱から三百七十一万トン程度、こういうふうに見まして計画を策定しているわけでございまして、果樹全体について申し上げますると、需要の総量を七百九十四万トンから八百五十六万トン程度、こういうふうに見まして、前期に七万五千ヘクタール程度、それから後期に五万三千ヘクタール程度の、改植を含むでございますが、植栽の目標を立てまして七百六十八万トン程度の生産を見込むというようなことで進んでまいったわけでございまして、実績につきましてはこれも先生御案内と思いまするが、温州ミカンにつきましては前期の三万ヘクタールという計画の植栽目標に対しまして三万二千ヘクタールの実績というようなことになっておりまして、樹種によりましておのおの過不足がございまするけれども、おおむねこういう方向で前期の生産と需要というものが進んでまいっている、こういうふうに考えておるわけでございます。
  46. 工藤良平君(工藤良平)

    工藤良平君 いまおっしゃいましたように、これからの「長期見通し」の中ではやはり果樹に対するウエートというものがこれからの農業の中に非常に大きなウエートを占めているわけであります。そういう点からいたしまして、さっき大臣もおっしゃったようなあいまいな態度ではこの政策を私は進ゆることができないと思うんです。こういう大きな長期的な政策を進めていくわけなんです。農家方々はやっぱりそれを一つの大きな目標に置いた生産体制に入っているわけであります。大臣、その実情御存じでしょう。いまおっしゃったように、これからの生産体制というものはやはり果樹に相当なウエートが置かれて進められている状況なんです。その状態の中で、あなたがおっしゃるようなあいまいな態度ではこれからの農政というものは進められないと思うんですね。大臣はやはりこの計画を今後も推し進めていく計画なんでしょうか。
  47. 国務大臣(赤城宗徳君)(赤城宗徳)

    国務大臣赤城宗徳君) 「生産の見通し」の調整といいますか、変わった点もあると思いますが、果樹の点その他もそうでございますが、それで生産を続けていくのか、こういう御質問でございますが、もちろんその方向で進めるのでございますが、それにはやはり国際的に農産物が競争力を持つようなことをしなければこれもやっていけないんです。ただ数字だけで生産性、生産を目標としてやっていくか——もちろん目標は持ちますが、その目標を進めていくためにはやはり国際競争力といいますか、そのためには基盤の整備もございましょうし、品種の改良もありましょうし、いろいろな総合的な施策のもとで進めていく、こういうふうに御理解いただきたいと思います。
  48. 工藤良平君(工藤良平)

    工藤良平君 大臣はとかく国際国際的ということでそこら辺に逃げ込むわけでありますけれども、じゃ、私お聞きをしますけれども、いま進めている果樹振興の計画の中で国際的にそれでは太刀打ちできる果樹農家というものは一体どういうところに基本を置いておりますか、面積において、生産量において、農家の収入において。これを私はお聞きをいたしましょう。どのようなことを一つの目標において、いわゆる国際的に日本の果樹農家というものが成り立つ経営というものは一体どういうことなのか。それに基づいて国営パイロットなり、あるいは県営パイロットというものが進められていると思うんですけれども、その目標というものはどこに置いておりますか、国際的に太刀打ちできるということならば。しかもそれは何年後にそういうことになるのか。あなたたちはきちんと計画を持って進められておると思うのですが、それを御説明いただきたいと思います。
  49. 国務大臣(赤城宗徳君)(赤城宗徳)

    国務大臣赤城宗徳君) 逃げ道を、逃げ口上を言うわけではございませんが、お尋ねのとおり何年間にどいういうふうにやったら、幾らやったらというふうな、こういうことは工業生産と違いますから、農業生産においては農民もおられるし、日本農業形態もありますから、それを工業生産のように適確にどれだけの大きさ、どれだけの価格、こういうことは正確に数字を出すわけにはまいりません。わけにはまいりませんが、やはり何んといたしましても——どれくらいのヘクタールという話でございますが、規模は拡大しなくちゃならぬし、労力は共同的にやらなくちゃならぬし、あるいは機械も入れなくちゃならぬし、そういうものも総合してやっていかなくちゃならないので、国際的にといいましても国際関係でもいろいろございます。国によっても違うのでございます。しかし、国際競争力を培養するという、こういうことは当然しなければならぬと思います。あるいは国際競争力がどうしても成り立たないというものも果樹ばかりではありませんが、あると思います。こういうものに対しての対策というものは、これは農業だけの対策ではできません。国民全体の、国民としての、国全体の対策というものもございます。そういうことでございますので、それを適確にどれだけのあれがあったらと、こういうことはちょっと申しかねるわけでございます。
  50. 工藤良平君(工藤良平)

    工藤良平君 農林省としてはそういう計画はないわけですか。目標というものを持っていないわけですか。ただ総括的に生産量としてこれこれの需要があるからこれこれの生産を十カ年なら十カ年に達成をしたい、こういうことなんですか。一つのやはり個々の農家がいわゆる経営として成り立つ規模というものは一体どういうことなのか。しかも、それがやはり国際的に関連を持つ農業というものに考えざるを得ないというかっこうになってきた。その上に立って年次計画というものが修正されていくのじゃないですか。簡単に役人の事務的なこととしてそれが修正されていくのですか。私はそうじゃないと思うのですね。国際的な非常に重要な貿易の自由化が出てきた。それに対応する日本農業というものはこうこうこういうことが必要なんだということで、もちろん日本の経済全体の中における農業の位置づけ、さらにその中における個々の農家の位置づけというものが明らかにされて、その青写真に基づいて農政というものは進められていかなければならぬと思うのです。  私は、今度各地を回ってきましたけれども、国営パイロットの状態はどうですか。ばく大な金を入れているけれども、現地に入ってみるとスピードスプレーヤー一つだって入らないじゃないですか。国営パイロットの当初の計画に対して、個々の農家が、非常に進んだ農家は設計費だけでも三十ヘクタールについて百五十万円の別途の自分の金を出して設計をつくり変えなければ役に立たないという状態が国営パイロットの状態なんです、私現実を見てきましたけれども。私は、だからこそいまの農林行政というものに対して腹が立つわけであります。青写真がないのです。あるとすれば、なぜそれを推し進めるための具体的な措置を講じないのかという議論になるわけであります。いまの大臣のようなことでどうしてこれからの農政ができますか。個々の農家のやはり経営というものを考えながら、それが国際的に太刀打ちできるものは一体どういう方策なのかということを私たちは追及しなければならない。大臣にいまのそのような姿勢がありますか。非常に私は残念に思うのですけれども、どうですか、その点。
  51. 国務大臣(赤城宗徳君)(赤城宗徳)

    国務大臣赤城宗徳君) 大体の青写真はありますが、先ほど申し上げたように、それで必ずあれだという、工業生産と違うということをちょっと申し上げたわけでございます。大体の青写真的なものはございますから事務当局から答弁させます。
  52. 説明員(内藤隆君)(内藤隆)

    説明員内藤隆君) いま大臣がお話しになりましたように、先ほど申し上げました「果樹農業振興基本方針」におきましては、第三といたしまして、「近代的な果樹園経営の基本的指標」というものをつくっているわけでございます。もちろんこれは経営としてとらえておりますので、所有その他の関係、現実の経営のマネージというようなことから申しますといろいろ複雑な問題はございますけれども、一応、作業単位というか、そういう語感に近い経営というようなことで、たとえば温州ミカンにつきましては、最低十二ヘクタール程度のもので、反当収量を三トン半程度にまで持っていく。そのための機械装備、その他を考慮いたしますると、成園十アール当たりの労働時間は百十六時間程度現状で現実に望み得る技術の水準といたしまして、そういう程度のものであろう。そういうものの、実現のために、いろいろ国としての必要な施策を講ずるというようなことになっておりまして、いま近代化事業その他、従来から実施しておりまするけれども、これはもちろん農林予算全体の中に占めます地位その他におきまして、こういう段階におきましては、先生御指摘のように、飛躍的に充実する必要があるというようなことは、農林省としても痛感している次第でございまして、四十七年度予算の要求を通じまして、そういう近代化事業というものの拡充をはかってまいりたい、こういうふうに考えているわけでございます。
  53. 工藤良平君(工藤良平)

    工藤良平君 いま大体果樹農家にして十二ヘクタール、反収三・五トンというような一つの青写真が出されたわけでありますが、私はこれは一つの町の、現在の経営状態を見てみますと、大体三ヘクタール以上というものは、これはもうごく微々たるものであります。千三百農家の中で五軒しかないわけですね。ごく特異な十二ヘクタールというのは——私も現実に十二ヘクタールの、未成園でありますけれども、来年から相当な、ミカンをつけようというような計画で進めている農家を、一昨日見てまいりましたけれども、相当意欲的にやっているわけですね。そういうような農家では、いまおっしゃるように、十二ヘクタール、反収三・五トンという目標を達成できるだろうと私は思っているんです。ところが、全体的にながめてみると、それはごく微々たる農家にしかすぎない。こういうことになると、全体的に日本の果樹農家というものは、まだまだ問題にならない状態にあるのだ。これから国営パイロット、県営パイロットを進めるにしても容易ならざる状態であります。  そういう状態にあるときに、先ほど申し上げましたように、やはり日本農業を一人前の国際的な規模に持っていくためには、なお今日相当な、やはり貿易自由化に対して、抵抗というものが農林省としても必要ではないか、こういうような私は結論に到達をいたしたのだと思うのでありまして、そういう点からも、ぜひ大臣といたしましても、この所信表明にもありますように、総合農政を本格的に進めるとか、あるいは農業の前途の不安感を解消するとか、たいへんいいことばを使っているわけでありますから、その場合にはいま言ったような、やはり大臣としての姿勢というものが、私は冒頭において必要ではないか、このように考えるわけでありまして、そのようなことからいたしまして、ぜひこれらの問題については、大臣としてもひとつまっこうから取り組んでいただくように、私は特に大臣の意見をお聞きをいたしたい、このように思うわけであります。
  54. 国務大臣(赤城宗徳君)(赤城宗徳)

    国務大臣赤城宗徳君) 所信に申し上げたような方向で、私もいきまするし、具体的な問題につきましても、その方針に沿うようなことでやっていくわけでございます。ただ自由化の問題につきましては、いままでの経緯もあり、あるいは国際的な関係もあり、全面的に工藤さんの言うとおりにやるんだということは、まだ言いませんから、その点は御了解願いたいと思います。
  55. 工藤良平君(工藤良平)

    工藤良平君 たいへん私、こだわるようでありますけれども大臣に、それでは果樹それからオレンジの問題については、ここ当分そういう問題については、もちろん貿易自由化ということについては考えていない、こういうような御発言はいただけますか。
  56. 国務大臣(赤城宗徳君)(赤城宗徳)

    国務大臣赤城宗徳君) 大体八月一ぱいに、残存品目の自由化について、協議をすることになっておりますので、ここ当分というのが一年とか二年とか、こういうようなことには申し上げられませんが、いまの段階では、これを除くということをはっきりとは言いませんが、除きたい気持ちではいるんですが、どういうふうになるか、はっきりしたことは申し上げる段階ではございません。
  57. 工藤良平君(工藤良平)

    工藤良平君 除きたいということで、それはあなたの意思として受け取ってよろしゅうございますね。そうしてもらわなければ、これは生産農家としてはたいへん困りますから、ぜひそういうことで、大臣としては臨んでもらう。これはぜひお約束をしていただきたいと思うんです。
  58. 国務大臣(赤城宗徳君)(赤城宗徳)

    国務大臣赤城宗徳君) 意思でございますかと言うんですが、意思でございますから約束はできません。意思だけで、気持ちだけですから、そういうことに御了解願います。
  59. 工藤良平君(工藤良平)

    工藤良平君 もちろん相手のあることですから、一人で相撲とるわけにいきませんので、私、その点理解はできますが、やはり姿勢としては、いまおっしゃったようにぜひこれは何とかして残していきたいという気持ちで今後の折衝に当たっていただく、このように私は理解いたしたい、このように思います。  それでは農林省に、もうちょっと具体的な面でお聞きをいたしたいと思いますが、現在の進めておられる国営パイロットの問題ですね、あるいは県営パイロットに対する指導の問題ですが、現地に入りますと、どうも機械が入らないとか、農林省のパイロット計画が非常に中途はんぱなものだということが言われているわけです。これは実際に皆さん方現地に入っていただけば、これは役人が入りますと、下の人はあまりよく——たいへんりっぱですということで逃げるわけですが、私ども現地に入ってみますと、一番先に聞くことは、非常に中途はんぱだということを聞くわけであります。やるならやるように徹底的に、やはり新値なら新植をさせるように、深耕させるということが必要ですけれども、どうも具体的にそこまでやっていないようであります。非常に先進的な農家から聞きますと、あれじゃ国営パイロットはだめですよということを必ず聞くわけですね。だから自分で新たな予算をつけて測量からやり直すということがいまのパイロットの状態で出ている。これは非常に重要な問題だと理解をいたしておるわけでありまして、これは、ただ単に予算をおろせばそれでいい、具体的に図面が上がってきて、実施計画が書面で上がってくるということならいいということではなく、やはり具体的に現地に入り込んでいただいて、これからの果樹農業にとって、後顧の憂いのない、農民が安心して経営ができるような仕組みというものを考えてもらわなければいかぬと思うんですね。したがって今後、助成率の問題やあるいは具体的な実施段階における指導等につきましても、一貫的な技術体系を含めたやはり指導体制というものが必要ではないか。ただ、園だけを、造園をすればいいということは言えないと思うんです。生産に完全に結びついた、できれば流通過程まで結びついた一貫した指導体制というものが必要だと思うんですけれども、どうもそうでないような気がいたしますので、この点についての農林省の姿勢というものを最後にお聞きをしたいと思うのでございます。
  60. 説明員(三善信二君)(三善信二)

    説明員(三善信二君) 国営開拓パイロット事業につきましては、御承知のように最近、要望としては非常に多うございまして、現在でも相当の予算と、それから地区数も毎年追加して採択をしておるわけでございます。ただ御指摘のように、内容につきまして一貫した補助体制といいますか、実施体制というのが多少欠けているのじゃなかろうかということも必ずしも言えないわけではないと思います。私どもとしましては、ただ農地局で、土地改良のワク内でこれを実施いたしますので、その限度というのはございますから、その限度の範囲内でできるだけのことは考えているわけでございます。今後、こういう事業をやっていきます上におきましても、ほかの各局と相談をいたしまして、農林省全体として最も効果的なやり方というのを将来とも研究をしてまいりたいと思っております。
  61. 工藤良平君(工藤良平)

    工藤良平君 最後に大臣に、いまの農地局長からもお話がありましたように、土地改良事業、構造改善、いろいろなパイロットの事業にいたしましても問題点があるわけであります。したがって、これはミカンだけの問題ではなくて、全体的な農業の問題について、たとえば米の生産調整における今後の転作等の問題につきましても、やはり一貫した指導体制というものが必要になってくるわけでありまして、ぜひ新しい農林大臣におきましては、そのような点に十分に留意をされまして、ここでやはりほんとうに農民のための、あなたの新しい農制をつくってやるという姿勢をぜひ打ち出していただきたい。そのための総合的な体制というものをぜひつくり出していただきたい。こういうことを最後に申し上げ、大臣の御意見もお伺いいたしまして、私の質問もひとまずこれで終わりたいと思います。
  62. 国務大臣(赤城宗徳君)(赤城宗徳)

    国務大臣赤城宗徳君) いまのお話のように、総合農政ということばが、私は適当だかどうかわかりませんが、農業と他産業との関係もあり、いろいろの関係もありまして、また農業自体もいままでの規模ではたしていいのかどうか。規模の増大というものも需要圏に、何といいますか、こだわって多くするというようなことだけではとうていできないと思いますので、利用圏といいますか、土地の利用方法、こういうことを中心として、もっと団地的な農業というものに持っていくべきではないか。それについてはやっぱり、工業等におきましては工業団地があったり、住宅団地がある。農業においてはそういうような施策をとっていないが、しかし団地的な農業、団地的な経営、こういう方向へ持っていって、私が再々申し上げているような方向、また工藤さんがいま指摘されていた方向、そういう方向へ持っていきたい、こういうふうに考えているわけであります。
  63. 辻一彦君(辻一彦)

    ○辻一彦君 私、福井の地方区からまいりました辻一彦です。ほんとうの新米ですので、よろしくお願いいたします。  大臣の過日の所信表明を拝聴また拝見いたしまして、この中に、農業と農村の健全な発展がなくては経済の成長や社会の健全な発展がない、こういうこと。あるいは農業の前途についての不安感を解消する、これが今日の農政基本である。こういうような点が出されておりまして、この点については私非常に共感を覚えるところであります。しかしいまそういう点で、グレープフルーツの問題もありますが、私の所のような北陸におきましては、もう稲の刈り取りが八月末に始まるというような時期になっております。こういうような中で、農家は何割かの、二町歩つくっておれば三反歩程度休耕しておる。こういうような中でつくった米がどうなるのか、あるいは米作の将来がどうなるのか。こういうようなことで非常な不安感を持ってることは事実であろうと思います。そういう観点から私は米の問題を中心に、農林大臣所信表明について二、三お尋ねいたしたい、このように思うわけでございます。  まず第一、実は私も戦時中に二町五反ほどたんぼをみずから耕したことがございます。その当時に非常な苦労をして米をつくり、場合によると、おかゆにイモを入れて米を出した。こういうふうにして戦時中の日本を、そして戦後において日本の経済の再建をささえた覚えがございます。私は今日の日本経済の発展というものを考えれば、そういう農民の非常な努力というものが非常な基盤になったのではなかろうかと、こういうふうに考えるわけでございます。それから米というものは、これはアジア、特に日本におきまして、非常な低湿地に、雨が降っても泥の中にでもつくれるというような非常な特徴を持っております。一反歩で甘蔗以上にカロリー生産できるのは米以外にないと、こういう点から、一億の人間がこの狭い国土にひしめきながら食糧についての不安がないということは、まさに米の生産、これがささえているのではないか、かように私は思うわけでございます。そこで米が余ってまいりますと、米の過剰なるがゆえにじゃま者にされたり、あるいは米をつくる農民が何か悪いことをしていると、こういうような考えを持たざるを得ぬような状況に追い込まれておりますが、こういう日本の経済をささえ、かつ、この狭いこの国土で一億の人間が食糧は心配がないと。この米の存在についてこれから大臣としてどういうふうにお考えか。赤城農林大臣は農民出身の大臣であると私は聞いておりますが、米に対する哲学をひとつまず第一にお伺いいたしたい、このように思うわけであります。
  64. 国務大臣(赤城宗徳君)(赤城宗徳)

    国務大臣赤城宗徳君) お話のとおりに私も考えています。米を中心とした食糧が戦後も充足されておったということが何としても日本の経済発展の基礎であると、私も考えております。  その中で、米についてはどう考えるかということでございますが、私は一口で言えば、やっぱり米というものは日本国民の民族食糧だ、この米とともに日本民族というものが今日まで伸びてきたのだと、こういうふうに私は把握しております。しかし、非常な農民の皆さん方の努力により、あるいはまた政府当局でもその面で米の生産というものに、これは明治以来でも、あるいは徳川時代、前からもそうでございますが、特に明治以来米の生産というものに努力してまいったわけでございますが、最近に至りまして米が余ったというような事態、これは決して農民が悪いことをしたというわけではなくて、農民の努力に感謝すべきことで、それはそういうふうに考えています。しかし、やはりこの米も経済社会においては商品ともなっております。でございますので、この需要と供給とのバランスがとれなければ、せっかく努力してここまできた米の生産者も不利な、不遇な立場におちいります。これは商品生産における一つのルールでございます。やはり米というものに対して生産を続けていくと同時に、需給が調整をとれたところで、需給のバランスがとれたところで生産をするということでないと、いま食管法もありまして一つの統制をされておりますが、こういうものも不要になる、くずれていく、こういうことも考えますときには、農民のためにも、国全体の経済関係からでも、需給の調整といいますか、需給のバランスをとって生産を続けていく、続けてもらう、こういうことが必要な段階にきているのが現在だ、私はこういうふうに認識しております。
  65. 辻一彦君(辻一彦)

    ○辻一彦君 まず最初に、米は民族発展のもとであったという点については私もそのとおりだと思いますが、それでは米のバランス等を考えた場合に、調整のとれたバランスというものは一体自給率をどの程度にこれからめどとして持っていくのか。いままではかなり高かった食糧の自給率が毎年低下をいたしております。こういう点を考えたときに、一体この自給率をどういうめどでいこうとするのかというのが第一。もう一つは、……まあそれからお伺いしてからその次の問題についてはお尋ねしたいと思います。
  66. 国務大臣(赤城宗徳君)(赤城宗徳)

    国務大臣赤城宗徳君) 自給率の非常に高いもの、あるいは自給率の低いものもございます。米についてはどの辺を考えているかということでございますが、いまのところ米の生産は一一七%ぐらいになっておりますが、一〇〇%米については自給率を見る、こういうふうな方針で進めたいと思います。
  67. 辻一彦君(辻一彦)

    ○辻一彦君 ちょっとまあ私の質問したのとお答えのすれ違いがあったように思うのですが、いま御答弁の中で、自給率を一〇〇%見ると言われますが、確かに私は米の生産が一方で上がり、それから反収が上がり、一方では一人当たりの一般的な需要がある程度減っていく傾向にあるということは、この統計等によって一応理解をしていますが、しかし、どれだけ必要とするかという問題は、いままで二十数年間、いや戦前、戦時中を加えれば長い間にわたって米は食べるのを節約する方向だけが宣伝をされて、米の需要を伸ばすための宣伝や具体的な政策というものはほとんどなかった。いかにしてこれを節約し、小麦やその他の代替食糧にかえるかという問題はありましたが、米の需要を拡大するという問題は全く私は素通りになっておったと思います。  そこで、需要を拡大すれば、その自給率のめどというものはまた変わっていくと思うわけでありますが、米の需要を拡大しながら自給率をどのようにするのかというまず第一の問題からひとつお願いいたしたいと思います。
  68. 国務大臣(赤城宗徳君)(赤城宗徳)

    国務大臣赤城宗徳君) 米の需要を拡大したらというようなお話でございますが、国外の需要の拡大ということは考えられますが、国内におきまして、米の需要を拡大するというのは非常にむずかしいと思います。というのは、御承知のとおり、国民の食生活が変わってきまして、もちろん米は主食でございますが、米にかわる食糧と、こういうように食生活の態様が変わってきておりますので、それでさらに米の需要を拡大させるというようなことは、現状から見ると非常にむずかしいと、こう思っております。
  69. 辻一彦君(辻一彦)

    ○辻一彦君 一般的な国民の食生活の変化ということはわかりますが、たとえばこれは私の県の坂井郡というところ、芦原町の例でありますが、六月から二千五百食の給食の設備をして、これは学校給食はもちろん、工場あるいはその他の広範な範囲に給食をいたしております。で、一食分に大体一万円の設備費がかかっておりますが、こういうことで、私は単に学校給食だけじゃなしに、広範な、工場においてもあるいはその他においても、米の給食を拡大するというような一つの例をとっても、やり方によっては国内で開拓する道はまだ残されていると思います。いままでに米を節約するというPRの政策はあっても、これを具体的に拡大するのはほとんど私は聞いたことがないと思うんでありますが、具体的に農林省としまして、今日の米の過剰の状況の中で米の需要を拡大するような何かやっているようなことがあればお伺いをいたしたいし、いまの給食も単に学校だけでなく、工場とかいろんな働く場にこれを拡大すれば、まだまだこの道は広がると思いますが、そこらについてはいかがでしょうか。
  70. 説明員(亀長友義君)(亀長友義)

    説明員亀長友義君) 私からお答え申し上げます。  米の消費宣伝につきましては、本年度におきましても大体五億程度の予算を組んでおります。内容は、学校給食におきます実験校に対する食糧の供与等がその主たるものであります。そのほかに食糧庁といたしましては、テレビ等による米食の宣伝も行なっております。さらに米穀配給協議会というような団体に宣伝費を配付いたしておりまして、米の消費宣伝には相当な努力を払っておるつもりでございます。ただ、御指摘のような給食等につきましても、現在、もちろんそういう業務用につきましてはほとんど希望どおり私どものほうでは売っておるわけでございまして、特にこれを制限をするというような売り方はいたしておりません。  また、学校給食につきましても、文部省もいろいろ御努力をいただいておるのでございますが、何ぶんにも米を炊飯して分配をするという過程におきましてはいろいろな問題があるようでございます。たとえば従来のパン食による施設をこの際炊飯の施設に改めなければならぬとか、あるいは分配をする際の食器の問題あるいは衛生の問題等、いろいろな問題があるようでございますが、文部省におきましてもいろいろ御尽力を願っておるわけでございます。また学校給食会におきましても、米以外の、たとえばコーンフレークであるとかというふうな新しい製品の要望もいろいろ御推奨願っておるわけでございます。ただ、量的には現在のところ、そういうものの効果がどの程度であるかということを測定するということは非常に困難でございます。  ただ全般的に、先生も御指摘のように、米の消費というもののみならず、これは基本的に所得の上昇に伴いまして、でん粉食糧というものが減少しておるという大きな流れの中で、その流れを完全に回復するような消費宣伝の程度には私どもはまだ至っていないということは認めざるを得ないと思いますが、いろいろ努力をいたしておるという点だけをこの際申し上げておきたいと思います。
  71. 辻一彦君(辻一彦)

    ○辻一彦君 相当な努力をされておるということですが、まあそれはある努力はされておると思います。しかしアメリカが、たとえば小麦を日本の市場に送り込んで日本の市場を開拓するためにいかに膨大な経費をかけてきたかということは十分御存じのとおりと思います。そういうものに比べて農林省がやっておられる努力は、相当な努力にまだまだ該当しない。これからこれをよほど真剣に取り組んでもらっていいのじゃないかと思います。  それから給食の問題が出ましたが、文部省にもいろいろ問題があるとかいうお話がありましたが、結局これはパンを給食するよりも、米をやった場合に設備に金がかかる、人件費が要るとかいう問題でありますから、ほんとうに国が米の需要を拡大したいという覚悟があれば、福井県では給食設備の半額を県が補助いたしておりますが、国が設備費を持つとか、人件費についても考慮するということであれば、これは私は文部省云々ということは別にして、やる道はあると思いますが、そういう、ほんとうに取り組もうという腹がまえが農林省にないように思うのですが、そこらはどうでしょうか。
  72. 説明員(亀長友義君)(亀長友義)

    説明員亀長友義君) 学校給食の問題になりますと、これはどうしても文部省の所管でございますので、私どもとしては文部省といろいろ話をしながら進めてまいるということに相なるわけでございます。本年度は実験の二カ年目でございますけれども、御指摘のように、必ずしも農林省としては、文部省には失礼でございますが、必ずしも満足をいたしておりません。来年度予算にもさらに十分打ち合わせをいたしまして、私どもとして何とかしてこの学校給食をもう少し拡大をするような方向で努力をいたしたいと考えております。
  73. 辻一彦君(辻一彦)

    ○辻一彦君 まあ実質的にひとつ相当な努力をぜひしてもらいたいと思います。  それから先ほどにちょっと返りますが、この食糧の需給の問題はもう一つ観点を変えると、たとえばイギリスは非常に農業人口というものが減少しました。イギリスの国力がある程度停滞した原因の一つには、やはりあまりにも農業人口が減り過ぎたのじゃないか、こういう私は見方もあろうと思うのでありますが、大臣がこの所信の中で言われるように、農村、農業の健全な発展がなければ日本の社会の健全な発展はないと、こういう所信を表明されておりますが、農業人口と将来の食糧の自給度という面と両方からんで、農業人口をどの程度日本の農村に確保する必要があると考えられるか、その点をお伺いしたいと思います。
  74. 説明員(中野和仁君)(中野和仁)

    説明員(中野和仁君) ただいまの御質問の点でございますが、農林省で「農産物の需要と生産の長期見通し」、昭和四十三年にやりました、そのときの作業の結果でございますし、またわれわれも大体そういうことになるのではないかと見ておりますが、それによりますと、昭和四十一年の農業就業人口は九百四十万人、われわれの見通しでは五十二年には約六百万人、年率にいたしまして四・一%ずつ程度の減少で、六百万人の就業人口が大体いいのではないかということを見ておるわけでございます。ちなみに昭和四十五年は八百十一万、こういうことになっております。
  75. 辻一彦君(辻一彦)

    ○辻一彦君 そういうグラフを延長しての数字でなしに、日本の農村を健全にしていくということが日本の社会のために大である、こういう発想に立てば、必ずしも経済合理性の追究だけで農村、農業の問題を考えてはならないと思いますが、そういう観点から、大臣としてどうお考えか、お伺いしたいと思います。
  76. 国務大臣(赤城宗徳君)(赤城宗徳)

    国務大臣赤城宗徳君) 御承知のように、農業におきましても第一種兼業、第二種兼業というような方向に動いておるのは事実だろうと思います。そういう点で農業人口をどれくらいのものを確保すべきであるか、国全体から考えてのお話のようでございますが、そういう点から考えまして、いまの見通しからいろいろ勘案しても六百万程度は、五十二年などにはその程度農業人口というものが必要であり、また、それを確保していかなくちゃならぬ、そういうものに対しての施策も講じていかなきゃならない、こういうふうに考えておるわけであります。
  77. 辻一彦君(辻一彦)

    ○辻一彦君 与えられた時間が非常に限られておりますので、この問題についてはさらにまた別の機会があろうと思いますから、なおその機会に御質問したいと思います。  そこで、米の問題について私、一、二お伺いしたいんですが、一つは、四月の二十六日に前農林大臣が米審に米価問題について諮問をされましたが、そのときに、米価の算定基準の試算の基準が非常に変わったように考えたわけであります。それは、いままで五人以上の事業所の賃金をもって一日の、時間当たりの賃金の基本にしたのが、農村における日雇い労務者の賃金並みに引き下げたということであります。これは、いろいろな経過をたどりまして、これがそのまま通ったのではないのでありますが、しかし、農林省の考えの中には、農業基本法というものが他産業との格差を是正する所得均衡という考え方を明確に打ち出しながら、一番大事な働く農民の米づくりの単位時間についての労働賃金、報酬を他の産業と差をつけていくというこの考え方は、農業基本法の趣旨にも反すると思うのでありますが、そういう考え方は、いま撤回をされたのかどうか、そのことをひとつお伺いしたいと思います。
  78. 説明員(亀長友義君)(亀長友義)

    説明員亀長友義君) 本年米価の決定に関することでございますので私から御説明をさしていただきますが、従来の米価というのは、米の生産費の中で農家の投下した自家労働の評価を、全国の都市の製造業の賃金で評価をしておったということでございます。本年産米価の算定につきましては、その労賃の評価の点を農村の日雇い賃金に改めたわけではございません。従来、単純に全国の五人以上の製造業の平均賃金をとっておりましたものを、本年産の米価の政府の諮問案におきましては、各地方の製造業の労賃にそれぞれの各地方の米の生産量のウエイトを乗じまして、その全国の集計を時間当たりの賃金としたということでございます。したがいまして、たとえば山形県であれば山形県で十万トンとれる、山形県の製造業の平均賃金をそれにかけまして、そのようにして各県の集計したものを全体の生産量で割る、かような形で単位時間当たりの賃金を算出したわけであります。したがいまして、農村の日雇い賃金を採用したというのではございませんで、従来全国一律の平均賃金を採用しておったものを、各県の算出量にウエイトをつけまして、各地方の製造業の労賃の全体的な水準を求めて、これを家族労働の労賃の評価変えに使用した、かような経緯でございます。
  79. 辻一彦君(辻一彦)

    ○辻一彦君 その地方製造業の平均賃金というのは何人以上の平均賃金ですか、前は事業所五人だったですね、地方の場合は。
  80. 説明員(亀長友義君)(亀長友義)

    説明員亀長友義君) ちょっと私も前のことで記憶違いあるかもしれませんが、五人以上という、こういう点は同じでございます。
  81. 辻一彦君(辻一彦)

    ○辻一彦君 地方の場合も五人以上——間違いないですか。  次に、福井は御存じのように繊維の県でありまして、実はアメリカの繊維規制によって福井の産地は非常な影響を受けております。アメリカの繊維規制というものがガットの内容に照らしてもかなり理不尽な要求であるということを私たちは考えるわけでありますが、福井のほうからアメリカ調査団を出して市場でどの程度被害が出ているかということを調査して、それで問題があるなら福井産地も規制を受け入れるにやぶさかでない、しかしそれをせずにこういうことをすることは理不尽であるという立場をとっておりますが、ひるがえって実は日本における米を中心にした米作農家が二百三十万トンの減反をしなければならない、こういう情勢の中で、アメリカの小麦の輸入で大きな被害を全国の農家というものは実質的に私は受けていると思うのであります。そこでこの日本におけるこういう米作農家の受けている被害というものを十分調査をして、それを国際の場において筋の立つことであるならば、小麦の輸入というものについて、もう少し押えるというような方向というものを政府として出すことができないのか。もちろん私は食糧の中において小麦を需要するという方向が出ている、そういう大きな方向の中で考えなければならないと思いますが、これは農林省がもう少し米の需要を拡大するというほんとうに相当の努力をしていただければ道が開けると思いますが、そういう状況の中で繊維の問題と考えあわせましても、そういうアメリカの小麦の輸入問題についてある程度の規制をして、国内のこれだけ被害を受けている米作農家を保護するというお考えをお持ちではないでしょうか、これに対する見解をお伺いしたいと思います。
  82. 国務大臣(赤城宗徳君)(赤城宗徳)

    国務大臣赤城宗徳君) 小麦のアメリカからの輸入によって日本の米作、あるいはそれが圧迫を受けておると、こういうように私は考えていません。やっぱり米は米として自給以上もできることになっておるのでございますので、小麦を輸入するから米の生産制限をしなくちゃならないという因果関係は私はちょっとないではないかと思います。小麦の生産につきましてはいま非常に自給率も低いのでございますが、これはもう毎年毎年その対策を講じていきつつあるし、またさらに小麦の生産をしていく方向には対策も講じております。先ほど申し上げましたように、小麦の輸入が米の生産制限というようなことに相なりておるとは私は考えておりませんが、小麦は小麦として生産をなお増強するような方策をやっていく、米のほうは米のほうとして需給のバランスをとる、このような方針で進めておるわけであります。
  83. 辻一彦君(辻一彦)

    ○辻一彦君 その点について私は農林大臣と非常に見解を異にします。で、たとえば小麦が日本に入っていま学校の給食でほとんどパンが使われておりますが、こういうこの学校給食のパンであるとか、あるいは繊維工場なんかで給食に使われるパンなどは、米食のもう少し設備をつくっていって、心配のないようにして普及をして、これを拡大をしていくならば、小麦の需要はある程度落ちていく、落ちていけばこれは私は当然輸入というものも押えていくことになろうと思うのですが、そういう因果関係は私は十分あろうと思うのでありますが、全然別個のもののようにやはり大臣はお考えでしょうか。
  84. 国務大臣(赤城宗徳君)(赤城宗徳)

    国務大臣赤城宗徳君) 確かにそういう傾向はございます。たとえば米の需要がふえれば小麦の輸入も減らしてもいいというようなこともございますが、先ほどからお話がございましたように、米の需要がいまの給食とか、その他によってふえるように考えてやってはおりますが、食生活の変化というものを、多くの日本の国民の食生活の変更を米の需要強化ということで変えていくということは、非常にこれはむずかしい問題だと思います。しかし、お話のように、米の需要がふえた分は小麦の輸入も少しは減っても差しつかえないかというようなことにはなると思いますが、直接の私は因果関係に結びつけるのは非常にむずかしいんじゃないかと、食生活の変化というものを変えていこうということは非常にむずかしいと、こういうふうに申し上げたわけであります。
  85. 辻一彦君(辻一彦)

    ○辻一彦君 まあ間接的な、直接ではなくてもある程度因果関係はあるというようにお認めのようでありますが、私はやはりこの米の需要拡大といいますか、あるいは米を加工するとか、玄米を加工するとか、方法はいろいろあると思うんですね。たとえば農林省が玄米を加工してそういう需要を開拓するためにどれだけの予算をいままでにお使いになり、どういう研究をされておったかということを私は出してもらえば——端的にいってそういうものはあまりなかったんじゃないかというように思います。力を入れれば、動かないと見たファクターといいますか、因子はかなり動かすことができるのじゃないだろうか。そういうことで、どうしてもこれは米自体の需要拡大、あるいはもっとこれを加工しての拡大とか、いろいろな方法によってうんとひとつ農林省の中に予算も見、研究もしてもらって、やはり民族の食糧は米を中心にして、これから中心に置いていくという、これが具体的に政策に実現すると、こういう方向でぜひ取り組んでいただきたい、このように思います。で、時間がもう迫ってまいりましたので、この問題は一応またいずれの機会、次の機会に関連のときにひとつお伺いをしたいと思います。  最後になりましたが、米作農家で、まあことしは生産調整の目標は大体これを見ますと、非常に農家が苦労してほぼその目標に達したというようなことが書いてありますが、過日の大臣のお話では一〇七%でありましたか、目標を達していると、こういうことでありましたが、そういうことであれば農家は、いろいろな問題はあったにいたしましても、米の生産調整にかなりな協力をしたということであろうと思いますが、もし予約限度をこえて生産をされた場合に、そういう努力をした農家に対してもう一度買い入れ制限ということで、いま一度びんたをたたくようなことをお考えなのか、あるいはこれだけ努力をしたんだから、協力してもらったんだから、生産された米については食管法に基づいて全部買い入れると、そういうお考えなのか、そこらのことについてひとつお伺いをいたしたいと思います。
  86. 説明員(亀長友義君)(亀長友義)

    説明員亀長友義君) 本年実施をいたしております予約限度、食糧庁の買い入れ予約限度につきましては、これをすでに各人に割り振られておるものでございまして、生産調整を達成したといなとにかかわらず、食糧庁としてはその限度までは買い入れる、それ以上は買わないという方針は、当初から一貫してまいりたいと思います。全体的に一〇七%達成見込みということでございましても、各人別にかなりでこぼこもあることだと思います。予約限度につきましては、もちろんそこまで達していない人もございますけれども、私どもとしましては現在のところおおむね七百六十万トンに若干欠けますけれども、七百四十六万トンの予約数量がございますので、食糧供給上は何ら不安がない。また、生産調整を推進するという立場から申しましても、現在の予約限度数量を何ら変更する必要はなかろう、かように考えております。
  87. 辻一彦君(辻一彦)

    ○辻一彦君 この前、私たち社会党の議員団が大臣に申し入れをしましたときに、大臣の答弁は、この予約限度をこえる量については買い入れをするかどうかということについては、農業団体と十分協議をしてこの問題はひとつ解決をしたい、こういうことでありましたが、いま食糧庁長官は買い入れることはないと、こういうことでありますが、ここに食い違いがあると思いますが、それについて大臣、どうでしょうか。
  88. 説明員(亀長友義君)(亀長友義)

    説明員亀長友義君) 私の説明があるいは不十分でございましたかもしれませんが、予約限度数量につきましては、これを変更することはしないということを申し上げたのでございます。予約限度数量をこえる余り米をどうするのかということにつきましては、大臣からもお話があったということでございますが、農業団体が調製、保管、販売をして、それが売れ残った場合には農業団体の意見を聞いて生産調整の阻害にならないような範囲でどういうふうに取り扱うかを検討する、さようにお答えになったのだろうと思います。大臣お答えになりましたのは、限度外の数量のいわゆる余り米を今後どうするかという問題でありまして、当初から政府が設定いたしております予約限度数量を変更するかどうかという問題とは一応私どもは別個に考えておる次第でございます。
  89. 辻一彦君(辻一彦)

    ○辻一彦君 それはそうですね。予約限度をこえた量についての買い上げの問題ですね、私の申し上げたのも。たいへんむずかしい言い回しをされてちょっとわかりにくいのでありますが、ずばり大臣、どうなんですか。農業団体と御相談になって、どうされるおつもりなんですか。
  90. 国務大臣(赤城宗徳君)(赤城宗徳)

    国務大臣赤城宗徳君) これは相談の上にきめたいと思いますので、まだずばりというわけにはまいりません。
  91. 辻一彦君(辻一彦)

    ○辻一彦君 じゃあ、十分ひとつ御相談をいただいて、農民のこれは切実な願いであると思いますので、これをひとつ最大限くみ入れる方向で努力をお願いしたい。米の問題はこれからまたいろいろな機会に論議をすることもあると思いますから、そういう方向でぜひひとつ大臣の御努力をお願いいたしたいというふうに思います。時間の点もありますから、先ほどから申し上げた点で一そうのひとつ努力をいただく方向で御努力を願って、終わりたいと思います。
  92. 委員長(高橋雄之助君)(高橋雄之助)

    委員長高橋雄之助君) 暫時休憩いたします。    午後零時四十七分休憩      —————・—————    午後一時二十分開会
  93. 委員長(高橋雄之助君)(高橋雄之助)

    委員長高橋雄之助君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。  午前に引き続き質疑を行ないます。質疑のある方は順次御発言を願います。
  94. 堀本宜実君(堀本宜実)

    ○堀本宜実君 きょうは農林大臣に若干お尋ねをいたしたいと思いますが、大臣は今度で農林大臣御就任になりますること三回であろうかと思います。もうわが国の政治家の中で農政の達人であるというふうに考えておりまするし、われわれも常に御指導をいただいておりますので、こういう席を選んで質問をいたしますることはかえってどうかという心配をたいへんいたしておりますが、やむにやまれぬものがございまして、お伺いを若干いたしたいと存じます。  まず、総論的に伺いたいと思いますが、近年の、最近の農業経済という問題でございます。これはまあたいへんむずかしいことでございますので、御答弁をいただけるかどうかわかりませんが、もしめんどいようでございましたら、答えるべきものでないというふうにおっしゃっていただきたいと思うのでございます。  それは、ことしの、四十五年度の農林統計調査部が報告をいたしておりまする中で、農政が後退しておるのではないかというふうに私は思う。たとえば、もうどういう調査をしたかは申し上げませんが、二点ほどを指摘してみたいと思います。  第一は、農業の所得が全体の三六・三%に落ち込んでおるということでございます。これは、時勢だからやむを得ないじゃないかとおっしゃるのならば、何をや言わんや、もう質問の余地はないのでありますが、全体の三六・三%に落ちた。これはもう少し前を見なければいけませんが、三十五年には五五%でございました。私らが国会に来て四、五年したときにやっぱり、五五%であったということをよく記憶いたしておるのでございます。それが、十四、五年たってまいりますると、このときにはまだ半分以上は農業による所得だなといううれしさがございました。それがいまでは、農家といいながら農業による所得が三六・三%しかないということは、まことに農業者として、農業の指導をする者として心細いといいますか、恥ずかしいことであるというふうに私は思うのでございます。特に今年は農家戸数の減少が、一挙に八万戸ダウンをいたしております。一年でそういうふうにダウンをいたしますることは、これはもうたいへんなことであるというふうに感じるのでございます。そうして第一種兼業、いわゆる専門に農業をやっている、農業によって一家をささえ、妻子を養っていくという経営のあり方がだんだんと減ってまいりました。第一種から第二種というふうにふえてまいりました。いわゆる第二種兼業というものがきわめてたくさん増加をいたしてまいりました。  この一事を見ましても、私は将来の農業というものに非常な暗さがあるような気がいたします。ことに物価がこれだけ上がって、年々物価がこう上がっていって、その物価が上がる中で、農産物価というものの価値が、地位がどういうふうにあるのでしょうか。これはあるいは間違っておるかもしれませんから、間違っておったら農林省のほうで御訂正をいただきたいと存じますが、農業所得の対前年比の伸び率は、四十三年が三・三%でございます。それから四十四年が〇・四%でございます。四十五年がマイナス五%でございます。これはね、まじめに表現するなら、ほんとうに悲しまざるを得ません。こういう方向へ農業が行っている。  で、このことは農業所得の停滞である、とりもなおさず停滞でございます。その停滞の理由は一体どこにあるのか。農産物の低迷、農産物価格が低迷をしておるというところにあるのでしょうか。米の生産調整等の収入が低迷をして、低くなったからこういうふうな経済結果をもたらしてきたのでしょうか。私はそういうところにいわゆる価格政策が、もう一つ言い直しますと、生産政策が、生産性向上の政策があるのか、これがすべて軒並みに後退をしておるということでございます。  かりに大臣でなくとも、どなたでもけっこうです。どなたでもけっこうですが、——私は最近友人から手紙をもらっております。その手紙にいろいろ書いてございますが、何をしたらいいんでしょうか。何をしたら人にほめられるのでしょうか。何をしたら農業で最低の生活ができるのでしょうか。その中に、農業の自立農家の育成ということを、あなたも、政府の農林省も指導をする項目の第一にしておられるが、そうかと思うと、そうして大型の専門農業者をつくるということが主眼であるのにもかかわらず、農村工業というようなものを最近法律でもってきて、農家はたいへん喜んでおる——現実に喜べるのかどうかはわからないが、そういうような、一体小農でいいのか、あるいは大農とまではいかないにしても、経営規模の大きい自立農家をつくろうとしておるのか。どういうふうにしたらいいのか、簡単にお返事をもらいたいという手紙が来ているのです。これね、ここで手紙の内容をひとつ教えていただきたい。  どういうふうに回答……養蚕をやれ、こういうことでいいと。米をつくれというのか。これはまあ値段が上がりもしないし、調整金まで出しておるくらいですから、米をつくれとはまさか言われますまい。畜産でしょうか。選択的拡大の名において、畜産、果樹、こういうものをやれと言えるのでしょうか。どうかひとつ、そういう簡単なところでお教えを願いたい。その道の達人でございますので、ひとつどういうふうにすることが農業経営の安定であるか。私は価格政策というものをさほど好みはいたしません。けれども農家というものは、上がったり下がったりする——これは豚でも牛でもそうです。安定をして、こういうことで将来耕作ができ、飼育ができるというところに一つの希望が持てるのでありまして、その安定なくして農業ということはやり得ないのであります。きのう仕入れてきて、きょう売って、元金だけ払うというようなきわものではございません。長年を通じて、かりにみかん一本を植えましても、七年、八年、十年がたたなければ結果をしないのであります。実を結ばないのであります。そういう関係で、これどういうふうに手紙の返事を書いたらよかろうかと思うて、実は心配をいたしております。  もう一言お聞きをいただきたい。これは質問というんですから、一々質問をしてお返事をもらったほうがいいのでありますが、いろいろに関係がございますので、もうちょっと。私はこういうことが一面あるのではないか。消費生活の安定に寄与するということで農村物価というものは上げない。中小企業、農業というこの弱い産業が持ってる物価が上がってくる。物価の高騰というものはえてしてそういう中小企業の製品あるいは農業者の製品というものが高いんだと、こういうふうに最近言われるのであります。非常に弱い産業でございます。大企業の製品についてはさほど物価の問題でやかましく言われてない。そういうことを思いましたときに、私は消費者のあるいは消費生活の安定に寄与するということは当然なことでございます。これを度外視して、消費生活はどうでもいいんだ、自分さえよければいいんだなんというようなことを言えるはずはございません、これはもういかなるものがありましても。しかし、そうかと言うて、農業行政を後退させ、農業を荒廃に導いてまでそれに寄与していいのであろうか。私はそこのけじめがたいへん政治の上で問題になるのではなかろうか、こういうふうに思うのでございます。たいへん粗野な質問でございまして、まだいろいろあるのでございますが、ごく単純にいま申し上げましたように、農政が後退していると世間で言うが、あるいは農家がいろいろ言ってるのであるが、その点について私の説明が悪かったかと存じますが、どうかひとつお答えをいただきたいと存じます。
  95. 国務大臣(赤城宗徳君)(赤城宗徳)

    国務大臣赤城宗徳君) たいへんおほめをいただいて、達人などと言われますが、堀本さんのほうが達人で、質問に関して非常に貴重な御意見を拝聴いたしました。農業あるいは農家の実態というものは御指摘のとおりだと思います。そしてまた、農業政策として御指摘のように他産業に比較して非常に弱い立場にありますから、これ農業の本質でございます。それに対してどういう政策をとっているか、その政策に対して欠陥があるのじゃないかと、こういうようなお話でございますが、申し上げるまでもなく、他産業に対して、か弱い産業でございます。あるいはまた日本農業は小農的な性格を持っております。でありますので、一つ価格政策によって、価格支持によって、これをバックアップする、こういうような政策がとられておると思います。しかしそれにつきましても、いま御指摘のように、価格政策が万全ではない、こういう話でございますが、私もそう思います。価格政策だけで農業を維持していくということはできないと思いますが、しかし価格支持政策というものも、当然これは必要な一つの政策でございます。第二に、また御指摘のように、生産政策といいますか、生産政策といえば増産という生産政策もありましたが、日本農業も他産業との関連も深くなってきましたし、あるいはまた国際的な関連も持ってきておりますから、生産政策によりましても御指摘のように生産性を向上する、こういうところにめどを置いて、生産政策も行なっていくべきだというような御指摘があったというふうに私は受け取っております。  こういうような価格支持政策あるいは生産政策等によってやっていこうといたしましても、もう私から申し上げるまでもなく、日本農業というものは非常に国際競争力も、あるいはまた国内における工業その他との関連においても弱いのでございますので、やはり価格支持政策あるいは生産政策をとると同時に、体質改善といいますか、構造政策というものがどうしても必要であろうと、こう思います。そういう構造政策を行なうにつきましても、一体いまの御指摘のように自立農家というものさえなかなか成り立たないような状態であるのではないか、こういうお話でございます。私は農家として、自立農家というものが成り立っていくことは、非常に農業というものが強くなることで期待するものでございますが、いまの国際関係あるいは国内事情からいっても、なかなか自立農家の育成ということもむずかしくなっている、こういうふうに私は見ております。  でありますのでやはり構造政策、体質改善等におきましても、基盤である土地の所有というものの合併といいますか、広めるということもさることながら、やはり土地の利用関係拡大しまして、所有の拡大でなく、経営の拡大、それを団地的経営というふうに——私の熟知しないことばでありますが、そういうふうに言っておりますが、団地的経営というような形、これは稲作においても、あるいは果樹等におきましても、あるいは畜産等におきましても、どうしてもそういう方向へ、構造政策というものを進めていかないと、現状のままでこの農業人口を維持したりあるいは農家戸数を維持するといっても、これは非常にむずかしい、困難である、こう思います。  そういう関係からこの価格支持政策もとっておりまするし、いまの農産物の七割は価格支持政策もとっておりますが、それに不満もございましょう。しかし価格支持政策はとらざるを得ないし、とるべきであるし、それよりもなおさらに生産性を向上するような生産政策というものもとっていかなければならぬが、何といたしましても構造政策といいますか、そういうことが実現し、あるいは価格支持をしてもその価格支持というものが効果を発生する、非常にまあ簡単にいえばききめが出る、こういうことになるとするためには、構造政策といいますか、経営も団地的経営という形に持っていくことを目途としながら、いろいろの政策を行なっていくことではないかと、こういうふうに考えておるわけでございます。堀本さんのほうが実によく詳しくあれなんでございますので、まあ私の考え方が、こういう点は間違っておるとか、あるいはこうしたらよかろうというお話がありまするならば、謙虚に承りたいと思います。
  96. 堀本宜実君(堀本宜実)

    ○堀本宜実君 私はこのことはきわめてむずかしいことで、農業を行ないまする経過の中でその善悪がわかるわけでございます。したがいまして、この議論の中だけでその説がいいとか悪いとか立証することはなかなか困難であろうかと思うので、これ以上大臣にお伺いはいたしません。持ち時間が一時間あるのかと思ったら全部で一時間ということでございますので、私の時間は半減をいたしますので、もうそこまでのお聞きはいたしませんが、とにかく百尺竿頭一歩を進めるという考え方——農林省のえらい人がおいでになりますが、従来はこういう考え方でこうやってきたのだ、したがってこうするのだというのでなくて、進歩発展を遂げまするためには、一歩一歩出ていくという堅実な歩みはすべったりころんだりはいたさないかとも思いますが、しかしあっと思うような、人に笑われるようなと言いますか、そういう百尺竿頭一歩を進めた政策でなければ何をつかまえても、もう農業協同組合等のあり方につきましても専門農協というようなものが、私は農林省も専門農協を認めないとは言わないのですけれども、しかし専門農協というようなものを大事がらない、総合農政でなければならぬということを真正面に置いて取り組んでおいでになります。私はそれが必ずしも悪いと申し上げるのではないが、もう少しいままでの因襲にとらわれることなく一歩を進めていかなければ、農政の後退を食いとめるわけにはまいらぬ。基本法ができました当時には、われわれがここに国会議員になった後に基本法ができたのです。ところがあの当時、牛は幾ら飼うたらいいのですか、幾らから収益性があるか、五頭飼えば収益性はちゃんとございますと農林省は言った。その当時の速記録をお読みください。いま収益性は何頭からありますぞと聞いたら、おそらく二十五頭というのが答えだろう。この間まで二十五頭であったが、いまは三十頭ぐらいとお答えになるでしょう。そういうふうに、もう時代が進んでいるのにもかかわらず、いまだ自立農家と言い、大規模農業と言い、その反面農村に工業を導入したほうがいいといい、どこかで私はこう線路が混淆しているような気がするのであります。私はそこのところをうまく、よう言いあらわせませんが、どうぞ専門の人たちはそういう私のこの悲願を十分に御検討いただきたい、こう思います。お願いを申し上げて次にいきます。  次はグレープフルーツのことですが、参議院選挙の興奮がまださめない二十九日に、これは突如と申し上げますが、まあそこここの新聞等には突如というふうに書いてありますが、私も突如という表現でするほうがいいかと思うのですが、もともとこれは二年もあるいは三年も前からアメリカがこれを好んで自由化をしてもらいたいということの要請があったやに承っておるのでございます。そしてまあ二十品目の中で——二十品目とそして六品という、六品が抽出されて合計して数えれば二十六品目になるかもしれませんが、実施を決定いたした。これは非常な私は無理な政策である。私はことばの使い方が粗野でまことに上品によう言えませんので恐縮なのですが、文字どおり奈落に突き落とされたような気がいたします。私は今後といえども自由化がいろいろされましょう。よその国からも希望もありましょうし、また日本がこれだけの経済になってきますと一等国というのでしょうか、あるいは何等国というのか私はわかりませんが、一等国にならなければよかったと思うくらい切実にこの問題に不信感を抱いておるのでございます。農民もごうごうたる非難でございます。私は限られた時間でこの声を率直に東京においでになる人たちに地方の状況をお伝えするほどの時間がないことを残念に思います。  しかしわれわれもそうは思いまするものの、感情論だけでこまったことだ、たいへんなことだ、けしからぬという感情論だけをぶちまくっておったのではいかないので、これをどうするかということでなければならぬ。これは政府も政治家もそうでなければならぬ。これは通産省あたりが電子計算機を自由化しよう、してくれというアメリカの要請、これは目玉商品なんです。だからそういうところへ目張りをつけておるわけです。そういうときには電子計算機製造会社を五社、六社呼び寄せて、そうして本体は自由化しない、部品だけの何々というものを自由化しよう。そこで、みないいか、そういうことなら金が要りますぞ、いや金は出すということで千二百億ですか、千六百億ですか、ともあれ気の遠くなるような金を出してその傷口を治療しようということになったようでございます。  工業製品についてはそれだけ親切にやられるのにもかかわらず、農業者の生産をいたしまするものにきわめて大きい悪影響を及ぼすものについて自由化を行なったということは、なぜ、農業団体なりあるいはそういう団体がおるそういう人たちにいろいろなことをして、制度としてはこういう制度をつくって、そうしてやっていくから農家もひとつしゃっとやってくれ、うんとやってもらいたい、やらざるを得んからやるんだということで理解を求めながら私は自由化に踏み切るべきではなかったか、こういうふうに思います。これはしかし死んだ子の年かぞえでありますからあまりこういうことを申し上げてもどうかと思いますが、そこでこの自由化は私はいまだに理屈がわからない、どうして自由化したか、頼まれたからしたのかつまり米国の農民の救済か、一つには。第二は円の切り上げ防止の手段か、あるいは物価の引き下げのためか、あるいは繊維製品のしわ寄せの代がえか、いやそうじゃない、まだもっとほかにあるだろうというふうに考えましたが、私は考えがつかない。これは少なくとも国民に、果樹生産農民にこのグレープフルーツ自由化はこういう理由でございますということをきわめて端的に私は解明すべきであると思います。それがされないところに不安感がある。  そこへもってきてまだあとから御説明申し上げますが、説明というとむしろそっちのほうが本家でございますが、果樹製品三つ、あるいは水産が一つ、その他畜産が二、合計六つのものが自由化されるのではないかという巷に話がございます。私はそれがもうここ一カ月くらいの間にきまろうとしておるのにかかわらず、どこで聞いてもほんとうのことがわからない。これはグレープフルーツのときと同じです、様相が。同じ雲行きだ。天気図を見ましてもどうもあの当時とあまり変わらない。これはどのように説明を国民にしたらよいのでしょうか。この点について大臣がされたわけではございませんが、因果なことでございまして、大臣に御就任になったのでありますから、どうぞひとつ大臣から一ぺんこの点を伺いたいと思います。
  97. 国務大臣(赤城宗徳君)(赤城宗徳)

    国務大臣赤城宗徳君) 具体的なお答えにならないかと思いますが、自由化というのは世界の趨勢でございます。どういうふうな趨勢かと言いますと、戦争というものはいま起こりそうもございません。戦争が起こらないことになりまするというと、経済戦争が起こる可能性がございます。そこで、非常にお答えにならないで手間をとってまことに申しわけないんですが、私は大東亜戦争、太平洋戦争なんというものの根本は、日本の移民をアメリカにおいて排斥したと、そういう関係日本といたしましても満州へ人を送らなくちゃならぬ。国内は窮乏する。こういうことで、満州進出をした。満州へ進出して、支那事変なり南方に出て、大東亜戦争になった。こういうふうな外交的な経済的な問題というものがこれからの経済戦争的なものになると、やはり一つの戦争でございまするから、国際協調というものがうまくいかない。こういう基本的立場に立って私は世界の貿易も自由化していこう。その障壁をだんだん少なくしていこう、こういうようなことから、貿易の自由化ということが世界の一つの世論ということになってきたと思います。  グレープフルーツ自由化の問題なども、私が最初に農林大臣になったころにもその問題があって、長く続いておったのでございます。ところが最近になりまして、国際収支のアンバランスというようなものが出てきまして、そうしてアメリカ側といたしましても、日本の円の切り上げと、こういうことによって、アメリカの不景気といいますか経済下降したものを防ごうということで、ドイツなどにもそうでございますが、日本に対しましても円の切り上げはどうだろうかと、また国内におきましても円の切り上げと、こういうようなことに世論が相当なってきました。しかしその円の切り上げというものは、一言で言えば不景気対策でございます。また経済も混乱します。そういうようなことから、円の切り上げを避ける。そうして、輸出ばかりで日本はこれまで成り立ってきましたが、輸入の方面にも相当考慮をすべきではないか。輸出ばかりでなく、輸入のほうも考えるべきじゃないかと、そういうような傾向になってきましたときに、この自由化の問題が非常に強く出てきたわけだろうと私は思います。  もう一つは、消費者が多いんでございまするが、大体日本国内においても消費者が多い。それで自由化によりまして消費者物価の安定というものを期待する世論というものがたいへん強くなってきておる、こういう三つの原因がありまして自由化という方向をとらざるを得ない。またとったほうがいいんじゃないか、こういうような傾向に私は進んできたと思います。  それで自由化にいたしましても、いまのお話のように私といたしましては、その目的に一番沿うもの、そういうことを考えまするならば、電算機のようなものは自由化をしてもウエートも重いのでございますから、そういうものをやって農産物等の自由化をやりましても、物価対策にある程度役立つものでないと、そう大きな自由化の目的に沿うというふうには私は考えていないわけでございますが、しかしすでに自由化品目というものがガット等にもきめられまして、そうしてその品目を国際的にお互いに自由化していこうじゃないか、あるいはフランスもこれくらいやり、あるいはドイツもこれくらいやったと、日本だけが相当残っている、日本国際社会に入っている以上、自由化の品目もそれに沿うような形にもっていくことが国際協調関係からやらざるを得ない、こういうようなところに追い込まれたといいますか、そういうような形になってきたのでございますので、グレープフルーツにつきましても、四十四年の十月に日米協議によりまして四十六年十二月末までに自由化することにいたしまして、同年十月に関係閣僚協議会において自由化が決定されたわけであります。  その後、いま申し上げました内外の情勢にかんがみまして、四十五年九月の関係閣僚協議会におきまして四十六年の十二月末に自由化予定品目につきましては四十六年四月末を目途としましてその完成につとめることに決定された経緯がございます。しかし実際には、本年の四月末に至りまして自由化は延期されましたものの、今後のわが国の国際的な立場あるいは国内的の広い立場から、六月末にこれらの品目につきまして一括して例外なしに自由化が行なわれる、こういういきさつがございます。で、できるだけ農産物は私は自由化の目的にもそう寄与しないというふうに思いますので、農産物の自由化というものにつきましては自由化されてもこのかよわい農業基盤といいますか、それが対抗できるような形をもって自由化なら自由化をすべきであると、こういうふうに考えていたのでございますが、いま申し上げましたような国際関係やいろいろな関係から自由化が急速に押し進められたと、こういう経過もやむを得ないということで言ってしまってはけしからぬというようなおしかりもあるかと思いますが、そういうような情勢の中でグレープフルーツ自由化も行なわれた。しかもこれを選挙中に行なうと非常に農民票なども減ってしまうので、選挙中にやらなかったのじゃないかというような批評もございます。私はそういう意図でやったとは考えませんが、選挙後にやりましたので、そういうような見方も出てきたようなことでございます。  でございますので、自由化がああいう時期に行なわれたということに対しましては、私は遺憾でございますけれども、しかし国際関係もあり、日本の経済状況もあってそこへいきましたので、これはこれで進んできてしまったのでございます。でございますが、やはり根本的には何としてもかよわい農業関係の母体でございますから、農産物の自由化をこれからもある程度せざるを得ないということになっておりますが、何としても農業の体質を強化して——それがすぐに国際競争力にうちかてるというようなことはなかなかできません。これは先ほど申し上げましたように、価格政策もあるいは生産政策も、あるいは構造政策も、そういうことによって体質を増進するということが十分で——短日月に完成するものではございませんから、そういうような形で体質を強化する、こういう方向にいまはせざるを得ないんじゃないかと、またそうすべきだと、こういうふうに考えておる次第でございます。
  98. 園田清充君(園田清充)

    ○園田清充君 関連して一つ。  大臣、非常に御苦心になっていらっしゃるので、大臣にはお尋ねをいたしません。が、しかし堀本先輩からいろいろおっしゃったように、いま全国の農家がおぼれる者はわらをもつかむということで、つかみどころのないものに何らかを求めているというときに、信頼する赤城丸が、ああ、われわれを助けてくれるなと、こういう気持ちで私は新大臣を迎えていると思います。そこで、大臣にはお尋ねをいたしませんが、ただ心がまえの問題として、いまから私は外務省にお尋ねをいたしますので、ひとつ大臣もわれわれの気持ちをお聞き取り願いたいと思いますが、外務省見えてますか。
  99. 説明員(小山田隆君)(小山田隆)

    説明員(小山田隆君) 経済局の外務参事官、小山田でございます。
  100. 園田清充君(園田清充)

    ○園田清充君 あなた、だいじょうぶなのか。おれが聞いても返事できるか。
  101. 説明員(小山田隆君)(小山田隆)

    説明員(小山田隆君) はい、お答えします。
  102. 園田清充君(園田清充)

    ○園田清充君 じゃあ、あなたに聞くけれども、いま堀本さんから御質問があったけれども、また大臣から自由化について非常にいろいろ苦慮していられる問題も聞きました。ところが、たとえばグレープフルーツ自由化が時期を半年繰り上げてやられた。これはせざるを得ないし、いろいろな諸般の事情があったと思うんです。ところが、新聞によりますと、牛場大使が十二日に大使公邸に、グレープフルーツの生産州のアメリカの有力な国会議員の連中を招待をして、そして記念昼食会をおやりになっていらっしゃる。これは御承知ですね。どういう目的で御招待になったのか、まずお聞かせを願いたい。
  103. 説明員(小山田隆君)(小山田隆)

    説明員(小山田隆君) お答えいたします。  新聞報道では記念パーティというふうな表現が使われておりましたけれども、それはそういう性格のものではございません。いま農林大臣からの御発言がございましたように、わが国経済の高度の成長に伴って、諸外国がわが国の自由化の方向について非常な関心を示しておりました。なかんずくアメリカ日本自由化を非常な関心を持ってこれを見ておりました。そこで、わが国といたしましては、わが国の自由化の努力を伝え、あらゆる機会をとらえてこれだけやってきたんだと、これだけの苦労を払いながらも自由化に踏み切ったんだということを周知徹底せしめる、そういう広報活動が非常に大事でございます。で、牛場大使のその新聞で伝えられましたパーティと申しますのも、わが国はこれだけ自由化の努力をしてきたのだと、こういうことをアメリカの国民に知らせるために、アメリカの政界、議会人を招待して一種のPR活動をやったものでございます。決して祝賀パーティというものではございません。
  104. 園田清充君(園田清充)

    ○園田清充君 前段はあなたのいまのなにを了承しましょう。ところが、これだけ苦心をしています、日本国内農家はむしろ旗立てて時の政府に抗議しておりますと、その中でアメリカのために御協力を申し上げましたと言ったということですが、そのあとアメリカのベンツェン、民主党の上院議員、これはテキサス州の出身ですけれども、これが牛場大使に対して、グレープフルーツに続いてオレンジとフルーツジュースの自由化をすみやかにやっていただきたいという要請をやっている。だから、私どもは努力をいたしますというワシントン感覚でおやりになった。国内事情のあなたがおっしゃるとおりの説明、東京では時の政府に対してこれだけの抗議が行なわれておるぞと、にもかかわらずという前段があるならば、アメリカさんだって私は後段においてかような注文を出してくるはずはなかろうと思う。よくよく御苦心の上やっていただいたと、私どもはこれ以上御無理は申し上げませんと言ってしかるべきです。それが外交辞令です。私があなたに言うようなことでなくて、外交辞令なんていうのは、何だこのやろうと思っても、外交辞令というのはそういうものです。それが日本の昼食会のことば、常識なんです。それを重ねて新たに追い打ちをかけられて、記念パーティをやったあとで、すみやかに果汁をやれ、オレンジもやれということを要請をされておるということが記事に出ておる。  そこで、私はあなたのおっしゃるようなことを大使としてはおやりになったと善意に解釈をしたい。解釈をしたいんだが、もしそれが事実ならば、後段のようなことでなくて、もうアメリカには牛場大使が無理を言ってくれるなということを言ったんだというようなことが記事になるような招待をしてもらいたい。せっかく国費を使ってアメリカでこれだけの連中をお呼びになるならば、日本国内事情説明することが、特命全権大使である牛場さんの私はワシントンにおける活動の実態でなくちゃならぬと思う。たまたまアメリカさんに、参勤交代の大使公邸に入っていらっしゃるのじゃない。私はワシントンに行ってきた。ここは参勤交代の下屋敷かというふうなことを言って冷やかしてきたことがあるのです、ワシントンで。牛場さん苦笑いをしておった。  そこで、特に私は外務省に言ってもらいたいのは、いまは経済外交。そこで農林省が、大臣以下非常に御苦心をなさっていらっしゃる国際情勢の中で、一体小回りのきかない日本農業をどう建て直していくかということです。ところが、その苦心の成果は報われない。通産ベースというか、あなたたちのベースで進められるのか、どんどん物事が進められて、そうして農村というのは追い詰められていく。だから極端にいうならば、農業の根幹は何か。これは日本の場合には、米、果樹、畜産だ。大臣も政務次官も米どころの出身だから、一毛作にひとしいような米以外にできないようなところには米をつくってもらいたい。そのために農林省はガイドポストを示して、西南暖地、これらについては果樹をおやりなさい、草地畜産をおやりなさい、そうして需給のバランスをとろうという努力をなさっておられる。小回りのきかないだけにむずかしさがある。その中に、体質改善もできないままにあなたたちがどんどん——国際情勢がわからぬじゃない。  だから、外務省が努力しなければならぬことは、私はそういうことでなくて、たとえば皮肉なことを申し上げるけれども、与党の私から言いにくいけれども日本を飛び越えて、中共とニクソンが手を握るようなことがあることには何にも気づかずに、要らぬことで御苦心をなさっていらっしゃる。ぼくに言わせるならば、もう沖繩が日本に返されるという話があったときに、もう少しアメリカを信頼しないで、日本の外交官なら、ああ、中共包囲網を解いておいて日本に返すと、すでにこのときにニクソンの腹の中では、アメリカの腹の中では、中共と手を握ろうということがあるのじゃないかという見透かしがきいたって——それが大使の仕事なんです。しかもあなたにはっきり露骨に申し上げている。こういうことでは邪道に入っていくと思う。  それから大臣物価政策上自由化されると安くなるとおっしゃったけれども、たとえば消費者物価にどれだけ影響があるか、たとえばレモンの問題にしても、三十九年の五月にこれが自由化されておる。それ以前にキロ当たり百四十二円だったやつが、三十九年には確かに二十五円下がりました。ところが今日では百六十一円、消費者価格影響するというのでなくて、自由化したけれども、実質は上がってきているのです。こういう事実もございます。そうして後ほど私ども決議案を出して大臣に御高配を願おうということは、国内物価政策と合わせて、ただ単に何でも自由化すればいいということが物価政策上好影響をもたらすのじゃなくて、こういう逆効果も生じているという事実なんです。  ということは、一つはやはりこれは、アメリカさんを私がここであまり悪口を言うことは、アメリカさんにとって国際親善上影響があるかもしれぬけれども、しかしそれほどの大物じゃないからごしんぼう願いたいと思う。ということは、やはり経済的に見ましても、自由化の時期、その方法を誤ると、後ほど堀本先輩からこれは核心に触れられますが、たとえばレモンの場合にしても、現在では三分の一が、これはアメリカが安いからということで切ってしまった。私がたとえば資本主義社会のこれは流通の原理という、そういうことから考えたって弱肉強食、相手の国に何にもできなかったら高く売ってくるというのが常識でしょう。そういう日本農業の防衛体制がととのわない先に、自由化がどんどん進められていったらば、アメリカさんにどんどん食われてしまって、日本農業は壊滅に瀕しなければならぬ。農林大臣なんか要らなくなってくる。おそらく今度はどこかの農政局長かなんか持ってくればそれでいいでしょう。  そこまで私は先を考えると、このままの姿で経済政策がいいかどうかということ。だからこういうこともひとつこれお考えいただいて、これはさっき私があなたに、参事官、あなた私の言うことに答弁できるかということを言ったけれども、病気で大臣はお休みになっていらっしゃるけれども大臣の訓令、命令という形においてもう少し日本農業の実態、いま小回りのきかない農政をいかに農林大臣以下が御苦心になって進めていらっしゃるかを私は認識をして、そしてやっていただきたいと思います。特にきょう時間がございませんから、経企庁その他もおいでになっておるが、経企庁あたり、何をそろばんはじいておるのかということを言いたい。だからひとつ十分この辺の配慮をやりながら今後の問題の対策を進めていただきたいし、私ども日本農業の体質を本質的にこわすようなことは、かりにこれが党議だとか、いろいろなことに持ち込まれても、私一人ではございません、おそらく私と運命をともにして阻止をするという決議をする人たちがたくさんいらっしゃることをあえて申して私の関連質問を終わります。
  105. 堀本宜実君(堀本宜実)

    ○堀本宜実君 先ほど、時間がないので——きょう一日ぐらいやりますと私の考えておることはおおむねわかると思うけれども、……(「答弁残っておる」と呼ぶ者あり)
  106. 説明員(小山田隆君)(小山田隆)

    説明員(小山田隆君) ただいまの御発言はわれわれとしても肝に銘じて、今後の自由化を進めていきたいと思っております。なお牛場大使がアメリカの政界の人間を呼んでパーティーをやったときに、オレンジ、それからジュース類の自由化のことを言われたということは新聞記事には出ておりますけれども、それはその際新しく出たものではなくて、これもすでに四十四年の日米協力委のときからアメリカではグレープフルーツと並んで関心を示していた品目でございます。  それから自由化のPRは、たまたまそういう記事もございましたけれども、同時にアメリカの西部、南部、東部各地の新聞紙上で、日本はこれだけの自由化をしたということはそれぞれ非常に大きな記事として取り上げられておったことも申し添えておきたいと思っております。
  107. 堀本宜実君(堀本宜実)

    ○堀本宜実君 これは大臣、レモンその他の自由化をしたんですが、いま園田君からお話がございましたように、ことしの三月ですか、経済企画庁が調査をしました、その調査にレモン、バナナ、カラーフィルム、ウイスキーその他もやったんでしょうが、この調査によって物価の抑制に必ずしも貢献したという事実はない、こういうふうに私は聞いておるのであります。きょうは時間がございませんから、経済企画庁がおいでになっておられるはずでございますが、その方の意見は聞きません。あとでいま経済の消費者生活のために外国の物を入れるというようなお話が大臣からございましたが、そういうことも一つの役割りではございましょうが、そういうものではない、必ずしも。この製品の追跡調査を見ましても必ずしもそうではないというふうにわれわれは理解をいたしております。  ですからことにレモン等のごときは今朝の新聞にもございましたが、レモンというものが広島県あるいは瀬戸内海にございました、レモンが自由化の当時にはたいへんたくさんございましたけれども、それが日本にもう一つもなくなって一本もレモンの木がなくなりましたら、が然として高い価格で売られておるのでございます。これは答弁は聞きませんが、お認めになっていただきたい。もしこれを認めないということなら、違うということで御発言を政府のほうでしていただいたら早わかりがすると思います。そういうことでございますから、必ずしも——いま申し上げたのは朝日新聞でございます。どうぞまたあとでお帰りになってごらんいただきたいと思います。  それからここでもう一つだけ言うておかなければならぬと思います点は、温州ミカンの対米輸出拡大の問題でございます。アメリカ日本ミカンを、ここにテープレコーダーがございます、おかけしてもよいのでございますが、これは長谷川農林大臣が佐賀で演説をされたテープでございます。間違いのないテープでございます。このときは——きょうは大臣が「見合って」とおっしゃいましたが、長谷川さんの時代には「見合って」ではなくて、私らが「見合って」というふうに直したのでございまして、そのときには、長谷川さんのこのテープレコーダーには、日本ミカンを買うてくれればその後にグレープフルーツを入れましょうと、こう言っておる。ところがそれをもう一歩譲って、見合いで、ギブ・アンド・テークといいますか、とにかくやりもするがもらいもするということで、われわれ売れるものだということを信じていた。ところがいまだに返事はございませんが、返事はもうおそらく今後もないと思います。また私どももこの温州ミカンアメリカに売ってくれとは言いません。どうぞひとつその点は、早う売ってやらにゃあならぬとお思いにならないようにしていただきたいと思います。これは売ったら損をします。  もう少しその問題について——どうも私は党も政府も、ともに五州で輸出が云々ということでございますが、たいへんな違った感覚を持っておいでになる。いま五州、五つの州でアメリカ輸出することができるように許可になっておるのでございます。そして一つはアラスカでございますから、これは問題にして取り上げておりませんが、四十三年に十一万箱の——これは箱です、輸出をしたのであります。四十四年には十二万箱、箱ですよ、一つの箱が四・二キロでございます。小さい箱ですよ、四・二キロ。この箱が、四十五年には五万八千五百四十六ケース。いわゆる六の箱、それだけしか輸出していない。四十六年には減ってきているんですよ。四十四年の十二万箱、前年より一万箱だけ多いのですが、これが最高のピークでございまして、もうこんなのはいやだといって減ってきておるということですよ。  これは経済企画庁も、外務省も、通産省もおいでになると思うが、ここだけはよう聞いておいてもらわぬと困りますぞ、間違えますぞ。今後また何ぼでも農民が売りたいというような感覚は持っていないのだということなんです。どうしてか。それは皆さん一カ月しか買わないんですよ。十一月一カ月しか買わない。ミカンができ出すのは九月の末からでき出すが、できたらいつでもアメリカが買ってくれると思ったら間違いです。十一月一カ月です。それも四・二キロの箱が五万箱。銭にして二千八百万円ぐらいだと思います。銭が——貿易をしてどうとかこうとかという金の問題じゃないじゃありませんか。二千万円余りの、三千万円に足らないくらいの、何をそんなことをやる。ここらが違うのだよ、感覚が。  そうして一体これを外国に出すためにどういう検査をしておるとお思いになりますか。これは人道をはずれた言語道断のやり方をしておる。一つ申し上げます。これは検査が四つあります。種類が四つあります。第一は、落花後の検査というのがございます。落花後とは、花が落ちた後と書いてある。落花というのは、花がどいて、すぐ結実をしようとする、小さい豆粒、米粒みたいなものができたときのことを言うのであります。そのときに補助検査員三十四名が十日間、それから防疫検査官が三分の一の抽出検査をいたしまして、五人の検査官が六日間、日米合同検査というのが、国内防疫官とアメリカの検査官と一名で四日間検査をするのであります。こういう検査が、もう時間がございませんから申し上げませんが、四つある。延べ何人分かと申しますと、延べ二千人余りです。たった三千万円そこそこの金をもらいまする輸出に対しまして延べ二千人余りの人間を動員している。そしてアメリカの農務省から来ている役人の滞在費も、給料も、俸給も、そして旅費も全部生産者がみている。一人に対して大体五千ドルほどです。去年までは二人来ていた。だから一万ドル農民が出している。こんなことが考えられますか。ほんとうに残酷だとはお思いになりませんか。  そうして一箱の価格幾らだと思いますか。こんなような内地にありますようなミカンの箱じゃございません。これは正確なものを持っておりますが、急ぎますので申し上げませんが、四百八十六円でございましたか、その程度の金しかもらわない。その一箱について私の計算では百円に余る経費を出している。しかしこれは国が出しているのでしょう。おそらく国が出していると思う。その中で一部分——百八十数万円はこれは農民が出している、検査費……。百八十二万円というのは米国人の旅費と給料にやっている。こういう検査をやって、その検査のときには農民もついていかなきゃいかぬ。農民もきちんとついていってずっとそこにおるというような経費はこの中には入っていないのです。そしてこの一人一人が、それはどういう人であろうとも二千円の計算で——私のした計算でございます。ここに果樹課長なり植防の係官がおいでになりますから——これは植防は八百円でやっているんだと言う。八百円で一日じゅうやってくれる人がおりますか、現実の問題で。私は、そんな安い、どこでどういうふうにするか知らぬが、八百円で一日やるということはナンセンスだと思う。そういうことは現実にあり得ない。  そうしてまだ驚くべきことは、あなたたち御承知でないでしょうが、私の家の近所にありまするミカン園は全部輸出用の園です。それには弁慶の高札みたいに白いペンキで塗った、山形に上を切ってそして柄をつけて畑のなにに突きさした。だれそれ所有、種類温州ミカン何本、アメリカ輸出用畑と書いてある。その中に雑カン、いわゆる学問的には晩カンと言いますか、雑カン——伊予カン、ハッサク、ネーブルそれから甘夏カン、サマーオレンジ、こういうものを、畑の中にあったやつを全部切っちゃう。切らなければ買わない。今度は、その畑だけだと思ったら違います。畑から四百メートル周囲は切る。これを緩衝地帯と言います。この畑から輸出をするのですよ。この畑以外のものは輸出してはならぬと言うておる。これだけの監視員がへびりついているのですから、そういうものが輸出をされようはずがございません。それをアメリカ全州に輸出をするんだと長谷川大臣が言われた。われわれはできぬことはわかっているけれども、またそれができたらどれだけか農民が喜ぶだろうといままで考えてきたが、調べれば調べるほどかわいそうです。ほんとうに涙なくしては見られない。  私は、こういうことを考えましたときに、ここにけさの新聞でございますが、小坂善太郎さんがアメリカの牛場大使にどうやら言うた。全州に温州ミカンを買うてもらうようにという通知をしたと書いてある。幾ら通知をしたというて、農民が十二万箱出しておったものが五万箱に減っちゃった。先生方からだいぶ言われたけれども、私も国のためにやりよったらいつかは花が咲くだろうと思ってやっておったがもうだめですと、——これは私はもうお返事を聞きません。私の言ったことが間違いだったらそれは間違うているという御返事をいただいたらそれでいいと思うのであります。  その理由は、何でそういうことになったかというと、日本にはおそろしいかいよう病があるからであります。ヤノネカイガラあるいはかんきつかいよう病という病気があるからであります。アメリカにもこのかいよう病があったのです。それをアメリカは全部国費で焼却した。切って焼いてしまった。日本はそこまでやらない。そうしてこの病気が世界各国がきらっている病気であることをちゃんと御存じであるにもかかわらず、なかなかそれに対する対策を講じようとしない。そこで私は去年の予算編成期においても、ことしの予算編成期においても、相当の経費を組んでこれの治療法、予防法を発見すべきである、これが日本の果樹農業を推進するゆえんの、大きい力がある、こういうことを申し上げたのであります。そうしたら、私は金の多寡でいいとか悪いとか言うのじゃございませんが、何がしか出しました。おそらく二百万円に足らぬと思います。そうして一生懸命やっておりますというのでありますが、どうか一生懸命やっているところの様子をひとつ話していただけませんか。そしてどのくらいお金を使っているのか。私はほんとうにこんなばかげたことはないと思う。どうぞ技術会議のほうから御説明をいただきたいと思う。
  108. 説明員(加賀山國雄君)(加賀山國雄)

    説明員加賀山國雄君) 技術的な問題でございますので私からお答えいたしますけれども、かんきつかいよう病というのは、先生御指摘のようにたいへんこわい病気といわれておりまして、輸出問題に関連いたします病気であるように伺っておりますが、それの植物防疫上の問題等を解決いたします基本というものは試験研究にあるというふうに私も信じております。  それでかいよう病につきましての試験研究でございますが、こまかく申し上げますといろいろございますけれども、西ケ原の農業技術研究所、あるいは平塚の園芸試験場、興津支場あるいは安芸津の支場等でかなり病害関係の試験研究を進めておるわけでございますが、御承知のようにかいよう病はバクテリアでございますので、その生態その他につきましていろいろむずかしい点が残っておるということもございますが、最近はかなり研究員あるいは研究費も充実いたして著しく進んでおるわけでございます。  先生御指摘の二百万円というお話でございますが、私もそれがどういう根拠で二百万円ということは明らかにしていないわけでございますが、四十六年度でございますと、経常研究費だけでも二百万円を使っております。経常研究費といいますのは、研究費の積算の基礎でございますが、人当研究費がきまってまいりまして、それの経費でもって経常的に研究いたす経費でございますが、これはたとえば園芸試験場で病理関係基本的な解明をいたしますが、これも経常研究費でやっておるわけでございますが、これだけでも四十六年度二百万円余りを使っておるわけでございます。それからそのほか、何も農林省だけでございません、都道府県の研究機関でも相当いい研究をなさっておるわけでございまして、それに対しましても総合助成という方針がございまして、これで金を出しております。それからもう一つ、応用研究費というのがございますが、これはたとえば大学であるとか、あるいはいろいろな協会等もございますが、そういうところに対しましても補助金を出しておりまして、いま総額にいたしまして、日本植物防疫協会等の委託研究等を含めますと現在約一千万近い金をかいよう病の研究につきまして広範に使われておるということに四十六年度では相なっております。決して二百万円ぐらいで非常にみみっちい試験をやっておるということではございませんので、だだいろいろむずかしい病理上の問題、あるいは生態上の問題がございますが、そういうむずかしい研究ではございますが、しかし決して国が研究費を惜しんでおるということではないということを御承知いただきたいわけでございます。
  109. 堀本宜実君(堀本宜実)

    ○堀本宜実君 植防から来ておいでになりますか。
  110. 説明員(内村良英君)(内村良英)

    説明員(内村良英君) はい、農政局から来ております。
  111. 堀本宜実君(堀本宜実)

    ○堀本宜実君 植防からの報告によりますと、去年とことしと、四十五年と四十六年と支出をしておる、そして双方とも百八十万円でしたか、ことしが百五十万ですかの支出をいたしておりますという。たいへん食い違っている。一千万円から使っておるという人もあり、本家のほうのあなたのほうは二百万円以下であるというんですが、これは一体どっちがほんとうですか。
  112. 説明員(内村良英君)(内村良英)

    説明員(内村良英君) 私どもの職員がどういうお話をしたか詳しく聞いておりませんが、研究費のことは技術会議の所管事項になっております。私どものほうは検疫に要する経費といたしまして四十五年は約四百万円、四十六年は五百二十五万円の金を予算に計上しております。
  113. 堀本宜実君(堀本宜実)

    ○堀本宜実君 それはかんきつかいよう病に対する予算として御支出になったんですか。
  114. 説明員(内村良英君)(内村良英)

    説明員(内村良英君) ただいま申し上げました数字は対米輸出温州ミカン解禁対策として温州ミカンの検疫に要する経費でございます。研究費ではございません。
  115. 堀本宜実君(堀本宜実)

    ○堀本宜実君 それだから、両方ともいいかげんなことを言ってはいけませんよ。私が言ういわゆる数百万円というものを支出するその検査費の中にそれが入っているだろうと私は思う、あなたの言われるのはそうでしょう。かいよう病として私は報告を受けている。——いまちょうど時間がきたという通知があったから、こんなものを探しているひまがないから、いずれあらためてこのことは話をしますが、そういうことを言ってはいけませんよ、もっとまじめでなければ。かんきつかいよう病の話をしているんだよ、かんきつかいよう病に対する対策をいま科学的に研究してもらうということを話しているのに、輸出検査の費用として出しておる金をここへ出してきたんではちぐはぐになるじゃないか。たとえ違ってもかんきつかいよう病に対する支出をしたという金をあげるべきですよ。それがまじめな答弁だ。そんなあなたいいかげんなことを言うもんじゃないよ。
  116. 説明員(加賀山國雄君)(加賀山國雄)

    説明員加賀山國雄君) 少し御説明いたしますが、農政局と私のほうとの判断の基準が違っておったかもしれませんが、私のほうは試験研究費として実際に国あるいは都道府県あるいはその他の協会等に試験研究費としてわれわれのほうで計上して考えておる金額を申し上げたわけでございまして、農政局のほうはどのような御判断でお答えになりましたか、われわれは試験研究費ということでしぼっております。
  117. 堀本宜実君(堀本宜実)

    ○堀本宜実君 それでかんきつかいよう病に対してはそれだけ出しているということですね。
  118. 説明員(加賀山國雄君)(加賀山國雄)

    説明員加賀山國雄君) たとえば経常研究費につきましてはかんきつかいよう病ということで二百万円ということでございますが、これは経常研究費というのは何々というふうな指定はいたしませんものですから、その中でかんきつかいよう病の研究のために経常研究費の中に使われている金額を積算しますと約二百万円になるということでございます。
  119. 堀本宜実君(堀本宜実)

    ○堀本宜実君 わかりました。そういうことで金額がどっちも間違っている。ほんとうじゃないわけです。私は信用するわけにはまいりません。追ってそのことの究明をすることにいたします。  時間がきましたので、ここは大臣、救済をしなければならぬと私は思う。事後救済というものをしてやらなければ弱いかんきつ業者というものが——きのう私は伊勢丹へ行った。そうしたら、地下で長い列をつくっている。何だろうかなと思って見たら、一人五個以上は買えません、百五十円のグレープフルーツを売っているんだ、群がるような列をなして。その中で行列をつくっている。しかも制限をしている、個数の。百五十円で五つ以上は売りません、こういうことをやって売っている。これはただミカンだけに影響するとお思いになりましたらたいへん違います。  そうして私はきょうは関税のことも聞こうと思いましたけれども、関税のことを聞く時間もございません。バナナなんかは一〇〇%の関税をかけている。一〇〇%、八〇%、いまは四〇——季節関税があって四〇。六〇がバナナに対する関税なんです。いま八十万トンから入れている。ところがこれは新しく入れるのに季節関税をかけますといいながら、二〇、四〇ですよ。私はほんとうに常識のない関税のかけ方だと思います。しかしこれも時間がございません、あとに譲ることにいたします。  大臣これは私は救済しなければならぬと思うんです。とにかく何らかの方法でこの直撃を受ける果樹園芸に対しましては救済をしてやらなければならぬと私は思うんですが、いささかここに数字まで交えてその方法について意見を持っておりますけれども、一々申し上げる時間はございません。そこで項目だけを申し上げたいと思います。数字はあとでまたの機会に譲りたいと思います。  夏カン救済対策というのがございます。それは夏カンを伐採いたしますと新しいものをつくらなければなりません。それに対する経費。  それから次に「なつかん園等再開発特別対策事業」というのがございます。これはいまもございますが、これはいまのようなちゃちな方法ではとても再開発になりません。そこでいま夏カンはこれは四十三年からやっておるのですから——もう四十三、四十四、四十五とやってきたんです。それでもまだ一万八千ヘクタール残っているんですよ。一万八千ヘクタール残っているのは、もう夏カン業者が残っているんです。ここらが大事なところでどうぞお忘れなく聞いておいていただきたいと思います。この専業者がほかに仕事を持っておればいい、切って新しい甘夏カンをつくるとかネーブルをつくるとかいろいろやってもいるんですけれども、もう木を切ってしまうと一銭も入らなくなってしまう。だからよう切れないのです。だからどうしてもこれを救済してやるのには、切ってなり出しますまで何らかの方法を講じていかなければなるまいということがございます。  それから夏カン伐採地域の苗、それからそれに対します育成費というようなものを国家で若干補助してやるということでなければなるまいと思うのでございます。  第四には果樹省力化、果樹省力でなければなりません。私はカリフォルニアへも二回行きましたが、スピードスプレーヤーといって両方の噴霧器で吹いて、そして相当の、町を歩くくらいの速力で自動車が木と木の間を通りますと全部消毒ができます。葉の裏までかかっている。日本はそうじゃない。動噴というちゃちなものをふもとのほうで動かしてそうして上のほうに上がってやっている。これは競争にも何もなったものじゃない。アメリカではわずかに一反歩一年通算九時間しか投下労働時間はない。日本は五十倍、いいところで三十倍もかかっている。とてもかんきつその他のくだものは競争になりません。ですから、今後は省力栽培の指導というものにいかなければならぬと思うのであります。  次に価格保証、価格保証というのは変な言い方でございますが、いわゆるいまのようにネーブル、タンジェリンその他のオレンジジュースを入れてこようということになりますと制度の問題でして、金をくれということでなくて何らかの保護をしてやる制度をきめておかなければなるまい、こういうふうに私は思うのであります。何にもないところでそうしていつまでもほうっておくということはほんとうに残酷でございます。そういう関係で私はいまの温州ミカン原料価格その他についての保証制度を設けるべきである。これは事業団をつくるとかあるいはいまの卵のような制度にするか、あるいは基金制度を設けるか、何らかの方法で原料価格の安定制度を見つけるがよいと思うのでございます。  その次にお願いを申し上げたいと思いまするのは、「果樹広域生産地形成事業費」というのがございます。これはいまもやっておるのですが、内容を少し改める必要があると思いまするので、今後果樹広域生産地形成事業の内容について改めるべきである、こういうふうに思います。  その次には果樹及び果汁でございますが、これももう先ほどから何回も聞きましたからもうこのことについては重ねて申し上げませんけれども、これをやりましたら果樹農業というものは全滅をいたします。金を借りて植えて、もうほどなく来年はなるかなと思うところで、これを輸入する、こんなあわれな話がありますか。私はこれはつつしんでもらいたい。それからもう一つ温州ミカンというものの欧州における市場開拓というものにもう少し力を入れてもらえないか。  それから最後になりましたが、これは一つの相談——相談と言っては悪いが私の思いつきでございますが、この輸入をします期間が、これは先ほど二百何十何種類あるということであったが、期間がずいぶんあるように言われましたが、そうではありません。いまはそうではございません。これはおそらく私が計算をいたしてみますと正式な価格形成で六十二円五十銭くらいで入ってくるのではないか、一個が。いままで三百五十円、四百円で売っていたのはどういうことかと思われるような安い価格で入ってくると私は思う。そこで若干輸送費、マージンをとりましても百円を中心にした前後であろう、こういうふうに見ます。そうしますとただ単にミカンの問題だけではございません。このグレープフルーツはくさりません。私は人にもらって七カ月から押し込みに入れておったが、出しましたがけっこう食べられます。ですから、そういう非常に腐敗しにくいくだものでございますので、季節関税等を設けておるということはどうかと思います。そこでできれば生産者を窓口にした取引というものを今後御研究いただきたいと思うのでございます。これは暴落をするようになったら緊急関税をかけるなんというようなことでなしに、数量の規制なり数量の増加なり、いろいろのことがございます。ですから生産者を窓口にして生産者団体、たとえば全販連、あるいは日園連そういうようなものを窓口にしてそうして輸入をされるということが、一番国内ミカン業者と連絡もつき、価格の保持ができるのではないかというふうに思いますので、これは御即答もできぬと思いますので御研究をいただきたい。何か会議に出られるお時間だそうでございますので、どうかいまの事後対策というものについての大臣の御意見を伺っておきたいと思います。
  120. 国務大臣(赤城宗徳君)(赤城宗徳)

    国務大臣赤城宗徳君) たいへん具体的に事後対策等につきまして御意見がございました。それぞれ検討いたしてみたいと思います。率直に言ってできるものもあり、できないものもあると思います。できるだけ御意見等に沿うように検討いたしたいと思います。
  121. 塩出啓典君(塩出啓典)

    塩出啓典君 それでは、大臣が行かれるそうでございますので、大臣に対する質問はあとにしたいと思います。  まず最初に、諸先輩からミカンの問題についていろいろお話がありまして、できるだけ質問はダブらないようにしたいと思いますが、まず午前中の質疑のときにいわゆる果樹農業振興基本方針、そういうものがこれがこの果樹農業振興特別措置法の第二条に基づいて昭和四十二年に作成をされておりますが、この内容についてちょっとお聞きしたいと思います。  まず、ミカンの五十一年度における需要の見通しが約三百数十万トンと見込んでおりますが、これは大体どういう条件での推定なのかということですね。
  122. 説明員(内藤隆君)(内藤隆)

    説明員内藤隆君) ただいまの需要の見通しでございますが、午前中に官房長から申し上げましたように農林省が公表しておりまして、農政審議会に諮問いたしました「農産物の需要と生産の長期見通し」においても同様でございまするけれども、将来における所得の上昇、それから食生活の順次の変化というような傾向、大体その二つの要素をとらえまして、目標年次におきます需要量というものを推定しているような次第でございまして、条件というふうなお話でございましたけれども、条件自体はそういう食生活の変化、それから所得の変化に伴いますその果実に対する消費支出、果実全体の中におきますミカンの将来位置というようなことを前提にしているわけでございます。
  123. 塩出啓典君(塩出啓典)

    塩出啓典君 私がこういう質問をするのは、やはりいわゆるミカンの過剰生産、非常に九州方面では温州ミカンもどんどんふえて、しかも未成園が非常に多い。しかも、現在日本農政といたしましては、いわゆる作付転換においても、永久作物に対しては特に最大の力を入れておる。そういう点から考えて、今後かなりミカンはだぶつくのではないか。しかも、そういうグレープフルーツ自由化等の問題もありまして、そういう点、はたしてこういう方向でいいのかどうかということを知りたいために質問したわけですけれども、そういう点で、輸出とか輸入とかこういうようなのは、この計画の中ではどのように入っているのでしょうか。
  124. 説明員(内藤隆君)(内藤隆)

    説明員内藤隆君) いまの温州ミカンの需給の見通し、まあ前段のお話でございますが、午前中にもちょっと申し上げましたように、前期の植栽目標面積を三万ヘクタールというふうに考えていたわけでございますが、それが実績でまいりますと三万二千ヘクタールというようなことで、いま先生御指摘のように、生産の面から申しますと、温州ミカンに関します限りは、若干目標に比べて供給の増加の度合いが近年多かったというようなことは言えると思います。ただ、これも午前中申し上げましたように、本年じゅうにおきましてこの果樹農業振興基本方針の改定をするために現在審議会の部会等を開きまして、需要、経営その他全面にわたって再検討いたしておりますが、先ほど先生お話しございましたように、三百三十一万トンないし三百七十一万トン程度の需要というのは、その後の需要の推移を見ますると、若干、五十一年と申しますか、将来にわたってはもう少し増加を見てもいいのではないかというふうに考えておりますので、各県に対します植栽の進め方の指導等を通じまして、何と申しましても基本は冬年次におきます需給をある程度バランスさせるということでございますので、例年こういう永年件の作物につきましては、そういう植栽の調整というようなことを通じまして需給の調整をはかっていく。したがいまして、いま申し上げましたような将来の需要の見通し、それから植栽の調整というようなことを通じまして、温州ミカンに関しまして非常に異常な事態が現出するような過剰というようなものは当面考えていないというような次第でございます。
  125. 塩出啓典君(塩出啓典)

    塩出啓典君 私、午前中大臣からも話がありましたように、やはりミカンの需要の拡大というものも、当然その国際競争力あるいはまた生産のコストですね、そういうものとの関連で見ていかなければいけないのじゃないかと思うのですね。そういう点で、基本方針としてはそういう生産量の目標というものがあるわけですが、それに対して昭和五十一年までにはミカン経営というものをどの程度状態まで持っていくのか。確かにここに、先ほど話がありましたように、第三の項目に「近代的な果樹園経営の基本的指標」というのがあるわけですが、午前中にも質問がありましたように、ミカンは十二ヘクタールの面積で十アール当たりの生産量が三・五トンで、その労働時間が百十六時間、こういうのが一応の一つの理想としては出されているわけです。けれども、国としてこれを具体的に——そういう絵にかいたもちではなくして、現在の日本のそういう経営規模から考えて、具体的にはやっぱり何年までにどういう方向に持っていくのか、また、その方向に向かっていまどの程度まで進んでいるのか、そういう点がわれわれわからないんですけれどもね。それはどうですか。
  126. 説明員(内藤隆君)(内藤隆)

    説明員内藤隆君) かんきつ類の生産、経営——生産内容と申しますか、生産費ということに関しまして非常に情報が不足しておりまするけれども、たとえばカリフォルニアの生産とそれから現実のわが国の生産というようなものをかりに費用にとってみました場合に、先生御指摘のように、現状から申しますと相当の差があるんじゃないか、コスト的に申しまして。そういうことは私ども感じているわけでございますが、この振興の基本方針にございます「経営の基本的指標」という問題につきましては、先ほどもちょっとことばが足りませんでございましたけれども、個々の農家の所有反別を十二ヘクタールに一ぺんに持っていくというようなことは必ずしも考えておりません。やはり農作業の——その本文にございますように、農作業の全部またはその一部を共同するというようなこと、そういうことによります作業規模と申しますか、経営の技術部門に当たる点につきましての共同化、それから機械化というようなことを具体的に進めてまいりたいというようなことで、そういう経営単位の目標を掲げた、こういうようなことでございまして、いま申し上げましたように、経営部会におきまして現在この内容につきましてもやはり相当、昭和四十二年当時と土地利用の条件等も先生御指摘のように変わってきておりますので、どういうふうな経営を構想したらいいかというふうなことについていま審議していただいているわけでございます。この秋ぐらいまでにはその審議会の結論を得まして、私どももそれを具体的な行政の場に移していくというような方策を検討いたしたい、こう思っている次第でございます。
  127. 塩出啓典君(塩出啓典)

    塩出啓典君 これは四十二年にできたわけですけれども、この方針に対して、具体的に「近代的な果樹園経営の基本的指標」という問題にしても、どの程度まで進んでいるのか。それは確かにいま言ったように、個人が十二ヘクタール持つのではなくて、この中では、まあそういうのを一つの単位として共同作業的な要素のことも入っていると思うんですけれども、そういうのはちゃんと予定どおり進んでいるわけなんですか。
  128. 説明員(内藤隆君)(内藤隆)

    説明員内藤隆君) 経営の成果と申しますのは相対的な問題でございますので、なかなかとらえにくいわけでございまするけれども、かりに生産費を構成いたしますいろんな要素に着目してみますると、四十二年段階——これは統計調査部が実施しております農産物の生産費調査でございまするけれども、最近年次の四十二年段階おきましては担当労働時間が三百時間以上ありましたものが二百五十六時間程度に減っておるというようなことでございまして、労賃、単価、その他の上昇がございましても全体の生産費としてはそう上がっていないというような一応合理化の方向はたどっていると、こういう経緯になっております。
  129. 塩出啓典君(塩出啓典)

    塩出啓典君 この問題は非常にことばで説明するのはむずかしいと思いますので、この四十二年の基本方針ができてから今日までですね、その方針に対してどの程度まで進んでおるのか。そういうのを資料としてあとから御提出をいただきたいと思うのです。特に、第四番目にありますいわゆる流通の合理化とか、加工の合理化、そういうのもここにちゃんとそういう方向は示されているわけですけれども、それに対してこの四年間において政府としてはどういう施策を推進し、どこまで合理的にされるのか。また将来はどこまで持っていくのか、そういう点をあと資料としていただきたい。その点よろしいでしょうか。
  130. 説明員(内藤隆君)(内藤隆)

    説明員内藤隆君) いまお話がございました第四点の流通及び加工の合理化という問題でございますが、流通につきましても選果施設、それから貯蔵施設の整備というようなことに関します助成融資というようなことは実施してまいりましたし、それから、加工につきましては、先生御案内のように、農協を中心にいたします果汁工場の設置ということを三年計画でいま推進している途中でございます。加工につきましては、果汁の需要と申しますものがわが国におきましてはまだこれから——いわば一種の成長部門というようなことになっておりますので、いろいろな問題はございまするけれどもそういう方向で施策を進めております。  いま御要望のとおり、その事業等の経過につきましては後刻資料で提出いたします。
  131. 塩出啓典君(塩出啓典)

    塩出啓典君 それで、これは大臣あとから来るそうですが、一応大臣の代理として政務次官にも要望しておきたいのでございますが、昭和三十六年に果樹農業振興特別措置法というのができまして、その第二条に、「果樹農業振興基本方針」をつくる。そうして、お話で聞きますと、五年に一回改定をしていると、そういうふうに聞いているわけですが、やはり私も今度農林水産委員になりましてずっと広島県等のミカン園へも行っていろいろお話を聞いてきたわけでございますが、これは米の場合もそうでございますが、ほんとうに日本農政というものは方針がきまらないというわけですね。だから何をやったらいいのかわからない。大体農協の言うのは反対をやればうまくいくんだと、そういうのを広島県の因島あたりでも言っているわけですね。やはりそういう果樹農業がどのような方向に進んでいくかということは、当然自由化との問題とも関連をして、将来はっきりとした指針を示さなければ果樹農家皆さんとしては何をやっていいのかわからない。自由化にしても突如として寝耳に水のようなそういうことを、またオレンジの問題にしてもいつになるかわからない。そういうような不安定な状態でははたして改植できるかどうか、あるいはやめるべきか、そういう点の判断もほんとうに困ると思うのですね。  だから、私はそういう点で「果樹農業振興基本方針」にしても五年に一回とかいうのんびりしたことじゃなくて、絶えず——やはりこの第二条の二には、「果実の需給事情農業事情その他の経済事情の変動により必要があるときは、果樹農業振興基本方針を変更するものとする。」、そういうように事態の変遷に応じて常にそういうはっきりとした国の方針というものを示さなければいけないんじゃないかと思うのですね。そういう点で、今回五年目が来て改定をするわけですけれども、五年に一度と、そういうようにきめるのじゃなくて、やはり情勢に応じて常にやはり検討を加えていくと、そういうようにすべきではないか。このように私は思うのですけれども、その点どうですか。
  132. 説明員(佐藤隆君)(佐藤隆)

    説明員(佐藤隆君) お説のように機動的にやはりそうした検討は絶えず進めていく、これが必要だろうと思います。
  133. 塩出啓典君(塩出啓典)

    塩出啓典君 そこで先般、科学技術庁の資源調査会が、いわゆる「みかんの主産地形成と加工問題に関する調査報告」、そういうものを七月二十七日に出しておるわけでございますが、農林省としては、との資源調査会の報告に対してどういう考えを持っておるのか、それをまずお聞きしたいと思います。
  134. 説明員(内藤隆君)(内藤隆)

    説明員内藤隆君) いま先生お話しのように、資源調査会のほうでそういう検討をいたしまして、新聞等にも公表されたようでございますが、資源調査会には私ども関係の果樹の専門家等も相当数参加しておりまして、私ども調査会の結論自体、私どもが考えております方向とそう大きな差はない、大体私どもと同様の方向で考え方が整理されていると、こういうふうに考えております。
  135. 塩出啓典君(塩出啓典)

    塩出啓典君 そうしますと、この調査会の報告内容は、将来ミカンの需要を拡大するために、加工製品をもっと比率を高めていかなければいけない、そういうような内容もあるわけでございますが、やはり私は農林省として、この基本方針にしても——これは基本方針は基本方針としても、もう少し加工用の比率を将来何%に持っていくのか、そういう年次計画、そういう資源調査会の報告に対して、大体了とするならば、やはりそれを具体化していくには、これはいろいろな今後の施策が必要じゃないかと思うんですね。そういうやはり具体化のための今後の施策というのは、これはもうちゃんと検討しているわけですか、農林省では。
  136. 説明員(内藤隆君)(内藤隆)

    説明員内藤隆君) 果実の加工部門につきましては、御案内のように、実のかん詰めと果汁というようなことになりますが、欧米の先進諸国におきます果実の消費量におきましても、果汁の消費比率というのは非常に高いわけでございます。国によってこれは若干の差はございますけれども、非常に高い。果実の消費量の半ば以上を占めるというようなことになっているわけでございますが、わが国の場合におきましては、先ほど申し上げましたように、まだ果汁の占める比率というものが非常に低いわけでございます。ただ最近、若干の農協等が実施しております天然果汁につきましては、非常に需要面でも好評であるというようなことがございまして、徐々に果汁の消費も本格化してくるのではないかというふうに見ておりまするけれども、この加工全体につきましても、先ほど申し上げました加工の専門部会におきまして——この振興計画の改定の審議をしております加工部会におきまして現在検討中でございますが、その二二%と申しますものを、今後の五年間に、たとえばの話でございますが、二〇%程度には持っていくというような具体的な検討を、ひとつ加工部会等でもやっていただきまして、私どもとしましても、そのための施策と申しますのを順次充実さしていきたいというふうに考えているような現況でございます。
  137. 塩出啓典君(塩出啓典)

    塩出啓典君 まだこれから、検討中とのことでございますが、やはりそういう加工用の比率を高めるという問題についても、一つの具体的な方針をきめて、やはりそれに向かって努力をしていく、そういう一つのはっきりとした姿勢を示さなければいけないと思うんです。  そこで、資源調査会の報告では、大体加工用はキロ当たり十五円から二十円ぐらい。それから生食用は四十円から四十五円ぐらいにしていけば国際競争力もあると、そのように書いているわけなんですけれどもね。しかし生産者の皆さんの考えでは、加工用というのは値段が安くてとてもやりきれない、現在でももう非常に安いわけですね。そういう点で、はたしてこの調査会の報告のとおり、十五円から二十円、あるいは生食用に四十円から四十五円、そういうことがほんとうに可能なのかどうか。これは私、専門家じゃないのでわからないのですけどね。そういうミカン行政を今日までずっと担当してきている農林省としては、こういうことは可能なんですか。
  138. 説明員(内藤隆君)(内藤隆)

    説明員内藤隆君) 加工用の価格につきましては、いま先生御指摘のように、現在におきましても生食用とはかなりの開きがございまして、もの自体が違うという面がございますと同時に、やはり生食用の裾もののほうが回ってくるというような関係にございますんで、そういう価格関係にあることは当然と申しますか、一つ価格形成としてそういうことになっているんだろうというふうに思いますが、いまの資源調査会の四十円、十五円というような水準自体につきましては、私ども将来の生産の合理化というようなものをどこまで持っていけるかという見通しが、さらに先ほど来申しておりますように、現在経営等につきましても検討中でございますので、そういう見きわめをもう少し具体的に立てた上でございませんと、はっきりいまここでどうというふうに申し上げるわけにまいりませんが、加工用の原料につきましての最大の問題といたしまして、私どもが現在検討しなければならないというふうに考えておりますのは、繰り返し申しておりますように、生食用を中心に果実の市場というのが現在形成されております関係上、でき、ふでき、それから生食用のそういう需給関係に伴ないまして、非常に原料用に供給される量というものが変動するというようなことが、加工部門の安定という面から申しますと非常に脅威になっております。非常に極端な場合には、相当以前のミカンかん詰めの輸出のように、生食用がいいときには原料がそろわないというようなことで非常に苦労する。海外の注文があっても、品物をそろえるのに苦労するというようなこともございますので、将来拡大されてまいります果実全体の需給の中におきまして、成長部門である加工部門の原料、それから価格というものを安定させる方策ということをまず重点的に取り上げて、明年度以降の施策として取り上げたいというようなことで、調査会の検討とも並行しながら、私ども内部でいま検討を進めている段階でございます。
  139. 塩出啓典君(塩出啓典)

    塩出啓典君 これも検討中でございますとのことですけれども、やはりこれから国際競争力、自由化という方向に進むわけですから、やはりミカン経営者のいくべき道も非常に険しいと思うんですね。やはりそういう、ただ高く値段が売れて、もうかったときの印象だけが残って、そのためにだれでもかれでもミカンということになって、それで結局最後やめてしまう、そういうようなことになってはこれいけないと思うんですね。だから私、思うのは、そのようなミカンの今後の将来の方向というものを、この程度の規模で、これくらいのコストに下げていかなければ将来やっていけないんだ、こうすればいいんだ、そういうようなはっきりとした将来に対するビジョンというものがあれば、やはり、いまは苦しくても将来に希望が持てれば、そこにがんばっている人も張り合いがあると思うんですね。いまの、いろいろとお聞きいたしましても、これはむずかしい問題で、検討中、検討中と言われるのは無理ないですけれども、もう少しそのあたりがはっきりとした方針が示されてそしていかなければいけないんじゃないか、そういうわけで、これは前の質問とまたダブりますけれども、そういう点も含めて今度の基本方針というものは、このような簡単なものじゃなくて、少なくとも資源調査会の報告に匹敵するような、そういうやはり具体的な、単なる将来の絵にかいたもちのようなビジョンじゃなくて、もっと現実に即したそういう基本方針を立ててもらいたい。そのことを私は要望したいのですけれども、これは大臣の代理として政務次官のほうから……。
  140. 説明員(佐藤隆君)(佐藤隆)

    説明員(佐藤隆君) おっしゃるように、資源調査会の結論、それを上回る、何かことばは適切じゃございませんが、ふところの深いそうした結論が出されるべきだ、かように思います。
  141. 塩出啓典君(塩出啓典)

    塩出啓典君 それと、まあ加工が将来非常にふえてくると思うのですけれども、当然この加工がふえてこなければミカンの需要の拡大も望めないわけなんですが、現在は農協等が中心でやってるわけなんですね。われわれの考えとしては、そういう農産物の加工、もちろんこのミカン等のカン詰めジュースの加工も含めて、これはできるだけ農村の生産者の側にやらせる、現在はそういう方向できているわけですけれども、そういう姿勢は将来とも貫くべきだ。それがやはり農村の工業との格差をなくしていく上にも大事じゃないかと、私はそのように考えているのですが、その点は農林省はどういう考えなんでしょうか、そういう点を認めるかどうか。
  142. 説明員(内藤隆君)(内藤隆)

    説明員内藤隆君) 現状におきます加工の事業主体に関しましては、若干くだものの種類によって違いまして、ブドウ、リンゴ等につきましては必ずしも生産者の系統でない事業主体の事業というものも約半数程度あるように記憶しております。また将来の農林省の加工に対します考え方といたしましては、いま先生御指摘のように、農協と申しますか、生産者団体、出荷団体というようなものを中心にして、もちろん人格的には若干分離することがございましても、系統といたしましてはそういう方向へ指導してまいりたいというふうに考えております。
  143. 塩出啓典君(塩出啓典)

    塩出啓典君 実は私、共済制度のようなものを次国会に提出すると、その内容は、たとえば牛乳の場合には、いわゆる加工用に出す牛乳については特別に安く、その分を国がお金を出す、そういうものに似た制度のものを次国会に提出をする、そのように農林大臣が言っておるのを新聞でちょっと見たわけですけれども、これは事実なのかどうか。当然私はそういうような価格安定のための立法措置が必要ではあると思うのですが、その点はどういう内容のものであり、どういう予定になっておるのか、その点をお聞かせいただきたい。
  144. 説明員(内藤隆君)(内藤隆)

    説明員内藤隆君) ちょっといま官房長所用がございまして中座いたしましたので、私が答えるのは適当でないかもしれませんけれども、果樹の共済制度につきましては、——いま先生の御指摘、おそらく果樹の共済制度のことかと存じますけれども、現在試験実施をしておりまして、昭和四十七年度には終了するという予定になっております。したがいまして、農林省といたしましてはその試験実施の結果を見ました上で昭和四十八年度から本格実施に入れるように鋭意検討を進めるという段取りになろうかというふうに考えております。
  145. 塩出啓典君(塩出啓典)

    塩出啓典君 そうすると共済制度であれば、結局いままでは私、天災とかそういうときのいわゆる台風による被害ですか、そういうのをやはり補償する、そのためにふだんから積み立てておると、そういう内容のものに承知しているわけですけれどもね、それを一歩も出ないのかどうか。いま言ったように、加工用が非常に安いからそれを救済するようなそういうニュアンスに私とっておったのですが、その点はどうなんですか。
  146. 説明員(内藤隆君)(内藤隆)

    説明員内藤隆君) 非常にむずかしいお話でございまして、先ほど来私が原料用のものの価格について申しておりましたことは、その原料用に回される果実の価格安定措置というものについては、量及び価格の安定というようなことをやってまいることがその果実の需給、それから価格の安定全体に非常に大きい意味を持つ、そういう点については十分検討を進めて成案を得るように努力したいというふうな趣旨のことを申し上げたわけでございます。  いまの果樹の共済制度につきましては、これは果実全般と申しますか、生食用、加工用含めまして、災害に対しまする共済ないしは保険という制度をどういうふうに仕組むかというような話でございまして、いま先生お話のように、災害に対する平年化と申しますか、補てんということを踏み越えて、価格の変動に対してもある程度耐えるようにという御趣旨のようにも聞こえたわけでございますけれども、それらは試験実施の結果とは直接に相応じませんけれども、その価格の変動の幅であるとか、その場合に補てんする場合には農家の掛け金がどうなるかというようなかなり実際に即した検討をいたしませんと、制度として仕組めるかどうか、それに対して国がまたどれだけの援助をするかというような問題も続いて起こってこようかと思いますから、その内容等につきましては、現在経済局におきまして、その試験実施の結果を見ながら検討するということで、いまここに内容の詳細を申し上げるだけの資料を持ち合わせておりませんので、一応お答え申し上げます。
  147. 塩出啓典君(塩出啓典)

    塩出啓典君 それでは大臣に大事な問題を二問ほどお聞きしたいので、それだけ残しまして、あと最後に、いわゆる輸出拡大のために昭和四十六年度もいろいろ予算がとられているわけでございますが、果実加工需要拡大緊急対策事業、うんしゆうみかん欧州市場開拓促進実験事業、そういうようなのがとられているわけでありますが、そういうような予算に対してどういうことをやっていますか、その効果はどうなのか。それからそういう需要拡大の一貫として学校給食等の政策、需要の拡大につとめろと、そういう要求もあるわけですが、それについてはどうなのか。また料理教室等もどんどん宣伝をして、みかんの料理の方法等も、こういうのは政府でひとつやってもらいたいと、そういう要望があるわけですけれども、そういうのに対してはどう考えているのか、そういう点が一つ。  それともう一つは、先ほども質問に出ましたいわゆるレモンの自由化によりまして非常に安いレモンが入ってきたためにレモンの生産者がほとんど——先般私も瀬戸内海のほうに行ってまいりましたが、ほとんど切ってしまっているわけですね。ところがお話を聞きますと、日本輸入されるレモンなんというのはほとんど、やはり九割がサンキスト社が掌握をして、そういう一つ輸入組合を通さなければこっちに入ってこない、そういうシステムになっておる。そうなってきますと、先ほど来質問がありましたように、いままでもそういうふうに値段が上がってきているわけですが、将来そういうアメリカ資本に独占をされて価格をどんどん操作される、そういう危険がこれは今後も出てくるのじゃないかと思うのですね。そういう点に対して農林省としてはどういう考えを持っておるのか、それに対する対策というものはどうなのか、その点をお聞きしたいと思うのです。ちょっと二つに質問分かれていますがね。
  148. 説明員(内藤隆君)(内藤隆)

    説明員内藤隆君) 前段の果実の需要拡大に対しましてのお話でございまするが、農林省といたしましては、現在消費が多様化するというようなことに対応いたしまして、先ほど来申しましたように、加工工場を設置する、それから品質向上をやる、それから貯蔵庫の設置をやるというような対策をずっと講じてまいったわけでございますけれども、学校給食につきましても、本年度は文部省におきまして、新たに果実等の学校給食用物資、これは実は果実だけでございませんで、蔬菜等も含んでおりまするけれども、学校給食用の物の流通改善をはかるという事業を文部省において実施するというようなことで、果実の学校給食向け消費というものの拡大に着手しているような次第でございます。  それから輸出につきましては、先ほど先生から御指摘ございましたように、本年度欧州とカナダの東部市場の拡大をはかるため、これは実験的事業でございまするけれども、実験的に一定の数量を限りまして輸出をいたしまして、従来の輸出先に比べまして掛かり増しすると思われる運賃その他につきまして定額補助をするというようなことをやっております。  それからソ連につきましては、従来沿岸貿易等で若干の数量があったわけでございまするけれども、毎年価格の交渉というようなことで非常に難航いたしますので、ソ連人と申しますか、ソ連におきます日本産の果実の嗜好の動向の調査であるとか、需要量とか、それからそれらの調査もかねまして消費宣伝も行なうというような事業に日園連等を中心にして本年度新たに実施するというようなことにしたわけでございます。  料理学校の件につきましては、実は私いま初めて先生から伺いまして、料理学校自体につきましての知識も十分でございませんので、これは農林省におきまして検討さしていただきたい、こういうふうに思いまして、いますぐどういう考えだというようなことにつきましては申し上げられない状況でございますので、御了解をお願いしたいと思うわけでございます。  それから後段のレモンを例にして話をされました件につきましては、これも先ほど来いろいろお話ございましたけれども昭和三十八年段階で百四十四ヘクタール、千二百トン程度の生産がございましたけれども自由化いたしました結果、現在は四十一ヘクタールというようなことで生産も非常に減っているわけでございますが、自由化いたしました結果の輸入価格というのはやはり制限しております段階で大体四百円見当でございましたものが、百七十円、百八十円、高くて二百円というような水準にキログラム当たりなったわけでございますが、最近非常にレモンが高いという事情について先ほどグレープフルーツについても若干話が出ましたけれども、この夏の港湾ストというようなことがございまして、日本への搬入というものが非常に制限されているというような事情が反映しているんだと思います。サンキストはもちろん非常に大きい大手ではございまするけれども、必ずしもサンキストだけに全部一元化されているというようなわけでもございませんし、現在、日本向けにそういう意味で独占的に価格を操作しているというような実績、事態というのは私どもとしては把握していないわけでございます。  ただ仮定の問題といたしまして、そういうふうに先方輸出の窓口が一本化される、その間に競争がなくなって非常に独占的になる、そのことによりまして輸入国、具体的に申しまして、日本価格というようなものに非常に変動といいますか、具体的にはつり上げでございますけれども、そういうようなことがあるというような事態が想定されます場合には、これは現在の輸入取引の規制の要件に該当するわけでございますので、私どもとしましては秩序ある輸入のできるような、そういう窓口の整理と申しますか、規制というようなことをもって対応するというのが一般的な考え方であろう、こういうふうに思っております。
  149. 宮崎正義君(宮崎正義)

    ○宮崎正義君 大臣がいないのは、まことにこれは根本的にいけないことですから、いないからやるのじゃなくて、当然いるべきものが、いなけばならないのがいないのだから、やむを得ずやるということなんです。政務次官もおいででございますので、私は角度を変えて質問をしたいのでありますが、これは大臣所信表明にも、「経営規模の拡大、高能率な生産組織・広域営農団地の育成等を通じて意欲的に農業を営もうとする農家中心生産性の高い近代的な農業を確立するよう、さらに一段と努力を重ねてまいる所存であります。」と、こうあります。大臣がおいでになりましたら、私は総合農政の立場からお伺いいたしますけれども、こういう考えのもとに、これは新大臣所信表明でありますが、今日までの農林省の方針とも言えると思うのであります。  そこで、国営の第二田沢土地改良事業について私はお伺いをいたしたいと思うのですが、この事業はいま申し上げましたように、農家の経営規模の拡大という面から全耕地を増反して、そうして田畑輪換方式というものをとってやったようにいわれておりますが、このことについて、この工事がどのように今日なっておるか、この点についてお話を伺いたいと思います。
  150. 説明員(三善信二君)(三善信二)

    説明員(三善信二君) ただいまの第二田沢総合開発パイロット事業の件でございますが、これは御承知のように、昭和三十四年から六年にかけまして国で調査をいたしました。そのあと全体の実施設計等を行ないまして、たまたまいまお話がありましたように、農用地の集団化あるいは経営規模の拡大と、そういった観点から総合のパイロット計画の一環として仕組んでまいったわけでございます。  そこでこの第二田沢地区につきましては、水田とそれから畑地、この畑地は新しく農用地を造成して畑地にするということで、計画変更をその間しておりますけれども、最終的な段階では合計いたしまして九百九十二ヘクタールの田畑を造成する、しかも経営方式としましては、水田と畑作の田畑輪換方式ということで経営をやるということで事業を始めたわけでございます。三十八年の十一月に土地改良の事業計画を決定いたしまして、その後ただいま申し上げましたように、土地改良事業の計画変更を二回やっております。で、最後は四十五年の十一月に二回目の変更をやりまして、その後工事が四十六年の三月に一応完了したという経緯になっております。
  151. 宮崎正義君(宮崎正義)

    ○宮崎正義君 これの計画の問題でございますが、私がおもに取り上げてまいりますのは千畑村の件なんですが、これは中仙から太田町のほうに一貫した用水路というふうに見ておりますが、この千畑村のほうのことについておもにきょうはお伺いをしてみたいと思うんですが、これらの工事内容といいますか、そのことについて御説明を願いたいと思います。
  152. 説明員(三善信二君)(三善信二)

    説明員(三善信二君) この総合開発パイロット事業は、御承知のように、第二田沢地区で五つの部落と申しますか、いま言われました千畑も含めて五つの部落にそれぞれ農用地の集団ということで、経営の合理化ということで工事をやっております。千畑事業につきましては、大体耕地面積が計画変更後は二百八十一ヘクタールを造成するということで、ここも開拓とそれからかんがい排水、あるいは圃場整備の区画整理事業等を行なって事業を実施してまいったわけでございます。
  153. 宮崎正義君(宮崎正義)

    ○宮崎正義君 聞かなければみんな一々答えられないようなんですが、ずっと幹線用水路の規定水量がどのようになって、そして最末端のところではどういうふうになっているか、そういうこともあわせて説明をしてください。
  154. 説明員(三善信二君)(三善信二)

    説明員(三善信二君) 幹線の用水路につきましては、この第二田沢地区全体で約二・五キロの用水路をつくりまして、大体毎秒ミトンの水を流す、その水でもって水田のかんがいに資するということで計画し、そういうふうな事業を実施してまいっておるわけであります。
  155. 宮崎正義君(宮崎正義)

    ○宮崎正義君 その最末端のところに肝心な水が届いていないんですがね、実情は。これは、どういうふうな関係になっているのか。
  156. 説明員(三善信二君)(三善信二)

    説明員(三善信二君) 最末端につきましては、幹線水路から支線水路をつくりまして、その支線水路の水でかんがいをするということになっておるわけでございますが、私ども調査いたしましたところ、その水が全然通っていないというふうには聞いておりませんのですが……。
  157. 宮崎正義君(宮崎正義)

    ○宮崎正義君 聞いていなくても、現実に見てきたんですから、水は届いてない。現実に見てまいりましたけれども、これに対して幹線用水路の工事上の問題もあるでしょうし、また、現地では現地の受益者負担でかさ上げなんかも、二百メーターもしているわけです。こういうふうな個所もあるわけです。それから、漏水しているところの個所もあるわけです。それからさらには、当然この計画でいけば最末端のところまで、千畑村の南のほうのところにも全部行き届いていかなければならないというのに、行き届いていないという、そこに問題があるわけです。ですから、こういうふうな点をどのように考えているのかということを聞いているわけです。
  158. 説明員(三善信二君)(三善信二)

    説明員(三善信二君) 私どものほうの調査によりますと、この事業自体は、先ほど申し上げましたように、水田と畑作と、そういう田畑輪換の営農をやるということになっております。したがいまして、この水田に必要な水量というのはおのずからきまるわけでございます。で、その水量ですが、先ほど申し上げました毎秒ミトンというこの水を幹線の水路を通して支線の水路まで流すということでございます。ただ想像いたしますところは、おそらくこの現地では、最近の現状では畑として利用すべき計画であったところを水田として利用しておるというような実情があるやに聞いております。そうしますと計画の水田面積より広い面積にかんがい用水を流すということになりますし、勢い計画より無理した水を幹線水路に流し込むというようなことがあるかもしれないというふうに感じております。
  159. 宮崎正義君(宮崎正義)

    ○宮崎正義君 田畑輪換方式で畑をやっていないというところがあるように聞いているとおっしゃっておりますが、確かにそれは見受けられると思うのですが、いずれにしましてもこの計画に基づいた基本的な考え方というその考え方に沿っていくならば、どう方向づけていくのかということは、これははっきりしているんじゃないかと思うんです。この農家の指導に対しても、こういう計画なんだからこういうふうにやらなければこれだけの水が足りなくなるよということもはっきり指導しなければならない。この点どうも不明確のように思うわけです。こういう点についてもどんなふうにお考えになっておるかですね。
  160. 説明員(三善信二君)(三善信二)

    説明員(三善信二君) 私どもとしましては、こういう計画に基づいて工事を実施したわけでございますから、その計画に即応した営農の形態というのでやってもらいたい、そのためには相当綿密な、濃密な指導をやっていくということが必要であると思います。今後ともそういう面につきましては都道府県あるいは普及員等との連絡も密にしまして、濃密な指導をやっていきたいと思っております。
  161. 宮崎正義君(宮崎正義)

    ○宮崎正義君 この用水路の水のはけが規格どおりに、規定どおりの、計画どおりにいっているならば、あふれてかさ上げをしなくてもいいわけです。それからさらに、よけいに水田ばっかりに使っているから、畑三分の一なら三分の一の畑をやらないで、水田ばかりにしたから水が足らないのだというようなお説だと思うのです、端的に聞けば。そうしてその水の流れがちゃんとつくられたそのみぞに流れて、用水路のへきを越えて流れるようなことはない、こういうふうに思っていいわけじゃないでしょうか。
  162. 説明員(三善信二君)(三善信二)

    説明員(三善信二君) 計画で予定しましたような田畑輪換の営農方式で、その計画に基づく水田の耕作のために必要なかんがい用水ということになれば現実に問題はないと思っております。
  163. 宮崎正義君(宮崎正義)

    ○宮崎正義君 ところが先ほど言いましたように、かさ上げしておる個所が二百メーターもある、これは受益者負担でやっております。さらには漏水の個所が相当あるわけです。その漏水の個所も受益者が負担をしているというのが現状でございます。こういう点を私どもは現地の方から聞いておりまして、実際に現場へ行ってきましたけれども、そういう個所があるということは、やはり工事上に問題がなければいいんじゃないかと思っておりますが、いずれにしても、現実はそういうふうにあふれているところがあって、かさ上げをしている。また、水漏れがしているというところも現にある。写真でとってきましたから、この写真をあとでごらんになればわかりますけれども、工事がどんなふうにできておるかというその状態まで、どんなふうな土どめがしてあるか、また漏れた個所がどんなふうにして漏れておるか、また、かさ上げしたところの、そういう写真がみなとってあります。ですから、これをごらんになれば予定どおりの、工事の計画どおりに進めてあるならば、おそらく農家の負担を受益者負担にさせて、水漏れもそれからかさ上げもしなくても済むんじゃないか、こういうふうに思うわけです。ですから、これはあとでごらんになっていただければわかってくると思います。  それから、この現地のほうでは、水の一番最末端で元本道地区というんですか、この地域に水不足が原因をして、これはあそこに真昼川という川が流れています。その川の底に走っている暗渠が、吸い取るだけの、計画どおりのパイプが入っておるかどうかということを、こういう水が届きませんから、疑いを生じているということを、私どもに訴えておりましたけれども、これは水の量を下流で検査すればすぐわかることですから、この検査もあらためて私はやってもらいたいと思います。そうすれば、いまの三トンの水を流す容量を、どのように元本道の最末端のところで水がきておるかということを、水量検査すればすぐわかることですから、この点もひとつあわせて申し上げておきたいと思います。その真昼川の底に入って今度は上へ出ていきます反橋第一号サイホンの呑口というところから、今度はまたさらに現場のほうに行くわけですが、一滴もサイホンに水がないというところもございます。そういう個所があるので、現場へ行ってみればすぐ私の言っていることはわかるわけですが、この検査がどのように済まされて、そしてまた——法務省の人来ておりますか。それから会計検査院。この会計検査がどういうふうに進められて今日まできておるか、その実情も伺いたいと思います、会計検査院のほうに。
  164. 説明員(田中稔君)(田中稔)

    説明員(田中稔君) 第二田沢の検査でございますが、過去三回やっておりまして、第一回目が四十年、第二回目が四十二年、第三回目が四十五年と、過去三回やっておりますが、その中で最初の四十年の検査のときには、指摘するような事態は全然ございませんでした。それから第二回目の四十二年の検査におきましては、検査報告に載せるほどの事態ではございませんが、注意を促した点が一、二ございますけれども、これはただいま先生が問題にしていらっしゃいます千畑工区ではありません。四十五年、三回目の四十五年の検査におきましては、このときも検査報告に載せるような事態は見当たりませんでしたが、若干問題がございまして、たとえば農道の路肩のところに芝を植えておりますけれども、それがよく活着していないというようなこと、それから幹線用水路のコンクリートブロックの強度が不足しているというようなこと、それから同じくコンクリートブロックの重量の不足しているものを使っている個所があるというようなこと、それからブロック積みの護岸の施工が不良になっておるというもの、それからU字フリュー管がすでに破損しておるというような事態、こういったような事態がございましたので、現場で注意しましたところ、直ちに農林省のほうでは手直しをするという状況でございます。
  165. 宮崎正義君(宮崎正義)

    ○宮崎正義君 この用水路の検査は水を張ったときに検査をされたでしょうか。これは流水しているときにですね。
  166. 説明員(田中稔君)(田中稔)

    説明員(田中稔君) もう水は流れておりました。
  167. 宮崎正義君(宮崎正義)

    ○宮崎正義君 それと、これは何といいますか、その換地の面積の確定測量をしていると見られましたか。
  168. 説明員(田中稔君)(田中稔)

    説明員(田中稔君) 私どもが第三回目に行きました時点ではまだそこまで進んでおりませんで、それは四十五年度のことでございますので、まだ検査いたしておりません。
  169. 宮崎正義君(宮崎正義)

    ○宮崎正義君 法務省のほうに伺いますが、これはいま登記状態がどういうふうになっているか、御存じでしょうか。
  170. 説明員(枇杷田泰助君)(枇杷田泰助)

    説明員枇杷田泰助君) この第二田沢土地改良区関係の管轄登記所は秋田地方法務局の太田出張所と六郷出張所と、二つの登記所に関係しているようでございますが、本日の午前十時現在でまだ正式の登記の嘱託がございません。そういう状態でございます。
  171. 宮崎正義君(宮崎正義)

    ○宮崎正義君 登記書類はまとめられて登記所にあるように伺っておりますが、どうですか。
  172. 説明員(枇杷田泰助君)(枇杷田泰助)

    説明員枇杷田泰助君) 登記所では正規に嘱託を受理したということはございません。ただ、本年の五月二十五日に太田出張所のほうに登記嘱託書を一たん事業主体のほうから提出されたようでございますけれども、町界に若干問題がある、町境でございますが、そういうふうな明らかな問題があるものでございますから、正規に提出をしないまま持ち帰ってそのままの状態になっているというふうに報告を受けております。
  173. 宮崎正義君(宮崎正義)

    ○宮崎正義君 私の聞いているところでは、太田町のほうはそういうふうなことで登記の嘱託書が返されているけれども、千畑のほうはもう法務省のほうに保管しているというふうに聞いておりますが、その点はどうですか。
  174. 説明員(枇杷田泰助君)(枇杷田泰助)

    説明員枇杷田泰助君) 私どものほうではきょうにわかに調査をしたものでございますから、あるいは調査漏れの点があるかもしれませんけれども、現在まで私どもが知り得た状況では、嘱託書が登記所のほうに正規に提出はされていないというふうに聞いております。
  175. 宮崎正義君(宮崎正義)

    ○宮崎正義君 そこでまたもとに戻ってまいりますが、この工事の確定測量をやったかどうかでありまね。
  176. 説明員(三善信二君)(三善信二)

    説明員(三善信二君) 土地改良事業をやりましたあと、必ず換地というものが起こってくるわけでございます。換地処分というのは、御承知のように、これは工事前の土地と工事後の土地を同一とみなしまして、その上における権利関係をすべて移転行為あるいは設定行為なしに移すというのがこの換地処分でございます。換地処分をいたします前に、必ず換地計画書というのをつくるわけでございます。工事が完了いたしますと、完了した段階で換地計画書をつくり、その計画書を、権利者総会といっておりますけれども、権利者の総会にかけまして、そこで議決して換地計画書を認めるというかっこうになっているわけでございます。で、土地改良事業をやります場合に、必ずこういった確定測量を行なって、そのあとで換地計画をつくり、その計画書を、権利者会議といいますか、換地総会と申しますか、それにかけるということになっておりますし、この地区の場合にも確定測量というものはいたしております。
  177. 宮崎正義君(宮崎正義)

    ○宮崎正義君 ところが、換地面積、その実測の面積と、これがこのぐらいになりますよというものと実際のものと相当違っているわけです。こういう点は、そのままお互いが話し合って認定したからいいんだといって登記所のほうへ回すようになるのですか。
  178. 説明員(三善信二君)(三善信二)

    説明員(三善信二君) この土地改良事業におきましては、ただいま申し上げました換地の総会、それを第一回会議を実は招集いたしましたときに、約五名ぐらいの方からいろいろと面積の問題について異議の申し出がございました。したがいまして、さっそく第一回の総会は形式的に取りやめまして、その五名の異議を申された方々の立ち会いの上で、実は実測をもう一度やり直しまして、そこで五名の方にはそれぞれ納得していただいて、第二回目、これがまあ正式の換地総会でございますが、そこへかけて承認を得ております。ただ、この五名の方々の場合に面積が多少違いましたのは、何と申しますか、畦畔のはかり方を二重に考えておったと、そういう具体的な事例があったように聞いておりますし、まあそういう事例がございましたけれども、それぞれ納得していただいて、正式の換地総会にかけて認めてもらったということになっております。
  179. 宮崎正義君(宮崎正義)

    ○宮崎正義君 実際は、これは悪いことばだと思うのですが、うるさい人が、自分の財産になる水田面積というものをもう一回実地測量をしてみた。現地に合わしてみた。ところが違っていた。やりたくてもお金がなくてやれない人もいる。だから、実際の地坪と計画されたものとの差というものがそれぞれあるわけです。これは、現地で家屋の測量士をやっている人もおりまして、その方方なんかの話を聞いてみましてもわかりますし、それから私どもがちょっと見ただけでも……。いま五人とおっしゃいましたけれども、ざっと計算して、七名ぐらいの人ですか、これは大体二百六十ヘクタールあるわけです。さっきは二百八十一ヘクタールとおっしゃいましたけれども、その中の一部分だけを実地測量をやってみた。それがみんな違ってくるわけです。みんな違ってくるから、農家方々が、やらなかった人が、もう一回やってもらいたいと、こういう声を聞いたわけです。実際に実地測量をやったならば現在はかっていって違うわけはないじゃないかと、こういうわけなんですけれども、実際問題は、うるさい人だけが実地測量をして、言わなかった人はそのまま書類が送られているというのが実情だということです。そして、そのまま送っていったという人たちも違いがあるのだということは、おのおのの人たちもそのような発言をしているわけです。これは、その声を聞いてきたわけです。  それで、現に時間があれば数量も全部申し上げますけれども、現地にお行きになって調べられればわかると思うのです。ですから、このことについても、現地に行かれてもう一度実地測量というものをやってみたらどうか。先ほどお話がありましたが、畦畔の問題で測量の違いがあった。その畦畔の問題でも、ちゃんと工事の施工上ははっきりしているわけですね。どれくらいの高さにしなければならない、どれだけの幅にしなければならない。工事上の施工用の内訳がちゃんとできている。そのようにできているかできていないか、工事上。それから、工事の仕訳書によっては、場所によっては、表土何センチやらなければならない、二十センチやらなければならないというように、仕訳書にも出ているわけです。ところが、現地では、表土もやられていないところもある。それらの点を御存じなんでしょうかね。
  180. 説明員(三善信二君)(三善信二)

    説明員(三善信二君) 工事が終わりますと、国営の土地改良事業の場合には、地方の農政局長にいって、現実に竣工検査をやるわけでございます。そういう検査をやりますし、また、先ほどもお話がありましたように、会計検査院のほうでも、三回にわたり検査をしていただいたわけです。で、多少の問題があるようなところもあるやに言われた点もございますけれども、手直しをしなければおかしいというような点は、現実には私どもはないと思っております。と申しますのは、先ほどの御発言で、ちょっとおくれましたけれども、漏水の問題一つとりましても、私ども、さっそく現地の土地改良区のほうに実は電話を入れて聞いてみたわけです。土地改良区のほうでは、やはり、ほとんど毎日見回っておる、漏水の問題はないという返事を実は受けております。  それから、先ほどの、サイホンがあふれるという問題も、やはり計画どおりにどうも水を流していないのじゃないか、流し過ぎではないかという感じを受けるところが非常に多うございますし、そういう点で、やはり先ほど御指摘がありましたような、営農指導とかそういったものをもう少し事こまかくやっていかないと、農家方々のこういう田畑輪換というような営農方式ではなかなかなじみにくいという点があるかもしれません。そういう点は今後十分指導してまいりたいと思います。  また、ただいまの換地の問題でございますけれども、確定測量をどうもしていないのじゃなかろうかという御意見だと承りました。私ども、国営の土地改良事業、本田沢地区につきましては、秋田県の土地改良連合に委託をしまして、そこで実測をやって換地計画書をつくっているわけでございます。もともと土地改良事業の換地の場合には、従前の土地と工事後の土地、農地と、できるだけ均等に配分ができるようにということで心がけておりますけれども、工事が非常に多角的な工事で、しかも道路あるいは幹線水路、支線水路と非常に複雑な工事をしてまいりますと、やはり多少の食い違いというのは出てくるのが一般の通例ではなかろうかと思います。したがいまして、多少の食い違いが出ました場合には、これもある程度その精算をするとか、あるいはそういったことで平等の配分になるように心がけて換地をしておりますので、ある場合には多少従前の面積より狭いあるいは広い、そういったことは出るかもしれないと思っておるような次第でございます。
  181. 宮崎正義君(宮崎正義)

    ○宮崎正義君 いま、お話はわかるんです。で、実際問題は、かりに水田として登記をされます。ところが、水田にならない。その改善事業がされてあったらどういうことになるか。水田にならないということは、そのパイロット事業をやりましたところが砂利田である、砂利一ぱいだという。そうしますと、そこに表土を持ってきて、そして植えるというのがたてまえになって、この計画にもなっている。それがなされていないというのはどういうことなんでしょう。
  182. 説明員(三善信二君)(三善信二)

    説明員(三善信二君) 御指摘のとおりに、この土地はやはり山地の土地でございますから、ある程度砂利が多いところも一部にはあるということは私ども存じております。ただ、営農に差しつかえるような、支障を来たすようなそういう状況ではないということを考えております。また、そういった問題もございましたので、一部には、いま申されましたように、やはり客土をいたしまして、水田あるいは畑として営農に支障のないようなことも工事の中に含めてこれはやっているわけでございます。
  183. 宮崎正義君(宮崎正義)

    ○宮崎正義君 その工事に客土なんかも含めてやってると言うが、しかしやってないのです。それからまた、その客土を積み上げたままになっておるところもあります。農道に積み上げたままになってほうり出してあります。それから全然客土を盛ってないところ——全部写真とってありますから、あとでごゆっくりごらんになって、私の言ってるのと写真と違ってるかどうか。砂利田と言ってもいいくらいです。この仕訳書を私ども見ました。その砂利のところに表土何センチやらなきゃならぬ。そこで今度は田植えなら田植えをしなきゃならない。ところが、しろかきをやるにしても水が来ない。水が不足だ。やるにしても、砂利ですから、とても工事のやっただけではだめで、ブルドーザーをかけて、そしてかろうじてやってるというところもずいぶんある。実際会計検査院の人がほんとにどこを私は検査をしてきたかとも言いたいぐらいに思う個所がずいぶんあるわけです。先ほどの会計検査院の方の話ですと、若干のということを言いましたが、私は若干のということは、どこまでをさして若干かわかりませんけれども農家の個人にとってみれば、これは死活問題になってくる。しかも、登記されたものが実際面より少なくて——多い人もあります。いまおっしゃったとおりです。多いのも、少ないのもあります、これは。ですから、実地測量が完全であるかないか、もう一度これは調べてみなきゃならないことだと思うんです。それからもう一つは、いま申し上げたように、表土をどの程度にしなきゃならないのかというのをどの程度にやっているか、これももう一度調査をし直さなきゃならぬ、こう思うわけです。そうして、いま行って見ればわかります、客土が盛られたままになっておる。その写真もとってきた。ですからそれがその工事完了として認めていいのかどうなのか。ただ出先機関のほうにまかせてあるからそちらのほうの言い分を聞いただけで間違いないというふうに私は思うのはどうかと思うわけです。したがって、早急に現地調査をされて、そしてその工事上どおりにいっていればこれは問題ございません。仕訳書どおりの工事上にそのまま完成しておれば文句言うところないわけですから。ですから、こういう点をひとつ留意をしなきゃいけないと思うわけです。  現にこれもアンケートをとってみたのです。ある人です。該当欄にマルをつけてくださいといってアンケートを出しました。従前の土地であるかないか、土地でない。配分面積が大幅に不足であるかどうか、不足である。異議申し立てをしたか、した。しないという人もずいぶんいます。それからその他のこまかい——時間がございませんから省略していきますが、しろかき代金がブルドーザーによる一回の代金代が七万二千円、二回以上のしろかき代が八千円、石拾いの人夫が十一人、石拾い以外に要した人夫が十八人、全部受益者負担なんです。次に、かかる問題につき換地処分が当初計画、なおかつ私ども要求どおりの換地配分がされていないので早急に配分のやり直しを強く要請します。従前にない土地で多大な換地処分を受けている耕作者が二人を有する合作水田が二カ所もあり、耕作上常にきわめて不便を来たしている、合作をなくするか一カ所だけに配分の変更をしたらどうか、事業主が工事未完了のまま引揚げている個所が私の当該地区にあり、この手違い、これをどういうふうにしてもらえるか。——これ一つ一つあげれば、これだけあるわけですからずいぶんあります、一ぱい。  こういう実情のもとに私はいまお伺いをしているわけなんです。したがって、会計検査院の方にも、この表上をやる、あるいはその畦畔がどのようにつくられているか、畦畔がちゃんと規格どおりにできておれば面積もはっきりできるわけなんです。それが小山のような形になっている、極端な言い方をすれば。ですから、はっきり明確にされていない。これじゃ坪のはかりようがない。先ほどお話がありましたように、畦畔の多少の見方があって違った坪数が出てきたという答弁がありましたけれども、この畦畔の実態も私は写真にとってきてございます。ですから、これはあとでごらんになればわかります。こういうふうなことが進められて今日まできて、工事完了ということになっている、この点についてどういうようにお思いになりますか。
  184. 説明員(三善信二君)(三善信二)

    説明員(三善信二君) いろいろ御指摘がございました。まあ私どもとしましては、十分留意をし、計画どおりに一応施工し、竣工検査も行ない、また会計検査院にも検査をしていただいたということで、計画どおりに工事は行なわれたと考えておりますが、いま御指摘がございましたような点、一応また現地の調査をしてみたいと思っております。
  185. 宮崎正義君(宮崎正義)

    ○宮崎正義君 そこで、会計検査院の方にお伺いしますけれども、先ほど、四十五年におやりになった、——そうしますと、これはまだ最終的なものはできていないと、こう承知してよろしいですか。
  186. 説明員(田中稔君)(田中稔)

    説明員(田中稔君) 四十五年に検査いたしましたのは四十四会計年度の工事についてでございますので、四十五年度以降の分についてはまだ検査をいたしておりません。
  187. 宮崎正義君(宮崎正義)

    ○宮崎正義君 法務省の方にお伺いしますが、いま私が質問をいたしました。で、お聞きになりましたこういう実情下にありますので、また一つ申し上げますと、中仙から太田町、それから千畑というふうに、先ほど五町村とおっしゃいましたけれども、この三町村の工事計画になっておりますが、その千畑のほうにもビニールパイプを敷いて、そしてその水不足のために川から水を取っているというようなことも聞いております。したがって、太田町のほうは、御存じのようにその境界の線が明らかになってないからまだ保留をしておる、千畑のほうは完成しているからといって、私の聞く範囲では、法務省のほうに書類が届けられているということを聞いていますが、どうも検査院の方が検査をまだ完了していないんだから、これは当然こういうことについては登記はできないんじゃないかと思うのですが、どうですか。
  188. 説明員(枇杷田泰助君)(枇杷田泰助)

    説明員枇杷田泰助君) 登記所の手続をいたしますと、実施機関のほうから換地処分の土地改良関係の登記の嘱託がございまして、添付書類が全部整っておりますとそのとおりの登記をするという手続になっておるわけでございます。はたしてそういう関係の添付書類が全部整っている関係に立っているのかどうかまだわかりませんので、何とも申し上げられませんけれども、一応換地計画、それから換地の認可手続とかといったようなものが全部証明されるということになりますと、それは受けるということになるわけでございます。
  189. 宮崎正義君(宮崎正義)

    ○宮崎正義君 政務次官にお伺いします。  いまやりとりいたしました。そして、いま換地処分の書類の添付が完了すればやってしまうということです。これは、厳密な意味からいえば、会計検査が終わって、そしてこれだけの実測ができたと。もう一回、農民の二百二十世帯くらいの人たちですか、その人たちに、もう一回やったぞ、これは間違いないぞ、安心しなさいと、こういったような形態で、あなたのところの水田は今度のパイロット事業ではこれだけになっているぞということを明確にしてあげてやるべきじゃないかと、こう私は思うのですが、どうでしょう。
  190. 説明員(佐藤隆君)(佐藤隆)

    説明員(佐藤隆君) できればそういう形でありたいと思いますが、先ほど来話を伺っておりますと、多少、部内のことを申し上げてなんでありますが、歯切れの悪い点もあるわけであります。それというのも、実はまだこれから、宮崎委員お調べになったことと、それからそれを受けて、いまいろいろ御説明になったそれをわれわれが受けて再検討しなければならない水路調査の問題もあれば、あるいはまた再調査の必要もあれば、竣工検査は終わったといいますけれども、国営事業でありますから、そのメンツにかけても会計検査院の明年度行なわれるであろう最終的な検査を待たずして、適切な措置がなされるべきだと私は思います。  そういうことで、受益者が、少なくとも当初の受益効果を得られているのかどうか、そういう大きな問題点もありますし、それらも含めて、もちろん先ほど農地局長説明しますように、営農指導等も含めてさらに続けていかなければならない、田畑輪換の問題もあるでしょうし、そういうことも含めて、さっそく再調査をする、これが必要だと考えるわけであります。
  191. 宮崎正義君(宮崎正義)

    ○宮崎正義君 政務次官のはっきりした答弁をいただきまして、私は非常にうれしく思います。そのとおりだと思います。これは農民の声であります。これは国民の声であります。国民の声でありますので、一人でも国民でございます。したがってこれを聞いて、そうしてそれを正しい姿に変えていくということが本来の行き方だと私どもは考えております。  そういう意味合いにおきまして、私はこの登記寸前であるという事態において、もう一度いま政務次官の答弁にもありましたことを踏んまえて私の質問を終わりたいと思いますが、いま大臣がちょうどお見えになりましたので、いま私がやりとりいたしましたが、大臣がちょうどおいでになりませんときやりとりをいたしましたので、あとでお聞きくださればわかると思うのでありますが、大臣所信表明にもございました「総合農政を本格的に推進してまいらなければならないと存ずるのであります。その際、国民経済の一環として農業の役割りを考慮すべきことは当然でありますが、同時に農業の前途についての不安感を解消し、農家と農村の信頼を得ることが農政基本的姿勢でなければならないと存ずるのであります。」、これは全く大臣のおっしゃるとおり、私ども聞くとおりであります。この形にならなければならないのでありますが、各地域に、各地方自治団体にいきますと、地方自治団体もよけいなところに出費をしておりますし、さらには受益者の人たちが多額な国営事業に出費をしているという、こういう現実の面を踏んまえて、所信表明にありましたお考えを、私は一本大臣のほうから、間違いなくこの方針でいくよ、こういうふうな御答弁を期待をするわけですが、大臣よろしく。
  192. 国務大臣(赤城宗徳君)(赤城宗徳)

    国務大臣赤城宗徳君) 毎々申し上げますように、体質改善というようなことを考えまするならば、基盤の整備、土地改良ということが基本的になってきております。でありますので、これはいつになっても進めるべきものであり、やめるべきではございませんから、土地改良はどんどん進めていきます。  その土地改良についての負担という問題のようでございましたが、まあ無責任なことにお聞き願わないでいただきたいと思いますが、土地改良というものは公共事業ですから、ほんとうは国で大部分の金を負担してやると、こういう筋が筋だと思います。しかし国の総予算の関係もありまするし、いろいろな関係で負担をもらっておるというようなことにもなっておりますので、できるだけ地元の負担を少ないようにいろいろ制度的にも進めていきたい。  なおいまあとから来ましたので、御質問の内容をよく承知しておりませんでしたが、土地改良の事業のやり方が思わしくないという御指摘があったというふうに聞いております。これにつきましては、やはり何しろ土地を持ちあるいは土地を利用しているのは地元の人々でございます。その人人の気持ちに沿わないような事業のやり方は好むべきことではございません。注意して、事業の遂行につきましてもなお注意をいたしまして、進めていきたいとこう思います。
  193. 塩出啓典君(塩出啓典)

    塩出啓典君 大臣に対して、私十分間ということでございますので、お答えのほうも簡潔にお願いしたいと思います。  まず第一点は、先般のグレープフルーツ自由化につきましていろいろ先ほども話がありましたように、果樹農業者は非常におこっております。で、レモンのときも黙ってやった。そのときちょうど赤城さんが農林大臣だったそうでありますが、先般、広島の瀬戸田に参りまして、地田総理の地元へ行ったわけでございますが、そのあと総理が、池田総理が黙ってやったのはみんな農民の人が騒ぐから黙ってやったのだ、そういうことを言ったそうでありますが、今回のグレープフルーツ自由化も、宮津さんなんかは広島へ来て、私の目の黒い間は絶対グレープフルーツ自由化をしない。まあそういうことを軽々しく言っておきながら、今回選挙直後にこのようなやり方でやったということは、非常に農民の皆さんに対してもはなはだよろしくない、私はそう思うわけでございます。農林大臣はその当時の大臣ではなかったのでございますが、そのあとを継ぐ大臣として、このグレープフルーツ自由化のそういうような処置に、やり方に対してどう考えておられるのか。やっぱり全国の農民の皆さんに対して話す気持ちで、大臣のあれでいいのかどうかあるいはよろしくなかったのかどうか、その点お聞かせいただきたいと思います。
  194. 国務大臣(赤城宗徳君)(赤城宗徳)

    国務大臣赤城宗徳君) 自由化のやり方についてのお尋ねのようでございますが、レモンのときはいまとよほど違っていました、時代は十年前ですから。そしてまたレモンがどうも国際競争力があるかないかという問題があの当時はあったのでございます。ごく少ないところで農林省も補助を出してレモンの栽培をやったのですけれども国際競争力が持てるのかどうか。こういうときでございました。グープフルーツにつきましては、グレープだけの問題ではなくて、果樹全体にも影響のあることで、非常にこれ重大なことなのでございます。そしてまたこれも長い間の懸案でございましたが、やり方についてでございますが、自由化が突如としてやられたということについては私も遺憾であったと、こういうふうに考えております。ですから、これからの自由化につきましても、よく納得を得られるかどうか、これは農産品については実際納得いくまでということは、農民の立場としてはそれぞれ利害関係ございますので、なかなかそこまでは言いにくいというふうに考えてはいますが、十分団体等とも話し合って、そして各方面とも協議の上、自由化する場合には自由化の態度をきめていきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  195. 塩出啓典君(塩出啓典)

    塩出啓典君 大臣は先般のグレープフルーツ自由化のやり方を遺憾とされ、今後の問題についてはこのようなことを繰り返さないように、やはりよく話し合い、どうしても国益のために必要な場合には、それに対する十分な処置をとる、そういうお話でございますので、了解いたしました。  それから第二点は、いま大臣の留守中にいろいろお話をしたわけでございますが、私はやはり日本の果樹農業の方針があまりにもはっきりしてないのじゃないか、そのために果樹農家皆さんも非常に困っている、農協の言うのと反対やったら間違いない、そういうような声もありました。山口県の萩等におきましては、四十一−二年の構造改善事業で水田、山を開墾して甘夏カンを植えてだいぶん借金が残っておる、そして今回の自由化で借金が返せないのじゃないか、非常にこのように困っている人もありますし、また瀬戸田等におきましては、木は切ったけれども、何をやったらいいのか、それがわからなくて、木を切り倒したままほったらかしておる、そういう夏カンの園もあったわけでございます。やはりグレープフルーツオレンジのことさえまだはっきりわからない、そういう点で非常に農民の皆さんも将来に対する大きな不安を持っておるわけでございます。  そういう点から、私はやはりこのミカン等を中心とする果樹農政の方向というものをいままでありましたようなこういうものが、もっと詳細な農民の皆さんの将来の指針となるようなそういうものをつくるべきである、この果樹農業振興基本方針というものをいま検討され、つくりかえられるそうでございますが、今回つくる方針についてはそういう点も十分一つ考慮をされて、国家百年の大計の上に立つ基本方針を非常にむずかしい問題だと思うのですけれども、つくっていただきたい、そのことを要望したいのですけれども、イエスか、ノーか、ひとつ時間がありませんので……。
  196. 国務大臣(赤城宗徳君)(赤城宗徳)

    国務大臣赤城宗徳君) 御要望の趣旨に沿いまして、果樹振興の基本方針などもできておりますが、なお現状に即し、また将来の見通しをつけて改定することがありましょうし、やっていきたいと思います。
  197. 塩出啓典君(塩出啓典)

    塩出啓典君 最後に第三点は、いままでいろいろ政府も処置をされてきたわけでございます。また今回のグレープフルーツ自由化に対して、五十九億円の金を融資する、しかしそれらは全部融資でございまして、借りた金は返さなければならない、現実にいままでかなり、先般も広島県の瀬戸田農協でも平均一世帯九十二万円の借金があるわけでございます、制度資金だけでも。やはりミカンというのは改植すれば十年は一人前にならないといわれておるのでございますが、もちろんそういう対策にはいろいろむずかしい問題もあり、限度はあると思うのでありますが、私はそういうグレープフルーツ自由化が国益のために必要ならば、そのために被害を受ける人に対しては、その現状を十分に調査をし、まあ十分な納得は得られないにしても、やはり誠意のある救済のための処置をとるべきである、そういう方向で御検討をいただきたい。そのことを要望したいのでございます。
  198. 国務大臣(赤城宗徳君)(赤城宗徳)

    国務大臣赤城宗徳君) 前向きの線で果樹農業が成り立つような方向には十分に研究し、対処していきたいと思います。
  199. 中村波男君(中村波男)

    ○中村波男君 私は食肉の自由化問題について若干質問をしたいと思うのでありますが、政府は円対策の八項目の一つとして残存輸入制限の品目のうち農林関係が七つあるように聞いておるのでありますが、来年の春までには自由化するという方針をきめておると聞くのでありますが、その品目と時期について明らかにしていただきたいと思うわけです。
  200. 国務大臣(赤城宗徳君)(赤城宗徳)

    国務大臣赤城宗徳君) 品目につきましてはまだきめておりません。検討中でございます。時期につきましてはこの九月——前の閣僚会議で年度内か年末というふうにきめておるというふうに私も聞いておりますが、そういうようなことで、いま残存品目の七品目、これについて検討中でございます。
  201. 中村波男君(中村波男)

    ○中村波男君 まだ品目はきめていないということでありますが、十品目のうちに農林関係が七品目含まれておる。そこで決定はしておらぬと思いますが、しておらないというお話でありますが、七品目の中の大体考えておられる品目ですね、十品目あるのか十二品目あるのか、それらのうちから結局はしぼるということになろうと思いますが、それらも明らかにすることはできませんか。
  202. 説明員(中野和仁君)(中野和仁)

    説明員(中野和仁君) ただいまのお話でございますが、現在中村先生御承知のように二十八ございます。その二十八は、まあ一言で申し上げますと、どれをとって見ましても、いろいろむずかしい問題がありまして現在まで残っておるわけでございます。そこで現在農林省におきましては各品目につきまして、かりにいま自由化した場合にはどういう対策をとってどう対処したらいいかということについて各品目を洗っておるわけであります。ただその二十八と言いましても、これは一律ではございませんで、やはり日本農業中心と言いましょうか、基幹と言いましょうか、そういう戦略的な物資もございます。あるいはそこまで至らない地域的な特産物もございましょうし、また沿岸漁業のように、あるいは外国との漁業の関連のものもあるというようなことで、雑多なものもあるわけでございますが、いろいろなものもあるわけでございますが、その点につきましてどういうふうに対処すべきかということを現在検討しておるわけでございます。まだどの品目をどうするというところまで検討は進んでいないというのが現在の段階でございます。
  203. 中村波男君(中村波男)

    ○中村波男君 残存輸入制限品目が農林関係二十八品目あるというふうにいま官房長言われたわけですが、その中から本年度末なり来春までに七品目自由化をするということは大体どの品目か、名前をあげなければ七品目という指定をすること自体が私はおかしいのではないかという感じがするわけです。だからグレープフルーツのように抜き打ち的に政府はきめるのではないか、こういうまあ感じもするわけでありますが、秘密主義も程度の問題でありまして、大体いまリストにのぼらせておるものは、いわゆる七品目の中にはこういうものの中から選ぶであろうというくらいのことは、本委員会で明らかにできないものかどうかということであります。
  204. 説明員(中野和仁君)(中野和仁)

    説明員(中野和仁君) 閣僚協議会できまりましたのは自由化を促進するということがきまっておるわけであります。この促進の内容といたしまして十程度を目標にというふうに一応指示を受けておる。そうしますと、農林物資二十八で、通産物資が十二残っておるものですから比例でいきますと七、三ということになるわけでございます。まだ農林省といたしまして、それでじゃあ引き受けたというところまで行っておらない。七つにできるだけしなければならないという気もしますけれども、やはり先ほど申し上げましたようにいろいろな問題を含んでおりますので、どれをどうするかということを、現在経済局、それから畜産局、園芸局、水産庁集まりまして連日のようにいま協議をしておるところでございます。ただいまのお話でございますけれども、この席上で大体こういうものだというところまで申し上げる場合になっていないわけでございます。
  205. 中村波男君(中村波男)

    ○中村波男君 明らかにできないということであるならば押し問答しても切りがありませんから……。しからば二十八品目を具体的に品目別にあげていただくことはできますか。
  206. 説明員(中野和仁君)(中野和仁)

    説明員(中野和仁君) いろいろの分類の仕方がありますが、やはりまとめて申し上げたらよろしかろうと思いますので、まず乳製品関係でございます。これで三品目ございましてミルク・クリームこれが一つ、それから無糖練乳等が一つ、それからプロセスチーズ等これが乳製品関係。それから肉と肉の加工品三つございまして、牛肉が一つ、ハム、ベーコン一つ、その他の牛肉及び豚肉の調製品これで三つでございます。その次三番目としまして米麦の関連品で三つございます。一つが米粉、それから小麦粉でございます。二番目が小麦のミール、三番目が麦芽でございます。四番目の範疇としまして果実、野菜及びその加工品ということで、これは七つございます。オレンジ、タンジェリン、それからオレンジ、タンジェリン等の一時的貯蔵のもの、これが二つ目。それからパイナップル調製品、フルーツパルプ、いった落花生これが三つ目。四つ目が果汁、トマトジュース。五つ目がフルーツピューレ・ペースト。六つ目がトマトピューレ・ペースト。七つ目がトマトケチャップ、トマトソース。それから五番目の節疇に入るものが砂糖、でん粉関連品としまして三つございます。一つが精製糖、氷砂糖、角砂糖、二つ目がブドウ糖、麦芽糖、砂糖水、三つ目がでん粉。それから六番目の範疇としまして、その他地域農産物といっておりますが、三つございまして、一つは雑豆、二つ目が落花生(ただし搾油用を除く)。三つ目がコンニャクイモでございます。その次の範疇といたしまして水産物これが四つございます。ニシン、タラ、ブリ等の一部の魚類、それからタラの卵、ミシンの卵、これは生鮮、冷蔵、冷凍のものでございます。二つ目の範疇としましていま申し上げました種類の塩蔵、乾燥したもの、それから三つ目がホタテ貝、イカ、貝柱。四つ目がノリ、コンブ。最後の範疇としましてその他でございますが、そういういろいろなものがまじりましたその他の調製食品というものと、それからもう一つは配合飼料、これで全部で合計二十八になります。
  207. 中村波男君(中村波男)

    ○中村波男君 聞くところによりますと本年の九月末に総合農政の目玉商品といわれておる豚肉の自由化をする準備がとられておるというふうに聞くのでありますが、その点いかがでございますか。
  208. 説明員(増田久君)(増田久)

    説明員(増田久君) 豚肉につきましては御指摘のとおり、本年九月末までに輸入自由化をするという方針を決定いたしておるわけであります。しかしながら御指摘のとおり、豚肉は今後の総合農政の基幹部門の一つでございますので、われわれとしては自由化はいたしますけれどもあくまでも、これが自給的性格の強い商品であるということを十分勘案いたしまして、第一に現在どおり畜産物価格安定法による価格安定制度は輸入自由化後といえども堅持するということはまず考えております。と同時にその運営と安定法との斉合性を保ちますためにいわゆる差額関税制度というものをとりまして、現在の安定価格帯の中心価格以下で入ってきたものにつきましては全部中心価格までの差額を関税として徴収するという制度を考えているわけでございます。なおこれでも大量のものが入ってくるというようなことがあるならば、これは当然緊急関税等の発動を弾力的に行なって、十分そういう国内生産の、特に需給体制に支障のないように十分配慮するというふうに考えておるわけでございます。
  209. 中村波男君(中村波男)

    ○中村波男君 まだその時期、品目等について具体的に明らかにはできないということでありますが、牛肉の自由化は、時期は別にいたしまして、避けられない品目であるというふうに私は見ておるのでありますが、その点いかがですか。
  210. 説明員(増田久君)(増田久)

    説明員(増田久君) 牛肉の自由化をどうするかということにつきましては、率直に申し上げて非常に苦悩と申し上げていいと思うわけでございます。と申しますのは、わが国の肉牛の飼養形態というのは、ずいぶん昔から行なわれているようではございますけれども、現実に過去は役畜生産という形で行なわれていたものでございますが、肉牛生産という形態には現在でも全然なっていない。したがって、国際競争力という点には全く欠けているものであるというふうに思っておるわけでございます。さらにまた考えてみますと、過疎地帯の対策として、はたしてこの肉牛というものがなくなった場合にいかなる有効な手段があり得るであろうかという点もわれわれとしていろいろ考えさせられるわけでございます。また将来この牛肉の需給というものを考えてみた場合に、OECDあるいはFAOの統計等を見てみましても、十年後あるいは十五年後には世界的に需給が逼迫するんではないか、おそらく将来世界で供給余力を持つのは豪州、ニュージーランド等のみではないかというような推算もあるわけでございます。そういうことを考えてみますと、われわれがその自由化の問題をいろいろ検討する際にもそういった事情も十分考えなきゃいかぬ。また、酪農に与える影響というものも、これは見逃すわけにもまいりません。そういう点も十分勘案いたしましてこの自由化問題には慎重に対処しなければならない、かように考えておるわけでございます。
  211. 中村波男君(中村波男)

    ○中村波男君 ちょっと大臣お尋ねしますが、いま増田畜産局長から牛肉の輸入見通しなり、また輸入制限をはずした場合の、自由化した場合に措置する点について説明があったわけでありますが、大体従来肉牛の主産地といいますか、輸入先はオーストラリアとか、ニュージーランドであったと思うんです。そこで絶対量がまだ足りない現実において輸入しなければならぬという現在の事情からいいますと、中国から食肉、牛肉を輸入しろといういわゆる物価問題との関連においても、価格が安いということ、それらの国よりも品質がよいというような点から強い要請が出てきておったわけでありますが、自由化される場合に中国もその対象にされる考えがあるのかどうか、こういう点についてひとつ高度の政治判断を要すると思いますので、大臣から御意見をお聞きしたいと思うわけです。
  212. 国務大臣(赤城宗徳君)(赤城宗徳)

    国務大臣赤城宗徳君) 国際条約にまだ中国は入っておりません。でありますので、自由化した場合に中国にもそのまま適用するかどうかということになりますと適用されないことになります。でありますので、中国との関係は中国との関係輸入をするかどうかということを協定をしていくほかはないと思います。御承知のように、口蹄疫の問題があるわけですから、輸入したいという意向も相当強い反面、口蹄疫の問題でその影響力というものについてなお検討しなければならぬと、こういう問題もありますので、直ちに自由化したから中国のほうの肉も自由に輸入するということにはまいらないわけでございます。でございますので、これは別個の問題として検討することにいたしたいと思います。
  213. 中村波男君(中村波男)

    ○中村波男君 いままで中国から食肉を輸入することの反対の大きな理由に口蹄疫をあげておったわけでございますが、従来二回、三回と調査団を出しまして今日中国に口蹄疫は全くないというふうなことが明らかになっておると思うのです。したがって、そういうふうな点についてはたぶんに政治的な制約から輸入に政府は踏み切らなかったのじゃないか、こういうふうに私たちは考えて見ておったわけです。したがって中国の問題を考えます場合に、中国肉を日本輸入する問題については、これはやはり輸入国を変えるという意味になるわけでありますから、安い肉で、よい肉を入れるという立場から言いましても、とにかく大ものの農林大臣でありますから、政治的判断も加えていただいて前向きでひとつ検討願いたいということを要望して次の質問に移りたいと思うわけであります。  そこで、私が指摘するまでもなく、肉牛の生産は昭和三十一、二年をピークにいたしまして、二百七十二万頭からことしの二月一日現在で百七十五万九千頭になっております。約百万頭減産しておるわけでありますが、したがってここでお聞きしたいのは、牛肉だけの関係について自給率は何十%になっているのか、具体的にどれだけ牛肉を輸入しておるのかということをまず明らかにしていただきたいと思うわけであります。
  214. 説明員(増田久君)(増田久)

    説明員(増田久君) 昭和四十五年度について申し上げますと、牛肉だけで全体の消費量は二十八万四千トンでございます。それに対しまして国内生産が二十六万トン、輸入量が二万三千トンということでございますので、自給率は九二%ということに相なります。
  215. 中村波男君(中村波男)

    ○中村波男君 肉牛の頭数が減ったということは役畜牛としての利用価値が少なくなったということが大きな理由にあげられると思うのでありますが、今日の生産状態を考えてみましてもなかなか政府が指向しておるような多頭飼育というものは思うように進んでおらない。したがって今日の生産地帯というのも山間の零細農地帯が多くて、家族労働力を中心に繁殖、育成飼育が行なわれておる。そういう生産の基盤、実態から見まして自由化されるといたしますと、零細な基盤であるだけに致命的な打撃を受けると思うわけでありますが、この点について大臣はどういうふうにお考えになっておるのか、お聞きしたいと思います。
  216. 説明員(増田久君)(増田久)

    説明員(増田久君) 御指摘のとおり、現在一農家当たりの飼養頭数は四十六年でわずか二・二頭というような零細な規模でございます。しかしながら、これをさらに分けて考えてみますと、肥育農家の段階、これは最近急速に規模拡大の方向が出てきておるわけでございますけれども、問題はいわゆる繁殖農家、子取り農家、これは率直に申し上げまして経済ベースに乗った生産の経営形態にはまだなっていないと言って過言ではないと思うわけでございます。したがいまして、これが自由化ということになれば、心理的にも経済的にも非常に大きなショックを受けるであろうということは容易に想像されるところであろうと思うわけでございます。
  217. 中村波男君(中村波男)

    ○中村波男君 自由化されると心理的にも経済的にも大きな影響を受けるというお話でありますが、すでに肉牛農家自由化になるという声に大きな不安と動揺を来たしておりまして、すでにそういう動きの中で生産意欲を失っておる。こういう実態というのを農林省はどのように現在把握しておられるのか、お聞きをいたします。
  218. 説明員(増田久君)(増田久)

    説明員(増田久君) 確かに自由化ということが新聞紙上等に出てまいりますと、末端農家にいろいろの不安動揺と申しますか、そういう動きがあることは私どもも十分承知をいたしております。幸い、最近若い青年層の間から肉牛生産というものをもう一度見直してみようという動きが各地に見られていることも事実でございますので、やはりそういうせっかくの芽をこの際つぶしたくないということは、ひとつわれわれとしてもぜひ考えなければいかぬと思うわけでございます。と同時に、われわれこの自由化がなぜそういう声が起こるかという問題の一つを考えてみた場合に、やはり牛肉の値段がきわめて高いという消費者の不満、そういうものをわれわれとしては全然無視するわけにもいかないと思うわけでございます。と同時に、われわれが肉牛というものを考えた場合に、いまのところ経営として経済ベースに乗っていないということは事実でございますけれども、これは将来の方向としてあくまでもそれでいいというわけにはまいらない。あくまで農業政策、経済政策としては国際競争力を持つように育て上げていくということがやはりなければならないのだと私は思っておるわけでございます。そういう意味で現在の農家の不安動揺というものをできるだけ取り除いて、国際競争力に一歩でも近づけるような経営形態を一日も早く築き上げていくという努力をわれわれはすべきである、かように考えておるわけでございます。
  219. 中村波男君(中村波男)

    ○中村波男君 いま畜産局長指摘されますように、牛肉は数の子並みだというような、こういうようなことばさえ出るように、私も高過ぎるという点については認めざるを得ないと思うんです。しがたって、国際競争力をつけるような畜産をどうこれから発展させるかということが、これが農政であり、農林省としての行政のあり方でなければならぬと思うわけです。したがって、そういう点について具体的にどのような対策と方針をお持ちなのか、明らかにしていただきたい。
  220. 説明員(増田久君)(増田久)

    説明員(増田久君) 確かに、抽象的に言えば私の言うようなことでございますが、しからば具体的にどういう施策をとるべきであるか、こういうことになりますと、率直に申し上げまして肉牛生産というものは土地制度と非常にからみ合いのある問題であろうと思うわけでございまして、そこに非常にむずかしい問題があるわけでございます。そういう意味で私はこれは畜産局だけがやるという態度だけではどうにもならない。そういう意味で、林野庁なり、農地局の御協力も得るし、あるいは各種団体の御協力も得て、そういう姿勢のもとにおきまして現在、実はきょうもやっているわけでございますが、肉牛のための研究会というものを私のほうは設けまして、今後どういう方向をとるべきかということにいま真剣に取り組んでいる段階でございます。その結果を待って、われわれとしては、来年度の畜産行政の最重点事項として、この問題に取り組んでまいりたい、このように考えております。
  221. 中村波男君(中村波男)

    ○中村波男君 もう少し掘り下げて質問をしたいし、意見も聞きたいのでありますが、時間がないので質問を急げという理事からの連絡でありますので、次の機会に譲りたいと思うのであります。  次にお尋ねしたいことは、プロセスチーズの自由化の時期と方針をこの機会に承りたいと思うわけであります。言うまでもなく、資本自由化はプロセスチーズにおきましても行なわれたのでありますが、これはまだ三分の一を国産品を使うという条件がついておりますので、打撃は打撃でありまするけれども、一定の歯どめがあったと思うのでありますが、自由化されると今度はそういう歯どめがはずれるのでありますから、特に原料乳の大産地である北海道等は大きな打撃を受けることは明らかだと思うわけであります。そういう点について、これの自由化についての政府の対策、方針等について具体的にお聞きをいたしたいと思うわけであります。
  222. 説明員(増田久君)(増田久)

    説明員(増田久君) プロセスチーズを物の自由化の面で行なうかどうかという点につきましては、先ほど大臣から御答弁申し上げましたとおり、まだこれは検討の段階でございます。それでいまこうだということを申し上げるわけにはまいらないわけでございますけれども、御存じのとおりプロセスチーズにつきましては、原料でありますナチュラルチーズというものがすでに自由化されているということでありますけれども、国民生活の高度化に伴いまして非常にチーズの需要が伸びてきている。しかも総合農政の一環として酪農の振興というものはどうしてもはからなければならない、こういう観点から、御承知のとおりナチュラルチーズの輸入につきまして、関税割り当て制度というものを設けまして、国内チーズというものを使うことに対するインセンティブを与えてきているわけでございます。こういうものの考え方、国産チーズをできるだけわれわれとしては使っていくという姿勢は、どうなろうとも、今後とも堅持してまいりたい、かように考えているわけでございます。
  223. 中村波男君(中村波男)

    ○中村波男君 次は豚肉の問題について尋ねて質問を終わりたいと思うのでありますが、最近異常高値を来たしまして、四、五月ごろまでは一キロ三百五十円前後、東京芝浦食肉市場の卸売価格、豚肉の上肉でありますが、これが今日では五百円前後に、二カ月足らずで四割以上も値上がりしておるわけであります。このような異常な高値を続けておりますのはどういう原因があるのか、どうしてこんなに異常高値が続いておるのかということについて農林省はどう見ておるか、明らかにしてもらいたい。
  224. 説明員(増田久君)(増田久)

    説明員(増田久君) 最近国内の豚肉の価格が異常に高騰しているのは御指摘のとおりでございます。御承知のとおり、豚肉につきましては、いわゆるピッグサイズというものがございまして、昨年の価格の低落というようなことから、昨年十月に繁殖雌豚の頭数が八十万頭を割るというような事態に相なったわけでございまして、その影響というものが現段階に及んできているわけでございますが、毎年、昨年度は対前年比十数%で伸びておりました頭数が四月現在では八%の伸びという程度にとどまっているわけでございまして、それに対しまして需要は、このごろ豚肉に対する需要が異常なほど伸びておりまして、一七%も伸びているというような実態、そこに需給のギャップというものが出てきていることが根本にあるわけでございます。したがいまして、このような状態から私のほうでは六月の中旬に一万トンの緊急割り当てをやったわけでございますが、たまたま供給地であります台湾におきまして豚の値が非常に上がるというようなことで、輸入禁止という措置がとられた。あるいはもう一つの重要なソースであります米国で港湾ストのために輸入が遅延してしまったというようなことがありまして、現在緊急割り当てをいたしましたけれども、七月末に現実に入ってまいりますものはおそらく三千トン程度ではなかろうか、こういうように見られているわけでございます。そういうことで、われわれいま輸入ソースをアメリカからカナダに切りかえるというようなことをやりまして、輸入促進をはかっているわけでございますが、先ほど申し上げましたとおり、需要の基調はきわめて高い、強いものでございますので、さらに相当量の輸入割り当てを追加せざるを得ないということで現在検討をいたしている段階でございます。
  225. 中村波男君(中村波男)

    ○中村波男君 いまもお話があったように、六月ごろ一万トンの緊急輸入を発表をされましたけれども、その輸入が思うように進まずに三千トンばかりが輸入されたにとどまったと、こういうことでありますが、大体従来の需給の趨勢から見まして、夏場は需要は弱くて、秋口から需要が強くなるというのがいままでの趨勢でありますが、それを考えますと、さらにさらに豚肉の値上がりが心配をされ、予想されるのでありますが、それについて具体的にどのような手を打とうとしておるのか、打っていこうとするのか、お聞きをいたします。
  226. 説明員(増田久君)(増田久)

    説明員(増田久君) ただいま申し上げましたとおり、一万トン割り当てたものが現実にこういう段階にまいりますのは、おそらく八月、九月の段階になろうと思います。ただそれだけでは量が足りませんので、先ほど申し上げましたとおり追加割り当てをこれはやらざるを得ないということで、いまどの程度すべきかということで検討をしている段階でございます。結論といたしまして輸入量をふやさざるを得ないということでございます。
  227. 中村波男君(中村波男)

    ○中村波男君 大臣に御答弁いただきたいのでありますが、農林省としては自由化対応策として単なる損失補償ではきりがないので、予備措置としていろいろな方法を検討されておる。これは赤城農林大臣が指示されたとも聞いておるのでありますが、その結果として、諮問機関として牛肉問題研究会——仮称を設け、検討中だと称しておるのでありますが、この結論がいつごろ出されるのか。それからその予備措置とはどういう内容を考えておるのか、その点ひとつお聞きしておきたいと思います。
  228. 国務大臣(赤城宗徳君)(赤城宗徳)

    国務大臣赤城宗徳君) 畜産局長からお話がありましたように、畜産としては肉牛の生産を最重点に置いておるわけでございます。でありますので、牛肉の研究会を設置しましたが、これは自由化とは関係なしに、畜産行政のほうで肉牛の生産を進めるということについての研究、こういうことで直接に関係はございません。しかし結論は十一月ごろに出してもらうように進めております。
  229. 中村波男君(中村波男)

    ○中村波男君 最後に御質問をして終わりたいと思うのでありますが、レモンの値上がりですね、それからいま指摘をした牛肉の値上がり。それからかつてこの委員会でも、グレープフルーツ自由化した場合に価格はどうなるのかという質問をいたしたことがありますが、三百円から三百五十円程度のものが百五十円くらいにおさまるのじゃないかという見通し農林省は示したことがありますが、しかし今日グレープフルーツ自由化されましても、値が下がるどころか、一個三、四百円する。こういう状態は、直接的な原因としてはやはり港湾ストが大きな原因だというふうに考えるわけです。したがって米こそ七百万トン以上余剰がありますが、総合的な食糧自給度というものは毎年々々下がっておる。特に食肉等は、完全自給の体制をつくることが、いま農政上急がなければならぬ問題ではないかというふうに私は思うわけであります。そういう立場からいいましても、自由化は、いわゆる国際的な経済競争に勝てるような基盤ができるまでは、できるだけひとつ見送るべきである。それと同時に国際価格に負けないような基盤整備あるいは生産体制というものをつくるために抜本的な対策を立てるべきである、こういうように私は考えておるわけであります。それらの点について大臣からひとつ所信の表明をいただきまして、具体的な対策をお示しいただきまして、私の質問をきょうは終わりたいと思います。
  230. 国務大臣(赤城宗徳君)(赤城宗徳)

    国務大臣赤城宗徳君) 全般的に申し上げますと、国際競争力ができるまで待ったらよかろうというお話でございますが、それはなかなかそうもまいらない面もございます。実際問題としてそれだけ国際競争力に勝てるようなところまで何年かかるかということもございます。私ども国際競争力を増加するために抜本的に対策を講じろ、こういうお話は私も賛成でございまするし、それには大いに力を尽くすつもりでございます。
  231. 委員長(高橋雄之助君)(高橋雄之助)

    委員長高橋雄之助君) 本件に対する質疑はこの程度にとどめます。     —————————————
  232. 委員長(高橋雄之助君)(高橋雄之助)

    委員長高橋雄之助君) この際、農畜産物自由化緊急対策に関する決議案についておはかりいたします。  本決議案については、理事会において協議いたしました結果、案文がまとまっておりますので、私から便宜提案いたします。  それでは案文を朗読いたします。    農畜産物自由化緊急対策に関する決議(案)   政府はわが国の果樹農業国際競争に耐えうる生産構造に改める施策が不充分のまま抜打的にグレープフルーツ自由化に踏み切ったことはまことに遺憾である。しかも相次いてオレンジ類、果汁、牛肉、畜産加工品、雑豆等について自由化を検討中とのことであるが、これら農畜産物の自由化はわが国農業の根幹に致命的打撃を与えるものであり、日本農業基本を守るという観点から国際競争に耐えうる体質改善の対策なくしてこれらの輸入自由化を軽々に行なうべきでない。したがって早急にその基本政策を確立するとともに、差当って左記事項について速かにその対策を実施すべきである。      記  一、オレンジ類、果汁、牛肉、畜産加工品、雑豆等重要な農畜産物については、日本農業の独自性と農業経営の安定を考慮し、国民経済上又は適地適産の関係から生産構造の改善と国際競争力の強化のための抜本的施策の確立に努めるべきである。  一、グレープフルーツ等については、生産者団体を中心とする輸入窓口の一元化等流通秩序が維持できるよう速かに検討措置すること。    また、国際価格の急激な低落の場合、緊急関税の対策等の発動を考慮すること。  一、グレープフルーツ等の自由化に伴い著しく打撃をうける果樹農家に対し補償を行ない、国際競争力を強化するとともに、速かに果実の価格安定の制度化を図ること。    なお、加工原料果実の取引価格が生産費を下廻った場合の不足払い制度等についても早急に検討し、その実施について考慮すること。  一、かんきつ等果実をはじめ、農畜産物の加工品の輸出振興に関する積極的施策を樹立実行すること。  一、学校給食制度の拡充等果実および農畜産物の需要の拡大に努めること。  一、農畜産物のコスト低下を実現しうるよう基盤整備、地域分担による主産地形成、加工流通の合理化等抜本的措置を講ずること。  一、果樹畑作物等自由化により影響をうける産品のコスト低下のための緊急試験研究を拡充強化すること。   右決議する。  以上であります。  それでは、これより採決に入ります。  農畜産物自由化緊急対策に関する決議案に賛成の方の挙手をお願いします。   〔賛成者挙手〕
  233. 委員長(高橋雄之助君)(高橋雄之助)

    委員長高橋雄之助君) 全会一致賛成と認めます。よって、本決議案は全会一致をもって本委員会決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、赤城農林大臣から発言を求められておりますので、これを許します。赤城農林大臣
  234. 国務大臣(赤城宗徳君)(赤城宗徳)

    国務大臣赤城宗徳君) 決議の御趣旨につきましては十分念頭に置きまして、自由化問題に対しましては慎重に取り扱っていきたいと、こう考えております。
  235. 村田秀三君(村田秀三)

    ○村田秀三君 ただいま委員会の意思をもちまして、農畜産物自由化緊急対策に関する決議を行なったわけでありまするが、この決議に対して、大臣からこの決議執行の態度ともいうべき発言がいまあったわけであります。しかし、内容的に見ますると、きわめて抽象的でありますから、具体的にやるかやらぬかというような、そういう答えは実は出ておらないように思うわけであります。しかしこの委員会における単独決議あるいは法律等に対する附帯決議等たくさん、実は私どもは苦労しながら国民のために行政府が行動し得るように、そういう意味でたくさんの決議をしてまいったわけでありますが、この決議が行政府として必ずしもスムーズに実行されているとは実は考えられないわけであります。とりわけ私どもが遺憾に思っておりますことは、去る五月の二十四日、六十五通常国会の最後の決議におきまして、このグレープフルーツ輸入問題について緊急的に決議を実はいたしております。その際に、当時の倉石農林大臣は出席はいたしませんでしたが、宮崎政務次官が決議の趣旨に沿いましてそして善処をするというような発言をいたしておるのであります。宮崎政務次官は、「ただいまの決議の御趣旨を尊重いたしまして、努力いたしたいと思います。」、こういう答弁をなさっておるわけであります。しかるところ、選挙が終わりました六月二十九日、すでにいまいろいろと論議されましたように、それこそ抜き打ち的に閣議決定をされてグレープフルーツ自由化が執行されておる。これはまことに遺憾なことであって、はたして国会を行政府は何と心得ているのかということについて強い憤りを感ぜざるを得ないのであります。少なくとも国会は国民の意思を代表する。本会議決議というところまではいかないまでも、委員会が全会一致をもって決議されたことは、たとえ本会議に上程をいたしましても決議さるべき問題であるのでありますから、これを尊重するということならばそのまま実行するというふうに行政府は考えてもらわなければ今後何べんとなく、何百回となく決議をいたし、質疑をいたしましても、これはまさにぬかにくぎといいますか、しかも、きわめて比喩は悪いかもしれませんが、何回決議をいたしましても行政府がそれを単に、カエルのつらに水というたとえもございますけれども、ぼやっとして何かやっておる、こういうことであってはこれは国会は国民の不信を買うと同時に政府に対する国民の怒りというものは私は爆発する時期がいつかは来る、こういうことを実は考えますときに、やはり国会の意思そのものを行政府がまさに最大限尊重してそれを実行していくというような、そういうやはり行政の執行態度をとってもらいたいと思っておるわけであります。いま大臣の御発言もございましたから、前向きにおそらく検討されることとは思いますけれども、少なくとも今回の決議はまさになみなみならぬわれわれの決意が秘められておるわけでありますから、これに対しましてはまさに決議のとおり行政が執行されていくように私どもは心から希望をし、それを義務づけたいとさえ思っておるわけであります。私のただいまの意見に対しましてどのように大臣が決意を持っておられるか、その所信をさらにお聞きをいたしたいと、かように思います。  また、二番目の問題といたしましては、この際、過去におきまして出されました決議等について、われわれも責任があるわけでありますが、決議はするけれどもあと執行状況、どうなっておるかということについて具体的にその決議の執行状況を追うて調査をするということは実はなかったわけであります。これまたわれわれの反省するところでありますけれども、この際、委員長に私はお願いを申し上げますが、委員会の名において過去において決議をされました事項、あるいは法律に対するところの附帯決議等についての経過、執行状況、そういうものについてあらためて調査をするということについて委員会の名において行ない得るように、具体的には小委員会等をつくって、そうしてその小委員会中心になりましていろいろと調査をするということもありましょうけれども、そういうような措置がとられるとするならば、これは決議というものが軽々に扱われるというような、そういう悪い慣行というものは徐々になくなっていくのではないか、かように思いますので、委員長に御検討を願いたいと思います。  以上申し上げまして大臣所信を重ねてお伺いしたいと思います。
  236. 国務大臣(赤城宗徳君)(赤城宗徳)

    国務大臣赤城宗徳君) もちろん国会は最高の機関でございまするし、国会決議というものは十分尊重しなければならぬ。ただしかし、行政府と立法府というのはやはり厳格でありませんが、分かれております。まあ行政府は現場仕事をやっているようなもので、われわれも現場に直面して現場の仕事をやっているわけです。それで立法府の決議というものも、もちろん国民を代表しての決議でございますから、これに対しましては十分尊重しなくちゃならぬと思いますが、現業の行政府としましてはその中で現実に実行できるものできないもの、あるいは時間的に直ちにできるものあるいは直ちにできないもの、こういうものは現場の仕事としてはいろいろなお検討することがあるのでございます。でございまするから、趣旨に対しましてはその趣旨に沿うて対処し、あるいは決議というものを尊重する立場は私どもとしてもとっておりますが、現場の仕事、行政府の仕事ということにも十分立法府としてお考えおきを願いたいということはこれは私のほうのお願いでございます。そういうことで、決議というものを無視する、あるいは尊重しないということではございませんが、緩急の度もあります。いろいろそういうところにつきましては、行政府におまかせ願うほかない、こういうように考えます。
  237. 委員長(高橋雄之助君)(高橋雄之助)

    委員長高橋雄之助君) 村田委員からの第二の問題、委員長に要望ありましたことについては、調査会云々の問題もございましたが、理事会で十分その点を協議いたしまして善処申し上げたい、かように考えておりますので、御了承いただきたいと思います。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時二十二分散会