○堀本宜実君 これは
大臣、レモンその他の
自由化をしたんですが、いま園田君からお話がございましたように、ことしの三月ですか、経済企画庁が
調査をしました、その
調査にレモン、バナナ、カラーフィルム、ウイスキーその他もやったんでしょうが、この
調査によって
物価の抑制に必ずしも貢献したという事実はない、こういうふうに私は聞いておるのであります。きょうは時間がございませんから、経済企画庁がおいでになっておられるはずでございますが、その方の意見は聞きません。
あとでいま経済の消費者生活のために外国の物を入れるというようなお話が
大臣からございましたが、そういうことも
一つの役割りではございましょうが、そういうものではない、必ずしも。この製品の追跡
調査を見ましても必ずしもそうではないというふうにわれわれは理解をいたしております。
ですからことにレモン等のごときは今朝の新聞にもございましたが、レモンというものが広島県あるいは瀬戸内海にございました、レモンが
自由化の当時にはたいへんたくさんございましたけれ
ども、それが
日本にもう
一つもなくなって一本もレモンの木がなくなりましたら、が然として高い
価格で売られておるのでございます。これは答弁は聞きませんが、お認めになっていただきたい。もしこれを認めないということなら、違うということで御
発言を政府のほうでしていただいたら早わかりがすると思います。そういうことでございますから、必ずしも
——いま申し上げたのは朝日新聞でございます。どうぞまた
あとでお帰りになってごらんいただきたいと思います。
それからここでもう
一つだけ言うておかなければならぬと思います点は、
温州ミカンの対米
輸出の
拡大の問題でございます。
アメリカが
日本の
ミカンを、ここにテープレコーダーがございます、おかけしてもよいのでございますが、これは長谷川
農林大臣が佐賀で演説をされたテープでございます。間違いのないテープでございます。このときは
——きょうは
大臣が「見合って」とおっしゃいましたが、長谷川さんの時代には「見合って」ではなくて、私らが「見合って」というふうに直したのでございまして、そのときには、長谷川さんのこのテープレコーダーには、
日本の
ミカンを買うてくれればその後に
グレープフルーツを入れましょうと、こう言っておる。ところがそれをもう一歩譲って、
見合いで、ギブ・アンド・テークといいますか、とにかくやりもするがもらいもするということで、われわれ売れるものだということを信じていた。ところがいまだに返事はございませんが、返事はもうおそらく今後もないと思います。また私
どももこの
温州ミカンを
アメリカに売ってくれとは言いません。どうぞひとつその点は、早う売ってやらにゃあならぬとお思いにならないようにしていただきたいと思います。これは売ったら損をします。
もう少しその問題について
——どうも私は党も政府も、ともに五州で
輸出が云々ということでございますが、たいへんな違った感覚を持っておいでになる。いま五州、五つの州で
アメリカへ
輸出することができるように許可になっておるのでございます。そして
一つはアラスカでございますから、これは問題にして取り上げておりませんが、四十三年に十一万箱の
——これは箱です、
輸出をしたのであります。四十四年には十二万箱、箱ですよ、
一つの箱が四・二キロでございます。小さい箱ですよ、四・二キロ。この箱が、四十五年には五万八千五百四十六ケース。いわゆる六の箱、それだけしか
輸出していない。四十六年には減ってきているんですよ。四十四年の十二万箱、前年より一万箱だけ多いのですが、これが最高のピークでございまして、もうこんなのはいやだといって減ってきておるということですよ。
これは経済企画庁も、外務省も、
通産省もおいでになると思うが、ここだけはよう聞いておいてもらわぬと困りますぞ、間違えますぞ。今後また何ぼでも農民が売りたいというような感覚は持っていないのだということなんです。どうしてか。それは
皆さん一カ月しか買わないんですよ。十一月一カ月しか買わない。
ミカンができ出すのは九月の末からでき出すが、できたらいつでも
アメリカが買ってくれると思ったら間違いです。十一月一カ月です。それも四・二キロの箱が五万箱。銭にして二千八百万円ぐらいだと思います。銭が
——貿易をしてどうとかこうとかという金の問題じゃないじゃありませんか。二千万円余りの、三千万円に足らないくらいの、何をそんなことをやる。ここらが違うのだよ、感覚が。
そうして一体これを外国に出すためにどういう検査をしておるとお思いになりますか。これは人道をはずれた言語道断のやり方をしておる。
一つ申し上げます。これは検査が四つあります。種類が四つあります。第一は、落花後の検査というのがございます。落花後とは、花が落ちた後と書いてある。落花というのは、花がどいて、すぐ結実をしようとする、小さい豆粒、米粒みたいなものができたときのことを言うのであります。そのときに補助検査員三十四名が十日間、それから防疫検査官が三分の一の抽出検査をいたしまして、五人の検査官が六日間、日米合同検査というのが、
国内防疫官と
アメリカの検査官と一名で四日間検査をするのであります。こういう検査が、もう時間がございませんから申し上げませんが、四つある。延べ何人分かと申しますと、延べ二千人余りです。たった三千万円そこそこの金をもらいまする
輸出に対しまして延べ二千人余りの人間を動員している。そして
アメリカの農務省から来ている役人の滞在費も、給料も、俸給も、そして旅費も全部生産者がみている。一人に対して大体五千
ドルほどです。去年までは二人来ていた。だから一万
ドル農民が出している。こんなことが考えられますか。ほんとうに残酷だとはお思いになりませんか。
そうして一箱の
価格が
幾らだと思いますか。こんなような内地にありますような
ミカンの箱じゃございません。これは正確なものを持っておりますが、急ぎますので申し上げませんが、四百八十六円でございましたか、その
程度の金しかもらわない。その一箱について私の計算では百円に余る経費を出している。しかしこれは国が出しているのでしょう。おそらく国が出していると思う。その中で一部分
——百八十数万円はこれは農民が出している、検査費……。百八十二万円というのは米国人の旅費と給料にやっている。こういう検査をやって、その検査のときには農民もついていかなきゃいかぬ。農民もきちんとついていってずっとそこにおるというような経費はこの中には入っていないのです。そしてこの一人一人が、それはどういう人であろうとも二千円の計算で
——私のした計算でございます。ここに果樹課長なり植防の係官がおいでになりますから
——これは植防は八百円でやっているんだと言う。八百円で一日じゅうやってくれる人がおりますか、現実の問題で。私は、そんな安い、どこでどういうふうにするか知らぬが、八百円で一日やるということはナンセンスだと思う。そういうことは現実にあり得ない。
そうしてまだ驚くべきことは、あなたたち御承知でないでしょうが、私の家の近所にありまする
ミカン園は全部
輸出用の園です。それには弁慶の高札みたいに白いペンキで塗った、山形に上を切ってそして柄をつけて畑のなにに突きさした。だれそれ所有、種類
温州ミカン何本、
アメリカ輸出用畑と書いてある。その中に雑
カン、いわゆる学問的には晩
カンと言いますか、雑
カン——伊予
カン、ハッサク、ネーブルそれから甘夏
カン、サマー
オレンジ、こういうものを、畑の中にあったやつを全部切っちゃう。切らなければ買わない。今度は、その畑だけだと思ったら違います。畑から四百メートル周囲は切る。これを緩衝地帯と言います。この畑から
輸出をするのですよ。この畑以外のものは
輸出してはならぬと言うておる。これだけの監視員がへびりついているのですから、そういうものが
輸出をされようはずがございません。それを
アメリカ全州に
輸出をするんだと長谷川
大臣が言われた。われわれはできぬことはわかっているけれ
ども、またそれができたらどれだけか農民が喜ぶだろうといままで考えてきたが、調べれば調べるほどかわいそうです。ほんとうに涙なくしては見られない。
私は、こういうことを考えましたときに、ここにけさの新聞でございますが、小坂善太郎さんが
アメリカの牛場大使にどうやら言うた。全州に
温州ミカンを買うてもらうようにという通知をしたと書いてある。
幾ら通知をしたというて、農民が十二万箱出しておったものが五万箱に減っちゃった。
先生方からだいぶ言われたけれ
ども、私も国のためにやりよったらいつかは花が咲くだろうと思ってやっておったがもうだめですと、
——これは私はもうお返事を聞きません。私の言ったことが間違いだったらそれは間違うているという御返事をいただいたらそれでいいと思うのであります。
その理由は、何でそういうことになったかというと、
日本にはおそろしいかいよう病があるからであります。ヤノネカイガラあるいはかんきつかいよう病という病気があるからであります。
アメリカにもこのかいよう病があったのです。それを
アメリカは全部国費で焼却した。切って焼いてしまった。
日本はそこまでやらない。そうしてこの病気が世界各国がきらっている病気であることをちゃんと御存じであるにもかかわらず、なかなかそれに対する
対策を講じようとしない。そこで私は去年の予算編成期においても、ことしの予算編成期においても、相当の経費を組んでこれの治療法、予防法を発見すべきである、これが
日本の果樹
農業を推進するゆえんの、大きい力がある、こういうことを申し上げたのであります。そうしたら、私は金の多寡でいいとか悪いとか言うのじゃございませんが、何がしか出しました。おそらく二百万円に足らぬと思います。そうして一生懸命やっておりますというのでありますが、どうか一生懸命やっているところの様子をひとつ話していただけませんか。そしてどのくらいお金を使っているのか。私はほんとうにこんなばかげたことはないと思う。どうぞ技術
会議のほうから御
説明をいただきたいと思う。