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参考人(
山県昌夫君) ただいま申し上げましたのは、
接触の事実についての
お話でございますが、いま御
質問の点は、次の
段階の
原因の
究明の御
質問だと思いますが、これも私
どもやっておりますやり方につきまして、
大要ここであらかじめ申し上げておいたほうがいいと思います。
まず第一に
航空機でございますが、
機体、
発動機、
装備品その他諸系統、これには
欠陥がないと私
どもは判断しております。それは先ほど事実の
推定、
調査、
解析、そういった点から
機体その他についての
欠陥はない。したがって、
事故発生時まで、
接触いたしました
二つの
飛行機は正常な運航をしておった、こう現在
推定しております。
それから乗り組み員につきましては、資格であるとか、
飛行時間、あるいは
健康状態、休養の
状態、こういったものにつきましても
現地にお伺いし、あるいはいろいろな書類を出していただきました結果、これが直接今度の
事故につながるということは、現在においては考えられないと思っております。
それからもう
一つ問題がございますのは
気象状況でございます。これは先ほど
風向、
風速の
お話を申し上げましたけれ
ども、それ以外に
視程——見得る距離がどのくらいであったか、あるいは
視程を障害するものがあったかどうか、たとえば大きな入道雲みたいなものがございますれば、当然これは
視程がさえぎられますから、そういったようなことも
調べまして、最終的にはきまっておりませんが、少なくとも
視程障害——雲というようなものはまずなかったというようなことはわかっております。
それから
交信状態でございますが、これは
航空援助関係を含めましていろいろ
調べております。
調べておりますといろいろむずかしい問題が出てまいりまして、いろいろな声が一どきに記録されておる、したがいまして、その声を分析いたしまして、たとえば
新潟でキャッチいたしましたのは
三つの声が一どきに入っておりまして、ただテープレコーダー回しましても何が何だかわからないわけでございます。したがいまして、これを
科学技術庁の
航空宇宙技術研究所ですかにお願いして、その分析をやっていただきましたところ、
三つの声が一緒に入っていること、その
一つは隈さんの声である、それから
あとの声がまだはっきりわかっておりません。と申しますのは、指紋に相当する
声紋というのがあるようでございますが、いろいろな人の
声紋を集めまして、それと似た
新潟でキャッチいたしました——
三つ混信している、その
解析をするためにいろいろな人の
声紋が必要になってくるわけです。
全日空機のほうはなくなられましたから、これもまたなくなられる前の
声紋をさがす。それが
三つ混信しておりますので非常にこれは手間がかかるようでございます。そういったようなことをいま詰めております。
そこでそういったようなことから次に問題になりますのは、一体
接触しました点がどこであるか、これはいろいろ今後問題になると思います。エアウエーの中であったか、外であったか、いろいろな問題があると思いますが、この点につきましては、先ほど申し上げましたように、第一の事実の
調査、これの結果がわかりますれば
接触した点がわかってくるわけでございまして、それがエアウエーとの
関係というようなことがここで
原因の
推定の
一つのファクターになると思います。
それからもう
一つは、
接触の回避が可能であったかどうかということが大きな問題だと思います。これにはまず、これまた先ほど申し上げたとおりでございますが、
航跡が十分固まりますというと、刻々の
二つの
飛行機の距離が出てまいります。その距離が出てまいりますと同時に、一方の
飛行機から一体他の
飛行機が見えたか見えないか、これは大きさの問題もございましょうし、視角の問題もあると思います。そういうことを
調べなければならぬ。だからどの
方向に見えたかということでございます。それから一方におきまして
操縦室には防風窓がございまして、そのワクがある。あるいは機長なり操縦士なりがすわっておりますので、それから見てどんなところに視角の制約があるか。だから、この
方向に見えるということがわかりましても、実際
飛行機でちょうどたまたま障害物があれば見えないわけでございますから、そういった点を今後
調べなきゃならぬ。あるいは
飛行機が傾きますと羽がじゃまになる、そういったことをすべて
調べなきゃならぬと、こう思っております。
そういうことが一方においてわかってまいりますと、今度一方において、一体目で相手の
飛行機が見えた、見えましてそれを頭に伝えまして、次に今度操縦士がかじをとるとかとらないとか、判断をしなきゃなりません。それから、かじをとるという判断しました場合に、かじをとるということにやはりある時間がかかります。かじをとりましても、
飛行機が大きなイナーシアを持っておりますから、かじをとったからすぐ横っちょに曲ると、こう簡単にはまいりません。したがいまして、最初目で見た、見てから一体どのくらいたったら
飛行機が動き出すか、
方向を変えるなら変えるかという時間が問題になると思います。これにつきましては、日本におきましても、
全日空のYS11と読売のビーチクラフトが
衝突いたしましたときに使いました
数字がございます。これはアメリカのロッキードがいろいろ
調べた
数字でございます。たとえば十四秒であるとか何とかという時間がここに出てまいります。この十四秒とかというものは、人にもよりましょうし、それから
飛行機の種類によっても違うと思います。そういうものをわれわれは
専門家に十分御意見を承りまして、その
数字を固めたい。かりにそれが十四秒とか、二十秒でもけっこうですが、十四秒といたしますというと、
接触する前十四秒その以後に目に見えても、これは、
飛行機は回避するということはできないわけであります。そこで問題は、十四秒以前に見えたか見えないかということが問題になるだろうと思います。これは、ただし人によっても違いましょうし、これは相当やっかいな問題だと思いますが、われわれがやる筋道としては、そういう
方向で固めよう、あるいは固めつつある。で、かりに十四秒前に見える条件であったといたしますと、はたして機外の——
飛行機の外の監視が十分行なわれておったかどうかということも問題になりましょうし、ここら辺が今度の
原因調査の一番ポイントだろうと思っております。
その次に、それに関連いたしまして、現在の
関係法規、あるいは
空域の設定であるとか
訓練計画、そういうものが十分整っておったかどうかということも、次の
段階としては
調べたい。大体
原因の探求のやり方としては、
委員会はそういう
方向で進んでおります。