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1971-10-07 第66回国会 参議院 内閣委員会 閉会後第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年十月七日(木曜日)    午後二時十九分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         柳田桃太郎君     理 事                 町村 金五君                 上田  哲君                 水口 宏三君     委 員                 源田  実君                 菅野 儀作君                 世耕 政隆君                 土屋 義彦君                 足鹿  覺君                 峯山 昭範君                 岩間 正男君    国務大臣        運 輸 大 臣  丹羽喬四郎君        国 務 大 臣  西村 直己君    事務局側        常任委員会専門        員        相原 桂次君    説明員        防衛庁参事官   鶴崎  敏君        防衛庁人事教育        局長       江藤 淳雄君        科学技術庁原子        力局次長     大坂 保男君        運輸省航空局長  内村 信行君        運輸省航空局監        理部長      庄田 正二君    参考人      全日空機接触事      故調査委員会委      員長         山県 昌夫君     ————————————— 本日の会議に付した案件 ○派遣委員報告に関する件 ○参考人出席要求に関する件 ○国の防衛に関する調査  (国の防衛問題に関する件)     —————————————
  2. 柳田桃太郎

    委員長柳田桃太郎君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  委員派遣報告についておはかりいたします。  先般本委員会が行ないました国の地方出先機関公務員制度及び自衛隊実情等調査につきましての派遣委員報告につきましては、口頭報告を省略し、報告書会議録に掲載することに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 柳田桃太郎

    委員長柳田桃太郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  4. 柳田桃太郎

    委員長柳田桃太郎君) 先般内閣委員会大村航空隊調査いたしました際、以下述べます三つの点について遺憾と思われる点がございましたので、防衛庁長官注意を申し述べます。  第一点は、八月十一日に告示されたNOTAMを無視して防衛庁独自の解釈で訓練が行なわれておりました。その理由としては、民間機訓練回数並びに訓練時間はきわめて少ないということでありましたので、その実績を示すよう求めましたところ、後日調査して報告するという回答があったまま、一カ月たちまして、上田委員注意によりようやくその報告をするという状態でございました。  第二は、調査中の会議の席に、事前にわれわれの了解を得ないでテープレコーダーをとっておりましたが、これは適当でないと思われるので、今後このようなことのないよう長官から厳に注意をしていただきたいと思います。  第三点は、大村航空隊司令運輸省の定めた訓練空域ははなはだ実情に合わない不適当なものである旨るる説明されたのでありますが、それは陳情であるかとただしましたところ、そうでないと言われ、しからばわれわれに対するその説明は適当でないと思われる節がありましたので、今後長官から、さような不完全な資料に基づく報告は行なわれないよう注意をしていただきたいと思います。  以上であります。
  5. 西村直己

    国務大臣西村直己君) 委員各位公務御多端のおりから、私ども海上自衛隊大村航空隊まで国政調査でおいでをいただきましたことを厚くお礼を申し上げます。  御注意の点につきましては十分私も、心得ます。民間機訓練空域におきまする自衛隊機飛行につきましての問題は、中央において運輸省防衛庁との間に基本的な了解はされておったのでありますが、細部事項調整現地への指示について徹底を欠いた点があって、現地機関相互の間で見解の食い違いを生じ、空域の使用で十分に調整がなされなかったことは遺憾と存じます。今後このような事態が生じないよう十分注意し、特に飛行の安全に万全を期する次第でございます。  二番目に、陳情等につきまして、応対の問題並びにテープをお断わりなしに無断使用いたしました点等の、国会の先生方への応対について礼を失した点があったことは遺憾であります。今後国政調査が円滑に行なわれますように十分私としても指導をいたしたい次第でございます。     —————————————
  6. 柳田桃太郎

    委員長柳田桃太郎君) 次に、参考人出席要求についておはかりいたします。  国の防衛問題に関する件について、本日全日空機接触事故調査委員会委員長山昌夫君を参考人として出席を求めることにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 柳田桃太郎

    委員長柳田桃太郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  8. 柳田桃太郎

    委員長柳田桃太郎君) 国の防衛問題に関する件を議題といたします。御質疑のある方は御発言を願います。
  9. 上田哲

    上田哲君 全日空機事故調査委員会山県委員長以下におかれましては、長期にわたりまして現地でつぶさに実情あるいは事故原因究明に当たられておりまして、たいへん御苦労さまでございます。  そこで、まだ最終結論には至っていないと承っておりますが、今日までの段階において、ひとつ御質問を申し上げたいと思います。  最初に伺いたいのでありますが、事故調査委員会事故発生以来航空自衛隊松島基地や岩手県全日空等関係機関におもむかれまして種々調査をされていると承っておりますけれども、各関係機関から委員会側の望まれる資料の提出あるいは協力等について遺憾なき状態でありましょうか、いかがでありましょう。
  10. 山県昌夫

    参考人山県昌夫君) ただいまの御質問でございますが、私ども調査委員を命ぜられまして、委員会が設立いたしまして以来、現地調査あるいは資料の収集、さらに関係者から事情を聴取する、こういったこと、さらにこまかく申し上げますというと、いろいろな問題につきまして各方面の各専門家鑑定を御依頼申し上げる、まあそういったようないろいろなことをやってまいりましたが、その間運輸省あるいは防衛庁、それから全日空あるいは気象庁、そういった各方面におきまして全面的に御協力いただきました。この点非常に私ども委員会といたしましては感謝をいたしている次第でございます。お答えといたしましては、私ども委員会でいろいろお願いしたことすべて私ども希望どおりにやっていただいた、これが実情でございます。
  11. 上田哲

    上田哲君 それはたいへんけっこうであります。そこで、そうした各方面協力を得られ、資料も十分にそろう中で究明が行なわれていると理解いたしますが、そこで、現在までどのような調査が進められ、どのような事態が明らかになったか、幾つかの点があろうかと思いますが、まず、墜落いたしました全日空機フライトレコーダー解析が終わっていると思うのです。その内容はいかがでございましょうか。
  12. 山県昌夫

    参考人山県昌夫君) フライトレコーダーの件でございますが、幸いに完全な状態で見つかりましたので、このフライトレコーダーによりまして読みを取り、さらにそれを解析するという、これは日航さんにお願いしたわけでございますが、ただ、現在最終的のことを申し上げられない点は、実は風向風速、でございますから風の方向、あるいは風の速さ、これが各所ではかられてはおりますが、現実に全日空機が飛びましたその間の風向風速、これを正確に求めまして、いわゆるオーソライズいたしました風向風速を使いませんと最終的の結論は出ないわけでございます。それで、ただいままでに得られました数字を申し上げますというと、重力加速度は一・一G、それから機首方向は、読みは百八十九度でございますが、機械の補正を必要といたしますので、その補正後の値は百九十度、それから気圧高度は二万八千二百フィート、これを補正をいたしますと二万八千フィートになります。それから指示気速度——空気に対する速度、これが衝突時におきましては三百十ノット。したがいまして、これらのうちでただいま申し上げました速度関係、あるいは実際フライトレコーダーから飛行機がどういうふうに飛んでおったかということは、風の修正をしませんと最終的な結論が出ませんので、実は私ども気象庁にお願いいたしました風向風速、これをいまお待ちしている状況でございます。なお、これらのただいま申し上げました数字につきましては、警察側からフライトレコーダー調査解析鑑定の依頼がございましたので、ただいま申し上げました数字警察にもお知らせしております。
  13. 上田哲

    上田哲君 御報告のように高度二万八千フィートーそれで速度は大体マッハ〇・七九で松島NDBに向かって定常水平飛行をしていた。これについてはさらにこれから風向風速等のさまざまな調査、あるいはそれに関連するいろいろなデータの処理はありましょうけれども、よろしいわけでございますね。
  14. 山県昌夫

    参考人山県昌夫君) さようでございます。
  15. 上田哲

    上田哲君 つまりたいへん正常に、定められたとおり飛んでいたということは、ここに簡単に言えば出てきたわけでありますけれども、次に、F86Fの側ですが、F86Fが当時どういう訓練飛行をしていたのか、そしてまたその航跡等はどうであったのか、今日までの状態を御説明いただきたいと思います。
  16. 山県昌夫

    参考人山県昌夫君) F86Fにつきましては、御承知のようにフライトレコーダーはございません。したがいまして、私どもがいろいろと調査いたします根拠となりますのは、隈一等空尉、それから市川二等空曹、このお二方を松島基地あるいは警察におきましていろいろお調べになりましたその調書を全部拝見いたしましたし、またその方面の、関係方面お話も承りました。それによりまして一応私どもといたしましては、いまお話がございましたように、この接触に至るまでの航跡を求めなければならぬわけでございますが、何ぶんにも松島基地を飛び立ちましてから訓練に入るその間におきまして、教官機、それから何と申しますか、二番機と申しますか、一々その位置の確認はいたしておらないようでございます。いわば地形を見ながらいろいろの訓練をしておった、最終的にはフルード・フォアというのですか、その訓練をしておったわけであります。したがいまして私どもといたしましては、そのお二方のいろいろな供述、それをもとにいたしまして、一応の航跡、これも松島基地を飛び立ってからずっとはとてもわかりません。またさしあたり必要なのは衝突接触をいたします前まあ一分あるいは二分、その程度の航跡が一番重要でございまして、その点につきましてはある程度の航跡図を私どもでは得られました。ところが、いろいろお二方の公述に食い違い、どうもわれわれとしてはふに落ちないという点もございました。したがいまして、この九月七日、八日でございます、委員の二人の方が松島基地へ参りまして、起訴されましたお二方と二日間にわたりましていろいろお話をいたしました。委員会としては、そういうことではないかというようなことも申し上げ、その結果、いろいろの公述された点、大筋においてはこれは私どもが考えておるとおりでございますが、こまかい点、これはいろいろ記憶違いもございましたらしく、また問い詰められて、その場限りで御返事になったようなこともあるようでございますが、そういうこまかいことを除きますというと、私ども調べました航跡、これはまだ最終的に風や何かの修正ができておりませんが、大体の大筋におきましてはお二方ともこれが正しいということをお認めになっております。したがいまして、いま申し上げましたように、接触までの一分間とか一分半とかいうそういう時期におきまする航跡はだんだん固まりつつある、こういうふうに御了承願いたいと思います。
  17. 上田哲

    上田哲君 たいへんよくわかりました。これから関係位置を模型でシルエットをつくり、写真判定などが専門的に行なわれると理解いたしておりますけれども、そういう細部を詰めていくという作業が残っているものの、衝突時一、二分というところのものはほぼ確認することができたというふうに理解をさせていただきます。  で、大まかにひとつ伺いますが、つまり衝突までの時点で言いますと、ボーイング727二百型五十八便は、計器飛行方式の承認を得て十三時三十三分東京国際空港に向けて千歳空港を離陸、そうして飛行機はJ10L函館NDB、J11L松島NDB、J30L大子NDB、J25L佐倉NDB及び木更津NDBを経て羽田に至るもので、先ほどお話のように巡航高度は二万八千フィートであった。それで函館NDBを十三時四十六分、高度二万二千フィートで通って、松島NDB通過予定が十四時十一分であった。十三時五十分に札幌管制部に巡航高度二万八千フィートに到着したことを一三五・九メガヘルツで報告している。  一方F86Fの二機の編隊は、有視界飛行で十三時三十分松島基地離陸飛行予定時間は一時間三十五分であった。フルード・フォア訓練を行ないながら盛岡市の西方を南下していって、十四時二分から多くて三分の間に二番機が727と接触をした。そして、このとき727の高度は二万八千フィートであり、速度マッハ約〇・七九であって、松島NDBに向かって定常水平飛行をしていた。86Fは速度マッハ約〇・七二から〇・七四で、深いバンク角左旋回を行なっていたようである。こういう状態接触をしたのである。大体こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  18. 山県昌夫

    参考人山県昌夫君) ただいまのお話、大体現在私ども推定いたしましているとおりでございます。ただ、何回も申し上げますが、風というファクターがまだ入っておりませんので、それを入れてもうちょっとこまかいことを最終的にきめたい、こういう状況でございます。
  19. 上田哲

    上田哲君 そこで、調査団等におかれては、現地において弾道計算などの計算方法を使って、飛散した両機の破片を拾い集めて復元作業をされた。承るところでは、左の第一エンジン、おもなものでいえばそれを除いてはほぼ復元が可能であった、こういうふうに承っておりますが、そのとおりでありましょうか。
  20. 山県昌夫

    参考人山県昌夫君) そのとおりでございます。  御参考までに、私どもがいま考えておる道筋をあらかじめ申し上げたほうがよいのではないかと思いますが、私ども調査委員会といたしましては、まあ仕事を分類いたしますというと、空中接触事故の事実を推定するということが第一。それから第二といたしましては、そういう接触事故原因が何であるかという推定でございます。それから第三といたしましては、そういった事故原因推定ができました場合に、これに直接関係がございます点につきまして政府に対し御勧告申し上げる、あるいは御注意申し上げるというようなことがありとすれば、それを十分検討いたしまして委員会としてきめる、そういう手だてを経まして、最終的の報告書を作成するということでございますが、さて、いま問題になっておりますことは、主としてこの第一段の、事実がどうであったかということでございますが、一応私ども現状を初めに申し上げたほうがいいかと思いまするので、ごく簡単に申し上げます。  まず第一に事故の事実の推定、これをやります場合に、ただいまお話がございましたように、航空機両方、727それから86、この二つ飛行機機体発動機、それから装備品、こういったものの散布状況がどうであるか、あるいは破壊状況がどうであるか、これは火災発生の有無も含めまして破壊状況がどうであるかということを現地調査いたしました。それで、それによっていろいろな解析をする。その間におきまして、いまお話がございましたように、第一エンジンと申しますか、第一発動機、これがいまだに見つかっておりません。それから機体につきましては、ばらばらになっておりまして、全部回収までに至っておりませんが、接触に直接関係のある部分その他重要なものは、これは全日空機の話でございますが、山からおろしまして、それを復元と申しますと言い過ぎかもしれませんが、こわれる前の形に並べて高等学校の校庭に現在保管しておりますが、実はもうこの点につきましてはわれわれの調査が終わった、こう判断いたしまして、おそらく一両日中に全部警察のほうにお引き渡しをすることになっております。  それから第二にやりましたことは、先ほどのフライトレコーダーその他落ちました飛行機操縦室にございます計器類、そういったものの読みを全部とりまして、それを解析するということが第二の仕事でございます。  それから第三の仕事といたしましては、おなくなりになられた方、これは直接私ども調べたわけではございませんので、警察でお調べになりましたからだの傷害状況と申しますか、特にやけどというようなことにつきましては、警察調書を十分拝見いたしますとともに警察の方にもお話を伺いまして、それから次が、先ほど来たびたび申し上げております風速風向、オーソライズされました風向風速を固める、これが大きな仕事でございますが、これにつきましては気象庁にお願いしてございます。  それからもう一つは、いろいろ飛行機交信をしておられますので、それの調査をいたしまして解析をする、それからこれは警察に主としてやっていただいたわけですが、いろいろな証言を収集いたしました、その収集した結果をいろいろ調査するということもやっております。  それで、大体そういうような過程を経まして現在われわれの委員会で大体わかっておるということを申し上げますが、まず第一に、接触いたしました時刻が何時何分何秒であろうかということでございますが、これにつきましては、やってみましたところ非常にむずかしいのでございます。と申しますのは、あるところからあるところのフライトレコーダーがございますれば、千歳から接触したそれまでの時間はわかりますが、たとえば飛び立ったときの時間が秒単位ではたして正しいかどうか、あるいはまたいろいろなところに交信がございますが、そういったところの時間、これが必ずしも一定しておりません。したがいまして、いま私自身といたしましては秒単位でこれを知りたいと思っておりますが、その努力はいたしておりますが、いまのところそこまで詰めることができないでおります。したがいまして、先ほどお話がございましたように、十四時三分か、あるいは二分台と申しますか、むしろ三分に近いと思いますが、そのころを私ども考えております。  それから第二にきめなければならぬことは、どの地点接触したかということでございますが、これは先ほどお話がございました飛行機接触いたしましてある重量物が落ちる、落ちた地点から逆にその接触いたしました地点を出す、こういう手がございます。一方、フライトレコーダーからもこれは出てまいります。しかし、これはいずれも風の影響がございますので、そういったことから攻めてまいりまして、現在では大体の推定はできております。しかし、これもまた風の影響計算に入れて最終的には固めたいと思います。大体露石町の北西方向の三キロぐらいの地点じゃないかと思いますが、いずれこれはもう少ししっかりした数字が出ると思います。  それから高度につきましては、先ほど来たびたび申し上げております二万八千。  それから次に、どんな姿勢でもってぶつかったか、接触したかという点でございますが、これはいまお話がございまして、私は大体現状においてはそのとおりであるということを申し上げましたが、そのとおりでございます。  次にきめなければならぬことは、やはりその接触するまでの航跡、どう飛行してきたか。これは、全日空のほうはフライトレコーダーがございますから、風の修正さえすれば相当正しいものが出てまいります。それから一方戦闘機のほうは、先ほど申し上げましたような事情でございまして、いま詰めておる最中でございます。要は、上から見たところ、プランでもってどういう航跡を描いたか、それから横から見ると申しますか、プロフィール、その両方から出さなければならないわけでございます。結局、問題は三次元でございますから。したがいまして、そういった二種類の航跡がはっきり出ますというと、刻々の三つ飛行機のいろいろな姿勢であるとか、あるいは間隔であるとかそういったものが出てくると思いますが、いませっかくそれを検討中でございます。  事実の推定につきまして私どもがいままでやっております大要は、以上のとおりでございます。
  21. 上田哲

    上田哲君 非常によくわかります。もう少し詳しくまたお伺いをしたいのですが、概要を御説明いただいたところで、一つだけ委員長さんに伺っておきたいのは、たとえば四十一年のときの事故ですね、四つばかり大きいのがありました。そのうち二つは、いろいろ調査は進められたけれども原因が十分究明できなかった。で、今度の事故は、このあと風速風向というようなところなどなどの調査を積み重ねられていくと、秒単位の出入りがいろいろあることはあるでありましょうけれども事故原因がわからないということにはならない一つの典型的な例だろうというふうに思われますけれども、その点はいかがでしょうか。
  22. 山県昌夫

    参考人山県昌夫君) ただいま申し上げましたのは、接触の事実についてのお話でございますが、いま御質問の点は、次の段階原因究明の御質問だと思いますが、これも私どもやっておりますやり方につきまして、大要ここであらかじめ申し上げておいたほうがいいと思います。  まず第一に航空機でございますが、機体発動機装備品その他諸系統、これには欠陥がないと私どもは判断しております。それは先ほど事実の推定調査解析、そういった点から機体その他についての欠陥はない。したがって、事故発生時まで、接触いたしました二つ飛行機は正常な運航をしておった、こう現在推定しております。  それから乗り組み員につきましては、資格であるとか、飛行時間、あるいは健康状態、休養の状態、こういったものにつきましても現地にお伺いし、あるいはいろいろな書類を出していただきました結果、これが直接今度の事故につながるということは、現在においては考えられないと思っております。  それからもう一つ問題がございますのは気象状況でございます。これは先ほど風向風速お話を申し上げましたけれども、それ以外に視程——見得る距離がどのくらいであったか、あるいは視程を障害するものがあったかどうか、たとえば大きな入道雲みたいなものがございますれば、当然これは視程がさえぎられますから、そういったようなことも調べまして、最終的にはきまっておりませんが、少なくとも視程障害——雲というようなものはまずなかったというようなことはわかっております。  それから交信状態でございますが、これは航空援助関係を含めましていろいろ調べております。調べておりますといろいろむずかしい問題が出てまいりまして、いろいろな声が一どきに記録されておる、したがいまして、その声を分析いたしまして、たとえば新潟でキャッチいたしましたのは三つの声が一どきに入っておりまして、ただテープレコーダー回しましても何が何だかわからないわけでございます。したがいまして、これを科学技術庁航空宇宙技術研究所ですかにお願いして、その分析をやっていただきましたところ、三つの声が一緒に入っていること、その一つは隈さんの声である、それからあとの声がまだはっきりわかっておりません。と申しますのは、指紋に相当する声紋というのがあるようでございますが、いろいろな人の声紋を集めまして、それと似た新潟でキャッチいたしました——三つ混信している、その解析をするためにいろいろな人の声紋が必要になってくるわけです。全日空機のほうはなくなられましたから、これもまたなくなられる前の声紋をさがす。それが三つ混信しておりますので非常にこれは手間がかかるようでございます。そういったようなことをいま詰めております。  そこでそういったようなことから次に問題になりますのは、一体接触しました点がどこであるか、これはいろいろ今後問題になると思います。エアウエーの中であったか、外であったか、いろいろな問題があると思いますが、この点につきましては、先ほど申し上げましたように、第一の事実の調査、これの結果がわかりますれば接触した点がわかってくるわけでございまして、それがエアウエーとの関係というようなことがここで原因推定一つのファクターになると思います。  それからもう一つは、接触の回避が可能であったかどうかということが大きな問題だと思います。これにはまず、これまた先ほど申し上げたとおりでございますが、航跡が十分固まりますというと、刻々の二つ飛行機の距離が出てまいります。その距離が出てまいりますと同時に、一方の飛行機から一体他の飛行機が見えたか見えないか、これは大きさの問題もございましょうし、視角の問題もあると思います。そういうことを調べなければならぬ。だからどの方向に見えたかということでございます。それから一方におきまして操縦室には防風窓がございまして、そのワクがある。あるいは機長なり操縦士なりがすわっておりますので、それから見てどんなところに視角の制約があるか。だから、この方向に見えるということがわかりましても、実際飛行機でちょうどたまたま障害物があれば見えないわけでございますから、そういった点を今後調べなきゃならぬ。あるいは飛行機が傾きますと羽がじゃまになる、そういったことをすべて調べなきゃならぬと、こう思っております。  そういうことが一方においてわかってまいりますと、今度一方において、一体目で相手の飛行機が見えた、見えましてそれを頭に伝えまして、次に今度操縦士がかじをとるとかとらないとか、判断をしなきゃなりません。それから、かじをとるという判断しました場合に、かじをとるということにやはりある時間がかかります。かじをとりましても、飛行機が大きなイナーシアを持っておりますから、かじをとったからすぐ横っちょに曲ると、こう簡単にはまいりません。したがいまして、最初目で見た、見てから一体どのくらいたったら飛行機が動き出すか、方向を変えるなら変えるかという時間が問題になると思います。これにつきましては、日本におきましても、全日空のYS11と読売のビーチクラフトが衝突いたしましたときに使いました数字がございます。これはアメリカのロッキードがいろいろ調べ数字でございます。たとえば十四秒であるとか何とかという時間がここに出てまいります。この十四秒とかというものは、人にもよりましょうし、それから飛行機の種類によっても違うと思います。そういうものをわれわれは専門家に十分御意見を承りまして、その数字を固めたい。かりにそれが十四秒とか、二十秒でもけっこうですが、十四秒といたしますというと、接触する前十四秒その以後に目に見えても、これは、飛行機は回避するということはできないわけであります。そこで問題は、十四秒以前に見えたか見えないかということが問題になるだろうと思います。これは、ただし人によっても違いましょうし、これは相当やっかいな問題だと思いますが、われわれがやる筋道としては、そういう方向で固めよう、あるいは固めつつある。で、かりに十四秒前に見える条件であったといたしますと、はたして機外の——飛行機の外の監視が十分行なわれておったかどうかということも問題になりましょうし、ここら辺が今度の原因調査の一番ポイントだろうと思っております。  その次に、それに関連いたしまして、現在の関係法規、あるいは空域の設定であるとか訓練計画、そういうものが十分整っておったかどうかということも、次の段階としては調べたい。大体原因の探求のやり方としては、委員会はそういう方向で進んでおります。
  23. 上田哲

    上田哲君 もう一ぺん簡単なことを先にお伺いしておきたいのですが、たいへん御苦労さまでありますけれども、そういうさまざまな検証が行なわれて、究明が行なわれて、この事故原因不明になるというような事故ではないというふうに、もはや考えられる段階だろうと思っておるわけですが、その点はよろしゅうございましょうか。
  24. 山県昌夫

    参考人山県昌夫君) 最終的になってみなければ何とも申し上げられませんけれども、私どもは最善を尽くしまして、原因調査しろという御命令に対しまして最も忠実にやっていくつもりでおりまして、したがいまして、私どもとしてはできるだけ正しい原因を突きとめたい、こう思っております。
  25. 上田哲

    上田哲君 それではもうちょっと詳しくお伺いをいたします。いまの御報告の中にはまだ触れられておりませんが、問題は全日空機側とF86F側のどことどこが触れたのかということであります。先ほどお話の中に、左の第一エンジンの部分、それ以外は復元ということばでも何だがというお話がありましたが、ほぼそういう形ができている。そこで、当初この事故が起きましたときには、二番機が、全日空機側の右側にいたとか、あるいは左側であったとかというような、いろいろ見方が狂いました。この復元作業の中で、86Fのどの部分と全日空機側のどの部分がどういうふうに接触したかということをひとつ御解明をいただきたいと思います。
  26. 山県昌夫

    参考人山県昌夫君) ただいまの御質問に対するお答えでございますが、まず全日空機が大体ほとんど南下してこうきているわけでありますね。それに対しまして市川機と申しますか、訓練を受けております飛行機がどういう方向から入ってきたかということでございますが、ただいまお述べになりましたとおり、最初いろいろ私ども新聞紙上で拝見いたしますと、いろいろな説がございまして、左から入ってきたとか、右から入ってきたとか、いろいろなお話があったようでございますが、私どもといたしましては、これは最初の記者会見でも申し上げましたが、そういったことに一切こだわらずに、原点に返って調査をするのだぞということでございました。私ども調べました現在までの調査によりますというと、全日空機は地図で言えば北から南にこう向っている。それから市川機は、何と申しますか、日本海側と言ったほうがよくわかると思いますが、日本海側からこの航路を横切って太平洋側に入っております。ですから右旋回をやってきて、J11Lですか、あのエアウエーを通りまして太平洋側に出まして、そうして、あるところから今度は逆に左旋回をやっております。左旋回を始めましてしばらくいたしまして、接触事故が起こっております。したがいまして現地調べました機体は——ただいま申し上げましたことは、主としてお二方の証言から私ども推定いたしたことでございます。しかし、何ぶんにもああいう状況でございますので、お二方のうち、ある方は逆の方向から来たふうに錯覚を起こしていた証言もございますが、いろいろお話し合いいたしますと、いま申し上げましたように、太平洋側から入ってきたということは、なるほどそうだなということを言っておられます。まあそういうふうに、全日空機に対しまして戦闘機は太平洋側におった。その結果、接触状況でございますが、自衛隊機の右の主翼の後縁、うしろのところ、フラップがあるところですが、に全日空機の左の水平尾翼がぶつかった、接触した、こう私ども推定しております。その場合に二つ飛行機の頭、進行方向と申しますか、それは非常に角度は小さい。大体五度から十度、その程度の角度でもってぶつかっている、こう考えております。それからいま申し上げましたように、F86のほうは左旋回をしておりますので、バンク角がございます。そのバンク角が四十度から五十度ぐらいではなかろうか、こういうふうに現在では推定しております。まずそういう状況接触した。そこで、自衛隊機の右の主翼の後縁は、全日空機の左水平尾翼との接触によりましてこれは飛散したのだろう。それから自衛隊機の右の主脚——足でございますね、の取りつけ部分が非常にじょうぶな構造になっておりますが、それが全日空機の左の水平尾翼を順々にこわしていった、こういうふうに推定しております。このような破壊の過程の間に、自衛隊機は当然姿勢がだんだん変わってまいりまして、その自衛隊機の機首の底部、ボトムですね、底部が全日空機の垂直尾翼のうしろのけたの左側の面に接触いたしまして、全日空機の垂直尾翼の一部と、自衛隊機の機首底部が破壊をしたものだ、こう考えられます。で、こういうような状態になりまして、二つ飛行機は操縦不能になりまして、それで墜落した。こういうふうに私どもは現在においては推定いたしております。
  27. 上田哲

    上田哲君 非常によくわかりました。  太平洋側と言われたのはつまり左側ということであって、つまり両方とも全日空機の右前方にいたんじゃないかというようなことじゃなくて、市川機はいわゆる左側にいた、そしてはすかいに水平尾翼にぶつかり、86の腹が垂直尾翼にぶつかる、こういう経過をたどっていった、簡単に言えばそういうことですね。
  28. 山県昌夫

    参考人山県昌夫君) そうです。
  29. 上田哲

    上田哲君 F86Fの右内側、フラップが727の左水平尾翼と激突して、その激突部分が飛散をして、86Fの右の足の取りつけ部分の右の翼の構造が727の左水平尾翼の前縁——前げた、うしろげた、昇降舵等をだんだんに破壊していった。そして86Fの右主翼の翼の取りつけ部分が破壊されて、このあと86Fの機首の底部が727の垂直尾翼左側面に触れて、727の垂直尾翼の一部と86Fの機首底部が破壊されて、そこで両機が操縦不能となって落ちていった、こういうふうに理解をいたします。こういうふうに切り口その他からしっかり出てまいりますと、調査委員会先生方が、このあとシルエットを使って写真判定をして、気象庁の御協力を得られてこまかく何秒の出入り、あるいはこまかい地点計算をされることは、なお御苦労をおかけすると思いますけれども、きわめて大まかに言って、この事故が引き起こされた原因の仕組みというものはほぼ明白になってきたと思います。つまり右にいたか左にいたかというようなことは、ここで明白になったわけでありまして、左側でこういう事故が起きている。そして727はまさに定常運転を指定どおりに続けている。裏返していえば、全くそれにぶつかったという意味において86Fは五百フィート前後にはいなかった、間違いなく定常飛行の高度の中に飛び込んでいたということも立証できるわけでありますし、こういう意味では、こまかい点の問題はありますけれども事故がどうして起こされたかということになれば、これは私は学者先生方のさらにこまかい調査ということは当然お願いするんでありますが、行政官庁なり政治判断なりということも含めて、当然運輸省では、この事故全日空機側には責任を負うべきものはないと、こういうふうにお考えになるだろうと、それが明らかになったと思います。この点は運輸大臣いかがですか。
  30. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) ただいまの御質問でございますが、ただいま私のほうでは大体の経過を伺っておりますが、事故調査委員会にその調査の結果を依頼しております。その依頼の結果が出るまで結論は待ちたいと、こう思っております。
  31. 上田哲

    上田哲君 そのために運輸大臣、隣にそうやって聞いてもらっているんですよ。また五時間かかりますよ。いまお話をお聞き取りになったであろう。左の耳があいていれば、全日空機が左からぶつかられたと同じように、あなたの耳は明らかにいまのお話を聞いておられる、こういう状態全日空機側に責任が起こり得ないだろうと私は考える。それがあなたにおわかりにならぬですか。
  32. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) ただいまの大体の経過は聞いておりますが、責任者といたしましては、ただいま私のほうから事故調査委員会調査を依頼している途中でございます。判断を差し控えたいと申しております。
  33. 上田哲

    上田哲君 どうしても日本語ではわからぬので、重ねてお伺いをいたしますけれども、運輸大臣は全日空機側に事故の責任が何かあったほうがいいとでもお考えですか。
  34. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) そういうことは全然考えておりません。
  35. 上田哲

    上田哲君 運輸大臣は、いまの中途経過の説明をお聞きになって、全日空機側になおいかなる点で事故の責任ありという部分があるとお考えになりますか。
  36. 山県昌夫

    参考人山県昌夫君) 中途でことばを差しはさみまして申しわけございませんが、先ほど御説明申し上げましたとおりに、私どもまだ原因ということを突きとめるという段階に至っておりません。大体接触の事実というもの、物理的の現象というものはほぼわかってきたわけでございますが、さてそれがどうしてそうなったかということにつきましては今後の問題でございまして、先ほどもちょっと触れましたが、たとえば視認、目で見るというようなことになりますと、これは戦闘機のほうから全日空機が見えたかどうか、また全日空機のほうから戦闘機が見えたかどうかというようなことは当然問題になりますので、そういった点も含めまして、原因が、いまのお話でございますとどちらにあるかということだと思いますが、この点につきましては私どもこれから十分検討いたしまして、私自身、いまどちらかに原因の責任がなかったかというようなことはまだ言えない段階と私は判断しておりますし、委員会もそういうふうに動いておるわけでございます。
  37. 上田哲

    上田哲君 これは、たとえば純粋に法律的に運輸省側にお尋ねをしますけれども、航空法の九十四条——「有視界気象状態」における飛行というところがしばしば最近引用されて、視界良好な気象状態では計器飛行をすべきではない、したがって、あの場合全日空機が計器飛行をしていたということで責任は解除されない、こういうことを言われる方があります。刊行物にそのような所論を発表されたり、あるいは半公式の席でこうしたことを提言される政治家もおられる。一定のキャンペーンが行なわれているのではないかということをこの前指摘をしたところが、防衛庁長官はそのようなことはないということでありましたので、私はそのようには信じたくありませんけれども、この問題は、全日空機事故の場合にどういう責任があったかということではなくて、九十四条の解釈というものはきわめて客観的な純粋な法解釈の問題として存在をいたします。少なくともこの九十四条の、はなはだ定義があいまいな表現というものが悪用せられることは私は好ましくないと考えております。少なくとも計器飛行計器飛行方式というものは違うのでありまして、計器飛行計器飛行方式の区別を区分しないような俗論が、この問題の責任を右にやったり、左へやったりするように政治的に使われることは、私は非常に好ましくないと思います。かなり正確な方向が示されているデータの分析にもかかわらず、非常に慎重な御発言でありますので、この際ひとつ運輸省側からですね、この九十四条の解釈について有権的な御説明をいただきたいと思います。
  38. 内村信行

    説明員(内村信行君) 航空法第九十四条でございますが、これには「航空機は、有視界気象状態においては、計器飛行を行ってはならない。」というふうに書いてございます。この意味は、先生おっしゃいましたように、計器飛行というものと計器飛行方式は明らかに違うわけでございまして、この意味は有視界気象状態、つまり目で見える気象の状態のときにおいては、もっぱら計器にのみたよって飛行してはならない、こういう意味でございます。
  39. 上田哲

    上田哲君 私は調べて、たいへん複雑なコンメンタールを持っているわけですけれども、もう一ぺん確認をしておきますが、この際全日空機計器飛行方式で飛んでいたということについて、この事故に対して生ずべき責任はあり得ませんね。
  40. 内村信行

    説明員(内村信行君) 全日空機計器飛行方式により適正に飛んでおったものでございます。この場合に有視界気象状態であったからといって、計器飛行方式で飛んでおって悪いということは毛頭ございません。
  41. 上田哲

    上田哲君 わかりました。それでたいへんけっこうであります。その辺が非常につまらぬ解釈が乱れ飛んでおりますから、この際九十四条に関連して、全日空機側に責任はないということは、これはもうこの事故の問題ではなくて、きわめて客観的、一般的な法解釈として確定をしておかなければならないと思います。  まあ、たとえば、そのほかたまたまティータイムであったからとか、いま山県委員長が御指摘になりましたように、十四秒においての例をあげてのお話がありましたが、視認できるかどうかという問題、これはなお議論をすべきだと思います。しかし、専門家が専門的な状況を踏まえて行なう視認の判断ということより前に、私どもはきわめて常識的に、それは学問的に実証的に裏づけられるコースがこれから残っているのであって、きわめて常識的に言って、この場合視認できなかったであろうということは理解ができる状況だと判断をいたしております。愚昧なことには、これを追突事故であるというようなことばを、タクシーとトラックの地上の衝突と同じような用語を用いて、スピードの早さ、おそさなどを議論する人もおりますけれども、これはおそらく問題とする議論でもありますまい。そういうことを考えてまいりますと、意図的に、あるいは一種の悪意で全日空機側に責任を負わせようというところがあるのはもうほとんど問題にならない理由にしか成り立っていないと思うのでありまして、この段階防衛庁長官、いまの具体的な実情をお聞き取りいただいた後、これは全日空機側に事故を引き起こした責任があると考えられないと思うのであります。なかんずく防衛庁側の、これは無理からぬことだと思いますが、事件発生直後にあたかも事故機の市川機が全日空機の左側ではなくて右前にいた——これは進路権の問題でありましょうが——したがって左後方の全日空機側が市川機を避けなければならない法的理由があるのだというようなことをにおわせた航跡図ども報告をされたように聞いております。悪意だったとは私はこの際申し上げたくはありませんが、今日左側、右側、衝突部位の問題が明らかになった以上、この問題を単に調査委員会調査の結果にゆだねるというような通り一ぺんの言い方ではなくて、きわめて具体的に、これはもう常人の判断であれば——学問的にはまだ論証すべきところが多々ありますが、われわれの判断としては、もうこの事故の当事者である政治家としての防衛庁長官がこの問題について、全日空機側の責任ありかなしかという点について十分言明をなさる時期であろうかと思います。御見解を承りたい。
  42. 西村直己

    国務大臣西村直己君) その点は、ただいままだ最終結論というものは参考人山県先生からもまだこれからの問題であるというおことばがあり、また運輸大臣からもまだこの結論を云々、責任を云々すべき段階ではない、私も同じような考え方でございます。
  43. 上田哲

    上田哲君 自衛隊側に一〇〇%の責任ありという表現を注意深く私はいま使っておらぬのでありますけれども、私は両大臣がそこにすわっておられて、山県委員長が誠実に調査をされておる学問的なリサーチの部分がなお残っていることを奇貨として、まだわかっておらぬからそのことは言えないというようなことをおっしゃることは、はなはだしくこれは国民世論なり百六十二人の犠牲者に対して不見識であると私は思います。もう少しく、事件直後の状態とは違って、これだけのデータがはっきり出ております。これははっきり出ております。秒が一秒向こうへ行ったかこっちへ行ったかという話は、学問上のデータとしては重大でありますけれども衝突の部位、切れ口その他すでに明らかになっている。先走ってものを言われることは好ましくないでありましょうが、もはや責任のある言い方はできる。そうでなくてもニアミスの問題が所々方々で起こっている。私どもは先ほど委員長報告にもありましたように、某基地に行きましたときに、NOTAMを乗りこえてしかもそれを訓練するのが当然であるということを、われわれの前で録音機をかけて揚言をする司令もおった。そういうことをことあげすることは正しくないので、ことさらにシビリアンである皆さん方がその上に立って良識を示されるべきが自衛隊のためでもあろうと私どもは考えて、この場の議論にはしておりませんけれども、にもかかわらず、ただいまの防衛庁長官のそうした発言というものは、失礼ながら私には虫を起こさせる。そうした問題についてもう一ぺん追及をすることが正しいのではないか。各基地の司令を呼んででもここでお話をしなければ、あなたは国民がこれほど心配をしている問題についても発言をなさらぬのかというような気持ちを起こさせます。失礼ながらそういうことが、防衛庁なり運輸省なり政府なりというものが国民に信を拡大する道であるのでありましょうか。私は先走った言い方で結論を出していただきたいと申し上げるのではないけれども、いまそれだけのデータが出ていて、学者が言われる言い方と政治家が言う言い方と同じであってよいでありましょうか。政治家はやはりその問題に対してはっきりした政治的な見識を持って、一歩、半歩先を歩まれて指針を示されるべきであると私は考える。これだけのデータが出ているのでありますから、ひとつもう少しく突っ込んだ御見解を承れませんか。
  44. 西村直己

    国務大臣西村直己君) 山県先生非常に委員長として苦心をきれておる、そしてその間におきましても、先ほど重ねて御発言がありまして、事故原因についてはさらに調査をすべき点がある、単に学術的ではないと私はこれを受け取っております。事故調査委員会という権威のある委員会の判定を待って、私どもはその責任のありかをはっきりさせたいと思います。
  45. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) この問題につきましては、私は事故が起こりました翌日、岩手県庁におきまして、山県委員長以下、事故調査委員の皆さま方が現場にお見えになりまして、その際におきまして、新聞記者の立ち会いのもとで、今回の事故は非常に重大なる事故であるから、早急にひとつ御足労であるけれども、ひとつ公平に、政府のほうにおきましていかなる過失がある、いかなる痛い点があっても差しつかえないから、ひとつ公平に、早急に結論を出していただきたいということをお願いをいたした次第でございます。その後またいろいろの諸説ございましても、そういった説につきましては私ども毛頭耳を傾けている次第ではございません。ただ、いまお話がございましたが、権威ある事故調査委員会にお願いをしているところでございます。責任ある者といたしまして、結論なり予想なりを申し上げるわけには残念ながら参らぬ、こういうことであります。
  46. 上田哲

    上田哲君 両大臣にお尋ねをしますが、山県委員長の示されたデータを聴取されて、この間、事故原因究明については数歩、かなりな前進があったというふうにお考えになりますね。
  47. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) 委員長以下の御足労によりまして、漸次原因究明に向かっていると申し上げられると思います。
  48. 西村直己

    国務大臣西村直己君) 事実の解明につきましては非常に御苦心をいただいて、漸次原因究明に近づきつつあると考えておりますが、まだこれから私どもは十分御調査を願っていきたいと思います。
  49. 上田哲

    上田哲君 再度、山県委員長にお尋ねをいたしますが、いろいろなデータが大まかにはほぼ出そろっていると思います。残されたところをきわめて大まかに言えば、風向風速というようなこと、あるいは航跡写真判定など、そういうところになろうかと思います。言ってみれば、大筋をこれから裏づけていく、あるいは正しい方向に向けて微差を修正していくということであろうと私は考えております。そういうような学問的な追求を今後補充していくことによって、この因果関係といいましょうか、事故発生原因については明白にすることができるだろうというふうに理解してよろしゅうございますか。
  50. 山県昌夫

    参考人山県昌夫君) 先ほど申し上げましたとおりでございまして、いまの御質問でございますが、私どもわりあいに早い時期に結論が出るつもりでおります。まあ風向風速のことをたびたび申し上げましたが、それと同時にやはり視認の問題が残っておると思います。と申しますのは、計器飛行と申しますか、何と申しますか、そういうことをやりましても、やはり見張りの義務がございますので、その見張りの義務が行なわれていたかどうかということは、やはりこれは今後の問題でございまして、まだ私どもにはここで何とも申し上げられないわけでございますが、そういう点がもう一つ残っておるということをお含みおき願いたいと思います。
  51. 上田哲

    上田哲君 この調査の結果はいつごろまとまると考えられますか。
  52. 山県昌夫

    参考人山県昌夫君) いつごろとはっきりした日時を申し上げられませんが、少なくとも年末までには、報告書までいくかどうかはわかりませんが、原因が固まるだろうと私どもは思っております。また、そのように最初から努力をいたしております。
  53. 上田哲

    上田哲君 少しくどいようでありますけれども、もう一点だけお伺いをいたしますが、原因を明らかにすることができないような大きな阻害要素があるとお考えになりますか。
  54. 山県昌夫

    参考人山県昌夫君) ただいままでのところ、先ほどお話を申し上げましたように、各方面からいろいろな資料を全部快くお出しくださいましたので、資料としては十分整っていると思います。したがいまして、これからは私どもの判断——委員会としての判断でございますが、現在におきましては、何と申しますか、原因不明というようなことにはならないと私は思っております。ほかの委員の方々と相談したわけではございませんけれども、私個人としてはそういうふうな感じを持っております。
  55. 上田哲

    上田哲君 たいへんけっこうであります。ひとつ御苦労さまですが、御努力をいただきたいと思います。  そこで、この調査が終わりました場合に、運輸大臣、防衛庁長官に、当然存在するならば勧告することになろうかと思います。そういうことになるでありましょうか。
  56. 山県昌夫

    参考人山県昌夫君) これは先ほど申し上げましたように、今度の事故原因を探究いたしまして、その事故に直結するようなことで勧告すべきことがございますれば、当然御勧告申し上げたいと言いますか、勧告するつもりでおります。ただいまのところ、勧告の件につきましては委員会としてはまだ議論をしておりませんが、これもまた私の個人の見解でございますが、ありとすれば勧告いたしたいと思います。もっとも、この調査委員会の任務といたしましては、原因調査しろということでございますが、ただいま申し上げましたような情事が起こりますれば、勧告いたしたい、こう思います。
  57. 上田哲

    上田哲君 両大臣にお尋ねいたしますが、調査の結果がまとまると、そうして私は、このような事故が引き起こされたのでありますから、今後こうした事故がないことへの勧告というのは当然事故調査委員会にゆだねられている事項だと思っておりますが、その勧告を十分に尊重するという御決意がありますか。
  58. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) ただいまの御指摘のとおりでございまして、十分これを尊重いたしまして実行に移すつもりでございます。
  59. 西村直己

    国務大臣西村直己君) 勧告は私どもも尊重してまいりたいと思います。
  60. 上田哲

    上田哲君 ただいままで承った限りでは、このほかまだ巡航高度あるいは施行規則百八十一条の一点への接近の問題、百八十二条の対向接近の問題、追い越し接近、間隔の維持等々、いろいろお尋ねをしたいことはございます。しかし、山県委員長が御指摘をなさった今後の調査項目を含みましても、今日まで明らかになってきた具体的なファクトあるいはデータということからすれば、私ども全日空機側に責任があったというようなことを導き出すことはきわめて困難だということが明らかになったと思っております。ひとつその結論がもう少しく徹底的な形で出なけばれならぬということでありますから、あえて私ども、並行しながらこの問題を追いかけていきたいと思いますし、調査委員会におかれては本日たいへん御足労をおかけいたしましたけれども、どうか客観的に、科学的に、二度とこうした事故が起こることがないように、原因究明に関してはいやしくも政治的な判断などがどこからかまぎれ込んでくることのないように、十分にひとつ明るい明快な御判断をお示しをいただきたいと思います。山県委員長にお礼を申し上げるとともに、両大臣のひとつ、そうした方向について虚心たんかいに見解を表明されるように、今後も準備をされるように強く申し入れて、私の質問を終わります。  山県さんありがとうございました。
  61. 岩間正男

    ○岩間正男君 最初に、すでにもう山県委員長には質問が詳しくございましたから、私は繰り返そうとは思いません。ただ、一言だけ特にお伺いしたいんでありますが、この前の四十一年の事故ですね、それが本年になりまして、原因不明ということで、これは調査が打ち切られたわけであります。そうすると、あの問題に私たちも運輸委員会におりまして関係したのでありますが、結局まあ前後六年近くの時間を費やしたんですね。結局まあ原因不明ということになってしまったんであります。今度の問題は、非常に問題は明らかだし、すでに原因結果については、それを前提として当委員会でもこの問題が追及されたわけであります。そういうことでございますけれども、まあ結論は、原因結論は、先ほどお聞きしますというと、いまだに出ていない。技術的な問題につきまして、これはあくまで厳密を要するという面があるとは思うのでありますが、この結論が、大体いまのところ推定されるところではどれぐらいの時日のあとにできるのか、これからどれぐらいかかるのか。あまり長引くことで問題が非常に不明になり、あいまいになるというようなことでは、やはり調査委員会が設けられた意味から考えまして、かえってこれは効果的でないというふうに考えられるわけであります。したがいまして、大筋はこれを明らかにすることができるんじゃないか、あとはまあ部分的ないろいろな問題を追求すれば限りはないことでありますけれども、その点についての科学的な断定が下る可能性は十分にあるんじゃないかと考えられるのでありますが、そういう点を総合して、これを一つ、一問だけお聞きをしておきたいと思います。
  62. 山県昌夫

    参考人山県昌夫君) 先ほど上田先生の御質問にお答え申し上げたとおりでございまして、ただいま岩間先生からのお話、この原因の探求が非常におくれるということは、これは航空機の安全確保という面からも避けなきゃならぬ、こういう観点、それから今度の場合は、一方、全日空機フライトレコーダーを持っておりますし、また市川機、隈機、ですから隈さん、市川さんは現在おられるわけでございます。そういったことから、私どもはわりあいに早い時期に原因がつかめると、こう思っております。その時期がいつかという先ほどの上田先生からのお話がございましたが、これも私、まあ個人の見通しということで御返事いたしましたが、年内にはぜひ結論を出したいと、こういう心組みでおります。実は資料がこんなにもうすでに集まっておるわけで、その資料の整理その他でもってやはり時間がかかりますので、あるいは報告書そのものはもう少しおくれるかとも思いますけれども委員会内部におきましては、年内には結論を出したいと、こう思っておりますので、そういうことで御了承願いたいと思います。
  63. 柳田桃太郎

    委員長柳田桃太郎君) 山県参考人には長時間にわたりありがとうございました。
  64. 岩間正男

    ○岩間正男君 次に、この前の事故とも関連するのでありますが、この前八月の十一日にきめました空域の問題に関連してお聞きをしたいと思います。  最初に、原子力局長お見えになっておりますか。時間急いでおるようですから、それじゃお聞きしますが、政府の発表した新全国総合開発計画によりますと、若狭湾周辺及び能登半島に原子力発電基地の建設を進める、こういうふうになっておるわけですね。一大原子力コンビナートをつくる計画がなされておると思うんですが、現在これはどのように進行しておるんですか。
  65. 大坂保男

    説明員(大坂保男君) お答え申し上げます。  若狭湾地区におきましては、現在すでに運転を行なっておりますものは関西電力の美浜一号と、日本原子力発電の敦賀発電所と二つでございますが、そのほかに現在すでに原子炉の設置の許可を受けまして建設中のものは、関西電力の美浜二号、高浜一号及び二号、それから動燃事業団の新型転換炉と四つの原子炉が建設中でございます。さらに現在原子炉の設置許可申請が出ておりまして、その安全性につきまして、審査中のものといたしましては、関西電力の美浜三号、大飯の一号、二号とございますので、ただいま申し上げました現在運転中、建設中、及び安全審査中というものを含みまして九基、約六百万キロワットのものがただいま申し上げましたようなものでございます。
  66. 岩間正男

    ○岩間正男君 そうすると、ここはまあ計画のとおり一大コンビナートになるわけですね。そうすると、安全度というのは非常に重大な問題を持っていると思うんですが、いかがですか。
  67. 大坂保男

    説明員(大坂保男君) 先生の御指摘のとおり、原子力発電の安全性につきましては、私どももかねがね最も関心を持っている点でございますけれども、原子炉の安全性を考えますときにいつも指摘されますのは、これだけ、現在すでに稼動中、建設中あるいは審査中のものが九基と、さらに将来追加されることもあるかもしれませんので、そういうことになりますと、私どもとしましては、この放射線その他いろいろの面での安全につきましては、最大の関心を払って確保してまいりたいというふうに考えております。
  68. 柳田桃太郎

    委員長柳田桃太郎君) ちょっと岩間君に注意をいたしますが、きょうは運輸大臣、防衛庁長官並びに両大臣の時間の都合がございますので、先にできるだけ大臣の質問をしていただきたいと思います。
  69. 岩間正男

    ○岩間正男君 そうしますと、安全確保の問題では、それは排水の問題とか、放射能の問題とか、これはありますが、同時に空中からの問題も非常にこれは重大な問題だと思うわけですね。運輸大臣にお聞きしますが、運輸省は八月十一日に防衛庁と十日で合意した陸海自衛隊のプロペラ機とヘリコプターによる低高度訓練空域八カ所を、全国の空港事務所、各航空会社などに公示したそうですが、その中には当然これは若狭湾上空も入っていると思いますが、いかがでしょう。
  70. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) 入っております。
  71. 岩間正男

    ○岩間正男君 これが現地で非常に不安を巻き起こしておること、御存じですか。
  72. 内村信行

    説明員(内村信行君) 若狭湾の訓練空域の下の問題でございますけれども、これにつきましては、先般福井県のほうから敦賀市長あるいは美浜町長さんがおいでになりまして、こういうふうな原子力施設があるので、その辺についての危険性はないものであるかどうかというふうなことでお尋ねがございました。
  73. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは単にお尋ねなんというものじゃないんじゃないですか。九日に、副知事やそれから関西電力の原子力発電所のある美浜町の町長などがこれは上京しておるんですね。そして自衛隊機訓練空域より敦賀半島を除外してほしい、こういう強い要望が運輸省防衛庁陳情されたと思うのです。大臣はこの事実を御存じですか。大臣にお聞きします。
  74. 柳田桃太郎

    委員長柳田桃太郎君) 先に航空局長答えてください。
  75. 内村信行

    説明員(内村信行君) それでは、先に私がお答え申し上げます。  私のところにお見えになりまして、確かに先生のおっしゃいましたように、非常に不安なので除いてほしいという御要望がございました。
  76. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) その旨承った次第でございますが、十分検討いたしましたところ、原子力の施設の上空の飛行につきましては、昭和四十四年の七月の五日付で、航空機の使用者に対しまして最低安全高度以下の飛行を禁止するとともに、最低安全高度以上の飛行につきましても、できる限り施設上空の飛行は避けるように通達をしております。その旨は航空路誌にも記載して、周知徹底をはかっておる次第でございます。今回、防衛庁低高度訓練空域の設定に関しましても、前述の通達の趣旨を変更するものではいささかもございません。原子力施設上空の飛行は避けまして訓練を行なうこととなっておりますので、安全上は差しつかえないと、こういうふうに認めておる次第でございます。
  77. 岩間正男

    ○岩間正男君 そういうことを言っておられますが、これはあなたたちの答弁はそうじやなかったんじゃないですか。できるだけなどということじゃなかったんじゃないですか。これはもうだいじょうぶだ。これはやらないようにというようなそういう通知を出しているんだから心配はないのだ。こういうふうにあなたたちは答えられて、そういうことをわれわれは確認している。で、この問題、非常にやはり大きな問題になっておるんです、現地では。  それからこの問題については、先日の本院の科学技術特別委員会のメンバーの方々が原子力発電所視察団として現地をおとずれた際に、美浜町議会の原子力特別委員会が文書で、また敦賀市は口答で、それぞれこれはぜひやめてもらいたいという陳情を行なっているはずです。  さらにまたきのうのことですが、これは美浜町議会では、すべての航空機訓練はもちろん飛行はぜひ除外をいたしたく強く要望するという、こういう内容を持った原子力発電所上空の訓練飛行制限に関する意見書を全会一致でこれは可決しているわけです。  こういうことを考えますと、これに対して十分にこれを検討する、そしてこれに対してこの要望を果たすように努力するというのが私は当然だと思うのでありますけれども、いま言ったように、通達を出しておるからだいじょうぶだなどというようなことでありますけれども、それでいんでしょうか、どうでしょうか。大臣にお聞きします。
  78. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) いま、岩間委員の御質問でございますが、自衛隊の低空の訓練空域の設定につきまして、そしてまたその訓練飛行につきましては、先ほど私が申しました七月五日付の通達で航空機の使用者に対しまして安全運航をはかるように周知徹底をきしておりまして、再三協議をしておりますので、その点は心配はないと思っておる次第でございますが、なお将来とも十分に気をつけてやらせるつもりでございますので、御了解をいただきたいと思います。
  79. 岩間正男

    ○岩間正男君 そういうことでこれは安心ならないじゃないですか。運輸省のそのときの答弁は、これは航空局長が言ったのですか。先年出した、四十四年七月五日ですかに原電上空の飛行機の航空を禁止する通達が出ているので、これが生きている限り上空を飛ぶことはないと解釈しているから空域設定路線を引き直す必要はなかろう、こう答えたといわれております。これは事実ですか。
  80. 内村信行

    説明員(内村信行君) 先生おっしゃいましたように、当時、だいぶ前でございますけれども、市長さんがお見えになりまして、その際に、今度訓練空域ができたので、いままでは禁止してあったかもしれないけれども、新たにここは飛ぶようになるじゃないのかということが非常に御不安の原因のようにお見受けしたわけでございます。したがいまして、いま先生御指摘になりましたように、四十四年七月五日の通達というものは無効になったのじゃないですと、それはそのまま生きておるので、今度訓練空域が設定されましても、当然その原子力施設の上空というものは飛行機は飛ばないのですと、こういう意味のことを申し上げました。その飛ばないのですという意味というのは、誤解を避けますためにもつと正確に申し上げますと、いわゆる三百メートル以下のところについては絶対禁止、それからそれ以上のところにつきましては極力これを避けると、やむを得ない場合のほかは極力これを避けるというふうなことが通牒の内容になっております。
  81. 岩間正男

    ○岩間正男君 禁止する通達ですか、あなたの出したのは。事態を明確にしなければなりません。あなたは禁止するからと言って、そう答えている。ところが、この通達を私たちもらって読んでみると、これは違うのですよ。これが生きてたってはたしてこれがいざというときに守れるか。これだけじゃ全然飛ばないという保証はないでしょう。どういうふうになっているのですか、これは。飛行はできる限り避けるようです。できる限り避けるようということは禁止ということですか。どうなんですか。事態は違うでしょう。あなたたちの出しておる通達じゃできる限り——必要があれば飛んでもしかたがないのか。
  82. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) ただいま局長も申し上げましたように、三百メートル以下は絶対飛ばさぬ。これは禁止でございます。それ以上の高度につきましても、できるだけこれを避けると、こういう趣旨と承知しております。
  83. 岩間正男

    ○岩間正男君 三百以上だって、そこ以下のところは絶対かりに禁止としましても、事故はその上空で起こらないという保証はないでしょう。そうして、それが原子力発電所に衝突しないという保証はないでしょう。だから絶対安全ということから考えるならば、できるだけ避けるようなどという、こういうあいまいな通達をたてにして地元民の不安というものを解消することはできない。また、最近大きな問題になっております飛行機事故、これがもし原子力発電所に衝突をするという事態が起これば、この損害というものは、被害というものははかり知ることができないのです。なぜこんな危険なところを、ここを空域に設定しなければならないのか。これは非常に重大な問題を含んでいるからお聞きしているわけです。だから、事態をごまかすように、こういう通達ができておるからだいじょうぶだ。三百メートルまではだいじょうぶだ。直接ぶつかるということだけじゃないでしょう、空の危険というものは。すでに今度の岩手の事故でこれははっきりしているでしょう。それが落ちてきて、ほんとうにこの原子力発電所に対して衝突したという事態をわれわれが想定したときにどうなるか。また、そういうことまではっきり考えなければ安全の確保ということはできないのです。地元民のこれに対する不安というものが非常に起こってくるのは当然だと思うのでありますが、これはそういう観点から、運輸大臣はどうお考えになりますか。運輸大臣にお聞きしたいのであります。
  84. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) 現在の時点におきましては、プロペラ機におきましては、三百メートル以上の高度の点につきましては大体に安全という認定でもっていま規制をしておる次第でございます。したがいまして、ただし、それにもさらに安全度をつけるために、できる限りその施設の上のほうは飛ばせないように、こういうことで十分安全度ははかれる、こういう認識でございます。
  85. 岩間正男

    ○岩間正男君 いまの答弁で、できる限りなどということではこの保証はないわけですわ。非常に重大な、空域に設定されておること自身が問題なんです。これは空域からはずすという、そういうはっきりした措置をとらなければ、これは問題に、ならないと思う。地元の人たちは必配しておりますよ。そもそも通達を出したその原因はどうだったか。そのときの経過というものについて簡単に述べてもらいたい。四十四年七月五日ですか、これを出した。そのとき何か事故が発生したからこういうことが出されたはずです。これはどうですか。
  86. 内村信行

    説明員(内村信行君) 四十四年に通達を出しましたのは、このときに原子力発電所ができましたので、その際に、当時すでに防衛庁は実際上その辺で訓練を行なっておりましたので、特に原子力発電所の安全を考えてこういう通達を出しました。さらに、防衛庁のほうにも特にお話をしまして、防衛庁におきましてもさらにもつと具体的な安全措置というものを現地のほうに指令を出しているというふうに伺っております。
  87. 岩間正男

    ○岩間正男君 あなたもう少し勉強しなければだめですよ。そういうものが出ているのはそんなときじゃないですよ。もっと早い。これは四十四年の二月八日に、金沢市内に自衛隊機のF104Jが墜落した。そして死者を四人出した。重軽傷者を多数出した。これは国会が開会中で、国会でも予算委員会が開会中で、たいへんこの問題は大きな問題になりました。そして民家が数百戸被害を受けて、地元住民をふるえあがらせたのだ。この事故がきっかけになりまして、原子力発電所を持つ地元の住民が危険を感じ、そして運輸省に原電の上空は飛行機を通さないでくれという陳情をしたために、このような通達を出したのが経過の事実じゃないですか。しかも、その当時は、できるだけ飛ばないようになどということでこれはまぎらしておったわけです。しかし、最近の事故全日空機のこのたびの事故というものの教訓というものは、できるだけ飛ばさないようになどというこんなあいまいなもので一体ほんとうに国民の命を守れますか。不安を解消することができますか。これはできない。すでにもうあれから二カ月以上過ぎている。そうしてのど元過ぎれば熱きを忘れるかもしらぬ。そしてあのときの中で論議したらばこれは重大な問題なんですよ。あれから時間をおいて冷却されておる、そういうことでこの問題に対処していくというようなことでは話にならぬと思うわけです。あの教訓から何も学んでいないということだ。私はこういうふうに考えますけれども、当然これは地元からは、飛行機は飛ばさないでほしいという、こういう要請、こういうものを率直に受けて、運輸省としては、原電上空を飛行機が飛ぶのは非常に危険だ。だから、どうしてもこれについて、今度の空域の設定について、十分にこのことを考慮に入れなければならなかったと思うのです。ところが、こういうことが全くなおざりにされて、そしてこの若狭湾の空域にこれが入っている。一部まあ修正されました。この前これは上田委員なんかの発言があって、あのあとで一部の三角形の頂点のところですね、ちょっとこれは削られたはずです。しかし、たいへんなこのコンビナート、原発のコンビナートそのものを、将来膨大なものを包含する、そうして現に二基はもう現在フルに運転をしておる、そうして計画中であり建設中である、そういう地帯に対して、こういうような空域をそのまま見のがすということは私は非常に大きなミスだと思う。当然これは空域からここをはずすべきだ。当然このことを地元民も要求しているし、この前の教訓からいってもそうだし、また当然航空行政の立場から、ほんとうに国民の安全というものを第一に考えるならば、当然私はこの要望に従うべきだと思う。美浜町の町議会では、昨日新たに決議までしておる。そうしてこれは知事も副知事も上京しておる。それからまた、地元では大きな運動が起こっているのです。こういう問題についてはっきり答えるのは当然だと思うのでありますが、これはいかがですか。これは防衛庁長官にもお答えを願いたい。運輸大臣、それから防衛庁長官のこれに対する決意をお聞きしておきたいと思う。
  88. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) 重ねての御指摘でございますが、ただいまそういったような施設につきましては、三百メートル以下は禁止をしているというのが諸外国の一様の例でございます。イギリスにおきましても、一定高度は禁止している。その例にこちらもならっている次第でございますが、施設の上を飛ぶということは確かに好ましくございません。できるだけその点を飛ばさないように十分な注意をしておるつもりでございます。
  89. 西村直己

    国務大臣西村直己君) 従来まあ御存じのとおり、空域分離ができなかったけれども、今回空域を明示したわけです。しかしわれわれとしてはそれ以前から、ただいま運輸省からも概略お話がございましたように、さらにそれを受けまして、次官通達等をもちまして、詳細に制限をし、あるいは禁止すべきものは禁止するという措置をとっておりますから、事実上訓練等は禁止区域においては行なわれていない。なおそれ以上に大事なことは、パイロットがやはりその認識を持たなきゃいかぬ。そこで航空路の図示というきわめて詳細な、パイロットの持つものがございます。それにも十分詳細に明示をし、それから同時に空中写真等で地形あるいはそういったもののあり方、こういうものもふだんに配付をいたしまして、注意をし、そして安全性を期しておる、こういうふうに御説明申し上げておきます。
  90. 岩間正男

    ○岩間正男君 運輸大臣にお聞きしますけれども、このイギリスのほうは原発の上を飛んでおりますか。いま一般論をここに持ってきてそれをここに適用するのですか。そういうことではこれは答弁になりません。そしてしかも、ここのところはコンビナートになっておる。これは私たちも何回か見ておりますけれども、たいへんです。もしも起こったらどうなんです。そのもしもが現実に起こっているのじゃないですか。そうじゃないのですか。この前の全日空事故は、もしもと思っておることが起こったのじゃないですか。もしもが起こってから全部責任が負えますか。防衛庁長官にお聞きしますけれども防衛庁はそのときそういう陳情を受けながらいまだに返事をしてなかった。事実そうでしょう。これは当然防衛庁は率先してこれを空域からはずす、このことなしには真の安全は全く確保することはできないでしょう。これは明確な事実だ。もしもが起こってから——いつももしもでしょう、だれも最初から起こるということは言ってない。国会答弁だってそうです。そういうことを何回か繰り返してきた。もしもが起こった。それが現実になったのです。だからあれだけの騒ぎを起こしたのです。しかしあれから二カ月過ぎて冷却すると、そういう答弁がこの委員会でまかり通るということならば話になりません。私は当然この訓練空域からこれをはずす、そういうことなしには絶対に安全の確保はあり得ない、こう思うのですが、そのときの責任を負えますか。この責任を負うなら、あるいは負っても話にならないと思いますけれども、これは絶対に私は要求したいと思いますが、重ねて答弁をしてほしいのであります。
  91. 内村信行

    説明員(内村信行君) 私どもといたしましては、先ほど申し上げましたように、一応その三百メートルという高度以下は絶対禁止と、そうすれば一応安全は保てるというふうに考えておったわけでございますが、先生からいろいろお話を承りましたし、現地のことも伺いますと、現地の方々が不安に思われるという気持ちは私どもも尊重しなければいかぬと思います。したがいまして、たとえば英国の例を申し上げますと、原子力施設の上六百メートル以下を禁止しております。その上は許しておりますが、そのような例もございますので、その辺の例も参考にして、さらに安全サイドに立ってもう少し検討して安全度を強めたいというふうに考えております。
  92. 岩間正男

    ○岩間正男君 私たちは、この問題はあくまで何回も、今後見守っていき、当委員会で問題にしていきたいと思います。あなたたちの暫定案として六百に高度を上げるというふうなことでありますけれども、これはやはりイギリスの訓練度と日本の空というものは同時に論ずることはできないのですよ、最近、私たちもイギリスを見てまいりましたけれども。だからイギリスでこれは実際やっておるからだいじょうぶだというのとずいぶん次元が違うのです。そういうことを考えれば、あくまでこれは空域の中からはずすということは当然だ。これを国民はほんとうに要求しているのですよ。だからこの問題をひとつ、具体的な例でありますけれども、こういうものの対処のしかた、この一つの例が同時に、今度の全日空機事故に対する政府の姿勢は一体どうであるか、運輸省姿勢はどうなのか、そして防衛庁姿勢はどうなのかということを判断する何よりもバロメーターとして重大な問題なんです。どうなんですか。この点について、六百メートルなどということでは話にならぬと思いますから、これはこの次に、間もなく国会も開かれますが、この次の委員会までにこれについての検討の結果をはっきり出してほしいと思いますが、これは委員長に要求していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。いかがですか、これは御答弁願います。運輸大臣と防衛庁長官
  93. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) 空域の具体的な問題につきましては、その地元の管制官また自衛隊専門家同士で十分検討させますが、その根本といたしましては、国民の安全を守ることが第一でございます。航空の安全を守り国民に被害を与えないことが第一でございまして、その基礎に立ちまして十分検討してまいりたい、こう思います。
  94. 岩間正男

    ○岩間正男君 この次の委員会に大体返答をいただけますか。これについて防衛庁長官
  95. 西村直己

    国務大臣西村直己君) 私どもももちろん国民の生活の安全、これが第一であります。ただ、それなるがゆえに、訓練空域が分離されましても、そこの飛行禁止制限であるとか、細部にわたってのこまかな、たとえばこういうような航空路誌にもその地点をはっきり明示して、そこは避けるようにパイロットにも一人一人に与えております。そういう中で安全性は保てると思いますが、今日地元にそういうような心配があれば、検討はいたします。ただ、検討はいつまでということについて、こういう問題については関係がありますから、私ども十分運輸省とは慎重に協議してまいりたい、こういうふうに考えております。
  96. 岩間正男

    ○岩間正男君 最後に、この問題はうやむやにされては困りますから、国会の開会まであと十日近くあるわけですけれども、これについて一応、中間報告でもいいから報告を次の委員会までもらうように、委員長、これは同僚の皆さんの御了解を得て要求しておいていただきたいと思います。やはりこれはそれだけの性格を持った問題だと思いますから、よろしくお願いいたします。
  97. 柳田桃太郎

    委員長柳田桃太郎君) いまの問題は、やはり世界的な例もございますし、また日本の特殊な航空気象あるいは航空技術の問題もありますから、技術的に研究なさって、もよりの委員会の場合に、政府がどういうように措置するようになったというその具体的な結論を御報告願いたいと思います。  岩間君の質問はこれで終わります。
  98. 足鹿覺

    足鹿覺君 すわったままで失礼いたしますが、どうぞ大臣もすわったままでお願いいたします。  航空行政について伺いたいと思いますが、政府は第二次空港整備五カ年計画を四十六年二月五日の閣議了解で取りつけられ、さらに八月三十一日には来年度概算要求を作成され、約三百億を要求しておられるわけであります。これを拝見いたしますと、その裏づけとなるべき空港整備特別会計の具体的なものを空港別に一応きちんと立案なさっておるわけです。運輸大臣の諮問に応じて航空に関する重要事項を調査審議するために、二十七年法二百三十一号に追加されて航空審議会が設置され、なお先般当委員会で審議をし成立を見ました運輸政策審議会、運輸技術審議会という新しい運輸省設置法の改正によって審議会が誕生いたしました。これはいずれも三つの航空、運輸政策・技術審議会、この三つにまたがる大きな問題だと私は思っておりますが、なかんずく航空審議会にはおはかりになった上でこのようなものを具体的に予算要求までおやりになったわけでありましょうか。その点いかがでありますか。
  99. 内村信行

    説明員(内村信行君) 五カ年計画でございますけれども、これにつきましては、具体的な詳細はまだきまっておりません。したがいまして、これはただいま先生おっしゃいましたように、航空審議会にかけることにいたしております。したがいまして、この十三日に航空審議会を開きまして、そこに諮問をすることにいたしております。
  100. 足鹿覺

    足鹿覺君 それは少し逆ではないかと思うんです。私どもが運輸政策審議会、運輸技術審議会を設置する運輸省設置法の一部改正案を審議した際に、橋本運輸大臣は、運輸省の方針として、また政府の方針としては、一県一空港主義をたてまえとして進めたい、また自衛隊との併用空港についてはこれを分離していく方向で進みたい、この基本方針を示されたことは、当時の長時間にわたる審議の結果、最も重要な航空政策の基調として私どもは銘記しております。運輸大臣はいつ御就任になったか私忘れましたが、御就任のときにこの方針について引き継ぎなりその他をお受けになっておりますか。
  101. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) そのとおり引き継ぎを受けております。   〔委員長退席、理事町村金五君着席〕
  102. 足鹿覺

    足鹿覺君 では、この橋本運輸大臣の一県一空港主義、航空自衛隊との併用はできるだけこれを分離していくということは、丹羽大臣もその方針で進まれる、かように解釈してよろしゅうございますか。
  103. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) よろしゅうございます。
  104. 足鹿覺

    足鹿覺君 よろしいですね。  そこで伺いますが、この昭和四十七年度空港整備特別会計、空港整備事業概算要求、四十六年八月三十一日のこのあなた方の資料によりますと、鳥取県には鳥取空港について五千四百七十四万円、これは滑走路灯等照明施設です。美保空港、これは併用空港で、御承知の自衛隊の航空輸送団の本隊があるところでございます。それが九千八百六十七万一千円で、用地造成、TW新設、AP新設、庁舎、TW灯等照明施設等の新設を四十七年度予算要求に計上しております。美保のほうも誘導路も入っておるようでありますが、これには丹羽大臣、私ども地元の者としましては長い経過があるわけでございます。つまり、現在美保航空自衛隊は千八百の滑走路を持っており、それを方向角度を北に二十六度振る。しかし、滑走路が老朽化しておるので、これを二十センチに厚くする。しかし、滑走路の延長は千五百にとどめる、こういうことでございます。ところが、去る九月の二十七日ですね、鳥取県議会が開催をされまして、開会の前に議事運営委員会が開かれた。知事が美保基地の拡張について本会議終了後直ちに全員協議会を開き、美保基地拡張に関する今後の方針を説明し、了承を賜わりたいと提案をされた。これに対して社会、公明の議員は異議を申し立てた。ところが議長は、議員の発言中にもかかわらず一方的に議長職権をもってこれを決行した。いわゆる基地拡張の知事提案を一方的に強行採決した。そこで社会党並びに公明党議員団は議長に申し入れをして、再考することを要求しておるその途中で、本会議のベルを鳴らした。そうして一方的に、議運にもかけず、何らの了解もなく、議長職権でもって本会議のベルを鳴らした。社会十一、公明二欠席のまま提案説明がなされた。会議終了後も全体協議会が開かれたけれども、社、公は欠席のまま強行された。このような状態を御存じの上で、こういう内容のものを進めようとなさっておるのでありましょうか。知事とはどういうお話し合いを運輸当局としてはなされておりますか。おそらくこのような併用空港における状態は、私は非常に遺憾千万だと思う。しかも、いまも確認いたしましたように、一県一空港主義、併用はなるべくこれを分離するという方針も御確認になったわけですが、   〔理事町村金五君退席、委員長着席〕 狭い、わずか人口六十万に足らない鳥取県に二つの空港をつくって、一方は五百メートルの滑走路を延長する。また、防衛庁も千五百でいいというものを、海に埋め立てをして五百メートルさらに延長をする。つまり民航の727を就航させるがためのようであります。そのためにあなた方は、すでに、口調を合わせたようにこういう要求をなさっておりますが、それはいま御確認になった方針にもとるものだと私は考えざるを得ません。このような紛糾を御承知の上でなさるということは、私は非常に遺憾千万に思いますが、大臣としての御所見をひとつ承っておきたい。
  105. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) ちょっと事務的なことを航空局長から一応説明させます。
  106. 内村信行

    説明員(内村信行君) それでは一応事務的な御説明を、大臣の答弁に先立ってやらしていただきます。  先生御指摘のように、四十七年度予算といたしましては、鳥取空港に五千四百万何がし、それから美保の空港に九千八百万何がしという要求がございます。しかし、これは、いま先生がおっしゃいましたような県のいろいろの問題が出る以前の問題でございまして、これは、美保のほうについては、滑走路延長というものでは全然ないわけでございまして、鳥取の分につきましては、滑走路千五百を延長しようと、こういう予算でございますけれども、美保の分につきましては、私どもの考え方は、これは本来防衛庁飛行場なんであるからして、先生もおっしゃいましたように、鳥取空港があればこれは本来それでいいんでしょうということなんでありますが、ただ、たまたま、防衛庁飛行場といえども飛行場があるのです。それで、そこに相当乗りおりするお客さん方もおいでになるのです。したがいまして、たまたまある防衛庁飛行場を民航にも同時に使わしてもらえるならば、むしろ民航機が乗り入れてくれるならば地元の人はだいべん便利なんですと、こういうふうなお話を承っておるわけでございます。したがいまして、そういうふうな趣旨ならばということで、美保の飛行場について滑走路を延長するというふうな前提ではなく、たまたま防衛庁飛行場があり、そこに民航の飛行機が着くならば、その民航用のエプロンなり何なりはつくってもいいのではないか、こういう趣旨であげたのがこの予算でございます。その後におきまして、新たに、県の御当局のほうから話がございまして、滑走路を民航のために延長してほしいというふうなお話がございましたが、それにつきましてはまだ結論は出していないというのが現状でございます。したがいまして、その後半につきましては、この予算には計上されておりません。これが実情でございます。
  107. 足鹿覺

    足鹿覺君 いまお聞きになったような状態、今後どうなさいますか、丹羽大臣としては。
  108. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) 私はいま言ったような、そういった地元でいろいろの紛争があるとかなんとかというのを全然聞いておりませんし、知事さんからも、たしかそういったような、いま航空局長説明したような程度のことを聞いている次第でございます。
  109. 足鹿覺

    足鹿覺君 とにかくこれは、私は簡略に申し上げましたが、いま読み上げた事実は、地元からの電報連絡によって傍受した情報でありまして、間違いありません。地元の新聞紙等にも大きく報道されております。こういう事態の中で、今後、この第二次空港整備計画を見まするというと、「地方空港の整備」という条項がございまして、それには、「需要に応じて、ジェット機、大型ジェット機を就航きせるための地方空港の整備を図る。」、「航空輸送の安全確保」、「騒音対策の推進」とあげてあります。つまり私どもは、鳥取空港については地元で何ら異存がないようでありますので、あえて異議を差しはきんでおりません。事が、円満に滑走路の延長ができるならば、あえてそれをはばむものでもありません。が、しかし、この問題の美保空港につきましては、今日までの長いいきさつがあるのです。防衛庁の施設参事官がお見えになったようでありますが、県会の情報によりますと、知事と境港市長との問に、あるいは中央との間に、合意に達した五項目というものがありますが、それは騒音対策その他のものでありますから、時間の関係上省略いたしますが、その次に、ただいま、強行採決をされた中に追加をされて、ジェット戦闘基地にはしない——これはあと説明いたしますが、しかし将来そのような状態にきた場合は防衛庁と知事とが協議してきめる、こういうことが議決をされておるのであります。これは、先般、数年前でありますが、板付の爆撃戦闘基地が移転する、その際に、美保がその対象になるということで、地元をあげて反対でありますので、大挙して代表が防衛庁を訪問し、私並びに衆議院の武部代議士、地元の代表五名、当時の事務次官であった小幡さん、当時の施設参事官であった江藤さん並びに関係部課長列席のもとに、ジェット戦闘基地にはしないとかたく約束が取りかわされておるのでございます。したがって、江藤さんもおいでになったようでありますが、このようなことについて、県議会において騒音対策等のほかに新しくこういうものを議決しておるということは、防衛庁と知事との間、あるいは議会議長との間、あるいは境港市長との間に何らかの話し合いがあったと想像せざるを得ませんが、これは、いやしくも、当時の小幡次官と江藤参事官、関係者と、私どもとの間におけるかたい約束であった。これは信義の問題であると思う。何も、覚え書きにしたものでも何でもありません。それが、いまあらためてこのような問題が追加議決をされるということにつきましては、私ども地元の者といたしましても、また、単に地元のみならず全山陰、全中国をあげて、このジェット基地反対については大きな態勢を組んで今日まで戦ってきた経過から踏まえて、よもや、そういう、われわれを欺瞞をされるようなことは私はなかろうと思いますが、当時の江藤参事官もおいでになったわけでありますが、新しい施設参事官との間に、これはどういう引き継ぎがなされ、どういう経過の受けとめ方でおいでになるか、この際承っておきたいと思います。
  110. 江藤淳雄

    説明員(江藤淳雄君) ただいま先生の御指摘のとおりでございまして、先生並びに武部議員も一緒に来られたことを記憶しておりますが、その当時お話ししましたのは、小幡当時の事務次官からお話しになりましたが、もちろん、当時、防衛庁としまして、将来ジェット基地化するような計画は全くない。当時のお話でございますが、ジェット化する計画はない……。
  111. 足鹿覺

    足鹿覺君 ジェット戦闘基地ですよ。ジェット化じゃないですよ。
  112. 江藤淳雄

    説明員(江藤淳雄君) ジェット基地化する計画あるいはジェット機をそこに配備する計画は、当時の時点におきましては全くありませんということをお話ししましたし、また、したがって、特に滑走路も、ジェットが飛べるような距離に延長するというような考え方も、当時全くありませんというふうにお話しいたしたつもりでございます。で、もちろん、現在の鶴崎参事官もその線で計画を進めておるものと思います。
  113. 足鹿覺

    足鹿覺君 いまの施設参事官はどうですか。現施設参事官の御見解を承りたい。
  114. 鶴崎敏

    説明員(鶴崎敏君) ただいま江藤前参事官からお話のあったとおりでございます。当時としましても、美保にジェット戦闘機を配備する計画はないということでございますが、現時点におきましても同様に美保基地にジェット戦闘機を配備する計画はございません。ただ、ここに書かれておりますように、将来においてその必要が生じたときには事前に県知事と協議するということでございますが、これはまあ現在においてはない。しかし未来永劫にわたってしないということまでは、これは防衛庁としては言いかねるのではないか。いまないということはこれははっきりしております。しかし未来永劫ということになりますというと、そこまではちょっと言いかねるということで、しかしながらもしそうなったとしても、そのときには知事さんと協議するということを念のために書いたということでございます。
  115. 足鹿覺

    足鹿覺君 書いた書いたとおっしゃいますが、私は別に書いたものを持っておりませんが、どういうものですか、それは。どういう書面ですか。
  116. 鶴崎敏

    説明員(鶴崎敏君) これはお話し合いをした内容を念のために記録にとってあるということでございます。
  117. 足鹿覺

    足鹿覺君 お読みを願いたい。
  118. 鶴崎敏

    説明員(鶴崎敏君) 「防衛庁は、米子空港にジェット戦闘機を配置しない。将来においてその必要が生じたときは、事前に県知事と協議するものとする。」ということを記録にとどめてあるわけでございます。
  119. 足鹿覺

    足鹿覺君 それはいつ、どこでそういうものが取りかわされましたか。
  120. 鶴崎敏

    説明員(鶴崎敏君) まだこれは取りかわしはしておりません。
  121. 足鹿覺

    足鹿覺君 それでは何ですか。もう少し丁寧に御説明をお願いしたい。
  122. 鶴崎敏

    説明員(鶴崎敏君) 今度の美保基地の滑走路の工事に関連しまして、民間のジェット機を飛ばせるようにしたいというお話が出てきたわけですが、この問題についての県知事とのいろいろの折衝の過程において、やはり地元の工事を認める条件といいますか、その一つに、将来ジェット戦闘基地にしないという話が出てきたわけです。そこで、いま申し上げましたように、われわれとしては現時点においては美保基地にジェット戦闘機は配置する計画はない、しかしながら将来において未来永劫にしないということはこれは防衛庁としては言いかねるということで、いまのように、その必要が生じたときには事前に知事さんとは相談しますというお話をしたわけです。
  123. 足鹿覺

    足鹿覺君 そのお話をなさったのはあなたですか、大臣ですか、次官ですか。相手は知事さんで、いっその話し合いは行なわれましたか。
  124. 鶴崎敏

    説明員(鶴崎敏君) 明確な日にちまではちょっと私記憶しておりませんけれども、先月であったと思います。
  125. 足鹿覺

    足鹿覺君 すると、それはあなたのメモですか。何か知事と両方との合意メモとでもいいますか、話し合いの結果をお互いがメモして覚えとして控えておいたというものですか。どういう性格のものでありますか。
  126. 鶴崎敏

    説明員(鶴崎敏君) 私が念のために記録をしておいたメモでございます。
  127. 足鹿覺

    足鹿覺君 境港市長との間にはそういう話し合いはなさったことはありませんか。
  128. 鶴崎敏

    説明員(鶴崎敏君) 境港市長からも将来ジェット戦闘機の基地にしないようにという要望が出まして、知事さんからも同様の要望が出たということに対して、防衛庁としてはいまのような考え方をお示しをしたということでございます。
  129. 足鹿覺

    足鹿覺君 運輸省の監理部長さんに伺いますが、この強行突破によって、県は、十億円程度だという説もありますし十三億だという説もありますし、単県で埋め立て工事をやるのだそうです、計画は単県事業として。これもあなた方は、この地方空港整備計画の一環として、その対象になさる御所存でございますか。
  130. 庄田正二

    説明員(庄田正二君) 運輸省の方針といたしましては、先ほど大臣からお話がございましたように、軍民分離——軍の飛行場と民間の……。
  131. 足鹿覺

    足鹿覺君 軍というのはないですよ。
  132. 庄田正二

    説明員(庄田正二君) 自衛隊飛行場はできるだけ別に、民間飛行場と自衛隊飛行場は分けるということをたてまえにいたしているわけでございます。ただ、実際問題といたしまして、自衛隊飛行場のうち、まあ六つか七つになりますか、民間航空が利用している空港があるわけでございます。そういう、現在自衛隊飛行場と共用している飛行場をどうするかということは、これから五カ年計画で詰めていかなきゃならない問題だと思いますけれども、実際問題といたしまして、鳥取空港と美保空港というのは、現在民間空港としても使われているわけですが、利用者の数は鳥取空港より米子空港のほうがはるかに多いという現実の姿があるわけでございます。したがって、地元のほうで米子空港を整備したい、これは国の施設ではなくして地元の飛行場として整備していきたいというような希望がある場合には、その飛行場の利用状況を見て、場合によっては民間空港として拡張するということもあり得るわけでございまして、そういう点は今後検討したいと考えているわけです。
  133. 足鹿覺

    足鹿覺君 鳥取はできたばかりで年数がありませんが、米子と境の境界線にあります美保空港は、知事の説明によると、十五万人を突破する、したがって、これは相当大型のものを飛ばす必要がある、こういうお話なんです。しかし、監理部長も御承知のように、米子空港は広島にも出ておる。隠岐にも出ておる。大阪にも出ております。で、現在自衛隊の滑走路補修のために、これらの航空便が全部停止になっておる。聞くところによると、来月一日から全日空機の従来二便制であったものが一便だけ復活する、こういうことで、広島、隠岐、大阪、東京とありまして、東京と美保間にはある程度大型機が就航する可能性はきわめて少ない。十五万人といえども東京と美保関の間はごくわずかな人数であります。したがって、頭数でいわれるともっともらしく聞こえますが、実際問題としては、隠岐には十五分ですよ。広島には四十分、大阪には四十五分、東京間が二時間、こういう状態なんです。ところへもってきて、鳥取にも知事が千二百メートルの鳥取空港をつくった。しかし利用価値がない。そこで五百メートル延ばす。これはあなた方の地方空港整備の計画の対象になされても、私は、あえて何ら異存を差しはさむものではございません。だが、いま言われたような、将来の輸送需要に応ずるということになると、大型機の就航が十五万人の乗客を輸送するということを意味するのであって、話が違います。あなた方は、いま私が言ったような実態を、米子の十五万人の乗降客の実態をどういうふうに把握していらっしゃいますか。いかがですか。
  134. 庄田正二

    説明員(庄田正二君) 実は詳しい数字は持っておりませんが、ある空港をジェット化するかしないかという場合の基準といたしましては、単純に十五万人その空港にお客さんがいるからということではなくて、東京とか大阪とかそういう主要路線のお客さんが何人いるかということできめていくことになっていると思います。そういう基準はこれから航空審議会で御検討いただくわけでございますけれども、単に十五万人だからジェット化するということではなくて、主要路線のお客さんが何人いるかということが主になるわけであります。それで、基本的には米子空港は現在自衛隊が管理いたしておりますけれども、私どものほうといたしましては、空港整備法にいういわゆる三種扱いということにいたしたいと思っております。三種といいますのは地方公共団体が管理するという空港でございまして、地方公共団体が整備してほしいという希望に基づいて、運輸省がその必要性があるかどうか、あるとすればいつ手をつけるかということを検討するわけでございまして、私のほうで一方的に米子空港を拡張するというような方針をとっているわけではございません。あくまで地方公共団体、この場合鳥取県がどういうような御希望を持っておられるかということで検討してまいるわけでございます。
  135. 足鹿覺

    足鹿覺君 しかしね、監理部長、先ほど丹羽大臣に御確認を願ったように、前大臣の橋本さんも、みずから進んで一県一空港主義、併用空港はこれを分離する、こういう大方針を示されたわけです。私が押しつけたものではありません、橋本さんみずからが進んでそういう方針を示されたわけです。いいですか。だとするならば、大阪や名古屋や東京の間にですね、人口六十万に足らない鳥取県に二つの空港をつくるということは、たとえ併用であれ、一県一空港主義は名ばかりで、実際は地方の要望があればどこへでもつくるということにもなりますよ。なりかねない、いまの御答弁では。それは大臣の、いま私が冒頭に確認をしたことに反しやしませんか。むしろ整備なさるならば、鳥取空港を御整備になって大型機の就航をおやりになるならこれは筋が通るでしょう。だけれども、美保空港の場合は四路線ありますけれども、その四路線のうち、いままでは全日空機の一便で事足りていたんだ、大型機の就航が必要であるという声はありましたが、私は二便あれば十分だ、その要望を申し上げ、二便就航したとたんに自衛隊の滑走路の補修が行なわれて停止になり、来月から一便だけ復活する、こういうことなんです。いまのあなたの御答弁は少し矛盾していると私は思うのです。何でもかんでも頭数でやるということではなくして、必要度に応じて、大型化しなければ輸送ができない、そういう事情のもとにあって初めて大型機の就航というものはその必要性が出てくる。隠岐わずかに十五分、広島四十分、大阪四十五分に大型機なんか就航の余地ありませんよ。YS11で十分です。だから地元の住民の人々もごう音に悩まされながらも忍んでおるのです。ほかにこういう事例がありますか。わずか人口六十万に足らないところにこのような併用空港と二空港を持っておるところはどこにありますかおっしゃい。どこにありますか、そういうものは。
  136. 庄田正二

    説明員(庄田正二君) 人口六十万ということになりますと当てはまらないかもしれませんが、比較的近いところにある空港で、ともに民間航空が利用している例としては北海道の千歳と丘珠、それから九州の小倉、板付という例がございます。
  137. 足鹿覺

    足鹿覺君 北海道と鳥取県と比べましてもそれは比較になりませんよ。ものさしの基準が違うじゃないですか。あなたはそうしますとやむを得ないと。これをどういうふうに防衛庁とお打ち合わせになったのですか。これから五百メーター延ばすところは、県単独事業で埋め立てて滑走路を延長するという。いいですか、千五百メーターに縮んだ。防衛庁の滑走路は千五百になるのですよ。その先五百メーター、オーバーランを含めてもっと広いものになると思いますが、二千をこえるのですね。それから先は県の財産、千五百から手前は防衛庁の国有財産だ。管理体制の上からいっても、これは何らかの事前の覚え書きか何か両者の合意に達したという証拠がなければ、あなた方の今後の運用もつきませんし、私どもも県費を十億円内外を投ずるという、貧乏県の鳥取県がそういうことに金を使う段階では私はないという判断を持っておりますが、それは別問題といたしまして、何か覚え書きの交換とか、あるいは管理上のあるいは使用上その他必要な文書の契約その他をなすっておるわけですか。防衛庁との間、県知事との間にどういうお約束をなすって、その書いたもの等はどういうものでありますか、お示しを願いたい。
  138. 庄田正二

    説明員(庄田正二君) 美保空港の拡張に関しましては、防衛庁あるいは鳥取県といろいろ話をいたしておりますが、まだ最終的に文書その他をかわしておりません。
  139. 足鹿覺

    足鹿覺君 かわしておりませんじゃないですよ。かわしておらないのに知事がやるはずがないでしょう。いま私は、あなたがお聞きになったかどうか知りませんが、いわゆる協議会の席上、社会党議員の発言中に一方的に議長がベルを押して本会議を招集しているわけです。そして社・公両党議員の退席のまま強引にこれを採決しておるのです。手続としても不穏当です。そもそも民港の問題についてはむろん、自衛隊の場合はむろんでありますが、民港の場合は特に県民の代表である県議会等の合意、円満な合意をもとにしてなされない限り、今後の飛行場の運営に支障があっても、これは収拾つきませんよ。地元は、方角の変わる滑走路の真下に当たるところの者は、ある一部の者が賛成署名をしていることは事実であります。しかしその空港のあるのは旧中浜でありまして、その中浜村の自治会長連合会、農事実行組合長連合会その他公害対策委員会は成規の署名によってちゃんと意思表示をしているのですよ。そういう事実もお確めにならないで、あなたはしておらないが、今後どうなさるおつもりですか。地元の意向というものをもっと慎重に調査をなされ、そして少なくとも民港などについては慎重を要されるのが私は筋だと思う。政治の要諦だと思う。それくらいのことは監督官庁として、上級官庁として行政のいろはではありませんか。大臣、いかがでありますか。私の言うことは無理でありますかどうか、ひとつ御答弁を願いたい。
  140. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) ただいまの足鹿委員からのお話の趣旨よくわかりました。私ども、ことに地方空港につきましては、地方の要望に従いまして、大体地方の要望でぜひともひとつここへ空港をやってもらいたい、第二種空港までは別でございますが、第三種空港にまた類似するようなものにつきましては、地方の要望に従ってこれをやるというのが大体のたてまえでございます。そうしてまた、しかしそれでも、いまお話がございましたように、つくって、それがほんとにむだ使いにならぬかどうかということももちろん検討しまして、そういうことでつくることがたてまえでございまして、私どもただいま聞いておりますところによりますると、鳥取の空港ができまして、いま先生おっしゃったような、鳥取と米子とは非常に、二つあるのはどうだという意見も相当ございました。ございましたけれども、前からも自衛隊飛行場を民間機で使わしてもらっていると、さらにいまお話がございましたように、相当米子飛行場のほうがうんと利用度も多くて、しかも最近、ジェット機も将来使わしてもらえるようになればそっちのほうが便利である、こういうようなことで、それでは、原則的にはやはり何と申しますか、一県一港主義が好ましいことであるが、地元でそれほど強い要望ならば、少々のことならば私のほうでも考えようか、こういうようなことでいままで話し合いを進めてきたと思う次第でありまして、いまお話のような、そういったいろいろの紛争がある、しかも非常にそこの県の世論におきまして分裂があるというような話は、まだ私ども聞いておりません。したがいまして、そういう点も十分参酌をいたしましてこれから検討してまいりたい、こういうふうに思っている次第でございます。
  141. 足鹿覺

    足鹿覺君 十分に慎重に検討するということでありますので、その結果を期待しておりますが、事務的な問題ですから伺いますが、地方単独事業費百五十億円、で、これは地方単独事業費というものが五千六百億のうちに百五十億円含まれておりますね。これは県なり地元のものが県単事業なら県単事業でやるものを想定して計上されたものでありますか。
  142. 内村信行

    説明員(内村信行君) そのとおりでございます。
  143. 足鹿覺

    足鹿覺君 そうしますと、これは地方交付税の対象になる御所存でありますか。自治省との話し合いを取りつけたものでありますか。
  144. 内村信行

    説明員(内村信行君) 先生失礼いたしました。用地買収費とか、そういうもののことでございます。——用地買収費だそうでございます。
  145. 足鹿覺

    足鹿覺君 用地買収費かどうかは、その種目は別として、地方単独事業費となっておるわけなんですね。地方単独事業費とは、用地を取得しようが、その上に施設をしょうが、いわゆる県単事業を意味するかどうかということを聞いているんです。
  146. 庄田正二

    説明員(庄田正二君) そこで地方単独と書いておりますのは、補助事業の対象になってない事業、補助事業、運輸省がたとえば滑走路の場合には五割補助するとか、エプロンについても五割補助するというような規定がございますが、そういう補助対象になってない事業。したがって先ほど局長が申し上げましたような、用地買収費であるとか、あるいは駐車場関係の費用であるとか、そういうような事業になっております。
  147. 足鹿覺

    足鹿覺君 それは、県単の場合を想定して百五十億を見込んでおられると、こういうふうに理解してよろしいですね。国はノータッチだということですね。そのことを聞いておるのですよ。
  148. 内村信行

    説明員(内村信行君) そのとおりでございます。
  149. 足鹿覺

    足鹿覺君 ではこれを交付税または特別交付税の対象になさるお考えかどうかということを続けて承っておきたい。自治省と話がついておりますか。
  150. 内村信行

    説明員(内村信行君) はなはだ明快を欠きまして申しわけございませんけれども、五千六百億ということにつきまして、全体のワクにつきましては自治省と話し合いはついておりますが、そのうちの百五十億につきまして交付税の対象とするかしないかということにつきましては、必ずしも話し合いはついておりません。
  151. 足鹿覺

    足鹿覺君 そうでしょうね。おそらく私もそうだと思うのです。そこでね、運輸大臣にひとつ御注文なり御要望を申し上げたいのですがね。近く航空審議会を開くと、こういうことなんです。で、この航空審議会にはかられるのは何をおはかりになるのですか。もう大体こういうものをきめて、これを一つの素案としてですね、この整備五カ年計画とまだほかに御準備になっておるのですか。何日にお開きになるか。さっき何日とかおっしゃったのですが、どういうものを御諮問になる御予定ですか。
  152. 内村信行

    説明員(内村信行君) かける日にちは十三日でございます。それでかけ方は、基本方針をかけまして、それからそれによって具体案を一応つくりまして、それで御審議願いたいと、こういうふうに思っております。
  153. 足鹿覺

    足鹿覺君 じゃあこれですか。このもの自体をおかけになるのですか。
  154. 内村信行

    説明員(内村信行君) たしかいまそこに先生お持ちのは政策審議会の答申かと思いますけれども……。
  155. 足鹿覺

    足鹿覺君 いや、これは運輸省航空局がきょう持ってきてくれたんです、ぼくに。もらったんです、あなた方から。こういうものがちゃんともうきまっておってね、あとで航空審議会なんというものは……。
  156. 内村信行

    説明員(内村信行君) おそらくそれは閣議了解の文書でございまして、それで五千六百億という大ワクをきめまして大体の考え方を書いたものというふうに考えます。したがいまして、今度はもう少しその細目をきめまして、具体的にどういうふうな飛行場をどう整備していくかということを今度かけるということでございます。
  157. 足鹿覺

    足鹿覺君 そうしますと、その審議会に、この大綱に従って細目に計画をしたものを審議会の意見を問うと、この審議会の答申の際に、いま私が論議したようなことは十分あなた方に御質疑を申し上げ、御意見を申し上げた、私の愚見を申し上げましたが、地元民の声も一応大臣のお耳にも入ったと思いますが、必要ならば地元民も代表団を連れて御陳情なり実情説明に上がってもけっこうでありますが、とにかく民港の果たす役割りというものは、ほとんどビジネスで長距離を飛ぶ者あるいは観光で相当ふところのあたたかい人というもので、地元の人々がこの大型ジェット機を利用するなどというものはほんのりょうりょうたるわずかの数字であろうと思います。受ける被害は地元が受ける。したがって、地元民が民港の問題にもっと了解を与え、納得を得た後に私は事がなされるべきものだと思う。したがってですね、この問題については御答弁がありませんが、監理部長さんね、まだ何も文書は取りかわしておらぬということでありますが、これを強行突破した場合にはですね、あなた方は、一方は防衛庁千五百、今度は県有の滑走路五百、これをどういうふうに運用を、管理をなさるかですね。それについては何らかのことが、もしこれがこのまま進んだとすればですね、防衛庁とあなた方との間、知事と防衛庁との間、知事と運輸省との間に何らかの文書の交換があるものだと私は思う。それなしには着工はできないと思う。私はそう理解いたしますが、どういう今後の手順を経て着工その他施工にいくのですか。あなた方は暗黙のうちの了解を与えて、既成事実をつくった上でこれをあとで認知をする、そのときに文書交換をすると、こういう御方針でございますか。それは私は逆ではないかと思う。その合意の過程にあなた方みずからが地方へ出向いて実情調査し、しかる後に問題を合意に達するのが私はあたりまえの行き方ではないかと思う。いかがですか。どういう手順になるのですか、これからの進め方は。
  158. 内村信行

    説明員(内村信行君) 基本的には、先ほど大臣からも話しございましたように、本来ならばやはり自衛隊飛行場と民間の飛行場は分けるというのが基本的に望ましいと思います。
  159. 足鹿覺

    足鹿覺君 そうですよ。いまみたいなことだったら困るでしょう。
  160. 内村信行

    説明員(内村信行君) そこで、ただあとからの話もございましたように、しかし地元の方々がほんとうにその地元の方々のために美保の飛行場を民間航空にも使ったほうがいいというようなことがあれば、その場合にはやはり弾力的な考えを持つことも必要ではないかという気もいたします。しかし、それはやはりほんとうに皆さん方が一致して地元の方々がこうしてほしいというふうな要望があった場合の話でございまして、それがないうちはやはりそれに手をつけるというわけにはいかぬと思います。しかしそういうふうな、初めのうちの少なくとも知事さんのお話は、地元一致してこういうものをつくってもらうことが非常に便利なんです、こういうお話もございましたので、本来の思想とは若干違うけれども、それほど地元の方がおっしゃるならば、そういう方法も一応研究してみてはどうかということで、私から監理部長に命じまして、そういう場合には、かりにそうなった場合にはどうなるかということを研究さしているわけでございます。したがいまして、これは最終的に決定するわけではございません、現在の段階におきましては研究段階でございまして、当然地元の問題というものが解決したということを前提にしましてこういうふうなものが実現化するということでございます。したがいまして、かりにそういうものが全部クリアーいたしまして、地元の方々も御納得の上で皆さんがやると、それでけっこうだということになった場合には、やはり防衛庁運輸省とそれから県というものが何らかの形におきまして合意書をつくってやるというふうな形をとらざるを得ないと思いますが、現在はその段階ではまだございません。
  161. 足鹿覺

    足鹿覺君 丹羽大臣、いまの航空局長の答弁を大臣答弁と理解してよろしゅうございますか。
  162. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) よろしゅうございます。
  163. 足鹿覺

    足鹿覺君 そこで防衛庁に伺いますが、いまお聞きのとおりの御答弁ですね。あなた方は千五百、県がいま考えておる五百は海に突出するのですよね。それは県有財産。国に寄付した場合は別ですけれども、そう簡単には寄付できますまい。県有財産ですね。こういう複雑なやり方がいま強引にしかも一方的に押し切られている。そこで地元民の不安は、これは二千メートル以上になる、したがってジェット戦闘基地になりかねないという不安を持つのはこれは常識だろうと思うんです。これは邪推じゃないと思うんです。全部で二千ですからね。で、最近の日本の航空機製造技術の高度な開発によって、短距離浮揚の飛行機がだんだんつくられておる。そういう面から見て、104J戦闘機は十分飛べますね。それから厚さも、現在防衛庁は十五センチから二十センチになさったわけです。今度の県の分は、計画によると二十五センチを計画しておるとわれわれは聞いておる。そうしますと、これはなかなかたいへんなことであって、近き将来においてはジェット戦闘基地化していくのではないかという不安も重なって、地元民は非常ないわゆる県政なり市政に対してふんまんと怒りを持っておるわけです。その点は私は、邪推ではなくて当然地元民の素朴な気持ちとしてはそうならざるを得ない、かように思いますが、防衛庁としては、現在の段階としては千五百で足りるんです、輸送航空団としては。私ども航空局長にも申し上げたとおり、現在のオランダ製のあの飛行機全日空が使っているのは何というんですか。
  164. 内村信行

    説明員(内村信行君) フレンドシップでございます。
  165. 足鹿覺

    足鹿覺君 フレンドシップ号。あの飛行機が朝と夕方二回飛べば大体東京と米子間は事足りるんですよ。何もいま強引にこういう、会議中に、人が発言中にベルを鳴らして、そうして自民党だけでそういうことをやられなくても大体事足りている。ある時期にくればおのずから問題は解決する。輸送需要がもっと急激に増大をしてくればそれはそのときのことでしょう。いまの段階でしいてそのような無理までしてやる必要はどこにもない。私はきわめて常識的な判断をしておりますから、そういう判断を持っているだけなんです。したがって、航空審議会において今後御審議をなさる場合におきましては、一県一空港主義、自衛隊との分離問題、これを基本に踏まえて、そうして地方空港の整備を十分審議を尽くしていただきたい。またその諮問案ができた際には私どもにも資料として御提示を願いたい。また結論が出たときにもその結果を承っておきたい。  念のため申し上げておきますが、米子から自動車で一時間足らずのところに出雲空港があるんです。ですからちょっとの時間をかければ事足りるんです。鳥取−米子間も一時間四十分ですよ、湖山空港まで、私の米子から。  どうもこのような強引なことをなさるということにつきましては、これは運輸行政につながる一つの不信感にもつながってくると私は思うんです。したがって、航空輸送需要の増加は私は一つの趨勢としてこれを否定するものでありませんが、一説によれば、美保空港に727をおろして一ぺん中継さして、ガソリンを補給して板付へ飛ばすのだ、こういうことをもっともらしく言う。三十分も四十分も米子空港で整備点検、油の補給をして、だれが急ぎの飛行便を利用する者が福岡くんだりまで乗りますか。そんな理由にならないことをあげつらって県民を愚弄する、そうしてまでこれを強行突破するということに対して、上級監督官庁として運輸行政、航空行政の中心としての大臣の今後の御善処を強く要望をいたしておきたいと思う。  私は恩給問題で質問をする予定でありましたが、この問題で済んでしまいましたので、恩給問題は後日の機会に譲ります。  運輸大臣の御所信をひとつ承っておきます、さっきの審議会問題とあわせて。
  166. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) 十分足鹿委員の御所論を参考にいたしましてこれから慎重にやってまいりたいと思います。
  167. 柳田桃太郎

    委員長柳田桃太郎君) 本件に関する本日の調査はこの程度にいたします。  本日はこれにて散会いたします。              午後五時十九分散会      —————・—————